98/09/21 第29回年金審議会総会・全員懇談会議事録           第29回年金審議会総会・全員懇談会議事録 日 時 平成10年9月21日(月) 14:00〜16:55 場 所 厚生省特別第一会議室 ○総 会  1 開会の辞 2 委員出席状況報告 3 議 事   ・ 会長代理の指名について 4 閉会の辞 ○全員懇談会  1 開会の辞  2 議 事   ・ 年金審議会意見書草案について  3 閉会の辞 〔出席委員〕   京 極 会 長   砂子田 委 員  岡 崎 委 員  木 原 委 員  国 広 委 員 久保田 委 員  神 代 委 員  坂 巻 委 員  高 山 委 員   都 村 委 員  福 岡 委 員 山 田 委 員  山 根 委 員   吉 原 委 員  若 杉 委 員 渡 邊 委 員  貝 塚 委 員 船 後 委 員  ○会長  皆様、ご出席くださりありがとうございます。  本日は、先日亡くなられました八木会長代理の後任の会長代理を指名するため、まず、 総会を開催しますが、よろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○会長  それでは、報道関係の方を中に入れてください。                 (カメラ撮り) ○会長  ただいまから、年金審議会総会を開催します。  初めに、事務局から、本日の委員の出席状況について、御報告をお願いします。 ○事務局  本日は、富田委員、桝本委員、目黒委員が御欠席で、そのほかの委員は御出席でござ います。 ○会長  ありがとうございました。  去る9月10日、八木会長代理がお亡くなりになられまして、現在、会長代理の席が空 席になっております。  会長代理は、年金審議会令により、会長が指名することになっております。本日、私 から後任の会長代理を指名いたします。  後任の会長代理に岡崎陽一委員におねがいします。岡崎委員、よろしゅうございまし ょうか。 ○岡崎委員  はい。 ○京極会長  それでは、岡崎委員、私の横のこの席にお移りください。  早速ですが、岡崎会長代理から一言御挨拶をお願いします。 ○岡崎委員  誠にふつつかでございますけど、務めさせていただきます。どうぞ、よろしくお願い いたします。 ○会長  これで年金審議会総会を終了します。                (報道関係者退場) ○会長  ただいまから年金審議会全員懇談会を開催します。  本日は、起草委員の方々に御作成いただきました意見書の草案について御審議をお願 いします。ただいま配布されておりますのは、B委員、P委員、C委員の御発言の資料 です。  本日が9月で最後の審議会全員懇談会となりますので、意見書の取りまとめを9月中 に行うことは難しくなりましたが、意見の集約に向けて、本日はできる限りの詰めを行 いたいと考えております。時間を若干超過することになると思いますが、活発な意見交 換をお願いします。  本意見書草案は事前に各委員にお送りしてあるということですので、朗読を省略しま す。 全体の構成などにつき、起草委員から一言御説明をいただいた後で、議論に入ります。  それでは、起草委員を代表してA委員からお願いいたします。 ○A委員  本日、御検討いただきます意見書草案は、前回16日に起草委員に御指名をいただいた 3人が、その後、会長と御相談の上、16日の審議状況などを踏まえまして、審議整理メ モ等をたたき台として、現時点で審議会の意見として提案すべきものを事務局の全面的 な支援を得て草案という形で取りまとめたものでございます。  全体の構成といたしましては、まず16日の審議会で今回の改正の必要性や意義、各世 代へのメッセージなど今次改正に当たっての審議会の基本的スタンスを前文として記述 してはどうかという御意見を踏まえまして、「はじめに」の部分を書き下ろしてみまし た。  人口推計の変化等に伴う制度改正の必要性を簡潔に表現することはなかなか難しく、 この点について皆さんの御意見をお伺いいたしたいと存じます。草案そのものの中では 非常に簡潔に書いております。場合によっては補注のような形で、特に新人口推計に伴 う保険料率及び給付水準の見直しに至る戦略的なパラメータの概要を記してはどうかと いう意見もあろうかと思いますが、既に『年金白書』で相当詳しく説明されていること ではあり、その必要はないのではないかという御意見もあろうかと思います。  次に「基本的な考え方」では、審議整理メモをベースに年金の意義や役割、16日にも 意見がありました目標年度の明記、二重の負担などを少し詳しく書いてみました。  次に、個別検討項目では、まず「税方式への転換」については、審議会においては、 労使の双方から税方式への転換が望ましいとする議論もありましたが、必要となる巨額 な財源を税で賄うことが果たして可能か。具体的にどのような税で財源を確保するのか などといったことから、現時点で方向を決することはリスクが多いと考えましてやや消 極的にまとめてみました。  また、「支給開始年齢」については、前回の制度改正で導入したばかりの別個の給付 を将来的に廃止する方向を打ち出すことに労働側からは異論を唱える向きもありますが 労働省も、65歳現役社会に向け2010年までに多くの企業で65歳までの雇用を定着させる べく具体的施策を検討中であります。今回の制度改正では、2025年の社会を念頭に置く べきとの考えから、今後の人口構造の変化も踏まえた将来の社会の姿を考えた場合、十 分な期間をとった上で別個の給付を見直すことを今の時点で予告しておくことが適当で あると考えました。  「保険料負担」については、現下の経済状況に十分に配慮した方法を検討すべきであ ることを明記しました。  このほか、「給付水準」、「在職老齢年金」、「女性の年金」のところなど制度の考 え方や言葉をなるべくわかりやすく誤解を招かないように用語の定義を明確にするなど 工夫してみました。  今回の改正のための審議は既に今日を含めまして29回と審議回数を重ねておりまして 改正の考え方や各検討課題についての各委員の意見も表明され、議論が行われてきたよ うに思います。本日の草案を審議素材といたしまして、審議会の大詰めの意見集約が図 られることを期待いたします。以上でございます。 ○会長  ありがとうございました。  意見書草案について御意見をお願いします。時間の枠もございますので、大体議論を 3つないし4つに分けてお願いしようと考えております。1つは、この意見書の全体と しての構成、「I はじめに」、「II 次期制度改正に当たっての基本的考え方」、III としては、財政再計算に伴う「次期制度改正の個別検討項目についての考え方」、「IV  その他」というふうに分けて進行してはどうかと思います。まず、全体の構成はいか がでしょうか。 こういった分け方、組み方について御意見があれば。どうぞ。 ○B委員  その前にちょっと確認しておきたいのですが、起草委員の方にというよりは、むしろ その前に審議整理メモが出されておりまして、そこの語尾の問題でございます。 前も質問したのですが、そことの関係がありますので、場合によっては、これは事務方 の方から御答弁願えばいいのではないかと思っておりますが、中身については審議整理 メモをつなぎ合わせながらというのが骨格になっていると思います。この意見(案)の 本文でも、結局「何々とする意見」あるいは「という意見があった」とか「もある」と かという表現のところと、普通の動詞といいますか「必要である」、「何々すべし」と いうことで言い切っている部分がございます。これは単なる両論併記ではなくて明らか に強弱をつけた表記になっておりますけれども、この審議会のここまで審議をした結論 として、この「何々という意見」というところの記述されている項目とそうじゃない項 目について、どういう審議をもとにその結論を得たのか。要はこの審議会としての結論 は何だったのか。 極端に言えば、「何々という意見」というところについては、この審議会の結論として はなっていませんよと。しかし、そういう表現じゃないところについては、この審議会 で議論した上、その結論に至ったのだということで理解をすべきなのか、そこの取り扱 いによっては、どれだけの時間をかけてやるかということも含めましてありますもので すから、ちょっと御質問をそこだけしておきたいと思います。 ○事務局  本日の意見(案)におきます整理につきましては起草委員にお願いいたしたいと思い ますが、前回までの審議整理メモの考え方につきましてお答えをさせていただきたいと 思います。今、御指摘ございましたけれども、各委員の意見の表明という形で受けとめ たものにつきまして「意見」というふうに書かせていただいたわけでございます。  一方、方向性というものが審議会として概ねこういった方向ではないかということで 出ているものにつきましては、今、御指摘ございましたような語尾で整理をさせていた だいたらどうかということで整理したものでございます。いずれも各委員の御意見、そ れから審議会として、どのような意見を集約していくかということでございますので、 この点、あわせて本日御検討いただければと思います。 ○C委員  今、全体の構成についてということでありますから、そのことに限ってちょっと御意 見申し上げたいと思います。審議会の中で積立金の在り方の問題についてはかなり議論 があったというように考えております。それが運用の仕方というところにある意味では 包含された形になっているんですが、積立金の保有の問題も含めた在り方について1項 目あってもいいのではないかなということを申し上げておきたいと思います。 なぜ、そういうことを申し上げたいかという理由を申し上げておきたいと思うのですが この積立金の保有の在り方は、給付と負担双方に影響をもたらすものでありますから、 そのことについて、意見の取りまとめをということであれば、そこが大きな原点になる と思いますので、その項を起こす必要があるということであります。        ○会長  ほかには全体の構成について何か、今、C委員のお話にありましたように、追加とい うか、もっとはっきり書くべきだというふうな項目、あるいは逆にこれは削ってもいい のではないかという項目、あるいは分け方、いろいろ御意見ございましたら、どうぞ。 ○C委員  そういう点からいきますと、これもやはり全体の枠組みに大変大きな影響を与えると いうように思っていまして、表現が適切かどうか、あるいはそれぞれの委員さんに御意 見がいろいろあるのかもしれませんが、一般的に言われている基礎年金の空洞化の問題 です。これは全体の中に織り込まれているというように、起草委員の先生方の御苦労を 察しながら思いますけれども、基礎年金の問題について、大変大きな社会問題になって います。年金改革を取り巻く大きな課題であるにもかかわらず、そこのところが全体の 中に包含されて薄まっていることについて少し御検討されてはいかがかということを申 し上げておきたいと思います。 ○会長  基礎年金の現在の状況といいますか、病気の状態。 ○C委員  それに対する対策の問題です。 ○会長  治療法を考えろ、そういう問題ですね。 ○D委員  全体の枠組みの問題と中身の問題がかなり関連をしていると思うんですね。したがい まして、全体の中身の議論の中でやっぱり枠組みそのものを少し変えなければならんじ ゃないかということになる可能性の問題があるように思うんです。と申しますのは、こ こで「はじめに」というのがありまして、次に「次期制度改正に当たっての基本的考え 方」があって、それで、次期改正の具体的な内容と個別検討課題につながっています。 女性の問題についての検討会というのは1つ位置づけが別の角度でなされているわけで すが、結局今回の改正の中で解決ができるということが明確に認識できなかったとして にもかかわらず5年後の次の改正までほっとくのか。というと、それはとんでもない話 だという意味で、やっぱり1つのあるべき姿、将来像という問題は明確に位置づけてお く必要があるのではないか。そうすると、これは枠組みと関係してくる問題になってく るわけですね。 章立てを大きく1つ立てていただかなきゃいかんという問題になる可能性がある。内容 の議論をする中で、ひょっとしたら枠組みにもかかってくるかもしれないことを御説明 申し上げたいと思いますので、そういう形で留保させていただきたいと思います。 ○会長  それでは今のようなお話もございますから、先へまいりまして、Iの「はじめに」とい うところと、IIの「改正に当たっての基本的な考え方」とをあわせて、その部分につい ての御議論をお願いします。ページ数で言うと、1ページから6ページの上4行目でロ ーマンが変わります。IとIIにつきまして、IIIは個別の検討項目になりますので、その 手前のところまでで何かご意見がございましたら。どうぞ、E委員。 ○E委員  4ページの上段に、「2025年の社会を念頭において改革を進めていくことが適当であ る」という指摘をつけておりますが、これがなぜかということの理由が、「長期的な制 度であることから」というだけしか書いてないんですね。これでは不十分だと思います。 確かに2025年というのが1つのベースイアーだと、どなたかがなさったと思います。  ただ、私の個人的意見を申し上げますと、2025年だけでいいのかしらということであ ります。年金財政の将来見通し等を見ますとやはり2045年とか2050年の時点も、今の時 点で年金受給者がどれだけいるかということはほぼ確定しているわけでして、この問題 が極めて不確かであるというような状況にはないわけですから、2045年から2050年につ いてもあわせて考慮の対象とすると書き込むべきだと私は個人的には思います。 ○F委員  多少、E委員のことと妥協的なんですが、幅がありますので特定の年というのか、21 世紀前半の後ろというか、その辺のところでいいのではないか。もう少し範囲を広くと っておいた方がいいと思います。 ○G委員  2ページの上から10行目ぐらいですか、「現在受給している年金額を引き下げるもの ではない」と断定しておられるのですが、何回も私そういう発言してまいりましたけれ ども、今のような少子化傾向が続いて、現在受給している年金額を全く何もしないとい うことで本当に済むだろうかという気はやはり今でもしております。「年金額を引き下 げるものではない」というふうにここで断定してしまうことにいささかためらいを感じ ております。  その7〜8行下ですか、「年金受給世代と現役世代が対立するのではなく、痛みを分 かち合うこと求められている」というような表現もあるわけでございますから、上の方 で、「年金額を引き下げるものではない」と言い切ってしまわない方がいいのではない かという感じがしております。  それから、4ページでございますが、〈公的年金の財政方式について〉の(注)のと ころなんですが、「積立方式に変えることによって、顕在化するものである」と書いて おられます。これは何回か、このひと月間の審議会で発言させていただいたんですが、 積立方式には全く関係なしに債務があるわけですから、そこのところはその前の「約束 した債務があるために生ずるものである」として「積立方式」から「顕在化するもので ある」というところは削った方がいいのではないかと、そのように考えております。  それから、5ページでございますが、上から3行目の「現在の経済金融環境の下では 賦課方式より積立方式の方が有利といった現行制度に対する問題認識があり」と書いて おられますけれども、ここのところは、仮に積立の方がといったニュアンスで私なんか は発言してきておるわけでございますけれども、お金を持つのがいいのか、持たない方 がいいのかという観点から積立方式を主張したのではなくて、要するに世代間の負担の 公平性という観点から結果的には積立方式になってしまうということで申し上げたつも りです。ですから賦課方式より積立方式の方が有利だという趣旨で申し上げたのではな かったと思うんです、私は少なくとも。ですからここのところはちょっと違った表現が あるのかなというふうに考えております。以上でございます。 ○会長  D委員、どうぞ。 ○D委員  起草委員の方は随分苦労されたと思いますので、最初に苦労されたことに御礼申し上 げたいと思います。  最初に「はじめに」の1ページなんですか、論理立ての問題と文章の問題とあります が、文章の問題としましては、「はじめに」の頭から5行目のところに「足もとの景気 は確かに悪いがこのような状況が永続するとは考えられない」と、非常に明快に書いて ございますが、そうであれば結構でございますが、これはどういう科学的根拠でおっし ゃっているのかという話になりますので、決してだれもこんなことを永続してもらいた いとは思っていませんが、ちょっと文章の表現の問題としては考えていただきたいとい うふうに思います。  それから、一番肝心なことは下から2段落、「これまで5年毎に年金の制度改正が行 われてきたが」云々から、「公的年金の将来像を明確に示す必要がある」、ここまでは 本当にすばらしい今回の年金改正の根幹に当たる問題をきちんと整理されておりまして すばらしい表現でございます。ところが次の4段落が途端にぐにゃぐにゃぐにゃとなっ た感じでございまして、この論述から言いますと、要するに公的年金の将来像を明確に 示す必要がある。その公的年金の将来像はこうなんだと。ところがこういう将来像に向 けて足元からどういういうふうにして移行していけばいいのかという論述になるのが常 識的な論述であると思うんですね。  ところが公的年金の将来像が明確に示す必要があるのですが、まだ議論不十分で公的 年金の将来像が明確に示し得ない状況に今あるとしますと、まず、本来的には今申しま したように明確にして、そして足元からその明確な像に向けてどういう筋道でいくかと いうことが今回改定の位置づけであると明確にすべきなんですが、それはまだ議論がち ょっと足らないで、およそ大体像ができかかっていますが、完全に像ができてないとい うことであれば、その像をつくることにやっぱり必死にならなければいかんわけであり まして、5年ごとにたまたま財政再計算がなされるから5年間ほっといていいというこ とには到底ならないわけですね。  したがって、まさに公的年金の将来像に向けてかんかんがくがく、本当に議論してど ういう像でいくのかということを固める仕事をまずやらなければいかん。要するに抜本 改革に向けての審議を速やかに進めて結論を得るのだということを明確にして、しかし その方向に向けておよそ間違ってないと思える改革は今回やりますよと、こういう位置 づけにしていただく必要があるのではないか。  そういう意味で、私さっき実は「はじめに」から始まります論理立てそのものに将来 像の構築という項が1つ要るのかなという気がしたものですから申し上げたのです。そ れは各委員の方々の御判断にしてもらってもいいと思うんですが、少なくともその道行 きがきちんと明確にここに示されないと、せっかくだれが見てもすばらしいと思う文章 が入ってまして、その次に途端に全然論理的につながらない話がごちゃごちゃごちゃっ と入ってきている。したがって、そういう意味では将来像に向けての抜本改革について 審議を進めて結論を得る。その方向に向けて、現行制度の中でおよそ改革すべき点につ いてはただちに着手するのだというような位置づけにしていただいたらというふうに思 います。  それから、2ページの頭でございますけれども、「保険料を引き上げていかざるを得 ないが」という、これ、どこかにまたそういう文章出てくるんですが、要するに将来の 給付と負担の在り方については、その均衡を図ることが重要でありということでありま す。「はじめに」のところで大事なことは、給付と負担の在り方については、その均衡 を図ることが重要であり、将来世代の負担を過重なものとしてはならないということを 明確にしていただく必要があるのではないかと思います。  それから、3ページの下の方でございますが、税方式を導入するという考え方もある わけですから「保険料については今後とも引上げていくことは避けられない」とありま すが、保険料は現行制度のままでは今後とも引上げていくことが避けられないわけであ って、制度改正いかんによってはどうなるかわからないので、ここは必ず「現行制度の ままでは」という文言をぜひ入れていただきたいと思います。  それから、4ページでよろしゅうございましょうか。4ページで(公的年金の財政方 式について)ということで、まず1つは「積立方式と賦課方式を組み合わせたものとな っているが」と書いてあります。正確には混在したものでありまして、そんなにきちっ と組み合わさっているものではない。1階にも御承知のように積立金ありますし、した がって、これは「混在したもの」というのが正確な表現ではないかと思うんです。「こ れを完全に積立方式にすべきであるという意見がある」とこう書いてあります。しかし 公的年金を1階も2階も全部積立方式にすべきであるという意見がこの年金審議会にあ ったとは私は認識してない。意見はあったと思っておりません。もっぱら基礎年金につ いて、あるいは1階について、これを目的間接税なりの税方式に持っていくべきだとい う意見や、2階を積立方式にすべきだという意見があったことはそのとおりなんですけ れども、これを1階も2階も積立方式にすべきだという意見があったとは私は認識して おりません。ここの頭の3行のところ、正確に言えば、「1階を賦課方式に2階を積立 方式にすべきという意見がある。2階の積立方式への移行については」と、こういうふ うに結んでいただかないと大変な誤解を招くことになるのではないかと思います。  それから、ここの「インフレが発生した場合の対応が困難であることなどの問題があ り」次期制度改正よりただちに「積立方式への移行は困難である」。「引き続きいろん な抜本改革についての審議を進める中で今後の財政方式の在り方について検討を行い、 速やかに結論を得ることとする」というのがあるべきであって、「今後とも積立方式と 賦課方式を組み合わせた現行方式を維持することを基本とすべきである」というふうに 持っていくのは、議論が不十分な中で問題であると考えております。  それから、5ページのところでは、重要な役割を果たすのは公的年金であることは間 違いない。基本となるというふうに言っていいのかどうか。それから、これは社会保障 制度審議会でもそうですが、自助・共助・公助というモノの考え方を出しているわけで ありますから、「したがって」のところも、「公的年金と自助努力を組み合わせて高齢 期の生活に備えるという基本的な考え方」と考えるべきではないか。  いずれにしましても、先ほど申しました骨格の問題と将来像の問題、もう一つ、4 ページの全部積立方式という議論はないわけでありますから、この論述は変えていただ いたらいかがかということを問題提起しておきたいと思います。以上でございます。 ○C委員  「はじめに」の部分の全体の基調にかかわることについて御意見を申し上げたいと思 うんです。先ほども全体の構成のところでも御意見申し上げましたけれども、この「は じめに」のところに書いてあることは、総括的に言えば、給付の抑制ということが主眼 として書いてあるというように理解すればいいのかなと思います。これまでの審議経過 の中で基礎年金がいろんなことでぐらついているというか、そういう状況があることは 何度も議論に上ってきたわけであります。先ほど私が枠組みとして項目を立ててほしい というように申し上げたのは、基礎年金の空洞化問題でありまして、そのことについて 「はじめに」のところで全然触れなくていいのかということについて1つ疑問に思って おります。  それから、もう一つは、「はじめに」のところに、その前にきょうお休みになってい るP委員が前回資料の提供を事務方に申し述べた件がございますので、これについては 早急に資料を出していただくようにお願いしておきたいと思います。  それから、また今の基調のところにかかわるわけですが、給付と負担の見直しをする ということが年金改革の大きな全体枠ということであれば、その前提になるものについ て、きょうA3判で随分粗っぽいものを3人の委員名でお配りをしていますけれども、 その前提となるものについて、だから、こうしなければならないんですよという前提の 妥当性というものがわかりやすく記述されているということは極めて大事ではないかと 思っております。  具体的に言いますと、「はじめに」のところですが、決して起草委員諸先生方の文章 に問題があるというような一面的な側面で申し上げているつもりはないんです。30%以 内におさまると予定される云々のくだりでありますが、このあたりの文章は要するに1 つの枠組みから考えたことでありまして、別の試算例もいろんな学者の方、あるいは年 金に関係される方も出しておられるわけであります。そういう面では、今、申し上げま したように、これこれしかじかのことをやるということに対する前提の妥当性というの が全体の記述の中にあってしかるべきかなというように思うわけです。この文章そのも のは、30%以内云々のところに前提があるのでしょうけれども、やや、わかりにくいと いうか、そういう丁寧な記述があっていいのではないかということを申し上げておきた いと思います。  それから、A3版のメモ書きをお配りしていますが、時間の関係もあり私1人が発言 するというわけにもいきませんから、場合によっては発言させていただくことにします。 もう一つは、6ページにかかわることで気づいたことであります。確かに今回の審議会 で、前回のときに比べれば、相当な情報開示がされたというように考えていいのだろう と思います。教育のことも6ページの上段に書いてございますが、やっぱりさらなる情 報開示というのが進めば進むだけ相関関係で年金に対する理解が深まるということでは ないかというように思っております。そういう面では、この文章のどこかにさらなる情 報開示が必要だというくだりがあってもいいのではないかということをちょっと申し上 げておきたいと思います。以上です。 ○H委員  D委員と重なりますけれども、ページ5の〈公的年金と私的年金〉のここの所得保障 の基本となるのは公的年金と、その2行下の公的年金が基本のところも、公的年金と自 助努力を組み合わせると、こういうふうに直すべきだというD委員の意見に全く賛成で す。同様の意見なんでありますが、2ページの中ほど下から13行目あたりに「今日、我 が国の年金は世界的にみても遜色のない水準に達している。年金は高齢者にとって命の 綱であり、空気や水と同じように」、ここは情緒的過ぎるので、命の綱であり、空気や 水と同じように」までは取っていただいてよろしいのではないかと思います。  同様に、D委員の意見に全面的に同じ意見なんでありますけれども、「はじめに」の ところの1ページ目の下の方であります。ここは年金の財政方式に関連しまして、特に 私は負担の側からの意見ばかり申し上げてきましたけれども、労働側の委員は負担の問 題と同時に給付のレベルということも当然配慮しながら意見を言われているわけですが 労使とも財政方式については税ということを提起しているわけであります。今回の改正 においては、そのような方式をとることがいろいろな事情から難しいということはあっ ても、議論としてはきちんと詰めるのだということを明確にしていただいた方が今回や らないということについて納得が得られるのではないか。何となくこの文章ですと、今 回だけに限らず非常に問題が多いので、今後ともやらないというふうに受けとられる印 象があるので、その辺のところは表現でも工夫していただいたらよろしいのではないか と思います。以上です。 ○会長  B委員、どうぞ。 ○B委員  C委員と連名で横書きのメモを出していただきましたので、C委員の意見と多少重な る部分があるかもしれませんが、内容のコメント及びここに書いていることの前に考え 方として少し従来言ってきたことと重なるかもしれませんが、主張させてもらいたいと 思っています。  まず、「はじめに」から6ページに至る今回の基本的考え方に流れるものとして、私 もD委員が言われているとおり、1ページ目の「公的年金の将来像を明確に示す必要が ある」というくだりについては非常にぴしっと書かれていることではないかと思うんで す。制度全体にわたる見直しも含めて、やはりそのことをしっかり審議会の中で議論を すべきだと思います。  しかし、そのことと、今回の改正に当たって、あるいはその後で展開をされる具体的 な改正の中身で今年何を取り上げるのかということにつきましては余りにもギャップが あるのではないかというのが結論的な印象でございます。端的に言えば、5つの選択肢 もそうでしたけれども、やはり公的年金が置かれているさまざまな状況や幅広い角度か らの検討ということを抜きに、抜きにというか、あるいは検討してもそこはさらっとい きながら、結局は負担と給付、しかも財政問題ということだけに、ある意味では言葉は 悪いですが、矮小化をして一定の負担に限度があるのだから、したがって給付やむなし という意味で、やはり給付抑制、水準切り下げ一点ばりという印象が非常に色濃く反映 された意見書になっているのではないかというふうに印象を受けるわけでございます。 そこの結論めいたところが全く組合の主張と違う。また、そういう内容ではこの審議会 に組合代表で出ている我々としても納得できないということは申し上げておきたいと思 います。  逆に組合が一番強調していますのは、これまで一貫して申し上げてきたのは、今回改 正の最大のポイントはまず土台の部分ではないか。基礎年金の空洞化と、そして土台に なっている基礎年金部分が将来の負担の大きさということと、もう一つは人頭税的な保 険料負担ということも含めてますますそのことが危機になってくるのではないか。今、 公的年金で直近の足元の問題としては何が最大の課題かといえば、やはり基礎年金問題 ではないかということは一貫して申し上げてきたつもりでございます。しかし、そのこ とについて、「はじめに」の部分というか、むしろ2ページ以降のところでございます が、あえてそのことについては少し避けているというか、意識的に触れられてないとい う構成になっているのではないかというふうに思います。  ちょっとお時間もう少しいただきますけれども、その基礎年金部分をしっかり救うた めに、組合としては公的年金の将来像という中長期視点の問題として、福祉目的税を含 めた税制化ということについて真剣に検討していくべきじゃないかということを提起を いたしました。このことについては随分議論もあるし、反論もあるということでござい ますが、と同時に直近の次期改正においては、税制方式はともかくも行財政改革を中心 にした一般財源による国庫負担の3分の1から2分の1ということについては前提で、 あるいは具体的な課題としてやるべきではないか。そのことは負担率をそれほど大きな ものにするということをせずに、また組合のこの前、資料を提出させていただきました けれども、組合独自のシミュレーションの中では、現役との代替率を変えずに、しかも 賃金スライドを廃止したり、あるいは別個の給付をとったりということがなくても公費 負担2分の1ということを前提にすれば、ピークでも3割を切る負担水準でいけるので はないかという試算も出しています。要は給付と負担の部分については、あくまで負担 の限度から給付を見るのではなく、まず給付を大事にし、その給付のあるべき姿の中か ら負担のあらゆる工夫をしていくべきではないかということ。また、給付水準について も決して切り下げる必要はない。 これは後のところでもまた申し上げます。  それから積立金の水準の在り方についても、今までと同様ではなくて発想の転換をし て、端的に言えば、より賦課方式に近づく形の部分も含めまして積立金の在り方、見直 しによってさらに負担限度をとどめることができるのではないかということを申し上げ てきたわけでございます。  そこで、時間をとって申しわけないんですが、そういう意味でちょっとこなれてない 文章になっていますし、こう変えてもらいたいということが余り時間がないまま、ちょ っとばばっと書き上げたところもありますので、逐一ここに書いてあるものを全部を申 し上げません。ただ、今言ったような観点からしますと、この幅広いメモをちょっとあ けていただきたいんですが、ページ3の上から、「具体的に」のところでは、60年改正 において、女性の年金権の問題や、あるいはここで給付水準の引下げをしたよというこ とについてはあえて抜かしているのかなという印象がありますので入れるべきだ。それ から、その下の部分につきましては、今申し上げたような、今回年金改正の相当大きな 課題は基礎年金の空洞化であり、これを将来にわたってどうするのか。それは国民皆年 金の中での土台の部分になるだけにそこの部分が大きいのではないかという意味でこう いう表現にあえて入れるべきではないかということでございます。  それから、その下の大変長い文章で、しかもちょっとこなれてない、あるいはなじま ない少し書き方になっているかもしれませんが、ここで長々と書いていることは、今私 が長々と口頭で説明した労働組合としての基本的な考え方を少しここで書いているので あります。 すなわち給付と負担の問題については、ここでの結論は、水準抑制しかないと。したが って、それは年金水準、支給開始年齢、スライド方式の在り方全般について見直すとい う骨格がここで記述されているわけですが、それについては積立金の在り方、それを取 り崩すことを含めた在り方や、あるいは労働力率の増、すなわち年金を支える側として の女性や高齢者雇用の増等々を含めて考えるべきだと。それから、また給付水準は決し て高過ぎるわけではないと。現行給付水準はということを含めて、その下にこういう表 現で書いているところでございます。  こなれてない文章かもしれませんが、言いたいことはそういうことでございますので ぜひ大きな出発点の違いと、それから出口が余りにバイヤスのかかった給付水準のみの 印象になる意見書にこのままではなっていくのではないかということに大変危機感を覚 えておりますので申し上げておきたいと思います。以上です。 ○I委員  皆さんの御意見のあったところは省略いたしますが、1つ気になる部分は、4ページ の〈公的年金の財政方式〉のところの表現でございます。先ほどからこの部分はかなり 皆さんの御意見あったわけでございますが、まず、1行目から2行目にかけては、D委 員がおっしゃいましたような御意見のとおりでありまして、これは一体何を書いている のか。1階部分と2階部分を対比して書いているのか、あるいは2階部分の中で言って おられるのか、そこらあたりがはっきりしないわけですね。それはやはり区別してお書 きになった方がいいのではないかと思います。  積立方式と賦課方式を組み合わせたものとなっているというふうに言い切ってしまう ことが果たして現状の認識に対してプラスになるのか。あるいはかえってまた混乱を引 き起こすだけではないかというような気もするわけでありまして、こういうためには、 まず積立方式とは何か、賦課方式とは何かという言葉の定義がその前に必要なんであり まして、もし完全積立と完全賦課というぐあいに非常に理論的にすっきりした財政方式 をイメージするならば、また、それも1つの書き方ですが、現実はそうじゃないわけな んですね。1階部分は世間ではこれを修正積立とか、修正賦課とか、私なんかは「部分 積立」とこういふうに言っておりますが、確かにそういう賦課方式と積立方式とミック スしたようなあれなんですが、これを組み合わせたというふうに言うかどうか。外国な んかではこれはパーシャルファンディングなんですね。「部分積立」と言っております。 ですから、ここの書き方はなかなか難しいと思います。  その次は、G委員が取り上げられた「顕在化」するという(注)の問題なんですが、 確かにこれも表現が難しいんですね、短い言葉で言うのには。それで約束した債務があ るということは、これは厳然たる事実でありまして、賦課方式と積立方式とは関係がな いわけでありますね。ただ、言えることは賦課方式でしたらツケは全部後代に回してお りますから、そんなこと意識しなくてもよろしいと、これははっきり言えるわけですね。 必ず後代が払ってくれると。払ってくれるかどうかわかりませんけれども、現在のとこ ろはそう言って後代にツケを回しておるわけですから、それでいいんですが、これを後 代にツケを回さないで積立方式に変えると、確かにそれをどうするのかという問題が出 てくるわけで、顕在化せざるを得なくなるわけですね。どうするのか。この問題が日経 連の方のところでも非常に苦労しておられて、それをどういう方法でやるのか、今後検 討するというようなことを言っておられるのですが、実はこれが難しいものだから積立 方式にはできないわけなんですね。  それがありますので、ここを書くとすれば、かなりごたごたしますよ。そうでなけれ ば、(注)の部分はどうされますか、G委員が言われたように、生じたものであるで切 った方がまだましなのか、そこらあたりはひとつお考え願いたいと思います。  それから、次にこれは私の意見なんですが、上から4行目に「また、巨額の積立金を 保有することになるが、その運用には相当のコストと困難が伴う」、確かに困難が伴う ことはこれは事実だと思うんですが、相当のコストをわざわざ言わなければならないの か。もちろん積立金の運用ですから、賦課方式ならば必要のないコストが加わると、こ れは当然なんですけど、これは積立方式そのものがそういうコストを飲み込んでもなお リターンがあるというので積立方式のメリットがあるわけですから、わざわざコストを 言う必要があるのか。私はむしろ、その運用には相当の困難が伴うと、その表現だけで 結構じゃないかと思います。  普通「コスト、コスト」をやかましく言いますのは、政府が一括して運用する場合の コストと、それから最近アメリカで流行っております個人勘定にして分散しちゃう場合 のコスト、個人勘定にしたコストはべらぼうです。その場合には確かに個人勘定化する ことはコストが伴うということは言えると思うんですが、政府が一括運用する場合のコ ストは大したコストでもありません。普通金融機関が支払わねばならないコストですか ら、わざわざメンションする必要があるのかどうか、私は疑問に思います。以上でござ います。 ○J委員  今になって皆さん方の御意見聞いて意見書をまとめるのが、これまた大変難しくなっ てきたなという感じです。私はこれ全体を読んで、この審議会というのは一体何を言お うとしているのかということがもうちょっとはっきりできないものだろうかと。各個別 のことについては確かにいろんな議論がありましたから両論併記といいますか、いろん な意見が全部網羅されている、そういう書き方になっても私はやむを得ないと思います。 しかし、この審議会が全体として一体何を言いたいのかというのがもう少し明確に出な いと、これはせっかくここまでみんなで何十回も議論してきて、この審議会は一体何だ ということになりかねないような気がするんですね。  そういう点でいろいろ考えてますと、確かにいろいろ議論はあって意見は対立した面 があるんですが、私自身の理解では程度や方法は別にして、将来の給付増をできるだけ 抑制していく。その割合については、1割とか2割とか4割とかいろいろありましたけ れども、抑制していくということについては、程度や方法は別ですけれども、実は皆さ ん意見が一致したのではないかと思うんです。その点をもう少しはっきり出さないと、 何を言っているのかわからないという感じがしますので、その点を第一にもう少しはっ きりさせる必要がある。  文章で言いますと、2ページ目の将来の給付と負担の在り方について、「その伸びを できるだけ将来に向かって抑制していくことは避けられない」ということではなくて、 もう避けられない、必要だということは、むしろ私自身の感じで言いますと、それはこ の審議会での全体としての意見の一致であったというぐらいなことまで、そういう文章 を書くかどうか。言葉を入れるかどうかは別ですよ。そういうことは私ははっきりさせ た方がいいのではないかという点が第1点です。  それからもう一つ、税方式と国庫負担の点についても、税方式については意見が分か れましたけれども、国庫負担を2分の1にすることについては、恐らく皆さんそう違っ た意見はない。いろんな条件はありますよ、財政状況を踏まえるとか、具体的な財源を 何に求めるか、いろいろ意見ありますけれども、それについては、今度の11年改正では 無理ですけれども、次の改正では、具体的な導入に向けてもっと真剣に検討していいの ではないかという点についても、皆さんの意見は一致したのではないか。一致した点は 一致した点ではっきり書かないと、意見が分かれて、ああいう意見もあった、こういう 意見もあったということばかり全体として羅列されているような感じがするのはいかが なものかという感じがいたします。 それから、全体のはしがきのところで、将来像を明確に示す必要があるということが 書いてありますが、私もそのとおりだと思うんですが、実はこの審議会では率直に言っ て議論が分かれて将来像を示し得なかったですね。ですから示す必要があるといって、 残念ながら示し得なかったということが、私は言外に含まれていると思うんですね。で すから、余り示す必要がある、示す必要があると言っても示さなかったじゃないかと言 われると非常につらいなという感じがしますので、それは今後まさに議論を詰めていか なくちゃいかんのだというようなこともあわせてちょっと触れた方がいいのではないか という気がいたします。  それから、あと言葉の問題になりますけれども、「不信の声も強い」というのは、不 安はわかりますけど、不信の声が強いとか、そういうことを審議会としては、不信とい う言葉まではっきり言うかどうかというのは、私自身としては若干ちょっとどうかなと いう感じがします。これは皆さんの御意見次第でございますが。  それから、あと少し細かい点で申し上げますと、「現在の受給者については年金額を 下げるものではない」と言い切っていますが、これは今の受給者が非常に心配をしてい ますから、こういうことを書いていいと思うのですが、ただ、先ほどもちょっと出まし たけれども、現在の受給者についても、例えば賃金スライドをやめるということは不利 な面が出てくるわけですね。ですから今までと違った受給とか、あるいは年金額の引上 げについて、「不利な点が出る」という表現はよくないと思いますけれども、いろんな 意味の制約とか条件がついてくると。それは現在の受給者も受けてもらいたいという趣 旨のことは、私はむしろ入れておかないと、今の受給者は全く心配ないんだよというふ うな印象を与えてしまうのは、これはまたよくないのではないかという感じがいたしま す。  それから、先ほどちょっと意見が出ましたけれども、「現在の金融環境の下では賦課 方式よリ積立方式の方が有利」と、こんな問題認識なんていうのは、私なんかは現在の 金融環境認識では積立方式はなかなか難しいという認識で、賦課より積立の方がいいと いうのは、まさしく人口構造の変化から来ているので、現在の環境からは積立というの は大変難しいというのがむしろ常識ではないかと思うんです。何でこういうことになっ たのか、私はちょっとよくわからないんですけれども。  それから、全体として「意見がある」とか「あった」とか、その意見というのは世の 中の意見なのか、審議会の中での意見なのかということが非常にあいまいではっきりし ない点があります。その点は全体を通ずる問題ですけれども、多少B委員なんかのおっ しゃったようなことも関係するのかもしれませんが、もうちょっとはっきりしないとい けない。 何か人ごとみたいに意見があるけれども、それはどうだというふうな書き方は、審議会 としての意見はこうだというのはもうちょっとはっきり言えることは言った方がいいの ではないかというふうに思います。 ○C委員  先ほどから現在の既裁定者の年金についての話が出ています。しかし、全体の記述の 中には触れられてないんですが、例の2006年問題といわれる給付乗率による年金額の抑 制が静かに進んでいるわけです。それについての考え方とか、そんなことがあるのだと いうことは入ってないわけであります。したがって、そういう問題と将来のあり方につ いて、先ほどB委員から話もありましたネットネットの可処分所得スライドのような問 題も含めて考えると意外に給付額の水準というもののとらえ方に違いが出てくると思い ます。 そこのところの問題は文章からはほとんど読み取れないわけであります。どこかに具体 的な形で見えるようにしておくことが読まれる方への親切ではないかと思います。  近頃現実に、例えば58歳ぐらいになって社会保険事務所の窓口に行って自分の年金額 を聞かれると、予想だにしなかったという方が大変多いわけであります。意外に年金額 というのは少ないのねという人が我々の仲間うちでもたくさんいらっしゃるわけであり ます。 それが今申し上げた給付乗率の問題も寄与しているのだとも思えるわけでして、少し親 切に記述をしておいた方がいいのではないかということを申し上げておきます。 ○K委員  全体を通して読んだときの印象として、年金審議会でいろいろ論じられてきたあるべ き今度の完成の姿と現状認識というんでしょうか、「現実には、現実には」というのが すごくいろんなところに出てくるんですね。でも、特に「はじめに」の部分というのは 現実にはどうであるということよりも、年金審議会が、先ほどJ委員がおっしゃたよう に何を論じてきたのか、何を論ずべきと考えて論じてきたのか。そして、それがどこま でいったのか、いけなかったのかということを明確にすべきだと思うんです。  それについては、私、多少文章を前後させることだけで随分はっきりするのではない かというところがあります。というのは、これは普通の人が読むわけですので、例えば 最後の方に、「今日、我が国の年金は世界的にみても遜色のない水準に達している」な んていうのがありますけど、これは私これじゃなくて、先ほど労働側の方が出されたモ デル水準としてはみたいなのを入れた方が親切だと思うんです。現実は自分の年金が全 然足りないと思っている人はたくさんいますので、こういう部分、「このように重要な 役割を果たしている年金制度は今後とも守っていかなければならない」ということに関 しては、審議会では私は合意があったように思うので、こういう部分を先にして、そし て、だけれども、最初にある「歯止めのかからない」というような問題状況があるとい うような運びにした方がいいんじゃないかと、わかりやすいと思うんですね。  それから、先ほど皆さんがおっしゃっていた1ページ目の「これまで5年毎に」云々 のところですよね。「改正は従来の延長線上で対応することは許されなくなってきてい る」というのは、これは単に負担と給付の問題だけではなくてもっと根本的な問題だと 思うんですね。この根本的な問題についても論点整理の段階で既に認識されていて、制 度全体にわたる見直しが求められたと思うんです。しかし、次の段落から、どんどん、 どんどん現実には妥協せざるを得ないという形になってきているので、この辺をもう一 度、普通の人が読んでわかるように、何を目指した、だけれども、現実は当審議会とし ては今回はこういうふうにするべきだと考えるという形で、その内容はという形でIIに いってくださるともっと素直に読めると思います。  その後の部分にも出てくるんですけど、現実がどうだということについて、審議会が 主語になって言うべきなのかどうかというのについては、私は全体を通してちょっと疑 問に思いました。審議会はやはりあるべき姿と目指すべきところははっきりして、それ が現実的かどうかという判断をどこまで踏み込むべきかというのはちょっとどうかなと いうふうに疑問に思ったところがあります。 ○I委員  大したことないんですけれども、J委員が言われたので思い出したんですけれども、 5ページの上から3行目は、確かにみんなこれはぎょっと思うだろうと思うんですよ。 現在のような非常にバブルが崩壊した金融環境下で積立方式が有利だなんて、そんな議 論があるのかねということになるだろうと思うんです。これはむしろ少子・高齢化の方 なんですね。だから社会環境の変化の方が大きいんですね。それから、有利というより は、むしろ賦課方式の方が積立方式よりも有利と言われていた根拠がなくなってきたと いうことだろうと思うんですね、消極的な意味で。まだ賦課方式よりも積立方式が有利 だとは言い切れないと思うんですね。将来のことを考えると確かにいろいろ問題が出て きた段階ではないかと思うんですね。ここもなかなか短い言葉で書くのは難しいですよ。 以上でございます。 ○会長  何かおっしゃいますか、A委員。 ○A委員  起草委員の責任がいかなるものなのかよくわからないので黙っているんですけど、黙 っていては申しわけないのかなという気もしないわけではないんですが、どうしましょ う。あえてしゃべる必要はないんですが、でも御指示があれば。 ○会長  議論を先へ進めまして、III、財政再計算に伴う「次期制度改正の個別検討項目につい ての考え方」、ただいまの6ページの中ほどから始まる、項目がたくさん並んでおりま す部分について、皆様の御発言をいただいて、よろしゅうございましょうか。ついでに 最後のIVのところ、「その他」、19ページにマルが3つ残っておりますが、これも御議 論に入れていただいて、御発言をお願いしますが、よろしゅうございますか。E委員、 どうぞ。 ○E委員  所用で4時に退席をいたしますので、先に発言させていただきます。  あるマスコミの方から聞いたんですが、P委員とE委員が黙れば、年金審の意見書は 比較的早くまとまるというお話があるという。私が黙ることの方が大事かもしれません けれども、私の発言をどちらかというと期待されている向きもあるでしょうから、ここ の段階で申し上げるべきところを少しお話ししたいと思います。  いくつかあるんですが、基本的には「給付水準」に絡むところと「支給開始年齢」に 絡むところ、それから「基礎年金」関係の話であります。まず、最初から申し上げます と、6ページに「税方式への転換」の話がありますけれども、ここは書きぶりは国庫負 担率の引上げも含めて佐久平でやった集中審議段階の理解に比べて後退した書き方にな っているのではないかという印象が極めて強いんですね。私の理解では、連合も日経連 も、N委員や、あるいはQ委員や私を含めて人数的には9人は少なくとも将来税方式に 切り替えろというふうに申し上げたというふうに私は記憶しております。メンバーは全 部で21人のはずなんですね。それだけの人が求めた話がこういう書き方になっていると いうことについてもうちょっと工夫をしていただけたらというふうに思います。特に将 来的に2分の1にすることについて、先ほどJ委員もおっしゃっておりましたけれども 少なくとも時期は別として大方の合意が得られたのではないか。ここでは意見が単に強 いとだけしか書かれていないんですね。意見が強かっただけなのかということなんです。  私は少なくとも大方の合意はそこにあったというふうに考えておりまして、年金審で はいろいろな意見に分かれているだけという印象は余りよくないと思うんです。少なく とも合意された事項について整理する中で、将来2分の1ということについて、大方の 意見として書くことをぜひ検討していただきたいと思います。  それから、2番目は8ページに厚生年金の「給付水準」の話が書いてありまして、こ れは上から7〜8行目に、マルがあって3行目のところですが、「給付水準を引き下げ ることはやむを得ないと考える」と書いてあるのですが、厚生年金の給付水準は、給付 乗率×平均月収×拠出期間×スライド率になっているわけです。これで給付額が決まる 形になっているんですが、給付水準という場合、給付乗率を念頭に置いた話なのか、そ の全体を含めて言った話なのかということをやはり明確にしておく必要があるのではな いかと思います。また給付水準を下げる場合にどこまで下げるかという話を全然してな いんですね、審議会は。下げるということであれば、どこまで下げるかということを書 かざるを得ないのではないか。  5年置きに見直しをやるときに財政状況だとか人口構造の変化があって、給付水準が また下がっていく、さらに下がっていくというふうに、底が抜けているという意識が非 常に強いんですね。年金に対する信頼感を回復するというのは、ここがそういう意味で 非常に重要なメッセージなはずなんです。ただ、「給付水準引き下げはやむを得ない」 と書いちゃっていいのかどうか。私はここは「給付乗率」という書き方であれば個人的 には構わないと思っております。ただし、ずっと申し上げておりますけれども、拠出期 間、満額年金の拠出要件を40年から45年にすることと組み合わせて給付水準自体は維持 すべきであるというふうに個人的には考えております。給付乗率の引下げはやむを得な いけれども、平均余命が今後大体1割強延びるわけですね。それに合わせて拠出期間を 1割強延ばす。「全体として給付水準を維持する」と書けば、私はいいのではないかと 思うんですが、仮にここがそうでないという理解であれば、もうちょっとそこがわかり やすいように、そして、それがなぜ必要なのか。下げるという場合にどこまで下げるの かということを書かないと、要するにまた次回、次々回に同じような経済環境、社会環 境の変化があれば、また下げるんだねという話につながってしまうということを私は心 配しているわけです。  それから、一番問題なのは実は10ページの〈支給開始年齢〉のところだと思います。 先ほどA委員から配慮の行き届いた御説明があったのですが、私の理解とちょっと違っ ておりますのでその点を申し上げておきたいと思います。  前回の制度改正をやったときに、この支給開始年齢問題は大問題であったはずなんで す。当時、審議会のメンバーの方、会長はじめ何人かいらっしゃると思いますので、私 が繰り返し説明する必要ないと思うんですが、審議会の意見書は両論併記であったはず なんです。 65歳に1階、2階含めて引上げろという意見と、1階65、2階60という形の2つの考え 方を両論併記したわけてす。それを政府と政治の調整に任せまして、結果的に今のよう な1階65、2階60という図式になったわけです。  そのときに、そのような年金制度改正法案が年金審に諮問された段階で、私はまだメ ンバーでなかったんですけれども、年金審のメンバーはその諮問に対して了承というこ とをおっしゃったはずだと思います。そうすると当時了承した段階からまだ5年の時間 の経過がないんですよ。時間の経過がない。それにもかかわらず、あの基本図式、60ま では雇用でやってくださいと、60から65までは雇用と年金でつないでくださいと。65か らは年金ですよというその基本図式が実は間違っていたんだということをここで改めて 言おうとしているわけですね。しかも、これを年金審の多数派の意見といいますか、大 方の意見として書き込もうとしているというふうに私は理解するわけです。それはやは り年金審自体の権威にかかわる問題だとも思っているんです。法案が作成され、成立し た後、例えば公務員部門では人事院や自治省の担当部局が、60代前半の継続雇用に向け ていろんな施策を具体的に講じるための検討に着手して、報告なりいろんなものを出し ているわけですね。あるいは労働省も60歳台前半の継続雇用に向けての枠組みづくりを 一生懸命やっている。それは前回の年金改革の合意を受けてみんな走り出した話だと思 うんですね。それを5年もたたないうちに、あの図式は間違っていたということを宣言 するに等しいと私は思うんです。  私は当事者でないですからやや責任が薄いと思うんですけれども、その問題について 仮にそういうことをどうしても言いたいということであれば、いくつかの留保を申し上 げざるを得ないわけです。5年もたたないうちに大きな事態の変化なり、事態の急変と いうものがあったのだということを言うべきであります。平均寿命を延びるとういうの は前からわかっていたことなんですね。前回の制度改正のときもわかっていたわけです。 あるいは「将来の保険料負担の増大」というふうに書いてあるんですが、これも大体わ かっていたことなんですね。恐らく中位推計は外れるだろうと、低位推計になるのでは ないかというふうに言われていたんですよね。ですからこれもわかり切ったことなんで す。当時わかり切ったことであの改正を仕掛けたわけです。ですから、この2つだけで は私は理由が足りないと思うんですね。基本図式の変更を提案する際にはそこをもっと 書き込まないと皆に納得してもらえないのではないかと思います。  それから、事態は確かに急変したということを説得できたとしても、それに年金審と して弾力的に対応した、臨機応変の対応であった。一面ではそうかもしれません。ただ し、物事は常に二面性があって、ややもすれば、これは無定見ではないかという批判を 浴びる可能性があるわけです。あるいは無原則ではないかと、事態が変わればまた変わ るのではないかという、そういう不信をまた招きかねないのではないかというふうに思 うわけです。  場合によっては、前回の基本図式を示したことに対して責任問題が発生するおそれさ えあると思います。きょう私は大学の同僚と昼飯を一緒に食べたんですけれども、この 話をしたら、経済学で非常に有名な人なんですけれども、その人は、それは場合によっ ては責任問題になるよ、とおっしゃったんですよね。そういうことをどう考えるかとい うことです。ですから、私は少なくともこれを変える当たっては、年金審自体としてや はり厳しい自己批判なり深い反省の言葉がないとなかなかそういうふうにならないので はないかと思います。  それから、これは記述としては年金審の大勢であるというような書き方になっている んですね。後ろに少数意見が列記されておりますけれども。大勢であることの確認を実 はまだしてないと私は思います。こういう年金制度の基本骨格、将来像の基本にかかわ る話ですから、私はこれが大勢であることの確認を何らかの形でしてほしいと思います。 別の審議会では全員が発言して多数派がどう考えていたかということを確認するプロセ スが現にあるんですね。年金審でそういうことをやったことがないのかもしれませんけ れども、少なくともこれは将来の基本的な骨格です。それについては年金審としてメン バーの、私は大勢であるということであれば、3分の2ぐらいが賛成したという事実を 示してほしいと思うんですけれども、そういうことがないとなかなかこういう記述には ならないのではないかと思います。  メンバーの中でこのことをおっしゃっていたのは、日経連の人たちなんですが、経済 団体のいろんな意見書を見ますと、経団連のレポートにはこれは書いてないんですよね。 ほかの経営者団体もそういうことを書いてないと私は思います。それから、J委員が前 回このことをおっしゃいましたけれども、65まで雇用で責任を持つということについて 日経連が賛成するかどうか。私はこれも非常に微妙な問題だというふうに思います。定 年延長65には現に反対しているわけですね。ですから65までは雇用で責任を持ってくれ という記述でいいのかどうか。そこも大きく分かれる問題だと思います。  私はここはやっぱり両論併記でいくべき内容ではないかと考えております。そうであ れば、今申し上げた3つの留保条件というのは申し上げる必要はなくなるのではないか と思います。ちなみに私は個人的な意見を申し上げますと、事態の急変というものを説 得的に説明できるような材料は持ち合わせておりません。ですからそういう事態が来る まで、こういうことについては見送るべきだというふうに個人的には考えております。  それから、別個の給付を廃止すると、これは60代前半層に対する雇用補助金の機能を 持っていますので、60代前半層の雇用というのはさらに厳しい状況になるというふうに 私自身は推察しております。しかも今景気が悪くて雇用情勢は非常に悪いんですが、将 来65まで雇用というようなことを本当に提案できるような状況にあるのか。そこをやっ ぱり説得的に示す必要があるのではないかと思います。私はこれもなかなか難しい作業 だと思っております。少なくとも現実的か現実的でないかという個人的な判断を申し上 げますと、これは参議院に行けば必ず否決される内容だと思っておりまして、私は現実 的であるとは決して思っておりません。  しかも、仮に実施しても『年金白書』に書いてあるんですけれども、たしか205ページ だったと思うんですが、財政効果ですね。将来のピーク時の保険料負担をどれだけ減ら すかというと、3%ダウンだと書いてあるんですね。ほかは何もしなくてこれだけやっ たとき3%ダウン。それをそんなに優先してやるべきことなのか。むしろ優先してやる べきことはもっと別にあるのではないかと私は思っております。例えば平均余命が延び たにしても満額年金の拠出要件を45年に変えるとか、既裁定の賃金スライドを一時凍結 するとかというだけで、恐らく25%程度のコスト削減効果があるわけですね。それを上 回って、まだこれをやらなければいけないのかどうかというようなことの判断が求めら れる問題だと思っております。ちょっと長くなりましたが、ここは大問題と思いますの で発言をさせていただきました。  あと16ページに〈企業年金に対する包括的な基本法〉に関するメッセージがついてお りますけれども、これはイメージとしてはアメリカのERISA法のようなものを念頭 に置いているとしたら、企業年金というふうに限定してしまうことは問題ではないかと 思います。ERISA法自体は、いわばサラリーマンの退職給付ですね。これ全体に関 する法律でありまして、企業年金という形だけではないはずなんですね。ですから、私 はこういうものを今すぐつくる必要があるかどうかについてはややネガティブなんです けれども、仮に必要があるとしたら、企業年金という形ではなくて「退職給付に対する 基本法」というふうに改めた方がいいと思います。これは個人的な意見です。以上です。 ○会長  どうぞ、L委員。 ○L委員  3点について意見を申し上げたいと思います。第1点は6ページの下から2行目のと ころですけれども、「税方式への転換は、年金や税の在り方を抜本的に変える問題であ り、現状では現実的でなく更に慎重な検討が必要である」と非常に否定的なニュアンス でお書きになっていると思うんです。今、E委員がおっしゃったことと多少ダブります けれども、これは「抜本的に変える問題であり」、その後に「次期制度改正においてた だちに税方式へ移行することは困難である。しかし基礎年金財源の税方式への転換は公 的年金に対する不安や不信を解決できる有力な手法であり、引き続き検討を進める必要 がある」というふうに前向きな検討という気持ちを残していくべきではないかと思いま す。  それから、次に、8ページの上から4行目までのところですけれども、月収の30%程 度という意見と、それから30%より低くすべきであるという意見と年収の20%程度とい う意見、この3つをあわせて大勢であったと。労使あわせて月収の20%以内という意見 もあったというふうに4つ意見があったわけですけれども、最初の3つを足して大勢と いうのはいかがなものかと。4分の1ずつの場合にどうして4分の1、3つ足せば大き くなるわけですけれども、もし書くのだったらどれが大勢があったか、一番有力を意見 を書くのに大勢というのはいいかもしれませんが、どっちにしても3つを足して他の1 つと比較するのはおかしいのではないか。  それから、16ページの代行制度の在り方で、上から10行目ぐらいのところですけれど も、「また、代行制度の在り方に関し、代行制度を廃止する方向で抜本的に見直し」 云々とありますが、代行制度を廃止する根拠といいますか、理由を申し上げたはずです けれども、結論だけ書くのでなくて、どういう理由で代行制度を廃止すべきであるとい う意見が出たのか、多少の理由のところも付言していただければと思います。以上です。 ○M委員  大変短い期間に改正に関する意見をおまとめいただきました起草委員の方には感謝を 申し上げます。大変だったと私は思います。そこで二、三申し上げておきたいんですが 1つは、今、E委員がおっしゃっておられた国庫負担率の問題と支給開始年齢につきま しては全くE委員の御意見に私は賛成であります。  それから、その次に8ページの「給付水準」のところの「一方」というパラグラフが ありますが、そのところの3行目に「恵まれた年金受給者」と書いてあるんですが、だ れが恵まれているのかよくわからないんですが、恵まれた受給者については、物価スラ イドを停止すると書いてありますが、これが本当に可能なのかどうなのか。要するに1000 分の7.5以上は切るという話なのか、この恵まれたというのはよくわからないものですか ら、どういう人が恵まれたのか、後で教えていただければ大変ありがたいと思います。 それから、もう一つは、学生に対する年金の適用の問題なんですが、これは障害年金 のところで、障害者の無年金が非常に問題になっているときでもありますから、現行制 度では困難であるといって片づけてしまわないで、障害年金への道は開いておく方がい いと思います。そういう適用が本当にやる気なら法律上書けばできるので、そこはやっ ぱり少し学生のためにもやってやる方がいいのではないか。一般的に親から取るという こと以上に、無年金障害の方がむしろ問題で、障害の学生というのはやっぱり救ってあ げるというのは大変大事だと思いますから、そこは少し何か工夫された方がいいのでは ないかという気がいたします。 それから、15ページの年金業務のところにきまして、あれだけいろいろ年金の空洞化 の問題が騒がれて、随分いろいろ皆さん委員の方もおっしゃったんですが、一番最後の 行のところへ、「更に、未納、未加入者に対する制度的対応も検討すべきである」とい うこういう生易しい問題ではなかったのではないか。もう少し抜本的にちゃんとやれと みんながおっしゃったんじゃないかという気がするんですが、そこを少し強調していた だければ大変ありがたいと思います。以上です。 ○会長 どうぞ、A委員。 ○A委員 E委員から大変大事な問題提起があって、お出かけになってしまうというので、本当 はもう少し後まで発言を控えておった方がいいのかなと思ったんですが、別に私が答え る必要はないんだけれども、御指摘の点についての私の考え方をちょっと申し上げてお いた方がよろしいかと思います。 3つの大きな論点があったと思うんですけれども、逆順でちょっと申し上げますが、 支給開始年齢というか、別個の給付のところについて、前回の改正との経緯に絡んで御 指摘がありました。冒頭に申し上げたように、私も65歳までの雇用の継続、あるいは広 い意味での確保ということがもともと大変難しい課題であるものが、昨今の経済情勢の 中でさらに非常に難しい問題になってきております。近い将来にそんなに抜本的に改善 を期待できないほど非常に悪い状況になっているということに、非常に私も深刻な関心 を持っておりますので、今すぐに別個の給付をなくせとか、在老年金をやめろとかとい う趣旨でもし言っているんなら、それは私もそんな……。 ○E委員  別にそんなこと言っているつもりありません、将来の話として。 ○A委員  そうなると将来とはいつのことかということが非常に問題になるわけです。私も前回 の年金審議会の委員だったから、E委員の大学のだれか知らないけど、先生によると私 も責任をとらなければいかんということになるらしいけれども、事態の急変ということ の最大の理由は、前回の改正の際にベースにした旧人口推計に比べて新人口推計が非常 に出生率が低下して、2050年ぐらいまで高齢化のピークがずれ込む。そこまでを見通し て保険料率の計算をしないと将来的に非常にリスクがあると。その上で2025年を一応め どにして再計算をしようということでいろいろな数字が出てきているわけですね。  その際、私の理解では『年金白書』に書いてありますように、他の経済的な所見につ いては前回の再計算と基本的に変わらないと、これは多分に能天気な前提だとは思いま すけれども、いかにして書いたらいいかよくわからないということも事実ですから、変 えたところは人口構成のところだけ変えているはずですね。その結果、確かに2025年く らいまではそれほど労働力人口にしても被保険者数にしてもそんなにドラスチックに変 わっているわけではないけれども、2050年まで延ばした場合に大変に大きな財政負担の 差が出てくると。相当長期の、既に2050年というのは今生まれている人が年金受給する 前のことですから、その辺まで見通して年金制度というのは考えなければいかんという ことで今の議論は始まっていると思うんですね。  そのことを事態の急変というふうに理解しています。十分な根拠でないというふうに おっしゃるのであれば、私はE委員の常日ごろ大変有益な御意見を出してくださるので 感謝はしていますが、その点に関してはちょっと理解が非常に違うということを申し上 げざるを得ないんですね。したがって、事態の急変と私は認識しておりますが、前回の 審議会の改正のとき、私も入っておりまして、今回ほどまじめに議論したかどうかは定 かではないにしても、相当一生懸命連合が非常に反対をされる中で決めた問題でもあり ましたから、よく記憶しているつもりです。前回の審議の際に明らかでなかった、ある いは発生していなかった事態が発生した結果、非常に長期の将来にわたって制度を変え なければいけないということが何で責任の問題なのか、私には全く理解できない。  しかも冒頭に、お断り申し上げましたように、確かに厚生年金の定額部分の65歳支給 というのがようやっと2001年度から2013年度にかけて行われるということを決めたばか りで、これは確かに決めたばかり。それがまだ全然緒についていないときに、さらに別 個の給付も繰り下げろというようなことをもし言うのであれば、これはE委員も御指摘 のとおり、私は非常に朝令暮改的にすぎるという御批判は確かに考慮しなければいけな いと思うんです。はっきり私は申し上げませんでしたけれども、先ほど冒頭に申し上げ た意味は、2010年ぐらいになれば、早めにそういうことを検討しなければいけないくら いのドラスチックな人口構造の変化が起こっているんじゃないですかということを、こ の審議会で言わないでほかに何を言う必要があるのか。最も大事な問題点ではないかと 思います。そんなに私は基本的な認識が違うとは思ってないんですけれども、少なくと も別個の給付なり在老年金の扱いについてはそんなに意見が違ってないと思うんですが 2010年から先ぐらいのことを、やっぱり年金制度というのはそんなに急にどこどこ変え るわけにいかない問題であるだけに相当先のことを見通して、今から予告をしておくと いいますか、そういう必要があるということで書いた文章でございます。ぜひ、その辺 をお酌み取りをいただけないか。文章を見ていただければ、10ページのところの書き方 はかなり慎重な書き方をしていると私は考えております。  それから、8ページの給付水準のところは、確かに私も疑問が残っている点ではある んです。これは全体としてそんなに突き詰めた議論が確かになかったところなので、給 付乗率そのものに手をつけるのか、あるいはE委員のおっしゃるように45年に満額の期 間を延ばすのかというようなことももちろん絡んでいるとは思うんです。しかし、この 全体の文脈の中からはっきりしているのは、少なくとも大体8割方か9割方の合意が、 連合の委員3人いらっしゃるから3人除かなければいけないかもしれないけれども、賃 金スライドは当分の間、やっぱりやめる以外に将来世代の過重な負担を避ける方法ない と、そこだけはしようがない、今回踏み切ろうということはほとんど組合側の委員の反 対があるにもかかわらず多数の意見になっていると思うんですね。それ以外のことは余 りはっきり書けないので、8ページに書いたような表現になっているのだろうと思いま す。どこまで下げるかというようなことをむしろ書けない性質ですよね。それは賃金が いくら上がるか、物価はいくら上がるか。物価は直接関係ないにしても将来の賃金の上 がり方によって、現役の賃金水準に対する年金の比率としての給付水準がどれくらい下 がるかということは不確定なファクターに依存している話ですからはっきり書くわけに いかない。それはしようがないんじゃないかなという感じです。  そこでやめておけば、E委員との論争だけで済むのでやめるべきかなとも思うんです が、ついでですから、6ページの税方式への転換ですけれども、これは私もこの場で何 回か発言した記憶がありますが、先ほどのE委員の表現をかりますと、佐久の議論では 21人中の9人が賛成したのだから国庫負担を2分の1に将来するということを書けとお っしゃるのですが、どうしてこの場合だけ21分の9の意見が優先されなければいけない のか、私はよくわかりませんが。 ○E委員  9人は税方式化です。2分の1はもっと違う数字の話です。 ○A委員  そうですか。 ○E委員  J委員も先ほどおっしゃっていたと思います。 ○A委員  そうですが、私は、税方式はすぐできないけど、2分の1はできるという理屈がわか らないんです。同じことではないか。国庫負担率2分の1というのは確かに問題を、実 質上先送りするためのレトリックとしては私もそれは賛成です。すぐいろんなことがで きないから、計算上これをやると相当負担が軽くなるはずですから、それを加味するこ とはいいですけれども、2分の1の負担にした、3分の1と2分の1の差額を税で調達 するというときに一般の財源でやるのか、目的消費税でやるのか、同じ問題にぶつかる わけですね。そういう不確かさ、まず前提としての現行の消費税の持っている欠陥をど うやって是正するのか。その上で政治的にそういうことが可能であるのか。さらにそれ を引き上げた場合のマクロ経済的な効果いかんということは既に何べんもここで議論し ているはずですね。論理としては全く同じことで程度の差があるにすぎない。  そういう問題をある意味で、自分たちが現在持っている政策手段を放棄してまで、リ スクを侵して何で選択しなければいけないかということについて少なくとも私は余り納 得したつもりはないんです。ですから、E委員は多数の意見が2分の1というふうに支 持したとおっしゃいましたし、私もそういう意味の一種のレトリックとして言うことに まで反対はしませんでしたけれども、実際に次期の改正でそれを検討すべきであるとい うようなコミットをすることは適当でないと私自身は考えております。  何かせっかくの味方を敵にするようなことで申しわけない。 ○N委員  起草委員としては非常に困っているわけでありますけれども、要するに今の問題にし ても集約をきちんとしないままに全体を何となしのムードできちゃっている部分がある と思うんですね。そうしますと、例えば文章の中で、「賃金スライドを当分の間行わな いようにすることもやむを得ないと考える」という表現、あるいは在老にしても「適当 である」とか、別個の給付も「適当でないと考える」、「検討すべきである」、「導入 すべきある」と断言している部分が結構あるんですが、その部分をこの審議会としてき ちんと意見集約をしないままに漠然ときちゃっているところに今問題が出てきているの だろうと思うわけです。  やはり制度改正に結びつく問題ですから、税負担で2分の1にするというのを意見が 強いのか、それとも将来的にというのか、それとも次期の改正、この次の改正になるわ けですが、次の改正にはそれをちゃんと取り上げろというのか、そういうところの表現 をきちんとこの審議会の意見を集約していただきませんと、ちょっと我々3人にうまく やれと言われても困る部分があるのであります。  したがって、例えば、総報酬制にしても「導入すべきである」と書いておりますけど それでいいのかどうか。あるいは組合側から出たきょうの文章を見ますと、負担と給付 の在り方について、130兆の積立金を取り崩して、これ以上の切り下げはすべきでないと こういう表現が出ておりますけれども、こういうようなことについて審議会としてどう 考えるのかということを少し集約をしていただかないと正直言って困ったなというか、 私としてはどうしようもない、手がつけようもないという印象であります。少なくとも いくつかのポイントについて、座長の方から指示して、集約を、あるいは意見をまとめ ていただければありがたいなと思うんでありますけれども。 ○会長 O委員、何か御発言ございません。 ○O委員 いや、今の時点では。 ○会長 今の意見だけではなくて、全体について。 ○O委員 全体については、私も女性の年金のところではどういうふうに書くべきかということ でとても迷ったというか、考えたところです。経済社会の変動に対して、制度は変わっ ていかなければいけないと思います。しかし、現実に、別に年金制度だけではありませ んけれども、いろいろな制度を見ていますとやはりタイムラグがかなりあるわけですね。 年金審でも経済社会の変動の中で、人口構造の変化については、来年の改正できちんと 対応しなければいけないということでコンセンサスが得られたと思うのですけれども、 家族の変容とか、労働の変容への対応については、審議会の中での議論もやはりおくれ がちであるなということを痛感しました。 今、集約というお話が出ましたけれども、両論併記的になってなかなか集約するのが 難しいような結果になったのは残念だなと思います。ただ、少数意見で突っ走ってもな かなかいい成果が得られないということもあるかと思いまして、検討会を設置していろ いろな幅広い視点から検討するということで一筋の方向性が見いだせたのかなと思って おります。 なかなか人々の意識とか制度の改革はそう急速に進むものではなくて、やはりかなりゆ っくりなのかなというふうに感じております。給付と負担のバランスが改革の中心的な 課題ですけれども、それを取り囲む枠組みとして、女性の年金の問題もかなり大きいと 思いますので、ぜひ御意見がありましたら、この書き方について御意見をいただきたい と思っております。  それから、もう一つ、これは別の点ですけれども、この前の審議整理メモで、還元融 資のところで閣議決定を踏まえるべきと、そういう言葉があったのですけれども、これ は独立した審議会としては入れるべきではないと思いましたので、起草の段階ではこれ は削除させていただきました。 ○C委員 先ほどから話題になっています「支給開始年齢」のところですが、私は末席を汚しま したが前回改正にかかわりを持った人間として、先ほど内容的にいろいろおっしゃった E委員さんの考え方には基本的には同調できるというように思っています。それで、私 がこのペーパーをファックスでいただいたときに、支給開始年齢のところの最初のマル の7行目あたりからですか、「報酬比例部分(別個の給付)についても」云々のところ あたりは審議会における経過とは違った形で何か相当強い思い入れがあって書かれてい るなというのが最初の私の印象であります。  それから、もう一段下の「なお」からを通り過ぎて次のマルのところですが、ここも こういう論議があったかなというように思いまして、少し意見書としては踏み込み過ぎ ではないかなという感じを正直言って持ちました。  それから、今、申し上げました最初の方のセンテンスのところに「十分な準備期間を 取った上で」と書いてあるんですが、その準備期間の意味は、先ほどA委員さんがおっ しゃったことの意味を指すのかもしれませんが、私なんかからから考えますと、これは 単なる技術論ではないと思っています。現下の経済情勢が必ずしも急反転してよくなる とは考えられない状況の中で、60歳以降の継続雇用の進捗状況というのは極めて深刻な 事態になっておりまして、60歳の手前から雇用の場を追いやられるような状況もあるわ けであります。 高齢者の再就職の機会が圧倒的に不足している状況があるだけに、この内容の記述では 丁寧に読めばいろんな読み方があるのかもしれませんが、支給開始年齢の問題に関して は極めて不安、不信の状況を招き兼ねない、そういう状況になっているのではないかと 思います。  ただ、支給開始年齢に関してはどこかに機軸を置いてフレキシブルに考えていくこと でよいと思っており現状のままでいいのではないかというように考えています。制度そ のものは高齢者の健康だとか、もちろん今申し上げましたような働く場の問題もありま すから、制度としては弾力的な対応ができて受給世代が納得できるシステムを確立して おくということで、当面現状のものがどういう矛盾点を持っているのかということが整 理できるまでは、現状維持でいいのではないかと思っております。  それから、以前の審議会で御要請申し上げたのですが、結果的には要請をした資料が 出てこなかったんですが、例えば高年齢継続雇用給付のようなものの実態、雇用保険の 制度と年金とがどういう状況になっているのか等さまざまなデータも調べて、我々労働 側の委員としては少なくともこの問題に、現状で手をつけることについては納得いきか ねるということについて申し上げておきたいと思います。  それから、もう一つあるのですが、11ページですが、ちょっと別件で申しわけないん ですが、上から2つ目のマルのところです。「国民年金の保険料については」というよ うに書いてありますが、この文章を、要するに普通の人が読んだときに私はよくわから ないのではないかというような印象を受けましたので、もう少しわかりやすく、我々が きょうお配りしたA3版のメモには書いてありますが、少し丁寧な記述をしていただけ ればありがたいなと思っております。  14ページの〈障害年金〉のところの問題でありますが、ここは「社会保険方式をとる 現行の年金制度では」というふうに最後の行に書いてありますが、20歳以前の障害年金 との関係だとか、これまで無年金者の話も具体的な例をきょうお休みのP委員の方から も申し上げていますし、国籍条項の撤廃、57年でしたか、の問題も申し上げた経緯があ りますので、もう少し丁寧に記述をして差し上げるべきではないかと思っております。  それから、15ページの〈代行制度〉の問題について、先ほどもちょっと御意見が出て いますが、私が最初読んだ印象では、上半分のところもやはり事務局サイドというのか 起草された先生方の御苦労が本当に大変だったなということは感謝を申し上げつつも、 論議の経過から見ますと少し踏み込みがかなりあるのではないかなという感じがします。  それから、余り1人が多く時間を占有してはいけませんので、少し飛ばして申し上げ ますが、18ページの〈還元融資事業〉の手前のところですが、「なお、自主運用に当た っては」というところから、特定の金融機関が信託銀行とか生保とか投資顧問会社とい うように書いてあるんですが、こういう記述は必要ないのではないかなと私は思ってい ます。むしろ後段の文章の運用の専門家である云々の下りだけでいいのではないか。何 か特定のものを名指ししなければならない理由が何かあるのかなと思います。  それから、「給付水準」の問題、8ページに戻らせていただきますが、きょうもA3 版のメモの中にも記述として書いてあると思いますし、先ほどB委員からもちょっとお 話を出していただきました。我々としてはこの給付水準の抑制についてはいろいろ書か れていますことについては考え方をもう一度整理をさせていただきたいということであ ります。 このままの文章ということでは十分納得いく状況ではないということだけ申し上げてお きます。 ○F委員  E委員がおられなくなってあれですが、〈支給開始年齢〉のところは、私も前回の年 金審議会の委員でして、責任を感じろと言われて……。 ○I委員  別にいいですよ。 ○F委員  私の印象は前回の年金審議会というのもある意味でかなり大きな問題があって、やっ ぱり支給開始年齢の引上げという問題は、潜在的には労働問題とかなり衝突して、そこ のところの調整は大変難しかったし、今回またその問題がある意味では出てきているわ けです。ですから年金の守備範囲と言ってみれば、雇用保険ないしはそういうものの守 備範囲の話と、それからいろんな終身雇用制が今どういう状況にあるかとか、定年の延 長がそう簡単ではないとか、その辺の事情は非常にあることは承知でありますが、基本 的にはややニュアンスとしては、A委員の言われる方向に賛成であるということだけ申 し上げます。  それから、あとは細かい点で恐縮ですが、意見書の中で7ページの辺に、基礎年金の 国庫負担率の話が最初に書いてございまして、3つ目のパラグラフあたりのところです。 ちょっと読みますと「したがって、国庫負担率の引上げについては、次期制度改正後の 検討課題として、国の財政状況を踏まえつつ、財源確保の方法と一体」とありますが、 財源確保というのをもう少し具体的に例を挙げてはどうか。たしか論点整理に税と社会 保険料を含めたバランスの問題とか、あるいは社会保険方式の現在の国庫負担の問題と か、そういうのをたしか例示されております。平たく言えば、この場合は財政当局が何 とかしろというふうに読むのかどうかあれですが、とにかくそこをもう少し具体的に書 いた方がいいという、修文の問題でありますが、そういうことであります。  それから、基礎年金の税方式化について21分の9というのは多数意見かどうかという のもどうか、私はそのときに消極論を述べた。消極論は何人ぐらいいたのか、勘定はよ くしてないんですが、消極論もある程度あったということも確かですので、21分の9と いうのが多数意見であるかどうかについては返事をとる必要があるというのが私の意見 です。E委員がいたら怒られるのかもしれんけど、そういう感想を持ちましたというこ とを申し上げておきたい。 ○B委員  今の21分の9の問題ですが、全員何か発言して、マルかペケかとったわけではありま せんので、私も佐久での議論の全体の空気からすると、ここの税方式問題についての記 述はやはり正確に審議会の雰囲気を反映していないのではないかと。あるいは事務当局 といいますか、その思いが前面に出ているのではないか。冒頭何々という意見というこ とと、また、そういうことがついてないということについてどう判断するのか。あるい はついてないことについて、審議会が結論めいたことをある幅でしょうけれども、そう 言っていいということを納得できるのかどうかについては非常にバイヤスのかかったも のになっているのではないかというふうに感じます。  そういう意味ではトータル的に少し議論は審議未了といいますか、不足し過ぎている というふうに感じます。振り返ってみれば、これまで2ラウンドから3ラウンドぐらい 目ぐらいに入る前に、ある程度こういう議論をした上で、じゃあ、どうなのかというこ とを積み上げていけば、もう少し違ったことになったのかもしれませんが、実際に意見 書を出す段階になって、これで本当に責任を持って言えるのかということについては危 惧を感じます。  この審議会の中で議論が十分なってないのではないかと。あるいは項目としては少し 挙げられたけれども、突っ込んだ議論になってない。いちいち申しませんが、かなりの 部分出てくるというふうに思います。そのことについて最初申し上げておきたいと思い ますが、時間もありませんので、C委員の方からB4サイズでありますけれども、いち いち全部読み上げていると時間がありませんから申し上げませんが、補足的な部分で少 し申し上げたいと思います。  まず6ページ目の税方式の問題はそういうことでございます。  それから、7ページ目の国庫負担率の2分の1の引上げは、ただいまA委員の方から 2分の1を言うのはレトリックじゃないかということを言われましたが、これは連合の 方針として徹底した議論をした上で方針を出した。しかも目的税ということを前提にし ながら、ある意味では労働組合としてそのことまで踏み込んで議論するのはかなり大変 なことなんですが、そういう真剣な議論のもとに将来はそういうことに置きながら、し かも宿題として残っている国会決議もあったその附則について、やはり真剣に検討すべ きであるということで2分の1のことを言っているわけでございます。多少それをレト リックと言ってしまわれることについては非常に連合としては、連合の名誉にかけても そういう議事録が残ってしまうということについては極めて問題ありと私は思います。 決してそんなつもりではないし、問題を何か先送りするためにそのことを言っていると いうことでは決してないということについて再度申し上げておきたいと思います。  それから、若干そこに絡みますが、7ページ目の上から4行目に「将来的には」とい うのがありますが、ここの記述は、「その場合財源は目的間接税とすべきであり、一般 財源による引上げは行うべきではない」と、これは日経連さんが主張された意見だと思 うんですが、何となく国庫負担2分の1引上げはこのこととセットのような印象があり ますので、組合としてはその財源はあくまで行財政改革により捻出して一般財源とすべ きであるという立場でございますので、あえて明確にしておきたいと思います。  いずれにしてもここの中ごろの、「したがって」以下のところの表現につきまして、 組合側の主張としましては、次期制度改正の具体的な課題とすべきであるという方向で 議論をまとめるべきではないかというふうに考えております。  それから、「給付水準」のところにつきましては、「少なくと当面、物価スライドに よる購買力の維持にとどめる」という表現になっておりますが、賃金スライドはやっぱ り維持すべきだという意見でございます。連合の先ほどのシミュレーションについては もう言いましたので繰り返しませんが、このA4サイズのところにもう一度書いている ことでございますし、そこについては省きたいと思います。  それから、〈厚生年金の給付と負担の水準〉のところでございますが、一体この審議 会の中でも水準というのをどこからどこへ引き下げるのかというのはかなり初期の段階 で問題提起をいたしました。2006年まで現在切り下げの経過中であるということ。さら に2013年に、これは水準問題ではありませんが、給付総額を結局抑制する。今、まだそ このスタートラインにも立ってない。さらに4年前、前回改正のときの可処分所得スラ イドによって、これについては一定の人口変動を自動的に給付と負担の関係に、ある意 味では収斂をさせていくスタビライザー機能を持っているというふうに大いに評価をし たわけです。そのことによれば、23万ではなくて21万7,000円、あるいは21万ぐらいの水 準というのが厚生省の推計結果でも出ているわけでございます。今回改正でさらにそれ を引き下げるという意見がございますが、本当に老後生活の基本部分の保障という観点 から、今の日本の年金水準、とりわけ下がっていく先の21万円ぐらいの水準が果たして 本当に高過ぎるということが言えるのかどうか。基礎年金の水準の生活保護世帯との比 較、あるいは今モデルであくまで言っていますが、それが単身世帯やあるいは勤労者で もコツコツ型の本当に底辺といいますか、下の方のレベルを見たときに、それが本当に 高過ぎるというような表現で言えるのかどうかにつきましては、もっと慎重に考えるべ きだという観点で思っています。 それから、在老のところにつきましてちょっとコメントを申し上げたいと思います。 9ページでございます。在職老齢年金の問題につきまして、これまで提起をしてまいり ましたし、また、ここの記述でも廃止すべきということの中に、年金を支給しないよう にする、あるいは在職中も無条件で年金を支給すべきであるとの意見があった。このど っちかに連合のこれまでの主張した意見が区分けされているのではないかと思いますけ れども、連合の主張は一言で言えば、組合はあくまでも現在の在老の改革をまずやるべ きではないか、そのことをやることが先決ではないかというスタンスでございます。わ ずかな収入でも無条件に2割カットされるというような今の制度は理不尽ではないかと か、あるいは被保険者にならずに満額年金が受給できる。年金以外の収入があっても就 労しない場合はそういうことがあるという矛盾があると思います。被保険者資格の労働 時間要件、扶養基準等々につきまして、ここにわざわざ記述をしている項目がございま すから、この内容に従って、まず土台の部分としての現在の在職老齢年金を改革しなが ら、その延長線上としての65歳以降についてどう考えるのかという順番で考えるべきで はないかというのが連合の考え方でございます。  支給開始年齢はたくさんの意見がございましたので繰り返しませんが、やはり生身の 人間だということでございます。経営者側の代表の方がここにおられますけれども、国 の政策としても、あるいは労使の政策としても65歳定年ということを、現在の60歳定年 がようやく法制化になりまして、現実になりつつありますけれども、そういうことをや るという大前提が国レベルの施策といいますか、そういう合意がしっかり形成された上 で、結果論として、この別個の給付というのを今後どうしていくべきなのかという時点 になれば、そんなにこだわることはないのではないかと思いますけれども、後先が逆と いうことにつきましては、絶対にそのことは容認できない立場でございます。  保険料負担の問題についても、先ほど申しました巨額な積立金の問題について発想を 変えるべきではないか、国庫負担の問題、あるいは積立金の在り方の問題からすれば、 前回この審議会で議論になった月収の30%マイナスアルファというところで保険料をと どめることができるのではないかということを再度主張をさせてもらいます。  いつも言っていることを長々と同じことを言うことになるかもしれませんので、この ぐらいでやめておきますが、あと1点、女性の第3号被保険者問題のところにつきまし て、12ページから13ページのところにございます。「なお」以下のところで、「第3号 被保険者につては、合理的な制度であるから、改めて検討する必要はなくその範囲を見 直せばよい(配偶者に限定せず、無収入の被扶養者等に拡大し、一方、収入の認定基準 (注)を引き下げる。)との意見があった」。  ここはどうも構成からすると、組合側の主張といいますか、連合の主張としてこうい うことが書いているのかなという感じがいたしますけれども、誤解を生むのではないか と考えております。新しい文章については修正のページで書いておりますので省きます が、要は国民皆年金の立場から見れば、収入のない配偶者が年金権を持つということに ついては1つの前進だと思っています。しかしいろんな矛盾を抱えていることも事実で ございます。 ただ、税方式という方式を考えれば、連合は同時に提起をしておりますから、そういう ことについて問題が解決するのではないかということを言っているわけでございます。 18歳以上の無収入の被扶養者を対象とすること。さらに扶養者である2号の被保険者が 退職して年金受給者となったときに、それに扶養される者は第3号の資格を継続できる ようにということについてもこれまで主張してまいりました。そのことについての具体 的な前進といいますか、そういうことについても考えていただきたいということを申し 上げておきたいと思います。  あと細かく言えばいろいろありますけれども、ほぼ文章で提示をしておりますので、 ちょっとあのとき言っていなかったからこうだということはないようにひとつお願いし たいと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。以上です。 ○J委員  ちょっと細かい点なんですけれども、気のついた点だけ申し上げさせていただきます と、8ページの保険料の負担の限度の話なんですけど、月収と年収と両方、月収だけで 言ったり年収が書いてあったりしますけど、これは非常にわかりにくいと思いますので お書きになるなら両方書く、あるいは片方に統一するなら統一された方が私はいいので はないかと思いますね。  それから、その次に11ページですが、「保険料は本来的にはできるだけ平準保険料に 近づけていくべきであり」というのは、平準保険料というのは何だというのは一般の人 は非常にわかりにくいんですね。これは給付水準のところへ解説を入れておられますけ れども、あの解説を入れられるぐらいなら平準保険料率というのはどういうことを言っ ているのだということもわかりやすくお書きになった方がいいのではないかと思います。  それから、そこの項の3行目に「できるだけ積立金を活用すべきである」という活用 こういうところへ「積立金の活用」という表現は私はどうかなと。むしろ、これは要ら ないのではないか。「保険料引上げ計画を前倒しすべきであるという意見がある一方 で」ということでいいので、「活用」というのはちょっとどうかなと。これは大したこ とじゃありませんが、そういう感じがいたします。  それから、その次の12ページに〈第3号被保険者〉のところで、「育児・介護といっ た家族責任のための労働力となれなかった」という、「家族責任」とか「労働力」とい う言葉をここにお使いになるのは、私は言葉としてひっかかるということだけ申し上げ させていただきます。  その次の13ページですが、「第3号被保険者の存在を考えると、急激な制度変更は困 難といった意見があり、賛否両論が対立している」、賛否両論が対立したのはこれだけ ではありませんので、ここで余り、これだけ賛否両論がいかにも対立したようにお書き になるのはどうかなと。一方ではこういう意見、一方でこういう意見があったとお書き になればいい。何かいかにも強調するのはどうかなという感じがいたします。  その次の14ページですが、〈少子化への対応〉のところで、「いずれにしても、何ら かの対策を行う場合には、その財源は、将来の世代に先送りするのでなく」云々という のは、これは何を言わんとしておられるのかよくわかりません。お書きになるならもう 少し丁寧にお書きにならないといけないのではないかと思います。  それから、積立金のところですが、17ページへ行きますけれども、〈積立金運用の在 り方〉で、「預託義務を廃止し、効率的に運用することができる自主運用の仕組みを構 築する必要がある。なお、新たな仕組みへの移行に当たっては、年金積立金が果たして きた財政投融資制度に対する役割と影響に配慮することが必要である」、これもどんな ことを頭に置いてお書きになったのかわかりませんけど、もしお書きになるなら、還元 融資制度を含め、従来の財政投融資制度の中で果たしてきた役割や影響、それに急激な 影響を与えないようにという、還元融資なども含めて、従来の財政投融資に対する影響 というふうにお書きになった方が、年金積立金の方からいくと納得しやすいのではない かと思います。  18ページの信託銀行、生命保険会社、投資顧問会社をお出しになるのは、これはこれ からの金融改革でこういった形で金融機関が残るかどうかわかりませんので、そういう 意味もありますから、私はおやめになった方がいいのではないかと思います。  すいません、以上でございます。どうもありがとうございました。 ○G委員  小さな問題なんですけれども、9ページの〈在職老齢年金の取扱い〉、10ページに 〈支給開始年齢〉がありますが、確かに整理メモも順番はこうなっているんですが、ど うも内容を読んでみると逆の方がいいのではないか。支給開始年齢があって、それで在 職老齢年金の取扱いという形になっている方がいいのではないかという感じがしており ます。  それから、11ページの〈総報酬制〉のところで、「ボーナス」という言葉が入ってい るんですけれども、これは「ボーナス」という言葉でよろしいのでしょうか。公式の用 語としてどうなんでしょうか。  それと同じようなことで、12ページに「生活様式(ライフスタイル)」と書かれてお りますが、これは「生活様式」が正式の用語で「ライフスタイル」がその説明なのかど うなのか。というのは、その次の13ページの一番上にあるんですね。やはり「生活様式 (ライフスタイル)」となっていますけれども、そこはどうなのかなというふうに考え ました。  それから基金のことで代行制度の廃止の方向について、L委員から御発言ございまし たけれども、私は代行制度が必要だということで発言してきたつもりでおりますから、 もし廃止する方向をお書きになるのだったら必要性についてもお書きいただきたい、こ のように思います。  それから、税方式のことについて、B委員からいろいろお話あったんですけれども、 21分の9かどうか知りませんけれども、ただ、議論らしい議論がないというような御趣 旨での御発言だったと思うんです。しかし、例えば私は税方式の問題点ということを随 分お話ししてきたつもりですけれども、私がお話した問題点ということについての反論 は一度もお伺いしておりません。当然議論にはならない、そういうふうに思っておりま す。以上でございます。 ○I委員  その税方式から話を続けさせていただきますが、私の立場も、これは先ほどのA委員 F委員、またG委員と同じでございまして、税方式につきましてはその方向の考え方で す。したがって、どっちが多数であったとか、21人中何人までだとか、そんなことをい ちいちこの審議会で詮索いたしますと、恐らくいよいよ起草委員の方々は大変だろうと 思うんです。あらゆる問題について手を挙げてくださいということでやらなければなら ないと、そういうばかげた報告は書けないだろうと思います。問題はレトリックでごま かすというのはどうかと思いますけれども、税方式の問題は、これは恐らくいくら議論 をしても1つの意見に近寄っていくことはまずあり得ないと、かように思いますので、 その点は両者の主張をはっきりひとつお書きになる方がむしろいいのではないか、こう いうふうな気がいたします。  それから、「支給開始年齢」の問題は、私もその一端の責任を負わざるを得ない立場 にある者でございますが、私の記憶では前回は、先ほどB委員がちょっとおっしゃいま したように、60歳定年すらまだ確立していないと、あのときはそうでしたね。そういう 段階で年金と雇用の接続をどう考えるかという問題に対してどういう答えを出すかとい う、まさに解けないパズルに我々は挑戦しなければならなかったということだろうと思 うんですね。 そういったときにたまたまドイツの部分年金思想がありまして、ああいった構想を取り 入れて60歳台前半のつなぎを考えるほかないではないかということで「別個の給付」と いうのが浮上してきたように私は記憶しているのですが、その別個の給付が一体どうい う性格のものであり、かつ、またそれが経過的なものなのかどうなのか。そういうこと については、やはり審議会として別個の給付という方向で問題の解決を図ろうではない かということを、かえって余りはっきりすると壊れてしまいますので、ガラス細工のよ うな感じで別個の給付というのを審議会の答申に書いたのではないかというような気が いたします。  結局それは法律にするとなりますれば、これはやはりはっきりせねばならない。その 作業はあのときは与党協議に持ち込まれて、そこでもって厚生年金の2階部分が別個の 給付に変わっていくということになるわけであります。  それにつきましては、法案作成段階でもこれが経過的なものなのか、あるいは恒久的 な制度なのか、恐らくその点ははっきりするとまた壊れちゃうというような感じもあっ て、そのままになったのではないかと思うのであります。いまだにE委員がおっしゃい ますように、あのとき決まったのだからもう蒸し返しはなしだといったような性質のも のではなかったと私は記憶しております。これはそんなに長続きするものではない。一 方においては65歳定年という問題もあって、それとの関連において、もうあと5年たて ば、時代が変わっておるのではないかというような考えもございました。しかし65歳定 年の方へは一向に進捗せずに、一番大きな事態の変化は少子・高齢化がいよいよどうに もならない段階になったというのが5年後の姿だったと思うんですね。  そうでございますから、私はこの問題も適当な準備期間というのはどう考えるかとい う問題だろうと思うんですね。アメリカなんかは1983年の立法で、2027年に67歳に引上 げるというような法律をつくっておるんですね。何年先になりますか、40〜50年先にな ると思いますが、私なんかあの当時、何とまた悠長なことを書いてあるのだろうかと思 ったんですが、もうあれからざっと15年以上たちまして、あのときのああいう示し方は いろんな意味においてやはり先見の明があったのではないかという気がいたしておりま す。  そういったことも胸に置いて、ひとつ今回方向性というものは何だろうかということ だけはせめて今回の意見書に残しておいていただきたい、かように思います。以上でご ざいます。 ○会長  D委員、どうぞ。 ○D委員  今の問題についてお話ししたいと思うんですが、ちょっとその前に6ページのところ で「税方式への転換」というところでございます。税方式への転換については、一切合 財含めて5行でございまして、それに対する問題の方が随分長く書いてございますが、 それはいいとしまして、一番最後のところなんです。「更に、仮に税で財源を確保する とした場合」云々という2行は、これは目的間接税を前提とした場合にはこういう御懸 念というのが意見表明されたことがあると思いますけれども、税方式という場合に、税 方式即目的間接税だという御承認を得ているわけではないので、この3行はカットして いただきたい。もし、これを入れていただくならはっきりここで言っている税方式とい うのは目的間接税だということを明確にしていただきたいということでございます。  それから、8ページのところで、先ほどちょっと意見が出ましたけれども、頭からの ところでずっと並べてあるわけなんですが、多数決という話は私も余り賛成じゃないん です。 ただ、これで見ますと、「30%程度という意見、厳しさ」云々の意見並べてありますね。 もしここで仮に言えば、3行め「月収の30%より低くすべきという意見がある中で、労 使あわせて年収の20%程度にすべきであるという意見が大勢であったが、労使あわせて 月収の20%以内とすべきであるという意見もあった」ということであれば、本当にそう だったのかどうか。何となく一番最後の「月収の20%以内」というのは上の中から外れ たような表現に見えるので、年収の20%程度というのが大勢であったということである のであれば、ほかは並列にしていただくということだろうと。  それから、9ページの支給開始年齢の問題で、これは先ほどI委員からも説明ありま したが、実は前回議論した問題であって、最後に妥協的な形で、ああいう形で別個の給 付となったんです。私も始めての年金審議委員であったのですが、実は60年改正で65歳 とするという本則はもう決まっていたんですね。それは1階も2階も込みで本則に決ま っていた。それが2階ということで議論しまして、それで最後に、しかし何らか別個の 給付をつけないといけないなというような妥協的な考え方が出てきて、別個の給付とな ったのです。 ただ、私は別個の給付が2階をまるまる残すことになるとは思ってなかった。ところが そうなってまして、実はびっくりしたんです。だけど、それを年金審議会責任とれと言 われても、しょせんそこまでは責任を負いきれるものではありませんからいたし方ない ということと、そのときの御時世があったと思います。 今、非常に足元の雇用環境厳しい現状にございますし、果たしてこれからいわゆる一企 業における定年延長というような形だけが本来の在り方になるのか、あるいはエイジレ ス社会というようなものを目指していく、あるいは有料ボランティアというようなもの の横展開をもっと図っていく。これは特に男性の場合そうなんですが、会社以外に何の 才能もない、家に帰ったら空気だ、空気というか、じゃまになるというような、これは 男社会がつくってきた非常に惨めな姿であります。そういう意味でもっともっとアメリ カみたいに1,000万人というような有料ボランティアがいるといった横展開を今後考えて いくのが、これからの高齢化問題の1つの解決軸ではないかと実は思っているわけです。 そういうこととの兼ね合わせの中で考えていかないと、単に定年延長とこれを直結させ て年金を考えるというのは、今までの会社人間、縦社会を前提にすればあるいはそうか もしれませんが、これからの社会を考えたときにはそういうことにはならないわけであ ります。それと自助・共助・公助というものとの組み合わせの中でどう考えていくかと いう問題でもございますので、その辺を考えてずっといきますと、ここにございますよ うな「一定の経過期間を設けることとともに」云々ということで考えていただけること でよろしいのではないかと私は考えております。 もう一つ、在職老齢年金の扱いで、9ページの真ん中のところですが、「一定の制限 を行うことが適当である」と決めつけてあるのですが、「との意見もあった」というこ とではなかったかと思います。  それから、もう一つ、〈総報酬制〉のところで、「給付にも反映させる総報酬制を導 入すべきであり」という、これも「との意見が多い」とか、つけていただけないかとい うふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、14ページですけれども、〈少子化への対応〉、これも時間がないときに余 計なことを言って申しわけないんですが、私は少子化問題の対応の重大性ということは 非常重要に考えています。決してゆめゆめ少子化への対応を否定するものでは毛頭ない。 ただ、年金のお金を使うかどうかについてはちょっと意見があるわけでございます。念 のために申し上げておきたいのですが、その最後のところ「対策を検討すべきであると の意見がある」。その次に、「〜なお、育児休業中の厚生年金のいわゆる負担免除は制 度の趣旨から事業主負担にも適用すべきである」と。積極的な事業主の支援をバックア ップする意味で、そういう趣旨の文章を入れていただきたいということを申し上げてお きたいと思います。  それから、あと代行については、この際、基本的に見直すべきだということを申し上 げておきたいと思います。以上でございます。 ○B委員  ちょっとしつこいようですが、〈支給開始年齢〉のところに関連しての項目でござい ます。前回の審議会での答申書では、雇用政策で60歳定年を基盤として働くことを希望 する高齢者全員が65歳まで働くことができるような社会の実現を目指しましょうと、そ ういうことを前提といったらおかしいんですが、そういう社会を目指してああいう大論 議になったと思うんですが、また政治的な状況も作用してのことだとは思いますが、前 回のような結論になったわけでございます。  しかし、その後、4年ほどたちましたけれども、その状況は一体いい方向に進んでい るのか。どの程度進んだのかということでございます。60歳定年制ということについて はようやくある程度のクリアといいますか、ほとんどのところがそういうレベルに来て いる、あるいは法制化という点でそうなっているわけでございますが、60の前半台の雇 用はどんな厳しさにあるか。労働組合としては、私のところもことしの春要求をいたし ましたけれども、時代の趨勢としてはわかるけれども、とても今そんなこと言える状況 じゃないと。 デフレスパライル、企業業績の大変な落ちこみで、現役も含めて雇用をどう確保できる かみたいなところが現在の状況でございます。A委員が言われるように、ある程度もう 少し先を見ればという議論なのかもしれませんけれども、やはりここは卵かニワトリか ということでございまして、年金の制度というものが働くことをプッシュするといいま すか、あるいはそういうことをやるためにシビアな真空地帯をつくってしまう、そうい う方向で働くべきではないのではないか。あくまでも年金は中立的な制度にしておいて そして労使や国の努力によって、そういうことをつくり上げるような状況を一刻も早く つくる。負担する側のメンバーを増やして、結果としてこの部分がなくてもいいという 状況にどうやってやるかということについてやっぱり真剣に努力をすべきではないか。 後先逆になっているのでは生身の人間はもたないと。高齢者の不安、そういうことが年 金の将来に対する不安を生み、逃げ水のように年金制度が変わってしまうとか、あるい は何か切り込まなければならないとなったら、またそこで制度が変わってしまうという ことが、結局年金の不信や年金に対する不安、もう国信用ならないと、こういうことに 増長するのではないか。支給開始年齢の引上げは組合としてはすべきでないという意見 を申し上げておりますけれども、すべきだと今発言をされた委員の方々を含めて慎重に 検討すべきではないかというふうに思います。 ○C委員  今、B委員がおっしゃった意見と全く同感なんですが、そのことは繰り返さないでお きます。この支給開始年齢の取り扱い方、あるいは記述の仕方によっては、今度の年金 改革全体を受けとめる側や普通の人に相当大きなインパクトを与えると私は思っていま す。ということですから、この記述については丁寧に、慎重にということを申し上げて おきたいと思います。  それからもう一つは、雇用の事情の話がB委員からございましたけど、最近仕事で地 方に行く機会が多いものですからいろいろ見るのですが、中央から労働事情を見ている のと地方における労働事情は大変な差があるなということを私自身実感しております。 そういう面では確かに60歳定年は確立できましたけれども、先ほど私申し上げましたよ うに、60歳以降の継続雇用の進捗だとか、今後どうなるのかというのは大変深刻な事態 になっております。東京から見る現状認識に対して相当の係数を掛けて全国の状況を把 握していただく必要があるのではないかと思います。とりわけ中小企業における実態は 惨たんたる状況になっているということだけは十分御認識の上、この問題についての記 述をお願いしたい、このように思います。以上です。 ○H委員  6ページ以下、意見を申し上げたいと思います。最初の6ページですが、下から5行 目、「更に、仮に」云々のところ、これは先ほどD委員が、削除または目的間接税に言 及してほしいと言われましたけれども、私はこの3行を削除していただきたいと思いま す。  それから、6ページの下のところ「慎重な検討が必要である」としてありますけれど も、L委員も言われましたけれども、この問題は今回の改正では取り上げられないけれ ども、次回に向けて速やかに結論を得るように検討を進めるというふうに書いていただ ければと思います。そうでなくてもレトリック的には両論成り立つような書き方にして いただきたい。  G委員から問題点を指摘したけれども、それに対して税方式について反論はなかった と言いましたが、私はG委員の言われる問題点をいちいちごもっともな問題点だと思い ます。 そういう問題点をどうやってつぶしていくかということについて、これは専門家がもう 少し協力してもらわないと詰められない問題であろうかと思います。そういう意味で、 これは経団連も日経連もそのような主張をしています。この方式については連合もそう 言っているわけなんで、ぜひともまじめに議論をすることを今後詰めていただきたい、 こう思います。  それから、8ページでありますが、D委員が同じように言及いたしました負担の問題 であります。ここの表現はそれぞれ併記ということで、4行目、「何々すべきであると いう意見」、「労使あわせて月収の20%以内という意見もあった」と。この「もあっ た」というのは本当におみそのような感じなのです。  私は一貫して負担の問題を申し上げておりましたけれども、負担する側から事業主は 半分ということであります。労働側は給付と負担と両方、若い人については負担の問題 高齢者については給付の問題、こうなんですけれども、そういう意味では事業主は負担 のことだけ考えているということであります。それは高い給付が維持できるのであれば 我々も維持はしたいと思うんですが、そうできない。やっぱり給付と負担を均衡すると いうことで申し上げているのですけれども、問題は企業の賃金所得のある人たち、これ は自分の負担が増えれば、それはまた給料をまた上げてほしいと、こういうことでかか ってくる。 結局すべて事業主の負担にかかってくるという意味では、間接的なそういうことを含め ますと、負担はすべて事業主にかかる。給料はどういうふうに払えるか。賃金はここで 議論することはありませんけど、賃金は企業の支払い能力で決まるというふうに考えて おります。労働側は豊かな生活を保障する賃金を獲得すると、こういうふうに考えてい るわけですが、企業が払えるのは支払い能力で決まる。今の国際競争の中で、我々が1 人当たりの生産性が国際比較でもって、十分な収益力がなければ、賃金は払えない、こ ういうところに追い込まれているわけです。そういう意味で、負担するのは100%労使で もって負担している。こういう観点で、そういうものを含めまして、「も」というのは せめてやめていただきたい。全部並列でやっていただきたいということであります。 それから、9ページでありますけれども、賃金スライドについて「当分の間行わな い」といいますが、意見としては、「今後とも行わない」というのと、「当分の間行わ ない」、両方あったということで、この辺も賃金スライドは廃止すべきだという意見も あったということを明確に書いていただければと思います。  それから、10ページ、11ページの〈支給開始年齢〉あるいは〈在職老齢年金〉のこと であります。先回でしたか、J委員から年金の制度と高齢者雇用の問題、議論した、し ないとございましたけど、年金制度と高齢者雇用の問題、非常に深いかかわり合いがあ ると思います。その際、P委員が今後議論すべきだと言われまして、私は深いかかわり があることは当然なんですけれども、年金審議会で年金制度と高齢者雇用のことをまと もに制度として議論するのはいかがなものかと思っています。といいますのは、一度申 し上げことがあるんですけれども、65歳定年延長というのは現在事業主の立場からすれ ば到底受け入れられません。そういう中で、年金制度を変えることによって65歳定年延 長を強いられるような形の制度改正については現時点ではとても賛成でき兼ねるという のが私の立場です。  ただ、D委員言いましたように、横の展開であるとか、あるいは労働省も検討してお りますけれども、60歳を超えた人の雇用に資する施策という形でインセンティブがある ことについては、それは今後検討の余地があろうかと思います。少なくとも一般論とし て60歳以上の雇用を促進するため制度的にどうこうするという議論は事業主としては、 年金制度を議論するこの場でするのはいかがなものかと思っております。ただし、A委 員、先ほど言われましたけれども、2025年という時点を目指して、ある準備期間を持っ てこういう形で行われることはやむを得ないのではないかと思います。足元、たまたま 労働側と個別企業の感覚は合うんですけれども、足元急にここのところを改定されると 非常に雇用問題として難しい問題あるんです。しかし、2025年に向けてとということで あれば、恐らく少子・高齢化の問題は高齢者雇用も頭に置かないと労働力の供給という 面から限界がくるということがありますので、当然そういうことは考えざるを得ない状 況が起きてくるかと思います。その辺の見通しは現在の雇用と全く逆でありますので、 そういう意味で、2025年までのちょうど真ん中あたり、2010年前後にはその辺の様子も 見えてこようかと思いますので、2025年をターゲットにこういうふうに書いていこうと いうことはよろしいのではないかと私は思います。  それから、17ページでありますが、企業年金の基本法でありますが、私も何度か意見 申し上げましたけれども、どこのだれがこの企業年金基本法を制定したいと思っている のか。 経団連のレポート、あるいは通産省の産構審等々こういうことが議題になったというこ とがありますし、そもそも内閣で決めたということがあるんですが、どうもいろいろな パーセプションギャップがあるのではないかということで議論を提起したことがありま す。  その際、事務局の方から、厚生省としても、これは厚生年金基金以外のものも含めて 共通の基準を設けるということで、企業年金基本法というものを制定する意味があると いうことをおっしゃったんですね。そういう御意向があることはわかったんですが、そ の際、ここに書いてありますように、「企業年金に関する包括的な基本法を制定する場 合」とありますが、事業主としてこういう形で基本法を制定してくれということをどこ の団体も要請しておりませんので、包括的な基本法を制定するのであれば、特別法人税 の撤廃等々という意見があった、というふうに書いていただきたいと思います。  それから、「企業年金各制度は、沿革が異なるだけでなく」云々となっていますが、 私どもは沿革の異なることを尊重しながら、もし基本法を制定されるのであれば、尊重 しながら決めていただくと。そういう意味で、支払保証制度については絶対反対と申し 上げましたが、むしろこの特法税の問題との関係では、現在の適年制度は積立基準が不 明確、あるいは受給権の保護が不明確、あれは支払保証制度がない、こういうことがあ って、大蔵当局がこの特法税の撤廃を認めてもらえないわけです。その中の何かという ことについては、もう一点、終身の問題あるんですが、終身は基本的な条件でないと事 務局も言われましたので、ここは「積立基準」という言葉を入れていただいて結構だと 思います。ただ、支払保証云々というのをここで入れるのは、そういう意味では、これ を一致しないと入れられないというふうにとらえると問題なんで、書き方としてはもう 少し丁寧に書いていただければと思います。以上です。 ○会長  皆様熱心に御発言いただいておりますが、4時50分になりました。予定の時間をかな り大幅に過ぎております。本日の議論はこの辺で打ち切りにしたらと思います。  皆様方、まだ、言い足りない点がございましたら、明日じゅうにファックスで事務局 へメモをお届けいただきたいと存じます。本日の議論と明日じゅうにファックスでちょ うだいするメモをもとに、起草委員の方々に意見書草案の書き直しを、お願いします。 ご苦労さまですが、そういうふうにしていただきます。  次回の予定は10月1日になっております。10月1日の審議会で意見書を取りまとめ、 そのあと厚生大臣殿に、意見書をお渡しするという儀式が慣例です。そういうふうにで きればと考えております。それまで各委員の御意見をお伺いしながら意見書の修正を進 めてくださるようお願いします。  日本における国権の最高機関は国会でございます。厚生年金保険法等の改正は、内閣 が改正案を用意して国会に提案する。その前に厚生大臣殿が年金審議会の意見を聞くこ とになっております。この聞くということの幅は非常に広くございます。世間にいろい ろある御意見をここで御披露いただいているうちに、おのずと世間の意見、空気がこう いうものであるとおわかりいただく。そのおわかりいただいたところをもとにして、厚 生省あるいは自民党なり各政党の原案ができ上がっていく。これが御存じのプロセスで す。このあたり、しかるべく御了承いただきたいと存じます。意見書を提出しますと、 文字通り聞いていただける部分もあり、あるいは次回にしようかという部分も出ます。  本日の資料の取り扱いですが、資料2に前回審議会の議事要旨がついております。先 例によりこれを公開することでよろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○会長  意見書の草案ですが、これは文字どおりのたたき台です。皆様方に徹底的な書き直し のご助言をいただきました。これは非公開が適当と思います。よろしゅうございましょ うか。  今後の日程につきまして、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局  今、会長申されましたように、次回の審議会、10月1日(木曜日)午前10時から、よ ろしくお願いしたいと思います。 ○会長  本日はこれで閉会します。4時55分になり、まことに不手際で申しわけございません。 長時間ありがとうございました。                                年金局 企画課                                須田(3316)