99/01/21 第3回地域保健問題検討会 第3回 地域保健問題検討会 日 時 平成11年1月21日(木) 14:00〜16:00 場 所 厚生省2階 共用第6会議室 北川座長  それでは時間になりましたので、ただいまから第3回地域保健問題検討会を開催させ ていただきます。  本日は大変お忙しいなかを委員の皆さまお集まりいただきましてありがとうございま す。なお、本日出席予定となっておりました鶴見委員におかれましては、業務の都合上 欠席をなさるということでご連絡がございましたのでお知らせをいたします。それでは 本日の資料1から3までありますので、事務局から簡単に説明をしてください。 岩尾課長  それではお手元の資料をご説明申し上げます。本日お配りしてますのは、そこに会議 次第、クリップで留めてありますので外していただいて結構ですが、会議次第の議題に 係わるものでございまして、資料1が、本日ご足労いただいております4つの市からの 説明資料が茶封筒の中にそれぞれ市ごとに分かれて入っております。それが4種類。最 初の資料1(1)で説明事項ということで入っております。それから(2)から(5)が各市の説 明資料でございます。それからその次に資料2A4の横書きになっておりますが、保健 所業務一覧というものをつけさせていただいております。これは前回までに保健所のい ったい業務にどんものがあるのかということで、ご質問いただいておりましたものです から、全部の法令検索を掛けまして、法律に保健所ないし保健所長と書いてあるものを 検索しました。それで一体どの業務がどんな法律で保健所ないし保健所長がどのような ことをやることになっているのかというのをまとめてみたのですが、一番最後の9ペー ジをご覧いただきたいと思うのですが、この末尾に(注)として書かせていただきまし たが、通常保健所において行われている事務のうち、法律又は政令に明示されている保 健所長及び保健所の事務と、それから法律又は政令によって定められている事務のうち 都道府県(知事)から保健所を設置する市の市長等に権限が移譲されている事務を掲載 しております。ですから特に対人保健サービスなどで、例えば行政通知ですとか補助金 による措置ということで行われている業務が、保健所長あるいは保健所での業務という ことで行われていることがあるかと思いますが、そういうものは実はこの表には掲載さ れておりません。保健衛生行政では、結構補助金において措置を行っているものがある ものですから、かなりの部分がこれ以外にも保健所の業務として現実には行われている というように私ども推測をしております。  またこの表の都道府県知事、保健所を設置する市の市長あるいは特別区長の欄に○の ついているものがございますが、そのような事務であっても自治体によっては必ずしも 保健所で執行していないものもあり、環境センターですとか環境関係の事務所ですとか そういうところでやっているものもあり得るということで、その点にご留意いただけれ ばと思ってます。それにいたしましても1ページから3ページまでが対人保健サービス として括ってあるものですし、4ページからあとが対物ということで列記しております が、結構山ほどあるということでございます。なお、2ページに感染症予防ということ で現行の伝染病予防法とか、それから3ページに性病予防法それからエイズの法律など もありますが、これはたぶんこの4月1日から変わるということで、感染症関係変われ ばまたこの部分は当然差し替えになるというふうにご理解いただければと思ってい ます。これが先日まで資料を調べておりまして、本日できましたのでご紹介させていた だきます。  それから資料3が一番最後についてますが、これは今後の日程案ということですので 後ほど時間があればご意見等いただきたいと考えています。事務局からは以上でござい ます。 北川座長  ありがとうございました。それでは早速本日の議題に入りたいと思います。お手元の 次第では、今日は指定都市における保健行政の現状等についてというテーマになってお ります。本日は、現在1市1保健所方式の札幌市、神戸市。1区1保健所方式の川崎市 大阪市からそれぞれの市の地域保健行政の幹部に当たる方々においでをいただいておる わけですが、まず資料1の説明事項に沿ってお話をいただくことになっております。全 体の説明が終わってからご質問あるいはご討議をいただくというふうにしようと思って おりますが、よろしゅうございましょうか、途中で何かあればまた発言をしていただく ことは差し支えないと思いますのでどうぞご遠慮なく。それでは最初に札幌市の保健福 祉局の宮田医務監、お願い致します。 宮田医務監  札幌市保健福祉局の宮田でございます。札幌市の保健衛生の状況につきましてご説明 いたします。まず最初に札幌市のこれまでの概況についてでありますが、お手元の『札 幌市衛生年報』の第1ページをご覧ください。札幌市の面積は約1,120km2で、うち市街 化区域は243km2、人口は約180万であります。行政区については、平成9年に人口の急 増した区を分区しまして、現在では合計10の行政区となっております。  続きまして札幌市における地域保健体制の編成について簡単にご説明いたします。ま ず地域保健法が完全施行されました平成9年4月に合わせて、それまで各区に設置して おりました保健所を広域的、専門的、技術的な地域保健サービスの拠点と位置付けまし て1カ所に集約することと共に、地域住民により身近な地域保健サービスを提供する拠 点として、各区に1カ所の保健センターを設置することといたしました。同じ年、11月 の分区に合わせて住民に利用頻度の高い保健サービスと、福祉サービスを一体的に提供 できる体制の整備を図るため、区のなかの機構である保健センターと福祉事務所を含む 区福祉部とを統合して保健福祉部を創設しました。翌10年4月1日には、本庁におきま して福祉分野を統括しておりました、民生局と保健衛生分野の統括をしておりました衛 生局を統合することにより、保健福祉局を創設し全市一体となったさらなる保健・医 療・福祉の連携強化を図ったところでございます。  それでは本題であります、札幌市の保健衛生の状況につきましてご説明いたします。 1.総論( 1)組織体制及び改編した主旨についてですが、保健所法が地域保健法に改正 されました主旨に沿いまして、地域保健体制を抜本的に見直すこととしたものでありま す。札幌市保健所及び保健センターを相互に機能させ、さらに福祉部門との有機的な連 携を進めることにより、地域住民の健康の保持、増進を図ることを目的としたものであ ります。組織体制を改編した主旨は、保健所及びセンターで実施する業務内容につきま しては、お手元の市民PR用のリーフレットにまとめてございます。  機構改編後の主な内容は次の2点です。1点目は、各区に設置をしておりました保健 所を1カ所に集約すること。2点目は、各区に保健センターを設置し区の機構に編入し たことであります。保健所の集約にあたりましては、以下の3点を考慮し、保健所の機 能強化を図ったところであります。まず1点目は、結核、エイズを含む感染症対策。医 務、薬事など全市的対応が必要な業務や複雑、多様化している環境衛生、食品衛生対策 など広域的、専門的業務の充実を図ること。第2点目は、営業施設など許認可、監視、 指導、各種相談などの窓口業務のような、地域密着型業務については各区に生活衛生担 当課を配置し、市民サービスの確保、向上を図ること。最後の3点目は、本庁業務であ った情報管理業務を保健所に移管し、対人・対物サービスに関わる各種情報の収集、解 析及び提供を行うことにより、公衆衛生に関わる調査、研究機能の充実強化を図ること であります。  また保健センターにつきましては、以下の3点を考慮し、保健サービスの強化を図っ たところであります。まず第1点目は、介護が必要な在宅療養者のために保健婦や理学 療法士などによる訪問指導サービスを専従して行う地域ケア係を創設し訪問指導サービ スの充実、強化を図ること。第2点目は、医療機関と連携し保健婦、栄養士などを専門 職による生活習慣改善相談事業を実施するなど、地域に身近な保健サービスの充実、強 化を図ること。第3点目は、区の機構に編入することにより、福祉部門との有機的な連 携を行い、一体的な保健福祉サービスを提供できる体制を構築すること、さらに市民部 と提携し町内会組織やボランティア団体などと協力しながら、赤ちゃんからお年寄りま での健康づくりのための、より地域に密着した保健サービスの提供を図ることでありま す。  次に(2)の保健所と行政区の関係についてですが、今組織体制を改編した主旨について ご説明しましたように、保健所では技術的、専門的、広域的な保健衛生の拠点施設とし て機能強化を図り、区の機構に編入した保健センターでは訪問指導など健康づくりなど 地域に密着したきめ細やかな保健サービスを提供することとしております。また保健所 では保健センターで実施している、各種相談に対応できるよう情報の収集、提供など後 方支援を行い、また衛生研究所との連携を図りながら保健センター職員への専門的、技 術的な研修を企画、立案し実施をしており、専門技術員の知識及び技術の向上に努めて おります。  (3)の保健所の企画機能についてですが、本市では従前本庁で実施しておりました情報 管理業務を保健所に移管して、情報管理係を新設しました。地域保健サービス、医務薬 事、食品保健、環境衛生に係る対人、対物サービスの情報収集、解析及びその提供を行 い、調査、研究機能の充実を図るとして、今後は、この情報管理係が中心となって、公 衆衛生全般に係る企画調整を図ってまいりたいと考えております。なお、予算編成は保 健所と十分な意見調整をした上で、本庁関係部局で実施することとしております。  (4)のその他でありますが、今総論としてご説明申し上げました内容は、平成9年4月 の保健所の機能強化に係わる機構改革の内容ですが、その後7カ月後の区の保健部門と 福祉部門の統合、さらにその5カ月後の平成10年4月の本庁の保健部門と福祉部門の統 合によって、保健・医療・福祉の一層の連携が可能となり、本市の地域保健体制の強化 がさらに図られるものと考えております。 続きまして2の各論についてご説明いたし ます。(1)結核対策についてですが、お手元の『札幌市衛生年報』の139ページをご覧く ださい。新規登録の結核患者は平成9年は466人で、前年に比べて18人減少しており、平 成9年末現在の総登録患者数は1,315人、前年に比べ94人減少しております。次に、結核 診査協議会の運営状況でありますが、以前は各区の保健所ごとに結核診査協議会を設置 しておりましたが、保健所を1カ所に集約しましたので現在は1協議会で運営しており 月2回開催しております。結核診査協議会を1つにしたことから1回当たりの診査件数 は約70件となり、それ以前の平均7件と比べて大幅に増加してますが、前日に保健所長 を含む医師3人による申請の記載内容等の事前検討を行うことにより、翌日の協議会の 効率的な運営を図っているところです。また、年末現在の安易な単独投与例は5%とな るなど、結核医療基準に基づく診査の適正が図られているところでございます。続きま して、結核患者発生対応についてですが、結核患者の届出及び医療費の公費負担申請は 保健所で受理しており、保健センターでは受理しておりません。調査結果は保健所の結 核担当専任の保健婦が行っております。専任保健婦4人の配置により、新患者に対する 訪問率は過去平均の約65%から、平成9年度では約85%へと向上しております。管理検 診、家族検診、定期外検診の実施内容については、保健所で決定し保健センターを受診 場所としてます。なお、検診等で登録された電算情報は、保健所及び保健センターにお いて照会、更新ができるようにオンラインのシステムを構築してます。従来の区単位の 患者管理から、1カ所による全市的な患者管理になったことから、集団発生時や複数の 区にまたがる場合でも、情報の集約、分析が容易となり適切かつ迅速が対応が可能とな っております。  (2)の食品保健対策についてですが、平成9年の食中毒発生件数は16件。患者数467人 営業停止件数6件、有症苦情数144件、食中毒関係検査数864検体となっております。 『衛生年報』の288ページに発生状況の詳細について載せております。食中毒が発生し た場合札幌市食中毒対策要綱及び食中毒処理要領に基づき、保健所が中心となり全市的 に対応しておりますので、複数の区にまたがって発生した場合においても適切かつ迅速 な対応が可能となっております。食中毒及び有症苦情の処理は、保健所食品指導課の食 中毒対策主査が中心となり、関係区に保健所の機構として配置している生活衛生担当課 と連絡調整を図りながら対処しております。  またOAシステムの導入により、各区の疫学調査等の情報を食品指導課で集約処理す る体制となっております。なお食中毒の最終処理にあたっての判断は、保健所長、関係 部長、食品指導課長、関係区の生活衛生指導担当課長などをメンバーとする食中毒判定 会議において決定しております。  (3)の保健、医療、福祉の連携システムづくりの体制についてです。札幌市の場合、区 におきましても本庁におきましても保健部門と福祉部門を統合することにより、保健・ 医療・福祉の連携を図れる体制づくりを進めてまいりました。さらに連携を充実させる ために、幾つかの調整会議等を設置しております。まず在宅療養者の生活の質の向上を 図り、高齢者等への保健サービスの向上を図るため、高齢者等サービス相互調整推進会 議を設置し、各区に高齢者等サービス調整会議及びサービス調整チームを編成しており ます。この会議は各区の保健福祉部が実施主体となり、医師会、歯科医師会、薬剤師会 看護協会、社会福祉協議会、民生委員、老人クラブ、町内会等から構成されており、相 互に協力して総合的な在宅介護を要する高齢者の保健福祉サービスの提供を行うもので あります。  2つ目としては、少子化、核家族化、都市化等の進行による家庭環境の変化に対応し 家庭での育児力の向上を図ることを目的に、地域子育て支援検討会を設置しており ます。この会議は、各区の保健福祉部が中心となり、保健婦、民生委員、児童委員、 児童会館や保育園の関係者による各種の事例検討や連絡調整を行うことにより、母親等 を中心とした子育てのネットワークづくりを支援し、地域の育児環境の向上を図るもの であります。  3つ目としては、保健センターが区の機構に編入されたことにより、新しい方向性と しまして区民健康づくり談話会による地域健康づくり事業があります。この談話会は従 前の行政指導の健康づくりではなく、地域住民が主導であることに意義がありまして、 その目的は地域住民が各世代に応じた健康のありがたさ、その価値を楽しみながら地域 の特性を生かした健康で生きがいのある町づくりを主体的に推進するものであります。 また委員は公募により選出されているのも特徴の一つであります。この談話会により、 検討された事柄が実行委員会で企画計画され、各種の健康づくり事業が実施されており ます。例えば保健婦が地域の連絡所を定期的に訪問して行う健康相談、障害者とともに 楽しめるゲームの主催、開催。乳幼児とその両親、そして独居高齢者による合同の昼食 会を持つなど地域の各世代間の交流を図るなどの事業を実施しております。  続きまして(4)の対人部門と対物部門が協働する必要のある場合の対応方法について ですが、札幌市では対人部門と対物部門が協働する必要がある業務に関しては、感染症 健康危機管理要領や、有毒物混入が疑われる健康被害、発生時の処理要領等を作成運用 するなかで本庁、保健所、保健センター、衛生研究所のそれぞれの役割と協働体制の確 認をし、その強化を図ってきているところでございます。さらに環境衛生部門では、住 居衛生の充実強化を図るため住まいの衛生係を新設し、北国特有の健康快適住居環境ガ イドイランの策定を計画しております。住宅に起因する健康障害は、乳幼児や主婦、お 年寄りなどに、より深刻な問題となっておりますのでこのガイドラインに基づき、母親 教室における衛生教育、高齢者や要介護者住宅の住まいの診断などを実施する計画であ ります。この実施に当たりましては、対物部門の環境衛生監視委員と対人部門の保健セ ンターの保健婦が協働して対応する必要があることから、そのための効果的な方法につ いて現在検討を進めているところであります。  (5)の保健所、保健センターのサービスの質の平準化の工夫についてですが、札幌市の 場合、既に保健所は1カ所ですので、区によるサービスの差はございません。また保健 センターの各種サービスにつきましても、保健所での情報収集や提供を行うと共に、保 健センター職員への専門的、技術的な研修を企画実施することにより、各種のサービス の平準化に努めているところです。  最後に3.の現組織体制の評価及び課題についてですが、札幌市の現在の組織体制で あります1保健所10保健センターの体制につきましては、スムーズに移行し、概ね有効 に機能しているものと判断しておりますが、今後少子、高齢化問題、新興・再興感染症 対策や毒劇物に係る健康危機管理体制に対する取り組みなどにつきましては、なお慎重 に検証を行いながら必要な改善を実施してまいりたいと考えております。以上で札幌市 の保健行政につきましての説明を終わります。 北川座長  どうもありがとうございました。それでは引き続き神戸市の保健福祉局坪井医務監に お願いします。 坪井医務監  坪井でございます。まずお礼を申し上げます。4日前の17日に、市民3,000名が参加し まして、震災犠牲者追悼式を行ったところでございます。現在市内の仮設住宅、当初3 万戸できたのですが、現在お住まいになっている住宅は6,000戸でございます。今年中に 恒久住宅へ移られる方が更に増えると思います。震災後、今日に至るまで厚生省はじめ 国の各省庁から、また各都市の皆さんから多大なご支援をいただき、改めて厚く御礼申 し上げます。  それでは、神戸市の新しい地域保健体制、昨年4月1日に発足したばかりですが、説 明させていただきます。まず1.の総論ですが、人口や面積につきましては、薄紫色の 資料をご覧になって下さい。ご覧の通り、震災前は152万の人口があったのですが、震災 直後には142万と10万人減りました。その後、徐々に戻り、現在は、約148万人となって おります。面積は約550km2です。次に資料1ページをご覧になっていただきたいと思い ます。ご覧のように新しい保健所では、2課4係、地域保健課と衛生監視課、地域保健 課は管理係と事業調整係、衛生監視課は医務薬務係と監視係となっております。また保 健所の中に、保健部を点線で囲んでありますが、これは各区の保健部の職員が兼務する というかたちになってます。具体的な事務分掌につきましては、2ページから4ページ をご覧になって下さい。保健情報の収集、分析、事業の評価、企画調整機能、全市的な 事業の企画とか各保健センター事業の調整、支援等、あるいは各種の専門相談例えばア トピー相談、さらに危機管理体制の強化などを保健所が行っております。各区の保健 部・保健センターは、2ページの下にありますように、地域保健サービス業務の他に、 保健所長権限業務のかなりの部分も行っております。  職員の配置体制でございますが、資料の6ページをご覧いただきます。新しい保健所 では、107名のスタッフを抱えております。従来の各区の保健所の場合は、だいたい50名 前後でした。保健部・保健センターにつきましては、9カ所で346名です。総数が453名 と、改編前に比べまして20名増えております。専門職種、例えば、医師、診療放射線技 師とか臨床検査技師、歯科衛生士、理学療法士などは、各区の業務に応じて保健所から 出務いたします。機能強化を検討するチームを設ける趣旨から事業調整係に全ての職種 を1〜2名ずつ配置しております。地域に密着した業務につきましては、説明資料の2 ページのとおり、対人、対物サービスの拠点として、各保健部を位置付けております。 結核診査会や医療監視など全市的に対応することによって効率化が図れる業務に付きま しては、保健所に集約しました。その他、企画調整、調査研究等の役割も保健所が担っ ておりまして、トータルとして市民サービスの向上を目指しております。  その際、考慮した点として、1.市民サービスの低下をきたすことがないように、効 率的な保健事業の実施体制を構築すること、2.保健行政を実施する単位として、区の 役割を重視した組織体制であること、3.保健、医療、福祉の各分野の連携及び対人、 対物部門の連携を図ること、などです。  (2)保健所と行政区の関係についてですが、説明資料の2ページをご覧ください。保健 所には、先程も申しましたが、企画調整機能から専門的業務の実施機能、区保健部の支 援機能を持っております。先程申しました区保健部での保健所長権限業務ですけれども 身体拘束や不利益処分を除く業務を先決で行っているわけでございます。  (3)保健所の予算の編成権につきましては、本庁各課と同様に予算請求執行権をもって おります。従来は執行のみでした。人事権につきましても人員要求などの直接人事権を 持っております。  2.各論に入りますが、(1)今回の新体制にあたりまして、結核診査協議会が一つにな るということでいろいろ心配がありました。その結核診査協議会の運営状況ですが、説 明資料7ページをご覧いただきたいと思います。『衛生統計年報』88ページから91ペー ジもご覧になって下さい。神戸市では、新結核患者は毎年だいたい900人前後ですが、今 年平成10年は、4月から11月まででご覧のように新患者数は472名です。結核診査会は9 つが1カ所になって、それまでは各区で1カ月に2回開いておりましたが、新体制では 毎週1回開くようになっております。現在まで34回開きまして、1回当たりの件数は平 均41件です。時間は、1時間半前後です。スピーディーに診査が運ぶのは、事前検討会 を前日に行っているからです。外部から専門医を1人と、保健所の医師2〜3人、合計 3〜4人で事前検討会を開いて、翌日の本番の診査会がスムーズに診査ができるように 図っております。事前検討会で、全ケースにつきまして、ビジブルにスケッチを書いた り、記入もれや足らない資料があると各保健部に問い合わせするなどしております。1 診査会に集約されたことによって、各区の診査件数や診査内容のばらつきが平準化され つつあることは、大きなメリットです。  次に、届出、公費負担申請受理、患者調査、患者管理、家族検診、定期外検診につき ましては、各区の保健部で対応しております。患者登録、統計、発生動向調査は保健所 で行っております。二つ以上の行政区にまたがった対応が必要な場合は、感染症危機管 理対策会議、これは昨年4月に設置してますが、その会議の下部組織である、結核部会 で対策を検討いたしております。事務局は本庁と保健所で担当しています。また、各区 に結核・感染症対策会議を設置しまして、区内の対策を検討しております。この区対策 会議は、月1回の定例会議としております。また複数区にまたがる定期外検診につきま しては、保健所が対策委員会を設置して調整するようにいたしております。  (2)食品保健の対策ですが、資料7ページをご覧になっていただきたいと思います。平 成9年度は、ご覧のように発生件数が14件、患者数が3,660名と異常に多い数ですが、こ の年はたまたまある弁当屋で3,000名の患者が発生しました。そのために、この年だけは 極端に多くなってます。通常は、『年報』の95ページにありますように、年平均で300人 余り、件数は7件程度です。  患者発生時の対応ですが、患者調査は各区の保健部で対応し、行政処分は保健所で行 ってます。集団発生で二つ以上の行政区にまたがった場合は、各区の保健部による現地 の対策本部と本庁と保健所による対策本部を設置いたします。その際、保健所職員は、 機動班的な役割を担います。各区との調整や原因分析の役割も果たします。  (3)保健・医療・福祉の連携システムづくりですが、資料7ページをご覧ください。 (3)にありますように、神戸市では各区に保健・医療・福祉連絡会議を開いております。 その中身ですが、代表者会議と実務者会と専門部会と3つの会がありまして、そこには 医師会などの3医師会、民生・児童委員協議会、福祉サービス提供機関など各団体が参 加しております。事務局は各区のあんしんすこやか係が行っております。この係には保 健婦やケースワーカーが配置されています。  本庁は、平成8年4月に衛生局と民生局を統合しました。同時に、各区の保健所と福 祉事務所は、区長の下に編入しております。このように、本庁、各区ともに、保健医療 部門と福祉部門が同一組織に入り、保健・医療・福祉の連携が進展しています。  (4)対人部門と対物部門が協働する必要のある場合の対応方法ですが、各区の保健部に 保健婦と監視員の両職種が配置されておりまして、食中毒などの権限業務や保健セン ター業務についても、日常的に連携がしやすい組織になっております。保健婦と監視員 が把握したニーズに繋ぐ例としまして、例えば健康教育でハウスダストの対応を監視員 がお話することもあります。また今年度からは、住まいサポーターの派遣制度を実施し ております。これは、仮設住宅から災害住宅へ移られた方々の中で、要支援の高齢者を 対象にしまして、保健婦が訪問した際に、ダニとかカビの相談を受けることがあり ます。そういった場合に、保健婦が監視員と一緒に再度訪問しまして、薬剤散布をする あるいは家具の移動や畳上げを手伝うなどの業務を行っております。  (5)保健所と保健センターのサービスの質の平準化の工夫ですが、検診や健康教育では 保健所が全市的に業務内容を把握しまして、1カ所当たりの利用者数、実施内容、実施 場所を検討しまして、次年度の計画に反映させております。医療監視は専任チームを設 けまして、通年で実施しています。これまではどこの区も1月から3月に集中的に行っ ておりました。専任チームと申しましたが、各区の保健部のスタッフの一部も参加して います。  最後に3.現在の組織体制の評価と課題ですが、結核診査会の一元化、検査業務の集 約化、医療監視体制の専任化など順調に移行いたしております。専門職種を集中化した ことによりまして、情報交換や自己研修も行いやすくなっております。機能強化の具体 的な取り組みにつきましては、いろいろと検討してますが、これから、という段階 です。  新しい保健所には企画調整を担当する事業調整係に、保健事業に係わる全ての職種を 1〜2名ずつ配置しております。今後は、このラインが専門職種の垣根を越えまして、 専門職集団としての強みが発揮できますように、本庁、区保健部との連携を図りながら 情報収集、事業評価、計画、実施といった流れで、具体的な取り組みを進めていきたい と考えております。  課題と申しましょうか問題点も若干ございまして、保健所から各保健部へ移動する際 の交通手段とかその時間のロスとかいった問題もありますし、検体の搬送につきまして も問題があります。しかし、大筋としましては順調な船出ではないかと 考えております。以上です。 北川座長  ありがとうございました。それでは続いて川崎市の小柳医務監お願いします。小柳医 務監 川崎市健康福祉局医務監の小柳ですが、現況をご説明させていただきます。 説明資料の1ページから3ページにございますように、組織体制は一昨年4月から衛生 局と民生局を統合しまして、健康福祉局としまして7つの部からなる組織を作り ました。それと同時に2ページ、3ページにございますように保健所を区役所に所管替 えをしましてそれまでの3課体制を2課体制としました。職員の配置体制につきまして は4ページから5ページは業務分担ですが、6ページの保健所の職種別職員数をご覧い ただきたいと思いますが、(1)1行政区1保健所体制としている理由ですが、5つほど あります。1として昭和57年から川崎市は7行政区で1保健所を基本として、各行政区 ごとに保健所を中心に保健、環境、衛生行政を展開していること。各行政区ごとのサー ビス面では公平性、平等性が要求されておりますし、各区に選挙管理委員会が置かれ、 市議会議員や県議会議員も各行政区ごとに選出されておりますし警察署も各区に置かれ ている点。さらに急激な人口増加に対応するために、税務署も増設されていることなど を勘案しますと、現在ある7保健所を統合しますと、住民サービスや行政機関に格差が 生じることになり市民の合意を得ることは困難であるという点があります。  2つ目には、市議会の要請もありますし、実はこの地域保健法に先立ちまして、川崎 市は公害指定地域がありました関係で、川崎市の中の川崎区は3つの保健所がありまし たが、その保健所3つを1つに統合します際に、やはり市議会からも市民へのサービス の低下は許されないということで、各保健所の1行政区に1保健所を維持するようにと いうことがありました。ですから保健所を1つにするということは、保健所の条例を改 正することになりまして、これは財政状況からもまた市議会からの要請もございまして 困難だということがありました。  3.阪神・淡路大震災のような災害時を想定しますと、川崎市で実施しています防災 体制は各行政区を単位としてますし、保健所が区単位の中で医療救護所の役割を担って おり、区役所との連携の中で効果的な対応ができると考えている点。  4.川崎市の地域特性ですが、地形は南北に約33kmと細長く、交通事情もきわめて悪 く常に渋滞の状況ですし人口密度も高い、人口123万人になりまして飲食店の分布の密度 も高い状況にあります。従いまして保健所を統合しますと、公衆衛生上の監視、指導、 食中毒の発生時における即応が難しくなる。環境食品衛生上影響がでてくるということ が考えられる。そういう点があります。  5.また少子、高齢化時代の在宅ケアを考えた場合に、従来は対人サービスを中心と して行われてきましたが、これからは住環境や食品衛生を含めた高齢者在宅ケアを考え ていくべきであり、このためにも各区ごとの保健所で対人保健業務、対物保健業務の連 携のとれたサービスを行うべきであるということで、1行政1保健所を堅持するという 現在の状況でございます。  (2)保健所と行政区の関係についてですが、区長所管になりまして保健所長の権限とい うのは、先程事務局から資料の中でも説明がありましたように、多岐に渡っております し、区長権限が及ばないということがありますので、区長のところには報告義務という ことはありますが、所管外になりましても実際事務的な面では本庁との連携が必要です し、福祉事務所も区役所に所管替えになってますので、保健・医療・福祉の連携強化と いう面では連携は取れるということですし、健康福祉局と保健所との関係につきまして は、それまでの衛生局、民生局と保健所との関係と実質的には変化はございません。  (3)保健所の企画機能についてですが、特に予算編成権、人事権につきましては予算編 成権は各区長に権限を拡大するという方向性ではございますが、現時点では健康福祉局 が予算編成権を持っております。人事権につきましては、保健所のほうは技術職の集団 ですので、健康福祉局のほうで技術職を広域的な人事異動をさせるという必要がありま すので、健康福祉局が人事については具申するかたちで、もちろんこれは区役所の区長 のほうにも提案するかたちですが、総務局のほうで最終的に人事を行うということにな っております。  続きまして2.各論の(1)結核対策についてですが、結核対策につきましては説明資料 の7、8、9ページをご覧いただきたいと思います。川崎市は残念ながら結核の発生に つきましてはワースト5に入っておりまして、ホームレス、野宿生活者といいますか、 そういう方々が多い政令指定都市の中の一つですので、特に川崎区で結核の発生が多く なっています。まず7ページのところは、新登録患者数ですが平成9年度が477と、この 表ではやや少なくなっておりますが、特に川崎区でホームレスが多いということで、新 登録患者数が多くなっております。8ページですが、これは登録患者数の全体ですが 1,529ということで、前年に比べて平成9年度はやや減少しておりますけれども、残念な がら平成10年度は、現在の状況ではやや増加の傾向が見られます。それから9ページで すが、結核診査協議会の開催状況についてですが、川崎市は昭和61年度までは各行政区 にこの結核診査会が1つずつありましたが、結核患者の減少、まあ地域差もありますの で、昭和62年度からは現行の4協議会に統合しました。川崎区がホームレスのこともあ りまして結核患者の発生が多いものですから、ここが1つあとは幸・中原、高津・宮前 多摩・麻生というふうに2行政区に1つの診査協議会を設けておりまして、ここの表に ありますように地域差がありまして、川崎の北西部といいますか北部のほうは発生数、 取扱件数とも診査協議会で1回当たりの件数が少なくなっております。  患者の発生時の対応、届出、患者調査、定期外検診の実施体制につきましては、厚生 省のガイドラインに沿って行っております。また二つ以上の行政区にまたがった対応が 必要な場合につきましては、健康福祉局の疾病対策課と所管の保健所が相互に連携を取 りながら迅速に対応するようにしています。 (2)食品保健対策ですが、平成9年度の食 中毒発生状況ですが食中毒発生件数は5件、有症苦情が35件、営業停止処分など禁止が 2件、停止が2件となっております。それから説明資料の表にありますように、川崎市 の食中毒発生時の処理系統ということで、健康福祉局の健康部の生活衛生課が中心とな りまして対応を行っておりますし、二つ以上の行政区にまたがった対応が必要な場合に つきましては、健康福祉局生活衛生課が中心となりまして、所管の保健所間で情報交換 をしながら行っております。  それから健康危機管理体制につきましては、食中毒の対応会議もございますし、川崎 市の市役所内のO157対策協議会もございますが、その他に11ページの説明資料にありま す「川崎市O157等の対策市民関係団体会議」ということで、これは周知徹底を図るとい う意味もありまして、市長を会長としまして設置しております。それから川崎市の毒劇 物等の事故対策協議会につきましては、説明資料の14ページ以降にありますが、厚生省 からの通知がございまして速やかにこういう協議会を立ち上げまして、実際に被害はあ りませんでしたが庁内での連携をとりまして対策を進めております。  (3)保健、医療、福祉の連携システムづくりの体制についてですが、高齢者ふれあい窓 口というのは平成6年ぐらいからはじめておりますし、これは各福祉事務所に設置され ておりますが、健康福祉局としては月例の定例所長会におきましてこれは健康福祉局主 催ですが、これは福祉事務所長も含めての会議でして、ここで保健、医療、福祉のいろ いろな議題について協議をして連携を図っております。また地区の地域ケアサービス会 議はそれぞれの保健所に設けられております。川崎市全体として歯科保健につきまして は、歯科保健医療福祉の推進協議会という、これは全市で1つですがそういう協議会も 設けております。また精神保健福祉審議会というものが川崎市全体で1つ設けておりま す。  (4)対人部門と対物部門が協働する必要のある場合の対応についてですが、例をあげて 説明しますと、これは従来からやってきたことですが対人部門、対物部門が、1つはこ れは健康リビング対策事業検討委員会というのを平成5年に設置しまして、これはアレ ルギー対策も関係ありますし、ダニですとかカビですとか関係あるところが連携をとっ て対応をしております。  (5)保健所、保健センターのサービスの質の平準化の工夫についてですが、情報の連携 といいますか、情報交換の連携という面では地域保健連絡会議というものがありますし 定例の所長会または定例の保健所長の連絡会で協議をして、できる限り情報の差がない ようにというふうに努めておりますが、ただ、川崎市の場合には保健センターの役割を 果たすと思われます健康ブランチが3つありますが、ここでは母子保健、痴呆性老人の 介護教室などを主体として業務を行っておりまして、施設検診ですとかいろいろな検査 が必要な場合には、保健所で行うようにしております。  (6)その他は、定例所長会ですとか定例の課長会というところで情報の交換をして、で きるだけ川崎市全体に差がないように努めているということです。  それから3の現組織体制の評価及び課題についての検討は今現在行っていますが、主 に多く聞かれることは保健所の場合には区長所管に入りまして、区役所のいろいろな業 務が連携を強化されたという面と同時に忙しさが増加したという声も聞かれており ます。また健康福祉局においても、衛生局と民生局の統合によりまして、例えば健康福 祉研究発表など福祉部門も入りまして研究発表をしたり、連携を図れた部分も結構多く ありますのでメリットもあると思いますが、忙しさの面では確かに忙しくなったわけで す。以上でございます。 北川座長  どうもありがとうございました。それでは最後に大阪の飯塚保健部長さんお願いしま す。 飯塚保健部長  大阪市の飯塚でございます。説明に入らせてもらう前に『衛生統計年報』でございま すが、9年版を現在印刷中でして8年版につきましては部数がないために、まことに申 し訳ないのですが回覧をさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたし ます。  それでは大阪市の保健事業の現行体制、並びに今後の地域保健体制のあり方につきま して現在検討中でありますので、その基本的な考え方につきましてご説明させていただ きます。  まず大阪市の人口ですが、現在260万で行政区は24区となっております。その中で人口 5万から10万の区が12区、10万から20万の区が同じように12区となっております。1区 当たりに平均しますと、約108,000人となります。市域面積は指定都市の中で川崎市に次 ぎまして狭く221.27km2となっております。東西およそ19.5km、南北20.2kmほぼ正方形 に近い地形の中で市営、公営の交通機関あるいは道路網が整備されておりまして、市内 中心部からおよそ30分で市内どこでも行けるというような状況にあります。  保健行政を担当する組織、職員数ですが、環境保健局保健部、感染症対策室と本局で 職員251名、24区の保健所、資料9ページにありますように職員は1,115名、計1,366名で 行っております。1保健所当たりの平均職員数は46名となっております。また現行の保 健所の組織ですが、資料1ページ左側の下段にありますように、老人保健、母子保健、 結核、感染症対策など対人保健業務を行う保健総務課と監視指導、許認可業務、食中毒 対策などの対物保健業務を行う環境課の2課4係となっております。  今後の保健事業ですが、少子、高齢化時代の対応、個人のライフスタイルに即した健 康増進、高度情報化に対応した時代への対応、安全な生活環境の確保、新興・再興感染 症等への的確な対応が必要となっております。また基本指針で求められております保健 所の機能強化や生活者の立場を重視した保健サービスの提供体制を確立する必要がござ います。このため従来の保健所、各区の保健所体制を平成12年4月、来年4月から全市 1保健所と各区の保健センターという新しい体制を確立しまして、両者の機能分担と相 互連携を図りながら対応してまいりたいと考えております。  今後の保健所の機能としましては、基本指針にもあります専門的・技術的業務の推進 情報の収集・発信、調査・研究・分析等を唱えておりますが、本市のように先程申しま したように狭い地域で、平均人口が10万程度という区が24区ある中で、全ての保健所を 機能強化を図るということは、現下の財政状況の下でも不可能に近い状況にあります。 それと同時に、また政令市の人口要件30万に1カ所ということを当てはめますと、大阪 市の場合、市内に8カ所の保健所を設置するということになりますが、保健所を設置す る区としない区ができることは地元の理解を得ることは非常に困難な状況にあります。 この点からも全市を所管する1カ所の保健所に集約していきたいと考えています。1カ 所の保健所を設置することによりまして、情報の一元化が図れるとともに監視指導業務 の集約化による系統的、広域的な監視体制を確立しまして、全市的な危機管理体制も構 築してまいりたいというふうに考えております。  また各区の保健センターでは、保健サービスの提供機関としての位置づけを明確にし まして、職員の意識改革を図るとともに少子、高齢化に対応した新たな事業展開を図り また結核、精神保健を含む全般的な対人保健サービスあるいは環境・食品関係の各種申 請の受付、交付、また食中毒の初期対応や苦情対応も規定の整備を行いまして、各区の 保健センターで実施できるようにしまして、実質的には保健所機能をも一部有するもの としてまいりたいと考えております。このため各区の保健センターの所長につきまして は、医師の資格を有する者がなるというような位置づけを行いますとともに、環境食品 衛生監視員等も配置しまして、住民の健康や安全、生活環境をも守る第一線機関として まいりたいというふうに考えております。  本市ではこのように、市域全体を視野に入れまして市民に身近で地域に密着した業務 は保健センターで、広域的、専門的な業務は全市を所管する1保健所で行うように機能 分担を図りまして、お互いが連携の下にトータルとして市民サービスの向上に資し、か つ効果的な地域保健体制を確立してまいりたいというふうに考えております。  260万の大都市に1カ所の保健所ということよりも、むしろ24保健所に1拠点施設があ るという考え方、このほうが近いのではないかと大阪型の地域保健体制ということでご 理解いただきたいと思っております。  (2)保健所と行政区の関係ですが、現状は局で事業の企画立案を行いまして保健所で事 業を執行しています。今後の新しい体制の下では、局は保健事業の企画立案、予算、決 算、関係機関との連絡調整、議会対応等を行いまして、全市を統括する1保健所では先 程も申しましたように効果的な監視体制、広域的な危機管理体制の構築、保健情報部門 調査研究部門を強化しますとともに保健事業の評価システムによる事業提案、各区の保 健センターの支援等を行ってまいることにいたしております。24区の保健センターでは サービス提供機関として、市民の立場に立って地域に出向き時代に応じた保健衛生サー ビスを提供していくこととしており、寝たきり予防事業あるいは子育て支援事業の充実 を図っていきたいと考えています。また、保健センターの情報は保健所に集約できるよ うにしてまいりたいと考えています。  (3)保健所の企画機能ですが、特に予算編成権、人事権ですが、現在予算編成、執行管 理は局で行っております。各区の保健所が経費を必要とする場合には、局と相談して配 布を受けるというシステムとなっております。今後は1保健所の企画機能としまして、 保健情報部門・調査研究部門を強化しますのでこの成果を生かしまして、保健事業につ きましては事業改善やあるいは事業手法等の提言等を行う機能を持たせていきたいとい うふうに考えております。人事権につきましては、保健所の係長以上の人事は局が行っ ております。保健所の係員の所内人事につきましては、保健所長が行っております。今 後どうするかということにつきましては、現在検討中です。   次に2.各論の(1)結核対策ですが、結核患者の発生状況及び結核診査協議会の運営実 態ですが、現在結核対策は各保健所で実施しておりまして、平成9年における結核患者 の発生状況ですが、結核新規患者数、大阪の場合非常に多いという状況がありまして 2,695人、全登録患者数は6,208人となっています。また結核診査協議会は24区の各保健 所で開催しておりまして、1回あたりの診査件数は平均12件ですが、ホームレスを多く 抱える西成区では87件となっております。この西成区を除きますと、他の23区は平均9 件となります。今後新体制における対応ですが、まず新保健所に専門の医師や保健婦を 配置しまして、保健所の専門的機能及び総合調整機能を発揮して保健所が各区のセン ターに指導、指示を行ってまいります。また新体制においても従来各区の保健所で実施 しておりました患者発生時の届出、訪問指導等につきましては、規定を整備することに よりまして各区の保健センターで実施してまいりたいと考えております。患者の調査に つきましても、各区の保健センターが実施しますが、新保健所では患者登録のチェック を1保健所で行えることから、同一人が複数のセンターに二重、三重に登録されるとい ったことは是正されまして、一貫した療養指導が可能になるなど患者管理の徹底を図れ るものと考えております。また定期外の集団検診や2区以上にまたがった対応が必要な 場合には、保健所が全体を把握し、対策を行うための検討会を設置しまして、センター からの報告に基づき定期外検診あるいは接触者集団検診の要否を決定し、保健所の指導 指示により各区のセンターが検診を実施してまいりたいと考えております。  次に結核診査協議会の充実、強化についてですが、現在各保健所の診査件数に大幅な ばらつきがあり、最小の区では1回当たり3.3件となっております。また10件以下の保健 所は14区となっております。新体制におきましては、保健所が1カ所になりますので1 結核診査協議会を設けることになりますが、同時にこの診査協議会の機能を補完するた めに10程度の専門部会を設置し、より高度で専門的な知識を有する医師を起用しまして 診査会の機能強化を図ることにしております。診査会では専門部会の意見を参考に、診 査内容を決定してまいりたいというふうに考えております。また専門部会には、新規患 者の約2割が行旅患者ですので、行旅患者ばかりを調査する専門部会を設置したり、ま た先程申しましたようにあいりん地区を有する西成区につきましては、2つの専門部会 を設置しまして調査件数の緩和を図り、診査内容の充実に努めてまいりたいというふう に考えております。このように今後新たな1結核診査協議会、10程度の専門部会の設置 という体制を採ることによりまして、これまで以上に統一的な方針の下で診断、入院、 治療法等についての判断が均質化されますとともに、医療機関におきましても治療方針 を立てやすくなるものと考えております。また専門部会と診査協議会という二重チェッ クを行うことによりまして、診査レベルの向上も図れるものと考えております。  (2)食品保健対策ですが、現在食中毒が発生しますと24区の保健所で食中毒処理要領等 に基づき対応しております。平成9年の実績は、食中毒件数は41件。うち営業停止件数 32件。また有症苦情件数は351件となっております。2つ以上の行政区にまたがった対応 が必要な場合は、推定原因施設所在地と患者所在地が同一区内でない場合や、患者が複 数区に所在する場合等があります。この場合は局の食品衛生課が連絡調整をしまして、 おのおのの保健所で調査します。調査結果は局を通じて原因施設を所管する保健所に集 約することになっています。また必要に応じまして局に4名の食品衛生監視特別機動隊 を編成しておりまして、これで応援体制をとっております。今後の新しい体制の下では 監視指導、許認可業務を集約することによりまして、全市域の許可状況、監視指導結果 を1カ所でリアルタイムに把握するとかできますので、これらの情報を整理、解析しま して、例えば苦情が多発している業種等の問題点を日頃から明らかにしまして、事故防 止のためにより的確な監視指導に反映させていくことができるものと考えております。  また食中毒が発生した場合には、現在でも患者が数区にまたがるような事例が多くあ ります。原因施設、患者調査をそれぞれの保健所で実施しております。今後は1保健所 に集約した監視員を集中的に動員することができますので、調査は短時間のうちに行え るものと考えております。また調査によって得られた情報は、1保健所で一元的に管理 分析し、さらに必要な場合は補足調査、追加調査等をするなど迅速、的確な対応も行う ようしてまいりたい。このような迅速な処置をとることによりまして、危機管理体制が 強化され被害の拡大防止を効果的にできるとともに、市民の食生活の安全確保に繋がる ものと考えております。  (3)保健、医療、福祉の連携システムづくりの体制ですが、市域全体を対象とした調整 会議としては、高齢者、障害者、難病、母子対策等それぞれの分野におきまして推進本 部や委員会等が開催されているところです。区レベルで組織化されているものとしまし ては、高齢者地域支援システムがありまして、保健婦も参画しております。これは高齢 者への在宅支援を保健、医療、福祉等の関係機関、団体等の連携の下に総合的にサービ スを提供できるようにするとともに、サービスを必要とする人を見つけだし、積極的に サービスの活用を促すものでありまして、区役所に高齢者サービス調整チームを、また 各小学校区ごとに地域の方の参加による地域ネットワーク委員会を設置しております。  また区役所の健康福祉サービス課に保健と福祉の統合相談窓口を設置しまして、スタ ッフとして保健婦を配置しておりまして、相談からサービスの提供が一元的に行えるよ うに努めております。  (4)対人保健部門と対物保健部門が協働する必要のある場合の対応方法ですが、O157 の発生時における患者調査や検便の勧奨などは、保健センターの対人部門と対物部門が 協働して行います。また衛生教育の場などにおきましては、住まいの問題あるいはアレ ルギーなどの関連するものにつきましては、引き続き保健婦や監視員が連携して対応し てまいりたいと考えております。  (5)保健所、保健センターのサービスの質の平準化の工夫ですが、現在乳幼児健診をは じめとする各種保健事業の実施につきましては、開設回数や事業の流れ、保健婦をはじ めとするスタッフ等、一定の平均的なモデルの下にシステム化を図りましてサービスの 質の平準化を保っております。今後、各区の保健センターでは、これまで各区ごとに行 ってまいりました各種保健サービスは、従来通り実施していくこととするのを基本とし ていますが、単に画一的な事業を推進するだけではなく、保健所の情報部門とも連携し ながら健康教育あるいは健康相談等におきまして、地域の特性に応じた事業の展開も図 ってまいりたいと考えております。  (6)その他ですが、以上説明申し上げましたように、本市では市民サービスの充実と保 健所の機能強化に向けて、新たな体制整備を現在進めようとしております。体制整備に あたりましては、保健所、保健センター等の施設整備が必要でありますので、現在厚生 省に対しまして特段のご配慮をお願いしているところであります。  3.現組織体制の評価及び課題ですが、1の総論で申し上げましたように、保健所機 能を強化し、時代に即した保健事業を展開するために新たな保健体制を平成12年4月か ら実施してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申しあげます。以上でご ざいます。 北川座長  どうもありがとうございました。ただいま4市のそれぞれの立場から説明をお聞き取 りいただいたわけですが、なかなか大都市の問題というのは、非常に人口も増えていく とかあるいは保健事業も非常に数の上でも質の上でも流動化をしていると、その中で行 政改革の流れもこれあると、今日ご説明いただいた4方はそれぞれご苦労いただいたお 話をいただいたわけです。今日は別にどういうやり方がいいかということをここで答え を出すというわけではありませんので、たぶん恐らくそれぞれメリット、デメリットお 抱えになっているのではないかと話を伺いながら、そのように聞いたわけです。どうぞ 少し委員の皆さま方からご質問、意見はもう少しあとでいいと思いますので、取りあえ ずは何かこういう点はどうかというようなことについて自由にご質問してみて ください。 原委員  神戸の方にお伺いしますが、医療監視など第4四半期に集約したのを通年的にやって いるとおっしゃいましたが、具体的にはどういうことになるのですか。 坪井医務監  医療監視は先程申しましたように、毎月行っています。医師、保健婦、監視員、栄養 士、臨床放射線技師、検査技師など保健所の専門職種と事務職が医療監視班を編成して いるわけです。各職種とも医療監視担当を決めておりますが、実際に行くのは交代制を とっています。各担当が順番を決めているわけです。監視員は、各保健部にもおります ので、そこの監視員も保健所の監視員と一緒に行くようにしております。  それから、医師である各保健部の部長も、しばしば加わっています。 原委員  今までは各保健所でやってましたね、それで1ヶ所に集約した場合においても、従来 と同じという意味ですか。 坪井医務監  従来とそれほど大きく変わったところはないですね。ただ、医療監視の責任が1つの 保健所に集約され、実施期間が1〜3月から通年に変わった点にちがいがあります。監 視のスタッフは、各職種とも毎回交替しており、各保健部・保健センターの医師(部 長)、食品・環境衛生監視員も同行することが多く、そういう意味では、「神戸市の医 療監視は保健所の専任チームで行う」という説明は誤解を招きますね。申し訳ありませ ん。 原委員  行かないケースとは、行かない人がいるということですか。 坪井医務監  保健部長は、保健所長が行く場合は参加しません。また、保健部の栄養士、保健婦、 事務職は加わらず、保健所の同僚にお任せです。 原委員  札幌の場合はどうですか。 宮田医務監  札幌の場合は、病院と有床診療所については毎年1回、その他の診療所については3 〜4年に1回、神戸と同じく通年を通して医療監視をやることになっております。メン バーについては、だいたい規模として2班ないしは3班に分けて、病院の場合は2班ぐ らいに分けないと多種類の専門職による監視が必要になるので、診療所の場合には3 チームぐらいに分けてできるだけカバーするようにしております。  このメリットとしては、今まで各区の保健所で行っていた医療監視が、ともすれば区 によって言われることが違うとか、厳しいとかあるいは非常に雑だといった差があった わけですが、今はそのチームの中で意見統一、基準を設けまして全市どの病院、診療所 等に対しても同じ判断で同じ指導をするということで、最初の年は大変でしたけれども 2年目に入りましてそのことは非常によく理解されていい面がでてきております。それ が1つです。全国的に展開する非常に悪質な医療集団等の犯罪まがいに抵触するような 医療行為をするところがでてきていますが、こういうものに対する専門的な目がだんだ ん肥えてきまして、ちょっとの兆候を見ただけで、初動監視で相当な証拠を得て即厚生 省のほうと相談して、全国的に展開する非常に法律的に詳しい知識を持った診療所長さ んとか事務長さんがいるわけですが、そういう悪質なものに対しての市民健康被害を未 然に防止するという意味では、より専門化した監視集団で技術等が高まって新しいかた ちの医療犯罪を防止するに非常にメリットがでていると判断しております。以上です。 原委員  ありがとうございました。 北川座長  よろしいですか。 衛藤委員  神戸と札幌の方にお聞きしたいのですが、今の共通する問題だと思いますが資料の6 ページ(札幌・神戸の資料)に保健所の職員別職員数調査というところに、職員数の変 化が書かれているのですが、18.その他というのは具体的にどういう職種の方ですか。 私がどうしてこういう質問をするのかというと、札幌も神戸も組織改編後に職員数が増 えていますね、その増えたところというのが事務の職員の方とこのその他のところに集 中しているような気がしたものですから、具体的にどういった組織なのか、イメージす るために教えていただきたいと思いました。 宮田医務監  札幌ですが、職員数が増えたということを先にお答えしたいと思います。札幌の場合 保健所1カ所それからその他を保健センターにというときは、保健センターは実際は9 の状態から新しい区部が生まれて10ということで、ほとんど対象とする市民の人数は変 わりませんが区としての単位が1つ増えました。それは現勢力の中から生み出したわけ で、これについては、この体制にもっていったが故に増えたというのではなくて、分区 という行政的な変化があって増えました。それからその他について、今さっと見て私ち ょっとお答えできないのは非常に申し訳ございませんけれど。 衛藤委員  はい分かりました、すみません小さな質問だったのですけれど、では神戸のほうは。 坪井医務監  神戸の場合のその他ですね、これは精神保健相談員とかあるいは防疫種、(班)です ね、そういった方が。 衛藤委員  はい分かりました。精神保健相談員ですね。 小倉委員  食監、環監はどこに入るのですか。  坪井医務監  これも入っているのです。 衛藤委員  このその他の中に入っているのですか。 坪井医務監  はい。 衛藤委員  分かりました。神戸も職員の数が増えているのですね。 坪井医務監  これも本庁の職員が移ったわけです。 衛藤委員  そうしますと関連するのですけれど、当然予算もその組織改善前よりは増ということ でしょうか。 坪井医務監  はい。 衛藤委員  分かりましたありがとうございます。 長谷委員  関連するのですけれども、同じ質問で今度は川崎市ですが、組織改編されたあとに職 員数が減っているわけです。施政だよりを見ますと「スリム化で機能的に」というにな っていますが、やはり職員数が減少できるような一つの流れといいますか、そういう構 築をされたのではあるのではなかろうかと思いますし、最後の総括のところで、長所と しては横の連携が取れるようになったと、しかしながら忙しさが増したというようなこ ともおっしゃっているのですが、そのへんのことを少し教えてください。 小柳医務監  保健所、健康福祉局も事業局ですので、事業の遂行にあたってサービス低下にならな いようにということで、技術職については減はありません。ただ事務職につきまして、 それをある部分は区長の区役所の中の事務部門と連携をして配置換えをするとか、そう いうことで実質的には人数は少なくなっておりますけれども、事業をする上での技術部 門は減はございません。それから統合して1つはその減の中に入っているのですが、実 際衛生局と民生局を統合しますと、4,400人ぐらいになるのでしたが、保健所を区長所管 に区役所に移管をしましたので、健康福祉局関連では3,850人というふうに、保健所の人 員、1保健所だいたい60名ですので、その分は区役所のほうにこれは市民局というので すけれど、そちらのほうに移ったということです。  それから忙しくなったのは理由がありまして、それは業務量が増えたというのは確か にあります。例えば神奈川県から横浜、川崎、政令指定都市に県知事の権限移譲で医務 薬務がおりてきまして、それに関しては同じ職員数の中でそれに対応するということで 先程医療監視の件でも川崎は保健所がそれぞれその所管の医療機関に対しての医療監視 をすると同時に、健康福祉局の医務薬務担当が広域的な監視班を設けまして、それには 医師、薬剤師、レントゲン技師が関係して、これは札幌市さんのメリットを伺っており ますので、広域的な監視ということで医療監視については、川崎市全体均一なそして全 部情報を健康福祉局で持っているという面です。それから忙しくなったというのは、今 まで衛生局、民生局が統合されていませんでしたので、問題が起きたときにこれは他の 局だと言っていたのが、保健、医療、福祉の連携強化が我々に与えられた市長さんから の命題ですので、すぐ何か起きた場合に対応する。ですからここ2年間はそれまで別の 局であったものが一緒になったために、問題が起きた場合の対応というのはきわめて早 くなって、それと同時に忙しくなったということです。 長谷委員  ありがとうございました。 池田委員  札幌市、川崎市にお願いしたいのですが、特にセンターの職員の技術者の方たちの意 見を予算に反映するために、どのような工夫をされていらっしゃるのですか。 宮田医務官  札幌市の場合、保健センターは区の中の保健福祉部の一つの課、地域保健課というこ とで市民に馴染みのある保健センターという名称は機構の中から消えておりますけれど も、その保健センターの予算はもちろん区の中に入って構成しております。旧衛生局で 同じ中にありましたその手法、予算を組んでいく立て方、特に専門職に係わることは区 長さん等とは分かりませんので、日常的に各区の健康推進係だとか地域保健課長だとか 定期的に行われる会議の中で、そういうのを煮詰めて全体としてやらなければならない ことは10区に同じような、できれば予算化あるいは人事の事務量等々必要な分について は要望して均一化しますけれども、今推進しているのは区独自の特色のある問題で、ど んどん進めていただくと、市の行政としてそれを引っ張っていくのではなく下から支援 していく、横から支援していくというかたちなので、独自性のあるそういう技術職も含 めたものについては区の中でも大いに煮詰めてやっていただくということで、今ちょう ど過渡期で、それぞれの区の独自性、住民の自主性をどんどん伸ばしていくという方針 でありますので、慌ててそれを何かにまとめてしまうのは今ちょうど観察している最中 で、必要な最低限のことは旧衛生局でやっていた手法で支障のないように予算化するよ うにしております。 小柳医務監  ただいまの保健所、保健センターの技術職の意見を予算に反映するということのご質 問だと思うのですが、私どもの保健センターといいますか健康ブランチと称しているも のも保健所としてまとめて健康福祉局の中には、それぞれ技術職が配置をされておりま すので、それぞれの技術職から例えば看護の担当とか医務薬務ですとか、それから生活 衛生課ならば公衆衛生部門ですとか、そういうところが日頃からいろいろな要望を聞き ながら予算に反映するようにしております。 池田委員  以前よりはかなりそのへんが反映されやすい体制にはなったのでしょうか。 宮田医務監  札幌市の場合、移行して保健センターが区の中に入ってまだ1年半にもなっておりま せん。その間2回予算編成等があったわけですが、移行直後は従来の衛生局でそれはし きりました。ですからまだ本当の区のほうの意見も取り入れながら、そして旧衛生局の 意見も反映しながらという体制では1回しかやっておりません。今申しましたように、 行政のほうが積極的にという面を抑えて住民主体のそういうかたちが伸びるようなとこ ろで、それを見つめて行きつつ必要最低限のことはしっかり抑えてきたいという状況で す。 小柳医務監  財政状況がどちらの地方公共団体も厳しい状況ですので、予算編成に反映されやすく なったかということはお答えしにくいのですけれども、ただやはり川崎市の場合には市 長さんが、保健・医療・福祉の関係予算についてはこういう状況であっても低下させな いということで、そのように。 小倉委員  4市のご意見を聞いて基本的なパターンは2つに分かれたと思うのです。川崎の5つ の理由、各区に置いておくという理由というのは、非常に納得がいきますし、それから 札幌とか神戸の場合には、堅い公衆衛生というのですか、規制行政とか監視業務みたい なものそういうものはできるだけ集約化して、それから柔らかいサービスを中心にした ものは保健センターで各区に残すというような、そのへんの考え方がはっきり分かれた ような気がするのです。  札幌、神戸の方にお伺いしたいのですが、先程お話がありましたように堅い中でも典 型的な地域住民に良質な医療を提供するためにどうしても欠かすことのできない医療監 視みたいなもの、私どもはこれを老健施設まで含めて考えているのですが、こういうも のを専門チームを組んで札幌なんか225今病院があるようですが、これ1年中実施されて いるわけですね。医療監視に同じ方が毎年同じところへ行くということがずっと続く可 能性があるのでしょうか。これは食品衛生監視とか環境衛生監視などに関しても同じよ うな状態なのか伺いたいのですが。そのようなことはいろんな意味でまた長く続けば弊 害も生んでくるような気がしないかなと、そのへんいかがでしょうか。まだはじめられ たばかりで無理かもしれませんが。 宮田医務監  ええ、札幌はまだはじめたばかりで、長く続く弊害についてはまだ予見できませんけ れども、これまでのところ今まで札幌市がやってきた医療監視の欠点なるものを早急に 是正して、長所なるものをどんどん伸ばすという作業をしている最中でございます。均 一化した医療機関から見れば公平な医療監視というものを今心がけてやっておりまして メンバーについては、最初の年は、保健所は所長ともう一人の医師の2人体制でしたけ れども、早速この医療監視の業務量等だけでも非常に多いということで1人増やしてお ります。これについては医療機関の要望として、やはり医師が来なければ困るというこ とがありまして、このことについてはそれは相当の理由がありますし、医療監視を重く 受けておられる医療機関に対する配慮としても、医療監視に関する医師を増やしていか なければならないと考えているところであります。お答えになったかどうか分かりませ んが、そういうことでやっています。 坪井医務監  神戸ですけれども、医療監視は老健も行っておりますが、特に今まで各医療機関から 苦情めいたことはございません。それから、大型ビルや大規模な食品工場監視、輸入食 品対策などは、保健所の専門監視班で行っております。各管内の例えばホテル、旅館と かパン屋さんとか、豆腐製造所、そういうところにつきましては各保健部の監視員が監 視活動を行っております。 小倉委員  医療監視というのは、医師が絶対に必要だと思うのですが、その他の専門職、看護の 関係はももちろん薬剤師、レントゲン技師、管理栄養士、環境衛生監視員もこれ産業廃 棄物の問題があって、それから食品衛生監視員もこれも全部同行しますと最低9人位の チーム編成して行っているのですが、そういう方たちもまだはじめられたばかりだから 分からないかもしれませんが、これから例えば3、4年ごとに仕事をチェンジされるよ うなこともお含みでしょうか。 宮田医務監  技術職員の研修をどうするかと、特化していくのに非常に良くなるわけですけれども 今度人事がそこで動かなくなると、共有する技術、知識等が集中するのはいいけれども それが平準化していかないことも今考えております。そういうことで順繰りその専門職 の中で、監視班これは食監も含めてですけれども順繰り研修できるように、と同時にそ れぞれの事例についての発表等しながら直接経験しないことは共有する知識、技術とし て職員の中に共有できるように配慮してと思っています。そういうことで今ご指摘のよ うな長くなればその弊害があるだろうということを予見しながら、これから対処してい きたいと思っております。 坪井医務監  神戸市は、医務薬務係が医療監視の担当をしておりまして、専任でやっています。監 視班のスタッフにつきましては、各職種がほとんど全部参加します。各職種の医療監視 担当者は、専任でなく、監視日ごとに行く人を決める程度の役割を担っているにすぎま せん。この担当も、数年ごとに交替する予定です。 竹澤委員  それでは2点だけ質問したいのですが、1点目は神戸市ですが、最後課題のところで 企画調整は、専門職種を超えて進めていくということをおっしゃっていましたが、具体 的に今どのように取り組んでおられるのでしょうか。もし具体的なところがありました ら教えていただきたいと思います。もう1点は、保健、医療、福祉の連携システムのと ころで高齢者調整会議など細かく市民の立場に立った視点で4市とも取り組んでいると お話を伺ったのですが、この連携システムの中で新しく介護保険の問題について、4市 の保健所なり保健センターがどのように係わっていくのかお教え願えたらお願いしたい と思います。 坪井医務監  専門職種を超えての云々のお話ですが、例えば健康教育のマニュアルづくりとか各種 の事業、例えば結核対策にしても食中毒対策にしても、医師や保健婦の他に、テーマに 応じて、栄養士、歯科衛生士、臨床検査技師、更に監視員、事務職も加わって相談しな がら行っています。今までは、保健婦と監視員を除く専門職種は、各区で1人かあるい は2人しかいなかったわけです。ばらばらでいたわけです。それが集中されましたから 相談しやすくなったわけです。常にワンフロアにたくさんの職種がおりますので、相談 しやすく、研修も行いやすくなっています。 宮田医務監  札幌の場合には、各政令都市と同じくまだ介護保険なるものが自分の町でどう具体化 し、保険料すらもそうですし、サービス提供事業量がどれだけかというのをまだ十分把 握しておりません。早急にいろんなものを整備しなければならないわけですが、介護と の関わりについては今あらゆる部門がそうだと思いますけれども、この介護保険の施行 に合わせて今言った関係するあらゆる福祉、医療、保健を併せた調整の会議がよりきめ 細かな、そしてまた迅速な検討をしなければならないと思っております。これも利用者 に喜ばれる制度にしなければならないわけで、それは我々のほうから強引に引っ張って いくものでない、まさに現在ある調整会議等の中でいい意見を反映してすぐ実行に移し ていくというのが今札幌にあるスタンスです。  介護保険の準備等々は各区の介護保険担当の課、それから本庁のほうは保健福祉部の 中の高齢者福祉部の中の介護担当の部で今鋭意いろいろと準備作業をやっております。 坪井医務監  神戸市では、介護保険の準備室というのが独立してできていまして、そこが中心にな りまして、保健分野の職員も加わったプロジェクトチームを作って対策を練っていると ころでございます。保健所や保健部の職員が、今後介護保険に対して、具体的にどのよ うな関わり方をするかということですが、例えば、これまで訪問看護指導事業を行って おり、その延長線上の業務として、リハビリや食事・運動の相談・指導など、「予防福 祉」の考え方、重要性が高まってくると考えております。 小柳医務監  川崎市では、介護保険の準備につきましては、私どもの健康福祉局がやっておりまし て、助役を委員長として準備を進めております。まだ保健所、福祉事務所、区役所がど ういう役割をするか調整中ですのではっきりしたことはお答えできませんが、少なくと も川崎市役所の職員で保健婦、福祉事務所の職員、多数が試験に合格しておりますので 今後、どういう関わり方をしてくるのか関心が高いところであります。また、サービス のいろんなことに関与していろんな苦情がでた場合には、区役所に新しく配置されると ころが受けたりというようなことになるだろうと思います。 飯塚保健部長  大阪市の場合は、民生局の介護保険準備室が中心となって準備を進めていますが、区 では健康福祉サービス課で介護保険を担当すると決まっています。ただ市民あるいは議 会関係等で保健所が何もしないでいいのかという意見がありまして、地域を一番よく分 かっているのは特に保健婦、地区担当の保健婦がよく知っていますので、特に精神障害 者、知的障害者、身体障害者、難病、痴呆に関わる方々の関与というのは、地区担の保 健婦が関わらずに行くということにならないと思いますので、そのへんの調整をやって いるところでございます。 園田委員  4市のお話を伺っておりまして、先程小倉委員は札幌・神戸と大阪・川崎と2対2に 分かれたというふうにまとめられたのですが、私は大阪は札幌、神戸と近い、むしろ3 対1ではないかと。大阪のほうは平成12年から保健所が1カ所になりますね。お話の中 でも統合したあとでも医師は必ず各区に置くというふうに補足的なことはおっしゃられ たわけですが、やはりその環境保健、対人保健というような、あるいは対人、対物とい うような分け方をしますと、保健所は一つにというように受け取ったのですが。川崎市 のほうは現在あるいはこれからもある意味では保健所をそのままするのですけれども、 仕事の中身は区のほうに移されてはいるのですが、保健所も7つのままということで当 分やられるということの根拠ということを、私なんか考えますに、川崎市というのは南 と北が長すぎるということと、それからあまりにも地域の性格が違うといいますか、商 工業や風俗営業みたいなのが集まっている南のほうと、北の農業や住宅地域のような所 とを、あまり無理に統合しても、保健所を統合する意味は少ないというふうな、何かあ る積極的なといいますかご判断が働いているのかどうかというのをちょっと教えてくだ さい。 小柳医務監  今ご推察といいますか、川崎市の実情をよくご存じで、お話がありましたのも入ると 思います。最初にご説明しました5つの点についてやはりこれ市議会の市民からの要望 というのも非常に大きいということもあります。それと私どもの災害の時の医療救護の 拠点ということもありますし、今追加していただいたような点も理由になると 思います。 北川座長  ありがとうございました。まだたぶん委員の皆さん方聞きたいこといろいろあると思 いますが、予定の時間がまいっております。それぞれ次のご予定もある委員もおられる ようですので、ここで一応打ち切らせていただきたいと思います。今日、お話を伺って 理解をいただいた点もあるし、もう少しその整理をしてみないと分からないというよう な点も残っていると思います。それでこれ事務局へお願いですが、今日の話を少し整理 をしていただいて、それぞれ4つの方式があったわけですが、その対比表みたいなもの を作っていただいて次回議論の参考に寄与していただけないかなと思いますがいかがで しょうか。 岩尾課長  わかりました。 北川座長  それではそのようにさせていただいて、その上でまたご議論いただくようにしたらい いと思います。今日はそういうことで終わらせていただきます。次回の日程について事 務局からお願いします。 岩尾課長  それでは資料3ですが、今日が第3回目ということで4つの市からお話を聞かせてい ただきました。第4回は2月15日月曜日ということにさせていただきたいと思います。 会場はここと同じ第6会議室、時間は午後2時から4時ということになっております。 この資料3の予定、その後我々の案としてお示しさせていただいておりますが、次回の 2月15日は健康危機管理の問題で、資料その他提示させていただく予定になって います。それから今日ご指示のあったことについても提示させていただきます。  その次の3月4日は介護保険、今日も議論になりました介護保険の関係についてとい うことで進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 北川座長  ありがとうございました。4市のそれぞれの医務監あるいは部長さん、お忙しい中を わざわざこの委員会のためにご出席をして説明をしていただき大変ありがとうございま した。心から御礼を申し上げます。それでは今日はこれで閉会といたします。ご苦労さ までした。    以上 問い合わせ先  厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課 担 当 水 谷 電 話 (代)03−3503−1711(内線2391)