99/01/21 第2回臍帯血バンク事業運営専門部会 第2回 臍帯血バンク事業運営専門部会 日時 平成11年1月21日(木) 10:00〜12:20 場所 虎の門パストラル5階 出席者 (○:座長 敬称略)  有田 美智世 ○鎌田 薫   小池 麒一郎 児玉 安司  迫田 朋子  月本 一郎   中林 正雄  平林 勝政  古市 圭治  正岡 徹  陽田 秀夫   1.開 会 2.議 題   (1)「事業運営ガイドライン」(案)の策定について      (2)臍帯血バンクの事業の状況について(各臍帯血バンクからの         ヒアリングを含む)      (3)その他 〇事務局 定刻になりましたので、只今より第2回臍帯血バンク事業運営専門部会を開催させて いただきたいと思います。はじめに委員の出欠の状況でございます。河北委員、高橋委 員、長谷川委員が都合により欠席とのご連絡をいただいていることをご報告させていた だきます。 では会議資料等の確認をさせていただきます。お手元の資料です。最初が第2回臍帯 血バンク事業運営専門部会の議事次第でございます。その後ろに委員の名簿です。後は 配置図でございます。第2回臍帯血バンク事業運営専門部会の会議資料の一覧です。 資料1 臍帯血バンク事業運営ガイドラインの項目(案の2) 資料2 共同事業の内容に関する検討状況について 資料3 臍帯血移植に係わる特許問題について 資料4 臍帯血賠償責任保険について 資料5 各臍帯血バンクに対するヒアリング事項 資料6 「各臍帯血バンクに対するヒアリング事項」の回答 参考資料 臍帯血採取基準書 その他に先生方には参考としまして日本赤十字社中央血液センター臍帯血バンクプロ ジェクト要綱。東京臍帯血バンクのチラシ。厚生科学研究班の公開シンポジウムのお知 らせでございます。 お揃いでございましょうか。何か資料等の欠落がありましたら事務局にお知らせいた だきたいと思います。では鎌田部会長よろしくお願いします。 〇鎌田部会長 議題に入りたいと思います。最初に前回本専門部会でご検討いただきました「臍帯血 バンク事業運営ガイドライン」について、各委員の方々の意見を踏まえて、事務局で本 日配付の案の2を取りまとめていただいておりますので、事務局からご説明お願いしま す。 〇山本補佐 資料1でございます。事前に各委員にはお送りしておりますが、アンダーラインのと ころが前回案の1より変わっているところでございますので、簡単にご紹介させていた だきます。臍帯血バンク事業の定義のところです。検査、保存といきまして「提供もし くは提供の決定」という概念をということがございましたので、それを付け加えており ます。 基本方針ですが、これはいろいろな概念が交錯しておりましたので、整理させていた だいております。「本ガイドラインは、共同事業に参画する臍帯血バンクが運営に当た って留意するべき基本的枠組みを定めたもの」というのが1でございます。 (2)番目に、臍帯血バンクのあり方として、「迅速に」対応するということを敢えて 明確に書いてございます。また臍帯血バンクは自分のバンクの運営のみならず、この 「臍帯血バンク連絡協議会(仮称)の一員として共同事業の運営に関わる」ということ も記入してございます。 (3)番目に、「各臍帯血バンクはそれぞれ独立した組織である」ということと、この 「ガイドラインを踏まえた上で、さらに独自の取り組みを進めていくことについて妨げ るものではない。」という整理をさせていただいております。 お手元の資料の2ページ目でございます。アンダーラインのついているところです。 HLAに関する情報の管理について、「移植を行っている医師等が直接その管理を行わ ない組織である」ということも明記させていただいております。 (2)事業の実施状況についての評価です。・供給実績については、「初期的段階では 供給実績は当分の間は問わない」ということになっております。 ・収集見込みにつきましてですが、前回、臍帯血の収集が相当程度見込めることとな っておりましたところを、具体的な数字を示した方がいいという意見が数人の委員から 出されました。具体的には例えば5年間で2万検体を集めるとして、10バンクで例えば 行ったとすれば、年間400 検体くらい各バンクが集めないといけないという試算から、 ある委員からは400 検体は集めれることという意見から、500 という意見、実は1,000 というご意見も出てまいりまして、幾つかの数字を明記するべきであるというご意見も 複数いただいております。 ・情報の管理です。情報の管理というだけだと、何に関する情報を明記するべきだと いうご意見から、臍帯血に関する情報の管理・提供ということで、一番上のところに、 まず「情報の管理責任者を置く」、これは前回の意見で出されたものでございますが、 「6か月後にお子さんの健康状態を確認するまでの間に保存されている臍帯血の情報の 管理について」も、留意点を述べております。その以下の〇です。臍帯血のHLA等の 情報について、医療機関もしくは「関係機関」に提供することとありまして、実際にど の情報を各バンクが提供するのかということにつきましては、別途行われております技 術運営部会、技術の専門部会の方の内容を踏まえるということで、そちらの方の今の検 討状況については、後ほどご紹介させていただけるかと思います。 3ページ目の下の・です。ここも同じように情報公開は何に関する情報公開なのかと いうことで、「バンクの運営に関すること」であるということを明記しております。 ・の「民間損害保険の加入」につきましては、委員の先生から具体的な保険のモデル のようなものがなければということでしたので、後ほどこれもこちらの方からご紹介さ せていただきたいと思います。 4ページ目です。安全・技術力・有効性のところで、複数の委員から出されました、 「第三者機能評価を受けること」というのを付け加えてございます。 ・採取です。これは追加の意見でいただきましたが、採取施設の選定、実はこれは安 全基準の方で幾つくらい採取を見込める施設を採取施設と選定するのかという数が出さ れてなかったのですが、ある一定数、この委員のご意見では「100 検体以上の採取を見 込める施設を採取施設とするということと、6か月後に行う児の健康調査のフォロー率 が低いとよろしくないということで、十分にそれの意義を親に説明していただく」とい うことが書いてございます。 ただ児に対する健康情報の最終的な入手責任は各バンクにあるということは、前回の 中間まとめで整理されておるところでございます。 次のところでございます。これもご意見として「児に対する健康調査結果の把握率が 相当程度高いこと、例えば80%というご意見をいただきました。ただ私ども内部で議論 しましたのは、把握率を上げるために、アンケートを返してくださらない母親に対して 督促をするのかどうか。そもそも無償でいただいたお母様がくださらないときに、何度 も催促して把握率を上げるということをどう考えるのか」ということもちょっと整理し ないといけないのかなと思っております。 最後のページでございます。・提供の決定というところが前回抜けておりましたので この決定ということで、これにつきましては判定委員会によって適応外の移植例につい ての提供を求められた場合の決定システムについて書いてございます。 ・搬送です。搬送体制が整備検討されていることとありましたが、検討ではなくもう 「整備されているべき」であろうということになっております。 ・設備です。現在のキャパシティ以外に、「将来の保存容量に対応できるスペースが 確保されていること」ということもご意見をいただきました。以上、修正部分だけご紹 介いたしました。 〇鎌田部会長 ありがとうございました。ただいまのご説明に対してご質問ご意見等がありますでし ょうか。よろしいでしょうか。本日は各臍帯血バンクの方々からご意見を伺うことにな っておりますので、それらを踏まえてご検討させていただくということで、次の議題に 移らせていただきます。議題の2番目共同事業の内容に関する検討状況です。各臍帯血 バンクの事業運営ガイドラインを検討いただく中で、共同事業の内容についても考慮す る必要があるというご意見がだされまして、臍帯血バンク共同事業技術専門部会におい て、共同事業の技術的な内容について検討されている状況について、事務局からご報告 いただくということでよろしくお願いします。 〇山本補佐 資料2でございます。12月16日の段階で、共同事業技術専門部会が開催されました。 まだ検討途上のものもございますが、現状についてご紹介させていただきたいと思いま す。資料2の1ページでございます。議論として一番時間を割きましたのが、臍帯血の 情報の共有管理システムをどうしたらいいのかということです。今の時点での議論とし ましては、まず全国的に標準化し、公開共有化していく情報、俗に一次検索、予備検索 という言い方もしておりますが、この情報については臍帯血のHLA型と有核細胞数と それを保存しているバンク名が公開される。この情報にアクセスできるもの、パスワー ド等をもっていてアクセスできるものとして、協議会事務局、協議会に参加している各 バンク、登録されている移植医療機関、協議会が認めた患者団体もしくは患者のネット ワーク、( )の中にございますが、登録していない一般の医療機関、患者個人これは 一般国民ということになりますが、それが自由にデータにアクセスできるシステムには しないという検討に現在なっております。検索の方法はインターネットもしくはファッ クスということでございます。 それを一次検索で該当するものがあるということになりましたら、登録移植医療機関 の移植医である患者の主治医が、患者とも相談して、当該臍帯血バンクに問い合わせる ということで、後はそこでやるということになります。 骨髄移植推進財団に登録されているドナー情報との連携ですが、これについては今後 の検討という状況になっております。 2ページ目です。臍帯血の提供にいたるシステムです。現時点での検討としましては 一つの臍帯血に対して二人以上の主治医もしくは患者さんということですが、そこから 要望があった場合には、疾病の種類とか病期に関わらず、早くその臍帯血にアクセスし たものを優先とするという議論になりました。希望する臍帯血をホールドできる、使用 権を確保するという言葉は適切かどうかわかりませんが、ホールドできる期間は3か月 とする。その3か月を過ぎても使わない場合には、またオープンになるということで す。ホールドできるものは一個とするが、生着不全がかなりの確率でおきるということ で、生着不全がおきた場合には直ぐに次の臍帯血で移植ということがおきる場合に、予 備として一つもう一つホールドできるシステムはどうかという議論がございましたが、 これについてはホールドするべきだという意見と、その時点でまたアクセスすればいい という意見に別れまして、引き続きの検討になっております。 次に安全性の確保についてです。最低年一回の各バンクに対する第三者の査察を行 う。このインスペクションの内容の重要事項につきましては、今それの専門部会の一部 の委員に作業をしていただきまして、とりまとめていただくということになっておりま す。 適応・治療成績の評価です。移植基準書に適応疾患とか病期について書いてあります が、それをもう少し詳細に明確に規定することで、そこに書いてあることについては、 一々判定委員会の審議を経てから使うということではなく、そこに決められている移植 については、そのまま移植に結び付けられるのではないか。ただそこに書いてないよう な、想定されてなかったような移植適応につきましては、原則としてはまず地域におけ る地域判定委員会というのを重視して審議する。なかなか決定困難な事例、もしくは調 整がいる事例については中央の判定委員会で審議するということで、機動性を高めよう という議論になっております。 また、各臍帯血を提供した臍帯血バンクが、移植医療機関からの定期報告を責任をも って集めて、それを全体で集めて共同事業の中で分析評価を行い、また情報公開を行う べきだという議論になっております。 最後に移植医療機関の登録と情報公開です。これはまだ議論が煮詰まっておりません が、登録方法につきましても、今後の検討ですし、医療機関ごとの例えば移植の実績、 成績、あるいは移植体制についての情報公開については、今のところでは原則、移植医 療機関の自主性に任せるということになっておりますが、まだ細かい検討を要する事項 になっております。以上です。 〇鎌田部会長 ただいまのご説明に対してご質問ご意見等がありますでしょうか。 〇正岡委員 二人以上の主治医から要望があったときに、早くアクセスしたものを優先とするとい うことですが、これはこの前はそうなっていなかった、誰か早くアクセスしたものを優 先としたらよろしいか、それではいけないでしょうか、という話になっていたと思いま す。患者の体重とか細胞数とかで、医学的にもある程度は優先順位を考慮しなくてはい けないということでした、その点はもうちょっと検討させてほしいと思います。 〇有田委員 誰が判定するのですか、主治医がそれでいいといったらいいんじゃないですか。 〇正岡委員 それを決めるのはこれから検討してほしいのです。それは判定委員会でもいいし、そ ういう医学的な判定をする考慮が当然必要であると思います。やるのは誰がやるのかと いうのはこれから検討してもらったらいいのですが、判定委員会がありますから、そう いうところではどうかと思います。 〇山本補佐 事務局の不備かも知れません、失礼しました。今月の26日に合わせて技術専門部会か ございます。今の正岡先生のご意見ももう一度きちんと確認して検討してまたご報告さ せていただきたいと思います。 〇陽田委員 私は先着順でいいと思っております。ですから正岡先生のご意見をこの部会の総意と しては報告しないで下さい。 〇有田委員 私も総意としては報告しないでいいと思います。 〇鎌田部会長 わかりました。ではその点を踏まえて事務局から1月26日の技術専門部会に伝えてい ただいて、更にご検討をお願いするということにしたいと思います。他にご意見はござ いますか。 〇陽田委員 1ページ目の下から6行目くらいです。( )の中です。「登録移植医療機関以外の 一般の医療機関、患者個人が自由にデータにアクセスできるシステムにはしない」とな っているのですが、これは患者個人はいいとして、移植の対象となる患者さんを扱って いる主治医のいる医療機関、すなわち、登録移植医療機関でないところがアクセスでき ないというのは、どういう根拠でそういう議論になられたのか、ぜひアクセスできるよ うにしてほしいと思います。 〇鎌田部会長 その点について、今、お答えがございますか?できなければまた次回までにご確認を いただくということにしたいと思います。 〇有田委員 2ページの5です。移植医療機関の登録及び移植情報の公開について、これには「移 植医療機関の自主性に任せる」とありますが、登録については自主性に任せてもいいと 思いますが、移植情報の公開については、していただかないと困ると思います。 〇鎌田部会長 この点も、要望を技術専門部会にお伝えいただくということにしたいと思います。場 合によってはこちらのテーマにも関わってくるので、この点についてガイドラインの中 に盛り込む必要があれば、こちらでも議論したいと思います。 〇有田委員 これは事務局にお願いしたいのです。検討委員会のときにもお願いしたと思うのです が、私たち本当に医療など技術的なことはわかりませんので、こういう資料はもう少し 早めに送っていただかないと、ここで見せられてもわからないのです。それで終わって からアレと思ってもここでこうであったということにしたら、認めたということになり ます。それは非常に困ります。もし意図的にしているのだとしたら卑怯であると思いま す。 〇鎌田部会長 意図的ということはないと思いますので、事務局はその点はよろしくお願いします。 二つの専門部会は非常に内容的にも密接に関連しておりますので、相互に審議経過をご 連絡いだくということに今後していただきたいと思います。なるべく早めに情報提供を お願いします。 〇山本補佐 信頼関係を損なわないようにしたいと思います。まだ共同事業の専門部会がもう一回 開かれて、実際にはそこでは決定ではなくて、有田委員も委員でいらっしゃる検討委員 会である親委員会にも出されて、また必要なものはこちらにもフィードバックという過 程を経ますので、今の時点での向こうの検討の中間過程ということですので、今日いた だいた意見は、その技術専門部会の方にもちよりたいと思います。 〇鎌田部会長 他にはよろしいでしょうか。では本日いただきましたご意見を1月26日に開催されま す技術専門部会にお伝えいただいて、更にご検討いただく。その結果については、また こちらでも検討の機会を設けさせていただくということにさせていただきたいと思いま す。 次の議題の3と4です。それぞれの委員の方々から前回ご質問がありましたので事務 局に調べていただきました。これらについてのご報告を事務局からお願いします。 〇山本補佐 お手元の資料3でございます。一つは特許問題について前回委員からだされました。 その時点では私どもは状況を把握しておりませんでしたので、簡単にご紹介いたしま す。ご存じの方が多いかと思いますが、昭和63年に米国ニューヨーク州にあるビオサイ ト・コーポレーションからヒト新生児、または胎児の造血幹細胞、造血前駆細胞を用い ること、造血細胞を冷凍保存すること、その際に冷凍保存剤を用いること、また造血細 胞に遺伝子を組み込むことなど、非常に広範な範囲に渡る特許出願がなされておりま す。 それに対しましてビオサイト・コーポレーションから審査請求が平成5年にあり、平 成8年1月10日に特許庁より出願公告、特許庁が特許に当たるのではないかということ で公告をします。これ対して法定期間内に異議申立てができるようになっておりまして それに対して国内外の企業2社が、正式にこの期間内に異議を申し立てております。ま た法定期間内を過ぎておったのですが、我が国における関係学会もしくは関係者から、 特許庁から正式にもしくは厚生省に対してもこの異議申立て要望書が幾つか出されてお りまして、それを受けまして、現在特許庁ではまだ特許の査定中ですので結論が出てお りません。ですから特許として認めるとか認めないとか、認めるとしてもどの部分を認 めるとか、その結論が出ておりません。 また欧米におきましては、前後して既に特許して認めるという一時的な判断が出され ておるのですが、米国ではそれに対しての異議申立てに対して、再審査というこで、再 審査中は特許として認めてなくて、一応ホールドしている形になっているようです。そ のような状況です。ヨーロッパの状況は実はまだわかりません。特許庁としても諸外国 の状況は今以上にはわかりませんが、現在我が国においては査定中です。いつ査定が終 わるのかとか、結論がどうなるのかということについては、また分からないという状況 です。現在ではまだ特許として認められてないという状況です。 引き続きまして資料4です。 ガイドラインの中で損害賠償のことにつきまして、保険というものが実際に我が国に ないということで、私どもの方から一部民間の保険会社さんのご協力も得まして、例え ばこういうものがあり得るのではないかということを、モデル的に資料を提供させてい ただきます。 例えば資料2ページです。移植例を年間臍帯血移植が100 例くらいおこると想定して 例えば保障内容としてA・Bというのはお値段が違うだけですが、1名、1事故、マッ クス3,000 万、期間中で総額で3億まで、もしくは1億までというような条件付きでの 保障する。免責金額が1事故50万という形での保険を考えますと、3ページですが、払 う場合というのは、臍帯血バンクが提供した臍帯血を移植したことによって、レシピエ ントの身体を害したことについて、各バンクが法律上負担しないといけない損害賠償を 保障するということです。 簡単にいうと、保存温度とか管理が悪くて云々とか、実際の検査をウイルス感染を陽 性をマイナスと間違って移植してしまった等々の場合に発生するものでございます。次 のページです。 支払われる金額として、一つは損害賠償金ということで被害者に対する損害賠償金と それに関わる各種費用です、争訟費用というそうですが、この裁判の費用等です。応急 措置等の緊急に要した費用等も払う。この手の保険につきましては、次の5ページです が、初期対応の特約というように特約というものを付ける場合があるようです。この場 合には例えば、損害責任、賠償責任の発生の有無に関わらず、事故発生時の初期対応で 例えばお会いするときの交通費とかお見舞いのお金、例えば一時50万円くらいのお見舞 い等について、カバーできるという特約もつけれるということでございます。 ただし、次のページですが、免責事項ということです。通常の保険の免責である戦争 とかの問題、その時点での医学的に十分な検査を行ったが、とても発見できない安穏な リスクのようなもの、もしくはウインドピリオドの問題、環境ホルモンとかダイオキシ ン等々の問題が免責事項としてあるようでござます。 最後のお値段の話です。細かいところはこれからですが、例えば今のような考え方で 作ってみますと、プランAですと年間の保険料が320 万、例えば10バンクで割れば1バ ンク30万ちょっとということになります。プランBですと240 万ですから各バンクは20 〜30万くらいの負担ということでございます。他にもいろいろな考え方があるかもしれ ません。例えばこういうものも考えられるというか、今後含みうるということでござい ます。 〇鎌田部会長 ありがとうございました。今の二つの点についてのご説明で何かご質問ございますで しょうか。 〇有田委員 保険のことはよくわからなくて、見当違いな質問をしているのかも知れません。保険 をかけるのはいいとか悪いというのではなく、この負担は誰がするのでしょうか。 〇鎌田部会長 直接的にはバンクということになります。 〇有田委員 そのバンクが沢山お金を支払うということになるのですか。 〇鎌田部会長 今のご説明でいくと、全てのバンクを合わせてこの保険に入れば、1バンク当たり20 数万から30万ですね。年間でね。 〇有田委員 わかりました。ありがとうございました。 〇鎌田部会長 他にはありませんか。それでは大変急いで恐縮ですが、本日、各臍帯血バンクの代表 者の方にお出でいただいておりますので、そちらの議題に移りたいと思います。9バン クの代表者の方にお出でいただきました。お忙しいところ大変ありがとうございます。 こちらの側では実際にこういうガイドラインを作っていく上で、現にバンクの活動に努 力されている皆様のご意見を伺った上で、現実性のあるガイドラインを作りたいという ふうに思っておりますので、本日専門部会へのご出席をお願いした次第であります。 既に厚生省が実態調査をしておりまして、その結果は各委員に渡っております。本日 は予めお送りしましたご質問に対するご意見をいただきたいということでございます。 時間がございませんので、大変に恐縮でございますが、5分程度で要点あるいは特に強 調したい点をお話いただきまして、質問は5分くらいということで、大変に駆け足で申 し訳ございません。ただ、事前に質問項目をお送りしたものに対する各バンクのご回答 は、資料5がヒアリング事項で資料6に取りまとめて各委員のお手元にございますので 詳しくはそちらをゆっくり読んでいただくということで、本日は特に強調したい点につ いてのご説明をしていただくという進め方にさせていただきたいと思います。大変に恐 縮ですが議事進行にご協力をお願いしたいということでございます。 北から順にお願いしたいと思います。まず北海道臍帯血バンクの佐藤さまからお願い します。 〇北海道臍帯血バンク 北海道臍帯血バンクの佐藤と申します。北海道臍帯血バンクは以前から北海道血液セ ンターという形でご理解いただいている方が多いと思います。厚生省のアンケートの時 点から、組織を昨年の12月ですが改めまして、任意団体という形ですが、北海道臍帯血 バンクという形で最上位機関として理事会、その下に運営委員会、運営委員会の下にそ れぞれの専門として採取・保存・検査・移植の判定という部門を作りまして、最高意思 決定機関である理事の理事会の理事長には札幌逓信病院の宮崎保が就任しております。 北海道血液センターとは独立した運営団体という形にしております。 私はその中で事務局の責任者という形で、本日は理事長の宮崎に代わって、この席に 座っているという形でご理解していただきたいと思っております。 そうはいいましても今日はヒアリングの回答に沿って、簡単に回答させていただきた いと思います。資料5です。ヒアリング事項の実情・実態のところから一言二言ずつ補 足させていただきたいと思います。回答は後ろに出ていると思います。 1.実状・実態。 1)の移植医の役割です。等バンクにおける移植医は、判定委員会というものを組織し ておりまして、これは登録した患者さんの疾患が実際に適切で、登録に値するかどう か。あるいは臍帯血の提供するものを希望された時に、細胞数とかHLAを含めてこれ が医療の面で適切かどうかを判定する。これは素人ではできませんから移植の専門の先 生に入っていただいています。ただし他の臍帯血の保存・検査は勿論ですが、データを 管理する事務局、これは血液センターに委託されているという形をとっておりますが、 私のところでやっておりまして、移植を実際にやっている移植医の先生方には入ってい ただいてないという体制になっております。 2)の採取施設への負担ということです。これは説明に要する時間はお母様方によって 千差万別であると思いますが、基本的にはパンフレットを事前に配付させていただいて おりまして、それを読んでいただいて産科の先生が外来でご説明するということです。 お家にもって帰っていただいて、配偶者を含めてご相談いただくという体制をとってお ります。平均的な時間は取れないかも知れないのですか、全てを合わせて10〜20分程度 ではないかと思います。必要に応じて、かかる方は30分でもかかっている場合もあろう かと思います。電話相談も事務局で受けております。 採取に関する費用は実費としてまして、ほぼバック代ということですから、そこだけ とればあまりかかっているとは思いません。保管スペースとしても一つの病院について 1個とか2個ですから、臍帯血のバックといってもせいぜい10〜20センチ四方くらいで すから、これはそれほどのスペースにはならないという理解です。 採取協力施設に関しては、我々のバンクの中では採取専門部門というところで、運営 委員会の中に入っていただいておりますので、これは一緒に苦労するという形で理解し ていただいているというふうに考えております。 2.将来の取り組みです。 1)は参加の意思があるかどうかということですから、参加の意思はございますという お答えになります。 2)は組織的な意思決定を行っているかということですが、北海道バンクは12月に改め て採択しました規約と運営実施要綱の中で、将来的に臍帯血バンクに貢献するというこ とを明記してございますので、将来にわたっても、組織的な意思は徹底しているという ふうに理解していただきたいと思います。 3.来年度の事業計画です。 1)採取施設見込みです。基本的には来年度の事業計画は、現在、運営委員会で来年度 の事業計画を立案中です。この2月に策定し、3月の理事会で承認という方向でやって おりますので、まだ来年度の事業計画はないというのが正直なところです。事務局の推 定ですが、今行っていただいている施設を含めて5施設ないしは多ければ7施設程度が 最初に協力していただけるのではないかと思っております。その施設には勿論契約を結 んでという形を準備しております。 2)収集見込みですが、これは次の400 が可能かという質問にも繋がりますが、400 は 可能と考えております。ただしこれは数が増えたらどうか、可能かというのはこれはあ まり大きな声でいうのはみっともないかも知れませんが、お金次第というのがありまし て、お金の補助が多ければ、もっと取れるでしょうし、お金がいただけなければ100 や 200 で止まるかも知れない。残念ながら金次第というところはあります。幾ら工夫して も出ないものは出ないというところがありますので、自分たちも努力もしますが、補助 がいただければ、それに見合った数はできる見通しはあるということです。 4.財政計画です。 これも先程申しましたように、ただいま来年度の分は立案中ということですので、何 とも今の時点でいうことはできませんが、国庫補助が得られるとして、それまでの交付 までの間どうするかということですが、これは関係した一定の機関に若干の貸付金をお 願いするという形を想定しております。例えば採取病院、保存施設、検査施設にお支払 いする金額も、これは国のお金がいくら頂けるのか、頂けないのかも知れませんが、そ れがはっきり分かる段階まで、初年度に関しては支払いを猶予していただくという契約 を結ぼうという形で準備しております。実際に今払ってないところもございますので、 直ぐに払えと言われないのではないかと、甘いかも知れないのですがそう思っておりま す。 5.将来の計画です。 これも若干お金の問題が入ってきますが、400 を越えて500 を越えるくらいの数は財 政面の裏付けがあれば技術的にあるいは設備的には可能であると考えております。 6.事業運営ガイドラインに対する各項目の意見です。 ガイドラインは実現可能かということですが、個々の項目を一個一個チェックします と、表現とか内容はまだ分からないところがありますので、全部今の段階でできるとい うことは言えないかも知れませんが、大枠としては実現可能であると考えております。 例えば効率性を追求して費用効果の高い組織にしなさいといいますが、どういうケース をもってきて、何点以上であれば効率が高いのか、そういうことは全然分かりませんの で、そういうことは分かりません。例えば地域の臍帯血移植に対するケア活動をしなさ いと書いてありますが、どの程度の内容の活動が啓発活動なのかということも現時点で は分かりませんので、そういうことも含めて、もう少し細かいところまでご返事はでき ませんが、大枠としてはできる、努力したいと考えております。 7.その他です。 1)のボランティアとの連携は現在組織を改めたばかりで、運営委員会がこの辺のとこ ろを今後検討する予定になっておりますが、現在のところはないというのが返事ですが これは将来に渡ってするつもりはないということでは全くございません。 2)中間まとめに対する意見ですが、これは特にございません。 3)お母さんへのカウンセリングの件ですが、恐らくこれは臍帯血を提供したいのにで きないお母様がいらして、なぜだろうかということが現場で問題になっては困るという 趣旨からと私は解釈したのですが、現時点では産科の現場の先生が、マニュアルに従い ましてきちんとご説明しているという範囲内と、事務局で対応しているという範囲内で 今のところは必要なかろうかと思っておりますが、この先大きな問題がもし出てくると すれば、必要になるかも知れませんが、この場合の専門家という言葉がどの程度の専門 家ということなのか、私も理解が及びませんでした。現状では日常業務の中で足りてい るという理解はしております。 以上がヒアリングの事項に対するご質問の回答で、特にこれに付け加えることはござ いません。 〇鎌田部会長 ありがとうございました。何か委員の方からご質問がございますでしょうか。 〇有田委員 佐藤先生、関口先生のことを本当にお悔やみ申し上げます。骨髄バンクの創設から臍 帯血のいろいろな推進に、応援していただきまして、私たちボランティアも本当に心強 く思っておりましたので、非常に残念に思っております。 〇北海道臍帯血バンク 大変ありがとうございました。個人的というか、一個人の問題ですので今お話は控え させていただきましたが、ご存じの方も多いと思いますが、本年の1月6日北海道血液 センターの関口所長、北海道バンクの前の代表ですが、急逝しまして、各方面の先生方 には大変お世話になりまして、私が代わってお礼を申し上げるのは筋違いですが、この 場を借り手お礼を申し上げたいと思います。有田さんありがとうございました。 〇有田委員 少し気になったことがございますのでお伺いします。1)です。判定委員会の説明のと ころで、患者の登録に値するかどうかというご説明があったのですが、私はこの判定委 員会というのが、先程も出できましたが、移植に値するのかどうかまでここは判定委員 が決めるのでしょうか、そういう話に技術部門ではなってしまっているので、そういう ご説明になったのでしょうか。 〇北海道臍帯血バンク 今現在の活動は、今話し合っている技術部門のところから100 %の制約を受けるとは 考えてはいないのです。例えば今骨髄財団でも、非腫瘍性の疾患で、例えば反応性の組 織球症状とか、そういうあるいは今後高原病であるとかの免疫病に対して、本来は登録 の疾患として上がってないはずです。ですが主治医の先生、患者さん、これは多少の文 献を参考にして移植を受けるしかないのではないかという形で登録を申し込んでくる、 提供を申し込んでくるというときに、一応ガイドラインにのぼっている疾患では入って ない、だから入ってないから直ぐに蹴るかということも適切ではないと思いますので、 その場合には、うちのバンクというか各バンクの判定委員が、セカンドオピニオン的な 位置になるかも知れませんが、意見を申し立てて、主治医と場合によっては文書で話し 合ったりしながら、適切かどうかとということを決めるということになります。ですか ら病気の種類によってはストレートに認めるというか、ガイドラインに入ってない病気 が出てきたときに、委員会で話し合うということです。 ですから殆どの病気に対しては、登録に関してはストレートで事務局の判断で通して おります。 〇有田委員 ありがとうございました。もう一つ質問します。ボランティアの応援ということです が、私どもは既に北海道ではボランティアの組織はできております。ただ北海道バンク の方からは要望はまだございませんので、接触しておりません。もし私どものボランテ ィアでよければ、もし国の参加が認められれば私たちは協力を惜しみませんので、参考 にしてください。 ありがとうございました。 〇北海道臍帯血バンク ありがとうございます。うちの組織もかえたばかりで、運営委員会がやっと一回開け たということでして、来年度の中でボランティアの皆さんとの連携というテーマも入っ ておりますので、その節はよろしくお願いしたいと思っております。 〇陽田委員 時間がありませんので各バンクの方に共通の質問ということです。6か月後の子供さ んの健康調査のアンケートの回収率というか、把握率は現在どの程度の比率になってい るのか各バンクの方にお聞きしたいと思います。 〇北海道臍帯血バンク 北海道の場合には文書で、出産のときに臍帯血をいただいたときには、お手紙を出し ましてありがとうございすという感謝を書きまして、その中で6か月後にこういうこと で行きますのでよろしくお願いします、ということを配付させていただいております。 それで6か月後にお送りします。先程、催促するのはどうかというお話はありましたが 一応、1回目でお答えいただけない場合には、2回、それから期間を置いて最後に3回 目、それぞれ以前お願いしましたがということでやっております。1回目ですと60〜70 %くらいで止まっているという形です。2回3回の数字は正確には出しておりませんが トータルで90%〜92%くらいの回答率です。 〇鎌田部会長 では他のバンクの方はそれぞれご報告頂くときに、数字をお持ちでしたら触れていた だくという処理にさせていただきます。では時間の関係がございますので次に東京臍帯 血バンクの青木さまお願いします。 〇東京臍帯血バンク 東京臍帯血バンクの事務局を担当しております青木と申します。東京臍帯血バンクは 現在のところ採取医療機関5施設、事務局を担当しております献血供給事業団、臍帯血 を分離・保存を担当しております東大医科研細胞プロセッシング研究部門、という形で 東京臍帯血バンクは構成されております。 1.の現状につきましては、4ページをご覧いただきたいと思います。これが12月21 日現在の東京臍帯血バンクの概要でございます。ちょっと数字を追加してご説明申し上 げます。11番の現在の保存在庫数12月現在では314 でございましたが、昨日現在で356 保存しております。執行可能数は105 が122 に増えております。大体このところちょっ とペースを上げまして月40個、間もなく100 個のペースに上がってくると思います。 予備検索は昨日現在で申込みが254 、その内検索を終わったものが250 ございまして 1ローカスミスマッチで一致した64人の患者さんが適合の判定をしております。その内 移植を実際に行ったものが6例、生存は5例でございます。 元に戻りまして質問事項の現状実態の移植医の役割でございます。移植医は運営委員 会に移植経験医が3名委員として参加しております。臨床判定委員会の構成メンバーの 殆どが移植経験委員と移植医で構成されております。 採取協力施設の負担でございます。提供者への説明はまず5施設の病院内に印刷した ポスターをあちこちに張り出しておりまして、母親学級で、お手元に今お配りしており ます「はじめてのプレゼント」というパンフレットをお渡しして、個々の産婦に主治医 から説明をするということでございます。 採取に要する費用ですが、採血バックはバンクが支給します。手技は産科医があるい は助産婦さんが採取する場合もございますが、それは臍帯血バンクの保存施設である東 大医科研の技術者が病院に出向いて採取するという幾つかの方法をとっております。勿 論、産科医のお取り頂く費用はお支払いしておりませんので、ボランティアでやってい ただいているというのが実状でございます。 保管スペースは常温で保存しておりまして、院内の清潔な場所、ナースステーション で保存しております。スペースとしては一番大きな医療機関でも一日5〜6個ですので ほれほどのスペースはとっておりません。 2.将来的な事業への取り組みです。 平成9年11月10日、私ども事業団の95回理事会で臨時理事会を開きまして、臍帯血バ ンクの運営を行うことについて議決を致しております。将来とも臍帯血バンクの運営を 行ってまいります。 3.来年度の事業計画です。 今のところ5施設でのお産からの採取は3,000 個まで可能であります。1医療機関で 2,000 の出産のある医療機関もございますので、3,000 個は可能でありますが、それ以 外に採取医療機関として協力したいという医療機関が3施設申し出がございます。した がいまして、お金さえあればという話ですが、いくらでも増やすことは可能でございま す。 分離・検査等の処理能力です。現在では年間2,000 個までの分離が可能ということで ありますが、これも人を増やし、検査費用等が確保できれば幾らでも増やすことは可能 です。もし私ども東京臍帯血バンクに公的バンクとしてやってくれという話でございま したら、当財団の建物に無菌室等の分離施設・保存施設を整備していこうと思っており ます。 4.来年度の財政計画です。 これは現在予算の立案中でありまして、いくら補助金が出るか、あるいは項目・検査 費用等がどうなっているか、それをお示しいただけませんと、不足分がどれだけになる かということでございますので、それによって予算を立てていくつもりでございます。 一例を申し上げます。例えば、補助金の内容が血清学的検査だけで計算されている場 合に、私どもは国際ネットコードに加入しておりまして、国際ネットコードの基準で参 りますと、DNAのHLA型をやらないといけないということで、現在のところ今保存 しているものは全てDNAで致しております。すると恐らく血清学的試験との差は1検 体当たり5万円出てくるわけであります。その点でどの程度見てあるのかによって不足 分が出てまいります。これから検討することであります。 5.将来計画です。2年後3年後の収集見込み数は、一つには国の方で東京臍帯血バ ンクでいくら集めろというお話になるのか、それによっても変わってまいりますし、私 どももお金が準備できる限り、それ以上にできるだけ集めていく考えであります。 6.臍帯血バンク事業運営のガイドラインの項目に対する意見です。 これは実現可能であります。 7.その他ボランティアとの連携であります。 運営委員会の委員にボランティアの代表に加わっていただいておりまして、意見を頂 戴しております。将来的にはむしろ臍帯血を提供したお母さんたちのボランティア団体 というものを育成してまいりたいと思います。妊産婦への説明をお願いできればいいな というのが頭の中にございます。 共同事業に対する意見は特にございません。 母親の質問。これは私どもの専用電話0303である「お産お産」に沢山かかってま いります。しかし採集医療機関は5つしかございません。既に産科にかかっていらっし ゃるのが殆どですので、現在のところはこういうわけで出来ませんというお話をするこ とでよくご理解をいただいておりますので、特に専門家があたる必要はないと考えてお ります。以上です。 〇鎌田部会長 ありがとうございました。ではご質問がございましたらお願いします。 〇児玉委員 全体のバンクの方に、もし触れる時間があれば触れていただきたいと思います。本来 技術部会に関連することかと思いますが、一座不一致と二座不一致の取扱いと、あとは 適応疾患の範囲をどういうお考えをお持ちなのか、恐らく各バンクは違うのではないか という予測をもっております。今回のガイドラインの項目で、提供の決定というのが入 りましたので、するとその辺のご意見をお伺いしたいと思っております。 〇北海道臍帯血バンク 適応疾患に関しては、中間まとめの段階で出ております技術部会の適応疾患に準じて おりまして、その中でも上記に当てはまらないものは判定委員会云々という記載がある と思いますが、先程も申しましたようにその通りにしております。提供基準も技術部会 で作りましたように1座不一致まで、細胞数は2×107 を原則とする、ただしそれに外 れた場合には判定委員会でという記載があると思いますので、その通りに運用しており ます。実際問題、二座不一致の移植として提供したこともございますが、これは当バン クの判定委員会でも揉めまして、主治医の先生に再度、あるいは再再度の情報提供など をいただきまして、提供にこぎ着けたという患者さんもございます。 〇東京臍帯血バンク まず一つお答えし忘れていた6か月の回答であります。90%以上いただいておりま す。催促はしておりません。一座不一致、二座不一致の問題は、血清学的試験で一座不 一致までということでやっております。 先般10月末退院されました成人の女性でございますが、血清学的では一座不一致であ りますが、遺伝子型でいきますと二座不一致ということになっております。適応症例に つきましては当技術部会のガイドラインにしたがっております。 〇鎌田部会長 他にございますでしょうか。 〇有田委員 陽田さんのご質問についてです。6ヶ月の回答への催促ですが、これから宣伝とかい ろいろなものが行き渡ってまいりますと、度忘れということはなくなるのではないかと 思って期待しております。 東京臍帯血バンクにご質問します。 5施設で3,000 個ということです。とても心強いと思います。一応年間で4,000 とい う数字が出ているのですが、これは厚生省の都合というか、検討委員の産科の先生のご 助言もあってタタと決められた数字でして、患者からいえば多ければ多いにこしたこと はない。また細胞数の多い検体が多ければ多いにこしたことはない。品質が高ければ高 いにこしたことはない、と思っております。どんどん集めていってほしいと思います。 北海道も先程、幾らでもとおっしゃっておりましたので400 とか1,000 とかにこだわり なく、どんどん集めていっていただきたいと思います。 ボランティアのことでございますが、私たちもボランティアとして今現在東京のボラ ンティアが協力しておりますが、病院の産科の場所が今は千葉とかにもありますが、茨 城とか神奈川、埼玉とか増えてきた場合でも、どこでもボランティアの立ち上がりは可 能な状態にしておりますので、お申しつけください。 これは全部のバンクのために事務局にお願いしたいと思います。厚生省の予算は一応 3億そこらが出ているのですが、全く足りないお金です。私たちはこれの10倍は出るか と思っていたくらいで、本当にびっくりした状況です。ですから動きはじめたらお金は 足りないのです。だから国のお金をあてにしていたら、絶対にやれない、受けても淘汰 されていくのではないかと思っております。ですからお金は自分たちで集めると、しっ かり腹を括っていかないと、研究バンクではありませんので、今までの厚生省と移植医 の方たちとのなれあいのような関係で、自分のところに幾らか研究費が入るというつも りで考えておられたら、絶対に困るということを申し上げておきたいと思います。それ 、バンクをやることになったところに関しては、寄付をしたら、税金が控除されると いう方法がありますが、早急につけていただきたい、それは是非お願いしておきたいと 思います。 〇鎌田部会長 今のお話に関連して、東京臍帯血バンクは資金的には、全部献血供給事業団の方で賄 ってきているのでしょうか。 〇東京臍帯血バンク まだこれからの予算でありますが、当初の運転資金は、国庫補助が出るのが年度末と いうことですので、これらについては内部資金でとりあえず充当していくしかないだろ う。勿論、大きな差額が当然予想されますので、これについては先程の寄付の税制面で の優遇措置をしていただいて、できるだけ沢山の寄付をいただいてまいりたいと思いま す。 追加して一つ説明の補足をさせていただきます。先程、検索での数字を申し上げまし たが、東京臍帯血バンクは近畿臍帯血バンク、中央センタープロジェクトと提携させて いただいておりまして、東京で合わない場合には近畿の検索をお願いし、合わせて中央 血液センターの検索をお願いし、そのトータルの数字に対する検索の数字でございま す。 もう一つ、この臍帯血バンクを私どもがやりますにあたって、産科医療機関からの回 収が非常に大きな仕事でございます。保存施設が採取にいったときには、保存施設が持 ちかえっていただくということはありますが、それ以外に病院で採取されたものについ ては、無線付きの車両が77台ございまして、それの無線連絡をしながら回収をしており ます。 もう一つは臍帯血を輸送する、これが非常に大きな問題であります。既に6例のうち の4例は東京から関西、あるいは関西から東京に、医療機関に取りにいっていただくと いうことは私どもは一切考えておりません。バンクをやるにはバンクが輸送をするとい うことで、過去4回関西から東京に、東京から関西にやっております。この容器を今開 発中でありまして、2月中旬に金型を起こしたコンパクトな輸送用具ができてまいりま す。すると輸送問題についてはある程度解決が付くものと思っております。 〇児玉委員 これもできるだけ他のバンクの方にもお答えいただきたいと思います。損害賠償能力 の問題と関連します。保険の設計の話とも関連します。いったどういうミスがおこりう るのか、どういうリスクがあるのかというときに、今まで各バンクでボランティアの方 の善意や移植医の方のいろいろな熱意に支えられて、その地域で行われていたものが、 これが相互に連携しはじめて動きだす。するとヒューマンエラーとしてシッピングのミ スとかラベリングのミスの部分というのは、非常に怖いということを思っております。 その辺が損害賠償に関連して、保険料とかにも響いてくるということが考えられるので これまでの今東京臍帯血バンクの方がいっていただいたような、シッピングのご経験と これからのシッピングあるいはラベリングののプラン、これまでの連携のご経験、これ からの連携にむけてのどういうラベリング、シッピングの体制を取るのかということも もしお答えいただけるのであれば、参考のためにお聞かせ願いたいと思います。 〇鎌田部会長 時間が遅れておりますので、佐藤さん青木さんの方でありましたら、特にありました らご発言いただくということにしたいと思います。 〇東京臍帯血バンク ラベリングは、ラベルに採取した時点で患者名というか提供者名を書いていくという ことでございます。執行のときにもう一度HLA等の検査をします。それで間違いかな いかを確認しております。 〇鎌田部会長 恐縮ですが、続けていただいて最後にご質問があればということにしたいと思いま す。青木さまありがとうございました。次に日本赤十字センター臍帯血バンクプロジェ クトの中島さまお願いします。 〇日本赤十字社臍帯血バンクプロジェクト 日本赤十字社の中央血液センターの中島でございます。私たちの臍帯血の保存は、現 在はバンクプロジェクトという形で近い将来バンクとしてちゃんと設立するための準備 としてプロジェクトを立ち上げてきたという状況であります。簡単に経緯をご紹介しま す。 我々は血液センターの中におきまして、研究部でこういう新しいテーマについての検 討をしてまいりました。血液細胞のプロセッシングや保存に関しては血液センターは専 門的な立場にございますので、臍帯血につきましても1995年の4月からこれの収集とプ ロセッシング保存に関する研究部における研究を開始しました。 当初から、これは将来できれば人の移植に使われうるものであるという考え方の元に 血液センターにおけるGNP的な考え方あるいはちゃんとした手順書を作って、職員に それを徹底してやってきましたので、当時から品質に対する考え方は一応はもっており ました。 けれどもバンクとしてのちゃんとしたものではありません。そして厚生省でのいろい ろな検討会も始まりましたので、1998年の2月末にはバンクとしての組織を作りまし た。これは今日お配りしました資料の最後から2ページ目をご覧いただきますと、我々 の組織図という簡単なシェーマがございますが、これは我々の中央血液センター内部に おいてこのプロジェクトを作り、そこに運営委員会を設置しまして、運営委員会が最高 の決定機関として機能しております。 こういうふうな施設、組織、手順を経て保存された臍帯血が、実際に使われることに 関して、どうであろうかということを倫理委員会をセンターの中に設けました倫理委員 会において審議していただき、それでよろしかろうという承認を得て、このバンクプロ ジェクトが実際に動きはじめたというのが昨年の3月上旬のことでございます。その運 営委員会の中には、後ほどまたご説明しますが、臍帯血を提供するときの判断をしてい ただく専門委員会をというものを設けております。 このプロジェクト全体を構成するのは、中央血液センターの各部門が殆どでございま すが、臍帯血の採取施設が2施設ですが、これが運営委員会のメンバーとしてその代表 の方が入っておられます。臍帯血の移植施設の方々は特に運営委員会のメンバーとして は参加されておりませんで、専門委員会のメンバーとして参加されている方々がおいで になります。 ヒアリング事項に対する回答を簡単にご説明をさせていただきます。 1.現状・実態でございます。 (1)移植医の関与というのは、臍帯血バンクの専門委員会のメンバーとして参加され ております。専門委員会のメンバーは6名、そのうちの5人は移植医であったり血液の 専門医であったり、あるいは輸血部に関与されているドクターであったり、小児科の専 門医であったりということです。専門委員会は臍帯血移植に関する臍帯血を提供すると きに、幾つか候補が上がってまいりますが、それの選択、あるいは提供することの適否 に関しまして、専門的立場からの判断とリコメンデーションをしていただく、決定する という意味ではなく、こちらの方が一番望ましかろうというようなリコメンデーション をしていただくというのがこの専門委員会の仕事です。 それは移植を希望されている医療機関の担当医あるいは患者さんの元に、その情報が 提供されまして、最終的には移植医療機関の担当医と移植を受ける患者さんの判断・責 任において選んでいただくというようなシステムをとっております。 もしその専門委員がたまたま移植が行われる機関の方である場合には、この判定には 加わらないというルールを敷いております。 移植の適応につきましては、厚生省の検討会の方で出されました技術指針、ガイドラ インそれから基準書類に示されました対象疾患は勿論適応ですが、どうしても移植をな さりたい担当の先生が強く希望された場合には、こちらとしては、それは駄目だという ことは申しておりません。最終的にはHLAの型の合うものがあった場合には、移植医 療機関の責任においておやりになることを阻止するようなことはしておりません。 (2)採取施設の負担です。これは結構大変な負担がございます。時間から申したり項 目を上げていくと、それほど対して時間がかかっていないように思われますが、多くの お母さんたちに説明をする場を設けたり、説明のパンフレットを配付したり、あるいは 協力の要請をしたりということで、母親学級における最初の働きかけをしていただいて おります。これは1月に2回くらいです。1回に要する時間はせいぜい15分とか20分く らいだと思いますが、これをずーと1年を通してやっていただいているわけです。その 中で協力してもいいという方がいらっしゃった場合には、外来担当の先生による希望者 に対する同意書の取得と、その方の過去の病歴とか家族歴をちゃんと聴取して、記録を とっていただく、これも20分とか30分くらいです。人によって大分時間のかかる場合も あるかと思いますが、平均的にはそういうところかと思います。 実際に採取するときになりますと、主治医による分娩時の臍帯血の採取がございます し、そのときの分娩情報の記録をきちんととっていただいて提供していただいておりま す。お母さんの検体の採取は、分娩室あるいは病棟である場合もありますが、看護婦に よるお母さんの血液の採取、その結果についてのフィードバックは我々が担当の先生に お送りしますが、その結果の説明を主治医によってお母さんにしていただく、これは通 常は大きな問題はないので簡単でございますが、もし、何らかの検査上の異常が出た場 合には、詳しい説明を必要としますので、その場合にはかなり時間がかかるであろうと 思います。 採取にかかるいろいろな器具類とか消耗品等は全部中央血液センターが提供しており ます。採取医療施設の方では、それに必要な人達、人件費を全部病院の方で負担してい ただいております。 採取された臍帯血の保管のスペースは広いスペースは必要ござません、分娩処理施設 内の採取したバックをきちんと保管しておける保管容器を一個おけるスペースがあれば 今のところはできているという状態です。 2.将来的な事業への取り組みです。 我々中央血液センターのバンクプロジェクトに関係しておりますのは、この共同事業 に是非とも参加させていただいて、将来ともに責任をもってこの事業を運営していきた いと思っております。 この臍帯血バンクを将来ともに運営していくという上におきまして、血液センターと しての得意な面である細胞のプロセッシングとか保存に関する技術面での協力は、是非 行っていきたいという意思決定はなされております。 3.事業計画です。 現在の状況のままにご説明します。現在は2施設が採取協力施設でございますので、 この2施設における最大採取件数は恐らく年間300 件前後であろうと思っております。 このうち細胞数とかバクテリアコンタミ等いろいろな条件を除いていきますと、実際に 保存に適するものは150 件程度と推測されます。現在我々の中央血液センターにおける 研究部の処理能力からいきますと、臍帯血の収集見込み数は恐らく現状の体制では年間 200 件くらいというのがマキシマムではなかなろうか、そのためにこのガイドラインで 示されました年間に400 ないし500 検体の臍帯血を保存するためには、条件として臍帯 血を取っていただく採取施設をまず2〜3施設は増やす必要はあろう。当然それを処理 するバンクの専任スタッフは増員が必要になるでしょうし、全国でいろいろとネット ワークを結ぶということになると、事務的な仕事も増えてまいりますから、スタッフが 2〜3人はまずどうしても必要になるであろう。するとそのような検体数の増加と、ス タッフの増加ということから、どうしても財政的な裏付け確保する必要がありますが、 その辺の見込みはまだ実はたっておりません。 4.来年度の財政計画です。 来年の財政計画としましても、残念ながら400 ないし500 検体を保存するための財政 計画は、まだ確立されてないというのが現状でございます。現在どのようにして運営し ているのかと申しますと、中央血液センターの研究部の予算を流用しておりまして、血 液センターにおける協力事業という枠組みの中で研究部の業務としてこれを遂行してお ります。現在の事業規模というのは大体年間で150 くらいを保存するというのがせいぜ いですが、この規模以内でありますと、今後も続けていくことは可能でありますが、共 同事業としての必要保存件数の400 ないし500 件を確保しろ、それを保存できるように ということになりますと、今後は国庫補助とか、移植医療機関から何からの協力金、あ るいはいろいろな関係諸団体の方からの寄付というものを、積極的に求めていかないと 運営できないと考えております。 5.将来計画です。 当然将来計画はここに上げました条件が満たされるなら、我々は400 や500 という件 数の臍帯血保存は可能であると信じておりますし、できると思います。ただその条件が 今はまだクリアされておりませんので、ちょっとここでは絶対にできるという見通しは まだ立ってないのが現状であります。 6.臍帯血バンク事業運営ガイドラインに対する意見です。 全体像はまだ我々は十分に理解してない面もあるのですが、今の状態では難しいかな と思っていますのは、今は研究部のスペースとその作業環境を用いておりますので、バ ンク専用の事務スペースを確保しろと言われますと、現状ではかなりやり繰りをしない といけないと思います。今のところはまだ見通しはたっておりません。 損害賠償能力というのは、残念ながらこれまで実は考えておりませんでした。これは 大きな落ち度であったかもしれません。損害保険には加入しておりません。我々、血液 センターは献血してくださる方に対する損害賠償の保険には入っておりますが、臍帯血 に関しては全く考えておりませんでしたので、現状ではその対応はできません。 7.その他です。 ボランティアとの連携は現在のところはございません。献血の方ではボランティアの 方との交流は一杯ありますので、将来は是非お願いしていきたいと思っております。 臍帯血バンクを安定的に運営されるためには、どうしても費用を確保するということ が非常に重要になります。どうしても移植医療の中において医療保険が適応されるとか 国庫補助で賄えるような、安定した費用負担できるシステムを構築していただけること が、これは人ごとではなく我々が努力することですが、これはどうしても将来安定的に バンクを運営していく上で重要なことであろうと思っております。 また臍帯血を提供くださるお母さんからの質問等で困るようなことは特にございませ ん。ちょっと残念に思ったことは、これは献血者の方でもそうですが、輸血を受けた方 は、是非お返しに献血をしたいと希望される方はいらっしゃいます。こういう臍帯血に つきましても、自分の身内に血液疾患で困っている方がいる。ぜひ私は臍帯血を提供し たいということを申し出られて、実は身内に病歴のある方はお受けできないので断ざる を得なかったという非常に残念なケースはございますが、そういうことで、特別に我々 が困るようなことはございません。 6か月後の子供さんの情報提供の回収率ですが、我々のところは特に督促はしており ません。回収率は94%が現在のところです。 現在、私たちが保存している臍帯血の数は全部で260 〜270 件でございますが、その 6か月後のアンケート調査が終わっておりまして、現在提供できる件数は約210 件で す。60件くらいがまだ調査未了という状態で保存しております。 タイピングにつきましては一次検索、最初の保存をするときにはソロロジカルなタイ ピング、プラス1は基礎ロジカルで、プラス2もローリゾリューションのDNAタイプ これはソロロジカルタイピングとほぼ同じレベルであると考えていただいて結構でござ います。提供にするときに当たりまして、プラス1は現在はローリゾリューションのタ イピングをして、プラス2のDRB1についてはアリルタイピングをしております。ま たプラス1は必要に応じまして、例えばソロロジカルなタイピングレベルでは判定でき ないような場合がありますが、そういう方がたまたま出た場合は、必要に応じてハイリ ゾリューションのDNAアリルタイピングを実際に行っております。 先程、東京臍帯血バンクの青木さんからも説明がありましたが、我々は全国のどのよ うな医療機関、これは移植を実際に行っておられるガイドラインで認められた移植医療 機関は、どことも提供する意思がございますので情報はオープンにしております。そし てバンク間では東京臍帯血バンク、具体的には時々依頼がございましてこれも、全部 オープンにしておりますから、全国どこのバンクからの依頼があっても対応できる心づ もりはしております。以上でございます。 〇鎌田部会長 ありがとうございました。ご質問はございますでしょうか。 〇有田委員 山本さん、お尋ねしますが、このヒアリングは共同事業に参加するという条件で行っ てますよね。違いますか。 〇山本補佐 ガイドラインを作る際に、各バンクの実態をよく把握した上でということですので、 この後共同事業に参加する意思がないというバイクが出てくるかもしれません。 〇有田委員 わかりました。 〇鎌田部会長 予定の時間を20分以上過ぎてしまっているので、ご提案のように、まずご説明を連続 して伺うということにしたいと思います。次に神奈川臍帯血バンクの西平さまよろしく お願いします。 〇神奈川臍帯血バンク 神奈川臍帯血バンクの西平でございます。神奈川では94年からいろいろ検討会を開き まして、1995年から発足して、実際に移植用の臍帯血を採取・保存を始めました。それ までいろいろ基準書を作り、沢山の書類がありましたが、それを作るのに非常に時間を 要しましたが、1年以上かかってやっと発足した状況です。現在の状態では、非血縁の 移植は、我々のバンクから提供したのが24例であります。その成績はまだ短期間でもあ り、時間もございませんので申し上げません。この質問事項に対することです。そこに 書いてある通りですが、後でごゆっくりお読みください。 1.現状です。 ア.移植医がどのようにかかわっているのかというのは、移植医も一人ではないので 大勢の人が移植にかかわっておりますので、それぞれの人が全く関係してない人もいる し、あるいは臍帯血の採取から保存までずーとかかわる人もいるし、その中間の人もい るということで、様々な係わりをもっています。関与する程度として1)から5)まで書い てありますが、実際に事務局が医療センターにあるのですが、私がやっているところは 3)〜6)までの適応疾患の判定とか、病状の判定。HLA検索の依頼、検査結果の通知。 判定審議会の開催とその結果の通知。あるいは移植実施計画、臍帯血搬送の方法の確 認。移植結果の評価、患者の追跡調査等を行っております。 イ.しまして、協力施設の負担ですが、説明時間は大体平均して30分くらいではない かと思っております。いろいろ皆さんにわかりやすいように、平易な文書を作ったり、 あるいは文献を渡したりして説明してます。ビデオは現在作成中ですが、それを見せれ ば時間の節約になろうかと思っております。 採取費用については、現在わかりません。採取医師の理解と協力でよそに只でやって もらっている。お願いして協力していただく産科医あるいは小児科医が、時間を割いて やっているということで、これが非常に大きな問題で、そのためになかなか保存検体数 が思うように集まらない一番の問題であろうかと思っております。 処理前の保管場所は清潔な場所でやってます。 2.将来的な事業の取り組みです。 共同事業に参加する意思はあるし、組織的な意思も決定されておりますが、いつまで 協力するのかという期間は決まっておりません。移植施設としては移植用の臍帯血バン クが充実してしまえば、別に臍帯血バンクの運営にかかわらなくても、臍帯血用の移植 がいただければ、特別に運営にタッチしなくてもいいのではないかと私自身は思ってお ります。別にずーと運営にかかわらなくてもよろしいと思っております。 3.来年度の計画です。 採取協力施設は5〜6施設程度、現状では、無償で採取していただいておりますので 今の状態では200 検体程度だろう。現状では400 検体は不可能であって、その理由とし ては、人件費とか検査費用などの財政的措置が全くない。それぞれの施設の自助努力で やっているということで、各医師とか医療機関の熱意に頼っているのが現状です。 4.来年度の財政計画です。 神奈川県は財政破綻状態に近いので、全然当てにならないので、計画は立案できてお りません。従来同様に参加施設の自助努力あるいは各医師のそれぞれの研究費を充当す るということで、国庫補助に多いに期待しております。これがなければ公的バンクとは 言えないであろうと思います。 5.将来計画 2〜3年後、財政基盤が確立することが先決問題であって、皆さんも強調している通 りに、財政基盤がちゃんとしないと、全く収集の見込みは正確にはわかりません。それ がヒアリングの事項に対する答えです。 6.「ガイドライン」の項目に対する意見です。 ア.基本方針ですが、財政基盤をどうするのかということが全く書いてないというこ と、それを項目に全く上げてないということは、非常におかしな話であって、いろいろ と注文を付けて理想的なことをいっても、これは机上の空論であろう。国及び都道府県 が運営に必要な資金を支援することを、できれば明記してほしいというのが私の意見で す。卑しくも公的バンクとするからには、そういうことが必要だろうということです。 イ.もう一つは血液センターの役割は非常に大きいと前から検討委員会で強調してい るのですが、それに対する項目が全くなくて、本来この事業は、血液センターが中心に なって行う事業であると私は思います。ですからこの項目を是非入れて検討していただ きたいと思います。それを一番強調したいところです。 ウ.採取については、年間、当面と書いてあるのですが、年間で1バンク当たり500 というのは恐らく不可能であろうと思います。ちゃんと臨床に使えるものというなると ね。ただ採取するだけならできるかも知れないのですが、臨床的に使えるものを今のま まで500 検体というのはね。今のバンクは、私は昨年その前の年から、各バンクを視察 してまいりましたが、殆ど不可能である。むしろ始めは少なめであって、ちゃんと財政 基盤ができて、人件費とかもきちんとできれば可能でしょうが、現状ではどこのバンク でも、大風呂敷を広げていう必要はないです。簡単に言えば財政をちゃんと潤沢にして くださいというのが、私の強調したいところです。 7.その他です。 記載の通りで、特に母親の質問等で困ったことはありません。一番問題になるのは、 毎日2〜3人の妊婦さんから電話がかかってきて、提供の協力をしたいのですがどうし たらいいのでしょうかという電話がしょっちゅう来て困ってます。ですから採取施設は 決められているので、折角ですがということで、お断りしているのです。こういう臍帯 血移植についての今後は、できれば、採取施設が決まったら、採取施設に受診した人に だけ説明をするという方がむしろいいのではないかと考えております。 一般のそうではない小さい病院にかかっている人が、途中で臍帯血採取のために、い きなり採取施設に移ったら、これは大きな産科医としてのトラブルの種になりますから その点は十分に注意する必要があろうと思います。以上です。 〇鎌田部会長 ありがとうございました。では次の東海大学臍帯血バンクの加藤さまお願いします。 〇東海大学臍帯血バンク 東海大学の加藤でございます。まず資料が何枚かございますが、時間の制約もござい ますので、全てを口頭で申し上げられません。後ほどご確認いただければと思います。 私たちの臍帯血バンクというのは、ここに今来ておられる臍帯血バンクの幾つかのとこ ろと共通点もございますし、また異なったところもございます。異なった点について特 に中心に申し上げたいと思います。 私たちは1996年4月に学内で大型の研究プロジェクトとして臍帯血移植、あるいは臍 帯血バンクに関する研究を始めたときは、まだ非血縁者間の臍帯血移植は試験的な確立 された医療ではございませんでした。これは現在でも確立されているといえるかどうか 分かりませんので、そのような試験的な医療を行う場合に、大学の倫理委員会では安全 性、確実性、有効性が確認されるまでは、自分たちのところできちんとしたものを出し て、そして一般に外の施設に対しても提供をするようにというような、そういう条件が つけられました。この倫理委員会の決定に従いまして、私たちは学内での移植を一例一 例着実に積み重ねてきました。 98年8月の段階で非血縁者間の移植が5例に達し、また同胞間の移植が5例、合計10 例の経験が積み重ねられましたので、この臍帯血移植検討会での議論も丁度中間報告が まとまった時期にも相当しましたので、それまでの学内で行う試験的なものから、いよ いよ国の全体に対して貢献できるような、そういう臍帯血バンクに変えたい、具体的に は外の施設にも同様に全く差別することなく提供することをしたいということを申請し まして、医学部長、病院長、からその許可をいただきました。 それに基づきまして、幾つかの変更を進めている、あるいは行ったところでございま す。具体的にはそこにもございますが、財政的な、あるいは人的な基盤の確立を明確に するために、これは大学が責任をもって行う組織であるということを、大学の正式な組 織と位置づけたことで示すということです。 2番目も同じことですが、運営に当たりまして、しかし大学だけでということで運営 するのではなく、できれば運営委員会の半数は外部、その直接事業にタッチしない方も 運営委員ですからタッチすることになるのですが、技術的なものにタッチしない方々も 入っていただいて、社会に開かれた組織にしたい、これは我々は大学ですので、年度で いろいろなものが決まりますので、平成11年度である今年の4月からそのようなものに なることが決定されております。具体的にはボランティア、行政、法的な法律関係者、 その他に依頼する人選が現在進行中でございます。 さらに、厚生省といいますか、この検討委員会によって、ある程度の採取数、見込み 希望数が決められてまいりました。従来我々は、先程申しましたような目的からします と、年間200 程度の移植に使えるものの保存を目指していたわけですが、それでは足り ませんので、我々の病院の中での分娩以外にも、近隣の中核病院の協力を得て、現在私 たちを含めまして3つの病院から採取をするということで、既にその準備及び実行をは じめております。 5番目に、臍帯血保存のための設備です。従来の数に対応するものでこれまでやって まいりましたが、それでは足りませんので、昨年末に設備の回収を行いまして、トータ ルとしては2,000 、あるいは必要であればそれ以上の数は十分に保存できるスペースを 確保しました。最も苦労しましたことは、この専門部会でも大きな話題となるでしょう 移植部門との重複を避けるためにどうするかということです。 これまでの地域臍帯血バンクの多くは、私の考えるところではそれを必要とする移植 医の熱意によって設立され、そしてここまで成長してきたものと思います。しかしそれ は初期的な段階の形態であり、今後、公的なものに発展していくには、そろそろ移植医 はその中心的な役割を、他の人達に譲っていい時期にきたと理解しております。私たち 大学の中には細胞移植用センターがありまして、ここは実際の移植部門と、それを支え る検査部門で成り立っているのですが、技術的な問題については検査部門が全面的に運 営をする。運営につきましては、外部を含めて幅広く、ここには移植医も当然参加しな いといけないし、またその参加がこの事業を成功させる大きな要因であると確信してお ります、そのようなことを踏まえて、アンケートのヒアリングの質問事項に回答申し上 げたわけですが、時間がないと思いますので、言い落としたことにのみ補足させていた だきます。 1.現状・実態です。 現状・実態は申し上げた通りでございます。移植医の関与のこれまでの経過と今後の 考え方については申し上げた通りです。 提供者になられるお母様方に対しては、私たちは最初からビデオを作りまして、パン フレットではなかなか分かりにくいものも、画像的にみると非常によく理解していただ けますので、これを毎日産婦人科の外来でこのビデオを流しており、受診に来られる日 に見ていただきます。そしてパンフレットをお渡しして、最終的には産婦人科の先生が 口頭で説明をしてくださっております。 他のバンクも同様であると思いますが、協力をしてもいいとおっしゃってくださる方 の率は非常に高いと思います。これは社会全体がこの臍帯血バンク事業に非常に好意的 であることを反映していると感じております。 2.将来的な事業への取り組みです。 これは先程もうしましたように、大学として、これまでも私たちの大学は多額の赤字 を結果的には出しながらも、細胞移植医療に何らかの貢献をしてきたと自負しておりま すが、今後もこのような形で貢献できればと考えております。 3.来年度の事業計画です。 先程らい多くの地域バンクの方から出てますように、国庫補助がどの程度あり得るの かということによって、事業規模も当然変わってくることになります。国庫補助がなく ても全部できるようにするところだけしかという議論でしたら、最初から成り立たない わけですので、これは国庫補助があり得るという見込みになります。実際の保存につき ましては、保存というのは移植に使えるという意味ですが、大体400 程度は可能であ る。あるいは増やそうと思えばできないことはございません。しかし、そのような役割 というのは個々の地域臍帯血バンクが、数を幾つできるというのを示すのは構わないの ですが、全体としてこうあるべきだという大きなビジョンが国としてない限りは、なか なか難しいのではないかと個人的には考えております。 4.財政計画です。 消耗品等に係わる費用はわかるのですが、私たちの場合には現在事務員を1名、技師 3名、他の業務と兼務ではありますが、この臍帯血バンクに従事してもらっておりま す。それだけでは400 をこなせるのかどうか、特に事務員の方はもう一名の増員が絶対 に必要です。このような人件費は既に大学から払われておりますので、どれくらいが臍 帯血バンクに専従ということになるのか計算しにくいところがありますので、その%は 分かりませんが、それはいずれにしてもできると思います。 7.その他です。 ボランティアの方々の係わりですが、骨髄バンクでの係わりとは些か趣を異にするの ではないかと痛感しております。まず広く一般の方々に知っていただくための広報活動 は、ボランティアあるいはマスコミの方々のお力によるものであると思います。しかし 実際に事業を円滑に進めていくための最大のボランティアは、恐らく産科のスタッフで はないかと感じております。しかしそれ以外のボランティアの方にもお力を貸していた だきたい。私たちが考えているボランティアの方の役割は、実際に臍帯血を提供してく ださった母親あるいはそのご家族の方に、定期的にニュースあるいは情報をフィードバ ックしながら、提供したことがこんなに役に立っているということを知っていただく、 そういうことから、更に次の輪を広げていくということを、地域臍帯血バンクとしては やっていくべきだろうと考えております。 大変長くなりましたが説明です。後ろに3枚ほど我々のバンクのこれまでの実状、数 その他が出ております。時間がございませんが、まず1ページのグラフです。このよう に増えてきているということです。2ページの検索状況、その中で申し上げることは一 つございます。一番右側にホームページの閲覧状況というのがございます。HLAの情 報を公開しておりまして、そのHLAの情報を元に、登録してくださって結構ですとい うことです。しかしHLAの情報以外のドナーに係わるようなプライバシーに係わる情 報は、ここでは一切ださないというのが原則でございます。以上で説明を終わらせてい ただきます。 〇鎌田部会長 ありがとうございました。静岡臍帯血バンクの天野さまお願いします。 〇静岡臍帯血バンク 静岡臍帯血バンクの天野でございます。当バンクは今までご説明があったバンクのよ うには体制が整ってはおりません。その資料のところにも書きましたが、現状ではこの 事業が始まる当初から参画することは困難です。あと経緯をご説明したいと思います。 当バンクは1996年、1997年度の2年間ということで静岡県の方から研究費をいただけ ることになりまして、当初、研究目的で子供病院と県立の総合病院血液センターでス タートしました。その途中から、実際に臨床に使えるようにということで考えてきまし た。基本的に2年間ということで制約がありましたということで、実際には昨年度から 資金的な供給がなくなりまして、現在、採取・保存とも一時中断しているという現状で す。 私たちとしては、現状では、このガイドラインにあげられているような条件を満たす のは非常に困難です。そのような体制を整えるといいましても、なかなか難しいと判断 しております。ただできれば知りたいのは、将来的に体制を整備していけば、途中から またこの事業に参画するようなことまで想定されているのかどうかという点でございま す。 ここに出席している9バンク以外にも、今幾つかの他の地域で実際に臍帯血の採取・ 保存を始められているところですとか、実際に予定しているところがあると聞いており ますので、そういうところもきっとそういうことを知りたいのではないかと思っており ますので、その点については出来ましたら、早く方針を出していただければと思いま す。 ヒアリング事項についての回答です。簡単にそこの資料に書いてあります。 1.現状です。 私どもは当初のそういう経緯から、実際に子供病院の移植医が運営の中心的な役割を 担っておりますし、保存・情報管理まで行っているのが現状です。提供者に対する説明 については、説明文をお渡しした後に、産科の先生が口頭で10分程度かけていると伺っ ております。費用についてはそれほどかからない。一時保管も分娩室内の冷蔵庫で保存 しているというので、それほどかかるものではないということです。 2.将来的な事業への取り組みです。 将来的に新たなバンクの参画が可能であるような状況であるということであれば、そ ういう体制を、責任をもって運営していけるように整える意思があります。それにつき ましては現在の組織として全体の統一的な意思決定はございます。 3.来年度の事業計画です。 現在は採取施設は2施設です。中断しておりますので、今のところはそれ以外の施設 に協力を要請ということはしておりませんが、実際には産婦人科以外の先生方もかなり 興味があるようで、これを増やすことは多分可能であると考えます。後処理とか検査の キャパシティーということですが、現在の状況では200 程度までしかできないだろうと 考えております、ですから400 検体は現状では不可能です。 4.来年度の財政です。 現状では研究費を何とかとしか、あては現在のところはありません。静岡県に対して 協力を今は要請中ですが、まだ静岡県からの正式な返事はございません。 5.将来です。 どの程度ということも現状ではなかなかお答えはできません。 7.その他です。 ボランティアは現在はありません、でも運営委員会の方には静岡の骨髄バンクを推進 する会の方が出席されておりますので、連携は可能であろうと思っております。 母親に対する返答で特に困ったことはないそうですが、質問としては採取の安全性に ついての質問が多いと伺っております。 健康調査アンケートですが、実際には8か月か9か月の時点で調査票をお送りしてお りまして、1回だけです。回収率は70%くらいです。適応の疾患につきましては、現時 点でまだ使用した経験はありません。中間まとめに準じてと考えておりますが、具体的 に議論をしておりません。以上です。 〇鎌田部会長 ありがとうございました。東海臍帯血バンクの加藤さまお願いします。 〇東海臍帯血バンク 東海臍帯血バンクの加藤と申します。ヒアリング事項等に関しまして回答させていた だきます。 その前に東海臍帯血バンクは母体としましては、非血縁の骨髄バンクを、かって整 備されました東海骨髄バンクが一番の母体となっております。その下に1996年3月、そ の臍帯血部門を設けることが認められまして、以来準備期間を経まして、1996年8月か ら臍帯血の採取をはじめて、1997年6月から患者登録をして、その時の9月から最初の 移植という形で昨年末まで現在15例の移植です。保存件数は約700 件以上ということで 進めさせていただいております。 先程も加藤先生がおっしゃいましたが、バンクに関しましては移植医が実際の必要上 から現在まで一応携わっているわけですが、実際の、本来の臨床業務が非常に忙しい状 況で、これが非常に事業が拡大した状況で、果して今後も現状で継続が可能であるのか どうかというのは、実際問題かなり難しい面があります。ですから将来的にはある程度 段々に管理運営部門からは距離を置くような形でいくのが、むしろ望ましいのではない かと理解しております。 ヒアリング事項のことです。1.現状・実態です。 1)役割というのは、採取移植医は管理運営全般に係わっておりまして、マニュアルの 作成と特に今どこでもやっておりますが、移植決定、移植臍帯血を決定する判定委員会 のメンバーを構成してまして、上からいきますと東海骨髄バンク、その下に東海臍帯血 バンク、その部分の会としての判定委員会というのが構成されております。それのどれ にも移植医が係わっております。逆に東海骨髄バンクの中の運営委員会というのはべつ にあるわけですが、その中には例えば法律家とか税理士等の第三者的な方も含まれてお ります。 2)協力する負担です。提供者に対する説明というのは、小児科医とか助産婦等が母親 教室でビデオを用いながら説明をします。これは集団でするのです。これは初産婦だけ に限るわけですが、経産婦に関しては外来で婦人科の先生が、直接妊婦さんにはお話を させていただいております。 採取に関する費用は、全体からみれば額としては少ないと思います。実際問題、一件 あたりを保存するトータルの費用を、いろいろな費用全てで概算すると、つまり過去に 要した費用の総額を過去の保存した額で単純割をすれば、大体7〜8万から場合によっ ては10万くらいまでいく可能性かありますが、現在は7〜8万だと思います。 大体我々は1,000 件くらいの保存を予定しております。すると単純計算でも7,000 〜 8,000 万は行くということです。我々はそういう特に公的な援助がないバンクがそれだ け負担することが、果して本来の意味で妥当な事業なのかどうかということを、常々疑 問を感じながら行っております。 次に保存のスペースとしては、非常にスペースとしては少ないものでありますが、実 際にタンクを1,000 検体保存するスペースは一部屋くらいの大きな部屋がいるというこ とです。それは現在新しいスペースを別に確保することができましたので、その意味で は問題はないと思います。 その他というところにお書きしましたが、我々は婦人科の先生に非常にお世話になり ながら、その先生方への御礼というか、どういう形でのフィードバックができるのかと いうことは、当初から非常に懸案事項であったわけです。それがなかなかできなくて、 非常に先生に申し訳ないと思ってます。夜間ですと当直の先生が他の婦人科疾患の重症 患者を抱えながら出産に呼ばれて、かつそこで採取していただくという、非常に手間の かかることをしてくださっているということについては、本当に頭の下がる思いであり ますが、それに対する我々のフィードバックがなかなかできないということについては 非常に申し訳なく思っておりますですから今度公的バンクができるに当たっては、そう いう婦人科の先生方へのご配慮も是非ともお願いしたいと考えております。 2.将来的事業への取り組みです。 勿論、今後ともこのような共同事業に参加して、バンク事業の運営を行う意思といの は勿論ありますが、先程も申しましたうように、我々のバンク自体での保存の上限とい うのは取り合えず今は決まってますので、それ以後について、例えば5年後にどうする のかというのは今は具体的な決定はなされておりませんが、継続の意思等については、 勿論あります。 3.来年度の事業計画です。 施設数は現在2施設やってます。また来年も2施設のままです。それぞれに年間で 1,000 件の出産のある産婦人科の施設をお願いしております。保存件数ですが、過去2 年数カ月で700 件以上を保存することができましたので、年間400 件というのはその意 味では可能であると思いますが、ある意味でこれは我々の限界という数ではないかと思 います。これは後で申しますが、予算との関係で非常に大きく変わってくることでござ まして、予算がないなら保存する人員がいかに整備されていても不可能であります。特 に私自身、先程西平先生がおっしゃったことに非常に共感するものであります。いくら 大風呂敷を広げても、財政的な援助という根本的な事象が解決されない限りは、実際問 題不可能であると考えております。 4.財政計画です。 我々は毎年年度ごと、東海骨髄バンクでの財政的な計画が立てられます。それが来年 度も決定されると思います。まだ未定ですが、予算は一応下りる予定ではあります。 5.将来的計画です。 最初に戻りますが、1,000 件を取ることを一つの目標としております。1,000 件とい う数は、私の知る限りでは、世界的に見ても1,000 件以上を溜めている臍帯血バンクは 多分4つくらいしかないのではないかと思います。ですからそれ以上一つの地域臍帯血 バンクが、やることは実際には必ずしも必要ではないかと考えておりますし、勿論それ は国からの援助があればその数は幾らでも増えることは当然あり得るのではないかと思 います。 6.保障に関してです。 これは今まであまり我々の場では保険に加入するということについては議論はされま せんでした。これに関しては最初の視点で臍帯血を用いて何らかの事故というか患者さ んが不具合になられたということは予想されるわけですが、それについてどのような責 任体制とれるのかということは、東海骨髄バンクにおります法律家との相談で、患者が 移植する際の同意書に、臍帯血バンク自身はそういうことに関しては責任を負わない、 それは移植施設が責任をもって行うということが明記されまして、それで法律上の問題 はないのではないかということで、合意が得られております。 ですからこのような保険への加入ということについては、我々が実際にやっている者 の中で議論するべき問題ではないかと思いますし、これを即こういうものをセットアッ プするのが妥当であるのかどうかについては、ある意味ではバンクの根本的な問題に係 わると思いますので、余程慎重に議論していただきたいと考えます。 7.その他です。 ボランティアとの連携は現在のところはありません。特に後は申し上げることはあり ません。以上です。 〇鎌田部会長 ありがとうございました。続きまして近畿臍帯血バンクの河さまお願いします。 〇近畿臍帯血バンク 近畿臍帯血バンクの河でございます。現状を報告します。現在ストックされておりま す臍帯血の数は約350 です。月に10検体くらいが増えていっているというペースです。 98年12月末までに18例の移植に提供しております。先程質問がありました6か月のフォ ローですが、葉書あるいは電話の1回だけでは、正確な数字は今は覚えておりませんが 5〜6割くらいだろう、熱意をもって2回やるとそれが9割くらいまで上がるだろう、 誰がそれを専従的にやるのかということも問題であります。 運営委員会にはボランティアの方も入っておられます。移植医の果たす役割ですが、 全て手弁当でいろいろな研究費あるいは施設の費用を工面しながら現在までやってきて おります。詳しい内容は資料がついているので見ていただきたいと思います。 よそのバンクと少し違う点だけ申します。20ページの適応評価委員会で、これは血清 学的に5/6以上というのをまず探します。それがない場合に主治医の依頼があれば、 4/6マッチまでお知らせします。実際に移植のゴーサインを出すのかどうかというの は適応評価委員会で審議をして、する場合にはGVHLを含めまして、プロトコールに 従って移植をするということになってます。 そのページの中段くらいですが、近畿臍帯血バンクの共同事業に参加し、将来的に 云々のところがありますが、飽くまでも現在は過渡的なものであろうと私自身は認識し ております。将来的には公的な財団なり医療法人が中核になった組織体を、我々がサ ポート協力するというのが筋であろと考えております。 次のページの21ページです。真ん中の方に「癌の子供を救う会」とありますが、これ は「癌の子供を守る会」の間違いです。 最後です。保険の話が出ましたが、これはドナーにかける保険ではありませんし、骨 髄バンクとは全然違った意味合いであろう。それで前提条件としてPL法に準じたよう なクオリティーコントロールが守られていれば必要はないのではないかと、私自身は思 っております。以上です。 〇鎌田部会長 ありがとうございました。進行にご協力いただきまして助かります。最後になります が福岡臍帯血バンクの大山さまお願いします。 〇福岡県赤十字センター・臍帯血バンクプロジェクト 福岡県赤十字血液センターの大山です。我々のところは経緯その他については、中央 血液センターと非常によく似ております。簡単に説明します。 1.現状・実態です。 血液センター内に臍帯血バンクプロジェクトというものを組織しまして、運営してお ります。ですから血液センター内ですので移植医はその運営等については全く関与して おりません。ですが血液センター内で行う運営が、倫理上問題があるかどうかというこ とについて、それを判定する倫理委員会というのが外部に設けておりまして、移植医・ 産科医あるいは弁護士等が入った倫理委員会で、血液センターで保存してもいいという 許し、というか倫理上の問題はクリアしていると思っております。 移植についての判定委員ですが、我々のところは判定委員を当初は設けようと思って ましたが、実は九州内は北部九州臍帯血バンク患者登録センターという、患者が登録し て判定委員会をもつ組織が別組織としてあります。ですからその場合にはそこに委託す るようにしております。 次に採取施設における負担です。患者一人当たり5〜10分です。採取に要する時間は 5分程度、検体に要する時間が3〜5分です。容器は専用ではないということです。特 別にありません。ただしこれも全てお願いお願いということで、産科医にはご協力願っ ているのですが、責任をもってやっていただくためには、現時点で何らかの形で技術料 等を考えるべきところに来ているのではないかと思っております。 現状です。今二つの採取医療機関に協力をしてもらっておりまして、採取件数がこれ までに270 件、そのうち細胞数あるいは羊水など、何らかの状態で使えないというもの を除いて180 件保存しております。6か月後のアンケートが終了して今直ぐにでも使え るというものが70件あります。移植は昨年1例だけ行いました。 2.将来的な事業への取り組みです。 これは責任をもってやっていくということです。 3.来年度の事業計画です。 約200 件を予定しております。技術的には400 件程度の力はあるのですが、どこでも 一緒ですが人的・財政的な裏付けがありませんし、また先程も申しましたように採取医 療機関をいまから増やしていかないといけないということでありますと、かなり難しい のではないかと思っております。ただ、そこがクリアできれば400 件というのは容易で はないかと思っております。 4.来年度の財政計画です。 これも中央血液センターと一緒でして、共同事業として必要な保管件数を確保するた めには、国庫補助や移植医療機関からの協力金、あるいは関係団体からの寄付が必要で はないかと思っております。仮に国庫補助がない場合においては、血液センターからの 持ち出しをせざるを得ないと考えております。 5.将来計画です。 将来的にもガイドラインは400 とありますが、いまのところは年に200 〜300 件を予 定しております。 6.ガイドラインに対する意見です。 うちも損害賠償保険には全く加入しておりません。もう一つです。ガイドラインの方 を見ていただいたらわかるのですが(3)の・で1採取医療機関が100 件以上と制限され ておりますが、出産がかなり個人病院に移行しておりまして、こういうように公的な総 合病院を探した場合には、それでも100 件にはいかないのではないかという予想も考え られます。ですから100 というような数字を出されると、非常に九州地区では難しいの かも知れません。 7.その他です。 現時点ではボランティアとの連携はありません。「中間まとめ」に対する意見はあり ません。 アンケートの回収率ですが大体8〜9割です。ただ、非常にこれにも問題がありま す。一応6カ月後の定期健康診断が終わった後にやるということで、7・8か月後にお 渡ししているのですが、地方によりましては、定期健康診断の時期が4か月の後が10カ 月とかで非常にまちまちでして、6か月の健康診断を受けてないという結果も出てま す。ですからもう少しその辺を考慮する必要があるのではないかと思っております。 移植の適応ですが、ガイドラインに沿った形で行っております。HLAの血清学的に 5/6が原則で、細胞数が2×107 以上、適応疾患についてもガイドラインに沿った形 で、当面はそのように考えております。以上です。 〇鎌田部会長 ありがとうございました。それぞれに大変に貴重なお話を、きつい時間制限の中でお 願いして申し訳ございませんでした。この会は12時に終えたいと思っておりましたが、 既に12時を過ぎておりまして、全体を通じまして、この機会に直接伺っておきたい質問 せいぜい10分程度であろうと思いますが、時間を割かせていただきたいと思います。 〇正岡委員 加藤先生の採集医の謝礼として1万円くらいが妥当と言われたのですが、本当に妥当 ですか、それの根拠というか、それは人件費おも含めた謝礼ですか。 〇東海大学臍帯血バンク これは私が決めることでは全くございませんで、社会的な通念として、どれくらいで あろうか、皆で考えるべきであろうと思います。私の意見として、最初の説明のところ から、途中の産科の先生たち、あるいは産科のスタッフの方々は本来の業務を抱えてい る中で、プランαのこういうものをやっていただくことになります。積み重ねていった らひょっとしたら1万では足りないかも知れません。 〇有田委員 先程の西平先生と東海の加藤先生の数の大風呂敷云々の話です。移植医の先生方がや ろうとなさったらそれは本当に無理だと思います。ですから出来るように仕組みを考え たら4,000 でも5,000 でもできるのです。それをやろうとしないからできないだけのこ とです。だから、これは私たちはどうしてもやっていこうと思います。世論の応援を受 けてです。 それから今まで感じたことで、日本の患者さんと移植医の先生方は、本当に可哀相だ と思いました。ここまでご苦労されなかったら、人の命を助けることができないのかと いう怒りで今一杯です。これはここで今言うべきことではないので、これで抑えます。 近畿臍帯血バンクの河先生、これは自治体の応援についてです。近畿では全部ではな いのですが、自治体においては国の関与の様子を見て全面的に応援していこうという自 治体もございますので、そういうことも参考にして、これからのガイドラインに沿った 取り組みにしていただけたらありがたいと思います。 福岡の血液センターの先生、日本の地理的な部分からいったら、九州というところで バンクができたら私たちは理想と思っております。日赤が関与云々というのは別として も、将来的に臍帯血バンクをやるという方向で取り組んでいっていただいたら、ボラン ティアとしては非常にありがたいと思っております。以上です。 〇迫田委員 東海大学の加藤先生にお伺いしたいと思います。ここまで非常に一つずつステップを 踏まれて倫理委員会でまず学内に止めてこられて、非常に専門的な研究機関としての役 割をずーと果してこられたと思うのです。それで今ここで学外にも提供したい、つまり 公的な形になったときに、数も集めないといけない、事務的なもの、予算的なものは非 常に大変で、例えば西平先生がおっしゃったように血液センターとか、そういう専門の ところに渡したいというお考えもあるとは思うのですが、加藤先生の東海大学としては 公的に学外にも広げていきたいとお考えになったのは、どういう理由なのでしょうか。 〇東海大学臍帯血バンク 検討委員会の中で私が終始主張申し上げましたことは、今、迫田委員がおっしゃられ た通りのことでございます。国の大きなビジョンがないままに、自然発生的なものを育 成していこうというような、こういう中間まとめの基本的な考え方、そこは私は不十分 なところがあったのではなかろうか。将来的な大きなビジョンを示す中で、中間まとめ として当面の組織はこうしていくが、ということがあれば、今おっしゃられたように、 私たちは私たちの役割を果たした時点で、一刻も早く本来の公的なものに移行したいと 考えておりました。 しかし、そうでない中間まとめのやや不完全燃焼的な報告があった、それであれば 我々はやれるもの、果たせる役割をやっていかざる得ないだろうと考えて、今日申し上 げたような、大きな方針の変更をしたわけでございます。 これから大きなビジョンが示されれば、当然それにそって更に変更は必要であろうと 思います。 〇月本委員 今全てのバンクの方からお話を伺いまして、皆様に共通されている点は、財政的援助 というのが共通のキーワードのようなことろがございます。この財政的なところで、河 先生のところだけが予算案をおだしになっていますが、年間で100 検体集めるとしまし て、具体的には凡そどのくらいかかるのでしょうか。1,000 万円くらい費用がかかって いるのか、具体的な数字が分かりましたらお教えいただきたいです。どなたもおっしゃ っていなかったと思います。 〇東海大学臍帯血バンク 1件7万円というのは、例えば消耗品のミニマムなもので、我々は中で他の検査とか をやっておりますので、そういうものを積み重ねていったら、1件当たり10数万、理想 的なものを作っていこうとしたら20万円まで到達するのではないかと思います。1件当 たりです。 〇中林委員 この臍帯血は恐らく20,000件に達すると、それ以降1年間に必要となる数は大変に少 なくなります。するとこの4〜5年間は財政的な措置を頂いて人員を広げて設備を広げ た、後、縮小していくわけですが、そういう稼働性というものが、各バンクでお考えい ただいているのでしょうか。 〇鎌田部会長 全員でなくて結構ですので、何かお考えをお持ちの方がいらしたらお願いします。 〇神奈川臍帯血バンク 20,000件は当面の目標であって、もし成人にも要するということであれば、20,000件 では到底足りない。20,000件というのは、前にも書いたのですが、それは1ローカスミ スマッチまでの想定で、しかも小児で30キロ未満の小児を対象とした場合の数字であっ て、50キロ以上の大人とか、あるいは小児もそうですが、それであれば20,000件では到 底足りないのです。50,000とか100,000 は必要になるのではないかと思います。だから 20,000が終わったら縮小していくということではなく、私が前からいっているように、 定期的な毎年決まった財政的なバックアップがないと、到底このバンクは理想的なもの にはならないであろうということです。 先程ちょっと採取料について有田さんがいわれましたが、実際問題として産科医は大 変です。夜中に採ってくださいといってもね、だから例えば昼間の時間帯に限ると1/ 3しか採れないのです。すると分娩件数は沢山あったとしても、実際に採れるのは沢山 ではない、過度に計算してはいけないということをいっているわけです。それは努力は しますが、実際の問題としては大変だということです。 〇東京臍帯血バンク 4,000 ずつ5年間で、全然使わないなら20,000検体という話でありまして、毎年いく らの移植をしていくか、それによって5年後に15,000しか在庫がないかどうかという問 題になると思います。ですから将来のことを考えれば、4,000 の採取は当分続けていく べきであろう。そして20,000集まったら次には30,000というふうに、量を増やしていく 必要があろうと思います。それから使用限度の年度がどの程度使えるのか、それによっ て廃棄さぜるを得ない臍帯血も出てくると思います。ですから当面は縮小ということは 考えないで、進め進めでいいのではないかと思います。 〇中林委員 それは親委員会の方の意見としては、当初、使用を限る。他のいろいろな対象も今回 は限るということでこの委員会は発足しているように私は思います。 〇鎌田部会長 その点についての内部での議論は次回やります。 〇迫田委員 皆様お揃いでいらっしゃるのでお伺いしておきたいと思います。例えば、これは全く の仮定の話ですが、今の加藤先生のお話で思ったのです。今血液センターでやっていら っしゃる方が何人かおられますね。そこで例えば、血液センターあるいは献血供給事業 団もそうなのかも知れないのですが、そういうところが集約する形で、あとは皆様がご 協力するという形でもし行うというような、例えば西平先生がおっしゃっているように 決定をした場合には、それに集約するということは、何か不味いことはありますでしょ うか。それでも、私のところはバンクとしてやった方がいいと思っているというような ご意見をお持ちの方はいらっしゃいますでしょうか。仮定の話なんですが、多分いずれ は幾つかに集約していくのではないかと思いますのでご意見があればお聞かせ願いま す。 〇神奈川臍帯血バンク 先程も言いましたように血液センターが中心になって、採取部分は、勿論、産科医あ いるは小児科医が携わるのですが、採った後の処理とか保存とかHLA検査等は、全て 血液センターがやるというふうに集約していけば、そんなに沢山あっちこっちに10も15 も必要はないということになろうかと思います。我々としては、ちゃんと数が集まって 臍帯血が得られるようになれば、我々は移植に専念するということでいいのではないか と、皆はそう思っていると思います。 〇東海大学臍帯血バンク 今迫田委員が言われたことは、私がずーと委員会の中で主張してきたことでございま す。将来のビジョンがないままに、とにかく溜めるだけ溜めてくれということで、溜ま っていったときに、その将来の使い方のルールは今の段階ではないわけですから、非常 に困るわけです。ですから、5年間で20,000というのはやむを得ない数字かも知れない のですが、その内の前半で、地域バンクの活力というものを生かしてやるが、後半では 集約していくのだということをきちんと示した上でやっていかないと、収拾が付かなく なるということを、我々は十分に考えておくべきだと思います。 〇中林委員 産科医としてのお願いです。これは西平先生がおっしゃったいただいたように、確か に臍帯血を扱いますということが一つの産科施設での何らかの名目になってしまう。今 の分娩数が少なくなっている時点で、そういうことを掲げたいという病院も多数ある。 そして臍帯血を採るのは簡単ですが、きちんとした形で事故なく採るには、かなりの人 数がいて、きちんとしたことができるという意味では、私はある程度、その施設がある 一定数を得られるような規模の大きい、またある社会性を持ったというか、公共的な施 設で採っていただくのが、産科医の間でのこれによる問題を引き起こすことを少なくす るのではないかということがあります。各バンクの方々も手軽に集まるということでは なく、その辺の産科医に引き起こす問題点もお考えの上お決めいただきたいと思い ます。 それに関しては産婦人科の医療自身は、妊産婦を無事に分娩させることですので、そ れ以外の仕事に関しては、それなりの仕事に対する、かなりの仕事になろうかと思いま すし、長時間続けるものであれば、それなりのものをきちんと提出していただきたいと いう感じをもっております。 〇鎌田部会長 大変に貴重なご意見ありがとうございました。本日のご意見を今後の検討に生かして いきたいと思います。あと小寺先生から資料を頂戴しておりますので、その他の点も含 めて事務局の方からご説明をお願いします。 〇事務局 一つはお手元にピンク色の紙がございます。これは厚生科学研究という厚生省の研究 の中で造血幹細胞移植に関する研究班でございますが、この研究班の研究成果の発表会 が2月6日の土曜日に行われております。公開でございますので、この臍帯血関係の発 表もございますのでご興味のある方は是非ご参加いただければと思います。 もう一点です。実は前回これは事務局の不勉強で恐縮です。ご兄弟にいろいろな臍帯 血移植を受けられるような患者さんがおられて、そのために下のお子さんか生まれて臍 帯血を採った場合、それのHLAが合わなかったときに、それをバンクに戻してあげた ら云々があって、臍帯血採取基準書のコピーが一枚だけございますが、この中に3の1 の4、新生児から見て二親等以内に悪性腫瘍、慢性疾患、血液疾患等がある場合には、 臍帯血の対象としない。3の1の6、新生児から見て三親等以内に以下の家族歴を有す る場合には対象としない、ということであります。かなりのケースでは、これでネグレ クトされるということで、こちらの紹介が遅れまして失礼しました。以上です。 〇鎌田部会長 司会の不手際で時間を大幅に超過しまして、皆様にご迷惑をおかけしましたことをお 詫び申し上げます。本日の専門部会をこれで終わりにさせていただきたいと思います。 ありがとうございました。 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  山本(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03−3503−1711