98/07/30 第24回年金審議会全員懇談会議事録 第24回年金審議会全員懇談会議事録 日 時 平成10年7月30日(木) 14:00〜16:25 場 所 厚生省特別第一会議室  1 開会の辞  2 委員出席状況報告  3 議 事   ・ 次期財政再計算に向けての総括的論議  4 閉会の辞 〔出席委員〕   京 極 会 長   砂子田 委 員  岡 崎 委 員  木 原 委 員  国 広 委 員 久保田 委 員  坂 巻 委 員  高 山 委 員 都 村 委 員 福 岡 委 員 桝 本 委 員  目 黒 委 員 山 田 委 員 山 根 委 員  吉 原 委 員  若 杉 委 員 渡 邊 委 員 貝 塚 委 員 船 後 委 員  ○会長 御多忙のところお集まりいただき、ありがとうございます。本日は全員懇談会でござ いますが、記者クラブから冒頭にカメラ撮りを、という申し出がございます。議事に入 ります前、これを許可したいと思いますが、よろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○会長  それではお願いします。                 (カメラ撮り) ○会長  ただいまから、第24回年金審議会全員懇談会を開催します。委員の出席状況につい て事務局から御報告をお願いします。 ○事務局  本日は神代委員、富田委員、八木委員が欠席でございます。坂巻委員と山田委員、少 し遅れてお見えになるという御連絡がございました。以上でございます。 ○会長  審議に入ります前に、コピーをお手元に配布してございますが、7月20日付の日本経 済新聞の記事に関して、事務局からご説明申上げたい、そういう申し出がございます。 お願いします。 ○事務局  お手元に7月20日付の日経新聞の一面のトップがございますが、こういう記事が出ま して、その後、委員の方から私どもに照会やらいろんなお話が来ておりますけれども、 それについて1点御説明申し上げたいと思います。  正直申し上げまして、見出しで、私ども大変驚きまして、困惑やら、あるいは迷惑し ている状況なんですけれども、「補てん」というような名前で、いかにも損失補てんを イメージさせるようなもので、とんでもない話だというふうに考えております。  恐らくこの記事は既にお読みになったかと思いますけれども、前回の7月10日に御説 明いたしました厚生年金本体の予定利率変更の場合、仮にということで申し上げました けれども、仮に予定利率を変更した場合に、基金の財政運営上どういう問題が出るかと いうことで御説明を申し上げた点についての記事であると考えています。  前回、御説明申し上げましたように、現在厚生年金本体の財政見通しは5.5%の予定利 回りを使っております。現下の状況でございますと、高いというような見方もあるかと 思いますけれども、それを仮に下げるとすれば、基金の方ではどういう影響が出るか。 その場合には、代行部分については運用収益の見込みが想定していたものよりも当然少 なくなる。したがって保有しておくべき積立金が増えると。それによって給付債務が増 加いたしますので、それについてどう対応するべきかということで問題点を提示をさせ ていただいたわけでございます。 私どもとしては、制度変更による債務の増加でありますから、何らかの対応が必要だ とは考えていますけれども、記事には、厚年本体の積立金で一気に穴埋めするとか、あ るいは基金が実際年金給付に困ったときに本体の厚生年金から補てんする、こういった 仕組みを取り入れる方針で検討中というようなことが書いてございますが、こういうこ とは事実ではございませんので、ひとつ御了承をお願いいたしたいと思います。 それから、加えまして7月11日、前回の審議会の翌日にも、記事はお示ししていませ んが、これについては一部の委員の方々からお話が来ておりますけれども、「確定拠出 型年金導入2案浮上」、これは11日の日経新聞3面でございますけれども、ここのとこ ろでも確定拠出について自民党・労働省案、それと厚生省案とあえて書いてございます これも事実とは関係ない、確定拠出について、幾つかこういう検討事項があるというこ とをお示しいたしましたけれども、厚生省案なるものは現在まだ正式に出したものはご ざいません。まだ検討中の段階、こういうことでございます。御了承をお願いいたした いと思います。 ○会長  ただいまの御説明に御質問がございましたら、どうぞ。A委員。 ○A委員  前回、全員懇談会の議論をした後、追いかけるような記事だったので、我々も大変び っくりしましたし、組織内でも大変いろいろなところから問い合わせが来ましたので、 事務局からの御説明ありがとうございました。ただ、事実でないという御説明だけでは ちょっと困りますので、つまり制度変更による給付債務の増加に対しては何らかの対応 が必要だという御趣旨のようですが、どういう対応が具体的には考えられているのか、 もし、もしと言っても、当然そういう腹案はおありだと思いますので、それについては 少しポジティブな御紹介をいただければありがたい。 ○B委員  今、事務局から説明いただいたのですが、この記事自体愕然とする記事でありまして こういうことがきちんと年金審議会で議論されないと、あるいは年金審議会以外のとこ ろで行われるということについて審議会としては会長以下、遺憾の意を表すべきだと私 は思いますけれども、それが1点であります。  しかし、それはプレスの自由じゃないかという説明があるかもしれないんですが、私 は、物には限度があると思います。  それから、もう一つは、今、A委員から出た問題と同じなんですが、これは厚生省と しても極めて遺憾だということだけでは問題なので、もしここで考えている案があるな らはっきり出してもらいたいということを申し上げておきたいと思います。 ○事務局  まずB委員のお話の第1点目でございますが、この点について、年金審の外で議論し ているかどうかについて、私どもは記者の方々とは議論は一切しておりません。この記 事を書かれる前に、記者の方々が私どものところに来て、ああだこうだというように議 論なされたことは1回もございません。ですから、私どもは非常に心外だということを 申し上げているわけです。  それから、もう一つ、内容が必要だというならば、何を考えているのかということで ございますが、これは私ども正直申し上げて検討中でございます。ただ、記事に書いて いるような本体の積立金を移して何かやるということは全く考えていないということで ございます。  ただ、事の起こりは、本体と厚生年金基金がとっている財政方式が全然違う。基金の 場合には積立方式である。本体の場合には修正賦課と申しますか、修正積立と申します か、賦課方式と積立方式の両極の間のやり方でございますので、その2つの間で財政方 式が違うということから起きている問題でありますから、基金そのものの財政方式の根 本にもかかわるような問題でございますので、大変大きい問題だということで根本から 検討しているところでございます。 ○A委員  今、本体の積立金をもって「補てん」という言葉がいいかどうかはともかく、何かを するつもりはないというふうに言われたのですが、そこは確認させていただいていいん ですね。 ○事務局  正確に申し上げれば、現に今本体が130兆円の積立金を持っているわけですけれども それを取り崩して基金に与える、そういうことは考えていないということでございます ○A委員 それから、この予定利率の制度変更ではなくて、個別基金で生じている債務不足とい うのがあるわけですね。つまり予定利率と実際の運用利回りとの違いから発生する債務 があると思うんですけれども、その問題はどういうふうに考えておられますか。 ○事務局 それはむしろ前回お示しした中での本体との財政上の中立化の問題の中で、予定利率 と実績との、特に本体の実績が予定と違った場合にどうするかということでございます そういう将来の話は別にして、今現在の話で言えば、予定利率は5.5%で設定しておりま すが、それと現実の収益率は違うわけでございます。それはそれぞれの基金が責任を持 って運営をされているお話でございますので、それについては何か処置をするとか、そ ういうことは一切考えておりません。 ○A委員 ということは、それは個別基金自身ないしは母体企業の努力によるのだと、こういう ことですか。 ○事務局 そのとおりでございます。 ○C委員 今の事務局のお答えで半分わかったということなんですが、今、現にある積立金を使 って何かするということは考えていないけれども、免除料率の設定に多少の工夫をして 将来、厚生年金本体に積み上げるべく積立金のレベルには、影響があるということまで は否定していないということですね。 ○事務局 現に、厚生年金基金は代行制度をもって運営しているわけでございますけれども、代 行制度の中で厚年本体の賃金スライド、あるいは物価スライド部分を除いた名目分の給 付を将来賄うために、免除保険料を本体ではなく基金に母体企業が納付しているわけで ございますから、そういう意味では本体の積立金に全く影響がないわけではないわけで ございます。ただ、予定どおりの形で将来とも運営されれば、それは本体と基金の間で 一定の割合で保険料を分けられるといいますか、そういう形になるわけでございまして そういう意味では、基金の方でやったから特別に本体の積立金が急激に動くとか、そう いうようなことはないであろうと考えております。 ○B委員  いずれにしましても、きょうの話は新聞に出たということについての扱いの問題とし て、あるいはこの問題に関して厚生省も大変迷惑しているという釈明の話として承って いるわけですが、今の問題のこと自体は重要な問題でもあるし、年金審議会として正面 から受けとめるべき議題だと思います。改めてこれを年金審議会の議題として出してい ただくということは当然の話と思いますけれども、約束していただきたいということを お願いしたいと思います。 ○A委員 それから、ここの記事の中で、これはちょっと確認なんですが、先ほどの御発言とも 関連するんだが、年5.5%の予定利率を設定してきた国に責任がある。これは先ほどの事 務局の御説明によれば、制度変更に伴って発生する給付債務は、個別基金の責任に帰す ることができるものではない、こういう意味だったわけですか。 ○事務局 予定利率は国で設定しておりますので、そのとおりでございます。ただ、記述中にカ ギ括弧付で「国に責任がある(年金局)」というようなことが書いてありますが、こう いう発言をした人間は局内では実はおりません。 ○A委員  予定利率を下げちゃうと、既裁定者についての給付については5.5%で回ることを前提 にした給付設計されているわけだから、それによって債務が増えるのは御説明としてよ くわかるのですが、他方で予定利率を下げますと、これからの新規裁定者、新しいルー ルでやられるわけでしょうから、その場合には、むしろ実際の運用利回りとこの予定利 率との間の乖離は今のような大きな乖離は縮まるわけですね。それによって5.5%であれ ば、発生しうるべき債務は縮まるわけでしょう。だから、それによって生じる個別基金 の財務内容は、必ずしもこれによって生じる追加債務だけ財務上赤が増えるというので なくて、両方で相殺されることになりませんか。 ○事務局 お話の点は代行部分の予定利率の話と基金全体、つまり上乗せ部分を含んだ給付全体 としての予定利率の話をちょっと一緒にされているのかなという感じがするのですけれ ども、代行部分は給付は本体の代行ですから、給付額が確定しているわけでございまし て、予定利率は確定した給付額に対して幾らの資金を用意しておくべきかという算定の ためにだけ使う。ですから受給者が受け取る代行部分の給付と予定利率は一切関係がご ざいません。  ただ、上乗せ部分の方については、例えば退職金移行の場合ですと持ち込んだ一時金 を何%で回せるか。5.5%で回せば、当然元利合計としては4.5とか4.7に比べますと増え ますから、その場合に上乗せ部分についての給付水準に影響は出るかもしれないという ことでございます。 ○会長 この問題のご議論は、これでよろしゅうございますか。 それでは、次期年金制度改正に向けての審議に入ります。本日から総括的審議に入る ということで、資料として前回の審議会で議論のございました「21世紀の日本の社会と 年金制度のあり方」及び「年金制度改革のシナリオ」、そして、今年に入ってから審議 会で出された議論を昨年末の論点整理に従って整理した「年金制度改正の検討項目とこ れまでの主な意見」という3つの資料を事務局でまとめてもらっております。これらに ついて説明を受けて議論を進めたいと存じます。それでは、事務局から資料の説明をお 願いします。 ○事務局  まず資料1について御説明をさせていただきます。大判の資料でございます。  これは前回の審議で御要請いただきまして、これまでいただきました御議論をもとに いたしまして、日本の21世紀の社会と年金制度のあり方について、それから、そういっ た中で年金制度をどういうふうに描いていくかというイメージをシナリオとして描いて みたものでございます。審議会での検討の素材としてとりあえず書いてみたものと御理 解をいただきたいと思いますが、まず上の四角であります。「21世紀の日本の社会と年 金制度のあり方」、左に「21世紀の日本の社会」ということで、特に年金について重要 なエレメントをマル3つほど取り上げておりますが、「少子化・長寿化の急速な進行」 ということで、「総人口・労働力人口の減少」が進行していく。それから「高齢者人口 の急増」。  2つ目のマルで「経済の低成長」。その中でも「負担能力の低下」。これは個人につ いて、あるいは企業についても及ぶものであろうかと思いますが。また「国際競争の激 化」。  それから、3つ目のマルでありますが、「国民意識・生活の変化」ということで、そ の中の主なものといたしましても「女性の社会進出」、「就労形態の流動化・多様化」 それから、「家族形態、人生設計の多様化」、こういったものが年金に大きな影響を与 えるであろう。  そこで、年金制度の在り方として、こういった背景の下にどういうふうな年金がある べきかということで、1つ目の四角でありますが、「活力ある長寿社会の実現」に年金 が寄与していく役割が重要であろうかと思います。その幾つかの要素がございますが、 1つ目の点として、「高齢者・女性の就労、社会参加」、こういったものに年金が配慮 していかなければならない。  それから、2つ目ですが、「税・社会保険料負担と国民経済との調和」を図っていか なければいけない。  3つ目でありますが、「医療・介護等他の社会保障施策との連携」を図りながら年金 のあり方をつくっていかなければいけないという点を掲げております。  それから、2つ目のマルでありますが、「世代を超えた社会連帯の確保」と書いてお りますけれども、要は社会連帯と申しますのは支えるということでありますけれども、 これは支える側、支えられる側相互が世代を超えて社会連帯を維持していかなければい けないのではないか。維持される側だけの社会連帯であることでは安定がないというこ とで「世代間、世代内の負担の公平・公正の確保」という点を掲げております。  それから、3つ目のマルでありますが、今後の社会のイメージとして、「自己責任と 自己選択の尊重」をしていくということで、年金制度もそういった内容の方にシフトし ていくことであるのではないか。「公私の適切な機能連携」、「自助努力に対する支 援」、「適切な自己選択のための透明性・情報公開の確保」、こういった方法について も言及をいたしております。  そこで、そういった年金制度を実現していくために、マルで囲っておりますが、今考 えられる大きな方向としまして、まず「確実な給付」というものが重要。それから、 「持続可能かつ公平な負担」をはっきりさせていく。そして、それによって「長期的に 安定した制度運営」を確保し、「信頼される年金制度」にと、こういうような姿を描い てみたところであります。  こういったことを前提に、「年金制度改革のシナリオ」として、今後、年金改革の方 向を幾つかのシナリオに整理してみたわけでありますが、1、2、3と3つのシナリオ を描いてみました。  1つ目はシナリオ1でありますが、社会連帯による高齢期の生活の安定を優先する。 高齢期のゆとりある生活に必要な水準の公的年金を維持していく。そうなりますと、例 えば経済が発展する。女性・高齢者の就労が拡大していく。あるいは、国の財政等が改 善していく。こういった政策努力によって、年金制度を取り巻く環境をよくしていって この年金制度の安定を図っていく、こういう考え方が1つ大きく存在するのではないか  それから、シナリオ2としては、老後の所得保障については社会連帯による支援とい う面と自助努力という両者のバランスを図っていこう。それによって社会の活力を確保 していく。そうしますと年金で引きつけて言いますと、公的年金について将来の負担を 過重としないように、給付と負担の両面から抑えていくということになります。  その場合に給付を抑えていくということであれば、自助努力を促すための私的年金、 これは企業年金・個人年金ありますが、こういったものの基盤整備をしていかなければ いけないであろう。  シナリオ3になりますと、今度は個人の選択と責任が重視される考え方をとりまして そういった人生設計を優先していきますので、公的年金の水準は高齢期の生活に必要な 最低限のものに限定的に考えていく。また、公的年金の負担はできるだけ抑えていく、 こういった方向になります。その場合には自助努力を促すために私的年金の積極的な育 成や普及によってバランスをとっていくことが必要になってくる。社会連帯を強調した 考え方。また、一方、個人・自己の責任を強調した考え方。それとその両者の歩み寄り の考え方、こういった大きな3つぐらいのシナリオに分かれてくるかと思います。  そこで右側でありますが、そうなりまと、それぞれのシナリオによって年金制度の対 応も変わってくるであろう。特に前回の御議論でも急がれるものと中長期的な議論が要 るもの等についても整理する必要があるという御指摘に沿いまして、年金のいろんな手 法についても「次期制度改正で想定される対応」というものと、「中(長)期的な課 題」にあえて整理をしてみた絵が右側であります。まずシナリオ1というケースを想定 いたしますと、「給付は原則現行制度を維持」していくという大きな流れができてくる ただ、原則現行制度維持といっても、スライドの在り方や高齢在職者の年金の見直しは あり得るのではないか。全く手つかずということだけでもないという考え方もあると思 います。  その場合、支給開始年齢につきまして、これは今後少子・高齢化が進むことは不可避 でありますけれども、雇用の実情を踏まえて今後どうするか、これは考えていくことに なろうかと。  シナリオ2でありますと、今度は先ほどと違いまして、相当程度の給付の抑制が必要 になってまいります。その場合、例として挙げておりますが、1人1人の年金額、いわ ゆる給付水準をどれぐらい調整するか。それから、特に今議論になっておりますのは、 賃金スライドの関係でありますが、裁定後の年金スライドを賃金に合わせて伸ばしてい くかどうか。  それから、「支給開始年齢」と書いておりますが、1つは別個の給付、いわゆる60歳 〜65歳の間の報酬比例部分の厚生年金、いわゆる2階部分でありますが、ここをなくす ることについての議論。あるいは支給開始年齢について、2001年〜2013年まで、3年に 1歳ずつ支給開始年齢を引上げていくという前回の改正でありますが、そういったスケ ジュールについて前倒しが要るか要らないか、こういった支給開始年齢についての検討 が必要となってくる。  それから、在職老齢年金制度の在り方についても、これは60代前半、後半、それぞれ 検討していく必要があるのではないか。  また、左の自助努力という見地から、企業年金基本法、確定拠出型の年金についても あわせて検討が必要だろうと思われますが、次期の制度改正で一気に対応するか、中長 期課題として引き続き検討するかについては括弧をつけて両方の考え方があり得るので はないかということで分けて書いております。  それから、シナリオ3のケースにつきましては、これは相当大幅な給付の抑制が必要 になります。そのためにそれに見合った給付水準、いわゆる年金額の抑制、あるいはス ライド方式の見直し、また、今申しましたような別個の給付、支給開始年齢の引上げス ケジュールの前倒し、在職老齢年金それぞれについてかなり大幅な改正が必要になって くるであろう。  また、企業年金基本法、確定拠出型年金、こういった自助努力を促すための私的年金 についても、あわせて相当明快な整備を図っていかなければならないであろうという整 理であります。  右側につきましては、特にシナリオ3の場合であれば、これまでも御議論なり公聴会 でもかなり御指摘があったわけでありますが、特に個人の責任あるいは選択を強調して まいりますと、これは積立方式が浮かび上がってまいりますし、あるいはそれに移行す るならば、二重の負担の問題をどう解決していくか。あるいは中長期的に民営化という ことについての御議論も出てくるのではないか。また、このケースでも支給開始の時期 については同じように議論出てまいろうかと思います。  「シナリオ1〜3の共通事項」を下の欄にまとめておりますが、ここの欄は恐らくど のシナリオをとっても検討が必要ではなかろうかということでまとめております。まず 上から「国民年金の抜本的な未納・未加入対策」、「総報酬制」、「女性の年金」、 「学生」、「保険料の引上げ計画」、「積立金の運用」、〔年金制度の一元化〕。この 年金制度の一元化で括弧が付いておりますのは、これは全体を一気に今回結論を出すこ とができるか。あるいは部分的に統合することについてのみで済むかどうか。あるいは 仮に部分的に動かすとしても、今回の次期改正の中でワンセットで行うことは事実上不 可能でありますので括弧で書いておりますが、そういう「年金制度の一元化」。あるい は「少子化対策」が次期制度改正で想定される対応であります。同じく共通事項として 中長期に考えていくこともあるかということで、「基礎年金の国庫負担の引上げ、税方 式化」。あるいは「女性の年金」につきましてももうちょっと長いスパンで考えていく かという見方もございます。あるいは「保険料の引上げ計画」につきましても、今回こ ういった景気の状況で、一気に引上げ計画を前倒しにするとか動かすとか、そういうこ とが起こり得るかどうか、もうちょっとじっくり見きわめる考え方もございます。ある いは「年金制度の一元化」は今申しましたように、全体のあと残る4共済をどう考えて いくか。それから「少子化対策」についてももうちょっと長い目で検討していく、こう いった考え方もございます。  以上、整理いたしました。 ○事務局  続きまして、資料2、「年金制度改正の検討項目とこれまでの主な意見」につきまし て御説明をさせていただきます。  これは先ほど会長から申し上げていただきましたように、本審議会におきます昨年末 の論点整理の項目に沿いまして、今年に入りましての審議会での御審議、東京、大阪に おける公聴会を含めまして出されました主な意見を整理をいたしたものでございます。 一番左の項目につきましては、ベースといたしましては、昨年末の論点整理の項目に沿 いまして整理をいたしております。真ん中がこれまでの議論で出された御意見でござい ます。備考におきましては、これまで行いました3つの調査の関係部分の数字を掲げて おるものでございます。  1ページ、2ページが制度改正に係る総括的事項でございまして、「公的年金の意義 と役割」が冒頭でございます。  それから、「公的年金を取り巻く状況」ということで、その状況に対応して制度が安 定的に運営されることが重要としまして、例えば男女共同参画社会を目指す取り組みな ど踏まえた長期的な視点で年金制度の見直しを図ることが重要という認識でございます  2ページ、「年金制度改革の基本的な考え方」でございます。給付と負担の均衡に始 まりまして、これまでの基本的な考え方につきまして、昨年末の論点整理をベースに整 理したものでございます。  3ページが「公的年金の基本的な在り方」になっております。  まず「基礎年金の在り方」でございます。「国庫負担の引上げ、税方式と社会保険方 式」ということで、次期制度改正において国庫負担の引上げや税方式への転換は困難で はないか。社会保険方式のもとで、未納・未加入対策あるいは制度的な対応を図るべき ではないか、という御意見に対しまして、一方、将来の基礎年金の在り方として国庫負 担の引上げや税方式の転換を早期に真剣に検討する必要があると。また、税方式に関連 して問題があるという指摘もあったわけでございます。  イが、「給付水準」でございます。基礎年金の給付水準につきまして、2階部分との バランス等を考慮して抑制すべきという御意見。また、一方、基礎年金の給付水準引下 げは難しい。むしろ国庫負担の引上げによる給付水準を上げるべき、という御意見がご ざいました。  また、国庫負担の引上げは困難であり、保険料の上昇を考えると、基礎年金の給付水 準の抑制が必要ではないか、こういう御意見もあったわけでございます。  4ページが「財政方式」でございまして、完全積立方式への移行につきまして困難で はないかという御意見。しかしながら、積立方式の要素を強めるべき。あるいは賦課方 式と積立方式をうまく組み合わせた財政運営が現実的ではないか、という御意見がござ いました。  「民営化」につきましては、完全積立方式の問題に加えまして、中小零細企業等のサ ラリーマンの老後の所得保障が基礎年金だけになりかねないという問題があり、現行の 仕組みは維持すべきではないかという御意見がございました。  民営化の前提条件、あるいは民営化が提案されるに至った背景としてそれなりの理由 があるので、現行の制度を維持する場合にも何らかの改善措置が必要、という御意見が ございました。 5ページが「公的年金制度」につきまして、まず「給付と負担の水準について」でご ざいます。これはいろいろな御意見があったわけでございますが、給付と負担両者を関 連づけて考えていくべきという御意見に始まりまして、ごらんいただきますように、給 付水準の抑制についての御意見。  それから、税や医療、介護等、社会保障全体で考慮する必要があるという意見。  それから、給付水準については世帯モデルを複数考えていくべき、こういった御意見 があったところでございます。  次に6ページでございますが、「給付の仕組み」の話に入ったわけでございまして、 まず「スライド方式」でございます。裁定後の賃金スライドを廃止し、物価スライドの みにすることもやむを得ない、という御意見がございましたが、一方、物価スライドの みにすることは不適切、という御意見もございました。  また、平成6年改正導入の可処分所得スライドを前提としまして、年金額についても 税・社会保険料控除後の水準で設定する必要がある、というような御意見もあったとこ ろでございます。  また、小幅な物価変動、あるいは消費税の取り扱いにつきましても御意見がございま した。  7ページ、「高齢在職者、高額所得者等に対する給付」についてでございます。「高 在老を導入して年金額を減額すべき、という御意見。あるいは現在の在老の仕組みにも 問題があり、見直すべきであるという御意見がございました。  「高額所得者に対する給付」につきましては、給付制限は行うべきではない、という 御意見のほかに、次善の策として、所得による給付制限を行うことを考えるべき、とい う御意見もございました。  8ページ、「支給開始年齢」の関係でございます。雇用と支給開始年齢は接続させる べきだ。支給開始年齢のさらなる引上げは行うべきではない、という御意見もございま したが、支給開始年齢は報酬比例部分を含め65歳に引上げるべき、あるいは、別個の給 付を廃止して、65歳支給を原則とし、いわゆる数理的に中立的な減額率・増額率を定め ていくといったことをすべきだ、という御意見などがございました。9ページ、「保険 料負担について」でございます。保険料の引上げ計画の前倒しについての御意見。  保険料据置きや引下げについての御意見。  それから、消費税の取り扱いなどにつきまして御意見がございました。  (4)は「総報酬制」でございます。総報酬制を導入し、負担と給付に反映させることが 必要、という御意見もございましたが、一方では、不安定なボーナスを給付と負担の基 礎とすることは望ましくないという御意見もございました。  10ページ、「次期財政再計算における経済的前提について」の御意見でございます。 人口推計、あるいはその他の経済前提につきましても、複数の姿を考えて参考として示 すべきではないか、という御意見でございます。  「その他の重要課題」でございますが、まず「女性の年金」でございます。「基本的 な考え方」といたしまして、損得論でなく、経済の担い手として、自立して働く女性と いう視点で年金制度の在り方を考えていくべき、という意見を最初といたしまして、個 人単位化などにつきまして御意見がありました。  11ページ、「第3号被保険者」の問題でございます。第3号被保険者からも保険料を 徴収すべき、という御意見もございましたが、現行制度はそれなりに合理的ではないか という御意見もございました。  12ページ、「遺族年金、離婚時の年金」についてでございます。共働き世帯におきま す遺族年金につきまして、専業主婦に比べ不公平ではないか、あるいはさまざまな問題 があるのではないかという御指摘がございました。  それから、離婚の場合につきまして、年金分割を検討する必要があるのではないか。 こういった遺族年金の在り方や年金分割などについては、さらに検討が必要なのではな いか、という御意見がございました。  それから、「パート労働者」の厚生年金の適用についてでございます。適用基準を見 直すべきである、という御意見がございましたが、パート労働者本人あるいはパート労 働者を雇用する企業の負担増になるけれども、これをどう考えるかという御意見がござ いました。  13ページ、「少子化への対応」でございます。少子化への対応につきまして、年金と して少子化対策を講ずることについて、効果や制度の趣旨から見て疑問、という御意見 がございました。  税制や他の社会保障など大きな枠組みの中で議論すべきではないか、一方、年金制度 は次世代が育たないと成り立たないことを考えると、何らかの対策が必要ではないか、 という御意見もございました。  それから、「学生への適用」でございますが、学生時代については保険料納付を猶予 し、社会人になってから追納する仕組みにすべき、という意見。あるいは学生時代は、 障害年金の保険料分だけ納付することにすればよい、という御意見がございました。  「障害年金」、「施設入所者の年金給付」、「年金制度の一元化」、主な意見を掲げ ております。  「(7)年金現業業務」でございまして、未納・未加入対策、あるいは免除における基準 の明確化、さらには制度的な対応について御意見がございました。  15ページでございますが、「厚生年金基金」の方に入っております。厚生年金におき ます代行制度の在り方について。厚生年金本体との財政の中立化について。確定拠出型 年金の導入についての意見、支払保証制度、それぞれ意見が分かれたところでございま す。  それから、16ページ、「企業年金に関する包括的な基本法の在り方について」という ことで、企業年金について必ずしも統一的な基準は必要ないという御意見のほか、支払 保証制度につきまして御意見が分かれたところでございます。  17ページ、最後のページでございますが、「年金積立金の運用について」、「市場運 用」「自主運用」というものの基本的な考え方を明らかにし、責任体制等の明確化・具 体化を図るべきという御意見に集約されているところでございます。  また、「融資事業等について」、住宅融資は引き続き存続すべきという御意見がある 一方、その場合でも昨年の閣議決定の趣旨を踏まえた上で実施すべき、という御意見が ございました。  さらに、少子・高齢化に対応した社会保障基盤整備のために積立金を活用してはどう か、こういった御意見があったところでございます。以上でございます。 ○会長  ありがとうございました。ただいま御説明のありました資料のうち、資料2の「年金 制度改正の検討項目とこれまでの主な意見」は、8月末からこの審議会が意見集約の議 論を始めるときの御参考に、御活用いただきたいと思います。  本日は資料1の「21世紀の日本の社会と年金制度のあり方」及び「年金制度改革のシ ナリオ」につき、御質問、御意見など、どなたからでもお願いします。どうぞ。 ○A委員  ちょっとその前に、この「検討項目とこれまでの主な意見」ということなんですが、 中身に入りませんけど、確かに検討項目、去年の12月の段階ではこういう項目立てで整 理をされてはいますが、私の希望を申し上げますと、ちょっと組みかえていただいた方 がいいのではないかというところを1つだけ申し上げます。  14ページのところに「年金現業業務について」、こういう括りで一貫して整理をされ てきているんですが、まさにこれは基礎年金そのものの問題なので、これは3ページの 「基礎年金の在り方」というところに括っていただいた方がよろしいのではあるまいか 何かここだけ切り離されると、この部分が実務的な感じになりますが、まさに徴収にお いて、特に1号被保険者の徴収において非常に大きな問題が生じているということは、 単に徴収事務の問題ではなくて、制度そのものの根幹にかかわってのことだと思います ので、できたらそのような整理をしていただけるとありがたいと思います。 ○会長  よろしゅうごさいますか。今の項目、14ページの「(7)年金現業業務」を3ページの 「基礎年金」のところに入れて一緒に議論するようにいたします。 ○A委員  ありがとうございます。 ○C委員  今、会長が御説明になったんですが、資料2は、どちらかというと、きょうはこの審 議会に提出したということで、直接個別に議論の対象にしない。むしろ8月末に行われ る集中審議のための資料だと理解して、きょうは資料1を中心にやるという、そういう ことですね。 ○会長  申しわけありません。マイクお願いできますか。 ○C委員  資料2の取り扱いの問題を確認しておきたいわけです。従来の慣行によりますと、審 議会に提出された資料は審議会が終わった段階で公開の対象になっているというのが私 の理解なんですが、この資料も当然今までの経緯からすると、そういう扱いになるので はないかと推察するわけですね。  ここで、私1つだけ気がかりな点があるんですが、それはタイトルに「年金制度改正 の検討項目とこれまでの主な意見」と書いてあるのですが、「主な意見」というのはだ れが判断するかという問題があるんです。確かに事務局はできるだけ公明正大にその取 りまとめをなさったと思います。過去の審議会の議事録大分分厚いものがあって、それ を逐一検討なさった上での作業でその労を多としたいのですけれども、中身を個別に私 が見るとバランスを欠いたところがあるのではないかという気もしないわけでもないわ けですね。  それで、仮にきょうこれを直接の議論にしないということであれば、これは事務局の 責任において取りまとめたものであることを1項目最初に断っておいていただきたいん です。審議会の委員が全員参画して、これが主な意見だというふうに認知したわけでは ないということの確認なんですね。 ○B委員  関連してちょっと申し上げたいのですが、もし、これをこれまでの議論としてされる のであれば、例えば、これはどうも私が発言したのでこういうふうに書かれているのか なと思われる事項があるのですが、ところが私としてはこういう趣旨で発言した覚えは ないと。どうも私の発言の趣旨は違ってとられているというようなところがあります。 私以外のほかの先生の発言でこれは書いたので、あなたの発言ではないとおっしゃれば それは私は納得するわけですが、どうも私の発言で書かれたのかなと思うところについ て、この表現では私としては困るということを言いたいところが実はあります。  したがって、これが、さっきの会長のお話のように、この次の集中審議のためだから これはこれでということで、一切きょうはこれについては議論しないということであれ ば、これを議論する冒頭に、これは私はこういう趣旨ではございませんから、訂正して くださいということを言わなければならない。そういう意味ではこの扱い自体をないも のにしておいていただかないとちょっと困る。率直に言ってそういうことですね。  もし、そうではなくて、これはこれとして1つの整理ということにしていただくので あれば、きょうはその点について指摘させていただかないとまずいなと。関連して、そ ういうことを申し上げておきたいと思います。 ○事務局  この資料2は、事務局の判断でつくらせていただいたということです。その場合には 公平・中立・客観的になるようにということで、これまでの議事録を精査してこういう 資料をまとめたということでございます。  それから、これは事前に一応見ていただきまして、つけ加えた方がいいところとか、 削除した方がいいところがあったら御意見をくださいということで、御意見いただいて 修正したのもございます。そういうことで、これをまた改めて見ていただいて、足りな いところとか、間違っているところ、おかしいところがあれば、御意見をいただきたい と思います。  こういうものというのは、これまでの議論を無にしないためにも何らかの形で取りま とめる必要があると思いますし、それから、また、個々の委員の皆さん方にこういうの をつくってくださいというのも、これまた無理なお願いでございますので、事務局の判 断でこういう作業をやらせていただいたということでございます。この中身にこだわる ものではございませんので、いろんな御意見があれば、ぜひお寄せいただきたいと思い ます。 ○会長  委員が集まって、その日の議論を要約整理することは事務的に無理な仕事ですから、 整理の仕事は事務局にお願いしてあります。「主な意見」という表題が不適当というこ とですか。 ○C委員  主であるかどうかの判断をだれがするかという問題です。 ○会長  今までの資料はすべて事務局が作成し、この席上で御説明して御議論の土台にしてい ただいています。資料に事務局作成と明記されるべきである、という御意見でしたら、 今後明記いたします。 ○C委員  いや、年金審議会に出てくる資料について、その作成について、年金審議会の委員が 積極的に関与したのではないかという誤解をしている人がいるんですよ。私も質問を受 けることがあるんですが、これは事務局が作成したものです、というふうに答えている んですが、その点の注意書きがないものですから、私はたまに説明に困るときがあるん ですね。 ○会長  今までの資料についてもすべてさかのぼって、すべての資料に「事務局作成」と明記 する、ということでよろしゅうございますか。 ○D委員  形式的には事務局の責任のもとにつくられているんですが、その大部分は、この席上 でだれかが何か言ったことが出ているわけでして、したがって、ここに出ている話は、 ある程度それぞれの委員がそれなりにみんな発言されたことがどこかに出ているはずな んですね。だから、それぞれ濃淡はあっても、あるいは反対の方もあってもいろいろあ り得るわけで、そこは明らかにそういう文章ですから、そこのところを、それと独立に 事務局がやっているということではない。そのところは余りはっきり言っちゃうと関係 ないような話というか、要するに意見がもともと遊離したところで、ですから私、率直 に言えば、厚生省側のある種の考え方があってそれで統一されていると。もともとそう いうものだということになっちゃったら、また後でがんがん、がんがん変なぐあいにな って、また多分C委員ががんがん、がんがん言われるかもしれないと、ちょっと失礼だ けど。そこはやっぱりかなり慎重に、どういう性質のものかということは、ここでの委 員会において皆さんの意見がかなり出たことをもとにしてつくられているということは そうですね。それをある程度整理したときに、もちろん事務局のサイドで責任を持って 整理したと。そこのところをはっきりしておいた方がむしろいいと思います。後で非常 に話がこんがらかりますので。 ○会長  それでは、資料は審議会委員の発言、整理の責任は事務局、と2行に分けて明記すれ ば誤解がなくなるのではないでしょうか。 ○B委員  そこの扱いのところは、端的に言って、全部審議会の委員が発言した内容には違いな いんですよね。ですから、それはそれで私は構わないと思うんですが、例えば1つの例 だけ申し上げますけれども、3ページのところで、「2階部分とのバランス等を考慮す ると、1階部分を抑制することはやむを得ない」と書いてあるんですね。これはどなた かがそういう発言をなさったのであれば、私は何も言いませんが、私が社会保険の性格 上、一般論として、ある相関性がなければ社会保険ではない。それはむしろ税だよとい うことを申し上げたことで、この「1階部分を抑制することはやむを得ない」と書かれ ているのは、私自身は発言した覚えがありませんから、もし、どなたかが発言されてこ うなっているのならば、それは私の言うことではございませんからちっとも構わないん ですが、私が社会保険一般論で言ったことをもってこう書かれているとすると、私とし てはそういうつもりで発言した覚えはないので削除してください、こういう話になるわ けですね。そういうようなことが他にももしあるなら、そこだけは訂正しておいたらい かがですかと。 ○事務局  資料2は、事前に委員の方に一応見ていただいたわけですけれども、改めて見ていた だいて、問題があるということであれば、また事務局に御連絡いただければと思います これについて、それぞれどなたが発言されたかは私どもの方で全部チェックしておりま す。  それから、この資料は先ほど会長からお話がございましたように、8月末の長野の集 中審議で参考にすると、こういうことでございますので、まだ時間もございますから、 この中身について疑義があるということであれば、ぜひ御意見をお寄せいただきたいと 思います。 ○A委員  今、B委員御指摘の3ページの「イ・給付水準」のところの、最初のポツ、これはこ れで1つのあれだと思いますが、これは私の記憶ですと、当日これを議論したときの資 料の説明の中で、事務局の方から示された見解ではなかったかと思うんですが、この主 な意見という中には、事務局の方が資料を説明されたときの意見は全く入っていないん でしょうか。 ○事務局  少し釈明させていただきますと、場所によりましては、いわゆる審議会に提出された 資料をベースに問題提起をさせていただいた部分はございます。しかし、今、御指摘ご ざいました部分につきましては、主としてB委員の御意見で、私ども書かせていただい たと承知いたしております。 ○B委員  それは誤解でございまして、取り消してもらわないと困るということであります。 ○C委員  確かに私は事前に資料の説明受けましたが、「審議会が開始されるまでに何か意見が あったらお寄せください」というご要望は私の記憶の中にはないんですよ。ですから私 は実はこれをきょう会場へくる前の電車で読んできたんです。ですから事前に連絡して くださいと言ってもしようがなかったんですね。私はそういうふうに理解してなかった ということです。私の聞き間違いだったかもしれません。 ○事務局  十分趣旨が徹底してなかったと思いますので改めてお願いしたいと思います。御意見 があれば、次回開催までに事務局に電話とかファックス何でも結構ですのでお寄せいた だきたいと思います。 ○D委員  この文章は当然我々の意見に従っているんですが、事務局の責任においてまとめたも のであることはある程度はっきりさせていただいた方がむしろ話としてはすっきりして いるように思います。ここに書く必要はないかもしれませんけれども、そういう種類の 文章だという方がいいんじゃないですか。 ○事務局  これは先ほどから申し上げているように事務局の責任でこういう形でまとめさせてい ただいたということでございます。 ○E委員  余りこだわるような話ではないかもしれませんが、よくこういう審議会で、「委員限 り」と書かれたものが配布されるケースがありますから、これはきょう公開するか、し ないかの問題について最後にお問いかけがあるのかなというように思いますが、いろん な心情の世界が必ずしも十分伝わってない表現になっているのもあるかもしれませんか ら、委員限りというようにしていただいたら、8月末から9月の審議にうまく機能する のではないかと思います。                (「賛成」と声あり) ○会長  この資料2については、事務局の連絡不十分がありましたようですから「委員限り」 として、公開しない、ということでよろしゅうございますか。               (「異議なし」と声あり) ○会長  それでは、みなさまがもう一度御検討くださいまして、修正した方がよいとお気づき の点をなるべく早く事務局に御連絡ください。なるべく早めにお仕事をお願いします。 この件はそれでよろしゅうございますか。               (「異議なし」と声あり)              ○会長  それでは、資料1です。縦長の紙を中心に、御議論いただきます。どなたからでも御 発言を。 ○F委員  この一番上の表の、「21世紀の日本の社会」というのが書いてありまして、そこに 「労働力人口の減少」というのが書いてあるんですが、下の方に「女性の社会進出」と か、ライフスタイルのいろんなことが書かれてありまして、こういうことが起きるから 労働力の人口の減少には余り心配することがないので、そこで活力のある長寿社会がで きるとこういうふうに読むのでしょうか。そして確実な給付ができると、こういうふう に読めというふうに見ているのでしょうか。 ○事務局  「年金制度のあり方」の方で書いておりまして、女性の就労、社会参加で活力ある長 寿社会の実現、この下りは、これは年金制度について就労をより促進するように年金制 度を変えようという意見もございますし、あるいは少なくとも就労を阻害しないような ものにしろという御意見がありますので、そういう面を含めて年金では少なくとも就労 は阻害しない。あるいは場合によっては促進するような制度にすべき、こういったこと を含めて書いた記述でございます。 ○事務局  補足いたしますと、一番左は年金制度に非常に関係のある日本の社会の変化を3つに 分けてまとめたということでございます。それから、真ん中に「活力ある長寿社会の実 現」、「世代を超えた社会連帯の確保」、「自己責任と自己選択の尊重」、この3つは そういう社会にあって、年金制度の在り方を考える場合あるいは年金制度改革をこれか ら進める場合の基本的な視点といいますか、そういったものをこの3つのキーワードで 集約してみたということでございます。  そういった3つの基本的な視点で見直しをして、最終的な年金の在り方といたしまし ては、一番右にございますような「確実な給付」、「持続可能かつ公平な負担」、こう いったことによって、長期的に安定した制度運営ができるようにして、最終的には信頼 される年金制度を確立したい、これが最終目標でございます。 ○E委員  今の御意見に少し関係があるのかと思うんですが、左の「21世紀の日本の社会」とい うことで3つのマルが書いてあるんですが、これを見ると暗い21世紀が何となしに見え るような気もするんです。年金とからめて考える際に、もう一つ、中に入れて国民の方 にメッセージを発信した方がいいのではないかと思うんですが。皆年金ということを考 えれば、年金は国そのものであるし、言い方を変えれば、国家財政そのものであると思 いますから、それを支えている国民1人1人への信頼とか安心とか、安全だとか公平・ 公正というものがもたらされる社会が21世紀にはなくてならないのだろうと思うわけで す。  そうしますと、国民の連帯だとか、心の支え、そういう精神的な社会基盤というのか 枠組みのようなものがもたらされることが21世紀の年金を考える前提になければいけな いのではないかと思うんです。言い方を変えれば、要するに道路とか橋とか、そういう たぐいの社会資本整備ではないものをもう少しわかりやすい形で、21世紀に向けてしっ かりやっていくのだというメッセージを発信した上で、年金制度をどう考えていくのか というようにしなければいけないのではないかと思うわけです。  したがって、「21世紀の日本の社会」の3つのマルの中に、余りいい表現が見つかり ませんけれども、そういう側面も一生懸命やることを前提にどう考えるかというように していかないと、書いてある中身は、項目的にはきれいに整理してあるのですが、どう もピンとこないのではないかと思うものですから御意見として申し上げておきたいと思 います。 ○G委員  シナリオが案として提示されたわけですけれども、年金制度改革を考えるに当たりま しては、給付と負担のバランス論が先行しているような感じを国民に与えるのは私はよ くないと思うのです。特に改正のたびに給付と負担のシナリオが大幅にというか、かな り変わるのではないか、そういう不安感を国民に与えるのはよくないと思うのです。今 の御意見ともちょっと関連がありますが、年金制度がどういう方向に向いていくかとい うグランドデザインをかなり明確に提示する必要があるのではないかと思います。  3つのシナリオが書かれているわけですけれども、真ん中のシナリオ2がかなり現実 的には考えられるのか思いますが、シナリオ2はかなり幅が広いわけですね。特に中長 期的な課題として支給開始年齢を2歳ほど引き上げるということが出ていますけれども このあたりは、国民の側から言いますと、じっくり検討する必要があるのではないか。 定年のあるサラリーマンが8割を超えているわけですね。サラリーマンはだんだん高齢 期が近づいてきますと、あるいはもっと前から、生涯生活設計を立てているわけで、そ れが大きく崩れることがないようにするというのが大事だと思います。  前の改正では、支給開始年齢の65歳への段階的な引上げが決定されているわけですね ですから多くの国民の中で、65歳を前提にして生活設計を立てるという考え方が定着し てきていると思います。高齢者雇用の状況が今のようであれば、長期的な方向というか もっと先の話であるにしても、シナリオ2のところで、こういうふうに、65歳から67歳 への支給開始年齢の引上げというのが出てくると、これはまた国民にとって非常に大き な不安要因だと思うわけですね。年金制度の将来像というか、それがどういう方向に向 いていくかを示すことが重要です。5年ごとの年金改正で、もっと女性が働けるような 社会とか、障害者もどんどん社会参加できるような社会にしていくためには、年金でど こをどう変えるべきかとか、そういうのがつけ加えられていくのはいいと思うのですけ れども、大きな基本のところの給付と負担のシナリオが大幅に変わるという感じを国民 に与えるのはよくないのではないかと思います。  もちろん給付と負担のバランス論はきわめて大事ですけれども、その場合に、この前 学生の調査も実施されましたけれども、若い世代が負担についてどういうふうに考えて いるか、ということは若い世代に年金制度を理解してもらうために大事です。さらに、 40代の後半から50代の人たちは、自分が退職した後に年金がどうなるかというのは非常 に切実なことですから、そういうところに大きな影響を及ぼさないような改革のシナリ オであるということも大事です。それぞれの世代にとって先が見えるような、そういう 改革のシナリオというか、グランドデザインというか、それがまず書かれて、それから 給付と負担のバランス論も大事であるというふうに進んでいくのが必要なのではないか と思います。 ○B委員  私は、今回、今までと違って、今までも本当はもっと強烈に意識すべきだったことだ ったと思いますが、今回一番肝心なことは何かというと人口構成の変化ということなん ですね。これは好む好まぬの問題ではない、社会科学の世界でもない自然科学の世界と いってもいいかもしれませんが、要するにかつて年金制度を成り立たせた段階では完全 なピラミッドの、しかも小さい三角形を大きな台形で支えてきたと。ところが今円柱形 になってきたと。あるいは逆になるかもしれない。さらにまた何十年、何百年たつとま た当然変わるかもしれません。少なくとも今の段階では、だんだん人口構成が大きく変 わってきている。つまり1人をかつては5人で見ていたのが1人を4人で見なければい けない、1人を3人で見なければいかん、こうなってきます。  そのときにそれは好む好まんの問題ではなくて物理現象としてあるわけでありまして したがって、私はここで「給付の抑制」とかという言葉が使ってあるのは非常に前から 気になっているのですが、2割下がろうと3割下がろうと、それは抑制して下がるので はなくて、物理現象で下がる。下げざるを得ないということで下がるであって、下げる ではなく下がるなんです。それは物理現象として下がるのであって、意志的に下げると かということではないんですね。  したがって、私は、今、G委員がおっしゃったように不安を与えないということで言 うと、社会契約として関数を社会契約すべきである。そうするとこの年金審議会は次回 から開かんでいいわけです。関数をもう一回確認さえすればいい。あと数字はどういう 数字を入れるかというのは人口の大先生方がいらっしゃるからポンと入れていただける と。それが根幹であって、あと高齢者の社会参画の問題であるとか、女性の社会参画の 問題はそれに加算をする。あるいはより周辺を強くしていくものとしてそれを入れてい く。しかし根幹の関数は人口構成の変化であって、それは抑制するのではなくて物理的 に下がるんです。というのは負担する側を上げれば別ですけど、上げない限り下がる。  ですから、そういう物理現象をいかにも老人の方を苦しめて下げるように言うし、ま た、今度は若い人にいかにも年寄りの負担させるというものだから、お互いがプツンと 切れちゃって、いかにも社会政策あるいは国家政策、こういう審議会の政策でもってそ れが決まるような印象を与えちゃうから、ハガキが来るわけですけど、これは物理現象 自然現象なんで、その自然現象だということをどうやって理解していただくかというこ とが一番大切なポイントではないかと、根幹的にはですね。  それ以外の周りの問題としてはもちろんあります、女性の社会進出の問題とか高齢者 の問題。もちろんできるだけたくさんの人が参画していただければ、それが緩和される という問題にはなるのですが、根幹のところはそんなに大幅に緩和されることにはなら ないので、物理現象は物理現象で、その関数を社会契約化することが一番頭の底になけ ればならないものではないか。こういうグランドデザインの話が出てきたものですから 申し上げておきたいと思います。 ○H委員  私はこの御意見と言われたら大体シナリオ3の方の立場で、負担だけを事業主の立場 から言わざるを得ないことが多いのですが、当然国民としては給付の側からあるべきだ ということだと思います。今おっしゃった先生方の議論と同じように、既裁定者の方が ある日突然ドンと下がるというふうにおそれておられると。そういうことで、ハガキに 書いてあるわけですね。  それから、またG委員がおっしゃったように、40代、50代で自分の老後の設計をする ときも相当な問題だとこういうふうに思っておられる。そのことと学生なり新入社員の 人が、あらかじめ先どうなるかとはっきりわかっていて、かつ、いろいろな企業年金な り個人年金がしっかりしている場合、自分できちんと設計していくと。  あるいは21世紀ということならば、これから生まれてくる人たちどうなるか。そうな るとアメリカで生まれたら不幸で日本で生まれたら幸福なのか。そういうような議論が あろうかと思いますが、今までの世論に流れる情報がどうしても既裁定者、あしたから 途端に制度が変わると大幅にカットだと。 40代、50代の人が老後は不安、そういうふうにとられるような表現、これは気をつけて いただきたい。  本来ならば、21世紀という以上は、これから生まれてくる人たちについてどうあるべ きかと。それが結局これから就職する人はどうなるか。40代、50代はどうなるか。今も らっているのはどうなるかということで不安を与えない形。そうするためには事業者に 対しても、この程度の負担なんだから、負担は増えても何とかしてくれと言われるなら 多少話に乗ってもいいですが、最初から負担を言うのはけしからんと言われますと、ほ っとけば、負担が2倍になるということはどうしても耐えられない。  ということで、いつもシナリオ3のそこから言わざるを得ないというので、表現の方 を気をつけていただければ、前向きの議論ができるのではないかとこう思います。 ○A委員  私は表現の問題ではなくて、基本的な認識の問題ではないかと感じます。この上の方 の括りの「21世紀の日本の社会」、こういうようなのが21世紀の日本の社会だなんて、 私は絶対に合意するわけにいかないですね。要するに行けば行くほど悪くなる話しかこ こに書いてないですもの。こんなものが21世紀の社会だったら、社会保障なんていうの は大体成り立たないという議論さえ発生するのではないでしょうか。  そうでなくて、これはまさに我々が今直面している足元の状況のエレメントだと思う んですよ。例えば労働人口の減少はともかく、少子化の急速な進行はまさに今急速に進 行しているんですね、スピードだけのことで言えば。高齢者比率そのものは外国に比べ るとまだ低いかもしれないけれども、これは急速に上がっていくだろう。また、経済の 低成長まさに現状はそれに直面していて、少し前との対比が余りにも大きいということ に直面しているし、国民意識や生活の変化は、子供がすぐキレちゃうことまで含めて、 ここにはあるわけで、そういう今の出発点の問題をそのまま21世紀に投影しちゃって、 「21世紀の日本の社会」と、こういう発想でいいのか。  私たちはそうじゃなくて、21世紀の日本の社会はこういう社会を目指そうと。そのた めに社会保障はどうしても必要だと。ないしは社会保障があれば、そういう21世紀像は 可能である。こういうことで初めてシナリオというふうに言えるのではないでしょうか  私は資料2よりもこの資料1の方が公表に対しては躊躇いたしますが、少なくともこ ういうような悲観論から出発する議論が余りにも多過ぎて、それがしばしば政府当局に よっても語られることによって国民不安を増幅し、そのことが社会保障議論そのものを 狭め、あるいは困難にしている。このペーパーは大変申しわけないですけど、それの典 型のように思うんですね。  さらに、その下のシナリオ1、2、3と言いますけれども、シナリオ1などという議 論はこれまで一度もなかったと思います。「高齢期のゆとりある生活に必要な水準の公 的年金」。果たしてこういうことは昔議論されたことがあるのでしょうか、私は知りま せん。少なくとも公的年金だけで老後の生計費の全額を賄えるなどということを所与の 前提にしたような議論は当審議会でもなかったし、社会一般にもないように思います。 その意味では、これは非常に人為的な極論であって、とてもこういうものは受け入れら れないと。すれば、このシナリオ1は棄却であるという誘導的な議論なのではないでし ょうか。むしろ、この紙を棄却した方がいい。 ○I委員  大変難しい議論が出てきて、私はB委員の御意見は非常によくわかるんでして、人口 の方から言いますとタイタニックみたいなものでありまして、助かるかどうかわからん という感じがしますね。ただ、この間、「連合」のシンポジウムに出ておりましたら、 「連合」というのはなかなかいい意見をお持ちだと。「社会的仕送りのシステム」であ るとこうおっしゃっているんですね。この考え方を使うしか救いの道はないと思うんで すね。だから、日本が1つの大きな家族であるというふうに考えて、子供の数がどんど ん少なくなっていくような非常に特殊な家族であるというふうに考える。  後で、経済のことがもしあるとすれば、これはまた救いが1つあるのですが、これは D委員の楽観論の方にお譲りしまして、人口から言うと、これは非常に悲観的でタイタ ニックにまさにあたる。ただ、救いの道は、みんなで静かに沈んでいこうという覚悟を 決めればよいのでありまして、将来、高齢者が自分が高度成長期に生きてきた豊かな生 活を老後にも保障しろということを国民の世代にもし言うとすれば、これは非常に残酷 な話になりますし、到底そういことはできない。家族であれば、みんなが貧しくなれば 自分も貧しくいこう、こうなりますね。  だから、人口構成がこういう格好になっておること自体がタイタニックの底に穴があ いた。早くこの底を何とかしてふさぐ必要はあるのですが、これが少子化対策というと ちらちら出るんですけれども、私は来世紀の中ごろになってどっちかになるだろうとい う運命がわかると思いますから、そのぐらいまで時間をかけないとほとんどわからない と言った方が早いので、うんと頑張れば、何かのチャンスでだんだんと出生率上がって くるというようなことがありますが、この審議会のベースに出しました昨年の正月の新 しい推計人口、あれは極めて絶望的なものになっているんですね。  私が所長しておりましたら、ああいうものは出さなかったんですが、今度の所長は大 胆不敵にもああいうものを出して、もう回復の見込みはないと言っているんですね。生 涯未婚率が15%ですから、女、男も含めて、15%は結婚しない。結婚した人は 1.9人し か子供を産まんと、こういうわけですから、トータルでも 1.6人しか産まん。ですから 少子化はずっと進む。状況が悪くなるとますます産みませんから、ますます悪くなると こういう格好になっているんですね。  ですから私はこの年金審議会では、B委員の言われるように、自然現象としての危険 状態であるというのが本当だと思います。しかし、それを言ったら、今度また新聞が書 き立てて、年金は破たんだと、日本社会全体が破たんだ、とこう言いますので、そうな らないようにもう少し事態はそうだけれども、こうすれば助かるかもしれんというよう なことを幾つか言うべきで、その1つは、非常に経済のシステムがよくなって、人口が 少なくなってきますけれども、労働力人口の1人当たり生産性が高くなりうると、そう いう作戦を立てると。そのためにはいろんな状況も、女性は働いてもらう、いろんなこ とがありますが、1人当たりの生産性を高める。効率のいい経済体制をつくるとか、あ るいはグローバル。ただ、アメリカ風の効率化というものが果たして適切かどうかとい うのは、私非常に疑問に思っております。日本独自の作戦でもってここを切り抜けるよ うな経済体制を、あるいは社会体制をつくるということがあれば、これは助かりますが 基本的には人口構成が極めて危険な状態になっておる。タイタニック状態だということ だけをちょっと申し上げて、余りそれ以上言ってもいけませんので、どうもありがとう ございました。 ○D委員  私はこのシナリオの一番最初、A委員の御意見に大体賛成なんですが、やはりこれは やっぱりある意味で非常に悲観的。確かにそういう面はあるのですか、社会システムと いうのは、例えばの話、高齢者が増えたらそれでおしまいという、そんな単純なもので はなく、私立大学は70歳まで働いておりますし、それが今度は75になる。とにかくいろ んな可能性はあり得るわけですね。それ以外にも多分女性の社会進出も非常に重要で、 ですからいろんな社会システムは、経済システムは必ずしも簡単ではないのですが、や はり高齢化というのは歴史上、多分I委員が言われるとおり、日本の高齢化のスピード は非常に速いですから、私なんかも多少人口論の勉強を最近やっておりますが、それを 見るとやや異常と思われるような状況で、これは大変だというのはおっしゃるとおりで すが。しかし、なおかつ経済システムとか社会システムはそれなりにある程度アジャス トできるものがあるということをいろんな形で触れておかないとちょっと一方に偏する と。  それから、今の状況を余りにも先に投影し過ぎていると。経済の低成長は、私は必ず しもそんなに21世紀に入って日本経済がこのまま行くということはあり得ないので、例 えばの話、日本だってベンチャーとかいろんな形の新しい企業が出てきて、それはある 程度、ある時期に日本経済はよくなる可能性だってあり得るわけですから。それを全部 灰色の世界にしちゃうように書かないで、要するに文章として、相当条件をつけたり、 やや楽観論というのもないわけではないということもいろいろ触れてやらないと非常に 悲観的なシナリオになって、何ともできないということになりますので。その点はむし ろ文章としては、ある意味でヘッジをとって、今の状況はこうであるけれども、という ふうなことにしておいて、もう少し先、いろんな可能性を含めて、労働市場の話もあり ますし、日本の経済システムももう少し変わり得るわけですから、その辺のところをち ょっと書いて、あまり今の状況をそのまま投影して、最初のところの部分の書き方とし て、これではどうにもならないとは書かないでほしい。 ○会長  G委員、どうぞ。 ○G委員  I委員からも御意見が出ましたけれども、先ほどのB委員がおっしゃったのは、昨年 1月の人口推計がそのまま推移するであろうという前提、出生率はなかなか回復しない 逆転しないであろうという、そういう前提のもとでおっしゃっているのです。けれども やはりこれは年金制度の中で取り上げるかどうかは別として、国を挙げて、子供を持ち たいというカップルが子供を持つことができ、それで子育てや介護と仕事が両立できる ような、そういう社会をどんどんつくっていくのだという、出生率の下降傾向を逆転さ せるような政策を国が行う、あるいは企業も含めて、社会全体で行うのだというような その方向づけが大事だと思います。スウェーデンなどは出生率も一度下がってきたのが 上昇し、また少し制度が変わると下がったりとか、結構制度の影響を受けて動いている わけですけれども、出生率が上昇してきた国もあるわけですね。出生率もどんどん下が っていって、少子化・高齢化がどんどん急速に進行するのだということを前提として議 論するのか、それともそれを逆転させるような政策も考えますということでいくのかで 違うのではないかと思います。 ○B委員  私が申し上げたのは、子供を産むか、産まないかという問題には非常に多様な価値観 の問題であるとか、いろんな物の考え方があります。一番極めて重要なのは、いつか男 の先生から御指摘ありましたけど、男の頭のチャンネルの切りかえが一番大事なんだろ うと実は思うのです。そういうことは一方でやらなければいかんということで、かつ、 また私もそういうことを希望するのですが、さっき私が、極めて自然科学の現象という か、自然に起こる現象はそれとしてというのは、やっぱり仮に今日そういう政策が変わ ったとして、実際、子供さんが産まれてくるまで、20年という期間の問題もこれがあり ます。もう一つ、したがって、私さっき申し上げた1対5の関係は1対4になり、1対 3になり、あるいは1対2になる。しかし、後にまた1対3に戻るかもしれないし、1 対4に戻るかもしれない。その関数を、ベーシックに社会契約にしておくべきで、それ 以外に政策は大いにじゃんじゃんやっていくべきだということで、しかし根っこのとこ ろの、今いくら、我々がもがこうと、どうにもならない問題だけはやはりベースに置い ておかないと。したがって、それは恣意的に抑制するとか、政策的に抑制するとかとい う問題とは別の話で、下がるという問題だというふうに理解しておかないと困る。  ただし、G委員おっしゃるように、私も断固として内閣に少子化対策本部をつくって 本当に日本の少子化問題どうするんだということを真剣にやるべきだという提言はして いますし、また、ぜひやってもらいたいと思っているわけです。それの効果が出て20年 後、30年後に再び1対3に戻り、1対4に戻ってくることを期待しているんですが、そ のとき、しかし関数は決して意味がないわけではなくて、そのときはいい状況に関数は また働くわけですね。そういうものに考えるべきだということを申し上げたまででござ います。 ○J委員  やはり「21世紀と日本の社会と年金制度のあり方」というのは、A委員がおっしゃっ たように確かに問題があると思うんですね。日本が今タイタニックかどうかわかりませ んけれども、タイタニックだと沈んでみんな死んじゃうわけですが、やはり少子・高齢 化社会にふさわしい社会の仕組みをつくっていくのも1つの考え方だろうと思うんです ね。例えば今元気な高齢者がたくさん増えているわけですし、ライフスタイルを変えた り、価値観を変えるような生き方をすることによって、例えば子供が少なくて高齢者が 多くて日本の人口が1億人を切ったとしても、逆にゆとりのある社会ができるという考 え方もあり得るだろうと私は思うわけです。したがって子供が今の人口をそのまま維持 しなければ、年金もつぶれる、日本もつぶれるというような発想は私はちょっと問題が あるだろうということが第1点感じております。  それから、「年金制度のあり方」のところで3つポイントが挙がっていますけれども 日本は憲法25条でもって、社会保障の国の責任ということを明確に打ち出しているわけ ですね。そうしますとそこのところを書かないで、「自己責任と自己選択の尊重」とい うところへいきますと、国の責任とは何だ。国の社会保障に関する国家責任がどこかへ 飛んでしまって、自己責任、自己選択ばかりやることになれば、ますます国民の年金に 対する不安は出てくるだろうと思うんですね。そういう意味では、やはり年金制度の在 り方の基本は、国が責任を持って、憲法25条に保障したような社会保障制度は守るんだ ということを出していただきませんと、ますます年金の不安が出てくるだろうと思いま す。  それから、「世代を超えた社会連帯の確保」につきましても、世代間の助け合いとい う「連合」の考え方が一方であるけれども、「世代間、世代内の負担の公平・公正の確 保」と書いてあるわけですが、現実に負担の公平・公正ということがイコールになるこ とはあり得ないわけでして、さきの世代がつくって豊かな社会の恩恵というものを若い 次の世代は十分に受けているわけですし、そういった意味では、ただ単に幾ら出したか ら幾ら戻すというような負担と給付の問題だけで年金を議論すべきではないだろうとい うふうに私自身は思っているわけです。したがって、この年金制度の在り方についても このままで出すのは問題があるのかなという気がいたしております。  さらに、右側の一番上に「確実な給付」とありますが、これは全く逆でありまして、 まず信頼される年金制度を確実に国民にアピールすることから始まりまして、そして、 年金によってどういう生活が私たちができるのか。そのためにはどうしたらいいかとい うふうに、負担と給付というような問題だけではなく、年金が国民生活に対してどうい う役割を持っているかということを明確に国民に示すことの方が私は先ではないかと思 っております。以上です。 ○A委員  すいません。先ほどこの資料1について大変つくった人に対して失礼なことを申し上 げました。全面的に訂正いたします。こういう豊富な議論を生み出したということはこ の資料の功績であると思います。大変審議会の審議を活発化させるいい資料であったと いうふうに訂正をさせていただきます。  それから、B委員から言われました関数関係、これは大変興味深い点でありまして、 人口構造の変動、今のような少子化・長寿化は、ある意味で社会的に病理学的な現象の ような気もいたしますので、単なる自然的な要素とは言えないかもしれませんが、年金 制度を考える場合にはそれは1つの与件として見なければいけない、そういう側面は非 常に強くあると思うんですね。  私どもの理解では、現在の厚生年金制度、前回改正の可処分所得スライドを導入した ことによって、実はその関数関係というふうにB委員がおっしゃっているものを、かな りの程度内蔵したのではないか、このように思います。つまり、年金額を手取り賃金に スライドさせるということは、既にそこでもって現役世代の負担の分が差し引かれてい る。その意味で組み込まれているわけですね。そして高齢化が進む、年金や社会保障の 給付が増える、現役の手取り賃金は相対的に低くなる。それに連動する年金も相対的に 低くなる。そのことによってあるバランス点へそれがいくことこそ1つの関数関係と言 うならば関数関係であり、その意味では、賃金総額スライドから手取り賃金スライドに 切りかえたということは、実は人口構成の変動を織り込むシステムに切りかえた、こう いうことだったのではないだろうか。この点について必ずしも十分共通の認識が得られ ていないような気がいたします。  もし、そういうふうに理解するのが正しいのだとすれば、今後仮にどのように人口変 動が進もうとも、それ自体としては1つの均衡条件を保つということになるわけであっ て、ただし、そういうふうに均衡条件を保ったものが余りも人口変動のあれが激しけれ ば、払われる年金水準は相対的に低過ぎることになるかもしれないけれども、その場合 は現役の賃金も低くなっているんですね、手取り賃金で見れば。その点、十分に検討し ていただくことが、負担と給付の問題を考える上では前提のような気がします。  そうではなくて、人口構造で1人高齢者を支えるのに現役が何人かということが下が っていくのだから、負担を引上げて給付を下げるのは当然であるというところから、あ らかじめ20%、30%をカットする、そういう議論と私のような理解とは全く相反するも のでございます。御検討いただければと思います。 ○事務局  審議に貢献した担当者のひとりでございますけれども、ちょっと御説明を一部したい と思います。この資料、悲観にすぎるというのはおっしゃるとおりでありますけれども 現在の年金制度はむしろこれまでの人口推計を逆算してみましても、ある程度楽観に基 づいてつくってきて現在に至った、そういうことで、今後もこういう社会になれば、き っとうまくいくということで、そういうものをつくっていくという考え方もあるわけで すが、むしろ今ここで立脚点を変えて、足元の数字がちょっときつ過ぎるかもしれませ んが、ある程度、B委員の言われたような関数的な発想も込めて、制度をもう一遍楽観 論でないものにつくりかえていって、もし世の中の事態が好転すれば、そのメリットは 後代が享受すると。負担が軽くなるなり、給付がそのときに改善するとか、そういった ような考え方もあるのではないかなという気がしておりまして、ちょっと悲観にすぎる 面はありますけれども、もう一度、現時点をどういう立場で見るかということを、我々 としてはこういう書き方でしてみたわけであります。  したがいまして、シナリオ1のところで、政策努力で経済の発展とか就労とか、そう いうものの改善を織り込みながら、年金制度を維持するというシナリオを書いたわけで ありますけれども、シナリオ2、3ということについて、またこういう考え方もあるの ではないか。  それから、人口の変動の関数について、前回改正の手取り賃金にスライドするという ことにおいて、その変動が織り込まれているという御説明がありましたが、確かにある 程度後代の負担が重くなって手取りが下がる分を年金額に反映することで吸収されてい る面がありますけれども、全部吸収されているわけではありません。7月ごろの資料で お示ししましたように、将来、例えば年金の保険料が高くなったころに、年金の額もお 示ししましたけれども、やはりかつて10%台の保険料で現役を終えた方と、また、将来 終生30%ぐらいの保険料負担をする方において、そこは完全に人口の変動が年金額に織 り込まれて帳消しになっているわけではないわけでして、そこのところはもう一度数字 に沿って御議論をいただきたいと思いますし、必要な資料があれば提出したいと思いま す。 ○K委員  今までに出てきた議論の中でも、例えば最も基本的な危機感をあおっている要因の1 つに人口バランスの問題があるという話がございました。それから国民皆年金の制度を つくるということで、今まで努力してきたということもあります。こういう考え方は実 は個人の数を前提にした考え方だと思います。人口バランスを例えば考えるときに、大 方の議論が縦の、つまり世代間のバランスを中心にして考えられている。しかしながら 世代間と同時に世代内の相互関係も当然あるわけですが、言葉としてこの中に「世代間 世代内の負担の公平・公正」というものが出ているわけですけれども、やはり人口バラ ンスの議論になると、どうしても世代間のバランスが前提になってくることになるわけ です。ですからそこで出生率そのものが最も基本的な問題になるということだと思いま す。ところが実際に年金制度は世帯単位で実施されているわけですね。  その辺のところが、人間の頭数のバランスの議論をしつつ、実際の制度としては世帯 単位になっている、この矛盾が私は物すごく大きいのではないかと思うんです。それで 個人単位か世帯単位かという話になると、これは女性の年金の問題だというふうに、こ ちらの資料2のまとめでも、そういうふうなラインで出てきているわけです。けれども 決してそういうものではなくて、将来の生産人口と高齢人口とのバランスだということ ですから、縦だけのバランスだけでなくて、横のバランスも同時に考えるということを 当然私たちもこの会で議論してきたにもかかわらず、いざ、こういうふうにまとまって みると、個人単位、世帯単位というふうな、私からすれば、最も基本的な議論が何か浮 かび上がってこないようなまとまり方になっているというふうに思います。  それから、出生率と制度との関係ですけど、これは人口学者の研究の結果、明らかに ヨーロッパ諸国の実態を見ますと、社会制度と出生率の関連が明白だと。例えばイタリ アのような国だと出生率がものすごく低い。それに対して北欧諸国などでは出生率が多 少上下はするけれども、比較的高いということを見ると、おおよそのラインとしては社 会制度との関係性が非常に強いということがありますので、G委員からも出ましたけれ ども、やはり出生率を同時に考えていくことが必要だけれども、果たしてそれを年金制 度の中で考えるかどうかについては私自身はそれは否定的に考えております。  今のような2点、私は特に強く感じました。 ○D委員  ちょっと言葉の問題ですが、「自己選択」という言葉が出ているんですが、これは多 少何となく何を言っているのかわからない。下のところでは個人の選択ですね。あるい は普通だと私的選択とか個人的な選択。「自己選択」という言葉は私は多少違和感があ る。もちろん厚生省がこういう言葉を造語すれば、また世の中で、多少その辺をお考え いただければと思います。余り大きな点ではありません。 ○事務局  その点は再度検討してみたいと思います。  それから、先ほどから、21世紀の日本の社会とか年金が非常に悲観的で、もっといろ んな政策的な努力によって明るいイメージが描けるのではないか、こういう御意見が多 かったわけですけれども、これは確かにそういう点も言えるかと思うんですが、ただ、 今の我が国の公的年金は基本的には賦課方式の仕組みでやっているわけでございまして そうするとこれは将来人口がどうなるかということと、将来の経済がどうなるかという ことが一番年金に影響してくるわけです。  そういった場合に、将来人口については、先般新しい将来人口推計が示され、それに よって、さらに少子化が急速に進むということが明らかにされているわけですね。この 人口問題について、これまで我が国の公的年金がどういうことをやってきたかといいま すと、人口審の中位推計に沿って見直しをしてきた。ところがこれが社会から批判を受 けているわけで、いつも見通しを誤ったと。それで楽観的な見通しに乗って年金をやっ てきたということで信用されなくなっている、こういうことが言えると思うんですね。 これまではむしろ人口の低位推計に基づいて将来の年金をどうするかというのを考える べきではなかったのかと。今回も中位推計でまた間違えるのではないか、こういう声さ えあるわけですね。  したがって、我々としてはそう簡単に少子化対策によって人口バランスが回復できる というシナリオはなかなか描きにくいのではないか。今後労働力人口が減っていく中で 政府機関、また民間のいろんなシンクタンクが将来の経済成長率の見通しをしています けれども、せいぜい1%台ぐらいの成長しか見込めない、こういうところが圧倒的に多 いわけですね。もちろんいろいろな政策努力によって、そういった人口にしろ経済にし ろ、これから明るい見通しが出てくる、こういうこともそれは否定できないところです ので、そういった点は、このシナリオ1ということで、そういう政策努力によって年金 は余りいじらずに将来とも安定してやっていけるのではないか、そういうことを1つ考 えてみたわけです。  ただ、こういった政策努力で明るい見通しが本当にできるのか。厚生省のこれまでの 年金の見通しはいつも甘くて失敗してきたではないか、こういう批判をあちこちから受 けているわけでございまして、やはりそう楽観的に、経済はこれからよくなります、人 口もそのうち回復するでしょうということで、そういう楽観的なシナリオに乗って、公 的年金見直しをしなくてもいいのか、こういうことにはやっぱりならないだろうと。  したがいまして、シナリオ2とかシナリオ3、こういったことも当然議論しなければ はいけませんし、むしろこれまでの公的年金の歴史から見ますと、私個人としてはシナ リオ1というのは、こんなことを考えているのでは、年金の責任者として失格ではない かという感じさえもするわけでございまして、したがって、シナリオ2やシナリオ3を 考えてみたということでございます。 ○C委員  21世紀をどう考えるかとか、年金は本来どうあるべきかという大議論が続いています ので、本来なら深めるべきだと思うのですが、きょうたまたま資料を示された中で、私 が一番気になるのは、それはさりながら「次期制度改正で想定される対応」と「中 (長)期的課題」を区分けした部分なんですね。ここの議論は実は大問題で、次期制度 改正で何をやるかということの選択問題なんですね。ここはやはり審議会としてかなり 深く議論をする必要があるのではないかと思うんです。とりあえず事務局としてこうい う案をお示しになったということなんですけれども、こういう整理の仕方でいいかどう かについて、やはり各委員がそれぞれ意見を述べる必要があるのではないかと思います  こういうことは次回も続けてやるしかないということだと思うんですが、1、2、3 に共通するシナリオのところの整理の中で、一番最初に書いてある「国民年金の抜本的 な未納・未加入対策」をとにかく次期制度改正では柱の1つに据えたいと。基礎年金の 国庫負担引上げ、税方式化は中長期の課題であって、次回は事実上検討はしないという そういう整理になっているんですね。これで審議会として1つにまとまるのかどうか。 多数がこういう考え方であるかということは基本的な問題だと思います。  「国民年金の抜本的な未納・未加入対策」については、この際思い切って厳しくやれ という意見が審議会や公聴会で相次いでいたことは私自身も承知しております。ですか ら、こういう声があることは重々承知しておりますが、あえてさお差すわけではありま せんけれども、国民年金は定額の保険料であって、最も問題の多い制度なんですね。悪 法も法だと、だから守れという立場が強過ぎることを私は実はおそれているわけです。  私、実は子供がいまして今大学生でもう20歳超えていますので、子供の国民年金の保 険料を私が払っているんですけれども、そういう意味で、私は払っているから、この追 求の対象にならないと思うんですけれども、ある省の現役の次官が、自分の娘の国民年 金保険料をどうするかといったら、こんなものを払えるかと公然と人前で断言する人さ えいるわけです。  定額保険料を、制度としてはそうなっているから、これを払わないやつはおかしいと だからびしびし取り締まれという発想で今までずっときているんですけれども、これは 慎重に進めないと、かえって厚生行政に対する批判を強める話になりかねないというこ とをどれだけ皆さんが御理解をなさっているかということだと思うんです。みんないい 法律で、いいことだから、みんなやりましょうという話だったらだれも文句ないんです よね。ところが現に定額の保険料で最も逆進性の強い人頭税の保険料を、しかも給付と バランスから見るといろんな計算があって、あんなもの払ったって返ってこないなんて いう意見が公然と出ている世界で、なおかつ、これは法律によって払うことが担保され ているのだ。強制徴収をやっていいんだといって法に訴えてもやると。司法に訴えても やるということを決意なさろうとしているように見受けるのですが、これによって、か えって厚生省が批判を浴びることはないのかということなんです。  これは非常に微妙な判断で、人によって意見が違うと思うんですけれども、私は相当 のコストがかかる話であり、そういう悪い制度であることがわかっているものを強行に やるということで、今回やることに対してははっきり言って躊躇の念を禁じえないので す。  したがいまして、前回の制度改正をしたときにもありましたが、基礎年金の国庫負担 問題について、真剣に次回に向けて議論することが私は大事だと思っておりまして、こ れは次回の議論の対象にしないということについて、私は基本的に事務局とは違った見 解を持っているということです。恐らくここをしっかりしないと、将来の年金保険料は どうなるかということが決まらないんですね。国庫負担、今のままであれば、厚生省が 出しているような数字になるでしょう。しかし国庫負担の割合を高めれば、将来の保険 料はあんなに高くないんですよ。負担の中身が変わるわけですね。ですから、そこのと ころを先送りして議論していいのかということが問題だと私は思います。以上です。 ○事務局  この資料について誤解があるようですので、補足説明をしたいわけですけれども、基 礎年金の国庫負担の引上げとか税方式を、これは事務局の責任でこういう資料をつくら せていただいたわけで、これを材料に大いに議論していただきたいわけですので、委員 の皆さん方の議論を制約する、そういう意図は全くないわけです。ここでこういう国庫 負担の引上げとか税方式化を「中(長)期的課題」のところに置いたのは、何も今度の 改正でこの問題を検討しないとか、そういうことまで私どもは意図しているわけでは全 くないわけでございます。これは前から申し上げているように、国庫負担の引上げの問 題、税方式化、これは大いに議論してくださいということを、私もこの場で何回か申し 上げたわけでございまして、検討するなということを押しつけようとか、そういう意図 は全くございません。  ただ、ここの「中(長)期的課題」のところに書いたのは、今度の改正でただちに国 庫負担の引上げ、税方式化を必ずやるということを今度の法律改正の中ではっきり書く というのは、今の景気、経済状況、それから国・地方合わせて500兆もの借金、こういっ たことを考えると、次期制度改正でいつから国庫負担の割合をいくらに引き上げるのか いつから税方式化にするのだというようなことをはっきり書くというのは、法律の中で はっきり制度改正をやってしまうというのはやはり難しいのではないか。まだ議論が熟 していないのではないかということで、「中(長)期的課題」のところに一応書かせて いただいた、こういうことです。  それから、「抜本的な未納・未加入対策」というのを、びしびし取り締まるのだ、そ ういう意味にとられたら非常にこれは残念でございまして、私どもはここで考えている のは、この年金審の場で何回も未納・未加入対策とか、国年事務ということで御説明申 し上げましたように、保険料を納めやすい仕組みをつくろうとか、免除制度についても っと工夫しようとか、あるいは市町村と社会保険事務所の在り方、仕事の分担について もっと効率的な仕組みにしようとか、いろんな観点から今の国民年金事務を改善する必 要があるのではないか、そういうことでここに書いたわけでございまして、何もびしび しやるということだけを意図をしているわけではないわけですので、そこはぜひ御理解 をいただきたいと思います。 ○L委員  現在の年金制度は賦課方式をとっているために、先ほどの人口構造が将来大変厳しく なると。そういうふうなときには今の年金制度を維持できないというふうなお話があり ましたが、人口構造の影響を余り受けないような方式もあるわけでして、例えば基礎年 金は税方式に切りかえて、報酬比例部分は積立方式に移行する、こういうものを早期に しかも大幅に取り入れていくことによってかなり人口問題の年金に及ぼす影響は回避で きるのではないかと思いますが、別に数字の根拠がないので何とも言えないんですけれ ども、例えば積立方式をどの程度取り入れていけば、どれぐらいの負担で給付がどれぐ らい期待できるのか、こういうふうなこともあわせて検討していくべきではないか。 人口の将来推計を急速に変えることはなかなか難しいと思いますので、人口は人口とし て、それの影響をなるべく受けないような仕組みを変えていくというふうなこともあわ せて検討していくべきではないかと思います。 ○E委員  シナリオ1から3の共通事項の中には記載がされてないんですけど、改革のタイミン グの問題もあるので、現業に関連する事項で少し意見を申し上げておきたい。またぜひ 論議をすべきではないかと思うんですが、全体的に今日の年金制度がわかりにくいとい う状況がそれを受けとめる側にあるわけです。制度をわかりにくくしている部分の1つ は例えば既得権の取り扱いのようなものもあるのだろうと思います。それから、さまざ まに複雑な制度をつくっているがゆえに、運営の効率化というようなところの部分で、 現業の人たちは大変苦労されているのではないかというように思います。 したがって、システムを簡素化をしていくことも大変大事な見直しの1つの要件ではな いかと思います。  話は前に戻りますが、複雑でわかりにくくしている背景には、年金制度の改革が絶え ず政争の具にされてきた経緯もあります。受給とか負担をする側の論理ではなしにたえ ず政治の世界に問題が持ち込まれて、制度そのものを結局複雑化してしまっている。そ このところをこういう機会に大胆に見直しをしていくのは大変な重要な要件ではないか と考えます。  そういう点が、1から3の共通事項に入ってないものですから、この際、現場の人の 声もしっかり聞いて、現場の人たちの苦労もこの際クリアしてあげることは大変大事な のではないかと思っていますので、ぜひ検討の項目に入れていただいたらいいのではな いかと思います。 ○K委員  先ほどC委員が提案された件、私も大変重要だと思います。それで、「次期制度改正 で想定される対応」と「中(長)期な課題」というふうに分かれていますけれども、私 のイメージですと、中長期的に見て、こういう方向にいくべきではないかというシナリ オを一応この会の中で合意ができるどうかわかりませんがイメージとして持つと。それ が私の考えるシナリオなんですけれども、それはただちに変えることは難しい。だから 現状ではここまでは可能だということが次期制度改正で明確にできるというふうな、そ ういう段階的なものを私は発想していたわけです。  ですから次期制度改正で何をするかということは小手先のことではなくて、将来的に こちらの方にいくべきである。しかしながら現状でできることはここまでである。現状 でここまでしかできないけれども、将来それを実現するためには、どこをどう直してい くのかということをただちに次期の年金審議会から、もうすぐ二審を始めるというふう な、そういう継続性を持って積極的に進められるような、そういうコンテが今我々には 必要ではないかと思います。 ○M委員  今の御意見に賛成なんですが、その前に、最初の「21世紀の日本の社会と年金制度の あり方」という図と、「年金制度改革のシナリオ」という関連性も何か見えないように 思って、最初の「年金制度のあり方」の図も矢印に意味があるのか、ないのか、わから ないという質問が最初に出ましたけれども、それで私なりに整理させていただいたとい うか、私がわかるような形にしてみたのですが、最初の「21世紀の日本の社会」という のは、21世紀に日本の社会に与えられた条件として克服しなければならない課題だと思 うんですね。その課題の中で、少子化・長寿化の急速な進行というのは一種の与件とい うふうに、B委員もおっしゃったようなことであって、それにプラスして経済の低成長 はそれは変わりうるかもしれないけど、今は予測できると。それに対応して国民意識、 生活の変化があるのであって、これは3つ並列的に並ぶものではないと思うんですね。 与件として年金制度を考える上に必要があると。  そして、年金制度としては何を目指すかというときに、「活力ある長寿社会の実現」 というのがあるのではないかと思うんです。「活力ある」というのがふさわしいかどう かちょっとわからなくて、私は『厚生白書』というのが「子供を持つことに夢を持てる 社会」とサブタイトルがありましたが、「長生きすることに夢を持てる社会」というふ うに考えてみたんですね。  そうしたときに「世代を超えた社会連帯の確保」でいくのか、「自己責任と自己選択 の尊重」でいくのか、あるいはそれプラス折衷案でいくのかというふうに年金のシステ ムの設計があるのだと思うんですね。それでシナリオが出ているのではないかと思うん です。  その一方で、右の矢印の先にある「信頼される年金制度」ほか3つありますけれども 私はやはり、先ほどどなたかもおっしゃったように、「信頼される年金制度」というの が大きい目標だと思うんですね。「信頼される年金制度」を構成するのは何かというと この上の3つであると考えるわけです。この3つがいいのかどうか、審議会で共有され ているかどうかちょっとわからないところもあるんですが、そうじゃないかと思うんで す。これは決して4つ並ぶものではないと思うんです。  「信頼される年金制度」というものを21世紀に向けてシナリオを描くときに、さっき 申し上げた真ん中の「世代を超えた社会連帯の確保」にいくのか、「自己責任と自己選 択の尊重」の方にいくのかというふうに整理したときにこのシナリオが出てきていると 考えてみました。  ですから、もう少し上の図と下の図を整理して、わかりやすくして、何を論議すべき かを再整理していただきたいと考えます。 ○N委員  C委員、K委員と関連することなんですが、きょうの冒頭も新聞でああいう報道がさ れるという報道の在り方と危惧はあります。したがって、資料1を審議会で今日、結論 が出るとか出ないとかという問題ではないのでしょうけれども、議論しただけに、とり わけ次期の問題と中長期課題との区分けの問題については非常に慎重を要すると思いま す。基礎年金の国庫負担引上げ、あるいは税方式を含めた土台の部分といいますか、基 礎年金を今後どうあるべきかということについてやはり待ったなしの状況ではないかと 思いますので、ぜひ、次期改正の中でやるべきだと思います。  先ほど、事務局からわざわざ答弁がございましたが、これはよく見ますと、左と右で 同じ文字が書いている。例えば「女性の年金」とか「少子化対策」もありますし、同じ 文字だけれども、わざわざ括弧付きで、先ほどの事務局の答弁では両方の考え方がある まだ要は迷っているというふうな部分と非常に微妙に分けられておりまして、しかも事 務局の答弁があっただけに、それでは反対ですと、この整理の仕方で審議会がきょう一 応の区分けをしたことについては問題があると思います。明確に反対です、ということ は申し上げておきたいと思います。以上です。 ○O委員  今まで各委員からいろんな御意見が出ましたので、私は別に追加することはないんで すけれども、ちょっとこれで気になりますのは、例えばシナリオ1は、厚生省の事務局 の話ですと、これは書いてみたけど、あり得ないというお話ですけれども、シナリオ1 は、恐らくA案に対応するような考え方だろうと思うんですけれども、ただ、そこに書 いてある「経済の発展」、「高齢者の就労の拡大」だとか、「財政の改善」というのは 国の財政ですか。それとも年金財政ですか。 ○ 事務局  国の財政です。                            ○O委員  国の財政の改善という政策努力によってということが書いてあるのは、これは私はこ れからの国の政策全体に必要なことなので、シナリオ1だけではなしに2でも3でもこ れは必要なので、これは1だけに書いて、2は何かそういう政策努力をしないように私 は受け取られるのは大変にまずいだろうと思うんですね。その点だけは、先ほどの悲観 論、楽観論との関係があると思うんですが、今のままですとこういうことだけど、こう いう政策努力することによっていろんな問題を克服していくのだという前提で、年金制 度を考えることがはっきり出ないと、これはなんぼなんでも政策努力は、シナリオ2、 3は全くしないようにとられるというのは私はまずいのではないか、その点もひとつ整 理をされるときにお考えいただきたいと思います。 ○事務局  これは全く同じ意見でございまして、シナリオが幾つもあろうとも、こういう政策努 力をこれからやっていくのは当然だと思います。そういう点で誤解を招いたのはまずい ので、次回以降出すときはそこは注意しなければいかんと思います。ただ、シナリオ2 とかシナリオ3は、当然そういう政策努力をやるのですけれども、やはりそれには限界 があるだろうということで、それをやり、なおかつこういうこともあわせて考えざるを 得ないのではないかということで、シナリオ2とか3を考えてみたということでござい ます。 ○H委員  余り大きなことではないんですが、一番上の真ん中の「活力ある長寿社会の実現」の ところの「高齢者・女性の就労」につなげて「社会参加」とされていますが、労働力人 口の減少が高齢者の就労あるいは女性の就労を促進せざるを得ないと、そういう意味で は関係がありますし、年金制度に関係あるのですが、高齢者と女性の就労とは性格がか なり雇用という観点から違うことが多いんで、これをポツをつけておくのがいいかどう かということがあろうかと思います。  特に女性の就労について、それが少子化との関連が強いと思うんですけれども、その 場合に年金制度はもちろん関係あるのですが、それ以外の国の施策あるいは社会の要請 から、事業・企業主としていろいろ採っていかざるを得ないということにつく問題と、 高齢者の就労を強制されるか促進するか、せざるを得ないか、この辺の問題は非常に違 いますので、この際、これはポツでも結構なんですが、高齢者と女性を一緒に議論する のは本当にいいのかどうか。それとかつ年金ということを大きく出しているかどうか、 ちょっと細かく議論していくと対応が違っていくということで意見を申し上げたいと思 います。 ○P委員  このシナリオは、先ほどから多々議論がありますが、私も作成者の当面する年金制度 改革の考え方を示したものだということに大変興味深く見させてもらっております。と りわけシナリオ1、3の共通事項を掲げましたのも、物すごく頭のいい整理の仕方だと 思っております。  先ほどもN委員からも意見が出ました括弧書きで書いてあることについてですが、 「年金制度の一元化」を括弧で囲っております。これは当面の対応で括弧で括って、 「中(長)期課題」では括弧がありませんけれども、この分け方も私は大変配慮が行き 届いているのではないか、こんなふうに思うわけです。  このシナリオは、厚生省事務局がこれまでの諸論点をどこへ持っていきたいかと考え ているかを示すものだと私は受け取りまして、何といいますか、もっとはっきり言いま すと、幅広い議論がある中で、むしろどこへ絞り込んでいくか、踏み込んでいくかとい うことを審議会に提起している、もっと言うと、審議会に挑戦しているのではないかと いうふうなくらい思うわけでありまして、先ほどC委員がおっしゃいましたように、個 別課題につきまして、かなり率直に、こっちじゃないということを言っていいのではな いかと思いますし、そういう面で、私は括弧のつけ方について賛成ですし、また、一方 でそういうが変化球あるのも結構だと思います。それから基礎年金の負担部分について は毎回申し上げておりますけれど、そういう面では事務局答弁がありましたが、こうい う部分はしっかり議論してかかる必要があるだろうと思います。 ○J委員  シナリオがあって、そのシナリオに沿って制度を改正していくのも1つの改革のシナ リオの考え方であると思いますけれども、もう一つは、今の年金制度の持っている矛盾 点とかおかしな点を直していくと自然にシナリオが出てくるという考え方も私はあり得 るのではないかと思うんですね。したがって、シナリオ先にありきという考え方だけで 議論をするのにはちょっと私は抵抗感がありまして、むしろ今の年金制度の抱えている 不公平とか矛盾点とかそういった問題点をまずつぶしていく中で、おのずとシナリオが 出てくるという考え方もとりうるのではないかということを感じておりますので申し上 げておきます。 ○Q委員  今まで内容に関しましてはもう議論は出尽くしていると思いますので、これの取り扱 いなんですけれども、これで、あしたの新聞かなんかに載りますですね。その後に、こ れは改訂版をおつくりになるわけでございますか。 ○会長  今までの御議論を伺いながらで、資料2と似たような扱い、「委員限り」として本日 は公開しない、別の書き方をした改訂版ができて、委員の皆様方の御賛同が得られれば その段階で公開する方法もある、と考えております。必ずしも機械的に公開しなくても よいという感じがしていますが、いかがでしょうか。そうしますときょうは資料公開な しということになります。事務局から議論が多かった結果と説明していただくわけです R委員。お願いします。 ○R委員  会長の御裁定どおりで結構だと思います。特に日経新聞のああいう記事があった後だ けに、対マスコミ関係は慎重に扱っていただきたいと思います。 ○会長  大分時間をとりました。今後の審議会の進め方につきまして、御相談を申し上げます 次回は8月の末に合宿による集中審議を予定しております。次回以降の進め方について 事務局から御説明をお願いします。 ○事務局  恐縮でございますが、資料2点ちょっとごらんをいただきたいと思います。1つは資 料3でございます。  本日を含めました「今後の審議会の進め方(案)」ということで提案をさせていただ いておるわけでございますが、先ほど来、お話が出ておりましたけれども、次回、8月 31日は「総括的議論2」というのをお願いしたいと思っておりまして、事務局といたし ましては、これまでお話しがございました「基礎年金の問題」、「給付と負担2」。そ れから、9月1日「総括的議論3」ということで「女性の年金」。それから「その他」 というコマを設けておりますけれども、これまでの御議論を踏まえますと、年金積立金 の運用など各委員の御意見を踏まえまして御議論いただいたらどうだろうかと。  その先これは議論の進展ではございますが、9月8日、「総括的議論4」ということ で、集中審議におきまして御議論詰まりますれば、「意見書とりまとめのための論点整 理」をしていただいてはどうか。あわせて「起草委員の指名」をお願いしてはどうだろ うかと考えております。  その後、9月16日、9月21日という日程をあらかじめ設定をさせていただいておると ころでございます。  それから、もう一点、会長名で次回の審議会の御案内をさせていただいている通知文 を入れておると思います。恐縮でございます、確認のためにこの通知について触れさせ ていただきたいと思います。次回、8月31日、9月1日の集中審議は、長野県佐久市の 「サンピア佐久」でお願いをいたしたいと思います。日程案、別紙をごらんいただきた いと思いますが、当日8月31日は、恐縮でございますが、東京駅10時36分発の「あさま 509号」で御移動をお願いしたいと思います。それで参りますと11時55分に佐久平に着き ますので、ただちに移動していただきまして、施設におきまして昼食を召し上がってい ただきまして、先ほど申し上げました「総括的議論2」を午後お願いをいたしたいと思 っております。 翌日、火曜日でございますが、朝食の後、「総括的議論3」ということで、午前中御審 議をお願いしたいと考えております。これは御審議の進行状況でございますが、その後 昼食、視察等を事務局といたしましては予定をさせていただいておりまして、お帰りに つきましては、佐久平15時56分、東京に5時過ぎにお帰りいただく御予定で御案内をさ せていただいたらということでございます。以上でございます。よろしくお願い申し上 げます。 ○会長  よろしゅうございますか。 ○B委員  会長、1点だけちょっとお願いがあるんですが、よろしゅうございましょうか。実は だんだん本格的な議論に入ってきますので、1点だけぜひお願いしたいのですが、厚生 年金の報酬比例部分の積立不足、これは平成11年度の末の旧債務で厚生省は 350兆円と いう試算を出しておられるのですが、これは今後議論の上で大変重要なポイントになっ てくると思いますので、その算定根拠につきまして、計算式、それから設定条件、これ をぜひ示していただきたいということ、これをぜひお願いしたい。 それから、もう一つは、「5つの選択肢」を出しておられますが、それについて具体 的に、この350兆というものが圧縮されるとすれば、どういう形でそうなるのか、その根 拠、計算式、金額、これをぜひ出していただきたいということをお願い申し上げたいと 思います。よろしくお願いいたします。 ○会長 事務局としてこれはよろしいですか。 それでは提出されると思います。A委員、どうぞ。 ○A委員 今のB委員の御要望は結構なんですけれども、350兆円の債務なる数字は、これは賦課 方式の立場から見ると全く架空の数字であって、国債発行によって生じている債務のよ うなものとは性質が違うんだと思うんですね。それは仮に積立方式だと考えた場合には それだけの債務があることになると、こういう数字じゃないでしょうか。そこの性格だ けちょっと確認をしておきたい。 ○事務局 350兆は、今とっております財政方式が段階的に保険料を引上げていくという前提でや っておりまして、そういう中で仮に今制度をやめることを前提にしますと、そういった 今年金を受給している方の債務と、それから、これまで保険料を納めていただいた期間 に係る債務があるということで、将来、保険料を引上げていって、そういった費用を賄 っていくという前提で財政方式を現在やっているところであります。 それから、B委員からありました「5つの選択肢」に対応する350兆がどうなるのかと いうことでございますが、実際には「5つの選択肢」といいましても、現在やっており ますのは、平成37年に向けてどのくらい給付を削減するかということを機械的にやって いるわけで、実際に年金受給者をどれくらい、例えば給付削減するのか、また将来に向 けて、どういう改正をするのかということによっても影響が変わってきますので、いち がいにはなかなか出てこないわけですが、350兆の算出根拠等についてはわかりやすい形 でお示しするようにしたいと思います。 ○会長 よろしいでしょうか。 次回は、先ほど日程の御説明がありましたように、8月31日の朝、10時半ころ、東京 駅でお目にかかることになります。 本日はこれで閉会します。長時間ありがとうございました。                                    年金局 企画課 須田(3316)