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HIV診療支援ネットワークシステム部会
(第2回)議事概要


1.日 時: 平成10年10月30日(金)14:00〜17:10
2.場 所: 厚生省第3会議室
3.出席者:  (厚生省)上田政策医療課長、山本運営企画課補佐、桐生政策医療課補佐、池田エイズ疾病対策課補佐、岡崎医薬安全局医薬品副作用被害対策室訟務専門官(中田補佐の代理出席)
(国立国際医療センター)岡臨床研究開発部長、秋山情報システム部長
(国立大阪病院)白阪臨床研究部ウイルス研究室長
(原告団・弁護団)東京4名、大阪2名
*梅田、青木、安岡委員欠席
4.議 題: 1.部会の要綱について
2.説明文書について
3.管理要綱について
4.次回の日程について
5.その他

5.議事要旨

(1)HIV診療支援ネットワークシステム部会要綱について

○事務局より部会要綱(案)について説明


(2)説明文書について

○事務局より説明文書について説明後、以下の質疑応答

原告団:

 「2.システムに参加することのメリット」の中で氏名・住所・電話番号を除くものとされている。10月26日(月)の打合せの際、診療側がいないところでまとまったものであり、何に使うかについて議論されないまま決められているから、もう一度議論した方がいい。
 将来、電子カルテを目指すのか。今後、どのような方向を目指すかをはっきりさせるべき。

厚生省:

 目的は、診療に使う。そもそも氏名を外すことは想定していない。診療現場ではカルテの氏名を確認して使用する。ID番号だけでは、入力ミスが起きやすいから、名前は大事。医師からいえば、カルテに加えてA−netの入力はいわば余分な負担であり、将来の電子カルテ化を想定しない場合、面倒なことをいつまでも続けられるものではない。電子カルテについての将来展望からいえば、氏名は必須のものである。
 診療のサポートだけであれば名前は要らない。セキュリティへの漠然とした不安がまだあるようだが、説明不足によるものであり、仮運用で説明していく。診療時には名前、住所等を入れてカルテとして使い、データ集積の際はID入力としたい。

厚生省:

 診療側からいえば、IDだけでは入力ミスの責任を負わなければならない危惧があるから、名前が画面に出た方がいい。

厚生省:

 セキュリティへの漠然たる不安感として、コンピュータへ名前が入っていること自体には不安はなく、ネットワークに入ることに不安があるようだが、ネットワークにつながらない電子カルテはあり得ない。プライバシーに関して、既に国立国際医療センター等のオーダリングシステムにおいては、患者さんの氏名、電話番号等の個人情報が使われている。今回のシステムは、ダウンロードもプリントアウトもできない設計であり、情報が取りにくいシステムとなっている。写真を撮ると魂が取られるとの江戸時代の迷信のような不安感だけから、名前を入れないというのであれば、説明が足りないためである。すぐに名前を入れるとはいわないが、現場の混乱と、近い将来に電子カルテが認められた場合には二本立てで入力しないといけなくなることを考えれば氏名を入れないことは疑問がある。今の理念を貫けば、将来の電子カルテにつなげなくなる。二度打ち(入力)となるから、主治医が使うとは考えられない。電子カルテができた時に絶対に出てくる議論であり、氏名を入力することを検討すべき。

原告団:

 今までの前提では、氏名を入力する理由として、ヒューマンエラーと現場での入力ミスが挙げられていた。二度入力や本人が特定されない心配から医師が使わないというのは、今回はじめて出てきたことであり、重要な問題である。A−netは患者を救済するシステムとして考え、患者が使いやすいものを作ることを主に考えていた。

原告団:

 9月28日の大阪説明会において、A先生からA−netにより広くデータを集めることができるが、その扱いは厚生省と原告団の話合いで決めると説明されたが、厚生省にA−netについてどのようなビジョンがあるのかを聴いたところ、ないとの回答であった。今まで部会、非公式協議で4回ほど出席しているが、話が回を重ねるごとに変わる。4回目になって氏名を入れる理由として、医師が入力しなくなるという話が出てきたのは、これを裏づけている。

厚生省:

 3回目の話合いでは、氏名を入力する場合、参加者が集まらない。名前を入れたらボイコットするという原告の態度に押されてしまった。

原告団:

 当方では、始めから名前・住所を入力する前提で考えていた。電子カルテ化について固まっていないから患者に隠すのではなく、患者に正面から説明していくことが必要である。仮運用でID番号による入りやすい条件で参加者を集めておいて、本運用から氏名を入力するのは逆に混乱を生じる。また、病院においてID番号だけでは混乱が生じるのが分かっていて仮運用をはじめるのでは意味がない。

原告団:

 A−netが将来どうなっていくのかを説明されておらず、電子カルテとタイアップしていくのかなど将来像が見えないから行き詰まっている。

座長:

 A−netにおいて、電子カルテ化については具体的な方針は出ていないが、原告、診療側から意見をもらって合意を得たい。今までの議論を踏まえて資料を提出しているところであり、本日の議論を最終的なものとしたい。

厚生省:

 A−netについて、私を含め国立国際医療センター側は診療に役立てたいという認識であり、個人的に実験をしたいというのは全くの誤解。電子カルテにいつ変わるかわからないが、将来、電子カルテが法制化された場合に、A−netのシステムは移行できるように設計してある。

原告団:

 診療側と厚生省のビジョンが違うのではないか。

厚生省:

 10月26日の打合せにおいて、冒頭、参加者が少なくても、氏名を入れて実施したいとお伝えした。

原告団:

 A−netの有用性だけの話なら、ID番号で完結しており、これは10月26日の合意であるが、今回、診療側の問題が明らかになり、話が変わってきた。

座長:

 将来の電子カルテ化的な方向を目指すことを踏まえながら考えていくことをご理解いただきたい。

原告団:

 前回までの合意と異なるから、持ち帰らざるを得ない。

原告団:

 仮運用は大事であるが、見切りでスタートすると、原告団の一方が乗れなくなるのではないか。

厚生省:

 既に二度試行が伸びている経緯がある。11月2日がデッドライン。今度伸ばしたとしても、原告団が了解するとは限らない。厚生省の態度がはっきりしていなかったのが問題。

座長:

 厚生省が誤解を与える説明を行ったことを反省している。混乱させたことについて申し訳なく思っている。氏名を入れるという今回の部会の決定を大事にしたい。今後、考え方をきちんと示すこととする。

厚生省:

 電子保存について健康政策局医事課に確認したところ、技術的事項(セキュリティ、改ざん等)について、健康政策局研究開発振興課医療技術情報推進室での結論を待っているところ。早くて年内、遅くとも年度内までに整理することとなっており、それを受けて医事課が検討するが、現在目処は立っていない。

原告団:

 将来的にこうなるということを考えて患者は決めるのではない。将来の方向性は示して欲しい。

座長:

 仮運用の11月2日の予定を延ばすことは決定とする。

原告団:

 時期が延びたとしても、今後のことを考えれば、氏名を入れることを前提とすべきである。本部会での意思決定として氏名をいれることは了解したが、先日の非公式協議で氏名は入れずID入力とすることを地元に連絡してしまっているので、修正する理由が必要である。また、11月16日の試行開始については原告団が理解した上で合意としてほしい。原告内部で調整を行うが、返事は11月4日まで待ってほしい。説明後において同意しない者が出てもしかたない。

座長:

 氏名を入れないと診療側で使用されなくなるという意見を原告に十分説明できなかったことを厚生省の謝罪として議事録に入れることとしたい。
 氏名を入れて運用することは部会の決定とする。(了承)

○次回予定

 3回目部会 12月 8日(火)14:00〜16:00


○試験運用においても氏名等の入力を行うことに伴い、説明文書(案)について以下のとおり修正した(了承)

1.システムの目的

 「今まで、各病院において紙のカルテ上で記録していた」を削除

2.システムに参加することのメリット

 「氏名・住所・電話番号を除く」

3.個人情報の安全確保

 ・「(1)システムには患者さんの氏名・住所・電話番号は入力せず、ID番号で特定します。」を削除する。((1)の削除に伴い以下(2)→(1)、(3)→(2)、(4)→(3)に変更)
 ・(4)のうち、「患者さんの氏名・住所・電話番号を除く診療」を「情報を提供します」の前に挿入する。

5.参加をやめたいときは

 ・「もっとも」を「ただし」とする。
 ・「参加を取りやめた場合には、診療情報の入力を取りやめ、研究目的による統計的情報を除き、以後の診療情報を利用できなくなります」を「患者さんから参加の同意撤回の申し込みがあった場合には、診療情報の入力は停止されます。また、患者さんの参加の同意撤回をされた病院は、研究目的による統計的情報を除き、以後の診療情報を利用できなくなります」とする。


問い合わせ先
厚生省保健医療局国立病院部政策医療課
担 当 岩下(内線2627)
電 話 (代)[現在ご利用いただけません]


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