98/06/01 食品衛生調査会毒性・添加物合同部会議事録 食品衛生調査会毒性・添加物合同部会 議事録 日 時:平成10年6月1日(月) 10:00 〜12:30 場 所:中央合同庁舎5号館特別第1会議室 出席者:五十嵐 脩、江崎 孝三郎、鈴木 久乃、高仲 正、戸部 満寿夫、     長尾 美奈子、中澤 裕之、林 裕造、福島 昭治、伏谷 伸行、     村上 正孝、山崎 幹夫、山田  隆 厚生省:黒川食品化学課長、他課長補佐以下7名 ○中垣補佐 それでは、定刻になりましたので、食品衛生調査会毒性部会及び添加物部会合同部会 を開催いたしたいと思います。 まず、最初に小野昭雄生活衛生局長よりごあいさつを申し上げます。 ○小野生活衛生局長 おはようございます。朝早いうちからどうも御苦労様でございます。食品衛生調査会 毒性・添加物合同部会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。 委員の先生方におかれましては、大変御多忙の中、本委員会に御出席をいただきまし て、また、平素いろいろ私ども所管行政に関しまして、貴重な御提言をいただきまして 誠にありがとうございます。 本日は食品衛生法第13条に規定をいたします食品添加物公定書の改正につきまして、 御検討をお願いしたいと考えております。 本公定書は昭和32年の食品衛生法改正におきまして規定されましたもので、添加物行 政の基本となるものでございます。 また、これに加えまして、酸化防止剤として使われておりますブチルヒドロキシアニ ソールの使用基準、また、マグロ、ブリなどに対します一酸化炭素の使用につきまして も、御検討をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 添加物に関します、あるいは食品に関します国民の関心は極めて高いところでござい ます。先生方の忌憚のない御意見を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございま す。どうぞよろしくお願いをいたします。 大変申し訳ございませんが、ダイオキシンの関係の部内の会議をしなければいけませ んので、私はここで失礼をさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。 ○中垣補佐 本日は毒性部会が委員10名のうち6名、添加物部会が同じく委員10名のうち7名の御 出席をいただき、過半数を満たしておりますので、本日の部会が成立しておりますこと を御報告申し上げます。 なお、本日は添加物の規格や水産食品についても御議論いただくために、特に山田先 生、伏谷先生に御出席をいただいております。 合同部会の座長は慣例によりまして、毒性部会長の戸部先生にお願いすることとなっ ておりますので、以後の議事進行を戸部部会長にお願いいたしますが、議事録等の作成 のために御発言はマイクを通していただきますようお願い申し上げます。 それでは、戸部部会長よろしくお願いいたします。 ○戸部座長 おはようございます。よろしくお願いいたします。 それでは、合同部会を開催させていただきますが、審議に入ります前に、配布資料の 確認を事務局の方からお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○中垣補佐 本日配布させていただいております資料は、お手元にございます議事次第、及び委員 名簿、座席表、配布資料の一覧、それと配布資料の一覧にございます資料の1、2、3 及びその他にございます「既存添加物の安全性評価に関する調査研究」というものでご ざいますが、資料一覧を見ていただきますと、例えば資料の1に資料1−1というのが ございまして、資料2に資料2−1から2−15まで、また、資料3には、資料3−1か ら3−4までございますけれども、これらにつきましては、あらかじめ送付させていた だいておるとおりでございます。 また、お手元に資料1−1の訂正といたしまして、「食品添加物公定書第7版各条等 検討会報告 訂正箇所」というのがございまして、これは資料1−1の訂正箇所を書か せていただいたものでございますし、1枚めくっていただきますと、資料3−3の目次 ということで、資料3−3というのは分厚うございますので、目次を本日お手元にお配 りさせていただいております。 以上でございます。 ○戸部部会長 ありがとうございました。資料がかなりたくさんございますので、そろっているかど うか御確認をいただきたいと思います。よろしいでしょうか。 それでは、議事に従いまして、まず議題1から入りたいと思います。「食品添加物公 定書の改正について」の審議でございます。 本件につきましては、5月11日に食品衛生調査会に諮問がございまして、同日付で本 部会に付議されたものでございます。 本件については、既に平成6年9月から食品添加物公定書第7版の作成について、国 立医薬品食品衛生研究所の添加物部長でございます山田先生、本日御出席をいただいて おりますが、山田先生を中心に検討がなされてまいったと伺っているわけでございます この件について、事務局及び山田先生からこれまでの経緯の御説明をいただいて、その 後審議に入りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○中垣補佐 それでは、まず事務局の方から総括的な御説明を、資料1に基づきまして、させてい ただきたいと思います。 資料1をごらんいただきますと「食品添加物公定書の改正について」ということで、 まず1番にその経緯が載っておりますけれども、食品添加物公定書と申しますのは、局 長のあいさつの中にもございましたとおり、食品衛生法の第13条の規定に基づきまして 食品添加物の成分規格、使用基準などを収載するということになっておるものでござい ます。 この件につきましては、まず第1版が1960年に作成されて以来、92年の第6版作成ま で逐次改正が行われてきたところでございまして、食品衛生調査会からは、5年程度を 目安に改正を行っていくようにという御意見もいただいているところでございます。 そういう点から申し上げますと、若干遅れておるわけでございますけれども、今回の 改正というのは第6版の改正以降の規格基準の設定、あるいはその改正、それに伴いま す新たな試験法の収載等を行うという方針で臨んでいるところでございます。 「改正の目的」でございますが、大きく分けて3つでございまして、1つには、食品 衛生法の改正に伴いまして、いわゆる天然添加物の成分規格を充実するというものです 2番目には、新たな試験法の収載、及びそれに伴う各条の改正を行いたいと考えてお ります。 3番目には、国際的な整合化の流れを受けて、成分規格を改正するべきものがあれば それの手当をするということでございます。 先ほど部会長からも御報告いただきましたように、平成6年9月から食品添加物公定 書第7版の作成のため、検討がなされてきております。資料の1−1は4月30日付で検 討会の座長でございます国立医薬品食品衛生研究所の山田部長から御報告いただいたも のでございますが、1ページをごらんいただきますと、開催年月日といたしまして、平 成6年9月22日から平成9年12月18日まで、合計13回の会議を行っていただいておりま す。 その次のページ、2ページ目に委員名簿ということで、座長の山田先生のほか20名の 委員に御参加いただいたところでございます。 中身につきましては、本日特に山田先生に御参加いただいておりますので、山田先生 の方から御説明をいただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。 ○山田委員 今回の改正について、先ほど中垣補佐の方から、1つは国際化に対応してということ がございましたけれども、特徴といたしましては、単位の書き方などに国際単位を使う ということにいたしまして、例えばモル濃度というところを大文字のMではなくてmo l/lにするという変更、それから、Normal、規定というのを使わないで、それ もmol/lというように全部置き換えております。 これは大体そのままNormalをmol/lと置き換えればいいんですけれども、 例えば硫酸ですと、2Nが1mol/lというふうに、そのままには置き換え出来ない ところもありまして、全部そのように置き換えてあるはずです。 それから、今回の特徴といたしまして、資料1の4番のところにも書いてございます ように、今回大幅に天然添加物と言われるものの規格が入りました。 これにつきましては、資料1の2ページ目に書いてございますけれども、そこに今回 新しく入ることになりました61品目、3製剤が挙がっております。 このように、アミノ酸や着色料、増粘安定剤を中心にいたしまして、そのほかのもの も含め全部で61品目になります。 アミノ酸の終わりの方をごらんいただきますとL−アラニン液、L−プロリン液、 L−リシン液とございますが、そういう製剤についても規格を定めました。 ただし、これまでこういう天然添加物には規格はなかったわけではなく、これまでに 全部で12品目について規格があったということで、第6版に規格が収載されている12品 目を挙げてございます。 天然添加物でございますけれども、天然から取ってきまして、どのようなものなのか がなかなか化学的に合成した添加物のようにはっきりと言い切れないというようなもの がありますので、2ページの2)にありますように、既存添加物名簿の内容に基づきまし て、基原、製法等を書きまして、ある名前が付けられたものがどういうものであるかと いうことの定義を入れてあります。 その定義の中では大体基原とか製法の、その性質を有する元のものが定義になってい るわけですけれども、ここのイにありますように、ウコン色素とかクロロフィルなどに つきましては、ある物を加えないとその物が安定に存在しないということとか、あるい は品質を一定にするために、産地でいろいろ加えるようなものもありますので、安定化 とか標準化のために乳糖とかデキストリン、油脂などが加えられているものについては そのもの全体を含めてその添加物として定義して規格をつくっております。 それから、着色料についてですけれども、着色料の本体というのは、色が付いたもの でありますけれども、そのものが化学的合成品のように1つのもの、あるいは決まった ものでないという場合がありますので、色価という概念を導入いたしまして、その色の 見える波長、可視部での極大吸収波長における吸光度をもってそのものの量を表すとい うことを導入いたしております。 資料1の3ページに書いてございますけれども、不純物の規格、重金属、鉛、ヒ素な どは、これまでに化学的合成品についても大体入っている規格なんですけれども、その ほかに微生物に関する規格を、特に酵素は植物由来のものもありますけれども、動物な どの臓器から採るものもあるので、微生物の限度についての規格を設定してあります。 それから、増粘安定剤というのも非常に微生物が入りやすいものであるということで その微生物に関する規格が加えてあります。 それから、今回の第7版の公定書からは、新たに一般試験法といたしまして、灰分及 び酸不溶性灰分の試験法というのを入れたいと思います。これは主に天然添加物につい て適用されるものであり、今まで合成品では灰分だけを定めていたのはあるんですけれ ども、天然のものについては、灰分及び酸不溶性灰分ということで試験を加えました。 色価測定法や微生物試験法につきましては、先ほどお話しいたしましたが、新たに誘 導結合プラズマ発光強度測定法、いわゆるICPでありますけれども、これはタール色 素レーキのバリウムの規格のところでこの方法を導入するようにして、容易に測定が出 来るようにいたしております。 また、ここに書かれておりますほかに、天然添加物のうち、増粘安定剤の粘度の測定 に、新たに回転粘度計法を取り入れるとか、あるいは原子吸光度測定法のところに電気 加熱方式、いわゆるフレームレス方式と言われるものを取り入れるとか、あるいはター ル色素の試験法に、これまでは食用赤色40号だけに、未反応原料とか中間体の規格が入 っていたんですけれども、今回はその他のいわゆるアゾ色素と言われるものについて、 未反応原料とか中間体に対する規制を新たに液体クロマトグラフィーでやるように加え ております。 さらに、この(3)にありますように、成分規格中の確認試験に赤外吸収スペクトル を用いる方法が、これまでは波数が幾つか規定してあって、その波数のところに吸収帯 を持つというようなことが確認の基礎になっておりましたけれども、今度は赤外吸収ス ペクトルを参照スペクトルとして加えてあります。この検討会報告書の149 ページから 何枚かにわたって赤外のチャートが加えてありますけれども、このように波数幾つ幾つ のところに吸収帯があるということではなく、全体の吸収波数と強度を見て比べるとい うことが出来るような方法を取り入れております。 新たに赤外吸収スペクトルのチャートを加えました品目が、そこにアスパルテーム以 下、リナロオールまで幾つか挙がっております。 また、成分規格の中で、IUPAC等を参考にいたしまして、化学名とかCASナン バーを入れたいと思います。 これにつきましては、資料1−1の551 ページからCASナンバーがずらっと出てお りますし、567 ページから構造式がずらっと出ておりますが、551 ページからにはCA Sナンバーだけではなくて正式な化学名も出ているわけですけれども、これは使う方が 便利であるようにということで、出来るだけ入れるようにはいたしましたけれども、い わゆる天然添加物などのところでは、混合物であって、まだ、CASナンバーは定めら れていないというものや、構造がどうにも書けない、はっきり定まっていないというも のもございますので、そういうものに関しましては入れてありません。出来るだけ定ま っているものについて入れたということであります。 (5)にありますように、成分規格中に用いられている有害試薬について、その使用 を削減する、すなわち公定書の試験を行うのに際し、これまで人体に悪かったり、環境 に具合が悪いというものを試薬に使っているものがございましたけれども、今回、その ような試薬は省いたということであります。 その具合の悪い試薬といたしましては、1)にあるように、原則として水銀化合物、シ アン化合物、ベンゼン、四塩化炭素などは用いないということになっておりますので、 これは今回の試験法からはすべて省いてあります。 ジオキサンは極力用いないということになっておりますが、これも今回の第7版の公 定書では使わないようになっております。 それから、クロロホルム、1、2−ジクロルエタン、ジクロルメタン等のハロゲン化 合物や、二酸化硫黄につきましては、使用する際には慎重に検討するということになっ ておりまして、それで極力使用をしないで済む試験法に変えたわけでありますけれども このクロロホルムというのは非常にいい溶媒ですので、これがないとどうしても溶けな いというもので、まだ、代替法が見つからないものについて少し残っております。 それから、薄層クロマトグラフィーやペーパークロマトグラフィーの展開溶媒として も、これは非常に便利なものでありますし、使用量も少しであるということで、まだ少 し残っているのはあると思います。 この有害な溶媒の関係で、ヒ素試験法のいわゆるA法という中で捕集に臭化第二水銀 紙を使う方法があり、かなりの添加物で使ってたんですけれども、それを全部やめまし て、B法と言われる水銀を使わない方法にしてございます。 (6)にございますように、香辛料の抽出物などの製造基準に、抽出溶媒の規定があ ります。これは547 ページ及び548 ページにございますけれども、548 ページの表にあ りますようなもののみを今後は使うということで、そのうちアセトンやヘキサン、ジク ロルメタン、トリクロエテンに関しましては、上限の基準が決められております。 今回新しく、特に6版と変わりました点について、ごくおおざっぱにお話しいたしま すと、そのような具合なんですけれども、よろしいでしょうか。 ○戸部部会長 ありがとうございました。十数回にわたって検討いただいた結果をおまとめいただい て今、お話を伺ったわけでございますが、この件について、どうぞ自由に御発言をいた だきたいと思います。資料がかなり大部でございますので、事前にいただいております けれども、全般にわたってお目通しをいただくのは非常に大変かと思いますが、いかが でございましょうか。 ○中澤委員 定量法のところなんですけれども、これは滴定の方法がまだかなり残っています。添 加物によっては、いわゆる高速液体クロマトグラフィー法で置き換えていくということ は、まだ余りお考えになっていらっしゃらないんでしょうか。 ○山田委員 こういうものの定量法なんですけれども、定量いたします際に、何かを標準にする標 準品というのが必要になってくるんです。その標準品をつくって維持していくというか いつでも同じ標準品が手に入るような状態にしていくということが、どうやったらそれ が出来るものか困難なものですから、標準の要らない滴定法とか、あるいは重さを計る とか、非常に古典的な方法ではあるんですけれども、そういうのが使われておりまして 定量に液体クロマトグラフィー、あるいはガスクロマトグラフィーを使っているのは、 標準品の作成法まで書いて、幾つかの品目に取り入れられてはいるんですけれども、な かなか標準品をどうするかという問題がネックになりまして、取り入れられないという 状態でございます。 ○中澤委員 今後、多分現場においては、滴定でやるよりも、こういったLCの方法というのは、 標準品さえ確保されればどんどん導入されていった方が現実的ではないかなと思います やはり滴定なりのよさは標準品がない場合には認めるわけですけれども、操作の段階と しては、非常にLCのような方法がベターではないかなと思います。 もう一つなんですが、一般試験法に誘導結合プラズマの発光法という非常に新しい方 法が入っているのは高く評価できるかと思うんですが、その一方で、確認試験とか純度 試験みたいなところで質量分析法を使うというお考えは、委員会の中でいかがなんでし ょうか。 ○山田委員 いわゆる質量分析を使うというまでは検討したことはないんですけれども、なかなか 高価な機械ですし、そこまで考えなかったんですが、確かにだんだんには質量分析とか それを液体クロマトと結合したり、ガスクロマトと結合したりという、そういうのは純 度試験として将来は取り入れていかなければいけない方向なのだろうとは思いますが、 今回は、機械が高価であるということもありまして、入っておりません。 ○中澤委員 その点も世の中かなり汎用型が出てきていますので、確かにダイオキシンの分析をす るような高額なハイマスでないとだめだというのは勿論ありますけれども、こういう添 加物であれば、今1,500 万円くらいのマスであれば、十分追跡出来るのではないかと思 うんです。そうすると、確認試験とかでも、非常にインフォメーションがたくさん入っ てまいりますので、有力な方法になるんじゃないかと思います。 もう一点、お尋ねしておきます。 147 ページに先ほど参照の赤外吸収スペクトルのお話がございましたけれども、これ もやはり参照スペクトルと比較するということで、日本薬局方と同じようなスタンスと 受け取りました。例えば、かなり純度の高い標準品が得られて、それのスペクトルが取 れる場合、それと比較して自分のところで該当する添加物を測定して、先ほどの波数で 比較するというふうにおっしゃっていましたけれども、波数ではなくて、参照スペクト ルで比較するということはやってもいいと認識してよろしいんでしょうか。 ○山田委員 ちょっと質問がよく分からないところがあるんですが、ここに参照スペクトルが載っ ているものは基本的に参照スペクトルと比較するようになっておりまして、波数で比べ るものは、幾つかの波数が挙げられていて、それと比較するようになっております。 ○中澤委員 内容的には多分同じことだと思うんですが、波数で比べるという表現ではなくて、標 準品と比べてやっていいかということがどうなのかということです。 ○中垣補佐 資料1−1の33ページをごらんいただきますと、ここに一般試験法の赤外吸収スペク トル法というのが定められております。 34ページをごらんいただきますと、上から2行目のところでございますが、別に規定 するもののほか、これは各条で規定するということでございますけれども、「試料によ る吸収スペクトルを標準品の吸収スペクトル又は確認しようとする物質の参照スペクト ルと比較し」ということでございますから、参照スペクトルと比較する方法とその標準 品のスペクトルと比較する方法の2つの方法がここでは提案されておるというふうに考 えております。 以上でございます。 ○中澤委員 ありがとうございました。 ○戸部部会長 中澤先生よろしいですか。山崎先生、今、中澤先生から3つほど質問がございまして 山田先生にお答えをいただいたんですが、何か御発言がございましたら。 ○山崎部会長 私もちょっと御質問申し上げようと思ったのは、赤外スペクトルのことで、中澤先生 の方からの御質問で大体理解出来たんですが、スペクトルの比較というのは、これは先 生方は御存じのように、赤外スペクトルの条件とか試料の調製とかによって全体のスペ クトルというのはかなり動きやすいものですね。私は特徴的な波数をとらえた方が試験 法としてはいいのかというふうな感覚を持っておりましたので、今、中垣補佐がおっし ゃった33ページから34ページのところも一生懸命読んでいたんですが、今の山田先生の 御意見ですと、ある決まったものについては波形の比較ということになっているわけな んですね。 ○山田委員 参照スペクトルが載っておりますので、ここに挙げてあるものにつきましては、波形 の比較が出来ると思いますが、例えば424ページのポリブテンのところをごらんいただき ますと、そこの確認試験というところで、赤外吸収スペクトル法中の薄膜法により測定 するとき、それぞれの付近に吸収帯を認めるとなっております。何故こうなっているか と申しますと、これは先ほど中澤先生がおっしゃった標準品の話とも絡んでくるんです けれども、どれを標準として波形を取って、これが参照としていただくスタンダードと いうことで置いたらいいのか、なかなかこれがスタンダードの参照ですと言えるような ものは取りにくいということでこのようなところには必ず特徴的なものが表われるから それでやってくださいというやり方になっています。 ですから、製品の範囲に幅がありまして、なかなか赤外が、これがそうですよと言え ないところについては、こういう書き方になっているわけでございます。 ○山崎部会長 分かりました。赤外の波形を比較するというのは非常に理解しやすいです。ですから 測定法がきちっと規定されて、それから機械の問題もあると思うんですが、その精度が 大体並んで、それで標準品チャートがそろってくると、かなり規格として決めやすいし 測定もしやすいかなと思いますので、だんだんこっちの方へいく、ただ、波数を書くだ けではなく、波形比較の方にいくんだろうなと思っていますが、まだ、若干難しい面も あるかなと思ったので、先ほど中澤先生が御質問になったとおりです。了解いたしまし た。 大変な作業をされて、これだけまとめられたのは、先生を始めとする方の非常な御努 力があったと思いますので、その点については深く感謝を申し上げております。 ○戸部座長 ありがとうございました。今の問題、かなり根幹の問題かと思いますが、関連して更 にお話しをいただくか、あるいはほかの問題でもどうぞ御発言いただきたいと思います ○中澤委員 2点ほどお尋ねします。これはむしろ今回ではなくて、今後の問題かなと思うんです 一般試験法として、今の確認試験に触れる問題かと思いますが、プロトンNMRくら いの導入というのはお考えになっていらっしゃるのかなということ、それから、添加物 の中に光学異性体が存在しているかと思うんです。このものに関しては、確認試験のと ころで比旋光度の測定ということを明記されていると思います。もっとも比旋光度を計 るというのは、大体旋光度そのものの測定自身がそんなに感度の高いところで出来るも のではないので、しようがないのかなという感じはするんですが、ただ、非常に光学純 度を考えなければいけいなような添加物がもしある、あるいは出てきた場合に、光学活 性の測定ということに関してはどのようにお考えになっていらっしゃるのか。これは将 来的な問題かと思います。 ○戸部座長 これも山田先生に伺ってよろしいでしょうか。 ○山田委員 最初のNMRですけれども、今回はそこまで考えなかったんですが、今後、確かにN MRというのは非常に何かの同定などには有用な手段だと思うんです。 もう一つ、測定機器が高いということで、測定を依頼しても高い方法ですので、メー カーがそこまで耐えられるのかということがあり、少し手間は掛かっても安い方法で出 来る方がメリットがあるという面があるのかと思います。 それから、先ほどの光学活性の点は確かに医薬品などでは最近かなり光学活性体が問 題だということを言われてきてはいるんですけれども、食べ物でたくさん食べるもので ありますので、今後そのようなものが出てくるかどうか、ちょっと分からないですけれ ども、出てきたら、ある光学活性体のものでなければきかないということでしたら、当 然考えていかなければならないと思うんですけれども、今でもグルタミン酸などのとこ ろは、光学活性体がないと味はしないんだそうですけれども、ある程度の比旋光度程度 で抑えているもので、それもそんな厳密なものではなくても差し支えないのかなと考え ております。今後そういうのが出てきたらばという問題だろうと思います。 ○戸部座長 ありがとうございました。よろしいですか。 専門外でよけいなことをしゃべるかもしれませんが、光学異性の問題というのは、今 のお話にもありましたように、医薬品ではかなり問題がありまして、私が承知している 中では、サリドマイドなどはその一つの例として挙げられておりますが、ただ、いろん な御意見を伺っていると、非常に意味のある作用の差が、光学異性の働きで出てくると いう説もありますが、一方で余り関係がないということをお話になっている方も中には おられるんですけれども、その辺がまだはっきり、あるいは物によって違うのかもしれ ませんけれども、もう一つクリアーになっていないということがあろうかと思いますが いずれにしても、やがて食品添加物についてもそういう問題が、今、中澤先生が御指摘 になったようにクローズアップされるかと思います。その辺の情報をキャッチしながら 対応していかなければならぬと思いますけれども、いかがでしょうか。 山崎先生、この点についても何かありませんか。 ○山崎部会長 やはり旋光度というのは、私の感覚ではかなり重要なファクターになっていくかなと いう気はするんです。今、戸部部会長おっしゃいましたけれども、医薬品などの場合に はかなりこれは重要なファクターになってきておりますし、食べてしまうんだからいい という考え方があるかもしれませんが、それだけに大切という考え方も出てくるわけな ので、純粋な化合物について、旋光度のあるもので旋光度の測定というのはそれほど難 しい操作ではないように思いますので、今後はそういう方法も、旋光度を確かめていく という感覚は取り入れていった方がいいのかなというのは私見でございますけれども、 よろしくお願いしたいと思います。 ○戸部座長 ありがとうございました。中澤先生、何か具体的に旋光の問題がこういう物では非常 に重要だということでお気づきの点がございますか。 ○中澤委員 分析の立場で言いますと、非常に今、光学活性の分離というのは興味を持たれていま して、テクノロジーがかなり進歩してきた。従来でしたら、LCのクロマトグラフィー でも分離が出来なかったようなものが、それなりの光学分割用のカラムが開発されてき まして、(+)体、(-)体を分けられるとか、キャピラリー電気泳動という非常に分解能の 高い分離・分析法が出てきたということになりますと、ワンピークであったものが分離 できるようになってきました。  先ほどのお話ですと、5年に一回改正されていくときに、将来的には技術的には十分 対応出来るようになってくるのではないか、そういったときに、例えば香料などでメン トールがそうだと思うんですが、l−メントールは非常にいい臭いがしますけれども、片 方のd−メントールはまるきし鼻をそむけたくなるような臭いです。これは人間が認知出 来ますので全然問題ないんですが、このようなキラル分離が機器分析において可能にな ってきている以上は、将来的にはそういうものもにらんでいった方がよろしいのではな いかなと感じます。 ○伏谷委員 今までの議論をお伺いしておりますと、食品の中のいろんな添加物を分析するという ことですね。今、IRをとるとかNMRをとるというのは、かなり純粋にしないと出来 ないことなわけです。それは非常に大変だと思うんです。IRをとるにしても、純粋な ものと、何パーセントか不純なものだとかなり違うわけです。その辺をクリアーするた めには、さっき中澤先生がおっしゃったようなマスを取るとか、あるいはLCマスとか LC、GCとか、そういうテクノロジーを加えていかないと、非常に高額だというお話 だったんですが、物を純粋に取り出す方が多分高額なんじゃないかと思うんですけれど も、その辺はいかがですか。 ○中垣補佐 1点、御確認だけさせていただきたいんでございますが、この食品添加物の公定書で ございますけれども、これ自体は食品添加物として製造される、あるいは食品添加物と して輸入される、純粋なという表現がいいかどうか分かりませんが、その原末なり原液 に適用されるものでございます。 先生おっしゃられますように、食品中の食品添加物の分析というのが一方でまた必要 になってまいりまして、例えば使用基準でAという添加物はBという食品に対して、例 えば5ppmまでというふうに規定されておるとなりますと、当然のことながら、例え ば都道府県の衛生研究所において、例えば検疫所において、5ppmという基準が守ら れているかどうかというのをチェックしてまいるわけでございますが、この際には当然 のことながら食品中に特定の添加物が入っているということを確かめなければなりませ ん。そのための分析法というのは、この食品添加物公定書と切り離しまして、食品中の 食品添加物分析法ということで、通知をしております。 これも確かに時間の流れがございますので、見直さなければいけないことはいうまで もないことで、見直すための作業を続けてきておりまして、恐らく今年中にはどういう 形で新しい食品中の食品添加物分析法とするか大体のところを食品衛生調査会に御報告 したいと考えております。 ○戸部座長 中垣さん、今の食品中の食品添加物の分析法というのは、この山田先生の班とは別に おやりになっているということですね。 ○中垣補佐 そのとおりでございます。 ○戸部座長 そのことは、今回の改正とある意味でパラレルと言いますか、関連して行われている というふうに理解してよろしいわけですか。 ○中垣補佐 基本的にはこの食品添加物公定書というのは、食品衛生法13条に基づくということで 添加物としてあるべき成分規格、あるいは添加物としての使用基準、これを規定をする ということでございます。 それでは、規定された特に使用基準の部分でございますが、これがちゃんと遵守され ておるかどうかというのをチェックするのが、食品中の食品添加物分析法だと考えてお ります。ですから、この2つというのは、ある程度パラレルに作業をしていかざるを得 なくて、実質的には先生がおっしゃっておりますように、連携を持って整備していくと いうことが必要になると思いますけれども、法的にはあくまでも切り離された作業でご ざいます。 ○戸部座長 ありがとうございました。ほかに。山田先生よろしいでしょうか。中澤先生もよろし いですか。ほかに御発言ございませんか。 それでは、多少まだ問題があろうかと思いますが、いずれにしても、資料がかなり大 部ですし、公定書の改訂というのは重要な問題でもございますので、事前にお送りして 十分お目通しいただけたと思いますが、ただいまの御議論を踏まえて、もう一度内容を 御検討いただいて、更に審議をお願いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。 よろしゅうございましょうか。 資料はこのままお持ち帰りいただいても、もし大変でしたらお送りいたしますが、も う一回お目通しをいただいてというふうに考えております。 それでは、時間の都合もございますので、第1の議題はこのくらいにさせていただき たいと思います。 次の問題ですが、BHA「ブチルヒドロキシアニソールの使用基準について」という ことでございますが、この件につきましては、古く昭和57年に食品衛生調査会で審議を されました。そのときに、使用基準の改正が行われたわけでございますが、その使用基 準の改正の施行が一時猶予されてきたという経緯がございます。 そういうことで本日、この件について御審議をいただいて、今後どうするかというこ とをお決めいただきたいということでございます。 まず、事務局からこれまでの経緯を説明をいただきたいと思います。どうぞよろしく お願いいたします。 ○中垣補佐 それでは、資料2に沿って御説明をさせていただきたいと思います。 食品添加物公定書でございますけれども、公定書におきましては、先ほど御議論いた だきました、あるいは山田部長を座長とする検討会の方から報告いただいております、 いわゆる添加物の成分規格のほかに、使用基準、保存基準、表示の基準、製造基準、こ れを載せることになっております。 したがいまして、ここの成分規格というのがあくまで中心になってくるわけでござい ますが、当然のことながら使用基準もこの公定書の中に載せさせていただくという形に なります。その使用基準につきましては、例えば使用基準の改正というのは、適宜要請 等がありました場合には、諮問させていただいて、一つ一つ御議論賜っておるわけでご ざいますが、ここにございますブチルヒドロキシアニソールにつきましては、今回の公 定書の中でどのように取り扱うべきかというのを特に御議論を願いたいと考えている次 第でございます。 何故かと申し上げますと、「1.はじめに」のところにございますように、昭和57年 食品衛生調査会から意見具申をいただきまして、ラットで発がん性、具体的に申し上げ ますと、ヒトにはないラットの前胃に高用量で発がんが見られたという知見から、食品 衛生調査会の御審議を賜って意見具申をいただいたところでございます。 それに基づきまして、使用基準が改正をされたところですが、その使用基準の施行が 延期をされておるわけでございます。食品添加物公定書は大体5年を目安に改正してき ておるわけでございますが、5年ごとの改正におきましても、使用基準を一応改正した 形にして、その改正の部分、BHAに関する改正の部分というのは厚生大臣が別に定め るとされており、それまでの間は従前の例に従うということになっておるわけでござい ます。 どういうふうになっておるかということでございますが、「2.使用基準」のところ でございますけれども、使用基準は「食品、添加物等の規格基準」、ここの一部に定め られておるわけでございますけれども、平成4年8月、厚生省告示208 号というのがご ざいますが、これが第6版の添加物公定書が告示されたときのものでございます。 なお、57年の意見具申に基づきまして、57年8月に告示が出されておりますが、その 内容も平成4年8月の第6版の公定書と全く同一の内容でございます。 すなわち、昭和57年の意見具申に基づいて、57年8月にBHAは油脂の製造に用いる パーム原料油及びパーム核原料油以外の食品に使用してはならないというような使用基 準に改正されたところでございます。 しかしながら、この実施が58年2月というふうに告示されたわけでございますが、こ の58年2月の実施前に、例えばアメリカ、あるいはヨーロッパ等の専門家との会合でご ざいますとか、WHOにおきますBHAに関する議論でありますとか、そういうものが あって、そのために58年2月の実施というのは厚生大臣が別に定める日まで延期をする とされたところであります。また、それまでの間というのは、従前の使用基準を適用す るということになっていまして、その従前の使用基準というのが、この資料2の1ペー ジにございます「現在適用されている規定」というところでございますけれども、1枚 めくっていただきますと「別添」「BHAの使用基準の比較表」というのがございます この一番左が我が国の現在適用されておる基準でございまして、その右の欄にございま すのが、FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)の基準でございま す。 その次が、米国で現在適用されている基準、最後が欧州連合で現在適用されている基 準でございまして、その四者を比較しようという趣旨でつくられたものでございますが おおざっぱに見ていただきますと、例えば油脂につきましては、我が国は200 ppmで ございますが、コーデックスにつきましては、食用油脂について175 、バターオイルに ついては200 、ココナッツ油等について200、アメリカは一番下でございますが、油脂量 に対して200ppm、欧州につきましても、大体200ppmということでそろっておりま す。 また「乾燥裏ごしいも」、ジャガイモに当たるんだろうと思いますが、これについて も200 ppmということで、アメリカは50、欧州連合では25というようなところでござ います。 また、日本の特徴というのは魚からクジラまでがありますけれども、アメリカにおき ましては、我が国と若干違って穀物、あるいは果実、飲料等が定められており、欧州連 合では肉、香辛料等が定められておるという違いがございますけれども、大体200 pp m前後ということでそろっておるのではなかろうかと考えております。 その前のページに戻らせていただきますけれども、「3.国際的な状況」について、 今は基準の方から御説明申し上げたわけでございますが、(1)をごらんいただきます と、FAO/WHOの合同食品添加物専門家会議、JECFAと通常呼んでおりますけ れども、ここで世界各国から毒性学の専門家を集めて、年に1回会議が行われるわけで ございますが、ここでいわゆるADIの評価がなされております。最新のものは89年に なされたものでございますが、0.5mg/Kg体重ということで定められておるところでござ います。 また、アメリカ、欧州につきましては、先ほど御説明申し上げたので省略させていた だきます。 「4.我が国におけるBHAの一日摂取量」でございますが、A群と申しますのは、 自然界には存在しない合成されたものというものを一応ここではA群というふうに呼ば せていただいておるんでございますけれども、その摂取量を調査研究をした、これは厚 生科学研究でございまして、武庫川女子大の薬学部の伊藤教授を中心にした研究班の成 果でございますけれども、これによりますと、大体0.002 〜0.003mg/day というような 結果でございます。 「5.安全性試験成績等」につきましては、あらかじめ送らせていただきました資料 2−2から資料2−15の中に述べたとおりでございます。 また1ページに戻って恐縮でございますが、先ほど御議論いただきました食品添加物 公定書、この第7版について御審議を賜っておるところでございますが、その第7版の 公定書の一部として使用基準に触れることになるわけですが、その使用基準の中のBH Aについて、どのような形で今回規定すべきかというのを改めてもう一度御議論を賜り たいと考えています。すなわち、第6版の平成4年の告示のときには、この1ページ目 の真ん中の四角で囲んだような表現にして、その施行は厚生大臣が別に定めるという形 になっておるわけでございますが、国際的にもいろいろな新しいデータが出て、89年に はJECFAはADIを定めておるという現状も踏まえて、この第7版の際にはどのよ うな形にすればよろしいのか、改めて調査会としての御議論を賜りたいと考えておりま す。 以上でございます。 ○戸部座長 ありがとうございました。少し問題が複雑でございますので、直ちに理解が出来ない 面もあろうかと思いますが、本日ここで審議をいただくのは、今の資料2の1ページの 中間にあります2行の文言ですね。これが平成4年8月の告示でございますが、これを このまま7版に踏襲するのか、あるいは、現在適用されている規定、これにある意味で は戻るという形になりましょうが、そういう形で7版に現在適用されている規定を盛り 込むか、その2つのどちらを選ぶかという審議をいただきたい、それでよろしゅうござ いますね。 その理由は、今、申し上げたように、当初発がん性の問題が提起がされましたので、 食品衛生調査会で審議をいただきまして、今の1ページの中ほどに書いてあるような使 用法に限定しようということでございましたけれども、その規定が実際に施行される前 にいろんなデータが出てまいりまして、ある意味で発がん性の意義づけと言いますか、 もう少し詳しい内容の検討材料が方々から出てまいったわけであります。そういうこと を受けて、この通知を一旦発がん性に基づいて審議をいただいたわけですが、実際の適 用を少し先延ばしにしてまいってきたという経緯がございます。それがずっと今まで続 いてきているわけですが、7版の改訂に際しまして、ある意味で機会が得られましたの で、この際告示と現実との矛盾点を解消してすっきりさせようということになるわけで あります。そういうふうに理解してよろしいですね。 そこで、この発がん性を中心として提起されました問題点をどう考えるかということ を御審議いただければおのずと結論が導かれるかと思いますけれども、そういう面で御 審議をいただきたいと思います。どうぞ御発言いただきたいと思います。 発がん性の問題でございますが、福島先生いかがでしょうか。ラットの発がんの問題 が、もうかなり古く56年でしたか、毒性部会を開いたのが57年でございますけれども、 ラットの前胃の扁平上皮がんということが問題になったわけでありますけれども、名古 屋市立の伊東先生のところのデータだったわけでございますが、その辺の事情を少し御 紹介いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○福島委員 今、戸部先生からBHAの発がん性についての御質問ですけれども、そのほかにも私 も質問があるんですが、まず最初にBHAの発がん性についてもう一遍ここで簡単に、 私自身もこの発がん性試験にかかわった者として述べさせてもらいますと、当時、BH Aの発がん性試験が厚生省のがん助成金の下で試験が行われました。その発がん性試験 の結果、前胃に発がん性があるということが分かって問題になったわけですけれども、 そのとき問題になりましたのは、発がん性が今、戸部先生が言われましたように、ヒト にないところの臓器、前胃というところに見られるということ、それから、2%という 非常に高用量であるということだったと思います。 その後の名市大での研究で私が今記憶していますのは、この結果が発がん性試験のレ イトステージに認められること、対照群との間に生存率などに全く差が見られなかった ということです。 そのほか、追加実験でがんではないですけれども、良性腫瘍のパピローマの方に関し ては、リバーシビリティー、可逆性という変化が見られて、そのときこれは従来の腫瘍 の定義とは異なった現象が見られるなと理解しているわけです。 そういうようなことが私の頭に今あるわけですが、その後、こういうようなBHAに 類するような、いわゆる抗酸化物質で天然などに含まれる抗酸化物質としてカフェ酸と かセサモール、これは前に配られた資料を見ますと、広瀬先生らのデータがありました が、それらにも発がん性が、むしろBHAよりも強く認められている。天然に存在する 抗酸化物質がBHAよりも強く認められるという事実も私は記憶しております。そうい うのが現在の状況ではないかと思うんです。 これは今日ディスカッションになる前に私自身の確認としてお聞きしたいんですが、 まずBHAに類するようなもので、ほかに発がん性があるというような添加物はあるの かどうかという問題、それから、現在、非変異原性の発がん物質に対する閾値論という のは現実的にはどのように対応しているのかということを、こういう場合、これはサイ エンスとマネージメントをどのようにしているのかということを、むしろ私は一遍お聞 かせ願いたいなということです。 ○戸部座長 ありがとうございました。福島先生は名古屋市立大におられた先生で、このBHAの 発がん性の研究のときに、まさにその場所におられたわけでございまして、今の先生の 御発言、そのデータの評価について、重要なお話をいただいたと思います。 今の福島先生のお話でほかに天然の抗酸化剤で、セサモールとかカフェ酸のお話がご ざいましたけれども、発がん性がどうかという問題、それから、BHAで見られたよう なノン・ジェノトキシックな発がん性をある程度示してくるような物質の評価方法、こ の点はまさに林先生に伺うのが一番適切であろうと思いますが、林先生、今の点いかが でしょうか。 ○林委員 大事なのはその物質によって動物にがんが起こっても、それによって起こる発がんが ヒトでも起こり得るかどうかという判断が一番大事だと思うんです。 例えばBHAの場合には、これによる発がんが多分ヒトでは起こり得ないものであろ うという判断が、WHOでとられていると思います。動物実験で発がん性があるとかな いとかいう判断は、現象的事実に基づくものです。しかし、最近、国際的な委員会に出 席してみますと、動物での現象がヒトに起こるか起こらないかということをメカニステ ィックな立場で判断する考え方が優先しているように思います。遺伝子傷害性であると いうことは、この物質による発がんがヒトでも起こる可能性がかなり高いという判断に なります。一方、遺伝子障害性ではない場合には、その物質による発がんがヒトでは起 こらない場合があると考えられています。従って、非遺伝子障害性の場合には、その作 用がヒトでも起こり得るようなタイプのものなのか、あるいはヒトでは問題にしなくて もいいタイプのものなのかということの判断が大事だと思います。例えばα2μ−グロ ブリンを介する雄のラットの腎臓がんの場合には、ヒトでは起こらないと考えていいと いう判断根拠があります。 ○戸部座長 ありがとうございました。福島先生、いかがでしょう。 ○福島委員 今、林先生が言われたヒトで起こる現象かどうかということは勿論、こういうものを 評価するときのファースト・チョイスの問題で、私はそれは当然のことだと思うんです ただ、今個人的にお聞きしたいのは、WHOなどでこういうノン・ジェノトキシックな 発がん物質の閾値ということはどういうふうに考えられているのか、私は個人的にはこ ういう物質というものはプラクティカルには閾値があるだろうというのが私の考え方な んです。BHAとは違って、食品添加物ではないですけれども、医薬品なんですけれど も、変異原性陰性の発がん物質の場合には、実験的に閾値があるかどうかということを 調べてみますと、実験データでは最近それは言えるだろうという事実をつかんでいるも のですから、それから実際にWHOの場でどのようなディスカッションがされたかとい うことがお聞きしたかったので、むしろそういうことを考慮してもいいんじゃないかと いう個人的な見解を持っていたものですからお聞きしたわけです。 ○戸部座長 ありがとうございました。 ○中垣補佐 非常に御専門のお話でございますから、事務局からどうのこうの言うのは余り適切で はないかと思うんですけれども、資料として承知している範囲内で申し上げますし、私 の理解出来る能力の範囲内というのは当然でございますけれども、WHOの関係で申し 上げますと、私が承知しておる限り、1つには、先ほど申し上げましたJECFAとい う添加物の専門家会議を中心にまとめられました食品添加物の毒性評価の原則という出 版物がWHOから出されております。 同様に、農薬につきましては、これは残留農薬の専門家会議、JMPRと申し上げま すけれども、ここの考え方をまとめました農薬の安全評価の原則という本がやはりWH Oから出されております。 また、たしか一昨年かその前の年だったと思いますけれども、リスク・アセスメント の考え方ということで、これはFAOとWHOが専門家を呼び集めて出されたレポート この3つをとりあえず把握しております。 その3つ、いずれにおきましても、先ほど林先生の方から御紹介のありましたように ヒトに対するリスクというのを個別に評価するとされており、その際にはノン・ジェノ トキシックかジェノトキシックかというのは大きな判断材料になるし、ノン・ジェノト キシックの場合にどのようなメカニズムを介しておるかというようなことが分かれば、 ますますその評価が的確に出来るであろうということを述べております。 また、国際的に見ますと、発がん性ということで、ノン・ジェノトキシック、あるい はジェノトキシックの区分けをしておらない一番の例というのは、恐らくアメリカの連 邦食品・医薬品・化粧品法にございますデラニー条項、1950年代、あるいは60年代につ くられました条項でございまして、食品添加物、あるいは加工食品中の農薬に規定がさ れるというものでございますが、発がん性のあるものというのは一律禁止というものが デラニー条項としてございます。 これにつきましても、アメリカ国内におきまして、科学レベルの進歩に応じた見直し というのが必要ではないかという御議論があった、議事録によるとそのように書かれて おりますけれども、一昨年、食品品質保護法という改正法が成立いたしまして、特に農 薬の部分につきましては、デラニー条項、動物試験で発がん性が見られたものは一切禁 止というような条項というのは今や適用されないということになっております。 それに併わせまして、アメリカの農薬を所管しております環境保護庁から出されたガ イドラインを見ますと、閾値がある場合には、いわゆる閾値に安全係数と申しますか、 不確実係数と申しますか、そのようなものを考慮した上でADI、TDIを定めていく ようなこと、あるいは、閾値が考えられない場合には、10のマイナス6乗を中心とする VSDと呼ばれる方式で推定していくようなことが述べらておりますけれども、これも 法律改正は終わっておりますが、ガイドラインの方はまだ案でございます。 以上、知っている限りで申し上げますと、そのような現状ではないかと思っておりま す。 ○戸部座長 ありがとうございました。林先生、閾値ということに限って、今、福島先生の疑問点 でございますが、これは国際的な評価の場でも現在、閾値という概念は使われていると 理解してよろしいでしょうか。 ○林委員 閾値という概念が使われてきたかどうかいうことでございますけれども、委員は個人 的には皆様閾値という考え方を使いたいと思っておられるのでしょうが、実際に最終的 な評価を見ますと、閾値という言葉はほとんど出てこないわけです。多くの委員は、閾 値があるという立場で評価する方が適切なのか、あるいは閾値がないという立場で評価 する方が適切なのかという立場で評価しておられると思うんです。 何故閾値をはっきり扱わないというと、閾値があると考えても、それを推定しようと すると、得られた値に非常に大きなバラツキが伴い、計算しても意味がない値しか出て こないことが一つの原因になっていると思います。ですから、閾があると考えられる場 合でも、実際に厳密な数値を提出することを控えているのだと思います。 ○戸部座長 福島先生、よろしいでしょうか。 がんの問題ですので、長尾委員、何か御発言ございませんか。 ○長尾委員 1つは、これは一応ノン・ジェノトキシックだという評価なんですけれども、それ自 体が不確定なのではないかと思うんです。がんが出来たときに、どういう遺伝子変化が あり、それは酸化物に由来するのでしょうか。その辺の基礎的なデータが出ない限りは これはノン・ジェノトキシックという評価もよく分からないし、種を変えれば前胃でヒ トには関係ない臓器だという評価もよく分からないんじゃないかと思うんです。ブタを 使えば肝臓の重量増加もあるとか、何か動物種を変えるといろいろ違ってくるし、ヒト では起こりそうもないという判断をされた、それを今御説明するといっても、ものすご くいろんな情報を蓄積されて、世界的にそういうふうに評価されているんで、それをフ ォローしないとよく分からない。結局はよく分からないというのが結論です。 ○戸部座長 資料がかなりたくさんありますので、これも先にお送りいただいて、お目通しいただ いているんですが、なかなか全部を通して、今、長尾先生がおっしゃったように、では 全体としてどういう結論になるのかというのは、恐らく個人的にはかなり難しい問題で はないかと思います。 この件についても、まとめとしては、もう少し時間をいただきたいというふうに思っ ておりますが、それはともかくとして、先ほど来申し上げている57年8月に告示があり まして、その後翌年の2月に一応延期をするということになりました。その間にいろん なデータが出てきたというふうに先ほど話が出ていたわけでございますが、この間の データを持ち寄ってWHOで評価したときに、実は林先生が評価会議に御出席いただい ているわけであります。 そういうことで林先生、ヒトでは問題がなかろうということで一応の基準を決めまし たね。そのときのことを少し、もう古くなっておりますが、思い出していただいて、今 の長尾先生の御意見も踏まえて、ちょっとお話をいただきたいというふうに思います。 ○林委員 1982年まではBHAは安全な食品添加物とみなされていました。1982年に福島先生の ところから発がん性のデータが提出されて、それを基にしてWHOと日本の厚生省はB HAの発がん性を真剣に検討し始めました。 最初の検討は、82年に伊東先生と福島先生のやられた実験が確かかどうかということ の調査から始まっています。4か国から専門家が8人くらい集まりまして、当時の食品 化学課長と私がチェアマンを努めまして、福島先生のデータを調査し、その結果、実験 が正しいということが分かったわけです。 1982年のJECFAの資料の中には、BHAの発がん性についてのデータがある国か ら提出されているけれども、まだ十分にデータを調査していないから、確実な判断はで きないと書かれています。一方、1983年のJECFAの報告書では、このデータは確実 なものであることが分かったとされています。そこで、1983年からは、伊東先生、福島 先生のデータに基づいて前胃の障害をどう判断するかということから研究が始められ、 最終的にJECFAではBHAによる発がんは遺伝子障害性ではなく、前胃に対して細 胞の増殖を促進するために起こるものであるという判断を出しました。そしてこの判断 に基づいて1989年に0.5mg/kgのADIを提案しています。 日本の厚生省はJECFAに従って、BHAの基準を直ちに変えていません。それは 先ほど長尾先生がおっしゃったように、BHAが本当に遺伝子障害性ではないと言える かどうかというようないろいろな疑問点もあったからです。そのような疑問点を含めて その後、BHAの安全性について調査が続けられ、1993年頃にはBHAはヒトに対して 安全であるというコンセンサスが得られたように思います。ですから、厚生省もBHA の基準を変えてもよい時期に来ているように感じますが、基準を変える場合には、やは り慎重に行う必要があると思います。 ○長尾委員 ジェノトキシックという基準ですけれども、その物質がケミカルにDNAと反応しな いというのも1つなんですけれども、最近、例えばリン酸化酵素とか脱リン酸化酵素と かをモディファイすることによってDNAが不安定になるということが分かってきてい ますから、また、新しい概念を入れて判断する必要が出てきているんじゃないかと思っ ているんです。 ○戸部座長 ありがとうございます。事務局、何かこの研究について、今長尾先生の御発言にござ いますか。よろしいですか。 ○高仲委員 聞いていると何だかさっぱり分からない。皆様方がはっきりおっしゃらないんで、意 味がつかみにくいんですが、確かにこれが評価されたのは随分昔の話ですね。この前胃 に出来るがんの問題というのは、BHAだけじゃなくて、当時いろんなところで、いろ んなものについてそういうことは言われていたと思うんです。 それ以後、林先生のお話のようにいろいろデータも蓄積されておりますので、今のレ ベルでもう一度評価をし直したらいかがなんでしょうか。要するに、毒性部会で御検討 いただければと思うんです。 先ほど事務局がおっしゃいました幾つかの判断基準、JECFA、あるいはJMPR の基準にいたしましても、出来てから大分年限が経っています。現在、我々はこれに近 いような、これと全く同じではないんですが、やはりこういうような反応を起こすもの について、添加物でいろいろ調査し決めている部分があります。 したがいまして、現在やっているようなレベルでもう一度見直して、これならば十分 だろうということを確認した上で議論出来ればと思います。 ○戸部座長 ありがとうございました。少し時間が経っているので、もう一度毒性部会で審議をし てみたらどうかという御提案ですが、7版の改正ということがありまして、時間的な問 題でその辺がどうか、もう一つはっきりしませんが、この辺はまさに事務局の御見解を 伺わないとどうにもなりませんので。 ○中垣補佐 先ほど成分規格についてまず御議論いただいたわけでございますが、座長がとりまと めていただいたのを考えますと、もう一度毒性部会、添加物部会の合同会合で御審議願 うということでございますので、そういう意味で申し上げますと、食品添加物公定書全 体がもう一度御議論願うということでございますから、当然このBHAにつきましても 成分規格を御議論願う際に併せて御議論を願うというのは可能だと思いますし、また、 そのときにまでに用意せいということでございますれば、事務局としては、その準備を したいというふうに考えております。 ○戸部座長 ありがとうございました。ただいまの御提案に対して何か御意見ございませんか。 ○福島委員 もう一遍長尾先生の言われたことについてですが、現実問題として、確かに今、いろ んな問題が起こっているのは承知しているんですけれども、これを例えばBHAに限っ て、そこのところを詰めるというのはむしろ現実的にはないんじゃないかなという気が するんです。今、本当のメカニズムを知るというのはなかなか不可能じゃないかと思い ます。私は最初に閾値のことを出しましたが、現実的にはどういうふうに対応していっ たらいいかという方面からの検討の方がより実際的ではないかなという気がいたします ○長尾委員 今すぐにはこの問題は解けないと思うんです。やはり学問的な面、基礎的な面で時間 をかけて、とりあえずは今どういうふうに対応するかということとは別問題として、基 礎的な研究が必要なんだと思います。 ○戸部座長 長尾先生がおっしゃるのは全般的にそうだと思います。ただ、私も福島先生の御発言 に少し同調する面があるんですが、これまでもノン・ジェノトキシックという形の発が ん性物質というのがかなりありまして、残留農薬の評価の委員会などでも、突然変異性 のない発がん性のあるものということで、一応評価の基準を決めてまいりまして、ある 基準量を決めてきております。 そういうものもかなりありますので、BHAに限らず、そういう点まで論議が及びま すと、そのほかのものすべてそういう角度で見直さなければいけないということもあり ましょうから、そうなるとかなり大変な作業量にもなりますし、時間的な問題もありま す。将来の問題として先生が御提案になるのは、まさにそのとおりでございますけれど も、ここは少し現実面も多少加味しなければと思いますが、よろしゅうございましょう か。 ○山崎部会長 大変いろいろ勉強させていただいたんですが、結論的にと私が申し上げてはいけない んでが、公定書自体が、先ほど中垣補佐がおっしゃったように、次回にまとめるという ことになったわけです。ですから、このBHAの問題についても、恐らく結論は次回に 出していただくことになると思うんですが、私はこの資料2−2から2−15までをずっ と読ませていただくと、発がんのことについて私は専門でないので、余りあさはかなこ とを言ってはいけないんですが、先ほど林先生が言われた経緯というのがここで割合と よく理解出来たんです。 ただ、これはいろいろな立場からいろいろなレポートがここに列記されておりますの で、次回までにこの資料を、少し専門家の目を通していただいて、もう少し分かりやす い、一覧表というと乱暴かもしれないんですが、そういう形でまとめていただけるとよ り理解しやすいかなと思いますので、もし、出来ましたら事務局の方でそういう作業を やっていただいたらと思います。 ○山田委員 確かに福島先生おっしゃったように、根本的にいろいろな問題を御検討いただくこと があるかと思うんですけれども、現在適用されているのが、資料2の一番下に書いてあ るものです。一方、真ん中に書いてある2行のようなことが公定書には書いてある。こ の2行が書いてあって、実際に適用されるのが下に書いてあるようなことだと、そうい う分かりにくい形でいくのか、現在、適用されているのが下なんだから、下の方を新し い公定書に書いていただければいいのかと、そこのところを決めていただくのかと思っ たんですが。 ○戸部座長 まさにそのとおりだと思います。1ページの真ん中ですと言行不一致になるわけでご ざいまして、どちらかにしてくれという一般の方の御意見もあるようですので、すっき りさせたいと思っているわけでございます。 それでは、この件につきましては、議論が尽きないかもしれませんが、時間の関係も ございまして、もう1件ございますので、本日はこのくらいにして、第1の議題と同じ ように、もう一回御審議をいただくとして、その間、もう少し資料をごらんいただくこ とにしたいと存じます。 実は申し上げますと、いま山崎先生から御指摘のとおりでございまして、この大部の 資料ではなかなか分かりにくい訳ですが、私どももこのBHAに関しては少しタッチし ておりましたので、内容がよく分かっていたものですから、事務局の方に事前にお願い すればよかったんですが、そういうまとめの表というふうに気づきませんでした。大変 失礼いたしましたので、その辺も踏まえてもう一回御審議をいただくというふうにした いと思います。よろしゅうございましょうか。 それでは、3番目の件でございますが、「マグロ、ブリ等に対する一酸化炭素の使用 について」という案件でございます。事務局の方からこの件についても、今までのいき さつ、あるいは概略の御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたし ます。 ○中垣補佐 それでは、資料3に基づきまして御説明させていただきたいと思います。 資料3をごらんいただきますと、「マグロ、ブリ等に対する一酸化炭素の使用につい て」ということで、まずマグロ、ブリ等となっているわけでございますが、「等」には ブリの仲間だと思いますが、ハマチであるとか、そういうものが入っておるわけでござ います。 まず、前提といたしまして、食品衛生法の現在の規定について御説明申し上げますと 食品添加物は食品の製造過程で使用されるもの、及び加工もしくは保存の目的で使用さ れるものの2つが挙げられておるわけでございます。この資料の中ほどに枠で囲んだも のがありますけれども、平成7年の食品衛生法改正におきまして、その規制の範囲が一 部変更になっております。食品衛生法第6条でございますが、第6条のまず参考の方か ら見ていただきたんですけれども、平成7年法改正前の第6条の規定は、「人の健康を 損なうおそれのない場合として厚生大臣が食品衛生調査会の意見を聴いて定める場合を 除いては、食品の添加物として用いることを目的とする化学的合成品並びにこれを含む 製剤及び食品は、これを販売し、又は販売の用に供するために、製造し、輸入し、加工 し、使用し、若しくは陳列してはならない」となっておるわけでございまして、すなわ ち食品添加物の中で化学的に合成されたものという範囲を決めまして、その範囲の中で は厚生大臣が指定したもの以外使ってはいけませんということになっておるわけでござ います。 逆に申し上げますと、化学的合成品以外の食品添加物、これについては第6条で使っ てはいけないという規定はされていないというところでございます。 それを平成7年の法律ではどういうふうになったかということでございますが、下線 部を見ていただきますと、「添加物(天然香料及び一般に食品として供されているもの であって添加物として使用されるものを除く。)」という形で、例外はございますけれ ども、基本的に添加物全体について厚生大臣が指定したもの以外は使ってはならぬとい う規定に改められております。その例外にありますのが天然香料と、食品にも使われて いるもの、例えば抹茶、抹茶をお茶として飲む分にはそれは食品なんですが、例えばま んじゅうの色付けに使った場合には着色料として添加物となるというところがございま すので、その例外を2つ規定してあるわけでございますが、この平成7年の法律改正で の一番の違いというのは従来は化学的合成品を対象として大臣が指定したもの以外は使 ってはならぬという形で規定されていたものを、添加物全体に拡大した、すなわち添加 物全体について厚生大臣が指定したもの以外使ってはいけないという規定になったとい うのがこの平成7年の法改正の特徴でございます。 具体的には、現在、二酸化炭素、あるいは二酸化塩素などの気体を含めて349 品目が 指定されいるところですが、一酸化炭素、メタンなどは指定されていないという状況で ございます。 また、この法改正にちなみます別途の規定で、従来から使われてきた化学的合成品以 外の添加物というのはリストアップされておりまして、それは例外として使っていいよ という形になっておりますが、その中に窒素、酸素とかの気体が載っております。 このマグロ、ブリに関する一酸化炭素を巡る経緯でございますが、「経緯」のところ に、「平成6年9月」、ここを見ていただきますと、化学的合成品たる一酸化炭素の使 用は6条違反となるということを言っておりますとともに、化学的合成品以外の一酸化 炭素を変色防止の目的に使用することは、消費者に鮮度等の判断を誤らせるおそれがあ るとから、使用しないよう通知をしたところです。 ここで化学的合成品と化学的合成品以外で切り分けて書いておるわけでございますが それは先ほど御説明した平成7年の法律改正以前の規定、すなわち化学的合成品に限っ て大臣が決めたもの以外は使っちゃならぬという規定があったために、こういうふうに 平成6年9月の通知というのは、化学的合成品とそれ以外で、例えば化学的に合成され た一酸化炭素と、木を不完全燃焼して出てきた一酸化炭素に対する規定が、科学的には 同一の物質であるにもかかわらず、法律にちなんで片一方は禁止、片一方は使用しない 旨の指導という区分けがあるということでございます。 そこで、平成7年5月に先ほど申し上げたような形で、食品衛生法が改正されまして 平成8年5月からそれが実施されたところでございます。 平成9年5月にマグロに関しまして、一酸化炭素を処理したものとみなす基準の通知 を行っております。この通知の基本となりましたのは、一酸化炭素を処理していないマ グロ、二十数検体だったと思いますけれども、二十数検体検査をいたしまして、自然界 にある一酸化炭素の量というものを分析いたしますと、ここに書いてあります200 pp bでありますとか、2日目に減少するとか、あるいは検査開始日に500 ppbとかいう 数字というのは、自然界にあるマグロではあり得ない数字だということから、こういう ものを一酸化炭素処理したものとみなす基準とする旨の通知を、特に外国で行われると いうことになりますと、何を実際上使っておるかということを具体的に詳細に把握する というのが非常に困難になりますので、どういう場合にみなせるかということを通知し たということでございます。 平成9年9月にブリ、勿論ハマチ等を含んだものでございますが、これについて同様 の通知を出しております。 今回、10年5月でございますが、CELEBES JAPAN FOODS CORPORATION 、これは日系の 会社でフィリピンにあるわけでございますが、ここと株式会社オンスイから、自社のス モーク品については、平成9年5月、あるいはハマチについて申し上げますと、平成9 年9月、この通知の対象外と考えるという観点からいろんな資料が出ましたので、先生 方の御議論を賜りたいというふうに考えておるところでございます。 お手元の方へ、これはハマチでございますが、ハマチを燻煙処理したものの冷凍の状 態、並びにそれを解凍して切り身にした状態をサンプルとしてお示しており、また、マ グロにつきましては写真を今、お手元の方へ配布させていただいております。提出され た資料、まずセレベスから提出された資料というのが、こちらの厚い資料でございまし て、これについてあらかじめ先生方にお配りさせていただいておりますので、詳細の説 明は不要かと思いますが、経緯を説明いたしますために簡単に触れさせていただきたい と思います。 まず276 ページをごらんいただきますと、スモークゼネレーター、これは燻煙を発生 させてそれを使っておるということでございますが、277 ページにその製造方法が図示 されております。すなわち、木材チップを入れて、それをヒーターで温めてそこからガ スを得る。それを高圧水で洗浄していくという方法でございます。 また、170 ページをごらんいただきますと、今ごらんいただきましたスモークゼネ レーターで精製するガスの組成というのが載っておりまして、171 ページをごらんいた だきますと、表1ということで、そのガスの種類と組成が載っておりますし、図1も参 考までに載っておるわけでございます。 その次に172 ページをごらんいただきますと、富山大学工学部の熊沢先生のレポート といたしまして、燻煙処理マグロと一酸化炭素処理マグロの判別方法というものが載せ られておりますし、また、同様の判別方法につきましては、274 ページをごらんいただ きますと、同じく熊沢先生の方から、表題は若干異なりますけれども、色差度、あるい は残留ガスの分析をしたような試験報告がまとめられております。 前後して恐縮でございますが、181ページをごらんいただきますと、同様に熊沢先生の 方からマグロ変色試験ということで、そのデータが出ておるわけでございまして、写真 も添付されているわけでございますが、この写真、先生方にお配りした中では、カラー コピーになっておりませんので、そのために今お手元にお配りさせていただいていると いうことでございます。 更に281 ページをごらんいただきますと、「くん煙による殺菌及び保存効果」という 資料がございますし、また、290 ページに「魚肉中の一酸化炭素濃度−検査機関ごとの 測定値の偏りと測定誤差」という、同様に熊沢先生のデータが掲げられております。 最初に申し上げればよかったんでございますが、2ページをごらんいただきますと、 2ページから8ページまででございますけれども、どうしてこのようなスモーク、この 場合にはマグロでございますが、スモークマグロというのを考えたのか、これにどうい うメリットがあるのかというのがまとめられております。2ページにその要旨がまとめ られておりますので申し上げます。 1)魚臭がなくなる。 2)冷凍保存中は変質、変色を起さない。 解凍後は生鮪と同じく経時変化によって褐変を起す。 3)制菌効果が認められる。 生菌数の増殖が生鮪、CO鮪のものより非常に少ない。 4)冷凍保存温度が超低温(−60℃)でなく、通常冷凍保存温度(−18℃以下)で品 質維持ができる。 このようなことから、また、今申し上げたような資料がここで提出されておるわけで ございます。 同様に、資料3−4をごらんいただきますと、これは株式会社オンスイから、今お手 元にお配りさせていただいておりますスモークハマチと言われるものにつきまして資料 が出ております。 この資料はページ数が振ってなくて誠に恐縮なんですが、2枚めくっていただいて3 ページ目をごらんいただきますと、「燻製品の経緯と当社商品の目的」ということで、 上から5、6行目、その製造目的として1)から4)までございますが、先ほどごらんいた だきましたマグロの場合とほぼ同様であるかと存じます。 1ページめくっていただきますと、「製造工程図」ということで、工程がフローチ ャートで示されております。そこから2ページめくっていただきますと、新潟県環境分 析センターで分析をした原ガスとろ過後のデータがございます。 その後、色差等の問題でありますとか、整理表でありますとか、同様に図示がされて おります。 お手元にございます、これがまさしく燻煙されたオンスイで製造されているハマチで ございますが、端的に申し上げますと、これを刺し身として食べていただく、あるいは 刺し身として販売していくというものでございまして、その点はマグロの場合も同様で ございます。  以上、事務局として簡単ではございますが、あらかじめ送らせていただいております ので、また、時間の関係もございますので、省略させていただいている部分もあるかと 思いますけれども、事務局からの説明を終わらせていただきます。 ○戸部座長 ありがとうございました。この件についても大きな資料をいただいているわけでござ います。 それから、当合同部会では、これまで主として化学合成品の添加物を取り上げて審議 をいただいてきているわけでございますが、本日のこの例のように、ややユニークな例 というのは余りなかったわけでございますので、そういう意味で審議の形態として少し 迷うところでございますけれども、まず最初に今の事務局の御説明で、これは添加物な のか、添加物的操作と言いますか、そういう感じが多少するんですが、その辺の問題を まずクリアーにいたした方がいいのかなという感じがいたしますが、どうでしょうか。 これは添加物なのか、あるいは添加物的操作なのかという点です。 というのは、単一物質でなく燻煙ガスでございますので。しかも、その中に一酸化炭 素がかなり入っており、洗浄剤みたいなものを通すと、そのCOの濃度がかなり落ちる というふうには言われておりますが、その辺を踏まえて、どんなふうに考えたらよろし いのか、その辺はいかがでしょうか。 ○伏谷委員 まず事務局の方にお尋ねしたいんですが、CELEBES の方から出てきた資料の中に、C Oの分析値に非常にばらつきがあるというような例が随分示されております。資料3− 1で、厚生省の方からお配りいただきました資料には、1ページですが、日本冷凍食品 検査協会から出てきた資料では非常に高いCO濃度が出てきておりますけれども、この 辺はどのように判断すればいいんでしょうか。 ○中垣補佐 まず、資料3−1でございますが、これにありますのは、最初が平成9年5月21日に 出した通知、そのときの報道発表資料、あるいはそのバックグラウンドとしてありまし た日本冷凍食品検査協会で分析した値でございますけれども、この日本冷凍検査協会で 分析いたしましたのは、マグロ中の一酸化炭素濃度につきまして、国立医薬品食品衛生 研究所で一定の方法を定めていただきまして、その方法をあらかじめお示ししておいて その方法に従って、この冷凍食品検査協会で、ここにございます番号1〜23までという のは、漁船から買上げてそのままの状態、24〜32までは一酸化炭素処理をしたかもしれ ないというものについての分析をお願いをして、その結果を公表させていただいたもの でございます。 ですから、検査方法の詳細につきまして、また、その2ページには、幾つかの魚種に 応じて濃度が違うというデータも示していただいていますけれども、実は先ほども申し 上げましたように、隣におられます山田先生がこの検査方法については一番詳しいので 必要があればまた山田先生の方から付け加えていただければと思っております。 ○山田委員 ただいま先生がおっしゃいましたのは、あるサンプルが、一酸化炭素で処理されてい るかいないかを判定するための方法についてでございます。 それについて特に富山大の熊沢先生の方からこれはばらつきがあるんじゃないかとい う御指摘を得ています。 ただ、実験条件をきっちりやれば、そうばらつく方法ではないのと、あと、熊沢先生 からいろいろ御指摘がある点は、ちょっと論点が違いまして、一酸化炭素、我々がやり ましたのは時間的な制約もありまして急いでやりましたので、とにかく一酸化炭素処理 をしているかしていないかを判断するということで、サンプルに入っている一酸化炭素 を100 %捕捉するという方法ではないんです。 熊沢先生の方はこれじゃ逃げるじゃないかということは言っていらっしゃいます。確 かに逃げるのもあったかもしれないけれども、セーフのものがアウトということはない という方法ではあると認識しております。 ○伏谷委員 今の議論を踏まえて、この値を見ますと非常に高い値であります。燻製品と言ってお りますけれども、従来の燻製品とはまるで違う、生で刺し身として食べるわけです。で すから、この値からしますと、多少静菌作用があるみたいですけれども、COを使って 見せかけの鮮度というのは語弊がありますけれども、そのような目的で使ったんじゃな いかと勘ぐられてもしようがないんじゃないかと思います。 要するに、メト化をCOの添加によって抑えているということで、非常にきれいな、 普通の生よりもかえってきれいな色のお刺し身が出来るということではないかと思いま す。使用目的は、これを見る限りではCOを使うということですね。 マグロに限ってはそうですが、ブリの方は資料が出ておりませんので、どのくらいC Oが入っているのか、ちょっと判断出来ません。 ○戸部座長 ありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。 ○山田委員 先ほど戸部先生の方から、普通の燻製ということか添加物かということでございまし たけれども、厚い方の資料の277 ページに先ほど事務局からも紹介がありましたように ガスの発生装置というのが出ているんですけれども、普通燻製というのは、一番原始的 なものは煙でいぶして、その小屋の中に魚をつるしておくというのが昔だったんでしょ うけれども、スモークゼネレーターと書いてございますが、これを見ていただきますと 片一方で木をたいて、ガスの出てくるところの前で活性炭素を通しているんですね。で すから、燻製にするときには普通含まれているいろんなものが全部ここで取れていて、 ガス体が通ってくる。ガスの組成というのは、171 ページにスモークゼネレーターで発 生したガスということで表が出ております。 これを見ますと、一酸化炭素が18%、メタンが5%というところでありまして、これ は一酸化炭素を空気の成分とか、炭酸ガスやメタンなどで希釈してあるような感じなわ けです。 赤い写真がありましたけれども、あれが一酸化炭素を100 %で処理したものと生のも のと燻煙で処理したものとが出ているんですけれども、希釈した一酸化炭素で処理した というデータがないので何とも言えないんですけれども、100 %でやったものと生のも のとの中間の感じです。ですから、このスモークゼネレーターというのは希釈した一酸 化炭素を発生する機械、ですから、データが100 %の一酸化炭素で処理したのと違って いるのは希釈しているからだろうと思っております。 ○戸部部会長 ありがとうございました。今、山田先生から277 ページにガスのゼネレーターのお話 がございましたが。ちょっと事務局の方に伺いたいんですが、このゼネレーターを使っ て出てくる一番右側のガス取り出しと書いてありますね。このガスがマグロ、あるいは ブリに暴露されると、こういう理解でよろしいんでしょうか。この図で言うと魚はどこ に入るんですか。ガス取り出しと、この先に暴露室があるわけでしょうか。そういうふ うに理解していいでしょうか。これはあくまでもガスのゼネレーターの図だから、ガス の取り出しまでが書いてあるわけですね。実際に操作する場面というのは、どこかに出 ておりますか。 ○中垣補佐 276 ページの一番下を見ていただきますと、「本燻煙発生装置は外部加熱方式で、そ の制御は完全に電気的に行われるが」という記述がございますし、「従って、そのよう な場合には事前に生成した燻煙をバッグ等の貯留部に溜めた上で処理に使用する」と書 かれております。ですから、このガスを使用するというところまでは書かれております が、それをどのような形で、あるいは希釈したり調整したりするのかというような詳細 については私が知る限り書かれていないんじゃないかと思います。 ○戸部座長 そうですね。今お話になったここが私は気になったんですが、これはガス発生のゼネ レーターですが、この後が問題ではないか、というのは、6時間以内に使用しないとガ スの組成が変わっていくというふうにおっしゃっているかと思うんです。そういう意味 で、暴露室の精度とか、あるいはどういうもので暴露するかというのが分からないと、 まさに現実が分からないのではないかと思ったので伺ったんですが、いずれにしても、 暴露室はこの後にあるというふうに御理解をいただきたいと思うんですが、よろしゅう ございましょうか。 ついでですので、このゼネレーターのことで私が疑問に思っているのは、一体この木 材チップの熱分解直前温度まで加熱するとか、2段階の加熱をしていますが、後段の熱 分解というのが何度くらいで行われているのかという温度に関する具体的なデータがこ れでは読み取れないかなと思っておりますが、やはり燃焼の温度というのはかなりガス 成分に影響を与えるかと思いますが、その点もどうでしょうか。やはり温度をはっきり 決めていかないと、どういう木材チップを使うかによっても違うかと思いますが、温度 もかなり重要な点ではないかと思いますが、ゼネレーターの許可をするとかしないとか いう問題ではありませんので、最終の出てくるガスそのものが問題ではあるんですが、 一定のガスを得るための条件としてどうかなというふうに思って拝見いたしました。ほ かにどうぞ。 ○鈴木(久)委員 ガスの問題ではございませんで、今日お配りいただきました資料3の経緯の中で、消 費者に鮮度の判断を誤らせるおそれがあるといったようなことが書いてございますが、 このことにつきまして、このような形で何らかで取りあえず安全と思われる処理をした ときに、マグロとかハマチなどの味とか、あるいは実際に購入するときの鮮度の見間違 いといったようなことについて何か検証などはこの御報告の中にありましたんでしょう か。 ○中垣補佐 随分前になるかと思いますが、名古屋で1件、一酸化炭素、あれはたしか化学合成の 一酸化炭素だと思いますけれども、マグロに吹き付けて、中身が腐って腐敗臭がしてい るのに表面上は同じような色であるという事件があって、これは即座に取り締まったと いうことは聞いております。 今回出された資料の中では、区別の仕方ということで、先ほど申し上げましたとおり 結論は175 ページに書かれておりますけれども、まとめというところをごらんいただき ますと、解凍後3日後のCO濃度10%及び30%の燻煙処理マグロは透過光で黄味がかか ってくる。 これに対して、純COガス、恐らく100 %だと思いますけれども、これは赤色のまま であるというようなことが記載されております。 あるいは、181 ページをごらんいただきますと、先ほどお配りさせていただいた資料 がそうだと思いますけれども、写真が添えられております。 また、分析値という点から申し上げますと、274 ページをごらんいただきますと、 「燻煙処理マグロとCO処理マグロの見分け方について」といたしまして、表1でござ いますが、例えばメタン、あるいはホルムアルデヒド、この辺りが違うというデータが 出ておるかと思います。 以上でございます。 ○鈴木(久)委員 実際に流通過程の中で、あるいはそれを購入して、消費する過程の中で一体COを用い たものと用いなかったものとどのくらい判別出来るのかという心配があります。実際に ハマチなどをこのように処理しなければならない生産から流通のシステムが既に出来上 がっているんでしょうか。保存期間が長くなるとか、冷凍の温度が高めでもいいといっ たようなことによって、いろいろな形の違った食中毒等のおそれがおきないのかという 問題があると思います。 ○戸部座長 ありがとうございました。どうぞ御意見を。 ○中澤委員 171ページにゼネレーターから出てきたガスの組成が分析されています。この大変大部 な報告の中にも、他の成分、特に多環芳香族化合物等に関して、それの分析値というの はどこかに示されていましたでしょうか。 ○戸部座長 どうでしょうか。私は気づきませんでしたが。 ○山田委員 ないと思います。ホルムアルデヒドについて275 ページに出ているんですけれども、 たしか多環芳香族については出ておりませんです。 ○中澤委員 その辺の資料が欲しいところだと思います。COの問題は今、御議論なさっていらっ しゃいますが、チャコールを通してかなりの成分が取れている可能性はあるんだろうと 思いますが、実際に他の成分がどの程度含まれているのかというのはちょっと気になり ます。 ○戸部委員 おっしゃるとおりだと思います。 ○伏谷委員 燻製のつくり方が、従来の燻製品と違うんですね。実際の燻製をつくる場合には除か れた部分が重要なわけで、それを活性炭を通すことで除かれて、吸着されないガスだけ がほとんど出てきているということですね。ですから、燻製品と言っても燻製ではない んじゃないかと思います。 ○戸部座長 171 ページの今の分析表ですが、本当にこの成分に示されているような成分だけで、 果たしてこの目的に合うような製品が出来上がるのかどうか。色を別とすればですね。 その辺がどうなんでしょうか。こういうものにメカニズムと言っても話になりませんけ れども、このガスで期待どおりの成果が上がるのかと思われますが、これはCOの影響 が最も目立つ影響ではないかなと思います。 先ほど来、同じようなまとめになるわけでございますが、前の2つの議題と同じよう に、これもいろんな資料が入っておりますので、もう一度ごらんいただいて、再度審議 ということにさせていただこうかと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうござい ましょうか。 事務局に伺いますが、このCELEBES JAPAN の資料はかなり大部のものでございますが もう一方のオンスイの方の資料はかなりコンパクトなんですが、ボリュームで量り売り するわけではありまんので、どちらでも構いませんけれども、何か資料が不足しており ますが、オンスイに関する資料をもう少し集めていただくという手段はございませんで しょうか。 ○中垣補佐 基本的にマグロとブリという魚類は違いますが、装置としては同じものだというふう に聞いておりましたので、出された資料をそのまま調査会にお出し申し上げたわけでご ざいますが、もう一度御審議いただけるということでございますれば、先ほど各先生か ら御指摘のあるような資料、あるいはもっと出していない資料等あるかもしれませんの で、その点は照会をしてみて準備をしたいと考えております。 ○戸部座長 ありがとうございました。機械は同一の機械ということですか。 ○中垣補佐 同一と申しますか、我々ペーパーで見せていただいている限りは同一のものではない かと考えております。 ○戸部座長 そういう点も踏まえて、林先生どうぞ。 ○林委員 これはいわゆるスモーク、燻製と言えるものなんですか。普通言われている燻製のた ぐいに入るかどうか疑問に思っているんですけれども、やはりこれも燻製の一種なんで すか。 ○中垣補佐 一般的な学問として燻製がどうなっておるかというのは、伏谷先生が水産学の専門家 でございますので、一番適切だと思っておりますが、食品衛生法上、私ども調べた限り では、燻製というものを定義しておりませんので、その問題には一概に法律的に今、直 ちに申し上げられるような状態ではないと思っております。 ○戸部座長 今の御質問に関連しますが、既にこういう方法でマグロなりブリなりがマーケットに あるということになるんですか。 ○中垣補佐 先ほど資料3で御説明いたしましたとおり、現在は平成9年5月の基準、及び平成9 年9月の基準が適用されておりますので、この基準で運用がされているということでご ざいます。 あくまでこの基準というのは、先ほど申し上げましたように、例えば添加物でもそう なんですけれども、未指定の添加物を使ったということでございますれば、それが食品 中から分析されるか分析されないかを問わず、食品衛生法6条違反になるわけでござい ますけれども、その使ったか、使ってないかというのが情報として不十分な際に、食品 を分析して、例えば指定されていない添加物が見つかったのであれば、それは使ったと いうふうにみなして処分をしていくというような、一酸化炭素で処理したものとみなす ための基準でございますから、そういう意味から申し上げますと、このような形で実際 つくられることが食品衛生法6条の関係でどうかということを御議論賜りたいというこ とで今日お願いしたところでございます。 ○戸部座長 少なくともこのCELEBES、オンスイの両社については、こういう資料を出してこられて いるわけですから、この審議の結果を待たずにこれが実際に行われるということはあり 得ないと思います。 ただ、こういう方法がもしあって、ほかにもこういう情報があって、似たようなこと をして既に色のいいマグロが出ているという心配はないでしょうか。 ○中垣補佐 マグロにつきましてはまずないというふうに考えておりますし、ハマチにつきまして も、至急その辺りは確認させていただきたいと思いますが、現在、我々のところに入っ ている情報では、こういうものをつくりたいというのはこの2社でございまして、それ 以外のところはないというふうに考えております。 ○長尾委員 これは市販される場合に、燻製という名前が付くんですか。そういうオブリゲーショ ンはどうですか。見た目はお刺し身ですから。 ○中垣補佐 オブリゲーションがあるかどうかということになりますと、規制がどうなっているか という点でございますけれども、自主的には何とか加工品というふうに、そのビニール の袋には書いてあったかと思います。ただ、実際上、例えばスーパーの店頭では、切っ た形、あるいは刺身の形でも売られますが、その袋には確かに書いてあったかと思って おります。 ○長尾委員 あります。冷燻と書いてあります。 ○戸部座長 よろしゅうございますか。中澤先生どうぞ。 ○中澤委員 先ほど戸部先生おっしゃったように、このオンスイの資料が余り詳しくないのでよく 分かりませんが、新潟県の環境分析センターでガスを分析した結果の数値表の真ん中辺 くらいに示されている依頼分析した結果で、その項目を見ますと、原ガスとろ過後とあ るんですね。原ガスというのは、さっきのお話を聞いていると、まさに出来てきたガス を、チャコールか何か通ったものがろ過後という意味なのかと思います。だとすると、 不思議に思うのは、窒素ガスなどは増えているんですね。だんだん全部減っていくとい うなら何となく分かるんですけれども、CO2 が増えています。測定法が全部ガスク ロマトグラフ法で、一斉に計っているんじゃないかと思うのですが、水素炎検出器で還 元して一酸化炭素を多分計っているんだろうと推測します。もしこれらのデータをいた だけるのであれば、実際どういうクロマトグラムが出ているのかなどを明示してもらい この辺の解釈を説明していただいた方がよろしいという感じがいたしたんです。 ○戸部座長 私もさっきこれを拝見して、ろ過後COが減るというふうに申し上げたんですが、こ の資料をそのまま受け売りだったんですが、山田先生この辺のデータはどうでしょう。 ○山田委員 CELBESから提出された資料に原ガスは6時間以内に使うとか、そんなことが出ていた と思うんですが、ろ過後の測定というのがどんな条件で行われたのか、ガスを取ってき て、ろ過直後にそのガスを測定するというか、魚に使うような状態を反映しているのか どうかという辺りは気になる資料ではあります。 ○戸部座長 それでは、尽きませんけれども、時間がまいりましたので、この審議はここで一応中 断させていただきたいと思います。この件についても、再々申し上げておりますように もう一度御審議をいただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。 それでは、以上で。 ○中垣補佐 最後に御報告をさせていただきたいと思います。 本日お手元に「既存添加物の安全性評価に関する調査研究」、平成8年度厚生科学研 究報告ということで、本日もおいでいただいている林先生におまとめいただいた、勿論 概要は前から公表されておったんですが、詳細な報告書が提出されましたので、これを お配りさせていただいております。 また、次回に御審議願うということでございますが、次回は7月7日、火曜日、午前 10時からお願いしたいと思っておりますので、後日また正式な開催通知は送付させてい ただきますが、よろしくお願いいたします。 ありがとうございました。 ○戸部座長 それでは、次回は7月7日にということでございます。資料がたくさんございますが どうぞ御協力をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ありがとうございました。 食品衛生調査会毒性・添加物合同部会 議事次第 日時:平成10年6月1日(月) 10:00〜12:00 場所:中央合同庁舎5号館特別第1会議室 1 開会 2 生活衛生局長挨拶 3 資料確認 4 審議  (1)食品添加物公定書の改正について  (2)その他 5 閉会 食品衛生調査会毒性・添加物合同部会委員等名簿 (1)毒性部会 (○:部会長、合計10名) 1 江 崎 孝三郎  大阪府立大学農学部教授 2 江 角 浩 安  国立がんセンター研究所支所長 3 黒 川 雄 二  国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター長 4○戸 部 満寿夫  (財)日本公定書協会理事 5 長 尾 美奈子  国立がんセンター研究所発がん研究部長 6 成 田 弘 子  日本大学短期大学部教授 7 林 裕 造  北里大学薬学部客員教授 8 福 島 昭 治  大阪市立大学医学部教授 9 三 森 国 敏  国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター病理部室長 10 村 上 正 孝  筑波大学社会医学系教授 (2)添加物部会(○:部会長、合計10名) 1 五十嵐 脩  お茶の水女子大学生活環境研究センター長 2 江 崎 孝三郎  大阪府立大学農学部教授 3 近 藤 雅 臣  大阪ハイテクノロジー専門学校長 4 鈴 木 久 乃  女子栄養大学栄養学部教授 5 鈴 木 康 夫  静岡県立大学薬学部教授 6 高 仲 正  (財)日本公定書協会理事 7 長 尾 美奈子  国立がんセンター研究所発がん研究部長 8 中 澤 裕 之  星薬科大学教授 9 成 田 弘 子  日本大学短期大学部教授 10○山 崎 幹 夫  千葉大学薬学部教授 (3)上記委員のほか特に以下の委員及び臨時委員にも出席依頼。 1 伏 谷 伸 宏  東京大学大学院農学生命科学研究科教授 2 山 田   隆  国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部長 平成10年6月1日 配付資料一覧 資料1 食品添加物公定書の改正について   資料1−1 食品添加物公定書第7版各条等検討会報告 資料2 BHAの使用基準について 資料2−1 BHAに関する通知集 資料2−2 安全性試験成績について(仮訳) 資料2−3 WHO TECHNICAL REPORT SERIES 776 1989 資料2−4 JNCI, VOL. 70, NO.2, FEBRUARY 1983 Nobuyuki Ito, Shoji Fukushima, Akihiro Hagiwara, Michiko Shibata, and Tadashi Ogiso 資料2−5 JNCI, VOL. 77, NO.6, DECEMBER 1986 Nobuyuki Ito, Shoji Fukushima, Seiko Tamano, Masao Hirose, and Akihiro Hagiwara 資料2−6 Carcinogenesis(PRINTING)Masao Hirose,Yasuko Takesada, Hikaru Tanaka, Seiko Tamano, Toshio Kato and Tomoyuki Shirai 資料2−7 Fd. Chem. Toxic. Vol. 24, No.10/11, pp.1229-1233, 1986 G.Wurtzen and P.Olsen 資料2−8 Cancer Letters, 21(1983) 115-116 Preben Olsen 資料2−9 Fd.Chem. Toxic. Vol. 24, No.10/11, pp.1201-1221, 1986 G.J.Ikeda, J.E.Stewart, P.P.Sapienza, J.O.Peggins,III, T.C.Michel and V.Olivito 資料2−10 Fd. Chem. Toxic. Vol. 24, No.10/11, pp.1223-1228,         1986 M.Tobe, T.Furuya, Y.Kawasaki, K.Naito, K.Sekita,         K.Matsumoto, T.Ochiai, A.Usui, T.Kokubo, J.Kanno,         Y.Hayashi 資料2−11 Fd. Chem. Toxic. Vol. 24, No.10/11, pp.1197-1200, 1986 F.Iverson, J.Truelove, E.Lok, D.B.Clayson, and J.Wong 資料2−12 Fd. Chem. Toxic. Vol. 26, No.8, pp.717-723, 1988 H.C.Grice 資料2−13 Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol. 1990. 30: 441-63 David B.Clayson, F.Iverson, E.A.Nera, and E.Lok 資料2−14 Nutritional Toxicology, edited by Frank N.Kotsonis, Maureen Mackey, and Jerry Hjelle, Raven Press, Ltd., New York   1994 資料2−15 Human Toxicology Effect of BHA in man Hans Verhagen, Lou M.Maas, Rico H.G.Beckers, Henk H.W.Thijssen, Foppeten Hoor,Peter Th.Henderson and Jos C.S.Kleinjans 資料3 マグロ、ブリ等に対する一酸化炭素の使用について 資料3−1 マグロへの一酸化炭素の使用について(通知)   資料3−2 ブリへの一酸化炭素の使用について(通知)   資料3−3 CELEBES JAPAN FOODS CORPORATION からの提出資料 資料3−4 株式会社オンスイからの提出資料 その他   既存天然添加物の安全性評価に関する調査研究   (平成8年度厚生科学研究報告書) +------+ |資料1| +------+ 食品添加物公定書の改正について 1 食品添加物公定書改正の経緯  食品添加物公定書は、食品衛生法第13条の規定に基づき、食品添加物の成分規格、使 用基準等を収載することとされており、1960年に第1版が作成されて以来、199 2年の第6版作成まで、逐次改正が行われてきたところである。  今回の改正は、第6版の改正以降の規格基準の設定、改正、新たな試験法の収載等を 行うものである。 2 改正の目的 (1)平成7年の食品衛生法改正により、添加物の指定制度の対象範囲が、化学的合成 品以外の添加物にも拡大されたことに伴い、いわゆる天然添加物の成分規格を充実する こと。 (2)科学技術の進歩に伴う新たな試験法の収載及びそれに伴う添加物各条の改正等を 行うこと。 (3)国際的な整合化のための成分規格の改正。 3 これまでの検討経緯  平成6年9月より、食品添加物公定書第7版各条等検討会(座長 山田隆 国立医薬 品食品衛生研究所食品添加物部長)が開催され、検討がなされている。  本検討会は、平成9年12月18日に最終的な審議を終え、平成10年4月には報告書 がまとめられている(資料1−1)。 4 検討会報告書の主な内容 (1)天然添加物について、既に設定されている12品目に加えて、61品目、3製剤 の規格を追加する旨の提案。   1)新たに規格を設定するもの  天然添加物に関して、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)によって規格が設 定されているもの(アミノ酸については、JECFA規格が設定されていないので、米国FC C規格等を参考)等について、成分規格のあり方を検討し、次の61品目、3製剤につ いて規格案をとりまとめた。   アミノ酸(13品目,3製剤) L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-アラニン、L-アルギニン、L-グルタミン、L- シスチン、L-セリン、L-チロシン、L-ヒスチジン、L-ヒドロキシプロリン、L-プロリン L-リシン、L-ロイシン、L-アラニン液、L-プロリン液、L-リシン液    着色料(18品目)  ウコン色素、カラメルI、カラメルII、カラメルIII、カラメルIV、クロロフィル、コ チニール色素、デュナリエラカロテン、トウガラシ色素、ニンジンカロテン、パーム油 カロテン、ビートレッド、ブドウ果皮色素、ブラックカラーント色素、ベニコウジ色素 ベニバナ赤色素、ベニバナ黄色素、マリーゴルド色素    増粘安定剤(13品目)  アラビアガム、アルギン酸、ガティガム、キサンタンガム、精製カラギナン、加工 ユーケマ藻類、カラヤガム、カロブビーンガム、グァーガム、ジェランガム、ダンマル 樹脂、トラガントガム、ペクチン    乳化剤(1品目)      キラヤ抽出物    酸化防止剤(2品目)      d-α-トコフェロール、ミックストコフェロール    甘味料(1品目)      タウマチン    ガムベース(4品目)      カルナウバロウ、カンデリラロウ、シェラック、ミツロウ    酵素(4品目)      トリプシン、パパイン、ブロメライン、ペプシン    製造用剤(4品目)      β-シクロデキストリン、植物タンニン、微結晶セルロース、粉末セルロース  (参考)既に規格が設定されている天然添加物  カオリン、カゼイン、活性炭、D−キシロース、ケイソウ土、植物レシチン、タルク パーライト、分別レシチン、ヘキサン、卵黄レシチン、流動パラフィン   2)品目の定義 ア 基原、製法等の記載は、既存添加物名簿の内容等に基づき記載。 イ ウコン色素、クロロフィル等については、安定化、標準化のため、乳糖、デキスト リン、油脂が加えられていることが一般的であることなどから、乳糖等を含むものとし て規格化。   3)着色料における色価の設定  着色料溶液の可視部での極大吸収波長における吸光度を測定する方法であって、天然 色素は主色素以外に種々の成分が含まれていることなどから、含量の尺度として設定。   4)不純物の規格     重金属、鉛、ヒ素、微生物(酵素及び増粘安定剤)等について設定。 (2)新たな一般試験法として、灰分及び酸不溶性灰分試験法、色価測定法、微生物限 度試験法、誘導結合プラズマ発光強度測定法の追加の提案。 (3)成分規格中の確認試験に赤外吸収スペクトル測定法を用いて、従来の波数による 規定ではなく、赤外吸収スペクトルのチャートを収載する旨の提案。  アスパルテーム、エチルバニリン、カルナウバロウ、カンデリラロウ、酢酸リナリル シトラール、シンナムアルデヒド、微結晶セルロース、粉末セルロース、ヘキサン酸ア リル、ヘプタン酸エチル、マルトール、リナロオール (4)成分規格中に、IUPAC等を参考にした化学名、CASナンバーを収載する旨 の提案。 (5)成分規格中に用いられる有害試薬について、次の方針にそって、その使用を削減 することとし、他の試薬に代替する旨の提案。    1)原則用いない 水銀化合物、シアン化物、ベンゼン、四塩化炭素 2)極力用いない ジオキサン   3)慎重に検討する クロロホルム、1,2-ジクロルエタン、ジクロルメタン等ハロ ゲン化合物、二酸化硫黄     (6)香辛料抽出物などの製造基準に、メタノール等の抽出溶剤の残留基準を設定する 旨の提案。 +------+ |資料2| +------+ BHAの使用基準について 1.はじめに  ブチルヒドロキシアニソール(BHA)については、昭和57年、食品衛生調査会の 意見具申に基づき、使用基準が全面的に改正され、酢酸エチル及びジブチルヒドロキシ トルエンについても、BHAに関連する部分が一部改正された。  しかし、その後の科学的な評価状況を踏まえ、その取扱いについて、再度検討しよう とするものである。 2.使用基準  「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年12月厚生省告示第370号)における 規定は以下のとおりであるが、当該適用については厚生大臣が別に定めるものとし、そ れまでの間は、なお従前の例によることとされている(資料2−1)。 +--------------------------------------------------------------------+ |  ブチルヒドロキシアニソールは、油脂の製造に用いるパーム原料油及び | | パーム核原料油以外の食品に使用してはならない。  | | (平成4年8月厚生省告示208号) | +--------------------------------------------------------------------+  ○現在の適用されている規定 +--------------------------------------------------------------------+ |  ブチルヒドロキシアニソールおよびこれを含む製剤は、油脂、バター、 | | 魚介乾製品、魚介塩蔵品、魚介冷凍品(生食用冷凍魚介類及び生食用冷凍 | | かきを除く。以下この目において同じ。)、鯨冷凍品(生食用冷凍鯨肉を | | 除く。以下この目において同じ。)及び乾燥裏ごしいも以外の食品に使用 | | してはならない。 | |  ジブチルヒドロキシアニソールおよびこれを含む製剤の使用量は、ジブ | | チルヒドロキシアニソールとして、油脂、バター、魚介乾製品、魚介塩蔵 | | 品及び乾燥裏ごしいもにあってはその1kgにつき0.2g(ジブチルヒドロキ | | シトルエンまたはこれを含む製剤を併用する場合は、ブチルヒドロキシア | | ニソールとしての使用量およびジブチルヒドロキシトルエンとしての使用 | | 量の合計が0.2g)以下、魚介冷凍品及び鯨冷凍品にあっては浸漬液1kgにつ | | き1g(ジブチルヒドロキシトルエンまたはこれを含む製剤を併用する場合 | | は、ブチルヒドロキシアニソールとしての使用量およびジブチルヒドロキ | | シトルエンとしての使用量の合計が1g)以下でなければならない。 | +--------------------------------------------------------------------+ 3.国際的な状況 (1)FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)     ADI 0.5mg/kg/体重(WHO Technical Report Series 776 1989) (2)米国 使用基準の範囲内で使用可能。(別添) (3)欧州連合 使用基準の範囲内で使用可能。(別添) 4.我が国におけるBHAの一日摂取量  「日本人のA群食品添加物の世代別、食品群別及び地域別一日調査摂取量研究」 (日本食品化学会誌 Vol2(1), 1995)によると、BHAの摂取量は以下のとおり。 学童(平成4年度)  0.003mg/day(ADI比* 0.020%) 高齢者(平成5年度) 0.002mg/day(ADI比* 0.008%)  成人(平成6年度) 0.002mg/day(ADI比* 0.008%)   *成人、高齢者は、体重50kgとし、学童は体重30kgで換算。ADIはJECFAによる。 5.安全性試験成績等  ラット、イヌなどを用いた反復投与試験、発がん性試験などが複数行われている (資料2−2 〜 資料2−15)。 別添   BHAの使用基準の比較表 +----------------------------+------------------------+ | 日本(適用されている基準) |FAO/WHO合同食品規格委員 | | |会(コーデックス委員会)| | | (1990年) | |----------------------------+------------------------+ |油脂 *200ppm|マヨネーズ    140ppm| | | | |バター *200ppm|マーガリン **175ppm| | | | |乾燥裏ごしいも *200ppm|マイナリン **175ppm| | | | |魚介乾製品 *200ppm|食用油脂(バターオイル、| | |脱水乳脂肪、特定の植物油| |魚介塩蔵品 *200ppm|製品、特定の動物又は動植| | |物混合油製品を除く) | |魚介冷凍品(生食用冷凍魚介類| **175ppm| |及び生食用冷凍かきを除く。)| | | *浸漬液1kgあたり1g|バターオイル ***200ppm| | | | |鯨冷凍品(生食用冷凍鯨肉を除|脱水乳脂肪 ***200ppm| |く。)  *浸漬液1kgあたり1g| | | |ココナッツ油、ヤシ実油、| | |ブドウ種油、ババスー油、| | |ラード、精製豚脂、肉汁、| | |獣脂、大豆油、アラキス油| | |、綿実油、ひまわり種油、| | |菜種油、トウモロコシ油、| | |ゴマ種油、ベニバナ油、マ| | |スタード種油  ***200ppm| | | | | | | | | | | | | | | | | | | +----------------------------+------------------------+ +------------------------+------------------------+ | 米国 | 欧州連合(EU) | | | | | | | +------------------------+------------------------| |脱水じゃがいも *50|熱処理食品の製造に用いる| | |油脂   *200| |活性乾燥酵母 1,000| | | |ケーキミックス *200| |粉末ミックスから作る飲料| | |及びデザート |穀物原料スナック菓子*200| |         2| | | |自動販売機用の粉ミルク | |乾燥朝食穀物加工食品 | *200| |           *50| | | |乾燥スープ、乾燥肉エキス| |さいの目切り糖衣乾燥果実| *200| | 32| | | |ソース *200| |飲料及びデザート用粉末ミ| | |ックス 90|乾燥肉 *200| | | | |ショートニング用エマルジ|香辛料 *200| |ョン安定剤 *200| | | |調理前穀類 *200| |じゃがいも薄片 *50| | | |乾燥粒状じゃがいも * 25| |じゃがいも顆粒 *10| | | |チューインガム *400| |さつまいも薄片 *50| | | |栄養補助食品 *400| |一般食品 | | | 食品の油脂量に対する抗| | |酸化剤総量が200ppm以下に| | |なるようGMPに準じて使用 | | +------------------------+------------------------+  * BHTとの合計使用量  ** BHT、TBHQ、没食子酸プロピルの総使用量 (没食子酸プロピルは100ppmまで)  *** BHT、没食子酸エステルの総量(没食子酸エステルは100ppmまで) +------+ |資料3| +------+ マグロ、ブリ等に対する一酸化炭素の使用について <食品衛生法> 1 食品添加物とは、1)食品の製造過程において使用されるもの、2)食品の加 工若しくは保存の目的で使用されるものとされている。(食品衛生法第2条) 2 食品添加物については、人の健康を損なうおそれのない場合として厚生大 臣が指定したもの以外は、その使用等が禁止されている。(同法第6条)  現在、二酸化炭素、二酸化塩素などの気体も含めて349品目が指定され ているが、いまだ一酸化炭素は指定されていない。 +---------------------------------------------------------------+  | 食品衛生法第6条(平成7年法改正後) |    |  人の健康を損なうおそれのない場合として厚生大臣が食品衛生調 |    | 査会の意見を聴いて定める場合を除いては、添加物(天然香料及び |    | 一般に食品として供されている物であつて添加物として使用される |    | ものを除く。)並びにこれを含む製剤及び食品は、これを販売し、 |    | 又は販売のように供するために、製造し、輸入し、加工し、使用し |   | 貯蔵し、若しくは陳列してはならない。 | | | | (参考)平成7年法改正前の第6条の規定 | | 人の健康を害う虞のない場合として厚生大臣が食品衛生調査会 | | の意見をきいて定める場合を除いては、食品の添加物として用い | | ることを目的とする化学的合成品並びにこれを含む製剤及び食品 | | は、これを販売し、又は販売のように供するために、製造し、輸 | | 入し、加工し、使用し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。 | +---------------------------------------------------------------+ <経緯>  平成6年9月  化学的合成品たる一酸化炭素の使用は、食品衛生法第6条違反となること、及び化学 的合成品以外の一酸化炭素を変色防止目的に使用することは、消費者に鮮度等の判断を 誤らせるおそれがあることから、使用しないよう指導方通知。  平成7年5月  食品衛生法が改正され、食品添加物の指定制の範囲が、従来の化学的合成品のみから 原則として、すべての天然添加物に拡大された。(平成8年5月施行)  平成9年5月  マグロ(スモーク品と称しているマグロも含む。)に関し、検査開始日に一酸化炭素 が200ppb以上検出され、かつ2日目に明らかな減少が認められる場合、又は検査開始日 に500ppb以上検出される場合は、一酸化炭素処理したものとみなす旨通知(資料3−1)    平成9年9月  ブリ(スモーク品と称しているブリも含む。)に関し、検査開始日に350ppb以上検出 される場合は、一酸化炭素処理したものとみなす旨通知(資料3−2)。  平成10年5月  CELEBES JAPAN FOODS CORPORATIONと株式会社オンスイから、自社のスモーク品につい ては平成9年5月の通知の対象外と考えるべきとの観点から、その製法、特性、一酸化 炭素濃度、変色等に関する資料が提出(資料3−3、資料3−4)。   問い合わせ先    生活衛生局 食品化学課    TEL 3595−2341