98/05/26 第5回精神保健福祉法に関する専門委員会議事録 公衆衛生審議会精神保健福祉部会 第5回精神保健福祉法に関する専門委員会 議事録 厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課 議 事 次 第   日  時  平成10年5月26日(火)16:00〜19:10   場  所  厚生省特別第1会議室   会議次第    1 開 会    2 議 事     (1)保護者について     (2)精神障害者の人権の確保について     (3)その他    3 閉 会 〔出席委員〕 吉 川 座 長   池 原 委 員  伊 藤 委 員  金 子 委 員  後 藤 委 員   佐 伯 委 員  佐々木 委 員  佐 藤 委 員  新 保 委 員   高 柳 委 員  竹 島 委 員  長 尾 委 員  西 山 委 員   守 屋 委 員 ○吉川座長  定刻となりましたので「第5回精神保健福祉法に関する専門委員会」をこれから開き たいと思います。  皆様方、お忙しいところをおいでいただきましてありがとうございました。まずは、 きょうの出欠の状況だけ杉中補佐からお話しいただけますか。 ○杉中補佐  本日は、山本委員、乳井委員から欠席のご連絡をいただいております。佐伯委員にお かれましては、おくれて来られる予定でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。  では、早速議事に入りたいと思いますけれども、まず、事務局から資料についてご説 明いただけますでしょうか。 ○杉中補佐  資料の確認をさせていただきます。  まず、第4回の部分の残りですけれども、多少変わっておりまして、それが資料5、 6、7という形で、頭に本日の日付が入ったものが行っていると思います。  それから、第5回の専門委員会の資料でございますけれども、資料1といたしまして は、精神障害者の閉鎖処遇についての(検討メモ)。  資料2、法律扶助について。  資料3、精神病院に対する指導監督について(検討メモ)。  資料4、社会復帰施設の指導監督について(検討メモ)。  資料5、精神医療審査会の役割について(検討メモ)。  資料6、精神保健指定医制度について(検討メモ)。  資料7、精神病院における人権の確保。  資料8、入院患者の閉鎖処遇の実態について。  資料9、精神障害者のための当番弁護士制度の検討。  資料10、障害者110番事業について。  資料11、精神病院における不詳事件について。  資料12、他の法令に基づく改善命令について。  資料13、地方分権推進委員会の勧告(抄)。  資料14、他の福祉施設に対する指導監督制度について。  資料15、精神医療審査会の制度について。  資料16、精神医療審査会における退院請求・処遇改善請求審査件数。  資料17、他の行政委員会の制度・組織について。  資料18、精神保健指定医制度の経緯。  資料19、同意入院の要件としての「入院の必要性の判断」。  資料20、専門職種の義務について。  以上、非常に大部なものでございます。資料、お手元にない場合には事務局までお申 し出ください。また、今回、事務局の作業がおくれまして、事前に資料が配布できませ んで、深くお詫びを申し上げたいと思います。次回以降は、このようなことがないよう に、事務局としても努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○吉川座長  ありがとうございました。いかがでございましょうか。資料はお手元にそろっておら れますでしょうか。  本日は、先回、積み残した問題がございまして、その議論をしていきたいと思います が、先回と同様に、この議題に入る前に、ここに当事者の方々をお呼びしてございます その方々にいろんなご意見を承って、それから議事に入りたいと思っております。  ご紹介いたしますけれども、DPIの三澤さんでございます。では、すぐにお話しい ただけますか。 ○三澤  こういう場をお与えいただきましてありがとうございます。きちんとした資料をきょ うは用意してないので、申しわけありません。あとで個別具体的なことはお話しさせて いただきたいと思います。  DPI(障害者インターナショナル)と申しまして、これは国際組織の中の日本会議 という形で機能しておりまして、障害種別を超えたすべての障害者の人権の確立を図る ということを大目標にした形で活動しております。そして、そういう観点から今回の精 神保健福祉法の改正に関しても意見提起は先だってさせていただいております。当事者 の意見を最大限法改正の中に含んだ形で改正を行っていただきたい。そして、精神障害 関係の施策がほかの身体等と比べるとおくれが目立つのが実態としてあると思います。 本当の意味で精神障害者の人権がきちんと確立されるような法体系をぜひおつくりいた だきたい。まず前段でそういうお願いをしたいと思います。 ○DPI  中村さんから送られてまいりましたファックスを中心に、きょう伺いました4人で打 ち合わせをしてまいりました。入院処遇についてお話をさせていただけるということで 伺いました。  まず第一に、私たち順番にお話していきたいと思うのですが、先般からWHOで見直 されております障害分類なんですが、この問題につきましては、私たちはこの精神保健 福祉法もそうなんですが、えてして医療と福祉が混同されて扱われているというふうに 感じております。基本的に私たちは生活の一部として医療を必要としておりますが、生 活者として生活していきたいというふうに願っています。ですから障害分類に関しまし ては、生活モデルを中心に話し合いを進めていっていただきたいと思っています。  そして、きょうもヒアリングに呼んでいただいたのですけれども、数少ない当事者が ヒアリングに呼ばれるのではなくて、ぜひ、こういう私たちに関係する法律が生み出さ れていきますときには、ヒアリングをする側に公衆衛生審議会等にも当事者を複数名入 れる、そういう制度になっていってほしいと思っています。  順番にまいりますが、まず、よく問題にされます覚醒剤等の慢性中毒者の方たちとか 触法精神障害者の方たちと、私たち一般の、私は非定型精神病なんですが、一般の精神 病を抱えている者たち等の問題なんですが、私たちは精神科の利用者ということと、そ れから、一応、精神障害者ということでレッテルを貼られたということに関しては仲間 だというふうに思っております。覚醒剤等に関しては的確な治療をぜひ行ってほしいと いうふうに考えていて、このモデルは長い間体験を積んだアルコール依存症のミーティ ングなどをきちんと保険点数化して押し進めていってほしいと思っています。  それから、触法精神障害者の方々によく出てくる問題なんですが、私たちは彼らによ って差別の対象が助長されるとは決して思っていません。逆にきちんとした治療をされ ること、彼らの治療空間が、決して「処遇困難者病棟」などというようなレッテルが貼 られずに、もっと質の高いものに改善されていくことと、刑期が終わられましたらば、 速やかに社会復帰されますように、きょうも見えていますが、ソーシャルワークを押し 進めていってほしいと思っています。  そして、一般の精神科の治療に関しては、まず医療法を改正して、内科や外科並みに 医師や看護婦を充ててほしいというふうに思っています。そして、基本的に閉鎖処遇は なくしてほしいと思っています。鉄格子を外して、スペースももっとゆったりしたもの にしてほしいと考えています。  公的病院の役割といたしまして、急性期の方たちをきちんと治療して速やかに地域に 帰すというような責任をきちんと公的病院にはせおってほしいと考えています。大和川 や山本病院や栗田病院は私たちは特別な病院だとは思っていません。大和川病院に関し ては、一番先頭を切って改善に取り組まれた山本ミユキさんを囲んで、DPIでも10年 間にかけまして厚生省と交渉をいたしました。廃院にいくまでに10年以上かかっており ます。  それは、私たちが見ておりますと、行政のチェック、これからは抜き打ち検査なども するということになっておりますが、そういうものが的確に行われていない行政の力と 病院の力関係が大阪府の場合は逆転していたのではないかと思っています。行政はきち んと厳しくチェックをしてほしいと思います。そして病院の中に、これは覚醒剤でもそ うですし、触法精神障害者の方たちもそうですし、一般精神障害者もそうですが、そう いう人たちが処遇される精神病院の閉鎖性が非常に問題になっております。  それは物理的な問題だけではなくて、そこから生み出されます、例えば大和川で起き ていたのは、本人の同意がなくては家族も友人も面会ができないということで、本人の 面会はしませんという承認を医師が先にとっていたというような閉鎖性を生んでおりま す。当事者と、それから、きょう見えていますが、弁護士さんの組み合わせできちんと 権利擁護のシステムを精神病院につくっていってほしいと切に思っています。  それから、医療保護入院なんですが、家族と本人とはもともと持っている人間関係が ございます。これに入院をさせるか、させないかというような役割は家族の負担にもな りますし、担わせるべきではないと思っています。私たちも家族のぐあいが悪いという 判断と、私たち自身がぐあいの悪いときには非常に辛くなります。そういうものが、私 たちがきちんと言えるやはり精神医療に改善されていくべきだと思います。医療保護入 院はなくしてほしいと思います。  それから、応急入院と精神科救急なんですが、これは私たちが必要なときに速やかに 使える先として救急医療は必要だとは思います。しかし、これはやはり地域の通報だと か家族の通報で、これが使われるのであるならば、非常に古い言い方ではありますが、 地域管理と何ら変わりがないと思ってます。全体的にもっと私たちが安心して、「私は 精神障害者です」ということがきちんと言えるように、医師の方たちももっと技術を向 上させていただきたいというふうに思います。  それから、仮入院制度なんですけれども、仮入院制度の今のあり方は、本人の同意も そして一緒に暮らす家族の同意もなく通報で入院をさせることができるという制度はな くしてほしいと思います。  今、危惧されておりますのは、この保護者制度が見直されまして、保護者制度がなく なった場合、次に出てきます成年後見法の見直しです。これも医師の鑑定が必要という ことになっておりますし、今のところ法人格も後見人にオーケイというような見直し策 が出ております。その場合、病院が財産管理も含めまして、その対象になり得るという ことになっていて、私たちはそこまで医療に取り囲まれるのかというふうに危惧を抱い ています。  繰り返しますが、私たちは医療は使いますが、医療は生活の一部として使います。す べて医療に取り囲まれるのはかないません。  そして、最後に、中村さんからいただきましたペーパーに書いてありましたのは、精 神保健福祉士法でした。これも私たちとしては大変残念な結果だと思っています。保険 点数化されまして、こういうふうに社会福祉職が増えていくということは、ある面では いい面もあるかもしれませんが、その方たちが医師の指示のもとで働くのはいかがなも のでしょうか。やっぱり社会福祉は社会福祉の専門としてきちんと医療と独立して、そ の専門性を発揮していただきたいと切に願っている次第です。  以上です。補ってください。 ○吉川座長  ありがとうございました。ほかの方々、何かご発言ございますか。  それでは、皆様方から、ご質問、ご意見があれば、それぞれいただきたいと思います いかがでございましょうか。どうぞ、池原先生。 ○池原委員  今のお話とはちょっとずれちゃうかもしれないんですけど、手前みその話なんですけ ど、全家連で提案している法改正についての意見の中の1つに、今の内容は同じでもい いから、精神保健福祉法の条文の書き方を、例えば任意入院については、「病院の管理 者はなるべくできる限り同意に基づいて入院させるように努めなければいけない」とか そういう書き方をされているものを、むしろ精神障害の人は、これこれの場合以外は、 つまり同意しない限りは入院させられない権利があるとか、あるいは「保健所長は、精 神障害者とか保護者の相談に応じなければいけない」と書いてあるものを逆にひっくり 返して、精神障害の人は、例えば自分の社会復帰について、保健所長に相談することが できるとか、そういう内容は原則として変えなくても、書き方自体をむしろ「病院は」 とか「保健所は」とか「都道府県知事は」という書き方で始まるのでなくて、逆に精神 障害の人は、こういうことをしてもらえるんだとか、こういう権利があるのだというふ うに書き換えてみたら随分違うんじゃないかという提案も1つしているんですけれども そういうことについては何かご意見ありますでしょうか。 ○吉川座長  どうでしょう、何か。 ○三澤  私たち身体障害あるいは知的障害の福祉法も含めて、あるいは障害者基本法も含めて 法の中にもう少し権利性をきちんと明記した形のものにしていくべきだというふうに考 えております。特に精神障害の保健福祉法の場合には、より明確な形で当事者の権利と いうものがその中できちんと規定されていくことがまず必要だろうし、権利に基づいて 各種の治療行為を受けることができるという、今、池原先生がおっしゃった、そういう 考え方は、私たちとしても必要なことだというふうに考えています。その前段で、まず 精神保健福祉法の中で、1つの権利規定あるいは差別禁止規定的なものがきちんと入っ ていくようなものになってくれば、より当事者の権利性が守られることになるのではな いかというふうに考えております。 ○吉川座長  ありがとうございました。ほかに何かご意見あるいはご質問。どうぞ、竹島先生。 ○竹島委員  ちょっと教えていただきたいんですが、先ほどのお話の中で、地域や家族からの通報 は地域管理という問題が生じるというお話ありましたけれど、でも片方で単身者の方だ とか、特に本人のことを、今の段階ではお世話している、気づかっている方がいない方 の場合に、例えばアパートの大家さんが、このままでは本人がますます健康状態を崩し ていくと。この人の場合には特に援助する人もいないといった場合もあると思うんです けど、そういった場合の対応としては、何かお考えになられていること、あるいは議論 されていることは何かありますか。 ○DPI いいことを聞いていただいたと思います。私たちにも本当に苦しいときとか、寂しい ときとか、本当に食欲もなくなりまして、体力が低下するような場合があるわけですね そういうときにすぐにSOSが出せる、精神障害者の場合は何という言葉が一番いいの かわかりませんが、やはり介助者といいますか、介護保障がやはり必要なんだろうとい うふうに思うんです。そういうものがない中で単身生活をしているわけですよね。です から、今、竹島先生がご指摘のようなことが起きてくるのだろうと思います。  私たちはSOSは信頼できる相手がいた場合は出しておりますし、そういう人間関係 が豊富なものをつくっていくというのが精神障害者の自立生活運動だろうと思いますし セルフヘルプ活動だと思っています。ですから、介助者とか介護者制度をぜひつくって 私たちが精神障害者として、町で生きていけるシステムをつくってほしいというふうに 思っています。 ○吉川座長  よろしゅうございますか。 ○竹島委員  すいません、めったにこういうことをお聞きすることがないものですから、もう一歩 進んでお聞きしてみたいんですが、もし仮に介助者あるいは介護者になる方がいて、そ の方がその人の生活、日常のことをよくご存じの場合、その人から見ても、もうこのま まではますます体調を崩すから診察を受けたらどうかと言っても、だけど、ご本人が、 絶対にいやだと言った場合に、そこのところでどうしたらいいんだろうというところは ちょっと厳しい質問かもしれませんけれども、教えていただけますか。 ○DPI  とても厳しい質問ですけれども、私たちもドッコイショという感じでネットワークを つくっているわけですよね。そのときの介助者というのは、今のホームヘルパー制度も 必要だとは思いますが、そういうものではなくて、信頼できて安心できて、叫べる相手 なわけです。その関係ができている者から入院を説得されれば、多くの本人たちは通院 もしくは入院をすると思います。しやすい精神病院に変わってほしいと思います。  私の場合だったらば、医師のところにごあいさつがわりにちゃんと2週間おきに行っ ています。それはなぜ行っているかというと、私の医師は在宅でなるたけやりましょう ぐあいの悪いときには、私の職場に近い東京の東部地区にある無名ではありますが、全 開放の食事だけは出してくれる病院を紹介してくれることになっているので、そこが使 えるように、ごあいさつがわりに行き続けてはいます。 ○DPI  今のご質問は2つあると思うんです。1つは病識がある患者の方と、それから全く初 めて精神科医療にかかってないという場合と。後者の場合は、私ども実際に仲間で、本 人いやだったんですけれども、説得しまして入院させたケースもあります。それは当事 者として。そのかわり、入れっぱなしで終わりというわけではなくて、もちろん定期的 な面会とかその後のフォロー。もちろん僕らが信頼できるというか、ある程度話ができ る先生ということで選ばざるを得ないという現状もあります。  前者の場合ですけれども、私どもも確かに接触できてない方の、向こうからの接触も ないということはちょっと難しいかなと思いますけれども、これは一般的なんですけれ ども、私も職場に勤めていまして、精神医療、うつ病なんでかなり多発しているんです けれども、本人がかなり敷居が高いんです、精神医療にかかるというのは。余りにも敷 居が高過ぎて、僕らも身体障害者でよく仲間の職員が脳溢血で半身不随になるぐらいだ ったら、いっそのこと、さっと死んだ方が惨めでなくていいというふうによくおっしゃ るんですけれども、それと同じで精神医療にかかってしまったら、すごい社会的なステ ィグマを負うのではないかという意識があって、それがまた精神医療にかかりづらいと いう現状にもつながっているのではないかと。  非常に漢方的な穏やかな治療ですけれども、社会的な精神医療というのを非常に特別 な人間を対象にした医療だという認識をどう変えていくのかというのを、ここでぜひ論 議していただきたい。精神障害者というのは地域にたくさんいるんだし、特別病気以外 のことでは大したことないんだという認識をつくっていく契機にもなるのかなと思って おります。 ○吉川座長  ありがとうございました。 ○DPI  今のお話に関連しての話なんですが、いわゆる欠格条項の見直しということが今言わ れているかと思います。それで、欠格条項というのは、この3月末には総理府の方で、 関係各省庁に資格制度にかかわる、特に雇用の面にかかわるのですが、そういった資格 制度にかかわる、そういう欠格条項が現状の制度でどういうふうになっているかという ような調査をするようにという指示がありまして、ある程度3月末時点で集約をされて いるというふうに聞いているわけですね。この問題は、障害種別、精神障害の人に限ら ず、そういう障害種別ごとに多岐にわたっておるのですが、一番大きくかかわるのは精 神障害の方の欠格条項の問題というのがあるかと思います。  そういう資格制度上の問題は、もちろんきちんと検証されなければいけないと思うの ですが、また、一方では生活の実態面というところで、最近は多少減ってきているのか と思うんですが、よく一般の銭湯、お風呂なんかへ行きますと、最初に入ってはいけな い人の中に「精神障害」というような、看板の中にそういう文字があったりとか、さす がに最近は少なくなっているかと思いますが、それでも実際いろいろ利用できるのか、 できないのかというのを、そういった店舗なんかに聞いていきますと、表向きにはそう いうことを出していないけれども、実際にはその店の判断で、そういう人にはお断りし たいというようなことなんかをやっぱり言っている場合が結構あるんですね。  そういった意味では、表向きにはなくなっているにしても、実態的には実際にはお断 りしているというような、そういった意味での二重基準といいますか、ダブルスタン ダード的なそういった実態面で精神障害なりを持つ方を地域社会で排除していくような 実態というのはまだまだ減ってはいないということが言えるかと思います。  そういったことが、いろんな結果として、医療と福祉の問題が先ほど出ましたけれど も、生活の支援といいますか、生活の自立という問題がなかなか進んでいかないという ことにも非常にかかわっていますので、その点はぜひ検討していただきたいと思います ○吉川座長  ありがとうございました。きょうは一応当事者の方々に入院の問題を中心にしてお話 しをいただくということになっておりました。少し今の話まで広がってはいますけれど も、このあたりのところでお話を一たん閉じたいと思いますが、よろしゅうございます でしょうか。 ○DPI  すいません。 ○吉川座長  どうぞ。 ○DPI  1つだけつけ足させてください。当事者団体がきょうのようにDPIといういろんな 障害者、身体も精神も入っている団体が来まして、精神の団体がなかなかこういうとこ ろへ来ないという1つに、処遇困難性病棟の問題がずっと見え隠れしているからだと思 うんです。「処遇困難者」という呼び方、「処遇困難者」という定義というものは、ぜ ひなくしてほしいと私は思っています。  先ほどと繰り返しになりますが、医療法自体が特例の状態に置かれていますし、やっ と社会福祉の芽が病院の中に入るようになってまだ本当に日が浅いです。そして、医療 刑務所などの実態も、これは厚生省のヒアリングですが、法務省のヒアリングで話すべ きかもしれませんが、非常に劣悪です。そういう中で処遇困難者という問題が見え隠れ してきますと、先ほども繰り返しましたように、処遇困難者というのは、そういうもの がちゃんと精神障害の人たちの人権が守られて、そしてきちんとした医療が今施されて いないわけですから、処遇困難者とはだれも言えないのではないかというふうに私は思 っています。処遇困難者病棟問題が見え隠れするために非常に障害者本人たちに戸惑い や分断が生まれていて、非常に連帯しづらくなっています。この概念はもう捨てていた だきたいというふうにお願いいたします。 ○吉川座長  わかりました。それではよろしゅうございますでしょうか。どうもありがとうござい ました。                (DPI関係者退室) ○吉川座長  時間が押しておりますので、続きまして、会議を進めさせていただきます。 先ほど 資料のご説明をいたしましたけれども、資料のご説明の中に、先回の積み残しの分につ いてお話がありました。したがって、そこから始めていきたいと思います。前回の保護 者の部分の残りの部分について議論を先へ進めさせていただきます。事務局からご説明 いただけませんでしょうか。 ○杉中補佐  それでは説明させていただきます。その前、前回、保護者の特に任期のところなんで すけれども、委員の先生方が、いちいち保護者の選任を受けたりするのは、家裁の方で 日常大変なのではないかというようなご指摘等もございましたので、我々事務局レベル での案ということで、法務省民事局の方と意見交換という形で、一度感触を伺ってきま したので、それについてご報告させていただきます。  まず、保護者の保護の対象を限定するということについては特定のコメントはござい ませんでした。ただ、後の方にもなりますけれども、家裁の方の事務量が増えるという のは、新たに家庭裁判所の方で成年後見制度というものを控えているので、事実上、事 務量の増加という形の対応は難しいのではないか。  我々の案の中に、特に配偶者についても家裁が選任をするということを書かせていた だいたんですけれども、それについては、まず事務量の増加という問題があるのと、配 偶者についての理解ですけれども、配偶者自体は民法上、協力扶助義務というものがご ざいますので、必ずしも身上監護的な面であれば、配偶者が保護者としての義務を果た すことについては、全く理由がないというわけではなくて、そこは財産管理という形で の成年後見制度と必ずしも同じということではないのではないかといったようなご指摘 等がございました。  また、保護者となることができる成年後見人の範囲でございますけれども、あと一点 保護者となることができる成年後見人に、新しい制度における後見人と保佐人の類型を 加えることについてはご理解をいただきましたけれども、任意後見人についてまで保護 者とすることは難しいのではないかと。任意後見人というのは、あくまで任意における 代理人というものの延長上にあるということなので、任意の代理を飛躍するような医療 における同意といったところまで、その者に負わせるのはちょっと難しいかなといった ような感じでございました。  あとは、後ほどの説明になりますけれども、市町村長の申し立て等によって後見人を 付していくということで、現在の市町村長同意というものを変えていこうということに ついては、原則御理解をいただきましたが、ただ、市町村に後見人の申し立てをやらせ ることについては、現在、法務省と自治省の間で調整中でございます。  それを受けまして、若干資料を変えさせていただきました。まず資料No5についてご 説明させていただきますけれども、下線部の入っているところが直したところなんです けれども、よく考えてみますと、保護者の保護の対象を措置入院患者と医療保護入院患 者に限定するということであれば、それ以外の病状にある患者には、保護者に選任され るべきものという形ではあっても、それに関する責任とか義務はかかってこないので、 したがって、「保護者の対象を限定する」という形にしておけば、実質上同じ効果が得 られるのではないかと思いますので、とりあえずそういった形で任期という形ではなく て、保護者の保護の対象を措置入院や医療保護入院患者といった者に限定していくとい う形で直させていただいております。  引き続きまして、資料No6についての説明をさせていただきたいと思います。  「公的機関における保護の問題点について」ということでございますけれども、今、 精神保健福祉法第33条において、医療保護入院を行う際の保護者の同意について規定し ておりますけれども、医療保護入院に必要な同意を行うべき保護者がその家族等に存在 しなかったり、不明であったりする場合等には、市町村長が医療保護入院に必要な保護 者の同意を行うということで、その後の保護者も市町村長がなることになっております  現在、精神障害者の保護者の高齢化が進んでいることや、都市部等を中心に単身で生 活なさっている精神障害者が増えていることを考えれば、公的機関による保護は引き続 き重要で今後増加していく可能性があると考えられます。  しかしながら、「問題点」でございますが、市町村長による保護につきましては、対 応窓口が必ずしも一定でないため事務処理が効率的に行われていない。  同意を行うに当たっての患者に対する調査が必ずしも十分に行われていなくて、形式 的な手続きによって同意が行われているケースがある。  市町村長が保護者に選任された場合、入院中の面会などを行うといったマニュアル等 もございますけれども、実質的には面会も形だけで患者のために適切なアフターケアが 行われていないのではないかといったような意見があって、保護者としての機能がほと んどが果たされていないといった指摘がなされております。  市町村長による保護が適正に行われていない理由は、以下のように考えてみたのです けれども、まず1つ目ですが、現在の精神保健福祉施策は都道府県単位で施策が行われ ており、市町村の役割が極めて小さいことから、市町村に精神障害者施策を担当する職 員等がいないこと。  したがって、実際に保護の任に当たる市町村の職員は、精神障害者に対する接し方に ついての理解またノウハウについても不足しているのではないかと思われます。  したがって、市町村の職員の対応は、どうしても事務的な対応になり、また一人の職 員が継続的な精神障害者の支援を行うのがどうしても役所という機構上難しいために、 なかなか精神障害者に対して信頼関係を構築していって、その者に対する保護なりケア なりをしていくことは難しいのではないかと考えます。  「基本的な考え方」でございますけれども、精神障害者の生活支援の重要性にかんが み、精神保健福祉施策において生活に密着した行政を行う機関としての市町村の役割を 明確化し、市町村が精神障害者に対し適切な支援を行えるような体制を整備することが 必要であるというふうに考えております。  これについては、引き続いて、第6回の項目の中で、「市町村の役割」ということで 取り上げたいと思います。  しかしながら、現在の市町村長による保護の役割が形骸化しており、現行制度におい て、適切な保護を実施することは難しいのではないか。  したがって、現在の制度に代え、現在検討中でございますが、成年後見制度における 市町村又は他の福祉関係の行政機関の申立制度を活用し、これによって選任された成年 後見人を保護者とすることで、従来、市町村長が行ってきた役割を成年後見人が担うよ うにするといった見直しを行うことを検討してはいかがか。  また、このような見直しを行った場合でも、成年後見人が申し立てられる期間におい てのみ市町村長が保護者を行うということにならざるを得ないのではないか。  この場合、行政による申し立てが円滑に行われることが重要であり、成年後見人を供 給するために、例えば精神医学ソーシャルワーカー協会等により、精神障害者の成年後 見人の供給体制を整備するといったことを検討すべきではないか。  以上でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。先回、一部議論しているところでございまして、それを法 務省と話し合いをしながらすり合わせをしたものを、今、書き換えた形でお渡ししてい るわけです。これにつきまして、とりあえず何かご意見ございますでしょうか。 ○西山委員  先ほどの法務省の民事局との打ち合わせの件ですが、保護者の範囲、後見人と保佐人 はオーケイであると。任意後見人に関しては難しいということはわかったのですが、補 助人に関してはどんなふうな。 ○杉中補佐  補助人という類型が基本的には意思能力のある方を前提にしていますので、補助人の 方ぐらいであれば、任意入院の対象になるのではないかというのが、法務省の認識であ り、当方としてもそのような認識でおります。 ○西山委員  民事局もそう考えている。 ○杉中補佐  民事局もそうです。 ○西山委員  そうですか。多少その点に関しては意見があるのですが、どうしてでしょうか、それ は。補助人は確かに能力障害は軽度であるけれども、例えばふだん軽度であるけれども ちょっと医療保護入院をしばらくの間させたいというふうな、ですから後見人でも保佐 人でも補助人でも、大体長いスパンで決めているわけですね。ですから、数週間、1、 2カ月入院させるというふうな場合に、補助人でもいいのではないかという気がするの ですが、そういう問題がありまして、これはどうでしょう。後で問題が出てくるとすれ ば、そこで討議していただくか、あるいはその辺の検討をもう一度できないものかと思 っているんですけれども。 ○杉中補佐  ただ、補助人という者の範囲が明確化がまだ必ずしもされていないので、はっきりと は申せませんが、今の感じとしては、被補助人は基本的な判断はできる方ですけれども 大きな法律行為、遺産分割とかそういうことであるとなかなか荷が重いので代理でやっ てくれる人を必要とするとか、どうもそういうイメージのようです。 ○西山委員  そうですね。一方には、扶養義務者でも1カ月以内ならできるというふうなことを考 えますと、むしろ補助人を入れた方がいいのではないかという気もしないでもないもの ですから、その点はもう一度御検討いただきたいということですね。 ○杉中補佐  ただ、補助人の対象になる方が任意入院の対象になるのであれば、かえって補助人を 対象にすることで、任意入院制度というものが適切に運用されなくなってしまうおそれ があります。そこは基本的には補助人という者の対象がどうなっていくかということと 密接にかかわりがありますので、それについてはテイクノートさせていただきます。た だ、今の感じとしては、我々の方としても、法務省の方としても、補助人まではなかな かそこまでを対象にするというのは難しいのではないかといったイメージでございます ○西山委員  未定の問題が多いので何とも言えないかもしれませんが、財産管理だけでなくて、身 上監理の問題になりますと、微妙な問題が出てきますね。さっきのような1、2週間の 医療保護入院のためにどうこうするといったことも、せっかく補助人がある場合、とい うふうなこともありますので、もう一度考えてもいいのではないかという気がするので すが、これは私の意見です。 ○吉川座長  ありがとうございました。 ○佐藤委員  西山先生に同意見なんですけれども、医療保護入院をする場合に、現在の制度とイ コールでありませんけれども、禁治産者あるいは準禁治産者相当の能力ということにな って、入院する、しないという問題だけではなくて、かなりの禁治産であれば、全般的 な行為について無能力ということになってしまう。そうしないと医療保護入院ができな いというのは、確かに入院治療については本人は拒否をしているけれども、それでその 人の生活全般の能力がないとは言えないわけなので、保佐人が少し緩やかかもしれませ んけれども、それでも入院することによって制約されてしまう本人の権利が余りにも大 き過ぎるのではないかと思いまして、補助人であっても、医療保護入院の代理ができる ということにぜひしていただきたい。  成年後見制度を使う、使わないといっても、第一順位に後見人があるわけですので、 これは民法が改正されれば、自動的に変えざるを得ないところだと思いますので、補助 人をぜひ保護者として認めていただきたいと思います。  また、実務上も医療保護入院の期間、2、3週間で任意入院に切り替わる場合もあり ますが、後見あるいは保佐は鑑定を要するということになっていますので、鑑定のため に、また膨大な時間と費用がかかりますし、医療の実情にはかなり即さない制度になっ てしまうのではないかと思われます。というようなことを、西山先生のご意見に対して 補足させていただきたいと思います。 ○吉川座長  ありがとうございました。 ○池原委員  私は逆に余り賛成ではないんですが、補助人というのは、多分わかりませんが、特定 の法律行為について能力が不十分なので補助人をつけるというふうに考えられているの で、どちらかというとかなり一時的で単発的なものが想定されていると思うんですね。 例えば親が死んで遺産分割をしなければいけないと。ここのところは兄弟とのいろんな 争いとか遺産分割の問題もあるから、そこのところだけスポットで補助人をつけましょ うと。ほかのことは必要ないでしょう、そういう使い方が一般的にされるのではないか なというふうに想像しておりますので、たまたま特定の法律行為について、遺産分割の 関係で補助人が選ばれていたときに偶然ぐあいが悪くなって、ちょうど医療保護入院だ というような形になる。かなり偶然的なかかわりになってしまうのではないかという気 がするのが1つなんですね。  もう一つは、まだもちろん法にはなっていないのでわかりませんけれども、4月14日 に発表された試案では、本人以外の者の請求によって補助人を選ぶ場合には本人の同意 を得なければならないという規定になっているわけですね。そうすると補助人が保護者 になって、医療保護入院をさせられるという状況になったときに、本人は医療保護入院 をさせられたくないと思えば、補助人を決めないでくれというふうにいうと補助人では なくなっちゃうわけですね。だから、結局のところ、本人が入院を拒否している場合に 補助人を使って入院させる方法は成り立たなくなってしまうと思うんです、システム的 に。だから、そういう意味で言うと、補助人を使うのは結果的に無理ではないかという 気もいたします。 ○西山委員  ですから補助人にどのような役割を持たせるかという問題が未定なものですから、こ こでは余りここに時間を費やしたくはないんですけれども、むしろ厚生省としては、補 助人にそういう役割をとるような方向で考えた方がいいのではないかというのが基本的 な考えなんです。 ○吉川座長  そういうことを入れて法務省にも発言をしろということですか。 ○西山委員  そうですね。 ○吉川座長  わかりました。どうでしょう。一たん、それではお話が出てきましたように、まだ成 年後見制度そのものが議論の最終でどういうふうに変化していくかわかりませんので、 それを見ながら、また考えていただくことにいたします。  それでは次の。 ○池原委員  2つ申し上げたいのは、1つは、任意後見のことなんですけれども、法務省の方の担 当の方から漏れ伺っているところでは、任意後見制度については、法務省としては何と かして創設したいけれども、民法学者の間で任意後見というのはどんなものだろうかと いう学者側の理論的な反対があって、なかなか実現にこぎ着けるかどうかよくわからな いと。例えば、全家連とか当事者団体には、任意後見というものが実質的に必要なんだ ということをぜひこれから法制定に向けてバックアップしてほしい、意見として出して ほしいということを言われているんですね。  その中で、特に精神障害の関係で言いますと、成年後見は原則として財産管理の部分 だけにかなり重点が置かれていますけれども、任意後見契約によって部分的な身上監護 についても後見人をつけられるようなルートができるとすれば、精神障害の人の後見と しては役に立つだろうし、その中で特に重要なのは、恐らく医療保護入院の同意という 部分になってくると思いますので、ですから私としては、法務省が無理だとおっしゃっ ても、むしろ任意後見人という者に保護者的な機能を担わせるということが、精神障害 の分野では任意後見の最も重要な役割になるのだということで、もう一度ちょっと押し 返していただけないかと。そういう方向であれば、例えば全家連なんかでも、ぜひ任意 後見を実現してほしいという意見を出しやすくなると思うんですけれども、逆に保護者 にならないということになってしまうと、かなり本質があんこのところが取れた饅頭み たいになってしまうので、ぜひ任意後見人には保護者になり得るのだという形にもう一 度意見として言っていただきたいと思っております。 ○吉川座長  ありがとうございました。それでは、資料7の方をご説明いただけますか。 ○杉中補佐  そのほかは質問なしということで。 ○吉川座長  はい。だと思いますが、これはいいと思います。何かありますか。 ○佐藤委員  資料No6の市町村長同意ですが、市町村長同意が現状は極めて形式的で、保護者とし ての実質がないというのはそのとおりで、また、市町村長同意による入院の場合に、入 院が長期化しやすいということもあるようですので、これは廃止ということが望ましい とも言えますが、逆にもしも市町村長同意を生かすのであれば、保護者としての実質的 な機能が果たせるように市町村の体制をつくるということができないものかというふう にも考えるのですが、現に大阪市とか堺市では、市長同意で入院した患者さんの私物を 預かったりとか、面会に行ったりとか、退院の援助をしたりとかということをした時期 があって、ただ、最近、川崎市からの照会文書があって、市町村長が行う財産管理の範 囲についての厚生省から示された回答文書ですが、それを盾にとって市でそこまでやる 必要はないということで、現在では大阪方面では十分機能しなくなっているとも聞いて いるのですが、市町村にそれなりの職員を配置して保護者として入院の同意から退院の 援助に至るまでのサービスができるような体制をつくるという考え方もできるかと思う んですが。 ○吉川座長  まとめていただいている2ページの一番上のところに、「市町村が精神障害者に対し 適切な支援を行う」、こういう考え方で、今のお考えのところをまとめてあるように思 うんです。これは前回のときに議論されたことでございまして、それをこんな形でまと めさせていただいている。ちょっとお目通しをいただけると、大体のところは、あと具 体的に何か言えということになると、法の中にどう盛り込むかということはちょっと別 なことになりますけれども、考え方として、こんなふうに進みたいという話はこの中に 盛ったように思いますけれども、いかがでございましょう。  それから、市町村の役割の問題はまた後でやりますが、ここの保護者としての市町村 長の問題ということで、市町村の責任とか役割ということに関しては、またいずれ、こ の会でやりたいと思っています。 ○長尾委員  資料No6の一番最後なんですが、これは前回も高柳先生が少し言われたと思うんです が、精神医学ソーシャルワーカー協会という、こういう事例を挙げることは今の段階で は時期尚早ではないかという感じがいたしますので、精神保健福祉士が誕生しますけれ ども、今の段階でこれだけを例示に挙げることはやはり問題ではないか。もう少し広い 意味でいろんな後見制がとられるということになると思いますので、この例示はちょっ とやめていただいた方がいいのではないかと私は思います。 ○吉川座長  高柳先生、何かございますか。そこまでは言われなかったような気がしたんですが、 ちょっとえっと思ったんですが。 ○高柳委員  私もこういう特定の方々の集まりに限定するような文言は少し避けた方が、私はいい とは思いますけれども。 ○吉川座長  そうですか。わかりました。それではそれはまた考えていただけますか。 ○杉中補佐  ここで書いているのは、いわゆる成年後見人の供給主体として、民間の専門職種団体 等、例えば弁護士会であるとか、司法書士会であるとか、社会福祉士会といったところ が手をあげている状況がある一方で、なかなか保健部門の知識を持った方でそういうふ うにやっていこうという団体が今のところないという状況にあります。今のまま民生サ イド主導でいくと、どうしても精神障害者という者に対して適切な成年後見人というも のが供給されなくなっていくおそれがあるのではないか。他の老人や知的障害者に対し ては、他の民間職種の団体が準備を着々と進めている段階なので、精神障害者について は、精神保健福祉士という資格もできましたので、それを中心に生活支援をさせていく というのが一番適切かなという考えがあって、例示という形で挙げさせていただいたと ころでございます。どちらにしても、平成12年をめどに制度化されるという形で、成年 後見制度も進んでおりますので、必ずしも具体性を持ったからいって、今の段階でも時 期尚早ということはないというふうに認識しております。  ただ、そういう腹づもりでいても、確かに報告書の中に書くというのは、時期尚早と いうことはあるかもしれないですけれども、ただ、その準備というのは、精神障害者に 携わる関係団体の皆様方にはやはり認識をもうちょっと改めていただければというふう に考えております。 ○吉川座長  ありがとうございました。それでは、ここで資料5、6を終わりまして、資料7の方 に移らさせていただきます。 ○杉中補佐  説明させていただきます。「保護者となることができる者の範囲について」というこ とでございます。成年後見人の扱いということでございます。  「精神保健福祉法上の現行後見人の扱い」ですけれども、現在は、精神保健福祉法第 20条第2項におきまして、後見人については、最優先で保護者に選任されるということ になっております。現行の精神保健福祉法上は、いわゆる準禁治産制度における保佐人 という者は保護者たりえませんけれども、これは準禁治産者については心神耗弱者とい う者だけでなくて、浪費者も対象としているため、入院についての判断能力のある浪費 者まで医療保護入院等の対象になるといったおそれがあるためではないかと考えており ます。  「対象範囲の見直しの必要性」ですけれども、現在法務省で検討が行われております 新しい成年後見人制度につきましては、支援の対象となる者の判断能力に応じて、対象 者が心神喪失状態にあれば後見類型、心神耗弱状態にあれば保佐類型、軽度の精神上の 障害の状態にあば補助類型という3類型に分類されるという見直しを行うことにしてお りまして、基本的には判断能力の有無というメルクマールで後見類型を変えていこうと いう形になっておりますので、精神保健福祉法上の保護者に選任される成年後見人の範 囲についても検討する必要がある。  このうち、新しい保佐類型については、浪費者を保佐の対象から除外し、判断能力が 不十分であることのみがメルクマールとなっている。また、現在の禁治産制度における 後見人が保護者となっている比率は、平成9年度の新規医療保護入院患者のうちの0.13 %と極めて少なく、新しい成年後見制度による後見類型は現在よりも減少することが予 想されているため、保護者となる成年後見人を実態にあわせて見直すべきであるという 意見がある。 また、補助類型については、原則として判断能力ある者がその対象となっていること から、被補助者が精神病院に入院することになっても、原則は任意入院となるというふ うに考えております。 「精神障害者の意思を優先した保護者について」ということですが、現行の保護者の 問題で、精神障害者の不満が多い点の1つに、保護者の選任に当たって精神障害者本人 の意思というものが反映されないという問題点があります。 精神障害者には家庭環境の問題がある場合等もあるということを考えれば、当然に親 権者や配偶者が保護者に選任されるというのはおかしく、例え親族でなくても信頼でき る人間を保護者にしてほしいという要望はかなり当事者の方等にございます。 「成年後見人制度における本人、行政機関等による申し立てについて」でございます けれども、成年後見人においては、本人の申し立てによって成年後見人を付すというこ とになっている。したがって、成年後見人の申し立てに際して、本人の意向を踏まえて 適切な成年後見人を付すことで対応するべきではないか。 同様な現行制度については、現在の禁治産制度にもありますけれども、現在の禁治産 制度というのは、後見人の選定に際し福祉的な観点から選ばれることはない。 新しい成年後見人制度においては、本人の意思を反映した成年後見人の選定をするた めに、行政機関、福祉関係団体が積極的に関与して本人の意思というものを尊重して申 し立てを行うということも期待されているのではないか。ちなみにここについては、以 前の資料では、任意後見制度というものの活用と書いてありましたけれども、法務省の 意見等を入れまして、本人の意思を勘案して申し立てを行うというふうに変えさせてい ただいています。 次に「配偶者の扱いについて」でございますが、配偶者については、現在、後見人に ついて、2番目の優先順位で当然に保護者となることとなっていると。一番大きな理由 は、現在の後見人制度等においても、配偶者が当然後見人に指定されるということにな っており、その考えにならったものであるというふうに考えられる。  現在の成年後見人制度におきましては、配偶者が当然に保護者となる民法第 840条の 規定が削除されるという方向で検討が進んでいる。配偶者が当然保護者となることがで きる理由の1つとしては、法務省によると民法第 752条の夫婦の同居・扶助義務等に基 づくものもありますけれども、実際には配偶者は必ずしも他の扶養義務者に優先して保 護者となることが適切であるというわけではなくて、今回民法でこのような変更がなさ れるのであれば、保護者についても同様の見直しを行うべきであるといったような考え 方もございます。 「基本的な考え方」でございますけれども、新しい成年後見人制度は、精神障害者の 生活の支援を図る上で最適かつ最も責任を有している存在であるということを考えれば 成年後見人が広く保護者となれることとすべきであり、今回の民法改正にあわせ、保佐 人についても保護者となれることとするべきではないか。  なお、新しい補助人については、基本的に判断能力のある者を対象としていることか ら、原則として任意入院の対象であると考えられるため、保護者の保護の対象とするこ とは適切ではないのではないか。なお、補助類型について、判断能力の基準をどこに設 定するかということが重要であり、今後の成年後見人制度の議論を踏まえ決定していく こととすべきではないか。 保護者の選定に当たっては精神障害者本人の意思を尊重することが重要であるが、保 護者について、精神保健福祉法独自の制度を設けることは困難ではないか。したがって 必要に応じて、行政機関が本人の意思を尊重した申し立てを行う。本人による成年後見 人の選任の申し立てを福祉関係団体等が支援することで、精神障害者の意思を尊重した 保護者を選定することができるようにするべきではないか。 配偶者については、民法改正の動向にあわせ、これを優先的に保護者となるものの対 象から外し、扶養義務者と同等の扱いにすることについて検討するべきではないか。 以上でございます。 ○吉川座長 ありがとうございました。先ほど議論していただいたこともこの中にかなり盛られて いると思いますけれども、いかがでございましょうか。こんな形で考えていってよろし いかどうか。ご意見ございますでしょうか。 ○西山委員 私は、先ほど申し上げたとおりでして、やはり補助人を義務者の候補者に入れる方向 でいった方がいいのではないかということです。それから、先ほど池原委員から言われ ました任意後見に関しても、やはり同じようにしていっていいのではないかというふう に考えます。大体同じだと思うんですけれども。 ○杉中補佐 任意後見については、とりあえず我々の方からは対象としたいということで、法務省 に一度はお話を持っていったところなんで、先ほど言われるような、まさしく任意後見 人に対する考えは、あくまで任意の代理というものの延長線上にあるということと、法 務省の反応は、そんなに多くのことを任意後見人にさせることはできないのではないか と先方は考えています。 ○西山委員 ちょっと具体的に言いましょうか。例えば、医療保護入院治療を受けて退院して、通 院して非常にぐあいのいい人がいるとしますね。しかし心配だというので、補助人をつ けておくと。そして、いざというときには、あなたに保護者になって、医療保護入院が 必要になった場合には同意してほしいといった、そういうことがあってもいいと思うん ですね。それはこれから多いと思うんです。地域医療が広く広がっていくほどですね。 ですから、むしろ補助人を入れた方がこれからはいいのではないかと思っています。 そして、医療保護というのができるだけ短期間で済めば非常にいいわけですから、その たびにいちいち何かしなくちゃならんというふうには余り思わないんですけれどもね。 ○吉川座長 ちょっと意見の分かれているところのような気がしますね。精神科の先生、ほかに何 人かおられますので、その辺のところではどうですか。 ○金子委員  今ほどの西山先生のご意見ですが、いわゆる医療保護入院という強制入院のために補 助人を選んだとして、この前の議論でも、それを範囲、任期が強制入院の期間に限って というふうな、コンセンサスが得られたと思うんです。西山先生は、任期はそうなんだ けれども、その後も補助人を残しておくのが実際の運用上多くなるだろうというご意見 だったのですが、ただ、そうしますと、補助人をつけたこと、またその人が保護者にな ったことが、成年後見制度とだんだんと分離をしていくといったらいいのでしょうか、 あとへ引きずっていくのはどうもイメージ的には望ましくないように思います。むしろ ワンポイントリリーフのような形で、そのときの強制入院、残念ながら強制入院になっ てしまう医療保護入院に保護者として立ち会う、かかわることの方が、むしろ保護を受 ける当事者の側にも納得がいく理屈なのではないかと思います。 ○吉川座長 ありがとうございます。後藤先生、何か。 ○後藤委員 両方の意見に理があるような気がして、前提が成年後見制度という、まだ具体的にな っていないところを前提に論争しているので、私もうまく切り分けられない感じがある のですね。ただ、基本的には補助類型というところは、ご本人の同意を前提としていま すから、多分医療保護のときになったら、補助に立つ人もそれを受けている当事者の方 も、いかに法律でそう書いてあっても、そこのところをうまく切り換えるというのはか なり難しい作業になってしまうのではないか。そうすると医療保護が終わった後、いか に以前は信頼していた人だといっても、今実際に保護者の方と起きているような、なぜ 入院させたというのが、同じようなことで生じてくる可能性、その危険性も少し考えて おかないといけない。 それは恐らく受ける医療が、西山先生がおっしゃったように短期間で一時的なものだ というのをよほどきちんとやっていかないと、せっかく信頼して補助人になった人はそ こでまたごちゃごちゃになっちゃうという可能性もちょっと考えておかないといけない かなと、そんなふうに思っております。 ○吉川座長 わかりました。 ○西山委員 似たようなことが多いので、どの程度議論すべきかはわかりませんが、先ほど言われ たのでは、例えば後見人にしても補佐人にしても、措置入院から出てきた場合は家族が あれば同じになっちゃうんですね。それは補助人だけの問題ではないということがあり ますし、また、補助人の仕事は大体ふだんは財産管理、身上監護でも精神病院にいると いうことはごく例外的で大部分は別の仕事だと思うんですね。だけれども、ちょっと入 院が必要になった。本来は任意入院がいいんだけれども、しばらく任意入院ちょっと心 配だなという場合に医療保護入院の場合には、扶養義務者の方がいいのか。扶養義務者 よりは補助人の方がいいのではないか、こういう順序ですけれどもね。 ○吉川座長 先ほどもまとめさせていただきましたけれども、主なものは成年後見制度そのものが 固まったわけではありませんので、補助人の業務範囲というものがはっきり決まってい るわけではありません。したがって、架空の論議をしているわけではありませんけれど も、どうも今漏れ聞こえてきているものを前提にして議論を進めさせていただいている わけですから、高柳先生が今ちょっと手を挙げられましたので、高柳先生のお話をお聞 きして、そして一たんこれは終わらせていただきます。 ○高柳委員 先生おっしゃるとおりで、イメージが私たちもわかないので、今ぼんやり考えている のですが、西山先生おっしゃったように、なるべく保護者になり得る人たちを増やして おいた方がこれからも地域で生活する患者さんのためにはいいのではなかろうかとうい ふうに私はぼんやり思っています。 ○吉川座長 ありがとうございました。それでは、議論そのものはここで一たん終わらせていただ きまして、一応またあるときに、西山先生がおっしゃった意味での問題が明らかになっ てきた段階でまた議論させていただくことがあるかもしれません。                  (休 憩) ○吉川座長  それでは、一応5、6、7の前回積み残しの分につきましては、まだまだ不確定要素 もあるのですが、とりあえず今事務局の方でまとめさせていただいたものをベースにさ せていただきたいと思っています。  続きまして、本日の資料の中のご説明を進めていただきまして、議論を深めていきた いと思います。それでは、杉中補佐よろしゅうございますか。 ○杉中補佐  それでは、第5回の分ですけれども、「精神障害者の人権の確保」といったことが テーマでございますので、まず現行制度についてご説明をさせていただきます。  まず資料7をごらんいただきたいと思います。これは現行の制度を非常に大ざっぱに 絵にかいてご説明したものです。まず精神病院内における人権、処遇の確保ということ でございまして、大きく分けて3つに分かれるのではないか。  1つは「適切な入院形態」、これにつきましては、措置入院、医療保護入院時等の指 定医等による診察、判定等が行われる。また医療保護入院については、届出を行って、 その後、精神医療審査会における審査が行われる。また、措置入院、医療保護入院につ いては、定期病状報告を行って、これについても精神医療審査会で審査を行う。  「適切な処遇」については、基本的には行動制限といったものに関して各基準、行う ことができない行動制限、指定医の診察が必要な行動制限。また、一般的なその他の処 遇に関する基準といったようなものを設けています。一般的にいうと、37条1項です。  また「適切な医療体制」の整備というのは、これは基本的には医療法の世界で諸規定 を設けております。  これらの違反のある場合ということですけれども、まず、違反のある場合には、入院 なさっている患者が38条の4ということで「退院請求」または「処遇改善請求」といっ たものを行うことができます。それについては、都道府県を通じて精神医療審査会が審 査を行う。場合によっては、退院命令を行ったり、処遇改善命令といった形で行われる  また、必ずしも入院患者本人の申請ということでなくて行政官庁の職権といった様な 形で、必要な報告徴収等を行って、それに基づいて退院命令もしくは処遇改善命令を行 うこともできる。  また、人員配置、構造設備等ですが、これは医療法に基づいて医療監視といったもの を行っておりまして、場合によっては施設の使用制限や管理者の変更命令、病院等の開 設許可の取消といったような処分が行われまして、これらを通じて適宜違反のおそれが ないように担保しているということでございます。  次に社会福祉施設、もしくは「社会福祉事業における人権の確保」といったものです が、これは精神保健福祉法上は独自の規定はございませんで、今はすべて社会福祉事業 法に基づき担保されております。それを大きく分けて、社会福祉法人が行っている社会 福祉事業と社会福祉法人以外のものが行っている事業ですが、社会福祉法人に対しては 国から法人に対して報告徴収、検査等を行いまして、場合によっては改善命令、業務停 止命令、解散命令といったものを国、都道府県知事が行っています。  また、施設に対してですが、都道府県知事が報告徴収等を行うことができて、業務の 停止、許可の取消を行うことができます。  また社会福祉法人以外のものが行っているものですけれども、施設に対しては都道府 県知事が報告徴収、調査。場合によっては業務の停止、許可の取消といったものを行え るようなことになっています。  ただし、社会福祉法人以外のものについては、国が直接その施設に対して指導等を行 うといったようなことはないことになっております。以上でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。  それでは、今、精神病院における人権の確保、図解をしていただきましたので、その 図解に基づいてまず議論をしていただきましょうか。いかがでございましょう。この図 解に特別に今問題なければ、先へ進ませていただきます。 ○杉中補佐  先に進ませていただきます。  それでは資料1に戻りまして、説明をさせていただきます。「精神障害者の閉鎖処遇 について」ということで、これは特に精神病院における閉鎖処遇といったことで、特に 閉鎖病棟等の扱いが非常に多い。もっと開放処遇にしろといった意見が、今回の関係団 体の意見でもかなり多くありました。  まず、その実態について説明をさせていただいた方がいいと思いますので、資料8に 戻していただきたいのですけれども、「入院患者の閉鎖処遇の実態について」、まず、 病棟単位でとらえたものが上のグラフですが、上の黒い部分が閉鎖病棟、これは24時間 出入口が施錠されている病棟です。下の部分がそれ以外の病棟で、平成2年、それ以前 のデータがなかったので、2年からになってしまうのですけれども、以降、半数以上の 病院が平成8年現在でも24時間施錠されているといった現状にございます。  個別の入院形態別の開放率の現状ですが、下のグラフですが、開放というのは、8時 間以上外出が自由な状態を開放として、これは個人別にとっております。患者数ですが 措置入院の開放率は13.9%、医療保護入院の開放率は29.9%、任意入院については、開 放率では53.3%。これは平成9年6月30日現在でそういう状態になっています。  これらを踏まえて資料1に戻っていただきますが、閉鎖処遇についてということです が、昭和62年以前ということですが、精神衛生法時代におきましては、38条において、 「その医療又は保護に欠くことができない限度において、その行動について必要な制限 を行うことができる」とされていました。同条のねらいは、行動制限は必要最小限にと どめるべきであるという趣旨でございましたが、どのような行動制限を行うことができ るか,もしくは必要かについては全く個々の病院管理者に委ねられていた。このような 状況の中で一部の病院等において、過度の制限がなされる等の問題が発生した。  昭和62年の精神衛生法改正に当たってですが、入院患者の人権確保の観点から、具体 的に制限できる範囲を明確にすることとした。しかし、これらの基準をすべて法令にお いて書くことは困難であり、必ずしも適切でないことから、通信面会等の制限を行うこ とができない行動制限というものと、患者の隔離といった指定医が必要と認める場合の み行うことができる行動制限といったものを法令で規定することとし、一般的な処遇の 基準については、別に定めることという形で、37条第1項に基づく患者の処遇の基準が 設けられるようになったということです。  これといわゆる閉鎖処遇の関係ですが、閉鎖病棟における処遇を行動制限ととらえる かどうかということにつきましては、昭和62年改正時にも非常に議論になったところの ようでございまして、最終的な結論から言うと、結局は行動制限というものの中に含ま れなかった。ただし、任意入院患者については「原則として開放的処遇によるべきであ る」といった形の中間メモの段階でまとめられておりまして、運用上開放的な処遇を行 っていくという指導を行うこととされたところであります。  また、平成5年改正時においての公衆衛生審議会の答申においても、当面講ずるべき 改善措置といたしまして「精神病院において、開放処遇を適当とする者については、開 放処遇とすること。この場合、「開放処遇」の概念を明確化すること」という記述がな されております。  「閉鎖病棟処遇の実態について」でございますが、先ほどご説明いたしましたとおり 実際には任意入院患者でも半数程度の患者しか開放的に処遇されていないといった現状 でございます。  このように、閉鎖的な処遇の率が高いことの理由については、なかなかそういう検討 がなされてないのが実態でして、検討が必要であると考えますが、1つ目は、任意入院 患者とその他の入院形態における入院患者が同じ病棟に入院することがかなりあるので はないか。この場合には病棟の患者全てを閉鎖処遇とせざるを得ないとなっている病院 の構造上の問題もあるのではないか。  2番目、これは当事者からの意見としてよく言われることですが、精神病院における 医師、看護婦等のマンパワーが不足しているということで、開放処遇に対応できないの ではないかというような意見もあります。  また、開放処遇に対する、医師の必要性の認識不足、あるいは周辺住民又は家族等の 理解を得ることが困難な場合があることといったことが理由ではないかという意見がご ざいます。  「一般の入院における処遇についての考え」ということでございますが、一部の方で 精神科以外の一般病床についても外出の制限等を行っている場合もあって、精神科にお いてのみ閉鎖処遇についての基準を設けることはおかしいのではないかといった意見が ある場合もございます。しかしながら、一般病床の外出制限については、単なる医師の 指導であって、法的拘束力を持つものではないというふうに考えられております。  したがって、閉鎖病棟における処遇を、一般病床の外出規制と同等に扱うならば、閉 鎖病棟における処遇は、法第36条の行動制限には該当しない拘束力のないものという形 で位置づけるということになります。  「基本的な考え」ですが、開放処遇の概念についての共通の認識がなく、また十分な 検討が行われていないのではないか。必ずしも任意入院患者=開放というわけではない という意見もあって、そのあり方について検討を行うべきではないか。  真に閉鎖的な処遇が必要な場合には、これを一般病床における医師の指導と同様にと らえるのは適切ではなく、むしろこれを行動制限として拘束力のある処遇に位置づけた 上で、その扱いを医療上必要な場合に限定していくこととするべきではないか。  したがって、閉鎖処遇については、その概念を明確にし、これを法第36条第3項に基 づく指定医の診察が必要な処遇又は法第37条に基づく処遇の基準に位置づけることにつ いて検討するべきではないか。  また、開放的な処遇を進めるための病棟構造のあり方や、病棟の新築または改築に際 しての補助のあり方等について検討するべきではないか。  以上でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。この辺のところには実務の、病院などにおられる先生方に とってはご意見のおありになるところかもしれませんので、少し議論いただけますでし ょうか。 ○金子委員  総合病院の精神科のことについて若干御報告と、今現在我々が困っていることについ ても皆さんにご紹介して、ご意見を仰ぎたいと思います。総合病院の精神科で、現在全 国でいわゆるベッドを持っている有床の総合病院の精神科は 249ございます。そこの平 均病床数は77ということでございまして、ほとんどの施設が1病棟単位でございます。 総合病院精神科における特定機能はたとえば合併症医療というのがございますが、合併 症医療も残念ながら閉鎖処遇を必要とするような人が多いわけです。  また、救急や急性期医療にもかかわりたいということになりますと、閉鎖処遇が必要 な方もいらっしゃるということでございまして、ここからが意見の分かれるところなん ですが、開放病棟が前提であると考える医者と、また、閉鎖病棟内であっても開放処遇 がきちんと確約されていればいいではないかと考える医者の2通りがございます。それ は日本総合病院精神医学会でもまだまだ論議が進んでないところでもあるのですが、そ の点から考えますと、先ほどの資料は、閉鎖病棟数の推移であって、個人個人がどうい うふうに処遇されているかということの実態数では…。 ○杉中補佐  それは下の方です。 ○金子委員  下の方にありましたね。そういうことですので、総合病院の精神科のように、1単位 しかないところでどのような施設をつくっていくかが、今後、我々がモデルを提示しな ければならないところであると考えています。皆さんからもご意見をいただきたいと思 います。開放処遇というのは何をもって言うのかということでしょうか。 ○吉川座長  わかりました。ほかに何かこれに関して、どうぞ、高柳先生。 ○高柳委員  私たちの立場から言いますと、やはり問題の多いご提案ですが、基本的な考え方で、 これは今までの考え方と根本的な転換になるわけで、閉鎖処遇が行動制限に当たるとい う解釈は非常に考え方として根本的な転換だろうと思います。私たちの実務の立場から 言いますと、むしろ閉鎖処遇が多いのはマンパワーとかそんなものよりも、やはり問題 行動が起こるかもしれないということの防衛としてあることが非常に多いんですね。そ れはご承知のように措置入院が自由に外出して、代議士を殺したりとか、それが恐らく 今訴訟になるはずでありますけれども、それから、北陽病院の事件もそうでありますし だんだん、そういった患者さんの処遇のあり方が管理上の責任を問われる時代になって おりますので、これは精神病院としてはなかなか難しい問題があると思います。 ○吉川座長  ありがとうございました。 ○西山委員  先ほど金子委員から出された問題ですが、私自身は総合病院の小規模病棟はできるだ け閉鎖病棟にした方がいいということですね。ということは、なぜかといいますと、地 域のいかなる種類の病状であっても、そこで治療できるということであれば、これは閉 鎖にしないといけない。措置入院もできる、医療保護入院もできる。また、地域の人で 入院したい人もあるだろうということになりますと、すべての人が入院できるというの は、これは閉鎖にするしかないですから、しかも日本の例外は別として、総合病院の病 棟は、みんな小規模病棟ですから、これは閉鎖にせざるを得ない。  ですから、任意入院の人の外出をマーク法式なんかで自由にするという方法はあるわ けですから、基本的に総合病院の病棟は閉鎖にする方がよいということですね。 ○吉川座長  ご意見としていただきました。 ○長尾委員  一般に開放処遇が今進められておるわけですが、一部で非常に誤解されているという か、閉鎖処遇が悪であるというとらえ方をされているのは、これは精神医学上必要悪と して閉鎖処遇はやむを得ず病状によってなければいけないと。先ほどの総合病院、特に 身体合併症等々を含めて、これは十分そういう形で閉鎖処遇で受けてもらわなければい けない部分はやはり大きいと思います。  それから、精神病院のマンパワーが不足しているから開放処遇はできないと、これは 違うと思います。幾らマンパワーを増やしても開放処遇できない人はできない。マン ツーマン、または2対1でずっと張りついていて、一緒に24時間できるということであ れば、また別ですけれども、そういうことも不可能であろうと思います。例えばアメリ カ等々の、いわゆる触法患者の処遇しているところでも非常にハードもマンパワーも強 いですけれども、中は開放であっても外に向かってはそういう開放処遇はないわけです ね。だから病状によって、こういったものは決められるべきでものであるから、マンパ ワーそのものが不足しているから開放処遇に結びつかないという発想ではない。ちょっ と違うのではないかと思っております。 ○吉川座長  ありがとうございました。一応ドクターにご発言いただきましたので、ちょっと待っ てください。どうぞ、佐伯先生。 ○佐伯委員  閉鎖病棟と閉鎖処遇あるいは開放処遇との関係なんですけれども、それから、西山先 生のご発言に関連しての質問なんですが、閉鎖病棟に収容されているが、希望すれば、 自由に外に出れる。少なくとも通常の日中の時間であれば、外に出れるというような扱 いの場合には開放処遇と呼ぶのか、閉鎖処遇と呼ぶのか、どちらを前提として議論がな されているのかということが1つ、これは言葉の整理の問題です。  次は現実の問題ですが、現実の問題として、現在、閉鎖病棟に収容されている例えば 任意入院の患者さんについて、希望すれば自由に外に出すというような扱いがどのぐら いなされているのかという点について、もしご存じでしたらお教えいただきたいと思い ます。 ○吉川座長  とりあえず厚生省が出している数字は。 ○杉中補佐  開放処遇、閉鎖処遇については、実際のところは明確な基準というか、定義はござい ません。ただし、個人で自由に出入りできるというのも一応開放という感じで、今回の データでは扱っていただいています。  そういう状況の中で任意入院患者で8時間以上の外出の自由がない方が47%程度おら れるということです。 ○吉川座長  ありがとうございました。一般的に精神科の病院ではどうでしょうか。 ○長尾委員  数字は今明確ではないんですが、日精協でも総合調査というものをやっておりまして その中でいわゆる開放処遇というものは一応8時間以上と。閉鎖は完全閉鎖、また、一 部部分開放という形でデータをとっておりますので、それは主治医の判断によって、患 者さんによっては自由にできるという形。もう一つは、8時間以内の部分開放であると いうような形でちょっと調査していますが、実際の数値は今のところ失念しましたけれ ども、部分開放は結構多いのではないかと思います。 ○吉川座長  そうですか。 ○伊藤委員  2つ問題あるのですが、総合病院における開放化の問題というのが出ていましたけれ ども、総合病院については、私も現実には総合病院に入院される方について、精神症状 がそれほど重くないのであれば、一般病棟で診れるはずですので、施設外収容の問題が ありますけれども、その問題が整理されれば、できるだけ開放的に、内科とかで診てい ただくことができるわけですから、閉鎖病棟という形になるのは当然でないかと思うん ですね。  ただ、総合病院を離れまして、精神病院に限って言いますと、やはり開放病棟と閉鎖 病棟が両方あって、バランスは病院の役割によって違うと思いますが、そういう場合に は原則として閉鎖病棟には任意入院の患者さんは入らないということが原則としてあっ てしかるべきだと思います。  患者さんの立場に立ちますと、任意という形で入院契約を結んだのに、かぎのかかる 病棟に入るというのは、これはなかなか納得できることでないわけですね。確かに自由 に外出できるはずなんですけれども、現実に病棟を運営していますと、やはり閉鎖の方 の処遇にあわせてなかなか自由に出入りできないという実態が生まれちゃうんですね。 そういうこともありまして、やはり任意入院については開放を原則とすることはきちん と打ち出しておいた方がいいのではないかと思います。  それから、現実には、先ほど総合病院の場合に出たように、閉鎖に入らざるを得ない ことはあるわけですが、その場合については任意入院についても、ある一定期間以上、 閉鎖処遇をせざるを得なかった場合には、その理由なり、処遇の実態なりを定期的に精 神医療審査会に報告すると。任意入院についてもそういう形で閉鎖病棟を認めていく。 そういう歯どめをかけながら、対応していくことが実際的ではないかというふうに思っ ております。 ○吉川座長  ありがとうございます。高柳先生。 ○高柳委員  個人的なことを申し上げて甚だ恐縮ですが、今、伊藤先生おっしゃったことに関して 話しますと、私のところの病院は62ベッドなんですが、閉鎖が20、開放が42なんですね ところが任意入院率は、恐らく50%割っているんです。逆に開放病棟に医療保護入院の 方がかなりいらっしゃる。それはどういうことかといいますと、やはり幻覚・妄想が激 しくて、時々興奮なさる方はとてもじゃないけど、任意入院ではできないということで 逆の実態もあり得るわけなんで、そのことだけ申しておきます。 ○吉川座長  ありがとうございました。 ○伊藤委員  私は逆の実態については余り問題がないのではないかと、現実に私どもも医療保護入 院で開放病棟に入っている方が結構おりますので、それについては、人権の観点から言 えば、別に問題ないのではないかという気はちょっとしているんですけれども。 ○高柳委員  病棟構造とストレートに結びつかないということを申し上げたかったのです。 ○伊藤委員  ただ、任意入院でありながら閉鎖病棟に入るということの方は、やはり人権という観 点から見ると、何らかの対応をしておかなければ、逆の場合とは同じには論じられない のではないかということです。 ○吉川座長  ちょっと問題を整理しますと、杉中補佐から出されておりますのは、1つは、閉鎖病 棟に入れるということは行動制限なのかどうか。この問題を議論していただくと、今の ことも少し浮かび上がってくるのではないかと思うんですけれども、今、ここで基本的 な考え方として出されたところは、恐らくそこが中心だろうと思うんですね。その点で は、ご意見いただけませんでしょうか。 ○後藤委員  少し個人的な経験からの話になると思うんですけど、62年の改正以前に、私がいた病 院は民間の病院でして、 270床でしたけど、九十数%まで開放を努力したんですね。で すから、いわゆる閉鎖処遇が人権のためにはよくないという前提でそこまでやったわけ です。  その後、私、別の国立の病院に行きまして、ちょうどそのとき法改正があったわけで す。それで大部分の同意入院者の人たちが7割くらい任意入院だった。ところが病棟構 造は変わらないわけですね。3つ閉鎖あったうち、1つは何とか任意入院主体の準開放 だったのを全開放にしたわけです。残りは閉鎖病棟の中で半分近く任意入院の方が残っ てしまう。こういうのが今までずっと継続しているのではないかと思うんですね。です から、そこの部分をどうするかという問題も1つあるのではないか。  そのときに一番聞かれたのは、ご本人からは余り聞かれなかったんですけど、職員か ら、任意入院なのに何でかぎかけているんでしょうかという非常に素朴な疑問が来まし た。そのときは、夜でも外出したいというと出さなくちゃいけないんでしょうかという ことだったんですね。それは任意入院だから、私はオーケイするんだというふうな形で いわゆる運用上で開放処遇なんだという前提だったと思います。ところがずっと同意入 院されてきた方は、私は9年間そこにおりましたけど、夜中に病棟から出してくれと言 った患者さんは1人もおられなかった。  ですから、これは法律上、建前はそうですけど、基本的にもう一つ重要なのは、患者 さんたちに対するインフォームド・コンセントであり、私たちがそこのところをどんな ふうに、開放とかという処遇を前提として考えるかみたいなことがどうも問われるので はないかと、そんな気がするんです。  ですから、法律上の前提から言えば、任意入院なのに閉鎖病棟に入っている人は、当 然処遇改善要求というのがあるのだから、何か問題があれば、処遇改善要求で出せるの ではないかというのも、それは当然だと思うんですけれども、実際上は、それは恐らく 今までの経過の中では、ここで今グラフに出ています任意入院の方が半数閉鎖病棟に処 遇されている。その方々は恐らくそういうことをしていいということを知らない場合が かなりあるのではないかと思います。ですから、そこを前提としたときには、やはり任 意入院の方は開放処遇が前提であるところでスタートした方がいいと思います。法改正 以前に、九十数%まで開放やったとき物すごく大変でしたけれども、その後、基本的に 守る部分もあるからということで少し開放率は下がって運用しましたけど、でも、そう いう経験から言うと、前提は、任意入院が前提ということであれば、行動制限は最小限 にするのが法の精神ではないか、そんなふうに思っております。 ○吉川座長  法律的には何か。 ○池原委員  なかなか考えがまとまらないんですけど、任意入院ということは、要するに自発的に 入院をするという形態ですから、自発的に入院したくなくなれば、当然72時間の制限が つく部分がありますけど、それに該当しない場合は退院をさせなければならないし、し たがって、一時的に外出するとか外泊したいということも本人の意思に委ねられている というふうに考えざるを得ないでしょうから、やはり原則は開放処遇。私が理解する開 放処遇は、多分物理的あるいは人的な拘禁設備のない施設が開放施設だという、刑事法 関係ではそんなふうに定義されますけれども、そういう開放的な施設でなければいけな いことになるのでしょう。  そうすると任意入院の患者さんで、急にどうしても閉鎖で処遇せざるを得ない事態に なったときにどういう方法をとることになるのかというと、恐らく行動制限という形で 閉鎖処遇をするという「基本的な考え」の方の行動制限に当てはめて考えるか、入院形 態を切り替えるかというどちらかの方法をとるしかないということになるのだと思うの です。  個人的には、急に医療保護入院に切り替えるといっても、今度保護者の選任との関係 という問題が出てきてしまうので、そう長期間のものでなければ、一時的な閉鎖処遇と いうことを原則にして考えるなら、行動制限という形でやってもいいのかなといった印 象は持っています。 ○吉川座長  ありがとうございました。佐伯先生どうでしょうか。 ○佐伯委員  理想的には私も開放処遇というのは、かぎのかかっていない開放病棟で入院するとい うのが望ましいことだと思います。ただ、西山先生がおっしゃったような問題があって もし、やはり閉鎖病棟に患者さんを入院させることは現実的には必要であると、もしそ ういうことがあれば、閉鎖病棟に入院しているけれども、しかし自由に出入りできる、 希望すれば、合理的な時間内であれば外に出れる、というのであれば、任意入院の場合 には閉鎖病棟に入れてはいけない、あるいは入れる場合には行動制限に当たる、それに ついては特別の制限がある、というところまで言わなければいけないかというと、そこ までは必要ないのではないかと考えます。 ○吉川座長  ありがとうございました。何かほかにご意見ありますか。 ○金子委員  総合病院の精神科について最初にお話を出してしまったものですから、皆さんの議論 が少し複雑化したのかとは思いますが、西山先生のご意見と伊藤先生のご意見を伺って 私が考えたことは、まず入院の制度と処遇はやはりパラレルであるべきだろうというこ とです。  それともう一つ、処遇は個人のものであって、病棟単位のものではないだろうという ことです。ですから精神保健福祉法の入院形態の基本が任意入院にあるのであれば、当 然ながら、その処遇は開放処遇にはなるとは思います。ですから、先ほども出てきまし た人権の点から考えますと、任意入院者がもし閉鎖病棟にいるのであれば、伊藤先生の ご意見のように何らかのチェックは必要だろうと思います。それが実は総合病院の精神 科で、できるだけ開放病棟にした方がいいのだという医者の意見の根拠です。逆に言え ば、閉鎖病棟であるべきだといった医者も、そのチェックを受けることに関してはやぶ さかではありません。それは当たり前のことだと思うんす。  それから、もう一つは、今回の精神保健福祉法の改正には直接関係がありませんが、 自由入院相当の精神症状であれば、一般病床での治療がきちんと促進されれば、すみわ けというんでしょうか、任意入院相当も一部含まれると思いますけれども、一般病床で の治療ができ得れば、少し患者さんの処遇も整理できるのかなと考えております。  もっと言いますと、先ほど外出の規制が云々という話がありましたが、外出の規制ど ころではなくて、抑制というような手段は一般科においてもごく日常的に行われており ます。そこに関する人権のチェックは全く行われておりませんので、でき得れば、そこ に精神科の医者なりが専門的な判断をもって、根拠を与えうるようなシステムが今後必 要なのだろうなと思います。それはこの法の中には含まれないかもしれませんが、ある 程度、例えば意見書、提言書の中では触れていただいてもよろしいと考えます。 ○吉川座長  わかりました。今の問題はたびたび話が出るところでございまして、精神科医療だけ ではない。精神科医療はむしろ精神保健福祉法でこれだけいろんな縛りがかかっている 縛りの全くかかってないところの実態をもう少し明らかにしろという話はよく言われる ことであります。  さて、先ほど私は5の「基本的な考え方」というところで、最初に行動制限の話をい たしました。この行動制限を拘束力のある処遇ということで考えていくかどうかという ことを少しご質問いたしました。  また、皆様方のご議論の中で、任意入院患者=開放、気をつけなくちゃいけないのか どうかということに関しても幾つかのご意見いただいて、少しずれがまだあるような気 がいたしますけれども、いずれにしても、これらのことはこれから議論していかなけれ ばいけないということ。また、実際の病棟が50床ぐらいの単位ででき上がっているとい う現実の問題を抜きにして、幾ら理想的なことを言ってもなかなかできない問題があり ますので、その辺のところも踏まえて、ここに書かれました1、2、また、実際には3 のあたりのところを、こんなことでまとめさせていただいてよろしいか。これに対して もう少しこういうところをということがあれば、強調していただいてよろしいかと思い ます。 ○竹島委員  若干、重なってしまうかもしれませんけれど、医療保護入院の場合は指定医が入院の ときに入るわけですから、実際に 2の場合に、日常の診療の中で開放から閉鎖に移りま した、また戻りましたとか、いろんなことがあるわけですが、どこまでの範囲を含めて 指定医が関与するという考え方をとるのかという部分も現実の中では、もし、それをそ のためにしなければいけないというような考え方があるのかどうかというところが1つ 気になっているところです。  それから、今、「開放」「閉鎖」という言葉で言ってしまいますと、私は今の8時間 以上の開放とか閉鎖ということ自体が、その病院の運営を余り実態としてあらわしてな い可能性がかなりあるので、そういう意味では、閉鎖病棟の問題というよりは病院の閉 鎖性の問題が一緒にごっちゃにされて議論してしまうと、先に進まなくなってしまうと いう気がするのです。  そういう意味では、1)にありますように、もう少し開放処遇といいますか、病棟では なしに病院の閉鎖性という問題を別に切り離して、それはきょうの資料の中でもありま すけれど、精神病院の実地指導等の問題として別個に切り離して議論をしていく方がよ り進むのではないだろうかという気がいたしました。  もう一点は、任意入院と医療保護の問題ですが、できるだけ入院の時点では任意入院 にするという方向があるわけで、片方でいったら、自殺念慮の強いような方をどう処遇 するか。本人は任意入院でオーケイと言うし、また、あなたの場合は閉鎖に移動します といったら、本人がオーケイするというような場合もありますし、そういう意味では、 入院時の方向という部分と、実際に必要な処遇というものは若干ずれが生じていくとい う問題が出てくるのではないかという気がいたします。そこの部分では、先ほど言いま した病院自体の閉鎖性という問題を別個に議論していかないと、いつまでもなかなか合 わないのではないかという気がしたんですけど。 ○高柳委員  先ほどから向い側とこちら側と非常に対立的な、決して他意はございませんけれども やはり 2が私は問題だと思いますね。文言を読みますと、やはり閉鎖的な処遇は少なく とも拘束力のある処遇にカウントして行動制限に当たるはずなんだというふうな医療実 態を無視したような前提がやはりこれは非常に困ると。竹島先生おっしゃいましたよう に、実際閉鎖処遇の中の病院の実態が問題なので、そこのところは抜きになって形だけ が残るとこうなるのだと思うんですね。私はそこがちょっと困ると思いますね。 ○吉川座長  もう少し具体的に、そうしましたら、こういう文言をどんなふうに変えたらいいのか ということも今までの議論を踏まえて考えていただけるとありがたいですが。 ○長尾委員  これはいわゆる病棟ということで考えると、今の議論がずっと平行線をたどると思う んですね。閉鎖病棟であるから行動制限としてとらえて、それを拘束のある処遇に位置 づけるということであれば、これはすべて医療保護入院に置き換えなければいけない。 指定医の判断でなければいけないということになるわけですね。  そうでなくて病棟構造が例えば閉鎖であっても、先ほどのような任意入院で開放処遇 を個人的に行うという形であれば、それはいいのではないか。ですから、そういうこと を置き換えないと、病棟構造だけを問題にして、その病棟は閉鎖であるから拘束力とい う形でとらえてしまうと、これはやはり問題になると思います。ですからもう少し柔軟 な対応ができるような形で、任意入院と行動制限ということを考えておかないと、動き がとれなくなってしまうような形が出るのではないか。  人によっては慣れたといったらおかしいですが、患者さんによっては、自分からこの 病棟へ行きたいという方たちももちろんあるわけですね。閉鎖病棟のここの病棟へ行き たいという人もあるわけなんで、そういう場合も、逆に病棟が閉鎖であれば、その人は 医療保護にしなければいけないというようなことになり得ると。ですから余り病棟構造 と任意入院、医療保護入院ということを余り厳格にしない、もう少しフレキシビリテ ィーがあった方がいいのではないかと思います。 ○杉中補佐  ちょっとお聞きしたいんですが、よろしいですか。 ○吉川座長  はい。 ○杉中補佐  とりあえず今の問題で言うと2つありまして、病棟が閉鎖的構造になっているので、 任意入院患者で開放処遇で大丈夫だろうという人まで閉鎖になっているおそれがあると いうのがまず1点。また逆に、今は本当に閉鎖的な処遇を行う必要がある人についても そのような処遇を行う根拠というものが全然ないんです。だからぎりぎり言われたとき に、そういう人を閉鎖にするよるべがないので、そういうのが必要なときには必要な行 動制限として位置づけておく必要があるのではないかというような形で書いたのが、ど ちらかというと2)という意味なんです。  だから、病棟単位ということで確かにこんがらがっている面はあると思うんですけれ ども、個人的には、個人の病状に応じて処遇を決めることになると思うんですが、閉鎖 的な処遇が必要という人には適切な医師の診察等により、閉鎖的な処遇が必要だという 判断を行った上で閉鎖処遇という形にすべきではないかというのが意見であって、また 必ずしも指定医という形で今のところ言っているわけではございません。閉鎖処遇につ いての様々な意見がある中で、何らかの明確な位置づけをする必要があるのではないか ということが問題意識であって、必ずしも何でも開放だということを書いているわけで はございません。  逆に今閉鎖処遇をしている人も隔離室に入っているような人はともかく、閉鎖病棟に いる人は、閉鎖病棟にいなければならない根拠がなかなか明確にされてないといった問 題がありますので、そこは明確に位置づけをする必要があるのではないかという意味で 書いたんで、それについてのお考えを。 ○吉川座長  そうですね。そこのところで、佐伯先生。 ○佐伯委員  前提の質問なんですけれども、現行法のままでは閉鎖処遇は36条1項の行動制限に 当たらないと解されているのでしょうか。 ○杉中補佐  今は閉鎖処遇は行動制限の基準の中に入っておりませんので。 ○佐伯委員  それは3項の行動制限のうち、指定医が必要と認める場合でなければ行うことができ ないという意味での、厚生大臣の指定がないということなんですか。それとも36条1項 の行動制限にも当たらないということなんですか。 ○杉中補佐  行動制限に当たらないことだと思います。行動制限というものの基準は37条で書いて おりますので、その基準の中に書かれている行動制限は、通信面会の制限と、あとは隔 離もしくは拘束といった形で、限定列挙的にされておりますので、現状で言うと、いわ ゆる行動制限の中には入らないと。 ○佐伯委員  それは厚生省の解釈によると。 ○杉中補佐  そうです。 ○佐伯委員  閉鎖病棟に入院させて、その病棟から外に出さないという行動の制限をしながら、36 条1項の行動制限に当たらない。もちろん3項で指定医が必要と認める場合であること を要するかどうかというのは、また別の問題ですけれども、36条1項にも当たらないと いうのはちょっと無理のある解釈ではないかという気がいたします。  ですから現行法のままでもやはり、閉鎖病棟に入れて閉鎖処遇をするということにつ いては、行動制限であるというふうに解することは可能なんではないでしょうか。池原 先生にお教えいただければ。 ○池原委員  実は私は余り行動制限だとは思ってはいなかったんですね。むしろ、どちらかという と、入院形態と閉鎖と開放をかなりパラレルに考えるという考え方に立っていましたの で、措置入院とか医療保護入院の場合には閉鎖病棟での処遇が予定されているだろうと そして、任意入院の場合には開放病棟での処遇が予定されているだろうというふうに考 えていたのですが、ただ、文言の、法律の条文をそのまま素直に読めば、当然ある一定 の場所から出ることを禁止するのは当然行動の制限ですから、いわば、それは行動の制 限であって、むしろ医療保護入院が当然閉鎖施設での処遇を予定しているという文理上 読むことの方がかえって逆におかしいかもしれないですね。  医療保護入院というのは入院をさせるというだけであって、どういう病棟に入院させ るのかというのはまた別の問題ですから、ちょっと若干思いつきの議論でかえって混乱 させちゃうかもしれませんが、条文だけで解釈すると、入院形態と閉鎖か開放かは関係 がないことであって、閉鎖か開放かというのはむしろ行動の制限の要否というところで 判定されるべきことになるのではないか。そう解する方が条文の文理としては筋が通る ように思います。 ○佐伯委員  もう一度つけ加えて確認なんですけれども、閉鎖病棟に入院していても自由に外出で きる場合には、私はそれは開放処遇だと言っていいと思いますし、36条の行動制限には 当たらないと思います。あくまでも閉鎖病棟に入院していて、自由に外に出られないと いう場合が閉鎖処遇。もちろん開放処遇は閉鎖病棟で行わない方が望ましいとは思いま すけれども、その点は確認しておきたいことです。 ○吉川座長  ありがとうございました。 ○池原委員  実態なんですけど、私もよくはわかりませんが、当然かぎのかかっている病棟で、患 者さんによっては出たいといったときに、当然かぎ開けていただいて出していただくと いうので、それが全く何らの制限なしに当然言えば必ず出られるということであればい いんですけれども、場合によって、実態としてはそこにある種の躊躇を患者さんの側が やっぱりいちいち言わないと開けてもらえないということとか、あるいは状況によって は、そこである種のスクリーニングというか、チェックがされて、ちょっときょうはや めておきましょうねみたいな話が出てくるということになると、若干自由に対する制限 が実態としてはあるのではないかなと。結局かぎのついている施設で、言えば出しても らえるんだから自由じゃないかといっても、やっぱり実態としてはハードルがちょっと 残っているような感じがするんですけれども、その辺は現実の病院の運営ではどうなん でしょうか。 ○後藤委員  その件に少し関連しますが、先ほど何が何でも任意入院は開放だと、全然そういうつ もりはないんで、医療実態はよくわかっております。  今、池原先生がおっしゃったように、任意入院の方で、私は慣れた閉鎖病棟の方がい いというのは、それで開放処遇でいいというのが今の基本的な考えです。けれども、そ れをそうだということを本当に保証がどうできるのかということが問題で、その保証が できてない場合には、やはり任意入院の人は開放であるという前提がないと多分困るの ではないかと。  それから、一般科の病院でも夜かぎかけますね。正面玄関にかけちゃう場合もあるわ けですね。そのときに、看護婦さんにちょっと出たいんですけど、まあ、やめておきな さいよという、それは病院との治療契約として、夜、外出しないとかというのをやるわ けですよね。だから、任意入院者の方の外出とかの制限は、これは明らかに病院とのそ ういう治療契約の1つだということがきちんと保証されていくことが必要なのだと思い ます。ですからその辺がどうできるかということが論議されればいいのではないか、そ んなふうに思いました。 ○吉川座長  どうぞ、守屋先生、初めてですから、きょうは。 ○守屋委員  私は、数年前まで総合病院の開放病棟で仕事をし、現在は全閉鎖病棟の病院にいます 前に勤めていた開放病棟でも、外出してはいけない、何々してはいけないという閉鎖的 処遇をしなければならない患者がいました。一方、今勤務している全閉鎖病棟でも、私 どもは「安静度」という言葉を使っているのですが、自由に外出することのできる患者 さんが非常にたくさんいます。  このような経験から、開放病棟であっても閉鎖処遇をされている患者さんはいますし また、閉鎖病棟の中にいても自由に外に出ていけるというような場合もあります。一方 開放病棟であっても閉鎖的処遇をしていることがあります。従って閉鎖病棟であれ、患 者さんを一律に閉鎖処遇することが問題だと考えています。 ○吉川座長  ありがとうございます。いろいろと議論の分かれたところですけれども、少しずつ集 約してきたような気がいたしますが、一律に閉鎖病棟ということを行動制限の場として 考えてしまうのはちょっと危険があるのではないか。あるいはそこまでは言えないので はないだろうか。  そして、個々のケースに関しての処遇として、閉鎖的な処遇、開放的な処遇というこ とを考えていかなければいけないのではないかと、実践をされている方々からのご意見 がほぼそういうふうにそろったような気がするんですね。  問題は、先ほど杉中補佐が言われたように、閉鎖処遇というものがなぜ必要なのかと いうこともそのところで説明しなければいけないし、いやいや、実際には私たちのとこ ろは閉鎖病棟にしているけど、全部開放的な処遇をしていますと、こういうふうには説 明できないわけですよね。ですから、その辺のところを考えると、やはり病棟のあり方 と無関係にはこの問題は話が進まないような気がするんですね。実態としては、今、た くさん挙がってきましたので、また、これにつきましては少し言葉の上でいろいろと私 たちの方で考えさせていただきたいと思いますので、一たん、ここでこの議論は終わら せていただきたい。  それでは、その次のところで、「精神障害者に対する法律扶助について」、補佐から どうぞ。 ○杉中補佐  それでは説明させていただきます。まず「法律扶助」という観点が関係しているのは いわゆる国連原則と言われる関係なんですけれども、1991年に採択されました「精神障 害者の保護及び精神保健ケアの改善のための原則」、いわゆる国連原則の中で、精神保 健福祉施設、いわゆる精神科の医療施設に対する不服申し立て等にかかる法律扶助につ いて次のような定めがございます。  「原則18 手続き的保証」という中で、「患者は、不服申立て又は訴えにおける代理 を含む事項について、患者を代理する弁護人を選任し、指名する権利を有する。もし、 患者がそのようなサービスを得られない場合には、患者がそれを支弁する資力がない場 合において、無償で弁護人を利用することができる」という規定がございます。  もちろん、現行の精神保健福祉法におきましては、当然入院患者は措置入院に対する 不服申立てや場合によっては精神医療審査会への退院請求、処遇改善請求等を行う権利 を有しておりまして、また、当然本人の代理人である弁護士を選任して、これらの手続 きを行わせるといった権利も有しております。  しかしながら、入院患者に対し弁護人を積極的に斡旋したりする制度はなくて、その 選任は精神障害者個人に任されておるという現状にありまして、また無資力の者に対す る国選の弁護人制度に当たるようなものがないという中で、この原則18というのは、国 連原則の中で現在の精神保健福祉法がこれがカバーしてないところだという指摘を平成 5年以降受けているところでございます。  行政から独立した精神障害者の人権擁護を行う機関としては、精神医療審査会がござ いますが、必ずしも有効に活用されているとは言いがたいという状況がありまして、そ の理由として、精神医療審査会への処遇改善請求等の法律行為を援助する制度が創設さ れていないことがあるのではないかといったような意見がございます。  このような精神障害者の医療審査会への請求にかかる法律扶助及び全般的な財産管理 等も含めたような精神障害者の全般的な法律相談制度というものをつくってくれといっ たような要望がかなり多くございます。  現行の制度ですが、このような中で、地方における独自の取り組みとして、精神保健 法律援助が行われるようになっております。 特に福岡県弁護士会は、1993年に精神医療施設に入院している患者に対して、精神保 健福祉法に基づく退院・処遇改善請求等の援助活動を行うための精神保健相談弁護士制 度を開始しておりまして、福岡弁護士会では、主として精神障害者の処遇に関する相談 援助活動と、精神医療審査会の手続きを代行する代理人活動の2つを行っていると。こ の制度を厚生科学研究にしたものを資料9につけておりますので、また後ほど見ていた だきたいのですが、当初心配していたような弁護士と医療機関側の衝突といったことも なく、うまく機能しているといったような話を聞いております。  また、厚生省の今年度から始めました事業ですが、いわゆる「障害者110番事業」 というものです。これは別に精神障害者だけではなくて、3障害共通の話なんですけれ ども、障害者の人権にかかわる事件が頻発する中で、平成10年度より「障害者の明るい くらし」促進事業のメニューの中で、障害者110番事業というものを創設したもので ございます。それに関する資料も資料10という形でつけておりますので、後ほど見てい ただければと思いますけれども、事業内容といたしましては、年間を通じて電話・来所 による相談窓口を設定し、常設の相談員が対応する。その相談員で対応できないような 専門的な事項については、問題の内容に応じて、法律・教育・行政の関係者からなる 「専門相談チーム」を編成して、訪問などによる相談体制を整備することといったよう な事業を今年から開始しております。  「基本的な考え方について」移らせてもらいますけれども、精神障害者への法律扶助 といったものは重要であると認識しておりますが、必ずしも精神医療審査会の処遇改善 請求等の支援といった限られた範囲で行うより、もうちょっと広い範囲での法律扶助み たいなものを行っていくべきではないか。  したがって、今、各都道府県のレベルの中で、複数の県の弁護士会がやっている法律 扶助といったものの活動を今の障害者110番事業に融合させるような形で法律扶助を 含め精神障害者の人権に係る支援全般の相談に応じる体制というものを整備していくべ きではないか。  この場合、障害者110番事業をもっと効果的なものにしていくために次のような措 置を講じることについて検討してはどうか。  1つ目は、精神保健福祉法の第37条第1項に基づく処遇の基準。この中に電話番号の 掲示という中に、都道府県担当課と法務省の人権擁護というのが入っているのですけれ ども、この中に110番事業の電話番号についても掲示する。  また、本人の代理人としての弁護士の面会を拒んではならない旨通知されているので すけれども、あえて代理人ということで必要がないのかもしれませんけれども、例えば 障害者110番事業に基づく弁護士もしくは相談者の面会等について、これを拒んでは ならないといったような形を通じて徹底することによって障害者110番事業に基づく 相談というものをバックアップしていくといったような措置をとってはどうかというこ とでございます。以上でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。これにつきましてはどうでしょうか。法律担当の池原さん の方から。 ○池原委員  特に異議はないというか、私は大変結構だと思います。それで、厚生科学研究の結果 は詳しく読んでないのですけれども、今、杉中さんからご報告いただいたように、当初 福岡県弁護士が当番弁護士制度を発足した当時には、リーガルモデルとメディカルモデ ルの対立みたいなちょっと敵対的な感じで受けとめられた経緯もあったようですが、実 際には活動し始めてみると、かえって医療機関との非常にいい関係ができて、中には余 り理由のないことで、例えば措置入院の理由が十分あるのにもかかわらず不服を言って いる患者さんに対して、むしろお医者さんの側の方で、そんなに文句があるなら当番弁 護士に連絡してみたらどうですかみたいな話で、弁護士が聞いて、理由のある部分は理 由があるという説明をするし、ない部分は、それは無理だよという説明があって、かえ って、それで交通整理ができたりして、無用の対立関係が防げるというメリットもある というようなことも聞いていますので、こういうものが普及していくのはいい医療が行 われていく上では非常にいいのではないかと私は思っております。 ○吉川座長  今後、110番事業がどう展開されるかはまだまだわからないところがありますが、 今、ここで提案されていますのは、110番事業と法律扶助制度をうまくつなげながら 精神障害者の人たちのさまざまなこうした法律的な意味での訴えみたいなものをくみ上 げていく。それは精神医療審査会だけではどうもうまくいかないから、こういう形もと ってみようかということなんですけれども、大体これでよろしゅうございますでしょう か。  もし、よろしければ、そこを通過しましょうか。何か。 ○金子委員  福岡県で行われている当番弁護士制度は非常にいいものだと思うのですね。ただ、地 方分権の世の中だとなかなかこういうものをつくりなさいとは法文には盛れないのかも しれませんが、こういうあり方が望ましいというような書き方などを難しいかもしれま せんが、ぜひ何らかの形で実現していただければと思っています。 ○長尾委員  これで結構だと思うのですが、ただ、逆の面で、ほかのソーシャルワークとか、社会 の生活支援とか、そういった社会資本の整備と市町村のそういったかかわる業務とか、 そういったものも含めて、これをひっつけてやってもらいたいと。というのは、逆に患 者さんの権利を擁護するだけでなくて、家族の方が非常に拒否的であるとか、さまざま な要件もあるわけですね。逆にそういうようなソーシャルワーク的な作用もしていただ ければ、病院も逆に助かる部分もあると思います。そういった面も附帯していただけれ ば、非常にありがたい。 ○吉川座長  ありがとうございました。法律扶助というところから今話は入っていますけれども、 障害者110番の方と重ねていくということは、今、先生が言われたようなこととだん だんと重なっていくのだろうと思いますので。 ○池原委員  2つほど申し上げます。1つは日弁連(日本弁護士連合会)ですが、こちらでは、恐 らくこういう形での何らかの予算がつくことになるとすれば、全国の弁護士会の単位会 でこういうシステムをつくるという方向はほぼ内部の委員会では議論されていますので ある意味では法律に、もちろんお書きにならなくても、こういう予算がつけば動くだろ うと。  それから、もう一つは、今、長尾先生がおっしゃってくださったことの関係なんです が、愛知県弁護士会でも昨年から当番弁護士事業みたいなものを始めていまして、そこ で、実は当番弁護士になった方から、私の方がちょっと1回相談を受けたというか、悩 みを聞いたんです。つまり実際に当番弁護士で行ってみると、医療機関の側の方でも実 は退院できるんですよと。ところがなかなか家族が引き受けてくれなかったりとか、適 切なグループ訪問がなかったりして、実際には退院がうまくいかない場合があって、そ ういうところが実のところ、実際の当番弁護士やってみると一番悩みのところなんです ねということをおっしゃっていて、そういう意味で言うと、弁護士の方もだんだん勉強 してきて、ある意味では権利なんだから出せと、そういう対応の仕方ではなくて、やっ ぱりいろんな社会資源あるいは社会資本との組み合わせを考えながら動き始めているの で、非常にそういう点では将来的に期待できるのではないかと思っています。 ○吉川座長  そうですか。ありがとうございました。  それでは、原則的には先ほど申し上げましたこれは大体通過ということで、次に精神 病院に対する指導監督について、これを最後にしたいと思います。 ○杉中補佐  それでは説明させていただきます。「精神病院に対する指導監督について」でござい ます。  ます「現在の制度について」でございますが、先ほども説明を若干いたしましたけれ ども、昭和62年の改正以前は、精神病院に対する指導監督として、精神衛生法第37条に 基づく都道府県知事の審査、もしくは違法な場合には人身保護規則、これは人身保護法 に基づく救済措置及び、医療監視及び都道府県による実地指導が行われていたわけです が、宇都宮病院事件のような病院内での入院患者への処遇問題に対して、これらの措置 が有効に機能しなかった。  そこで、昭和62年の改正時に入院患者の処遇の基準を設けるとともに、第3者機関で ある精神医療審査会を創設し、処遇の改善請求や退院請求の審査を行わせることとした ところでございます。  また、医療審査会の請求を受け、また、都道府県知事が必要な調査を行うために、法 第38条の6による報告徴収規定(いわゆるこれは立入検査等の規定でございますが)を 設けて、精神医療独自の立入調査権限を設けるとともに、問題がある場合には、法38条 の7に基づく改善命令等を行う規定を設けたところでございます。  しかしながら、これらの見直しにもかかわらず、近年になって、再び精神病院内での 不祥事が多発している状況にございます。最近のものとして、資料11に書いております ので、これもまた見ていただければと思うんですが、精神病院における不祥事件が多発 しているという状況にございます。  これらの不祥事件の原因としては、諸方面の意見を加えると以下のようなものが挙が っております。  1つは、問題病院の多くは、その人員配置が医療法の基準を下回っていることが多く 必要なマンパワーを確保できていないということから、入院患者の処遇について十分な 目配りができる状態になかった。特に大和川病院などは、看護婦が必要数の半分程度し かいなかったというような実態がございます。  なお、人員配置基準については、精神科特例自体に問題があるとして、その見直しを 求める意見等もございます。  また、応急入院制度や精神科救急体制の不備により、大和川病院等の問題病院に、一 般の病院では引き受けたがらないような患者(薬物依存患者等)が集中したが、これら の病院では、十分な医療を行う体制にないことから、これらの患者を管理するために不 法な処遇を行うといったことから不祥事が発生した。  3つ目は非常に意見が多いのですが、精神医療審査会というチェック機関が有効に機 能していなかった。 4番目ですが、これは医療監視ともども言われていることですが、従来の精神病院の 実地指導、いわゆる行政による監査が事前に十分な準備予告期間というものを置いて行 っているものであって、また、その審査自体も形式的な審査が中心であったことから、 患者の処遇に重点を置いた審査が必ずしも行われていなかった。  また、現行精神保健福祉法では、行政指導や改善命令等に従わないような悪質な病院 の存在を想定していなかったことから、改善命令に違反した場合の罰則規定やそれに違 反した場合の行政処分等がないため、命令を担保する手段がないこと。このため、都道 府県等も改善命令を発することに躊躇していたというような実態がございます。  なお、医療機関に関する処分としては、医療法に基づく開設許可の取り消しといった ような処分がございますが、医療法自体は病院の人員配置や構造設備等を規定したもの であり、入院患者の処遇に対応したものではございませんので、入院患者の処遇に問題 があることだけで医療法上の処分を行うことはなかなか困難な状況にあります。  「他法令に基づく処分について」ですが、これもまた資料を見ていただければと思い ますが、通常の違反事例といったものは、当該業務を行う施設の取り消しや業務停止命 令といった処分をさらに改善命令等に従わないような病院に対して要しているといった 例が多い。  例えば、薬事法におきましては、単なる改善命令だけでなくて、改善が行われるまで の間の業務の停止処分も規定をしております。また薬事法又は法律に基づく処分に違反 した場合には、開設許可の取り消しを行うことも規定しています。  「基本的な考え方」ですが、先ほど言いました中での実施指導の行政監査のあり方に ついては、既に平成10年3月の厚生省関係局長・部長通知で、その方法の見直しを行っ たところでございます。これについては、資料7の絵を書いた2枚の後ろ側につけてお りますので、後ほど見てください。その中で必要に応じては予告なしの監査といったも のも規定したところですので、それに基づいて引き続き適切な運用を行っていくべきで はないか。  精神病院におけるマンパワーの充実もしているために精神科特例等を見直すといった 方法も考えられる。しかしながら、問題病院の多くは現行の基準も満たしていないこと から考えましても、新しい基準を設けたとしても、恐らく問題のある病院は、その新し い基準をも遵守しないおそれが大きいと考えれらる。したがって、人員配置基準の見直 しを行っても、それは改善命令や行政指導等にも従わないような問題病院への対策とい ったものにはならないのではないか。  一部の問題病院が夜間の救急患者や処遇困難患者等の受け皿になっていたのは事実で あり、緊急医療の体制整備を行う必要がある。なお、救急もしくは応急病院は別のテー マに挙がっておりますので、後ほどこの委員会で取り上げる予定です。  しかしながら大和川病院の例ですが、精神医療審査会の結果、入院医療の必要性がな いといって退院命令が出された患者がかなりたくさんいたといったことからもわかりま すように、これらの病院においては、実際には入院医療の必要性がない、いわゆる社会 的入院の患者の受け皿にもなっていたというような実態もあったのではないか。したが って、救急体制が整備されても、これらの社会的入院患者の受け皿となるおそれがある のではないか。したがって、問題病院への対策というものはやはり必要ではないか。  したがって、入院患者の処遇等に関して著しい問題がある病院や改善命令等に従わな い病院に対しては、入院患者の処遇の確保のために、当該病院に対し、何らかの処分を 行えることとし、改善命令の実効性を担保する必要があるのではないか。  処分の方法としては、改善命令に従わない者に対する罰則といったものも考えられま すが、裁判手続き等に長期間必要であることから、入院患者の処遇といった緊急に対応 が必要な事項への対策としては不適切ではないか。  このようなことから考えますと、改善命令等を担保するために行政処分による介入と いったものが適切であると考えられます。精神保健福祉法を改正し、入院患者の処遇等 で著しい問題がある病院や改善命令等に従わない病院に対して、国又は都道府県知事が 以下のような処分を行えることとすることについて検討してはどうか。  1つ目は、改善が行われるまで、又は期限を定めて業務の一部又は全部の停止を命ず ること。  2つ目としては、問題が著しい病院や繰り返し違法行為を繰り返す病院に対しては、 医療法の特例といたしまして、開設許可の取り消しを行うこと。  以上でございます。 ○吉川座長  ありがとうございました。いかがでしょう。これあたりは現実に病院においでになる 先生方にとっても、また考えをむしろここで深めていただけるとありがたいと思います が、どうでしょうか。  精神病院の不祥事件は、特定精神病院だけと切り捨てたような形で考えていくのか、 それとも日本の精神病院にどこかに共通するものがあると考えていくのかということに よって少し意見が分かれるところかもしれませんが、いかがでしょうか。 ○長尾委員  今、日本の精神病院に構造的に共通するものがあるのではないかという言葉には若干 異論を差し挟みたいのですが、私はこの不祥事は、日本の精神医療制度の欠陥があらわ れてきていると思うんですね。宇都宮病院事件が起こった際にもやはり適切な処置がと られていなかったということがあると思いますし、それが今回の大和川病院等々にもつ ながってきていると思うのですが、これは今後恐らく論議される救急問題であるとか、 そういったところにも、触法問題といったことも含めて論議されなければいけない問題 が多々あると思います。  やはり大和川病院がなぜそういう形でどんどん受けていったのか、そこもやはり公立 病院の役割も果たせていなかった部分等々も含めて論議されなければ、その不祥事だけ を取り立てて問題にすることは問題の矮小化につながってしまうのではないか。もう少 し大きな全体の精神医療制度の視点からこれは見直していかなければいけないと私は思 います。 ○吉川座長  ありがとうございました。ほかにいかがでしょう。 ○高柳委員  こういう問題は、精神病院協会の一員といたしまして、非常に耳の痛い、私たちも何 とかしたいと思っているんですが、1つはこういう事件が出てきますと、考え方は2通 りあるんですね。先生がおっしゃったように、その病院独自の問題であるという考え方 と、あるいは精神病院システムに何か問題があるのではないかといった2つのとらえ方 があると思うんですが、こういう事件は、私はどのような職種、どのようなフィールド でも起こりうる問題であって、それが精神病院だけに起こってきている問題ではないの だということですね。  皆さん前にして申しわけないんですが、やはりいろんな問題が官界でもございました ですね。そこの問題を起こす人たちに焦点を当ててぎゅっとやるのか。あるいはそれは かなり例外的なことだから、あとは医師の裁量に任せて、もう少しきちんとやるように モラルの問題としてとらえていくかということなんですね。そういう1つの極端な事件 が出ますと必ずこういうリアクションが出てくる。  そうしますと、大抵の良心的な病院、いい医療をやっている病院は非常に医療が窮屈 になってまいります。これが現実でありまして、いわれのない疑いをかけられて、非常 にエクスキューズに困っちゃうという構造になるわけですね。そこら辺の発想は少し精 神保健福祉課も変えていただきたいと私はまず思います。 ○吉川座長  ありがとうございました。そのあたりのところではいかがでしょうか。今、ここで出 されたのは指導・監督についてという視点から議論していただくことになっていますの で、よろしいですか。 ○後藤委員  救急医療体制の問題とか精神医療を提供する体制の問題とかというふうなことで、長 尾先生と高柳先生から今お話があったわけですが、例えばお金を着服したとか、暴行・ 傷害を起こしたというような刑事事件として取り上げられるようなものはそれとは余り 関係がないのかなというふうに私は感じます。ですから、例えば刑事事件で分かるのだ から、精神保健福祉法では何もしなくていいではないかというのは、はっきり言うと理 屈に合わないといいますか、精神保健福祉法上も何らかの手続きができ得るようにした 方がよろしいのかなというふうには思いますし、あと、また何か窮屈になるというよう なご意見もございましたが、こういうものがきちんと前提としてあった上で、我々がき ちんとした医療を提供することは何ら窮屈にはならないのではないかなと、モラルの最 低限を定めてあるわけでございますから、何ら窮屈になる必要はないのではないかなと 私個人的には感じます。 ○長尾委員  いや、決して問題が多いのをそのままにしておいていいとか、放っておくという話で はないんですね。それはそれとしてしなければいけない。あとの残る病院をきちんとや るためにもある部分はきちんとしていってもらいたいのはありますが、それの大もとの 部分もきちんとしなければ、解決にはならないというところを言いたいのです。 ○吉川座長  ありがとうございます。当然のことを、今加えられたのだと思いますけれども、何か ご意見としてほかにございますでしょうか。かなり具体的に法文上にこういうものを盛 ってもいいのではないかという「基本的な考え方」のおしまいの方に書いてございます けれども、その辺のところもご了解いただけるでしょうか。 ○佐伯委員  52条が罰則として退院命令についてだけ罰則かけていて、改善命令にかけなかったと いうのは、立法する際に何か議論があったのでしょうか。例えば改善命令というのはご く漠然とした形で出されるとすると、それに対する違反はなかなか明確性の点で罰則が かけにくいことがあるのかなとも思うんですけれども。 ○杉中補佐  その理由はわかりません。改善命令が自体が不明確であることはないと思います。 ○佐伯委員  罰則による担保が必要だという点では、退院命令に違反して退院させない場合には監 禁罪にもなり得るわけですから、もちろん罰則が実効的かどうかというのは疑問もあり ますけれども、罰則をかけるという意味で改善命令をあえて外すどういう理由があった のかよくわかりません。 ○杉中補佐  そのところはわからないので、通常の立法例から見ると多少奇異な感じは私もしたん ですけれども。  あと、大和川病院で考えたのは、要するに処遇改善というのは確認をして見に行った 第1回目は直っているんですけど、また、3カ月ぐらいたつともとに戻っちゃうという ようなことを繰り返し指導して、結局3年か4年ぐらいをかかってしまって、世間で大 きく騒がれるまで行政として有効な手を打てなかったということもございますので、よ ほどの病院でないと改善命令かけて、それに従わないとかというような病院は出てこな いと思いますけど、中にはやっぱり安田病院系列のような、当初から悪意をもって医療 を営んでいるようなものがおりまして、そういうことをやっている医療施設は今後とも 出てこないということは限りませんので、やはりこういうものも必要なのかなという形 で意見を言わせていただいたのです。 ○吉川座長  ありがとうございました。どうぞ、守屋先生。 ○守屋委員  ここに書かれている1、2の罰則規定は重要だと考えます。このような考えは本当に 画期的なことだと思います。ただ、前提として、先ほど長尾先生がおっしゃった、こう いう問題が起こる前提の問題について、十分に我々は議論し検討していかなければいけ ないと思いますけれども、宇都宮病院事件、大和川事件、そのほか精神病院の不祥事件 は昭和40年代からずっと続いています。  そういう状況で、これまで何も罰則規定がなかったということはとても不思議に思っ ていたんですけれども、これは今後絶対にやっていくべきことで、法の中に盛るべきだ と考えています。 ○吉川座長  ありがとうございました。伊藤先生。 ○伊藤委員  基本的にはこの考え方に賛成なんですが、5番目の「基本的な考え方」の2段目、 「精神病院におけるマンパワーを確保するために」の項目ですが、基準はどうするかと いう問題はここは触れないでおいていただきたいような気がするんですね。最低基準を 守らない病院をどうするかという問題なわけです。その最低基準をどこまでにするか、 例えばマンパワーをどうするかという問題は別なレベルで論じるべきことなので、ここ は外していただければと思います。  というのは、不祥事を起こした病院についてはもちろんこういう形でやらなければな らないのですが、それとは別に、医療全体のレベルをどう上げるかという問題は別に論 じなければならないと思っていますので、マンパワーは指導・監督のあり方とは直接関 係ありませんので、ここは抜いていただければと思っています。 ○吉川座長  その辺で、杉中補佐どうですか、今のご意見をお聞きになって。 ○杉中補佐  マンパワー不足がその原因なんだというような指摘がありますので、それ自身と不祥 事対策は別問題ではないかと。不祥事のためにやるとしたら、一般的なちゃんと医療し ている病院を拘束することにはなっても、問題病院を拘束することにはならなくて、対 策としては不適当ではないかということで、これを入れただけです。 ○吉川座長  そういうことですね。わかりました。よろしゅうございますね。 ○長尾委員  ちょっとそれに関連してですが、私もその項目は外していただければと思います。特 に精神科特例については一部を除いて特例はクリアしてきている部分があると思うんで すね。ですから、そういうことも含めて余りマンパワー、マンパワーというのを入れな いでいただきたい。その方がありがたいと私も思います。 ○吉川座長  わかりました。ありがとうございました。竹島先生、どうぞ。 ○竹島委員  これは当然必要なことだと思うんですけれども、やはり実際に指導を行うまでは幾つ かのステップを経ていくと思うんですね。ですから大切なのは、多分自分たちがそうい う処分受けてもそれは仕方がない、社会から見てもそれは仕方のない処分であったとい う認識か行き渡るといいましょうか、通じることが大事ではないかと思います。そうい うことであれば、既存の統計等を使って、当面の指導の基準や、こういう方面について 指導していくのだというあり方、また、厳しい決定をする場合のそういう決定のプロセ スみたいなものが、法文の中ではないですけれども、示されたら理解されやすいのでは ないか。  私は、こういうことを指導していくのだという大まかな方針みたいなものが公開され ることが必要ではないかと思うんですけど、そこのところはいかがなものでしょうか。 ○吉川座長  何か特別に通知みたいなものを出してという、そんな意味ですか。 ○竹島委員  例えば、全体の精神科の病院がこういう姿なのであって、そこの病院の場合にはこう いう問題がある、そういう全体の中でどういう状況であるから、こういうことなのだと いうような考え方みたいなものが何か示せれたらいいのではないかと思ったんですけれ ども。 ○吉川座長  ご意見としてはわかる気がしますけれども、今、どういう形で出すのかなと思って、 今悩んでいました。高柳先生どうぞ。 ○高柳委員  先ほどからちょっと控えていたんですけれども、この問題を議論していきますと、結 局最終的にはネガとポジの問題になるわけで、こういう不祥事の病院がある陰には、い わゆる良質な病院の存在があるわけですね。その問題を取り上げないと、私は罰則だけ では片手落ちになると思います。ですから、もう少し、きょう結論出していただかない で、次回にもし持ち越していただけるものなら持ち越していただきたい ○吉川座長  わかりました。時間もちょっと過ぎましたので、最後、高柳先生おっしゃいましたよ うに、これそのものを結論を延ばすということではなくて、少なくとも問題の病院、あ るいは病院に関しては、指導・監督という視点からは、とりあえずこういう形で考えて いくということだけでもまずまとめさせていただいて、今もお話が出ましたように、確 かにネガとポジで、ではきちんと医療をやっているところはどういうふうにサポートし ていくのかなんていうことはまた機会をつくって議論させていただきたいと思います。  それでは、7時を過ぎましたので、そろそろこれで閉めさせていただきます。今回お 出しいたしました資料は、1、2、3まで終わりましたので、4、5、6の部分を次回 にまたお話をさせていただきたいと思っています。  どうもありがとうございました。これできょうの会を閉めたいと思いますけれども、 次回なんですけれども、6月10日の14時から17時まで。そして、その次でございますけ れども、6月25日、きょうみたいに7時まで予定をしています。  7月に関しまして、7月8日、今のところ時間どおりでやらせていただいて、7月27 日に関しましては、ちょっとあずかりということで予定だけさせておいていただきたい また調整させていただきます。  それでは、これで本日は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。                                   ----了---- 照会先 大臣官房障害保健福祉部 精神保健福祉課医療第一係 高橋(内線3057)