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第8回生活環境審議会水道部会水質管理専門委員会議事録

日時:平成10年12月9日(水)14:00〜17:00
場所:通産省別館共用第933会議室

議事次第
(1)水質基準の改正等について
(2)その他

配付資料
 資料 水道水質に関する基準の見直しについて(案)

○事務局 これより、第8回水質管理専門委員会を始めさせていただきます。過半数を超える先生方がお見えになっていらっしゃいますので、本日の会議は成立しています。
 まず、開会に当たりまして、荒井水道水質管理官から御挨拶申し上げます。

○荒井水道水質管理官 本日は師走のお忙しい中、先生方にはお集まりいただきましてどうもありがとうございます。昨年の12月以来、8回にわたりまして御議論をいただき、お陰様で、専門委員会報告書をとりまとめる運びになりました。改めてお礼申し上げます。
 本日はこれまで御議論いただきました各物質についての評価に加えまして、専門委員会の報告書の内容、特に今回整理をいたしました基準の設定に当たっての基本的な考え方やまた今後の課題についてを御議論いただければというふうに思っております。
 事務局といたしましては、本日の議論の結果をもとに、必要な場合には報告書の原案を修正いたしまして、黒川座長と御相談の上、できれば来週を目途に本報告書を公表したいと考えております。
 その後、報告書に基づきまして部長通知等の必要な行政的措置をとりたいと思っておりまして、また来年早々を目途に生活環境審議会水道部会にも御報告をさせていただきたいと考えているところでございます。
 本日は御議論の上、報告書という形で是非おまとめいただければというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、議事に入ります前に配布しております資料の確認をさせていただきたいと思います
 資料といたしまして、「水道水質に関する基準の見直しについて(案)」という報告書案本文、別紙1「基準項目及び監視項目等の検出状況」、別紙2「水道水質に関する基準見直しに関する基本的考え方」、別紙3「水道水質に関する基準の見直しの検討結果」、別紙4「検討対象項目に係る情報」の以上でございます。
 それから、トリクロピルに係る資料をお配りしてございます。本資料につきましては、非公開での取扱を前提に環境庁から提供のあったものでございますので、取扱については非公開とさせていただきたいと思います。
 以上でございます。

○黒川委員長 本日はお忙しいところをどうもありがとうございます。トリクロピルに係る資料については、事務局から説明にありましたとおり非公開とすることにいたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、今日は多くの資料がございますけれども、資料の概要と本日の会議の進行について事務局より御説明ください。

○事務局 「水道水質に関する基準の見直しについて(案)」という本文と別紙1から4が当専門委員会における水道水質に関する基準の見直しに関する報告書としてとりまとめるものでございます。それから、トリクロピルに係る資料は、環境庁よりからゴルフ場農薬に係る指針を設定する際に行った毒性評価について御提供いただいたものでございます。
 本日は、別紙4「検討対象項目に係る情報」について前回からの変更点についてまず御説明し、御検討いただいた後、報告書案について御検討いただければと考えてございます。

○黒川委員長 では、別紙4についてご説明をお願いいたします。

○事務局 前回からの変更点は3点ございます。
 1点目でございますが、ウラン、亜硝酸性窒素、ほう素につきましては、本年3月に当専門委員会としての検討結果を取りまとめていだき、行政的にも6月に指針値の追加及び改正を行ったわけでございますが、本専門委員会の報告書を取りまとめるのは今回が初めてとなりますので、これらの物質についても報告書に記載してございます。記載内容については3月にとりまとめていただいたものと変更はございませんので、説明は省略させていただきたいと思います。
 2点目でございますが、トリクロピルについて、毒性に係る評価、評価値及び項目の位置づけの評価値の欄を前回から修正してございます。トリクロピルに係る資料について、簡単にご説明申し上げます。

        (以下非公開資料に関する検討のため非公開)

 3点目は、ジクロロ酢酸についてでございます。アメリカにおきましてハロ酢酸について、12月3日にMCL(最大許容濃度)、MCLG(最大許容濃度目標)といった規制値を決定いたしましたので、今回、現行基準の欄に加えております。なお、MCLについてはモノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、モノブロモ酢酸、ジブロモ酢酸の5種類のハロ酢酸の合計値として0.06mg/ネという値が決められてございます。また、大規模の水道については2001年から、小規模の水道については2003年から適用することとなっております。
 以上でございます。

○黒川委員長 御説明ありがとうございました。トリクロピルについて、何か御質問はございますか。
         (以下非公開資料に関する検討のため非公開)
それでは、トリクロピルについてお認め願ったということでよろしいですね。
それでは、ジクロロ酢酸についていかがでしょうか。

○相澤委員 原水において指針値を超過するジクロロ酢酸が検出されておりますが、これはどのように評価すればよろしいのでしょうか。と申しますのは、ジクロロ酢酸や抱水クロラールなどは消毒副生成物として検討されておりますが、これは消毒副生成物としてみるのか、それとも工場由来のものとして見るのか、どちらに該当するのでしょうか。
 それから、環境基準では、消毒副生成物について定められておりませんが、もし、これが消毒副生成物としてではなく、工場で使うような化学物質由来のジクロロ酢酸ということであれば、新しい考え方で見なければならないと思います。また、水道原水から指針値を超過するものが検出されるということであれば、処理対策に関しても、消毒副生成物とは違った観点で対応を考えなければならないということになると思います。そういったことからも、原水におけるジクロロ酢酸の検出状況というのはもう少し検討が必要なのかなという気がいたします。

○黒川委員長 事務局いかがでしょうか。

○荒井水質管理官 今、実際の測定値が手元にございませんので確認をしたいと思いますが、考えられる理由としては、下水処理場などでは塩素で消毒をしておりますので、もしかしたらそういうものの影響もあるのかなと思います。
 それから、環境基準についてでございますけれども、これは消毒副生成物について通常の項目と異なる観点から決めるという考えはないというふうに理解をしております。仮にジクロロ酢酸の発生源がいろいろなところにあり、規制が必要ということになれば、環境庁において環境基準を定め、それを達成するための施策をとるということになっていくというふうに理解しております。

○黒川委員長 そのようなことでよろしいでしょうか。ほかにございますか。
 それでは、ジクロロ酢酸についてお認め願ったということでよろしいですね。
 それでは報告書案について御審議いただければと思います。これは重要なものですので、一つ一つのセクションに分けて読んでいただいて御意見を承るということにいたします。

○事務局 「水道水質に関する基準の見直しについて(案)」を読み上げさせていただきます。

(「1.はじめに」朗読)

○黒川委員長 なにか御意見がありますでしょうか。
 それでは、「1.はじめに」についてお認め願ったということでよろしいですね。
 では、次をお願いします。

○事務局 「2.水道水質に関する現状」を、読み上げさせていただきます。

        (「2.水道水質に関する現状」朗読)

 別紙1につきましては、第1回及び第2回の専門委員会における資料をまとめて、表1から表14として掲載してございます。
 また、一番最後に参考として、水質基準、監視項目、ゴルフ場使用農薬に関する水質目標を掲載してございます。
 簡単に御紹介いたしますと、表1、表2が基準項目の超過状況でございます。年平均値の表2の方を見ていただくと、おおむね3年間の延べ地点数として1万5,000 地点につきまして浄水について測定が行われておりまして、健康に関係する項目では鉛、ヒ素、フッ素の3つの重金属等及び一般細菌、大腸菌で超過がございます。
 ただし、大腸菌につきましては一度非常に高い値が測定された結果、年12回測定を行っていたとしても大腸菌群数の平均値が100 以下にならなかったという場合に超過ということになってございます。
 表4−1は基準項目の超過状況ということで、浄水の年平均値の3か年の推移が掲載されてございます。平成6年度、7年度、8年度を見ていただくとお分かりになりますように、基本的に良好な状態で維持されてございます。平成8年度におきましてヒ素が1か所超過してございますが、この地点につきましてはヒ素が超過する水源を廃止し、ほかの水源で現在は供給をしているということでございます。
 また、表5から表12までは監視項目の検出状況ということで載せてございます。ホルムアルデヒド、ジクロロ酢酸、抱水クロラール、ほう素、アンチモン、ニッケルといった項目については検討いただいたわけでございますが、それ以外の項目につきましては検出頻度も低く、検出された場合の検出値も指針値と比較して低い値であります。
 表13、14はゴルフ場使用農薬の検出状況でございます。これまでの測定結果の中では原水でもほとんど検出されておらず、浄水で検出されたという報告はございません。
 別紙1の概要は以上のとおりでございます。

○黒川委員長 いかがでしょうか。
 それでは、「2.水道水質に関する現状」についてお認め願ったということでよろしいですね。
 では、次をお願いします。

○事務局 それでは次に「3.水道水質に関する基準の見直しについて」の「(1)検討対象項目」及び「(2)基準値及び指針値の設定の考え方」につきまして説明させていただきたいと思います。
 この(1)(2)につきましては、別紙2の概要を記載したものでございますので、まず別紙の2につきまして御説明させていただきたいと思います。
 「水道水質に関する基準の見直しに関する基本的な考え方」につきましては、当専門委員会で水道水質に関する基準の見直しの検討を始める際に御検討いただき、どのような考え方で当専門委員会で検討を行っていくかということにつきまして、基本的な考え方としてまず初めに一応のコンセンサスを得たところでございます。
 本日、別紙2という形で用意させていただいておりますのは、この間の検討を通じましてさまざまな御意見が出てきておりますので、本専門委員会の報告書を取りまとめる時点における基本的な考え方として改めて再整理したものでございます。基本的な中身につきましては、一番初めに御検討いただき御了承いただいたものと異なる点はございませんが、若干毒性の評価につきまして再整理してございます。
 1の「項目選定の考え方」と2ページからの「基準値及び指針値の選定の考え方」の2つに大きく分けて構成されているわけでございますが、「項目選定の考え方」につきましては、当初御検討いただき御了承いただいたものと基本的に変更はございません。ただし、監視項目につきましては、監視項目の性格について、評価値が暫定的なものについて新たに記載しております。
 「2.基準値及び指針値の設定の考え方」でございますが、基本的な考え方を(1)に述べてございます。

   (「(1)基準値及び指針値の設定の基本的考え方」朗読)

 「(2)毒性の評価」につきましては、水道水質に関する基準の見直しの検討の過程を踏まえまして、再整理してございます。

           (「(2)毒性評価」朗読)

 3ページでございますが、「(3)閾値があると考えられる場合の評価値の算出方法」でございます。
  (「(3)閾値があると考えられる場合の評価値の算出方法」朗読)
 (4)以降は基本的に変更はございません。
 こういったものを踏まえまして本文の方でございますが、「3.水道水質に関する基準の見直しについて」の「(1)検討対象項目」でございます。

 (「3.水道水質に関する基準の見直しについて(1)検討対象項目」朗読)

○黒川委員長 何か御意見はございますでしょうか。まず、別紙2に関していかがですか。

○長谷川委員 2回ほど出てきたんですが、別紙2の2ページ目の2の(1)の「生涯にわたる連続的な摂取をしても人の健康に影響を生じない水準を基とし安全性を十分考慮して評価を行うこととする」というところですが、水準を基とし更にという意味なのでしょうか。読み方によってはいろいろ意味がとれるような気もちょっとするんですが。

○荒井水質管理官 この部分につきましては、平成4年の専門委員会の報告書でも同じ書き方をしておりますし、それを引用してきているものでございます。意味としては「安全性を十分考慮して」というのは修飾句のようなもので、安全性を十分考慮して水準を決めておりますという意味です。

○長谷川委員 意味と気持ちは分かるんですが、日本語の流れとして、人の健康に影響を生じない水準にさらに安全性を十分考慮して評価を行うという印象を与えかねないと思ったものですから。

○荒井水道管理官 ここは、さらに安全性を十分考慮してという意味で記述したものではございません。

○大垣委員 不確実係数のことを意味しているのではないんですか。

○眞柄委員 前回の専門委員会の報告書で「安全性を十分考慮して」と記載したのは、不確実係数とリスクの10のマイナス5乗について記述する代わりこの言葉を使ったものであったかと記憶しています。

○黒川委員長 誤解を生じる可能性があるならば、書きぶりを変えた方がいいのではないでしょうか。

○荒井水質管理官 ここの部分につきましては書き方を考えさせていただきます。

○黒川委員長 もう一つ質問ですけれども、2ページの下から4行目の「このため、当該項目について、閾値の有無を検討する。」というところの「当該項目」というのは何を指すんですか。

○事務局 検討対象項目を指すものでございますので、ここの部分については「これらの検討対象項目について」という形で修正させていただければと思います。

○黒川委員長 ほかにございませんか。

○平田委員 別紙2の2ページの、2)の下のなお書きの3行目に「監視項目には次の2つに分けられることに留意すべきである」とありますが、日本語として適当ではないかと思いますので、「監視項目は次の2つに分けられる」と修正するほうがよろしいのではないでしょうか。

○事務局 そのように修正させていただければと思います。

○黒川委員長 別紙2についてはよろしいですか。それでは本文の方はいかがでしょうか。

○国包委員 4ページなんですが、「(2)基準値及び指針値の設定の考え方」の一番最後の黒丸ですが、「水道水からの検出が認められるが」というのが、どうもあいまいな感じが強くいたします。ここの部分は、指針値は暫定的なものであるけれど、検出状況は必ずしも低いレベルにあるわけではないと理解しているのですが。その前の黒丸では「指針値は確定しているが指針値に比べ現在の検出状況が低いレベルにあることから」とあるのでそれと対比できるような表現になっている方が理解しやすいし、誤解もないのではないかと思います。

○黒川委員長 それでは書きぶりについて事務局で御検討ください。ほかにございますか。
 では、その先へいきましょう。

○事務局 「(3)検討結果」でございます。

  (「水道水質に関する基準の見直しについて(3)検討結果」朗読)

 また、別紙3につきましては、ウラン、亜硝酸、ほう素について記載してございますが、特段の変更はございません。
 (5)の「検査技術の進歩に対応した検査方法を追加すべき」という項目でございますが、これまで見直しの中でホルムアルデヒドについてガスクロマトグラフ−質量分析法(GC−MS)でも測定が可能であるといったような御指摘を踏まえて、検査方法を追加するというもの、それから、近年の検査技術の進歩に対応して誘導結合プラズマ−質量分析法(ICP−MS)を基準項目の検査方法として追加するというものを想定してございます。
 以上でございます。

○黒川委員長 ここはかなり重要なところなんですが、いかがでしょうか。眞柄先生いかがですか。

○眞柄委員 5ページの一番最後の「ほう素については、環境中の存在状況が環境庁の調査によって明らかになってきており、必要に応じ見直しを行うべきであろう。」というのは何を見直そうということですか。

○荒井水質管理官 実は、環境庁の方でもほう素について全国的にいろいろ水質の調査をやっておりまして、環境基準にするかどうかを今、検討中というふうに伺っておりまして、仮に環境基準になったような場合については、従来ですと水道の水質基準と環境基準と合わせてきておりますので、水道水質基準に格上げする必要があるかどうかをもう一度きちんと整理したいということでございます。

○黒川委員長 結論の書き方ですが、全部「何々すべき」と書かれてますが、前の方に結論を得たと書いてあるので「何々すること」とするほうが、適当ではないでしょうか。ほう素についても、「であろう」というより「である」としたほうがいいのではないでしょうか。

○安藤委員 「近年の検査技術の進歩に対応した検査方法を追加すべき」というところで、対象項目としてジクロロ酢酸でGC−MS、基準項目についてICP−MSを想定していると話がありましたが、カルボフランの試験方法としてポストカラム検出器を用いた高速クロマトグラフ法(HPLC法)でも可能であることがわかりましたので、追加していただければと思います。

○相澤委員 ジクロロ酢酸についてですが、「ジクロロ酢酸とハロ酢酸類について、その生成量を抑制するために浄水技術の検討を行う必要がある」とありますが、生成要因がまだはっきりしていない状況にありますので、ここでは「その生成要因を明確にするとともに生成量を抑制するための浄水技術の検討を行う必要がある」というふうに、生成要因を明確にするという文言を入れた方がよろしいのではないかと思います。

○黒川委員長 よろしいでしょうか。それでは、先に進ませていただきます。

○事務局 それでは「4.今後の課題 (1)水道水質に関する基準の見直しに係る課題」につきまして御説明いたします。

 (「4.今後の課題(1)水道水質に関する基準の見直しに係る課題」朗読)

○黒川委員長 これは1つずつということですね。毒性と暴露の知見の充実ということですね。御質問はよろしいでしょうか。

○安藤委員 これもここで申し上げるのが適当なのかどうか分かりませんが、やはりどうしても私は気になりまして一言申し上げたいのは、今まで我々は化学物質の毒性評価と暴露評価というのをやってきているわけですが、特に暴露評価のところの数字というのは、すべて正しいという理解で我々は評価しているわけです。
 例えば別紙2の一番最後のページの図でも、暴露評価は水道水からの検出状況と食品等からの暴露量というのを使って行うことになっておりますが、少なくとも食品は優良試験所指針(GLP)のもとで行っているわけです。水道においても、データの信頼性というものについて議論していく必要があるかと思います。

○黒川委員長 事務局いかがでしょうか。

○荒井水質管理官 データの信頼性の確保、いわゆる精度管理については大変重要であると考えており、内部精度管理と外部精度管理を実施するよう努めるように水道事業体に対して指導してきているところでございます。また、水道水の水質検査機関の厚生大臣の指定の要件として厚生大臣が行う精度管理調査に参加することを義務づけしたところでございます。

○眞柄委員 検査結果の精度管理だけではなく、暴露量を把握するために必要なサンプル数がどのくらいかといったサンプリングのプロトコールも必要ではないでしょうか。

○荒井水質管理官 安藤委員、眞柄委員から御意見があったところでございますが、当専門委員会では引き続き水質検査のあり方等水質管理に関する課題について検討いただければと考えておりまして、そういう中で御議論いただければと思っております。

○黒川委員長 そういうことでよろしいでしょうか。それでは先にいきましょう。

○事務局 「(2)留意すべき事項」でございます。

      (「4.今後の課題(2)留意すべき事項)」朗読)

○黒川委員長 御意見ございますでしょうか。

○長谷川委員 今(2)のところでノニルフェノールの具体的な物質名を挙げているわけですが、これは内分泌かく乱化学物質として指摘されている物質ということになるわけですけれども、(1)においては内分泌かく乱化学物質として指摘されている物質としていくつか具体的な名前を入れなくていいんでしょうか。

○荒井水質管理官 ノニルフェノールについては非イオン界面活性剤との関係で指摘されることがございますので記載している次第でございます。
 もし、内分泌かく乱化学物質についても、いくつか名前を例示した方が適当であるということになれば、水道水においてアルキルフェノール類、フタール酸類等について国包先生を主任研究者といたしまして調査が行われておりますので、それらについて記載することも一つの方法と考えます。

○国包委員 内分泌かく乱化学物質につきましては、名前を挙げるとそういった物質として疑いのある物質ととらえられがちでありますので、それを考えますと、あえて具体名をあげなくてもよいのではないかという感じがいたしますが、いかがでしょうか。

○黒川委員長 私も、厚生省の検討会の結論で、因果関係がある物質というのは明らかでないといことをきちんと書いてありますのでこれでいいのではないかとは思います。ほかにございますか。

○遠藤委員 クリプトスポリジウムのように従来の塩素処理では処理できない病原性微生物による汚染といった新たな問題が生じているので、「留意すべき事項」にクリプトスポリジウム等の耐塩素性の病原性微生物に関する内容を付け加えることはできないでしょうか。

○黒川委員長 そうですね。基準に定める項目のほかにということが留意すべきこととなると、付け加えたらいかがでしょうか。

○荒井水質管理官 それでは遠藤先生と御相談させて追加いたします。

○黒川委員長 ほかにはよろしいでしょうか。では「5.おわりに」をお願いします

○事務局 「5.おわりに」でございます。

            (「5.おわりに」朗読)

○黒川委員長 いかがでしょうか。

○安藤委員 「適切な水質管理体制を設けることにより」とありますが、どのようなことを想定していらっしゃるんですか。

○荒井水質管理官 9月の専門委員会で水質管理に関する課題として整理させていただいているところでございますが、水質検査のあり方を中心にしたことを考えております。課題自体も今後御検討いただく中である程度追加することもあるかとは思いますが、それらを念頭に置いたものでございます。

○安藤委員 ここで述べるのが適当かどうかわかりませんが、水質管理というのは水質検査だけではないだろうと思っております。つまり、これは原水から浄水処理過程、それから給水栓末端までの状況を把握して、それに対して適切な処置をとるということだろうと思うんです。
 つまり、先ほど指定検査機関の話がありましたが、指定検査機関がこれまで公益法人に限られていたのが民間の検査機関も指定を受けられるということになると単に検査ができればよいということになるわけです。しかし、水質管理において何か問題があったときには指定検査機関が小規模な水道事業者に対して適切な指導を行っているという実態があったわけです。このような機能が実はこれまであったわけであります。そのような指導を行えない民間の検査機関も指定を受けられるようになるからには、原水から給水栓末端までについて適切に水質管理を行える体制をつくる必要があると思います。大きな水道事業体は、そのような体制ができておりますが、それ以外の水道事業体では、実態的には、そのような体制ができていないと思いますので今後どのようにしていくか検討する必要があるのではないでしょうか。

○岡澤課長 今、安藤先生がおっしゃったような認識は我々もないわけではなくて、水質基準というのは基本的に二面性があるんだと思うんです。1つは水道水という商品を販売してお金をいただいているわけですから、その製品に対して規格を設けて、その規格に適合していることを常に事業者が証明しなければならない。そういう性格があるのと、それから原水の汚染事故や浄水過程でのトラブルに対応して、常に適切な品質を維持するという工程管理上の規格という性格があるだろうと思うんです。
 それで、指定検査機関については、今まで公益法人だけに限っていたのを民間の機関にも認めることにしたわけですけれども、これは前者の品質規格に適合しているか否かということを確認するための数値を出すだけの作業であれば、水質分析ができればだれでもできることからそのようにしたわけでございます。
 一方で、水道の水質管理ということについては、従来の指定検査機関が十分ケアしていたかどうかといえば、必ずしもそう言えないところもあるんですが、小規模の水道では汚染物質が非常に多様化してくると十分それに対応できないという現状もあるのかと思います。それに対しては検査項目を増やすとか頻度を上げるということではなくて、何らかの制度的な仕組みだとか、あるいは人的な確保だとか、そういう別の観点で対応していかざるを得ないのかなというふうに思っています。
 「水質検査のあり方等水質管理に関する課題について」というのは、基本的には水質検査の頻度とかサンプリング数だとか、あるいは省略可能の考え方とか、そういうことを議論していただければと考えておりますが、同時に水道が安心して安全な水を供給できる体制になるかどうかということも含めて、議論としては出していただきたいと考えております。ただ、水質専門委員会は制度に関して検討するという場とは少し異なりますので、水質専門委員会からこういう問題があるという懸念なりがはっきり出てくれば、我々の方で水道の制度に関する検討をするときに反映させていきたいと思います。そのベースとして水質管理の立場から水質管理専門委員会として水道の水質管理についてどういう評価をするかというところは、御意見をお聞かせいただきたいと考えています。

○黒川委員長 他によろしいでしょうか。
 そうしますと、全般について何かお気づきの点はございますか。いかがでしょうか。

○兜委員 暴露評価ためのモニタリングというのを整備すべきたというお話だったんですけれども、健康影響のモニタリングは考えておられないんでしょうか。アメリカではトリハロメタンと発がんとの関係の疫学の調査などが行われておりますが、そういうようなことはどうなのでしょうか。

○黒川委員長 アメリカにおけるトリハロメタンの疫学調査の文献というのは一度この委員会に配布されて、疫学の専門家にご相談したところ、この調査結果だけではまだはっきりと因果関係についていうことは難しいということなので、ここでは特段取り上げないことになっていたかというふうに記憶しておりますが。

○眞柄委員 健康影響のモニタリングということで水道関係で行われているものがいくつかこれまでございますので記憶にある範囲でご紹介いたします。トリハロメタンそのものではないですが、消毒副生成物と関係が深い水質項目とがんによる終生死亡率と肝臓の障害について、水道水が30年以前から給水されている地域について単純な調査をしたことがございます。結果的には、この30年の間に人口移動が非常に大きかったということで、因果関係はかなりあいまいな表現しかできなかったということがあります。
 また、肝障害については関東と関西とではウイルスによる暴露の形態がはっきり違いますので、これは前から分かっていることですが、それの影響が強くて、関西の方で比較的水が悪いところでも、その関係というのも明解にはなっていないということは15年ぐらい前にやりました。
 このような状況は16年くらい前と現時点でもそれほど変わっていないだろうというふうには思いますし、水からの寄与率が圧倒的に多いものというのはそれほど多いわけではありません。
 それから、発がん物質についてもリスクとして10のマイナス5乗のレベルで基準値を定めているので、そのレベルでは疫学調査をやっても影響ははっきりとでてこないだろうと思います。
 ただ、地域によってはフッ素あるいはヒ素といった水道水による健康影響が生じたことがある項目については、基準値は人への健康影響が生じるレベルに近いところで決まっておりますので、地域等によっては必要な場合には、調査をする必要が生じてくることもあるだろうと思います。
 例えば、ヒ素については、福岡県でヒ素の高い水道水を飲んでいる地域の方たちの健康診断を県でおやりになって、現時点では直接的な健康影響は出ていないということを明らかにしておられます。
 それから、厚生省では、感染性の疾患については感染症サーベイランス・システム事業を行っておりますので、特異な疾患がある地域に出てくれば直ちにアラームが出るようになシステムになっているということで、そういう意味ではシステムとしては、厚生省としては多分成立しているのだろうというふうに私は理解しています。

○岡澤課長 日本で疫学調査をきちんとやったのはフッ素ぐらいではないかと思います。

○眞柄委員長 ヒ素もかなりやっているんだろうと思いますけれども。

○岡澤課長 フッ素の場合は斑状歯が問題になるわけですが、水道水に含まれるフッ素が原因で斑状歯が生じないように水道水の水質基準を定めていたかと記憶しています。フッ素についてはある時期かなり調査を行っておりますが、それ以降余り水道が直接の原因になるような健康被害というのは生じていないことから、あまり健康影響の調査はやっていないという状況です。

○兜委員 リスク評価で個別の物質毎にリスクを出していますよね。その項目が増加してきた際、複合的な影響についてどのように考えるのかという意見があるんです。もしそのようなことを考えるとすると、やはり健康のモニタリングをちゃんとうたっておいた方がいいのかなという感じがしているものですから。

○眞柄委員 そういう意味では、水、食品などというものを通じての暴露量とがんの発生率などとの要因をみることになるかと思いますが、ほかの環境要因も当然影響してきますし、なかなかはっきりした関係は見えてこないということがあります。CNPと胆のうがんの関係は本当にあるのかというような話もありますので、疫学調査というのはかなり長い形で追っていくしかないだろうというふうには思います。
 ただ、非常に乱暴なやり方かもしれませんが、例えば老人性痴呆の原因はアルミニウムだと言っている方もいらっしゃるわけです。しかし、このことを疫学的に確認しようとすると、アルミニウム系の凝集剤を鉄系の凝集剤に替えて20年たってようやく答えが出てくるわけで、これは実際にはなかなかできないものですから、工学的な限界をわきまえた上で、疾病、疾患のデータと環境の質とのデータを積み重ねていくしかないだろうなというふうに私は思っています。

○黒川委員長 私のように毒性について行っている者からすると、毒性データというと人に関するデータも動物に関するin vitroのデータも含めてはいると考えておりますので、「今後の課題」の毒性評価というのは、実験と疫学の両方が含まれているとも読めるのですが。

○兜委員 ただ、モニタリングという管理のシステムですが、そういう中に健康のモニタリングという視点があってもいいのかなと思うのですが。

○岡澤課長 例えば、今バングラディシュ辺りでヒ素が非常に問題になっていますけれども、多分、日本でやるよりも汚染事例が生じてたところで飲料水と健康被害との関係というのは割とクリアに出る可能性があるわけです。そういうものを収集してデータの一つとして利用するというのが現実的ではないかと考えます。

○黒川委員長 ほかに、全般的にいかがでしょうか。

○相澤委員 「5.おわりに」に「コンピュータネットワークを通じた監視情報の収集、データベース化」とありますが、ここのデータベースというのは多分水道統計を指していると思いますが、現在の水道統計は基準項目と監視項目が別々の扱いになっておりまして、基準項目と監視項目にあると水質項目を対比させて見ようとしますと、うまくリンクできるような形にはなっておりません。
 ですので、先ほどのようないろいろな健康に関する多数の要因について整理をしたいと考えますと、やはり水質項目を一つのデータベース上に乗って整理ができるような仕組みをつくっていただきたいと思います。

○荒井水質管理官 ここのコンピュータネットワークを通じた監視情報の収集、データベース化については今、例の情報通信・科学技術・環境等21世紀発展基盤整備特別枠で、5億円ほど予算の要求をしておりまして、水道技術センターの方にホストコンピュータを置いて実態調査をやり、なおかつデータベースをつくっていくことを考えておりますので、是非その辺も実際に予算が付いてできるようになりましたら考えさせていただきたいと思います。

○黒川委員長 ほかに、いかがでしょうか。

○河村委員 暴露評価のところで新たに経気暴露という考えが出てきて、これも今後検討すべきということで出ているんですが、やはりこれはかなり重要な課題として今後考えていかなければいけないことでしょうか。

○岡澤課長 今回、ホルムアルデヒドで議論にはなったんですが、例えばシャワールームといった密室空間でシャワーを流しっ放しにして30分いたらどのぐらい暴露されるかというふうな想定をして影響をチェックすることは必要ではないかということです。ホルムアルデヒド以外にも揮発性物質はたくさんありますので、そういうチェックをする必要があるのではないかと考えております。水道の寄与率については今10%を標準にしていますけれども、更に寄与率を小さくして便宜的に、例えば5%の寄与率というふうな考え方もあるかもしれないし、一定の条件下で密室空間内の濃度を計算して、そこから経気暴露というものを計算して吸入毒性から評価をするというやり方もあるかもしれません。その辺は幾つかのオプションはあると思いますが、いずれにしてもそういう配慮について検討することが必要ではないかということであります。いろいろな計算をしてみて、従来どおり経口摂取だけ考えればいいということであればそれでいいですし、かなりの量が吸入によって体の中に入ってくる可能性があるとすれば、その部分をどうやって考慮するかということを考えなければいけないのではないかという意味で書かせていただいています。

○黒川委員長 これは安藤委員がご専門になってくるのですね。

             (安藤委員 首肯)

○国包委員 水質検査のデータが別紙1にありますが、これは本文の断りにもありますように簡易水道のデータは入っていないということですね。つまり、実際には簡易水道の数は多いので、簡易水道のデータを見てみると、また分布が全然違っていたということももしかしたらあるのではないかと思うんです。
 そういう意味から、今後は簡易水道のデータもある程度取り込んで評価をしていく必要が、少なくとも一つ一つの水道事業体というふうに数で数えれば簡易水道は無視できないでしょうから、水源の特殊性もありますし、そういう観点で見ていかなければいけないと思います。

○事務局 簡易水道については都道府県の指導監督のもと行われており、水道統計のなかでは集計を行っていないわけですが、当専門委員会で簡易水道における検査頻度についても検討いただきたいと考えておりますので、直近のデータについては整理して検討いただければと思います。ただ、簡易水道は比較的水源の環境がよいところが多いと思いますので、離島などを除けば水質はいいのではないかと考えております。

○国包委員 今回はともかくとして、可能な限り今後はそういう方向で、簡易水道もある程度見ていけるようにデータの整理を心掛けていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

○黒川委員長 それでは一応御意見が尽きたようでございますから、この報告書の今後の取扱いについて事務局からご説明下さい。

○荒井水質管理官 今日御議論いただきました点につきましてもう一度修正をいたしまして、黒川先生にもう一度確認いただいた上で公表させていただきたいと思っております。できれば来週ぐらいには専門委員会報告書として公表させていただきたいと思っております。その後、行政的には、監視項目については水道環境部長通知の改正をなるべく早い時期に出したいと思っております。水道部会への報告につきましては2月ごろに黒川先生から御報告をお願いをすることになるかと思います。今、考えておりますこの報告書関係では以上でございます。
 本専門委員会については、引き続き、水質検査の在り方等水質管理に関する課題について御議論いただきまして取りまとめをお願いいたしまして、それを水質の監視なり水質の管理に生かしていきたいと思っております。
 一応そのように考えております。

○岡澤課長 では、最後ですのでごあいさつをさせていただきます。
 昨年から8回にわたり主に水道水質に関する基準の御議論をお願いいたしまして、今回、とりまとめいただきありがとうございました。ただし、本専門委員会は水質管理専門委員会ということで、水質管理についても検討を行うと言うことで設置してございますので、水質管理の方につきましては積み残しということになっておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。長い間どうもありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

○黒川委員長 それでは、これで終了いたします。ありがとうございました。


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