98/09/02 内分泌かく乱化学物質の健康影響検討会議事録(4回) 内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会(第4回) 議事録 厚生省生活衛生局 日 時 平成10年9月2日(水) 10:00〜12:00 場 所 中央合同庁舎5号館共用第9会議室 [出席委員]  伊東座長、青山委員、阿部委員、井口委員、井上委員、岩本委員、押尾委員、黒川委 員、 紫芝委員、鈴木(勝)委員、鈴木(継)委員、高杉委員、高田委員、武谷委員、田中 委員、 津金委員、寺尾委員、寺田委員、真柄委員、松尾委員、山崎委員、和田委員 [事務局]  内田食品化学課長、平山生活化学安全対策室長、他課長補佐以下8名 [オブザーバー]  環境庁、通商産業省、農林水産省、文部省 ○内田食品化学課長 おはようございます。それでは、定刻になりましたので、ただいまから第4回内分泌 かく乱化学物質の健康影響に関する検討会を開催いたします。本日は、御多忙のところ お集まりいただきまして誠にありがとうございました。 申し遅れましたが、私は7月7日付で異動がありまして食品化学課長を拝命いたしま した内田でございます。よろしくお願いいたします。 本日は、委員の先生方25名中21名の先生方に御出席をいただいております。 それでは、座長の伊東先生、議事の進行をお願いいたします。 ○伊東座長 それでは、まず事務局から配布資料の確認をお願いいたします。 ○池田補佐 それでは、配布資料の御確認をお願いいたします。 お手元に資料といたしまして1枚目に議事次第がございまして、2枚目が座席表でご ざいまして、3枚目に配布資料一覧というものがございます。本日の資料は1番から5 番までございます。 資料の1番といいますのは全体で5ページございますけれども、OECDの関係の会 議の概要等についての資料でございます。 それから、資料の2番というものが全体で12ページございますけれども、平成10年度 の補正予算によります内分泌かく乱物質に関する厚生科学研究課題の概要という資料で ございます。 それから資料の3番でございますが、「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検 討会中間報告書の骨子について」ということで1枚紙でございます。 それから資料の4番でございますけれども、「ポリスチレンのエストロゲン性試験結 果について」という資料でございまして、これは2枚紙と資料4−1ということで、そ の試験結果は英文のものでございます。右上の方にページが入ってございますが、全体 で17ページまであるものでございます。 最後に資料の5番でございますが、これは一番最後に3枚つづってございますが、平 成11年度の予算におきます内分泌かく乱化学物質関係の研究費等の資料でございます。 以上でございます。過不足等がございましたら、事務局の方へお知らせいただければ と思います。よろしくお願いいたします。 ○伊東座長 それでは、資料1に基づきまして井上先生からこの内容につきましての御説明をお願 いしたいと思います。井上先生、よろしくお願いします。 ○井上委員 おはようございます。井上でございます。 資料1は、この表題にございますようにOECDの内分泌かく乱化学物質の試験及び アセスメントに関する試験法指針に関する各国調整官、(ナショナルコーディネーター ですけれども)、ナショナルコーディネーターミーティング及びリスクアセスメント専 門家会議と称する、(略称はOECD、EDTA、エンドクライン・ディスラプター・ テスティング・アンド・アセスメントでありますけれども)、この会議が今年の3月と それから先日の会議、4ページ目に当たりますが、第2回目が8月に行われました。そ れで、3月の会議はOECDのパリの本部で行われまして、第2回目の方はEPAが招 いた形で行われまして、ワシントンDCのバージニア寄りのメリオットホテルで行われ ました。 それで、第1回目、第2回目を通じまして、本邦からは厚生省を始め、通産、農水、 環境、農水の方は水産庁含みですけれども、4省庁の関係者の方が御参加になりました その関係者の方もここにいらっしゃいますので、もし補足がありましたら後でお願いし たいと思います。 この会議の要件はOECDとしまして、この目的のところにございますように現在あ る内分泌かく乱化学物質に関する試験戦略、いろいろな試験法がございますが、これは 昨年の3月に資料を集めて、昨年の9月までに各国の意見を求めるというような形で公 開されました。それで、その資料に基づいて、その中から適切な試験法、ないし試験法 のバッテリーをこのエンドクライン・ディスラプティング・ケミカルの性質に基づいて 選び出し、そしてこの問題についてどういうふうな形で取り組んでいくか、試験法の詳 細についての条件設定、あるいはまたそれに先立ってエンドクライン・ディスラプティ ング・ケミカルの定義づけ、そういったことをもろもろ行いました。 それで、ここで出されました基本的な点は逐次この資料に沿って御説明してまいりま すが、この会でも幾度か確認されましたように、まず論点につきましてはエンドポイン トとしては種の保存を脅かす生殖毒性、そういう可能性ということです、環境及びヒト の健康に対して種の保存の問題をエンドポイントに置く。あるいはそれに符合するエン ドポイントを設定するということが第1点であります。 それから、ヒトの健康と環境を分けてそれぞれを別途に検討するという点が第2点で す。すなわち、環境暴露とヒトに対する暴露とを分けてアセスメントをする。考え方と しましては、自然の中でのいわゆるワイルドライフの方が感受性が高いということもあ り得る。また、事実そのような示唆も出されているというようなことにかんがみてワイ ルドライフを独立して観察するようにして、ヒトに影響がなければ構わないというよう な形はとらない。ワイルドライフはワイルドライフ、ヒトについてはヒトについてとい うような考え方でいくということです。 それから、この会議には、もともとそれに先立ちましてEDSTAC(エンドクライ ン・ディスラプターズ・スクリーニング・アンド・テスティング・アドバイザリー・コ ミッティですね。)を通じて、EPA、米国の環境保護庁が試験法等について戦略を既 に出しておりましたから、そのEDSTACのメンバーからの考え方だとか、そういっ たものをよく聞いて調整を進めるというスタンスで行われました、たとえばEPAの方 では甲状腺を試験法の中に取り入れるということを基本に含めておりましたので、この 点についてOECDではどうするのかというようなことが議論になりました。(ちなみ にここでは基本的には甲状腺をわざわざ取り上げはしないということになりました。し かしながら、既存の試験の中でこれらについて注意を払って見ていくということになっ ております。) 次に試験法のスキームでございますけれども、このような結論のエンドポイントに対 しましてどのようなデフィニティブ・テスティング、「決定的な試験」のバッテリーを 組んでいくかということについて決めて、(すべてが生殖発生の、例えば2世代試験と か、そういったことができるわけではありませんので)、それらに対するプレスクリー ニングであるとか、更にその後の(ちょうど環境保護庁の方式でいいますと)第1相試 験とか、第2相試験とか、そういうふうなものを組み合わせていって、そうした試験の 途中経過の中で、次第に灰色のものにそれなりに白黒をつけていけるような試験法バッ テリーを確立するという考え方であります。 それで、そのデフィニティブ・テスティングについての合意事項についてはここに、 1)哺乳類から始まって鳥類等に至るまで注釈をずっと書いてございます。それで、こ の中の基本的な点は、例えば1)のところにございますように、テストガイドラインの 406について申しますと 、OECDはたくさんの化学物質に対するガイドラインをこれ までにもつくって、化学物質の安全であるとか、さまざまな方面でのガイドラインとし て使ってきておりますけれども、この中で一つ一つそれらのガイドラインの中でエンド クライン・ディスラプターズの検出に役立つというか、エンドクライン・ディスラプテ ィング・ケミカルの検出に関連する試験法というものを選び出して、そしてそれで不十 分なものについてはここでは拡大という言葉で訳してありますけれども、エンハンスメ ントすなわち補強を行うというわけであります。 つまり、例えば406 について言いますと、それに対して更にホルモンの定量を行った りして、(原法ではそういうことが入っておりませんけれども、)種々のホルモンを測 定するとか、そういうふうな形で強化するといいますか、そういうふうな必要に応じて 強化するというようなことを一つ一つ検討をしているところであります。 それで、時間の関係上、第2回目の会議に話を進めさせていただきます。第2回目は EPAがこのOECDのエンドクライン・ディスラプターに関するEDTAメンバーを 招くような形で開催されました。それで、EDTAメンバーの側からいたしますと、E PAのメンバーの方たちがかなり多数出席してくれましたので、いろいろ質疑をしてE PAの考え方を質しながらOECDの方針を定めていくというようなことができました ので、このことについては感謝というか、大変有効であったというふうに私は感じまし た。 ここでの目的は4ページの目的のところに書いてありますように、各国で準備中の内 分泌かく乱化学物質に関する試験戦略を通覧した上、それらをすり合わせて国際的な共 同実験の実施計画を立てることであったかと思います。 それで、具体的には1)で、この問題の国際戦略としての枠組みを確認して、そして これにはワーキンググループが設定されましたので、EDSTACの方針であるとか、 ヨーロッパ工業会の方針であるとか、日本の推進状況と我が国のどういうふうに進める べきかについての提案などを行って質疑を行いました。 日本の推進状況についての説明は、各省庁の中にこのエンドクライン・ディスラプ ターに関する連絡会が設けられておりまして、これに先に申し上げたパリの会議に出席 したメンバーがこれに加わり、各省庁の準備状況を説明しました。殊に厚生省につきま しては先の補正予算で臨時に28日間試験であるとか、ユテロトロフィック・テスト、あ るいはハーシュバーガーテスト、また環境庁さんの方でもそれなりの野生生物に対する 方針をお持ちのようですし、そういったこと全般の御説明を伺って、それを私の方でま とめてそのまま報告いたしました。 それから、次にこのEDSTACであるとか、ヨーロッパ工業会の方針であるとか、 そういったものに沿って試験法と試験化合物についてどうあるべきかについて、例えば どの試験法とどの試験法を取り上げてどのような実験、デザインでもって、どんなケミ カルを使って進めるかなど、方法、試験法を統一する必要があるかというようなことを 含めて議論して、これについて決定できるものは決定いたしました。 決定と申しましても細かいことまではまだ決まっておりませんで、概略が経過とまと めの項の1)のところにございますが、試験法としましては差し当たりユテロトロフィ ック・アッセイ、ハーシュバーガー・アッセイ及びテストガイドラインの407(改良型) 、を取り上げました、この改良型というのは先ほど申しましたように407に書いてある ものに加えて、種々のホルモンのチェックをしたりするというようなことでございます それで、国際的共同実験としてこの3つが差し当たり合意されて、今後もこれにつづい て更に魚のテストであるとかについて今、議論が進められているところであります。 そこで、この3つの試験について簡単に申します。まず、ユテロトロフィックアッセ イ。もともとメスもオスもエストロゲンが生体内では分泌されておりますが、この主流 を断ち切る、つまり卵巣を摘除するわけです。この卵巣を摘出しますと生体内の女性ホ ルモン・タイターは激減いたします。(そのこととの結果の直接関係は因果関係程度し か私には認識がございませんけれども、そして細かいところはよく分かっていないと思 いますけれども、)子宮が劇的に糸のように細く萎縮いたします。 それで、ここに化学物質と、それからエストロゲン双方を投与するものと片方だけ投 与するものと分けて投与して比較するというような方法でもって投与計画を立てますと 2週間程度の経過の中でさまざまな変化が起こります。子宮は最初の3日程度の間は主 としてサイトカイン等の関与によると思われる浮腫が起こってまいります。それで、急 速に大きくなるわけであります。この卵巣を摘除しないでこれを行いますと多少大きく なるわけですけれども、とても劇的な変化ではありませんので鋭敏さを卵巣摘除によっ て獲得することができるわけであります。その後は更にこの浮腫に取って代わって子宮 の上皮細胞であるとか、一部間質細胞の細胞増殖が起こります。したがいまして、当然 のことながらDNA合成がありますので、色素をラベルした核酸前駆体のようなものを 投与いたしますと、これを計測することができるというようなことで、初期の浮腫の部 分で測定したり、あるいは後期の細胞増殖のところでこのエストロゲン様作用を測定す ることができるという内容のものであります。こういった方法を使ってユテロトロフィ ックアッセイをするということであります。次の、ハーシュバーガーアッセイと申しま すのは、これはちょうど先の実験のオスとメスの裏返しの状態のものでありまして、あ らかじめラットを去勢しておき、その去勢の後に、これは40年以上前から行われていた 比較的古典的なテスト法で確立された方法と考えられますけれども、離乳後の去勢ラッ トに5日から7日、1週間程度テストステロンと、先ほど申しましたような化学物質、 そういったものを経口投与をいたします。経口投与の後に、この場合には勿論、化学物 質単独のものも投与いたします。そして、その後に前立腺の重量、精嚢腺の重量、凝固 腺の重量、包皮腺の重量、あるいはDNA、RNAの含量、オルニチン脱炭酸酵素、そ れからアンドロゲン・レセプターの測定、そういったことのもろもろを行っていくとい うエンドポイントを持っております。 最後に407 のテストガイドラインでありますが、これはいわゆる28日間テストという ふうに呼ばれている連続投与試験であります。それで、これにつきましては4週間連続 投与を行った影響を観察するというわけでありまして、先ほども申しましたようにエン ハンスメントではこれに通常ですと解剖、それから病理組織の検索というようなこと行 われますが、更にそれに加えてもろもろのホルモンの定量を行うというような強化方針 をとっております。 ちなみに、ユテロトロフィックアッセイにつきましてはこうした卵巣を摘除するとい う方法をとらない。と申しますのは、卵巣摘除はそれなりの手術でありますので、(必 ずしも動物愛護ということではないんですけれども、)手術手技にいろいろなばらつき があってもよくありませんし、しかもそこに感染症などを受けますとサイトカインの分 泌が起こりますので、その結果当然データがばらつくというようなことが起こりやすい というようなことなどを考慮して、いわゆる幼生期のイマチュア・アッセイという、ま だ成長し切れない段階で卵巣を摘除しないで、直接エンドクライン・ディスラプターを 投与するというような方法がございます。どちらかというとこれ(イマチュア・アッセ イの方)を採用したらいいのではないかというような考え方もありまして、同会議の中 ではむしろそちらの方を重視するというような方向になっております。 これにつきましては日本側からというほどのことではないんですが、専門委員の立場 から、私どもで果たしてこういった幼生期のアッセイ法と卵巣を摘除する方法のどちら がいいのかについて少しコメントをいたしました。すなわち、幼生期のアッセイという のは確かにこのエンドクライン・ディスラプターの影響が胎児期であるとか、小児期で あるとか、そういった未熟な時期に対する影響というものを念頭に置くことも必要であ るということがありますので、それなりの意味を一面で持っているかに見えるんですけ れども、ホルモンレセプターがそれなりに十分に成熟していないということは否めない わけでありまして、そういう面から鋭敏な試験という意味では果たしてイマチュアアッ セイがいいのか、卵巣摘除によるものがいいのかというところは議論のあるところだと いうふうに私どもは考えておりましたので、そんな発言もいたしました。 これに対しましてEDSTACのメンバーからは、両方とも十分に鋭敏であるという ような返事が返ってまいりました。この点については、ここにも書いてありますように この方はBASFの方ですけれども、ゲルプケさんやケーターさん、あるいは私がキー パーソンとして日本の皆さんの御意見を集めて交渉をいたしますが、バリデーション・ マネージメント・コミティのようなものができることになりましたので、その中でもう 少し意見を詰めていきたいと思っております。話が細かくなりましたが、一応方法のこ とについて少し丁寧に説明させていただきました。 それで、テスティング・ケミカルとしましては、ここにありますように4つのものを 念頭に置いて行うという考え方が示されました。それは、ポテントエストロゲンとして のエチニルエストラダイオール、それからエストロゲン受容体アンタゴニストとしての ZM189,154 というアンタゴニスト、ケミカルでありますが、よく実験のコントロール などに使っているものであります。それとアンドロゲン物質としてのメチルテストステ ロン、それからアンドロゲン受容体アンタゴニストとしてのフルタマイド、この4つを 念頭に置いてはどうだろうという提案がありました。 これは、まだ決定というふうには認識しておりませんが、合わせて私どもからもこれ 以外の幾つかのケミカルのバッテリーを提案しております。これについても11月16日、 たしか月曜日だったと思いますが、そのころまでに決めて、そして参加できる団体をつ のって、国はこれを遂行するというような方向になっております。その間、恐らく電話 会議等、いろいろなものを行って詰めていくことになるものと考えております。 その後、この試験法に関するコメントとしてというところに私が先ほど申し上げまし た点が少し書いてあります。試験に当たりましては試験バリデーション運営委員会、バ リデーション・マネージメント・コミッティを組織して、今申しましたような方法を同 一被検物質で行うことになっています。過日この委員会で寺尾委員の方からちゃんとし た同じロットを使うような方向で進んでいるのかという御質問をいただきましたが、そ のことを確認いたしたところであります。 なお、実際の実験に当たっては若干の問題がありまして、我が国は会計年度の関係で もってもうそろそろどんどん実験を始めなければ、3月末に実験を終わらせるというよ うなことにいろいろ支障がくる実験が中には含まれているわけでありますが、これも恐 らく会計年度との関係だとか、あるいはフレキシビリティーとの関係でOECDの方で は12月までにはせめて決めたい。そうすれば間に合うであろうというような考え方のよ うに受け取られましたので、これについてもできるだけ被験物質を早く決めたいという ようなことを公式に発言させていただきました。 以上ですけれども、説明が足りない点があるようでしたらまた補足したり、あるいは 同時に一緒に御出席になっておられた委員もたまたまここにもおられますので、補足し ていただいたりということにしていただきたいと思います。以上です。 ○伊東座長 ありがとうございました。いろいろと資料を中心に御説明いただきましたけれども、 ただいまの御説明につきまして何かコメントあるいは御質問などがございましたらどう ぞお願いいたします。どうぞ。 ○高杉委員 井上先生のUterotrophic Assayで卵巣摘出法と未成熟を使う方法を御説明いただきま してよく分かりましたが、卵巣摘出法をやらないで未成熟メスだけの方法で結論を出す というのはちょっと危険であろうと思うんです。 といいますのは、エメンスなどのホルモンアッセイというのを見ますと、フォーデー テストなどでは卵巣を摘出した18日から20日齢ぐらいの幼若なラットを用いて、卵巣を 摘出して2日後からフォーデーテストをやっておるわけです。それで、その場合、子宮 の中の水がたまりますけれども、これは最初の6時間はパラレルであるけれども、それ から後は増えたり減ったりして、子宮内のフルイッドを入れたまま重さを量ると非常に フラクチュエーションがある。 したがって、この卵巣を取って2日後からフォーデーテストをやって子宮を取り出し て子宮の内液を出して量る方が4日の場合はベターであって、子宮の中の水を含めたま ま4日後に重量を量るのはバリューレスであると書いてあります。したがって、これは 両方やった方がやはりいいという感じがいたします。以上です。 ○伊東座長 ありがとうございました。そのほかどうぞ。 ○紫芝委員 総論的な問題としてちょっとお尋ねしたいと思いますけれども、このOECDの取り まとめは各国のいろいろなことに対して拘束力はないんですね。例えば、EPAは甲状 腺をやると言っているんだけれどもOECDはやらないと言っているのは、各国に対し て別に拘束力を持つわけではないというふうに理解させていただいてよろしいでしょう か。 ○伊東座長 どうぞ。 ○井上委員 ただいまの御質問についてはそのとおりでございます。 それで、高杉先生のコメントにつきましては私どもも先生のおっしゃるとおりと考え ております。実際に初期から14日前後までずっと継続的に測定をしたり、更にその観察 をしたりというようなことを私どもでも予備実験として行っております。それで、でき れば11月の試験法に関する会議までに両方のデータを取って(幼若試験については私ど もまだ行っておりませんけれども)両方を比較した結果を示して、それぞれの検出のメ リットとか、あるいは検出のターゲットとかというものを示して各国がどういう態度を とるかということを投げてみたいと研究者レベルではそういうふうに考えております。 それで、実際に各国が両方やることになるかどうかは経済的な問題もあると思います ので、そこまでは私どもは分からないんですけれども、そういう結果を見て各国がどの ように動くかということについて、逐次できるだけ皆さんに分かるような形で御報告し てまいりたいと思っております。 なお、厚生科学研究をちょうだいしているリシピエントの立場としては、これは両方 進めるつもりでおります。以上です。 ○伊東座長 どうぞ。 ○武谷委員 ラットの内分泌動態は必ずしも専門ではないのでだれか専門の方がおられましたらお 聞きしたいんですが、アダルトラットを去勢したときエンドージナンスなエストロゲン は微量出ていると思うんです。それと、幼若ラットのエストロゲンの濃度も多少出ると 思うんです。そのレベルに違いがあるとしたら、ある時はアンタゴニスティックな作用 が前面に出て、あるときはアゴニスティック作用が出ることもあり、単なるエージング の差とか、リセプターステータス以外にエンドージナスなエストロジェンレベルによっ て見る効果が違ってきてしまうこともあろうかと思うんですが、その辺はまずいかがか ということです。 第2点はエンバイロメンタル・ディスラプターの生殖への影響を考える際に、子宮の みをエンドポイントとして見ていますけれども、生殖というのは御存じのとおり卵巣機 能とか、それから胎児など、いろいろなところのものが複雑に絡み合うところでありま して、子宮の作用のみに注目することが果たしてエンバイロメンタル・ディスラプター の生殖への影響の代表になるかどうか。エストロゲン・レセプターは2種類あるわけで すけれども、各生殖臓器の分布が違っているというのも分かっており各物質は、かなり セレクティブに働くことになります、したがって子宮のみに注目することが本当にそれ でよいのかどうかという問題は残るかと思います、お答えいただければと思います。 ○井上委員 武谷先生のおっしゃるとおりだと私どもも考えております。実際のエンドポイントと してどこまで広げることができるかはともかくとして、先生のおっしゃるとおりである と思っています。 ちなみにアダルト(成獣)の卵巣摘出系につきましては乳腺の観察なども実際にやっ ておりますがよく反応いたしますし、さまざまな臓器でいろいろ反応するものと思って おります。現在行われることになっておりますのはそのほかには体重の変化、それから 腟の細胞学的、組織学的変化、子宮腺の増加の程度、それのほかに腟の角化度の変化、 それから血清ホルモンとしてT4、T3、TSH、LH、E2は勿論ですが、あとはプ ロラクチンの上昇の程度、それからこれとは別に肝重量と肝組織学が現在の計画の中に は入っております。それ以外に先生の御指摘になるようなものを自主的なレベルで私ど もでどのぐらい加えるべきかという点については、改めていろいろ先生方の御意見を含 めて取り入れさせていただきたいと思っております。今日はありがとうございます。 ○内田食品化学課長 今の武谷先生の御意見に対する追加のコメントですけれども、前回OECDのケー ター博士も説明していたかと思いますが、OECDのテストの全体の枠組みというのが 3段階あって今、井上先生に参画していただいているのはとにかくスクリーニング試験 をやってみましょうということでございまして、最終的には今の段階では生殖のエンド ポイントということで2世代の繁殖試験を考えている。 ただ、今の議論はスクリーニング試験についてどういうことをやっていこうかという ことをOECDで議論しているということでございます。 ○伊東座長 寺田先生、どうぞ。 ○寺田委員 先ほどのお話の確認なんですけれども、OECDの報告で細かいことをいろいろお話 しされていますがその位置づけをはっきりしたいと考えています。これはOECD会議 の報告で国際的な内分泌かく乱物質測定法のスタンダードはどういうところにあるかと いうお話をされ、それをもとに日本ではどのような貢献をしていこうかというお話です ね。 日本は日本としてスクリーニング法のガイドラインをこの会で討議し、リコメンデー ションするということなんですね。実際にガイドラインをつくるかどうかは別にして。 OECDのものは報告として単に受け取ったらいい。日本としてはこういうガイドライ ンが望ましいという話を進めていくということですか。 ○内田食品化学課長 おっしゃるとおりでございまして、OECDは最終的には何らかのガイドラインをつ くるということで、これは専門家のレベルではなくてOECDのいろいろな会議の中で 国の代表者が参画する会議でガイドラインとしてどうしようかということで、それはい わゆるリコメンデーションのようなものになるかと思いますが、今はその前の学問的な 検討を行うという段階でございます。 ○寺田委員 学問的な検討をするといいますと、井上委員が最後のところでおっしゃいましたよう に、日本の中でこういう提案をしたらいいというのが当然サイエンスに基づいてやるべ きです、今、厚生科学研究費で内分泌かく乱物質に関して6つの分野に今お金が出てい ますが、その中で広瀬さんの中に1つだけ活性の測定をする研究項目が入っています。 こういう実際のテストはどこでやられるんですか。この委員会で基になるデータはどの 研究が基になるのか教えて下さい。 ○内田食品化学課長 OECDの今、行われているプロジェクトでは、データの作成は各国がやってほしい ということなんです。それで、私どもはそういうOECDの要請を受けて、国家予算で とにかく支援できるところは支援していこうという考えでございます。したがって、O ECDの議論をできるだけ反映した形での補正予算に取り組みたいと思っています。そ れは厚生省もそう思っておりますし、先ほどから御説明がありましたように、関係省庁 も一定の役割を果たすということを私どもとしては期待しているということでございま す。 ○寺田委員 それは、後からの研究費の説明のところでまた出てこようかと思いますので、そこで おききします、どうもありがとうございました。 ○伊東座長 どうぞ。 ○井上委員 研究費の説明のところでお答えすべきかもしれませんが、研究費のリシーピエントの 立場といたしましては現在通産関係のこのテストを進められる方たち、それから厚生省 の中の例えば食品医薬品安全センターであるとか、そういったそれぞれの担当の方たち にお集まりいただいて、例えば私どもにつきましては菅野班、これがハイスループット の計画を立てておりますが、これと連動をする関係上、このハイスループットの班の中 に農水の方たちも実験レベル、研究者レベルの方にお集まりいただいて、実際の実験、 それぞれの予算で例えば407 であるとか、それぞれが動きつつありますので、あらかじ め実験者レベルで調整するように準備をしているところでございます。 ○伊東座長 どうぞ。 ○青山委員 私どもの方でも農水省の補正予算事業、もう一つは通常予算からも援助をいただきま して、農水省側も同じようにOECDの共同実験に取り組んでいます。こういうことは てんでばらばらにやっても非常にまずいということで、例えば私どもは専門委員会を設 けまして、こちらにお越しの黒川先生、井上先生、あるいは鈴木先生方にもお入りいた だきまして意見をちょうだいしたり、あるいは研究面ですり合わせをしながら取り組ん でいるところであります。 ○伊東座長 ありがとうございました。今ディスカッションがございましたように、OECDで対 応を決めていっていただきたい。そのまま我が国に持ち込むのではなくて、我が国独自 の考えとサイエンティフィックな立場でいろいろのデータをお出しいただいた上で、O ECDあるいはEPAの方々とのディスカッションに入っていくということが望ましい というふうに思いますので、これからいろいろの関係の研究をされている方との協調関 係を一にしていただきたいというふうに思うわけでございます。まだいろいろ御議論が あろうかと思いますが、次に検討すべき問題もございますので、次の問題に入らせてい ただきたいと思います。 次の議題は、平成10年度の補正予算による内分泌かく乱化学物質に関する厚生科学研 究課題の概要についてでございまして、これも事務局から御説明をいただきます。 ○内田食品化学課長 それでは、御説明いたします。 前回の検討会のときに私どもの方でごく簡単に補正予算、どういうことを行っている かということを御説明をいたしましたが、その後、各研究をお願いしている先生方から もうちょっと詳細な研究計画が出てまいりました。それで今、先生方のお手元にあるの はそれを若干まとめる形で資料としたものでございます。資料2に基づきまして、最初 から簡単に御説明をさせていただきます。 資料2の1ページ目が「内分泌かく乱化学物質の胎児、成人等の暴露に関する調査」 ということでございます。具体的な研究の内容を適宜この資料をピックアップして御説 明させていただきますが、研究概要の(3)のところでございます。ここに書いてある ようなことを行いたいということでございます。 第1点として「内分泌かく乱化学物質の胎児・乳児暴露等に対する調査研究」という ことで臍帯血、それから母乳中の内分泌かく乱化学物質に関する研究を行うということ で母乳、臍帯血、それから妊婦血液を対象とした化学物質の試料調製法を含む超高感度 の分析法を開発しようという研究でございまして、そのカバーする物質のカバレッジが 一体どういうことになるかというのが多分一番の問題点になるんだろうと思いますが、 それについての概要がその次の2ページ目の研究計画の同じ(1)のところで、どうい う物質を重点にしたいかということでございますが、これまでのモニタリングで環境中 に検出されており、生産量が多く、有害性・残留性の高い物質を選定し、これを重点と するということで、予備的にはここに幾つか書いてありますが、こういうものをまず最 初に取り組みたいということでございます。 それで、元のページに戻っていただきまして1の2)でございますが「母乳中の内分泌 かく乱化学物質と乳児の健康影響に関する研究」ということでございます。この部分は 焦点がダイオキシンでございます。それで、ダイオキシンにつきましては別途ダイオキ シンの研究班が何本か走っておりまして、母乳中のダイオキシンについて今の時点で測 定がある程度きちんとできるようになっているということでございまして、その手法を 使いまして一部の先生で母乳中のダイオキシンと、たしか甲状腺ホルモンの関係が研究 されておられる先生がありますが、恐らくそういう手法を参考としてこの問題をこの研 究班で取り上げたいということで、更に乳児の甲状腺機能の低下とか、それから胎児の 影響等を調べたいということでございます。 それから、2番目の「内分泌かく乱化学物質の成人暴露等に関する調査研究」という ことでございますが、この部分は子宮内膜症に焦点を当てまして、子宮内膜症の患者さ んとその内分泌かく乱化学物質の関係が一体どうなんだろうかということがいろいろ取 りざたされていることもありますので、アイデアとして腹水中の化学物質について分析 をしたい。研究班の席上で私ども出席させていただいたんですが化学物質、特にこうい う物質は脂溶性のもので果たしてどの程度できるかというようなこともたしかあったか と思いますが、一応こういうことができるということであるならばやってみようという ことでございました。 それからあとは2)でございますが、その次のページでございます。「成人の血液、毛 髪中における内分泌かく乱化学物質と食生活要因等に関する調査研究」ということで、 血液、毛髪中の内分泌かく乱化学物質の研究と、それからあとは食生活との関係につい て考察できるようなデータをつくりたいということでございます。 それから、その次の3)でございますが、ヒトの解剖検体を用いまして肝臓、脂肪、血 液等の内分泌かく乱物質に関して調査研究を行うということでございます。 私どもとしては、上記いずれもヒトを対象とする試験でございますので、倫理的な側 面は一応きちんとしてくださいというようなことをお願いしてまいったところでござい ます。それであとの研究は、研究班が実際に行われて会議が行われているものと、それ からこれから研究計画をつくった後で先生方にお集まりいただいてどうしてやっていこ うかといういろいろな状況がありまして、私ども事務局としましてはできるだけこれに 参画して情報を収集したり、あるいは研究班同士の情報交換、つなぎの役割をしたいと か、いろいろ考えていますが、そういう意味で今のページのものについては事務局が参 加する機会がありましたが、それ以下のものは参画したり、していなかったりというよ うな状況でございます。事務局としてはなるべく多くの研究班に出席をして、いろいろ な研究班同士の相互調整のお役に立てるようにしたいと、このように思っております。 それで、その次の2番目の研究でございますが「内分泌かく乱化学物質の食品、食器 等からの暴露に関する調査研究」でございます。4ページ目でございます。主任研究者 は国立医薬品食品衛生研究所の斎藤先生でございます。ここの部分につきましては、研 究の概要のところで御説明をいたします。1から4までについて研究をしていただくと いうことでございまして、1番目としましては「フタル酸エステル等の暴露に関する調 査研究」で、主な暴露源である食品、それから乳幼児が使用する歯固めとか、フタル酸 のエステルを含有する玩具などからの化学物質の分析法を調べるということでございま す。 それから、2番目でございますが「ビスフェノールA等フェノール化合物の暴露に関 する調査研究」で、先生方御承知のようにポリカーボネート容器、それから缶詰内の塗 装、コート材料から食品に要するこれらの化学物質の調査研究を行うということでござ います。それで、分析法は幾つか書いていますが、GC−MSとか、ECD−GC、そ れからHPLCなどを用いて精度の高い方法を確立するということでございます。 それから3番目でございますが、肥育用ホルモン等の畜水産食品中の残留に関する調 査研究ということで、これはここに書いてございます天然型ホルモンをRI法で測定す るということでございます。それから、魚介中のトリブチルスズとかPCBとかDDT についても汚染実態を調査をするということでございます。 その次の「その他の内分泌かく乱化学物質の暴露に関する調査研究」でございますが 食品経由の摂取量で天然の内分泌かく乱化学物質として調べているイソフラボンについ て分析法を確立して調理加工後の摂取実態を明らかにするということでございます。そ れから、そこに書いてございますようにスチレンについても研究をする。それから、難 分解性の有機塩素系の農薬の調査も行って、難分解性有機塩素系農薬物というのは10 ページの4のところにもうちょっと詳しく書いてございますが、輸入食品でこれはここ に書いてございますようにほとんどが日本では使われていない農薬だと思いますけれど も、そういうものの実態調査を行うということと、日本で使用されているが残留実態調 査が少ない農薬について、ここに記載されているようなものを対象に調査をするという ことでございます。 それで、その次が6ページ目でございます。「内分泌かく乱化学 物質の水道水からの暴露等に関する調査研究」ということで、主任研究者は国立公衆衛 生院の水道工学部長の国包先生でございます。研究は2つに大きく分かれまして、研究 計画のところで御説明しますが、1番目として「環境汚染に由来する水源起因の物質に 関する調査」ということで、原水における存在量とか、それから水道水における存在量 を把握したいということでございまして、対象とする物質についてはアルキルフェノー ル類、それからビスフェノールA、フタル酸エステルなどを対象とする。とにかく高感 度で精度のよい方法をつくりたいということでございます。それで、実際には全国的な 調査を行うということで、代表性を有する水道十数か所を選定をしたいということでご ざいます。 それから、2番目の大きな柱が「水道システムに起因する物質に関する調査」という ことで、水道管とか塗料等の水道用資材にいろいろ用いられている物質を中心にその使 用実態とか、水道水への溶出の可能性を把握するということで、対象とする物質はここ に書いてございますが、ビスフェノールA、フタン酸エステル、それから塗料等の原料 とされる物質であるということでございます。 項目は主にこの1と2なんですが、3番目として全体の暴露量の推定等に資するため に、一応大気中からについても測ってみるということでございます。 それから、その次に8ページ目に先ほど寺田先生から御質問がございましたが、4番 目がOECDの国際共同プロジェクトと直接関連したものでございます。主任研究者は 広瀬先生でございます。それで、先生のおっしゃったのは実際にはOECDの提案の中 にデータを付けてということなんですが、これはデータをつくるのと提案というのは同 時並行的に走っている。そうしないと、タイムスケジュール等から言ってその2段構え の余裕がないというようなことで、提案をしつつその提案について合意された範囲内で データをつくっていくという考え方であろうということなんですが、先ほど御説明しま したOECDの28日間の毒性試験と子宮重量等を指標とした試験を行うということで、 私ども予算上をそれぞれ5品目ずつ選定するということで、私どもとしてはOECD各 国が同じ物質、しかもロットも同じものを使うんだということでございますので、とに かく早く決めるべきということを強く主張したいと思っております。これにつきまして は、先ほど井上先生から詳しく御説明がございましたので省略をいたします。 その次の9ページ目でございますが「ビスフェノールA、ゲニスタイン等の繁殖試験 及び体内動態に関する調査研究」ということでございます。それで、この部分はいろい ろ化学物質が内分泌かく乱化学物質ではないかと指摘されているんですが、実際そうい うものが繁殖試験でどうなんだろうかとか、それから体内では一体どうなんだろうかと いうことが余りにも分かっていないので、そこら辺を今の時点でできる技術で詳細に検 討してみようというのが基本的なこの分野の考え方でございます。 具体的に御説明しますと研究計画のところですが、ラットを用いてビスフェノールA ゲニスタイン、ノニルフェノール、フタル酸ブチルベンジルの内分泌かく乱作用を2世 代にわたり検索するということで、以下記載のあるような作用といいますか、エンドポ イントといいますか、そういうものについて調べるということで、品目の選定について はいろいろなところでいろいろ話題になっているものと、それからあとは植物性のエス トロゲン作用を持つのではないかというものを選んだということでございます。 それから、2番目にありますが、ビスフェノールAの体内動態について調べるという ことでございます。 それから、3番目としましてビスフェノールA、フタル酸ジブチル、ベンゾ(a)ピレン を検討するということで、フタル酸ジブチルにつきましてはこの間の食品衛生調査会、 3月の時点で御報告している中で、一応MCF7の細胞を使った試験で作用が出ている のでこれを選んだということでございます。 それから、4番目はここに書いてございますようにゲニステインを投与して試験に対 する作用の用量依存性を調べる。それで、たしか私の記憶では前回あるいはその前辺り でも植物性のエストロゲンについてそれはどうなっているか調べてほしいというような 意味の御意見がこの検討会の中からもあったかと記憶しておりますが、4番目はこうい うことを調べる。 それから、5番目についてはビスフェノールA及びゲニステインの雄性生殖機能の影 響を調べるということで、これは子どもについてとにかく妊娠ラットに投与した後につ いて調べる。 それから、2)でございますが、テストステロンなど性ステロイドホルモンについて 調べるということでございます。 それからあとは6番目についても、とにかくここに書いてあるようないろいろな作用 を調べる。 7番目は、スチレン等について調べる。 8についてもここに記載があるようないろいろな体内動態といいますか、分布につい て調べるということでございます。 それから11番目が、これもOECDあるいはアメリカとの関係で一緒にやっていく試 験のうちの一つでございますが、アメリカのEDSTACの方でハイ・スルー・プッ ト・スクリーニング試験というロボットを使った試験があるわけでございますが、それ をやってみようということでエストロゲン作用、アンドロゲン作用、それから先ほど議 論がありましたが甲状腺ホルモン作用もですが、HTPSによる超高速自動分析法の検 証を行うということでございます。それで、具体的には女性ホルモン、それから男性ホ ルモン、甲状腺ホルモンのレセプター遺伝子及びレセプター遺伝子を組み込んだバイオ サイドを用いたアッセイ系の有効性を検討するということでございます。 それから、2番目は実際の測定の部分でございますが、表面プラズモン共鳴への測定 というのは今、免疫学とか、あるいは発生化学の方で使われている方法というふうに私 どもは聞いているんですが、偏光現象というような光学的手法を用いて2分子の結合と か乖離を測定する方法らしいんですが、表面プラズモン共鳴への測定というものでその 結合とか乖離等に関するデータの作用を検討をするということで、この研究班では約350 の化学物質について検討してみようということでございます。それで、350 についてど う選ぶかということですが、生産量が多いものとか、いろいろなところで内分泌かく乱 化学物質として指摘があるようなものを中心に選んでいこうというようなことです。 それからあとは(2)でございますが、3次元の定量的構造活性相関の利用に関する 研究ということで、今のところまだ余りデータはないんですけれども、いろいろなデー タが出てくると構造活性相関についてもいろいろ議論がなされるだろうということで、 この分野でこのような研究を検討してみようということでございます。 ちなみに、今のところの(1)はOECDの枠内、それからアメリカと協力しながら やっていくということでございますが、(2)につきましても12ページにありますよう に、(2)の最後の方にありますが、米国の国立毒性研究センターと協力をしながら進 めていくということでございます。以上でございます。 ○伊東座長 ありがとうございました。 ただいまの御説明につきまして、御質問などございましたらどうぞ。 ○武谷委員 必ずしもよく存じ上げていないことなのでお教えいただきたいんですが、最初の中澤 先生のグループの計画に関してですけれども、主としてこれは内分泌かく乱物質、ダイ オキシン類等の人体への汚染状況を調査するのが眼目のように伺った次第なんですけれ ども、先日国際子宮内膜症学会がケベックでございまして、例のアカゲザルのダイオキ シンのモデルをつくりまして、ライヤーさんという女性の方ですが、この方が発表して いた仕事でダイオキシンを投与した際に、各ドースでいろいろな物質を測ったんですが 鮮明に覚えていないんですけれども、子宮内膜症の有無ということに関しては、ダイオ キシンのメタボライトの方が関連性が強かったというようなことをたしか発表していた ようなことを記憶しておりますので、そのダイオキシンのコンタミネーションを調べる 際にバイオアクティブなメタボライトが実際にあるのかどうかということと、ダイオキ シンだけでいいのかどうか。その辺のところをよく事前に御検討していただければと思 うんです。 ただ、ライヤーさんのはまだ完全にパブリッシュされているかどうか分からないんで すけれども、学会発表レベルのものでございました。ちょっとそこを付け加えたいと思 います。 あとは全くマイナーな点で、「腹水中」と資料にありますけれども、腹水というのは ある特殊な病的な場合ですので、通常これはどんな人にもあるというものだと腹腔内貯 留液とか、そういう表現を腹腔内貯留液という方がよろしいかと思いますので、つまら ぬことですが付け加えさせていただきます。以上です。 ○伊東座長 ありがとうございました。おっしゃるとおり、腹水というのは病的状態でございます ので、やはり先生の御指摘のとおり、この点は事務局と話しまして訂正させていただき たいと思います。 それから、これは先生、どうぞ何かございましたら。 ○紫芝委員 先ほどの御説明で総論的なことを伺わせていただきますけれども、人体のいろいろな 材料を使う場合の倫理的配慮を十分にするようにという御注意が課長からあったという ふうに今、伺いましたけれども、人体の血液とか、それから乳汁とか、そういうものは インフォームド・コンセントをとって了承が得られればいいんですけれども、剖検の材 料については今、一般的にどこからどこまでどういうふうに了承関係を得るかというこ とは、私は臨床の現場でも解決されていない非常に難しい問題なんです。この辺につい ては、どういうふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか。 ○内田食品化学課長 今の時点できちんとお答えできるものがございません。むしろいろいろ難しい問題が あるということであれば紫芝先生に詳しくお聞きして、研究班の先生方にこういう問題 があるからというようなことを連絡をするということで対応していきたいと、このよう に考えています。 ○紫芝委員 非常にいろいろ微妙な問題がございますので、難しいと思いますけれども。 ○伊東座長 どうぞ。 ○寺尾委員 最初の3つのテーマはかなり化学分析が重要になってきますね。それで、中を見ます とかなり共通にいろいろの物質を測りますので、この3つでどういう方法で測るのが一 番いいかということをよく話し合うような、三者が集まって話し合うのか、あるいは食 品化学課が仲立してやるのか知りませんけれども、どういう方法をとったら一番いいか ということの話し合いをしてもらうといいんじゃないでしょうか。つまり、方法がばら ばらですと、お互いのデータの比較というのがもしかしたら非常に困難になってくる可 能性がありますので、そこら辺のところを。 ○内田食品化学課長 貴重な御意見をどうもありがとうございました。早速研究班の方と、今ございました 御意見についてお話をして検討してみたいと思います。 ○伊東座長 どうぞ。 ○寺田委員 一般的な質問なんですけれども、いろいろなところをカバーして大変結構だと思いま すが、これはどういうところで企画をして評価はどういうふうにするのかと、1つの班 に大体何人ぐらいの研究員の方がいらっしゃるのか、3つを教えてください。人数は大 体でいいですが、企画はどこでされたのか。評価は将来のことだからいいとしても、企 画はどこでされたのか。 ○内田食品化学課長 通常の厚生科学研究については十分時間がありますので、評価委員会のようなものを 設けて、そこでテーマを選定していただいています。ただ、これは補正予算ということ で緊急に実施するという要素がございましたので、やむを得ず指定研究ということで各 先生方、要するに主任研究者の先生方といろいろ相談をしながらどういう研究をやって いただくかということを検討をしました。 ただ、こういう研究につきましては前回のこの検討会の場で御説明して御意見を伺い ましたし、今回についても詳しく御説明をしているものでございます。また、結果につ きましてはそれについてもまたいろいろな形で御相談をさせていただくことになるのか なというふうには考えています。 ○寺田委員 確かに緊急性がありましたものでそれはいいですし、それからよくでき上がっていま すからそれで結構なんですが、是非フォローアップのところを何か評価のところをちゃ んとやられたら大変いいと思います。 ○内田食品化学課長 分かりました。 それから、もう一つの質問で研究協力者が何人ぐらいかですが、大体大ざっぱに言い まして20人ぐらいということでございます。 ○岩本委員 雄性の生殖機能への影響について、精子の産生能、精巣上体精子数そして運動能の検 査が行われますが、検査方法のガイドラインをお示しいただきますと、これを基準に各 研究室で検査ができますので、その辺を御提示いただければと思っております。 ○伊東座長 ありがとうございました。大分時間も迫ってまいりましたけれども、貴重な御意見を 賜りましたので、これら御意見を参考にいたしまして当局と関係の研究者の先生方との 間の調整をしていただこうと思っております。 それから、寺田委員からおっしゃった評価でございますが、これはいずれこのメン バーの先生方にも入っていただきまして厳しく評価するということが大事であろう。膨 大な研究費をいただいておりますので、したがって厳しくその結果は評価するというこ とは忘れてはならない。それがタックスペイヤーに対する義務であろうというふうに私 は考えております。 それでは、次に内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会の中間報告書の骨子 について御議論をお願いしたいと思います。事務局から御説明ください。 ○内田食品化学課長 それでは、資料3につきまして御説明をさせていただきます。 この資料3につきましては、中間報告案を取りまとめるために本検討会に御出席をお 願いしております先生方で何名かの先生に事前に御意見をいただいて作成したものでご ざいます。それで、私どもとしましてはここに掲げているような項目に基づき、その報 告案の作成を進めていただきたいと考えています。つきましては、本資料の項目の過不 足、それから各項目について記載すべき事項等について先生方の御意見をいただければ と思います。 ただ、ここに書いてあるのが余りにも大ざっぱなものですから、もうち ょっとブレイクダウンをして御説明をさせていただければと思います。 「はじめに」のところは前書きでございまして、II−1の「内分泌ホルモンの人体に おける機能と役割」というところは教科書的なことになろうかと思いますが、内分泌か く乱というのは教科書的にはどういうことかというようなことをイントロダクション的 に書いていただく。 それで、「作用メカニズム」のところは現時点で内分泌かく乱化学物質の定義が国際 的にもだんだん固まりつつあるんじゃないかという認識なんですけれども、そういう状 況について説明をしていただくということと同時に、よく言われています内分泌かく乱 化学物質の作用のメカニズムを記載してはどうか。 それから、3番目の「化学物質の物理化学的性質」、要するに内分泌かく乱化学物質 として言われている、例えばDESとかPCBとかDDTというようなものについてご く簡単に触れたらどうか。 それから、「暴露経路」はどういう暴露経路があるかということを書いていただく。 それから、「人への影響」はこの検討会でも何回か、例えば子宮内膜症であるとか、 いろいろながん、それから精子の問題などを取り上げていただきましたので、そういう 人への健康影響についていろいろな疾病についてどういうことが現在、分かっていて、 どういうことが分かっていないかというようなことを記載していただけたらと、このよ うに思っております。 それから3番目のところでございますが、先ほどOECDの取り組みなど御紹介があ りました。それから、あとは国内でもいろいろ取り組みを行っていますので、国内、国 際間での取り組みの現状を書いたらどうか。 それから、2番目の「今後の対応方針」ですが、基本的にはこの問題についてどのよ うに対応していったらいいかという基本的な考え方を盛り込んでいただけたらと思って おります。 それで、3番目で具体的な対応方針、どういう研究をやっていくかというようなこと を記載していただくということで、4番目にいつごろまでにというか、年度的なスケジ ュール的なものが、私どもとしては非常に難しいところもあるんですけれども、諸外国 でもスケジュール的なものがありますので、そういうものを踏まえながら記載していた だくということでございます。 それで、「おわりに」はまとめの部分でございまして、あとはこの検討会でもスチレ ンについてレビューしていただきましたし、それから3月13日の時点の食品衛生調査会 でポリカーボネートとポリ塩化ビニルにつきましてはいろいろ御議論いただいておりま したので、その3つの物質群につきまして現時点でどうであるかということを記載する これらは、言わば附録のような格好で付けたらどうかというふうに思っている次第でご ざいます。以上でございます。 ○伊東座長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、どなたか御意見ございま せんか。 ○阿部委員 細かいことなんですけれども、また新しい言葉が出てきまして、内分泌ホルモンとい うのは聞いたことがないんです。ホルモンか内分泌かどちらかにされれば、またこんが らなくていいんじゃないかというふうに思いますけれども。 ○伊東座長 どうぞ。 ○紫芝委員 私はシンポジウムでこの表題で担当させていただいたんですけれども、そのときにも 困りました。実際に阿部先生がおっしゃるように「内分泌ホルモン」というのはちょっ と困るということです。 「機能と役割」というのもある意味では重複なんです。それで、私はシンポジウムの ときに表題を自分で変えさせていただきまして「ホルモンの人体における作用(内分泌 かく乱物質と関連して)」というテーマで話させていただきましたので、そのようにも し変更していただければ大変ありがたいと思っております。 ○伊東座長 分かりました。どうぞ。 ○武谷委員 これはエンドクラインディスラプターのデフィニションにもかかわる問題で、今の阿 部先生と紫芝先生の関連で質問させていただきたいんですけれども、今回は主として生 殖にかかわるホルモンを扱っているんですけれども、甲状腺なども合わせて検討するこ とになっておりますが、このエンドクラインディスラプターというのは生殖関連のホル モン、あるいは精子減少にかかわるホルモンなのか、あるいはもっと生命の維持、繁殖 生殖、そういうすべてにかかわるのか。どんなホルモンでも直接、間接的に必ず生殖と 種の保存にかかわるものなので、どこまでこの辺の範囲を広げるかということを少し押 さえる必要があろうかと思うんですが、生殖ホルモンプラス甲状腺とするのか、おしな べてすべてのホルモン、インシュリンとか、副腎ホルモンとか、ありとあらゆるものを 扱うのか、あるいは生殖に関連するホルモンに限定するのか。その辺のところをある程 度スタンスをはっきりしておかないと、この会議として際限なくいろいろな研究を強い られることになりますので、その辺についての御意見を伺えればと思うんですが。 ○伊東座長 ただいまの御意見につきまして、どなたかコメントございませんか。 ○井上委員 研究を担当させていただいております立場としましては、武谷先生がちょっと触れら れたように、生殖に関係するということをエンドクラインディスラプターの定義のとこ ろで決めた範囲でもって認識しております。それで、これはワイルドライフについても ヒューマンについても同様という認識です。 しかしながら、甲状腺が例えば問題になりますのは、甲状腺はワイルドライフでは変 態のところで効いてくるのは御承知のとおりでありますが、それが結局変態できないと そのまま両生類などでは生存ができなくなるというふうな考え方で、つまり生殖ができ なくなるという考え方で甲状腺を含めているわけでして、それはとりも直さず哺乳類で は神経形成にも関係がするということで両絡みになっているわけです。この点でOEC DのスタンスとEPAのそれがちょっと分かれているわけなんです。その辺がちょうど 分かれ目で、それよりも更にもっとベーシックに、例えばインシュリンのようなベーシ ックなものについては別扱いになっているつまり、内分泌かく乱の対象にいれないとい うふうに考えております。 ○武谷委員 ここでは生殖に関連するものと甲状腺を特にフォーカシングしてやる。その双方をあ る程度定めていただかないと、この骨子というか、ドラフトはできないんじゃないかと 思うんです。 ○井上委員 そういう認識でおります。甲状腺ホルモン辺りがちょうど分かれ目で、入れるなり、 あるいは外すなりはっきりさせて、そしてあとはすべて生殖に関係するものという認識 でおります。ちなみに、本邦におきましては、甲状腺ホルモンは導入する方向で準備を 行っております。 ○伊東座長 どうぞ。 ○鈴木(継)委員 今の話と少しつながる部分もあるんですけれども、ちょっと見方が変わった部分とし て、例えば作用メカニズムのことを考えるときに性ホルモンレセプター媒介性の変化に 今のところ引っ張られてしまって、そこに力点がいっていますけれども、それ以外のも のはどう扱うのかという、その辺の見通しも要りようになってくるので、それは今、武 谷さんが言われた話とはつながっているんだけれども、ちょっと違う側面なんですね。 ○伊東座長 どうぞ。 ○紫芝委員 言葉の定義の問題と、それから研究の優先順位というのは別に考え方がいいと私は思 うんです。言葉の定義の問題としては、やはり内分泌かく乱物質というのは生殖のみで 多くあらゆる内分泌の側面を含めて、内分泌が作用するところをかく乱するものは内分 泌かく乱物質であるというふうに定めた方がいいと思うんです。それで、その中で研究 の優先順位をどうするかということに関して、それが生殖に関するものを優先するとか それから甲状腺を優先するしないとか、そういうことは全く言葉の定義と離れたテクニ カルな問題ですから、それは自由に考えることが出来ます。 優先順位に関しましては、甲状腺研究をどうするかというのが今ちょうど議論の分か れ目だというような話がさっきからあるんですけれども、いろいろな今までの先行する 仕事の中でかなり甲状腺に関する部分もありますし、甲状腺に関する部分は不幸にして 生殖ほど深くはまだ研究されておりませんので、やはり重要な問題として研究する必要 はあるだろう。それで、やはり日本はカネミ油症なども起こしてまいりましたし、PC Bと甲状腺の関係というのは非常に深いものがありますので、やはり生殖の問題に次ぐ 優先順位として、OECDでは優先順位がちょっと落とされておりますけれども、EP Aと同じスタンスで研究が日本では行われることを希望いたします。 ○伊東座長 私は、内分泌かく乱化学物質を考えるというところでございますので、ホルモンの人 体における作用、今おっしゃった内分泌かく乱化学物質に関連してということで今、武 谷先生のおっしゃったようなことも含めましてここに書き加えていくということで、ピ ュアに非常に狭く生殖機能に影響することだけをディスカッションするのではなくて、 少しワイルドに、ワイルドライフにおける影響ということも指摘される方がたくさんお られますので、そのこともここに加えていくということでいかがかと思うんですが、い かがでございましょうか。 それでは、大体このようなことで、あとはいろいろと詰めていただきましてディスカ ッションをさせていただきたいと思います。 それから、専門的な部分につきましては、本日御検討いただいております皆様方の何 人かの方々に御協力いただくということで、このドラフトをつくっていきたいと思いま すので、その人選その他は我々の方に御一任いただきたいと思うのでございますけれど も、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。 ○和田委員 内容そのものは全く素人でございますけれども、大体時期的にこの中間報告書ですか これをまとめるある程度の時期的なめどというのがあるのかどうか。そして、この中間 報告がここにありますけれども、中間報告書、これは案をまとめて今よくやられており ますようなオープンにして一般からの意見を求めて、そしてその後が最終になるのかど うか、その辺のところをちょっと伺いたいと思います。 ○内田食品化学課長 これも先生方の御要望にもよるかと思いますが、私どもとしては次回は10月16日に決 定させていただいていますので、先生方に無理にでもお願いして10月16日にはとにかく 報告書案を出したいというふうに考えています。 ただ、その時点でその案について再度先生方に持ち帰っていただくことも必要なのか なと。そのときの議論次第にもよりますが、そういうことでこの秋ということで約束し ていますので10月16日以降、またもう一度ぐらい会議を開催をするということではいか がか。これは一番最後に御議論いただくことになるかと思いますが、そのように考えて いる次第でございます。 ○伊東座長 ちょっと追加いたしますと、和田委員から今、御質問がございましたようにいきなり 最終のドラフトを出して、これで納得しろというようなことは座長としては考えており ません。まずこれからいろいろな領域の専門の先生方とディスカッションいたしまして そしてドラフトをつくって、そのドラフトをここで出しまして、それをたたき台にいろ いろなコメントをつけていただいて、更にそれをお持ち帰りいただいて御意見をちょう だいして最終的な結論を出したいというふうに思っております。 したがって、10月16日というのが最終ではございませんで、先生方にはもう一度あり ますので御覚悟をお願いいたします。そういうことでございます。 それでは、資料4につきまして御説明ください。 ○内田食品化学課長 それでは、御説明をいたします。資料の4でございます。日本語の方で御説明いたし ます。 「ポリスチレンのエストロゲン性試験結果について」ということでございます。それ で、資料4−1で資料を実際の試験のレポートをまとめさせていただきましたが、これ は英語でございますので、資料4で結論の部分だけ、あるいは試験のやり方等の記載が ある部分について御説明をさせていただきます。 資料4の真ん中の方に5パラ目くらいだと思いますが、TNOの試験はラット10匹ず つ7つの群に分けて各種試料を投与し、各群のラットの子宮の重量を測定する方法で行 われた。それで、その結果スチレンダイマー/トリマーを主成分とするポリスチレンの エタノール抽出物には各群のスケジュールの比較で有意差がないことが確認され、エス トロゲン性はないとの判定が下されたということでございます。 それから、次の段落を飛ばしまして、その次の段落で、今回の抽出方法に50%エタ ノールを使用した理由は、米国FDAの油性食品に接触する場合の溶出試験法に準拠し たこと、それからポリスチレン中のダイマー/トリマーの抽出量が多くなる厳しい条件 を選定したということでございます。 それで、結論としまして下から2つ目のパラグラフでございますが、今回のTNOの 試験によりスチレンダイマー/トリマーにはエストロゲン性が認められないとの結論が 出たということでございまして、もうちょっと御説明をいたしますと、資料4−1の投 与群のところがよろしいかと思うんですが、資料の右上の方にページが振っています。 その9ページ目でございます。 9ページ目にどういう投与を行ったかということでございますが、グループとしてA からGまである。それで、Aについては標準のダイエット、それからBについては高用 量であってスチレンのダイマーが0.05ppm 以下と、それからスチレンのトリマーが3ppm であるということを別途測定しているそうでございます。それで、Cとしまして低用量 ということでスチレンのダイマーが0.001ppm、スチレンのトリマーが0.6ppm、それから あとはブランクのコントロールをつくった。それから、あとはポジティブコントロール としてジエチルスチルベストロールを用量において3種類投与をしたということでござ います。 それで、結論の部分でございます。2ページの3.のところにありますが、この結果 ではGPPSについては子宮の重量を増加させる作用がないことが分かったということ で、あとはポジティブコントロールとしてジエチルスチルベストロールについては同じ 状況下で作用があるということが示されたということでございます。 それで、ちなみに私どもの方で専門の先生にこのデータについて評価といいますか、 コメントをお聞きましたら、この結果はこの結果でよろしいのではないでしょうかとい うことでございました。以上でございます。 ○伊東座長 ありがとうございました。これはこの結果のとおりであろうと思いますが、何か特に 御発言ございますでしょうか。 ○高杉委員 先ほどもちょっと触れましたけれども、この結果はこの結果で納得できるわけでござ いますけれども、実験のプロシーディアとしてはラフである。やはり卵巣を取って今ま でやってきたようにやらないと、もう18日から20日齢ですというと多少エストロゲンは 出ているわけですから、そのエストロゲンに刺激された子宮の上に更に微量のエストロ ゲン効果を見ようというのは非常に難しい。やはり卵巣を取ったもので調べないと分か りにくいということが1つ。 もう一つは、この報告の中では子宮の内液ですね。イントラユーテリンフルイドを漏 れないように用心して取って量ったというんですが、4日処理していますと子宮の中の フルイドの量というのは個体によって増えたり減ったりいろいろするわけで、最初の6 時間ぐらいはパラレルという報告がありますから、これは中へたまっている水を出して 子宮の重量を量る方がこれまでのやり方す。それで、なぜこの液がたまったままやるの かというのはちょっと分からないんですけれども、これは最近のティッコーという人の バイオアッセイのようでございますが、やはり卵巣を取ったのを付け加える方がよろし いんじゃないかと思います。 ○伊東座長 ありがとうございました。そのような委員会のコメントがあったということをこの資 料を提出された方に出して、改めてコメントを求めるということにしたいと思いますが よろしゅうございますか。 それでは、最後に平成11年度の研究予算案について事務局から御説明を願います。 ○内田食品化学課長 それでは、資料5につきまして御説明をいたします。 今、政府全体、各省庁、大蔵省に向けての予算の要求をする状況でございます。それ で、厚生省におきまして今月以降大蔵省に要求する内容で内分泌かく乱化学物質に関す る要求を簡単に取りまとめましたのが資料5でございます。 1番目としまして基礎的研究の推進ということで、厚生科学研究費の補助金というこ とで平成11年度は10億円を要求をするということでございます。それで、研究内容につ きましてはここに記載のあるようないろいろな事項について研究をする、あるいは続け るということでございます。それで、他省庁との連携関係でございますが、内分泌かく 乱化学物質についての管理職レベルの会合がございまして、そこでの意見交換などを行 うということと、引き続きOECDへのプロジェクトに対する参画をするということで ございます。 それで、その次のページに平成11年度にどういうことをやるかというこ とを今、研究内容で触れませんでしたが、ここに記載のあるようなことを分かりやすく 記載したのが次の表でございます。 それから、これは研究でございますがもう一点、事業費としまして3枚目に「内分泌 かく乱化学物質健康確保対策基盤整備費」というのがございます。これは今後、補正予 算の実施に伴っていろいろな国内でも研究のデータが出てきますし、それからアメリカ ヨーロッパ、OECDともいろいろなデータ作成作業が進んでいるわけでございまして そういうデータについて、特に外国のものにつきましては全部とは言わないまでも主要 なものにつきましてこれを盛り込んだデータベースをつくりたいということでございま す。それで、そのスキームに書いてございますが、厚生省でその補正予算の後を受けた 研究成果、あるいは今の繰り返しですが、外国のデータなどを盛り込んだデータベース をつくる。それから、関係省庁ともこの件では連携をするということでございます。そ れで、その情報につきましては情報公開ということでインターネットもひとつあるかと 思いますが、そのデータベースの内容を公開をしていくということでございます。それ と同時に、必要な対策があればこれを取り組むということで、ここに記載のある1億 2,400万円について大蔵省に要求をしていくということでございます。 簡単でございますが、以上でございます。 ○伊東座長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問など ございませんか。どうぞ。 ○和田委員 研究費そのものの質問、意見ではありませんけれども、3番目に他省庁との連携体制 というところで、4省ほか5省庁となっておりますので9つの省庁にまたがっていると いうことで、この全体を通しての状況というのは私たちにとっては分からないんですね 先ほど座長がタックスペイヤーとしてというお話がございましたけれども、次回にでも 各省庁の細かい研究とか、そういうのは必要ありませんけれども、情報交換、それから 相互調整の結果というような大まかなところをどこへ私たちは情報を取りに行ったら分 かるのかも分かりませんので、大まかなところで結構ですからお示しいただけないかな と思います。 ○内田食品化学課長 分かりました。次回までに今の御指摘を踏まえたことで、各省庁の活動をまとめまし て御報告をさせていただきたいと思います。 ○伊東座長 どうぞ。 ○寺田委員 これは通常の予算で出るわけですね。そうしますと、前の補正予算ではしった研究と これとの関係はどうなるんですか。 ○内田食品化学課長 簡単に申しますと平成10年度の通常予算で関連の予算が1億2,000万円ぐらいあって、 メカニズムの研究とか、それから疫学調査などはそちらで行っている。ですから、基本 的にはそういうものと、それから補正予算でこれから行うものをまとめまして一つのパ ッケージにするようなことを考えています。 ○寺田委員 先ほどの話に戻りまして、これは通常の年間で時間があるわけですから企画をされる わけですか。それから、先ほど和田委員が言われたように各省庁間で、お役所レベルで はなくて企画の段階で統一したような横の連絡をつくる考えはあるかどうかですが。 ○内田食品化学課長 御質問は恐らく2点あると思うんですが、1つはこれから要求の段階で各省庁、例えば 重複がないかとか、そういう各省庁の調整作業をきちんとやっていくということは、多 分大蔵省辺りからも要求をされると思いますし、私どもも必要であると感じております これが第1点です。 それから、第2点として仮に認められた暁にはこれは通常の厚生科学研究費になりま すので、いわゆる一般公募、それから評価システムというシステムを通して行っていく ということでございます。 ○伊東座長 ありがとうございました。御議論は尽きないと存じますけれども、時間がまいりまし た。一応本日の議論はこれで終了いたしたいと存じますけれども、次回会合などにつき まして事務局から御説明ください。 ○内田食品化学課長 本日は先生方、御多忙中にもかかわらずいろいろ幅広い観点から積極的な御討論をい ただきまして本当にありがとうございます。 次回でございますが、既に日程調整をさせていただいておりまして、10月16日金曜日 午前10時から開催したいと思っておりますので、恐縮でございますが御出席をよろしく お願いいたします。それで、次回の議題でございますが、本日の会議で御意見をいただ きました中間報告のドラフトにつきまして次回の検討会でいろいろ御議論をいただけれ ばと思っております。それから、先ほど申し上げましたように、各省庁の情報について の御報告をさせていただければと思います。 それから、次々回でございますが、これは11月の9、10日ぐらいでどうかということ で、これはまた11月9日あるいは10日で日程調整を各先生方とさせていただきたいと思 っておりますが、よろしゅうございますでしょうか。 ○伊東座長 それでは、ありがとうございました。活発な御議論を賜りまして、このような御議論 を踏まえまして事務局で関係の方々と調整をする、あるいは論議を進めるということで 次回の10月16日にドラフトを少なくともつくり上げるということでまいりたいと存じま す。そして、その問題を中心に次回は御議論いただくということにしたいと思います。 以上で、本日の検討会を終了させていただきます。御多忙中御出席いただきまして誠 にありがとうございました。 連絡先 厚生省 食品化学課                       TEL:03−3503−1711