98/11/30 第12回厚生科学審議会研究企画部会議事録 第12回厚生科学審議会研究企画部会議事録 1.日  時 :平成10年11月30日(月) 14:00〜16:00 2.場  所 :厚生省特別第1会議室 3.出席委員 :矢崎部会長         (委員:五十音順:敬称略)          杉田秀夫 寺田雅昭 (専門委員:五十音順:敬称略) 杉田秀夫 土屋喜一 寺尾允男 初山泰弘           眞崎知生 柳澤信夫 山崎修道 4.議  事:(1)平成11年度における厚生科学研究費補助金公募研究事業について        (2)今後の厚生科学研究の在り方について   5.資  料:1.平成11年度における厚生科学研究費補助金公募研究事業について        (諮問書・付議書)        2.「今後の厚生科学研究の在り方について」報告書(仮称)骨子案 ○事務局  それでは定刻になりましたので、ただいまから第12回厚生科学審議会研究企画部会を 開催いたします。  本日は大石委員、高久委員、眞柄委員、宮本委員の4名の委員が御欠席でございます。  では最初に、本日の配布資料について確認させていただきます。  まず会議の次第という1枚紙でございます。  それから資料1諮問書等が附属されている資料でございます。  資料2といたしまして、『「今後の厚生科学研究の在り方について」報告書(仮称) 骨子案(未定稿)』となっておりますが、6ページほどの資料でございます。  それから資料2~1といたしまして、先ほどの骨子案をポンチ絵にしたものでございます。  参考資料1〜4ということで、1つの資料になっておりますが、未定稿といたしまし て、「平成11年度における厚生科学研究費補助金公募研究事業について」という資料で ございます。  以上、御確認をいただきたいと思います。  それでは部会長よろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  厚生科学審議会研究企画部会を開かせていただきます。本日はお忙しいところをお集 まりいただきまして、ありがとうございます。  まず平成11年度における厚生科学研究費の補助金公募研究事業の方針につきましては 資料1のとおり厚生大臣から諮問されまして、研究企画部会に豊島会長から付議されて おりますので、これにつきまして御検討いただければと思います。まず事務局より説明 お願いいたします。 ○事務局  それでは御説明申し上げます。資料1でございます。1ページに諮問書ということで厚 生大臣より審議会の会長でございます豊島会長あての諮問書、それから先ほど部会長の 御説明にありましたとおり、豊島会長より当研究企画部会の矢崎部会長あての付議書、 それから別添といたしまして、3〜6ページまでの資料でございます。別添は「厚生科学 研究費補助金公募研究事業の方針について」ということで、諮問書にあるとおり、この 方針によりまして平成11年度の公募を実施することについて部会の御意見を賜りたいと いうことでございます。資料の方は3〜6ページまでと、参考資料としてお配りしてござ います公募研究事業についてという資料を御参照していただきながら御説明申し上げた いと思います。  参考資料1でございますが、これは前回の部会でも提出させていただいておりますが 来年度の厚生科学研究費補助金の概算要求の概要でございます。これで大体の来年度の 予算規模というものがお分かりいただけると思います。これの予算が増えているところ または同額のところ、そういうものと継続事業がどういうふうになっているか、10年度 で終了する研究課題がどの程度あるか、そういうようなものを総合的に勘案いたします とともに、それから専門家の委員の意見を踏まえまして、関係課で作成いたしました資 料が資料1と参考資料3ということでございます。  まず資料1の別添から御説明申し上げたいと思います。「厚生科学研究費公募研究事 業の方針について」ということでございますが、これは平成10年度から平成11年度にか けての継続事業となります事業が7事業ございますが、その17事業について公募の方針 というものを定めたものでございまして、少し長くなるかもわかりませんが、読み上げ させていただきます。それぞれの研究事業につきまして、参考資料3に付けてございま すのが、官報告示の現時点での案ということでございまして、課題のイメージをつかん でいただきたいというふうに思います。  「政策科学推進研究事業」でございますが、社会保障及び人口問題に係る政策、それ らの施策の基盤となる情報化や地域政策の在り方、その他厚生行政の企画及び効率的な 推進等に関する研究。大きな方針でございます。「ただし」以下が来年度の公募につい てでございますが、平成11年度の新規公募については、医療、年金、介護等の社会保険 制度や社会福祉制度、少子化対策、人口問題に係る調査研究に限るということでござい ます。その具体的なイメージが参考資料3の1ページでございます。随時そのような形 で参考資料と見比べながらごらんいただければと思います。  2番目が「厚生科学特別研究事業」でございますが、保健医療又は福祉の向上に資す ることを目的とする独創的又は先駆的な研究(緊急的行政課題に対応した研究を含む) となっておりましたが、平成11年度につきましては、ただし、平成11年度の新規公募に ついては実施しないという方針でございます。  3番目は「統計情報高度利用総合研究事業」でございますが、少子・高齢化、国際化 の進展等に即応した厚生統計情報の提供、統計利用の利便性向上及び健康危機に適切に 対応できる情報システムの構築等に関する研究という方針でございます。  4番目は「がん克服戦略研究事業」でございますが、「がん克服新10か年戦略」に対 応した、がんの本態解明及びがんの発生予防、新しい診断法の開発、新しい抗がん剤の 開発等による効果的な治療法の開発、患者の生活の質(Quality of Life,QOL)の向上 等に関する研究。ただし、平成11年度の新規公募については実施しないということでご ざいます。  5番目の「長寿科学総合研究事業」につきましては、「新・高齢者保健福祉推進十か 年戦略」に対応した、老化や老年病に関する基礎医学的研究、老年病に関する臨床医学 的研究、高齢者に関する社会科学的研究など総合的研究ということでございます。  4ページでございます。6番目の「障害保健福祉総合研究事業」でございますが、「障 害者プラン」に対応した、障害のある人も家庭や地域で通常の生活ができるようにする 社会づくり(ノーマライゼーション)及びリハビリテーションの理念に基づいた障害保 健福祉施策の推進のための基盤的施策や、身体障害・知的障害・精神障害等に関する研 究ということでございます。  7番目が「子ども家庭総合研究事業」でございます。「エンゼルプラン」に対応した 母子保健及び子育て支援を総合的・計画的に推進するための児童家庭福祉、少子化問題 乳幼児の障害の予防、母性及び乳幼児の健康の保持増進に関する研究という方針でござ います。  8番目の「脳科学研究事業」でございますが、「脳を守る」観点から実施される、痴 呆疾患、精神・神経・筋疾患、脳の発達障害、中枢神経系外傷、睡眠・リズム障害、ス トレスマネージメント及び脳内薬物受容体に関する予防・診断・治療等に関する研究。 ただし平成11年度の新規公募については痴呆(アルツハイマー型を除く)の病態の解明 と治療薬の開発及び神経症性障害発症の脳内機序に関する研究に限るという方針でござ います。  9番目の「ヒトゲノム・遺伝子治療研究事業」でございます。人の疾病やその治療に 関する遺伝子の解析、機能解明に関する研究、遺伝子治療基盤技術(遺伝子治療用ベク ター(担体)の開発や安全性評価等)の開発等に関する研究、これらの研究基盤の高度 化に関する研究、ヒトゲノム解析や遺伝子治療研究等の倫理的・法的・社会的側面に関 する研究。ただし、平成11年度の新規公募については、研究基盤の高度化に関する研究 を除くという方針でございます。  10番目の「高度先端医療研究事業」でございます。難治疾患の治療に資する人工臓器 や患者の生活の質(Quality of Life,QOL)の向上につながる低侵襲治療機器などの 高度医療機器の研究開発と現在のヒト血液由来の血液製剤がもつ、ウイルス等の感染の 危険性や安定的供給の困難性を克服し、血液の持つ機能の一部を代替する人工血液の研 究と開発ということでございます。  11番目の「新興・再興感染症研究事業」でございますが、腸管出血性大腸菌感染症、 クリプトスポリジウム症等の新興感染症、結核、寄生虫・原虫由来感染症等の再興感染 症の病態の解明、予防法、診断法、治療法、情報の収集と分析等に関する研究でござい ます。  12番目の「エイズ対策研究事業」でございますが、患者・感染者の増加等我が国にお けるエイズをめぐる状況を踏まえ、エイズに関する臨床、疫学及び基礎研究並びに社会 医学及び医療提供体制に関する研究。ただし、平成11年度の新規公募については、日本 におけるHIV診療支援ネットワークの確立及びエイズに関する人権・社会構造に関する研 究に限るという方針でございます。  13番目の「感覚器障害及び免疫・アレルギー等研究事業」でございます。視聴平衡覚 領域における障害又は日常生活上支障となる症状について、原因疾患の発症の機序の解 明とその予防・治療方法、支援機器の開発・改良に関する研究及び視聴平衡覚障害者の 社会参加に関する研究、また、慢性関節リウマチやアレルギー性疾患に係る病因・病態 を解明し根治的治療法を開発する研究及び移植医療の基盤整備に関する研究。ただし、 感覚器障害研究分野に係る平成11年度の新規公募については、障害の原因疾患の発症機 序の解明とその予防・治療方法に関する研究を除くという方針でございます。  14番目「生活安全総合研究事業」でございます。ダイオキシン類、内分泌かく乱化学 物質などの化学物質や微生物等の日常生活を脅かす因子に対する、国民生活の安全及び 衛生を確保することを目的とした食品、飲料水、廃棄物処理その他生活環境に関する研 究でございます。  15番目「医薬安全総合研究事業」でございますが、医薬品・医療機器等の有効性・安 全性を確保するための評価の科学的方法論の確立、品質向上を通じた安全性の向上、医 療現場における安全確保対策、乱用薬物等に関する研究、医薬品等の安全性情報等の収 集及び活用に関する研究でございます。  16番目「健康科学総合研究事業」でございますが、栄養・食生活等の生活習慣と疾病 に関する研究、運動・休養等健康増進に関する研究、保健医療福祉に係る効果的・効率 的な地域保健サービスの提供・評価に関する研究、生活習慣病の病態・診断・治療、患 者の生活の質(Quality of Life,QOL)の向上等に関する研究でございます。  17番目「医療技術評価総合研究事業」でございます。良質な医療を合理的・効率的に 提供するための診療技術・医療情報技術の評価、医療提供体制基盤整備等に関する研究 また医療の質と患者サービスの向上のために必要不可欠な科学的根拠に基づいた医療 (Evidence Based Medicine,EBM)に関する研究でございます。  以上が継続研究事業の公募の方針でございます。参考までに参考資料2の方に、新規 研究事業として平成11年度に要求いたしております「社会保障国際協力推進研究事業」 と「特定疾患対策研究事業」につきまして、当然同様に概算要求中でございます。特に 新規事業につきましては、政府予算案成立後、また改めて審議をお願いしたいというふ うに考えておりますので、参考資料としてお付けいたしております。  同じく参考資料3でございますが、「創薬等ヒューマンサイエンス総合研究事業」と いうものでございますが、これはヒューマンサイエンス振興財団の方に補助する事業で ございまして、厚生省の方として公募する事業ではございません関係上、その他の研究 事業という形で分類させていただき、参考資料としてお付けしているものでございます。  以上でございます。 ○矢崎部会長  説明ありがとうございました。ただいまの平成11年度の公募研究につきまして、概要 は例年どおりということで参考資料2にありますのが新たに厚生科学研究費補助金公募 研究事業の中に組み込まれたものであります。ただいまの説明につきまして、委員の先 生方で御意見、あるいは質問ございますでしょうか。  個々の研究事業の内容については、大きな変革はないということでございますね。最 後の16番と17番ですが、16番は健康科学総合研究事業で、これは生活習慣病を中心とし たいろいろな検討がここに加わっていて、それから17番がそれを含めた医療の質と患者 サービスの向上のためのEvidence Based Medicineを促進するという事業というふうに とらえてよろしいわけですね。 ○寺田委員  言われたかもわかりませんけれども、21世紀特別枠というのはどういうものか説明を もう少ししていただければと思います。 ○事務局  21世紀特別枠につきましては先ほど御説明を申し上げておりません。参考資料1の方 でございます。「平成11年度厚生科学研究費補助金概算要求の概要」という1ページの 資料でございますけれども、厚生科学研究費補助金として平成11年度は245億6,100万円 を要求いたしておりますけれども、その他に「21世紀特別枠」ということで「ダイオキ シン類総合対策研究」ということで25億円、それから「内分泌かく乱化学物質総合対策 研究」ということで10億円要望しておりますが、これにつきましては、政府全体としま して21世紀特別枠分として2,300億円の要求枠というものがございました。そのうち最終 的に関係省庁分全部足し合わせて1,500億円まで査定するということになっておりまして 厚生省といたしまして、ここの部分につきまして研究費で35億円を要望いたしておりま すが、これがまた、先ほど言いました2,300億円から1,500億円ぐらい政府全体として大 体3分の2ぐらいの査定を受けるということになるわけでございまして、この枠が最終 的にどの程度になるかは政府原案の発表ということで今年の12月末の政府予算案の作成 のときに明らかになるということでございます。 ○寺田委員  どうもありがとうございました。もう2つ、ここに書いてありますとおりエイズ対策 費研究のうち医薬品開発分は創薬等ヒューマンサイエンス総合研究に行ったということ で内容に関しては全然関わっていないというふうに了解してよろしいですねというのが 1つ。  もう一つは、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(以下「医薬品機構」)は医 薬安全局か別のところにあるわけですか。要するに厚生科学研究費の中ではなくて、そ れ以外に厚生省としてやっている健康科学、生命科学の研究費というのはこれ以外には どういうものがあるか教えてください。 ○事務局  参考資料に掲げさせていただきました表題にありますとおり、厚生科学研究費補助金 による事業分でございます。今、寺田委員から御指摘のその他に厚生科学研究振興に関 わる事業といたしまして、例示に出ておりました医薬品機構で実施しております保健医 療分野の基礎研究出資に基づきます事業、これが一般会計から機構に出資いたしまして 医薬品機構が主体的に実施するというものが1つございます。その他に特別会計といた しまして、厚生省の国立病院特別会計におきまして、医療等に関わります研究を実施し ております各種の委託研究事業がございます。また、産業投資特別会計によりまして、 やはり医薬品機構に産業投資特別会計より出資いたしまして、これに基づきまして、出 資及び融資の手法によりまして主に民間企業等を対象といたしまして実施しております ものがございます。大きな研究関係といたしましては以上でございますが、その他に政 府全体といたしましては、環境庁一括計上の環境関係のもの並びに非常に基礎的な分野 におけます科学技術庁計上のもの、特に原子力関係のものがございます。一応以上のよ うな全体像ではないかと思います。 ○寺田委員  どうもありがとうございました。 ○寺尾委員  確認なのですけれども、平成11年度の公募研究課題というのは予算が最終的に決まっ た後に議論することになりますね。今ここで何か意見を言う必要はないでしょうか。 ○事務局  最終的には、先ほど事務局から御説明しましたとおり、政府予算案が確定し、かつそ れが国会での審議の結果、平成11年度本予算となりませんと事業の実施ができないわけ でございますけれども、これまでの御議論の中でもできる限り年度当初から事業を実施 するようにというような御指摘をいただいていることもありまして、できれば本日の御 審議の結果、了とされました場合には、この後の厚生科学審議会総会の了解を得た上で 新年1月にも公募の手続に入りたいというふうに考えております。これはあくまで政府 予算案が成立し、本予算となった場合に実行されるものという留保付ですが、できるだ け早期の予約のような形ででも研究者の希望をとった上で早期の執行を図りたいという ふうに考えております。 ○寺尾委員  参考資料3をざっと見まして、どこかにあるのかもしれないのですけれども、最近化 学物質に対する過敏症というのが非常に問題になっているのですけれども、そういう研 究というのは全然厚生省は考えていないのでしょうか。どこかにありますか。あればよ ろしいのですけれども。 ○事務局  参考資料の13ページでございますが、生活安全総合研究事業におきまして、平成11年 度(案)の公募研究課題の2番の(2)及び(3)ですが、ここにおきまして、今、寺尾委員御指 摘のような、いわゆる化学物質過敏症に類するものの公募が受けとめられるのではない かということで記述されております。 ○寺尾委員  分かりました。どうもすみません。 ○杉田委員  参考資料1でございますが、「特定疾患対策研究」が19億8,800万円計上されておりま すが、これは従来の特定疾患に関する研究を、この部会で今後は検討するように変わっ たわけでございましょうか。 ○事務局  御指摘のとおり従来特定疾患対策研究につきましては、厚生科学研究費補助金の外の 計上となっておりましたけれども、いわゆる公募型の重点研究につきましては、こちら の競争型研究費という形で事前評価、中間・事後評価を厳密にやりたいということで、 こちらに新しく事業を興したものでございます。これに伴いまして、従前の厚生科学研 究費補助金の外の研究事業につきましては、廃止ということを予定しております。ただ いずれも要求中の状況でございます。 ○矢崎部会長  その他いかがでしょうか。厚生省としては厚生科学研究費にできるだけ一本化してい くという方向で検討されているわけでございますね。  先ほど寺田委員御指摘の21世紀の特別枠というのは、政府の額の中に他省庁との関連 のプロジェクトがメーンなわけですね。そうしますと、先ほどお話しの厚生省枠として は厚生省にプライオリティーのある研究ということで、大体その枠を確保できそうだと いう。 ○事務局  説明が不足しておったかもわかりません。21世紀特別枠の中に要求しておるものは、 基本的に各省連携という形で、例えて申しますと、科技庁とか、文部省、通産省、要す るに連携、分担をして行う研究ということが要求の趣旨となっておりますので、あくま でもダイオキシンまたは内分泌かく乱化学物質につきましては、それぞれの省庁が何を やるという明らかな分担案を示して、各省庁連携事業でございますが、ダブりのないよ うに調整して研究を実施するものでございます。 ○矢崎部会長  その他いかがでしょうか。なかなかこの場で見てチェックできないかもしれませんけ れども、もし何か後でお気づきの点がありましたら事務局の方に御連絡ください。これ は12月15日に開催が予定されております厚生科学審議会の総会で報告申し上げて承認を 得て、政府予算案成立後に公募するという手順になっておりますので、もし何かありま したら、時間はほとんどありませんけれども御連絡いただいて、そのときはその御意見 を参考にして修正をさせていただくということがあり得るということで、一応これはお 認めいただけますでしょうか。ありがとうございました。  引き続きまして、今後の厚生科学研究の在り方について御議論いただきたいと思いま す。前回の部会でさまざまな御発言、御提言がございましたけれども、事務局とも相談 しまして、資料2のとおり報告書案の骨子として今までの御議論をそれぞれかみ砕いて 具体的な項目立てを行ってまとめてみました。それではまず事務局から説明をお願いい たします。 ○事務局  それでは御説明申し上げます。資料2及び資料2~1の横になったポンチ絵でございます。 ポンチ絵の方が報告書の骨子案のエッセンスを抜き出した資料でございますので、それ を参照しながら骨子案を御検討いただければと思います。それでは、分量があるかもわ かりませんが読み上げさせていただきます。  資料2「今後の厚生科学研究の在り方について」報告書(仮称)骨子案(未定稿)   1.背景 (1)厚生科学研究を取り巻く社会情勢、国民のニーズ等の変化、多様化 ○少子・高齢化の一層の進展による社会保障構造改革の必要性の増大 ○化学物質等による健康不安の増大と、それに対応した科学的根拠に基づく対策の必要 性の増大 ○医療における説明と理解(インフォームドコンセント)の普及とそれに対応するため の科学的、実証的データの整備や医療情報システムの改善 ○先端医療技術開発に対する国民の期待と懸念に対応した社会的、倫理的、法的側面に 配慮した研究体制の整備 ○厚生科学に対応する研究領域の国際的な変化への対応  ・ヒトを含むゲノム配列の解明とその知的所有の迅速な確立への対応  ・従来の倫理概念になじまないクローニング等の研究への対応 (2)厚生科学研究を取り巻く行政施策の変化 ○「科学技術基本法」、「科学技術基本計画」に基づく研究予算の増大 ○「ライフサイエンスに関する研究開発基本計画」の内閣総理大臣決定 ○脳科学研究、ゲノム研究など省庁連携による大型研究事業の推進 ○「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」の策 定とそれに基づく「厚生科学研究に係る評価の実施方法に関する指針」の策定 ○中央省庁等改革基本法による省庁再編の動き 2.厚生科学研究の使命と今後の方向性 (1)基本的考え方   ○基本理念    ・人間の尊厳と生命に対する敬意  ・国民の健康と生活の安全の確保    ・科学的根拠に基づいた保健、医療及び社会保障行政の効率的推進 ○幅広い研究対象分野    ・保健、医療、福祉、生活衛生等幅広い分野を対象    ・社会的、臨床的適用を目的とした、基礎研究から応用研究まで種々の段階の研    究を対象 (2)今後の厚生科学研究の方向性 ○社会保障構造改革に対応した医療、福祉及び年金の各制度の将来設計の基礎に資する ための研究の推進 ○健康不安に対応した科学的な情報の提供とそれに基づく規格、基準等の策定に資する ための研究の推進 ○次世代産業の動向と革新的ヘルスケアの開発を射程に入れたライフサイエンス関連の 研究の推進 ○医療経済的視点からの研究の推進 ○厚生科学に対応する研究領域の国際的な変化を視野に入れた研究の推進 ・試験方法、規格、基準等の国際化に対応した研究の推進 ・科学的根拠に基づく医療の推進のための国際共同研究の推進 (3)これまでの対応状況 (特に平成7年厚生科学会議「厚生科学研究の大いなる飛躍をめざして−新たな重点研 究分野の設定と推進−」を受けた、厚生科学研究費補助金による事業を主体とした対応 状況) 3.今後、より推進すべき研究分野(例示) (1)科学的根拠に基づいた政策の企画立案、評価に資する研究 ○社会保障制度等の企画立案に資する調査、研究 ・医療、年金、介護等の社会保険や社会福祉の国民経済・社会に与える影響につ    いての理論的、実証的研究 ・少子・高齢社会への対応に関する調査、研究 ○健康不安に対応した生活の安全の確保に資する研究    ・ダイオキシン類、内分泌かく乱化学物質等に関する調査、研究      ・水道、廃棄物処理等の安全性、信頼性の確保に関する研究 ・食品や医薬品の安全性の確保に関する研究 (2)科学的根拠に基づく予防、診断、治療法の評価や普及に関する研究 ○予防、診断、治療技術に対する費用対効果も含めた有効性の評価に関する研究 ○診断、治療ガイドラインの策定に資する研究  (3)臨床的展開を志向した基礎研究   ○ヒトゲノムや遺伝子治療に関する研究 ○疾病予防薬、治療薬等の画期的医薬品の創製や画期的治療法の開発に結びつく基礎研  究 (4)健康危機管理の支援のための研究 4.今後の研究推進方策 (1)短期間では明らかにされにくい化学物質等による健康影響の解明や科学的根拠に 基づいた政策の企画立案、評価に資する研究を推進していく上で必要な体制整備   ○コーホート研究、長期縦断疫学研究の推進    ・長期間にわたる研究事業の継続の確保(指定研究、機関研究)    ・研究成果の公表及び調査、研究データの共同利用化   ○研究データの効率的な収集のための法制面も含めた体制整備    ・病歴や疾病など研究基礎情報の標準化及び情報収集のシステム化(プライバ     シーの保護と公共利用の促進)    ・統計情報の信頼性の確保と効率的利用    ・測定方法、測定機器の開発と測定データの標準化 (2)研究資源等の確保 ○ヒト由来の遺伝子、細胞、組織や特殊実験動物等を収集、保存、提供する仕組みの整 備 ○各種研究情報を集積、分析、提供する仕組みの整備 ○大型機器、設備を共同利用する仕組みの整備 ○生命倫理の専門家、リサーチライブラリアン、生物統計の専門家、リサーチナースな ど我が国に欠けている人的資源の養成、確保 (3)社会的、倫理的、法的側面からの研究実施体制の整備   ○研究対象者に対する説明と理解(インフォームドコンセント)及びプライバシーの保 護の徹底 ○ヒトを対象とした無作為抽出臨床試験実施に係る国際的に受け入れられるガイドライ ン、マニュアルの作成等体制の整備 (4)厚生科学研究を取り巻く社会情勢、国民のニーズ等の変化、多様化と研究者の問 題意識に的確に対応した優先研究分野の設定と調整の充実   ○広い範囲の有識者のヒアリングなどによる研究企画の充実 ○専門家、試験研究機関、関係学会、団体との十分な意見交換 ○国際化に対応した情報収集と枠組みの整備 (5)研究成果等の研究情報の公開と研究成果の活用   ○ホームページ等を通じた研究情報の提供   ○シンポジウム等の開催による研究成果の公開   ○研究成果の活用   ・研究成果の民間移転の促進   ・特許等知的所有権確保の支援 5.厚生科学研究における今後の研究費及び国立試験研究機関等の在り方について (1)研究費の柔軟な運用と研究費の増大に伴う厳正な執行   ○柔軟な運用と事務手続きの迅速化    ・補助対象範囲の拡大    ・研究費の早期交付   ○厳正な執行体制の確保    ・事前、中間、事後評価に基づく研究費の適正配分  ・補助対象経費及び単価の明確化   ○評価体制の充実 ○研究者、課題、成果、評価結果などの研究関連情報の公開 (2)国立試験研究機関等の在り方について   ア.研究拠点施設を目指した研究企画及び研究予算の充実   イ.戦略的研究の実施    ○健康危機管理に有用な研究    ○短期的、中期的に投資に対する回収が期待できない研究   ○基礎研究から応用研究へ橋渡しをする研究   ウ.人事の活性化  ○若手研究者の人事交流の推進    ○任期付き雇用の活用   エ.官民共同研究における民間に対応した研究支援体制の整備   オ.地方衛生研究所等とのネットワーク化    ○研究拠点施設としてのネットワークの確立  以上、今までの当部会の御意見等を踏まえまして、部会長と御相談させていただきま して、事務局でまとめさせていただいた骨子案ということでございますが、未定稿とい うことで今日御提示申し上げているものでございます。  資料2-1でございますが、先ほど読み上げさせていただきました報告書の骨子案に基づ きまして、非常にラフなイメージではございますけれども、その報告書のエッセンスを まとめるとこういうポンチ絵になるのではないかということで事務局でまとめさせてい ただいたものでございまして、基本的な考え方があり、背景、それを踏まえて方向性が 決められ、それを支えるものとして下の方に推進方策であるとか、研究費、または試験 研究機関等がある。そういうような考えに基づきましてポンチ絵としてまとめさせてい ただいています。  以上でございます。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。今まで先生方に御議論いただいたところを、このような骨 子としてまとめさせていただきました。議論が十分尽くしていない点も多々あるかと思 います。例えば最後の国立試験研究機関の在り方についての部分がごくわずかなところ しか占めておりませんので、この項目に関しても今後議論を煮詰めていかなければいけ ないかと思います。基本的な考え方としては、先ほど事務局から説明がございましたよ うに、基本的な理念としては厚生省の研究費ですので国民の健康と生活の安全を守るた めに研究を進めていくと。その結果として、研究対象分野が極めて他省庁に比べると広 い範囲をカバーしていかなければならないという使命があるかと思います。そういう2 つの使命を個々の研究課題としてどういうふうにサポートしていくかということで骨子 案を提示した次第であります。是非先生方に御討論いただきたいということと、できれ ばこの報告書に基づいて、平成12年度の予算に反映できればというふうに思っておりま す。そうしますと、タイムスケジュールとしましては、平成11年の春ぐらいまでには報 告書は一応まとめて発表できる段階になるかと存じます。そういうことで、是非先生方 に御意見を賜れればと思います。よろしくお願いします。 ○山崎委員  全体を見て、特に最初の背景のところと2番目の使命と今後の方向性というところの 書き方の中で大事なことがまとめられているとは思うのですけれども、やはり21世紀の 一番の課題というのは経済だけではなくて、どの分野でもグローバリゼーションへの対 応ということではないかと思うのです。医学の領域も医療もそうですし、疾病そのもの の形というのがとにかくグローバリゼーション、グローバル化していくと。これに対し て、国際的な変化への対応とか、こういう言葉でしか話していないのが何となく弱いよ うな気がするのですけれども、もっとグローバルな視点から見るとか、そういうような 表現の方が最初のところはいいのではないか。特に基本的な考え方の中にそういう言葉 がほとんど入っていないのは少し弱いのではないかと。何と言えばいいか私すぐには思 いつかないのですけれども、感想です。 ○矢崎部会長  貴重な御意見ありがとうございます。情報化社会になっていますので、外国との距離 は勿論のこと、いろいろなシステムも国際的に共通化していかなければこれからやって いけないと思います。 ○眞崎委員  5ページの一番最初の(4)というところで、厚生科学研究を取り巻く云々とございます ね。要するにヒューマンサイエンスというのでしょうか、ヘルスサイエンスというので しょうか、概念を築き上げるためにいろいろな情報が必要であり、今まではそれに欠け ていたというふうに思うのですけれども、厚生科学だけでなくてほかの分野との接触と いうのは大事で、その中でヒューマンヘルスサイエンスというのはできてくるのではな いかと思うのですけれども、これを含めて具体的なお考えがあるかどうか。ほかの省庁 との関連とか、そういうことで何かありますでしょうか。 ○矢崎部会長  勿論それを視野に入れて骨子をつくったわけです。確かにそういう文言を、眞崎委員 の御意見が反映するように考えさせていただきます。先ほどの山崎委員のグローバリ ゼーションと眞崎委員のおっしゃられた他分野、他省庁との連携の重要さというものを もう少し明確に訴えられるように文言を加えさせていただきたいと思います。 ○杉田委員  背景のところで(1)のところでございますけれども、化学物質等による健康不安の増大 云々とございますが、化学的な要因にあること以外に心の健康ということがあると思う のです。したがって例えば、社会構造が今後複雑になるにつれてストレス、PTSDとか、 そういうストレスに対応する健康不安の増大と、化学物質、その後にそういう心の健康 に対するストレスという言葉を入れてはどうかなと思うのですけれども、いかがでしょ うか。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。十分その点を配慮させていただきたいと思います。 ○寺田委員  先ほどの話に関係するのですけれども、疾病に向かってそれを克服する、あるいは予 防するという科学は厚生省が指導を持つのだという気概で、他の省庁を指導して一緒に やっていくつもりでやって頂きたい。それをやるためにはどうしてもライフサイエンス とか、そういうものが必要であるのは当然ですから、そういうことを他省庁と連携して 行うという立場です。厚生省の厚生科学研究の1つの大きな柱は、福祉や年金というも のと同時に、疾病の克服というところにあるというふうに位置づけした方がいいのでは ないかという感じが少しします。それが1つです。  もう一つは、言葉でどうしても化学物質と言う場合に、やはり「環境中の」という キーワードを入れておいた方が今の世の中何事でもいいのではないかということ思いま す。  それから、このごろ少し下火になりましたけれども非常に大事な問題は、細菌・ウイ ルスです。感染症ということが言葉の中に全然出てこないので、万万が一それが抜けて は大変だと考えます。  もう一つのキーワードは、いわゆる実際の臨床では画像処理の技術が大きな役割をし ています。画像処理という言葉がないので、これは通産省だということで遠慮されてい るのかもしれませんが。大きな臨床現場のほとんどで役に立っている画像処理の医療機 器が多く、臨床の多くに役立っています。そういう言葉をどこかに1つ入れていただけ ればと思います。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。画像処理は恐らく先端医療技術開発の中に入ると思 いますので、そこに例として画像診断、画像処理の技術開発というものを入れさせてい ただきたいと思います。 ○山崎委員  今の発言に関連があるのですが、3ページ。これも言葉の表現の問題だと思いますが、 「今後、より推進すべき研究分野」と言うと、やはり脳神経かなとか、がんかなとか、 感染症かなということを普通は考えるのですが、内容を見るとそういう分け方と全然違 う。むしろ研究の戦略や戦術に関することの分け方になっていますね。ですから研究分 野でやって、特に例示でこういうふうに書かれてしまいますと、今、寺田委員がおっし ゃったような大事な医学で対象になっている研究分野の対象が抜けてしまうので、研究 分野という表現を変えるべきではないかと思います。何か別な言い方の方がいいと思い ます。 ○寺田委員  2ページの「今後の厚生科学研究の方向性」というところに5つ項目がありますが、 このうち実際に研究費をもらってやるというような研究は、次世代産業の動向と革新、 これだけで後は規格とか制度とか、余りにもそちらに重きになってしまっています。そ れは厚生科学の研究の方向性かというと、少しどうかなというような感じがします。し かもこれは次世代産業の動向とその後のつながりが分かりにくい。これは細かいことで すからいいですけれども、少し分かりにくいなという感じがしました。  基本的な考え方で基本理念とか、幅広い研究対象分野、ここは非常によく書かれてま す。しかし、2番目になった途端に制度論とか、そういうことが随分表に出てきて少し おかしいかなという感じがしました。 ○矢崎部会長  非常に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。 ○柴田委員  今の御意見に続いて、私の印象もそうなのです。山崎委員の御意見にもそのとおりだ と思うのです。やはり厚生科学で一番大事なことである病気、病気の中でも例えば感染 症の問題というのがこの中ではばさっと抜けてしまっているような感じがするわけです。 ですから、基本的考え方、基本理念のところはそのとおりだと思うのですけれども、そ れが方向性に行き、更により推進すべき分野というふうに進んでいくと、何かものすご く偏っているのではないかという気がしてなりません。もちろん環境ホルモンの問題と か、そういうものが当面の大事な研究であることは確かですけれども、それからヒトゲ ノムの問題にしても大事な研究課題であることはわかりますけれども、これらは厚生科 学だけではなく文部省などの科学研究費の中でも1つの焦点だろうと思うのです。  そういうことから考えると、厚生科学の一番中心のところには病気があり、医療があ り、医療という点で社会とのつながりがありという点に、中心があっていいのではない かと。他省庁とも関係するような基礎的な科学からずっとつながってくるような部分に ついて、触れることに別に反対は何もしないのですけれども、やや全体の印象が、少し 偏っているなという感じがするのです。もう少し医療、健康ということに中心を置いて いった方がいいと思うのです。  一方、生命倫理の問題は非常に大事だし、入ってきていいのですけれども、少し言葉 が散らかり過ぎているのかなという気がしないではないのです。例えば、一番最初の厚 生科学研究を取り巻く社会情勢の中に5つほど挙げられている中の3〜5番目というの はいずれもそういう問題だろうと思うのです。インフォームド・コンセントや期待と懸 念、社会的・倫理的・法的側面、あるいはクローニングの問題というような点がもう少 しまとまっている方がいいのではないかと。まとめると同時に、その辺の重要性をもう 少し示唆する方向性がほしいと思います。 後の研究推進方策で生命倫理の専門家をど う養成するか、確保するか。あるいは3のところでインフォームド・コンセントの研究 が出てきますけれども、この辺の部分でももう少しまとまった提言といういわゆる社会 に対してインパクトを与えるような提言を行うべき時なのではないかなという気がしま す。言葉はたくさん出てくるのですけれども、具体的にこういう方向に踏み出したのだ という感じがないのですね。感想ですけれども、とりあえずの意見です。 ○柳澤委員  私も今のお二人の御意見と同じような印象を持っていますが、ただ、3ページ目の 「今後、より推進すべき研究分野(例示)」というところには、かなり具体的にこれから の厚生科学研究の方向が一般の人たちというか我々も含めてですけれども、分かりやす い形で書かれているだろうと思うのです。むしろこれから先作業を進めていく上で、こ ちらの方を骨子として少し内容を膨らませていって、それで改めて使命と今後の方向性 というところの(2)の内容を整理される方が、やり方としてはもう少しすっきりとまとま るのかなというふうな印象があります。確かに2(2)は言葉だけとしては理解できるので すが、それでは現在の厚生科学研究補助金の全体の枠組みと比べてみると余りにも内容 が乖離し過ぎているというか、非常に広がってしまっているためにかえって焦点がはっ きりしないという、これはほかの方と私も同じ印象を持っていますので、少し3の方の ワーク・アップを進めてまとめていかれることをされると、かなりはっきりするかなと いうふうに思います。 ○矢崎部会長  大変な貴重な御意見をいだきまして、どうもありがとうございました。実は厚生科学 の在り方については平成7年度の厚生科学会議の「厚生科学研究−大いなる飛躍を目指 して−」というところにサイエンティフィックな部分が随分書かれておりまして、それ 以上にサイエンティフィックなものに関しての提言を屋上屋を重ねるようなことになる かもしれないということで、そこで余り触れられていないこと、あるいは社会的なニー ズの変化によりまして、これからの厚生科学研究をどういうふうに持っていくかという 1つの方向性としてこういう医療のシステム、医療構造に関してもう少し従来型ではな くて新しいシステムをつくる方に厚生科学としてもやはり踏み入れるべきだということ で、少しそこに力が入り過ぎて先生方にそういう御印象を与えたと思うのです。確かに 21世紀の医療、疾患を目指した厚生科学研究の推進というのは当然基本的に考えている ところでありますけれども、確かに項目立てを今の御指摘に従っていますと、いろいろ 重なりがあって、研究の方向性とか、より推進すべき研究とか、大きな項目がどうして も内容的にも一部重なってしまうような項目立てになっておりますので、その辺も少し 整理しないと、さっき柴田委員から御指摘のあちこちに同じような言葉が出てきてしま うということになって、1つにまとめて踏み込んだ提言ができるような、報告書にはそ ういう形で是非とも持っていきたいというふうに考えています。 ○山崎委員  後でもう少しよく読んでできるだけ早いうちにいろいろお願いいたしますけれども、 細かいことで例えば4ページの研究資源のところで非常に大事なことが抜けているのは、 ヒト由来ということしか書いていないですが、やはり動物由来のものがなくては医学の 研究ができませんので。それから病原体という言葉も抜けていると思います。病原体の 収集・保存・提供というようなことを是非入れていただきたいということ。  それから6ページのことで、先ほど部会長が既に御説明にはなりましたけれども、私 も国立試験研究機関等の在り方と言ったときに一番大事なのは組織の在り方であって、 今立法の問題が議論されておりますけれども、この審議会でも何度か日本にはNIHや、FDA やCDCがきちんとしたものがないではないかという議論は、多くの先生方は何人かおっし ゃったことであります。ですから例えば、アメリカのNIHのような総合的な医学研究所の 組織の構築を目指して何かすべきだというようなことの提言が当然最終的に入ってくる のかなと思っていたのですが、余りにも大きなことなので抜いてあるのか何かしりませ んが、やはり将来の組織のことに触れるべきではないかなというふうに思いますが、こ れはむしろ厚生省側のお考えを聞きたいところです。 ○高原厚生科学課長  事実山崎委員のおっしゃるように国立試験研究機関が、個々のものはさることとして 全体としてどういう機能を果たすのだという話が実は、議論にも出なかったということ もありますが、事務局としても書いていないのは御承知のように、現在国立試験研究機 関については大変流動的な時期に政治的に、ないしは政策的にございまして、タイムス ケジュールから言うと来年の春ということを考えれば、それまでに議論いただきまして その結果を入れていくということで、逆に言えばどうすればよろしいのでしょうねとい うことでお知恵をいただきたいというふうに思っております。  今、部会長から言っていただきましたが、自然科学的ないしは医療的なことは相当7 年の報告書に書き込んでありまして、7年の報告書が数行引用しているだけでございま すので重複感がないわけでございますけれども、これは重ねますと、相当重複するよう なものが特に個別疾病については出るわけでございまして、そこら辺のところを私ども も少し工夫しまして、できるだけ新しい切り口というふうなものを、例えば疾病対策に ついても御示唆いただければありがたいと思っております。  例えば、2ページの「次世代産業の動向と革新的ヘルスケアの開発を射程に入れたラ イフサイエンス」という謎のような文章になっているわけですが、ここの中身に何とか のような例示とすればこういうふうなものがあるではないか、こういうふうなものに力 を入れるべきではないかというふうな具体的なコンセプトというより、具体的な方向性 を御示唆いただければ、この内容がもう少し表面的なものにならないで済むのかなと思 っておりますのでよろしく御議論のほどお願いいたします。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。確かに次世代の動向と、ここに全部入ってしまって いるのですね。要するに厚生科学に基づいた先端医療技術開発、その他もろもろのヘル スケアも含めたものがここの1行に入ってしまっているので、そういう意味で厚生科学 としてのポイントが少し外れているのではないかという御指摘がそこにあるのではない かと思います。  これに関しては平成7年度厚生科学会議の報告書に随分細かく述べられておりまして この3年の間に物すごく大きな転換がそこにあったとはなかなか難しいところがありま して、それを基にして(3)にあります状況を踏まえてこのエッセンスを次世代の産業の動 向を射程に入れたというところに、その中から新しい切り口からの項目をそこに述べる ということになるのではないかと思います。 ○柳澤委員  先ほど山崎委員のおっしゃった、最後の国立試験研究機関等の在り方についてという ことですけれども、実は、多分ここではなくて別の全体としての政府の機関で検討され ていると思いますけれども、日本学術会議で、私は学術会議に出ておりますけれども、 研究機関の組織化のことを大分検討しておりまして、そこではNIHであるとか、ドイツの マックスプランク研究所のような形で、大型の組織をつくるという方向が提示されてお ります。少なくとも自然科学に関する研究機関としてそういったものをつくる、あるい は厚生省の場合医学及びその関連領域ということでもいいと思いますけれども、組織と しては大型化するというのは恐らく将来の方向として我が国としてはとるべきではない かと考えます。少なくとも今、具体的な方向性について検討できるだけの材料がないと しても、将来のイメージとして、そういった研究機関の大型化について研究する必要が あるということは是非ここで記載しておいていただいた方がいいのではないかと思いま すが、いかがでしょうか。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございます。 ○柴田委員  先ほど意見をバラバラに言ってしまいましたが、平成7年からそんなに大きな変化は ない中で新しい方針を立て直すからには、やはり目玉が欲しいと思うのです。社会に訴 える目玉として、国民が病気や、医療や、健康にかかわることについての関心はこの3 年で非常に高まったと思うのです。その関心にある程度応えることで、純粋な自然科学 的な研究の必要性に応える部分があってもいいとは思うのですけれども、やはりもう少 し大きな意味で、医療に対する不信を無くすこと、医療についてもっと信頼感を高める ということが日本にとって今一番大事な部分だと思います。そこのところに科学に基づ いた医療いわゆるEBMの大事さがあると思うのです。  EBMはこの前の宿題でいい言葉がないかと私自身もずっと考えてきているのですけれど も、なかなかいい言葉が見つからないのです。けれども、この際是非短い言葉をつくっ て、それを目指して、例えばインフォームド・コンセントもEBMも、それからクローニン グを始めとする生命倫理の問題も、今、先端医療の方でやっている生殖補助医療とか、 出生前診断の問題とか、そういうような当面いろいろ起こっている問題に対して、わか り易い言葉で目標を示して、その医療を目指して自然科学だけではない分野まで含むよ うな一大研究を巻き起こすというような形の提言がなされないものかなと思うのです。  いい言葉が見つからなくて、例えばですけれども、「わかる医療」というのはどうで しょう。インフォームド・コンセントまで全部含めるような新しい医療を、「誰にもわ かる医療」とくくってみる。そんなようなある言葉をつくって、それに向かって医学教 育、医師養成の教育の仕方まで踏み込むような研究がなされていくべきだろうと思うの です。そのあたりは厚生科学研究に対する国民の期待が一番あると思うのです。言うな らば、医療のソフトの部分にかなり具体的に踏み込んだ提言を是非したいなというのが 1点。  もう一つは、先ほど国立試験研究機関についてのお話が出ましたけれども、これもや はり一番議論が活発だったのが国立試験研究機関の組織の在り方論だったと思うので、 NIHを目指すならその言葉を使うかどうかはともかく、そういうような具体的な形で研究 機関の在り方を提言する、そんな目玉をつくっていけたらいいのではないかと思います。 そんな大きな目玉が2つできれば、多少は社会にインパクトを与えられる提言になるの ではないかなという気がしています。欲張り過ぎるかもしれませんけれども、せっかく やるからにはという気がするものですから。 ○矢崎部会長  貴重な御意見ありがとうございました。 ○眞崎委員  今の柴田委員のことに少し関連して、生命倫理の問題に少し触れられたと思うのです けれども、生命倫理の問題というのは非常に大事なのです。しかし、脳死の問題でもい ろいろ問題になりましたように、非常に背景がばらばらで、意見がばらばらで、今まで 実際に4ページの一番最後に書いてありますけれども、ガイドラインをつくるまでに至 っていないと思うのです。厚生省がここに書いてあるように、生命倫理の問題のガイド ラインを、統一的なものをつくられるのかどうかという問題をお聞きしたいと思うので す。多分これはそれぞれの研究機関、医療関係機関、基金の問題であって、共通のガイ ドラインをつくるというのは非常に難しいと思うのです。その辺も今そういう時期であ るのかどうかという御意見があったら教えてほしいのです。 ○高原厚生科学課長  1つは、今ガイドラインができるのかということにつきましては、道が遠いなという のは私もそのように思っております。1つは、生命倫理の専門家、倫理学者の先生方が 非常に多いわけですが、バイオエシックスを専門に勉強された、ないしはそういうふう な業績がある方というと、特に、地方の大学の先生、医学部の先生にお伺いすると、確 保に非常に困難を来していると。欧米ではエシストといいますか、生命倫理の専門家が 各病院に複数いて、倫理委員会をやろうとすると、そこに受けるさまざまな考え方とい うより、主要な考え方を代表するような倫理学者が出てきて、病院の、ないしは研究者 のアドバイスに当たる。そうすると、人の問題なのかなと。医療の中身も御存じないで そういうことを言うと大変失礼なのですが、倫理学だけで御発言なされても少し浮いて しまうなと。そうするとやはり欧米並みに医療のこともそれなりに分かっていただいて 倫理学の素養があるというふうな方が増えていただけるといいなということで、まず研 究資源というところに入れる。人を資源に入れるというのはいささか失礼かもわかりま せんが、やはり生命倫理の専門家というのは養成確保が必要な研究のバックグラウンド ではなかろうかというふうなことを背景にしまして、勿論日本でも生命倫理学会という ものがございますが、そういうことを背景にした上で後ろの方のガイドラインマニュア ルというふうな話に行くのだろうと思います。3の(2)のガイドラインマニュアルはむし ろ方法論的な、日本でも既に御承知のように施行されておりますGCPでございますね。例 えば、薬でございますとグッド・クリニカル・プラクティスというふうな形で行われて いる。そういうふうなものも含めまして、やはりガイドラインマニュアルというふうな ことになろうかと思います。  それから、先ほど山崎委員に抜けているではないかというふうな御指摘を受けました が、動物実験に関しましても、現在の国際的な論調は相当倫理的な検討を、動物実験の 場合やるということを要請されております。そういうふうなことについては、人間なら まだしも動物をどういうふうな目的で、どういうふうにやればそれは倫理的にアクセプ タブルなのかというふうな御相談申し上げるような、そういった生命倫理の専門家も日 本では少ないのではないかなと。そういうふうな思いでございます。  したがいまして、人、それから先生おっしゃったような各機関や病院にその人たちが 張り付くといいますか、そこでお仕事をなさる。それが一方においては日本のガイドラ インに成長していくというふうなことがあろうかと思います。しかしながら、下の方の ガイドラインマニュアルはもう少し即物的な、倫理的なというふうなものも勿論ありま すが、いわゆるグッド・クリニカル・プラクティスを延長したようなものではなかろう かなというふうに私は考えております。 ○柴田委員  私はつくった方がいいと思うのです。ものすごく難しいでしょうけれどもガイドライ ンみたいなものはつくった方がいいと思うのです。単純にクローン人間をつくるなとい うような形のガイドラインを想像すると、そういうことで全部の研究を律するようなも のができるか、という議論になると思うのですけれども、1つは研究を始める手続とい う問題があると思うのです。これも立派なガイドラインだと思うのです。  例えば、80年代の初めに倫理委員会というものが各医療機関にできるようになった。 あの時のいきさつを私は知っているのですが、最初の倫理委員会を徳島大学がつくった ときに、研究者の間からそういうことに対して強い反対があったわけです。特に大学の 研究者の間では、これは大学の自治、研究の自由を束縛するものではないかというよう な声が出たわけです。  ところが、その後の経過でおわかりのとおり、そうではないと、やはり先端医療とい うものを、特にヒトに対して直接先端医療技術を実施していくのに当事者だけでやって はいけない。やはり第三者の目がそこに注がれている必要がある、ということが1つの ガイドラインとして生まれてきたと思うのです。それがその後日本中に広がってきて、 立派なガイドラインになったと思うのです。  ところが、この間長野県で第三者の卵子を使った体外受精というものが行われるとき に、そこには誰一人、第三者の目は注がれていなかったわけですよね。日本産科婦人科 学会の会則がいいか悪いかということではなくて、会告の外へ踏み出そうというときに 全く第三者の目が注がれないというような状況が日本の中に現に生まれてきているわけ です。だからそういう点からいっても、ガイドラインというのはきちっとつくっていか ないといけない。早急につくるべき時期に来ていると思うのです。  そういうことと、今、課長が言われた、私も生命倫理の専門家を、この言葉があった ので養成というのは大事だと思うので、医師を育てる医学教育の中にも倫理の課程をも っと入れていかなければいけないと同時に、そういうことを考える人たちというのは決 して医師である必要はないと思いますけれども、社会の中でどういうふうに増やして、 また、そういう人たちがどういうふうに具体的な医療にかかわっていけるのかという、 恐らく遺伝子治療などの問題がどんどん起こってくる中で、やはり第三者の目のような ものの大切さというのはますます増えてくるし、それが今の一番大きな特徴、今の時期 に指針をつくる大きな意味のあるところなのではないかというふうに私は考えておりま す。 ○寺尾委員  話題を変えてよろしいでしょうか。2ページ2の「厚生科学研究の使命と今後の方向 性」というところなのですけれども、厚生科学研究の究極の目的というのは、疾病や健 康危害の予測とそれの防止というのが一番のあれではないかなという気がするのですけ れども、全体を見ますと、何か起きたときにその原因を究明して、いかに再発を防止す るかというような書き方が中心のような気がするのですけれども、実際には起きないよ うにするということが非常に基本的な考えとしては重要ではないかなという気がします けれども、もしかしたら基本理念の2つ目のポツのところがそれを指しているのかもし れませんけれども、少し分かりにくいので、もしそういう書き方ができればよろしいの ではないかと思います。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。前回の議論でもやはり疾病の克服、予防という言葉 をはっきり明示すべきだという御意見をいただいて、それをどういうふうに文章として するかということで、もう少し検討させていただきたいと思います。 ○寺田委員  全体として1つのキャッチフレーズが必要であるというのは大変賛成で、いいキャッ チフレーズがあれば大変いいと思っています。非常に小さな話で申し訳ないのですけれ ども、骨子案のところに一応厚生科学研究費という丸が4つ付いていまして、研究費の ことが書いてあります。ちょっとここで現実に非常に困った問題になっているのが、 リースの問題なのです。  厚生科学研究費で器具を買う場合にはリースにしろと今年からなったのです。50万円 以上のものをリースにしろと言いますと、とてもではないけれども、例えば1千万円の ものを買うのに3年間のリースにすると、即買った方がずっと安くつくわけです。しか も、企業に聞きますとそれはできないというのです。証拠として、「リースは出来ませ ん」という文章を貰って提出しました。どうしてもとおっしゃるのだったら目をつぶっ てリースをやりますけれどもという所もありました。これは毎年、毎年の予算にもかか わらず、それが3年間保証するというような形のリースは理念的にもおかしいし、国民 からもらった税金をより有効に使うという観点からもおかしいと思います。何かこれを 是非厚生科学研究費の問題としてお考え願いたいと思います。これは厚生科学審議会で お答えできないかもわかりませんけれども、研究企画部会でそういうことを発言した人 間がいたということで、厚生科学課が会計課と御相談してお願いしたいと思います。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。今までは大型の機器はリースでした方がいいのでは ないかということですけれども、今のお話を聞きますと、少しそういうものとは違う。 ○寺田委員  具体的に言いますと、例えばある機械を買うのに普通ならそのまま買えば950万円で買 えるのが、3年契約でたとえその会議が了承したと言われても1,300万円ぐらい掛かるわ けです。しかも3年間リースにするということは、あなたは3年間研究費をもらえますよ ということなのです。ところが予算は1年の予算です。そうしたら評価を毎年やる必要 がないということになる。実際、がん克服戦略研究では評価の結果、研究を代わって貰 う人がいますから、そういう人達はどうするのだということがよくわからないのです。 他の文部省の科学研究費、科学技術庁の振興調整費、これは買うということになってい るのです。どうして厚生省だけが突然リースにするように言われるのかわかりません。 それは勿論機器が場所を取って困るとか、新しい機器が入るからいいという面もあるよ うに見えます。しかし、現実に1年しか予算がこないのに3年間のリースをするのは大き な問題があると思います。今年から急に出たものですからね。補助金というのは個人に 行くのだから、今までのものがおかしかったのだという説明も聞きます。そうすると今 まで十何年にわたってやっていたことが法律違反であれば法律違反だった、申し訳なか ったというふうに文書で言っていただかないと、急にくるくるっと変わるのは非常にお かしいと思っているのです。 ○高原厚生科学課長  結局、寺田委員が今おっしゃいましたように、科学研究費では認められているのです が、科学研究費同様個人の研究者に対する補助金であるという性格と、備品を購入した 場合、その備品ではないわけですが、個人の所有物品になるわけですが、それが研究期 間が終わった後に当該研究機関等々で当然ずっと置かれますね、使用されますね。それ 自身は悪いことではないわけですが、やはり管理上の問題があるのではないかというこ とでリースに今年からお願いするというふうな説明を私も聞いたところでありますが、 確かにリースにした場合、単年度予算なのに何でリースなのだという話とか、その他の 医療機器については病院等の備品は逆にリース化が認められていなくて苦労していたり して、少し整合性がとれるのかとれないのか勉強させていただきます。 ○寺田委員  できるだけ柔軟にお願いいたします。寄付行為をすれば良いのではないでしょうか。 地方の病院などで遠心分離器1つ買った、それは他でずっと使いたいと思うのです。国 立がんセンターのように割合いろいろなところでサポートしていただいているところは それほどと思いませんが、それでも無駄遣いの気がします。そういう問題がありますの で、是非一度御考慮のほどお願いいたします。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。それは最後のページの柔軟な運用と手続の迅速化に は少し反することかもしれませんので、できるだけ柔軟な対応にできるように検討をお 願いしていきたいと思います。  それと2番目の、柴田委員からのインパクト与える項目として、1つは医療のソフト 面の方から医療の不信を払拭するような仕組みといいますか、そういうシステムを整備 するということと、もう一つは、山崎委員からも言われた研究所の在り方といいますか 大型の総合的医学研究所の設立のようなものを提言というお話なのですけれども、少し お伺いしたいのは、恐らく今の状況では、新たに総合的医学研究所をどこかにどんと大 きくつくるべきだという方向で提言するのか、あるいは幾つかの、今ある国立試験研究 所を統廃合して1つの大きな共通運営といいますか、そういうことに持っていくかとい うことになるかと思います。新たに大型の研究機関をここで提言すると、何となく身内 で身内の主張をしているようなものですので少しなじまないかなというふうな思いがし ます。ですから、恐らく組織の在り方というのは、それぞれが研究拠点施設として、戦 略的な研究をお互いに省庁間の連携と同じように国立試験研究所が連携を深めて、外目 からは1つの大きな研究機関になったというような印象を与えるようなことになる可能 性が大きいのではないかと思います。 ○柳澤委員  勿論これは全体としても我が国の方向が地方分権とか、地方の時代と言われています ので、改めて1つのところに大型のものを作るということは時代に逆行するものだとも いえます。ですから、どちらかというとマックスプランク研究所みたいに組織として1 つにはなっても、研究所はそれぞれのところで従来のものがあるべきだろうというふう に考えます。  さっきの生命倫理の問題で少しよろしゅうございますか。生命倫理と先端医療のガイ ドラインのことで御議論ございましたし、私は1つこれからの提言の中に是非入れた方 がいいのではないかと思いますのは、結局脳死体からの臓器移植にしても体外受精の問 題にしても、我が国で勿論ガイドラインが必要だということはそのとおりだろうと思う のですが、一番今、求められるのは受益者の側の自己決定権というのが、結局自己決定 をするための情報をきちんと得て、そして自己決定をするという習慣がなかなか欧米に 比べて育っていないということが非常に大きな問題で、それが医療に対するいろいろな 不信の基になっているということがあると思います。  そういう状況で、明瞭にする必要があるのは、受益者が自分で選択する、いわゆる自 己決定権を尊重するためのインフォームド・コンセントとか、Evidence Based Medici neであるのだということで、これからの厚生科学研究の方向というのは、国民一人一人 が自分たちの健康なり、医療のためにどういうふうな自己決定をできるかというための データを出して、そして全体として国の健康を推進するためのさまざまな施策なり研究 を進めていくものである。是非考え方の中で、そういった自己決定権に基づいた選択の ためのデータを出すのだということを入れることが必要ではないかと思います。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。先ほどの生命倫理で手続の問題でも、現状では遺伝 子診断して、その後の対応、医療を行う人が同一の人で、そこに第三者の目が入らない 問題とか、あるいは受益者の自己決定権といってもまだ社会的な状況が整っていないと きに、受益者のみに決定権を委ねるということもなかなか難しい問題があって、周辺の データをしっかり集めようというのがここの骨子案の趣旨だったのです。それが少し大 きくインフォームド・コンセントとか、患者さんの自己決定権を育成するような方向の 科学的、実証的なデータをそろえると。それでなければ、とても一歩進めないので、そ ういうことを少し強調したのです。それが生命倫理の問題になかなか文言として直結し なかったので少し議論を呼んだのではないかと思いますので、もう少し最終的なタージ ェットが明らかになるようにもう一度骨子案を工夫させていただきまして、また事務局 と相談しまして、また不完全であるかもしれませんけれども、次回の当部会に提出させ ていただいて御議論をお願いできればというふうに思っております。  時間の前でございますけれども、今日の御議論はこれまでにしていただいて、今、申 し上げましたように、もう少しターゲットが絞れるようなものに少しブラッシュアップ して、また先生方に御意見を伺えればというふうに思っております。課長から何かあり ますか。 ○高原厚生科学課長  特にございません。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。それでは、事務局から御連絡をお願いします。 ○事務局  次回以降の部会の開催日程につきましては、別途委員の皆様方と調整をさせていただ きたいと思います。それに伴いまして、日程をお伺いするための文書をお手元にお配り しておりますので、御記入、返送方よろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  それでは、本日御熱心な御議論いただきまして、ありがとうございました。次回も是 非御参加いただいて、活発な御意見を賜れればと思います。これをもちまして、閉会と いたします。 <以上> 問い合わせ先 厚生省大臣官房厚生科学課 担 当 岡本(内線3806) 電 話 (代表)03-3503-1711 (直通)03-3595-2171