98/12/18 食品衛生調査会毒性・添加物合同部会議事録 食 品 衛 生 調 査 会 毒 性 ・ 添 加 物 合 同 部 会 議    事    録 厚生省生活衛生局食品化学課 食品衛生調査会毒性・添加物合同部会議事次第 日 時:平成10年12月18日(金) 10:00〜11:51 場 所:合同庁舎5号館 3階 特別第2会議室 議  題  1.新規食品添加物(スクラロース)の指定の可否について  2.その他 ○東補佐  それでは定刻となりましたので、ただいまから食品衛生調査会毒性・添加物合同部会 を開催いたします。毒性部会9名中6名、添加物部会9名中8名が出席されて おります。 なお、福島委員については少し遅れると連絡が入っております。後ほど来られると思い ます。したがいまして、本日の部会が成立いたしますことをここに 御報告申し上げます。 また、本部会は平成9年の常任委員会決議に基づきまして公開となっております。本部 会での議事録は後日公表される予定でございます。まず開催に当たりまして、食品化学 課長よりごあいさつ申し上げます。 ○食品化学課長  おはようございます。本日はお忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうご ざいます。また、平素私どもの食品化学行政の円滑な推進に種々御協力を賜りましてあ りがとうございます。本日は食品添加物の新規指定につきまして御審議いただきたい、 このように考えております。食品添加物につきましては、その安全性などにつきまして 国民の皆様が高い関心を持っているものでございます。食品化学行政の所期の目的でも あります国民の健康確保と、食にかかわる危害の防止のため、先生方の忌憚のない御意 見を賜りますよう、お願いいたします。また今後とも食品衛生行政の推進に御協力いた だきますよう、お願い申し上げまして、私のあいさつとさせていただきます。では、よ ろしくお願いいたします。 ○東補佐  それでは、合同部会の座長は通例により毒性部会長であります戸部委員にお願いした いと存じます。以下の進行、戸部委員よろしくお願いいたします。 ○戸部部会長  おはようございます。朝早くからありがとうございます。どうぞよろしくお願いいた します。本日の議題は、今、課長の方から話がございましたように、新規の添加物の指 定の可否ということでございます。どうぞよろしくお願いいたします。まず資料の確認 と、これまでのいきさつを事務局の方から御説明をいただきたいと思います。よろしく お願いいたします。 ○東補佐  それでは、配布資料について御確認をお願いいたします。本日、新規食品添加物はス クラロースという新しい甘味料でございます。配布資料は既に送付させていただいてお りますが、「議事次第」と書かれたものが1つでございまして、委員名簿、これまでの 経緯が書かれております。これについては委員の所属等の誤りがございましたので、本 日改めてお配りしております。それから2つ目には、スクラロースの資料概要の厚いフ ァイルがございます。白いファイルでございますけれども、その中に発見の経緯や国際 機関の評価、有効性、安全性に関するデータの概要が記載されております。またもう一 つは、「食品添加物の指定に関する分科会報告について」という報告書も事前に送付さ せていただいております。配布資料といたしましては以上でございます。不備がありま したらお知らせください。よろしいでしょうか。次に、新規添加物の指定についてと、 これまでの経緯を御説明させていただきます。議事次第の3ページからですけれども、 現在、食品添加物は食品衛生法により規制されておりまして、第2条第2項により食品 の製造の際、あるいは加工や保存の目的で用いるものは添加物であると定義されており ます。また(2) にありますように、これらの添加物は厚生大臣が人の健康を損なうおそ れのないものとして、食品衛生調査会の意見を聴いて定める場合を除いては、添加物の 使用・販売等は禁止されております。さらに(3) にありますように、必要に応じて規格 や使用基準を定めることができるとされております。これら新規の添加物につきまして は、(4) にありますように平成8年の指針に基づき要請することとされておりまして、 今回のスクラロースにつきましても、指針に従い資料等が提出されております。これま での経緯ですが、3ページの2を見ていただきますと、平成9年8月1日に指定の要請 がありまして、平成10年6月15日食品衛生調査会へ諮問されております。10年7月7日 に食品衛生調査会毒性・添加物合同部会が開かれまして、分科会で検討することとなり ました。平成10年7月14日食品添加物の指定に関する分科会を設置いたしまして、8月 6日、10月6日、11月13日の合計3回食品添加物の指定に関する分科会が開催されてお ります。本日は、部会からの付議によりまして行われました分科会における審議が終了 いたしましたので、本部会でさらに御審議を承ることとなったものです。以上でござい ます。 ○戸部部会長  ありがとうございました。今、説明がございましたが、今年の8月から11月13日まで 3回分科会が行われまして、そのまとめが分科会報告という形で本日お手元に出てまい りました。それでは、この分科会報告に基づいて御審議をいただくことが効率的かと思 いますので、これに従って御審議をお願いしたいと思います。報告書の内容について一 通りお願いします。 ○東補佐  それでは内容について、報告書に従いまして行いたいと思います。資料の「食品添加 物の指定に関する分科会報告について」の3ページの指定についての1というところか ら始めていきたいと思います。まず、「品目名」はスクラロースで、別名がトリクロロ ガラクトスクロース、4,1',6'-トリクロロガラクトスクロースというものであります。 「構造式」はそこに書いてありますとおり、ショ糖の水酸基3個を塩素に置換したもの でございます。3番目の「用途」といたしましては甘味料でございます。スクラロース は飲料やデザート、ドレッシング等100 品目以上の食品に甘味料として使用されるもの であります。4番目の「起源又は発見の経緯及び使用状況等」でございますけれども、 スクラロースはショ糖の4,1',6' の水酸基を塩素に置換されて生成されるものです。発 見の経緯でございますけれども、1970年代にロンドンのクイーン・エリザベス大学にお いてショ糖の化学修飾に関する実験が行われまして、その後同大学とTate&Lyle 社によ る共同研究が行われまして、ショ糖の600 倍の甘味を有する本品が発見されたものであ ります。FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、スクラロースに ついて安全性の評価を行っておりまして、1988年に暫定の一日摂取許容量を1日当たり 0-3.5mg/kg 体重と設定しております。その後1990年に第37回のJECFAの会議にお きまして、ADIが1日当たり0-15 mg/kg 体重と設定されております。添加物として 使用している国々は、現在、カナダ、ニュージーランド、米国など20か国以上で食品添 加物、甘味料として使用されております。次の「有効性」でございますけれども、スク ラロースは甘味料として様々な食品に使われております。 我が国で既に甘味料として添加することが認められているものは、食品衛生法施行規則 の別表第2においてアスパルテーム、キシリトール、グリチルリチン酸二ナトリウム、 サッカリン、サッカリンナトリウム、D−ソルビトール等がありますし、また厚生省告 示第120 号の既存添加物名簿におきましては、N−アセチルグルコサミン、カンゾウ抽 出物、D−キシロース、ステビア抽出物等があります。しかしながら、サッカリンナト リウム、ステビア抽出物、カンゾウ抽出物には特有の苦み、渋味があります。またアス パルテームは中性あるいはアルカリ性水溶液中での保存安定性や加熱安定性が劣ってお ります。今回申請のありましたスクラロースについては、これらの観点から検討が加え られておりまして、ショ糖に似た甘味を持ち、苦み、金属味等を持たず、また安定性に も優れた物質であると報告されております。この報告は別紙1、9ページの資料として は第4章有効性に関する資料中に書かれております。 例えば1%のスクラロース水溶液は30℃、pH=3.0という条件において336日後において も97.1%が残存しております。安全性についても詳細な審議が行われましたが、この点 については分科会座長でもいらっしゃいます戸部委員の方から御説明をいただきたいと 思います。よろしくお願いします。 ○戸部部会長  それでは安全性、体内動態、それからADI設定という3つの項については私の方か ら御説明をさせていただきます。まず最初の6の「安全性」でございます。資料の4 ページでございますけれども、食品添加物として求められている安全性の項目はそれぞ れ満たされているというふうに思われます。順次御説明申し上げますけれども、(1) の 急性毒性試験でございますが、これはラットとマウスで行われておりまして、それぞれ LD50がラットで10.0、マウスでは16.0g/kgでございますけれども、これを超えるとい うふうに報告されています。つまり、はっきりしたLD50が、この範囲では求められず に、これ以上のところにあるであろうという意味でございます。 ちなみに、このこと と関係ございませんけれども、我々が使っているショ糖については、古くLD50の成績 がございまして、大体35g/kgぐらいというふうな報告がございます。ちょっと参考まで に申し上げます。そちらの方は35gでLD50が求められているという状況でございます ので、LD50の点から見れば、これはあくまでも推定でございますが、ショ糖とそう大 きな変わりはないのかもしらんというような感じがいたします。それから(2) の亜急性 毒性試験ですが、2つ試験がラットで行われています。さらに、マウスでも行われてお りますけれども、ごらんのように50,000ppm というようなところ、mgで申しますと 4,000mgつまり4g/ kgというような試験が行われているわけでございますけれども、特 段このものによって特異的な毒性が、この試験の範囲で出てくるというようなことはご ざいませんで、盲腸重量の増加、あるいは体重の減少というようなものが起きておりま すけれども、特別な毒性が認められておりません。この体重の影響あるいは盲腸重量の 増加というのは、この物質が極めて吸収性が低いということに基づく、どちらかという と栄養的な問題、あるいは物理的な影響によって、体重減少、盲腸重量の増加というよ うなものが出てきているというふうに判断されるものでありました。それから次の5 ページの(3) のラットにおける慢性試験でございますが、26週間半年ほどの試験でござ いまして、これはえさに添加して、1%と3%が行われております。別に26週間の強制 経口投与も行われておりまして、飼料添加の場合と強制の場合の両投与形態から、その 影響を推定しておりますが、先ほど亜急性のところで出てまいりましたような体重に対 する影響というのが、この試験の中では唯一認められた影響でございます。このことも 強制経口投与を一方でやることによって、3%の添加量によって起きてくる体重増加の 抑制というのが、やはり摂餌量の低下によって起きてきたであろうというようなことを 推定しております。つまり亜急性、慢性を通じてこの物質の吸収性の悪さ(低さ)が影 響してきたものであろうというふうに解釈しております。それからビーグル犬を用いた 12か月の試験も行われておりますけれども、ここでは、3%まで投与して影響を見てお りますが、毒性作用は認められなかったというふうに判断されます。一般毒性試験の反 復投与までの試験の成績は以上でございますが、このほかに、ちょっと飛びますけれど も、(6) のところ5ページの下の項でございますが、ここで発がん性の試験をマウスと ラットで行っておりまして、いずれも発がん性の試験のガイドラインに基づく試験が行 われております。ここで一般的な影響も見ておりますけれども、今申し上げましたよう な体重への影響というようなものが主体でございます。そのほか若干の影響が出ており ますけれども特段この物質によって特異的な影響というものは認められなかった。それ から腎臓に対する影響がラットに若干出ておりますけれども、これについても、この薬 物の直接的な影響ではなく、二次的な刺激によって変化が出てきたであろうというふう に判断いたしました。それから戻りまして(4) の繁殖試験でございますけれども、ラッ トを使って二世代の繁殖試験が行われ、親の世代から子の世代を通して影響を見ており まして繁殖能力に対する項目について調べておりますが、特に繁殖能力に対する特別な 影響がないということでございます。 量的には30,000ppm の量まででございます。それから(5) が催奇形性の試験でございま して、ここではラットとウサギを使ってそれぞれ影響を見ております。ラットの方につ いては特段の問題はございませんでした。催奇形性も認められておりません。ウサギに ついては、催奇形性は認められておりませんけれども、この(5) の後段の方でございま すけれども、下から3行目のところに本試験における無毒性量は親で350 mg/kg、子ども の方で700 mg/kg というふうに記載がございます。これは親に対して消化管障害を伴う 体重減少が700mg/kgという量で出てきておりまして、したがって、子どもの方は700mg/ kg でも影響がないんですが、親の方は350 mg/kgが無毒性量であろうというふうに推定 いたしました。このことを少し詳しく申し上げたのは、あとのADIの設定の時に、こ のことについて触れますけれども、このことを御記憶いただきたいという意味で少しく どくどと申し上げました。ただし、その中身は今申し上げましたように、主体は下痢で ございますけれども、体重の減少なども起きているわけであります。それから(6) 発が ん性試験ですが、先ほど反復投与のところの慢性という意味でも申し上げましたけれど も、発がん性については、ここに書かれておりますように、若干の腫瘍性病変の発生が ございますけれども、対照群と内容的にも、あるいは発生の頻度でもほとんど差がない ということで、腫瘍性の影響は恐らくこの薬物にはないだろうというふうに判断いたし ました。それから次の抗原性の試験でございますけれども、モルモットを使った試験で 感作性は認められなかったという成績であります。それから(8) の変異原性試験につい ては Amesあるいは染色体異常試験というふうな試験がすべて行われておりますけれども、い ずれの成績も陰性でありまして、変異原性について特段の問題はないということでござ いました。以上が通常の安全性の試験でございますが、さらに(9) で一般薬理試験につ いても報告されておりまして、ラットとマウスで一般症状、いわゆる通常の一般薬理試 験が行われておりますけれども、特に問題となるような成績はございませんでした。こ こでも先ほど来申し上げております吸収性の低さによる影響、それに付随した電解質へ の若干の影響というようなものがございますけれども、ほとんど有意の変化というか、 特別な変化は認められていないというのが一般薬理の成績でありました。そのほか、か なりたくさんの毒性試験が行われております。ここにはまとめてございませんけれども お手元に行っておりますこの分厚い資料をごらんいただきますと、いろんな毒性試験が 行われているということでございます。総じてまとめますと以上のとおりで ございます。 それから6ページの最後の行で7「体内動態」の項がございますが、その中身について は7ページに(1) から(4) までございます。まず吸収・排泄でございますけれども、経 口投与した場合に、種によって若干の違いがございますけれども、60%から90%が糞中 に排泄される。残りの10から30%程度が尿中に排泄されますが、呼気の中には検出され ておりません。投与後30分〜3時間ほどで経口投与の場合には血漿中の濃度が最大に達 するという成績が出ております。スクラロースの血中での半減期は2.5 時間から23時間 ということでございました。それから分布については、肝臓と腎臓が主体で ございます。 脳の中には検出されておりません。それから肝臓と腎臓に最大にたまりますけれども、 24時間後には血漿レベル以下になるということであります。それから代謝については、 ほとんどが未変化体の形で糞中あるいは尿中に排泄されますが、一部代謝されるという ことがわかっております。ですから、主体はその場合グルクロン酸抱合の形で出ていく ということであります。そのほかショ糖に対する影響というようなものも見られており まして、ショ糖の吸収をスクラロースが阻害するということはないということでありま すし、また糖尿病との関係もございまして、インスリン分泌についての影響も見ており ますけれども、その分泌については影響がないということが成績として出ております。 以上、安全性あるいは動態などを含めてADIを設定いたしました。ただいま申し上げ た資料の中で、最も長い試験期間でテストされ、しかもその最大無作用量の最も小さい ものはラットの試験でございまして、先ほど申し上げた発がん性試験の項に出てきたラ ットの試験でございますが、ここの3%というところが、最も低い無作用量というふう に考えられました。30,000ppm は、ミリグラムに直しますと1,500 mg/ kg体重/ 日とい うことでございますので、これに基づいてADIを設定してよかろうという評価を行い ました。安全率を100 といたしまして、そこに記されているような値ということになっ たわけであります。 ここで1つ問題がございまして、先ほどウサギの催奇形性試験の ところで申し上げましたが、ラットの30,000ppm 、つまり1,500 mg/ kg、1.5 gでござ いますが、これを無作用量にとりますと、先ほど申し上げたウサギの親に対する350 mg / kgというのが無毒性量というのと矛盾するわけであります。おおよそ4分の1くらい の量がウサギの無毒性量ということになりますので、1,500 は高すぎるということにな るわけでございますが、このウサギに対する影響というのは、先ほども申し上げました けれども、非特異的な消化管に対する下痢を主体とする影響でございまして、そのメカ ニズムは、先ほど来くどくど申し上げておりますが、吸収性の低さによる消化管の一種 の下剤的な影響による膨脹下剤、あるいは電解質による下痢に基づくものというふうに 判断されまして、これを特別に無毒性量の一つの設定根拠に取り上げるほどの意味はな いのではないかというのが分科会での議論でございました。そのことは先ほど事務局の 方から話がございましたが、JECFAでの評価の成績が出ておりまして、JECFA でも当然このことが話題になっておりまして、この350 という親動物に対する影響をそ の場でも採用しておりません。このことについては今私が申し上げたような理由で、こ れを不採用としておりますので、分科会でもこれを採用せずに、先ほど申し上げたラッ トの2年間の試験に基づいて1,500 mg/ kgというのを無毒性量というふうにして採用い たしました。そして、それに100 の安全性係数をかけて15mgという値をスクラロースの ADIというふうに設定したわけであります。 以上が安全性についての6、7、8に関する分科会での検討結果でございます。少し長 くなりましたけれども、以上でございます。 ○東補佐  ありがとうございました。それでは引き続きまして、8ページの9の「一日摂取量の 推計」というところから説明させていただきます。一日摂取量の推計につきましては、 平成5年の国民栄養調査により、甘味料の推定一日摂取量をショ糖に換算して行われて おります。その計算によりますと、一日35.0gのショ糖をとっているということになり まして、これをスクラロースの甘味倍率600 倍で割りますと58.3mgということになりま す。日本人の平均体重50kgを考慮いたしますと、一日当たりの摂取量は1.17mg/ kg体重 を摂取していると推定されております。この量は、設定されたADIと比較いたします と、対ADI比は7.8 %程度になります。申請者側からは使用基準を設けないというこ とで申請がなされておりますが、スクラロースはその物理学的性質から安定性が高く、 加熱処理を行う食品等に幅広く利用される可能性があることから、使用基準を設定した 方が妥当ではないかという議論が分科会でございまして、その次の10の「使用基準」に 示しますように、スクラロースの使用量を生菓子または菓子にあっては1kgに1.8 g以 下、ただしチューインガムにあっては1kgにつき2.6g以下、ジャムでは1kgにつき1.0 g以下、清酒、合成酒、果実酒、雑酒、清涼飲料水、乳飲料及び乳酸菌飲料(ただし希 釈して用いる場合は、希釈後の飲料水) にあっては、1kgにつき0.40 g以下、砂糖代替 品(これはコーヒー、紅茶等に加えて砂糖の代わりとして用いられるもの)であります けれども、これについては1kgに12g以下、その他の食品については1kgにつき0.58g 以下とし、ただし特別用途表示の許可または承認を受けた場合は、この限りではないこ ととするように使用基準を設けるという御結論をいただいております。また、安定した 品質の確保という観点から、成分規格についても設定することが適当とされまして、報 告書の別紙2、これは17ページにありますけれども、別紙2のような含量、性状、確認 試験、純度試験、定量法などのような規格が設定されております。この規格も別紙3で すけれども、一番最後のページになりますが、21ページに基本的にJECFAやアメリ カの規格でありますFCC等と同等のものとなっております。一応一覧表として比べら れるようになっています。以上でございます。 ○戸部部会長  ありがとうございました。分科会からの報告については以上でございます。  この資料に基づいて御審議をいただいて、本日の結論を導こうということでございます が、ただいまの分科会報告について何なりと御意見、あるいは質問をお出しいただきた いと思います。 ○高仲委員  食品添加物というのは、我々は好むと好まざるとにかかわらず一生涯を通して摂取す るということで、この安全性につきましては、ほぼ実験動物の一生に近い期間を投与し てみるというようなことが従来行われたと思います。この試験では、それに匹敵する場 合は反復投与の毒性試験が一番適切だと思うんですが、反復投与毒性試験を26週までの データで考えるということについてのお考えをお伺いしたいんです。一般的にラットを 使う場合には、たしか今までは2年間を反復投与として食品添加物は評価したと思うん ですが。 ○戸部部会長  御指摘のとおりでございますけれども、発がん性試験というのをマウスとラットでや っております。これまでですと発がん性試験のほかに、小動物あるいはイヌなどを使っ て長期の試験が行われている例が多いわけでございますけれども、この場合には、発が ん性試験というふうな名前で2つの試験が行われておりますが、いずれも、通常の発が ん性試験のガイドラインに沿った試験が行われておりまして、その中で一般毒性的な検 査も十分行われているというふうに分科会の方では判断いたしまして、この試験をもっ て通常の長期の反復投与試験の成績というか、影響が評価できるということで判断をし たわけでございます。 ○池田補佐 5ページの下から4行目のところに、ラットの104 週は毒性発がん性併合試験があり ますので。 ○戸部部会長  そういう意味で言うと、この6のところの発がん性試験は、括弧してもう一つ併合を 入れておいた方がわかりがよかったかもしれませんけれども。 ○高仲委員  私はそう思います。と申しますのは、内容はこれだけではわからないのでお伺いした んですが、一般に添加物とか残留農薬の場合には、発がん性とあわせて長期をやってい くことが多いものですから、このままで書きますと、発がん性試験となりますと、一般 の合併した試験と違いまして、検査項目が極端に少なくなる。もう一つは、今のADI 設定の御説明がマウスを中心にいただいたと思うんですが、その下の今御指摘いただい たラットの104 週になりますと、これは腎臓の影響が出ているんですね。したがって、 こちらをとってないんだろうという気がするんです。 ○戸部部会長  ラットの無作用量に基づいて設定しているんです。 ○高仲委員  そうすると、「腎盂粘膜過形成の発生率が有意に増加し」というところに対して、以 後何の説明も出ていないので、そのままの書き方では、ここで沈着云々という、これは 説明にはならないように思うんです。ですから、こちら側をもし加味するとすれば、こ の書き方はもう少し説明を加えた方がいいんじゃないかと思うんです。さらに、この根 拠としている低吸収性の物質を多量に摂取した場合に頻繁に見られる現象でありという ことになれば、当然これは文献があるわけで、こういうふうに用量を、ある程度こうい う変化が出ているのに、それ以上の用量のNOAELを設定するとなれば、少なくともここに 文献の引用が必要だろうと思います。一般論で言われているものをこの中に入れて、特 にそれがクリティカルな部分だと、私は文献の引用をして、これが妥当なものであると 普通の人が判断できるように書くべきではないかというふうに思います。 ○戸部部会長  今の御意見を入れて、この委員会の報告という形に直せばよろしいですか。 ○高仲委員  そうしていただければ。それからもう一つあるんですが、変化が見られていながら、 それを毒性学的な意義は少ないという一般論で結論づけていらっしゃいますが、なぜ毒 性学的な意義が少ないのかということを少し記述していただくと読む側がわかると思い ます。例えば催奇形性試験、これはちょっと毒性学的なものではございませんが、催奇 形性試験の下から4行目です。「死亡例も観察された。また9例中4例において流産が 認められたが、この用量においても胎児の成長の発育に影響は見られなかった」。これ はまた別の問題でございます。流産と胎児の発育との問題は、関連があるかもしれない ないかもしない。こういうような記述ですと、これをどういうふうに考えたかなという のがとりにくい。さらに9例中4例に流産が認められていながら、これをどう評価した かということがない。ですから記述だけではございませんで、この合同部会の結論とい うことなりますと、下のワーキンググループの話はこれでいいと思いますが、もう少し きちんとした説明を加えて、これだけを見てある程度このものの毒性がわかり、なおか つ、それに従って、これのADIを設定した理由がわかるような形に少し文章を修正し て、この合同部会の案とされてはいかがでしょうかということを考えたんです。 ○戸部部会長  もしいい記述のモデルがありましたら、ぜひお示しをいただきたいと思うんですけれ ども、どうでしょうか。 ○高仲委員  今の「9例中4例に流産が認められた」、ここら辺の記述はデータをきちんと見たと ころでもって結論を出していかないと、この文章ではちょっとわかりかねます。700 mg /kgの用量ですから比較的低い用量ですね。そうでもないんですか、高いんですね。 ○戸部部会長  そんなに低くはないんですけれども、ただ、妊娠している親ですから、消化管影響、 特に下痢を起こすと、通常ヒトでも妊娠中に重篤な下痢を起こした場合には、当然子宮 収縮を起こすわけでして、そういう意味でそれが流産、あるいは早産に結びつくという ことは、ヒトでもままあるわけでございます。そういう意味で、恐らくウサギでの700 mg/kgで起きた影響というのは、下痢によって妊娠中、特に強い影響が起きたんであろ う。したがって、9例中4例の死亡も、そういうことによって通常では死に至らないよ うなものであっても、それが大きく影響して死に至ったんではないかということで、メ カニズム的に親動物が死亡したことに対して、それほど毒性上、重篤な影響ではなかっ たんではないか。もちろん死亡ですから、そのこと自体は非常に重篤なわけですけれど も、影響のメカニズムとしては考え得る影響であろうということで、これについて、さ らに突っ込んだ議論はなかったわけでございます。ただし、当然700 mg/kgで起きている わけですから、この700 mg/kgを無影響量とは判断せずに、親動物では350mg/kg という 影響のなかった量を無影響量として取り上げるという結論になっているわけであります ○高仲委員  そのとおりだと思うんです。実際に実験をやってみて確かに下痢もしやすいですし、 こういう状態が起きやすいことは事実だと思います。ただ、文章をこのまま読みますと 非常に重要な死というものを前面に出しておりますし、さらに流産ということもござい ます。実際、実験をおやりになっている方はこれで十分理解し得る文章だろうと思いま すが、これは部会報告として上に上がり、一般に公開された時点では、見方は大分違っ てくるんじゃないかと思うんです。その辺を踏まえて、もう少しここに注釈的なものを あるいは説明的な文章を入れた上で一般に理解できるような形に、それはここだけじゃ なくて、幾つかの部分にもそれが見られますので、その点について再度御検討いただけ ればと思うんです。 ○戸部部会長  わかりました。 江崎先生、何か御意見ごさいますか。 ○江崎委員 高仲先生がおっしゃったとおりでして、死亡した、あるいは流産したということと、 胎児の成長というのは文章を切った方が的確だと思います。死亡が認められた。しかし 妊娠は継続した、あるいは生存していた動物で見た場合の胎児の成長には影響を及ぼし ていないという文章を切って書いた方がすっきりすると思います。 ○戸部部会長  江崎先生の御専門でございまして、毒性部会のメンバーでもありますので、今、高仲 委員がおっしゃった趣旨を入れ込んで、江崎先生に修文をお願いしてよろしゅうござい ますか。 ○高仲委員  それと、もう一つ申し上げておきたいのは、発がん性の問題でして、この部分も少し 文章に手を入れていただきたいと思いますが、これはADIを設定した時の根拠にもな っていますので。 ○戸部部会長  今、高仲委員がおっしゃった腎臓に対する影響ですが、私、先ほども少し申し上げま したけれども、二次的な影響によるというようなことが文章にもありますけれども、こ の辺については三森先生も福島先生もおいでになっておりますので、お二方のうちどち らか、ちょっとお話をいただいて、三森先生よろしいですか。 ○三森委員  まず、高仲先生のコメントの、ラットの慢性毒性発がん性併合試験のことですが、今 回の分科会報告の5ページの文章はやはり誤解を生みます。5ページの下から4行目の ところにあります「104 週間混餌投与した毒性発がん性併合試験」、これはガイドライ ンでは、「慢性毒性・発がん性併合試験」ということになりますので、具体的に書かれ た方が良いと思います。この資料概要を見ますと52週間と書いてありますので、慢性毒 性の方は52週間、発がん性は104 週間ということですので、誤解を招かないように、そ ういうふうに修正された方が良いと思います。事務局に確認していただきたいんですが 資料概要の177 ページの5の2の7では、1年間反復投与毒性・発がん性併合試験とな っておりますが、次のページの表5の2の2の21では、毒性試験の投与期間が78週間に なっています。どちらが正しいのか、チェックされた方が良いと思います。2点目の件 ですが、JECFAの評価では、非常に低吸収性の物質を多量に摂取した場合には、ま ず盲腸の膨満が起こりやすく、このスクラロース以外にもキシリトールとか、ソルビ トールでも同じような変化が起こっていることが示されております。この文章は高仲先 生がおっしゃるように、いきなり読みますと、低吸収性の物質を多量に摂取すると、す ぐに腎臓の鉱質沈着が起こるように解釈されますので、この文章をもう少し修文された 方が良いと思います。 ○戸部部会長  ありがとうございます。 ○福島委員  今、三森先生が言われましたラットの慢性毒性、それから発がん性のところですが、 分科会の時のディスカッションを考えますと、これは慢性毒性も2年間見て あるんです。 52週、78週というのは、いわゆるサテライトグループの屠殺の試験結果で、慢性毒性 104 週まで見まして、104 週の時点で腎盂上皮の過形成が出ている。ですから、こうい う実験の場合、発がん性試験と、それから2年間の慢性毒性を併合して行うというのが 一般的で、今回もそれで行われています。正式な言い方をもう一度確認して、実験名、 名称はきちんとした方がいいかもわかりません。マウスの方も一般に発がん性試験とい いながら、実際には慢性毒性も見ているのが通例で、今回もそのようになっています。 それからもう一つ、腎盂粘膜の過形成という問題ですが、これも分科会でいろいろディ スカッションがありました。結論的には生理的なもので、毒性学的意義はないという結 論に達しました。その理由が6ページの上1行目から3行目、それに濃縮した形にいた しました。しかし、これが一般に見た時に、ややわかりにくいということでしたらば、 もう少し考え、何かつけ足すのがいいかなとも思います。 ○戸部部会長  ありがとうございました。 ○高仲委員  今のことは非常に重要なことだと思うんです。結局、これでサイエンティフィックな エリアを出しているわけですし、そして冒頭に申しましたように、新しく添加物として 認可する場合には、今までコンセンサスが得られたように、ネズミの一生涯に近い期間 を投与して十分に見たんだ。そして、その検査項目もまた一般毒性で言われているよう な項目を中心に十分見ているんだということが、ここでそれが読み取れないと、慢性毒 性で見るということを一般的に言われていますので、先ほどのような議論が巻き起こる 可能性があると思うんです。さらに、ここの部分で、例えば吸収されないものがたくさ ん入っていた時に、何でそれが腎盂粘膜に過形成を起こして、さらに腸管とは関係ない ようなところでこういうことが起きるのかということも、これは書かれた先生はおわか りかもしれませんけれども、一般的に見て、この因果関係をつかめというのは無理だろ うと思うんです。そういう点からいたしますと、やはりこれは公表されるものだと思い ますので、そこで読まれる方の立場に立って十分に書いていただきたいというふうに思 います。以上です。 ○戸部部会長  ありがとうございました。それでは、福島先生と三森先生のお二方に、この(6) の特 に後段については少しお直しいただくということでよろしくお願いいたします。それか ら、先ほど高仲先生から御指摘がありました、そのほかの自然糖あるいはキシリトール などにも、そういう報告があるという、この文献ですけれども、これまでこういう報告 書には文献の引用はどういう形でやってきたか、ちょっと記憶はないんですが、してお りませんね。 ○池田補佐 特にしておりません。 ○戸部部会長  その辺はどうでしょうか。従来の慣習にとらわれることもないんですけれども、どう したらよいでしょうか。 ○高仲委員  私はそう思いました。と申しますのは、もともとの発生が内部のまとめ方から出てき たもので、それを公表してくるというステップを踏んできたんですね。ですから、初め にまとめ方を決めてやり始めた時期から比べると今は大分様相は変わっています。そし て、これをお読みになる方の層も違ってきていると思います。そういう点からいたしま すと、こういう一般論でも結びつけでもって、殊に重要な結論をサポートするような場 合には、やはりそれの出所といいますか、それがわかるような、それは脚注でも何でも 結構でございますが、そういう形で示しておいた方が読む側にとって親切であろうと思 いますので、できれば、そういう形をお考えいただければと思います。 ○戸部部会長  そうですね。それは事務局と相談して。 ○池田補佐 先ほどの試験については、ガイドライン等に準じまして、反復投与毒性/発がん性併 合試験というような形で処理させていただきたいと思います。 ○戸部部会長  そうですね。どうぞよろしくお願いします。 ○池田補佐 頭に「2年間」というのをつけた方がいいと思います。 ○戸部部会長  ありがとうございました。ほかに何か御意見ございませんか。 ○鈴木(久)委員  先ほどの御説明の中、体重減少が起こったということと、吸収性の悪さといった形で 御説明がございまして、幾つかの中には、いわゆる栄養の立場からでございますけれど も、吸収排泄実験などもされていますが、この物質そのものの持っている性質が、その 他の微量栄養素の吸収を阻害するといったようなこと、あるいは糖の吸収を阻害すると いったようなことがあるのでしょうか。 ○戸部部会長  少なくともショ糖の吸収には影響がないということは、先ほど申し上げたとおりでご ざいます。そのほかの栄養素全般的なものはち今記憶がございませんけれども、東さん 何かございますか。 ○鈴木(久)委員  いわゆる吸収が悪くなって太らなくていいとかという話に変に誤解されていくと、こ れもまた困るのかなと思います。一体何の吸収が悪くなって、どうしてそういうことが 起こるんでしょうかということです。 ○戸部部会長  体重減少の影響はかなりの量、例えば3%ほど添加しております。そのために、その もの自体が尿中に出てくるのが大体10から30%ぐらい。そんなに悪くもないように思う んですけれども、大部分は糞中に出ていくということで、一種の膨脹下剤みたいな影響 を消化管で起こしているだろうと思うんです。 そのことによって、ほかの栄養素の吸収も、もちろん若干影響も受けているだろうとい うふうに思いますけれども、このものの吸収性の悪さということが主体だというふうに 判断しております。 ○福島委員  この体重減少、これも分科会でディスカッションしたんですが、概要の151 ページに 食事制限等の実験が行われております。要するに、このスクラロースの嗜好性の問題で えさを食べない。その食べない量がちょうど食事制限、151 ページの表を見ますと、90 %ぐらいのところに相当するということで、主にこの体重の減少というのは、食事を食 べないことによって起こったということが、この実験結果から裏付けられていると解釈 しております。 ○鈴木(久)委員  食事を食べないということは、何か食欲が抑制されたという事ですか。 ○福島委員  そうだと思います。どういう味か臭いか知りませんけれども、3%というような高用 量を食べると、加えていないグループに比較すると、やはり10%ぐらい減じゃなかった かなと思いますけれども、ここのデータでいうと95%、90%の基礎食事制限と同等だと いうことを述べてあります。 ○鈴木(久)委員  一般的にダイエットブームでございまして、こういう話が非常に誤解されて、これは ダイエットに効くなんていう形にならないような御配慮をいただければと思います。 ○東補佐  先ほどの微量成分の吸収についてですけれども、炭水化物についての吸収は阻害しな い、そういうデータはあります。あと先ほどの嗜好性なんですが、3%になると甘すぎ て、その動物もなかなかとれないという状態で、ショ糖の600 倍という甘さを考慮して いただきますと3%というのは非常に甘いと思います。 ○鈴木(久)委員  そちらの方の問題ですね。 ○林委員  吸収性が悪いという現象ですね。これは特定の動物についての現象なんですね。例え ば犬なんかを見ますと、それによる影響というのは余りないわけです。下痢も1.3 %や っていますけれども、ほとんど出ていないということで、非常に高用量で起こるという ことと、それが特定の動物種に起こるということ、ただそれについての説明が十分でな いんですね。ですから、そこで非常に大きな誤解を招くと思うんです。先ほど高仲委員 からいろいろ御質問がありましたけれども、高仲委員は十分に御承知のことなんだと思 うんですけれども、この文章ではそれが読み取れないということが大きな問題だと思う んです。例えば、催奇形性試験でもウサギのことが書かれておりますけれども、ウサギ が特にこういう物質について敏感だということが最後の7ページのところで触れていま すけれども、これももしも5ページの(5) のところの一番最後のところで、ラットとか と比べて、ウサギは無毒性量が低く出ているのは、そういうウサギの特性であるという ことをちょっと説明を加えていただければ、この文章はわかりますし、同じことがまた 7ページで繰り返されてあってもよろしいと思いますので、それが1つです。 ○戸部部会長  ありがとうございました。 ○高仲委員  非常に細かいことでいちゃもんに聞こえたら申しわけないんですが、7ページの表現 は、私、言わなかったのは、これは非常に問題があるんです。一般的に非吸収性で浸透 圧活性を示す物質は何を頭に置かれますか。端的に見るとCMCとか、ああいうもので すね。あれはほとんど吸収されない。ところが、これはさっきからお話に出ているよう に吸収されているんです。ヒトでも少ないとはいっても10%前後は吸収されているわけ です。そうすると我々が頭に置いたCMCとか、そういうものに比べては、これはちょ っと合わない。ですから、CMCとか、そういうものの腸管は、特に盲腸あたりは膨潤 いたしますし、座長がおっしゃったような膨潤性の下痢としての作用を持っているわけ でございますけれども、非常にたくさんとれば、そういうことは起きるかなとは思いま すが、先ほどの東さんのお話のように、ある面では甘味の強さでとれなくなってしまう というと、余り影響というのは考えなくてもいいのかなという気がするんです。ただ、 動物実験の場合には、これが出てきて、その影響が出ている。ただ書く時に、断定的に 非吸収性で浸透圧活性を示す物質に敏感でありということにしてしまうと、CMCみた いなものと、このものが全く同じようなカテゴリーで考えたととられると、要するにサ イエンティフィックな結果のまとめとしてはちょっと心外だなという気もするんです。 その辺もあったんですが、それを含めて、ほかでも修文するところはあるんじゃないで すかと申し上げたのはこのことだったんです。 ○林委員  ここの7ページの最後のウサギの催奇形性試験ということの非吸収性、JECFAで こういう文書を書いたとすると、すぐにそこで念頭に浮かぶ物質というのは、ラクチ トールとか、ソルビトールとか、キシリトールですね。とにかく、モディファイド・ カーボ・ハイドレードということになりますけれども、それは決して非吸収性ではない んです。普通は低吸収性というふうな表現になっていると思うんですけれども、非吸収 性と決めつけるとちょっとまずいので、少なくともCMCに比べたらば、ほかのソルビ トールとかは結構吸収しますから、これは低がいいですね。 ○戸部部会長  10から30%尿中に出るということですから、これは低の方がいいかもしれません。そ れから先ほど林先生がおっしゃった、動物種による感受性の差みたいなものもちょっと 強調した方がわかりいいということで、まさに御指摘のとおりですが、ただ、5ページ の上を見ていただきますと、(3) の最後のところに、先ほども私チラッと申し上げたん ですが、ビーグル犬では3%でも何の影響もないんです。つまり、ラットですと3%で いろんなことが起こるんですが、ビーグル犬だと3%でも何も起きないというのは、ま さに林先生がおっしゃったように、犬では下痢みたいなものは起きないんです。だから 影響がないわけで、そういう意味で、そのあたりをもう少しわかるように記述を直すと いうことは必要だというふうに思います。おっしゃるとおりです。ほかに、どうぞ。 ○三森委員  分科会報告の4ページですけれども、事務局にお伺い致します。6番の「安全性」の ところの(2) 亜急性毒性試験にラットの4週間混餌投与試験が載っております。そこに 「50,000ppm の用量で脾臓及び胸腺のリンパ瀘胞の萎縮が認められた」と記載されてお ります。これに対して第37回のJECFAでコメントを出しております。資料概要の18 ページの2の2の1の2の5、「評価」の第2パラグラフに、「ラットで観察された脾 臓と胸腺の重量及び白血球数の変化の重要性を評価するための免疫毒性学的な追加研究 が必要であると思われる」と書いてありますが、37回のJECFAでのコメントに対し て、さらに追加実験をされたんでしょうか。再度JECFAでは、この物質に対して評 価されていると思うんですが、その時にはこれは問題にならなかったのでしょうか。 非常に高用量の5%で起こっていますので、先ほどから話しております体重増加抑制に 伴う二次的なものと思われます。その辺について何か分科会でも議論をされたんでしょ うか。 ○東補佐  このコメントについては、具体的にはやっておりません。 ○三森委員  非常に高い用量で起こっている変化であることから、直接詳細なデータを見ていませ んけれども、飼料摂取量の減少による体重の増加抑制などの栄養学的な問題もあるのか と思います。JECFAがこういうコメントを出されているので、それに対応してスポ ンサーが何らかの答えを出しているものと思ったものですから、質問いたしました。 ○東補佐  確認いたします。 ○戸部部会長  福島先生、分科会でこれをやっているのでは。 ○福島委員  この問題に関し、JECFAの方はちょっと記憶がないですが、今の三森先生が指摘 されました脾臓、胸腺のリンパ瀘胞の萎縮ということに関してはやはりディスカッショ ンいたしまして、その時には高用量による変化であるという結論になったと記憶してい ます。あの時は広瀬先生がいろんなコメントを出されたんですね。 ○戸部部会長  三森先生、それでいいですか。 ○三森委員  はい。 ○戸部部会長  そのほかに御指摘ございませんでしょうか。 ○中澤委員  成分規格ですが、毒性の試験から外れてもよろしいでしょうか。 ○戸部部会長  もちろん何でも結構です。 ○中澤委員  この分科会資料の17ページになるかと思いますが、成分規格というのがございます。 これで3つ程質問させていただきたいんですが、17ページの性状のところに水、メタ ノール、エタノールに溶けやすいという記述があります。その後、酢酸エチルに溶けに くいという言葉がありますが、この酢酸エチルという溶媒をここに入れる必要があるの かという点です。というのは、ほかの確認試験とか、純度試験のところでもこの酢酸エ チルは使っておりません。JECFAの方に入ってはいるんですが、これを何か使う理 由があるのかなというのが1つでございます。それから次は純度試験のところです。シ ョ糖の水酸基のところに塩素を選択的に入れる。資料概要の方の29ページに示されてい るフローシートに従って合成されています。これを見ていった時に、トルエンという溶 媒に溶かしたり、再結晶の時等3段階ぐらいのところでトルエンを使っています。この トルエンに関して純度試験に設定しなくていいのかという点がもう一つの質問でありま す。それからもう一つは、先ほどの18ページの成分規格の純度試験(2) のところに比施 光度が〔α〕 20D=+84.0〜+87.5°とあり、それなりの施光度を持っています。実 測値を資料概要で見ましても、86度ぐらいのところにあるということで、光学活性を持 っていると思われますが、そういう例えばラセミ体とか、光学活性の異性体に関しての 記述がどこにも見れないんですが、その辺はいかがなんでしょうか、この3点です。 ○事務局 その件に関してなんですが、酢酸エチルを入れなきゃいけないかということなんです が、JECFAでも入っているということと、アメリカのFCCの規格でも入っていると いうことで、国立医薬品食品衛生研究所の先生方と相談した結果、それについては国際 的な規格との整合化もあわせて記述しておくのが妥当ではないかという御意見でした。 それからトルエンについても、分科会での議論というのはなかったように思いますけれ ども、スクラロースの規格について、実際に追試験をやっていただいていますけれども その中でも、この規格で十分ではないかという御意見だったと思います。それから光学 活性ですけれども、これは私の理解が間違っているかもしれませんが、比施光度の試験 法というのは、一般試験法の中に記述されておりますが、ここの条件で試験をやって、 この中に入ってこなければいけないということなんですけれども、それでは十分ではな いということなんでしょうか。 ○中澤委員  多分光学活性は今、添加物の公定書なんかを見ましても、局方もそうなんですけれど も、光学活性の異性体に関しては、従来テクノロジーが追いついていかなかったという 問題があったと思います。最近はかなり光学活性のものを相互に分離できるような、い わゆるキラルのカラムとか、分離手法がかなり発達してきていますので、技術的にはそ ういうものを分割することも可能になってきたと思うんです。そうした時に、サリドマ イドみたいなことを考えますと、将来的にはこういう公定書の中でも光学異性体に関し ての、むしろJECFAより先取りするくらいの形で設定していくことも重要ではない かというふうに私は思っています。それからトルエンは先ほども申し上げましたように 3段階ぐらいのところで使っているんです。かなりの頻度で使っているわけです。これ を測定してみて、例えば、ガスクロ等で測定してみて、全く検出されないということで あれば問題ないと思うんですが、何も調べていないのであれば、ちょっと調べる必要は あるんじゃないかと感じたわけです。以上です。 ○事務局  そうしますと、光学活性の問題なんですが、それはスクラロースだけということでは なくて、今後の添加物の、今第7版公定書というのを作成しておりますけれども、そう いうところで今後取り入れていく。中澤先生の御指摘のように、これからHPLCとか そういった液クロをもっと幅広く使う必要がある試験法というのはかなりあると思いま すので、そういうところを今後、例えば8版とか、今後の課題として検討していく必要 があるんだろうというふうに思います。  それからトルエンの方は、先生方と検討して御報告を申し上げたいというふうに考え ています。 ○戸部部会長  中澤先生よろしいですか。 ○中澤委員  はい。 ○林委員  食品添加物の使用基準、これはWTOのSPS協定なんかを考えますと、やはり日本 のいろいろな規格、あるいは使用基準、それから国際的な使用基準、コーデックスの規 格使用基準、これが整合性がとれるということが必要なわけで、この報告書を読みまし ても、それがきちんとできているんだということがわかるようにした方がいいわけ です。これは非常によく書けているんですけれども、先ほどの三森委員の御質問の胸腺 のリンパ瀘胞の萎縮という問題ですが、これは多分1988年の暫定ADIを決めた時に は、これがひとつの問題になっている。あるいはもう一つ、発がん性試験でのデータ じゃなくてデータの評価についての問題を提起しているんじゃないかという気がするん です。10年前のことですから、ちょっとよく覚えていないんですけれども、それが37回 の90年ではクリアされて「暫定」という文字がとれまして、それが3.5 が15に上がって いるということなので、リンパ瀘胞の萎縮という問題もクリアされて、発がん性試験の 評価の考え方もクリアされていると思うんですが、そのことを暫定ADIを一日3.5 に 設定したということで、暫定ということのためには何か問題があるから暫定ということ になるわけですから、そこをちょっと何か入れていただけますと、あと、今回の日本の 安全性、分科会での議論等が、やはりそれも整合性があるというふうになりますので、 そこをちょっと入れていただけるといいのかなという気がするんです。JECFAの評 価のところの3行の中に暫定とした理由、それがいかにクリアされたかという背景、そ れがあるとよくわかりますし、あとの三森委員の問題も解決するということになると思 います。それから先ほど私、言い忘れたんですけれども、6ページの上の腎盂に鉱質が 沈着するという問題、これは高仲委員から何か文献をということがありましたけれど も、これは多分WHOのエンバイロメンタル・ヘルス・クライテリアの中のドキュメン トがあるんです。その中に書かれていると思います。あれは古いといっても1987年か88 年だったと思いますけれども、その後にも出ているかもしれませんが、私の記憶では公 の文書の中ではあれが比較的よく書かれているんじゃないかと思いますので、WHOの 文書ですから引用してもいいのかもしれません。 ○戸部部会長  ほかにはございませんでしょうか。 ○山添委員  スクラロースの吸収率に個人差があるということなんですが、使用形態を考えると、 粉末のままで使うのではなくて、例えば実際にはアルコールを含んだような食品と一緒 にとった場合に吸収率が変わるというような、そういう点は問題はないんでしょうかと いうことなんです。というのは自動拡散で吸収をされるということで、吸収率は非常に いいとは言えない物質なんですけれども、それをいろんな食品と一緒にとった時に変動 率が出てきて、実際には吸収率がかなり変わるということがあり得るんじゃないかとい う気がするんです。どうもデータを見ていると、全部が粉末として、えさとして与えた データで吸収ということになっているようなんですが、食品の場合、特にアルコールな んかと一緒に入った場合に上がる確率があるような気がするんです。安全域から見れば 実際に甘いですから飲めないですから、その問題をクリアしていると思いますが、ただ 吸収率という点ではその辺どうかなと思います。 ○戸部部会長  恐らくアルコールとの併用の影響みたいなものはちゃんとしたデータがないと思いま す。 ○東補佐  アルコールとか、他のものと一緒に食べた場合のデータというのは、なかったと思い ますが、ありましたらつけ加えたいと思います。あとは追加で検討するとか。 ○戸部部会長  何なら追加で検討してもらうかですね。 ○長尾委員  15ページの変異原性の問題なんですが、上の方のパラグラフでマウスのリンパ細胞に おいてT検査で変異体の変化が二、三倍増加するけれども、それは細胞毒性を示す濃度 だというお話なんですが、いろんな変異原性が見られるのは大体そういう細胞毒性が見 られる濃度なんですけれども、これはどういう意味なのかがちょっと理解できないんで すが、15ページに関しては、これはそういう議論をする対象ではないんでしょうか。ち ょっとその辺がよくわからないんです。結論として変異原性はないという話になってい るんだと思うんです。 ○戸部部会長  今日は変異原の専門家がおいでにならないものですからよくわかりませんけれども、 分科会の中でその議論があったかどうか、ちょっと記憶も定かでございませんけれども 事務局の方で何か記録がございますでしょうか。 ○事務局 先生の御指摘はJECFAの方でのお話だと思うんですけれども。 ○長尾委員  こちらの6ページの方に7.5から10mgでは弱い変異原性があるけれども、著しい高用量 であるので、陰性であることから問題とする所見ではないと書いてございます。ですか ら、こういう高用量で見られる変異原性は問題にしなくてよいということですね。 ○事務局 それは分科会でも御議論があったと思うんですが、基本的にその上とかを読んでいた だきますと、Amesとか、そういうチフス菌のレベルでもなかった、それから小核試験で もなかった。最後にラットを用いた試験で染色体異常を調べても見られなかった。ただ 唯一見られたものが、マウスのリンパ腫細胞を用いた場合に若干高用量で弱い変異原性 は認められている。これだけは唯一認められているんですけれども、分科会での議論の 中では、総合的に判断した場合に、これは問題となる所見ではないんじゃないかという 御議論だったと思うんです。それを報告書の中でどのような位置づけで書くかというこ とだったんですが、あるものはあるとして書く、ただ順番に上から菌のレベルから小核 の方へずっと下がっていくと高度になっていきますから、基本的に小核試験で陰性であ れば、総合的には陰性というふうに判断していると思います。 ○長尾委員  小核試験でですか。 ○事務局 6ページの上のところの小核の誘発が認められなかったとか、マウスの例えば、 5,000mgを投与した場合にも、そのようなことが見られなかった。それから、その下の ラットの染色体異常試験においても誘発は認められなかったという記述がございまし て、最後にマウスのリンパ腫細胞を用いた遺伝子、in vitroの試験においては若干の変 異原性は認められている。ただ、in vivoの方ではほとんど認められていないので、総 合的に判断したら、この変異原性というのは特に問題とする所見ではないんではないか という御議論だったと思います。 ○長尾委員 わかりました。要するにin vivo を優先しているということですね。 ○事務局 そういうことです。 ○戸部部会長  これに限ったことではないんですけれども、最近、私が所属している残留農薬の委員 会などでも、この変異原性については、例えばAmes試験でプラスの成績があった、ある いは染色体異常試験でプラスの影響があるというような時に、それでは小核試験はどう かということが、ある意味で一つのファイナルなジャッジのよりどころになっているか と思うんです。小核試験で影響がなければ、まず生体では変異原性が問題になるような ことはないだろうというのが専門家の最近の御意見ではないか。祖父尼先生は少なくと もそういう立場をとっておられるということで、これは今、事務局が申し上げましたけ れども、そういう意味で全体としては影響はないだろう。一方で発がん性の試験がござ いますので、そういうことを絡めて特段問題にしなくていいだろうというふうな結論に なったかと思います。よろしゅうございましょうか。 ○長尾委員  はい。 ○鈴木(久)委員  8ページの一日摂取量と使用基準のところでございますが、このスクラロースがこの ような形でもって外国でも使われているということは、ある意味では砂糖に比べてコス トが安いというようなことがあるわけでございましょうか。実はこの使用基準につきま して、全部砂糖をこれにかえるというような使い方は一般にはしないんでしょうか。な ぜかといいますと、いわゆる国民栄養調査で、平均値でございますが、砂糖の一日摂取 量35gという、若い人たちは、例えば嗜好飲料などを1リットルも2リットルも飲んで いるような人たちですと、砂糖の摂取量というのは200 gぐらいと推定できるわけでご ざいまして、そのあたりが今回の使用基準のような形になった場合に、これを全部これ に置きかえたとしても、そんな危険性はないかと思うんですけれども、いわゆる使い方 としては、現実には例えば、サッカリンのような形にある程度甘味を増すために使うの か、ものによっては、全部これを砂糖をこれに置きかえた使い方をされるのかといった こと。この議論に関係ないのかもしれませんけれども。 ○事務局 基本的にどういう使い方をするかというのは、事務局の方で申し上げるべきではなく て、メーカーの方でよりよい食品をつくっていただければいいことだと思うんですが、 この一日摂取量の推計は、少しオーバー・エスティメートといえばオーバー・エスティ メートだと思うんです。今、日本人がとっているショ糖をすべてスクラロースに置換し た場合には、日本人の平均体重で割った場合には1.17mg/ kg体重になる。でも、実際の 使い方というのはメーカーの方から幾つか資料概要の方にも出ているかと思うんですが 実際の処方、食品の中にどの程度使うかというようなものが出ているんですが、すべて の食品にこれを使うというわけではないですが、例えばノンカロリー飲料とか、最近は やっておりますけれども、そういう清涼飲料にスクラロースを添加するというようなこ とも考えておるわけです。そういうこともありまして、このスクラロースというのは、 先ほども御説明したかと思いますが、安定性が優れておりまして、幅広い用途に使われ る可能性がある。先生がおっしゃいました飲料を大量に飲む方が摂取した場合にも、そ の安全性を確保する必要があるんだろうということで、ここに提出させていただきまし た使用基準をつけるのが妥当ではないかということを考えております。それからメー カーから出されました、これは甘さの話もあるんですが、それ以上加えてしまうと商品 にならないぐらい甘いというところまでもし最大に添加したとしても、摂取量としては 2.39mg/ kg/dayであるというような結果が報告されておりますので、今回ここでお示し しております使用基準を設けておけば、過剰摂取という危険性はないのではないかとい うふうに判断しております。 ○鈴木(久)委員  ありがとうございました。 ○林委員  一般的な問題なんですけれども、先ほど長尾委員がお触れになりましたマウスリンパ 腫細胞を用いたin vitroの遺伝子突然変異試験、これが導入されてきたというのは、I CH以後なんです。医薬品の場合には、これを導入するかしないかということで、日本 ではこの方法は非常に感受性が高すぎるから、評価に困難を招く場合があるからやめた 方がいいんじゃないかということ。それからアメリカの方では、とにかくこれは感受性 が高いから入れるべきだということで、そのことで国際的に代表的な物質、かなりの多 くの物質について国際的な共同研究が行われたんです。その研究の結果、評価の考え方 も考えた上でこれを導入した。ですから、医薬品についてはこれを導入した歴史という ものがあるんですけれども、医薬品が導入されますと、いろんなところでもって導入さ れているわけで、ですから十分な評価の考え方、その他を伴わないで技術だけが導入さ れているということがありますので、もしできれば、食品添加物あるいは食品の分野で も、一度マウスリンパ腫細胞を用いた試験についての評価の考え方、一応何かコンセン サスというか、まとめた考え方を少しつくられた方がいいんじゃないか思います。幸い なことに、それの国際共同研究での委員長が祖父尼委員なんです。ですから、一度祖父 尼委員にそういうお話をしていただいたらよろしいんじゃないかと思います。 ○長尾委員  マウス小核試験で検出されるのは、やはり骨髄細胞へある濃度がいかなければだめな ので、それですべてが代表されるというのはかなり偏っている考えだと思うんです。 ○三森委員  林先生の今のICHのことですけれども、去年の7月の第4回目のICHでは、アメ リカ、ヨーロッパ、日本の医薬品に関しては、マウスリンパ腫細胞を用いた試験で従来 の染色体異常試験を置きかえても良いとの結論が出されています。しかし、これは医薬 品に限っての話であって、残留農薬に関しても、食品添加物に対しても、まだこういう 取り決めがなされておりません。通常であればAmes試験、染色体異常そして小核の3つ でほとんど評価していると思いますので、今林先生がおっしゃったように、マウスリン パ腫細胞を使うことに対しては、今後検討された方が良いと思います。 ○戸部部会長  どうでしょうか。分科会の報告としては、この部分は率直に申し上げて、祖父尼先生 が担当されて、こういう記述になっているわけでございますので、今日おいでになりま せんので、祖父尼先生の御意見を伺わないと、この分科会報告そのものを手直しをする ことはもちろんできないわけですので、この委員会として、もし今御議論があったよう に、今のような事情はあるので、この委員会としてはどう取り扱うということを少し御 議論いただいた方がいいのかもしれませんけれども、ただ、こういう安全性のデータと いうのは、たくさんあればあるほど安全性の評価がある意味で高まるわけですので、現 在その評価が必ずしもこれにふさわしくないという一面があっても、あるいは入れてお いてもいいのではないか。あってもその背景が十分わかっていれば、そういう見方をさ れればいいわけですから、あえてここから削除する必要もないかというふうに思います けれども、どうでしょうか。御自由に御意見をお聞かせいただきたいと思います。ある いはそういう疑問があれば、今のような説明をしていただければ納得されますし、将来 この試験が非常に重要な意味を持ってこないとも限らないわけですので、今はこういう データがあるということでどうでしょうか。よろしゅうございましょうか。 ○林委員  全体の流れから見たら特段の問題はないと思うんです。 ○戸部部会長  ただ、記述の順序として、もし小核のことが現在の決め手であれば、小核を最後に持 っていった方がいいのかなという気もしたんですけれども。 ○三森委員  戸部先生のおっしゃる形でいいんじゃないかと思います。染色体異常に置きかえて、 マウスリンパ腫細胞の試験成績を記述して、その後でin vivo 試験の小核試験では陰性 だと記載する方が理解しやすいと思います。 ○戸部部会長  中ほどに染色体異常の試験の成績がありますので、それで最後に小核の方にと、そう いうふうな修正でどうでしょうか。これは祖父尼先生が御専門ですので、この委員会の 雰囲気をお伝えいただいて、そういうふうに修正したいということだけは念押しをして ください。分科会報告はこれで構わないというふうに思いますので。 ○事務局  座長よろしいでしょうか。 ○戸部部会長  どうぞ。 ○事務局  事務局から申し上げますけれども、この分科会報告というのは、基本的に分科会の御 議論をいただいて、その御結論に基づいて報告されておりますので、これを修正すると いうのは基本的にできないんですけれども、本日御議論いただいた内容をもとに、もう 一度再検討して、今度は部会報告という形で公表したいと思いますので、そういう意味 で修正することは可能です。祖父尼委員、今日はちょっと御欠席ですけれども、本部会 の委員でございますので、祖父尼先生とも相談して、事務局として新たに部会報告をつ くりたいというふうに考えております。 ○戸部部会長  そういうことでよろしくお願いします。 ○成田委員  細かいことなんですけれども、成分規格の18ページのところの液性ですけれども、pH が3.0 〜6.0 とかなり幅が広いなというふうに感じるんですけれども、これはかなり幅 のあるものなんでしょうか。 ○事務局 メーカーの方から提示されたデータに基づいてこの規格をつくっておりまして、この 妥当性については国立薬品食品衛生研究所の方で再確認をいただいておりますので、規 格としてはこういうふうに現在なっているわけでございます。 ○成田委員  pH3.0 〜6.0 はかなり幅があるんですけれども、何か不思議な気がします。国際規格 の方をちょっと見ますと斜線になっていて書いていないんですけれども。 ○事務局 JECFAとか、FCCの方には規格としては設定されていないんだと思うんです。 ただ現在、添加物の一般規格ではpHで定めておりますので、日本のやり方というか、日 本の公定書の規格に合わせるという意味でつくるということで設けられているところで あります。もう一度確認を事務局の方でいたします。 ○戸部部会長  国立衛研の専門の方に事務局の方から確認をとっていただいて。ほかにございません でしょうか。山崎先生何かございますか。 ○山崎部会長  7ページの(3) の代謝のところなんですが、これはほとんど低吸収であるということ と、ほとんどが未変化であるということと、それから毒性等がクリアされているという ことで余り問題がないのかなとも思うんですが、報告書として、例えば代謝に関してこ こに記述されていることが何を意味するのかなというふうに考えますと、ほとんどが未 変化だけれども、変化する部分というのがあるのかと。尿中に2種類の代謝産物が認め られると書いてあるんです。ところが、2種類というのが何かということが全然クリア じゃない。この1つだけグルクロン酸抱合であるということがあって、ヒトでもグルク ロン酸抱合、これがどういう意味を持っているのかということもちょっとよくわからな くて、もし記述するのであれば、例えば2種類というのがクロロ化されたデオキシガラ クトースであるとか、あるいはクロロ化されたフルクトースで、概要の方を拝見します と、脱塩素化というのが肝臓とか、赤血球だけじゃなくて、全身的に広い範囲の組織で 行われるというふうに書いてあって、最終的には無機の塩素化合物とアルコールになる というふうな記述があるわけです。ですから、もう少しはっきりと記述した方が報告書 としてはわかりやすいかなというふうに、ちょっと感想でございますけれども、そう感 じましたもので1つだけコメントさせていただきました。 ○戸部部会長  ありがとうございました。御指摘のとおりだというふうに思います。少なくとも、こ の2種類というふうに掲げてある限りは、その2種類の内容をちょっと触れた方がいい ですね。 ○山崎部会長 特にトリクロールダイサッカライドという特異な形をしていますので、気になりまし た。 ○戸部部会長  分科会でも水酸基3つがクロールに置きかわっているということで、通常のいわゆる 自然物から取り出した甘味と少し違いますので、だから、その影響がどうということが もちろんわかりませんし、今のところデータとしては特段の影響はないわけですけれど も、今、山崎先生がおっしゃったように、代謝の面で資料があるわけですから記述とし て残すということは重要かと思います。 代謝の専門の方にお直しいただいて、事務局の方にお任せいただければと思います。 ほかにございませんでしょうか。それでは、御意見が出尽くしたかというふうに思われ ますので、まとめさせていただきたいと思います。たくさん御指摘をいただきましたの で、それを修正したものをまたお送りいたしますけれども、基本的にこの形でADIを 設定して、そしてこの使用基準をつけて本品を承認するという形にさせていただいてよ ろしいかどうか。それをお聞かせいただいてまとめとさせていただきたいと思いますが いかがでしょうか。 国際的な調和という話もございましたし、必ずしもそれに追随す る必要もないですが、十分議論いただいた上で、問題がなければ、国際基準もこのよう になっておりますので、この形でまとめたいというふうに思いますけれども、よろしゅ うございましょうか。              (「異議なし」と声あり) ○戸部部会長  それでは、そういうことにさせていただきたいと思います。ありがとうござい ました。 修正したものはまた後でお送りいたします。それからそれぞれ専門の方に御協力いただ かなければいけない部分がございますので、多少時間がかかるかもしれませんけれども よろしくお願いいたします。 ○東補佐  ありがとうございました。それでは、今後のスケジュールについて御説明させていた だきたいと思います。修正等必要な箇所については、専門家の方と戸部座長と調整いた だきまして、その後合同部会報告をさせていただきまして、公表したいと考えておりま す。また指定にあたり、事務手続としては、今後在日大使館等への説明をさせていただ きまして、その後WTO通報を行った後、食品衛生調査会常任委員会でさらなる御審議 をお願いしたいと考えております。以上でございます。 ○戸部部会長  ありがとうございました。ほかに何か事務局の方でごさいますか。 ○東補佐  それでは、これは議題というわけではございませんけれども、経過報告をさせていた だきたいと思います。前回の本合同部会におきまして、マグロ、ブリへの一酸化炭素の 使用についてということで御議論いただきましたが、その後申請者から資料の提出があ りまして、事務局で今審査しているところでございます。追加修正等を依頼しておりま して、申請者の用いている燻煙と、いわゆる一般的な燻煙との違いについても事務局側 で調査しているところでございます。さらに一酸化炭素を用いた場合には、血液中のヘ モグロビンと結合した結果、赤く発色することが知られております。消費者の鮮度を誤 認させるおそれがあるということで使用しないよう通知をしておりますが、この点につ きましても、ただいま試験中でございます。これらの点について、情報がまとまり次第 本合同部会でさらなる御議論をお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願いい たします。何かその点について御意見がございましたら、事務局まで御連絡いただきま すよう、お願い申し上げます。 以上でございます。 ○戸部部会長  いかがでしょうか。例の燻煙マグロですが、少し時間が経ちましたので、前回の様子 をもうお忘れかとも思いますけれども、かなりいろんな資料があるんですが、必ずしも 申請資料としてマッチしているかどうかということで少し異論がございまして、もう少 し要領よく必要な資料をまとめ直してほしいという宿題を出しております。それに対し て申請者の方から、今、申し上げましたような状況で作業中ということでございまして 事務局の方でざっと検討していただいて、まとまった段階でお諮りしたいということの ようでございますので、よろしゅうございましょうか。およそいつごろ次はというふう な目論見ですか。 ○東補佐  来年に入りまして、色調の変化の実験とかありまして、それがまとまりましたら日程 を調整させていただきたいと思っております。 ○ 戸部部会長  わかりました。よろしゅうございましょうか。何かこのことで、さらに注文をしてお くことはございませんでょうか。それでは、資料が出次第またお諮りしたいというふう に思います。以上で終わりでございます。ありがとうございました。  照会先   厚生省生活衛生局食品化学課   電話 03−3595−2341(東、宇山)