98/07/07 食品衛生調査会毒性部会・添加物部会合同部会議事録 食品衛生調査会毒性部会・添加物部会合同部会 議事録 日時:平成10年7月7日(火) 10:00〜12:00 場所:中央合同庁舎5号館共用第7会議室 出席者  部会委員:五十嵐委員、江崎委員、江角委員、近藤委員、鈴木(久)委員、高仲委員 戸部委員、長尾委員、成田委員、福島委員、村上委員、山崎委員、 山田委員、廣瀬委員  厚生省 :池田(年)食品化学課長補佐以下5名 厚生省生活衛生局食品化学課 ○池田補佐 それでは、定刻となりましたので、食品衛生調査会毒性部会、及び添加物部会の合同 部会を開催いたします。 本日は毒性部会が委員10名のうち6名、添加物部会が委員10名のうち8名の御出席を現 在いただいております。いずれも過半数を満たしておりますので、本日の部会が成立い たしますことを御報告いたします。 なお、本日は前回の6月1日の審議に引き続きまして添加物の規格、あるいはBHA 等について御議論いただくこととしておりますので、特に臨時委員といたしまして山田 先生、及び廣瀬先生にも御出席いただいております。 合同部会の座長につきましては、慣例によりまして、毒性部会長にお願いすることと なっておりますので、以後の議事進行は戸部部会長にお願いしたいと思っております。 それでは、部会長よろしくお願いいたします。 ○戸部部会長 おはようございます。暑いさなか、早朝からお集まりいただきまして、ありがとうご ざいました。 それでは、ただいまより審議に入らせていただきたいと思います。 まず、配布資料の確認をお願いいたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いい たします。 ○池田補佐 それでは、配布資料の御確認をさせていただきます。事前にお送りしたものとか、当 日配布のものとがございますけれども、まず議事次第ということで、本日のものがござ います。めくっていただきますと、合同部会の委員等の名簿がありまして、配置図等が ありまして、配布資料の一覧がございます。後ろに参考ということで、前回の6月1日 の配布資料の一覧も付いてございます。 資料は1番といたしまして、「スクラロース(甘味料)の食品添加物としての指定に ついて」というのが1枚。 資料の2といたしまして「食品添加物公定書の改正について」というものでございま して、これが本文5枚、それから表がついてございます。 資料3が「マグロ、ブリ等に対する一酸化炭素の使用について」ということで2枚ご ざいます。 それ以外に資料の2−1といたしまて「食品添加物公定書第7版各条等検討会報告の 訂正について」という縦長のものでございます。 それから、資料2−2といたしまて、「BHAの発がん性について」というものでご ざいます。国立医薬品食品衛生研究所の廣瀬部長のお書きになったものでございます。 資料2−3といたしまして、前回6月1日の合同部会の議事録でございます。 それから、事前にお送りしているものが2つほど、それから昨日お送りしたものもあ りますものですから、1枚紙で「CELEBES JAPAN FOODS CORP ORATIONからの追加提出資料」、それから「株式会社オンスイからの追加提出資 料」という1枚紙が本日お手元にお配りしてございます。 それに対応いたします資料といたしましては、厚いものでございますが、下の方に横 文字で「CELEBES JAPAN FOODS CORPORATION」と書い てあります資料、これは先ほどの1枚紙では資料3−1−1)とさせていただいておりま す。 それから、本日も机の上に置いてございますが、青い表紙の付きました「食品衛生調 査会議事録より」というものがCELEBES JAPANからの追加資料でございまして、資料 3−1−2)と書かしていただいております。 それから、株式会社オンスイからの資料でございますが、1つが、ガリ版刷りの縦長 のものでございますが、表題は特にないんですが、食品化学課宛ての資料でございます 最後にもう一つ7月1日付でオンスイから出ております資料、先ほどのが3−2−1) とさせていただきまして、これを最後に今日お配りしておりますけれども、10年7月1 日付のものを3−2−2)とさせていただきたいと思います。 資料は以上でございます。 ○戸部部会長  ありがとうございました。そろっているでしょうか。かなりの数がございますので、 お確かめをいただいて、そろっていない場合にはどうぞお申し出いただきたいと存じま す。 そろっているようですので、それでは議事に従いまして、順次審議をお願いしたいと 思います。 まず、1番の「スクラロース(甘味料)の指定について」てございます。この件は6 月15日に食品衛生調査会に諮問されまして、同日付で本部会に付議されたものでありま す。これから検討を行ってまいりますが、まず、概要について、事務局から説明をいた だきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○池田補佐   それでは、資料の1番に基づきまして、御説明をさせていただきます。 資料1をお開きいただきますと、「スクラロース(甘味料)の食品添加物としての指 定について」という資料でございます。 既に皆様御存知のとおり、食品衛生法の第6条によりまして、食品添加物の製造、輸 入、販売等につきましては、人の健康を損なう恐れのない場合として、厚生大臣として 食品衛生調査会の意見を聞いて定める場合を除いて禁止されております。 こちらの食品添加物の新規指定要請の手続等につきましては、平成8年3月に局長通 知によりまして、指定要請をするものは有効性、安全性等に関する資料を添えて厚生大 臣宛てに要請書を提出することとされております。 今回要請のされましたスクラロース、これは甘味料でございますけれども、これにつ きまして、事務局による予備審査を終了いたしまして、平成10年6月15日付で食品衛生 調査会に指定の可否についての諮問がされたものでございます。 品目といたしましては、スクラロースが品名でございまして、用途は甘味料でござい ます。ショ糖の600 倍程度の甘味度があるということでございます。 指定要請者は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社でございまして、平成9年8月1日に 要請されております。 外国での使用状況は、米国、カナダ、ニュージーランド等の20か国以上で食品添加物 として使用されております。 国際機関の評価といたしましては、FAO/WHOの合同食品添加物専門家会議 (JECFA)におきまして、1日摂取許容量、いわゆるADIが15mg/Kg体重と設定 されております。 その他といたしまして、既に指定されております品目数といたしましては、平成9年 4月17日にキシリトールを指定したことによりまして、現在349 品目でございます。ま た、グルコン酸カリウム及びグルコン酸ナトリウムの2品目につきましては、現在審議 中でございます。 ということで指定の要請がございまして、諮問を受けまして、この部会で御審議をい ただくわけでございますが、通常ですと、分科会等を設置して、御審議をいただくこと になっておりますけれども、よろしく御検討をお願いいたします。 ○戸部部会長   ありがとうございました。ただいまの説明のとおりでございますが、どうぞ御審議を お願いいたしたいと思います。何かございませんでしょうか。事務局の方からの提案で は、これまでもこういったケースでは、まず、本部会で審議をするに当たって、少し詳 細に分科会をもって、そこで十分な検討を行って、その後、当部会でその結果を参考に いたしまして、審議を重ねるという手順を準備されているということでございますが、 よろしゅうございましょうか。 それでは、分科会を設置して、詳細について検討を行 い、その後再度当部会で審議を行うということにいたしたいと思います。ありがとうご ざいました。 それでは、続きまして、2つ目の議事でございますが「食品添加物公定書の改正につ いて」、これも前回既に話がありましたように、審議を一度していただいております。 資料が非常に膨大だということもございますので、少し間を置いて再度審議をお願いし たいということで本日に至りました。もう一度御審議をいただくわけでございます。 このいただいております資料について、地方衛生研究所、あるいは指定検査機関など から若干の指摘をいただいているということでございます。この点につきまして、事務 局、及びこの食品添加物公定書第7版各条等検討会の座長でございます山田先生に若干 の御説明をいただくということにいたしたいと思います。 山田先生、よろしくお願いいたします。 それでは、どうぞ事務局の方から説明をいただきたいと思います。 ○池田補佐  それでは、まず資料の2をごらんいただきたいんですが、前回の6月1日にも御説明 をさせていただいておりますけれども、御存じのように、食品添加物公定書につきまし ては、食品衛生法の第13条の規定に基づきまして、食品添加物の成分規格や使用基準な どを収載するということで、92年までに第6版を作成いたしております。 平成7年の食品衛生法の改正によりまして、指定制度の対象範囲が拡大されたという ことで、規格を充実すること等が改正の目的ということで挙げられておるわけでござい ます。 平成6年9月から第7版の各条等の検討会が開催されまして、10年4月に報告 書がまとめられたというところでございます。 それを受けまして、5月11日に食品衛生調査会に諮問がなされ、前回の6月1日に当 部会で1回目の審議が行われたということでございます。 本日お配りいたしました資料2−1でございますが、こちらが今、部会長から御指摘 のありましたように、指定検査機関等からの訂正等の意見を受けまして、今回追加での 訂正等の資料でございます。 大きく3つほどに分かれておりまして、資料2−1の1ページから4ページまでが、 その後国立医薬品食品衛生研究所、並びに製造者等からの指摘がございまして、字句等 の訂正を行ったというものでございます。 5ページからが、指定検査機関からの指摘によります訂正がございます。 その次が地方衛生研究所からの意見ということで、同じようにまとめ切っておりませ んけれども、前半の部分が訂正の意見等でございまして、下の方の11ページ以降が要望 事項という形になってございます。 以上が今日の資料でございますので、山田先生、よろしくお願いいたします。 ○山田委員    ただいま御説明ありましたように、資料2−1ですけれども、これが始めの方のとこ ろに訂正がありまして、これは主に単なるミスプリントと申しましょうか、ワープロが うまく出ていないとか、そういうのでございます。 指定検査機関からという5ページ以降のところ、その後の衛生研究所からのが訂正事 項と要望事項とに分かれておりまして、訂正事項と書いてありますのは、同じように ワープロのミスなどのことでございますので、このように直していけばよいと思います 11ページからが要望事項というのが出ておりまして、これは初めの方の第6版と同じ ように索引を付けてくれというのは、多分本の体裁にするときにそのように入れられる のだろうと思います。 それから、その他の要望事項でございますけれども、3番目の「ナゴ4」というとこ ろに、ヒ素試験法に原子吸光測定法が臨まれる。これが現在のところ第7版ではタール 色素試験法のところだけにこれを導入しておりまして、あとのところはうまくデータに も差し支えなくて、導入が望まれるような場合でしたらば、導入していくように第8版 からなっていくのだろうと思いますが、今回のところは実験を伴っていないといけない ことでありますので、すぐにはできないと。そういうことが要望事項には並んでおりま す。 なかなか実験上の細かい御指摘などもありまして、これは実際にやっていらっし ゃる方が、この方がやりいいよということなんだと思いますので、これは今後追試を行 って、第8版には入れるようにということで、7版には手間を取りますので、間に合わ ない点が多いと思います。 その要望事項というのが続いておりますけれども、8版からのがいいと思いますけれ ども、例えば13ページ「要望事項−3」の上から2番目の「ナゴ10」と「ナゴ11」とい うところで、用時調整の方がよいという御指摘については、試薬のところに「用時調 整」という文字を加えるようにさせていただきたいと思っております。 13ページの一番下にあります薄層クロマトのところなんですけれども、これがなかな か難しいところでして、今、薄層クロマトグラフィーというのは、大体買ってきたのを そのまま使うようになっていると思うんですけれども、公定書の方ではいまだに自分で 引いて、焼いて使うというような表現になっております。 実際はそうじゃなくても、公定書に書いてあるよりもよい方法であればいいというこ とは通則には書いてあるんですけれども、実際に公定書の方には引いて使えとなってお りますけれども、これも8版には改めた方がいいと思いますし、具体的に4−メチルイ ミダソールは、これで別なものをまぜて引くようになっていますので、これは違う溶媒 系を使えばいいよということが出ていまして、今、実際に使うのが困難でしたら、これ はこちらの方に改めるという検討が早急に要るかもしれません。 残りの御指摘でございますが、14ページの下の方にありますような誤字のところは、 ワープロの都合だと思いますので、改まると思います。 15ページのβ−シクロデキストリンも、実際の実験が伴うことですので、早急には困 難ということであります。 製造基準のことなんですけれども、今回は新たに入りましたので、十分にすべての品 目について入っていない点がありますので、新たに加えるべき品目などについては、追 加すべきなんだと思いますけれども、現在では使わないことにしておりますジクロロエ タンなどについては、これは確かに発がん性があるということで使用すべきではないん だと思いますけれども、実際に禁止されるものがあるということなので、そのようなと ころの対応をどうするかということは、まだ試験法などについても十分この公定書の方 では対応していないかもしれませんが、微量に検出されているものでも、試験法の検出 限界などで対応できると思います。 その他ガムベースについてのいろいろな要望が出ておりまして、これも実際にやって いらっしゃるところからの要望で大変貴重なんだと思いますけれども、これはすべて実 験をしてやるという操作が必要ですので、8版のときに対応していただけたらと考えて おります。 大体のところは以上です。 ○戸部部会長   ありがとうございました。実際におやりになっているところから細かい貴重な指摘を たくさんいただいているということでございます。 今、御説明ございましたように、7版の中で細かい点の訂正がかなりございますよう ですが、そのほかに今回の7版では処理し切れない問題が幾つかあると。それは次の第 8版の改正のときにというお考えのようでございます。何か御質問、あるいは御意見が ございましたらどうぞよろしくお願いします。 ○山崎部会長  大変貴重な御意見をいただいていると思います。今、山田委員の方から御説明ありま したように、試験を伴うものについては、第8改正のところで改正するという方針で結 構だと思うんです。ただ、私ちょっと細かいことで気がつきましたのは、12ページ、要 望のところの一番下のところに医薬品添加物基準と統一してほしいというのが要望の中 にあって、これは放置温度の指定と言いますか、20度で24時間というのと、それから pHの指示ですね。pHは8〜8.3 という、これだけのことですので、混乱を避ける意 味ではこういう医薬品添加物基準と統一した方がいいのかという個人的な感想があるん ですが、これもやはり第8改正の部分でないと改正できないというところに当たるんで しょうか。細かいことで申し訳ないんですが。 ○山田委員    これは実験をしないで、実際につくっているところなどが、このとおりでも現在の製 品が変わらないので、構わないのだという御意見だったらば構わないんだと思いますが これだと今、通用しているものがおかしくなったりするということですと、実際に実験 をやってみて、そうかどうか確認しなければ分からないということですと時間が掛かる かと思いますので、その辺は事務局の方で聞いていただいて、よろしければ直していけ ばいいと思います。 ○山崎部会長  分かりました。あとはもうよろしゅうございます。 ○戸部部会長  ありがとうございました。ほかに何か御意見ございませんでしょうか。訂正の作業も かなり大変かと思いますが、それでは、この検討会の報告を基にして、山田先生から今 御説明いただいたように、一部の訂正を行った上で、第8版に回すものは回すものとし て、検討会がおまとめいただいたもので訂正を行うということでよろしゅうございまし ょうか。 それでは、そういうふうにさせていただきたいと思います。ありがとうございました 続きまして、BHAの使用基準についての審議に入りたいと思います。 本件については、前回の審議のときに事務局からこれまでの経緯が説明がございまし た。昭和57年に食品衛生調査会でBHAの問題が審議され、使用基準が改正されました それを思い起こしていただきたいのでございますが、ラットで前胃というところにがん が発生したと。扁平上皮がんが発生したという御報告がございまして、それに基づいて 使用基準が改正されました。 ところが、その後、そのデータを詳細に国内でも、あるいは国際機関の場でも評価さ れ、その後、新しいデータも出てまいりまして、発がん性について、直ちにヒトで問題 があるというふうには思えないということもございまして、その施行が一時猶予されて いたわけであります。そこで現在に至っているわけでございますが、食品添加物公定書 に添加物の使用基準も含まれておりまして、今回の改正に当たりまして、このBHAの 取り扱いについても、はっきりさせておいた方がよろしいだろうと。つまり、俗に言え ばチャンスが出てまいりましたので、これまで若干あいまいであった取り扱いについて すっきりさせた方がいいということでございます。 そこで、このBHAの発がん性の問題について、もう一度考えをまとめ直して、ここ で審議をいただいて、それに基づいて直すべきものは直すというふうに運んでまいりた いということでございます。そういうことで、当部会でもう一度このBHAの発がん性 について審議をいただいているわけであります。 これについても資料がかなり大部でございましたので、今回に持ち越して審議を継続 していただいているわけであります。 本日は国立医薬品食品研究所の病理部長でございます廣瀬先生においでをいただいて おります。廣瀬先生からあらかじめ先生の専門分野から見た発がん性についての概説を お出しいただいております。そういうことで廣瀬先生から資料の内容について御説明を いただき、その後でこの問題について審議を進めてまいりたいと思います。 恐縮ですが、廣瀬先生よろしくお願いいたします。 ○廣瀬委員    私、現在、国立医薬品食品衛生研究所におりますけれども、4月以前は名古屋市立大 学におりまして、特にこのBHAの発がん性の問題が出てまいりましてから、BHAを 始めとした抗酸化剤の発がんのいろいろな修飾の問題、あるいは発がんの機構というこ とについて研究を行ってまいりました。そういう関係で今日ここに出席させていただけ たものと思っております。 まず資料2−2について簡単に御説明したいと思います。 「はじめに」の方は、先ほど戸部先生から御紹介がありましたので省かせていただき ますけれども、IARCの発がん性の評価ではグループ2Bと評価されておりまして、 これは動物では十分な発がん性のエビデンスがある。しかしなから、ヒトに対しては、 そのエビデンスというか、疫学的なはっきりしたデータがないということで、つまり possible carcinogenic to humanということになっていると思います。 まず、BHAの変異原性につきましては、恐らく皆様ご存知だと思うんですけれども ほとんどの系ではネガティブであると。Amesでは全く引っ掛かってこない。ただ、 chromosomalのabberationではweakな陽性という結果が散見されておりますけれども、そ れは非常に弱いということで、ジェネラルにはこれは非変異原性とされているわけであ ります。 次に、動物の種差ですけれども、これは非常に重要なところでありまして、まずラッ トては明らかに発がん性がある。それから、雄のハムスターでも2%、あるいは1%の 濃度を投与しますと、有意に扁平上皮がん、あるいは乳頭腫が増加してくる。 同様に、マウスでは1%以上を投与しますと死んでしまうので、それ以上の投与量は やっておりませんけれども、1%でやはり、非常にこれは有意差が出るか出ないかとい うくらいの腫瘍の発生があるということで、マウスに対しても発がん性がある可能性が あるというようなデータであります。 これらの齧歯類はすべて前胃があるということで、それから2ページの一番上に書い てありますけれども、SPFのブタですけれども、これも前胃に相当するような扁平上 皮部があるんですけれども、ブタに投与した結果でははっきりしたBHAの効果は出て いないということです。 次に前胃のない動物ではどうかということでモルモットのguinea pig、あるいはビー グル犬、サルに投与した実験がありますが、これはいずれもBHAによる細胞増殖、あ るいは腫瘍性の変化は全く見られておりません。 ただ、スンクスという、これも前胃のない動物なんですけれども、非常に小さい齧歯 類ということで、ジャコウネズミというんでしょうか、これは昆虫を食べている動物と いうことですけれども、これにBHAを生涯投与しますと、肺に腫瘍の前段階の過形成 がかなり高率に発生してきまして、その次の段階の肺の腺腫になりますと、増加はして いるんですけれども、有意な増加はないということで、これが唯一のポジティブな影響 だと思います。 しかしながら、これは野生の動物であるということ。それから、そのほかの動物には 全く肺には変化が見られていないということを考えますと、この評価には非常に慎重を 期す必要があろうと思います。 魚類に関しては、腫瘍性の変化は全く見られておりません。 次に、ラットの系統差ですけれども、同じラットでもかなり発がん性の強さが異なっ ておりまして、一般に我々が用いますF344 系のラットでは発がんの頻度は比較的低い ルイスラットでも低いんですけれども、ただ、SHRというような特殊な高血圧ラット ですけれども、これになりますと、77%ということで前胃にかなり高頻度に扁平上皮が んが発生してまいります。 ただし、これも前胃だけでありまして、ほかの食道、あるいはそのほかの消化器系等 には腫瘍は全く出てきません。 次に「5.BHAによる前胃発癌、細胞増殖の用量相関性」ということで、これは F344 系に0.125 %から2%までの濃度で2年間BHAを投与しますと、発がん量とい うものは2%の用量で初めて見られる。 それから、乳頭腫は1%で見られておりまして、その前段階の過形成になりますと、 0.25%で見られる。0.125 %では、全く増殖性の変化は見られていないということです ただ、1%のBHAを投与して、非常に低頻度ながら前胃に発がんがあったというデー タは散見されておりますけれども、F344 系に関しましては、発がん量は2%であろう と。 それから、マウスでは、先ほどもちょっと触れましたけれども、0.5 %で若干乳頭腫 扁平上皮がんが出ている。マウスでも1%でも若干の腫瘍が出る。こういうことで発が ん量というものはかなり高い濃度であろう。ただし、その前段階の乳頭腫、あるいは過 形成は低濃度で出ておりまして、更にもうちょっと短期間で細胞増殖をBrdUの標識率 DNA合成を指標として見ますと、我々のデータでは0.1 %という濃度まで有意に細胞 増殖は増加します。ただし、この濃度では腫瘍は全く発生してまいりません。 6番目 の前胃発がんの経時変化につきましては、非常に病理学的なことですけれども、ちょっ と説明させていただきます。 この発がん量のBHAを投与しまして、非常に初期の変化を見ますと、まず、投与15 分ということで、肉眼的には何の変化が起こっていない時点ですけれども、既に細胞増 殖関連のがん遺伝子であるc−mycあるいはc−fosが過剰発現している。その後 にDNAの合成が増加してくる。その後に過形成、あるいは過形成と同時に炎症だとか びらんだとか、そういうような細胞障害、こういう変化が見られてくるということを考 えますと、BHAはプライマリーに細胞を増殖させるような作用がある。 更に細胞の障害が起きますと、それを修復しようというような上皮細胞の過剰増殖が 起こってくるということで、徐々に前胃の上皮の厚さが増えてくるんじゃないか。これ が発がんにつながってくるんじゃないかというふうに考えられます。 次にBHAの前胃病変の可逆性についてですけれども、一般的に今のところジェノト キシックな発がん物質では発生してきた変化は、発がん物質の投与をやめても戻らない それに対しまして、非変異原性の発がん物質でありますと、投与して発生してきた増殖 性の変化も元に戻るということが言われておりまして、BHAを24週間投与しまして、 その後基礎食に戻して増殖性の変化がどういうふうになるかということについて検討し ますと、BHAの投与を中止しますと、早期にDNA合成が非常に下がってきます。そ れにつれまして、粘膜の厚さも当然投与中止後大体4週でほぼ対象レベルに戻ってくる ということで、急激にBHAで起こされた変化というものは元に戻るということが言え ます。こういうような可逆性ということは、いろいろな研究者も報告しているところで あります。 この可逆性のメカニズムは、BHAで非常に細胞の回転が短くなる。BHAを今度は 投与を打ち切った場合には、その細胞回転が延長するということで、BHAの可逆性が 起こってくるんであろうと考えられております。 それから、8番、9番は飛ばしまして、「BHAの発癌機構」ということにちょっと 触れたいと思うんです。 この「BHAの発癌機構」は、実際問題、非常に難しいところがありまして、まだ完 全には解明されていないというのが実情なんですけれども、今まで分かってきている範 囲でまとめたんですけれども、一般的にこのBHAは、P−450 で脱メチル化されると いうことが言われております。これが脱メチル化されて、5ページになりますけれども TBHQとなりまして、更にperoxidaseあるいはProstaglandin synthaseとも言います けれども、この影響によって、セミキノンラジカルを経てTBQ、このTBQは遺伝子 障害性があると言うことが言われております。こういうものが生成される。 更にこのTBHQからTBQに移る間に活性酸素が生成されるということが言われて おります。この活性酸素の生成はESRを使ったin vitroの実験、あるいはヒトのリン パ球を用いた実験、それからバクテリオ・ファージを用いた実験などから明らかにされ ておりまして、このような活性酸素の生成は確かにSOD、スーパー・オキサイド・デ ィスミューテンス、あるいはカタラーゼを投与すると抑制されまして、逆にperoxidase 系のProstaglandin synthaseやリポシキゲナーゼの投与で逆に促進されるということが 言われております。 そうしますと、このTBHQからTBQに移行する間に活性酸素が出て、更にTBQ が何らかの遺伝子毒性に働いているんじゃないかということが示唆されるんですけれど も、それに対する矛盾点というものもありまして、例えばTBHQを投与しましても、 BHAと同じような前胃に対する強い細胞増殖が起こってこない。あるいはTBHQは 前胃に対して明らかな発がん性は見られない。 それから、前胃の粘膜内のTBQの量を測ってみますと、検出限界程度の非常に微量 しか見つかってこない。 それから、TBQ自体をラットに投与しましても、BHAと同様な過形成は全く出て こない。 それから、実際にin vivo でBHAを投与しまして8−OH−dGを測定しましても その増加は見られない。これは我々も行っておりますし、オランダの研究者も行ってお りますし、このようなことから実際にin vivo で以上のことが起こっているのか、まだ 問題点があると思います。 TBQの問題ですけれども、先ほど遺伝子毒性があると言いましたけれども、実際に BHAを投与してポストラベルで見てみますと、コントロールでもポストラベルはかな り付加体が出るんですけれども、BHAの投与で非常にわずかなBHAに特異的な付加 体も形成されるという事実もありまして、そういうことを考えますと、TBQは微量な がら前胃でできているんじゃないかということが推察されます。 いずれにせよ、このBHAは、今までのことをまとめてみますと、一時的に細胞増殖 を起こします。それから、細胞障害の後に、やはり過剰な再生による細胞増殖が起こっ てきて、細胞増殖がどんどん昂進する。 こういうような発がん刺激に対して感受性のある時点でBHA由来のTBQとか、飼 料中の発がん物質、あるいは活性酸素が前胃のDNAに作用して、細胞のトランスフ ォーメーション、更には前がん変化を経て、発がんに至るというような可能性が推察さ れているわけです。 ただ、これは先ほども申しましたように、あくまでも推察でありまして、それをはっ きりと前胃の中で示したというデータは、特に活性酸素ですけれども、まだないのが現 状であります。 次に「BHAの発癌修飾作用」ですけれども、、BHAは昔からワッテンベルグらが 種々の発がん物質の発がんイニシエーションを抑えるということで非常に注目されてお りまして、実際にアフラトキシンB1 だとか、ベンツピレン、DMBA、ジメチルニト ロソアミン、こういうような環境中の発がん物質のイニシエーション作用を抑えること が分っております。 更に我々最近、ヘテロサイクリックアミンであるメチルアイキューエックスの発がん 性もかなり強力に抑えるという事実も見出しております。 プロモーション段階におきましては、イニシエーション段階とかなり異なったデータ がありまして、BHAは膀胱発がんを促進します。当然ながら前胃の発がんも促進しま す。膀胱の発がんは、今までですと大体2%とかなり高濃度で膀胱発がんを促進するこ とが分かっております。前胃の発がんの促進に関しましては、発がん量よりもかなり低 い0.5 %程度まで発がんの促進が見られております。 一方、やはり高濃度ですけれども、乳腺発がん、肺、あるいは肝発がんをポストイニ シエーション段階で抑制するということも分かっています。 以上が大体BHAの発がん性、あるいは発がん修飾作用に関する事項でありまして、 次が「BHAのヒトにおける発がん性」がどうであろうかということですけれども、こ れはいろいろな方がレビューしておりまして、その辺のレビューをまとめますと、ここ に6つ書いておりますけれども、まずBHAに変異原性がなく、発がん機構が細胞増殖 や酸化ストレスによる可能性が高い。 2番目として、BHAの発がん量が非常に高い。2%、ヒトの摂取量に換算すると数 万倍に達するということ。 発がん性には、長期間の持続的な暴露が必要でありまして、しかも発生した増殖性の 病変、これは過形成、あるいは乳頭腫ですけれども、これは投与を中止すると元に戻る 可逆性であるということ。 それから、BHAの発がんがヒトには存在しない齧歯類の前胃に限られておりまして 前胃のないモルモット、犬、あるいはサルでは、ラットのような発がん作用は示さない 5番目として、前胃と同じ重層扁平上皮であります食道には、いろんな実験を見てみ ましても、腫瘍や過形成は発生してこない。勿論、食道以外の臓器に関しましても、腫 瘍性変化は出てまいりません。 それから、BHAには発がん修飾作用、特にイニシエーションした後のポストイニシ エーション段階で膀胱発がんを促進するというような結果がありますけれども、これも 非常に高濃度でありまして、現在のヒトの摂取量では危険はないものと考えられるとい うようなことがあって、下のADI等々は、ほかの資料にも書いてありますので、これ は省略します。 一番最後に付け加えたいのは、BHAが今問題になっているんですけれども、天然の 中にはカフェ酸、あるいはセサモールのように、BHAよりもはるかに強力な前胃の発 がん物質が見出されています。 特にカフェ酸に関しましては、リンゴ、あるいはジャガイモの中には数百ミリグラム そのほかにいろいろな穀物、豆類にも含まれておりまして、ヒトの摂取量はBHAの比 ではありません。しかしながら、疫学的には野菜や果実などの摂取はかえって発がんの リスクを下げるということも知られている。ここに書くのを忘れたんですけれども、ア スコルビン酸と亜硝酸、これをまぜてネズミに投与しますと、BHAよりもはかるに強 い変化が前胃に起こってまいりまして、1年間で乳頭腫、あるいはがんができるという 事実もありまして、BHAよりもいろいろな天然の物質でもBHAと同じ、あるいはそ れ以上の強い発がん性のあるものがこの環境中にはあるということを最後にお伝えした い。 以上です。 ○戸部部会長  ありがとうございました。いろんな角度から検討を加えていただきましてこのBHA の発がん性についてまとめていただきました。先生の今の御説明も踏まえて、前回し残 している内容がございましたら、どうぞ御自由に御発言をいただきたいと思います。 ○長尾委員  BHAをS9mix存在下でDNAとインキュベーションすると、 DNAアダクトができますね。それで変異原性が出ないのは、何かメカニズムが分かっ ているんですか。 ○廣瀬委員    そうですね。 ○長尾委員    DNAの存在下ではアダクトができるけれども、変異原性は出ないというところは何 か。 ○廣瀬委員    その辺はちょっと分からないです。 ○戸部部会長  長尾先生よろしいですか。 ○長尾委員    はい。そういう分からないメカニズムがそこにあるということですね。 ○戸部部会長  ほかに何かございませんでしょうか。 ○村上委員    教えていただきたいと言った方がいいかと思うんですけれども、今の御説明でBHA が現実的にはその毒性を余り考慮する必要はないんだと私も思うのでございますけれど も、そういたしますと、このBHAに関して、ヒトに対する発がんと言いますか、リス ク・アセスメントで有害性の部分ですね。そこのところはあると考えるのか、あるいは ないと考えるのか。そして、後から出てまいりますFAO/WHOでは、ADIを決め ておられますね。ということは、有害性があるということがバックグラウンドにあるん じゃないかと思うんですけれども、そこのところをどう考えるのか、はっきりさせる必 要があるんじゃないかと思うんです。 ○廣瀬委員    私が知っている限りでは、ヒトに対してBHAをボランティアに投与したという実験 がありまして、それでは肝臓の酵素がたしか上がるようなデータはあると思うんです。 ただ、それは有害性と取るか、ケミカルを投与した影響と取るか、その辺は非常に難し いところだと思うんですけれども、投与することによる影響というものはある可能性が ある。 勿論、これはヒトだけじゃなくて犬もそうですし、犬に高容量を与えますと、肝臓の 酵素は多くなります。 ○長尾委員    その点についてですけれども、マウスは1%が最大耐量ですから毒性はあると思うん です。やはり濃度が高ければ。 ○村上委員    毒性と言いますと、それは発がん性ですか。 ○長尾委員    いや、そうじゃなくてです。 ○村上委員    御説明にありました、例えば細胞上皮の過形成があるとか、そういったような現象を 含めてですね、影響があるというのは。 ○長尾委員    いろんな作用があると思います。 ○戸部部会長  WHOのADIの決定が、どういうデータに基づいてこの量を決めたかということを 直接知らないものですから、何とも申し上げられないんですが、いずれにしても、この BHAに、がんを除いても、何らかの毒性影響があるというのは明らかだと私は思いま す。合成物質で動物実験をやって、何らかの毒性の出ない物質というのはこれまでに見 つかっておりませんので、このものもそのうちの1つであると。極言すれば、水でも大 量に飲めば中毒を起こしますので、そういう意味で毒性のないものはないという、釈迦 に説法ですが、パラケルサスの名言がございますので、どんなものでもあることはある んです。ですから、動物実験に基づいて、その実験の条件下で影響のない量に基づいて ADIを決めているはずでございますので、再度申し上げますが、どの毒性ポイントで エンド・ポイントで決めたか、ちょっと分かりません。 いずれにしても、発がんを除いても、何らかの毒性は当然あると考えていいんじゃな いでしょうか。それを踏まえて、WHOではヒトで0.5mg/kg、恐らく100 倍の安全量を 掛けておりましょうから、50mg/kgが恐らく実験に基づく無毒性量であったかと推察され ますけれども、更に詳しいことは分かりません。どなたか御存じでしたら。 ○池田補佐    前回お配りした資料の2−2のところで、ラットの混餌投与で1.25 g/kgでは過形成が みられるが、1.0 g/kg では出ていない。それは50 mg/kg体重に相当するので、0.5 mg/ kg という形になっているということです。 ○戸部部会長  過形成の影響がある量とない量とに基づいて決めたというレポート、WHOのレポー ト・シリーズというのがございますが、前回の資料に入っています。 ○池田補佐    今のは、前回お配りした資料の2−2というのがございまして、そちらがWHOのテ クニカルレポート・シリーズの1989年というものでございます。その中の記載によりま すと、ラットに投与したときに、1.25 g/kgの混餌投与では緩和な過形成の誘導が見られ るが、1.0g/Kgの混餌投与では見られていないということで、こちらを無毒性量という ことで、50mg/Kg 体重に相当することから、その100 分の1の 0.5mg/kg体重ということ でADIが決められているという記載がございます。 ○村上委員    過形成ということになりますと、先ほども御説明ございましたが、がんの状態ではな いわけです。ずっと手前のところで正常に極めて近い、例えばNO2の実験を私はやっ たことがあるんですけれども、かなり低濃度であっても長期間暴露しますと、肺の細気 管支上皮でそういった状態が出てくるわけです。それを異常と取るのか正常と取るのか という話がございまして、それと同じように、この場合は、私の解釈でございますけれ ども、これは異常のかなり手前の部分であると。それを指標にしてWHOではADIを お決めになったということでございますね。 それに比べてここにも書いてありますけれども、アメリカ人はかなり暴露するようで ございますが、我々の場合にはかなり少ないということで、実際の我々が今暴露されて いるレベルというのは非常に低い。そういう観点から問題はないというふうに私は理解 したいと思います。 ○長尾委員    これをノンジェノトキシックととらえるとして、そういう物質単独で細胞増殖を起こ すだけだからという評価の仕方は、ヒトはいろんなジェノトキシックにさらされていま すから、ADIを決めるときに、そういうバックグラウンドにあるというので決めるの が実際に即しているんだと思うんです。 ○戸部部会長  長尾先生、それはまさにおっしゃるとおりだと思うんですが、そういうことを踏まえ て決める場合には、どういう決め方をすればその辺を盛り込んだ決め方になるかが、こ れから研究を積み重ねないとはっきりしないんじゃないかなと思います。全体の雰囲気 としてはまさにそのとおりで十分判りますが、具体的にどういうファクターをこの場合 は掛けるとか、そのノンジェノトキシックの強度とか、それを使う局面とか、同時に摂 取される物質がもし限定されれば、それとの絡みで決めるということも可能かと思うん ですけれども、そういうことも踏まえて、現在ではちょっと決めにくいのではないかと 思いますけれども、どうでしょうか。 ○廣瀬委員    そのことで1つあるんですけれども、確かにミクスチャーしたらどういう影響がある か分からない。私、今、亜硝酸のことに興味を持ってやっているんですけれども、この 亜硝酸と一緒に植物中の成分が反応しますと、先ほど申しましたアスコルビン酸だけじ ゃなくて、植物中にあるフラボノイドが亜硝酸の影響でジェノトキシックのコンパウン ドに変わったり、フェノール系のコンパウンドはどんどん変わっていくということがあ りまして、そういうミクスチャーのことを言い出すと、今までのレギュレーションが全 くできないということになってくる可能性がありますので、現時点では非常に難しい問 題だと私は解釈します。 ○戸部部会長  ありがとうございました。長尾先生よろしいですか。ほかにございませんでしょうか 今日は御欠席ですが、三森委員からコメントが事務局の方に出ているようでございま すので、ちょっと御紹介をいただきたいと思います。 ○池田補佐    それでは、先生からのコメントを読み上げてさせていただきます。三森先生から、 BHAの発がん性についてですが、現実的に食品添加物として使用する場合、ヒトに対 する健康影響については問題ないと思いますが、齧歯類の前胃発がんに対するデルタハ イドロキシデオキシグアノシンの影響などについては、学問的にはいまだ明確な答えを なされていないようです。この点についてはさらなる研究が必要と思われます。 このようなコメントをいただいております。 ○戸部部会長  廣瀬先生から発がんのメカニズムのところで、今の三森委員の御指摘になりました物 質についての紹介がございましたので、そういう面も今後今の相乗の問題もそうでござ いますが、今後発がんのメカニズムを一層詳しく追及していくというのは当然あるべき です。その後、その辺が明らかになった時点で、再評価ということも起こり得ることは 否定できないわけでございます。今後の研究を待たなければなりませんので、三森委員 の御指摘のとおりだと思いますが、このことについて、今、廣瀬先生からもお話がござ いましたので、これはコメントいただくということでよろしいのではないかと思います が、いかがでしょうか。 ほかに何かございませんでしょうか。 それでは、意見が出尽くしたかと思いますし、BHAの使用基準を改正するというこ とについて御異議はないというふうに思いますので、BHAの使用基準について、昭和 57年の改正前のもの、57年に改正されて、それが保留になっているということでござい ます。57年の改正前のもの。つまり、現在、実際に運用している基準ということになり ますが、これに書き直すということにいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。よ ろしゅうございましょうか。 では、御異議がないと思いますので、添加物公定書の改正についての、この問題を含 めた今後のスケジュールについて、事務局から御説明をいただきたいと思います。 ○池田補佐    ありがとうございます。 それでは、本日御結論をいただきました本部会の結論、これに基づきまして、食品添 加物公定書の改定ということで、この後WTOへの通報手続等を行いまして、各国等か らの意見を求めた上で、本年中には常任委員会に御報告することができると思っており ます。よろしくお願いします。 ○戸部部会長  ありがとうございました。そういうことになるということでございますが、よろしゅ うございましょうか。 ありがとうございました。 それでは、もう1題ございまして、「マグロ、ブリなどに対する一酸化炭素の使用に ついて」の審議に入りたいと思います。 前回、御審議いただきましたときに、詳細について分からない部分があるということ で、再度本日再審議をいただきたいということに至っております。 それでは、その後追加の資料も先ほど御紹介ございましたように、ありましたので、 資料の概略の説明を事務局からいただくことにいたします。 ○池田補佐    それでは本日、前回の6月1日の当部会の御審議を受けまして、資料が追加提出され ております。4つございますけれども、順番にどういう資料があるか、概略を御説明い たします。 まず、資料3−1−1)とさせていただきましたCELEBES JAPAN FOODS CORPORATIONから のこちらの資料でございますけれども、こちらは分厚いものでございますが、1枚めく っていただきました2ページには、一酸化炭素ガス加工マグロと燻煙処理マグロの区分 の明確化の要望といったような資料がございます。 4ページを見ていただきますと、「燻煙発生装置と燻煙成分並びに燻煙について」と 言ったような資料がございまして、説明がされてございます。 それから、6ページには「燻煙処理による刺身用生マグロの製造上の重要なポイン ト」という資料になってございます。 7ページは、厚生省の通達についてという資料。 11ページでございますが、こちらがCELEBES JAPAN FOODS CORPORATIONにおける燻煙の 分析結果ということで、発生直後、それからろ過直後におきまして、一酸化炭素等をガ ステック検知管等で分析をした結果が付いてございます。これを見ますと、ろ過直後で 10.5%の一酸化炭素濃度という資料でございます。 それから、14ページにおきまして、種々の魚につきまして、残留CO値の測定結果を 提出しております。 18ページからは、「くん製品の定義」ということで、食品衛生法の食肉製品の定義と か、USA、アメリカFDAの定義がございまして、例えば20ページのところでは、米 国のFDAの定義でございますが、くん製として魚類を食塩で処理した後に、木材を燃 焼して得た煙を魚類に直接作用させたものに、さらにくん煙の水溶液に浸漬などして 云々といったような定義があるということが指摘されております。 21ページからは「スモークゼネレーターで組成するガスの組成」ということで、種々 の成分についての組成を提出してきております。 それから、28ページからはまたダブりでございますけれども、31ページのところに、 製造工程の図がございまして、32ページには燻煙の部分についての管理基準等が記載さ れてございます。 37ページからは特許に関する資料になっております。 それから、資料3−1−2)ということで、ブルーの表紙のものにつきましては、昨日 提出されたものでございまして、前回の当部会の議事録につきまして、会社側の種々の 説明の資料になっておるようでございます。 続きまして、ガリ刷りのこちらでございますが、株式会社オンスイからの提出資料で ございますけれども、めくっていだたきまして最初の2ページのところは、6月1日の 問題点の指摘点についての御説明という資料でございます。7ページのところに「燻製 品の経緯と当社商品の目的」という資料が付いてございます。 10ページから「燻煙発生装置と燻煙成分」ということで、燻煙の処理設備等の一般的 な資料が提出されておりまして、16ページに「オンスイにおける燻煙の成分分析」の資 料がございます。 16ページを見ていただきますと、例えば一酸化炭素について、発生直後ですとか、ろ 過直後、3時間、6時間、24時間経過後の濃度をガステック検知管を用いまして、分析 しておりまして、ろ過直後で12%という数字になっております。 それから、次は21ページからが先ほどと同じような製造工程図が入っておりまして、 23ページの下のところに、燻煙の管理基準の記載がございます。 25ページからは、「当社の燻煙処理の経緯」ということで、どういうことでこういっ たことをやっておるのかという説明がございます。 30ページからは、「製品の保存試験結果」ということで、成績が種々載ってございま す。 その他関連の資料、殺菌効果ですとか、超冷燻スモークゼネレーターの燻煙によ る食肉の発色及び肉食の安定効果云々という資料がございまして、77ページからが「ぶ りの再生産開発経緯」ということで、こういう製品をつくるに至った経過等が載ってご ざいます。 101 ページまで飛ばしていただきますと、「燻煙発生装置」についての説 明の資料が付いてございます。この中でCO濃度とかCO2 等の成分の濃度測定等が温 度条件によりまして、どうなっているかという資料がございます。 125 ページまでいっていきますと、こちらでは種々の「魚の含有CO測定試験結果」 が付いてございます。 200 ページには、「CO測定試験結果」ということで、時間経過と残留量についてブ リ等のデータが提出されてございます。 238 ページにいっていただきますと、先ほどのCELEBESと同じように、「くん製品の定 義」ということで、同様の資料が提出されてございます。 それから、241 ページからは、「各検査機関における残留CO値」の分析結果という ことで付いてございます。 その他は参考文献等でございますので、これについては以上でございます。 最後に3−2−2)というものも付いてございますが、これは財団法人新潟県環境分析 センターに問い合わせた結果のガスクロマトグラフィーということで提出されたもので ございます。 本日提出された資料の概略は以上でございます。よろしくお願いします。 ○戸部部会長  ありがとうございました。それでは、御自由に御発言をいただきたいと思いますが、 どうぞよろしくお願いいたします。 前回CELEBESの方からは厚い資料をいただいていたわけでございますが、本日また、オ ンスイの方からもかなりの量の資料をいただいておりまして、かなり量が多いわけでご ざいますが、あえて申し上げると、2つの資料にそんな大きな隔りと言っては語弊があ りますが、差がないと思いますが、いずれにしても、大部でございますので、十分読み こなして御審議をいただくというのにはちょっと時間が足りなかったかというふうに思 いますが、いかがでしょうか。それぞれ御専門の立場で自由に御発言をいただきたいと 思います。 事務局の方に伺いたいんですが、3−1−1)の「食品衛生調査会議事録より」という のをCELEBESの名前でいただいておりますね。これの中身を拝見しますと、こちら側の質 問がそれぞれ取り上げてられておりまして、それに対する回答という形で出ているわけ でございますが、この1つ1つの、文章では問題というタイトルを付けて出ております が、この1つ1つを御審議をいただくという時間の余裕があれば、そういうふうなこと も考えられますが、事務局の方ではどういうふうにお考えになっておりますでしょうか ○池田補佐    これは先ほどもお話ししましたが、前回6月1日に当部会で御審議いただいた議事録 が公開されておりまして、それにつきまして、会社側でそれぞれの御議論について、会 社として考えるところを資料としてまとめて提出してきたということで、今回追加提出 された資料の一部ということでまとめて御審議いただければと思っております。 ○戸部部会長  それでは、当面1つ1つ取りあげてというふうにはやらずに進めたいと思いますが、 この問題というところを拝見しますと、恐らく各委員の方が御自身で発言されたものが あるというのがお分かりになるかと思います。それについて、この答えでなお、更に疑 問は解消しない。あるいは更に質問したいということがあれば、おっしゃっていただけ れば一層全体がクリアーになるかと思いますので、よろしくお願いいたします。何かご ざいませんでしょうか。 御発言ございませんので、私がこの資料を拝見して1つ感ずるのは、非常に大部です ので、細かい点をくまなく拝見してということはできません。それから、いろんな専門 ございますので、専門も違いますので、全体を通じてコメントするのははばかれるわけ でございますが、ただ1つ申し上げたいのは、当部会で審議をいただいているのは、こ のマグロの処理法というのが、厚生省が出しました通達、つまり一酸化炭素を使って食 品を処理することを禁止している。 それに伴って、それに類似したような燻煙処理したものも一緒に扱われるという通達 がありますね。その通達に対してこの申請のものが、それに該当するのかしないのかと いうのが大きな審議のポイントになろうかと思います。 そういう意味で、お出しいただいている資料の中に、ほかの例えばイワシとかそのほ かの魚、あるいは鰹節もそうですが、それでも一酸化炭素がかなり検出されると。その 検出される量に比べて、本品から検出される量との比較をされまして、したがって、安 全上問題はないのではないか。だから、いいではないという論旨が方々に散見されるか と思います。 それは勿論、安全性という角度から言えば、非常に重要な問題でございますが、当部 会での審議のポイントは、安全性の評価ではございませんで、先ほど申し上げました厚 生省が出した通達、つまり自然のものなのか、あるいは人が手を加えたものかというこ とを一酸化炭素について規定して、天然のものを規定するわけではございません。人工 の処理ということを禁止した規則でありますので、それに該当するかしないかがポイン トという角度で審議をいただくことになりますので、全体のCOを含んだ食べ物を食べ てどうかという御審議をいただいているわけではございませんので、勿論、間違えるは ずはございませんけれども、そういう論旨の資料がかなりございますので、そういう点 で少し資料のまとめ方に問題があろうかというふうにも思いますので、冒頭に私の感想 として申し上げさせていただきました。 御欠席の委員からコメントをいただいておりますので、それを紹介させていただきま しょう。 ○池田補佐    それでは、残念ながら本日御欠席の委員の方々から幾つかコメントをいただいており ます。順番に御紹介いたします。 まず中澤委員からのコメントでございますが、今回の提出資料におきまして、一酸化 炭素濃度が12%というデータがございますけれども、こういったものを使うということ は、一酸化炭素のボンベ使ったのと変わらないのではないかという御意見。 それから、今回のデータが前回確かガスクロでのデータがあったと思いますけれども 今回何故検知管でやっているのかということで、前回のガスクロのデータと今回の検知 管の測定データの数値がかなり違っておって、それについてどうも分からないというの が御指摘でございます。 次に伏谷委員からの御意見というか感想ということで、まず、オンスイから提出され ている資料につきましてですけれども、今回提出された資料では、一般的に用いられて いるくん製の製造装置とか、それらで発生した燻煙の成分分析とか、最近のくん製品の 動向が述べられているだけであって、オンスイ製品そのものの、燻煙発生装置の詳細で すかとか、そこで発生した燻煙の成分分析がどうも出ていないのではないかということ でございます。 併せまして、CELEBESと同様な装置でもしつくられているとすればとい うことで、活性炭を通しているということが、燻煙成分のほとんどが除去されるのでは ないかということで、一般的なくん製品とは異なるのではないかということで、前回の 審議の中で先生方から出された疑問には十分答えていないのではないだろうかというの が1つでございます。 もう一つ、CELEBESから提出された資料の中には、幾つか、ただ いま御議論いただくべき内容からして直接議論に関係しないような資料が出てきている 例えばたばこの一酸化炭素濃度ですとか、一般の燻煙成分ということで、直接御検討に 採用できるような資料ではないようなものが出てきているという御感想が出ております もう一つは、鈴木委員からのコメントですけれども、CELEBESさんから提出された資料 のようですけれども、ブルーの資料の7ページのところで、2つ目のカラムのところに 425 ℃以下でベンツピレンの発生はないと言われているという記載につきましてですけ れども、これについては何か根拠があるのだろうということ。 それから、くん製マグロ中のタール成分の分析データ等があるのかどうかというのが 気になりますという御指摘がございます。 御意見としては以上でございます。 ○戸部部会長  ありがとうございました。 1つ、山田先生にお聞きしたいんですが、この中でCOの測定をA法という方法で測 定したと。これは厚生省の方が指示をしていると言いますか、この資料の測定について 現在、国の方で決めているスタンダードな方法でしょうか。 ○山田委員    スタンダードと申しますか、マグロやブリが一酸化炭素処理をしてあるかどうかを測 定するための方法として、A法とB法というのを出しておりまして、それで中の真空パ ックというか、その真空の中の気体を測るのがB法でして、肉の方を測るのがA法です ですから、真空パックをほどいた後ですと、A法で測るということです。 ○戸部部会長  そのA法、B法について、この資料の中で触れられている部分がございますね。同じ 方法で測っても、かなりのばらつきが出てくると。それはサンプルが本当に差があるの か、方法に問題があるかということが当然問われなきゃなりませんが、この拝見した資 料では、サンプルのことには触れないで、方法のばらつきではないか。方法自体に問題 があるのではないかという指摘の部分が、どの資料でどこに出ているのか記憶があるん ですが、もしそうであれば、その方法の改良と言いますか、信頼性みたいなものをやら ないと、話にならないと思うんですが、恐らく化学的な測定方法ですから、私は測定方 法には誤りはないのではないかと。問題はサンプル側にばらつきの原因があるのではな いかと思うんですが、その辺はどうでしょうか。 ○山田委員    その辺は、この青い表紙の2ページの下の方に出ているのもそうだと思いますし、あ と、方法が何倍だというのがどこかに、CELEBESの方で何倍かというの。 ○戸部部会長  14.5倍だというのがございましたね。 ○山田委員    この方法は確かにそうそうやさしい方法でもないんですけれども、慣れたところがや ればそんなに違わないかと思います。ただ、これは非常に均一なサンプルをつくって、 実際に検査するというのがなかなか難しいものですから、いわゆる室内精度という、同 じ我々のところで何回か繰り返したところのは大丈夫なんですが、非常に一定した値が 得られるんですけれども、違う研究室でやったデータを比較したことがありません。 あと、堅牢性と申しますか、条件が少し動いたときに大きな違いが出てしまうのではな いかということについての検定もはっきりしてはおりません。 それから、サンプルの問題なんですけれども、確かこれは出されたサンプルがつくっ たところで測られたらば、同じのを出したという資料は、これには付いていないんです けれども、その際のデータはたしかあったと思うんですけれども、ただ、つくったとき に同じだったのを小分けして、包装して凍らしたか何かして長い時間かけて東京まで送 ってと。そんなことをやった後の状態ですべて同じだったかどうかというのは分からな いことなんです。 ところが、それを分からせます方法というのが、そこの間は同じだったということを 証明してからですので、なかなか難しいというので、これが我々が比較の実験ができて いない理由であります。 そんなことですので同じ実験室内でやったときには、そんなばらつくものではないと いうことだけしか分かっておりません。 ○戸部部会長 山崎先生、何かコメントございませんでしょうか。 ○山崎部会長  今回、非常に大部な資料をいただいて、一応私も目を通したんですが、先ほど座長か らお話があったように、ここで我々が何を検討して、どういう結論を出すかという目的 が、検討の途中で少しぼやけがちになるんですね。これは資料が非常に複雑で、これは はっきり申し上げますと、我々は科学論文を読み慣れておりますが、この資料には非常 に科学的なデータがあったと思うと感想文のような部分もあって、非常に申し上げにく いんですが、読みにくいんです。そのために自分自身でどういうことを検討して結論を 出すのかなということについてときどきとまどいが出るんです。そのことを座長が先ほ ど御指摘いただいたように思うんです。 要は、こういう鮮魚類に対してCOを使ってはいけないうというで、これについては コンセスサスがあり、通達があって禁止されたわけです。 ただ、ここに2つの会社から申し出があったのは、我々のはそれと違うんだというふ うにおっしゃっているんだと思うんです。だから、我々はそれが本当に違うのか、ある いはこれはいけないとされたCOと同じなのかを検討しなければならない。 前回のときは我々の印象としては、違うとおっしゃるけれども、これは単に希釈した COと同じじゃないかという印象を、私が先生方の御意見を伺った範囲ではそういう印 象が非常に強かったと思います。 今回、追加された資料を読ませていただいて、はっきりとその違いが分かるかなと思 ったんですが、私自身はまだ明確には分からない。従来のくん製の製法とは温度も違い ますし、処理時間も違うんです。かなり低温ですし、時間が短い。これがどういうふう な違いをもたらしているのか。単に希釈されたCOガスにさらされるのと同じ結果にな るのではないというところが私自身、まだ把握できないんです。この資料をこれまでの 時間内に読んだ限りでは。 ですから、はなはだ申し訳ないんですが、私自身の私見を申し上げさせていただくと もう少し資料を整理して、分かりやすい資料にした上でさらに検討する必要があるので はないかなというふうに思ったんです。大変お恥ずかしいんですが、私の能力が足りな いのかもしれないんですが、私はそういう感想を持ちましたので、先生方がどういうふ うに解釈というか、お考えになっているか、その辺のところもちょっと伺いたいなと思 っておりました。 ○戸部部会長  あがとうございました。貴重な御意見をいただきました。山崎先生の今の御発言を踏 まえて、何か御発言ございませんでしょうか。 ○五十嵐委員  今、山崎さんがおっしゃったとおりなところもございまして、例えば今CELEBESの資料 を見ていますが、4ページから5ページくらいのところですが、これは御自分のところ のデータは2つ出ているんですけれども、いわゆる一般の燻煙ガスの成分比がどこにも 載っていないんです。現在、ろ過装置を使ってやられているんだということが出ていま すが、普通に、例えば魚をやるとか、いろんな装置があると思うんですけれども、その データが出ていないんです。ですから、そういうデータと比較すれば、どれくらいどう なっているかということが分かるんですけれども、そのデータを私たちも見たいなと。 現在の技術水準が。 つまり、食品加工というのは技術がどんどん進みますので、燻煙にしましても、従来 どおりの燻煙ではなくて、いろんな装置を付けることによって、よりいい物をつくって いくという装置が開発されているはずなんで、それでは、この装置でつくった場合のガ スがどのくらい違っているのかということはちょっと私ども分からないんです。普段い じっているわけではございませんので、そういうデータも付けていただくと、かなりど ういうものだということが分かってくると思うんですけれども、一体何の成分が除かれ たのか、どうかというのも、技術的にかなり違うものがたくさんできる可能性がありま すので、幾つかの肉の触媒とか、魚の製品に使う場合と全部違う方法だと思いますから 付けていただくとありがたいと思います。 ○戸部部会長  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。 御発言ございませんので、もう一つ、この点はどうだろうかということで申し上げま すが、CELEBESの資料の2ページのところに、これは前回の資料でもこういう論点からの 資料があったわけでございますが、(1)の「CO加工マグロと燻煙加工マグロの製品 に於ける相違点」というのがございますね。これを拝見しますと「発色色調の相違」 「経時色調変化の相違」というのは、ほとんどCO加工マグロと変わりないと。変わっ ているのは、「食感の相違」「食味」「生臭さ」というようなものがCO加工マグロよ りもすぐれているということですね。すぐれていると言っても、これはまさに感覚の問 題でして、ある意味で共通の評価が非常に難しい問題でもある。そういう意味から言う と、燻煙加工マグロの本当の燻煙をする意味はどこにあるのかというのが少し焦点がぼ けているのではないかと。自然のマグロの色がそのまま保たれて、しかも、おいしい、 くさくないということだけでは、まさに商品価値は上がるんでしょうけれども、この燻 煙の意義が、いわゆる食品衛生という観点から見てもう1つはっきりしないという点が あろうかと思います。 そういう意味では何か色がよくなると。勿論、純粋のCOにさらしたときと、これは 違うんだという、色調の微妙な差というものを強調されておりますけれども、何かその 辺の差というものも余りはっきりしないということでもあろうかと。これは1つの例で ございますが。 もう少し申請の意味からそれに絞り込み、そして、その申請の内容をバックアップす るデータを整えて、もう一度資料をつくり直された方がすっきりする。こちらの審議も やりやすくなるという、山崎先生のおっしゃったとおりでございますけれども、そうい う過程を踏んでいただいた方がいいのではないかと私も思いますが、どうでしょうか。 ○山田委員    私が一番必要かなと感じます資料は、ここのデータは100 %の一酸化炭素で処理され たものと燻煙でやったものと生のものとを比べた資料が出ているんですけれども、この 燻煙程度の10%くらいの一酸化炭素だけで処理したときのと色調などがどうなるのかな というデータがないので、その辺があれば大変ありがたいと。 それから、最近くん製のやり方が昔と大分違うということが書いてありまして、確か に昔みたいにがちがちではなくて、生に近いようなくん製が出ているのかと思いますの で、その生に近いようなくん製の燻液なり燻煙なりの成分、それは気体ではない方の成 分ですね。活性炭でほとんど全部取り除かれているんじゃないかという疑問があります ので、そっちの気体じゃない方の成分が、例えば今、流通しているものとそんなに変わ らないんだというデータとか、そんなのがあれば比較しやすいと思うんです。 ○戸部部会長  ほかにございませんでしょうか。 今までの御意見でこのデータだけで今日結論を出すというのは少し問題があると思わ れますが、そういうことでよろしゅうございましょうか。 そうなりますと、今、山崎先生からも御提案ございましたように、焦点を絞って資料 をつくり直していただいて、コンパクトにしていただきたい。その方が時間の無駄が省 けますと、一層正確な評価ができるかと思いますので、紛わしい資料は不要でございま すので、この審議会というのは、あくまでも学問的な基盤に立っての評価でございます ので、そういう意味で是非事務局の方からも、申請する2社に対してそういう指導をし ていただいて、資料をまとめていただきたい。出されたものをすべてここに出せばいい んだというのも1つの方法ですが、その辺を十分評価して、出すべきものを出していた だきたいと思いますが、多少苦言でございますけれども、申し添えさせていただきます ○池田補佐    分かりました。 ○江崎委員    今、座長の言われたものの追加になるのですが、資料を提出していただくときに、厚 生省から出ているCOの禁止されている理由をメーカーの方で十分理解していただき、 このくん製がCO禁止の理由に該当するのかしないのか。その辺がはっきり分かるよう に整理して提出していただきたいと思います。 ○戸部部会長  どうぞよろしくお願いいたします。ほかにございませんでしょうか。 それでは、本件については、継続をさせていただきたいと思いますが、御異議ござい ませんでしょうか。 今、申し上げたような趣旨に沿った資料をおまとめいただいて、それが提出された時 点でまた、会を開いて御審議をいただくということにいたしたいと思います。 事務局の方からこの件について何かございませんか。 ○池田補佐    特にございません。 ○戸部部会長   それでは、多少時間が余りましたが、終わらせていただきます。  それでは、以上でございます。ありがとうございました。 ○池田補佐    ありがとうございました。 照会先 厚生省生活衛生局食品化学課 電話 03−3595−2341(東、宇山)