98/10/26 第7回水道部会水質管理専門委員会議事録 第7回生活環境審議会水道部会水質管理専門委員会議事録 日時:平成10年10月26日(月)14:00〜17:00 場所:通産省別館共用第825会議室 議事次第 (1)水質基準の改正等について (2)その他 配付資料  資料1−1 水道水質に関する基準の見直し結果(案)  資料1−2 水質項目別個別情報  資料2   水質管理専門委員会報告目次(案)  参考資料  「内分泌かく乱化学物質の水道水からの暴露等に関する調査研究」の        実施について        平成10年度農薬水質測定結果一覧 ○ 事務局  これより、第7回水質管理専門委員会を始めさせていただきます。過半数を超える先 生方がお見えになっていらっしゃいますので、本日の会議は成立しています。  議事に入ります前に、資料を確認させていただきます。お手元に、議事次第、資料1−1 「水道水質に関する基準の見直しの検討結果(案)」、資料1−2「水質項目別個別情 報」、資料2「水質管理専門委員会報告目次(案)」及び『「内分泌かく乱化学物質の 水道水からの暴露等に関する調査研究」の実施について』がございますでしょうかそれ から、これも番号等振ってございませんが平成10年度の農薬水質測定結果の一覧という ものもありますでしょうか。  以上でございます。それでは、よろしくお願いします。 ○ 黒川座長  それでは、始めさせていただきますけれども、まず、資料1−1、資料1−2につい て、全般的なことを事務局の方から御説明願います。 ○ 荒井水道水質管理官  それでは、資料1−1、1−2につきまして簡単に説明させていただきます。  資料1−1は、資料1−2の個別の物質につきまして取りまとめた一覧表でございま す。全部で21物質ほどございますが、今回御議論をいただきまして、次回、水質管理専 門委員会報告書という形でおまとめいただければと思っております。大変量が多くて恐 縮でございますが、どうぞよろしくお願いをいたします。 ○ 黒川座長  よろしいでしょうか。検討対象物質が21物質と大変多いので、いくつかに分けて事務 局から説明いただきたいと思います。 ○ 事務局  本日、御検討いただく項目として21物質ございますが、「水道水質に関する基準とし て追加するかどうかを検討すべき項目」として、1998年の3月にWHOの飲料水水質ガ イドラインの改訂がなされた7項目、また、平成9年4月に環境庁においてゴルフ場で 使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針として追加された5農薬がご ざいます。それから、「監視項目から水質基準にするかどうかを検討すべき項目」とし て、前回の専門委員会において毒性の評価について御検討いただいた5項目がございま す。そして、「監視項目の指針値を改正するかどうかを検討すべき項目」として、平成 4年に監視項目を設定した以降、農薬取締法、食品衛生法等による評価等において毒性 評価が変更になった4項目がございます。  この21物質について8つに分けて御説明させていただき、御検討いただければと思っ ております。ミクロキスティンをまず御説明して、WHOで水質ガイドラインの改訂が なされた6農薬、新規のゴルフ場使用農薬である5農薬、ニッケル、アンチモン、ジク ロロ酢酸、抱水クロラールとホルムアルデヒド及び監視項目の指針値を改正するかどう かを検討すべき4項目という順に御検討いただければと思います。  まず初めに、ミクロキスティン−LRについて御説明させていただきます。毒性に係 る評価については昨年度既に御検討いただき、TDI0.00004mg/kg/dayという評価にな っており、今年度の我が国の水道原水の水質の測定結果を収集した上で検討するという ことになってございます。3ページに本年度、印旛沼等富栄養化が進んだ湖沼等を中心に 測定を行った結果を、原水、浄水に分けてとりまとめてございます。なお、本調査は水 道事業体の協力を得て行い、水源名まで公表することについて御了解が得られているも のについては水源名まで書いてございます。  原水につきましては、15浄水場において原水79検体について測定が行われ、検出され たのは3検体、最大値は0.0011mg/lでございます。また、浄水につきましては、15浄水 場において74検体すべてについて定量下限値以下となってございます。  これを踏まえ、「評価値及び項目の位置づけ(案)」でございますが、評価値につき ましては、WHOにおける評価及び内外の試験を踏まえ、TDI0.00004mg/kg/dayから 評価値は0.0008mg/l。なお、水道水以外の暴露源及び経路については知られていないた め、WHOでは水道水の寄与率を80%としており、これを採用する。また、WHOのガ イドライン値は毒性評価のデータベースが限られていること、新たな毒性に関するデー タが集められつつあることから、暫定値とされていることに留意する必要があるという ことで、昨年度の3月に御評価いただいているところでございます。  項目の位置づけでございますが、これまでの測定結果において、浄水において検出さ れていないこと、印旛沼、琵琶湖、烏原貯水池を除き、原水においてミクロキスティン −LRは定量下限値を超えて検出されていないことから、水道水質に関する基準は当面 は設定しない。なお、富栄養化の進んだ湖沼、ダム湖を原水とする水道事業体において は、必要に応じ測定に努めるとともに、今後、原水からミクロキスティン−LRが検出 されることも想定されるため、適切に浄水管理を行う必要があるということで、案を提 示させていただいております。 ○ 黒川座長  では、御討議願いたいと思います。いかがでしょう。 ○ 国包委員  ミクロキスティンの平成10年度の調査結果につきましては、私どもの方で間接的にで すが、担当させていただきましたので、若干、解説をさせていただきたいと思います御 存じのように本年度は非常に雨が多かったため、考えておりましたようにはミクロキス ティンが検出されなかったということがあるのではないかと思います。と言いますのも 調査対象として選びましたこれらの地点はすべて湖沼あるいは貯水池でございまして、 アオコの発生がこれまで条件によってはかなり見られているところということでござい ます。今回の調査ではほとんど検出されなかったので、取扱いとしては項目の位置づけ にありますように、特に水道水質に関する基準は当面は設定しない、なお、今後も必要 に応じフォローを続けていくということでよろしいのではないかと思います。ただし、 アオコの発生はお天気次第で、天候によってはたくさんアオコが発生するということも ございますし、取水のやり方によってはかなり原水でも高い濃度で測定されるという可 能性は私はあると思いますので、そういった意味で、今後も注目していく必要はあろう かというふうに思っております。現時点での扱いとしてはこういうことでよろしいので はないかと思います。 ○ 平田委員  平成10年度測定結果の中で、定量下限値が0.0001mg/l以上のものがございますが、 2ページの一番下のところの定量下限値は0.0001mg/lと記載してありますので、整合性 を取るために、注をつける必要があるのではないでしょうか。 ○ 事務局  次回、定量下限値が高かった理由について付記させていただきたいと思います。 ○ 黒川座長  ほかにありますでしょうか。 ○ 眞柄委員  LRについてはこのとおりだと思いますが、ミクロキスティンはこれ以外にも異性体が ありますし、LR以外の異性体についての毒性情報も徐々に集約されてきておりますから 今後調査を続けるという場合には、LRに限らずほかの異性体についても関心を持って調 査を進めていただきたいと思います。 ○ 黒川座長  どうもありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。 それでは、ベンタゾンから6農薬について説明をお願いいたします。 ○ 事務局  ベンタゾン、カルボフラン、シアナジン、2,4−D、ジクワット、グリホサートに ついて御説明させていただきます。ミクロキスティンと同様に毒性に係る評価について は昨年度既に御検討いただき、今年度の我が国の水道原水の水質の測定結果を収集した 上で検討するということになってございます。  ベンタゾンでございますが、毒性評価については、WHOではラットを用いた2年間 の試験からTDI0.1mg/kg/day、食品衛生法による食品規格設定の際の評価ではADI 0.09mg/kg/dayとなってございます。  検出状況でございますが、平成10年度の測定結果では28浄水場における原水212検体の うち156検体から検出され、最大値は0.0036mg/lであり、このうち、0.002mg/l超であ ったものは3検体でございました。また、27浄水場における浄水203検体のうち73検体の から検出され、最大値は0.0021mg/lであり、このうち、0.002mg/l超であったものは1検 体でございました。  平成10年度の測定結果につきましては、測定結果一覧としてそれぞれの農薬ごとに、 検体数、検出数、1%超の検出数、それから、評価値の1%を超えた検出値の値とその 検出日について整理してございます。必要な場合に資料を参考にしていただければと思 います。15事業体において、おおむね5月から9月まで測定を行ったものを取りまとめ たものでございます。  資料1−2に戻らせていただきます。評価値及び項目の位置づけ(案)でございます が、評価値につきましては、食品衛生法による食品規格設定の際の評価、WHOの評価 及び内外の試験を踏まえ、ADI0.09mg/kg/dayから評価値は0.2mg/lという御評価いた だいているところでございます。なお、WHO飲料水水質ガイドラインの改訂は、水道 水の寄与率を1%から10%に変更したものでございまして、93年と98年で毒性の評価に ついての変更はございません。  これを踏まえまして、項目の位置づけでございますが、調査結果の有効な最大値デー タが評価値の数%(2%)レベル以上であり、かつ、評価値の1%を超えるものが数% (1%)レベルであることから、監視項目とするという案を御提示いたしております。  カルボフランでございますが、毒性評価については、WHO(1998)におきましてはイ ヌを用いた4週間の混餌投与による短期毒性試験からTDIは0.002mg/kg/dayとなって ございます。  検出状況でございますが、平成10年度測定結果では27浄水場における原水179検体のう ち34検体から検出され、最大値は0.00025mg/lであり、このうち0.00005mg/l超であっ たものが12検体ございました。また、26浄水場における浄水176検体のうち23検体から検 出され、最大値は0.00013mg/lであり、このうち0.00005mg/lであったものが11検体で ございました。  評価値及び項目の位置づけ(案)でございますが、評価値はWHOにおける評価値及 び内外の知見を踏まえ、TDI0.002mg/kg/dayから評価値は0.005mg/lという御評価い ただいているところでございます。  これを踏まえまして、項目の位置づけでございますが、調査結果の有効な最大値デー タが評価値の数%(5%)レベル以上であり、かつ、評価値の1%を超えるものが数% (7%)レベルであることから、監視項目とするという案を御提示いたしております。  シアナジンでございますが、毒性の評価については、WHOの評価におきましては、 ラットを用いた2年間の混餌投与試験で、発がん性のおそれに対して10を追加して不確 実係数1,000からTDIは0.0002mg/kg/dayと評価してございます。一方、農薬取締法に よる登録の際の評価ではADI0.0015mg/kg/dayとなっております。  検出状況でございますが、平成10年度測定結果は29浄水場における原水211検体のうち 5検体から検出され、最大値は0.00005mg/lであり、このうち、0.00004mg/l超であった ものは1検体でございました。また、28浄水場における浄水206検体全てについて定量下 限値以下でございました。  評価値及び項目の位置づけ(案)でございますが、評価値は農薬取締法による登録の際 残留農薬安全性評価委員会においてWHOにおいて発がん性のおそれの根拠となる毒性 試験について検討が行われ、発がん性のおそれがないことが確認されてございますこの ことから、農薬取締法による登録の際の評価及び内外の知見を踏まえてADI0.0015mg/ kg/dayから評価値は0.004mg/lということで御提示いたしております。  項目の位置づけでございますが、これまでの測定結果では評価値の1%を超えるもの が数%以下であることから、水道水質に関する基準は設定しないということで御提示い たしております。  2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)でございますが、毒性の評価については、W HO(1998)ではイヌを用いた1年間の試験及びラットを用いた2年間の慢性毒性発がん 性試験からTDIは0.01mg/kg/dayとなってございます。また、農薬取締法による登録の 際の評価ではADIは0.3mg/kg/dayとなっております。  検出状況でございますが、平成10年度測定結果は28浄水場における原水206検体のうち 72検体から検出され、最大値は0.001mg/lであり、このうち、0.0003mg/l超であったも のは3検体ございました。また、22浄水場における浄水177検体のうち29検体から検出さ れ、最大値は0.0004mg/lであり、このうち0.0003mg/l超であったものは1検体でござい ます。  評価値及び項目の位置づけ(案)でございますが、WHOにおける評価が農薬取締法 による登録の際の評価よりも近年の知見を基にして行われていることから、WHOの評 価及び内外の知見を踏まえ、評価値は0.03mg/lという御評価いただいているところでご ざいます。  これに踏まえまして、項目の位置づけでございますが、調査結果の有効な最大値デー タが評価値の数%(3%)レベル以上であり、かつ、評価値の1%を超えるものが数% (1%)レベルであることから、監視項目とするという案を御提示しております。  ジクワットでございますが、毒性にかかる評価については、WHOにおける評価、農 薬取締法による登録の際の評価ともTDI0.002mg/kg/dayとおおむね同じ値になってご ざいます。  検出状況でございますが、平成10年度測定結果は23浄水場における原水113検体及び22 浄水場における浄水113検体すべてについて定量下限値(0.001mg/l)以下となってござ います。  評価値でございますが、WHOにおける評価、農取法における登録の際の評価及び内 外の知見を踏まえ、TDI0.002mg/kg/dayから評価値は0.005mg/lという御評価いただ いているところでございます。なお、WHOにおいては、検査方法の定量下限0.01mg/l をガイドライン値としており、前提とする検査方法が変われば評価値が変わる可能性が あるということでございます。  項目の位置づけでございますが、これまでの測定結果ではすべて定量下限値以下とな っていることから、水道水質に関する基準は設定しないという案を御提示しております  なお、検査方法でございますが、評価値0.005mg/lに対して現在の定量下限値は0.001 mg/lということになってございますので、定量下限値を評価値の10%以下とするために は更に検討が必要ということでございます。  グリホサートでございますが、毒性にかかる評価については、WHOはウサギを用い た催奇形性試験からTDI1.75mg/kg/day、また、食品衛生法による食品規格設定の際の 評価では、ADI0.15mg/kg/dayとなってございます。  検出状況でございますが、平成10年度測定結果は21浄水場における原水116検体のうち 10検体から検出され、最大値は0.0036mg/lでございました。また、20浄水場における浄 水115検体のうち1検体から検出され、最大値は0.001mg/lでございました。  評価値及び項目の位置づけ(案)でございますが、評価値は昨年度御議論いただき結 論を得ているところでございますが、食品規格設定の際の評価は1992年に行われ、NOAEL 32mg/kg/dayからADIは0.15mg/kg/dayとされておりますが、その後、食品規格設定の 際の評価における根拠試験と同様の試験が更に高用量で行われ、当該試験におけるNOAEL は400mg/kg/dayであるとされてございます。また、WHOではウサギの催奇形性試験に おける胎児のNOAEL175mg/kg/dayからTDI1.75mg/kg/dayとしているところでございま す。WHOにおける毒性評価の根拠試験の結果を確認したところ、ウサギの催奇形性試 験において母獣に軽度の下痢、軟便及び死亡が認められ、NOAEL75mg/kg/dayが適当とい うことになってございます。これを踏まえ不確実係数100からTDIは0.75mg/kg/dayが 適当であるという結論でございます。このTDIから評価値を計算すると、2mg/lとい うことになるところでございます。  項目の位置づけでございますが、これまでの測定結果では評価値の1%を超えるもの がないことから、水道水質に関する基準は設定しないということで案を御提示しており ます。  以上でございます。 ○ 黒川座長  農薬6項目について御説明いただきましたが、まず、ベンタゾンに関していかがでし ょう。特に御意見はないということでございますので、お認め願ったということでよろ しいですね。  カルボフランに関していかがでしょうか。  特に御意見はないということでございますので、お認め願ったということでよろしい ですね。  シアナジンに関していかがでしょうか。  特に御意見はないということでございますので、お認め願ったということでよろしい ですね。2,4−Dに関してはいかがでしょうか。 ○ 長谷川委員  評価値のところでWHOにおける評価が農薬取締法による登録の際の評価よりも近年 の知見をもとにして行われているからとありますが、農薬取締法による登録の際の評価 の評価年は明記できないのでしょうか。 ○ 事務局  環境庁に評価年について確認し、公表されている場合には明記させていただきたいと 思います。 ○ 黒川座長  それでは、確認して下さい。他に御意見はないということでございますので、お認め 願ったということでよろしいですね。  グリホサートに関してはいかがでしょうか。 ○ 相澤委員  評価値及び項目の位置づけはこれで結構だと思います。ただし、農薬はほかの化学物 質などと違って、地域によって作られている農作物、病害虫の発生、使用時期等が異な ることから、検出状況も地域によって非常に異なります。したがって、ここでは検出状 況だけが示されておりますが、地域で使っていない農薬は検出されることはないので、 当該地域における農薬の使用量を考慮して監視を行う必要があると思います。水道事業 体が取水している地域でどういう農薬が使われているかをまず調査して、大量に使われ ている農薬があればそれを監視することを考えたらいかがでしょうか。監視項目に追加 されたものを全国一律に測定するのはエネルギーのむだ遣いという気がします。そうい うことをどこか盛り込んでいただけるような記述があればと思います。 ○ 黒川座長  言わば総論的な意見ですけれども、どこか書くところがありますか。 ○ 岡澤水道整備課長  今日の先生のお話は議事録に残して、報告書の方で総括的に農薬については使用実績 使用時期等を基に水質監視の頻度を適切に設定し、的確な水質監視に努める必要がある と報告書の総論の部分に書かせていただいて、かつ、私ども通知を出すときに、その趣 旨で留意事項に記載させていただきたいと思います。 ○ 黒川座長  よろしいでしょうか。 ○ 上路委員  農薬については、農薬取締法における登録名も書いておいた方がいいと思います。例え ば、2,4−Dは日本における登録名は2,4−PAです。また、カルボフランという のは日本で登録されておらず、フラチオカルブやベンフラカルブの代謝物です。これを どういう扱いにしたらいいのか、少し御検討いただいた方がいいのではないかと思うの ですけれども、いかがでしょうか。 ○ 黒川座長  その点について事務局はいかがでしょうか。 ○ 荒井水道水質管理官  カルボフランでございますけれども、日本で農薬として登録のあるフラチオカルブ、 ベンフラカルブ、カルボスルファンの代謝物ということでございまして、それぞれ使わ れているということであります。水道水に関する基準としてはカルボフランという項目 で検討いたしておりまして、実際に監視をするのはカルボフランという物質になる訳で ございます。 ○ 上路委員  そうですね。ただ、カルボフランということになると日本で登録がないことからどの 農薬が対象となっているのかがわからないと思いますので、検討いただければと思いま す。 ○ 事務局  水道水に関する基準は農薬の登録等に関する規制を行うものではございませんので、 農薬の代謝物として生じるカルボフランという物質に対して基準を定めるということで 考えていただければよろしいかと思います。 ○ 上路委員  そうすると、2,4−Dについて同じ整理ということになるのでしょうか。 ○ 事務局  2,4−Dについては、資料1−2においては日本での登録名は2,4−PAである ことを記載させていただく方向で整理させていただければと思います。 ○ 黒川座長  グリホサートについてよろしいでしょうか。  特に御意見はないということでございますので、お認め願ったということでよろしい ですね。  農薬全般当たってございますれば、どうぞ。よろしいでしょうか。  それでは、ゴルフ場農薬についてまとめて説明をお願いします。 ○ 事務局  平成9年4月に環境庁によりゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止にかか る暫定指導指針として新たに設定された5農薬について御説明したいと思います。この 5項目につきましては、第1回水質管理専門委員会で上路先生の方からこれら5項目に ついて御質問がございまして、水道原水等の水質の測定結果を収集した上で検討すると いうことになっていたものでございます。  アセフェートでございますが、ゴルフ場使用農薬に関する暫定指導指針として指針値 0.8mg/lが定められております。日本、WHO、USEPAとも水道水質に関する基準 としては設定されてございません。殺虫剤で、平成8年度原体輸入量は910トンでござい ます。水田における使用はございません。毒性にかかる評価でございますが、食品衛生 法による食品規格設定の際の評価はADI0.03mg/kg/dayとなってございます。検出状況 でございますが、平成10年度測定結果は137検体全てで定量下限値以下でした。参考とし て、28ページに環境庁のゴルフ場暫定指導指針対象農薬にかかる水質調査結果を掲載し てございます。これは、ゴルフ場の排水口及び場外の水域で採水をいたしまして測定を 行った結果でございます。アセフェートについては指針値を超過するものはございませ ん。最大値が0.008mg/lとなってございます。  評価値及び項目の位置づけ(案)でございますが、食品衛生法による食品規格設定の 際の評価を踏まえ、ADI0.03mg/kg/dayから評価値は0.08mg/lということで御提示し ております。なお、食品規格における毒性評価は維持されていることから、現在の毒性 評価を変更する必要性が生じるような毒性試験は行われていないと考えられますが、毒 性情報の整理を行うことが必要ということで付記させていただいております。  項目の位置づけでございますが、これまでの測定結果では定量下限値以下となってお り、評価値に対して十分低いことから、水道水質に関する基準は設定しないということ でございます。ただし、地域の特殊性により農薬散布による汚染が懸念される場合もあ ることが想定されるので、ゴルフ場使用農薬にかかる水道水の水質目標として追加する ということで案をつくってございます。  メタラキシルでございますが、ゴルフ場使用農薬に関する暫定指導指針として指針値 0.5mg/lが定められております。日本、WHO、USEPAとも水道水質に関する基準 はございません。殺菌剤で、日本では稲の黄化萎縮病のほかピシウム菌、ベト病等を適 用対象としてございます。毒性評価でございますが、農薬取締法による登録の際の評価 はADI0.019mg/kg/dayということになってございます。検出状況でございますが、平 成10年度測定結果は29浄水場における原水208検体のうち1検体から検出され、検出値は 0.0005mg/lであり、また、28浄水場における浄水204検体のうち1検体から検出し、検 出値0.0002mg/lでございました。環境庁の平成9年の測定結果では、2,683検体のうち 指針値0.5mg/lを超過したものはなく、最大値は0.007mg/lということでございます。  評価値及び項目の位置づけ(案)でございますが、農薬取締法による登録の際の評価 を踏まえADI0.019mg/kg/dayから評価値は0.05mg/lということでございます。なお、 農薬取締法による評価は維持されていることから、現在の毒性評価を変更する必要性が 生じる毒性試験は行われていないと考えられるが、毒性情報の整理を行うことが必要と 付記させていただいております。  項目の位置づけでございますが、測定結果では評価値の1%以下となっていることか ら、水道水質に関する基準は設定しないということでございます。ただし、先ほどと同 様に、水質目標として追加するということにしてございます。  ジチオピルでございますが、ゴルフ場使用農薬に関する暫定指導指針として指針値 0.08mg/lが定められております。水道水質に関する基準は設定されてございません。除 草剤で、水田1年生雑草等を適用対象としてございます。毒性の評価でございますが、 農薬取締法による登録の際の評価はADI0.0031mg/kg/dayとなってございます。検出状 況でございますが、平成9年度及び平成10年度測定結果は29浄水場におきまして全て定 量下限値以下でございます。環境庁の平成9年の測定結果では2,465検体のうち超過した ものはなく、最大値は0.003mg/lとなってございます。  評価値及び項目の位置づけ(案)でございますが、農薬取締法による登録の際の評価 を踏まえ、ADI0.0031mg/kg/dayから評価値は0.008mg/lということでございます。な お書きで、これにつきましても毒性情報の整理を行うことが必要と付記させていただい ております。  項目の位置づけでございますが、これまでの測定結果では評価値の1%以下となって ございますことから、水道水質に関する基準は設定しないということでございます。た だし、同様に、水質目標として追加するということでございます。  トリクロピルでございますが、ゴルフ場使用農薬に関する暫定指導指針として指針値 0.06mg/lが定められております。水道水質に関する基準は設定されてございません。除 草剤で広葉雑草等が適用対象です。水田における使用はございません。毒性にかかる評 価でございますが、今回は空欄にしてございます。農薬取締法で登録がある訳でございま すが、非食用ということで長期毒性について農薬取締法では評価はされていません。環境 庁では平成9年4月に暫定指針値を設定する際、長期毒性試験について農薬メーカーの 協力を得て評価を行ってございます。ここで用いられた毒性試験について概要を御提供 いただけるよう環境庁に今御相談しているところでございますが、今回は間に合いませ んでしたので、次回の専門委員会におきまして毒性試験の概要について提出して御検討 いただければと考えております。検出状況でございますが、平成10年度測定結果は25浄 水場における原水174検体のうち12検体から検出され、最大値は0.00024mg/lであり、こ のうち、0.00006mg/l超であったものは7検体ございました。また、24浄水場における 浄水170検体のうち7検体から検出され、最大値は0.00014mg/lであり、0.00006mg/l超 であったものは3検体ということでございます。環境庁の平成9年度の測定結果では 2,472検体のうち指針値0.06mg/lを超過したものが2検体となってございます。  評価値及び項目の位置づけ(案)でございますが、評価値は仮にゴルフ場で使用され る農薬による水質汚濁の防止にかかる暫定指導指針値を踏まえれば評価値は0.006mg/l と計算されるとしてございます。  項目の位置づけでございますが、調査結果の有効な最大値データが評価値の数%レベ ルであり、かつ、評価値の1%を超えるものが平成10年度原水で数%であることから、 監視項目とするということで御提示してございます。  ピリブチカルブでございますが、ゴルフ場使用農薬に関する暫定指導指針として指針 値0.2mg/lが定められております。日本、WHO、USEPAとも水道水質に関する基 準はございません。除草剤で、水田1年生雑草等を適用対象としてございます。毒性で ございますが、農薬取締法による登録の際の評価はADIは0.0075mg/kg/dayとなってご ざいます。検出状況でございますが、平成10年度測定結果は31浄水場における原水208検 体のうち21検体から検出され、最大値は0.00034mg/lであり、このうち0.0002mg/l超で あったものは1検体でございました。また、30浄水場における浄水202検体のうち2検体 から検出され、最大値は0.00019mg/lでございました。環境庁の測定結果では指針値を 超過したものはなく、最大値は0.0001mg/lとなってございます。  評価値及び項目の位置づけ(案)でございますが、農薬取締法による登録の際の評価 を踏まえ、ADI0.0075mg/kg/dayから評価値は0.02mg/lとなります。なお書きで、こ れにつきましても毒性情報の整理を行うことが必要と付記させていただいております。  項目の位置づけでございますが、これまでの測定結果では評価値の2%となるものが 1検体あったものの、検出率は十分低いことから水道水質に関する基準は設定しないと いうことで御提示いたしております。ただし、先ほどと同様に、水質目標として追加す るということにしてございます。  以上でございます。 ○ 黒川座長  それでは、アセフェートについていかがでしょうか。 ○ 眞柄委員  水への溶解度を見ていただくとお分かりになるとおり、1l当たり790gと水溶解度が 大変高い農薬でございます。グリホサートやジクワットも同じことがいえますが、最近 は水溶解度が高い農薬がどんどん登録されてきております。確かに低毒性ということと 扱いやすさということでこういう農薬が出てくるのはある意味では化学の必然かもしれ ませんけれども、水の立場から言うとこういうのは一番困るんです。とにかく水に溶け るということは、要するに測るのが非常に困難なんです。それから、活性炭吸着で除去 ができないので、除去しようとするとオゾンで処理するしかないということであります 水道にとっては大変困る性格を有する農薬と言っていいのかもしれません。そういう農 薬の開発と使用について、国のどこかで考えていただきたいと思います。出来れば報告 のところに書けるか書けないか分かりませんけれども、ちょっと書いていただきたいと 思います。 ○ 岡澤水道整備課長  水溶解度が高くても、毒性が低く低濃度で農薬として有効であるならば健康影響とい う観点からは問題ないのでどのように評価するかというのはなかなか難しいところです ね。現に水道に問題が生じる可能性が強いというのならば、問題として強く言えるので すが。 ○ 黒川座長  健康影響というよりは、その前の段階で問題になるということでしょう。 ○ 岡澤水道整備課長  要するに、水溶解度が大きいと低濃度になるため、監視が難しいということになるの でしょうか。 ○ 眞柄委員  水溶解度が高い農薬については、例えば、色をつけて、それが水環境中に流出したら すぐわかるようにするなど何かちょっと考えてもらいたいという気がします。 ○ 上路委員  今のような御心配は確かにあると思います。ただし、グリホサートやジクワットは水 溶解度が高くとも土壌に落下するとすぐに土壌に吸着するんです。確かに、水系への影 響という観点から見ると心配かもしれませんけれども、使用目的あるいは土壌への吸着 性という面からの考慮も必要です。 ○ 黒川座長  これは、水道というより農薬における課題ですね。  その他特に御意見はないということでございますので、お認め願ったということでよ ろしいですね。  それでは、メタラキシルについてはいかがでしょうか。  特に御意見はないということでございますので、お認め願ったということでよろしい ですね。  ジチオピルについてはいかがでしょうか。  特に御意見はないということでございますので、お認め願ったということでよろしい ですね。  トリクロピルに関しては、毒性の評価についてはどのようにするのか追加説明をお願 いできますでしょうか。 ○ 岡澤水道整備課長  次回の水質管理専門委員会において、トリクロピルについて長期毒性評価試験につい てご確認いただきたいと考えております。なお、事前に入手出来ましたら、毒性の専門 の方には確認いただきまして、その上で次回の専門委員会に出させていただきたいと思 います。 ○ 黒川座長  そういうことにして下さい。何か御意見はございますでしょうか。特に御意見はない ということでございますので、お認め願ったということでよろしいですね。  ピリブチカルブについてはいかがでしょうか。 ○ 河村委員  農薬全般についてですが、検査方法は、ほとんどが固相抽出をしてジクロロメタンで 溶出という操作をされているのですけれども、一斉分析は可能なのでしょうか。 ○ 安藤委員  これは基本的に一斉分析ができます。これらについては、すべて一応回収試験を行っ ており、大丈夫だろうということです。今のところは、GC−MSで測定を行うか、メ チル化させて誘導体化してガスクロマトグラフで測定を行うか、HPLCで測定を行う かの3つのどれかで測定が可能です。ですから、幾つかの種類に分けて一斉分析が出来 るように最終的にはもっていきたいというふうに考えております。 ○ 上路委員  現在は、農薬の残留分析の際、ジクロロタメンを使うということを極力避けるという ことを考えているのですけれども、ほかの溶媒で抽出することは可能なのでしょうか。 ○ 安藤委員  今の段階でジクロロメタンに代わる最良の方法というのはないんです。固相抽出する 前は、ほとんど全てジクロロメタンを用いて行っていたわけですので、これに代わるも のになると回収率が大きく落ちるというのが実状でございます。指針値や水質目標を設 定するかどうかという検討を行う際には、それらの値の10分の1を我々は一応測定目標と しておりますので、ジクロロメタンを用いないと、非常に厳しいわけでございます。ジ クロロメタンの問題は十分私も承知しておりまして、出来る限り他のものに変えたいと いうふうには思っておりますが、現在の段階ではいい方法がないというところです。 ○ 大垣委員  農薬全体の話でよろしいでしょうか。1%超検出値の根拠ですが、この平成10年度の 調査結果に基づいている訳ですが、1%超検出値が検出されたところは何か特別な要因 があるところなのでしょうか。それともたまたま検出されたということなのでしょうか ○ 事務局  今回は、全国の一般的な水道における状況ということで取りまとめたものでございま す。本調査は水道事業者の協力を得て行ったものでございますので、農村地域も一部入 ってございますが、大規模な水道事業者を中心にした全国的な状況ということで御理解 いただければと思います。 ○ 眞柄委員  先ほど相澤委員がお話になったように、農薬の使用というのは地域によって随分ばら つきがあり、全国的に数百トン使われていても、それはある限られたところで使われて いるというケースもありますので、そういう意味では特定のところが出やすいというこ とはあると思います。 ○ 黒川座長  それでは、よろしいでしょうか。 ○ 相澤委員  確認ですが、ゴルフ場使用農薬にかかわる水道水の水質目標として追加する項目が幾 つかありますが、ここでの水道水というのは水道水そのものでしょうか。 ○ 黒川座長  事務局何かありますか。 ○ 荒井水道水質管理官  ゴルフ場農薬については、水源の状況に応じ、必要な項目について少なくとも年1回 おいて測定を実施することが望ましいと指導しているところでございまして、私どもと しては測定は原水が中心になるかと考えております。 ○ 黒川座長  他にございますでしょうか。 ○ 渡邉委員  処理方法として活性炭処理があげられておりますが、浄水での検出値が低いというこ とはこれらの浄水場において活性炭処理を行って除去されているということを意味する のでしょうか。 ○ 岡澤水道整備課長  今回調査したほとんどの浄水場においては、活性炭処理というのはやっていないと思 います。通常の処理では2〜3割ぐらいしか落ちないと思います。資料において、処理 方法として活性炭処理をあげているのは、農薬の除去を目的として処理するためには通 常の処理に加えてそのような処理を行えば除去できるということでございます。 ○ 黒川座長  よろしいでしょうか。それでは、ニッケルについて説明をお願いいたします。 ○ 事務局  ニッケルからホルムアルデヒドまでの5つの物質につきましては、前回の専門委員会 におきまして毒性の評価について御検討いただいた項目でございます。したがいまして 毒性の評価については前回の専門委員会での議論を確認いただき、本日は評価値及び項 目の位置づけについて御検討いただければと考えております。  ニッケルについて、毒性の評価でございますが、長期毒性試験及び2世代繁殖試験と もにTDIを算出するには不十分な状況であるが、Ambroseらの長期毒性試験の結果に基 づき不確実係数は種内差及び種間差に対して100とし、1年以降の高死亡率に対して更に 不確実係数を10として合わせて1,000とし、暫定的なTDIを0.005mg/kg/dayとするとい うことでございます。 これを踏まえまして、評価値及び項目の位置づけ(案)でございますが、TDI0.005mg /kg/dayから評価値0.01mg/lとなります。ただし、長期及び生殖発生毒性ともに現状で は、TDIを算出するには不十分な状況のため、毒性評価は暫定的なものである。WHO においても新生仔死亡率における不確定要素のため、ガイドライン値は暫定的なものと なっていることに留意する必要があるということでございます。  項目の位置づけでございますが、毒性評価が暫定的なものとされていることから、引 き続き、監視項目とし、指針値は暫定値として0.01mg/lとする。なお、現在の原水及び 浄水の水質において評価値の50%を超えるデータが2〜3%あることから毒性評価につ いて今後とも知見の収集に努めることが必要であるということで御提示いたしておりま す。  以上でございます。 ○ 黒川座長  ニッケルに関しては、前回の委員会で毒性評価について検討いただきましたが、いか がでしょうか。 ○ 松澤委員  暫定値としてとありますが、これはどういうふうにとらえたらいいのですか。 ○ 荒井水道水質管理官  監視項目とは、指針値に比べ現行の検出状況は低いレベルにあることから基準項目と する必要はないが、将来にわたって水道水の安全性の確保を期することができるよう定 められたものでございます。そして、水道事業者に対して体系的・組織的に監視をする と同時に、その際、指針値を超えた場合には基準項目に準じた対応をとるように指導し ているところでございます。  今回の見直しを行っている過程で、監視項目の中には2種類あるのではないかとなっ たわけでございます。1つは、毒性評価が確定していて検出状況が低いもの、もう一つ は、水道水からのある程度の検出が認められるが、毒性評価から得られる評価値が暫定 的なものです。  ニッケルのように評価値が暫定的なものについては、今後行われる毒性試験の結果に よって、その値が変更される可能性のあるものであり、現段階での一応の目安として指 針値を設定するということになりますので、そのような性格を有する指針値を超過した としても、基準項目と同様に直ちに原因究明を行い、所要の低減化対策を実施するとい った行政的な措置を直ちに取るというのはなかなか難しいかと思います。このため、監 視はきちんと行っていくにしても、指針値を超過した場合の対策についてはある程度柔 軟に考えることが必要であるということがわかるように暫定値というものを設けたらい かがかということで、今回新たに提案させていただいているものであります。ニッケル については、ニッケル工業会等により2世代繁殖試験を行うと聞いており、その試験結 果も踏まえて、評価値が確定ということになりましたら基準項目への移行を再度検討す ることになるのではないかと想定しているところでございます。 ○ 黒川座長  よろしいですか。新しい概念ということになりますが。 ○ 長谷川委員  毒性評価から得られる評価値が暫定的なものか確定かというのは実際には簡単なこと ではないと思います。1993年のWHOのガイドラインが策定された後に、EPAにおい て2世代繁殖試験が2本行われており、その結果の値が違うわけです。最初のPriceの試 験はGLP下で行われております。そしてニッケル工業会も今後毒性試験をおこなうと いうことですよね。要するに、同じような試験が幾つか出てきたときに一体どれを採用 するのですかというのは、誰にとっても非常に難しい問題なのですけれども、ニッケル についてはそういう状況にあるということで暫定的という意味も非常に深い意味がある のではないかというふうにとりあえずは理解しております。 ○ 荒井水道水質管理官  毒性の評価については、当然水質管理専門委員会において先生方に御議論いただくと いうことになりますし、それから、WHOやEPAなどの動向も見ながら行政的には対 応していきたいというふうに思っております。現時点では、評価値が暫定的なものであ るということであります。 ○ 黒川座長  よろしいですか。それでは、アンチモンについて説明をお願いいたします。 ○ 事務局  毒性評価でございますが、WHOの暫定値の根拠とされているSchroederの試験は信頼 性が十分でないことから、TDIは最近の毒性試験の結果に基づく方が適切であると考 えられ、この場合、Dieterらの試験は短期毒性であること、Alkhawajahらの試験は経路 が異なることから、いずれの試験から導かれるTDIも暫定的なものとなり、現時点では Dieterらの試験から求められるTDI0.01mg/kg/day を根拠とすることが適当であると いうことで、前回の専門委員会で後結論をいただいたところでございます。  これを踏まえまして、評価値でございますが、Dieterらの試験から求められるTDI 0.01mg/kg/dayを用いると、0.03mg/lという値が求められる。しかし、今回見直しを行 った毒性評価は、現段階では暫定的なものであり、将来にわたって水道水の安全性の確 保を期するためという監視項目の趣旨にかんがみ、当面評価値は現行の指針値の値を暫 定値として維持することが適当と考えられる。このことは、現在の原水及び浄水の水質 において評価値の50%を超えるデータが2%程度あることから、更にアンチモンの発生 源での排出規制は講じられていないため、監視を継続する必要性が高いことからも支持 される。また、EPA及びWHOともに現行の指針値の根拠となった毒性試験を用い、 規制値及びガイドライン値を設定していることからも現行指針値を維持することが適切 であると考えられる。なお、WHOにおいては検査方法の定量下限をガイドライン値と しており、前提とする検査方法が変われば評価値が変わる可能性があることに留意する ということで御提示させていただいております。  項目の位置づけでございますが、毒性評価が暫定的なものとされていることから、引 き続き監視項目とし、指針値は暫定値として0.002mg/lとする。なお、現在の原水の水 質及び浄水の水質において評価値の50%を超えるデータが2%程度あることから、毒性 評価について今後とも知見の収集に努めることが必要である、ということで御提示させ ていただいております。  以上でございます。 ○ 黒川座長  いかがでしょう。  特に御意見はないということでございますので、お認め願ったということでよろしい ですね。  それでは、ジクロロ酢酸について説明をお願いいたします。 ○ 事務局  毒性評価でございますが、ジクロロ酢酸の遺伝子障害性については、最近、陽性とす る結果も得られているが、その肝発がん性との関連について、更にデータの集積が必要 と考えられるということでございます。  したがいまして、発がん性との関連について現時点で明確に判断出来ないということ から、遺伝子障害性の場合と非遺伝子障害性の場合について記載してございます。遺伝 子障害性であるとすると、ラットを用いた100週間飲水投与試験での総肝腫瘍のデータを 基に線形多段外挿法を適用し、生涯にわたる発がんの超過リスク10のマイナス5乗を計算 すると0.00216mg/kg/dayとなる。非遺伝子障害性であるとすると、ラットを用いた100週 間飲水投与試験において肝細胞がん及び肝細胞腺種が認められたことから、肝発がんの NOAEL3.6mg/kg/dayとなり、不確実係数は1,000、つまり種内差及び種間差に対して100、 発がん性の可能性について10とし、TDIは0.0036mg/kg/dayということでございます。  ジクロロ酢酸は、他の消毒副生成物と同様に、残留塩素の存在によって生成反応が進 行するため、水温の低い冬期より水温の高い夏期の方が、更に浄水場から各家庭の給水 栓までの滞留時間が長い方が水道水中の濃度が増加するものでございますので、それに ついて付記させていただいております。また、温度及び滞留時間との関係について実験 を行った結果の一例について記載しております。  処理方法でございますが、前駆物質の除去、生物処理、オゾン処理、活性炭処理によ る前駆物質の除去及び塩素注入点の変更、結合塩素処理、活性炭処理というものが有効 ということでございます。オゾン接触や粒状活性炭吸着といった高度浄水処理を行った 場合のジクロロ酢酸の濃度の一例ということでございますが、最高値でも0.004mg/lと いうことで、現行の指針値の10分の1以下まで低減することが出来るということでござい ます。  評価値でございますが、遺伝子障害性であるとすると、0.00216mg/kg/dayから0.05mg/ lと計算されます。また、非遺伝子障害性であるとするとTDI0.0036mg/kg/dayから 0.02mg/lと計算されます。発がん性のメカニズムとして、遺伝子障害性の関与について 現時点では十分な知見が集積されていないため、毒性評価としてはいずれにしても暫定 的なものであり、将来にわたって水道水の安全性の確保を期するためという監視項目の 趣旨にかんがみ、当面評価値は0.02mg/lとする。また、現在、ジクロロ酢酸を含むハロ 酢酸については、IPCS及びEPAにおいて毒性評価の見直しが進められているとこ ろであり、これらの国際的な動向を踏まえて我が国においても必要に応じ見直しを行う ことが重要、ということで御提示してございます。  項目の位置づけでございますが、毒性評価が暫定的なものであることから、引き続き 監視項目とし、指針値は暫定値として0.02mg/lとする。なお、現在の原水の水質及び浄 水の水質において、現行指針値の50%を超過し、かつ、現行指針の10%を超えるものが 浄水で28%存在することから、毒性評価を確定する必要性が高いと考えられる、という 形で御提示してございます。  以上でございます。 ○ 松澤委員  私どもでもジクロロ酢酸についていろいろ勉強させていただいたのですけれども、 0.02mg/lとなりますと、関東地域の事業体では、現状の浄水処理のままでは、この値を 超えるところが多いということになります。東京では、現行の指針値の70%値を超える ところは0.5%とわずかですけれども、指針値が0.02mg/lになりますと2%が超え、0.02 mg/lの70%値を超えるものが約10%ぐらいになる状況にあります。ジクロロ酢酸は、浄 水処理過程で塩素の注入によって生成されるものですから、トリハロメタンというもの と全く同じなのですけれども、水温とか塩素との接触時間が大きく影響するものです。 低減化を図るときにはオゾンと粒状活性炭を用いた高度処理の導入やあるいは粉末活性 炭を使うということが必定になってくるということになり、監視項目でなおかつ暫定値 といっても、これを達成しようとすると、非常に要求の度合が大きいのではないかと思 うんです。普通の浄水処理では非常に達成するのが難しいので、ほとんどの浄水場にお いて活性炭を毎日投入しなければならないということになり、運転管理が極めて難しく なるのではないかというふうに考えられるんです。したがって、ジクロロ酢酸について は、消毒副生成物の低減化を図るということから低減させることが必要ではあるのです が、今後、粉末活性炭処理により対応するにしても、非常に大量の活性炭が必要になっ てくることから生産量が追いつくかなというような感じがいたします。そういうことも ございますし、処理が出来ないからという訳でもないのですけれども、ある程度の事業 体でもかなりの準備期間が必要になるのではないかなというように思います。0.02mg/l という指針値は暫定値という扱いにしても、ちょっと厳しいのではないかなというふう に思いますので、現行指針値を目安に監視を行っていくことがよろしいのではないかと 思います。 ○ 梶野委員  暫定値ということで基準項目に準ずるという扱いを若干緩くとらえてもらって結構で すということなのですけれども、ジクロロ酢酸は他の汚染物質と違って水道の処理過程 で出来る、すなわち、水道法で義務づけられております塩素剤による消毒、これは病原 生物による汚染を防止し、微生物学的な安全性を確保するという意味で非常に重要な処 理過程でありますが、それによって副生成物として出来るということですから、消毒と のトレードオフの関係になっているわけです。したがって、ほかの汚染物質とは異なる 性格を有するものであり、扱いを少し変えてもいいのではないかというふうに考えます  技術的に処理できないということはないと言えますが、WHOでもガイドラインを採 用する場合には、その国の社会的、技術的な状況を勘案してそれぞれの国で規制値を決 めなさいということが書かれております。現在大阪で行っているオゾンと粒状活性炭に よる高度処理を行えば0.02mg/lでもほぼ対応出来るのですけれども、広域水道とか非常 に長距離送水、配水をしているような事業体では、それでも現行のままの対策ですと対 応はかなり難しいと思います。やはり、今言いましたように、消毒とのトレードオフの 関係にあるということで、指針値としては現行の指針値0.04mg/lのままに据え置いて様 子を見る方がいいのではないかと思います。 ○ 眞柄委員  確かに、WHOのガイドラインでも、それから、1992年の水道法の水質基準の改正で も技術上の限界というのは考慮されるべきだというふうにはしていましたし、今までも そういうふうにはしてきただろうと思うんです。  しかし、そうは言っても現在の時点で、全国の検出状況ですとか給水過程における挙 動といったものだけで松澤委員、梶野委員が言われたように0.02mg/lという指針値が水 道にとって技術上の限界を超えているというふうに判断するには、ちょっと材料が足り ないと正直言って思います。そういう意味では、暫定値にしろ、いずれにしても0.02mg /lという指針値が決められれば、それを目標に対応するのは国民の公衆衛生の向上を図 っていくことを目的とする水道としてはやってもらうしかないというのが妥当なところ だと思います。  私は処理できるかについては議論をしてもしょうがないと思うのですが、それとは別 に、遺伝子障害性がある毒性試験で認められたときにどう扱うかということが問題だと 思うんです。発がん性のメカニズムとして、遺伝子障害性の関与について現時点では十 分な知見が集積されていないためと書いてあるのですが、発がんのメカニズムと遺伝子 障害性の関与というのは十分な知見が集積されていないというのは当然であると思うの です。これまでも、発がんというエビデンスがあって、もう一方で発がん性のメカニズ ムへの関与にかかわらず遺伝子障害性というエビデンスがあったらリスクモデルを使っ て基準値なり指針値を決めていたと思うんです。そういうシナリオからいけば、ジクロ ロ酢酸についての遺伝子障害性の試験結果が科学的なエビデンスとして妥当性があるか ないかということが論点ではないのかと思います。妥当性がないのだったら、閾値あり と考えて、発がん性を考慮して不確実係数10を追加して不確実係数1,000からTDIを求 めるということになると思うんです。  私が事務局にお伺いしたいのは、ジクロロ酢酸について遺伝子障害性の報告の科学的 な信頼性が足りないのかどうなのか。もし、そうだとすれば、閾値ありとして評価値は 0.02mg/lということになりますし、遺伝子障害性があるのだったらリスクモデルを使っ て0.05mg/lということになるのではないか。その点についてはっきりされれば、松澤委 員も梶野委員も毒性評価からそのような結果になってもしようがないというお話になる ので、そこのところをやはりもうちょっと明解にしていただきたいなと思います。それ で0.02mg/lとなるというならば0.02mg/lでいきましょうということにならざるを得な いのだと思います。 ○ 黒川座長  毒性に関することですが、長谷川委員何かありますか。 ○ 長谷川委員  なかなか明快にお答え出来ないところがありまして、まず、遺伝子障害性ですけれど も、何を根拠に遺伝子障害性があると明確に言うかというのは、そんな簡単なことでは ないのです。例えば、サルモネラとかを使った一般的な方法では現時点でもほぼネガテ ィブと考えていいです。ただし、違うエンドポイントで弱い変化が出るとか、あるいは in vivoの小核試験で弱い障害性が認められるとか、あるいはトランスジェニックマウス を使ってやったときのミューテーションの頻度が、これは実際投与量はすごく高いとこ ろなのですけれども、有意に変化したというようなことで、陽性的なエビデンスは一応 あるけれども、全体的にはウィークである。そうすると、今までの評価、つまりWeight of evidenceというような評価からすると、やはり非遺伝子障害性という評価となるのだ ろうなというのが一つの見解です。  それから、発がん性の試験結果ですけれども、マウスでは発がん性が認められずNO AELが77mg/kg/dayで、ラットではNOAELが3.6mg/kg/dayとなっている訳です。そ ういう意味でラットの方が非常に感度が高いという結果が出てきていますので、従来の ことから考えると、これは非遺伝子障害性の発がんということで評価することになるの だろうなと考えております。  たまたま、この場合は、マルチステージモデルで計算した値の方が、閾値ありとして 求めた値よりも緩い方の値になっておりますが、これは実は、マルチステージモデルの 計算の根拠となった毒性試験の試験条件によるものであります。NTPなどの発がん性 試験では投与出来る最大投与量と、それから、その2分の1の投与量で発がん性試験をや っていまして、発がんが出た場合は上の用量も下の用量もある程度発がんが出ている訳 です。そこからマルチステージでずっと10万分の1とか100万分の1に持っていく訳です ところが、これはそうではなくて、3用量で試験を行っているのですけれども、一番下 の用量では発がんが出ていない。だから、そこから下へのシミュレーションをやってい く訳ですから、どうしても値は緩い方向になる。だから、たまたま実験条件からこうい う結果が出るのだというところを一つ御理解いだたきたいと思います。  それから、ジクロロ酢酸は医薬品としても使われていたという経緯もありまして、あ る程度のことは分かっております。すなわち、ジクロロ酢酸をある程度投与すると代謝 がほとんど抑えられてしまって、その結果として、どうも発がんが出るようであるとい うような見解があります。そういう意味で、Environmental Health Criteriaのたたき台 では、簡単に言いますと、トキシコキネティックスという種類のデータ解析、実際にあ る程度実験しなければいけないのだろうと思いますが、それをもって評価するのが適当 であろう。ただし、それにはまだ2〜3年はかかるだろうというようなことが述べられ ております。  毒性の全般的な評価としてはこのようなことになるのではないかと思います。 ○ 眞柄委員  ありがとうございました。 ○ 黒川座長  よろしいですか。性評価からは評価値は0.02mg/lということになるということになる ということでございますが。 ○ 長谷川委員  WHOでも水道の寄与率を20%にしている訳ですが、一応そういうことになると80% は他からくる可能性があるということでしょうか。水道以外からの摂取についてはデー タがあるのですか。水道の寄与率がもっと大きいということはないのですか。 ○ 安藤委員  ジクロロ酢酸のアロケーションというのは水道がほとんどだということはないのかと いうことになるかと思います。そうすると、アロケーションは本当に20%かなという疑 問があります。つまり、ほかの食品からのデータは私も見たことがないんです。だから 基準項目にするという段階では、20%という寄与率が本当にそれでいいのかという議論 はあるかと思います。 ○ 岡澤水道整備課長  水道以外の暴露について整理出来れば寄与率を変更するということは可能だと思いま すが、今の段階では、水道の寄与率が20%よりも多いとも少ないとも言えないので、W HOでも採用している20%という寄与率を用いることが適当かと思います。いずれにし ても、現実問題としては厳しい数字になるということにはなるかと思いますが、暫定値 である指針値ということではいかがかと思うのですが。 ○ 相澤委員  ハロ酢酸ですが、塩素処理で出来るハロ酢酸というのはジクロロ酢酸だけではなくて トリクロロ酢酸や原水に臭素イオンが入っていれば臭素を含むものが生成されます。こ こでの論議はジクロロ酢酸になっていますが、トリハロメタンの場合は総トリハロメタ ンと個々のトリハロメタンに対する基準がありますが、ここでの論議はジクロロ酢酸だ けでよろしいのでしょうか。  例えば、ジクロロ酢酸だけであれば、浄水場で対応が取れない場合には塩素を多量に 注入すればトリクロロ酢酸になりますから、悪く解釈すれば、このような方法で基準を クリアすることもできます。ですので、やはり毒性評価といったときにはジクロロ酢酸 に対する毒性の評価だけではなく、ハロ酢酸類全体での取扱いをどうするかということ を論議をすべきと考えます。  EPAではハロ酢酸類5種類についてMCLを決める方向で動いておりますので、す ぐに日本で指針値を決めるということであれば、情報をもう少し整理して浄水場の実態 調査も含めて指針値を決めてもよいのではないかと思います。 ○ 事務局  私どもはそこら辺について、一応評価値のところの一番最後に書かせていただいてい るつもりでございまして、ジクロロ酢酸を含むハロ酢酸についてIPCSにおいてジク ロロ酢酸、トリクロロ酢酸等ハロ酢酸の毒性評価の整理をしてございますし、EPAに おいても、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、モノクロロ酢酸、モノブロモ酢酸、ジブロ モ酢酸の5種類のハロ酢酸合計に対するMCLが提案され検討されているところでござ いますので、これらの国際的な動向を踏まえて必要に応じ見直しを行うことが重要だと 考えております。 ○ 黒川座長  ここの3行で述べられていますが、相澤先生の言われたことも踏まえて報告書にいた  ただ、その場合に、どこの浄水場でも粉末活性炭を使うというふうなことではなくて 技術的な対処の方法として、具体的にどういった方法が個々の浄水場で取れるのかとい うことを、もう少し行政的な指導も含めてきめ細かくフォローしていく必要があると思 います。  今書いてあります処理方法のところについても、高度浄水処理での結果が記載されて おりますが、これもどういった条件でというのが明確ではないですよね。例えば、原水 はどういった条件の原水かとか。ですから、そういった技術上の整理、必要とあらば研 究もということになりますけれども、情報の提供なりはきちんと行政の方でも引き続い てお考えいただきたいと思います。私どもの方も協力したいと思います。 ○ 岡澤水道整備課長  いずれにしても、今お話あったように、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ 酢酸などがあり、ハロ酢酸全体として考えていかなければならないという状況だと思い ますので、国包先生の御協力なども得ながら処理方法について事業体に対してどういう 対策があるのかといったことを示すということは必要だろうと思います。また、併せて 先ほどの摂取量のシェアの話もちょっと考えてみたいと思います。 ○ 真柄委員  トリハロメタンと一緒に存在しますから、基本的には豆腐とこんにゃくと漬け物を測 ればいいのだろうと思いますけれども。ほかの食品はほとんどありませんから。  ただ、先ほど長谷川先生に御説明していただいたようなTDIで評価するのか、ある いはリスクモデルで評価するのかという基本的な考え方を今回の報告書に載せることを 考えていただければと思います。そういったことにより、水質基準の設定根拠を国民の みなさんに一番理解をしていただくことになるだろうと思いますので、事務局で少しお 考えいただきたいと思います。 ○ 黒川座長  それでは、他にございませんでしたら、抱水クロラールとホルムアルデヒドについて 説明をお願いいたします。 ○ 事務局  抱水クロラールでございますが、毒性の評価はTDIは0.0053mg/kg/dayということで 不確実係数が大きいことから暫定的なものであるという結論が得られているところでご ざいます。  評価値でございますが、TDI0.0053mg/kg/dayから評価値は0.03mg/lとなる。ただ し、短期毒性試験に基づくものであるなどにより、TDIを算出する際の不確実係数が 大きいため毒性評価は暫定的なものである。WHOにおいても、同じ毒性試験を根拠と しておりますが、毒性試験に関し長期試験データがないこと等、データベースが不十分 であるため、ガイドライン値は暫定値とされていることに留意する必要がある、という ことでございます。  項目の位置づけでございますが、評価値0.03mg/lの下で評価値の50%を超過し、かつ 評価値の10%を超えるものが20%存在することから、基準項目とするかどうか検討すべ き状況にあるが、毒性評価は暫定的なものと考えられるため、引き続き監視項目とし、 指針値は暫定として0.03mg/lとする。なお、現在の浄水の水質において評価値の50%を 超えるデータが1%あることから毒性評価を確定する必要性が高いと考えられる、とい うことでございます。  項目及び指針値ともに現行どおりという案でございます。  ホルムアルデヒドでございますが、毒性にかかる評価はラットを用いた2年間飲水投 与試験からNOAELは15mg/kg/day。不確実係数は種内差及び種間差に対して100(経口暴露 では発がん性は認められない)として、経口暴露のTDIは0.15mg/kg/dayということで ございます。  参考として、経気暴露による影響ということで、現在ホルムアルデヒドの室内濃度指 針値として、30分平均値で0.1mg/l以下というのが厚生省の方で示されてございます。 また、WHO欧州地域専門家委員会が行っているホルムアルデヒドの健康影響評価の概 要でございますが、下記に少し概要を書いてございます。短期間の暴露で人が鼻やのど に刺激を感じる最低の濃度は0.1mg/m3である。ただし、更に低い濃度でホルムアルデヒ ドの臭気を感じる人たちもいる。ヒトの鼻腔粘膜においてホルムアルデヒドが細胞増殖 的な変化を引き起こすという知見がある。報告されている平均暴露レベルは、0.02から 2.4mg/m3にあり、短時間でのピーク値は5から18mg/m3の間にある。0.1mg/m3という 値は、鼻腔粘膜の細胞毒性の推定閾値より1けた以上低い値であるので、ヒトにおける 上部気道がんのリスクを無視し得る暴露レベルである、ということでございます。  評価値でございますが、経口暴露のTDI0.15mg/kg/dayを用いると、0.8mg/lという 値が求められる。しかし、飲料水を経由した入浴時等における吸入暴露に対し一定の考 慮をし、かつ、指針値の継続性の観点から、評価値は暫定として0.08mg/lとすることが 適当である。なお、ホルムアルデヒドのように吸入による暴露について考慮することが 必要なものについては、今後、それらの評価方法について検討することが必要である、 ということで御提示しております。  項目の位置づけでございますが、評価値が暫定的なものであることから引き続き監視 項目とし、指針値は暫定値として0.08mg/lとするということでございます。  以上でございます。 ○ 黒川座長  それでは、抱水クロラールの方からいかがでしょう。引き続き監視項目、指針値は暫 定とする。御意見よろしいですか。 ○ 松澤委員  今の抱水クロラール、アルデヒドだけではないのですが、暫定値の取り扱いについて きちんと決めておいていただけないでしょうか。最高値が超えてはいけないのか、それ とも年平均値で超えていなければいいのか、年平均4回測ればいいのかそういったとこ ろをきちんと決めていかないと、暫定値という位置づけも生きてこないので。暫定値と いうのは今回初めて入ってきたので整理が必要かと思います。 ○ 岡澤水道整備課長  監視項目についての扱いについては通知で既に示しているところであり、それはいい と思うのですが、暫定というのは暫定指針ではなくて評価値が暫定値であるということ で、監視項目としては別に暫定ではないんです。つまり、監視項目に設定する以上監視 する必要があるわけですが、監視した結果、数値の評価をするときにその他の監視項目 で暫定がついていない場合は、水質基準と同じようにその数値を超えてはならないとい うことで運用してもらわなければならないのですが、暫定の場合には運用の仕方が緩く なるということです。ですから、一時たりともいっさい超えてはならないとすぐにはな らないというふうに考えていただいたらいいと思います。 ○ 眞柄委員  それと関連して、今までの水質基準をつくったときには長期暴露に基づく影響という ことであるから長期暴露をきちんと把握出来るような検査体制を取れというような文章 があったと思いますので、そのようなことも念押しで書いていただくというのがよろし いのではないでしょうか。 ○ 荒井水道水質管理官  ただいま御指摘のとおり、きちんと監視項目の考え方あるいは評価の仕方というのは 通知で示しており、項目により短期的な最大値で評価するもの、それから、長期的な平 均値で評価するものと書いてございます。評価の方法は個別の物質によって当然違いま すし、この場合は長期毒性評価ということでございます。 ○ 眞柄委員  それと関連して、農薬は農薬取締法の登録保留基準の設定に際しては150日間平均で 水質の評価をやっているんですよね。水道においてもそういった期間測定を行い、リス ク評価ができるような検査方法について検討する必要があると思います。 ○ 黒川座長  他にございませんでしたら、ホルムアルデヒドはいかがでしょう。 ○ 梶野委員  吸入暴露に対して一定の考慮をし、かつ、指針値の継続性の観点から0.08mg/lとする とあるのですが、もう少しご説明いただけないでしょうか。 ○ 事務局  経口暴露のTDIから計算すると0.8mg/lという値が計算で求められるわけですが、 吸入暴露に対し一定の考慮をすると、1オーダー低い値が適当ではないかということと 指針値の継続性の観点から0.08mg/lとしてはどうかということで御提示させていただ いたものでございます。 ○ 黒川座長  吸入での暴露ということで安藤先生何かコメントありませんか。 ○ 安藤委員  別にありません。 ○ 眞柄委員  アルデヒド類についても、ハロ酢酸類と同様にさまざまなものがありますが、アルデ ヒド類について国際的な動向はどうなっているか、もし、安藤先生御存じでしたら教え ていただけないでしょうか。 ○ 安藤委員  それほど知っている訳ではありませんが、ホルムアルデヒドに関しては、吸入と経口 は別だという考え方ではないかというふうに思います。吸入については、確かに動物実 験では発がんということが見られてしまうけれども、それは特殊であって、発がん物質 という観点ではないという考え方です。  それから、もう一つ、経口による毒性については経口摂取による毒性試験から得られ た毒性評価から評価するという考え方が一般的になってきたのではないかと思います。 そういった点は1993年のときとは大分違ってきたのではないかなという気がいたします ○ 眞柄委員  どうもありがとうございました。 ○ 相澤委員  消毒副生成物全体についてなのですが、処理方法として前駆物質の除去、塩素注入地 点の変更、結合塩素処理、活性炭処理というような記述が全体に見受けられるのですが 厚生省としては塩素処理を前提に考えるのか、それとも塩素以外の消毒剤についても考 える余地があるのかということについてはいかがでしょうか。実験等ではすでに多くの 代替消毒剤について検討が行われており、それらを用いることができるならば、処理に おいて別の方策も考えられると思うのですが。 ○ 岡澤水道整備課長  今、水道界全体の雰囲気としては、処理剤として塩素を使うことの是非論はあるとし ても、消毒剤としての塩素をやめるという話はなかなかそういう議論にならないだろう と思います。酸化剤として塩素を用いるという処理については再考され、ほかのものに 置き換わるということになると思いますが、消毒剤としてはこれからも塩素を使うとい うことになるかと思います。その意味では、今の段階で薬剤を変えることによって消毒 副生成物をゼロにするということはちょっと難しいかなと思います。 ○ 相澤委員  では、前駆物質の除去で代替酸化剤を用いるということは対策の検討の際、選択肢と して考えてもよいということになるのでしょうか。 ○ 岡澤水道整備課長  そういうことでございます。 ○ 黒川座長  ほかにないようでしたら、農薬4項目について説明をお願いします。 ○ 事務局  監視項目として平成4年に設定された項目で、設定以降他の法律等におきまして毒性 評価の変更があったものについて見直しを行った4品目について御説明いたします。  クロロタロニルでございますが、監視項目設定時の評価は農薬取締法による登録の際 の評価よりADIは0.015mg/kg/dayということでございます。これが1997年に農薬取締 法による登録の際の評価が行われまして0.018mg/kg/dayと変更になってございます。  これを踏まえて評価値でございますが、1997年の農薬取締法による登録の際の評価か ら評価値を求めるとADI0.08mg/kg/dayから評価値は0.05mg/lとなる、ということで ございます。なお、農薬取締法による登録の際の評価は維持されていることから、現在 の毒性評価を変更する必要性が生じる毒性試験は行われていないと考えられるが、毒性 情報の整理を行うことが必要、ということで付記させていただいております。  項目の位置づけでございますが、評価値0.05mg/lの下で評価値の10%を超えるものは ないことから、指針値を0.05mg/lとし、引き続き監視項目とする、ということでござい ます。  プロピザミドでございますが、監視項目設定時の評価は農薬取締法による登録の際の 評価からADIは0.003mg/kg/dayということでございます。1998年に残留農薬安全性評 価委員会におきましてプロピザミドの評価が行われ、ADIが0.019mg/kg/dayという評 価を得てございます。  評価値でございますが、残留農薬安全性評価委員会の評価から評価値を求めると、評 価値はADI0.019mg/kg/dayから0.05mg/lということになります。  項目の位置づけでございますが、指針値0.05mg/lとして引き続き監視項目とするとい うことでございます。  ジクロルボスでございますが、監視項目設定時の評価は農薬取締法による登録の際の 評価よりADIは0.004mg/kg/dayということでございます。食品衛生法による食品規格 設定の際に評価が行われまして、ADIが0.0033mg/kg/dayということで低くなってござ います。  評価値でございますが、食品衛生法による食品規格設定の際の評価から評価値はAD I0.0033mg/kg/dayを用いまして、0.008mg/lということになります。これにつきまして も、毒性情報の整理を行うことが必要、ということで付記させていただいております。  項目の位置づけでございますが、評価値0.008mg/lの下で10%を超えるものはないこ とから、引き続き、監視項目とする、ということでございます。  フェノブカルブでございますが、監視項目設定時の評価は農薬取締法の登録の際の評 価からADI0.006mg/kg/dayということで指針値を設定してございます。食品衛生法に よる食品規格設定の際の評価が行われ、ADI0.012mg/kg/dayということになってござ います。  評価値でございますが、食品衛生法の際の評価から評価値を求めると評価値はADI 0.012mg/kg/dayから評価値は0.03mg/lということになります。  項目の位置づけでございますが、評価値0.03mg/lの下で10%を超えるものはないこと から、引き続き監視項目とする、ということでございます。  以上でございます。 ○ 黒川座長  それでは、御意見がありますでしょうか。 ○ 平田委員  項目の位置づけにおいて、評価値の10%を超えるものはないことから、引き続き、監 視項目とするとなっておりますが、これはどういう意味なのかもう少し説明をお願いい たします。 ○ 荒井水道水質管理官  これらの4項目については、現在、監視項目に設定されていることから、毒性評価の 変更に伴い、評価値がかわりますので、基準項目にする必要があるかどうかということ になるわけでございます。これまでの検出状況では検出があまりみられないということ をいうために、そのような文言を書かせていただいております。 ○ 長谷川委員  日本でこういう対応をするとき、数字を丸めるということは考えていないのですか。 簡単に言いますと、0.01から0.008というのは0.008はWHOは多分数字を丸めてこのく らいの違いだと同じになりますよね。 ○ 岡澤水道整備課長  両方あると思います。有効数字1けたで0.07とか0.08という数字を使っているのもあ ります。 ○ 眞柄委員  理屈とすればオーダーでいけば大体どの数値を使っても同じなのでしょうけれども。 ○ 国包委員  この程度の違いである場合、都合のいいときには行政の継続性ということで維持する ということもありますよね。ですから、ADIの見直しに基づいて指針値を変えていく ということであれば、今後もやはりこれを維持していかなければいけないですよね。そ うしますと、どのくらいの頻度で指針値が変わっていくかということにもよるのですが 監視項目でもありますし、現場の方の対応がまた混乱するおそれも若干あるのかなとい う感じが片一方でしているんです。そういった意味から、計算上はこういうふうになる ということは私は勿論結構だと思うのですが、最終的な取扱いをどうするか、指針値を こういうふうに細かに変えていくべきかどうか、ここのところはちょっと御議論いただ いた方がいいのではないかと思います。 ○ 眞柄委員  でも、私の承知している範囲では、食品規格における基準については国際的に数値を そろえるということになっておりますが、水道の場合どうするにかということはある程 度各国の裁量があるのだろうと思います。 ○ 荒井水道水質管理官  今回の最後の4物質につきましては、きちんとした評価がされているということで、 それに合わせて今回は機械的に数字を動かさせていただいた訳でございます。特に、現 在の毒性の評価からすれば指針値の値を小さくするのが適当である場合に、それをすえ おくという道理もございませんし、今回の場合、分析上も問題ないというふうに理解を しておりますので、基本的には指針値を変更させていただきたいと思っております。 ○ 黒川座長  ほかに何か4農薬に関して御意見、コメントございませんか。  ないようでしたら、資料2報告書目次について説明をお願いいたします。 ○ 事務局  これまでに御検討いただいた項目について次回の専門委員会で、専門委員会報告とい う形で整理出来ればというふうに考えているところでございます。  大まかな報告書のイメージでございますが、「はじめに」があり、「水道水質の現状」 として現在の水質の状況につきまして整理して、「水道水質に関する基準の見直しにつ いて」として見直しの基本的な考え方、今回検討対象となった項目の選定、検討結果に ついて記載することを考えてございます。また、「今後必要な措置」として、ホルムア ルデヒドなど揮発性物質について吸入暴露による評価のあり方を検討するといったこと ハロ酢酸等に対する対応といったことについて記載してはどうかと考えてございます。 また、「留意事項」として内分泌かく乱化学物質などについて記載してはと考えてござ います。  私どもとしては、次回、専門委員会報告としての取りまとめをさせていただければと いうふうに考えてございますので、この報告書を作成するに当たって、こういった事項 について盛り込むべきであるといったような点につきまして御意見を賜ればと考えてご ざいます。  以上でございます。 ○ 黒川座長  ちょっと質問だけれども、3の(1)の基本的考え方というのと別紙1の基本的考え方 というのはどう違うのですか。 ○ 荒井水道水質管理官  本論ではまさに基本的なことを書いて、細かいお話は別紙の1の方に書きたいと思っ ております。 ○ 黒川座長  何か御意見、特に基本的な考え方とか留意事項で入れるべき点という御注文でもあれ ば承っておきましょう。眞柄先生いかがですか。 ○ 眞柄委員  試験方法のことでありますが、安藤先生を中心に厚生科学研究や日本水道協会の上水 試験方法の委員会でも試験方法については検討していただいておりますが、1992年に水 質基準を改正したときから比べますと、分析技術は随分進歩しております。特にLC− MS、ICP−MSは随分コスト的にも下がってきておりますので、是非そういう視点 も加えて検討事項に書き加えていただきたいなと思います。 ○ 相澤委員  処理方法ですが、農薬のところでは対応出来る処理方法について書かれているのです が、先ほど御指摘がありましたように、通常の浄水処理では除去出来ないということを 入れた方がよいと思います。 ○ 黒川座長  これは、12月9日にとりまとめるということですけど、その前に各委員にみていただ くようにして下さい。その場でいいか悪いかと言われても困りますので、1週間前ぐら いにはお手元へということで頑張ってください。  ほかに何かありますか。よろしいでしょうか。  そうしますと、次は国包先生から、内分泌かく乱化学物質について説明をお願いいた します。 ○ 国包委員  それでは、『「内分泌かく乱化学物質の水道水からの暴露等に関する調査研究」の実 施について』と書かれた参考資料について御説明をさせていただきます。  第5回の専門委員会で若干御説明をさせていただきましたが、内容が固まった段階で 改めてもう少し詳しく説明をというお話がございましたので、用意したものでございま す。  先般もお話しいたしましたように、この調査研究では水道水と大気を通じての内分泌 かく乱化学物質の暴露量を評価するための基礎データを取るというのが目的でございま す。食品については、別途調査が行われておりますので、最終的にはそういった結果と 合わせてトータルの暴露量を評価するというふうなことになろうかと思います。  水道水については、1つは、水道原水に含まれているおそれがある化学物質、もう一 つは、水道用資材から溶出するおそれのある物質ということで考えております。現実に はこの2種類の物質を厳密に区分することは出来ませんので、同じ項目について現場調 査及び溶出試験をしてデータを取るということでございます。  調査対象物質については、表−1に調査対象物質リストということであげてございま す。この33物質を対象にいたします。33というのは細かい形態の違いなども含めての数 ですので、大きく分ければここにありますようなフタル酸類ですとか、アジピン酸ジ-2 -エチルヘキシル、フェノール類、スチレンのダイマー、トリマー、17β−エストラジ オール、塩ビモノマー、スチレンモノマー、エピクロロヒドリンといったものでござい ます。  それから、もう一つ大気の方の調査では、まだ詳細は決まっておりませんがフタル酸 エステル等を調査対象にするということで考えております。  それから、調査の内容でございますが、現場調査では全国の代表的な水道として25事 業体を選び、それぞれについて原水、浄水及び給水栓水を原則として1か所ずつ採取し て、前記2.に示した化学物質の濃度を測定するというふうに考えております。  それから、溶出試験の方ですが、水道管を中心に約20種類ぐらいの代表的な資材を選 びまして溶出試験を行います。溶出試験のときの試験項目は現場調査における調査項目 と同じということでございます。溶出試験のときの条件ですが、いろいろ議論しました が一応23℃で16時間。それから、供試水には精製水を使うということで考えております  分析方法は、環境庁による方法を基本に考えています。  大気の調査については、先ほど申し上げましたようなことでフタル酸エステル等でご ざいますが、幾つかの地点を選んで大気のサンプルを取って分析するということになる はずでございます。  以上の結果に基づきまして、こういった内分泌かく乱作用の疑いのある物質について 暴露量を推定するための基礎資料とさせていただくということでして、スケジュールと しましては、11月に水道水等の試料の採取を行い、サンプリングが終わったものから順 次分析にかかります。  一方、資材の溶出試験の方ですが、これにつきましても11月中には実際に試験用の資 材を調達しまして、溶出試験に取りかかりたいというふうに考えております。  大気の試料の採取がございます。これが大体12月ぐらいあるいは場合によっては1月 にずれ込むかというところです。  結果の取りまとめは早くて2月ぐらいになるかなと考えております。調査結果につき ましては、整理検討の上、公表するという方向で考えております。  以上でございます。 ○ 黒川座長  ありがとうございました。この際何か御質問でもあれば。よろしいでしょうか。 ○ 井上委員  こういうデータは後で大事になってくると思いますので、結果の出るのを期待する訳 ですけれども、このエストラジオールを測る目的はどういうことですか。 ○ 国包委員 これだけ異質ではあるのですが、実際にはかなりどうもあるようなお話も聞いており ますし、比較対照の意味でということで考えております。 ○ 井上委員  と申しますのは、現段階では理屈の上ではゼロだと思うのですけれども、エスミルエ ストラダイオルみたいなものを、今の段階でコントロール値として測っておいて、こう いう言い方をするのが適切かどうか分かりませんけれども、いずれピルが解禁になった ときにどういうふうな値になるかとか、もし、これを入れるのだとするとそういう考え 方が出てくるのですけれども、御参考までにと思いまして。また、DESは多くの方は 使っていないと思っておられる方がいるかもしれませんが、これは前立腺がんの治療で 多く今使っていますので、これも当然出てくる可能性があるのですけれども、もしDE Sが出てくるとすればちょっとパニックになったりするおそれがありますので、なる必 要はないのですけれども、話題としては知っておいていただきたいと思います。  あとは、濃縮は環境庁は出るまではかるという考え方ですけれども、これは適切な下 限値を設定して行うという考え方でよろしい訳ですか。 ○ 国包委員  その辺、非常に微妙なところなのですが、私は分析の専門ではないのですけれども、 濃縮倍率を上げていっても、その割には感度が上がるとは限らないようです。ですから ある程度のところの定量下限は確保したいということでやっているのですが、現時点で は、ある程度の値のところまでしか把握できないのかなと思います。当然、項目によっ て定量下限は変えております。ですから、低いもので0.01μg/lぐらいでしょうか。高 いもので0.5μg/lというぐらいだったと思いますけれども。 ○ 黒川座長  ほかに何かありますか。 ○ 荒井水道水質管理官  今の関係でございますけれども、エストラジーオルは、建設庁、環境庁がやっており ます公共用水域の調査、下水道の放流水の調査でも測っておりまして、同じように把握 しておくことがよいのではないかということで加えているところでございます。 ○ 遠藤委員  水質調査が中心課題だとは思いますが、それに付随して行われる大気調査の件でお伺 いいたします。大気中に含まれる化学物質は夏場と冬場では大部違うということはない でしょうか。特に、大都市部においてその傾向が強く出ても不思議でないような気がい たします。ご承知のように、ビルの空調施設の冷却塔からは大気中に多量のエアロゾル が放出されますが、この冷却水にはスケール防止剤や、抗レジオネラ剤などがかなりの 量で用いられております。それらの薬剤の中に今回の調査対象物質がどの程度含まれる ものか存じませんが、空調機は主に夏場に稼働することを考慮すれば調査は冬季のみな らず夏にも行う必要があるのではないかと思われます。この点に関しては如何お考えで しょうか。 ○ 国包委員  大気の調査につきましては安藤先生に御担当いただいておりまして、残念ながら、今 回は気温の低いときに調査を行うということになってしまうのは間違いないと思います が、何か安藤先生の方で。 ○ 安藤委員  大気については、実際の大気ではなく、室内空気について行うことを考えております そもそも、大気については、室内空気中のフタル酸系に絞るというのが最初の発想だっ たんです。フタル酸というと中心は食品からの汚染で経口暴露によるものですから、室 内空気に限って行うこととしております。 ○ 黒川座長  よろしいでしょうか。それでは、その他ということで事務局ありますでしょうか。 ○ 事務局  次回でございますが、12月9日の2時から5時で開催したいと思います。次回は、今 日検討いただいたものを整理して報告書の形で御検討いただければと思います。 ○ 黒川座長  そういうことでよろしいでしょうか。それではどうもありがとうございました。 問い合わせ先 水道整備課基準係(4034)