98/11/09 公衆衛生審議会総合部会議事録 公衆衛生審議会 総合部会 議題 1.「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」について        2.公衆衛生審議会に設置する部会の再編成について        3.その他 日時:平成10年11月9日(月)15:00〜16:30 場所:九段会館(鳳凰の間) 高久部会長  時間になりましたので、公衆衛生審議会総合部会をいまから開始させていただき ます。 初めにご報告いたしますが、総合部会委員22名の中、本日は16名の方が御出席になる予 定です。先ほどおられて、いまいらっしゃらない方がおられますが、いずれ来られると 思いますので、いまから始めさせていただきます。なお、この部会は公開となっており ますので、その点もご了承お願いしたいと思います。  本日の議題は2つでありまして、まず第1は「地域保健対策の推進に関する基本的な 指針」についてであります。2番目の議題が、公衆衛生審議会が設置する部会の再編成 についてであります。  まず第1の議題であります「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」の見直しに ついてご審議いただきたいと思います。この基本指針につきましては、平成6年11月1 日に厚生大臣の諮問を受けて当日に答申を行い、平成6年12月1日に厚生省告示第374号 として告知されております。告示後これまでの間、地域保健をめぐる社会状況の変化に は著しいものがあることは、皆さんご存じのとおりでして、この平成6年の基本方針を 見直す必要が生まれてきております。  それでは、まず事務局のほうから、基本方針の見直しが必要となっている背景、それ から見直しを検討すべき事項について説明をよろしくお願いいたします。 岩尾課長  それではご説明させていただきます。まず資料の確認をお願いしたいと思います。 「公衆衛生審議会(総合部会)会議次第」となっておりまして、議題は今日が2つに 「その他」。それから資料一覧ということで、資料1〜10、それに参考資料が1つ付い ております。お手元になければ事務局のほうにお申し出願います。  それでは、まず最初の議題の「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」について ということで、資料で使いますのは1番から9番までの資料がございますが、順番にご 説明をさせていただきます。  まず資料1として、実は今日委員の先生方にお願いしたいということが、そこに書か れております。これは案ということで。「保健所政令市の人口(指定) 要件について」。 2つ目に「健康危機管理における保健所及び地方衛生研究所の位置づけの明確化並びに 機能強化について」。それから「介護保険制度導入を踏まえた保健所及び市町村保健セ ンター等の役割について」。それから「その他」ということで並べております。  まず、こういうものを議論するにあたって、資料2をご覧いただきたいんですが。地 域保健法の抜粋を資料2に掲げてございます。その第4条に地域保健対策の推進に関す る基本指針についての規定がございます。この条文では、第1項で、厚生大臣は地域保 健対策の推進に関する基本的な指針を定めなければならないものとされている。現行の 基本指針については資料3としてお配りしているが、部会長のお話にもありましたよう に平成6年12月1日に厚生省告示第374号として出しております。  また、同条の第3項は、厚生大臣は基本指針を定め、またこれを変更しようとすると きは公衆衛生審議会の意見を聞かなければならないということになっておりまして、今 日実際に開いているわけでございますが、あとから申し上げますように基本指針告示後 これは平成6年でございますので4年が経過し5年目に入ろうとしておりますが、その 変更を生じなければならない部分が出ております。こういう基本指針の見直しに関しま して、今後の手順についてご議論いただきたいということを考えております。  基本指針が資料3にございます。告示の第374号がずっと書いてございますが。第1、 地域保健対策の推進の基本的な方向の中に、1、生活者個人の視点の重視ですとか、2 住民の多様なニーズに対応したきめ細かなサービスですとか、さまざまなことが出てお ります。この指針の中で、ページ数で見てみましても8ページに渡るわけで、非常に多 岐に渡っておるんですが、現時点において先ほどの資料1にありますようなところを考 えていきたいと思っているわけでございます。  もう一度資料1をご覧になっていただきたいんですが。保健所政令市の指定要件とい うことについてでございます。地域に保健所というのがございますが、地域保健法の第 5条1項に規定されておりますように、保健所というのは指定都市、中核市、その他政 令市が設置するということになっております。また、これらの政令市については、基本 指針の第2、資料3の2ページでございますが、地域保健法第5条1項に規定されてお りますように、第2、市町村保健センター及び保健所の整備及び運営に関する基本的事 項の1が市町村保健センターで、2というところを見ていただきたいんですが。3ペー ジの真ん中にございますが、保健所として2、保健所の(2)。4ページでございます が、(2)政令市及び特別区の設置する保健所の項に人口要件が示されております。そ この(3)に「保健所の設置及び運営を円滑に遂行できる人口規模を備えた市が保健 サービスを一元的に実施することは望ましいことから、人口30万以上の市は、政令市へ の移行を検討すること」。それから(4)、「人口30万人未満の現行の政令市は、引き 続きその業務の一層の推進を図ること」と記されております。これは地域保健法の制定 時に、いま開いております総合部会のもとに置かれました地域保健基本問題研究会とい う、言ってみれば専門委員会でございますが、そこの報告、これは資料5を見ていただ きたいんですが。資料5に4の「今後の改善(改革)方策」の「『中核市』が」という ところがあるかと思いますが。「『中核市』が保健所を設置することとされている」と いうのを勘案して、中核市が人口30万だということもあって、この人口要件を踏まえて 記されているということでございます。  そういう経緯で実は人口30万というのができておるんですが、もう一方、資料4を見 ていただきたいんですが。今年の5月29日に閣議決定いたしました地方分権推進計画と いうのがございます。地方分権のすすめということでございますが。この中に中核市の 要件の見直しということが示唆されておりまして、第6の2の(1)に「昼夜間人口比 率等中核市となる要件を見直すとともに、一定の人口規模等(20万以上など)を有する 市を当該市からの申し出に基づき指定することにより、権限をまとめて委譲するための 所要の法制上の措置を講じる」ということがありまして。これは国の行財政改革の中で 地方分権推進というのが言われておりまして、来年の通常国会に出すということになっ ております。  こういう地方自治法の改正ということは、現在自治省のほうで鋭意検討が進められて いると聞いておりますが、自治省のほうでは中核市の人口要件に踏み込んだ改正を考え ているのかどうかということは、現在のところ明らかではございません。けれども仮に 例えば30万人から20万人といったように人口要件が緩和された場合に、中核市は保健所 を持つ政令市であるということになっておりますので、先ほど示された基本指針の記載 というものもそれに合わせて直さなければいけないのかなということが1つござい ます。  さらにこうした議論を越えて、保健所政令市の指定要件として、保健所の設置主体た る市にどのような要件が必要なのかという、そもそも論というものも検討する必要があ るのではないか。これは特に政令市のうちの指定都市、大都市でございますが、12大都 市、13大都市と言われているところですが、現行の基本指針には保健所について「従来 おおむね行政区単位に設置されているということを配慮しながら、都道府県の設置する 保健所との均衡及び政令市の人口要件を勘案して、地域特性を踏まえつつ設置すること が望ましい」というのが先ほどの基本指針に書いてあるんですが。  そういたしますと、資料7というのを見ていただきたいんですが。現在、保健所がこ れだけございます。平成8年、9年、10年と、それぞれ当初合計で一番右端に845という のが706、663と年々減っておるんですが、これは広域的、専門的な業務を保健所にやっ ていただくということで、地域保健法の改正にともなって集約されてきた結果と思いま すが。その中でも集約が激しいといいますか、そういうものがよく見ますと真ん中の欄 の一番上にございます指定都市(12)と書いてあるところで、平成8年に122個あったも のが平成9年に101カ所、平成10年に93カ所というように減っているのがおわかりかと思 います。例えば北九州、それから広島、札幌などは、平成8年から9年に各区ごとに1 つあったのが1個に減っているということがございまして。神戸などでは平成9年から 10年に変わるときに、9つあったのを1つにしているという、こういう流れがございま す。これがいま言いました、保健所の基本指針の都道府県の特性といいますか、行政区 単位に設置するというような話を受けてのことだと思いますが。こういう指定都市の現 状を見ましても、全市に1つ保健所があるというところと、1区に1つ保健所があると いうようなところに二分されているものがございます。  こういう現状というのは、先ほどの基本指針の考え方、中核市が人口が減ってくると いう中で保健所を設置するに足る市なんだという位置づけの考え方と、こういう大都市 においては1つにまとめていくような流れがある。とすると、どうもいったい基本指針 の考え方をどう考えていくのかというものがあるわけです。  指定都市の、この大都市の方々のお話を伺いますと、各行政区を平等に扱わなければ ならないから、まとめるのだったらどうしても1つになってしまうというようなことで ありまして。1つに置くか全区に置くかというような2つの型を選択せざるをえないと いう話をお伺いしております。もちろん、保健所の設置は、それぞれの市議会等で設置 条例等の改正を経て決められていると思いますので、こういう現状を踏まえますと、い ったい基本指針というものを今後どのように見直すべきなんだろうかということを考え ていかなければならないと理解をしております。  ちなみに、飛ばしました資料6というのがございますが。先ほどの中核市のことも踏 まえまして、現在日本の市の人口順位を見ますと、100万以上の都市、それから50万以上 30万以上とございますが、○印を指定都市、△が中核市、それから◇が保健所政令市と いわれているところでございます。ちなみに△の中に○の付いているのは、平成11年4 月に中核市に移行するということで現在作業を進めているところでございまして、いわ き、長野、豊橋、高松というところでございます。  これが基本指針で検討していただきたいという、保健所政令市の人口要件の問題でご ざいます。  それから、次が資料8でございますが、健康危機管理における保健所及び地方衛生研 究所の位置づけという問題意識でございます。平成6年に保健所法を地域保健法に改正 いたしましたが、これは主として身近で頻度の高い保健サービスの主体というものを市 町村に移行いたしまして、福祉施策との連携を充実させるということが目的でございま した。それとともに保健所の所管区域を広域化して、先ほど申し上げましたが、より専 門的、技術的な拠点として機能を強化するということを考えておったわけで ございます。 これが少子高齢社会に対する地域住民への対人保健サービスの充実強化であるという認 識でございました。  しかしその後、皆様ご存じのように平成7年に阪神・淡路の大震災、それから地下鉄 サリン事件、平成8年には腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒、そして今年の7月 には和歌山のカレー毒物混入事件など、地域住民の生命に直接危害を及ぼすような災害 事件というものが発生し、我々はこれを健康危機という認識をしているわけでございま すが、こういうものが頻発するようになったという経緯がございます。  地域住民の健康をあずかる保健所、あるいは地方衛生研究所においても、こうした健 康危機に緊急に適切かつ迅速に対処することが求められております。こういう健康危機 管理の観点から、和歌山カレー毒物混入事件の発生後、去る9月7日に開催されました 健康危機管理対策に関する都道府県等担当課長会議において、席上配布された資料が8 でございまして。資料8の2に、「都道府県等における健康危機管理対策の整備につい て」ということが述べられております。開催の趣旨は1にございますが。2のところを 読ませていただきますと、「地域における健康危機に対する体制を確保するためには、 都道府県等における健康危機管理体制を整備することが重要である。このため、厚生省 の健康危機管理体制を参考としつつ、あわせて次の点に留意しながら、健康危機管理体 制の整備について当該地方公共団体部内で検討されたい」と。1として「部局横断的な 総合的な取組みの重要性」、2「調整機関及び関係部局の対応事項の明確化」、3「幅 広い情報の迅速な提供」、4「関係部局間の情報の共有化」、5「当面の対応の確定と フォローアップ」、6「関係機関との連携」、7「都道府県及び市町村間の連携」とい うことが書かれております。  こういう中で、特に今年の和歌山の事件が一番記憶に新しいところですけれども、現 地に隣におります局長、それから私、その他関係者が行きまして、やはり現地の実状を 見る限りにおいては、もちろん市の対策本部ができましたけれども、保健所ですとか衛 生研究所というものの置かれている、係る事件に対しての対応というのが非常に重要な のではないかと思っております。そういうものをいわゆる従来の保健・福祉の連携とい う、その保健所機能の他に、地域保健という大きな枠組みの中で保健所、あるいは地方 衛生研究所というものの位置づけをこの基本指針に出していくべきではないかというよ うなことを考えた次第でございまして、こういうこともご議論いただければというわけ でございます。  以上が資料8に基づいてのご説明でございます。  それから資料9でございますが。介護保健法に関連しまして、この介護保険制度を踏 まえた保健所、市町村保健センター等の役割でございます。1つはご報告でございます が、介護保険関連3法が昨年の12月に成立いたしております。平成12年の4月から全面 施行ということになりまして、介護保健法施行法第58条において、資料9にございます ような地域保健法の第5条の第2項というのが改正されております。  他法に伴う改正ということで改正されているわけでございますが。基本指針には改正 前の記述がされておりますので、法律が変わったということで、中身を変えなくても法 律の改正に伴う形式的な指針の改正というのは、少なくとも介護保健法の施行される平 成12年の4月までにはしておかないと、ちょっとまずいのではないかということでござ います。  基本指針の中で該当する部分は、もう一度基本指針を見ていただきますと、第2、市 町村保健センター及び保健所の整備・運営に関する事項というのがございますが、この 3ページの2の1の(1)の(1)の該当部分。文章でいいますと、上から読んでいき ますと3行目から「または老人保健福祉圏(老人福祉法)」云々、云々と書いていると ころ、それから老人保健法に指定する区域というのが区域指定のところでございますが それぞれこれが介護保険導入に伴って書き換えられますので、そこの部分を変えなけれ ばいけないと思っております。  それから、これは他法における改正で物理的に変えなければならないところでござい ますが、この他、委員の先生方に十分ご検討いただきたいものとして、実質的に市町村 に介護保険制度が導入されますと、保健所や市町村保健センターというところの役割も 含めて、私どもの地域保健法に基づく地域保健施策のあり方、あるいは今後どうしてい くかという、福祉との連携という問題がありますので、そういう観点から一度介護保険 制度が始まる前に地域保健法の中でこの地域保健指針というものも考えていったほうが いいのではないかということがございます。  そこで、こういう見直しを考慮すべきことの案として資料1に示したように、いまの 3つを述べさせていただきました。その他に保健所におけます例えば人材確保ですとか それから人材養成のあり方の問題ですとか、保健所の機能強化をどうするかとか、いろ いろと我々としても今後の保健所問題を考えていくことも、その他として議論ができれ ばと思っておりますが、一応資料1に掲げております3つの事項については、要するに お尻が切られておるといいますか、早急に一定の方向性を得る必要があると考えており ます。  告示後4年を経過して5年目に入っているということですが、現在の社会状況に合致 しなくなった事項、その他も含めて、全般的に基本指針を見直して時代に合ったものに していきたいと考えておりまして。そのために先生方からの活発なご議論をお願いした いということでございます。  私からの説明は以上でございます。 高久部会長  どうもありがとうございました。いま課長さんのほうから議題1について説明があり ましたが、何かご質問、あるいはご意見はおありでしょうか。どうぞ。 北川委員  大変複雑な問題をたくさん抱えたテーマだと思いますが、行政のほうで考えておられ るタイムスケジュールはどのようなことになりますか。また、何か委員会でもつくって やられるのかどうかという点も含めて、ご説明ください。 高久部会長  あとのほうの問題ですが、平成6年の基本指針の策定のときに検討会をつくって検討 したということでして、あとで皆様方のご了承が得られれば、やはり委員会をつくると いうことになると思います。タイムスケジュールについては、事務局のほうはどういう ふうになっていますか。 岩尾課長  1番の議題につきましては、これは自治省が地方自治法の改正スケジュールにどうい うかたちで乗せていくかということにもよるものですから。いずれにしましても地方分 権推進という観点から、こういう話題が出てくれば、私どもは来年の通常国会といわれ ておりますので、1番の話については通常の役所のやり方ですと、通常国会の議題は2 月までに固めると。1月から国会が始まるわけですから、遅くとも2月までに法文をつ くらなければいけないということがありますので、私たちの結論も、そういう意味では 1月中にはまとめておかなければいけないだろうと思っております。そういうことで、 1番は非常にお尻が早いと思います。  2番の話題というのは、一応こういうものを厚生省の中でつくっていますとか、都道 府県には会議を開いて周知しておりますけれども、最近の行政というのは根拠のないこ とを国が地方に押しつけるというのは非常に怒られますので、何らかの方針というもの は、こういう指針に基づくとか、何か裏打ちされたものできちんと言っていく必要があ るだろうと思いますので。そういう意味では危機管理というのは、どこで起きてもおか しくない話、いつ起きてもおかしくない話ですから、可及的速やかに指針に載せていく 必要があるのではないかという点が2番でございます。  3番の介護保険制度は動き出したばかりで、法律の施行が西暦2000年ですから、2年 あるとはいうものの、いま例の介護に関連する人々の試験や何かが始まって、実際にス タートするときには体制が整っているというかたちですから、多分1年前には介護保険 制度の準備が各市町村で始まるものと思います。ですから、そのときまでにということ になりますと、これもひょっとしたら来年の4月とか5月とか、そのころまでに保健所 なり市町村保健センターがどういうかたちで関わっていくのかということのご議論とい うのは、いただかなければいけないのかなと思っています。  以上を含めますと、いずれにしても来年の4が月、5月までには決着させたいと。1 2、3はですね。その他も入れて、ついでならいろいろと懸案もあるので、指針の見直 しというのは来年度に入ったら、一応文章が見えるかたちではやっていきたいと思って います。 高久部会長  どうもありがとうございました。他にどなたか、ご質問。どうぞ。 小倉委員  1の問題は、これは政令市に限ってということでしょうか。都道府県型はおおむね二 次医療圏に1カ所ということで、その二次医療圏の平均人口は35万人位です。基本指針 に盛られた5つの新しい役割、危機管理の拠点、あるいは今度の感染症新法の中枢機関 として保健所の機能強化が期待されています。それらの役割を果たすには二次医療圏に 1カ所位が適当ではないかと思っています。しかし政令市型では、特に今度中核市が20 万ということになりますと、20万に1カ所から、先ほどおっしゃったように何百万に1 カ所というようなところの間には10倍以上の差が出てきます。  膨大な人口をかかえた保健所は、保健所の基本的に持っている役割そのものを果たせ るのかどうかという根本的な疑問が出てきます。大都市における保健所の役割というも のは都道府県型と分けて考えなければいけないのではないかというようなことが、この 間、保健所長会の総会でも話されるぐらいの状況が、いま起こっていますので、そのへ んをしっかり整理していただきたい。  そもそも保健所というのはどれくらいの人口に1カ所ぐらいあれば基本的な要件が果 たせるのか、面積も関係するとは思いますが、そのへんを基本的に考えていただいて、 今後のご検討を進めていただければと思います。  極端な集約化は保健所そのものを殺してしまうおそれありということで、一全国保健 所長会は、この春、厚生省へ、要望書を出したような経緯もあります。 山本委員  この資料8の2ページ目を見ますと、3の終わりのほうに、「また、感染症食中毒、 医療品、飲料水」云々の健康危機管理をやれということを書いてあるんですけれども、 資料3の4ページの「保健所の運営」というところに、「専門的かつ技術的業務の推 進」というののアに「精神衛生(精神保健?)、難病対策、エイズ対策等の専門的かつ 技術的な」云々ということがありますが。  エイズはもちろん大事なんですけれども、感染症というのも危機対策として非常に重 要でありまして。特に結核も、皆さんご承知にように耐性菌による集団感染が頻々とし て起こっておるという状態ですから、この運営の基本的なところに、やはり感染症対策 ということも入れておいていただきたい。こうなると、結核とか、そういう感染症が現 状の業務から飛んでしまう可能性があると危惧するわけです。そのへんのところをちょ っとお考えいただきたいと思います。 山崎委員  私の質問は、やり方の問題、審議の仕方の問題で。基本的にどう考えておけばいいの かを教えていただきたいのですが。  地域保健対策の推進に関する基本的な指針、これをザッと見せていただくと、細かい 点を除いては、大筋はそんなに大きく、いま動いている新しい法律に基づくものと矛盾 するものではないことはよくわかるんですが、現実にご存じのように伝染病予防部会は 明日もございますけれども、ここで感染症対策に関する基本的な指針をつくっているわ けです。その中にいくつかの作業部会を設けてやっている。その中で非常に大きないま までとの違いは、保健所と地方衛生研究所の役割がいままでよりはるかに明確化される わけですね。そういうアクティブサーベランスとの関わりとか、そういうものをキチッ と基本指針の中に入れていくためには、それは伝染病部会のほうの役割なのか、あるい はどっちが優先してどっちに投げるのか知りませんけど、この地域保健課に対して伝染 病予防部会の1つの考え方をこちらに投げて、それがキチッとこの中に入っているかど うかを見ていただくのか。どちらのほうでそういうことをやるのか、そのやり方を教え ておいていただきたいと思います。 伊藤局長  感染症新法の施行に向けて、伝染病予防部会で、要するに国の定める基本指針をご検 討いただいておりますので、実質的な議論はそちらでしていただきまして、それの状況 を見て必要な地域保健法の基本指針に反映させていくという、そういう手順で行いたい と思っております。 山崎委員  わかりました。そのすり合わせは、結局、厚生省の事務局でやっていただけるという ことでしょうか。 伊藤局長  まず伝染病予防部会のほうのまとめ具合を見せていただいて、その結果、地域保健の 基本指針をそれに合わせるようなかたちで修正するということで、また必要があれば当 部会にお諮りするするというかたちにしたいと思います。 山崎委員  わかりました。 高久部会長  先ほども言いましたように、検討会がこれからつくられるわけですから、当然、伝染 病部会の答申を参考にして、それに合わせるかたちで検討会が進められていくようにな ると思います。  それから、感染症の中で結核は、確かに山本委員がおっしゃったように極めて重要な 問題になると思います。これは少し余談になりますけれども、いまロシアの留置所で高 い抵抗性の結核が非常にはやっていて、それがいつ世界中に輸出されるかわからないと いう、非常に危険な状態にあるということが話題になっておりますので、やはり感染症 対策は保健所としても極めて重要な役割を果たすのではないかと思います。  他にどなたか。どうぞ。 小池委員  感染症ばかりでなく、母子保健の立場からも母子手帳の交付から始まり、乳幼児の健 診。また、ツベルクリン反応とかBCGの接種もしておりますし、さらに大気汚染の申請の 窓口にはなっていると思います。したがいまして、あまり密度に濃淡があると、地域住 民の保健衛生に対して非常に恵まれて密度の濃い地域と、まったくめぐまれなくて電車 で1時間も行かなければならないというような地域差ができてくると、これは非常に不 公平ではないかと思っております。 伊藤局長  冒頭、岩尾課長のほうからも、今日議題の1のことにつきまして背景を説明させてい ただきましたが。ちょっと重複するかもしれませんが、保健所の持つ市の規模として、 どの程度のどういう考え方をしたらいいのかというのが基本的な問題なんです。今回、 自治省におきまして保健所政令市、20万ぐらいでどうかということが地方自治法の改正 の中で検討されるように聞いておりまして。そうなってまいりますと、実は現在、地域 保健法を受けまして一応30万という基準を私どもは持っているわけでございます。非常 に地方分権というのは、いま時代の流れでございますが、地域保健法も平成6年に法律 改正をしましたときに、保健所というのは非常に広域的に技術的に高度な業務を担当し 市町村保健センターは非常に住民に身近な母子保健ですとか予防接種ですとか、お年寄 り、つまり直接人にサービスを提供する、そういうサービスの拠点として福祉と一体と なって保健センターというものを位置づけていったものという、そういう経緯があるわ けでございます。  そういたしますと、非常に広域的に高度に技術的な機能を持つ保健所というものにつ いて、この30万から20万に変更をすることによって、本来技術力ですとか財政力が不十 分な市が保健所を運営するということになる、そういう恐れが出てこないかどうかとい う、そういう問題点が1つあるわけでございます。  もう一方で、特に非常に人口規模の大きい指定都市のような場合は、保健所の集約し た機能というのは、それは仮に100万都市で1カ所であっても、それと各区に配置される 保健センターの機能と合わせて総体的に考えて、住民に対する日常的な対人保健サービ スと非常に高度な集約的な機能が、そういう総合的な二層構造の中でキチッと果たされ ていけば、保健所の数は仮に大きな100万都市であっても1カ所で、それでキチッとでき れば、保健センターの整備をしまして、保健所と保健センターの体制でうまくサービス が低下しなければ、それはそれでいいのではないだろうか。したがって、そこのところ は保健所を1カ所に集約する場合に、直接本当に身近な対人保健サービスの体制整備は どうなっているかということと併せて検討していくというのが基本的な考え方ですが、 さらにそれを仮に保健所の基準を20万にするとした場合に、保健所を持つ市の資格要件 としまして、100万以上の市から20万までが、小倉委員からのご指摘の点もございますの で、それらも併せてこの際、そもそも保健所を持つ市というのは、どういう条件を備え ていなければいけないのかということを一度原点に返ってご議論いただいて、逆に厚生 省の側から自治省のほうに、地方制度を考える場合に、保健衛生の分野からこのように 考えるべきではないのかという意見を申し上げるというかたちで対応していってはどう かというのが、1番の議題の基本的なテーマだとお考えいただきたいと思います。 高久部会長  1つお伺いしたいのですが、2番目のほうのテーマの中で、保健所と地方衛生研究所 の位置づけが問題になっていますが、地方衛生研究所は、どれぐらいの数があって、ど ういう規模なのですか。例えば人口何万人に1つとか教えていただければ。どうぞ。 片桐委員  私、片桐でございますが。地方衛生研究所全国協議会という会がございまして、全国 的な組織でございます。その代表みたいなかたちで私は出席させていただいているわけ ですが。  都道府県に必ず1つございます。47でございますね。それからもう一つは、制令指定 都市という。それが、いま12でございます。それから、政令市を含めたその他の、例え ば東京ですと特別区というのがございますが、入っていないところもございますが、特 別区が2つと政令市と呼ばれているのが12、トータルで73。全国で、いま協議会という かたちで組織をつくっているのが73。もちろん入っていない小さなところもございます けれども。  地方衛生研究所全国協議会という全国的な組織でいま動かしていただいているわけで すが、その組織のほうから先ほどご質問しようかなと思っていたところ、山崎先生のほ うから既に質問がありましたので私は控えたんですが。伝染病予防部会のほうに地方衛 生研究所全国協議会から今日か明日、明日ですかね、ご説明申し上げる機会を与えてい ただいております。その中には、健康危機管理に関する、特に感染症でございますけれ ども、その管理に対する地方衛生研究所の役割というものもご説明したいなと思ってお ります。  それからもう一つ。保健所と地方衛生研究所との関係でございますけれども、これは 地域によって少し違ったところがございますが、私は基本的には、いわゆる感染症、あ るいは健康危機管理に関する対策活動というのは、それは保健所がもちろん市町村を対 象にして住民‥‥住民と直接でないところもございますけれども、直接のところも出て きて、それで活動をやるべきものであろうと私は思います。では、地方衛生研究所は何 か。その活動をしやすいような支援をしていくというのが地方衛生研究所の立場ではな いか。そんな役割分担をすればよろしいのかなと私自身は思っております。 高久部会長  どうもありがとうございました。他にどなたか。どうぞ。 神谷委員  現場の保健所の状況を見ておりますと、先ほど局長がおっしゃったことによく似てお りますけれども、20万という単位で保健所をつくろうと思うと、機能的にはそうとう無 理があるといいますか、人が減って、そして少ない人でやることが起これば、非常に責 任を持ってやらなければならないということになりまして。むしろ衛生研究所と保健所 の機能強化で、いざというときに動きやすい体制ができておれば、私はそのほうが能率 的ではないかと。  現場で見ておりますと、まだ保健所の機能の中に衛生研究所でやったほうがいいよう なことも、かなり。保健所機能が少し衛生研究所とオーバーラップするというか、それ ぞれ手分けしすぎているような面もかなりありますし。特に感染症危機管理ということ については、検体の運搬ということはしっかりやるにしても、検査そのものがもっと中 央でやるというか、県で1つしっかりやるところがあれば、そのほうがいいので。むし ろクオリティーコントロールという面からいくと、これ以上細かくすることは、現場は あまりよくないのではないかという気がしますが。  ただし保健所の機能というのは、先ほどからご議論がありますように内容が豊富です から、そういう意味で、ものによっては細かいほうがいいというところもありますけれ ども、そこはあと地域の市町村の指導をどうするかによって、かなり解決する問題があ るのではないかと現場は思っておりますが。 高久部会長  小池委員、どうぞ。 小池委員  私みたいに中央集権的な時代に育ってきた人間は、地方分権というのは非常に自由で はあるけれども、その反面、落差が大きくなるのではないかと懸念されるので あります。 保健所の機能に関しましても、また地方衛生研究所の機能に関しましても、例えば拓銀 が破綻して北海道の財政がめちゃくちゃになると。あるいは夕張炭坑がダメになったと かというふうになりますと、その地域のどうしても地方行政の経済的な圧縮というもの が起こってきて、多かれ少なかれ衛生行政に対しても多大の影響を受けてくる だろうと。 人口単位で考えていくということも必要ですけれども、ある程度地方財政の経済単位で も考えていかなければならないのかなと。大変難しい時代になったのではないかと思っ ております。 小倉委員  保健所と市町村保健センターの基本的な違いに、行政権限を持っているかどうかとい うことがあります。現在658ある保健所の存在理由というのは、公的責任で行政権限を持 って地域住民の健康についてナショナルミニマムを保障するという、役割が非常に大き くあると思います。具体的には、健康と生活を守るための食品衛生とか環境衛生とか環 境保全に関する業務、質の高い医療を地域住民に保障するための医療監視とか薬務監視 とかです。こういうことは、やはりある程度の定まった広さ、人数でないと、十分に果 たすことが出来ないのではないかと思います。  それからもう一つは、感染症新法によりますと、保健所は地域における感染症対策の 中核的機関として十分に機能するよう体制強化を図ることということが、基本指針にも 付帯事項にものべられています。その役割を果たすための適正な人口サイズもご配慮願 えればと思っております。 高久部会長  どうもありがとうございました。他にどなたかご意見。  参考までに聞きたいのですが、2番目の危機管理という問題がありますね。俗っぽい 話になりますけれども、和歌山の毒カレー事件のときに保健所はどういう役目を果たし たのか、私は新聞等をよく読んでいないものだから覚えていないんですが、一時期、青 酸カリとかいって混乱をした‥‥。 岩尾課長  先ほども申し上げましたが、局長と私と、あと数名で現地に行って聞き取り調査をし て、その後いろいろと情報を取った限りにおいては、発生自体が食中毒様患者の発生と いうことでしたから、そうなりますと保健所が食品衛生法に基づく調査ということで、 必ず。マニュアルが全部できておりますから、きちんとラインでいってサンプルも取り 何もするということをやっております。  それから、患者自体は救急医療ということで運ばれましたので、県の一次救急、二次 救急、三次救急のシステムの中で、和歌山の場合はすべての市内の病院が休日急患の当 番になっておりますので、17あるうちの13の病院に合計60数名が収容されたということ で、その前に起きた堺でのO157のときのように病院の外で待たされたとか、そういうこ とはまったくなく、実に患者自体はスムーズに受け入れられた。  問題は、原因が食中毒ではないというときから始まるわけでして。いったいそういっ た薬物混入になったときに、どこがどういうかたちで。原因を調べるのは事件であれば 警察がやりますし、患者さんの搬送であれば、それは消防なり救急がやるということは わかっていますけれども、問題はそういう方々の治療情報ですね。原因がわかったとい ったときに、その治療情報をどうやってフィードバックするかとか、患者さんが何かそ ういう中毒であったというときに、他にどういう情報を医療機関に流すかとか、医療に 関する情報のフィードバックというか、収集と解析と、それに関する還元ということの 中枢機関というのは、実は地域にはないんだということがわかったんですね。  これは法律でどうこうするという話ではないし、食品保健法の外だ内だという議論は あったかもしれませんが、基本的に通常考えている食中毒というものでもない。まさに 毒物の中毒だというときに、どこがどういうことをしなければいけないのかという、そ のコントロール機能がまさになくて、それが命に関するものとして保健所がすべきでは ないかという議論が現在起きておりますし、私どももまさに厚生省なり保健所なり、保 健衛生部局が担当すべき問題と考えておりますものですから、こういう健康危機管理と いう観点で保健所機能というものを考えていくべきではないかという結論に達したとい うことでございます。 高久部会長  どうもありがとうございました。他にどなたかご質問、どうぞ。 川室委員  毒物の件についてご質問したいと思います。資料8のところでございますけれども。 この3の「幅広い情報の迅速な提供」というところに「保健所等における的確」云々と 書いてございます。それから6のところに「関係機関との連携」ということで、「医療 機関、検査機関、消防当局、警察当局」。日本の国においては、保健所と警察当局との 連携というのが非常に弱いというか。私、ちょっと聞いたところによりますと、和歌山 のときにも警察と保健所の連絡が非常に遅かったということを聞いたことが ありますが。 新潟のときには、それが非常に迅速にいったと。その両者の連携を取るということが、 法的にどのようになっているのか、私はそのへんのことは全然わからないんですけれど も。  これから21世紀に向かって、こういう毒物というような知能犯的な事件というのは、 ハイテクの事件等もそうだと思うんですが、私はもっともっと増えていくような気がす るんですね。そうしますと、地域において医療を担っている立場として、非常に、患者 さんたちからそういう不安を訴えられるわけですけれども。やはり、こういう危機管理 を迅速にやれる体制づくりというのを、国としてはつくっていただきたいというのが国 民の側の希望だと思います。 高久部会長  どうもありがとうございました。それでは北川委員、どうぞ。 北川委員  細かなことについては、これからいろいろと議論なさると思うんですが。いま仮に人 口20万以上が保健所を持つというようなことになると、その周辺の取り残された地域と いうものをどう考えるかという観点で、ぜひ議論をいただきたいと思うんですね。  世の中というのは、実際に中核的な都市が中心になって周辺に在があって、お互いに 協力しあいながら地域を構成している。いろいろな健康問題もどこかが中核になって周 辺の弱いところをカバーしているということだろうと思うんですね。そういう意味で、 政令市問題というのは昔から矛盾を抱えているわけでございますけれども、今度の話は さらに20万というふうに広がっていったときに、どういう問題が起きるかという観点で ぜひご議論をいただきたいなと思います。 高久部会長  どうもありがとうございました。どうぞ、高石委員。 高石委員  いまのご議論の延長に多分なるだろうと思うんですが。私、今日のこの資料7を見せ ていただいて、指定都市の北九州市等、平成8年、9年、10年の間にどう変わってきた のかを見て、特に神戸市が10年に9カ所あったものを1カ所にしたという情報について は、私は大変に驚いています。例の阪神・淡路大震災のときに、表にはあまり出ていな かったかもしれないけれども、保健所がいかに大きな活躍をなさったかということが、 大阪の多田羅先生の学会の折りもそうですけれども、公衆衛生学会でずいぶんいろいろ 議論されていたように思うんです。神戸市がこういうふうに決断してきたのは、やはり かなり十分な、そういった関係の議論を経ての結果なんでしょうかね。これは知りたい なというい気がするんですけれども、保健所長会等では、あまりそういうことは問題に なっていないんですか。 小倉委員  神戸市の場合は、先ほど先生がおっしゃったとおり、大震災のときに他がどこも扱わ なかったようなすべてのことを扱ってくれたことまで含めて、現地対策本部的な、役割 を果たしたことは、いろいろなところで高く評価されております。  ところが神戸市が実際に1つになってしまったのですが、各区の保健センターに保健 所機能的なものを残すというような、そういう折衷案的なかたちで保健所を1カ所にさ れたと、伺っております。ですから、災害時の拠点等として、各区の保健センターが保 健所的な機能を果たすことができるような形だと聞いております。 高石委員  先ほど先生がおっしゃった、噂によれば大阪市も云々というようなことも、同じよう な流れで考えられるのでしょうかね。そうなりますと、基本的なあり方についての20万 あるいは30万の議論等を進めていくときに、やはり先ほど小倉委員もおっしゃったよう に、大都市の場合は何か別立てのような議論をしておかないと、世の中で保健所という ものはどうなんだということを理解してもらう場合にも、やはり大変大事なポイントに なりはしないかなという気がいたします。 高久部会長  おっしゃるとおりだと思いますが。他にどなたか、ご意見おありでしょうか。 どうぞ、課長さん、何か。 岩尾課長  川室委員の先ほどの質問にお答えいたします。都道府県でこの危機管理体制の会議を 資料8の資料を配ったときに、都道府県でいったいどういう警察、消防との連携を取っ ているかということを聞いたんですが、数県から、自分たちはこういうような連携を取 っておりますと。いざというときの横の連絡網は取っておりますというのもございまし た。私ども、ここに書いてありますように、それぞれ都道府県に持ち帰って、いざとい うときの体制はつくってくれと申し上げておりましたので、何もないところというのは やはりまったく用意がないんですが、和歌山の事件があってから、各県とも危ないと思 ってやった部分がありまして。おっしゃるように新潟市もザイエンスのアジ化ナトリウ ムのときには、パタパタとうまくいった話を私も聞いておりましたので。現在は、ほと んどの県でこういう体制を自治体内部でつくっていると承知しております。 高久部会長  どうもありがとうございました。他にどなたか。もしないようでしたら、いま事務局 から説明がありましたように、基本指針の変更に際しましては、公衆衛生審議会の意見 を聞くことになっております。この基本指針の見直しについてのこれからの進め方です けれども、平成6年の基本指針の策定の場合と同じように、検討会を設置して、今日皆 さん方からいただいたご意見を参考にしながら検討を進めていただいて、その結果がま とまりましたら、この部会でさらにご審議をお願いするとさせていただきたいと思って おりますが、いかがなものでしょうか。もしご異論がなければ、そういうふうにさせて いただきたいと思います。  検討会のメンバーにつきましては、これは極めて重要だと思いますので、今後事務局 のほうと連絡をしながら決めさせていただきまして、決まり次第、皆さん方にご報告を させていただきたいと思います。この検討会は、難しい問題をたくさん抱えております ので、強力なスタッフで進めていっていただければと考えておりますので、よろしくお 願いしたいと思います。  次に議題の2番目ですが、公衆衛生審議会に設置する部会の再編成について。この議 題に進みたいと思います。まず事務局から説明をよろしくお願いいたします。 高山課長  公衆衛生審議会の部会の再編成の考え方につきまして、ご説明を申し上げさせていた だきたいと思います。資料10のほうに、その関連のものを置いておりますので、よろし くお願いいたします。  資料の説明に入る前に。現在、公衆衛生審議会は7つの部会で構成されておりまして 94人の先生方がいらっしゃいます。公衆衛生審議会の任期は一応2年ということで厚生 大臣からお願いをしておりますけれども、大部分の委員の方々の任期は平成9年の1月 19日に総会を開きましてお願いをしているという関係上、来年の1月19日、ないしは20 日、このあたりで期限切れとなりますので。私どもといたしましては、その1月下旬を めどに引き続きお願いする、または新しい委員をお願いするということで作業を進めさ せていただきたいと考えておりますけれども。いずれにいたしましても1月下旬、20日 前後をめどに、現在のところ、まだ日程等は固めておりませんけれども、総会を開催さ せていただきまして、新しく発足をさせていただくと、こんな予定になっているわけで ございまして。この際に、公衆衛生審議会の部会の構成につきまして、資料10にありま すように2つばかり平成9年の1月以降に変わったことがございますので、それにした がいまして部会の再編成をさせていただければどうかということでございます。  1つは、私ども保健医療局の組織改正がございまして。これは平成9年の7月でござ いますけれども、各課の所掌が変更となっております。具体的には次のページのところ に、現在の保健医療局の組織概要がございます。細かいので説明を省略させていただき ますけれども、大きく変わった点は、地域保健に関しまして従来、健康政策局から地域 保健に関する所掌がまいりました。この地域保健・健康増進栄養課で地域保健並びに生 活習慣病対策室というところで、がん、高血圧等のいわゆる従来の成人病、生活習慣病 を所管するようになったところでございます。  そういうことでございまして、従来成人病の所管は、これも名前が変わっております けれども、移動しておりますので、その点につきまして、保健医療局の組織と現在の部 会の構成がかなり違ってきているということでございますので、できましたらそこを地 域保健・健康増進栄養課におきまして、健康増進と併せて成人病対策を担当していただ ければどうかということが1点でございます。  それからもう1点は、伝染病予防法が廃止されたわけでございまして。新たに感染症 の新法が成立したわけでございます。この関連で部会の名前等を変えさせていただきた いということでございます。具体的には3枚目、ちょっと大きな表になっておりますけ れども、これで再編成案についてご説明をさせていただきたいと思います。  現行の部会は、左のほうにありますように7つの部会で構成されております。その一 番下の部会でございますけれども、現在、成人病難病対策部会というのがございまして ここで成人病対策と難病関係、これをやっておるわけでございます。難病等、対策をし ておるわけでございますが、これを成人病に関しまして生活習慣病と改めたものでござ いますけれども、右のほうの3段目、そこの2にアンダーラインを引いておりますけれ ども、健康増進栄養部会におきまして生活習慣病対策に関する重要事項をご担当いただ くというのが1点でございます。  それから、先ほどの2点目でございますけれども、左の欄の5番目のところに、伝染 病予防部会がございます。これにつきましては、その右のほうに伝染病予防法が廃止さ れておりまして、新たに感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律とい うのが成立されまして。名前も感染症部会としてはどうかということが1点でございま す。  それから、もう1点。これは感染症新法に盛り込まれました規定の中で、感染症にか かった方に対しまして入院措置が行われますけれども、この入院措置につきましては、 やはり患者の人権等の観点から特別な規定が設けられておりまして。30日を越える入院 措置が取られる場合、その方につきましては厚生大臣に対して直接不服審査を要求する ことができるという規定が新たに設けられたわけでございますけれども、この不服審査 につきましては、厚生大臣は5日以内にその適否につきまして回答しなければいけない ということでございます。そういたしますと、かなり迅速な対応が必要となってまいり ますので、そこでこの問題に関しましては感染症不服審査部会というものを設置いたし まして、人数等も絞りまして、極めて短期間のうちに必要な審議をしていただくと、こ ういう趣旨でございまして。その右端の一番下の欄に、感染症不服審査部会というもの を設けるという案になっておるところでございます。2点目に関しては、この2つでご ざいます。  以上が再編成に関する案でございますけれども、さらにもう1枚。補足的でございま すけれども、総合部会ということでございますので、参考資料として公衆衛生審議会の 各部会の平成9年から発足して最近までのいろいろな活動状況、報告、それから現在の テーマ等につきまして、そこに一覧として書かさせていただきました。個別には説明は 省略させていただきますけれども、ご参考にしていただきたいと思います。  なお、これもついでで恐縮でございますけれども、現在、中央省庁の統合等につきま して、審議会等の統合、あるいは非常に簡素化等の議論がございますけれども、公衆衛 生審議会は極めて重要なテーマにつきまして活発な活動をしておりまして。私どもとい たしましては、決してそういう不活発な活動、あるいは公開でもキチッと議論をしてお りますので、こういうことにつきましては私ども事務局といたしましては、キチッと申 し上げさせていただきたいという点につきましても、併せてお話を申し上げさせていた だきたいと思います。  以上、再編成の考え方につきまして、ご説明をさせていただきました。 高久部会長  どうもありがとうございました。いま、公衆衛生審議会の部会の再編成について説明 をしていただいたわけですが、何かご質問、ご意見おありでしたら。どうぞ。 山崎委員  細かいことで恐縮ですが。保健医療局組織概要というのは、どこかから取り出してき た組織図ですか。それとも、いまどこにも規定されていない、おつくりになった資料で すか。どちらでしょうか。あるいは、こういうのはどこかに載っているんでしょうか。 高山課長  いま出典はあれですけれども、私どもの室の資料だと思います。 山崎委員  そうですか。ご存じのように今度の新感染症予防医療法案でも、ハンセン病の取り扱 いというのは、実はまだはっきりしていないわけですね。現在、第4類感染症に入れる かどうかというところが、まだ決まっていないわけです。現在、実際に厚生省の組織の 中でハンセン病の取り扱いというのは、疾病対策課の中に所属されているわけですが。  この疾病対策課の中の1、2、3というのを読んでいきますと、どこに入るのかとい うと、やはり2番の「ベーチェット病その他の治療方法が確立していない疾病その他特 殊の疾病に関する情報の収集」、これにしか入りようがないという気がするんですよ。 この「特殊な疾病」という表現が、私はやはり引っかかってきてしまうと思うんです。 今度の新法案で一番強調されたことは、ハンセン病は決して特殊な病気ではなくて、特 定の疾患ではあるけれども特殊な疾患ではない。つまり、一般の感染症と何も変わらな いんだということで対応がされ、そしてその対策が練られているわけだと私は思うんで すね。ですから、もしここに入るのだとしたら、この表現がそのまま一人歩きしている のは、私は社会的に問題ではないかと思う。ちょっと質問です。 高山課長  まずこの組織概要につきましては、厚生省の組織令をほとんど引用しております。こ の表現等もそれを引用して書いております。それが1点でございます。  それから、山崎先生がおっしゃられました特殊という、ここにハンセンを読むかとい うことでございますけれども、ここは難病関係の治療研究等を提供しておりまして、ハ ンセンの関係はその1番で読むものと考えております。 山崎委員  そうですか。エイズ及びその他の疾病、こちらに入るんですか。では、私は誤解して いました。これはちょっと聞かれたことがあったな。そうですか、わかりました。どう もありがとうございます。  それで、今度の再編の中では、結局ハンセンの問題は、やはりでは感染症部会で位置 づけをするということになるわけですね。他のところではやらない。 高山課長  どういう角度で問題を取り上げるかによりまして、若干そこは考慮する必要があるか と思いますけれども、基本的には感染症として考える。先ほど先生がおっしゃった、そ の中でもどういう対応をするかということは、これはまた別の問題でございますけれど も、基本的には感染症の部会ということで、感染症対策として考えるべきものと考えて おります。 山崎委員  ありがとうございました。 高久部会長  どうもありがとうございました。他に。どうぞ。 神谷委員  予防接種健康被害認定部会の中に、これで認定しましたものに不服があった場合に不 服審査の請求をするための不服審査の会というのが、また別にその組織の中にあるんで すけれども、これが現実には組織としては少し無理な格好になっておるんですが、今回 ここに設置されます感染症不服審査部会というのは非常に名前も紛らわしいし、こちら でやることになるのか、ならないのか、そんへんの内容をはっきりしておいたほうがい いと思いますので。あとでもいいですが、事務局でしっかりご議論をお願いしたいと思 います。 高久部会長  よろしくお願いします。他にどなたか。 藤岡委員  私は組織をこのように再編成されることについては、異議はございません。 先ほど山崎委員がお聞きになったので、ちょっと関連して。保健医療局の組織概要とい う表がここに出ておりますが。その中に地域保健・健康増進栄養課の所管の1は地域保 健に関することと、このように書いてあるわけであります。地域保健ということになり ますと、地域における歯科保健推進もここに含まれるのであろうと思いますが。健政局 に歯科保健課というのがあるわけであります。厚生省組織令を見てみますと、歯科医師 法という法律に基づいて仕事をするわけでありますが、昭和59年だったと思いますけれ ども、さらに歯科保健医療の向上に努めるではなく、向上を図るか何か、そんなような 文言が付け加わったわけでありますが、この地域保健・健康栄養増進課が地域保健をや るということと、健政局の歯科保健課がやるということ、またこの表にも書いておりま す生活習慣病対策等々も、この地域保健・健康増進栄養課の1つの範疇の中にあるのか なと思いますが。  先ほど3者合同部会でもお聞きしましたように、生活習慣病とはいったい何かという ときに、歯科の問題は果たしてどこが要なのか。いつもここ数年、いろいろな会議に出 ておりまして、一度お聞きしてみたいなと思っておりましたので。いま、これに対して のご回答はいいんですが、またいずれ何かそういうことについてご示唆していただけれ ばと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。 高久部会長  どうもありがとうございました。他に、どなたか。  少し時間がありますので、さっきの1の議題のときに、危機管理のことをいろいろご 議論願ったのですが、もう一つの介護保険制度導入を踏まえた保健所と市町村保健セン ター等の役割について、もし何かご意見がありましたら。 小倉委員  大変重要な問題だと思うんですけれども、現実のほうが先行しているような感じがい たします。保健所と福祉事務所がすでに一緒になった都道府県が次第に多くなって、名 称も保健福祉センターとか福祉保健センターとか、あるいは保健福祉事務所とか様々で す。都道府県レベルでも衛生部と民生部サイドが一緒になって、保健福祉部とか福祉保 健部とかになったのが、もう30以上あります。そのへんの評価がきちんとやられ12年4 月からの介護保健法の全面施行に備えて、基本指針の中にどう盛られるかということは 非常に大事なことだと思っております。  とかくいまは福祉に、予算も人もどんどん流れていくという傾向があります。保健所 のアイデンティティーというのはやはり予防ということに尽きると思います。この中に は当然、難病問題等もありますので、三次予防を含めて、全然福祉と無縁であるべきで はないと、思っておりますし、保健所の仕事を進めていくうえで福祉との連携を強化す ることには、何ら異議を唱えるものではないんですけれども、狭い意味での介護保険に 直接関わっていきましたら、保健所がもつ本来の仕事というものは、ほとんどできない ほど大変なことになってくるだろうと思われます。  保健所が介護保険に関わる関わり方として、私どもが現在、基本的に考えていること は、介護保険事業計画を市町村ごとに立てるようなことになっていますが、必ず事業計 画づくりには参加するということです。保健所は管内のいろいろな健康情報や医療情報 を非常にたくさん持っていますし、それからいろいろな福祉施設等に関してもそれぞれ の特性を踏まえた情報を持っておりますので、ぜひ計画づくりには積極的に参加すべき ですし、計画の見直しのときにも関与すべきだと思っております。  それからもう一つは、やはり介護という新しい市場をめぐりまして、次から次へと新 しい業者が参入しております。介護保険制度が実際に始まりました場合に、提供される 介護の質の担保、精度管理というような面で保健所の果たす役割があるのではないかと 思います。それからもう一つは、基本指針にも書かれております企画調整機能というこ との中で、管内の市町村の格差の是正等の機能もあるかと思います。 高久部会長  ありがとうございました。他にどなたか。どうぞ。 細谷委員  私、隣の健康増進栄養部会のほうにいたものですから、こちらへ来てワッとこれを見 たんですけれども。資料1、7ページの第4の「地域保健に関する調査及び研究に関す る基本的事項」。他にもずっと見たんですけれども。 高久部会長  これは資料3ですね。 細谷委員  資料3ですか。3行目の第4のところですね。「地域保健に関する調査及び研究に関 する基本的事項」。ここでも見たんですけれども、全体を見たんですけれども、健康科 学センターとか健康増進センターは、地域保健でもういらないんですか。地域保健の取 組みで、地域保健対策の推進に関する基本的な指針の中に、どこにも見あたらないんで すね。私の見落としかもしれませんけれども。一次予防をどうするのか、ちょっとお伺 いさせていただきたい。どこかに出ているのかもしれませんけれども。私の見落としか もしれませんけれども。 高久部会長  どなたかご存じですか。 細谷委員  ああ、ごめんなさい。これは6年のときですか。申し訳ございません。 高久部会長  6年のときですけれども。 細谷委員  これを見直すわけですね。 高久部会長  はい。これを見直すことになると思います。 細谷委員  はい。申し訳ございません。 高久部会長  他に、どなたかご質問、あるいはご意見おありでしょうか。  先ほどの議題の1で、平成6年に出ました基本的な指針を見直すということで、その 中には先ほどからご議論がありましたように保健センターとの役割、あるいは地方衛生 研究所と保健所の健康危機管理に際して、どのような役割分担をする、さらに機能強化 をするという問題。あるいは、いまご議論願いました介護保険制度の導入に際して、保 健所がどういう役割を演じるかとか、いろいろな問題がたくさんございまして、先ほど からご議論してきていただいたわけでありますが、ご了承いただきましたように検討会 を設置して、この問題を専門的にいろいろご議論を願いたいと思います  それから、第2号の議案でありますが、先ほど事務局から部会の再編成について説明 がありまして、そのことについてもご了承いただきましたので、来年の1月の末に総会 が開かれる予定になっております。その際に公衆衛生審議会議事運営規定の一部改正と してお諮りさせていただきたいと思いますので、よろしくご了承お願いしたいと思いま す。  本日は1時から3時間半にわたりまして、いろいろご検討いただきまして、どうもあ りがとうございました。これで公衆衛生審議会総合部会を終わらせていただきたいと思 います。どうもありがとうございました。  なお、次回の総合部会につきましては、先ほど設置をご了承いただきました検討会で 検討結果が取りまとまりましたら開催することといたします。その日程につきましては 改めて委員の皆さん方にご相談させていただきたいと思いますので、よろしくお願いい たします。  どうもありがとうございました。 以上 問い合わせ先 厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課    担 当 水 谷    電 話 (代)03-3503-1711(内2391)