98/09/08 第27回年金審議会全員懇談会議事録            第27回年金審議会全員懇談会議事録 日 時 平成10年9月8日(火) 14:04〜16:35 場 所 全国都市会館第2会議室  1 開会の辞  2 委員出席状況報告  3 議 事   ・ 次期制度改正に向けての総括的議論   ・ 起草委員の指名について  4 閉会の辞 〔出席委員〕   京 極 会 長   砂子田 委 員  岡 崎 委 員  木 原 委 員  国 広 委 員 神 代 委 員  坂 巻 委 員  高 山 委 員 都 村 委 員 福 岡 委 員 桝 本 委 員  山 田 委 員  山 根 委 員 吉 原 委 員  若 杉 委 員 渡 邊 委 員  貝 塚 委 員 船 後 委 員  ○会長 本日は全員懇談会でございますが、記者クラブの方から冒頭にカメラ撮りをしたいと いう申し出がございます。議事に入りますまでの間、これを許可したいと存じますが、 よろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○会長  それではお願いします。                 (カメラ撮り)                (報道関係者退場) ○会長  ただいまから第27回年金審議会全員懇談会を開催いたします。初めに委員の出席状 況について、事務局から御報告をお願いします。 ○事務局  本日は久保田委員、富田委員、目黒委員、八木委員が御欠席で、そのほかの委員は御 出席でございます。 ○会長  ありがとうございました。  それでは、次期年金制度改正に向けての総括審議に入りたいと存じます。本日は、ま ず、これまでの審議会におきまして、各委員が言い漏らした、言っておくべきであった とお考えについて御意見をお出しいただきたく存じます。その後の議事の進め方につい ては、また後ほど御相談いたします。  では、議論に先立ちまして、事務局から資料に沿って、本審議会での検討項目の全体 と、今までの審議の状況について説明をお願いします。 ○事務局  本日配布させていただきました資料は、資料1「次期年金制度改正についての『論点 整理』」、これは12月におまとめをいただきました論点整理の検討項目一覧でございま す。内容につきましては、『年金白書』の 156ページ以下に記載をさせていただいてお ります。 それから、資料2、資料3は、集中審議におきます御審議の模様を「議事要旨(案)」 ということで提出をさせていただいております。  それから、参考配布ということで、「年金制度改正の検討項目とこれまでの主な意 見」、横長でございますけれども、7月30日に一度事務局の方で提出させていただきま した資料を、その後、各委員の御意見をいただきまして、修正し、集中審議のときにお 出ししたものを再度提出をさせていただいておるものでございます。  それから、あと2点でございますが、Q委員から、「女性の年金」に関係いたしまし て、ILOに出されました資料を参考資料として提出をいただいております。  それから、F委員からお求めございました「加入期間40年の場合の世代別の年金額」 につきまして、資料を横長の1枚でございますけれども、配布をさせていただいており ます。以上が本日の資料でございます。  先ほど申し上げましたように、資料1は、論点整理の項目でございまして、御案内の とおり、昨年5月からの第一巡目の議論を踏まえまして、資料1のような形で論点を整 理をいただいたわけでございます。その後、今年に入りましてからの公聴会を初め、給 付と負担を初めとする検討項目について二巡目の意見を「年金制度改正の検討項目とこ れまでの主な意見」ということで、24回までの審議をまとめさせていただいたものが参 考配布の資料でございます。各検討項目につきまして、各委員からお出しいただきまし た主な意見といった形で、これまで事務局として整理をし、審議会に配布をさせていた だいているところでございます。よろしく、どうぞお願いをいたします。 ○会長  それでは、これまでの審議会の会合でお話残した事柄、あるいはきょうぜひ話してお きたい事柄、どなたでも御意見のある方は御発言いただきたいと存じます。どうぞ、A 委員。 ○A委員  実は2回の集中討議の議事録を今朝いただきました。実はまだ全然読んでないので、 かなり色濃い議論を各委員の方々ともなさったというふうに認識しておりますが、どう いうふうにこれがされているのか、まだ全然把握してないのですが、私の理解では、私 どもが申し上げております基本年金の目的間接税の問題についてのご認識はかなり委員 の方々にいただいたのではないかと思っております。そういう整理になっているかどう かちょっと気になるところではございますけれども、再度の話になるかもしれませんが ぜひともここは非常に大事なことだと思いますので申し上げておきたいのです。つまり 今までの年金審議会は、私、前回からしか参加しておりませんから、今までのなんて偉 そうには言えませんが、少なくともあるレールの上の中での議論というものがあったよ うに実は思うんです。これは好む好まないの問題ではなくて、全面的に発想を変えなけ ればならない問題が出てきたというのは、今まではインフレーションというのが1つの 大きな年金問題を考える場合の一番大きなポイントであったのが、今後考えなければな らない最大の問題は人口構成の変化の問題だということ。しかも、人口構成の変化の問 題は、年金問題にとって非常に重要なことになっているという国民的なコンセンサスが 十分今あるかというとまだ必ずしも十分ない。人口問題が大変だということはみんなよ く言う人もいます。しかし、これはいろんな見方、価値観もありまして、一概でないん ですが、そういう判断の問題でなくて、自然科学的な現象であるところの人口構成とい うものが負担と給付の関係というものに自動的な影響を与えてきている。  したがって、それはいいも悪いもないんだということについての認識を国民の中にし っかり、わかっていただくのが今回の年金審議会の極めて重大な任務の1つだと思って いるわけです。今、御承知のように政治の方もいろいろ混迷しておりますし、足元の経 済は大変な事態になっているものですから、こういう中期的な問題についての議論がな されてないわけです。しかし、私どもが今一番大事なことは年金に対する信頼の回復、 それは何かというと、好むと好まざるとにかかわらず人口構成の変化が年金に直結して いると。したがって、好きとか嫌いとかということじゃなしに、この負担と給付の関係 が変わらざるを得ないのだということについてしっかりした認識を持つということ。そ れではどうすればいいんだということについて、きっちりした意見を明確にしておくこ とが、今回の審議会の一番重要な任務だというふうに考えているわけでございます。  したがって、私どもが基礎年金・1階部分を税、はっきり言いますと目的間接税に転 換すべきだということを申し上げているポイントをもう一回整理して申しますと、結局 今の現役世代の人たちは、自分たちは保険料を払っても将来年金をもらえないんじゃな いか、あるいは払い損になるのではないかということを心配しているわけであります。 まずこの人たちの心配をなくすことが公的年金の1つの大きな問題だということで、国 民の不安・不満をなくす。自分たちが年取ったらちゃんともらえる制度になるのだとい うこと、したがって、安心しなさいということを言う。これが公的年金制度を長期的に 安定させる。それから、国民の信頼を回復する。それが私どもの申し上げている、いわ ゆる目的間接税による基礎年金です。この目的間接税というのは一切ほかに使わない目 的間接税であります。  それから、そういうことであれは、今、議論になっています国民年金の空洞化問題が なくなる。あるいは3号被保険者問題についても解決される。また、今、国民年金保険 に関する徴収に膨大なコストがかかっているわけですけれども、かつ、また徴収事務者 にかなりの苦労を強いているわけですが、そういった問題もなくなる。あるいは学生か らの保険料徴収問題もなくなるということであります。  それから、もう一つは、先ほど申し上げていますように、財源を基礎年金以外には使 用できない目的間接税とするということで、今、一般会計に入っております消費税とは 別だということにすることによって、使途が完全に限定され、かつ公開される。要する に、今の税制に対する国民の不満は税のゆくえがわからないということが非常に大きな 不満になっているわけでありまして、今回ここに導入するところの目的間接税は、使途 が完全に公開されるということで、税の在り方についても、国民に新しい在り方を示す ことができると私どもは考えるわけであります。そういうことで現在の消費税とは別に 新しいものをつくるのだということをはっきり明言する。  それから、もう一つは、保険料の支払額が軽減される。いろいろ今法人税の引下げ問 題、所得税の引下げ問題がありますけれども、例えば法人税に関して言えば、利益が出 ているところは軽減されますけれども、そうでないところは軽減されないわけです。保 険料の支払い額を軽減することになれば、これはなべて勤労者、企業の負担が軽減され ることになるわけでありますから、そういう意味でも非常に魅力のある仕方になるとい うことだろうと思うんです。そういったことで、いわゆる今までのモノの考え方をきれ いに変えて、1階建てについては、はっきり目的間接税でやるのだという1つ方向をき ちんと明確にするということ。  それから、2階部分については、今までと考えを変えた改革をやりまして、新しい制 度をつくり上げるということであります。そういった1階と2階を明確にする。そうは いいながら、議論もありましたように、トータルの負担がどうしたって問題になるじゃ ないかということは、それはその通りであります。一番最初に申しました人口構成の影 響は物理的に来る問題であって、その問題はどうしても2階で時間をかけて解決すると いうことでやらなければならないことを国民にわかっていただく努力をするということ で、全体の枠組みについての明確な理念を今回打ち出すことが非常に大切なことではな いかと思います。  したがって、2階部分を込み込みにすれば、年金の受け取りとしては、2割から3割 ぐらい削減されることは物理現象としてやむを得ないという問題を理解させる活動をき ちんとしなければならないのではないかと思うところであります。 ○B委員  ただいまの御発言というか、むしろ問題提起として受けとめたいと思いますが、大変 大事な点を御指摘だと思います。  すいません、それで会長にお願いですが、きょうのこういう段階での議論ですので、 効率的に進めるためにも、話題があっちへ行ったりこっちへ行ったりしないように話題 1つ1つについて整理をしながら進めていただくことを特にお願い申し上げたいと思い ます。  前回、佐久で開かれましたときの資料2については、あの席上でこの資料その他を含 めて6項目ありましたけれども、あそこの場での議論については、給付と負担の均衡の 問題、給付水準の問題についての議論は一定程度されたものの、スライド問題、支給開 始年齢、高在老の問題等についてはほとんど議論する時間がなかったということの確認 をお願いをいたしました。したがって、前回の議論からの経緯という意味では、まずこ の3つについては、それぞれ項目別に議論をしていただく必要があるのではないか。  それから、女性と年金の問題についても、私自身の発言内容の不適切さも含めて議論 が半端になっていたことは否定できないところであります。  それから、今、「検討項目一覧」というのを配っていただいたので、改めてここで見 てみますと、決定的に議論がされていないのが障害年金及びその関連の問題でございま して、御案内のとおり、公的年金は老齢年金のほかに遺族年金と障害年金の給付がござ います。そしてこの障害年金の問題についてはかなり大きな議論になる可能性を秘めて いるテーマですので、少なくとも当審議会としては、審議会の見識を問われても答えら れる程度の議論をぜひともここでやっておく必要があるのではないか、そのように考え ます。  以上、私の個人的な意見ですが、全体できょう議論すべきテーマを一応整理の上、そ れぞれテーマごとの議論を進めていただけるようにお願いをしたいと思います。今のA 委員の御提起は、その中の非常に大事な1つの柱かと思います。 ○会長  きょうは皆様方お1人お1人が言い残したこと、あるいはきょう改めて追加しておき たいと思うことを御発言願いたいと思っております。と申しますのは、年金審議会とし ましては、意見書をまとめなければならないという局面にかかっておりますので、審議 会自体が学識経験者の方々に、お集まりいただいておりますから、それぞれの方の学識 あるいは御経験の立場からお考えいただいて、これが落ちている、漏れているのではな いかということを拾い上げることをお願いしたい、きょうは私そのように考えておりま す。  ですから、そういうことでございませんでしたら、皆様方の御意見の一致しない項目 を深く議論してもよろしいかと思いますが、漏れているのではないかということも大変 気になっておりまして、それぞれの学識経験のお立場から、これもあるのではないか、 あれもあるのではないかということをお話しいただければと、そう思っております。ど なたか、今までの議論に追加、つけ加える……どうぞ、C委員。 ○C委員  1点は、「公的年金の基本的在り方」の2番目のところです。先ほど来から多少御議 論あるのですが、公的年金の性格としては、細かい点は、私が『週刊社会保障』という のに書いてある話ですが、要するに将来の世代を含めてのある種の社会契約的なもので ある。ということは、要するに現在これだけの負担があって、将来この程度の負担にな りますよと。それは将来の世代をある程度拘束するものとしてあるわけですから、その 辺の合意は非常に重要であって、そういうものとして社会保険があるのですから、その 辺の観点をどこかで入れていただいたらありがたい。やや、哲学的なものですが、そう いうことを申し上げたいことが1つ。これは前回のときに、たしか合宿の会で申し上げ ませんでしたので。  それから、もう一点は、これは最後の方で、私、前回早めに立ちましたので、年金積 立金の話です。これは多少私の完全な個人的な立場は少しずれるんですが、資金運用審 議会のいろいろな議論があって、そこで厚生省及び郵政省に自主運用することについて 一応の合意ができたわけです。その際の了解は、理財局の人はそういうことは言わない んですが、私の個人的な話で少し脱線いたしますが、要するに財投というのは、ある意 味で非常に問題があることはそれはそのとおりであって、改革が遅くなったということ もそのとおりです。そういう意味で自主運用をそれぞれ厚生省、郵政省、年金、貯金に やっていただくということになる。  そのときの了解としては、基本的にはそういう積立金ないしは郵便貯金の資金の運用 は、有価証券を中心とするポートフォリオといいますか、それに限るというのは暗黙の 了解であったと思っております。多分ここの自主運用の研究会の話もそういうことを前 提にしておやりになったのではないかと思います。ですから還元融資といいますか、 ローンを個別の機関がやることについてはかなり問題がある。財投自身も問題があると いうことはそうなんですが、財政投融資はそこのところは大分問題意識は今回ははっき りさせて、いろいろなことを言っております。  したがって、いろんな形であちこちで融資の案件が出てくると、全体としては話が錯 綜し問題が発生する。問題が発生するというのは非常によく知られていることになって おりますが、個別の、例えば北海道開発に関する不良債権に近いものの発生というもの でいろんなことがありまして、そこのところはかなりきちんと、有価証券に限って運用 して、年金の積立金の運用として考えるのがよろしいのではないか。最後のところにつ いて、追加的に意見を申し上げます。 ○D委員  今回の年金の改正の前提になっている事項として、非常に大きい部分は、世代間の負 担の公平性ということだろうと思っております。先ほどA委員からお話ございました人 口構成が極端に変わってきていることがその大きな要因になっているわけですけれども 完全な公平性というのは何かわかりませんが、できるだけ負担という意味で公平に近づ けたいということで考えるべきだと思っております。 そういった意味で、先ほどのA 委員のおっしゃった目的間接税。この目的間接税は確かに将来の問題としては考えなけ ればいけないことは私も感覚的にはわかるんですが、ただ、目的間接税でやりますと、 将来に向かってその負担が少しずつ上がっていくということについて、将来の世代に対 して、そういった意味でのコンセンサスが必要ではないかという感じがするんです。で すから1階部分について完全に税方式に変えることについても極めて慎重でなければい けないと考えております。  それから、負担の公平性ということについて、特に2階部分のあくまでも社会保険と してやっていく部分についての認識について、一部誤解があるような感じがしておるの で、その点を述べさせていただきたいと思います。  どうしても保険料の負担について、ある程度公平性を維持するということになります と、将来の保険料負担する人が極端に高い保険料になったら困るということなんですね 給付の割には保険料はたくさん負担しなければいけない。そうすると保険料の、前から 言っておりますように、上げる勾配を少しでも手前に持ってくる必要がある。その結果 として積立金が増えてしまう。これは別に望んで積立金を増やそうとしなくても増えて しまう。ただし、そのために前回の佐久でお話しましたけれども、積立金から生ずる利 息収入で保険料の増高を一部抑えることができる。この間、数字申し上げましたけれど も、2年分持っておれば、約1割の給付に充てることができる。5年分持っていれば、 4分の1超える部分の給付を負担しうることができる。  つまり負担の公平性ということで、将来めちゃくちゃ保険料が高くならないようにと いうことを考えるとどうしても積立金が増えざるを得ない。負担の公平性ということと 積立金が増えるということとは同じであるということの御認識が、皆さん本当に完全に お持ちなのかと若干疑問に思っております。つまり、公平性の維持と積立金を増やさな いということは二律背反であるということです。公平性を維持しようとしたら、どうし ても積立金が増える。社会保険方式でいく限りはそうなってしまう。だから、積立金を 増やさないでという御発言があるんですけれども、その趣旨も私わからないではないん ですが、結果的にどうしてもそうなってしまう。  いや、保険料の負担で公平性ということを考えるんじゃないよという別の考え方をす るなら、また、それはそれでわかるのですが。しかし、私個人はやはり将来の保険料負 担を極端に高くすることがないような財政ということを考えていきたい。そうすると結 果的に積立金が増えていくことは避けられない問題である。このように考えております 以上です。 ○A委員  今おっしゃったことは良くわかるんですが、前段の問題はちょっと置きまして、後段 の問題なんです。いずれにしても人口構成からくるところの関係で、全体の年金水準そ のものを20年かかるか30年かかるかは別としまして、2〜3割ぐらい落とさなければな らない。私が申し上げているのは、なるべく基礎年金のところは触りたくないとすると 私の主張では2階部分は積立方式になるわけですが、その方式のところを、今、例えば 仮に23万円と言っているやつが、13万と10万で分かれるとしますと、その10万に当たる ところにつきまして、5万〜6万ぐらいに持っていかなければいかんということで、20 年〜30年かかかって下がっていくわけですね。  そうしますと、積立方式に転換するわけですから、それ見合いの積立部分で済むこと になりますので、今の水準を前提にした積立金ではない積立額で済むはずだということ です。私はなるたけ積立金は少ない方がいいと思っているわけですが、というのは、積 立金がありますと何か起こりますから、そういう意味では積立金はなるべく少ない方が いいと思っているわけです。ただ、今申しましたように、2階部分の給付は抑えざるを 得ないということからいきますと、今の積立金は130兆あるわけですが、そんなに必要な い。厚生年金は350兆の不足だと言われていますけれども、350兆そのものは現行水準を 前提にした350兆ですから、これはかなり減らせる。5年分を持たなければいかんという ことは全くない。政治的な判断だという御発言が専門家の方から、あったように思うん ですけど、だとすれば、そこは少ない積立金で済むのではないかと、素人的でございま すが、思うんです。 ○D委員  給付を減らしていくから大丈夫ではないかとおっしゃって、それで恐らく前回ですか 前々回ですか、御質問があったのだろうと思うんです。ほかの方式でいった場合の収支 計算がどうなるかということをたしか御発言があったと思うんですけど、それは個別に やってみなくちゃわからない。いろいろ前提の置き方で変わってくると思うんです。し かし、考え方としては積立をしていくということで、今の世代と将来の世代とをバラン スをとっていくということはよろしいわけてすね。そういう考えで。 ○A委員  それはあるレベルの範囲ですね。 ○D委員  それで、今350兆という、また数字が出ましたけれども、しかし、350兆の非常に大き な部分は、現在年金を受給している人と既裁定者との債務部分を加えたのが350兆に占め る部分が大きいわけですよね。ですからA委員がおっしゃっているように、給付を仮に 3割ダウンするということで、 350兆が3割下がるのか、これは全然違いますし、恐ら く将来の給付を下げていくとしても、緩やかなカーブで下げていくことになると思いま す。350兆というのは非常に下がり方が少ないと思いますよね。恐らく1割も下がればい い方だろうと。350兆が320兆になるか、あるいはならないか、そんな感じではないかと 思います。以上です。 ○B委員 私どもも過大な積立金は不要だという、あるいはむしろリスキーであるという観点で 考えてまいりました。リスキーというのは、1つは将来起こり得る突発的なインフレに よる目減りの問題ですし、もう一つは、さまざまな公的資金が相当存在するときにいろ いろ利権その他で嫌なことが起こるという問題でございます。 D委員、御主張の筋道は大変よくわかる内容で、それは1つの御見識だということに ついて私どもはそう思います。ただし、350兆という数字が先ほどから語られております が、これは例えば現在の赤字国債の金額のように、既に政府が発行してしまって、それ を償還しなければいけないという、これは現実の負債ですが、350兆という金額そのもの は、我が国の年金制度が完全に積立方式であった場合にそれだけの積立不足があると考 えられる数字なのであって、それ自体は350兆というものが国債発行残高のような格好で 存在するように考えるのは全く違うのではないかと考えます。 それから、過去半世紀考えてみましても、戦後の大インフレ、第1次石油危機、第2 次石油危機といったことが経験され、将来の半世紀について、そういうことは全くない といったようなことは考えられない話であって、インフレということは足元の問題では ありませんが、年金のような長期制度の安定化を図る上では徹底的に制度設計上重視す べきテーマであることにはいささかも変わりがない、そのように思います。  よく世代間の負担と給付の不均衡ということが議論をされ、例えば、今回の第1ラウ ンドの比較的早い時期に配られた資料の中に、負担と給付のアンバランス、別な形での 世代間のそれぞれの負担の問題が総括的に議論されるべき資料として提起をされ、一度 か二度議論があったと思います。しかし、世代による負担は何も年金だけではないので あって、現在の70代の人たちは、民間労働者で言えば、初めてまともな年金を受け取っ た世代かと思いますが、その親たちは年金がなかったわけで、この人たちは親の扶養に 大変な負担をしょったわけですね。これは少子化が進めば、もし、これがまた再び親の 扶養というものが私的な負担に切り替わるようなことがあれば、それはかつての世代よ りももっときつい話になってくるわけで、社会的な扶養システムとしての年金制度をぜ ひとも維持すべきだという非常に大きなテーマだろうと思います。  その場合の将来の年金に対する安心感というか信頼というか、これが今非常にむしば まれているというのが一番危機的なことであって、この将来の年金給付については、少 なくとも給付について、今の若い人たち、特にこの人たちは経営でも労働組合でも審議 会でも発言する機会がほとんどない人たちで、私たちはその人たちの将来の年金像につ いて、例えば2025年だとか何とか言って議論しているわけですから、そこで財政論から 安易な切下げ論を語るのはむしろ年金不信を拡大することなのではないか。  その点で言えば、現行水準をそのまま機械的に維持しろなどとは我々は思いませんが 少なくとも現役世代の手取り賃金に対する年金の比率は、将来ともこれだけのものは約 束をする。そのかわり、それに対応した負担はお願いをするという形でむしろ積極的に 提起すべきだと考えます。今の70代が親の扶養で大変苦労した。今の団塊の世代は住宅 ストックを私的に用意するので大変な負担を負ってきた。そういうものが先行世代によ って解決されてきた、これからの世代が社会保険負担がかなり高くなる。これは世代間 によって負担の重点が変わることであっても、負担全体が著しく変わるという話ではな いし、その中から年金の負担と給付という金額表示だけをとってアンバランスだという 議論をするのは極めて一面的なような感じを強く持つところでございます。以上です。 ○D委員  どうもB委員、350兆について誤解しておられるような感じするんです。これは先週の 審議会のときもE委員もおっしゃったし、それを受けて私も発言申し上げましたけど、 350兆というのは、積立とかそうじゃないということと全然無関係に、今まで運営されて きた厚生年金保険で、350兆というのは負債として抱え込んでいる部分なんですよ。だか ら制度が運営されているために生じた負債で、これは積立方式とか賦課方式とは無関係 に350兆という負債が出ているんです。まさしくその分はある意味では赤字国債の残高と 同じようなものかもしれませんですね。そういうふうにお考えになった方がいいです。 積立とか積立じゃないということは全然関係ありませんから。 ○E委員 これは1日の議事要旨の6ページが重要なんですけれども、終わりから5つ目のマル なんですが、この「給付原価」は間違いです。プレゼントバリューだから、現価は原価 計算の原価じゃなくて、プレゼントバリューの現在という字だから、これは困るよ、全 然意味が違うから。つまり、ここで言っておりますのは、ある時点で過去に経過した期 間があるわけですね。その期間に対して年金制度というのはいろんな算式で、ある給付 を約束するわけです。その中には決まってしまったような要素もございます。保険料を 支払った基礎になった報酬は既に決まっておる。ところが将来の給付というのは決まら ない要素がまだたくさんあるわけです。  例えば年金スライドをどうするかといったような要素があるわけでして、将来のCP Iの上昇率をどう見るのかによって違ってきます。それから、また、もう一つは、プレ ゼントバリューの計算をするためには割引率が要るわけであります。その割引率として 何を持ってくるのか。普通は予定利率の5分5厘を持ってくるわけでありますが、これ はそうでないものを持ってくることも可能であります。ですから350兆は絶対動かせない 数字であるとは私は思っておりません。それはいろんな約束事のもとに計算したもので あります。 それなら架空の数字かといいましたら架空の数字ではございません。いろんな約束事 の前提をみんなが守ろうじゃないかと。その約束ではじいたものは正しいとしようでは ないかということがあれば、それは正しい、動かすことのできない数字になってくると いう性質のものだということを私は申し上げておきたいと思うのです。 賦課方式か積立方式かというのは、既に発生してしまった年金債務を一体将来どうい うふうにして支払っていくのかということで意見が分かれてくるわけであります。積立 方式というのは過去の期間に対する債務でありますから、その債務をつくった世代が、 自分たちが残していく債務でありますから、保険料をたくさん取って積み立てていこう じゃないか、これが積立方式です。賦課方式というのは、今までずっと先輩のそういう 債務を払ってきたのだから、我々の債務を将来の世代に支払わせればいいじゃないか、 こう思えば、賦課方式になるわけであります。しかし、これは両極端の議論でありまし て、日本の制度は賦課方式と積立方式と両方組み合わせたような制度になっております アメリカの制度もそういうことになっております。 ですから賦課方式だからどうだとか、積立方式だからどうだかというのは理論的には 言えるわけなんですが、現実の制度はもう少し子細に分析してみなければ、なかなか評 価は難しいと、こういうふうに私は思っております。 ○F委員 先ほど来、現在の年金制度の抱えている問題として1つの柱ですけれども、世代間の 負担の不公平の問題があるという御指摘で、これは私の理解では大方の人が賛成する問 題だと考えております。ただ、世代間の負担の不公平をどうやって公平なものに変えて いくかという選択についてはいくつかの考え方があって、まだ多数派がどう考えている かどうかは私にはよくわかりません。従来から議論の流れは、今17.35%、それが将来 34.3%になる。これは余りにも高過ぎるから負担を下げざるを得ない。負担を下げると すれば、給付をこれだけ少なくせざるを得ない。そういう形で5つの選択肢というのが 並んでいたわけです。  そのうちのどれがいいでしょうという議論をしたらどうかということだったのですが もう一つ別に、5つの選択肢というのは、1階部分についての基礎年金の財源をどうす るかということについて従来の考え方のままではないかということだったわけです。私 の理解では、前回の審議等を聞いていると、実施の時期はともかく、多くの方々が現在 の国庫負担3分の1というのはやはり問題であって、少なくとも2分の1にすることに ついて、実施時期はともかく、そういう方向を打ち出したらどうかということについて 大方の人が、私は賛成したのではないかと思うんです。全部純粋な社会保険方式にしろ と言った人はいない。実施時期はともかく2分の1、すぐ次回からやった方がいいとい う人もいますし、これは超長期の課題だというふうにおっしゃった人もいますけれども 実施時期については意見は分かれているんですが、少なくとも将来的には2分の1にし ようと。その後、どうするかについてはまだ全然詰めは行われていない。完全な税方式 にしようという人たちが私は確実にいらっしゃったと思いますし、それは問題が多いと おっしゃった方も確実にいらっしゃった段階だと。  34.3%は国庫負担率3分の1を前提にした数字なんですね。2分の1にすると恐らく 3〜4%ぐらいピーク時の保険料負担が下がるわけですね。  さらに現行制度で給付や負担で何が問題かということをいろいろつぶさに考えていっ て、ほかがよくてもここだけは直した方がいいというのがいくつかあるはずなんですね 今のようなご時世で、なかなか既裁定の年金を賃金スライドしていくというのは難しい し、若い人の理解が得られにくくなっているというふうに私は個人的には思っています  そうすると、既裁定年金を物価スライドにすると、厚生省の資料によりますと、それ だけ単独にやると6%ぐらい保険料は下がるとこう言っているわけですね。国庫負担2 分の1との組み合わせでどのくらいになるかわかりませんけれども、少なくとも7%と か8%、その2つを変えるだけでピーク時の保険料負担は下がるわけです。  さらにまだ問題はいろいろあります。私は個人的には満額年金の支給要件を変えたら どうかと申しましたし、それから、きょうここに厚生省大変お忙しい中、資料をつくっ てくださいましたけれども、40年加入者の年金が生年月日によってこんなに違うという ことが明らかになったわけです。将来世代については給付を下げようと言っているんで すが、現に年金を受給している人については、同じ要件−過去40年保険料を拠出した。 少なくとも40年間の加入期間は同じ、過去の月給も同じとみなせるという人を例にとる と、ここに示されているように給付水準に違いがある。標準報酬月額34万円の場合とか 51万円のケースで計算してみますと、昭和21年の人をベースにすると、昭和元年生まれ の人は1.27倍の水準なんですね。月額で差を分布とりますと、34万円のケースで5.6万円 です。51万円のケースは7.2万円ですね。年額だと67万円とか86万円の年金額に違いがあ るわけですね。 この違いは、生年月日方式で調整したからやむを得ないというふうに当初は考えたわ けですけれども、ここに至ってこの差を本当に今までどおりこのままオーケイだと皆さ んが言うかどうかということをやはり私は検討してほしいと思うんです。若い人につい ては、これからさらに給付をスリムにするような話をずっとせざるを得ないというふう に言う声が多いんですけれども、現に年金を受給している人の中にも、これだけの大き な違いがある場合に、明らかに高いと思われる人の年金について、一部譲歩をお願いす ることはあっていいのではないか。 それはそれで先ほど問題になっていた350兆円の話だとか、そういうものを減らしてい く話になるはずなんです。将来のピーク時の保険料負担を減らす話になるはずです。そ うしますと国庫負担を将来変えるとか、いろいろな組み合わせを給付の方ですれば、今 34.3%という非常に高い保険料があって、それで世代間の負担の差があるということを もっぱら議論しているのですが、そのあたりを調整すれば、20%台の前半ぐらいまで、 恐らく保険料は落ちてくる。仮に完全に税方式に切り替えるとすれば、もっと下がるわ けです。 そうすると負担の不公平、不公平と言っている問題を発生させているのは何かという と、国庫負担をどうするかという問題と、今の給付をどうするかという問題の2つに分 かれてくる。そこの議論の設定の仕方次第で世代間の負担の不公平はかなりの部分が解 消されるのではないかと思うんですね。ですからA案とかB案とかC案とか、そういう 問題ではなくて、現行制度における問題点を整理し、その解決方法の中で大方の人が賛 成できるようなものを追求していけば、ピーク時の保険料負担は私は34.3%ではないと 思っています。 そうすると負担の不公平と今言っているのは何かというと、要するに現行制度のまま でいった場合の話だけでありまして、そこはいろいろの整理の仕方がある。その整理が 私は今回求められているのではないかと思っております。 もう一つ、ついでに申し上げますけれども、この審議会では、税方式に切り替えた場 合必ずミーンズテストがつくとか、あるいは場合によっては支給開始年齢が1階70歳に なるという意見が表明されました。ただ、私が調べた限りで申し上げますと、基礎年金 を税方式でやっている国で、ミーンズテストがついているのは現在オーストラリア1国 だけです。ほかの国は別にそんなものつけておりません。ただし給付水準が低くなりが ちであることは否めない事実なんです。そのかわりにいわゆる中2階の部分でミーンズ テストつきの補足年金みたいなものをつけている国がある。これは日本で言えば、生活 保護そのものです、この中2階は。中2階を含めて問題を考える場合は、確かに今まで 厚生省が資料整理したように、ミーンズテストつきの国が多いのですが、中2階は生活 保護なんですね。1階そのものはミーンズテストがついていない。オーストラリアだけ 例外的だと考えるべきでないか。ですから税方式に切り替えると必ずミーンズテストが つくというのはややオーバーな見方ではないかと私は考えております。  それから、もう一点ですけれども、国庫負担を引き上げる時期の選択問題なんですけ れども、今このような環境で、消費税の税率アップを持ち出すのは政治音痴だという意 見がもっぱらなわけです。現に昨年4月、2%上げたとき以降、景気が悪くなったでは ないかという意味で、消費税の税率アップがいわば景気悪化の張本人になっておりまし て、今そういうことができる環境にないというのが恐らく多数派の意見だと思うんです ね。ただ、これは私から見ると誤解に満ちた見解だと思うんですね。確かに昨年4月か らことしの3月までとその前年度、会計年度で比べると日本の経済はマイナス成長でし た。ただし、昨年の2月、3月に駆け込み需要が起こりまして、4月、5月が消費支出 落ち込んだわけですね。これは企画庁が発表している四半期の統計で確認できるんです けれども、歴年ベース、カレンダーイヤーで見ますと、97年は実質プラスの成長です。 それから、96年7月から12月まで、97年の1月から6月までの6カ月ベースで見ますと 昨年のここもプラスの成長なんです。ですから切り方によって見方が変わるわけであり まして、消費税の税率を上げた時期を含んだ時期で見ると、プラス成長が維持されてい るという数字が確認できるわけです。むしろマイナスに確実に落ち込んできたのは昨年 の秋以降、特に11月以降だという確認ができるはずですね。  これは企画庁のデータを見た数字ですので、恐らく事務局にお願いすれば、資料を整 理できると思うんですけれども、要するに昨年4月に消費税を上げたのが景気を悪化さ せたというのは私は間違った見解だと思います。景気が悪くなったのは11月以降の話で あって、消費税は既に上がっていて、上げたからではない、というふうに考えるべきで はないかと思います。以上です。 ○G委員  F委員の意見に半分ぐらいは賛成なんですが、最初の部分がどうもひっかかるんです ね。要するに世代間の公平というのは何かということをもう少しきっちりと議論したい と思うんです。きょう配られた資料を見ますと、いかにも72歳の人がいい思いして、52 歳の人がかわいそうだという気になりますけれども、年金に限って、ただ、単にいくら 出していくらもらっただけで世代間の公平が図られるだろうか。前にも申し上げました けれども、72歳の方が52歳のときに今のようなマイカーを持って豊かな生活をしていた かどうかということを考えれば、必ずしも金額だけで世代間の不公平だというのは私は 全く理解できないんですね。やはりここのところに、持ち家率だとかマイカーの所有率 だとか、テレビ何台持っていたとか、ステレオがあった、そういうことを全部ひっくる めて、それで公平ならわかるけれども、今の72歳が52歳のときと比べれば、全然今の52 歳の方が私は恵まれているだろうと思うわけです。そういう人が21万円しかもらえない から、26万もらっているのは不公平だ、そういった議論だけでもって世代間の公平を議 論しちゃいけないのではないかというのがまず第1点感じました。  それから、D委員が、税金でやると将来どんどん税金が上がっていくということをお っしゃいましたけれども、保険料だって上がっていくわけですね。そうすると国民から すれば、税金にしても保険料にしても、出す観点は同じじゃないかと思うんですね。そ うすると、むしろ税金でやる方がすっきりするのではないか、一定の目的間接税という 話がございましたし、税金の取り方はいろいろあるけれども。社会保険でやっていけば 空洞化という問題が避けられないわけですし、ますますこれが将来広がっていく。  未納・未加入者に対して、ぺナルティーをつくったり、市民権を剥奪するような形は とれっこないわけですから、そうしたときに、むしろ税方式にした方がすっきりすると いう考え方が成り立つんだろうという考え方もあり得るだろうと私は思うんですね。  その意味で、税だと負担が上がるけど、社会保険ならば、それは取れるとおっしゃる 考え方はいささか疑問を感じるんですけれども、その辺、御説明、教えていただければ と思います。 ○D委員  さっきF委員おっしゃった国庫負担率を3分の1から2分の1へということについて は私反対ではないんです。2分の1程度はやむを得ないかなというふうに思っているけ れども、全部税金にすることについては反対で、要するに程度の問題だと考えています  今、G委員がおっしゃった、税金も上がるけれども、社会保険料だって上がるじゃな いか、これはおっしゃるとおりですし、厚生年金保険に入っているグループに関して言 えば、いや、それだけじゃないというふうにおっしゃると思うんですけど、税金を上げ るよりは社会保険料を上げていく方が少なくとも過去の例から見て上げやすかったので はないかと考えております。厚生年金保険料が上がるからけしからんというような話を 現実に耳にしたことはございません。  F委員は、先ほどああいうふうに御説明されましたけれども、現実に昨年の4月に 3%から5%に上がるということで大きな問題があったと考えています。 ○G委員  サラリーマンの場合には社会保険が上がっていっても余り文句は出なかったというの はおっしゃるとおりだと思うんですね。サラリーマンというのは天引きされていますか ら、関心を持たないで取られてましたけれども、これからはそうはいかないと思うんで す。自民党が今度の参議院選挙で大都市で1人も出なかったというのも、まさにサラ リーマンが少しめざめてきたんじゃないかと思うし、サラリーマンなら、保険料文句言 わないで取れるけれども、税金なら無理だという考え方はちょっと納得できない。  それから、ついでに申しますが、なぜ2分の1を棚上げするかというと、財政が苦し いからという大前提があるわけですね。そうすると財改法自体が棚上げになって、公的 資金を投入する、減税もしましょう、何しましょうと国が方向転換をしているときなん ですから、2分の1凍結みたいな形はむしろ私はおかしいと思うんですね。ですから私 は少なくとも3分の1を2分の1に申し合わせどおりしろというぐらいは言ってもいい のではないかと思っているんですけれども、以上です。 ○E委員  私、これ議事進行の意味もあるんですけれども、実は皆さんの議論聞いていますと、 税負担だったらみんな納得するし、保険料だったら納得しないという説とか、保険料だ ったら納得するが、税だったら納得しないという説。これはいくら言ったところできり がない話ではないかと思うんですね。  そうこう言っている間に実は時はどんどん過ぎていきまして、みんな負担するのは嫌 なことに決まっておりますから、なるべく自分の方へ負担が来ないような方法をみんな が主張する。これでは問題は解決しない。負担総額は税方式にしようと社会保険方式に しようと大差はないわけです。全くはないとは申しませんが、大したことございません ですから、総額の負担の中でどうするかという問題と、それから負担総額が困るなら給 付を削る以外に手はないんですね。ほかに妙案ございません。  例えば、アメリカあたりで今議論しておりますのは、積立金を持って大いに稼げばい いじゃないかという議論があるのですね。この議論が1つ残されておるんですが、日本 の現在の状況では、それを主張される人は少ないだろうと思うんですね。積立金を持っ て大いに稼いで保険料を安くしようと、この議論は日本では余り出てきてないんですが それしかないわけなんです。  そうとすれば、結局給付をいかに合理的にしていくか、これしかないと思いますので 早く私議論をそちらの方でひとつやっていただきたいと思うんです。 ○H委員 先ほどから基本的な問題がいろいろまた再燃し、議論になっています。前回の長野に おける延長線上の話のようにも受けとめられるのですが、この際、基本論ということで もう一度今回の制度改正に関する基本的な要件やスタンスをどういうようにとるのかと いうことをはっきりさせておく必要があるのではないかと思います。先ほどからいろん な先生の御意見の中にも、そういう関係のことが出ています。そこのところをはっきり させていかないと、話はなかなかいい流れにならないのではないかと思います。  その際に直近の経済情勢とか、今、政府がとろうとしている諸施策と年金改革がどう いうように国民の側から、年金受給者あるいはこれから負担をしていこうという若い世 代の人たちから受けとめがされるのか。そしてその中でどういう合意形成が図られるの かというようなこととの関係をもう一度きちんとさせる必要があります。各委員に意見 がいろいろあるのだと思うし、私もいろいろ意見がありますのでもう一度きちんとさせ 今までの議論のままでまとめの作業に入っていけるのかどうかはっきりさせる必要があ るのではないでしょうか。私は何度もこの件については申し上げているつもりですが、 どうもはっきり見えないなということが1点であります。  それならば、どういう要件とか方向性を具備するのかというところについては、いろ いろ先ほどからの意見があり違いがあるわけです。そのことが委員の中で、はっきり考 え方の違いがあるということが、はっきりして個別に具備する要件と考えられるものに ついてのメリハリが効いたものとして、お互いに受けとめができ上がっているのか、い ないのかというところもやはり整理をしていただく必要があるのではないかと思ってお ります。それが1つ。  もう一つは、先ほど申し上げた直近の現下の経済情勢云々とも関連するわけですが、 この次期年金制度改革には、それなりの時間軸があるのだというように考えるのです。 さまざまな要件を絡めたときに、いつの時点のことをやるのか、政府が今いろいろやろ うとしている諸施策との関係はこうなんだとか、ああなんだとかということの一定の方 向性もはっきり確認をした上でやらないと、何かテーマそのものが直近の話題になって みたり、すごい先の話題になってみたり、整理がつきにくい状況です。この場に第三者 の人がいたらなかなかわかりにくいのではないかと私は思っております。そういう面で は少し論点を絞り込んで、全体の構成をきちんとする。利害が相対立するような鮮明な 審議会ではないのかもしれませんが、そういう審議会も審議会によってはあるわけです し、経済性の多寡を決めるような審議会もあるわけですから。各委員さんの中で、こん な意見の違いがあるのだというのがある程度見通せるような、整理をした上で次の展開 があるのかなと考えていますことを少し申し上げておきたいと思います。 ○I委員  F委員の御意見大変大事な御意見だと思いますが、ちょっと理解しにくい点があるの で質問させていただきたいのですが、1つは追加で請求された資料なんですが、先ほど G委員がおっしゃったように、昭和元年というのは、たしか学徒出陣のころの人でしょ う。正確に何年の人だったか、私は知らないが。 ○J委員  僕なんて、ちょうどそうだ。 ○I委員  そうですか。でも戦死している世代ですよね。だから戦後生まれの人と5万円ぐらい 差があっても当然だという見方もあると思いますね。G委員はそういう意見だと思いま す。それはそれとして、単純に5万円違うという話ではないことは確かなんですよね。 戦中、戦後のインフレ、厳しい生活に耐えてきた人の苦労を思えば、今どきの若い者の 苦労なんていうのはたかが知れていると、私も半分そう思います。ですから、にわかに F委員説にその点では賛成しないけれども、ただ世代間の負担の不平等を是正すること を将来世代に求めているのに、過去についてのこういう数字の出ているような不平等を そのまま見過ごしていいのかという問題提起自身はやはり十分に検討する意味があると 思います。  ただ、よくわからないのは、具体的にどうやって抑制するなり下げるなりするのか、 方法がちょっと私にはにわかに思い浮かばない。N委員がこの前質問されていた、理屈 というか、原理的な問題ももちろんありますけど、仮にそれを超えて、では下げようと いうことを覚悟したとしたらどういう方法があるのか。もしあったら御教示をいただき たいということです。  それと先ほどのマクロの消費税の効果の話は、97年の歴年がプラス成長とおっしゃっ たんですか。 ○F委員  97年のカレンダーイヤーはプラス成長ですね。これは企画庁のデータを見れば明らか です。 ○I委員  96年? ○F委員  97年です。 ○I委員  97年だって、第1四半期が一番猛烈な駆け込みで、私も家買ったけど、耐久消費財が 物すごく出たんですよ。耐久消費財の消費が先取りされた場合の逆効果というのは、そ う簡単に歴年の数字だけ比較して言えるものではないので、おもしろい議論だとは思う けど、にわかには賛同できなくて、むしろ私は直観的には消費税の駆け込み需要で、耐 久消費財の需要が前倒しになりすぎた反動が物すごくあったと。そこへ確かに7月以降 のアジアの金融危機、あるいは日本の秋以降の金融危機が重なった。それはもちろんあ ると思いますけれども、やっぱり消費税の反動、つまり、それだけ消費税の引上げに対 する大平内閣以来の根強いアレルギーが、いいか悪いかは別として、日本の国民の消費 態度の中にインプットされているんですね。そういうものを無視した議論は非常に危険 だと思う。税方式でそれくらいやるのだったら、積立式で28%に一挙にした方が、理屈 としてはよっぽどいいぐらいではないかという気もする。  第一、今の日本の総理大臣にそういうことができるかという政治的なフィージビリテ ィーももちろん大きいし、直近の過去のマクロ経済に与えたマイナスの評価もう少し厳 密、慎重に検討すべきではないかという気がするんですが、いかがでしょうか。 ○F委員  きょう提出された資料、加入期間40年について、仮に問題があるということが大方の 理解になった場合に次のステップとしてどういう調整の方法があるかということなんで すが、これは私自身詰めてまだ考えたわけではありません。いろいろな方法はあると思 います。これは1階、2階込みの給付ですけれども、私は前々から1階は物価スライド すべきであるとずっと申し上げいるわけですから、これを全部とめちゃうというような 乱暴なことはやはりすべきでないと思っています。1階と2階切り離して、2階につい て、場合によっては一部の給付の高い人について、しばらくの間スライドを遠慮しても らうというようなのが……。 ○I委員  物価スライド。 ○F委員  ええ。1つの考え方かなとも思うんですが、それさえもだめだという意見は当然ある と思います。あるいは、特に昭和元年とか、これより前に生まれた世代は、若い世代と 違って大変な苦労をなさっている。辛酸をなめた世代だということを私も承知しており ますし、それを否定するものではありません。そういう意味で、こういう給付の調整は 年金と離れた総合的な判断が必要だということも私はおっしゃるとおりだと思うんです その点で、G委員の意見、私はそのとおりだと思っておりますので、年金がこれだけ差 があるということを認めた上で、なおかつ調整する余地があるかということを議論して いただきたい。  若い人に、とにかくこれから何らかの形で、現に負担増なり給付減を求めようとして いるわけですね。そのときに現在の受給者に対して何か譲っていただけないかという問 題意識から、1つの素材として出していただいたものだというふうに考えておりまして だから、もう問答無用で全部スライドをとめろとか、そういうことを申し上げているつ もりはないわけです。  2点目ですけれども、消費税アレルギーのあることは知っておりますが、今まで消費 税を政治的に立ち上げるときの手法は1つしかなかったわけです。所得税減税と抱き合 わせなんですね。所得税減税・地方税を減税して、全体として増・減税同額という縛り をかけて消費税を上げたのです。しかし所得税・住民税は金額的に見れば年金保険料よ り小さいわけです。年金保険料総額で、例えば厚生年金で言えば、本年度の予算を見ま すと22兆円もあるわけです。所得税は19兆円、地方税はたしか9兆円ですね。年金保険 料の方がはるかに高いわけです。今までやったことはないわけですけれども、年金保険 料を下げるから消費税を上げてくれと。それは年金財源に使うよという問題提起をした ら、国民が全体としてどう考えるかということは大いに検討する価値があると私は個人 的に思っているわけです。所得税減税するから消費税上げてくれというのは今までの問 題提起の方法だったのです。  それを、これからは年金保険料下げるから消費税上げてくれと。消費税上げた分は全 部ひもつきで年金に使うよと。一般財源ではないですよという問題提起を今までしたこ とがないんです。ただ、今まではアレルギーがあるからと言っているだけで済ませてい るわけです。そこをもう一つ、前に進むべき時期に入ったのではないかいうふうにと申 し上げたいのです。以上です。 ○K委員  私は今回改正で具体的にどこまで進むのかということを将来の方向性の議論と今回の 改正とを分けて、先ほどもお話が出ましたように議論をすべきではないかと思います。 1階部分の税の問題については私は専門家ではないんですが、少なくともF委員がおっ しゃいましたように、時期は別として2分の1というのは前回も出てきた議論。今回そ れが財政上無理であっても、あるべき姿は2分の1だということを皆様の大方の議論で あれば、それは将来としては少なくとも2分の1はできるだろう。その場合の税負担が 一般会計ではなくて、目的間接税であれば、少なくとも一般財政によって影響されない という意味では目的間接税という考え方も意味がある。  そのうち、それを将来3分の2、4分の3、あるいは100%という人と、いや、2分の 1でいいという人とある。今回具体的に本当に2分の1にできるのであればそういうふ うに進めべきだと思いますが、そこのところを事務局も含めてはっきりしていただけれ ば、税の問題の話は整理できるのではないかと思います。  もう一点、負担の総額がどうかというお話。私も賛成でありまして、前回までの改正 につきましては、事業主側としても、私の会社の先輩もここへ出ておりましたけれども 平成6年の改正までは、企業の社会的責任を果たすということで、年金審議会の議論の 中では、恐らく全般的に賛同する話でいろいろ負担の問題を入れたと思います。今回私 は少数意見で、負担の限界ということを申し上げておりますけれども、事業主というの はおわかりと思いますけれども、半分は負担しておりまして、経済団体、経団連、同友 会、商工会議所、あるいは一般の中小企業の方々も、これ以上の負担は耐えられないと いうのが一般の声であります。  それから、従業員につきましても、もちろん組合の関係者もありますが、従業員1人 1人もかなりの人数が、現在払っている人はこれ以上の負担は困るという人はかなりい るということもそのとおりなんです。そういう意味では、この審議会では少数意見にな りますけれども、負担という観点に関しますと、私の意見は世の中の負担する側の多数 の意見を述べさせていただいているということをぜひ御理解いただきたい。  そういう意味では、負担できるものであれば負担したいのはやまやまなんですけれど も、現在の負担のレベルが、これは企業の国際競争力、今後のグローバル化する中での 国際競争力ということは、日本において事業を営みながら雇用を維持する、こういう観 点ですので、これ以上の負担は耐えられないとこういうふうに申し上げているわけです そういう意味でケチだから申し上げているわけではないというところを御理解いただき たい。  そういう中で、私ども申し上げる負担の限界というのは、少なくとも足元では、これ 以上上げてほしくないということですが、将来にわたっての月例報酬ベースの20%が事 業主としては負担できる限界とこう申し上げておきたい。  そういう中で、F委員の言われましたいろいろな方法論、日経連が出しますいろんな 方法論、あるいはこの『年金白書』の185ページに出ております給付と負担の均衡を図る いろいろな手法が出ていますが、こういうものを組み合わせて、具体的にどのぐらいの 給付のレベルができるのか。そのときに、この前申し上げましたが、既裁定者、年金受 給直前の人について、同時に納得を得られる措置をとっていく。といいますのは、これ から生まれてくる人についてはこういう制度だよということを言っておけばいいわけで あります。ですから2050年の人については、これは相当厳しい水準に追い込まれる。た だ、2025年というのは今保険料を払っている人たちですが、足元の2000年から2025年ま での人と、2050年、2070年、先ほど言いました350兆なるものの償却を、100年で償却す ると経団連は言っておりますが、そういう話をしておりますから、100年先の人には相当 厳しい前提ではないか、こう思います。 そういう意味でいろいろ議論があるわけですけれども、負担の総額が本来どうなのか ということの上で、給付がどういうふうに出るかというのをぜひとも議論をしていただ いて、今回の改正でこうすべきだという結論を出していただく方がいい。給付の水準に ついて、例えば、賃金スライドをしないというようなことについても、はっきり今回出 していただきたい、こう思います。ですから将来と今回と分けて議論していただきたい こう思います。 ○L委員 私、先ほどF委員がおっしゃっておられた税なり社会保険料なり、そういうものに関 する問題意識についても大変大事なことだと思っております。ただ、今回の審議会でこ うなっているのは、人口の少子化の問題なり、あるいは今経済が不景気だという問題が ある。そして、若い人たちが社会保険料の負担の増大に非常に不安を持っている。それ は将来の年金支給に関して、果たしてどういう格好でいくのか非常に不安に思っている というところから出ているわけでしょう。期するところは、給付と負担をどういうふう にするかという、一番先の問題はかかってしまうのだと思います。 今、K委員からお話がありましたが、それは賃金スライドというのはやめるのではな くて、何が起きるかわかりませんから、経済の問題ですから、凍結をしておくというこ とをまず考えなければならないだろう。やめてしまうということはとてもできないだろ う。それが公的年金の仕組みだと思っております。 将来的には基礎年金が、皆さんおっしゃっているように、2分の1の国庫負担という のは、私はそういう方向にいくのがいいことだと思っておりますし、それが目的税でや るということも私は大変いい考えだと思っております。  どちらにいたしましても、税でやるにしても、保険料でやるにいたしましても、結果 的には国民の総負担率の問題でありますから、この負担率をどこまで持っていくのか。 前の橋本総理のように、5割までは国民も容認してくれという話でやるのか、あるいは スウェーデンのようにもっと70%までやっても大丈夫だと。そのかわり子供が大学を卒 業するまでは一切ご負担をかけませんということでやるのか、いろんな考え方が私はあ るのだろうと思っております。 そこで結局今のままの給付水準でやるかどうかというのは大変大事な問題ですが、そ れはやはり少し下げなければいかん。A委員のお話をかりれば、下がるんであって、下 げるんじゃない、下がるんだと。負担は上げるんじゃなくて上がっちゃうんだと、こう いうお話でしたけど、また、そういうところがないわけではありません。この中で今の 給付を少し下げるにしましても、負担を今までの計画でいけば、2.5%上げなければいか んわけですから、2.5%上げないで済ませる方法というのは何があるのか。先ほどから話 がありますように、賃金スライドの方式を凍結をするとか、あるいは厚生年金をもらっ ている高所得者でありますとか、あるいは高年齢者の人に対して、被保険者の資格要件 を退職要件にしてしまうか、支給開始年齢も、この間、N委員から少し御提言がありま したが、少し前倒しにするという方法もないわけではない。それは労働者の側から言え ば、これは雇用等の問題があって大変難しい問題だと思いますが、そこをどう妥協する かという問題も私はあると思います。  あるいは総報酬制をとれば、少しは負担が軽減されるだろうと。あるいは1号被保険 者の強制徴収をするということをもう少しみんなで考えたらどうか。あるいは学生につ いては、これから障害年金だけにするとか、そして、40年の満期の支給をもう少し後ろ へずらすという方法だってあり得るわけですから、そういうことを考えてもいいのでは ないか。  それから、これは私が休んだときに出ておったようですが、厚生年金基金に関しては 代行制度はもうやめるべきだと思っております。そして、報酬比例部分と基礎年金の部 分だけで、やはり公的年金を構築していくということを考えなければいかんのではない かと思っております。  それから、積立金の問題ですが、これはこの間の集中審議でもございましたが、何年 分あればいいのかという話があるのですが、私は多くて3年くらいあればいいのではな いかと思っております。だから、3年分以上の積立金があるなら、それは放出してもい いではないか。いずれにしろ、修正積立でいきますから、負担金は増えていきますが、 当面は3年分ぐらいあれば、私はいいだろうと思いますが、そうすれば、その分の負担 金はますます下げられるという感じもいたします。  そういうことをいろいろ考えていけばいいんですが、実は積立金というのは、厚生省 は前からやっておられるのでしょうけれども、非常に運用が難しゅうございます。厚生 年金の積立金を自家運用するといいましても、厚生省の中で例えば1兆円の資金をどう いうふうに運用するか、非常に大きい問題になってきます。1兆円の資金の運用によっ ては、市場を攪乱させますから、いろいろなことを考えなければいかんこともあります し、いろんなことをやはりやらないと、積立金の運用はおろそかにできる問題ではあり ませんで、簡単に運用するといってもなかなかこれは難しい。非常にリスクを伴います から、そのリスクをどの程度まで、みんながいいというのか。あるいは安全、効率的な ことだけを考えて、利率はどうでもいいから、ともかく積み立てておけというお話なの か、そこはやはり十分に考えなければならない問題だと思っております。  ついでに申し上げますと、グリンピアの問題があって、これは年金福祉事業団が解散 すれば、府県に売るとか、売らんとか言っておりますが、あれだけ厚生省が太鼓をたた いてつくらせた施設を、そう簡単に右から左へ買い取れと言ってもなかなか府県は買い 取らんだろう。だから、それも少し考えておかなければいかんだろうと思いますから、 そういういろんなことを考えないと、この全体の積立金の運用というのも大変難しいか ろうと思います。  今までのお話をお聞きして、ちょっと感じたことだけ申し上げておきます。 ○A委員  最後のグリンピアを売っちゃいけないとおっしゃった、そこだけを除いて全面的に賛 成なんです。大いに売るべしというふうに思っているわけでございます。さっきH委員 がおっしゃった問題とも絡んで少し明確に言いますと、要するに今まで年金を考えると き一番何を重要視してきたかというと物価上昇なんですね。これは今回も、私は何が起 こるからわからないから残しましょうと。  2番目に、私は「人口構成、人口構成」と口を酸っぱくして言っているのは、要する に負担がこれ以上負担しきれないという前提に立たざるを得ないですが、そうすると結 局5人で1人のときは10万円払ったとすれば、4人で1人なら8万円、3人で1人なら 6万円に下げざるを得ない。これは下がる。人口構成によって給付は下がる、下げざる を得ないと言ってもいいんですが、下がるというふうに明確に出すべしと。  それから、経済体質がまるっきり変わっちゃった。つまり右肩上がりの経済体質では なくて、上がったり下がったりという成熟経済になった以上は賃金スライドはやめます と、基本的に言うとその3つは確認しましょうということを冒頭に申し上げているわけ であります。  したがって、要するに社会契約的にということで、B委員の社会契約論はどっちかと いうと、人口構成が正常な場合の社会契約論で、私が言っているのは、今や好むと好ま ざるとにかかわらず極めて苦しい人口構成を引き受けざるを得ないという、そういうも のをインクールズした社会契約だというところが違うところだということはちょっと念 を押して申し上げておきたいと思います。  今いろんなことが足元でたくさん起こっていますけれども、これを抜けることが本当 にできるのかという危機的な状態にあることも事実です。仮に抜けたとて、もはやかつ ての右肩上がりの経済にはならないわけであります。それから、いかにも企業だとか、 勤労者だとか、おとなしいから、取りやすいところから取っちゃえというような発想が あらゆるところに出てくる。ところが最近さすがに勤労者も黙っちゃいない。企業も黙 っちゃいない。いくらおとなしい羊といえどももうがまんできないということであって 社会保険なら取りやすい、税金ならだめだとか、そういう今までのモノの考え方をここ を思い切って変えさせないと。本当にこの国の先行きはどうなるか、非常に問題なので はないかということで、ちょっとしつこく申し上げておきます。申しわけございません ○B委員  A委員がおとなしい羊だと、私はちっとも感じてないんですが、それはともかくとし て、私の主張との違いを強調されたんですが、ちょっと正確な御理解をお願いしたいと 思うんです。私がこの間から繰り返して言っておりますのは、人口構成の変動がノーマ ルな場合のことを想定しているのではなくて、前回改正で導入された可処分所得スライ ドというのは、人口構成の変化を織り込むことができるようなメカニズム、ビルト・イ ン・スタビライザーなんだということを申し上げているわけです。 ○A委員  ごく一部の。 ○B委員  ごく一部ではないです、それは。ただし、厚生省がこの間、完全税方式にした場合の 計算で、将来保険料率24%と想定されていたり、あるいはいつか事務局の御答弁で、そ れはビルト・イン・スタビライザーであることは事実だが、それだけでは吸収できない のだというふうにおっしゃったりした前提条件をいくつかを考えてみたんですが、これ は後で突き合わせもさせていただきたいと思いますけれども、年金局での計算の場合に は、年金保険料以外のものは、とりあえずよくわからないから上がらないと固定されて いるんじゃないかと思うんですね。しかし、実際には2000年から介護保険が導入される それから、高齢者のいろいろな税制優遇措置についての見直し論もある。等々というこ とを考えれば、今後、医療・介護、税金については一切上がらないなんていうのは、こ んな空想的な前提ないわけですね。そういうものが上がるとすれば、それによって現役 世代の負担が増える。現役世代の負担が増えれば可処分所得の伸び率は小さくなる。年 金の伸び率も小さくなる。そういうビルト・イン・スタビライザーが組み込まれたのだ というのが前回改正の本当の意義だったはずなんです。  問題は、これが将来にわたって、どういうふうにそこから結論を引き出せるか。これ は数字を置いてみる以外に、概念論やったってしょうがありません。私どもは私どもで 試算を今進めております。大ざっぱなことを申しますと、完全税法式のもとで将来の保 険料率は20%程度で現行水準を下げないで済むだろうと。現行水準というのはあくまで も可処分所得に対する現状の代替率を変えないわけですから絶対額は下がります。しか し、今の可処分所得に対する年金の方の代替率約7割というものは将来にわたってその 程度で維持できる。それだって2階部分だけで20%高いとおっしゃる日経連の理論はわ かりますけれども、それは程度の問題ですね、極端に言ってしまえば。  それから、もう一つは、前回の改正のときに負担の上限に関して30%ということで当 審議会は一応の合意をされたと聞いております。そうすれば、そのときの合意を著しく 上回るような将来負担を想定することはできないだろう。これは今回の議論についても 1つの共通了解だろうけれども、今度はそれを著しく下回る負担水準しか想定しないと いうことは、そういう議論はもしやるのだったら合理的な根拠を示さなければいけない 私どもは、前回の現行制度での保険料ベースでいう30%という負担を超えることはない ですという認識をしております。  それから、もう一つ、税方式を主張しているのは、別に税方式が理想的だからではあ りません。そうではなくて今の保険料方式をとった場合に、既に起こっている問題につ いて、これ以上、放置したら解決のしようがないからなんですね。例えば、第1号被保 険者の脱落の問題について、厚生省はいろいろ徴収強化を考えておられるようだし、そ れはそれでまるごと否定するつもりはありませんが、ただ徴収強化だけで、今の1号の 空洞化という問題が解決できるのかどうか、とてもそうは思えない。そのためには物す ごい突っ込んだ徴収コストを負担しなければいけないということになるだろう。  その意味では、旧国民年金が昭和36年につくられた。それはそれで画期的なことだっ たんですね。それから60年改正で基礎年金制度が導入されたことも、また我が国年金史 上で非常に画期的なことだったと思うけれども、現状その制度をそのまま延長すること はもはや非常に困難になりつつある。少なくとも21世紀へ向かって問題を提起するとき に、それの延長だというふうに我々は責任持って将来世代に語れるだろうか。私どもは 語れないという認識を持っているわけで、昭和36年の国民年金制度による皆年金制度と いう理念の導入、それから、基礎年金制度という昭和60年の改正による1つのターニン グポイント、それにかわる構造的な新しい展望を示す、これが今問われている。その中 で税方式というのを、具体的な財政方式としてやむを得ずとらざるを得ない選択という ふうに考えているわけでございます。そこのところは、先ほどのビルト・イン・スタビ ライザーの問題とあわせて明らかに社会契約です。  そこの場合に、私どもは積立金というのは本当の緊急避難回避のための半年分か1年 分ぐらいを持てばいいのであって、それ以上持つ必要はないという前提で考えておりま す。人口構成を「連合」は無視しているということでは決してないことをぜひ御理解い ただきたい。 ○事務局  ただいまの可処分スライドの件でございますが、平成6年に導入された可処分スライ ド制というのは現役世代の可処分所得と年金の比率ですね。現在、手取り月収ベースで モデル年金で言えば、80%になっているわけですが、それが将来保険料が上がっても、 手取り対比で80%が保たれるという意味のスタビライザーでございます。給付を抑制す るという方向ではあるわけですが、それで結果として、そういうスラビライザー機能が 入っても、将来的には保険料が34.3%になる。その手取り月収ベースで現在80%になっ ている水準が適切なのかどうかということが問題になるということで、スタビライザー の機能はありますが、これですべて解決するという問題ではございません。 ○B委員  それはまさに今御指摘のように、代替率をどうとるかという問題で、どのくらいの代 替率にするのかというのはこれは合意の問題だと思います。80%とおっしゃったけれど も、これまで厚生省が発表されてきたのは72か、68か、そのあたりの数字じゃないです か。 ○事務局  対手取り月収ベースのモデル年金との対比で、80%というのは、従来も言っています し、また『年金白書』等でも数字は掲載してございます。 ○M委員  先ほど来、委員の皆さんがたくさん御討議・検討されていることについて、本日の議 論も長野で議論しましたことと重なっている部分が多々あるわけでございます。議事の 概要を見させてもらいますと、大変盛りだくさんの議事の概要を整理されておるわけで すけれど、議事の概要は、基本的には並列併記してあるというような感じになっている わけですね。私自身としては、あれだけの議論を重ねているわけですから、もうちょっ と方向性を整理してもよかったのではないかと思うんです。事務方は御遠慮されている という部分があろうかと思います。逆に言いますとマスコミの方が整理してくれている という印象があります。議論の経過ですから、それはそれとして整理いただいていいの ではないかと思います。  それから、そうした中では、先ほどL委員の方からも出ておりますけれども、基礎年 金の国庫負担の拡大を前提としながらも、当面の対策と長期の対応をそれぞれ整理して といいますか、それぞれピンどめしながら、給付と負担の具体策を整理していっていい のではないかと思います。後半の議論を始めるに際しまして、年金制度改革のシナリオ というのが事務ベースで出されているわけで、その対応の仕方も当面の対策と中長期対 策、さらに共通するシナリオという項目整理になっているわけですから、それぞれのこ とにつきまして、1つの整理が出されて、その上で改めて、その整理について意見を申 し述べさせてもらうというチャンスを、与えていただいていいのではないかと思います 以上です。 ○N委員  今、年金制度がこういう問題になりましたのは、いろいろお話が出ていますように、 1つは人口の問題、もう一つは経済の問題と2つあると思うのです。年金制度を今まで 運営してきた、そういうことにかかわってきた者から言いますと、率直に言いまして反 省点がありまして、大きくて2つあるのです。1つは給付は上げるけれども、保険料は 余り上げなかったと。実は行政といいますか、役所としては給付に合わせて保険料も上 げたかったんですけれども、まあ、保険料はそんなに上げなくてもいいじゃないかと。 経済もよくなるから、今急に上げなくても、とにかく給付を上げることが大事だという ことで、せっかく国会に出しても必ず給付はそのままで保険料率を低く抑えられちゃっ たと。そういうことが結果的には大変失敗だったなということを1つ反省があるんです  もう一つは、実は年金と雇用の関係が非常に不明確で、要するに雇用がそこまでいか ないから、年金は60から65歳にしちゃいかんのだという議論が非常に強かったんです。 よその国はみんな早くから、65歳とか、あるいはアメリカなども67歳にしているにもか かわらず、日本の場合には雇用がそこまでいかない、いかないということで60歳でずっ ときてた。実は厚生省は昭和55年から65歳に引き上げる計画を提案したんですけれども 早過ぎるということで、結局は20年おくれましたですね。15年から20年おくれて、前回 の改正でようやっと、まだ60歳ですけれども、これから上げて、2013年に65歳にしよう ということなんで、それが今振り返ってみて失敗だったと。そういうことをきちんとや っていれば、たとえ人口の将来の見通しがこうなっても、あるいは経済がこうなっても これほど私は深刻な問題にならなかっただろうと思うんですね。  ですから、そういった反省の上に立ちますと、税方式もいいんですけれども、私1つ 提案したいのは、雇用と年金との役割分担をもうちょっと明確にしなくちゃいかんので はないか。これは労使の人は雇用の問題でいろいろ御苦労がありますから、そういう御 議論もわからんではないんですが、やはり年金というのは65歳からで、65歳までは雇用 で対応する。年金は将来は67歳とか70歳という意見もあるかもしれませんが、私、将来 はそういうことも考えていいのではないかと思っていますけれども、とにかく今の時点 では65歳までは雇用、65歳からは年金という原則を、プリンシプルというものをはっき り確認をして、そういう方向に制度をきちんと持っていくことが大事なんです。そうい った点から言いますと、前回も言いましたけれども、別個の給付は半分しか65歳に引上 げをしてないということですし、在職老齢年金を65歳以上まで引上げようというのはや むを得ないと思いますけれども、それなら65歳以下の在職老齢はおかしい。要するに働 きながら賃金が低い人に年金で補助金を出しているようなものですね。あれは雇用の責 任で、もし何らかの手当が必要なら雇用保険なり何なりでやるべきで、年金でそこまで これからもやれと言われるのは問題です。現実にすぐそうやることについてはいろいろ 問題があるだろうということはわかりますけれども、考え方としてはおかしい。60〜64 歳の在老制度をそのままにして、65歳からずっと在老制度を導入するのはおかしい。私 は入れるにしてもせいぜい70歳までだと思いますけれども、在職中も年金は出さないと いうことをはっきり打ち出すのはこれは少しおかしいなと思います。要するに生涯働い たら年金はもらえないよということを言うような、制度的にそうするようなもので、そ れはおかしい。生涯何らかの収入がある人でも、一定年齢にくれば、年金は出すという ことは残しておかないと、働くのをやめたら年金は出るけれども、働いている限りは年 金は出さない、特に拠出制の年金ですから、そういうことにしてしまうのは逆に大変お かしいなというふうに思っております。雇用と年金との役割分担をこの際きちんとやっ て、やや、あいまいになっている、前回の改正では妥協している部分はこの際今すぐで きるかどうかは別にして、私はきちんとしていただきたいなと思います。  それから、今年金もらっている人が年齢によって差があるというのは、前回も言いま したけど、これは実は本当にしようがない面がありまして、前回の60年の改正のときに 給付水準を実は2割から3割下げたんですね。そのとき年齢に応じて下げていったもの ですから、それがこういう結果になっているので、これからも給付水準を下げようとす れば、ある程度年齢でもって差が出てくるのは、今度の場合、あるいはこれ以上の差が 出てくるかもしれません。しかし、これを避けようとすれば、結局、既存の年金の受給 者に触れないと直しようがないですね。ですからこの表だけ見ておかしい、これを直せ とおっしゃったら、恐らく今度の給付水準の引下げなんて、非常に技術的な話になりま すから、これ以上申し上げても何だと思いますけれども、非常に難しいということだけ は御理解いただきたいと思います。  要するに既存の年金の受給者に手を触れないということと、将来の世代の年金を下げ ていくというのは両立させようとするとどうしてもこういう格好に、どんな方法をとっ てもある程度ならざるを得ない面があるということは、これはF委員おわかりなんだと 思います。もしほかに方法があればいいと思いますけれども、そういう面があるという ことだけはおわかりいただきたいと思います。  それから、税方式か社会保険方式かは、これはエンドレスな議論なんですね、昔から それぞれ長所、短所がありまして、エンドレスな議論なので、私は税方式にしたらどう だという御議論は十分理屈としてはわからんでもありません。F委員もおっしゃいまし たし、あるいはG委員もおっしゃいましたが、そういう問題提起はいいだろうと思うん ですね。ただ、現実には全部を税方式にすることについては、税は税で物すごい議論が ありますから、C委員は御存じでしょうけれども、年金制度としても問題ありますけど 税は税の議論としてそう簡単にいかないということは頭に置いておく必要があると思い ます。  それから、負担がこの辺が精いっぱいだというのは、世の中の意見だとおっしゃいま すが、それでは給付を4割も5割もカットするのが世の中の一般的な意見かというと、 それは私はそうではないだろうと思うんですね。ですから給付と負担はあくまでもセッ トで議論をする必要があると、そういうのが私の意見でございます。 ○O委員  私、今回の年金改革と前回の年金改革での一番の違いは、人口の将来推計が大きく変 わったということにあると思います。それともう一つ、つけ加えれば、経済成長がほと んどゼロ成長に近くなったと。この2つの大きな前提条件が変わったということから非 常に深刻な問題が出てきておるわけです。皆さんの御意見でも尽きておるわけですが、 私は今回の改革で決めるべきことは、目先の問題ではなくて、中長期的な方向を明確に するべきだということでして、例えば基礎年金については、目的間接税に今社会保険で 負担している部分を切り替えていくべきだと。当面国庫負担率は2分の1というふうな こともありますが、そういう方向が長期的には正しいのではないか。  それから、給付水準と負担については、今お話がありましたが、給付は私はやはり人 口構成、将来の現役世代の負担能力を考えますと、中長期的には2〜3割カットという ことはやむを得ないと。負担については、これも低ければ低いほどいいんですが、今の 17.35%以上、若干上回ることはやむを得ないだろう。その辺で給付を2〜3割カット。 厚生省の選択肢で言えば、C案に近いところが給付の水準としてはいいのではないか。 そういうことを長期的に想定して、どういうふうにしたら負担を余り上げないでこうい う水準が期待できるかといったことを作業したらどうか。  それから、賃金スライドは当然凍結ないしは廃止するべきだと思います。こういう点 を今回の改革で明らかにするところに私は意味があると思っております。  さらに直近の問題として少しつけ加えますと、例えば年金基金の代行制度は廃止する べきだと。いろんな意見もありますし、この間も私申し上げたとおりでございます。  在職老齢年金については、今のN委員の意見と同じように、私は保険の論理からいっ て、所得がほかにあるから年金を出さないというのは論理的におかしいのではないか。 感情的には高額所得があるのに、年金まで支給するのは遠慮したらどうかというような 意見があることはわかりますけれども、これはやはり適切な税制によって徴収するべき ではないか、そう思います。以上です。 ○I委員  ちょっと確かめさせていただきたいんですが、給付の抑制の話で、よく下げる、下げ るという表現が出ているんですけれども、おっしゃっている意味は、将来の上がり方を いろんな方法で抑制するという趣旨でおっしゃっているのだろうと思うんです。何か下 げるというのは世間に伝わることが物すごくマイナスの影響を与えているので、その辺 は上がるのを抑えるという、給付の抑制ということをよほど慎重に強調された方がよか ろうかと思うんです。  それとの絡みで可処分所得スライド、賃金スライド、あるいは政策スライドというん ですか、それは廃止する方がいいという御意見が圧倒的に今まで出た意見では多いと思 うんです。割に現実的な改革論を主張されている先生の中には、賃金スライドについて は相当慎重に考慮すべきだという御意見を出している方もいらっしゃいますね。この審 議会では慎重にやれと、B委員の意見はそういう意見なのかもしれないんですけれども 5年ごとの賃金スライドを仮に5%やらなければいかんときに、5%全部まるまる凍結 しろという御意見なのか。それとも半分にしろという意見もあり得るだろうと思うんで すが、その辺は今まで凍結をおっしゃった方はどういう御趣旨でおっしゃっているのか ちょっと確かめさせていただければと思います。 ○L委員  私は凍結せざるを得ないと考えます。 ○I委員  完全凍結。 ○L委員  この5年間は、このような経済状況では、その通りです。 ○J委員  きょうは発言しないでおこうかなと思ったんですけど、私の感じでは、この審議会随 分議論を重ねまして、ある程度のところへ、数字は別として了解がついてきたような感 じはいたします。基本的に私はやはり公的年金制度は社会保険方式で続けるということ はそう簡単には引っ込めるべきでないということは前々から言っているところで、今回 もそのとおりです。やはり基礎年金の部分は非常に重要であるということと、これにつ いて絶対額で、第2の生活保護のような格好で、社会保険に参加していたということだ けでもらえる最低の生活保障ということでいい。  2階部分が問題になりまして、前回説明したとおり、若干これを抑えた方がいいので はないかと思います。どうして抑えたらいいかという1つの理由は、人口の調査で非常 におもしろいんですが、最近の若い人に聞くと、自分は子供に老後を頼る気持ちはない という人が8割から9割あるんですね。ということは、何を意味するか非常におもしろ いんですけれど、子供たちにおんぶをして、そして老後の世話になる気持ちがないとい うことは、自分たちにとっては、ある程度子供の負担をとろうとはしないということを 言っているというふうにも思います。  ですから、将来の給付の水準を下げていくという方向がかなり妥当な方向になってく る。そうすると当然負担を下げていくこともできるわけですので、5つの選択というの は、私は言いたくないんですが、その中では低い方、C案、あるいはB、Cというとこ ろの選択になるわけです。議論があるとすれば、その選択の中でいくつかのファクター を変えれば、数字は若干変えられると『年金白書』にそう書いてある。だから、変えら れるものなら変えて、なるべく犠牲が少なくなるというふうな方向があるとして、今回 の再計算のときに可能なものと不可能なものとを分ける。可能のものなら、それをかな り強く主張するし、不可能で将来のことだというなら、長期のことで書いていくという のが1つの方法ではないかと私は思います。  やはり全額を税方式にして、いわゆる社会保険方式を捨ててしまうのは、日本とドイ ツあたりでしょうか、比較的社会保険方式をずっととっていた国としては残念な感じが しますので、今の時点では私はそれを守りたいと思います。  それからもう一点、また、これE委員から叱られるおそれがあるんですけれど、積立 金の使い方について、私としては年金の保険料として集めたものですから、もちろん全 部とは言いません。一部は年金に参加している人たちが、自分たちが納めた保険料がそ ういう役に立っていっているのだということが理解できるような使い方をしてもらいた いとこう思います。そのやり方はどういう方法があるのか、私はちょっと素人ですから わかりませんが、専門の厚生省の方、あるいは大蔵省の方々お考えになって、積立金が 年金の加入者のためになるということがわかるような使い方がいいと思います。  最後にもう一点、きょうの日経新聞に出ていたんですが、厚生省・社会保険庁で非常 に強い方法で空洞化を防ぐ方法に移りつつあるというのか、移るつもりだと言っている のか知りませんが、かなり強い方法をおとりになるというふうに受け取れる記事が出て いました。  私、長野県のバスに乗っておったら、「社会保険税」と書いてあるバスがありまして 「社会保険料(税)」と書いてあるんですね。これは非常にうまい方法で、税金と同じ ように保険料というものは当然納めるべきだといった意味で言っているのだと思うんで す。そうなりますと国庫負担でもって空洞化のところをごまかすというのは、要するに 社会保険方式というものから後退するということを意味するので、私としてはそれは余 りよくない。やっぱり保険料は当然納めるべきものだということを国民に周知させると いう努力が必要であると思います。  最後に言いたい点は、こういう議論を何回もやっておりましても、大体合意の進んで いるところがわかってきた部分については通過して、まだ、どうしてもというところが 残っているところに集中して議論をされた方がよろしいのではなかろうかと私は思いま す。どうもすいませんでした。 ○K委員  先ほどN委員が言われました年金と雇用の役割分担、あるいは高齢者に関連してちょ っと申し上げたいのですが、年金の開始年齢の繰り下げ、あるいは別個の給付、在職年 金制度の矛盾点、こういうのをきちんと議論されて、時期は別としてと言われましたけ れども、ある時期こうするということになればやむを得ない。足元の事業主の立場でメ リット・デメリットと言われますけれども、いろいろ持っている矛盾的につきまして、 そういう御意見であればそれはそうだろうと。具体的に言いますと、2013年末といいま すから、2013年以降に、こういうことはこうしていこうよというふうにきちんと議論さ れるのは事業主としてもやむを得ないと思います。  ただし、もう一点、年金と雇用の役割なんですが、少子・高齢化で労働人口が減る。 労働需給はタイトになって、将来高齢者を雇用せざるを得ない状況に日本の企業も追い 込まれていくだろう。これは私どもはそういう時期が来るだろうと思います。そういう 意味で、高齢者雇用の問題についても我々は考えていかなくちゃいけないわけですが、 人為的な制度の変革によって、高齢者雇用を足元の時期において、義務化、強制化され ると、こは当然私どもとしては反対です。  これも今2013年以降と言いましたが、こういった問題についても、そうならざるを得 ない客観情勢が来るのか、そういうことを強制、嫌がる企業にせざるを得ない状況が来 れば、もう少し様子がはっきりしてくるのではないかと思います。この点は、現時点で いずれそうなるかもしれないから高齢者雇用を義務化する、強制化する、これは労働省 も若干そういう御意向があるんですが、私どもとしては賛成しかねます。以上です。 ○P委員  細かいことではなくて、ちょっと大きいといいますか、前提の問題なんですけれども 基本的に先ほどO委員がおっしゃったように、人口構成の問題が1つ大きい問題として ずっと論議されてきましたよね。少子化はそう簡単には食いとめられない。そのときに 個人個人の人たちが今どう思っているかというと、1人しか子供を産まないなら女の子 が欲しいというふうに言っているんですよね。それは多分J委員も御存じだと思うんで す。女の子が欲しいというのはどういうことかというと、今のこの状態、年金の論議を 聞いていたら、女の人の所得は全然伸びないというか、働く人も増えない前提の話をし ているわけです。でも、何で女の子が欲しいというふうに普通の家族が思っているかと いうことは、要するにお金を当てにしているというよりは、実際に介護とか生活する中 での、今の女の人たちが実際にやっている労働とか、そういうところを当てにしている ということじゃないかと思うんですね。  そういうことが一方にあって、つまり老後を考えたときに、ただ、ただお金のことだ けじゃないということだと思うんですけど。それから、何を当てにしているかというと 女の人を当てにしている。しかも人口が減るわけですから、女性の労働力率も上がらざ るを得ないし、今、K委員が高齢者を雇わざるを得なくなるとおっしゃいましたけど、 女の人のこともやっぱり雇わざるを得なくなるわけですね。そういう中で、3号の問題 とか、女性と年金の問題というのはやっぱり深刻に考えていただきたいと思うわけなん です。  先ほど来というか、私にとってはすごく先の問題として1階部分を税金にするという ことは私も全く反対するわけではないんですけれども、そのことによって、前回もB委 員おっしゃったり、今回もA委員がおっしゃいましたが、3号問題が解決するというふ うにおっしゃいましたが、そうでは私はないと思うんですね。3号問題というのは、女 性が介護や育児や、そういったことをただで妻としてすることを前提にしたような年金 制度の仕組みという、その問題なのであって、それから、同じように20年以上働いてい ても、女性は介護や育児を期待されるがゆえに、それから1回中断してやめてしまうが ゆえに所得が男の人の半分しか伸びない。だから年金保険料も半分しか納めないから、 年金も半分であるというような、そういう全体の問題だと思っているわけです。ですか ら3号の問題は解決するというふうに余り簡単に、年金制度を1階部分さえ税金にすれ ば解決するというのは余りにも単純化した議論だと思います。  それと関連して、私は何回も言ってしまったんですけれども、きょう出していただい た資料は男性が見ることを前提にしていると思うんですね。つまり妻が3号であるよう な男性ですね。でもこれは女の人が見ますよね。妻の年金2.5万円、3.5万円、物すごく 少ないというふうになっているわけで、何なんだと思う、そういうことを審議会の方々 も、厚生省の方々も全く考えいらっしゃらない。予想していらっしゃらないと思うんで すね。この議論が新聞に報道にされたり、あるいはこの資料が出たときに男の人が読む と思っていらっしゃるんですね。だと思うんです。でも有権者の半分は女の人だし、投 票に行くのは女の人の方が多いんですね。それから新聞も女の人はすごくよく読んでい ます。そういうことも考えていただきたい。 それから、消費税にすればいいんじゃないかという意見がありました。女の人の、特 に女性の被保険者の3分の1(1,200万人)が3号なんですね。この人たちは直接税金を 納めてないんですね。消費税だけが頭にある、生活の中では。こういう人たちが1階を 消費税にしようというような話をしたときに、どういう反応をするかということも、全 然皆さん考えていらっしゃらないかと思うんですけど、それはすごいことだと思うんで すね。だから、年金の議論をするときに、半分女の人がいるんだということは、ぜひも う少し頭の中に入れてお話を進めていただきたいと思います。 ○Q委員  年金審議会としては、公的年金の意義と役割を確認した上で、将来の公的年金制度が どの方向に向いていくか、そういうグランドデザインを示す必要があると思います。そ の後で現在改革できることと、できないこと。また、改革すべきことは何か。その手法 はどうかということを整理する必要があると思います。  今、P委員から出ました女性と年金に関連する改正につきましても、もうマジックが 点灯しそうになったのですけれども、先が見えないというのがどうも集中審議でも感じ たことです。そういうこともありまして、前回、将来における政策の原則としてどうい うことが考えられなければいけないかということを申し上げたのですけれども、きょう お配りしましたこの1枚のB5の参考資料とそれから9月1日の集中審議の議事要旨、 資料3の3ページの「女性の年金」というところ、一番最初のマルですが、それをごら んいただきたいのです。前回意見を述べさせていただきました参考資料について補足を させていただきます。この資料は下に書いてありますように、1984年にILOから出版 された報告書です。私自身はこの見解に同意するところが大きいので、このとおりでは ないのですけれども、これを参考にしながら原則について前回お話し申し上げたのです ただ、これはILOの報告書ですけれども、どういう趣旨でつくられたかというと、21 世紀に向けての社会保障の在り方を、世界の代表的な社会保障の専門家、学者グループ が集まりまして、入念な議論を重ねまして、それで1984年にILOに勧告をしたわけで す。それをILOが報告書としてまとめたものです。  ここに1、2、3、4、5と原則が書かれているわけです。お配りいただいた資料3 の9月1日の議事要旨の3ページの「女性の年金」の一番上のマルですけれども、これ は事務局の議事要旨作成能力というか、国語というか、現代文のまとめる能力がすばら しくて、非常に正しく簡潔にまとめていただいています。ILOの報告書では、ここは 原則のところだけをコピーしたわけですが、どういう流れかといいますと、第3章で、 「現金給付の発展」ということで、主として公的年金制度について議論をしているので す。一番最初のところで、「適用範囲の欠陥」という小項目で議論がなされているので す。そこをちょっとお話ししますと、「社会保障のための厳格な社会保険方式は全般的 に容易に保険料を集めるという利点を持っているけれども、社会的に見ていくつかの欠 点もある」ということで、いくつかの欠点を述べているわけですね。  そのうちの1つは、国によってはパートタイム労働者が除外されているということで すね。また、低所得者や臨時雇いの労働者に対しても十分な規定が設けられていないと いうことです。  もう一つは、「子供の養育とか障害者等の介護のために労働力となれなかった者はみ ずからの権利として給付を受けることができない」ということですね。家庭内の労働は 例え夫の成功を可能ならしめたとしても所得比例給付に結びつく労働としては認められ ていないという、そういう社会保険の持つ欠点について述べた後で、将来における政策 が以下の原則に基づくべきであると勧告しています。 第1点は「ジェンダー(性)によって区別をしてはいけない」、これは基本的な人権 に反するようなのはいけないということです。  2点目が、「同居する両性は被扶養者として位置づけられるのではなくて、自分自身 の受給権、年金権を持つべきである」ということで、その2の後半の部分に、「また、 もし必要があるならば、パートナーがその収入の中から相手を保障するための保険料を 支払うべきである」ということです。  3点目は、「受給権が保険料とか所得の記録、あるいは保険料拠出期間に基づいて得 られる場合、同居している者が得た各年の受給権は自活の道を奪われることがないよう に夫婦で分割すべきである」ということ。これは離婚や死別の場合、夫婦間で分割すべ きであるということです。  もう一つは、「育児、介護のために働くことができなかった期間については、拠出制 保険の拠出期間とすること」。あるいはさらによい方法としては、「家族的な責任のあ るものに対して、保険料を支払えるだけの手当を支給すること」としているわけです。  これは世界の社会保障の学者たちが示した政策の原則です。14年も前ですからかなり 前なのですが、結構その後の社会保障制度の改正とかにも影響を及ぼしている報告書で す。そこで1つの識見がILOに対して勧告されていると思いましたので、原文のとお りではないのですが、いろいろ補いながら、前回に原則を報告させていただきました。 御質問もありましたので、きょう補足をさせていただきたいと思います。以上です。 ○会長  どうぞ、2分だけ。よろしいですか。もう4時18分になっていますから、時間大分 オーバーしていますので、B委員を最後にして。 ○B委員  まず女性と年金の問題については、今回改正でどの範囲を扱うのか、どの範囲につい て、この間、事務局が言っておられた検討会にゆだねるのか。これは項目をはっきりし て扱うべきだと。私は3号問題に関しては、きちんとした解決を早くつけるべきだけれ ども、例えば分割等については、法律学者を含めた検討という位置づけにすべきだと思 います。  なお、P委員から、私の言い方が単純過ぎると言われて、私は頭は単純で申しわけな いんですが、税方式にすれば第3号という区分けそのものがなくなると申し上げたので 女性と年金にかかわる問題が一切解決するというふうに申し上げたわけではありません  それから、N委員の御指摘の雇用と年金の役割分担の問題、これは明らかに今回の一 連の議論の中で極めて検討不足のところだと思います。これについては使用者側委員か らも、恐らく御同意いただけると思いますので、これはもう少し時間をかけて議論をし ないと、このまま何かまとめに入るというふうには議論は成熟していないのではないか と思います。以上です。 ○H委員  大した意見ではないんですが、先ほどA委員からも言われたお話について、別にとや かく言うつもりはありませんが、私自身はむしろ我がエリアの仲間うちからは少し冷静 過ぎるのではないかと言われるぐらい先はいろいろ見ているつもりでありますので、御 理解をいただいておきたいということを1つ申し上げたい。それから、負担の限界論も 経営の委員の方からも出されておりますが、まとめるに当たって、ぜひ長い歴史を、振 り返ってみたら、大変大事なことではないかと思っていますが、いろんな先生方から、 御意見をこの審議会ではいただいています。しかし拠出者の論理といいますか、拠出を している立場から、我々労働も経営側も少しこの長い期間、ひもつきの金を出しながら 発言やトーンが低かったと思います。もっと先を見たいろんな展開について双方の意見 開陳が少な過ぎたのではないかということを大変強く思っています。今度のまとめに当 たっては、拠出者の論理や権利を大変大事にしていただく必要があるのではないかとい うことを申し上げておきたいと思います。以上です。 ○会長 それでは冒頭に申し上げましたように、来週からの年金審議会の進め方ということで ございまして、御相談申し上げたいのであります。今までは口頭で意見を交換しており ましたが、これからは文字にした文章を素材にして意見を交換するというふうな形をと りたいと思っております。それは審議会が意見書を出すというのが大体9月の終わりが タイムリミット、ぎりぎりぎりのぎりのタイムリミットのようでございますので、次回 の審議会で、その文章を書く人が要るわけでありますので、意見書の草案のようなもの の起草委員を次回指名させていただくと。そして意見書草案の作成をお願いして、次回 次々回からはその草案を基礎にして、議論願いたい。きょう皆様の御議論がはっきりい たしましたし、審議会の意見をまとめて、B委員の言葉で言えば、集約するというふう にしていってはどうか。もちろん1つの意見にまとめてしまうということだけではあり ませんで、甲の意見があった、乙の意見があった、丙の意見があったというふうな項目 も場合によっては必要になろうかと考えております。  いかがでございましょうか。どうぞ。 ○B委員  審議会全体として起草委員の方々に何を付託するのかというイメージについて、大ま か全体の合意ができることが指名をさせていただく場合の前提だと思います。つまり、 これは例えば機械の発注をするときに仕様書をつけるようなものでございまして、それ について、イメージがはっきりしているところと、それから意見が非常に分かれている けれども、それぞれのかくかくの意見はそれなりに明確なところと整理する必要がある 先ほどの雇用と年金の接続といいますか、分担といいますか、そこの問題や、例えば、 きょうは全く触れられなかった障害者年金の問題等々極めて検討が不十分な領域とそれ ぞれありますので、それは整理をし、足らざるところに関してはちゃんとテーマ別の議 論で補足をするという作業をぜひとも前提にしていただきたいと思います。  なお、前回信濃でお願いを予告をいたしましたが、基礎年金の完全税方式に基づいた 場合の負担と給付の問題に関して、私ども追加の資料をぜひ厚生省の方の推計のベース になっているデータについていくつかお願いをしたいと申し上げておきました。特に基 礎年金と厚生年金の給付額の比率の問題、老齢年金のほかにいわゆる通算老齢年金、別 個の給付、遺族年金、障害年金、こういったものの給付割合の問題。それから、男性と 女性の平均年金額の想定額。その基礎になる標準報酬の現在制度で言えば、月額の男子 女子の水準の問題、こういったデータを、計算の前提としてどのようにお使いになって いるのか、教えていただければ大変幸いだと思います。  私どもそれによって、今手元でやっております推計を精査をいたしまして、できれば 日経連さんからは前回まとまったものが提出されておりますが、私どもの当面の案とし て、本審議会に配布させていただければありがたいと思います。以上です。 ○事務局  今のB委員のお話に関連して、今後の進め方でございますけれども、これまでときょ うを入れますと27回にわたりまして大変熱心に御審議いただきまして、これまでの年金 改正に当たっての年金審議会の議論といたしましては、時間といい、審議の幅といい、 深みといい、これはやはり画期的なことではなかろうかと思います。  そういうことで、これから議論の集約に入ることになるわけでございますけれども、 これまでのそういった議論につきましては、24回までは既に皆さん方の御了解を得て、 主な意見の集約をしております。それから、この前の佐久での審議、また、きょうの御 議論を踏まえまして、次回におきましては、そういったものをもとに、できるだけ客観 的で公平、中立な論点整理を私どもの方でたたき台をつくらせていただきまして、それ をもとに御議論をさらに深めていただいたらということを考えておりますので、よろし くお願いしたいと思います。  それから、今のB委員の資料の提出につきましては、これはまた御相談させていただ きたいと思います。 ○B委員  次回、論点整理をお出しになるんですか。 ○事務局  これは従来の年金審議会、前回改正の時もそうだったわけですけれども、起草委員の 意見書の作成に先立ちまして、事務局の方で審議整理メモというのを出させていただい ております。今回もできましたら、そういう形で論点整理をさせていただいて、それを もとに御議論いただくと。それを踏まえて起草委員の方に最終意見書をまとめていただ くと、こういう手順を踏むのが意見書の取りまとめに当たって非常にスムーズにいくの ではないか、そういうことを考えております。 ○B委員  その審議整理メモの話、今初めて伺うんですが。 ○会長  先ほどQ委員がおほめくださったように、事務当局の整理能力というのは抜群であり まして、これは抜群の官僚諸公を選考して入れている証拠だと思いますが、文章をもと にして議論をするということで、もう少し、同じことを繰り返して言うだけではなく一 歩前あるいは二歩前に進むこともできるだろうと思います。もちろんB委員が、こうい う報告書草案をつくれというふうに仕様書をお書きくださってお渡しになるということ これ結構であると思いますけれども、これ、よろしゅうございますね。もしそういう御 希望があれば、仕様書をお書きくださるということは。ただ、それをどの程度取り入れ るかは、これは起草委員にお願いした方々の高度の学識経験の御判断におゆだねするこ とになるかと思いますが、いかがでございましょうか。  日本は国会がございまして、法律というものがある政治制度になっておりまして、厚 生年金保険法も御存じのように5年ごとに財政再計算をして法律の改正することに決ま っております。その法律の改正、関連法令の改正が来年でございますから、来年早々法 案の提出ということも事務局当局は考えざるを得ない立場にいるわけです。そういうこ との諸般の諸事情から逆算いたしますと、そろそろ文書になった意見書の草案を審議会 が用意いたしませんと事態が進行しないと、そういう状況でございます。これを私ども が審議会委員になります前から、日本の法体系がそういうふうにできておりますので、 いたし方があるか、ないかは別でございますが、よろしゅうございますか、そういうこ とで。               (「異議なし」と声あり) ○会長 もし、文章になった意見書草案というものを次回からたたき台と言うと変ですが、そ ういう日本語もございますが、もとにしていろいろ意見をまとめるというふうに一歩踏 み出してよろしいというふうな御意見でよろしゅうございましょうか。 ○B委員  審議整理というのはどういうのか、今、初めて伺ったんですが。 ○事務局  これは、「年金審議会でのこれまでの主な意見」というのは、既にご紹介しておりま すが、こういったのをもとに、それぞれの論点についての考え方を整理すると、そうい うものでございます。これは前回改正の時も年金審議会で取りまとめのときには、そう いう資料を事務局から提出をいたして、それをもとに御議論いただいた。それを踏まえ て、起草委員の方に意見書をまとめていただいた。そういう手順を踏んでおりますので 今回もそれぞれの論点についての考え方を整理したものは事務方で準備をさせていただ きたい、こういうことでございます。 ○B委員  それに反対しているのではなくて、今まで事務サイドから、そういう御説明が一切な くて、文書による検討というのは、いきなり報告書のドラフトが出てくるんだと。その 前段階では事務局が勝手にまとめることは一切できないのである。こういう説明を受け てきたので大変とまどっているわけで、ある意味で、私、歓迎したいと思うんですけれ ども。 ○事務局  ちょっとよろしいでしょうか。これはもちろん最初から起草委員の方にそういう文章 を取りまとめていただいても結構なんですけれども、現実問題としてはなかなかそうい うわけにいかないと思います。これは従来の例にならって、当初の各論点ごとの意見の 整理、こういったものは事務方でやるのがスムーズな審議に大いに役立つのではないか そう思って、そういう資料につきまして、私どもの方で準備をさせていただきたいと。 もちろんそれについて異論があれば、大いに御意見を出していただいて、それをどう料 理するかということはこの審議会の方で御議論いただいて決めていただくわけです。私 どもはそういう議論のための素材を準備させていただきたいということでございます。 ○B委員  それはこういうイメージのやつですか。(横長のペーパーを掲げて) ○事務局  きょうはございませんけれども、前回改正時の年金審に審議整理メモとして事務方が 提出をしたと、これと同じようなものを私どもとしては考えております。 ○会長  起草委員のお名前などはまだ全然ございませんが、もし、よろしければ、そういうふ うに意見書のたたき台といいますか、それをもとにして、あるいは手がかりにして、あ るいは足がかりにして議論をするというふうに次回からさせていただきたいと思います  起草委員の指名は次回の審議会で行いたいと思いますが、その人選も20人の委員が議 論して決めるというのは甚だ不適当かと思いますので、形としては人選は私に一任させ ていただくということでよろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○会長  それでは、そのようにさせていただきます。  本日、予定されておりました議事は以上でございますが、本日の資料につきましては 先ほどのF委員が要望された資料を含めて全部公開いたしましょうか。それともこれは まだ「未定稿」と書いてございますので、留保いたしましょうか。いかがですか。どう ぞ。 ○事務局  F委員にお示した資料はまだ未定稿でございまして、この場限りでお取り扱いいただ ければありがたいと思いますが。 ○会長  そういう事情でございますので、今のF委員の御要望による資料は別扱いといたしま して、この場限りということにして、残りの資料をすべて公開することでよろしゅうご ざいましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○会長  それでは、今後の日程について、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局  次回は16日、来週水曜日でございますが、午前10時から厚生省の会議室で予定いたし ております。それから、次々回が21日(月曜日)2時から、これも厚生省の会議室でご ざいます。 なお、今後28日の週に各委員の御都合を調整いたしまして、その次の審議会の日程に 忙しくなりますが、よろしくお願い いたします。本日はこれで閉会したいと存じます。どうもありがとうございました。 年金局 企画課 須田(3316)