98/06/30 第9回 臍帯血移植検討会 第9回 臍帯血移植検討会 平成10年6月30日(火) 10:00 〜 12:15 場所:虎の門パストラル「藤の間」 出席者(敬称略)   青木 繁之   浅野 茂隆   有田 美智世  加藤 俊一   鎌田  薫   草刈  隆   小池 麒一郎  小寺 良尚  ○齋藤 英彦   迫田 朋子   関口 定美   高橋 美智   田島 優子   中林 正雄   西平 浩一   原   宏   平林 勝政   古市 圭治   陽田 秀夫  ( ○:座長 ) 議事次第  1.開会  2.議題   (1)臍帯血移植実施体制の運営等について   (2)中間まとめの作成に向けてのたたき台について   (3)その他  3.閉会 ○事務局(成瀬)  定刻になりましたので、ただ今より第9回臍帯血移植検討会を開催いたします。本日 はお忙しい中ご出席いただきまして、大変ありがとうございます。最初に、本日の委員 の出欠でございます。全委員の先生方が出席されていることをご報告させていただきた いと思います。では会議を始める前に、先程配付しました資料等を確認させていただき ます。  最初に第9回臍帯血移植検討回議事次第でございます。次が先生方の名簿、次が座席 表になっております。続きまして第9回臍帯血移植検討会資料一覧でございます。  資料1 臍帯血移植実施体制の運営等に関する検討項目(案)  資料2 中間まとめの作成に向けてのたたき台  資料3 「中間まとめの作成に向けてのたたき台」の新旧対照表  参考資料1 日本における臍帯血保存の状況(平成10年6月現在)  参考資料2 わが国における非血縁者間臍帯血移植の状況(平成10年6月1日現 在)  参考資料3 各委員より検討会に寄せられた意見 参考資料4 前回の検討会における各委員よりの意見。 以上です。何か不備等がございましたら事務局の方にお申しつけいただきたいと思い ます。では斎藤先生よろしくお願いします。 ○齋藤座長 本検討会もそろそろ正念場に入ってきたと思います。前回の検討会の後半で、臍帯血 移植の実施体制につきまして、委員の方からかなり現実的なご意見が述べられたのでは ないかと思っております。まず今日の議題です。議題1としまして、臍帯血移植実施体 制の運営等につきまして案が出ております。これは限られた時間の中でディスカッショ ンを進めるための資料として、案として事務局で用意したものでございます。では資料 の説明をお願いします。 ○重藤補佐  事務局から説明させていただきます。資料1でございます。臍帯血移植実施体制の運 営等に対する検討項目(案)でございます。これは当面緊急に初期的段階として、実施 するために、臍帯血移植の運営体制を確保していくためにどういうものが最低限必要な のかということで、このような項目を詰めておいていただきませんと、初期的に動かす ときにどういうものになるのかわかりませんので、それぞれの考え方の目安を示してい ただければと考えて用意させていただきました。  1.初期的段階における運営のために議論しておくべき項目、ということです。 (1)初期的段階として緊急に整備すべき事業、です。とにかく将来像にはいろいろな ご議論があろうかと思いますが、緊急に来年・再来年にどうしていったらいいのか ということで、まず安全性が確保され、かつ質の高い臍帯血の緊急整備、これは最 低限必要ではないか。それから全国的な情報ネットワークの構築、全国どこからの 依頼でも提供できる体制を構築していくというのが、臍帯血移植をまっている患者 さんのためには不可欠である。この二つのことがとにかく最低限確保されないとい けないということだろうと思います。  そのような二つのことを具体的にするために、幾つか当面議論をしておかないといけ ない問題がございます。  まず (2)臍帯血移植の推進のための体制、でございます。これは今幾つかの臍帯血バンク で全国的に各地区地区でされておりますが、当面は、そうした臍帯血バンクが全国 な展開を図るために、共同事業的な事業を進めることとしてよいか、一元的にやっ ていくのか、今やっているものの延長線上で共同事業的なものとして展開していく のか、その辺を固めていただきたいということでございます。 (3)共同事業でいくということになりますと、その共同事業の中身というのは、一 体どういうものであるのかです。 (4)共同事業に参加する臍帯血バンクの要件、です。誰にどういう手続きで参加し ていただくのか、新規参入をどう考えていくのか、共同事業のための機構をどうし ていけばいいのか、臍帯血バンクということに対してブロック割りのようなものを 考えるのか、地区地区の運営主体を具体的にどのような組織を考えているのかです (5)現在ある臍帯血バンクとの関連、です。現在ある9か所のバンクと、共同事業を 行っていくバンクとの関係をどうしていけばいいのか。現在のバンクのうち、共同 事業に参加するのはどういうバンクなのか。 (6)臍帯血の保存件数を幾つにするのか。現在2,000 幾つかの臍帯血が既に保存され ておりますが、その臍帯血をどうしていくのかです。 (7)臍帯血の安全性、はどう担保していくのか。 (8)年間の共同事業の企画・立案等をどういう仕組みでやっていくのか。患者さん等 の関係をどう仕組んでいくのか。 (9)財源はどうしていくのか。  こういうところが、当面、緊急に本当に待っている患者さんのために、臍帯血を 集めて供給していくためには、最低限そういう項目を詰めていただかないといけ ないということから、事務局で検討する項目として上げさせていただきました。 将来像については、将来的に造血幹細胞を一体的に取り組んでいくのか、それ とも臍帯血移植については別組織でやっていくのか、これはまた将来像として検 討する項目ではないか。臍帯血バンクを一つの支部と考えるのか、それともそれ ぞれが独立するのか、これもまたご議論は将来像としてご検討いただければと考 えております。当面事務局としては待っている患者さんのために、臍帯血の供給 体制を整備するために、取り合えず具体的なものをご議論いただきたいというこ とで提示させていただきました。以上でございます。 ○齋藤座長  ありがとうございました。この項目はいままでいろいろなところでご議論いただいた ものばかりでございますが、特に重要なものを当面緊急な項目としてまとめてございま す。順番にご意見を伺っていこうと思います。  最初の、初期的段階とは何かという議論はまた起こるかも知れないのですが、これは 1年とか2年とか3年ということで、緊急に整備するべき事業です。1番のところに安 全性とか、質の高いとか、緊急とか、全国的とかというキーワードは入ってまして、こ の点についてはいかがでしょうか、勿論この他にもいろいろなことを入れれば入れられ るのですが、最低限どうしても必要な言葉は入っていると思うのですが、いかがでしょ うか。 ○有田委員  発言するたびに、胸がチクチク痛んで消え入りたいような気持ちでございます。発言 させていただきます。前回も申し上げているのですが、公的臍帯血バンクという公的と いう言葉が入ってないというのが一つです。この検討会が持たれた経緯というものも、 これは局長か最初のご挨拶のときにおっしゃったはずですが、私はそれは一番大切なこ とであると思うのです。それも入ってないのです。この二つです。全体を通して、国が 努力するというところも薄いのではないかという感じもするのです。入れていただきた くない文言が敢えて入っていたということもあるのです。私の感想ですが、皆さんはい かがでしょうか。 ○重藤補佐  この資料1は、皆さんにご議論いただくためのペーパーでして、また報告書としては 今日ご議論いただいたものをベースに、またまとめさせていただきますので、その文言 の整理等は後日お諮りするということで、今日は決めないといけないコアの部分をご議 論いただければということでございます。 ○齋藤座長  よろしいでしょうか。そうしますと(2)にいきます。臍帯血移植推進のための体制 です。現在少なくとも9か所のバンクがあるものをサポートしないといけない。それで 全国的な展開を図るための、共同事業的な事業を進めることとしてよいかということで す。これも当然といえば当然ですが、何かご意見はございますでしょうか。 ○陽田委員  ここに書いてあることには特に異議はないのですが、今の座長の解説のように、現在 の9か所のところをサポートしていくという意味には、私には読めないのです。9か所 のうちの幾つかになるのか、あるいはそれ以外のところが参入するのかは分かりません が、幾つかの臍帯血バンクが、全国的な展開をするということでは異議はないです。 ○齋藤座長  (3)です。ここで臍帯血バンクの定義が、ソフトなのかハードなのかということも ありますが、共同事業をやるとして、そこにありますような情報の共有化と公開という ことも出ました。品質の問題、安全性の問題、共同研究も必要です。適応の審査と書い てありますが、言葉はともかくとして、どういう疾患に適応するのか。患者さんのフォ ローアップ、7)の提供したお子さんのフォローアップ、これにはいろいろな問題がある と思います。そういうものが例として上げてあります。これについてはいかがでしょか ○迫田委員  共同事業という言葉づかいです。この共同事業というのは、どのくらいのことを意味 しているのかを、皆さんで共通認識した方がいいような気がするのです。あるどこかの 中央の組織のようなことの事業といっているのか、この共同事業という言葉をどう理解 したらいいのかということをご説明いただけますか。 ○朝浦室長  事務局からご説明します。(4)の論点にもなっておりますけれど、単なる協議会的 なものを考えるのか、それともきちんと組織を作ってやるのか、その辺のところも両方 あると思うのですが、各バンクでやる事業と、中央でやる事業との分担とか、どこまで 権限をもたせるのかというところまで係わってくると思います。(4)で議論していた だきたい点でございました。3ページにイメージとして地域臍帯血バンクと、中央の地 域臍帯血バンクの連絡協議会、ここでは協議会という言葉を使っておりますが、これも ご参考いただければと思います。 ○西平委員  今のことに関して、共同事業という言葉については、先程の(2)のところにある全 国的な展開を図るための共同事業的な事業を進める、というところの内容を意味してい るのではないかと思います。すると、各地のバンクをそれぞれ独立するのかそうではな く支部的にするのかは別問題として、とにかく臍帯血移植を進めるにあたって、各地区 で展開していく。今の事業を継続していくということになるのかなと思います。  その内容としては、作業部会でいろいろと細かく基準書を作ってあるわけですが、そ れの内容を含めた全体、それに基づいて、しかも、実際に移植するまでの過程を決める 運営委員会、それを全部含めたもの、いわゆる臍帯血バンクそのもの全体像のことでは ないかと思います。それを例えば全国一つの組織でやるのではなく、それぞれの各地域 バンクというか、名前は別として、独立した各地区にあるものが、一緒に同じ目的に向 かって事業を進める、その意味での共同事業ではないでしょうか。 ○浅野委員  西平先生が言われたことと同じだと思うのですが、私の理解では、数個の施設がバン クとして存在して、それを共通のルールのもとで、ネットワークあるいは連携するとい う考えで進めること。それを共同作業と理解しています。 ○小寺委員  3ページの地域臍帯血バンク連絡協議会のいろいろな機能の中で少し質問があります 患者さんの登録はどこでなされるのかということです。もう一つはHLAは連絡協議会 に各地域のもの、個人情報を抜いたものが集合化されるのか、その二つの事務局のイ メージを伺いたいのです。 ○重藤補佐  事務局としては、そのことにつきましても最終的には連絡協議会の中で決まっていく べきことであると思っております。したがいまして、あまり事務局からこうでなければ ならないというものではなく、イメージ的にはこういうイメージである。ただ細部につ きましては、共同事業に参加する各バンクで、最終的にはどうするのだという姿をきち んとディスカッションして決めていただければよろしいのではないかと思っております ○陽田委員  ここであまり時間を使いたくないので簡単に申します。この中には、例えば国際協力 とか患者擁護という部門が抜けております。ここは全体像を網羅しておいて、後は各地 のバンクと中央組織が、どういう権限と、どういう責任を分担して持つのか、というこ とをこの協議会の中できちんと決めていけばいいことなんだろうと思うのです。この検 討会である程度のイメージを決めることとして、あとは当事者で決めていくことではな いかと思います。 ○加藤委員  当面の体制を議論する際に、本来、将来のものとの関連を位置づけておかないと、当 面のものがそのまま一人歩きするものかどうかという議論がまだ十分にできてないと思 うのです。それで、私はあくまでもこれは過渡的なものとして位置づけるものであって これをやっている間に皆が考えている公的な臍帯血バンクが整備されていく、その間の 過渡的なものであるということで位置づけないと、議論がおかしい方向にいくのではな いかと思います。 ○齋藤座長  では共同事業に関しては(4)のところに関連がありますので進みます。そこには共 同事業に参加する臍帯血バンクの要件、誰がどのような手続きと基準で参加を認めるの か、共同事業が開始した後で、どんどんいろいろなところで新規に参加したいと言われ たときにどうするのか、共同事業のための情報公開の場としては協議会事務局でいいの か、何か別の組織がいるのか、全国の地区というのをどう考えるのか、どの地区にもな いといけないのか、偏在していてもいいのか、そのようなことであると思います。ここ も自由なご発言をお願いします。 ○陽田委員  最初の、どういう手続きで、どういう基準で参加を認めていくのかということについ ては、前々回に私がご提案した資料が18ページです。参考資料1となっている5月26 日に出した資料がございます。これの5番のところに、公的臍帯血バンク事業開始に当 たっては、希望する法人を公募し、公正に審査し決定する。その審査は別途審査委員会 を構成し透明性をもっておこなう。審査の主な内容ということで例記してずーとここに あげてございますが、この辺についてはまだ全然議論されてません。最初はここのとこ ろだけで議論をするのでしょうか。それ以外にも意見をいっていいのでしょうか。 ○齋藤座長  そうです。 ○陽田委員  では後の新規参入を認めるのかということについては、最初の基準の作り方、手続き の決め方で自動的に決まってくることだと思うのです。基本的にはある一定レベルの基 準を満たしているところについては認めていく、という考え方にならざるを得ないので はないかと考えております。  次は意味が分からないのでとばして、ブロック割り、地区割りを考えるかということ については、僕は考える必要はないと思うのです。最も効率的にできる組織にお願いを するということを優先して考えれば、ある一定地域に偏ったとしてもそれはやむをえな いのではないかと思います。  あと運営主体を具体的にどのような組織にするのかということは、地域のバンクに関 しての運営主体をどうするのか、ということであると思うのです。これも今日提出した 資料の17ページに地域バンクの組織イメージというので、参考資料としてお出ししてお りますので、差し支えないようでしたら、これで議論をお願いできればと思います。 ○齋藤座長  今のところで議論をします。例えば効率性を考えて、ブロックを考えないとなれば、 新規加入であまり数が増えても効率性が悪いわけです。いずれにしても予算は無限には ないわけですから、数が増えればふえるほど、1か所当たりの予算は減るということに なります。  一方、誰に新規加入をリジェクトする権限があるのか、既得権の保護をしているので はないかという議論に対しては、どのように答えるのでしょうか。 ○小寺委員  私どもはここの(4)に疑問があるのです。今の話題についていいますと、この臍帯 血移植の普及において、各例えばブロックとしますと、ブロックに臍帯血バンクを持つ ということは、意味があると思います。骨髄移植の普及ということを考えた場合でも、 骨髄移植が普及したのは、骨髄バンク運動が起こって普及したわけです。それは8ブロ ックに骨髄バンクの核を作って、そこでドナーリクルートをする過程において、実は臨 床上の骨髄移植術というものも普及をして市民権を得てきたという過程があります。  ようするにブロックにそういう臍帯血バンクを持つというのは、それだけではなく、 他のいろいろな影響が出てくるということがあります。私はむしろ、例えば8つのブロ ックに分けて、ないところは望ましい姿のバンクを初めから作っていただく、それから 一つのブロックに複数あるところがあります。それは各ブロックがある程度自主的な統 廃合というか、運営に任せた方がいいのではないかという気がします。それが一つです  もう一つです。(4)で気になるのは基準の中で財政力という言葉が出てきてます。 これを基準の中に入れるというのは、元々の公的臍帯血バンクのあり方というものを、 かなりここで決めるというか、随分大きな方向転換であるという気がするのです。ここ のところの財政力という言葉はどう使っていらっしゃるのか聞きたいのです。 ○朝浦室長 バンクを立ち上げてある程度継続していくためには、ある程度の財政的な基盤なり安 定的な運営のできるような仕組みでないと、なかなかそこにお任せをするということは 途中でその事業を止めたということになりかねないということもありまして、その意味 で財政力という言葉をあげさせていただいているということです。 ○小寺委員  具体的には例えば、骨髄移植推進財団のように、寄付を募るとかという行為というこ とですね。自分である程度の財源を、国庫補助とか地方自治体の補助以外に、努力して 集めるというファンクションという意味ですね。 ○朝浦室長  それも一つの方法だと思いますが、ある程度の財政基盤というものを見ていく必要が あるのではないかと思っております。 ○迫田委員  先程の基準というか、これから数か増えていったときに、どうやってリジェクトする のかというお話ですが、この基準のレベルを非常に高くするべきだと思うのです。そも そも安全性という問題でいえば、それだけの任せられるという基準を作業部会で多分作 っていらっしゃると思うのですが、その基準のハードルをかなり高くして、誰でもでき るような事業ではなく、そこはきちんとやっていただけるところ。その意味では多分今 9か所あるところも、全て基準に合致するのかどうかは分かりません。多分ある程度は 整理統合されていくのではないかという気がします。そうすれば国民も納得すると思い ます。 ○浅野委員  骨髄バンクの場合にはブロックをつくらざるを得なかったのは、ドナーの方が全国に 分布され、コーディネートの効率を良くするためでございます。臍帯血の場合はその必 要はありません。従って全国をブロックに分ける必要はありません。現在すでに採取保 存基準に沿って、実際に活動を始めている9施設については条件を満たす限りは、国が 公的な機関として指定して良いと思います。しかし、その数だけを見ると、必要と考え る数を既に越えていると思います。将来的な経済的効率性、永続性も危ぶまれるものも 含まれているかもしれません。新規に参入するところもこの点を含めて大丈夫と考える なら認めてよいと思います。  また、この財政については、一旦認めれば国が充分に援助すべきことと思っておりま す。その意味で財政的援助にあたっても、設置場所や運営母体から見た今後の発展能力 を重視して、各施設の規模、年間の保存数などを明確にして、それで認可の順序を決め それに応じた各施設の対応を取り付けて、違った援助額に決めざるを得ないと思います  なお、新規参入については、国で妥当かどうか十分に検討されなくてはならないと考 えます。 ○齋藤座長  地区ごと、あるいは幾つまでという議論が出でおりますがいかがでしょうか。 ○西平委員  私も意見書を出させていただきました。浅野先生の次のページに、臍帯血バンクの運 営体制ということで出させていただきました。これは共同事業をやるにあたっての、 (4)に係わる全てのことであると思います。地区割りはある程度は必要ではないかと 思います。骨髄バンクが8つということですが、人口密度の多いところに一つとか二つ あればいいということではないと思います。それはHLAの分布とか、日本は比較的に 均一であるとはいっても、各地区によってある程度の偏在性はあると思います。ですか ら、近畿地区と東北地区、あるいは九州地区とかにはそれぞれの特徴があるだろうと思 いますから、それぞれに必要があるのではないか。  しかしここで誤解してはいけないのは、運営主体ということと、全体のバンクという ものと、事務局です。実際に患者を受け付けて連絡したり手術したりするという事務局 と、混同しがちではないかと思うのです。臍帯血バンクの場合には採取から始まるわけ ですから、採取する場所は、例えば関東は人口が多いから関東だけでいいとか、近畿も 多いからというので近畿と関東だけの二つだけでいいという考えもあるかも知れません が、私はそれについてはあまり賛成できなくて、九州や東北や北海道、いろいろなとこ ろに採取施設をきちんともって、そこで採取・保存をしてデータも管理するというふう にする。  私の意見としては図に書いてあるように、これが果してどうかというのは問題ですが 実際の仕事の中心的な役割は、日赤の血液センターか今の血液センターがやるべきこと ではないか。最初は産科でやるのですが、採取された臍帯血の後の処理、保存、データ 検査というのは、全て骨髄バンクでも今でもやっていることだし、しかも、いろいろ前 から議論されているように、血液事業と似た面もあるということで、血液処理に関して は血液センターというのはプロなわけです。専門家集団であるのです。その意味ではあ る程度の規模を有する各地区の血液センターが、中心になってやっていくということで はいかがなものかと考えます。  その中に実際の移植に関しては運営協議会をその地区ごとに決めまして、運営協議会 のメンバーをどうするのかも問題かも知れないのですが、そこに主治医と患者から直接 きた、移植を希望する患者を受け入れる事務局がいて、そこにいろいろな協議するメン バーをおいて、そこで実際に検討するというシステムでいいのではないかと考えて、次 のページに具体的な模式図を書きました。  もし日赤の血液センターがこれを引き受けるということでしたら、かなり早く簡単に できてしまうのではないか、それぞれにいろいろな地区に血液センターは大きなものが ありますから、そこの所長さんなりがOKということでしたら、中央日赤が駄目だとい っても、各地区でうちの地区はやりますということでやれば、上手くいくのではないか と勝手な考えですが、そのように思っております。 ○浅野委員  追加します。施設数については、個々の施設の大きさと臍帯血必要数で決まることは 明らかです。この必要数については、年次的に考えていかないといけないというのは当 然です。また場所については利便性・経済性・効率性を考えないといけないでしょう。 私が9施設といったのは、固定という意味ではなく、現在あるところを大事に育てるこ とは考えなくてはいけないという意味です。ただし、臍帯血の需要は今後増してくる可 能性が予想されます。ですがそう極端な範囲ではないでしょう。ですからある範囲内の 数の変動がありうることを考えた認可システムをつくらないといけない。  新規の参入に関しては、将来を考えた検討会が責任をもって、決めるべきだと思いま す。 ○原委員  私は基本的に臍帯血バンクというのは、国策としてやる以上は、各ブロックを基本に は考えるべきであろうと思っております。各ブロックのどこにおられても臍帯血バンク 事業に参加できるというシステムは基本にあるべきだと思います。しかし、効率性とか 利便性は当然考えるべきことであろうと思います。臍帯血バンクのないブロックに臍帯 血バンクが出来れば出来た時点で、資格を満たしているかどうかということでブロック 毎に考えるべきことではないかと思っています。そのブロックの中に臍帯血バンクを作 りたいということを認めるのではなく出来てきたものが充実しているか否かを各年度毎 に対応して判定していけばよいと考えています。ですから浅野先生がおっしゃったよう に、あまり数を固定せずに、経過をみながら考えていく必要は十分にあるのではないか 充実していく努力、臍帯血バンクを充実させていこうという努力は買う、というような 方向性を示していただければありがたいと思っております。 ○陽田委員  私は浅野先生の意見に賛同するところと賛同できないところがあります。数について は効率を考えると、あまり増やしたくないというのは同じです。これは目標の保存数を 幾つにするかという事と保存施設数を何カ所にするかによって変わってくることは当然 だと思うのです。施設数を多くすれば多くするほど臍帯血一つ当たりのコストが高くな るので、できるだけ増やしたくはない。ただ、現在、行われている9施設ありきで決め るのではなく、きちんとした基準に基づいて、こういうところにお願いすべきだという ところを打ち出しておくべきだと思うのです。  私が前回出して、今回も出しておりますが、臍帯血バンクは移植医療機関とは明確に 組織的にも、人事的にも財政的にも完全に分離すべきであるということを申し上げてお ります。それから年間の保存能力として、一定以上、例えば1,000 件以上保存できると いった事を基準にすべきです。先程財政力云々ということで小寺先生からご質問があり ましたが、バンク事業は経営です。経営ですから経営的な基盤がしっかりしたところで ないといけないと思っております。  例えば、補助金が出るとしても、一時的には立替えて事業をやっていかないといけま せん。例えば骨髄バンクを例にとっても、年度末に補助金が出てきますが、それまでの 事業というのは自主的な財源をもってないと経営できないのです。ですから、その辺の ハードルをきちんと作っていくと、かなり限定されてきて、そうそう沢山は乱立するほ どお願いできるところはないのではないか、というイメージで考えております。新規参 入でお願いできるところが出てくれば、それは逆に有り難い話ではないかというくらい に、私は考えておりました。 ○浅野委員  陽田さんが言われたことはよく分かります。私が言いたいことは必要のないバンク施 設を作ることがないようにちゃんと将来性も考えましょうということです。  バンクの安定性を考えた場合には、保存数の指定というものも必要になってくるとい うことでございます。それを考えて、経済的な基盤がちゃんととれるか、国民の税金を ちゃんと有効に使えるかということまで、私どもは議論をしておかないといけないとい うことでございます。 ○有田委員  6年前に公的バンクを作ろうと思ったときは、一つで足りると思ったのです。どこか に一つということで、まず考えのは、難しい言葉で言えば、日本の遺伝子が集約されて いるところ、例えば東京とか大阪・阪神間、ここは第一候補に決めないといけないだろ う。と言いますのは、小寺先生は先程骨髄バンクのことでおっしゃったのですが、骨髄 バンクをブロック別にしたのは、私は正解であったと思います。  でも臍帯血はそうではないということを、小寺先生頭の中で整理していただきたいの です。これは一つであっても、20,000とか50,000と言えば足りうることであると思いま したが、いろいろなご議論を聞いていて、やはり危険の分散とか競争の問題とかで数カ 所あった方がいいのだろうなというのは、今私の中で整理されております。そういう形 でお考えいただけないかなと思います。効率性と経済性というのはとても大事なことで これは事業ですから、経済性がなければ駄目です。国民の税金を投入するということで 今は沢山のいろいろな財団がありますが、お金をもらって赤字になってわけのわからな いものが沢山あるから、そういうものは作らせないという状況が今はありますよね。そ ういうことにはならないようにしていただきたいと思うのです。  ですから今あるバンクというのは、移植医の人がやむにやまれぬ形でやってきたバン クです。ですからこれを一つ一つ公的バンクとして位置づけていくのは、問題があると 思います。陽田さんがおっしゃったように、この9つを含めるのか含めないのかという 問題を論じる前に、幾つ必要で、地域はどこでということをまず先にご議論していただ いた方が話は先に進むのではないかと思います。 ○齋藤座長  ちょっと待ってください。数については今まではいろいろ出ているわけです。7つと か8つとか9つとかね。一桁だということは恐らく多くの方は賛成でしょう。 ○小寺委員  全国を大体8ブロックに割ってそこで地域バンクをつくったらどうでしょうと申し上 げたのは、最初にいいましたように、臍帯血移植というのは、この検討会に出ていらっ しゃる方は、これは関東とか関西とか私どもとか、バンクのあるところで親しんで臍帯 血バンクをよくご存じの方が出ていらっしゃる。ここに出てみえない人の方が問題なん であって、そういう地区、そういう人達に、臍帯血移植を正しく理解していただき、実 際に協力してやっていただくという意味で、8ブロックくらいというのが適当な数では ないか、それは骨髄バンクの経験から言えることですといったことです。システムの違 いについては僕はよく知ってます。だから8ブロックにするという背景は違うのです。 普及という意味では大事ではないかということです。  もう一つは、例えば今具体的には検討会には九・四国の方が参加されてないですね。 一方においてこの9つの中に関東地区に4つの臍帯血バンクがある。現在の9か所の臍 帯血バンクを追認し、ないところのバンクは新規参入は認めないというようなことが、 検討会でもし決まった場合に、これが国の公的バンクを作っていく検討会として、果し て外から見なされるのかという問題であると、私は非常に疑問に思います。  もう一つです。財政力のことです。先程僕がいいまして陽田さんがおっしゃったので すが、陽田さんのこれは経営であるとおっしゃったことに、実は私は反対です。これは ペイする仕事ではないと基本的に考えているし、そうあるべきではなかろうと考えてお ります。これは医療であって、きちんと保険に、今は臍帯血移植術は認められたのです が、過不足ないお金で臍帯血というそのものに対する保険適応も近い将来はなされるべ きであると思うし、そういうもののバランスの上において、臍帯血移植術は展開してい くべきであろうと思うのです。あくまで財政力というのは、寄付であるとか支持者の寄 付と考えているわけで、これ自体が独立採算で動く組織にはなりえないと考えているの です。 ○陽田委員  時間をとってすみません。これは非営利事業であることは私も賛成です。そうでない といけないと思っているのです。ただ、非営利事業であれば経営的なことを考えなくて いいかというと、そうではないと私は思うのです。営利を目的にしないということです たとえ利潤が出ても同じ目的に再投資していくことで、他に配分・配当をしないという 考え方です。それだけで採算が成り立たないなら、それは公的支援を期待する考え方は あります。経営が成り立たないということは、非営利事業と言えども組織を維持できな いことになりますので、違うと思います。 ○迫田委員  新規参入について国が規制するというのは、例えば法律を作るとかガイドラインを作 るというのでしたら別ですが、馴染まないというか、非常にそのための作業にはかなり 時間がかかると思うのです。それよりは、共同事業を、共同事業としてやる協議会にし ても運営委員会にしてもどういう形でも結構ですが、そこがかなり情報を公開して、こ れであれば認められる、だからさっきいったようにハードルを高くして、それでもし何 かおかしなことをしていれば逆に共同事業から手を引いてもらう、ということができる くらいのきちんとした共同事業体制のようなものを作れば、今の9か所の問題もある程 度整理されるだろうし、新規参入も本当にきちんとしているところであれば入ってくれ ばいいし、やっていただけばいい。そうでなくても中国・四国地方にないとしても、ち ゃんと東京から冷凍して保存したものが届くということをきちんと伝えておけば、私は それで十分であると思っております。 ○浅野委員  迫田さんの考えに賛成します。必要な臍帯血さえ全体で保存されていればよいのです どこからでもアクセスできる、そしてネットワークがあればよいのです。 ○齋藤座長  今までの議論を伺うと、数としてははっきりしないが一桁だろうということですね。 多くのご意見はある程度はブロックということを考えて全国的に考えた方がいい、勿論 ない地域も出てもいいが、関東と関西だけでは不味いのではないかというご意見であっ たと思います。  (5)です。これも議論の続きとして現在ある9か所の臍帯血バンクと書いてありま すが、それどうするのか。(6)として幾つを保存の目標とするかということ、更には 現在2,000 以上の臍帯血の保存がされていますが、それをどうするのかということです が、その辺でいかがでしょうか。中林委員数に関してご意見はありますか。 ○中林委員  数に関しては比較的何か所か、例えば8か所とか9か所ということが決まりましたら その周りの恐らく5〜6施設が産科の採取施設となりますと、今の日本の産科施設の大 きなものは500 から800 くらいの分娩を扱いますから、そのうちの昼間だけとしますと それの約3分の1、それに採取できる範囲といいますと、各施設とも大まかに100 検体 くらいが採取できると思います。すると例えば9つのバンクがあって、その周りに5つ くらいの衛星があるとすると、一つのバンクで100 ×5 くらいで、それを9個ですと年 間で4,000 くらい溜めることができる、そのくらいを集めることは十分に産科医として は可能であると思います。  ただ私は考えるのに、既に9つの施設がありまして、それはやむにやまれずに作って いったところでしょうから、この中でこれは認めてこれは認めないということになると 大変に直ぐには問題がある。この9つの中で連絡協議会とか運営協議会等を作って淘汰 するなりの方向にしないと、実際にやっているところは困るのではないかと思います。 またそれを公的な権力でどうのこうのというのは大変に難しいのではないか。  今までのお話を聞くと、我々の産科医というのは大変に緊急にいろいろなことをしな いといけないのです。今のお話ですと総論はよく分かりますが、各論的にプロブレム・ オリエンテッドというか、問題が出てどうしようというディスカッションにはなかなか 行き着きませんので、これは5年とか10年やっても、実際には良いところに行き着かな い気がします。すると実際的に運営しているところが中心に、それをどういう方向に修 正するか、それを数年かけてでも協議会として作っていくという方向にしていただかな いと、我々産科医は、賛成して協力しますといって皆にオリエンテーションを付けたと ころが、一行にどういう事情かまとまらない。いつから我々は採ればいいのかというこ とになりますと、産科医としての意欲も段々失せてきますので、早速にきんちと決めて ここ1〜2回でまとめる。総論的には後でよく聞きましょうという形にしていただかな いと、産科医としては大変に困るところです。 ○齋藤座長  今のご意見は、検討会全般についてあと1〜2回でまとめてほしいというご意見です ね。 ○陽田委員  保存の数の目標ですが、これは前回20,000という数字が出て、加藤先生の方から将来 的には40,000〜50,000を目標にすべきではないかというご意見が出ておりましたが、こ れは何年で、例えば20,000、何年で40,000〜50,000を目標にするのかという年限を切ら ないと、経営的な計画が成り立たないというか、先程のご発言にあったように、それを 決めることによって、何か所くらいで1施設当たり幾つずつ保存していくのかという計 画が成り立ってくるわけです。そのためにはではお金が幾らかかるのかという順序で話 が進んでいくのだと思うのです。  これはこの報告書の中にも当面という書き方で年限を規定してない、だからこれが2 年なのか3年なのか10年なのかで、全然つけるお金の単位が違ってくるという意味で、 これはきちんと議論しておくべきかと思います。 ○齋藤座長  その数の点は、20,000という数字はHLAの合う比率から考えられた数です。今例え ば中林委員の言われた4,000 ということになれば5年ですね。1年で4,000 ということ であれば20,000を集めるにはね。20,000を3年でも5年でもいいのですが集めることに なると思います。 ○加藤委員  最初に申し上げましたが、今議論しているのが当面ということで、私自身は3年と ずーと考えてきたわけです。それにはプラスとマイナスがあってもいいと思うのですが およそ3年くらいですね。先程にもやむにやまれずという表現がございましたが、それ に近い形で始まった各地の地域臍帯血バンクが、そのまま将来に移行するものではない と理解しております。すると浅野先生がおっしゃったように、無駄な努力は最小限にす べきだということには賛成です。  しかし一方で3年後に備えて、今から本当にパブリックなもの、公的で全国的なもの に着手しないといけない。その両方で議論していただきたいと思うのです。  西平先生がお示しになったものは、私も従来から日赤の血液センターが担うべきであ るということについては、繰り返し申し上げてまいりましたが、なぜか日赤の方からそ れに対応する呼応する積極的な姿勢が伺えないものですから、それについては非常に残 念に思っております。本当にそれでいいのか、もう一度私自身考え直さないといけない のかなと実は思っておりますが、今でも基本的には西平先生のお考えに賛成です。  ですから3年後の本格的なものについては、是非こうあってほしい。しかし今直ぐに 9つのバンクで保存しているものを日赤に移管するのかというのは、それは技術的にな かなか無理ですので、ある時期は平走せざるを得ない、今走りはじめる、あるいは始ま っている地域臍帯血バンクは、何年かの後に収束し収斂していくその過程の中で、公的 なものがしっかりと根づいていくのだろうと考えたいと思います。  そうなると当面の地域臍帯血バンクのブロック化は、必ずしも厳密には必要ではない と考えております。将来のものとしては必要であると思います。当面のものとしてどの くらいの数というのは、私はこれまで自分でも記憶がはっきりしないのですが、5,000 くらいあればいいのではないか、当面の過渡期的な数としてね。その5,000 が将来その まま本当にデッドストックで死んでしまうのか、あるいは一部生かせるのかという議論 はしていかないといけないと思うのですが、基本的にはこの5,000 は、あくまでも過渡 期的な本格的なものに繋ぐまでのものであると理解しております。いずれは役目を終え ていくものと位置づけて、今ストックしている人達も、過大な投資はそこにはしない方 がいいのではないかと考えております。 ○齋藤座長  数のことをまず詰めた方がいいと思います。 ○西平委員  数はずーと前から出ておりますように、1年で4,000 ということでいいのではないか と思っております。20,000といいますのは、これは小児をあくまでも対象とした数であ って、大人に使えるものではない。大人を対象にすると、この前にも申しましたように それの5倍くらいはいるだろうということです。ですから100,000 くらいないと大人に も使える臍帯血というのは、少しはあるでしょうがなかなか得にくいだろうと思います  今の加藤先生のお話ですが、やむにやまれずというのを有田さんがおっしゃるのです が、その意味ではなくて、今皆さんが既にやっているのは、このような臍帯血の採取の 方法であるとかシステムとかというものを、どうすればできるかという、あくまでも研 究的なものをやってきたのであって、やむにやまれずというような、そういうことでは ない。こういう会議を持つための下準備というか、それが目的というか簡単に言ってし まえばそういうことです。ですからそれで基準書とかができていたと思います。  ですから先程いいましたように、日赤の血液センターのことですが、僕の言いたいの は臍帯血の採取を、産科のお医者さんとか我々医師がすることもあるのですが、それを いろいろ処理して保存してちゃんと保管して、いろいろな検査をするという手順書とい うのがあるのですが、これだけのものを全部やるというのは大変なことです。それを実 際にやるという専門の人は誰もいません。片手間にやっているというか、実際には本当 に夜中までかかってやるわけです。実際にそれを今の我々の施設に認めますからやって くださいというものも、そういうスタッフはおりませんので、血液処理の専門である血 液センターのスタッフを増やすなりして、それの人件費は国庫補助なりとか都道府県が 出していいと思うのですが、そういう方策をとらないと、決して簡単にはできない。産 科の先生がいくら採ってきても、それを処理する人達がいらっしゃらないわけです。で すからその意味で、血液センターのご意見をぜひお伺いしたいと思います。 ○齋藤座長  ではセンター側からまずお願います。 ○関口委員  今センターということでしたが、確かに私どものところでもバンクをやっております これは細胞の処理ということについては確かに長い経験もありますし、いろいろな設備 もあります。その意味では、問題の保存にしても処理にしても問題はないと思います。 ただ前から言いますように、77の全ての血液センターが同じようにできるのかというの は疑問であって、少なくとも1〜2割のセンターがそれに対応できるということです。  ですから全国同じではなく非常に格差があるということです。血液センターとしては 当然独自に事業をやっているのではなく、本社ともいろいろな協議があってやるわけで す。血液センターの直接の輸血に関する血液、薬価で認められている血液を供給する以 外の仕事というのは、かなり沢山あります。これは全てサービスという感じでやってい るわけです。これについてはできるだけユーザーに協力するようにという本社の考えも あってできるだけ協力しましょうということです。  ですから今までやっていた放射線の照射のサービスなどは、全部そういうものに入り ます。それから自己血の保存処理等も全部その中に入っているわけです。  ですからもし今の臍帯血の処理が、血液センターと合っていて最も適していると皆さ んに指摘されるのは当然起こると予想しておりましたので、我々も早くから研究に着手 しましたし、赤十字としてもプロジェクトを作って大きな血液センター3つで、何とか もしそういう状況が来たら、我々が対応できるような体制にしておこうということで予 想してやっていたわけです。  しかしこれは全て3つのセンターで、今言われている9つの臍帯血バンクをすっかり 包括できるようなものではないですし、あくまでリサーチという感じでやっているので 製品としては出せるでしょうが、実際にそれを責任づけられると問題があるということ です。その意味からすると、できるができないという非常に変な話になるわけです。  もう一つこれは私が個人的に考えているのですが、これからの血液センターの事業と いうものは、採血の部分とそれ以外の部分を、分けた事業をしないといけないというの が私の個人的な考えでもあるのです。こういうプロダクトライアビリティに適合するよ うな血液製剤を出しているところが、赤十字の仕事であるということ自体が、責任体制 が非常に曖昧であるし、これをそのまま維持していくということは非常に難しいのです  皆さんも分かっているように、検査もウインドピリオドのためには核酸増幅試験をし ないといけない。血液製剤に不活化の処置をしないといけない、今の77のセンターでは とてもできないのです。結局4つか5つに分けて大きなところでやらないと駄目なので す。ですから、そういう大きなお金を使わないといけないこれからの血液事業に対して 恐らくやれといえばできるのでしょうが、こういうものをそのままくっつけて、血液事 業で一緒にやって安心だというわけにはいかないだろう、それだったら別に離してやっ ていった方がいい。その中でいままで骨髄バンクで協力していたように、登録であると か、HLAの照合という協力はしているわけですから、同じ意味で赤十字のこの部分は これをやりなさい、やってくださいということであれば、協力体制を取るというのは赤 十字の本質的な考えですから、それは私は可能ではないかと思います。 ○草刈委員  日本赤十字というのは非常に自由な魂の持ち主の方が多くて、小寺先生のように赤字 になってもいいという方もおられるのですが、生活するための給料は誰が出しているの という思いがします。陽田さんがおっしゃるように、経営的なセンスがないままに、い ろいろなことをやっていきますと、患者さんも地域住民も巻き込んで不幸な目に遭わせ る、それだけは避けなければならない、我々は技術馬鹿であってはならないと思ってお ります。  今関口先生がおっしゃったことを引き続いて申します。血液事業そのものは、役割と 責任が不明確なままで30年来行われている。それは国、地方自治体、日本赤十字など の役割と責任が曖昧なままに社会福祉団体が製造業を営んでいるという本当にややこし いことになっているのは事実です。しかしそれはここでは言うべきことではないと思っ ていたのですが、関口先生が喋ってしまったので補足します。その製造業も、人命に直 接する医薬品製造業である。しかも医薬品の中で一番危険な血液製剤に関わっていると いうことの恐れは、関口先生はじめ我々7,000 人の血液事業に当たっている人間は皆思 っているわけです。  その中で国や地方自治体もみな役割と責任をきちんとしてくださいというお願いを、 もう一つの委員会で申し上げております。組織の中でも、組織を扱っている日赤の中の 部局とは協議をしております。ですから確かに変革を検討しながらもこの問題を考えて いるというのは関口先生がおっしゃる通りです。 血液センターはそれぞれ地域で各種 のサービスをやっているというのはその通りです。しかし臍帯血に関する仕事はその サービスに止まらないような大きな事業と判断します。やはり組織全体、日本赤十字社 全体で取り組みを考えないといけない、恐らくここはサービスに止まらないのだろうな と思っております。  各地で4つどころか幾つかのセンターが、本当にそれぞれの施設のお手伝いをさせて いただいているのは、私も知っておりますし、そういうところの中心の人達がプロジェ クトチームを日本赤十字で作りまして、一つの結論をまとめており、それが恐らくこの 検討会の作業部会でやっているところと、見事に整合性のとれたものを作っておりまし て、いつご下命があっても大丈夫なようにはしております。ただ日本赤十字の大嫌いな 方も委員の中におられますので、その辺が大切なところであると思っております。  この委員会で非常に素晴らしいのは、前者の轍を踏まないようにという、非常に慎重 論があることは良いことで、骨髄移植の場合には何もなかったわけです。とにかくやっ てみようというところからやったわけです。試行錯誤のままできて、皆さんがおっしゃ るように相当に気の毒なくらいにバッシングを受けておりますが、その中でまた国民の ために、あるいは登録している方のために、骨髄移植推進財団あるいはそれをバックア ップしている我々が立ち上がっていかないといけないのだな、いろいろな批判はきちん と受け止めてやっていかないといけないのだろうなと思っております。  西平先生がおっしゃった“べき”というのは期待は受けております。ただHLAのこ とは全センターでやっておりますが、プロセッシングは全センターではやっていないと いうのは、関口先生がおっしゃった通りです。ですからプロセッシングができるところ の中から、どのようにご協力していくか、べき、ではなくご期待に沿えるようにしてい くかということなんでしょう。しかしその間に、役割と責任、公的バンクとおっしゃっ ている中での役割と責任は明確にしていただきたい。これは鎌田先生がご専門ですが、 もしかしたら製造物責任法に触れるかも知れないということと、小池先生もいつもおっ しゃっているように、何年も後で、本当にその時点での最高に安全のチェックをしたの か、あるいはお生まれになった子供さんの、成熟した細胞をいただいているのではない から、そういう遺伝面の危険をきちんとした方がいいうということも踏まえてそれぞれ の役割と責任は、明確にしていただかないと、安請け合いはかえっていけないのかなと 思っております。  先程からの意見の中で、期待の大きさにびっくりしました。私たちは、血液事業をや っている間に本当に安全性の問題とか外国とか社会情勢あるいは周囲の情勢が急激に変 わっていくのです。ですから朝令暮改と前にいって皆さんの笑いを誘ったのですが、確 かに朝令暮改のような決意でやらないといけない。ですから一旦始めたら、これは変え られないというのではなく、変えないといけないのは大胆に勇敢に変えていきましょう というのでスタートしないと、これは出来ないと思っております。  公的ということを付けるとすれば、提供したいという人がいたときに、その希望を受 け入れを考えてくださいということです。我々、骨髄移植のご協力をさせていただいて いるときも言われたのです。私は登録したいのに、データセンターに半日もかかってい くのよと言われたときにさあどうしょうかということです。その時には中林先生がおっ しゃるように、産婦人科の先生方との間の調整ができないと絶対に上手くいかないと思 いますが、そういう声があったときに、臍帯血移植の僻地というか離島が出てきたとき に、公的という時にはその解決に責務を負うということは付言しておきたいと思います ○鎌田委員  ちょっと素朴な質問があるので教えていただきたいと思います。大きく三つです。一 つは、今の9施設はそのまま続けるということですが、私も当面そうせざるを得ないと 思います。しかし、本当に9施設全体が永続的にこれをやっていく気があるのかどうか を教えてほしいのです。  血液事業などでも院内採血などという、あんな危ないものは止めろという輸血医が結 構いらっしゃるのです。管理体制は非常に不十分であると言われている。今草刈先生も 触れられましたが、臍帯血が製造物責任の対象になる危険性もなくはない。そういう責 任も負って、きちんとした管理をして、今の業務を続けていきたいと思っているのか、 またその能力は十分にあるのかどうかということについて、まず事実を知りたいという のが第一です。  第二は、前から浅野先生などがよくおっしゃっていることですが、公的バンクとおっ しゃいますが、バンクシステムというのは全体のことであると思いますが、バンクを支 えていく上での事業というか、採取、保存、搬送などの業務というか、そういうものと 管理業務や、もっと全体的な企画をたてたり監視・コントロールをする業務、そういう 広い意味でのファンクションの問題と法人格の問題は全く別なわけです。例えば輸血用 血液製剤をみても、これは日赤さんがずーとやっていらっしゃいますがセンターは沢山 あるし、採血施設になれば遙に数が多いですが、法人格としては一つです。ここで9か 所と言われているのは施設として9か所必要ととおっしゃっているのか、9個の法人格 が必要とおっしゃっているのか、その辺を整理のついた議論をしていただきたいと思い ます。  第三は、これは最初の有田さんのお話に関連します。公的臍帯血バンクというのは、 何をもって公的とおっしゃっているのか、イメージが人によって違うのかなと思ってお ります。中央施設のことを公的バンクとおっしゃっている方、各地域のバンクが公的バ ンクとおっしゃっている方もいらっしゃるのですが、それとはまた別に、大きく公的と いうことを頭の中で整理すると三つくらいのスタイルがあると思います。  一つは主体が公法人であるとか、あるいは国の直営であるというスタイルですが、こ れは当面そういうことを考えていらっしゃる方はいらっしゃらないと理解しています。 そうでないとすると、一番緩いスタイルは法的な裏付けがある、今は何も根拠のないと ころでやっているが、一定の法的裏付けがあって、それだけで足りるのだというもので すね。法的というか、もうちょっと広く行政的でもいいのですが、そういう裏付けさえ あれば後は事由という形です。多分一番ここで公的という言葉が馴染むのは、公的資金 の補助があるということだと思うのです。これが第三のスタイルです。法的な裏付けが あるだけだというものについていえば、今日の3ページの絵に出ているような、中央に 何か一定の法的あるいは行政的な裏付けのある調整機能をもった協議会のようなものが あって、その後は、そこで定めた一定の基準に沿った安全性を確保して、臍帯血を採 取・保存できるという施設であれば、そこが保存している臍帯血はうちに登録をする適 格をもっていると中央の協議会が認定するとか、あるいは保存・搬送の業務をやってい ただいても安心であるから業務を委託するというふうに認定していけばいいだけの話で あって、予めこの地域バンクでないといけないと決める必要はないと、非常に緩く考え ることはできると思います。  ただ、実際には公的な資金かないと、この事業はやっていけないということになると 誰にでも補助金を与えて不必要な数の臍帯血を不必要な期間保存することはできません ので、そこで一定のしばりをかける必要がある。だが、それはやりたい人はやってもい いが、補助の対象になるのは一定の範囲であるというやり方も多分ありうるのであろう ただ、その場合にも、何に対する補助をお考えなのかということを、もうちょっとはっ きりさせないとシステムが違ってくるのではないか思うのです。施設を作ったりする ハード面の費用であるとか法人の運営全体にかかる費用に対する補助金となると、それ にふさわしい組織と内実をもった主体かという観点からしばりをかけていかないといけ ない。  陽田さんのご提案は、基本的にはそういうものは保険その他で一個一個の臍帯血に対 して何らかの形で公的な資金補助をしていけばいいという考え方のように理解していま すが、それなら、主体が誰であるのかということにあまりこだわらないでも、やってい けるというシステムにもなるのかなという気がしますので、その辺のところのイメージ が明らかになるのであれば、それぞれのご提案について補足のお話をいただければと思 います。 ○齋藤座長  今かなり具体的なご質問をいただきました。この事務局提案の運営体制の3ページの 絵を見ていただきますと、真ん中に地域臍帯血バンク連絡協議会というものがあります 確かに、採取・分離・保存施設は、先程から全国のブロックごとにあった方がいいので はないかというご意見が強かったと思うのですが、ソフトの組織としての協議会、名前 は仮ですが、協議会はどこまでやって、各地域バンクでどこまでやるのかというのは意 見がいろいろあるようです。  かなりの部分を中央でやってもいいというご意見と、かなり地域でやったらどうかと いう意見があって、それは今の段階では決まらないと思うのです。したがってそれにつ いては、この協議会を作ってからディスカッションを重ねていただくということになる と思うのです。今の鎌田委員の最初のご質問の、現在9か所が初期的段階というのを3 年としますと、3年間はいいとして、ずーと恒久的にやる気持ちがあるのかどうかとい うのはいかがでしょうか。 ○西平委員  昨年から厚生科学研究の小寺班で、3人の委員で全国9施設全部を視察して、どの程 度設備を整えているのかというのを、全部小寺先生に報告済みなわけです。実際に今ま で9つありますというのは、いかにも沢山あるようですが、実際に移植までいっている のは4つしかないわけです。勿論それは年数がたてばできるかも知れませんが、実際に 見たところでは、ある一部のところは、必ずしもこのままずーといける、独立あるいは 地域の独立した臍帯血バンクとしてやっていける、スタッフとか規模の面からいって、 かなり問題のあるところは2〜3ございますから、9つとはいっても全部が同じレベル ではないし、経験もないし、移植の経験のあるのは4つしかないということです。です から手順とかについても、今は勉強の段階であるというところが大部分であるというこ とです。この9つがこのままずーといく可能性は非常に少ないです。 ○浅野委員  最初に9つを認めても固定されるものではなく、今後は能力を元に評価すべきだとい うことでございます。ところで、バンクと施設の区別ははっきりしておかないといけな いのではないでしょうか。施設はいくつかある。日赤、それらがネットワークを形成し て、中央集権的なバンクではなく一つの連絡協議会のようなものを設ける、それを公益 法人として認める。そこでそれぞれの規模に応じた財政的援助の配分を民主的に行うと いうことにいうことでよいのではないでしょうか。その際に、資格の見直しを行うとい うことで、そうは大きな問題は起こらないと思います。そこで、連絡協議会としての主 体は本当は本事業に最も関連があると思われる日本赤十字社がやれればよいと思います しかし日赤の今でさえ大変な忙しさと権威を考えると少し心配な点も残ります。 日赤ではないと援助が難しいのかどうかもお聞きしたいのですが…。 ○草刈委員  いろいろな思いやりのある発言をありがとうございます。忙しい中にも忙中閑あり閑 中忙ありです。日赤がやらないといけない役割と責任が明確にしていただければ、組織 に持ちかえって、手続きを踏んでお引受けするのかしないのかを決めないとといけない と思います。そのときに、役割的に明確でないままというのは大変に困ります。この会 議場に日赤の技術者がいて、私の発言次第ではぶん殴るという顔をしておりますが、本 気になってやろうという連中はいます。ただし、日赤に頼めばあとは放っておくという のは困る、役割と責任は明確にしてください、そうしたら私は組織に帰ってちゃんと検 討させていただきます。  ただし日赤は7,000 人いるのです。30年間の歴史がございます。それから私は日本赤 十字に平成2年から入って仕事をさせていただいておりますが、本当にこれだけ国民の 方々の信頼があるというのは入ってみてわかりました。だからこそその信頼を裏切って はならないというのは、自らに言い聞かせた我々の自責の念です。だから下手にはやら ないというのはそこから来ています。 ○西平委員  ですから30年の非常に長い蓄積があるわけだし、血液事業という非常に先程から怖い ことが沢山あるわけですから、それを実際にチェックするのは血液事業の一番重要なと ころであって、それを新たに組織を作って、臍帯血バンクを作ってやるということは、 更に困難ではないか。ですから血液センターが、ある一部を引き受けて、全部をお遣り なさいといっているのではなく、責任については移植医とか患者さんの同意をとった上 とか、採取から保存に至るまでの全ての過程でそれぞれの沢山の方が係わっているわけ ですから、全てを日赤に責任を負わせようというのではなく、運営委員もあるわけです から、そこまで全ての責任は自分たちに来るから駄目だということではないですよね。  ですから、ある部分を重要な部分といっているのは、さっき申しましたように、保存 して処理して保管するというところまでは日赤がやっていただければ、非常に旨くいく のではないかと思います。 ○齋藤座長  日赤や血液センターに関することに対してまとめさせていただきます。 ○草刈委員  この委員会でまとめてください。いろいろな意見があると我々はどっちを聞いていい かわかりません。 ○齋藤座長  そうです。ですから初期的段階でも既に関与されているところもあるが、将来例えば 3年後には、日赤血液センターでできるだけご協力いただく、勿論、役割と責任はきち んと明確にして、草刈先生に帰ってから日赤の中で議論していただく、そういうことで よろしいでしょうか。ありがとうございました。 その前に一つずつ結論を出さないと いけません。保存数のことです。先程から加藤委員は5,000 というご意見、当面の保存 数ですね。20,000という数も出ております。先程中林委員から4,000 くらいは容易に集 められるということなので、年に4,000 で3年間で12,000というようなことでよろしい でしょうか。数は皆さんが同意する数というのはないのですよね。どこかで決めないと いけない。 ○陽田委員  数についてはこの検討会である程度ハードルを高く目標を決めておいた方が良いと思 います。事務局で本気になっていただかないといけませんので。予算の裏付けになりま すからね。私は、最低でも3年で20,000くらいの目標を立ててほしいと思います。 ○加藤委員  もしそのようにするのであれば、そのクオリティをきちんと確保するということでな いと、20,000は無駄になってしまいます。ですからその保障があれば私は20,000でいい と思います。先程西平先生がおっしゃったように、現実の問題がありますので、今ある 9つのバンクの中で、あの基準を直ぐさま全てをパスできるところと、そうでないとこ ろがあります。ですからパスできるところだけで20,000を貯めたなら、それが3年後の 本格的なものに移行できるのかどうかという議論をした上で、陽田さんはそういうとこ ろを前提にした上で20,000にしてくれということであれば、そのような議論に向かうべ きだと思います。 ○迫田委員  安全性は一番大事なのですが、9つのうちの幾つくらいがクリアできているのですか 大丈夫だと思っていたのですが。 ○齋藤座長  今の時点でどうでしょうか。 ○西平委員  ここで個別にはいえませんが約半分です。 ○齋藤座長  するとやはり20,000というのは無理ではないのでしょうか。 ○原委員  私はHLAのことを考えると、事務局が最初に提案された20,000という数字は大事な 数字であろうと思います。その意味で初期的な段階を3年間とするのか、私は5年間く らいは掛かるのではないかと思っておりましたので、5年間で20,000となると1年間で 4,000 というのは合うのではないかと思っております。ただその時点で、先程加藤先生 が言われたように、成人のことを考えると、成人に適応可能な臍帯血は恐らくその10 分の1の2,000しか集まってないといます。3年間を過ぎた時点から、もう少し品質を高 め、細胞数の多いものだけを集めて凍結保存すると良いと思います。HLAの面から見 て20,000という数の臍帯血を集めるということは非常に大事であろうと思っています。 その意味では20,000という数字は保っていただきたいと思っています。 ○齋藤座長  では3年間で12,000、5年間で20,000、初期的段階を3年にするのか5年にするのか は流動的にわからないわけですよね。 ○加藤委員  私も20,000とするならば、その3年後に本格的に活動を開始するであろうものが助走 を始める、その段階を含めて20,000という位置づけであれば、それでよろしいと思いま す。 ○齋藤座長  では時間の関係で次にいきます。(9)の運営に必要な財源のことです。これも今ま で繰り返しディスカッションがありまして、例えば、勿論国費を出してもらうことは当 然ですが、患者負担を無くしてほしいという意見もあります。いろいろな意見がありま す。これもできるだけ沢山のお金を国から出してもらうのはいいのですが、限度がある でしょうし、何か今議論しておくことは現実的な意味がありますか。 ○有田委員  患者負担について、考え方を整理していただきたいのです。健康保険が付くというこ とは、そこで既に患者負担というのはついているわけです。ですからそれ以上に、医療 をうける患者さんが負担をしないといけないのか、そうではないでしょうということで 受益者負担という言葉はここでは抜いてくださいということを申し上げてます。  もう一つです。もしそれを議論するのであれば、医療保険がついた時点でどうかとい う、その時に議論をしてほしいのです。たたき台、報告書の中では、受益者負担という 言葉は絶対に抜いてほしいのです。なぜというと、例えば100 万必要なものに、10万つ けて、後の90万は受益者負担である、ということはあり得るというのを恐れているわけ です。 ○齋藤座長  医療費の改定はまだですよね。 ○小林局長  今回は手技について保険点数がつきました。今度は使われる臍帯血の値段をどうする のかです。現在腎臓移植の場合には、腎臓一つについて幾らという値段かついておりま す。ですからそれと同じように臍帯血についても幾らという値段は中医協の方でご議論 があって、値段がつくものと思います。すると後は患者さんの自己負担というのは、全 部健康保険でやるということでやっているわけですから、普通の病気にかかったときの 医療と同じような負担はかかる、ですから沢山になっても高額療養費で上限があります から、その中の範囲内の普通の病気の方と同じように負担をやっていただくことだと考 えております。  保険で例えば材料費の値段が安かったから、その差額を個人負担にするというような ことは今のところは多分誰も考えてない。だから今回は手技だけを付けて、次の材料費 は次の段階でつくものと考えております。 ○齋藤座長  それは1年以上後ですよね。 ○小林局長  改定は今年の4月でしたから2年後だと思います。それは法律には書いてないので毎 年でもできないことではないのです。ただ実態として、こっちのほうの準備がどこで整 うのかということも一方でありますし、問題は中医協というのは、公益委員と診療側と お金を支払う側の保険者と、3者の協議でございますので、そこでの話の合意ができな いなら、スタートができないと思っております。 ○青木委員  財源についてはこの会議でも散々出てますように、回っていくような保険の体制で特 定医療材料だろうと思うのですが、角膜などがそうですが、それでデッドストックを回 していけるような形がいいだうと思います。  先程局長さんがおっしゃった腎臓は手術料に入っていると思うのですが、それを特定 医療材料にすべきだということです。 ○小林局長  そうです。 ○青木委員  そういう形ですべきだろうと思います。もう一つは、これが永久に補助金でやってい くような体質ではなく、特定医療材料で回っていけるような数にすべきである。問題は 20,000の中で、どれだけが回っていくのかという問題で、特定医療材料が決まっていく だろう、だからその辺の検討も必要であろうと思います。  今ある骨髄バンクの患者負担が50万とかあるわけですが、自己負担という言葉を使う とそれをイメージしてしまう。これは完全に医療保険の中でできる、その中での2割負 担とか3割負担はやむおえないであろうという理解でいいのではないかと思います。 ○小林局長  俗にいう材料代として、こちらの皆さん方の考え方でペイができるように点数をつけ ろという話は、中医協側の方からすれば、そういう話は別でしょう。足りないならそれ は逆に一般会計の方でバンクの方に補助金で出すべきでしょうというのが、向こう側の 議論としては出てくるわけですから、そこは今の段階でどうであるということを言える わけではありません。 ○有田委員  局長確認したいのです。移植術に保険がつきましたありがとうございました。その時 に保険局では臍帯血の材料の方にもついてきたのです。それを重藤さんの方で断ったと いうか、蹴ったということがあったというふうにご本人に直接お聞きしたのです。それ はそれなりのご事情はあったと思うのですが、断るということが一官僚にできる力かあ るのであれば、認めるということもできるのですかということです。  もう一つ、次の医療費改定のときには勿論付けますよということで、重藤さんはおっ しゃってくださったのです。局長に、担当者が勝手にいったと言われたら、私たちにと っては皆が厚生省ですから困ります。その時の承認は原先生と新聞記者さんがいて、私 は握手も指切りもしました。2年後の医療費改定には必ず認めるという確約をお願いし ます。 ○重藤補佐  これは蹴ったということではなく、臍帯血一個を作るのに大体小寺先生の話では12万 円です。この12万円を保険で評価すると言うことであれば問題はないのですが、ただ臍 帯血バンクの運営にはデッドストック分の費用が大分かかります。4,000 集めて年間で 100 づつ使うということになると一個に400 万円以上かかる計算になります。  このデッドストック分を今健康保険で見てくれというのは大変な議論です。こういう ことは直ぐにはなりません。ただそういうときに一回点数がついてしまうと、それを二 倍とか三倍にはなかなかなりませんので、その辺のところできちんとこの検討会なりで またご議論いただいて、一体幾らいくらのものをお願いしていくかということについて のコンセンサスができて、それで皆で一体となってお願いをしていくということでない と進みません。一旦安い値段がついてしまいますと、陽田さんがおっしゃっているよう に、保険の点数で地域バンクの運営が回っていかない状態になります。地域バンクの安 定的な運営のために一つの臍帯血の値段が幾らになるのかというのはわかりませんし、 費目の積算をして、そういう積算の根拠か一つ一つ保険者の方に馴染む考えであるのか ないのか、ないならまたどういう議論でお願いをしていくのかというのをきちんとつめ ないといけません。だから一個一個の値段をつけるというよりも、どういう費目を考え てお願いしていくのかということをご議論いただいて、それを保険側にもっていきたい ということだったのです。止めたということではありません。 ○有田委員  それは有り難いと思っているのです。ただ他所の局がつけたことに担当局がいらない ということが言えるのであれば、この次にこれをつけるという意思表示のようなものを ここでしていただけるわけですよね。次には人が変わりますから、その時にきちんと引 き継をしてほしいということと、議事録にきちんと残してほしいということでお尋ねし たのです。ありがとうございました。 ○陽田委員  これは前から何度かお話をしているのですが、お金の考え方です。デッドストックと なる分を含めて、初期投資については国庫補助金できちんと見ていただく、それでそれ 以後の分については保険で回っていくという考え方で整理していただければ、事務局の 方も非常にやりやすくなるのではないかと思っております。その辺のところを整理しな いと、国庫補助が幾らとか保険がどうかという議論をしても、あまり意味がないと思い ますので、その考え方をぜひお願いしたいと思います。 ○齋藤座長  時間の関係でこの将来像の方にいきます。 ○浅野委員 ちょっと待って下さい。陽田さんがいわれた初期投資は、大変重要なことです。保険 だけの問題ではなく、設備などにどれだけの国の援助ができるのかをはっきりさせてお かないといけないのではないでしょうか。確認しておかないと大変に難しいのではない でしょうか。 ○齋藤座長  初期投資の場合に建物とか土地とかまで、国が今の段階で出せるのかということです よね。 ○朝浦室長  初期投資の部分、建物とか土地については事務局としては難しいのではないかと考え ております。 ○陽田委員  私がいうのは、そういうのではなくデッドストックも含めての初期投資です、それか ら設備類です。土地とか建物までというのは現実的ではないと思うのです。土地や建物 については十分に対応できるところにお願いしていくとうことの方が現実的であると思 います。 ○齋藤座長  大方の意見はそういうことであると思います。将来像です。例えば3年なら3年たっ たときには、造血幹細胞移植を一体として取り組む運営組織を目指すのか、あるいは臍 帯血移植について別組織で運営するのか、これは随分何度もいろいろな方のご意見を伺 いまして、勿論全員が全く同じ意見ではないことは存じておりますが、大方は対象疾患 も同じであるし、移植医も同じだから、広い意味で造血幹細胞移植を一体として取り組 む運営組織の方がいいのではないかというご意見であると理解しておりますが、よろし いでしょうか。少数意見があることは書きます。 ○有田委員  3年なり5年になって臍帯血もしっかり動きだして、骨髄もしっかり動きだして、そ の上で一緒になった方がよいということになってくれば、もし、それぞれがやったとこ ろが一緒にならないと言われても、私たちは一緒にやってくれという運動をまた起こす かも知れない、だからここでそこまで考えないといけないのでしょうかということです まず臍帯血を立ち上げていくことをここで考えていただいて、そこでしばりを作って欲 しくないということをお願いしているのです。 ○齋藤座長  これはしばりではなく、同じ領域で、患者さんも同じ医療で国際化の問題もあります 患者相談の問題もいろいろ考えて、将来的にはその方が国民にも分かりやすいと思うの です。 ○陽田委員  この辺の考え方をきちんと整理しないと非常に混乱すると思います。先程、鎌田委員 から公的とは何かというお話がありましたが、私は組織的にとかあるいはお金か公的で あるとか、そういうことではなく、一番の基本は公平に、集めたものを誰にでも必要な 人に提供するということがまず公的であるということの基本であると思うのです。  現在自主的に自発的にバンクをやられているところについては、別に公平にどこにも 供給しなくても、それは責められることではないと思うのですが、公的なバンクは公平 に供給するということで責任を持たないといけない。逆に言えばそう言う意味の責任を 負わないといけないということが、公的であるということではないかと思っているので す。  それで将来のイメージとして、骨髄と臍帯血を一緒にするとかしないというのは、僕 はこだわってはおりません。将来的にはね。ただ、ここで非常に大事なのは、基本的な 理念です。私が何度か申し上げておりますが、供給する側すなわちバンク側とされる側 すなわち移植医療機関をきちんと分離しないといけない。これは公平とか公的という意 味からいきますと、インサイダーの可能性ありと見られるような組織形態ではいけない と思っているのです。きちんと分離しないとそう見られる可能性が十分にあります。臍 帯血というのは物が既にあるわけですので、そこに係わっている人だけが、その主治医 にかかっている患者だけが得をしたと思われるような組織であってはいけないと思って いるので、こだわっているのです。  今の、骨髄バンクはそうはなってないのです。人事的にもね。だからその辺をきちん と整理しないうちは統合はあり得ませんということを申し上げたいのです。 ○齋藤座長  ですからそれは骨髄移植推進財団についても、ここでいろいろな意見が出て、修正す るところは修正して、時代に応じた姿になっていくと思うのです。ですからここで述べ ているというのは、理想的な将来像ということをいっているわけで、それは3年後ある いは5年後には可能ではないかという議論であると思うのです。 ○青木委員  この問題につきましては前回お出ししました修正案に書いております。骨髄移植推進 財団の将来に係わる問題について、この検討会ではとやかく言うべきではないというの が私どものまず基本的な考え方です。それにいろいろな問題があるかないかは別として ね。それとこの臍帯血移植の問題は別です。業務自体が骨髄バンクとは違うというのは 再三申し上げているところです。したがってここでは、臍帯血バンクをどう上手くやっ ていくのかということを議論すればいいわです。将来については対象患者が同じである という点でどういう協調関係か必要であるかについては、別途の審議会を設けて、これ は移植医が入らない形で、公平に審議をしていただければいいわけです。ここで将来を どうするというのは決めるべきではないと思っております。 ○小林局長  将来の話は、当面のところがきちんとまとまれば科学的に見て一本にまとめるという 案もあり、しかしそれに対して当面は見合わせるべきであるという意見もあるという両 論併記でも構わないです。無理して一本にまとめる必要性は、事務当局としては、なく ても何とか対応できるのではないかと思っております。 ○齋藤座長  しかしそういう議論をしたということはこれだけ時間をかけているわけですから、二 つの意見があったということはきちんと書くべきだと思います。 ○小林局長  それは座長さんのご判断でまとめていただいても結構です。両論であっても構わない ということです。 ○浅野委員  私はこの問題については実は単純に議論が進みすぎているのではないかと思っている のです。対象疾患が同じだから同じ造血幹細胞だからまとめればよいではないかという 主張は余りに短絡的です。なぜ骨髄バンクと別にしないといけないのか、どうしてそれ でまずいのか、むしろ、そうしない方がいいのではないか、という考えもあろうかと思 います。骨髄バンクとは組織の違った協議会であれば国からの援助は法的に本当に難し いのか、鎌田先生におききしたいと思います。将来のあり方として、今の骨髄バンクの ような中央集権的な色合いがないようにするということが必要なことですからそれぞれ 別組織にして、それぞれへのお金の出し方なども含めて公正に決めるようにしていただ きたいと思います。その会議あるいは検討会は各臍帯血バンク運営委員会、骨髄移植推 進財団、患者組織、ボランティアなどの支援組織、日本造血幹細胞学会、日本血液学会 日本輸血学会、日本赤十字社といった団体の代表者がで構成させればよいのではないで しょうか。そこに金が出ないという根拠があるのかどうかを鎌田さんに教えていただき たく思います。骨髄バンクに臍帯血バンクを吸収するのはとにかく反対です。 ○齋藤座長  浅野先生、それは先生の誤解です。全てこの臍帯血移植事業を骨髄移植財団に移すと いうのは誰もいってないわけです。前の先生の図にもあったように、一つの造血幹細胞 財団、2プロジェクトでという考え方です。 ○浅野委員  私もそうであればよいと思っておりますが…。いま共通の業務がありますね。例えば 啓蒙とか普及とかの部分はできます。 ○齋藤座長  そうです。共同できる部分がかなりあるので、お互いに排他的に除外的にする必要は なくて、双方的にやっていくべきだという考えでは先生も同じ考えだと思います。 ○浅野委員  ええ。ただ、組織母体が今の骨髄バンクの中につくるということだけは否定しておい ていただきたい。不味いのではないかという話です。 ○齋藤座長  そうしますと、最終的に協議会をどこかに物理的におかないといけないということに なりますよね。予算の窓口としては法人のようなものでないと駄目ですか。 ○朝浦室長  予算的な面での技術的なことだろうとは思うのですが、協議会をどこに置くのかとい うことについては、関係の方々がこれからお集まりになって議論していただければと思 っております。 ○齋藤座長  その点については協議会の事務局がいりますね。紙の上だけではしょうがない。だか らそれを当面5つあるバンクのどこかに置くのか、既存のところを物理的に借りるのか ですね。 ○陽田委員  そこまでこの検討会で懇切丁寧に決める必要はないのではないか。今事務局でおっし ゃった通りに、関係者が集まって協議会を作ってから一番便利で一番効率良くできると ころを皆さんでご相談して決めればいいのではないでしょうか。 ○齋藤座長  確認しますが、協議会という名前で国の予算を受けることはできるのですか。 ○朝浦室長  方針そのものがまだ固まってない段階で検討しておりませんので、今日のご意見を踏 まえて、これからその辺の点は検討したいと思います。 ○齋藤座長  議題の1に殆どの時間を使いました。2番目として、中間まとめの作成に向けてのた たき台、というのがございます。それでこれは今日は殆ど時間がないので説明を簡単に してもらいます。今まで各委員からだされたいろいろな意見を中に取り込んで作ったも のであります。勿論、この書き方は章だてを含めて各個人によって違うと思うのですが これは事務局案に各委員の案をできるだけ取り入れて書いてございます。勿論今日全部 これを承認いただくのではなくて、お持ち帰りいただいて、あるいは本日の議論も含め てまた修正案、あるいは添加をお願いしたいと思います。次回は7月16日にお願いして おりますので、7月10日までにご意見を頂きたいと思います。  事務局から簡単に骨子だけ説明してください。 ○重藤補佐  まず資料2が、中間まとめの作成に向けてのたたき台ということでございます。資料 3が中間まとめの作成に向けてのたたき台の新旧対照表ということでございます。資料 の3をご覧いただいた方が前回との違いが対比できるかと思います。まず表題でござい ます。前回5月26日にお出ししました資料につきましては、その名前が報告書の作成に 向けてのたたき台ということでございましたが、ただ、本検討会はまだまだ将来像を含 めてご議論を深めてもらわないといけないということがある一方で、来年度の予算を考 えますと、もう既に9回会議を開いて検討をいただいているわけですので、一応大方の 委員の先生方のご了承をいただいた事項について、ある程度の中間まとめということで 議論の経過を報告しないと、予算にも繋がっていきませんし、一刻も早く臍帯血移植を 待っている患者さんに対する責務という点からも、ある程度のものを次回に座長預かり という形にまでもっていけたらと考えて、中間まとめの作成ということでまとめさせて もらいました。  はじめに以降から、修正した点については下線を引いております。先生方から意見を いただいた物をなるだけ盛り込む形で書きましたが、まだまだ不十分な点もあろうかと 思いますので、ご意見をいただきまして座長の先生とご相談の上、次回に資料で出させ ていただいたらと思います。本日いただいた意見をもとに、今日の議論の当面具体的な 初期的な段階でしないといけないことをご議論いただきましたので、それを文書に落と したものを、できるだけ早く送りますので、それもご覧いただいた上で、7月10日くら いまでに、事務局にご意見をいただき、また座長先生とご相談の上、作って事前に委員 会の前に先生方にお配りして、次回に何らかの形でできればと考えておりますので、 よろしくお願いします。 ○齋藤座長  そうしましたら、全体を通じてまだ本日ご発言をいただいてない平林委員、古市委員 何かご意見をいただけますか。 ○平林委員  なかなか出席できなかったので今日のところは今までの議論の復習をさせていただき まして、今日の議論を拝聴して、なるべく文書で次回までにお答えしたいと思っており ます。次回も午後は出席できないのですが、午前中なら出てきたいと思います。 ○重藤補佐  すみません1時から3時です。 ○古市委員  最後に座長が言われた臍帯血バンク連絡協議会の性格が、事務局で検討するときに、 公的な性格をもってないと、公的支援の予算はなかなかできないという気がします。大 体皆さん方の意見もこういう姿に近づいていって良かったと思っております。日赤の方 で頑張るところが数カ所あれば、これをやれる可能性がある、しかし公的な責任と権限 をきちんと整理しないと日赤としても引き受けられないでしょう。この検討会で、公的 補助でできるような性格にどうするのかというあたりを、もう少し詰めないといけない のでしょう。 ○齋藤座長  それは私の考えは、予算請求とかいろいろなことがあるので、ある程度は事務局に知 恵を出してもらって、物理的にどこにおけばやりやすいのかということは、ある程度一 任しないと、皆さんがいろいろな意見を出しているとまとまらないのです。時間的にも ね。それはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。では事務局の方でその辺を考えて 概算要求するために、古市委員が言われましたように、公的肉付けをするにはどうした らいいのかということを考えていただきたいと思います。 ○陽田委員  今日は中間まとめの作成という表現で出していただいたのですが、これはあくまでも 中間まとめなので、後で最終の報告書をまとめるという認識でよろしいのですね。中間 まとめで終わりということではないのですね。 ○朝浦室長  そういうご理解で結構です。 ○陽田委員  あとは今日の資料の中で、私も報告書のたたき台という形で資料を出させていただき ましたので、各委員の先生方に読んでいただいて参考にしていただければと思います。 僣越ですがよろしくお願いします。 ○小池委員  9回のうちの8回出させていただきました。最初の頃はいろいろなフィールドからい ろいろなご意見がございまして、果してこれで上手く中間のたたき台というものがまと まるのかと心配しておりました。日本医師会としては、患者の医療を第一義に取り上げ ておりまして、一番大事なテーゼであると思っておりますので、この9回目で大体ある 程度まとまってきたという状況を伺っておりまして、大変に喜びに耐えない次第であり ます。 ○高橋委員  私もそのように思っております。先日送っていただきました臍帯血移植の実施のため の技術指針は大変厳しい内容になっておりますので、私はあれが実行されることが大変 に重要で、今日の議論の中でも幾つのバンクを作るとか意見が交わされたのですが、そ ういうことを考える根底に、指針をきちんと置いていただきたい。そのことが移植を受 けられる方々、また提供される方々への最低私たちが守らないといけないラインではな いかと思っております。 ○田島委員  今日の議論で大分まとまりそうだという気がしてほっとしております。これでまとま っていくのかなと思っているところに疑問が生じてきたのです。補助金の落とし先の話 として、法律上は法人であろうが個人であろうが、どこにでも補助金をだすことはでき ると思うのですが、補助金を受ける側の責任とか会計処理の問題とかいろいろございま すでしょうから、そういうことがきちんと対応できるようなものを考えて補助金を支出 するというふうにせざるを得ないと思います。  ずーとご議論の過程で補助金はバンク、それが何か所になるのか分かりませんが、幾 つかのバンクに対して支給されるという前提でのご議論かなと思っておりましたが、連 絡協議会というのが突然出てきて、そこに補助金が出せるのかという話になって、それ とバンクに補助金というのは、どういう関わりがあるのか分からなくなったのです。 ○齋藤座長  それは恐らく7つとか9つに直接補助金を出すとすると、相手が民間のところもある し国のところもある。血液センターのようなところもある、どれだけそれを割り当てる のかという調整もしないといけないわけです。したがってどこかの1か所を通して、協 議会のようなところを通して、出るということを考えていると思うのです。 ○田島委員  それは皆さんのご意見は一致してないのではないかと思うのですが。 ○齋藤座長  それは多分一致しているのではないでしょうか。 ○田島委員  そうですか、でしたら一応複数の地域バンクを認めるという前提であっても、補助金 をだすところは、こういう連絡協議会のような1か所の機関に対してというふうに、皆 さんは共通のご認識をもっていらっしゃるわけですね。 ○西平委員  それはいいんじゃないですか。各地域のバンクにそれの働きというか保存件数に応じ てちゃんと配分すれば結構ではないですか。 ○齋藤座長  事務局ではどうですか。 ○朝浦室長  これから予算編成の作業に入ります。強いご要望というか、この検討会でのご要望も ございますので、事務的には予算編成の中で、事業そのものを含めて検討していかない といけないと考えております。 ○陽田委員  この事業は、最初の段階でどれだけ投資するかで成功するのかしないか決まるような 気がしているのです。ですからこれから事務局で予算要求の作業に入るのだと思うので すが、遠慮しないで是非よろしくお願いしたいということを要望しておきたいと思いま す。 ○原委員  予算要求の元になるデータで、一つだけ抜け落ちているのではないかと思うのです。 それはHIVの関連だと思っております。ウインドピアリアド(window period)から考え ますと6か月後の母親の血液の検査の必要性、これはヨーロッパでは既に実施している わけです。この母親の血液検査が必要か否か作業部会ではなく、この検討会の責任で一 度は討議し、決定していただきたいと考えています。ヨーロッパの実績では6ヶ月後に 検査に来られる母親は60%以下だそうです。従って、母親が検査を受けていない臍帯 血を破棄するとその保存コストはほぼ2倍になります。この検討会の責任で検査をしな くても良い、その様なお金をかける必要がないと言われればその通りに致します。もし それにお金をかけるとすると再検査に来られる母親を5割前後と考えていますが、検査 すると恐らく今の2倍以上のお金がかかると私は読んでおります。その意味では予算要 求の面でも、ここでディスカッションが出なかったのですが、大きな問題ではないかと 私自身は思っておりまして、ぜひそのような機会を今後もっていただきたい、お金をか けなくてもいいのか、かけないといけないのかというのを考えていただきたい。私自身 は何とも結論は出ませんが、先生方のご意見にしたがってバンクも行動するのだろうと 思いますし、ここのディスカッションがどういう方向を示唆するかによって、我々の行 動も決まってくるのだろうと思っております。 ○齋藤座長 それは作業部会のテーマでもありますね。どうもありがとうございました。では次回 は7月16日です。 (以上) 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当 重藤(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03-3503-1711