98/09/16 第28回年金審議会全員懇談会議事録 第28回年金審議会全員懇談会議事録 日 時 平成10年9月16日(水) 10:05〜12:15 場 所 厚生省特別第一会議室  1 開会の辞  2 委員出席状況報告  3 議 事   ・ 次期財政再計算に向けての総括的論議  4 閉会の辞 〔出席委員〕   京 極 会 長   砂子田 委 員  岡 崎 委 員  木 原 委 員  国 広 委 員 久保田 委 員  神 代 委 員  坂 巻 委 員  高 山 委 員   桝 本 委 員  山 田 委 員  山 根 委 員  吉 原 委 員   若 杉 委 員 渡 邊 委 員  貝 塚 委 員 船 後 委 員  ○会長  第28回年金審議会の全員懇談会に入りますが、始める前に、八木会長代理のことを 申し上げます。お聞き及びのように、9月10日、八木会長代理がお亡くなりになり、13 日にお通夜、14日に御葬儀がございました。大変突然なことで、本当に驚いております。  八木会長代理は平成3年1月に本審議会委員に御就任になり、平成6年11月からは会 長代理としての重責を果たしてこられました。つい先日の8月31日、9月1日の合宿審 議にも、病院からわざわざ御参加くださり、貴重な御意見を残されました。審議に入り ます前に、故人に黙祷を捧げ、ご冥福をお祈りしたいと存じます。 ○事務局  それでは、恐縮でございますが、お立ちをいただけませんでしょうか。それでは黙祷 をお願いいたします。                (全 員 黙 祷) ○事務局  ありがとうございました。御着席ください。 ○会長  どうもありがとうございました。  全員懇談会に入りますが、その前に本日も記者クラブから、冒頭にカメラ撮りをした いという申し出がございます。議事に入ります前にこれを許可したいと存じますが、よ ろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○会長  それではお願いします。                 (カメラ撮り)                (報道関係者退場) ○会長  ただいまから、第28回年金審議会全員懇談会を開催いたします。委員の出席状況に ついて、事務局から御報告をお願いします。 ○事務局  本日は都村委員、富田委員、福岡委員、目黒委員が御欠席でございます。渡邊委員、 貝塚委員、船後委員はちょっとおくれて来られるようでございます。以上でございます。 ○会長  次期年金制度改正に向けての総括審議に入ります。  故八木会長代理の御後任の会長代理につきましては、次回9月21日の審議会で指名を いたしますので、よろしくお願いします。  本日は、まず、前回の審議会で、私に御一任いただきました、この審議会としての意 見書の起草委員の指名を行います。次に事務局の方で作成いたしました、審議整理メモ に基づきまして、意見集約に向けて審議を進めます。  起草委員でございますが、神代委員、坂巻委員及び都村委員の3人の方々にお願いし ます。私とも随時御相談くださりながら、起草作業をお進めくださいますようお願いし ます。神代委員、坂巻委員、都村委員、都村委員は御欠席でございますが、におかれま しては御多忙と存じますが、何分よろしくお願いします。よろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○会長  次に事務局から、お手元にございます審議整理メモの説明と朗読をお願いします。 ○事務局  それでは、本日の資料1、「審議整理メモ」につきまして、御説明をさせていただき ます。 後ほど確認の意味を込めまして朗読をさせていただきたいと存じます。  本整理メモは審議会のこれまでの御審議の内容、そして事務局で原案を作成いたしま して、一昨日までに事務局にお寄せいただきました御意見を事務局におきまして、でき る限り客観的に整理をし、昨日まとめ上げたものでございます。したがいまして、本日 各委員には初めてごらんいただくものでございまして、事前にお配りしたものとは異な る点につきまして御了承いただきたいと思います。  各検討項目でございますが、基本的には昨年末おまとめをいただきました論点整理に 沿っております。しかし、その後の御審議の状況を踏まえまして、少し順序を変更させ ていただいております。全体は「1.基本的考え方」、3ページからの「個別検討項目 についての考え方」。そして最後の11ページからの「その他」という3つの構成に分か れておるわけでございます。  個別検討項目につきましては、まず「基礎年金」の関係、そして「厚生年金の給付と 負担の水準」とこういった順番で、以下整理をさせていただいております。  各検討項目につきまして、各委員よりあらかじめ御意見いただいております。しかし すべての御意見を網羅的に取り入れておりません。事務局といたしまして、極力取り上 げるようにはつくらせていただきましたけれども、各委員で取り上げることにつきまし ても、お互いに意見が合わないという場合もございましたので、取り上げなかったもの もございます。この点につきまして御了解をいただきたいと思います。  本日、書き足りない点など、改めて補足をしていただきまして、起草委員の草案作成 に反映していただいたらいかがと考えております。以下、朗読をさせていただきます。 ○事務局  朗読いたします。 (事務局「審議整理メモ」朗読) ○会長  ただいま朗読が終わりました審議整理メモにつきまして、御質問、御意見のある方、 どなたからでも御自由に御発言ください。 ○A委員  中身の個々のものにいく前に御質問をしておきたいのですが、語尾の使い方に非常に 慎重にされているのか、微妙にされているのか、それぞれ「必要」だとか「不可欠」と 言い切っている部分と、それから「との意見」となっている部分、あるいは「今後検 討」という言葉を入れられている部分、そのほかにもたくさんあるんですが、ここは微 妙に使い分けられて、ニュアンスの違いを出して、要は踏み込んで優先順位をつけられ た結果なのか、全くそこはすべてについて「との意見」ということで理解をしておいた らいいのか。この辺の審議整理メモを作成するに当たっての語尾の文章の言葉遣いにつ いて、我々どう理解したらいいのかということについてちょっと質問しておきたいと思 います。 ○B委員  論議に入る前に、9月13日の日経のトップ記事について余り感じがよくないので聞い てみたいのですが、まだ起草委員も決まっていなかったり、どういう方向性になるのか もはっきりしてない段階で、さも起草委員の中で意見書がまとめられたかのごとき記事 が出ているんです。これまでも何度か他の委員の方からも御指摘があったように、私は 情報管理が極めて芳しくないというふうに思います。それからもう一つは、審議会とい うものの意義づけとか位置づけが極めてないがしろにされているという雰囲気を与える し、この期に及んで極めて慎重に対処すべきではないかというように思います。この情 報の開示の仕方について、厚生省側はどのようにお考えになっているのか聞きたいと思 います。  私どもには、きょう「委員限り」という表題がついていたものが配布されていますが ついてない段階のものを大変慎重にお取り扱いになって御説明を事前にお聞きしたわけ です。そのときの対応と新聞社への対応、それから、いろいろ私が取材をちらちら受け る中で、審議会が終わった後のコメントの仕方が少し偏っているのではないかというよ うな印象もちょっと持っているものですから、終盤になって情報開示のことについてど のようにお考えになっているのか、あらかじめお聞きしておきたいと思います。以上で す。 ○事務局  まず最初の審議整理メモの語尾の取り扱いでありますけれども、ごらんいただくとお りなんでありますけれども、「との意見」については、という意見の表明があったとい うことを明記させていただいた方がいいと思われる部分につきまして、そのような表現 をとらせていただいた、こういうことでございます。  それから、2番目のB委員御指摘の日経の記事に関してでございますが、本審議会に おきましても、プレスリリースについて御指摘をいただいてきておるところでございま すので、私ども最大限の注意をもって取材につきましては対応させていただいておると ころでございます。しかしながら、あのような記事が出たわけでございます。御指摘の とおり、本日起草委員を御指名いただいたわけでございますし、報告書の骨格なるもの は全く存在しないわけでございますので、この点につきましてはやはり各社取材をして 記事を書いたものというふうに私ども考えております。本審議会において、私ども事務 局に対して命ぜられました対応の仕方で最大限注意をしておりますし、今後ともそうい った形で対応させていただきたいと、このように考えておるところでございます。 ○A委員  ちょっとよろしいですか。 ○会長  どうぞ。 ○A委員  ちょっと意味がよくわからないので、もう一度説明してほしいのですが、「との意 見」との表記をつけ加えた方がいい点だから記述したということなんですが、もうちょ っとどういうことなんでしょうか。 ○事務局  論点整理をはじめといたしまして、これまでの審議会の御議論におきまして、こうい った方向かなというものにつきましては体言止めにしておるわけでございますが、「意 見」と書きました部分につきましては、こういった意見があったというふうに末尾を結 ばせていただいた方がいいのかということで、こういうふうに書かせていただいたとい うことでございます。 ○A委員  そういう前提で今後の意見に加わらせていただきます。 ○会長  「べき」で文章を止めて、べきであるか、べきでないか、わからない文章を並べる。 これは現代の、若い世代の共通の文体です。今お話のありました「意見」で止める体言 止めも現代の若い世代の文体です。これは日本語の作文教育の成果です。「べき」止め は多分「べきである」と読むようです。「意見」というのは「意見があった」という趣 旨のようです。  それから、新聞の方は、夜やってまいりまして、下のインターホンで面会をしたいと か、意見を聞きたいとか、また、電話をかけてきたりとか、お勤めご苦労さまなことで す。私個人は一切面会をしません。「各社平等、共通、公平でないとフェアでない」と いう説明をしております。  御承知のようにメディアは、競争社会の中で生きております。世間の常識を基礎に、 業界の常識をその上に重ねますと、公開情報だけでかなりのことは書けます。その上に ちょっとゴマ塩をふりかけて色をつけるという実情だろうと思っています。事務局が疎 漏でミスリードしている、ということはない、と私は理解しています。 ○C委員  私どもはこの日経の記事について言うと、非常に反応が、私は別に事務局がミスリー ドしたということを申し上げたいのでなくて、マスコミが行っているこういうミスリー ディングな記事について、現実に審議に加わっている立場の人間に対しては、ある種不 信を非常に強く招いておるんですね。つまりもう決まっちゃったのかと。ないしは、お まえら出ていて、あんなことに合意したのかと。こういう形で周辺から言われたり、組 織の中にそういう雰囲気が広がったりということは現実にあるわけでございます。例え ば年金審議会が第何回の全員懇談会で何とかを確認したなんて出るわけですね。私は何 回か申し上げたように、確認すべきことは確認しながらやってきた方がいい問題はあっ たと思いますが、現実に何も確認なんかしてないわけです。そういう決まってもいない ことが決まったかのように議論されることについては、せっかくブリーフィングをやら れているわけですから、少なくともブリーフィングの席において、その前の報道につい ては何らか当局から言及があってしかるべきではないかと思うんですが、その点は事務 局いかがですか。 ○事務局  本日のこの議論につきましては、プレースリリースで申し上げたいと思います。 ○C委員  今までやってないよね。なぜ、そういうことを申し上げるかというと、きょうの整理 メモの、先ほど事務局言われた3つあるわけですよね。大方、今までの議論からいって こういうことかなと思ったもの。つまり大体それはそういう方向が多数を占めたという 事務当局の方の御判断があるわけですね。それから、少数意見ではあるが、まあ書いて おいた方がいいだろうと思うもの。これは何とかという意見と。それから、書いておい たってしようがないようなごみみたいな意見、これはカットしたと。大体こういう扱い だというふうにお話を伺って聞くんですが、大体こういう方向かなというふうに事務局 が言われたものをつなげると日経の記事と大して違わないわけですよ。 ○会長  ほかに、どなたからでもどうぞ。 ○D委員  元新聞記者だから言うわけじゃないんですが、年金審議会は全部の情報を公開してい ますね。それから審議の状況も全部わかるので、新聞記者で勉強している記者ならばあ る程度のことは書けると思うんですね。それから、審議会で決まったとかという書き方 はちょっと勇み足かと思いますけれども、そう書かなければ記事にならないところもあ るわけですので、行政の責任を問うのはちょっと無理じゃないか。  やはり報道の自由というものもありますし、中身についてもかなり勉強している部分 がある、私個人的にはそう思うので、かえって情報を制限するようなことはマイナスに なるだろうと私は思っております。以上です。 ○会長  メディアの問題のご議論、このへんでよろしゅうございますか。今朝もメディアの人 と電話で大分話しました。メディアの人たち、それぞれの記者は勉強しております。そ の記者の席の後ろの席に座っている人がいます。後ろに座っている人の後ろにも、また 座っている人がいます。部内、他の部、他社という競争条件の中で記事を書きます。公 開情報をもとにしてかなりなところまで書けます。その上に「確認した」とか「決定し た」とかというゴマ塩をふりかけると、読める記事になります。記事にしませんと、社 内の組織の中でのいろいろな立場、諸事情、諸関係があります。  特定の方向に年金問題を処理させたいとメディア側がキャンペーンをしているとは思 っていません。  この「審議整理メモ」が、3人の先生方に意見書の草案をおつくり願うときの足場、 土台になります。漏れていることがあるとか、足りないことがあるとか、傾いているこ とがあるとか、いろいろ御意見があると思います。どなたからでもご自由に御発言を。 ○E委員  ちょっと起草委員を仰せつかって、今ごろこういう質問をするのはいささか恥ずかし いという感じがするんですけど、今のC委員の表現だと、入っていたらどうかなと思っ ていたんですが、ごみの扱いになったのかもしれないんですけれども、支給開始年齢の ところで、私の理解が不十分なのかもしれませんが、女性の支給開始年齢の引上げが男 に比べて5年おくれになっています。 ○会長  何ページですか。 ○E委員  5ページです。私は個人的な意見としては、ほかで言ったり書いたりしているんです けれども、大体女性の方が年金の受給年齢がうんと長いわけですよね。生涯にもらう金 額からいったら余計保険料取ってもいいぐらいたくさんもらうわけですね。これは別の 話ですけれども。いろんな面で男女平等にしろと言っているのに、厚生年金の定額部分 の支給開始年齢の65歳の引上げについて、男と5年おくれにする合理的な根拠がどこに あるのか、必ずしもよくわからないんですよね。従来支給開始年齢が女性は早かったの をそれをキャッチアップしているプロセスにあるということが多分理由なんだろうとは 思うんですけれども、それは過去のいきさつに引きずられすぎてはしないかと。 これほど将来世代の負担が問題になっているときに、平均的な受益の額が非常に大きい 女性を今さら格別に5年おくれにする合理的な根拠があるのかなというのがよくわから ないんですね。そういう議論はどこかで一度あったような気もするんですけど、ちょっ とごみになったのかなと記憶が全然定かでないんです。  それとの関係で遺族年金も男性が女性より不利になっている。これはいろんな人の本 読んだのでごちゃごちゃして記憶がはっきりしないんですが、例えば我々のような者が 非常に年取ってから若い女性と再婚したり、新婚でもそういうのもいますけれども、う んと若い女性と結婚することありますね。たしか私の記憶違いでなければ、女性は35過 ぎていれば遺族年金がもらえるんですか。亭主が死んだときにですね。不正確だったら 直していただきたいんですが。  確かに70の老人が35の女性と結婚して子供ができたりして遺族が残れば、これは保護 する必要ももちろんあると思うんですけれども、今後のことを考えると、意外にがんや なんかで早く奥さんが死ぬ人が多いので、男の再婚率は非常に上がってきていると思う んですね。女性の方はもう二度といやだという人が圧倒的に多いんですけれども、男の 人は非常に再婚する人が多いので、ある意味では遺族年金を目当てに再婚する人も結構 増えてきていると思うんです。これは、介護でお金がかかるよりよっぽとその方がいい という面もありますから必ずしも悪くはないんですが、支給開始年齢との絡みで、遺族 年金の男女差も気になる。年金白書をパパッと見た範囲では遺族年金の支給開始年齢と いうのですか、その記述がちょっと見当たらなかったんですが、どこかにあるのかもし れません。あるいは資料で出ていたかもしれないんですけど、ちょっとその辺がよくわ からないので教えていただければと思います。 ○事務局  遺族年金も基礎年金と厚生年金それぞれ要件が違います。例えば基礎年金であれば、 死亡した場合に生計を維持されていたお子さんのある奥さん、あるいはその子供でござ います。それから、遺族の厚生年金の方であれば、先ほど申し上げたような遺族、それ からお子さんのいない妻、55歳以上の夫、父母、祖父母と孫こういったような要件にな っています。  それから、先ほどの女性の支給開始年齢については、委員おっしゃったとおり、もと もと女性の方が55歳からと支給開始年齢が早かったものですから、現在60歳支給へ向け て引上げ中ですので、定額部分を65歳に引き上げるときも合理的な経過措置ということ で男性に較べ5年おくれにしたということです。 ○C委員  男女平等扱いということから言えば、支給開始年齢の本人の引上げについては、今、 事務局から言われたように遠くない将来に65歳で一致させるということだと思うんです が、遺族年金の方の受給権発生年齢の男女の違いというのは、これは無視できないんで すね。亭主が死んじゃったときの女房の受給権は多分年齢は余り関係ないと思うんです が、男の方が女房が死んじゃって、女房の遺族年金もらおうと思ったら55歳以上でない といけない。しかし、これは非常に高給取りの奥さんがいて、夫の賃金は低い、ないし はないという可能性を考えると、こういうところを放置しておくのは形の上では問題か なという感じがいたします。 ただ、女性の方が長生きするから保険料をいっぱい払えとかというような、先ほどの 御発言は極めて大きな、起草委員としては問題発言だということになりかねないと思い ますので、一言。 ○会長 よろしいですか。 ○E委員 もうちょっと勉強します。 ○F委員 ほかの方の御意見を聞いてからと思ったんですが、私は全体として、確かによく整理 はされていると思うんですけれど、この「基本的考え方」というところから始まる各項 目の、さらに何といいますか、前文というのか、この改正全体について審議会はどう考 えるかということを、私は起草委員の方にきっちり整理をしていただきたいと思うんで すね。今こういう経済とか財政、あるいは金融の状況の中で、なぜ、こういった改革が 必要かということを国民の方々にわかっていただけるような思想とか哲学のようなもの を私ははっきりさせていただきたいと思うんですね。いきなり公的年金の意義だとか役 割だとか、これはみんな言われなくてもわかっていることなんですね。はっきり申し上 げますとね。その前になぜこういう時期にこんな改正をやらなくちゃいけないのか。実 は今この時期にやることについては別な意見もあることは確かなので、それについての 考え方も含めてひとつ整理をしていただきたい。これが第1点でございます。  それからもう一つ、その中で触れていただきたいのは、経済とか財政とか人口とか、 そういうものが変わったからこういう改正が必要になるのですが、そういうものが変わ ったから年金制度をそれに合わせるというのが中心になっているんですが、逆に、人口 構造とか経済の方を変えていけば、これほど大きな改正はしなくても済むわけですから そちらの方の努力をしっかりやりなさいということを審議会としては、はっきり提言を していただきたいと。やはりそうでないと、人口が変わったからしょうがないんだと。 経済がだめになったからしょうがないんだということだけじゃなしに、経済をこう変え ていく、あるいは人口をこう変えていけば、年金制度はこういう形でいいんだという提 案もあるはずですね。そういう考え方もあるということをしっかり書いていただきたい と思います。  あとちょっと細かい点になりますけれども、読んでいきまして、余り議論されてない 点を事務局が恐らく想像で整理されたようなきらいのところがいくつかあるんですけど 例えば在職老齢年金。これは65歳以上にも在職老齢の仕組みを入れるのは仕方ないんじ ゃないかというのは大方の意見だったと思いますが、65歳以上といっても無制限じゃな しに、60代後半ということで私どもは議論していたので、ここでいくつになっても在職 している限りは制限するのだという思想が前面に出ているのは私は問題というか、反対 であります。やはり一定の年齢に立てば保険料を取らない、年金を出す、そういう仕組 みは当然残ってもいいんで今65歳になっているわけです。それがいいかどうか、それは 少し上げていってもいいですが、やはり60歳後半についてそういう考え方を入れるべき だというのが今までの議論で、70歳以上までどうするかというのは議論には出てなかっ たと思うんですね。こういうことをはっきりお書きになるのはちょっとどうかなと思い ます。  そういうものを入れるにしても準備期間を置くのも当然ですし、やはり段階的に入れ ないと。いわば、そういう人については自動的に支給開始年齢を70歳まで上げることに なるわけですから、これはある程度の時間を置いて段階的にやっていくという思想も出 していただきたいと思います。  それから学生のところですけれども、学生についてはなかなか扱いが難しいんですけ れども、原案も1つの考え方ですけれども、議論としては障害年金とか遺族年金につい てはある程度保険料を下げても、その分だけの保険料を払ってもらってもいいのではな いか。老齢年金も含めた金額は確かに負担は重いと思いますけれども、障害や遺族が学 生を適用する場合の一番の理由であったわけですから、障害や遺族についての保険料、 どの程度の金額になるかわかりませんけど、そういうものは払ってもらうという考え方 も私はあるのではないかと思います。  それから、企業年金のところも、企業年金各制度は、「現在の受給権保護の仕組みに も大きな格差があり」とありますが、大きな格差の問題じゃなしに受給権の仕組みがは っきりしてない。特に適年については受給権の仕組みという考え方はないわけですから 仕組みの格差じゃなしに不十分である、あるいはないということじゃないかと思います ので、その辺はもう少しそういうふうにはっきりお書きになった方がいいんじゃないか と思いますね。  それから、例えば11ページの「還元融資」も「適切な経過措置を講じた上撤退すると した閣議決定を踏まえるべき」というのは、この審議会の意見では、そういうような閣 議決定を踏まえるとか踏まえないとかというのは、私は意見としては出てなかったよう に思いますので、そういうのは必要ないんじゃないかと思いますね。  気がついた点、以上でございます。また、ありましたらお願いいたします。 ○会長  G委員、大分前から手を挙げておられました。どうぞ。 ○G委員  「審議整理メモ」というのは、これが要するに年金審議会の最終的な報告書にかわる ものというふうに考えてよろしいんですか。 ○ 会長  意見書をお書きいただく場合の基礎資料のひとつです。 ○G委員  年金審議会で最終的には文章になったとき、先ほど若い世代にはこの方がもてるとい う話でしたが、やっぱり文章としてきちんと残っている方がよろしいんじゃないか。私 は何となくそういう感じを持っています。 ○会長  普通の日本語の文章で書くことを起草委員の方々にお願いします。 ○G委員  その点、よろしくお願いいたします。ちょっとそれだけ。 ○B委員  隣のF委員がおっしゃった第1点と冒頭言われたことについては、言葉足らずの面も あったかもしれませんが、今私もいままでに申し上げてきたつもりなので同感です。こ れらの点についてはむしろ年金受給者、これから後世代で負担をしていく人に向けて適 切なメッセージのようなものとして前文にしっかりお書きいただくことをお願いしてお きます。  それから後段、F委員がおっしゃったことにも関係あるんですが、融資事業に関する ような問題とか、ほかにも何箇所か、少し事務局側の思い入れが入った内容があり、懸 念される部分があるように思います。審議会の中ではこんなことまで決めつけた論議は してなかったのになというところも何箇所かありますので、その点について御配慮いた だきたい、このように思います。 ○会長  C委員どうぞ。 ○C委員  全体の前のところにどういう総括的なものを置くのかというのは非常に大事だと思う んですね。私もそういうものの重要性を強調させていただきたいと思いますが、その場 合に負担を強調していくのか、それとも負担と給付の両面にわたって将来像を提起をし てアピールするのか、これはメッセージとしては違うわけですね。ややもすれば、負担 はこれだけ上がるが、かくかくの次第でやむを得ないという、そういうメッセージを念 頭に置かれている方が多いのかなと思うんです。私はそうではなくて、21世紀の日本で ますます公的年金が重要になって、その公的年金に関してこれだけの将来像というのを きちんと提起する、これだけの給付を約束すると。そのためにこれだけの負担はしても らなければいかんと。給付の方の約束のメッセージを含むべきだと思います。  若い世代の年金不信は単に負担が増えることに対する不満ではないので、彼ら自身が 年金受給年代に達したときに果たして我が国の公的年金はあるのかないのか。それがわ からないところで負担なんかできるかと。私どもも何回か若い諸君の集まりで議論もい たしましたが、そこが大変大事なところなのだと思います。  それと関連いたしまして、当審議会は一体どの時点の年金について議論しているのか。 これは必ずしもこれまでの経緯で明らかだとは思いません。事務局からお出しいただく 資料の中で一番多いのは年号的に言えば2025年ということでございましたし、これは従 来の議論についても大方そういうことを念頭に置いている。これは雰囲気としてそうな わけですが、しかしきょう御欠席のQ委員がいつか言っておられたように、高齢化の ピークなんて来るのかと。このまま少子化が進めば、どんどん、どんどん先へ進むでは ないかといったような意味では、人口推計が新しいのが出るたんびに後ずらしをされ、 あるいはピークといったものはうまくとらえ切れないといったような状況が進行してい る。その中で、2025年というふうに従来高齢化のピークだと言ってきた議論は既に外れ ていると思うんですね。しかし実際には将来予測が合理性を持ちうる限界はあるわけで それから、また遠い将来については、今からとっていくさまざまな政策手段によって、 先ほどF委員もちょっと御指摘のようにバリアブルな要素があるわけですから、そこに はむしろどうしていくのかという政策的なインプリケーションがきちんとメッセージ自 体の中に含まれるべきだとすれば、私は2025年というのは合理的な射程だと思います。  その意味では何年後の年金がここで言われているのかということをやっぱりはっきり すべきだと思います。特に退職者の人たちの中で関心が高いのは、既裁定者についてど ういう措置をするのだということになっていて、この関心は多くの場合間違っている場 合があるわけですね。しかし、あたかも今もらっている年金が下がってしまうかのよう に感じないでもいい不安を持っている場合もありますが、その不安をかき立てている面 も現実にあるわけですから、2025年なら2025年についての年金像をここで提起すると。 これの時間射程をメッセージ自体は明確に示していくことが必要だし、その点で、私、 仮に2025年と申しておりますが、我々がこれまでやってきた議論のその辺の像を全体で 少しクリアにしておくような意見交換をしておかないといけない。起草委員の皆さんの 中でも、個人的な見解の違いはもちろん結構なんですが、審議会本体が大まかな合意を しておいた上で起草をお願いをするわけで、お願いする条件が満たされないところで言 われてもお困りになっちゃうと思いますね。  ですから将来の給付についての展望をはっきりと打ち出すこと。そして、それを具体 的な年金像は何年時点のものであるのかを明示すること。そういうことがまず枠組みと して必要だというふうに総論については思います。以上です。 ○H委員  先ほど来、総論といいますか、まえがきの部分についての発言が相次いでいると思い ますので、それに関連して私から一言申し上げたい、それが1点で、あと2つ細かい点 を申し上げたいと思います。  まず、まえがきの部分でどういう哲学を書くかということは大変私も重要だと思って おります。特に現在の年金不信をどうやって解消するかという点において、ただ単に、 負担を低くしようというだけではだめで、これはやはりC委員他いろいろの方おっしゃ いましたけれども、年金の給付というものをどう考えるかということについてやはり中 長期的にこれだけは譲れないという約束を書き込むことが極めて重要だと私は思ってお ります。  その点で、これは私の個人的な見解ですけれども、8月の末と9月の最初に佐久平で 集中審議を行いました。お亡くなりになったR委員は1回だけしか発言をなされなかっ たと思うんですけれども、きょうのこの資料の中にもあるのですが、9月8日に提出さ れた資料2に議事要旨がついておりまして、その8ページ、最後の部分が、R委員の発 言だったと思います。R委員は給付水準の引下げについては、1階も2階も適切でない というふうにおっしゃったと思っております。妥当でないと、1階は1階で、白地のキ ャンパスに絵をかくのだったら別だけれども、今までのいきさつもあり、あるいは医療 だ、介護だという別の点もあるから1階は給付を下げられない。2階もいろいろあるけ れども、水準は下げられないというふうにおっしゃった。  私はこれは病気を押してご出席なさったR委員の、ある意味では私心を離れた遺言に 近いものではないかというふうに思います。この点をやはり私は非常に重要視すべきで はないかと思います。ただ単に5つの選択肢の中で、B案か、C案か、D案かというふ うな選択ではなくて、むしろ今持っている制度の不合理みたいなもの、あるいは直さな ければいけないものについて優先度の高いものを逐次検討していく方向で制度改正をす べきであるというふうにおっしゃっておりまして、その点を起草委員の皆さんにご配慮 いただきたいと思っております。  もう1つは、年金の総給付費ベースのコストの話と保険料というコントリビューショ ンの話をごちゃ混ぜに書くことがたまにあるんですけれども、コストの話とコントリビ ューションの話はやっぱりきちんと分けて書く。これは国庫負担問題にかかわるんです けれども、そこの配慮が必要なのではないかと思います。コントリビューションの高さ は財源切り替えで低めることができるわけですね。ただ、総コストはそれによっては変 わらないわけです。財源切り替えとコストの抑制の話は別でありまして、そこの区別を きっちり書いていただくのが大事ではないかと私は思っております。  それから、大変ご苦労なさって事務局がまとめた資料で、今さら私が発言するのはい かがかと思うんですが、恐らくごみ扱いで、要するに言及する必要がないということで 落ちたと考えておりますが、2点ありまして5ページから6ページに続いているところ は支給開始年齢問題です。「基礎年金の支給開始年齢を67歳に引き上げることは将来的 な課題であるが」というふうに、支給開始年齢問題の最後に記述してあるんですね。 「将来的な課題である」ということを穿って考えると、例えば本則ベースでは、今65歳 になっているものを67歳にしようと。ただし、附則か何かで当面それは65歳で見送ると いった考え方なのか。いや、そこまでも考えてないと、ただ、アイディアレベルである ということなのか、この辺の議論を審議会でやったかどうか記憶にないんです。私が少 なくとも参加した後ですね。  有識者調査ではこの問題をたしか議論していて、私の理解ではそれなりの支持者があ ったと理解しておりますが、この点をどういうふうな書き方にするかというのは、将来 的な課題であると言い切っていいものかどうか、むしろ両論あったといった書き方にす るのか、ここは工夫の余地があるのではないかということを申し上げたいと思います。  それから、その下に「保険料負担」の問題で2番目のマルですが、「保険料について は、現在の経済状況から据え置くべきとの意見」、これは日経連の方とか「連合」の方 から種々言われたことだと私は記憶しております。私は個人的にはもっと過激なことを 申し上げまして、現在の経済状況のもとでは積立金を積み増す必要は必ずしもない。で すから保険料を引き下げる余地があるというふうに申し上げました。そういう意見があ ったというふうに書いていただけるかどうかは起草委員の皆さんに検討していただきた いと思います。以上です。 ○I委員  本日、Q委員が欠席されていますので、日経連の方から「年金改革の基本方向」の要 旨ということをもしよろしければ簡単に御紹介させていただいてよろしいでしょうか。 ○会長  どうぞ。 ○I委員  細かい内容は省きますが、J委員から後ほどもしあれば言ってほしいんですが、年金 改革の基本方向の要旨の中で、中ほどにありますが、1階部分、現在の基礎年金部分を 「基本年金」という名前に変えますと。  そして財源ですが、これは従来からQ委員が主張していましたように「財源は目的間 接税に転換する」と。2階部分は報酬比例年金として、現在の報酬比例部分ですが、こ れは財源としては社会保険方式。標準報酬の月額で総報酬制には反対だと。  それから、次のページのマルの1つ目に「モデル年金」とありますが、1階、2階合 わせたモデル年金の水準を中長期的になだらかに削減し現行モデルに対して2から3割 程度削減する。  それから、最後の改正の順序でありますけれども、まず1階部分の財源転換、税方式 を導入する。これを今回改正で明確化する。  1階の賃金スライドの廃止部分は今回で改正する。それから、2階部分の乗率はなだ らかに変更。賃金スライドの廃止。支給開始年齢の引上げなどは基本的に今回改正で実 施へ移す。  厚生年金基金への確定拠出型年金の導入。これも今回改正で行う。  年金保険料の引上げは現時点では実施すべきではない。  ということであります。なお、一番最後から3枚目のページに、5つの選択肢が出て おりますけれども、この右側に例の5つの選択肢でありますが、モデル年金額を御承知 の額を書いてございます。そして、日経連の主張は案としてはD案です。現状程度に保 険料を維持するということで20%程度。対総報酬が15%。したがいまして、総支給額で は4割程度削減すると。ただし、先ほど言いましたように、モデル年金での支給額は2 ないし3割程度ということでありますので、C案のモデル年金額程度になるようにいろ いろな策を講じると。こういうのが日経連の主張であります。  それに関連しまして、一、二よろしいでしょうか。 ○会長  どうぞ。 ○I委員  これに関連しまして、まず1ページの「基本的な考え方」でありますけれども、マル の3つ目、「公的年金制度は、世代と世代の助け合いの考え方に基づくものであり」と こうございますが、この「世代と世代の助け合いの考え方に基づく」というのは、現在 の公的年金制度は社会保険として世代間の助け合いに基づいて、これはそのとおりだと 思います。日経連として主張しておりますことにつきましては、結論として世代と世代 の助け合いの部分が残ることはそうなんですが、この人口の少子化問題と経済構造の変 革の中で、年金制度を変えていく立場からすると、世代と世代の助け合いの現在の考え 方を変えざるを得ないのではないか、こういう問題提起をしているのであります。ここ で最初に「世代と世代の助け合いの考え方に基づく」ということを最初に書かれるのは いかがなものかと。これは現時点では削除していただきたいというのがQ委員の意見で ありました。これを議論するとこういうことであります。  同様なことがございまして、2ページ目の公的年金の財政方式につきまして、1つは ここのところにつきまして、全般的に1階と2階を分けて書いてほしい。先ほど申し上 げましたように、基礎年金部分の財政方式と2階部分の財政方式は違う方式をとるとい うことを主張しておりますので、この書き方を2つに分けてほしい。  それから、先ほどこの書き方につきまして「何々すべきである」、「適当」、「必 要」というのと「意見」の考え方なんですけれども、まだ基本的な部分について日経連 としては十分主張し議論してもらいたいということなので、この辺につきまして、「基 本とすべき」と切ってありますが、「基本とすべきとの意見」というふうに現時点では とどめておいていただきたいというのがQ委員の意見であります。それが基本的なとこ ろであります。そのほか「意見」というふうに書いてある細かい点につきまして、意見 の表現につきましては、今後ともきょうの席でなくても意見としての正しい表現につい ては個別に事務局の方に述べさせていただいて直していただきたいと思っています。  それから、細かい点ですが、10ページの「確定拠出型の給付設計」のマル3つ目。 「退職金を原資としている企業年金については、給付額が労使協約で確定しており、こ れを確定拠出型年金に変更することについては反対」、こういう意見が労働サイドから あったかもしれません。労使協約に確定している場合はそのとおりでありますが、労使 協約を変更する場合には確定拠出型年金は導入可能だと思いますので、必ずしもこうい うふうに表現をここで決めつけることはないのではないかと思います。以上です。 ○J委員  今のと多少関連がありますので、3ページの「税方式への転換」、基礎年金のところ です。このまとめを拝見しますと、例えば2番目のマルのところで「税方式への転換に ついては、巨額の税負担について」というふうなこと書いてありますが、税方式への転 換をすれば保険料負担が軽減されるということは、これは厚生省も発表しているわけで すから、最初のマルのところに、目的間接税による税方式を採用の場合にはこれによっ て保険料負担が軽減されるメリットがある、といったことをつけ加えるべきではないか と思います。そうでないと、2番目のマルの税方式への転換について、ただ負担が重く なるといった誤解を招くのではないかと思います。  それから、この税方式への転換というのは、4番目のマルによりますと、「更に慎重 な検討が必要」ということで、そういう意見もあるということなんでしょうけれども、 「検討が必要」と言い切ってあります。しかしこれは当面のマル1にありますような国 民年金の未納・未加入、あるいは第3号被保険者その他いろいろな問題とも絡んでおり まして、この税方式への転換については「更に慎重な検討が必要」ではなくて、「早急 に検討すべき」というふうにお願いしたいと思っております。  それから、2番目は代行制度の問題でして、9ページから10ページにかけまして、代 行制度の問題が書かれてあります。これも一番最後のところで、10ページの上から3行 目で、「代行制度のあり方は、今後とも検討」と、これも時間をかけてというふうなニ ュアンスであります。これは前に私も申し上げましたように、今の代行制度によりまし て、実現利回りが非常に大幅に低下しておりまして、代行部分の利差損までが今企業負 担となっております。さらに厚生年金本体の予定利率が引下げられるとすれば、それに よって生ずる代行部分の積立不足という問題、これを企業が負担するのか、どうなるの かという問題もあります。さらに新しい企業会計基準が適用されますと、退職給付債務 について企業の損益にも非常に大きな影響が出るということでは、民間企業としては非 常に焦眉の急であります。これも「今後とも検討」という多少長期的なニュアンスでな くて、早急に結論を得るようにやはり検討を進めてもらいたいといった希望を持ってお りますので申し上げます。  以上です。 ○C委員  I委員から大変体系的に問題が出されたと思いますので、一応労使という立場ですか ら、私の方からそれに対応した形で少し意見表明をさせていただきたいと思います。先 ほど申しましたように、今回の審議会としての意見書の冒頭に、国民各層、各世代に対 するアピール、メッセージとして、将来の給付水準についての1つの約束のメッセージ を含むべきであると申しました。具体的なイメージを私どもこの間探ってまいりました。 前回お願いをしてきょう配らせていただきました別の資料でございますが、将来の水準 は現役の手取り賃金に比べて月例ベースで7割、年収ベースで言うと5割5分という年 金水準を将来にわたって確保する。そのための負担は現行制度国庫負担3分の1という ことを前提にして前回改正で念頭に置かれた負担限度、現行標準報酬月額ベースで30% 以内でこれは可能である。その場合にスライド停止も必要ない、別個の給付の廃止も必 要でない、そういったいろいろな抑制策を加えることなく、それが可能だということを 一応私どもなりに試算をしたものでございます。  試算の方法と推計の経緯等々については数式も含めて、全部ここで何もかもいわばば らしておりますので、どなたでも御検討いただけます。この内容は多分K委員などに笑 われてしまうぐらい初歩的な、使っている算数はせいぜい中学1年までということでご ざいます。これは実際には厚生省の数理課で非常に高度な手法でやられているものと本 当は突き合わせてみたいと思いますが、例えば後ろの方の数表で出ております、下の方 に手書きで5ページと書いてある、大体真ん中ぐらいのところに2025年の試算を出して おります。これは2階部分でございますが、2階部分の保険料率というのは大体20%。 私どもは一応将来税方式ということを念頭に置いてございますけれども、1階の方が完 全税方式に移行することにまだ時間がかかるとすれば、経過措置としては2分の1への 引上げということをぜひとも近々にやるべきだと思います。その場合にどのくらいの保 険料になるかということは後ろから2枚目のところで、国庫負担を2分の1に引き上げ た場合の保険料の試算も加えてあるところでございますので、お読み取りをいただけれ ばありがたいと思います。  私どもこの作業をやってみまして、将来の年金について、給付はどんどん下がる、負 担はどんどん上がる、そして払わないやつはけしからんからびしびし取り立てるといっ たイメージではなくて、やはり老後の安心を保障する基盤としての公的年金にふさわし いものをアピールできるはずだという確信を強めてまいりました。厚生省の試算といく つか違うところについてはいろんな違いがあるんだろうと思います。よくわかりません。 前の方の文章でちょっと書いてありますが、前回厚生省で一階部分を税方式にした場合 厚生年金の最終保険料は24%というふうに試算を出された場合の一番大きいのは多分成 熟度の問題なんだろうと思いますが、先ほど申しましたように、2050年ということを具 体的な射程に置いて制度改革の議論をするのはいささかどうかということで、一応50% まで上がった場合の試算も参考数字としてやったところでございます。  ですから、将来について、この間の泊り込みのときで、私、E委員の御発言をつかま えて、恐怖の年金だなんて大変失礼なことを申し上げましたが、この際、おわびをしま すとともに、そうでない内容が提起されることを特に強く望みたいと思います。  それから、審議整理メモにつきまして、1ページから2ページにかけてのところでそ れと関連して言いますと、とにかく将来世代の負担を過重なものとしないことが必要だ ということから始まり、したがって給付は減らさなければいけない、こういうようなモ ノの考え方は、事務局が絶えず強調されてきたことで、5つの選択肢もまさにそうであ りますし、机の上から引き上げられた3つのシナリオのときも議論になりました。何か 現状を延長して、将来を非常に悲観的に描いていることについては私の方から御意見申 し上げて、結果その資料はテーブルから引上げられたわけでございますけれども、そう でないやり方をきちんと模索するのが困難な中での工夫なのではないだろうか。  それから、財政方式の問題について、積立か賦課かというのは、どっちかといった議 論は余り意味がないという御指摘を何度かいただきましたが、私どもはほとんど完全な 賦課方式でいくべきだと考えております。積立金は現在のような巨額なものを必要とす るとは思いませんし、むしろ積立金そのものはある意味では非常にリスキーなものなの ではないだろうか、そのように思います。ただ、先ほどの推計では積立金を取り崩すと ころは考慮しておりません。現在ある積立金は当面の間大事に運用すべきだ、そのよう に思っております。  それから、検討項目の方でございますが、基礎年金につきまして、税方式へ移行すべ きだということでは日経連と「連合」とは一致しているわけでございますが、ある意味 では同床異夢でございます。この際、同床であるということよりも、いかに異夢である かということについてちょっとコメントをさせていただいておいた方がいいかと思うん です。まず私どもが税方式へ転換すべきだと言っているのは、何も保険料を下げたいか らではないんです。税であろうと保険料であろうと必要な負担は負担でございますから それは払い方にすぎません。  経営側はもっぱら社会保険料負担を軽減するという観点で言われているようですけれ ども、私どもはそうではなくて、現在の「国民皆年金」という理念を制度的にきちんと 貫くためには保険方式では難しいということが今日まで明らかになってきているのでは ないか。「国民皆年金」ということをうたった我が国の公的年金制度の歴史は極めて意 義深いものであって、それを今後とも我が国の場合には貫くと。そのことを将来世代へ のメッセージにしていかなければいけないと思います。それが今危うくなっていること について、やはり次の回答が21世紀へ向かって必要。そのためには必ずしもいい方式だ とばっかりは言えないのですが、財源を税に求めることの方が相対的には合理的ではな いか。  例えば定額負担というのは、昔は今のように高くありませんでしたけれども、現在か ら将来へ向かっての定額保険料の水準は決して低いとは言えません。それに比べれば、 例えば間接税ということを考えますと、間接税の方がまだしも所得比例的であって、逆 進性ははるかに弱いといったようなことは十分に言えると思います。  私どもは当面次の改正では、現在の公費負担を一般財源で2分の1へ引き上げる。そ の残りについて将来税方式へ転換していく。その場合には間接税もかなり強く念頭に置 く。必ずしも目的間接税ということで、今から考えて結論をつけてはおりませんけれど も、今後の検討に委ねたいと考えております。  その点で日経連さんが将来の税方式理論を言いながら、当面の2分の1への引上げに は反対なさっているのは極めて理解しがたいことでございまして、ぜひともその点につ いては合理的な御説明をいつか伺いたいなと思っておったところでございまして、起草 委員会の起草作業の中でもぜひその辺の検討は詰めていただきたいと思います。  それから、3ページの一番下のところ、「国庫負担率の引上げ」については、次期制 度改正の「具体的な課題として真剣に検討すべきとの意見」というのが後でつけ加えら れております。ぜひともそのようにしていっていただきたい。その1行上のように、 「次期制度改正後の検討課題」というのは先送りにすぎないと思います。これは前回改 正のときの国会の附帯決議をどのように受けとめるかということに関連するところかと 思います。  それから、「給付水準」の問題が4ページの上のところに書いてございました。これ については、先ほどお示しいたしました私どものレポートを御参照いただきたいと思い ますが、いずれにしても2階と1階との比率について余り大きく変えないということが 重要かと思います。  それから「負担と給付の水準」の問題で、具体的な負担限界について3つ目のマルで 書いておられます。少なくとも当審議会のこれまでの経緯から言えば、前回改正のとき に共通に念頭に置いた30%というのは我が国の公的年金の将来を考える上で1つの基準 なのであって、20%しか払えないという御意見ももちろん承知しておりますが、これは 保険料というよりも保険料でやるか税でやるかは別にして、1つの相対的な負担水準と して、これは現行制度を考える上での基準と認識すべきだと思います。ただ、そのよう に労働側が言ったということが漏れ伝わると、これはぜひ広報担当官にお願いしたいの ですが、連合ですら、30%負担が限界だと言ったということは、5つの選択肢でB案だ みたいなふうにすぐ新聞で書かれてしまう。全くそういう意図ではございません。  それから、「給付水準を下げることはやむを得ない」というような書き方があたかも 全体の主流であるかのような書き方をされている。引き下げることもやむを得ないとい う意見もあったと。事務局の資料はそれを極めて強く示唆するものであったけれども、 それが全体の合意ではなくて両論があったということで、この辺は平等に書いていただ く。また、それを踏まえた上での起草作業に入っていただくことが必要ではないのだろ うか、そのように思うわけでございます。  それから、一番下のところで、45年加入を前提にすることについては、これは議論な んかされたでしょうか。私の記憶では、45年加入でフル年金といったことが具体的に議 論されたという記憶はありませんし、それとの関連で67歳問題もまともに議論されたと いうふうには思いません。そういうアイディアがあるということが紹介された程度だっ たはずでございます。  それから、5ページの一番上で「高齢になるほど生活費は減少している実態を踏まえ ると」書いてありますけど、収入がなければ支出なんか増えないのであって、こういう ことを、年を取るほど金はかからないみたいな言い方をされるのは恐らく実際の受給者 の方々にとって非常に神経を逆なでする話ではないでしょうか。民間労働者について今 言えば、まともな年金もらえるようになったのは70代以下でございます。それ以前の人 はほとんど年金らしい年金はなくて、現在の70代あるいは60代後半でも非常に低い公的 年金しかもらえない人がいるわけでございます。  「スライド」の問題が次に書いてございますが、スライド問題については現実の受給 者の受給水準の格差がある中で一律にこれが適用されるのは極めて不合理であります。 既裁定者に対して一定の痛みを分かち合うことをお願いするのだとすれば、その中で恵 まれている人たちについて選択的に行われるべきであって、年金30万円の人も10万円の 人も一律にスライドストップだとか、あるいは従前額保障の足踏みだとか、そういう乱 暴なことはぜひとも避けていただきたい。これは強いお願いでございます。 ○会長 まだ御発言のない方が何人かいらっしゃいます。順番に御発言をお願いしたいと思い ますが、いかがでしょうか。よろしければ、K委員、まだ御発言がございませんが。 ○K委員  日経連さんの資料を初めて拝見して、要旨の右側の上から2番目ですか、未積立分の 処理ということを別途検討ということで書いておられるんですけれども、この部分は別 途検討してというわけにはいかない部分ではないかと。現に前から何べんもお話申し上 げているように、現行の厚生年金保険がある限りはこの 350兆という金額は消そうとい っても消せない部分なんですよね。ですから厚生年金保険全体を考える場合に、将来の 給付を仮に下げていくと、あるいは保険料をどうするという議論をするときに、この部 分を無視して別途検討するのだから、この部分はこうなんだという書き方に私は見える んですけれども、これでいくととんでもない結論が出てくるような感じがいたします。 それと連合さんも同じ問題ですね。これはどこに扱っておられるのか、そのことにつ いてはちらっと見ただけでは全然わからないんですけど。350兆の現在ある厚生年金保険 の債務ついては計算上何も考えない。つまり将来の給付はこうなる。2025年については こうなるんだとおっしゃった。だから、そのときの完全な賦課方式とおっしゃったんで すが、そのときの給付とそれを支える財源、その問題について恐らく計算しておられる のだと思うんですが、今ある大きな債務、350兆という、それについてはどういうふうに 承知されるわけなんですか。それはどこかに載っているのでしょうか。ちょっと見ただ けではわからなかったから。 ○C委員 これは実は前回の議論からの引き続きの面もありますが、私どもは基本的に賦課方式 での問題を考えております。350兆というやつは、将来も350兆あるいは400兆という格好 で、その時どき時点で考えれば、つまり債務というのは積立不足ではなくて、将来に向 かって支払いを約束している金額ということですね。それは絶えず残っていくのではな いでしょうか。それは全体の保険料収入と支払いという1つの時点でのものとは別個に 外側にあるものではなくて、そういうものとしてそれは動いていくもので、例えばそれ がゼロというケースはどういうケースでしょう。 ○K委員 いや、ゼロ? ○C委員  それがなくなるというケースですか。 ○K委員  350兆自体は今確定した債務ですから、これは将来に向かって消えていくわけですよ。 給付が行われていって、今いる人が全部死んでしまえば、そこでなくなるわけでしょう。 ○C委員 新しい裁定者が出れば、新しい債務が発生していくわけですか。 ○K委員 別にね。 ○C委員  はい。 ○K委員 それしか考えておられないんじゃないですか。 ○C委員 いや、そうではなくて、350兆のある部分はおなくなりになることによって消えていく。 次に新しい債務が発生する。制度全体としての債務はずっと1つの枠組みとして残って いくんじゃないでしょうか。違うんですか。 ○K委員  違いますね。それは全然違います。 ○J委員  今、日経連の資料について御質問ありましたので、この資料の9ページをごらんいた だきたいと思いますが、未積立分の処理につきましては、ただ、別途検討ということだ けでなくて、9ページの上の方からありますが、処理方法を保険料に上乗せとするか、 国債発行か、増税か、給付減額か、これらの組み合わせか。また、国債発行の場合に何 年程度の有期国債か永久国債かなどについて検討するということでありまして、この具 体的な4つか5つの方法について、まだ細かい計算をしておりませんけれども、どちら にしてもこういうことで350兆円問題は処理していく必要があるのではないかという段階 でございます。 ○K委員 私は数字ちょっと覚えてないんですけれども、350兆を保険料で償却していく場合の保 険料率というのはかなり高いものになったというふうに記憶しております。そうすると 日経連が考えておられる全体の中で、350兆の償却にかかわる、仮にそれが永久償却とし てもかなり高い保険料をやはり上乗せして払うということになるわけですね。 ○J委員 今の関連ですが、保険料上乗せだけということではなくて、保険料上乗せか、国債発 行か、増税か、給付減額か、これらの組み合わせかということでありまして、保険料上 乗せだけで全部解消するということではないと思います。 ○K委員 それだけ負担があるということですね。 ○I委員 具体的にどういう方法がいいかというのは別なんですが、例えば経団連では100年で償 却するということを考えていますね。50年で償却というのも検討しておりますが、そう いう意味では長期にいろんな組み合わせで解決せざるを得ない、こういうふうに考えて いるところです。 ○H委員 短いコメントですが、350兆は既に発生しているネット債務なんですね。これは国債み たいなものだと考えることも私はそのとおりだと思うんですが、経済学の理論で国債残 高をゼロにしなければいけないという主張はほとんどないんですね。国債の残高はあっ てもいいという考え方はあるんです。引きずっていってもいい。ただ、それが異常なス ピードでふくらんでいくのは経済全体として処理ができないという問題なんですね。で すからネットの債務をゼロにしなければいけないかどうかはまたこれは別の問題だと思 います。 ○K委員 私も別に350兆を必ず全部ある有限期間内で償却しなければいけないとは考えておりま せん。ただ、350兆というと、それから発生する1年分の利息でも非常に大きいわけです よね、20兆とか25兆とかという数字になるわけですから、だから、最低限それだけは毎 年償却はしていかなければ、H委員おっしゃるように、どんどん債務は将来に向かって ふくらんじゃうわけですから、最低限それだけはやはり償却する必要があるということ です。 ○L委員  前に言われた前文のところに今回の改正の意義を述べるということは非常に私よろし いと思います。ただ、5年に1回ずつ再計算する、そういう段階ですから、余りイント ロダクションのところで長期の話をするよりは、5年に1回の再計算のときに、今回こ ういうことを考えたというふうなイントロダクションが1つ大変いいと思います。  もう一つは、人口の推計からいって2025年ぐらいのところが我々としても割と信頼で きる推計だと思っていますので、それよりも長期の2050年ぐらいのところについてまで 議論を展開するのはちょっと行き過ぎではないかと思います。前に言った人口としては 破たん、タイタニックだと言ったのはちょっと言い過ぎでありまして、タイタニックは ぶつかってから14時間ほど浮かんでおったわけですから、年金の方はまだ数十年、半世 紀ぐらいは大丈夫、いくと思いますので、2025年といったところをめどにした議論とい うところにするのが適当だと思うようになりました。  もう一つの論点は、私は実はたびたび言っておりますとおり、社会保険方式というの を依然として固執したいという立場にあります。それと違う方式の方に移っていくとい う考え方には賛成しかねるということで、どこかの部分で、社会保険方式で年金制度を 維持するということがまだ破たんしてないという感じを盛り込んだ表現が必要ではない かと思います。  それから最後に、整理メモの11ページのところで、私たびたび言っております積立金 の使い方について、年金積立金を社会資本整備等々に活用すべきとの意見がある、とい うところは私の言っておるところでございますが、後に「一方で」というのがありまし て、この「一方」の方がかなり強く印象づけられます。先ごろ大蔵省の方が私にもちょ っと説明してくださったわけですが、かなり弾力性のある考え方を持っておられるよう ですので、「一方」での方が余り強く出ないことを私は期待したい。厚生省当局もそう だと思いますので、社会資本整備等に年金積立金を活用することの意味もあるというこ とをぜひとも忘れていただきたくないと思います。 ○会長  ちょっとお待ちください。M委員何かございませんか。 ○M委員  私は前文に関しましては、今、L委員がおっしゃったようなことを前にも申し上げて おりますから、そういうことでよいと思っております。それから、あとはこれ以上議論 しましても、起草委員の方がどうお書きになるかわかりませんから、起草委員のお書き になったものを見てから御意見を申し上げたいと思っております。 ○B委員  今まで意見が出てないところなんですが、11ページなんですが、ここの新しい自主運 用の在り方というところの 2)のところです。これ全体の流れは自主運用の検討会から出 された一定のメモに対するものがベースになっているのかというふうに思うんですが、 上から2番目のマルには相当、私ちょっと先ほど冒頭のころに申し上げましたように、 何か思い入れがいろいろ入っているなという印象を受けるわけであります。そのことは さておきまして、ここの中で議論がなかったように思うんですが、実は拠出する側の立 場からしますと、この自主運用に当たってのいろんなチェック機能とか管理とか、そう いうところに、とりわけ企業の側、あるいは年金の財源を出す勤労者の側から一定のチ ェックがかけられるような体制が今度の新しい自主運用の中できちんと確立されるとい うことは極めて私は将来にとっても大事なことではないか。出したら出しっぱなしで今 まで走ってきたことにいろんな問題点も残っているというふうに思います。これは論議 をしなかったことですから、あえて注文をつけるのはいかがなものかとは思いますが、 基本的には何か拠出側の立場できちんとチェックがかかるような1枚も2枚も参加体制 がとれるような流れをつくっておくことがこの際大変重要なことではないかということ をちょっと申し上げておきたいと思います。以上です。 ○N委員  3点ほどございます。第1点は、基礎年金の給付水準のことで御議論もありましたが 整理メモの中では基礎年金の国庫負担割合の引上げが先送りとなるという整理の方向か なと受け取っております。こうした判断のもとで、保険料率がだんだん引上げになって いくわけでありますし、一方、そんな中で給付水準を見直して抑制するということにな るわけですが、いろいろ議論のありました経済財政上影響があるということは十分踏ま えながらも、しかし、前回の改正の経緯を踏まえますと、いかがなものかと考えます。  今回は、こうした状況の中での改正になるわけでありますが、今回の改正の理念とし て、何としてでも、例えばここの部分はピン止めするみたいな部分があっていいのでは ないかと思うわけであります。  第2点は、少子化対策につきまして、年金制度の趣旨にそぐわないし、また、効果も 少ないとの意見と、一方で年金制度としても何らかの対策を検討すべきということで、 意見が併記されておるわけです。1ページの「基本的考え方」のところで、公的年金の 意義を若い人に積極的に広報、教育するというふうにうたっておるわけで、その点は大 賛成であります。しかし年金は高齢者だけのためのものではないという認識をもっても らうためには、それこそ若い人の出産や育児に対しまして、具体的な給付があるという ことは大変な広報であったり教育であったりするのではないかと思いますので、この点 もぜひ今回の改正の、これも踏まえるべきポイントといいますか、ピン止めというふう に押さえていただいていいのではないかと考えます。  それから3点目ですが、今までの議論の中で、一度だけ十分御議論いただいたわけで すが、それは一元化についての論議でありまして、9ページにありますが、閣議決定を 踏まえというのと、その方向性を踏まえという2つの踏まえが同じ文章に出ております が、いずれにしろ閣議決定を踏まえて、前向きに検討が進むものというふうに考えてお りますので、その点よろしくお願いします。以上です。 ○O委員  先ほどからまえがきの哲学という御意見が出ていますが、世代間の公平だけではなく て世代内の公平というか、助け合いという理念も入れてほしい。先ほどからE委員の御 意見なんかでも出ているんですけれども、男女間の平等ということを視点に入れるよう にまえがきの哲学の中に入れていただきたいと思います。  そして、年金不信の解消ということに関しては、若い世代だけではなくて女性の不信 感が非常に強いということをぜひ認識して、それを変えるような方向を入れていただき たいと思います。例えば男女で受給する時期が違うとか、遺族年金に対して男女が不平 等になっているという意見の根元には現役で働くときの男女の不平等とか、女性への育 児や介護の偏りというのがあるわけです。年金制度だけで変えることはできないわけで すけれども、年金制度だけでそれを変えることができないのであれば、ほかの社会の諸 状況を変える必要があるということを前書きの哲学の中に入れてはどうかと思います。 そうした上で、年金制度は男女平等でありたいものなんだけれども、それができないの は現代の社会の状況に問題があるわけだから、そこのところを変えつつ年金制度も変え ていきたいというふうにしないと、いつまでたっても個別の問題としてしかそれが出て こなくていろいろ誤解も生じるし限界が生じると思います。  それから、細かいところは、例えば3ページの一番最初のマルの「更には第3号被保 険者制度の解決につながること」ということでありますが、これは「解消」ではないか と思います。  それから、7ページの「第3号被保険者については、働く女性等との間で不公平」と 書いてありますが、これも必ずしも働く女性と働かない女性との不公平だけではなくて 例えば片働きの世帯と共働きの世帯の不公平ということ、いろんな不公平があります。 第3号被保険者の中にも自分で自分の保険料を払いたいというような意思を持つ人もか なりいるわけですから、こういう形で不公平を限定しない書き方、むしろ「不公平であ り」というようなぼやかした言い方の方がいいのではないかと思います。以上です。 ○会長  K委員。 ○K委員  念のためなんですけれども、税方式をとられるということは完全な賦課方式をとると いうことでございますから、将来に向かって給付が増える分、税金がどんどん上がって いくということについて、特に日経連さんのこの資料などはもう少し明確にされた方が いいのではないかと思います。 ○会長  P委員で終わりになります。 ○P委員  簡単にいたしたいと思います。今、K委員が指摘された問題なんですけれども、まさ にそのとおりでございます。税方式か社会保険方式かというのは、年金財政の方から見 ますと財源負担の方法に違いがあるだけでして、積立方式か賦課方式かという点につい ては税方式は完全賦課方式であります。したがって、ここで問題となっている世代間の 負担の不均衡という問題は税方式に転換することによって解決できるのじゃなくて、か えって激化するという問題です。ですから仮に消費税に転換するとすれば、この消費税 は将来どんどん上がっていくと。切り替え時の消費税の率ではなくて、要するに積立方 式の立場から言えば、未積立の債務を後代へ残していくというふうな意味において将来 の消費税率の負担はどんどん上がっていくということははっきり覚悟してこの方式に踏 み切らなければならないということだけ申し上げておきます。  それからもう一つ、E委員が指摘された問題なんですけれども、遺族年金の問題は現 行法では受給者が死亡したときの状態で判断して遺族年金を支給するという考え方にな っておりますが、そういう考え方でない考え方も最近は方々の国で出てきております。 したがいまして、例えば婚姻期間によって、前の奥さんと後の奥さんとの間に分けると か、こういう動きも出てきておるわけです。ですからこの問題も非常に難しくて、私が 離婚の場合を想定した年金分割のことを言いまして、それを今後専門の何かで検討しよ うということになっておりますから、この遺族年金の問題もやはりそこで併せて御検討 なさるのが一番いいのではないかとかように思います。今回の報告でこの問題は結論は 出ないと思います。  それから最後に総括的な話なんですが、審議整理メモを起草委員の方がお見取りにな って、これを何とかまとめるというのは非常に難しい。恐らく従来の年金審の考え方で はできる限り一本答申にしようと、やむを得ない分だけ両論併記ということだったと思 うんですが、今回は恐らくそれじゃいきますまい。ですから起草委員の方は新しいスタ イルの答申になろうかと思いますが、ひとつよく今までの審議の経過を振り返って非常 に長い目で、当面の改革であると同時に中長期にわたる課題をどう取り上げていくかと いうことにつきましてはよろしくお願いしたいと思います。以上でございます。 ○C委員  ちょっといいですか。 ○会長  C委員、これで終わりです。 ○C委員  すいません。5ページでございますが、一番最後のところ「減額率についても併せて 検討」といいますが、基礎年金の前倒し受給の減額率を検討することは前回からの宿題 であったはずで、それは今回ぜひやるべきテーマだと思います。ここの記述だと別個の 給付をなくすことに合意するのであれば、それも検討するみたいなことで、全然別な問 題をひっかけてあることについては極めて遺憾であるということを申し上げておきます。  それから、次のページ「総報酬制」への問題で、「事業主の負担にも配慮」というと 総報酬制に移行すると事業主の負担があたかも増加するかのようにここで見られますが 増加する企業もあれば、軽減される事業主もあるわけであって、これについては負担の 増減に配慮するという程度に制度上はニュートラルだということをはっきり明示すべき だろうと思います。以上です。 ○D委員  大変えらい役を引き受けたと今後悔しておるんですが、1つだけちょっと確認をした いんです。国庫負担の2分の1の問題でございます。この文章では意見という形で、将 来的に引き上げるとマル1で書いてございまして、2番目に「現実的には不可能」とい うふうにはっきり断言しているんですね。そうしますとC委員のおっしゃるように、次 回の改正に2分の1に引き上げるべきだと、財政構造改革法がいいかげんに骨抜きにな っているのにそれを杓子定規に守って不可能と言っていいのかというふうな考え方も一 方にあるわけです。これは厚生省の意見ではなく、審議会としての意見でありますので 2分の1といったところについての表現の仕方を一応はっきりと皆さん方の合意でさせ ていただきたいというのが起草委員としての一番お聞きしたいところでございます。  もう一つは、個別のテーマになりますが、9ページに障害者の年金のところにあっさ りと、社会保険方式をとる現行の年金制度ではもう無理だというふうにパッと切り捨て ております。確かに制度としてはそうなんでしょうけど、現実に重度の障害者の中にか なり多数の無年金者がたくさんいるわけですので、そういう人たちにも一切無理だとい うふうに切ってしまっていいものかどうか。この問題については余り具体的に議論をし てないのでありますが、その点についての表現のことをどうしたらいいのかということ をちょっと伺いたい。この2点をお願いしたいと思います。以上です。 ○会長  今から、それを皆さんに伺いますか。 ○D委員  論議の仕方で、我々が書いて、それをまた。 ○会長  P委員、どうぞ。 ○P委員  その点は、先ほどM委員がおっしゃいましたように、これは文章になってから議論し た方がいいのではないかと思います。 ○会長  問題がふたつあります。文章になってから次回御議論いただくということと、お気づ きのことを事務局の方へファックスなりで至急追加お届けいただくことのふたつです。 司会の不手際で予定の時間を11分ほど過ぎておりますので、審議整理メモについての御 議論はここまでで終わらせていただいて、よろしゅうございましょうか。本日のただい まの議論も土台にいれまして、起草委員の方々に意見書の草案をおつくりいただく。次 回の審議会からは意見書の草案を土台に議論することにしたいと存じますが、それでよ ろしゅうごさいますか。               (「異議なし」と声あり) ○会長  それではそういうふうにさせていただきます。  本日、予定の議事は以上で終りでございます。本日の資料の取り扱いですが、資料2 は前回の審議会の議事要旨ですから、これは公開します。「委員限り」となっておりま す「審議整理メモ」は審議過程のたたき台という形で事務局が整理したもので、性質上 非公開が適当と存じます。メディアにはいろいろ記事が出ると思いますが、それにつき ましては、メディアの人々の生活のかかっている問題でもありますので、なるべくお平 らかにお過ごしいただければと思います。  今後の日程につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局  次回でございますが、次回は来週の月曜日、21日の2時にお願いをいたしております。 それから、前回28日の週ということでお願い申し上げましたところでございますが、各 委員の御都合を伺いますと、一番多いのが10月1日(木曜日)午前10時からということ でございまして、各委員恐縮でございますが、その線で御調整をお願いできたらと思っ ております。次々回、10月1日午前10時からということで、よろしくお願い申し上げま す。 ○会長  ゆっくりしておりましたら、終わりの方になりまして大分忙しくなりました。本日は これで閉会します。どうもありがとうございました。                               年金局 企画課                               須田(3316)