99/01/19 第3回出生前診断に関する専門委員会議事録 第3回 厚生科学審議会先端医療技術評価部会 出生前診断に関する専門委員会 議事録 厚生省児童家庭局母子保健課 厚生科学審議会先端医療技術評価部会 出生前診断に関する専門委員会議事次第   日 時:平成11年1月19日(火) 午後1時30分〜4時30分   場 所:全社協・灘尾ホール    1.開  会    2.議  事     (1)関係者(団体)からの意見聴取について(議事公開)     (2)母体血清マーカー検査に関する見解(案)の検討について     (3)その他 3. 閉  会 ○東課長補佐  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回厚生科学審議会先端医療技術 評価部会出生前診断に関する専門委員会を開催させていただきます。  本日は、大変お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。  本日、全員の出席をいただいております。また、本日は、ヒアリングの参考人といた しまして、日本ダウン症協会から理事長の玉井邦夫様、理事の佐々木和子様。イデニク スカンパニーから広報担当責任者の下村勝則様、顧問医師の飯沼和三様。株式会社エス アールエルから学術営業部部長の窪田規一様、広報室長の及川克也様、技術総務部部長 の太田昭弘様に御出席いただいております。  それから、本日は議事の1、関係者からの意見聴取についての議事が公開になってお りますが、傍聴される方につきましてはお手元に配付いたしてございます「傍聴される 皆様へ」に記載されております事項を遵守されるようお願いいたします。  それでは、議事に入りたいと思いますので、古山委員長、議事進行よろしくお願いい たします。 ○古山委員長  ヒアリングの参考人として御出席いただきました方々には、お忙しい中ありがとうご ざいます。  議事に入ります前に、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。 ○北島課長補佐  それでは、資料の確認をさせていただきます。まず、議事次第という1枚の紙がござ います。それから、全体をクリップでとめております資料でございますが、資料1から 本日の意見聴取をさせていただきます団体、それから、会社の方からの提出資料でござ います。まず、資料1が、日本ダウン症協会様からの資料でございます。それから、資 料1−2が、追加でダウン症協会の佐々木和子様から提出されました御意見でございま す。  それから、資料2でございますが、イデニクスカンパニー、それから、資料3が株式 会社エスアールエルからの御意見でございます。  それから、資料4でございますが、各委員から寄せられました御意見を事務局の方で 取りまとめました資料でございまして、母体血清マーカー検査に関する見解案に対する 各委員の御意見でございます。  それから、参考資料でございますが、参考資料1がインターネット等で寄せられまし た御意見でございます。また、参考資料1−2でございますけれども、昨日お寄せいた だきましたために資料1の中に入ってございませんが、これにつきましても母体血清 マーカー検査に関する御意見の一部でございます。  なお、この場をお借りしましてお願いでございますが、実は大変資料をたくさん用意 する都合上、今後御意見等につきましては、会議のある日の2日前までの資料を提出さ せていただきたいと考えております。前日の資料でございますと、ちょっと準備が間に 合わないということもございますので、今回につきましては昨日の資料まで追加で配ら せていただいておりますけれども、今後につきましては、2日前までの資料で御説明を させていただきたいと思っております。  また、机上配付資料でございますが、これにつきましては、5人の先生方への配付に なっておりますけれども、机上配付資料の1から順に書く先生方から寄せていただきま した見解案に対する意見をとじてございます。  それから、机上配付資料5でございますけれども、先日の委員会におきまして宿題に なっておりました母体血清マーカー検査等の説明文を長谷川委員から提出していただき ましたので、机上配付資料5の方につけさせていただいております。また、5−2につ きましては、ダウン症候群につきまして少し説明が長いということで、追加で少し短く したものをお送りいただいております。  また、机上配付資料6でございますけれども、参考文献として送られてまいりました ものをつけさせていただいております。  それから、別途、本日御持参いただきました資料といたしまして、長谷川委員の方か らこの白い紙の2枚を追加で配付されております。  また、出生前診断に関する最近の報道ということで、参考までに新聞の写し等をお配 りしております。  この袋に入っておりますイデニクスカンパニーさんからの資料、それから、その下に ありますエスアールエルさんからの資料につきましても、委員の先生方に御参考までに お配りさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○古山委員長  ありがとうございました。  次に、議事1「関係者(団体)からの意見聴取について」に入らせていただきます。 前回の会議で、母体血清マーカー検査に関する見解案というのが本委員会から提示され ましたが、これにつきまして、本日御出席いただきました日本ダウン症協会と母体血清 マーカー検査の検査会社でありますイデニクスカンパニー及びエスアールエルから御意 見をお伺いしたいと存じます。  それでは、まず初めに、日本ダウン症協会からの御意見を発表いただきます。時間は 質疑を含めて30分程度ですので、お二人それぞれおよそ10分程度ずつ御説明をお願いし あと10分ぐらいの質疑の時間を取りたいと思います。  では、よろしくお願いいたします。 ○佐々木理事  では、意見を述べさせていただきます。  私たちは母体血清マーカー検査の対象であるダウン症の子どもを育てている親として この検査の持つ問題及び検査の後、ダウン症であることを理由に中絶されている事実に 対し、怒りの意を訴えてきました。その私たちの意を酌んでいただきまして、今日この 場にいますことを大変うれしく思い、感謝しております。  私は、子どもがダウン症と診断されたときから、多くの障害を持つ人たちと付き合っ てきました。その人たちが自分の生存権を掛けて多岐にわたる運動をしていることに対 し尊敬の念を持ち、追随するべく活動してきました。今、私がこうしてこの場にいるこ とが、その人たちの努力の結果であることを肝に銘じ、意見を述べさせていただきたい と思います。  1月12日付で私の意見書を提出しておりますが、12月9日の議事録が3日前の16日に 手元に届き、それについても今日意見を述べさせていただきたいと思いますので、少し 長くなるかもしれませんが、急いで述べさせていただきます。  今回公開されました出生前診断に関する専門委員会の出されました母体血清マーカー 検査に関する見解案に対して、私は一定の評価をしたいと思っております。見解案の中 III、母体血清マーカー検査の問題点と対応の基本的考え方、1問題点の中で述べられて いる「胎児の疾患が発見されても母体保護上は胎児の疾患や出生前診断を理由として人 工妊娠中絶をすることは許されていない。また、現在、我が国においても、また、国際 的にも、障害者が障害のない者と同様に生活し、活動する社会を目指すノーマライゼー ションの理念は広く合意されている。胎児であっても障害を有する者もそうでない者も 同様に命は尊重されるべきことは自明であり、この技術は胎児の疾患を発見し、排除す ることを目的として行われるべきではない」という内容。  また、2対応の基本的な考え方の中で述べられている「この検査は、医師が妊婦に対 してその存在を積極的に知らせる必要はなく、検査を受けることを勧めるべきでも ない。また、医師や企業はこの検査を勧める文書などを作成または配布すべきでは ない」という記載は、優生保護法という世界でも類を見ない優生思想に基づいた法律を 長く用いていたことに対しての反省を込めた内容で、この見解案の柱となるものとして 理解し、国が出す文章としては画期的な内容として高く評価し、この理念にのっとり見 解案についての意見を述べさせていただきます。  1)見解案の中で、何度も繰り返し述べられている問題点として、「この検査に関する 事前の説明が不十分」「検査の内容や結果について十分な認識をもたず」「この検査の 特質の十分な説明と理解がないまま」という表現は、不十分な説明しか出来ない医師及 び認識も理解もないまま中絶を選択する妊婦を指すものと思われます。検査に直接かか わり、この検査によって利害を受ける当事者たちが、この見解案の柱を成している理念 からほど遠いところにいることが、この見解案の文章で明かにされています。  その上、母体血清マーカー検査については、この見解案の中で「不特定多数の妊婦を 対象に胎児の疾患の発見を目的としたマススクリーニング(ふるい分け)の検査として 行われる危険性がある」、また「妊婦が検査結果の解釈を巡り誤解と不安を生じる場合 がある」等、問題点が上げられているのみでメリットが示されていません。妊婦にとっ ても本来持たなくてもいい不安を募らせるだけの検査は意味がないのではないでしょう か。意味のない検査に加えて十分に説明が出来ていないことを自覚していない医師、検 査の内容や結果について十分な認識を持っていないことを自覚していない妊婦、この場 合、妊婦が悪いという意味ではなく、大半の一般生活者は情報がなさ過ぎの中で生活し ているので自覚しにくいと思われます。それに対して、チェック機能を示していないこ の見解案は、どれほどの効力なり効果があると思われるのでしょうか。  また、十分な説明が出来る医師を育てる機関を地域格差なく設置するための予算の投 入等や、十分な説明の出来るように育った医師が実感を持って相談に乗れるよう、説明 することに対して義務と責任を持てるための手段、カウンセリングの保険点数等の実現 妊婦だけでなく一般にこの見解案の柱である理念を理解するための手段、例えば、ノー マライゼーションを実現するための統合教育の実現等や障害を持つ人たちが差別を受け ることなく当たり前に地域で生きるための諸施策及び支援について。私たちは、福祉施 策の実態調査というのを簡単ですが行いました結果、国が示している福祉施策と地域の 窓口が、それを実際に行うときの説明の仕方に非常にギャップがあることが発見されま した。これは、多分予算の関係であろうと。実施するに当たり予算が投入されていない ということではないかと思われます。 それらをどのような形で進めるかを具体的に示さなければ、すべてが絵に描いた餅にな ってしまいます。  この見解案の柱になる理念を実現し、具体的に機能するシステムを示すべきです。も し、現時点で専門的な機関の数が限られていると、具体的に示すことが困難であるなら ば、国が母体血清マーカー検査の実施を容認するべきではないと考えます。  2)この見解案では、「母体血清マーカー検査は21トリソミー等である可能性を単に確 率で示すもので、検査を希望する場合には、妊娠前または妊娠の極めて初期に遺伝相談 を行い」と示されていますが、21トリソミーは遺伝ではなく、見解案に示される遺伝相 談という表現は先天異常イコール遺伝という誤解を招き、21トリソミーについて正確に 理解することを妨げ、不適切と考えます。  遺伝という言葉は日本社会においていまだ差別と偏見があり、遺伝であればすべて否 定されかねない状況も残っております。遺伝相談という表現の仕方は遺伝に対する必要 以上の不安感をあおり、遺伝性疾患を持つ人たちに対しても差別を助長しかねないこと になる可能性があります。  すべての人が遺伝について正しい知識を学ぶことが出来るよう取り計らわれるととも に、先天異常であっても遺伝性疾患であっても、人としての多様な表れ方の一つである だけのことを広く一般に知らせるべきであると思います。  また、「母体血清マーカー検査は21トリソミー等である可能性を単に確率で示すもの で」とあるように、この検査が実施されることにより検査の対象となった21トリソミー (ダウン症候群)が、まるで検査をして排除されなければならない疾患であるかのよう な誤解を招いてきました。  これまでも、繰り返し私たちはダウン症の子どもを育てながら、産んでよかったと思 っており、子どもと生活する中ですべての命をいとおしく思い、人として何を大切にし て生きていかなければならないかを学んできたことを訴えてきました。ダウン症の子ど もを家族としてごく普通に生活を営んでいる私たちにとって、この検査は私たちの生活 すべてを否定されかねないものです。  ここで、12月9日の中で議論されている母体血清マーカー検査が「障害者の生きる権 利を否定することにもつながるとの指摘もあり」及び「その存在を積極的に知らせる必 要はなく」という2点が大変関連してきますので、意見を述べさせていただきます。  この検査は、障害者の生きる権利を明らかに否定したものです。なぜなら検査の結果 障害があることを理由にして、その時点で育とうとしている命そのものを断ち切って、 その子の生存を否定しているのが事実だからです。実際データの中から、検査をした結 果ダウン症と分かったというほとんどの人が中絶しているという事実が私たちのところ に届いてきております。  命は受精したそのときから育ち続けます。人だけではなくすべての命は、そうプログ ラムされていることは専門家である先生方の方がよく御存じのはずです。胎児が自らの 死を望んだときのみ、望んだという言葉が適当かどうかは分かりませんが、片方では親 の望み(ニーズ)という言い方がありますからあえてそういう言い方をしますが、その ときのみ自然に流産という形でその命を全うするものです。出産した後、1日で亡くな っても、10日で亡くなっても子どもの間でも成人してからでも天寿を全うしても、自然 な経過の中で死を迎えるという意味では、どの時点でも同じ人に公平に与えられた死で 生存権の否定ではありません。しかし、人が自らの手で命の質を選び、障害を理由にそ の生存を途中で断ち切ることは、これは比喩でもなく、可能性でもなく、 事実なのです。生存権の否定でなくては何なのでしょうか。妊婦に対してこの検査をす れば、あのような障害を持った子を産まなくても済むのですよと言うに等しい検査の存 在そのものが、感じとか比喩とか意識の上ではなく、生存権を否定しているのです。 この見解案はそういう生存権を否定している、この検査についてどうするかということ を言っている訳ですから、当然「障害者の生きる権利を否定していることにもなり」と 入れるべきです。その結果、知らせる必要のない検査とするべきだと思います。  私は、先日「京大病院遺伝子診療セミナー母体血清マーカーテストを巡って」に参加 しました。そこで、松田先生がこの見解案に触れ、「原則として情報はすべて知らせる べきである。なぜなら、今後、遺伝子に関する検査がどんどん出てきたときに、すべて の情報を知らせ、その上で個人が選択していかなければならない、そういう時期がもう すぐそこに来ているから」と話されました。 私も、ある意味、それはそうだと思います。しかし、一見納得しそうな内容ですが、 大変な落とし穴があるように思います。先生のお話は、先端医療技術なり新しい検査な りを実施することを大前提にしているということです。どんどん開発される検査や技術 を一般生活の中に入り込ませることが、本当に生活者にとってメリットがあるのでしょ うか。医療者側からの情報提供が、生活者からかけ離れた一面的な情報であることを専 門家である先生方は認識していただきたいと思います。  そのことについて、検査の対象となる一般生活者と正確な情報の下に議論したのでし ょうか。また、今後するのでしょうか。自分の遺伝子を、また、病気について知りたく ない権利がどのように守られるのでしょうか。あふれ返る情報の中で、弱者はどのよう に守られていくのでしょうか。  私たちは、到底守られるとは思えない、胎児の生存権、障害を持つ人の生存権、障害 を持つ子どもとの生活を守るために、改めて母体血清マーカー検査の実施を国が容認し てはならないと要望いたします。  もう一つ手短に。私は、資料にも提出され、議事録にも出てきます京都の裁判を傍聴 しておりました。専門的なことは分かりませんが、医師の告知義務違反を争う裁判と思 い、推移を見守っていたのですが、途中から様子が変わり、原告の母親の尋問のところ から一体何を争うのか、何が言いたいのか分からなくなってきて、裁判というのはこん なに争点があいまいでもいいのかと素人の私でも思うくらいでした。原告の父親への尋 問も却下され、早々と判決が出て控訴もせず結審しました。  判決は、公判からは判断しにくかった、今の日本の社会状況をとてもよく見極めた上 で、「羊水検査の必要性について、説明するべき義務が確立されているとは言えない」 として告知義務違反とはならず、私には大変納得した判決内容でしたが、なぜ、原告が 控訴しないのかとても不思議でした。その後、信濃毎日新聞の記者の取材を受け、この 裁判の話になり、その記者は直接原告である両親を取材し、控訴しなかった理由を聞い て私に知らせてくれました。お母さんが子どもがかわいくなってきている、日に日に愛 情が強くなっているのも控訴しなかった一因だということでした。これを聞いたとき、 尋問されていたときのお母さんのはっきりしない困惑した様子や、裁判が継続していか なかった理由が理解出来たように思いました。  この検査で、訴訟の話がよく外国の例とともに出てきますが、文化的背景が違う外国 の例を日本に当てはめて話すのは、先端医療技術の臨床応用も含めて慎重にしていただ きたいと思います。  それから、今後行われる以後の審議を傍聴させていただけますよう、重ねてお願いい たします。  以上で、私の意見は終わらせていただきます。 ○古山委員長  では、続けて玉井先生お願いいたします。 ○玉井理事長  理事長の玉井です。続けて協会の方の見解を、具体的なところについて申し上げたい と思います。  既にお手元に届いております意見書及び今日の陳述資料の方を参考にしていただけれ ばと思います。逐語的にお話しすることはいたしません。最初にお断りしておきたいの ですけれども、12月9日の専門委員会の議事録の中にも、この専門委員会からの見解案 が前半では非常に実施に対して否定的な論調でありながら、具体的な手続に入ると、今 度は実施を前提とした論調になると。その前後の矛盾があるのではないかという指摘が 出されていましたけれども、協会の方が意見書を出すに当たっても同様の矛盾を感じて おります。  一貫しまして、ダウン症協会の方は母体血清マーカー検査に関しては普及の凍結と従 前の議論、社会サービスの充実を図るまで、その普及に関しては凍結をしていただきた いという要望書を既に2年前から提出し続けております。今回、見解案に対しまして具 体的な提案をいたしましたのは、実施を前提として協会が認めたということではなくて そういった凍結に関する活動を続けていきながらも現実に余りにもずさんな実態が協会 の方にも寄せられる中で、何らかの歯止めを掛けようという動きに関して、無言でいる ということは協会の活動としてはやはり許されないであろうという立場からの 発言です。その辺りの矛盾した思いというのは我々の中にもあります。  見解案が、この検査につきまして確率診断であるから云々ということではなくて、非 常に簡便な方法ゆえにマススクリーニングの危険があるという立場で、認識されている ことに関しては一定の評価をさせていただきたいというふうに思います。  ただし、この見解案の中で幾つか協会の方が用意しました意見と異なり、非常に強く 疑問に思われるところがありますので、それについてお話しさせていただきます。  その1つは、ダウン症に関する同意書やあるいは説明文その他の文書というものが、 この見解案では医師によってつくられるというふうに限定されている点です。当然のこ とながら、障害を持った子どもあるいはその成人に至るまでの長い年月を一つの職種、 これは医師がいけないということではありません、単一の職種が全域をカバーするとい うことは到底無理なことですし、かといって親の見解だけが客観性を保証されるかとい えば、これもまた難しいということも理解しております。そうしますと、当然非常に多 職種にわたったチームによる説明がなされる、あるいはせめて説明文の作成の際には、 そういった関係機関のチェックを受けたものでなければならないというのは当然だと思 います。この部分が医師の手に委ねられるということは、協会の方に優生的な出産は人 類の義務ですということを明記されたドクターからのお手紙などが舞い込んでいる現実 を考えますと、非常にガイドラインとしては不十分だというよりも、ほとんど機能しな い。現実にはどんなことを決めても、現場の医師の考え方一つでどのような説明書でも 書かれるということになり得るということになります。  これに併せまして、どのように具体的な手続を定めましても、これを実際にどのよう にして遵守しているかどうかを確認していくのかという、先ほど佐々木も申し上げまし たけれども、チェック機構の問題についての議論がこの上に重なってこないと、どのよ うに慎重に配慮してつくられたガイドラインであっても、それが実際上は機能しないと いうことを危惧します。これもまた意見書の中に実態の中で添えておりますけれども、 さまざまな実例が協会に寄せられる中ではっきりとしておりますことは、どのように、 検査会社の方で緻密なガイドラインを決めても、現場の医療機関がそれを遵守している という保証は全くないということです。実際に現場の方から寄せられてきていますさま ざまなものは、ダウン症スクリーニングの御案内という、非常ににこにこした健康的な 赤ちゃんを抱いたお母さんのビラが簡単にまかれていると。今なら格安で受けられます というような形でビラがまかれるという現状の中で、それを実際には監視したりチェッ クしたりする機構というのはどこも兼ねておりません。そのことに対して、このガイド ラインが果たしてどの程度機能するのかということについて非常に強い危惧を抱いてお ります。  それから、より本質的な部分に絡んでくるかもしれませんが、見解案の中には途中6 ページの(3)の4項に、既に染色体異常の子どもを出産した既往のある場合には本件の対 象にはならないというような文章がありまして、これが議事録の中でも特に趣旨につい て触れられていなかったのですけれども、私どもの方としては、これの意図するところ は何なのかということは、是非これからの議論の中で伺いたいというふうに思います。 これは、一度ダウン症の子どもを産んでいれば、さっさと羊水検査をしなさいという意 味なのか、それとも何らかの意味でその安易な検査に対する歯止めという形での意図を 持つものなのか、どのようにも取れるということで、是非ここは確認をさせていただき たい点であります。  もう一点。これも全般にわたることですけれども、見解案の中ですべての情報の受取 人が大前提として妊婦及びその配偶者というふうに規定されている点ですけれども、こ の点は、これまでさまざま領域で行われてきました出生前検査に関する議論の中で、常 に自己決定を保障するにはという点で議論されてきた、 まさにその点だろうと思います。  現実に、妊婦、その配偶者というふうに認めた場合に、配偶者から妊婦に対して掛か る圧力というのをどういうふうに考えるのか。その点をかんがみれば、ここが余りにも これまで蓄積されてきた議論からしますと、この専門委員会の中で出される見解案とし ては非常に何の議論もなく安易にこの言葉が使われているという印象はぬぐいされませ ん。この点についての今後の議論を是非聞かせていただきたいというふうに思っており ます。  なお、議事録が届きましたのが私どもが意見書を出した後でしたので、十分な書き込 みが出来ませんでしたけれども、議事録の中でもこの専門委員会が何らかの見解案を出 す、厚生省が見解を出すということが、実質的には検査の実施に関する国のお墨付きに なって、そうなりますと、次に待っているのは法律上は中絶が出来ないではないかと。 だとしたら、その法律の方をどうするんだという議論になったときにどういうふうに国 の方で対応するつもりなのかと、そのことを私どもは非常に危惧しますし、現状の中で 果たして母体血清マーカー検査というものがどのような現実的な意義を持っているのか ということについても、いまだに協会の方としては納得出来る説明を得ておりません。 その意味で、あくまでもそういったさまざまな問題を考えるときに、大原則としてこの 検査に関して普及の凍結をお願いしたいというのが協会の方の基本的な見解になってい ることを最後に繰り返した上で、見解案についてこちらの方から指摘させていただきま した各点についての議論を終わらせていただきたいというふうに思います。  以上で、意見陳述を終わります。 ○古山委員長  どうもありがとうございました。  ただいまの日本ダウン症協会の御意見の発表に対して、委員の先生方、御質問や御意 見がございましたらお願いいたします。 ○武部委員  佐々木さんの御指摘の中で、遺伝相談という言葉が遺伝でないものも含むし誤解を招 きやすいということ、これは極めて大切な御指摘だと思います。私もそういうことを体 験もしておりますし、それから、一方で、遺伝でないものと遺伝のものを区別するとい うマイナスの面もあるというような印象を持っております。ただ、それは言葉としては 本来ですと、遺伝という言葉が日本で悪いイメージがまだまだ残っているという現実を 直視して、何らかの別の表現を考えるのがいいのではないかと私は考えます。  もっと広ければ、現在みたいにすべての健康的な問題について遺伝あるいは遺伝子が 関与しているのであれば、本来であれば健康相談というようなものがすべて遺伝子のこ とも含むというふうに学問的にはなると思うのですけれども、今の時点での御指摘は気 をつけて何とかして生かしたいと考えます。 ○古山委員長  どうもありがとうございました。  ほかに先生方、御質問や御意見がありましたらどうぞ。 ○松田委員  先ほど先日の京都の話が出ていましたので申し上げますと、私が触れておきたいのは 医療情報についての全体の話をしたのであって、医療情報というものは伝えなければい けない、その上でのチョイスであるということです。何も知らなければチョイス出来な い訳ですから、そのことの基本的な話をしたのです。武部先生おっしゃいましたように ほとんどの病気が遺伝子と関係しているわけですよね。がんにしても、心臓の病気にし ても。ですから、そのことを考えるというと、これから医療の中で遺伝子というのは避 けて通れない訳ですから、一番大事なところはやはりそういったものを明らかにしてい くということと、それから、そういうことのあつれきを、やはり我々自身が勉強してい る生命倫理というものの基本の上からものを考えていかなければいけない。そういう意 味での発言です。  それから、もう一つ。今の武部先生の話と少し違うかもしれませんけれども、今のお 話を伺いまして非常に残念に思ったのは、遺伝ではないのだから遺伝と使わないでほし いと。遺伝という言葉を使うことによってという話をなさいましたけれども、正確な記 録もここにありませんけれども、そういう言い方をすると遺伝病を持っている方自身が 非常に悲しい思いをするような発言ではなかったと私には思えるんですよね。だから、 私たちは何も遺伝であろうが遺伝でなかろうが関係なしに、この問題は話をしていくべ きであって、ということは繰り返して言うと、どんな病気も遺伝子が入っていますから 私自身だってある種の病気を持っていますけれども、そういうことを考えますと、遺伝 子に問題があるから起きる訳ですけれども、皆さんそういうことを持っている訳です。 だから、余りそこのところをこだわらないで、むしろそういうことを含めて考えていた だくと。遺伝性の障害であろうと遺伝性のない障害であろうと含めて考えていただくと いう立場の方が、むしろいいのではないかという思いで聞かせていただきました。  以上です。 ○玉井理事長  1点だけ済みません、補足をさせていただきますけれども、遺伝性という言葉の使い 方が国によってもとらえられ方も全然違うということは当然理解しております。ですか ら、私どもの意見書の方でも、現実に日本の学校教育の中で行われている遺伝に対する 授業というのが非常に不備だということも踏まえた上で、情報の公開そのものに対して の足かせというよりは、それの受け皿になる人間の方に、余りにもそれを補強する情報 が与えられない中で伝えられること、そして、何よりも遺伝か遺伝ではないのかではな くて、遺伝ですと言われたことがどれほどの苦しみをもたらすかということについての 社会的な実態についての指摘というふうにお考えいただきたいと思います。  ダウン症が実際に転座型のザイカツを含むことも当然我々も知っておりますし、ダウ ン症イコール遺伝ではない、というような短絡的なことではありません。 ○松田委員  そういうふうに見えるのでしたら、失礼いたしました。 ○古山委員長  どうもありがとうございました。今日の会議の趣旨は、母体血清マーカーの関係団体 の方をお呼びして御意見を拝聴するというのが趣旨でございます。ちょうど時間がまい りましたので、日本ダウン症協会からの御意見は、これで終わりにさせていただきたい と思いますが、よろしゅうございますでしょうか。十分御意見は委員会の中でディスカ ッションをいたしまして、また、見解案の中で反映させられるところがありましたら反 映させていきたいというふうに考えます。  では、今日はどうもありがとうございました。  引き続きまして、母体血清マーカー検査の検査会社の御意見をお伺いしたいと思いま す。  最初に、イデニクスカンパニーからお願いをいたします。先ほども申し上げましたが 時間は30分を予定しておりますので、イデニクス社及びエスアールエル社それぞれから 約10分間御意見の発表をお願いいたします。その後、質問に移らせていただきたいと思 います。  では、前にお出になっていただいて。先にイデニクスの方どうぞ。 ○下村広報担当責任者  紹介させていただきます。私、広報担当責任者の下村でございます。 横にいらっしゃるのが事業提携しております顧問医師の愛児クリニック院長の飯沼先生 でございます。  私と飯沼先生と2人で今回、意見を述べさせていただきます。  もう既に、先生方のお手元の方に配付されていると思いますけれども、私どもの方で 意見書2ページにわたるものを準備させていただきました。そして、更に、配付資料を 準備させていただきましたので、それらを併せて参考にしていただければと思います。  今回、意見を述べさせていただくに当たりまして、この2ページの意見書を読み上げ させていただきますので、よろしくお願いいたします。  『厚生科学審議会先端医療技術評価部会出生前診断に関する専門委員会「母体血清 マーカー検査に関する見解(報告)」(案)に対し、弊社の意見を求められましたので その概要を以下簡潔に述べさせていただきます。  貴専門委員会の見解(案)を拝読させて戴きました。極めて多肢にわたる御検討を加 えておられる事に感服いたします。他方、幾つかの異なる立場からの見解案をそのまま に取り上げられた内容も目にとまります。その為、ここに御提示がありました見解 (案)は、統一された具体的な内容というよりも、幾つかの異なる意見を反映したもの であろうと推察させていただいております。また、「母体血清マーカー検査」と総称さ れている検査につきましては、平成9年度の厚生省心身障害研究出生前診断の実態に関 する研究班の報告書においても公表されており、三種類のそれぞれ異なった検査が存在 いたします。本見解(案)の中では、その点が未整理と思われますが、弊社といたしま しては弊社の検査サービスに絞って意見を述べさせていただきます。  ごく大まかに申し上げますと、最低限二つの異なる視点から本見解(案)が作成され ているものと思われます。すなわち、妊婦さんに母体血清マーカー検査なる情報を提供 しないようにすることが正当であるという点が一つであり、それとは別途に、妊婦さん には必要な情報提供をするが、母体血清マーカー検査を受けないといけないかのように 思わせる情報提供のやり方はいけないという主旨の視点があるようにも読み取れます。 積極的に情報を提供する事を控えるという意味であるかとも解釈してみましたが、やは り文面から拝見して、母体血清マーカー検査の情報を妊婦さんに提供することはいけな いという意味で書かれていると解釈するしかない文面がございますので、二つの異なる 視点があると理解いたしました。  弊社といたしましては、医療の内容が出来るだけ国民の理解を得られるよう最大限の 努力をするのは当然という考え方に立っておりますので、インフォームド・コンセント の手続をきちんと踏襲し、妊婦さんの主体的な判断に従って、どのような医療がもっと もふさわしいのかを納得された上で選択していただけるようにするのがよろしいと考え ております。  弊社は1994年以来、このようなインフォームド・コンセントの手続を最大限尊重する やり方を大前提として、医療機関に対してトリプルマーカーTMスクリーニング検査の サービスを提供してまいりました。また、適宜追跡調査等を行い、そのデータも発表し てまいりました。妊婦さんが検査を受けて少しでも不安を抱かれた場合には、弊社が提 携している専門医療機関で受検者が直接カウンセリングサポートを無料で受けられる体 制も設けて実施してきました。検査の対象となっている先天異常についても専門知識を 持っている医師がカウンセリングあるいは説明に当たる体制も取ってきました。  こうした体験を踏まえて申し上げますと、妊婦さんには、母体血清マーカー検査につ いての正確な情報を公平に提供されるのが正しい在り方と、まず第一に思います。勿論 妊婦さんの自己決定権を最大限尊重することの保証として、決して医療機関側から妊婦 さんに本検査を受ける様に強請したり勧誘するようなことはあってはなりません。同様 に、本検査を受けないように誘導することもしてはなりません。あくまでも自己決定の 手続を完遂出来るように医療側は発言行動するべきであろうと思います。また、いかな る疑問や質問が出てもそれをうやむやにしておくべきではなく、妊婦さんからの質問に 対してすべて回答する体制を完備しておくことが必須条件であることを申し上げておき たいと存じます。勿論、このカウンセリングを担当する立場の医療スタッフは絶対に自 己の価値観を妊婦さんに押しつけることがあってはなりません。  最後に、正確さこそが本検査の精髄です。いかなる精度管理を行っているかをいつで も開示するのが臨床検査企業あるいは個人ラボの研究者の責任であると定めておくべき です。正確さの裏づけデータを明示するように義務づけしておくのもよい対策の一つか と思われます。  以上、我が国において歴史的に苦心して展開されてきた国民個人個人の自由と独立の 権利を尊重する医療の考え方に立脚して、妊婦さん一人一人にとって大切な医療情報が 提供される事が保証されるように意見を申し述べさせていただきました。』以上でござ います。 ○古山委員長  飯沼先生、補足説明ございますか。 ○飯沼院長  失礼します。御指名がありましたので発言させてください。  特に、用意はしてまいりませんでしたけれども、私から1つだけ申し上げたいことは スクリーニング検査ですので、それと同等の性質を持っております妊婦さんの年齢によ るスクリーニングの正確さと比較してみましたところ、はっきりと違いが認められまし た。妊婦さんに対して、これまではスクリーニングを行ってきた訳です。その場合は高 年齢で区切った訳です。年齢によってリスクを出しますというやり方でありまして、そ れは統計的な数値に基づいてやっておりますが、その数字あるいはそれ以上のリスクを 持っている方は現実には5人に1人でありまして、実際にそういうやり方を取りますと 5人中4人にはそうではないデータを医者が妊婦さんに与えることになってしまい ます。ですから、トリプルマーカースクリーニング検査のメリットは何かという質問を されたのですけれども、やはり妊婦さん一人一人ずつの正確な確率値を出すということ だけであります。これについて本当に正確な値を知りたい方については(値を)提供し たい。それから、そういうことを知りたくない方については知らせる必要はない。 そのためには、両方ともそういう性質があることを妊婦さんが十分に理解した上で、自 分がその検査を受けたいか受けたくないかを選べるようにさせていただきたいと思って おります。  以上です。 ○古山委員長  どうもありがとうございました。  質問は両方まとめてさせていただきます。  では、次に、エスアールエル社の御意見発表をお願いいたします。約10分程度でお願 いいたします。 ○及川広報室長  私、広報担当の及川と申します。  それでは、私どもの今回の専門委員会の御報告案に対する考えにつきまして御説明申 し上げます。  お手元の資料にございますように、私どもは、貴専門委員会の母体血清マーカー検査 に関する見解案に異存はなく、今後ともここに示された指針に従って検査業務を運営し てまいります。  母体血清マーカー検査が、その簡便さから胎児の疾患の発見を目的としたマススク リーニングとして行われるときは、障害を有する胎児の生命が損なわれるおそれがあり 生命倫理的に重大な問題があると私どもも認識いたしております。したがいまして、私 どもは本検査につきまして、この検査を積極的に勧める文書などを作成または配付など はいたしません。 この内容につきまして、お手元の資料に幾つかそういう記載がございますので、後で御 参照いただきたいと存じます。  また、妊婦が検査の内容や結果について十分な認識を持たずに検査が行われるおそれ があることは大変憂慮にたえないと思います。検査の受託に当たりましては、医師及び 医療機関が妊婦に検査の内容及び検査結果などを十分に説明していただけますように、 最善の協力をしてまいります。  また、この検査業務で得られます個人情報につきましては厳密に守秘いたします。  2枚目にまいりまして、母体血清マーカー検査の結果が確率で示されることから、検 査結果の解釈を巡りまして妊婦に誤解や不安が生じるおそれがございます。私どもとい たしましては、医師及び医療機関の妊婦に対する説明に資するため、検査結果の算出方 法及びその基礎データに関する情報を御契約いただいております医師及び医療機関に対 して文書で御説明するように努力いたしております。  最後に、私どもは母体血清マーカー検査に関する社会的倫理的検討の進展に即応いた しまして、今後ともこの検査を慎重に取り扱うとともに、私ども作成の関係文書の見直 しに努めてまいります。  以上でございます。 ○古山委員長  ありがとうございました。 では、質問に移りますのでイデニクスカンパニーの方、前に出ていただけますでしょう か。 では、委員の先生方、ただいま検査会社2社の御意見を拝聴した訳でございますが、そ の御意見の発表に対して御質問、御意見ございましたら、どうぞお願いいたします。 ○安藤委員  イデニクスカンパニーの方に質問させていただきたいと思います。  カウンセリングサポートを無料で受けられる体制も設けて実施してきているというこ とですけれども、私の方が認識不足でして、提携されている医療機関はどの程度ありま して、どのようなメンバーで構成されているのかというのをお聞きしたいと思います。 ○下村広報担当責任者  それでは、返答させていただきます。提携先の医療機関数は、今現在、全国で約1,100 か所ございます。実際にカウンセリングのサポートを無料で行っているのは、事業提携 しております横におります飯沼先生が対応されておりますので、飯沼先生の方から御返 答していただきます。 ○飯沼院長  私の方は、全国から必要に応じて電話、手紙あるいはドクターと、それから、妊婦さ んとそれぞれ直接コンタクトがございます。私は幸いに、クリニックに泊まっておりま すので、24時間体制でいつでも対応出来る体制でほとんど過ごしております。  その中で、どれくらいの頻度であるかということに皆さん関心があると思いますけれ ども、余りなくて、2日に2件あるかないかぐらいです。ですから、まず、電話で日中 でしたら事務の者が受け取りまして、相手方の電話番号も出来れば控えさせていただき まして、遠距離の場合、例えば、北海道とか九州の方の場合はじっくりと話をしますの で、こちらから電話を掛け直させていただきますと申し上げます。大抵の場合は喜びま して電話番号をきちんと教えてくれます。そして、それによって信頼関係が生まれます からこの番号でということで電話しまして、1時間でも2時間でも必要に応じてやりま す。  また、1回で終わるということでやるのではなくて、経過をだんだん追ってやってい きます。そのようなやりとりはすべての電話の記録に残っておりますので、年間にどの ような方から何件依頼があったか、きちんと客観的なデータとして残されております。 ○古山委員長  ありがとうございました。 ○鈴森委員  一つ文章というのか、お書きになっているイデニクスの方ですけれども、ちょっとお 尋ねしたいのですが、医療の内容が出来るだけ国民の理解を得られるよう最大限の努力 をするのは当然というのは、企業ベースの問題なんですよね。ですから、医療情報とい うのは私は医療サイドに強いる側が提供すべきものだということが基本になっていると 思うのですけれども、まさしくこれは検査企業そのものが主導で行っているということ を如実に表しているのではないかというふうに感じたのですけれども、 いかがでしょう。 ○下村広報担当責任者  ここの表現の内容なのですけれども、先生はそういうふうに取られたかもしれません が、実質上は見解案に対する私どもの意見ということで述べさせていただきました。 ○古山委員長  よろしゅうございますでしょうか。 ○鈴森委員  それから、もう一つお尋ねしたいのですけれども、今のカウンセリングサポートの問 題ですが、この対象となっている先天異常について専門知識を持っている医師というこ とになりますと、例えば、おたくの検査会社の検査項目の中に入っている二分脊椎も当 然入ってくる訳ですが、我々産科医もなかなか二分脊椎についての予後に関して相当多 様性があるということで、カウンセリングそのものが難しいのではないかと思うのです が、その辺はどういうふうに対応していらっしゃるのでしょうか。 ○ 飯沼院長  私から回答させていただきます。二分脊椎については私は専門ではありませんので、 東北大学の整形外科の先生で肢体不自由児科の岩谷教授にこのことを依頼しましたとこ ろ、彼のところでは研究会を全国組織で持っておりまして、そのネットワークで引き受 けますということで、こういう依頼があった場合は、そちらにお願いしております。 ○山田委員  先ほどの飯沼先生のお話のカウンセリングですが、具体的でなくてもいいですが、ど ういう段階でどういうような相談が来ているのかということをうかがいたい。 ○飯沼院長  山田先生からの御質問は、具体的にどういう質問があるかということだと思うのです が、非常にさまざまでして一言で言うのは大変難しいのですけれども、以前はやはり陽 性スクリーニング陰性ということで驚かれている方が多かったようです。やはり現場の 先生もなれていなかったのではないかと思います。ですから、最初の1年ぐらいの間は そういうものの説明に非常に時間が掛かったし、そういう例があったかと思います。  ところが、それが最近ほとんどなくなりまして、つい最先まで続いていたのは295分の 1で何ゆえ切ったのですかという質問が盛んに出てきました。どういうことなのか分か りません。ただ、その質問は新聞とかマスメディアで母体血清マーカーについて告知が あるとかそういう形で興味を持たれたので、そういうささいなことに見えてくるところ でも傾向があるということです。  それから、最近特にずっと多いなというのは、やはり羊水診断、自分は確率が高いグ ループに入ったのだけれども、羊水診断を受けた方がいいか、いけないのかとかそうい った判断で迷っていますというのが多いように思います。これは、ずっとこれからも増 えてくると思います。 ○山田委員  もう一つ、イデニクスさんの方で、2枚目の下から6行目ですが「最後に、正確さこ そが」ということですが、この辺を強調していることは正確さに何か問題が出ていると いうようなことなのでしょうか。その後に、正確さの裏づけデータを明記するようにと いう、どうしてここでもこういうことを強調されているのか、ちょっと分かりかねるの ですけれども。 ○下村広報担当責任者  返答させていただきます。私たちはこの検査を1994年来、提携している産婦人科の先 生方に提供させていただいているのですけれども、当初から検査と同時に追跡調査も行 ってまいりました。現状、そこに配付されている資料にもあるのですけれども、3万人 以上の妊婦さんが受けられていますが、追跡情報というのも1万7,000人以上の妊婦さん の帰結状態を含めた情報を提携先の先生方から協力をいただいて返答されております。 回収率は85%になっております。  そういった中で、私たちは確率を出させていただいている訳ですけれども、その確率 というのは実際に本当に正しい確率なのか、あいまいな確率なのか、それをやはり検査 会社としては明らかにしておかなければいけない訳です。これは、やはり追跡調査をや っていないと明らかにすることは出来ない訳です。そのために、出している確率は実際 に正しいのか、正しくないのか、どの程度まで正しいのかということは開示すべきだと 思っておりますので、そこで、ここで意見を述べさせていただきました。 ○松田委員  それについてお伺いしたいのですけれども、あなた方の検査がやっているところは何 %のポジティブで何%の陽性率を出しているのか、ミッシングのパーセントは何%なの か答えてください。 ○下村広報担当責任者  2万593例のデータから見てみますと、スクリーン陽性率というのは約15% なんですね。 ○松田委員  いや、私が聞いているのはそういうことではなくて……。 ○下村広報担当責任者  それが、ほとんど偽陽性率に当たります。 ○松田委員  ですから、ポジティブが何%でもって何%のダウン症陽性になっているかという記載 をふつう皆こういうジャーナルは載りますよね。そういう記載をしますよね。それを聞 いている訳です。つまり、何%その陽性といった中で実際には何%あるのか、もしくは 陰性とした中で何%患者さんとしては。トータルで何%なのか、そのデータが今、何万 例とおっしゃっていますので、普通ちゃんとこういうジャーナルを出すときには、そう いうデータが出ているはずなんですよね。 ○下村広報担当責任者  プログラム上設定しているのは、偽陽性率7%、検出率70%です。 ○松田委員  ミッシングは何%ですか。つまり、ミッシングというのは、あなた方が確率が低いと いうふうにおっしゃった中から患者さんが出てくる確率です。 ○下村広報担当責任者  2,000人に1人です。 ○松田委員  そんなに低い。 ○下村広報担当責任者  はい、そうです。実際に追跡調査もしておりまして、そのデータも先生方の手元にあ ります。 ○松田委員  分かりました。私が聞きたいのは、もう一つ。それと全く同じようなデータをエス アールエルの会社がどれだけ持っていらっしゃるか、それをお聞かせください。 ○及川広報室長  私どものデータでは、まだ追跡調査もですがイデニクスさんに比べて少ないですけれ ども、1,319例の例数の中で特異度が0.79、真陽性の予測値が0.02、感度が1、真陰性の 予測値が1というデータになっております。 ○松田委員  何%のフォールスポジティブでもって、何%のダウン症を診断出来るかという、先ほ どイデニクスがおっしゃった全く同じデータを私は要求しているのですけれども。とい うことはどうしてかといいますと、実は、我々が以前厚生省で研究を行ったときに、検 査会社からヒアリングを行ったところ実際にはフォローアップしていないということが 言われているんです。そのようにダウン症の方たちを産んだお母さんのデータが蓄積さ れていないような状態で、なぜそのような検査を始められるのかと。そういう点では 我々は非常に不思議だと考えたんです。今でも私はその考えは変わっていませんけれど も。少なくともイデニクスの人たちは、かなりの例数を持っていらっしゃるからいいか もしれないけれども、残りの2社の人たちは、ほとんどそういう点については返答がな かったんですよ。ですから、我々としては殊サイエンスに関して言っても、そういうし っかりしたデータがあることが前提であって、外国ではそういうデータがあった上でち ゃんとやっていますよね。しかし、お金を取って検査をやりながら、そのデータを蓄積 していって、それでもってまた還元するというのはいかにもおかしいのではないかと。 ちゃんとデータを出した上で、こういう検査が行えるのですというふうに言うのが、私 は正しいのではないかと思ったんですよ。  今回、イデニクスの方たちは私たちが求めていたデータを出してくれましたから、そ れは非常にいいと思っていますけれども、やはりそういう基礎的なデータなしに始めら れたということは、どうしても何かフェアでないと言いますか、そういう気持ちが残っ て仕方がないものですから、あえてこれ以上聞きませんけれども、そういう考えを持っ ています。  以上です。 ○古山委員長  よろしゅうございますか。エスアールエル社の方、今、松田先生の御質問に対して答 えられるようでしたらどうぞお願いいたします。 ○松田委員  後から出してください。 ○及川広報室長  数字はございますので。 ○古山委員長  ほかに御質問がありましたらどうぞ。 ○鈴森委員  またイデニクスさんにちょっとお尋ねしたいのですけれども、先週、京都で拝見した 検査集団を見ますと、かなりやはり高齢者の方にシフトしているということをおっしゃ っていらっしゃったのですが、この検査そのものは性質上このガイドラインにも書いて ありますように、年齢固有のリスクによって影響されるということで高齢の妊婦さんで はハイリスクで出てくる、高い確率で出てくるようにセッティングされている 訳ですね。そうしますと、当然そういう中からダウン症が見つかってくる訳で、かなり 正診率は高くなると思うのですが。問題なのはアメリカとかヨーロッパでやっている35 歳未満の人にマススクリーニングとして使った場合ということが、マススクリーニング という言葉はこの場ではいけないのですが、アメリカはそういう考えでやっていますの であえて使わせていただきますが、35歳未満の方にこれを使った場合に、これだけいい 数値が出てくるかどうか。若年層では、偽陰性率がかなり高くなってくるだろうと思わ れるわけです。これは、かなりバイアスが掛かった数値をイデニクスの方は御報告に なっていらっしゃるのではないかというふうに思えてしようがないのですけれども、 その35歳未満の方でフォールスネガティブ、いわゆる2,000例に1例のダウン症の人が皆 35歳未満であったかどうか、そういう点をちょっと詳細になって申し訳ないのですけれ ども、お聞きしたいのですが。 ○下村広報担当責任者  配付されている資料の中にもございますけれども、2万593例のデータなのですけれど も、実質上これはあくまでも希望されています妊婦さんの集団の平均年齢が32歳なんで す。これは先生も御存じのように、欧米から比べると4歳ほど希望者の年齢層が高い訳 です。したがって、先生が御存じのように、ダウン症を検出される人数というのが当然 高くなります。私どもの方としては、先生のお考えになっておられるようなバイアスと いうのはそういった意味では掛かっていないと思います。どうしてかといいますと、強 制的にこの32歳グループをスクリーニングしているということはあり得ないので、あく までも希望者を対象としておりますので、そういった意味ではロンドン大学のニック・ ウォルド教授のグループが発表している検出率だとか、その結果とは相似しているとい うふうにデータ的にもなっております。 ○鈴森委員  全体にシフトしますよね。いわゆる出産年齢層とかなりずれがありますね、集団が。 ですから、高齢妊婦の方に32歳ということはかなりシフトしている訳です。母集団を一 般妊婦全体と考えた場合、母体血清マーカーした場合には、かなり偽陰性率が高くなる のではないかという気がするんです。 ○下村広報担当責任者  御存じのように、偽陰性例は8例中7例が35歳未満から出ております。それを計算し てみますと約2,000人に1人ですけれども、35歳以上からは1例出ております。 ○鈴森委員  ということは、35歳未満の方は、かなりこの検査を受けられても数値そのものをどこ まで信用したらいいのか分からなくなってくるのではないかという気がします。それは 前のあなたのところが出されたデータとそのものずばりで発生しているからいいという ことをおっしゃっているのですが、かなり情報として私はあいまいなものになるのでは ないかという気がするのですけれども。 ○下村広報担当責任者  もし、鈴森先生がそういうふうにおっしゃるのでしたら、比較するのはもう一つござ います。それは、年齢から見た場合35歳未満はすべてスクリーニング陰性群に歴史的に 入っている訳です。それは110万人の母集団がある訳ですけれども、逆算しますと、約 1,400人に1人という偽陰性例が出る訳です。これは計算での推定値ですけれども。この 検査を受けた結果としては、約2,000人に1人になっている訳です。分かりますか。 だから、そういった意味ではどちらがあいまいか、やはり私たちとしては正確なリスク 値が出た上での偽陰性例、2,000人に1人という方があいまいではないと思います。 ○古山委員長  よろしゅうございますか。 ○武部委員  御両者にお伺いしたいのですが、先ほどダウン症協会の方が、この検査を特に後半の 方は実施を前提としているかのごときであるという、何かお墨つきを与えるのではない かという疑いを持たれるというような恐れを言われていましたが、私どもとしては現状 が極めて不備なことを考えて、非常に厳しい条件といいますか、そういうものをつけた つもりです。もし、こういう見解が実施された場合に、例えば1,100か所というものは、 この見解にふさわしいだけの例えば医師の判断も含め説明能力をお持ちになっていると 今は考えるか、あるいはそれを更に再び審査し直すということまで、今の段階ですぐお 返事いただけないにしても、そういうことが必要とお考えかどうか。  また、エスアールエル社はこれに同意すると言われましたが、現状は果たしてこれだ けの厳しい条件が守られているという前提でやられてきたのか、それとも、これでは到 底対象者が減るのではないかというふうにお考えか、その2つについてそれぞれについ てお願いいたします。 ○下村広報担当責任者  私どもイデニクスの方としましては、1994年以来やはりインフォームド・コンセント の大切さ、妊婦さんの自己決定権の尊重、カウンセリングのサポートがいかに大切か、 アフターケアのサポート体制がいかに大切か、これを大前提としてやってきましたので この1,100か所の医療機関の先生方は、このことに関しては説明はされております。  しかし、今回こういう動きの中で厚生省の方でガイドラインが出される、あるいはほ かの医学団体の方でガイドラインが出されるということに関しましては、当然、私ども の提携先の医療機関の先生方にも御報告かつ御説明はさせていただくつもりで おります。 ○窪田学術営業部長  私どもこのトリプルマーカー検査、前段ちょっと御質問とは関係ないお話になると思 いますが、1989年に在日米軍病院からの依頼でこの検査自体の存在を知り、日本国内に おいて日本人と申し上げてよろしいのでしょうか、この検査が有効であるか否かという ことをある意味で学術的な面を含めた形で国内の医療機関の御協力というのも御相談し た上、この検査の実施に踏み切ったといういきさつがございます。正直申し上げて、そ の時点におきましては、この検査の学術的な面であるとか学問的な面に関しての私ども 着眼点はございましたが、現在大きな問題となっております、こういうある意味出生前 診断という認定的な面も含めての考察等々が若干欠如していたということは認められる ところでございます。その意味から言いますと、私どもが委員会の内容等案に関しまし て全面的にこれに従わせていただきたいというのは、その点を含めまして今後、私ども もこのトリプルマーカー検査というものをどのような形で実施していくべきかというこ とに関して、まだある意味では暗中模索の状態というのが本音の部分でございます。精 度的に今、先ほど松田先生から御質問いただいたデータ、実は生データとしてあるので すが計算が今、仕方が間違っているというか御質問いただいた方法でないのですぐ数値 を出せませんが、同じような正診率であるとか、それから、ミスジャッジレージである とか、その辺の数値は私どもも集計しております。  それから、それぞれの検査項目ごとの精度管理的なものは当然臨床検査センターとし て全般的な意味合いからもやっております。ただ、そういう検査自体の精度という問題 よりは、この検査自体が果たして臨床上使われるべきか否かということに関しては、私 ども当然、会社としての結論はなかなか持ち得ませんし、逆にそれは、委員会等々の今 後の方向性に全面的に従わせていただくという方向で考えております。  ですから、先生おっしゃられたように、今後どういう形で答申案及び諮問案、指示案 をいただくか分かりませんが、その方向で今、御依頼いただいてる施設に対してはお話 し申し上げるとともに、私ども1年に1回ずつ添付させていただいております契約書 等々も含めた形で御依頼いただいている施設との契約内容の見直し、それから、私ども は検査センターが果たしてインフォームド・コンセントをカウンセリングという体制を 持ち得ることが適切かどうかということもいまだ結論が出ておりません。そのために、 自社としてのイデニクスさんと違いましてカウンセリング等々の体制は持っておりませ んが、それぞれ御依頼いただく施設に関しては、それをやっていただくということを前 提で御契約させていただいておりますので、そういうものが踏襲されているかどうかの 確認は1年ごとにいたしておりますと同時に、今、申し上げたように今後の答申案等々 の内容に従い、内容をもっと更にシビアな条件にするのであれば、それに従わせていた だくと同時に、それに伴い、先生おっしゃられた受託量が減るというようなことは一切 念頭にはございません。 ○古山委員長  どうもありがとうございました。武部先生、ただいまの御回答でよろしゅうございま すか。  では、お待たせいたしました、長谷川先生どうぞ。 ○長谷川委員  幾つか御質問させていただきたいと思うのですけれども、今のエスアールエルの方が カウンセリングのことでお話しされたのですけれども、多分カウンセリングに対する質 問というのがあると思うんです。どこでカウンセリングをしてもらえるか、そういう場 合にはどういうふうにお答えになっていらっしゃるのでしょうか。まず、その点です。 ○窪田学術営業部長  私どもは、先ほど申し上げましたように、自社としての直接のカウンセリングの体制 は持っておりません。そういうお話をいただいたときには、原則としては御依頼いただ いている医療機関の先生方がカウンセリングをしていただけるということが前提にはな っておりますが、現実にはなかなか難しいというケースも散見されるようで ございます。実際に、今度は医療機関からカウンセリング等の御質問をいただいたとき には、よろしいかどうか、これは松田先生にまたお伺いしなければならないと思います が、人類遺伝学会等で出されている名前はソーシャルカウンセラーと申し上げてよろし いのでしょうか、そのカウンセリングのメンバーの方というのでしょうか、そのリスト の中から先生方のお名前を御紹介させていただくということはございます。 ○松田委員  人類遺伝学会は、そういう名簿は持っていません。 ○窪田学術営業部長  ございませんか。済みません、臨床遺伝の方の名簿でございます。その中から御紹介 という形ではさせていただいております。 ○長谷川委員  次に、では、イデニクスカンパニーの方なのですけれども、カウンセリングとさっき から言っていらっしゃいますけれども、カウンセリングに対する定義というのはまだ固 定したものがないと思いますので、カウンセリングについてどのような定義で考えてい らっしゃるかということ。それから、事前の説明というのはカウンセリングに入るのか 入らないのか、その辺りの御見解を教えていただきたいのですが。 ○飯沼院長  私は、カウンセリング部門を担当していますので、私側から回答させてください。今 の質問を伺いまして定義が現実にばらばらであるということを前提にした上で質問とい うことで受け取ります。すなわち、私がカウンセリングの定義を考慮するということで はありません。  私が考えている定義とは何かといいますと、極めて厳しく取っておりまして、言った 言葉に責任を取るようなカウンセリングをしていただきたいと自分ではそのつもりでご ざいます。ですから、例えばおなかの中の赤ちゃんについていろいろな確率で奇形が何 %ぐらいでしょうと言って、集団でずっと言ってきましたら必ず自分でフォローアップ しまして、そのとおりだったかどうかを自己チェックすると。そのぐらいやらないと、 カウンセリングをやったことにはならないと考えています。別の分野でのカウンセリン グではなくて、私が話しているのは先天異常に関するカウンセリングのことでございま す。ですから、カウンセリングというのは一度カウンセリングをしたからには相手がい やだと言わない限りはずっとおつき合いしましょうという姿勢でやっております。電話 についても連絡についてもコンタクトについては、常に思いついたらいつでも私はクリ ニックにおりますのでクリニックにしてみてくださいと言って対応いたします。  日中は、(臨床の)仕事がありますので仕事をやっている最中でしたら、きちんと訳 を申しまして何時何分にこちらから電話差し上げますからという形でコンタクトを切ら ないようにしております。これをカウンセリングの定義としております。  それから、事前についての説明はカウンセリングかということにつきましては、これ はやはりインフォームド・コンセント資料を与えることも広い意味ではカウンセリング の一環の中に入っていると考えております。  以上です。 ○長谷川委員  カウンセリングというのは、心理学的な用語から入っておりまして勝手に解釈しては いけないものだと思っておりますけれども、やはり心理学的なもののサポートが入らな いとカウンセリングにならないのではないかと思うんです。どのような病気でどのよう な確率というのは単なる説明ではないかと思うのですけれども、心理的には具体的とい うと時間がないとは思うのですけれども、何かポイントとしてどのようにされているか 教えていただきたいのですが。 ○ 飯沼院長  ただいま再度質問を受けましたので。心理的にサポートするのは当然のことですけれ ども、当然カウンセリングで一番初めに相手がどんな悩みを抱いているかというのを探 らないと課題が分かりません。ですから、きちんと最初にそういうことを探るテクニッ クとかタクティックスとかいろいろあると思います。それはプロの人でないと分からな いことがたくさんあると思います。ただ単に、あなたはどんな問題を抱えていますかと 言って素直に言ってくれる場合と、全く違うことを言いながら、実は全然違う大きな課 題をひそかに持って早く気づいてほしいなという場合もある訳です。ですから、カウン セリングというのは精神分析そのものだと考えておりますし、それによって課題がだん だん把握されましたら、対話によって徐々にそれに近づいていくのですけれども、いき なり近づいてかえって大きな傷を負わせることもありますから、徐々に注意深く近づい ていって、その課題を当人が意識し、そして、その課題について正面から解決する方策 はないかということを一緒になって考えるということを私どもはカウンセリングだと考 えております。 ○古山委員長  ありがとうございました。長谷川先生、時間がございませんので、手短にお願いしま す。 ○長谷川委員  もう2点だけどうしてもお聞きしたいのですけれども、最初に妊婦さんへの年齢のス クリーニングの差というふうにおっしゃいましたが、日本では妊婦さんへ年齢のスク リーニングはされていないはずだと思うんです。ですから、実際には貴社で年齢のスク リーニングを今までもされていたと解釈してよろしいのでしょうか。 ○古山委員長  どちらに質問されているのですか。 ○長谷川委員  イデニクスさんです。 ○下村広報担当責任者  私は産婦人科医でもないし、医者でもないのでお答えしづらいところなのですけれど も、年齢によるスクリーニングというのは20年ぐらい前から行われてきておりまして、 これはアメリカでも欧米でもそうです。 ○長谷川委員  日本の話を申し上げているので、日本のことでおっしゃっていただければと 思います。 ○下村広報担当責任者  日本では、35歳をベースにして高齢妊娠という定義づけをされてきました。したがっ て、35歳未満というのはスクリーニングが既にされている訳です。 ○長谷川委員  では、そういうふうに解釈してよろしいということですね。  それから、もう一つですけれども、トリプルマーカーのこの表の中で35歳以上の中に ロバートソン転座というものが含まれています。ロバートソン転座の方のどのくらいの リスク値があったかを教えていただきたいのですけれども。 ○下村広報担当責任者  この症例に関するリスク値は今、手元にございませんので、長谷川先生がこのケース に関してお知りになりたいというのでしたら、別途お知らせすることは出来ます。 ○長谷川委員  ロバートソン転座ですと、既に年齢とは直接は関係ないと言われていますし、実際に はそのリスク値の陽性と言われる部分に入っているはずなので、これをどうして検査さ れたのかなと。インフォームド・コンセントをきちんとされているとおっしゃっていた ので、これは非常に疑問に思いました。 ○飯沼院長  ちょっと誤解があるようですので申し上げます。スクリーニングされた結果、ロバー トソン転座のダウン症が見つかったのでありまして、最初に家族で既に転座が分かった 上でやったというものではございません。 ○長谷川委員  分かりました。  最後に1つだけお聞きしたいのですけれども、検体の処理なのですが、エスアールエ ルさんの方では検体に対しては破棄するというか、ほかの検査には用いないと書いてあ りますが、イデニクスさんの方でそういう記載というのはどこかにあるのでしょうか。 ちょっと見つからなかったので、これはアメリカの場合はそういうことを確定しないと どうなのかなという心配がございますので、どこかに書いてあるかどうかをお尋ねした いと思っております。 ○下村広報担当責任者  その辺の記載は私どもの資料の中にはございません。ただし、実際に検査を行ってい る場所はアメリカでございますので、アメリカの法的範囲内にのっとって検体は処理さ れております。 ○長谷川委員  分かりました。ありがとうございました。 ○古山委員長  どうもありがとうございました。寺尾先生、御質問なかったのですけれども、よろし ゅうございますか。時間がまいっておりますので、これをもちまして議事1のヒアリン グについては終了させていただきたいと思います。参考人の方々、貴重な御意見をお聞 かせいただいて本当にありがとうございました。  公開の議事はこれまででございますので、参考人の方々と傍聴の方々は御退席を願い たいと思います。その間、10分間休憩を取らせていただきます。 (休  憩) ○古山委員長  それでは、議事を再開させていただきます。議事2は、母体血清マーカー検査に関す る見解案の検討であります。本見解案につきましては、前回修正の御意見があります場 合には事務局まで御提出くださいというふうにお願いしておりました。事務局の方で先 生方からお送りいただいた御意見を取りまとめておりますので、御説明していただけま すでしょうか。 ○武田主査  それでは、資料4について御説明申し上げます。座らせていただきます。  先生方からお寄せいただいた御意見については、資料4の方で載せております。左側 が見解案の当初案でございまして、右側が各委員から寄せられた修正案でございます。  左側の下線を引いている部分の修正内容を右側ではかぎ括弧で記載しております。な お、各委員の御意見の理由など詳細につきましては、机上配付資料の1から4をごらん いただくようお願いいたします。  また、松田委員につきましては、全体の修正案をいただいておりますが、その主なも のと思われるものをこちらでは整理させていただいております。それでは、御説明申し 上げます。  まず、全体を通じて、「障害者」、「障害児」を「障害のある者」に修正するという 御意見が山田委員から、出されております。 次に、左側当初案「しかし、一方では、この技術は」の部分でございますが、安藤委員 から「しかし、現在、早期治療可能な疾患は限られており、一般に出生前診断が妊娠中 絶につながる可能性は高い。そこで、出生前診断は」に改める修正案が出されておりま す。 それから、その次、左側下線が引いております「指摘もあり」という部分でございます が、長谷川委員から「指摘がなされており」または「されており」に改める修正案が出 されております。  それから、ちょっと上に戻っていただきますが、上から3行目の「しかし」以下の部 分について、松田委員から「しかし一方、現在、早期治療可能な疾患数は限られており 一般的に出生前診断が妊娠中絶につながる可能性の方が高いことから、出生前診断は障 害児の出生を排除し、障害者の生きる権利の否定につながるのではとの懸念もある。こ の点については、国の内外で様々に議論されてきた。こうした中、近年、我が国におい ても、出生前診断(検査)に対する国民の関心が高まってきた。また、諸外国、及び我 が国の関係学会では、ガイドラインを作成し、もしくは作成する方向にある。出生前診 断は医療のみならず倫理的、社会的、法的な問題も含んでいることから、ガイドライン 作成に当たっては、医学のみならず、広く他の分野の関係者から意見を聞くことが求め られる。」に改めるとの修正案が出されております。  それから、ちょっと先に下線がついております「これら問題」の部分でございますが 武部委員から「これらの問題」に改めるという修正意見が出されております。  それから、「倫理学」のところでございますが、「生命倫理学」と直してほしいとい う御意見が武部委員から出されております。  次に、II「検討の趣旨」の部分でございます。1ページの一番下から3行目「妊婦か ら少量の血液を採取し、血中の」の部分でございますが、長谷川委員から「妊婦から採 取した少量の血液によって」または「用いて」という修正の御意見が出されており ます。  次に、2ページ目でございます。最後のセンテンスでございますが「しかしながら、 胎児の疾患が発見されても母体保護法上は胎児の疾患や障害を理由として人工妊娠中絶 をすることは許されていない。」とする部分でございますが、安藤委員からここは特に なくてもよいのではないかという御意見が出されております。  同じ部分でございますが、長谷川委員からは「母体保護法では優生的な理由からの人 工妊娠中絶手術は許されていない…優生保護法への反省から…」という御意見が出され ております。  同じ部分でございますが、武部委員からは「母体保護法は胎児の疾患を理由に人工妊 娠中絶することを認めていない。これは、かつて優生保護の名の下に人工妊娠中絶を認 めていた優生保護法を否定して改正した結果であり、現時点では徹底した討議と検討を 経ずにいわゆる胎児条項を母体保護法に導入することはするべきではない。」という御 意見が出されております。  それから、この(1)の部分でございますが、松田委員から以下のように改めるというこ とで御意見をいただいております。「(1)胎児の罹患発見を目的とした、妊婦一般集団を 対象にしたマスレベルでのスクリーニング検査に発展するおそれがあること」が題でご ざいまして、以下文でございます。「妊娠中絶に関しては様々な見解がある。法的にも 各国の対応は一様ではない。多くの国では、妊娠初期、中期の中絶については一定の条 件の下に施行することを法的にも容認している。我が国も同様の見解をとっている。こ の期間内なら遺伝カウンセリングを受けた後、出産を選ぶか、中絶を選ぶかの選択は妊 婦又はカップルの自由な意思決定に任されているとするのがWHOはじめ、多くの国で 基本的見解であり、生命倫理の原則にかなうものである。この選択に関して、国、又は 社会からの圧力があってはならない。もし中絶を指向する方向で圧力があれば、障害者 が障害のない者と同様に生活し活動する社会を目指すノーマライゼーションの理念に反 することになる。  したがって、母体血清マーカー検査は妊婦又はカップルの自由意思による選択に基づ いて施行されるべき検査である。問題はその簡便さ故に、妊婦一般集団を対象としたマ スレベルでのスクリーニングに発展する恐れがある。これは是非避けなければならな い。」に改めるという御意見がございます。  次に、(2)「十分な認識を持たずに」の部分でございますが、長谷川委員から「説明が 不十分なまま」に改めるという御意見が出ております。  それから、上から3行目の「、文書もしくは口頭またはその両方で説明を受けている が」の部分でございますが、長谷川委員からこの部分は削除した方がいいという御意見 が出されております。  その次、「動揺・混乱し、その後の判断を誤らせたり」という部分でございますが、 安藤委員から「妊婦は動揺・混乱し、その後の対応を誤ったり」に改めた方がいいとい う御意見が出されております。 ○安藤委員  済みません、今言われました「妊婦は動揺・混乱し、その後の対応の判断を誤った り」ということでお願いします。 ○武田主査  わかりました。  それから、(2)の最後の文でございますが「その結果」以下を武部委員でございますが 「その結果、胎児の疾患の可能性が「陽性」あるいは「高い」と確率で示された場合は 短期間に対応の決断を迫られることになり、妊婦及び配偶者に動揺や混乱をもたらし、 誤った判断をしたり、精神的負担によって母体の健康に悪影響が出ることが問題点とし て指摘されている。」のように改めるという御意見が出されております。  次に(3)でございます。(3)の次に松田委員は(4)として、「(4)我が国では検査結果の 信頼性に関して科学的評価に耐える十分なデータが蓄積しているとは言い難いこと」、 これが題でございます。以下、文でございます。「母体血清マーカー検査に関しては日 本人についての十分なデータの蓄積、解析がないまま行われているのが現状である。こ の点に関して早急に何らかの解決策を見い出す必要がある。」というものをつけ加えた 方がいいという御意見がございます。  大きな2「対応の基本的考え方」の2行目「妊婦」についてでございますが、松田委 員から「妊婦又はカップル」に改めた方がいいという御意見が出されております。  それから、3ページ目、下から2行目「遺伝相談」でございますが、長谷川委員から 遺伝相談という言葉は、これはその後も同様でございますが、カウンセリングという言 葉に変えた方がいい。そして、その内容について注釈をつけるべきであるという御意見 が出されております。  それから、4ページ目最後のところでございますが、「遺伝相談を十分に行うなどの 支援を行うべきである」の部分でございますが、安藤委員から「遺伝相談や心理ケアを 継続的にチーム医療の中で行うべきである。」との御意見が出されております。  それから、武部委員からその下に以下の文章、「しかしながら研究班の調査によると 我が国では遺伝相談の実施はきわめて不備であり、医師による検査に関する説明も不十 分な場合が多い。したがって母体血清マーカー検査の実施に当たっては、当分の間、別 項に示すような指針に沿って行うことができる場合に限るべきである。この指針は諸外 国及び我が国の一部の医療機関で実施されている方式を参考にして本委員会が暫定的に 定めたものである。 出生前診断全般に関しては、本専門委員会において、遺伝相談のあり方を含めて引き続 き検討し、総合的な指針を示すことをめざしている。」を追加すべきとの御意見がござ います。  それから、松田委員からこの2「対応の基本的考え方」を次のようにすべて変えた方 がいいということで御提案が出ております。以下読ませていただきます。「母体血清 マーカー検査に当たっては、1)それを受けるか否かの選択、2)胎児が21トリソミー等に 罹患している確率が高いと判定されたら羊水検査を受けるか否かの選択、3)羊水検査で 診断が確定したら、出産するか中絶するかの選択、以上連続して3つの選択の機会を持 つ可能性を考慮しておかなければならない。いずれもカウンセリングによる十分な説明 がなされ、妊婦又はカップルの自由な意志決定のもとに選択されなければならない。選 択に際して、医師が積極的に関与したり、勧めることは避けるべきである。また、中絶 に反対の立場をとる医師の意向は尊重されなければならない。  母体血清マーカー検査前のカウンセリングでは、場合により羊水検査による確定診断 が必要なこと、また羊水検査に伴う流産の危険性があること、マーカー検査で胎児の罹 患確率が低く出ても罹患していることもあり得ること等も説明すべきである。さらに、 検査対象となる疾患をもつ子供に対する医療の現状や社会的支援などについて、十分な 情報を妊婦、又はカップルに提供すべきである。必要なら何度でも時間をかけて、カウ ンセリングする必要がある。」、これにすべて改めた方がいいという御意見でございま す。  次に、5ページに移らせていただきます。IV「母体血清マーカー検査の実施に当たり 配慮すべきこと」の部分でございますが、武部委員からこれ以降を別項にした方がいい ということで、別項「母体血清マーカー検査の実施に関する指針」という題名に変えた 方がいいという御意見が出されています。  次の文の1行目でございますが、「が実施される場合には、」の部分でございます。 長谷川委員から「について、もし検査の要請がある場合には、」に改めた方がいいとい う御意見でございます。  それから、武部委員は「以上」以下の文章を「母体血清マーカー検査の実施に当たっ ては本指針に沿って慎重に行われなければならない。」といった文章に変えた方がいい という御意見がございます。  それから、「検査前1」の部分、2行目の「知らせたり」のところでございますが、 安藤委員から「積極的に知らせたり」と修正した方がいい。  それから、同じ部分でございますが「知らせる必要はなく」に修正した方がいいとい うのが、長谷川委員の意見でございます。  それから、この部分でございますが、慎重な検討が必要ではないかという御意見が松 田委員から寄せられております。  5ページ目(2)の1)の部分「これらの疾患はその子どもの一側面でしかなく、疾患の側 面だけから子どもをみることは誤りであること」、これは(1)の3)とダブっているので削 除した方がいいという意見を松田委員から寄せられております。 ○松田委員  同じ言葉の繰り返し。 ○長谷川委員  意味が全然違うんです。基本は正常児であるということ、正常児がダウン症を持って いるという考え方は今までされていなかったので、それを広めたいという気持ちで書い てあって、個人差とはちょっと違います。書き方が悪かったと思うので、 もうちょっと。 ○武田主査  続けさせていただきます。それから、6ページ目でございます。4)の2行目「すでに 遺伝的リスクが高いため、」の部分でございますが、長谷川委員から「年齢固有の確率 と母体血清マーカー検査から得られる確率以外の因子が関与するので」に改めるという 意見でございます。  それから、(4)の1)の部分でございますが、松田委員から「結果の説明にあたっては、 確率のみを伝えるのではなく、その意味を具体的に(例えば300人のうち1人、又は0.3 %というだけではなく300人中299人はそれに該当しないという表現が望ましい。」とい うような言い方をしてはどうかという御意見が出されております。  それから、2)の部分でございますが、代案を示すべきであるという御意見が松田委員 から出されております。  それから、(5)の3)「胎児の障害があったとしても母体保護上、胎児の障害を理由に人 工妊娠中絶手術を行うことはできないこと。」の部分でございますが、長谷川委員から 「羊水検査の結果によっては妊娠中絶も選択肢に入りうること」に改めた方がいい。  それから、松田委員から入れる必要はあるか慎重な配慮が必要との御意見が出されて おります。  それから、松田委員から中絶に関することでございますが、テストを受けた後に中絶 した人に対する精神的支援が必要ではないかとの御意見が出されております。 それから、6ページの3の「配偶者」という言葉でございますが、長谷川委員から胎児 の生物学的な父親であることを注釈で入れた方がいいのではないかということです。 ○長谷川委員  ちょっとやはりよくないかなと思いますが、言いたいことは法律上ではなくてもいい ということを言いたかったのが、ちょっと行き過ぎだったと思います。これは、また後 で検討してください。 ○武田主査  それから、7ページに移らせていただきます。6の部分でございますが、松田委員か ら「母体血清マーカー検査に際しての同意書は医師、対象者の署名の入ったものでなけ ればならない。」とした方がいいのではないかとの御意見が出されています。  それから、7の部分ございますが「母体血清マーカー検査を行う会社は、この検査業 務で得られた個人情報等は守秘義務に従って、漏洩することのないよう厳重に保管しな ければならない。」という御意見が出されております。  それから、検査会社に関するところでございますが、松田委員から「検査会社に対し ても、署名によるインフォームド・コンセントの添付されていない検体を引き受けるこ とは問題がある旨を盛り込むべき。」という御意見が出されております。  7ページの検査後の7の福祉事務所というところでございますが、長谷川委員から福 祉事務所は専門担当者はおらず、相談はまず無理ではないかというような御意見が出さ れております。  それから、8ページに移らせていただきます。上から2行目「が不可欠である。」の 部分でございますが、安藤委員から「と、検査結果と結果に対する心理ケアが不可欠で ある。そのため、出生前診断の実施施設には、遺伝相談やカウンセリングに関する資格 や研修を受けたスタッフの存在が必要である。その際に妊婦等を検査を受ける対象とい う医学的な視点のみではなく、社会生活者としての対応も求められる。」と改めた方が いいという御意見が出されています。  それから、その次でございます。「医師のみでは被検査者の」という部分を「施設の スタッフのみでは、妊婦等の」に改めた方がいいというのは同じく安藤委員から。  それから、「が、」を「。しかし、」と安藤委員。  「が育成され、専門機関が増えていくことが」の部分を「の育成と専門機関の増加 が」と直した方がいい。これはちょっと技術的な修正でございますが出されて おります。それから、長谷川委員からどこかにこのような文章を加えた方がいいのでは ないかということで、「母体血清マーカー検査へのガイドラインが必要な理由 1)安易に進める産婦人科医、小児科医、その他関連医師、及び検査会社への歯止めとし て。 2)ポリシーでやらないか、安易にやりたくない良心的な産婦人科医が不利益を被らない よう に、そのサポートとして。 3) 医師の言葉に逆らいにくい立場の妊産婦を守るため。 4) 妊婦を家族や友人など周囲から有言無言の圧力から守るため。 5)対象疾患となるダウン症をはじめ、先天異常に対する漠然とした不安や偏見を是正す るため。 6)不特定多数が不安をかき立てられ、又は安易に検査を受ける事態を回避するため。 7)児の命を大切にしたいと願っている妊婦を守るため。 8)障害者が排除される社会となることを防止するため。」となっております。 以上でございます。 ○古山委員長  どうもありがとうございました。ごらんになっていただいたように、随分たくさんの 御意見が寄せられています。見解案に対して逐条、順番に審議していくという一つの手 がありますが、まず、今後のこの見解案をどういうふうに持っていくか、スケジュール も加味いたしまして御意見をちょうだいしたいと思うのですが、次の委員会は3月19日 に予定されているんですね。最初の予定では、3月19日に見解がまとまればということ だったのですが、それも含めてこの見解案の意見を反映させるさせ方について御意見を いただきたいと思いますが。どういうふうに審議していったらいいか。 ○山田委員  それはゴールがどこにあるかによって。 ○古山委員長  それも含めてですね。 ○山田委員  厚生省側は、何か文章が欲しい訳ですね。 ○古山委員長  3月19日でなくても4月に延びてもいいかということで。 ○ 北島課長補佐  1つは、どうしてもまとまらなければ議論を重ねる以外に方法はないと思いますが、 まずは今日残りの30分から1時間の間と、それから、次回予定されているのが3月19日 だったかと思いますので、その約3時間の間で大体この資料4のところを中心にまとめ ていただけるのかどうかというところが一番問題かと思います。 ○古山委員長  今日はあと1時間ないですね。次が3時間ですか。ちょっとなかなか難しいかなとい う気もするのですが、松田先生。 ○松田委員  今まで出席していなくて突然出てきて意見を述べるのはちょっと僭越かもしれません けれども、かなりコンクリートに出来て確かにここにいろいろな各方の意見もあって、 私の意見も入れていただいてはいるのですけれども、なかなかここに入れてつくり変え ていくというのは、もともと文との対比があって難しいのではないかというのが1点あ ります。  それから、もう一つは、これは武部先生が書いていらっしゃいますけれども、かなり 具体的な内容と概念とが入り混じっていますよね。ですから、やはりこれは整理して概 念は概念としてきちんとしたものをつくって、そして、具体的な内容に関しては具体的 内容としてつけるのか、もしくは私自身は余り必要ないところもあると思うのですけれ ども、そういうものは外すとか、非常にまとまりをつけた方がいいのではないかと。  1つの案として、皆様方の机上配付の中に出ているオピニオンというのがあります。 これはフランスの政府が出した見解なのですが、これが21トリソミーの、この場合はト リプルマーカーではありませんけれども出したオピニオンというのがあって、その中に レポートと書いてあります。オピニオンは非常に短くてまとまっていて、3つの点だけ がクリアになっています。何かというと、事前にちゃんと教えるということが1つと、 その次にはラボはしっかりしないといけないということと、3点目はちゃんと登録され たところでもって出生前診断をしなければいけないという3つの点だけが極めてクリア になっています。  今度のこの案を見せていただいて、幾つかの点は皆さんかなりよくアグリーしている と思うのは、第1点は何としても今までの方法論に問題があったということが、まず言 えると思うんです。  第2番目には、マスでスクリーニング的にやられては困るということですね。これは 非常にいけないということですね。  それから、もう一つは、これに反対している人も医者の中にもいる訳です。だから、 そういうことに対してそういうことを盛り込んだ、それに反対している人もいるという ことも一応は知っておかないといけないということですね。  それから、先ほど言葉の話が出てきましたけれども、そういったものを盛り込んだも のが大事であって、それからもう一つは法律論です。先ほどから出てきておりますけれ ども、確かに現在の法律では胎児条項というのはありませんから、胎児が云々でもって 出来ないことは勿論そうなのですけれども、実際には行われています。逆な言い方をす るというと、もし書けば、しかしながら、胎児の疾患が発見されていても母体保護法上 は胎児の疾患や障害を理由として人工中絶することは許されない。しかし、経済的理由 からは可能であるというふうになってしまう訳です、文からすれば。そのことをわざわ ざここで言う必要があるかどうかですね。 (事務局注:母体保護法第14条第1項において、妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済 的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの、暴行若しくは脅迫によって 又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したものについて、本人 及び配偶者の同意を得て人工妊娠中絶することができるとしている。)  つまり、私の言いたいことは、その胎児条項を含めた法律論を我々はここで議論する のかどうか。むしろ、そんなことはしなくて、現在の法律で定められていることをその まま我々はこの問題だけを素直に考えておけば、ここではいいのではないか。そこまで 踏み込むほどの時間的余裕もなければ、胎児条項を持ち込む必要はないし、そこは私は 避けた方がいいのではないかと。ずるいかもしれないけれども、そういう考えです。  先ほどの言葉の問題なのですけれども、確かに医者と患者の関係からいくと、医者の 方が強いことは間違いないのだけれども、かといって、知らせるべきではないとなって しまうと、これは現在の生命倫理の基本である知らせてチョイスするという基本から外 れることになるんです。そうすると、今回のこのマーカーに関してだけ、そういう生命 倫理の基本を外れるということの正当性はどこにあるかですね。それが非常に問題だと 思うんです。ですから、やはり知らせるか知らせないかという言葉は、ここでは用いな いで、むしろ積極的に進めるべきではないという言葉を強く前面に出すと。  それから、また、先ほど書いておいたように、このことに関して、このことというの はトリプルマーカー及び出生前診断に関する反対の立場を取っている医師の意見も尊重 すると。 これは、人類遺伝学会の出生前診断のガイドラインの中にも入れてあります。これは私 がつくったのですけれども、その中にも1項目あって、医師がそれに対して違う意見を 持つ場合は拒否出来るというふうに書き込んであります。というのは、プロライフの医 者もいる訳です。だから、その人のところへ行って中絶してくれといってもだめだとい う医者もいる訳ですから、そういう立場を尊重するというのを一言入れておくというこ とによってクリアにする。そういったものをすべきではないかというふうに 思いました。  そういったものを含めて皆様方に差し上げている机上配付資料3をそういったものを 含めてつくってみました。ただ、言ってはいけないと言っているだけではいけないので 自分なりの資料をつくって持ってきました。それが資料3です。そこには私が今言った ことを自分なりの言葉で盛り込んであります。  特に、私が一番気になっているのは知らせるべきではないという言葉1つと、法律の 問題が1つと、それから、言葉です。例えば、陽性、陰性、それから、リスクが高い、 低いという言葉を用いるべきではないと言ってしまうと、こういう論文でも全部ポジテ ィブテストと言っているんですよ、アメリカとか。そうなってくると、患者さんに対し て用いるべきではないという表現をすればいいのですけれども、ただ用いるべきではな いというと、学会で話をするときにも使えないのかとなってきて、そこまで厚生省が表 現に対して立ち入ることが出来るのかという反論にはこたえられないと思うんですよ。 ごめんなさい、余りしゃべるといけないから、もうやめます。 ○武部委員  基本的に、私も松田先生の御意見に賛成でありますが、これを具体的に年度の終わり に来てどう進めるかですが、先ほど先生おっしゃったように、やはり原則的なことにつ いては全体の場といいますか、少なくとも専門委員会全員あるいは厚生省あるいはオブ ザーバーの集まる席できちんと合意するという。ただし、その後の私が別項にしようと いうのは、まさに先生とよく似た考え方なのですが、具体的な指針については場合によ っては例えばもう一度ワーキンググループ的な小委員会、出来れば是非、松田先生に加 わっていただいて具体的な字句を練って、それについては余り細かい点までここまで議 論せずに、ある程度委員長判断あるいはこの会で御承認いただくという形でまとめるこ とが出来るのではないかと思います。  それから、先生のおっしゃったもっと根本的な、例えば、胎児条項を本当に入れるこ とを否定するのか、あるいは場合によっては認めるのかということも含めて、そういう ことの議論についてはやはり今後少なくとも1年ぐらい掛けませんと、これは私が徹底的 な議論なしに触れてはいけないと考えていまして、少なくともここでは審議しなかった ということをやはり明記し、何らかの記録に残しておいた方がいいのではないかと思い ます。  それから、勿論、先ほどからありました遺伝相談という言葉、遺伝という言葉は先生 が御指摘になったとおりでして、これは先ほど発言者と私が京都でも実は長年議論した ことで、私がちょっとした新聞記事などに遺伝という言葉を使うと、すぐダウン症の関 係者から抗議の電話が何度も来た経験がございます。そういうことがありますので、や はりそういった言葉遣い等についてもやはり被害を受けていると思っている方の意向と いうのは私は大事にしたいと思います。ですから、そういうことも含めて、これはやは り今後少なくとも1年間ぐらい掛け、今回はあくまでもトリプルマーカーテストについ ての原則論について、ここできちんと年度内を目標に審議を続けると。  今日いろいろな団体の御意見とかインターネットの御意見などもいただいていますの で、今のこの席で読む訳にもいきませんので、今日最終的な原案が出来るということは やはり無理ではないかと私は考えます。 ○古山委員長  ありがとうございました。 ○松田委員  先生、今のお話なのですけれども、先ほど私が非常に気にして言っているのは、これ は統一見解というのは一言で言えばかなり難しいと。だけれども、やはりある程度のも のは必要なので、先ほどから話をしていますように、こういうことに対して反対の意見 を持っている、私のつくった2ページの下から1、2、3と書いてありますけれども、 ちょっと読ませていただきます。「母体血清マーカー検査にあたっては、1)それを受け るか否かの選択、2)胎児が21トリソミー等に罹患している確立が高いと判定されたら、 羊水検査を受けるか否かの選択、3)羊水検査で診断が確定したら、出産するか中絶する かの選択」、この3つをしないといけないと。これは、やはりはっきり明示した方がい いという。しかも、この検査に入るときからしておかなければいけないというのは、W HOの今度新しく出されましたガイドラインを持ってきましたけれども、WHOのガイ ドラインの出生前診断に関する項目のところにどういうふうに書いてあるかというと、 「非侵襲的スクリーニング、例えば妊娠早期の母体血清α‐フェトプロテイン測定は、 出生前診断遺伝的中絶を決断するファーストステップになり得ることについての情報」 というふうに書かれています。つまり、そこまではっきり言っておかないから結局ポジ ティブでデータが出たときに慌てるというか、びっくりする訳ですよね。だから、それ を言わなければいけないということ。  もう一つは、反対している立場の医師の意向は尊重されなければならない。これは、 やはり一言是非入れていただきたいというふうに思います。どうしてかというと、後か ら裁判になったときに伝えなかったからとか云々ということになったときに、自分とし てはこのことに対して反対の立場を取っているから伝えなかったということも言えるだ ろうと思いますし、みんなが受けるべきではないと言っている訳ですから、それに対し て反対している人もいると、それは我々の委員会はそういう立場の人もいることを知っ ているということは、やはりどこかに入れておかなければいけないのではないかという ふうに思います。是非、武部先生の見解を聞きたいと思います。済みません、私は座長 でもないのに。 ○ 山田委員  ちょっと早く退出いたしますので意見を述べさせていただきます。  まず、「委員からの意見」というのを、気がついたときにはしめ切りの10日を過ぎて おりまして提出出来ませんでしたが、拝見したところによると私が考えていたことが全 部書いてありましたので、私が出していても結果的には変わらなかったということであ ります。  私が意識していたのは、要するに今の中絶の問題、胎児条項の関係ですね。それから、 もう一つは今、松田先生が言っておられます、知らせるかどうか、これは私も前回申し 上げましたが。この2点だった訳ですが、これからの対応に関して私は文章をまとめる という、それは見解をまとめたので報告するというのが文章の中にも最初の方に出てま いりますので、まとめた方がいいし、それから、小異は譲って大同で大きな合意をした 方がいいのではないか思いますので、時間的な点をちょっとお伺いしますが、その方向 でと思います。今日の意見で特にダウン症の方の親から御意見にありましたが、凍結論 に対する対応というものをやはりこの文章の中に書いておいた方がいいのではないか。 よく読んでみると凍結論に対する対応も入ってはおりますし、それから、朝日新聞など は歯止めだというふうにちゃんと読んでいる訳で、前半と後半の矛盾に気づいているの か気づいていないのか知りませんが、凍結論というのはあるけれども、やはりこれだけ のものが出来ていてそれなりのメリットがあるという場合に、にわかに凍結論ではいけ ないということ。それから、厚生省としてもこれを凍結する権限は恐らくないのではな いかと思いますので、その辺のことはどこかでメンションするということ。  それから、第2が後半部分の方法でありますが、これはここでかなり細かく書いてあり ますが、実は余り細かく書かない方が、もう少しある意味で抽象的な書き方の方がよろ しいのではないか。その際にも、今日来ておりましたような会社に対するインストラク ションと、それから、会社から医師に対するもの、それから、医師に対するものという ように大体そういう区分で書いてあります。その辺の方向のようなものを書き分けて、 これも長谷川委員がかなり細かいことを最後のところでつけ加えるようにと書いておら れますが、こういう文章の場合には余り細かいことまで立ち入らない方がよろしいので はないかということです。  それから、私は法律家でありますので、やはり平成9年の京都の判決、今日はダウン症 の親の方もあの判決には満足しているというようなことを言っておられたので、ちょっ とびっくりしたのですが、そういう評価も含めて言うべきか言わないかということにつ いての法的な意義のようなこともどこかに入れられたらなという感じはいたします。  最後に、ちょっとマイナーなことでありますが、どなたかが書いておられましたが、 妊婦あるいは配偶者とかあるいはカップルという、この自己決定の主体をだれと考える かという問題は、統一してどこかに書いておいた方がいいような感じはいたします。特 に、周りからのプレッシャーというものの評価、これは長谷川委員がよく言っておられ ますが、その問題は非常に重要ではないかと思います。  以上です。 ○武部委員  済みません、妊婦というのは単独が法律的にも正しいのですか。 ○山田委員  法律的には、その場によると思いますけれども。 ○武部委員  そうですか。法律的にはない訳ですか。 ○松田委員  前のところでは「妊婦及び」なんですよ。それで、私は「及び」を外して「または」 にしたんです。「妊婦及びカップル」では、やはり問題があると。だから、妊婦だけで もカップルで来た人もいるし知りたい場合もある。「妊婦またはカップル」ならいいと 思うんですけれども、「妊婦及び」はかなり周りから圧力か入ってきます。それは,私は 最初のときにたしか書き直してくださいというので書き直したと思いますけれども。 ○武部委員  先生、何かもうちょっといい日本語はないですか。 ○松田委員  それは、長谷川先生の方が詳しいかもしれない。 ○長谷川委員  いいえ、カップルと言うとあれかなと思って配偶者というのを苦肉の策でつくったの ですけれども。 ○松田委員  「及び」は、やはりまずいですよね。 ○武部委員  それは、よく分かりました。さっき御指摘にもありましたので。 ○山田委員  そういう議論があるということを私は指摘しただけで、私自身はまだよく考えていな いのですけれども。 ○松田委員  人類遺伝学会もカップルになっていますよ。かなりディスカッションしたんですよ。 だけれども、やはりカップルしかないんですよ。 ○武部委員  妊婦及びあるいは妊婦と、その相手と思っている人。先生、配偶者というのは法律的 でないといけないのですか、それとも内縁ですか。 ○山田委員  内縁は法律でも含めますけれども。 ○武部委員  そうですか。配偶者という言葉は悪くないですか。 ○山田委員  いいと思いますけれども。 ○松田委員  ただ、配偶者は相手の人でしょう。だから、「または配偶者」になると、配偶者でも よくなってしまうんですよ。だから、御自身だけでいけません、だからカップルなら… …。必ず妊婦が中心で妊婦プラス配偶者ならいいんですよ。だから、正式な日本語で言 うなら「妊婦または妊婦プラス配偶者」。それは面倒くさいから、カップルにしたと。 ○ 山田委員  英語はパートナーとなってしまいます。 ○武部委員  そうしたら、例えばカップルと書いて注釈でカップルとはこういう意味であると書い て、あとはすべて……。 ○松田委員  それがいいかもしれませんね。というのは、言葉の解釈の上でしっかりしてもらうた めに。そこはでも、かなり微妙なところは微妙なんですよ。 ○武部委員  それは、長谷川先生が指摘されたとおりです。 ○山田委員  文脈によってかなり違うところが出てきますので。 ○古山委員長  見解案の検討方法について、再度お尋ねいたします。見解案は松田委員が海外出張中 に出来上がり公表されました。松田委員の意見をとりあげ大幅に修正するときにはきっ ちりした理由が必要です。大幅に修正するかどうかを含めてワーキンググループで討論 し、その結論を委員の先生方に提出する方法は如何でしょうか。 ○山田委員  よろしいですか。私が申し上げたのは大幅に改定ではなくて、部分改定で十分間に合 うというものだということと、それから、もう一つはやり方ですけれども、文章の作成 というのは会議体では非常に難しいです。ここをどうか、どうかというような形でやっ ていく方がいいと思いますので、出来ればワーキンググループでおやりいただいた方が と思うのですが。 ○松田委員  先生が今言った正当性ですよね、変えるとしたときの。それは、前半と後半がかなり ヘトロジーニアスなんですよ。今日どなたかも指摘しましたよね。前半の部分と後半の 部分が、前半を見てくると後半少し話が変わってくるのではないかというのがあります ね。 それから、もう一つは武部委員が指摘されたように、非常に大きな部分と事細かにする 部分とが混ざり合っていますよね。だから、それを整理するということです。結局、前 半と後半のリスクレファレンスを調整するということと、それから、大きな理念と細か な記載が混ざり合っているのを整理するという意味で、これを見直した方がいいのでは ないかというものをまず正当性を主張していただいて、その上に成り立ってまず大きな 規範となるべきものを、これは少なくともこれだけは絶対書いてあるのは除かないとい うものを幾つか理念を引っ張り出して、それについてちゃんと言っていただくというこ とが大事だと思います。 ただ、その前のつくり出すとか何とかという話ではなくて、そういうふうに私自身は受 け止めて聞いていましたけれども。 ○ 長谷川委員  先ほど山田先生がおっしゃっていた後半の方法論がちょっと細か過ぎるのではない か。確かに、細かいとは思うのですけれども、実はやはり検査会社の方のああいうイン フォームド・コンセントに頼っているところがあるので、やはりある程度、私は最初に たたき台をつくったときに、むしろ開業の産婦人科の先生たちとか一般病院の産婦人科 の先生にかなり相談してつくりましたので、一応現場で困っている人たちがこういうこ とをやはり説明してほしいという希望なので、方法論というよりもどっちかというと啓 発的なものかなと思っております。そのために非常に細かくなってしまったとは思うの ですけれども、実際そういうことを教育されている訳ではないし、この検査自身の一番 の問題が開業の何も知らない産婦人科の先生がぽんと出来てしまうという問題があるの でやはりかなり細かくした方が安全かなと思って書いた訳です。一応そういう理由なの で。 ○ 寺尾委員  本会が持たれたのか、インフォームド・コンセント含めて説明が不十分であるという ことでこういう会が持たれてきた経緯を考えますと、出来るだけやはりプラクティカル である方がいいと思うんです。したがいまして、松田先生おっしゃったように、前半で 理念を述べて後半は出来るだけ分離してプラクティカルな方がいいと私は思います、具 体的に。その方が実施する医師にとって参考になると思います。余りきれいごとだけで 箇条書きにしてしまうと、この会を持った意味がないし、それから、また、障害者の団 体の方たちももっと具体的に示せということを言っている訳ですから、出来るだけ私は プラクティカルな方がいいのではないかという気がしますが。 ○松田委員  厚生省の立場からされると、これはガイドラインとしてする意向があるのですか、そ れとも見解として出す意向があるのですか。そこをまず、知っておきたいと思うのです けれども、見解とガイドラインでは随分意味が違ってくるので。いわゆるオピニオンと して出すのか、それともガイドラインとして出すのか。どうしてそういうことを言うか というと、多分これはこれだけで終わらないと思うんですよ、私の考えは。この後出生 前診断全体の問題にいくでしょう。それから、生殖医療に全部いくでしょう。そうする と、このときにこの会がやったことがある意味でモデルになるかもしれない。そのとき に、果たして厚生省がその整合性といいますか、これから出るものとの間にどれだけの ものを持ち込めるかということが頭に置いておいてしないと、ちょっと方向性が定まっ てこないのではないかという気がします。先生のおっしゃっている細かいガイドライン というのは、むしろ産婦人科学会の方がやった方がいいのではないかと私自身は思いま す。むしろ、大まかなオピニオンというか概念というものを出されて、そのオピニオン を受けられて産婦人科学会が細かに出されたものをみんなに知らせるということの方が むしろ今後は対応としてはいいのではないかという感じがしたんですよ、私自身は。す べてをここで預けるのではなくて。 ○寺尾委員  先生がおっしゃるのも確かに一つの方法だとは思いますが。 ○松田委員  私が気にしているのは、これから厚生省の人たちが何を出すかというのが、まだよく 見えてこないというか。どういう立場でこれをつくられるのかなと。我々がつくるとい えば我々がつくるのだけれども、結局、厚生省のお墨つきに最後はなるというふうに考 えれば、どういうふうに考えたらいいのかなという。 ○古山委員長  答えていただけますか。 ○松田委員  いいや、今すぐ答えてもらわなくてもいいです。ちょっと詰めてほしいと思います。 ○小田母子保健課長  基本的には内容によると思うのですけれども、どういう内容のものが示されるかによ って、これに対する対応というのも多少変わってくるかなという気はします。 今の段階ではどういう形にするかというのは、はっきりなかなか申し上げられないなと いう感じなんです。  それから、こういう出生前診断に対する対応と生殖補助医療の方の対応は基本的に違 ってくるという気が今はしています。生殖補助医療の場合、行政とか制度的な対応とい うのが求められる可能性がありますので、こちらとは少し違うかなと。こちらは、やは り少しテクニカルな感じが私はしていまして、むしろ、学術的な団体等の関与が、松田 先生がさっきおっしゃったような感じにも近いのかなと。ただ、国でこういう専門委員 会を開いて検討していただいている訳ですから、やはり単なる学会レベルの話とはちょ っと違った対応というのは必要なのだろうと思います。ただ、どういう形の対応にする かというのは今のところ、コンクリートなものを持ってはおりません。 ○武部委員  たまたまエスアールエルも、イデニクスも説明資料は2つ出しているんですね。 医師向きといわゆるクライアント向きというものと。今我々がつくっているものという のは、それを折衷したようなもので、どちらかというと基本的には医師向きなんです ね。ですから、厚生省がどう期待されるかは別として、我々としてはまず基本的な見解 というものを出すと。 しかし、その見解だけでは不十分でやはり具体的なもの、まさに寺尾先生がおっしゃっ たような、では医師はどうしたらいいのかということに具体的なガイドライン的なもの まで出す必要があると我々が認めてつくったということになると思うんです。 ○松田委員  そのときは検査会社にも要りますよね。 ○武部委員  はい。ですから、更にそういう問題が出てきて、まさに今日のお話を聞いていても、 例えば極端なことを言えばダウン症の親が見ても納得し、しかも、検査会社も分かると いうのは、一つのガイドラインではどうしても出来ない。そこまでは到底3月末までに はいかないですね。だから、それを折衷した今の原案のままでいくのか、それとも見解 だけで3月いっぱいまとめて具体的なガイドライン的なものは更に時間を掛けるという ふうに、この会が決めるのかということをやはり今の時点で判断しませんと、この次の 作業は何になるか非常に難しいところへ来ていると思います。私としては少なくとも見 解の段階だけは3月いっぱいで何としても出したいし、これは恐らく厚生省としても少 なくともそれは欲しいと。 ただ、そこでは絶対我々としては打ち切りますとは言ってほしくないというのは、今後 の進め方の根本的な私の方向です。  それから、ちょっと厚生省にお伺いしたいのですけれども、さっきダウン症の親だと 思いますが、それを守らなければ罰則を設けるというようなことを言われましたが、こ れは法律でないとそんなことは出来ない訳ですね。それは、そう理解してよろしいです ね。  それから、もう一方で、いわゆる凍結という言葉がありましたが、これも法律でない 以上は禁止という形は出来ない訳ですね。そういう前提でよろしいですね。 ○小田母子保健課長  そうです。 ○ 寺尾委員  例えば、禁止というのは極端な副作用があるとか、そういうようなことがあった場合 でないと少なくとも出来ないですね。ですから、そういうことは十分ダウン症の親に対 しても説得力ある説明が出来ますね。つまり、禁止は出来ない、それから、罰則も出来 ないと。これは法律ではないのだからということで、見解であればそれでいいですね。 ○古山委員長  ありがとうございました。  私、武部先生の前に申し上げようと思ったのは、まさに似たようなことでして、先ほ ど松田先生、それから、武部先生、寺尾先生お三方から同じような御意見が出たのです が、この見解案は理念的なものでまずまとめて、それにアペンディクスとして具体的な ものをくっつけると。そういう御意見が出た訳ですね。そういう作業をしようとしまし たら、山田先生もおっしゃいましたけれども、やはり作業部会をつくらないとこういう 会議時にはそういうのはなじまないというふうにおっしゃっていました。いかがでしょ う。長谷川先生も先ほど理念的なものと、それから、具体的なものと分けるということ のお話の中で首を縦に振っていらしたので、イエスという意思表示ではないかと思った のですが。 ○長谷川委員  先生方のおっしゃっておられるのと全く同じで、前と後ろの差というのが感じられま すので、やはり分けて考えた方がいいと思って、それから、ちょっと具体的に違うもの だと思います。 ○古山委員長  まだ1週間経っていないと思いますけれども、京都大学の母体血清マーカーの講演会 セミナーがあったときに、私も出席しまして武部先生とお話し合いをしたのですが、そ のときに全く武部先生がお考えになられた前半部分と後半部分を分けると。後ろの方は アペンディックスにするという考え方は、私も実はそういう考え方を持っていまして、 全く同じことを考えておるというふうに武部先生とお話し合いをしまして、武部先生が 厚生省の方にそういったものについては具体的に意見として出してくれるということで した。ほかの先生方はいかがでしょうか。鈴森先生、安藤先生。 ○鈴森委員  それで私は結構です。全く寺尾先生と同じ考えで、前と後との整合性というのか、前 が理念で後は方法論だと思いますので、そこのところをきちんとクリアに分けてやって いただければと思っています。やはり使うのは我々産婦人科医というのが対象になりま すので、我々が理解しやすい形のものを。 ○松田委員  実際にやり方の方法論を具体的ね。 ○鈴森委員  そういうもう少しプラクティカルな、先ほど先生がおっしゃったようなそういうもの に向かった作業を進めて、理念が終わった後でいいですけれども、進めていただきたい なというふうに思っています。 ○安藤委員  私も今までに出されている見解案のことでいろいろな方からのお話を聞いているとこ ろでは、大ざっぱな本当に理念的なことは出されているのですけれども、その方法論、 具体的なところが出されていないので、あれはどんなふうにでも取られるのではないか ということがよく聞かれるんです。ですので、やはり具体的なところを今回は是非私は 入れていきたいなというところで考えてきた訳なのですけれども、確かに、この見解の 案を見ますと、非常に最初の方は理念的なところできていますので、そういうところで は分けてもいいかなというところでは私も賛成です。 ただ、本当に実践の場でどのようにやっていったらいいのかという具体的なところは出 していかれれば、そういう体制を取っていくときの資料にもなっていくのではないかな というところで、是非そちらの方も検討していきたいなと思っております。 ○古山委員長  ありがとうございました。事務局の方で、皆さん理念と具体的なことを分けてよろし いという御意見ですが、作業部会を開くとしましたら次の会議までの間に持てますでし ょうか、大丈夫でしょうか。ですから、会議が3月19日ではなしに、 もっと先になるか。 ○小田母子保健課長  その作業部会というのはどういう構成メンバーでやられる作業部会ですか。 ○古山委員長  前回は……。 ○小田母子保健課長  前回は勿論存じておりますけれども。今回の作業部会は前回の4名でやられる作業部 会のことをおっしゃっている訳ですか。 ○古山委員長  4名プラス松田先生がお入りになっていただけたらと。お入りになった方がいいので はないかと私は思うのですが。ほかの先生方いかがでしょう。5人になりますが。 ○北島課長補佐  ワーキンググループを開く理由について、一つ確認をさせていただきたいのですけれ ども、先ほども山田委員の方からこういう文章をつくるのはこういう会議形式だと難し いというお話でワーキングをという御指摘がございましたけれども、そういった理由で 先生方も是非ワーキンググループを開いた方がいいという御意見と承ってよろしいので しょうか。 ○古山委員長  それと、もう一つ、先生方ほとんどの方が前半部分と後半部分の整合性がよくない と。それをやはりきちんとした方がいいのではないかという御意見なので、そこらの調 整も含めて。 ○北島課長補佐  そういった調整をする際に、大変時間が掛かるのでワーキングで長時間議論した方が いいという御趣旨と理解してよろしいですか。 ○古山委員長  ではないかと思います。 ○鈴森委員  これだけ意見がたくさん出された訳ですから、それをどこまで取り入れて次のいわゆ る見解というか前文をつくるかということになると、かなりしんどいのではないかと。 ○古山委員長  それともう一つ、今日ヒアリングがありましたので団体からの御意見をどういうふう にこの見解案の中に生かせるかと。そういうことも含めてワーキンググループでたたき 台をつくって、それから、委員の先生方に全部提示しまして、それから、これでいいか どうかということになろうかと思いますが。 ○北島課長補佐  もし、そういった必要性があるということでございましたら、開催は可能かと思いま す。ただ、次回19日、なかなか19日を決めるのも結構大変だったものですから、その間 にもし開いていただけるようでしたら19日はそのままにしておきましてそれまでの間に 一度ワーキンググループを開催していただいてもよいかと思います。 ○鈴森委員  19日までにもし出来れば2回ぐらいでしょうか、やらないと。 ○武部委員  ちょっと委員長、今のはあくまでも今まで議論している前半ということに関する文章 の統一ですか。後半も。 ○古山委員長  後半も多分入ってくるでしょう。 ○武部委員  しかし、後半を字句まで論じるのは到底時間的に無理ですね。 ○鈴森委員  ですから、前半の合意が得られないと後半が出来ないです。 ○武部委員  前半だけにしますと、やはり後半で先ほど松田先生が御指摘になった、例えば知らせ てはいけないといのうのが実は前半に入っていなくて後半にしか入っていないん ですね。 ○鈴森委員  両方入っていますよ。 ○武部委員  全部入っていますか。問題になった文章。 ○鈴森委員  下のものは「積極的に」がないんです。 ○松田委員  全体の中の流れとしての理念というふうに考えられて、別に真ん中で切って前と後ろ というのではなくて……。 ○古山委員長  一番最後の文章がありますね。行政部分というところ。それは、理念の中に入ってく るのだろうと思うんです。 ○武部委員  一番最後ですね。今後こういうことが望まれると。 ○鈴森委員  それから、武部先生がおっしゃった母体血清マーカー検査の実施に関する指針という のは、別個立てにするということですね。 ○武部委員  今度のワーキンググループではそこまでは議論しない。 ○鈴森委員  したいけれども……。 ○ 武部委員  その大筋は示すけれども、字句まではいじらない。そうしないと時間的に。 ○鈴森委員  いや、出来ないと私は思うけど。 ○小田母子保健課長  議論しながら一つ一つ文言を修正していくというのは、時間が掛かるし、ほとんど進 まないと思うんです。どなたかが責任を持ってすべての意見を入れられるものは入れて しまって、入れられないものはこういう理由でここには入りませんというような整理を しないと、これでワーキングを開いたところで、まず1行進むのに相当な時間が掛かっ てしまうということになってしまうのではないでしょうか。これまで、ある程度の回数 を開いてここまでまとめてきた訳ですから、これが何か突然全然違うものになる訳では ないと思います。4番目以降を具体的に分けて、もうちょっと記載を見直すという話の ように私は承ったのですが、何か4番目が全然違う形になって生まれ変わってくるとい うふうには理解していないのですけれども、そこら辺はまるっきり違うものにするとい うことなのでしょうか。 ○古山委員長  いかがでしょうか。先ほど医者向けと検査会社向けでは別な部分があった方がいいの ではないかというような御意見もありましたけれども、そうなってくると。 ○松田委員  前半の理念の問題も確かにある程度詰められたと思うのですけれども、やはり流れの 中にもう少し足さなくてはいけないものも確かにあると思うし、それは私は調査を出し ましたけれども、そういったものを全部一遍入れていただいて、確かにどなたかがまと められてそれでというのも一つの方法論ではあろうかと思いますけれども。 ○長谷川委員  これは医師向けと検査会社とおっしゃいましたけれども、検査会社がこういうものを やっていくのではおかしいので……。 ○ 武部委員  検査会社から医者向けと医者がクライアントに説明するのという意味です。 さっき問題になったのはそういう意味なんです。 ○ 松田委員  先ほどの一番大きな問題点は、知らせるべきではないというのと、それはちょっと強 過ぎると私は何回も言っているのだけれども、それは山田先生もおっしゃっているのだ けれども、その辺のところの問題をどのようにして解決するかという問題があるでしょ う。だから、それはこのWHOが書いたガイドラインがあるのだけれども、その前のガ イドラインを見るとちゃんとパンフレットをつくれと書いてあるんですよ、逆に。だか ら、私の考えでは、そのときにやはり検査会社がつくるパンフレット、医者がつくるパ ンフレットはいいけれども、それと同じぐらいの領域をダウン症の親の会の方がつくっ たパンフレットと抱き合わせたものを渡すとか、一方的な数字ではなくて、そういうふ うなところまで考えた方がいいのではないかと思います。そうすると、ダウン症の親の 会の人たちが書いたものと、前の方のページは検査会社及び我々の委員会でもいいと思 いますけれども、非常にナチュラルなものを書いたものと抱き合わせたものを渡すと。 そして、見せるとかいろいろな方法があると思うんですよ。 ○ 武部委員  だから、今の厚生省の御意見をもしそこで取り入れるとすると、我々としてはあくま でもファイナルではなくて第一段階として、ともかく具体的なガイドラインを原則とし て、今我々がつくっているのは明らかに医師向けですね。少なくともクライアント向き ではないですね、一般ファミリー向きではない。だから、あるいはそういう注釈をつけ て、とりあえず実施する医師に対して最低限これだけの指針は守ってほしいという趣旨 でつくったものだということを入れれば、私は今の厚生省の御期待には沿えると。  しかし、あくまでもそれは今おっしゃったようなこれだけで終わるのではななくて、 もっとプラスのことをこれからも審議しなければならないし、場合によったらいろいろ な提案も受けつけるという姿勢を残すという、先生のおっしゃるとおりです。外国では 必ず親の会のパンフレットなどは医者の手元に積んでありまして、それを複数渡してい るという事実を私もアメリカで聞いてきましたので、日本ではそういう体制は今のとこ ろないですね。少なくともやる努力をしなければいけないと思います。 ○小田母子保健課長  例えば、今の親の会と検査会社サイドといったもののパンフレットを合わせて出すと いうことについては、この中で具体的な提言として挙げてもらえればよろしい訳です ね。それを具体的に何か委員会でまた独自のものをつくっていくとか、そこまでは要求 されてはいないと思っています。要するに、どういう方法論でやっていくかというとこ ろまでは要求されていることで、具体的にどういう形でやるかというところは、また、 今度は学会なりあるいは研究会なりを別途組織して、その具体的フォーマットなり何な りをつくっていくという作業はまた別の作業で、今のところはやはりどういう形でやる べきかというところまでで議論をまとめていただきたいなという気がしております。 ○古山委員長  ですから、今からもし作業部会を開くにしても、今までつくってきた見解案を中心に 前半部分と、それから、後半部分の具体的なところをアペンディックスにする作業、そ れもそう大幅には変えないという形でまとめていけるのではないかというふうに私は考 えるのですが、いかがでしょうか。 ○小田母子保健課長  もしも、委員長先生のお許しをいただければ、得られた意見を全部足したり引いたり して文章を一つつくって、さらにこれが足りないとか、これはさっき言った知らせるべ きではないと知らせるべきであるとを意見が分かれているとか、そこら辺の一つとの整 理したものが必要になってくると思います。その作業は事務局の方でやらせていただい て、この報告書案に対するいろいろなご意見を取り入れた文章をたたき台として御提示 させていただいて、それをワーキンググループでたたくというような形だと時間的には かなり節約は出来るかなという気はしています。 ○古山委員長  私は最終的には委員長がやらなければいけないかなと腹をくくっていたのですけれど も。 ○松田委員  それは、やはり委員長がやるべきですよ。 ○古山委員長  でも、まず事務局にそういう作業をしていただいたのをいただきまして、作業部会の 方でそれを基に。 ○松田委員  先生、少なくとも確認しておきたいのは、ある程度皆OKだと思うのだけれども、法 律の言葉です。優生だとかここでは胎児がダウン症と決まっても中絶が出来ない、法律 に出来ないとかああいう言葉はやはり避けることは非常に幾つかの基本の点だけは是非 ともまず押さえておいていただかないと、つくられてから…。 ○古山委員長  おっしゃる意味はよく分かります。今、決めますか。 ○北島課長補佐  先ほどのワーキンググループの先生方お名前挙がりましたが、日程だけ今、調整させ ていただいてよろしいでしょうか。 (日程調整) ○小田母子保健課長  では、2月18日の10時半から東京で開催ということでよろしいですね。 ○北島課長補佐  それでは、10時半からの予定で会議室等確保したいと思います。松田先生がお帰りに なられる時間もありますが、一応、10時半から夜までという御予定でよろしくお願いし たいと思います。 ○鈴森委員  それから、もしつくっていただけるなら、少し早目に送っていただければ。 ○北島課長補佐  事前にお送りして、即そこで意見交換が出来るような形にさせていただきたいと思い ます。 ○鈴森委員  それを一番お願いしたいです。 ○古山委員長  今日、逐条審議をしていくべきかどうかということで結局それには入らずに、ワーキ ンググループをつくってもう一度案をつくるということになりました。2月18日ワーキ ンググループの先生方には御苦労ですが、是非ともよろしくお願いいたします。  今日は、4時半に一応終えるつもりで、4時半までにはちゃんと時間どおり終了にな りました。これからが大変だと思いますが、どうぞ先生方よろしくお願いいたします。  では、これをもちまして議事全部終了したということで、解散にしたいと思います。 長時間ありがとうございました。   問い合わせ先    所属:児童家庭局母子保健課    担当者:北島智子・武田康祐    電話:内線3173・3179