98/05/27 内分泌かく乱化学物質の健康影響検討会第2回議事録           内 分 泌 か く 乱 化 学 物 質     の 健 康 影 響 に 関 す る 検 討 会 ( 第 2 回 )                 議  事  録         厚 生 省 生 活 衛 生 局 食 品 化 学 課       内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会(第2回)議事次第 日 時 平成10年5月27日(火) 10:00〜12:00 場 所 中央合同庁舎5号館共用第7会議室  1 開 会  2 資料確認  3 議 題    1内分泌かく乱化学物質に関する平成9年度の研究報告について    2内分泌かく乱化学物質による健康影響について    3その他  4 閉 会 〔出席委員〕  伊 東 座 長  青 山 委 員  阿 部 委 員  井 上 委 員  岩 本 委 員  押 尾 委 員  紫 芝 委 員  鈴木勝 委 員  高 杉 委 員  高 田 委 員  武 谷 委 員  田 中 委 員  津 金 委 員  寺 尾 委 員  寺 田 委 員  西 原 委 員  眞 柄 委 員  松 尾 委 員  山 崎 委 員  和 田 委 員 〔事 務 局〕 内田生活科学安全対策室長、黒川食品化学課長、国立医薬品食品衛生研究所   毒性部菅野室長他課長補佐以下8名 〔オブザーバー〕 環境庁、通産省、農林水産省、文部省 ○生活化学安全対策室長  おはようございます。それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回内分泌 かく乱化学物質の健康影響に関する検討会を開催いたします。  本日は御多忙のところお集まりいただきましてまことにありがとうございます。また 会議室が狭くて窮屈な思いをされるかと存じますが、御容赦いただくようにお願いいた します。  本日は委員25人中、ただいまお集まりいただいている先生方は19名、山崎先生が少し おくれられてお見えになるという情報を得ておりますので、合計20名の方で御議論いた だくことになります。  それから、議事録を作成しておりますので、御発言の方はマイクを御使用いただいて 議事録の作成に御協力いただくようお願いいたします。  それでは、座長の伊東先生お願いいたします。 ○座長  おはようございます。それでは、これから始めさせていただきますが、まず事務局か ら配布資料の確認をお願い申し上げます。 ○山本補佐  それでは、事務局から配布させていただきました資料の確認をさせていただきます。 先生方には事前にお送りした資料と、本日、当日配布とさせていただいた資料の2種類 がございますが、事前にお送りした資料といたしましては、議事次第、配布資料一覧が 1枚ございまして、さらに資料1、こちらは岩本先生からお寄せいただきました資料で ございますが、「正常男子における生殖機能について」という資料。その資料1の中に は資料1−1と資料1−2の付属資料があわせて綴じ込んであるかと思います。  資料2としまして、押尾先生からいただきました「日本人の精液性状の現状につい て」。資料3といたしまして、津金先生からいただきました「内分泌かく乱化学物質 (EDC)と各種がんとの関連」。  資料4といたしまして、「ダイオキシンと子宮内膜症」、これは武谷先生からお寄せ いただきました。  資料5といたしまして、1枚紙でございますが、平成10年度補正予算案。  資料6といたしまして、本検討会の今後の開催予定(案)。  事前の配布資料は以上でございます。  それから、当日配布といたしまして、井上先生からいただきました「平成9年度厚生 科学研究 内分泌かく乱化学物質に関する研究班の概要」、資料7でございますが、こ れを1件置かせていただいているかと思いますが、資料の過不足がございましたら、お っしゃっていただければと思いますが、いかがでしょうか。先生方、よろしいでしょう か。 ○座長  それでは、議事に入りたいと思います。まず最初に、平成9年度に厚生省で実施いた しました研究成果の概要、これを井上先生から御紹介いただきたいと思います。 ○井上委員 それでは、早速御説明いたします。                 (OHP映写) 「内分泌障害性化学物質」と私どもでは呼んでおりますが、endocrine disrupter に関 する班が厚生科学研究の中で2つ立ち上がっております。これについてのごく概要を御 説明いたしたいと思います。  これは大ざっぱですけれども、御承知のとおり、フロリダのワニの記録であるとか、 DDTでカメが云々とか、いろいろここに掲げられているようなことが報告されるに及 んで、ここに見られるようないろいろな本がアメリカでも出版されましたし、また我が 国でも翻訳されて出版されるというようなことで、関心が高まってきたわけであります  時あたかもちょうどジョーン・マクラクラーンさんたちのグループから、ディルドリ ンと比較的弱いendocrine disrupter であるメトキシクロルの2つをかけ合わせたとこ ろが 1,000倍程度の影響があるということが報告され、これは相乗効果(synergy)があ るということを意味しますので大きな話題になったわけであります。  ほどなくして、私どももそうですが、いろいろなグループからディルドリンとメトキ シクロルの間には相乗性はないということ、これがインビトロ、インビボの両面の実験 で否定されました、しかしながら、それなりの強い量を投与いたしますと、ここに示す ような有機塩素系の殺虫剤、殺菌剤、除草剤のようなさまざまなもの、更には植物性の ものの中にもエストロジェン作用を示すものがあるということが以前からよく知られて おりますので、これらにおける相互作用についての考え方そのものは整理されなければ ならないということになりました、またマクラクラーンさんたちのところで出たデータ が、実際には再現性がないということで、御本人たちがウズドロー(撤回)するという ような形にはなりましたけれども、何かの影響でもって、そのようなエグザジェレーシ ョン(過敏反応)が起こるという可能性があることも一応念頭において、(科学者の立 場からすると、そういうメカニズムの中に隠れているものが大発見につながる可能性も ありますから)この問題はきちんと見ておかなければならないという認識に達したわけ であります。 そういう中で、可能性の問題ですけれども、いろいろ出されてきているものの中には 先天性奇形であるとか、理屈の上では発生期にエストロジェンが神経の形成過程に影響 しますので、そういった神経異常が出る可能性があるとか、あるいは生殖機能の異常で あるとか、悪性腫瘍についても実験的なレベルでは、物によっては具体的な発症例があ る、というようなことで問題がだんだん大きくなってきたわけであります。  実際に、悪性新生物の頻度などをとりあげますと、もちろん乳房腫瘍のような例でも 増えておることはご存じのとおりです。  それから、胎児性胚芽細胞腫でもこのように年次的に増えている。  言われているところの事柄は、(これは子宮体部がんですけれども)それぞれ現象と しては事実のことが多うございます。  こうした事態を受けて、ヨーロピアン・ワークショップとして野性生物とヒトの健康 に対するendocrine disrupter の影響についてという会議が昨年の暮れに行われました し、それに先立って幾つか同種の会議が行われておりますが、さらにその後、これを受 けて幾つかの会議が行われてまいりました。  その中で、例えばEUの会議では、ヒトや野生生物に対する潜在的なリスクがあると する諸事象の調査や、文献調査をやるとか、ここに掲げたようなことを決めました。 それに引き続いて、昨年の初頭には、スミソニアン・ワークショップが、米国のナシ ョナル・アカデミー・オブ・サイエンス学士院と大統領府科学技術委員会のサポートで 行われまして、ここでも世界的な規模でのendocrine disrupter(Eds)に関する諸活動を 把握して、それぞれの認識を調整して国際的なアセスメントをただちに検討する必要が あるだろうというような話になりました。 併せてアメリカでは水に関する法律、水質保護法が成立いたしましたので、EPA (米国環境防護庁)はそれに対応した作業を進めることを法的にも迫られております。 それで、ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスが積極的にそれに対して指導する あるいはEPAがリサーチ・バジェットをテンミリオンダラーズ、毎年出すというよう な形で早速動き出しました。  スミソニアン・シンポジウムでは定義として少し位置づけが変わっておりますが、生 体の恒常性、生殖発生あるいは行動に関与する種々の生体内ホルモンの合成、貯蔵、分 泌、体内すべての経過それぞれに影響を与えるもので、ホルモン影響を与える外来性の 物質というような定義を与えております。 私どもが担当しました研究班の成立についてでございますが、「内分泌かく乱物質に 関する研究」と「環境エストロジェン様化学物質に関する研究」と2本が立ち上がって おります。 まず最初の方につきましては、私ども病理学の立場では「内分泌かく乱」という言葉 はないもので、「内分泌障害性化学物質」という言葉を使っておりますけれども、こう いった言葉が盛んに使われておりますので、班の名前はこういうふうな形になっており ますが、内分泌かく乱の疑念をもたれる化学物質の毒性に関する文献調査、あるいはそ の作用機構に関するもの、精子の状況について調べてもらうというのが方針として出さ れました。  文献調査につきましては、既にEPAなどのホームページなどで公開されております 約70種類の化学物質を対象にして進められました。文献としては、92年〜97年に実際に 農薬などは割合よく調べられておりまして、新しい付加的なデータは織り込んでありま せんでしたが、産業化学物質につきましては、3件程度新たなデータも見つかっており ます。その中にはendocrine disrupter らしいものがあるというような状況でありまし たので、こういったものをインベントリーとして整理していく必要があるだろうという 認識に立ち至っております。 さらにメカニズムにつきましては、ここにありますように幾つかの担当の先生方を決 めまして、天然、植物及び合成エストロジェンのラット乳腺の修飾と乳がん発生に及ぼ す影響に関する研究が一つ。環境エストロジェン物質の新しいアッセイ系として、今は ヒトの乳腺腫瘍株を使っているのですけれども、下垂体腫瘍株の使用を研究しようとす るものが2番目。 次に、環境エストロジェン物質の相互作用及びプロテイン耐熱Aやプロテイン耐熱C であるとか、そういったものを使ったセカンド・メッセンジャーとの関連、細胞内のシ グナル伝達を見る実験。 そして、高次系としまして、このものが内分泌だけではなくて神経系であるとか、あ るいは免疫系にもそれなりの理屈があって影響が出てまいる場合があります。ある意味 では、メカニズムがかなり共通する部分もございますので、そういったところを高次系 として全体的に理解していこうという研究。 最後に、5番目は、内分泌かく乱物質のエストロジェン代謝について担当していただ くというような方向でやっております。  また、これは後ほど岩本教授から御説明があるかと思いますが、ヒトの健常者の精子 の検討。これは実際問題としては、どのようなコントロールを置いて比較していくかと いうなかなかストラテジックには難しい問題があるかと思いますが、こういった無理な ことをお願いしております。  もう一つの班は、環境エストロジェン様化学物質に関する問題でありまして、これは どちらかというと、試験系について開発するような形でもって立ち上げました。もちろ ん私ども、あるいは我が国にもそういった技術がないわけではないのですが、大事なこ とは近い将来、恐らく国際的なバリデーションであるとか、共同で仕事を進めていくこ とが起ころうかと考えられましたので、それぞれの試験を既に始めておられるところか ら、レポーター・ジーンを導入した細胞系などを入手しまして、私どもなりに動くよう にしておいて、いざというときにそれなりにプロバイドできるようにするということを 考えております。このため酵母の系、あるいはMCF−7にレポーター・ジーンを入れ たものを取り上げております。このため、あるいは個体レベルに関しては、エストロジ ェンは体の中のいろんなところから出ているのですが、卵巣を摘出したりしますと、か なりレベルが下がります。そこにそういったエストロジェン様のサブスタンスを入れて やると、これに反応しまして子宮が大きくなるという現象があります。これは後ほど申 しますけれども、余り単純な変化ではありませんで、マクロの目で現象として見ると何 でもない試験のように見えるのですが、非常に複雑な生体内反応が起こっているわけで ありますが、これを子宮の肥大反応と申します。  それから、卵巣をとった状態の乳腺も同じような原理で肥大をいたします。そういっ たインビボレベルの変化を取り上げられております。  もともとendocrine disrupter というのは、生殖あるいは種の保存を危うくしている 可能性があるかもしれない、そういう物質として危惧が生まれておりますので、そのエ ンドポイントは、恐らく2世代試験あるいは多世代試験であろうと考えております。し かしながら多世代試験を片っ端からすべてのケミカルについて、行なうわけにはいかな いので、そこに何かいいスキームをつくれないだろうか、安全性をギャランティーでき るようなスキームができないだろうかというところを各国で模索しているわけでありま す。 また新しい試験系としては、OECDの試験のプログラムの中にも入っておりますが ギャップ結合細胞間コミュニケーション阻害試験というのがあります。細かい御説明は いたしませんけれども、これをつくった研究者のグループが私どもとの共同研究を以前 からやっておりまして、私どもがグルーピング・サイエンティストとしてこの研究に参 加することになりました。  それで、試験系の進展について簡単に申しますと、まず最初は、エストロジェンの受 容体と、レポーター・ジーンと申しまして、このエストロジェン様物質がエストロジェ ン受容体との複合体をつくると、発色するというようなインビトロの系であります。  これは見たことがある方も多かろうと思いますが、これがよく陽性のコントロール、 ポジティブ・コントロールに使われるエストラジオールであります。それに近い値を有 名なジエチルスチルベストロールが示しています。それに対してビスフェノールAは 1万分の1ぐらいの強さの反応を示しますし、先ほどのジェニスタインは約1000分の 1ぐらいの強さを示すということであります。  次はアンドロジェン(男性ホルモン)の受容体を導入した同じような系でありますけ れども、これを用いますと、ポジティブ・コントロールのテストステロンに対しては、 −9乗のオーダーで既に反応するというような系でありますが、おもしろいことに、フ ルタマイドだとかアトラジンなどはこの程度しか出てこないということであります。  ところがよく知られているといえば知られていますし、おもしろいことに、アンドロ ジェンの受容体の導入系にエストラジオールを投入しますと、1000倍ぐらいのオーダー ではこのように立ち上がってくる。つまり非常にリダンダンシー(重複交叉性)がある こういったホルモン系統にはこういったリダンダンシーがあって、男性ホルモン受容体 だから男性ホルモンにしか反応しないとか、そういう単純なものではないということが あります。  それから、これは私どものデータではありませんが、共同で仕事をしておりますノー スカロライナのグループの仕事ですけれども、エストロジェンの受容体にはこういった ドメインが2つあります。この受容体の1つを壊したりいろいろなことをやります。  例えばエストラジオールでもビスフェノールAでも、この受容体を完全に壊しておき ますと全く反応しなくなります。それに対して両方の受容体がありますとこういうふう に反応するわけです。  ところがエストラジオールは、AF2 、このレセプター・ドメインが壊れているよう な系、つまりこちらでもワンオーダーぐらいずれますが、ある程度反応します。ところ がビスフェノールAは、こちらが壊れていると反応しないというような形になっており ます。つまり、ある意味ではこういったendocrine disrupting chemicalsの反応性には やや不完全なところがあるというような言い方をしてよろしいかと思います。  次はMCF−7という細胞を使っています。これはヒトの乳ガンの細胞でありまして エストロジェンのリセプターを基本的には持っているのですが、これにレポーター・ ジーンを入れたCAT assayという系を用いています。 BPA(ビスフェノールA)をずっと増加させまして、それに対してゲェニスタイン をドーズを変えて入れていきますと、ある程度アディティブに増えていくのですが、こ このところでシーリングと申しますか、天井がある。ポジティブ・コントロールとネガ ティブ・コントロールで挟んだような形になっていますが、両方かけ合わせるとあると ころで天井に達してしまうというようなことで、どうもシナジーは、少なくともこの実 験ではなさそうだといったデータが各所から出ています。 次はMCF−7で、セルプロリフィケーションを見たものでありますが、これはポジ ティブコントロールのエストラジオールです。それに対してスチレン、そのオリゴマー だけですけれども、全く反応が出ないというような結果であります。ただし、このスチ レンの結果はまだリピートを必要としておりますので、ちょっとそのことを申し添えて おきます。  それから、順序がちょっと前後いたしましたけれども、これはビスフェノールAとゲ ニスタインのかけ合わせであります。かけ合わせたものがここに出ておりますが、シー リングがくることから、シナジー(相乗効果)はどうもないようであるということにな ります。  これはちょっと変わった話題提供にすぎませんが、ECGCと申しますのは、エピガ ロカテキンガレート、お茶の成分の一つであります。ICIというのは、エストラジ オールのインヒビターでありますが、そのインヒビターほどではないけれども、お茶の 成分のあるものはこういった作用を示すということであります。  次は細胞間ギャップ・ジャンクション(細胞間連絡結合装置)を対象としたものです 細胞というのはお互いに連絡をとりながら、いろいろ多細胞性(ホメオスタシス)を維 持しておりますが、そのギャップ・ジャンクションを壊してしまう、「自己防衛」とい う意味もあるのですけれども、こういう性質を持った化学物質があります。しばしば発 がん性のプロモーターといわれる物質がそういう性質を持っておるのですが、この endocrine disrupting chemicals のかなりのものが同じくそういう性質を持っているこ とがわかってまいりました。 典型的なポジティブコントロールとして、DDTであるとか、ディルドリンであると かを使いますと、ドーズを増すごとにダイ(色素)が通らなくなる。写真をお見せしな いで申しわけないのですが、そういう性質があります。  この方法を用いますと、これがコントロールで、これがDMSOで、これらはみんな 色素が通過するわけであります。これがヘキサクロール及びビフェニールです。これら とDDTをかけ合わせますと、このように色素の通過が悪くなる。これがシナジーかア ディティブかはわかりませんけれども、この系で見るとそういう結果である。  同時に(今のギャップ・ジャンクションをつくっている蛋白はコネクシン蛋白と申し まして、コネクシン43と呼ばれる蛋白なんですが)このもののフォスフォリレーション が起こっているということも、判っています。  あとシナジーを起こす可能性のあるものをいろいろ見ているわけですが、これは広島 大学の藤本さんがおくつりになったデータですが、この場合にはエストロジェン・リス ポンシー・エレメントの遺伝子とTATAボックス、CATは先ほど申しましたマー カーでありますけれども、そういうものを入れてエストラジオール単体、タモキシフェ ン単独、それからエストラジオールとタモキシフェンの両方を入れるとこのようなサイ クリックAMP、セカンド・メッセンジャーを入れた場合と入れない場合とを比べたわ けです。セカンド・メッセンジャーを入れると4倍のエグザジェレーションが起こる。 セカンド・メッセンジャーのあり方によってはそういうふうなエグザジェレーションが 起こるというものです。  つまり、それはどういうことかと申しますと、もし、何らかの形で生体でセカンド・ メッセンジャーが動いているような、そういう受け手の場合には、それなりの反応が強 い形で出てくる、これがリセプター・リガンド・システムの特徴でもあろうかと思いま すが、そういうことがあります。  今度はインビボの試験の方にまいります。これは子宮肥大試験でありますが、これは ビスフェノールAを投与しているのですが、これはビスフェノールAとエストラジオー ルの両方を投与すると、アッセイの仕方にもよるのですが、子宮の重さで見た場合、ビ スフェノールAは相乗でも相加でもなく、逆にエストラダイオールの力価を落とす役割 を果たしていることがわかります。そのように負の役割をすることもある。そういう性 質を示すものもあるということです。  また、普通の動物よりももっと感受性の高い動物はないだろうかということで探して おります。実験としては有意差があるとはいっても、あまり成功したとは言えないんで すけれども、P53という遺伝子を欠失させた動物ではこのような形でもって卵巣摘除を して、そしてエストロジェンを投与するとこのように子宮の大きさが大きくなります。 大きくなる程度がより大きいということであります。  こういうことで大急ぎでいろいろ話を進めてまいりましたが、ともかく今問題になっ ているendocrine disrupter をめぐるさまざまな問題は、よく調べていかなければなら ないものがたくさんあるというところに特徴があります。  また、試験法についてもよく調べなければならないことがありますし、その機構など の点についてもわからない問題も結構あります。各国は対応を急いでいるわけでありま す。 この内分泌受容体リガンド系は種特異性が低く、さまざまの動物の種類の間で共通性 があること、それから、シナジー、アディティブの関係が話題になってます。  また、インビトロの実験系を使う限りは、ワンモレキュル(一分子)がワンリセプ ター(一受容体)に働きますから、無限にどんどん小さな量で反応がみられることとな ります。ですからデータをとると閾値がないような形で出てまいります。もちろんイン ビボで実験をやれば、そういうことはないわけですがこのインビトロとインビボのつな ぎ合わせをどうするかということが安全性を考える上でも大事な問題になってくるわけ であります。 また、レセプターに結合するのは化学物質ですから、基本的にはリセプターに対しあ る刺激を与えるということになりますがいわゆる化学物質の毒性とreceptor mediated の毒性はかなり違った面があるということがあります。このreceptor mediated action の特徴として、プレイオトロピズムという現象があります。つまり、そのリセプターの あり方によって、頭の先から足の先までさまざまな細胞の反応の仕方が違うことがしば しばあるということです。それからexposureこれは私どもの領域でございませんが、ど のようなexposureの実態があるかということを抜きには具体的な健康影響の問題は考え られないということがあります。 これはワインにも入っているという例です。ワイン には通常のexposureで考えられるものに比べるとこんなに多い量が入っている。誤解を 与えたくないのですが、そういう事実があるということです。 班員の方々はここに挙げられているような方々で、お忙しい井口先生なんかにもずっ と御協力いただいてまいりましたし、この班をつくり上げた前代のクライシス・マネー ジメントの時期の班長でいらっしゃる瀬高先生、あるいは私どもの前センター長でいら っしゃる林先生、松島先生等々、皆さんお忙しい先生方にご協力いただいてまいりまし た。 以上でございます。どうも時間が長くなってすいませんでした。 ○座長 ありがとうございました。ただいまの御説明に御質問いろいろおありだろうと思いま すが、よろしくお願いします。 大変おもしろい話を聞かせていただいてありがとうございました。東京大学の産婦人 科の武谷です。私は臨床家で余りベーシックなことはわかりませんが、1つは子宮の重 量で、これから私ども御報告申し上げます子宮内膜症とも大変関連が深いお仕事とお見 受けしたのですが、エストラジオール、エストロジェンとビスフェノールAが単独では 子宮重量を増したが、両者はコンバインするとむしろビスフェノールAはエストラジ オールの作用を抑制したと、そういうようなお話ですね。この場合、エストラジオール は最大の効果が出る量を使ったのか、あるいはサブ・オプティマルなレベルか、その量 によって、その両者をコンバインしたときの効果は違ってくると思うんですけれども、 その辺、いかがなものでしょうか。 ○井上委員 この実験に関してはサブ・オプティマルです。 ○菅野室長 ドーズ・レスポンスカーブを単体でとらないと本当は足りないと考えています。2次 元に展開したドーズ・レスポンス曲面における対角線上と両軸上のを何点かをとっても うちょっと計測をしなければいけないのではないかと考えます。 ○武谷委員  エストロジェンの濃度によっては時にadditiveまたはsynergiaticに作用することもあ ろうかと思われますが、その辺はまだわからないということでよろしいわけですか。 ○菅野室長  厳密にはそうです。ただし、あの状態からすると、極端なsynergism はまず出ないだ ろうというくらいは言えるかなと判断しております。 ○武谷委員  ありがとうございました。 ○座長  そのほか、ございませんか。それでは、まだ御説明いただく先生方がいらっしゃいま すので、井上先生ありがとうございました。  次に精子数に関する研究でございますが、岩本先生、押尾先生に御紹介いただきたい と思います。まず最初に岩本先生からお願いいたします。 ○岩本委員  皆様方御存じの方が多いと思いますが、バックグラウンドを少しお時間をいただいて 話させていただきます。  最近のヒト精子に関する論争の発端は、デンマークのSkakkebaek等のグループによる 報告であります。その中で1938年以降の世界中の科学文献を調査した結果、最近50年間 に精子数は1cc当たり1 億 1,300万から6,600万に42%減少し、精液量も3.4 ccから 2.75ccに減少しているということが示されました。また、精子濃度と精液量を掛けた総 精子数については50%低下しているというな内容でありました。 文献調査ではなく、個々の国あるいは同一施設からの報告を見てみますと、デンマー クでは、1952年と1972年の比較で、7,340 万から5,450万に減少、パリでは、1973年と 1992年との比較で 8,900万から6,000万に減少、ほかにもベルギー、スコットランドなど で減少が報告されております。 一方、精子濃度は低下しないとする報告もあります。米国では、カリフォルニア、ミ ネソタ、ニューヨークの3カ所での1970〜94年までの25年間の調査からはわずかに精子 濃度が増加を示しております。シアトルでも減少を認めていないとの報告があります。 このような報告は米国内でも地域により精子濃度の相違が見られております。  フランスでもトールーズ地方では、1972〜92年までの20年間に減少は見られないとす る報告があります。  最近のイスラエルのエルサレムでの1980〜95年までの調査でも若干増加している報告 でした。  一方、我が国の正常男性の精液調査を見ますと、最初の報告は今から45年前の1953年 に、昭和25年から26年にかけての73人の調査をした高島論文で、平均精子濃度1cc当た り 5,760万、1957年の清水論文では児を有する正常男性18人の平均精子濃度は 4,805万 平均運動率62%でありました。その後、1982年、 126人の22歳〜29歳の医学生を1976〜 78年に調査を行った吉田論文では1億600万、運動率62%でありました。次いで、1984年 253人の18〜36歳の札幌での自衛隊員を1975〜1980年までに調査した生垣論文では、平均 精子濃度 7,090万であり、WHOの基準を満たさなかった男性は 6.7%であったとの報 告が見られます。 吉田、生垣論文は調査された時期がほぼ近いにもかかわらず平均精子濃度が片や1億 600万、片や 7,090万と差を認めております。前者は東京、後者は札幌で地域差があるの かもしれません。最近では1995年、前述の生垣論文にさらに健康男性を加えて、20〜39 歳までの 317名の調査をした新田論文では、平均精子濃度が20代で 7,600万、30代で 8,300万、平均運動率はそれぞれ67%、68%であったと報告されています。 ヒト精子に関するこれまでの研究は、主に欧米諸国の精子銀行におけるAID、つま り非配偶者間人工受精ドナーの記録や精管結紮術前の調査、妊孕能の明らかなあるいは 不明の健康男性の調査、病院の不妊外来を訪れた患者から得たデータなどの疫学調査に 基づくもので、対象者の条件設定や精液検査に際しての禁欲期間、測定方法並びに解析 の方法が調査機関によって少しずつ異なっております。  Skakkebaek等の文献からの解析もこれらの点を考慮しての発表にもかかわらず、サン プルの抽出方法、対象者の選択、検査方法の不統一、解析方法の有効性についての指摘 をされています。このようななことから、個々の施設でのデータを単純に比較するわけ にはいきません。  こうした問題解決の糸口を求めて、Skakkebaek等の提唱により妊孕能を有する男性を 対象とした生殖機能の国際調査の実施が決定し、1996年10月、調査のためのプロトコー ル、指針並びに細則(付録)が公表されました。そして、その年、デンマーク、エスト ニア、フィンランド、フランス、スコットランドでの調査が始まり、日本では97年11月 より、川崎市の聖マリアンナ医科大学を拠点に調査を開始いたしました。なお、米国も 今秋より参加することが決まっています。  この調査の目的は自然妊娠した女性のパートナー、すなわち妊孕能が確認されている 正常男性の生殖機能について、生殖器の診察、精液検査、血液検査及びカップルのライ フスタイルや健康についての情報を分析し、現在の正常男性の生殖機能に関するデータ ベースを作成することであります。  対象者は妊娠が確認され、妊娠継続中のカップルで、今回の妊娠が正常の性交によっ て成立し、何ら不妊治療を行っていないこととなっており、パートナーの男性について は、本人とその母親が日本で生まれて、年齢が20〜44歳までという条件であります。  調査項目には、妊婦とパートナー男性への質問票によるアンケート調査、それには彼 らの母親の妊娠中の状況、仕事の有無・内容、薬物や喫煙、飲酒などに関する質問事項 も含まれています。また、男性に対する生殖器の診察は、精巣のサイズ、腫瘍の有無、 精索静脈瘤の有無をチェックします、奇形の有無等、そのほかに精液検査及び採血です 精液は48時間以上の禁欲期間をおき、自宅または病院でマスターベーションによって採 取します。  検査項目は精液量、精子濃度、運動率は私共が検査し、奇形率はスメアー標本を作製 しパリとコペンハーゲンの研究所に送付し2カ所で形態を検査します。精子数、運動率 は顕微鏡下で目でカウントしております。これらの検査はすべて各国共通のプロトコー ルにのっとって行われ、精子濃度については毎月コペンハーゲンから5検体の精液が送 られてきまして、当方でカウントした結果をまたコペンハーゲンに送り、検者の検査精 度の管理が行われております。血液は、FSH,LH, T,free T,Inhibin B,SHBG,total serum estrogen bioactivity,E2等の測定のため、コペンハーゲンに送ります。内分泌ホルモ ンのほか、今後内分泌かく乱化学物質、あるいは造精機能に関する要因を解析するため に、一部、血液及び精しょうを凍結保存してあります。  アンケート調査表はコペンハーゲンに送り解析されると同時に、私たちでも独自に詳 しい解析を行います。なお、調査に当たってはプロトコールの示すとおり、ボランティ アに対する倫理上の配慮として同意を得ること、秘密厳守、結果の告知をするかどうか の確認等が義務づけられており、本調査は聖マリアンナ医科大学倫理委員会の承認のも  現在までに 100例の調査が済んでおり、本日はその一部を御報告いたします。 本調査には当大学産婦人科の協力のもと、産婦人科医が直接あるいは看護婦の免許を 持つコーディネーターが妊婦さんに本調査の内容を説明し、ボランティアとしての参加 を要請いたしております。現在のところ説明を行った方の22%が参加していただけまし た。なお、参加していただいた方には、交通費その他を補填する意味での協力費として 1万円をお渡ししております。ちなみに国際調査、各国の協力費はデンマークでは約 8,000円、フランスでは 4,600円、スコットランドでは 3,400円、フィンランドでは 5,200円とのことでございます。 それでは、調査結果を御報告します。お手元の資料をごらんください。 100 例の年齢分布は20代が26名、30代が66名、40代8名であります。年代別の精液所 見は、20代、30代、40代の順にお話しします。精液量は 3.1、3.1 、2.9 cc。平均精子 濃度は 7,050万、 8,860万、 7,230万で全例の平均は 8,260万でした。平均運動率は 56%、55%、47%で、全例の平均は54%でありました。 資料の中に妊孕能を有する日本人男性 100人の精子濃度分布を示してございます。 データは左側に偏った非対称な分布を示し、全体の平均精子濃度は 8,260万/mlでありま したが、中央値(median)で見ますと、 6,160万とそれより低く、全体の51%が  2,000 万以上、8,000 万未満の範囲にありました。 精子濃度のWHO基準値 2,000万を下回る例が 100名中15名(15 %) 、精子濃度、運 動率ともにWHO基準を満たさなかった例が9名(9%)含まれております。  ここでお話し申し上げたいのは、WHOの基準値1cc当たり 2,000万未満ではお子さ んができないというわけでは決してなく、今までの調査の中でも 100万未満が1名、 1,000万未満が6例、運動率は20%以下の極めて不良例が3例含まれており、いずれの方 も妊娠継続中であります。現在言われている精子数低下が即お子さんができないことに 結びつかないことを知っていただきたいと存じます。 また、精巣サイズを見ますと、 両側とも18cc未満と小さい方が5例あり、そのうち3例の精子濃度が 2,000万未満であ りました。 不妊の原因の1つとされます左側の精索静脈瘤を程度別に見ますと、軽度が29例、中 等度4例、高度3例に認めています。しかし、精索静脈瘤が見られても多くの例で精子 濃度が良好であります。なお、そのほかの精巣腫瘍、停留精巣、尿道下裂等の生殖器系 の異常は認められておりません。  以上、このような厳密な調査は今までに例がなく、何よりも国際比較ができることが 重要であります。今回は妊婦のパートナーという条件での正常男性生殖機能の調査であ りますが、今後、非選択的な18歳以上の健康な男性の調査も行う必要があるものと思っ ております。それには国際的に比較できるよう海外とのプロトコール、精液検査の統一 化そして地域を考慮した調査をすべきと考え、現にSkakkebaek教授より調査の打診が来 ております。  私どもの当面の課題は、プロトコールに決められている 300例についてきちんとした 調査を行い、そしてデータの解析を行うことでございます。参加していただいたボラン ティアの方々に御礼申し上げるとともに、今後の参加を切にお願い申し上げる次第です 以上でございます。 ○座長 ありがとうございました。非常にきっちりとしたプロトコールに則ての、これからの 期待されるお仕事であると思いますが、ただいまの御発表に何か追加、御質問、その他 ございませんでしょうか。 ○青山委員 私、ヒトの精子、精液については全く存じあげませんで、むしろウサギを使ってた発 生毒性試験の方で精液の採取ですとかチェックをしておりますところから素朴な疑問が 1つあります。私どもいわゆる種オスと称して一定のウサギを3年ぐらいキープしまし て発生毒性試験をするときに、人工膣を用いて、精液を採取して、それを使って授精さ せるというような作業をしておりますが、その過程で精液の質が低下すると妊娠動物が 得られないものですから、大体月に1回ぐらいは最低モニタリングとして精液を採取し て精子数ですとか、運動性も見ておるのですが、運動性については非常に一定した数値 が得られるんですけれども、精子数は同じ個体でも採取時期によって随分とばらつきま して、昨日大急ぎでデータを見てみたのですけれども、大体1億ぐらいから多いと8億 ぐらいまで同じ個体からとったものがばらつく。季節による要因はきっちり統計解析を やったわけではないのですが、余りなさそうだというような気がするのですが、ヒトで はある程度、いつも一定のものがとられると解釈してよろしいのでしょうか。 ○岩本委員  いえ、そうではございません。先生の御研究のウサギのことと同じようなことでござ いまして、前回の検討会でもお話しましたけど、ポールセンという方の、2週間ずつ1 20週調べたデータによれば、1億7,000万から数百万ぐらいまで変動しております。 今回は1回しか調べておりませんけれども、精子濃度は変動がみられます。 ○阿部委員  非常に見事なプロトコールに基づいて、信頼性の高い成績を出されたと思うのですが 先生は減っておるということはおっしゃらなかったんですね。減っているということは ヒストリカル・コントロールがどこまで信用できるかという問題があると思いますので そこはやっぱり明快にしていくことが必要なのではないかと思うんですが、いかがでし ょうか。 ○岩本委員  私どもの今までの調査から、先ほどご紹介した1953年からの日本の報告と比較すると 余り減ってないというようなデータではあるかと思いますが単純に比較するわけにはい きません。精子数が減っていくのかどうかということを今度きちんと調べていくための 最初のスタートだというふうに理解しております。 ○津金委員  2点質問なんですけれども、妊孕能を有する男性を対象にされた理由が、1点。  もう1点は、国際比較されるのですけれども、暴露に関する情報というか、それぞれ の個人が内分泌かく乱化学物質に関連した暴露がどのぐらいあるのか、そういう情報は する、お子さんがいる正常コントロールというものがどういう幅があるのかというよう なところを基本的に押さえるというようなことでスタートしたように、私は聞いており ますし、理解しておりますので、まず妊孕能を有するというセレクティブなスタディと なっています。ですから先生おっしゃるように、ノンセレクティブな調査を今後検討し ていかなければいけません。  それから、第2点の暴露に関しては、資料にありますようにバックグラウンドで述べ られている程度で、現にそれと今調査しているものとの関係については、すぐに血液等 をはかることができませんので、凍結しておいて、今後関係あるかどうかということに ついて見ていきたいと思っております。 ○武谷委員  今の質問と大変関係があるんですが、実際、私たち不妊症のカップルを見ていると、 男性不妊のカップルがかなり増えてきているんです。男性不妊のカップルを外した理由 は、恐らく純然たる男性不妊を断定するのが非常に難しいのではないかと、女性と男性 の両方の因子が錯綜したケースが非常に多いので今回外したと思うのですが、仮にendoc rine disrupter が男性の生殖器機能を低下せしめるということになると、その結果、不 妊症になった男性がこのスタディからは外れてしまうので、endocrine disrupter に抵 抗性のある正常男性のみを拾うということにもなりますので、その辺、ぜひ今後の検討 に当たって、念頭に置いて進めていただければと思いますが。 ○岩本委員 昨年度から男性不妊症の実態調査というのが厚生省のほかの班で立ち上がっておりま して、今後、病的な状態の方の調査もきちんとしていかなければいけないと思っており ます。 ○座長 大分時間が過ぎましたので、押尾先生、要領よくひとつお願い申し上げます。 ○押尾委員 バックグラウンドや精液検査についての問題は、岩本先生から詳細に御説明をいただ きましたので、私は私どもで調査をしました結果について簡単に御説明をしたいと思い ます。 1996年の4月から今年の3月までの2年間に健康なボランティアを対象として検討し ております。これは岩本先生の方の調査ではきちんとした生殖器の検査も行われている んですけれども、やはり精液をいただくというのはかなり他の体液をいただくのと異な りまして抵抗感の強いものであるということから、先ほどの岩本先生の方でも参加率が 22%であったということで、私どもでも話をするとかなりの方は逃げちゃうというか、 拒否されることがありますので、残念ながらここでは生殖器を見るということはしてお りません。  年齢層は20代〜53歳までの方を見てまいりました。検査の方法はWHOが92年に出し ていますマニュアルに準じてということで、ほぼ岩本先生のところと検査方法は同じよ うな感じになるかと思います。  ここでは提供者を20代と中年の方に2群に分けて結果を考察したのですが、これは先 ほど岩本先生のところでも御紹介のありました今から20年前に吉田先生が出されている 論文がございまして、その人たちが当時の20代の人を対象にしておりますので、単純に 比べることはできないのですけれども、その人たちが今の中年の人たちに当たるだろう ということで、その人たちの分も見てみようということだったわけです。  そうしますと、結果としては資料の一番最初のページに書いてありますように、中年 群の方が精子濃度で言うと 7,800万の濃度であって、それに対して20代の人は約 4,600 万ぐらいであるというようなことで、全体の平均値は六千何百万になるんですけれども 年代間に差が出ているようなこういう結果が出てまいりました。その他のパラメーター では、運動率は両者とも非常に悪くて30%を切っているような状態です。  正常形態は52%と63.5%ということで、これも統計で見ると差が出てきているような 状態が見られました。全体としてWHOの基準で、この5項目の中ですべてそれを満た したものを見ると、20代では50例中2例がその基準を満たしただけで、中年群では44例 中4例がそれを満たしたというようなところです。それについてグラフ化したものを後 ろにおつけしておきましたけれども、グラフ化というのは、これはWHOの基準に基づ いて全部の結果を数値ではなくて、例えば精液量というのは2ml 以上あるものを正常で あるとWHOの基準で言っておりますので、WHOの基準を切り口にして見てみると、 例えば20歳代では38%の人が2ml 未満であった。中年の人は25%がそれ未満だというこ とになります。 精子濃度について見れば、20代の人は14%、2,000 万というのが基準の下限になって おりますので、運動率、正常精子率等もそういう基準で見ていくとこういう結果になり ましたというところです。  それで、先ほども岩本先生のところからお話があったことなんですけれども、私ども で調査をした50名の20代の人は全員結婚されてない方で、WHOの基準では基準を超え た方が非常に少ないという結果だったのですけれども、この人たちが将来お子さんがで きるかどうかは未知なことなものですから、この結果が悪いからといって子供ができな いということにはまだ結びつけては考えられないという状態であると思います。 資料の最後のページのところに、問題点と今後の課題ということでまとめさせていた だきましたけれども、今回の研究自体はまだ対象例数が少なくて、関東地区に居住して いる人に偏っているということで、かなり地域差が出る可能性もあるので、その辺が気 になるところです。それから、泌尿器科的ないろんな診断がされていないということと 提供者の選定に偏りがないかどうかということが必要だと思います。例えば中年の方で 精液を提供してくださる方ですと、皆さんお子さんがいらっしゃる方が出てくるという ことになります。全員ではないですが、ほとんどの方がお子さんがいらっしゃっている から、自信を持って出てきていらっしゃるというか、そういう形になっています。20代 の方は結婚されてないので、もちろんそういうことは出てこないものですから、その辺 のことも今後は考えていかなければいけないのだろうと思っています。 研究課題ということで言えば、対象例数を増やしていくことと、地域差も考えていか なければいけないだろう。それから、括弧の中に書いてありますのは、先ほど岩本先生 もおっしゃられていたように、精液検査については、仮に全国調査を今後進めていくこ とになれば、そういうプロトコールをかなり厳密につくっていかないと施設による差が 出てしまって、何が何だかわからない状態になりますので、その辺も必要であろうと思 います。 それから、特に私どものところの結果で、数の問題もあるのですけれども、精子の運 動性が損なわれているような印象を受けておりますので、その辺についてもまだ不明な 点が多いので、臨床的ないろいろな研究を進めていくのと同時に、精子の運動機構や造 精機能に関する基礎的な研究を進めていかないと、全体像がとらえられないのではない かなというふうに考えております。以上です。 ○座長 ありがとうございました。ただいまの御説明につき、御質問ございますでしょうか。 ○武谷委員 大変興味ある結果等を拝聴いたしました。100 例足らずということなので、断定的な 結論を導くのは難しいと思うんですけれども、ちょっと私が意外に思ったのは運動率で ありまして、いずれも平均で30%を割っているということなのです。私どもは不妊症の カップルの精液をここ数年まとめてみたのですが、一般に不妊外来の場合には、30〜40 %は男性の異常があると言われているので、それをすべて含めた形でのデータを 400例 なんですけれども、採ってみたのですが、数は 5,000万以上が、ざっと見てやはり70% ぐらいはあるんですね。 それから、運動率に関しましても40%以上が、恐らく6割以上を占めています、これ は不妊のカップルのデータで、極端な男性因子も含めてのオーバーオールのデータであ ります。押尾先生のデータと、私どものデータと大きく異なります。これに関してコメ ントのしようがないのですが、測定条件あるいは測定法、あるいは対象の違い、そのよ うなことが考えられるかと思いますが、以上でございます。 ○鈴木(勝)委員  獣医の領域では割と凍結精液とかいろんなのをやっているものですから、比較的その 手の状況を詳しく調べられているものもあるのですが、動物種によっては、再生して室 温にさらすと精子の運動性が著しく低下されちゃうということがあるのですが、人間の 場合は、温度の条件、容器に触れたときの反応であるとか、そういったようなことはど んなふうになっているのでしょうか。 ○押尾委員  大体1時間以内に見ておけば間違いがないだろうということで、厳密に言うと1時間 以内で見ろというふうにマニュアルに記述がございます。場合によると、2時間ぐらい まではいいだろうということですが、精子の運動自体は採ったまま置いておいても数日 間はヒトの場合は持っています。ただ、運動のパターンが時間がたってくるとかなり変 化をしてきてしまいますので、そういう意味ではやはり早めに見ておくということで注 意をしております。  それから、直後の様子が非常にヒトの場合には凝集した状態で出てまいりまして、さ らさらの状態、動物によって違いますけれども、牛とか豚とかのようなすぐに見られる タイプではございませんで、室温で放置をしておいて十分に液化をさせないとちゃんと した結果が出てまいりませんので、その辺が少し動物とは違っているところで、どうし ても1時間程度は置いておく必要があると思います。 ○岩本委員  押尾先生、測定なんですが、運動率は目でカウントされているのでしょうか。精子自 動分析器でございましょうか。 ○押尾委員  ここで行ったものは、精子の濃度の少ないものに関しては多くは自動分析装置で見て いますけれども、運動率が私どもの目で見たものとかなり乖離する場合には、ビデオに 全部撮りまして、その後、コマ送りをして運動を見ております。ですから、それの平衡 性というか、それは十分に見ております。 ○岩本委員  そうですか。WHOの基準で運動率はグレーディングに分けまして、ラピッドで真っ 直ぐ直進性にいくもの、前進運動の弱いもの、AとBを加えて50%以上という評価にな っているかと思うのですが、先生もこのA+Bの値というふうに理解してよろしいでし ょうか。 ○押尾委員  そうです。 ○岩本委員  もう一つ、資料の中で、ほかの報告との比較の中で、ちょっと誤解を受けるといけな いので、先生に御確認していただきたいのですが、Waeleghem の運動率が31.7%という のは、実は先生、グレードA、ラピットのタイプだけのデータだと思うのですが、ちょ っと皆さんに誤解を与えてしまうので、グレードAだけですと、25%以上あれば正常と いうことですので申し添えます、 ○押尾委員 この辺はそういう記述がそこにあったものですから、ちょっとその辺が舌足らずだっ たと思います。 ○座長 そのほかに何かございませんか。今おっしゃったように、提供者の選定に偏りがない かなど、今、武谷先生の御指摘の点なども十分に御配慮いただいて、これからもデータ を出していただかないと、これは大きな影響がいろいろなところに出てまいりますので 慎重な対応をしていただきたい。そして、きっちりしたデータで、これからこの会にお 持ちいただきたいと思います。 それでは、先を急ぎますので、津金先生、発がんに関することを、これからよろしく お願いします。 ○津金委員 それでは「内分泌かく乱化学物質(EDC)と各種がんとの関連について」、現状を まとめろとの命を受けましたので、急ぎまとめてみました。最初訂正があるのですけれ ども、5ページのところで「乳がんのリスク要因」というところで、「初産年齢遅い」 の次に「初潮年齢遅い」と書いてありますけれども、これは「初潮年齢早い」の誤りで す。申しわけございませんでした。  それでは、疫学的な知見につきまして、今回まとめさせていただきましたけれども、 疫学がヒトのことを直接扱っているので得られた知見を誤って解釈されるようなことが ありますので、疫学の方法論の概念的なものを最初にお話しさせていただきたいと考え まして、ここにまとめております。最初「ヒトにおける関連」という部分なんですけれ ども、疫学はヒトにおいて、暴露と疾病との関連を見るというようなことをやっており ます。  それで、その関連を見る上においては、そこのI、II、IIIという主に3つのレベルが ありまして、1つは「集団として観察」するということ。  2番目としては「個人として観察」をするということ。  3番目は、ちょっと毛色が変わりまして、動物実験と同じようにヒトを対象にして、 ボランティアを対象にして無作為に割りつけるとか、そいう形で「実験的」なことをや るということです。  得られた知見も、一番最初の集団として観察する場合は集団ですから、いろいろ見ら れた関連においては、その間に介在する制御しきれない要因がたくさんあるので必ずし も因果関係に結びつける知見としては強くはない。  2番目の、個人として得られた観察的なデータも個人レベルである程度ほかの要因な どをコントロールするというようなことはできますけれども、やはり限界があるので、 これももちろん非常に重要な知見の1つにはなりますが、2番目のレベルであるという ことです。一番得られたエビデンスとして、の因果関係に結びつけやすいのは3番の介 入実験というか、「無作為化比較試験」というものですが、現実問題においては、これ は実施することは難しくて、非常に限られたデータしか得られないということです。  一番最初に戻りまして、集団としての観察としては時間的分析、すなわちendocrine disrupter chemical , EDCと略させていただきますが、EDC暴露が増えているのか 減っているのか、それと関連して、それに関連したがんが増えているのか、減っている のかというようなことを時系列的に分析をするものです。  2番目は、空間的(地理的)にEDC暴露の高低とがん罹患率の地理的な高低という ものが関連するかどうか、EDC暴露が高い地域においてホルモン関連がんが多いかど うかというようなことを見るという分析方法です。 IIとして「個人として観察」するというのは、1番目は、症例対照間の過去の暴露レ ベルを比較するということです。がんになった患者さんとそうではないコントロールと の間で、過去にどの程度暴露したかということで、過去に振り返るので、例えば本人の インタビューに基づくということになると、過去の思い出しをしないといけないので、 症例、要するにがんになった人に過去のことを聞くのと、そうではない人に過去のこと を聞くのとでは、いろんな情報の質にバイアスが入る可能性があるというような問題が あります。具体的に言えば、精巣がん患者とそうではない人について、母親が妊娠時に ホルモン剤を使用していたかどうか、どのぐらい量を使っていたか、そういうような調 査の仕方になります。 その特殊例として、次に述べますが、コホート内で発症した乳がん患者と未発症対照 について、過去の暴露、保存しておいた血清中の例えばDDE濃度を測定するというよ うなやり方があって、これは暴露情報は研究の開始時点でとられていますのでバイアス が入りにくいということでかなり質の高い研究になるということです。  すなわち、同じ症例対照研究の中でも、こういうコホート内の症例対照研究は比較的 質が高くなります。  2番目としてコホート研究というのがありますけれども、コホート研究というのは、 主に職業暴露とか事故によって暴露を受けた特殊集団の追跡調査などにおいて非常に有 効であります。  3番目は断面的な関連なんですけれども、これは症例と対照で、その時点での暴露レ ベルを測定するので、普通暴露が先にあって、結果が後にきますので、がんの結果か原 因かということが判断しにくいという問題があるわけです。  IIIとして、「介入実験」で、無作為比較試験が理想的ですが、EDCにおいてあるの かなと調べてみたら、昔、ジエチルスチルベストロールという流産防止の薬の効果を比 較するための無作為比較試験が行われていまして、DESの投与群と非投与群との比較 が行われております。  「指標」としてはがんと暴露ですから、がんに関しては罹患というものが一番望まし い指標ですけれども、そのがんの代理指標として、前癌病変の保有率とか、遺伝子変異 保有率というものが2番目の指標となります。  「暴露」としては、EDCの暴露量そのものを測定するということが最も理想的です けれども、必ずしもそうできない場合は代理指標を用いるということも研究としては考 えられます。  それから、次のページの考慮すべき要因としては、影響を与える暴露量の問題  影響を受ける側の遺伝的素因の問題、交絡因子の問題、そのほか、ホルモン関連物質 に関しては、特に内因性のホルモンとか外因性のホルモン、植物性エストロゲン、その 他の食事からのエストロゲンの問題も無視できない非常に重要な問題ではないかと考え ています。  各論で、主にEPAのレポートなどで取り上げておりました前立腺がん、乳がん、精 巣がんについて現状はどうなのかということをまとめてみました。  まず「前立腺がん」ですが、罹患率は大体10万当たり15.7です。後ろの方にあります 前立腺がんのグラフのところを見ていただきたいと思います。下のところの前立腺がん 年齢階級別罹患率を見ていただきますと、高齢に多いがんであるという性質があります この3つのホルモン関連がん、発症する年齢が非常に違うという特色があるので、この 辺もいろんな意味で注意しなければいけないと思います。  前立腺がんの罹患率は、これは全国の推計値なのですが、罹患率は国レベルの統計は 実はありませんで、幾つかの自治体が行っているがん登録事業とそのデータをもとにし た厚生省のがん研究助成金による研究班が推計しているのですが、今回このデータを得 るために、大阪府立成人病センター内の事務局に依頼しまして全国の推計罹患データと いうものを入手いたしました。前立腺がんの罹患率はこのようにずっと伸びているとい う状況であります。  国際的に見ますと、日本は前立腺がんの罹患率は極めて低く、アメリカの白人に比べ ても10分の1ぐらいの罹患率しかないというようなことであります。アメリカなどに移 住した日系人においてはかなり前立腺がんの罹患率が高くなるという現象が観察されて おります。  前立腺がんのリスク要因はそこに書いてあります。EDCとの関連について、主とし てEPAの報告書に記載されているものは少なくとも漏らさないようにという形で論文 をレビューしております。II.2というのは、一番最初に述べました疫学の方法論のど の研究から得られたかということを示しておりまして、先ほど言いましたように、それ によって得られた知見のレベルというか、信頼性が違うということを御配慮いただきな がら見ていただければと考えております。  このように、特定な除草剤散布とか、コークス炉排気の暴露とか、そういうものとの 関連で前立腺がんとの間にやや関連が見られているというようなことがありますが、こ れは特殊な非常に高濃度暴露の人たちの話です。  前立腺がんはほかの国ではどうかといいますと、後ろの方のグラフで、Cancer of the Prostateというのを見ていただきますと、アメリカではずっと白人も黒人も上昇してい ましたけれども、近年では少し減少傾向にあります。これは診断の問題、PSA の導入と か、幾つか診断的な問題があるのではないかというふうに考えられております。 次に、4ページの「精巣がん」についてお話しします。特にこの分野において精巣が んは注目されているのですが、精巣がん自体の発症率は、例えば前立腺がん、乳がんに 比べても比較的低くて男性10万人当たり 1.4ぐらいであります。日本でも年間 800人ぐ らいはかかっている計算になります。亡くなられている方は 100人ぐらいであろうと考 えられています。 また、後ろのグラフのように、このがんは若い人に発症するがんであるということで す。20歳代のがんとしては最も頻度が多い。日本において上昇しているのか、減ってい るのか、増えているのかということが問題ですが、非常に少ないがんなので、全国推計 値はきちんととらえられてなくて、また最近のデータが得られておりませんが、1975年 〜83年に向かってはやや緩慢に上昇傾向にあります。ただ、数が少ないので非常にばら つきがあるということで、やや上昇傾向は見られますけれども、明らかな上昇傾向とい うものは認められていません。  ところがグラフの次のところで、アメリカでのincidence とMortality を見ますど、 73年ぐらいからずっと上昇傾向にある。ただ、近年ではその上昇傾向もとまってきてい るという状況であります。それから、白人と黒人では人種差がありまして白人の方が多 いということです。 また、ヨーロッパにおいてはどうかということが、TESTICULAR CANCER IN NINE NORTHERN EUROPEANというところにまとめておりますが、論文から図をとりましたけれ ども、ヨーロッパの国々では上昇傾向があることが見られております。 精巣がんも日本においてはほかの欧米に比べて罹患率は非常に低くて、アメリカの白 人に比べて5分の1から3分の1程度の低さであります。  精巣がんリスク要因としては、停留睾丸などが言われております。  EDCとの関連に関しましては、時間的分析として、北欧の母乳中のDDE濃度は 1970年頃より一貫して減少しているけれども、罹患率は上昇している。そこは矛盾する のではないかというような論文があります。  次の論文は、精巣がんの時代的推移は、母親の初産年齢に関連しているのではないか というようなことを述べています。  それから、空間的分析においても、北欧4カ国において、母乳中のDDE濃度は同レ ベルだけれども、罹患率は4倍の差もあるのではないか、これは矛盾するのではないか ということなどが言われております。  症例対照研究として、母親のホルモン剤との関連が示唆されています。  無作為比較試験として、DES投与妊婦の男児とプラセボ投与妊婦の男児各 250名の 長期追跡では、この両群とも精巣がんの症例は見つかっていません。症例数が少ないこ ともあります。 最後に「乳がん」でありますが、日本では女性10万人当たり43.4で、国際的に見ても 非常に少ない。日本における乳がんのグラフを見ていただきますと、75年頃よりずっと 上昇しておりまして、近年ややその上昇傾向に少し歯どめがかかってきているのかなと いう感じです。 年齢階級別には二峰性で、閉経前の乳がんと閉経後の乳がんという2つのパターンが みられています。  アメリカの統計では、年次推移としては上昇傾向にありましたが、近年ではほとんど 横ばいにあるということであります。日本もずっと上昇傾向がありますけれども、まだ まだ欧米に比べれば、レベル的にはかなり低い罹患率を保っております。  乳がんのリスク要因としては、そこに書いてあるような初産年齢、初潮年齢、閉経年 齢、出産経験が非常に大きなファクターでありまして、これを考えないでモノを言うの は危険であるというぐらいの非常に重要な要因がわかっています。日本において、乳が んが非常に低いということから、それはもしかしたら日本人がよく食べている植物性の エストロジェン、大豆製品からくる植物性のエストロジェンが、関連しているのではな いかという説もあります。  EDCとの関連では、空間的分析としては、これは2つとも米国からの報告ですが、 乳がんの地域差は、いわゆるクラシカルなというか、初潮年齢とか初産年齢とか、そう いうものだけで説明できまるという論文があります。  症例対照研究として幾つかあります。ここでは主に血清のDDE濃度を測定している のですが、最初の研究は、乳がん等の発症がDDEと関連があるというJNCIの1993 年の論文ですが、これはほぼ乳がん患者が診断された時期にとらえた血清なので、先ほ ど言いましたように因果関係、結果か原因かというところが不明確になっています。  2番目の研究は、保存血清を用いた症例対照研究で、最初の研究よりは信頼性が高い のですが、ここではDDE濃度とPCBS 濃度は乳がん発症と関連なしとなっています  3番目は、事故的なもののコホート研究内の症例対照研究ですが、ここではPBBS 濃度というものが乳がんと発症と関連していたと言っていますが、ただ、少数例で有意 差はなかったということです。  コホート研究もPCBS に職業的に暴露した女性労働者の乳がん死亡の増加を認めず という結果です。 断面研究はたくさんありますが、先ほど言いましたように、因果関 係の時間的な関係の問題があるうえに、結果も一致していません。  最近の無作為比較試験で、これはEDCとは直接関係しないかもしれませんが、タモ キシフェンを4年間投与した結果、69例の乳がん発症を予防出来た、逆に19例の子宮体 がんが余分に発症したと報告されています。同じホルモン関連がんなんですが、タモキ シフェンが片方には予防的に働き、片方にはリスクとして働いたという事例であります  ちょっと長くなりましたが、以上であります。 ○座長  ありがとうございました。津金先生の御報告にどなたか御質問ございませんでしょう か。津金先生、カネミ油症事件というのがございましたね。あれはPCBの暴露ですけ れども、肝臓がんのことをかなり調べられておると思うのですが、乳がんとか卵巣がん とかの関係についてはどうですか。 ○津金委員  詳細に私は知りませんが、恐らく数的な問題で把握できないという問題もあるかもし れませんけれども、今のところはそういうようなことは言われていないと思います。 ○阿部委員  ちょっと気になったのですが、「内分泌かく乱物質と各種がんとの関連」という資料 の出し方なんですね。「関連」、いかにもありそうな書き方なんですが、実際にお聞き していると余り関係がないようでもあるんですね。実際、今いろんながんは増えている 頻度が下がっているのは胃がんと子宮頸がんぐらいということですね。ですから、たま さかいろんなデータをやってみたら、こういうのがあったと。しかも、これはホルモン に感受性のある、がんだけをとってみて、こういう結果になったということで、この間 の距離はまさに無限に近いものがあるのではないかという気がするんですね。  それから、いろんな条件を挙げられていますけど、乳がんのハイリスクの一つは、ア メリカなどではエイジ、高齢者です。1万 3,000人で予防の可能性を検討した研究のエ ントリー・クライテリアが60歳以上、もしくはそれに相当リスクを持つ人ですというこ とになっていますね。 ですから、これに結びつけて考えるのは非常に難しい問題だと思います。うんと悪い 言い方すれば、風が吹けば桶屋がもうかるみたいな言い方になりかねないという危惧が あったものですから、余分とは思いましたけど、一言申し上げました。 ○津金委員 「関連」というのは必ずしも関連があるという意味ではなくて、関連についていろん な角度から見てみたというようなことです。弱い意味で使っているつもりなんですけど 因果関係ではないということです。 ○座長 そのほか、何かございませんか。津金先生、私も乳がんとの関係で、最近、DDTと か、クロルネイテッドのコンパウンドとの関係があって、そのために乳がんが多くなる というボストンかどこかの報告があったですね。ところが去年の報告を見ますと、乳が んとDDTといった農薬との関係はないというデータが出ているんですけれども、その データについてのお考えはどうですか。それはここに引用しておられないように思うの ですが、『ニューイングランドジャーナル』かなんかに出ていたんですね。 ○津金委員  ちょっとその論文は私は見つけることができませんでした。例えば、乳がんの症例対 照研究の中でも同じく保存血清でDDE濃度をはかるというようなやり方をしていて、 片方では関連はあるけれども、片方では関連ないというようなことがあります。どちら かというと、研究の信頼度としては関連なしとした研究の方が人数的にも信頼度は高い と思いますけれども、ヒトでの研究ですから、いろいろな条件とかNというか、数、サ ンプリングとか、そういうようなことでいろんな結果が出てくる可能性はあります。 ○座長  ありがとうございました。 ○井上委員  一般的なことを伺いたいのですけれど、ヒトは別のがんで、二度も三度も死ぬことが できない。寿命が延びていくに従ってプロポーションが変わったりすることがあろうか と思うんですけれども、その寿命がある程度延び、頭打ちになるところでそのプロポー ションもとまるというようなことがあろうかと思いますが、そういうのは一般論として はどうやってそのバイアスは修正なさるのですか。 ○津金委員  プロポーションというのは。 ○井上委員  つまり、寿命がただ延びていくだけで、寿命にリンクしたがんは増えますですね。そ れでプロポーションは変わっていきますね。その辺はどうやって修正なさるのですか。 ○津金委員  基本的に例えば年次推移などを見るのは、当然人口構成がシフトしていますから、そ ういう意味では年齢調整をするというような手法を用います。それから、競合死亡とか そういうような問題に関しましてはもちろんあるのですけれども、要するに死亡という 現象が必ずしも大きくはないということで、100 歳とか90歳では死亡確率は高くなり競 合死亡を考える必要がありますが、もうちょっと若いところではある程度無視できると いう状況です。 ○座長  ありがとうございました。  それでは、子宮内膜症に関する研究ということで、武谷先生よろしくお願いします。 ○武谷委員  まず冒頭にお断りいたします。先ほどのがんのお話ではないですが、余り明確なお話 は現時点では難しい。データが大変少なく、特に我が国での独自のデータも皆無である こういう状況をまずお含みいただきたいと思います。  子宮内膜症とは本来子宮の内腔を覆っております組織でありまして、ここに受精卵が 着床、発育する部位で、これが月々脱落するのが月経という形であらわれるわけです。 この組織がどういうわけか子宮以外の部位、すなわち子宮の周囲、膀胱の周り、卵管、 卵巣、子宮と直腸の間にあるスペース、これをダグラス窩と申しますが、そのような骨 盤を中心として、子宮内膜と類似の組織が発生し発育するというような病態を子宮内膜 症と定義いたしておりまして、月経困難症、性交痛、不妊症、また、月経との関係のな い腰痛、下腹部痛をしばしば伴います。昨今、女性のQOLを脅かす疾患として、また 勤労女性の欠勤の最も多い原因が月経痛であるということで、いろんなところからも注 目されているわけでございます。  また、この疾患は不妊症の際に偶然発見されることもございます。全く無症状で不妊 症以外には症状がない。また、全く症状なく、たまたまほかの理由で帝王切開した女性 に子宮内膜症があることもあるということで、子宮内膜症=すべて疾患ディディーズと して考えるのは早計ではないか。ある女性においては、これは1つのコンディションと して考えると、そのようなフィジオロジカルなチェンジというような形でみなす、そう いう柔軟な考え方もまず必要ではないかということをお含みいただきたい。  この疾患は過去20年から30年の間に増加の一途にあると言われておりまして、厚生省 の研究班、昨年行いました調査結果では少なくとも12万以上の人が現在本疾患のために 治療を受けているということでございます。ちなみにヒトにおきましては、30代〜40代 に一番頻度が高く見られまして、20代後半の女性は人口10万人対 500、30代の前半が10 万人で約 650人、30代後半が 520〜530 人とかなりの数になろうかと思います。 この増加の原因といたしまして、アブソリュートにこの数が増えているのかどうか、 結論は出せませんが、少なくとも実際に医療の現場で取り扱う数は増えている。この原 因といたしまして、たまたま医師がこの病気に関心を持って熱心に探しているというこ ともあろうかと思いますし、また、診断技術が進歩して、昨年の厚生省の調査でも約半 分は微小あるいは軽度の内膜症でございまして、以前はこういうのは気づかなかったか もしれません。そういう意味で社会的関心が高まったということもこの増加を説明する 一因になろうかと思います。 参考までに、子宮筋層の中に子宮内膜と類似の組織が発生するものを内性子宮内膜症 と呼びまして、子宮の外に発育する外性子宮内膜症と、この両者を区別しておりました が、最近では子宮の中にできるものは子宮腺筋症(adenomyosis)と呼びまして、子宮の 外にできる外性のみを子宮内膜症(endometriosis)、と呼ぶのが国際的な取り決めとな っております。  この両者は恐らく発生原因が異なっており、近年特に増えていると思われるのはendom etriosisでございまして、今回はadenomyosis には触れないことにいたします。  endometriosisの原因といたしましては2つの説がございまして、月経のたびに約9割 の女性が本人が気づかずに月経血がおなかの中に漏れております。その中に生きた子宮 内膜細胞がありまして、それがそこに移植される。「移植説」というのがございます。  もう一つは、本来、骨盤の腹膜というのは、発生論的には子宮内膜組織と起源を一に するものでありまして、いろんな刺激でその細胞が顔つきを変える。すわなち化生が起 こるということで「化生説」、この2つがあります。明らかに移植説と思われるものも あります。例えば帝王切開した傷口に子宮内膜症ができるとか、お産のときに会陰部開 したところに内膜症ができるということがありますが、一般にほとんどの場合に骨盤の 中にできる内膜症の原因は今のところ明確ではありません。  ただし、ハイリスク・ファクターはどういうものかといいますと、その女性がそれま でに生涯において経験した月経期間のトータルの期間とほぼリスクが比例するというこ とであります。また、月経血が非常に多い女性、あるいはいろいろな状況証拠から、月 経血のおなかの中への逆流が多いと思われる女性に本症が高率に見られることから、月 経血の逆流による骨盤内の組織への刺激効果、これはケミカルな刺激かどうかわかりま せんが、こういうものが化生を誘導するのではないかという説もありますが、いずれに しても月経血の逆流は、この病気の発生にほぼ不可欠な因子でございます。  内膜症とダイオキシンとの関連が突然問題になったのはRierさんのサルの仕事であり ます。彼女はRhesusモンキーを用いまして、4年間ダイオキシンを投与して、その後、 10年間自然経過を見たところ、無投与群、25ppt 投与群 75ptt群の、3群に分けまして 内膜症の発生を見ております。そうしますと無投与群では2/6 (33%)、25ppt では 3/7 (43 %) 、75ppt では 5/7(71%)に内膜症が出てきた。なお、最高用量では実験 中に3匹が子宮内膜症で死亡しているということであります。  ただ、この実験は期間も長いわけでありまして、これは論文にも書いてありますけど 偶然これを発見したものであり予め子宮内膜症の発生を見ようとしてこのスタディを行 ったわけではないということでありまして、この飼育方法の詳細は非常に不詳でありま して、この辺が明らかにされないとこの研究の意義は十分にはオーソライズすることが できないのではないかと思われます。  一方、ダイオキシンと同じ受容体を介して作用するとされるPCB compoundをRhesusモ ンキーに6年間投与したArnoldの報告がございます。彼らの結論は、その投与量と子宮 内膜症の進行度あるいは発生率の間には明らかな関係は見れなかったというものです。 しかも彼らは、Rierさんの4倍の80匹のサルを用いた実験でございます。この実験は初 めからこのようなことを見ようと意図した、そういうスタディ・デザインでございます これ以外にはサルと内膜症の関係は見られません。  ちなみに内膜症はヒト並びにサルの一部、霊長類の一部しか自然には発生しません。 これは月経がある動物しかみられないということでございまして、その辺がなかなか動 物モデルが用いにくい原因であろうと思います。  サルの内膜症のこのモデルが実際にヒトの内膜症を論ずるモデルとして妥当かどうか ということに関してですが、まず自然に発生する頻度がサルでは25〜35%ということで 一般のヒトでの発生率は多く見積もっても5〜10%です。数%という報告もありますが これよりもかなり高い。サルは、私、専門家ではございませんが、飼育環境によっても 内膜症の発生率がワイルドなサルとは大きく異なるということでございます。  それから、サルの生殖年齢が3歳〜25歳ということだそうですが、11歳過ぎないと内 膜症が出てこない。それから、閉経に至るまで、エイジ・ディペンデントにどんどんそ の頻度が高くなる。ヒトは、今申し上げました30代がピークであり、むしろ閉経に向か うにつれて少し減っていくということと話が少し異なるということです。  また、子宮内膜症の症状、発生部位等も両者で相違点がある。例えばヒトでは月経困 難症、下腹痛、腰痛、主として疼痛を主体とする症状がほとんどでありますが、サルで はこれらに加えて便秘、嘔吐、食欲低下、体重減少、腹部腫瘤とかなり高率に見られま して、ヒトと比べてかなり重症感が強い。発生部位もヒトでは骨盤を中心としたところ でありますが、サルでは腸管にも比較的好発しまして、胃とか小腸、通常ヒトでは極め てまれな上部消化管にもできる。腸管の病変が特にサルにおいて致命的でありまして、 そのため、サルでは自然発症した内膜症の約3割がその進行の結果死亡するという報告 もあります。これはヒトではちょっと考えがたいことでございます。ヒトでは、まれに 直腸閉塞などで腸閉塞症状になって外科的治療をまれに要することがございます。  さらに、生殖能の低下、流産、死産とダイオキシンとの関連がよく知られております が、Rierさんの実験において、ダイオキシン投与でこういうような生殖のヒストリーが 全くわからないということで、こういう生殖能の低下がやはりサルでも内膜症の発生と もリンクしておりますので、こういうものを介して内膜症が発生した可能性も否定でき ないということです。  それ以外の動物実験としてマウス、ラットという、齧歯類を用いたものがございます これは腹腔内にいろんなものを投与して、それがどのような消長を遂げるかということ によって内膜症のインデューサーになるかどうか、こういうのを検索したものでござい ます。そうしますとダイオキシンを投与した動物では肝の腫大、胸腺の萎縮などが観察 され、同時に投与すると子宮内膜の移植片が増大するということであります、ここに見 られたダイオキシンの全身への作用というのは、ヒトの内膜症では見られない。  逆に去勢したマウスにエストロジェンを投与すると、子宮内膜の移植片の発育がむし ろ抑制され、この辺は先ほど井上先生のお話にもあったかと思いますが、エストロジェ ンの作用の程度によって、ダイオキシンはあるときはエストロゲンと拮抗し、あるとき はそれに対して相加的に働くのではないかということで、複雑な話になります。  それから、このモデルはヒト、サルと違いまして、あくまでもこれは子宮の組織切片 を人為的に子宮の中に埋め込んだものでありますので、これが子宮内膜症のビヘイビア を本当に示しているものかどうか、単に子宮内膜の増殖に及ぼす影響をこれで検証して いると、理解した方がよろしいのではないか、そういう実験系だと思われます。  最後にヒトにおいては、内膜症とダイオキシンとの関連は、まだ極めて不明なところ が大きい。Boydらは15名の子宮内膜症の患者さんで22種の代表的なダイオキシン及びフ ラン、PCB 同族体を分析したが、内膜症の進行度とこれらの物質の濃度に関係がなかっ たと報告しています。 それから、最近でありますが、不妊女性において子宮内膜症があった場合には18%、 子宮内膜症がないと3%に血中レベルでダイオキシンが検出されたという報告がござい ますが、この論文におきましては、検出された例でも内膜症の進行度との相関性は見ら れませんでした。これ以外には私の知りえる限りでは、現時点では論文はございません  そういうことで、ヒト及び動物実験を通じてダイオキシンと内膜症の関係を論ずるに は余りに現時点ではデータが希少であり一貫性に欠けていると言わざるを得ない。  ヒトの病因を考察するための適当なモデルがないことがこの研究を困難にしている1 つの要因になっている。したがって、現時点では結論を導くことは無理であるが、少な くともヒトにおける子宮内膜症の発生リスクは、月経、妊娠、分娩歴、女性のライフス タイルの変化等、今申しましたように、女性の月経歴との関連で内膜症のリスクがかな りよく説明されておりますので、よしんばダイオキシン類がある程度の影響を及ぼした としても、それはそんなに強力な因子にはなってないのではないかと考えられます。今 後ダイオキシンによるエストロジェンの作用の修飾機序あるいは広範のプロスペクティ ブな臨床疫学研究を通じて両者の関連が明確にされるべきであろう。  以上でございます。 ○座長  ありがとうございました。子宮内膜症をめぐる非常に注目される問題につきまして、 現在の集められたデータを詳しく御説明いただきましたが、何か御意見などございませ んでしょうか。  私は、先生、このデータについては余り知りませんけれども、サルは1種類でござい ますか。いろいろな種類のサルでやられたのか。 ○武谷委員  このRierさんとArnoldさんはいずれもRhesus(赤毛ザル) を用いております。 ○座長  そのほか、御質問ございませんか。まだまだ御質問あろうかと思いますけれども、最 後にもう一つ、事務局から資料5、資料6について御説明いただきます。 ○食品化学課長  それでは資料5、「内分泌かく乱物質(いわゆる環境ホルモン)対策」という縦紙を 用いまして御説明申し上げます。今年度の補正予算の政府原案といたまして、項目名の 欄に書いてございますとおり「内分泌かく乱物質の人体影響に関する研究」並びに分析 設備の整備等をお願い申し上げております。金額はトータルで15億円でございまして、 事業概要ですが、「2.事業概要」に書いてございますとおり、食品等からどれだけ摂 取しているか、あるいは動物によります次世代の生殖発生に対する影響の試験研究、そ れから、実際にこういった微量の物質が本当に吸収されるのか、どのように分布するの か、こういったようなものについての研究であります。 加えて、これは“high through put prescreening という呼び方で呼ばれております が、極めて効率のよい分析方法によりまして最初のあたりをつける試験研究を行う。そ れから、国立医薬品食品衛生研究所に機器の整備をお願いしたいと考えています。なお この事業概要につきましては、例えばどのような化学物質から優先的に調査研究を進め るべきか等につきまして、当検討会で御審議をいただきたいと考えております。 ○生活化学安全対策室長 それでは、最後の資料と次回の日程等を御説明させていただきます。資料6にござい ますが、次回は7月1日午前10時から開催したいということで既に日程調整をさせてい ただいております。先生方、御多忙のところまことに恐縮でございますが、よろしくお 願いします。この紙にありますとおり、4回、5回とここに記載してある日程で開催し たいと思いますのでよろしくお願いいたします。  戻りますが、第3回目、次回でございますが、次回にはOECD、WHO、米国など の本問題に対する担当の方をお招きしていろいろ御説明をいただいたり御議論に加わっ ていただくということを考えておりますのでよろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○座長  ありがとうございました。今後このようなスケジュールで少しくタイトでございます けれども、御議論いただこうということでございますが、ただいまの次回の議題につい て、何か御意見ございましたら取り上げたいと思いますが、ございませんでしょうか。  それでは、次回はこの議題で論議していただきたいと思います。  本日はこれで検討会を終了させていただきますが、御多忙中御参加いただきましてあ りがとうございました。 連絡先                       厚生省 生活衛生局 食品化学課                     TEL:03-3503-1711