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医療保険福祉審議会 第8回介護給付費部会議事要旨

1 日時及び場所

平成10年10月26日(月) 16時30分から18時30分
厚生省 特別第一会議室

2 出席委員

星野、青柳、井形、石井、加藤、喜多、京極、見坊、下村、田中、中村、中西、成瀬、野中、橋本、堀江、村上(忠)、村上(勝)、山口の各委員、山崎参考人

3 議題

(1)介護報酬の主な論点の中間まとめについて
(2)医療保険と介護保険の区分について
(3)介護実態調査の実施方法等について
(4)その他

○ 資料021、022に沿って、介護報酬の主な論点の中間まとめについて、介護保険制度施行準備室神田次長より説明。

(中村委員)

 特別養護老人ホームとデイサービスのリハビリ等の加算については、現在PT、OTが配置され利用者が受けている実態があるのに、こうしたサービス水準から後退があってもよいのか。介護保険法の規制があるというなら、介護保険法は何のためにつくったのか。
 再三言っているように、特養全施設の内1割弱は、リハビリテーションを受けることができる施設として現在運営されている。デイサービスも同様である。介護保険法の改正を視野に入れてもらえるのか。

(橋本委員)

 特養やデイサービスでの機能訓練やリハビリテーションを評価するということ自体を否定するつもりはないが、機能訓練室でPTやOTがやるような機能訓練だけがリハビリなのではなく、最近、外国でアクティビティの活動などと言われている、料理、陶芸、園芸などの心身の機能を維持、活性化する活動にも着目すべきである。 PTやOTがいれば、それが機能訓練だという考えは、あまりにも身体的なことに偏りすぎているのではないか。
 単にリハビリを行うことを評価するのではなく、それがどういう効果をもたらすのか、ということを検討すべきである。

(神田次長)

 特別養護老人ホームやデイサービスにおける機能訓練は、それらが医療提供施設ではないため、医師のリハビリ計画と指示に基づいて行なわれる、診療補助としてのリハビリテーションではなく、それ以外のさまざまなメニューも含めて、機能を維持する観点からの機能訓練、と法律上位置づけているものである。
 そういう意味での現状の機能訓練を行うために、介護老人福祉施設の指定基準案における人員基準では、機能訓練指導員を配置することになっており、デイサービスにおいては、看護職が配置されることで、一定の機能訓練的な行為はできると考えている。
 さらに人員配置を強化して機能訓練に取り組んでいるような場合には、最低基準ではないが、個別に実施状況を評価する考え方もある、という趣旨のことを資料に追加している。

(中村委員)

 特別養護老人ホームは、医療施設でなくとも、現実として1割弱の施設の医務室でリハビリテーションが行われ、医療保険請求ができている。現状の利用者に対して、リハビリ面でのサービスの後退があってよいということか。

(神田次長)

 それは、特別養護老人ホームの医務室が例外的に保険医療機関としての指定を受けている場合と考えられる。現在は、新規の指定は認められていないので、既得権としてすでに保険医療機関に指定されているところに限って、治療行為の請求ができているが、特別養護老人ホームの治療行為ということで請求ができているということではない。

(中村委員)

 リハビリを利用した生活ができなくなれば、そうしたお年寄りは、リハビリのできる介護老人保健施設へ移れということか。

(下村委員)

 診療所という医療機関がなくなるわけでなければ、現在の取扱いも残るのではないか。ここでは、特養そのもののことが書かれているのではないか。

(神田次長)

 介護老人福祉施設としての請求について書いてあり、例外的既得権として残っている診療所の報酬が継続できるかどうかということとは、ここでの議論とは一応別個のものと考えている。

(中村委員)

 近い将来、3つの施設サービスが統一化される方向にあると聞く。確かに、生活リハを採り入れてOTやPT以上の効果を上げている場合もたくさんあるが、それを絞り込んで、PT、OTによるサービスをしているデイサービスセンターもたくさんある。これをできなくさせるのか。介護保険法では、リハビリ施設ではなくなるというのであれば、我々は、団体として介護保険法改正に向かって動くしかないのか。

(神田次長)

 特別養護老人ホームでOT、PTの方が従事し、機能訓練を行っているというのは事実であろうが、OT、PTの方が配置されたり、機能訓練の体制が強化されている場合には、実際費用がかかっているので、そういうものを個別の状況に応じて評価できないか、という趣旨で資料には書いている。
 OT、PTの方がそこでやっている医療行為は、医師の具体的なリハビリ計画に基づく、医師の指示によるリハビリテーションではなく、今の特別養護老人ホームとかデイサービスセンターそのものは医療提供施設という位置づけになっていないので、直接的な医師の指示が必要でない機能訓練を中心にサービスが提供されている、という整理になっている。

(橋本委員)

 特養のリハは、必ずしも、OT、PT、看護婦がやるものではないのではないか。また、それは、生活リハというような曖昧なものではなく、本来、アクティビティワーカーというような職種が、きちんと一人一人の心身の機能を評価し、一人一人のためのケアプランをつくり、心身機能の活性化にとって最もふさわしい対応をすべきものではないのか。

(京極委員)

 この問題に関しては、介護保険法ができる前に老人保健福祉審議会でも議論があった。従来、在宅でやっているリハビリテーションを、介護保険とは別にするのは不合理であり、医療と福祉を一緒に介護保険の下でやるという議論の中で出てきた。福祉にもリハビリ的機能があるが、医師による医学的管理の下で行う点を明確にし、別途報酬をつけるという結論であった。

(村上(勝)委員)

 居宅療養管理指導では、居宅介護支援事業者に対する介護サービス計画等の策定に必要な情報提供を評価するとあるが、介護保険施設では、配置医師に準ずるような、協力歯科医とか協力薬剤師などの努力規定すらなく、遅れているのではないか。
 例えば、歯科治療等の訪問診療についての情報提供が行われるならば、その施設の入所者の口腔内の状態が改善され、咀嚼機能等が向上することにつながるのではないか。

(山口委員)

 介護老人保健施設における必要な医療の評価の中で、「老人保健施設において一定の複雑な処置、手術等を行った場合に限り」云々とあるが、この「等」の中には、透析が含まれるのか。入所者の中で、透析を行う方が増えつつある。

(神田次長)

 人工透析等については、複雑な処置として含まれるのではないかと考えている。

(橋本委員)

 日本の介護保険制度が海外から高い評価を得ている理由として、現金給付をしないということがある。現金給付に関して、最近の新聞報道で、家族が介護をしなければならない時、家族がホームヘルパーであれば、報酬を支払ってもいいという議論が老人保健福祉部会でなされ、その方向で決定されそうな雰囲気であると伝えていた。しかも、ホームヘルパーである家族がサービスをした時には、支払われる報酬は安くてもいいのではないかといった検討がなされているとのことであった。これは、介護保険の原点とは異なる、現金給付の発想なのではないか。
 最近の介護給付費部会では、出身母体に立った発想から、どうしても入所型介護に寄った議論がなされている。できるだけ自宅で暮らすことを目指す介護保険の在宅ケアは、本当にできるのだろうか。介護保険の財源を、入所型ケアで多く使えば、在宅ケアに残るお金はごく限られたものになるのではないか。介護保険は何のためにつくろうとしたかという原点に立ち返って、バランスを考えるべきである。

(中村委員)

 再三、介護保険扱いと医療保険の扱いは整理整頓してほしい、介護保険は介護保険として特色のある保険にしてほしいと発言しているが、有床診療所が療養型病床群に転換し、各県で計画数以上になってきている。
 有床診療所については、医師1人の配置では、19ベッド以下で入院時間の制限があり、外来患者数についての制限はない、という理解でよいか。

(神田次長)

 医師数は、外来との関係もあると思うが、19ベッド以下の制限はある。外来の診療も当然行われるが、48時間の入所時間制限については、療養型病床群を診療所も設けることができるとした時に、適用を除外する整理をした。

(中村委員)

 今の有床診療所は、極端なことを言えば、外来患者数が300人、500人であっても、医者1人で看ることができることになっている。
 有床診療所を介護保険対応の療養型病床群にする時に、24時間制限、入院日数の制限がなくなるのなら、当然、ベッド数と外来患者数に応じて、医師数の配置基準も考え直す必要があるのではないか。

(京極委員)

 痴呆対応型共同生活介護の制度化は画期的で評価したいが、運用に関して、寒冷豪雪地帯や南の島で非常に台風の多い地域で独り暮らしをしている痴呆のお年寄りが、季節的に利用できるようにできないものか。痴呆の方のために特養等の重装備施設を多大なコストをかけて各地につくることは大変であり、冬場に1軒1軒の間が離れているところにヘルパーさんが行くこと自体が困難な地域がある。

(下村委員)

 介護療養型医療施設では、透析は複雑な処置だから病棟を移すべきだと書いてあるが、介護療養型医療施設は透析をやる能力もないということか。手術が必要な場合、急性増悪時は、全部移すとあるが、大変ではないか。介護保険をつくった時の考え方は、要介護老人が入っている場所によって医療との関係は区分をする、ということであったはずだ。

(山口委員)

 老人保健施設には透析室等の医療設備はなく、医療機関で透析をやることになる。そこで、透析が一定の複雑な処置の「等」の中に入ってるのかどうか質問したい。

(神田次長)

 医療保険と介護保険の区分けの審議の中で、仮に、介護保険適用の療養型病床群に入っている患者さんであっても、急性期の治療あるいは複雑な治療が必要になった場合には、基本的には、病棟を移って、医療保険から給付を受ける、ということを原則とすべきという議論があったことを踏まえて、その具体的な考え方としてどのようになるのかということを整理させていただいている。
 老人保健施設も療養型病床群も、本質的に、難しい処置や治療になれば医療保険から給付をすべきではないか、というのがこの場の議論であったと理解している。

(加藤委員)

 療養型病床群では、入院透析をしなければならないような入院患者はいないと言っていい。

(下村委員)

 無限定に手術や透析はすべて他でやるかのように書いてあるのは、おかしいのではないか。もっと限定条件をつけるべきである。

(加藤委員)

 一般の手術は本来手術の設備がある病院ですべきであり、術後管理である程度の時期が来たら、療養型病床群のベッドでも管理はできるとしても、介護型の療養型病床群での対応は難しいと思っている。

(下村委員)

 なぜ、介護型ではできないのか。

(加藤委員)

 例えば、白内障の手術が必要になったり、骨折をして整形外科的な手術が必要になったという場合は、手術設備がある一般病院で行うのが普通である。術後管理が一般病院で大変な場合は、介護型ベッドでも管理はできると考えている。

(下村委員)

 非常に軽易な手術の場合には、通院で行っている場合もあるわけだから、通院で透析を行うことがかなりあるはずだ。通院形態をどう考えるのか。

(加藤委員)

 要介護高齢者と異なり、外来透析を受けている人たちは、もう少し若い時期から在宅で当然生活しながら透析を受けている。その人たちが、要介護認定を受け、療養型病床群を入院先として選んだ場合は、透析は処置になる。透析施設のあるところで透析を受け入院の管理は療養型病床群でということは、あり得るかもしれない。

(下村委員)

 透析や手術の全てが別物だという書き方はおかしいのではないか。

(神田次長)

 処置や手術の全てではなく、あくまでも「複雑な」ということである。具体的には、介護保険と医療保険の区分けの仕方のところでご議論いただきたい。

(下村委員)

 具体的に限定しないと、実際問題として制度の運営ができないと思っているので、こういう曖昧な表現はできるだけ避けていただきたい。

(田中委員)

 介護報酬が技術向上の誘因になるといいが、痴呆のグループホームでは対象者を断定的に軽・中度の痴呆の者としている。要介護度の軽・中度と痴呆の問題行動は別な軸であるとしているが、中度までのものを重点的に評価するとある。
 重度者のケアを一生懸命しているグループホームの人は、高い支払いを受けられないと言っているのに等しいのではないか。

(神田次長)

 一度ご議論いただいた時には、「軽・中度の痴呆の者を対象とする施設であり」と非常に限定的に書いてあったが、「中心として」というふうに変えた上で、単に痴呆の軽・中ということではなく、問題行動など、グループホームでの処遇が困難になった場合に、他の適切な施設への紹介が妨げられることがないような評価にすべき、という趣旨を加筆している。

(田中委員)

 工夫は認めるが、「中心として提供されるサービスであり」というのは、多分事実だからいいとして、「中度までの者を重点的に評価することが適当と考えられる」という文章はわざわざ入れなくてもいいのではないか。それぞれの工夫に任せ、要介護度に応じた支払いでいいのではないか。

(橋本委員)

 かなり重い人でも、ケアがよければ落ち着いて生活できるので、軽・中度に限定しないほうがいい。困難になるというような場合もなくはないと思うが、その時に移る適切な施設とは医療施設のことか。
 こういう曖昧な表現ではなく、特養でも、人員配置を3:1ではなく、2:1とか2.5:1として、非常に重度の方への対応もできるようにすることまで考えなければならないのではないか。

(神田次長)

 グループホームは、少人数で家庭的な環境の中で、その方のペースに合わせた処遇をするということが基本ではないか。法律上も、痴呆に伴って著しい精神症状を呈する者とか、著しい行動異常がある者、その他、急性状態にある者は除くというふうに書いてある。
 共同生活が保てないような状態になっている方は、医療施設などふさわしい施設に移すことが適当ではないかということであり、問題行動が激しく急性症状を呈しているような状態まで、要介護度に応じた高い評価をするということになると、ふさわしい処遇が妨げられるのではないかという趣旨で書いたものである。

(野中委員)

 痴呆対応型共同生活介護は、痴呆対応だけではなく、独り暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯も含めた、グループホームとしていただきたい。
 痴呆対応型共同生活介護の費用負担では、「家賃相当部分は入居者の負担とされており、施設の減価償却部分については利用者負担とする必要がある」となっているが、入所者と利用者が異なる部分を負担するという意味か。入所者と利用者はどう違うのか。

(神田次長)

 入居者と利用者を別途分けるということではなく、そこに入居して、サービスを受けている方という意味である。
 利用者負担は、入居者の負担と同じ意味である。

(野中委員)

 もう少し、理解しやすい表現をしていただきたい。最初に言った痴呆対象だけではない、ホームケア的なグループホームのあり方というものについては、どんな考え方があるのか。

(山崎課長)

 要介護に至る前の段階で生活支援が必要となる方も多くいるため、介護保険とは直接は関係はないものの、地域の実情に応じた小回りの効く生活支援システムや施設を充実していく必要があり、ケアハウス等をさらに充実・整備していきたい。
 グループホームは始まったばかりで、ある面で実験段階と言えるが、中には重い方も入居しており、グループホームだけで全て対応できるかどうかは、一つの論点だと思う。グループホームの中で全部担っていくという形もあるが、特養や老健等の連携施設にどうバックアップしてもらうかも検討する必要があるのではないか、と考えている。


○ 資料023、024に沿って、介護保険と医療保険の区分について、神田次長より説明。
(加藤委員)
 画像診断のうち、CTやMRIは、医療保険の請求と考えてよいか。

(神田次長)

 複雑な画像診断ということで、医療保険適用となる。

(中西委員)

 介護老人福祉施設の説明の中で、配置医師が行うべき健康管理と、他の医療機関等により提供される医療との関係については、実態調査のところで説明するとのことであったが、例えば、歯科や薬剤師の場合は、現在、特養では門前払いの形になっており、調査しようにも、実態がないのではないか。

(神田次長)

 医師に関することとしては、配置医師がどれくらいの頻度で、具体的にどういった行為までやっているのか、外からの往診や外来で対応している治療の実態が必ずしも十分明らかにはなっていないので、まず実態を把握して整理をすべきではないか、ということが部会での議論であったと理解している。
 歯科医師、薬剤師の場合も、必要があれば、その実態等を把握する必要性などについて、このあとご議論いただきたい。

(橋本委員)

 居宅療養管理指導は、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士が、家庭に出向いて療養上の管理指導をするもので、大変よいことではあるが、在宅の方々の介護保険の給付が、みなここで使われてしまう心配がある。これらのサービスについては、別枠ないしは何カ月かに1回というような考えはないのか。

(神田次長)

 在宅サービスの支給限度額については、代替性のあるサービスのかたまりごとに支給限度額を設けるという考え方である。居宅療養管理指導の場合は、具体的には、医師あるいは歯科医師の指示があった場合に、医療的な必要性を踏まえて行われるサービスで、基本的に他のサービスと代替性がないことから、別枠ということで考えている。

(橋本委員)

 別枠とは、常時別枠という意味か。

(神田次長)

 薬剤師あるいは栄養士は、個別の必要性に応じて居宅に行くものであり、代替性があるものではないため、特に限度額を設けるという考え方はない。ただ、現在も診療報酬上の算定の問題として、例えば、訪問薬剤管理指導については月2回までといった回数制限があるため、通常の必要性に対応したところまで報酬を出すという考え方になるのではないか。

(下村委員)

 通常の支給限度額に、こういうものが加算されるということか。

(神田次長)

 通常の訪問・通所系のサービスとは別枠で算定される、ということである。支給限度額は、サービスの代替性のある区分ごとであり、例えば、ホームヘルパーと薬剤師の代替性があるというのは難しいのではないか。

(下村委員)

 すると、例えば歯科の訪問指導では、歯科医が判断すれば、一定の範囲までは、支給限度額自体がトータルとしては上がる、という考え方か。

(神田次長)

 そもそも支給限度額ではないが、給付額は増えることになるだろう。今の訪問診療では、それぞれ、通常の在宅医療のニーズに応じた回数まで報酬上は算定できるようになっている。

(下村委員)

 全体として、一体どういう数字がどんなふうに出てくるのか、実務的に、それで本当にうまく動くのか、というところがもうひとつよくわからない。案のままで、とりあえず作業をし、数字等の具体的なものが出た段階で、賛否の意見を述べたい。

(星野部会長)

 次の実態調査の調査項目で検討してから、という取扱いで良いと思う。

(見坊委員)

 一定の療養上の管理指導、つまり、居宅療養管理指導も介護保険の対象として要介護度に応じた支給限度額内で介護保険から支払われることを計算に入れて、介護支援専門員はケアプランを作成しなければならないと理解してよいか。

(神田次長)

 介護保険の中でも、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリについては、医師の指示を受けて行われる医療系サービスであるため、例えば、リハビリが必要などの情報提供をしてもらうことについて、介護保険の中で評価をしていくことを考えている。
 居宅療養管理指導そのものは、訪問・通所系のサービスの支給限度額の枠外と考えており、例えば訪問介護や訪問看護を使ったから、ケアプランに対する情報提供がしてもらえなくなる、というものではない。

(山崎参考人)

 「これらの介護保険の給付対象となるサービス以外の在宅医療」の中身について、お示しいたただきたい。また、精神科訪問看護はこれまでどおり医療保険からというのはよいが、対象者が要介護認定を受けた場合、訪問看護以外の訪問介護等のサービスが必要であれば、介護保険から給付をするということか。

(神田次長)

 介護保険の給付対象外の在宅医療の内容としては、例えば在宅の自己腹膜灌流の指導料、在宅酸素療法の指導、といったいわゆるハイテク在宅と言われるような在宅医療の指導料などが入るのではないかと考えている。
 精神科訪問看護を受けている方も、要介護認定を受ければ、福祉サービスなどについては、当然、介護保険から受けられるようになる。

(野中委員)

 居宅や施設等を訪問し療養管理指導をしていただくことについては、有難いという面もあるが、その報酬がどれだけ必要かが明確になっていない以上、本当に介護保険が成り立っていくのだろうか、という不安のほうが先に出る。

(神田次長)

 訪問診療として継続的に家庭に行っていただいていることの評価ではあるが、例えば、検体を持って帰って検査をした場合や投薬をした場合、あるいは訪問診療の費用そのものは医療保険から給付するため、主として介護保険では、情報提供や介護に関する指導・助言部分を給付するので、非常に多額になるということはないのではないか。

(京極委員)

 介護保険では、最小限、必要な医療的な行為について給付対象にするということはよくわかるが、例えば老人保健制度で、現行行っているものを全て盛り込んでしまうということではないのではないか。介護サービスの充実が不十分にならないように、最小限の原則が必要ではないか。


○ 資料025に沿って、介護実態調査の実施方法等について、神田次長より説明。

(田中委員)

 それぞれの経営実態調査について、法人会計等に準拠した収支調査と書いてあるが、複数のサービスを同じ事業者が行っていたり、訪問系の会社の本業は全然別な事業であることが多いといった実態がある。法人会計を見ても実際にはわからないことが多いので、事業部門ごとの経営実態を見る必要があるのではないか。
 訪問通所系の場合、従事者が何人いるかだけではなく、その人たちがサービスをしている時間、移動時間、書類を書いている時間、部下を管理している時間といった、プロセスもある程度わかるような調査にしたほうがいい。
 郵送で自己申告で帰ってきたものをそのまま集計する方法にすると、おそらく、1回目に帰ってきたデータは多分ほとんど使いものにならない。もう1、2回、調査する側が注意深くフォローアップするような、調査設計にすべきではないか。

(橋本委員)

 在宅サービスに関しては、入所型と違い、どのくらいのサービスが提供されたかという量を見るために、どうしても時間軸を入れる必要があるだろう。

(京極委員)

 事業部門ごとの調査も大事だが、特定事業の赤字を他の事業部門からかなり補填している等の実態があるので、それがわかる調査にしていただきたい。
 大学とは違い厚生省がやるから協力するとも思うが、この調査の重要性を考えると、回収率が悪くならないような工夫が必要ではないか。
 1回調査した後も、典型例について再度個別のヒアリングを行えば、非常に政策に役立つ情報が得られるのではないか。

(見坊委員)

 職員体制の調査では、資格内容が明らかになるようにお願いしたい。利用者の状況と書いてあるが、特に在宅サービスでは、利用者負担、市町村委託、自由契約、交通費等をもらっている場合ともらってない場合、といったように、是非、利用者側の立場から見た状況がわかるようにしていただきたい。

(下村委員)

 最終的には、介護報酬は、介護等級別に1人当たり、1日いくら、ひと月いくら、といった決め方になるので、利用者の介護等級に適用し、どういう等級の人が何人その施設を利用していたかという実態を調べることで、収入はわかるはずである。
 医療点数にしても、措置費にしても、かなり個別の行為ごとの積み上げはやっているので、それぞれの行為に応じた収入は一応出てくると思うが、法人会計との関係で、1人当たりの費用は把握できないのではないか。いくら複雑な調査をやってみても、個人別の単価を一体どうやって出すかの見当がつかないのではないか。

(神田次長)

 例えば、施設で要介護度に応じた報酬額を設定する場合に、要介護度に応じて可変的な経費の部分と、共通の経費の部分があるのではないかと考えている。減価償却費、食材料費、調理員、栄養士、ボイラーマン、施設長、指導員といった部分は、要介護度に応じて費用がかかる、というものではない。要介護度に応じた費用とは、基本的には介護時間に応じた費用の部分である。主として、看護職員、介護職員の部分ではないかと思われる。
 実態調査の中で個別の費用額を調査することが難しくとも、10年度の要介護認定の試行的事業で、約20万人の要介護度の実態を把握するということになっており、そのうち10万人が施設入所者であることから、それぞれの施設ごとにどれぐらいの要介護度の分布になっているのか、ということは来年の2月ぐらいにはわかる。その分布を見ながら、可変的な看護職員や介護職員の経費をどのように傾斜をつけるかが、主要な検討の課題になるのではないか。
(下村委員)
 施行までの時間を考えると、コストの面の分析ができないかもしれない。現在の収入をベースにして、1人当たりいくら払われてるかをとりあえず出してみるという方法がないわけでもないが、報酬体系として見ると、かなり歪みがあるものができるかもしれないので、現実性のある調査をしてもらいたい。

(中村委員)

 デイサービス事業については、介護保険対象分部分だけでは、完全に減額となるであろうから、実態調査をする場合には、要介護度だけでなく、生活支援部分でデイサービス事業がどこまで貢献していたかは、ぜひ把握をしていただきたい。
 介護保険の介護報酬とは直接関係はなく、この部会が扱う議題とは違うものの、一般財源での取り扱いという問題等も浮かび上がらせるような実態調査をしていただきたい。

(成瀬委員)

 在宅介護中心ということだから、在宅のほうがコストが安いという考え方にたどりつければ一番よいが、サービスとしてはひとつにまとめた施設のほうが、ランニングコストとしては安くなると考えられる。それでも施設の費用が高くなっているのは、結局、不動産のコストがかかっているからではないか。
 在宅は、不動産のコストがゼロに近く、そこで差が出る。トータルコストで考えると、在宅のほうが安いし、要介護者本人も在宅を望んでいるので、ランニングコストだけの調査にとどまらず、経済合理性を考慮したものにしていただきたい。

(山崎参考人)

 健康福祉関連サービス産業の統計調査が昨日発表になったが、在宅福祉サービスの事業所を経営組織別に見ると、営利が70%であり、営利化が進んできている。
 サービスが定型化されてないところでこういう実態調査をした場合、本当にコストが出るのか。訪問介護や訪問入浴には、委託、助成といったサービス提供の仕組みがあるが、訪問看護は90数%の収入が療養費である。介護報酬の枠組みと整合性をとった調査をしなければ、コストは出て来ないのではないか。
 在宅でも、要介護度別、サービス内容、時間というマトリクスがあるので、多分、訪問看護や訪問介護については、事業概要、経営、勤務の実態調査だけでは求めるようなデータにならないのではないか。

(野中委員)

 審議を終える前に、家族介護について発言したい。家族介護という言葉が一人歩きをしているようであるが、有資格者による家族の介護もありうるという問題提起をしているものである。町村で責任を持って運用できるシステムとし、介護保険料が大都市や企業に全部持って行かれることがないよう、弱小の市町村の所得として残っていくような施策として取り組んでいることへのご理解をいただきたい。

(橋本委員)

 専門的なケアを地域の人で担い合うことと、専門職であるヘルパーが自分の家族を介護することとは、全く意味合いが違う。専門職という場合も、ホームヘルパー3級なのか2級なのか。3級は入門であり、2級が中心となっていくべきである。

(中村委員)

 家族ホームヘルパーを認めるのであれば、2級でも十分とは言えないので、ヘルパー1級、2級、3級というカリキュラム自体を見直すつもりで臨んでほしい。

(星野部会長)

 本日はこれをもって、審議を終了したい。


問い合わせ先 厚生省老人保健福祉局企画課
 電 話 (直) 03-3591-0954
厚生省老人保健福祉局介護保険制度施行準備室
 電 話 (直) 03-3595-2890


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