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HIV診療支援ネットワークシステム部会
(第4回)議事概要


1.日 時: 平成11年1月20日(水)13:00〜15:45
2.場 所: 通産省別館837会議室
3.出席者:  (厚生省)上田政策医療課長、塚原政策医療課高度・専門医療指導官、山本運営企画課補佐、桐生政策医療課補佐、池田エイズ疾病対策課補佐、中田医薬安全局医薬品副作用被害対策室補佐
(国立国際医療センター)岡臨床研究開発部長、秋山情報システム部長、安岡病棟医長
(国立大阪病院)白阪臨床研究部ウイルス研究室長
(原告団・弁護団)東京4名、大阪3名
*梅田、青木委員欠席
4.議 題: 1.第3回部会以降の経過および今後のスケジュールについて
ア 試行開始後の実績について
イ 国立拠点病院参加に向けた準備等について
ウ 今後のスケジュールについて
2.A−net管理要綱、運用管理細則について
3.セキュリティ対策について
4.国立拠点病院A−net説明会について
5.統計情報について
6.A−net部会議事概要について
7.その他

5.議事要旨

(1)第3回部会以降の経過および今後のスケジュールについて

○事務局より説明後の主な発言内容

原告団:

 ACCと厚生省所管の4ブロック拠点国立病院におけるA -netの参加同意者のうち、複数施設に登録している人は何人か。

厚生省:

 現在、2名である。

原告団:

 試験運用については、予定どおりうまくいっているのか。

厚生省:

 システム上でいくらかバグがでているところがある。また、ACCには全国の8割程度の同意者があり、その初期入力が膨大で追いついていない状況である。


(2)A−net管理要綱、運用管理細則について

○事務局より説明後の主な発言内容

厚生省:

 厚生省所管のエイズ拠点国立病院にA-netの運用を拡大するに当たって、さらに患者情報のセキュリティを確保する観点から、管理要綱と運用管理細則に条項を追加し今回お諮りする。
原告団:
 管理要綱第10条において、感染症新法の罰則規定に抵触するとされているが、感染症新法で罰せられるのは、故意犯だけだと思う。過失にまで拡げて注意する趣旨はいいが、記述については法律に合わせた方がいい。

原告団:

 過失により情報が漏洩した場合は、感染症新法による罰則に恐らく当たらないから、損害賠償の対象になりうる、法的責任を問われることがあるなどとしたらどうか。患者情報のセキュリティの確保を図るという趣旨は了解。

座長:

 条文については、今のご意見を踏まえ、事務局でまとめることとする(了承)。

原告団:

 管理要綱第12条において、研究データの利用が定められているが、研究利用の許可の要件について、今後議論するのか。

座長:

 いずれ改めてご議論いただきたい。

原告団:

 細則の7条に利用登録の抹消が規定されているが、前回の部会の議論では、細則ではなく管理要綱に入れることとされていたが、変更した意図は何か。

厚生省:

 手続きについては細則に規定した方がいいと判断した。

原告団:

 長期にわたりシステムを利用しなかった者については、利用権を強権的に取り上げることとされており、それはセキュリティとの関連で取り上げるのであるから、事務レベルの問題ではなく、要綱の方が相応しいのではないか。

原告団:

 管理要綱と細則を比べて、規定する位置が異なると効力がどのように変わるのか。

厚生省:

 管理要綱は総括管理者が定めるものであり、変更するには部会の判断が必要。細則はシステム管理者が定めるものである。
 例えば3か月間、システムを利用しなかった者の登録を抹消する場合、管理要綱に規定されていると、部会の承認を待つこととなり、手続きが遅れ、現実的ではない。3か月を半年に伸ばすなど、利用者のモラルや知識レベルにより設定を変えていく必要があると考えるが、細則であれば、例えばオンラインにより変更できる。始めは厳しく設定しておいて、アベイラビリティを考えて今後条件を緩めていくために、適宜弾力的に行えるようにしておいた方がいい。

原告団:

 細則に定めるということは、原告団が関与しなくていいという判断と考えられるが、極端なことがあれば、意見は言えるだろうから了解。

原告団:

 管理要綱第13条「A-netのデータは、A-net部会が了承している範囲内でサーバ上で利用することを原則とする」の「原則」の意味は何か。他に想定していることは何か。

厚生省:

 利用者からの申請を受けて部会で承認したデータについて、一時的に研究者のコンピュータに移すことが考えられる。また、災害時のことが想定される。例えば、関東で災害が起きてデータが残っていない場合、バックアップ施設である国立大阪病院から別媒体で送ったデータを拠点病院で利用することが可能となる。従って弾力的に運用できるような文言とした。

原告団:

 第13条は一義的に読めないので、書きぶりを変えた方がいい。

座長:

 「A-netのデータは、A-net部会が了承している範囲内でサーバ上で利用するもととする。ただし、前条の場合及び総括管理者が必要と認める場合はその限りではない」とする(了承)。

原告団:

 後ほど説明があると思うが、本日の資料にセキュリティ対策10か条があるが、この中に「何らかの手段で別媒体(紙、フロッピーディスク等)に移した場合」と想定されているが、趣旨が管理要綱の規定から外れている。

厚生省:

 管理要綱は従来より御議論いただいているところであり、ある程度成熟したものであるが、セキュリティ対策10か条は、急いでまとめたものであり、未熟なところがあるから、管理要綱に合わせることとしたい。

原告団:

 細則第8条の5(利用者が行ってはならない行為)において、「患者のプライバシー情報等」の「等」は何を指すのか。また、「別媒体に移した後に」ということは、管理要綱で想定していない。

厚生省:

 「等」はサーバを指している。

座長:

 「A-netのデータをA-net機器等から別媒体に移すこと」に改める(了承)。

厚生省:

 研究目的で入手したデータのコピーは禁止しており、MO(磁気媒体)も返してもらうこととなるが、研究データに関しては、患者のプライバシー情報を抜いたデータであるからプライバシー保護は必要ない。

原告団:

 大事なことは、研究目的と普通の目的を分けることである。一体どのレベルまでをプライバシー情報とするかが現在まとまっていない。研究目的として申請があった場合、どこまでなら大丈夫という想定があるのか。研究目的で出たものであればコピーされてもいいといえるのか。
 病院の症例検討会でもオープン、クローズドについてコンセンサスがない。研究目的という概念だけでは裁き切れない。

厚生省:

 現在のところ、そのようなことを専門で研究している分野はないから、安全面からみてA-netでは厳しくしているところである。

原告団:

 研究目的としてどの程度のデータが必要なのか分からない。現在の想定を教えてほしい。

厚生省:

 年齢、住んでいる地域など必要なデータは研究ごとに異なり、個別に判断されるものと考えている。
座長:
 細則については時間の関係があるので、暫定版として進めさせていただき、時間があれば議論することとしたい(了承)。


(3)セキュリティ対策について

○事務局より説明後の主な発言内容

原告団:

 1月23日(土)の説明会にはA-net利用者の約3分の1に当たる66名の医師等が参加し、 施設に戻って説明することになるが、1回の説明会で全て理解できるのか。また、この人たち の能力に任せるのか。

座長:

 本日別途開催した地方医務局長会議において、A-netについては、地方医務局をあげて管内 施設への働きかけをするよう指示したところであり、今後フォローをしていく。

厚生省:

 国立大阪病院においても、拠点病院を集めて復習をすべく企画中である。

厚生省:

 各地方医務局で行うことを検討したい。

原告団:

 ブロックリーダーがないところでは、何故セキュリティの確保や患者の同意が必要なのかと いう点についてクリアしていない拠点病院がある。従って、その必要性をカリキュラムにいれ て欲しい。また、北海道や中四国地方など厚生省所管のブロック拠点国立病院がないところに ついてのフォローを考えてほしい。

厚生省:

 1月23日の説明会だけでは完璧ではないから、地方医務局、厚生省所管のブロック拠点国 立病院、場合によっては本省からも出向いて説明する。

原告団:

 厚生省所管の国立病院以外のブロック拠点病院の動きはどうか。ブロック施設としてノウ ハウを持っているはず。

厚生省:

 A-netに関して、ハード的には予算確保が進んでいるが、いつから表に出せるか読めていな い状況。患者との関係等については厚生省所管の国立病院以外のブロック拠点病院の医師を講 師として呼べるのではないか。

厚生省:

 ACCが全てを受け持つのは非現実的。ブロック拠点病院がブロックらしく動くシステムを 作ることが重要である。

原告団:

 中四国地方のニューズレターにおいては、A-netについて、今本当に必要なのか懐疑的にな らざるを得ないと書いてある。

厚生省:

 ニューズレターの筆者に話を聞いたことがあるが、ネットワークができることは非常に喜ん でおられた。ブロック拠点病院の機能を十分生かせるように活用できればよいと思っている。

原告団:

 中四国地方の説明会において、電子カルテの話をされていたが、すぐに現実化して、同じも のと誤解されるのではないか。

厚生省:

 相当近い将来、診療録の電子保存は認められると考えている。

原告団:

 近い将来とはいつ頃か。

厚生省:

 担当部局が違うので、責任をもって答えられない。
原告団:
 電子カルテ化が実現した場合、A-netと同程度のセキュリティが必要とされた場合、一般の ほとんどの病院は対応不能である。電子カルテとA-netはつながらないのではないか。

厚生省:

 電子カルテといっても色々な形態がある。電子カルテの保存と利用の概念が混在しているた めに誤解があり、診療録の保存は必ずしも双方向ではないので対応可能である。A-netで電子 カルテの話が出てきたのは、二度入力をしたくないことからである。省力化については技術的 に可能である。ただし、予算の問題はある。

原告団:

 電子カルテとA-netの理解がかえって足かせになる。技術の問題ではなく、情報に関するポ リシー、モラルの問題である。

厚生省:

 医学教育で欠如しているモラルの問題を指摘するため、ブロックの説明会では厳しく説明し ている。

原告団:

 当面は電子カルテとA-netが違うものであることをはっきりさせておいて欲しい。

原告団:

 1月23日の説明会以降2月8日までに2度目の講習会はできないから、実際によく理解し ていない人が操作することも有り得る。またモラルの低い人が参加した場合はどうするのか。
 A-net利用者1人1人に対して電子メールでセキュリティ対策10か条を送りYES、NOを 確認させたらどうか。

厚生省:

 情報システムは許認可を止めて分権にしていくことであり、その分、自己責任が大きくなっ ていくものであるにもかかわらず、自己責任の認識が欠けている。施設長に対して自己責任を 強調していくことは、長い目で見て効果がある。逆に初めから厳しくすると逆効果で長続きし ないから、1人1人の確認は必要ないと考えている。ただし、システム管理者の努力の範囲内 で啓蒙活動はしていく。

原告団:

 システム自体の意義がどこまで伝えられるか不安がある。

厚生省:

 セキュリティの確保など厳しい面を強調するほどシステムの良さが消えてしまう。

座長:

 1月23日の説明会では施設長への確認と、システムの有用性を伝えることとしたい。さら に慣れてもらうことにも意義があることと考えている。

座長:

 施設長あてに通知を出して伝達講習しているかどうかを確認し、実施していない施設はA- netの参加を認めないなどとしてはどうか(了承)。

原告団:

 セキュリティ対策10か条の8番目で「画面は、貴方と画面上の患者さんに限るのを原則と するが、診療上他の医師等の閲覧が必要な場合は、画面を開けている貴方の責任で閲覧するこ と」とあるが、このうち「他の医師」とは。

厚生省:

 利用権を持たない医師。画面を見せるのと操作するのとは異なるから同席していないと駄目。 よって、「画面を開けている」を「同席のうえ」に改める。

 以下、セキュリティ対策10か条について細かい修正あり


(4)厚生省所管の国立拠点病院A−net説明会について

○事務局より説明後の主な発言内容

厚生省:

 説明会において、罰則規定も含めてブロック拠点病院に説明したよりも詳しく説明を行う。

座長:

 1月23日の説明会を実施した後、事務局案のとおり2月8日から厚生省所管の国立拠点病 院に展開を図ってよろしいか(了承)。


(5)統計情報について

厚生省:

 情報提供についてはA-net申請者を対象としているが、患者のプライバシー情報はないので 統計情報をホームページに掲載したいと考えているがどうか(了承)。


(6)A−net部会議事概要について

厚生省:

 前回の部会において、ホームページに載せる形式として、議論の経緯がわかるようにという ご意見を頂いたので、今回のまとめ方をしている。

原告団:

 この案でよいと思うが念のため原告団で調整したい。

座長:

 第1回から第3回までの分について、2月8日までに意見等をいただきたい。


(7)その他

厚生省:

 来年度よりA-netに関する研究班を設置することとし、その場で運用についての技術的な問 題やいつから厚生省所管の国立病院以外の拠点病院に広げるかを検討していくこととしている。

厚生省:

 参考資料としてお配りしたように、1月18日からA-netについて厚生省のホームページに 掲載している。

座長:

 最後に本日の議論について確認させていただくと、管理要綱と細則はとりあえずの暫定案と して進めていく。管理要綱は事務局で訂正する。また、細則は暫定案をホームページに載せて よろしいか(了承)。1月23日以降、地方医務局、厚生省所管の国立ブロック拠点病院によ り啓発に取り組み、試験運用として厚生省所管の国立拠点病院への拡大を2月8日から行う (了承)。
原告団:
 A-netと電子カルテの関係を明確に伝えられない場合は、違うものだと言っていただきたい。 誤解を招くので説明は慎重にお願いしたい(了承)。

 次回(第5回部会) 3月9日(火)14:00〜16:00

以 上


問い合わせ先
厚生省保健医療局国立病院部政策医療課
担 当 岩下(内線2627)
電 話 (代)[現在ご利用いただけません]


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