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平成10年6月18日

予防接種後健康状況調査

集計報告書

(平成8年10月1日〜平成9年3月31日)




予防接種後副反応・健康状況調査検討会

厚生省保健医療局結核感染症課


予防接種副反応・健康状況調査報告書

I 総 論

 この予防接種健康状況調査集計報告は、先に公表した平成8年前期分に続き、定期接種のワクチンについてあらかじめ各県単位で依頼した前期と同じ報告医より、一定期間に接種した例をワクチン毎に一定数順次登録し、その中に何例の副反応が発生したのか調査(前方視的調査)しまとめたものである。
 今回は、平成8年度分後期を第2回分として報告する。

1 本調査の目的は「国民が正しい理解のもとに予防接種を受けることが出来るよう、あらかじめ接種前に登録した者について、接種後一定期間(後述)にわたり健康状況調査を実施し、その情報を提供すると共に、予防接種副反応の発生要因に関する研究の一助とし、有効かつ安全な予防接種の実施に資すること」である。

2 調査対象としたワクチンは、定期接種として実施されたジフテリア、百日せき、破傷風三種混合ワクチン(Diphteria,Pertussis,Tetanus:DPT)、ジフテリア、破傷風二種混合ワクチン(Diphteria,Tetanus:DT)、麻しん、風しん、日本脳炎、ポリオ(急性灰白髄炎)、BCGである。

3 予防接種後健康状況調査の実施期間および対象者数であるが、DPT(DT)、麻しん、風しん、日本脳炎については4月から各四半期毎に都道府県、指定都市に当たりそれぞれ40名を対象とし、接種後28日間を観察期間とした。
 ポリオについては、半年毎に第1期(4〜9月)、第2期(10〜3月)各100名を対象として35日間、BCGは接種数が年間一定でないことから第1期(4〜9月)は300名(うち乳幼児100名、小学1・2年生100名、中学1・2年生100名)、第2期(10〜3月)は乳幼児のみ100名を対象とし、観察期間は5カ 月間とした。
 但し、地域によって接種期間が異なっているところも残っており、ワクチンによって前期、後期の比率は必ずしも一定ではない。

4 報告の手順は各都道府県・指定都市でワクチン毎に報告定点を受諾した実施医療機関の医師が、各予防接種の接種当日に対象者の保護者に対して、事業の趣旨を十分説明の上、健康状況調査に協力する旨の同意を得た後、健康状況調査一覧表に記入すると共に、保護者に健康状況調査表(ハガキ)を渡し、記入要領等を説明する。

5 本調査は予防接種後の健康状況調査であるため、今まで通常の副反応(発熱、発赤、発疹、腫脹等)や、極めて稀に起こり得るとされている副反応(脳炎、脳症等)として知られているものに加えて、これまで予防接種の副反応として考えられていない接種後の症状についても調査できるよう項目が設定されている。

6 調査の趣旨より、回収は健康状況調査一覧表に記入された全員について行われることが望ましく、実施機関として調査を引き受けていただく先生方の御努力は大いに期待されている。回収された調査表は厚生省において集計し、予防接種副反応・健康状況調査 検討会において、医学的、疫学的見地から解析・評価を行い、予防接種後の健康異常の発生事態を把握する。また報告事例と予防接種の因果関係についても検討することとしている。

7 集計・解析によって得られた予防接種副反応情報は、都道府県・指定都市、日本医師会、関係各地医師会及び調査実施機関に還元すると共に、広く国民に提供することとなっている。

8 まとめについては各ワクチンの接種期別に別に、年齢別、発現日別及び接種後の健康状況項目別(発熱、局所反応、けいれん、蕁麻疹、嘔吐、下痢、せき鼻水、リンパ節腫脹、関節痛等)にまとめた。

9  各ワクチンについては製造に用いたウイルス株、含有成分比、添加物等が異なるため、副反応にも当然微妙な差異を生じる可能性がある。従って、各ワクチンの製造会社別に副反応の検討を加えなければならないが、今回は調査対象数がまだ少ないため、全体をまとめて報告することにし、年毎の累計報告として別途まとめる。

10 健康異常発生に極端な高低差(100%や発生無し等)がでているか所があるが、これは現時点での対象数が少ないために高低差がでるものである。
 今後調査が進み、多数のデータを蓄積し、集計する段階になって、この報告書がワク チンの性質等判断できる資料になるものと考える。

II 各 論

DPT

1. DPT1期初回1回目

 対象者数は 805人で、このうち 767人(92.3%) が生後3ヶ月から3歳未満であった。何らかの症状を呈したのは 377人、 598件である。男女児間に差は認めない。症状とその発現日、年齢の関係をみると次の通りである。
 37.5℃以上、38℃未満の発熱は合計34人(4.2%)であるが、接種後7日迄の小計は12人 (1.4%)である。接種後6日目の3人(0.3%)が最大である。3歳迄をみると3〜11ヶ月に多く見られる。
 38.5℃以上の発熱は合計69人(8.5%)であるが、接種後7日迄の小計では22人(2.7%)である。接種後1日目が6人(0.7%)で最大であった。年齢には有意の差は認めない。局所反応は合計 198人(24.5%) であるが、接種後7日迄の小計では152人(18.8%) である。接種1日目の37人(4.5%)が最大である。年齢に有意の差は認めない。
 けいれんは3日、6日に1人ずつみられたが1歳以下と2歳児でいずれも37.5℃以上の発熱を伴なっていた。
 嘔吐は合計33人(4.0%)であるが、接種後7日目迄の小計では12人(1.4%)である。接種後1、2日目の3人(0.3%)が最大であった。
 下痢は合計72人(8.9%)であるが、接種後7日目迄の小計では37人(4.5%)である。接種後1日目の12人(1.5%) が最大である。1歳未満に47人(8.6%) と最大であった。
 せき、鼻水は合計 190人(23.6%) であるが、接種後7日目迄の小計では85人(10.5%) である。接種後1日目の19人(2.3%)が最大であった。1歳未満に 126人(23.2%) と最大であった。

2. DPT1期初回2回目

 対象者は 762人で、このうち 728人(95.5%) が生後3ヶ月から4歳未満であった。何らかの症状を呈したのは 433人、 659件である。男女児間に差は認めない。症状とその発現日、年齢の関係をみると次の通りである。
 37.5℃以上38℃未満の発熱は合計45人(5.9%)であるが、接種後7日目迄の小計が26人 (3.4%)である。接種後1日目の10人(1.3%)が最大である。1歳未満に29人(6.0%)と最大頻度であり、接種後7日目迄をみると51歳未満で15人(3.1%)が最大頻度であった。
 38.5℃以上の発熱は合計56人(7.3%)であるが、接種後7日目迄の小計は28人(3.6%)である。年齢別に有意の差は無い。
 局所反応は合計 266人(34.9%) であるが、接種後7日目迄の小計は 260人(34.1%)である。接種後1日目の 142人(18.6%) が最大である。年齢別に有意の差は無い。
 けいれんは2例で生後1歳、4歳児に接種後1、26日目にみられた。37.5℃以上の発熱を伴なっている。
 嘔吐は合計36人(4.7%)であるが、接種後7日目迄の小計では21人(2.7%)である。接種後1日目の7人(0.9%)が最大頻度である。
 下痢は合計63人(8.2%)であるが、接種後7日目迄の小計では33人(4.3%)である。発生日には一定の傾向は認めない。最大発生頻度は1歳未満で9.6%である。
 せき、鼻水は合計 191人(25.0%) であるが接種後7日目迄の小計では 101人(13.2%) である。発生日、症状発現日に一定の傾向は認められない。

3. DPT1期初回3回目

 対象者は 695人でこのうち 647人(93.1%) が生後3ヶ月から4歳未満であった。何らかの症状を呈したのは 342人、 518件である。男女児間に差は認めない。
 症状とその発現日、年齢の関係をみると次の通りである。
 37.5℃以上38℃未満の発熱は合計30人(4.3%)であるが、接種後7日目迄の小計は16人 (2.3%)である。接種後1日目の6人(0.8%)が最大である。4歳未満での年齢別有意の差は無い。
 38.5℃以上の発熱は合計61人(8.7%)であるが、接種後7日目迄の小計は28人(4.0%)である接種後7日の6人(0.8%)が最大である。1歳代以下に頻度が高い。
 局所反応は合計 174人(25.0%) であるが、接種後7日目迄の小計は 172人(24.7%)である。接種後1日目の95人(13.6%)が最大である。
 けいれんは接種後10日目に1人で37.5℃以上の発熱を伴なっている。
 嘔吐は合計30人(4.3%)であるが接種後7日目迄の小計では11人(1.5%)である。発生日に有意の差は無い。3歳以降にはみられない。
 下痢は合計58人(8.3%)であるが接種後7日目迄の小計では31人(4.4%)である。発症日に一定の傾向は認めない。多くが2歳迄に認められる。
 せき、鼻水は合計 164人(23.5%) であるが接種後7日目迄の小計では87人(12.5%)である。発症日に一定の傾向は認めない。

4. DPT1期追加

 対象者数は 799人でこのうち 773人(96.7%) が1歳から4歳代であった。何らかの症状を呈したのは 498人、 740件である。男女児間に有意の差は認めない。
 症状とその発現日、年齢の関係をみると次の通りである。
 37.5℃以上38℃未満の発現は合計61人(7.6%)であるが、接種後7日目迄の小計は37人 (4.6%)である。症状発現日に一定の傾向は認めない。2歳代に頻度が高くみられる。
 38.5℃以上の発熱は合計48人(6.0%)であるが、接種後7日目迄の小計は21人(2.6%)である。発現日に一定の傾向はみられない。又、発症年齢も一定の傾向は認めない。
 局所反応は合計 377人(47.4%)であるが接種7日目迄の小計では372人(46.5%) である。接種1日目の 218人(27.2%) が最大である。年齢が増す毎に発症頻度が高まる傾向がみられる。
 けいれんは1例もみられない。
 嘔吐は合計26人(3.2%)であるが、接種7日目迄の小計では12人(1.5%)である。1歳で6人(3.0%)が最大である。
 下痢は合計37人(4.6%)であるが、接種後7日目迄の小計では18人(2.2%)である。
 せき、鼻水は合計 191人(23.9%) であるが、接種後7日目の小計では 107人(13.3%)である。

5. DT初回接種、追加接種は対象者が少ないので省略する。

6. DT2期

 対象者は 810人であった。何らかの症状を呈したのは 273人、 313件である。
 症状と発現の関係をみると次の通りである。
 37.5℃以上38.5未満の発熱は、合計13人(2.5%)であるが、接種後7日目迄の小計は12人(2.3%)である。接種後1日目の6人(0.7%)が最大である。11歳が4人(1.3%)であるのに対し、12歳では9人(1.7%)であった。
 38.5℃以上の発熱は合計10人(1.9%)であるが、接種後7日目迄の小計は2人(0.2%)であった。11歳児に3人、12歳児に7人であった。症状発現日に一定の傾向は認めない。
 局所反応は合計 229人(44.6%) であるが、接種7日目迄の小計は 225人(27.7%)である。接種後1日目の 137人(16.9%) が最大である。11歳と12歳に有意の差は認められない
 嘔吐は合計3人(0.5%)であるが、接種後7日目迄の小計は2人(0.3%)である。
 下痢は合計11人(2.1%)であるが、接種後7日目迄の小計は5人(0.9%)である。
 せき、鼻水は合計47人(9.1%)であるが、接種後7日目迄の小計は27人(0.3%)である。接種後1日の8人(0.9%)が最大である。12歳児に多くみられる。

麻しん

 対象者数は、1歳児 1,873人(男児 963人、女児 907人、不明3人)2歳児 221人 (男児 106人、女児 115人)3〜7歳半児 158人(男児82人、女児75人、不明1人)の計 2,252人であった。
 観察期間中(0日〜28日)に初発した発熱は、398人17.6%にみられ、そのうち最高体温が38.5℃以上であったものは、253人11.2%であった。そのうちで、接種後6日までの発熱者は134人5.9%(38.5℃以上は82人3.6%)であった。接種後7〜13日の発熱者は195人8.6%(38.5℃以上は124人5.5%)であった。0〜6日に初発した発熱を合わせると329人14.6%(38.5℃以上は206人9.1%)であり、発熱のほとんどは0〜13日に初発した。
 発疹は225人9.9%であった。そのうち6日以内に出現した者は、80人3.5%、従来から麻疹ウイルス増殖に伴う発疹の出現する時期といわれている7〜13日に出現した者は、115人5.1%であった。
 局所反応は176人7.8%に認められた。そのうち、114人5.0%は3日以内の局所反応であった。
 けいれんは11人0.4%、発症日は0〜6日が4人、7〜13日が3人、14〜20日が3人、21〜28が1人であった。1日目の1人以外はすべて熱性けいれんであった。いずれもワクチン接種との因果関係は不明である。
 蕁麻疹は、13人0.5%に認められ、28日に蕁麻疹の出た1人を除いて、0日から10日までに出現した。ワクチンに対する即時型アレルギー反応と考えられる1日以内の蕁麻疹を認めた者は5人0.2%であった

風しん

 対象者数は2,434人(男1,226人、女1,206人)で内訳は6〜11カ月が10人(男6人、女4人)、1歳1,004人(男531人、女472人)、2歳543人(男285人、女258人)、3歳282人(男142人、女140人)、3歳以下の対象者は1,829人(75.2%)であった。4〜7歳453人 (18.6%)、12〜15歳142人(5.8%)であった。何らかの健康異常をみられた人は432人、497件で、男女差はなかった。表にみる如く2歳(22.8%)、5歳(20.6%)に健康異常発生者数が多い傾向がみられた。
 発熱は249人(10.2%)にみられ、そのうち38.5℃以上の発熱は156人(6.4%)であった。接種後6日までの発熱は95人(38.2%)で、38.5℃以上の発熱は57人(36.5%)、7〜13日までは74人(29.7%)、38.5℃以上の発熱は45人(28.9%)、14〜28日までは80人(32.1%)、38.5℃以上の発熱は54人(34.6%)、発熱者の67.9%は13日以内のものであった。
 局所反応は126人(5.1%)にみられ、接種当日14人(0.5%)、1日目57人(2.3%)、2日目25人(1.0%)で0〜3日で96人(76.2%)に出現した。
 けいれんの報告はなかった。
 蕁麻疹は6人にみられ、3日以内2人であった。
 発疹は71人にみとめられ、そのうち0日2人(2.8%)、1日11人(15.5%)、2日1人(1.4%)、0〜6日では26人(36.6%)、7〜13日が22人(31.0%)、14〜28日22人(31.0%)であった。
  リンパ節腫脹は28人にみとめられ、0〜6日目6人(21.4%)、7〜13日14人(50.0%)、14〜28日6人(21.4%)にみとめられた。年齢差は明かでなかった。関節痛については19人報告された。年齢は1〜15歳に分布し、年齢差も明かでなかった。

日本脳炎

1. 日本脳炎1期初回1回目

 対象人数は 584人で、年齢的には0歳〜7歳児に接種された児童である。何らかの健康異常を来した人数(発生件数)は合計 151人(162件) で、対象者の25.8%を占め、男女に占める割合は 25.7%: 26.3%とほとんど差はなかった。
 接種年齢をみると0歳から7歳に分布、3歳児が特に多く、2〜6歳で全体の96.0%を占めた。
 接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、健康異常は各年齢群にみられ、発生者数は対象者の 18.1%〜 50.0%、平均 25.8%であった。2歳未満は 50.0%であったが対象者が少なく、それ以降は 24.7%〜 26.6%で、男女差はなかった。
 発現症状をみると、いずれの年齢も接種局所反応が 13.0%〜37.5%、平均16.6%で、1歳群は対象者数が少ないためか、他の年齢に比し頻度が高かった。発熱は5.2%〜50.0%、平均 8.3%(38.5℃以上は4.6%)にみられ、2歳未満を除けば年齢差はなく、蕁麻疹は3歳群3件、5歳群2件の合計5件のみであった。その他の発疹は2歳〜5歳群に1〜7件みられ、けいれんはいずれの年齢にもみられなかった。
 症状の発現日を観察期間28日でみると局所反応は接種後3日以内に多く、接種当日〜翌日にピークがあったが、接種後7日前後および18日前後の報告もあった。発熱と蕁麻疹は28日の観察期間を通じて幅広く報告され、発熱は6日以内にやや頻度が高い傾向があるが、18日前後にも報告があり、全観察期間にわたって報告された。蕁麻疹やその他の発疹については頻度も低く接種3日以内にやや目立つが一定の傾向はなかった。

2. 日本脳炎1期初回2回目

 対象者数は0〜7歳児 495人で3歳児が最も多く、接種後28日の観察期間中、何らかの健康異常を来した者は 104人( 114件)で対象者の 21.0%を占め、男女差は 21.6%:20.4% と差はなかった。
 接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、15.3%〜50.0%、平均 21.0%で1歳群の2件を除くと一定の傾向はみられなかった。
 発現症状をみると、いずれの年齢も接種局所反応が9.3%〜25.0%、平均13.3%で、1歳群の1件を除くと2歳、6歳がやや高いが他の年齢群との差はあまりなかった。ついで発熱は 4.5%〜25.0%、平均7.2%(38.5℃以上は4.0%)で1歳群の1件、7歳群の2件を除くと年齢差はなかった。蕁麻疹は3歳児の5件、4歳児の1件のみであった。その他の発疹は3歳児〜6歳児で1〜2件みられたが、けいれんはなかった。
 症状の発現日を観察期間28日でみると局所反応は接種後5日以内に生じ、0〜1日目がピークであった。発熱は全観察期間にわたってみられ、一定の傾向はなかった。蕁麻疹は0日2件、4、7、13、27日目にそれぞれ1件ずつみられた。その他の発疹も全観察期間にみられたが特記すべき傾向はなかった。

3. 日本脳炎1期追加

 対象者数は0〜7歳児 374人で4歳児が最も多い。接種後28日の観察期間中、何らかの健康異常を来した者は69人(72件)で対象者の 18.4%を占め、男女の占める割合は17.0%: 19.9%と男女差はなかった。
 接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、12.9%〜28.5%、平均 18,4%であるが、対象者数が少ない2歳児群を除いて一定の傾向はなかった。
 発現症状では、いずれの年齢も接種部位の局所反応が目立って多く、4.5%〜15.4%、平均13.3%にみられ、3歳以外大きな偏りはなかった。ついで発熱は2.9%〜28.5%、平均 4.0%(38.5℃以上は2.6%)にみられた。2歳児で突出して高いが母数が少なく一定の傾向はなかった。蕁麻疹は4歳児群で3件、3、5歳群でそれぞれ1件ずつ合計5件みられた。その他の発疹は6、7歳児でそれぞれ1件ずつみられた。けいれんはみられなかった。
 症状の発現日を観察期間28日でみると局所反応は接種後4日以内に集中し、0〜1日目がピークであった。発熱は接種後4〜10日目と17〜23日目でみられた。蕁麻疹、その他の発疹は散発的で一定の傾向はなかった。

4. 日本脳炎2期、3期

 2期、3期の結果は同じ傾向を示すのでまとめて報告する。
 対象者は2期は9〜12歳児67人、3期は14〜15歳児20人であった。接種後28日の観察期間中、何らかの健康異常を来した者はそれぞれ12人(13件)、2人(2件)であった。
 健康異常発生者の割合をみると、それぞれ17.9%、10.0%であった。男女別ではそれぞれ9.0%:26.4%、8.3%:12.5%と2期で女児が多く、3期でもわずかに女児が多かった。
 発現症状では、いずれも接種局所反応が多く、13.4%、10.0%あり、発熱、蕁麻疹、その他の発疹は2期でごくわずか、3期ではみられなかった。
 症状の発現日を観察期間28日でみると局所反応は接種後3日以内に生じたが、発熱はごくわずかで4日以内にわたってみられた。2期では蕁麻疹、その他の発疹はそれぞれ1件のみで、接種当日にみられ、3期では2件の局所反応以外異常はみられなかった。

ポリオ

1. ポリオ1回目

 接種対象児数は1,423人(男740人、女683人)で内訳は3〜5カ月459人(男229人、女230人)、6〜8カ月498人(男250人、女248人)、9〜11カ月303人(男165人、女138人)、1歳137人(男80人、女57人)、2歳以上26人(男16人、女10人)であった。
 何らかの健康異常がみられた人は292人(20.5%)、380件で、年齢別では3〜5カ月70人(15.2%)、6〜8カ月112人(22.5%)、9〜11カ月77人(25.4%)、1歳29人(21.1%)であった。接種数の比較的多い1歳以下では9〜11カ月児の割合が最多であった。
 発熱は154人(10.8%)にみられ、そのうち1歳以下で発熱率の高いのは9〜11カ月41人 (13.5%)であった。38.5℃以上の発熱は25人(8.2%)で、接種3日目が1.1%で最高であった。また年齢別では6〜8カ月10.8%、9〜11カ月15.1%、1歳12.1%となっていた。
 けいれんを来した症例はみとめなかった。
 嘔吐は56人(3.8%)にみられ、0〜2日目までが最大0.4%で高率であった。
 下痢は157人(10.7%)にみとめられ、9〜11カ月児が56人(12.6%)であった。7日目までの下痢の出現率は0.2〜1.9%の範囲であった。

2. ポリオ2回目

 接種対象児数は1,460人(男720人、女740人)で内訳は3〜5カ月57人(男28人、女29人)、6〜8カ月147人(男72人、女75人)、9〜11カ月441人(男219人、女222人)、1歳718人(男349人、女369人)、2歳74人(男42人、女32人)、3歳以上23人(男10人、女13人)であった。
 何らかの健康異常がみられた児は293人(20.0%)年齢別発生割合は3〜5か月57人(17.5%)、6〜8カ月75人(14.3%)、9〜11カ月441人(23.3%)、1歳718人(20.0%)であった。
 発熱は181人(12.3%)にみられ、日数別では1〜3日に多く、41人で1.1〜0.6%であった。38.5℃以上の発熱は124人(8.4%)で、接種2日目が17人(1.1%)で最高であった。年齢別では1歳87人(12.1%)、9〜11カ月67人(15.1%)であった。
 けいれんの報告は1例もみとめなかった。
 嘔吐は56例(3.8%)であった。投与1〜2日に0.4〜0.2%の出現頻度であった。
 下痢は157人(10.7%)で、9〜11カ月に比較的多くみられた。下痢の出現は投与0日からはじまり、2日以内で終了する例が多くみとめられた。

BCG

 BCG接種については総数3,243人について接種後観察が行われた。
 接種対象別に見ると、0〜3歳 2,861人(88.2%)、小学1年生 173人(5.3%)、中学1年生199人(6.1%)、小学2年生10人(0.3%)で、中学2年生は皆無であった。0〜3歳児の中では0歳児が 85.0%を占め、次いで1歳児、2歳児の順に多かった。
 これらの中の77人、2.4%に何らかの異常が見られた(延べ件数は79件、被接種者対2.4%)。異常発生者の割合は接種対象年齢別にみると小1(4.0%)、中2(3.5%)が多く、0〜3歳児は2.2%で最も少なかった。性別にみると男女ともに2.3%であった。対象年齢別に見ても明らかな性差は見られなかった。
 異常の種別にみると、「局所の湿潤」が48人(被接種者の1.4%)、「リンパ節腫脹」が31人(0.9%)であった。
 局所の湿潤は接種対象年齢別に見ると小1で3.4%と最も多く、また中1では2.5%であったが、0〜3歳では1.3%と最も少ない。小2、中2では皆無であった。 その発生の時期は接種後0日〜5ヶ月にわたるが、接種後1ヶ月以内に 35.4%、3ヶ月以内に47.9%が発生し、残り 52.1%は3ヶ月以後に発生していた。
 リンパ節腫脹は接種対象別に見ると0〜3歳で 0.9%、小1で 1.1%、中1で1.0%と、接種対象年齢別にみて大差なく、小2、中2では皆無であった。その発生の時期は接種後0日から5ヶ月にわたるが、48.4%が1ヶ月以内に、 90.3%が3ヶ月以内に発生し、残りの9.7%は3ヶ月以後に発生していた。


照会先
 厚生省保健医療局結核感染症課予防接種係
 TEL 03(3595)2263
 FAX 03(3581)6251


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