98/06/09 第6回 21世紀のたばこ対策検討会 第6回 21世紀のたばこ対策検討会 日時:平成10年6月9日(火)    10:00〜12:00 場所:ダイヤモンド・ホール 出席委員(敬称略):  大河喜彦  川口順子  幸田正孝 櫻井秀也  島尾忠男  富永祐民  仲村英一  野中ともよ 坂東眞理子  ビル・トッテン  松本恒雄  矢崎義雄  柳田知司  山崎正和 (開会:10時0分)  島尾座長  それでは定刻となりましたので、ただ今から第6回の「21世紀のたばこ対策検討 会」を開催いたします。議題に入ります前に、事務局から本日の出欠、並びに資料の説 明をお願いいたします。  事務局(高原)  本日は委員総数17名中、出席のお返事をいただいている委員が14名でございます。内 山委員、五島委員、水野委員は所用によりご欠席でございます。坂東委員は若干、遅れ てご到着というふうにご連絡をいただいております。  本日の資料でございますが、1に審議用メモといたしまして予定されております情報 提供、情報開示につきましての審議用メモを資料1として出しております。資料2とし て大河委員よりいただきました、たばこ煙中成分に関しました資料が資料2として出て おります。それから、参考といたしまして、これは情報公開に関しまして情報の内容と いうふうなものに関します事務局の方で取りまとめたものを出しております。以上でご ざいます。  この他、座長には一般の方や関係団体から寄せられました検討会への要望をお渡しし ておるところでございます。  島尾座長  どうもありがとうございました。前回の検討会では情報公開の問題、ちょうど入った ところであまり議論をしないで終わってしまいましたので、本日も引き続いて情報公開 の問題について検討したいと思いますが、最初に大河委員から資料をいただいておりま すのでご説明いただきましょうか。  大河委員  それではお手元にございます資料の「たばこ煙中成分及びたばこ添加物の国際的対応 状況について」という資料について若干、説明を加えさせていただきます。  まず、たばこ煙中成分でございますが、これまでも何度かご議論があったかと思いま すが、改めてご紹介したいと思いますが、喫煙者が吸い込むたばこの煙は通常、主流煙 と呼んでおります。一方、最近、受動喫煙などで問題になっておりますたばこの先端か ら立ちのぼる煙、これは副流煙と呼んでおりますが、我が国では喫煙と健康に関する客 観的な情報提供のひとつといたしまして、これは1989年10月のたばこ事業法の施行規則 の改正によりまして、1990年の7月までにはほぼ切り替わっておりますが、注意表示に 付加する形で紙巻きたばこ1本当たりに含まれる主流煙中のタール量、及びニコチン量 という形で表示が行われているところでございます。  こうしたタール、ニコチン量の表示を行っている国というのは、日本以外ではイギリ ス、イタリア、カナダ、ドイツ、フランスがございます。アメリカは行っておりません  紙巻きたばこの主流煙中の主な成分組成、これは重量比で以下にだいたいの数字を示 しておりますが、たばこの煙100 % 主流煙ですが、主流煙100 %といたしますと、粒 子相と言われるものが8%ございます。ガス蒸気相と言われているものが92%ございま す。表示されているタール、ニコチンというのはこの中の粒子相、粗タールとも呼んで おりますけれども、この中に含まれているものでございまして、まず、水分が微量含ま れておりますので、これはガスクロマトグラフなどで測定して、この分は差し引きます 残されたタール、7.2 %程、通常あるのですが、その中のニコチン、これも通常のガス クロマトグラフで測定して値を出します。それから、残った重量がタールでだいたい 6.7 %程ございます。  このタールというのはいろいろなたばこの香喫味に関連した成分が含まれているもの でありますけれども、一方ではベンツピレン等の発がん性物質も含まれているというこ とでございます。  ガス蒸気相はそこには記載しておりませんけれども、無機ガス成分と有機ガス成分が ございまして、無機ガス成分は大部分は空気中の成分である窒素等が基本的な成分です けれども、それ以外にCO、一酸化炭素等も含んでおります。  もうひとつ、たばこ添加物の国際的対応状況でございますが、ご案内のとおり、たば こは食品ではありませんということで、たばこの添加物につきましては食品とはちょっ と異なる状況になっておりますけれども、国際的には共通の規制基準は存在いたしませ ん。したがいまして、各国の対応は区々になっておりますが、具体的にはアメリカとカ ナダにおきましてたばこメーカーによる添加物リストの政府への提出があるとか、イギ リス、ドイツ、フランスでは政府による添加物リストの作成、公示などが行われており ます。  日本ではどうなのだということでございますが、JTが日本では製造独占、法律でな っておりますけれども、従来より添加物の安全性につきましては十分な配慮がなされて きておりまして、各種、添加物についての内外の諸基準、リストがいろいろございます が、そういうものとまず照合する。それから、文献データ等の調査によりまして安全性 を確認しております。  さらに、最近では専門家による評価を受けながら使用にあたっておりまして、この専 門家による評価につきましては、専門家委員会の委員長は林裕造という北里大の客員教 授、昔の国立衛生試験所の安全性試験研究センター長もなさっていた方でございますが この林裕造先生のコメントがございます。  それによりますと、たばこ添加物としては着香料等の目的で内外リスト等に照らして 安全性が確認されている600 種類以上の物質が微量使用されておりますが、さらにこの 専門家委員会によって大変な労力をかけて各物質毎に的確な安全性評価を行っていると ころであるというコメントがございます。  なお、この添加物の問題は、食品添加物でもありましたように非関税障壁のような貿 易問題になる場合もあると言われているところでございます。以上で説明を終わらせて いただきます。 島尾座長  どうもありがとうございました。ただ今の大河委員のご説明に何かお訊ねございます か。はい。富永委員。  富永委員  前回、第5回の検討会でたばこの煙の中の成分の詳しいことを表示、あるいは教えて ほしいということを申し上げましたが、私はただ今、ご説明ありましたような一般的な ことを教えてほしいと言ったのではありません。前回の検討会では、例えば、低タール 低ニコチン、いわゆる軽いたばこの場合と普通のタールが10mgから15mg含まれているた ばこなどの一酸化炭素、その他の主な有害成分の比較のデータを知りたいと要望したの です。  前回、指摘しましたように低タール、低ニコチンのたばこを製造しようとしますと、 逆に一酸化炭素濃度が高くなる恐れもあるということも言われておりますけれども、そ ういうデータが公表されておりませんので、ぜひ、公表していただきたいと言ったのが 前回の要望のポイントです。  第2に、さきほどたばこ添加物の国際的対応状況のご説明がありましたが、本日、厚 生省から配付されました表紙のない10頁からなる配付資料がございますが、ここの2頁 の表1を見ますと、我が国における生活関連物質と公衆衛生上の規制の例とありまして 医薬品、医薬部外品、化粧品、空気、職域など法律で規制されているというのが示され ておりますが、こういう表を提示された意図を厚生省にお伺いしたいと思います。  島尾座長  まず、大河委員から。  大河委員  1点目のご質問は私の方にあったと思いますので私の方からお答えしたいと思います  低タール、低ニコチンのシガレットが最近かなり出ていて、昔の高タール、高ニコチ ンシガレットと具体的に成分がどう違うのかというご指摘だったと思いますけれども、 基本的には最近、例えば、タール1mg、あるいはタール3mgというような超低タールの 製品が市場にかなり出回っておりますけれども、これの低タールにする技術としては大 部分はシガレットのチップペーパーと呼んでいる燃えるところではない部分に紙が巻い てあるわけですけれども、そのチップペーパーにたくさんの穴を開けることによって空 気の流入割合を高めるという、要するに、空気による希釈割合を高めている方式でござ いますので、基本的には、例えば、タールとニコチンはそういう超低タール製品であれ ば低くなりますし、ガス成分である、例えば、一酸化炭素の濃度もほぼパラレルに薄く なる、小さくなるという傾向にあろうかと思います。  CO量がどのぐらいたばこに含まれているか、たばこの煙に含まれているかというの は、既に「たばこ白書」等にも記載されているとおりでございまして、ほぼ、超低ター ル製品の場合にはそれはパラレルに希釈されているということになるのかと思います。  ただ、アメリカなどでちょっと今、問題になっておりますのは、超低タール、低ニコ チン製品にすると喫煙者の喫煙態様が変化して、よりたくさん煙を吸い込むのではない かということが問題になっているかと思いますけれども、したがいまして、今の測定方 法がおかしいのではないかと、こういうご批判があろうかと思います。  これは実は、そこら辺につきましては十分な調査はまだ行われていないと思いますけ れども、基本的には標準喫煙条件という前回もご紹介したような、例えば、1分間に1 回35mlという、ああいう方式が実際の喫煙条件と合わないのではないかという、そうい うご批判だと思うのですけれども。  これは何で標準喫煙条件をセットしているかというと、例えば、いろいろ世界で市販 されている紙巻きたばこの成分を横並びで比較するときにやはり統一的な方法がないと いけない。あるいは古いたばこと新しいたばこのそういう銘柄の比較をしようというと きでも統一的な国際的な方法がないといけないということでISOなどで定めている標 準的な方法でありまして、ですから、もともとこれを設定した当初から実際の喫煙態様 とは若干、ずれているのではないかというご指摘は当初からありまして、要は、煙中成 分の量、例えば、酒類で言えばアルコール何%というようなことが横並びで比較するた め標準方法でやっているということでございますので、そこは誤解のないようにしてい ただきたいと思います。  富永委員  くどいようですけれども、私が特に懸念しておりますのは、フィルターに穴を開けて 空気の取り込みを大きくして希釈するという方式ですと、火のついた部分からの空気の 取り込みが減るはずですから、そうしますとより不完全燃焼化しやすいと思います。  不完全燃焼するとどうしてもCO、あるいはその他の不完全燃焼に伴う有害物質が増 えるのではないかと思ったからです。一般論でなくて、できたらCOだけでもいいから データを示していただければ幸いです。  大河委員  低タール製品の方が不完全燃焼するかどうかというのはちょっと問題はあるかと思い ますけれども、いずれにしてもほぼパラレルに超低タール製品の場合はガス成分も減少 しているというふうに理解していただいて構わないと思います。  島尾座長  あと厚生省の方が、今日、お示ししたこの2頁のところに書いてある、それを出され た理由ということで。  事務局(高原)  今日、お配りしております下に手書きで数字の入った資料は、実は一度、お出しした 資料ばかりでございまして、一部訂正したものもございますが、1頁から7頁は第1回 の、8頁、9頁は第2回目にお出ししたものでございます。  2頁の公衆衛生領域におけるリスク管理というふうなものでございますが、分煙とか 様々な議論にございましたわけでございます。一般的に他人、もしくは環境というふう なことでリスクを求めると。これはいわゆる受認限度みたいなことで言われているもの は、リスク化学で言うアクセプタブルリスクというふうなものではなかろうかと。これ はあくまでも事務局の参考資料でございますが、生涯リスク、10−5から10−7レベル というのが環境中の非意図的な吸収といった場合のひとつの目安にはならないのだろう かなということでございます。  それから、表の1でございますが、これは生活関連物質と規制の例でございまして、 現在、主として厚生省が所管しております法律で規格基準が、言わば未然防止のために 定められている規格基準の立法例でございます。  なお、規格基準は主としてものに対して決められているというふうに私ども、承知し ておりまして、人に対する人権的な問題には物に対する規格基準というものは原則的に 該当しないのではないかというふうに思っております。  なお、この中で食品添加物が、あるいはたばこの関係でご興味かあろうかと思います が、括弧して原則内容表示というふうに書いておりますのは、食品添加物の場合、微量 に含まれる香料というふうなものは表示義務を免除しておりますので、そのように書い ておるところでございます。  なお、貿易商品につきましては、ただ今、大河委員、ご指摘のように様々な摩擦があ ると。衛生上、ないしは公衆衛生上の問題に関するそういった、もし、二国間、ないし は他国間で矛盾が生じた場合には、SPS協定により処理されるというふうになってお ります。このSPS協定はGATT協定と並びましてWTOが現在、所管しておるとこ ろでございます。  狭義は水と大気の基準値でございまして、これもだいたいこういった水準で定められ ておるということでございます。慢性毒性というふうな形で書いておりますものは、い わゆる最小の発現した毒性に対しまして100 分の1とか1000分の1とかの安全率をかけ てできているというふうに聞いております。  表3は、これは実は一般的な紙巻きたばこができるまでという日本たばこ協会さんの 資料を転載させていただいたものでございまして、たばこの製品とか、そういったもの の議論に何らかお役に立たないのかという趣旨でございます。以上でございます。  島尾座長  どうもありがとうございました。他に資料2に関する大河委員の説明に。松本委員。 どうぞ。  松本委員  2点程、お伺いしたいのですが、ひとつは、ニコチンとタールの割合が書いてあると いうことですが、ニコチンというのは多分、ひとつの物質だと思うのですが、タールと いうのはさきほどのご説明だとその中には発がん性のあるベンツピレンも含まれている というようなおっしゃり方をされたので、私、素人ですからちょっとご説明願いたいの ですが、タールというのはひとつの物質ではなくて、ニコチンを除くその他諸々の有害 物質の固まりというようなものなのか、それとも何かひとつの物質なのでしょうかとい う話なのです。  もうひとつは、それと絡むのですが、この成分表示が喫煙と健康に関する客観的な情 報提供のひとつとしてなされているのだとしますと、ニコチンの割合が健康にどう影響 するのか、あるいはタールの割合が健康にどう影響するのかということがある程度、消 費者、喫煙者、購入者の側にわかっているということが前提になると思うのですね。  そうしますと、タールが多い程、健康に危険である、あるいはニコチンが多い程、健 康に危険であるということを前提としてこういう表示がされているのかどうか。もし、 そうであればその部分の情報もないと単純に何が入っていますというだけでは、果して これは危険度の割合を示す情報なのか、それともむしろ効用と言いますか、これだけ入 っているからあなたにとってこれだけ気持ちが良くなりますよという、そういうプラス 情報の提供なのかがちょっとわからないと思うので、その2点をお伺いしたいのですが  大河委員  2つご質問があったと思いますが、最初のご質問ですが、タールというのはニコチン のような単一成分と違うのかというご質問ですけれども、ニコチンはもともと葉たばこ 中に含まれておりますアルカロイドで、単一の成分でございますけれども、タールは主 として熱分解過程でできる粒子成分でございまして、複合成分でございます。  ただ、この中にはたばこの香り、喫味に非常にいいとされている成分も入っておりま すし、さきほど今、松本先生もご指摘のような発がん性のあると言われているベンツピ レン等も含まれているということでございまして、かなり多種類の複合成分がタールで あるというふうにご了解いただきたいと思います。  2点目のタールとかニコチンとかいう数値表示がなされているけれども、それはプラ スの情報なのか、マイナスの情報なのか、消費者に対してはわかりにくいのではないか とご指摘でございますけれども、平成元年の「たばこ事業等審議会」の答申には割合と そこは明確に書いてありまして、タールは、そういうたばこの中の発がん性物質が入っ ているというようなことでいろいろ喫煙と健康の関係で問題になっているものであると  ニコチンについてはいろいろ薬理作用としていい面、もちろん悪い面なども指摘され ていることでございまして、要は、一方でこれは富永先生のご紹介の方からあるかもし れませんが、低タール、低ニコチンほど、肺がんや心臓病によるリスクが低いという疫 学的な報告もあるというようなこともあって、消費者は最終的にはその数値を見てどう 判断しているかというのは実はなかなか難しいところですけれども。  例えば、アルコール、酒類の場合にアルコールの含量を表示することで、これは相当 強い酒であるとか、弱いお酒であるとかという判断をされていると思いますけれども、 それとほぼ同じようにタールとニコチンの量を表示すると、ある程度、消費者が銘柄選 択する際に便利になる指標ではないかということで、時期的には平成2年からこういう 表示に切り替わっていると思います。  今まで当初、非常にこの数値表示がわかりにくいのではないかと。というのは、それ まで全くなされておらなかったわけでございますので、日本の消費者の方にわかりにく いのではないかというご指摘がありましたので、実際にその数値がどの辺のランキング に入るかというようなことも、例えば、自動販売機にステッカー表示をしたりとかとい うような形でやっておりましたけれども、最近ではやはりタール3mgとか1mgの製品が 日本で、これは国際的にも日本だけでございますけれども、かなり消費者にはこの数値 を見てどのぐらいのたばこであるかということは今はかなり理解が進んできたのではな いかというふうに考えております。  島尾座長  はい。柳田委員。  柳田委員  確か、アメリカの『サージェン・ジェネラル』の疫学的な統計、その後の日本の疫学 的統計でもそういう結果が出ていると思いますけれども、平均的なニコチン含量、ター ル含量のたばこで、平均的というのはどの辺を言うかというとはっきりしませんが、20 本以下は比較的いろいろな病気や何かの発例が少ないと。20から40本までがグレーゾー ンで40本以上だと明らかにいろいろな影響が見られるというようなことが常識的と言い ますか、定説になっていると思います。  それから換算しますと、1日のニコチン量、タール量のおよその安全量が算出できる のではないかというふうに思われますけれども、もちろんこれには大きな個人差があり また、たばこで決まるのではなくて、実は、摂取量は吸い方によって深く吸う人ですと たくさん吸われる、浅く吸う人だとあまり吸収されないという、そういうような問題が 含まれておりますので、どのぐらいが安全量ということもなかなか一概には言いにくい のではないかなといふうに思われます。  島尾座長  他に何かご質問ございませんでしょうか。  松本委員  それでは確認ですけれども、ニコチンの方はプラスマイナスがあるから何とも言えな いところだけれども、タールの方はどちらかと言うと有害物質の方が中心であるという ふうに理解してよろしいでしょうか。  そうしますと、タール中のベンツピレンとか、その他、有害物質を除去するというこ とは不可能なのでしょうか。なぜ、そういう有害物質の入ったものでも販売していいと いうことになるのでしょうか。  大河委員  いわゆる有害成分がタール中には含まれているというふうに説明、理解をしていただ いても構わないと思いますけれども、実は、タールを減らすだけであれば、例えば、今 フィルターで濾過する方法、空気で希釈する方法等々、いろいろな技術があるわけです けれども、仮にタールをゼロにしますとその中に、さきほどちょっと申し上げましたよ うに、たばこ本来の香喫味成分が含まれておりますので商品として成立しなくなってし まいますので、極端に超低タールにすることは可能ですけれども、あくまでそれはたば こ本来の味、香りを残した形でないと商品として意味がないのではないかと思っており ます。  柳田委員  たばこの場合で言うと、タールはもちろん害の方が大きいと思いますけれども、実は タールというのは煙の主成分でして、我々が食品などでスモークの食品があります。そ れから、すき焼きなどは脂を最初に焦がしますね。炭火焼きといっていろいろな食べ物 がございます。  以前、どこでしたか、がん研でしたか、がんセンターの先生が焼き魚の焦げの中には ベンツピレンが含まれているというようなことが話題になりましたが、すべて我々の生 活の中でそういうタール成分が味覚や香りの点ではプラスにも働き、また量が多くなる と、しかし、発がん性、その他のそういう問題も持つと。結局は質の問題ではなくて量 の問題としてタールを見るのが妥当ではないかというふうに思われます。  島尾座長  他にはございませんでしょうか。はい。どうぞ。  大河委員  事務局が提出された資料でちょっと質問をしたい点があるのですけれども、再三、ア メリカの『サージェン・ジェネラル・レポート』のリスクの比較表がいろいろ差し替え る形で出てきておるのですけれども、私自身がちょっとこのリスクの数値についてはち ょっと疑問がありまして、例えば、今回ですと、例えば5頁ですね。今回、配付されて いる資料の5頁にまた改めて種々の活動による推定リスクで表1という形で出ていると 思いますけれども。  ここで例えば、能動喫煙が7×10−3という年間死亡リスクですけれども、これはと きどきほぼ似たような数字で、前回の資料ですと能動喫煙のリスク、およそ100 人に1 人。あるいはほぼ同じですが、100 万人当たり7,000 人というような数字が何度も差し 替え資料という形で出てきておりますけれども、この数字がなかなか非常に問題がある というか、難しい数字でございまして、要は、既に削除されてしまいましたけれども、 アメリカ人がこの年に全死因の死亡率、これが100 万人当たり8,748 人というのがござ いましたけれども、これと比較すると、もし、この数値が妥当な数字であるとすると、 これより低いということでして、実は、『サージェン・ジェネラル・レポート』のこの 該当の報告書をちょっと読ましていただきましたけれども、これは1965年以前に喫煙し ていた人の1985年における死亡率。これがここで言う7×10−3、あるいは100 万人当 たり7,000 人、あるいはおよそ100 人に1人という、こういういろいろな数字が出てお りますけれども、それなのですね。  一方、そこに以下に出ているアルコールとか自動車事故、就業上の死亡等々、いろい ろ載せているわけですけれども、こちらは超過死亡、あるいは直接死因ではないかと思 いますので、つまり曝露集団100 万人当たりの死亡率とか、曝露集団当たりの死亡率と いうこととまたちょっと違う性格の数字ではないかなと。  あるいはひょっとすると、この7×10−3がいわゆる超過死亡の数字であるとすると 今度は随分異常に大きい数字だなと思いますので、要は、この数字が他の数字と横並び しているこの『サージェン・ジェネラル・レポート』を引用すること自体に問題がある のではないかなと。  もうひとつは、受動喫煙の死亡リスクも、これはここで2×10−5ですか、というふ うに載っておりますけれども、どうもこの数字自体の出典が不明でございまして、いろ いろ当たってみたのですが、よく検証できないということでございます。  ということで、これらいわゆる客観的情報提供という観点からすると適切ではない情 報ではないかなというふうに思っています。もし、何か事務局の方でこれについてご説 明があればしていただきたいと思います。  事務局(高原)  今回の資料は私どもの方で新たに何か統計調査を行うとか、推計を行うとかというこ とは行わないで、できるだけ公的に受け入れられている資料から選んでおります。  したがいまして、国連機関であるとか、米国政府であるとか、そういったものの資料 が中心でございますが、その精密を期す、ないしは様々なリスクの測定の仕方をアジャ ストするということであれば、これはやはりそういうふうなことを今後、やって、それ は一定の方法論に従った場合は客観的なものとしてこの委員共通の立場でそういうもの でよかろうということであれば、それはそういうふうな作業もあってよろしいかと思い ます。  こういうふうな、委員ご承知のように、いわゆるこういうふうなものはアールアール と申しますか、相対危険度等ももとにしてやっておりますし、相対危険度もいわゆるエ ビデンス・ベースト・メディシンとか、メターエネリシストと言われるような方法によ って新しい調査が出れば少しずつ改定がなされる。少しずつより大きくなったり小さく なったりするというのが、これは事実でありますので、最終のものというふうなものと いうことで出しておるわけではない。  そうすると、では、これは大きく変わるのかと。例えば、2桁も3桁も、桁違いで変 わっていくようなものなのか、どうなのかというような評価は疫学、医学関係の専門の 委員にお任せいたしますが、比較的各教科書、医学の教科書ですが、受け入れられてい たり、例えば、米国や日本の国家試験で出題される場合の、米国は国家試験ございませ んが、USMLEという試験をやっておりますが、そういうふうなもので出題されてお る比較的通りのいいというか、ウェルアクセプティブ、エスタブリッシュトということ ではないと思います。アクセプティブなデータであり、もう少しリバイズドした方がい いではないかということにつきましては考えようではないかということでございます。  大河委員  オーソライズされた権威ある数字であるというお話でございますけれども、私が質問 しましたのはそういう意味ではなくて、例えば7×10−3というのは能動喫煙の場合の 数字のようですけれども、単に、1965年以前に喫煙していた人の1985年における死亡率 ではないか、これは一般集団の数値とあまり変わらないのではないかという質問をした わけでございまして、数値そのものがどういう意味かという質問をしたわけではござい ません。  要は、超過死亡であるという意味であれば、また、それなりに考えを変えないといけ ないと思いますけれども、曝露集団当たりの死亡者数ということなものですから、他の 数値と同列に扱うのは適当ではないのではないかと。ですから、大本の数値が権威があ るかどうかということを聞いているのではないということでございます。  事務局(高原)  数字の並びということで考えますと、これは相対的な危険度を各種のファクター別に 分析したものであるというふうに考えています。 したがいまして、スモーカーにおけるものと、ノンスモーカーと言いますか、ジェネ ラル・ポピュレーションに対するリクセスを対比したものではないかと、現在のところ 考えておりますが、ちょっとそれは確認いたします。  島尾座長  他にございませんか。それでは情報公開の問題、前回から議論、始まっておりますが 引き続いて非常に重要な課題だと思いますので、喫煙の問題に関する情報の公開、どの ような形で進めていったらいいかご自由にご意見をいただければと思いますけれども、 いかがでございましょうか。  野中委員  よろしいでしょうか。  島尾座長  はい。野中委員。  野中委員  野中でございます。何回か欠席をいたしまして失礼いたしました。でも、その間の議 事のことについては議事録をお送りいただいているのでフォローさせていただいている つもりでございます。  今日も40分、45分近くが私の全くわからない専門的な7×10−3のお話だったので少 しがっかりしています。今日も委員の数よりも傍聴の方の方が多いという、大変注目を 集める、こういう懇談会や審議会というのは本当に素晴らしいと思うのですね。これも 山崎委員の初回の『議長!!、異議あり』の発言。あそこから始まって社会の関心を集め てきた、そのことはとてもいいことだと思うのです。  でも、私は何か悲しくなるのですね。今日の45分間、ここにいて。それは自分が役に 立てないからということもあるのだと思いますけれども、知識が出せないとか、お役に 立てないのに、いなければいけないというところ。  だけれども、それは何なのだろうと考えたときに、ごめんなさい。ちょっと情報開示 の問題とはずれてしまうのですが、これ根本的なことだと思うので少し話させていただ きます。なぜ、悲しくなるかというと、どうも守るも攻めるもという感じがいたしまし て、事務局は何かとても攻められて、いつも。それでどうもけしからんというのと、い や、そっちこそ、けしからんみたいな形が冒頭からあるという、これは私だけの捉え方 かもしれませんけれども。  それは非常に勿体ない時間の使い方で、何のために私たちがここに集まっているのか というのをもう一度、整理して、各委員が力を発揮できる建設的な時間の使い方をする べきだと思うのです。  その建設的な時間の使い方とはどういうことなのだろうと思いましたら、私はとにか くこの委員になっちゃどうだろうというお話をいただいたときに、「21世紀のたばこ 対策検討会」だったのですね。ですから、私は因果関係についてのロジックというか、 その決定というのは、前々回も申し上げましたけれども、もうすでに厚生白書に閣議決 定をして有害性というのが出ている。たばこというのは良い部分もあるかもしれないが 非常に有害なものであるという、で、その上に立った、検討会だと私は思ったので出さ せていただいたわけです。  つまり、そこは文化論であれ、分煙の方法であれ、何であれ、若年者への教育の方法 論であれ、たばこの有害性が決まって、だから具体的にどういうふうにしていくかとい う形であれば、私はお役に立てるなというふうに思って参加したわけです。  そうしたら今までの時間のほとんどというのは因果関係についてのところでの解釈を めぐるものだった。  問題を整理すると3点ぐらいになると思いますが、因果関係に対する理解というもの の共通項がない限り、情報開示というのはさっき松本委員と大河委員との間で行われて いたように、これは私は住専の処理のときに毎晩、現場にいて報道をお伝えするという ところにいたものですから、その開示というのはいくら数字を出してみたって開示では ないのですね。誰に何をわからせて、あるいは誰に何を問題意識として提出できるかと いうことを開示しなければ数字だけ出したって何の意味もないわけです。  奇しくもそのときの大蔵の官僚の方がおっしゃったのは、野中さん、情報開示、情報 開示って、あなた、言うけれども、こんな数字の銀行が危ないだ何だという貸借対照表 で右、左と数字、全部出したところで一般の消費者にわかりますか。私ら庶民にはわか らない、だから、行政指導するのですよということを生番組で平気でおっしゃったわけ ですね。  ですから、私たちがこれから開示をすると言っても、たばこの有害性への見解を、む にゃむにゃに蓋をしておいて、どこまで開示するか、あるいはどこまで教育をするかと いうことについて建設的な話し合いができるかな、ということに関しては野中は非常に クェッションマークでございます。  ですから、ひとつ提案ができるとすれば、野中も学習させていただいたことは、日本 国においてはニコチンのタールの話、今も何10分か出ておりましたけれども、私はファ イルを調べてみたら1985年の3月の時点で、これは国立公衆衛生院の方の研究発表で、 当時、立ちのぼる煙の方が、フーッと吸う人よりも大変なのよというのが初めて出てき た頃だったと思うのですけれども、そうした具体的な例をあげて、たばこについての見 解を示す。同時に他国での状況も示す。で、もし、それについて日本はどう思うのかと いうことについて、もう一度、本当に真剣にやらなければならないという判断があるの だとすれば、このメンバーでこの場ではできないと思うのです。  ですから、その部分に関しては必要であれば、もう一度、そういう会を作っていただ いて、そのことを徹底的にやっていただきたい。そして、同時に、文化論として議論す る必要があるとすれば、それも徹底的にやるべきだと思うのです。  きちんと、それをやらずにファジーな形でこのまま進んでいくと、何となくやはり日 本国の今のレベルとしては、文化レベルとしては吸いたい人と吸わない人とこういうと ころで公共に対して、お国がこういうものが入るべきではないかもしれないし、という ようなあいまいなおとしどころに向かってしまう。そうなってはいかんという意見との 争点がずれて、何の話し合いもしなくて徒労に終わったというような結論がこの辺に見 えているような気もいたします。座長に、ごめなさい。情報開示のところにあたって、 そこに入っていく前に我々は何のために集まってどういうことをプレゼンテーション、 誰に向かってするのかというのをもう一度、検討会の進行のベクトルの方向ですね。そ して、方法論みたいなもの、整理していただくととても野中は幸せであります。  島尾座長  今、かなりこの検討会について基本的な問題提起されたと思うのですけれども、私自 身、この座長をお引き受けしていろいろ今までの議論を伺った中で感じておりますこと を率直に申し述べさせていただきます。  まず、ひとつは疫学的な確率の受け取り方、これについてかなり個人差があるという ことではないかと思います。というのは、例えば、今回の議論の中でも虚血性心疾患に 対する影響の討議の際にそれが端的に見られたと思うのですが、矢崎先生、おっしゃっ たように検査で冠動脈に狭窄が起こっているのだという所見を示して、だからやめなさ いということを説得すればほとんど説得に成功する。これはもう既にリスクがかなりは っきりしているから、したがって、このような方は従われるのではないかと思いますし 少なくとも禁煙する方向への努力はされると思うのです。  ところが臨床医も、あるいは公衆衛生担当者も喫煙というのはそういう冠動脈の狭窄 を将来起こしやすいから狭窄が起こってから禁煙するよりははじめからしない方がいい というのが基本的な考えで申していると思うのですけれども、そういう説得をした場合 に、現在、健康な喫煙者、その危険が非常に高ければ、例えば、この1年以内にその危 険が仮に1%を越えて5%もあるというような高い危険であれば誰も納得してやめると 思います。  しかし、そこまで高くはない。そうなるとここで禁煙するかどうかというのはもう結 局、情報を十分にこれだけ危険があるのだというのを示した上で個人の判断に任せざる を得ないというのが現状ではないかと。  これも議論の中で出たことですけれども、喫煙対策を推進しようという委員、随分こ こではたくさんいらっしゃるのですが、それでも現在の日本で、それでは全国民禁煙法 を制定して一斉に全部吸うのはけしからんということはできるかと言えば、それに対し てはおそらくどなたも賛成はされないだろうと思います。  やはり人間の生きざまというのは様々で、健康は大変重要な価値だと思いますけれど も、それが人間の価値のすべてではない。その場合にそうするとやはり個人でかなり判 断すべき要素が多くなってくる。しかも、喫煙関連疾患の場合には伝染性の疾患ではご ざいませんから、伝染性の疾患の場合にはかなり強い措置を取らざるを得ない場合もあ るかと思いますけれども、伝染性の疾患でないからそれを強制することはもちろんでき ないというのがやはり基本的な考え方になってくると思います。  ですから、これからの課題ということになりますと、私たち、疫学者にとって一番大 事なことは臨床か、あるいは基礎医学研究者と将来、研究されまして、固体のレベルで こういう因子を持っている人は非常に危険が高いのだと。こういう人はそう心配はない のだということをはっきり区別できますと、あなたはぜひ、やめなさいという説得力が より強くなるでしょうし、そう強く言わないで済む人も出てくるだろうと。ただ、その 危険因子はそれではたばこ関連疾患全部に共通かと言えば、おそらくそれは肺がん、あ るいは虚血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患で違ってくると思いますから、そう簡単な仕事 ではないと思いますが、しかし、そういった努力で十把一絡げに網をかけるという考え 方から、やはりその中でリスクの高い人、少ない人をより分けていくという努力、これ はやはりこれからの非常に大変な対象になってくるのではないだろうかなというのを感 じております。  一方、受動喫煙の周囲への迷惑ということについては、健康医学についても一応はか なりの研究が指摘していますし、回りにいる人が迷惑を受けることはもう間違いありま せんので、分煙を強化する。そして、喫煙する方に対するマナー教育を強化する。これ はもうどなたも賛成されると思います。  しかし、その規制をどうやって実施するかということになりますと、やはり今までの 議論を通じてかなり慎重な配慮が必要ではないかと。例えば、条例の設定というお話も 出ておりました。しかし、それは一番いい例は未成年者喫煙禁止法だと思うのですけれ ども、法律が既にあるわけであります。  では、それを今、執行するために、例えば、警察が違反している人を片っ端から取り 締まるだけの元気があるかと言われれば、おそらく警察はまだそこまでの元気はないと 思いますし、国民的な合意も得られないだろうということでありますから、法律とか条 例の制定を精神的な禁止措置として占めるのはいいと思うのですけれども、しかし、実 際に執行を伴う有効な手段として考えるということになりますと、やはり国民的にその 問題を、それを法律で制定するということに対する合意が得られ、執行することに対し てある程度、皆が認める、そして、執行担当する側がそれを実行するというだけの決意 ができない限り、どんなことを決めてもそう簡単にはいかないのではないだろうか。  ですから、喫煙対策の問題、今の段階、非常に難しい状況だと思うのですけれども、 私、座長としてこのまとめをしておりまして、今、感じたのは率直な印象でありまして むしろこういった私の無能な座長のこういった印象をもとに、さらに今後、どうすれば いいかというようなことについてご意見をいただければ大変ありがたいと思っています 山崎委員、どうぞ。  山崎委員  かねがね、座長のご苦労には、私としては意見を異にする部分もありながら、大変感 謝申し上げております。  ただ今のお言葉に私は非常に感銘を受けました。非常に学問的良心に基づいて現状を 正確に、およびこの委員会の現状も正確に把握してまとめていただいております。  実は、私は当初から厚生省がなぜ、こういう委員会をこのメンバーでおやりになろう としているのか、その意図がよくわからなかったのですね。それは今、野中委員がおっ しゃたのと同じこと、全く同じことでして、もしも、厚生省が省の方針としてたばこ撲 滅の方向に進みたいと思われて、それでその委員会を開かれるのなら、この席にいる何 人かのたばこ問題についての慎重派、あるいは擁護派ははじめから委員会に入れないで 疫学の専門家だけで、しかもその中で禁煙論者と言わせていただきますが、そういう 方々だけを集めて委員会をやられたらすぐ結論が出ただろうと。例えば、私のような者 をここに置いて、この委員会をやるというのはどういう意味なのだと。結局、どうした いのだというのが私は終始一貫、疑念を持っております。  座長が早い時期にこの席では医学論争はやらないのだとおっしゃいました。それは当 然のことだろうと思うのですね。医学論争ということになれば、医学の素人である私に は発言権がありませんし、あるいは本当に医学論争をやろうとすれば、医学の中でも疫 学以外のいろいろなお立場、今、座長がご紹介になったような病理学者であるとか、そ ういったような人々の参加も求めなければならないでしょうし、学会のとしてきちんと した議論が必要でしょう。  医学論議をしないのだとすると、さきほど来、厚生省の課長がおっしゃったような客 観的とかウェルアクセプティッドとかというような言葉が全部、虚しく響くわけですね いったいどこでウェルアクセプティッドなのか。  もしも、ここで野中さんがおっしゃるように徹底した議論をやるということになると まずこのメンバーは不十分である。仮に、この席でこのメンバーで徹底的にやろうとい うことになれば、私は医学はわかりませんが、一般的な統計処理方法とか、あるいは因 果関係の論理学というのは私は自分の分野でわかっておりますから、それはできる限り のことはいたします。しかし、できる限りのことをして、ここで争ってみていったい何 になるのだろうというのが私の終始一貫した虚しさなのです。  ですから、私としては今の座長のご感想をもってこの委員会の結論にしてはどうかと 思っております。  島尾座長  野中委員。どうぞ。  野中委員  争って何になるのだろうかで虚しくならないでくださいよ。山崎委員。私の徹底的な というのは、やはりたばこを私も吸ったことがありますし、たばこを吸う、吸わないと いうことをずっと突き詰めていくと、結局、山崎委員が冒頭に、第1回目のときでした か、お砂糖とお塩というお話をなさいましたよね。  やはり医学的なことに触れずにたばこの問題を取り扱うと、トッテン委員がかなり過 激におっしゃっていましたよね。報告書で拝見いたしましたけれども。ああいうふうに もうたばこを吸うやつは絶対駄目よと、入れないよという方もいらっしゃれば、何を言 うかという方もいらっしゃるし、それは放っておけよって、そこへお上が入ってルール づくりをすることがひとつの文化的なあれを、個人の嗜好に基づくところに入っていく ことはけしからんというふうに、それは正しいですよね。山崎さんはおっしゃいました よね。1回目のときに。  確認をさせていただきましたけれども、因果関係が明確化していないから国がすべき ではないというところが第1なのであって、その次には、例え因果関係が明確化して非 常に悪いのだということがわかっても、たばこ問題は国がすべきではないというふうに 山崎委員、ちゃんと確認をしてくださいましたよね。  ですから、第2番目の、例え、因果関係が確定したって国がすべきではないというこ とで、それをもってきて議論をすればかなり、ではどこに軸足を置くかというのは、分 煙の分の分けるところのどこまでというのは激論をすればちっとも虚しくはなく、そこ まで入るべきではない、ここはこうだということは議論ができると思うのです。私。間 違っていますか。  山崎委員  よろしいですか。座長。  今、そうするとさきほどの野中さんがおっしゃったことの意味がちょっとわからなく なっちゃうのですけれどもね。今日、例えば、情報提供と言いますね。そうするとまず 誰が情報を提供する。これ当然、国が情報を提供するのでしょう。国が情報を提供する というのは民間の、例えば、医学研究者がおっしゃるのとはだいぶ意味合いが違ってき ます。  これは単に情報提供とは言いますが、例えば、さきほどおっしゃった住専の問題など はちょっと訳が違いますね。住専の問題は役所が過ちを犯した。あるいは犯した可能性 があることを公開すると。  野中委員  それは銀行であっても構わないです。  山崎委員  銀行でもいいですけれども、要するに、我々は役所の側から言ったら公開したくない 情報を公開せよと言っている。  野中委員  わかりました。おっしゃりたいことが。  山崎委員  この場合はそうではなくて情報提供というのはむしろ国が国民に対してある指導を行 う。ある方向に誘導する。そういう意味合いを含んだ、教育を含めてですけれども。そ の教育という、これは専門の省は文部省ですけれども、ここでいかに方向について慎重 かつ控えめな努力が行われている。これは例えば、歴史教科書問題をご覧になってもお わかりのとおり、実に慎重にやっているわけですね。たばこの問題についてはいいか悪 いかですから、極めてはっきりした方向を持った指導を国が行う結果になります。  そうするとその情報の客観性ということについて大変難しい条件をつけなければなら なくなります。例えば、私は例え悪いものでも国が指導してはいけないと言っているわ けではありません。これは誤解のないように。悪さというものの程度がどれだけエスタ ブリッシュされているかということです。例えば、人殺しは悪いと。こんなことはもう わかりきったことですから、これを刑法で禁止するのは当たり前です。そんなことまで 私は言っていないのですね。  非常に曖昧なゾーンがあって、その曖昧なものについて、しかも様々な他の要素、つ まり健康以外の要素も含んだものについて国が指導することを問題としているわけで、 そうすると実際問題、これから多分、公開すべき情報が箇条書きになって、これはいい か悪いかとか言ったら、これは本当に確立しているのかとか、況んや、それを短いたば この箱の中の表示というような問題になってくると、おそらくまとまりはつかないだろ うと。  私は現在までの様々なたばこについてのたばこ会社の自己規制も経緯をずっと見てい ますと、松本委員がかつてこ指摘になったような論理的なものではなくて、極めて社会 的配慮とか、大人の判断とかというようないい加減なものでやられてきたことがだんだ んわかってきたのですね。資料を拝見しているうちに。  だから、今度、それをもう一歩、進めろと言ってみても、多分、それは非常に非合理 なギインにモドスことにならざるを得ないだろう。  実際、たばこ問題をめぐる世間の議論も、またこの委員会での議論も座長がおっしゃ るのと同じ、まさにおっしゃったとおりの状況の中にいるので、私はこの委員会につい て悲観的なのであって、私は別に日本社会についても私自身についても別に悲観してい ません。  野中委員  安心しました。  松本委員  関係するのですけれども、議論の出発点としてどこからやるかという話なのですが、 山崎委員の立場と他の委員の立場、これは離れていると思うのですね。ところがたばこ メーカーであるJTさんの立場は山崎委員の立場よりはもう少し世論に迎合的とでも言 いますか、一定の危険を認めた上で、しかし効用もあるからというスタンスだと思うの です。  そこでここで議論する場合に、たばこの問題というのは基本的にメーカー、加害者と いうふうに目されているメーカーと被害者になるだろう消費者との間の消費者問題です から、メーカーとして一定認められる、合意できるところよりは後ろにバックをしない で、そこから先、ではどういう政策がいいのかという議論をするのが一番いいと思うの ですが。  山崎委員はおそらくそれはメーカーとして譲歩しすぎだと、世論に迎合しすぎたとい うふうにおっしゃるかもしれないですけれども、そこまで戻ってしまうとおそらく全く 先に進まないと思いますから。  一方、当事者であるところのメーカーサイドとして、リスクについてここまでなら一 応、承認できるというところに立った上で、そのリスクを防止するために適切な施策、 例えば、未成年についてはいろいろな点からやはり良くないという判断をされているわ けですし、今日のところでも一定の健康被害があるので、タールの表示というのはそれ をわからせるための表示だということをおっしゃっているわけですから、問題は、では そのような表示で十分なのかどうかという、JTさんが意図しているリスク回避として も十分なのかどうかという議論をするのがいいのではないかと思うのですね。  それからもう1点だけですけれども、警告表示と絡んで最近、確か新聞報道ですけれ ども、アメリカの大手たばこメーカーの社長が議会だか裁判所だかの証言で、国外で売 っているたばこについてもアメリカ並の警告表示を積極的にするのだということを言っ ているのですが、これ日本でできるかというと、おそらくたばこ事業法の関係で大蔵省 が定めた警告以外はやると販売できないと思うのですね。  これが果して妥当なのか。メーカーとしてこういう情報提供をしたいと言っているの に法律が禁止するというのが果して妥当なのかどうかと。こういう点を議論する必要が あるのではないかと思います。  山崎委員  はっきり覚えておりますが、ここで未成年者喫煙者問題を論じたときに、子どもにと って悪いものなら大人にとっても悪いはずであるから、その議論を首尾一貫してないと おっしゃったのは、まさに松本委員その人だと思う。ですから、そういう形式論理を展 開していけば、一番初めからやり直さなければならないのは当然のことですね。  それから、この場所はJTという企業と一般消費者、あるいは社会人との団体交渉の 場所ではないのですね。それは特に申し上げますが、私の知っている限り、新聞にも報 道されていましたが、たばこ製造業者は加害者であり、消費者は被害者だという立場で 最近、告訴することが起こっております。これは松本さん、法律家だからよくご存じで しょう。ですから、そういう問題はそこで結論を出すことであって、この委員会で我々 委員がJT相手に団体交渉するというのは全く筋違いだというふうに思います。  ですから、もしも、たばこ問題の原則論を議論なさりたいのなら、失礼ながら大河さ んは基礎的なデータをお出しになって、私と松本さんの間で議論するのが正しいのでは ないでしょうか。  松本委員  団体交渉とかという趣旨は全くございませんので、メーカーとしての一応、スタンス がおありなのでしょうから、それに基づいて議論をするのがいいのではないかというだ けのことでありまして、メーカーサイドとして認めていない事実までこの懇談会で団体 多数決で認めさせるとか、そういうことは全く考えておりませんし、それはおそらく裁 判で争いになって裁判所の一定の判断が下ると思うので、言わば、JTとしても認めて いる事実とか、評価とか、政策とかというのがおありでしょうから、そこよりは遡る、 バックする必要はないのではないかということなのです。  島尾座長  柳田委員、どうぞ。  柳田委員  今、話題は情報開示の問題ですね。  島尾座長  ただ、今、非常に重大な問題提起が野中委員から出たと思いますので、私自身は、こ こではちょっと今後の会の進め方の基本的な問題について確認のご意見をぜひ、伺って みたいなと考えているのですけれども。  柳田委員  私は情報開示についての問題点をちょっとお話したいと思ったのですけれども、今、 それが議論の流れを。  島尾座長  もし、できればこの席で野中委員から提起された問題、私が申し上げました所感など を中心にこの検討会、もう回数をかなり重ねておりますので、どういう格好でまとめて いったらいいか、収束していったらいいかというようなことについての基本的な考え方 を承った方がありがたいと考えておりますけれども。  柳田委員  それでは後で。  島尾座長  では、野中委員からお一人ずつお考え言っていただきましょうか。  野中委員  はい。ちょっと整理しますね。  山崎委員が情報開示というのは政府がやるとそれは意味が違うのよとおっしゃいまし た。ひとつの指導に基づいてどういう形の、例えば、それはルビを振ればたばこが悪い という形で情報を見せることもできるし、それはイコール指導につながるし、悪いも良 いもないという出し方もできるから、政府がどう思っているかということをきちんと明 確にしないで開示はできない。  逆に言えば、ファジーな形で因果関係がわからないものを出すのは良くないよという ことですね。と理解してよろしいですか。さきほどのコメントは。  山崎委員  ファジーとおっしゃいましたけれども、私は別に今、ここに並んでられる疫学の先生 もそれぞれの意見がファジーであると言っているわけではないのです。  野中委員  日本国政府として。  山崎委員  つまり要するに、今、島尾座長自身がおっしゃったように、医学の中でもまだまだ論 証されていない部分があることは間違いないわけですね。それに対して諸外国はという のはすぐ出てくるのですが、諸外国はどういう根拠に基づいたかわかりませんが、例え ば、非常に断定的な警告表示をさせていますね。その方向に踏み出すのだということに なれば、我々には方法は2つしかない。  1から議論をするか。つまり医学論争をそれこそここでやっていただくか、あるいは この委員会としては結論なしということにして、別途勝手に厚生省がおやりになるか。 その2つしかないだろうということです。  野中委員  はい。わかりました。私は情報開示ということについてはもう少し違った捉え方をし ています。例えば、歴史教科書についても日本国政府としての微妙な立場があるからと いうことで、何年も裁判を続ける教科書検定のコンセプトがあります。お上という言葉 を使わせていただければ、事実と真実というお話が山崎委員から第1回目にあったと思 いますが、お上は立場が微妙だからあえて何も言わない、と言ったところで、こと、た ばこに関しては、例えば、インターネットなどを使わなくても電話でも何でもファック スでも世界中いろいろなところでいろいろな研究者がいろいろなデータを出していると いうことを個人のレベルでももう収集することができますから、それぞれが自由にやれ ばいい、自由にできる、データにアクセスできる時代でございます。  私は8つになる子どもがいますが、このたばこのことを彼女に何も言わなければ、生 活文化の問題として、それから緒方拳さんが「たばこは大人のものです」と、大人にな って初めてすえるのです。というようなコマーシャルが最近、とても多く出ていますけ れども、あれが逆のメッセージとして、通過儀礼として、吸うと大人になるということ で、かっての私たちがそうでしたけれども、そういう形で子どもたちの中でたばことい うものが浸透していくという現実をこのまま放置しておくわけにはいかないと思うわけ です。クリディビリティがどうなるかわからないことを子どもに教えられないとは思い ません。危険が少しでもあれば、ありとあらゆるデータを取って私の中で判断をして、 そして、子どもに教えます。  それがお塩やお砂糖と違って、例えば、ダイオキシンの問題にしても、トリクロロエ チレンの、これは厚生省もよくご存じですけれども、いろいろな形で個人の自己責任、 企業の自己責任と各子どもたちや各大人の生態に与える影響というので、ごめんなさい もう原則論が長くなるのでしませんけれども、そういうときに、情報開示というのは何 のためにするかというと、だいじょうぶよ、いいのよ、いいのよというところを出さな ければならない。あるいは、悪いのよ、悪いのよと言うためにだす。そう考えてはいな いと思うのです。客観的な中立の立場で見まわすと、極端な例で。でも一方で××とい うデータもある。だから、現時点では、こう考える、という記述のし方もあるわけです  少なくとも一人の命やその因子を持っているとおっしゃいましたが、私は因子は持っ ていない立場であったとしても、それはかなり多くの害が出るということが地球という 小さな星のいろいろなところでいろいろな生態のいろいろな民族でデータが出てきてい るものに関しては、私はかなり危険ですよということが極端な例も含めて、知りたいと 思います。  そして、その上で判断ができるような状況にしたい。それはたばこであろうと、塩で あろうと、食品添加物であろうと、何であろうと私はそういう形で情報というものに対 しては疑わしきは自分の中に、あるいは自分のDNAを分けた子どもたちの体の中に取 り入れたくないと思う立場でございます。  ですから、この会において常に7×10−3がどうのこうのという話というのは、これ はやっていただかなければならないところだと思うのです。ごめんなさい、座長、長く なっちゃって。これからに望むこと。この会全体の、あと何回ですか。まとめを出すた めには。一応、スケジュール的には。  島尾座長  基本的に言えばまとめの原案をお示しして、それをご承認いただくということになれ ば、次回に原案をお示しして、その次が最終的な、あと最低2回は必要かと思いますけ れども。  野中委員  はい。ありがとうございました。そういうことであれば、もうここでは、時間がない わけですね。やはり医学的なところはどこかで、とことんやっていただきたい。日本国 政府としてどういうふうに判断する、という確固たるとらえ方をまず明確にするのは必 要だと思います。  私たちとしては座長がさきほどおっしゃった考え方の違いが明らかになったというこ と、羅列するだけではなくて、やはりその逡巡する心と同時にやはり私は個人的な立場 として子どもたちに明確に害がでるということを教える教育のマニュアルを作ることを それは厚生省のみならず害が出ているというデータが出ているわけですから。それから あなたたちは通過儀礼としてたばことか、今はたばこの問題よりもスピード、覚醒剤の 問題かもしれませんけれども、こうやって大人になっていくと言われているいくつかの 商品に対して君たちは小さい頃から気をつけなければ大変なことになる、というウォー ニングを何らか作ってほしいということを提案したいと思います。  島尾座長  坂東委員から。  坂東委員  この委員会のまとめ方についての希望ということですね。私はさきほどから委員の方 たちがディスカッションしておられるように、それぞれ立場によって非常に意見が違う これは明らかだろうと思います。ですから、統一したひとつの方向をこの委員会で出す というのは大変難しいとは思いますが、さきほど委員長がおっしゃいましたように、あ る程度の論点整理、どこに一番議論があったのか。その部分、あるいはまたこの部分に ついてはかなりの委員が合意をしていたのだというような形での論点整理をひとつまと めていただくといいと希望します。  また、情報開示の方でいきますと、情報というのはどういうふうにして使うかによっ て全く効用が違うものですから、ニュートラルな情報だけを提供しても全く意味がなく て、やはり解説をつけなければいけないというのは全くそのとおりだろうと思います。  が、今、一番私なんか見ておりまして感じるのは、この委員会では有害であるという 情報が大変多数派を占めておりますけれども、一般の普通の人たちが、例えば、マスコ ミで、あるいは雑誌から、あるいは人々の噂話から、映画から、いろいろな映像を通じ て得ている情報はたばこは格好いいと。たばこは素敵だと。文化だと。そういったプラ スメッセージの方がおそらくそれこそ10の何乗ほど多くて、有害ですという情報はほん の一部の専門家の方だけしかまだ持っていらっしゃらないのではないか。そのバランス は今の日本では大変欠けているということは認識しなければいけないのではないかと思 います。  その中で両方の比重を高める。特に、有害であるという情報はまだ85年あたりからで すか、非常に新しい情報でもありますし、量としても十分には提供されていない。ある いは解説の難しい論文で提供されていても普通の人はまず見ませんから、普通の人が得 ている情報という観方からこのバランスをもう少し変えなければいけないのではないか  特に、さきほど松本委員が指摘なさいましたように外国のたばこ会社の情報提供の部 分など、もう少しこの委員会としてはそれこそ論点整理のあたりでも少し強調してア ピールしていただきたいなと思います。  島尾座長  どうもありがとうございました。トッテン委員。  トッテン委員  私は委員会の進め方に対して別に意見はありませんが、会自身に対して期待している ことがあります。まずひとつは、統計の話に関してですが、統計の話に時間を大幅に使 いすぎだと思います、統計はごまかしだと思いますし、屁理屈。たばこの善し悪しを統 計で見るのなら、酔っぱらい運転が悪いという科学的統計がありますか。拳銃を持たせ てもよいという科学的統計がありますか。日本の政府は統計の屁理屈ではなくて、常識 で車のスピードをある程度に制限しなければ他の人に危険、飲みながら運転すれば危険 拳銃をアメリカのように自由に持たせたら、科学的な統計がなくても危険と思っている し、日本の政府は統計よりも常識で判断して我々を守るためのいい規制を作っているの ではないかと思います。たばこについても統計のやりとりよりも常識で判断していただ きたいと思います。  次に期待していることは、たばこは悪いと思っているけれども、たばこで自殺するの は構いません。日本には、人殺しに関する法律はあるけれども、自殺に関する法律はな いと思いますから。けれども、職場でたばこを吸わない人がたばこを吸う人の煙を我慢 しなければならない。臭いこと以外どの位煙の有害さに関する統計があるかわかりませ んが、たくさんの人がたばこの煙を臭いと思うし、他人の煙を吸いたくない。職場に、 吸わない人を保護するための規制を作らなければならないと思います。  もうひとつは、一般の店、レストラン、そういうところに食事にいって、隣の人がた ばこを吸っていたら、まわりの人はその煙を我慢しなければならない。各々の店が禁煙 席を置くか、店自身を禁煙にすればいい、しかしそれでは店がつぶれたり店の商売が大 変になったりするから、吸わない人を保護するために政府が規制を作らなければならな いと思います。  私はこの委員会で吸わない人を保護するための規制を作ることを実現したいと思って おります。  島尾座長  松本委員。  松本委員  さきほど言ったことの繰り返しになりますので簡単に言いますけれども、いろいろな 立場の人がいますから、こういう立場に立つ人はこう主張したという両論、三論、四論 五論ぐらいの併記もひとつのやり方だと思うのですけれども。  さきほど言ったことですが、メーカーと消費者との問題が中心なので、メーカーとし て認められる事実に基づいた上でどういう政策が妥当なのかという、一定の危険はある のだということであれば、その危険を知らせるための情報提供が今までのやり方で十分 だったのかどうかとか、メーカーとしての啓発等が十分だったのかとかという観点でや ればかなりのところで合意が達成できるのではないかと思います。  もちろんメーカーが前提としている危険度の認識自体、間違っているという批判はあ りますから、そういう観点からの批判を付け加えればいいと思うのですが、メインとし てはJTとして一定前提としているということに基づいて組み立てていくのがいいので はないかと思います。  島尾座長  矢崎委員。  矢崎委員  私の立場といたしますと、まず、たばこの危険度ということ、やはりこの委員会であ る程度の認識のレベルに達しないと、これは先に進まないのではないかと思います。  医学的な結論は難しいというふうに一部の委員はおっしゃられましたけれども、また トッテン委員はそんなのは無理なのだと、議論はという、私はそういうことではなくて 座長が何回かおっしゃいましたように、これはある疾患の発症危険因子ではもう学問的 に確立されたものでありますし、中止すると再発が確実に予防されるという論文は何百 もあります。数えきれない程あります。  ただ、何回も繰り返しますけれども、一次予防で、これをすると何万人に何人になる というのは、トッテン委員の言うようにそれこそバイアスがかかったデータですといろ いろなデータが出てしまう。私、本当、関心するのは大河委員がもうあまりにも有能な ので、データを出すとこういうデータもありますよというように混乱をさせていると、 時間ばかり取っているという感じがあると思います。  ですから、私がたばこの害を曖昧模糊としたまま悪いのではないかということではな くて、学問的にも本当にエビデンス・ベースド・メディシンでちゃんとした部分はきっ ちりあるわけです。それで普遍してすべてを括っていいのかどうかという議論がありま すけれども、これはやはり危険性があるということは考えて、ある程度、認識を持って いただきたい。それは山崎委員がおっしゃられたようにバランスの問題、あるいは個人 の判断の問題であるという論点はまた、違った視点からの議論だと思います。  ただ、たばこというのは習慣性があるということで、今までは野中委員がおっしゃら れたように大人の楽しみ、文化、あるいは吸うと大変美人になるというまでもなく、テ レビの広告に一服すると途端にビーチのヨットに乗ったような気分になるという、吸う と本当、あんな素敵な人たちになれるのではないかという、そういうプラス思考の情報 がもの凄くあって、片隅にニコチン何mg、タール何mgで吸い過ぎに注意という、その情 報の伝達方法に私はちょっと問題があるではないか。また、大河委員にまたこてんぱん にやられるかもしれませんが。  ですから、私はこれは厚生省としてはやはりある程度、根拠のあることについては国 民の皆さんに伝えて、ある程度、健康、あるいはこれは医療費が裏にかかっているかも しれませんけれども、そういう問題に取り組む、生活習慣病として取り組みたいという お気持ちがあると思います。  ただ、そのときに議論がありましたようにやはり規制、規制でいくというのは私はい かがなものかということで、アメリカの禁煙の運動も規制というよりむしろNIHのキ ャンペーンのチーフの人が、本当に全国、努力してキャンペーンしている。要するに、 キャンペーン、今、座長が情報の開示とおっしゃいましたけれども、キャンペーン運動 が重要なのではないかと思います。 そういうことで私ども循環器学会でも、学会では 意外と循環器のお医者さんがたばこを吸うのですよね。悪いこと知っていて。だから、 悪いこと知っていてたばこを吸うというのは、やはりこれは山崎先生がたばこを吸うの は文化であるということはもうよくわかるのであって、ですから、例えば、学会の間は すべて禁煙にしましょうとか、そういうことで禁煙運動を拡げていくと。  それにはサポートしていただくにはやはりたばこの危険度については、ある程度、認 識を皆さん、持っていただくということが重要で、たばこのプラス、今、随分、危険度 ということを情報が開示されていますけれども、まだバランスから見ると、特に、私は 若い人の未成年の法律で禁止されている未成年の人が、なぜ、喫煙するかということは やはりそういうプラスの情報が関与しているのではないかということです。私自身はあ る程度の年齢の方がたばこを吸われるということに関しては、これはご自身の判断に任 せてよろいのではないかと。  ですから、できるだけ若い世代の喫煙習慣をなくすための何か情報の開示、あるいは あまり大きな問題がなければたばこの自動販売機の問題とか、あるいはさきほどトッテ ン委員が言われた大人の社会での禁煙というのでは分煙を一方では進めていただくと。  そういう問題点をいくつか絞って項目別に答申を出していただければ、ひっくるめて たばこがこうだ、ああだというのはなかなか、特に、大河委員のご賛同は絶対に得られ ないと思いますので、個別的に話してまとめていただければ大変ありがたいと思います  島尾座長  どうもありがとうございました。柳田委員、どうぞ。  柳田委員  この検討会というのは、これは厚生省が今後のたばこ対策をやっていく上のアドバイ スを諮問してこられたアドホックの会と、そういうふうに私、理解しております。 ということは、この会で何か評価をする、ものごとを決めるということではなくて、 今後のたばこ対策はどうあったらばとよいかということについて我々の気のついたこと を答申にしていくと、そういうのが大事で、基本的には私は厚生省は今後どうしていく べきかという、たばこ問題についてですね。それについての意見を言うのがこの検討会 の役割ではないかというふうに思いますね。  例えば、未成年者の喫煙問題について言えば、それは重要な問題だからひとつ、国だ けがやるのではなくて厚生省がいろいろな関連機関とどう提携して民間の力を借りて、 そうういう政策を進めたらいいかということのアイディアを少し差し上げると。  それから、分煙問題については我々はこれは非常に重要な問題と考えると。だから、 積極的にこれを推進するような体制を作ってほしいというようなことを話すと。  また、一方では、しかしながら、喫煙という問題は最終的には個人の自由裁量の問題 であるので、あまり政府はそういうことに干渉することは望ましくないと。あるいは情 報開示ということについて、これを厚生省が一方的に素材を選ぶのではなくて、もう少 し情報というのはあまり多すぎたらないのと同じになってしまいますから、セレクトし なければいかん。だけれども、セレクトすると必ずバイアスがかかってきます。したが って、そこをいかに国民にとって大事で、かつバイアスのかからないものを、それを厚 生省が指導して主導型で、ただし、ちゃんとそういうことの専門家の集まりの会で素材 を選択したらよかろうというような、そういう体制を作ると。  もうひとつは、素材の生のままの形ではこれはなかなか理解しにくい情報があると。 そうするとそれをある程度、料理する。しかし、料理の仕方によってはまたバイアスが かかってしまいますので、その辺もやはり公正な、しかるべき専門家でそういうことを やると。そういうふうにするにはどうしたらいいかというような、もし、アイディア、 知恵があれば我々がそういうことについてコメントをして厚生省のたばこ問題の対策を 助けていくと、そういうのが我々の与えられているポジションではないかなと、そうい うふうに思います。  島尾座長  山崎委員。  山崎委員  野中委員から始まって皆さんのご意見を伺っていて、これは結局のところどなたも会 の進め方についてご意見をおっしゃらないで、会に望ましい結論を、会が出すべき望ま しい結論をおっしゃったに過ぎない。このこと自体がやがて議論を進めていけばまたま た同じことにぶつかってしまうと。  ただ、ひとつだけ私は、同じことの繰り返しになりますから申し上げませんが、この 委員会で私は確かに変わり者の孤立した存在てすけれども、少なくとも日本の成年人口 大人の人口の中の喫煙者と非喫煙者の比率に従って委員が選ばれていたらこの委員会の 雰囲気はもう少し変わっただろうと。それだけ申し上げます。  島尾座長  仲村委員、どうぞ。  仲村委員  私は誠に簡単でございまして、たばこを吸うことは健康にとっていいか悪いかと、皆 さんの考えは、まず、99%、また数字を言うと怒られるかもしれませんが、良くないと  途上国で子どもがたばこを吸っている現状を見てあのままでいいという人もいないだ ろうと思いますし、近頃、日本で女の大学生が道を歩きながらたばこを吸う。あれを見 ていいという人もいないのではないかという理解の下で、今、たばこ対策について何を なすべきか。健康被害に関しては、野中さんも言われましたように昨年の白書で取り上 げておるので、ああいう形で有害ということを決めた際に防煙、分煙、節煙、禁煙、何 でもいいのですが、今、我々は今後、さらに何をなすべきかを議論するのがこの委員会 というか、この会だと思いますし、現にメーカーの方でも警告表示をなさておりますし 例えば、あれがあのままでいいかどうか。あるいは自動販売機の問題も出ましたし、た ばこの値段の問題も出ましたけれども、諸々のことがこのままでいいかということを議 論するのがこの会だというふうに理解をしております。  島尾座長  富永委員。  富永委員  この検討会の発足に先駆けまして厚生省では「たばこ行動計画検討会」というのを設 け、その報告書が平成7年3月に出ています。「たばこ行動計画検討会」はもともと WHOが1989年に総会でたばこに関する行動計画を決議して、加盟各国にたばこ対策を 推進するにあたっての行動計画を策定するように呼びかけ、これを受けて日本の厚生省 でもたばこ行動計画を策定されたと理解しています。  この行動計画の策定に当たっては今回、座長をお務めの島尾先生が座長を務められて おりまして、大河委員も行動計画検討会のメンバーとして参加されております。  この行動計画では、やはりたばこ対策を推進する側の一方的な結論ではなくて、実行 性、有効性を持たすために、たばこ関連産業の関係者も含めて広く検討したということ になっています。この検討会のまとめ、報告は総論的には非常によくできています。 21世紀に向けての喫煙対策の行動計画が立ててありますが、実際に具体化しようとす るといろいろな問題点をさらに検討して議論を深めて各論的に対応しないといけません  ひとつ例を挙げますと、「たばこ行動計画検討会」でも防煙の重要性を指摘しており ますけれども、それを具体的に進めようとすると、何回か前の当検討会で幸田委員がご 指摘のように、例えば、たばこの価格ももう少し上げてもいいのではないか。あるいは 自動販売機をもう少しきちんと規制しないといけないのではないか。警告表示は具体的 にどういう文言にしたらいいか。こういったことについてそれぞれの重要な問題点を議 論を深めて具体策をこの検討会で出すべきだろうと思います。 この検討会の全体のまとめ方につきましては、過去の検討会の議論からもわかるよう に、かなり意見が分かれておりますので、最終的に何となく丸めた灰色的な結論にしな いで、こういう意見が多かったが、こういう意見もあったというように、両論併記のよ うな形でまとめたらよいのではないかと思っています。  島尾座長  櫻井委員。  櫻井委員  前の会のときにも申し上げましたけれども、まず、たばこについてここで議論すべき は健康の問題に絞りたいと思います。これについて全く害がないという0から、全く黒 というのを、もし、10として、どうしても学者の先生は8とか9とか決めたいのですね でもそんなことはどうでもいいので、たばこは害だということがわかれればいいのです それをどの位だというふうに認めさせたい。それに対して大河委員が反論するという形 になってしまって、その議論をしていて、たばこの害が3なのか4なのか5なのか6な のか8なのか決めようというために時間をかけているだけで、それはもういいのですね 僕に言わせれば、たばこは健康に害だというだけで良い。  山崎先生もおそらくたばこが害だということは認めているだろうと思うのです。0だ とは思っていない。そうかと言って10というのが、いい例えではないと思うけれども、 10というところが麻薬と同じだとすれば、つまり10、悪いということがわかれば法律が できるはずで、禁止しなさいと。絶対いけないという法律を作る。それができないとい うことも皆さん、認めているわけですから。  どっちかと言えば、せいぜい決めるならばたばこは「健康に害である」、「非常に害 である」、「少し害である」という程度のところだと思います。私は「非常に害があ る」というところぐらいだろうと思うので、そのぐらいで学者の先生も我慢してもらわ ないと、どうしてももっと数字で決めろという話になると前に進みません。山崎先生も たばこは健康に非常に害だと認めてもらって、でも、いいところもあるよと。そのいい ところの話はここではしないということで我慢してもらう。いい方は格好いいのは格好 よくてもいいし、たばこを吸うとすっきりするならそれで結構ですけれども、害は害だ ということを、まず、前提に皆さんが合意するかどうかだろうと思うのです。  だから、たばこは、もし、議論するなら健康に害である、少し害である、非常に害で あるの3つのうち、どっちぐらいか議論してくれるならいいけれども、細かいことはい らない。非常に害があるというところで皆さんが合意してくれれば、健康に非常に害だ から、どうしたらいいかというのを厚生省が何らかの指針を出すことは国の、国民の健 康に責任を持っている役所としては当たり前の話だろうと思います。  これもまたトッテンさんが言ったように臭いがどうだとかという話を持ち込まれると また、それも困っちゃうわけですね。たばこの煙が副流煙として健康に害だというとこ ろは認めなければいけないから僕は分煙が必要だと思いますけれども、隣でたばこを吸 うと臭いが嫌だとなれば香水の臭いも嫌な人もいるし、変な頭につけているリキッドの 臭いが本当に嫌な人もいますよね。そういう話までは持ち込みたくないと思います。  逆に、たばこの臭いが、あの臭いが素敵だという人もいるはずなのですから、その話 はここへ持ち込まないで健康に害かどうかということだけを、まず、皆さんが合意して それではどうするという話だけにして、その害がどの程度かという話をまた一生懸命証 明しようとすることをやめる。それでいいと私は思っています。  だから、たばこは非常に健康に害だから、ではどうするかだけを議論すべきだと思い ます。いい面はいい面で、山崎先生がたばこを吸いながら原稿を書くといい文章が書け るとおっしゃれば、それは結構です。健康に害があっても害があるものが他の面で有効 に働くことがあるわけですから、それは構わないのだろうと思うので、そこを規制する 必要も全くないと思います。以上のことを皆さんが前提として認めてくれるかどうかを やって、それが駄目ならやめればいいと思います。その前提が崩れたらこの会をやる意 味はないと思っています。  島尾座長  幸田委員。  幸田委員  座長からのお話はこの検討会の取りまとめをどういう方向でやるかということだと思 いますので、そういうことで私の意見を言いたいと思います。  さきほど島尾座長がお話になったこと、私もだいたいそういうことでいいのではない かと思いますが、それは言わば総論でございまして、さきほどの島尾座長のお話は総論 でございまして、もう少し各論に踏み込んでいいのではないか。 取りまとめとしては、その際に各論として各委員の意見が概ね一致ができるのは、私 は少なくとも2つあるのではないかと。ひとつは、未成年者にできる限り、喫煙習慣を 植えつけないようにするということ。それから、分煙対策を進めるということ。この2 つについては各委員の意見はだいたい一致をするのではないかと私は思います。そうい うことについてもう少し具体策、総論に終わらないで各論的な具体策に踏み込んだらど うかと私は思います。  前々回ですか、申し上げましたが、例えば、未成年者の喫煙習慣との関連では自販機 の問題をもう少し取り上げていくべきではないかと。あるいは分煙対策の問題で言えば これは原因者責任、発生者責任、具体的にはたばこを製造される会社の負担、最終的に はたばこを消費される方に負担が転嫁をされるだろうとは思いますが、そういうことは もう少しきちんと決めていいのではないかと私は思います。そういう問題については各 委員の意見が私はおそらく一致をすると思いますから、そういう方向で取りまとめをい ただきたい。  問題は各委員の意見が必ずしも一致をしない問題については、灰色ではなしにこうい う意見があったのに対してこういう意見もあったという格好でお取りまとめをいただく 以外、ないのではないかと思います。  そこで、さきほど松本先生からお話がありました表示の問題で、例えば、日本では現 在、表示は「健康のために吸いすぎに注意しましょう」ということになっていますが、 外国たばこがアメリカ並、あるいはEU並のものをやろうとしても日本ではできないと いうことが仮に事実であるとすれば、これはもう少しこの検討会としておかしいのでは ないかということは言ってもいいのではないかと。  それから、たばこの値段が日本では値崩れをしない。これは私の持論とはちょっと違 いますが、それはどうしてなのかなと。例えば、川口さん、おられますけれども、お酒 は相当に値崩れをしております。ディスカウント店もあれば、いろいろな形の値段が出 ております。日本のたばこはどうも値崩れをしていない。これだけ自由化、自由化と言 いながら値崩れをしない理由は何かと。  おそらく松本先生に言われるのが正しいとすれば、表示が「吸いすぎに注意しましょ う」以外は駄目というのはたばこ事業法に私は問題があるのではないかと。ですから、 そのたばこ事業法をどうするかということをやはりこの検討会で少し具体的に議論をし たらいいではないかと。これは価格の問題にも触れて、たばこ事業法というのが大蔵省 が所管している法律ということになっているのですが、大蔵省は健康問題についてそれ だけの識見があるかどうかということについては、私はやはり疑問ではないかと思いま す。  そういうことで表示の問題、あるいは値段の問題も含めて、たばこ事業法の問題、仮 に、ネックで自由化を阻んでいると。規制で日本は「たばこは吸いすぎに注意しましょ う」しかできないとなると、これはやはり世の中、逆なのではないかと私は思っている わけで、そういう点をもう少し時間をかけて議論をしていただきたいと思います。  島尾座長  川口委員、どうぞ。  川口委員  最大公約数的にまとめるということであれば、さきほど島尾座長がサマライズなさっ たようなことかなという気がいたしております。  報告の紙の1頁目から最後の頁まで私は全員が合意をした結論を、ひとつの結論を書 くというのは難しいのではないだろうかという気がしております。ただ、さきほど座長 がおまとめになられましたように、いくつかの点については合意できるところもあるの かなという気がしております。  私はこの会合、非常に意見がいろいろ分かれまして、それもかなり立場の違いが反映 されたいい意見があったというふうに思うのですけれども、プラス思考で考えれば、私 はこのプロセス自体、違った意見がいろいろ出た、違う考え方がこの問題についてはた くさんありますということを世に問うということに意義があるのだろうという気がいた しております。それがまた啓蒙というか、情報提供の一環ではないだろうかという気が しております。  ですから、意見が違う、お医者様の意見もございましたし、違う立場の意見もありま したし、というところはそれはそれではっきり書く。むしろ違うということをはっきり 書くということですし、まとまりそうなところはまとまるというふうに書くということ だと思います。  今後の進め方について、よく国際会議なんかでやるやり方ですけれども、ある程度、 意見が出尽くしたところで誰かが、議長でもいいでしょう、他の方でもいいのですけれ ども、紙にしてみる。ひとつの意見を書くという意味ではなくて、取り合えずこういう ことだったらば皆の合意が得られそうかなということを紙に書いて、以降は紙の文言を 議論するということによって進めるということを国際会議でよくやりますけれども、次 回あたり、そういう両論併記するところの各論、ひとつにまとまるところもあるという ような紙をどなたかにおまとめていただいて、それで皆がその紙で合意が得られるなら それでよし。意見がおありになるのがあれば、さらにそれを直していくというやり方が あるのかなというふうに思っております。  そういうまとめ方になるということ自体の評価は、私は様々あろうかと思いますけれ ども、言ってみたらそういうふうに違う意見が様々あるということがこの問題について 日本の社会、日本の国民がどういうふうに考えているかということの反映でもあるので はないだろうかというふうに思います。そういう意味で、この紙をそういう形で何か紙 ができたとしましたら、それを世に問う。  よく、今、官庁でホームページで審議会なんかの取り合えずのまとめを公開して世論 から意見をいただいているということをやっている官庁がかなり増えているというふう に認識しておりますけれども、そういうことをなさるのもひとつのやり方だろうと思い ます。  この前、環境の話とアナロジーみたいなことを申したことがございますけれども、環 境の問題もおそらく同じようなプロセスを経て問題がある方向に行きつつあるのではな いかという気がしていまして、リサイクル関係の法律も、例えば、街角で資源の回収を しましょうということで、びんを洗って栓を外して街の収集のところにきちんと持って いくという人が大勢いて、初めて世の中に受け入れられているということでもあります から、働きかける方、あるいはそれを受ける方、それなりに理解が高まっていくという ことが大事で、この報告書自体、迂遠なようですけれども、重大な、重要な一歩、ひと つではないだろうかというふうに思います。以上です。  島尾座長  どうもありがとうございました。大河委員。  大河委員  毎度、争いごとの張本人ということのようでございます。若干、皮肉を込めたお褒め の言葉も頂戴いたしましたけれども、実は、私が言わんとしていることは別にこの会を 妨害しようとか、そういうことでは全くありませんで、基本的には建設的な結論が得ら れるようなことは実は考えておりまして、今まで、何人かの先生方のご指摘のようにい くつかコンセンサスが得られる点は出てきているのではないかと思います。  3つあると思いますが、ひとつは未成年者喫煙防止。これについてはそういうことが もっと今以上にきちんと行われる必要があるというのがコンセンサスがあろうかと思い ます。  ただ、これの具体的な実施法については確かにまだ意見が一致してないと思います。 例えば、自動販売機の問題、さきほどご指摘ありましたけれども、実は、富永先生もご 指摘のたばこ行動計画検討会報告書が出てから、たばこの小売りの組合の方で自動販売 機の深夜稼働の停止というのをやってきておりますけれども、まだ、始めて数年しか経 っておらないということで、実施率も90%は越えておりますけれども、まだ不徹底なと ころもあるやに聞いております。  もともとたばこの自動販売機がどういう意味であるかというと、当然、消費者利便で あるとか、たばこの小売店というのは地方都市のたばこ屋さんを想定していただければ おわかりと思いますけれども、かなり零細の小売販売の方が多いというようなこともあ りますので、そういう方々の営業権の問題も絡んでまいりますから、一律に自動販売機 を全廃するというのは非常に問題があるところでございますので、今、やっている規制 を徹底するというようなことであれば業界としても十分協力できるのではないかと思い ます。  それから、もうひとつコンセンサスが一応出ているのは分煙だと思いますが、分煙は 一応、総論としてはコンセンサスが得られていると思いますけれども、各論で私、前か ら申し上げているのは、メーカー負担の問題以前にやはり吸う人、吸わない人が非常に 感情的な対立になることもありますので、そういう意味ではもう少しお互いのマナーと いうか、心ですね。そこら辺の何かうまい啓蒙というのも必要だと思います。  そもそもは施設管理者が主体的にどう判断するかという問題があると思いますけれど も、施設管理者が判断するためのガイドラインがやはり国としては出ていないと思いま すので、やはりきちんとした分煙のガイドライン、これにはできたら分煙対策機器のマ ニュアルみたいなものも入っていた方がいいと思いますけれども、そうしたものをやは り国としても提供するというのがいるのではないかと思います。  それから、もうひとつ3番目にコンセンサスが得られつつあるのは情報提供だと思い ます。問題はこの情報提供のあり方はまだ内容としては十分な議論が進んでいないと思 いますけれども、私自身は21世紀型の情報提供のあり方としてはやはり医療とか福祉 とか保健等、従来、画一的平等ということだったと思いますけれども、やはり21世紀 型ということであれば、選択の幅のある公平性への変革というのが必要ではないかと。 ですので、そのためにやはり的確な情報提供がぜひとも重要だと思います。  たばこというのはご案内のとおり元来、選択の対象である嗜好品でございますけれど も、そういう意味で従来、情報提供、十分であったかというとまだ不十分な点、もちろ んあったかと思いますので、的確なたばこについての情報提供、そのための体制整備、 客観的な情報の内容のあり方みたいなものが非常に重要になってくるのではないかと思 います。  たばこが非常に害なのかどうなのかと、こういうようなご指摘もありましたけれども メーカーとしてはやはりたばこはいくつの疾患の危険因子だというのは矢崎先生、ご指 摘のとおりだと思います。そういうことを否定するつもりは全くありません。  一方で、やはり吸う方、愛煙家の方にとっていろいろな意味で、例えば、現代社会、 いろいろストレスが多いわけですが、ストレス解消の手段になっている場合もあります し、他のいろいろな効用もあろうかと思いますので、そういういろいろな医学論の情報 提供としてもいろいろな情報提供があっていいのではないかと思います。  ただ、いわゆる客観的な情報提供というので、いろいろな提供をしていいではないか というご指摘もありましたけれども、従来、日本のたばこに関する疫学データというと すぐ平山先生のデータが紹介されるのですが、例えば、『ライフ・スタイル・アンド・ モータリティ』という本が出版されておりますが、これにほとんどのデータ出ていると いうのですが、私、実は何度も見返しましたけれども、実は、いわゆる原データという のはこの中に全部は盛り込まれてはおりません。  前回も多変量解析による交絡因子の補正というのがあるやにお話がありましたけれど も、実際には多変量解析は行われているのですが、実際の平山先生の相対危険度の数字 を出すときにはそういった解析が行われない形で数字だけが一人歩きしていると。もち ろん生活環境であるとか、遺伝体質などの他の重要な因子の考慮というのは全くないと いうことでございます。  そういうような感じでございますということなのですが、要は、なかなかはっきりし ないのはこの原データが公開されてないので検証ができないということですけれども、 それ以外にもいろいろいわゆる死因調査が死亡診断書に基づいて行われているために転 移性もあるかどうかわからないとか、調査が実は、今から30年以上前の1965年の秋にい わゆる生活様式の調査が行われておりまして、それから17年間、不変だという、そうい う仮定でやっています。もちろん一度、途中でチェックしておりますが、少数サンプリ ングでチェックしていますけれども、基本的には1965年のライフスタイルの調査結果だ ということでございます。  他に適当な情報がないという理由で30年前のこういう疫学調査結果を情報提供すると いうのは私自身は大変問題があると考えておりますけれども、厚生省の方で最近、新し い疫学的な計画調査を行いつつあると聞いておりますので、非常に近い時点で、そうい う新しい調査結果をこういう情報開示の中に適宜、含めていただけることを期待してお ります。  それから、さっき表示の問題、ちょっと出ましたですけれども、これはだいたい出発 点はアメリカになっております。年代を厚生省の資料でも見ればおわかりだと思います けれども、古いところはやはりアメリカから来ておりまして、アメリカの表示というの はさきほど数10兆円の和解の話も出ましたけれども、基本的には製造物責任の問題でい ろいろもともと乱訴状況になっておりまして、そういうひとつの社会的な背景もあって 割合とどぎつい表示になっていると。  では、日本の表示はどうかということですが、私自身は医学的な観点でいくとそうい う危険因子という意味では妥当な表示ではないかというふうに考えております。それか ら、アメリカにはないタール、ニコチン量という成分表示も行っているわけでございま すので、決して遅れているということにはならないのではないかと思います。  アメリカのはいろいろな製造物については表示はかなりいろいろ多種類行われており まして、それはさきほどのようなPLリスク回避ということもあろうかと思います。日 本も最近、製造物責任法が施行されてから、若干、家電製品等で警告注意の表示が増え つつあると思いますけれども、やはりそういう業界団体の代表の方ともお話しましたけ れども、日本の表示というのは基本的には消費者に対する注意喚起とか啓蒙という趣旨 で行われている場合が非常に多いということで、やはりアメリカの表示とはそういう意 味で質的には異なっているというふうに私自身は考えております。以上です。  島尾座長  どうもありがとうございました。既に、時間が過ぎておりますので、これで終わりた いと思いますが、私の途中で申し上げました所感については全員ご賛同いただいたと思 いますので、あの中で申しておりますけれども、やはり喫煙の健康に対する影響という のは日本人禁煙法を制定する程の危険はないと。しかし、明らかに好ましくないことは はっきりしているということだと思いますが。  今日、各委員からのご提案をいただきまして原則的な同意を得られているところ、具 体的な施策についてはかなり違うご意見のところも多いと思いますが、一応、次回、今 までの基本的な考え方、論点の整理をして、それについてこの次の委員会でお諮りする という形にしてまいりたいと存じます。  次回だけでは、したがってちょっと最終結論までいかないと思いますので、おそらく 7月に入ると思いますが、もう1回、お願いするようになると思いますが、一応、その 程度で今回のとりまとめをさせていただきたいと。  それから、大変いろいろな意見を開陳していただきましたので、これは今後、喫煙対 策を考える場合、日本人、こういう考え方をする方がいる、こういう方がいるというの を知っておくのも非常に大事なことで有益なことではないかというように考えておりま す。  では、次回の会合について事務局の方から。  事務局(高原)  次回は6月26日金曜日午後3時から厚生省2階の共用第6会議室を予定しております なお、中間報告がまとまれば、できるだけ事前に委員の方には発送申し上げたいと考え ております。  島尾座長  はい。山崎委員。  山崎委員  事務的なことですが、急遽、日程を変更されたものですから、次回は私はどうしても 出席できないのです。今、事前に結論に結びつくような文章をお配りくださるというこ とですので、なるべく早くしていただいて、せめて私は文書で意見が出せるようにして いただきたいと思います。  島尾座長  どうもありがとうございました。本日の会議、これで終わります。  問い合わせ先   厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課 望月,大石   電話:03-3503-1711 内線(2397,2394)