98/08/05 中央児童福祉審議会母子保健部会議事録       中 央 児 童 福 祉 審 議 会 母 子 保 健 部 会 (8月5日開催)                 議    事    録              厚生省児童家庭局母子保健課           中央児童福祉審議会母子保健部会会議次第 日  時:平成10年8月5日(火) 17:00〜19:38 場  所:日比谷「松本楼」 議  題   (1)母子健康手帳の改定について    (2)乳幼児突然死症候群(SIDS)対策の普及啓発について    (3)性同一性障害について    (4)その他 報告事項    (1)母子健康手帳の改正について(省令改正)    (2)平成10年度「母乳中のダイオキシン類に関する調査研究」について    (3)乳幼児突然死症候群(SIDS)対策に関する検討会報告等について    (4)生涯を通じた女性の健康施策に関する研究会について    (5)平成10年度厚生科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業)の課題一覧    (6)厚生科学審議会先端医療技術評価部会について ○事務局  大変お待たせいたしました。ただいまから中央児童福祉審議会母子保健部会を開催さ せていただきます。本日は大変お暑い中、また大変お忙しい中、お集まりいただきまし てまことにありがとうございます。  初めに、資料の御確認をお願いいたします。  本日は議題が4項目、報告事項が6項目ございまして、資料もそれぞれNo1からNo 10までとなっておりますので、かなり厚くなっております。また本日の議題にござい ますように、(3)の性同一性障害に関する事項につきましては、御審議の参考となり ますように、日本精神神経学会からL理事長、埼玉医科大学からはK教授に御出席をい ただいておりまして、後ほど御説明をお願いすることといたしております。  次に、職員の移動がございました。7月7日付で前審議官が保健医療局長へ、その後 任として障害福祉部長が発令されております。審議官からごあいさつを申し上げたいと 存じます。 ○審議官  今、御紹介いただきましたが、7月7日付で児童家庭担当審議官ということで拝命を いたしました。また何人かの委員の先生方は、もう既におつき合いをいただいている先 生方でございますが、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。  今日は当部会におきましては、母子健康手帳の改定ですとか、あるいはSIDS対策 の普及啓発等、御議論をいただくことになっておりますが、またもう一つ、精神神経学 会のL理事長あるいは埼玉医大のK教授におこしいただきまして、これは私の前職の障 害保健福祉部長の時にも、あちらの方で関係をしておった問題ですが、性同一性障害の 治療につきまして、両先生の方から、それぞれのお立場でこの部会に御報告いただいて 部会の先生方にいろいろ御意見を賜りたい、こういうことでございます。  母子保健の問題は昨年来、いろいろ新聞等で話題になっていることも多い訳でござい ますが、目前のものといたしましては、11年度の概算要求がございますので、当部会 でいろいろ御審議いただいた御意見を賜ったものにつきまして、財政状況が厳しい折で はございますが、鋭意必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えておりま すので、どうかよろしくお願いいたします。 ○事務局  なお、審議官は所用があるために、ここに退席させていただきます。                (審議官退席) ○事務局  それでは、開会に当たりまして、部会長からごあいさつをいただきたいと存じます。 ○部会長  先生方には大変お暑い中を、関東地方もようやく本格的に夏になったようでございま すが、その中を、またお忙しいところをお集まりいただいてありがとうございます。  中児審の母子保健部会は、これまでも緊急な事柄なども折に触れて御審議いただいて まいりまして、おかげさまで母子保健行政のお手伝いが出来ていると考えております。 今日は、先ほどの審議官のごあいさつにもありましたように、また新しい問題を御審議 いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは、これから議題に入りたいと思いますので、部会長、議事の進行についてよ ろしくお願いいたします。 ○部会長  それでは、お手元にございます議事次第により進めてまいりたいと思いますが、本日 は、議題3の参考人として御出席いただいた先生方のお時間の御都合がございますので ちょっと順序を変えさせていただきまして、まず初めに、議題3の「性同一性障害につ いて」、事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは、性同一性障害について概略御説明申し上げます。資料はK先生の方から御 提出いただきました厚い物、資料3「性同一性障害について」というものがございます が、その中で事務局の方で「母体保護法」と書かれております参考資料を付けておりま す。これに基づきまして、性同一性障害についての御説明を申し上げたいと思います。  疾患につきましては、先生方からお話があろうかと思いますが、この部会で取り上げ た理由について申し上げたいと思います。実は優生保護法という法律がございましたが これが平成8年に優生思想が削除されまして、母体保護法に改正されております。過去 には精神疾患等の患者さんに対する部分がございました関係上、精神保健福祉課の方で 所管していた優生保護法でございますが、母体保護法に改正されましてから母子保健課 の方で担当しておりまして、この法律の第28条に「禁止」という条項がございます。 これは四角で囲った部分でございますが、「何人もこの法律の規定による場合のほか、 故なく生殖を不能にすることを目的として手術又はレントゲン照射を行ってはならな い」という規定がございます。この「故なく」というところが問題でございますけれど も、過去の判例等から適切な医療であれば、「故なく」には当たらないというふうな解 釈がされてまいった訳でございますが、この法律の28条違反として昭和45年に東京 高裁の判決が下りておりまして、いわゆる性転換手術を実施した医師が罰金刑に処せら れているという判例がございます。 それ以降、性転換手術が日本では正式には行われていない訳でございまして、今般、性 同一性障害の治療として、日本精神神経学会がガイドラインをお出しになりまして、そ の中の治療の一環として、この手術療法というものが記載されているということ、また 埼玉医科大学の倫理委員会が、同大学の受診中の患者に対する手術療法について承認を したというようなことがございましたので、本日は初めての患者さんということもござ いますので、学会の理事長と埼玉医科大学のK教授に参考人として御出席いただきまし て、この治療についての状況等をお話しいただきたいということでございます。また、 お話しいただいた上で先生方の御意見をちょうだいしたいと思っておりますので、よろ しくお願いいたします。 ○部会長  ありがとうございました。  かなり急に本部会を開かせていただきましたが、今御説明がございましたようなこと で、性同一性障害という問題につきまして、今の御説明のように母体保護法との絡みが ございまして、本部会としても議論をしておく必要があるということで今日お集まりを いただき、御議論いただきたいと思いますし、それからお忙しい中を日本精神神経学会 のL理事長、埼玉医科大学のK教授においでをいただいております。今日はありがとう ございます。  お2人の先生方から、諸外国における性転換手術の適用と医学的な評価の問題、当該 患者に対して性転換手術を行う医学的な妥当性、つまり手術により患者のQOLが向上 する見込みが高いのかどうかというような点も含めましての御説明、そして3点目とし まして、性転換手術を行うまでの手続、本人の御希望とか、インフォームド・コンセン トの状況等を含めまして、これらの点について御説明をいただけるとありがたいと存じ ます。お忙しいところ申し訳ございませんが、両先生よろしくお願いいたします。 ○K教授  埼玉医科大学のKでございます。本日はお時間をおとりいただきましてどうもありが とうございました。  最初に、性同一性障害という問題がなぜ起こってきたか、今まで我々がどのように対 処してきたかということの一般論を述べさせていただきまして、その後で個別例につい て御説明申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いします。  分厚い一まとめになっている資料3という中の左側の方に、私の方で打ちました独自 の資料番号がついておりますので、ちょっと煩雑ですが、それをごらんいただきたいと 思います。実は資料1のところに「性同一性障害審議の経過」と書いてございますが、 これはこの問題がどんなふうにして発生して、現在どういう状況にあるかという全体の こと、アウトラインをまとめたものでございます。  かいつまんで言いますと、平成7年の5月に埼玉医科大学の形成外科の教授から性転 換術をしたい。それも女性から男性への性転換をしたい。その倫理性を問うということ の申請が埼玉医科大学の倫理委員会に出されまして、私が倫理委員長だったものですか ら、この問題を受けて立った訳でございます。約1年の審議の結果が資料3にございま すように、「性転換治療の臨床的研究に関する審議経過と答申」という形で提出した訳 でございます。  ここではどういうふうに考えたかと言いますと、一つは、性同一性障害と呼ばれる疾 患、ある種の病気、障害が確かにある。そこには性別について違和感を持って悩んでい る人が確かにいるんだ。そういう悩みを解決するためには医学が手助けをすることは正 当なことである。  それから、その治療の一つとして、外科的な性転換術というのもあり得る。ただ、何 でも手術していいという訳ではなくて、ある条件をきちんとクリアしなければいけませ んということで、関連する学会や専門家集団による診断基準の明確化と治療に関するガ イドラインをちゃんとつくりなさいということを第1番目としておりました。これが今 日出席しております日本精神神経学会のL理事長の方から後ほど説明のあるようなガイ ドラインでございます。  2番目の条件として、後で御説明しますが、性同一性障害という障害は、形成外科だ けではなくて、精神医学的な問題とか、あるいは内分泌学とか、時には産婦人科学、泌 尿器科学、場合によっては小児科学といったようないろいろな領域にまたがるものでご ざいますので、各領域の専門家から成る医療チームを結成して、きちんと対象選択、あ るいは診断治療をある一定の順序で行うといったような手続をとった上でなければ手術 をしてはいけません。  それから3番目の附帯条件として、手術をしたら、それでもって全部が解決する訳で はない。社会の受け入れの問題とか、あるいは一般の人たちの、そういうことについて のコンセンサスを得るという問題もありますし、医療費をどうするかといった経済的な 問題もありますし、性を換えるという戸籍法の問題もございまして、そういうような社 会的な整備も一方では進めなければ、ただ手術しただけではいけませんということを答 申として出した訳であります。  資料の2にスライドの原稿みたいなものがございますけれども、これの一番上に生物 学的性とか、社会的性というのがありますが、性同一性障害という病気は何であるかと いいますと、我々は男性、女性という生物学的なセックスは特別の病気でない限りはっ きりしている訳ですし、男性が自分が男らしいとか、男であるという自己認知、あるい は自己意識、英語ではジェンダーと言うのですが、そういうものを持っている訳です。 中に生物学的性と、主に社会的性と呼ばれるジェンダーが不一致のケースがありまして 自分は体としては男性なのに、意識としては女性である、女性が一番フィットする、そ ういうことでもって、2枚目、3枚目、4枚目に、具体的にどんな症状があるかという ことが書いてございますけれども、3枚目にあるように、男の子なのに女の子の服を着 るのを好むとか、女の子のゲームとか、娯楽に加わることを求めて荒々しい遊びは敬遠 するとか、場合によっては、外性器がない方がよかったとか、そのうちになくなるだろ うというふうに子どもが思う。女性の場合では乳房が発達したり、月経が起こってくる ことに対して非常な嫌悪感があるといった様々な症状があるということであります。  そういうようなことで、我々埼玉医科大学の倫理委員会としては、そういったいろい ろな症状、その原因として胎生期にお母さんのお腹の中でホルモンやなんかの異常が起 こった時に、脳の性差といったところに異常が起こるというような説も今有力でござい まして、ほかにも養育説とか、環境説とかあるんですけれども、そういう生物学的なバ ックグラウンドも含めて、倫理委員会ではこの問題を前向きにとらえるということを決 定した訳であります。  それを受けて、これから御説明いただきますが、日本精神神経学会できちんとした診 断と治療のガイドラインをつくったのが、提出したのが昨年の5月でございます。  それでは、L先生に簡単に御説明いただきます。 ○L理事長  Gender Identity Disorderと言われる性同一性障害ですが、セックスのジェンダーの 違いというのは、今、K教授から御説明いただいたとおりであります。実はK教授が埼 玉医大の倫理委員会の委員長でもあられた訳ですが、当時精神神経学会の理事でもおら れまして、埼玉医大からの諮問といいますか、要望を受けまして、性同一性障害という のが、外国の診断基準でいいますとアメリカの精神医学界のDSM法というのがありま す。当時はDSMIII−Rと言ったのですが、1992年に国際的な基準といたしまして WHOからICD10というのが出されまして、それにもGender Identity Disorderと いう名前で出ておりますが、それに関して日本国内できちんとした診断基準ないしガイ ドライン、それに対処する方法がないということが明らかでありましたので、日本精神 神経学会といたしまして、性同一性障害に関する特別委員会というのを一昨年の春に結 成いたしまして、当時、理事のお1人でありましたK教授にそのまま担当の特別委員会 の委員長になっていただきました。1年間、十何回の討議を経まして、いろんな方々、 あるいは当事者の人たち、性同一性に関して悩んでいる方々にも参考意見を聞いたりい たしまして、答申をつくっていただきました。それが出来まして、平成9年5月28日 に学会に提出された訳であります。大変分厚い資料をK教授にそろえていただいたので すが、資料の中にございますので、詳しいことは後で見ていただければ結構だと思いま す。  その答申を受けまして、直ちにそれを厚生省の障害保健福祉部精神保健福祉課に提出 いたしました。それからこの提言の中にございますが、法律的な問題が生じてまいりま すので、これはいろんな事務的な事情がございまして1年ほど遅れてしまいましたが、 本年の6月に法務省民事局にも要望として提出いたした訳です。  「性同一性障害に関する答申と提言」という、これを山内答申と我々は呼んでいるん ですが、簡単にその内容を御説明申し上げますと、2ページ目になりますが、審議の経 過等は省略いたしまして、「審議結果」というのが、この文献の534ページにござい ますでしょうか。 ○K教授  左上に「資料4」と書いてあります。 ○L理事長  まず性同一性障害を診断して治療にするに当たって要請される基本的事項というのが ございまして、まず医療チームを、これは形成外科医だけでなくて、医学的、心理的、 社会的、家族的、そういったいろんな問題がございますものですから、精神科医、外科 医、泌尿器科医、産婦人科医、必要に応じて内分泌専門医、小児科医などによって構成 されることが望ましい。さらにサイコロジスト、カウンセラー、ソーシャルワーカーの 参加も必要である。個々のケースについて十分検討する。援助対応するということが要 請されております。  2番目に、診断のガイドラインといたしまして、まず診断の順序でございますけれど も、性の自己意識、つまりジェンダーを確認すること、これにはかなりの時間をかけて 行うということになっております。その人の詳細な養育歴、生活等々、家族環境等も含 めまして決定する訳であります。したがって、この中にGender Identity Disorderと思 われるような訴えをする精神障害の方々がかなり一般にある訳ですけれども、そういう 方々は除いて、純粋にジェンダーに関して悩んでいるという方々だけを対象にするとい うことがここで明確にされるようになっております。  それから国際基準を満たすということが必要である。しかも、その診断のためには、 少なくとも精神科医2名、あるいは場合によっては3人の精神科医の存在を必要とする というふうになっております。当然心配されます生物学的性(セックス)を染色体、性 器等々の問題できちんと決定するということが必要となるというふうにしております。 そういうことを含めまして除外診断を行いまして、診断を確定する訳であります。  治療のガイドラインといたしましては、第一段階は精神療法を行う。果たしてこの人 はジェンダーに悩んでいるということが本当に確定的なものであるのかということを、 この場合、患者さんと呼ばせていただきますけれども、患者さんに対して受容的、支持 的な態度で接して治療を行うということが必要だ。いずれの性で生活するのが、よりそ の人にとってハッピーであるかということを十分に本人の意思を確認しながら行うとい うことがあります。選択された性で生活すること、原則として1年間はその生活を行っ ていただくということになります。  治療の第2段階といたしましては、ホルモン療法を行うということを提言しておりま す。これには身体的な条件がいろいろあります。ホルモン療法に関しても、副作用等も 配慮した上での適切な医療を行うということがございます。その判定をしました上で、 いよいよそれでも十分でないと本人が思われる場合に、第3段階の治療といたしまして 手術療法を行うということになろうかと思います。これらのステップをクリアした上で 手術を行う訳でありますが、手術を行う時に、法律的な問題が生じてくる訳で、母体保 護法に関連してくるということになる訳であります。  もう一つ大事なことは、手術を行いました後、これは後ほどK教授からまた御説明が あるかもしれませんが、手術を行いましても、果たしてそれで本人がハッピーであるか 後悔していないかというふうな問題がいろいろございます。新しい生活をしていく上で いろいろ悩みがある訳ですが、そういった問題に対するアフターケアを十分に行うとい うことは条件づけられております。こういった診断と治療の手順を踏みまして、我々学 会として何が必要か、あるいは学会として社会にどのようなことを要請すべきであるか という提言を最後にいたしております。  これは4つほどございまして、簡単に申しますと、今の提言の538ページというこ とになりますが、医師並びに関連の医療の関係者が性に関する問題を正しく理解し、対 処することが出来る能力を身につけ、資質の向上を図ることを推進するというのが1で ございます。  第2に、先ほど診断あるいは手術の際にも申し上げましたけれども、国内医療チーム をきちんと組織化する。現在日本には全くそういうものはございません。かろうじて埼 玉医大で今回組織されているだけであります。  第3番目に経済的援助、お分かりになりますように、職業の問題、生活の問題がござ います。それに対しても経済的援助が、まず保険医療の問題もございます。そういった ことの経済的援助も行うということが必要です。  第4番目に、法的問題に関する指針を早急に出すことが必要であるということでござ います。これは母体保護法だけに限りませんで、法務省、民事、民法の性、あるいは戸 籍の問題等々ございまして、これを法務省に早急に方針を出していただく必要がある。 そういったことがございまして、このような答申をいたしております。  現在、埼玉医大で現実に1例の手術の申請がされているという緊急に迫っている事態 もございまして、私たちとしても、埼玉医大からも我々に要望、お知らせをいただきま して、その1例の手術が成功裏に終わることを期待しております。  以上でございます。 ○K教授  そういうことで、精神神経学会で診断と治療に関するガイドラインが明確化された訳 ですが、今御説明がありましたように、性同一性障害のすべての人が手術療法をする訳 ではなくて、その前に精神療法の段階がかなり長くありまして、外国の報告などでは7 割ぐらいがその段階でとどまってしまう。次にどうしてもホルモン療法をしなくてはい けないというふうに、そうでないと同一感がないということで、ホルモン療法、つまり 女性が男性になることを希望する時には男性ホルモンを、その逆は女性ホルモンという ことになって、体つきなども少し変わる訳で、その段階で自分はこれでいいんだ。外性 器まで手を加えないでいいという場合もあるんですが、中にはどうしても手術をしなく ては自分の一体感が得られないというケースがあって、そのケースが今回埼玉医科大学 で1例の手術申請が行われた訳で、左上に「資料5」と書いてあるのが倫理委員会に申 請されてきたもので、今年の5月1日に提出されたものであります。  倫理委員会では、一つとして、診断と治療のガイドラインがそういうことで明確化さ れたということがある。もう一つは医療チームが埼玉医科大学の中に出来ておりまして ジェンダークリニックという名前で呼ばれている訳ですけれども、そこできちんとした このケースについての診断治療というものの手続が踏まえれているということで、3番 目の社会的認知とか、法整備という問題は必ずしも十分ではありませんけれども、本人 の悩みを救うためはこれしかないだろうということで手術承認をしたということでござ います。  これはマル秘の文書なので、会議終了後に回収させていただきますが、資料6という のが実は29歳の女性の方でございまして、先ほども申し上げましたように、物心つい た時からいろいろな症状を持っているということで、そこに書いてあるとおりでござ いますが、このケースにつきまして、克明に診断のための情報を集め、精神療法、ホル モン療法を経てきておりまして、あとは手術しかないということになった訳でございま す。  資料7については、手術についての説明、インフォームド・コンセントでございます けれども、こういうような文書をつくっていただきまして、本人にはきちんと同意をと っております。手術療法の場合にも2段階に分けて行われる訳ですが、一つは、外性器 内性器、特に子宮とか、卵巣などの摘出手術が行われまして、その後、外性器をつける といったような2段階なんですが、そのことについての手術説明と、それぞれの同意書 を得ているという形でございます。  資料8ですが、資料8が、先ほど事務局の方から説明がありました東京地裁でもって 性転換手術を行った医師につき、優生保護法28条違反の罪の成立を認めた事例という ことですが、簡単に言いますと、今日来て、明日いいよと言って睾丸摘出とか、男性が 女性になることを希望した訳ですが、膣をつくるとか、そういうようなことを簡単にや ってしまった。しかし、性を転換するということは重要な問題なので、きちんとした調 査、あるいは産婦人科1人だけではなくて、いろいろな専門医でもってやるべきである といったような比較的前向きの、いってみれば我々がたどってきたような道を示唆する ような判例であります。  それで、我々としては、そういうようなことで今日来て、明日ということではなくて 十分に学問的な診断治療のプロセスを踏んで行うものであるので、「故なく」という母 体保護法の28条の問題のクリアするのではないかというふうに判断している訳であり ます。  外国ではどうかという問題が先ほど提示されましたが、資料9は、ジョーンズ・ホプ キンス・ジェンダークリニック・ガイドラインというものを訳した訳ですが、これも 我々参考にしましたけれども、医療チームをつくって、各段階を踏んできちんと手術に 持っていきなさいということをいっているものであります。現在は資料の10の1にあ るように、ハリー・ベンジャミン・インターナショナル・ジェンダー・ディストリア・ クリニック、資料の10の1がそのサマリーの翻訳で、10の2が原文ですが、こうい うようなものがきちんと出来ておりまして、アメリカでは手術は容認されておりますし 資料の11にありますように、これは自助グループが独自にやった勉強会なんですが、 ドイツなどでは、そういう意味では性転換法といったものが出来ておりますし、資料1 1の2枚目にありますように、法律を制定しているのはスウェーデン、カナダ・ケベッ ク、西ドイツ、イタリア、オランダ云々というようなことで、裁判の結果いろいろな国 で認めている。行政が認めている国もある。日本では性転換法といったような法律はま だ出来ていないというような事情でございまして、外国では、この問題は30年くらい 先をいっているという感じで一応診断と治療のガイドラインに沿って行われている。そ ういうことのために、日本からも外国に行って手術を受ける人がいたり、今回のことで 分かったのですが、日本の国の中でも、やみでというと語弊があるかもしれませんが、 ホルモン療法を実際に受けている人が意外にたくさんいるということが分かりまして、 我々としては、適正な医療というところで、この問題は解決していかないと、いろいろ な問題が起こるのではないかというふうに考えている次第であります。  大体アウトラインはそういうことでございますので、もし御質問がありましたら、そ の都度お答えしたいと思います。どうもありがとうございました。 ○部会長  両先生大変ありがとうございました。分かりやすいでお話で御説明いただきました。  それでは、ここは中児審の母子保健部会でございますので、今もお話がございました 主に母体保護法28条との関連を中心にして、委員の先生方から両先生に御質問がござ いましたらお願いをいたします。いかがでしょうか。 ○D委員  お話はよく分かりました。伺いますと、性同一性障害が基本的には生物学的な性と心 理・社会的な性とのリスクが関係するであろう。そういたしますと半陰陽、インターセ ックスの多分最終段階が一番問題になっているケースだと思いますが、広い意味では半 陰陽の実際には卵巣を持ち、かつ睾丸を持つようなケースがかなりある訳なんですが、 それも実際には生まれた時の産婦人科の先生の判断である程度性が登録されてしまう。 そういう子どもたちは実際には、いろんな先々の問題を生じてくるんですが、半陰陽の 範疇は現在の性同一性障害とはどういう関係にあるか、一応除外して泌尿器的な治療で 進むのか、その辺のところをちょっとお教えいただきたいと思います。 ○K教授  実際に日本精神神経学会のガイドラインの中では外性器の異常が、いわゆる半陰陽と か、あるいはクラインフェルターとか、そういう異常があるんですけれども、男性か女 性か性器の上では区別がつきにくいといったような疾患がある訳ですけれども、そうい うものは従来から手術療法が行われてきた訳で、性同一性障害という診断からはそれは 除外するということになっておりますので、性同一性障害の問題の時にはそのことは一 応除外して考えられているということなんですが、今、D先生からお話がありましたよ うに、今まではどっちに外性器を変えたら変えやすいかというような外的なことでもっ て手術が行われるということがあって、本当にその人のジェンダーがどっちであるかと いうことが確認されずに手術だけが行われたために、大きくなってから、その性の不一 致を訴える人がいるということがございまして、今後はそういう半陰陽などのケースに ついてもきちんとしたジェンダーの確認をして、そっちに近づけるような手術をすべき であるというようなことが言われておりますので、この問題も含めて考えるべきだと思 います。  先ほどのスライドを見たのは資料2の一番最後に、こういう絵をつけてあるんですけ れども、左側に「資料2」と書いてありますが、これは今問題になっている性同一性障 害の中で性を転換したいと思うのは本当の中核部分なので、性同一性障害でも、性を転 換をしなくても、違和感はあるのだけれども、それでいいんだという人もその周りにい る訳なんです。もっと大きな丸で書いてあるのが、性別違和というふうに書いてあるん ですが、意外に自分の性に対して違和感を持っている人というのはたくさんいる訳であ りまして、今のような形で半陰陽の手術が外形だけでもって行われる時には性別違和の 症候群をつくってしまうということも言われておりまして、今後の性に関する医療は、 そういう広い領域もカバーして治療すべきではないかというふうに考えております。 ○部会長  ありがとうございました。よろしゅうございますか。 ○D委員  もう一点だけ、今、性の決定、最初の段階では単純に染色体の問題だと思うんですが その中間にいろんなタイプがある。1群は半陰陽として治療対象とする。それはいいん ですが、今、遺伝子レベルでいろんな解析が進んでおりまして、意外にヒトの行動の ベースが生物学的な根拠を将来は持ち得る可能性があると思うんです。そういう意味で は、単純に性の判定を、生物学的な性を染色体だけではなくて、もう少し先々広くとら えていくような遺伝子レベルの問題なども入れていただくように将来はなっていくので はないか、そういうふうに考えました。そうすれば、これは言っていいのかどうか分か りませんが、そういうベースが出てくるかもしれないというふうに思った訳です。 ○L理事長  先生がおっしゃるとおりでございまして、例えばこれも実験的なものですが、例えば ショウジョウバエなどではっきりしているのはホモの遺伝子があるというようなことが 言われている訳です。明らかにそういう行動をとる遺伝子がある訳で、これはヒトでも 先日そういうケースが報告されたのがあります。したがって、染色体レベルよりも、も っと細かいところできちんと詰めないといけない事態がくると思います。  ただ、あくまでジェンダーの問題というのは、本人の自己意識が最終的に決定する問 題であるというふうに我々も基本的に考えている訳です。したがって、どちらの性が果 たしてそれに自分にとってハッピーであるかということを、また自分の意思で決定する ということも必要になってくる訳で、それはまだ未熟な段階ではそんなに簡単に決定出 来ないことがあると思います。少なくとも1年間の精神療法等、我々が考える段階を経 て、その後に進むという必要があるだろうということがございます。自己決定権という のがだんだんといろんな面でインフォームド・コンセントもそうですが、大体多くの人 は男である、女であることを自明のこととして暮らしている訳ですが、その自明のこと がぐらついている方々がありまして、その中にこの問題が入ることになります。それだ けに患者さん自身の自己意思が果たして確立されているかということが非常に重要なっ てくると思います。 ○K教授  ただ、その場合に自分の趣味で男になりたいとか、女になりたいとか、女として働く 方が実入りがいいとか、そういうような趣味・嗜好性でもって性転換を望んでもらって は困るということで、その辺については厳格な診断基準を我々としては設けているつも りです。 ○部会長  ほかにございましたら、B先生いかがですか。 ○B委員  いわゆる母体保護法の中の「故なく」というのがありますが、私たちもそこまで検討 していないのですけれども、戸籍法とか、その場合の、さっきD先生がおっしゃったよ うなドクター、あるいは助産婦さんが男の子ですよといって、そのまま育ってしまって そのまま登録してしまう。その後に本人からの申し出で性の変更を求められた場合、法 律的に簡単に変えることが出来るのでしょうか。 ○K教授  性別変更については日本の戸籍法は今は認めていないと思います。それで、性同一性 障害の方で最近家庭裁判所に申請をして、性同一性障害である故をもって姓名の変更を 認めたというケースがございますので、姓名の変更までは今は可能だと思いますが、性 別の変更は今のところ法律的には認めていないと思います。 ○部会長  H先生、何かお立場からございますか。 ○H委員  マル秘と言われている、この方の成育歴をずっと見ていて、なるほどこういう方がい らっしゃるんだなということを初めて教えていただいたというか、認識した段階なので 何とも言えないんですけれども、手術をして、この方自身としては、身体的には男性に なり、より幸福を追求したということになるかもしれないんですけれども、ただ、社会 的の回りの人の問題、戸籍というのは、外国へ行けばパスポートの問題になる訳で、そ こらの整備なくして、本人の希望だからということだけが突出していいのだろうかとい うことを弁護士としては考えていました。特に性の変換については判例がないだけでは なくて、多分法律的な根拠がないから認めないんだろうと思うので、立法的な措置が必 要ではないかと。私、戸籍法は詳しくないのでよく分からないのですが、通達レベルで やれるかどうかも、もう一度検討が必要なのではないかという気もするんですね。氏名 の変更について家庭裁判所は許可が出来るけれども、性の変更について、そもそも家裁 に許可権限があるのかどうかという問題もあるかと思いまして、そういうことも併せて 順を踏まえないと、手術だけが先行して果たしてその人が幸福に生きていけるのかとい う問題が残るなというふうには思いました。 ○K教授  今のお話は2つの問題点があるんですが、本当に手術をしたら幸せになれるのかとい う問題がある訳です。確かに生殖機能もない訳ですし、外形だけそういうふうになって も、本当の男になった訳ではない、女になった訳ではないということで、外国でもフォ ローアップスタディというのがありまして、中には自分の思惑違いということで自殺す るケースとか、そういう報告もあります。そういうことを考えて、我々のガイドライン の中では、サポートシステムといいますか、ケースワーカーとか、カウンセラーといっ たような人たちの長い期間にわたるフォローが必要であるということになっています。  それで、手術する時に、日本の国では今のところ性別までは変えられませんよという そういうようなことに関する日本の現状についての説明はします。そういうことで変え たって意味がないということで手術をしないで、自分はホルモン療法でいいという人も 結構いる訳ですが、中にはそういうことを承知の上でやりますという人が、例えばこの ケースがそうなんですね。これは法務省が何と言うか私もよく分かりませんけれども、 こういう事例が発生した後、いろいろな問題がまた論議されるのかなというふうには思 っています。 ○D委員  一旦登録された性の変更は不可能であるというお話は、例えば性同一性障害を離れて 半陰陽で本来、生物学的な性を誤って外見のある一部分を見て判断したと、つまり過誤 があって登録されたという場合は、その場合でも変更は不可能なのでしょうか。  ○H委員  そういうのは変更と言わないで訂正と言うんです。誤記です。誤記の訂正という形に なるんですね。 ○D委員  それは家庭裁判所とかで。 ○H委員  それは許可をとって訂正するんだと思うんです。ただ、そうではなくて、はっきり女 性だったものが男性に、本当は身体的には男性ではない訳ですね。生殖機能を持ってい る訳ではないですから、だけれども、外形がこうで、性転換の手術をしたから、男性と して戸籍を変えてほしいということについては、多分許可権限が家裁にないんだと思う んです。立法的措置が必要なのではないかというふうに思うのですけれども、すみませ ん。今日、六法も何も来なかったので、調べようがなくて申し訳ありません。 ○L理事長  その点に関しまして、我々の学会の答申が出た段階で厚生省にはすぐお渡ししたんで すが、法務省にお渡しする我々の手続がちょっと遅れまして、やっと2月前にお渡しし た段階なんですね。法務省で表向きはそれに関してはまだ一切かかわっておりませんと いうお話だったのですが、恐らく研究はされておられたと思いますが、窓口が大臣官房 で受け付けていただいて、恐らく検討していただいていると思います。 ○部会長  ほかにございましょうか。 ○母子保健課長  今の性転換と法律の関係は、資料11のところにつけておりますので、後でごらんに なっていただければと思います。 ○事務局  ちょっとよろしいでしょうか。手術のメリット、デメリットの問題があると思うんで すけれども、手術でのリスクですとか、手術後のリスクというか、成功率というか、精 神疾患ですから自殺というケースについても失敗ということになってしまうのかもしれ ませんが、その辺の成功率みたいなものは諸外国のデータはございますでしょうか。 ○K教授  例えば外性器をつくったら壊死に陥ってだめになってしまった、そういうことも予測 されると私は思うんですが、そういうふうなものが何例あって、どういうふうにうまく いったかというのは恐らく形成外科みたいなところでやっていると思うんですが、私は データとしては知りません。 ○L理事長  10年ぐらいのアメリカのリヤバリエーションというレビューがあるんですけれども それにも具体的な数字として挙げられていないんですね。つまり十分フォローアップが されていないということを意味するんだと思うんです。したがって、これから我々が日 本で行おうとした場合には、フォローアップが出来る体制があってやっていかないとい けないことだと思います。 ○K教授  その辺については資料7に、手術をしても、こういうような結果になるかもしれない とか、手術に伴って起こり得る問題として、尿道口以外から漏れてくることもあるかも しないとか、いろいろなことを言っているんです。ですから、形成外科としても100 %自信がある訳ではないとは思いますけれども、そういうことを承知した上でというこ とになっていると思います。 ○部会長  埼玉医大のケースの方は、要するに法律の改正を希望して、法律の改正があったら手 術しましょうという話ではなくて、言葉が合っているかどうか分かりませんが、精神医 学的な治療法の一つとして今当面手術を希望して、あるいは手術をしてあげようと思っ ていらっしゃるというふうに考えていいのでしょうか。 ○K教授  いわゆる精神療法の段階も、ホルモン療法の段階も終わっていますので、体つきも男 っぽくなったし、ふるまいやなんかもそうなったけれども、とにかく卑俗な言い方です が、こういう方が意外に、女性の場合には立ってトイレに行って排尿したいと、それが 非常に望みであるといったようなことを言うんですね。というのは、いつも男として働 いているのに、トイレに行く時には用便所の方にいかなければいけないということで、 社会的な不利益もあったりするので、何とかして立って排尿出来るようになりたいとい うことを強く望んだりするんですが、むしろ精神的な問題よりは外的な性器を望んでい るというふうに考えた方がいいんじゃないかと思います。 ○D委員  もしこの手術が進んで多分希望なさる方が、ある意味では自分で性の選択が出来る点 で、増えた場合の社会的な影響は何か御議論に、あるいは向こうの外国の場合だろうと 思いますが、何か議論はございますか。 ○L理事長  そもそもセックスの問題というのは疾患であるというふうに認識され始めたのは最近 のことです。例えばホモセクシェルというのは異常ではないし、現在、日本でもまだ日 陰だと思いますが、ホモセクシャルにしても、かなり表に出て議論されるようになりま した。ジェンダーの問題というのが、そういうところからいろいろ表れてきた訳ですけ れども、そのジェンダーに関する悩みというのは、はっきり治療すべき対象であるとい うことは分かってきたのがせいぜいまだ20年の歴史しかないと思います。したがって はっきり病気であるという、あるいは治療すべき対象であるということであれば、診断 を厳密にする、あるいはその手続を厳密にするということで十分クリアしていけると私 は思います。ちょっと余計なことですが、いわばハイパーセクシャリズムの時代だと私 は思っているんですが、ちまたに溢れている形のものとは次元を画することは出来ると 思っております。 ○部会長  C先生、何か御意見ございますか。 ○C委員  私の思考の中は全く真っ白でございます。申し上げる言葉がありません。 ○部会長  ほかの先生方はいかがでしょうか。 ○A委員  最初に精神療法をという順序立てがありましたけれども、精神療法に対するガイドラ インのようなものは出来ているのでしょうか。 ○K教授  事細かなガイドラインではないんですが、日本精神神経学会の方のガイドラインの中 で、精神療法でどういうことをするかといったようなことが書いてあるんですが、この 資料4の535ページのところに書いてあるんですが、これは精神療法で考えを変える という訳ではないんです。男になるなんて変だからやめなさいというふうなことを言う 訳ではなくて、むしろ本人の持っている精神的な苦痛とか、身体的苦痛といったような ものを精神科医が受け止めて、それを認めてあげた上でどうやって生きていったらいい かというような道を模索していくという、案外私もそういう方にかかわるようになって 会ったりしますと、変な服装をして外に出たりすることについて、親が世間的にみっと もないから外に出るなとか、一緒に住むのは嫌だといって外へ出されてしまう。自分で も自分は変態ではないかというふうに思ったりしているといったケースがありまして、 埼玉医大でこういう疾患であるということを言うのはちょっとためらったのですが、答 申を出した時に、当事者グループに呼ばれて話をしましたら、これでやっと自分が何者 であるかということが分かったというふうに発言した方もいて非常に印象深かったんで すが、結局いろいろ悩みを持っている人達の気持ちを整理するというのが精神療法の段 階だと思うんです。そういう病気であるということが分かったら、この形で生きていく から、それでいいやというふうに、そこで納得する人が、先ほども申し上げましたけれ ども、7割くらいはいるんだというような報告がある訳です。 ○A委員  何でそんなことを申し上げるかと申しますと、資料6を見ましたら、精神療法を半年 足らずぐらいでホルモン療法に入っておられるので、どの程度のカウンセリングが行わ れたのかなというふうに思ったものですから。 ○K教授  こういうケースは埼玉医大に集まってきているのですが、こういうガイドラインが出 来る前に、こういうふうな疾患として取り扱われていたり、既にどこかから、歌舞伎町 あたりに行くとそういう情報がいっぱいあるそうですけれども、ホルモンを投与してく れる人がいて、そこで治療を受けてしまっているという人がたくさんおりまして、結局 最初からという形にはならないで緊急救助みたいな形になっている方も今のところあり ます。 ○B委員  実際に手術をなさる場合、医療費というのは、日本はほとんどが保険医療でございま すね。先端医療というような、例えば肝移植とか、そういう範疇に入るんでしょうか。 ○K教授  実はこれは身内の中の話になりますが、埼玉医大としては、言い出しっぺで、こうい う問題を社会に投げかけた訳だから、大学としてある程度のカバーをしようという話に はなっております。全部ではないんですが、本人たちも、このケースも大変苦労してお 金を貯めておりまして、自費でもってやることになりますけれども、4例とか、5例の ケースがたまらないと先端医療といいますか、高度精神医療の対象にならないものです から、そこまで立ち上げようというようなことを大学の上の方では考えているというこ とです。 ○部会長  よろしゅうございましょうか。 ○母子保健課長  精神神経学会のガイドラインが出た後の社会的な反響とか、あるいはマスコミ等でい ろいろ報道されましたが、それに関しての大学への、例えば同一の症状を持っている方 が私も治療してほしいとか、そういうふうな反響、あるいは今後のこういった対象とな るような方の見込みみたいなものがありましたらお教え願いたいと思います。 ○K教授  埼玉医大の答申を出した時にも、いろいろなメディアに報道されましたし、精神神経 学会の答申の提言の時にもたくさんの方が集まって報道されたんですが、私は最初の時 に恐る恐る出しまして、宗教界とか、道徳家やなんかがいろんなことを言うのではない かと思いましたが、メディアも前向きの報道をしたせいもあるかと思うんですけれども 賛成というか、前向きにとらえる向きが多くて、大学側には、私に、倫理委員長あてに 男が女になるとか、そんなことではなくて、医者の倫理をもうちょっと取り締まれとか いう手紙がきましたけれども、正面から反対というのは余りなかった状況ではあります こういう問題が起こったために、今ジェンダークリニックの方には大体200名くらい そういうことの希望がきているのですが、実際には全部が、さっき図で示しました中核 的な性同一性障害ではなくて、ちょっと別物が結構混じっておりまして、手術にまでい くケースはそうたくさんは出ないというふうに思っております。  例えば我々が入院させて治療したケースなどは結婚して子どももいる男性ですけれど 男がしんどい、いっぱいしなければいけないこともあって、やりたくないので女にして くれといったようなケースもありまして、これはほかのヒステリー症状なども持ってい るケースでしたけれども、そういういろいろなケースがあるのではないかというふうに 思います。 ○部会長  よろしゅうございますか。  大変詳しく事情をお話しいただきまして、この部会でこういう治療法がいいの悪いの ということを申し上げる立場ではございませんが、母体保護法が母子保健課の所管でご ざいまして、この部会といたしましても、お話をよく伺っておきたいという趣旨でお忙 しい中をおいでいただきまして大変ありがとうございました。  日本精神神経学会、あるいは埼玉医科大学におかれましても、母体保護法の趣旨をお 踏まえになりまして、また今日御質問という形で委員の方の御意見も出たかと思います が、そうしたことも御配慮いただいて、今後とも慎重に御対応くださいますようにお願 いをいたします。今日はどうもありがとうございました。              (L理事長・K教授退席) ○部会長  それでは、先ほどもお話がございましたが、プライバシーの問題等がございますので 後ほど回収させていただきます。 もし何か研究上御興味ございましたら、別途母子保健課の方にお申し出ください。  それでは、順序をまた元へ戻しまして、議題の1「母子健康手帳の改定について」と いうことで、この部分につきまして事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは資料1母子健康手帳の改定につきまして、4項目ほど御審議いただきたいこ とに関しましてまとめてございますので、御説明させていただきます。  まず第1項目といたしまして、「乳幼児突然死症候群(SIDS)対策についてでご ざいます。  改定の趣旨についてですが、後ほどあります報告7のものも含めまして御説明させて いただきたいと思いますので、資料7も併せてごらんになっていただければと思います  資料7は「乳幼児突然死症候群(SIDS)対策に関する検討会報告等について」と いうものでございます。この中の資料7、2ページでございますが、「乳幼児突然死症 候群(SIDS)対策に関する検討会報告」というのございます。これは6月1日にS IDS対策に関する検討会が行われまして、その報告書でございますが、この報告のも とになっておりますのが、平成9年度心身障害研究「乳幼児死亡の防止に関する研究」 でございます。  この中で、SIDSに関する全国の実態調査というのが行われまして、この結果とい たしまして、資料7の3ページをごらんになっていただきたいのですが、真ん中のあた りに、平成9年度心身障害研究における全国規模の調査研究の結果がかいつまんで載っ てございます。この結果、リスクファクターといたしまして、「うつ伏せ寝」、「非母 乳哺育」、それから「父母共に習慣的喫煙あり」というようなことが、このSIDSの 発症と関連があるのではないかというとで研究結果がまとめられました。  また、資料7の3ページのところに諸外国の状況に関しても載ってございます。4 ページのところに表がございます、これは諸外国におきまして、以上のようなリスクフ ァクターに関しまして、これを除くということをキャンペーンで行いましたところ、ご らんになっていただければ分かりますように、発症の比率が大分低下してございます、 米国にて2.3人から0.79人とか、そのような結果が出てございます。  こういうようなものも踏まえまして、今後我が国におけるSIDS対策というものに 関しまして検討会で御検討いただきましたところ、4ページのところの1)総論、2) 各論というところでまとめてございますけれども、うつ伏せ寝、非母乳哺育、保護者等 の習慣的喫煙の各因子との関連が本邦においても示唆されたため、このような危険因子 を除いていくということにより、SIDSの発症の低減を図っていくべきである、その ような提言がなされました。  そのような検討会報告を踏まえまして、10ページをお開きいただければと思います が、6月24日ですが、SIDS対策に関する連絡会議を開かせていただきまして、そ の中で医療関連団体、または児童福祉関連団体等幅広く関係の団体、または関係省庁等 にお集まりいただきまして、広くいろいろなお立場から御意見をいただきました。  その結果なんですが、同じく資料7の最後のページです。別添3「乳幼児突然死症候 群(SIDS)の発症予防」、そういうようなものでまとめさせていただいてございま す。 これは2つの柱になっておりまして、1番目の柱といたしましては、SIDSというも のがそもそもどういう疾患であるのかという普及・啓発のことでございます。2番目と いたしましては、そのSIDS発症の危険性を低くするための留意点といたしまして、 今、御説明させていただきましたような、寝かせる時は仰向け寝にする。それから2番 目といたしましては、赤ちゃんの周囲では煙草を吸わないようにする。3番目といたし ましては、出来るだけ母乳哺育を行う。そのようなことでまとめさせていただいてござ います。  ひとつまとめさせていただいておりますが、そのほかにも別添2といたしまして11 ページのところでございますけれども、総論的に乳幼児突然死症候群(SIDS)の予 防対策について、まず1番でございますが、関係機関に対して予防対策と必要事項を通 知、もしくはポスター、パンフレット等による知識の普及・啓発、それから母子健康手 帳にSIDS及び関連危険因子の情報の記載を行う等の予防対策としてまとめられてご ざいます。 2番目といたしましては、SIDSで子どもを亡くされた家族に対する支援に関して、 ごらんのように今後推進していく。また3番目といたしまして、原因究明に関しまして も今現在原因が完全に解明されているというものではございませんので、更に研究を推 進し、なおかつ死亡状況の把握とともに、剖検率を上げるように医療現場の理解を求め る等の今後のSIDS対策というものが、この連絡会議におきましても広く御意見をい ただいた上で取りまとめられた次第でございます。  このような中で、今ございましたように母子健康手帳に、そのSIDS対策に関して の記述を盛り込むという御提言がございまして、それを受けまして、資料1の方に戻っ ていただきたい訳ですが、1番目といたしまして、SIDS対策についてという母子健 康手帳改定案を載せさせていただいております。これに関しましては、基本的に資料No 7の別添3でありました「乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症予防」と内容的には 同様でございます。二本柱になっておりまして、最初はSIDSとはどういう疾患であ るのか、その後SIDSによる死亡率を低下させるためにどのような点に留意すべきで あるのかということを研究結果をもとに、このようにまとめさせていただいてある訳で ございます。  以上、SIDS対策について簡単に御説明させていただきました。  続きまして2番目といたしまして、2ページ目の「子育て支援に関する相談機関の情 報提供」でございます。改定の趣旨はここにございますように、近年の地域における児 童養育機能の低下などにより、育児不安等で悩んでいる親が増加しており、子育てに関 しての相談機関についての情報提供を行うというものでございます。改定案といたしま しては、ごらんになっていただければ分かりますように、子育てに関する相談機関とい たしまして、体や発育に関する相談、もしくは養育上の悩みやしつけなどに関する相談 その他というような形で分けまして、それぞれの関係機関を御紹介させていただいてい るという内容でございます。  3番目に、「働く女性の出産・育児を支援をする制度に関しての情報提供」でござい ますが、これも改定の趣旨として記載してございます。現行の母子健康手帳におきまし ては、出産・育児に関する働く女性のための法律のページを設けまして、労働基準法、 育児・介護休業法及び女雇用機会均等法についての情報提供を行っている訳でございま すが、今回その他の法律により行われる各種手当、給付及び免除に関しても対象者の サービスの観点から情報提供を行うということで、以下のような改定案としてまとめさ せてございます。 健康保険法等「出産したとき、請求により出産育児一時金や出産手当金などが支給され ますので、社会保険事務所や市町村などに問い合わせてください」というような内容を 盛り込ませていただいてございます。  最後に4番目でございますが、「母乳栄養について」ということで、改定の趣旨とい たしましては、近年、母乳中のダイオキシン類の乳児への影響、また今ほど御説明させ ていただきましたが、SIDS発症と非母乳哺育の関連など、いろいろと言われており ますので、既に母子健康手帳に母乳栄養に関する内容というものが記述されてございま すが、更に項目として加えた方がいいということがございますかどうかということも含 めまして改めて御検討いただければと思います。(2)の下記のところに「母乳栄養と 人工栄養」という項目で、「乳児期の栄養」という項目の中で記入してございますので ごらんになっていただければと思います。  以上4項目に関しまして、母子健康手帳の改定ということでまとめさせていただきま したが、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ○部会長  ありがとうございました。  この母子健康手帳の改定は先般来の当部会でいろいろ御審議いただいてお決めいただ いたことを、早いところは既に改定された母子健康手帳が配れる体制になっております し、遅くとも来年度からは新しいものが、例の身長、体重の相関表のような図、あんな ものを含めたものが、規則の改正の必要な部分も含めて既に手をつけていただいており ますが、更に今後、母子健康手帳の改定に追加したい部分についての御提案といいまし ょうか、お話がございました。そのうち1番のSIDSと2番の「子育て支援に関する 相談機関の情報提供」と3番の「働く女性の出産・育児を支援する制度に関しての情報 提供」については改定案がお示ししていただいてありますが、4番の「母乳栄養につい て」はどうしましょうかという御相談で、ここに挙げてあるのは現行の記載内容でござ います。1、2、3の改定案を、このような形で追加することがよろしいかどうかとい うことと、4番の「母乳について」、改定するとすれば、どのような書き方の内容がよ ろしいかということで御意見をちょうだいしたいと思います。よろしくお願いいたしま す。 ○C委員  2ページの「子育てに関する相談機関」、ここにかかりつけの小児科医、小児医療機 関とか、そういうものがないということは全く不満であります。行政だけでやる問題で はない。とんでもない話です。 ○部会長  ありがとうございました。  ほかにございましょうか。G先生。 ○G委員  SIDSの発症予防についての1ページのところですけれども、こういう内容のもの を追加することは必要だと思います。ここに書いてある文章でちょっと気になるところ は、上から6行目に「完全に解明されていません」というのは、これはちょっと文章が おかしい。「完全には解明されていません」というか、あるいは「完全に解明されてい るとはいえません」というようにしないといけないと思います。  あともう一つその下に、「以下に示すようなことを実行することにより、本疾患の死 亡率が低下することが明らかになっていますので」とあります。外国での介入に関する 報告では、そのように報告されている訳ですけれども、日本での調査は後方視的な研究 で、SIDSの患者さんではこのような状況があったということが分かっているのであ って、このようなことを実行することによって、SIDSが減るということが日本で証 明されている訳ではないと思います。外国での研究まで含めて言えば、これは間違いで はないと思いますけれども。 ○部会長  現実に言えばまだ分かりませんので、低下すると期待されるとかという表現になると いうことでございますね。 ○H委員  よく分からないので、基本的なことを質問させていただくんですが、1歳未満の乳児 期に亡くなっている死亡数が579人と525人とあるんですが、これは1歳未満の乳 児期に死亡した原因として、かなり高い原因になる訳なんでしょうか。579人と52 6人というのは、大勢の子どもが生まれる中では、私の感覚では極めて少ないように思 えるのですが、そういうことではないのでしょうか。 ○事務局  資料の中で3ページのところだと思いますが、疫学で平成7年が579名、平成8年 が526人という形ですが、これは年齢としては1歳未満のみならず、2歳の者もあれ ば、3歳の者もすべて含んでいるという数でございます。というのはSIDSに関して は、現在あります定義に関しては年齢で何歳未満というのはございませんので、みんな 含めて死亡診断書上、SIDSまたはSIDSの疑いとなっているものが579名、 526名です。なおかつ1歳未満、つまり乳児期における死亡人数はどのくらいなのか というのが、その少し下にございますが、平成8年における全乳児死亡数が4,546 人ですが、そのうち477名、つまりSIDS全死亡数が平成8年526人のうち、1 歳未満で亡くなられた方が477人という形です。これはここにお示ししましたように 全乳児死亡数の中で第3位の死亡という形です。 ○H委員  分かりました。 ○部会長  赤ちゃんの中でSIDSで亡くなる率というのは、御存じのように日本では外国に比 べるとかなり低い方で、外国でここまで下げられたといっている数字よりも、現行の日 本の数字の方がまだ低いぐらいなものですから、これ以上下げられるかというのは、確 かに柳澤先生言われるように、まだ分からない訳ですが、日本で調べてもうつ伏せ寝が あるいは母乳の方が少ないとかいう点で、外国と全く同じデータが出たというところを 見ると、日本でももう少しPRをしてリスクを減らすように親たちが気をつけてくれれ ば、なお減るんではないかというのが母子保健の方からは期待なんでございます。それ をどこまで書いていいかというのは確かに難しいところですが。 ○H委員  書いて認識を持ってもらうということも、事実を知らせるということは大切なことだ ということはすごく思うんですけれども、特に出産後1年以内の女性の心理を考えると かなり様々な、こうしちゃいけない、ああしちゃいけないという情報ばかりが母親のと ころにはきて、自分の母体も確実に回復していないという状況の中で、余りこうしたら いけないよという情報ばかりが与えられることはいかがものかというふうにちょっと思 う訳です。特に母子健康手帳というのは、だれもが読むことを前提にして、だれもが必 要とする情報を基本的に与えるという手帳なんだろう。その時にこの情報が、こういう ものが危険があるよ。だから予防としてこうしなきゃいけないよということを知らせな ければいけないのかどうかなのかということが私には判断がつかなくて質問をしたんで すけれども。 ○母子保健課長  2点あると思いますが、1点目は妊娠した時に母子健康手帳を受ける訳ですから相当 な心の準備期間というのはあると思うんです。赤ちゃんが突然生まれて、いきなり母子 健康手帳を見て、子ども死んじゃうかもよというふうな話とはちょっと違う。  それから2点目は、120万人生まれる子どもにすべて確率としては起こり得るとい うことでありますから、その起こり得る確率を少しでも減らそう。先ほどの3位だとい うことなんですが、1位とか、2位はなかなか改善がしにくいだろうと思われます。先 天奇形とか、染色体異常というのは、これはそろそろ改善の限界にきているのかなとい うことで、人為的に変えられるのは、第3位とか、4位の不慮の事故とか、これもやっ ていかなければいけないことかと思いますが、いずれにしろ非常に少なくなっていると いうふうな状況の中で、少しでも死亡率を減らしたいというのが私どものお願いであり ます。文書表現等はもうちょっとマイルドな形もあり得るかなと思います。 ○部会長  御存じのように、このSIDSという病名が平成7年から日本でも正式に使われるよ うになったものですから、それ以前の正確なデータがないんです。SIDS、この病名 が使われるようになって統計がとられてみたら、いきなりこの病名が死亡原因の第3位 に飛び上がって出てきたものですから、それで我々もちょっとびっくりしたし、いろい ろ調査をされてみたらば、外国で言われているように、3つのことを気をつけると減ら せるはずだということになったものですから、そしてこの3つのことのうちの、うつ伏 せ寝はしない方がいいでしょうということは、今まで余り言われておりませんでしたが あとの2つのなるべく母乳でとか、なるべくたばこはやめましょうという話は前から言 っていますので、内容として皆さんが気にするほどの内容ではないのかなと一応思って おりますけれども。  そんなことで突然この病名が出てまいりまして、マスコミにもかなり大きく出たりし たものですから、世の中の皆さんの興味を引かれたと思いますけれども、こういうこと をPRすることによって、もし400人の亡くなる子どもさんが100人でも減るよう だったら大変ありがたいなということであろうかと私も思っております。 ○F委員  私はこういう形で書いてくださることはよろしいかと思うんですけれども、論点が少 しずれてきているかなという感じがします。どういうことかといいますと、うつ伏せに するか、どういう寝かせ方をするかということはひとつの例なのであって、赤ちゃんが 寝る姿とか、赤ちゃんをもっとよく見てみましょうというか、赤ちゃんの姿とか、様子 をもっとよく見ましょうということが重要なことで、そのひとつの例に寝る時の姿もう つ伏せかどうか。ちょっと言い方が悪くてすみません。私の身近なところの若い人たち の中で、非常に神経質になって、うつ伏せかどうかで一晩中寝れない母親が二、三事例 として出てきているのを知っています。その人たちに相談を受けた時に、その赤ちゃん にとって一番快い寝方というのがそれぞれあるんだから、そうしたことをお母さんがよ く見ているかどうかが一番大事なことで、その時のひとつのチェックポイントというか ひとつの目安にこういうことも十分に生かすことも出来るんじゃないかというふうに話 したんですけれども。  言いたいことが何かと言いますと、こういう調査の結果で、うつ伏せ寝の場合に、こ うした結果になるということは実態としては分かるけれども、母子手帳の中で一番言い たいことは、どういう寝方をしているかよりも、寝る姿も含めて自分の子どものことを よく様子を観察しながら、子どもとのつき合いを進めていきましょうということが一番 重要なポイントなんじゃないかと思います。そうしたことがもう少し表現されれば、よ ろしいんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。 ○部会長  それはそのとおりなんですけれども、赤ちゃんが自由に寝返りをするようになれば、 どんな寝方をしていても、まず実際に余り心配ないと思うんですが、寝返りが出来るま での生後半年ぐらいまでの間は、寝かしつける時に上向きの方がいいですよという話で これはひところ外国風にというので、うつ伏せ寝がはやったことがあるんです。ところ が外国の方では、うつ伏せ寝はSIDSのリスクが高いよということを言い出したもの ですから、小さい赤ちゃんのうちの寝かせつける時の体位を上向きにしましょうという のがこの趣旨でありまして、赤ちゃんをよく見ててくださいというのは、それはそのと おりなんですけれども、余りそれを言うと今度はお母さんが寝られなくなっちゃいます ので、実際にはそれを心配して、研究としては赤ちゃんの姿勢を、例えばテレビカメラ みたいなものでずっと見ていて、全然動かなくなったらブザーが鳴るとか、マットに仕 掛けをしておいて、息をしないとブザーが鳴るとか、そういう機械の開発をしようとか 一部されたりというのもありまして、そこまでいくと余り実用的でないものですから、 言い方としては、小さいうちの寝かせる時の姿勢という趣旨でこういう書き方がされて いるんですけれども、まずいですか。 ○F委員  それは理解しているつもりなんです。 ○C委員  表現がよくないと私は思うんです。仰向けに寝かせてほしいとか、たばこを吸っては いけませんよとか、そういう記載はいいのですけれども、前提条件の「乳幼児突然死症 候群(SIDS)」というのが前にきてしまいますと、こっちに注意がすごく集中しま すから、先ほどH先生がおっしゃったように、ブルーデイズなんかの時期もある訳で、 この前段を後段の方に持ってきて、こういうやり方をすれば、SIDSも起こりにくい というようなソフトの表現でないと、荒々しく釘打つみたいなことに思うんです。余り 子育てをしたことがない方がお書きになったかなと。 ○部会長  このSIDSを余り脅かすことはないんですけれども。 ○B委員  今、部会長おっしゃったように、それはイスラエルなんですが、実際には無呼吸モニ ターがものすごい勢いで売れているんです。日本でも開発して一応5種類ぐらい出てい るんですけれども、ただイスラエル製が一番早く出たというので、私たちの日母に問い 合わせがございました。私たちが斡旋している訳ではないんですけれども、そういう業 者が輸入が間に合わないくらい。ちょっとでもやると、いわゆる子育てのお母さん型が パニックになっちゃうということで、私も今、C先生がおっしゃったように、最初にこ ういうドーンというような文字は非常に危険だとは思っております。 ○部会長  ありがとうございます。  A委員いかがですか。 ○A委員  私もそう思います。これを見ますと、まずびっくりするでしょうね。ですから、C先 生おっしゃったように書き方の問題だけですけれども、こういうことがあるのでともっ ていった方が、やはりソフトじゃないでしょうか。 ○部会長  確かに最初にSIDSで脅かしてお母さんたちが心配し過ぎるのは困りますので、こ の辺の書き方は、またいろいろ検討してソフトな書き方にしたいと思います。こういう 内容を入れることはよろしゅうございますね。まず最初のSIDS絡みのことで、この 3つのことを心がけましょうという趣旨のことを余りお母さん脅かさないようなソフト な書き方で入れること。  それから2番目の子育てに関する相談機関、これは先ほどC先生が言われましたよう に、最寄りの小児科医、あるいはかかりつけのドクターという医療関係が全く落ちてお りますので、これを入れていただきましょう。  ほかに医療機関以外に何か足すべきものはありますか。保健、医療福祉と一番最初に 書いてありますが。 ○J委員  自治体の中で児童館施設で子育てのいろいろな相談を今始めております。ですから、 地域子育て支援センターの中に保育所があるんですけれども、ここに児童館を付けてい ただいた方がいいと思います。 ○部会長  児童館と保育所を並列していただきましょうね。 ○E委員  ごく初期の段階なんですけれども、母乳がうまくいかないということに関しては、助 産所が非常にうまくいっているんですけれども、期間的には限られます。ここで相談す るかしないかで、あとの母乳栄養の成否はかなり変わってくると思われます。 ○部会長  小児科医、かかりつけ医に並べて、助産所、医療関係という意味でこれが入り、福祉 関係の方で児童館が加わる。 ○C委員  舌小鼎を切るような助産所があって、必ずしも私としては賛成出来ない。はっきり申 し上げておきます。 ○E委員  それ以外のところできちんとやれているところはたくさんあります。 ○C委員  みんな舌切りスズメになって帰ってきちゃうのがいるので、これはいかがなものかな と思っております。 ○部会長  全部ではないでしょうけれども。 ○C委員  そこに行かれた人の運命で。 ○F委員  それから福祉事務所と書いてありますけれども、新しい組織改革の中で、かなりこの 種の呼び名が変わってきていることを御考慮ください。都道府県によって違うので混乱 するかもしれないんです。 ○部会長  児童相談所も県によって名前変わってきていますが、県でばらばらだから、ここへ書 くとするとしょうがないんでしょうか。家児相は福祉事務所の中にあるんだから福祉事 務所が書いてあればいいんですか。 ○E委員  東京都内でも保健福祉センターという区がすごく増えてきております。保健と福祉が 一緒になって、そういう形でやっていて、福祉事務所という名前はなくなってしまって いる区がかなりあるので、そのことを書かれても何のことか分からない。これは新しく お母さんになって、初めてこういう公的な機関に関心を持つようになることが多いもの ですから。 ○部会長  そういうことになれば、ここのページ、つまり後ろの情報のページですから、本来市 町村ごとにつくってもらうべきもので、少なくとも都道府県単位ぐらいで書いてほしい ので、この辺はモデルとして厚生省がお示しになるとすれば、地域ごとにその地域にあ る役所といいますか、センターの名前を書いていただくのがいいと思いますので、その 辺はこれをモデルとしてお示しになるとすれば、その時にちょっと触れていただくなり 何なりしていただいたらどうでしょうか。子育てに関する相談機関は呼び名がいろいろ ある部分がありますが、基本的には医療関係に小児科医、かかりつけ医、助産所、それ から福祉機関として児童館等を書き加えるという趣旨で、これも入れることにさせてい ただきたいと思います。よろしゅうございますね。  それから3番目の働く女性の出産・育児支援制度の件で、健康保険法等による手当金 の件、これの書き足しでございますが。 ○E委員  2つほどあるんですが、まず1つは働いていてもいなくても、夫が働いていても健康 保険の扱いは、たしか今は同じだと思うんですが、そうだと働く女性のためというとこ ろに入れてよいのかどうかということ。それが1つです。  それからもう一つ。これは確認なのですが、今日、母子健康手帳の改正の議題がある のに、前の手帳の様式を持ってこなくて申し訳ないのですけれども、育児休業の際の社 会保険料の免除の話は前に取り上げていたかなということ、その確認をしたい。それは まさに働く女性のためなのですが。 ○部会長  要するに手当20%の中ですね。20%ぐらいの育児手当。 ○母子保健課長  今お話しされたのは社会保険料の免除です。 ○部会長  その分で払うんじゃなくて、あれは免除になるんですか。 ○E委員  変わったんです。 ○部会長  既に改正した分の中には、そういうふうに読み取れるように入っていましたか。 ○E委員  書いてないはずです。そうすると、これはまさに働く女性のためのことだと思うんで す。ちょっと私も記憶が定かでないので。 ○部会長  入っていなかったような気がしますね。 ○事務局  一つは社会保険料の方は、例えば事業所等で手続をされていらっしゃるので、余り苦 情等はないようなんですけれども、申請をしないともらえないものなんかは、どこかに 宣伝したらどうかということが新聞の投書欄等でも言われていまして、その辺のことま で、母子健康手帳という性質のものに載せるかどうかというところを、私たちも非常に 悩んでいるところでございます。なるべくお知らせしたいものはたくさんあるんですけ れども、そういった健康に直接関係のある記載でない部分もどんどん載せていった方が いいのかどうかということは非常に難しい問題なのかなと思っておりますが、今ここに 書いてあるものは、申請をしていかないともらいそびれてしまうというようなお話がご ざいまして、それで社会保険料といろいろな手当のこととか、いっぱいあるんですけれ ども、その中で本人が知っていた方がいい情報をどこまで載せるかという例として挙げ させていただいております。 ○部会長  確かに黙っていてもやってくれるものがいいはずですが、逆に言えば、せっかくサー ビスしているのを本人は全然知らずにありがたくも何とも思わないというのも、やって あげる側から言うと損ですが、その辺の兼ね合いとページのスペースの関係等もお考え いただいて、今の健康保険法等というのは、御本人が働いていなくてもいただけるとす れば、書き方をちょっと気をつけて入れることにしておいてください。 ○E委員  働く女性のためののみではないということです。 ○部会長  ありがとうございます。  ほかにございますか。  それでは、その3つの点は文章を直して載せる方向で更に検討させていただきます。  4番目の母乳栄養の件、これは現行の記載内容がお示ししてありますが、ダイオキシ ンの件では、これもお母さんたち随分心配しているとか、聞かれて困っているとかとい うお話がよくございますが、実際には御存じのように、大阪のデータでは20年前に比 べると母乳の中のダイオキシン量は半分ぐらいに減ってきているらしいので、赤ちゃん に対する影響という点では、今まで20歳になる人たちに何にも起こっていないのだか ら大丈夫だろうという乱暴な言い方の説明になりますが、それはそれとして、この辺を もう少し親切に、あるいは質問になりそうなことを書いた方がいいのか、あるいはかえ ってややっこしくなる、あるいは心配の種が増えるようならば、あえて書かない方がい いのか、この辺は何か御意見ございましょうか。 ○母子保健課長  少し私ども気になったのは、例えばダイオキシンとの関係で、環境関係の学者の方々 がマスコミ等に対して、免疫等を考えてダイオキシンもあるし3か月でやめるべきであ るという話をされているので、たまたま母子健康手帳を見ると、「3か月ごろまでは」 と書いてあるものですから、果たしてこういう形でいいのかな、それからそれ以下の文 言もこういう形でいいのかなという、これは相当長いこと変えていない可能性がありま すので、そこら辺をもう1回御審議いただければということで、特にそれ以外の意図は ございません。 ○E委員  私は今課長さんがおっしゃったとおりに、3か月というところが妙に符合してしまう ところが、かえって環境学者が言っていることを、これで裏付けていることになってし まうかなというようなことを発言しようかどうしようかと今考えていたところだったん です。 ○部会長  逆にこれを見て3か月と彼らが言っている可能性もありますね。 ○E委員  私もこのところ気をつけて新聞とか、本を読んでいるんですけれども、それはないと 思うんですけれども。 ○部会長  でも、3か月という言葉を出してきたので。 ○E委員  それは量からいって一応積算して、彼らは彼らで言っているようです。今日また改め てもう一度読み直してきたんですけれども。 ○母子保健課長  それはドイツあたりで指導した例があります。ああいったこともあるんじゃないでし ょうか。 ○C委員  前段階にもSIDSの所でなるべく母乳で育てるようにと出てくる訳です。したがっ て、3か月ごろまでというのを取った方がいいんじゃないかと思うんです。「なるべく 母乳で育てるよう心がけましょう」、これの方が素直で、母乳が足りない時、お仕事の 都合のある方が、3か月で切ってもいいんだとみんな思っちゃうと思うんです。 ○部会長  今の御意見のように、この3か月というのを一方では育児休業制度もあるものですか ら、あえて「3か月」という数字をここに入れる必要はないだろうという御意見でごも っともだと思います。 ○J委員  実態も母乳はどんどん出るようになると、離乳食が始まるまでは皆さん続けているよ うな気もしますので、これは必要なんじゃないかと思います。出るようになるまでがお 母さんたちは大変です。 ○H委員  産休が3か月で、しかも冷凍保存というふうなことが考えられなかったころに、働く 女性への配慮も含めて、少なくとも3か月まではがんばろうねというメッセージだろう と思うんです。だけれども、今、保育園に預けているお母さんでも、冷凍保存の母乳を やっているというところも随分増えてきているので、そういう意味では時代もちょっと 変わっているのかもしれませんね。 ○部会長  おっしゃるように、調査ではかなり冷凍母乳を使っているお母さんは多いですね。  時間が余りなくなってしまいましたので、当面この「3か月頃までは」というのを外 すという方向で、なお内容については新生児などをやっている先生の御意見も聴しなが らということにさせていただきたいと思います。  この母子健康手帳の改定につきましては、文言等は今日の御意見を参考にして今後に 向けて練り直しますが、方向として4つの内容について改定をする方向で検討を進めさ せていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  大分時間をちょうだいしましたが、次に議題4の「その他」でございますけれども、 この内容をお願いします。 ○事務局  担当の血液事業対策課の方から血液対策課が来ておりますので、血液対策課の方から 御説明をお願いしたいと思います。 ○血液対策課  医薬安全局の血液対策の課長補佐でございます。  お手元の資料の4に「ATL抗体陽性者結果の通知の是非について」がございます。 これは献血してくださった方にATLの抗体検査の結果を通知するかどうかという議論 を、私どもの局の審議会の方で行いました結果が出ておりますので、今日ちょっとお時 間をいただきまして御報告をさせていただきたいと存じます。  この背景と申しますのは、献血血液については、我が国ではATLの抗体検査を全部 行いまして、陽性の血液については血液製剤に使っておりません。ただ学会等の論文発 表等で、今までATLの原因ウイルスであるHTLV−1ウイルスがリンパ球にいるた めに、血漿についてはウイルスが出ていなので、例えば血漿製剤のアルブミンですとか グロブリンについては使用しても安全であるという論文も出ておりました。そのため、 血漿分画製剤であるアルブミンとグロブリン等に使うかどうかというようなことを議論 しました結果、結論としては安全性を確認するデータとしては不十分ということで、陽 性血液は今後も使わないという結論が出ました。現在献血者でATL陽性者につきまし ては、陽性であった場合、通知を受けた方ヘの心理的な影響等も配慮しまして、通知し ておりませんでした。 今回、陽性血液は使えないということが明確になった以上、何度も献血をしていただい ても、その血液は使えないのではよくないのではないかということで、お手元の1ペー ジにございますように、そういう結論が出た以上、陽性者には結果を通知をするという 結論が出ました。  お手元の資料の3ページ目に統計数字がございますけれども、現在年間約600万人 強の献血者に延べ人数で献血いただいておりますが、ATL陽性は全国平均で0.85 %の陽性率、年間延べで5万6,000人ぐらいの陽性者が出ております。ATL陽性 率はもちろん男女の性比とか、年齢階級も様々ですし、頻繁に何度も献血してくださっ ている方は延べで換算しておりますので含まれますが、多い県ですと、御存じのとおり 鹿児島県等で献血人口5%になりますし、少ない県ですと、0.19、0.2%ぐらい になっております。ですから、この陽性者5万人に対して通知を行うということになる 訳ですが、資料の次のページに献血申込書というのがありますが、献血者はこのような 申込書で申し込みをし、問診をしておりますが、4ページ目の右手の☆のマークがつい ているところがありますけれども、梅毒については御本人に通知してほしいかどうかを 聞いた上で、「はい」と答えた方にだけメールで結果を通知しております。肝炎につき ましては、全く本人の希望を聞かずに、そのまま陽性者には通知をしております。HI Vにつきましては、検査目的のエイズ検査を受けてほしくないという方針ですが、セン ター長が個別に直接面談で通知をしています。 一方、ATLは一切通知してこなかった経緯がございます。  ですが、今後については知らない権利と申しますか、献血の結果はお手紙で郵送され ますので、御本人以外の家族の方が開けるということもありますので、本人に通知して ほしいかほしくないかということを聞いた上で、「はい」と答えた方には原則通知をし ていこうというのが、私どもの審議会の議論でした。この検討結果を出すにあたって、 実は鹿児島県で希望する人に通知をしてみて、何か問題があるかどうかというようなこ とを研究しました。その研究報告の中からでも、通知を希望する人が8割を超えており まして、通知して何ら問題がなかったということがございますが、鹿児島のメリットと しては、ATLに対して意識の高い医療機関が多々ありまして、その医療機関に何か困 ったら相談に行けるというような体制を県としてもとっていたということがあります。 今後通知を全国展開するに当たっては、私どもの部会の委員の中からは、一部の地域か ら徐々に始めたらという意見も一部ここに書いてはあるようにありましたが、一応一致 した意見として、なるべく早急に通知し、陽性者には今後、献血に来ていただかないと いうことが私どもの部会の結論でした。以上、こちらの部会にも関連するということで 御報告させていただきました。 ○部会長  ありがとうございました。 ○母子保健課長  簡単にATLという病気について説明をお願いします。それとあと、通知したことに よって関係者の問題点というか、母親とか、お子さんとか、旦那さんとか、この辺もち ょっとお願いします。 ○血液対策課  母子の部会の方ですから、ATLは私よりお詳しい方が多いと思いますけれども。 ○母子保健課長  弁護士さんもいらっしゃいますので。ATLとはそもそも何か日本語でお願いします ○血液対策課  私が申し上げるのも恐縮しますが、ATLは「成人T細胞白血病」といい、レトロウ イルスというエイズに非常に近い形のウイルスの感染によるもので、このウイルスに感 染した人はそのキャリアとなり、ウイルスをずっと持ったまま生存されて、大体40歳 を超えてから、年に1,000に1人白血病を発症する。この白血病自身は難治性でか なり治療が困難な病気です。ただ、発生頻度は非常に低い病気です。また、このキャリ アの方の中から、白血病以外にHAMという脊髄症も発生している。HAMの方は治療 成績も最近上がってきているというような報告が出ています。実際の感染経路として最 も大きいのは母子感染です。母乳による感染につきましても、やはり断乳をした場合の 方が、比較しますと子どもさんに感染する率は、母乳を与え続けた例よりは低いという 統計的な数字が出ております。  このウイルスはセックスによる感染頻度は低いですけれどもありますので、陽性と通 知を受けた方にきちんとこの病気のことを分かっていただいて、もし不安であれば医療 機関にコンサルテーションしていただく必要があります。ATLは発症予防方法と治療 方法はほとんどないですから、基本的には相談受ける道が必要です。女性であればお産 の問題ですとか、夫婦間の結婚の問題ですとか、子どもとの接し方、考慮しなければな らない点はあろうかと思うんです。  ただ、日赤としましては、血液センターの職員についは一般的なATLに関する成人 T細胞白血病とその血液の問題については研修がされておりますので、一般的な相談は 受けることができます。ただ、確かに通知を受けた人で、非常に精神的なショックを受 けられた方については、今度は地元の医療機関にフォローをお願いするなり、相談に行 くという場所を考えていかなきゃいけないと思っておりますが、一応方針としては今後 通知していこうということを当部会では結論が出されたところです。 ○母子保健課長  医師会とか、小児科医会医界とかに対する情報提供についてはどうなっているんでし ょう。 ○血液対策課  日本医師会では、こちらにいらっしゃるC先生と、別に私どもの担当理事の菅谷先生 が担当されているんですが、その方とも御相談して、例えば鹿児島県でやった事例とし ましては、ATLとは何かとか、ATLに対する一般的な保健指導のマニュアル等を、 例えば医師会を通じて日本医師会の会員の方にお配りするですとか、医療機関にお配り するですとか、地域の保健所ですとか、先ほど保健福祉センターという話が出ておりま したが、そういう行政機関の方々にもお伝えして、基本的なことはみんな伝えられると いうような体制を鹿児島県はとっておられますので、例えば私ども今後通知していく場 合、母子保健課とも御相談しながら考えていく必要があると思います。マニュアルのた たき台は出来ておりますので、またこちらとも御相談しながら、必要であれば各関係者 に情報提供していくということになろうかと思っております。 ○D委員  HAMの問題なんですが、ミエロパシーですから進行性の脊髄、いずれは動けない状 態で死んでいくということになりますね。その前の段階でキャリアが分かる訳です。そ うすると、同じように遺伝病でいろんな一連のミエロパシーの病気がありまして、その 場合はキャリアであることを伝えるかどうかというのは非常に重大な問題でありまして あまして、つまり、かなり早い段階で、20代とか、30代で自分は危険度があるとい うことは、遺伝相談の中では十分配慮をして伝達するかどうかを決めているんです。今 のお話ですと、確率的にキャリアが分かったら若くてもお伝えするというのは、バック アップ体制をよくしておかないと非常に大きな問題になるんじゃないか。ハンチントン でも何でも一連の遺伝病のキャリアの場合にはなかなか伝えるのが難しい。相談ユニッ トをおいてやるというのが原則になっていると思うんですけれども、キャリアであると いうことはほとんど同じ訳です。 ○血液対策課  私ども血液の関係の部会なものですから、臨床医もかなりおられたのですけれども、 バックアップ体制といっても原則的にどこかの医療機関に相談していくということで、 そんなに大きな問題にならないんじゃないか。それよりもまず献血という時には、献血 をする際には、これこれの血液検査をします。その病気はこういうことです。検査結果 については御本人の希望を聞いてお伝えします。その上で献血してくださいというイン フォメーション、だれでもかれでも血をとっている訳ではないので、そちらのインフォ メーションをきちんとすることで、もし自分がそういう病気のことを知りたくない方と か、分かりたくないという方は献血を御遠慮いただくという方向なのかしらという考え でしたただ病気の問題というのは、自分が実際に陽性になってみないと、自分の問題と してなかなか考えられないということもありますので、何か特別のエイズの拠点病院と か、ああいう特別な医療機関を指定するということではないけれども、医療の現場で各 都道府県においてどこか相談出来るような体制をとることも必要かもしれません。 ○D委員  それを受ける側へ啓発をやっていただくことが重要だろうということです。 ○部会長  2つ心配な点があり、1つは、40歳を過ぎると年間キャリアの方は1,000人に 1人発病リスクがあるということを伝えるということは、拡大して考えれば、がんの告 知に近い部分がありますね。そういう意味で、陽性者が見つかった場合のカウンセリン グの体制というのを、かなりきちんととっておかないといけない。知りたくない人は献 血しないでくれという言い方をして、今盛んに若い人たちに献血を勧めているのに、そ れでいいのかしらというのがちょっと気になるのと、この話が広く知れ渡るようになる と、恐らく妊婦の検査、今、長崎県とか、高知県の一部で妊婦の検査を県担の公費でや っておられるところがありますけれども、HIVみたいに妊婦の検査の話につながって きて、直接我が部会にもう一回はね返ってくるかというのが気になるのと2点あるんで すけれども、その辺はいかがなものでしょうか。 ○血液対策課  一つは、カウンセリング体制がどこまでとれるかは別にしまして、十分なインフォー ムド・コンセントで検査をし、また医療機関に対しても情報提供をしていかなければな らないというふうには思っております。私どもの部会で考えましたのは、最近、献血記 録についてはコンピュータ登録が始まっておりまして、献血の現場で献血手帳なりを見 せますと、御本人の過去の献血歴と検査歴がコンピューター上で調べることができます それでATL陽性者だった場合、その人の血液は使えないと分かっていながら、御本人 に通知していないと献血はしていただくことになります。成分献血ですと時間もかかり ます。 それで、その血液を捨てるということは、献血をお願いしている立場としてはなかなか 厳しいかなというのが現状でございます。そういう意味で相談体制については、今後母 子保健課の方とも御相談したいと思っております。  もう一つ、今回の通知が、母子保健領域でATL検査を例えば産婦人科外来等で進め ていくことについて、はね返るのではないかという先生の御指摘につきましては、実は 母子保健課からもいただきました。血液製剤を考えております部会としては、血液製剤 の安全性確保という観点からATLについて検討しているので、広く母子もしくはほか の全国民に対して検査なり、健康管理のために検査を進めていくべきであるというよう な意見は、こちらの部会としては、出ていません。そこも含めて引き続き母子保健課と は情報交換をさせていただき、通知を実施する際には、もし必要であれば、こちらの部 会にもまた御報告させていただいて、御意見なり、御相談させていただくことになろう かと思いますけれども。 ○部会長  先生方、何か御質問、御意見をどうぞお願いします。 ○C委員  御通知なさる時に、極めてソフトな表現で書かれた方がいい。例えばATLウイルス が疑われる結果が出ております。したがって、最寄りの医療機関とか、大学病院に一度 御相談になってください。今後その結果がはっきりするまでは次回からの御献血は御遠 慮させていただきたいというようなことを書いておかれれば、急激なショックはこない かかられた、鹿児大の医学部に行かれて検査をした。そこでいろんなカウンセリングも 含めて受けられる訳ですから、そこを切っちゃうと、もう僕はだめなんだ、私はだめな んだというふうになってしまうと大変なことになる。極めて繊細な方もいらっしゃいま すものですから、そういう方が通知書を見て飛び下りたりなんかされると、事業者の方 の責任問題になってしまうので。 ○血液対策課  HIVの時に実は確認検査まで行っているのですけれども、「疑われるので」とか、 「検査で若干疑いがありますので」というような言い方をしているので、先生から御指 摘いただきましたように、私どもの方もまたその点を配慮したいと思います。全国で通 知を始めますと、人数からいってのべ5万人から超える人数に通知することになります ので、かなりの影響を与えることになります。この中で頻回な献血者が減ってくれば、 もう少し実人数としては減ってこようかと思っておりますが、それにしても万のオー ダーの数ですので、十分母子保健課などとも相談した上で、なるべく早い時期に通知を 始めなければならないと思っております。 ○部会長  本題と関係ないんですが、さっき年齢別云々とおっしゃりかけましたけれども、年齢 別には、若い方と中年の方とでキャリアの発見率は、若い人で少し下がってきていると いうようなことはありますか。 ○血液対策課  私どもの手元になくて正確ではありませんので、分析したものがありましたら、また こちらの課を通じて御提供させていただきたいと思います。 ○部会長  分かりましたら、先々のために教えておいてください。 ○B委員  確認事項なんですけれども、これは献血だけに絞ってやるんですか。例えば献血して ATL陽性となった若い女性が結婚なさって、お子様をお産みになった場合、その場合 自分は分かっている訳ですね。そうすると、母乳等にも随分関与してくると思うんです そうするとフォローアップと申しますか、先ほど部会長がおっしゃったようなカウンセ リング体制というのもはっきり出来ていない訳ですね。それから不治の病に対するきち んとしたインフォームド・コンセントとか、それは大切で、私たち産婦人科は長崎県と 高知県が始めたんですけれども、日母としてはほとんどやっていないんです。というの は、そういうようなインフォームド・コンセントと後のフォローが全然出来ないという ことでほとんど妊婦さんにはお知らせしていないような感じになっていますが、そうい う点はどうなんでしょうか。 ○血液対策課  私どもの方の部会の議論では、献血血液のATL検査は今後も続ける予定です。陽性 血は使わないという方針を持っております。ですから、献血者のどなたが陽性だったか は分かってしまいますので、ここで議論したのは、献血血液をいただいた方で陽性だと 分かった方には、以後の献血を御遠慮いただくということもありますし、万が一には人 為ミスで陽性血液が紛れてしまうとか、いろんなことが製造ラインではございますので 血液製剤の立場から言えば、初期の段階でいろいろ問題がある血液は排除するという方 策しかとり得ない場合もございます。 ○B委員  結婚してお子様を産む場合です。献血というのはほとんど若い人がやる訳でしょう。 ○血液対策課  64歳以下の方です。 ○B委員  善意の献血で、あなたはATLですよというのを一生背負っていかなきゃならない訳 です。その時のカウンセリング体制というのは出来ていないので、いきなり血液の方か ら問題が出たからといって、妊婦さんもその中の一員ですから、そういうところのフォ ローと申しますか、カウンセンリング体制というのをきちんとやってからやった方が、 産婦人科の立場としてはいいなと思っています。 ○G委員  疫学的なことをちょっと教えていただきたいんですけれども、例えば鹿児島県などに 頻度が高いことは周知のことですけれども、ここで5.11%というのは、鹿児島県の ジェネラルポピュレーションの中での陽性率と比べてどうなのかということと、例えば 鹿児島県で陽性の方が、自分が陽性だということを知っているのがどのぐらいの割合か というようなことはデータとしてありますか。 ○血液対策課  実はATLの抗体陽性者が日本にどれだけいるかというデータは、1つ小さいフィー ルドで調査したものか、あるいは産婦人科の一部の領域で持っていたデータを集積した ものと、この献血のデータがあるくらいであろうかと思います。産婦人科の一部医療機 関等でまとめたデータも妊婦さんという生殖年齢のある女性の年齢層ということになろ うかと思いますので、一般ジェネレーションというデータからしますと十分ないのでは ないでしょうか。それからまた、陽性者がどれだけ自分が陽性であることを知っている かということにつきましては、データは多分ないのではないかと思います。 ○部会長  ほかに御質問がございましたら。 ○C委員  拡大すれば、今後DNA解析で、自分が生まれた段階で、どういう病気で大体死ぬの かとか、そういう問題と全く同じことになる訳です。自然科学というか、医学が進歩し たツケがそういうところには出てくるので、無知であれば知らないので済んだんですけ れども、こういうような近代社会になると、成熟化してくると知る機会が多くなり、そ れで悩むことも多くなるんじゃないか。ただ、その時にソフトに受け止めるレセプター 機能がちゃんと社会的にあるかどうかというのが問題になった訳です。 ○部会長  結論的には通知の仕方とフォローの体制ですね。それをきちんとやっていただければ 同じ方から何回も献血していただいては捨てちゃうということは省けるんでしょうが。 ○C委員  下手をすると、九州の人とは結婚しないとか、そういう変な人が出てくるかもしれな い。 ○部会長  そういう点について十分御配慮くださいという各委員からの御注文がありましたとい うことでお持ち帰りをいただければと思いますが、それでよろしいですか。  ありがとうございました。それでは、ATLの件は、そういうことで更に御検討いた だくことにいたしますが、いただいた時間も少し過ぎてしまいましたので、以上で議題 の審議を終わらせていただいて、報告事項について事務局から御説明をいただきたいと 思います。 ○事務局  それでは、資料の5以降でございますけれども、お時間もございませんので簡単に御 説明申し上げたいと思います。  まず報告事項の1でございますが、母子健康手帳の改正についてということで、昨年 度の末に御議論いただきました母子健康手帳の改定の省令改正で官報に載りまして、資 料の3ページのところに5月28日付ということで改正が載っております。主な改正内 容は、この部会で議論をしていただいておりますので、ほぼそのとおりということで御 参考までにつけさせていただいております。5ページのところに施行期日等がございま して、5ページの右上のところに7月1日から施行ということで経過措置を設けており ます。これは来年の3月31日、ですから、今年度末までは経過措置ということで従前 の様式を使うことが可能になっております。来年の4月1日以降は、全部この様式に改 正をしていただくということになってございますので、御報告とさせていただきます。  次に資料の6でございます。これは報告事項の2番目の平成10年度母乳中のダイオ キシン類に関する調査研究でございますが、昨年度から厚生科学研究の特別研究費で 4,500万円の予算の研究費で、主任研究者は東邦大学の多田教授を中心に、母乳中 のダイオキシン類のついて、この2の研究計画の(1)にございますとおり4都府県で 調査をしていただいてまいりました。これにつきましては継続調査を今実施していると ころでございますが、今年度の予定といたしましては、この1のところの「研究課題 名・研究費」にございますように、現在のところ、生活安全総合研究と、それから補正 予算でとりました内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する調査研究という、この2本 で合計9,000万円の交付予定をしております。具体的にはこれまで日本人の母乳中 のダイオキシンの実態を調べるということで調査を実施してまいりまして、4月7日に 中間報告をさせていただいておりますが、今年新たに、母乳中のダイオキシンを測った お母さんのお子さんが12か月になった時点で健康影響調査をさせていただきたいとい うことを予定しております。特に甲状腺機能・免疫能への影響が指摘されておりますの で、コントロール群で人工栄養の乳児も含めた調査になりますけれども、採血等も含め て、この辺の実態を明らかにしていきたいという調査を予定しております。また前回、 母乳中のダイオキシンを測定させていただきましたお母さんから第2子が生まれた場合 に、その第2子の方が母乳中のダイオキシン類の分泌が減っているのではないかという 仮説がございますので、この辺の第2子の際の母乳の調査もお願いしたいと考えており ます。あくまでも十分なインフォームド・コンセントと御了解が得られた方にお願いを したいと考えております。  また新規調査といたしまして、今年度春に都道府県に国の研究に参加したいかどうか の希望をとりましたところ、新たに約20県から手を挙げていただいておりまして、去 年の4都府県の継続調査に加えて、約20県ほど新しい地域を増やすことを検討してい るところでございまして、地域につきましては今選定中でございます。なるべく広くや れればというふうに考えておりますが、県の御事情もございますので、最終の調整を行 っているところでございます。また、結果等出たところで御報告をさせていただきたい と思います。  資料の7でございますが、これは先ほど説明をさせていただいておりますので、資料 の8をごらんください。前に本部会でこういったリプロダクティブ・ヘルスについても 議論していく必要があるのではないかということで、私どもこういった集まりをしたい というようなことを御報告させていただいたかと思いますが、今般、第1回の研究会を 5月14日に開催いたしまして、生涯を通じた女性の健康施策に関する研究会という形 で各方面の専門の先生方に、女性の健康について議論をしていただいているところでご ざいます。予定といたしましては、1年間くらいで今、厚生省で取り組んでいる施策、 また関係省庁で取り組んでいる施策も全部網羅したところで足りない部分、もっと進め ていく部分などの御指摘をいただき、新たな施策につなげてまいりたいと考えておりま す。  それから資料の9でございますが、これは子ども家庭総合研究事業、厚生科学研究費 の一部でございますけれども、これまで厚生省心身障害研究費ということですべて指定 研究で実施してまいった研究を、平成10年度に厚生省全体の研究費を取りまとめると いう形で組みかえをいたしまして、子ども家庭総合研究事業にいたしまして広く公募を させていただいたところでございます。これにつきましては、部会長に評価委員長をお 願いしているところでございますが、先般7月末に厚生科学審議会研究企画部会でも最 終的な報告がなされまして、私どもの研究につきましては、こういった形で今年研究を お願いしたいというふうに考えておりますので、明日には各研究者にお集まりいただき まして、この交付予定額、それから研究の内容等をお伝えするというふうな予定になっ ております。御参考までにお示しいたしました。  それから資料の10でございますが、これが最後の報告事項の6の厚生科学審議会の 先端医療技術評価部会についてでございます。これにつきましては、厚生科学課が主管 いたしまして、先端医療技術に係わる諸問題を取り上げている部会でございます。親の 厚生科学審議会というのが平成9年度に立ち上がりまして、その中に2つの部会を置い て研究を検討する研究企画部会と、先端医療に係わる技術の諸問題を検討する先端医療 技術評価部会という、2ページのところにあります2つの部会を設置しております。こ の中で特に私どもが関与いたしておりますのは評価部会の方でございまして、こういっ た先端医療技術に係わる問題、特に体外受精ですとか、出生前診断等の倫理に関する問 題もこの部会で議論していこうということで、3ページにありますような論点を掲げて 約1年間議論をしていただいたところでございます。  4ページのところに、これまでの議論というか、部会の日程が出ておりますけれども 1か月ごとぐらいに開催いたしまして、これまで日本産科婦人科学会、日母、それから 小児科の関係団体、遺伝関係団体、障害者団体、女性団体といった幅広い関係者から意 見を伺いまして、ようやくディスカッションに入ったところでございます。これにつき ましては、今いろいろと言われております人工受精、体外受精、それからトリプルマー カーの問題等もございますので、私どもも事務局として一緒にやっているところでござ います。メンバー表につきましては、5ページ、6ページについておりますけれども、 部会のメンバーは6ページの方でございます。今後、専門委員会を設置して、更に議論 を掘り下げていくべきではないかというようなご指摘もいただいておりますので、関係 諸団体の先生方とも御連絡を取りながら、この議論を進めてまいりたいと考えておりま す。  以上、報告事項に記載した内容でございますが、実はその後に追加配布資料というの をお配りしております。実は前回の部会だったかと思いますが、陣痛促進剤の問題を御 議論いただきまして、その議事録等も公表しておりますが、先般関係団体の方から御要 望がございました。御要望の内容につきましては、1枚めくったところに抜粋が載って おりますが、是非部会の先生方にお伝えしてほしいことがあるというお話でございまし たので、それでは私どもがお伝えするよりは、直接書面でいただければ、先生方に配布 させていただきますということを了解いたしまして、この3枚目以降の書面が提出され てまいりましたので、ここで御紹介をさせていただきたいと思います。この団体につき ましては、本日の新聞だったかと思いますけれども、そういったところにも、もう少し 患者側の情報の周知してほしいというようなことを訴えておられる団体でございまして 今回の母子保健部会の審議についても、是非こういった点を考慮してほしいというよう な御要望がここの中に書かれていると思います。  また、最後のところに質問状というような形で、委員の先生方あてのお手紙がついて おりまして、若干御説明を申し上げたいと思います。最後のページでございます。先生 方あてでございますので、ちょっと時間も押しておりますけれども、簡単に御説明申し 上げます。  1997年の11月4日、12月17日に開催されました本部会の議事録の中で、議 事録の中、委員の先生方のお名前は伏せてございますので、それらの先生方にお伝えし てほしいということでございまして、B委員の「陣痛促進剤に関しては、被害を考える 会からここにございますように、昭和58年ごろから団体と交渉してまいりました」と 発言されていることについて、「陣痛促進剤による被害を考える会」は、現代表が昭和 59年の4月28日に誘発分娩において子宮破裂したことをきっかけとして、昭和63 年2月28日に結成したものであり、昭和58年という年次は被害を考える会が発足し ていないので、B委員の「被害を考える会」「団体」というのは、今、提出しているこ の会のことでしょうか。もし違うのであれば、どこの団体と接触したのか教えてほしい ということで1点でございます。  それから、当会は日母に対してまして、公開質問状を提出したことはありますが、回 答もいただけず、過去にも現在にも交渉したことは一度もないということで、交渉した と言っている団体を教えてほしいというのが1点でございます。  それから12月17日のD委員の発言について、「被害者の方たちからの要望の中に 陣痛促進剤は一切使用しないでくださいとか、あるいは母子健康手帳の中に陣痛促進剤 の禁止項目を入れるべきだということ」と発言されていることについて、この会におい ては、そういった陣痛促進剤を一切使用しないでくださいとか、母子健康手帳の中に禁 止項目を入れるべきだというような主張はこれまで一度もしていない。一貫して医学的 に必要な症例に対して十分な説明のもと、適正な量を十分な監視のもとに使用すべきで あると主張しておりますので、当会がいつこのような要望をしたのかについて示してい ただきたいとおっしゃっていますが、こういった御要望だということで、考慮してほし いというような内容でお伺いしております。委員の先生方あてに出されておりますので ここで御紹介をさせていただきました。  以上でございます。 ○部会長  どうもいろいろとありがとうございました。  最後のは別として、報告事項資料の5から10までの分でございましたが、何か御質 問ございましょうか。  母子健康手帳の改正の省令改正を初め、この部会で既に御検討いただいたことが、こ うして実行されていますというお話が主だと思いますし、それから研究費については公 募になったということで、今年初めてこうした形での課題の設定が決まったという御報 告でございました。  いただいた時間を大幅に超えてしまって7時半になってしまいまして申し訳ございま せんでしたが、今日は大変難しい性同一性障害のことで1時間ほど勉強したものですか ら、後の部分がちょっと尻切れトンボになったかもしれませんが、大筋は予定の議題を こなしていただきましたので、細かい内容につきましては、私の責任で事務局の母子保 健課とよく相談させていただきながら、次回の部会までの間によく整理をさせていただ きたいと思います。よろしくお願いをいたします。 ○事務局  最後に母子保健課長からごあいさつを申し上げます。 ○母子保健課長  非常に遅い時間、しかも2時間半以上にわたりまして御審議いただきまして本当にあ りがとうございました。私ども本日の議題にありますように、母乳中のダイオキシンの 問題、あるいは乳幼児突然死症候群といった健康に係わる問題から、だんだん社会的な 性同一性障害あるいは生殖補助医療、出生前診断、こういった問題まで幅広く御検討を いただかなければいけないというような時代になってきた訳でございまして、先生方に おかれましては今後とも、是非そういった点を含めて御指導、御鞭撻をお願いしたいと いうことでごあいさつに代えさせていただきます。ありがとうございました。 ○事務局  それでは、これをもちまして母子保健部会を終了させていただきます。本日は大変あ りがとうございました。  問い合わせ先:   所 属 児童家庭局母子保健課   担当者 今村 則継   電 話 内線3174