98/10/19 第14回厚生科学審議会先端医療技術評価部会議事録 第14回厚生科学審議会先端医療技術評価部会議事録 1.日  時:平成10年10月19日(月) 14:00〜15:35 2.場  所:厚生省共用第6会議室 3.出席委員:高久部会長 (委員:五十音順:敬称略)       軽部征夫 木村利人 柴田鐵治 曽野綾子 寺田雅昭 (委員:五十音順:敬称略)       入村達郎 金城清子 廣井正彦 松田一郎 森岡恭彦  4.議  事:(1)千葉大学医学部附属病院及び(財)癌研究会附属病院における          がん遺伝子治療臨床研究実施計画について        (2)東京大学医科学研究所附属病院の遺伝子治療臨床研究について        (3)岡山大学医学部附属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画について 5.資  料         1.千葉大学医学部附属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画について         2.(財)癌研究会附属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画について         3.東京大学医科学研究所附属病院の遺伝子治療臨床研究について         4.岡山大学医学部附属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画について         5.遺伝子治療臨床研究に関する指針         6.専門委員会の開催について   ○事務局  それでは定刻になりましたので、ただいまから始めさせていただきます。  資料の確認をさせていただきます。お手元には議事次第と書きました1枚の紙、そこ に4.「配布資料」としまして、資料1〜6の番号を掲げさせていただいております。  それぞれ資料1が「千葉大学医学部附属病院遺伝子治療臨床研究実施計画について」。  資料2が「財団法人癌研究会附属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画について」。  この2点は、先般7月の部会においてお配りしたものの再録でございます。  資料3が「東京大学医科学研究所附属病院の遺伝子治療臨床研究について」。進捗状 況につきまして、大学附属病院の方から出されました広報資料を再収載いたしておりま す。  資料4が「岡山大学医学部附属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画について」。これ は別途株式会社RPRジェンセル社がベクターの供給を行う臨床治験となっておりまして、 その分に関しましての中央薬事審議会の審議状況の資料をここに掲げさせていただいて おります。  また資料5は「遺伝子治療臨床研究に関する指針」。現在用いております大臣告示の ものを再録しております。  資料6といたしまして「専門委員会の開催について」。生殖医療に関します2つの専 門委員会の関係の資料を付けさせていただいております。  以上、6点の資料が各委員のお手元にあろうかと思いますが、もしも欠落等の資料が ありましたら事務局にお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。  また、資料1と2でございますが、これは7月に配布したものの再録でございまして、 実際には作業委員会におきましては、これで指摘されております基礎となる詳細資料等 が別途議論に供されます。また、大学の学内審議会におきましては、当然その資料を基 にこの資料提出に至っているということを御了解いただければありがたいと思います。  それでは、部会長よろしく進行の方お願いいたします。 ○高久部会長  本日は御案内のとおり、本年の7月22日に厚生大臣から厚生科学審議会に諮問があり まして、7月22日付で厚生科学審議会の会長からこの部会に付議されました、千葉大学 医学部附属病院長から7月14日に提出されました、「進行食道癌非切除症例に対する正 常型p53遺伝子発現アデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療初期第II相臨床研究」計 画と、同じ7月14日に財団法人癌研究会附属病院長から提出されました、「乳癌に対す る癌化学療法の有効性と安全性を高めるための耐性遺伝子治療の臨床研究」計画の2つ の計画について、部会として御審議をいただくことになっています。  遺伝子治療臨床研究計画につきましては、従来から当部会に設置していますがん遺伝 子治療臨床研究作業委員会で、主として科学的な事項についての論点整理を終わった後 に、この部会としての御審議をお願いしていたわけでありますけれども、先般、東京大 学医科学研究所附属病院でがんの遺伝子治療が始まったことなどもありまして、皆さん 方のがんの遺伝子治療に対する社会的関心が高いということから、現在作業委員会で科 学的な問題について検討しているところではありますが、この部会において同時に並行 して、主として社会的な面、倫理的な面についてあらかじめ御議論をお願いしたいとい うことで本日お集まりいただきました。事務局の方から申請の経緯等について、よろし く説明お願いいたします。 ○事務局  それでは、事務局より千葉大学医学部附属病院並びに財団法人癌研究会附属病院のそ れぞれの遺伝子治療臨床研究実施計画に係る概要等について、御説明させていただきま す。  先ほども申し上げましたが、これにつきましては7月22日の部会に資料を提出させて いただきまして、部会の指示として作業委員会を設置して、主として科学的事項につい ての論点整理を行うように、その際には、文部省の方とよく調整するように御指示をい ただいております。  また、8月上旬に文部省の専門委員会がございまして、そちらに対しましては文部省 の事務局より資料が提出されまして、専門委員会の指示といたしまして、下にワーキン ググループを設けて、科学的事項についての論点整理を行うようにという指示が出たと いうことを受けまして、文部省、厚生省の事務当局で調整いたしまして、委員につきま しては、前回のこの部会で御報告申し上げましたとおりでございますが、作業委員会を 組織いたしまして日程調整を行いましたところ、来週10月26日の午前に、国立教育会館 におきまして、千葉大学及び財団法人癌研究会の計画に係る第1回の合同の会議を行う 予定にしております。  続きまして、千葉大学医学部附属病院に係る研究実施計画でございますが、お手元の 資料1でございますが、この資料につきましては、あらかじめ事務局より施設側にお願 いをいたしまして、現時点で公開して差し支えないという資料について7月22日に提出 させていただいた資料として公開いたしまして、今回同じものを付けさせていただいて ございます。  ページを進みますと、大臣からの諮問書、審議会会長からの付議書がございまして、 3ページ目からが計画の申請書及び概要になります。  実施施設といたしましては、医学部附属病院でございまして、病院長山浦先生よりの 申請でございます。  計画につきましては、先ほど部会長より紹介があったとおりでございます。  総括責任者につきましては、当初医学部外科学第二講座助教授落合先生となってござ いますが、文部省及び施設側より連絡がございまして、16日付で同講座の教授に昇格さ れたということでございますので、事務的に訂正いたしたいと思います。  6ページ目から計画及び研究の目的と書いてございます。この研究につきましては、 高頻度にp53遺伝子の異常が報告されている食道がんに対して、正常型p53遺伝子を導 入し、その機能回復によりがん治療を行うことを目標とするものでございます。本臨床 研究の主たる目的には、その予後が極めて不良な切除不能進行食道癌(偏平上皮癌)非 切除症例に対する正常型p53遺伝子発現アデノウイルスベクターAd5CMV−p53の局所投与 による局所抗腫瘍効果の有無を観察し、その安全性を検討することにございます。  また、2次的目的として、進行食道癌(偏平上皮癌)非切除症例に対するAd5CMV−p53 局所投与時の奏効の持続時間、腫瘍進行までの期間、生存期間を評価する。また癌に伴 う病的状態(QOL評価、嚥下効果、疼痛評価、Performance Status)に対するAd5CMV−p53 の改善効果を評価する。また、切除不能進行癌が治療効果により切除可能になった場合 切除術を施行し、切除標本の病理組織学的及び分子生物学的解析を行い、局所の治療効 果を判定する。また、試験薬である正常型p53遺伝子発現アデノウイルスベクターAd5CMV −p53はRPRジェンセル社から治験の形で供給されるものでございます。  したがいまして、最後のベクターの供給につきましては、さきに御検討いただきまし た岡山大学同様に、RPRジェンセル社から治験の形をもちまして供給されるものでござい まして、中身につきまして、さきの岡山大学のものとは製造方法等が異なるということ でございまして、その取扱い、また品質確認の手続につきましては、現在医薬安全局の 方で事務方が検討しておるという形で聞いておるところでございますが、何らかの形で 中央薬事審議会で検討されるのではないかというような感じでございます。まだ企業の 方から詳細のデータ等が整っていない状況ですので、現時点では詳細は申し上げられな いということでございます。  研究の概要が以上のもので、あと細かく付いてございますが、この資料につきまして はさきに申しますとおり、作業委員会の方で科学的な論点整理を行ってございませんの で、御了承方よろしくお願いいたします。  あと、患者への説明文書の当初案が付いてございます。 ○高久部会長  この千葉大学から出ている申請と癌研究会附属病院から出ている申請は少し性質が違 いますので、まず千葉大学医学部附属病院からの食道がんに対する遺伝子治療研究につ いて、今、事務局の方から概略説明がありました。また寺田委員は作業委員会に入って おられるので、サイエンティフィックな面については、もし御質問があればお伺いして いただきたいと思います。説明文や同意書について何か御意見がありましたら、千葉大 学の方に申し伝えたいと思いますので、御自由に御質問、御意見をお伺いしたいと思い ます。 ○金城委員  全く質問なのですけれども、こういうがんで非切除例というのは何%ぐらいあるのか。 そしてどんなときに非切除ということになるのか。全く素人で申し訳ないのですけれど も、ちょっとその点教えていただけますか。 ○寺田委員  何%というのは分かりません、病院によって違いますけれども。非常に大きくて、と てもではないけれども食道をある部分を切ってしまって、ノーマルな部分をつなぎ合わ せにくいというような非常に大きなもの。それから、この場合転移しているものを入れ るかどうか。非切除例というのは転移の場合が多いのですけれども、この場合転移を入 れるかどうかが1つの問題点になると思います。 ○金城委員  どういうときに非切除例にするかというようなことについても一様の基準ができてい るのですか。 ○寺田委員  少なくとも転移しているものは非切除になりますし、リンパ腺転移の場合はよろしい ですけれども。それから、中に転移ではなくても浸潤が非常に大きくなっている場合に はやめるという、その辺のクライテリアは大体決まっております。ステージ別で決まっ ていると。 ○木村委員  東京大学のケースも岡山大学のケースもそうでしたのですが、当事者の方がおいでに なりますね。今度も来月当事者の方がおいでになることになっているわけですか。 ○高久部会長  これは作業委員会が終わってからではなかったですか。 ○事務局  通常の形としましては、作業委員会で科学的な論点整理を行った後、当部会で全般的 な御論議をいただく。その際に、計画実施施設、あるいは総括責任医師の方に御参加い ただいてきております。したがいまして、現在来週にも作業委員会が開催されますので その進捗の結果によりまして、当部会で作業委員会の報告を聞いていただく際には、当 該施設の関係者の方に御参加いただくように整備したいと思っております。 ○木村委員  分かりました。そうしますと、今日の論議というのは、当該施設の方はおいでになら ないわけですが、ここで論議したことの内容につきましては、こうこうこういう論議が あったということで当該施設の方々にお伝えするということになるわけでありますね。 ○高久部会長  作業委員会の場合でも当該施設の方は最初は来られないですね。検討の結果を総括研 究者に伝えて、申請の内容を場合によっては直してもらう。それと同じで、今日出た御 意見を総括責任者の方に報告して、皆さんが納得していただける形の説明文書にしてい ただくということになると思います。 ○木村委員  分かりました。そういうことであれば、前回第13回のときにも岡山大学の方から申請 のあった計画の文書につきまして、一番最初のところが全般的な計画がいろいろ書いて ある計画申請書というものがございまして、その中で、これは部会長にも御賛同いただ いて、患者へのインフォームド・コンセントの項目を備考のところに別立てにした方が いいのではないかということになったわけです。今日出てまいりました岡山大学の附属 病院の遺伝子治療臨床研究実施計画の第1ページのところは、概要書における変更点と いうところで私ども委員の意向を踏まえまして、備考欄に追加ということで第1点、第 2点とはっきりとバイオエシックスの観点から重要と思われる点につきまして、お加え いただいたわけなのです。本日の資料によりましても、医学的な安全性、問題点につき ましては大変に慎重できちっとした計画書ができるわけですけれども、バイオエシック スの観点につきましては最も大事な患者との関係が見えなくなってしまって、そこのと ころで果たして本当にきちんとやるつもりであるのかどうか。疑問が生じることもあり ます  例えば、9ページの遺伝子治療臨床研究の実施が可能であると判断する理由の中に挿 入される形で患者への病名の告知、十分な説明、患者の同意ということが書いてござい ますが、これは前回との整合性、それからこれから持たれます財団法人癌研究会との間 の整合性も踏まえまして、部会長の御判断によりまして、備考欄に追加するという形で きちっとされた方が極めていいのではないかというふうに思いまして、是非担当の施設 の方にお伝えいただければというふうに思います。 ○高久部会長  分かりました。そのように今後したいと思いますので、事務局からも申請があったと きによく伝えてください。 ○木村委員  関連して11ページなのですが、これは恐らく東京大学医科学研究所の方も大変にペー ジ数の多い資料を御提出いただきまして、中に省略の資料もございましたが、その資料 の中に恐らく入ってくると思うのでございますけれども、審査委員会の人数と構成、職 業ということについてのドキュメントも是非付けていただきたいという御要望をしてい ただきたいと思うのです。  と申しますのは、やはり学内の関連する方々だけの審査委員会は今でも大変に多いの で、千葉大学としてはどういう形をとっているのか、あるいは癌研にしてもそうでござ いますが、そういう点を知りたいということです。  もう一点、審査状況の一番最後のところ11ページでございますが、「なお、この間、 2回にわたり審議内容を報道機関に公開し、報道側と質疑応答を行い、社会に開かれた 臨床研究としての審査が進められた」とあります。大変これは結構なことなのですが、 この間も岡山大学の方からもそういうお話があったわけですが、質疑応答の内容がどう いうことであったのかというデータも是非付けていただきたい。どういう内容で、いつ どういう報道側を対象にして、千葉ですから恐らく千葉新聞の方だと思うのですけれど も、千葉新聞だけだったのか、あるいは他の報道関係の方がいらしたのか、そういう点 も含めて資料を出していただければ、これは大変にありがたいのではないかというふう に私は考えております。  したがって、審査の経過状況についてのデータ並びに審査委員会の人数、構成その他 につきまして、是非当該施設に御勘案願いたくお願いしたいと思います。 ○高久部会長  これは厚い書類の中に審査委員の名前と資格とが全部載っていたと思います。私来る 前にチェックしましたが。 ○事務局  作業委員会の方で御検討いただく予定の詳細資料には部会長御指摘のとおり、構成メ ンバーの一覧が入っております。今回の資料には入っておりませんで、是非そういう点 を補うように次回以降させていただきたいと思いますし、また、今、御指摘の点につい て部会長からの御指示を受けて、大学の方から公表資料の入手と配布をさせていただく ように準備したいと思います。 ○高久部会長  私のところには作業部会と同じぶ厚いものが来ていまして、そこには全部の人の経歴 から詳しくありました。 ○松田委員  今の点ですけれども、熊本大学の場合は成功しませんでしたけれども、タイム・テー ブルを全部つくって、しかもディスカッションされたクエスチョンの内容とそれの答え 全部サマリーを付けてかなり厚いものが提出されております。ですから、ここに来るの は一部分でしょうけれども、木村委員がおっしゃった内容をすべて網羅したこんな厚い 内容が出ていますので、あとは事務の方でまとめてもらうときにでもいいと思います。 ○高原厚生科学課長  審査委員会のメンバーにつきましては、ただいま用意いたしまして、この場で配らせ ていただきたいと思います。 ○木村委員  したがって最初の概要書のところに今のようなことを含めまして、例えば、概要書の 備考欄には岡山大学のケースと同じように、当該施設における臨床研究審査委員会が何 月何日からやって何回これを開催したということも是非お加えいただかないと、今まで の書類を見てみますと、繰り返すようになりますが、科学的なデータという点できちん としていても、バイオエシックスの観点からは大変に問題があるというようなことがあ るものですから、その点につきましては施設長の方に今後とも、言わば私どもの先端医 療技術部会の方向性を明確に部会長からお伝えいただければというふうに思っておりま す。 ○入村委員  岡山大学のものと製造法が異なるということが殊更強調されていたような気もします。 これはどのような意味があるのですか。 ○高久部会長  岡山大学の場合とはベクターが違うのですね。 ○事務局  ベクターの供給者はRPRジェンセル社で同一でございますが、実はRPRジェンセル社世 界中に複数のプラントをもらっておりまして、岡山大で使用するものと千葉大で使用し ようとしているものは製造施設が実は異なっております。それに伴いまして、若干製造 方法も違うのではないかということで、現在医薬安全局の方でその詳細について、供給 者になりますRPRジェンセル社について資料の提出を求めておるところでございます。そ の結果、また中央薬事審議会の方で何らかの審議によって、例えば同一であるというこ とになるのか、同一ではないが同等であるということになるのか、何らかの結論が出て くるものと期待しております。現時点では一応異なった施設から供給されるベクターで あるということだけ分かっております。 ○高久部会長  アデノでCMVをプロモーターにするという点は同じだったと思います。基本的には同じ だと思います。 ○事務局  ベクターとしての単体、それからp53を導入するという点については全く同一でござい ます。 ○木村委員  その点に関連しまして、この前配布された資料の中には、ベクターの安全性に関連し て保険に入っているというような指摘があったような覚えがあるのですが、その点は今 度の場合もございますか。 ○事務局  今回もRPRジェンセル社におきまして、当該治験に関連していわゆる賠償保険への加入 を行うという旨の記述がございます。 ○高久部会長  作業委員会の方が1回ではなかなか済まない可能性がありますので少し時間はあると 思います。では次に財団法人癌研究会附属病院の方に移りたいと思います。また終わっ てからいろいろと御議論願いたいと思います。 ○事務局  それでは資料2「財団法人癌研究会附属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画につい て」の資料をおあけいただきたいと思います。  これは東京都豊島区財団法人癌研究会附属病院におきまして、臨床部の化学療法課長 兼癌化学療法センター臨床部副部長の相羽先生を総括責任医師といたしまして実施され るものでございます。これは東京大学医科学研究所の場合と同様に、スポンサーのない 形、癌研究会が実施者となる研究でございます。したがいましてベクター等については 中央薬事審議会の方の議論を経ないことになります。  研究の目的並びにその理由等につきましては5ページ以降に書いてございまして、こ ちらの方につきましても備考欄については7月の時点での提出でございますので、木村 委員から先ほど御指摘ありましたような点については欠落しておりますので、よろしけ れば同様に指導させていただきたいと思っております。  乳がんにおきまして化学療法を実施し、完全寛解、もしくは部分寛解をした患者さん に対しまして、大量の化学療法剤によります治療を行うということに際しまして、そこ で損なわれます血液細胞関係についてあらかじめ患者さんから採取した上で、そこで多 剤耐性因子、いわゆるがん化学療法剤に対して抵抗力を持たせるような遺伝子を導入す ることによって非常にパワフルなものにした上で、これを大量化学療法を行った患者さ んに戻すと。そのことによって大量化学療法によるダメージを防ぐとともに、患者さん における全体的な改善を図るということに特色のある遺伝子治療臨床研究でございます。  本法につきましては、米国等におきまして類似の試みがなされておるということ。ま た動物実験等におきまして、そのような科学的な意味での裏付けの報告がある等のこと を基にしまして、癌研究会の内部委員会において検討され、また厚生大臣の示しました 基準に合致するということで、本年7月確認の申請に至ったものでございます。  遺伝子導入につきましては、5ページの下にございますように、MDR1の野生型・完全 長cDNAをレトロウイルスベクターに導入いたしまして、その増殖能を失わせたものを用 いて、患者さんから採取いたしました血液肝細胞に導入するということを予定しており ます。  これによりまして、用いますベクターでございますが、6ページに記載がございます けれども米国にありますベンチャー企業でありますが、Microbiological Associates及 びその子会社であるMAZENTA社におきまして作成されたベクターを利用するということに なっております。すなわちがん研究会におきまして、MAZENTA社より当該ベクターを輸入 し、これを用いて遺伝子の導入を実施する。導入実施自体はがん研究会においても設け ました特別の施設において行うということに聞いております。  海外での事例等につきましては、6ページの下段にありますとおり、当該MAZENTA社に おいて作成いたしましたベクターを用いました同様の実験が、そこの米国におきますNCI あるいはコロンビア大学において効果を発揮したというような事例が人でも見られてい るということなどを妥当とする大きな根拠として掲げております。その他に各省の動物 実験等についても吟味されたというふうに聞いております。  勿論そこに、部分的にではありますが、患者さんからインフォームド・コンセントを いただいた上でこの実験に望むものであるということは書いておりますが、形式として は先ほど御指摘のような備考欄にまとめて記載の方向で相談させていただきたいと思い ます。  それから、9ページ以降に現在7月時点におきまして、患者さんへのインフォームド・ コンセントとして用いたいとしております非常に長文の詳細な資料が添付されておりま す。なお、事務局におきます調整の作業の関係で、ここに用いられております学術用語 のグロッサリーまではコピーとして添付しておりますが、本来この次に添付されるべき であります説明した医師、あるいは立会者、説明を受けた患者さんの署名同意欄の部分 が欠落しておりますが、この分については当然実際に用いられる際には岡山大等や従前 の各実験例と同様説明と同意の文書に併せてそのような日付、署名欄が設けられるもの ということで説明を受けております。  一応極めて簡単でございますが、資料の御説明をさせていただきました。 ○高久部会長  どうもありがとうございました。どなたか御質問ございますか。  癌研の説明文は物すごく長いですね。患者さんが読むのは大変です。少し長過ぎるの ではないですか。もう少し要領よくしないと、読んで分かりますかね。勿論詳しければ 詳しいほどいいのでしょうが限度がある。岡山大学や千葉大学に比べると大分長いです ね。どうですか。 ○木村委員  私はこれを読みまして、専門的な言葉につきまして一生懸命大変に分かりやすく説明 して、長くなってはいるのですが、こういう問題を短くすると分からないことがいっぱ い出てくるので、質問を想定しながら大変によくまとめてくださって、全部が内容の項 目の質問を置いてそれに答える形でやっているので、私としては非常によくできている というふうに思ったわけです。ただいま事務当局の方からお話がありましたように、な お、備考欄と説明文書に伴う同意文書の添付がないということは問題があります。  それからもう一つ、先ほどのにも関連いたしますが、審査委員会がガイドラインに沿 って当該施設に設けられておるわけですが、この審査委員会というのも勿論厚生省当局 には出ているわけでございますよね。 ○高久部会長  出ています。 ○事務局  今、併せて配布させていただきましたけれども、癌研究会においては内部及び外部委 員の両方から成る審査委員会を設けて検討したということでございます。 ○木村委員  配布されたのが、癌研究会の審査委員会の名簿でございますね。分かりました。 ○高久部会長  木村委員が分かりやすいと言っていただいたので、安心しました。これは内容が少し 複雑ですね。 ○寺田委員  審査委員のところで少し気になりますのは、外部委員がいるとおっしゃいましたが、 ほとんどいらっしゃらない。全部併任で、例えば東北大学の教授だといっても実は癌研 の併任だということで、少し足りないのではないかという感じがすることはするのです が、実際の内容に関しましてはよく書けているということでございます。 ○柴田委員  木村委員がいいというのに違うという意見ではないのですけれども、詳しければ詳し いほどいいというものでもないという気がするのです。患者というのはある程度説明に うんざりしてしまうと理解というのが飛ぶ部分があると思うので、いわゆる専門家への 説明は幾ら詳しくても、幾ら長くても構わないと思うのですけれども、患者に対する説 明というものに対しては簡明を尽くしたものがいいというふうにやはり思うのです。部 会長の言われるように少し長過ぎるのではないかという印象です。これは印象ですので ではどこを削れと言われると困るのですけれども、多分少し削ってあげた説明が患者に 対してはいいのではないか。 ○木村委員  今、柴田委員の方から御指摘ありましたが、確かにそういう点もございますので、要 点につきまして書いて、例えば、患者さんが自発的に読むことができるような注とか、 そういうような形でやるというのも、ほかのところでたしかそういうケースもあったか に思いますので、全部を読まなければいけないような感じのプレゼンテーションではな くて、重要な項目について対応を説明するという方式もあるかとは思います。  いつか私どもの方に連絡あった話によりますと、インターネットで出てくる私どもの 委員会の様子を見ている方が最近非常に増えてきまして、前回の当該部会では曽野委員 もこのインフォームド・コンセントをよく皆さんが分かるなと発言されていましたが、 読んでいてなかなか分からない。けれども委員の先生方の名前を見たら木村先生も入っ ていたので驚きましたなどということを言った人もいるのですが、確かにその場で御説 明を受けた上で読みますと分かっても、なかなか文書を一読するだけでは分かりにくい という点があるので簡明に、そしてしかも注で、詳しく知りたい方は一応読めるという ような形のプレゼンテーションがあるいはふさわしいのではないかという気もいたしま す。 ○高久部会長  確かに多剤耐性遺伝子などは、詳しく書いてもなかなか分からない。むしろ短い方が 分かりやすいかもしれないですね。 ○木村委員  ただ、内容的には非常によくできていると思うのです。 ○松田委員  気になったというほどでもないのですけれども、先ほどの千葉大学の場合も18ページ 要するに代替療法、これに代わるものについては非常に簡単に書いてあるのです。放射 線療法、化学療法またはその他の治療法を選択することができますので、あなたの担当 とよくお話しください。治療を受けないという選択肢もありますと。これだけなのです けれども、余り遺伝子療法が強く出てきていて、代替療法がほんの附属的な形になって しまっているので、同じぐらいのレベルでないと、こちらの方だけ選ばされるのではな いかという不安を持つのではないかという気が少ししたのです。 ○金城委員  素人の方は分からないですよね。ですからある程度説明していただかないと。 ○松田委員  実際は本当に難しいのですけれども、だからどうすればいいかと言われると困るのだ けれども、何か聞いている方にすると、代替療法よりもこちらの方が数段すぐれている のだというようなインフォメーションだけ与えるようになると正しくないかなという、 そんな感じだけしたのですけれども。提案というよりも感想に近いものです。 ○木村委員  これは施設の方に聞いてみなければ分からないですが、これ以外の方法においてはも う手がないということで、実際上はこういうものをやろうということになるわけですね。 ○松田委員  放射線を使うこともあり得ますね。 ○寺田委員  あります。 ○松田委員  ですから、先ほどの話を聞いていると、もうこれしかないというふうに患者さんが印 象づけられるのではないかということを危惧したわけです。つまり、放射線でもって小 さくして取ることもできるわけですから、だから放射線の場合はこうこうなりますと、 化学療法はこうこうなりますと、遺伝子治療の場合はこうこうなりますと。そこで、あ なたはどれを選びますかと、よく話してみましょうというのでなくて、遺伝子治療だけ が強く全面に出過ぎているのではないかということを危惧したのです。それだけの話で す ○木村委員  それはバイオエシックスの観点からも一番大事な点でして、オールタナティブの中身 の詳細な記述というのはありませんと、これしかないというふうに思わされてしまうと いうことは確かにございますね。 ○松田委員  だからそういう印象を与え過ぎることがあってはいけないのではないかなという気が したものですから、発言したのですけれども。 ○木村委員  それは同感です。 ○高久部会長  この問題は重要なことなのですので、作業委員会の方でも検討していただくことにな ると思います。13ページのところには、現在のところあなたの病気には、手術以外に副 作用が少なく、十分な治療効果が得られる治療法がないと書いてあります。「あなたの 病気」というのは病気全体を指すのか、今のステージの病気ではということで、そこの ところは確認する必要があると思います。寺田委員の方で御確認願いたいのですが、食 道がんの場合に、取れるものはすぐ取る。それからアジェバント療法として放射線をか ける、あるいは化学療法をして腫瘍を小さくしてから取るということがあります。もう 一つ、p53の導入治療ですと、転移には効かないということになると思います。そういう ことを考えると、先ほど金城委員からも御質問ありましたが、本当にどういうステージ の患者さんに使うのかということを確認する必要があると思います。東京大学医科学研 究所の場合には一種の免疫療法ですから転移巣にも効く可能性があると思いますが、こ の場合は局所療法ですので少し意味が違う。 ○金城委員  費用の点なのでございますけれども、癌研の20ページですね。費用の負担増加は患者 さん側にはありませんと。私よく分からないのですけれども、保険が適用になっても本 人負担というのはかなりあるわけですよね。この遺伝子治療の場合には、実施する上で 直接関係する費用は医師側が負担する。そうすると、この治療を受ければほかの治療を 受けるより安いというようなことはありますか。費用が低くなると。 ○高久部会長  それはないでしょうね。これは簡単に言えば普通の治療をやります。ただこの治療法 をやったら副作用が少なくて済む可能性があるということと、より多量の化学療法剤を 投与できるということがあります。勿論化学療法が有効な場合ですが。恐らくかなり強 い化学療法をやらざるを得ないと思います。ですから、その点では余り変わらないと思 います。 ○松田委員  ここで言っているのは遺伝子治療の部分に関してだけであって、それ以外の一般的な 治療に関しては保険のカバーというのが頭にあるのだと思います。 ○金城委員  そうすると、こちらを受けた方が本人が負担する費用は非常に安くなりますよとか、 そういう誘導はありませんか。 ○松田委員  それはないと思います。 ○森岡委員  これは保険適用、これは中医協か何かでかける必要があるのではないですか。 ○事務局  この治験そのものにつきましては、トライアルでございますのでまだ保険適用になら ないものということだと理解しております。 ○森岡委員  だから保険適用にならないものを保険医療の中でやるのは、これは手続が要るのでし ょう。 ○事務局  いわゆる高度先進医療であれば別途手続といいますか御審議をいただきますが、治験 につきましては治験部分と、通常の保険医療の範囲との混合という事例はございますし その部分については個別に保険診療の対象として審議にはかかっていないかと。 ○森岡委員  治験ということになるわけですね。 ○事務局  この治験を各医療機関で実施するかどうかの御審議はいただいておるかと思います。 ○森岡委員  だから治験ということになれば、どこまでが保険でカバーするかというのは少し微妙 な点がありますね。 ○高原厚生科学課長  保険と保険外のものが併用されるのは、いわゆる高度先進医療と言われるものが1つ あります。これは先生御存じのように、中医協の方で個別に医療機関と中身を審査いた します。そのほか治験に関しましては、治験に要する費用及び関連する検査料、これに つきましては、保険から給付されません。されない部分につきまして、これを医師側が 負担するか、全額患者側が負担するか、折半するか、全くルールはございません。この 場合は医師側といいますか医療機関側が負担すると言っておりますので、その残りのも のにつきまして、保険が適用される。つまり、この治療に関する部分とこれに関する検 査につきましては、医療機関サイドの負担になる。そのほかは通常の社会保険のとおり と。 ○森岡委員  だからここにわざわざ副作用が発生したときに、保険適用になると書いてあるのでし ょう。本当にそうなのかなというところが微妙ですね。 ○高原厚生科学課長  副作用の場合は起因者責任になりますので、場合によれば保険で100%見るべきではな いのではないかという議論があろうかと思いますが。 ○森岡委員  わざわざ書いてあるから、少し問題があることはあるのですね。 ○高原厚生科学課長  副作用の方は若干修文する方がいいかもしれませんね。 ○森岡委員  細かいことですけれども。 ○木村委員  諸外国の例では、特定の疾患を対象としたプロトコルをつくった場合には、最初から 費用の負担なしというふうに明記する場合もあるのです。特にNIHなどでやっています連 邦政府のがんに関連するプロトコルの患者の対象選定に当たりましては、費用が掛かり ませんということをはっきり言うのですが、日本でもそういうケースはございませんか。 ○高原厚生科学課長  御承知のようにアメリカの場合は、メディケア、メディケードが一部カバーしておる だけでありまして、一般の方については私的保険ないしはさまざまなマネージドケアと か、ブルークロスとか、そういうふうなものでカバーしております。したがって、保険 会社が給付を拒否するとか、それから日本と非常に違いますところは、公的保険であり ましても、バランスメント・ペイメントと言いまして、差額を医療機関で徴収すること がございます。したがいまして、いわゆる全額給付のような日本のような制度はアメリ カでは非常に限られているというふうに考えてよろしいと思います。  木村委員御承知のようにアメリカは、保険が全くない方がたくさんいらっしゃいまし て、そういうふうな人たちが比較的よくNIHのプロトコルなどに協力なさっているという ふうに承知しております。そういうふうな点にしてみれば、先ほどお話の出ました経済 的誘導が日本にはほとんどないということはかえって、経済的誘導がないという点と、 それから逆に協力者が得にくいという点と療法あろうかと思います。 ○木村委員  おっしゃられるような点を踏まえて、連邦政府がリサーチ・ファンドの中に先端医科 学技術について掛かる費用についてはバジェット含めているというケースもございます ので、今お伺いしましたら日本ではそういうことはないということになるわけですね。 ○高原厚生科学課長  医療費を政府がある疾患に対しては保険給付以外のところを負担しているものとしま しては、難病であるとか、小児の難病であるとか、そういうふうなものに限って極めて 例外的に幾つかございます。治験についてはございません。 ○木村委員  治験について給付外負担がない場合に、今の森岡委員の御質問にも関連してくるので すが、医療側が負担するというふうな表現を厚生科学課長がおっしゃいましたが、医療 側が負担する場合には、各施設の特別な予算で負担するということの意味ですか。それ とも医師個人が負担するのでしょうか。 ○高久部会長  これは癌研が負担することになると思います。個人ではやっていけませんから。 ○木村委員  そうしますと、今のに関連しますが、これからそういう臨床治験、がんに伴ういろい ろな遺伝子治療その他が行われると思いますが、厚生科学課長が一番最初に言われまし たように、ケース・バイ・ケース、これからこういうことをやるけれども、あなた出し ますかというような言い方での患者負担、それから半々にしましょうというような負担 とか、あるいはうちが全部出しますからというようなことがいろいろ分かれてくると思 うのですが、それを統一するというような方向は一切今後ないわけですね。それぞれの 機関が、それぞれの対応をするということでいいのかなという気もいたしますが、いか がでしょうか。 ○高原厚生科学課長  今のところ統一するということにはなりませんが、一般的に薬物の治験の場合、その チャージを治験を依頼した製薬会社が負担するということが割とケースとして多いので はないかと思っております。例えば、製薬会社と医療機関が負担するということがござ います。癌研究会でございますと公益法人でございまして、予算上の50%以上は原則と して研究事業とか、普及事業とか、そういった非営利的な、そもそも営利はだめなわけ ですが、非収益的な部門にお金をアロケートしなければならない。そういうふうな場合 においては、実施する公益法人が負担するということも考えられます。  それから文部省、もしくはその他の私学の場合には、学用患者用費用というふうな形 で研究医療費の一部を負担するというふうな制度も事実ございます。したがいまして、 大学もしくは施設が研究費として負担する場合、むしろ企業側が治験として行っている 場合は企業側。それで現実的に患者さんに払いますかと言うのは際めて例外的な事態だ と思います。 ○高久部会長  実際的には患者さんが払うことはないと思います。恐らく実際に始めるときには、厚 生科学の研究費の中で遺伝子に関する研究費がありますから、そこである程度の研究費 を出す可能性は高いと思います。 ○金城委員  先ほどの副作用の点ですけれども、保険が適用というとやはり問題があるということ であれば、副作用が発生した場合にも、あなたには負担は掛かりませんというふうなこ とにしておけば問題がなくなるのではないかと思います。 ○高久部会長  要するに負担は掛かりませんとはっきり書いておけばいいと思います。保険がどうの こうのということを書くと話がややこしくなってかえってわかりにくくなると思います。 丁寧に書き過ぎているのではないかという気がします。 ○廣井委員  18〜19ページを読んで、メリット、デメリットが書いてあるのですけれども、この辺 特にデメリットとして19ページに書いてあるところはなかなか分かりにくいので、もう 少し分かりやすい表現にした方が、患者さんにインフォームド・コンセントするときに はやりやすいのではないかと思うのです。18ページには副作用としてかなり長く書いて あるのですけれども。 ○高久部会長  おっしゃるようにデメリットはなかなか難しいでしょうね。細かいことになりますが 導入したレトロウイルスが血液細胞の正常な遺伝子の働きを阻害するということはなか った。そんな話は聞いたことがないですね。2番目、3番目は可能性あると思いますが。  曽野委員の方から痛いのか痛くないのかとか、そういう表現があった方がいいという お話がありました。今度の千葉大学の場合も、財団法人癌研究会附属病院の場合も直接 被験者になられる方の患者さんに関心のあることですから書いてもらうようにお願いし ておきましょう。  作業委員会の作業が終わった時点で、改めて御意見をお伺いすることになると思いま すので、本日お伺いした御意見につきましては、木村委員からの冒頭の御注意も併せて 千葉大学と財団法人癌研究会附属病院の方に伝えて訂正するようにお願いしたいと思い ます。  次に、事務局の方からその他の遺伝子治療臨床研究実施計画について御説明お願いし ます。 ○事務局  続きまして、既に御審議いただきました臨床研究の計画等について、2つの計画につ いて御説明申し上げます。  まず資料3でございますが、「東京大学医科学研究所附属病院の遺伝子治療臨床研究 について」ということでございまして、この計画につきましては7月22日の本部会にお きまして御審議いただきまして、科学的、倫理的に妥当だという御意見をいただきまし て、その後、文部省の方の委員会でも同様な結論を得まして、最終的に8月10日付で厚 生省より、あるいは文部省より臨床研究の実施計画について実施して差し支えない旨の 意見書を発出いたしました。  その後、施設の方におきまして、対象となる患者さんについての御検討とか、施設の 中の準備を進めてまいりまして、去る9月29日、施設内の遺伝子治療臨床研究審査委員 会がございまして、その中におきまして委員長から申請のありました腎細胞癌に対する 免疫遺伝子治療臨床研究対象患者の適用につきまして、委員会が開かれて検討なされた ということでございます。  その報告が1ページ目にございまして、これはその際に記者の方に配布されたものと いう形で伺っております。それにつきましては、総括責任者より説明を受け、本症例が 選択基準を満足し、除外基準を含まない。あるいは、患者及び患者の家族に対する9月 20日付インフォームド・コンセントを確認したというものでありまして、委員会では全 員一致で、対象としての適用を満足するものと判断し、病院長に報告したということで ございます。今後は遺伝子導入ワクチンの調整が終了し、遺伝子治療実施が可能となっ た段階で、改めて症例の適用へと2回目のインフォームド・コンセントについて浅野病 院長から審査委員会に報告がなされるというものでございます。この際に、計画どおり 進んでいるものであれば淡々とした報告になるということだという形で事務方からは聞 いております。  2ページ目につきましては少し詳しいものですが、施設側から記者の方に出しました 患者の要旨等でございます。  3ページ目につきましては、病院長がこの計画を進めるに当たりまして、まず通常の 医学行為であります腎細胞がんに対する免疫遺伝子治療患者における腎摘除術の報告が なされました。これは10月5日になされたものでございます。状況は1〜5のとおりで ございまして、腫瘍が腎細胞がんであることが確認され、摘出治療は直ちに施設内の臨 床細胞工学室に運ばれ、免疫遺伝子治療に必要な細胞処理が行われているところである という形でございます。このような記者発表がなされたとともに、当方にこのような書 類が来てまいっているという状況でございます。  そして資料4でございますが、これは9月17日の本部会で御審議いただきました、岡山 大学医学部附属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画につきまして、1枚目めくりますと、 9月17日の本部会の指摘事項に対する岡山大学医学部附属病院側が整理した変更前後の 一覧表。ともに2ページ目もそうでございます。例えば、冒頭に木村委員から御発言が ありましたような形での備考欄への追加記載とか、次のページにまいりますと、副作用 等についての記載を更に詳しく書くとか、本臨床研究の目的について記載するとか、同 意書の一部を変更するということでございます。  また、3〜4ページにつきましては、施設内の倫理委員会と施設内遺伝子治療臨床研 究審査委員会のメンバーを対比されたものでございます。これによりますと、この臨床 研究というものの実施計画を検討するに当たってかなりの先生方の追加、外部委員の追 加があったということでございます。  5ページ目につきましては、9月25日に文部省の遺伝子治療臨床研究専門委員会がござ います。 本部会に対応するものでございますが、その中におきましても、当方の指摘には入って ございませんところとして2点ほど、特に臨床研究であるのでその旨をはっきり書き加 えるようにという点と、個々の患者についてのドーズ・アップ、すなわち容量を変更す るとか上げるということはできない旨の説明が不十分なので書き加えるようにという指 示がありまして、そのように対応するということで変更点としてまいってございます。  6ページ目以降につきましては、そのような変更を行った形での実施計画の申請概要 及び患者への説明文書、これは14ページからになりますが、説明文書と同意書というも のの最終版という形で当方に提出のあったものでございます。  このような形で、指示事項に対してきちんと対応したいということの報告がまいって ございますので、御了承いただければ、あと事務的に意見書を発出する手続きを行わせ ていただきたいと思っております。  以上でございます。 ○高久部会長  どうもありがとうございました。今、東京大学医科学研究所での実施の状況と岡山大 学医学部附属病院から再提出されました実施計画についての説明が事務局の方からあり ましたけれども、何か御質問、御意見はおありでしょうか。 ○事務局  大変失礼いたしました。最後岡山大学の29ページの資料の説明を落としまして大変失 礼いたしました。これにつきましては、岡山大学につきましては、RPRジェンセル社とい う会社から遺伝子ベクターの供給を受け、薬事法による治験という形で実施するという ことでございまして、このRPRジェンセル社の方につきましては、平成7年に出まし た「遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確保に関する指針」に基づきまして、中央 薬事審議会の方でベクターの安全性及び品質確保につきまして検討を受けてまいってき たということでございまして、去る10月6日に開かれました中央薬事審議会バイオテク ノロジー特別部会におきまして、指針に基づき遺伝子治療用医薬品の安全性及び品質確 保について指針に適合しているということの確認がなされたというような記者発表がご ざいまして、医薬安全局の方からこのような発表があったということで入手したもので ございます。審議経過等はここに記載してあるとおり、ある面ではかなり詳細な確認が 行われたということでございます。失礼いたしました。 ○高久部会長  どうもありがとうございました。資料3と4についてどなたか御質問ありますか。  もし分かったら教えていただきたいのですが、東京大学医科学研究所の症例は転移が あったのですね。 ○事務局  本日提出の資料にはそこまで書いてございませんが、報道等では転移のある患者さん ということで報ぜられております。 ○松田委員  岡山大学の3ページの変えたところなのですけれども、「この臨床検査は安全性を確 認するためのデータの収集を目的としており」と書いてあって、このほかにも有効性と かで確認しているのだと思うのですけれども、この文だけ見ると安全性を確認するだけ のようにもとられるのですけれども、その辺は文としておかしくないのでしょうか。勿 論収集をも目的としているというふうに書けば当然有効性を見ていると思うのですが、 これだけ見ると安全性の確認だけを行ったようにも文脈としては読めますけれども、ど うでしょう。 ○事務局  御指摘のとおり当然投与を受けた患者さんにおける変化の中には腫瘍部位の縮小その 他全身状況の改善を含めた何らかの効果についても観察をするものでございます。 ○松田委員  だと思います。 ○事務局  そこらへんについてもし誤解を招くような文章であるとすれば、再度相談させていた だきたいと思います。 ○木村委員  全く素人で分からないのですが、「RPRジェンセル社」というのは何らかの略語なので すか。 ○高久部会長  「ローヌ・プーラン・ローラン」という非常に大きな会社ですが、そこと「ジェンセ ル」という会社が一緒になって、それを全部言うと長いから「RPRジェンセル社」と言っ てます。 ○事務局  部会長の御説明がありましたとおり、医薬品企業の大手であります欧州系の「ロー ヌ・プーラン・ローラン社」、それの遺伝子あるいは細胞治療関係専門の子会社が「RPR ジェンセル社」でございます。日本での登記上は「RPRジェンセル」という形で登記がさ れているというものでございます。  RPRジェンセル社そのものはフランスに親企業を持つ会社なのですが、細胞遺伝子治療 関係につきましては、米国の方が中心になった研究所を、特に岡山大の分につきまして は米国のプラントからのものを利用してベクター供給を行うということで、そのような 記載になっていたかと思います。 ○高久部会長  岡山大学の方も間もなく始まると思いますので、その結果を随時この部会で御報告し たいと思います。よろしくお願いしたいと思います。  次に、資料5は参考資料ですね。 ○事務局  資料5でございますが、これはあくまで参考でございます。ただ、先生方ごらんいた だきましてお分かりのとおり、これは平成6年に当時の大内厚生大臣のときに告示をい たしたというものでございまして、最近の遺伝子治療学会その他の論議では、そろそろ 見直しの時期ではないかという御指摘も出てきております。本日ここに付けましたのは あくまで本日癌研究会並びに千葉大学からの遺伝子治療の臨床研究計画を御審議いただ きたい、その土台となる現行の基準ということで付けたものでございます。 ○高久部会長  付け加えておきたいのですが、1ページ目に「対象疾患等」という項目がありまして、 「遺伝子治療臨床研究の対象は、次のすべての要件に適合」ということで、致死性の遺 伝性疾患、がん、エイズ等その他の生命を脅かす疾患であることとなっている。その他 の中に含まれると言えば含まれるかもしれませんが、外国の事情を見ますと、血管障害 に対する遺伝子治療が随分行われています。特に動脈の閉塞症でありますとか、心臓の 冠動脈に対する処置であるとか、かなり話題になっていまして一部は臨床研究として行 われています。将来そういう疾患も我が国で遺伝子治療の対象となる可能性があります ので、そのときには少なくとも「対象疾患等」のところで御検討願う必要があるのでは ないか。例えば、末梢動脈の閉塞ですと生命を脅かすというところまではいかないけれ ども、患者さんにとっては非常に苦痛である。いずれそういうケースが出てきた場合に は御考慮いただきたいと思います。  特になければ、事務局の方からの提案でありますけれども、最近引き続いて東京大学 医科学研究所、岡山大学医学部附属病院、千葉大学医学部附属病院、財団法人癌研究会 附属病院と遺伝子治療研究計画が次々に出てまいりました。世界の流れからいいますと 我が国はまだ非常に少ないという状況にありますが、今後も次々と申請が出てくる可能 性があると思います。次回の部会は11月16日に予定されていますね。 ○事務局  今、申し上げましたとおり、また部会長からもお話がありましたとおり、この基準の 見直しを行うに当たって今、我が国並びに世界的な動向がどういう状況かということに ついて、もし可能であればその道の先駆的な方々の御希望を伺った上で、次回の11月の 部会において、そういった方々からの御発言を参考として聞いていただいてはいかがか というふうに考えております。ここはまた御相談していかなければいけないことでござ いますが、そこら辺について部会長の御意見など聞かせていただければありがたいと思 います。 ○高久部会長  御異論がなければ、次回お聞きしたいと思います。分かりやすく話をしてくださる方 を考えたいと思います。よろしく御了承お願いしたいと思います。  少し時間が早目ですが、今まで何回も御議論願ってきました生殖医療技術についての 議論が取りまとめてあります。前回部会長のコメントとして、体外受精の場合に別な女 性からの卵子使用について現在議論を行っているので慎重にしていただきたいと述べる ようにというお話がありました。その後、幾つかの新聞社の方々からインタビューを受 けまして、そこで現在専門委員会を設けて検討しているので慎重にしてもらいたいとい うことを申し上げました。幾つかの新聞に出ていました。そういうことで、一応この部 会としての意向が公になったのではないかと考えています。御了承願いたいと思います。 ○木村委員  今の部会長の談話に関してですけれども、これは私どもの委員会の委員の先生方も要 望が多くございまして、大変にいいコメントをお出しいただいたというふうに私ども高 く評価したいと思うのです。議事録につきましては、インターネット上で全部公開され て、大変にいろいろ見ているのですが、この談話につきましては入っているのはまだ見 ていないのですが……。 ○高久部会長  談話はインターネットに載っていません。 ○事務局  記者発表したものについては順次広報室を通じまして載せてもらうようにしておりま すが、確認いたします。それからもしまだであれば、そのような形で補うようにさせて いただきたいと思います。 ○木村委員  私は審議会の議事録の中に入るのかなと思っておりました。そうしますと広報課の方 から別途それが載るわけでございますね。分かりました。やはりこのごろ非常にイン ターネットを見ている人が増えているものですので、せっかくこういうコメントを積極 的に部会長が決断して厚生省当局と御相談の上、出されたので、いろいろな方々に知っ てもらうという点から是非インターネットにいち早く載せていただければというふうに 提案したいと思います。 ○高久部会長  この前の議事録は最後の方は非常に面白い議論になって、私も面白く読まさせていた だきました。  それでは、母子保健課の方からお願いいたします。 ○母子保健課  それでは、2つの専門委員会の開催日程が決まりましたので、御説明申し上げます。 資料6をごらんいただきたいと思います。  まず1ページでございますけれども、生殖補助医療技術に関する専門委員会の開催に ついて、今月の21日、明後日でございますけれども、13時30分〜16時30分までの予定で 開催をされる予定でございます。メンバーにつきましては、次のページにございます。  3ページ目でございますけれども、出生前診断に関する専門委員会につきましては、 今週の金曜日、23日の13時30分〜16時30分の予定で開催される予定になってございます。 議題につきましては、ここにあるとおりでございまして、次のページに委員の名簿が付 けてございます。  また、生殖補助医療技術に関しましては、法務省、文部省、科学技術庁の担当の方が オブザーバーとして出席される予定でございまして、出生前診断の方につきましても、 科学技術庁の御担当の方のオブザーバー出席が予定されております。  以上でございます。 ○高久部会長  どうもありがとうございました。この部会の委員の一部の方が入っておられますが、 御興味のある方、御関心のある方は是非御出席願いたいと思います。 ○木村委員  これも4項の一番最後の行に両方の専門委員会につきまして、議事の公開の在り方に ついて第1回の委員会で検討しますということなのですが、これは私ども親審議会の厚 生科学審議会の方、あるいはまたこの部会の方でも何回も議論したわけでございますけ れども、閣議決定に基づいた議事の公開という線をこの部会としては出したいというこ とで今までやってきたわけですので、評価部会の部会長の公開という御意向をこの専門 委員会の方にもお伝えいただければというふうに考えておりますけれども、いかがでご ざいましょうか。 ○高久部会長  委員長の方の御意向を聞かなければならないと思います。ここの部会としては、今日 も公開をしていますので、できればそういうふうにという意向だけはお伝えする。今、 御意見がありましたようにお伝えしたいと思います。 ○金城委員  強調したいのですけれども、この審議会の議事録というのは本当に多くの方が見てい らっしゃるのです。そして一般の人たちもこういう問題について関心を持つような1つ のきっかけになっていると思います。そして今度専門委員会が審議することというのは 本当に重要なことだと思うのです。そういう意味で、密室というのはいけないと思うの です。いろいろあると思うのですが、やはり専門委員として御発言いただくときには責 任を持って発言をしていただく。そしてそれは、国民がみんな知ることができるように すると。これは民主主義の基本だと思いますので、その点については特に強く御要望い ただきたいと思います。 ○高久部会長  承っておきます。  それでは、お手元に9月17日の段階での部会長談話ということで出ておりまして、こ れがインターネットに出るということですので御了承願いたいと思います。 ○廣井委員  この専門委員会の審議内容なのですけれども、例えば、根津問題から発生して他人の 卵子をどうこうということから代理母とか、相当幅広い検討すべき内容があると思うの ですけれども、この委員会で内容はお任せするということになりますか。あるいはこち らの委員会で、こういう点について特に審議してほしいということを御依頼するのです か。 ○高久部会長  私たまたま土日に生命倫理学会がありまして明石に行ったときにお会いした委員の方 は、今までの議事録は全部厚生省から送ってこられていて、よく勉強させていただきま したとおっしゃっていました。この部会で検討された点について議論を願いたいと思っ ておりますし、多分そういうふうになるものと考えています。 ○事務局  詳細については、専門委員会の事務局役を務めます母子保健課の方から説明があろう と思いますが、部会長から今、御発言がありましたとおり、これまでの部会の議論につ いては、各専門委員の先生方に議事録等通じまして、御理解いただくようにしておりま す。  したがいまして、この部会で各種論点に基づいて整理された御議論を踏まえて、それ を掘り下げて更にかなり詳細な点を加えて議論いただくということが期待されているも のというふうに私どもとしてはとらえております。 ○柴田委員  前回の最後のところで結論を出すおおよその目途について1年半は最低掛かるであろ うというお話があったと思うのですけれども、その大ざっぱな目途について新たな、大 体この辺までにという新しい委員長や委員の方々の目標が出ているならばお聞きしたい。  それからもう一つは、結論はこの部会にもう一回戻ってきて再議論するというのもこ の前話がございましたけれども、その点についても再確認させていただけたらと思いま す。 ○母子保健課  議論につきましては前回御説明のとおりで、これから第1回を開催いたしますので、 そちらの方で委員の先生方とスケジュールにつきましては決定させていただきたいと思 いますが、事務局といたしましては、前回御説明させていただいたとおりの方向で諮っ てまいりたいと思っております。  また、この委員会の御議論でございますが、資料6にございますように、生殖補助医 療技術のところにつきましては、議題の中にこれまでの議論、それからヒアリングの結 果について御報告させていただく予定にしておりまして、これまでこの部会で柱として 立てていただきました論点をもう少し細かくした形で御議論いただきたいというふうに 考えております。  また、出生前診断の方につきましても、同様のことを予定いたしております。 ○高原厚生科学課長  実はこの専門委員会ができますと、この部会、まず一番親の会として厚生科学審議会 というものがございます。それからこの部会がございます。その下に専門の委員会がで きる。遺伝子治療に関しましては、この部会のみで結論を出すことができるというふう に定められております。それでこの部会がファイナルでございます。その他の事項につ きましては、この厚生科学審議会の親会議の方に上げまして、ファイナライズされると いうことになっております。例えば、前々回だったと思いますが、ヒューマンティッシ ュの問題がございましたが、こういうふうなものにつきましては、厚生科学審議会の総 会で議論されるわけであります。  したがいまして、生殖医療につきましては生殖医療の専門委員会で議論がなされ、そ れから当部会で再度議論がなされ、厚生科学審議会で議論がされるというふうなことに なりますので、よろしく御了承くださいませ。 ○木村委員  そうしますと、専門委員会の取りまとめと申しますか、先ほどの御質問にも関係して まいりますが、大体どのくらいのタイムスパンでやるというような区間はございますか。 ○母子保健課  生殖補助医療技術につきましては、前回委員長の予定の先生と御相談させていただき ましたところ、大体10回くらいは少なくとも議論が必要だろうというようなことを伺っ ておりますので、1年半〜2年くらいの期間が必要だと考えておりますけれども、最終的 な期間の決定につきましては、第1回の専門委員会で決定させていただきたいと思いま す。  また、出生前診断の方につきましては、私共も母体血清マーカー等緊急に対応するべ き課題がございますので、今年度中くらいにひとつ考え方のまとめ等をお願いしたいと いうふうにお諮りしていきたいと思っております。 ○木村委員  そういたしますと、これは勿論内容につきましては、各審議会に沿って専門委員会の 内容、議事録の内容も公開されるという前提で動いているかと思うのでございますけれ ども、今まで私どもの先端医療技術評価部会ではヒアリングなどをやりまして、その資 料をごらんいただくということなのですが、際めて限られた時間の中で御報告いただい て、非常に中には時間が十分でなかったというような申し出の方もいらっしゃるわけで ございまして、そういうような今度できます専門委員会の中では、今までのそういう時 間が足りなかったことを踏まえたヒアリングのようなことを含めることになっているの でしょうか、この点はその委員会の裁量によってなされるのでしょうか。事務当局側と してはどういう形で、委員の先生方による討議を中心にしてやるのか、この点に関して はいかがでございましょうか。 ○母子保健課  委員会の裁量ということでヒアリング等も決定させていただきますが、当面そういっ たことも検討していきたいという委員の先生方のお声は伺っております。また、部会に おけるヒアリングの結果、議事録等につきましても、また、詳細なこの部会の資料等に つきましても、全部専門委員会の先生方に配布する予定になっておりますので、それを ご覧いただいて、必要に応じてということで考えております。 ○木村委員  大変に結構なことだと思うのです。やはり私ども時間を掛けて、実はいろいろな方々 から、医学の専門の学会の方、あるいは障害者関連団体の方、民間その他の母親の会と か、そういう方々からいろいろお話をお伺いをして、時間がいつも限られておりまして 十分な討議をすることができなかったということで大変に私も残念に思っている場合も あるわけでございまして、そういう点につきまして、出てきた問題点を是非詳しく整理 していただきまして、一般に、いろいろなインターネットでのインプットも大変にある わけでございますので、そういう点につきまして、専門部会では更に是非とも公開のセ ッションを設けるような形で、いろいろな方々のヒアリングを含めて御検討いただける ような方向でお願いしたいというふうに、私は一委員として考えております。 ○高久部会長  それから、この資料6を見ますと、本委員会は生殖補助医療技術に係る安全面、倫理 面等という「等」に含まれると思いますが、かなり法律的な問題が入ってきますね。特 に前者の場合。法律の方も入っておられますので、法的な面も十分に検討していただけ ればと思います。  特に出生前診断については、私がお会いした一部の委員の方は早く結論を出したいと おっしゃっていましたし、患者団体と常日ごろコンタクト、松田委員もそうだと思いま すが、コンタクトがある方も入っておられますので、そういう方々の意見はかなりよく 御存じの方が多いと思います。 ○寺田委員  前の問題に戻りまして1つだけ申し上げたいと思うのですけれども、木村委員や金城 委員、森岡委員などがおっしゃいました費用の問題と補償の問題。普通の遺伝子治療と いうのは臨床研究の1つのモデルケースとしまして、実はそれが一番日本で困っている ところなのです。臨床研究をやる場合に、だれが払うかと。これはアメリカでも大きな 問題ですけれども、ある程度だんだんと国民の皆さんのコンセンサスを得ながら、保険 組合もある程度努力をしていただいて、今の保険の仕組みではなくて臨床研究、特に日 本の中で基礎で見つかったことを臨床に持っていくときのメカニズムの中にビルトイン そういう方法をしていただくようにやっていただければいいというのが、この委員会で 言うべきことではないのですけれども、たまたま遺伝子治療の問題になりましたので、 それは今後遺伝子治療の枠組みを広げるとか、そういうときに常に頭に置いておかなけ ればいけないもので一言最後に申し上げます。 ○高久部会長  おっしゃるとおりで、メーカーが関係している場合にはメーカーの方からお金が出ま すが、メーカーが直接関係していない場合にいつも問題になります。厚生科学研究費の 枠がだんだん増えてきて、私はそういう臨床研究に厚生科学研究費で出していただけれ ばと思います。課長さんよろしくお願いします。 ○寺田委員  普通の研究と違いまして、人様を扱うから研究費が随分高くなるのです。だから臨床 研究で試験管でやるのと、人様一人とは全然けたが違うお金が掛かるということを認識 していただきたいです。 ○森岡委員  将来やはり先端医療のあれに入ってくるのですかね。その次の段階として保険医療に 入れるかという、そういうルートになるのですかね。 ○高久部会長  先端医療には入ってくる可能性はあると思いますが保険まではなかなか。 ○森岡委員  ともかく第一段階として、先端医療に入れればある程度少なくて済むわけですね。今 のままですと非常にさっき言った副作用とか、面倒くさいわけですね。 ○高久部会長  先端医療に入れるためには効果がはっきりしないと難しいということです。 ○森岡委員  ですから、そちらにだんだん行くということなのですね。 ○金城委員  そういう意味では、今の段階はあくまでも研究段階ということですよね。ですからそ れが臨床としてどんどん行われるようになれば、これはまたほかの話ではないかという ふうに思います。やはり研究費からお出しいただいたらいいと思います。 ○高久部会長  おっしゃるとおり今の段階では全く研究だと思います。  それでは、次回は11月16日の月曜日ということですので、またそのときによろしくお 願いします。本日はどうもありがとうございました。 <以上> 問い合わせ先 厚生省大臣官房厚生科学課   担 当 須田(内線3804)   電 話 (代表)03-3503-1711    (直通)03-3595-2171