98/12/21 第2回地域保健問題検討会 第2回地域保健問題検討会 日 時  平成10年12月21日(月) 10:00〜12:00 場 所  厚生省2階 共用第7会議室 北川座長  おはようございます。ただいまから第2回の地域保健問題検討会を開催させていただ きます。今回、遠藤委員と鬼頭委員が初めて出席されておりますので、簡単に自己紹介 をお願いします。 遠藤委員  埼玉県の健康福祉部長をやっております遠藤でございます。なかなか日程があいませ んので、今日はたまたまでてまいりましたので話すだけ話してあとは欠席するかもしれ ませんが、よろしくお願いします。 北川座長  鬼頭委員は見えてないようですね。ありがとうございました。それでは本日の資料の 確認をまずお願いしたいと思います。 岩尾課長  はい、それではお手元に第2回の会議次第と書いてありまして、議題、今日は保健所 政令市の指定要件等についてということで、(1)(2)と二つの議題を出しています。資料 一覧で資料1から8までございます。お手元の資料、確認していただければと 思います。座席表と名簿も一緒に入っております。それから前回の資料2というのも、 先生方のお手元に置いてあるかと思いますので、その分ちょっと資料の番号が重なると ころがございますが、別綴じにしておりますので確認していただきたいと思います。  それから2冊本がお手元に置いてあるかと思いますが、『衛生法規の要点』と『これ からの地域保健』という本が置いてあるかと思います。資料は以上でございます。 北川座長  それでは今日の議題に入る前に、前回の議論の概要とそれから前回先生方から依頼が ありました資料について、事務局のほうで整理をしていただいているようですので、簡 単に説明をお願いします。 岩尾課長  先ず、前回ちょっと私の説明の一部を変更させていただきたいと思いますが、一つは テーマの1つでございました、保健所政令市の指定要件ということで緊急に議論いただ いて、1月末までに回答いただきたいという話をしておりました。先日、自治省にこの 中核市の要件に関する地方自治法の改正案の内容についての現状を尋ねてまいり ました。そのところ、中核市の人口要件については、当面現行の30万人を維持すること とし、次期通常国会に提出する改正法案には、中核市の人口要件の見直しは盛り込まな いというような予定ということでございました。したがいまして、来年の早い時期に国 会に提出されることになるであろう改正地方自治法案に対しまして、こちらの考え方を 明らかにする必要というのは基本的にはなくなったというふうに考えております。  しかし、政令市の指定要件については、要するに保健所の機能をどう捉えるかという 問題がございますので、局長からもご指摘が最初のご挨拶にありましたが、そもそも論 として保健所とはということで、重要なテーマと考えておりますので引き続きご議論い ただきたいというように思っております。ということで、前回、私の説明で来年の1月 中に決着つけたいといっておりましたが、時間的な余裕が生じたということで大所高所 からのご議論をお願いしたいというように考えております。  ということで、この検討会のスケジュールでございますが、おおまかに申し上げます と議題といたしました当初の3点について、私どもとしては、来年の6月までに報告書 としてまとめて、その後報告書に基づいて具体的な基本指針の見直しについて作業を行 っていただきたいというように考えております。  それでは資料の説明に入りたいと思います。まず資料1が、前回ご議論いただきまし た保健所政令市制度の長所と短所ということで、まとめております。座長から指示のあ ったことでございますが、一応前回の議論をテープ起こしをして聞いてみて、こんな内 容なのかなと思っております。  長所としては、政令市においては、保健サービスのうち、いわゆる保健所業務という ものと市町村業務を一元的に実施できる。それから政令市においては、保健、医療、福 祉サービスというもののケア・コーディネーションが図りやすいというようなご意見か と思います。  しかしながら、短所として、前回説明しました都道府県において、政令市が除かれま すと残りの旧都道府県の保健所管轄市町村における保健サービスの提供が困難となる恐 れがある。特に二次医療圏との関係で、その保健・医療・福祉のシステムづくりなどに 問題がでてくるのではないかというようなご意見。それから政令市の独自性が強まるこ とによって、救急医療体制ですとか次回以降にまたご議論いただきますが、健康危機管 理などの問題について、都道府県との連携が希薄化するのではないかというような不都 合。それからあとは、後ほどの資料でもでてくるかと思いますが、政令市が独自に保健 所を設けることに伴う財政的な負担増ですとか、政令市保健所における技術職の人事の 問題などがあるということでした。  これらは次のページに参考として、ちょうど今から5年前にこの会と似たような性格 の「地域保健基本問題研究会」でだしていただいた「地域保健対策の基本的な在り方」 でございますが、これの報告書に今後の改革方策としてでてくるのが保健所政令市制度 の推進ということでして、意思と能力のある市が保健サービスを一元的に実施していく ということが制度として評価できるので、今後も可能な限り拡大していくことが望まし いということ。それからこういう保健所政令市においては、住民に身近なサービスと技 術的・専門的なサービスが合わせて実施されるので、このうち身近なサービスについて は保健センターなど、それから技術的・専門的な機能についてはそういう身近なサービ スの整備状況を勘案しつつ、拠点とすべき保健所に集約して行える。というような報告 をいただいております。そして地域の保健所の在り方についてですが、このときは専門 的、技術的拠点としての機能を果たすために、こういう企画、調整、評価、関係機関と の連絡調整ですとか、専門的・技術的又は規制的な業務ですとか、それから情報の収 集・管理・分析・提供などを中心とした機能強化をすべき、というようなことを報告書 としていただいたわけです。  この報告書、つまりこの会の前身のようなこの研究会でいただきまして、それを元に 平成6年12月に厚生省告示として基本指針が出されたということで、基本指針にはどう 書かれているかというと、特に政令市、特別区の設置する保健所という欄に、「政令指 定都市は、市町村保健センター等の整備に併せて、保健所について、従来おおむね行政 区単位に設置されてきたことに配慮しながら、都道府県の設置する保健所との均衡及び 政令市の人口要件を勘案し、地域の特性を踏まえつつ、設置することが望ましいこ と。」そういう政令市以外では、市町村保健センターの整備に併せて、保健所を地域の 特性を踏まえつつ、政令市及び特別区において1カ所以上設置することが望ましいとか それから政令市の移行、つまり人口30人万以上の市は政令市への移行を検討しなさいと いうようなことを書いてあったものが、当時のものでございます。  今回先生方に、保健所政令市の問題に入っていっていただいているわけですが、現状 としてじゃあ今ありました身近な保健サービスをやっていく保健センターと保健所とが どういう役割分担をしているかということで、資料2にまとめさせていただきました。  これは前回、犬塚委員、衛藤委員、小倉委員などからご指摘、ご依頼のあったもので す。1ページ目が指定都市についてです。それから2ページと3ページ目には中核市と その他の政令市についてのものが書かれてまとめております。まず最初の指定都市を見 ますと、大きく分けてAとBというパターンがあるというふうに理解しています。指定 都市には行政区が置かれておりますが、その各行政区を所管区域とする保健所を設置し ているのがAというパターンで、該当する市がそこに7つほどでております。Bという パターンは、市の保健所を1つに集約したパターンでして、各行政区には保健センター を設置しております。千葉市は従来からこのパターンでしたが、札幌、広島、北九州が 平成9年度、神戸市が平成10年度に組織改正を行いましてこういうパターンになってい ます。これらの1市1保健所体制をとっている市の詳しい内容につきましては、のちほ ど資料5で説明させていただきます。  資料の中で、役割分担のところですが、対物保健とか対人保健サービスという言葉を 使っていますが、いわゆる食品衛生、環境衛生業務を通常対物保健業務と呼んでおりま す。それから市町村で行っています母子保健、老人保健そのようなもの、それから従来 保健所で行っています精神保健、難病、結核感染症対策などが対人保健と呼んでおりま す。これが指定都市ですが、次のページに中核市及びその他の政令市におきます保健所 と保健センターの関係、それぞれの役割分担を示しております。  ご覧いただきますとお分かりかと思いますが、政令市では様々なパターンで保健所及 び保健センターが設置されておりまして、保健所と保健センターの関係と役割分担につ いて分類するというのが大変難かしくて、事務局もこの2、3週間、これでばたばたや っていました。敢えて事務局の一方的な判断ですが、次の6つに分類できるかなと思っ ております。基本的なパターンが2の枚目に書いてますABCのパターン、3枚目に書 いてますDFというのは、当該市の事情によって、そのABCを変形したものまたは組 み合わせたものという理解に我々は理解しています。  中身をみてみますと、まずAパターンというのは、保健センターがないあるいは健診 の場などとして保健センターを利用していて、日頃は職員を配置していないものです。 Aパターンの中には、保健所が保健衛生部門の本庁機能を有しているタイプと、保健所 が本庁からの出先機関であるタイプ、複数の保健所を設置しているタイプというものに 分類できるかと思います。  それからBのパターンは保健センターが保健所の組織に入っている。すなわち保健所 が保健センターを含めて統括しているものであります。B−1は、相談業務等の直接的 な対人保健サービスを、担当区域でそれぞれ保健所と保健センターで分けて担当してい るものです。B−2は、保健所が保健衛生全般の企画と対物保健業務を持ち、直接的な 対人保健サービスを主に保健センターで行っているものです。B−3というのは、対人 保健サービスを県型保健所業務つまり県型の保健所業務の対人保健サービスというのは 難病ですとか精神ですとか結核感染症対策というような、どちらかというとやや専門的 高度なものという認識ですが、それと市町村業務つまり母子とか老人というような一般 の対人保健サービスに分けて分担しているものという形になるかと思います。  それからCのパターンですが、市町村保健センターが保健所と組織的に独立している ものであります。C−1は、対人保健サービスを県型保健所業務と市町村保健業務とい う分類ではなくて、相談業務等の直接的な対人保健サービスを担当区域を保健所と保健 センターで分担しているもの。C−2というのは、先程の県型保健所業務と市町村業務 に分けた分担をしているものというような形になっております。  次のページですが、Dのパターンというのは、BとCの複合型でして市のたぶん都合 ダウと思うのですが、保健所の内部組織として保健センターがあり、さらに保健所と同 様の機能を果たしているものを、総合保健センターとし続けていものであります。この Dのパターンというのは、対人保健サービスのうちの相談業務等の直接的な対人保健 サービスを保健所と保健センターで、管轄区域を分けて実施しているところです。  Eのパターンというのは保健所と別の組織として、保健センターを位置付けているの ですが、さらに市役所の本庁で対人保健サービスを実施しているというところです。こ のパターンでは保健所というのが県型の保健所業務を担当している。それから保健セン ターと本庁その他の部門で、市町村の保健業務を担当しているというような形になって います。 最後のFのパターンは、保健所と保健センターが独立しているのですが、保 健所の支所の職員をもって保健センター職員に充てるという、いわゆる併任をかけてい るのですが、保健所支所と保健センターの二枚看板になっているものです。このFのパ ターンも、対人保健サービスについては、保健所で県型保健所業務、保健センターで市 町村業務を担当していますが、今言ったように保健所支所と保健センターが二枚看板に なっているので、実質的には保健センターで対人保健サービス全体を担当しているとい うような形になるということです。  このように見てまいりますとB以下のパターンのほとんどの市が、保健所で対物保健 と対人保健サービスを行っています。保健センターでは対人保健サービスのみを担当し ているという形になっているけれども、この対人保健サービスの中身について、保健所 と保健センターの役割分担が様々であるというような結果です。平成6年の地域保健法 制定当時には、政令市において保健サービスのうちいわゆる保健所業務と市町村業務が 同一の自治体で行われるから一体的なサービスが可能になるだろうということで、当時 AとB−1B−2のパターンをたぶん想定して、この政令市保健所というものを考えて いたのだと思いますが、現実にはB−3からCDEFのようなパターンができてきたと いうことを考えると、こういうような保健所の形あるいは保健センターとの関係をどう 評価するかというのが先生方にご議論いただきたいところの一つであります。  次に資料の3です。これは前回の検討会で池田委員から、中核市になる際の財政の問 題のお話がありました。そこで資料3を作ってみたのですが、自治体の財政力を測る物 差しに、財政力指数というのがあります。これは要するに地方交付税法の規定により算 出した基準財政収入額を基準財政需要額で割った値ということですから、入る量と出る 量を較べまして、入り量が多ければ1より大きいというようなことになるのかなと思い ます。難しくいいますと、基準財政収入額というのは地方公共団体の標準的な地方税収 入の一定割合により算定された額であり、基準財政需要額は、地方公共団体が妥当かつ 合理的な平均的水準で行政を行った場合に要する財政需要を示す額ということであるよ うです。ですから財政力指数というのは、1に近いあるいは1を超えるほど余裕がある ということになります。  上の表と下のグラフを合わせて見ていただきたいのですが、人口規模が小さい市町村 になるほど財政力指数は低い、まあ常識的かなと思っておりますが、また保健所政令市 の要件として人口30万以上の市が対象になっていますが、特に人口30万以上のところを 見ますと保健所政令市の指定を受けてない市について、財政力指数は1を超えているけ れども、保健所政令市になると1以下になるというような結果です。なお、池田委員か らこの他、中核市と都道府県衛生研究所との関係を示す資料という話がございましたが これについては次回以降、2番目のテーマになります健康危機管理の問題を取り上げる ときまでに用意をさせていただきますので、ご了承いただきたいというふうに思ってい ます。  それから資料4ですが、これは今のはお金ですが、今度は人の話で前回犬塚委員から 政令市における、人事停滞のご指摘がありました。これについては、資料1の保健所政 令市の長所、短所でも取り上げましたけれども、具体的に技術系職員の例としてお医者 さんの例をちょっと示して表にしました。表の一番右の欄、1自治体あたりの人数とい うのがありますが、これは人口規模を反映してか都道府県、政令指定都市は相当数のお 医者さんがいるのに対して、中核市その他の政令市では2人から3人と少なくなってい るのがわかると思います。また年齢別の構成比では、指定都市では比較的若い人が多い けれども、特別区やその他の政令市では年配が多いのがわかります。これがお医者さん の分布で、この他技術系職員ほかにもいるかと思いますが、取りあえずお医者さんの資 料だけ出させていただきました。  それから先程ちょっとでました政令指定都市、大都市の組織改編の状況について資料 5にまとめております。これも前回、池田委員からお話がありました一保健所制とした ときの政令指定都市の組織改編前後の状況です。政令指定都市12のうちに、札幌・千 葉・神戸・広島・北九州の5市が1市1保健所となってます。先程も言いましたが、千 葉については従前から1保健所制ですので、この資料には掲載しておりません。各区と も住民サービスの低下をきたさないために、いろいろ工夫をしているようです。全体の 状況を見ますと、組織改編前は大きく分けて本庁の下に保健所が位置付けられているも のと、区の下に保健所が位置付けられているものの2つがあります。それが組織改正を しまして本庁の下に保健所というものを置き、各行政区ごとには1つの保健センターを 置くということで、保健センターが各行政区の保健衛生担当部局として位置付けられて います。各ごとに見ていきますと、まず札幌ですが、旧保健所がありましたら組織改編 後は1保健所9保健センターになっています。さらにその後分区されまして現在は10保 健センターとなっています。本庁は、保健衛生全般の企画を担当して、保健所では対人 保健サービスの中で広域的・専門的・技術的なものと対物保健サービス、先程話しまし たがそういうものをやっております。また保健センターに対する指導・支援・助言を行 っています。保健センターでは、対物保健サービスのうち、一般的なものを担当してい まして札幌市で特徴的といいますと、保健所の生活衛生の担当課、つまり対物保健の担 当ですがこれを各保健センターの隣に配置しまして、対物保健サービスを実施している という点が特徴的かと思います。  それから広島ですが、8保健所を1保健所・8保健センターに改めています。ここで 特徴的なのは、1つ目として他の市では、本庁が担っている保健衛生行政全般にかかる 企画などの機能を保健所が担当している。それから2つ目として、札幌市と同様に対物 保健を実施する保健所分室を新たに各保健センターに間借りする形で配置してあるとい うことです。 それから北九州ですが、7保健所を1保健所・7保健センターとしています。ここで 特徴的なのは、保健センターに対物保健サービスの申請窓口があるということです。  神戸市は9保健所を1保健所・9保健センター。神戸の特徴は、1つ目が各行政区の 保健センター職員が保健所の職員を兼務しているということ。ですから保健センター長 が区の保健部長を兼ねているということにもなります。組織改編前の保健所業務を実質 上保健センターで実施しています。そういうようなところです。  以上それぞれの市において、専門的なサービスについてはともかく少なくとも一般的 なそのサービス、保健サービスについては各行政区レベルで担当しているというのは変 わっていませんで、住民サービスに対する利便性が損なわれないような工夫というのを 各区で行っているのではないかというように私ども認識しております。  それから次の資料6ですが、これは前回の資料に別綴じで置いてあるかと思いますが 前回の資料2というのは、通常、他法で母子保健法その他の地域保健対策に関する他の 法律に基づいて、通常保健所で行われる業務というのを前回資料としてお出しして今日 もお手元に前回の2として置いてあるかと思いますが、これをもう少し細かくしてみた ということです。資料6の(表1)は、これは個別の各法において保健所長が行うこと とされている事務です。これがずっと3ページほどございます。伝染病予防法からずっ と始まりまして毒劇法までなっています。その次の4枚目に(表2)と書いてありすが これは各個別法において、保健所が行う。さっきのは保健所長ですが、今度は保健所が 行うこととされている事務でして、学校教育のことから毒劇法のところまでやはり幾つ かございます。こういうふうにまとめてはみたのですが、保健所長、保健所が行うとさ れている事務のうち、現行法に規定されているものを概ね網羅的に拾っています。これ らの事務については、保健所で行わなければならないものですから、法律的には保健所 の中核的な事務といえるかもしれませんが、現実には法令上都道府県知事、保健所を設 置する市の市長、特別区の区長の事務とされているものもありまして、保健所において 執行されることが通常でして、これについては前回の資料でお示ししたものです。  前回の資料2のほうについて、今日のものに加えてもう少しこの資料は何々という、 法律に書いてあることとか、表題的なものでまとめているのですが、もう少しわかりや すい、ブレークダウンしたものを出そうと我々もちょっと考えているのですが、また生 田委員からも法令に限らず厚生省の通知などで示している事務なども盛り込んで提出し てほしいと言われていたのですが、調べ始めましたらこれも莫大といいますか法律を今 全部洗っているところで、鋭意作業をしています。そこでもう少し時間がかかりますの で、その間どんなものがあるのかというのを衛生関係の法律で今日は本を2冊用意して おりますので、これを先生方に読んでいただきたいということにしていただければと思 ってます。『これからの地域保健』という大きい本ですが、これは私も含めて当課に着 任した者が最初に勉強する本でして、平成6年の地域保健法の制定のときに基本的な考 え方や、地域保健法の逐条説明をしておりますので、これがそういう地域保健法に関す るもの。それから『衛生法規の要点』というのは、各衛生法規のまさに要点をまとめた ものでして、昨年成立した介護保険法とか臓器移植の法律までは入っております。とい うことでもう少しわかりやすいものと、通知その他を入れたのは来年までお待ちいただ きたいと思います。  資料7ですが、これは前回米田委員からご要望のあった保健所の機能強化計画の進捗 状況です。保健所の機能強化につきましては、基本指針の告示、これ平成6年12月1日 でしたが、と同日付けの局長通知で平成9年以降の保健所の専門的・技術的な拠点とし ての機能強化及び所管区域の在り方を平成7年度中に作ってくださいといって、保健所 設置自治体に求めたものですが、合併とかいろんな問題もあって資料を見ていただけれ ばわかりますが、この計画が定められなかったり、定めていたとしてもなかなか所管区 域の見直しに着手できない自治体がまだ幾つかございます。下に注が書いてありますが 資料の機能強化計画の策定欄に○としているのは、すでに策定済み。×としているのは 未策定、あるいは検討中。−としてはあるのは策定する必要がなかったもの。それから 所管区域の見直しの欄でいきますと、注2ですが、○としているのは条例を改正して既 に施行済み。△は条例を改正したもののまだ施行されてないもの。×は条例の改正をす る必要があるがまだ改正してないもの。−が条例の改正をする必要がなかった、つまり 所管区域の見直しが必要なかったというものを表しているということです。これを2 ページにわたって作らせていただいてます。  そしてこの米田委員の他の質問で、感染症新法と精神保健福祉法の改正の議論と今の 議論がどう係わっていくのかという話でしたが、地域保健法は地域保健対策に関する基 本的な性格を有するものでありますので、マンパワーとか組織とか施設の在り方という 個別法そういうものを考えなければいけないので、直接個別法である感染症新法ですと か精神保健福祉法の議論に深入りするということはしませんけれども、そういう法律を 施行する際に当然人とか組織の問題があるじゃないかというようなことで、地域保健全 体の整合性を保つ必要があるとは思っていますので、必要に応じてどのような検討状況 にあるかということを向こうの審議状況をこちらにお知らせするということで、今後議 論を進めていただこうと思っております。  最後になりました資料8ですが、前回高橋委員からご要望のありました保健所の支所 数がどのくらいかということです。平成10年4月1日現在で、各自治体ごとに支所の設 置数をまとめてあります。北海道が先般機構改革で保健所の区域の見直しがあって、本 所と支所というふうに分けたので、少し前回の資料とここが本所の数が変わっているか と思いますが、全体で本所が663、支所が119ということです。法律上、支所というもの の規定はそこの資料の一番下に書いてますが、地域保健法の12条に保健所の事務の執行 の便を図るためとだけ書いてありまして、必ずしも明確に支所の設置に関する要件がな いことから、現実には様々な形態の支所があるのではないかというのは、前回、小倉委 員からもご指摘をいただいております。  前回の議論を踏まえまして、今日用意しました資料は以上でございます。 北川座長  大変膨大な資料でございますので、またあとで一つひとつ議論をしていただこうと思 いますが、その前に全般的なことで質問あるいはこれからの議論を進めていく上でこう いうことについて考える、あるいは提言などありましたら。 遠藤委員  前回欠席をしていてあれですが、前回の参考資料の資料1ということで、総合部会の 基本指針の見直しを考慮すべき事項の1として、保健所政令市の指定要件等についてと あるわけですが、それと地方自治法のほうが遠のいてしまったということで、この指定 要件は少し変えて考えられるということでしょうか。 岩尾課長  最初に申し上げましたが、次期通常国会に地方自治法の改正の中で、中核市の指定要 件の変更があるのではないかと、それは前回もご説明しましたが、地方分権の推進委員 会のほうから、そのような内容と思われる勧告がでたものですから、もし法律が動くの であれば、我々としても中核市には保健所がついてくるという制度になっておりますの で、そうすると20万で保健所がついてくるということになると、そもそも保健所機能と ういうのを私どもの基本指針では、人口が概ね30万ぐらいあるならば成り立つのではな いかと、平成6年当時考えておったので、それに合わせてその保健所機能というのを見 直す必要があるのではないかということを言っていたわけです。  しかしながら、自治省のほうで人口30万という要件は維持すると言っているものです から、人口要件としては取りあえずはクリアしたという認識の中で、じゃあ現行の政令 市、保健所政令市あるいは人口30万以上の町で、いわゆる中核市として保健所を持って いるところそれから大都市も含めて、一体保健所の機能というのが町の中、あるいは都 道府県の中でどういう位置づけにあるのが望ましいのかということを振り返る。つまり 保健所のその設置のあり方という原点に戻って議論していただくということでやってい ただこうとしてますので、(1)のタイトルは指定要件という、それほどカチッとしたもの ではないという認識で結構でございます。 北川座長  よろしいですか。他にどうぞ山本委員。 山本委員  保健所の業務は、地域保健法の改正の前に検討されたと思うのですが。大きくわけて 対物保健と対人保健サービスがあります。対物保健というのはどっちかというと広域的 にやれというようなほうに検討されていると思うのです。中核市の場合には結局そのま ま保健所政令市に権限が移譲になりますので、対物保健も非常に小規模になってくると 思うのです。前回も指摘されていましたけれど、ドクターの人事の停滞というのがあり ましたけれど、この今日配られた資料の前回配れた資料の2に、保健所の業務がありま すけれど、対物保健サービスというのは非常に多種多様でして、それぞれ専門的な職種 の職員がいるということで、それぞれここでいいますと食品衛生法だとかそれから家庭 用品だとかビル管、それから廃棄物処理法だとか、水道法、医療法、薬事法等々で、そ れぞれの専門職種の人たちがそれぞれ対応しなくちゃいけないので、中核市はそれだけ の人たちを確保するのが非常に大変ではないかと思うのです。それぞれの人たちがまた 実際に採用されて配置されてくると、ドクターと違いまして全て監視業務とか一生その 人たちの先が見えているわけです。やはり人事の停滞をすると思います。  それからこの人たちは、大部分が監視業務とか許認可業務を担当するので、30年も40 年もそういう業務を担当させていいのかどうかということも問題になると思いますので 対人保健サービス、対物保健サービスというのは、やはり2つ区分してご検討いただい たほうがよろしいのではないかと思います。 北川座長  今の山本委員のご主張は、20万ということではなくて、もっと基本的にそこのところ を考えるというようなことですか。 山本委員  現在の30万でもそういういわゆる隘路があるのではないか思います。 北川座長  これはまた問題点として一つマークをしておいてください。どうぞ。 米田委員  ちょっと直接中核都市の関係ではないですけれど、保健行政に関してですが、実は医 療法の改正とあるいは医療制度改革等も行われているというこの現状の中で、とりわけ 医療制度改革の中では、この地域保健という部分が欠けているのではないかと私思って いるところですが、その中で今回のかかりつけ医制度の導入ということで、プライマ リーケアも含めてというような方向性が示唆されているわけですし、また今回の感染症 予防法の関係等においても、この地方衛生研究所の機能強化ということが出されている わけですが、これまでの保健所機能をどこまで地方衛生研究所のほうに強化を図られる ようとしているのか、また将来的に地域保健という方向性を、極端なことを言えば文部 省で検討されているイギリスのような形を将来的な方向性として打ち出そうとしていら っしゃるのか、そこのところちょっと私自身まだ見えない部分です。ということをちょ っと前提に置きながらなんですが、私は基本的には地方分権の推進にあたっては、中核 市が30万から20万になろうが、地域住民ニーズに応えるためにはどうあるべきかという 観点からいけば推進して行くべきであろうと思っています。  ただそれにより伴いますドーナツ現象というものがでてくるだろうと思いますし、そ うすれば当然そこには保健所の所管区域の見直し等も当然でてくるだろう。また先程申 し上げましたように20万とか30万においては、人員の問題、財政の問題、それからそれ に伴います職種が固定してしまいますから異動の関係、そういういろいろな諸問題があ るということも十分考えられます。  わかりながらですけれども、そこらへんとの短期的な課題で整理されるのか、中長期 的な課題も含めたものなのか、とりわけ文部省のほうでも保健婦の将来展望というもの を検討しているところがあるわけですので、そこらへんとどうリンクされているのかな ということをちょっと伺いたいなと思います。 北川座長  その前に、今のイギリスの方式というのは、先生何をイメージしているのですか。 米田委員  要するに、プライマリケアも含めた保健が個人開業医さんのほうに、開業医さんを中 心にして流れるという方向ですね。 北川座長  グループプラクティス?。 米田委員  そうそうそんな感じですね。そういうかたちでそこで保健婦さんを確保して、新しい 体制を視野にいれながら検討をされていくのかなという部分と、それが中長期的な課題 と捉えるならば、今回のこの部分では短期的な課題で捉えられるのかどうなのかという こと。 北川座長  さあ、これどうしますかね。私なりの整理ですと、前回この委員会が始まったのは、 20万都市の問題をなんとかめどをつけなきゃいけないという非常に緊急的な宿題があっ たわけです。それは今のところその必要がなくなったということですね。この際、保健 所の所管区域とか人口規模の問題とか、これをいっぺんきちんと整理をしながら考えて いって基本指針を直していくと、こういうことだと思うのですが。何か、今の件に関し て如何ですか。 高橋委員  実は分権推進計画で、確か20万という言葉がでてきたと思っておりまして、それで中 核市ですね、こういう議論になっていると思うのですが、いわゆる20万の取扱いについ て私、よくわからないのですが、計画に入っているということだとなんらかの受け皿み たいのが議論になっていのではないかと思うのですが、そのへんは全然いじられないと いうことのご説明だったのでしょうか。 北川座長  今の米田委員と今の高橋委員のご質問合わせていいですか。 岩尾課長  米田委員の話には、たぶん局長がまた一言、二言言っていただけると思いますが、私 どもとしては6月までに、要するに指針の見直しということで、見直さなければならな いというテーマを3つだしたわけです。少なくともその後の2つの話、つまり危機管理 の話と、それから介護が入ってくるときに伴う福祉対応のあり方、これは明らかに書き 換えなければいけないだろうと思っていますのでそれはやっていこうと思っています。  その前に、今言った20万の話が消えたという前提で考えますと、直接まさに人口の話 はいじらなくていい話になるのですが、ただそうはいっても今日お示ししましたように 保健所といいながら千差万別あるわけです。それはよく言えば地方自治、つまり住民 ニーズに応えてそういうものを作ってきたから、結果として住民が満足するものである ならば、どんな形のものでも構わんという話になるのかもしれませんが、一方で保健所 といっている国民全体が持つイメージが、地域によってばらばらになるということが果 たして我々保健医療サービスをやっていく立場として、保健所にこういうことをやって くれ、あるいは保健センターにこういうことをやってくれというときに、違ったことを やってもらっても困るのではないか、そのへんの整合性がどこで取れるかということを 敢えて時間でお尻を切って、6月までにその基本指針の見直す中で書けるものがあれば 書いていくということで、今日幾つかの問題点つまり大都市の問題点それから政令市の 問題点ということでお示しさせていただいたということでございます。  それから高橋委員に対してですが、先々週でしたか自治省の課長のところで話をした 限りにおいては、前回お示ししました地方分権推進計画のあの文言ですね、あの文言の 読み方で基本的に30万ということではなくて、何か別の方策その中核市の要件例えば昼 夜間人口の見直しですとか、そんなことが入るのかもしれませんけれども、少なくとも 人口を20万にするということは、今のところは考えてないし、今からではこれから先の 地方自治法の改正にはそういうことでやるということは考えてないというものの言い方 でございました。 伊藤局長  平成6年の改正で保健所と保健センターの二層構造を制度化し、役割分担を決めたわ けです。今回、この検討会を始めるきっかけは岩尾課長が申したように、自治省から中 核市制度の人口要件の見直しについて話しがあり、厚生省としてどう判断するかという 差し迫った問題があったわけです。中核市は、本来であれば県が実施する業務を実施し ますが、県から移譲される権限の大半というのは、実は保健所業務が大宗でして、結局 保健所をどう考えるかということが、中核市のあり方を決めるという関係にあるわけで す。                そこで平成6年の改正以降、中核市制度ができ 併せて保健所政令市を増やしていくという方向できたわけですが、果たして20万になっ たときに、マンパワーの面なり財政力の面からいって、本当に保健所として果たすべき 役割を果たせるかどうかという問題意識の下にお願いしたわけですが、その後、人口要 件の見直しをしないということになり、先程ご了解いただいたとおりでございます。  平成6年の改正以降、新たに中核市制度なり保健所政令市が増えておりますので、保 健所がやっている仕事、市町村保健センターがやっている仕事を一度この機会に、住民 なり、サービスの受け手として見た場合に、本当に保健所が1カ所で大丈夫か点検して みる必要があると思います。そのようなレビューをしてみて、それを今後の指定都市な り中核市その他の政令市における、対人保健サービスと対物保健サービスの供給体制整 備に活かしていく必要がある思います。特に大都市における地域保健の体制整備にどう 活かしていくかという視点で一応6月ぐらいをめどに、次年度の予算編成に活かすとい うことも念頭にレビューをしていただいたらどうでしょうか。 衛藤委員  一つ教えていただきたいのですが、よく福祉の分野などでは福祉の適正人口規模とい う議論が行われることが多いようなのです。保健所の場合も例えば対人サービスとそれ からもう少し企画的なそういう調整機能、その場合のこのぐらいの人口だと対人サービ スが非常にうまくいくと、あるいは大所高所からの調整的な機能はこのぐらいの規模で あれば十分果たしうるとか、そういったのが何かあるのでしょうか、もしあれば教えて いただきたいというのが1点目です。  それからもう一つは、やはり先程の中核市とその他の政令市のいろいろなバリエーシ ョンをご説明いただきましたけれども、これは非常に行政効率という点からどうなんだ ろうという疑問を持ちまして、やはりこれからの行政システムを考える上で、その効率 性というのは恐らく資源が非常に限られていますので、それは人的なものも含めて財政 はもちろんですが、そのへんの整理というのをやはり少ししないといけないなのではな いかと、これは非常に素人的な印象ですが、その2点です。 北川座長  今の第1のは質問だろうと思うのですが。適正規模というのは。 岩尾課長  今回議論をしていただく中で、適正な規模がどのくらいかというのも一つは保健所の まさに機能を見ていく上で私はでてくるので、当初例えば警察とか消防とかあるいは税 務署、基準監督署が一体全国にどれくらいあるかということも調べて、それぞれその箇 所数がたぶん何か理屈に合った人口比率で置かれているという、私も認識を持っている のですが、そういう意味でいうとこういう保健サービスというのの一体人口比率がどの くらいというのがでてくればむしろありがたいと思っているほうで、今までの数字から いきますと、私ども2次医療圏に概ね1つずつという言い方をしておりますから、人口 30万に1つということが、当初保健所法を作ったときにも言っていた話なので、結果論 ですがね。どれだけがいいのかということではなくて、現実にはそのぐらいに保健所が あったということで、それで不都合がなければデファクトスタンダードになるのかなと いうふうに思っております。 伊藤局長  平成6年の改正の時の考え方を参考までにお話ししたいと思います。  もともと保健所ができたときは、人口10万に1カ所という、配置基準を当時GHQが 作ったわけです。それでそれはどちらかといえば大きな市というよりは、市町村郡部を 対象としたところを念頭に置いていたわけですが、その後いろいろ状況の変化があり、 平成6年の改正のときには、国民の誰にでも提供しなければいけない対人保健サービス は、市町村が保健センターを作ってやるという前提の下に、県型の保健所については2 次医療圏単位で集約するという考えをとりました。老人福祉の観点からも老人福祉圏域 が設定され、特別養護老人ホームなどの老人福祉関係の基盤整備も保健サービスとの関 係が深いので、2次医療圏に重ねて老人福祉圏域を設定すべきだという考え方が導入さ れたわけです。そして医療のほうも医療圏から保健医療圏、保健サービスも含めて保健 医療圏という考え方に変わり、それがだいたい30万くらいの単位です。そこに老人福祉 圏域が重なり、保健・医療・福祉の基盤整備を行っていく場合に、だいたい30万ぐらい を単位に考えていったらどうかというのが、この平成6年の改正のときの考え方 でした。  したがって30万を単位に県型の保健所を1カ所置き、福祉の分野も考慮に入れてその 地域全体の調整といいますか、そういう機能を持たせていこうというのが、平成6年の 改正の時の県型の保健所の配置の考え方だったのです。 北川座長  今の話に関して県域とか人口とか?。 園田委員  県域とか人口というのではなくて、福祉関係の部局との関連といいますか、今日お配 りいただいた資料2などで、保健所と保健センターとの関係というのがどういうふうに なっているかという現状はかなりわかってきたのですが、今都道府県そして市区町村の 一部でも、保健福祉部とかあるいは福祉保健部ですか、どっちが上になるかいろいろあ るのですが、保健関係部局と福祉関係部局とを機構上一体化するというのが政令指定都 市とかあるいは指定都市の中で見られるのではないかと思うのですけれども、例えば今 日の資料2などの本庁の部と保健所とかなんかの関係というのが、福祉と保健を一体化 された市などで保健所をどういう位置づけをしているか、あるいは福祉事務所の位置づ けとか、もう少し福祉のほうのあるいは民生社会関係の組織と保健衛生関係の組織の関 連みたいなものを、今でております医療圏とか保健福祉圏の問題などと合わせてご説明 いただければと思います。 北川座長  これはご質問というか、後日、福祉との関係について資料を出してくださいと、こう いうふうに捉えていいですね。 園田委員  特にこれから政令市なんかの場合は、福祉との一体化という動きもあるものですから それにこの機構の問題がどう対応するのかということです。 北川座長  それは岩尾課長、次回整理するということでいいですか。 岩尾課長  結構です。 北川座長  それでは磯部委員どうぞ、全く別の問題ですか。 磯部委員  より一般的、抽象的な話ですが、確か一番最初の整理では、個々の資料に入る前に何 か一般的な発言があればということでございましたので、個別の資料に関する質問もあ りますがそれはまた後ほどにいたします。  私前回、途中退席してしまいましたために発言の機会が得られませんでしたので、そ ういう意味でもちょっと申し上げたいのですが、この委員会はもちろん地域保健問題に 特化した委員会ですし、専ら現状のあり方等の議論が始まるのは当然なのですけれど、 そのきっかけが今回の地方分権改革というものが大きな要因の一つであったということ を考えますと、ちょっと話がいきなり厚生省限りといいましょうか、保健所関係の方た ちだけの世界で、こういうばらばらな状態でいいのだろうかとか、中核市20万でひょっ として大丈夫なんだろうかという心配が先行しているような気がするのです。こういう 言い方は大変失礼かもしれませけれど、やっぱりなぜ地域地方分権改革が必要なのかと いうような理念的なレベルでの意義の確認は、それなりにあったほうがいいのではない かと思いまして、ちょっとそういう趣旨の発言なのです。  先程の局長が中核市になった場合、実質的に何が変わるかというと保健所の仕事をや ることになるのだと、それが中核市となることの一番大事なところだということを言わ れて、それはもう全く行政実務的にはその通りだろうと思うのですけれど、しかし中核 市になるかならないかというのは、それだけではないわけであって、地方自治体にとっ て一つの大きな選択であり、保健所以外の分野においても町づくり暮らしづくりその他 いろいろな点で一層その実力を強化して、職員の意識なども変わっていってというよう な諸々の効果が期待できるわけです。  今回の分権改革全般に関しましても、私、地方分権推進委員会に関係していた立場で ちょっと申し上げるのですけれど、とにかく行政全般を扱って何百という法律を扱って とにかくこれまでの日本の行政のシステムがあまりにも国が口を出しすぎるといいます か、全て国が決めてこの通りやりなさいという仕組みでやってきたと、その仕組みを構 造的に改革しようということでそういう意味では非常に乱暴な議論もしてきたわけ です。だから個別の分野、とりわけこの保健所の専門的な分野で、本当にそれでいいの かというような話になると、必ずいろいろな問題がでてくるのはむしろ当たり前であり ましてそういう意味で専門的な立場からもっともあるべき国と自治体のバランスを見い だす、そしてそれを新たなルールとして打ち出すということ当然期待されていいのです けれどなんかその心配の面だけ強調してしまいますと、なんのためにそんな面倒くさい 分権改革をやるのかという話になってしまうわけです。そういう意味では敢えてその分 権の理念を意識していただく必要があるし、こうやって先程資料で保健所を指定し、 政令市の保健所の組織的な実態はばらばらであるということは歴然としたわけですけれ ど、これがおかしいというところから出発するのか、こういうのが自治のあり方なんだ ということから出発するのか。これはもちろん専門的な検討を経て、やっぱりちょっと ばらばらすぎるのではないかと、そこを合理的な理由なくあんまりやることが違ってい る、あるいは地域の住民にとってさっき課長が言われたのでしたか、保健所に行ったら どういうサービスが受けられるのかということに関して、日本の国民がどこに住んでい てもそんなに差はないというのが、当たり前だろうというのはごく常識的にはそうだろ うと思うのですけれど、自治体によって差があるのがおかしいと考えるのもおかしいの だろうと思います。だからどの範囲内でならば、それは地域的な独自性の反映なんだと いうふうに考えられるか、最低限どこまでは決めておかなければならないかというあた りを、どうしても関係が深ければ深いほどこれまでの常識が固定観念化しているという ことがありまして、これは決して悪口を言っているつもりは毛頭ありませんで、自分を 含めてとりわけ法律学者なんていうのは固定観念の固まりなんですけれど、そこをなん とか意識を改革しまして、どういうあり方がある得るのかということを考えてみる、 そういう場である必要があるのではないかなと思うのです。  ついでにもう一言ですけれど、この『衛生法規の要点』を宿題で読んでこいという話 で、パラパラとめくっていたのですけれど、私法律専門なものですから、しかしこの本 どれくらい関係者に普及しているのか知りませんが、法律の規定というものはいかにも このように決まっていますからこういうふうにやりなさいという感じのように読みとれ るといいましょうか、これを読んだら法制度というものは嫌になってしまうのではない かという感じがします。もうちょっとなんのためにこういうルールになったのかという ことの基本さえ押さえてあれば、全ての制度これはしょっちゅう法律は変わるのですけ れど、基本は変わったりあるいは変わらなかったりするわけですね、だから今度もかな り大きな原理的なところで一つ考え方を変えようというのが分権改革なわけですから、 それに対応してどこが変えてもいいのだと、今までの固定観念に逆らっても変えなけれ ばいかんのだ、あるいはどこは絶対守らなければいかんのかというあたり少し整理 する。そういう次元の議論が必要なのではないか、まあこういう発言というのは最初ぐ らいしかできないかなと思いましてちょっと長くなりましたが申し上げた次第です。 北川座長  ありがとうございました。座長が今ここで整理する必要もないと思うのですが、現在 の保健所に対するいろんな考え方というのは、あまり固定化をしないで現状を追認とい いますか、ある程度追認をしながらそこへ法則性といいますか標準性といいますか、何 かそういうものを整理していこうというような考え方ではないかなと思うのですが、今 の分権の基本思想というものもまたいずれ少し整理をして議論をしていただく場面があ ってもいいかなというふうに思います。今日は問題提起ということにしておいていただ いて、よろしゅうございますか。 磯部委員  結構です。 生田委員  前回に質問して確認しておくべき点だったかもしれませんが、この検討委員会で検討 していく課題として3つ示されて、そのほかにその他ということで時代に合わなくなっ たものとか、現行の指針の中で記述不十分なものということで、全体的な見直しもやっ ていきたいということのご説明がありましたけれども、その他のところでさらに何を検 討したいか、あるいはここでするのかということの議論はいずれどこかでやっていただ くということで考えてよろしいでしょうか。 岩尾課長  結構だと思いますが。 生田委員  ありがとうございました。 犬塚委員  具体的な今後の議論の進め方として、前回僕も人事の問題を少し申し上げたのですが よくよく考えてみますと、中核市はここできてまだ2年半、3年目になったところ です。以前からの保健所政令市が、昭和20年代からあるわけでして、そこでは人事の問 題どういうふうに今まで処理をしてきたかということがあろうかと思いますけれど、 いろんな処理の方法がですね。  先程説明していただいた今日の資料の2の、例えば1保健所型のところで小樽・函 館・佐世保・大牟田ですか、そこらはたぶん昭和20年代あるいは30年代から保健所政令 市やっているわけですから、人事の問題に関してどういうふうな配置をしてきたのか、 当該市が対応をどういうふうにしてきたかと合わせて、どういう問題点を認識しておる のか、あるいはこういったところの保健活動に対して、国としてどういう評価をしてお るのかというところを出していただければ、ある程度は解決の方策というのが見つかる のかなと思います。  あとこれから既に中核市の要件を備えているところで、まだ中核市になっていないと ころがどういう問題が条件整備がされれば中核市になって、保健所をもっていくという 意思表明を明らかにしてくるのかということがありますので、すでに中核市の要件を備 えているところで、どういう問題点を今認識しているのかというようなことを少し調査 していただければ、具体的な議論に進めるのかなというふうに思いますので、そういっ たことが次回かその次ぐらいまで調べてみれば、具体的な議論ができるのではないかと 思いますので、ご検討いただければと思います。 小倉委員  犬塚先生と全く同じことを聞こうと思っていたのです。一つは先程おっしゃったよう にやはり従来からあった10万台の小樽・大牟田。20万台の佐世保・下関・呉。函館はほ ぼ30万なのですが、そういうところがどういう具体的な問題を抱えているのかというこ と、特に10万台の市で具体的にどういう問題を持っているのかということを、私どもは はっきりつかんでおりませんので、人事の停滞の問題であるとか、あるいは財政的な問 題であるとかいろいろなこと、どういうことが問題になっているのかぜひお調べをいた だきたいと思います。  それからもう一つは、資料5を見てある程度安心したり多少失望もあるのですが、住 民サービスの利便性を損なわないようにという工夫で、対物保健サービスが保健セン ターの隣という表現が2ヶ所でてくるのでが、やっぱり従来の各区にそれぞれ残さざる を得なかったというような形が政令指定都市の中でも見られているし、それから神戸な どを見ますと、名前がセンターというだけでまさに全部兼務発令されているので、これ は保健所そのものが各区に残っているとも理解できるのです。これだけから読ませてい ただくと。私のがっかりしたほうは、都道府県型の保健所は非常にはっきりしているの ですが、公衆衛生行政の総合性という意味から対物と対人を完全に分けてしまうことは いかがなものかと思います。健康問題に関して、対物と対人両方合わせて総合的に考え て対策を講じていくのが保健所の本質ではないかと思いますので、そのへん大都市とい いますか100万以上の区を持っているような指定都市と、それから都道府県型のような従 来から総合的な公衆衛生を進めているところを、これを別立てで考えるのか、そのへん をこれからの方向としてどのようにお考えなのかちょっとお伺いしたいと思います。 北川座長  今の小倉委員の質問に関連して、保健所の中で、言葉がいいか悪いかは別に、対人と 対物と分けている県がかなりありますね。その実態は数字としてでてまいりますかね、 取れればちょっと取っていただいたらどうかなと思います。 岩尾課長  おっしゃっているのが政令市ですとか指定都市においてどうなっているかということ は、今日一応お話させていただいておりますが。 北川座長  全保健所の。 岩尾課長  全保健所というか、県型の保健所は両方やっているはずですが。 北川座長  必ずしもそうではない。 岩尾課長  いやいや県の部長さんもおられるから、ちょっと聞いてみていただきたい。 小倉委員  やっているのですが、問題は環境保全という面です。産業廃棄物であるとか浄化槽で あるとかあるいは自然環境とか、いわゆる環境庁がやっているような仕事、これを取り 入れているところと、これは完全に保健所業務から切り離した別組織でやっているとこ ろと、このへんは都道府県型でも画然と分かれるのではないかと思います。それから狭 い意味での対物、食品衛生とかそれから営業6法に属するようなあるいはビル管とか、 そういう仕事はこれはたぶん県型では全保健所でやっているのではないかと思いますが 環境保全部門がやられていないところがだいぶ増えてきたのではないかと考えておりま す。 伊藤局長  厚生省としてどう考えるかというより、ここの検討会の中で、それは現状はこうだか らこういうふうに考える、そういう議論をしていただきたいと思います。 平成6年の 改正のときのお話を申し上げますと、環境庁の所管業務については、県のご判断に任せ るというのが基本的な考え方でして、それはまさにここでいいか悪いかというより、知 事がどのように判断するかということです。保健所という組織があるから環境保全業務 についても、県によっては独自の組織を作る場合もあるでしょうし保健所を利用すると いう、それは厚生省としていい悪いという話ではないのではないかと思うのですが。  それからもう一つは、食品保健などの業務、対人保健と一体とやるかどうかという問 題についても、頻度の高い、母子保健ですとか老人保健など、国民の誰にも普遍的に サービスをしなければいけないものについては、もっと分散して、そして保健センター をベースにしてやったらどうか。一方、非常に技術力がいる問題や、それから対人保健 でも非常に稀な病気などについては、1カ所に集約するという、集約化と分散、サービ スの性格に着目して、保健所の機能と保健センターの機能というのを議論してきたわけ でして、対人保健と対物保健が全ての保健所で一体としてやられなければいけないとい う議論ではなかったと思うのです。平成6年のときの議論は、サービスの頻度なり普遍 性なりに着目して、保健センターと保健所の役割分担を議論してきたと思います。 北川座長  他に何か全体のことについて特に発言ございませんか。それでは個々の資料1から順 次少し整理をしていきたいと思います。  今日の資料1で、保健所政令市制度の長所と短所という整理をしていただいているわ けですが、この資料について特に何か気がつかれた点、あるいは議論をしておくべきだ というご指摘がありましたらお願いします。 米田委員  ちょっとこの件に関しまして、私どものほうとしてこのメリット部分ということでは そこに書いてありますけれども、サービスの実施主体と公衆衛生行政の推進主体が同一 であるということ。住民に身近なところに公衆衛生するサポート機関ができるというこ と。県からの指導を受けなくて済む。多種多様な職種の総合力を発揮できる。行政の展 開が早くなる。裁量権の確保ができる。任意的事業の取り組みが容易。このようなこと を私どものほうとしては捉えてます。  問題点としては、やはり人件費がかさむということとか、職員の研修が十分 できない。予算規模が小さいためまとまった事業ができない。人事が停滞する。 それから検査・調査・研究機能が十分できないこと。このようなデメリットという部分 では捉えてきております。  それ以上に、私らとしてやはりこの実施主体の市ですね、市がやはり保健所を持つ最 低条件的なものがあるのではないかと思うのです。というのは自治体がやはりそういう 視点に立っているか立っていないかによって、この地域保健行政というのを推進するの かしないのかが大きな要因であると思います。そういうことからいけば、やっぱり市と しての基本政策が健康に目が向いているからとか、それからまた健康的な公共施策づく り姿勢があるのかとか、健康を支援する環境づくりに取り組む姿勢があるのか、健康は やはり専門家が作るのではなく市民本人が作るのであるものだろうと思いますし、それ からまた職員、関係者の個人技術を積極的に開発ができるのか、やはりこういうところ こちらのほうで押し付けて、はっきりいって自治体から見れば国が関与してもらいたく ないという基本的なスタンスがあるかもしれませんけれども、じゃあ自治体がそれに対 してきちんとそれを押さえたそういう政策的なものを展開できるのか、そこの基本的な スタンスがどうなっているかということが、一番今問われてきているところじゃないか なと思ってます。そういう意味から見たら、メリット、デメリットという部分はそうい うところにかかってくるであろうと思っています。  そうしてきますと、さっきいったような条件や私見を持たないところの自治体は、保 健所を設置しても許認可業務や精神、結核、難病に対して市民への法令で管理する仕事 が増える程度のことにしかならないのでは。またもう1点が、健康センターで保健予防 分野を中心にしながら、県の保健所とタイアップして健康な地域づくりや地域の保健行 政強化に、そちらのほうに力がかかるのではないかと。こういうようなかたちで今私ど ものほうとしては現状を捉えているつもりです。 北川座長  他に、今の議論、何か磯部委員なんか考えておられますか。 磯部委員  いやいやおっしゃる通りですね、自治体によってやる気があるところとないところ。 しかしこれは基準化はできないですね。だからおっしゃっているのは、もうちょっと行 財政能力なんかの基準、ですからむしろその以外のものだと、金がなくてもやる気のあ る首長がいるところではそれなりにやれるだろうというそういうお話。 米田委員  地方自治体財政も、今地方分権、地方自治の確立に向け地方財政も厳しくなっ てきてますし、またそのように本当なら行政を見守る立場あるいは行政を監視する立場 である議会がどう思うかですね。やはりそういう国民的な課題で、今大きな課題である この保健・医療・福祉の問題等にきちんと政策的な視点がいってないのではないかと思 うのです。やはりそこが一番今問われてきているのではないかと思っているのですけれ ども。私は法は、法を作るのはもちろん当然必要ですし、地域住民から見たときに本当 にどうあるべきかといった中には、やはり自治体がある程度その部分をきちんと地域特 性を考慮しながら確立していく、そういう国としての指導体制というのが、今まさに求 められている部分があるのではないかと思いますし、地方自治体そのものがやはり意識 改革をしていく必要があるのではないかなと思っています。 北川座長  他に何かご議論がありますか。 黒田委員  私は、対物衛生の関係の食品衛生を担当している者でございますけれども、前回いわ ゆる広域化とエリアを小さくしたときのメリット、デメリットについて若干触れさせて いただきました。本日の資料に示されております30幾つの法律があります。保健所での 実態としてはもう少し多いかなという気がしておりますが、仮にこの31の法律を保健所 で所管し、運営しているという観点からお話をしますと、例えば食品衛生法にしまして も、いわゆる全てが広域化のほうがいいという議論にはならないわけで、恐らく法律に よっては小さなエリアにしたほうがよりメリットが大きいものと、それから広域エリア のほうがより機能的なものと分かれるだろうという気がします。例えば具体的に飲食店 の許認可申請をやるというものについては、これはエリアは小さくて、自分のお店の近 くに手続きを取れるところがあるのが一番いいわけです。ただし、例えばO157、イクラ による157事件がありましたけれども、これは例えば都道府県別に見ても、県によっては 患者が3人とか、4人ぐらいで、点の発生状況であった。それを県レベルで調整する中 で、ああこれは線だということで点から線に発展したということがあるし、あるいは今 年3月に発生しました三色ケーキ事件につきましても県内の4校が関係をしておりそれ は1つの学校を見てもなかなか全体像は見えないということがあるわけでして、仮に食 品衛生法だけをとっても広域的な対応をしたほうがメリットがある場合と狭いエリアの ほうがいいという両方の機能があると思いますから、法律をそれを整理する中で、それ では広域化のほうが多いのかあるいは狭いエリアのほうがいいのかという整理も1回は する必要があるのではないかと思います。 高橋委員  今年のそういう具体にサービスに即してご検討いただくというのは、きわめて必要な ことですし、今後やられていくと思いますが、ここのいわゆる前回の議論との関係で少 し磯部先生のご発言と多少重なるところもあると思うのですが、いわゆる短所とでてい る部分については、やはりある種の中核的な市を独立的な意味をして、今までの県の機 構から独立させていくというときに、ある種必然的にでてくる共通する問題点というよ うなところの要素がかなり強いのではないかと思っているわけです。ただ、これにつき ましてはやはり県の事務というのがいわゆる機関委任事務の廃止、縮小に伴っていわゆ る国の市町村の対する指揮監督の代行という役割、著しく免除されて県の役割というの がかなり中二階的な存在になってきたときに、じゃあ県の役割をどうするのかというと ころでは、こういう広域的なところをより強化する形で、県の事務を強化するという議 論が当然あってしかるべきだというふうに言われているわけだと思います。  それからもう一つは人事の交流につきましても、これまた同じような話がいろいろな 分野ででておりまして、そういう点で申しますとやはり現在の、私はちょっと公務員制 度のほうでも議論しておりまして現在、かなり公務員法の現実を飛び越えて、様々な形 での人事交流というのが現在本格的に開始されている、それが法がやはりどうやって追 いついていくかとの現状にあると思います。そういう意味で、すでに政令市というかた ちでかなり独立させている部分もありますので、人事交流をどういうふうな形で現実化 させていくのかというようなことも、分権全体の時代の中でどのように円滑に軟着陸さ せていくのかという議論でご検討いただければというふうに思っております。 北川座長  どうもありがとうございました。そうすると資料1に関してはその程度で、あとでま た事務局で整理をしていただいて、次回また説明していただくことにしたいと 思います。  資料2は、これ組織の問題で保健所と保健センターとの関係を整理していただいてい るわけですが、これを見て非常によく整理ができたように思いますが、何かございます か。 大月委員  組織としてはこれでいいのだと思うのですが、もう一つマンパワーの問題がちょっと この資料にはないわけでして、公衆衛生協会からいただいた資料を見ましたら、例えば 人口177万の政令指定都市では、保健所が一つで保健所の保健婦さんは5人、45万 の中核市で保健所が1つしかありませんけれど、保健婦さんが3人。特別区でも78万の ある区では、保健所は1つですけれども保健婦さんが5人となっております。どう考え ても保健所というイメージの中で、170万の都市に保健所が1つあって、167人の職員 の中に保健婦が5人しかいないと、どういう仕事ができるのだろうという疑問があるわ けです。当然それは、今お話がありましたように、保健センターとの兼ね合いなんだと 思いますが、だとすれば保健センターのスタッフと保健所のスタッフの具体的な仕事の 分担なり、あるいはその実際に仕事をしている評価なりを、ある程度対比して考えませ んと、特に中核市の問題ではそういうことをきちんと整理していかないと。確かに形式 的にはそうした分担もある思いますけれども、実質それでちゃんと地域の公衆衛生が確 保できるのかという問題があるのではないかという気がします。ですからできればそう いうマンパワーとの関連で、資料があったほうがいいのかなということです。  それから先程所管区域の見直しで、どんどん保健所の数が減っていますけれども、マ ンパワーも減っているのではないでしょうねというちょっと心配もあります。そのへん も具体的に事務部門の合理化だけでしたらしいいでしょうけれども、技術系の部門もか なりそれに応じて減っているのであれば、それはそれでいいのかなという心配もありま す。そのへんの資料もできればと思います。 北川座長  今のはマンパワーの観点から資料の整理してくださいということだと思います。 これは資料ありますね。 岩尾課長  わかりました。 磯部委員  今のご発言と関連して、したがって私も一緒に資料請求になるのかなと思っているの ですが、この資料2などを拝見して、そんなにばらつきがまあ先程の発言の延長ですが これをもう少し整理して幾つかのわかりやすいカテゴリーに整理すべきじゃないかとい う発想が一つあり得ます。しかし、もうそういう時代ではなくて、これは私がそういう 意見だということではないですけれども、そういうこともあり得るということですけれ ど、要するに国の側でといいましょうか上から地方分権推進委員会、推進計画なんかで 使われている言葉で言えば、いわゆる必置規制ですね。必ずこういう名前の組織、例え ば保健所というのは典型でしょうけれど、保健センターとかこういう名称を使った組織 を必ず置きなさいとか、あるいはさらに人口何人当たり保健婦さんは何人必要であると か、そういうような組織とか職員のとりわけ専門職の配置の数でありますとか、そうい うことを決めるべきではないという考え方、そこは地域の自治体の総合判断に委ねると 先程の首長さんによって議会によって、地域保健に一生懸命に金を使う自治体と隣では 専ら開発にお金を使う、そういうのもあっていいのだと。それは住民が決めることだと いう、これは一つの極論ですけれど、そういう考え方もあり得ると思うのです。  基本的には、そちらのほうにベクトルが行っていて、それでじゃあ国はもう無責任に 放置していいのかといったら決してそうではなくて、要するに何を守るべきかというこ とを組織名とか職員数で書くのではなくて、ファンクションとして最低こういう機能は 確保されるべきだということが必要にして十分書かれていれば、それをどういう手法で どういう組織で、どういう職員使って実現するかは自治体の判断であるというふうに任 せるというシステムが構築できるならば、それがより良く分権の指針と合致しているだ ろうと思うのです。まあ、岩尾さんの顔などを見ていると、それは建前論であってそう はなかなかいかんと。逆に自治体の側も本音で言うと、厚生省の基準で何名と決まって いるというほうがこの財政改革の時代に、貴重なポストを守ったり予算を守ったりする のに有利だということも、その担当セクションとしては当然の話だろうと思うので、建 前論であることは承知の上ですが、まあしかしそういう時代になりつつあるということ で、必置規制論を巡っていろんなデータがあるのだろうと思うのですけれど、差し支え ない範囲で法定のものと、それから通達のところで決まっているもの、あるいはそれが どういうふうに変化してきたかというようなことに関するわかりやすい資料があると議 論しやすいなと思いますので、一つお忙しいでしょうがよろしくお願いしたいと思いま す。 園田委員  こういう検討会で申し上げていいのか、あるいはこの検討会の検討の事項に入るかど うかということもあるのですが、今日お配りいただきました2冊の資料の中にももちろ ん書かれておりますが、保健所の所長は医師であってという規定があるわけですが、こ の問題というのは、例えばこういう政令市とかこれからの保健所のあり方ということを 議論する場合に、含めていいのか、あるいはこれ自体も検討の対象になるのか。私ども 幾つかのところに伺ったりするときに、なかなかこの問題があるのでうまく機構が整備 できないといったことが出されたりということもお聞きしたりするのです。もちろん私 はこれからある意味では、政令市を含めて医師などの専門職種の方が、自治体の中で大 きな役割を果たされるということはますます重要になってくると思うのですが、この問 題というのはこれからの議論の中で含めてよろしいのか、あるいはあまりそれは妥当で はないのか。 北川座長  まだ議論の整理の段階ですから、どういう議論をしよう、どういう議論をやめておこ うということではないと思いますので、ご主張があればなさって構わないと思います。 他にこの組織、人の問題についてはそのくらいでよろしいですか。 それで私も一つ問 題提起をしてみたいと思うのは、保健所と保健センターの人事の話ですが、保健所の組 織の中に保健センターが入っているところと、それからそれぞれ独立しているところが ありまして、こういうことの機能上のメリット、デメリットというものは一度議論をし ておいていただいたらいいかなと思います。私はもうそこのところは、一つの市という 自治体の中での話ですから、これをどういう構造にしていくかというのは磯部委員の考 え方をお借りすると、それぞれの自治体の中での考え方だろうと思うので、それを一つ どういう考え方で、どちらのパターンを取っているのかというようなことをちょっと整 理をしていただければと思います。  それでは資料3に移ります。これは財政力とそれから人口規模との関係の資料を作っ ていただいたのですが、さっき保健所を置くと財政力指数がちょっと落ちるというよう な話がありました。それは保健所があるからということなんですか、たまたまそういう 市の状況だったのでしょうか。 岩尾課長  金がかかるのかどうかは別として、もう一つの財政力指数の計算ですが、分子と分母 の、分母が増えるだけでなくて分子も増えると、何かあるのだそうです。要するに入っ てくるお金とでていくお金の関係ですから、だから単に保健所ができたからといって、 雇わなければならない人が増えたとかいうことのみだけで計算できるものではないとい う話は聞いております。 池田委員  実は、これを求めた時の思いですが、一応中核市を実施するという時には、それぞれ の市が主体的な行政を進めていく、あるいはその地域の発展をリードする役割も担って いくのだというそういう視点で、この保健所を設置しているのだろうと思うのです。そ ういったときに、今もそうなんですが問題となったのは、財政的な保障がない、保健所 はお金がかかるということで、二の足を踏んでいたということをかなり聞いて おります。そういうのから見ていったときに、これからさらに中核市になるところを 増やしていくとした場合に、どの程度の可能性があるのかなと、本当にこの財政力指数 の中でそのへんが見られるのかなというところをちょっと知りたかったものでから求め たわけです。  先程どなたかおっしゃっておりましたが、保健所政令市のところが非常に低くなって おります。しかしながら30万から20万あたりは結構高いわけですので、もっと可能性が あるのですか。これまでの保健所政令市はどんな問題を抱えているのか、特にこの基本 指針を背景としたところでどういう問題を抱えているのかというところが、少しピック アップされるともっと保健所中核市が増えていくのではないかなという気がしますので そのあたりもしできれば出せたらなと思います。 北川座長  これはどうしましょうか、どなたか自由に発言していただきたいと思います。 衛藤委員  今の件ですけれども、確かに財政力というのは非常に重要かと思うのですけれども、 福祉の分野で今いろんな自治体、市町村が介護保険を前に、これからどんなふうに動く かというテーマについて、少しフィールドワークと含めて調査しているのですが、財政 力よりももうちょっと重要な問題がありまして、それはその自治体の首長以下、行政体 が福祉にどういう姿勢を示すかということだと思うのです。むしろ申し訳ありません保 健の分野ではどういうふうになっているかわかりませんが、福祉の場合は、お金がなけ ればなんとか工面ができるという事情などもありまして、むしろその意思、サービスに 対してどんなふうに実際取り組むかというその意思のほうに、より重点があるような私 は印象を持っているのです。ですからやはり住民の健康をどう市として責任を持つかと いう、そのへんのほうが重要なのではないかという気がするのです。財政の問題はその 後に、ですからついていくような気もするのですけれども、違いますか。やはり財政ま ずありきですか。 北川座長  ちょっと私が整理をさせて頂きます。保健所を持つことと、その市の健康に関する サービスを自分の市の中で強化することとはちょっと別だと思うのです。例えばAとい う市が保健所を持っていない場合、県の保健所がその市域を含んだ地域の基本的な健康 問題に関する行政サービスはしているわけです。その上に立って、今地域保健法で言わ れているような個人の身近なサービスというのは、市町村が独自でサービスができると いうことなのです。 衛藤委員  そうしますと、その保健所を持つということの意味というのはどういうふうになるの でしょうか。 北川座長  これは岩尾課長に答えていただいたほうがいいのかな。 岩尾課長  というか、最近保健所を持った犬塚先生おられるから。 犬塚委員  県が保健所行政として行ってきたことを市が直接実施する、そのことが市民にとって どういうサービスの向上につながるのかということを、市がどの程度までそれをメリッ トとして考えるか、執り行うかというところに尽きるのではないかと思います。  具体的には、例えば精神保健福祉相談の件数が、昨年、県の保健所が実施した頃に比 べて明らかに倍増しているということがありますし、それから環境部関係のゴミだとか 廃棄物の関係の相談も、これは豊田市の場合は市の保健所ではなくて市役所本庁舎の環 境部が対応しておりますけれども、従来県の豊田保健所が行っていた相談件数に比べて やっぱりこれも倍増している。そういう意味では、県行政から市の行政になったことに よって、非常に市民が身近に感じていただいて、具体的な相談件数は増えている。です からこれが一番今数字でだせるメリットかなというふうに思いますが、それらを市町村 といいますか首長がどういう判断しているかなと、評価をしているかなということ です。  ついでにちょっとだけいいですか、僕は制度がよくわからない部分があるのでいけな いのでが、財政力指数が1を超えているか超えてないかで、交付税が全くいかないのか 行くのかという点です。算術平均をだされて、全体にどのくらいのレベルだというのが これでおおよそわかるのですが、財政力指数で1を超えていると全額市の負担になりま すよという話になるのか、一部補助金は関係ありませんが、0.99だったら交付税がもら えて、全額もらえるのかそのへんがよくわからない。  そういうところというのはどうなのでしょうか、要するに1.2とか1.3というのはほと んど少ないと思うのです。1.0幾つ、1.1とかぐらいのところが大半で、それと0.95とど のくらい自分のところで負担するのと違うのか、要するにそのへんが本当にトップがど ういうふうにまず、保健所を持つことのメリットを判断するかということがもちろんあ ると思うのですけれども、実際に自治体として保健所が持てるのかどうか、自分のとこ ろの財政力からしてですね、平均としてはこうなんですけれども、どのくらいそれが違 うのかなというのが僕自身よくわかりませんので教えてほしいのですけれど。 米田委員  関連ですが、不交付団体か交付団体か、ちょっとこれの今の上がっていますところの 調査を一緒にお願いしたいと思っています。とりわけ不交付団体のところについて、先 程先生がおっしゃったような形での対応と、不交付団体においてはちょっと財政上の問 題にも違った部分があると思うのです。そういうことからいけばそれぞれの自治体が交 付団体か不交付団体なのか、それとさっきおっしゃった今の補助金についてどういうか たちになっているのか、保健所との関係と交付税と補助金関係がどういうかたちになっ ているのかということを財源上のシステムを教えていただきたいなと思います。 北川座長  財政上の問題についてどこまで踏み込めるか、また事務局で検討していただいてもし 答えがあれば次回にお願いしたいと思います。ではその件はそのくらいにしまして、次 の資料4は、一種の年齢階級別人員ですけれども、これはよろしいですかね。それでは 資料5の組織の問題、これに関連してご議論があればどうぞ。 池田委員  これを見たときに、保健所の機能は、保健所を1カ所にして、本庁が担うべき分を持 ってきているところと、そうでなくて完全に広域的、専門的なものだけで集約している ところというふうに分かれてくるのかなと思ったのですが、この考慮点と書いてあると ころに、保健センターは対人保健、隣に配置して対物保健サービスを実施するという別 立てのような形でやるのが本当に望ましい保健所機能というふうに言えるのかなという ことが、ここを見て疑問を持ったところです。もちろん大都市というところと中核市と かそういうところは、分けて考える必要もここで一つでてくるかとは思いますが、いず れにしても保健所という機能はどうあったらいいのかというところが、これから先不安 に思ったわけです。こういう点を多いに議論されていってはどうかなと思うのですが。 北川座長  この点については小倉委員がいつもご指摘されている点でありますから、どうしまし ょうか、今議論されますかあるいはもう少し整理をしたほうが。 小倉委員  いや今後の基本的な考えとして、バラバラにしていいのかということですね。 保健所は一つにしたけれども、頻度の高い対物保健サービスは、保健センターに残した ところもあるようですし、神戸市では、保健センターと名称が変わっただけで機能はま さに保健所のようです。都道府県型の保健所では、対物と対人を分けることはあまり考 えれないので、そのへんを政令市型と別立てで今後考えるのかどうかということも含め て、さっき問題を提起したつもりです。 犬塚委員  都道府県型ではこういうことは考えられないとおっしゃられましたけれども、実は保 健所と支所の関係というのがきわめてこれに近い関係じゃないかと思うのです。保健所 と保健センターという名前にして、独自業務をある程度ここに置きながらやるというの が政令市、政令指定都市のこういう形と似ているかなと。ですからちょっと通じる部分 はあるような気がするのです。  それと、もしできればたぶん大義名分として掲げられていることはどこも同じような 気がするのですが、この4市がどういうふうな趣旨で、この統廃合を行われたばかりで すので、市民向け説明の資料があると思いますので、もしそういうのが取り寄せられた らどういう趣旨でここはこういうふうにやりましたということが理解しやすいかなと思 いますのでお願いします。 北川座長  これはどういう格好でやるかは事務局で考えてください。お願いします。資料5につ いては、そのくらいでよろしいですか。それから資料6と、さっきの前回の資料の2と 合わせた、保健所における法令で定められた事務の一覧表ですが、これは何かコメント ありますか。 磯部委員  このへんはまだ途中経過的な資料で、まだ今後整理があると期待しておりますけれど ちょっと質問ですけれど、法律において普通保健所長の権限として書くのだろうと思う のですけれど、資料2がよくわからないですが、だから保健所長ではなくて、保健所が やるという書き方をしている条文というのはあるのですか。そういう意味でしょうか。 事務局  そういうことです。現行日本法規のCD−ROM版がございまして、それから保健所 長という文字が入っているものと、保健所という文字が入っているものを検索してござ いまして、1998年のCD−ROMですから概ね同じ時期に取り上げられているのではな いかと思っています。 磯部委員  ちょっと専門的になるからやめておきますけれど、要するに行政庁として保健所を位 置付けているようなおもむきがあるのかどうかという話をまた、あとでそれはやりまし ょう。 北川座長  よろしいですか。 犬塚委員  実際にサービスを受ける市民の側からすると、保健所長に行われている明記してある 場合はいいのですけれども、保健所で行われているというその前回の資料に、これは基 本的には都道府県知事権限で保健所長に事務委任されているものが大半になってくるの ではないかなというふうに思いますし、それが行われていることによって、住民はそこ に行けばすぐ問題が解決するといいますか、手帳の交付が受けられるとかそういうこと が行われると、それから政令市化の推進に当たって何を考えなければいけないか、僕前 回も言ったつもりですが、要するに都道府県知事にあって政令市長にないものが、政令 市保健所ではサービスの提供がその場でできない、もう一歩補足しますと都道府県知事 にあって都道府県の保健所長に事務委任されているものが、その権限が移譲されなけれ ば、政令市保健所になった途端に、その地域の住民は県庁を通じてなければサービスが 受けられなくなるということが起こる。そこがやはり整理しなければいけない問題だろ うなと思います。サービスを受ける観点から言えばですね。 山本委員  今の表の2の一番最後の例えば毒物・劇物取締法ですと、これは警察署とか消防署と か保健所に届けるというふうになっています。 北川座長  今の所長と書いてあるのと、所と書いてあるとの考え方の整理がもしできれば次回お 願いしたいと思います。それではだいたい時間も迫っておりますが、資料7に関連して いかがですか。これは所管区域の見直しの問題で、だんだんと医療保健に収斂していっ ていると考えていいのだろうと思うのですが、これはよろしゅうございますか。  それから支所の一覧。以上で今日事務局から用意をしていただいた資料全体を使って のご議論をいただいたわけですが、今日また幾つかのご注文がでておりますので、次回 までにまた一つ整理をしていただきたいと思います。それで全体で特に、これからの議 論の方向付けとかあるいは問題点についてご発言があったら最後にお願いします。 遠藤委員  今度いつでてこられるかわかりませんので要望しておきたいのですが、健康危機管理 の中で、保健所をターゲットにして考えたときには精神保健福祉をどうするのかという 問題を取り上げていただけないかということを要望しておきます。 北川座長  もうちょっと具体的に何か。 遠藤委員  一番具体的には、障害保健福祉部のほうで市町村の精神保健福祉における役割を今少 し検討しているようですが、それとあいまって保健所のほうはどうするのかということ を再度確認をしておく必要があるのではないかと思っておりますが、それを健康危機管 理という観点で整理することが可能かというふうに思っています。 北川座長  よろしゅうございますか。それで実は私も今の精神保健法の改正に関与しておるので 申し上げますが、そこのところは審議会の部会でもかなり議論はあります。担当課の説 明では、従来の保健所で行っている精神保健のサービスについては全く変わらない。そ して今まで全く手のつけられていなかった、例えばホームヘルプサービスだとか、ある いはデイケアサービスそういう全く新しいものを追加をするという考え方で整理をして いくのだという説明がありました。なお、次回までにもう少し整理をしておきたいと思 います。ではよろしゅうございますか、事務局から何かありますか。 岩尾課長  どうも年末のお忙しいところありがとうございました。それでは次回のこの地域保健 問題検討会ですが、事前にファックスで日程調整させていただきました。次回1月21日 木曜日の開催でございます。時間は2時から4時ということで、場所は後日ご連絡をさ せていただきます。第4回以降につきましては、お手元に日程表を配付しておりますが それをいただきまして、回収した後に調整させていただきます。 事務局からは以上です。 北川座長  それではご熱心な議論をありがとうございました。 以上 問い合わせ先  厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課  担 当  水 谷 電 話 (代)03−3503−1711(内線2391)