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第5回生活環境審議会水道部会水質管理専門委員会議事録

日時:平成10年7月29日(水)10:00〜12:00
場所:通産省別館共用905号会議室

議事次第
(1)水道における水質管理方策について
(2)非イオン界面活性剤について
(3)その他

配付資料
 資料1   水質管理に関する課題の整理
 資料2−1 水質検査の項目の性格の区分について
 資料2−2 水質検査の実施状況
 資料2−3 水質検査(定期検査)の検査頻度
 資料2−4 毎月検査の頻度
 資料3   非イオン界面活性剤について
 資料4   水道における内分泌かく乱化学物質に関する調査研究

○事務局 それでは、定刻になりましたので、第5回水質管理専門委員会を開催いたします。
 最初に、新しい委員の方を御紹介したいと思います。国立環境研究所地球環境研究グループ上席研究官でいらっしゃいます兜委員でございます。
 それから、事務局で異動がございましたので、紹介いたしたいと思います。荒井水道水質管理官でございます。

○荒井水道水質管理官 荒井でございます。7月1日付で前任の由田の後に参りました。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 お手元の資料を確認させていただきたいと思います。お手元にございますでしょうか。
 水質管理専門委員会では水質基準の設定と水質管理方策、その他必要な事項について御審議いただくことになっております。水質基準の設定に関しましては、第4回までに既に御議論いただいているところでございますが、秋を目途に最終的に取りまとめていただこうというふうに考えてございます。
 この関係では、厚生科学研究において、北海道大学の眞柄委員を主任研究者として、データ収集、毒性情報の整理などを行っていただくこととしているところでございます。
 それから、本日の議題にもございます水質管理方策につきましては、水質管理のうち水質検査に関する事項を中心として、出来ましたら最終取りまとめに間に合うものについては結論を得ていただきたいと考えております。
 また、今日の資料にもございますが、非イオン界面活性剤、これはトピックス的な事項でございますけれども、これについても出来れば最終取りまとめの中で一定の方向を盛り込んでいただければと考えております。
 それでは、座長よろしくお願いいたします。

○黒川座長 どうも暑いところをありがとうございます。
 今、今後のスケジュールということが、これは特に資料はございませんけれども、ざっと御説明がありましたけれども、その点はよろしいでしょうか。
 それでは、議事次第に沿って始めさせていただきたいと思います。
 課題1の水道における水質管理方策について、事務局から御説明をお願いします。

○事務局 それでは、お手元の資料1「水質管理に関する課題の整理」について御説明したいと思います。
 これは、水質管理専門委員会で検討していただく水質管理方策に関しまして、事務局の方で課題を整理して、委員会の委員の先生方にこういう課題があるということを提示したものでございます。今日はイントロダクション的にとりあえずさまざまな事項について課題を列挙させていただいております。
 まず、この表でございますけれども、左側に課題の事項、中欄に現状、それから、事務局の方でこういう課題があるのではないかということで具体例として、検討の方向というような形で示させていただいております。
 まず、最初に、水質検査項目の性格という事項がございます。水道法では水質検査について自ら施設を設けて行う検査(自主検査)を原則としておりますが、外部の専門的な検査機関、これは地方の衛生研究所などでございますけれども、そういったところへの委託も認めております。
 しかし、水質検査項目の中には、工程管理と一体不可分で水道事業者が必ず自主検査を行うべきものと、外部の専門的な検査機関に定期または臨時に確認を委託し得るものがあると考えられるということで、水道事業者が自ら行わなくてはならない工程管理と一体不可分な水質検査項目を明確にしていくという形で検討していただければと思っております。これは本日の資料2−1から2−4に基づいてこれから議論していただきたいと思っております。
 それから、続きまして、水質に関する試験、検査の在り方については、水道事業の計画、給水の開始、水道事業を行っていく段階での検査という順序で整理してございます。
 まず、事業計画時の水質試験ですが、水道法では水道事業の認可の申請の際、水道水源の水質試験の結果を添付するということになってございまして、試験項目は水質基準の項目と定められております。
 なお、この試験項目につきましては、消毒副生成物は除く、更に、アンモニア性窒素、TOCなどについても行うということ、それから、水質が最も悪化する時期を含んで行うといった考え方を通知で示しているところでございます。
 検討の方向といたしましては、水道水源の選定、浄水処理方法の選定、浄水場の設計といった事業計画段階での計画の策定を適切に行えるように、認可の申請の際の水質試験の項目について拡充することを検討するということです。まず、現行の水質基準項目に加えまして、例えば、監視項目、それから、現在通知で示しておりますようなアンモニア性窒素、TOCなど水源の水質で浄水処理に関連するもの、その他としまして、例えば、クリプトスポリジウムなどといったものがあり得るのかもしれませんが、そういった内容について御検討していただきたいと考えております。
 それから、この事業計画が実際に認可をされて工事が終わって給水開始を行うという段階になってくる訳ですが、給水開始前に水質検査をするということに水道法ではなっておりまして、それは、現状としましては供給される水が水質基準に適合するかしないかを判断するため、水質基準項目及び消毒の残留効果について水質検査を行うという形になっております。これは、私どもとしましては現行どおりの内容でいいのではないかと考えております。
 それから、定期の水質検査の項目については、水道事業を行っていく中で水道事業者が定期に水質検査を行うということになっている訳ですが、定期の水質検査は供給される水が水質基準に適合するかどうかを判断するため、水質基準項目、消毒の残留効果について行うものであり、現行の定期の水質検査の項目は、個々の水道の状況に関わらず、全国一律に設定されてございます。
 この定期の水質検査の項目について、次のように区分することが出来るのではないかということで、検討の方向を示しております。
 まず、全国どこでも行わなくてはならないもの、それから、水源の種類、水質試験、あるいは水質検査の結果に応じて行うかどうかを考えていくべきものというように区分できると考えています。例えば、水源が表流水で排出源がないというような場合に、揮発性の高いトリクロロエチレンといった物質については、定期の水質検査の項目から除外するというような考え方もあり得るのではないかということでございます。
 次に、定期の水質検査の頻度です。現行の定期の水質検査の頻度は、水源水質など個々の水道の状況にかかわらず、毎日検査を色、濁り、消毒の残留効果について行うこと、毎月検査を健康関連について3項目、性状関連項目について7項目行うこと、これ以外の健康関連26項目と性状関連10項目について、毎月から年1回以上の検査、その間で頻度を設定して行うこととされています。
 この現行の検査頻度につきましては、年1回は最低行う。その他、毎日検査、毎月検査などがある訳ですが、これは基本的に妥当と考えておりますが、弾力的に設定し得るかどうか検討していただきたいと考えています。
 例えば、水源が極めて良好な簡易水道といったような場合に検査頻度について、すべての項目について年1回以上の検査を必ず行なわなければならないのかどうかといった点について議論していただきたいと思います。
 また、包括的な観点から、検査項目によっては、水源の種類あるいは水質検査の結果に応じて検査頻度を変えることが出来るものがないかどうかということも検討していただきたいと考えています。
 例えば、無機物の水質基準項目に関して5年間水質検査を毎年1度はやっていて、その結果の確認の後、例えば、表流水の場合は引き続き最低限年1回又は2回、地下水の場合は、例えば、数年に1回というような形で弾力的に設定することが出来ないかどうかということです。
 次に、定期の水質検査のほかに臨時の水質検査がございます。現行の臨時の水質検査は供給される水が水質基準に適合しないおそれがあるときに、水質基準項目について行うとされてございます。これに関しては、現行どおり臨時の水質検査に関しては必要なものについてやっていくという考え方でいいのではないだろうかと考えております。
 最後に、給水開始前の水質検査及び定期の水質検査を行う場所の箇所選定でございますが、現行では供給される水が水質基準に適合するかどうかを判断することが出来る場所において、当該場所から採取した水について行うという形で決められております。
 給水開始前の検査については、水道施設の構造やパイプの状態といったものを考慮して、もっとも効果的な場所を選ぶというような考え方が通知で示されております。定期の水質検査については、水道の規模に応じて水源の種別、浄水場、配水システムごとに箇所数を合理的に選定していくという形で通知で考え方を示しております。これに関して、もう少し科学的に根拠のある設定方法について示すことが出来ないか検討をしていただこうということでございます。
 以上が、水質に関する試験検査の在り方の関係でございます。6つありますが、このうち可能なものについて出来ましたら最終取りまとめまでに一定の結論を得ていただければと考えております。
 それから、次の衛生上の措置でございますが、水道法で衛生上の措置というのが定められている訳ですが、その内容としては、現状では水道施設の汚染防止措置、それから、残留塩素に関する事項が定められている訳でございます。
 この課題としましては、クリプトスポリジウムに対応するために衛生上の措置として、例えば濁度管理を追加するというようなことが考えられないかどうか。クリプトスポリジウムに関しては、濁度管理をするということについて施設基準の中でも対応することが考えられる訳ですが、衛生上の措置の中で追加することが出来ないか検討していただくことを考えております。
 それから、取水停止の考え方というのが最後でございます。これに関しては、通知で取水を停止する場合について考え方を列挙しております。原因が分からないという状況で色や濁りに著しい変化が生じた場合ですとか、臭気、味に著しい変化が生じたとき、魚が死んで多数浮上したとき、こういうような場合に取水停止をするという考え方が示されております。
 この取水停止を判断するための手法については、大規模水道事業者ではそのノウハウなり知見というのを集積して、一定の管理体制というものをつくっておりますが、そういうものを基にして、中小規模の水道事業者に情報提供していくような形で考えていってはどうかと、そういうことを考えいるところでございます。
 以上が、資料1の内容でございます。

○黒川座長 この資料は、委員の方には事前にお送りしてあるのですか。

○事務局 今日初めてお配りしたものです。

○黒川座長 盛りだくさんのようでございますけれども、これに関しては一番左端に事項ということがございます。今後どのような観点といいますか、ポイントで検討していったらいいだろうかという事務局案でありまして、それぞれについて今これでいいかどうかということを議論するのではないというふうな理解で進めたいと思うのですけれども、要するに、これは余計なことであるとか、逆にこれに足すべき検討事項があるという御意見がございましたら、おっしゃっていただくということでいかがでしょうか。ちょっと膨大で、今初めてということでは難しいでしょうけれども、水道そのものにタッチしていらっしゃる先生方にとっては非常に大きな問題だと思います。眞柄先生いかがでしょうか。

○眞柄委員 検討対象項目につきましては、ある意味では適切な項目が挙げられていると思います。水質基準の改正をする段階でも、このようなことを若干議論はしたことがございますが、その段階では十分結論が出ていませんでしたし、それから、今後、水質基準の改正を検討していく上でも、やはりこういう事柄を検討した上で、水質基準の項目設定の妥当性というかフィージビリティーを明らかにする上でも重要なポイントだと思いますので、是非それなりの結論を得ていただきたいと思います。

○黒川座長 一応、これは網羅してあるという御判断ですか。

○松澤委員 今の項目の中で水質管理でまさに管理なんですけれども、一番最後の取水停止の考え方というのは、義務づけるとかそういうことではなくて、情報提供の在り方についての方策を検討するというような形ですか、それともどこまで盛り込むことを考えておりますか。

○事務局 私どもが今イメージしておりますのは、中小規模の水道事業者に情報提供をするというような形で、今まで通知でここに列挙されているような簡単な考え方を示しているところですが、これをもう少し充実させて、それを情報提供していこうということでございます。

○松澤委員 この言葉ですが、事業者の経験だけれども、この事業者から例えば情報提供をすることを義務づけるみたいな考え方ですか。

○事務局 私どもから中小規模の水道事業の皆さんに情報提供していこうということです。

○岡澤水道整備課長 事例集みたいなものを考えています。

○松澤委員 それなら分かります。

○黒川座長 そういう疑問点でも何でも結構ですけれども。いかがでしょう、今、梶野委員に目を通していただいていますけれども。国包先生いかがでしょうか。

○国包委員 私も、一応こういうことで大体よろしいのではないかと思います。ちょっと、せっかくですので1つ質問させていただきたいのですが、最後のページで衛生上の措置というのがありますが、私も必ずしも十分に承知していないところではあるのですが、この衛生上の措置というのはとらえようによっては随分幅の広い話になると思いますし、また、これまでの例えば法規定上の表現ということになりますと、ある程度限定したような意味になると思うのですが、その辺はどういうふうに考えればよろしいでしょうか。

○事務局 衛生上の措置は、水道法の第22条で規定されているのですが、内容をちょっと紹介させていただきますと、水道施設の管理及び運営に関し、消毒その他衛生上必要な措置を講じなければならないということで、その内容について水道法施行規則で詳細が定められております。これは、具体的には給水栓における水の残留塩素濃度を確保するということと、そのほか汚染防止措置について規定されています。非常に表面的な捉え方ですが、細菌に関しては消毒ということで衛生上の措置が定められていて、具体的には残留塩素で規定がされている。一方で、クリプトスポリジウム、これは塩素消毒に耐性を有するということが分かっておりますので、これに対しての衛生上の措置としては今、考えられるのは濁度管理というのがあるのではないかということで、そのように塩素消毒とパラレルに考えると、同じように濁度管理について衛生上の措置に位置づけるという考え方もあるのではないかと、今の段階では考えております。
 一方で、施設基準というような形で施設の維持管理という基準の中でも考えられると思いますし、施設基準の中でも、例えば、濁度管理を常時するような設備を義務づけるとか、そういうことも十分考えられると思うのですが、衛生上の措置として考えることがないか水質管理専門委員会でも御議論いただけるのではないかということでございます。

○国包委員 分かりました。そういったことですと、あくまでも水道法の中で言われている衛生上の措置ということであると限定して議論をするということでよろしいんですね。

○岡澤水道整備課長 ここでとりあえず衛生上の措置という法律の規定を使っていますが、これは必ずしもそれにこだわるということではなくて、水質管理の問題でクリプトスポリジウム対策というのを制度化しようとすれば、どういうやり方があるかということを広く考えていただいたら結構だと思います。その中で、どこの条文に書き込むかは、ちょっと今、松澤の方から衛生上の措置という規定を使えば書けるかもしれないというふうな説明をしましたけれども、それが適切かどうかという議論もありますし、ほかの部分に書き込むということもありますので、どういうふうに書くかはちょっと別として、クリプトスポリジウム対策というものを制度的に担保するとすれば、どういう形が望ましいかというふうに考えていただいたらいいかと思います。

○国包委員 分かりました。

○梶野委員 どうも遅れてきて申し訳ありません。ざっと見ただけなんですけれども、おおむね私もこれでいいかなと思うのですが、いつもお話ししていると思うのですけれども、水道で一番大事なのは何と言いましても濁りの除去と消毒ということなんです。その項目の監視をどういうふうにやっていくかということで、衛生上の措置として濁度管理を入れたらどうかと一つ書いてありますけれども、凝集処理のシステムが今、自動化されているんですけれども、ちょっとしたソフトのミスで凝集剤が入らなかったり、入り過ぎたりということがよく起こるんです。だから、濁度計設置の義務化は当然大事なのですけれども、そのもう一つ前のいわゆる浄水場のシステムの管理を考えた濁度管理というのが必要になってくるのではないかなという気がするんですけれども。

○事務局 その点に関しましては、水道部会にもう一つ施設基準等専門委員会という専門委員会が置かれておりまして、真柄先生にそちらの座長をやっていただいておりますので、基本的にはそちらの施設基準の中で構造の基準、それから、今、梶野委員が言われたような維持管理面といいましょうか、その面での基準というのもそこで今、議論していただこうということになっております。

○梶野委員 それと、あと、最近よく感じることですけれども、新しい例えば農薬とかそういう新しい項目については皆さん大変シビアに対応されることが多いんですけれども、一番肝心な濁度とか残留塩素の管理というのがおろそかになって、塩素が入っていないために大腸菌が出たというようなことがよくあるんです。だから、その辺を再度確認して強調する方策を取ったらいいかなと思うんですけれども。

○岡澤水道整備課長 ちょっと補足的な話なんですけれども、確かに新しい化学物質による汚染が拡大し、ここで議論しますとどんどん基準項目が増えてまいります。そうすると、以前23項目ということで、これは必須項目というような形でやっていたのですが、それが今46項目になって、だんだん増えてくると、だんだん1項目当たりの密度が薄くなるといいますか、そういう問題が出てくるんです。
 現実問題として、今、簡易水道などは一般会計でやっているところも結構多いものですから、水質検査の費用が非常に負担になっているということで、そのものずばりの規制緩和という形で水質の基準については項目を減らしてくれとか検査頻度を落としてくれという意見が結構あるんです。多分、これからも水質基準項目の追加というのはかなり出てくるだろうと思いますが、それをすべて等しく義務づけするとか重みを同じにするということではなくて、重みづけを変えていく必要があるのではないかと思うんです。それが全体の根底にありまして、基準は増やさざるを得ないだろう。けれども、その基準の重みづけみたいなものをいろいろな形で考えていく必要があるのではないかという意味ですので、多分そういう具体的な検査の方法だとか項目の性格づけの中で今のような議論をさせていただいたらと思います。

○眞柄委員 よろしいでしょうか。それに関連してなんですが、今、水道法の枠の中でやっているのは施設基準と維持管理基準と水質基準なんですよね。原水法のことを議論していたときに、水源保全地区みたいな話があったんです。条例単位では、水道の水源の保全地区を指定して、その地域内での活動を制限したり、あるいは自主的に制限したりするような制度を採用している自治体はかなりある訳ですよね。ですから、逆に、水道法の枠の中では無理かもしれないけれども、地方自治体でそういうような制度を採用している水源地区があって、例えば、湧水の水源地区では全く人も入っていないし、何でもないというようなところはもっと緩和をしてもいいとか、もう一つ水源保全とか水源保護も緩和の要件として、出来ればこの委員会でも少し議論をしていただきたいと思います。

○ 相澤委員 今のことに関連してですが、ここで述べられているのは水源の種類、水質試験または水質検査の結果に応じてと列記してありますけれども、これに追加すべき項目として処理方式があるのではないでしょうか。処理方式によって副次的に生成されるものもあるし、除去されるものものもあります。

○黒川座長 よろしいでしょうか。
 それでは、時間の関係もありますので、先へ進みたいと思いますけれども。

○事務局 それでは、資料2について説明をしたいと思います。
 資料2−1「水質検査の項目の性格の区分について」について説明を行う前に、水質検査の状況ということで資料2−2から2−4までを簡単に御説明いたします。その上で、資料2−1について説明するという順番にさせていただきたいと思います。
 水質検査の実施状況について、資料2−2で検査体制、検査主体について整理してございます。まず最初に、水質検査の実施機関というのがございますが、これは水道事業者が自ら施設を設置して行うという自主検査、共同で施設を設置して行うといった形の共同検査、保健所ですとか衛生研究所など地方公共団体の機関による委託検査、それから、厚生大臣の指定検査機関による委託検査という形で今は行われてございます。
 この厚生大臣の指定検査機関というのは、今、公益法人に限定されてございまして、それに関して能力のある民間の検査機関も指定を受けられるようにすべきではないかという規制緩和の要請がございました。これにつきまして、昨年、関係者の懇談会におきまして検討が行われ、公益法人に限定する基準の撤廃を行うとともに、指定の基準について、技術的基準の見直しを行うということにしております。その議論の中で今日の資料2−1にありますような水質検査の項目の性格の区分について、この水質管理専門委員会で検討をしていただいたらどうかという意見がございましたので、そういう経緯があって今日の検討に至っております。
 水質検査の実施機関でございますけれども、一応統計的に見ますと、水道事業者の検査施設、これは水質試験所ですとか水質検査センターというような形で水道事業体の方で明らかにそういう形で組織的な検査施設を備えているものが96ございます。実際にはこの96の数の中に入っていなくてもトータルとして水道事業体全体で自主検査をやっているというところも恐らくあるかと思います。また、水道事業者等の共同検査施設が16ございます。それから、保健所、衛生研究所等の地方公共団体の検査機関が39、指定検査機関が69あるという状況でございます。
 水質検査の実施主体でございますけれども、これを水道事業の種別に見てまいりますと次の表のとおりです。
 簡単な傾向を見てみますと、上水道事業では自主検査が13%となっておりまして、一番多いのが右側の指定検査機関の66%となっています。それから、水道用水供給事業では、自主検査が52%と一番高くなってございます。
 (3)は水質検査実施主体別の給水人口の割合ということで、上水道事業に関して、給水人口のうちの何割ぐらいが自主検査をしている水を飲んでいるのか、あるいは、共同検査や指定検査機関による検査の水を飲んでいるのかということで、給水人口で見てみたものでございます。大きい事業体においては自主検査が主に行われておりますので、人口で見てみますと、自主検査というのが半数を超えて55%となっておりまして、次いで指定検査機関が約26%となってございます。
 図2でございますが、上水道事業について給水人口規模別に誰が水質検査を行なっているのかというのを見たのが、このグラフでございます。これを見ていただくと、規模が小さいほど外部委託が増え、自主検査が減っていくという傾向になっていることが分かるかと思います。
 簡易水道事業について見ますと、図3のようになってございます。水質検査は検査頻度によって毎日検査項目、毎月検査項目、それから、全項目検査に区分けすることができますが、それぞれをどこが行っているかを見たものでございます。毎日検査項目につきましては自主検査が一応9割となっておりますが、検査項目数が増えるに従って自主検査が下がり、外部委託が増えてございます。
 それから、次に資料2−3でございますが、水質検査の検査頻度ということで、毎日検査項目から毎月検査項目までそれぞれどのような頻度で行うことになっているのかを表で整理してございます。毎日検査項目が色、濁り、消毒の残留効果。それから、毎月検査項目は省略不可能項目と省略可能項目とに分けることができ、基礎的な項目なり病原生物による汚染に関する項目というものが省略不可能な項目として10個ございます。それから、毎月検査項目のうち省略が可能とされている項目は、健康に関連する無機物、有機物質、消毒副生成物。更に、性状に関連する幾つかのものということでトータルで36の項目について、毎月検査が省略出来るということになっております。ただし、これについては最低年1回やっていただくということになっております。
 一番最後が資料2−4でございますが、毎月検査の検査頻度の省略の考え方でございますが、これはここに書いてあるフローチャートのような形で考えることになっております。まず、毎月検査項目のうち省略可能項目について健康に関連する項目26と性状関連項目10項目ありますが、26項目の方については5年間検査をしていただいて、最大値が基準値の10%以下のものというのは1年に1回以上やっていただく。10%を超えるというものについては、おおむね1か月ごとに1回以上ということで、ただし、そのうち年間の水質変動が明らかになるといったパターンのものについては、年4回以上にまで省略することも出来るとされております。性状関連項目については、過去の水質検査の結果を基に適切に検査頻度を設定するという形に検査頻度の設定の考え方が決められております。
 以上が水質検査の現状でございます。資料2−1に戻りまして、水質検査の項目の性格の区分でありますけれども、1枚目に「基本的考え方」とございます。水道の水質検査は、水道施設の工程管理の一環として行う検査という性格、それから、水質基準に適合しているかどうかを確認するため行う品質検査という性格があります。工程管理の一環として行う検査という性格からは、検査結果を取水の停止、浄水過程の調整といったことに即時的に反映していかなければならないものだということで、水道事業者が検査施設を設けて行う検査、自主検査が原則ということになります。
 現行の水道法では、この自主検査というものを原則として、これが出来ない場合には地方公共団体の機関、または厚生大臣の指定するものに委託するということを認めております。この場合の地方公共団体の機関あるいは厚生大臣の指定するものの位置づけとしては、検査が正確、迅速に出来るということであります。
 それから、近年の化学物質等による水道水源の汚染あるいは有機物などによる水道水源の汚濁の進行に応じて水質基準項目がどんどん拡充される方向になっている訳ですが、その項目の内容を踏まえますと、工程管理の一環として行う検査がどんどん重要になってくるだろうという方向と、それから、安全性を確認するという品質検査ついても水の供給を受ける方々の要請が一層高まっていくだろうと考えられる訳でございます。
 したがいまして、水質検査には工程管理と品質検査という2つの面がございますが、この専門委員会においては、まず、現行の水道法の下での水質検査を前提としていただいて、二面性のうちの工程管理の一環として行う検査という面で水質検査の在り方について技術的な検討をしていただこうということでございます。こういう観点で水質検査の項目について工程管理と一体不可分で水道事業者が必ず自主検査を行うべき項目、それから、外部の専門的な検査機関に定期または臨時に確認を委託し得る項目という形で性格を区分することを検討していただこうということであります。
 2枚目の表に、工程管理上の必要性から現行の水質検査項目について性格を区分した上で、更に検査の頻度についてもどのようにしたらいいのかというのを事務局として案をつくっております。一番左側に水質項目がございまして、中欄に工程管理上の必要性というところで文章が書かれております。そして、その次に検査の頻度、一番右側が項目の性格ということで、自主検査を原則としながらも外部委託が出来るものという形で結論の内容が書かれております。
 色または色度、濁りまたは濁度、消毒の残留効果、それから、臭気、味、pH値といったものについて、検査の頻度を毎日検査として、これは水道事業者が必ず自主検査を行わなければならないというものにしてはどうかということでございます。
 それぞれ「工程管理上の必要性等」というところに文章で書かれておりますけれども、色または色度、これは着色の原因となる物質の除去について確認出来る。濁りまたは濁度については、凝集沈澱処理が適切に行われているかを確認するために必要だということで、これまた重要な項目でございます。それから、消毒の残留効果でございますが、これは細菌等の消毒が行われて塩素が保持されている、衛生的な水になっているということを確認するために必要だということでございます。その他、臭気と味とpH値でございますが、これも原水に異常がなくて浄水処理が適切に行われているということを確認するために、この3つについては最低限必要になってくるのではないかということでございます。一応「ただし」としまして、pHについては機器分析でなくてもpHの程度が分かれば十分ではないかいうことで考えております。
 ここまでが、自主検査を必ずしなければならないということにしてはどうかということでございますが、以下の項目は毎月検査で自主検査が原則でありますが、外部委託が出来るものという形で考えております。一応、内容を簡単に紹介しますと、水質基準項目の細菌関係のものについては、細菌の消毒が確実に行なわれていることを確認するために残留塩素以外に、これも月1回はやっていこうということであります。
 亜鉛、鉄、銅、マンガン、これは着色の原因となる物質がほとんど含まれていないということを確認するために必要ということで毎月検査でございます。ナトリウム、塩素イオンなどは異常な味の原因となる物質がほとんど含まれていないことという観点で、これも毎月検査ということでございます。1,1,1−トリクロロエタン、フェノール類、これは臭いの原因物質ということで、同じく毎月検査。陰イオン界面活性剤は発泡の原因ということで毎月検査ということでございます。そのほか、健康に関連する項目につきまして、毎月検査という形でやっていこうということでございます。この毎月検査の項目については先ほどの資料2−4でありましたように、検査の頻度について年1回以上まで柔軟に設定出来るところでございますが、とりあえず、検査の頻度に関しましては、今の体系で毎日検査、毎月検査、両方に分けるという程度の区分でこの資料ではとどめております。そのうち、毎日検査をやる項目としては、基本的には機器分析が不要なものでございまして、それを自主検査を必ずやっていただこうというのが結論でございます。
 以上でございます。

○黒川座長 ここで私なりに整理いたしますと、まず初めに資料1に基づいて水質管理に関する課題の整理について、課題としてどういう事項があるのかということについて検討いただき、おおむねよろしいだろうという結論だった訳です。そのなかの一番はじめに書いてある水質検査項目の性格という課題について今日ご検討いただきたいということで事務局から説明があったということだと思います。

○事務局 そうでございます。

○黒川座長 資料2−1の2枚目に自主検査とすべき水質項目が4つあり、あと外部委託が可能な項目となっておりますが、この辺についてどうぞ御議論、御意見を頂きたいと思います。

○大垣委員 質問なんですけれども、資料2−1の1ページ目に工程管理と品質検査という形で2つに分けて整理されているんですが、毎月検査項目の頻度などを考えたときに、健康関連項目などは、例えば、品質検査的な意味の方が工程管理としての検査より検査頻度が高く要求されることになると思います。そうすると、品質検査としての検査の頻度の議論はなしで、とりあえずは工程管理上どこまで省略出来るかという議論をここではするということでしょうか。品質管理的な意味合いの検査についてはまた別途議論を行い、そちらの方の頻度が高ければ検査頻度としては品質検査としての検査頻度を行うということでよろしいでしょうか。ここでの審議の仕方の意味なんですが。

○事務局 品質検査で毎日から年1回の範囲で水質基準に適合するかどうかを確認し、それができるように工程管理をするということですから、私どもは工程管理としての検査の方がむしろ頻度が高くなると考えており、現状もたぶんそうなっているかと思います。品質検査としての検査は、その性格から言うと、むしろ検査頻度としては工程管理の検査頻度よりも少なくていいのではないかという考え方でおります。品質検査という面においても当然、自主検査は必要だろうと私ども思っていますが、それ以外に品質検査ということですから、客観的な検査という考え方もあるのではないかということで、そういう点で品質検査という面では若干、法制的な検討というのも必要になってくるのではないかということで、それはこの今の水質管理専門委員会のこの場で議論していただくよりは、むしろ水道部会という別の場で議論していただくのがとりあえず適当ではないかということで考えているところでございます。

○大垣委員 分かりました。

○遠藤委員 よろしいですか。私はクリプトスポリジウム関係でここに出席させていただいておるという認識をしておりますので、クリプトスポリジウム関係の観点から考えてみますと、資料2−1の2ページ目のところに、もう一つ毎日検査と毎月検査に随時というのが入るのではないかという気がするんです。例えば、クリプトスポリジウムについて考えてみますと、濁りというものに大きな変化があったときに、随時そのときには検査をすべきではないかという意味で、随時検査というものがあって、そのときにクリプトスポリジウムの汚染による危険性の有無について確認する必要があると思いますので、もう1項目入ったらいかがかと思いますが。

○眞柄委員 私も基本的にはこの毎日検査、毎月検査でいいと思うんですが、例えば、pHなり濁度なり毎日の検査でコントロールチャートを書いていて変動があったときや、魚を飼ってバイオアッセイをやっていて魚が浮きあがったときにはサンプリングして検査を行うといった、そういう毎日と毎月の間をきちんとつなぐように制度が機能するようにしておく必要があると思います。そういった意味で、遠藤先生と同じことを私も感じました。
 それから、もう一つは、同じようなことなんですが、今この案で書かれているのは工程管理上のというのが浄水場の工程管理ということになっているんが、給配水系の工程管理というものもあるんですよ。要するに、簡易水道でも浄水場の出口で測るのと給水栓の代表として役場で測るのと両方やっていればいい訳ですよ。役場で検査を行って残留塩素が少なくなっていたらなぜかというのが当然出てくる訳ですから、工程検査といっても浄水場だけではなくて給水栓も念頭に入れておかなければいけないと思います。その2点です。

○黒川座長 事務局何かございますでしょうか。

○事務局 まず、水質基準の項目のうち工程管理上の必要性から必ず自主検査をやらなければいけない項目は何かというものを考え、どのような頻度で検査が必要なのかということを考えると、毎日検査が必要だという順序で整理したところでございます。検査の頻度に関連して、臨時の検査及び給配水系を考慮した検査に関しまして、今、御指摘があったところでございますが、それらにつきましては水質管理に関する課題の整理というところの中にもございましたので、そこでまた議論させていただければと思います。とりあえず今日は、工程管理上の必要性から自主検査を必ずしなければならない項目はこのようなものでよろしいのかという点について御意見いただければと思います。

○岡澤水道整備課長 水質管理に関する課題の整理において臨時の検査という項目がありますから、臨時というのは定期以外のことが臨時なので、ここでは現行基準どおりというふうに今、整理されているんですけれども、臨時の検査の在り方について検討するというふうに項目を整理させていただいたらと思います。

○眞柄委員 以前の水質基準には塩素イオンやアンモニア性窒素が糞便の汚染の指標としてあったんですが、アンモニア性窒素の代わりに亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素が糞便の汚染の指標だという扱いがもともとはあったんですよね。水道を整備するときに糞便で汚染された水を配るのかという指摘に対して、塩素イオンとアンモニア性窒素できちんと管理していますのでそんなことはありませんと説明して水道普及を図った訳ですよね。今そういう状態ではなくなってきているので、そういう意味では、ここに書いてありますように浄水処理が適切に行われ異常な味の原因となるとかそういう表現でもいいのですけれども、そのような経緯もありますので、水質項目の意義づけが少しずつ変わっているというようなことをどこかに覚えておかないと、急に何でこんなに変わってしまったのというようなことがありそうだと思います。
 それから、もう一つは、先ほどの御説明で出来るだけ機器分析でなくてもできる項目を自主検査でやらせようということだったのですが、例えば、蒸発残留物は分析法で言えば重量分析では一番古い方法ですよね。もうこんなものはやめてしまって、例えば電気伝導度でいいじゃないかという議論もあるのではないでしょうか。電気伝導度とpHと色と濁りと残留塩素だったらチェックは1つで全部測れてしまう訳ですよ。だから、自主検査をさせる項目で安価でそこそこの精度の機器としてどのような物があるか整理して検討してみるといいのではないですかね。

○黒川座長 実際面から、ハードの方から検討してみてはどうかということですね。

○岡澤水道整備課長 そもそも今までは色、濁り、消毒の残留効果というのは機器を一切使わずに測れるんです。濁度ではなくて濁りであり、色度ではなくて色であり、残留塩素ではなくて消毒の残留効果ということです。pHメーターとかあるいは電気伝導度計を備えるとなるとやはりコストが掛かるし、設備が要る訳でして、給水人口100人の簡易水道でもそろえろというところにちょっと抵抗があるんです。

○眞柄委員 チェッカーは結構高いかもしれないけれども、少なくとも数万円で買える訳ですよ。そうすると、家庭用の血圧計よりそこそこの値段ぐらいになっているわけですよね。

○岡澤水道整備課長 濁度計はさすがに数万円では買えないのではないですか。濁度計、色度計、pH計、電気伝導度計とそれぞれそろえると、やはりそれなりにコストはかかってしまいます。

○眞柄委員 濁度計はちょっと高いです。PH、電気伝導度、それぐらいだったら安いのではないでしょうか。

○岡澤水道整備課長 もし、簡易な機器を導入することを前提に考えれば、もうちょっと範囲が広がるんですけれども。とにかく何十円ぐらいの単位でやろうとすると、色、濁り、消毒の残留効果、pHぐらいしか出てこないという現実があるんです。

○梶野委員 今、真柄委員がおっしゃったように、やはり機器分析によっての常時監視という項目を入れた方が私はいいと思います。というのは、日本水道協会において上水試験方法の委員会などでも新しい機器を用いた検査方法を入れていくことによって水道事業体としても機器を導入しやすくなるということがございます。法律に規定されていないから、今、課長がおっしゃったように、外観と消毒の残留効果をぱっと見ればおしまいで、それでいいじゃないかというのが現状なんです。だから、ときどき事故が起こる。機器で濁度管理をしなさいということが入っておれば、だんだんとそういう形に移っていくと思います。
 それと、ここで自主検査を必ず行わなければならないとしてあげられている項目については当然これぐらいは本当にやらなければいけないと思うのですけれども、今、真柄委員がおっしゃったように、電気伝導率というのは、異常を発見するという目的でかなり有効なんです。ですから、水質検査項目として入れるかどうかは検討の必要がありますけれども、電気伝導率というのは一つ重要な項目だと思います。
 それから、ちょっと細かいことですけれども、この表の大腸菌と一般細菌の下に亜鉛と銅があるんですけれども、これは先ほど議論になりました給水栓までの工程管理を含めたら亜鉛、銅が必要ですけれども、浄水場の工程管理では必要ない項目だと思うんです。
 以上です。

○岡澤水道整備課長 給水人口が100人しかいない水道も対象にしなければいけないので、今のような話というのは、多分、規模によって求める内容を区分けをしないと難しいと思います。ですから、むしろ、ある程度の規模の水道ではそのぐらいのことをするのが当然だというような規模分けをして、検査の頻度もそうだし、それから、最低限毎日やらなければならない項目も区別するという考え方はあるかもしれないですね。
 ただ、100人だとやはり年間100万円も検査に掛けると、それだけで一人当たり1万円も検査料が掛かってしまいますので、水道料金より高くなってしまう。例えば、簡易水道で消毒のみで供給するような場合には色、濁り、残留効果ぐらいでいいのかなと思いますし、河川の水を取水して処理をするというのであれば、水質変動を把握する必要があるというような区分することも考えてみたらいかがかと思います。

○黒川座長 それでは事務局の方で次回までに御検討願って、もう一回検討することとしたいと思います。
 ほかに、この水質検査の項目について御質問、御意見ありますか。

○渡邉委員 私は余り水道の方の専門でないので分からないのですけれども、過去の事故でどの程度、どういうところでどういう事故がどのくらい起こっているかという資料があるのでしょうか。規模がどのくらいのところが一番事故が起こりやすいかとか。そうすると、結構どこに重点を置かなくてはいけないかという観点で議論が出来ると思うんです。

○岡澤水道整備課長 今、ちょっと手元にきれいな形で整理されたものはないんですけれども、感覚的に申し上げますと、大規模の浄水場でも起きます。というのは、大規模の浄水場は大きな河川から取水しますので、汚染事故はそちらの方が多いと思います。大阪辺りもそうですし、東京でも多摩川などはかつて非常に事故が起きましたし、取水停止の事例は大都市で多いと思います。
 ただ、実際に赤痢だとかクリプトスポリジウムもありますけれども、それから、地質由来の鉄とかマンガンの汚染というようなものというのは、小規模水道で生じることが多いかと思います。ですから、事故の性格は異なるところもありますが、規模の大小に関わらず事故による汚染の可能性というのはあるかと思います。

○黒川座長 それについても、次回に参考資料として用意いただければと思います。他に何かにありますか。

○大垣委員 今のところでちょっとコメントしますと、取水停止と給水停止があって小さい水源で代替手段がないとかあるいは対応が出来ないと給水停止までいくのですが、規模の大きいところは取水停止があっても連絡管等で調整が出来るということもございますので、そういう意味からも先ほどの規模の議論というのは、やはりそういう面でも整理しておかないと、いろいろなレベルの議論が混乱して出てきてしまう可能性があるのではないかという気がします。

○黒川座長 では、そんなところも留意事項として次回にもう一回検討いただきたいと思います。
 それでは、よろしければ、次の議題に移らせていただきます。資料3についてご説明をお願いいたします。

○事務局 資料3「非イオン界面活性剤について」という資料でございますが、平成8年に埼玉県の飯能市で、非イオン界面活性剤を自動車のラジエータホース製造時の剥離剤として使用する自動車部品製造工場の工場排水中の非イオン界面活性剤によって水道水が発泡するという事例が生じました。界面活性剤については、性状に関連する項目として泡立ち防止の観点から、陰イオン界面活性剤について水道水質基準が0.2mg/lと設定されております。ところが、近年、界面活性剤の生産・使用実態において非イオン界面活性剤が陰イオンと同程度の量まで増加しているということで、平成9年度から水道における未規制化学物質等調査研究班におきまして、非イオン界面活性剤に関して検出状況の把握とともに泡立ち防止の観点を中心とした研究が行われたところでございます。この成果が取りまとめられたところでございますので、この研究班における研究成果を基に現在の状況及び今後の取り組みの方向を事務局の方でまとめたものが別紙の資料でございます。
 次のページでございますが、非イオン界面活性剤については、現行基準は日本はございません。また、合成洗剤が発泡や臭味問題を起こす濃度になることは許されるべきではないというのがWHOのガイドラインでございます。アメリカの連邦環境庁では、非イオン界面活性剤としては基準値はございません。ただ、発泡物質ということで0.5mg/lというのが定められております。
 非イオン界面活性剤の用途でございますが、まず、販売量は年間約40万トンを超えているということで、そのうち85%が産業用、15%が家庭用ということで主要な用途は洗浄剤でございます。この非イオン界面活性剤にはいろいろなタイプがあって、エーテル型、エステル型、エステルエーテル型及びアルカノールアミノ型があるとされております。このうち、エステル型とエステルエーテル型については、食品添加物ですとか、化粧品そのほか消泡剤といったものに使用されて、洗浄剤としてはほとんど使用されておりません。このため、環境中への放出はこの両者については少ないだろうと思います。アルカノールアミノ型については、非イオン界面活性剤全体の9分の1を占めるにすぎないというものでございます。最も生産量、販売量が多いのが、エーテル型でございまして、約6割を占めております。その主なものとしてポリオキシエチレンアルキルエーテルとポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルというものがございます。前者については、洗浄剤関係ということで産業用で使われているということで、これがエーテル型のうち5割を占めるというものでございます。後者の方でございますが、同じように工業用あるいは農業用の洗浄剤、分散剤などに使われているというものでございます。
 次は、毒性でございますが、非イオン界面活性剤は一般に安全性が高い化合物でございます。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとアルキルフェニルエーテルについては、毒性の概要を表にのせてございます。このほか、アルキルフェニルエーテルの原材料になっておりますノニルフェノール、4-オクチルフェノールといったアルキルフェノールやその分解代謝物については昨今、話題になっております内分泌かく乱作用が疑われているということでございます。
 それから、検出状況でございますが、検出状況は参考1として、3枚めくっていただいた後に表として整理してございます。「水道における非イオンの界面活性剤の検出状況」ということで、河川名、それから、採水地点、測定日、濃度、測定方法という形で私ども、それから、研究班で収集していただきました検出状況のデータをまとめてございます。このデータを見ますと、検査方法によって定量下限値は異なっておりますが、おおむね定量下限値以下というのが多くなっております。それから、検出しているものでもほとんどが数十μglオーダーということで、0.1mg/lというレベルを超えているものは少ないという状況でございます。しかしながら、このデータを詳細に見てみますと、一般環境中においては排出源の影響を受ける排出源の下流域あるいは水量の少ない河川といったところでは非イオン界面活性剤が高い濃度で見られる事例がございます。
 それから、次の5番の発泡性でございますが、先ほどの研究班で研究していただいた訳ですが、この中で合成洗剤の起泡性などを定量するロスマイルス法、JISで定められている訳ですが、これによる起泡性実験が行なわれております。非イオン界面活性剤として先ほど挙げました2種類、それから、陰イオン界面活性剤が実験に用いられております。この中で、非イオン界面活性剤について0.1mg/lでロスマイルス法での泡立ちというのが認められたという結論が得られてございます。
 それから、次の6番の処理方法でございますが、凝集剤による除去効果はほとんどない。また、塩素によってもほとんど分解されない。それから、活性炭による除去効果がある旨の報告があるということでございます。
 次が、検査方法でございますが、水道における検査方法としては、次の2つが現在、標準的な試験方法となっております。1つが、カリウムテトラチオシアン酸亜鉛法で、亜鉛の錯体をつくる方法でございます。もう一つがテトラチオシアノコバルト酸法ということでコバルトの錯体を生成して、それを定量していくという方法がございます。
 次が8番、その他でございますが、この非イオン界面活性剤につきましては、エーテル型、それから、エステルエーテル型の製造工程において1,4-ジオキサンが残留するという指摘がございます。1,4-ジオキサンは、こういったものを製造する過程で副生成物として出来ると言われております。製造の段階では最終工程で陰圧で引くことによって非イオン界面活性剤からは除去するといった工程が置かれております。それでほとんど除去されるとされております。この1,4-ジオキサンについて一般環境の水中濃度については環境庁が調査をされておりますので、その平成2年から7年度の調査結果を抽出しますとここにございますように、不検出から35ppbというような形で平均では0.20.4ppbというような形で報告がされてございます。
 それで、9番が評価ということで、これが今後の取り組み方針といいますか、結論でございます。まず、これまでの知見では非イオン界面活性剤の水道水中における検出頻度、検出レベルは高くなく、また、非イオン界面活性剤が原因であると判明している発泡被害の報告は今のところ1例のみというところでございます。
 2点目でございますが、一方、非イオン界面活性剤の使用量が陰イオン界面活性剤以上となっていること及び非イオン界面活性剤の方が起泡力にすぐれていることから陰イオン界面活性剤と同様に泡立ち防止等利水障害性の観点から調査研究を行って、今後ともデータの集積を図る必要があるということでございます。その調査研究の例示でございますが、まず、水道水における非イオン界面活性剤による発泡被害の把握ということでございます。2点目が、実際の蛇口、給水栓という利用段階における発泡が生ずる濃度を把握するということ。3点目が発泡性評価の観点から適した非イオン界面活性剤の検査方法。今、とりあえず標準的な方法は2つございますが、それ以外によい方法がないかどうかということを検討していく。それから、最後が、水道水における非イオン界面活性剤の存在状況について引き続きデータを収集していこうということでございます。これら4点を合わせて今後、非イオン界面活性剤について、例えば、今の水質に関する基準がございますけれども、そういう中で取り入れていく必要がないかどうかを検討していただければと思ってございます。
 この非イオン界面活性剤に関連して、1,4-ジオキサンについては、1,4-ジオキサンとして水道水質に関する基準を設定する必要性があるのかどうかを検討するということで、そのために水道原水及び浄水における1,4-ジオキサンの存在状況を把握していくことが必要だろうと考えております。
 それから、もう一つの課題でございますが、非イオン界面活性剤の一種であるノニルフェノールエトキシレートの原料でございますノニルフェノールなどにつきましては、内分泌かく乱性化学物質との指摘がございます。この関係については、ヒトの暴露の状況の解明、それから、ヒトに対する健康影響の評価などの内分泌かく乱性化学物質に関する調査研究の一環として、水道分野でも存在状況を把握して内分泌かく乱性化学物質に関する取り組みの中で科学的情報を提供出来るようにしていくことが必要だろうということでございます。この関係は、次の資料4の中で一応資料を用意してございます。
 以上が、結論でございます。
 それから、お手元の資料で、その次のページに参考1ということで検出状況がございます。参考までに、この参考1に埼玉県での測定結果が多くございますが、これは飯能市の関係で発泡被害が生じましたので、埼玉県の方でデータを定期的に取ったものでございます。それから、参考2では非イオン界面活性剤の関係の関連情報について少し統計値なども含めて紹介してございます。それから、一番最後でございますが、先ほど発泡性の試験法についてロスマイルス法というものを簡単に名前を御紹介しましたけれども、その概要をここに紹介してございます。起泡力と泡の安定度を測るというJISで定められている試験方法でございます。
 以上でございます。

○黒川座長 そうしますと、今後の取組の方向としては4ページと5ページに書いてあるこれらの研究を行っていくということでよろしいかということをちょっと御意見いただきたいと思います。これに関して、眞柄先生の方で何か一言ございますか。

○眞柄委員 事務局から御紹介をいただいたとおりでありますが、この評価の中で今、説明をいただいたのですが、水道の水の中では従来の陰イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤が共存することによって発泡という問題が生じているので、それを両方考慮した上でどういうふうに評価するのかということについてまだまだ詰めなければならない課題だろうと思います。

○黒川座長 ありがとうございました。しかし、お聞きしたところでは明らかに非イオン界面活性剤が原因と言うことで問題となったのは、1例のみだということなので緊急の問題ということではないということでしょうか。発泡という意味では。

○眞柄委員 ですから、それは非イオン界面活性剤で明らかに発泡の障害が出たのは1つなんですが、全国的に見たときに水道水から泡が立つよという話はときどき聞く訳です。従来の陰イオン界面活性剤に加えて非イオン界面活性剤がそれと同程度使われていますから、両方が混ざった状態のもとで泡が出ていると想定されるわけです。ですから、発泡の観点からの非イオン界面活性剤について検討することに加えて、陰イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤の両方を考慮した新しい項目の考え方をつくらなければならないかもしれないということで、問題の複雑性があると思います。
 もし、水道事業体あるいは国民の認識として今の水道水で発泡性は全くないということであれば、これは別に新たに基準として追加しなくてもいいでしょうし、そのあたりのところの認識もやはりちょっと集めてみないとという意味では発泡被害の把握というようなところもあるのではないだろうかと思います。

○黒川座長 (3)が1,4-ジオキサンのこと、それから(4)がいわゆる内分泌かく乱性化学物質に関する話ですけれども、これ以外に何か調査検討すべきことでもございますか。

○兜委員 たまたま非イオンというのは発泡事例で引っ掛かっている訳ですけれども、そのほかに水道に関して、環境ホルモンとかダイオキシンの検討は内分泌かく乱化学物質に関する検討会でやられるということですか。

○事務局 内分泌かく乱化学物質の方は、次に御報告させていただきます資料4の方で御紹介させていただきますが、水道分野は水道分野として研究を行って、その研究成果というのをこの専門委員会は勿論でございますが、内分泌かく乱化学物質に関して検討会を厚生省の方で設置しておりますので、まず、そこに報告をして水道だけではなくて他のものも含めてどういう取り組みをしていくべきであるのかを検討していただくという検討体制になっております。
 ダイオキシンについては生活環境審議会と食品衛生調査会に合同の特別部会を設けて検討していくということになっております。水道の方でも必要なデータを収集して、特別部会で必要があれば御報告出来るようにしたいと思いますし、勿論、この水質管理専門委員会に中心的には報告していって、どういう取り組みをすべきなのか今後、議論していただければいいのではないかと思っております。

○入村委員 大分前に中性洗剤に発がん性があるかないかという議論が随分されたことがあると思うのですけれども、中性洗剤は非イオン界面活性剤と同じですよね。

○眞柄委員 基本的には同じです。非イオンの界面活性剤原体そのものついては発がんの観点からは一応否定的なことにはなっていますけれども、今回、検討の対象にしようとしている1,4-ジオキサン自体は発がん性を有していますので、そういう観点からフォローしていくということでよろしいかと思います。
 今、話題になっているのは内分泌かく乱ですけれども、非イオン界面活性剤が分解して低分子になってきますと、濃度が低いのでよく分かりませんが、例えば、塩素と反応して塩素化物が出来る可能性がありますので、その出来た塩素化物について内分泌かく乱化学物質としてどれくらいの可能性があるかというようなことは、先ほど事務局から御紹介があった別の研究費で今年度行われることになっておりますので、その辺は今後、検討していこうということを衛生院の方で考えておられるようです。

○入村委員 基本的には、泡が立つ水を飲んでも構わないということですか。

○眞柄委員 そういう意味では、先ほどの水質基準の考え方と関係するかと思います。アメリカでは発泡物質として0.5mg/lとなっており、それはいろいろな方法で測るのですが、これはSMLCといって、いわゆる規制の遵守義務がない項目になっている訳です。つまり、健康影響がないけれども、水を使う上で望ましくないレベルはこれぐらいだから、水道を使っている人たちの意志によってはここまで下げるようにしたらいいでしょうというようなもので、いわゆる規制的な数値ではないということですから、今、先生がおっしゃったように泡が立ったっていいじゃないかと、アメリカなどはその辺ははっきりしている訳です。その辺のところが日本の水質基準のこれまでの成り立ちとアメリカが80年代に基本的にこの辺のところをきっちりと整理して、健康影響のあるものはみんな守らなければならないけれども、それ以外のものはいいんだよというふうに区分けをしたという両国の差が、そもそも根っこにある訳です。とりあえずはこういう形で調査をするにしても、そのあたりもどこかの段階で今の先生のおっしゃったような区分けも必要かなと考えます。今の水質基準では、健康に関する項目と水道水の性状に関する項目として基準は同じですけれども、一応整理はしてある訳です。それを次にどうするかというところが、もう一つの次のステップではないだろうかとは思います。

○黒川座長 ほかにございませんでしょうか。

○眞柄委員 余談になりますけれども、日本の発泡性はそれほど問題ではないのですけれども、途上国などに行きますと、陰イオンなどの非常に界面張力が強い活性剤を使っていまして、その泡の中にバクテリアだとかあるいは濁質がトラップされて、それが除去されないまま全部ろ過水へ出てくるんです。だから、泡の問題よりも界面活性剤がバクテリアや濁りをそのままトラップして処理させないようにして漏らしてくるという意味では、日本ではそういうことは余りないんですけれども、途上国辺りですと界面活性剤のそういう状況を見ると恐ろしいなという感じはするんですけれども、幸い日本はそこまでないので、いいかなとは思っています。

○黒川座長 よろしいでしょうか。それでは、今後の調査研究の方向ということは御了承願ったということで、ありがとうございました。
 では、次へ。

○事務局 それでは、お手元の最後の資料でございますが、資料4「水道における内分泌かく乱化学物質に関する調査研究」というものでございます。
 既に、御案内のとおりでございますけれども、一部の有機塩素系農薬、プラスチック容器の可塑剤、洗浄剤の界面活性剤等が内分泌かく乱作用を有する旨指摘がございます。これらについては、ヒトの健康への影響が懸念され、ヒトの健康影響の有無、種類、程度等が未解明だということで国際的にその調査研究が進められているところでございます。厚生省では、こういう状況を踏まえまして、内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会、別紙に3枚の資料をつけてございますが、それを設置して国際的な動向を踏まえながら、今後の検討課題の整理、個別物質の具体的な調査検討など、総合的な検討を行うということになっております。
 水道の分野におきましても、水道水からの暴露を中心にして調査研究を行うということで、平成10年度厚生科学研究として内分泌かく乱化学物質の水道水からの暴露等に関する調査研究ということで、国立公衆衛生院の国包水道工学部長を主任研究者として水道水における存在量等の調査研究を行うということになっております。
 調査研究の概要としましては、ここに書いてございますように、環境汚染に由来する水源起因の物質に関する調査研究ということで、水道水における存在量等の調査研究をする。それから、もう1点が、水道システムに起因する物質に関する調査研究ということでございます。
 この研究の成果は、先ほど申し上げました内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会に、ほかの食品ですとか併せて行う研究成果等を同様に報告をしまして、同検討会における検討に役立てるということにしております。また、水道整備課としましては、この専門委員会にも成果を報告してまいりたいと思っております。
 次の別紙でございますが、「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会の開催について」ということで、今年の4月10日の公表資料でございますけれども、この検討会の開催の趣旨、それから、検討会の検討課題というものが1枚目に書かれてございます。最後のページに、この内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会委員名簿ということで、当専門委員会からも黒川座長を初めとしまして、眞柄委員、井上委員に御参画いただいているということでございます。特に、井上委員は中心的に御参画されていると承っています。
 以上でございます。

○黒川座長 これは、報告事項的なことですけれども、国包先生何か。

○国包委員 今、大体要点をかいつまんで御報告いただきましたので、特に改めて追加するほどのことはないのですが、あえて申しますと、やはり食品などと比較して水道水からこういった化学物質なりをどの程度摂取しているかという評価がやはり非常に重要になってくると思います。今年度、単年度の仕事ということですので、非常に制約の多い中でこの調査研究をやらざるを得ないということもございまして、ある程度対象物質などは絞った形で実態調査、それから、溶出試験といったものをやるということにいたしております。
 そういう中で、この1枚目の紙に書いてありますように、水道原水に既にふくまれているもの、それから、もう一つは、水道用の資機材から溶出してくるものといった2つの観点で大まかに分類しまして、それぞれについて検討をするということにしております。今、鋭意準備を進めておりまして、秋には何とか実質的な仕事がスタート出来るようにということでやらせていただいております。眞柄先生、安藤先生、相澤先生など、今日、この場に委員としておいでの方々のうち何名かもこのグループに加わっていただいております。

○黒川座長 ありがとうございました。何か、調査研究に対して御注文でもございますか。

○上路委員 今、先生がおっしゃられました対象物質というのは非常に限らざるを得なくなるというお話なんですけれども、例えば、どういうものに焦点を合わせて実態を調査されるのですか。

○国包委員 御存知のように、大体67物質ぐらいということで話題に上がっております。そういう中で農薬の種類が非常に多いのですけれども、農薬に関しましては、ちょっと今すぐにはなかなか手がつかないということ。それともう一つは、これまで違った観点ですけれども、農薬の関係の調査研究もかなり水道の分野でもやられてきているということもありまして、とりあえず農薬は今、対象外に考えております。むしろ選定しておりますのは、例えば先ほどありましたノニルフェノールですとかオクチルフェノールですとか、それから、フタル酸エステルといったものが主体になっております。

○黒川座長 これは、出来ればそういうことを簡単に書いたものでも用意いただければと思います。

○国包委員 では、厚生省の方と相談しましてできれば用意したいと思います。

○黒川座長 もうちょっと情報があった方がよろしいかなと思いますので。

 それから、2枚目以降は厚生省での内分泌かく乱物質の検討会で、これは、私もメンバーの1人なんですけれども、もしよろしければ井上先生、現時点での進捗状況などについて解説していただけますか。

○井上委員 それでは、簡単に現状を申し上げますと、この検討会が設立されたいきさつは、今、事務局からも御説明がありましたように、現実にいろいろな農薬であるとか生活化学物質の中で単体でもって検査をしたりしますと、いわゆる内分泌受容体へのバインディングだとか、さらには、バインディングするだけではなくて、そのあと生態影響を持つ物質があるという現実がございます。あと、それとの関連は全く別にして、環境生物の中に例えばオボテスティスと申しまして、卵巣内に精巣の発生が見られるというような現象などが、これは現実にはある程度環境内で認められるものですけれども、それが頻度が高くなったとかいろいろな報告がありますので、それの影響を全体的に厚生省として把握する必要があろうというような考え方でつくられたものと理解しております。
 第1回は、スチレンであるとかビスフェノールAであるとか、具体的に問題になった化学物質について旧来の方式で検討しております。
 第2回目は、ちょうどこの問題についてジャーナリズム関係の方を初めとした方たちにもう少し広報する必要があるであろうというような考え方で、食品化学学会の方でシンポジウムを主催なさいましたので、そこに集まったOECDやEPAの方たちをお招きして、討論会を行ったという状況であります。
 現在の考え方としましては、御承知の方も多かろうと思いますけれども、個々の化学物質で生活環境の中での暴露が生態影響に、それ単体でもって影響を与えるような物質というものは現在までのところ、この検討会で討議の対象になったものについてはございません。したがいまして、単体で見た場合には、もしこういう物質が全く入っていてはいけないというような基準さえなければ、健康影響の問題で単体で影響を与えるということはないというふうに考えていいだろうと思うんです。しかしながら、問題は、これがOECDであるとかEPAであるとかが、国際的な協調関係の中で出来るだけ早急に検討を進めなければならないというふうに考えている点ですが、一言で言うと2つあると思うんです。1つは、相乗効果はそれほどないまでも相加効果があることは明らかになっております。それで、相加効果がどの程度あるのかが、つまり、天井があるのか、それともさらに反応性が上昇するのか、その辺のところが分からない。この解決のためには、一つ一つの工業界とか一人一人の研究者の方々の努力だけでは解決がつかない問題だという認識になっておりまして、極端に申しますと、一国でも解決がつかないということで各国、OECDレベルであるとか、EPAは自分たちで独自にやるとおっしゃっていますけれども、とにかく協調しないと無理だろうという考え方で相互に連絡を取りながら進めているという状況です。
 それから、2番目は、ヒトへの影響以上に環境生物が感受性がどうも高いらしいということが分かっておりますので、ヒトに影響がなければ環境はどうなってもいいという考え方は今取る考え方はございませんので、その辺のところが問題で、これらの2つの問題が焦点ではないかと思います。
 それからあと、もう一方それに並行して、WHOでちょうど「地球の温暖化」と同じような視点でのこの問題に関するポジションペーパーの発行、それから、各国の研究が競合してむだ遣いにならないようにということでリサーチインベントリーの作製、この2つが決定されました。WHOは、IPCSが中心になってこれを進めているんですけれども、このポジションペーパーは西暦2000年の秋に刊行するという予定で突貫工事で、ファーストドラフトがリミッテッドオープンの形で来年の3月末に出ることになっております。
 それから、リサーチインベントリーにつきましては、EPAのホームページに今出ておりますので、ごらんになった先生方もいらっしゃると思いますけれども、これは近くイスプラにそれの中心を移します。イスプラにOECDのジョイントリサーチセンター、共同研究所がございまして、ここのコンピューターに全部移すことになっております。それの第一次試案が昨日の夜EPAで出来上がりまして、今朝から各国の人たちに見てもらって修正だとか何か求めて、まもなくイスプラでもってオープンすると連絡が入っております。そうしますと、各国の研究団体の方たちは、自分たちはこれをやるからというふうに登録するようにすれば、重複を生じないですむだろう、という考え方で進んでいます。
 以上です。

○黒川座長 ありがとうございました。非常によくお分かりかと思います。
 ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。

○黒川座長 それでは、次回のことなどその他お願いいたします。

○事務局 次回は、9月の中旬以降ということで、実は委員の先生方の御予定を先ほど来お伺いしました。それで、今のところ25日の午前中というのが委員の先生方12名ということで一番人数が多い状況でございます。次回は、1つは毒性情報について9月中を目途に一定の取りまとめを行う予定としておりますので、水質基準の見直しに関して主に毒性情報の評価について議論していただければと思います。

○黒川座長 9月25日金曜日10時でいいですか。では、よろしくどうぞお願いいたします。
 それでは、ほかに何かこの際ございますか。

○遠藤委員 今の病原微生物汚染に関しまして、かなりいろいろなところで指標生物の見直しといいますか、指標生物にどんなものをとらえていったらいいのかというところがかなり議論をされていると思うんです。そういう意味で、我が国でもやはり指標生物を、例えば、今、大腸菌等々が使われておりますが、それの評価とか新たに指標生物として価値の高いものがあるのかどうか、あるいはフィジコケミカルな意味合いでの指標物質みたいなものも含めて検討すべきではないかというふうに思っておりますが、是非、御検討いただけたらと思います。

○黒川座長 では、これもまた次回以降検討していきたいと思います。
 ほかによろしいですか。それでは、この辺で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

(問い合わせ先)厚生省水道整備課基準係(内4034)



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