98/11/09 内分泌かく乱化学物質の健康影響検討会第6回議事録                            平成10年11月9日(月)                                          内 分 泌 か く 乱 化 学 物 質     の 健 康 影 響 に 関 す る 検 討 会 ( 第 6 回 )                 議  事  録         厚 生 省 生 活 衛 生 局 食 品 化 学 課                                        内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会(第6回)議事次第 日 時 平成10年11月9日(月) 10:00〜11:46 場 所 中央合同庁舎5号館別館8階共用第23会議室  1 開 会  2 生活衛生局長挨拶  3 資料確認  4  議 題    1内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会中間報告書(案)    2Assessment of Estrogenic Effects of Bisphenol A on Perinatal    Exposure  5 閉 会 〔出席委員〕  伊 東 座 長  青 山 委 員  阿 部 委 員  井 上 委 員  黒 川 委 員  紫 芝 委 員  鈴木(勝)委員  鈴木(継)委員  高 杉 委 員  高 田 委 員  田 中 委 員  津 金 委 員  寺 尾 委 員  寺 田 委 員  西 原 委 員  眞 柄 委 員  松 尾 委 員  安 田 委 員  山 崎 委 員  〔事務局〕  小野生活衛生局長、内田食品化学課長、平山生活化学安全対策室長、他課長補 佐以 下8名 〔オブザーバー〕  環境庁、通商産業省、農林水産省、文部省、科学技術庁、労働省 ○食品化学課長  定刻になりましたので、ただいまから、第6回内分泌かく乱化学物質の健康影響に関 する検討会を開催させていただきます。  本日は御多忙中のところお集まりいただきましてまことにありがとうございます。本 日は委員25名中19名の先生方に御出席という御連絡をいただいております。津金先生と 安田先生がまだお見えになっておりません。。  まず、今回の開会に当たりまして、小野生活衛生局長からごあいさつを 申し上げます。 よろしくお願いいたします。 ○生活衛生局長  おはようございます。大変御多忙のところ、また、朝早くから検討会に御出席をいた だきましてまことにありがとうございます。  これまで5回にわたり内分泌かく乱化学物質につきましての健康影響に関する検討に 大変御尽力をいただいておりまして、この場をお借りいたしまして厚く御礼を申し上げ ます。既に先生方、十分御承知のとおりでございますが、内分泌かく乱化学物質につき ましては、その影響についてまだ科学的には解明の緒についたという段階でございます けれども、国民の中にはこういった物質に対します非常に不安が強いわけでございまし て、こういった不安を払拭するのは必ずしも容易なことではないというふうに考えてお りますけれども、現在科学的に解明しうる事項をきちんと提示をしていくことが、今、 私どもに課せられている課題であろうと思っておりまして、このような検討会をお願い した次第でございます。  本問題に関しましては、既に海外の研究者との意見交換も行っていただきましたし、 また、平成10年度の補正予算におきまして、10億円の研究費を確保いたしまして、各種 の調査研究を進めることといたしておりますほかに、来年度以降も強力に研究を推進し たいというふうに考えているところでございます。  また、国際的な枠組みの中でも推進していく必要があるわけでございまして、OEC D等国際機関との連携の下に進めてまいりたいと考えておりますので、よろしく御助言 を賜れば幸いというふうに考えております。  本日はこれまでの御検討の結果を中間報告(案)として御検討いただくことといたし ております。大変大部な内容でございまして、御苦労をおかけするかと思いますけれど も、今申し上げましたような次第でございますので、可能な限り最新の科学的な知見と いうものを国民に提示する私どもの責務をよく御理解を賜りまして、御検討を賜れば幸 いでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。 ○座長 ありがとうございました。  それでは、まず事務局から配付資料につきまして御確認お願いいたします。 ○池田補佐  それでは、本日の配付資料の確認をお願いいたします。お手元に議事次第と座席表の ほかに、本日資料といたしまして2つ御用意してございます。資料1が「内分泌かく乱 化学物質の健康影響に関する研究会中間報告書(案)」でございます。右上の方に、本 日配付の分ということで、11月9日の日付が入ってございます。  それから、資料2といたしまして、Assessment of Estrogenic Effects of Bisphenol A on Perinatal Exposure ということで、学会等の発表資料でございます。 本日はこの2つの資料で御検討をお願いいたします。 ○座長 ありがとうございました。  さて、本日の議題でございますが、前回御議論いただきました中間報告書(案)につ きまして再度御議論をいただきたいと思っております。報告書の案の内容につきまして は、概要などを事務局側から説明していただきます。それではよろしくお願いいたしま す。 ○池田補佐  それでは、資料1を使いまして、報告書の案につきまして簡単に御説明 申し上げます。 前回10月16日の会議におきまして御検討いただきましたたたき台についてでございます が、御検討いただきました先生方の御意見等をもとにして今回修正を いたしております。 事前にお送りした資料に一部修正が入っている部分がございます。簡単に御紹介いたし ますと、まず3ページのところの委員のお名前のところで寺尾先生のお名前が間違って おりましたので修正をさせていただいております。それから、33ページのところの表題 が間違っておりましたので修正がございます。その他、字句の一部修正がありますが、 それはこれから御説明いたします中で確認をしていただければと思っております。  資料1は報告書の案でございますが、1枚めくっていただきまして目次をごらんいた だければと思いますが、大きく「I.はじめに」から、「II.内分泌かく乱化学物質を 考える」、「III.内分泌かく乱化学物質問題を解決するために」、「IV.おわりに」、 最後に付録として、「個別物質の評価と今後の検討」と、大きく5項目で構成されてお ります。  今回、目次のところのIII.の2.のところは一部修正しております。ここにあります ように、見え消しのような形で本文の修正をしておりますので、御確認いただければと 思います。前回まで「今後の対応方針」とあったものが、今回「基本方針」というふう に改めさせていただいたということでございます。  めくっていただきまして、2ページの「I.はじめに」でございます。ここでは内分 泌かく乱化学物質に関する問題点の背景ですとか、今後の対応等について検討会が設置 された経過等々が書かれているわけですが、ここで前回2点ほど御指摘をいただきまし たのですが、1つ、最初の2行目のところの「人の健康に影響を及ぼすとの懸念が指摘 されている」という部分が御議論ありまして、結論といたしましてはこの部分は修正の 必要はなかろうということになっております。  それから、下から2つ目のカラムのところでございますが、内分泌かく乱化学物質問 題ということで、対策を進めるための1)、2)、3)と3つに分けて対策を進めると いうところについては、前回少し文章としてわかりにくいところがあるのではないかと いうような御指摘がありました、このように修正をさせていただいております。 ○池田補佐  ポイントだけ読み上げさせていただきます。  2ページの下から2つ目のカラムの「1)現在までに入手可能な生体影響に関する情 報と、その暴露情報を分析することによって、当面のリスクマネージメントを実施する ことが期待されている緊急な個別課題、2)生体影響や暴露に関する情報が不十分であ るために、必要な調査研究等に関する緊急な対応の迫られている課題、3)内分泌かく 乱化学物質の作用機構の特徴などに根ざした、先端的な科学的研究の推進による解決が 期待される部分」、このように3つに分けて対策をとることが必要だとされて おります。  続きまして3ページは委員会の名簿でございます。下の方の審議経過に第6回を追加 してございます。  4ページからが2番目の大きな項目、「II.内分泌かく乱化学物質を考える」という ところでございますが、ここでは最初に概要としてホルモンの人体における作用のあら すじをまとめてございます。このあたりは前回いろいろと御議論がございまして、最初 のところにはホルモン全体の概要を書く必要があるだろうと。次に、個別の性ホルモン 等の記載については後ろの方に持っていく必要があるというようなことで御議論があり まして、全面的に書き換えさせていただいてございます。4ページの1.のところの10 行目ぐらいに、「最近では、標的細胞がホルモン産生細胞のすぐ隣にあったり(パラク リン)、ホルモン産生細胞自身であるような例(オートクリン)、ホルモンの前駆体を 細胞に取り込んでホルモンに加工して分泌する(イントラクリン)」といったような新 しい情報等も盛り込まれております。  次に、下の2つ目の段落のところの1行目でございますが、「内分泌腺」のところの アンダーラインが付いています「上皮小体(副甲状腺)」と括弧書きしてございますが この部分につきましては、前回の検討会でも御議論いただきまして、解剖学的な用語に よりますと、上皮小体の方がより正確だというような御意見がございまして、担当の先 生方と御相談しまして、この部分につきましては両者併記というような形で書かさせて いただいております。  その他、ホルモン作用についての概略を書いていただきまして、5ページに行きます と、こ女性ホルモン関係の記載を後ろの方に持っていったということで二重線で消され ております。  下の方は「内分泌とは何か」ということでさらに説明が続いております。  6ページは、先ほど前の方で削除されました部分がこちらの方に移ってきておりまし て、下の方の「卵巣」とか「精巣」のあたりで記載が追加されてございます。  7ページは「下垂体」、「視床下部」等々の記載について、先ほどのような説明でこ ちらの方に追加記載が詳しく書かれてございます。7ページの一番下のところで「その 他」というのが追加になっております。これも前回の御議論で、その上までの部分は、 従来からの古典的な内分泌臓器の話だけだったということで、最近は知られているそれ 以外の新しい情報も盛り込まれたということでございます。例えば、ここでは、「脂肪 組織からはレプチンが分泌されて食欲やエネルギー代謝を調節している」こととか、 「心臓・血管系からは心房性Na利尿ペプタイド(hANP)やエンドセリンが分泌さ れている」こと等が記載されてございます。  8ページに行っていただきたいのですが、「(2)性腺の分化と形成」のところでは こちらも記載を最初の4行ほどを修文して最後のところに追加されておりまして、2段 目の段落のところでmullera 氏管と従来記載しておりましたが、綴りにドイツ語のウマ ラウトが抜けているとか、一部御指摘がございましたので、その後、先生方と相談いた しまして、このような用語は片仮名でしかも「氏」という字は削除し、「ミューラー 管」ということで統一させていただいております。次の方では「ウォルフ管」とか、こ のような形で統一をさせていただいたということでございます。 それから、同じ段落の中で、「傷害(障害)される」というところを2カ所ほど直さ せていただいたりしております。  次の段落のところで直させていただいたのでは、co-activator、co-repressor等の記 載が追加されています。 次のページへ行っていただきますと、このあたりも修文がございますが、先ほど申し 上げましたco-activator、co-repressor等の記載については9ページの下の方の「ホル モン受容体との結合」のところでより詳しく記載していただいてございます。ホルモン が作用するときの受容体との結合の仕方等によりまして、受容体が2個1組になって結 合するとか、co-activator等の作用として追加していただいておりまして、10ページの 頭のところでは、同位体につきまして、先日の御議論の中でαとかβがある。さらには エストロゲンの受容体では、α、β、γ等があり、それぞれの作用が異なる可能性があ ると。このあたりの御議論もございましたので、このような記載がされておるものでご ざいます。  それから、真ん中辺のところにアリルハイドロカーボンというのは間違いではないか ということで「アリール炭化水素(Ah)」というふうに修文をさせていただいており ます。  その他、下の方の関係する用語でかなり修文がされておりますが、より正確にしてい ただいたということでございます。  11ページまで、今のようなことで、ホルモンの作用がかなり修文されたものでござい ます。  12ページからは「2.作用メカニズム」のところでございますが、ここでは先日の御 議論でありましたように、下の方の「2)内分泌かく乱化学物質の作用メカニズム」とし てどのようなものが考えられるかというところが、もう少し正確にという御指摘があり まして、一部の先生方と御検討いただきましてこのように修正させていただいておりま す。ホルモン受容体への作用機序をとった場合のいくつかの可能性ということで作用メ カニズムを 1から 5まで挙げさせていただいていますので、修文されたものを読み上げ ます。 「 1生体内ホルモンと受容体との相互作用の阻害 受容体に作用し、正規のホルモンの受容体結合を修飾し、細胞のホルモンによる正常な 機能に影響を与える。 2疑似ホルモンとしての機能の発現 ホルモンに類似した構造の化学物質が、ホルモン受容体との相互作用により、細胞に不 必要で異常な機能発現を引き起こす。 3受容体の発現と機能の変異 化学物質が細胞の受容体の発現を引き起こし、若しくは抑制し、ホルモンの活性を通常 状態と変質させる。 4生体内ホルモンとの相互作用による機能変異 化学物質がホルモンと相互作用を引き起こして、惹起するメッセージを変化させ、細胞 機能を変質させる。 5ホルモンの産生障害と結果としての異常若しくは欠乏状態 化学物質のホルモンの産生、特にステロイド代謝障害と、その結果としてのホルモン異 常又は欠乏状態」。  その次のアンダーラインの部分は下の方にありました記載を順番を入れ換えるという ことで前の方に持ってきたものでございまして、内容は変更されておりません。  続きまして14ページでございますが、「3.物理科学的性質」でございます。これ以 降でもいくつかの用語で、例えば1行目のところで修正されております「内分泌かく乱 化学物質と指摘されている」、従来は懸念されているという表現でしたが、懸念という 用語につきまして前回いろいろ御検討いただきまして、事務的にここでは「指摘されて いる」というふうに表現を変更させていただいております。  同じく下から3行目のところでも、同じく懸念につきまして「指摘されてきた」とい うふうに変更させていただきました。  それから、3つ目の段落の「医薬品」のところの1行目のところで、内分泌障害作用 という言葉が出てきたのですが、ここは障害ではなくて、そもそも合成ホルモン剤の作 用ということでは「内分泌作用」であろうということで修文をされております。  それから、同じく「医薬品」の段落の最後のところで5行ほど修正されておりますが これにつきましては、コーデックス委員会におけます天然ホルモン剤の規制の内容、そ れから、我が国における食肉中への天然型ホルモン剤の規制の状況を追加記載するとい うことで書かさせていただいております。  同じく「有機塩素系殺虫剤」のところの1行目も、分泌障害性物質という言葉があっ たのですが、ここも「内分泌かく乱性物質」というふうに修文をさせて いただきました。  あと、化学物質の綴りで間違いがあり少し修文したものがございます。  次の15ページでも、上の方では一部用語の使い方で修文されたものがございますけれ ども、2つ目の「アルキルフェノール類」の6行目のところで、水棲生物への毒性が懸 念されるという用語がありましたが、ここは「水棲生物への毒性が指摘されている」と いうふうに直させていただいております。  続きまして16ページでございますが、「4.暴露経路」というところです。ここで御 指摘がございましたのは、 3の「接触暴露」のところに「土壌」経由のものも記載する ようにということでございます。  さらに同じく「土壌」につきましては、下の方でダイオキシン類についての主な暴露 ということで土壌からの経路が追加されております。  それから、下から3行目のところで懸念という言葉がやはりございましたので、ここ も「指摘されている」というふうに修正をさせていただいております。  続きまして17ページにまいります。ここでは「5.人への影響」ということでいろい ろと生殖器系等への影響が言われているわけですが、それらについて現時点での情報を 整理してまとめていただいているわけですが、ここで前回から修正されましたのは、ま ず最初の段落では先ほど来出ております懸念という言葉、6行目のところの多岐にわた る影響が懸念されているという言葉が「指摘されている」というふうに修正されており ます。  それから1つ目の「(1)女性生殖器系及び乳腺への影響」で、1つ目の子宮がんの ところでは、1つは6行目のところで、欧米などの高率国という言葉はちょっと書き過 ぎではないかということで、「欧米などと比較すると」という表現にさせていただいて おります。  それから、2つ目の段落のところでは2カ所ほど修正しておりますが、これは経口避 妊薬、ホルモンの補充療法等についての記載をより正確にすることで、「閉経後のエス トロゲン補充療法やエストロゲン−プロゲステロン連続使用の合成女性ホルモン配合 剤」というふうな表現。その下の方は、「エストロゲンとプロゲストロンを同時併用し た合成女性ホルモン配合剤」ということで修正をさせていただいております。  次の18ページでは、一番下の方に1カ所だけ「血清中のエストロゲン濃度を低下さ せ」という修文が入っております。  19ページからはしばらく修文等はございません。精子等への影響のところはずっと行 きまして、22ページで1カ所、下の「 2前立腺がん」のところの3行目のところで、や はり欧米などの高率国に比較するというところは、「高率国」という文字は削除させて いただいております。  次の23ページでは、一番下のところに、日本産婦人科医会とありましたのを正確にと いうことで「日本母性保護産婦人科医会」というふうに修文をさせていただいておりま す。  24ページのところでは、ここでは線で消していますが、尿道下裂発生の動向について の図がここだけ入っているということで、ここについては削除ということにさせていた だいております。  25ページは「 5その他の男性生殖器への影響」というところですが、このところは先 ほどのようにmeller氏管というのを「抗ミュラー管ホルモン」というふうに直させてい ただいた。Wolf氏管も修文したというような用語のところでございます。 一番下の方に外性器を「外生殖器の異常」というふうに修文させていただいておりま す。 26ページは、その他となっていたところを一部修正して「甲状腺への影響」について の新たな知見をもとに書き込んでいただきまして、視床下部等への影響を「その他」と いうことでまとめ直しをしていただいたというところでございます。 次の27ページは特段の修正が入っておりません。 以上でIIの説明が終わりましたが、続けて御説明いたしましょうか。 ○座長 一度ここで終わりにして下さい。 ○池田補佐 それでは、一たん説明を終わらせていただきます。 ○座長 ありがとうございました。「I.はじめに」と「II.内分泌かく乱化学物質を考え る」ということで御説明を終えましたが、何か御指摘の点がございましたらどうぞ。 ○高杉委員  6ページのBailiss とStering の綴り字をチェックした方がいいんじゃないかと思う んですが。 ○井上委員 綴りが出ましたので、25ページの上から5行目のanti-mularian はミューラーからく るのでlが1つ。 ○座長 ありがとうございました。修正していただきます。そのほか、何かございませんです か。はい、どうぞ。 ○寺尾委員 10ページの上から3行目の「同位体」という言葉ですけれども、これは「同位体」と いう言葉でいいんですか。「同位体」というのは元素の同位体というのが普通でありま して、どなたか、適当な言葉を知っていらっしゃる先生の御意見を。サブクラスなんで すか。 ○紫芝委員  アイソマーでは。 ○寺尾委員  日本語にすると何になるんですか。 ○座長 わかりました。これも検討していただきます。そのほか、何か。どうぞ。 ○山崎委員  ちょっと形式的なことで恐縮なんですけれども、12ページのところ「作用メカニズ ム」というのが2.の項目でありますね。ここのところは「内分泌かく乱化学物質を考 える」という大きな課題で、1.が「ホルモンの人体における作用」というふうになっ ているんです。続いてきますと、作用メカニズムというとホルモンの続きのような感じ になるんですね。それで、ここのところの(1)、(2)に「内分泌かく乱化学物質 の」というのが付いておりますので、むしろ大きな2.のところに「内分泌かく乱化学 物質の作用メカニズム」というふうにして、(1)、(2)をむしろ定義、「作用メカ ニズム」というふうにすると、目次も誤解しないで済むといいますか、そういうふうな 感じを受けたので。 ○座長 ありがとうございました。これはそのように検討させていただきます。ごもっともな 御意見だと思います。そのほか、何かございませんですか。 ○安田委員  広島の安田でございますが、そういうトリアルなことに関しましてはまだまだチェッ クを要するところがあるように思いますけれども、例えば用語で「受容体」という言葉 それから仮名書きのレセプターも出てまいりますし、それから、「蛋白」という言葉も 「蛋白」と書いてある部分と「蛋白質」と書いてある部分がございますし、いろいろな 例えば人名表記にしましても英文で書かれておるのもあれば、仮名書きのものもあると いうふうなことで、それはどなたかが少し集中して最終的には直していただく必要があ ろうかと思います。  それから、先ほど上皮小体に関しての修正の御指摘がございましたけれども、6ペー ジでは、上の方、 2、相変わらず「副甲状腺」という言葉だけで「上皮正体」という言 葉が出ておらないというふうなこともございます。そういう細かいことを指摘していっ てよろしゅうございましょうか。 ○座長 どうぞ、このような細かいことを言っていただく方がいらっしゃらないと議論になり ません、細かいことを言っていただいた方がありがたいと思います。 ○安田委員  少し後の方になりまして、24ページ一番上の行、「右上がりの傾向」というのが図が なくなりますと、表現として「集計を見ると年を経るごとに増加」というふうな表現に しないとまずいように思います。  さらにちょっと進みまして、25ページ、「 5その他の男性生殖器への影響」というと ころの9行目、「胎生12週までに精巣は内鼠径輪の近傍まで下降する」という言葉がご ざいますが、これは解剖学的には「深鼠径輪」でございます。とりあえず。 ○座長 安田先生、まだお気づきでございましたら、どうぞ事務局の方に御指摘いただけます でしょうか、今日は時間も限られており、全体を通して流しておるわけでございますの で、細かい御指摘非常にありがたいと思います。そのほか、ございませんですか。 ○山崎委員  15ページのところで、「植物性エストロゲン」というのがございます。ここの最初の 文章なんですが、「植物性エストロゲンは、自然の産物である点で他の化学物質と異な り」として、その次の文章につながっているわけですね。「家畜を対象としたときに問 題になる」と。だけど、これは家畜を対象としたときだけに問題になるのではなくて、 その下に「大豆製品」という文章がつながっているわけですね。ですからここの文章は ちょっと誤解を招くのではないかと思うんです。したがいまして、「化学物質と異な り」というところで一応文章を切っていただいて、特に家畜を対象としたときに問題に なるのと、また、大豆製品等に含まれるということで、日常の食生活の中にも影響する というふうなニュアンスにしていただくと誤解がなくなるのではないかと思います。 ○座長 ありがとうございました。安田先生、どうぞ。 ○安田委員  それではちょうど15ページで開かれましたので、「アルキルフェノール類」のパラグ ラフ、最後の行でございますが、「1000倍ほど弱かった」、これもそれまでの表現では 強い方では1000倍強いというのはわかりますけれども、1000倍ほど弱いなんていうのは ちょっと表現としては、「1000分の1」というふうな表現がそれまでには使われており ますので。 ○座長 そのほか、どうぞ。 ○鈴木(継)委員  27ページの一番最後のところなんですけど、「なお、現在のところ、内分泌かく乱化 学物質の暴露と直接の因果関係が指摘されている疾患群のうち……」という文章で、直 接の因果関係が指摘されているということと、「有意な因果関係を示す知見はない」と いうのは日本語としてはどうも整合性に欠けているのではないかと思うんですけど。 ○座長 どのように直したらよろしゅうございますか。 ○鈴木(継)委員  前の方の「直接の」というのを削除すればいいのかもしれませんね。それで文意を崩 すことがなければ、そんなところですけれども。 ○座長 ありがとうございます。「直接の」というのを削除するということでよろしゅうござ いますか。そのほか、安田先生、まだありそうですから、どうぞ。 ○安田委員  ちょうど27ページが開かれましたので、下から3つ目のパラグラフ「特に胎児への影 響については……」というところでございますが、これは高杉先生の御意見を伺いたい のでございますが、ここに書いてありますように、胎児への影響については成人と異な るところがあるのでより注意しなければならないという趣旨のことかと思いますけれど も、「フィードバックシステムが確立されていないことや、化学物質の暴露経路が異な ることなど」、などの中には含まれるかと思いますけれども、特に重要なのはやはり胎 生期あるいは新生児期には作用が不可逆性であるという点も重要なポイントではないか と思いますけれども、高杉先生この辺いかがでございましょうか。 ○高杉委員  先生のおっしゃるとおりでございまして、フィードバックシステムが確立されてない ということが原因かどうかはわからないし、暴露経路が異なるという、これもそれが理 由であるということもよくわからないですね。今、先生おっしゃったように、可逆的で あるべきホルモンが不可逆的に作用するというところが一番問題であると思いますので 先生のおっしゃるとおりだと思います。 ○座長 サイエンティフィックに難しくおっしゃらないで、ここをどういうふうにすればいい かということを事務局にきっちり教えていただいた方がありがたいので、この点、安田 先生何かもう少しゆっくりと、こういうふうにすればいいということでおっしゃってく ださい。 ○安田委員  文章としてはむしろ高杉先生の方がいい文章を言っていただけるのではないか。押し つけて申しわけございませんけれども。 ○座長 それでは高杉先生。 ○高杉委員  大変文言は難しいんですが、アダルトではreversibleであるのが、胎児、新生児期内 ではirreversibleになる場合もあるという文章をどこかに入れていただきたい。それが 入っていれば、フィードバックとか経路が異なるということも事実でございますから、 あっても一向構わないと思いますが、その相互的な暴露量の前あたりぐらいに何かそう いう文章を入れていただく。 ○座長 わかりました。ただいまのサジェッションを参考にいたしまして、事務局の方でこの 文章は変えさせていただきます。  そのほか、何かございませんか。 ○山崎委員 どこか新しいページ開くと出てくるのでは。 ○高杉委員 細かいことですけど、17ページ、「エストロゲン−プロゲステロン連続使用」という ことが書いてありますが、プロゲステロンというのが1つの分子の名前ですが、エスト ロゲンは総合的なんですが、これはこれでよろしいんでしょうか。あるいはプロゲスチ ンという言葉が後にありますけれども、あるいはプロゲストーゲンとした方が いいのか。 ○池田補佐  ただいまの御指摘は、実はまだ修正ができておりません、武谷先生、津金先生からも 御指摘受けておりまして、このあたりのプロゲステロンのところはプロゲストーゲンと いうふうに変更させていただきたいと思っております。 ○高杉委員  ついでにそこのところで、「1960年代……」のところにあります、これはお直しにな るから構わないんですけど、プロゲストロンとなっています。ほかはプロゲステロンに なっています。  それから、同じ17ページの上の方ですけど、DESというのが、「薬理作用を期待し て使用されたDES」というのは事実でございますけれども、薬理作用を期待すれば、 別の問題であるというわけでは決してないと思うんですね。だから「内分泌系への薬理 作用を期待して使用されたDES」というのは、期待したらまた話が違うんだというこ とでは決してないわけでして、ここは余りいい文章でないと私は思います。 ○座長 ありがとうございました。参考にさせていただきます。  そのほか、よろしゅうございますか。寺田先生、どうぞ。 ○寺田委員  12ページの上から10行目ぐらいですか、「前述の内分泌器官に対して、“disruption ”」とあります。内分泌かく乱化学物質の定義のところなんですから、内分泌器官に対 してのみ、“disruption”するのではなく、内分泌系統で例えば標的の方が臓器の方を “disruption”することもある。器官をとってしまって、内分泌系ぐらいに、あるいは 系統とするのが良いと思います。内分泌器官といいますと、普通一般的には内分泌臓器 になりますから、それだけではないと思います。それまでに内分泌臓器の定義とか、内 分泌の定義とかいっぱい書いてあるので定義の所も少し注意して書いた方がよいと思い ます。  もう一つは、全体のことで、後から言おうかと思っていたことです。先ほど書き方の 統一のところになります。文献をどの辺まで入れるのか、文献の書き方もありますし、 いわゆるアブストラクトで学会でレビューを通ってないのを入れるのか、例えば文献の 1に、これは明らかに報告書ですけれども、これを見て、そこに詳しく知りたいと思っ たところに、この文献にどういうふうにアプローチするのか。ページ数も書いてないし 何も書いてない。例えばアブストラクトを入れるのは結構なんですけど、アブストラク ト入れる場合には、○○の学会の○○の何ページと書くのが普通だと思いますし、もう 一つは、文献の書き方で、一つの番号の下に3つか4つぐらい続けて文献が書いてあり ます。どちらかに統一された方がいい。文献の方は後から出てくるかもわかりませんが 文献の名前の書き方等、ばらばらなのです。 ○座長 ありがとうございました。 ○寺尾委員  非常に細かいことで申しわけないんですが、9ページの「(4)受容体との結合」の 2番目のパラグラフの3行目の「ブドウ糖輸送蛋白の回転を早めて」、「回転を早め て」、こういう表現でいいのでしょうかね。何かくるくるローテーションするような感 じなんですけど、本当にそういうあれなんですか、ブドウ糖輸送蛋白というのは。むし ろ「機能を高めて」とか、そういうことではないかなという気がするんですけれども、 ちょっと私よく知らないんですけれども。その先を見ますと、「リン酸化」とかいろい ろ書いてありますので、機能が高くなるのではないか。 ○紫芝委員  細胞膜から中に入って、また中に入ったものが細胞膜の表面へ出てくるということな んですけれども、代謝回転とはちょっと違います。細胞内の移動の繰り返しなんですけ ど、細胞内の反復する移動とでも言えばいいのでしょうか。難しいですね。             (「リボーズですね」と声あり) ○紫芝委員  ちょっとリボーズとも違うと思うんですね。シャフリングですからね。阿部先生、何 かいい表現はございませんか。 ○阿部委員  ちょっとわかりませんね。リプレニッシュメントだという英語だけは わかるのですが。 ○寺尾委員  このままにしておきますか。そこはそれでよろしいんですけど、同じ9ページの下か ら6行目から「DNAに結合するが」と書いてありますけど、「か」ですか、これは。 「か」と「が」で大分意味が違ってくるんですけど。「受容体2個が一組となってDN Aに結合するか、ホルモンに特異的な受容体一個と……」なのか。 ○紫芝委員  私が修正させていただきましたけれども、私の最初の考えでは「か」じゃないんです 「が」なんです。多くの場合にはそうなんだけれども、そういう場合もあるけれども、 例えば甲状腺ホルモンレセプターのように、甲状腺ホルモンとレチノイドからなるヘト ロダイマーの場合もあるということを表現したかったわけですね。 ○寺尾委員  3行目のしっぽのところに「場合もある」という言葉を入れれば。 ○紫芝委員  「結合する場合もある」でいいかもしれませんね。 ○寺尾委員  ええ。 ○紫芝委員  ありがとうございました。「場合もある」か「場合があるか」、どちらかで修正させ ていただきます。 ○寺尾委員  あとはワープロのミスのようなものがありますが、それは後で申し上げますので。 ○井上委員  先ほど安田先生が問題提起されて、高杉先生とディスカッションされた27ページのと ころですが、実際に文案をつくるような段階になりますと、相談を受けたりして面倒な ので、この場でちょっと御提案申し上げますが、「特に胎児への影響については、成人 と異なった不可逆性反応等も考慮され、その総合的な暴露量等について調査する必要が ある」というような対応でよろしゅうございますでしょうか。 ○安田委員  私も内容的には。 ○食品化学課長  もう一度ゆっくりとお願いします。 ○井上委員  「特に胎児への影響については、成人と異なった不可逆性反応等も考慮され、その総 合的な暴露量等について調査する必要がある」。 ○寺田委員  21ページ下の「4)本邦での報告」、ここは精子の数のことを言っているのですが、 一番下の行の「押尾らの20歳」と書いてあるところは数字が入っていません。ほかの人 は全部数字が入っているんです。もし数字が書けるようなら、ここは大事なポイントの 1つだから入れた方がいいだろうと思います。。 ○池田補佐  それは確認して記載がありましたら追加させていただきます。 ○座長 それでは大分細かいところまで来ましたので、次に移らさせていただきましてよろし いですか。それでは、また次のセクションから御説明ください。 ○池田補佐  それでは続きまして、大きな項目の「III.内分泌かく乱化学物質問題を解決する ために」のところに入ります。  最初の部分は現状につきましての、我が国につきましては特段の修正は ございません。  30ページからでございますが、諸外国の状況、「(2)世界における最近の主な取 組」、ここの部分につきましては、従来の記載がやや不十分かということでかなり詳し く書いていただいております。全体的な世界的な取組について書いた上で、米国での状 況、欧州各国、OECD等の情報、IPCSの状況、これらについて記載していただい ています。  そこで30ページの米国のところの1行目ございますが、ウィスコンシン州ウィングス プレッド「に」という一文字抜けておりますので、ほかのワープロミスと併せて後で修 正させていただきます。  それから、33ページからでございますが、2.今後の対応方針だったものを大きく 「基本方針」と改めまして、中を(1)から(4)というふうに整理させていただいて おります。したがいまして、34ページの(4)のところ「統合的な調査研究の推進」の ところで、下の方の8行目、ここで前回御意見いただきました複数化学物質の複合影響 について評価方法の検討を基本的なところに入れるようにという御指摘はここに記載す るような形にさせていただいております。  同じく34ページ、(4)の1行目と3行目のところで懸念という文字については、先 ほど来の説明のとおり「指摘されている」に表現をさせていただいています。  35ページからでございますが、「3.人の健康を保護するための具体的な対応方針」 ここでも2カ所ほど懸念という文字は「指摘」に変更させていただいたのと、あと膨大 なという表現が出てきまして、ここについては繰り返しになるのではないかということ で修文をさせていただいております。  36ページの2)のところでも同じく膨大なという文字がありまして、これを修文させ ていただいております。  それから、37ページでございますが、「(3)その他の調査研究」の中の「1)暴露 に関する調査研究」のところでも懸念という文字を「指摘されている」に変更させてい ただいております。  それから、2)の 1の一番下の方でございますが、先日、前回の会議でも「受容体を 介する機序について閾値が認められない……」というところについて、ここの記載につ いての正しいのかというような御指摘がありまして、もとに戻って、先生方と相談をし た結果、ここの部分の記載については余り正確さが書ききれていなかったということで 今回はこれを削除させていただいております。  続きまして38ページでございますが、1行目のところでは先日御指摘ありました胎児 期だけでなく新生児期というのを追加するということ。  それから、真ん中辺のところに数万種に及ぶというのも修文させていただいておりま す。   2のところでは懸念という文字が2つありますので「心配が生じる」というのと「指 摘されている」ということで修文させていただいております。  39ページのところでは、下の方ですが、「3)研究機器等の整備」のところも懸念と いう文字を「指摘されている」と直したのと、4)の予算の確保のところは、先日の御 意見で「民学産官が緊密な連携を採りつつ効率的な調査研究を進めていく必要がある」 と直させていだたきまして、表題もそれに合わせて修正させていただいております。  以上がIIIでございます。  「IV.おわりに」の42ページにつきましては、1行目のところの懸念されているとこ ろを削除したというだけでございます。  以上、本文はここまででございます。 ○座長  ありがとうございました。ただいまのセクションにつきまして、何か御指摘の点がご ざいましたらどうぞ。 ○田中委員  29ページの図についてなんですけれども、2点指摘したいと思うんですが、1点は、 ここで使われておる言葉で、真ん中の楕円形の中に入っている言葉では、「攪乱」の攪 を平仮名で、それから、「かく乱化学物質」というのがほとんど報告書では入っている んですけれども、一番下のところの表題が「内分泌かく乱物質」になっていますね。こ このところを「内分泌かく乱化学物質」と統一してはどうかなという気がします。「か く乱物質」あるいは「かく乱化学物質」という言葉がこの中の全体には入っているんで すけれども、できるだけ「内分泌かく乱化学物質」の方がいいのではないかなという気 がします。  2点目は、「ダイオキシン」という言葉が16ページにあって、それで内分泌かく乱化 学物質という意識で対応してはいないと思うんですけれども、ダイオキシンの環境への 排出削減プログラムが厚生省で動いていますので、一般の市民から見れば、これも重要 な環境への排出抑制の対策として厚生省は取り組んでいるのではないかなという気がす るので、29ページの下の左側の一番下に「環境への排出抑制」、環境庁だけ書いていま すが、厚生、環境と入れた方がいいのではないかという気がするんですけど、 以上です。 ○池田補佐  ただいまのお話で、まず図の中の言葉の問題なんですが、真ん中の「内分泌攪乱」の 漢字につきましては、実は課長会議ができたときに、この文字を使ってしまったという ことで、ただ単にそれだけでございます。  あと、下の方も先に述べましたとおり、関係各省庁で連携図をつくった時点でこのよ うな表現で各省庁が了解してしまったということですので、何ら意図はございませんも しよろしければ、全部統一しても構わないのかなと思っております。  それから、ダイオキシンの件はちょっとお待ちください。 ○食品化学課長  今、経緯を御説明しましたように、この表自身はこういう格好で行きましょうという ことで、関係省庁が合意したものです。そのときにエンドクリン問題だけ焦点を絞った ものですから、ダイオキシンは入っていない。もし必要があれば、ここの図ではなくて 本文中にどこか入れておくということで御提案させていただきたいんですけれども。 ○田中委員  ということは、この報告書のためにこの図をつくったというわけではなくて、全体の 会議で承認されたものを、参考下、あるいは引用下で、この報告書のためにつくった表 ではないという、そういう記述があれば理解できると思うんですけれども、この会議の ために全体をわかりやすくするためにつくったのであれば、そういうことに余りこだわ らなくしてはどうかなと思ったものですから。以上です。 ○座長  ありがとうございました。私の意見ですが我々の6回行った会議の内容を盛り込むの ですから、田中先生御指摘のように全部統一したいというふうに思いますが、この中に そういうふうに書かれても、さて出て行ったときには、課長会議で、なぜ、勝手に変え たと言われて、また課長がお困りになるのではないかなというふうな気もちらっといた しますから、一応お任せするということであります。私自信は6回の結論だから、これ でいくのだというふうに私はしたいような気でおります。  何かほかに。はい、どうぞ。 ○寺田委員  この前のとき、たしか私言ったと思うんですけど、研究の企画と推進、あるいは評価 に関してどうするのかということをやはりどこかに入れておく必要があります。具体的 に入れなかったとしても、例えば、39ページの(4)の「1)新たな枠組みの構築」の 「さらに、調査研究を推進するためには」の後ぐらいに、例えばですけれども、「企画 評価の組織をさらに拡充し、この枠組みに産業界の」とか何かそういう言葉を入れてお いてもらわないとと思います、全体は非常によくレビューされて大変いいんですけれど も、これから新しいことをやるというときの企画、評価をどうするかということを全体 に出てきてないので入れてもらいたい。 ○座長  寺田先生の御指摘は前のときにもタックスペイヤーに対するデューティであるという ことで、これはぜひ入れて加えていただくようにします。 ○寺田委員  今までもよくやっておられますが、研究費の金額も大きくなっおりて、問題が大きく なってますので、企画・評価がより大切になります。 ○座長  安田先生、何かございますか。 ○安田委員  今のところは。 ○高杉委員  42ページですけれども、「1)内分泌かく乱化学物質問題には、多くの不確実さが存 在していること」。「多くの確定されていない点が存在している」とする方がよいと思 います。多くの不確実さが存在しているというと、この問題は全体的にいいかげんな問 題だと、あやふやなことばっかしがいっぱいあって、騒ぐこともないよという印象を与 えないでもないですから、「不確実さ」という言葉は変えた方がいいと思います。 ○座長  高杉先生、早口でおっしゃったので、もう一度ご発言いただけますでしょうかどのよ うな書き方がよろしいですか。 ○高杉委員  例えば「まだ確定されてない点」とかにしたらいかがかと思います。「多くの不確実 さが存在している」と言われますと、今までずっとやってきた人、膨大な報告というも のの大部分が不確実であるということにならないかと思うわけであります。 ○座長  検討すべき問題が残されているというふうな書き方ですか。 ○高杉委員  そういうことです。 ○座長  ありがとうございました。阿部先生、どうぞ。 ○阿部委員  現状がどうであるか。世の中だんだんきれいになっていくような気がするんですね。 今、どうであるか、来年はどうなるか、そういうことをきちんとデータとして残してい くことが将来重要ではないか。どこかで読み取れるのかもしれませんが、そういう1つ の項目があった方がいいような気がするんですけれども。 ○座長  ありがとうございました。ごもっともな御意見だと思いますので、これは事務局で検 討させていただきます。そのほか何か。よろしゅうございますか。  それでは、ここの項目は一応これで終わらせていただきます。それでは引き続き別の セクションについて御説明ください。 ○池田補佐  それでは、43ページからでございます。「付録」ということで「個別物質の評価と今 後の検討」というところでございますが、ここでは食品のプラスチック容器の原材料等 として使われているものということで、ポリカーボネート樹脂中のビスフェノールA、 ポリスチレン中のスチレンモノマー、ダイマー、トリマー、それから、ポリ塩化ビニー ルのフタル酸エステル類ということで、3つにつきまして、現時点での知見のまとめと いうようなことと、今後の試験研究の方針をまとめていただいたわけです。  前回の御議論の中で、一部の引用された試験成績等について、きちんとした発表論文 等ではないではないかというような御指摘がありまして、それらについては、例えば44 ページをごらんいただきますと、四角で(参考)と囲った形で、今申し上げましたよう な試験成績を記載してございます。  それから、46ページまで行っていただきますと、したがいまして、今のような状況を 踏まえて、本文のまとめのところの最後の懸念という文字は「指摘がある」というふう に修正した上で四角で囲った(参考)ということで、「最近、極低用量での飲水混入に よる子宮内および哺乳中暴露の成績が発表され、児に影響がないと報じられているが、 まだ学会発表の段階であり、論文化された後に詳細に検討する必要があると 考えられる」 これがビスフェノールAについてのまとめの記載としてさせていただいております。  47ページからは「2 ポリスチレン」でございますが、ポリスチレンにつきましても 同じように、下の方の四角で囲った(参考)ということで、1つはスチレンダイマー (3種類)とスチレントリマー(3種類)についてのラット子宮細胞質画分を用いたエ ストロゲン受容体との結合試験。  ダイマー(10種類)、トリマー(3種類)についてのヒト乳がん細胞の増殖能という ことで、いずれも結合能の増殖能が認められなかったという報告があったということを (参考)で入れさせていただいております。  48ページでございますが、ここでもいくつか社内報等でスチレンダイマー、トリマー についての試験がされているということで、「論文化された後で詳細に検討する必要が あると思われるが、参考までに以下に示す」ということで、(参考)で四角で囲って記 載してございます。  下の「 2反復投与毒性試験」におきましても同じく(参考)で記載してございます。  49ページの「(3)現時点でのまとめ」のところは、これらを踏まえましてアンダー ラインがございますが、「ヒト乳がん細胞(MCF−7)に対する増殖能はみとめられ ないとの報告や、参考情報ながら」というような記載で、今のようなものを引用させて いただいていると。  下の段のところも「参考情報ながら」という記載を追加させていただいたということ でございます。  それから、50ページからが「3 ポリ塩化ビニール」でございますが、ここではフタ ル酸エスタルの溶出データにつきまして、ほかのものに比べますと少し記載の整理が不 十分だったということで、一部記載を修正をさせていただいております。  51ページのところでは、やはり(参考)データということで2つ四角で囲った形で記 載をさせていただいております。  52ページも同じく続けて2つほど(参考)で囲ったものが記載してございます。  それから、先ほどの溶出データのところの関係で、56ページのところの「原乳」と 「バター」のデータのところは整理をさせていただいております。  以上、付録の概略でございます。よろしくお願いします。 ○座長  ありがとうございました。この付録の件につきまして、何か御意見ございましたらど うぞ。 ○寺田委員  書き方ですけど、括弧で(参考)として書きますと、これが逆に強調されるような感 じになる。したがって、書き方を工夫された方がいいか、1つは参考という定義を書く か、それで括弧で書くか、あるいは括弧にせずに、例えば面倒くさいですけれども、○ ○という社内報があるとか、抄録があるとか、そういうふうに書かないと、前のところ でも随分抄録を引用しているのがあるんですね。ですから、ここで抄録だから、これは もっと検討しなくてはいけないとして、また目立った四角にすると何かおかしいような 気がちょっとしました。 ○座長  ありがとうございました。これは体裁の問題ですから、別にここだけイタリックで書 いてあるわけでもないのですが、寺田先生おっしゃるように、ここだけ参考というよう なことではなくて、何か考えまして、このセクションに入れていくようにさせていただ きます。よろしゅうございますか。 ○鈴木(継)委員  この検討会の仕事の範囲がどこまでなのかちょっとわからないところなんですが、要 するに人の健康に重大な影響を与えるという科学的知見は、例えば、かくかくしかじか の物質に関しては得られていないと、この検討会は判断した。それはそれでいいと思う んですね。その次に、現時点において使用禁止等の措置を講ずる必要はないとこの検討 会が判断するという、そこまで踏み込んだ形でこの検討会は議論をしなければいけない のかどうかということです出 ○高杉委員  私も今ちょうど鈴木(継)先生と似たようなことを感じていたところでございます。 特にビスフェノールAなんですが、ビスフェノールAはドッツ先生がDESをつくると きにも考慮したほどでDESの分子と似ていますよね。これについての安全性は非常に 用心しなければいけないのではないかという気がいたします。  それと同時に、54ページの食器のデータを見ますと、製造方法によって随分違うと思 います。きちんとつくれば、極微量しか出ないですけれども、つくり方がまずいと、雑 につくったせいかどうか知りませんが、一番上の例などは「材質規格違反品」と書いて ございますが、うまく重合してないと出てきます。だから、これはつくり方によっては 大丈夫だと言えないわけでして、会社によって大分違うというような印象を受けます。  ですから、全部今は使って大丈夫なんだよと言い切っていいかどうか。この54ページ のデータを見ていて、あちこちに一番上のようなものが混じっているかもしれないとい うことを考えますと、何か1行入れておいた方がよろしいのではないかという気がいた します。  同時に鈴木(継)先生のおっしゃるように、使い続けて大丈夫だよとこの委員会で言 ったにもかかわらず、ビスフェノールAが環境に大分漏れてきているのではないかと問 題になった場合に、鈴木(継)先生と同じように、私もちょっと不安感を持っていると ころでございます。 ○座長  そのほか、何か御意見ございますでしょうか。 ○西原委員  「個別物質の評価と今後の検討」というところで、人に対する健康影響ということで それほど詳しく書く必要はないと思うんですが、いわゆる暴露評価ということが問題に なると思うんですね。食品からの溶出試験のデータは確かに出ています。例えば河川中 の濃度であるとか、少なくとも国内での生産力であるとか、そういったデータは全然入 ってないんですけれども、私はある程度入れておくべきではないかと思います。 ○座長  まとめて答えていただきます。 ○食品化学課長  今の西原先生の生産量等ですけれども、3月13日開催の食品衛生調査会毒性・器具容 器包装合同部会の時点で、生産量等データを出していおります、そのデータはたしかこ こにお出ししていたのではなかったかと思うのですが、ちょっと私の記憶違いかもしれ ませんが、それはそれで調査会の資料から抜粋したものをここの中につけ加えることは できるかと思います。  それから、あと最後の54ページの溶出があるケースは確実にこれは違反品として行政 的な処分をしているものでございます。そういう事例があったということで例を載せて おりまして、そういう事例がいっぱいあったということではなくて、むしろこれしかな いということで記載いたしておるものでございます。  それからもう一点、この検討会で何をお願いするかという、業務内容ですね、これは 4月の検討会での資料1に記載しておりますが、当然一般的なレビューをすると同時に 個別物質の危険度評価というものもお願いするということになっています。ただ、今回 はどちらかといいますと、全体的にこれからどういうことをやっていくかということと 現在、特に人の健康の問題が中心になりますが、どういうことまでわかっていて、どう いうことがわかっていないかということを中心にいろいろ検討をいただいてきたという ふうに理解しております。したがいまして、検討課題で個別物質の評価が上がっており ますので、この評価につきましては本文中ではなくて若干今問題になっているものを付 録という格好でつけ加えさせていただくということで、4回目の検討会でそのあらすじ をつくるときに御提案させていただいたというものでございます。 ○座長  何かほかに御意見ございませんか、どうぞ、寺尾先生。 ○寺尾委員  43ページの「(2)ビスフェノールAの安全性について」というところなんですけれ ども、下から5行目のところからの 2というのがございますね。この文章が理解できな いところがありまして、前段では糖蜜のエストロンからエストラジオールができるとい うことが書いてございまして、「変化するが、ポリカーボネート製のフラスコを使うと ビスフェノールAが……」と書いてございまして、これは2つの文章を1つに縮めちゃ ったような文章であるという気がしますのですが、ここでいいんでしょうか。  それとこの糖蜜からエストラジオールが出てくるというのは、このビスフェノールA とどういう因果関係があるのか、そこがうまく理解できなかったんですけど。 ○座長  ありがとうございます。今手元に資料がないそうでありますので。先生、どうぞ。 ○眞柄委員  まず最初に疑問というか、細かいことですが、溶出の濃度の単位が抜けていたり、Mol で書かれていたり、ppm や ppbで書かれているので、これはどういう意味があるのかと いうことと、それから、基本的に前の方のところで、暴露量調査をしなければいけない というふうに書いてあるわけですが、例えば容器からこれだけ出てきたら、食品の方で はどれぐらいの暴露量として見るのかというシナリオというか、プロトコールがはっき りしないですね。例えば、飲み水の場合ですと1日2L だというふうにサンプションし て、水からの寄与はいくらだと。空気の方だったら20m3で何mgという形の暴露量を推定 するルールがあるはずなんですね。そのルールを食品の場合にどういうふうに見るかと いうことで、例えば使用禁止と何とかとかということを言わなければいけないので、そ のために前の方で暴露量調査をしなければいけないとか、実際の個別のところでも食器 等からの溶出量の調査というふうに書いてあるのですが、溶出量の調査をして、それが 暴露とどう関係があるかというシナリオをどこかに書いていただけないか。 ○座長  事務局側、よろしゅうございますか。 ○食品化学課長  今、眞柄先生がおっしゃったのは、一般的な話だと思いますので、本文の方で調査研 究の中に今おっしゃったことを盛り込んでいくようにしたいと思います。 ○座長  眞柄先生、よろしゅうございますか。 ○寺田委員  皆さんちょっとおっしゃったことかもわかりませんが、表の54から55、56、これはど この文献からどういうふうな形で出ていたのか記載すべきと思います。こういうのがこ こへ公に出てしまいますと、これがひとり歩きします。ひとり歩きしていいような公に なったデータなのかどうかということがよくわからない。 ○池田補佐  表1、54ページのものにつきましては、引用文献で言いますと、64ページの102 番で ございます。64ページの一番下のところを見ていただきますと、いくつかの公表論文、 例えば、河村先生の論文とか環境庁の研究報告書、そういったものからの引用でござい ます。  それから、表2は、66ページの多分 124番でございます。今申し上げたようなものだ ったと思います。 ○寺田委員 後で調べてもらって、横の片隅に書いておいてもらえれば良いと思います。 ○池田補佐 わかりました。 ○座長 それでは、今いろいろの御議論いただきましたけれども、やはりこの検討会というの は、国民の不安に対して、我々サイエンティフィックなレベルでの論議を踏まえたとい うことで、この中間報告をまとめるということでございます。そのために最終的な、53 ページのまとめでございますが、これでよろしゅうございますでしょうか。これについ て、皆様方の御意見をいただきたいと思います。もちろんまだまだ検討するべき問題が ありますけれども、現時点では科学的な、「直ちに使用禁止の措置を講ずる必要はな い」というふうに考えられるというようなところで結論がまとめということでいきたい と思いますが、いかがでございますか。 さらに引き続き調査研究あるいは研究すべき問題につきましては、十分な評価体制を 整え、研究のあり方についての体制を整えて、きっちりとこれから検討していくという ことにしたいと思いますが、これでよろしゅうございますでしょうか。 ○高杉委員 大筋において結構だと思いますが、先ほど言いましたように、現時点で直ちに使用禁 止の措置を講ずる必要はないと思いますが、これは適正に製造された場合であって、ど ういうふうに摘発してきたのかと。摘発されないものがあるのではないかという不安は あるわけです。何か適正に製造されたものに関してはこうであるけれども、不良品だっ て探せば出てくる、あるいはどこかから訴えが出てこない限り調べないということもあ るわけですね。どういうふうにして摘発したのか、摘発されないで埋もれているのもあ るのかもしれないという不安がございますので、何かそこいら、これは適正につくられ た、きちんと重合しているような物質であるならばということだと思うんです。不良品 を摘発する調査も必要であるというようなことがないと、今使っているのがいいのかな と皆さん御心配になる方もいるかもしれない。 ○食品化学課長 先生の御懸念はわかりましたので、54ページの多分表1の問題なんだろうと思うんで すね。この表1の規格違反品というのは、抗菌剤を練り込んでつくったらそういうこと のために、ビスフェノールAというのは容器包装の基準があるんですけれども、その基 準を超えたビスフェノールが出てきたというケースでございますので、そういうコメン トというようなものをこの表のどこかに書き加えるということで対応させていただけれ ばと思います。 ○鈴木(継)委員  さっきの私の発言の続きになるのですが、人の健康に重大な影響が生じているという 科学的知見は今のところないと、これはこれで皆さん多分そうだと思うんですね。それ はそれでよろしいと。しかし、研究の必要はいっぱいあるんだと。かくかくしかじかの 理由によって研究は展開しなければならないし、対策も展開しなければならない。だけ ど、行政的に使用禁止等の措置はとる必要はないと考えるよと、そういう筋立てなんだ と思うんですね。  ですから、むしろこの検討会で我々が言わなければならない大きなポイントは、ます ます一生懸命調べなければいかんし、情報を集めなければいかんし、そこのところの対 策を早く立てなければいかんのだよということを力説すべきだと思うんです、個別のも のに関して。本当に言ってしまえば、「使用禁止等」と書いてあって、「使用禁止等の 措置」というのが、行政的な対応策すべてを意味しているのか、それとも何を意味して いるのかよくわからないところに薄気味悪さが私にはあるわけで、その辺もう少し論理 の組み方をきちんとしてやらなければならないことの重要性は、研究を進めることや情 報を集めることにあるのだというところに力点がいくように書いてほしいなと 思います。 ○座長  わかりましたから、それについては少し逆にして調査研究の必要性があるということ を先に出して、しかしながら、現時点では禁止などの措置を直接する必要はないという ような書き方に変えてよろしゅうございますか。それなら御満足いただけますか。 ○寺田委員  私もちょっと気になるのは、全体に内分泌かく乱化学物質に関して、この目次にある ように、「おわりに」で終わっています。しかし、この結論の所にも今後何をすべきか ということがはっきりしていません。。その後に「個別物質の評価と今後の検討」とい うことが付録として出ています。付録というのは変ですが、非常に大事な問題がここに 書いてあります、付録というのはどういう位置づけで書いてあるのかよくわからない。  一方、一番最後のところで、今、鈴木(継)先生がおっしゃったまとめという意味で 個別物質の評価と今後の検討がまとめてかいてあるのだったら、ちょっとこれもおかし な感じです。付録のところ全体がちょっとおかしな感じがします。ここでまとめようと 思っておられる座長には申しわけないですが、表現方法で少し工夫が要ると思います。 ○座長  いろいろの御発言ありがとうございました。今の内容を踏まえて、大筋ではこの付録 というのはいかんということであれば、少し訂正というか、もう少しスタイルを整えて やるということで、その辺の修正は我々にお任せいただけますでしょうか。 ○眞柄委員  今、座長がおっしゃったことで、食品用容器材料の合成樹脂でポリカーボネート、ボ リスチレン、ポリ塩化ビニールはそのとおりだと思うんですが、例えば水道用の器材で これに類する合成樹脂管がたくさん使っているわけです。  そういうことに関して、ここの場合では全くコミットしていなくて、本文のところで はコミットしているわけでございますので、ここのところは、食品容器等の材料として 点となって、一般に用いられている合成樹脂というのが、食品だけじゃなくてすべての 3物質の合成樹脂に対してコミットするのか、食品で使われている3種についてコミッ トするのか、そこのところを明快にした上で、座長がおっしゃったようにまとめていた だきたいと私は思います。 ○座長  それから、これは御存じのように内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会中 間報告であるという点を御記憶いただきたいのでありまして、もう6回も行ったからこ れで最終報告を出したわけではございせまん。これからいろいろの問題が起こってくる かもわかりませんが、その様なときにはまた検討会を開きまして、とりあえず現時点で 大きく社会問題になっております内分泌かく乱化学物質の問題に対する我々のサイエン ティフィックなレベルでの検討はこういうことであると。しかし、新しい問題が起こっ てきたときにはさらに詳しく検討をする、あるいはそういったことについての次回の検 討会でそれを論議するというふうなことで、とりあえずの今日の時点では、過去6回の ことをこのような形でまとめていくというようにさせていただきたいと思って おります。 ○井上委員  座長がおまとめになった後で余計なことを申し上げて恐縮なんですけれども、この付 録の位置づけについていろいろ御意見を承っているわけですけれども、お手伝いをした 立場といたしましては、この付録の位置づけは、そういう認識で統一されているという わけではございません、私の認識では2ページ目の位置づけの中の第3パラグラフの 1)の「現在までに入手可能な生体影響に関する情報と、その暴露情報を分析すること によって、当面のリスクマネージメントを実施することが期待されている緊急な個別課 題」の中に将来入っていくものとして、現実に問題になってしまったもの、しかしなが ら、まだ暴露評価などがきちんとデータが組み込まれていないので付録になっていると いう位置づけでございます。  それで、一方、本文の中に、これが入ってこない理由としての私の受けとめ方は、こ のエンドクライン・ディスラプター関係の化学物質は個別評価で安全性が証明できない んですね。全体の相乗効果であるとか、そういったものがないということが理由で、国 際的に共同実験が始まっておりますけれども、これらが確かめられて初めて全部クリ アーになっていくという性格ですので、個別にリスクマネージメントをやっても安全だ ということが言い切れないということが、この本文全体の前提になっております。  したがいまして、この付録につきましては、サイエンティフィック・アセスメントで はございませんで、これはあくまでもリスクマネージメントでございます。リスクマ ネージメントの初歩的な第一歩でとりあえず大騒ぎをする必要はないけれども、エンド クライン・ディスラプターでないというふうに言うこともできないし、エンドクライ ン・ディスラプティングの影響がないということも言うことはできないし、小児に対す る、あるいは胎生期に対する影響も否定できないし、したがって、付録でなければなら ないという位置づけで理解いたしております。  本文の方はサイエンティフィック・アセスメントになっておりますが、この付録につ きましては、サイエンティフィック・アセスメントではございませんで、とりあえず大 騒ぎをしなければならない点だけは一応払拭できるのではないか。そういう意味で付録 にせざるを得ないというふうに私個人は勝手に考えてお手伝いしてまいりました。御参 考になればと思いまして一言申し上げます。 ○座長  それでは、あと内容の修正、あるいは今の皆様方の御発言などをすり合わせまして、 これを最終的にまとめていきたいと思います。あとは座長に一任していただけますでし ょうか。               (「異議なし」の声あり) ○座長  ありがとうございました。  それでは、次に資料2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。 ○池田補佐  それでは、資料2でございますが、これは先ほどの資料の中でも、46ページで四角で 囲ってあります参考の中で囲ったようなものでございまして、ビスフェノールAにつき まして、ごく低用量での飲水混入による子宮内及び哺乳中の暴露の成績ということでご ざいます。資料をごらんいただきますと、こちらはこの6月25日にルイジアナで開かれ ました学会で発表されたABSTRACTという形をとっております。  内容としては、ラットを使いまして、飲料水中にごく微妙の 0.005から50mgのビスフ ェノールAを1L 当たりの飲水に混ぜまして、妊娠の2日目から出生21日まで投与し、 その間に生まれました子どもに影響があったかどうかをジエチルスチルベストロール等 と比較して見ているものでございます。  試験の方式につきましては、2ページの下の方にございます。下の方にMETHOD Sということで、妊娠したCD−Sprgue-Dawley ratsを使いまして、飲水中に投与してい ると。それから、Positive controlはDESを使っておるということでございます。 結果としては、3ページに書いてございまして、DESを使った方につきましてはい ろいろな影響が出ておりまして、一番上でございますが、母動物については、食事の摂 取量ですとか、体重の増加が下がっているとか、それから分娩とか同じ腹の中の子ども の数には影響がなかったとか、体重とか卵巣重量は減少したとか、いろんな影響が出て おりますが、真ん中辺、4つ目のところのビスフェノールAで処理したものについては 何ら影響は出ていなかったというような結論でございます。  詳細は省きますが、そのような結論のABSTRACTが公表されて、今回入手され ましたので、参考ということで配付させていただきます。  簡単でございますが、以上でございます。 ○座長  ありがとうございました。まだペーパーにはなっていないということで、参考という ところで、括弧に入れてあると。寺田先生はそれは目立ちすぎていかんということ。 ○寺田委員  ちょっと待ってください。これも、こういうのを資料としてナンバー付けて出すのな ら、だれのABSTRACTか、こんなものぽっと出されても困ります。例えば、ある 会社の人がある意図をもって出したものか、そんなことはないと思いますけど、Conflict of interestがあるのかどうかをきちっとして、著者はやっぱり出してもらわないと困 る。 ○座長  おっしゃるとおりだと思います。 ○池田補佐  追加させていただきます。 ○高田委員  これは単なる参考だと思うんですが、論文としては、今、先生おっしゃったように、 これはどなたがレフリーにおなりになってもアクセプトできない、まだ未熟なものであ ると思うんですが、特に5ページのFollicle stimulating hormoneのところでコント ロール、0.0 がコントロールとすれば、0.005 というビスフェノールAとコントロール の間、これは差がないのでしょうか。スタンダードがえらい小さいですし、この2つの カラムについて本当にないのかどうか、よくわからないように思います。いずれにして も論文のていをまだなしてないということは確かでございます。 ○座長  確かにおっしゃるとおりで、こういうものが出ておるというだけのことだろうと思い ます。そのほか、これからまた問題になるような資料、データ、あるいは学会発表など がございまして、さらに検討が必要であることになれば、この検討会をまた開かせてい ただくということです、時間が大分迫ってまいりましたので、これで本日の論議を終了 させていただきたい。  この検討会の今後の取り扱いにつきまして、事務局から何かございますか。 ○食品化学課長  本日は長時間細部にわたりましていろいろ御議論いただきましてありがとうございま した。取り扱いにつきましては、先ほど座長が申しましたように、今いろいろな御指摘 いただいたことがまとまった時点で中間報告として公表することにさせていただければ と思います。  それから、今後、この検討会をどのように運営していくかということでございますが 当初、私どもが考えておりましたのは、現在、補正予算でいろいろな調査研究を行って いるところでございます。先生方にお目を通していただくには多少時間がかかると思い ますが、その調査研究、データ等がまとまりまして、、まとまったデータを元に御議論 頂くためにまた先生方に集まっていただければと、こういうふうに思っておりました。 ただ、議論の過程の中で何か緊急性を有するデータが出てきた場合には、諸先生がたに お集まりいただき御検討をいただきたいというふうに感じております。以上でございま す。 ○座長  この4月から6回という短期間に本問題の中間報告をまとめるということにつきまし て、また、このドラフトをおつくりいただいた先生方には大変御多忙のところ御迷惑を おかけいたしました。また、この膨大な資料を中間報告書案としてまとめていただいた 食品化学課の方にも厚く御礼申し上げたい。  ですけれども、やはり国民の関心は非常に高まっておりますし、健康については現時 点ではこうだということを申し上げて、さらに検討するべきは詳しい審査というか、計 画に基づいた形で研究していただくと。そして、その結果はきっちりと公表していただ き、その結果について厳しい審査を行って、膨大な研究費をもらいながら、やっていな い先生方に対しては御遠慮いただくというようなことも、恐らくそういうふうになるだ ろうと思います。 本当に短時間の間に6回いろいろと御議論いただきましてありがとうございました。 それから、本日お持ち帰りいただきまして、何かお気づきの点がございましたら、御遠 慮なく事務局にお申し出いただきたいと思います。長い間、御協力ありがとうございま した。 それでは、これで本日の検討会は終了させていただきます。どうもありがとうござい ました。 連絡先 厚生省 食品化学課(田中、中山)               TEL:03−3501−1711(2487)