99/01/14 公衆衛生審議会精神保健福祉部会議事録 公衆衛生審議会精神保健福祉部会 議 事 録 厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課 議事次第  日 時 平成11年1月14日(木) 15:00〜17:15  場 所 厚生省特別第一会議室(7階)   1 開 会   2 議 事    (1)精神保健福祉法の見直しについて(公衆衛生審議会意見書(案))    (2)精神病床のあり方について    (3)公衆衛生審議会精神保健福祉部会の会議の公開について    (4)その他   3 閉 会 〔出席委員〕 大 熊 委 員  岡 上 委 員  笠 原 委 員  河 ア 委 員   北 川 委 員  吉 川 委 員  窪 田 委 員  小 池 委 員   融   委 員  新 田 委 員  藤 原 委 員  古 谷 委 員   牧   委 員  町 野 委 員  三 浦 委 員  宮 坂 委 員   谷 中 委 員  渡 邉 委 員 ○部会長  定刻になりましたので始めさせていただきます。  今回も渡邉委員のご紹介で、東京精神医療人権センターの小林信子さんの傍聴のご希 望があります。許可いたしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○部会長  では、前回どおりにいたします。  それから、きょうは議事を始めるに当たりましてお願いがございますが、1週間前の 部会で皆様にご討論いただいたところを私も目を通し、大体きょうの案に盛り込んだつ もりでございます。できれば、本日は30分ぐらいでご審議いただいて、文言等について も訂正をお願いして、そして、できますれば、最後に意見具申を厚生省に対していたし たいと考えております。  そう申しますのは、皆様ご承知のように、私どもの任期はあと1週間足らずでござい ますので、ここで仕上げたいと思います。どうぞご協力のほどをお願いいたします。  まず、本日の委員の出欠について事務局からご報告を賜ります。 ○杉中補佐  本日は、精神保健福祉部会委員22名中、17名の委員にご出席いただいております。定 数の過半数を満たしておりますので、部会の開催は成立いたしております。  なお、本日、欠席される旨のご連絡をいただいている委員は、相澤委員、井上委員、 紀内委員、冨永委員、藤井委員の5名でございます。 ○部会長  ありがとうございました。  では、資料の確認をいたしましょう。お願いいたします。 ○杉中補佐  それでは、確認させていただきます。  まず、資料1といたしまして、「今後の精神保健福祉施策について(案)」でござい ます。  資料2、「精神病床等のあり方に関する検討部会報告書概要」でございます。  資料3、「精神病床等のあり方に関する検討部会報告書」。  資料4、「医療法改正のスケジュール(見込み)」。  資料5、「精神病床の新たな機能区分の設定について」、議論のためのメモでござい ます。  資料6、「公衆衛生審議会精神保健福祉部会の会議の公開について」。  資料7、「公衆衛生審議会精神保健福祉部会の公開について」。これは1昨年に出し たものでございます。  資料8、「公衆衛生審議会の公開について」。  資料9、「公衆衛生審議会の公開状況等について」。  資料10、「平成8年度患者調査について」。  以上でございますが、欠落等ございましたら、事務局の方まで申し出てください。以 上です。 ○部会長  よろしゅうございましょうか。  では、早速資料1、先ほど申しました案につきましてご審議をいただきます。ご説明 をいただきましょう。 ○杉中補佐  それでは、説明をさせていただきます。  前回、部会長から発言がありましたとおり、訂正いたした箇所について下線を引いて おります。時間の関係等もございますので、下線部の変更部分についてのみご説明をさ せていただきます。まず、1ページをごらんいただきたいんですけれども、「基本的な 施策の方向」の中の2つ目のマルといたしまして、新規の入院患者の平均在院日数は、 短期化しつつあるということを盛り込むべきだというご意見がございましたので、この ようにつけ加えさせていただきます。下線部分を読ませていただきます。  「また、新規入院患者の平均在院日数は、短期化しつつあるが、長期入院患者を中心 として、その社会復帰を推進していく必要がある。」 ここでは単科の精神病院だけではなくて、精神病床を有する病院等についても含むと いうことを確認していただきたいという意見がございましたので、このように書いてお ります。「さらに、精神病院(精神病床を有する病院を含む。以下同じ。)や社会復帰 施設は地域偏在が著しくなっており、各地域での取り組みを推進する必要がある。」  次に2ページをお願いいたします。体制整備のところに、精神障害者のノーマライ ゼーションということを書き込むべきだというご意見がございましたので、ここに「精 神障害者のノーマライゼーションを推進するために、身近な地域において総合的な保健 医療福祉サービスを受けることができる体制を整備していくことが必要であり」とつけ 加えさせていただいております。  以上、「基本的な施策の方向」についての変更部分でございます。  あと「具体的措置等について」の項ですが、まず、「人権に配慮した医療及び福祉 サービスの提供について」のアですけれども、医療保護入院の要件は全く理解できない 状態であることを固定化するのが非常に難しいのではないかというご意見等もございま したので、「ほとんど理解できないと精神保健指定医が判定したものとすること」と直 させていただいております。  次に閉鎖処遇のところでございますけれども、これにつきましても、任意入院患者本 人の意思に基づいて入院を受ける任意入院患者は原則開放処遇とすべきである。本人の 意思に基づかない入院をしているものについては、閉鎖処遇が必要である場合もあるけ れども、そういう場合につきましては、患者の適切な保護を行うためにも、医療保護入 院とするべきであるというご指摘がございましたので、そういうふうに変えており ます。ただし、任意入院患者の病状が悪化して、医療保護入院に固定化して切り替える までの期間といったような、「治療上やむを得ない場合に限り、閉鎖処遇を行えること とすること」と書いてあります。もう一度読ませていただきます。  「精神病院におけるいわゆる閉鎖処遇について、任意入院患者の約半数近くが閉鎖処 遇の実情にあるが、入院制度の趣旨を踏まえ、任意入院患者は開放処遇とすることと し、開放処遇できない状態にある場合は、精神障害者の適切な保護を行うためにも、医 療保護入院とするべきである。しかし、任意入院患者の病状が悪化した時など、その治 療上やむを得ない場合に限り、閉鎖処遇を行えることとすること。  このような場合を含めて、閉鎖処遇の手続き及び概念を明確にするため、精神保健福 祉法第37条第1項に定める処遇の基準として位置付けること」。 次に3ページに移らせていただきます。3ページのキでございますけれども、新たに 精神保健指定医に診療録記載義務を課すについては、特に医療保護入院の判定と入院手 続等で記載している場合もありますので、過度の負担にならないというような工夫が必 要であるというようなご指摘と事務局はそのような返答もさせていただきましたので、 「なお、その際には精神保健指定医の職務遂行上、過度の負担が生じないよう配慮する こと」ということを追加させていただいております。  また、精神保健指定医の報告についてでございますけれども、それについても処遇の 改善が図られることを目的として報告するということを明記するべきだというご意見を いただきましたので、「処遇の改善が図られるよう管理者に報告することとすること」 と書き加えさせていただいております。 次に「医療の確保対策について」でございますけれども、前回の書き方では、民間病 院が救急医療機関としての役割を果たすというところがいま1つはっきりしなかったと いうご指摘等ございましたので、後段で書いてある「また、同時に国公立病院等につい ては、救急医療機関としての役割を民間病院とともに担うほか、これらの民間病院等を 支援する病院としての役割を果たすこと」という形で、国公立病院については、救急医 療機関としての役割のほかに民間の救急医療機関の支援とするという役割があるという ことを明記させていただいております。  次に仮入院でございますけれども、これにつきましても、患者の人権を侵害するおそ れは、制度の設立当初につきましてはそういう必要性があったのではないかというご指 摘をいただきましたので、「また、現状においては」という言葉を追加させていただい ております。  次、4ページでございます。オでございますけれども、省内の中で国立療養所等の役 割について記載をしてほしいという申し出がございまして、ここの「国立病院・療養所 については、再編成・合理化の基本指針に基づき精神科救急への対応、薬物依存や合併 症を有する患者への対応に重点を置いていくこと。」という項目を追加させていただい ております。  5ページでございますけれども、「関係機関の役割分担について」という中でござい ますけれども、まず、心の健康ですけれども、保健所の役割といたしましては、心の健 康だけではなくて、心の健康づくりというものを必要であるというご指摘をいただきま したので、「心の健康に関する相談や、心の健康づくりを推進すること」ということを 追加させていただいております。  また、今回、新たに福祉に関する事務を市町村で行わせるということにつきまして、 ただ、そういうことによって、保健所が精神障害者の福祉等に関する役割がなくなるの ではなくて、一体となってやっていく必要があるのだということを明確にする必要があ るという意見をいただきましたので、最後に「市町村及び福祉関係機関と一体になっ て、精神障害者の社会復帰及び、その自立と社会経済活動への参加を促進すること」と いうことを書き加えさせていただいております。  次のページでございます。まず 2に「利用の援助」、これはケアマネジメントという ことと必ずしも一致しない可能性もありますので用語を変えさせていただいており ます。  次に「また」以下でございますけれども、「また、一つの市町村では対応が困難な各 種のサービス(社会復帰施設サービス等)が面的・計画的に整備されるよう、都道府県の 支援の下、障害保健福祉圏域による広域的なサービス提供体制の整備を推進すること」 ということで、このような施設サービスにつきましても市町村は都道府県と協力して地 域的にバランスのとれたサービス提供体制を推進する必要があるということを書き加え させていただいております。  また、「(6)その他」のアのところですけれども、前回、説明させていただいた趣 旨に従いまして、「近年大きな社会問題となっている薬物依存者について、その福祉施 策の充実を図るため、覚せい剤慢性中毒者についても他の薬物依存と同様に、精神疾患 と同じ取扱いをすることが必要である。このため、覚せい剤慢性中毒者を精神保健福祉 法の対象外とするものではないことに留意しつつ、精神保健福祉法第44条を削除す る」という形で書き改めさせていただいております。  次に「引き続き検討すべき事項について」のアでございますが、まず定義につきまし ては、「個別の疾患名を例示する方法の是非を含めて、種々検討を行ったが、その在り 方について引き続き検討を行うこと」とさせていただいております。  最後のウでございますけれども、精神医療にかかる情報公開の在り方というご指摘が ございましたので、これは「医療全体の中で、精神医療にかかる情報公開の在り方につ いて検討していくこと」という形で、検討事項として追加させていただいております。  以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。  それでは、先ほど申し上げましたような要領で、つまりご訂正の箇所につきまして は、文言も含めてご指示をいただきたいと存じます。どうぞ、渡邉委員。 ○渡邉委員  2点意見申します。2ページの(1)のイ、「開放処遇できない状態にある場合は…… 医療保護入院とすべきである」という文章を削除していただきたい。その理由は、前回 の案は医師の診察の結果、必要と認める場合は閉鎖処遇を行えるものとするとありまし たが、それではあいまいだということでこれをお書きになったと思いますが、こういう 表現をすると医療保護入院の場合は、逆にすべて閉鎖処遇でもいいのだという現状が固 定化されていきますし弊害が大き過ぎると思います。  もう一点、6ページ、「引き続き検討すべき事項について」という大きい項目との関 係で、実は当面講ずるべき具体的措置に限って答申するということで、多くの要求を抑 えてきたわけです。当面、引き続き検討すべき事項が、ア、イ、ウだけに限定される と、保護者制度の全般にしても、医療審査会の事務局の独立化にしても、これでいいの ではないかというような誤解も生む可能性がございますので、これは「当面早急に引き 続き検討すべき事項に」という程度にしていただいて、その他、検討すべき事項はたく さん残っているのだという含む趣旨を明確に残していただきたい。 ○杉中補佐  まず、順序を変えて、医療審査会等の話につきましては、独立性を確保することが望 ましいがと。ただ、当面はという形で本文の方に書いておりますので、問題意識として は引き続きあるということが書かれていると考えておりますが、「当面引き続き早急 に」というご提案で、委員の皆様方がよろしいのであればお決めいただければと思いま すけれども。 ○部会長  まず、2番目からいきましょうか、簡単な方から。それでよろしゅうございますね。 当面、早急に引き続き検討すべきという意味ですから、明確にいたしましょう。そこ で、5字ですか、「当面、早急に」、「早急に引き続き検討すべき」。渡邉委員どちら ですか。 ○渡邉委員  私が言いましたのは、3が「当面講ずるべき」となっていたもので、この言葉を申し 述べましたが、お任せします。 ○部会長  では「早急に引き続き検討すべき事項」、では、「早急に」という3字を入れさせて いただきます。  もう一つの前の方。 ○杉中補佐  前の方ですけれども、ちょっと趣旨の書き方が好ましくなかったのかもしれないです けれども、任意入院制度と、みずからの意思で入院を決定しているものについては開放 処遇であるべきだと。みずからの意思で入院を決定してないものにつきましては、やは り本人の保護を図ると。医療保護入院自体はいろいろな法律手続等もございますので、 そういった形でみずからの能力が十分でない人については保護を図っていくべきではな いかという趣旨でございまして、医療保護入院なら全部閉鎖でいいのだというような趣 旨で書いておるわけではございませんけれども。 ○部会長  先生、私が考えたんですが、最後に「閉鎖」ということをさらに限定して言っている わけで、私もその意味は十分わかっているのですが、これで意味は通じるのではないか と思ったのですが、どうでしょうか、町野先生のご議論を伺いましょう。 ○渡邉委員  そうですね。 ○町野委員  イのところなんですけれども、この書き方ですと、まず任意入院の人、つまり自分で 入院する意思を持った人間も医療保護入院にできるかのように読めるわけですね。それ は今までの解釈とは違っていただろうと思うんです。恐らく今補佐が言われましたとお り、医療保護入院にする患者については、それはきちんとやりなさいというだけのこと なので、そう考えますと、恐らく下線がある「開放処遇できない」云々から、 「しかし」の前までは、渡邉委員が言われるように削除した方が恐らくミスリーディン グじゃないだろうと。これですと、入院したいと本人が積極的に言っているにもかかわ らず、入院させておいたら、こいつは危ないんじゃないかと、そう考えたときは全部医 療保護入院にしちゃえということになるわけですから、本人が入りたいと言っているに もかかわらず、医療保護入院になるという解釈を認めるかのような読み方になりますの で、そのこともありますから、これは削除して、「しかし」以下のところを少しきちん と書いて、やはり閉鎖にする必要があるときについてはこれはできるけれども、そのと きもきちんと判断しなさいということが妥当なのではないかと思いますが、今、渡邉委 員が結論的に言われたことでいいのではないかと思います。 ○部会長  そういうご意見でありますが、どういたしましょうか。その一文を削除ということで すね。 ○宮坂委員  よろしいでしょうか。 ○部会長  どうぞ、宮坂委員。 ○宮坂委員  この先にありますイの最初のところに「閉鎖処遇について、任意入院の約半数近くが 閉鎖処遇の実情にあるが」。これは今までの任意入院の考え方があいまいであるので、 任意入院はあくまでも法にありますような形の任意入院してほしいということ。  そして、もう一つ、半数近くが閉鎖処遇になる。閉鎖処遇であるならば、きちんと医 療保護入院しなければおかしいんですよということですから、この文章を、渡邉委員の おっしゃるような形で読もうとすれば読めますので、任意入院の患者、医療保護入院の 患者、これはそれなりのきちんとした法に従ってやらなければだめですよということを ここに書きたいということだろうと私は思っております。ですから、その趣旨がはっき りすればいいのではないか。現状、任意入院の患者さんが半数近くが閉鎖処遇になって いることはおかしいわけですから、それを何とかしなければならないということでここ に書かれた文章ですから、それをわかるようにしてほしい。この書き方がいいかどうか はまた読み方があるわけですから、そういった趣旨に読めればいいと。 ○部会長  どういうふうな文言にしたらいいですか。 ○宮坂委員  ですから、この上の文章が、閉鎖処遇について半数近くが任意入院のままになってい るのはおかしいということはあるわけですから、そういう事情にある入院制度の趣旨を 踏まえて、任意入院患者、医療保護入院患者については法に従った形できちんとやりな さいと書くかどうかということだろうと思います。それではいけないのでしょうか、渡 邉委員。 ○部会長  どうぞ、河ア委員。 ○河ア委員  それと関係あるんですけれども、「開放処遇」という定義は各都道府県によって違う わけなんですよね。開放処遇というのは、どの程度のを開放をすると開放処遇というの かということはどこにも書いてないでしょう。閉鎖処遇というのはどうか。閉鎖という のはずっと24時間閉鎖しておるのか、開放処遇というのは1日のうちに何時間かしてお るのか、それは各都道府県によっての見解が違うから、調査のときにいろいろと、閉鎖 処遇が60%、70%というようなことにも出ておるのではないかという気もするんですけ れども。 ○部会長  小池委員。 ○小池委員  今のご意見に関連して、私の知る限りでは、厚生省や各都道府県も調査をするときの 基準に、「8時間以上開放をしているのを開放病棟とみなす」、そういう基準でやって いるので、2時間や3時間は開放病棟とはしてないはずです。我々はずっとそういうふ うにやってきたんですけど、大阪は違うのでしょうか。 ○河ア委員  8時間というのをはっきりと、大阪だけじゃなしに都道府県によって違うように自分 は思っております。 ○小池委員  私の記憶では国の調査票の備考のところに書いてあるんですよ。 ○三觜課長  私どもが開放率何%と呼んでおりますのは、今、小池委員がおっしゃられたように、 「1日8時間以上開放されているもの」ということで、きちんと統計をとるときには文 書で指示しておりますので、それに従って計上されていると考えておりますので、その 開放率のとり方が都道府県によって違うことはないものと考えておりますが、一部開放 処遇、閉鎖処遇につきまして、解釈が異なるところが見られるのもまたこれ事実であり ますので、今回のこの問題につきましては、閉鎖処遇についての考え方をきちんと改め てお示ししたいということであります。 ○部会長  ということで、この文言をどういたしましょう。町野先生、渡邉先生のご意見は。ど うぞ、何か提案をしてください。 ○杉中補佐  みずからの意思で入院している人は医療保護入院になるというように読めることが問 題であれば、「任意入院患者は開放処遇とすることとし」という形にして、「みずから 入院の必要性についての判断ができず、精神障害者の適切な保護を行うために開放処遇 ができない状態にある」とか、「閉鎖処遇が必要な状態にある場合は医療保護入院とす るべきである」とか、そういう形にさせていただくのは。 ○部会長  渡邉先生わかりますか。そうすると今の真ん中の行を削って「任意入院患者は閉鎖処 遇とすることとし」、渡邉先生のおっしゃるように「しかし」まで削って、そして、 「任意入院患者の病状が悪化した時など、その治療上やむを得ない場合に限り、閉鎖処 遇を行えることとして、そのときに医療保護入院とする」というふうに書くということ ですか。 ○杉中補佐  ちょっと違いますね。 ○宮坂委員  入院制度の趣旨が、今、医療保護入院、任意入院で8時間は隔離可能だとか何とか言 っているわけですね。それがはっきりしないというわけですから、任意入院というのは すべて開放処遇、開放処遇にしなさい。そして開放処遇できない人はきちんと法的手続 をとらないと人権の侵害に及びますので医療保護入院という形でしっかりやってくださ いと、そういう趣旨でここへ書かれているのではないかと思うんですが、それですとい けないとおっしゃるならば、これはどういうことにするのか。今それが問題なんだか ら、それを法的にはっきりしてやったらいかがなんですか、その趣旨で書いてあるのだ ろうと思ったものですから、そういう発言をしているわけですが、渡邉委員の話ですと 何かそこの点がはっきりしないんですね。だから、そこの点を任意入院は開放処遇なん ですよ、それだけ書けば事足りるとするのか、医療保護入院というのはしっかりわかっ ていることだから書かなくてもいいとおっしゃるならば、それでもいいのかなと思って いるんですが、いかがでしょうか。 ○渡邉委員  私に少し混乱があるかもしれませんが、現状がだめだということはわかります。しか し閉鎖処遇ないし、そうする場合は、医療保護入院にすれば法的なことがクリアーされ ますからそうしてくださいと言ってしまうと、悪いところがどんどん追認されるわけで す。だから、その裏を裏を見ているといったご批判かもしれませんが、現状は何か言う こと聞かないと医療保護に切り替えるぞという形で、患者への脅しみたいのが現実に行 われているのです。だから、こういう場合は医療保護入院に切り替えなさいということ は極端に言えば言わないでほしいと。  今の宮坂委員のご意見も確かにごもっともで、そういう意味では「任意入院患者は開 放処遇とすることとする」と切っていただくと、私としては趣旨に合います。 ○部会長  あと全部切っちゃうんですか。 ○渡邉委員  はい。私はもう一つ、閉鎖処遇の概念がちょっと違っていたんですね。任意入院患者 などが一時的に病状が悪化して非常に見守らなければいけない、完全に自由行動をさせ ることができないという緊急事態のときに、それはそれでお医者さんの指導のもとに短 期の保護を図るのは当然だというのはやや頭にあるわけです。そうするといちいち入院 の趣旨を切り替えて、今度は長期に閉鎖処遇にするとかということは必要ないのではな いかということがありました。入院形態と患者の処遇が一時的にどうなのかということ とは別問題だというのが理念的に頭にあるわけです。  そういう意味で、現状の悪い方に追認ないし利用されるおそれがあるので、閉鎖のと きは医療保護入院に切り替えなさいという言葉は何とか使わないでほしいというのが私 の希望です。 ○部会長  どうぞ、町野先生。 ○町野委員  結局これやり方として、この文案の考え方は、渡邉委員が指摘されましたように、閉 鎖あるいは何らか制限を課すときは医療保護入院を運用しろと。ただ、今のとき、医療 保護入院をやることができるためには患者に意思能力がない場合に限られるから、その 趣旨を今度ははっきりさせようというのが先ほどのご提案だったろうと思うんですね。 しかし、考え方としては、原則、法の趣旨は、任意入院者でも行動の制限がかかります ら閉鎖病棟に入れるのも処遇のうちの1つなんですね。ただ、それが一律にといいます か、4割ぐらいがみんな最初からそれでやっているのが問題なのであって、ここに書い てあります37条1項がそうですね。37条1項によってある場合には閉鎖することもでき るし、行動の制限を課すこともできるけれども、任意入院患者について、それを安易に やってはならないと。だから、むしろ任意入院患者についてもできるけれども、今まで 余りにも安易過ぎた。だから、やるときには非常に必要やむを得ない場合に限るべきだ という趣旨をはっきりさせる方が私はいいのではないかと思いますけれども、恐らく渡 邉委員の言われるのもその趣旨ではないかと思います。 ○宮坂委員  私はそういうふうにとられている精神病院が情けないような気がするんですね。やは り法があって、法をきちんと遵守するようにしていかなければいけないのではないかと 思うものですから、渡邉委員の開放処遇できないものは全部医療保護入院していってし まって、入れておいて知らんぷりしているから気楽でいいんじゃないのというようにと られることはかえって私は偏見であろうと思います。 ○渡邉委員  現状はそうです。 ○宮坂委員  いや、先生のおっしゃる病院は残念ながらそうかもしれませんが、今、多くはそうで はないだろう。これはなぜかといいますと審査会等もあるわけですので、これをやっち ゃいけない、あれをやっちゃいけないという病院を取り締まるようなことではなくて、 患者さんの人権を確保するような形で考えていく方が私はいいのかなというふうに思っ て、任意入院患者の半数近くが閉鎖病棟にあるのはよくないと。閉鎖病棟へ入れたって 閉鎖処遇でなくて、すぐ出したり入れたり、入りたいといって入るという、これは今の 病院の状況を見ますと、そうせざるを得ないところもあるわけですが、任意入院といっ たらあくまでも開放処遇なんだと。  あと、閉鎖に入れたり、人権の侵害するのは、ちゃんと法的手続をとってやらないと 人権侵害起きるんじゃないですかという形のことを私は申し上げているので、そうやっ たら医療保護が増えちゃうというのもどうか、それでは医療保護入院なんかしないで、 任意入院で半数近くがこういう形でやっているのはそれでよしとすべきではないかと。 私はそれがあるからきちんとしましょうという方がいいのではないかと思うんですが、 そこの点がどうも食い違って、病院を信用する人と信用しない人の差かななんて思って いるんですけれども。 ○部会長  両方の意見があるのでしょうが。補佐どうぞ。 ○杉中補佐  もう一度、今、課長と打ち合わせしたものを読まさせていただきますけれども、「精 神病院におけるいわゆる閉鎖処遇について、任意入院患者の約半数近くが閉鎖処遇の実 情にあるが、任意入院の趣旨を踏まえ、任意入院患者を開放処遇することとし、任意入 院患者の病状が悪化したときなど、その治療上やむを得ない場合に限り閉鎖処遇を行え ることとすること。なお、入院患者が入院の必要性が判断できない状態になり、長期に 開放処遇ができない状態になった場合には精神障害者の適切な保護を行うためにも医療 保護入院とするべきである」と。 ○部会長  いかがですか。大体いいんじゃないでしょうか。 ○町野委員  すいません。やはり「なお」以下のところが若干ひっかかります。なぜかといいます と、最初に任意入院つくったときは、できるだけ任意入院でやるべきだという考え方だ ったわけですね。そうするとそれが途中で非常にもてあますように簡単に言うとなって きたという状態で、そのときは入院の必要性は理解できないと同じで、意思能力がない から、本人がいくら入院したいと言っていても、これは医療保護入院ですよという趣旨 なんですね。  それはそのすぐ上にあるアのところの考え方とやっぱり齟齬するのではないかと思い ますね。アのところでは本人に意思能力がある患者が入りたいと言っているときは任意 入院にしなさいと言って、同意能力がないときにノーと言ったときだけ医療保護入院で きますよというぐあいに本人の意思を重視する考え方ですね。  今、「なお」のところをつけますと、それは矛盾とまでは言いませんけれども、考え 方としてやっぱり齟齬するものがあるような感じがして、渡邉委員が危惧されるよう に、それだったら全部医療保護入院にしてやろうという趣旨になっちゃうというふうに とられると。もしかしたら、それはうがった見過ぎだと言われるかもしれませんけれど も、そんなように聞こえることは間違いないだろうと思うんです。「なお」がなくて も、それほど大きな問題はないと思いますけれども。 ○部会長  渡邉委員どうぞ。 ○渡邉委員  今、ご提案の「なお」以下のところは私も強く反対します。この場合で、私が最初言 いました2行削除して「任意入院患者の病状が悪化した時など、その治療上やむを得な い場合に限り」。この「閉鎖処遇」というところでもめていますから「治療上やむを得 ない場合に限り、法37条1項の法律に従って行動の制限ができる」と。これを行動の制 限あたりにしたらいかがでしょうか。 ○杉中補佐  このイの全体の趣旨が、いわゆる病棟外の出入りに制限をされることが行動制限の基 準に明確に位置づけられていないものを明確に位置づけることが目的でございますの で。 ○渡邉委員  そして、このような場合を含め、閉鎖処遇の手順、手続も法37条1項を処遇の基準と して位置づけるということが明確になっていますからね。行動の制限というのは、任意 入院患者であっても治療の状態によってあるわけでしょう。 ○杉中補佐  あります。 ○渡邉委員  だから、それは病棟単位で閉鎖か開放かという形で今多くの病院で慣行化している、 そこに配慮した厚生省の表現だと思いますけれども、そこは改善していきたいというこ とですから。少なくとも医療保護入院であっても開放病棟の人はいっぱいいるわけです よね。 ○杉中補佐  それはそうです。 ○渡邉委員  どうも逆で、医療保護入院だと閉鎖処遇してもいいんだという方向へ、どんなに最先 端の有識者の人たちが、そういうことは理論上ないと言われても、現実にはそういう状 態がありますので、「閉鎖処遇が必要な場合は保護入院」という言葉だけは避けていた だきたい。 ○三觜課長  逆に「なお」をつけているのは、任意入院で一時的に病状が悪化したら、この運用が 幅が出てくるわけですね、今度具体的には。そのための歯どめとして、恒常的に閉鎖処 遇を要する人はやはり任意入院ではないのではないかという趣旨を込めてなお書きにし たつもりなんですけど、そのように読み取れないのでしょうかね。 ○渡邉委員  正直言いまして、今でも一時的な緊急入院、2〜3日保護しても治らないような方に ついては、はっきり言って保護入院への切り替えは保護者の同意を得てされているんで すよね。それをわざわざもう一回安易にされている中で……。 ○三觜委員  それの認識が、私どものつかんでいる実態と違いまして、本来、同意能力のない方が 任意入院で入り、なおかつ閉鎖処遇されているという実態が、先ほどの閉鎖処遇の四十 何%の世界には多く見られるわけでありまして、この状態はやはりおかしいのではない かという問題意識からこういうことをご提案申し上げているつもりなんですが。 ○宮坂委員  よろしいでしょうか。 ○部会長  どうぞ、宮坂委員。 ○宮坂委員  渡邉委員にちょっとお聞きしたいのですが、任意入院というようになったときに、閉 鎖処遇をしてもいいといった考え方でいらっしゃるのか。私はあくまでも閉鎖処遇とい いますと、8時間はいいけれども、9時間置いたら医療保護だと、そういうことがどう も釈然としないんですね。やはり任意入院というのは、全く自由に入院して、自由に治 療を受けて、嫌ならば病院かわってほかの病院へも行ける、そういうことが本来の任意 入院の制度ではないのかなと思うわけですよ。ですから、それが閉鎖処遇になっている のはおかしいから、任意入院は任意入院ときちんとやってください。もし、それが閉鎖 に入れておかなければいけないようならば、これはきちんとした手続をとってください という意味の文章をここに書くのが、最初の「半数近くが閉鎖処遇の実情にある」と書 いてあるものですから、そういうふうにとって、ここの文章はいいんじゃないかと思っ たわけですね。  ところが、今、町野委員もおっしゃったように、上に医療保護入院の要件が書いてあ る。下は任意入院の要件であるならば、この上の「半数近くが閉鎖処遇の実情にある」 ということからの議論ではなくして、任意入院はこうすべきであるというふうに書く方 がいいのではないか。例えば、この上に、当面の処置として、任意入院の半数近くは閉 鎖処遇の実情にあるような状況にある。これは困ったことだから、医療保護入院の要件 を明確化する。それで任意入院はこうだと、ア、イというふうに書くならそれでもわか るんですが、半数近くがあるという実情の上に、こういう文章が出てきたのだと私は考 えたものですから、なるほどなと思ったのですが、そこの点はどうなんでしょうか。書 くならば、医療保護入院と任意入院をはっきり分けてきちんと法的にやってください と、そう書くべきではないか。 ○部会長  どうも、そういうことみたいですね。その方向で何かいい案がないですか。 ○吉川委員  今までの議論をお聞きしてきたことと、それから専門委員会で議論してきたことを少 し兼ね合わせながら、こんなふうにやれば、渡邉先生のご意見といいますか、危惧も少 し軽くなるかなと思っています。  上の2行の後段ですが、「入院制度の趣旨を踏まえ、任意入院患者は開放処遇とす る」、これで文章を切ってしまうんですね。そして、その後に、4行目以下のところ、 「任意入院患者の病状が悪化した時など、その治療上やむを得ない場合に限り、閉鎖処 遇を行えることとする」、ここでまた文章を切るかどうかは別なんですが、「閉鎖処遇 を行えることとし」、この後、「病状の改善に相当な日時を要する場合は医療保護入院 とする」、こんなふうに考えていく。  医療保護入院の制度を実は専門委員会の中では何とかこれを変えよう。現実的には強 制入院でございますので、これをできるだけ少なくする。そのためにはどうしたらいい かということを工夫してきたときの工夫なんですが、いきなり医療保護入院を全廃する わけにいかなかったものですから、こんなような形で議論が進んでいたと私は思ってい ます。  今、お話を伺っていますと、とにかく閉鎖処遇をするということは1つの人身拘束に 当たるのだから、やっぱりそれはしかるべき手続をちゃんと踏むべきだという議論も専 門委員会の中でも何回もされました。そうしたものを踏まえて、こうした文言になって きたのだと思いますので、やはり任意入院は閉鎖処遇ではないという、先ほど宮坂先生 がお話になられたそのことをまず大前提にした上で、しかし病状が変化しているときに は、一時的に閉鎖に入れなければいけないこともある。ただし、そのときは医療保護入 院ではなくて、一時的な閉鎖病棟処遇ですから、それは医療保護入院ということではな いですよね。だけれども、その病状の変化までに相当な事実を必要とするときには、や はり正式にきちんと医療保護入院にすべきだろう、こういう意味合いですから、一番最 後のところにつけたのはそんなような目的で言いました。以上です。 ○部会長  どうぞ、町野委員。 ○町野委員  一番最後のところはやはり問題なんでして、要するに本人に意思能力があって入院し ていることについて同意がある以上、医療保護入院にはできないわけですよね。 ○宮坂委員  そういうことです。 ○町野委員  そういうような制度というのが今の解釈だったわけですから、やっぱりそれを変える とすると相当の問題だろうと思いますね。それで、「なお」とか、一番最後が問題だと いうのはその趣旨でございまして。 ○吉川委員  任意入院も本人の病状の変動によってはある一定の期間を置くことができますね。任 意入院というのは自由入院ではないという考え方はそこにあるわけですよね。ですから 任意入院の制度から考えても、そこに病状の変動があることは織り込み済みですよね。 ですから任意入院だから全部自分の意思で入院してきたから、そしたら退院も含めて、 自分で判断していいというような法律の制度ではないような気がするんですよ。私はそ んなふうに考えます。 ○町野委員  本人が入院を希望しているときは、それは医療保護入院にできないという解釈を厚生 省は何回も今まで繰り返してきているわけですね。 ○吉川委員  それはそうですね。 ○町野委員  ですから、今のとき、もし長期入院の必要があるときについては医療保護入院に切り 替えるものとするというのは、ただちにそうならないということなんですね。それがす ぐできるようなガイドラインをつくるわけにはいかないだろうということです。 ○部会長  どうぞ、岡上委員。 ○岡上委員  こういうことではだめなんでしょうか。「閉鎖処遇について、任意入院患者の半数近 くが閉鎖処遇の実情にあるが、入院制度の趣旨を踏まえ、任意入院患者は病状が悪化し たときなど、その治療上やむを得ない場合を除き、開放処遇とすることとする」として しまって、ほかのものは入れないということでどうでしょうか。 ○宮坂委員  よろしいでしょうか。これは任意入院で病状が悪化したらなぜ医療保護入院。それで 医療保護入院はよくなったら手続とるのが普通ではないかというのが私の考えなんです ね。そういうふうにしないから批判をされるのだ。それだから審査会というようなもの があって、その審査をしたり、審査会が役に立たないとなれば仕方がないんですが、そ ういうふうにきちんとやらないから精神病院が批判されているのだ。  町野委員のおっしゃるように、任意入院はあくまでも自由に、自分が入院したいと言 ってきた人を医療保護なんかにしちゃいけないんだ。医療保護というのはちゃんと入院 の必要性を理解できない患者さんに対してやるんだというようにしておかないといけな いのだ。そこをしっかりやった方がいいのではないか。そのかわり、病院は大変でしょ うし、患者さんに、いちいち、あなたは閉鎖処遇しますよと渡すようになっているわけ ですから、制度がそういうふうにきちんとやらないから、こういう法律をどうだこうだ というのでなくて、やらせるように法律に書いてあるから、その法律に従った形でやら なければいけないんじゃないかと私は思うんです。それでこういうふうな言葉の方がは っきりしたなと、これならはっきりしていいよ。任意入院は一切閉鎖処遇にしちゃいけ ません。  ただ、医療保護入院する間だけ、しばらくの間はそれは閉鎖処遇になるかもしれませ ん。だから、一番最後のところ、任意入院患者の病状が悪化して、医療保護入院する間 は閉鎖処遇になるかもしれませんけど、きちんとやってください、そういうふうにはで きないんでしょうか。私はそういうふうに病院はやるべきではないかと思っているわけ でして、だから何も医療保護入院になったからといって引け目を感じるわけでもありま せんし、医療保護入院が多いからいけないとも思いませんし、それはその病院によって もいろいろあるだろう。措置入院もきちんとした形で措置をしなければいけないんで、 人権がどうだから措置はだめだこうだというのでなくて、措置症状があったらきちんと やってあげる、なくなったらぱっと措置を解除する。そういうようにして、きちんとや るべきではないかと思います。  ただ、どこまでいいかというと、さっきの8時間論が出てくるのではないですかとい うことで、きちんと分けたらいかがなんでしょうかということで、私はこういう提案を しているのですが、これが法律家から見ると、それはだめだよとおっしゃるなら、どこ がだめなのか、また教えていただきたいと思います。 ○部会長  どうぞ、部長さん、その適正なところを。 ○今田部長  今の議論は、多分、医療保護入院というのは本人の治療に対する認識が条件に なって、それをきちんとしようじゃないかと。アで書いてあるのはそういう意味です ね。ところが今は閉鎖処遇という、処遇の長いとか短いとか別の切り口で医療保護と リンクしているという意味においてご批判が出ているのだろうと、私の現状認識は。  確かに制度から言うと、医療保護入院にするかどうかは閉鎖処遇が長いから短いから が条件ではないわけですね。しかも任意入院であれ、医療保護入院であれ、必要があれ ば、一定の行動の制限はあり得る、これも皆さん共通した認識だろうと。  そういうことだとすれば、多分医療保護入院、アで医療保護入院をきちんとしようと するのだから、そのことをきちんとするという以上は任意入院は開放処遇ということを やっていただこうじゃないかと、こういうロジックになるんじゃないかと。だとすれ ば、文章上申し上げますと、きちんと書けませんが、「任意入院患者の約半数近くが閉 鎖処遇の実情にあるが」、さきに述べた「医療保護入院が適正に運用されるようになる のだということを前提にすれば、任意入院患者は基本的に開放処遇をするべきで ある」、こういうふうな表現ではおかしいでしょうか。 ○部会長  どうぞ、町野委員。 ○町野委員  先ほど課長さんが言われたことで、この4割の中には、本来、任意入院にすべきでな い人が入っていると、だから、こういう問題が起こることもあると。その事実がもし正 しいとするとやっぱり正面からそれを書いて始めないと、私は問題じゃないかと思うん ですね。上の方で医療保護入院きちんとしろと。次に任意入院の方も本人の意思に基づ いているので、意思能力のある患者についてだけこれはやるものであって、そうじゃな い人間を入れているというのはやっぱりよくないと、それが閉鎖4割というような奇妙 な事態を招いているということを指摘して、そして、入院の意思をみずから表示して、 能力のある人が入ったときについては、任意入院の趣旨に基づいて開放処遇が原則なん だと。しかし、制限することはできることはありますよと。それは非常にまれなといい ますか、病状が悪化した場合であって、そのときは任意入院患者であっても、これはで きるというのは今の法律でなっているわけですから、それはできると。しかし、それは 安易にやってはならないと。  それから、さらに入院してから意思能力を失う患者もある場合にはあるかもしれない わけですね。そういうときは医療保護入院に切り替えることもまた考えられるだろ うと。せいぜいそういう段階で書かないと、これは一遍に書いてあるので非常にわけわ からなくなっちゃったという感じがしますけれども。 ○三觜課長  今、町野委員のおっしゃる意味で、閉鎖処遇する場合、ずっと恒常的にする場合、こ れは判断能力がなくなった状態ですから閉鎖病棟へ入れるのが一般的だと考えられるの で、最初は同意能力があっても、いずれ病状が変化しますから、同意能力がなくなった ときも、先生の先ほどのご意見ですと、一たん任意入院で入ったら永遠に任意入院でな いといかんようにとらえられるような発言に聞こえましたので、そういう意味で、意思 の判断能力がなくなった状態では医療保護入院に切り替えるべきだということで「なお 書き」に込めたつもりだったのです。 ○町野委員  それは一般的なものとしてとらえるとやっぱり危惧はあるわけで、それは多くはない と思うんですね。最初に意思能力あった人が、しばらくして全然なくなっちゃうと。全 然というか、なくなるということはそんなにはないと思うんですね。一時的になったと きは、それはエマージェンシーパワーで、一時的な拘束とかそれで足りるわけです から、恒常的に完全に変わるということは余りないのだろうと思うんです。それが一般 的にあるかのような書き方をしますとやはり問題だろうと。 ○部会長  私の思惑に反して1時間たっちゃったんですが、議論しているとこれだけで済んじゃ うので、この項目をちょっとペンディングにしましょうか。後の項目を見てくださいま せんか。これは大体問題点ははっきりしましたから、あと文言をどうするかという技術 的なことですから、視点をほかへ向けてください。どうぞ、古谷さん。 ○古谷委員  6ページのエの市町村の業務のところですが、 3の通院医療費の公費負担と保健福祉 手帳の申請の窓口業務のことですが、これは毎回私申し上げているところですが、ゆく ゆくは市町村がこういったことをほかのいろんな住民の身近なところで行うことでは全 く異論はございません。そういうふうに考えております。  最後の2行のところで、「十分な準備期間を置くとともに」といったことが書いてご ざいますが、この辺も非常に受けとめ方がまちまちであると考えておりまして、私はぜ ひここのところを両論併記みたいな形でお願いできないかと提案させていただきたいの ですが、例えば、「入院医療と通院医療の連続性、病態の変化等で医療ニーズの高い人 もいる。情報交換の問題等から引き続き保健所という意見も強くあった」という両論併 記をぜひお願いしたいと思っております。 ○部会長  委員の表現で言いますと、どこに両論併記的な言葉が入るんですか。 ○古谷委員  エのところの最後の2行がございますが、「十分な準備期間を置く」というところの 上のところがいいかと思っております。 ○部会長  文言は、どういうふうにするのですか。 ○古谷委員  入院医療と通院医療、これは入院医療が前回も申し上げたようなことがございます。 通院医療は通院公費負担の窓口ということで通院医療ということになりますので、入院 医療と通院医療の連続性を一貫したものということで考えております。 それと、やはり福祉だけではなくて、精神障害者の場合、病状等もかなり変化するこ ともございますので、そういった変化等で医療ニーズの高い人の問題、それと市町村へ 行った場合に。 ○部会長  よくわかりますが、言葉なんですが、随分長い文章をここへ入れなければならないわ けですか。少し端的に何かご提案がありませんか。 ○古谷委員  通院医療費の公費負担と保健福祉手帳は一体的なものであると思っております。です から、ここの「通院医療費用の公費負担や、精神障害者保健福祉手帳の申請については 引き続き保健所という強い意見があった」としていただいて結構かと思います。その理 由は今申し上げたようなことです。 ○部会長  どうぞ、谷中委員。 ○谷中委員  今のことと全く反対の意見で申しわけございませんが、まず、1つにはホーームヘル パーの導入等、要するに在宅福祉サービスが市町村という単位で行われる際に、この 手帳の問題は市町村を窓口にするということの方がより便利性や現実的であるというこ と。  それから、今、意見が強かったとおっしゃられたのですが、これはもともと保健所に くっつけたときに反対の意見が随分おありになったわけですね。それはこういう理由な んです。ほかの障害の方々は市町村を窓口にして福祉サービスを受けられる。なぜ、精 神障害者が保健所なのか、この強い反対があったので、私はもともとこれは保健所につ けるべきものではなくて市町村につけるべきものであるとそのとき意見を申し上げまし た。時代の流れも含めまして、今、それをとどめるべきではなくて、推進すべきではな いかと思っているものですから、あえて反対の意見を述べます。 ○部会長  これは提案ですが、古谷委員、議事録にそういうご意見があったということをしっか り入れさせていただくということでご容赦いただけませんでしょうか。そういう両論併 記的なお考えがあったということを。 ○北川委員  利用者の利便ということを考えれば、市町村に窓口があることは非常にいいことだと 思いますね。しかし、なぜ、保健所に置いていたかというと、その前後のいろんな精神 保健上のサービスをやっていく上で、そういう窓口業務が1つのきっかけになって患者 さんの状態をきちんと把握ができるとか、あるいは専門的な対応ができるというきっか けになっているだろうと思うんですね。  したがって、これは行政内部の問題として、市町村が窓口業務をやって、それで 完結、終わっちゃうのでなくて、別の項目であった保健所との連携という問題がありま すから、そこのところを強く意識をして、内部の連携体制をきちんと考えていけばよろ しいのではないかと思うんです。古谷委員のご意見と合っているのか違っているのか、 そこはどうでしょうかね。 ○古谷委員  私もこれは全く反対ではないんですが、前からも出ておりますように、今、介護保険 等の問題で非常に大変なときですので、やはりここのところは次の改正のときにしっか りやっていただけばいいのではないかと考えております。公費負担と手帳とは一体的な ものですし、福祉、3障害も含めていろいろなものが市町村でということも重々承知し ておりますが、あえて今の改正のときよりも、次回の改正のときにこれはきちんと準備 期間を置きながら、これを市町村へきちんと移行させていくのだということを明確にし ておいた方がいいのではないかと考えておりましたので、ぜひ、そこのあたりが何かこ こに酌み取れるような形にしていただければと思います。 ○部会長  何か表現を。 ○三觜課長  今、介護保険等々のいろいろと市町村の実施、受ける側の体制の問題を十分私ども認 識しているところでありまして、こういった問題の体制の整備も含めまして十分な準備 期間を整えて、やはり方向性として、今回新たに在宅福祉というのが今度の法案で盛り 込まれるということもありますので、市町村を窓口として、今回法律的に位置づけをさ せていただきまして、実施につきましては十分に配慮していきたいということでご理解 を賜りたいと考えます。 ○部会長  そういうことを議事録にしっかり残すことにいたします。どうぞ、岡上委員。 ○岡上委員  6ページの4のアのところで毎回恐れ入りますけれども、精神障害者の定義について は、もはや法だけの定義にとどまらない状況になっていると思います。そのことであり ますので、ぜひ、この文章の前に「学会の審議の動向を勘案しながら」とか、そういう 言葉を入れてほしいと思います。もう少しつけ加えますと、精神障害者の定義は行政権 力に委ねてはならないというのがそもそも近代精神医学が出発するときの原点であった わけです。ですから普遍的な定義をするのでしたら、それは純粋な学問の領域でやるべ きであるということが1つ。そこで、表現はちょっと違うかもしれませんけれども「国 連原則を重んじながら」ということが前々回ぐらいの意見書にも載っておりましたの で、それと同じように「学会の動向を踏まえながら」というふうに入れていただいても いいのではないか。  もう一つ、つけ加えますと、過去5年間この討議が進んでいませんので、ほかの新し い文言を入れた方が多分進むのではないか。 ○部会長  新しい文言というのは、今おっしゃったようなことですね。 ○岡上委員  「今の学会の審議の動向を勘案しながら」、そういうことです。 ○部会長  これは定義の問題は確かに大変なんですが、どうしましょう。文言上、「学会の審議 を勘案しながら」とおっしゃいましたね。その表現を入れることはよろしいですね。こ の前は、たしかWHOでしたか、WHOも入れますか。きのう、おととい聞いたところ だけど、ICD−10何とかというのが出てきたり。 ○杉中補佐  IR国際疾病分類等とか。 ○岡上委員  国際疾病分類の方を入れますと混乱すると思うんですね。というのは、例えばアメリ カがICD−10を使っていても患者さんを入院させるときには、同時に裁判所の判定が 入ってくるわけですね。日本はやり方が違いますので、日本に特に必要と私は思う ので、日本の国内学会とした方がいいと思います。 ○部会長  今のご意見よろしいですね。国内学会といたしますか。そこまで言わなくて、関係学 会の意見を参考にしながらというようなことにしますか。 ○三浦委員  精神神経学会に対してまだアレルギー残っているんですよね。 ○部会長  関連学会ですか。 ○三浦委員  今の日本における精神神経学会というと、途端にカーッとなるのがまだいるんです よ。だから、その辺を、関係学会ならまだ薄まる。 ○部会長  ありがとうございました。これはそういうことにいたします。  先ほどのところへ戻って、少し時間を費やしてよろしゅうございますか。どうぞ、大 熊委員。 ○大熊委員  最後のところ、先ほど検討が加えられた6ページのウでございますが、「医療全体の 中で」というのは言わずもがななことであるので取ってしまいまして、「精神医療にか かる情報公開を推進していくこと」とすっきりした方がいいと思います。検討するとい うのは4全体にかかっているものですから、また、中で検討することは必要はないし、 あり方というか、進めることは多分この部会の中でご異論はないだろうと思いますし、 精神医療の場合は他の医療より一歩進んで情報公開をすべきであると考えます。  なぜかというと、だからこそ糖尿病の部会とかそういうのはなくて、精神の部会がこ こにあるということは、非常にその人権にかかわるということで別に設けられていると いうことは、裏を返せば情報公開も他の医療に先んじてやっていかなければいけないと いうこと。  それから、今、医療法改正の中で広告規制の緩和ということが検討されておりまし て、その中で情報公開がゴーになる可能性がかなりあります。そのとき、ここのところ で、まだ検討していますみたいなことがありますと、精神だけ足引っ張られて置き去り になるとか、全体の流れを遅くするおそれがありますので、繰り返しますと、ウは、 「精神医療にかかる情報公開を推進していくこと」というふうにしたらどうかと思いま す。 ○部会長  わかりました。それはいいですね。ありがとうございました。ほかの文言を合わすた めに、大熊委員、「精神医療にかかる情報公開の推進方策について検討していくこと」 ということにいたします。  最後に、さっきのところに戻ります。大体皆さんのおっしゃるところはわかっている ので、言葉だけですが、どういたしましょうか。できれば、この文言をできるだけ活か しながら。どうぞ、融委員。 ○融委員  だめかもしれませんが、先ほどの2行目のところに「開放処遇とすること」と切りま して、それから、「しかし」の方に飛びまして、「……こととする」で終わりますね。 その次に、先ほど抜いたところの「なお、任意入院患者が開放処遇できない状態にある 場合は、精神障害者の適切な保護を行うためにも医療保護入院の適用について検討する べきである」というようなことで、法律の先生、いかがでしょう。私の感想は、任意入 院させても途中で医療保護入院しなければならない患者がたくさんいるということなん ですね。大学病院でさえそうなんです。ですから、そういうことができるようにしてお かないとまた無理が出るのではないか。精神病院ならなおさらだと私は思います。 ○部会長  「しかし」以降はどうですか。 ○融委員  「しかし」は、すぐ「開放処遇とする」というふうにして、その次に2行飛んで「し かし」に持っていくわけですね。最後まで行きまして、そこから今度抜かしたところに 「なお、任意入院患者が開放処遇できない場合は」云々と言って、「医療保護入院とす るべきである」、ここが恐らく渡邉先生は。 ○部会長  適用について検討する。 ○融委員  その文章はちょっとわかりませんが、一応医療保護入院しなければならないがあるの で、それは法規で決まっているので、その適用を考えるべきであると、そういうふうに したらどうか。 ○部会長  ご提案です。町野委員は不服そうですね。 ○町野委員  事務局で何か提案をされるんじゃないですか。 ○三觜課長  医療保護入院につきましては、アの方できちんと行えるということもございますの で、この文案を渡邉委員がご指摘なさったようにカットしたいということで、最終的に 申し上げますと、「精神病院の任意入院患者の約半数近くが閉鎖処遇の実情にあるが、 入院制度の趣旨を踏まえ、任意入院患者は開放処遇とすることとする。しかし、任意入 院患者の病状が悪化した時など、その治療上やむを得ない場合に限り、閉鎖処遇を行え ることとすること」ということで、医療保護入院はここでは削除させていただきたいと 思います。 ○部会長  そういう言葉をここで消しますね。最後の2行はつくんですか。 ○三觜課長  「このような場合を含め」。 ○部会長  はい。 ○三觜課長  原文どおり入れられます。 ○部会長  大体、渡邉委員が初めにおっしゃったようになったわけですね。よろしゅうございま すか。今のお話は、アに既に医療保護入院の規定があるということをかんがみたわけで ございます。では、そういうことにさせていただきます。  ちょっと時間が過ぎてしまいましたが、ただいまから、杉中補佐に至急に訂正をして いただきまして、そして、後で部長に私が意見具申を皆様の前でさせていただくという ことにいたします。よろしゅうございましょうか。では、ただちに杉中さんお願いいた します。私どもは次の議題を急いでやりますから。 では、次の議題でございますが、これは長期入院患者の療養のあり方に関する検討会 のご意見、検討状況が出てまいりましたので、これからの大事な問題でございます。こ れを皆様のお耳に入れておこうというわけであります。どうぞ、ご説明をお願いいたし ます。 ○中村補佐  それでは、資料2から5につきましてご説明をさせていただきます。それぞれござい ますけれども、一括してご説明をさせていただきます。  資料に入ります前に、精神病床のあり方につきましては、医療審議会におきまして、 医療提供体制の改革の一環として、病床及び入院医療の適正化について検討が進められ る中、別途検討することということで位置づけられております。これを受けまして、障 害保健福祉部長の私的諮問機関として「長期入院患者の療養のあり方の検討会」の 下に、「精神病床等のあり方検討部会」を設置して、9月24日以降検討を重ねて、その 部会の報告書を取りまとめていただいたというところでございます。資料2が概要でご ざいまして、資料3がその本文ということでございます。  資料2、資料3をそれぞれごらんいただきながらご説明させていただければと思いま す。資料3をおめくりいただきまして、報告書の構成といたしましては、「はじめに」 から、現状、精神病床の機能区分、その整備についてということで項立てをしてござい ます。まず、「精神病床等の現状」でございますが、医療法における精神病床の位置づ けは、その特殊性から一般病床の基準の特例として、人員配置が医師数が患者48人に1 人、看護婦等数は患者6人に1人となっております。  必要病床数の算定につきましては、その算定方式は一般病床と同じで都道府県単位で 行われております。精神病床は我が国は36万 1,053床、入院患者が33万 9,762床、病床 利用率が94.1%、これは平成9年6月の状況でございます。  この中で、診療報酬制度や国庫補助制度によりまして、精神科専門病床の整備がされ ておりますけれども、その合計が5万 2,722床、全精神病床の14.6%という現状でござ います。これは本文の2ページに詳しく各専門病床がどのようなものがあるかという記 載をさせていただいております。  この現状におきまして、さまざまな病態の患者が同じ病棟、同じ療養環境の中で治療 を受けております。  また、公私の役割分担を含めて、病院間の機能分化が進んでいないと。このままで は、入院患者の病態に応じたきめ細かなケアの提供には困難を伴い、入院治療の効率 性、医療水準の向上が進まないという意見があるということでございます。  こうした中で、「精神病床についての機能区分」で、求められる機能ということです が、精神科病床には治療水準の向上、患者の求めるサービスが適切に提供できること、 社会復帰をより促進することなどが求められておる。  また、さまざまな病態の患者のニーズに応じたよりきめ細かな入院治療ができるシス テムの構築が必要であることが盛り込まれてございます。さまざまな病態の例といたし まして、本文の3ページの1)の真ん中辺にございますけれども、たとえばということ で、精神分裂病の初発の患者に象徴されるような急性期症状を有する患者群、薬物療法 などへの治療抵抗性・難治性の患者群、リハビリテーションを集中的に必要とする患者 群、治療上ゆったりとした療養を必要とする患者群など様々な病態ということでいろい ろご議論いただいたところでございます。  こうした中で「精神科病床の区分の考え方」でございますが、概要の2枚目をお開き いただきたいと思いますが、基本的に病棟単位の機能分化の考え方を踏まえながら、精 神科医療の特殊性を踏まえた合理的な機能分化をすべきである。  急性期や慢性期といった時間軸のみによる区分や重症度のみによる区分ではなく、こ れらを総合的に捉えて区分する。  人員配置、施設基準については病床区分に応じて検討し、特に、長期の入院を必要と する患者の対応については生活環境の充実に配慮すべきであるという考え方が示されて ございます。  その際の留意点といたしまして、機能分化をするために病床区分を細分化し法定化す ることは、かえって実態に応じた機能分化を阻害するおそれもあり、医療法上での区分 は最小限とするということでございます。  留意点は、4ページから5ページにかけて記載されておりますが、機能区分の手法と いたしまして、医療法上の規定もございますが、現行では診療報酬上でもいろいろ規定 されているのでその制度をそれぞれ有効に活用すべきであるということで留意点で述べ られております。  また、医療法上では医療計画やそれに必要な必要病床数の算定が付随するわけです が、それについては、必要病床について一般病床で検討されている新たな算定式の考え 方を踏まえるべきである。しかし、目標となる平均在院日数の設定等については困難で あるとの意見がありました。  病床区分のための指標については、患者の病態像を中心に総合的に検討するべきであ る。  3つ目は、精神病床の整備圏域ですが、現行の都道府県単位から2次医療圏を参考 に、より地域に密着した圏域の設定を考える。しかし、精神病床の地域偏在等の課題を 検討の上、整備計画を立てるべきであるということでございます。  これが概要でございますが、本文に「その他」ということで5番目ございますけれど も、ここに「精神障害者の身体合併症の治療、身体疾患患者の精神科的治療等は、精神 病床や一般病床での入院治療を円滑な連携が求められるものであり、その医療提供体制 についてもさらに検討すべきである」と盛り込まれてございます。  8ページからが資料でございますけれども、8ページ、9ページが医療審議会で当初 示されました新たな制度の概要でございます。  病床区分、現在、一般病床、その中に療養型病床群ございますけれども、新しい病床 区分といたしまして、これを急性期病床、慢性期病床に機能分化を図っていこうという 案を示されているところでございます。  9ページが、必要病床数の算定方式の案でございますが、A案が急性期病床、B案が 全体の病床の算定式でございますが、記載のとおり、A案につきましては、急性期病床 の算定式ということで、平均在院日数が入っておりますけれども、この平均在院日数に より、次第に急性期病床の数も必要数が適正な数に絞られてくるということで考えてご ざいます。  B案の全体の算定式につきましても、現在の目標となる平均在院日数から現行の全体 の必要病床数をさらに適正化を図っていくということが考え方として盛り込まれている ということでございます。  また、10ページもちょっとごらんいただきながら見ていただきたいのですが、現行の 必要病床数の算定方式でございます。ちょっと字が小さくて恐縮でございますが、2の ところに必要病床数の算定式ということでΣAB+C−Dということで、Bのところ に、当該区域の属する地方ブロックの性別・年齢階級別入院率という係数がございます けれども、このブロックごとの入院率を現在用いて必要病床数を算定するという考え方 でございましたが、新しい考え方では、これを全国値にするということでございます。 そういうことも新たな算定方式の中には考え方が盛り込まれているというものです。  11ページが現行の算定方式に基づく精神病床の過不足状況ということでございます。  12ページは、障害者プランに示されました各入院医療のあり方、社会復帰施設の整備 についての目標値ということでございます。これにつきましては、13ページにちょっと データが古うございますが、平成8年10月現在でのそれぞれの各都道府県での整備状況 というものでございます。この後、積極的に社会復帰施設は整備が進んでおりまして、 かなり各地域で頑張って整備が進められていると思います。  14ページが精神病院の平均在院日数。  15ページが入院患者さんの入院期間別の分布でございます。ここで長期在院化という こがよく言われておりますけれども、5年以上の入院の方が44〜45%で動きがないとい うのが我が国の特徴だということをよく指摘されているところでございます。  16ページをごらんいただきたいと思いますが、退院患者の在院期間別の分布を見たも のでございまして、ごらんいただきますように30日、また90日のあたりにピークが見ら れまして、早期に退院をするというグループは実際ある。また、その後は長期になる、 療養を必要とする患者さんもいることがおわかりいただけるかと思います。  17ページは、新規の患者さんが病院にどのくらい残っているか、残留率を見たもので ございます。17ページや18ページの図をまとめて一本にした場合ということでご理解を いただければと思いますが、これをごらんいただきますと、3カ月で半分の方が退院 し、6カ月で7割近くの方が退院をするというような状況であるということでございま す。あと、1年を過ぎ2年を過ぎますとなかなか退院をされる方が少なくなってきてし まうという状況でございます。  19ページは、診療報酬上の病棟類型がございますけれども、急性期治療病棟、精神療 養病棟、老人性痴呆専門病棟の整備状況を示したものでございます。  20ページは、精神病院一般病床とありますが、これは精神科の専門病床と比べた場合 の精神科の一般病床というふうにご理解いただきたいと思いますが、20ページ以降は各 専門病床の基準等、その実施、病床数また病院数等を示したものでございます。  25ページ、資料としては最後のページになりますが、ここに全国の専門病床の整備状 況ということでお示しをしてございます。  以上、少しはしょって説明させていただきましたが、精神病床等のあり方に関する検 討部会の報告書の概要でございます。  これを受けまして資料4をごらんいただきたいと思いますが、先ほど申し上げました ように、長期入院患者のあり方に関する検討会でこの部会の報告をもとにまた精神病床 のあり方を取りまとめていただき、本公衆衛生審議会精神保健福祉部会に報告すること というふうになります。これがスケジュールでございまして、そこで公衆衛生審議会で ご審議いただいた結果を医療審議会に報告し、一般病床と併せて医療法改正の作業を進 めることになるということで段取りを考えてございます。  医療審議会の方のスケジュールをお聞きする限りでは、今月中に考え方を取りまとめ る作業を進めていると聞いております。今月のスケジュールということで、資料4の下 の方に日程等をお示しさせていただきました。  ここにありますように、既に1月8日に、先ほどの部会の資料をもとに、長期入院患 者の療養のあり方に関する検討会で審議を始めております。そのときにお示しした資料 が資料5でございます。  資料5につきましては、1ページ目については、今、申し上げましたような医療法改 正の動きということと、精神病床について、今求められているもの。機能分化というこ とについては進める必要があると言われたわけでございますが、それを急性期、慢性期 といった時間軸のみによる区分や重症度のみによる区分ではなくて総合的にとらえて病 床区分をするべきだということで報告をいただきましたので、それではということで事 務局としてたたき台として、こういうところからご議論いただいたらどうかというとこ ろでまとめたものでございます。  まず、「患者の病態に応じた人員配置基準及び構造設備基準の設定」ということでご ざいますが、1)現行の精神病床を充実した専門スタッフの集中的な医療を必要とする 患者群を対象とする治療病床、2)治療上ゆったりとした療養環境のもとで長期にわた る療養を必要とする患者群を対象とする療養病床とに機能の分化を図り、提供されるべ き医療サービスの形態に応じ、それぞれにふさわしい人員配置及び構造設備の基準を設 定したらどうかと。  また、「病床機能の単位」といたしましては、原則病棟単位としてはどうか。 ただし、病棟単位での区分が困難な 200床未満の小規模な病院については病室単位で 区分してはどうかということでございます。 また、「新たな病床区分への移行について」でございますが、既存病床については、 各医療機関が患者の病態や提供している医療の状況等を踏まえ、自主的に判断し都道府 県知事に対し申請を行うことにより、新たな病床機能区分への移行を行う。 その際、円滑な移行が行われるよう必要な期間を設定する等、患者に対する医療の提 供に支障がないよう十分配慮をする。  4番目に「新たな病床機能区分に基づく必要病床数の算定」でございますが、医療計 画における必要病床数算定式を見直し、新たな病床機能区分に応じて、より地域に密着 した圏域を設定し必要病床数を算定する。  その際、既存病床が新たな病床機能区分に移行するために必要な期間を十分配慮し、 当分の間は、その整備圏域を都道府県単位のままとし、また、病床機能区分毎の算定を 行わないこととする。  ということで、ご意見を8日からいただきながらまとめていこうという状況にござい ます。  3ページ、4ページは参考でございますが、先ほどの検討部会の報告書の資料の中に も考え方がございましたが、その後、医療審議会で示された新たな一般病床における機 能分化の考え方でございます。現行の制度につきましては、一般病床ということで全体 に網がかかってございます。この中で急性期の患者、慢性期病態の患者、さらに特例許 可老人病院や療養型病床群という位置づけがなされている。その人員配置については、 基本的には4:1、医師が16:1になっているということでございます。  この医療法の世界はいわゆる衛生基準でございまして、これに機能をさらに診療報酬 上、対応をしていくということで、病床面積の加算、人員配置の加算をすることによっ て、救命、救急、ICU、特殊疾患、介護力強化病棟等の機能分化がなされているとい うことでございます。  これを新たな制度におきましては、一般病床を急性期病棟と慢性期病棟に分けまし て、それぞれの人員配置基準、病床面積を定めると。ここにおいても医療法の世界は衛 生基準でありますので、その上でよりよいサービスを提供する場合には、診療報酬制度 を活用しながら、こういった報酬上の加算を対応していったらどうかという案でござい ます。  4ページが必要病床数の算定についての式でございますけれども、考え方は、先ほど の検討部会で示された必要病床数の算定式と特に変わってございません。ただ、 1の経 過期間ということで、すぐそういう急性期、慢性期という区分が実態として行われるこ とは非常に困難なところもありますので、相当な期間を移行のために考慮するというこ とを考えています。  以上、少しお聞き苦しいところもあったと思いますが、精神病床等のあり方について の検討状況についてご報告をさせていただきました。 ○部会長  ありがとうございました。  どうぞ、ご質問等がございましたら、余り時間はたくさんありませんがお願いいたし ます。どうぞ、牧委員。 ○牧委員  この移行期間はどのくらいの時間でございますか。 ○中村補佐  これは相当の期間というふうに考えておりますが、具体的な期間については、まだ医 療審議会の方で議論が詰まって、そちらの方と併せて考えていくことになると考えてお ります。 ○牧委員  先般、長期入院医療に関する検討委員会で、河ア会長は2〜3年というような話がち ょっと出ていたように思うんですが、そんなようなことは考えられるのでしょうか。 ○中村補佐  考えられると思います。 ○部会長  そのほか、ございませんでしょうか。どうぞ、三浦委員。 ○三浦委員  中身がどうのこうのじゃなくて、言葉として、この前も「精神科の特殊性」という言 葉はほかに言い換える言葉がないかと。「特殊、特殊」と言うと本当に精神科はおかし いというような印象を受けちゃうんですよね。医者仲間でも精神科やっているとおかし いと言われるぐらいで、この文言の中に精神科の特殊、何かほかの言葉で言い換えられ ればと思うんですが。 ○中村補佐  そういうご指摘もございますので、今後、より具体的にどういう課題があるかという ところは明示できる場合には明示し、精神病床としての課題の特記すべきところが明確 になるようにまた詰めていきたいと考えております。 ○部会長  牧委員どうぞ。 ○牧委員  急性、慢性に分けることについて、日医の宮坂委員は反対のような、前の長期入院の 検討委員会であるというメディファックスに載っていたのを見たわけでございますが、 日医はどんなご意見でございますか。 ○宮坂委員  これは皆さんで議論して決めることですので、ここではまだまだこれからの議論とい うことですので、ここでご披露しても仕方がありません。時間もないことですので、ま た、牧先生とは個人的にお話はしたいと思います。 ○部会長  今後この問題はぜひ深めていただきたいと存じます。 では、この議題はこれまでにしていただきましょう。ありがとうございました。  次は公開の問題でございまして、これも本日どうしても最後の議題になりますが、や っておきたいと思いますので、お願いをいたします。資料で申しますと、案が出ており ます資料6、7、8、9でございますか。 ○中村補佐  よろしいでしょうか。 ○部会長  中村補佐やってくださいますか、お願いいたします。 ○中村補佐  それでは、これも資料6から9まで一括して説明をさせていただきます。 ○部会長  どうぞ。 ○中村補佐  資料6でございます。「公衆衛生審議会精神保健福祉部会の会議の公開について (案)」でございます。 会議の公開につきましては平成9年4月21日に開催された部会において決議されまし て、「部会長は議事の内容からそれが適切であると認めるときには、会議を公開するこ とができる」とされたところでございます。その公開の具体的な方法を次により 定める。  傍聴者につきましては、原則、報道関係者とし、会場に余裕がある場合には当該部会 委員の紹介のある者は傍聴するこはとができるものとする。  なお、傍聴に当たってその希望者は、別紙様式によりその身分、傍聴理由、住所、氏 名、連絡先を会議の1週間前に文書をもって事務局に明らかにし、部会長が決するとこ ろによりこれを許可すると。  傍聴者の遵守事項につきましては、その許可があった者に対し、事務局が別添の遵守 事項を送付し、遵守させることとするということでございます。  1の様式につきましては、3ページにお示しをしてございます。  また、遵守事項については、2ページにお示しをしてございます。ごらんいただけれ ばと思います。  次に資料7でございますけれども、引き続き公開についてでございます。 1.精神保健福祉部会については、会議議事録を公開するものとする。ただし、部会長 が、特定の者に利益又は不利益をもたらし、又は公正かつ中立な審議に著しい支障を及 ぼすおそれがあると認められる場合には、部会長の決するところにより、理由を公開 し、会議議事録の公開にかえて会議の議事要旨を公開する。  また、発言者氏名については、人権に係わる問題及び利害が対立する問題等、自由な 論議が氏名の公開によって阻害されると認められる議題については、部会長の決すると ころによる匿名とする。 2.諮問、答申及び会議配布資料については、部会長が、当該資料等を公開することに より、特定の者に利益又は不利益をもたらし、又は公正かつ中立な審議に著しい支障を 及ぼすおそれがある場合を除き、公開するものとする。 3.部会長は、議事の内容からそれが適切であると認めるときには、会議を公開するこ とができる。  次に資料8でございますけれども、これは「精神保健審議会の公開について」の資料 でございます。 1 委員の氏名等の公開  審議会、部会及び専門委員会の委員、専門委員の氏名及び職業については、公開する ものとする。 2 活動状況の公開  審議会、部会及び専門委員会の開催予定に関する日時、場所及び議題については、あ らかじめ公開するものとする。 3 会議の公開等 (1)審議会については、会長の決するところにより、会議又は会議議事録を公開する ものとする。ただし、会長が、特定の者に利益又は不利益をもたらし、又は公正かつ中 立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認める場合においては、会長の決すると ころにより、理由を公表し、会議又は会議議事録の公開に代えて会議の議事要旨を公開 するものとする。 (2)部会については、部会長の決するところにより、会議又は会議議事録を公開する ものとする。ただし、部会長が、特定の者に利益又は不利益をもたらし、又は公正かつ 中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認める場合においては、部会長の決す るところにより、理由を公表し、会議又は会議議事録の公開に代えて会議の議事要旨を 公開するものとする。 4 諮問、答申時及び提出資料の公開  審議会及び部会に対する諮問、審議会及び部会の答申及び会議での提出資料について は、会長(部会にあっては部会長)が、当該資料を公開することにより、特定の者に利 益又は不利益をもたらし、又は公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある と認める場合を除き、公開するものとする。 資料9につきましては、公衆衛生審議会の各総会、総合部会、各部会の公開の状況につ いて会議の公開、議事録の公開、議事要旨の公開等の一覧表でございます。参考まで に、生活環境審議会等の公開の状況も併せて示してございます。  以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。 いかがでございましょうか。どうぞ。 ○渡邉委員  2つの点について。1つは資料6の会議の公開についての案です。傍聴について、原 則、報道関係者とすることということと、部会委員の紹介のある者ということは、この 制限はやっぱり削除すべきではないかと思います。傍聴希望者は一定の様式により、住 所、氏名、連絡先などを届けるというぐらいはいいかと思いますが、さらに傍聴理由は どうなのかということは、さらに検討する必要があります。これが1つ。  それと質問ですが、資料7、平成9年の4月21日に、議事録公開と会議の公開は座長 の決するところによるということを決まったことは覚えているのですが、こんなに詳細 な書面について決議されてましたか。私、この間かなり調べたのですが、ちょっと失念 していたかもしれませんので、それは確認の質問です。議事録でいろいろ決まったこと までしか私調べてもなかったもので、本当にこれは決議されていたかどうかということ が質問です。 ○部会長  後者の方は確認が簡単にできると思いますが、私はこれはされていたと思っていたん ですが、ありませんか。 ○渡邉委員  だから、私、質問しているんです。私は最終的に4月にもめてもめて、こういう趣旨 ですねと確認した議事録までは覚えているのですが、この書面自体は4月21日にはなか ったと思うので、その次の段階でももらってなかったから、こういう書面としての確認 はなかったのではないかという記憶があります。  ちょっと時間があるようですので続けて、先ほどの案についての意見ですが、たまた まこの二、三回傍聴された人権センターの小林信子さんについては初めてのケースで、 私にも一応小林さんの方から事前にご連絡あったので、傍聴できるはずですよ、こうい う条件で、というような助言をしました。いろんなことでしたこと。それから、厚生省 の事務局から、小林さんという方は先生よく知ってますか、というようなご質問があっ たから、私は彼女の活動はかなり知っていて、個人的には尊敬してますというような回 答はしたのですが、紹介をするとか、紹介を条件とするということは、この二、三回に ついても了解はしていません、議長のお言葉におっしゃることに反対することもない し、今回に限ってはと思って黙っておりましたが、規則についてはすべての人が委員を 知っているはずないですからね。これはつけるとおかしなぐあいになるのではないかと 思います。  きょう漏れ聞くところによりますと、もう一人どなたか議員さんの秘書の方が傍聴を 希望されていたけれども、委員の紹介がないからということで、事務局はお断りになっ たということを、この会議に入る直前に知らせていただいて、そういう運用はおかしい のではないかと疑問を持っておるところです。ご検討いただきたいと思います。 ○三觜課長  1点目の、平成9年4月21日の文書についてのペーパーでありますが、これはこの審 議会にこのペーパーをお出しして確認をとったということのようであります。  第2点目の傍聴者についての条件でありますが、これは本日皆さん方でお決めいただ きたい事項であります。 ○部会長  案でございますから、どうぞ、ご議論をいただければ。もちろん私も渡邉委員のおっ しゃるように全くフリーにしたい気持ちはやまやまでありますが、どうでございましょ うか。吉川委員どうぞ。 ○吉川委員  この公開の問題については、私も何回か発言をいたしましたが、その発言の趣旨は、 きょう資料8として配られました「公衆衛生審議会の公開について」と、これに基づけ ばいいのではないか。これ以上の制限を加える必要はない。必要はないというよりも、 制限を加えるだけの力を我々自体が本来持っていないんじゃないだろうか。こんなふう に考えて、公衆衛生審議会がこれでいいと言っておられるのだから、私たちのところも それに合わせようということが私のそのときの主張だったと思います。  その主張から考えますと、今、渡邉先生が言われたことも含めて、例えば、きょうの 案の1のところの傍聴者の問題についても、私は、「なお」までを取って、「傍聴に当 たってその希望者は」というところがあればいいのではないか、こんなふうに思い ます。すなわち傍聴者についての2行とその下の「なお」を取ってしまう。これが私は 適切ではないか、そう思います。  実際に、審議の内容によっては、部会長が判断をするという道が開かれているわけで すから、当然のことながら部会長が事前に議題等をよくおわかりいただいているわけ で、そこでもって決定されるという道がある以上は、原則的にはやはりこうした公開と いう方向で考えるべきではないか、こう思っております。 ○部会長  大熊委員どうぞ。 ○大熊委員  報道関係を特別に扱っていただいたことは大変一見うれしいのですが、やはり万民平 等でありますので、今、吉川先生おっしゃったようなところを取っていただくこと。さ らに、その先に書いてある「その身分」などという昨今ないような言葉。それから、 「傍聴理由」という、この2つも削除していただきたいと思います。  それから、一番下の言葉で「送付し、遵守させることとする」というのも、とても威 張った感じで、開かれた部会という感じがしないので、「遵守していだたくこととす る」というような、なるべく世の中に通用する言葉にしていただけたらと思います。  それから、「会議の録音」というのが2ページ目にあるんですけれども、これだっ て、して構わないんじゃないかと私は思うのですけれども。 ○部会長  そのほかご意見ありませんか。宮坂委員。 ○宮坂委員  大熊委員が報道関係者を特別扱いしなくていいと言いましても、どこの審議会に行き ましても報道関係者優先しているんですね。といいますのは、どうも報道関係者は、報 道ということを仕事として、また、それが公器だと言っているわけでして、公器なのか どうなのか別にしましても、これをやっておかないとたくさん来たときに困りはしない のかなというような気はしますよ。実は中医協なんかも報道関係者だけにしているんで すね。今田部長はよく知っていると思うんですけれども、余りたくさんわんわん来られ たら困るかなというような気がするので、これもいいよ、たくさん来たら体育館ででも やりなさいと言えばそれでいいのかもしれないけれども、そうもいかないんじゃないか なと思うものですから、報道関係者としたのは非常に結構な話だと、私は肩を持って言 いますけれども、そんなにたくさんといってもほかの人は余り来ませんし、報道関係者 はいいのだろうと。  ただ、身分だとかそういうものは、一般の文書にみんな書いてあることですから、身 分をどうだこうだという、我々が身分ということなのか、身分というのはどこのだれべ えだということさえわかればいいのか。例えば、どういう方ですかということがわかっ た方が後で連絡したりなんかするのにも、どういう人なのかわからない人よりはわかっ た方がいいと思いますが、そんなことで「身分」と書いたんじゃないのかなと。何でこ んなことまで書かなければいけないのかと。もっと善意に解釈して、こういうものは読 んだ方がいいんで、悪意にとらない方がいいのではないかなと思うんですが、いかがで しょうか。 ○部会長  どうぞ、簡単にお願いいたします。 ○大熊委員  簡単に言います。住所、氏名、連絡先というのは別に残しておいていただいていいわ けで、それで十分で、加えて身分とか、何の理由だとかいったって、かえっておかしい のではないか。  それから、わんわん来ちゃって大変というのは必ず言われることなんですけれども、 私が経験している医療審議会や伝染病予防の会でも全然わんわんとか来なくて大丈夫で したので、ご心配には及ばないと思います。 ○部会長  どうぞ、部長。 ○今田部長  ご指摘のとおりなんですが、私ども厚生省で公開というときは、基本的には日刊紙と いわゆる業界紙がこの中に住んでおりまして、彼らが私たちの外にの1つの窓口だと。 その人たちに全部手続をそのたんびにとっていただくということそのものは、本来役所 の中に記者クラブを置いているという趣旨からして、そこは除外しておいてくださいと いうような理解として、報道関係者というのをちょっと読んでいただければと思い ます。というのは、そのたんびに記者クラブとやりとりが大変なものですから、我々の 窓口と。それぞれが実質的にはルールを守って運営してらっしゃる報道陣の方々ですか ら、そこは手続からまず除外していただいて、あとは会場のキャパシティーの問題です ので、もちろんあいていれば、守っていただければ、だれが来てもいいことだし、足ら なければ、あるところでは抽選をしたりして、それは1つの事務的な手続としてキャパ シティーの問題を頭に一応置いているがゆえに、この原案がいいかどうかは別として、 そういうある種の公平な調整機能というものはとらざるを得ないということを一応念頭 に置いておいていただければ、私どもそれを実際運用する時点では、不公平にならない ような運用はさせていただきたいと思います。  とりあえず申し上げたいのは、報道関係者に同じ手続をとらせるということだけは、 役所の中、少なくとも厚生記者会に、あるいは記者クラブについては、とりあえずそこ はご自由にということで理解いただければと思います。 ○部会長  それから、身分というのも役所用語で特別な意味はないと考えていいですか。 ○今田部長  要らないことは省きます。 ○宮坂委員  よろしいでしょうか。ここに入るのに身分証明書見せなきゃ入れませんよね。 そういう意味の身分だと思いますよ。 ○渡邉委員  これは議事録は要りませんけれども、傍聴が既に許可されていたら傍聴という理由で 入れるはずでしょう。役所ですから身分証明書がないと入れないなんて。 ○宮坂委員  いやいやほんとですよ。 ○渡邉委員  管理上、たまたま便宜のためにやっているだけでしょう。 ○大熊委員  審議会の紙をピラピラっとさせれば入れるから、別に身分証明書は要らない。 ○部会長  それはよいのですが、この件も、次へ回させてくださいませんか。部会長が何もかも 決するのはなかなかつらくて、多少輪郭がはっきりしている方が楽は楽なんですが、し かし、世の風潮等はよく知っておりますし、大熊委員がおっしゃるように公開したから といってとんでもなく人が来てどうかなったりしないことも私もよく知っております が、しかし、今後生きていく文言でありますので、部会長を今回限りでやめる私とする と、この程度で今回はお許しをいただけないかというのが本心でございます。どうぞよ ろしくお願いいたします。 ○渡邉委員  では留保ですね。 ○部会長  そうですね。 ○渡邉委員  お許しいただきたいというのは、決まったのか決まらないのか。 ○部会長  継続審議にしましょう。次の部会長がやってくれることに。  時間が来てしまいましたんですが、最後、資料10につきましてだけ簡単にご説明いた だいて終わりましょう。 ○中村補佐  それでは、資料10についてご説明させていただきます。これは平成8年の患者調査に 基づきまして、精神障害者数を推計いたしましたところ、平成5年が 157万人であった ものが 217万人ということで、大幅にその数が増加したわけでございます。そのことも 踏まえまして、どういった内容になっているかというところを取りまとめたものでござ います。 これを簡単に全文を示したものが3ページ目でございます。3枚目をごらんいただき たいと思いますけれども、横長の表をごらんいただきますと、精神分裂病につきまして は、若年者を中心に入院の数が減少し、外来の数は伸びているということで、59年を起 点といたしますとこのような伸びになっているということでございます。  老年期痴呆については、入院は横ばいでありますが、外来の後期高齢者の数が伸びて いるということでございます。  そううつ病・気分障害については、中高年の方が、入院、外来ともに伸びている。  神経症については、入院は減少しておりますが、高齢層で外来の数が伸びている。  その他では、青壮年のアルコールの外来が増えている。  結果といたしまして、 217万人というか、それぞれのこういった疾病構造の変化によ りまして患者さんが増えているということでございます。 少し時間がないので、分析につきましては、後ほどごらんいただければおわかりいた だけるかと思いますので、簡単ではございますが、これで説明とさせていただきます。 ○部会長 ありがとうございました。現代の動向をまとめていただいてありがとうござい ました。これについてはお聞きいただくことで終えたいと存じます。忙してすいません が、5時がまいりまして、これで本日の部会は終わらせていただきますが、その前にお 手元へお届けいたしました意見書、これでよろしゅうございましょうか。大体私も今確 認いたしましたが。 ○杉中補佐  直したところをチェックさせていただいて、その後、意見具申を行うということで、 お手元に新たに配りましたもののまず2ページでございます。3、(1)のイでござい ますが、「精神病院の任意入院患者の約半数近くが閉鎖処遇の実情にあるが、入院制度 の趣旨を踏まえ、任意入院患者を開放処遇とすることとする。しかし、任意入院患者の 病状が悪化した時など、その治療上やむを得ない場合に限り、閉鎖処遇を行えることと すること。  このような場合を含め、閉鎖処遇の手続及び概念を明確にするため、精神保健福祉法 第37条第1項に定める処遇の基準として位置付けること」ということに直させていただ きました。 ○部会長  これはよろしゅうございましょうか。  ありがとうございました。 ○杉中補佐  次に6ページでございます。まず4番の題名でございますが、早急にということです が、引き続き早急にというのはおかしいので、「今後、早急に検討すべき事項につい て」という形でまず直させていただきました。  それから、アでございますけれども、「精神障害者の定義については、個別の疾患名 を例示する方法の是非を含め、種々検討を行ったが、関係学会等の動向を踏まえなが ら、そのあり方について引き続き検討を行うこと」ということで、「関係学会等の動向 を踏まえながら」という文言を挿入しております。 ○部会長  これでよろしゅうございますか。 ○杉中補佐  最後に情報公開ですけれども、「精神医療にかかる情報公開の推進方策について検討 していくこと」と。 ○部会長  大熊先生よろしゅうございますか。 ○大熊委員  はい。 ○部会長  どうもありがとうございました。では厚生省へお渡しすることを、皆様の前でやりま す。  本審議会におきまして、本年3月以降審議を重ねてまいりました精神保健福祉施策に つきまして、当面講ずるべき改善措置等をここにまとめましたので、その意見具申を行 います。政府におきましては、どうぞ本意見書の趣旨に沿いまして、今後、所要の措置 を講じていただけますよう求めます。            (部会長から今田部長へ意見書手交) ○部会長  これをつくるに当たりましては、とりわけ専門委員会の吉川委員長以下いろいろなた くさんの方にご尽力いただきましたことを改めて言及いたしましてお礼を申し上げ ます。ありがとうございました。 ○今田部長  部会長をはじめ各委員の皆様方におかれましては、昨年の3月以来、非常に時間をか けていただきまして、精神保健福祉法の見直しにつきまして積極的なご議論をいただき まして心から感謝を申し上げたいと思います。  きょういただきましたご意見につきましては、この趣旨に沿った改正をすべぐ法改正 に向けまして努力をしていきたいと思います。特にこの時期、通常国会を目指しま して、これが実現するよう最大限の努力をさせていただきたいと思っておりますので、 どうぞよろしくお願いいたします。  なお、委員におかれましては、先ほど部会長からもございましたように、1月19日を もって任期が満了するという時期になってまいりました。その間、このご意見に併せま して、精神保健福祉士法の審議も大変ご丁寧にご議論いただいた結果、法案をつくるこ とができたということで、この2年間の皆様方のご尽力に本当に心から感謝を申し上げ たいと思います。  いずれにいたしましても、今後、精神保健福祉あるいは障害保健福祉にかかわります 分野で引き続きまして皆様方のあたたかいご指導をお願い申し上げまして、この席をか りて感謝の言葉とさせていただきます。  どうもありがとうございました。 ○部会長  それでは、これで委員会を終わらせていただきますが、2年間にわたりましてまこと にありがとうございました。お礼を申し上げます。  ここで残された課題につきましては、次の新しいメンバーで議論されることとなりま すが、継続して委員にご就任の方々にはどうぞ今後も精神保健施策を構築していただく よう、私からもお願いいたして終わりといたします。  どうも本当にありがとうございました。 連絡先 大臣官房障害保健福祉部 精神保健福祉課医療第一係 高橋(内線3059)