HIV診療支援ネットワークシステム部会
(第1回)議事概要
1.日 時: |
平成10年10月5日(月)14:30〜16:55 |
2.場 所: |
厚生省別館共用第13会議室 |
3.出席者: |
(厚生省)上田政策医療課長、山本運営企画課補佐、桐生政策医療課補佐、池田エイズ疾病対策課補佐、中田医薬安全局医薬品副作用被害対策室補佐 |
(国立国際医療センター)岡臨床研究開発部長、秋山情報システム部長 |
(国立大阪病院)白阪臨床研究部ウイルス研究室長 |
(原告団・弁護団)東京4名、大阪4名 |
*梅田、青木、安岡委員欠席 |
4.議 題: |
1.部会の要綱について
2.HIV診療支援ネットワークシステムの運用の在り方について
3.管理要綱について
4.説明同意文書について
5.今後のスケジュールについて
6.その他 |
5.議事要旨
(1)HIV診療支援ネットワークシステム部会要綱について
○事務局より部会要綱(案)について説明後、以下の質疑応答
原告団:
- 部会要綱(案)における「構築」は、システムを作ることを前提として中身だけ決めていくというニュアンス。原告団が提示した「設置」がシステムを途中でやめることを含めている趣旨と異なる。
システムに重大な問題があって途中でやめることとなったとき、システムの設置・廃止については、エイズ治療・研究開発センター運営協議会における問題かHIV診療支援ネットワークシステム部会におけるものか。
厚生省:
- 構築の意味は、設置の趣旨であり、コンピュータ業界では構築と言っている。なお、和解に基づいたものであるから、システムをつくることは前提である。
座長:
- 「設置・運営」とする。エイズ治療・研究開発センター運営協議会要綱の文言も合わせる。
原告団:
- 部会委員の構成について、主体がどこか分からなくなるので、国立国際医療センターとエイズ治療・研究開発センター(ACC)を二つに分けて明確にするべきである。
ACC、ブロック拠点病院、拠点病院の三層構造においてA−netを作る場合、ACCが第一義であり、国際医療センターに埋没させることは、今後解釈に疑義を生じる恐れがある。
座長:
- 今後検討する。
原告団:
- 部会の委員のうち、原告団・弁護団の人数を東京・大阪をそれぞれ3名から4名としてほしい。(了承)
原告団:
- 部会要綱(案)の別紙で、「国立大阪病院兼ブロック拠点病院」は分けるべきではないか。
厚生省:
- 部会要綱の別紙は現状を示す。
厚生省:
- 部会要綱(案)の日付について、委員の構成において保留する部分はあるが、本日付としたい。(了承)
2.HIV診療支援ネットワークシステムの運用の在り方について
○事務局よりネットワークシステムの概略説明後、以下の質疑応答
原告団:
- 受診していない病院でのコンサルテーションについて、このシステム上はできないのか。
厚生省:
- コンサルテーションの運用について決められていないので、できないと説明したのであり、ルールさえできれば、システム面は対応可能。
3.HIV診療支援ネットワークシステム管理要綱について
○事務局より管理要綱(案)の説明後、以下の質疑応答
原告団:
- 管理要綱第3条の4における「制限または禁止することができる」については、A-net部会での協議を受けてか、総括管理者の権限か。
厚生省:
- 総括管理者の権限による。緊急性のある場合は部会に諮ることができない。
原告団:
- どういう場合に権限が行使できるかが曖昧。また、9条の「A−netの利用施設は、エイズ拠点病院の申請に対して総括責任者が承認した病院とする」の後に入れるべきではないか。
原告団:
- 9条、10条において利用を承認することとなるが、病院と利用者個人それぞれが申請する趣旨か。
厚生省:
- そのとおり。興味本位の医師に対する対策。
原告団:
- 10条の「エイズ拠点病院の医療関係者」は誰でもいいのか。エイズ診療に携わる者に絞るべきではないか。また、全科対応なのか。全科に拡げることは心配であるが、拡げないと機能しない。
厚生省:
- 主たる医療従事者については、一括して承認し、あとは施設の実情を踏まえ、必要に応じて承認することを想定している。
原告団:
- どういった場合に制限するかを決めるべきである。
原告団:
- 3条の4、9条、10条は、14条のように「A−net部会の意見を聴く」こととできないか。または、「緊急の場合には事後的に部会で承認を得るものとする」など。
座長:
- 細則において規定するかを含め今後検討する。
原告団:
- 1条において、(以下「エイズ拠点病院」という)を「エイズ拠点病院等」とするべきである。その後の文言も合わせること。(了承)
原告団:
- 14条のデータの研究利用について、研究目的は、ネットワークの大きな柱である。個人的には、自由な研究の方が活発な研究がなされることから、研究について専門家の手足を縛りたくない。どの程度まで厳しくするかは難しい。
厚生省:
- 全く診療支援につながらない研究について、この条項ではねつけられると考えている。
原告団:
- 国立のエイズ拠点病院66施設についても9条、10条で申請させるのか。今後、地方のエイズ医療の底上げを図る意味から、患者がシステムを利用して欲しいと考える施設においても、施設長や利用者が申請しないと使えないということか。
厚生省:
- そのとおり。ただし、インフラがあり、患者の希望がある場合に主治医がシステム参加を拒否できるかどうか。
原告団:
- 参加を強制すると歪が生じ、利用もされないジレンマがある。それでも参加を義務づけられるかどうか。
原告団:
- 管理要綱第5条において、システム管理者を国立国際医療センターに置くとされるが、エイズ治療・研究開発センターとするべきではないか。
厚生省:
- ACCだけで使うものではないこと、また、データの利害関係のない中立的な立場が望まし く、管理者はACC以外の方が中立性が保たれることから、国立国際医療センターに置くこと とした。
原告団:
- 持ち帰り検討する。
原告団:
- 管理要綱第12条の2における「システム管理者が定める規程」は18条で定める細則と同じか。
厚生省:
- 同じ。部会において決める。
原告団:
- 管理要綱第6条におけるA−net保守センターについては業者(IBM)に依頼するということであったが、守秘義務はどうなるのか。契約上でうたわれているのか。
厚生省:
- 確認する。
原告団:
- ネットワークシステムの試行は、どのようなことを行うのか。
厚生省:
- ACCと厚生省所管の国立のブロック拠点病院の間で稼働する。きちんと動くか、安全性が確保できるかを確認する。また、現場の医師等から運用に関する問題点について意見を出してもらう。実際に患者から同意書を取り始めて、入力を開始する。
原告団:
- 試行に当たり、要綱(案)にしても細かい点や読み方についてズレがあるから、まず試験運用における同意書をつくるべきである。
厚生省:
- 本来、10月20日に2回目の部会を開催予定であったが、都合により2回目を10月30日(金) に行うことなり、日程上10月26日(月)の試行の後になってしまった経緯がある。
座長:
- 10月30日(金)に2回目の部会を行い、11月 2日(月)に試行開始とする。(了承)
原告団:
- システムの内容が変化していく可能性があるにもかかわらず、変わる前に見切りで同意しなければらならいことが気になる。システムが本稼働したときに同意書の更新ができないか。
原告団:
- 11月 2日(月)に試行となると、コンサルテーション診療も含めて試行するのか。
原告団:
- システムの内容が変化しても患者の利害に関わらないことは文句はでない。個人のプライバシーの部分以外について患者は興味がないのではないか。
原告団:
- システムが安全だから参加して下さいという説明はナンセンス。システムの良さ、どういう医療を受けられるか、コンサルテーションの有益性などを明確にする必要がある。
原告団:
- エイズ医療は、アメリカのデータの翻訳を利用している状況であるが、3年も立てば役に立つデータが揃うのではないか。ビジョンを明確にしてほしい。
○東京HIV原告団・弁護団より、「HIV診療支援ネットワーク説明文書(案)について」(平成10年10月2日)の文書提出があった。
-
(1)説明の主体は誰か。
(2)目的欄に治療行為と治療研究を記載すること。
(3)同意の更新についての提案。
(4)同意の撤回について、過去に遡るのか、将来的に使えないようにするのか。
(5)カルテ開示に関して閲覧することができることを明示してほしい。カルテではないので法的根拠がないはず。 |
○大阪HIV原告団・弁護団より、「A−netに関する現時点における問題提起」(平成10年8月31日)の文書提出があった。
-
(1)患者の最たる懸念は、真にプライバシーが確保されるか否かということ。
(2)プライバシーの確保が技術的に確立していることについて、患者に具体的かつ判りやすく説明を行う必要があること。
(3)電子情報を見ることができる者の範囲が曖昧であること。
(4)一旦同意した後の撤回は可能か。 |
座長:
- 10月9日(金)までに、管理要綱(暫定案)と試行のための同意書(案)を原告団に提示する。
2回目の部会においては、同意書から議論を始め、患者に示すパンフレットの議論も行う。
以 上
問い合わせ先
厚生省保健医療局国立病院部政策医療課
担 当 岩下(内線2627)
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