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医療保険福祉審議会 老人保健福祉部会・介護給付費部会
第2回合同部会議事要旨


1 日時及び場所

平成11年1月14日(木) 16時00分から18時00分
厚生省 共用第6会議室

2 出席委員

星野、井形、青柳、石井、加藤、下村、多田羅、中村、野中、橋本、樋口、堀江、水野、見藤、村上(勝)、山口の各委員、兼子、漆畑、高梨、小島参考人

3 議題

(1)介護保険施設等の運営に関する基準等について
(2)平成11年度老人保健福祉関係予算(案)の概要等について
(3)その他


○ 資料008、009、010、011、012に沿って、介護保険施設等の運営に関する基準等について、介護保険制度施行準備室神田次長より説明。

(中村委員)

 介護老人福祉施設の運営基準について、措置の考えから離れた新しい発想で、老人保健施設と同じように個室の利用料をとれるように考えていただきたい。加えて、機能訓練にしても、OT、PTによるリハビリ訓練ができるような道筋をつけていただきたい。
 老健や療養型病床群の運営基準案の中に「看護及び医学的管理のもとにおける介護」という言葉があるが、介護とはなにか、医療管理のもとの介護なのか、もう一度考えていただきたい。介護老人福祉施設の健康管理のところで、「医師及び看護職員は常に入所者の健康の状況に注意するとともに、健康保持のため適切な措置をとらなければならない」とあるが、介護職員という文字を入れることはできないか。

(石井委員)

 指定介護老人福祉施設では、「正当な理由なくサービスの提供を拒んではならない」とあるが、介護度が軽い人より介護度が重い人を優先することはできないのか。
 もう少し応用の効く表現にして欲しい。退所時の援助に関しては、家庭状況の把握などで労力と時間がかかるので、費用加算を考えていただきたい。
 利用料等の徴収のうち「理美容代その他入所者の選定により、」というところでは、外部サービスとして、マッサージが入るようにしていただきたい。
 「あらかじめ入所者に対して説明を行い」ということだが、「入所者または家族」と読みかえてもよいか。
 健康管理について「指定介護老人福祉施設の医師は、……」とあるが、嘱託医以外の往診もあり得るのではないか。
 入所者の入院期間中の取扱いについて、概ね3か月以内というのは今まで通りで良いが、その間の費用をどうするのかよく検討していただきたい。

(神田次長)

 利用料の徴収については、基本的には本人に説明することかと思うが、本人の意思疎通が全くできないというような場合には、説明の対象者としては家族も含めて規定するよう検討したい。
 同意については、施設入所でも在宅サービス提供でも、原則は本人の意思に反してやらないということであり、意思能力が落ちて低い状態であったとしても、なんらかの形で意思表示できるということであれば本人の意思を尊重する意味から、本人の同意と書いている。

(見藤委員)

 基本方針のすべてに共通するが、「入所者の人格を尊重し、常に入所者の立場に立ったサービス提供」ということは結構であるが、具体的にわかるよう「入所者の人格を尊重し、意見を聞き」と入れていただきたい。
 機能訓練と介護の部分に付いている「医学的管理のもとにおける」というのは、要らないのではないか。
 看護について、おむつの交換、週2回の入浴などの細かい規定があるが、そこまで言う必要はないのではないか。。
 介護療養型医療施設については、チームによるケアという趣旨から、「チームによる協議をする」、といった項目を入れていただきたい。

(堀江委員)

 「でなければならない」、「ものとする」という表現があるが、最終的に誰が個別にチェックし、フォローするのか、その仕組みを明確にすべきではないか。それは、実情を一番把握しやすい保険者である市町村の役割なのではないか。
 苦情処理については、法律上国保連合会のできる規定とされているが、運営基準でも事業者等の義務としてのみの規定とすべきではない。苦情の中には、適正な介護保険制度運営に必要な重要な情報が入っているはずであるから、運営基準では、苦情処理に関する市町村の役割をもっと明確にすべきである。
 適切な苦情処理が行われるためにも、国保連合会の苦情処理の経費についても、事務費と同様に国庫から補助をすべきである。

(樋口委員)

 3施設に歴史的経緯があることは分かるが、介護療養型医療施設と老健施設に関しても、介護保険の枠に入る以上、医療と介護は同格に扱うべきである。2施設では診療録をつくれと書いてあるが、特養では、介護録云々ということは特別に書いてないと思うので、整合性をどう考えるのか。介護保険では、医療と介護を車の両輪として高齢者の生活を支えるという意味から、もう少し介護、福祉の部分が出てきていいのではないか。
 年をとって弱った人の人権を確保するという意味で、介護保険施設で不適切な薬物使用や抑制などの取り扱いがあったときに、チェックする機関がないとすると、利用者、消費者としては不安である。
 利用者の選択という点からは、協力病院を定めることはいいことだが、同時に、協力病院でない病院を選択することもできる、というような項目があってもいいのではないか。
 1984年にイギリスが居住施設の設置・運営基準を出したとき、くどいほど、個人の選択の自由について書いていた。自由のきかない、なかなか発言しにくい人々の選択の自由を考えて欲しい。苦情処理や地域との連携あたりで、地域の住民の参画ということが生かされればよいと思う。
 個人的に病院の食事より特養の食事の方がよいという体験をしているが、3施設では低い方に合わせずに良い方に合わせていただきたい。3施設の中で食費がどうなっているかという調査を、ぜひ厚生省ではやっていただきたい。

(橋本委員)

 サービスの質のところには、利用者の意思の尊重をきちんと書いておいてほしい。先ほど指摘のあった箇所に加えて、施設サービス計画の部分で「施設サービス計画に関する業務を担当する介護支援専門員は、施設サービス計画の作成に当たっては、適切な方法により」とあるところに、「入所者と家族の意思を尊重して」といったことを入れていただきたい。
 「指定介護老人福祉施設の従業者は、指定介護福祉施設サービスの提供に当たっては、懇切丁寧を旨とし」とあるが、例えば、「抑制など、不適切な介護をしてはならない」と具体的に書いて欲しい。また、排泄や入浴などに関するプライバシーの保護についても、やはり書いていただきたい。
 介護老人保健施設に関して、入退所時の「居宅における日常生活が可能か否かの検討」というところには、「入所者の心身の状況及び病状に照らし」としか書かれていないが、居宅において日常生活を営むことが可能と判断するには、介護老人福祉施設に書かれているように「入所者の心身の状況及び病状、及びその置かれている環境等に照らし」と書き、特養に入っていく可能性への配慮をしておくほうが妥当ではないか。

(野中委員)

 共通して、市町村が居宅介護支援事業者や居宅サービス事業者などと、同じ立場にあるように書かれているが、この場合の市町村とは、保険者としての市町村なのか、事業者としての市町村なのか。
 苦情処理について、市町村が受け付けた入所者ないしは利用者からの苦情に対しては、迅速かつ適切に対応し、その結果を市町村に報告しなければならないとある一方で、国民健康保険団体連合会が行う場合については、法第176条第1項第2号の調査に協力するとともに、国民健康保険団体連合会から同号の指導または助言を受けた場合においては、当該指導または助言に従って必要な改善を行わなければならない、となっている。
 国民健康保険団体連合会に対しては、保険者が業務を委託するかどうかを決めることすら明確になっているわけではないのに、厚生省は、すべて国民健康保険団体連合会に委託することを前提で考えているのではないか。
 市町村はすべてにおいて、最大の権限と指導性、被保険者擁護の責務をもたなければならないと考えるがどうか。運営基準になったら市町村は枠外という考え方は是正して欲しい。

(神田次長)

 市町村の意味には、サービス提供事業者として規定されているものと保険者としての性格を持つものとの両方がある。
 例えば、基本方針のところでの市町村は、さまざまなサービスの提供をする者の代表としてであり、老人保健施設の運営基準案の例で言えば、入所者で指示に従わないとか不正の請求があった時といった場合の通知先である市町村は、明らかに保険者を念頭において規定されている。苦情処理に関するところも、保険者として一義的に被保険者の方々からの要望、相談、苦情を受けるという観点から、保険者として規定されているということと考えられる。
 市町村の保険者としての権限と運営基準の担保についてであるが、まず法律上は、運営基準などの違反があった場合の指定の取り消しの前提となる報告聴取や立入調査などについては都道府県知事が行うことになっている。事業者や施設のサービスは一市町村の中で必ずしも完結せずに複数市町村にまたがってサービス展開をしていることもあるため、市町村の枠をこえた監査、指導の業務が出てくるからである。
 ただし、市町村は、被保険者に身近なところにあり、運営の実態、費用の請求などの不正などもわかるということから、法律でも運営基準の違反がわかったとき、あるいは、不正の請求があったという場合には、広域自治体である都道府県知事に通知をして権限発動を促すことができる、という規定がある。
 苦情処理についても、同様に、広域的な調査、指導、助言という意味合いや報酬の審査支払いなどを通じ事業者等の情報を有しているということから、国保連で行うことが適当ではないかということで法律上規定しているが、最も身近な市町村が利用者からの苦情に対応せざるを得ないという面もあるため、運営基準案の中でも、きちんと迅速に対応して結果を報告するという旨を規定している。

(高梨参考人)

 介護老人福祉施設の個室利用については、利用者の選択により個室を使用した時には利用料をとることでいいのではないか。
 介護老人福祉施設は、介護報酬の額との間で、自由なサービスの提供を受けるとき不合理な額を取ってはいけない、といった規定が書いてあるが、介護報酬よりもさらにいいサービスを提供しているために高いコストがかっている場合は、かかったコスト分ぐらいは請求してもいいのではないか。
 介護老人福祉施設についてのみ広告の運営基準案が書かれてあり、介護老人保健施設や介護療養型医療施設については医療法上で規制するということだが、一般国民の立場に立って柔軟に考え、介護療養型医療施設や介護老人保健施設についても、適切な広告をするという介護老人福祉施設並の広告ができるようにしたほうがいいのではないか。

(漆畑参考人)

 「居宅における日常生活が可能か否かの検討」というところで「医師、看護婦、介護職員、相談指導員、介護支援専門員等の職員の間で協議しなければならない」と施設の職員を列記してあるようだが、老人保健施設の施設及び設備、人員並びに運営に関する基準の改正にならい、ここに薬剤師を明記していただきたい。
 健康手帳のあり方について検討中ということであるが、健康手帳の医療に係るページの記載のスペースが大変小さく、現行の医療の記録や検診の記録あるいは薬剤に関する情報提供などを記載するだけでも既にスペースが一杯になってしまう状況である。
 介護老人福祉施設の健康管理のところでは、協力病院と歯科協力医療機関を定める規定との関係で、施設の関係者だけではなく、協力病院の医師、あるいは歯科診療所の歯科医師なども含めて相談をして、健康保持のための適切な措置をとらなければならない、としていただきたい。
 介護老人福祉施設の衛生管理として、「医薬品及び医療用具の管理を適正に行わなければならない」となっているが、当該施設には薬剤師の必置義務がない。医薬品の管理は誰が行うのか。また、医薬品とはどのようなものを指しているのか。
 介護療養型医療施設では、「入院患者の食事は、自立支援に配慮して、できるだけ離床して食堂で行われるように努めなければならない」とあるが、1ベッドの有床診療所で食堂が設置されていない場合でも指定できるとなると、どのように対応することになるのか。

(多田羅委員)

 市町村への通知のところで「遅滞なく、意見を付してその旨を市町村に通知しなければならない」とあるが、なぜ通知しないといけないのか。そして、報告を受けた市町村は、何かすることができるのか。その場合には、保険者たる市町村の立場を保証しないといけない。

(下村委員)

 市町村は、苦情を受けつけて施設に通知し、施設側はそれに対して回答する。その結果、施設側に重大な問題があれば、都道府県に通知するだけでよいか。市町村に調査権を与えるべきではないか。
 それから、同じ市町村と書いてあっても、いろいろな場合があるので、保険者の機能であれは、保険者、そうでない場合は、市町村と書き分けてほしい。
 次に、施設は正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないとあるが、市町村は介護保険事業計画をつくることになっている。地元に所在する老健や特養は、計画の中では地元住民最優先で入所するものとして考えられて位置づけられていると考えてよいのか。また、その場合に、他の市町村の人を断るというのは正当な理由となるのか。

(神田次長)

 「離床して食堂で食事をとらせるようにとあるが、食堂がない施設もあるのではないか」ということについては、人員設備基準の時にも、食堂を設置していない転換型の療養型病床群の場合にあっては、機能訓練室とか、そのほか適当なスペースを使うなどして、できる限り離床して食事をとらせるように運営基準上規定することを検討していると説明していたところ。指定基準との関係を踏まえて規定していきたい。
 多田羅委員の質問だが、「正当な理由なくして指示に従わないとか、偽りその他不正な行為によって給付を受けた時に何かの措置ができるのか」という点については、まず、正当な理由なくして指示に従わない場合について、法律上の明文の規定があり、市町村は、そのような場合には、介護給付の全部または一部を行わないことができるということになっている。不正の利得の徴収については「偽わりその他不正の行為によって保険給付を受けたものがあるときは、市町村は給付の価格の全部または一部を徴収することができる」という明文の規定があるので、そうした措置を講ずるということである。
 下村委員の質問だが、「市町村から施設に通知するだけでいいのか。調査権などが必要ではないか」ということだが、市町村が受けとめる苦情にはたくさんのものがあり、行政処分に関する要介護認定の不服などについては、県に介護保険審査会という専門の機関が設けられているし、指定基準などの違反については、県が監査権をもっていて、最終的には違反の事実を確認して指定の取り消しをするということになっているので、主として、市町村とか国民健康保険団体連合会で対応するのは、サービスの内容そのものに関する苦情になる。法律上市町村調査ができるとの規定がある。それからもう一点、地元の優先ということだが、現在の特別養護老人ホームは行政処分で措置することになっているが、正当な理由なくして、措置を拒んではいけないということになっており、現状であっても、自分の町の住民ではないからといって入所措置を拒んではいけないことに法律上はなっている。したがって、特定の市町村の入所者に限定することは現状でもできない。介護保険になれば、なおのこと市町村域をこえたサービス利用ということになるので、特定の市町村の入所者に限るということは難しい。

(下村委員)

 特定の市町村の入所者に限るということではなくても、介護保険事業計画に基づいて介護行政、介護保険の運営をやろうとしているのから、実態上優先されるということがなければ、おかしいのではないか。
 それから、市町村が特別の契約を施設と結ぶことは可能か確認したい。

(多田羅委員)

 事務局の答えでは、正当な理由のないときには給付をしないという措置ができるということだが、正当か正当でないかを誰が調査するのか。
 市町村が被保険者の立場に立って調査するということが、あっていいのではないか。

(高井室長)

 保険者である市町村は、法律23条で、文書の提出など調査権があり、正当な理由があるかないかを十分判断をして給付の一部制限をする。

(下村委員)

 法律上書いてあるから調査権があって、施設側にも対応する義務があるということであれば、運営基準に書く必要はないのではないか。

(高井室長)

 保険者に通知をする部分や、国保連から調査があった場合の応諾義務については、運営基準に書いて補っておかなければならない。

(星野部会長)

 今の質問については、少し事務局の方で整理をして説明できる準備をお願いしたい。

(橋本委員)

 施設サービスに関する指示に従わないときということが法律の中に書かれているが、どういうことをイメージしているのか。

(神田次長)

 法律上書いてあるのは、介護保険の給付対象となるサービスの利用などに関する指示で、具体的には、療養上の指示とか、サービス提供に関する指示にあえて従わずに、要介護状態の悪化を増進することがあった場合に、給付を一部行わないことができるということである。

(中村委員)

 重度障害者や超高齢者はついのすみか的なものが福祉施設に求められるが、介護保険下では、その部分を脱却して受け入れて行こうとしている。しかしながら、療養型医療施設の基本方針を見ると、生活の場への復帰という言葉はないし、「長期療養を必要とする要介護者に対し、その者が有する能力に応じ自立した」というようなことが書かれてあって、介護保険が、社会的入院の増大から生まれた反省がない。長期という言葉はどうか。長期化はできるだけ避けなくていけない施設が療養型医療施設ではないか。言葉の使い方については、注文をしておきたい。

(高井室長)

 013の「当面の審議日程について(案)」にいて説明。

(井口企画課長)

 「平成11年度老人保健福祉関係予算(案)の概要」について説明。

(加藤委員)

 平成12年度以降の新ゴールドプランの後の筋道の説明も、早い時期に聞きたい。

(星野部会長)

 それでは、今日の審議はここまでにとどめたい。
 なお、本日審議した介護保険施設等の運営に関する基準については、最終的には平成10年度末に公布予定の省令で規定される事項であるが、両部会でいただいたご意見や各方面からの意見を踏まえ、事務局で検討し、引き続き合同部会において審議していくこととしたい。
 また、今後主な省令・告示の年内公布に向けて、引き続き精力的なご審議をいただきたい。
 本日はこれをもって閉会する。


問い合わせ先 厚生省老人保健福祉局企画課
 電 話 (直) 03-3591-0954
厚生省老人保健福祉局介護保険制度施行準備室
 電 話 (直) 03-3595-2890


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