98/06/26 第7回 21世紀のたばこ対策検討会 第7回 21世紀のたばこ対策検討会 日時:平成10年6月26日(金)    15:00〜17:10 場所:厚生省共用第6会議室 出席委員(敬称略):  内山充  大河喜彦  幸田正孝 櫻井秀也  島尾忠男  富永祐民  仲村英一  野中ともよ  柳田知司 (開会:10時0分)  島尾座長  それでは定刻を少し過ぎましたのでただ今から第7回の「21世紀のたばこ対策検討 会」を開会いたしたいと存じます。議題に入ります前に事務局から本日の出欠と資料の 説明をお願いいたします。  事務局(高原課長)  ありがとうございます。本日は委員総数17名中11名の出席予定でございます。川口委 員、トッテン委員、松本委員、水野委員、矢崎委員、山崎委員は所用によりご欠席でご ざいます。なお、五島委員は成田空港からこちらにお向かいになっているというふうに 連絡をいただいております。  次に本日の資料をご説明申し上げます。本日、ご用意申し上げました資料は、討議内 容のまとめ(中間報告)案が第1でございます。これは座長のご指導によりまして、両 副座長のご意見をお聞きしながら前回までの議論を踏まえまして案を作成したものでご ざいます。座長のこ了承の下、本日、お配りしておるところでございます。  次に、本日、ご欠席の委員からもご意見をいただいておりますので、資料2としてお 示ししてございます。  資料3は大河委員、山崎委員より再三に渡りまして、いわゆる平山研究、計画調査に 対して疑問が投げかけられてまいったところでございますが、富永委員から説明の文書 をいただいたものでございます。  資料4は前回、大河委員より米国公衆衛生総監報告書の喫煙による超過死亡率の推定 につきましてご質問がございましので、簡単にお答えしたものでございます。  また、本検討会、及び座長宛に要望書が届いておりますので、その一覧を参考として 添付してございます。以上でございます。  島尾座長  どうもありがとうございました。それでは討議に入りますが、本日、小林局長、ご出 席でございまして途中でご用があって退席されるということなので、最初に小林局長か ら手短にご挨拶をいただければと思います。  小林局長  保健医療局長の小林でございます。委員の先生方には大変暑い中を、また大変お忙し いところを曲げてこの会にご出席をいただきまして誠にありがとうございます。  この検討会は局で開催をしていますから、本来ですと私が毎回、出てきて、ずっと皆 さん方のご意見を拝聴していくべきでありますが、国会の政府委員も兼ねておりますの で、国会会議中はほとんど出られなかったということでお許しをいただきたいと思うの であります。  今日もちょっと後半の方で少し国会関係のことがありますので、また退席をさせてい ただきますけれども、本当にたばこという大変国民の関心事のことについて科学的デー タも含めいろいろなご意見があったようにお伺いをしております。 前回のときには島 尾先生から座長としてのご意見のご発表があったようにもお伺いをいたしておりますが 何せ私どもとしてはいろいろな先生方のご意見がうまく一致点が見つかるものは見つけ て、そして、少しでも国民の皆さん方の健康を害することないように、より健康という 方向に向かっていくことにマイナスにならないようにしていきたいと、このように私は 思っている次第でございます。本当は今日はお忙しいところ、ありがとうございます。 心から御礼申し上げます。  島尾座長  どうもありがとうございました。それでは審議に入ります前に資料3について富永委 員から手短にご説明をいただければと思います。  富永委員  前回の検討会の一番最後に大河委員が平山先生がライフワークとして行われた計画調 査の結果のオリジナルデータが公表されていないということを指摘されました。オリジ ナルデータが公表されていないからどうだとおっしゃいませんでしたが、平山先生はお 亡くなりになっておりますので、私がこういうことを説明していいのかどうかわかりま せんけれども、私の理解するところをご説明いたします。  平山先生の計画調査は昭和40年に6府県の40歳以上の地域住民、約26万5千人を対象 として開始されたものでございまして、その後18年間、追跡され、昭和40年当時の対象 者の喫煙、飲酒、食習慣などとがん、心臓病、その他、多くの疾患との死亡リスクの関 係が解析されました。その結果は多数の論文、あるいは単行本として公表されてきてい ます。  平山先生の研究の成果はたくさんありますけれども、特にインパクトが大きいと思わ れますのは、1981年に『British Medical Journal 』に報告された受動喫煙によって肺 がんリスクが高くなるのではないかという報告だろうと思います。これがきっかけにな りまして、その後、たくさんの追試的な研究報告が行われましたし、この報告のインパ クトが大変大きいものですから、いろいろな研究者から批判的な意見、論文も発表され ました。平山先生はこれに対して科学的な疑問の投げかけに対しては科学的にきちんと 集計、解析し直して論文の形で発表、あるいは反論されています。  しかし、統計学的手法が妥当ではあったかなかったか、その他、詳細なことになりま すとオリジナルデータの公開、あるいはオリジナルデータを批判した人に渡さなければ いけないのですが、実際にはそういう前例は国際的にほとんどないわけでして、私が知 っているところ、2つあります。ひとつは、この資料3に書きましたように1960年代の 終わり頃にアメリカで行われた経口糖尿病薬の延命効果を評価するための無作為割り付 けの大規模な臨床試験を行いましたところ心血管リスクが大きくなるという結果が出ま して大変反響がありました。  この結果についてもやはりいろいろな学者から批判がありまして、それに答えるため に国際生物統計学会など関連学会から推薦された第3者的な学者から構成された委員会 タスクフォースができまして、そこへオリジナルデータのテープのコピーを渡して解析 チェックされています。その結果、問題はありませんでした。  もうひとつは、1950年代から米国で行われた循環器疾患の疫学調査、大変有名なフ レーミングハム調査というのがございますけれども、これは研究がほぼ終了した時点で 研究者がこのデータを公開するから何かいいアイディアがあったら使っていい、こうい う解析をしたいからデータを使わせてほしいという共同研究申込みするような形でオリ ジナルデータが公開されています。  私が知っているのはこの2件だけでございますが、そういう形で共同研究、あるいは ちゃんとした第3者的な機関がチェックしたり利用するのはいいと思いますけれども、 例えば、たばこ産業界の側から欲しいと言われますと問題です。たまたま5月20日の 『JAMA』、アメリカ医師会雑誌に書かれておりますように、たばこ産業側から研究 費を得た研究者が受動喫煙と肺がんの関係をレビューすると大部分はネガティブ、つま り影響がないという結論になっています。中立の立場の研究者がレビューしたときに比 べて88倍もネガティブ、影響はないという結論が出ているということです。また、2、 3日遅れて5月23日号の『British Medical Journal 』にはそのことに触れた上でラン セットというイギリスの大変有名な医学の専門雑誌の編集委員にもたばこ業界からお金 を貰ったと思われる編集委員がいたが、この方はもう亡くなっていますのでその真偽は はっきりしないわけです。そういうこともございますのでかなり慎重にやらないといけ ないと思います。  実際に平山先生のデータは当初は厚生省、特に公衆衛生局が中心になって企画開始し たものでございますが、開始直後からは昭和40年に国立がんセンター研究所疫学部長に 着任された平山先生がずっとこの研究を継続され、その研究費は厚生省がん研究助成金 という形で個人に来る研究費で定年までやられまして、定年退職後にも予防がん学研究 所という私的な研究所を作って、そこで引き続きデータを持っていって研究をされてい ます。  ですから、平山先生の後継者がいませんので、実際に平山先生がデータについて直接 説明したり、あるいは外部の人からの質問に答えることができませんので、これは難し いかと思われます。  それから、平山先生のデータに基づいていろいろ言っているようでありますけれども これは喫煙と健康の関係はもう世界的な常識になっておりますし、日本においても平山 先生の調査だけでなくて、現在、進行中の文部省の研究、厚生省の研究、環境庁の研究 があります。いずれも10万人規模のものでもっと詳細なデータが集められつつあります が、これはまだ研究途上でありまして、2、3年以内に3つとも新しい結果が出ると思 われます。  島尾座長  どうもありがとうございました。それでは今までいただきましたご意見をもとに資料 1のところに中間報告の案という形でまとめをしてございますので、本日はその案をご 覧いただきながらいろいろご意見をいただければと考えておりますが、その資料1の最 初の部分、これはまさに序文のような形で書かせていただいておりまして、全般的な問 題に入ります前のところ、これは今回の検討会、議事と議事録を公開いたしましたので 報道関係者とか一般の方々の関心が非常に深くて、毎回、本日もお出でいただいており ますが、多くの方が傍聴していただきました。  そして、傍聴した方々や検討会の存在を知った方々からは将来のたばこ対策、どうす ればいいのだという多くの貴重な提言が寄せられまして大変委員会といたしましても感 謝いたしております。提言を寄せられた方のお名前と課題名、参考資料として開示させ ていただいてあることはさきほど事務局からお話のとおりでございます。  この検討会、いろいろな立場の委員から構成されているということを考えまして、私 座長の責任において討議内容をまとめる際に多数決というやり方は取らないということ をお約束申し上げました。したがって、今回のまとめはいずれにしろ、討議された事項 とそれに対する委員の意見を中心に今後どのように対策を進めたらいいかという論点を 取り合えず整理するということに重点を置いてまとめてございます。この部分はこうい うまとめに至った経緯ということでご了承いただければと思います。  あと、1から全般的な問題から2の防煙、3の分煙、4には情報公開の問題、5で今 後の課題というようなまとめ方をしてございますが、各課題毎にまず1番の全般的な課 題、これについてもう既にお読みいただいていると思いますが、事務局から読んでいた だいて、その上で例えば1、全般的な問題という点についてのご意見をいただたくとい う形にさせていただきたいと存じます。  それでは1の全般的な課題の部分、事務局、ひとつ読んでください。  事務局(望月専門官)  1.全般的な問題  諸外国の政府機関・国際機関等のたばこ対策への取り組みとたばこの危険性(有害性 と依存性)についての資料が事務局等より提出され、これに反論する資料も提出された たばこと疾患との疫学的な因果関係に対する疑義を示す意見もあったが、疫学はヒト集 団に対するたばこの危険性を明らかにしうる方法論であり、たばこが肺がんや肺気腫、 虚血性心疾患をはじめとする重大な疾患の危険因子であること、たばこの依存性は疾患 概念として既に確立されており、ニコチンには依存性があるが、いわゆる精神毒性(不 穏、錯乱などの症状)はないとされていることなどが確認された。  一方、たばこは個人の嗜好品であり、長い歴史を持ち文化としての一面もあることか ら、国家が介入するのは問題である。行政や医師は発病した患者の治療のみに専念すべ きであり、予防医学はナチスの思想につながる危険思想であるという意見が出された。  これに対し国民の健康を守ることは厚生省の責任であり、発病前の一次予防対策を行 うことが必要であるという意見が出された。また、食品や医薬品、水、大気などの公衆 衛生上の規制の例に見るように、人体に危害を与える可能性のあるものに対し、未然防 止の観点から何らかの対応がなされるのは当然であるとの意見が出された。  以上の議論を踏まえ、今後のたばこ対策については、特に未成年者の喫煙開始をいか にして防ぐかという「防煙」、受動喫煙の外から非喫煙者の健康を守るための「分煙」 たばこの危険性に関する情報の開示と提供のあり方という「情報公開」は全委員が一致 して重要性を認め、これらの問題を中心に討議が進められた。  島尾座長  はい。どうもありがとうございました。ただ今の1の全般的な問題について何かご意 見ございますか。柳田委員、どうぞ。  柳田委員  この3行目からですか、4行目ですね。たばこが肺がんや肺気腫、虚血性心疾患をは じめとする重大な疾患の危険因子と。はじめとするということで、これらの他に重大な 疾患と、そういうふうに言っていますが、これは何をさすか。たばこ以外でも重大な疾 患というのはいろいろ起こりますので、論理的に少しおかしいと思います。  これはたばこが肺がんや肺気腫、虚血性心疾患などの危険因子であることと言えば、 それは問題ないですね。ということで、重大な疾患というのはちょっと論理的におかし いと。それが第1点です。  第2点は、たばこの依存性は疾患概念と。この依存性というのは物質が持っている性 質でして、それは疾患概念とは関係ないものですから、ここのところはニコチンには依 存性があるということはもう一致した見解になりますので、そして精神依存、身体依存 とも麻薬などよりは弱いということもこれは最初の頃、再三、私が申し上げたとおりで ございます。  それから、またいわゆる精神毒性。この精神毒性とは不穏とか錯乱とかというのはあ まり精神毒性の代表的なものではなくて、やはり妄想、幻覚などの症状というのが一番 精神毒性については典型的な症状だろうと思いますので、ここの部分は私の提案ではニ コチンには依存性があるものの、精神依存、身体依存ともに麻薬などよりは弱く、また いわゆる精神毒性(妄想、幻覚などの症状)はないとされていることなどが確認された と、そういう文章にしてはいかがかと思いますが。  島尾座長  他に。富永委員、どうぞ。  富永委員  1の全般的な問題に入る前の上の8行、序論に書かれていることは実際にこの検討会 で行われた議論の経過を議事録ふうにまとめてありますけれども、21世紀のたばこ対 策検討会の報告案としましては、やはりなぜこの検討会がこの時期に設置されたかとい うこと、これまでの経緯と目的をはっきりうたっておいた方がいいのではないかと思い ました。  たまたま2月24日に第1回の検討会が開かれたときに、「21世紀のたばこ対策検討 会について」という1枚紙が配付されていまして、それにこれまでの経緯などが的確に まとめてあります。これは今、お持ちではないかもわかりませんので、ちょっと読まし ていただきます。  「我が国におけるたばこ対策は、21世紀に向けた総合的なたばこ対策の基として平 成7年に公衆衛生審議会により意見具申された『たばこ行動計画検討会報告書』に基づ き防煙対策、分煙対策、禁煙支援・節煙対策を3つの柱として各実施主体の自主的なた ばこ対策の取り組みを促進するため、啓発・普及を中心として取り組まれてきた。  『たばこ行動計画検討会報告書』がとりまとめられた当時は、成人喫煙率が漸減する とともに、たばこ消費量が頭打ちの状況であったが、最近、若年者(特に女性)の喫煙 率の上昇、たばこ消費量の拡大、たばこ関連疾患による死亡者数の増大、これに伴う医 療費などが問題となってきた。平成9年度厚生白書は『喫煙習慣を個人の嗜好の問題に とどまるのではなく、健康問題であることを踏まえ、たばこ対策を一層推進することが 求められている』と記載し、また、公衆衛生審議会により今後の生活習慣病対策におい てたばこ対策を積極的に推進すべきであると報告された。  さらに、喫煙習慣等、ニコチン依存性との関連やたばこ煙の発がん性などの危険性、 低タール化に伴う健康影響について国際治験や対策に変化も見られることから、我が国 においてもこれらの新しい動向を考慮して今後のたばこ対策のための具体的な方策につ いて提言を行うため、厚生省保健医療局長の私的検討会として幅広い分野からの学識経 験者により構成される『21世紀のたばこ対策検討会』を設置した。  平成10年の2月24日から何月何日までにX回の検討会を開催して各委員が忌憚のない 意見を述べて21世紀に向けたたばこ対策のうち、特に重要な課題を中心にして具体的 に検討した。」というふうに、序言に加えた方がいいのではないかと思います。もう少 し簡略化してもいいのではないかと思いますが、いずれにしましてもそういう前文があ った方がいいと思います。  島尾座長  はい。幸田委員。どうぞ。  幸田委員  ただ今の富永委員の発言に関連してでありますけれども、これはむしろ座長にお伺い した方がいいかもしれませんが、討議内容のまとめ(中間報告)案となっているわけで ございまして、この中間報告ということになりますと最終報告があるのかなという気も するのですが、この中間報告が仮にまとまった場合の後の取り扱いはどういうふうにな さるのか。それによってこの盛り込むべき内容もおのずから変わってくるのではないか なと思いますので、これはむしろ座長にお伺いしたらいいのではないかなと思います。  それから、富永先生のお話については、私はこのたばこの検討会に参加するのは今回 が初めてでございまして、行動計画や以前の検討会に参加していなかったのですが、こ れは今、お読みになった文章は厚生省がこの検討会を設置された理由というのか、そう いうことではないかと思います。  それは各委員が認めて、そしてその上で討論を開始したということでは必ずしもない わけでありまして、むしろ原案、座長がお書きになった8行の方が実際の討議内容はよ り良く表しているのではないだろうかと。  今、お話のようなことをつけますと、何か役所の立場を検討会が代弁をするという格 好にひょっとするとなりかねないのかなという気もいたしますので、せっかくのご提案 ではありますけれども、私はそれは避けた方がいいのではないだろうかと思います。  何回やったというようなことは事実でありますから、これは記載することについては 結構だと思いますが、どういう流れの中でこの検討会が設置されたかというのは役所の 立場での、行政の立場でのご判断で、私どもがそれをもし、やるとすれば、相当何回か また討論しないとなかなか一致した結論は出ないのではないかなと思うものですから、 せっかくのご提案でございますが、この座長の原案の方が私はいいのではないかと思う わけでございます。  島尾座長  はい。内山委員。どうぞ。  内山委員  予めお送りいただきましたから全部読ませていただきましたが、ひとつずつ、やって いただくよりは全体一緒にやっていただいた方がよろしいような気もしますが、取り合 えずひとつずつで結構ですが、非常に座長がご苦労をなさって事実になるべく近い、一 般の方がお読みになってもおわかりいただけるといったようなところでおまとめいただ いているご努力には敬意を表したいと思います。  したがいまして、これをもっとある意味で詳しく説明をするということの必要性はな るべくなら避けた方がいいのではないかと思われます。特に議論の中に出てこなかった ことを付言して説明をするということは、これは避けなければいけません。言わば言わ なかったことを書くというのは、これはもうきりがありません。  言ったことを書かないというのもこれは具合が悪いことであって、選ぶのは座長がお 選びになってバランスを取っておやりになったのだということ、私どもは考えておりま すから、その線をなるべく保持されるように座長にはぜひ、お願いを申し上げます。  富永先生のご提案ですが、これは私は幸田委員と同じ意見で、これはここの委員会の 議論の取りまとめというのはこういうスタートでよろしかろうと思いますが、ただし、 なぜ、こういう委員会が設置されたかということをわかっていただくためには、幸田委 員、言われましたようにこれは主催者の意向というのが紹介文として載っている必要は あると思います。  したがって、厚生省は今頃、何をやっているのだという意見もなきにもあらずでござ いますから、そうではなくて全般的な国内、国外の情勢も十分わかった上で、特にこう いう難しいメンバーを集めてやったのだということを説明するということは非常にいい ことではないかと。これは何も委員のコンセンサスを得なくても、それは書くのはご自 由だろうと思いますが、富永先生のお読みになった文章はぜひ、その意味で付けていた だいた方がいいだろうと思われます。  島尾座長  幸田委員からお話があった中間報告。これは正直、どう考えたらいいのでしょうか。 むしろ今回の検討会、ここまでやったものの結論はまとめはこうであるという程度のあ れで、さらに、今回の中からもっと突っ込んで検討すべき課題というのが大分出ていま すので、それをどう扱うかとはこれはまた局長さんに答申した後、局長がどう考えられ るかという問題になってくるかと思うのですけれども。  ですから、少なくとも今回の検討会に関しては中間というより、むしろこの次に皆さ んのご意見をいただければ最終のおまとめになってくるというようにご了解いただいて いいと思うのですけれども。  幸田委員  わかりました。そうすると中間報告という格好はなくなるということで。  島尾座長  それでよろしゅうございましょう。事務局の方も。  幸田委員  結構でございます。  内山委員  先生、ちょっとすみません。私、さきほど2つ申し上げたひとつは柳田委員のご発言 に対する私の意見として申し上げたつもりだったのです。  ということは、要するに、ここに書いてあるのはバランスを取ってまとめた表現にな っているのであって、ある意見に対して、特に、それを説明する語句を加えて正確にそ れを表現をしなければならないということを言いだしますときりがないのですね。それ ぞれ発言者はそれなりに不満があるところがたくさんあります。これはバランスを取っ て真ん中をだいたいまとめていただいた結果だろうと私は思います。  特に、しかしながら、今、柳田委員のお話の中の疾患をはじめと、何々の疾患をはじ めとする重大な疾患、これはちょっとダブっていますから、これはむしろ虚血性心疾患 など、重大な疾患というのがよろしかろうと思います。はじめとするというのはこれは 確かに重複の意味があります。ただし、この疾患が重大であるということは我々も十分 認識しておりますから、これこれなど重大な疾患のという程度のモディファイであれば 妥当だろうと。  それから、依存性とか疾患概念とかという言葉がさきほど私、申し上げたように一般 の人にわかっていただくにはやや専門的すぎるかもしれません。やや専門的すぎるとこ ろはここの精神を変えないでわかりやすい言葉に変えた方がいいだろうと。  要するに、町の人はニコチン中毒というのはよく知っているわけですよ。ですから、 たばこはやめられないということをよく知っているわけです。したがって、たばこはや められないものだ。中毒という言葉がいいかどうかわかりませんが、しかし、依存性と いう言葉を使って議論をしはじめますと、また一番先に戻って野中委員あたりにわから ない、わからないと言われますからね。だから、わかる言葉で習慣性がというか、要す るにやめられないことであるとか、やめられないというのはなぜかというとニコチンに 依存性があるからだと。そういうことでよろしいのではないでしょうか。  島尾座長  文章の整理につきましては今日、いろいろご意見をいただいた中をさらにもう一度検 討させていただきながら、なるべく事実に基づき、あまり感情的なものを交えないで文 をまとめるという方向でそれは検討いたしたいと思っておりますけれども。  今、2、3、ご指摘いただいたところも多少そういう感情的なあれが入っていないと は言えないかもしれないので、そこら辺もちょっと客観的に整理するように最終的には いたしたいと思います。  それから、中間という意味は今、局長ともちょっと話したのですが、たばこ対策がこ れで終わったわけではないと。だから、21世紀のたばこ対策検討をするいう意味で言 えば、これはひとつの中間段階の検討会のまとめであると。この後、まだいろいろしな ければいけないこともあるでしょうし、さらにまた、同じか別かいろいろな形で検討し ていただくというふうにご了解いただければと思います。どうぞ。野中委員。  野中委員  今、幸田委員と内山委員から富永委員の提案について、それはちょっと事務局サイド だからというご意見があったのですが、私は富永委員に賛成です。  なぜかと言うと、結局、私がここに参加したのはこういう国としてはこういうプロセ スを全部クリアして、さあ、21世紀に向かって具体策はどうしましょうという検討委 員会だと思って来たわけです。  そのプロセスがさきほど富永委員のお読みになったところには整理をされていて、そ れは厚生白書があり、それは個人の嗜好を超えて健康問題であって、一層促進すること が求められているという表現があって、この会が生まれているのだという、そのプロセ スを私は説明をいただいたので来たわけです。  そして、そういう形で検討会がはじまったというのは、これは事務局の気持ちを我々 の報告書に入れる必要はないということとは次元が違って、という検討会で我々は集結 した。でも蓋を開けてみたらその部分に関しての、いやいや、まだ10−3であるとか、 いやいや、文化論であるというような、そういう新たな問題提起がもう1回成されて、 そのためにこれだけの時間を割いたという、その事実を頭からきちんともう1回、記録 しておくためには、なぜ、この検討委員会が集結されたかというところのプロセスはや はりもっと整理をして書く必要があると思うのです。  というのは、それをやっておかないと何を今頃、日本でという内山委員の表現がござ いましたけれども、やはり日本のレベルというのは、まだ、この部分なのだ。遅れてい るとか進んでいるとかというレベルという意味ではなくてですよ。やはりそれをまだ問 題にしたい方たちがこんなにいるのだ。片や、何を言っているのだ。そんな文化論より とにかく健康問題だと。それがまたまた冒頭から何回もの時間を割いてやらなければい けないほどのまだ状況なのであるということを記すためには、ちゃんとこの検討会の始 まった意義、プロセス、国家的な認識と認知の違いみたいなことはきちんと出しておく 必要があると思います。  島尾座長  柳田委員。どうぞ。  柳田委員  私はこれは幸田委員、内山委員がおっしゃいましたように討議内容でございますから 我々、そうなると過去のものについて全部遡って討議したわけではございません。です から、やはり私は内山委員がおっしゃるようにこれは事務局サイドでの解説、経緯の説 明文にするのが適切と、そういうふうに思います。  櫻井委員  私もそれに賛成します。  内山委員  私の名前で内山委員の言ったとおりと言われましたが、言ったとおりではないのでち ょっと発言させていただきますが、これは事務局サイドの意見として書くということを 言ったわけではありません。ですから精神から言いますと野中委員のお話と比較的近い のではないかと私は思うのです。  なぜ、ここにこういう会が行われるようになったかという国内外の情勢というのは完 全に紹介しておく必要がある。ただし、これは委員の中の知恵で出てきたものではない したがって、委員の中の知恵のような顔をして書くわけにはいかないのではないかと。 それはおそらく幸田委員もそういう意味だと思います。  ただし、ここに集まってきた人たちがそれぞれ持ってきた個人個人の意見を集約しま すと、こういう会が必要である、国内外の現状はそうであるという認識を持っていた人 が多いわけですから、スタートしたときの認識というものはこういうものであるという ことを言っておかないと、日本の国っていったい何を考えているのだということになり ますので、状況としては書いていただきたい。ただし、何回も申し上げますように委員 の知恵でできあがった文章ではないということがわかるように解説文のような形でおや りになったらいかがかなと。  野中委員  ありがとうございます。まさに、そうでございます。私の意見も同じです。  島尾座長  大河委員。  大河委員  必要最小限の設置目的みたいなのがやはりあった方がおそらく国民皆さんにおわかり いただけると思いますので、それを加えていただくのは私も異論はございません。  さきほど内山先生もおっしゃいましたように、議論になかったことを記述するのはま ずいというようなお話もありましたし、島尾座長が大変ご苦労されていろいろな意見を うまく取りまとめられたというふうに思っております。  ただ、一応、1頁だけでも2、3、修正意見がございますのですが、例えば、さきほ どの危険因子のところであるとか、ニコチンの依存性のところにつきましては、柳田先 生が既に意見を言われましたのでそこはちょっと飛ばしまして、その次ですけれども、 例えば、「たばこは個人の嗜好品であり」云々かんぬんで、「国家が介入するのは問題 である。」、「行政や医師は」云々かんぬんということで「危険思想であるという意見 が出された」というような、これはおそらく今日、ご欠席の山崎先生が意見として出さ れたところをまとめられたのだろうと思いますけれども、若干、ご本人の言われた意見 のニュアンスとちょっとずれているような気もいたしますので、やはりご本人にもうち ょっとここの趣旨をご確認いただいた方がよろしいのではないかと思います。  それから、下の方ですけれども、以上の議論を踏まえというところ以下ですが、「受 動喫煙の害から非喫煙者の健康を守るための」というのがございますけれども、「たば こ行動計画検討会報告書」というのがさきほど紹介ありましたけれども、あそこの表現 では「非喫煙者に対する受動喫煙の影響を排除、減少させるための分煙」という表現で ございますのでそちらの表現の方が妥当ではないかと思います。  それから、たばこの危険性という表現が何か所か出てまいりますけれども、これはさ きほどちょっと座長もおっしゃいましたけれども、この言葉、このターム自体が若干、 そういう評価、感情みたいなものが入った感じがいたしますし、そういう意味でどうい う言葉が妥当かという議論もまだ十分されていないと思いますので、国際的に最もポピ ュラーなタームである喫煙と健康に関する情報云々かんぬんという、喫煙と健康という 表現の方がいいのではないかと思います。  それから、あとで情報公開のところでもちょっと申し上げますけれども、前回の事務 局の資料では情報提供という言葉になっていまして、あとで説明しますが、この「公 開」は「提供」の方がここの会の議論では相応しいのではないかなと思います。  それから、さきほど中間報告の意味がご説明ありましたけれども、たばこ行動計画検 討会のときは確か報告書を公衆衛生審議会にかけて公衆衛生審議会の会長から厚生大臣 への意見具申というような形を取られたと思いますけれども、今回、そういう予定があ るかどうかだけちょっとご説明いただければありがたいのですが。  島尾座長  最後の点については事務局から。  事務局(高原課長)  この検討会は公衆衛生審議会からたばこの対策について考えるようにというふうに厚 生省の方がご指示をいただいて発足させたということはさきほど来、紹介いただいたと ころであります。  これのまとめが完成した段階で一応、公衆衛生審議会の方にお諮りすると言いますか ご報告は申し上げたいというふうに考えております。それを厚生大臣に対して意見具申 するかどうか。これはまた公衆衛生審議会の方のご判断でございますので、私どもとい たしましてはこれは公衆衛生審議会のご指示を受けたものである以上、公衆衛生審議会 にはご報告するけれども、その後の取り扱いについては未定であるということを考えて おります。  島尾座長  はい。ありがとうございました。幸田委員、どうぞ。  幸田委員  ただ今の大河委員のご発言の中で分煙を形容する言葉で排除、減少というお話がござ いましたけれども、減少というのは非常に生ぬるいのではないだろうかと。排除だけな らまだわかりますけれども、やはり完全に断ち切るということが必要ではないかと思い ますから、私はこの原案の方がよろしいのではないかと思います。隣に座っているとち ょっと話しにくいのですけれども。  大河委員  よろしいですか。私は「たばこ行動計画検討会報告書」はそれなりに議論して合意さ れた表現だったので、そちらを取ったらよろしいのではないかという意味で言っただけ でございますので。  ちょっと気になっているのは受動喫煙の害ということについてこの会ではまだ十分合 意が得られていないはずではないかということですので、もし、幸田委員がおっしゃる ように減少が気にくわないとおっしゃるなら、「非喫煙者に対する受動喫煙の影響を排 除させるための分煙」でもよろしいかと思いますけれども。  幸田委員  排除というのは全部排除するという、こういう表現ができれば一番いいと思います。  島尾座長  内山委員、どうぞ。  内山委員  いみじくも今、大河委員が言われた同意されていないという言葉ですけれども、ひと つずつ言葉にいろいろな異議を言うのはきりがありませんから、同意されているものば かり書いているわけではないという原則があります。ですから、最初に私は座長にそこ ら辺をはっきりとご判断いただいて座長のバランスの取れた感覚でお書きいただくのが 一番いいと申し上げたわけです。  ここにあります多数決制を採用しなかったという裏には、すべで同意されたものだけ を書いているわけではないという意味は当然入っているわけで、議論が行われ両方の意 見をまとめているわけですから、少なくともこれは同意されていないはずだということ を言いだしますと、おそらく報告書なんか1枚ぐらいで終わってしまうでしょう。そう いう滑稽なことはできない。  それから、ご提案の言葉というのは、昔こういう言葉を使ったからこういう方がいい のではないかというご意見、大河先生、これから後からもまたいくつか出て来るのでは ないかと思うけれども、というのは非常に博識でいらっしゃるから、昔、どういう言葉 を使ったか、私なんか知りませんが、よくご存じでいらっしゃるから。  しかしながら、議論というのは世の中がどんどん変わっていくわけですから、議論の 場でこれがまあまっとうだろうということを発言をして、それに同意ではありませんけ れども、近いご意見の方がおられた場合で、しかも、座長がそういうふうにご判断なさ ったのだったら、やはり昔使った言葉ではなくて、むしろ新しい言葉を使われた方がい いのではないかというふうに思います。  たばこの危険性というようなこともそれでは危険と安全という言葉が対比してありま すから、ですから,この危険性というのをすぐ死んでしまうという意味に考える必要は ないのであって、それを特に健康影響とかに言い換えるとか、そういう非常に昔からい ろいろな人があっちからこっちから突っ付いて決めた言葉にするとか、そういうことに 縛られるのもこの委員会としては極めて心外だという感じがいたします。以上です。  島尾座長  今、いろいろいただきましたご意見、参考にしながらもう一度、私自身、慎重に文言 について最終案の段階では検討させていただきたいと考えております。  他に1の全般的な問題については何かご意見ございますでしょうか。ちょうど仲村委 員、お出でですからもうちょっと待ちましょう。大河委員、どうぞ。  大河委員  ちょっと私の発言が誤解があったと思いますので釈明しますと、要はこの会はいろい ろご議論をいただいたのですけれども、ある程度の合意が得られたような事項は、それ は割合と素直な表現にされていると思いますけれども、合意がなかなかないけれども、 確かに意見として述べられたということは座長がご努力されて何々との意見が出された というふうに見事に使い分けをなさっていらっしゃるので、それで私はそういう合意的 な表現になっているところについては本当に合意的なことであればよろしいかと思いま すし、やはりそこはちょっと書きすぎているのではないかというところはやはり異論と して出す権利があるのではないかというふうに思っておりまして、ですから、意見が出 されたというのは確かに合意がなされないけれどもそういう意見をおっしゃった先生が いらっしゃるということで書かれているということで、私自身はそこの使い分けは理解 しているつもりでございます。  島尾座長  はい。どうもありがとうございました。櫻井委員、どうぞ。  櫻井委員  大河委員に聞きたいのですけれども、そうするとこの受動喫煙の害から非喫煙者の健 康を守るための分煙というのを、この文章を直すという意見なのですけれども、この文 章ではなぜいけないかというご意見をいだたけますか。受動喫煙の害から非喫煙者の健 康を守るための分煙というふうに座長がおまとめられたのだけれども、これではなぜい けないかを言わないと、これを変える必要があるという理論にならないのだろうと思い ます。  大河委員  受動喫煙の害ということであれば、例えば、ではどのぐらい害がはっきりしているか ということになろうかと思いますけれども、最近WHOの付属機関IARCが出した報 告でも肺がんと受動喫煙のオッズ比は1.16なのですね。これはノットシグニフィカント 有意でないということでございまして、他にもだいたいこの手のオッズ比は非常に限り なく1に近いということで、害自体はないのではないかという報告が国際的にも非常に 出ている中にありまして、もちろん迷惑感みたいなものもあると思いますし、影響があ ったという報告ももちろんあると思います。  ですので、要するに、そこは必ずしも明らかになっていないという意味では、影響と いう表現の方がよろしいのではないかということでございます。  島尾座長  今の議論を始めるとまた。  櫻井委員  私は何回も主張したようにこの委員会はたばこの健康に対する害だけを議論すればい いと思っているのです。マナーの問題まで拡げたらまたわからなくなりますから。また 非喫煙者に対して健康には全く害がないのだということを大河さんが主張するのだとし たらもう話は進まなくなります。オッズがどうか知らないけれども、少しは害があるの で、大河さんも認めないと話は進まないと思います。  島尾座長  この辺の文言、非常に微妙な問題がありますので、その辺、ご意見は十分承った上で 最後のまとめをさせていただくように考えてみたいと思います。  仲村委員、遅れてお出でになったので今、ちょうど前文から1の全般的な問題という 1頁のところ、そこをやっていたのですが、この部分に関しては文書がいっていると思 いますので何かご意見ございますでしょうか。  仲村委員  ご本人が今日、お見えなっておりませんが、予防医学はナチスの思想につながる危険 思想だというふうに書かれておりますが、予防医学からさらに進んで優生学までいくと ナチスの危険思想というふうにおっしゃったような私は記憶があるので、おっしゃった 方とご相談いただく方がいいと思います。この表現だと予防医学はナチスというふうに なっては厚生省自体の存在が怪しくなるのではないかという感じがいたします。  島尾座長  この点についてはさきほども別の委員からよく山崎委員の意見にこの表現でどうかと 聞いておけというご指摘がございました。  櫻井委員  富永先生からのお話のところで、私は、時間を省略しようと思ったから同じですとだ けと言ったのですけれども、内山先生からまたちょっと違うのだとおっしゃったので、 それを聞いておかしいなと思ったのは、私はこれは討議内容のまとめですからここへ入 れるのは反対という意味で同じだと申し上げたつもりです。  そうしたら内山先生はそれとちょっと違うのだと言って、それがないと今頃、日本で こんなことをやっていて恥ずかしいではないかとおっしゃったけれども、恥ずかしいと いうのは関係ないと思うので、事実、こういう討議が行われたのですから、恥ずかしく も恥ずかしくないも日本の現状はこうだという報告書なのです。ですから、それのため に必要なのではないと思います。  そうではなくて、この委員会を作った厚生省はこういう経過で作ったのだよというこ とがあって、だけれども、それは報告書とは関係ないから柳田先生の意見に賛成したの で、それで討議内容はこのとおりだということを書くべきで、それを恥ずかしいという なら書いた方がもっと恥ずかしいと思いますよ。今まで何年も前からやってきたけれど も、まだここまでしか進んでいませんよということをはっきりさせるのですから、恥ず かしいために書くのだったら書かない方がまだ恥ずかしくないと思います。  内山委員  櫻井先生のおっしゃるのはちょっと筋違いで、恥ずかしいと言いますのは全くそうい う経緯なしでこういう会を初めて厚生省がやったという意味ではないと私、述べたわけ で申し上げた。国内外とも。  櫻井委員  そういう意味です。それはだから、恥ずかしいからということではなく、事実を並べ たいという意味です。  内山委員  皆さん、おわかりいただけていると思います。私も実際にはそれを書いた方がいいと 申し上げているわけですから。  櫻井委員  私もそう思います。ただ報告書としてではなくてですね。  島尾座長  はい。わかりました。どんな格好でどういうふうに扱うか、また少し検討させてくだ さい。  では、2番目の防煙の問題に入っていきたいと思います。防煙の問題について。  事務局(望月専門官)  はい。防煙。  防煙の必要性、特に、未成年の喫煙防止の必要性については全員が一致した。防煙対 策は新たな喫煙者の発生を防ぐという意味で、長期的に見ても根本的な対策であり、世 界保健機構(WHO)の勧告を踏まえ、青少年に対する販売禁止や広告・販売促進活動 の法的規制、価格政策などの対策が国際的に強力に進められている。一方、我が国では 未成年者喫煙禁止法(明治33年制定)が存在し、販売者等に罰則規定が定められている  青少年が喫煙すべきでないという防煙対策の医学的根拠については、喫煙開始年齢が 早いほど、がんや虚血性心疾患などの種々の疾患の危険性が高まることなどが示された また、成人はたばこの危険性に関して十分な情報を与えられれば、依存性があるという ことを別にすれば、喫煙の是非を自己判断して選択することが可能であるが、未成年者 はそのような判断力がないものとして扱うべきあるという意見が出され、青少年の喫煙 の誘因はできるだけ排除すべきであるとして次の事項が検討された。  1たばこ広告・販売促進活動のあり方  我が国ではたばこ事業法(昭和59年制定)に基づく広告指針(平成元年大蔵省告示) を踏まえ、たばこ業界が広告・販売促進活動に関する自主規準を定めており、従来から 青少年や女性を主たる読者とする雑誌では広告を行っていないこと、平成10年4月から はテレビ・ラジオ等の電波媒体でたばこ製品の銘柄名の広告を自粛していることが紹介 された。  これに対し、印刷媒体や電車の中吊り、野外看板などでの広告が最近増加しているこ と、テレビのドラマや新聞、雑誌の広告なとでたばこに対して良いイメージが青少年に 植え付けられていること、女性向け銘柄の広告が大々的に行われていること、マナー広 告でたばこは大人のものと強調することが、逆に青少年の喫煙を助長していることなど が指摘された。  2たばこの自動販売機のあり方  我が国では、たばこの自動販売機は設置台数が50万台に達し、青少年がたばこを入手 する有力な手段となっている。たばこ事業法に基づいて、平成元年以降、小売店を新し く許可する際に、店舗併設型以外の自動販売機は許可されず、また、平成7年のたばこ 行動計画を受けて小売組合が深夜稼働を自粛していることが紹介された。  これに対し青少年の利用の少ない深夜の稼働を停止しても、青少年の喫煙防止には効 果が殆どないことが指摘された。酒類業界では2000年までに屋外の自動販売機を自主的 に撤廃することが報告され、たばこ販売においても対面販売と年齢確認の徹底による未 成年者喫煙禁止法の遵守、自動販売機による販売の禁止や設置場所の制限の強化、販売 自粛時間枠の拡大などを求める意見が強く出た。  3たばこの小売価格のあり方  我が国のたばこの価格は国際的にみても極めて安く、青少年の購入を安易にしている 要因であることから、価格を上げ、税収を確保しながら、青少年の消費を減らすべきで あるという意見が出された。また、たばこ税をたばこによる超過医療費の負担低減や、 喫煙者も利益を得る分煙環境の整備のために充当するために増税すべきであるという意 見も出された。一方、たばこは酒類に比べて担税率が高いことから、価格の問題は慎重 に検討すべきであるという意見もあった。  4その他  業界の取り組みだけでなく、学校や地域ぐるみの喫煙防止対策が必要なのは言うまで もない。さこに、従来の知識重視の教育だけでなく、周囲から喫煙を強要された場合に 拒否できるような技術の教育や、広告のイメージと商品の本質の違いを見極める教育な ども必要であるという意見が出された。以上です。  島尾座長  ありがとうございました。ただ今の2の防煙の問題についてはいかがでございましょ うか。  大河委員  事前に委員宛に送られてきたものと99%ぐらい同じようですが、微妙に違うところが どうもあるようですけれども、ちょっと事前の方で検討してまいりましたので、そちら の方で申し上げますと、まず、防煙の意味なのですが、例えば、1行目、「防煙の必要 性、特に、」云々かんぬんということで、「防煙対策は新たな喫煙者の発生を防ぐとい う意味で長期的にみても根本的な対策であり」という表現がございますけれども、ここ で未成年者の喫煙防止というのは非常に重要だという、それは確かに全員一致している と思います。  ですので、要するに防煙というのはそういう意味でやるのだということでいくと、最 初の「防煙の必要性、特に」というのがいらないのではないかと思いますし、「防煙対 策を新たな喫煙者の発生を防ぐ」という、これでいくと例えば、成人が吸いたいという ときも入ってしまいますから、やはりちょっと合意と違ってくるような感じがいたしま すので、ここの「防煙対策は」から「根本的な対策であり」までを削除していただいた 方がいいのではないかなと。  それから、ターミノロジーで大変恐縮ですけれども、「青少年」というところが随所 に出てまいりますけれども、「未成年者」の方が相応しいのではないかと思います。  それから、3行目に「広告・販売促進活動の法的規制、価格政策などの対策」これは 「広告・販売促進活動に関する各種対策」でいいのではないかと。次に、「強力に」と 書いてありますけれども、これはかなり情緒的でございまして、国毎にやり方はかなり 強弱違うわけですので、「強力に」は削除していただいた方がいいのではないかと。評 価は加えずに淡々とした記述の方がいいのではないかと思います。  それから、もとのでいくと「がんや虚血性心疾患など種々の疾患の危険性が高まるこ となどが示された。」これは確かに富永先生や五島先生が紹介されたと思いますが、 「という研究が紹介されたが、一方、そのデータの信憑性に疑問があるとの意見が出さ れた」という両論併記の方がいいのではないかと。  それから、私がこの未成年者喫煙防止で強調しましたのは、業界も一生懸命取り組み ますけれども、やはり社会全体でこの問題、取り組まないといけないという意味で、 「扱うべきであるという意見が出され、青少年の」云々とある、その「青少年」の前に 「未成年者の喫煙防止は社会全体で取り組むべき問題であるとともに」を挿入して、 「未成年者の喫煙の誘引はできるだけ排除すべき」と続けた方がよろしいのではないか と。  以下のたばこの広告・販売促進活動のあり方というところでは、概ねこういうことだ ったなとは思いますが、例えば、最後の方で「マナー広告でたばこは大人のものと強調 することが逆に」原文では青少年ですけれども、「青少年の喫煙を助長していることな どが指摘された」ということですが、これも意見として出されたということだと思いま すので、「とする意見が出された」のが相応しいのではないかと。それから、パラパラ とさきほど見ましたところ、今日、ご欠席の委員のご意見、川口委員の意見にもちょっ とあったと思いますが、たばこの自動販売機のあり方のところで「我が国ではたばこの 自動販売機は設置台数が50万台に達し」の、その次ですけれども、やはり小売店の方の 問題と消費者の方の利便性の問題もあると思いますので、次の言葉を挿入していただき たいと。「50万台に達し、これらは零細小売店等の重要な販売手段であるとともに、消 費者利便に資しているものであるが、一方、」と挿入して後の文章にまたつながると。  それから、そのちょっと2、3行下に「平成7年のたばこ行動計画を受けて」という 表現がございますけれども、これは確かに私が時系列的に紹介した部分でございまして 平成7年3月に「たばこ行動計画検討会報告書」が出ておりますし、小売りの組合が平 成8年4月から自販機の深夜稼働を自粛しておりますので、時系列的に言うとこういう ことなのですけれども、事実関係はやはり未成年者喫煙防止についてかねがね大蔵省の 指導もありまして、小売組合の大英断の中で行われたものでございますので、修文とし ては原文を生かすとすれば「平成7年たばこ行動計画を受けて」ではなくて、せいぜい 「も受けて」ではないかと思います。  それから、それの2行ぐらい後ですが、「深夜の稼働を停止しても青少年の喫煙防止 には効果が殆どないことが指摘された」というよりも、むしろ本当に効果があるかない かという意味では定量的にはっきりしていないと思いますし、意見としては出たと思い ますので、やはりとする「意見が出された」ではないかと思います。  それから、たばこの小売り価格のあり方のところですけれども、「我が国のたばこの 価格は国際的に見ても極めて安く」と書いてありますが、極めてというのもやはりかな り評価が入っておりますので、淡々とした記述であればやはり「極めて」は削除した方 がいいのではないかと。  それから、それの5行ぐらい後に「一方、たばこは酒類に比べて担税率が高いこと」 これは私が言ったところだと思いますけれども、その後に「税体系は各国の歴史的事情 等が異なることから、たばこ税だけに着目して国際比較することには問題があることな どから価格の問題は慎重に検討すべきであるという意見もあった」というふうにしてい ただければありがたいと。  それから、あと、その他とありますけれども、やはりこれは「その他」ではなくてむ しろ本当は一番に挙げてほしいぐらいですが、「社会全体の取り組み」としていただき たいと。業界だけでなく、さっきマイナーチェンジがありましたが、業界の取り組みだ けでなくですか、そうなっておりますけれども、家庭をぜひ入れていきたいと。「家庭 学校や地域ぐるみの」の次に「喫煙防止対策」ではなくて「未成年者の喫煙防止対策」 というふうに修文していただければありがたいと思います。  島尾座長  はい。柳田委員。  柳田委員  この防煙の何行目ですか、8行目ですか、十分な情報を与えられればの次、依存性が あることを別にすればという、この挿入句の意味はどういう意味なのでしょうか。  島尾座長  はい。事務局。どうぞ。  事務局(高原課長)  これはいわゆるたばこは吸いはじめるとなかなかやめにくい。毎回毎回、情報という ふうなものを判断して吸うというよりも、依存性が形成されれば習慣的に吸うというこ とでありまして、非常に開始時点、依存性が形成されてない場合には十分な情報を与え られれば是非を自己判断して選択することが可能であるが、依存性が形成された場合に なれば、自己判断をするというふうなのは弱くなるのではないかと、そういうふうな趣 旨で書いたものでございます。  柳田委員  よろしいですか。しかし、実際は例えば、喫煙は身体によくないと。だから、やめた いということでやめる人もいれば、自分で判断してそういうやめるためのそういうクリ ニックなり何なりに行く人もいるわけでして、どうも依存性があることを別にすればと いうこと、もうそれだったら絶対に判断の余地がないという意味に取れますので、ここ は文脈的にちょっとおかしいのではないかと思います。  島尾座長  内山委員、どうぞ。  内山委員  さきほどなるべくくだけた言葉だと申し上げましたね。依存性というのはいつも引っ 掛かるのですよ。依存性という言葉が出ますとね。これは「成人は一旦、吸いはじめる となかなかその習慣から抜けられない」ということですよ。要するに。  柳田委員  その表現ならおかしくないですよ。  内山委員  はい。なかなかその習慣から抜けにくいとは言いながら、喫煙の是非を自己判断して 選択することは可能であると。そういうことでしょう。  島尾座長  富永委員、どうぞ。  富永委員  防煙の2行目のところですね。大河委員から防煙対策を新たな喫煙者の発生を防ぐと いう意味でこの辺を削除した方がいいのではないかという意見が出されましたが、私は これは大変重要であると思います。防煙イコール未成年者の喫煙の防止ではないのです 喫煙対策は喫煙習慣が身につかないようにすること。吸いはじめてしまって習慣性にな ってからではやめたいと思ってもやめられないので、やめたいと思ってもやめられない 人に対する支援、それから非喫煙者の健康を守るの3点です。何回目かの検討会で申し 上げましたように、防煙というのは別に未成年者だけではなくて20歳以上の人が吸いは じめることもやはり防煙の一環でありまして、そのことはきちんと言ってありまして、 議事録にも書いてあります。ですから、この部分はこのまま残していただきたいと思い ます。  ついでのことながら、1のたばこの広告・販売促進活動のあり方。ここの部分の最後 の1、2行目のところでマナー広告でたばこは大人のものと強調することが逆に青少年 未成年者でもよろしいが、未成年者の喫煙を助長していることなどが指摘されました。  私は全くそう思います。最近はたばこ製品のコマーシャルは姿を消しましたが、それ に代わってマナー広告の形で出ておりまして、最初にマナーというよりも「たばこは大 人になってから」と言って、いかにも大人になったらたばこを吸ってもいいよというよ うなことを言った後で最後にちょろっとマナーのことが出るような形になっておりまし て、やはり良くないと思います。  ですから、最後の点は別にしましても、防煙というのは必ずしも未成年者の喫煙を防 止するという意味ではないということを指摘しておきたいと思います。  島尾座長  内山委員。どうぞ。  内山委員  大河委員から随分いろいろなご提言がありましたが、挿入句がかなりありましたけれ ども、ちょっと挿入句につきましてはだいたい全般的に言って私はその挿入の必要性を 認めません。  特に、挿入が新しく考え出された言葉であるのだったら、これはもう絶対に無理です よね。小売店の問題をここで考慮して、それを斟酌する文章まで入れろと言われると、 それはちょっと困るのでそこはできない。ですから、その意味でのということは無理で はないか。  ただ、大河委員がお話の中でご紹介いただいたお酒は2000年までに屋外の自動販売機 を自主的に撤廃する。これは川口委員のご意見で、これはたばこと関係ないから削れと いうご意見がきているようですが、ですけれども、これは報告されたと書いてあるから 問題なので、大河委員はお酒のことを報告されたわけではないです。撤廃することが紹 介されたということであれば、これはお酒とたばこというのは非常に密接な、感覚的に は非常に我々としては密接であるし、お酒の方でこういうことがあるということが紹介 されたことは目から鱗と言っては少し大げさかもしれませんが、大変おもしろかったの でぜひ載せておいてください。お願いしたいと思います。  島尾座長  大河委員、どうぞ。  大河委員  いくつかご異論が出たようですけれども、今、内山先生がおっしゃったことでいくと 実は、たばこ行動計画検討会のときも申し上げたのですが、やはりたばこの小売店の方 というのは非常に零細な方が非常に多くて、単に、しかも28万店もございますので、こ ういう健康とか未成年者喫煙防止という一方的な見地だけで書くよりはもうちょっと実 際の日本の社会の実情というものも認識しながら、こういう規制のあり方を考えていた だくという意味では私はぜひ、挿入をしていただきたいというふうに申し上げました。  それから、お酒のことは確かに私がお酒でどうかということで川口委員に水を向けた ときのことでございまして、ここは事実としてそういうお話が出たということで残るの は一向に構わないと思います。  さきほど富永先生が最初におっしゃったことですけれども、防煙の定義ですが、今回 防煙の定義、あまりないままにきてしまったものですから、私、今、先生から聞いてち ょっと意外だったのですけれども、例えば、行動計画検討会のときには防煙、分煙、あ とは禁煙サポート、節煙対策というのが最後にあがっていまして、ですから、既に喫煙 者となってる方の禁煙とか節煙というのは別の世界だったと思いますが、私の理解では 防煙というのは未成年者の喫煙防止という意味かなと思っていたものですから。防煙と いうものの定義なのですね。今回、そういう形で新たにされるのであれば、私としては 反対でございまして、要するに、未成年者の喫煙防止という意味で防煙対策をきちんと やっていくのだという意味であればやはりここは無理に入れなくてもいいのではないか と。どうしても残したいということであれば、例えば、「防煙対策は未成年者の喫煙を 防ぐという意味で長期的に見ても根本的な対策であり」ということであればよろしいか と思います。  島尾座長  仲村委員。  仲村委員  さきほどの富永先生の意見に私は賛成で、定義の問題、今、おっしゃったように定義 の問題もあると思うのですが、青少年、未成年だけ、たばこを吸わないよう、吸いはじ めないようにするということでは健康問題としては十分ではない。 むしろ女性をどこ か、妊娠可能なという意味のを入れてもいいかもしれませんが、近頃、ジェンダーがう るさいですからどういう言い方をするかはわかりませんが、もっと書き足すぐらいにし た方が私はいいのではないかという感じがございます。  それから、小売店が何10万とあるのも事実でしょうが、この意見はさっき櫻井委員も おっしゃったように一方的という言い方ではなく、健康に関してはすべてこういう必ず 触れるべきだということからすれば、産業対策で我々、これを考えているのではないと いうことで、今の大河委員の意見はちょっと賛成しかねると、こう思います。  櫻井委員  大河さんに聞きたいのだけれども、すぐに前の行動計画のことが出てくるのですけれ ども、そうすると大河さんの意見だと分煙があって、防煙があって、禁煙と節煙がある というと、前のときには成人の吸ってない人についての対策はしなかったというふうに おっしゃっているわけね。  大河委員  選択の自由であって。  櫻井委員  それに対しては選択の自由だからしなかったのですね。だけれども、吸っている人に は禁煙を勧める対策をやるけれども、吸ってない人には吸うなという対策はしないで、 一応、吸わせておいてから禁煙させるという対策をやったと、そういうことでおっしゃ っているわけですね。そういう理解をしたとしたらもの凄くおもしろいと思うけれど。  大河委員  成人の喫煙についてはそういう健康情報をちゃんと与えられていれば、それは嗜好品 でございますから選択の自由ではないかと思います。  櫻井委員  それが防煙対策でしょう。情報を与えるのが。  大河委員  いえ、違います。防煙対策というのは未成年者の喫煙をいかに防止するかということ ではないですか。  櫻井委員  では、成人の吸ってない人が吸うのを防ぐのは何対策というのですか。  大河委員  ですから、成人はそういう情報を見て禁煙したいと思うのもご自由ですし、喫煙をし たいというのも自由ではないかと。  櫻井委員  それはだから対策をしなくていいとおっしゃっている。対策はいらないと言っている のか、いると言っているのかをまず分けてもらいたい。  大河委員  対策は情報をちゃんと提供すればよろしいのではないかということです。  櫻井委員  それはおかしいのではないですか。情報を提供をするというのは防煙させるために情 報を提供するのだから。  島尾座長  正確な表現は覚えてないのだけれども、行動計画のときには確か防煙は未成年者、並 びに妊娠可能な女性というのが入っていたと思うのですけれども。  事務局(望月専門官)  主として未成年者。  島尾座長  それは入っていたと思うのですよ。やはり妊娠可能な女性が今さら吸っていてやめさ せるのは大変だと。だから、なるべく防止したいという形で、ですから、枠は未成年は 中心であるけれども、それだけには留まっていなかったというように理解しているので すけれども。  櫻井委員  では、今、ここでこの委員会では防煙は何をすることだということを皆さんで決めた らどうですか。もし、どうしても大河さんが前にこだわるなら、防煙というのは吸って ない人がたばこを吸うのを防ぐことで、それは未成年者、成人に関わりないということ を皆で確認したらどうでしょう。  島尾座長  はい。大河委員。  大河委員  防煙の意味は島尾座長がおっしゃったとおりだと思います。そういう定義を前にして いたと。それは正しいと思いますが、要は、今まで妊婦の喫煙は好ましいとは思いませ んけれども、そういう議論がなかったものですから、私は未成年者の喫煙防止を防煙と 五島先生も盛んに未成年者の対策を強調されていたわけですから、それで十分ではない かという意味でございます。  内山委員  あまり時間、経ちますから、これ座長、おまとめになるときに防煙の定義の点につい ては今日の議論でおまとめいただければ。というのは、前はこうだったけれども、未成 年者、成人に関わらず新しくたばこを吸うことを防ぐのは防煙ではないかという意見が 多かったと書くと、また、どれだけ多かったのかと言われますけれども、その辺のとこ ろはお任せしますが。  島尾座長  他に防煙の部分、ございますでしょうか。では、続いて3番の分煙の問題について事 務局、読んでください。  事務局(望月専門官) 3、分煙  分煙の必要性については全委員が一致した。分煙は受動喫煙の害から非喫煙者の健康 を守るための緊急の課題であり、世界保健機構(WHO)も早期から勧告しているとこ ろであり、諸外国でも公共の場所や職場における喫煙の法的規制が進められている。  自己責任において喫煙する場合でも、他者へ危害を与ないことが大原則であり、環境 中たばこ煙(ETS)に対して環境基準と同様の危険性管理の考え方を導入すべきであ るという意見が出された。既に、厚生省や労働省により公共の場所や職場における喫煙 の制限に関する指針が出され、一部企業においては完全禁煙職場が実現しているが、全 国的には実効性を伴っていないことなどが指摘され、特に、厚生省自らが職場の分煙・ 禁煙を積極的に推進すべきであるという意見が出された。分煙環境の実現は、非喫煙者 だけでなく喫煙者にとっても好ましいことであるとされ、今後、分煙を推進するために 以下の事項が検討された。  1喫煙者のマナー教育・条例制定  吸い殻の投げ捨てや歩行中の喫煙など、喫煙者のマナーの悪さは喫煙の他者への危害 (受動喫煙の害や小児の火傷等)に対する認識の不足があるためであり、吸い殻の投げ 捨てだけでなく、人混みの中での喫煙や吸わない人(特に小児や妊婦)の周囲での喫煙 についても喫煙者自らが慎むべきであるとして、業界がマナー教育を強化すべきである という意見が出された。また、自治体における罰則規定を盛り込んだ条例など法的な措 置を採用すべきであるという意見が出されたが、一方で、世論の動向や取り締まる側の 意向などを考慮した上で慎重に決めるべきであるという意見も出された。  2分煙の効果を判定できる客観的基準の設定  公共の場所や職場における仕切りや席の分離、空気清浄機の設置など、現在行われて いる「目で見える」分煙の手段が、当初期待された非喫煙者の健康を守るという目的を 達成するのに十分である否かを検証する必要があるという意見が出された。そのために は、現在用いられている粉塵濃度や一酸化炭素濃度では不十分であり、発がん物質や有 害物質などを測定・評価できる客観的な指標の開発、および基準の設定が必要であると いう意見が出された。  3分煙のコスト負担  分煙が進まない要因の一つとして、分煙に関わる施設・設備の整備コストの負担者が 明確でないことが指摘され、原因者負担の原則により、たばこ税や価格により最終的に たばこ事業者や喫煙者に転嫁すべきであるという意見が出された。  島尾座長  分煙の問題についてはいかがでしょうか。  大河委員  分煙の必要性は皆さん、コンセンサス、もちろんあったと思いますが、いくつかの修 文の意見がございまして、例えば、分煙のところの最初の行ですが、これはさきほど櫻 井委員から反対のご意見もございましたけれども、「受動喫煙の害から非喫煙者の健康 を守る」というところは「非喫煙者の影響を排除する」の方がいいのではないかと。  その3行ぐらい後に「他者へ危害を与えない」というところも、「他者への影響に配 慮する」の方がいいのではないかと。一旦、そこの大原則という表現を使うのであれば そこで一旦、「大原則である。」ということで、ここまで合意事項ということで切って いただいて、それ以降はいろいろな意見が出されたというのが出てきますので、「危険 性管理の考え方を導入すべきであるという意見が出された」の次に「一方、受動喫煙の 健康影響は未だ明らかでないとの意見が出された。」両論併記で私が申し上げたのはそ ういうことでございます。これはさきほど言ったようなIARCの報告などもありとい う理由でございますが。  それから、喫煙者のマナー教育、条例制定のところですが、ここもやはり「他者の危 害(受動喫煙の害や小児の火傷等)」とございますけれども、ここも「他者への影響」 としていただきたいと。  「業界がマナー教育を強化すべきである」という意見、あったかと思いますけれども 「業界もマナー向上啓発に取り組んでいるものの、それを一層強化すべきである」とい うことで、私どもの努力も一応入れていただければありがたいと。それから、次の分煙 の効果を判定できる客観的基準の設定というところですが、やはり「非喫煙者の健康を 守る」という表現がありますが、「非喫煙者への影響を排除する」という表現の方が相 応しいのではないか。  それから、分煙のコスト負担のところですが、確かにこういうご意見、いろいろ出て いたと思いますけれども、汚染者負担的な発想ももちろんあるかとは思いますが、まず 基本的には一番最初にちょっと挿入していただきたいと思うのは、「喫煙場所の規制に ついては各々の施設管理者により自主的に措置されることが望ましいとの意見も出され たが」と、これは私が最初に明確に申し上げたと思います。そういう挿入をしていただ ければありがたいということです。  島尾座長  幸田委員、どうぞ。  幸田委員  今、最後に言われましたコスト負担の問題ですが、それぞれの施設管理者が考えると いうのはやはりおかしいので、分煙をやるということは害か影響かという問題はあるに しても、何らかの影響があるので分煙はということで大河委員も意見は一致されたわけ ですから、そういう前提に立つとすればそれはやはり分煙をせざるを得ないようなこと を作りだしている人が負担するというのはもう今の近代社会では当然のことではないだ ろうかと。企業が負担する問題ではなしに、むしろ私はそういう意味で分煙のコスト負 担のところに原因者負担ということだけではなしに、製造物責任、あるいは喫煙者とい う意味では発生者の発生者主義と、こういう言葉を加えていただきたいと思います。  大河委員  今の幸田委員からの反論がございましたけれども、現実に日本のレストランとかホテ ルであるとか、駅であるとか、いろいろな公共の場所の分煙の実態をよくご覧になって いただければおわかりだと思いますが、これはまず、施設を管理している方がそこを全 面禁煙にするか、あるいは分煙施設を導入していわゆる空間分煙的なものにするか、あ るいはいわゆる禁煙時間帯を設けてそういう時間的な分煙をするか、あるいは全く好き 勝手にしておくかというようなことで実際に日本の実態は施設管理者がかなり十分な裁 量でやっているところがございますので、それを放置していいという意味では必ずしも ありませんが、では、どうしたらいいかということであれば、基本的にはそういう施設 の管理者がいろいろな分煙の選択肢があるわけです。選択の幅のある分煙対策をどうし たらいいかということで、それは厚生省としても、あるいは保健所を使ってもいいと思 いますが、そういう分煙のいろいろなガイドラインであるとか、そのときに分煙のため のいろいろな設備機器の紹介も入っていいと思いますけれども、そういう形でもっと分 煙を促進するということがあってもいいのではないかという趣旨で、私は申し上げまし た。  島尾座長  幸田委員、どうぞ。  幸田委員  あまり議論するつもりはありませんが、やはり今、分煙が進んでいないからもっと分 煙を進めるためにはどうしたらいいかということがこの検討会のテーマになっているわ けですから、現状是認で現状の上でということを私、申し上げているつもりはないので かなり吸う方を漸減させるかということは別として、そのためにどうしたらいいかとい うのがこのコスト負担の問題ですから、そういう意味でさきほど申し上げたようなこと をぜひ織り込んでいただきたいと思います。 大河委員のご説明ですと、現状のままで いいと、こういうことになりかねないという危惧を私は持ちます。  島尾座長  内山委員、どうぞ。  内山委員  危害か影響かというところが度々出てまいりますが、私は影響というのはこれはちょ っと屁理屈めいていますけれども、いい影響もあれば悪い影響もあるので、影響という 言葉はこれは隠れ蓑だろうと思います。  ですから、これは全般的な問題のところでも人体に危害を与える可能性、これは可能 性の問題なのですが、これは何の可能性かと言えば危害を与える可能性のことを今、論 議しているのであって、あくまでも影響排除ではなくて他者への危害を与えないこと、 これが大原則であるというふうに思います。  島尾座長  柳田委員、どうぞ。  柳田委員  文章の意味なのですけれども、コスト負担のところでたばこ税や価格によりと、これ 何か言葉が少し足らないのではないですかね。価格を変えることですか。どういう意味 なのでしょうか。値上げによりですか。では、たばこ税や値上げによりですね。  島尾座長  だいぶ時間も迫ってまいりましたので、よろしければ次の情報公開に入っていきたい と思います。あと時間が残れば元に戻ります。  事務局(望月専門官) 4、情報公開  たばこについての情報公開とは、たばこについて「知らない」(正しい情報を持って いない)人が判断するための情報を、産業あるいは行政が国民(消費者)に提供すると いう趣旨であり、たばこについて判断するためには、たばこ製品そのものに関する情報 やたばこの危険性に関する情報が提供されるべきである。  1提供すべき情報  1)たばこ包装や広告における表示  表示は消費者に対する最も直接的な情報提供の手段であるが、我が国の注意表示はた ばこ事業法で規定されており、文言はたばこ事業法施行規則で定められている。現行の 表現は抽象的で曖昧な表現であり、肺がんなど具体的な疾患になる危険性の上昇や死亡 する可能性、依存性がありやめたくてもやめ難いことなどを含む文言にすべきであると いう意見が出された。また、外国のたばこ会社が日本で販売する製品に、本国のように 発がん性や依存性について述べた警告文言を記載しようとした場合に、たばこ事業法施 行規則で定められた文言以外に認められないとしたら問題であるという意見が出された  たばこ製品に関する情報としては、我が国ではタールとニコチンについてたばこ1本 あたりの主流煙中の含量として表示され、消費者の選択の目安となっているという意見 があったが、30年以上前に設定された国際的な標準喫煙条件(1分間に1回、主流煙を 35 吸入)での測定数値であり、実際の喫煙者の喫煙様式とは異なることから、タール やニコチンの実際の摂取量とは乖離していること、重量で主流煙の90%以上を占めるガ ス相に含まれる有害成分が表示されないことなどが問題であるとの意見が出された。  2)たばこ製品に含まれる添加物  我が国でも約600 種の添加物がたばこ製品に使用されており、添加物の安全性の確認 はたばこ産業自身によって行われている。じかし、安全性評価の方法の開示と、欧米の ような添加物リストの作成と公開が必要であるとされた。  2たばこの危険性に関する情報収集・提供体制  厚生省は、喫煙と健康問題に関する報告書(いわゆる「たばこ白書」)を既に2回刊 行するなど、従来よりたばこの危険性に関する情報提供に努めてきたところである。し かしながら、世の中には広告やメディアなどを通じて、たばこに対して良いイメージを 持つような情報の方がはるかに多く出されているという指摘がされた。今後は正しい情 報を国民に分かり易く提供する必要があり、厚生省をはじめとしてたばこに関する情報 提供体制の整備が望まれた。  3その他  危険性だけでなく効用についても行政が提供すべきであるとの意見も出されたが、仮 にそのような効用があったとしても、たばこの危険性は全体として効用よりもはるかに 大きいことから、吸わない人に喫煙を勧めることは容認できないという意見が出された  島尾座長  情報の公開、提供というようなことがどうだという意見も出されておりますが、他に 何かございますですか。はい。柳田委員。  柳田委員  5頁目の頭のところ、国際的な標準喫煙条件になぜ、30年以上も前に設定されたとい う言葉が入るのか。何となくニュアンスが、それは古くてあまり信用ならないというよ うなことを言いたいために入れているような感じがするのですが。 標準喫煙条件とい うのはどのような方法でやっても、これはたばこ側の相対的な値を見るためのそういう 測定値でありまして、実際の喫煙様式というのは個人個人全部違います。浅く吸う人、 深く吸う人、強く吸う人、弱く吸う人。それを機械で全部再現できるとは思いません。 そして、結論が実際の摂取量とは乖離していると。だけど、どのような装置でやっても 個人個人の実際の摂取量とは違いますので、測定方法のせいにする議論は少しおかしい と思います。  島尾座長  他に。  幸田委員  4頁の下から5行目ぐらいの外国のたばこ会社が日本で販売する場合の表示の問題は 認められないとしたらという仮定で書いてありますけれども、これは事実問題としてむ しろ事務当局の方で確認をしていただければはっきりすることと思いますから、確認を していただいて、その確認に従って、もし、こうであればしたらというような表現では なしに、認められていないのはとか、そういう表現に改めていただきたいと思います。  これは何かここの確かにそういう意見が出たことは、確か松本先生だったと思います が、これは事実問題でありますから事務当局で確認をして、それに基づいて表現をされ た方がいいのではないかと思います。これは実際問題としていかがなのでしょう。  事務局(望月専門官)  大蔵省の施行規則では健康のため吸いすぎに注意のあの文言を消去、または変更して はならないというふうに記載してあります。ですので、その範囲です。  幸田委員  ということは結局、文言以外は認められないということでいいのですかね。大蔵省に 確認をしていただければいいと思いますが、としたらということは省いていただきたい と思いますが。  櫻井委員  言葉の問題で、これはさっき大河さんがおっしゃったことだけれども、情報の公開で はなくて提供の方がいいと思います。それだけです。  内山委員  今の大蔵省に確認する件ですが、これはひとつの新しい問題、ここで今日の議論とし て非常に興味のあるテーマだなという気がするのですが、要するに、こういう注意表示 というのはもともと何か目的がなければ注意表示なんていうのはしないわけですね。本 来、大蔵省と言えどもと言っては失礼ですが、大蔵省がこういう注意表示をしたのはや はり健康危害防止のために表示をするということだろうと思うのですね。変更または消 してはいけないということは、「書かなければいけない」という意味でやっているわけ ですね。  したがって、健康に対する悪影響をはっきりと消費者に示すためにこれだけのことは 書きなさいという意味でつけた表示が、今やもっとはっきりわかっているという主張も 通らない、もっと書きたいというのに書いてはいけないという逆の効果を表す注意表示 になってしまったという事実だということ。今までもそういう議論がありましたが、そ のことが今日のアペンディックスのご意見の中に国の法律があるのだからしょうがない と書いてありますけれども、これはやはり国の法律があるからしょうがないというのだ ったら何もかにも始まらないので、それはかなりの矛盾を含んでいるというような意味 で表現された方がいいという気がいたします。その点につきましてはです。  はっきり言えば、こういう法律を変えた方がいいではないかとか、あるいはたばこ事 業法でやるのではなくて公衆衛生上の問題として取り扱った方がいいのではないかとか というような意見になろうかと思います。  さきほど柳田委員の言われた、ここのところは確かに柳田先生のおっしゃるとりで、 ただし、タールとニコチンのことが1mgだか2mgだとか書いている、消費者の選択の目 安となっている意見があったが、その後はここに書いてある2行ではなくて、要するに それが何もたばこの健康影響と何ら関係がないような感じだと。健康影響と関係のある 数字であるかどうかということについてはどういう意見があったのか、私、確か休んで いるときではないかなと思いますから、その辺のことをお書きになった方が、この数字 が何か意味があるというふうに大河委員からご説明があったのではないかと思いますけ れども、その辺のところを書かれた方がむしろいいのではないかなと思います。昔のや り方でやってるから数字がおかしいと、そういうことではなくてですね。 櫻井委員  カットしちゃった方がいいのではないですか。単にタールやニコチンと乖離している ことだけ言えば。  内山委員  実際の有害物の摂取量とは乖離しているということは事実なのでしょうね。おそらく  櫻井委員  それだけ言えばいいのではないですか。  内山委員  ただ、タールやニコチンの量がわかれば、それが少なければ健康への悪い影響が少な いと言えるのでしょうか。それがよくわかりません。他にたくさん成分があるのにター ルやニコチンだけの量で判断するというのは少し片手落ちではないかなと私自身は思い ます。  島尾座長  他に。はい。大河委員。  大河委員  今、標準喫煙条件の話が出ましたのでちょっとそこから話をしたいと思いますが、こ こは私が説明させていただきましたので責任はあると思いますけれども、要は、何かた ばこを吸ったときの煙の中の成分を比較するときに物差しがいるわけでございまして、 ですから、何か最初に標準の条件をセットしないと比較ができないわけでございまして 当初から実際の喫煙態様とは若干乖離しておったわけでございまして、ですからこれが あるために非常に古いたばこと今のたばこがどのぐらい成分が違うのだという比較がで きるわけでございます。  例えば、環境ホルモンで今、問題になっていますけれども、精子数が減少すると。そ うすると、では、精子数をどうやって測定するのかと。これやはり標準的な測定方法が なければできないわけでございまして、あくまでそういうことを固定して標準法でセッ トしているものですから、いろいろな銘柄の比較ができるという、そういう性格のもの でございます。世界的にもこれは非常に普及している方法で、これがあるためにいろい ろな世界的な銘柄の比較もできるということでございます。  私自身、実はここの「情報公開」というか、さきほど櫻井先生の方からの公開ではな くて提供の方がいいと言っていただいたので、私自身はまさに今までの議論を踏まえて もやはり「提供」の方がいいと思いますが、その後ろのところですけれども、確かに前 回の事務局の資料で「知らない」(正しい情報を持っていない)こういう表現の資料が ありました。ありましたが、要は、厚生省としての過去に2回「たばこ白書」を公表し ておるわけですし、新聞にもういっぱい喫煙と健康の情報は出ているわけでございます  古くからは貝原益軒からもあるかもしれませんが、そういう意味でこの情報提供は非 常に重要だと思いますけれども、「知らない」(正しい情報を持っていない)という表 現はない方がいいのではないかということで、ここちょっと修文すると、「たばこにつ いての情報提供はたばこについて国民(消費者)が判断するための」情報もこの間、柳 田先生もおっしゃいましたが、やはり客観性が重要だと思いますので、「客観的情報を 産業あるいは行政が提供するという趣旨であり」と。  「たばこについて判断するためにはたばこ製品そのものに関する情報や、」の次はな かなかご賛同を得られませんけれども、私は一番世界的に普及している「喫煙と健康に 関する情報が提供されるべきである」というふうにしていただきたいと思います。  それから、提供すべき情報のところで、これは何々という意見が出されたという式に 書かれていますので、ここに書いてあることはなかなか必ずしも承服できないのですが 止むを得ないかなと。ただし、もし、こういうふうに意見が出されたと書かれるのであ れば、私も説明したときにちょっと申し上げましたが、以下の表現を挿入していただき たいと。  即ち、「問題であると意見が出された。」の次に、「一方、現行注意文言は医学的に も妥当であり、加えてタール、ニコチン量の表示もなされていることから客観的である との意見も出された。」これはご賛同は得られないと思いますが、私は委員として意見 は申し上げました。  それから、その後の次のところ、さきほど標準喫煙条件のちょっと後のところで「95 %」というふうに事前にいただいていたら、今日、「90%以上」になっていましてマイ ナーチェンジが既になされているのですが、私は92%と説明しましたので90%以上なら 概ね妥当だと思いますが、問題は「占めるガス相」これは私が説明したとおり、大部分 は煙を引いてきますのでガス相としては空気中の成分が一緒に混入してまいりまして大 部分は窒素ガスなのですね。ところが富永先生もおっしゃったような一酸化炭素等の問 題の成分もあるということなので、私の希望としてはこの「有害」という表現は取って いただきたいということです。  それから、たばこ製品に含まれる添加物のところですが、しかし以下のところですが 「安全性の評価の方法の開示」云々かんぬんという、これはここでこういう「必要であ るとされた」というような議論はなかったと思いますので、今までの書き方でいけば私 が説明したのは「添加物の国際的対応状況について紹介された」ということぐらいでは ないかなと思います。  それから、その後の「たばこの危険性」に関するというところは「喫煙と健康」にし ていただきたいと思います。「しかしながら、世の中には広告やメディアなどを通じて たばこに対して良いイメージを持つような情報の方がはるかに多く出されている」とい う、こういうことでございますが、確かにこういうご意見はあったと思いますが、「指 摘された」というよりはやはり「意見が出された」と。これはなかなか定量的にこうい うのを測るのは難しいはずですから、意見が出されたということだと思います。  「今後は正しい情報を」というのは、今までは全く厚生省がやってきたことは駄目か ということでもないと思いますので、今まで全くやっていないという雰囲気ではない方 がいいと思いますが、今後はのところは「今後も客観的情報を国民に広くわかりやす く」の方がいいかなと。  それから、さきほど富永先生もちょっとご紹介されましたけれども、今、文部省と厚 生省が新たな疫学調査をかなりの規模でなさっているということでございますので、た ばこに関する情報提供体制の前にぜひ入れていただきたいのは、「新たな疫学調査の結 果も踏まえた」というような表現があった方がいいのではないかと思います。  それから、その他のところにまた「危険性」というのが2か所出てきますが、せいぜ い、確かにこういうご意見あったのかもしれませんが、「健康影響」にしていただきた いと思います。  島尾座長  他にございますでしょうか。それでは最後の5番、今後の課題と。  事務局(望月専門官) 5、今後の課題  今後の課題としては、たばこが国民の健康に関わる側面が大きいにも関わらず、健康 に関わる注意表示などがたばこ事業法という業法に規定されているのみであることが問 題であり、業法とは別個の公衆衛生上の法整備も視野に入れた対策を行うべきであると いう意見が出された。  このような健康問題としての観点からのたばこ行政のあり方や表示や価格、成分など 国内と国外での販売において二重標準の疑いのある多国籍企業の活動に関わる問題など については、今回、十分な議論を進められなかったので、別途、検討すべきである。  島尾座長  この最後の文についてはいかがでございましょうか。  大河委員  よろしいですか。  島尾座長  はい。大河委員。どうぞ。  大河委員  確かにたばこ事業法の問題点は幸田先生、おっしゃられたと思いますけれども、今後 の課題というような形でここに挙げるのが相応しいのかどうかというのはちょっとあり まして、やはり健康の問題、非常に重要だと思いますけれども、たばこというのは嗜好 品でございますから、社会との関わりというのも当然あると思いますので、ちょっと今 後の課題ということで非常に今後、重くのしかかるような表現になっておりますが、や はりさらっと書く方法はないかなと。  つまり「以上のように主要な論点を整理することに重点を置いたが、今後、関係各方 面によって一層の検討が望まれるところである」とか、そのぐらいのさらっとした書き 方の方がいいのではないかと思うのは、ちょっと今日、改めて見たのは事前に配付され てきた資料では、「たばこ行政のあり方や多国籍企業の活動に関わる問題」という表現 だったのですが、そこに挿入されておりまして「表示や価格、成分など、国内と国外で の販売において二重標準の疑いのある多国籍企業」というふうに修文が既になされてお るのですが、こういったことについて、その資料がふるっているのは「今回十分な議論 が進められなかった」ということなのですが、ただ、今後の課題のところにこういうふ うに議論がされなかったといって一方的な表現をするのはちょっと論外ではないかなと いうふうに思います。 島尾座長  他に何かございますか。はい。幸田委員、どうぞ。  幸田委員  今のお話でございますけれども、冒頭申し上げましたように中間報告というぐらいの 題目がついていることでございますから、やはり随分積み残して今後やらなければいけ ない課題というのが相当あると。その中で特記したのが私はこの2つと言いますか、公 衆衛生上の法整備ということ、それから、たばこ行政の健康問題としてのあり方や多国 籍企業の問題。これはこの検討会では十分な議論ができなかったわけですが、非常に重 要な問題だと私は思っています。  そういう意味でやはり今後の課題ということで、これはぜひ、取り上げていただきた い。そうでないと今まで何回か時間を重ねて回を重ねて議論をしてこういう意見が出さ れた、こういう指摘があったということに留まるというのでは何のためにやっているの かなというのが私は実際の感触でございまして、やはりこれから重点的に検討を引き続 いてしていただきたいと私は思いますのはやはりこの2つの問題だと思いますので、ぜ ひ、これ残しておいていただきたいと思います。  島尾座長  はい。内山委員。どうぞ。  内山委員  おそらくこれは今、幸田委員が言われたように座長がいろいろ積み残しの中で最も重 要と思われる、あるいは最も我々が矛盾だと思う、あるいは最も手が届きそうもないけ れども、ぜひ、それこそ各方面のご理解を得てやらなければならないことだということ で拾われたのだと思います。  私自身に言わせればもっともっとここに書きたいわけです。今後の課題としてまだま だやっていただきたいこと、たくさんあるのに、それをぐっと我慢しているわけですか ら、今後の課題をあまり長くたくさん書くというのも必ずしもいいことではないと思い ますが、もし、これを少し柔らかくするならもっともっと私としては逆に今後の課題を うんと盛り込んでいただきたいというふうに思われます。  これは議事録を見ていただければたくさんまだまだ話をしている、お話をしているこ とがあるはずですから。しかし、重点的にお書きいただくということでよろしいかと思 います。  島尾座長  富永委員、どうぞ。  富永委員  今後の課題の中で私はやはり一番重要と思われる部分は、業法とは別個の公衆衛生上 の法整備です。例えば、たばこ製造工程で添加される添加物、あるいはたばこ煙、特に 主流煙の含まれているガス相の成分にしましても、窒素酸化物、あるいは一酸化炭素な どのいろいろ有害物質の濃度はこういう法律の下で公表を義務づける必要があります。 自主的な情報提供を待っていては業界は決して不利な情報を提供しないと思います。こ のような法整備できちんとやらないと実際の効果はないと思います。  島尾座長  野中委員、どうぞ。  野中委員  今後の課題というところだけではなくて全体を通してのことでもよろしいですか。今 日、ずっと伺ってきてもう時間もないのですが、本当に何のための報告書なのかなとい うことを考えながら自分なりに整理をしてみました。  主に、これは手続き上のプロセスとして文言へのこだわりという形でチェックを入れ てきたわけですけれども、もちろん何のためと言えば、今まで我々が使ってきた時間の 中での討議を整理して報告する報告書であると。それはわかっているのですが、この文 言へのこだわり方を何を目的としてこの委員はこだわってらっしゃるのだろうという形 で考えますと、例えば、たばこの受動喫煙の害を影響にした方がいいとか、それは主に 大河委員が身体を張っての論陣、素晴らしく、各項目において本当にどれだけここにエ ネルギーをお使いになっていらしたのだろうということは本当に敬服いたします。  でも、これは考えてみるとたばこを売って、それでお給料を貰って家族を養っている 大河委員の立場としては本当にこれは成すべき使命であるのであるから当然であるとい うわけで、これは上司がここに傍聴席にお座りになっていたらプロモーションの対象で これは本当に素晴らしいと思うのです。  ただ、それが日本全体が我々の委員会に期待しているというような形で考えてみます と、それこそ日本全体の社会に与える影響を考えるときに、それが害になってしまって はいけないというふうに私は思いました。  大河委員が中心として論陣を張られた部分は、平たく言えばたばこというのはそんな に悪いものではないのだよという形で、オッズのプレゼンテーションがあったり、ある いはその科学者よりもこっちの科学者だと、こういうデータがあるということ。科学の 世界でデータがすべてというところがございますから、異なったデータがあるから、そ れをプレゼンテーションなさったというわけです。  それを私はどういうふうに受け止めたらいいのだろうというふうに考えました。そう しますと私も含めて一般の市民というのは、その科学的論拠を判断できる能力はないわ けです。それで例えば、経験則に鑑みて、私たちにとっては薬物との付き合いというの があります。それがHIVをめぐる薬害の記憶、新しいわけですけれども、あるいはト リクロロエチレンであれ、何であれ、私たちが今まで日本国の中で疑わしいものに対し て市民がどういうふうなところにおかれていたかということを考えると、どうしても政 治やお役所は企業サイド、資金提供サイド、資金力があるというところのサイドにかな り軸足があったのではないかという印象があります。これはオーバーオール。  どうしても日本のお役所というのはそれに対して対処が遅いという、これは私個人の 印象かもしれませんが、トータルな国民の印象として、では何に比べて遅いのかという と、情報公開、あるいはパブリックサーバントとしての官や行政の役割というものの自 覚が歴史として長い国、例えば、アメリカであれ、どこであれ、そういうところではと うにそんなことは言われていたよと。とうにそんな情報公開の法律は整備されていたよ という国がこの小さな地球の上では日本以外にいくつもあるわけです。  私たちは害が出ていろいろなことで法整備が遅れて対処が遅れて、犠牲が出る。それ ではじめて、まあ、かの国ではそんなこと、もうとっくに言われていたのねと後追いで 学習するという経験には、ことかきません。  その経験則からこのたばこという問題を考えると、はっきり言えば国としてたばこに 口を出すなよという意見と、いやいや、国としてたばこに対してもっと積極的に対処し ていこうよという、この2つが大きなポイントになってくる。翻って、この報告書を見 ますと、大河委員の表現を使わせていただければ、もっとあっさりとさっぱりとした表 現で両論併記というようなご意見がありました。私はそれは我々のこれまでの6回、7 回に渡るものを活字メディアにまとめるときには必要な考え方だと思います。でも、野 中は何回か参加させていただいて、そして、私が委員として名を連ねた委員会がどうに でも読みとれるような、「害」を「影響」と直してさらりとしてさっぱりとしてとても 大人びて誰に対して何を言っているのだかよくわからないという報告書を出された委員 会にいたことを私は恥ずかしいというふうに思う。個人的な意見です。  地球の中の健康や保健を司っているWHOの事務総長が新しくなりました。ブラント ラント元ノルウェー首相の女性の方ですけれども、彼女が就任の演説ではっきりと「私 はたばこは人殺しであると考える」と。これは5月何日かの『ジャパン・タイムス』で 私は読んだのですけれども、そういう表現を使っていらっしゃいました。  7月21日から彼女は業務に具体的におつきになると思います。  私はそういう流れの中でこの委員会がこういう報告書しか出せなかったということに 対して大変本当に、前も申し上げましたけれどもとてもイライラしてきまして本当にた ばこが吸いたくなりました。ですから、分煙効果ではなくて有煙効果を一人増やしたと いうか、この委員会に参加したことで私はひょっとして帰りにセーラムのちょっとニコ チンが少ないと言われているのを買ってしまうのではないかという衝動にもかられたぐ らいです。  ですから、今後の課題というところには、一方でこういう報告書ではとてもイライラ して、早く腰を上げて具体的にもう少し国としてたばこに対して積極的に取り上げて対 処する方法を作ってほしいという委員の意見が、指摘ではなくて意見が出されたという ようなこともどこかに記述していただければ幸せだと思います。ごめんなさい。長くな りましたが私の意見です。  島尾座長  はい。どうもありがとうございました。本日の2時間に渡るご討議、これをどうまと めるか、また大変な責任を背負われて頭の痛いところで、こちらも血圧がだいぶ上がり そうな状況になってまいっておりますが、いずれにせよ、本日もう時間になっておりま すので、これで本日の討議は終了させていただいて、今日の結果をどの程度、どうせ全 員から同じように満足いただけるような結論にはなりっこないと思うのですけれども、 同じような不満を持っていただく程度の結論に何とかまとめあげて次回の会合の前にお 諮りし、そしてできればこの次に報告をまとめるというようなことにさせていただきた いと思いますが、今後の仕組みについての事務局から最後にお願いいたします。  事務局(高原課長)  実は、7月のスケジュールを調整させていただいているところでございますが、どの 日を取りましても6、7名の委員しかお集まりになれないというふうな状況でございま す。できるだけ次回の日程を早急に決めたいと思っておりますが、本日の時点では過半 数の委員がご参集可能な日程を特定できませんので、後ほどご連絡いたします。  それから、ちょっと誠に事務局が出すぎて申し訳ございませんが、IARCのETS に関する環境中のたばこ煙の影響について繰り返し大河委員よりご指摘がございました それでこのオッズ比が1.16、中間値を取れば環境たばこ煙にあっている人の方が16%程 度、危険率が高いというふうな点については大河委員おっしゃったとおりでございます し、この曝露中止後、肺がんのリスクの減少が有意ではなかったということも事実でご ざいます。  私どももそういうふうに確認しておりますが、IARC、もしくはWHOはこれはや はり信頼限界が0.93から1.44ということでございますが、この16%、もしくは職場にお けるオッズ比の17%というのは、これは従来の考え方を訂正すると。つまり環境中たば こ煙については発がんを促進するというものを訂正するというふうな理解はされておら ないようでございます。  それから、用法、容量反応関係と申しまして、いっぱい吸った人ほど、余計反応する という、これはひとつの因果関係があるというふうなものの証左とされておることでご ざいますが、これもあったということも言っております。  WHO、並びにIARCのこの研究に対します公式の表明はやはり受動喫煙は肺がん を増加させるというものでございまして、これは既にお配りいたしましたが、1998年3 月9日付のWHO本部のプレスリリースによって公表されております。このデータをど う解釈するかというふうな問題とIARC、並びにWHOという機関がどのように理解 しておるかというふうなところにつきまして誤解のないように敢えてちょっと付言させ ていただきました。  島尾座長  はい。大河委員、何かあるのですか。  大河委員  私が発言するとイライラさせるようですから、今の点に関しては再反論は本当はあり ますが、今日はいたしません。要は、次回の事前に報告書案を委員宛に送っていただけ ると大変ありがたいということと、私、今日、いろいろ細かいことも指摘しましたので 一応、私の修文案は座長のところへ置いてまいりますので、ぜひ、よろしくお願いした いと思います。  島尾座長  どうもありがとうございました。それでは時間になりましたので、本日の検討会を終 わりといたしたいと思います。どうもありがとうございました。              (閉会・17時10分)  問い合わせ先   厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課 望月,大石   電話:03-3503-1711 内線(2397,2394)