98/07/27 第9回精神保健福祉法に関する専門委員会議事録 公衆衛生審議会精神保健福祉部会 第9回精神保健福祉法に関する専門委員会 議事録 厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課 議 事 次 第   日  時  平成10年7月27日(水)16:20〜19:35   場  所  厚生省特別第一会議室   会議次第    1 開 会    2 議 事    (1)精神病床の在り方について    (2)精神保健福祉センターについて    (3)その他    3 閉 会   〔出席委員〕 吉 川 座 長   池 原 委 員  伊 藤 委 員  金 子 委 員  後 藤 委 員   佐 伯 委 員  佐々木 委 員  佐 藤 委 員  新 保 委 員   高 柳 委 員  竹 島 委 員  長 尾 委 員  西 山 委 員   守 屋 委 員  山 本 委 員 ○吉川座長  それでは、少々定刻を過ぎましたけれども、ただいまから「第9回の精神保健福祉法 に関する専門委員会」を開かせていただきます。お暑い中、各委員の先生方にはご遠方 からもお集まりいただきまして、ありがとうございます。  まず初めに、本日の委員の出席状況についてご説明をお願いいたします。 ○杉中補佐  本日は乳井委員から欠席のご連絡を受けております。以上でございます。 ○吉川座長  ありがとうございます。  それでは、議事に入りたいと思いますけれども、まず事務局から今回の資料について ご説明いただけますでしょうか。 ○杉中補佐  それでは確認させていただきます。まず、第9回専門委員会の配布資料といたしまし て、資料1、「医療法における精神病床の在り方について(検討メモ)」。  資料2、「医療法関係規定にかかる問題について(検討メモ)」。  資料3、「精神保健福祉センターについて(検討メモ)」。  資料4、「その他の検討すべき事項(検討メモ)」。  資料5、「21世紀に向けての入院医療の在り方に関する検討会報告書(抄)」。  資料6、「病棟の人員配置の比較」。  資料7、「病棟の構造設備の比較」。  資料8、「精神病院の構造設備」。  資料9、「看護体制等と入退院比率との関係」。  資料10、「精神病院における退院率について」。  資料11、「二次医療圏ごとの精神病院数等」。  資料12、「長期入院患者の療養のあり方に関する検討会 中間取りまとめ骨子」。  資料13、「精神障害者身体合併症治療体制整備試行的事業の実施について」。  資料14、「宮崎県立宮崎病院における人工透析に関する損害賠償事件について」。  資料15、「精神病院の開放病棟に関する疑義照会」。  資料16、「保護室に関する疑義照会」。  資料17、「今後の障害保健福祉施策の在り方について(中間報告)(抄)」。  資料18、「精神保健対策に関する調査結果報告書(抄)」。  資料19、「麻薬・覚せい剤等に関する実態調査結果に基づく勧告(抄)」。  資料20、「平成9年度精神保健福祉センター事業実績」。  資料21、「障害者関係各相談機関の業務等について」。  資料22、「精神障害者社会復帰施設設置運営要綱(抄)」。  資料23、「ショートステイ事業比較表」。  資料24、「地方分権推進計画(抄)」。  資料25、「関係条文」となっております。  そのほか、本日お話しいただく健康政策局の「21世紀に向けての入院医療の在り方に 関する検討会の報告書」全文、そのほか、精神保健福祉センターの開設の写し、これは 後藤委員から配布を依頼されたものでございます。そのほか、全自病(全国自治体病院 協議会)からの意見書等、成年後見制度に関する意見書等が机の上に乗っていると思い ます。  以上、大変部数多いんですけれども、欠落等がありましたら、事務局に申し出くださ い。以上です。 ○吉川座長  いかがでございましょうか。欠落その他、ございましたら。もし、おありになりまし たら、後ほどでもご請求いただきたいと思います。  それでは、本日の議題に入りたいと思います。  本日の議題は、先ほどの資料1、2、3、4まで(検討メモ)と書いてございますよ うに、これらについて、まず検討していただくことになっています。  最初の問題であります「医療法における精神病床の在り方について」という資料と出 されているものと関係しますが、一般病床の在り方について、健康政策局の方で「21世 紀に向けての入院医療の在り方に関する検討委員会」を行っておられます。その検討結 果について、お手元に資料としてお配りしていると思いますけれども、健康政策局から おいでいただきまして、そのご説明をしていただくことになっておりますので、お聞き いただきたいと思います。それでは、よろしくお願いします。 ○宮崎補佐  健康政策局の総務課の宮崎と申します。どうぞ、よろしくお願いします。  お手元の資料5として「21世紀に向けての入院医療の在り方に関する検討会報告書 (概要)」がお配りしてあるかと思いますが、また別途、報告書の全文があると思いま すが、簡単に概要に沿いまして説明いたしたいと思います。適宜報告書全文の方も見て いただければと思いますが、この「21世紀に向けての入院医療の在り方に関する検討 会」と申しますのは、昨年の8月に厚生省、与党の医療保険制度改革協議会の2つの場 で、今後の医療提供体制と医療保険制度の抜本的な改革の在り方について検討を行った 中で、この医療提供体制に関しましては、病床を現在急性期の医療を必要とする患者さ んと、ある程度症状が慢性化して、長期間にわたり医療を必要としている患者さん等が 現在の制度のもとでは混在して一緒に扱われているという点につきまして、今後の医療 を効率的に、限られた医療資源を有効に活用しつつ効率的な医療を提供していくという 観点に立ちまして、一般の病床を急性期と慢性期に大きく区分いたしまして、それぞれ に見合った人員配置基準、あるいは構造設備基準を設けていってはどうかというような 提案が盛り込まれたところでございます。  また、そのほか、行政改革委員会の昨年末に出されました意見の中でも、この病床に つきましては、急性期、慢性期に区分した上で、それぞれに必要な数を現行の医療計画 上それぞれに算定をして、医療需要に見合った適切な供給体制を築いていくべきではな いか、というような指摘を受けたところでございます。  こうした指摘を踏まえまして、昨年の9月から、ことしの7月まで計10回にわたりま して、医療の専門の方々、あるいは有識者の方々から成ります検討会を開きまして、ご 検討をいただいてきたところでございます。  内容といたしましては、1つは一般病床の区分についてどのように考えるかという点 また、その区分に従いまして、人員配置基準と構造設備基準をどのように考えるか。さ らには、今後適切な入院医療を考えていくに当たってどのように質を確保していくか、 大きく分けて3つの点につきましてご検討をいただいたところでございます。それぞれ について簡単にご説明申し上げます。  まず、「病床の区分」についてでございますが、これにつきましては、概要の1の3 つ目のマルでございますが、一般病床を大きく分けまして、急性期病床と慢性期病床。 急性期病床につきましては、急性増悪を含む発症間もない患者さんに対しまして、一定 期間の集中的な医療を提供して、患者の状態の改善を図る病床ということで急性期病床 を定義づけ、また一方、慢性期病床につきましては、病状が安定し疾病と障害等を抱え ている患者さんに対しまして、長期間にわたって医療を提供する病床ということで大き く2つに分けるという考え方が示されているところでございます。  その際に、急性期と慢性期病床の中間と申しますか、発症間もないというわけではな いんですが、病状が不安定で回復期にあるような患者さん、いわゆる亜急性期、その表 現が適切かどうかわかりませんが、亜急性期医療を必要とする患者さんについては取り 扱いをどうするかということが議論ございましたけれども、結論的には亜急性期医療を 必要とする患者さんにつきましても、一定期間、集中的な医療が必要だという観点に立 ちまして、急性期病床の方で整理するということでご指摘をいただいています。したが いまして、そのような亜急性期の医療を必要とする患者さんも含めまして、急性期、亜 急性期医療を必要とする患者さんに対して一定期間の集中的な医療を提供する病床とい う定義づけになっています。  その際、急性期病床につきましては、区分の目安としまして、平均在院日数を設定す るべきではないかということでご議論いただきました。この平均在院日数につきまして は、非常に厳しい義務として平均在院日数を設定するのか、あるいはある程度の目安と いうような形で平均在院日数を設定するのか。何回かにわたりましてご議論いただきま したが、結論的にはある程度弾力的な病床運営を確保し、現実の医療現場の場で病棟管 理に支障が生じることがないよう、平均在院日数につきましては、病棟管理上の目安、 あるいは目標として設定するという形でご指摘をいただいております。  簡単に申し上げますと、例えば、この平均在院日数をある日数、何日と設定した場合 に、急性期病床につきまして、その何日を超えたら絶対だめだとかという形ではなくて その病棟全体といたしまして大体の平均の在院日数が設定した○○日というものにでき るだけ範囲におさまるように努力をしていただくという形での、いわば緩やかな基準、 標準としての位置づけで平均在院日数を設定すべきではないかという形でご指摘をいた だいております。  この具体的な平均在院日数につきましては、今回の検討会の報告書の中では、その設 定までには至っておりませんで、今後、各種調査などを踏まえまして、現実の病棟管理 の面で支障を生じないような形で具体的な数字を今後検討していく形になっております  続きまして、「人員配置基準及び構造設備基準」ですが、人員配置基準につきまして は、急性期の病床につきましては、現行の一般病床の基準、したがいまして、医師、歯 科医師、看護婦について、具体的に数が定められております一般病床の基準を参考とし て設定する。また、慢性期病床につきましては、療養型病床群、これは医師、看護婦、 看護補助者の基準が定まっておりますが、その基準を踏襲して設定するという指摘をい ただいております。  また、その際、入院に係る人員配置基準につきましては、現在、標準の取り扱いとな っております扱いを最低基準として、つまりその基準を満たさないところについては、 場合によっては罰則等もただちにかかってくるような形での、最低基準としての取り扱 いを検討してはどうかということでの提言をいただいております。一方、外来に係る人 員配置基準につきましては、病院が本来、入院医療を中心に医療を提供していく場であ るという観点に立ちまして、その最低基準の議論とは別途にその在り方についても検討 することが必要ではないかという指摘をいただいております。  構造設備基準につきましては、全体としてそもそも規制緩和の観点から、必要最小限 の規制にとどめるべきだという観点で、基本的に項目等につきましては見直すべきであ るというご指摘をいただいておりますが、その上で急性期病床につきましては、一般病 床の構造設備基準、また慢性期病床については療養型病床群の構造設備を踏襲して設定 するというご指摘をいただいております。  その中で、資料5の中に抜粋でついておりますが、精神病床、結核病床につきまして その在り方について若干のご議論がございましたが、精神病床、結核病床につきまして は、そもそも精神医療、結核医療をどういうふうに今後考えていくのか、その在り方を 踏まえた上で基準を検討していくことが必要なのではないかということで、この入院医 療の在り方に関する検討会では、直接その方向性を示唆しているわけではございません  最後に「入院医療の質の確保」という点でございますが、この点につきましては、今 後病床の区分をしていくのにあわせまして、さらに入院医療の質の向上を図る観点に立 ちまして、現在開設時に人員配置につきましては見ているわけですが、開設許可後にお きましては、この開設時の状況を維持できるような仕組みが現在ございませんで、簡単 に申し上げますと、開設の時点で、例えば 100床なら 100床という形で人員配置基準を 満たしていたとしても、その後、病床の稼働率が低くなるなどいたしまして、極端な話 ですが、50人あるいは30人という形で入院患者数が減った場合には、当初開設時に用意 していた人員ではなくて、30人、20人に見合ったような人員配置しか求めるような形に なっておりまして、むしろ開設許可時に 100床ということで、人員配置を求めたのであ れば、それ以降も引き続き病床のキャパシティに見合った医療従事者を確保していかな ければならないというような仕組みにしていく必要があるのではないか、という指摘を いただいております。 また、あわせまして、この人員配置基準を下回っているような場合につきましては、 現在特段の是正措置がないわけでございますが、これにつきまして業務運営の改善命令 ですとか、改善の措置を講ずるような制度的な仕組みを用意する必要があるのではない かという指摘をいただいております。 以上が大まかな、「21世紀に向けての入院医療の在り方に関する検討会」の概要、3 点でございます。以上でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。健康政策局からご説明を受けたところでございますけれど も、ただいまのご説明をお聞きいただいて、何かご質問なり、ご意見なりいただけませ んでしょうか。 ○金子委員  1つご質問させていただきたいのですが、精神と結核は別途検討ということで、報告 書の中には書いてあるわけですが、なぜ、そのように別途検討する旨の結論が出たのか もう少し詳しく教えていただければと思うのです。例えば委員の先生の中に、そこに詳 しい方がいらっしゃらなかったとか、そういうことに関してなんですけれども。 ○宮崎補佐  正直言いまして、もともとの医療提供体制の抜本改革での指摘の出発点が、現在その 他の病床と療養型病床群と分かれてはいるものの、混在して行われている一般病床につ いて、それを急性期病床、慢性期病床と分けるべきであるというところの出発点から始 まっているものですから、まずはその点について検討するというのが第一義的なこの検 討会の目標だったものですから、そういう意味で、もちろんもっと時間をかけて、そち らの部分についても専門家の方から意見を聞くという形もあったのかもしれませんけれ ども、この検討会の在り方としましては、まず医療提供体制の抜本改革の中でご指摘を いただいている部分について整理をするというのが最初にあったものですから、こうい う形になっております。 ○吉川座長  よろしいですか。 ○金子委員  はい。 ○守屋委員  この専門委員会では、精神病床、結核病床でも急性期ないしは慢性期が混在している 中で、急性期と慢性期を明確に分けながら精神医療においても今後の医療体制をつくっ ていこうと、精神保健福祉課においても検討しようと考えているのですね。 ○杉中補佐  精神については、精神医療の在り方の中でどういうふうにしていくべなのかというこ とを考えるべきだということがあって、健康政策局からは、当部に対して、精神病床の 在り方についてどのように考えるのかという考えをまとめていただきたいという依頼は 受けていたところなんですけれども、なかなか我が方がそれに対する対応ができなかっ たということで、この場で人員の特例の話とかも出ていますので、その場を利用してま ず議論してみる必要があるということで、きょうこの場でこの議題を取り上げたという 経緯でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。ほかに何か。守屋先生よろしいですね。 ○守屋委員  はい。 ○佐藤委員  医療法改正ということになると思いますが、今後のスケジュールはどのようになって いますでしょうか。 ○宮崎補佐  ご指摘のように、この検討会報告書の内容に沿って具体化を図るということになりま すと、現在、一般病床という形で大きく区分をされておりません医療法の法律そのもの を改正する必要が生じてまいります。ただ、今後のスケジュールということですが、そ ういう意味では法律改正にまたがる事項になりますので、この検討会報告書を踏まえた 上でさらに医療審議会という審議会がございますので、そちらでさらに具体的な内容に ついてご議論いただいた上で、その中で意見の集約が図られれば法律改正に進んでいく と考えておりますが、1つつけ加えさせていただきますと、この病床の区分等に関しま す検討は、医療保険制度医療提供体制の抜本改革という大きな枠組みの中で動いている 話でございますので、その中の全体のスケジュールとの関係がございまして、全体の進 んでいく中で一緒に歩調を合わせて医療審議会から法制化というような形で進めていき たいと考えております。 ○吉川座長  よろしゅうございますか。ほかにありますでしょうか。高柳先生、何か、このことは よろしいですか。 ○高柳委員  はい。 ○吉川座長  もし、それでよろしければ、健康政策局からのご説明を受けて、そして、あと私たち の専門委員会としての議論に入っていきたいと思っていますが、どうでしょうか。それ でよろしゅうございますか。  特別になければ、こちらの方の実質的な審議に入りたいと思います。  それでは次に、私どもの第1の問題であります「精神病床の在り方について」という ことで、事務局よりご説明いただけませんでしょうか。 ○杉中補佐  それでは、説明をさせていただきます。資料1の「医療法における精神病床の在り方 について」説明をさせていただきます。  今、健康政策局から説明がありましたとおり、病床の在り方について、特に精神病床 については、精神医療の在り方全体の中でやはり考える必要があるということでござい まして、精神医療だけではなくて精神保健福祉全体に関する在り方を考える当専門委員 会でこの項目について取り上げるのが適切であろうということで、今回、もともと人員 の特例の話は入っておったんですが、もう少し拡充した形でつけ加えさせていただきま した。  それでは説明をさせていただきます。  まず、医療法上における精神病床の現状でございますが、「人員の配置」につきまし ては、基本的には一般病床の人員配置基準が適用されますけれども、医療法第21条但し 書き及び同法施行令第4条の7の規定により、医師、看護職員の人員配置の特例等が認 られている。  具体的には、主として精神病の患者を収容する病院(精神病床が80%以上を占める病 院)は都道府県知事の許可を受けることにより、以下のような一般病床よりも緩和され た特例を受けることができることとされている。  これだと多少わかりにくいんですけれども、まず入院患者数が52名までの場合には医 師を3人置かなければならない。それ以上については、増えた分16名ごとに1人医師を 追加することに原則的になっております。  精神病床につきましては、入院患者数を3で割ったものが52名までは3、それ以降は 割った数が16名増えるごとに1ということになっておりますので、簡単に言いますと、 医師数については精神病床は一般病床のおおむね3分の1でいいことになっております  看護婦・准看護婦につきましては、一般病床では患者に対して4対1というのに対し て、精神病床については6対1といったような緩和された人員配置になっております。  この精神科特例でございますけれども、これについては精神障害をすべて慢性疾患で ある前提に立った人員配置であるといった点で非常に批判の強いところでございます。  次に「病床規制の圏域」でございますけれども、一般病床につきましては2次医療圏 ごとに必要病床数を設定し、病床規制を行っておりますが、精神病床につきましては都 道府県単位での病床規制等を行っております。  このような取扱いにつきましては、医療計画策定時に、精神病床については都道府県 内での偏在が大きいこと等の考え方のもとになされたものと考えられる。  2.は「21世紀に向けての入院医療の在り方に関する検討会」ということですが、こ れは、ただいま説明いただきましたので割愛させていただきます。  次に、現在の制度の問題点であろうと思うのですけれども、まず「人員配置基準につ いて」でございますが、精神病床については、33万床と全病床の中で占める割合も高く 4分の1程度あると。また入院患者についても態様も多様であることから、現在のよう なすべての入院患者について同一の人員配置基準を用いるのは適切ではないのではない か。 このような考え方から、既に保険点数上は急性期病棟、療養型病棟等に機能分化する 動きがある。しかし、このような機能分化は精神医療に熱心な一部の病院だけが行い、 それ以外の病院については、機能分化が行われないという問題がありますので、精神病 床についても急性と慢性に分け、医療法の諸規定に基づき、適切な機能分化を図ってい く必要があるのではないか。  また、急性期については、人員配置を充実した医療を行えば、早期に退院できる傾向 があるということで、それについて資料9をごらんいただきたいのですけれども、資料 9の3ページ目、絵が反対側にひっくり返っていて非常に見にくいものですが、これは 平成9年6月30日調査で6月いっぱいの病院の患者数もしくは入院患者数、退院患者数 をとっておりまして、それをもとに看護体制別の病床の回転率であるとか、看護体制別 の社会復帰率は、退院して自宅に帰られた方の比率がどれぐらいいるのかというものを 出したものでございます。それにつきましても、やはり看護体制が、充実しているほど 病床の回転率が非常に高い。また、社会復帰率も非常に高い。  真ん中の欄に「常勤医師の1人当たりの患者数」というのは患者数を常勤医師数で割 ったものですが、それを分けても20人未満と40人以上では非常にまた病床回転率と社会 復帰率と違いがある。  最後が「常勤の精神科ソーシャルワーカー」等の1人当たりの患者数で見ても非常に マンパワーのある方が回転率、社会復帰率が高いと言うことができるのではないかと考 えております。  このようなことを見ますと、まだ分析が十分ではないかもしれませんけれども、人員 配置を充実した医療を行った場合に、早期に退院か社会復帰できるという傾向があるこ とは言えると思いますが、現在はすべて特例をベースにしていますので、急性期に対応 した人員配置基準は必ずしも適切になされているとは言えない。ただ、慢性期を前提に しておるといいますが、慢性期についても、療養・生活環境を重視していくとともに、 リハビリテーションを一層推進する必要があると考えられますが、現在の医療法上の基 準では、精神保健福祉士やOTなどの精神障害者の社会復帰のために不可欠な人材が明 確に位置づけられていないといった問題がございます。  また、現在の精神科特例では、精神病床が80%以上を占めない病院については一般病 床と同様の人員配置基準が適用されるということで、慢性期病床についても一般病床と 同様の人員配置基準が求められる。これはそれはそれで結構なことなのかもしれません が、逆に病院全体で人員配置を満たしていればいいということなので、必ずしも精神病 床のある病棟で適切な人員配置がなされているという担保がないといった問題がござい ます。  次に「病床規制の圏域について」の問題点ですが、精神病床は都道府県単位となって いるため、病院が特定地域に集中し、生活に密着していないというような問題がござい ます。  特に、新規入院患者の入院期間の短縮化、精神科救急の需要の高まり、地域医療・通 院医療の重視という流れで、やはり身近なところに精神病院があることが求められてい ると考えております。  2次医療圏ごとで配置された場合のメリットは、入院時等の病院のアクセスが容易、 救急の場合の搬送が容易。また、入院時の家族のバックアップ、面会等も容易。退院後 の通院が容易といったことが考えられます。  退院後の病院からの訪問看護が容易といったような、さまざまなメリットが考えられ ます。  以上を踏まえた上での「基本的な考え方」でございますが、精神病床についても、基 本的には病棟単位で急性期と慢性期に分ける必要があるのではないか。その上で、将来 的には、急性期を中心とした医療を中核にしていくことで、早期に社会復帰を目指すこ とが重要ではないか。  現在の精神病床が80%以上占める病院に適用するという病院単位の人員配置基準につ いても病棟単位のものにする必要があるのではないか。ただ、この場合は、一定規模以 下の病院に配慮した弾力的な取り扱いを検討する必要があるのではないか。 次に、医療法見直しにおきましては、人員配置を最低基準化していくという方向で検 討しておりますが、急性期の医療における医療の質を担保するためにも、急性期病棟に ついては、一般病床並みの人員配置基準を設けるべきではないか。  急性期については、地域に密着した医療であることが必要ではないか。したがって、 急性期病棟については、2次医療圏単位とすることについて検討するべきではないか。 また、急性期病棟を持つ病院の中から、前々回ぐらいに言いました精神科救急に係る指 定病院を設ける等の措置を講じて、精神科救急とも連携を図っていくことについて検討 するべきではないか。  また、慢性期の入院患者については、主として医療に重点を置くものと、医療よりも 療養環境又は退院に向けた生活機能の回復や介護等に重点を置くべきものに分けていく 必要があるのではないか。  以上でございます。 ○吉川座長  どうもありがとうございました。今、杉中補佐からお話をいただきましたけれども、 とりあえずご質問なりご意見なりをいただきたいと思います。どうぞ、長尾先生。 ○長尾委員  幾つかあるのですが、1つは資料No9で、「看護体制等と入退院比率との関係」とい うことで、非常にクリアなデータが出ておるのですが、実はこれは数字の魔術といいま すか、2対1、 2.5対1という看護体制をとられている病院は、一般の単科の精神病院 ではまずないのではないか。これは在院日数等も関係して 2.5対1、2対1は普通では とれない状況になっていると思います。その辺のことが1つ。  それから、2.5 対1は、急性期病棟が今はありますが、非常に基準が高くて、まだそ れほど普及してないということがあります。その辺がどうか。  それから、確かに急性期と慢性期は方向としては分けられるべきものではあろうと思 うんですが、急性期と慢性期でクリアカットに分けれない部分が非常に出てくるのでは ないか。その辺をどのように考えていくのか。特に精神科の場合で非常に長期にわたっ て重症のままで続いている方があるわけですね。そういった人たちは急性期の人と同等 に、また、それ以上に手間がかかり、看護が必要になる。そのあたりをどういうふうに 考えられるのかということがあると思います。  それから、病床規制の圏域についてということは、実際に2次医療圏ごとに設定され ればいいんですが、これも非常に都道府県によって偏在があると思いますので、これを どのように考えていったらいいのかということと、それから、確かに入院期間の短縮化 ということは結構なんですが、この入院期間の短縮についても病院によってのデータも あったと思いますが、これについても本当に入院期間が短縮されていいのかどうか。あ る面で入院期間が短縮されることによって、また回転ドア式で帰ってくる人たちが増え ていることも一部では言われているわけですし、本当にある期間をきちんと治療する方 がいいのか、早くよくなったときに出して、またリターンしてくるような形が多いのか どうか。この辺もきちんと論議する必要があると思います。 ○吉川座長  ありがとうございました。4点ほどのお話があったと思いますけれども、第1の点は いただきました資料9の中のものだと思いますけれども、これについては何か、杉中補 佐の方から。 ○杉中補佐  ただ、実態上の数字として出てきておりますので、やはりマンパワーの多い方が回転 率が高いという傾向については否定するものではないと思います。 ○長尾委員  ただ、2対1、 2.5対1というのは、恐らく総合病院とか、そういうところが多いん じゃないでしょうか。ですから、非常にこれは回転率が早くて当然だろうというふうに 私は思っているんです。 ○杉中補佐  それはなぜ当然なのでしょうか。 ○吉川座長  そうですね。ちょっとそれでは金子委員から。 ○金子委員  実は総合病院の精神科も3対1以上の看護基準をとっているところはほとんどありま せん。それで、看護婦さんの配置に関しては、いわゆる過分配置をしている病院が都市 にあるんですね。そこのデータだと思うんですが、それは公的な病院がほとんどだと思 いますけれども、そこでは単科の病院であっても、入退院が激しくといいましょうか、 活発に行われていると。在院期間が短いというような傾向があるように思います。どこ とは申しませんけれども、そういう病院があるように伺っております。そのような病院 を私、拝見したところ、いわゆる回転ドアの患者さんはほとんどいらっしゃらないよう ですね。 600人ぐらい退院させても、その1年間の間に帰って来られる患者さんに1割 もいないというようなデータが出ていたと思います。うろ覚えなのでこれは確実ではあ りませんけれども、そういうことがございました。 ○吉川座長  ということですけれども、何かありますか。 ○長尾委員  ちょっと金子先生が言われている病院はひょっとしたら近畿のある病院のことですか ○金子委員  それは。 ○長尾委員  ちょっとわかりませんけれども、私の知っている単科の私立の病院ですけれども、そ れも非常に入退院率が高いんですけれども、退院してから、またほかの病院へ回ってい る人もなきにしもあらずと。ですからそこの病院だけの回転だけをとらえると、確かに 回転ドア式は少ないかもしれないけれども、ほかへ回っている人たちもあることも考え ておかないかんということもあると思うんです。 ○吉川座長  長尾先生が出された問題としては、今、表の方からお入りになられましたから、表の 方から入る限りでは人員配置が厚い方が回転率は高いということだけは、これはいいん でしょうかね。 ○長尾委員  いいと思います。ただ、2対1、 2.5対1については、よく吟味しないと、確かに回 転率がいいからといって、3対1以下であれば、ある程度比較してもいいと思うんです ね。その辺がちょっとよくわからない。 ○吉川座長  それでは、これは 2.5以上というのでしょうか、そのことについてはちょっと疑問あ るとしても、この人員配置が厚ければ、やはり回転率は高い。ただし、回転率に関しま しては、先ほど回転ドアという話がありましたけれども、回転ドア現象になるかどうか ということは少し意見が分かれていると思いますけれども、そんなふうに考えたいと思 います。 その上で病床の偏在に関して、長尾先生から話が出ましたけれども、これに関しては いかがでしょうか。2次医療圏ごとというのは理想的というか、それはそうあってほし いけれども、現実にはそうではないところをどうするのかということだと思いますけれ ども、杉中補佐から何か。 ○杉中補佐  その辺は議論をしていただければ、急慢で分けれるのか、分けるとすればどのあたり で分けるのか、医療圏をどうするのかというのはこの場で議論していただければと思い ますけれども、一応資料11としまして、2次医療圏ごとの精神病院及び精神病床の配置 数を今回の委員会のために調べて提出しております。それによれば、全く精神病床がな い2次医療圏が18程度であるという結果が出ております。 ○吉川座長  ありがとうございました。 ○伊藤委員  2次医療圏ごとの問題は、既に病床偏在ができてしまっておりまして、難しい問題が あるのですが、ただ、目標として、こうあるべきです。改築したり、病院が廃院になっ た場合に、都道府県の中で病床が過剰になって建てられなかった、病院がないにもかか わらず、2次医療圏の中で建てたくても建てられない地域が今はできているわけですか ら、そういう目標といいましょうか、あるべき数字はある程度立てておかなければ。ず っとこれが固定化されてしまいますので。やはりすぐには長尾先生がおっしゃるように 現在は無理だと思うんです。  ですから今度病院の開設許可を与えたりするときに、こういう基準をつくっておくこ とによって、10年先、20年先にはある程度理想に近づくのではないか。そういう意味で は、私はこういう考え方は明確にしておいた方がよろしいと思いますので、すぐ思い切 ってやることは現実にはできないことはよくわかっていますので、ただ、将来の在り方 としてはぜひきちんとこういう線を出していただきたいなと思っています。 ○吉川座長  ありがとうございました。佐藤先生。 ○佐藤委員  同じ意見ですけれども、第1回の委員会のときにも申し上げましたが、障害保健福祉 圏域というものを設定して、身近なところで医療保健福祉のサービスが総合的に受けら れるという体制をつくっていくためには時間はかかるとしても目標として精神病床につ いても2次圏域ごとに設定をすることが、これから必要なことではないかと思います。 プロセスとしてはかなりいろいろ難しいことがあるかと思いますが、やはり目標は立て ていただきたいなと思っております。 ○吉川座長  一応今お話はいただきましたけれども、長尾先生から4つほどいただきましたけれど も、それ、ちょっと組み合わさっていましたので、私はこんなふうな形で議論を進めて いただきました。長尾先生、何かまだ足りないところがありますか、お答えで。 ○長尾委員  2次医療圏に関しましては、おっしゃいましたような形でいいのではないかと思いま すが、ただ、ある程度理想的な形に至るまでは、少し2次医療圏だけでなくて、ほかの 医療圏も少しオーバーラップして考えるような方法とか、そういったことも考えてもい いのではないかと思います。 ○吉川座長  ありがとうございました。 ○長尾委員  もう一つ、追加させていただきたいのですが、必要病床数の問題、これも2次医療圏 で問題になっているのですが、これは救急も含めて論議される、前回、ちょっと私早く 帰ったので、その辺がどの程度論議されたか存じ上げないんですけれども、救急も含め て2次医療圏域で設定される方向にいけば理想的だと思うんですが、ただ、必要病床数 が地域によって非常に異なっていると。これは少し考えていただかなければいけないの ではないか。例えば九州、四国であれば、万対40、50というのがありますし、兵庫県は 万対21.7か、8 なんですね。それで病床過剰圏になっていますから、ほとんど満床状況 が続いている。そういったことで、非常に救急の受け入れ等、また入院受け入れが非常 に困難な場合が出てくると。  そういったことも含めて、少し病床の問題とか救急の受け入れの場合の問題とか、そ ういったことも、きょうのことと別になりますが、1つの論点として入れていただけれ ばと思います。 ○吉川座長  ありがとうございました。どうぞ、高柳先生。 ○高柳委員  今の説明で一番私が感じますのは、少し長尾先生のご指摘とちょっと離れるんですが 大きな問題として急性期、慢性期という尺度ではなくて、精神科には重症度という尺度 が1つ必要ではないかと思うんです。それがないと今のような議論になると1つは思い ます。  もう一つ、長尾先生がお触れになった医療圏の問題ですが、厚生省が2〜3年前にこ の試算をやったことがありますね。そのときに病床過剰圏と不足圏が出てきているはず なんで、そのデータを差し支えなければ出していただいて、議論が少し具体的になるの ではないかと思います。  それと、今、医療圏は都道府県単位になっておりますけど、やはり交通網がこれだけ 発達しましたので、果たして細かく必要病床数を各医療圏で決める必要があるのかどう なのかということも1つご議論願いたいと思いますけれども。 ○吉川座長  高柳先生がおっしゃいました前段の問題は、私は後でちょっと議論しなくちゃいけな いなと思っておりました。それは既に長尾先生が話を出されたことでもあるんですけれ ども、急性、慢性という分類だけでいいのか、真ん中のところはないのかとか、そうい うお話があったわけですし、また、それに加えてといいますか、考え方として重症度と いう考え方を今高柳先生出されて、急性、慢性だけの考え方だけでなくて、重症度別と いうことをどこかで考えないと、むしろ慢性化した人の方が手がかかるとさっきちょっ とお話があった。そうした手をかけなければいけないケースが出てくる可能性すらある そこは精神病院の1つの特殊性かもしれない、こういうことだろうと思うのですが、こ のことについてはいかがでございましょうか。 ○伊藤委員  まず、病床の分け方の問題ですけれども、それについては一般医療でも、在り方の検 討会の中で出てくる亜急性をどうするかと。重症の慢性期の疾患があるわけですけれど も、非常に手がかかって、しかも平均在院日数で切れない、長期の在院で、しかも手の かかる。それを亜急性ということになるのでしょうか。それについては急性に含めると いう方向でやっていると書かれていますが、随分議論があったそうですが、精神科医療 についても、そういう亜急性といいましょうか、院内の再発を繰り返すケースあると思 うんですね。それをどこへ位置づけるかということで、今後、実際の検討へ入るときに 病床の在り方ということで議論していくことが必要だと思っています。今の高柳先生の おっしゃることがそこで埋まってくるのかなと思います。  もう一つ、病床の在り方ということをどこで切るかということで、平均在院日数で切 るということが1つ大事なことだと思いますが、私どもの方の前の要望書の中へ書いた のですが、自治体病院としては、非自発的入院について、人権を守るという立場から人 員基準、そちらも少し含めなければならないのではないか。平均在院日数だけで切ると いうこと、もちろんそれも絡み合わせなければならんと思いますが、入院形態によって 少し基準配置も考えないとならないかなと、そういうことをちょっと考慮していただけ ればと思っております。 ○吉川座長  先生、入院形態によって人員配置を変えるという意味は、例えば病棟別に措置病棟と か医療保護病棟とか、そういうものを頭に置いてですか。 ○伊藤委員  いや、そうじゃないんです。 ○吉川座長  そうじゃないでしょうね。 ○伊藤委員  少なくとも閉鎖処遇しなければならないような方が多い病棟については、少し在院期 間が長い場合でもある程度人員基準が満たされてないときちんとした治療ができないの ではないか。先ほどの重症度との関係も絡んでくるわけですけれども、「人権」という 観点から基準も1つ出てくるのではないかなと。それも少し、すべてそれで切るわけに はいきませんけれども、措置病棟とか医療保護病棟をそういう形で切るのはちょっと不 自然ですし、そういう意味です。 ○金子委員  今、ちょっと迷っているんです。総合病院精神科のことについてだけしゃべろうか、 それとも全般のことについてしゃべろうかということなんですが、ちらっと全般のこと でまずお話しすると、やはり平均在院日数による病床区分は必要不可欠だろうと思いま す。いろいろな疾患が混在している病棟においては、病棟の機能を区分するにはそれし か方法がないんですね。それは一般医療でも同じなんです。ですからその分け方は1つ 必要だと思います。 ただ、慢性にかかるような患者さんでも非常に手厚いケアが要る方はいらっしゃるこ とは事実だと思いますので、精神科に特別なのかどうかわかりませんが、そういう分け 方も1つ必要だろうと思います。平均在院日数で切れば、一般の急性期の基準と亜急性 と慢性療養と3タイプ区分されると思いますし、それからもう一つ、慢性のいわゆる手 厚いケアをするような病棟が必要かなと思っております。  次に総合病院の精神科のことを少しお話ししたいのですけれども、実は精神病院特例 というのは精神病床に対する人員配置基準のモデルになっております。ですから総合病 院の精神科でも精神病院特例によるような基準が適用されているということが現状です 医者の配置とか看護婦さんの配置は精神病院特例にならったような配置になっていると ころが現状です。  それから、もう一つは、精神病院特例というのは、精神疾患はすべて慢性疾患という よりも慢性期であるという前提のもとに立っているのはおかしいなと思いますし、また 33万床ある精神病床がすべて同一機能の病棟というのもおかしな話だと思っています。  病棟機能別に分けるという一般医療の流れには問題もありますけれども、先ほども述 べましたように基本的には私は賛成です。精神疾患も急性期に対して人員配置を充実し て濃密な医療を行えば、平均在院日数は短縮できるというのは、資料9にあったとおり だと思っております。  また、地域の精神医療は、先ほど高柳先生からは交通網が発達したので、今の2次医 療圏より広くてよろしいのではないですかというお話がありましたけれども、ただ、救 急対応や急性期医療にシフトするというのが地域精神医療の在り方としては当たり前の ことでありますので、その圏域は2次医療圏域が適当だろうと思います。  その意味では、地域精神医療の核となるのは、一般医療の一分野として、精神医療を 提供できる医療環境であり、それは総合病院精神科と。総合病院というのはなくなりま したので、総合医療を提供する一般病院に併設した精神科でなされるべきというふうに 考えております。  私が提案したいのは、一般医療と同等の基盤に立った精神科の病棟を要望します。平 均在院日数も一般科と同等で結構です。そのかわり、マンパワー、医者の数、看護婦さ んの数、また施設基準、診療報酬も一般科病棟と同等にしたような病棟をつくっていた だきたいと思っております。以上です。 ○吉川座長  ありがとうございました。長尾先生。 ○長尾委員  今、金子先生言われたのは非常に理想的なことだと思うんですけれども、今、総合病 院はなくなったと言われましたが、いわゆる総合病院での精神科を持っている2次医療 圏に配置されているところがどれだけあるのか。そういうことも含めて、総合病院だけ が救急医療、入院医療を急性期を賄うことは不可能なことであって、単科の精神病院等 も含めて、その2次医療は受け入れなければできないということがあると思います。  その中で、看護婦数、医師数の問題が出てますけれども、看護婦数はほとんどクリア できてきているのではないか。まだ一部では難しいかもしれませんが、新看護体系にな ってほとんどがクリアされてきているのではないかと思っております。ただ、医師数に 関しましては、一般病院と同じでと今言われますと、これをクリアできないところがほ とんどだろうと思うんですね。やっと今の現在の数が満たされてきつつあるといったと ころで、これも地域による差も大きいと思いますし、今、これをすべて急性期病棟、一 般精神科病棟について、16人に1人というような形になりますと、90%以上の病院がパ ンクしてしまうと思います。ですから、これは現実的にどうやるのかということをしっ かりと見据えてやらなければいけないと思っております。 ○高柳委員  私、前から金子先生に一遍お聞きしたいと思ったんですが、一生懸命頑張っても精神 病院では1年以上残留率というのがあるんですね。大体10%前後なんです。その患者さ んを先生のところでどうなさっているか、お聞きしたいんですけれども。 ○金子委員  1年以上、治療にかかる方という意味ですか。 ○高柳委員 それでもなおかつ退院できない人。 ○金子委員  残留される方はないことはありません。ただ、我々の地域では、病院ごとに病病連携 というのを行っております。要は機能別なわけですね。慢性の療養が必要な方にはその ような病院に行っていただくということをしております。それは医療機関として責任性 の問題があると言われればそれまでかもしれません。ただ、一般医療におきましても、 医療機関の在り方はそのような流れにあるのではないでしょうか。ですから私はそれは ある程度仕方のないことかと思っております。  それから、長尾先生に2つの点で誤解のないように申し上げたいと思うんですが、1 つは、現状の話をしているのではなくて、特に総合病院の精神科有床のところがある2 医療圏は半分以下ですから、現状では全く今私が申し上げたようなことはできません。 ですので、今後、もしプランニングをするのであれば、こうなった方がよろしいという 提案であります。  もう一つは、精神医療界全体のことを申し上げているわけではありませんので、総合 病院の精神科がすべてを賄うのだと申し上げたつもりもございません。以上です。 ○吉川座長  ありがとうございました。高柳先生のご質問に対して、それでよろしいですか。 ○高柳委員  いいです。事実が明らかになりましたので。 ○吉川座長  わかりました。竹島先生。 ○竹島委員  さっきの医療圏の中に病院がない地域とかいろんな問題がありましたけれど、例えば 病院が都市部に集まっていて、地方に病院がなかったりする場合には、単身で生活保護 になった人が病院の近隣に住むという人の移動が起こってくる。そういったことから、 結果的に生まれた地域とだんだん縁が切れていくと。縁のない中で単身生活を長く送ら なければならないといったケースもあります。ですから医療圏の設定、そのほか、一部 柔軟に動くべき場所は私はあると思いますけれど、保健とか福祉の部分といっても連動 しなければいけないのではないだろうかと考えます。特に医療圏内に精神科医療機関が ない場合には、やはり保健所の相談等である程度補って、その上で、例えば往診システ ムを取り入れるとか、今までの一色ではなしに、濃淡をつけた地域保健活動が必要にな ってきはしないかという感じがいたします。  それと、先ほどの金子先生の総合病院の機能といった問題なんですが、私は急性期の 治療の中にも、少数ですけれど、さらに濃厚な部分を一部設定する必要があるのかもし れない。その分がある程度広域に24時間で対応したりということをしながら、だけど、 全体である程度のカバーをしますよと。さらにそこで難しい部分とか重症の人とか、合 併症の部分は別個にもう少し濃厚な対応ができるところがあるというような考え方をと れば、先般の精神保健福祉課で出されていた救急といった問題とも結びついていくのか なという感じで聞かせていただきました。  それともう一点は、これは逆に難しい問題になっちゃうのかもしれませんが、現在の 大都市の精神科の病床が本当にこれでいいのか。それとも本当はもう少し必要なのに減 ってきてしまって、今後の高齢化とかいろんな波の中で、これで耐えきれる状態にある のかといったことも分析が必要ですし、ある程度、一種の配置転換みたいなことを許し ていかれるのかどうかといったことをもう少し議論が必要なことではないかなというよ うに思ってきました。でも全体では、やはり今の問題は重要なことではないかと思って おります。 ○吉川座長  ありがとうございました。  それでは、一応の議論が出たようでございますので、あと加えていただくことは、そ れぞれ加えていただきますが、「基本的な考え方」としてまとめさせていただいたとこ ろを少しずつなぞっていきたいと思いますが、最初のマルのところにありますように、 「精神病床についても、原則として病棟単位で急性期と慢性期」云々という、そうした 2つに分けて考えていくことに関しては、精神科の場合には重症度の問題もあるけれど も、原則的にはこれはこういう考え方で分けていくことでよろしゅうございますでしょ うか。 ○守屋委員  今の重症度の問題は極めて重要な問題なので、これを単に急性期と慢性期だけではな くて、重症度、特に慢性期の中の重症な患者について、もうすこし踏み込んで議論する 必要がないでしょうか。 ○吉川座長  先ほどの議論の中では、そうした意味では「慢性期」という表現ではなくて、むしろ 繰り返して、院内で再発をする急性期の患者、こういうふうに考えようというご提案が あったような気がするんですけれども、そう考えたときでもだめですか。 ○守屋委員  現実に精神病院等で長期で、しかも重症で非常に治療の困難な患者さんの一群がいる これをどうしていくかということが今後の精神医療にとって極めて重要な1つの課題で あると認識しています。そうすると、いわゆる急性期、それから、確かにここに書かれ ているようなリハビリを中心とし、治療を進めていかなければならない慢性期の患者。 そして急性期と同時に、今申し上げたような重い患者さんの一群、この方たちをどうす るかという問題を抜きにして考えられないと思います。 ○吉川座長  急性というところでまとめてはいけないということですね。 ○守屋委員  先ほどの一般病床の中で、亜急性期の患者さん、病状が不安定で病状の変化がある亜 急性期を急性期の中に入れるという考え方を先ほど示されましたね。それと同じように 考えて、ちょっと意味が違うかなと思うんですが、そういう重症の人を急性期の中に入 れて、例えば、今後の人員配置基準等も同じような視点で見ていくというような意味で あれば、私はわかりますけれども。  先ほどの急性期と慢性期と分けた場合も人員配置基準の問題とも連動してくる問題だ ろうと思います。そうすると私が申し上げた慢性期の中でかなり重い患者さんについて は、非常に多くのマンパワーを必要とする、ですから、先ほどの一般病床の中でいう亜 急性期と同じように位置づけるという意味でも、そういうマンパワーという視点がきち んと入れられればと思います。 ○吉川座長  その意味があったので、今、急性というところに組み込もうとしたんです。それでは ない、違いますか。 ○高柳委員  守屋先生がおっしゃること、私も痛いほどよくわかるんですが、結局急性期というイ メージは、急性期を脱する可能性があるというふうに考えちゃうわけですよ。その可能 性はないんですよ、全く。だから、繰り返し急性期という概念は当てはまらないんです そういうことだと思うんですね。  日精協出身の委員としましては、これは人員基準に即、結びつけられて、非常にちょ っと困った問題が一方ではあると。長尾先生おっしゃった意味であるという実感は持っ ているので、危険な概念ではあるのですが、現実として何らかの保険診療上の対応でも していただければ、もっと別途やり方はあるとは思いますけれども、そういうことを背 景にした上で、なおかつ守屋先生のおっしゃった意味で、重症度というものを尺度とし て入れていただきたいと思います。 ○吉川座長  そうすると、先ほど高柳先生から出ていました急性、慢性以外に重症という概念を入 れて、精神病床に関しては、この3つの病床区分を考えていくということになるのでし ょうか。 ○杉中補佐  守屋先生の確認ですが、重症のまま長期間入院医療が必要な人については、急性に準 じた扱いをしろというのが先生のおっしゃる意味ですか。 ○吉川座長  そうですね。 ○杉中補佐  そういう形で、これだけではなくて、コメントしておく必要があるというのが、先生 のご指摘だと。 ○守屋委員  全くおっしゃるとおりです。 ○吉川座長  ちょっと高柳先生と違いますね。 ○高柳委員  急性期がそれで終わるということでないとすれば、脱する可能性がないという意味を 含んでいるとすれば、今、杉中さんおっしゃったことで私はいいと思うんです。 ○吉川座長  そうですか。わかりました。 ○後藤委員  ちょっといいですか。 ○吉川座長  はい、どうぞ。 ○後藤委員  同じことがどうも慢性期にもあるので、これを際限なく論議するわけにいかないんで あれなんですけど、慢性期と分けたときだって、要するに長く入院している人といいま すけど、それは社会復帰はかなり困難。つまり急性期ではないんだ。でも障害が非常に 重いという、病状の問題ではなくて、むしろ障害が重くてという場合があると思うんで すよ。  以前にニューヨークに行ったときに見せてもらった州立病院は、急性期とは別個に慢 性の社会復帰困難病棟を 100床ぐらい持っていたんですね。だから、ある意味で分けて いくとそういうところも入ってきてしまうのではないか。ここで私はこれを論議してく れというつもりはないんですけど、もし急性期の中でずっと重症も急性期に入れるのだ とすれば、慢性の中でずっと重症という、いわゆる派手な症状を持っているのではない んだけれどもという部分を慢性に入れちゃうのか、それとも、それは社会復帰対策とか サポートの不足というところに入れてしまうのか、その辺はちょっと私はひっかかると ころがあります。リハビリとか地域をやっていた経験から言いますと。できれば、慢性 の中にもそういう困難なものがあるという視点ですね。だから、亜急性あるいは急性の 重症の中に障害が非常に強いために長くなってしまっているという部分もそこに入れる ことも配慮した方がいいのではないか、そんな気がするんです。 ○吉川座長 今の後藤先生が言われたことの先といいますか、関連は高柳先生のお考えでしょうか ○高柳委員 ちょっとイメージが違うんですね。 ○後藤委員 違う。 ○吉川座長 ここまで細分化しちゃうとどうなんでしょうかね。 ○高柳委員 特に分裂性の障害のかなり人格水準の低下した状態とはちょっと、守屋先生がおっし ゃっているイメージと、私が言っているイメージとはちょっと違うと思います。 ○吉川座長  違いますね。 ○後藤委員 だから、ここまで細分化する必要はないんですが、私は多分そういう部分があるだろ うというふうに思っています。 ○吉川座長 その議論を今ここで出されたということは、こちらの頭の中に報告書がありますから 報告書の中でどう書けということなのかということをちょっと言っていただかないと。 今、整理のところですのでね。 ○後藤委員 急性期の中にいわゆる重症という概念を入れるときに、社会生活に障害を抱えている という部分を重症度の中に入れるような形はとれないだろうかということです。 ○吉川座長 その障害という意味は何でしょうか。生活障害ということですか。 ○三觜課長  議論の視点で、医療法で考えているのは、あくまでも医学的ケアについての急性期、 慢性期という概念だけなんですね。そこで精神科特有の障害のレベルというのを持ち込 むと、ちょっとかみ合わなくなっちゃうんじゃないかというおそれがありますので、で きましたら、医学的ケアを中心としたとらまえ方ですか。先ほどの重症度の問題も、医 学的な意味合いにおいてどうなのかという切り口がまず前提にないと、精神科だけ、ま た変な方向に走っていってしまうおそれがありますので、その辺、ちょっとご了解いた だきたいと思います。 ○後藤委員  それは了解済みなので、そこも含めたつもりで。 ○吉川座長  長尾先生、どうぞ。 ○長尾委員  これは一般科でもちょっと共通するかもしれませんけれども、機能分化、急性期、慢 性期と分けることにつきましては、ある程度の規模の病院は自然発生的に分かれてきて いると思うんですね。ただ、小規模の病院であれば、機能分化を熱心な一部の病院だけ が行うということですけれども、行われていると書いてあるんですが、規模が小さいと これはなかなか困難なところがあると思うんですね。その辺、無理やり慢性ないし急性 どちらかを扱えというふうに迫っていくのかどうか。その辺も1つあると思うんです。  それから、この急性期というのは、一般にとらえられているのは、どちらかというと 入院期間でどうもとらえられている気がするんですね。果たして、この急性期というの は入院期間だけで持っていいのかどうか。入院する人でも非常に重症の人から軽症の人 まであるわけですね。今、精神科の急性期病棟あるわけですが、その急性期病棟に軽症 の人から何からすべてを一緒に入れればいいじゃないか、そうすれば十分急性期病棟と してとれるじゃないかという意見を言う人もあったんですが、なかなかそうはいかない ですね。やはりその人の症状に応じて、この病棟、この病棟の方がふさわしいだろうと いうような入院があるわけなんで、その辺も入院だから急性期病棟だというとらえ方を 強くしていくと、我々としては難しい状況というか、しんどい状況も出てくるのではな いかと思います。 ○吉川座長  私の方が、これを急性期、慢性期でいいんじゃないかと、先ほどちょっとご提案申し 上げたのは、長尾先生が冒頭そういうふうにおっしゃったからでしたけど、今、長尾先 生のご意見少し変わったような気がいたしますけれども、急性、慢性ということだけで なくて、それはおっしゃりたいことは、重症度の問題をどう考えるかということなんだ ろうと思います。ですから発症間もないから急性でということでも、それは発症間もな くても、当然軽症のものもあるし、重症のものもある。その辺のところを精神科の医療 の中でも考えなければいけないんじゃないか、こんなふうにおっしゃってくださってい る。そうですね。 ○長尾委員  はい。 ○吉川座長  それと、それから、先ほどもちょっと話が出ましたように、精神障害の問題は、三觜 課長からもお話出ましたけれども、「医療」というものを中心にして考えてほしいとい うことでありましたけれども、確かに医療が長期間にわたって、かなり濃厚な医療が必 要なケースがあり得るというのがもう一つの問題でございまして、それをやはり重症と 考えるならば、重症というものを対象にした病床、あるいはそういう区分をどこかに考 えなければいけないということになるでしょうか。そういう病床を設けろという意味で はありませんけれども、そのことについて考慮すべきだというところまでは皆さん方一 致したのではないでしょうか。どうでしょうか。 ○守屋委員  私は医療的に慢性期というか、長期入院している患者の中でも非常に治療が困難な、 いわゆる医療上困難な患者がいるという現実があるわけで、そういう方に対して、今、 先ほど杉中さんがおっしゃったような意味合いで急性期的な取り扱い方がこの場合に必 要だというのが私の意見なんです。 ○吉川座長  そうですね。それはわかっています。それでよろしゅうございますか。  そうだとすると、次のマルの2のところに進ませていただきますが、「現在の精神病 床が80%以上」云々というのは、先ほどから何べんかお話ございました。その人員配置 基準について、病棟単位にしていくことが必要なのではないかということですが、これ についてはいかがでしょう。病棟単位、要するに今までは病院単位であったけれども、 これは病棟単位としていくという考え方。 ○高柳委員  これはむしろ総合病院の精神科の立場を私は心配しているわけですが、今までは、 トータルとしての人員配置基準で特例扱いで、実は総合病院にとって余りお荷物ではな かったんですね。そういう経過があるんです。  ところがこれが精神個別になりますと、これから総合病院精神科は非常なお荷物にな っちゃって、診療報酬上がりません、安いですから、ほかに比べて。ですから、これは お荷物になっちゃって、総合病院の精神科の院長さん方、早くやめてしまえという話に なりはしないかというふうな感じがしてしようがないんですけど。 ○吉川座長  どうですか、金子先生。 ○金子委員  先ほど申し上げましたように、大体精神病院特例プラスアルファ、ちょっと上ぐらい の人員配置をしている病院が、医師数ですが、多いんです。そうしますと病院単位でい わゆる全部、何類型にするかはあるでしょうけれども、すべて同じ人員配置基準にする とすれば、必ずや医者の数は今よりは減らされます。ですからむしろもうかるでしょう かね。人員が減りますから、医者の人件費が浮いてくるということにはなります。ただ ケアは落ちますね。  ですので、先ほど私は一般医療としての精神科病棟という、だから、超急性期と精神 科の急性期と慢性療養と慢性の手厚いケアも要ると、4類型が必要なんじゃないかと思 います。そこの人員配置基準は一般科と同等が必要だろうと思います。ただ、足かせも 入り用ですね。 ○杉中補佐  いわゆる急性については一般病床並みにすると書かせていただいていますので、今、 特例にプラスアルファぐらいであれば、足りなくなるのではないかと思いますけど。 ○金子委員  足りなくなると思います。現在、足りているというところはないんですよ。暇で困り ますという総合病院の精神科は余り聞いたことがございませんので、我々としてはマン パワーの充実をというのは以前からの要望でございますので、ぜひ今回は、一般医療と して精神医療の一部門を認めていただきたいということでございます。 ○三觜課長  総合病院の精神科ベッドは特例措置がなくて、一般科並みの医師と看護婦を張りつけ るようになっているわけですよね。先生のおっしゃっているのは、そういう病院なりに もかかわらず精神科だけ減らされていて、その分はほかの中にいっているわけでしょう ○金子委員  そうです。 ○三觜課長  だから、本来のもとに戻れば、一般科並みの医者と看護婦が本来いなければ、何のた めの総合病院精神科なのかが理解できないんですよね、私は。 ○金子委員  今の人員配置基準は病棟単位ではなくて病院丸抱えですよね。ですから傾斜配置がで きるわけです。管理者の考えるのは、精神科ならほかの精神病院並みの人員配置でよろ しいだろうというのを当然考えるわけなんですよ。内科と同等に配置しようなどという 頭は毛頭ございません。なぜかというと売上げが低いからです。 ○三觜課長  それは精神医療が正しくその病院で評価されてないからじゃないですか。 ○金子委員 精神医療が評価されてないというよりも、やはり単科精神病院の……。 ○三觜課長  単科の精神病院が特例措置があるからいいという論理。 ○金子委員  先ほど冒頭でも申し上げましたように、モデルとして精神病院特例が使われていると いうことです。 ○吉川座長 そのとおりだと思いますけれどもね。 ○高柳委員  私、非常に危惧するのは、金子先生おっしゃっているような、今の人員配置が少し濃 厚な総合病院もありますが、そうじゃなくて非常に薄い病院もあるんですね。先生、お っしゃっているのは平均像ではないと私は思うんですが。  もう一つは、外来が非常に多いんですよ。外来の医師数を正常にカウントなさってい ると、相当医療法の標欠が出てくるというふうに私は見ているんですが、それでなおか つ、これもやりますと、果たしてどういうことになるのか。私、総合病院の精神科は存 亡の危機になるのではないかと実は心配しているんですけど。 ○吉川座長  守屋先生、何か。 ○守屋委員  ここをずっと読んでいきますと、いわゆる人員配置基準を病棟単位ごとにして、急性 期病棟は一般病床並みの人員配置基準の方向で考える、こういうふうに読めるわけです だから、今、金子先生がおっしゃった問題についても、ここでの流れで見ると、今、私 が申し上げたような形で読み取れるので、いいんじゃないかと思った。 ○金子委員  一般病床に対するものを精神科の病棟に適用していただければ、そのとおりで結構で す。ただ、精神科の急性期病棟というのはどのようにつくるのか。例えば、今の急性期 治療病棟入院料が取れる病棟というようなことを考えておられるのであれは、全体とし ては、総合病院の精神科だけではなくて、大幅な人員増が必要なのかと思いますけれど も、そのとおりであれば、非常に結構なことだとは思います。現在の傾斜配置から、そ うではなくて、課長がおっしゃったように正常な姿に戻れるきっかけになると思います ○三觜課長  だから、高柳先生、ちょっと違うんじゃないかと思うのは、この基準は、病棟単位で やることになるわけで、今までは80%で精神病床がないと特例が認められなかったのを 今度緩くなるわけです。だから、先生の心配されているのと逆な方向だと思うんですが それと先生のおっしゃっている、これをなくすと、総合病院の精神科の医療スタッフが 充実するかしないかは、やはり総合病院の経営戦略の中で精神科がどう位置づけられる かによって決まるわけですよ。  私らはさっき申し上げたのは、総合病院の中の精神科というのは、単科の精神病院よ りもマンパワーは厚く要るだろうと、このように医療法はなっているから。法律を扱う 側としては単純に考えるわけです。収入が少ないから減らされているということは現実 論としてあるのかもしれませんけれども、だけど、そこは医療法の趣旨から言えば、精 神科ベッドといえども、単科の精神病院で認められているような特例措置でいいという ことは言ってないんです、法律は。そこの辺で総合病院の精神科のベッドを有するとこ ろは、もっと医療法を文字どおり解釈していただいて、頑張っていただきたいなという 希望があるものですから申し上げました。 ○金子委員  ありがとうございました。 ○吉川座長  それでは、今、課長がお話になられましたように、これ自体は総合病院の精神科の中 の傾斜配置でだんだんと薄くなっていくということでは全くないと思いますので、これ はこのまま通過させていただきます。  その次のところは、医療法の見直し云々によるという、今の議論されていることにほ ぼ重なるところでございますので、これはそのまま通過させていただきます。  その次のマルのところ、急性期については、地域に密着した医療であるべきであると いうことから考えて、2次医療圏の問題でございますけれども、先ほども大分議論して いただきまして、実質的に2次医療圏といっても、ただ、病院の偏在があることは確実 なんだから、それを言葉として言うことはどうかということだと思います。でも、こう あるべきという意味では、1つの方針として出しておくこともいいのかなと、こう思っ ておりますけれども、この言葉ではやはり難しいでしょうか。 ○守屋委員  これはまさにここの前にも出ていますけれども、いわゆる2次医療圏ごととするメリ ットということで4つ挙がっています。これらのことは、今、精神医療の中で求められ る極めて重要なことで、これは現実にすぐどうのということではないと仮定しても、こ の方向で努力していくことは絶対に必要なことだろうと考えていますので、大賛成です ○吉川座長  ありがとうございました。 ○後藤委員 先ほど18カ所、2次医療圏に病床がないところが新潟県に1個ありまして、隣の圏域 で勤めていたことがあって、要するにその病床がないところから来る患者さんは大変な 患者さんばかりだった。今でも多分そうだと思うんですけれども、そういう意味では、 やはりある圏域を設定して、そこにその地域の中で見ていくというのが、そういう目標 を掲げることが大切なんじゃないかと思いますので、「2次医療圏」という言葉で、私 はいいのではないか、そんなふうに思います。 ○伊藤委員  この部分については特に異論はないんですが、現実に今すぐ解決できないという問題 があるわけですが、それに関連して、2次医療圏に全く病床がなかったり、あるいは非 常に少ない地域に関しては何らかの支援策を過渡的にやることもあればいいと思うんで すね。例えば、精神科の医療の支援病院みたいのを指定しまして、そこには人員を少し 多めに配置して、例えば地域にある国保病院というのは結構あるんですね。そういうと ころ外来だけでもやってあげるとか、そういうような具体的な過渡的な措置で地域医療 を少しでも進めるというような具体的な提案が少し入っていた方がいいかなと思いまし た。 ○吉川座長  わかりました。  1つ、ご提案をいただきましたけれども、理想的というわけではありませんけれども 考え方として、「2次医療圏ごと」という前提を立てながらもそこへどう近づけていく かという点で、国保病院等を利用しながら、外来診療だけでもきちんとそこに進めてい くというような、そういうことを書き入れた方がいいのではないだろうか、こんなふう に受けとめさせていただきます。  それで、最後のマルのところですけれども、このことが、実は急性、慢性、重症とい うお話と絡んでいるところでございまして、一番最後のマルのところを第1番目の「基 本的考え方」のマル1のところに組み込みながら表現させていただくことでいかがでし ょうか。  それは、先ほど守屋先生がちょっとおっしゃっていましたように、一方では医療の ムードが濃いものが必要というのは急性のところで扱うという考え方としてもよろしい かと思いますけれども、この慢性の中にも2種類あるだろう。こういうことの考え方を ここで出しておりまして、そのうちの1つが、急性の方に回っていくということは、恐 らく先ほど守屋先生が言われた議論ではないかなと思っています。  こんな書き方でよろしゅうございますでしょうか。また、いずれにしても、文章化し た時点では皆様方にお諮りをいたしますので、ここで原則的なご了解だけいただいてお いて、あとは文章化に入らせていただこうと思っています。よろしゅうございますか。 ○長尾委員  1点だけ、急性期の問題で医師数の件ですが、これは医師の需給関係を十分にらみな がらということをぜひ入れておいていただかないと、実際どの程度できるのかどうかと いうことを。 ○吉川座長  それは2次医療圏の問題もそうですね。 それでは、第1番目に、医療法における精神病床の在り方についての検討ということ につきましては、一応これで卒業させていただきます。 ○守屋委員  ちょっと先生、よろしいですか。マル4の「また、急性期病棟の中から精神科救急に 係る指定病院を設ける等の措置を講じ」というところですね。これは議論されたと考え ているんですか。 ○吉川座長  これには特別な議論がなかったような気がしましたので。 ○守屋委員  今までこれ出てきました? ○吉川座長  ええ。 ○守屋委員 いわゆる急性期病棟の中からということで、これまでの議論を踏まえますと、病棟単 位ごとにして、急性期病棟は一般病棟並みの人員配置基準並みにしていく。そして、そ の中から指定病院を設けて精神科救急にかかわっていくものを指定しようと、こういう 考えですよね。 ○杉中補佐 そういうことです。 ○守屋委員  これはかなり大きな問題も含むと思うので、皆さんが本当にこれでいいかどうかとい う議論は必要ないかと。私はこれで賛成なんですけど。 ○吉川座長  杉中さん何か。 ○杉中補佐  ここに書いてあるとおりでございます。前回、精神科救急は今の応急入院指定病院み たいのをやめて、いわゆる救急に係る指定病院制度を設ける必要があるのではないかと いうことになったときに、当然その救急対応の必要な病院は急性期に対応する必要があ るので、その急性期病棟を持つ病院の中からそういった指定病院を設けるということに よって、両者のリンクを図っていくべきではないかという趣旨でここに書かせていただ きました。 ○吉川座長  それでは、これは一応卒業させていただきます。 ○杉中補佐  いずれにしても、高柳先生とかいろいろ言われているとおり、実際にどれぐらいの配 置があるのかというシミュレーションとか、もうちょっと実際にどれぐらい病床不足し ているところがあるのか、過剰しているところがあるのかというような分析が必要だと 思われますので、それについては引き続きやっていって、この委員会の中で必ずしもそ こについて結論が出るかどうかはわからないところなんですけれども、引き続き全体の 議論をしていく中で、もうちょっと詳しいデータを出していきたいと考えております。 ○吉川座長  ありがとうございました。それでは、6時5分ぐらいまでちょっとお休みをさせてい ただきまして、後半に入りたいと思います。                 ──休 憩── ○吉川座長  それでは再開させていただきます。  次が資料No2のところにあります「医療法関係規定にかかる問題について」(検討メ モ)を中心にして話を進めさせていただきます。今までかなり時間をかけて議論してい ただきましたこともこの中に含まれているものもありますので、とりあえず杉中補佐か らご説明いただいて議論を進めたいと思います。 ○杉中補佐  それでは説明させていただきます。  まず「精神病者にかかる精神病床外収容の禁止規定について」ということでございま す。まず現在の状況の説明でございますが、現在、医療法の施行規則第10条第3号にお きまして、「精神病者は、精神病床にしか収容できない」という規定が設けられており ます。医療法において、このような規定が設けられている理由は、精神疾患の治療のた めには適切な精神医療を提供できる場で処遇されることが必要であるということで、そ れを担保するために設けられた規定である。  かつての精神保健法におきましても、精神障害者については、精神病院以外に収容し てはならないといういわゆる施設外収容の禁止規定がございました。当該規定について は、精神障害者を私宅で監置することを防止し、精神障害者に適切な治療を与えるため に設けられた規定でございますが、精神病院数の増大等により、当初の政策目標を達成 したことや、当該規定が、かえって精神障害者の社会復帰施設への入所等の妨げになり かねないことから、平成5年の精神保健法改正時に廃止されております。  医療法の当該規定につきましては、特に精神疾患とその他の疾患を併せ持つ、いわゆ る身体合併症患者の治療の際に問題となってきております。現在の規定に基づきますと 身体合併症患者については、緊急の場合を除いて一般病床での対応ができないこととな っております。  「問題点」でございますけれども、実際には、当該規定を根拠に、一般病院側が精神 障害者の治療を拒否することも少なくなく、一般病床において診察する場合にも、精神 病院側の付き添い等を要求するといったことも多い。このような状況の中で、腎透析が 必要な精神障害者の治療を一般病床側が拒否した結果、当該精神障害者が死亡し、治療 を拒否した病院が裁判によって敗訴すると。その結果、病院が損害賠償請求を負わされ るといった事件も発生しております。  急性期で興奮状態にある患者につきましては、精神科以外の医師が診察することは困 難な場合は考えられますが、身体合併症の患者について、一般的に精神科医療が優先す るのか、また一般医療が優先するかについては、当該患者の病状に応じて判断されるべ きであろうと考えられます。  また、伝染病床についても同様の規定がございますが、この場合には伝染を防止する という合理的な理由があり、精神病床と同列に扱うことは不適切なのではないか。  以上を踏まえた上で「基本的な考え方」でございますが、医療法施行規則に基づく当 該規定につきましては、これを廃止するか、もしくは「精神疾患の治療を行う場合には 精神病床に収容しなければならない」といった趣旨で改定をして、身体合併症患者の一 般病床での治療を妨げることがないようにするべきではないかということでございます  2つ目の関係でございますけれども、「医療法施行規則第16条第6号関係」というこ とでございまして、これについても、同第16条第6号におきまして、一般病院において 精神病床を設ける場合には、精神病床を遮断する構造設備を設けなければならないとい う規定が設けられております。  当該規定は、特に指定病床等の急性期の患者を入院させる場合には、危険防止、危害 防止の観点から設けられたものであり、確かにこのような配慮が必要な場合はあると考 えられます。  「問題点」でございますけれども、しかしながら精神病院に入院する患者の病状も多 様でございますので、すべての患者についてこのような閉鎖的な措置が必要であるとい うことは言えないのではないか。一般病院における精神科がもっぱら開放的な処遇を行 っている場合には、必ずしもこのような設備は必要ないのではないかと考えられます。  実際に、昭和32年の茨城県知事からの、当時の医務局長への疑義照会に対して、「精 神病が軽快し、比較的に危険性の少ないと認められる精神病患者のみを特に収容する病 棟」について、当該条項を適用する必要があるかという質問に対しては、「個々の場合 に応じて収容患者の病状等により具体的に判断すべきである。」という回答を行ってお ります。  現在の規定は、すべての精神障害者について危険であるかのような印象を与え、精神 障害者に対する差別を助長するおそれがあるものであると考えられる。いずれにしても このような構造設備が必要かどうかについては、その病院の実態に応じて検討すること が適当であると考えられますので、医療法施行規則において義務づける必要はないので はないかと考えます。  「基本的な考え方」でございますけれども、このような構造設備が必要かどうかにつ いては、病院の実態に応じて検討されるべきであり、医療法施行規則において義務づけ る必要はないと考えられますので、当該規定を廃止するべきではないかと考えられます  次に「保護室についての考え方」でございます。  保護室の現在の考え方ですけれども、保護室は医療法上の病室でありまして、また、 医療計画上も必要病床数にカウントされることになっております。したがって、現在の 制度におきましては、病院における全病床を有効に活用するためには、患者を保護室に 入室させざるを得なくなります。それにつきましては、昭和29年の東京都衛生局医務部 長による疑義照会に対する回答として、「保護室は病室として取り扱うべきであり、監 護を要すべき患者のいない場合、保護室を通常の精神病室として使用することは差し支 えない」という回答を行っております。  しかしながら、現在の精神保健福祉法上の考えから言いますと、保護室は患者の隔離 のために使用されるものでありまして、「患者の病状から見て、本人または周囲の者に 危険が及ぶ可能性が著しく高く、隔離以外の方法では、その危険を回避することが著し く困難であると判断される場合にのみ、やむを得ずこれを行うことができる」と規定さ れております。したがって、現在の処遇に関する基準を遵守することになると、保護室 については、その必要のない患者を収容できない。したがって、病床の一部を使用でき ないということになる。反対に病床を満床にすることを優先するのであれば、保護室を 他の目的に使用することになるので、現在の制度は矛盾しているということは言えるの ではないか。  なお、一般病院につきましても、集中強化治療室(ICU)がございますが、これに つきましては、緊急かつ集中的な医治療を行う病室であることから、もっぱら当該病室 に収容された者が利用する他の病床が同一病院内に別途確保されていると。要するに ICUに入っている患者に対してのバックベッドというものが別途設けられている場合 には、必要病床数にカウントしないこととされております。  また、保護室の問題ですけれども、保護室に入れる必要はないけれども、他の患者と 同室で処遇するのは好ましくないといった程度の患者についても、保護室を利用してい くというのが現状でございまして、このような状況に対応するための個室についての考 え方がないという問題等がございます。  以上を踏まえた上で「基本的な考え方」でございますが、保護室については、やむを 得ない場合のみ使用することとするべきであり、通常の病室と同様に扱うのは適当では ないと考えられることから、バックベッドを確保している場合には必要病床数にカウン トしない、いわゆるICU並みに扱うこととするべきではないか。  また、保護室と個室の区分を明確化するということで、保護室を個室的に使用するこ とがないようにするべきではないかということでございます。以上でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。このことに関しましては、Iの問題から順繰りにやってい きたいと思いますけれども、「現状」と「問題点」に関して「基本的な考え方」へ引っ 張っていくための情報としていかがでございますか。何かこの中で問題点がありますで しょうか。  もし、特別ないようでしたらば、Iの「基本的な考え方」のところで議論をしていた だいて、そして、さかのぼってもいいかと思います。「基本的な考え方」といいますの は、精神病者にかかる精神病床外収容の禁止については、これを廃止するか、もしくは ここに書いてありますように、「精神疾患の治療を行う場合には精神病床に収容しなけ ればならない」、そんなような言葉に直して、そして医療法施行規則の中に書くことが 望ましい、そういう考え方です。 ○金子委員  一般病床があるということで、また総合病院の精神科としてお話しさせていただきま すが、一般科病棟での精神医療は、身体病患者さんに対する精神医療と精神障害者の方 の身体病の治療の上では非常に重要ですので、日本総合病院精神医学会としては、以前 より医療法施行規則第10条第3項を廃止していただきたいという要望書を提出しており ます。言い方を変えるというよりはぜひ廃止していただきたいと思います。伝染病予防 法も感染症の予防ということで、いわゆる「隔離」という言葉ではなくというように、 人権に配慮した方向に進んでおります。そうなりますと精神障害だけ残ってしまいます し、廃止していただいた方がよろしいと考えております。 ○吉川座長  それではほかに、どうぞ。 ○伊藤委員  今、金子先生がおっしゃるのは、そうすると後半の言葉の言いかえはない方がいいと いう意味ですか。 ○金子委員  そうです。 ○伊藤委員  これは議論していただいた方がよろしいと思いますね。 ○吉川座長  いかがでしょうか。 ○高柳委員  前々回の広瀬課長の平成5年の改正でしたかね。 ○吉川座長  はい。 ○高柳委員  あのときの議論では、実は精神病院協会の内部の議論では、精神病院の表現はどう表 現していいかわからないですが、精神病院たるゆえんがなくなるんじゃないかという心 配をなさるむきがありまして、その当時、お答えがありましたのは、いやいや医療法で こういう縛りがあるからいいんだというふうなお答えでありましたので、全く外しちゃ うと、その辺のところが、精神病院たるゆえんは何かというのがわからなくなっちゃう んじゃないかという懸念はありますね。  ただ、金子先生がおっしゃった趣旨はよくわかりますので、私は趣旨には賛成ですが あとの文言は私は残しておいていただいた方がいいのではないかと思います。 ○吉川座長  一般病院に近づけるということをずっとこの何十年かやってきたような気がいたしま すので、そういう傾向の中では、一般病院あるいは一般病床に近づけていく考え方とし ては、少なくとも前段はよし。そして後段も含めて、まだ少し議論があるところだから 後段を含めて考えていくことになるかと思いますけれども、それでよろしゅうございま すでしょうか。 ○伊藤委員  もし残すのであれば、後段ですね。精神科の治療を「主として」といいましょうか、 これの書き方だと、精神科の治療をしている場合には全部精神病床に行かなければなら なくなりますので、何か一言条件つけなければならないですね。 ○吉川座長  はい、わかりました。では「主として」というような。 ○伊藤委員  私は残す必要はないと思っていますので、残す場合は。できたら残さないで、最初の 方だけにしていただきたいというのが私の意見です。 ○吉川座長  残すとすれば、「精神疾患の治療を主として行う場合には精神病床で……」、こうい う形で残させていただきます。  ただ、報告書をまとめるときに、かなりその辺のところを検討しながら、場合による と長さの問題もありますので、いろいろと操作しなくちゃいけないときもあると思いま すので、ご了承いただきたいと思いますが、一応ここではそんなふうにまとめておきま す。  では、「医療法施行規則第16条第6号関係」ということで書いてあります。その問題 で、いかがでございましょうか。「現状」と「問題点」として挙げさせていただいてい るところには何か問題はございますでしょうか。  特になければ、先ほどと同じで「基本的な考え方」の方から、また議論していただい て結構でございます。一般病院における構造設備基準、そうしたものが必要かどうかに ついては、病院の実態に応じて検討されるべきである。医療法施行規則において義務づ ける必要はないと考えられる、そういう考え方です。これには余り反論はないでしょう か。あるいは(注)を少しつけるというような。よろしゅうございますか。  それでは、これもご了承いただいたとして、その次の「保護室」の問題ですが、保護 室も、簡単に言いますと、保護室を病床としてカウントするのかどうか、簡単にいうと そういうことだと思いますけれども、この問題につきまして、今までは保護室の、一般 一般というのは、精神病床として一般的に使うことを考えた上でカウントしてきたわけ でございますけれども、これを外すかどうかということだと思います。  これにつきましては、現場の医療に携わっている先生方から、とりあえずまずご意見 いただきましょう。 ○高柳委員  この案で私はいいと思います。救急システムが富山県で今度発足するのですが、一床 確保してくれという話がありまして、保護室をベッド数にカウントしないでほしいとい いまして、厚生省とやりとりしたら、現状ではベッド数にカウントするのでまかりなら んとおっしゃったので、これはやはり外していただいた方が私はいいと思います。 ○伊藤委員  私はこれは外して全く問題ないと思っていますけれども、ただ、病院建てるときに、 利用できないというか、使わないでいる可能性のある病床を余計に建てておくというこ とで、施設の設備費にこの問題を反映させていかないと難しいことが起こるのではない か。全く設備費を回収ができない可能性が出てくるわけですね。これをやはり民間病院 の先生にぜひはっきりしておかなければならない問題ではないでしょうか。 ○長尾委員  今、伊藤先生言われたとおりなんですが、今の保護室は我々の病院でも、普通の病棟 以上にお金をかけているわけですね。それをカウント外であって、それをどうしてこれ を償却していくか、ペイしていくかということは非常に問題でありますので、その辺を ぜひともご議論いただきたいと思います。  それと基本的にはこうあるべきだと思うんですが、現在、問題としてあるのはほとん ど満床状態のときに、実際に保護室も個室がわりに使っている。そういう人もあるわけ なんで、その辺をカウント外にして、病床数から外した場合に、また、その人数をどの ようにこれから振り分けていくのかどうかという現実問題となると、すぐに、「はい、 そうですか」と言うわけにいきませんので、その辺をどういうふうにこれをやっていく かということを十分ご議論いただいた上でやっていかないと、理想は理想、現実的には 非常に困難を生じてくるということがございますので、ぜひともそのあたりをご勘案し ていただきたいと思います。 ○吉川座長  2点ありました。1つは、採算がとれるかどうかわからないところにかなりのお金を 投入しなくちゃいけない。その問題をきちんと議論しておいてほしいということだった と思います。  佐藤先生、さっき手を挙げておられたですが、何か。 ○佐藤委員  基本的にはICUが定床から外れたのと同じ考え方でやっていくべきだということを 申し上げたかっただけです。 ○吉川座長  そうですか。そうすると、さっき長尾先生が言われた点で議論をしておいた方がいい のかもしれないと思いますが、最初の点で長尾先生、何かお考えがありますか。例えば その施設をつくるに当たって、先ほど伊藤先生から話が出ましたように、何らかの形で 補助なり助成なりを必要とするというような考え方を持っていらっしゃるかどうか。 ○長尾委員  もしそれを外してということであれば、そうしていただかなければ、とてもじゃない けれども、できないということになると思います。今の隔離加算にしましても、実際 200点が1週間だけという形になっているわけですね。そういうものではとても賄い切れ ないと思います。現在の保護室の構造からいっても、今の分だけでもとてもじゃないで すけど、それはペイできない部分を賄っているということになると思いますので。 ○伊藤委員  具体的にどういう手法をとるかは、ここの議論のするところではないと思います。た だ、私は隔離加算を上げるという方向では、逆に保護室の利用が高くなるという心配が ありますので、そういう方向でなくて、急性期の救急指定病院になったときに、そうい うものも必要だろうということで、特に急性病棟を指定したときに、保護室のベッドが 十分使えないことがないように、指定の時に工夫していただくことができるのではない か。 ○吉川座長  これは1つの提案だと思いますけれども、杉中さん、何か。 ○杉中補佐  やはり構造設備基準の在り方を考えなければならないと思いますので、その中で、こ れについても考慮していくというのは現実的かなと思います。保護室加算につきまして は、現在でも7日サイクルで回している病院があるというような状況を聞いたりします ので、やはりこれはやめた方がいいのではないか。 ○吉川座長  わかりました。もう一つの問題は、保護室の個室使用の問題で、満杯状態のときの個 室使用をもし禁止するとなると、あと、どういうふうにしたらいいのか、そんなことが ちょっと話題として出てきたわけですけれども、この点に関してはほかの先生方はいか がでございましょうか。  長尾先生、何かもう少し具体的に。 ○長尾委員  実を言いますと、我々の圏域といいますか、ほぼ満杯状態なんですね。先ほども言い ましたように、兵庫県全体としては、大体万対 21.7, 8というところですし、ほぼ慢性 的な病床不足状態にあるのに数字の上では過剰県になっているという状況で、救急の受 け入れも時に難儀をする場合もあると。そのときに保護室をカウント外にした場合に、 救急の受け入れの際には入院のカウント外として受け入れてもいいということでいいん でしょうか。 例えば、今、措置入院については、入院の1カ月に関しては入院患者カウントから外 していいという形になっているわけですね。できれば、救急の受け入れに対しても、救 急輪番等に関しましては、それをカウント外にするとかというようなことも含めて一度 ご検討いただければと思うんですけど。 ○杉中補佐  輪番であれば、病床を確保しているということになっていると思うんですが、その辺 について。 ○長尾委員  実は実際はそうですけれども、その日にいろいろ急患等あったりということで問題が 生じてくることもあるんですね。その辺、何とか、本当は難しいけれども。 ○三觜課長  それは制度的に空床保証というのが出ているわけでだめですね。  それと一般ベッドが満床で、たまたま保護室が空いているからそこに入れると。それ はノーカウントというのもちょっとこれは問題ではないかと思いますね。 ○高柳委員  措置並みに扱うことはできませんか。 ○三觜課長  しかし、病室がなくて保護室に入れて、病室がないから保護室から出れないという ケースがあるわけですよね。 ○吉川座長  それでバックベッドの問題があるわけですから。 ○三觜課長  現状はやっぱり問題ですね。 ○吉川座長  どうでしょう。そんなふうに、今、課長からお話が出ましたけれども、何となく納得 していただけたような気もするんですけれども。 ○三觜課長  それと設備の方は、これは昔から精神病院の建築基準の中で保護室はつくることにな ってまして、当然、国庫補助は対象としておりますし、恐らく今度病室から外したとし ても、精神病院に保護室は必要であるということについてはかわりはないわけですから それは従前どおり、施設整備の方はいけるのではないかと思います。 ○吉川座長  わかりました。 ○長尾委員  すいません。 ○吉川座長  はい、どうぞ。 ○長尾委員  今、課長言われましたように、国庫補助は今でもあるんですか。ないと思います。近 代化以外にはないんじゃないですか。 ○三觜課長  公的病院。 ○高柳委員  民間にも拡大してください。 ○長尾委員  でないと、ちょっと無理です。 ○三觜課長  公的病院だと思うんですけど。 ○長尾委員  民間病院もそれを広げていただかないととても無理だと。 ○吉川座長  幾つかの注釈がつきましたけれども、「基本的な考え方」として、一応ここのマル2 つの部分は大体お認めいただけたような気がいたしますけれども、よろしゅうございま すでしょうか。幾つかの注釈の部分はまた書き入れさせていただいたりしていこうと思 います。  それでは、3番目の議題に移らせていただきます。「精神保健福祉センターの役割に ついて」、杉中補佐からご説明いただきたいと思います。 ○杉中補佐  それでは説明をさせていただきます。「精神保健福祉センターの経緯」を簡単に説明 させていただきますが、精神保健福祉センターは、精神保健福祉に関する中核的機関と して都道府県及び政令指定都市に任意で設置されている機関でございます。業務として は、精神保健福祉に関する複雑困難な相談指導を行うことになっております。  同様の相談機関としては、精神衛生法時代には同法第7条に規定された精神衛生相談 所がありました。精神衛生相談所は都道府県又は保健所設置市に任意設置の施設であり ましたけれども、ここに書いているように、必ずしも実体を伴った機関ではなかったと いう現状でございます。  昭和40年の精神衛生法の改正におきまして、精神衛生相談所は精神衛生センターとし てその担う役割が、1)精神衛生に関する知識の普及、2)精神衛生に関する調査研究及び 精神衛生に関する相談及び指導のうち複雑又は困難なものに拡充された。これは精神衛 生に関する衛生教育が地域活動の育成を積極的に図るために、保健所を精神衛生に関す る第一線機関として位置づけるとともに、その指導機関として精神衛生センターを位置 づけたということでございます。  その後、昭和62年の精神保健法への改正におきましては、「精神保健センター」に名 称を改め、さらに平成7年の精神保健福祉法への改正においては、さらに精神障害者の 福祉に関する業務を追加して、名称も「精神保健福祉センター」に改められたところで ございます。  現在の設置状況でございますけれども、精神保健福祉センターはすべての都道府県に 設置されておりますけれども、指定都市については、権限委譲されて間もないこともあ りまして、現在のところ設置されていない指定都市が7つ、以下の千葉、川崎、横浜、 名古屋、大阪、神戸、福岡とございます。  「精神保健福祉センターの問題点」でございますけれども、ここに書いてあるように 社会の複雑化等に伴い、精神障害または心の健康等に関する問題が非常に重要になって きている。したがって、これらの問題について専門的な相談を行う機関の重要性は増し ているけれども、これらの中で精神保健福祉センターに期待される役割が増大している と思われますが、精神保健福祉センターというものが必置でないことの結果、センター がないところが大都市部である指定都市に集中するということから、特に精神保健福祉 法に関する相談機能が必要な都市部において、精神保健福祉センターが設置されないと いった問題が生じております。  また、必置機関となっている身体障害者の更生相談所、精神薄弱者更生相談所及び児 童相談所が、補装具、更生医療の給付の要否の判定や、措置事務にかかる市町村間の措 置事務の調整といった、専門的かつ恒常的な業務を行う中で、それぞれの施策体系にお いて明確な位置づけがなされているのとは対照的に、精神保健福祉センターは必置では ないということのため、制度上相談機能以上の機能を持たせることができないことで、 法律上精神保健福祉施策における位置づけが不明確となっております。  また精神保健福祉センターは、精神保健福祉に関する複雑又は困難なものを行うとい うことにされており、これによって保健所との機能分化を図ってきたところでございま すが、地域保健法の制定によりまして、保健所が精神保健に関する企画、調整、指導に 関するものも行うことになってきてましたので、両者の関係が不明確になってきている  また、障害保健福祉施策の総合化が求められていく中で身体障害者更生相談所といっ たように、障害種別ごとに相談機関、判定機関が縦割りで設置されている状況には問題 があるのではないか。  また、精神保健福祉センターは複雑又は困難なものを行うとされておりますが、実際 には思春期やアルコール等の複雑かつ困難なものについてもセンターによって取り扱い に区別がある。そのほか、センター独自に薬物依存や睡眠障害といった新規性の高い複 雑な相談に応じているセンターがある一方で、独自の活動をしていないセンターがあり センターごとによる中身の充実ぐあいは異なるといった問題点もあります。  以上を踏まえた上で、「基本的な考え方」でございますけれども、精神保健福祉セン ターについては、その業務が精神保健福祉に関する知識の普及や相談等に限定されてお り、身体障害者更生相談所等の他の障害者関係の相談機関の業務と比較して、専門性を 生かした判定機能や調整機能を有していない。精神保健福祉施策、特にそのうちの福祉 施策の実施主体を市町村に委譲していく上でも、市町村に対する専門的なバックアップ 及び市町村間の広域的機能を持った機関が必要であると考えられますことから、これら の機能を精神保健福祉センターに持たせてはどうか。  これらの業務を精神保健福祉センターに行わせるためには、精神保健福祉センターを 必置機関とする必要がありますけれども、新たな機関をさらに必置とすることは、地方 分権の考え方に逆行するものであって問題がある。  したがって、1)精神保健福祉センターの名称を弾力化するといったことで、2)身体障 害者更生相談所等、場合によっては、他の機関との統合を認める等の措置を講じて、 「精神保健福祉に関する専門的な相談・判定・調整」等を行う機関という機能について 必置とすることについて検討するべきではないか。  また、現在都道府県の地域精神保健福祉審議会に行っている精神障害者保健福祉手帳 の交付の際の判定業務や通院医療の公費負担についての判定の業務につきましては、上 記の判定業務の一環として、精神保健福祉センターに行わせることとしてはどうか。  また、精神医療審査会は独自の事務局を持たず、事務は都道府県庁の職員が担当して いる。しかし、この体制では、担当していて、退院請求等を聞く職員についての専門性 の確保等に問題がある上、措置入院等の権限を持つ都道府県が退院請求等について受け 付けを行うべきではないという意見も強く、精神医療審査会に独自の事務局を設置する べきであるとの要望が強い。そこで、精神保健福祉に関して専門性を有する精神保健福 祉センターの中に精神医療審査会の事務局を設けるといった措置をとることについて検 討してはどうか。  また、精神保健福祉センターは精神保健福祉に関する都道府県の総合的技術センター として地域精神保健福祉活動推進の中核としての機能が期待されているということで、 市町村では対応が困難な事例への対応が期待されている。しかし、実際は先ほど言いま したように、困難な事例への対応におくれがある場合がある。必ずしもその役割を果た しているとは言いがたい場合があります。したがって、精神保健福祉センターは新規性 の高い業務、さらに既存のものだけでなく、薬物依存や睡眠障害といった新規性の高い 分野に積極的に取り組むこととすべきではないかということでございます。以上でござ います。 ○吉川座長  ありがとうございました。少し時間も切迫していますので、少々議論を整理して議論 していただこうと思っているんですけれども、「基本的な考え方」と書かれているとこ ろを中心にしながら、特に最初のマル3つのところはいろいろと議論があると思います ので、後段の4つ目のマル以降、この問題について一括して、こういうものを精神保健 福祉センターに期待する。特に新たに期待をする。そういう意味合いとしてここに挙げ させていただいていることはいかがでございましょうか。 ○佐藤委員  これまでの議論で、精神障害者の福祉にかかわる議論も市町村に移していこうという ようなことで手帳の発行とか32条についても市町村でという話もありまして、それは精 神保健福祉センターが市町村の精神保健福祉業務のバックアップをしていくという立場 と関連づけて、そのような事務を行っていくことはよろしいのかなと思ったりはしてお ります。  ただ、精神医療審査会の方ですけれども、これは精神保健福祉センターの中には診療 機能を持っている、病棟を持っているところもありますので、これは精神保健福祉セン ターが精神医療審査会の事務局を持つべきではないと考えます。やはり独立した事務局 精神保健福祉センターではないところに独立した事務局を持つべきであると思います。 ○吉川座長  それは総合精神保健福祉センターと言っているようなところ、あるいは精神保健福祉 総合センターと言っているようなところという意味ですね。 ○佐藤委員  ええ。それから、呼び方はいろいろですけれども、1つは病棟を持っている。それか ら、社会復帰施設、援護寮のような、あるいは授産施設のようなものを持っている。こ れも前回、以前の人権の確保というところで、社会復帰施設の利用者についても処遇の 改善等について、これを精神医療審査会の対象にしていこうということになっています ので、医療機能を持っているところ、あるいは社会復帰機能を持っている。精神科デイ ケアも入ってくるかもしれませんけれども、そういったところについては問題が大きい と思いますので。 ○吉川座長  なるほど。今、申しました「基本的な考え方」の4つ目のマルからの、まず議論して いただこうと思って今出しましたが、少なくとも4つ目のマルのところはこれでよろし ゅうございますか。これも問題がありますか。 ○後藤委員  4つ目のところは専門性ということに関して言えば、それはよろしいのではないか。 ○吉川座長  そうですか。センターの方からも、そういうご回答いただきました。  5つ目にあります、「また」云々というところですが、この辺のところに関しては、 そうすると、今、佐藤委員からはやや医療審査会を持つのはどうか。事務局となること 自体は問題はないかというご議論でございましたけれども、この点ではどうでしょうか ○後藤委員  当然審査会の強化が何回目かに議題になっていて、そこではこの結論としては、独立 機関でというのが多分最初に出ていたのではなかったかと思います。ですから基本的に 独立機関でいくというふうに、そちらの本題のところでやっているわけですから、ここ でまた改めてそこをひっくり返すような書き方はちょっとまずいのではないか。一応セ ンターも行政の一部になっていますので、だから書き方によるのだろうと思うんですけ れども、ちょっと考えていただきたい。  さっき佐藤委員もおっしゃいましたけれども、同じように病床を持っている、援護寮 を持っている。もちろん診療所機能はほとんどのセンターが持っているわけですので、 そこが同じ審査をやる事務局は少しやはりまずい点があるかなという気はします。 ○吉川座長  第三者機関という話は、確かに前のときに随分出たと思いますね。精神医療審査会の 在り方としてですね。それが今は都道府県に事務局が置かれている。それ自体に対する かなりの問題指摘がされてきたわけですけれども、それを精神保健福祉センターへ持っ てきたときにより大きな問題が出るのでしょうか。その辺のところをお聞かせいただけ れば。 ○後藤委員  より大きな問題が出るというふうに聞かれると、それは同じことになってしまうかも しれないと思いますけれども、やはり方向性として、第三者機関をちゃんと示しておく べきではないかと思うんです。 ○杉中補佐  もちろん独立の事務局を持つことが望ましいのは言うまでもないことなんですけれど も、なかなか現状として都道府県に独立の事務局体制を設けろというのは現実ではかな り不可能に近いことだと考えます。それをした場合に、今現在の都道府県庁という措置 権を持つところがその事務をそのまま扱っている。しかも、その職員は全くの事務職員 であって、精神障害者の請求や訴えに関して、全くそれを聞く専門的な能力が欠けてい るという状況では、もちろん「医療審査会事務局」という看板を掲げておいてもらうと いうことになると思うんですけれども、事務局をセンターの中に置くというのは、ある 程度現実的な落としところとしては現実的かなというふうに考えたんですけれども、確 かにここに現実論と混ぜて書くかどうかについては議論があるかと思いますが、現実的 な選択としてはセンター内に置くのはいいことなのかなというふうに個人的には考えて いるので、その辺についての、都道府県に現在のまま置くのと、センターにいわゆる行 政の一般的なところから分離して置くのとどちらがいいのかというところを議論してい ただければと考えます。 ○吉川座長  守屋先生、何か。 ○守屋委員  私がいるところには病棟もありますし、社会復帰施設も持っています。そのようなセ ンターに医療審査会が事務局を置くことで第三者性が担保されるのかという問題があり ます。ただ、精神医療についてほとんど知識のない方々がかかわっていることよりも、 より専門家集団であるセンターの者がかかわることの方がより効果的かなと思ったり、 非常に悩んでいます。 ○吉川座長  わかりました。精神医療審査会そのものではなくて、事務局を担当するかどうかとい うことだろうと思いますから、確かに病棟を持ったり何かをするということで、そこか ら問題が出てきたときに単純に言えば、もみ消すかどうかなんていうことになっちゃう んだろうと思います、そういうことさえなければ、事務局として、それを持つこと自体 にそれほどの問題はないような気もしますけれども、どうですか。 ○後藤委員  「どうですか」と言われると、そうですということになるかなと思いますけれどもね ただ、本庁に、本庁というか、県の担当課あるいは担当係に専門家がいないからという のは、全国十数カ所だと思いますけど、係に精神保健福祉相談員が配置されている、そ ういう方向性に大分来ていると思うんですね。ですから専門家がいないからというニュ アンスでは余り語らない方がいいのではないかなという気はしています。むしろ、本庁 の担当課に専門家というか、精神保健福祉相談員あるいは精神保健福祉士を置くという 方向性を考えるべきではないか、そんな感じがします。 ○杉中補佐  少なくとも措置権者を持っている者のところを通過しないと請求が審査会に至らない という今の制度には問題があるのかと考えていますので、少なくともそこは分離するた めに都道府県の本庁職員等から分けた方がいいのかなとは思うんですけれど。 ○吉川座長  ということは、後藤先生がさっきおっしゃったように外部に置く。そうしたことを一 応前提に置きながら1つの途中経過みたいなもので精神保健福祉センターにその事務局 機能を置くことも考えてもいいと、そんなふうにまとめさせていただきますけど、よろ しゅうございますか。  それでは、マルに関しては、あとは6番の精神保健福祉センターがこれから取り組む べき機能として、薬物依存の問題とか、あるいは思春期問題についてもっと積極的にと いうことだと思いますけれども、これらについてはいかがでございましょうか。どうぞ 竹島先生。 ○竹島委員  先ほどの部分もちょっと関係するんですけど、私、県にいましたときにやはり弱いな と思ったのは、いろんな通院公費とかそういう統計があるんですけど、それの情報が整 理されていないと。整理されていないがために役立てられていないという分が随分あっ たんじゃなかろうかという気がしまして、それは保健所単位で整理していてもなかなか 役に立つものになっていかない。地域性があり過ぎてしまうということであり、こうい う形でセンターがもしそういう事務を担当していく形になれば、何らかの形のそういう 統計的な処理といいましょうか、行政に役立つ、地域活動に役立つような資料にしてい くことも重要なことではないかなと考えております。  それとこの薬物の問題ですけれど、薬物の問題の場合には地方の問題とか医療の問題 に密接に絡む面は確かにあるのですが、私が経験したところでは、例えば民間のリハビ リテーション施設の設置の問題のときに薬務衛生課から相談を受けて、それの反対運動 とかの調整を図っていくとか、とりあえずできるところから切り開いていくという部分 があるというところで、そこの部分で期待されているものはけっこう大きいのではない かという気がいたします。  そういう意味ではいろんな困難は多分あると思うんですけも、その中で政策課題が浮 かび上がってくる面もあります。現況の薬物の問題に対する状況を見ますと、何らかの 取り組みを先駆的にやっていくこと、それを政策課題として明らかにしていくことは必 要ではないかと考えます。 ○吉川座長  ありがとうございました。その点では後藤先生。 ○後藤委員  それは竹島委員がおっしゃったとおりですし、前回、慢性覚醒剤中毒の相談のところ でもセンターに位置づけるというのはこの専門委員会で検討してはどうかということで 検討されていたんで、その点は何らかの形でのそういう政策的なものを担うのは当然の ことだろうと思っています。  ただ、薬物依存については、慢性覚醒剤中毒のときにも言ったんですが、やっぱり医 療と司法の問題がどうしても絡んできてしまいますので、どうしてもそことの連携を図 るといっても何もないところに連携はなかなか図れないので、やはり前提として、例え ば各都道府県に薬物病棟等の設置の整備は前提にしていただくのが現実的ではないか、 問題提起は多分やっていくときにはできますけれども、そこは条件なり前提としていた だきたいとは思います。 ○吉川座長  それはそれで受けとめました。 ○高柳委員  ちょっと瑣末なことなんですが、例示としまして、3ページの最後に書いてあります 「薬物依存や睡眠障害」という例示は、余り格差がありすぎてまずいのではないかと思 いますが。 ○吉川座長  わかりました。それはまた考えさせていただきます。 ○守屋委員  今の薬物依存の問題、後藤委員と基本的に一緒なんですが、これは、私の埼玉県での 経験でも薬物依存の問題を、うちの場合には覚醒剤を十分にかかわる病棟を持っており ますので非常にうまくいくわけですが、これを持っていないセンターがどのようにする んだろうかという、現実的な問題では非常に難しいのではないかと思います。そういう 意味において、後藤先生がおっしゃったような薬物依存専門治療病棟等をやはり検討し ていく必要がある。その前提を持った上でこのことをやっていかないと何もできないの ではないかというのが、私の経験からの印象です。  それから、もう一点は、今おっしゃられた睡眠障害、この睡眠障害の相談をセンター が受けるというのは、前厚生科学研究でも「睡眠障害センター」を議論したことがあり ます。この睡眠障害問題はかなり専門的技術や知識が必要で、単に「眠れますか」、 「眠れませんか」といったような、クリニックでやれるような問題ではあまり意味がな いと思います。従って、これを精神保健福祉センターが取り扱っても何の意味もないと いうのが私の考えです。 ○吉川座長  どうぞ、杉中補佐。 ○杉中補佐  ただ、交通整理をするようなところも今全くないという現状でございますので、「睡 眠障害」と入れたのは余り深い考えがあって入れたわけではないのですけれども、そう いったところの医療機関のデータベース的なところの集積みたいなものであっても、か なり需要があるのではないかという気もしますし、薬物依存についても、今どういった ニーズがあるのかとか、どういったものをつくらなければならないのかということを考 える機関すらないというのが現状でございますので、本当に専門病棟が必要なのかどう かということもわからないと。もしかしたら薬物依存は諸外国の例でもありますように どちらかというと、そういう訓練機関みたいなものが適するような場合もございまして その辺についての地域の在り方についての核となる機関がどこかないと、なかなかこれ についての対策が進まないということが認識されておりまして、そういうことを行政監 察等でも言われておりますので、それについては、前に言った警察がやるということも あるんでしょうけれども、やはり警察というのハード過ぎるので、もうちょっと衛生的 な、しかも専門性のある機関が中心となってやっていくべきだという認識が大層を占め ておりますので、病棟がないとできないというのではなくて、地域の在り方についても センターが中心となって考えていっていただくという意味で、そこは精神保健福祉セン ターに期待してもいいのではないかというふうに考えるんですけれども。 ○守屋委員  基本的な考え方としては、センターが薬物依存等に関与することによって、薬物依存 に対しての対策をたてる上での資料も集めることも可能になるという考えですね。 ○杉中補佐  相談をするというのと、地域におけるネットワークの核になっていくみたいなことが 期待されてきているところだと思います。それについて、確かに専門病棟とか、病棟で なくてもリハビリテーション的なダルク的な機関みたいなものは必要だということは、 それについては別途、国なり都道府県なりでも考えていかなければならないと思います けれども、その辺を一体にしながら、やはり地域のネットワークの核となるようなとこ ろも養成していかなければならないと思っております。 ○後藤委員  さきの慢性覚醒剤中毒のときの議論はこちらの考えとしては、相談とネットワークと いうことだったと思うんですが、今の補佐の話だと、センターのほかの機能である調査 研究とか企画立案というところもそこで発揮してくれと理解してよろしいんでしょうか ね。 ○杉中補佐  そうです。 ○吉川座長  そうですね。それは総合的なものということですね。 ○後藤委員  総合的なもの。 ○中村補佐  睡眠障害についてですが、ちょっと評判がよくないようですけれども、ここで精神保 健福祉センターを中心として医療まで含めて対応していくというのではなくて、これに ついても中核的な施設が国立病院とか公的な病院で治療体制を整えていく中で、その一 環として地域の相談窓口とか、調査研究体制といった意味で精神保健福祉センターの新 規の事業として睡眠障害というものも含めていったらどうかという整理であります。 ○吉川座長  よろしゅうございますか。私の方から少しお話しをしておきたいと思っているのは、 精神保健福祉のベースは地域住民がいかに精神障害というものを受け入れていくかとい うことだろうと思うし、したがって、従来から言われているような偏見とか差別という ものをどういうふうに軽減するかということにつながることであります。  精神保健福祉センターが担う役割は、恐らくそうしたいわば塀が低いといいますか、 相談しやすい環境づくりを精神保健福祉センター自体が持たなければいけないだろうと なると、ここでもって睡眠障害というものもまた取り入れながら、そういうことでも相 談を受けられる機関としてまず存在することが大切なのかなとは思っているんですね。 それで睡眠障害という、唐突のように見えますけれども、今後の方向としては、精神保 健福祉センターというのが一般の住民の人たちのいろんな意味での精神健康にかかわる 問題、あるいは精神不健康にかかわる問題について相談を受けながら適切な処遇を編み 出していく。こんなような考え方を持つと、今までみたいに精神障害者の人たちに対す る積極的なリハビリテーションという、そうした意味合いだけではない精神保健福祉セ ンターの在り方が考えられるような気がするんです。  そういう意味ではちょっと唐突のように見えるかもしれませんけれども、これ自体は 私は非常に重要な仕事ではないかなとこう思っています。ちなみにうちの精神保健研究 所では睡眠障害はかなり積極的に取り組んでおりますし、睡眠障害を精神障害と言って いるわけではありませんで、一般住民の中で睡眠障害に苦しんでいる人たちがどんな形 で我々の窓口に来るかということを調べているのもそのためであります。以上、少し加 えさせていただきます。 ○高柳委員  ご趣旨はよくわかるのですが、新規事業を発展的にやられる分にはそれはそれでもい いのですが、旧来のもので、既に官民の競合が起こっている問題がありますね。例えば デイケアなんかまさにそうなんですが、ああいうものは今センターがやる意味があるの かないのか。そこら辺をやめる方向もひとつ考えていただきたいと思いますね。 ○吉川座長  私はそんな文章を書いちゃったものですから、今さらちょっと言えませんけれども、 保健所にしても精神保健福祉センターにしてもデイケアをもうやめろなんていう文章書 いてしまいましたので、発言できませんが。 ○三觜課長  まだやっているんですか。なぜ、やめるべきかというのは、医療保険で正式に認知さ れた以上は、医療ベースでやるのが本来の姿であるということで、私がいるときから医 療の方に乗っているわけですからね。 ○高柳委員  先生がいるときつくったんですよ。 ○三觜課長  そうじゃないですよ。やめさせる方向ですよ。それと今は運営費補助金が一般交付税 化しちゃっているものですから、個々の都道府県の判断に委ねざるを得ないということ で、私どもとしてはそういうものはセンターの機能として必要性は感じません。  それと一番欠けておるのは、先ほど竹島先生がおっしゃいましたけれども、昔からあ る運営要綱に教育研修とか調査研究、資料の収集、分析、それをまた提供するというと ころがなかなかきちんとしたデータを整えているセンターが少ないんじゃないかと思う んですよね。それは予算がないからとか、すぐ返事が返ってきますけれども、それと覚 醒剤の話とか薬物中毒の話をすると、すぐ受け皿たる医療の話になるわけですけれども センターにはそういうことを期待しているわけでなくて、例えば処遇困難の患者を扱い なさいという話になると、そういうことまで期待しているわけではなくて、その前段階 の問題、あるいは社会的にまだいろんな話題となる問題についてセンターは積極的に取 り組んでいただきたいというのが、私どもの考えで、先ほど新規の意味はそういった世 の中のいろんなメンタルな問題について積極的にかかわっていただけたらというのが期 待するセンター像であります。 ○吉川座長  ありがとうございました。 ○後藤委員  十分に理解しているつもりでございます。 ○伊藤委員  今のお話でよくわかったんですが、実際にセンターの機能に、私は非常に不満持って いまして、というのは地方精神保健審議会がきちんとなされてないというのは、精神保 健福祉センターあたりがデータを収集しまして、そういう基礎的なデータを地方精神保 健審議会が動けるようなものをきちんとしてないからだと私は思っているんですね。大 学の教授が名前だけという精神保健審議会というのはよくあるんですけれども、それを ちゃんとせっついて地域の中で何が必要かということをきちんとデータを出す組織にな ってほしいということがありますので、よろしくお願いいたします。 ○吉川座長  精神保健福祉センターに関しては、具体的にかなり応援団としての発言が多かったよ うに思うんですが、一応そこで終わらせていただきまして、先ほど後回しにしました 「基本的な考え方」のマルの3つでございますけれども、要はこの精神保健福祉セン ターの必置でない問題ですね。必置でない問題をどういうふうにクリアするかというふ うに整理をさせていただきますが、この整理としてこんな形でよろしいでしょうか。そ れとももっと問題として別個にあるのだというご意見があればいただきたいと思います ○後藤委員  当然センター長会の代表なのでこれについて言わなくちゃいけないんですけれども、 前段の「基本的な考え方」の1、2の流れを見ますと、相談業務ということにどうも集 中して書かれているように思うんですよ。ところが今ほかの委員の方のご意見ありまし たように、基本的にセンターに要求されているのは相談業務というよりは、情報を収集 して、それを企画立案してとか、あるいはどこかへ持っていって、きちんと県内あるい は政令都市の部分を、ここをどうすればいいか、そういう場所としてどうも期待されて いるようだなと。  そうするとちょっとお配りしたものは、これは精神保健福祉法詳解、厚い本のセン ターの部分のところをコピーしたものですが、そのセンター運営要綱があります。この 中には、先ほど課長が指摘されましたようにデイケアということは一言も入っておりま せん、当然のごとく。一番最後のところに「リハビリテーション機能を持つことは望ま しい」と書いてあるだけで、ですから本来、ここにありますように、2枚目、センター の業務があります。「企画立案」、これは平成7年に改めて入ったものです。それまで はそれ以降の6だったわけですけど。  それから、「技術指導及び援助」、「教育研修」、このあたりは保健所と切り分けら れていないといいますけど、実は技術指導や教育研修というのは、対保健所に対してや るというふうになっていますから、保健所のものとは違っているはずです。  それから、その次は「啓発・普及」、これは当然皆さんご存じの部分になります。そ れから、「調査研究」、「相談」というのは6番目に来ているということなので、相談 ということだけでくくって、更生相談所と名前が一緒だからみたいなニュアンスでやら れて、果たして皆さん期待されるような機能が私は発揮できるのかどうかということ、 ちょっと疑いを持つわけです。もしできるのであれば、こういう機能そのものでいける 形で必置になればいいとは思うんです。  ただ、必置の問題は、開設当初から延々と毎年恐らく必置の要求は出ていたと思いま すが、62年のときも5年のときも7年のときも必置にということは常に要求していたん ですが、ずっとそれはなれなかった。これは今行政改革の中でそれはならないというこ とはよくわかっているので、今回の法改正についての要求案の中にもセンター長会の要 求の中には「必置」というのは入れておりません。ただ、逆に言えば、必置ではなくて も、平成7年の段階で47都道府県にある意味では全部できているわけですね。それなり に20年以上機能を果たしてきたある種の自信といいますか、それは私はかなりのセン ターは持っているのではないか、そんなふうな気がします。  ですから、それにあわせた判定業務とか、「機能としての必置」と、先ほど杉中補佐 が言われたので、そこを受けていくことが今後のセンターの目標ではないか、そんなふ うに考えています。 ○吉川座長  ありがとうございました。 ○杉中補佐  補足するような形でよろしいですか。 ○吉川座長  どうぞ。 ○杉中補佐  後藤先生は大体理解していただいていると思うんですけれども、今のその業務は、要 するに恒常的なルーチンの業務がないことが特徴でございまして、頑張ってやるところ はやるけれども、全くやらないところはやらないという形になっていると。そこが一番 センターの弱点になると考えております。任意であることによって恒常的な業務をさせ ることができない結果、施策における位置づけがはっきりしないというようなことがあ ると。例えば、本来であれば、手帳の判定とか、あれは身体障害者も審議会でやってい るんですけれども、あと医療の判定みたいなものはセンターでやらせることができれば 何も審議会の中で民間のお医者さんを何十人も集めて、そこで非常勤扱いにして判定し ていただくみたいなことをしなくてもセンターの専門家だけでかなりの部分こなせると 思いますので、行政の効率性という点から考えても、もっとセンターの専門的な人たち がいっぱいいるんですから、もっとそこを効率的に活用していくのが望ましいのではな いかと考えております。  また、そういう必要性のある機関でないと、地域においても行財政改革は今後進んで いきますので、なかなか生き残っていくのは難しいのではないかと考えられますので、 ぜひ核となる業務を設ける必要があって、そのための必置ということが必要なのではな いかと考えております。そうでないとなかなか必置というのは、現在のままでは必要性 を説明するのは難しいというふうな認識でおります。 ○吉川座長  ありがとうございました。考え方としては、先ほど応援団と申しましたけれども、応 援団として、やはり必置に持っていくためにはどうしたらいいのかということだろうと 思うのですが、また、その必置になっていなかったら行政改革の中でつぶされていって しまう危険性すらある。その辺のところはこれまでの実績があるというふうに、もちろ んセンター側としてはたくさんそういう主張がおありになると思いますけれども、ただ 具体的には実際にそれぞれのセンターが特色を持っていると言えば、きれいな言い方に なりますけれども、それが少々ばらつきがあるために、センターとしてどういうことを やっているという一括した考え方はなかなか出てこなかった。そのことに問題があった のではないかということだと思います。  それで1つの明快な業務を背負っていただくことによって、そこをもう少し切り抜け たいという、応援団的な意味合いがあると私は考えていますけれども。 ○守屋委員  マル3の、今、必置にするためにはこうこうこういうことが必要だということを理解 できるんですけれども、2)の「身体障害者更生相談所や精神薄弱者更生相談所との統合 を認める等の措置を講じ」という場合に、これを例えば統合した場合はどんなことにな るんですか、実際問題とすると。例えば身体障害者更生相談所の機能は3つぐらい第11 条に書かれていると思うんですけれども、その中に例えば、「必要に応じ補装具の処方 及び適合判定を行う」こととか、「身体障害者の医学的心理学的及び職能的判定を行う こと」とか、そういうのが含まれているんですけれども、そういうようなこともセン ターとして行っていくというような意味合いでとらえたらいいんですか。ちょっとこれ わからないので質問なんです。 ○杉中補佐  1つのバリエーションとしては三者の更生相談所なりが1つの機関となって、障害者 の総合的な相談というか、センターみたいなものができて、その中に身体障害者部門と 知的障害者部門、精神障害者部門みたいに分かれるというのも考えられるのではないか  市町村の窓口を一本化していこうということですから、市町村の窓口では、場合によ っては身体障害者手帳の交付の受け付けをしたりとか、更生医療の給付についての申請 を受けたりとかいうことを同じ障害者に対する総合的な窓口を受けていこうということ は考えられますので、それに対する専門的な支援も1つ都道府県単位で、総合的な機関 としてやることも考えられるのではないか。ただ、そこの個々の業務に係る専門性はも ちろんある話なんで、それは当該業務に係る支援であるとか、また、相談もそうですが それはそれぞれ専門性を持った職員が行うということは最低限担保しなければならない と思うんですけれども、機能的にはそういったことを統合していくような組織としてや るということも考えられるのではないか。  また、ここは別に障害者に対してセンターとの統合だけという形で必ずしも書いたの ではなくて、そこは1つの例示であって、機能にするメリットは都道府県なりの方でも いろいろある諸機関を統合して整理することができるということも考えられますので、 そこは都道府県なりの自主的な判断によって、独自の機関が必要であると判断すれば、 独自の機関でやるし、指定都市などでないところでは、場合によっては中核的な保健所 の上にその機能を積み重ねる方が現実的だという場合もありまして、そこは各自治体の 独自の判断によって行えばいいのではないかというのがここに書いてある趣旨でござい ます。 ○吉川座長  よろしゅうございますか。 ○後藤委員  杉中補佐の言うことは大変よくわかるので、そういう方向性、1つの例示だというふ うにおっしゃっているのだろうと思うんですが、ただ、そうしますとそこでルーチンの 業務というのが、要するに判定と相談だけですよというニュアンスになってしまうと、 私は先ほど言った論理から言うと、一応総合的な技術中核センターであるということに なっていますので、そのあたりのところを含めて言えないものだろうかと。 ○杉中補佐  そのほかの業務についても当然引き続きやる必要があると思いますので、それはもし そういうふうな理解をされたとしたら、ちょっと書き方が悪いということだと思います ので、それについては後藤先生の意見等を踏まえて修正したいと思います。 ○吉川座長  今「技術中核センター」という表現が出ましたけれども、そうした意味合いを持った センターとしてまず存在する。その中で判定業務や何かが入ってくるというような、そ うした流れの文章。その例示として更生相談所の例示が出てくるのかもしれない。そん なふうに考えさせていただきます。よろしゅうございますでしょうか。  それでは、それで終わらせていただきまして、その次の問題ですが、「その他の検討 すべき事項」ということで、最後の問題に入らせていただきます。杉中補佐から。 ○杉中補佐  この「その他の」というのは、いろいろ法律の関係で検討すべき必要があるときに今 まで漏れていることをくっつけたものでございまして、3つございますけれどもこの中 身は個々ばらばらでございます。それを踏まえた上で説明をさせていただきます。  まず、「精神障害者短期入所(ショートステイ)の法定化」ということでございます 現在、精神障害者を対象とした短期入所事業は、精神障害者生活訓練施設(援護寮)に おいて予算事業として実施されております。ただし現在は法定化された事業ではござい ません。  障害者プランにおけるショートステイの整備目標という中にもこのショートステイは 入っております。ただ、他の障害なり老人を見た場合は資料23にありますとおり、すべ てこれは法定化された事業でして、精神障害者についてのみ法定化されていない。  現状の問題点でございますけれども、精神障害者を対象としたショートステイは、現 在のところ援護寮にしか実施されていないため、実施場所が限定されている。また、精 神障害者社会復帰施設の整備が進まない現状においてショートステイの整備を進めるた めには、援護寮に限定するのは問題があるのではないか。  また、法定化の問題でございますけれども、法定化されていないため、精神障害者の ショートステイについては社会福祉事業として規定されておりません。そのため、社会 福祉事業として規定されている身体障害者と他障害のショートステイ事業と比較しても その事業にかかる税制上の優遇措置等の助成措置が受けられない。また、社会福祉事業 となっていないため、社会福祉事業法の法令上の指導監督規定が当該事業に関してはか かってこないというような問題がございます。  「基本的な考え方」ですけれども、在宅福祉施策の重要な施策メニューであるショー トステイが精神障害者に関して法定化されていない現状は問題であると考えられますの で、精神障害者の在宅福祉施策の拡充を図るとともに他障害との並びも考慮してもホー ムヘルプ事業とともに、これについても法定化するべきではないか。  あと、精神障害者のショートステイを法定化することにより社会福祉事業として位置 づけるということで、監督権の明確化や、また、社会福祉事業のときに言いましたけれ ども、最低基準の法定化といったものにも位置づけていくことが必要ではないかという ことでございます。  IIは、「地方精神保健福祉審議会の名称の弾力化について」でございます、地方精神 保健福祉審議会でございますけれども、これは精神保健及び精神障害者の福祉に関する 事項に関して都道府県知事に意見を具申するほか、通院医療費公費負担の申請や精神障 害者保健福祉手帳の申請に関する審議を行う審議会であるということで、都道府県及び 政令指定都市に設置されております。  ところが都道府県等に設置することを義務づけている審議会でございますけれども、 これにつきましては、地方分権推進委員会の第2次勧告におきましては、すべて横並び で、審議会等の組織、名称に係る必置規定を弾力化する。この場合、「『精神保健福祉 に関する審議会等を置くものとする』といった形で、定員等に関する規制は、必要最小 限の範囲にとどめるよう必要な見直しを行う。」とされておりまして、地方分権推進計 画においても同趣旨の内容が盛り込まれております。  また、障害者の審議会の統合等を図ることが国レベルでもございますし、地方レベル でもございますが、それについて、各法において、法律名まで必置にするようなことで はなかなかそれが進まないといったような問題がございます。  「基本的な考え方」でございますけれども、既に地方分権推進計画の中でこれは規定 されておりますので、これに基づいて名称及び組織についての弾力化を図る必要がある  IIIでございますけれども、「精神保健福祉法35条の削除について」ということでござ います。これは本来、保護者等の成年後見人制度の中で議論すべき事項で、多少漏れて いた事項なんでございますが、35条は禁治産者である精神障害者に関して、医療保護入 院又は仮入院の同意する場合には、後見人は民法 858条第2項の規定に基づく家庭裁判 所の許可を得ることが必要であることを明らかにした規定でございます。  「問題点」ですが、後見人について家庭裁判所の許可を要するということが後見人に ついてのみ行われているということで、他の配偶者や扶養義務者とのバランスを考える とおかしい。同列の扱いをする必要があるのではないか。  既に医療保護入院や応急入院の必要性については、精神保健福祉法の中で、精神保健 指定医の判定であるとか、必要性についての審査がなされておりますし、また、そのほ か精神医療審査会においてもこれの審査を行うことになっておりますので、改めて裁判 所の許可を必要とするということは二重チェックであると考えられますので、事務の簡 素化の観点からも問題があるのではないか。  平成9年に医療保護入院した者について、保護者の内訳をみると、後見人の割合は全 体の0.13%と非常に少なく、こういう少ない者に対してだけ特別な措置を設ける全体的 な必要性はないのではないかと考えられます。 「基本的な考え方」でございますけれども、その1つの対応策といたしましては、医 療保護入院及び仮入院等に係る保護者の同意のすべてに裁判所の許可を要するというの が1つの解決策でございますが、裁判所の事務負担の増大等の関係から考えますと、こ れについては困難ではないかと考えられます。また、保護者が後見人の場合のみ裁判所 の許可を必要とすることにつきましては、先ほど言いましたように二重チェックの問題 がありますので不合理であると考えられます。したがって、民法 858条第2項は新しい 後見制度の中では要らないのではないか。したがって、それに連動して精神保健福祉法 35条も削除すべきではないかというふうに考えます。以上でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。これはその他ということで改めて出されたものでございま すけれども、お断りしなかったのですけど、申しわけありませんが、7時をとっくに過 ぎておりまして、7時半近くになります。  それぞれのことにつきまして、十分ご議論いただきたいところですけれども、とりあ えずIのところ、これに関してはショートステイの法定化の問題でございますので、新 保委員からご発言がありましたら、どうぞ。 ○新保委員  一言だけ、時間がありませんので、基本的には法定化していただくことがありがたい と思っております。それは在宅福祉の三本柱と言われておりますデイサービス、ホーム ヘルプサービス、ショートステイということですので、他障害あるいは老人問題とあわ せていくという整合性も含めて、また、それ以前に精神障害者の在宅支援を進めるとい うことでぜひ必要だと思っています。  個々のことについて若干の疑問がありますが、時間ございませんので、ぜひ、これを 推進していただきたいということでとどめたいと思います。 ○吉川座長  そうですか。ありがとうございました。ほかにそれではいかがでございましょう。こ のことに関しては余り問題はないのではないかと思っていますけれども、よろしゅうご ざいますか。  それでは、これにつきましては、「基本的な考え方」を進めさせていただきます。  それから、地方精神保健福祉審議会の問題に関しましては、これは地方分権の問題と 絡んで、現在、名称を弾力化ということで進んできているようでございますので、その 方向の中で、精神保健福祉だけはどうしても、これは名称を残さなければいけないのか どうかということだと思いますが、その辺のところでいかがでございましょうか。  もし、この流れの中で、我々は実質的にきちんとやればいいじゃないかという話にな るのだとすれば、これも通過させていただきたいと思っています。いかがでございまし ょう。よろしゅうございますか。  それでは、最後の問題ですけれども、これはいわば「二重チェック」と書いてあると ころでございまして、家庭裁判所におけるチェックをダブルチェックするかどうか。今 までのようにやっていますと、確かに事務の煩雑ということが問題になるのですが、こ の点ではいかがでしょうか。むしろ法律家の先生方、少しご意見いただいた方がいいか もしれません。 ○山本委員  正しいかどうかわかりませんが、これは恐らく民法の 858条の2項で家庭裁判所の許 可を受けるとしているのは、恐らく保護義務者が後見人である場合には、入院の後見に ついての財産管理事務の執行に影響するというところが非常に多大であるという点で、 恐らく「家庭裁判所の許可を必要とする」というふうにしたのではないかと思うんです ね。ですから医療保護入院の必要性ということでの二重チェックという問題ではなくて むしろ、そっちの財産管理事務の執行というところでの許可ということなのではないだ ろうかと思うので、必ずしも必要ではないというふうにここの論理からはならないので はないかと思うんですが。 ○杉中補佐  もう一度、ご説明をしていただけますか。 ○山本委員  ですから医療保護入院の必要性については、確かに精神保健福祉法の方でやるわけで すけれども、保護義務者が後見人である場合には、入院費用についての財産管理事務の 執行ということがあるので、それについて家庭裁判所の許可を受けるということで、こ ういう規定になっているのではないだろうかと私は思うんですが。 ○杉中補佐  ちょっと記憶に定かでないんですけれども、民法の成年後見人制度に関し許可が必要 だというところはドイツの世話法とかも精神病院の入院にかかる許求を必要としていた ので、後見人としての身上監護義務からかんがみて必要だと考えているというのが今の 法務省の認識だと思います。そう考えると保護者としての業務と余り変わらないかなと いう認識をしたところなんですけれども。 ○山本委員  民法上、恐らく後見人だと入院費用ですね。 ○杉中補佐  恐らくこちらの方が古かったというのが、私は1つあるのかなと思うんです。精神衛 法の規定より。後見人は恐らくかなり精神障害について広範に民法制定当初は考えられ ていたのかなという気もしますので、そういうのは後見人と入院させられる側の利益相 反を防ぐ観点から裁判所の許可を得ることを必要にしたというのが一番素直な見方かな と。 ○山本委員  そうだと確かに二重チェックだというふうになる。 ○杉中補佐  その後で精神衛生法の規定ができて、そういう観点があって、行政が責任を持つ措置 のところについては外れて、民間の医療保護と仮入院等のみが残っているというのが前 提。 ○山本委員  措置入院は除かれているわけですね。 ○杉中補佐  措置入院は38条。 ○山本委員  これは公的負担なので、これは要らないということなんじゃないかと思うんですね。 そうではないですか。 ○池原委員  ちょっと山本先生のご意見とは違うんですけど、今六法持ってないんですけど、 858 条の1項が後見人の一般的な身上監護についての規定があって、2項で入院についての 規定なので、この2項は一般的な身上監護の一環として医療にアクセスするような配慮 をするのが後見人の身上監護義務の一般にあるんだけれども、入院のときには拘束を伴 うとか、拘禁的な状態になるので裁判所のチェックが必要だという解釈ではないかと私 は思います。 ○山本委員  そうすると措置入院でも必要だということになるわけですね。 ○池原委員  ただ、後見人が同意権者としての振る舞いを医療保護の場合はしますので、措置の場 合には後見人はいい悪いの発言権はないので、その意味ではドイツの世話法と似た、あ る意味では先駆的な規定だったのかもしれないですけど、私の意見ですが、結論はやむ を得ないのかなというか、国際基準からすれば、裁判所のチェックがあることは望まし いことであって、事務の煩雑さよりはチェックの厳重さことを重視することの方が論拠 としては説得力があるのだと思うんですね。  ただ、私の個人的な意見では、ここには出ていませんけれども、恐らくこの規定を残 してしまうと、保佐類型の人が医療保護入院にかかわることが非常にアンバランスにな ってきてしまって、保佐類型も保護者になるんだという前提でもし考えるとすると、ど ちらかに統一せざるを得なくなると。要するに保佐の人も許可を得なければ入院させら れないんだと考えるか、あるいは後見の人も許可なしで入院させられるんだと考えるか どっちかにそろえなければいけないことになるとすると、現状ではこの結論で、つまり 家庭裁判所のチェックまで入れなくてもいいということでやむを得ないのかなとは思っ ています。  そういう点からすると、1つだけ表現に工夫していただきたいのは「基本的な考え 方」の中で3行目ですか、「精神保健福祉法においてその適正性についてチェックされ ていることを踏まえると」というのはやや言い過ぎで、要するにここは後見の場合のみ 家庭裁判所の許可を要するというのは全体としては統一がとれてないので、通常の扶養 義務者保護者の場合には全然それは許可が必要ないわけですから、だからそのアンバラ ンスさだけを指摘すれば十分ではないかと思いますけれども。 ○吉川座長  佐伯先生、いかがですか。 ○佐伯委員  新しい保佐人についてのことは考えてなかったんですが、後見人だけがチェックを受 けるという点に関しては、実際どういう人が後見人になっているのかということについ て実体の知識がないものですから、簡単にアンバランスであるというふうに言い切れる のかなというのは確信を持って言うことはできないんですけれども。 ○杉中補佐  本来であれば、保護者全体について裁判所のチェックがかかるのが望ましいという池 原先生のお言葉についてはそのとおりだと思います。実際に保護者の選任のときに、す べて家裁が選任行為をすることができないかということは前回にも説明しましたが、法 務省及び最高裁判所にも問い合わせをしてみたところなんですけれども、なかなか現在 の体制では非常に厳しいというのがどうもその両者の現在の意向でございまして、我々 としても裁判所で本来の法律的な在り方をやるのか、それとも現状でやるのかというの は、裁判所の体制次第で我々は考えますということは言ってあります。ただ、現状で後 見人だけというのは、その対象者を保護していくという点で、その時点で適切な人物で あることを裁判所がチェックしている人に対してだけ、さらにもう一度許可が必要とい うのはどうもおかしいのかなというのが考えられると思います。 ○池原委員  佐伯先生のご質問の後見人はどういう人がやっているのかということですが、これは データを持ってないので全くの実務的な経験だけで申し上げますと、もちろん禁治産申 し立てのときにだれか後見人候補者を記載して申し立てするわけですね。その際に大体 我々の常識感覚ですと身内の人じゃないとやってくれる人はいないわけですね。全然関 係ない人を探してきて、やってくださいというのはほとんど不可能で、そういう意味で は、成年後見の方でも法人後見とかドイツの世話人協会みたいな、何とかしてくれない かと、第三者がやってくれるような後見人を用意してほしいということを言っているわ けですので、実情は恐らくおおむね保護者の選任母体と後見人として選ばれている人は ほとんどオーバーラップ。つまり扶養義務者であるとか、親であるとか、兄弟であると いう人が大体は後見人をやっていると考えて間違いないのではないかと思っています。 ○佐伯委員  ありがとうございました。そうすると、私も理想的にはすべて裁判所の許可というの が理想的かと思いますが、バランス論が説得力を持っているかなと思います。 ○吉川座長  ありがとうございました。そうすると、先ほど池原先生からお話が出ました少々言い 過ぎではないかなという、その辺のところをちょっと考えさせていただきまして、全体 の流れとしては、3番目の問題に関しましてもこれで終わらせていただきたいと思いま す。ほかに何かございますでしょうか。  とりあえず今後の問題でございますけど、きょうで一応こうしたテーマ別の議論は終 わらせていただきまして、次回は私どもの方でつくりましたレポートを皆様方にご提示 しながら、そこでもって最終的にチェックをしていただくという会にしたいと思ってい ます。  それでは、大変時間をオーバーして申しわけありませんでしたけど、次回そのものは 8月20日16時から、やはりここで進めたいと思いますが、よろしくお願いしたいと思い ます。それでは、どうもありがとうございました。                          −−了−− 連絡先 障害保健福祉部精神保健福祉課 医療第一係 高橋(内線3059)