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医療保険福祉審議会 老人保健福祉部会・介護給付費部会
第1回合同部会議事要旨


1 日時及び場所

平成10年12月14日(月) 16時00分から18時00分
厚生省 特別第一会議室

2 出席委員

井形、星野、青柳、石井、加藤、喜多、京極、見坊、下村、多田羅、田中、中西、中村、成瀬、野中、橋本、樋口、堀江、水野、見藤、村上(忠)、山口の各委員、赤司参考人

3 議題

(1)指定居宅介護支援事業者等の運営に関する基準について
(2)その他

(村上(忠)委員)

 以前からお願いしている、要介護認定で施設における介護時間をどう積み上げているのかという資料が、まだ出てきていない。
 運営基準を議論する前に、本来なら指定基準の議論を先行すべきだ。一応は議論しているが、まだ結論は出ていない。いつの間にか既成事実化する心配がある。

(神田次長)

 要介護認定に関する資料については、検討、整理をして、出させていただきたい。
 指定基準の議論についても、残っている部分についてはこの場で議論をしていただきたい。

(橋本委員)

 居宅介護支援のサービスの取り扱いに関する基準の部分に、内容、手続の「教示」という表現があるが、「内容、手続の説明と同意」と表現すべきではないか。
 居宅介護支援に関して、一貫して「事業者」と表現されているが、例えば事業者の職員であればケアプランをつくってもよいということか。事業者にいる専門職である介護支援専門員についてどう考えているのか。
 介護支援専門員が行うサービス担当者との連絡調整について、「必要に応じて」というということばが出てくるが、連絡調整することは原則ではないのか。
 医療との連携ということについても、当たり前のことであり、合議をするサービス提供者のチームの中には、医師も歯科医師も参加しているはずであるのに、なぜこういうことを敢えて書くのか。原点を忘れているのではないか。
 今日の議論ではないが、低所得の1割負担の扱い方を具体的にどう考えているのか。年金が非常に低く資産活用もできない人が1割負担できずに介護扶助の対象となることについて、納得が得られるかどうか心配である。

(神田次長)

 「教示」という表現は不適切と思われるので、直す方向で検討したい。
 事業者とは、一元的に従業者や業務の管理が行われているまとまり、つまり、サービス提供主体である法人そのものを考えている。運営基準は、職員や業務の管理に一元的に責任を負う管理者を名宛人として定めることになろう。
 介護支援専門員との関係については、人員配置基準案上、常勤の介護支援専門員が管理者となっているので、運営基準の遵守や職員の管理は、基本的には介護支援専門員たる管理者が行うことになる。
 介護支援専門員の位置づけについては、ご指摘の趣旨を踏まえて、ケアプランを書く過程における役割、位置づけ等の加筆を検討したい。
 サービス担当者の連絡調整に関しては、ご指摘の趣旨を踏まえて、原則的に連絡調整を行い、それぞれのサービス担当者から専門的な見地からの意見を求める、という方向としたい。
 医療との連携については、法律上「医療のサービスについては医師が一定の必要があると認めた時」となっていることを踏まえて書いてあるものである。
 低所得者からの利用料の徴収については、高額介護サービス費の取り扱いの中で、負担の上限額を一般の方より低くする方向で、老人保健福祉部会でご議論いただいている。

(中村委員)

 運営基準の素案では、要介護認定の手順や85の訪問調査項目の中に福祉の視点が乏しいことが浮き彫りになっている。例えば、例外的な措置として、かかりつけ医の意見書から介護認定審査会でサービスの種類が指定されていく流れになっているが、かかりつけ医の意見書に対する指針がないと、医療系施設にサービスがシフトするようなかかりつけ医の意見書が出すぎ、一番重要な自己選択権を害することになるのではないか。だからあくまでも例外的規程ということでよいか。
 ホームヘルパーの心身状況の把握では、85項目の訪問調査により介護量が決められているため、家庭環境や心理的な側面が要介護度には出てきていないが、運営基準ではそれら福祉部分が求められているだけに、現場や利用者とのギャップが生じることになるのではないか。85の調査項目の中に、心身状況や家庭環境等を入れておくべきである。

(神田次長)

 サービスの種類の指定については国会等でも議論があり、あくまでも自己選択を害することのないように慎重に運用することを国会に対しても約束している。
 サービス提供の際には家庭環境を勘案し、要介護認定の際には勘案していないというご指摘については、従来、家族がいることによってサービスの利用に結びつかないという点があったことを考慮し、要介護認定では、家族関係や環境によってサービス量が減らされるということがないよう、純粋に体の状態を把握することを原則として考えているが、具体的なサービスの提供では、当然、家族がいる方といない方によって、援助する内容も異なってくるので、運営基準のほうでは配慮した上でサービス提供するという旨を記載させていただいている。
(京極委員)
 居宅介護サービス計画の作成変更における主治医等の指示が絶対的なものかどうか疑問であり、介護保険は介護支援専門員の判断が大きくなるよう制度化されている。精神保健福祉の場合でも、医師の指示ではなく指導という言葉を使っている。
 居宅サービスでは、事業所ごとにきちっと基準を満たしているかを指導することが大事であり、この点については、この基準案を支持したい。

(下村委員)

 訪問看護と同様に、居宅介護支援事業者についても介護支援専門員に関し特別な条項あってもいいはずだ。何か理由があるのではないか。
 要介護老人の立場に立って、代理人ぐらいのつもりでケアプランをつくってもらう必要がある。利用者の立場に立った「公正中立」、という意味が分からない。業者の選定について偏りがないという意味だとすると、ケアプランをつくる時に、介護支援専門員が、何を基準として優劣を決定できるのか。その後の同意という表現は、自己決定ではなく、つくられたプランに対して同意をするだけという意味か。 看護婦と違って、介護支援専門員は、職業的な独立性の保証もなく立場が弱い。事業者には営利会社も参入し、管理者には株主に対する責任も生じるので、専門家の判断による利用者に対するサービス責任を優先させるべきではないか。
 かかりつけ医の意見書については、保険給付の中に入れるべきである。そうでないと、国保連では、訪問看護が主治医の意見に即して行われているかどうかの判断ができない。健康保険と介護保険の給付内容は、実際にはほとんど突き合わせができないので、せめてかかりつけ医の意見書は介護保険で請求し、一体性を確保すべきである。

(神田次長)

 事業者ではなく介護支援専門員と具体的に書いていないことについては、特に他意はない。保険医や保険薬剤師のように、二重指定の形をとっていないので、個人に義務を課すのではなく、事業者と業務について責任を負っている管理者に対して、従業者にそういう運営基準を守らせるということで、直接的な名宛人にしている。具体的なケアプランを書く際の介護支援専門員の役割や位置づけが不十分という点については、先ほどの意見を踏まえて、手直しをすることも含めて検討したい。
 「公正中立」については、特定の事業者や特定の種類の事業者とならないようにという趣旨で書いている。
 ケアプラン作成機関のほうではサービスを決められないのではないかというご指摘については、サービスの選択に必要な情報を公平に利用者、その家族に提供して、利用者にサービスの選択を求めることとなっており、特定の事業者のサービスといきなりプランに書いてしまうということではない。

(田中委員)

 居宅介護支援事業者と居宅サービス事業者との関係については、非常に注意深く書いた結果、やや厳しすぎる書き方になっている。
 サービス事業者にはある程度質の差があるはずで、客観的な指標が確立されれば、居宅介護支援事業者は、要介護度を改善している事業者の情報を、公平に、客観的に伝えることはあり得るはずである。ある地域における非常に優れた事業者が、全部サービスを勝ち取ったとしても、消費者の選択の結果なら構わないのではないか。
 居宅サービス計画作成にあたって、事業者間で金銭のやりとりがあってはならないということは当然だが、居宅介護支援事業者と居宅サービス事業者が同一経営であった場合は、従業者に給料が支給されなくなる書き方であれば行き過ぎ。

(見坊委員)

 介護保険の理念や趣旨は、運営基準の中に明確に書いていただきたい。例えば、要介護の家庭に訪問する者はどういう資格があり、どういう身分であるか提示すべきではないか。
 次に、運営基準の中で、事業者や従業者という言い方になっているが、介護支援専門員を明確に位置づけるべきである。介護支援専門員でない従業者がいろいろな家庭を訪問するというようなことのないようにしていただきたい。
 最後に、サービスの提供者、介護支援専門員、それから高齢者、市町村の当事者、が常時連携できるような範囲内において、介護サービスは提供していただきたい。

(青柳委員)

 介護支援事業者の運営基準の中で、医療との連携という項目については当然の内容ではあるが、新しい制度なので、書いたほうがいい。
 介護保険の施設等の中には、医療機関が入っているので、入所、退所だけでなく、入院、退院という言葉も併せて使っていただきたい。

(橋本委員)

 医師の参加のないチームアプローチなんてあり得ない。ただ、介護保険においては、従来のような医師を中心とする縦軸の連携ではなく、利用者を中心にする水平軸の連携のシステムにしていきたい。敢えて、医療との連携と書くと、結局、従来の連携のシステムに戻ってしまはないかと危惧している。

(見藤委員)

 「認定審査会の意見または法第37条に基づき、指定されたサービスの種類について記載がある場合には、その趣旨および内容に沿って居宅サービス計画を作成しなければならない」とあるが、この認定審査会の意見というのは、どの程度のものになるのか。あまり認定審査会の意見が出ると、措置制度に変わらなくなる可能性がある。
 それから、医療との連携については、訪問看護の業務量が増えるので、報酬も併せて考えていただきたい。

(樋口委員)

 介護保険は、福祉と医療の対等なパートナーシップ、それから、利用者とサービス提供者と対等なパートナーシップが原点であった。苦情処理も、国民生活センターの消費者相談の流れなどもある。利用者にとって損害賠償なども含めて、利用者本位で、利用者の権利が確保できるようにしていただきたい。
 それから、介護保険凍結延期などの声が出てきたが、この委員会では、みんな真面目に粛々とひとつひとつを論議しているが、この方向でよいか。

(井形部会長)

 ベストなものをつくろうとして皆さん集っている。本部会ではそういうことは考えません。いろいろなところにアクセスできるようにしてもらいたい。

(野中委員)

 事業者が実施地域外にいく場合、交通費は利用者から別枠でもらうという形になっているが、これでは過疎地域ほど自己負担が増える。これについては、事業者と被保険者の協議でなく、事業者と保険者の協議によって認められるようにしていただきたい。
 次に、所得のない人についてだが、私の町でも老齢福祉年金の受給者や年金の無給者が12%ほどいる。この人たちに介護が行き渡るような、支援制度をつくってほしいということをいってきたが、このままでは、所得のない人はほとんど介護を受けられないような可能性がある。保険者が関わった形で、給付を認めていく形としないといけない。
 最後に、苦情処理は、国民健康保険連合会が苦情を受けて、事業者に指示をすることとなっているが、要介護者については、保険者が一番よく事情を知ってるので、被保険者を擁護できるのは、保険者以外にない。保険者を蚊帳の外に置いて処理するのはどうか。町村会としても、問題点を整理をして文書で提起したい。

(村上忠行委員)

 指定居宅介護支援提供記録書や介護報酬請求書は、全国統一規格にしていただきたい。
 次に、研修制度について、どの程度の研修を行うかということを具体的に書いていていただきたい。
 最後に、保険者機能について、きちっと整理をしていただきたい。

(中村委員)

 委員は、何十分の1の責任はあるが、ただガス抜きに使われたのでは、30分の1の責任は持てない。特定の団体が勝ち、というような介護保険制度にならないようにしていただきたい。

(井形部会長)

 本日審議していただいた指定居宅介護支援事業等の運営に関する基準は、最終的には、来年の3月交付予定の告示で規定される。したがって、さらに、この合同部会でご審議をいただき、なるだけベターな結論に持って行きたい。
 本日はこれをもって終了する。


問い合わせ先 厚生省老人保健福祉局企画課
 電 話 (直) 03-3591-0954
厚生省老人保健福祉局介護保険制度施行準備室
 電 話 (直) 03-3595-2890


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