98/10/07 公衆衛生審議会精神保健福祉部会議事録 公衆衛生審議会精神保健福祉部会 議 事 録 厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課 議事次第  日 時 平成10年10月7日(水) 14:00〜17:00  場 所 厚生省特別第3会議室   1 開 会   2 議 事    (1)国立療養所犀潟病院問題について    (2)精神保健指定医の指定について    (3)精神保健福祉法の見直しについて    (4)その他   3 閉 会 〔出席委員〕   相 澤 委 員  大 熊 委 員  岡 上 委 員  笠 原 委 員   河 ア 委 員  北 川 委 員  吉 川 委 員  小 池 委 員   融   委 員  新 田 委 員  藤 原 委 員  古 谷 委 員   牧   委 員  町 野 委 員  三 浦 委 員  宮 坂 委 員 ○部会長  定刻になりましたので、ただいまから、公衆衛生審議会精神保健福祉部会を開会いた します。  まず、委員の出欠につきまして事務局からご報告をお願いいたします。 ○杉中補佐  本日は、精神保健福祉部会委員22名中15名の委員にご出席いただいております。定数 の過半数を満たしておりますので、部会の開催は成立いたしております。  なお、本日、欠席される旨のご連絡をいただいている委員は、井上委員、紀内委員、 窪田委員、冨永委員、藤井委員、谷中委員、渡邉委員の7名でございます。以上でござ います。 ○部会長  ありがとうございました。  それでは、議事に入ります前に、配付資料の確認をお願いいたします。 ○杉中補佐  それでは確認させていただきます。  本日の配付資料でございますけれども、本日の「議事次第」、「座席表」のほかに、 資料1といたしまして「新潟県国立療養所犀潟病院の患者死亡事故以後の経過につい て」。 資料2といたしまして「新潟県の立入調査結果の概要」。  あと別紙資料といたしまして、資料番号のついていない資料がございます。  次に資料3といたしまして「国立療養所犀潟病院に対する処遇改善命令について」。  資料4といたしまして「精神病院における指導監督等について」。  資料5といたしまして「国立精神・神経センター、精神療養所実地指導について」。  資料6といたしまして「国立療養所犀潟病院問題に関連する今後の対応について」。  資料7といたしまして精神保健指定医に関する「諮問書」の写しでございます。  資料8といたしまして「精神保健指定医に関する専門委員会意見(前回保留者)」  分。  資料9といたしまして「精神保健指定医に関する専門委員会意見(今回申請者)」  分。  参考といたしまして「精神保健指定医数の年次推移等」。  資料10といたしまして「精神保健福祉法に関する専門委員会報告書に関する主な意見 について」。  資料11といたしまして、今差し替えておりますので、ただいま配られることになると 思いますが、「精神保健福祉法に関する専門委員会報告書に関する部会委員の意見」。  あと、小池委員に配付していただきました全国自治体病院協議会の「国立療養所犀潟 病院の不祥事に関する緊急声明」という1枚紙がいっていると思います。以上でござい ます。 ○部会長  ありがとうございました。差し替えの方、よろしゅうございますか。資料11、お手元 へ今配られましたですね。  さて、本日の資料の扱いでございますが、一部診療録の写しなどがございます。個人 のプライバシーに関するものでございますので、当該部分につきましては非公開の扱い とさせていただきとうございますが、よろしゅうございましょうか。                (「はい」と声あり) ○部会長  それでは、そうさせていただきます。  まず、初めに、国立療養所犀潟病院の事件、議事1でございますが、これにつきまし て、事務局より事件の経過報告をお願いをいたします。 ○三觜課長  それでは、資料1についてご説明申し上げます。「国立療養所犀潟病院の患者死亡事 故以後の経過について」でありますが、まず、5月15日に措置入院患者の51歳の女性で ありますけれども、拘束中に亡くなったという届出が、18日に保健所の方に措置症状消 退届が出されまして、保健所の方では窒息死ということで、これは事故ではないかとい うことで事故発生届の提出を指示したわけであります。  6月1日になりまして、病院の方から措置入院患者事故発生届が保健所に提出されて 受理されております。また、そのときに、事故状況についての詳しい記載がなかったの で、再度保健所の方が病院に対しまして提出を求めております。  これが7月2日に提出された報告書に基づきまして、拘束の状況等について疑義があ ったために立入調査が行われております。  この立入調査の結果が7月16日に、私どもの障害保健福祉部に報告されておりまして 7月16日の報告について、当該医師だけの問題なのか、病院全体の問題なのかという点 について明らかにするために県の方に指示いたしまして、病院全体について立入調査を するように指導して、あわせて国立病院部の方にもこういう事故があったことを報告し た次第であります。  7月下旬になりまして、病院は病院として、院内での処遇の実態について確認作業を 実施しております。  また、7月29日には、関東信越地方医務局が実態調査を実施しておりまして、不適切 な身体拘束等があったことの事実を確認するとともに、早急に事例の改善を図るように 指示をいたしております。  8月5日になりまして、国立病院部が病院長より当該死亡事例についての報告を受け て、問題点の把握をするよう病院長に指示をいたしております。  8月10日には、新潟県が病院全体の処遇に関しての調査をするために立入調査をいた しておりまして、この17日に、この結果に対しまして、私どもの方に報告がありまして 身体拘束等に関しまして重大な法律違反が行われているのであれば、厳しく対処するよ うにという指導をいたしております。  8月19日には、病院部と関東信越地方医務局が病院に行きまして、改善状況等につい て調査するとともに、必要な改善策について策定するように病院長に対して指示をいた しております。  8月21日には、新潟県の精神保健福祉審議会において犀潟病院の問題について報告い たしておりまして、県としては精神保健福祉法に照らして問題を明確にした上で、病院 に対する対応を決めるようにということで審議会に報告をいたしております。  9月24日になりまして、病院の方から県に対しまして、これまでの処遇の実態とその 問題点についての調査結果を新潟県に報告書を提出いたしまして、翌日の25日に新潟県 は犀潟病院に対しまして、改善命令と弁明の機会を付与したところであります。  以下、新潟県の立入調査と改善命令等々につきましては、担当の補佐の方からご説明 させます。よろしくお願いいたします。 ○部会長  どうぞ、続いてお願いいたします。 ○杉中補佐  では引き続き説明をさせていただきます。座って説明をさせていただきます。 ○部会長  どうぞ。 ○杉中補佐  まず、資料2と別紙資料となっているものをお手元にご用意いただいて、それに基づ いて説明をさせていただきたいと考えております。  まず資料の「新潟県の立入調査結果の概要」ということですけれども、5月15日に事 件があったということで、2つ目のマルでございますけれども、新潟県は7月2日と8 月10日の2回にわたって精神保健福祉法に基づく立入検査を実施しております。7月2 日につきましては、死亡した患者の処遇について主として調査を行い、8月10日につき ましては、病院全体ということで、同病院の閉鎖病棟に入院している患者全員と老人性 痴呆疾患病棟に入院している患者で、過去1年に隔離拘束を受けたことのある患者(計 115名) に関する調査を実施したところでございます。 その結果、判明した事項について説明をさせていただきます。 まず身体拘束に係る部分でございますけれども、5月15日に死亡した患者の、7月2 日の立入検査について判明した部分でございますけれども、資料の別紙3を用意してい ただきたいのですが、まず3月4日のところで、「不穏状態のために隔離する」という 記載がございますけれども、時間についての記載がございません。また、それ以降の身 体拘束については、その理由及び開始時刻についての記載がございません。  別紙の方を1枚めくっていただきたいんですけれども、3月11日の一番下でございま すけれども、身体拘束と隔離指示については月単位で様子を見ながら指示を出すという ことで、身体拘束について月単位の指示を出しているという実態がございます。  また、資料、別紙の4をめくっていただきたいのですが、これは医師の指示書ですけ れども、「不穏時・興奮時には隔離をして下さい」という、3月13日〜3月31日までと いうような月単位の指示を与えているということでございます。  次に身体拘束に関して、8月10日に立入検査を行ったときに判明したほかの事例でご ざいますけれども、8月10日に審査した中で身体拘束を受けた者が46名おったのですが そのうちの9名のカルテについて、厚生省令で定める必要事項等について記載がなかっ たということが判明しております。  また別紙5を参照していただきたいんですけれども、10月7日から10月25日までの分 15回の拘束指示を、これを10月24日の処方箋の裏に記載していたというような事態もご ざいました。  また、別紙6でございますけれども、四角で囲っている部分でございますけれども、 ある患者の3月12日の診療録ですけれども、「日常生活行動を援助するため、逸脱行動 を制限するために、必要に応じて拘束を行う。上記については、今後指示があるまで毎 日行うものであり、一々の指示はせずに、時に応じて行うものとする」という記載があ りまして、同日以降の拘束の記載がなくなっているというような実態がございました。  次に患者の隔離についての判明した事項でございますけれども、5月15日に死亡した 患者についてでございますけれども、「不穏時、興奮時抑制をして下さい。他患者に迷 惑をかける場合には隔離して下さい」ということで、別紙7でございますけれども、そ ういった月ごとの指示がございました。  次に8月10日に判明した分ですけれども、8月10日に審査した隔離受けた事例34名中 6名について、厚生省令で定める必要事項の記載がないというような事態がございまし た。 次に別紙8でございますけれども、8月10日に審査いたしました隔離を受けた患 者の1人の看護記録の中に、四角で囲っている部分ですけれども、「精神状態をみて、 不穏傾向なら隔離しても良い。看護者の判断で良い」という記載がございました。  また、別紙9でございますけれども、診療録の中にいわゆる「セカンドにて隔離す る」という記載がありまして、いわゆる隔離室以外の病室で不適切に隔離している実態 があったということが明らかになっております。  この身体拘束と患者の隔離につきましては、9月25日付で改善命令が出されたもので ございますけれども、資料2の1枚めくっていただきまして、それ以外に、弁明の機会 を付与するということで、ただいま病院側に対して県が弁明の機会を付与している事項 といたしましては、扶養義務者の同意のままで4週間以上入院させているという事例が 扶養義務者同意による入院16件中3件があったと。  また、平成9年12月から10年4月までに保健所に提出された医療保護入院届及び退院 届45件中23件が期限後に提出されていた。また、本年7月末現在で、県が把握している 段階では、医療保護入院届が16件、定期病状報告が17件未提出であった。届出書類の未 提出もしくは遅滞等の事実でございます。  また、医療保護入院に関して、入院時に告知できなかった場合について、診療録に記 載するということになっておりますが、当該診療録の記載がなかった。  また、電話面会の制限を行っているという立入調査ではそういう報告もあったんです けれども、診療録に関しては一切記載がなかったというような実態が明らかになってお りまして、それについては、現在弁明の機会を付与しているところでございます。  以上が新潟県の立入調査でございますけれども、それに基づきまして、資料3に移ら せていただきたいと思いますけれども、新潟県が9月25日に、身体拘束、患者の隔離に ついて、処遇改善命令を出したところでございます。  あと、厚生省としての、当該事件に対する対応について、引き続き説明をさせていた だきますが、まず資料4をごらんいただきたいのですけれども、まず、当障害保健福祉 部は、部長名で10月2日に今回の事件におきまして、各都道府県知事・指定都市市長に 対して通知を発したところでございます。まず、その内容でございますが、簡単に説明 させていただきますが、まず、指導監督の徹底についてということでございまして、本 年3月3日に「精神病院に対する指導監督等の徹底について」の趣旨という通知を発し たところですが、当該通知の趣旨を踏まえて再度指導監督を適正に行うということを周 知徹底したところでございます。  また、厚生省といたしましては、従来から各都道府県に関する「公衆衛生関係事務指 導監査」というものを行っておりますけれども、その事務指導監査にあわせて精神病院 に対する調査を実施して、これによって各都道府県が年1回行っている実地指導が適正 であるかということの確認を行うことを新たにするという措置をとっております。  また、2番でございますけれども、今回の事件といたしまして、事故が発生してから の連絡がおくれたということで、厚生省といたしましても、国立病院における事故が発 生した場合の報告体制について周知徹底を行ったところでございますけれども、各都道 府県・指定都市市長における病院におきましても、同様の事故等が発生した場合には、 速やかに報告をするということについて周知徹底するといったような内容の通知を10月 2日付で各都道府県知事・指定都市市長に発したところでございます。  引き続きまして、資料5の説明をさせていただきますけれども、国立療養所で起きた 事件でございますので、すべての国立療養所等で同様の事件が発生しないよう、適正な 精神医療を確保することを再度確認する必要があるということがございますので、障害 保健福祉部を中心といたしまして、国立精神・神経センター、国立療養所のうち精神医 療を主とする計18施設につきまして、本年中に実地指導を行って、適正な精神医療が確 保されているということを確認したいと考えております。  その実地指導でございますけれども、国と都道府県だけではなく、民間からも精神保 健指定医のご協力を願いまして、実地指導を行って確認をしたいというふうに考えてお ります。以上でございます。  あと、国立病院部としての対応につきまして、国立病院部・上田政策医療課長から説 明がございますので、よろしくお願いいたします。 ○部会長  上田課長、どうぞ。 ○上田課長  私は国立病院の運営を担当しております政策医療課長の上田と申します。それでは私 からご説明申し上げたいと思います。  ただいまお話ございましたように、新潟県にございます国立療養所犀潟病院におきま して、入院患者の隔離、身体拘束について著しく適当でないということから、県の方か ら改善命令を受けたわけでございます。このことにつきましては、私ども我が国の精神 病院に対する社会的信用を損ね、あるいは本来であれば、模範的な医療を行うべき国立 機関としての信頼を失ったことに対して、私ども大変残念に思いますと同時に、入院さ れている患者さん、あるいは家族の方、精神医療の多くの関係者に対し多大なご迷惑を おかけしましたことを心からおわびを申し上げたいと思います。  今回の事例につきまして、私どもの方も施設へ直接調査に入り、あるいは病院長を私 どもの方に呼びながら、その実態、状況についても、私どもなりに調査を行ったところ でございます。基本的には今回の事例につきましては、院長初め職員が精神保健福祉法 に対する認識の不足、あるいは患者の人権に対する配慮が欠けていたというような大き な問題点があるわけでございます。  私どもとしてもやはりこういった問題、原因をしっかり明らかにし、こういった事案 の発生、再発防止を図ることは非常に重要であります。そういう意味で、先ほど申し上 げましたように、私どもみずからも調査を行ったりしておりますけれども、引き続き今 回の事案について調査をさらに進めていき、その原因等について明らかにしていきたい と思っております。と同時に、今申し上げましたように、私どもみずから指導すると同 時に、当然私どもが行った調査等については、精神保健福祉課の方へ報告しながら、そ の指導あるいは新潟県の指導を受けたいと考えているところでございます。  このように、私ども犀潟病院に対しまして取り組んでいるわけでございますが、資料 6を見ていただきたいと思います。今後の対応ということでまとめたものでござい ます。  まず、第1点でございますが、ただいま申し上げましたように、やはり何といっても 犀潟病院のこういった問題の原因を明らかにしていく。そして県の方からの改善命令を 受けたわけでございますから、それを早急に対応し改善を図っていく。そして、将来に 向けて再発防止の対策を進めていくということ。これまでも進めてきたわけでございま すが、改善命令を受けまして、改めて施設の中でしっかり調査委員会を設置して、原因 の究明等に取り組むように指示をいたしました。  と同時に、先ほど来申し上げておりますが、この問題は施設のみでは解決できない面 もございますので、私ども精神保健福祉課とも連絡をとりながら、私どもからも直接指 導していきたいと考えているところでございます。  次は犀潟病院のみならず、他の国立病院・療養所においても、こういった精神保健福 祉法の運用、あるいは患者処遇についての問題点はないのかという点も懸念されるわけ でございます。そういう意味で、9月28日に今回の処遇改善命令等に関する経過説明で すとか、あるいはこれまで各種の告示、通知というものを改めてこの通知に添付し、各 施設においても自己点検、あるいは今申し上げました運用について適正に実施するよう に通知を出したところでございます。  具体的には職員に対する啓発ですとか、今申し上げました今回改善命令を受けました 項目等についてのそれぞれの施設の状況について、もう一度実態を把握するというよう なことも含めまして通知を出したところでございます。  また、2番目にございますように、実はあすから12日にかけまして、私どもみずから も本省及び地方医務局合同で38と書いておりますが、患者さんがいない施設が2カ所ご ざいますので、36の施設に対しまして、基本的には今回改善命令を受けました項目、例 えば手続きの問題ですとか、当然隔離、身体拘束等々についての調査を本省及び地方医 療局が直接あすから調査を行うところでございます。  あと、実は月曜日(5日)に、地方医療局長・次長会議でこの点についても強く指導 を行ったところでございます。  また、今後の予定といたしましては、10月20日に18カ所の精神療養所がございますが この院長協議会において、今回の件についても、十分状況を説明し、そしてそれぞれの 施設においての実態把握、もちろん今回調査も入るわけでございますが、こういったこ とを含めて、今後の再発防止を図る、そういった意味での取り組みの徹底を図っていき たいというふうに考えております。  3点目は、今回調査を行うと同時に、やはり患者の人権配慮に対する、そういった患 者処遇についての自己点検と申しましょうか、取り組みについて、改めてしっかりした ものをつくり、そして各施設で取り組んでいくようにこれから進めていきたいと考えて おります。  1日も早くこういった問題点を明らかにしながら国立病院の信頼を回復できるよう、 あるいは精神医療に対する信用が回復できるように取り組んでまいりたいと思いますの で、また、委員の皆様方のご指導をよろしくお願いしたいと思います。 ○部会長  ありがとうございました。どうぞ、ご質疑、ご意見をお願いいたします。どうぞ、牧 委員。 ○牧委員  牧でございます。この問題起こりまして、日精協では河ア会長が、この問題は他山の 石として十分に気をつけてやっていかねばいかん。各委員、自分の病院をもう一度見直 してきちんとやれというお話を承ったわけでございますが、私は先日、朝日新聞の報道 で、これは事実かどうかわかりませんのですけれども、国立病院部から民間の悪質な精 神病院とは異なるといったようなことが書かれてありました。  私はこれに対して、私ども民間病院であれば、指定医のこういったことがありますと 取り消し、あるいはすぐ病院をつぶされかねないわけです。民間病院は精神病院の監査 がいつあるかわからない状況でございますので、私どもは非常に神経質なくらいに患者 さんの人権拘束については配慮しておりますし、こういった1カ月といったような形の 指示なんかは絶対出しておりませんし、毎日きちんと指定医がカルテに書いております し、病状を書けと。しかも、殊に拘束した場合は時間ごとに書けというような指導をや っておりますので、私どもはきちんとそういうふうにしておるわけでございます。  なお一層、私ども日精協は、患者さんの人権に十分配慮しながら、本当に患者さんが 幸せな入院生活が送れるように努力していきたいというふうには思っておるわけでござ いますが、自分のところのハエを払うのはいいんですけれども、他人のポケットに手ま で突っ込まんでいただかなくてもいいのではないかという気もいたしておるわけでござ います。以上でございます。口が悪うございました。すいません。 ○部会長  どうぞ、大熊委員。 ○大熊委員  この担当記者に聞きましたところ、こちらの障害保健福祉部の精神保健福祉課は、こ の問題にきっちりと、私立病院同等にさまざまな処分、指導を行おうとしたのに、病院 部の方でそれに待ったをかけたということは紛れもない事実であるというふうに言って いるのでございますが、それはどのような理由によるものか、お聞かせください。 ○部会長  どうぞ、上田課長さん。 ○上田課長  委員のただいまのご質問は、新聞記事を見られてのご指摘だと思うのですが、今日の 資料1にございますが、先ほどお話しましたように、施設へ直接実態調査に行き、ある いは院長を呼び、その状況も把握しながら、また、その間、施設に対して調査、報告を 求め、施設といろいろやりとりもいたしました。  そういう過程で、私どもも施設の今回の事例について、確かに精神保健福祉課の方に こういう状況だという報告をし、状況の説明を行ってきたというような経過でございま す。 ○大熊委員  余りよくわからないのですが。 ○上田課長  今申し上げましたような、犀潟病院の実態、私どもなりに把握した実態について、精 神保健福祉課の方に報告し、当然精神保健福祉課の方のご意見もございますし、私ども も状況について説明していくと、そういうやりとりはございましたが、基本的には精神 保健福祉法に伴う行政と申しましょうか、施策と申しましょうか、そういう点について は精神保健福祉課の立場で行われることでございますから、当然そういう意味での指導 も受けながら、また、今申し上げた私どもの状況も説明しながらというやりとりはござ いました。 ○大熊委員  現在は改善されているから、といって行政処分に反対したということなんですけど、 そういうのは、泥棒はみんな反省していまして、言うと思うんですけれども、そしたら ば罪にならないと同じで、とても常識に外れているように思われるのですが。 ○部会長  どうぞ。 ○上田課長  私どもは、ただいまのご質問のように、改善されたから、もうこれでいいのではない かということはございません。基本的に問題点はあったわけですし、ただ、問題点と同 時にやはり改善も一方では進めなければいけませんし、そういう意味で、こういう問題 点についてはこういう改善した面もございましたといった点はございます。 ○大熊委員  これ以上あれしませんけど、県の審議会にも報告され、すぐに処分するという体制に なったものがずるずると延ばされていったことから考えると、どう考えても、国立病院 部が何か横やりを入れたと。療養所は今度の統廃合で残しておくことになっているから 余り傷つけちゃいけないとか、そういうようなことがあったというふうにささやかれて いるわけなので、そのことを申し添えます。  もう一つ、「セカンド」というところは、どういう構造になっていて、そこはどのよ うに使われていたのか、ちょっとご説明をいただきたい。 ○上田課長  第5病棟、第6病棟が閉鎖病棟で、今回患者さんが亡くなった病棟が第6病棟でして 第6病棟には保護室はございませんでした。ただ、1部屋が鍵のかかるといいますか、 そういう意味では隔離できるような部屋はございました。すいません、そのことのご指 摘か、ちょっとわかりませんけど、第6病棟にはそういう部屋が1部屋ございました。 ○大熊委員  1部屋ということは、普通は保護室というのは1人入るものなんですけれども、そこ にかなり大勢詰め込まれていたようなことで、縛ることも問題だけれども、隔離の方に も問題があるのではないでしょうか。 ○上田課長  今、私、申し上げましたのは、第6病棟に、いわゆる保護室ではございませんけれど も、鍵のかかる部屋が1部屋あったということを申し上げました。  それからもう一つは、ドアとドアの間に1つのいわば空間があって、そこに確かに鍵 が両方かかりますから、その点は指摘も受けておりますし、当然今は使用はしておりま せんけれども、そういった問題点はございました。 ○大熊委員  とっても恐ろしい場所のような感じがいたします。それから、拘束をすることについ ては、世界のいろんな国の論文で死ぬという危険があると。1つは今回のように、喉に 詰まらせるということもあるし、ひもが首に絡まっちゃってという事故もあって、です から、そういうことはむしろ手厚く、その人を見守るという体制で行うべきものであっ て、人手が足りないから、そういうことを行うのはとても医学的におかしいことのよう に思いますけれども、何かさっきから伺っていると、いろいろカルテに記載してないの がいけないとか、そういう方の形式的なことに流れているようですけれども、もっと本 質的なことについて考えていただきたいと思います。 ○上田課長  実は私ども調査しまして、ただいまご指摘ございましたように、医師の診察が少し問 題があるのではないかとか、あるいは確かに包括的な指示のもとで、いわば看護者の判 断に任せていた、そういうような問題点も見られております。ですから、先ほど私が申 し上げましたのは、こういった問題点をやはりきちんと明らかにし、これは運用上適正 ではございませんし、これは行ってはならないわけでございますので、今回の改善命令 を受けました内容に沿って、当然医師あるいは看護者、職員その他の関係者が十分認識 しながら、適正な運営について取り組むべく、現在も行っている過程でございますし、 また、徹底を図っていきたいというふうに考えております。 ○部会長  河ア委員どうぞ。 ○河ア委員  ちょっとお伺いするわけですけれども、これは定床が 205床ですか。1カ月平均何名 ぐらい。 ○上田課長  医療法で 250でございます。 ○河ア委員 250 。何べんぐらい入院しておったわけですか、年間平均が。 ○上田課長 全体の在院日数ですか。 ○河ア委員 定床は 250ですね。入院患者は。 ○上田課長 入院患者数は、9年度で入院が精神で 234人です。 ○河ア委員 234 名。 ○上田課長 はい。 ○河ア委員 指定医は何名ぐらいおったんですか。 ○上田課長 指定医は常勤が8名で、非常勤が1名です。 ○河ア委員  常勤が8名。 ○上田課長  常勤8名です。 ○河ア委員  8名ですね。 ○上田課長  はい。 ○河ア委員  看護基準はどのくらいの基準。正・準、これの割合は。例えば、ソフトの面で、医者 看護婦が足らなかったのか。精神科の特例というのは今やかましく言われているときな んで、特例上の指定医が8名、そして、あと指定医でない先生が何名ぐらい常勤換算す ればおられたのか、その辺が知りたい。 ○上田課長  医療監視では、看護婦については医療法を満たしております。医師については、ここ は精神のみならず一般がございますので、精神特例でございませんので、その基準には 不足でございます。 ○河ア委員  もう一点が、5月15日に事故が発生して、そして実質的には7月、あるいは8月ごろ から本格的な報告、調査というようなところになっておるわけなんで、ここの病院は精 神科の1つの模範的な病院だということで、常々我々日精協はやはりここが一番いいん だと、また、ここは1つのモデルだというふうに考えておりまして、それがこういうこ とがあったということで本当にびっくりしたわけなんですけれども、本当の原因はどの 辺にあるのか。医者が足らないから、設備が悪いのか、あるいは指定医の教育というの か、指定医自身がそういうことは深刻に考えておられなかったのか、今後の調査ではっ きり出てくると思うんですが、今は中間的なものだからまだわからないだろうと思うん ですけれども、どこに本当に原因があるのかというところが、今後日本の精神科医療を 進めていく上において一番大切なことではないかという気がするんですけど、何か課長 さんの方でご意見がありましたら。 ○部会長  どうぞ。 ○上田課長  基本的にはもう少し調査をして、ただいま河ア先生ご質問の点についてはきちんとま とめたいと考えております。ただ、私どもこれまでいろいろ調査を行った範囲では、確 かに精神保健福祉法の身体拘束にしても隔離にしても、患者の人権という立場での手続 き、あるいは当然診察が求められているわけでございますが、それらの適正な運用を行 うという点についての認識が欠けていたというのは1つ問題かというふうに思っており ます。  さらに、やはり医師がもっと患者さんの診察ですとか、これはですから完全に調査し ていないものですから断定はできませんが、少しそういった問題があって、そういう中 で、看護者の方に、いわゆる包括的というような形での指示があった。その指示も確か に記録上、どの程度厳正にやられたか、そういったいろんな問題点もあるわけですが、 施設全体としては、いわば看護者にそういった包括指示のもとで判断を任せていたとい うような問題点もあろうかと思います。 ○河ア委員  これは国立病院だからどうこうというよりも、我々としてはやはり日本の1つの精神 病院でこういうことが起こったんだということを深刻にとらえて、再びこういうことの ないようにしなければいけない。それにはやはり本当の原因がどこであったのか、ある いは教育が足らないのか、もっともっと指定医、または精神科医、あるいはそのほかに どこかに原因があったのかというようなことをこういう機会に深く原因を究明して他山 の石にしたい。そして、精神病院で再びこういうことが起こらんようにしなければいけ ないという気持ちでおるんですけれども、判明し次第、またよろしくお願いしたいと思 います。 ○部会長  どうぞ、宮坂委員。 ○宮坂委員  私は犀潟病院について、国立病院の精神科の医師ということで評価されていたのに、 こういった事件が起きて国立病院が批判されることは非常に悲しいことだと思います。 すべてがこういったことではなかったというふうになればと思うのですが、  資料2でございますが、5月15日、措置症状消退届と事故発生届、これはそういう紙 が印刷してありまして、事故発生が起きますと、措置入院で死亡しましても、普通に病 気で死亡しても「事故発生届」というので出すことになっております。これは当然医師 も知ってますけれども、事務員も当然知っているはずなんですね。書類は事務にある。 死亡診断書等と同じように事務所が持っているわけですね。医師は知らなくても、事務 職員はこういう手続きは知っている、先生、これ書くんだよというふうに教えるのが普 通ではないのかなと思います。  それともう一つは、医療保護入院の届けや定期病状報告書が出されてない。これを管 理するのもやはり事務員が管理していて、先生、時期がきたから書きなさいよというの が当然のことなんですね。  この事実をみますと事務と医師また看護婦、また、ほかのパラメディカル等の連携が 全くできていない、全くばらばらの病院ではないのかというふうに思うわけです。非常 に悲しむべきことです、我々民間病院は、多くの病院ではこういうことがないように努 力をしているわけですので、ぜひ国立病院も、こういうことはここの病院だけであって ほしいと思います。このような連携のなさが非常に重大な問題を起こしているのではな いかと思います。  もう一つ、一番決定的に大問題がございます。病室外収容の件でございます。これは 医療法違反でございまして、これについて余り言及してないということは私は非常に心 配をしております。こんなことがなされている。これは前近代的な考え方ですよ。こう いうことを平気でやっているということ、こういうことをみんなが認めていること、看 護婦も認めている、医師も認めている。これは重大なこの病院の欠陥であると思い ます。どこの病院でも病室外へ収容なんていうことはとんでもないことでございまし て、例えば、病室として許可になっていない病棟があっても、そこへ入院させれば御用 になるわけです、ですから、そういうところをきちんとやってもらわないと困る。  これは精神病院だから出た問題ではない。国立病院の体質とまで言えば、これは問題 になりますから申しませんけれども。そして、カルテ等を見ても解りますが、部長は保 険局の方にもおりましたのでお解りと思いますが、こんなカルテを私的病院で書いてい たら、医療費を支払われません。私はこの病院だけのことであると思いますけれども、 精神保健指定医の問題ももちろんございますが、それ以外の問題で指導をしなければい けない。この病院のシステムの問題です。診療報酬が安いとか何とか文句を言いながら まあ、適当にやっていればいいと、努力をしない、そんなこともあるのではないか。こ の病院に勤めたら、その日が過ぎれば、もうそれでいいんだと考えているような感じが します。この病院だけであってほしいと思いますけれども、ぜひそこのところを指導を していただきたいと思います。精神病院だからではない、この病院の体質だということ です。 ○部会長  わかりました。あと2議題が重要な議題でございますので、この件はこのあたりで閉 めさせていただきますが、私も今の各委員のご質問とほとんど同じような意見を持ちま すので、ご報告を賜りますようお願いをいたしまして、この議題はこれで終わります。  では、次へ入ります。御苦労さまでした。 ○部会長  それでは、「精神保健指定医の指定について」という第2議題に入らせていただきま す。資料7のとおりに厚生大臣から諮問がなされておりますので、ご審議を賜りますが まず、諮問書を事務局に朗読させます。 【精神保健指定医の指定に関する審議 議事要旨】 ※ 精神保健指定医の指定に関する審議内容については、特定の者に不当な利益又は不 利益をもたらし、又は公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあることから、 議事要旨とする。  精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第18条第1項に規定する精神保健指定医 の指定については、その指定に当たって、同条第3項の規定により公衆衛生審議会の意 見を聴かなければならないこととされている。  このため、9月18日に公衆衛生審議会精神保健指定医に関する専門委員会において審 査を行った。審査件数355件に関する当該専門委員会での審査結果は、平成9年3月 27日の審議会において保留となった31名については、全て指定することは適当と認め られた。今回申請者324名については、指定することが適当265名、指定すること が不適当17名、保留とするもの42名であった。  専門委員会での審査結果に基づき、精神保健指定医の指定について審査を行ったとこ ろ、精神保健指定医に関する専門委員会の審査結果のとおり指定することとした。 ○部会長  最後の議事でございます。先般、提出されました「精神保健福祉法の見直し」に関す る問題でございますが、まず初めに、先だっての専門委員会報告に対するご意見を各委 員及び関係団体からいただいておりますので、関係団体及び本日欠席されている委員の 意見については事務局から説明をいたします。引き続き、ご意見をご提出くださいまし た委員から、ご説明を5分ぐらいで簡単にお願いをいたしたいと思います。  なお、団体として意見をお出しくださっているものについては、意見書を配付してお りませんが、委員としてご所属の団体の意見を発言したいとお思いの方は、引き続いて 後で発言していただくことにいたします。  まず、事務局から関係団体の意見、それから、本日ご欠席の委員のご意見を説明いた します。 ○杉中補佐  それでは説明させていただきます。座って説明をさせていただきます。  まず、関係団体の意見ということで、資料No10をごらんください。これにつきまして は、関係団体からの意見はまだいただいている途中でございますので、その中間的な経 過ということで簡単に取りまとめましたので、それについてご説明をさせていただきま す。なお、先ほど座長からご説明があったとおり、団体として意見が出ているものにつ いては、その団体の代表として委員として出席されている団体も何件かございますけれ ども、この資料10という形でまとめさせていただきましたので、また追って委員として 発言したいということがあれば申し出ていただければ、団体の意見書については事務局 で用意してございますので、後ほどその旨、座長の方に申し出ていただければというふ うに思います。  それでは、資料10に基づいて説明をさせていただきます。精神保健福祉法に関する専 門委員会に対して、10月6日現在で事務局に対して関係団体から寄せられた主な意見を 整理したものでございます。  まず主要な意見でございますけれども、まず「具体的な施策の方向」の項目に基づい て整理いたしましたが、最初は「精神科救急事業の在り方について」ということですけ れども、これについて賛成するが、移送についての要件をもっと明確にすべきという意 見が、来ております。  また、緊急時の搬送の手段の確保が必要という意見も頂いております。  また精神医学ソーシャルワーカー協会からは、精神科救急事業の推進に当たって、地 域における相談体制の整備や救急情報センターというものの設置について手配すること も必要という意見も来ております。  次に「医療保護入院」の在り方についてでございますけれども、将来的には医療保護 入院について廃止する等の見直しが必要と、ただし、不可能な場合には当面は施設、人 員配置等の要件の見直しを行うべきという意見が来ております。  また、医療保護入院の入院についての明確な判定基準というものが必要であるという 意見が来ております。  医療保護入院を廃止して、医療導入入院、これは行政処分としての入院でございます が、制度化を行うべきという意見が来ております。  あと、市町村長同意のあり方ということで、これについては、市町村のケースワー カー等によりフォローアップが行われることを担保する必要があるという意見が来てお ります。  次に「仮入院について」でございますけれども、これを廃止するべきではなくて、視 察のための入院ということで残すべきだという意見が来ております。  「措置入院について」でございますけれども、全自病の方からは、政令指定都市にも 精神病院の設置義務を課すべきだという意見。もしくは措置入院の指定病院の指定基準 について、全家連、PSW協会から見直しを行うということを言っております。  次に「精神病床の在り方について」、各団体は省略させていただきますけれども、精 神科特例を撤廃するべきという意見等が来ております。  また、精神科病床につきまして、急性期・慢性期に区分するべきという意見が来てお ります。  また、全県一区である、いわゆる圏域を改めて生活圏を基盤とした圏域設定を行うと いう意見が来ております。  また、医療法施行規則第10条第3号、これは精神病患者については精神病床以外にと いう規定と、あと16条第1項第6号、これは危害防止のための構造設備のための基準で すけれども、これを削除するべきだという意見等が来ております。  そのほか、「医療に関する情報公開について」ということで、インフォームドコンセ ントと、精神科のカルテ開示について制度化するべきだという意見が来ております。  また、病院の情報公開、これは病院の人員とか設備についての情報公開についての制 度を設けるべきであるという意見が来ております。  2つ目は「福祉施策の充実」でございますけれども、まず在宅精神障害者ということ で、小規模作業所の法定化が必要という意見が来ております。  また、訪問介護事業の創設、短期入所事業の法定化については賛成という意見も来て おります。  「利用者本位のサービス提供」ということでは、ケアマネジメントについて細かい仕 組みを詰める必要があるという意見や、市町村で行うにしてはかなり難しいのではない かという意見が来ております。  「その他の福祉施策の充実について」ということで、まずアルコール及び薬物依存者 についても、社会復帰施設等の対象とすべきだという意見が来ております。  次は、社会復帰施設等の設置規準ということを緩和するというような意見が来ており ます。  同じような感じでは、地域生活支援事業の要件の緩和ということを求める意見が来て おります。  また、精神障害者社会復帰施設は社会福祉事業法上は今2種事業となっておりますけ れども、その位置づけを他の障害者施設と同じにするべきという意見も来ております。  また、生活保護法に基づく救護施設等についても、施設体型の中で明確に位置づける べきという意見が来ております。  3つ目は、「精神障害者の人権の確保」ですけれども、まずは閉鎖処遇については、 任意入院は開放処遇が原則であることを法で明記すべきという意見が来ております。  次は、閉鎖処遇を行うに当たっても、そのための判定規準みたいなものが必要という 意見も来ております。  また、閉鎖処遇を行動制限と位置づけることが必要であるという意見も来ており ます。  「精神病院に対する指導監督」等でございますけれども、精神障害者の処遇に関する 規定に違反した場合の罰則というものを創設する必要があるという意見が来ており ます。  次に「医療審査会の役割」ですけれども、報告徴収権の付与というのは必要という意 見が来ております。  また、委員の上限撤廃については賛成と。ただ、その委員の構成について見直す必要 があるという意見が来ております。  また、精神医療審査会の事務局を、精神保健福祉センターに行わせるのが現実的であ るという意見も来ている一方で、事務局については第三者機関としての独立性を担保す るべきだという意見も来ております。  また、審査結果の再審査請求の手続きを確保するべきという意見も来ております。  また、任意入院の閉鎖処遇についても、精神医療審査会の審査の対象にするべきとい う意見等も来ております。  あとは、2次医療圏を単位とする精神医療審査会を設置するべきという意見も来てお ります。  そのほかの権利擁護関係といたしましては、各自治体ごと等に財産管理のための権利 擁護センターを設置するべきという意見や、法の目的に精神障害者の人権擁護を加える べきである。  また、当番弁護士制度と一般に言われています制度の法定化をするべきだという意見 等が来ております。  次は「保護者」に関することですが、保護者制度そのものを廃止するべきという意見 も来ております。  「保護者の義務について」ですけれども、自傷他害防止のための監督義務の廃止は評 価できますが、さらなる義務の軽減等について行うべきという意見等が来ております。  「成年後見人制度について」は、保佐人が保護者になりうることは賛成という意見が 来ております。  次は、「市町村、都道府県関係機関の役割」ですけれども、まず保健所の役割を明記 するべきという意見が来ております。  一方で、市町村を窓口とすることは評価するけれども、小規模市町村への配慮は必要 という意見や、市町村を中心とした福祉施策を行うことは妥当という意見等が来ており ます。  一方で、市町村への権限委譲は現実性から考えると非常に困難だと。また、精神障害 者に対する偏見が根強い現状におきまして、市町村を窓口とするのは、かえって当人及 び家族の人権を考えると不適当という意見等が来ております。  次に「精神保健福祉センターの役割」ですけれども、通院公費負担判定業務や社会復 帰施設の利用にかかる市町村間の調整といったものをセンターが行うことは異議がない という意見が来ております。  「その他」の意見ですけれども、まず定義についてですけれども、精神薄弱・精神病 質といった用語だけではなく、中毒性精神病についても見直すべきという意見や、例示 から、精神薄弱、精神病質を削除すべきという意見が来ております。  また、障害者基本法との、いわゆる福祉の面から着目した障害者の定義と整合性を持 たせるべきという意見が来ております。  またその他のところの、「覚せい剤慢性中毒者の扱い」ですけれども、薬物依存に対 する相談事業を精神保健福祉センターが行うに当たっては、司法、医療との連携及び司 法、医療側の体制整備が不可欠であるという意見が来ております。  最後に「重大な犯罪を繰り返す精神障害者について」ですけれども、中毒性精神病、 覚せい剤依存者、重大な犯罪を繰り返し犯す犯罪精神障害者は、一般病棟と区分けし、 国公立病院で責任を持って治療すべきという意見が来ております。  「その他報告書に記載されていない事項」でございますけれども、精神科診療所専門 医の制度化。  こころの健康を増進するための施策を充実していくことが必要。  身体合併医療についての充実が必要。  予防・治療・福祉を包含した「総合対策指針」を策定すべきである。  精神保健福祉法を医療と福祉の法律に二分すべきといった意見。  手帳制度の内容の充実。  最後に法改正の際には、改めて見直し規定を置く必要がある、といったような意見が 来ております。  以上、ざっと紹介をさせていただきました。  あと、本日、欠席している委員からの意見ということでご紹介させていただきますけ れども、資料11ですが、本日、精神障害者社会復帰施設協会の谷中先生と渡邉先生から 意見が来ておりますので紹介をさせていただきます。  まず、谷中先生の意見でございますけれども、簡単に申させていただきますと、「市 町村の役割」については、市町村の役割は一段と強化されたことは評価できるというよ うな意見が来ております。  次に「社会復帰の配置と指導監督」ですけれども、障害者プランの中で中核的な機能 を持つ社会復帰施設の配置についても市町村の役割を明記していただきたいと。その運 営についての指導監督も市町村が積極的に介入する必要があると。  3点目といたしまして、「精神医療審査会の機能の強化」ということにつきましては 指導監督の強化等については、人権の確保を考慮すれば当然のことだと。しかしながら 上記2の理由から指導監督を市町村に委ねたいと考えると。  あと、「三障害の統合化」の話につきましては、障害者種別間の相互利用といったよ うな施策に踏み出した点は評価されると。しかし、障害種別間の福祉サービス統一や制 度間の格差をなくす具体的な取り組みが必要があるといったような意見が来ており ます。  最後に「精神科救急医療体制の整備について」でございますけれども、地域の中で精 神障害者を支えていくためには社会復帰施設を中核にした地域生活支援体制の充実が求 められると。加えて後方支援として精神科救急医療体制や緊急対応に精神病院が機能で きるように精神医療改革を推進していただきたいといったような意見が来ております。  続きまして、渡邉委員の意見でございますけれども、まず最初の点としまして、「精 神障害者の人権の確保」の中で、精神障害者の人権擁護施策として、人権侵害の予防及 び救済手段を保障するために弁護士による法律相談・人権相談などの事業を法制度化す る必要がある、といったような意見が来ております。  このほか、専門委員会の報告書とは直接関係ございませんけれども、「犀潟病院事 件」に関して、2番といたしまして、厚生省だけの調査では利益相反するおそれがある ということで、十分掘り下げた調査を行うために、当審議会として、直接何らかの方法 で事実調査に当たる必要があると考えるといったような意見が出ております。  以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。  それでは、続いてご提出の各委員に5分程度でよろしくお願いいたします。順番にお 願いいたしましょうか。北川委員。 ○北川委員  それでは簡単に申し上げます。この報告書はだれに報告するのか、これは文章を読ん でいきますと、そこに書いてありますように、「改正を行ったところである」と書いて おりますが、これでいいのかどうかというのは事務的な問題ですから、ここでご議論で はなくて、事務方で処理をしていただければいいと思います。  2番の問題ですが、これは今回の大きな流れとして、市町村が精神保健障害者の福祉 サービスを担当するという、これは非常に新しい流れになっていくわけでありますけれ ども、十分に体制整備ということをよく考えていかなければいけない。  2つの考え方があって、じくじくとやっていけばいいじゃないかという考え方も一般 的にあって、特に福祉の問題は割合に専門性がない、長い厚生省の歴史の中でも、福祉 とヘルスとで考えるとライセンスの問題はほとんどないんですね。だから、そういう点 をこの際、もう少し議論をしていただいたらどうかというように思います。  したがって、責任ある窓口をどう設定するかとか、担当者をどう訓練するか、あるい は専門性を持った職員の配置、例えばPSWなんていうのは、今回制度化されているわ けですけれども、そういう人たちを本当にどう活用していくかというようなことも考え ていく必要があるのではないか。  それから、市町村業務で「福祉施設」だけを提起されているわけでありますけれども 保健及び医療についてどう考えていくのかというのは、まだ問題として残っておるので はないのか。そこを明確に区切ることができるのかどうかという問題があるのではない かと思います。  こんな点を問題意識として持っております。 ○部会長  ありがとうございました。  それでは、続きまして、小池委員お願いいたします。 ○小池委員  簡単に言います。  1の「救急事業」につきましては、国公立病院を救急の基幹病院として位置づける。  あらゆる病院は、地域医療に責任を持つべきであって、国公立だけを候補にするとい う考え方には反対であります。  2番目の「医療保護入院」は、問題が多いので廃止するべきである。そのために、早 急に見直し等を考えていく必要がある。  それから、強制入院を入れる病院につきましては、施設規準を新たに設ける必要があ る。  「措置入院について」は43倍の地域格差がありますので、見直す必要がある。  「精神病床」については、精神科特例を廃止して、一般科の水準に引き上げること。  5番目は、閉鎖処遇にある任意入院者の処遇の審査を行う。  告知を徹底するように、常時掲示するようなことをする。  「精神医療審査会」につきましては、これも都道府県格差と病院格差が非常に大きい ので、人権啓発を徹底する必要がある。  あと簡単な細かなことですので省略いたしますが、大きな点については、処遇改善請 求を積極的に取り上げる。これは不祥事件を早くチェックする意味で、審査会がほとん ど機能していなかったと思われますので、これは大いに見直す必要があるということで す。  裁判所への不服申し立て権、これがないために頻回請求をずっと続けている人がいる わけですね。我々は2カ月くらいに1回、再審査に行っておりますが、3年くらい続い ている人もいますし、これでいいのかという問題があります。  委員構成に医療委員を2名として、少なくとも1名は公的機関の医師とし、さらに公 的機関所属のPSWを委員に任命する。法律家委員は弁護士を優先させる。1人委員に ついて予備委員を置く。  以下、省略しますが、7番目の「病院情報公開について」は、厚生省に報告している ような医療施設調査・病院報告内容等、患者の動きがわかることについて、定期的に情 報公開できるように義務づける必要がある。それによって、国民が病院を選択できるよ うにするということです。  8は「保護者」は、保護者の義務を廃止する。  以上です。 ○部会長  ありがとうございました。  続きまして、新田委員どうぞ。 ○新田委員  報告書の順番でちょっと最初から申し上げたいと思います。  まず、トランスポーテーションの手段の確保ということで提言がなされているわけで ございますが、精神病者であることがはっきりしない段階での診断の、また診察のため にもそういうことが要るのではないかということが1つです。  次の「仮入院について」は、診断能力が向上したから、こういう制度は要らないとい う文言があったものですから、必ずしもそうじゃないんじゃないでしょうか。措置入院 のときの難しい手続き考えると必ずしもそうは言えないのでもう少し様子を見てはいか がと。  「措置入院」のところでは、「措置入院にかかる適切な医療を行う体制が十分に整備 されている病院」ということで、何か国公立病院を念頭に置かれているようなんであり ますが、現在はそういうことがあるのかもしれませんが、これから民間の病院の方が数 多くのことを扱っているようでありますので、こちらの充実ということをまずやるべき ではないかといった意見でございます。  次「人権の確保」でございますが、精神病院について施策監督のためにしかるべき機 関が権限を持っていろいろしたり、処分をしろというような文章が見られるのですが、 何か こういう委員会がみずから求めて公権力の介入を求めているのはいかがなものであろう か。情報の公開とかもっと私的自治ということが先にあるべきではないだろうかという 考えでございます。  それから、「その他」ということで、一般論として申し上げたんですが、偏見、差別 の是正というのはまことに重要であり、そのためには国民の力強い支持がなければなら ないのですが、国民の支持を得るためには以下のことが必要なのではないでしょうかと いうことで、また透明性や正確な情報の提供ということを申しておるわけであります。  その1ということで、この(イ)、(ロ)ということを、具体的に私が見聞きしたこ とで申し上げているんですが、どうも人権制約的な雰囲気がこういう施設にはあります ということで、これの是正のためには一部開示して見せていかなければいけないのでは ないかということでございます。  それから、次に時折不祥事案が新聞等で出ますが、こういう問題についてはやっぱり クイック・リスポンスということで国民に知らせませんと、国民の方ではとてもじゃな いけど、支援というわけにはいきませんぞということで、(ロ)の方は、これまで議論 いただいていたあの事案でございますが、(イ)の方は、7月21日の、たしか水戸の方 にある老人ホームだったと思いますが、分裂症病歴者の人が3人老人ホームの人を殺害 しちゃったと。聞いてみると、17年間も入院していたんだけど、最近安定してきたので こちらへ移したと。そしたら2カ月も前から刃物を用意して次々に殺害したと、まこと に恐ろしい話だということで、したがって、よく事情を知らない者は、だから精神病を 患った者は危険だという思いをいたしておりまして、ノーマリゼーションということを 力強く進めるならば、この辺ちゃんと報告すべきではないかということでございます。  それから、ここに書きませんでしたが、覚せい剤中毒者でございますが、あれは戦後 大変な問題になって、いろんなところが総合政策としてやった中に、こちらの方の関係 の法律もあったと思います。立法例の国会の問答なんか聞いているとどうもそういうよ うなのが出てまいりました。今、覚せい剤第3のピークといったことを言われていると きに、我が国の安全を保障している薬物対策の1つの柱であったのに外すだけでいいの だろうか。もう少しそっちの方で議論するようにして外さないとちょっと危険だなと、 そんな感じのことでございます。以上であります。 ○部会長  ありがとうございました。  では、続きまして藤原委員お願いいたします。 ○藤原委員  お願いいたします。専門委員会からの報告を受けまして、ちょっと気になること等を まとめてみました。一応、2次医療圏ということで進められるとは思うんですけれども 福祉ということで窓口を市町村にということから言いますと、福祉圏域をとられるのか なという心配もございます。大方は医療福祉圏域は合致しているんですけれども、多少 違うところがございますので、そこのところ確認の意味で、一応2次医療圏に保健福祉 圏域も合わせていただくということをお願いしたいと。その2次医療圏を想定して精神 科救急病床等の整備がされていくということですので、2次医療圏ということで、精神 科保健福祉圏域も考えていただきたいと。間違いはないと思いますが、警察の圏域とか 福祉の圏域が多少違っているところがございますので、念のためにお願いいたし ました。  それから、福祉ということで3障害一緒に市町村の窓口にということが出されており ますので、それはそれで結構かと思います。一応全国保健所長会からは、偏見もあるし 来にくいのではないかということもありますが、確かにそれはあると思いますが、将来 的に偏見をなくしていけば、当然社会復帰、いろんな作業所等も市町村単位で整備され ますので、それはそれでよろしいかと思いますが、作業所とグループホーム、いろんな 福祉制度が必ずしも各市町村1カ所整備されていないので、広域的な調整が必要と思い ますので、その市町村に送付されましたものを必ず保健所経由で保健所でまとめるとい うふうな手順をぜひ入れていただきたいと思います。そして、そういうふうになります と、別に無理に市町村いやだけれども、町の窓口に行かなくても、保健所へ直接持って 来られてもいいよという部分が二本立てで残るのではないかと思いますので、ぜひ保健 所経由ということを入れていただきたい。  それから、「精神医療審査会」、この前のときにもちょっとお話させていただきまし たが、なぜ今までのが機能しなかったかというのは、地域での生活歴、家族歴といった ものが遠いので余り考慮されてなかったということが原因でないかと思いますので、審 査というと、何かお金の審査だけのようなイメージですので、名前はどちらでもいいん ですけれども、診断というニュアンスもかなり含まれた診察の診に変えていただいた上 で、2次医療圏ごとにその診査会を設けていただいて、そこへPSW等の意見書を添え て、1人1人の実生活の意見書も添付をして審査をしていただけたら機能するのではな いかと。ただ、それではやっぱり全県的な広がりもわかりませんので、必ずその審査委 員には保健福祉センター長を公的な機関の長として委嘱していただくことがよろしいの ではないかと思います。その事務局となるのはやはりどこといって、土木事務所でも財 務事務所でもなかろうかと思いますので、保健所でよろしいかと思います。  それから、以前からの問題ですが、救急とか移送の問題とかいろいろ言われています が、その問題を今言う精神障害者を入れた、精神に障害のある人全部入れますと話が難 しくなってきますので、一応分けていただいて、今、私たち保健所の方でおつき合いが できております精神分裂病、躁うつ病、人格障害の一部といったような者は今の議論の 中で解決できるものだと思いますが、性格異常、犯罪性精神障害といいますか、そうい ったものは非常に難しいものですから、これはまた別の議論でお願いできたらと思いま す。ただ、別の議論でほっといてもいいということでなくて、そっちの方が一番困って いますので、そっちの方も同時並行でまた議論は進めていただく必要はあろうかと思い ますけれども、そういうことを想定して、こういうのには人もかかるから余り非採算性 のものであるということから、こういったものを扱っていただく(研究も含めて扱って いただく)のが公立病院でないかなということで、全国保健所長会も公立病院でという のはそういうことで分けて、こっちの難しいものは公立病院で、難しいというか、レベ ルが高いというのではなくて、非採算性、余りお金が入らないで手間がかかるものをや っていただければありがたい、そういうふうに考えております。 ○部会長  ありがとうございました。  古谷委員どうぞ。 ○古谷委員  私の方は、特に保健の部分がここは精神保健福祉法と言いながら抜けているというこ とと、前回のところでは、保健医療局が担当するということが初めてわかったわけです けれども、なかなかここの保健のところは見えにくいというようなことがありまして、 意識的に書いた部分がございますので、かなり細かいところにわたった部分がございま す。  市町村が一元的に行うというようなところでは、全国的には非常に格差があるという ことがございます。それは行政の能力との問題もありますけれども、地域によっては偏 見の問題が非常にありまして、市町村だったら絶対に行かないという地域もまだあるわ けでございます。それから、村や町の一部、特に1万人未満のような小さいまちですと 役場の職員がみんなそこの住人というようなところがあったりして、守秘の問題はどう いうふうになるのだろうかということが非常に懸念されるわけでございます。ですから やはり特に保健については、保健所も市町村も一体的に行っていく必要があるというふ うに考えております。  最初のところで、「社会復帰から地域社会へ」ということで、在宅生活維持のための 安心して生活できる地域づくりだとか、環境づくり、施策づくりが非常に大事だという ふうに考えております。  前回もお話いたしましたけれども、地域の受け入れ態勢が不十分なままに多くの患者 が退院してきたり、ここは「特に」と書いてございますけれども、「また」というふう にご訂正いただいた方がよろしいんですが、またグレーゾーンが非常に多くなっている ということで、特に発症間近な人とか、親もまだ認めたくない人、そして、揺れ動いて いるような時期、そういった時期や急性期の発症のときの支援というのが非常にここの ところでは多くなってきているということがございます。  具体的なところでは、2のところで、「具体的な施策の方向」ということで、医療と 福祉が入ってございますけれども、ここにも保健医療局との検討とあわせて保健施策の 充実についてというところをきちんと項目として挙げていただくということでございま す。  それから、「市町村と都道府県関係機関の役割について」ということですが、市町村 で行うことが適当な事務についてということで項目がございましたけれども、市はとも かくとして、特に町村では非常にこれは厳しいと考えております。広域的な調整が必要 なので現行どおりに位置づけておいていただきたいと思います。  それから、保健福祉手帳の交付の申請、あるいは通院医療費の公費負担の申請、これ は前回もお話申し上げましたように、この場が保健や医療の相談の機会となっていたり あるいは病院との連携のところで非常に多いことがございますので、やはりここも現行 どおりというふうに考えております。  具体的に「保健所の役割」、「市町村の役割」はどういうことなのかということで、 これは現行法のところでございますけれども、地域保健法が昨年の4月から全面的に施 行されまして、保健所は広域的、専門的、技術的拠点としての機能が強化されていると いうことで、保健所がこの地域保健法の実施によりまして、かなり意識的に精神保健の ところに取り組んでいるところでございますが、その中でも特に地域保健福祉連絡協議 会、これは体制づくりとして機能していたり、地域のコーディネーターとしての役割が 求められておりますし、ここのところが広域的なところで行っていく必要がこれからも 出てまいります。  それから、市町村と同じように障害者の正しい知識の普及啓発もございますし、ここ ろの健康づくりの推進ということでは、ライフステージごとに考えていきますと、特に 妊産婦のころですと、マタニティーブルー、育児ノイローゼ、虐待児の問題を初めとし て、それぞれの世代に応じていろいろなこころの問題が非常にたくさんある中で、これ はやはりならない人の「こころの健康づくり」ということが非常に大事で出てきており ます。  相談訪問指導、集団教育、あるいは育成指導、ボランティアの教育というようなもの が現在行われているわけですし、前回の精神保健法の改正のところで市町村にも正しい 知識の普及啓発等、保健所と協力を得ながら、そのほかの事業も行っていくというよう なことが明文化されているわけで、やはり保健所の役割の明確化と同時に、市町村と一 体的にやっていくところでの明文化をきちんとすべきだというふうに考えております。  これから、保健施策の充実ということでは、課題としてそこに書いてございますし、 最後のページには「今後充実・推進していくべきもの」ということで、そこに5点ほど 挙げてございます。アルコールもそうですし、タバコもずっと前から精神領域では「依 存症」といった表現を使っているのを読んでおりますけれども、そうするとアルコール と同じように依存症というふうに理解すると、これは特に低年齢化と「健康・日本21」 の生活習慣病等の問題もございますし、そういった関連からは、このタバコの問題も、 特に高齢というか、中年以後の問題よりも若年の問題、そこのあたりをきちんとやって いく必要があるのではないかと思っております。  「家庭訪問指導の強化」のところでは、ここに記載してあるとおりでございますけれ ども、やはり退院後の再発予防、あるいは安心して地域で生活できるということからは 訪問看護、訪問指導は非常に重要だと考えております。そのためにもやはり「病院との 連携強化」が絶対に必要になってきております。  「精神医療・看護について」でございますが、2つ目の「精神専門看護師」の配置と いうことで、先ほど来、議題1のところで出されたような問題を含めまして、やはり都 道府県単位ぐらいにきちんと相談、あるいは看護での相談支援体制ができるような、ま た、非常に片手ぐらいの人しか今はおりませんけれども、こういったことを徐々に導入 していく必要があるのではないかと考えております。  あとは「身体合併症」の問題と地域との連携。  「その他」のところは記載のとおりでございます。以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。  では、牧委員。 ○牧委員  牧でございます。12ページお願いいたします。  日本精神病院協会は、厚生省より出された「精神保健福祉法に関する専門委員会報告 書」について、プロジェクト委員会を発足させ検討を重ねてきましたが、9月24日〜25 日の2日間における理事会、代議員会、総会の議を経て、現段階における日精協として の意見書を次のごとくまとめましたので、提出いたしますということでございます。  1)に「『報告書』第3 基本的考え方 II、基本的な施策の方向について」でござ いますが、「報告書」の基本的な施策の方向については(1)地域に密着した精神保健 福祉施策の充実、(2)精神障害者の社会復帰施策の推進、(3)精神障害者の人権の 確保が大きく取り上げられております。  (1)はそこに書いてあるとおりでございます。  (2)もそこに書いたとおりでございます。  (3)精神障害者の人権の確保は重要なことであるが、ごく一部の精神病院の不祥事 事件をもとに、「精神病院に対する指導監督を強化することは」容認できないことであ る。重大な不祥事件を容認するつもりはないが、行政責任も大きなものがあると 考える。大和川病院事件などに見られる不祥事件の背景には、精神科救急体制の不十分 さ、対応困難な患者の受け入れ及び後方支援システムの欠如、更には触法精神障害者対 策の欠如などわが国の精神医療制度・施策の根幹が問われる問題があると考える。この 真の原因を究明して解決する施策を立てることなく、ただ単に指導監督を強化して事足 れりとする姿勢は許されるものではない。  これらの解決のためにも、日精協が厚生省の法律改正検討作業に先立って、平成10年 1月29日に厚生大臣宛てに提出した精神保健及び精神障害者福祉に関する法律改正に関 する要望書における  1)触法精神障害者対策を視野に入れた法改正の検討  2)精神科救急体制における後送システムの検討  3)公的精神病院の任務と責任の明確化  を特に改正に盛り込むべく検討することを強く要望するものであります。  13ページはそこに書いてありますように、「2)第4.具体的な施策の方向」という のが、精神病院に対する指導監督について。  2番目は、「重大な犯罪を繰り返す精神障害者について」。  触法精神障害者対策については日精協会員が等しく大きな関心を寄せているところで あり、法改正の行方に注目しているところである。  この対策は我が国において最も欠落している部分であり、重大犯罪を反復して起こす ケースや、重大犯罪を犯しても刑に問われず治療も受けないケースがあること、一般の 精神病院では処遇に困る触法患者があること、フォローアップ体制がないことなどこの ままこの問題を放置することは精神障害者のノーマライゼーションを進める上において も社会のコンセンサスを得られない。厚生省のみでの論議では解決はできないので、法 務省を含めて引き続き論議を進めるべきである。  さきに日精協で提案した重大犯罪を犯した措置入院患者を一般措置と区別して特別措 置入院とする案は精神保健福祉法のみの対応で行うしかない現状における次善の策であ り、措置入院の項でも触れるが重大犯罪を犯した触法患者の措置入院については原則国 公立病院で対応するべきである。  3.「精神科救急事業の法定化について」  現在の精神科救急事業を法定化することはやぶさかでないが、次のことを十分留意す べきである。   1現実の運用上困難が生じないように広く多くの病院が精神科救急事業に関われる等 現状の救急輪番等の地域性を十分に勘案して行うことが必要であり、精神科救急事業に おける「精神科救急医療のための指定病院制度」を新たに設けることは反対である。   2救急受入れ後、身体合併症や処遇に困難を来たす場合には後方病院として国公立病 院を位置づけること。   3現行の応急指定病院は廃止し、救急に際して輪番救急病院において応急入院が行え るようにすること。  「4.医療保護入院について」。  「5.措置入院について」。14ページでございます。  「6.精神病床のあり方について」  一般病床と同じく急性期病棟(病床群)、慢性期病棟が考えられているが精神疾患の 特殊性を考えることが必要であり急性期病棟(病床群)、一般病棟(病床群)又は慢性 病床群の間に亜急性期病棟(病床群)を設けることを考えるべきである。また小規模病 院においては病棟区分が困難な場合もありケアミックスを考えるべきである。報告書に よると、急性期病棟においては2次医療圏単位での必要病床数設定が考えられているが 現在の精神科病院の偏在などにより2次医療圏単位で設定することは困難であり、かつ 円滑な運用を困難にすることが考えられるためするべきではない。  精神科においては急性期と同様もしくはそれ以上に手のかかる長期重症患者の対策が 重要であり十分に考慮されなければならない。  急性期病棟(病床群)の医師数については、現状では精神科医の不足は解消されてお らず、現実的に可能な範囲で考えられるべきである。  保護室について医療計画上病床数に算定しないこととすべきとされているが、いわゆ る処遇困難な患者について長期隔離をせざるを得ない現状において、そのバックベッド を持つことは困難である。また保護室を病床数から除くとした場合に、全てにバックベ ットを確保するためには小規模な増改築にとどまらず、全面的な病棟改造の改変を余儀 なくされることなる。こうした問題が解決されない限りは、提案に反対する。  「7.精神障害者の閉鎖処遇について」。  「8.社会復帰施設の指導監督について」。  社会復帰施設についても構造設備や処遇の方法について法令に基づく明確な最低規準 を定めとあるが、社会復帰施設の入所者は一般市民生活に近い方向で対応すべきであり 先進諸国においては様々な形態で柔軟な対応がなされているところが多い。あまりに画 一的にならず規制緩和を行うことにより柔軟な対応をすべきであり法令で新たな規準を 定めることはすべきない。  「9.精神医療審査会の役割について」。  「10.精神保健指定医制度について」。  「11.保護者の義務について」。  「12.成年後見制度について」。  「13.福祉施策における市町村の役割について」。  「14.精神障害者社会復帰施設等に対する運営費補助について」。  16ページです。「3)『長期入院患者の療養のあり方』について」。  中ごろですが、長期在院患者で「軽度」の障害者は、現行の法定社会復帰施設を利用 している入居者と比較すると極めて病状の重い医療的ケアを必要とする人々であると考 えなければらない。このような障害者を地域でケアしていくには、日中において精神科 デイケアを強力に行うとしても、夜間と緊急時に対応がとれる体制を確保していくこと が必須である。当直職員を1名確保するための職員体制としては少なくとも6〜7名の 職員が必要であり、5対1の職員体制を考えると定員は30人以上の施設定員となる。  日精協が提案している福祉型居住施設として位置づけられる精神保健福祉施設(心の ケアホーム)の問題。  以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。  では、最後に宮坂委員お願いいたします。 ○宮坂委員  「精神保健福祉法に関する専門委員の報告に対する意見」ということですので、これ に限って意見を述べさせていただきますが、精神障害者の人権に配慮した医療サービス をいかにしていくかということが求められているわけでございます。  この報告書を見ますと公権力の介入を是とするような、あちこちにそういうものが見 られるということで、どうもおかしな報告だなというふうなことを感じているわけでご ざいます。  まず4ページの「精神科救急事業の法定化」ということを言っております。法定化、 これはだれにやらせるかということを決めることでございますが、これは当然医療機関 がやるべきであって、こういう法定化には反対である。社会復帰を進めている精神障害 者たちには、既にかかりつけ医がおりますので、急変時にはその医師に連絡するという ことで十分可能なわけでございまして、他のかかりつけ医を持たない人の精神科救急医 療事業についても、一般の救急医療と全く同じ方法でやるべきであって、特化してやる べきではないと思っております。  また、搬送につきましては、これは国の制度として消防庁がやっているわけでござい まして、我々がそこに連絡をせずして運んでくれないだろうと思い込みによって法定化 をしようということを考えるのはいささかどんなものであろうかと思うわけでござまし て、これは法で搬送をすると決まっておるわけでございますので、そこの点をお間違い のないようにしていただく。精神科の医師たちの無知をさらけ出さないでほしいと私は 思っているわけでございます。  次に医療保護入院の対象者について判定基準を作成する。病気はよくなったり悪くな ったり、また、その日によって、その時によって症状が変化するわけでございますので それにこういうふうな基準でやるのだというようなことを決めることはおかしなことで あり、これは医師の裁量権に委ねるべきものであると思っております。  報告書に自傷他害のおそれはないけれども、治療の必要性が明らかである。しかし入 院についての判断能力がなくて困ると、これをまた検討事項にしておりますけれども、 早急にこの人たちを救うような方法の手だてを今すぐとるべきであって、検討すべきで あるというよりも、どうしようかということを今すぐ検討して、この人たちに応えてあ げるべきであると思っております。  次の「仮入院について」でございますが、年間20件余りだから廃止すべきだというこ とはどうも安易であって、制度の発足の当時の趣旨とか、それらをよく検討して、そし て、これを廃止すべきかどうかを決定すべきである。数が少ないからということで廃止 するのはいかがなものかと思います。  次に精神病床の急性期・慢性期の病床のあり方についてでございますが、一般の医療 が急性期・慢性期に分けるというような議論があるからといって、精神科の急性期・慢 性期をそれと同等に考えるのはおかしなことである。我々精神科医療が一層充実するよ うに考えるべきであって、急性期病床あり、慢性期病床ありといったことから考えない でいただきたい。患者さんがどういうふうにして治療をすれば一番精神科病床として患 者のためになるのかということを議論してほしいというふうに思っているわけでござい ます。  時間の関係で以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。  ただいまご指名をいたしませんでしたが、もしご発言のご希望がありましたら、どう ぞ、相澤委員。 ○相澤委員  全国精神保健福祉センター長会として若干の意見を送らせていただきました。ごく簡 単にご説明したいと思います。 ○杉中補佐  資料を配付いたしますので。 ○岡上委員  後で全家連の方もよろしゅうございますか、資料配付。 ○部会長  どうぞ。 ○相澤委員  ごく簡単にご説明いたします。  報告書に関しては大筋かなり評価できるものであろうということであります。(1) の「医療施策と精神保健福祉施策について」でございますけれども、医療施策と福祉施 策の項目に分かれて書かれておりますので、本来、精神科救急、社会復帰、福祉施策に 必要な医療・保健・福祉の連続性がちょっと明確ではないのかなと。医療から地域、福 祉というかかわり、それから逆に地域福祉から医療へのかかわりという連続性の確保に ついてもう少し明確にしていただきたい。  それから、「精神保健福祉センターの役割について」触れられておりますけれども、 その中に幾つかの新しい項目もありますが、大筋今のセンターの機能をもう少しちょっ ときちんと、特にマンパワーを含めて充実していけば、何とか対応できるのではないか と思われます。  ただ、相談業務に関してですけれども、3とのかかわりもあるんですけれども、かな り膨大な件数、毎年のように件数上がっております。そこにアルコール、覚せい剤その 他の薬物を含めて相談を行っていくことは、既にあるセンターでは日常の業務として行 っていますし、中にはNAであるとかダルクであるとか、そういった自助グループへの 支援もセンターとして行っておりますので、その延長線上で考えれば、全センターで行 っていけるものであろうと。ただ、3番にも書きましたけれども、医療制度であるとか アフターケアの在り方の検討なしにはなかなかセンターだけですべてを解決するのは難 しいのではなかろうかと思っております。  これから、特に福祉に関して市町村の役割が大きくなっていくとなれば、そこに対す る精神保健福祉センターの技術援助、あるいは教育研修といった領域がかなり大幅に取 り入れられてくる状況であろうと思いますし、報告書にも書かれておりますけれども、 センターの業務としてはますます拡大していくものであろうというふうに思います。  そのようなことでございます。 ○部会長  ありがとうございました。  では、岡上委員、全家連ですね。お願いいたします。 ○岡上委員  まとめ方が不十分でございますけど、簡単に意見を述べさせていただきます。  まず、最初に報告書に書かれたことについてでありますけれども、先ほど事務局から 紹介いただいたので重複は避けますけれども、1つは、患者の移送、あるいは医療保護 入院にかわるものをつくる、あるいは医療保護入院そのものを検討するときにやはり要 件をきちんとした方がいいということが1つです。  それから、先ほどお話がありましたけれども、仮入院の制度は法5条との関係がござ いまして、軽々に廃止するのはどうかということです。  2ページの方でございます。先ほどから再々お話がございましたけれども、権利擁護 何を擁護するかということをなるべく明文化する努力を私どもがしなければいけないと 考えております。法改正に当たってもその観点をぜひ重視していただきたい。  それから、3つ目ですけれども「保護者について」、報告書に盛られたことで、期間 を定める、あるいは自傷他害防止義務を廃止することについてはいろいろな問題がある んですけれども、そういうことに加味しつつ、最低線ここは死守していきたいというこ とでございます。できれば、保護者制度を廃止の方向に持っていく。将来のステップを もう一つかけてほしいということでございます。これが報告書に関するものでございま す。  報告書以外のことについて2つばかりございます。  1つは、前回、私が個人の意見として申し上げましたけれども、小規模作業所につい て生活支援事業を行う事業者としてそこに含めてほしいということ。  2つ目は、精神障害者本人、そして家族の活動を活発化する方策をぜひ講じていただ きたいということです。将来の地域ケアのことを考えるとマンパワーの問題は大変重要 です。当事者の力と家族の力を評価できるようなプログラムを組むことは大変重要なこ とであると思います。そういうことの希望を申し上げます。  それから、最後ですけれども、前回、第5条の定義について申し上げましたけれども やはりどこかで検討して意見書の中に問題点があるという指摘はしていただきたい、こ ういうふうに思います。以上です。 ○部会長  ありがとうございました。  小池委員、お話になりますか。 ○小池委員  論議いただいたらいいのですが、特に自治体病院としては情報公開について強調させ ていただきたいと思います。それから、非自発的入院の施設基準を新たに設ける必要が あるというふうに思います。  任意入院についても何らかの審査の対象にする。  基準にしましても現行の基準ではなくて、2ページですが、自ら入院の必要性を認識 し処遇条件を理解した上で同意する能力がある状態に変更してほしいという要望です。  そのほか、社会復帰施設の入所者に対しても、処遇の審査ができるようにするという 委員会の報告は賛成であります。というのは、やはり実際にそういう問題が出ておりま すし、中にはそこから出たいという要求を出す人がある県ではありますし、やはり今後 透明性を十分に確保していく必要があると思います。以上です。 ○部会長  ありがとうございました。  そのほか。 ○三浦委員  追加をお願いいたします。 ○部会長  先ほどの補佐がお話になったあの紙ですね。 ○三浦委員  そうです。 ○部会長  資料No10ですか。 ○三浦委員  資料10でちょっとご説明したいと思いますが。 ○杉中補佐  団体の紙、必要であれば、今配付いたしますので。 ○三浦委員  いいです。 ○杉中補佐  いいですか。 ○三浦委員  救急時の搬送手段の確保ということをここに書きましたけれども、厚生科学研究で精 神障害者の受診促進という検討会がありまして、それの報告がないでしょうかね。 ○中村補佐  平成9年度。 ○三浦委員  9年度。あれの中に結論どんなふうに出ていたか、私も委員としてやったんですが、 ちょっと今忘れちゃって、それではいいです。そのときに議論が出たんですが、今まで 精神障害者の救急車による搬送というのが世間ではだめだと我々自身も思っていたんで すが、消防庁から出られた委員の話では、精神障害者も救急車で搬送している患者さん の何%か精神障害者だったというお話が出ておりました。それのまた詳しい内訳などは 今忘れましたが、救急車は精神障害者を運ばないというような、一般的な噂だったのか どうかわかりませんけれども、消防庁ではそういう扱いはしてないはずだということを 言っておりました。  それから、資料10の5)の下の方なんですが、医療法の削除ということ、これはかつ ての精神衛生法の時代には48条でしたか、精神障害者はほかで治療してはならないとい うのがあって、それが精神保健法になったときになくなったんですが、現実には医療法 の方にそれが残っているということで、ぜひそちらを改正していただきたいということ です。  それから、2ページの3)のところの「その他福祉施設」で、社会復帰施設の基準緩 和、これは我々弱小の設備でやっているようなところは余り大きな基準で締めつけられ ると細かいことができない。今、診療報酬の方では、例えばデイケアでも大規模と小規 模と分かれているんですが、さらにもう少し小さい方がよりきめ細かくいろんな対応が できるのではないかということで、それも厚生科学研究の1つの課題で報告を出してお りますが、そのほかに作業所が法内施設ではなかったのか、ちょっとその辺がよくわか りませんけれども、作業所を法的に位置づけをした方がいいのではないか、そういう意 見で、それはなぜ出たかといいますと、いわゆる社会復帰といえば、何でも錦の御旗み たいに野放しみたいになっていると。監査というのもまたおかしいんですけれども、そ れを取り締まるあれが何もない、垂れ流しになっているということもありますので、そ の辺は、ただ、いろんな施設だけ増やせば、それで事足れりというのではなくて、内容 の方もちゃんと見るようにしていただきたいということです。  それから、3ページの保護義務者、これは各団体、委員の先生方から出ておりません ので、これはこのままで済ませます。  また、話は飛びますけれども、先ほど藤原委員が、全然中身はあれなんですが、躁鬱 病の「躁」がワープロの間違いで「躁」の字が違っていたと。だけど、ワープロも時に は味のある間違いするものだとちょっと感心してお伺いしていたんですが。 ○部会長  ほかによろしゅうございますか。では、自由討議に移ろうと思いますが、町野委員ご ざいませんか。 ○町野委員  はい。 ○部会長  ではどうぞ、藤原委員。 ○藤原委員  先ほど来、搬送は救急車も警察もしてくれるということなのですが、診断がつけばし てくれます。ただ、診断がつかないうちに、徳島の場合は精神科は「私」の単科なんで す。総合病院でないですから、精神科に連れていくということに対しての非常にためら いがやはり救急車にしても警察にしてもあるんです。つい最近もこんな例がございまし て、先ほど一応かかりつけ医を持っているとおっしゃいましたけれども、初発の場合が ございます。特に思春期ごろに発病しますので、大学生なんですね。親御さんもだれも いない。そこで素っ裸になって、車なんか壊しているという通報で、これは明らかに分 裂だというので、警察もそんなん精神病院には運べないと言うし、一日きりきり舞いさ せられたことがございますが、診断のつかない場合に、だれがどこへ搬送するかという のがまだできてないんで、保健所も行っても何も手が出さないというような状況がござ いましたので、その分が確立されていると言いながらされてないんだということをご報 告したいと思います。  それから、必ずかかりつけ医がいらっしゃるというのは、精神科に関しては間違って おります。特に初発の場合は、大学生なんかが大体発病しますので、そういう人は家族 歴も何にもわからない。大学の生徒会かなんか、そんなところへ行ってもわからないと いうようなことがございましたので。 ○部会長  そのほか、ございませんか。どうぞ、融委員。 ○融委員  幾つか何人かの委員、あるいは団体の方から発言があったんですけれども、触法精神 障害者のことが、今までの発言では国公立病院で対応すべきである、そういう結論にな っているのですが、もう少しこれは根本的に見直していかなければならないと。国際的 な面からいっても触法精神障害者の処遇に関しては日本は非常におくれていると思いま す。いろんな動きが過去にあったのですけれども、やはりじっくりとそういう人々も含 めてこれから法的なものをどうしていったらいいか。結局精神障害者に対する偏見とい うのはそういうところから出てくることがままあるわけです。  今度の報告書にもそれが一番最後のところにちょっと取り上げてあって、今後議論が 引き続き必要であると書いてあるんですけど、ぜひこの辺、これから十分この精神保健 福祉法の中で考えるだけではないと思うんですけれども、よろしくお願いしたいと思い ます。 ○北川委員  質問よろしゅうございますか。 ○部会長  どうぞ。 ○北川委員  今の融先生の触法性精神障害者の件ですけれども、日本では非常に手に負えないとい う、さっきの救急医療の問題と同じように、偏見というか、誤解というか、あるのでし ょうか。実は私はフィンランドに3年程前に行ったときに、そんなに難しい状態でなく て対応している施設を見学しました。それは薬でしっかりコントロールできるのだとい うようなことでやっておる施設を見てきたんですけれども、これは非常に例外なのか、 どうなんでしょう。 ○融委員  私もそういう法律については詳しいこと知らないんですけれども、法を犯した精神障 害者が無罪になりますですね。その場合に、後の処置がきちんと法律で決まってないと いう、それが私は一番問題ではないかと思うんですね。それを受け持つ施設がないとい うことですね。  私のところは東京医科歯科大学の犯罪精神医学教室が近いものですから、そこの学位 論文なんか審査することがありまして、そこでたくさん研究がされているんですね。や はり再犯がかなり多い。精神病院からかなり任意に退院させられると言ってもいいんじ ゃないかと思うんですね。その辺のところが、私はもう少し法整備を含めてするべきで はないかと、ちょっと素人的な感想です。 ○部会長  どうぞ、小池委員。 ○小池委員  今の融委員の意見に基本的には賛成でして、裁判を受ける権利と治療を受ける権利が 両方とも疎かになっておるわけですね。やはり法務省サイドの議論といいますか、それ も進める必要があるわけで、医療だけで対応していいものかという問題であります。そ ういう意味では、措置を2つに分けて、触法を国公立という考え方が出されております けれども、今の議論から言いますと、そういうことでは根本的な解決にならないのでは ないかというふうに思っております。もちろん法務省側の医療の充実ということも一方 でやっていただかなければならんのではないかと思います。 ○部会長  岡上委員どうぞ。 ○岡上委員  先ほどの藤原委員のおっしゃったことなんですけれども、それに関連して、一部は全 家連で主張している医療導入入院が制度化されると。全体ではありませんけど、一部は 合理的にいくのかなという感じを持っているんですね。今、措置要件が大変厳しいです から、そうすると措置要件がない人はだれも手を出さない。日本はまだそういう時期に あるのだと思いますけど、しかし、いつまでもそうしておくことはやはり患者さんにも 不幸ですし、社会にとっても不幸だなという気がしてならない。折があったらぜひご検 討をお願いしたいと思っています。 ○部会長  古谷委員どうぞ。 ○古谷委員  資料10のところの最後の「VII その他」のところに、日本看護協会の方から「予防・ 治療・福祉を包括した『総合対策指針』を策定すべき」という項目がございます。これ とぴったりではございませんけれども、私がまだ保健所におりましたときに、医療計画 の中で、地域医療計画の中の専門部会というところで、この地域の精神障害者の問題を どういうふうにしていったらいいのかということで保健医療福祉の関係者、これは当事 者が入っておりませんでしたけれども、ここの地域の精神の問題を検討しながら、それ を施策の中で進めていこうというようなことが話し合われて、そして実行する段階にな って、私はそこのところから転勤してしまったんですけれども、地域の特性や実情に合 わせた推進というところでは、地方分権等も含めながら、国で決めるというよりはやは り都道府県単位にこういったものを決める、あるいは2次医療圏でもこういったことが 位置づけられていくことが非常に必要なのではないかと考えております。 ○部会長  大熊委員。 ○大熊委員  資料10に書かれています、ここではご発表のなかったものについても、きょうご無理 だったら後ででも結構ですので、各団体からの意見をいただければと思います。例えば 「障害者基本法との整合性を持たせるべき」というのが2つの箇所から出てきているけ ど、それがどういう理屈に基づくものなのか、これだけ見てもわからないので、ほかの ものについてもお見せをいただきたいと思います。  それから、私は組織がないから何も出してないんですけれども、大きく3つのことか ら考えてみたらどうかと思うんですけれども、1つは、偏見を取り除くためには、同じ 日本の中のほかの病気との格差を今回の改正で減らしていくという1つの目標、例えば 家族の引き取り義務というようなのは老人病院なんかでは本当はお医者さんたち引き取 ってほしいと思っているけれども、そういうものは存在しないわけで、ほかの病気と著 しく違った扱いでありますし、精神科特例もそうですし、それから、精神病質という病 気でもない人をその中に抱え込んでいるというのも偏見のもとになっていると思い ます。  なぜか、この小委員会では精神病質問題が議題にならなかったようですけれども、こ れは私がまだ全く若き医学記者であった時代に、日本精神神経学会がそのような概念は 存在しないというのを総会で言ったぐらいで、もうあれから20〜30年もたっているので すから、もう今回のかしたらどうか。  それから、2つ目は、日本だけで特別な精神病のばい菌があるわけではなくて、精神 病は日本でもよその国でも同じなわけですから、よその国と著しく違っていることにつ いて今回の改正で正していくべきではないか。例えば今回の犀潟で明らかになったよう に、極めて安易に精神保健指定医の1人だけの裁量で縛ったりすることができるという のは、よその国と比べて非常に異常ですし、それから、共同作業所とデイケアの費用の 格差が余りにも、多分10倍ぐらいの違いがあるので、町の中で暮らしていくための共同 作業所が思うようにできないというようなことも、今回、新田委員とかいろんな方から “ノーマライゼーション”というキーワードが出ていますけれども、「町の中へ」とい うのがノーマライゼーションで、皆さんがそういうふうにおっしゃるのだとすれば、そ ちらの方に法律ができたために誘導できるような改正じゃないと、何か文言をちょちょ ちょっといじっただけのことになるのではないか。  それから、報告書の中で任意入院の方が50%も閉鎖病棟におられるというのは極めて ショッキングなことで、とても不思議なことで、これも世界まれなことではないかと思 われますので、こういうことが起こらないようにすると。つまり今言ったのは世界との 格差を減らすということです。  それから、3つ目は質の向上で、これは小池先生その他いろんな方がおっしゃったよ うに情報を本当に公開するということを今回の法改正にビルトインして、それから、審 査会の人選についてももっと風通しのよいものに変えるべきだというのを患者代表のか わりに申し上げたい点です。 ○部会長  岡上委員。 ○岡上委員  第5条の定義というのは厚生省の精神保健福祉法の詳解を見ますと、国際基準に則る ということなんですけど、実は国際基準に則るということは範囲がないということと同 じなわけですね。これはそれ以前の過去の厚生省の解釈と全く違っているわけです、も し仮に国際基準に則るとしたら、例えば医療保護入院というのがありますですね。それ はどういう枠の中で、どういう範囲の中でそれが適用されるかということがわからない ということになってしまうのではないかと思うんです。  そのことについて、いつの機会でも結構ですから、町野委員にその辺について、法律 として、それでも成り立つかどうかということをお尋ねしておきたいと思います。 ○部会長  相澤委員どうぞ。 ○相澤委員  先ほど大熊委員、小池委員がお話になりました情報公開は非常に大事なことなんだと 思うんです。福祉の方では保育所を初めとしても利用者の選択ということがどんどん進 んでおりまして、精神に関しても少なくとも任意入院で入院したいとおっしゃる方に関 しては自分で病院が選べるというふうなところがやっぱりこれからは必要になってくる のではないかと思うんですけれども、そのときにいろんな病院がどういう医療をしてい るのかということがわからなければ、利用者としては選択の余地がないということだと 思うんですよね。ですからぜひこういったものは情報公開をもっと進めていって、利用 者の便に供することも必要なのではないかと思っております。 ○部会長  どうぞ、町野委員お願いします。 ○町野委員  先ほどの指定の問題なんですけど、私の手に今余りところで、先生に少しご議論いた だきたいと思いますけれども、幾つかちょっと申し上げてよろしいでしょうか。  1つは、この報告書、私大体これぐらいかなという感じは素人的な考えですが、そう 思ったんですけど、まだちょっとわからないのが、先ほどからちょっと出ております精 神科救急医療が今ひとつイメージがつかめないところがありまして、本当に法定化が必 要なのか、搬送のときは一体本当に法律上これがないとだめなのかとか、そういうこと をもうちょっとわかりやすくどこかでご説明いただきたいと、事務局からでも結構です けど、少しいただきたいというぐあいに思います。  それから、これは将来の問題で、恐らく今回も見送りというのが幾つかあるわけです が、一番最初の精神衛生法から精神保健法に変わったところからの積み残しが随分あり ます。その中の1つが入院形態の問題で、当時から医療保護入院、その当時は「同意入 院」と呼ばれていたわけですけれども、それを措置入院と一本化するという方向は恐ら く将来とらざるを得ないだろうと、みんなあのときは議論していたように思います。そ れが現在では多くの国といいますか、外国ではそうなっておりまして、日本のように医 療保護入院と措置入院と真っ二つに分けるものはありませんで、1つの形態の入院とし て、つまり危険性を根拠とした入院、あるいは本人が自分でケアできないということを 理由とした強制入院とそれに絞られているわけですね。だから将来こっちの方向にいく と。それに従って、恐らくは保護者制度も廃止とまでいかないけど、大きな見直しを迫 られると。保護者の同意による入院は最後はなくなるだろうとされていたのですが、今 回もそれがさらに見送られたということになります。これも将来あきらめずに、私はさ らに考えなければいけないと。相当これは国際的にもアウト・オブ・デイトになってい る入院形態ではないかというぐあいに思います。  それからもう一つ、今、例の障害者全体の、厚生省でいろいろやっていらっしゃる中 で、福祉的な措置というのが措置から利用契約へというのがこれから切りかえようとい うのが全般的な方向であって、それが恐らく精神障害者についてもそのような方向が基 本的にとられるだろうと思われているわけですね。これについては、措置から今のよう にしてしまうと、利用者側の自己決定権を保障するという点で聞こえはいいのですが、 これによって、むしろ福祉的な措置が切り詰められるというおそれがなくはないかとい うような危惧が幾つかのところであるわけです。  精神障害者の問題についても当然これは考えなければいけないだろうし、今のように 医療保護入院も強制入院だということがはっきりしてきて、いわば措置入院とその点で は同じようなあれなわけですから、そうなってきますと、この強制的な措置を残すとい うのは、その意味ではちょっと逆行している方向ではあるわけですね。これをどう考え るかということも将来の問題なんですけど、やっぱり考えなければいけないのかという ぐあいに思います。  もう一つは、最後ですが、処遇困難者問題というのが当時からあったわけで、その後 で、つまりその後というのは、精神保健法に変わった直後ぐらいに、道下班の研究とい うのがありまして、そこでも相当議論があったわけです。私も研究員の中の1人だった わけですけれども、結局いろいろ議論があって、恐らく精神医療の枠内でこれは解決可 能であろうという結論が出たように私は了解していたんですね。それが上の専門委員会 に上がって、私はそのときまだ委員ではありませんでしたけれども、さらに精神保健部 会、そちらでもその方向で了承されたというぐあいに了解していたんですね。そして、 それは現在の精神医療における措置入院制度を拡充すると。別の言葉で言えば、強化す るという方向で考えるべきであるというので、少し動き出すかなと思いましたところが どうもその後目立った動きがなくて、再び今度は保安処分問題とのあれが現在出てきて いるというような状況です。  私は恐らく、これは保安処分ということになりますと、保安処分といいますか、刑事 処分との連結ということになりますと、これはもちろん厚生省だけができる問題ではな いし、法務省ともやらなければいけないだろうと思いますけれども、少なくとも厚生省 の中で、何かの研究のあれをつくりまして、もう一回、本当にこれで大丈夫なんだろう かということも含めた上で検討を続けるべきではないかというぐあいに思います。以上 です。 ○部会長  ありがとうございました。  熱心なご討論をありがとうございました。大体ご意見を承りましたと考えまして、こ のあたりで討議を終了させていただいてよろしゅうございましょうか。また、事務局で 再度整理していただいて、またご意見をいただくことになると存じます。  事務局から何かご連絡がありますか。 ○杉中補佐  次回の日程ですけれども、また、個々の委員のご都合を聞きました上でご通知いたし たいと考えておりますので、よろしくお願いします。 ○部会長  大体いつごろですか。 ○杉中補佐  大体11月早々ぐらいをめどに日程調整をいたしたいと考えております。 ○部会長  そういうことだそうですので、どうぞ、よろしくお願いします。  本日はお忙しい中を熱心にご討議いただきましてありがとうございました。これで終 わります。 問い合わせ先 厚生省大臣官房障害保健福祉部 精神保健福祉課 高橋(内線3059)