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医療保険福祉審議会 第6回介護給付費部会議事要旨


1 日時及び場所

平成10年9月14日(月) 16時30分から18時30分
厚生省 特別第一会議室

2 出席委員

星野、青柳、井形、石井、加藤、喜多、見坊、下村、田中、中村、中西、橋本、
堀江、野中、村上(忠)、村上(勝)、山口の各委員、高梨、山崎参考人

3 議題

(1)在宅介護サービスにおける介護報酬の主な論点について
(2)その他

○ 資料016、017に沿って、在宅介護サービスにおける介護報酬の主な論点に ついて、介護保険制度施行準備室神田次長より説明。

[「14その他」について]

(星野部会長)

 論点8から12まで議論する前に、前回時間がとれなかった14の「その他」の部分について、青柳委員からの発言をお願いしたい。

(青柳委員)

 「介護保険法上、介護報酬という公定価格より低い価格設定ができることとされているので、支給限度額に余裕が生じた場合、その範囲で利用者に活用を認めるべき」という考え方の法律的な根拠は何か。また、実施した場合に、どういう監視・監査機構を具体的に考えているのか。

(神田次長)

 法律上の根拠については、例えば、居宅介護サービス費に関する41条の4項の括弧書きの中で、公定価格が現にサービスに要した費用の額を超える場合には現にサービスに要した費用の額を支給する、と明記されている。
 健康保険法では、保険者に請求できる費用の額は、療養に要する費用の額より一部負担金に相当する額を控除した額であり、「現にサービスに要した額が公定価格を下回る場合にはその額」、といった規定はない。
 医療保険における現物給付の基本的な考え方として、保険者が保険医療機関や保険薬局に医療提供をお願いをする際には、額が違うことがないように同一の額としているが、療養費の場合には、利用者が受けたサービスに対して払った費用を事後的に補填することとなっているので、実際に支払った額が仮に公定価格より安い場合にはその額となる仕組みになっている。
 監視機構を具体的に考えるということでは、例えば訪問看護は、健康保険の保険医療機関となっている病院、診療所から行く場合も、訪問看護ステーションから行く場合も介護保険の対象になるため、同じサービスでありながら、医療保険から給付されるものと介護保険から給付されるものとが出てくるので、片方を公定価格より安くし、片方を公定価格として、価格設定がアンバランスになるような場合には片方のコストを片方に転嫁した結果になり、不合理が生ずるような場合には指導することを検討したい。指導の根拠として、運営基準に不合理な価格設定にならないことを規定する必要があろう。

(青柳委員)

 サービスの調整役である介護支援専門員を、多くのサービス提供機関が兼ねると仮定した時に、自分のサービス機関への利益誘導を図る手立てとしてディスカウントをするということも当然考えておかなければならない。しかも、極めて偏った形で、その情報提供がなされることも考えられる。
 健康保険との整合性をとる上で、ひとつのサービス提供機関が、片方でディスカウントし、片方で公定価格で、一方は医療保険から給付を受けて、一方は介護保険から給付を受けるのは大きな問題である。

(神田次長)

 利益誘導の問題については、国会でも議論があり、地域にあるサービス提供機関がケアプラン作成機関を兼ねた場合、親元のサービス提供機関のサービスだけではなく、地域のサービスに関する情報を公平に提供することや最終的に利用者の同意を得るということを、価格付けの問題とともに、指定の取り消しにつながるように最低限運営基準に定めることを検討してまいりたい。

(下村委員)

 問題点を整理するとどうなるのか、全体像がよくわからない。要介護老人に代わって誰かがうまくサービスをマネージしないと、上手く介護保険を利用することはできない。しかし、ケアマネジャーは、サービス提供者の一部でもあり、その報酬を毎月払うか、要介護度が高ければ高い報酬をつけるのか、という問題がある。 医療保険との問題でも、書いてあることはもっともだが、本当にできるのかどうかがわからない。
 低い費用の場合には実費でとあるが、平均的な費用の額を勘案するとあるから、当然バラバラの費用を想定しているのではないか。
 在宅サービスに民間参入を認めると、営利会社であれば、配当や利益の問題が当然出てくる。非常に儲かってる会社は費用が低い、ということになるのか。
 加算問題では、例えばショートステイで特別のサービスを提供した場合には、個々の要介護者に対して一人あたりいくらかの加算をつけるのか。通所サービスには、送り迎えをしてもしなくても、全部加算をつけるのか。
 加算をするとどんな請求が出てきて、給付限度額と組み合わせて国保連合会は、どういう審査、管理を、個別の要介護老人について行うことになるのか。

(中村委員)

 今までのサービスの後退があってはならないが、難病、末期ガン、急性期医療の必要な患者への訪問看護、週3回以上必要な訪問看護などは、医療保険の取り扱いではないのか。
 短期入所療養介護の手術や一定の医療処置は医療保険でと整理していかなくては、介護保険料がうなぎのぼりになってしまうのではないか。介護保険は何だったのか、医療保険は何だったのか、わからなくなってしまう。
 医療保険と介護保険が重複的に給付される場合には、国民にわかりやすい理論構築がなされる必要があるのではないか。

(星野部会長)

 個別のご議論も当然詰めていただかなければならないが、全体のシステムとして、本当にワーカブルなのかどうかということのご指摘だったと思う。マクロとミクロがうまく合ってないとワークしないとうことで、検討の機会を持ってはどうか。

(堤審議官)

 論点として提示をしている以上、イメージを持ちつつ、実務に乗ることを前提でご議論いただいている。個別の論点が一度終わった段階で、医療保険と介護保険の関係を一覧できる全体像をお示ししたい。

[「8短期入所生活介護・短期入所療養介護」について]

(高梨参考人)

 療養型病床群の短期入所療養介護の場合、もともと必要な医療が受けられる施設であることを前提に医療保険から介護保険に移すことになっているはずだ。とすれば、一定の出来高払いを認めるということがよくわからない。包括払いが中心になるべきで、出来高払いは限定されたものであるべきだ。
 ただし書きの、一定の処置・手術等、急性増悪の時の医療等については医療保険から出す、ということがどうも理解できない。二重請求とはいかないまでも、混乱しやすい。きちんと介護保険でみるとした方がいい。

(青柳委員)

 療養型病床群での短期入所は限定された期間であり、急性増悪時の医療が必要な例は極めて稀であろう。問題は、こういう不測の事態が起こった時の対応の仕方である。区分けをするのは医療保険給付と介護保険給付である、というところに視点を置いて議論をしていただきたい。
 今議論をしているのは在宅の介護サービスのメニューについてである、ということを一部忘れて論点をまとめようとしている。

(下村委員)

 短期入所の医療については、医療機関の機能を分化し介護専門施設と医療専門施設を分けるということを前提にすれば、原則として急性期の疾病に対応する病院に移すべきだ。病院に移せない場合は、その範囲を具体的に明確にしていただきたい。

(橋本委員)

 短期入所は原則的に1週間ぐらいであり、リハビリテーションをやったからといって要介護状態の予防や悪化の防止にはつながらないので、出来高で評価することは理解できない。
 仮にリハビリテーションを評価するのであれば、通所介護における日常動作訓練などとの整合性をとっていく必要がある。

(山口委員)

 介護保険は本人の希望でサービスを受けられるという原則があり、要支援者もショートステイの対象となるが、介護サービスはあまり必要とはしないので、評価を分けるべきであろう。
 介護保険では、在宅でのケアが難しくなってきた場合やその兆候が見られる場合に短期入所を利用すべきだと思う。リハビリスタッフがきちんとやっていれば要介護状態の予防、悪化の防止の効果は絶対にあると思うし、介護保険の基本目標にも含まれていると思う。ただ単に寝かせきりで収容しているだけでは、ショートステイの意味は半減する。
 宿泊を伴う家族に対する介護方法の指導等も、是非やっていただきたい。

(高梨参考人)

 短期入所はたかだか2週間程度であるので、そこは割り切って、一定の処置・手術等、急性憎悪時の治療等については、医療保険ではなく介護保険でみるということで差し支えないのではないか。

(加藤委員)

 療養型病床群の短期入所では、手術になるような場合は一般病棟へ転棟するのが普通であり、これを介護保険でみるという考え方は馴染まないと思う。
 要支援者の短期入所は、1カ月間で使える介護費用も限られているので、少し配慮が必要ではないか。
 短期入所の療養介護は、基本的に療養型病床群や老人保健施設の既存ベッドを利用するということでよいのか。

(神田次長)

 指定基準の議論ではあるが、療養型病床群では、介護保険の適用部分に短期間入所するものと、医療保険適用の部分を利用するものとがあってもよいのではないか。

(村上(忠)委員)

 希な場合でも、医療保険で払うべきものは医療保険で払う形を貫くべきだし、そこに使う金があるなら、介護の方を手厚くしたい。

(石井委員)

 長期入所と比べると手厚く評価をするのはいいが、単独型を厚くしすぎて差額が広がると、利用しにくくなってくるだろう。
 短期入所の送迎加算は、是非つけておいていただきたい。20名以上の定員という考え方も緩和してほしい。

(野中委員)

 短期入所を要支援者に対応させることで、より適切な家族介護等ができる道を開くことは大切である。短期入所を手厚く評価し、長期入所への転換をできるだけ避けるようにしていただきたい。
 以前から言っているように、介護と医療とは完全に分離をしていただきたい。
 家族に介護技術を講習させることを目的としたホームケア促進事業はおかしい。有資格者でない限りサービスができない、家族介護に対する現金支給はしないということが一方でありながら、家族介護をできるだけ促進するという介護給付の抑制はやめてほしい。3級のホームヘルパーの資格を取った家族の介護を認める制度にするならよいが、中途半端な対応はやめていただきたい。

(中村委員)

 老人保健施設の場合では、14日以内が短期、15日以上が長期となっているが、どうしてこういう分け方ができるのか。ショートと施設の整理が必要でないのか。
 短期入所療養介護の場合、基本的医療サービスがあるのだから、医療は包括ではないのか。医療側の要求で何もかも重複サービスを認めていくと、介護保険も破綻してしまうのではないか。
 その施設はリハビリ機能を持ってるからその施設であるのに、なぜ、短期入所で出来高払いを要求するのか。特異な場合に限るべきでないのか。

(山崎参考人)

 在宅サービスの介護報酬の検討であるから、短期入所もそれぞれ3つの特徴のある施設を使うが、他のサービスと同様に出来高ではなく一定の包括とすべきではないか。
[「9痴呆対応型共同生活介護」について]

(青柳委員)

 中等度以下の痴呆の患者が主体であるはずだが、介護報酬設定の参考例として要介護1から要介護5まで書いてあるのはおかしいのではないか。

(神田次長)

 少人数で家庭的な雰囲気、環境の中で処遇をすることを基本としているので、軽度や中度をもっぱら念頭に置いて重点的に評価をすべきであろう。重度になれば、痴呆性疾患療養病棟や他の施設にに移って行くことが一般的だが、必ず強制的に退所しなければならないということにはなっていないため、留まっている時には何らかの評価は必要と考えている。

(青柳委員)

 専門家がそこでケアを提供するということになると、施設と同じではないか。在宅のサービスの提供機関で、施設部分の補助制度を検討するのか。

(神田次長)

 あくまでも、重くなればふさわしい施設に紹介していくことが原則だが、次の後施設がすぐに確保できない場合に、暫定的に、そこに留まって処遇されることに対して費用を払うものであり、評価の中心としては、軽度とか中度のところを手厚く評価するということでないか。
 施設のハード面や減価償却費は含まれず、介護サービス部分を評価するので、基本的には在宅サービスの評価をすることになる。

(田中委員)

 痴呆のグループホームは大変効果がある、という研究結果がある。痴呆の問題行動を抑えるためにも、特に人員配置等を厚く評価し、奨励すべきである。
 実態として、軽・中度の痴呆の者が多い、という評価をするのはいいが、軽・中度の者を対象とする施設であり、と定義的に書かずに、「軽・中度の者が大部分である」とした方がよい。

(橋本委員)

 痴呆の方のグループホームは、本来、施設型のサービスである。グループで、小さな規模のメンバーで、地域にある住宅に住むという意味で、在宅サービスに位置付けられたと思う。
 軽・中度という言い方の定義付けでは不十分で、問題行動とか行動障害が消えてお世話がしやすくなる場合も、痴呆の主症状である記憶障害や見当識の障害が改善されたわけではない。医療的なケアが必要でない方が、グループホームに入所される可能性は極めて高く、介護単位が小さければより個別的なケアができる。
 非常にお世話の難しい方でも、安上がりだからではなく、在宅ケアが望ましいから在宅ケアにシフトするという姿勢をきちんと表明する必要がある。グループホームをやる人が増えるように、例えば、古い家屋を手入れして使うといったことができやすいようにすべきである。
 在宅ケアを選んだ人に対しても、入所ケアを選んだ人に匹敵するぐらいのサービス給付はあっていいと思うし、寝たきりの方々のケアに比べ難しく、ケアの方法論が確立していないので、技術を学んでもらう仕組み等も考えていく必要がある。

(野中委員)

 「痴呆対応型」ということばに少々抵抗を感じる。地域には独居老人とか老人家庭が多く、人との会話が少なくなる中で、いつの間にか痴呆になってしまうことがある。痴呆対応だけではなく、元気な人の予防や通所者にも対応できる幅広いものにしていただきたい。
 施設部分の補助制度については、当然検討してしてもらいたい。施設を新しく建てるとなれば大変な費用がかかるので、民家や老人家庭等をうまく活用できるようなシステムづくりが必要である。
 加算制度を一定時期設けることによって、市町村でできるだけ数多く通所的なグループホームがつくられるようにしていただきたい。

(下村委員)

 「軽・中度の痴呆の者を対象とする施設であり、要介護度に応じた評価においても、これを念頭に評価する」ということと、「介護保険施設と比較しても、厚めの人員配置となっている」ということとの関係がよくわからない。
 補助を行うならば、減価償却は利用者負担という考えはなくなるということか。お金があるなら補助はやってもよいが、財源全体の配分の問題ではないか。

(神田次長)

 軽・中度の方を念頭に評価すべきというのは、軽・中度のところまでを重点的に評価をするということである。重いところを非常に高く評価をすることになれば、重い方が重点的に入ってしまい、ふさわしい施設に移れないおそれがあるという意味であり、手厚い人員配置とは、家庭的な雰囲気の中で少人数で処遇をするために、他の保険施設を比べて厚めの人員配置となっているということである。

(下村委員)

 重度の人でも、中・軽度サービスを受けた場合には、中・軽度サービス並みの報酬を払うということか。小規模施設だから人員配置が手厚く、割高になるということか。

(神田次長)

 一点目は、そういうことも含めた趣旨だと理解していただいてよいが、二点目では、軽・中度であったとしても、家庭的な雰囲気の中で少人数の処遇をする特性があるので、相対的に割高になるという点は否定できないという意味である。
 補助が入れば減価償却分は減る関係にあるが、施設と同様に、補助が入るものと入らないものをどう考えるか、という根本的な論点がある。

[「10特定施設入所者生活介護」について]

(加藤委員)

 有料老人ホームやそれに準ずる施設が、特養などとほとんど変わりなくなるのではないか。こういうふうに制度をつくっていくと、要支援の方の介護サービス費用の上限も上昇してしまうのではないか。

(田中委員)

 有料老人ホームは、介護保険の中の新しい施設類型とせずに、普通のお年寄り向けアパート、あるいはマンションと理解し、たまたま要介護になった方には介護サービスがつくという位置付けのほうがいい。
 設備の減価償却分や付加サービスの利用は、市場経済の中の問題である。
 問題は、比較的パッケージでサービスを提供しやすいため、事業者が囲い込みと非難されないよう、外部サービスも選択できるようにすべきである。

(見坊委員)

 「有料老人ホームについては、多様なニーズに対応するために、従来より、特別養護老人ホームより手厚いサービスを提供しているものがあるが」というのは、具体的にはどういうことか。

(村上老人福祉振興課長)

 人員配置が非常に厚く、1:1とまで行かなくとも2:1で非常に丁寧にケアをしている場合や、様々な面で利用者の意向に応じた形でお世話をしている場合がある、と聞いている。

(見坊委員)

 もともと有料老人ホームは、民間の自由な契約による施設であった。それがいつの間にか介護保険施設の中に深く入ってきた。
 特別養護老人ホームよりも手厚いサービスというのは、具体的に、専門性のあるサービスとして何があるのか。こういう表現は、非常に誤解を招く。

(中村委員)

 もう少し精査して資料を出していただきたい。特別養護老人ホームより手厚いサービスを提供している、という文章には抵抗感がある。
[「11居宅療養管理指導」について]

(加藤委員)

 通院困難な寝たきりとは、通所系の介護サービスは利用できないというふうに取るべきなのか、訪問医療を受けている人と取るべきなのか。

(神田次長)

 現在の訪問診療や在宅に赴いて行う現在の医療保険給付サービスの多くは、通院困難な方の居宅に赴いて行うというような趣旨が書いてあり、介護保険給付における運用も同じ趣旨でよいのではないかということである。

(加藤委員)

 通所系の在宅サービスを1カ月に1回でも受けている事実があれば、居宅療養管理指導は受けられないということか。

(神田次長)

 通所サービスは送迎があるので利用できるが、一般的な外来への通院は非常に難しい、というケースも当然あるのではないか。

(青柳委員)

 「……痴呆等の要介護者等を対象にし」の「等」という言葉は、要支援者という意味ではないか。

(神田次長)

 要介護者等の「等」は、ご指摘のとおり要支援者という意味で、それ以外に外縁を広げるという考え方ではない。

(下村委員)

 認定で主治医の意見書を書くので、当然、要介護者の場合は、何らかの診療が行われているものと考えられる。
 介護保険制度になると、居宅介護支援事業者等に対する情報提供が新たに加わるが、通院困難な寝たきり・痴呆等の要介護を訪問して行う継続的な医学管理に基づき、本人及びその家族等に対する介護サービス利用上の留意事項、介護方法等についての指導・助言というのは、今まではやっていなかったのであろうか。
 医師、歯科医師、栄養士の指導は、月1回行く分は介護保険で、2回以上行く場合は健康保険でといった割り振りしかできないのではないか。

(村上(勝)委員)

 歯科でも、在宅の寝たきり老人に対する訪問指導管理は医療保険にある。しかし、口腔内の咀嚼能力の問題に応じた栄養指導も歯科の方でやっていたが、今では、医科の先生方が全身の管理の中でなさるようになり、その部分については、歯科はタッチしていない。
 介護支援事業者に対する情報提供を評価するとあるが、具体的にこれは、どういうふうなタイミングないしは流れの中で行うのか。
 医師自身が居宅介護支援事業者となりプランを立て、ケアプラン作成機関に委託しない場合は、医師は居宅療養管理指導の請求はできないのか。

(神田次長)

 情報提供のタイミングは、特定の時期ということではなく、毎月訪問診療をされている中で、ケアプラン作成機関側が、必要に応じて訪問看護とか訪問リハ等のサービスを組み合わせたい時に、医師に意見を聞くということを考えている。
 医師の方がケアプラン作成機関と兼ねていた時には、介護方法の指導やその他の事業者に対してサービス提供上の留意事項の情報提供をするといったことがあるのではないか。

(下村委員)

 老人の立場で考えると、主治医が、歯医者にかかる必要があるとか、栄養指導を受けなさいとか、きちんと明示してくれる方がいい。
 アメリカでは、実際に患者の立場に立って、ケアマネジメントのようなことを請け負う組織があり、そこが一括して料金の支払いを受けている。患者にとっては、本当はそのほうがはるかに便利な場合がある。

(中村委員)

 居宅療養管理指導等に含まれるこの情報提供は、在宅介護支援センターの機能との重複はないか。

(神田次長)

 在宅介護支援センターの業務には、介護サービスの利用調整という部分と介護方法の指導あるいは介護に関する相談、介護サービスの啓発普及がある。
 介護保険の中で、要介護認定を受けた方に対するサービスの利用調整、具体的にケアプランを書くという部分については、報酬と重複してくる部分もあるが、それ以外の部分もあるため、今後、在宅介護支援センターの位置づけを含めて、給付との関係を整理する必要があると認識している。

[「居宅介護支援(居宅介護サービス計画費)」について]

(橋本委員)

 在宅介護支援センターの職員たちが非常に不安に思っているのは、ケアプランを作成する費用に加えて活動費がついてないと動けないということである。
 「要介護度の違いにより、介護サービス計画作成等の業務量に差があることが考えられる」とあるが、実際には、ケアプランをつくるというのは、重い軽いに関係なくアセスメントの業務量は同じである。

(神田次長)

 介護サービス計画作成コストとして考えられる費用としては、机に座って計画を書いている時間だけではなくて、訪問調査、計画原案の作成、会議の開催、情報提供、継続的な管理、といったコストを総体として評価をする認識で、検討していく必要がある。
 介護サービス計画作成等の業務量の差とは、サービスが1、2種類であって、電話連絡などで情報交換ができる場合は会議を招集しなくともよいこともあるので、比較的軽い方の場合はコストが安くなる面というものもあるのではないか

(橋本委員)

 検討の背景はわかるが、それは、ごくわずかなことだと理解したほうが適当であろう。

(石井委員)

 月々にやはり固定的なものが入らないと、運営上安定してこないだろう。そういう点を考慮した単価というものが考えられないか。
 「14その他」について、適切な業者が多くいることはいいことだが、不適切な競争が起きた時にどう対応するかが問題だと感じている。

(野中委員)

 居宅療養管理指導の関係や居宅介護支援について、あまりにも複雑多岐にわたる表現であるので、訪問薬剤管理指導、訪問栄養食事指導等とかかりつけ医や保健婦との連携に、もう少し配慮したものにしてほしい。

(下村委員)

 介護保険は現物給付的運営をすると考えられているが、例えば家族を代理人として、給付範囲に該当する一定以上のサービスを購入したという証明をつければ、事後的に限度額いっぱいまで現金を支払ってもらうことは可能か。

(神田次長)

 法律上は現物給付で、原則は費用を事後補填をするが、一定の要件を満たす場合には、事業者が受領委任という形で、直接事業者に給付が払われる。その要件は、そのサービスが居宅介護支援というケアプランの対象になっていることで、事前にケアプランを書いて、限度額の枠内におさまっているかどうか保険者でチェックをしておけば、現物給付の枠内ということになる。
 ただ、例えば20万円の限度額のところ、結果として、ケアプランの中が15万円しかなかったという時には、ケアプランの外で使っていたものがあれば、領収書を添えて事後的に申請をすれば、後から、枠が余っていれば払い戻しが受けられる、という扱いになる。

(星野部会長)

 今後、主要な論点につきまして中間まとめをまとめていただいた後、それ以外の在宅サービスに係る介護報酬の細かな論点については、施設サービスに係る介護報酬と同様に、改めてご審議いただく機会を設けたい。
 それでは本日はこれをもって閉会といたしたい。


 問い合わせ先 厚生省老人保健福祉局企画課
    電 話 (直)03-3591-0954
 厚生省老人保健福祉局介護保険制度施行準備室
    電 話 (直)03-3595-2890


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