98/08/20 第10回精神保健福祉法に関する専門委員会議事録 第10回精神保健福祉法に関する専門委員会 議事録                                       厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課                                議 事 次 第   日 時  平成10年8月20日(木) 16:00〜18:25   場 所  厚生省特別第1会議室    1 開 会    2 議 事     1)精神保健福祉法に関する専門委員会報告書(案)について     2)その他    3 閉 会 出席委員 吉 川 座 長  池 原 委 員  伊 藤 委 員  金 子 委 員  後 藤 委 員  佐 伯 委 員  佐々木 委 員  佐 藤 委 員  新 保 委 員  高 柳 委 員  竹 島 委 員  守 屋 委 員  山 本 委 員 ○吉川座長  定刻となりましたので、第10回の「精神保健福祉法に関する専門委員会」を開かせて いただきたいと思います。まだ、佐藤先生お見えになってないんですが、おいおいお見 えになっていただけると思います。  各委員の先生方におかれましては、本当にお忙しいところ、また、お暑い中おいでい ただきましてありがとうございます。  前回までの議論で、かなり皆様方のお時間をいただきまして進めてまいりました。特 に前2回はお約束の時間を大きくオーバーすることになったと思いますけれども、いず れにしても皆様方のご協力でここまでまいりました。本日は専門委員会の報告をまとめ るための議論をさせていただきたいと思います。  とりあえず本日の出席の状況につきまして、事務局からご説明いただきたいと思いま す。 ○杉中補佐  本日は長尾委員、西山委員、乳井委員から欠席のご連絡を受けております。以上でご ざいます。 ○吉川座長  ありがとうございました。  それでは、議事に入りたいと思います。その前に、資料の方をご確認をいただきます。 ○杉中補佐  それでは、資料の確認をさせていただきます。  本委員会の座席表、議事次第のほかに「精神保健福祉法に関する専門委員会報告書 (案)と、あとその「参考資料」というものがついております。  また、専門委員会に関する意見といたしまして4つほどございまして、1つは宮城県 知事から法律についての意見というこで、専門委員会の皆様方にもぜひご配付ください ということでこれを配っております。  そのほか、今回の最終報告を迎えるに当たっての意見ということで、伊藤委員、高柳 委員、あと本日欠席しておりますけれども、長尾委員からご意見をいただいております。  そのほか、委員の座席上には、第8回、第9回の検討メモ等について席上に配付して おりますけれども、それにつきましても早急にご確認をしていただいて、外部に公表で きる形にしたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。以上で ございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。  それでは、早速議題に入りたいと思います。とりあえず今までのところで特別ござい ませんね。ご意見があればですが、なければ、そのまま進めさせていただきますが、事 務局から、「精神保健福祉法に関する専門委員会報告書(案)」の中を少しご説明いた だけますか。 ○杉中補佐  第1と第2ぐらいですか。 ○吉川座長  私の方から、先ほど打ち合わせのときにもちょっとお話を申し上げたのですけれども ここに書いてあります第1の部分と第2の部分をまず最初にさっと進んでいきたいと思 ってますが、そのほか、ところどころで切らせていただきますけれども、よろしくお願 いします。では、第1、第2のところで。 ○杉中補佐  それでは、まず最初の「はじめに」というところと、第2の「精神保健福祉を取り巻 く現状について」ということについて、ここに書いてあるところを読ませていただきま す。  まず「第1 はじめに」という形で、これは専門委員会で検討することに至った経緯 について書いたものでございます。それでは読ませていただきます。 「○我が国の精神保健福祉行政については、精神障害者の人権に配慮した適正な医療を 確保するとともに、精神障害者の社会復帰の促進を図るという観点から、昭和63年に精 神衛生法の一部改正を、平成5年に精神保健法の一部改正を行ったところである。 ○また、平成5年12月には障害者基本法が成立し、精神障害者がこの法律の対象とし て明確に位置づけられることになり、平成7年には、精神障害者の福祉施策の一層の推 進を図る観点から精神保健法の一部改正を行い、法律名も精神保健法から精神保健及び 精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)と変更したほか、同 年には、精神障害者社会復帰施設(以下「社会復帰施設」という。)の計画的な整備を 含む、「障害者プラン」が策定されるなど、精神障害者施策の推進が図られている。 ○また、平成8年7月には、障害者の保健福祉施策を総合的に実施する観点から、大臣 官房に障害保健福祉部を設置したところであり、また、障害者保健福祉施策のあり方を 検討するため同年10月に、身体障害者福祉審議会、中央児童福祉審議会障害福祉部会 公衆衛生審議会精神保健福祉部会にそれぞれ企画分科会を設け、合同で審議を行ってお り、平成9年12月に中間報告を出したところである。 ○平成5年の「精神保健法等の一部を改正する法律」の附則第2条において、改正法の 施行後5年を目途として、改正後の精神保健法の規定の施行の状況及び精神保健を取り 巻く状況を勘案して見直しを行うこととされており、また障害者関係審議会合同企画分 科会の中間報告でも、精神障害者の保健医療については別途検討することとされている。 これらを踏まえた見直しを行うために本年3月に公衆衛生審議会精神保健福祉部会に 「精神保健福祉法に関する専門委員会」を設置した。 ○当専門委員会においては、3月以来9回にわたり審議を重ね、精神保健福祉制度の見 直しに当たっての基本的な考え方及び具体的な施策の方向について次のとおり取りまと めを行った。」 「第2 精神保健福祉を取りまく現状について」ということで、広く全般的な精神保健 福祉行政を取りまく現状について説明をしております。 「○平成8年患者調査によれば、精神病院等に入院・通院する精神障害者数が217万 人(推計)で、平成5年の同調査による推計値157万人と比べ急激に増加している。 また、病院報告によると新規の入院患者数についても平成5年の約26万7千人と比べ 平成8年には約28万1千人と増加傾向にある。近年の社会の複雑化等に伴い、精神障 害者の医療及び福祉の問題は、限られた人々や地域の問題ではなくて、誰にとっても身 近な問題となっている。 ○入院患者数については、平成8年患者調査によれば32万2千人と平成5年の同調査 の結果(32万人)と比較してほぼ横ばいである。また、平成8年患者調査によれば5 年以上の入院患者が約46.5%(平成5年同調査では45.7%)を占めており、入 院の長期化の傾向に変化はなく、精神障害者の社会復帰が進んでいないことを示してい る。 ○精神障害者の福祉施策については、基本的には自立可能な精神障害者に対する社会復 帰対策を中心に行っている。社会復帰施設等については、平成9年度までに整備に着手 したもので、約900ケ所、約10,000万人分(社会復帰施設+グループホームの合計ケ 所数、人数)となっているが、障害者プランに基づき引き続き計画的な整備を図る必要 がある。(平成14年のプラン終了時の目標は、約2000カ所、約25,000人分) ○在宅精神障害者に対する生活支援は実質上家族に依存しているが、家族の在り方の変 化、家族の高齢化、単身で生活する精神障害者の増加等により、これらの精神障害者に 対する生活支援を家族に依存することが難しくなってきている。 病状が安定していて入院医療は不要であっても、日常生活能力が著しく低下している ために生活面での支援が無くては地域生活が困難な精神障害者に対しては、現行制度は 十分に対応することができず、これらの者に対する支援策が求められている。 ○一方、昭和59年の宇都宮病院事件をきっかけに精神病院における人権擁護の在り方 について検討がなされ、昭和62年改正において、精神病院に対する指導監督の創設、 精神医療審査会の設置、精神保健指定医制度の創設等の措置が講じられた。  しかしながら、同改正後も平成元年の越川記念病院事件、平成9年の大和川病院事件 栗田病院事件、山本病院事件等にみられるように、一部の精神病院において人権侵害事 案が発生している。  以上でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。  ただいま、第1のところの「はじめに」というところで、この専門委員会が設けられ たいきさつについてまとめていただきました。  それから、第2のところは、このいわば現状認識というようなところをまとめていた だいたわけでございますけれども、このまとめに対して、皆様方いかがでございましょ うか。何か特にご意見があれば承りますし、もし、ないようでしたらば、そのまま第3 の方の具体的な問題に少し入っていきたいと思います。はい、どうぞ。 ○伊藤委員  一番最初のところなんですが、63年改正になっていますね。精神衛法の一部改正が。 ○杉中補佐  はい。 ○伊藤委員  62年、施行が63年。 ○杉中補佐  施行は63年ですね。 ○伊藤委員  後の方は62年になっています。 ○吉川座長  62年と書いてありますね。 ○杉中補佐  そうですね。そこはちょっと直させていただきます。 ○吉川座長  わかりました。 ○伊藤委員  それだけですね。 ○吉川座長  ほかに何かございますでしょうか。  よろしいようでしたらば、それでは先へ進ませていただきますが、それでは「基本的 な考え方」、第3のところでございますが、「1 総論」の部分と「II 基本的な施策 の方向」までをお話をいただきますでしょうか。 ○杉中補佐  わかりました。この第3の部分は、これまで各項目ごとに行っておりましたのを一応 「基本的な考え方」という形でまとめさせていただいたものでございます。総論の部分 とさらに細かく分けた部分という形で分けております。 「I 総論 ○精神保健福祉施策の基本は、精神障害者に対し、良質かつ適切な保健医療サービス及 び福祉サービスを提供することにより、精神障害者の社会復帰を促進し、その自立と社 会経済活動への参加を促進することである。このため、施策の推進に当たっては、精神 障害者の人権に十分に配慮することを前提に、身近な地域において必要な保健医療福祉 サービスを受けることができる体制を整備していくことが必要である。」という形で書 かせてもらっております。  これを受けた「II 基本的な施策の方向」という形でございますが、まず「(1)地 域に密着した精神保健福祉施策の充実」という形で挙げさせていただいております。こ れにつきましては、これに書いてあるように、医療施策においても県単位から2次医療 圏とか、あと精神科救急と福祉施策についてもやはり保健所というか、県単位というよ りは市町村単位でやっていくという重要性が指摘されたところなので、一番重要な課題 として挙げさせていただいております。これについても読ませていただきます。 「(1)地域に密着した精神保健福祉施策の充実  ○精神保健福祉施策は、国民全体で取り組まなければならない重要かつ身近な問題であ るが、未だに精神障害者に対する社会的偏見は根強く、依然として地域における精神保 健福祉施策は遅れている。都道府県中心・入院医療中心の現行施策を転換し、地域にお ける保健・医療・福祉施策を推進していくためには、従来の都道府県単位での医療保健 福祉制度ではなく、より生活に密着した単位で施策を進めることが必要である。 ○医療施策については、地域での即応体制の整備を図るため、精神科救急医療体制の確 保や急性期に対応した精神科病床の整備について検討する必要がある。 ○福祉施策についても、在宅の精神障害者に対する生活支援を積極的に行うとともに、 障害者福祉施策の総合化の観点からも、障害者に対する総合的な相談窓口を市町村に設 けるなど、従来の都道府県中心の体制から市町村を中心として精神障害者の福祉施策を 推進する体制を整備する必要がある。」  「(2)精神障害者の社会復帰施策の推進」、これは従来から最重要課題だったわけ ですけれども、これの推進ということを書かせていただいております。 「○精神障害者の社会復帰については、社会復帰施設等の整備を引き続き図るとともに 特に在宅の精神障害者に対する福祉施策について質・量の充実を図ることにより、他の 障害者の福祉施策と遜色のないものとしていく必要がある。また、授産施設、地域生活 援助事業等については、障害種別間の相互利用を推進することにより、社会福祉資源の 効率的な活用を図っていくべきである。 (3)は「精神障害者の人権の確保」ということで、これについても従来からの最優先 課題になっておりますけれども、これについて書かせていただいております。 「○近年の精神病院における人権問題の頻発にかんがみ、精神障害者の人権を確保する 観点から、精神病院に対する指導監督を強化することが必要である。また、社会復帰施 設についても指導監督のための規定を設けることが必要である。 ○近年の精神病院における不祥事件においては、医療保護入院の運用について本人の同 意能力がある場合にも強制的に入院させられたり、また、逆に判断能力が不十分でも任 意入院となっている事例が見られる。このため、任意入院の対象との区別化を図るため 医療保護入院の要件を明確化する必要がある。 ○精神障害者の自己決定権を尊重するとともに、保護者が高齢化している実状や成年後 見制度の見直しの動きを踏まえ、保護者制度の在り方について見直しを行うべきであ る。」 以上でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。  ここの「第3 基本的な考え方」というところで総論的なもの1つと、それから、 「II基本的な施策の方向」として、(1)から(3)まで挙げておきました。ここまで 一応お目通しをいただきたいのですけれども、いずれにしても第4のところから、それ ぞれ個々の具体的な施策について書いてありますので、そして、また具体的な施策にな りますと、いくつかのまだ議論していただくこともあるかもしれませんが、いずれにし てもそれらを全体的に集約したような形で「基本的な施策の方向」というIIのところに ほぼまとめたつもりでありますが、何かもっとここのところを書き加えておいた方がい いのではないかというようなご意見があれば、IIのところに先に書いておきたいと思い ます。どうぞ、高柳先生。 ○高柳委員  (1)のマルの1番の2行目に「社会的偏見は根強く」と書いてありますけれども、 ここのところの偏見除去の努力義務といいましょうか、そういった文言がどこかに入ら ないかということなんですが。 ○吉川座長  なるほど。どうでしょう。これは第2条、もともと「偏見」という言葉では書いてあ りませんけと、第2条か何かのところに、国民の……。 ○杉中補佐  第3条。 ○吉川座長  3条でしたか、そこに一応ありますよね。 ○高柳委員  重複しますか。 ○吉川座長  どうでしょうか。その辺と重なりぐあいが。 ○杉中補佐  もともと条文的には書かれているという認識なんですけれども、確かに具体的な偏見 除去の施策ということについても何か考えなければならないという認識を持っているん ですけれども、それについて本当は普及・啓発検討委員会というのが設けられておりま して、そこでやっていこうということにたしか整理としてなっているはずなんで、これ はその専門委員会の報告書という中で対策について書くということはないのではないか と考えます。何点か、小規模作業所とか、あと今回の専門委員会のテーマとして扱わな い部分という中に普及・啓発というのがあったというふうに認識しております。 ○吉川座長  基本的な方向としてですから、そういう努力を必要としているというような表現がこ の中にあっても、別にどこかとバッティングすることはない。 ○杉中補佐  この中に必要だということと、普及・啓発、それは大丈夫だと思います。 ○吉川座長  それは構いませんよね。どうでしょう。高柳先生、何か具体的にどんな表現がいいか。 ○高柳委員  よくわかりませんけど、市町村におろすときに市町村は努力するべきだというふうな 文言があれば。 ○吉川座長  なるほど、それではそういう言葉を採用していただきましょうか。 ○杉中補佐  わかりました。 ○吉川座長  「社会的偏見は根強く」の後に、それをどういうふうに取り外していくのかという努 力に関して文言を加えるということでまとめさせていただきます。  それではほかに何か。「基本的な施策の方向」の中にございますでしょうか。 ○伊藤委員  後で議論することに関係してくると思うんですが、3ページ目の(1)の上の2番目 の「医療施策については、地域での即応体制の整備を図るため」というところですが、 急性期の病床については身近なところでできるだけしたいという気持ちはよくあらわれ ていると思うんですが、私は慢性期の病棟についてもある程度身近なところでというの がやっぱり本来の姿だろうというふうに思っていますので、この後、具体的なところで また議論になると思いますが、急性期だけに強調しないで、もう少し幅広げた表現にし てほしかったというのがあるんですが。 ○吉川座長  これは病床の問題はいずれ後でまた出てきますけれど、もし、その後の議論の中で、 やっぱりこれは「基本的な施策の方向」に書き入れておいた方がいいということであれ ば、そのときにまたここのところを見直しすることにします。  ほかに何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。  それではこのところは、今のペンディングにさせていただきましたものを除きまして 通過したことにしまして、次のページの第4のところからが、これがそれぞれまた皆様 方からご意見賜らなければいけないことだと思いますので、1つずつやっていきますね。 ローマ数字Iだけのところをまず。 ○杉中補佐  それでは読ませていただきます。 「第4 具体的な施策の方向  I 精神医療の在り方について 1)精神科救急事業の法定化について ○精神障害者の社会復帰を進め、地域医療を推進していくためには、緊急時に対応した 医療体制を整備することが必要である。このため、現在の精神科救急事業を法定化し、 「精神化救急医療のための指定病院制度」を設けることによって、精神科救急医療体制 の確保を図る必要がある。 ○また、救急時の対応については、入院先の病院の確保だけでなく、その病院までの移 送の手段を確保することが重要であることから、併せて緊急に治療を必要とする精神障 害者の移送に関する制度を設ける必要がある。 2)医療保護入院について ○医療保護入院は、本人の同意に基づかない強制入院の一種であることにかんがみれば その運用は限定的になされるべきである。しかしながら、現行の制度においては、本人 に判断能力が十分あるにもかかわらず、家族等保護者の同意によって医療保護入院にな るような運用がなされている事例が生じている。 ○従って、医療保護入院の対象を精神障害により入院の同意を行うことができない者に 限定し、医療保護入院と任意入院の対象を明確に区分する必要がある。また、医療保護 入院の対象者について、入院の判定基準を作成することについて検討するべきである。 3)仮入院について ○仮入院については、精神障害であるという診断が確定していない段階で、強制的に入 院させることができる制度であり、患者の人権尊重の観点からできる限りこの規定を適 用させないことが望ましいものと考えられる。また、精神医学の進歩による診断能力の 向上の結果、現在では年間20件あまり(平成8年の厚生省報告例)と事例がほとんど ないことから、これを廃止するべきである。 4)措置入院について ○措置入院にかかる現行の指定病院の指定基準については、必ずしも十分な医療サービ スが提供できる人員・構造設備の基準とはなっていない。このため、指定病院の基準を 見直し、国公立病院等の措置入院にかかる適切な医療を行う体制が十分に整備されてい る病院で措置入院患者を受け入れていくこととするとともに、指定病院の指定は、地域 における措置入院患者の受入れに必要な範囲に限定して行うこととするべきである。 5)精神病床の在り方について ○現在、一般病床について、病床を急性期と慢性期に区分すること等の検討が進められ ているが、精神病床についても精神医療の在り方を踏まえた検討を行う必要がある。精 神病院については、医療法関係規定において、医師、看護職員の特例的な人員配置が認 められているが、この特例については、精神障害は慢性疾患であるという前提に立った ものであるとする指摘がある。このため、医療法関係規定を見直し、精神障害者の病状 に応じた適切な医療を確保するため精神病院を病棟単位で急性期病床と慢性期病床に区 分し、当該区分にふさわしい人員配置基準及び構造設備基準を設けることについて検討 していく必要がある。 ○また、急性期病床については、医療計画上の取扱いを現在の都道府県単位からより身 近な地域で医療が受けられるよう2次医療圏単位とすることについて検討する必要があ る。その際、急性期病床と慢性期病床の総数が現行の各都道府県圏域毎の医療計画上の 必要病床数を上回らないように留意するべきである。 ○なお、医療法施行規則第10条第3号に規定する精神病床外の収容禁止規定や、同規 則第16条第1項第6号に規定する精神病室にかかる危害防止のための構造設備基準に ついては、合理的な理由に乏しいと考えられることから、見直すべきである。また、保 護室の適正な使用を確保するために、保護室に収容される患者の病床が同一病院内で確 保されることを条件として、保護室について医療計画上の病床数に算定しないこととす るべきである(医療法施行規則第30条の33第1項第2号関係)。」  一応あらかじめ言っておきます。ここで多少使い分けをしておりますのは、必要があ るというのは、一応この場で明確な合意が得られたと。検討するべきというのはそうい う方向が望ましいけれども、多少引き続き検討する必要があるところについてそういう 書き分けをしております。以上です。 ○吉川座長  ありがとうございました。今、最後の方に杉中補佐からお話がありましたように、少 し書き分けてありまして、完全にここで一致したものと、それから、いろんなご意見を 賜って、なおかつまだこの検討が必要であるという言い方、2つに一応大きく分けてあ るのですが、この1項1項進めていきましょうか。その方がよろしいかと思いますので 「具体的な施策の方向について」、「精神医療の在り方」というところで今ローマ数字 のIの部分をやろうとしていますが、この「1)精神科救急事業の法定化」のところか らずっと順繰りに進めていきたいと思います。  「1)精神科救急事業の法定化」についてはいかがでございましょう。ここでは議論 をされたことが大体これで組み込まれたと思っておりますけれども。特になければ、こ こは通過させていただきまして、第2のところはご意見がまだあるかもしれませんが、 「2)医療保護入院について」の問題ですが、これにつきまして、2つのマルでまとめ ておりますが、前段の条件と、そして後段のところでどうするか。「従って」以降のと ころを見ていただきたい。これは医療保護入院の廃止というよなことを言ってきておら れる方々がいろいろとありますが、これに対しては、ここの中での議論のときも廃止と いうところにこの段階ではまだ進めないんじゃないかということから、こうした医療保 護入院に関する1つの判定基準というものをつくった上でもう少し進めていくべきでは ないか。こんなふうにそのときの議論があったと思うんです。どうぞ、佐藤さん。 ○佐藤委員  経過は今座長がまとめられたとおりだと思いますが、医療保護入院を廃止すべきだと いう意見があることはあったと思いますので、今後医療保護入院の在り方について検討 するとか、そういった文言を加えることはいかがでしょうか。 ○吉川座長  なるほどね。判定基準だけじゃなくて医療保護入院の存続に関して検討すべきである そういうような意味ですね。 ○佐藤委員  はい、そうです。医療保護入院を残すとすれば、とりあえず判定基準が必要であろう という議論だったと思うので、存続についての検討を継続するとかという文言を加えた らどうでしょうか。 ○吉川座長  ほかに何か、その点ではいかがでしょうか。 ○伊藤委員  よろしいですか。 ○吉川座長  はい、どうぞ。 ○伊藤委員  私の書いた意見の中に触れておきましたけれども、やはり今の医療保護入院制度その ものに矛盾をはらんでいるということは、一応そういう認識の上で現状は、代替制度が きれいな形で出ないということで、今の形を続けざるを得ないということだったと思う んですね。それであれば、今、佐藤委員がおっしゃったように、次の改正までにきちん とそういう代替制度を見つけるような対策を考えておかなければならんというようなこ とを1つ入れてほしい。  もう一つは、差し当たり残すときに何をしなければならないかということですが、こ こでは判定基準のことだけ触れていますが、また、医療保護入院で入院した場合の人権 を守るために細かな規定を少し追加しておいた方がいいのではないかということで、い くつか挙げておきましたので、個々の恐らくまとめには入らないと思うんですけれども 具体的な法の改正の作業に入って、規則や何かができるときにはぜひ考慮していただき たいということで、記録にとどめておきたいという意味でここに出したものです。 ○吉川座長  ありがとうございました。前段の書き入れる問題に関しては、杉中補佐何かお考えが ありますか。 ○杉中補佐  ございませんけれども。 ○吉川座長  私は確かにこの議論を聞いていても、それは今後やはり継続して審議すべきである、 あるいは議論すべきことであるという話は出ていたと思いますので、私が今ちょっと抜 かしてしまったんですが、佐藤先生からいただきましたご意見、できるだけそこへ盛り 込んでおきたいと思いますけど。 ○杉中補佐  将来的な、検討するべきだみたいな。 ○吉川座長  存続に関して検討を続ける、存続に関してではなく、廃止に向けてとまでちょっとい きなり言えませんね。何かすぐうまい言葉が出ませんけれども、そこのところで「検討 を続けるべきである」というような表現。 ○杉中補佐  わかりました。考えてみたいと思います。 ○吉川座長  よろしくお願いします。 ○佐々木委員  ちょっとすいません。 ○吉川座長  どうぞ。 ○佐々木委員  どの場所に入るのか、ちょっとわからないんですけど、精神科救急の方に入るのかな と思うんですが、患者さんが地域から入院するとすぐに地域と分断されるような形では なくて、何か入院するときに社会復帰が一緒に考えられるような、そういうシステムが できるような、保健所にいますといつもそれを心がけているんですけれども、それがで きるような体制が医療の中にはあるといいなと思います。どこか、救急の方あたりで地 域とのかかわりといいますか、何か分断しないような、そういうことがとれるといいと 思うんですが。 ○吉川座長  ご意見わかりました。第3のところで「基本的な考え方」として、I、IIとして「総 論」と「基本的な施策の方向」としてまとめさせていただいてあるわけですけれども、 その中で、このこと自体はご意見がなかったし、きょうそういうご意見いただいたわけ ですけれども、仮に皆様方のご賛同が得られれば、「基本的な施策の方向」か、あるい はその1つ前の「総論」のところに少しそれを盛り込むことにしましょうか。当然と言 えば当然のことなものですから、議論がなかったということでなくて、改めてご指摘い ただいたとして、今、「具体的な施策」の中にちょっと入りにくいかなという気がする んですけれども、いかがでございましょう。何か。 ○竹島委員  今のお話なんですが、もし入るとしたら、まだこれから検討するところになります 「措置入院」のところが、明らかに行政権に基づく入院でして、退院の場合にはいろん な困難が伴うわけですので、医療保護入院の場合にはいろんなもう少し個別的な要素が もっと強いように考えられますので、もし行くとしたら、措置入院の患者さんが退院す る場合によりそういった配慮が必要なのではないかなという感じがいたします。 ○吉川座長  具体的なお話になりましたけれども、佐々木先生がおっしゃったのは必ずしもそうじ ゃないですね。むしろ理念としてというのか、基本的な考え方としてということだと思 うものですから、それで「総論」のところでどうかなと、ちょっとそういうふうに考え たんです。  文言については、ちょっと流れが違いますので、今の総論的なところにどこまでうま く入るかわかりませんが、冒頭のあたりかな。これもお任せで申しわけないけれども、 杉中さん、「総論」の後段のあたり、「このため……」の中に入りませんか。 ○杉中補佐  もう一度趣旨を、医療に入るときから。社会復帰とか地域生活に考慮するとか、そう いうことをおっしゃりたいということでよろしいですか。 ○吉川座長  そうです。医療を開始する段階からそれを考慮しておけということだと思いますので。 ○佐々木委員  地域と入院した後が分断されないような形で継続性のある医療といいますか、それを。 ○杉中補佐  保健医療福祉サービスが要は一貫性を持っていることが必要だと、そういうことです ね。 ○佐々木委員  はい。 ○杉中補佐  わかりました。ちょっと考えてみたいと思います。 ○吉川座長  はい、よろしくお願いします。  ほかにはいかがでございましょう。 ○佐藤委員  移送の問題ですが。 ○杉中補佐  精神科救急の。 ○佐藤委員  精神科救急の。 ○吉川座長  ちょっとそこは通過しましたので、何かなと思ったんですが。 ○佐藤委員  精神科救急のところに移送というのが位置づけられてありますが。 ○吉川座長  そうです。 ○佐藤委員  前回の議論の中に移送の中にもう一つ、措置入院にかかる診察と、それから入院につ いての移送というのを、これを都道府県知事の義務ということで位置づけようというこ とだったと思いますが、その点は。 ○吉川座長  タイトルを見てください。「精神科救急事業の法定化」というところで、今の移送の 問題が書いてあるだけでありまして、したがって、1つずつこれをやっていかないとい けないので、例えば、それは措置入院患者云々というところでそれが抜けていたとおっ しゃっていただけるなら、それはそれでまた考えられますが。 ○佐藤委員  今、ローマ数字のIのところ全体についての検討ですね。 ○吉川座長  ローマ数字のIのところの1)から始めて。 ○佐藤委員  1)からですか。 ○吉川座長  そうです。2)のところが今終わりました。 ○佐藤委員  そうですか。4)のところで、また申したいと思います。 ○吉川座長  申しわけありません。 ○杉中補佐  補足的に説明させてもらいますと、そういうことも最初書いていたんですけれども、 そこは議論であったということは了承しているんですけれども、この専門委員会の報告 書自体が恐らく広く世間に出て読まれるということを考えると、わかりやすさを重視し た方がいいのかなと思って、「精神科救急」のところで出た応急入院の話であるとか、 措置入院の移送とかというのは、ちょっと非常に専門的な世界でわかりにくいんで、救 急を法定化するという形でもし出した方が世間の人にはわかってもらえるかと思うので そういう細かいところについては前で入れなかった部分もございまして、だから、措置 入院の移送に関しては入れなかったんですけれども、それがいいかどうかというところ は、またご審議願えればいいと思うんです。 ○吉川座長  一応今進めている順序の中で、また最終的に抜けているところはまたご指摘をいただ くことにいたしたいと思います。  「3)仮入院について」、これもかなり議論のあったところだと思いますけど、これ はいかがでございましょうか。これはマル1つしかございませんが。 ○後藤委員  仮入院のことについて、私のところに意見をいただいたことがあって、それをちょっ と検討していただければとは思ったんですけれども、1つは、本当に法令と20例しかな いというのはこのとおりなんだけれども、実際の運用においては、仮入院というものが 不必要な入院を避けるために機能しているから、ここは存続させてほしいという意見が あるんですね。その辺について、前回のときは仮入院がそのまますっといってしまった ので、もし委員の中で少しお考えのある方がおられれば、ちょっとご意見をお聞きした いと思っております。 ○吉川座長  仮入院のときも、私もお話を少し申し上げましたけれども、今、後藤先生がおっしゃ るのは、恐らく千葉県の精神医療センターの計見先生のお考えだろうと思いますが、計 見先生、このことに関しては強く主張されておりますし、杉中補佐もお会いになられて 話は聞かれていますよね。 ○杉中補佐  はい。 ○吉川座長  その上で、今お話が改めてまた出てまいりました。どうでしょうか。仮入院制度を廃 止をしてしまうと、こういうふうにスパッと割り切ってしまったんですけれども、やは り存続する理由があるのかどうか。あるいはそれももう少し文言として変えておくのか その辺のところだと思いますけれど。  高柳先生、何かお考えありますか。 ○高柳委員  私、経験がないのでわかりません。 ○吉川座長  なるほど。どうですか。 ○伊藤委員  私も実際は経験ないのでなかなか言いにくいんですけれども、この件に対しては、今 のお話のあった残すべきだという方と議論をしたことはありますけれども、そのときに は、診断のための入院という実際例を聞きますと、家庭内で暴力を奮って非常に困って いると。それが病気かどうかを判断するために一時預かるのだと。そして、その間は治 療もしないと。そして、もし病気でないということであれば、その時点で帰ってもらっ て、後は司法の方なり、検察の刑事の方で扱ってもらって、もし同じようなことを二度 と起こしても病院としても治療の責任を負わない。負う必要もないし、治療の対象でな いからということで断ることができると。  明確に司法の業務と医療の業務を分ける過程でこういう仮入院が有効に働くのだと、 こういう議論というか、論理展開だったのですが、私は、もしそこまでするのであれば 初めに司法があって、司法の命令で医者が判断のために一時的に入院するというのが筋 が通るのではないかと。もし暴力があったりなんかして、しかもそれが病気かどうかわ からないというのであれば、むしろ医療が先に出るのではなくて、司法的な問題が先に あるのであれば、そこから始まるべきじゃないかということで、これは電話での議論の あれだったんですけれども、今の時点では私の考えを変える気持ちはないということで そこで一応終わってはおりました。今もそういうことで考えています。 ○吉川座長  何かほかに議論ございますか。これはこの場でも私は多少申し上げましたけれども、 先ほどの計見先生との議論の中で、今、伊藤先生がおっしゃったような議論、全く同じ 議論をいたしましたし、その上で私の方が申しましたのを、今、伊藤先生がおっしゃっ たことと全く同じで、まずこれを司法の方がそこで出て、そこへいつでも精神科医が出 て行けばいいことであって、精神科医が先に、あるいは病院が先にそれを引き受けるこ とではないだろう。そこだけはやっぱり譲れないというお話をいたしました。  それはそれで、私の考え方としてはそういうふうに通したんですけれども、それでよ かったかどうか、ちょっとわかりませんので、改めて今そんな話が出てきて、いかがで しょうか。 ○後藤委員  提案したので意見言わないのもあれと思ったので、前回の仮入院の議論について、全 く私は異存はない。そのまま通過して、本来はそこに異存があれば、そこで意見を言う べきことだったと思うので、法律上きちんとここに書いてありますように、病気かどう か判定される前に強制的に入院してしまうこと自体矛盾ではないかということに関して は、私はそのとおりだと思っております。  前回のときにちょっと余りにも検討がなかったので、もし改めてという意味でちょっ と提案させていただいた。 ○吉川座長  わかりました。それでは「仮入院」制度の問題につきましては、この文言のままで通 過させていただきますが、よろしくお願いします。  それでは「4)措置入院について」の問題ですけれども、さて、いかがでございまし ょうか。はい、どうぞ。 ○佐藤委員  すいません、先ほどちょっと順番を間違えて発言しましたが、わかりやすくというこ とで、あえて移送の問題はここには書かなかったということですが、考え方としては、 それは都道府県知事の責任であるということですね。 ○杉中補佐  はい。 ○佐藤委員  それは位置づけようという。 ○杉中補佐  考えております。 ○佐藤委員  わかりました。 ○吉川座長  何か、三觜課長、よろしいですか。 ○三觜課長  いいです。 ○吉川座長  よろしいですか。どうぞ。 ○高柳委員  長尾委員がご欠席ですので、長尾委員のご意見、お手元に配付してございますが、ち ょっと紹介させていただきますが、「指定病院の見直し」につきまして、2ページ目の 一番頭に書いてございますけれども、「指定病院の基準を厳しくしようとの意見である。 指定病院の要件を厳しくすることはやむを得ないかと思うが、僻地などの現実の運用上 困難が生じない配慮が必要。どの程度の要件になるかによるが、指定病院数が少なくな るようであれば一部の病院に措置が集中することになり、受けきれるか否か、現状の分 析もすることが必要」であろうというふうなご意見でございました。 ○吉川座長  ありがとうございました。では、その長尾先生のご意見も含めまして、これでよろし いかどうか、お考えいただければと思います。これは実務的にはどういうふうになるの でしょうか。 ○杉中補佐  実務的には申しますと。 ○吉川座長  今、長尾先生がおっしゃるような、そうしたむしろ実際に利用しにくいような形にな ってしまうなんていうことも考えられますか。 ○杉中補佐  実際指定病院の基準というので考えようと1つ思っているのは、今の人員配置基準が すべての精神病院と同一のものであるということが適切なのかということが1点と、あ と過去に全く受け入れを行っていないような病院に引き続きそういう指定を行っておく のがいいのかという話があるので、人員配置がある程度充実していて、措置入院患者を 受け入れる医師を持っている病院に限定していくべきだろうという趣旨で、現在もそう いう病院を中心に行われていると思いますので、そこは問題ないのではないかと。少な くとも今年間の措置入院患者数が 5,000人ぐらいのところで、指定病床は2万何千床と いう形でありますので、そこはそういう形でやっていくということでいいのではないか と。 ただ、地域的なことについては、後段に地域における必要性というのを考慮するとい うことでカバーしているつもりでございます。 ○吉川座長 わかりました。それでは今高柳先生から読み上げていただきました長尾先生のご意見 も、一応そこの中に組み込まれながら、なおかつ現状から考えて利用が少ないというこ ととか、あるいは医療の手が十分に「人員配置」とおっしゃいましたけれども、そうい うものがある程度確保されているところにお願いをしていくという、そうした考え方を そのまま続けさせていただきますけれども、よろしゅうございますでしょうか。 ○伊藤委員 措置入院の直接的な問題ではないのですが、間接期に関係あるのですが、大都市に措 置の発生が多いわけですね。そうすると大都市の方への、大都市が精神病院を設置する 義務は入れるべきだという意見が前のいくつかの意見を集めたときに結構多かったと思 うのですが、措置との絡みを考えた場合に、やはり設置義務を都道府県ばかりでなく大 都市にするということがこの中にはどこにも触れられてないと思うんですが、そういう 問題はどういう形で整理されたらいいかということをちょっと議論していただければと 思いますが。 ○吉川座長 なるほど。 ○杉中補佐 少なくとも議論の中で行われなかったという認識を持っておりますけれども。あと、 7年のときにそこは整理しておりますので、大都市という形で政令指定都市におろすと きにそこに病院の必置までは行わせないという形で整理をしておりますので、今回改め て何か事情の変更がないとそこはちょっと難しいのではないかと考えております。 ○吉川座長  といいますのは、大都市の中の指定病院の指定に関しては、特別に必置のものがない から改めて考えないということですね。 ○杉中補佐  大都市特例という形で都道府県知事の権限を政令指定都市におろすときに、都道府県 の要は病院の必置義務は政令都市には行わせないという形で行っておりますので、今回 改めて政令指定都市にそういう病院を置かなければならない理由について、今のところ 専門委員会の中では議論が行われていないということなので、この報告書に書くのは少 なくとも適切ではないかと考えております。 ○吉川座長  わかりました。そうすると、今、伊藤先生から改めてという話がありましたので、も し皆様方の中のご意見で、このことが必要だということになれば、またちょっと違うと 思いますが、今、竹島先生何か。 ○竹島委員  先ほど佐々木先生の発言のあったところとつながっているのですが、触法精神障害者 の問題がこの中ではもう少し議論するのがいろいろ難しいまだ段階にあるという話があ ったんですけど、特に措置入院した患者さんは行政権でもって強制入院させられるわけ ですから、その退院に対してはいろんな難しい問題があるという患者さんが比較的多い と思われます。その場合にその患者さんの退院、社会復帰というところに当たっては、 地域の受け取り困難というようなこともいろいろ出てくると思いますので、やはり地域 に退院する場合のケアの継続性というものを一定、せっかく「県立病院中心」という位 置づけがされていますので、ケアの継続性を一定担保した表現が何か必要なのではない だろうかというような気がいたしまして、そういう意味で、例えばですけれど、4ペー ジの一番最後の行の、「措置入院患者を受け入れるとともに退院指導の強化を図る。」 あるいは一番文章の最後のところに、また、退院時の後の社会復帰等の強化を図るとい うふうな形の文言があることによって、よりその人たちの社会復帰の援護あるいはまた その治療中断時の受診の援助ということがきちんとできていくのではないかと。  少なくとも触法の分は検討できないにしても、そこの部分の安定を図ることができる のではないかと考えたんですが、ちょっとまた終わりの段階になっての発言で申しわけ ないんですけど、若干の時間をいただけたらと思いまして発言させていただきました。 ○吉川座長  伊藤先生の議論とどういうふうにつながりますか。今お話しいただいたのは、佐々木 委員の方からお話があったこととのつながりですよね。 ○竹島委員  今お話しさせていただいたのは、佐々木先生のお話は、一般論としてというものなん ですが、その一般論の中ではもちろんそういう医療を自分で受けていれば、何の問題も ないという方から大変幅の広い対象に含まれてくると思いますが、ここの場合にはもっ とより限定された対象の明確な人に対して、一定のそういう地域ケアの継続の担保をす るというところで。 ○吉川座長  そういうのはもちろん構わないんですが、今、伊藤先生のご議論は大都市の問題があ ったので、私は今ちょっと竹島先生、ちょっと動いたものですから、大都市の研究の今 の経過の中からは何かお考えがあるかと思ってお話を向けたんですけれども。 ○竹島委員  大都市の方の研究との関係でやはり考えますと、大都市圏の問題は保健所とかいろん な機関があるんですけれども、機関が人口あるいは昼間、夜間の変動に対応できていけ ないという問題があったのではないかと思います。そういう意味ではその辺をより緊密 につなげるためには何らかの表現上の担保が要るのではないかということです。  それから、もっと地方の方に移りますと、前に伊藤先生から北海道の話がありました ように、地域が今度は広大過ぎて、逆にケアが時間的、距離的に届かないといった問題 が出てくるわけで、ここにもやはり一定担保が要ると。  そういった場合に例えばある市町村から入院して退院をしたと。その後の援護におい て、明らかに市町村だけでは力不足になるのであって、住居の確保その他、後のアフ ターケアいろんなところで他機関が連携をとらなければいけないと。そのバックアップ を保健所、精神保健福祉センターがしなければいけないケースもあると思うんですけれ ど、その場合にこの文言をもとにみんなでちゃんと組みましょうといったものがあると いうことは、いずれにしても必要なのかなというふうに考えました。 ○吉川座長  ありがとうございました。そうすると、伊藤先生、ここのところはどんなふうにしま しょうか。 ○伊藤委員  今までの法の改正の過程で、大都市にそこまで設置義務をつくるのは無理だという、 現実論として全く表現してもほとんど意味をなさないということなのかどうか。 ○吉川座長  大阪市なんてどうにもならないですね。 ○杉中補佐  ただ、大都市、今ある県立、国公立病院がその責任を果たしていくという議論と、さ らに新しくそういう果たすための病院をつくるということとは問題がちょっと違うと思 うんですね。そこは病床規制のある中で新しくつくるということは、官が民の変わりを するということをある意味では意味するわけなんで、そこは既存の国公立についてはそ の国公立に期待された役割をちゃんと果たしなさいよというところまでは、この専門委 員会での合意が得られたと思うんですが、さらに改めてそういう役割を果たすところを 政令指定都市なりにも設置しなさいということであれば、それはまた新たな議論が必要 ではないかと思いますので、この専門委員会の報告書についても、それをまた引き続き 部会で何回かは議論する予定なので、そういうのが必要であれば、新たな問題提起とし て、その場で言っていただければ、ありがたいと思いますけれども。 ○吉川座長  それでは、今の4)のところの「措置入院」の問題につきましては、今、伊藤先生が 改めて議論として提出されたことに関しましては、この会の中でまだ十分に議論できて なかったということで、今回この報告書の中には盛らないということで、そして、こう したご提案があったことをそれなりに今後の問題としていくというので、今のちょっと お話が出ました公衆衛生審議会精神保健福祉部会等でまた議論を改めてしていただく、 こんなふうにさせていただきます。  それから、竹島先生から出されました問題は、先ほど確かに総論の中ということで、 私が佐々木先生のご意見を中に入れさせていただきましたけれども、あの時点でも竹島 先生から、措置入院患者の問題についてお話が出たところでございますので、ここに入 れるのが適当かどうかわかりませんけれども、措置入院患者が実際上地域から少し離れ たところへ入っていく可能性ということから言えば、大きい現実的な問題もあると思い ますので、ここの中に今の竹島先生のお考えの部分を少し盛り込ませていただきたいと 思っています。文案につきましては、竹島先生と杉中補佐との間で少し考えていただく ことにさせていただきます。  それでは、次の「5)精神病床の在り方」のところお願いします。いかがでしょうか。 この「精神病床の在り方」のところの最初の2段ぐらいのところ、「現在、一般病床に ついて」云々という、このあたりのところに慢性期の問題がありまして、冒頭、伊藤先 生がお話になられた急性の問題だけでなくて、慢性の問題もやっぱり書き入れておいた 方がいいのではないかという、そこのところとちょっと重なるというか、そういうよう なところではないかなと思います。もしお許しをいただければ、この文章そのものをそ っくり、先ほどの急性のところに持っていくか何かして、あれは「総論」のところでご ざいますので、総論というよりも考え方のところの問題ですが、そこへ持っていってお いて、そして、この「精神病床の在り方」のところは、2行目の一番最後の「精神病院 については」というあたりのところからが文章の始まりにするようにしたらば、少しお さまりがいいかなと、こんなふうにちょっと考えていたんですけど、伊藤先生、いかが ですか。 ○伊藤委員  今の、十分に理解、もう一度。 ○吉川座長  伊藤先生がさっきおっしゃいましたのは、ローマ数字IIの(1)の2つ目のところの 「医療施設については」のところですよね。そして「検討する必要がある」と、今、文 章が終わっているわけですが、ここのところに慢性のことも入れろとおっしゃったんで すよね。 ○伊藤委員  はい。 ○吉川座長  ですから、その慢性の問題に関しては、5ページの5)のマル1の「現在、一般病床 について」云々ということを、この2行の分をここへ、そっくりとは言いませんけど、 この部分を持っていくとどうかなと思ったということです。 ○伊藤委員  はい、わかりました。 ○吉川座長  おわかりいただきましたか。そんなふうに、今整理をすると、伊藤先生のご意見が生 きるかなと思った。 ○高柳委員  私、ここの項だったかどうかわかりませんが、重症度という軸を少し考えていただき たいというふうなご提案を申し上げたはずですが、これはどんなふうな取り扱いになる のでしょうか。 ○吉川座長  今のこと、ちょっとその前に伊藤先生の話を終わらせていただいて、それでよろしい ということであれは、今の高柳先生のご発言から進めていきたいと思いますが、伊藤先 生のところはそれでよろしゅうございますか。もちろん文言は少しうまくつながらない といけませんから考えさせていただきますけれども、そんなことで。 ○杉中補佐  もう一度説明をしていただけませんか。5)の最初のマルをそのまま持っていくんで すか。 ○吉川座長  要するに、「現在」以下の「必要がある」までの2行の分ですね。この文の中からの 趣旨を3ページの「救急」のところ、救急じゃなくて……。 ○杉中補佐  最初ですか。 ○吉川座長  そこへ入れる。 ○杉中補佐  そこに持っていくということですね。わかりました。 ○吉川座長  はい。どうもありがとうございます。それはそれでいって、そして、重症度の問題に ついて、今、高柳先生からちょっとお話をいただいていますけれども。 ○杉中補佐  これ自身は急性期と慢性期に区分するということだけでは書いておりませんので、そ の区分をどうするかとか、どのぐらいの数なのかということについては検討していく必 要があるということで、あえて触れない方が前回の議論にふさわしいのかなと思うので そこは検討していく必要があるという中で、追ってまた、恐らく精神保健福祉部会にな ると思うんですけれども、別の場で細かいところの議論をさせていただくという整理で こういうふうに書かせていただきました。  だから、ここ別に平均在院日数だけということも別にここの中では言っておりません ので。 ○吉川座長  高柳先生、よろしゅうございますか。 ○高柳委員  それで結構です。私も多分そうだろうということです。 ○吉川座長  はい、わかりました。  それでは、「精神病床の在り方について」はいかがでしょう。そのほか、何かござい ますでしょうか。あとのところは議論の中ではお認めいただいたことが書いてあるだけ でございますのでよろしいかと思いますが。  それではこのところを通過させていただきまして、ローマ数字IIのところの「福祉政 策の充実について」というところで、杉中補佐からお願いします。 ○杉中補佐  はい。それでは読ませていただきます。 「II 福祉施策の充実について 1)在宅の精神障害者に対する福祉施策の充実 1)精神障害者の訪問介護事業の法定化 ○病状が安定していて入院は不要であっても、日常生活能力が著しく低下している精神 障害者について、当該精神障害者が地域で生活することを支援するとともに、精神障害 者を在宅で介護している家族の負担を軽減するために、市町村を実施主体として訪問介 護事業を法定化する必要がある。 ○市町村は、現在、精神障害者に対する福祉サービスに関する事務をほとんどを取り扱 っておらず、精神保健福祉行政に関する専門的な知識や技術を十分に有していないため 訪問介護事業の運営に支障をきたすおそれがある。このため、保健所を市町村のバック アップ機関として位置づけ、市町村との連携を図る等市町村への支援策を講じる必要が ある。 2)短期入所事業の法定化 ○在宅福祉施策の重要な施策の一つである短期入所事業が精神保健福祉法に規定されて いない。短期入所事業の質を確保するためにも法定化するとともに、法令に基づく最低 基準や指導監督規定の対象として位置づける必要がある。 2)利用者本位のサービス提供の仕組みについて ○現行の精神障害者福祉施策はすべて本人とサービス提供者との利用契約に基づくもの となっているが、1)精神障害者自身に提供されるべきサービスの内容に関する情報提供 が十分になされていないこと。2)精神障害者の一部には判断能力が不十分であるために 自ら必要な福祉サービスを選択することが困難な者がいること等の問題があり、結果と して希望するサービスの適切な提供がなされていない可能性があるとともに、サービス 提供者側においても、精神障害者のニーズの把握が十分できていないおそれがある。 ○また、上述したように在宅の福祉施策の充実に伴い、適切なサービスを紹介するサー ビスが重要になると考えられるため、精神障害者が本人の希望や個々の障害の程度に応 じた適切なサービスを受けられるようケアマネジメント等を実施し、障害者に対する 様々なサービスを組み合わせ、総合的に調和のとれたサービスを提供する体制づくりを 検討する必要がある。」  以上でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。この福祉施設の問題についてはどうでしょうか。これはこ の議論をしているときにも余り問題はなかったような気がいたしますが、この辺のとこ ろ、新保先生何か。 ○新保委員  施策内容についてはすべて前向きに検討されておりますので、そういう意味では特段 のことはございませんが、1)の 1の2番目のマルのところで、いわゆる市町村が十分 できてないんで、保健所がバックアップしなければいけないというような事柄が書かれ ておりますけれども、地域保健法からいけば、市町村保健福祉センターは社会復帰施設 等の連携を行うように文言が書かれているわけですね。  そういう意味からいきますと、本来なら市町村にもそういう保健福祉センターを通し ての役割が求められているはずでございますので、その辺を何らかの形で表現して保健 所等と連携をきちんととって活動が図れるような文言になると、むしろ現行の市町村保 健福祉センターがそういう役割を担っているのだという認識を持って前向きに進められ る可能性があるのかなというふうに思えるということです。 ○吉川座長  精神保健福祉センター。 ○新保委員  じゃない、すいません、市町村。 ○吉川座長  市町村ですね。 ○新保委員  ごめんなさい。市町村保健センターですね。 ○吉川座長  市町村保健センター。 ○新保委員  市町村保健センターは社会復帰施設等と連携を図るように書かれているわけですね、 文言の中で。 ○吉川座長  はい、そのバックアップ機関として、今、保健所をここで位置づけようとしたんです ね。 ○新保委員  そうですね。そういうふうに書かれているんですが、その辺で市町村保健センターが そういう文言が書かれていることが、これだとどうも見えなくて、市町村がどうしても まだ何も対応できている状況にないから、保健所やなんかがバックアップしなさいよと いうような文言にこれは読み取れるような感じがするんですね。  ですから、そういう意味ではもうちょっとバックアップというよりも協力体制という のかな、そういうような内容になった方がいいのかなという感じはするんです。もちろ んバックアップがなければきちんとやれないのは現況ではよくわかるんです。そのこと はよくわかるんですが、同時に市町村保健センターにはそういう役割が求められている わけですから、文言の中で。協力とバックアップというんですか、協力とバックアップ というのはおかしいですね。市町村がそういう役割を担っているんだということを知ら しめる形の文言があって、それを保健所や都道府県がバックアップするという文言にな るとよりいいのかなという気がしているわけですが、その程度。 ○吉川座長  わかりました。杉中補佐、何か少しイメージわきました。 ○杉中補佐  いや、難しい。 ○新保委員  要はその辺が文言で書かれていても、市町村の保健センターは全くそういったことを 現況では無視しているわけではないんでしょうが、無視しているような感じなんですね。 ○吉川座長  なるほど、それが前段のところなんですよね。市町村は何もしてないじゃないかとい う前段ですね。 ○杉中補佐  恐らく基本指針でも保健所で専門性の高い分野については、精神保健に関することを やるというふうに書いておるので、また市町村保健センターで業務がおりているという ことは認識されてないのではないかという。 ○吉川座長  認識はされてない。それは法上はですね。ただ、今の関係持って、作業所や何かとち ゃんとバックアップしろという、逆に言えば、市町村保健センターもそこのところで、 こうした作業所や何かを、あるいは社会復帰施設と関係持ってやれとは言ってはいます からね。その辺のところが抜けていると、いつまでたっても市町村保健センターが気が つかないんじゃないかということを今ちょっと言っておられるんだと思うのです。 ○新保委員  そうなんです。県のサイドもそんなような感覚で現状みんないっちゃっておりますの で、いつまでたってもその役割の連携とか……。 ○吉川座長  むしろ市町村保健センターが役割というか、もう少しきちんと精神保健に関して目を 向けるようにということで、そこのところを少々書き直したところで保健所がバックア ップをしろと、こういうふうに文章を少し変えていただけますか。 ○杉中補佐  わかりました。考えます。 ○新保委員  そのようにしていただけるとありがたいです。 ○吉川座長  ありがとうございます。 ○後藤委員  同じそこのところなんですけど、ほかの場所との整合性で、たしかこの議論の中で、 広域のところは精神保健福祉センターが調整するとか、専門的技術的な部分に関しては 市町村のバックアップ機関として精神保健センターがあるというのがたしか議論と、表 の中でたしかあったと思うので、これだと要するに保健所だけがバックアップするみた いな形にとられますので。 ○杉中補佐  わかりました。そこは恐らく退院サービス的な支援は保健所がやるんだろうという筋 なんで、バックアップというところをもうちょっと「技術的支援」とか、そういう形に 変えるとかという形にいたしましょうか。 ○後藤委員  あるいは「精神保健福祉センター等と連携してバックアップする」とか、そういう文 言とか、ちょっと考えていただいたらどうか。 ○杉中補佐  一応専門委員会の議論の中で、センターというのは、恐らくサービスの利用とか、そ ういうところの調整をやるのだという、保健所は福祉サービスに対する……。 ○後藤委員  直接的な。 ○杉中補佐  直接的な保健サービスの支援という、そういう形で議論されていたと認識しておりま すので。 ○後藤委員  これだと保健所。先ほどの新保委員の意見にもなるんですけど、要するに保健所が全 面的に引っ張っていきませんというか、それだけですよみたいなニュアンスになっちゃ うのかなという気がするんです。 ○吉川座長  精神保健福祉センターの所長としては、その辺のところはもうちょっと。 ○後藤委員  一緒にバックアップしていきたないという気持ちのあらわれです。 ○吉川座長  と連携してと。 ○杉中補佐  やっぱり連携というと。 ○三觜課長  それは保健所の役割とセンターの役割とがおのずから違うように位置づけてないとど うなっちゃうのかなという、連携というと、何かイーブンな感じでしょう。じゃないん じゃないかと思うんですけど。 ○後藤委員  だから、そのあたりをちょっと考えていただいて、保健所だけがというニュアンスに ならないようにして。 ○三觜課長  もっと具体的に言うと、保健所の場合は市町村が具体的に行う福祉サービスに対して 技術的な側面からケアすると。センターの方は全権的な立場からいろんな問題について バックアップするわけで、個別具体的なバックアップが保健所で……。 ○後藤委員  それはできない。 ○三觜課長  もっと全体的なのがセンターという感じじゃないかと思うんです。ちょっと違うんじ ゃないかと思うんです。 ○後藤委員  ただ「バックアップ」という言葉が使われると、そこだけがというニュアンスになる かな。 ○杉中補佐  ちょっとその用語をあらためます。 ○吉川座長  それでは、ここのところは通過します。それでは「福祉施策の充実」を全部通過して いいですね。  IIIのところの「精神障害者の人権の確保」のところを進めたいと思います。 ○杉中補佐  はい、わかりました。 「III 精神障害者の人権の確保について 1)精神障害者の閉鎖処遇について ○精神科医療については、できるだけ開放的な処遇を行うのが望ましいが、実際には、 任意入院患者についても約50%が閉鎖的な処遇がなされている。このため、閉鎖処遇 のあり方・定義について検討するとともに、法第37条に基づく処遇の基準等において 閉鎖処遇を行動制限として位置づけ、閉鎖処遇を医療上必要な場合に限定することを検 討する必要がある。 2)精神病院に対する指導監督について ○近年の不祥事件により明らかになった問題病院の中には、行政に対して虚偽の届出・ 申告を行ったり、繰り返し行政指導等を行っても、全く改善を行わない悪質な病院があ り、このような病院に対しては処遇改善命令等の現行制度は有効に機能しなかった。 ○従って、入院患者の処遇等で著しい問題がある病院や改善命令に従わない病院等に対 し、厚生大臣又は都道府県知事が業務停止命令等の処分を行えることとする必要がある。 3)社会復帰施設の指導監督について ○社会復帰施設におけるサービスの質及び施設内における処遇の確保を図るため、社会 福祉事業法の改正の方向をみすえつつ、社会復帰施設についても構造設備や処遇の方法 について法令に基づく明確な最低基準を定め、適正な運営を図る必要がある。 ○また、社会復帰施設に対する指導監督を図るために、都道府県知事が社会復帰施設に 対して、報告徴収や問題がある施設等に対する改善命令、事業停止命令等を行うことが できるよう、指導監督規定を設ける必要がある。 ○更に、地方分権推進計画を踏まえ、国民の生命、健康、安全のため緊急の必要がある 場合には、厚生大臣も、社会復帰施設に対して都道府県知事と同様の指導監督を行うこ とができるようにする必要がある。 4)精神医療審査会の役割について ○精神病院等における人権問題に関し、精神医療審査会が、その役割を十分に果たすこ とができるよう、以下のような機能の強化・見直しを行う必要がある。 1)精神医療審査会の独立性を高めるために、都道府県における監督部局とは別の事務局 を設けること。 2)精神医療審査会の審査にかかる調査機能を強化するため、精神医療審査会の委員に精 神病院等に対する報告徴収等を行う権限を付与すること。 3)精神医療審査会の委員の構成について検討するともに、委員数についても要件を緩和 し、必要最低限の人数(5人以上)のみを規定し、上限を撤廃すること。 ○また、今後社会復帰施設等を利用する精神障害者が増大することにかんがみ、社会復 帰施設等における処遇についても精神医療審査会の審査の対象とすることについて検討 する必要がある。 5)精神保健指定医制度について ○精神保健指定医は、人権に配慮した医療を行う中心的存在であり、その職務は極めて 重要であるにも係わらず、その責務については不明確である。このため、精神保健指定 医の責務の在り方について検討する必要がある。 ○また、指定医の業務の適正を確保するために、指定医としての業務の停止処分等を設 けることを検討する必要がある。」  以上でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。今、お聞きいただいたように、1)、2)、3)に関しま しては、これは専門委員会の中で議論したときに異論はなかった点ではないかと思いま すので、一応確認のためにこれでよろしいかどうか。 ○高柳委員  私は1)について、ちょっと異論を申し上げた記憶がございます。 ○吉川座長  そうでした。ごめんなさい。 ○高柳委員  私、改めて意見を出しておりますが、やはり閉鎖処遇を指定医業務というふうに位置 づけるのはちょっとレベルが違うのではないかと。特に西山委員からも総合病院の精神 科はすべからく閉鎖病棟であるべきだというご意見もあったぐらいですから、ですから 病棟構造の問題と実態的な閉鎖処遇の問題とは少し違うのではないかというふうな感じ がしますので、この文言のマルの3行目の「法第37条」以下、次の行の「位置づけ」 までを削除していただければ、私としては非常にありがたいと思います。 ○吉川座長  本当にこの意見ありました。ごめんなさい。確かにこの場でもって、高柳先生からも お話が出ましたことだったと思います。このことについて、少しほかにご意見。どうぞ 金子先生。 ○金子委員  今「総合病院の精神科」という言葉が出てきたので少しお話し申し上げますが、その ときもたしかご意見出させていただいたと思うんですけれども、総合病院の精神科で、 例えば1病棟閉鎖病棟がございましても、全員が全員閉鎖処遇を行っているわけではご ざいません。閉鎖病棟にいることが閉鎖処遇ではなくて、その患者さんの外出が制限さ れていることが閉鎖処遇だというふうに解釈しておりますけれども、たしかそのことも そのときに確認済みだったと思うのですが、いわゆるマーク方式などというふうな方法 で外出の自由を確保しておるというところでございます。  ですから病棟の構造と閉鎖の処遇の問題というのは別の問題としてとらえた方がよろ しいのかなと考えますので、閉鎖病棟の中にいることが人権を制限しているということ では、直接はありませんが、ただ、かぎがかかっていて、外出が不自由であれば、それ はやはり人権を制限していると言わざるを得ないだろうと私は思います。 ○吉川座長  ちょっとどうでしょうか。今の金子先生のご意見と高柳先生のご意見と重なっている ところが大きいような気がするんですけれどもね。 ○伊藤委員  ここの50%というのは、この50%は閉鎖病棟に入っていても、自由に外出認めら れる方については閉鎖処遇としてないわけですね。 ○杉中補佐  それはしておりません。 ○伊藤委員  ですから本当に閉鎖処遇なんですね。 ○杉中補佐  そうです。 ○伊藤委員  それについてはやはりきちんと基準を定めるなりして、しなければならないというこ とですから、高柳先生おっしゃったことについても、これでは問題なく矛盾はしないの ではないでしょうか。 ○高柳委員  金子先生のおっしゃったことと全く同じなんで、そういう意味では全く重なり合って いるんですが、しかし、これは「法37条に基づく処遇の基準等において」といったこ とになりますと、実際これは指定医業務に入ってくるはずなんですね。そうしますと、 今おっしゃったようなことは、閉鎖病棟に在棟すること自体が指定医の判断業務になる というふうになりますと、これは少し困ったことになるのではないかと思うんです。 ○杉中補佐  とりあえず37条と書いたのは、指定医業務であれば、36条の第3項になりますの で、指定医まではいかないかもしれないけれども、何らかの処遇の基準みたいなものを 37条に基づく基準の中で設ける必要があるのではないかというぐらいまでは了承を得 られていたかなと思うので、あえて「36条」という書き方をせずに「37条」という 書き方をしたのは、あの場の議論を踏まえて書いたつもりなんです。 ○吉川座長  そのための基準をつくるという考え方。どうしましょう。 ○高柳委員  実際これを作業やるとなると、実態はどうなのかということで、どうやって調査する のかというのは非常に難しいと思いますね。どうでしょうか。 ○杉中補佐  恐らく書くのはそんなすごいものは書けないんで、基準の在り方なんで、医療上閉鎖 処遇が必要、医師が医療の必要性から判断したというときに限定されるとかという形に なって、恐らく閉鎖処遇をするということをちゃんとカルテの中に明記しなさいよとい う形になるのかなというイメージを持っているんですけれども、今は医療上の必要性関 係なく、24時間閉鎖が各病院ごとにばらばらに決まっているのが現状でございますの で、外出できる状況の人であれば、さっき言った管理マーク方式とか、個別の人ごとの 管理をしてもらって自由に外出していただくということにしてもらえれば。  また、閉鎖処遇というものを明確に定義するということも37条の基準で書けば、細 かくできるのかなというふうに考えておるんですけれども。 ○吉川座長  今の杉中補佐の話は議論のときにも同じことを申されてましたね。 ○杉中補佐  そうです。 ○三觜課長  高柳先生、私は単純に本人が入院に同意している患者さんが、なぜ閉鎖病棟に入れな ければいけないのかということについて、私は理解できません。それは多分、強いて言 えば、既存の病棟が開放病棟の割合と閉鎖病棟の物理的な構造が足らないから仕方なし に閉鎖病棟に入れているのか多くの病院の実態ではないかと想像するんですね。今まで がどちらかというと閉鎖病棟が中心でしたから。任意入院の数に病棟の現実がついてい ないから、やむを得ず閉鎖病棟というところに入院させているのかなと理解しているん ですけど。 ○高柳委員  恐らく実態はそうだと思います。逆に言いますと、だから行動制限というふうに呼べ るほどの行動制限は加えてないと。 ○三觜課長  私は本当に7割も任意入院が真実であるならば、そういう病院の構造を時間をかけて でも、もう10年もたつわけですから変わってほしいということです。 ○高柳委員  課長がそこまでおっしゃるなら、それも最もだと思います。予算を出していただけれ ば。 ○三觜課長  近代化の方だけ。 ○吉川座長  これは議事録公開でございますので。 ○伊藤委員  よろしいですか。 ○吉川座長  はい、どうぞ。 ○伊藤委員  今の、要は任意入院でありながら閉鎖病棟に入っているというところは、我々現場で はやむを得ない事情もよくわかっていますし、ですけど、一般の方にはまず理解できな いことなんですね。それを理解していただくために何か担保がなければならないので、 それでやり方としては基準をきちんと決めるということですね。そして、それはある程 度の行動制限であるから、それをやる以上はきちんとこういう手順を踏まなければなら ないというふうにきめ細かくやっていくのと、もう一つは、閉鎖病棟に任意入院者が入 っているんだけれども、本人が明らかに納得してくれてますということを文書なり何な りできちんと明確に本人の同意を得ていると、閉鎖病棟に入ることに関して、そういう 形で担保するのと、どちらかで担保しなければならないと思うんですね。  その手法は2つの方向あると思うんですが、基準は非常に決めにくいし、幅があり、 運用されますから、本人が明らかに任意入院だけど閉鎖病棟に入ります、そこで治療を 受けますということを明確な意思表示が何らかされていたという証拠があれば、国民の 方というか、一般の方にもある程度理解していただけるのではないか。病院は今閉鎖し かあいてないということですね。それで本人が納得していただけるかどうか。だから、 そういう担保の仕方を考えるということで、どういうやり方するかはここで決めちゃわ なくてもいいかなと思っていたんですけれども。  私の文章、きょうお配りした中には、本人が明確に閉鎖病棟に入って、そこで治療を 受けますということが本人の意思表示が明確にされた文章が残っていれば、それが担保 になるのではないかということでここに書いておいたんですけれども、それが精神医療 審査会にもある程度届けられるとか、どこかに報告するということがある程度期間たっ たらするというようなことで、担保する方法もあるのではないか。細かなところは今決 めることはないと思います。 ○吉川座長  わかりました。高柳先生、これはこのままで通させていただきますが。 ○高柳委員  実態に踏み込んだ形で。 ○吉川座長  わかりました。それでは、先ほど申しました1)、2)、3)のところは、一応それ で通過させていただきまして、4)のところの「精神医療審査会」の問題について、ま ずご議論いただきましょう。これは1)のところで多少議論があったところで、最終的に は全く外部に置くかどうかということ、ただ、外部に置いたとしても、そこの委員に対 する任命権は都道府県知事が持つのだと。そうなったときに外部にあることの意義がど れだけあるのかということで、かといって、本庁の中に置くことが問題だとすれば、何 らかの形でそことは違うところに置くべきではないか、こんなような議論が行ったり来 たりしていたと思います。  その中には精神保健福祉センターが事務局になってもいいのではないかという具体的 な議論としてはあったと思いますけれども、それを別に書かせてはいただいていません けれども、こんな形でまとめています。  そして、2)のところも3)のところも、これは議論は余りなかったことだと思いますの で、そのまま権限を付与すること、上限を撤廃すること、こういうふうに書かせていた だいています。これはよろしゅうございますでしょうか。どうぞ。 ○佐藤委員  今の事務局の問題ですが、精神保健福祉センターに置くという1つの案というものが 出て、それは利益相反の場合があるので好ましくないという意見も申し上げたと思いま すが、後の精神保健福祉センターのところに今回はそれが書かれてはいないんですが。 ○杉中補佐  その場でそういう議論になったと思うので、センターということは書かなかった。 ○吉川座長  当然書かなかった。 ○佐藤委員  わかりました。ありがとうございます。 ○池原委員  ここの論点になっていいのかどうかあれなんですけど、この人権の議論のときに、福 岡でやっている当番弁護士制度のことについて議論があって、そのことについてはおお むね基本的には、そういう人権擁護システムというのは考えるべきじゃないかという考 えではなかったかと思うんですが、その点は今回は入れないんですか。 ○杉中補佐  あれは障害者110番事業等の活用を図っていきたいという結論だったと思うんです けれども、それについては既に現行の世界でできる話であって、これに書くまでもなく 我々でやっていくという方針でおりますので、この中にはあえて書かなかったんですけ ど。 ○池原委員  むしろ当然の前提みたいな。 ○杉中補佐  当然の前提ということでございます。 ○吉川座長  よろしゅうございますか。 ○池原委員  はい。 ○佐伯委員  精神医療審査会について、中央精神医療審査会の設置について検討いただきたいとち ょっと申し上げたんですけれども、その点についてはいかがですか。 ○杉中補佐  確かに佐伯先生から、そういうご指摘をいただいていたんですが、現実性がかなり厳 しいかなと思うので、実際は書かなかったというところで、そういう意味では政令指定 都市の病院と同じような観点から入れなかったんですけれども、実際審査会ができたと きにもそういった検討はしているんですが、なかなかここにそういった新たな機関を置 くのが難しいということで、果たして何件そういう再審査請求が行われるのかというと ころをかんがみて、置かなかったと。  あと、国がどれだけその地域の医療に対して詳しい情報を持っているのかということ から、再審査請求というよりも、そこに不服があるのであれば、改めて別の医療審査会 のチームに再度退院請求等を行うのが現実的ではないかという整理がなされているとこ ろなんですけれども。 ○佐伯委員  精神医療審査会の統計を見てみますと地域差が非常に大きいというのが大きな問題で はないかと感じておりまして、常に伊藤先生のご意見にもありますけれども、精神医療 審査会の審査結果について裁判所に不服申し立てができるようにするべきだという意見 があるわけですけれども、精神医療審査会が設けられた趣旨が単に迅速な権利の保障と いう点にあるとすれば、裁判所に不服申し立てを認めるよりは、精神医療審査会の枠内 で上訴の道を開いた方がいいのではないかということで、権利保障の点からも地域格差 を是正する点からもやはり何らかの形で上層機関が必要なのではないかというのが私の 考えなんですけれども、もし、委員会のほかのご賛同がいただければ、なお検討を続け るようにという文言かなんかを入れていただくと幸いかと思いますが。 ○吉川座長  はい、わかりました。山本先生何か。 ○山本委員  この前、佐伯先生がおっしゃったときに、私もそれに賛同したので、その制度は盛り 込むことを検討すべきだという文言を入れておいていただければ、法律家としては。 ○吉川座長  ありがとうございました。それでは杉中補佐。 ○杉中補佐  座長がそういうふうにお認めいただいたのであれば。 ○吉川座長  そうですね。はい、わかりました。そんなふうに進めさせていただきます。では5) のところの「精神保健指定医制度について」はいかがでございましょうか。業務停止命 令等処分に関して新たにきちんと検討しようということですが。これに関しては余り異 論はなかったように思いますけれども、1、2ですね。よろしゅうございますか。これ は通過させていただきます。  それでは、次の「保護者について」、IVのところをお願いします。 ○杉中補佐  それでは読まさせていただきます。 「IV 保護者について  1)保護者の保護の対象について ○現行制度においては、全ての精神障害者に保護者が付されることとなっているが、精 神障害者の自己決定を尊重する観点からも、任意入院患者や通院患者など本人の同意能 力がある場合にも保護者の保護の対象とされるのは望ましくないと考えられる。 ○従って、保護者の保護の対象を措置入院患者や医療保護入院患者等判断能力が不十分 な者に限定し、入院患者の同意能力が回復した場合には、本人の意思を尊重することを 検討する必要がある。 2)保護者の義務について ○自傷他害防止監督義務については、保護者としては、病状が悪化した場合に医療を受 けさせることしかできず、実質上は医療を受けさせる義務と同一である。この条項を維 持することによりかえって保護者に過度の負担をかけるおそれがあるため廃止すること について検討するべきである。 3)成年後見制度について ○現行精神保健福祉法上は、後見人が最優先で保護者となることとなっているが、「成 年後見制度」の見直しの動向を踏まえ、必要に応じ保護者となることができる成年後見 人の範囲について見直す必要がある。 ○具体的には、現在提案されている成年後見人が精神障害者の生活の支援を図る上で最 適かつ最も責任を有していることにかんがみれば、成年後見人が広く保護者となれるこ ととすべきである。従って、新しい成年後見制度においては、保佐人についても保護者 とすることについて検討する必要がある。 ○また、地域で暮らす精神障害者についても、判断能力が不十分で生活面に着目した支 援を必要としているにもかかわらず、家族の高齢化等により、成年後見人となるべき適 切な人材がいない場合が予想される。従って、民法改正の動向も踏まえつつ必要に応じ 市町村長等による成年後見人の申し立て制度について規定することを検討すべきであ る。」  以上でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。保護者の問題についてはいくつか議論があって、皆様方か らたくさんのご意見をいただきましたけれども、落ちつくところは何か落ちついたよう な気がいたしておりまして、こんな形でまとめさせていただいていますけれども、いか がでしょう。まず、1)の「保護者の保護の対象について」のところでは特別にないで しょうか。ちょっと私は文章上気になるんですけれども、マルの2つ目の「従って」か らなんですけれども、「保護者の保護の対象を措置入院患者や医療保護入院患者等判断 能力」というところがイコールに使われてくる文章ですよね。 ○杉中補佐  そうです。 ○吉川座長  ですから「患者等で判断能力が」という意味ですよね、これは。 ○杉中補佐  基本的には措置入院と医療保護入院についてはすべて保護者を付すこととなっていま すので、このすべてという形を想定しておりますけれども。 ○吉川座長  なるほど。そうすると、それはすべて判断能力がないという表現でそのままいいんで すか。 ○杉中補佐  措置入院患者については多少あやしいところがあるんですけれども、少なくとも医療 保護入院については同意能力がないということなので、それでイコールにしてしまって も大丈夫かなとは思われますけれども。 ○吉川座長  私がちょっと気になったのはこの辺のところで、イコールにそのまましていいかどう かというだけです。もし、それでよろしければ、このまま文章を通していきます。  2)の「保護者の義務について」ですけれども、これについては、池原先生何か。 ○池原委員  あえてまとめていただいたのを蒸し返すようなことはしたくないと思ったものですか らちょっとあれなんですけど、引き取り義務ついてなんですけれども、これは結局どう もせんじ詰めていくと、保護者の義務の本質というのは、この医療を受けさせる義務と いうところに最後は収束していくのではないかなという感じがしまして、引き取り義務 も書くべきか、書かないべきかという議論のときに、結局措置入院が解除になったとき に医療中断が起こらないように保護者が配慮するということの具体的なあらわれとして 医療保護入院につなげるなり何なりの引き取り行為をすべきだという、そういう説明で すから、そういう意味で言うと、基本的には医療を受けさせる義務の具体的なあらわれ だという理解ができるのではないかという議論があったと思うんですけれども、そんな 点で、またそこの論点をやり始めると、今はそういう段階ではないでしょうけど、引き 取り義務については、場合によると、保護者の医療を受けさせる義務ということに包摂 していくべきではないかとか、そういうあたりの検討を今後すべきじゃないかとか、そ んなようなことはちょっと触れられないものかという気はいたします。 ○吉川座長  もうちょっと具体的に、どの辺のところをどういうふうに。 ○池原委員  あるいは「引き取り」という言葉が従来非常に強いイメージでとらえられていますの で、措置入院が解除される場合について、「医療中断が起こらないように配慮しなけれ ばいけない」とか、何かそんなような形がいいかなと思うんですけど。 ○吉川座長  どうぞ、杉中補佐。 ○杉中補佐  ここでそういう議論確かにあったんですけれども、仮退院がそのまま継続するという ことになったので、やはり自宅に引き取るということが実際起こっているので、そのと きの引き取り義務が生きてくるのなと思いますので、議論があって、そこについては明 確な結論が得られなかったという認識でおりますので、あえてこの中には書かなかった というふうに考えさせていただいております。 ○池原委員  それであれば、実はまたちょっと問題を広げちゃって申しわけないんですけど、私の 個人的な意見としては、保護義務の規定の仕方が、「医療を受けさせる義務」という部 分も医師の指示に従って治療に協力しなければいけないという、自己決定権よりはやや 医療側に寄った義務としての規定のされ方で、その表現方法なんかも若干問題があるか なという意見を申し上げたと思うんですけど、そんな点で保護義務の規定の仕方につい ては、またもう少し「将来的に検討すべきだ」とか、そんなような、そこに引き取り義 務のことも含められないでしょうか。 ○吉川座長  どうしましょう。 ○杉中補佐  やはり合意に行き着いていないところなので、引き続き議論する中で、そこについて も、また部会の中にも全家連の代表者もおりますので言っていただくということで、今 までの議論を受けて合意を得られたものを中心に書いていますので、そういう整理をさ せていただけるとありがたいんですけれど。 ○吉川座長  わかりました。それでは恐らく池原先生の方からはご意見があるだろうなと思ってお 誘いしてみたんですけれども、やはりそれなりにご意見まだあるようでございますけれ ども、議論としてはそのとおりのご意見いただいたのは確かですけれども、確かに皆様 方から必ずしもそこのところは深い議論はなかったような気がしますので、申しわけあ りませんが、このところでとめさせていただいて……はい、どうぞ。 ○佐伯委員  申しわけありません。もし可能であれば、提案ですけれども、池原先生のご意見を取 り入れる形で、「基本的な方向性」のところで「精神障害者の自己決定権を尊重する」 という言葉が出ておりますので、保護者の義務についてのマル1のところで、「保護者 の義務については、精神障害者の自己決定権を尊重する観点から、今後検討を続けるべ きであるが、差し当たって自傷他害防止義務については」というような書き方、これは 一案です。文言にはこだわりませんけど、そういう形で書くことはいかがでしょうか。 ○吉川座長  これは可能ですね。杉中さん。 ○杉中補佐  はい。 ○吉川座長  それでは、今の「自傷他害防止義務については」という前のところに入れるか、また 途中どこかに入るかなと今ちょっと思っているんですけれども、そうした自己決定権の 文言を入れながら、少し文章を流してみていただけませんか。 ○杉中補佐  はい。 ○吉川座長  それでは、2)のところを通過させていただきまして、3)の「成年後見制度」、い かがでしょう。これはこれからの問題なものですから、あの時点でも議論したことでは ありますけれども、これそのものがここで深い議論はできなかったといいますか、進行 中のことでございましたので、そんなところだと思いますが、こんな形でよろしゅうご ざいますか。議論されたことは盛り込んだつもりです。  もし、よろしければ、IVのところを通過させていただきまして、そして、その次のVI となっていますけれど、これはVでございます。Vのところをお願いします。 ○杉中補佐  その前にちょっと間違いかなと思うところの、「自傷他害防止義務」のところなんで すけれど、これは廃止ということで、一応合意が得られたかなと思うので、「検討する べきである」という形でなくて、「廃止する必要がある」とか、そういう形に直した方 がいいかなと思います。 ○吉川座長  そうですね。「検討する」じゃなくて、そうですね。 ○杉中補佐  引き続きVについて。 「V 市町村、都道府県関係機関の役割について  1)福祉施策における市町村の役割について ○精神障害者保健福祉施策のうち、より市民に身近な行政主体である市町村が行うこと が望ましい業務については、市町村が行うこととし、さらに、障害者の福祉施策の窓口 を市町村レベルで一本化していくことについて検討すべきである。これにより、地域ケ アの推進や他の種別の障害者施策との整合性の確保が期待できると考えられる。 ○市町村が行うことが適当な事務としては、以下のものが考えられるのではないか。 1)介護支援サービス(ケアマネジメント)  精神障害者に対し適正な福祉サービスを紹介するケアマネジメントについては、身近 な行政機関である市町村において体制を整備する必要がある。 2)社会復帰施設及び在宅福祉サービスの利用に係るあっせん・調整。  現行法第49条に規定する社会復帰施設等の利用にかかる保健所長のあっせん・調整 に代え、市町村がケアマネジメントの結果を受け、施設等の利用のあっせん・調整を行 うこととする。 3)精神障害者に関する一般的な事務  精神障害者保健福祉手帳の交付の申請について、他の種別の障害者施策との整合性等 を勘案し、市町村を窓口として行うこととするべきである。また、通院医療費の公費負 担の申請についても、保健所を経由して都道府県に送付されることになっているが、事 務処理の効率性や利用者の利便性を勘案し、市町村を窓口として行うべきである。 ○社会復帰施設の利用のあっせん・調整を市町村で実施することとした場合、都道府県 の精神保健福祉センター等において管内(若しくは近隣の都道府県)に所在する社会復 帰施設の利用等について広域的な調整を行うこととするべきである。 ○また、精神障害者社会復帰施設等に対する運営費の補助は、施設に対して行っている が、他の障害者施策等との整合性等を勘案し、利用者に着目した補助制度とすることも 含め検討するべきである。 ○なお、現在、精神保健福祉施策に関する権限は中核市にも委譲されていないが、全て の市町村ごとに実施させることは可能かという問題があり、小規模な市町村においては 広域的な対応が行えるようにする等の支援策を検討する必要がある。 2)精神保健福祉センターの役割について ○社会の複雑化にともない、精神障害や心の健康等に関する問題が増加しており、精神 保健福祉センターが果たすべき役割は大きくなっているが、精神保健福祉センターが必 置とされていないため、特にこのような機関が必要な大都市(指定都市)において、精 神保健福祉センターが設置されていないという結果を生んでいる。また、精神保健福祉 センターの専門性を有効に活用するために、通院医療費の公費負担の判定等の恒常的な 業務については精神保健福祉センターに行わせることが望ましい。 ○このため、「精神保健福祉に関する専門的な相談・判定・調整」を行う機関が必要と なるが、地方分権を推進する観点からも新たな機関を必置とするよりも、精神保健福祉 センターの名称の弾力化等を行った上で、当該機能を持った機関を置くこととするべき である。 ○そのうえで、現在都道府県の地方精神保健福祉審議会で行っている通院医療費の公費 負担の判定業務や市町村の行う社会復帰施設の利用の斡旋等にかかる市町村間の調整業 務等を精神保健福祉センターが行うこととするべきである。 3)地方精神保健福祉審議会について ○地方分権推進計画を踏まえ、また地方における他の障害者施策にかかる審議会との連 携を図ることを可能にするために、地方精神保健福祉審議会の組織・名称に関する規制 を弾力化するべきである。」  以上でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。まずは1)のところでいきたいと思いますが、市町村の問 題ですね。これに関してはほぼ合意を皆さん方から得たところだと思います。何か改め て議論していただくために、市町村が行う福祉施策の問題。もし、これはよろしければ 精神保健福祉センターの問題に進みたいと思います。1)の方は通過させていただきま して、2)の「精神保健福祉センター」のところで、後藤先生から何かご意見。 ○後藤委員  質問が1つあって、前の検討メモのときは、10ページの上の方にある「通院医療費 の公費負担の判定等の恒常的な業務」というところは、これは手帳の判定とかが先に入 っていたと思ったのですが、わざわざ通院、公費だけに限定したのは何か理由があるん ですか。 ○杉中補佐  とりあえず「等」という形で含めているんですけれども、手帳は本人のID的な話に なるので、そこも含めて行政機関だけがやってしまうことができるのかというような論 点があって、身体障害者なんかも厚生相談所は技術的な側面では支援しますけれども、 手帳の交付の判定は審議会で行っているという実態があるので、そのようなことができ るかどうかについてはもう少し精査する必要があるという観点から、この中では明記し ませんでした。 ○後藤委員  それと前回の検討のときにも、杉中補佐も言ったと思いますが、現在の運営要綱等に 定められている機能にプラスして、こういう判定調整業務が必要なんだという、そうい うニュアンスでたしか語られていたと思うんですけれども、こういうふうに書かれると 相談と判定と調整だけみたいな感じがあるので、少し現行行っている機能が継続される とか、あるいは担保される形の表現にはならないものかなと思います。 ○杉中補佐  最後のマルあたりに「その上で現行の業務に加え」とかという形で。 ○後藤委員  そういう形で入れていただくといいかなと思います。 ○吉川座長  では、それは文言はどうするかはともかくお任せいただくことにいたしまして、「現 行の業務に加え」という考え方で進めさせていただきます。  あと3)の「地方精神保健福祉審議会について」はよろしゅうございますね。  それでは、「VI その他」のところに進めさせていただきます。 ○杉中補佐  「その他 1)覚せい剤慢性中毒者の扱いについて ○覚せい剤依存者においては覚せい剤による中毒性精神病患者にみられるような顕著な 精神症状がないことから、強制的な入院措置を行う必要はなく、あくまで、覚せい剤依 存の入院治療は、患者本人に断薬の意思があることを前提とするべきである。 ○従って覚せい剤依存者について、精神症状の程度に係わらず、強制的に入院させるこ とができるという現行法第44条の廃止について検討するべきである。 ○また、薬物依存については、国立療養所等が政策医療の対象として積極的に取り組む こととしているが、医療以外の関係機関の取り組みも重要であることから、薬物依存脱 却のための対策について検討を行い、1)精神保健福祉センターにおける薬物依存に対す る相談事業の実施、2)覚せい剤を含む薬物全体の依存についての医療制度やアフターケ ア等の在り方について検討を行う必要がある。 2)触法精神障害者対策について ○精神障害者の中には、犯罪を繰り返す者が稀におり、そのような精神障害者に対して 精神障害者の医療施策だけでは対応できないとする指摘がある。しかしながら、このよ うな精神障害者に対する対策については、現行制度の問題点や対応策について意見が統 一されておらず、引き続き議論が必要であると考えられる。」  以上です。 ○吉川座長  ありがとうございました。それでは、「その他」のところの1)の「覚せい剤慢性中 毒」と表現される問題についてですが、いかがでございましょうか。 ○後藤委員  ちょっとよろしいですか。 ○吉川座長  はい、どうぞ。 ○後藤委員  マルの3のところですけれども、1回目の検討メモ、このマル1、マル2をひっくり 返して修正したはずだったのではないかなと。 ○杉中補佐  わかりました。それは直させていただきます。 ○吉川座長  これはよろしゅうございますか。 ○杉中補佐  廃止の検討じゃなくて、廃止するべきであるですね。2つ目のマルですけれども。 ○吉川座長  2つ目のマルのところですね。 ○杉中補佐  これは廃止について合意が得られていると思いますので、そこは「廃止するべきであ る」という形で直させていただきます。 ○吉川座長  いかがでございましょう。よろしゅうございますか。  では、その次の「2)触法精神障害者対策について」の問題に入りたいと思います。 ○山本委員  この前の触法の問題で、触法ということでは精神保健福祉法においては特別な対策を 講ずるのは無理だと、触法という根拠で、そういうことで大体意見、そこは一致された んじゃないでしょうか。 ○吉川座長  ということは、この言葉をここで使うなということですか。 ○山本委員  ええ。 ○吉川座長  そういうことですね。難しいところですね。 ○杉中補佐  どういうふうに直せばよろしいでしょうか。 ○吉川座長  言葉がいろいろとここは輻輳しているところなんですが、確かにそういうような話が 出ましたですね。 ○杉中補佐  問題は触法だと思われるので、どういう形で訂正すべきか。 ○吉川座長  触法精神障害者という精神障害者はいない。触法という事態を起こす精神障害者はい る。「触法精神障害者」という言葉をどういうふうに使うかということでしょうか。 ○杉中補佐  触法精神障害者ということ自体は、今の刑法上の問題から、やはり繰り返し起こす人 がいるのは事実だと。それが問題であるということについても、皆さんの大体認識は。 ○吉川座長  それは認識がみんな一致していたと思いますね。 ○山本委員  触法ということを根拠にして特別な対策をするということは不可能じゃないかと。 ○杉中補佐  それはそうです。 ○吉川座長  だから、その言葉をこのまま使っていいかどうかというのは山本先生ですね。 ○山本委員  はい。 ○吉川座長  そうですね。どうぞ、竹島先生。 ○竹島委員  このときに議論していたのは、触法という行為の中には、ガラスを割ったとかといっ た、少し人を叩いたとかというものから、もっと重大な犯罪まであるので、ニュアンス としては、重大な犯罪行為を犯したというような部分でとらえられていたんじゃないか というふうに記憶しているんですけれども、いかがだったでしょうか。 ○三觜課長  座長さん、この言葉はまだ学会等では認識されているんですか、されてない。 ○吉川座長  特別に学会で議論をしたなんてことはないです。ただし、学会のシンポジウムなどの テーマにはもうなってますから、言葉としては、精神科医療の。 ○三觜課長  認識されているわけですね。 ○吉川座長  はい。使っていますね。 ○高柳委員  山本委員ともこの辺で少し私は意見が違うんですが、やはり私たちは国民感情から遊 離して物事は進められないと思いますので、国民感情を私が別に代表しているわけでは ありませんけれども、しかし、精神障害者の被害者の方がおいでになってお話になりま したように、やはり国民感情から言いますと、重大犯罪を犯した精神障害者が未治療の まま放置される。あるいは繰り返し精神医学的判断のみによって退院できるという自体 がやはり問題だろうと思うんですね。  そういう意味では、今、竹島先生がおっしゃったように、重大犯罪を犯した触法の精 神障害者といった大きな括りで、私たちは議論を進めてきたと思っておりますので、あ くまで処遇困難というか、難治の人たちという意味では決してないと認識しております。 ○吉川座長  それはそうすると、まとまった1つの言葉にしないで、むしろ逆に今度ひとり歩きし てしまうから、それよりも「精神障害者で重大犯罪を繰り返し起こす」……。 ○高柳委員  起こした人。 ○吉川座長  「起こした人に対する対策について」、そんなようなまとめ方の方がいい。 ○高柳委員  むしろ、その方がはっきりする。 ○吉川座長  ちょっと長ったらしいですけど、そういうような意味合いですよね。どうぞ、伊藤先 生。 ○伊藤委員  その問題は非常に難しい問題なんですが、参考資料についていた山上論文の中では、 疾病主導型と人格主導型というのがあって、我々が非常に問題にする扱い、医療の範囲 で扱い切れないというのは人格主導型な問題だと思うんですね。それがごっちゃになっ て触法ということでやるから、対応が一律にできないものを一律にできるかのごとく表 現しなければならない。そこでいつも問題が起こると思うんですが、やはり繰り返し犯 罪を起こす者が稀にいるんだけれども、中でも疾病主導型に関しては医療がきちんとや っぱりやらなければならないということははっきりしているわけですね。  人格主導型については、我々医療の中で対応できない問題を相当含んでいるというこ ともありますので、少しその辺書き分けなければならないのではないかなと思うんです ね。ですから、「触法精神障害者」という言葉にしてしまうともう一緒くたになっちゃ うんですね。ですから医療できちんと対応しなければならない障害、「触法」という言 葉を使うかどうかですけど、精神障害者。それから、人格主導型と言われるような、医 療ではとても対応できないような精神障害も加わっているにしても、そういうものにつ いて、少しそれぞれに対応の仕方が変えなければ対応しきれない現実があるわけですか ら、それを書き分けるような表現にした方が誤解を招かないんじゃないか。 ○吉川座長  どうでしょうか。書き分けるといっても、性格主導というふうに言われたときに、少 なくとも現在の日本精神神経学会は、性格主導であるものを精神障害者とは認めていま せんね。ですから、それは山上先生のお考えはあるかもしれないけれども、そういう言 葉も使いにくいと思うんですね。  私は今の10ページの2)の、マルのところは「精神障害者の中には、重大な犯罪行 為を繰り返す」という、「重大な」と入れれば、それはそれでも済むだろうと思うんで すね。それは高柳先生がさっきご指摘されたことだし、竹島先生がご指摘されたことで すね。だけど、2)の表題のところをどうするかということなんですね。表題を今山本 先生がおっしゃるように、「触法精神障害者」という言葉を使ってしまうことは、この 委員会の中で確かに議論出たところでございますのでね。内容的には、下のマルのとこ ろ以下はそれで済むと思いますけれども、このタイトルに「触法精神障害者」と入れる ことがひとり歩きはしないかということだと思いますけど。 ○杉中補佐  これは山本委員は、「触法精神障害者」というネーミングが悪いという意見だけでは ない。 ○山本委員  この書き方だと「触法」ということを根拠に精神保健福祉法で特別対策をすると。 ○杉中補佐  いや、そういう意味ではないんですけれども。 ○山本委員  そうですか。 ○吉川座長  それはないけれども。 ○杉中補佐  「医療施策だけでは対応できない」という話に書いておりますので。 ○山本委員  要するに対策を今後考えるべきだということですよね、これは。それはやっぱり無理 だということになったんじゃないだろうかと。 ○杉中補佐  精神保健福祉法だけでは無理だという結論になったと思いますけれども、それについ て。 ○山本委員  そうだとすると、ここでの議論ではないということになると思うんです。 ○三觜課長  厚生省が正式に触法精神障害者という存在を認知するということにつながるんじゃな いの。 ○吉川座長  私はちょっと気になるのはそのことなんですね。 ○杉中補佐  それは、改めた方がいいですね。 ○三觜課長  今まで認知されてないだろう。 ○吉川座長  厚生科学研究ではこの言葉使ってない。 ○杉中補佐  使っておりません。 ○吉川座長  ないですよね。使ってません。 ○三觜課長  今回使うことは初めてですね。 ○吉川座長  と私は思いますけど、厚生省としてはね。 ○三觜課長  これは重要だから。 ○吉川座長  そうですよ。だからちょっと気になるんですよ、私も。それはそれでね。結構みんな 通用してますから、これで理解はすると思いますけれども。 ○杉中補佐  名前についてはやはり改めさせていただきたいと思います。文章の方なんですけれど も、刑事施策との関係があるかもしれないけれども、そこは仕切りをしっかりして、や はり話し合っていく必要があるのではないかというのが大体のコンセンサスだったかと。 ○三觜課長  法務当局と入れるべきだったということでしょう。 ○吉川座長  ちょっと待ってください、表現として。 ○高柳委員  いや。 ○吉川座長  そうじゃなくて。 ○佐伯委員  題についてですけれども、重大な犯罪行為を繰り返す精神障害者について、対策をと ればよろしいんじゃないでしょうか。 ○杉中補佐  佐伯先生、中身の方は何かアドバイスとかは。 ○佐伯委員  こういう指摘があり、引き続き議論が必要だというのがこの委員会での結論であった ということについては異論がございません。 ○杉中補佐  精神保健福祉法だけではできないということをやるためには、刑法というか、刑事施 策等も含めたとか、何かそういうふうに入れましょうか。 ○佐伯委員  私自身は医療で対応するべきであると。吉川先生がおっしゃっていたように、人格に 基づく場合には精神障害者ではないと。したがって、責任能力があるのだということ、 それはまたそもそもの刑法の責任能力についての問題ですので、ここの問題とはまたち ょっと別の問題かと思います。 ○杉中補佐  そうですね。ただ、刑法で見るか、どっちで見るかというところについても意見が一 致し足りないというのが今の現状だと認識しておりますので、そこは確かに厚生省だけ の問題であるとはとても思えないので書いておくと。ただ、保護者あたりはいやと言う かもしれませんけれども。 ○三觜課長  書いておいた方がいい。 ○杉中補佐  書いておくという形にしていただきます。 ○吉川座長  課長が書いておいていいとおっしゃっていますから。 ○三觜課長  法務省のことでしょう。 ○吉川座長  そうです。 ○杉中補佐  ただ、議論としてはあり得るという形で、佐伯委員も専門委員会のときにはおっしゃ っておられたと認識しておりますので。 ○佐伯委員  そういう議論があることは承知しているということですけれども。 ○杉中補佐  議論としては、あるいは自分の意見としては。 ○三觜課長  今の先生の、すべて精神医療の問題であるという刑法というか、法律家の立場の先生 が断定しきっちゃうところについて、ちょっとわからないんですが、そういうことにな っておられるんですか。法律の向こうの世界は。 ○吉川座長  佐伯先生、いいですよ。それはまた後にしましょう。  少なくとも今ずっと議論を進めてきていただきました。「その他」のところで、最後 のところで、むしろ杉中さんの方からもう一歩踏み込んだ形で法務省とも協議するとか あるいは司法の関係者とも協議しながらというような、そうしたニュアンスのものもこ の中に含めて最終的に締めくくりたいというお話でございました。それをご了承いただ ければ、これで一応一段落というところなんですけれども、何か総じて、全体として何 かもう一度ご意見いただきたいと思いますが、何か。どうぞ。 ○佐々木委員  「その他」の方にすぐ入っちゃったものですから、発言する機会を失ったんですが、 その前の方で市町村の役割と精神保健福祉センターの役割は入ったんですが、保健所に ついて、今回全然触れてないので、ちょっと私としては困ったなと思っているんですけ ど、といいますのは、保健所法から地域保健法になって、かかわる仕事が、例えば母子 保健ですとか老人保健は全部市町村におろしていったという経緯がありまして、保健所 がやるのは精神保健と難病と結核と伝染病・感染症という形で非常に狭められていって いる傾向があるんですね。  それで、そういう中から精神保健は保健所の仕事として大きく位置づけようというふ うな機運がある中で今回すべて抜けちゃったので、あるいはやることは当然だから、既 定の事実なんだから入れなかったんですよと、先ほどおっしゃっていた部分と同じにな るのかどうか、わからないんで、ちょっと発言させていただきました。 ○杉中補佐  それは後者の感じで、今回ここに書いているのは基本的に制度の変更を行うものにつ いて書いているということの、地域保健法で位置づけられているのは精神保健に関する 業務だと思うんですけれども、今回市町村にやらせるという福祉的な業務であって、引 き続き精神保健に関しては保健所が主体となってやっていくという整理であるので、改 めてそこでこの専門委員会の報告書の中で書く必要はないのではないか。いずれにせよ また、我々が整理していく中では当然保健所なりと市町村の関係は明確に整理する必要 があると思いますけれども、それ自身が地域保健法の整理とかに抵触することはないと 思っておりますので、あえてそこに言及しなかったんですけれども。 ○吉川座長  ありがとうございます。  この報告書の案は、基本的には皆様方にご議論いただいたものをベースにしながら、 かつ一般の人にも読んでいただいてわかりやすく、そんなことを考えてきましたし、そ れから、できるだけ記載は簡潔にお願いをして、また文案も練っていただきました。そ んな関係がありまして、こんなものになりましたけれども、その上で一番注意したのは やはり法律改正を念頭に置いて、この委員会を運営させていただいてきましたので、法 律改正を必要とするようなものは何かということと、法律改正はしないけれども、施策 を緊急的にも今行われなければいけないものは何かというところでまとめさせていただ いていますので、多少今の佐々木先生のお話などは、ちょっとご不満があるところもあ るかもしれませんけれども、従来から行われるべきものであるものは当然のこととして そのままにしておきました。  そんなことで、もういくつか文言を変えさせていただくということで、杉中補佐の方 にお願いをしたものと、また、ほかの先生方との間で少し文言を書き直していただく問 題も出ましたので、これあたりを全部含めまして、事務当局と私の間にお任せいただけ るものであれば、あと私たちの方でやりまして、その後、もちろん先生方にも全部お知 らせをいたしますし、同時にそれを精神保健福祉部会の方に上げていきたいと思います が、いかがでございましょうか。 ○守屋委員  第2回のときに精神障害者の定義についてかなり議論があったと思うんですが、これ について全く触れてないんですが、それは何か意味が。 ○杉中補佐  改正を要するという結論に至ったものがたしかなかったのではないか。 ○守屋委員  私の理解では、こういうふうに基本的には国際分類に従った定義とすると。そのとき にてんかん、精神薄弱者、精神病質者の取り扱い方でいろいろ議論があって、強制入院 させる場合にはそれに見合うだけの患者の利益、医学的治療の有効性が担保されること が不可欠であると。だけど、精神薄弱者、精神病質者については、2の項を満たさない が、いくつかの点を考慮して今回は残すと。ただし、例示として載せることはいかがな ものかということが、あのとき議論されたと理解しているんですが、だから、例示とし て精神分裂病、精神薄弱者、精神病質者とか載っている。その例示の中から、精神病質 者と精神薄弱者は外していく方向で検討すべきではないかという意見だったと理解して いるんですけれども。 ○杉中補佐  そうですね、確かに。 ○吉川座長  私がちょっと変な顔していますのは、実はこれは事前に杉中さんとも大分やり合った ところでございまして、私は今守屋先生がおっしゃるようなことで、これは抜けるのは おかしいと、こういうふうに随分主張したんでございます。やはり厚生省側としては、 なかなかその法文を変えるというところは難しいんじゃないかという、そのときの判断 になりまして、杉中さんに私は屈伏をいたしました。  そういう経過がありますので、ちょっと今変な顔しているんですが、これは確かに議 論としてはあったと私は思うんですね。それから、少なくともこの例示は外せというこ とがあったと思いますし、そして、では精神障害者の定義をどうするのかというときに は、ICD10によるということをこの法文に書けという意味ではなくて、ICD10 のどことどことどこに該当するものを、この法律で言う精神障害者ということをどこか に明らかにすることがあの時点での話の私は結論だったような気がするんですけれども ちょっとその辺のところが。 ○杉中補佐  わかりました。そういった内容で、皆さんのご賛同がいただければ、「その他」の1 つの項目として挙げさせていただきたいということでよろしいでしょうか。 ○守屋委員  私もそれでいいと思うんです。あそこの話の中で、やはり強制入院をさせる場合にそ れに見合うだけの患者の利益、医学的治療の有効性が担保されることが不可欠だという 厚生省の考え方に私は非常に共鳴したし、この考え方に従えば、現在精神薄弱者や精神 病質者についての基本的な治療というのは確保されていないと。したがって、こうこう したいという、杉中補佐が示された考え方はまさにそのとおりだと。  しかし、さまざまな理由があるので、これを外すことについてはまだ問題なので、た だし、例示からは外していこうと、そういう考え方が示されて、それはまさにそのとお りだろうということが、大体の皆さんのご意見だったように私は考えたので申し上げた。 ○杉中補佐  はい。 ○吉川座長  ありがとうございました。 ○山本委員  ちょっと細かいところなんですが、最後のところで議論した35条の廃止。 ○吉川座長  36。 ○山本委員  35でですね。 ○杉中補佐  民法の世界ですか。 ○山本委員  ええ。あれも大体合意を得たのではないでしょうか。 ○杉中補佐  そこについては、成年後見の関係で民法の世界なんで、その合意を得たというところ は認識しておりますけれども、まだ向こうがどうなるかわからない段階で、そこまでち ょっと言えるかなという話があるので、その合意を得たということで、我が厚生省と法 務省の今後の中で検討を進めさせていただきたいと思っておりますけれども、まだ、向 こうがかたまらないうちから、他方の世界をうちの中で言うのはちょっと難しいかなと 思いますので、ちょっとここで書くのは差し控えさせていただきました。 ○吉川座長  よろしゅうございますか。 ○山本委員  はい。 ○吉川座長  それではよろしゅうございましょうか。どうぞ。 ○佐藤委員  ちょっとうっかりしてしまったんですが、3ページになりますが、「基本的な施策の 方向」の「(2)精神障害者の社会復帰施策の推進」というところですが、その後段な んですけれども、「授産施設、地域生活援助事業については、障害種別間の相互利用を 推進する」ということが、ちょっと記憶が定かではないんですが、この中で議論された ……。 ○吉川座長  されました。 ○佐藤委員  そうでしたでしょうか。 ○吉川座長  それは保健福祉部という性格の問題から、そのときにも議論をされました。できるだ け相互利用ができるようなというご提案をさせていただいて、その上でそこは通過した と思いますけれども。 ○佐藤委員  精神障害者と知的障害者の方が一緒になったときに、うまく分担してできる面もある し、ちょっと対人関係の持ち方の特性といいますか、特徴によって、一緒にやることが ちょっとお互いに負担に、お互いにというか、むしろ精神障害者の側にとって負担にな ってしまったりする場面があったりして、特にグループホームのような居住の場で一緒 に利用することについてはむしろやりにくい面の方が。 ○吉川座長  個々の問題はいろいろあると思いますが、要するに総論の問題ですからね。 ○佐藤委員  総論としてはあり得るんですが、特に援助事業が挙げられておりますので、例えば授 産施設のようなところであれば、いろいろ仕事の分担とか役割場面を変えてとか、それ は割とできるかと思うんですが、ちょっとグループホームの中ではやりにくさが出てし まうかなということをちょっと気になりましたものですから申し上げました。 ○吉川座長  今申しましたように、全体としては、この総論の中で、総論というのは、この文章上 総論という意味じゃなくて、要するにこういう方向に向いていいんじゃないだろうかと いうことを言っているだけで、個々のケースと個々の作業所や何かの問題をここで規定 しようとしているわけではない。すなわち個々の作業所に必ず精神障害者以外の障害者 も入れろと、こういうふうに言っているわけではないので、そのことではないと思うん ですね。要するに共同利用ができるような道を開いておこうということですから。 ○佐藤委員  総論の方向性としてはよろしいと思うんです。事業名が挙がっているものですから、 どうかなと思ったんです。 ○吉川座長  そうですか。 ○佐藤委員  それから、報告書としてはわかりやすくということですが、これは公衆衛生審議会の 精神保健福祉部会に報告をするので、そちらで審議をしていただくものですね。 ○杉中補佐  はい。 ○佐藤委員  そうしますと、ここに書いてないものについては……。 ○杉中補佐  書いてないものというのは。 ○佐藤委員  例えば、こだわるようですが、先ほど措置入院の場合の移送の義務というようなこと について、これは公衆衛生審議会の方で取り上げていただく。 ○杉中補佐  そこは何らかの形で、我々の方で取り上げて、もしそのまま法律改正にいくというこ とになると、当然法文の世界までいくわけなんで、そこは全く議論しないでいくという わけにはいかない世界なので、必ず細かい部分についても取り上げさせていただきたい と思います。 ○佐藤委員  些細なことで申しわけございません。 ○吉川座長  どうでしょう。もし、よろしければ、それではこれで。何かまだ。 ○竹島委員  先ほど佐藤先生から言われたことに重なるんですけれども、問題は3障害一元化で、 しかも市町村のサイズが随分違うということで、やはり行政のソフトの開発ということ が基調になってくるということになるんじゃないかと思います。  それから、もう一点、先ほどの「触法精神障害者」とかいう言葉の中で、何で今まで 処遇困難患者とかいろんな言葉が使えたんだろうと思っていたんですが、何とか患者と か、何とか障害者とついていくために、全体にそのイメージが乗りうつるみたいなマイ ナスイメージが強くなるから嫌われた可能性がある。言葉を逆転させていった方がきち んと伝わるのかなという感じがしまして、今後のいろんな言葉の使い方で、何とか障害 者という言い方が嫌われたのかなという感じがしましたので、ちょっと発言させていた だきました。 ○吉川座長  どうもありがとうございました。  この報告書そのもののことではなかったようですけれども、それでもご感想いただき ました。私の方はこの報告書を、先ほどちょっとお話申し上げましたように、私と事務 当局の方にお任せいただけるものであれば、この辺のところでこの議論を終わらせてい ただきたいと思います。いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。                (「はい」と声あり) ○吉川座長  それでは、きょうのこの専門委員会を終わらせていただきますが、最後に今田部長ご 出席いただいていますので、お願いいたします。 ○今田部長  当専門委員会で、今もお話を伺わせていただきまして、大変難しい問題をできるだけ まとめていただくという方向で、非常に長時間にわたってご審議をいただいたことを心 からお礼を申し上げたいと思います。もちろんまだまだ本当の意味で今後の議論に任せ なければならない重要な課題もあるわけでありますが、そうは言いながらも、多くの点 で合意をいただいて、これからの法改正の1つの方向性というものについて、非常に貴 重なご意見をまとめていただいたという点においては、ぜひご意見を極力反映するよう な形でこれを取り扱わせていただきたいというふうに思います。  もちろんこれらにつきましては、精神保健部会、あるいは合同部会等にもお諮りをす るわけでありますけれども、個々におけます、そのような非常に貴重な議論というもの が、そういった場面にも反映しますように、私どもも努力をしたいと思っております。  いずれにいたしましても、これまでの長時間にわたりますご審議、心からお礼を申し 上げまして、今後とも引き続きまして、この精神保健福祉行政の充実につきましては、 多大なるご尽力いただきますことを重ねてお願いを申し上げまして、お礼にかえさせて いただきたいと思います。どうもありがとうございました。 ○吉川座長  どうもありがとうございました。  それでは、この報告は9月。 ○杉中補佐  精神保健福祉部会の日程がちょっと詳しくまだ決まっておりませんので、また、でき るだけ早期に精神保健福祉部会を開催したいと考えております。 ○吉川座長  それに合わせて、皆様方にお送りできますね。 ○杉中補佐  はい。 ○吉川座長  ありがとうございます。  それでは、本日長い間ご審議いただきましてありがとうございました。これにて散会 させていただきます。 照会先 障害保健福祉部精神保健福祉課        医療第一係 高橋(内3057)