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医療保険福祉審議会 第3回介護給付費部会議事要旨


1 日時及び場所

平成10年6月29日(月) 14時00分から16時00分
厚生省 特別第一会議室

2 出席委員

星野、青柳、井形、石井、加藤、喜多、見坊、下村、田中、中村、中西、堀江、
野中、橋本、見藤、村上(忠)、山口の各委員、高梨参考人

3 議題

(1)措置費の単価、施設整備補助の概要等について
(2)介護報酬の主な論点について
(3)その他

○ 資料008に沿って、措置費の単価、施設整備補助の概要等について、青柳老人福祉計画課長より説明。

(見坊委員)

 介護報酬の論議が部分ごとになりかねないため、特別養護老人ホームと比較して、老人保健施設や療養型病床群の現行制度における利用者負担の説明を求めたい。さらに、特別養護老人ホームにおける医療費の支払いの実情を知りたい。現行制度において、なんとか肩身の狭い思いをしないで入所できている低所得の方々が、介護保険制度においても排除されないことが重要であり、今後とも、利用者サイドに立った資料提供をお願いしたい。

(中村委員)

 介護保険では、高額介護サービス費が支給されることになっているが、地域によっては、ホームヘルプサービスの利用世帯の6、7割が非課税世帯である。その辺りがわかるデータ提供をお願いするとともに、所得がゼロに近い方が介護保険下でどのようにしてホームヘルプサービスを受けられるか、資料を出してほしい。

(下村委員)

 介護保険は一般市民の利用ということを前提に考えるので、現行の福祉施設で低所得者が多いという実態に中心を据えて介護保険の給付を議論するというのは、間違っている。資料は出していただいても結構だが、低所得者ではない市民が利用する上でどういう制度であるべきかが、中心課題だ。

(青柳委員)

 特別養護老人ホーム施設整備費補助は、新ゴールドプラン達成後も続けるのか。また、特別養護老人ホームは、医療サービスについては在宅扱いだが、そのままで、介護保険制度をスタートさせていいのか。医療サービスを提供する仕組みをどの程度まで拡大するのか。
 順調に基盤整備が進んだとしても、地域において利用者が十分に選択できるだけの3種類の介護保険施設の配置とはならないように思われる。ある程度、相互に役割を補う必要があるのではないか。

(星野部会長)

 見坊委員、中村委員の要求については、情報資料提供扱いとしたい。また、青柳委員の質問について事務局で答えられることがあれば、お願いしたい。

(青柳課長)

 現在の社会福祉法人のあり方、あるいは補助制度のあり方については、社会福祉施設に共通する問題も多々あり、中央社会福祉審議会の中の社会福祉構造改革分科会において、全体としてのあり方を検討している。これまでの社会福祉法人の運営では、余剰を残すことが許されていないので、施設整備補助がなければ、事業ができなくなるということもある。

(中村委員)

 特別養護老人ホームについては、週2、3度の嘱託医だけという見方もあるが、1割ぐらいは常勤医がいるので、こうした医療提供の後退があってはならないと考えている。

(見坊委員)

 介護報酬の論議をする上での基本的な資料は、是非提供していただきたい。また、基本的に低所得者であろうと高所得者であろうと、市民であることには変わりはなく、それらが等しく利用できる制度でなければならない。参議院でも、低所得者に関する対策は重要であるとの決議がある。

(野中委員)

 介護保険の給付体系をどうするかということをまず、基本として、議論を進めていただきたい。その過程で、低所得者対策が保険でできないならば、福祉でどう対応して行くのかという問題が起きてくる。

(橋本委員)

 1割の応益負担が低所得者にとって厳しいということは見通せるので、こうした資料請求があったと思う。特養というより、所得の分布が問題である。

(星野部会長)

 次に、本日の本題である介護報酬を検討するに当たっての主な論点の考え方について、事務局の説明の後、ご議論いただきたい。

○ 資料009「介護報酬の主な論点−介護報酬の検討に資するために−」沿って、唐澤次長より説明。

(星野部会長)

 厚生省の勉強会に加わっていた田中委員に、補足すべき点、特に議論があった点等について、ご紹介をお願いしたい。

(田中委員)

 利用者ニーズを効率的に満たすために、自由な選択と多様な供給者という市場メカニズムにできるだけ近づけたサービス需給体制をとるところが、介護保険の特徴である。ただし、市場メカニズムとも違って、この部会において価格を議論することとなるため、市場になり変わって、効率的な資源配分に役立つようなインセンティブを介護報酬に持たせていかなければならない。
 参考資料には、これから議論する上で参考となるいろいろな方向が例示されている。
 個人的な感覚で言うと、ホームヘルプサービスは類型化した包括的な報酬がよいというニュアンスがあり、通所サービスや施設サービスは要介護度を基本においた体系というトーンが出ている。介護計画、成功報酬については、これがいいという方向よりは、これから議論する上での、中立的な叩き台となる考え方が整理されている。
 いずれにしても、実際の金額を決めるための実態調査設計やデータ分析に役立つような、介護報酬を考える枠組みの整理と、それらの枠組み内での複数の考え方のメリットやデメリットが、示されている。

(橋本委員)

 ホームヘルプサービスは、介護以外のさまざまなサービスを含めて生活を安定化させるマルチ型のサービスであり、パッケージという言葉は適切ではない。
 次に、全体のトーンが「包括的な報酬体系」といっているのに、なぜ、ホームヘルプサービスだけ詳しく議論しなければならないのか。サービスの質に問題があれば、質の管理を考えればよい。
 さらに、ホームヘルプサービスだけではなく、訪問看護のような似たようなサービスを、一緒に議論すべきだ。
 また、プランをつくることに重きをおいているが、実際にどうサービスが行われたかがチェックされなければ、プランづくりの事務量が増えるだけである。

(下村委員)

 説明を長くせず、審議する時間をちゃんととって、大小の問題点を分けて議事を進めていただきたい。
 給付の限度額は認定等級に応じて決めるという考え方になっているが、それは一体何を基準にして決めるのか。ある一定の認定段階の人の平均的なサービス内容を考え、その平均的な費用をもとにして給付限度額を決めるようになるでのではないかと考えられる。
 そうだとすると、実態調査を行わざるを得ない。原価からのアプローチはできないと思われるので、現在支払われている費用とサービスがどのようになっているか、その実態を調べることが現実的な決め手となる。例えば、議論の前提として、認定の試行的事業でわかっている人たちの要介護度、その要介護度に応じたサービス内容、それに対する費用の実態をまず調べていただきたい。データを揃えてから、具体的な議題を絞るべきである。

(石井委員)

 「標準的に必要なサービス水準を適切に評価……」とあるが、標準的なサービスをどう決めるのか。
 「特別養護老人ホームの措置費の単価設定区分……」とあるが、この中には小規模の特別養護老人ホームも含まれているので、これを特別養護老人ホームに括って単価設定をしたのでは、他の特養の運営ができなくなるという状況が出てくる。

(加藤委員)

 実際に、介護保険ファンドとして、平成12年度にどのぐらいを予定しているのか。そして、要介護高齢者の実態調査から、大体どのぐらいの人がサービスを受ける予定があるのかを、早くつかんでほしい。
 事務費の範囲と支出見込みを先に示し、次に、サービスにはどのぐらい使えるかを決めていったらいい。そして、施設サービスと居宅サービスについて、現状を踏まえた配分を決め、最後に細かな点を論議していったらいいのではないか。

(見坊委員)

 介護保険制度への移行については、既にモデル地区が設定され、多様な形態も実験されているので、ある程度実態に即した、事務量や、要介護者、サービス提供施設、事業所がどのようになるのかという見通しを把握した上で、裏付けを持った検討がなされているのではないか。

(唐澤次長)

 今回の資料はあくまで参考資料である。今後の議論の出発点として、現在の制度での実際の費用を把握する必要がある。どういう区分で何を調べるか、調査の設計も含め、できるだけはやく当部会でご相談したい。

(下村委員)

 要介護度ごとの限度額を決めるとすると、介護等級ごとの現在のサービス内容と費用を調べることが絶対的に必要となる。少なくとも、どこにどういう高齢者がいるかについて、認定の試行的事業のデータだけでも、まず公表すべきだ。そして、議論を実態調査に絞って進めて欲しい。
 また、今日の論点で抜けているのは、医療との関係である。今後は、訪問看護の部分と、医学的管理料は介護保険で払い、健康保険の請求から落としていいということになるが、これまで医療一本の請求で済んでいるものを、二本に分けることが本当にできるのか。

(中村委員)

 今日は、骨格部分の議論をしなければいけない。医療と介護の線引きの問題とか、介護保険では取り扱われない福祉サービスの一般財源化の問題がある。また、老人保健施設と特別養護老人ホームとでは、ショートスティの考え方が、定員内、定員外等全然異なることなど、3つの施設体系の中で制度的に取扱いが違うものについては、この場で議論し、集約化していかなければいけない。

(青柳委員)

 総論的な考え方については議論をしても差し支えないのではないか。その上で、施設あるいは在宅サービスの実際の介護報酬の問題について、調査結果も踏まえた議論を進めるべきである。
 医療と介護給付との関係では、特に在宅医療については、介護保険の対象は、間接的な医療関連行為であり、医師が直接行う医療サービスは、対象になっていない。問題は、居宅療養管理料の問題で、じっくり時間をかけて議論させていただきたい。
 在宅の患者に対しては、介護保険給付と医療保険給付が併給し得る制度設計であり、医療機関には大変な事務作業が出てくるため、その簡略化についても、今後議論をしていただきたい。

(山口委員)

 今日の「介護報酬の主な論点」は、介護報酬を考えていく一つの参考とするとしても、要介護度別の報酬の上限を決めていく上で、医療の部分が抜けているので、十分時間をかけて議論すべきである。
 例えば、老人保健福祉部会で特定疾病の範囲を決めた時に難病がかなり入っていたが、難病は、治療を一生続けなければならず、医療保険で見る分野と介護保険で対応する分野とがあると考えなければ、介護報酬はうまい具合にいかないだろう。
 今後、要介護度別に報酬の上限を決めていく場合、平成7年の費用推計から3年が経過しているので、あらためて、ある程度の費用推計を把握すべきであろう。
 また、介護報酬の上限は、ケアプランを作成する上でも重要な問題である。費用が上限に達したら、それ以上はいわゆる上乗せ部分となることを考えながらケアプランを立てることになる。
 ケアプランの作成は要介護認定に引き続き必要となるので、あまり時間をかけないことを念頭におく必要がある。

(村上(忠)委員)

 厚生省側の考えは、大体、現行からスタートなのだが、介護報酬については、果たして真っさらから議論できるのか。いくら理想を掲げて報酬を決めたとしても、サービスがついて来ないのではおかしなことになる。サービス供給の問題や実態調査といった枠組みと、合わせて考えていかえなければいけないだろう。
 医療と介護の考え方はどんな場合でもきちっとしておく必要がある。我々としても負担を受け入れて別の制度をつくった経過があるのだから、両者をきちんと仕分けをしておかなければ、何のために議論しているかわからなくなる。

(野中委員)

 この資料は、我々がこれから介護報酬について議論をする上で参考にするものである、と理解したい。
 市町村には保険者としての責務があり、負担と給付は大きな関心事である。特に保険制度となると、被保険者が負担をすると同時に権利主張をするようになるので、保険者なり、被保険者の立場に配慮しながら、介護報酬のあり方を十分検討いただきたい。

(下村委員)

 資料には、現行報酬をベースにしてという考え方と、同一介護サービスであれば、設置の種別にかかわらず、同一の報酬を設定することが原則、と正反対のことが書いてある。
 このほかにも、一体何を言いたいかわからない部分がある。本日の資料を参考にしていくことは反対しないが、むしろまず現在の実態をはっきりさせることが、必要であり、もう少し焦点を決めて今後の進め方を明らかにして欲しい。

(星野部会長)

 本日は、一応この辺で打ち切らせていただきたい。次回からは、介護報酬の主な論点について、順次ご議論いただくこととしたい。


 問い合わせ先 厚生省老人保健福祉局企画課
    電 話 (直)03-3591-0954
 厚生省老人保健福祉局介護保険制度施行準備室
    電 話 (直)03-3595-2890


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