98/09/25 第6回水道部会水質管理専門委員会議事録 第6回生活環境審議会水道部会水質管理専門委員会議事録 日時:平成10年9月25日(金)10:00〜12:00 場所:厚生省共用第13会議室 議事次第 (1)水質基準の改正等について (2)水道における水質管理方策について (3)その他 配付資料  資料1−1 水質項目別個別情報(抄)  資料1−2 各項目の毒性評価のまとめ  資料2   水質管理に関する課題の整理(改訂) ○ 松澤水質管理専門官  これより、第6回水質管理専門委員会を始めさせていただきます。 過半数を超える先生方がお見えになっていらっしゃいますので、本日の会議は成立して います。  今回から国立医薬品食品衛生研究所総合影響評価室長の長谷川先生に専門委員として 加わっていただいておりますので、御紹介いたします。長谷川委員でございます。 ○ 長谷川委員  長谷川と申します。よろしくお願いいたします。 松澤水質管理専門官 最初に、お手元の資料を確認させていただきます。第6回と書い た議事次第の1枚紙、資料1−1、資料1−2、資料2と3種類の資料がございますで しょうか。 ○ 黒川委員  お手元にございますでしょうか。それでは、議事に入りたいと思います。資料1から 説明をお願いします。 ○ 松澤水質管理専門官  昨年度末の時点で水質基準等の改正について一通り中間的に取りまとめていただき、 その中で、毒性情報を整理した上で検討することとなった項目がございます。本日は、 その毒性情報について御報告をし、御審議いただきたいと思います。毒性評価につきま しては、国立医薬品食品衛生研究所の先生方にお願いをいたしまして研究班をつくって いただいて、その評価を取りまとめたものが資料1−2でございます。それを踏まえて 事務局の方で資料1−1をつくってございます。 資料1−1の構成は、全部共通してございますが、現行基準、用途、使用量等、毒性、 検出状況、浄水の処理方法、更に、まだ数値等は入っておりませんが評価値及び項目の 位置づけ、検査方法という構成になっております。3の毒性というところについてそれ ぞれの項目について今回の毒性評価(案)を記載してございます。  それでは資料に基づき各項目について説明させていただきます。まず、はじめに、ニ ッケルでございます。WHOの1993年のガイドラインの毒性評価は、ラットを用いた2 年間の混餌投与試験からNOAEL5mg/kg/day、不確実係数1,000としてTDIを5μg/kg/ dayとしております。監視項目設定時の評価は、このWHOの評価と同じでTDIを5 μg/kg/dayとしています。WHOは1998年のガイドラインの追補の中でニッケルについ て見直しをしており、複数の試験の結果からNOAELはおおむね5mg/kg/dayという結論で ございます。ラットを用いた塩化ニッケルの飲水投与での2世代繁殖試験(Smithら) において第2回出産時の新生仔の死亡率の増加が認められたことからLOAEL1.3mg/kg/day が求められております。ただし、第1回目出産時のLOELが31.6mg/kg/dayとなっており、 1回目と2回目でばらつきがあるということで、確たる結論をこの試験から導くことは 困難であるとWHOでは評価をしております。また、もっと不十分な試験であるが、ラ ットを用いた塩化ニッケルの飲水投与での2世代繁殖試験からNOAEL7mg/kg/dayという ものが求められております。これらを総合的に評価してNOAEL5mg/kg/dayという形で評 価値自体は維持をしている訳でございます。  次のページに今回の評価(案)がございます。ラットを用いた2年間混餌投与試験か らNOAELは5mg/kg/dayが求められておりますが、本試験は死亡率が高く、その原因も不 明であることから、発がん性については評価が出来ないということでございます。  それから、ラットを用いた2世代繁殖試験(Smithら)については、第1回目出産時と 第2回目出産時の毒性発現用量が著しく異なること、それから、同様の試験条件下で行 われた2世代繁殖試験についても試験条件に問題があるということで、この2つの試験 の適性を現時点で判断することは出来ないということでございます。  以上からAmbroseらの長期毒性試験及び2世代繁殖試験ともにTDIを算出するのに 不十分な状況にあるが、Ambroseらの長期毒性試験の結果に基づき、暫定的なTDIを5 μg/kg/dayとするという案でございます。  これは、資料1−2を参考にしながら今回の評価(案)ということで事務局案をつく っております。  以上でございます。 ○ 黒川座長  ありがとうございました。  毒性評価については、一般毒性、発がん性、生殖・発生毒性、変異原性、代謝等様々 な分野がございますので、先ほど御紹介があったように、長谷川委員も含め6名ぐらい で各物質について毒性評価をまとめた結果が資料1−2ということでございます。長谷 川委員の方から補足説明がございましたらよろしくお願いします。 ○ 長谷川委員  今、座長の方から御説明がありましたように、毒性の評価について分担して調査して おりますので、必ずしも個々の細かいことに今この場で御返事出来るとは限りませんけ れども、概略について御説明がありましたので、内容的には特段つけ加えることはござ いませんが、最後の2世代繁殖試験について少しお話ししたいと思います。  通常の生殖・発生毒性試験では同じ親から2回目の子どもを産ませるということは行 われない訳ですけれども、このニッケルの毒性試験においては2回産ませている訳です。 その2回目の出産時の出生仔の死亡率が有意に高くなったということで、無毒性量とい う評価をしております。2つの2世代繁殖試験において、片一方はLOAELが1.3mg/kg/day もう一方はNOAELが7mg/kg/dayと非常に異なっているということで、WHOの1998年の 検討時点でも結論を出せないということになっております。現時点ではWHOの評価と 同様になるのではないかと考えております。  以上でございます。 ○ 黒川座長  いかがでしょうか。何か御意見はありませんか。整理すると、1993年のWHOのガイ ドラインではAmbrose(1976)の毒性試験を採用しており、その後、いくつか毒性試験が 行われたが、それらを採用することは適当でないことから、引き続き、Ambrose(1976) の毒性試験を採用するということすね。 ○ 長谷川委員  そういうことでございますが、Ambroseの試験も余り適当ではない部分があります。2 年間の混餌投与の実験で、1年終了時点ではおおむね生存率に特に問題はないですが、 その後急激に動物の死亡が増えております。これは発がんして死亡した訳ではないので すが、非常に死亡率が高くなったということで、何らかの不適切なことがあったのか、 1976年のパブリケーションですので毒性試験の管理の面で問題点があったのかその辺は ちょっとよく分かりませんが、そういう意味で少し信頼性に欠ける面はぬぐえないとい うことです。 ○ 黒川座長  それに対する不確実係数を一応10と入れた訳ですね。 ○ 長谷川委員  はい。これは元から入っているものでございますけれども、そういうことです。 ○ 黒川座長  いかがでしょう。御意見はよろしいですか。 ○ 国包委員  質問なんですが、WHOの1998年版は暫定ということになっていますが、1993年版は そうではなかった。この辺の変わった理由というのは、今の毒性評価のことと何か関係 があるのではないかと思うのですが、これについてはどういうふうに理解をすればいい のでしょうか。 ○ 松澤水質管理専門官  WHOのガイドラインの中でAmbroseの1976年の試験について、この実験は現在の長期 毒性試験のスタンダードに合致していないと書かれております。その理由は、先ほど長 谷川先生が言われたように、低い生存率にあると書かれておりますので、毒性の専門家 の方々は1976年のこの試験については今の標準的な試験のやり方から見て問題があると いう再評価をしたのではないかというふうに推測をします。その結果、新しい試験も加 えた上でガイドライン値は暫定という結論になっているのだろうと思います。 ○ 黒川座長  よろしいでしょうか。 ○ 国包委員  分かりました。どうもありがとうございました。 ○ 黒川座長  ほかにございませんか。 ○ 井上委員  ニッケルというのはアルミニウムと並んで老人班のコアに析出する金属なのですけれ ども、神経毒性の兆候などはございましたでしょうか。 ○ 長谷川委員  読んでいる範囲では、ニッケルに関しては神経毒性についての記載は出ておりません。 ○ 井上委員  どうもありがとうございました。 ○ 黒川座長  よろしいでしょうか。それでは、次のアンチモンに移ります。 ○ 松澤水質管理専門官  それでは、アンチモンでございます。WHOの1993年のガイドラインでは、ラットを 用いた飲水投与の生涯暴露試験(Schroeder)において寿命の短縮などが認められたこと からLOAELは0.43mg/kg/day、不確実係数を500としてTDIを0.86μg/kg/dayとしてい ます。監視項目設定時の評価はこれと同じ根拠でTDIを0.86μg/kg/dayとしておりま す。  今回の評価(案)でございますけれども、1970年のSchroederの試験は単一用量の試験 であり、寿命の短縮が認められたとしているが明確な毒性が認められないことから、毒 性試験としての信頼性は十分でないと判断されます。  ラットを用いた90日間の腹腔内投与試験(Dieter)で肝細胞壊死が認められたことか らNOAEL3mg/kg/dayが求められています。この試験は腹腔内投与ですが、飲水投与との 比較を行いNOAELの根拠となった肝臓中アンチモン濃度と同じ濃度にするためには、腹腔 内投与の場合の4〜10倍の経口投与が必要であることが示されています。不確実係数は 種内差及び種間差に対して100に加えて短期の試験であること及び投与経路の違いに対し て3としてあわせて300から、TDIは0.01mg/kg/dayとなります。  それから、妊娠ラットの筋肉内投与試験(Alkhawajah)で、軽度の胎児吸収が認めら れたことから、LOAEL30mg/kg/dayが求められております。これについても先ほどと同じ ように、不確実係数100に追加の不確実係数を3ということでTDIは0.1mg/kg/dayとい う結論でございます。 これら3つの毒性試験を見てみますと、Schroederの試験は信頼性が十分でないこと、 Dieterらの試験は短期毒性で暴露経路も異なっていること、それから、Alkhawajahの試 験も暴露経路が異なるということから、いずれの試験から導かれるTDIも暫定的なも のとせざるを得ないというのが事務局でつくった案でございます。  資料1−2の4番の毒性評価のところでは、一般毒性ではDieterらの毒性試験からT DI0.01mg/kg/day、生殖・発生毒性ではAlkhawajahの毒性試験からTDIは0.1mg/kg/d ayという毒性評価がなされておりますが、私どもの方で総合的に考慮して、いずれも暫 定的な試験結果という結論であろうということで今回の案をつくっております。  以上でございます。 ○ 黒川座長  それでは、長谷川委員から何か追加がありますか。 ○ 長谷川委員  アンチモンは、臨床的に寄生虫駆除や殺虫剤で使われております。Schroederの毒性試 験はラットとマウスを用いた飲水投与生涯暴露試験で、いずれも一用量だけの実験であ り、しかも、ほとんど毒性発現らしきものはございません。寿命が短縮したという表現 だけでございます。それから、それ以外の経口投与の実験においては、実はほとんど毒 性が認められないに近い状態であります。  ヒトに使われているわけですが、実は経口投与では効かないことから静脈内投与によ る使用が行われているところです。この1991年のDieterの実験で90日間の腹腔内投与と いう実験をしている訳ですが、その予備実験として14日間の飲水投与と腹腔内投与の2 つの実験が行われております。14日間の毒性試験で飲水投与ではほとんど毒性が見ら れず、腹腔内投与で毒性がある程度見られたので、90日間の方は腹腔内投与だけの実験 を行ったということでございます。 この実験では、血中及び肝臓中のアンチモンの濃 度が測定されており、そのデータと、14日の飲水及び腹腔内投与の結果、それから、90 日の腹腔内投与の毒性発現といった一応現時点で得られるデータを出来る限りサイエン ティフィックに使い、このような結論になった訳です。 ○ 黒川座長  TDIが0.86μg/kg/dayから0.01mg/kg/dayになると、ずいぶんTDIは大きくなりま すね。 ○ 長谷川委員  いろいろな毒性試験をあたったところ、経口投与の毒性発現は非常に弱いようである ということもありますので、結果は大体いいのではないかという感じはしております。 ○ 黒川座長  短期の試験であること及び投与経路の違いに対して3を不確実係数として適用すると いうことについて簡単に説明願えないでしょうか。 ○ 長谷川委員  実は、短期試験であることに対して、10を適用しております。また、投与経路の違い で、経口投与での吸収、血中レベルの増加とか肝臓のアンチモンの増加は腹腔内投与に 比べ、毒性発現は10分の1程度なのですが、最大に見積もっても3分の1程度であろう としており、不確実係数1/3を適用しております。つまり、短期試験であることに対 して10及び投与経路の違いに対して1/3から不確実係数3を適用しております。毒性 発現そのものから見ると投与経路の違いに対して、10分の1でいいのかもしれないなと いう感じなのですけれども。 ○ 黒川座長  今回の評価の一番最後に「以上から、…、いずれの試験から導かれるTDIも暫定的 なものとせざるを得ない」となっており、どの毒性試験を採用するということはかかれ ていないのですが、これはどういうことになるますでしょうか。 ○ 松澤水質管理専門官  それは、私どもの事務局の案でございます。資料1−2の長谷川先生の研究班で取り まとめていただいた毒性評価は、Dieterに基づいてTDIを決めるというのが結論だろ うということだと思います。ただ、私どもとしてはいずれの試験も暫定的だということ だろうという判断でございまして、どれが一番いいという結論をすることはしなかった ということでございます。毒性試験としては3種類ありますが、いずれの試験もどれを TDIの根拠とするというふうに結論を導けないということであります。そこは、むし ろ先生方の判断で整理していただければと思います。 ○ 黒川座長  そうすると、3つの毒性試験があるわけですが、1970年のSchroederの試験は信頼性に 欠けるということですが、井上先生いかがでしょうか。 ○ 井上委員  信頼性に欠けることから毒性評価としては採用しないということにならざるを得ない のではないでしょうか。 ○ 黒川座長  ということになりますと、2つの毒性試験があって、TDIが算出されている場合は 低いほうを採用するというのが原則でございますので、TDI0.01mg/kg/dayということ になるかと思います。事務局から何かありますか。 ○ 岡澤水道整備課長  TDI0.01mg/kg/dayとすると、TDIから算出された評価値は現行の指針値と比べる とずっと大きい数値になりますが、指針値設定の際には、引き続き監視を行う上での指 針値であるというような別の観点が要るかもしれませんので、項目の位置づけ等につい ては次回また御議論していただきたいと思います。 ○ 黒川座長  毒性評価と指針値の設定といったリスクマネジメントでは、異なる観点も加わってく ることから、次回の議論においては、そのようなことも含めて項目の位置づけについて 議論していきたいと思います。 よろしいでしょうか。それでは、ジクロロ酢酸にいきたいと思います。 ○ 松澤水質管理専門官  消毒副生成物のジクロロ酢酸でございます。WHOの1993年のガイドラインでは、マ ウスを用いた75週間の飲水投与試験(DeAngelo)において肝臓に対する影響が認められ たことから、一般毒性のNOAELが7.6mg/kg/day。同じ試験で肝発がんのNOAELが77mg/kg/d ayということで、不確実係数を1,000ということにしまして一般毒性のNOAELに基づいて TDIは7.6μg/kg/dayとしております。  監視項目設定時の評価では、同じ毒性試験を根拠にしてTDIを7.6μg/kg/dayとして おります。  今回の評価案でございますが、ラットを用いた100週間の飲水投与試験において肝細胞 がん及び肝細胞腺腫が認められたことから肝発がんのNOAELが3.6mg/kg/day、不確実係数 1,000からTDI3.6μg/kg/dayとしております。  それから、資料1−2の方に出てきますけれども、遺伝子障害性について最近の毒性 試験で陽性とするという結果も得られているということでございますが、IARCで発 がん性評価にかかる情報がグループ3となっていることもあり、この遺伝子障害性につ いては更にデータの集積が必要と事務局の方では考えております。このことから、今回 の案は閾値があるということで作ってございます。  それから、資料1−2の(5)に変異原性がございますが、1991年以降の文献では変異原 性が陽性であるという毒性試験がございます。6ページの参考文献の上にマルチステー ジモデルを用いた発がんリスクの試算が行われており、10-5の95%信頼限界下限値の一番 低い値として総肝腫瘍で2.16×10-3mg/kg/dayとなっております。  なお、現在、IPCSにおいて消毒副生成物に関してEnvironmental Health Criteria(EHC)の作成が進められており、ジクロロ酢酸につきましても、その中でいろい ろ議論はされている状況にございます。そのドラフトでは、遺伝子障害性についてなお いろいろと議論があるところだということとなっており、事務局としては閾値があるも のとして案を作成しております。それから、IPCSでの毒性評価を踏まえて、WHO においても2003年の改正時に見直しを行っていくこととなろうかと考えてございます。 そういうことから、毒性評価については、現在、国際的にも見直しが行われているとい う状況にあります。  以上でございます。 ○ 黒川座長  それでは、長谷川委員から何か追加がありますか。 ○ 長谷川委員  ジクロロ酢酸は、トリクロロ酢酸の塩素の1つ少ないものでございます。従来から変 異原性のないマウスには確実に肝発がん性が生じることから、マウスで肝発がん性試験 が主に繰り返し行われてきているものであるという特徴のあるものです。今回、最近の 毒性試験を整理したところ、1996年のラットを用いた発がん性試験で肝細胞腺種及び肝 がんの発現が認められ、しかも、その実験で得られた発がんに関するNOAELが3.6mg/kg/d ayということで、マウスの結果の約2分の1の値であったというようなことが新しい情 報になります。  変異原性については、従来はほぼ陰性であろうというふうな考え方をしていた訳です けれども、最近の毒性試験結果を整理したところ、遺伝毒性というべきなのでしょうけ れどもビックブルーマウスのトラスジェニックアニマルを使ったような実験でも突然変 異原性、しかも、変異の細かいATVでの変異の頻度が高いとか、それから、サルモネ ラの変異の場合にもGCからATへの変異であるというような細かい解析も行われてい ます。一応我々の研究班の中では、現時点ではこのジクロロ酢酸については変異原性は ポジティブな結果が十分あるという評価をせざるを得ないと考えております。比較的新 しいマウスの実験と、それから新たに出てきましたラットの実験のパブリケーションさ れているデータから拾える範囲での数字を拾って、マルチステージモデルでの10のマイ ナス5乗、95%を信頼限界での値を計算したのが、先ほどちょっと説明がありましたも のであります。  実は、この計算値、通常マルチステージモデルを使って計算をした場合には、配分率 の考慮等をしません。我々の計算では、ここでは体表面積の修正をしておりませんが、 このまま数値を飲料水の摂取量の方に当てはめますと、実は不確実係数から持ってきた 値よりもむしろ高くなるというような結果にはなっております。最も感度が高いのが犬 なのですけれども、犬の場合は実はヒトやラットなどに比べて非常に動態速度が遅い、 10分の1以下であるということで犬の方に強く表れる傾向があるということが明らかに なりました。  それから、ジクロロ酢酸も実はヒトに対しての適用が、現在では使われていないはず ですけれども、あったというようなことで、ヒトにおいても神経症状が見られておりま すし、ラットなどの実験などにおいても神経毒性が見られているというような特徴があ るものです。  先ほどEHCについて話が出てきた訳ですけれども、実は遺伝子障害性というのは遺伝毒 性試験そのものの評価はそれはそれで出来る訳ですけれども、発がん性との関連、いわ ゆるDNAへの障害性が関連しているかどうかということを明確にすることはそんなに 容易なことではない訳です。しかも、ジクロロ酢酸の場合、投与量の低用量と高用量に おいては、どうも体内代謝速度等がかなり違うようであるというような情報もあり、そ う簡単に遺伝子障害性による発がんであるとは言えないだろうし、全くそれが関与して いないだろうということも言えないのではないかという感じがしております。 ○ 安藤委員  ジクロロ酢酸の代謝過程はどうなっているのでしょうか。 ○ 長谷川委員  ラットの場合は、最初にグリオキシル酸に酸化された後にオキザロ酸に変化します。 ○ 安藤委員  塩素は外れますか。 ○ 長谷川委員  そういうことになります。塩素が外れないと代謝が進行しません。 ○ 安藤委員  もう一つお伺いしたいのは、トリクロロ酢酸の場合の代謝はどうですか。 ○ 長谷川委員  トリクロロ酢酸がジクロロ酢酸となる経路もあるかと思いますが、今、正確にはお答 えしかねます。 ○ 安藤委員  そうしますと、代謝過程は同じだとジクロロ酢酸もトリクロロ酢酸も同じように考え なければならないのかと思いましたので。つまり、トリハロメタンと同じようにハロ酢 酸として考える必要があるのではないということです。 ○ 長谷川委員  ただ、臭素がついたときのターゲットはどうも腎臓のようであります。 ○ 安藤委員  そうすると、ブロモ酢酸とジクロロ酢酸とはターゲットが違うと考えていいのですか。 あとはそうするとトリクロロ酢酸とジクロロ酢酸ということになるでしょうか。 ○ 長谷川委員  トリクロロ酢酸とは類似性はかなり高いと思いますが、多分投与量によって代謝経路 が1つだけとは限りませんから、そのディストリビューションが変わる可能性があるん です。だから、単純にはいかないと思いますけれども、当然その辺は関係してくるとい うふうには考えます。 ○ 井上委員  今回の評価(案)において、「遺伝子障害性については、最近の毒性試験で陽性とす る結果も得られているが」という前段の文章と、「更にデータの集積が必要である」と の後段との関係についてもう少しご説明をいただけませんでしょうか。 ○ 松澤水質管理専門官  IPCSのEHCのワーキンググループが作成しているドラフトでは、ジクロロ酢酸の遺 伝子障害性と発がん性との関係については、懐疑的な記述もあるということです。確か に、陽性とする結果も得られているというふうに書かれているのですが、遺伝子障害性 については発がんを評価する上でさまざま議論があるという趣旨が書かれておりました ので、それをふまえたものでございます。 ○ 井上委員  大体のフィーリングはよく分かりました。 ○ 黒川座長  in vitroで遺伝子障害性がみられたとしても、in vivoでは発がん性がみられないこと もあるので、in vivoでの2段階発がんなどにより、発がんと遺伝子障害性についてデー タを収集する必要があると思います。したがって、ここの記述は「遺伝子障害性につい ては、最近、陽性とする結果も得られているが、その肝発がん性との関連について、更 にデータの集積が必要と考えられる。」というのが適当ではないでしょうか。  したがいまして、今回の評価としては、TDI法による3.6μg/kg/dayということでよ ろしいでしょうか。  それでは、次へいきたいと思います。 ○ 松澤水質管理専門官  それでは、抱水クロラールでございます。WHOの1993年のガイドラインではマウス を用いた90日間の飲水投与試験(Sandersら)において肝臓への影響が認められたことか らLOAELを16mg/kg/day、不確実係数を1万としてTDIは1.6μg/kg/dayということでご ざいます。  これに対して、監視項目設定時の評価では、同じ毒性試験を根拠にして不確実係数は 3,000とし、TDIは5.3μg/kg/dayとしております。  今回の評価案でございますが、このSandersらの試験以外に新たな毒性試験として Danielらのラットの90日間の飲水投与試験があり、一般毒性のNOAELは96mg/kg/dayとな っております。ここでは、より安全側での評価となるSandersらの試験に基づいて引き 続き評価を行うことが適当だろうということでございます。監視項目設定時の評価と同 様に、不確実係数を3000と設定し、TDIは5.3μg/kg/dayとなり、不確実係数が3,000 と大きいことからTDIは暫定的なものとなるという案でございます。  この不確実係数を3,000とするところについて、なお書きで追加の根拠を書いてござい ます。LOAELであることを考慮した不確実係数は通常10であるが、Sandersらの報告によ る雄で見られた肝肥大はadverse effectとはとらえにくいこと、また、免疫学的影響は それほど重篤でないと考えられることから3が適当ということで、トータルとして短期 とLOAELということで30ということにした訳でございます。  以上でございます。 ○ 黒川座長  それでは、長谷川委員から何か追加がありますか。 ○ 長谷川委員  Sandersの試験で認められた肝臓への影響については、ヘパトメガリ肝肥大、マイクロ ソーム酵素の誘導に伴った肝肥大が一番下のdose(投与量)まで見られています。一方 肝臓の酵素の血清中への遊離という形での酵素活性の増加というのは、実はもっとずっ と高いdoseで見られている訳です。それからしますと、16mg/kg/dayがLOAELということ では、やはりadverse effectととらなくてもいいのではないかということにもなったの ですが、実はSandersのグループが別のパブリケーションの中で免疫学的な毒性の評価も しており、その実験の中で、羊の赤血球に対する抗体産生細胞の減少が、雌だけで、し かも抗体の産生のピーク時にのみ見られる。いずれにしても、16mg/kg/dayというdose で有意差がとりあえずついているというような結果が出てきた訳です。したがって、や はりこのSandersの試験を無視していく訳にはいかないだろうということになった訳です  実は、ラットの方の実験の90日試験でNOAELが96mg/kg/dayということで、マウスの LOAEL16mg/kg/dayに比べると著しい違いがあります。実際には、マウスの実験の肝臓で の酵素遊離とかいわゆるhepatotoxicity(肝毒性)に関係したところで厳格に見ますと 実はラットと余り違わないような印象を受けている訳です。 ○ 黒川座長  分かりました。新しい毒性試験があったけれども、NOAELが高いということで組み入れ なくてもいいことになって、1992年のときと同じとなったということですね。  いかがでしょう。評価の4行目、不確実係数は3,000、種内差が100、これは前と同じ に書いてあるのですけれども、短期間であること及びLOAELを用いることについて30とし ておりますが、ここは、短期間の試験であることに対して10、LOAELであることに対して 3とした方がいいのではないでしょうか。 ○ 松澤水質管理専門官  そのようにいたします。 ○ 黒川座長  免疫学的な意味で有害性影響であることは認めるけれども、弱いから10ではなくて3 が適当であるということですね。いかがでしょう。御意見ございませんか。  では、ないようでしたら、次へ。 ○ 松澤水質管理専門官  次はホルムアルデヒドでございます。1993年のWHOの毒性評価ではラットを用いた 2年間飲水投与試験(Tilら)で胃などの臓器に対する影響が認められたことからNOAELは 15mg/kg/day。しかし、胃を含め、諸臓器に腫瘍発生は認められなかった。不確実係数 100としてTDIを0.15mg/kg/dayという形にしてございます。  一方、監視項目設定時の評価では、同じTilらの試験を根拠にして、IARCの発がん 性評価にかかる情報が2Aということだったため、発がん性を考慮して不確実係数10を 発がんの可能性について設定し、あわせて1,000とし、TDIとして0.015mg/kg/dayとW HOより1けた低い値を設定したということでございます。  今回の評価案でございますが、Tilらの試験を引き続き根拠にしてNOAELは15mg/kg/day とし、不確実係数は100(経口暴露では発がん性は認められない)として経口暴露のTD Iは0.15mg/kg/dayということでございます。 次に、ただし書きでございますが、WHO飲料水水質ガイドラインでは、経口暴露以外 にもシャワーなどの吸入による暴露についてもガイドラインの中では考慮していこうと いう方向でございまして、それをこの評価案のところでは考えて「シャワー等による吸 入暴露による発がん性の観点からの評価の必要性について、引き続き、検討する」とい う形にしてございます。経口暴露だけで見ればTDIは0.15mg/kg/dayということだと思 いますが、そのほかの吸入という別の経路での発がん性の観点からの評価の必要性につ いて引き続き検討したいということございます。  資料1−2の4の毒性評価にございますように、一般毒性のところではTilらの試験か らTDIを0.15mg/kg/day、それから、発がん性については、経口投与では発がん性は認 められす、吸入暴露の発がんも第一暴露部位(鼻部)に限定されているので経口摂取に よる発がん性はないと判断とされております。したがって、TDIの計算は不適という ところを参考にいたしまして、経口暴露のTDIは0.15mg/kg/dayという案になってござ います。  以上でございます。 ○ 長谷川委員  特別つけ加えることはございませんが、1993年のWHO水質ガイドライン設定のころ には吸入暴露で発がん性のあるというケースも経口摂取に対して不確実係数として加え ていたケースがあろうかと思います。ただ、最近ではそういう傾向はなく、経路依存性 を非常に強くしているということが1点あります。  それから、もう一つこのホルムアルデヒドの場合は今、説明がありましたように、最 初の暴露部位、すなわち吸入での暴露部位の鼻腔粘膜等の部分での発がん性だけが認め られているという特徴があります。  一方、ヒトとラットなどの鼻腔の構造的な違いから、ヒトでの発がん性は余り可能性 はないのではないかというような一つの見解もあるようです。  そんなことも踏まえまして、いずれにしても経口摂取に関しては発がん性を考慮する 必要はないであろう。例えば、生殖毒性に関して見てみましても、実際には経口摂取で はほとんど影響が見られない。明らかに見られている例としては、腹腔内投与をいたし ますと直接的な影響と考えられる毒性が発現するというようなことで、どうもアルデヒ ドということで最初に暴露されたその部分がやられるという傾向が強いようだというこ とでございます。そんなところで発がん性については、少なくとも経口暴露に関しては 考慮する必要はないであろうということです。  以上です。 ○ 黒川座長  この資料1−2で10ページのところでTDIは不適と書いてあるけれども、これはど ういうことですか。それは、以前に評価したときに発がんの可能性についてということ で10を入れていたというのが不適当なことであるという意味でしょう。 ○ 長谷川委員  これは、計算する根拠がないので計算が出来ないという意味の不適切です。 発がん性は考慮しなくてもいいということです。 ○ 黒川座長  不適とあるだけでは、ちょっと分かりにくいので説明がいるのではないかと思います。 監視項目設定の時は、吸入暴露による発がんが考慮されたことから不確実係数10が用い られたが、現在の発がん性の考え方では経路依存性を考慮することから、経口摂取では 発がん性について考慮する必要はないということですね。ところが、ただし書きでシャ ワーでの吸入暴露による発がん性の観点からの評価の必要性について引き続き検討する とありますが、この辺を安藤先生から簡単に御説明いただけますか。 ○ 安藤委員  経口的には一応問題ないだろうということなのですが、シャワーになりますと結局、 それはほとんどが空気中に飛散するという考え方に立つわけです。ホルムアルデヒドが 本当に100%気中にいくかどうか分かりませんが、基本的に水中にあるものは気中にい くという考え方に立っています。そうすると、経気道的にそれを吸入することになる。 そこの問題をどう考えたらいいかということを、検討しなければならないだろうという ことで、こういう表現になったということだと思います。 ○ 黒川座長  そうしますと、揮発性の物質はいろいろありますから、ほかにもこういう物質は出て くる訳ですよね。 ○ 安藤委員  全くそのとおりです。例えば、クロロホルムがいい例ではないかと思います。 これからデータの積み重ねによってどのように考えていく必要があるかについて考えて いかざるを得ないだろうと思います。  それから、空気中のホルムアルデヒドの問題は、WHOでも相当悩ましく思っていま して、空気中のホルムアルデヒドを発がん性で評価するかどうするのかという議論が絶 えずあります。1996年に行われたWHO欧州地域専門家委員会が行ったホルムアルデヒ ドの評価については空気中のホルムアルデヒドについては発がん性については考えない。 つまり、イリテーションの観点から決めるということで決まってきています。WHOで は多分ホルムアルデヒドに対して発がん性というものについては、かなり引いて物事を 判断しているというふうに私は理解しております ○ 黒川座長  ほかにございますか。「シャワー等による」とありますが、「等」というのはどうい うことですか。 ○ 松澤水質管理専門官  「等」は入浴、ふろが使われるときを想定しています ○ 黒川座長  では、「等」といってもぴんとこないので、入浴時とでも書いておいてください。 吸入暴露については、引き続き検討を行うということですね。そんなことでよろしでし ょうか。  そうしますと、一応議題1の水質基準に関しては終わりますけれども、全般を通じて 何かございますか。  よろしければ、議題2、水質管理方策というところに進みたいと思います。 ○ 松澤水質管理専門官  それでは、資料2について御説明をしたいと思います。 これは、前回第5回のときに水質管理に関する課題の整理ということで、事務局の方で 水質管理の関係の事項について幾つか課題を整理して御説明して審議していろいろな意 見をいただきました。その意見をここに追加いたしまして、今後、どういうことを御議 論していただいたらいいのかというものを整理したものでございます。  そういうことで具体的な議論の材料というのは、まだ資料としては用意しておりませ んで、ここはあくまでも課題の項目としてはこういうことがあるということで確認をし ていただければと思います。  簡単に説明をざっとしてまいりますと、この課題の整理という紙は一番左側に事項と いう欄があって、これが課題の項目に当たります。その次が現状ということで、現状の 水道法なり厚生省が出しております通知の中で考え方をお示ししている内容が書いてご ざいます。「課題(検討の方向)」と書いてあるところでございますが、どういう方向 に議論をしていただいたらいいのか、どういう点に議論があるのかという論点について 書いてございます。  まず最初に、水質検査項目の性格でございますが、水道法では水質検査について自ら 検査施設等を設けて行う検査(自主検査)を原則とするが、外部への委託も認めている。 しかし、水質検査項目の中には工程管理と一体不可分で水道事業者が必ず自主検査を行 うべきものと、外部に委託し得るものがあると考えられる。これが現状でございまして 課題のところにございますが、これは先回議論をしていただいて結論的には概ねこうい う内容になっているところでございます。  一体不可分な水質検査項目を次のように明確にするということで、色または色度、濁 りまたは濁度、消毒の残留効果、臭気、味、pH値について水道事業者自らが行わなく てはならないのではないかということでございます。また、委員の方から御意見がござ いましたことから、括弧書きでございますが、機器分析による常時監視について引き続 き検討するといたしております。  それから、次が水質に関する試験、検査の在り方ということで、全部で6つ項目があ ります。まず、事業計画(水源選定)時の水質検査についてでございます。現在は試験 項目として水質基準の項目が義務づけられているわけですが監視項目ですとかその他の ものについてどういうものを拡充していくべきかを検討していただこうというものでご ざいます。  その後、実際に工事が終了するといよいよ給水開始ということになる訳ですが、その 給水開始前に水質検査を行うことになってございます。これは、水質基準項目と消毒の 残留効果について行うというものが現行でございますが、これについて現行どおりで事 務局としてはいいのではないかと思っておりますが、この水質に関する試験検査の在り 方の中で、この部分についても御意見があれば御提示していただければと考えておりま す。  それから次が、定期の水質検査の項目が3番目。4番目にその頻度がございます。こ れは具体的に水道水の供給が開始された後に、定期的に水質検査を行うことが現在決め られておりまして、これは項目にしましても頻度にしましても概ね一律に設定されてい るところでございます。この検査の項目と検査の頻度に関する課題としましては、全国 どこでも行わなくてはならないものはどういう項目か。それから、水源の種類などに応 じて行うべきものという形で、一律ではない項目が設定出来ないかどうか。検査頻度に ついても、水源が極めて良好な場合に年1回以上の検査を必ず行わなければならないか どうか、検査項目によっては検査頻度を水源の種類などに応じて変えることが出来ない かどうか、そういう観点で議論していただければということでございます。  それから、5番目の臨時の水質検査ですが、定期の水質検査に対して随時異常時に臨 時に水質検査を行うというものでございまして、水質基準項目について行うということ になってございます。これについては、事務局としては現行どおり臨時の水質検査につ いては水質基準の全項目について行うという考え方でいいのではないかと思ってござい ます。  これについては、大規模水道事業者で臨時の水質検査を行う場合についていろいろな ノウハウが蓄積されていると思いますので、そういうノウハウについてそのほかの水道 事業者に情報提供するような内容について検討していってはどうかと考えております。  それから、6番目が水質検査を行う場所の選定でございます。これは、現行では供給 される水が水質基準に適合するかどうかを判断できる場所において行うとされておりま すが、これについてもう少し科学的に根拠のある設定方法を水道事業者に対して示すこ とができるかどうかということを検討していきたいと思っております。その場合に、浄 水場だけではなく給配水全体での水質管理という観点に留意して検討していきたいと思 っております。  以上が、水質検査関係のところでございます。 次が、衛生上の措置ということで、現在は衛生上の措置は水道施設の汚染防止装置と残 留塩素に関する事項が定められておりまして、これの課題としては、この衛生上の措置 の観点でクリプト対策を考えることが出来るのではないかということで、それについて 検討していただければと考えております。  そのほか、取水停止の考え方でございますが、これは今、通知で考え方を示しており ますが、この判断する手法について、大規模な水道事業者でノウハウが蓄積されている かと思いますので、その他の中小水道事業者に対して情報提供することができる内容に ついて検討するというのが一つの検討の方向だろうと思います。  それから、一番最後でございますが、これは前回の専門委員会で一つ御指摘があった ものでございます。病原微生物等の指標生物等の見直しということで、今は病原微生物 による汚染を見る指標として水質基準の中では一般細菌と大腸菌群、それで汚染がない というものを残留塩素の確保というところで衛生上の措置の中で見ている訳ですが、課 題のところで今後の方向として新たな指標生物、あるいは、指標物質として有効なもの があるか検討していこうというものです。これは、国際的にもそういう議論が開始され つつありますので、そういうものも踏まえて検討していったらどうかということでござ います。  以上の内容について、これから次回以降検討をお願いしていきたいと考えております。  以上でございます。 ○ 黒川座長  ありがとうございました。前回、御意見をいただいて今後の検討課題の方向というこ とで事務局でまとめたわけですが、この際何かコメントありましたらどうぞ。 ○ 河村委員  定期の水質検査の項目で、例として、水源が表流水で排出源のない場合等は、トリク ロロエチレン等は定期の水質検査の項目から除外してもいいのではないかというような ことが書いてあるのですが、最近、水源の近くでごみが不法投棄された場合には、表流 水の方にも入ってくる可能性があるのではないかといわれていることからいくと、除外 して本当にいいのかどうかという気がいたします。 ○ 安藤委員  基本的には、定期の水質検査の項目を減らすというのは非常にいいことだと思うので すけれども、今のお話は私も気にしていまして、では、だれが判断するのか。つまり、 そういう非常に小さい事業体というのは判断する力も非常に弱い訳で、だれが判断出来 るのだろうか。そこをちゃんと考えないといけないのかなという気がいたしております。 ○ 河村委員  今、水質基準の測定回数が設定されている訳ですが、それなどはかなり安全な水を提 供するということからいけば、かなり妥当な線で行われているのではないかなという気 がいたします。今、安藤先生が言われるように、減らすのが最良の方法ではないような 気もいたします。 ○ 国包委員  定期の水質検査といっても月1回検査を行うということですから、不法投棄などを把 握するということは現実としてはできないのではないかと思います。現実としてはかな りの場合、問題がないことを確認するために検査するというようなケースが項目として も多い訳です。頻度を上げればいいというふうに申し上げているつもりは決してないの ですけれども、頻度はやはり出来れば下げる方向で考えたいと思っているのですが、汚 染の可能性というのは片一方で否定出来ないですから、それを月1回の検査ということ ではなくて別の方法で何か担保する方向も片一方では見ておかなくてはいけないのでは ないかと思います。また改めてその辺も議論させていただけれけばありがたいと思いま す。 ○ 梶野委員  もし、不法投棄があったものを把握しようとすると統計的には大体10分に1回ぐらい の頻度で測らなければつかまらないということになります。定期に月一回でも水質検査 を行っておれば確率的には引っ掛かる可能性もあるのですけれども、実際問題として、 これまでも不法投棄の事例はあるのですけれども、定期の水質検査で今まで引っ掛かっ たことはない。だから、最初に検査項目の性格のところで工程管理上必要とするという 項目を最小限今回提案されておりまして、トリクロロエチレンなどは突発的な事故とし ては臭気で引っ掛けるしかないだろうと思っております。実際に我々淀川でやっている のはTOCメーターで有機物トータルとして引っ掛けるというようなことで見ているの ですが、小さいところではなかなかそうはいかないと思います。そうすると最小限の工 程管理の水質検査項目の中で濁度とか臭気というものがあるので、現段階ではこれが水 道事業者としてやれる突発事故に対する一番の対応策ではないかというふうに思います。 ○ 河村委員  私は、先ほど不法投棄と言ったのですけれども、例えば埋立に使ったものが表流水の 中ににじみ出てくる可能性があるわけです。その場合には、ある程度恒常的に汚染され る可能性が出てくる訳で、そういうことからいけば、トリクロロエチレンなども入れて おいた方がいいのではないかという意味なんですけれども。 ○ 岡澤水道整備課長  今おっしゃったようなことはこちらの方としても考えていまして、ただ、一方では小 さな簡易水道などが数十項目にも及ぶ検査を毎月やるということは考えられない訳で、 水源の状況とか立地状況とも絡めて全体としては、やはり回数を減らすというオプショ ンも用意しないと、項目を増やしモニタリングをしっかりさせるという方向づけも出来 ないのではないか。ですから、やはり一方で緩和しながら一方で規制の目を細かくして いくということが必要ではないか。その辺のバランスを考えようと思っていますので、 先生方の御意見を拝借しながら精査したいと思います。 ○ 黒川座長  これは、課題の整理ということで、ここの課題については今後議論をいただくという ことですから、また改めて行いたいと思います。 それでは、その他ということで次回の日程を確認したいと思いますが。 ○ 松澤水質管理専門官  次回は10月26日、月曜日の午後2時から5時までといたしたいと思います。次回は、 今回、毒性評価について検討していただきましたので、それを踏まえ、評価値及び項目 の位置づけについて事務局の方で案をつくって御議論していただきたいと思っておりま す。 ○ 黒川座長  では、そんなところでよろしいかと思いますが、どうもありがとうございました。 問い合わせ先 水道整備課基準係(4034)