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医療保険福祉審議会 老人保健福祉部会・介護給付費部会
第3回合同部会議事要旨


1 日時及び場所

平成11年1月25日(月) 14時00分から17時00分
厚生省 特別第1会議室

2 出席委員

井形、星野、青柳、加藤、喜多、京極、見坊、下村、多田羅、田中、中西、中村、成瀬、野中、堀江、水野、見藤、村上(忠)、山口の各委員、切士、池田、蒲生の各参考人

3 議題

(1)訪問入浴介護及び福祉用具貸与の運営に関する基準について
(2)平成10年度高齢者介護サービス体制整備支援事業報告等について
(3)介護報酬に関する実態調査(施設関係)の概要について
(4)その他

4 説明・論議

資料014「訪問入浴介護の運営基準(素案)」資料015「福祉用具貸与の運営基準(素案)」資料016「市町村等による指定事業者等に対する調査権限等」について、神田介護保険制度施行準備室次長より説明。

(多田羅委員)

 被保険者の苦情は、どこで担保されることになるのか。

(神田次長)

 ケアプランに反しているのであれば、保険給付に関する調査などによって確認ができる。運営基準違反や不正請求ということであれば、知事に通知して対応を求めることが可能である。サービス内容についての苦情であれば、国保連に調べてもらう方法と、市町村が直接事業者に報告を求める方法がある。

(多田羅委員)

 被保険者側に立った苦情処理の形を図示して欲しい。

(京極委員)

 身体障害者福祉審議会では、苦情処理を苦情解決という利用者の側から見た言葉で統一しているが、厚生省としては、調整すべきではないか。
(神田次長)
 介護保険では、調査をした上で、必要なサービスの改善についての指導・助言をすることができる、という書き方になっているが、苦情への対応についてはいろいろな規定の仕方があると思う。

(中村委員)

 訪問入浴介護の具体的取扱方針に、介護職員2名とあるが、サービスの質の確保の観点から、介護福祉士の取り扱いを位置付けるよう検討すべきである。

(中西委員)

 ほとんどの薬局では、福祉用具のレンタル、販売を実際の業務として行っているため、薬剤師も、福祉用具貸与の専門相談員として位置付けるべきである。

(神田次長)

 人員配置基準の案では、介護福祉士、義肢装具士、看護婦などの資格を有する者と、これに準ずる者を専門相談員としているが、薬剤師については、福祉用具の業務での取り扱いと併せて、教育課程に何らかの内容が入っているか等を考慮して検討する。

(堀江委員)

 市町村が、保険給付を行わないことができる基準を示すべきである。
 また、保険給付が行われない場合の不服は、不服審査となるのか。被保険者の場合には、必要な介護給付が受けられないということになるのか。

(神田次長)

 保険給付を行わない場合の基準については、どの程度示せるかさらに検討が必要である。
 また、給付を行わないことは行政処分であるため、都道府県の介護保険審査会に不服の申し立てができ、そこで公益代表委員だけではなく、両側の委員も入った合議で審査をすることになる。

(見藤委員)

 福祉用具貸与の運営規定に、利用料及びその他の費用の額があるが、機器を破損した際の弁償はその他の費用に含めるのか否か。

(神田次長)

 運営基準の中では、必要に応じて修理をすることとあるが、通常の使い方による破損であれば、事業者側の責任で修理をすることになり、誤った使用方法によるものであれば、利用者の負担になる場合もある。

(見坊委員)

 運営基準の内容を利用者側から分かるように図式的に示して欲しい。特に身分証の提示や、利益供与といった共通項目を統一して欲しい。
 利用者は、事業者側がどのような運営をするのかを理解できなくては、選択の自由が妨げられる。また、全てを苦情に持ち込むこともどうか。そのへんのけじめが必要となる。
 苦情あるいは不服の申し立て方法等を図式化して示すべきである。

(井形部会長)

 利用者側の利用手引きや、苦情処理の方法等は、実際に運営される時には説明がつくようにすべきものと考える。
 次の議題の高齢者介護サービス体制整備支援事業については、具体的かつ専門的な見地から、要介護認定の技術的な側面という立場で委員会ができ、その委員会で検討を行っている。検討の際に用いた資料を報告し、この場で審議しておきたい。


資料017、018、019、参考2の高齢者介護サービス体制整備検討委員会資料について、三浦介護保険制度施行準備室室長補佐より説明。

(井形部会長)

 資料については、まだ結論は出ていないが、検討会でいろいろ討議をしているものである。また、生じている問題については、是正すればよい。

(中村委員)

 全体的なデータと、介護認定審査会に出席した経験と合わせてみると、調査員の研修も不足気味であったとはいえ、変更理由を縛りすぎたのではないか。
 また、アセスメント表の特記事項の中に、福祉分野あるいは生活部分が記入できるようになれば、より実態に近い要介護度が出てくるのではないか。

(青柳委員)

 二次判定において変更されなかった率が95%以上の地域が、47%ある。私たちが独自に調べて、302地域から意見を求めた結果、そのうちの70%は、これは試行的事業だから変更事例集の不適切例に沿った形だけでやってくれ、という指導、指示が保険者側からあった、というデータがある。
 各年度の試行的事業のロジックの説明がなければ、判断できない。

(山口委員)

 調査項目の中に医療関連行為を入たり、要介護時間でランクを決めるようにしたり、一次判定の途中で修正ができるようにした点等の新しい試みは評価したいが、結果を見ると、一次判定の途中で修正をしたという頻度は非常に低い。
 認定ソフトの内容が前年度と異なることが、要介護度が低く出た理由であろう。また、はじめてやる市町村が、国が示した方法論のみにしたがった結果として二次判定での変更が行われないケースが出たのではないか。事例集は、あくまでも参考にすべきものであるという点を周知しなければ、混乱が出てくるのではないか。特に要支援や要介護度1が自立になるケースで、サービスが受けられなくなると、国民の不満に繋がる。きめ細かな分類をしていると言ってきたことが、薄められていく。修正する点は、検討委員会等でも早く議論すべきであり、修正後の検証も含めて、試行的事業をもう一度やるべきではないか。

(三浦補佐)

 試行的事業という形で行う予定はないが、一部の地域において、修正後の結果等を見ていただく機会を設けては如何かと考えている。

(切士参考人)

 修正を重ねたもので本番に入っていくのであれば、現場の者は、非常に不安なところがあるので、確認できる手段を講じるべきである。

(見藤委員)

 審査判定に要した日数が31日であるが、申請をしてからサービスを受けられるまでの時間は、施行の際に減らせるのか。

(三浦補佐)

 今回の審査判定については、非常に画一的にやっていただいたが、施行の際には、もう少し柔軟で速やかな方法にすることも検討したい。また、今回は試行的事業なので、慣れる前に終わってしまったところもあるので、今後改善できる部分もあると思う。

(池田参考人)

 当初に比べソフトが歪んだのではという疑義がある。痴呆の評価や特別医療を除外しろということではなく、一次判定については、73項目のADL系を軸にして標準化するというところに軸を置いて、二次判定で、痴呆であるとか特別医療を軸とするといった認定のプロセスが必要なのではないか。二次判定の役割をわかりやすく位置づける必要がある。
 一次判定ソフトの改善は繰り返されていくのではないか。当初のものは公開すべきだが、10月の段階で内容が固定するとは考えられない。

(三浦補佐)

 10月からのソフトは確定しなければならないが、要介護認定の手法そのものについて、施行後もより適切なものになるようにしかるべき改善を図っていくことも重要である。

(京極委員)

 一次判定で客観的な認定ができることは結構だが、これは最終的な判定の叩き台ということである。しかし、要介護の人を一次判定から漏らさずに、二次判定に必ず送れるようにし、痴呆等を加味しながら、認定の度数を少し変更するというところで二次判定の役割がある。
 また、一次判定としては、全数を取った場合には、概ね必要量が把握できるということがあるので、早めに事業計画をつくれる。二次判定の結果でも、ケアマネジメントによっては、支給限度額一杯まで使わない場合もあり、そのあたりは家族の状態とか、社会的な環境を調べていくとか、そういうことを少し整理して、議論すべきである。

(見坊委員)

 利用者の関心は、要介護度の区分ごとにサービスの支給限度が決められる点である。また、一次判定については、審議会の委員がわからないのでは国民がわかるはずがない。審議会でオーソライズされたというのであれば我々も自信を持ってレクチャーできるが、どうもそこまでに至らず、試行的事業で今言ってるような議論になっている。ブラックボックスでは困るので、はっきりとフローチャートを示すべきであり、その内容は専門家に検討をしていただく必要がある。
 国民がある程度イメージを持てるような、そういう基準の構造とか考え方とか根拠、そうしたものを示していただきたい。

(堀江委員)

 ロジックの見直しはいつを目途に行うのか早急に各市町村に示すべきである。
 同じような状態像にもかかわらず要介護度が2階級も違うことを国民は納得できない。保険者が立ち往生してしまう、というふうなことにもなるので、早急にロジックの見直しをしていただき、10施設でも試行的事業をやるべきである。その結果、納得できるような基準だということを説明すべきである。加えて、訪問調査員の資質向上のために、早急に徹底した研修を行うべきである。
 また、訪問調査の内容は、被保険者あるいは家族に示すことにより、対象者との信頼関係や、判定結果に関する信頼度を確保する一助にもなるのではないか。
 かかりつけ医制度についても、徹底したルールをつくってもらわなければ困る。相当前に診療した医師が意見書を書く場合、状態像が、現段階で正確なものかどうかは、大変問題になる。申請時に医師から診断を受けるルールもつくられるべきではないか。その場合、医師が訪問する際には、適切な報酬を見るべきではないか。

(下村委員)

 問題点は修正しながら、一次判定システムを使っていく以外の方法はない。ソフトの内容をわかりやすく説明することはできるのではないか。
 平均的な介護度が介護報酬を決める場合の基本になっていくように思うが、今回の試行的事業の結果として出てきた平均的な介護度を教えて欲しい。
(三浦補佐)
 在宅系については、要介護度1、2、3辺りに大体20%弱くらいの部分がある。施設については、一番高いのは要介護3というところで、続いて要介護2、若干、要介護3のほうに寄っている。

(下村委員)

 施設、在宅それぞれの平均が現在の平均単価とほぼ見合うのではないか。

(野中委員)

 都道府県で訪問調査員の徹底した研修を行わない限り、各市町村での格差が出る。一次調査で、齟齬、誤りのない体制とすべきである。
 今年度事業の諸問題にどのように取り組み、改善策はいつまでに出すのか。

(三浦補佐)

 11年度に改めて調査員の研修を行う予定である。
 認定基準については、審議会の御意見を伺った上で定めることになっており、一次判定の内容等についてもご意見をいただき、最終的には3月末を目途に、決めていきたい。
 今後の予定としては、自治体にお願いできる部分があれば、検証をしていただくような機会を設けることを検討しており、最終的には7月を目標に、各市町村に確定したソフトを配布し、10月までの間にシステムに慣れていただくことになる。

(青柳委員)

 9年度に比べて10年度が軽く判定されているという疑義に対して、基準そのものやサービスメニューが変わったということだけでは、数値の違いを説明できないのではないか。
 今年度の要介護度の分布は非常に正規分布をしているように見えるが、試行的事業というのは、明らかに、福祉サービスも含めたサービスの提供を受けている患者、あるいは要介護者を対象にするため、必ずしも正規分布をする必要はない。この辺りも含めて、この大きく変わった数値を説明する何かがあるのであれば、説明して欲しい。

(水野委員)

 このシステムだけで全部決めたのでは困るが、かなり正確なものだと思う。
 また、値段を決めるための論理は公表するべきである。
 細かいことをやって、最後のところで自己矛盾になってしまう危惧があるため、上手な割り切り方を審議会でやる必要がある。審議でこれを権威づけるのかどうかということも大変重要な問題ではないのか。

(青柳委員)

 平成8年度から問題点の指摘をしている。その結果、対応をしながらやってきているという経過はある。
 データベースは、施設の要介護者のみを対象にした3,775例を基にしているため、同じ基準で在宅の要介護者と施設の要介護者を判定すること自体に無理がある。したがって、一次判定結果は参考資料として、二次判定、審査会というもので判定をする仕組みであれば、皆さんも納得するのではないかと思っていた。しかし今回の試行的事業が一次判定重視とされたところに、意志の疎通の問題もあったと思うが、一番大きな問題がある。したがって大きな仕組みの中で、一次判定と二次判定をどう位置づけるかということを議論しなければならない。

(井形部会長)

 ご承知のように、認定は、ドイツはコンピューターは使っていない。しかし、日本全国、どこも公正さを保持するためには、一定の尺度を持たないと絶対先へ進まないし、またこれがあるからこそ、どこでも大体同じレベルだということができる。ブラックボックスと言われると、誰かが作為をもってやっている、というふうなイメージになるので、公開すると思うし、すべきである。
 また、介護保険のようなものは、すべて試行錯誤である。完璧な制度を準備してスタートしてる国はどこもない。私たちはそのためにモデル事業もやって、今修正を加えようとしているのである。それには検証が必要だ、ということで、条件を明示し、なおかつスモールグループのスタディを皆さんに検証していただくことが絶対必要だと考える。
 さらに、医療ばかりでなくて生活や家庭の事情までよくわかった主治医、かかりつけ医というのが絶対日本には必要だろうと考える。介護保険はその一側面もなしていると思う。
 それから、何回も言われているが、病気が重いということと、介護度が重いということは別だということは是非認識していただきたい。これは、介護にどれだけ時間がかかるかということで設定したものなので、病気が重くなると、むしろ介護量が減ることが起こりうる。

(三浦補佐)

 要介護5の割合は、基準が変わったために、今回は9年度に比べて少なくなったと考えられる。先ほど、要介護度が下がったからといって利用できるサービスが変わるわけではないが、それ以外にも何か要因があるのではないか、というご指摘をいただいたが、このモデル事業の結果は、最終的にはそれぞれの市町村で作成する介護保険事業計画の需要見込みに反映される可能性があるので、調査対象者の選択は、現にサービスを受けている方の中で例年にましてさらに厳密に無作為に抽出することをお願いしている。
 そういう点で、今までとの単純な比較は難しいが、今回の事業では、比較的要介護度が低い人も含めて調査対象者になったのではないか、と考えている。
(多田羅委員)
 疑問点として出されていることについて、理解できない疑問点というのは、事務局としてはあるのか。利用者側の理解不足のために起きている疑問点と、実際上の疑問点を区別しないとわかりにくい。

(三浦補佐)

 ここに挙がっている事例については、こういう説明が可能である、ということでお示ししているものである。

(多田羅委員)

 そうすると、あとはコンピューターのロジック上、起こってしまう、ということであれば、それは起こってしまうということを言わないと、何か、100点満点のものができるような幻想を持ってしまい、議論が混乱する。
 だから、こういう問題はどうしても起きるから、それは各審査会で処理してくれ、というふうに、そこのところをはっきり言えば、議論が整理できるのではないか。

(井形部会長)

 コンピューターのロジックとかシステムにある問題と、記入項目の記入の仕方にある問題がある。コンピューターは100点でなくてよく、そのために二次判定というのをつくったわけである。

(田中委員)

 井形部会長がおっしゃったことには全面的に賛成する。
 また、多田羅委員の指摘については、要は、もとの大きな統計から、経験的事実をクラスターにまとめたわけであり、これは確率的にまとめたものなので、個々の事例では確率分布から外れるのが出るのは当然だと考える。それが出たからこのシステムが駄目ということにはならない。むしろそのために二次判定があるという、そのロジックを世の中によく伝えることが大切だ。もちろんソフトウェアを公開すべきだが、考え方を世の中に伝える努力をしていただきたい。

(井形部会長)

 こういうモデル事業というのは、修正するためにやったわけで、問題点が出たから、これを修正していこう、ということを大筋で了解していただければ有難い。
 また、モデル事業の指摘事項とその対応の具体化はいつするんだということは、またこの部会にかかる。具体的にどういうプロセスをとるということを提案し、意見を聞き、また、それと同時に、専門委員会は並行でやっていき、いろいろ細かい点を詰めていこうと考える。
 では、最後の議題に入らせていただく。


資料020「介護報酬に関する実態調査の実施の概要について(案)」につい て神田介護保険制度施行準備室次長より説明

(中村委員)

 医療型に比べて、特養のみの調査が大変詳しい部分があるが、特に、給与のところで、老健は職種別の合計であるのに、特養は個人別に給与額等を記載することになっている。これはどういう必要性があり、どういう目的なのか。
 また、固定資産の部分も、特養については建物、附属設備、車両、運搬具について1件ごとに記入することになっているが、このあたりも、必要性と目的がはっきりわからない。旧来の措置という考え方を持ち続けている感じを受けるので、この辺りは、再度検討なり、考え方があるなら、回答をいただきたい。

(神田次長)

 特別養護老人ホームの給与の取り方について、従来は措置費ということで、一定の給与格付を前提にして、あるべき報酬を積算してきた、ということである。
 介護保険においては、まず費用の実態を把握をして、それに基づいて費用算定をしていくという考え方になる。医療系の施設については、従来、報酬が設定されていて、それをどのように変えていくのかということであり、特別養護老人ホームに関しては、初めて費用実態を細かく把握するということで、詳しい調査をするということにしている。
 固定資産の部分については、医療系のものについては減価償却という概念があるので、どこの減価償却資産かということを確認して、その減価償却費部分を記入していただく、ということになっているが、特別養護老人ホームの資産については、同じものを、デイサービスとか他のものに使っているということがあり、実態をよく把握した上で、その実態を踏まえて費用の検討をしていく必要があるのではないかということで、個別の資産を記入していただく、というようなことにしている。

(中村委員)

 大変難しいところがあるが、建物、それから附属設備、車両等、ご存じのように、必ずしも国の補助でつくったものでない部分というのがたくさんある。自己資金でつくった部分もたくさんあるので、その辺りはやはり、多少整理していただきたいと考える。

(下村委員)

 社会福祉施設は、従来の措置費という体系の中で、個別の費用を積み上げをして支払い額を決めていた。しかし、今回、介護保険法の体系に入ることによって、利用施設に変わるので、医療機関と同様に、細かいものは要らないと思う。ただし、償却が必要か必要でないか、という区分はしっかりつけてもらわないといけない。 今後は決められた範囲で、一定の条件を満たしていれば、自由に使ってよいという形になる。定額で払われた範囲で、一定の条件を満たしていれば、ある程度自由に使ってよい仕組みとなり、担当規則も、サービスが担保されているかどうか、という中身のほうに変わっていくのではないか。
 だから、市町村側が患者の調査もしっかりできるようにやるべきであり、施設側もそれに応答できるようにきちんと対応してほしい。そういうことを担当規則の中で決めて、サービスの担保をしてほしい。
 また、医療経営実態調査については、6月に調査をやるという議論が出ているが、それとの整合性を考慮してほしい。
 例えば、療養型病床群は、健康保険から支払いを受けるものと、介護保険から支払いを受けるものと、二つ出てくる。介護保険に行くか、それとも健康保険に残るか、その決め手は、報酬がどう決まるかだ。利用者は介護の認定が下りなければ、健康保険を使って療養型に行くということになる。片方は精密なことをやって片方は従来どおり、ということになるとおかしい。単価を決める時には、健康保険との関係を当然考慮せざるを得ない。
 さらに、地域区分については、公務員の給与の地域差区分が、おそらくこの対象の集計の時の区分になっていくと思うが、中医協の方はそうなってない。したがって、議論、調整しなければならない部分が出てくる。
 できる限り、調査票などは、両方が統一した内容で、統一したデータが得られるようなものを考えてほしい。集計の仕方等も、そういった問題があるということを頭に置いてやってほしい。

(京極委員)

 3つの施設体系について調査する場合に、例えば、建物については、減価償却を含む医療部分と、国等の補助金でやっている福祉部分では違うので、費用を考える時にどうするかということがひとつ問題である。
 また、都道府県、市町村の単独事業が多いので、この部分は医療の分野と違いがある。これをきちっと把握しないと、変な数字が出てきて、単独事業をやってるところが不利な扱いとなる。
 さらに、福祉施設で非常に頑張っているところは、複数の事業をやっており、これは、人件費から見ると、複数全部人を置いているかというと、必ずしもそうではない。ただ、統計を取る時に、按分比例の原則みたいなものを出していかないと、足し上げたら、本当の数字ではないものが出てくるので、調査をする場合に十分に注意をしていただきたい。
 それから、本来は介護保険のそれぞれの施設の会計基準が一緒になればよいが、そうもいかないので、統一的な会計基準になるべく近づけるように、調査票で、同じ項目はなるべく同じにするという努力をしないと混乱するのではないか。特に大規模法人になると、この3つの施設を3つともやってるところがあり、全部会計が違うので、その辺りの整理をこの調査をきっかけにしていただければと思う。
 市町村については、法人にレセプトの請求を出していくので、市町村の会計が一体どうなるのか、その点については、例えば支出項目について、市町村の中での会計区分として、一定の会計準則みたいなものを準備すれば混乱がないのではないか。

(野中委員)

 この調査だけを基礎に介護報酬が決められるというのでは、大変なことになる、という感がする。だから、現在の実態を調査をして、その後、介護報酬にどう対応していくかというのは、二面性を持ってやらないと、医療機関と福祉施設とに格差が起きる危険性がある。
 福祉施設には土地等の評価はしないことになっているし、医療施設については、土地の評価をきちっとすることになっている。医療部門については減価償却があり、福祉施設は減価償却がないので、この差があるように聞こえるが、実質上、福祉施設にしても、減価償却に等しいような負担を、行政が行うことによって維持をしてきたという経過がある。
 調査のあり方については、もう一度精査をし、福祉と医療を同じスタートラインにするんだという考え方で対応してほしい。

(神田次長)

 医療経済実態調査との関係については、いずれにしても、4月、5月に実施し、医療経済実態調査は6月に実施するということにすれば、その抽出はそれより前にしなければならないということで、介護保険に行くか、医療保険に行くか、というような色分けは完全についていない段階になろうかと思うので、医療経済実態調査の担当部署ともよく連絡を取って、全体として、できるだけ多くの標本が重複することなく把握できるように注意していきたい。

(見坊委員)

 解析の際に、経営主体別にどういうふうな実態の差があるのか、ということを念頭に置いていただきたい。これからは、企業が入ってくる。そうした段階で、経営に苦しんで、現在医療保険の問題でいろいろと議論されているが、同じような轍を踏まないように、調査、解析をしていただきたい。
 また、3つの施設で、一番大きく変わるのは特別養護老人ホームである。特別養護老人ホームには、所得の低い方、後期高齢者が多く、女性が8割入っている。これから新しいシステムに馴染むのには時間がかかる。中に入って、自分と他人とは全く経費の負担が違うなど問題も起こってくる。老人ホームが、介護保険制度に馴染むような方向に移行するため、利用者サイドの混乱を避けながら、弾力的、柔軟な姿勢でやれるよう国はバックアップしていただきたい。
 さらに、介護保険でカバーされる費用と、利用者サイドの負担がどうなるのか。前にも申し上げたように、老人保健施設と横並びで行けば、おむつを昼夜使用すると、食費その他合わせて10万円近く負担するということになっている。
 老人ホームでは取ってないものを、これからは取るわけである。これだけでも大きな転換であり、このスタートと移行のためには、そういったことも念頭に置きながら、特に個室の利用料とか、おむつ代をどう取るのか、いろいろなことを慎重に検討していただきたい。

(成瀬委員)

 この調査を見て、結局、措置がベースになっているなということを非常に強く思ったが、介護保険になった場合には契約制度ということになるので、この調査と介護報酬の問題と、どういうふうにつながっていくのかという点が、我々に見えてこない。それが見えてこないと、この調査が生かされるのかどうかが全然わからない。
 それから、制度が変わるのであれば、会計制度もきっちり変えていただきたい。

(井形部会長)

 本日審議いただいた訪問入浴介護及び福祉用具貸与の運営に関する基準は、最終的にはこの3月末に公布予定の省令で規定される事項である。この部会でいただいた意見や、各方面からの意見を踏まえ、今後、事務局で検討し、引き続き合同部会において審議を続ける、ということにさせていただきたい。
 また、要介護認定基準についても、本日審議いただいた平成10年度高齢者介護サービス体制整備支援事業報告等も踏まえ、引き続き審議いただき、最終的には年度末に公布予定の告示で規定されることになる。
 次回の合同部会は2月1日の14時から17時まで、今度は星野部会長に担当していただき、厚生省特別第1会議室で開催する予定であるので、よろしくお願いいたしたい。本日はこれをもって終了する。


問い合わせ先 厚生省老人保健福祉局企画課
 電 話 (直) 03-3591-0954
厚生省老人保健福祉局介護保険制度施行準備室
 電 話 (直) 03-3595-2890


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