98/06/29 ダイオキシン類健康影響評価特別部会会議録 生活環境審議会・食品衛生調査会 ダイオキシン類健康影響評価特別部会会議録 1 日時  平成10年6月29日(月)15:00〜17:00        2 場所  法曹会館2階「高砂の間」        3 出席者 別紙参照 4 議事概要         (1)特別部会設置の趣旨について (2)ダイオキシン類の耐容一日摂取量(TDI)見直しに関する           WHO専門家会合の報告について (3)その他                 午後3時00分開会 ○羽入企画課長  ただいまから、生活環境審議会食品衛生調査会ダイオキシン類健康影響評価特別部会 を開催いたします。  当部会には、本日ご出席の皆様をはじめ23名の方に委員をお引き受けいただきました この場をおかりいたしまして御礼申し上げます。  本日は、最初の部会でありますので、部会長の互選の後に、当部会の設置の趣旨、ダ イオキシン類等のTDIに関する概要等を事務局より説明したいと思いますので、よろ しくお願いをいたします。会議の進行は、企画課長の羽入が務めさせていただきます。  では、最初に、小野生活衛生局長がご挨拶を申し上げます。 ○小野生活衛生局長  生活衛生局長の小野でございます。お忙しいところをお集まりいただきましてまこと にありがとうございます。  ダイオキシン類によります汚染あるいは健康影響という問題につきましては、広く社 会の注目を浴びているところでございます。このために、ダイオキシン類の主たる発生 源と言われております廃棄物処理施設につきましては、廃棄物処理法に基づきます関係 政省令の改正によりまして、焼却炉の規制強化等、排出源対策を強力に進めているとこ ろでございます。  しかしながら、ダイオキシン類によります人への曝露状況、あるいは健康への影響に つきましては、いまだ科学的知見の蓄積が十分とは言えない状況にありまして、今後と も長期にわたる調査研究が必要であると認識いたしております。そのために、環境庁な どの関係省庁とも連携をいたしまして、食品、母乳、血液等の汚染状況、毒性評価等の 健康影響に関する調査研究を進めているところでございます。  ダイオキシン類の健康影響への関係でございますが、先日、WHOのヨーロッパ事務 局とIPCSが専門家会合を開催いたしまして、TDI(耐容一日摂取量)を1〜4pg /kg/日とする提案がなされたところでございます。私どもといたしましても、この問 題は大変重要な問題と認識いたしておりまして、生活環境審議会及び食品衛生調査会に お諮りいたしまして、この問題を審議するために、この合同部会の設置をする運びにな ったわけでございます。  わが国におきましては、平成8年に、研究班の提案といたしまして、TDIを10pg/ kg/日という値をお示しいたしているところでございますが、WHOの今回の提案はこ れよりも厳しい値となっているわけでございまして、わが国のダイオキシン類対策全般 に対して非常に大きな影響を及ぼすものと考えております。  そこで、本特別部会におきましては、WHO及びIPCSの専門家会議が提案をいた しましたTDIにつきまして、わが国としてどのように考えるべきか、あるいは、規制 のあり方等につきまして、科学的な視点から、専門家である先生方の皆様に十分なご議 論、ご検討をいただきまして、評価をお願いしたいと考えているところでございます。  国民の健康を守るという観点から、これらの検討の成果がダイオキシン対策の一層の 推進に寄与することを期待して、私のご挨拶といたします。 ○羽入企画課長  それでは、事務局から、資料の確認をさせていただきたいと存じます。  お手元に配付されております資料は、資料1−1、1−2、資料2−1、2−2、2 −3、資料3、参考資料1、参考資料2がございます。平成4年度から平成8年度の 「食品中のダイオキシン汚染実態調査研究」が参考資料1でございます。それから、参 考資料2が「平成9年度厚生科学研究『母乳のダイオキシン類調査』中間報告書」でご ざいます。 次に、委員名簿をお配りしてございますが、最初の部会でございますので 委員の先生方をご紹介申し上げます。50音順にご紹介させていただきます。  名古屋市立大学学長であられます伊東先生でございます。  日本食品分析センター学術顧問であられます小川先生でございます。  国立環境研究所長の大井先生は本日はご欠席でございます。  国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター薬理部長の大野先生でござい ます。  同じく大阪支所生物試験部第二室長の江馬先生でございます。  同じく安全性生物試験研究センター長の黒川先生でございます。  京都大学環境保全センター助教授であられます酒井先生でございます。  東京大学医学部教授の武谷先生でございます。  東邦大学医学部教授であられます多田先生でございます。  国立公衆衛生院疫学部理論疫学室長の丹後先生でございます。  国立医薬品食品衛生研究所所長の寺尾先生でございます。  国立がんセンター研究所長の寺田先生でございます。  国立医薬品食品衛生研究所食品部長の豊田先生でございます。  早稲田大学理工学部教授の永田先生でございます。  福岡大学工学部教授の花嶋先生でございます。  北里大学薬学部客員教授の林先生でございます。  埼玉大学大学院理工学部教授の藤田先生でございます。  真柄先生は、本日は遅れてお見えになります。北海道大学工学部教授をされておられ ます。  北里大学医学部教授の松浦先生でございます。  摂南大学薬学部教授の宮田先生でございます。  広島大学医学部教授の安田先生は、本日はご欠席でございます。  水産庁中央水産研究所環境保全部長の山田先生でございます。  東京農業大学教授の渡邊先生でございます。 どうぞよろしくお願いいたします。  次に、小野生活衛生局長から、生活衛生局の幹部職員を紹介させていただきます。 ○小野生活衛生局長  私が生活衛生局長の小野でございます。  浜田水道環境部長でございます。羽入企画課長でございます。磯部水道環境部計画課 長でございます。堺食品保健課長でございます。内田生活化学安全対策室長でございま す。森田乳肉衛生課長でございます。黒川食品化学課長でございます。高谷輸入食品企 画指導官でございます。入江環境整備課長でございます。由田水道水質管理官でござい ます。仁井産業廃棄物対策室長でございます。 ○羽入企画課長  続きまして、議事に移らせていただきます。  本日は、第1回目の部会でございますので、部会長が選出されるまでの間、生活衛生 局長が仮議長を務めさせていただきたいと存じます。 ○仮議長(小野生活衛生局長)  それでは仮議長を務めさせていただきます。  ダイオキシン類健康影響評価特別部会の委員23名の先生がいらっしゃいますが、本日 は真柄先生を入れると21名にご出席をいただいておりまして過半数に達しておりますの で、当部会は成立いたしますことをご報告申し上げます。  それでは、まず、当部会の部会長を選出していただきたいと思います。部会長は委員 の互選によりお決めいただくこととなっておりますが、いかがいたしましょうか。 ○武谷委員  国立がんセンター研究所長の寺田雅昭先生になっていただきたいと存じますが、いか がでしょうか。 ○仮議長  それでは、寺田委員に部会長をお願いすることとしてよろしゅうございましょうか。             (「異議なし」の声、拍手あり) ○仮議長  部会長は寺田委員と決定をいたしました。  では、よろしくお願いいたします。 ○羽入企画課長  それでは、部会長にご挨拶をお願いいたします。 ○寺田部会長  国立がんセンターの寺田でございます。ただいまのご指名によりまして部会長を務め させていただきます。  ご存じのように、ダイオキシン類の人への健康影響につきましては大変多くの国民の 方が関心を持っておられますし、しかも、この二十数年間、世界中の多くの学者の研究 の結果、いろいろなデータが蓄積されてきています。特に最近では、発ガンだけではな くほかの影響も指摘されておりまして、それらを踏まえまして、WHOからTDIが 1〜4pgという数字が出ました。これに対して、具体的にどのように考えていくかが問 題となっておりまして、この会議はダイオキシン類という大変厄介な問題が、人の健康 にどんな影響があるかを議論しながら、どのように対応を考えていくかを検討する会議 だと理解しております。  当然のことでありますが、生化学、医学、工学、生態学、その他いろいろな方の学際 的な知識と判断を必要といたします。幸い、ここにいらっしゃいます先生方はそれぞれ の分野の専門家でございますので、みなさまに御協力頂きまして、現在の時代におけま す一番いい判断を国民に示す方向で検討を進めたいと思います。何とぞよろしくお願い いたします。  まず、当部会の公開の問題でございます。ダイオキシンの問題は国民の関心が非常に 高い問題でありますので、会議を公開にさせていただきたいと思いますが、いかがでご ざいましょうか。                (「はい」の声あり) ○寺田部会長  それでは、会議は公開とさせていただきます。  次に部会長代理の指名を行います。これに関しまして、事務局から説明をお願いいた します。 ○羽入企画課長  会長代理は、会長に事故があるときは、部会長があらかじめ指名をする委員がその職 務を代理することになっておりますので、部会長からご指名を願いたいと存じます。 ○寺田部会長  ただいまの説明によりまして、部会長代理は部会長が指名することになっております ので、私から指名させていただきます。  林委員にお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。                 ( 拍 手 ) ○寺田部会長  それでは、部会長代理は林委員にお願いいたします。  次に、特別部会設置の趣旨につきまして、事務局から説明をお願いいたします。 ○羽入企画課長  それでは説明をさせていただきます。  資料1−1をごらんいただきたいと存じます。ダイオキシン問題につきましては、私 ども行政としても、かねてより鋭意取り組んでまいりました。ダイオキシンのTDIに つきましては、平成8年6月に、体重1kg当たり10pgという値を設定しているところで ございます。しかしながら、先般5月末にWHO欧州事務局と、IPCS(国際化学物 質安全性計画)の合同会議が開催されまして、コプラナーPCBを含めた、ダイオキシ ン類のTDIを体重1kg当たり1〜4pgとするという合意がなされたわけでございます 幅を持たせて設定をされたという事実につきまして、いろいろな点で、新しい考え方が 出ているということもございます。そういったことで、今後、専門的な検討が必要であ ろうと考えられるわけでございます。  WHOの議論の内容につきましては、今後、詳細な記録等が公表される予定になって おりますけれども、現在のところはまだ未公表の状況でございます。そういった状態の 中でではございますけれども、できる限りの資料を集めてご検討をお願いしたいという ことでございます。「趣旨」のところに書いてございますように、専門的な見地から、 いままでの知見、さらに新たな知見を含めまして総合的にご検討をいただきたいと考え ているところでございます。  なお、この特別部会は、6月11日の食品衛生調査会、6月18日の生活環境審議会にお いて設置が了承されておりまして、両審議会の合同部会といった性格を持っております  以上、ご説明させていただきました。 ○寺田部会長  どうもありがとうございました。  それでは、このほか、本日は事務局に資料をいろいろ用意していただいておりますが この資料につきまして、事務局からご説明をお願いできますか。 ○内田生活化学安全対策室長  ご説明をさせていただきます。まず、資料2について、三つに分かれておりますので 簡単にご説明をいたします。  2−1の資料は、ダイオキシンのリスクアセスメントに関する研究班に盛り込まれた ダイオキシンの毒性のプロフィールをまとめたものでございます。一番始めに、研究班 の結論を記載させていただいております。平成8年6月に当面の耐容一日摂取量 (TDI)として「TCDDとして、10pg/kg/日」を提案する中間報告をとりまとめ ていただいております。  まず、1「ダイオキシンの毒性の概要」でございますが、ダイオキシン類は、特にヒ トでは代謝されにくいとされておりまして、ヒトの半減期は 7.5年でございます。生体 内では、主に肝臓と脂肪組織に分布します。  一般毒性のうちの急性毒性でございますが、動物種によってLD50に差がありまし て一番感受性が高いモルモットとハムスターでは約 8,000倍の差があるということでご ざいます。それから、慢性毒性では、ラットの長期間の毒性試験がありまして、 NOAEL(無毒性量)については、1ng/kg/日という報告がございます。  ダイオキシン類は全部で 210種類の同属体があるのですが、毒性が一番強いと言われ ている 2,3,7,8−TCDDを中心にいろいろ実験が行われております。したがって、こ こに書いてございますのは、主に 2,3,7,8−TCDDで行われた実験を書いておりまし て、影響としては、体重減少、皮膚の変化、肝障害等でございます。  「遺伝毒性」につきましては、遺伝毒性を示す証拠は得られていないということで、 遺伝毒性を示す可能性はないと考えられております。  「発がん性」でございますが、動物実験によりますと、ここに記載がございますよう に、やや高い投与量で、ラット、マウスなどで、例えば71〜100ng/kg/日の用量で硬口 蓋や、鼻甲介、肺の扁平上皮がんなどの悪性腫瘍が出ている。良性腫瘍の場合は、ここ に書いてあるような記載がございます。もう1点、ダイオキシンの特徴でございますが 多くの2段階発がん試験の結果から、強いプロモーター作用を有するとされております  「催奇形性」でございますが、これも、長期毒性とか、これから後で説明します生殖 毒性に比べると、やや高い用量において催奇形性を示す結果が報告されています。ここ に記載がございますように、マウスなどでは口蓋とか腎盂拡張頻度の増加、ラットでは 腎の形成異常などが、ここに記載された用量以上のところで出ているということで、 NOAELがここに記載されたとおりでございます。  「生殖毒性」でございますが、受胎率の低下、同腹児数の減少、生後生存率の低下な どの生殖毒性を示しまして、この場合のNOAELが、ラットで1ng/kg/日でござい ます。それから、アカゲザルの生殖毒性試験は、いろいろ議論があるデータでございま すが、、対照群での発生率が高いとか、例数が少ないとか問題もありまして、この実験 を、TDIを求める根拠としては採用しておりません。  それから、「免疫毒性」でございますが、マウスのウィルス感染が、この研究班では 最も感度が高い支障だということで、NOAELが5ng/kgということでございます。 それから、胸腺萎縮が多くの実験動物で報告されているということでございます。  3ページ目に行きます。「疫学」でございますが、化学工場の従業員等、ヒトにおい て非常に高濃度の曝露、なおかつ長期間を経た後でがんの発生率が増加するという報告 がございまして、ダイオキシンによる高濃度曝露とがんとの発生の関係は無視できない ということでございます。  こういうデータをいろいろご議論いただきまして、実験動物におけるNOAELは、 1ng/kg/日とし、これに 100の不確実係数を適用しまして、耐容一日摂取量を 「TCDDとして10pg/kg/日」とするというご提案をいただいております。  次に、資料2−1の詳細を示したものが資料2−2でございます。一応資料の構成だ けをご説明させていただきますと、この資料2−2を1枚めくったところに先生方のお 名前が書いてあります。あと、「はじめに」から12ページまでが「概要」で、当時、ダ イオキシンのTDIの評価は、いろいろな方面から関心を呼ぶだろうということもあっ て、わかりやすい形でまとめていただいております。ただ、使っている用語等について は、学問的には妥協すべきではないというご議論がございまして、専門用語はそのまま 使っておりますが、後ろの方で注としてまとめております。それ以降は、その議論の根 拠となったいろいろなデータを記載してあります。内容の詳細な説明は省略させて頂き ます。  その次に、1枚紙で資料2−3がございます。これは各国、国際機関におけるダイオ キシンのTDIがどのような形で決められているかを、年代別に表にしたものでござい ます。ちょっとご説明いたしますと、ドイツでは、85年にTDIを10pgといたしました ただ、この場合、目標値として1pgが設定されております。スウェーデン、デンマーク は、TDIが0〜5pgということでございます。ただ、このときに、ダイオキシンは半 減期が長いので、1週間当たりとして、つまりTDIを7倍したものを出しているとい うことでございます。下限がゼロという理由については、はっきりとはわかりかねます  その次に、90年に、WHOの欧州地域事務局がTDIを出しております。このときの 詳細な資料は、下に記載がございますが、92年に詳細なデータが発表されております。 以後、カナダ、オランダ、英国、スイスといった国々がTDIを10pgとしております。 オランダ以降、右に星のような印が二つ付いているのは、欧州地域事務局の勧告に従っ て設定したものでございます。なお、オランダでは、96年にTDIは1pgという値が出 されておりますがこれは、国として認められてはいないと聞いております。  それから、アメリカでは、94年に0.01pgという値を提案中でございます。これは、 TDIと異なり、10のマイナス6乗の発がんリスクに基づき評価した値でございます。 それから、98年のWHOのIPCSのTDIが1〜4pgとありますのは、今回、ご議論 をいただくものでございます。  それでは、資料3に基づきまして、若干ご説明をいたします。  1「背景」でございますが、WHOでは、欧州地域事務局におきまして、90年に 2,3, 7,8−テトラクロロベンゾジオキシンで、10pg/kg/日を設定していますが、それ以後、 新たな知見が出てまいりました。そういうこともありまして、WHO−ECEHと IPCSが協力いたしまして、今回、日米欧等の専門家を集めて、ダイオキシンの TDIの見直しを行ったものでございます。  日時、場所は、ここに記載のとおりでございます。  出席者でございますが、議長は、ここに書いてあるデンマーク人の方です。あと出席 者といたしましては、15か国から専門家でおよそ40名の方が参加し、日本からは、黒川 先生、林先生、私どもの林専門官が参画しております。  その次のページが、「会議の概要」でございます。1から6のテーマごとにグループ に分かれて議論がなされました。次のページに「要旨」として1から6まで、どういう 議論があったかということを出席した先生にまとめていただいておりますので、簡単に をご紹介させていただきます。  3ページ目の「要旨」の1の「曝露」のところは、ヒトの曝露の90%以上は食事由来 であるということと、先進国における実際の一日摂取量は、成人60kgの人で計算します と、体重1kg当たり2〜6pgであったということが報告されております。この場合、コ プラナーPCBもその中に入れております。それから、先進各国では、80年代後半から 廃棄物の再資源化対策に取り組んでおり、その結果、食品中のダイオキシンレベルは減 少していること、母乳中のダイオキシン濃度も減少しているということでございました  2番目の「TEF」でございますが、これは毒性等価係数の略でございまして、毒性 情報が豊富な 2,3,7,8−TCDDを1として、他の同位体の毒性をそれと比較するとい うものでございましす。この会議では、このTEFが依然として有用であるという結論 であったということでございます。  3番目の「作用メカニズム」でございますが、ダイオキシン類は、芳香族炭化水素受 容体に結合して、それからいろいろな作用を起こすということでございます。  4番目の「動物における影響(エンドポイント)」についての議論は、発がん性以外 の影響と発がん性の影響に分けて議論されておりまして、発がん性以外の影響につきま しては、明らかに毒性影響であるものと、必ずしもそうとは言い切れないものとに分け て整理されたということでございます。それから、発がん性の影響につきましては、 TCDDは遺伝子に損傷を与える(イニシエーション)のではなくて、細胞の増殖を促 進する(プロモーション)作用であることが確認されたということでございます。  5番目の「ヒトにおける影響」でございますが、化学工場の従業員等を対象にした米 国の疫学調査などを検討した結果、全部のがんをあわせた場合にはリスク増加が認めら れたということでございます。それから、小児における非発がん影響では、米国とかオ ランダで疫学調査が行われております。それから、カネミ油症等のデータも検討されま した。神経発達の遅延等、微妙な影響が認められたものの、それがダイオキシン様化合 物によるものかどうか不明であるということでございます。それから、成人における非 発がん性影響についても、化学工場曝露等の疫学調査を用いたということでございます  6番目の「用量・反応モデル」につきましては、リスク評価のための数学的なモデル について検討したということでございます。  次の4ページ目に7番目の「評価」がございます。これについては、その会議に出席 された先生方からいろいろ聞いた結果をここに記載しているものでございます。ダイオ キシン類のリスク評価には、体内負荷量(ボディ・バードン)を用いるのが適切である というのが1点でございます。それから、低用量におけるダイオキシン類の毒性評価に とっては、数学的モデルは有用ですが、まだ実際には不確実な部分がかなりあるので、 従来の最小毒性量(LOAEL)とか無毒性量(NOAEL)を用いた計算法でTDI を出していこうということになったということでございます。実際には、最近の動物実 験のうち、低用量で認められた毒性影響に着目して、これらのNOAELと体内負荷量 をもとに、ヒトでの食品を介した吸収率、TCDDの半減期を考慮して、ヒトの一日の 摂取量計算をした。これはトクシコキニティックス的な手法で計算をしたということで ございます。  不確実係数としましては、ヒトと動物の毒性発現の差、ダイオキシン類の混合物にお ける半減期の差を総合的に考慮して10pgとしたということでございます。それで計算い たしますと、TDIとして一日体重1kg当たり1〜4pgの値が計算されたということで ございます。  また、専門家会合では、現行の摂取量は一応許容できるレベルにあるが、検出しがた い何らかの健康への影響が起こるかもしれないから、ダイオキシン類の環境中への排出 を可能な限り削減するため努力すべきであるということになりました。  その次に、母乳の問題でございますが、母乳について、WHOは従前から、母乳を推 進すべきであるというポジションでございまして、ここに記載されましたように、以前 の勧告を変更する必要はないとの立場です。ただ、母乳からのダイオキシンの摂取を減 らすためにも、排出源対策が必要とされたということでございます。それから、この件 については5年後に再検討を行うことになっております。これが会議の概要でございま す。  もとの2ページ目に戻っていただきまして、5「結論」は、ここに記載があるとおり でございます。  それから、6「確認すべき点、問題点等」ということで、この5項目を書かせていた だいております。一つ目は、長期反復投与試験ではなく、単回投与試験のデータをもと に設定されたこと。体内蓄積量を計算しておりますので、実際、用量が低い値で単回投 与のデータを用いて計算しています。それから、2つ目は従来のTDIの求め方ではな くて、体内負荷量を用いて新たな考え方により求めたということでございます。  なお、補足いたしますと、従来ですと、例えば1とか10とか 100とかいう投与量があ ったときに、 100投与したときには何らかの毒性作用があったけれども、10のときには なかったというときに、この10という値を無毒性量として、それを例えば 100で割るな りしてTDIを出していましたが、今回の場合はそういうやり方をしていないというの は、ここに書いてあるとおりでございます。  3つ目は、LOAELから、一旦、体内負荷量を求めて、それからさらにTDIを計 算している計算根拠は何かということでございます。4つ目は、TDIが1〜4pgと幅 を持っている理由でございます。最後に5つ目として、ヒトとラットで、ダイオキシン 類のAh受容体への親和性が異なるにもかかわらず、ラットのデータから計算している ことでございます。こういうことを確認した上で、わが国のダイオキシン類のTDI及 び必要な対策等についてご審議いただくということでございます。  いま、簡単にWHOの審議の概要もご説明させていただきましたが、ここの7に記載 がございますように、現在、WHOから公表されたペーパーは、この資料の5ページ、 6ページのプレスリリースのみでございます。一応仮訳をつくって、7ページ、8ペー ジに添付してございますが、現在、WHOでは、会議のサマリーレポートをつくってお りまして、出席した専門家の先生方で確認した後、これを公表すると言っております。  駆け足でございますが、資料についての説明は以上でございます。 ○寺田部会長  ありがとうございました。  いまの資料3の説明がこの会のディスカッションの焦点になっていくだろうと考えら れます。ただいまの説明に関しまして、ご質問あるいはコメント、その他、会議に出ら れた方のメモの説明も踏まえまして、ご質問がございますか。 ○宮田委員  TDI見直しの根拠になったデータについてですが、無作用量と体内負荷量を計算し ていくときに、どういう動物で計算を行ったのか、そんなところを教えていただけませ んか。 ○黒川委員  先ほども内田室長からご説明がありましたとおり、WHOのサマリーレポートが、数 か月かかるとのことでして、それが来ないと、どの実験をどう使ったかは明らかではあ りません。会議で配られるドラフトは、目まぐるしく変わりまして、我々も最後のもの をもらってはきたのですが、どの実験を本当に評価して取り入れたかということは、ま だはっきりしないところがございます。  しかしながら、私ども帰ってまいりましてからいろいろ整理した時点では、実験とし ては、EPAで94年から97年にかけて行った二つのラットの実験がございまして、それ らは、妊娠中に単回投与したというものです。主な毒性エンドポイントとしては、精子 数の減少、免疫抑制、生殖器の奇形などが見られておりまして、その中で一番低い、 LOAELでしか報告されておりません。  もう一つの大きな実験としては、私どもの厚生省の研究班でも問題になっておりまし たアカゲザルの実験でございまして、これで精神発達に影響がある、子宮内膜症に影響 があるということは、非常に議論があったところでございます。一部には反対もありま したけれども、これを取り入れていこうという結論になっておりまして、そこの場合の LOAELとしては、0.16ng/kgぐらいになっております。  それから、マウスの実験、これもEPAで94年に出したもので、ウィルス感受性が高 くなる。つまり、抗体産性能が低下するという実験で、単回の腹腔内投与のLOAEL が10ng/kg。アカゲザルの方は0.16でございました。その辺が一番クリティカルな実験 でありまして、それらを全部統括した計算結果によりますと、体内負荷量は動物で10〜 100ng/kgとなりました。それをヒトの一日摂取量にすると10〜40pg/kgぐらいになり それに不確実係数10をかけて1〜4pg/kg/dayとなりました。そういうからくりになっ ているようでございます。 ○寺田部会長  EPAのレポートが結構出てきましたので、EPAのデータで、WHOが引用したも のがありましたら、事務局から委員の皆さんに前もってでもいいですから配っていただ ければ、勉強のためにもいいと思います。 ○内田生活化学安全対策室長  いまの時点でも、先生がおっしゃったように、重要だと思われるデータは速やかに提 出させて頂きます。 ○寺田部会長  WHOでの検討経緯は未だ明らかになっておりませんが、しかしながら緊急性の高い 問題であるため、早期に検討をはじめた段階だと了解しておりますので、出せるものか ら順番に配布をお願いいたします。 ○寺田部会長  ほかに何かございますか。 ○伊東委員  動物に対する影響のエンドポイントとして、発がん性の問題が書かれています。3 ページの4番です。これは、イニシエーション作用ではなくてプロモーション作用だけ であると言っております。私も、ヘンリー、ピトーなどのたくさんの実験を知っており ますけれども、ご存じのように、プロモーション作用というのは、標的とする臓器によ って非常に違ってくるわけです。したがって、このプロモーション作用は、肝臓以外の 臓器についてもあるのかどうかということが重要かと思います。  それと関連いたしまして、5番に、ヒトにおける影響ということで、米国の疫学調査 の検討がありまして、全部のがんをあわせた場合にはリスクが増え、部位ごとに見た場 合にはそれほどはっきりした結果が得られていないということがございます。TCDD の長期曝露の実験がアメリカで出ておりますけれども、この実験を見ましても、できて いる肝腫瘍はベナインの良性の腫瘍であるとなっております。ダイオキシンの発がん性 が非常に強いということが、よくマスメディアで言われているのですが、それほど強力 であるというデータについて、お教えいただきたいのですが。 ○黒川委員  最初のプロモーターのことですけれども、肝臓に関してはたくさんあることはご存じ かと思います。あとは、皮膚の2段階発がんでかなり多く出ているというところぐらい だと思います。論文はたくさんありますけれども、はっきり言われているのはその二つ ではないかと思います。 ○伊東委員  そうすると、ヒューマンのデータで、皮膚がんが増加しているというデータがあるん ですか。 ○黒川委員  ありません。例の軟部組織肉腫は、発生率が非常に低いのが特徴で、逆に少しでも上 がると目立ってくるということになります。が、病理診断的にも難しい腫瘍とされてい る問題点があります。いまのところ、全がんとこの腫瘍の発生率がダイオキシン曝露で 上がったとされています。 ○渡邊委員  ヒトがんの長期追跡調査の結果ですと、全がんの増加が平均で 1.4ぐらいです。個別 の臓器で見てみますと、肺がん、肝がん、胃がんなどの幾つかのがんがありますが、す べてはっきりしません。乳がんなどが増えているという報告もあります。そういうとこ ろから多臓器に多様に働くプロモーター的な性格があるかもしれないという根拠になっ ていると思いますが、ヒトでの実証的な部分はその程度のデータです。 ○黒川委員 渡邊先生がお話しのことは、高濃度大量曝露の追跡調査だと思いますが、伊東先生が おっしゃっているのは、いわゆる日常生活において、普通の人の曝露で疫学上何かの有 意差が出たようながんはあったかということかと思います。私が知る範囲では、そうい うことは全く報告はないのではないかと思います。 ○渡邊委員 まだ検討されていないですね。 ○寺田部会長  TDIの見直しを行うこととなった理由の一つは、がん以外の、内分泌かく乱作用と か、微妙かもわからないが神経に対する毒性とかが問題となっているのではないでしょ うか。いまのEPAのデータなど、議論のベースはすべて動物実験の話ですか。 ○黒川委員  これはパブリッシュレポートです。 ○寺田部会長 これがTDIを見直すところに影響がずいぶんあったわけですか。 ○黒川委員  そうです。 ○真柄委員  いまのことと関連して、従来からの方法ではなくて、キネティックスを考慮して安全 係数10などという数値を持ってきているのはなぜなのか。もともと新しい安全係数の策 定方法を採用することについてどういうご議論があったか、教えていただけませんか。 ○黒川委員  新しいとおっしゃいますが、90年のWHOでも、ヒトの臓器中の濃度の計算などによ り、トキシコカイネテックス概念をやや入れておりました。今回は、それをもっと徹底 的にして、体内負荷量で動物からヒトへ引っ張ってくる方がいいであろうということか と思います。それは、エンドポイントが何であるかということとは全く関係ない話であ ると私は理解しています。Ah受容体が介在するものであるということで、濃度だけで いいのではないかと。 ○寺田部会長  そうしますと、Ahリセプターの親和力が動物によって違いますね。ヒトはどちらか というと親和力は低いですよね、10倍ぐらい。そういうことは計算の考慮に入っている わけですか。 ○黒川委員  レポートを読みますと、不確実係数が1〜10という議論もありました。それは、先生 がおっしゃるように、ヒトの方が感受性が低いケースもあるので、その辺を取り入れる ということで、10のコンポジット(合成)不確実係数という表現をしていますけど、い ろいろなものを取り入れた結果が10であると。 ○寺田部会長  この1〜4pgというのがどうしてもわからないんです。これが規制値なのか、目標値 なのかもわからないし、規制値なら範囲があるのはおかしい。できましたら、次のとき に1〜4pgの算定経緯を資料として出していただければ、理解しやすいという気がしま す。 ○林委員  私、会議に出席しての印象ですけれども、まず、TDIを求めるのに、LOAEL、 NOAELを出発点とするといった点については、以前も今回も変わりません。違うの は、従来は、LOAEL、NOAELは、先ほど伊東学長が言われた発がん性試験の データか、あるいは繁殖性試験、長期実験を使ってきましたが、今回の場合は短期実験 もここに入れたということが一つです。  もう一つは、安全係数の求め方が従来とは全く変わってきています。従来は、ただ単 に、抽象的な種差10とか、個体差10というものを持ってきましたけれども、種差あるい は個体差を決めている要因は、カイネティックスとダイナミックスになるわけですから 今回はそれをカイネティックス、ダイナミックスの二つの面で置きかえようというとこ ろに大きな差があるわけです。例えば、資料2−3でお配りいただきましたデータの値 TDIの値を見てみますと、どこの国も今回の98年以前の場合には、発がん性試験か繁 殖性試験を用いているわけです。そうしますと、安全係数に関する考え方は世界中でさ ほど差がないので、TDIはどこでも10pgになるんです。日本が特に10pgにしたのでは なくて、どこの国がやっても10pgです。繁殖毒性試験の考え方によって5になります。 それだけの違いです。  今回の場合は、トキシコカイネティックスとトキシコダイナミックスのデータで置き かえようということです。ダイナミックスにつきましては、先ほどありましたが、リセ プターと親和力が人間がほかの動物よりも低いとすれば、これは挙げる理由がないわけ です。カイネティックスについては、これは問題ですけれども、例えばヒトで、ある程 度の影響があらわれたというときの体内負荷量を見ますと、さまざまな動物での実験結 果とほとんど同じなんです。ですから、体内負荷量を基準にすれば、種差は無視できる ということです。その二つの問題を基盤にして安全性係数を求めようとしています。 先ほど事務局からご説明がありましたが、ダイオキシンの件についての半減期の差に ついては、まだ全くわかりません。従いまして、コンポジットの安全性係数は10を用い たということではないでしょうか。一番大事なのは、何らかの影響のでる体内負荷量を ヒトといろいろな動物を比較してみると、ほとんど同じであることを出発点としている と感じました。  先ほど、WHOがTDIを出した、あるいは安全性係数を出したときに用いたデータ は、一番重要なものは10本ぐらいだと思います。それをここの専門家の先生に読んでい ただいて、検討を行い、部会の意見をきちんとまとめていくことが大事ではないかと感 じております。 ○寺田部会長  ということは、公表されたペーパーはあまり考えなくてもいいということですか。 ○林委員  いいえ。文献はたくさん出ているんです。私たちはそれを、2次情報、3次情報で評 価している傾向があるんです。そうではなくて、原文に戻って、それをがっちりと読み 直すことが必要ではないかと思います。 ○寺田部会長  私も同意見です。とにかく、WHOからサマリーレポートが来るのは時間がかかるわ けです。その間にでも、原文のデータがありましたら、特に、神経毒とか免疫の問題、 内分泌問題についてデータが見たいと思います。全ての毒性に種差がないと言われても 何を使って、どのデータで同じだと言っているのか、わからないものですから。がんは それでいいかもしれないという感じはしましたけど。 ○林委員  がんと生殖毒性の二つについてはよくわかるんですけど、あとは本当にわからないと いう面がありますので、やはり原文のデータを当たることが大事かと思います。 ○渡邊委員  資料2−2の24ページに、薬物動態理論からの計算がいろいろモデルとして出ており ますが、その中でダイオキシンの半減期が6年以上となっていますね。現実に報告され ているのは、同位体の種類と臓器によって多少違うと思いますが、大体9年ぐらいと見 ていいと思いますけれども。9年とすると、体内負荷量は70ng/kgぐらいになりますね このあたりの式は、やはりWHOの会議で検討された結果の式でしょうか。 ○黒川委員  これは平成8年の研究で文献調査などをした報告書でございまして、今回のWHOの 件とは関係ありません。 ○大野委員  このときは、摂取量と肝臓での蓄積量との関係をヒトと動物と比較して、それで大ざ っぱに計算したものです。  聞くところによりますと、今回は別のモデルを使って計算したということらしいです そのモデルは、薬物動態の研究によって一般に使われている方法を環境汚染物質に拡張 して使ったということで、今回の計算の方法の方が、合理的な方法ではないかと思って います。 ○林委員  今回使われた式は、体内負荷量(ng/kg)=ヒト摂取量(ng/kg/日)×半減期÷ln (2)×f(吸収率)という式です。これは、デビートという人の1995年の論文です。 ですから、これもやはりここで大野先生あたりにがっちり読んでいただくことが大事で はないかと思います。 ○大野委員  前に黒川先生とお話ししたときに、この式をについてどういう意味を持つのかという ことを聞かれまして、あらかじめちょっと見てきたのですけれども、結局、この式は、 薬物動態計算の一番シンプルなモデルを使っているんです。体の中に薬物を投与したと きに、全身的に一様に分布して、それが一様に排泄されてくるというモデルから計算し て、反復投与したときに、平衡状態になったときの体の中に存在する量を推定していま す。  そういうことで、薬物動態の教科書に載っているような式から導き出したものです。 値がWHOで使ったものと若干違うんですけれども、僕の試した計算がありますので、 これを皆さんにお配りいたします。 ○寺田部会長  今日の議論を踏まえて、次の会議までに、質問があるとか、何かありましたら、事務 局へファックスか何かでも送ったらよろしゅうございましょうか。それを受けて事務局 で必要な資料等の準備をお願いします。できれば、次回までに、WHOから正式な書類 が出ていればよいのですが。これは国際的な問題でもありますので、各国の対応も考慮 に入れながら議論を進めていかなければいけないと考えております。  それから、基準の位置付けとして目標値と規制値がありますが、これもやはり考慮に 入れておかなければいけない問題ではありますね。 ○小野生活衛生局長  いまご指摘がございましたEPAの代表的な論文等につきましては、直接どのように 使われたかは私どももよくわかりませんけれども、ご指摘のありましたものにつきまし ては可能な限り集めまして、コピーをお送り申し上げたいと思います。  それから、各国の規制についてでありますが、TDIをどう用いているのかが必ずし も十分わかっておりません。それが極めて強制的なものとして、例えば流通段階、食品 の輸出入の段階等々においても規制値として用いられているのか、それとも、いま部会 長がおっしゃいましたように、この方向へ持っていこうという目標値的な性格のものな のか、現状では十分把握いたしておりません。現在、事務局の方で可能な限り、各国の これまでの規制なり、TDIの状況、それから、今回の1〜4pgを受けてどのような対 応をとるのか、このあたりについて主要国の調査をいたしておりますので、ある程度ま とまり次第お示ししたいと考えております。  もう一つ、TDIの性格についての議論でありますが、やはり今回提案されましたよ うなTDIが、人の健康にとって非常にシビアというか、重要な数字であることになり ますれば、当然のこととして、わが国の法制度の中で規制的性格を有するような位置づ けにしなければなりませんし、排出源対策の一つの目標値であれば、これをもとにモニ ターをしながら、必要に応じて法的な対応をすることにもなろうと思います。これは多 分に行政的な判断も入りますので、ご議論の深まりに応じまして、私どもは私どもなり に整理をさせていただく部分があろうと思っております。 ○寺田部会長  ありがとうございました。これで問題点が明らかになりましたし、お願いすることも 明らかになりました。お願いいたします。 ○酒井委員  1点だけ。いま主要国の調査ということを局長からお話しされましたので、ぜひその ときの希望を申し上げたいと思います。毒性等価換算係数(TEF)についてでござい ます。今回、新たなご提案があったと耳にしておりまして、例えば1,2,3,7,8のペンタの ダイオキシンが毒性等価係数を1にされたと聞いております。あるいは、オクタのダイ オキシンは1けた下げられたと聞いているわけです。それに対して各国がすぐに今回の 提案の毒性等価係数に指標を移すのか否かということ。それと、昨年度の国際会議で、 生態系(鳥と魚)への毒性等価係数の提案があわせてWHO−Euroからなされてい たと思いますが、その値についても、今回の議論の議題にすべきなのか。そのあたりの ところをあわせてお調べいただきまして情報提供いただければ幸いでございます。 ○寺田部会長  できましたら、それはよろしくお願いします。  それから、最後に私から、質問ですが、資料3の3ページの上から3行目、「先進国 における……成人60kgで2−6pg/kg bw /day 」とありますが、わが国はどうなって いますか。 ○小野生活衛生局長  直近の試算におきまして、国民栄養調査等をもとに推測いたしますと、コプラナー PCBを含めまして 1.6pgというレベルになると推測しております。食品中の濃度の調 査は逐次洗練をされてきておりますので、必要に応じて推計は見直していきたいと思っ ております。 ○寺田部会長 それでは、このWHOの話は別にしまして、より全体の本質的なことも含めましてご 自由な発言をお願いしたいと思います。 ○大野委員  私の資料の説明をさせていただけますでしょうか。 ○寺田部会長  失礼しました。大野委員に資料の説明をしていただきます。 ○大野委員  配らせていただいた資料を説明させていただきます。  言葉の説明で、上から6行目に、「なお、kel =0.693/t1/2」となっていますが、こ の「t1/2」は半減期のことです。それから、×(掛ける)を「・」で書いてあるものと 下から5行目では星マークみたいなもので書いてあります。その両方の記号を混同して 使っているので申しわけありませんでした。急いでつくったメモなので混乱があります けれども、お許しください。それから、ここで使っている半減期とか体内負荷量とか、 そういう数値は、一応ダイオキシンの評価のところで使ったデータですけれども、私が 勝手に選んだものです。実際にWHOで評価したときに使った数値とは若干食い違って おります。 ○寺田部会長  このことに関して、質問事項がございますか。 ○黒川委員  訂正があります。いまの2枚目の例3のところで、「サルの投与量は 160ng」でござ います。 ○寺田部会長 それでは、この部会のダイオキシン類の健康影響評価について、がん以外のものが入 ってくるのはなかなか難しいなというところがありますが、ほかに何かありますか。 ○松浦委員 北里大学の松浦です。私は、ずっと小児の内分泌疾患、特に先天性甲状腺機能低下症 のスクリーニングに携わってきました。国内では、ダイオキシンの汚染と関連して先天 性甲状腺機能低下症、すなわちクレチン症の発症率が増えているということを報告され ている先生がいらっしゃいます。WHOの会議で、小児に関して述べられていることは 母乳中のダイオキシンの濃度は10年間確実に減少していることと、小児における問題で は、発がん性以外では、精神発達遅滞などの影響が述べられているようでありますけれ ども、甲状腺機能低下症とか、こういう問題については何か議論がありましたか。 ○林委員  甲状腺機能低下そのものではなくて、神経の発達という立場で評価しておりますので 特にそれを強調していたのが、ダイオキシンとPCBの台湾の例です。 ○寺田部会長  ほかに何かございますか。このWHOの話もそうですし、すぐに解決できるかどうか わかりませんけれども、こういうデータが足りないのではないかとか、長期的なことを 考えた場合、こういうことをやっておいた方がいいのではないかということを、何かご 意見がございましたらおっしゃってください。 ○林委員  出席して一番感じたことを述べさせて頂きます。今回のNOAEL、LOAELは、 発がんとか子宮内膜症とかのはっきりとしたターゲットに基づいたものではないんです いろいろな実験で、低用量で何らかの障害が起こったことをエンドポイントとしていま す。これらの障害の発現のスタートは、ダイオキシンがAh受容体と結合して活性化す るといわれています。ところが、Ah受容体には不明の点が多く、特に生理学上のリガ ンドもわかっていないということです。そうすると、ダイオキシン類の評価には、長い 目で見た場合には、Ah受容体の活性化の医学的な意義を考えない限りは、正しい評価 ができないのではないかということで、その点をよろしくお願いしたいと思います。 ○寺田部会長  私も非常に大事な事だと思います。Ah受容体の基礎研究は、日本ではわりあい得意 なところで進んでいると思います。世界的ないい仕事をやっておられる方が数人おられ ます。ただ、それはそれとしてダイオキシン類の動物に対する効果の基礎的なデータが きちんとないといけないということが一つ。  もう一つは疫学的な研究です。疫学はかなり感受性が弱い学問です。例えば、タバコ では片方で全然吸っていない集団があるときには喫煙集団との間に非常に強い相関が出 ますけれども、ダイオキシンのようにみんな同じように曝露されているようなものはな かなか難しいと思います。しかしながら、やっぱりそこに帰ってこなければいけないし 疫学のデータを待ってからいろいろなことをやると遅すぎるしという、いろいろな矛盾 がありますが、最終的にはやっぱりやっておかなければいけない。それについては、ど う感じておられますか。 ○渡邊委員  急性曝露に関するリスクは、欧米の事故やセベソの事故で、ほぼ確かな結果が得られ つつあると思います。残るところは、慢性低濃度曝露でどれくらいの影響が出てくるの か。そこがヒトでのデータが全くないわけです。その部分を何か探す手立てを考えない といけないということになると思います。  もう一つは、母乳によってどれだけ赤ん坊に入っていくかということはかなり計算で きるレベルにまで、ここ1〜2年でなると思いますので、高い母乳をもらった子どもた ちが、例えば3年後の乳児健診のときに甲状腺機能がどうであるかとか、その辺を健診 項目に入れておけばチェックできる可能性があると考えております。  従いまして、寺田先生もおっしゃったように、非常に灰色的な結果しか出てこないと ころで行政としては対策をしなければいけないということだと思います。それをデータ として、どれだけ科学的に解釈できるかというところをつくり上げないといけないと考 えております。  一方、欧米は非常にセンシティブでどんどん突っ走っていくところがありますから、 それに対抗するだけの日本のデータがありませんと、国際的な場で発言しても全然説得 力がないです。だから、そこをがんばらないといけないと感じています。例えば、ダイ オキシン自体がコーデックスの項目に取り上げられるとか、そういう可能性もあるので しょうか。そこがありますと、こちらもかなり急いでいろいろなことを考えないといけ ないと思いますし、特に水産業界の方には非常に重要な面があると思います。 ○多田委員  いまの渡邊先生のお話にもあったのですけれども、母乳の問題につきましては、先ほ どWHOで議論されました資料にもありますように、神経のことに関してどの時点の結 果をどう評価するかが非常に大事なことになると思います。もう一つは、一生摂り続け る量としてのTDIというものと、1年以内にやめてしまう母乳を同じ基準にしていい かどうかということも、議論していただきたい点だと思います。したがって、負荷があ って、これぐらいからだと問題が起こるということもぜひ、検討を進めていっていただ きたいと思いますし、母乳以前の胎児の問題も非常に大きな問題になる可能性がありま す。  参考資料2が9年度の厚生科学研究で出ました母乳中のダイオキシン類に関する調査 の濃度の結果でございますので、これをご参考にしていただければ幸いだと思います。 ○堺食品保健課長  先ほど、コーデックス等でどうかというご議論がございましたが、CCFACでぼち ぼち議論が出かかっているとのことです。ただ、はっきりした形で検討を始めようとか いう形にはまだなっていないところであります。 ○林委員  現状で、あるいは将来のために蓄積していかなければならないデータは、やはり曝露 データです。それをきちんと集めておくということと、体内負荷量あるいは渡邊先生が やっておられるようなオートプ式係数を使った体内負荷量の実態を調べておくことが、 必要不可欠であるような気がするので、それを少し強調したいと思います。 ○寺田部会長  多田先生が言われた、発達段階に応じたガイドラインといいますか、要するに、数字 が変わるという代物であるならば、いろいろと難しいところが出てきますね。 ○武谷委員  きょうの資料でも、ダイオキシンの生物作用で、一番敏感なのが内膜症の発生だと思 います。まだ検討途中のデータですが、私どもはかなりの症例を対象として、内膜症の 患者さんとそうでない方とで母乳歴を調べました。その結果、必ずしも母乳保育を受け た方に内膜症が多いというわけではありませんでした。このデータはいずれ何らかの形 で公表いたしたいと思います。 ○渡邊委員  先生のデータは、30〜40歳の子宮内膜症の方ですよね。その方の母乳歴はわからない のではないでしょうか。 ○武谷委員  実際に曝露された、母乳保育をされたときの値がわかれば大変参考になると思います ○渡邊委員  解釈がちょっと難しいと思います。大阪府がためていた母乳が、IDと対応がついて 検索できれば、それなりのことがわかると思うのですが。 ○武谷委員  もし、時代的な変化のデータがあれば、ぜひお教えいただければありがたいと思いま す。よろしくお願いいたします。 ○寺田部会長  渡邊先生、あるんですか。 ○渡邊委員  ありません。ただ、厚生省の患者調査で、子宮内膜症の頻度とかいろいろなものは一 応出ています。ですから、集団と集団との比較をするときに、それが本当に比較してい い集団かどうかをきちんと疫学的に検討しませんと、見かけ上関係があるように見える こともありますし、用心しないといけないと思います。 ○寺田部会長  こういう問題はいろいろと難しいところがあって、もちろん、ここに出ていらっしゃ る方は皆さんそうですけれども、やはり審査のある専門雑誌に出たデータで議論するの が一番安全ではありますね。 ○小野生活衛生局長  実は、TDIとの関係でLierのアカゲザルの子宮内膜症のデータの解釈について は、私どもも内部でいろいろ議論もいたしました。そのときに、厚生省の患者調査で子 宮内膜症を拾いますと、確かに増加傾向にありました。それについて、私、2〜3の専 門の先生にお伺いしてみたんです。本当に多いんですかと聞いたら、診断技術を横軸に 置いておかないと危ないよということを言われました。いわゆるエコーがどのくらい投 入されて診断に利用されているかというファクターも入るので、そこのところはデータ を読むときに気をつけた方がいいという提案を受けたことをご紹介申し上げます。 ○寺田部会長  ヒトのデータを入れてくるときに、こういう問題のときには、やはり実際の研究をや っている方は、倫理の問題を考えてやっておかないと、サンプルを取った人には後で大 変申しわけないことになる可能性があります。疫学的な研究をやる方には特に注意して いただきたいと考えております。 ○伊東委員  そのことに関係してですけれども、いま、内分泌かく乱化学物質の問題が、きょうも 国連大学でやられているところですけれども、そこでPCBとかDESとか、いまはも う禁止されているような物質のことについて大きな議論がございました。皆さんは、環 境ホルモンだということの説明のためには、すでに禁止された、非常に明確に反応があ った症例を持ち出しておられる。しかし、現在はそういうものは一般には使われなくな っている。  そこで問題になりますのはPCBでございますが、ずいぶん昔、九州でカネミ油症事 件がございましたから、そういった方に、本当に精子の減少があったり、あるいは、そ れから生まれた子どもさんたちにそういったものがあるのかどうか。例えば子宮内膜症 が増えているのかどうかといったような調査を行う必要があるかと思います。当然のこ とですが、そのときには、インフォームドコンセントと申しますか、倫理性の検討が非 常に重要ではないかと思います。ですから、渡邊先生にもそういったこともこれから十 分にお考えいただきたい。台湾でもPCBの汚染が人間にあったわけです。  私はがんのことが非常に興味がございましたから、九州地方でその汚染を受けた方に 肝臓がんが多くなるかどうかについて非常に興味を持っておりますけれども、そういっ たデータははっきり出てきていない。そういたしますと、追跡調査というか、人間が曝 露されたそういうデータは、国際的にも非常に大きな知見を提供することになると思い ますので、インフォームドコンセントを含めて十分にご検討の上、疫学の先生方にご活 躍願いたいというのが私の希望でございます。 ○寺田部会長  医者の世界では、Evidence・Based・Medicine(EBM:証拠に基づく医学)と言った言葉 がありまして、とにかく数字を出して証明をちゃんとしたもので何事も判断しようとい うことになっております。しかし必ずその場合には、人を扱いますからインフォームド コンセントとプライバシーの問題が出てきます。ダイオキシンの問題も、そこのところ を相当考えていかなければいけないと思います。伊東先生、どうもありがとうございま した。 ○宮田委員  母乳の考え方について意見申し上げます。一つは、TDIのほとんどは、大人の動物 を使って、ネズミであれば7〜8週例から始めているということです。いつもそこで議 論になってくるのは、乳児の感受性と大人の感受性が同じかどうかということです。幾 つか以前に見ていたのですけれども、最初からダイオキシンに曝露させた親ネズミに子 を産ませて、母乳を飲ませていくという実験で見たことはありますが、大阪府の衛生研 究所でしていたことは、親にはほとんど影響はなかったのですが、やはり乳児には、免 疫では感受性が出てくるということがありました。そこら辺のことが今後の、いわゆる 母乳の安全性とか、短期間でいいのかどうかということも含めて、やはり胎児の感受性 乳児の感受性についての実験を積み上げていかないと、なかなかわからないのではない かと思います。そういう、胎児から乳児への、いわゆる曝露に関する実験が文献でもあ りましたら集めたりして、もう少し評価を正しくしていくようなことが大事ではないか と思います。 ○寺田部会長  それは重要な点で、多田先生もおっしゃっていましたように、人間の発達段階によっ て違うTDIがあるのではないかということと裏表の話で、研究としては、やはりそう いう方向を研究しなければいけませんでしょうし、全体の中でもある程度考慮に入れた 議論をしなければいけないと思います。 ○丹後委員  国立公衆衛生院の丹後と申します。先ほどの疫学調査の件でちょっとコメントしたい のですけれども、私は前から大気汚染の日常量、さらにいま科技庁との関連で原発職員 の健康影響、これまた実に微量なものですけれども、そういうものに関して健康影響の 評価を行っております。そういう場合、手法は全くないわけではなくて、それなりの統 計的な手法を使うと結構うまくできるわけです。  ただ、問題は、追跡手段がきちんとできるかが問題でありまして、特に日本人はそれ が弱いところです。日本では実際に調査をやらないで、実験データでものを言おうとす る考え方が強いのですけれども、実際にダイオキシンに関する健康影響をやろうとする と、やはりそういう追跡調査を組まなければいけない。では、どこでやろうかというと きに、社会的に問題になっているごみ焼却炉付近の住民は、ある意味では役に立つデー タになって頂ける可能性があります。最近、科学技術庁も、ごみ焼却炉付近の住民の健 康影響について、長期の調査をしようと考えているようです。この部会だけではなくて 横の連携をとって、そういったことができるかどうかを実際にご議論していただく必要 があるのではないでしょうか。一般の住民に対して追跡調査をやろうとしてもなかなか できるわけではないわけですから、その辺のところを少しご議論いただければと思いま す。 ○寺田部会長  それもまた重要な問題なので、この部会というよりも、ほかの研究班としてどこかで やるべきかどうかということを考えるべきではあると思います。  それでは、時間が大体参りましたので、本日はこの程度にして、最後に事務局から何 かございますか。 ○羽入企画課長  本日ご指摘がございました資料などは、なるべく早い時期に収集いたしましてご提供 申し上げたいと思います。  それから、今後の日程、会議の場所等につきましては、調整の上、後日ご連絡したい と思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。 ○寺田部会長  それでは、以上をもちまして、ダイオキシン類健康影響評価特別部会を閉会いたしま す。  この部会は大変大事な問題がいろいろありまして、国民の健康にとっても、あるいは 国民の心配にとっても非常に重要だと思います。学問的にも非常にチャレンジングな問 題でありますので、何とぞ皆様のご協力をよろしくお願いいたします。  本日は、長時間、どうもありがとうございました。                 午後4時50分閉会 ダイオキシン類健康影響評価特別部会出席者名簿 (委員) | 氏   名 | 所       属 | | 伊 東 信 行 |名古屋市立大学学長 | | 小 川 益 男 |日本食品分析センター学術顧問 | | 大 井  玄 |国立環境研究所長 | | 大 野 ヒ 雄 |国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験センター薬理部長 | | 江 馬  眞 |国立医薬品食品衛生研究所大阪支所生物試験部第二室長 | | 黒 川 雄 二 |国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験センター長 | | 酒 井 伸 一 |京都大学環境保全センター助教授 | | 武 谷 雄 二 |東京大学医学部教授 | | 多 田  裕 |東邦大学医学部教授 | | 丹 後 俊 郎 |国立公衆衛生院疫学部理論疫学室長(附属図書館長) | | 寺 尾 允 男 |国立医薬品食品衛生研究所所長 | | 寺 田 雅 昭 |国立がんセンター研究所長 | | 豊 田 正 武 |国立医薬品食品衛生研究所食品部長 | | 永 田 勝 也 |早稲田大学理工学部教授 | | 花 嶋 正 孝 |福岡大学工学部教授 | | 林  裕 造 |北里大学薬学部客員教授 | | 藤 田 賢 二 |埼玉大学大学院理工学部教授 | | 眞 柄 泰 基 |北海道大学工学部教授 | | 松 浦 信 夫 |北里大学医学部教授 | | 宮 田 秀 明 |摂南大学薬学部教授 | | 安 田 峯 生 |広島大学医学部教授 | | 山 田  久 |水産庁中央水産研究所環境保全部長 | | 渡 邊  昌 |東京農業大学教授 | (事務局) | 氏   名 | 所       属 | | 小 野 昭 雄 |生活衛生局長 | | 浜 田 康 敬 |生活衛生局 水道環境部長 | | 羽 入 直 方 | 〃 企画課長 | | 内 田 康 策 |  〃   企画課 生活化学安全対策室長   | | 堺 宣 道 | 〃 食品保健課長 | | 高 谷 幸 |  〃   輸入食品企画指導官 | | 森 田 邦 雄 |  〃   乳肉衛生課長  | | 黒 川 達 夫 |  〃   食品化学課長  | | 磯 部 文 雄 |  〃   水道環境部 計画課長 | | 入江 登志男 |  〃     〃   環境整備課長  | | 仁 井 正 夫 |  〃 〃 環境整備課 産業廃棄物対策室長 | | 由 田 秀 人 |  〃     〃   水道整備課 水道水質管理官    |  問い合わせ先   生活衛生局企画課 阿部,馬場(内線2415,2418)