98/05/25 第2回障害者スポーツに関する懇談会議事録    第2回 障害者スポーツに関する懇談会              議  事  録          厚生省大臣官房障害保健福祉部企画課社会参加推進室          第2回 障害者スポーツに関する懇談会議事次第 日 時 平成10年5月25日(月) 16:00〜18:15 場 所 厚生省 特別第二会議室   1 開 会  2 議 事    (1)障害者施策におけるスポーツの意義と競技スポーツの位置づけについて   (2)障害者スポーツの推進方策について        ア 基本的な考え方        イ 具体的課題   3 その他   4 閉 会 〔出席委員〕     青 木 委 員  牛 窪 委 員  大 森 委 員  大日方 委 員     川 原 委 員  中 川 委 員  中 島 委 員  乳 井 委 員     初 山 委 員  藤 原 委 員  八 木 委 員 ○大森座長  定刻になりましたので、第2回の障害者スポーツに関する懇談会を開催させていただ きます。議事に入ります前に出席者の確認をいたします。事務方の方から若干の連絡事 項がございます。  本日も文部省の方にいらしていただいておりますので、適宜御質問、御意見等があれ ば、お聞かせいただくという手筈になってございます。 ○事務局  本日は、大日方委員が10分ほどおくれるという連絡が入っております。  次に若干説明をさせていただきます。議事録でございますが、委員の皆様に事前に送 付をさせていただいておりますが、時間的余裕がなかったということで、そのような意 見も出ましたので、5月27日までに御意見等ございましたら、事務局まで御連絡をいた だきたく、お願い申し上げます。  また、前回の資料の方で若干訂正がございます。お手元に3枚もので「障害者スポー ツの歴史」という頭になっているペーパーがあると思いますが、一番下でございますが 「ICCパラリンピックに関わる全ての権限をIPCに移譲し」というところが、 「1994年ICCは開催した」というふうな表記をしておりました。差し替えをお願いし たいと思います。  次のページでございますが、1981年のところでございますが「スペシャルオリンピッ ク全国大会開催(鎌倉市)」になっていたのですけれども、これは「藤沢市」の誤りで ございました。失礼をいたしました。  次の3枚目でございますが、1981年のところでございますが、「第1回スペシャルオ リンピック全国大会(鎌倉市)」となっておりました。「藤沢市」の間違いでございま した。大変失礼いたしました。以上でございます。 ○大森座長  どうもありがとうございました。八木さん、前回、御欠席でしたね。 ○八木委員  初めて参加させていただきます。日本オリンピック委員会の専務理事の八木でござい ます。よろしくお願いいたします。 ○大森座長  議題に入る前に、前回いろいろ検討事項についてざっと事務局からお話いただきまし た。きょうそれについて少し資料を整えていただきましたので、それが議題の内容でご ざいますけれども、それに入る前に若干の動きがございましたものですから文部省と厚 生省からお話しいただくことになります。文部省からお願いしましょうか。 ○加藤(文部省)  着席のままで失礼させていただきます。文部省の競技スポーツ課の加藤でございます どうぞよろしくお願いいたします。  文部省の方からは、先般、国会の方で手続きを終えまして成立しておるところの「ス ポーツ振興くじ」につきまして、お手元に一枚ものの資料があるかと存じます。「ス ポーツ振興くじについて」という枠囲いのものに沿って簡単に御報告させていただきま す。  1.スポーツ振興くじでございますが、我が国におきますスポーツ振興のための新た な政策を実施するため、その財源確保の手段ということで、このたび導入のための大き な法律上の根拠をいただいたわけでございます。  平成4年来、日本体育協会、JOCからの要請を受けまして、共産党を除きます超党 派の国会議員の先生方の組織であるスポーツ議員連盟で長らく御検討をいただいたもの でございます。  平成9年4月に 140回の通常国会へ議員立法という形で法案を提出いたしまして、国 会での手続きを1つ1つ進めてきたわけでございますが、ことし第 142回の通常国会に おきまして、3月にそれまでの経緯を踏まえて、参議院の方で青少年の健全育成の観点 でありますとか、くじ制度によります収益の配分について一定の見直しがなされ、修正 が加わった上で、この5月12日にございました衆議院本会議で賛成多数という形で可 決・成立になっているものでございます。  2.このくじ制度が目指すスポーツ振興政策でございますが、当初、体育協会、JO Cの関係の皆様から、また、それを受けてのスポーツ議員連盟の方での検討の中でも、 次に申しますような3つの大きな柱を目標として掲げるものでございます。  1つ目は、年齢、活動の場等を問わず、広く国民がスポーツを身近に親しめる環境を つくっていこうではないか。そういう多様なスポーツ機会を確保するなど、地域におけ る生涯スポーツの充実に重点を置くという観点が1つでございます。  ここで具体に議連の方から目標として掲げられましたものが「コミュティスポーツク ラブ」の設置を促進しようということでございまして、目指す目標は全国にこういうク ラブを1万箇所設けて、気軽な形で国民の皆さんに幅広くスポーツに親しみ、楽しむこ とができるような環境整備を図りたいという点。  また、同様の趣旨でございますけれども、もう少し広いエリアで「広域スポーツセン ター」を置いていこうと、これは全国 300カ所という目標が掲げられております。 もう一面は、指導者の点でございまして、そういったクラブやセンターの設置ととも に、地域のスポーツ指導者を養成し、積極的に配置していこうということでございます  2つ目は既存制度とのバランスをとるわけでございますが、既にスポーツ団体の育成 や国際スポーツ大会の開催の支援のためのスポーツ振興基金というものがございますが これについても、このくじ制度の成果によって充実を図っていこうと。  3点目といたしましては、かなりハイレベルの国際級のスポーツ競技施設整備や選手 強化のための拠点(ナショナルスポーツセンター)ということで文部省でも検討を進め させていただいておりますが、こういったものの設置を大きな目標としております。  3.現在、想定されるところのくじの仕組みですが、サッカー・Jリーグのプロの試 合ということで、Jリーグのゲームの結果を、ある意味でこの制度に活用するという仕 組みを基本的に考えております。国会でも議論ございましたが、今、想定されますのは 十数試合の結果をまとめて予想すると。その的中率といいますか、当選に応じまして払 戻金をお支払いすると。これは1つ1つのゲームについて投票するものではなくて、十 数試合まとめてということになりますので、当選確率という面で見ますと、現在行われ ている宝くじ並みを想定しております。国会の審議でも約 160万分の1程度。これはい わゆる射幸性の問題との関係で制度について検討が加えられたと伺っておりますが、宝 くじ並みの当選確率ということを想定しております。  青少年の健全育成と、サッカーの結果を活用してのものということですので、青少年 への影響も非常に多いのではないか。健全育成上好ましくない影響もあるのではないか 非常に幅広い意見を国会の審議でも、または関係の団体の皆さん等々からいただいてお ります。そういった意見を幅広く取り入れまして、国民の幅広い理解をこの制度につい て得るという趣旨で、19歳未満の子供たちのくじの購入は禁止いたしております。  また、そういった禁止を実効あるものにするために販売店の側に罰則を付して、そう いった19歳未満の者への販売を禁ずる。また販売の運用面でも人目の行き届く場所で販 売する、サッカーのゲームの会場で売り出す、もしくは自動販売機でだれでも買えるよ うな形では販売しないなど、いろいろ運用面でも配慮していくというようなことも議論 されました。  払戻金の受け取りについてですが、これは金融機関の方で、きちんとその方の氏名、 年齢等を確認することで適正さを担保しようということになっております。  上がった収益の、スポーツ振興のための活用のあり方についてですが、これは具体に は今後詳細にほかの制度全体のあり方を検討する中で詰めていくことになりますが、現 在までのところ、そこに図で示してありますとおりでございます。全体の売上金の中の 半分を当選者への払戻に充てることを考えております。そして、15%以下となっており ますが、残りの半分のうちの一定の部分を事業運営の経費に充てまして、残った部分を 大きくは3等分する形の制度になっております。3分の1は国庫に納付する形で、残り の3分の2を半分ずつ、これが直接のスポーツ振興助成金ということになるわけですが スポーツ団体と地方公共団体が中心になって取り組む部分とここは分けて半分ずつ助成 に充てていくことを考えております。  また、国庫納付金につきましては、その活用の趣旨を限定としておりまして、やはり 青少年の健全育成や教育文化、または環境問題等のために充当されるという趣旨、限定 がついておる納付金になります。  くじ制度の概要は、ごく簡単でございますが、以上でございまして、具体的にどうい ったふうに制度を立てていくのか、もしくはどんなふうに活用されていくのか、これか ら議員立法で根拠をいただいた上で文部省の方で責任を持って具体的に検討させていた だくことになります。  その上で国会の審議でも、衆議院、参議院両院で附帯決議をいただいておりまして、 その中で障害者スポーツにつきましても、衆参ともに同様のものになりますが、障害の ある人のニーズに対応したスポーツ環境の充実を図るため、関係各省庁の連携を十分図 るとともに、スポーツ振興投票の収益の配分に当たっても十分に配慮することとという 附帯決議もいただいております。  文部省としましては、この附帯決議の趣旨も重々念頭に置きまして、今後およそ2年 ほどお時間をいただいて、西暦2000年から具体の事業の開始を考えております。そこで 収益を上げて、実際の助成金の配分は2001年からになろうと考えられます。  どうぞ、先生方にあられましても、スポーツ振興くじ制度をよろしく御理解の上、引 き続き御指導、御鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。簡単ですが、以上でござい ます。 ○大森座長  ありがとうございました。それでは、引き続いて、スポーツ支援基金の方を御説明い ただきましょうか。 ○事務局  障害者スポーツ支援基金の設置について御説明させていただきます。資料の2でござ います。今国会で審議される予定であります補正予算案に計上されております障害者ス ポーツ支援基金でございますけれども、目的は、長野パラリンピックの日本選手のめざ ましい活躍によりまして、多くの国民に障害者スポーツに関する飛躍的な関心を呼んだ わけでございます。また、多くの障害者につきましても、競技スポーツへの参加に意欲 的になったというところにかんがみまして、競技としての障害者スポーツを着実に発 展・充実させるともに、障害者スポーツの振興を通じまして、障害者の社会参加を推進 するという目的で要求をさせていただいております。  設置主体でございますが、社会福祉・医療事業団。基金額が 300億円でございます。 この運用収入によりまして事業の実施をいたします。 対象事業でございますが、これは現在のところ考えられるだろう案でございますが、 1つは、「障害者スポーツの育成・強化事業」、2つ目が「障害者スポーツ競技用具の 改良 ・開発、整備事業」、3「障害者スポーツ競技団体の育成事業」、4「障害者ス ポーツへの意識高揚のための事業等」でございます。  いずれにいたしましても、この事業につきましては、本懇談会の御意見も踏まえなが ら行ってまいりたいと考えております。以上でございます。 ○大森座長  ありがとうございました。2つについて御説明ありましたが、特段、何か御意見等ご ざいますでしょう。とりあえずこれをお聞きするということでよろしゅうございましょ うか。  基金の方は、補正で計上されておりますので、ことしから、これは動くんですか。 ○事務局  通りますれば、ことしから。 ○大森座長  動くことになりますか。そうすると、私どもの懇談会の報告書は、何らかの形でここ に関係してきますことになりますか。 ○林企画課長  大体の柱立てと申しますか、おおむねのイメージとしてはこの紙で整理をしたとおり でありますけれども、具体的には、基金 300億の利子でさまざまな事業に助成をしてい くことになりますが、その際に、この懇談会での御議論も踏まえたところで、助成の先 あるいは助成の濃淡等も考えていきたいと思っております。 ○大森座長 では張り切ってまいりましょうか。それで、私どもの本日の議題に入りたいと思いま す。資料1がございまして、この前、一応検討課題についてざっと御説明いただいたの ですが、少しわかりやすい形で資料を事務方が整えてくださっています。これから、資 料に則して若干の御説明いただいて、御意見をきょう自由に出していただくということ を考えていますけれども、その議論をしていく途中で、あるいは既にこの前のお示しし ている検討課題のほかに何か検討課題があるとか、つけ加えるべき課題があるとか、こ の課題はこの機会にはない方がいいとか、御意見があろうかと思います。それを含めて きょう御意見をちょうだいできればと思っています。  それから、きょうは時間限られておりまして、でき得れば、事務方と相談しまして、 皆さん方のお手元に「委員意見提出表」という1枚紙がございます。これは最後にお諮 り申し上げるつもりでございますが、これから御議論いただきますけど、とてもきょう だけでは御意見が出し切れないということが当然出てまいります。ほかの人の御意見で もう一度御自分の御意見を出したいという方が多分出てき得ますので、私といたしまし ては、本日の後、御自由にこの意見書を出していただければと思っております。それを 事務方と見させていただきまして、そして次回の私どもの素案に備えたいと思っておる ものですから、そのことを念頭に置いてくださって、これから自由に御意見を出してい ただければと、そんなように運ばさせていただきたいと思いますが、よろしゅうござい ましょうか。  本日、皆様方のお手元に資料1がございますので、次のようにさせていただければと 思います。これまた逐次内容を全部説明いただくとそれで終わってしまいますので、中 の現状と課題、問題点について、その内容を簡単に事務方から説明していただきまして 大きな1がまずございます。大きな1というのは、これの意義や位置づけに当たる部分 でございまして、恐らく障害者スポーツ全体にわたる基本的な物の見方あるいは理念み たいなことと関係するような部分でございます。  その次に具体的な施策を推進するための基本的な考え方。  それから具体的な課題と並んでいまして、でき得ればこうさせていただければと思い ます。大きな1をまず簡単に説明していただき、御意見を出していただく。大きな2の うち、基本的な考え方についても簡単に説明していただき、御意見を出していただいて 具体的な課題がざっとございますので、これは一遍に事務方でわっと説明していただい て、その後、自由に御意見を出していただく、そんな手配にさせていただければと思い ます。事務方、よろしくお願いしましょう。 ○三友社会参加推進室長  それでは、大きな1の「障害者施策におけるスポーツの意義と競技スポーツの位置づ け」について御説明申し上げます。  まず現状でございます。四角の中にありますとおり、障害のある人にとってのスポー ツの現状につきまして、1つがリハビリテーションの手段だということでございます。  2つ目が、健康増進や社会参加意欲を助長するもの。  3つ目が、障害、障害者に対する国民の理解を促進するもの。  こういうものを通して、障害者の自立と社会参加の促進に寄与する。そういうことか らできるだけ多くの障害者の方がスポーツに参加できるようにということで施策を推進 をしてきたわけでございます。  国内のいろいろな障害者の計画等で決められている内容について次に申し上げますと まず平成5年に政府がつくりました「障害者対策に関する新長期計画」の中で、スポー ツについて触れていまして、そこでは、障害者のスポーツは、参加機会の確保を図りな がら、社会参加の促進にとって重要な役割を果たしていくと。また、その啓発活動とし ても重要である。また、障害者の生活を豊かにするためにも有意義であるし、特にス ポーツについては、障害者の健康増進という視点からも有意義である。こういうような 内容の規定がございます。  その下にございます文部省の「保健体育審議会」の答申の中で、前回も文部省の方が 取り上げておりますが、再度簡単に申し上げますと、その中で、障害のある人とスポー ツのかかわりは、スポーツを楽しんだり、競技力あるいは記録の向上を目指した取り組 みなど多様化しつつあり、これらのスポーツニーズにも適切に対応していくことが必要 である。また、その中で、障害のある人の競技スポーツという部分がございまして、そ の中では、競技スポーツへのニーズに対しては、これまで十分な対応がなされてきたと は言えない点もあり、今後、障害のある人の競技スポーツの推進体制のあり方について も検討していく必要があるというふうにまとめられております。  また、国際レベルで見てみますと、昭和57年に国連が決めました「障害者に関する世 界行動計画」の中では、適切な施設の提供及びこれらの活動の適当な組織化を奨励すべ きだという提言がなされております。  平成5年の「障害者の機会均等化に関する標準規則」が国連で定められましたが、こ の中でも、スポーツ・アリーナ、体育館等を障害のある人々が利用できるようにする。 その場合に、利便性の方法・参加・情報・訓練プログラムの開発計画を含むスポーツ計 画におけるスタッフに対する援助というのが必要だと。  3番目では、スポーツ組織は、障害がある人々がスポーツ活動に参加する機会を開発 するだけではなくて、各国がこれを積極的に支援しなければいけないというようなこと  4番目に掲げてありますのは、スポーツ活動に参加している障害のある人々は、他の 参加者、つまり障害のない人たちと同じ質の指導と訓練を受ける機会を与えられなけれ ばならないというような内容でございます。  現に競技大会が国内、国際でございます。国内の大会として行われています「全国身 体障害者スポーツ大会」の目的を見てみますと、2ページの下に書いてありますとおり 体力の維持、増強、残存能力の向上。国民の身体障害者に対する理解の増進と関心の高 揚、こういうことをもって、自立と社会参加の促進に寄与することを目的とするとされ ております。  3ページにまいりますが、「ゆうあいピック」について見てみますと、精神薄弱者に 対する理解と認識を深め、それによって精神薄弱者の自立と社会参加の促進に寄与する ことを目的としております。  また、平成3年から行われております「ジャパンパラリンピック」について見ますと 高レベルの競技者による競技会である。そして、身体障害者の競技スポーツへの志向意 欲をより高めるとともに、社会参加の促進に資することを目的とするとなっております  国際大会のパラリンピックについて見ますと、1つ目は、身体的、道徳的な資質の啓 発を奨励していく。  2つ目が、高水準の競技に参加する機会を提供する場である。  3つ目が、世界中の競技者が集えるようにする。この世界中の競技者が集えるという のは、恐らく障害の種別により限定をしないというような趣旨を含んでいることだと思 います。  そういうような規定がそれぞれございまして、3ページの下にございますとおり、課 題として、私どもがまとめましたのは、1つは、スポーツをスポーツとして楽しむこと や、障害の有無にかかわらず一緒にスポーツを楽しむことができる環境を整えるという 観点から、障害者スポーツの意義づけをするべきではないか。従来の意義のほかに何を つけ加えていくのかということが1点でございます。  2点目は、競技スポーツへの位置づけの明確化ということでございますが、今まで障 害者スポーツの位置づけの中に、「競技スポーツ」ということを含めてこなかったとい うことがございまして、それを明確に含めるべきではないか。  3点目は、厚生省と文部省の役割及び連携の中で、特に後から出てまいりますが、ス ポーツ資源の活用というような意味で、ハード、ソフトを含めまして、今はバリアーが ある。それを取り払っていくようなことも課題ではないかという整理をさせていただい たわけでございます。  以上が、1に対する現状と課題の御説明でございます。 ○大森座長  ありがとうございました。先回の先生方の御意見と、最後の方で、中川先生から、御 論文について御指摘ございまして、それなども参考にしつつ、いろいろ御意見なり課題 なりも事務方で考えてくださっています。  2のところに、懇談会における主な意見というようなところも出てきていますのは、 そういう趣旨でございますので、それを入れて少し御意見をお出しいただければと思い ます。とりあえず今の御指摘では、従来に加わっているものが「スポーツとして楽しむ こと」、もう一つは「競技スポーツとして位置づける」、この2つが新しく加わってい ます。厚生省と文部省の連携強化はそれ自身として前から指摘されていることですが、 新しい形でそれを考えていくことだと思っています。これについて皆さん方から御随意 に御意見を出していただいたらいかがと思います。どうぞ、どなたからでも結構です。 ○中川委員  ありがとうございました。私が書いた文章なども使っていただいて、それを是とする か非とするかは別として、こういう形で理解していただければ、大変ありがたいなと思 っております。  課題のところに少し触れさせていただきますが、課題1のところですが、障害者ス ポーツの意義づけをどうするかという話ですが、私はこのことについては、まず「障害 者スポーツ」という言葉が1つ話題にならなければいけないと思いますが、私たちはこ れは障害のある人たちがかかわるいろいろな身体活動、つまり日本語で言うとスポーツ 振興法でも言うスポーツを指していると思っております。であるならば、いわゆるス ポーツ振興法で言うスポーツのスポーツは、障害があってもなくても共有のものですか ら、やはりそこの究極の意義は生活の質の向上や充実ということだと思うんですね。最 終的に言うならば、自己実現を図るという事柄に収れんされるのだと思っておりますが いかがでしょうか。  あえてもう一言言えば、障害があっても障害がなくてもそこについては同じであると 私は考えます。 ○大森座長  ここの全体を打ち出していくときに一番重要なポイントになりますので、少し皆さん 方の自由な御意見を出していただけますか。 ○初山委員  基本的なことなんですが、障害者スポーツというのは、この間、大日方さんが言われ ましたけれども、競技スポーツが1つの頂点にある。それから、その中で、私どもは昔 「市民スポーツ」と言っておりましたけれども、いわゆる生涯、一生にわたって行うス ポーツということで「生涯スポーツ」という名前にしたと。その下部組織に我々ドク ターが深くかかわるリハビリテーションスポーツなり医療スポーツがあると思うんです ね。  この懇談会で、そのうちの多分競技スポーツと生涯スポーツに関してどうしたらいい かということで検討するのではないかと思うのですが、そこら辺の共通の認識(アグ リーメント)を伺いたい。 ○中川委員  そのことについてよろしいでしょうか。私は、今、初山先生がおっしゃられたリハビ リテーションレベルのスポーツ、乱暴に言えば、不随意な形でのスポーツへの参加、身 体活動への参加も含めて、生活の質の充実のための手段。ある意味では、そこのところ が出発点になる人たちがいるというだけだと考えております。ですから、不随意な形で の身体活動への参加も、大日方さんや牛窪さんたちがなさっているような随意的な形で の身体活動への参加もともにQOLということの考え方の中にということです。 ○大森委員  初山先生の御意見は区別。 ○初山委員  私は別にどちらでなくてはいけないということではなく、ただ、討議の段階で、いわ ゆるリハビリテーションスポーツといいますか、医療スポーツと生涯スポーツとの間に 少しギャップがあるような気がするのです。それから、いわゆる生涯スポーツと競技ス ポーツの間でも、障害者の分野では少しまだギャップがあるかもしれない。もちろん全 部含めていただければ、それにこしたことはないと私は思います。 ○大森座長  全部含めておいて、しかし、ある相違がありますよね。それに立って、施策、手段、 手法が決まってきますので、ですから全体を包括することは無理ではないですね。ただ 今、初山さんおっしゃっているように、少しその下位に立つような幾つかのレベルは区 別しませんと混乱が起こりますね。 ○中川委員  今、座長おっしゃったことそのままなんですけれども、そういうわけであって、前回 お示ししましたような小さなペーパーの中の図があるんです。 ○大日方委員  よろしいでしょうか。 ○大森座長  どうぞ。 ○大日方委員  おくれて来て申しわけありません。今の議論を伺っていると、競技スポーツ、生涯ス ポーツ、医療スポーツ、この3つの分け方は、多分この席で皆さん一致した物の見方と いうか、考え方をしていただけているのではないかと思うんですね。私、選手の立場か らこういう委員に選んでいただきまして、この会議の目的が競技スポーツと生涯スポー ツ、この部分は特に、今、座長おっしゃったように、よりはっきり明確に分けた施策が 必要だということで、この会議を持っていただいたのではないかというふうに理解して おります。  ばらばらに、ばらばらにという言い方はちょっと乱暴なんですけれども、やはり今ま でが、3つ違うということは、どなたもおわかりになっていただけているんだけれども 何となく障害者スポーツという一くくりでまとめ過ぎていたきらいがあるのではないか なというのが、選手の立場からございます。  前回の検討課題のところでもいただきましたが、具体的な課題として、特に「競技ス ポーツを中心として」というふうに書いてありますので、ぜひ、今までリハビリスポー ツあるいは医療スポーツに対しては十分な、ある意味では歴史もありますし、実績も積 んできたと思いますので、競技スポーツ、生涯スポーツの部分について、より重点的に 議論していただければよろしいのではないかなというふうに思っておりますが、いかが でございましょうか。 ○大森座長  ショウガイというのは、生涯にわたってという生涯ですね。 ○大日方委員  そうです。 ○大森座長  文部省の方は、「生涯スポーツ」と言っておられますか。生涯にわたってやるの生涯 生涯学習の生涯。 ○加藤(文部省)  課の名前にもなっています。 ○大森座長  そうすると、それはだれでも、いつでも、機会があれば、スポーツをそれ自身として 楽しんでいくと。広い意味で社会参加の一環としてスポーツを位置づける。生涯スポー ツ。                                   ○加藤(文部省)  それが基本です。 ○大森座長  これは一般的にポビュラーで使い得るということでいいでしょうか。川原先生、そう いうことはどう考えればいいんですか。 ○川原委員  言葉としてはそうなんですが、それぞれ意義については共通する部分もあるし、それ ぞれ特有の問題もあります。  また、施策については連携は必要ですけれども、おのずと違いが出てくるのではない でしょうか。私、余り深くかかわっていないので間違っているかもしれませんが、リハ ビリレベルですと、医療施設と関連して、競技組織とは余り関係なく、そこでスポーツ を利用してリハビリをやるという感じで、生涯スポーツとか、競技スポーツになれば、 競技団体と関連した活動が主になりますから、おのずと施策の違いが出てくるのではな いかなと思います。意義としては共通するところがあっても施策のところでは、ある程 度分かれてくるのではないかと思います。 ○大森座長  どういう施策をとれば有効であるかということになりますね。施策の違いというのは 有効性というのではなくて、施策そのものが何との関係で有効であるか、有効な施策を どうやって考えていけばいいかという方がポジティブですね。 ○川原委員  はい。 ○大森座長  違いばかりやると、既存の施策で違うということになってしまって、どうしてもそこ へみんながとらわれてしまうので、既存の施策でも、もしかしたら有効でないものをや っているかもしれないから、そういう意味で言うと、施策の有効性の観点から見直すこ とによって、新しい編成を考えた方が前向きなような感じがします。  従来、役所の方々がいろいろ施策を打っていくと、その施策は本来有効であると思い 込んでおられますので、絶対に、そうでないとお金つけませんので。ですから、実はこ の編成をもう一度考えるときに、そういうことを含めて、新しい施策の場合、特にそう ですから、そういうふうに積極的に考えるといいかなという感じが少しします。違いは あることは確かですから。  ほかに、1番目の問題についてよろしゅうございましょうか。ここは全体の意義づけ の点でございますので、大筋、皆さん方の雰囲気としては大体。 ○藤原委員  私は二十数年来になりますか、障害を受けた人を優先的に利用させるような「障害者 スポーツセンター」という看板のところで仕事を実際やってきておりましたので、今、 お聞きしていて、実際に利用されている、私どもお客さんというようなことで、障害者 と言ったり、患者さんと言ったり、そういう呼び方をしたことはない状態の中で受けて いる感じは、確かに自分が障害を持っているので、少しでも障害を軽くしたいという気 持ちでというように、改めて聞くと、何度か、そういう調査もしたことがありますけれ ども、そういうところへ複数でマルしていただくと、必ずマルをされる方が半分近くお られたり、あるいは場合によっては半数以上、マルをされる方がおられることは確かで す。  さっきから議論が出ていますけれども、企画課長がちょうどおられて、一度「障害ス ポーツという言い方はやめようや」と言われたのを、私はよく覚えているのですが、ど うしても、ここで「障害者の」と「の」を入れるとか、何かそういう表現は必要かもし れませんけれども、特別な部分を改めれば、そういう方が多いことは確かですけれども 余り特別に考えなくて、八木委員もきょう見えていますけれども、大日方さんや牛窪さ んは恐らく同じような気分で競技に打ち込んでやっているので、それが今さらここで改 めて競技スポーツを何とかとか言わなくても、スポーツの振興についての中で、どちら かというと、一部リハビリの中でのそういう方たちを忘れぬように常にしておかなけれ ばいかんというようなとらえ方で、この会は少なくとも進めたらいいのではないかなと いう感じがいたします。 ○大森座長  次にいってよろしゅうございましょうか。また、どうぞ御意見あれば出していただく ことにいたします。  それでは、その次の「障害者スポーツの推進方策について」の(1)の基本的な考え 方について、また、ざっとお話しいただきましょうか。 ○三友社会参加推進室長  4ページ、基本的な考え方でございます。まず、第1が現状でございます。1つは、 地域レベルから国際レベルのスポーツの場が整備されてきたというのがございます。し かし、それぞれの位置づけが必ずしも明らかでない。これは地域での大会もあります。 県レベル、国レベルの大会もあります。また国際レベルの大会もありますが、それが1 つ1つ関連づけなく設けられているというようなことでございます。  2つ目は、スポーツの大会や教室はほとんどの県が行っているけれども、市町村レベ ルでの取り組みはその一部に限られているという状況でございます。  3つ目は、競技スポーツの場は、近年徐々に整備されてきているということで、特に 全国大会の数が増加をしてきているということでございます。四角でくくってあります 障害者スポーツの現状の中をごらんいただきたいと思いますが、平仄に、上から国際レ ベル、全国レベル、県レベル、市町村レベルというふうに一応そのレベルを分けてみま した。  スポーツの場も一応3つに分類をしまして、一番左側が「スポーツ教室」というよう な表現をしておりますが、どうしてかといいますと、これは余暇的なスポーツの教室で ございます。真ん中の全国レベルのところでは全国身体障害者スポーツ大会、ゆうあい ピック。そのほかの県レベルでは、県レベルのスポーツ大会、これはほとんどの県で実 施をされております。その下にございますのが、市町村レベルのスポーツ大会がほんの 一部の地域でしか実施をされてないということでございます。  国際レベルにまいりますと、パラリンピックが夏季、冬季ございます。このほか、I PCの世界選手権、INAS−FMHチャンピオンシップというのがございますし、全 国レベルでは、ジャパンパラリンピックとFMHチャンピオンシップがございます。  国の施策を右に書いておきましたが、まず国際レベルのところから申し上げますと、 スポーツコーチの養成をし、長野パラリンピック冬季大会の選手強化ということで国際 レベルの対応をしているということでございます。  全国レベルは、上級スポーツ指導員の養成、全国身体障害者スポーツ大会への補助、 ゆうあいピックへの補助、ジャパンパラリンピックへの助成が国の施策として考えられ ます。  次に県レベルにまいりますが、中級スポーツ指導員の養成、スポーツ教室への補助、 スポーツ大会への補助ということで国の施策がございます。  市町村レベルでは、初級スポーツ指導員の養成、スポーツ教室への補助、スポーツ大 会への補助ということでございます。  このほか、長寿社会福祉基金の果実を使いまして、日本身体障害者スポーツ協会に対 する、そこにありますような事業に対して補助を行っているところでございます。  5ページにまいります。上にあります障害者スポーツ大会の年次推移をごらんいただ きますと、昭和58年が全国大会が20ございました。それが平成9年には97というふうに 年を追うごとに全国大会の数が増えています。  このほか、平成10年度でいいますと、国際大会が23大会ございます。  第3に課題ということでまとめさせていただきましたが、1点目は「競技スポーツを 含めて地域レベルから国際レベルに至る重層的な推進方策の確立」が必要ではないか。  2点目は、「障害者が身近な地域で気軽にスポーツを楽しみ、障害者同士や障害のな い人と交流できる場の確保」。これは障害のない人の、現在、文部省が進めているス ポーツでいきますと、一生涯の「生涯スポーツ」ということに該当するかなということ でございます。  3点目が、「競技別に十分な競技を行える、スポーツ環境の整備」が必要ではないか ということで、以上、課題を3つに整理をして、まとめさせていただきました。 ○大森座長  ありがとうございました。恐縮ですが、さっき文部の方から、スポーツ振興くじのと ころで、コミュニティスポーツクラブの設置促進(全国1万箇所)。その次が、「広域 スポーツセンターが全国 300カ所」。これは、まずコミュニティスポーツクラブの設置 が全国1万カ所というのは中学校区。 ○加藤(文部省)  おっしゃるとおりでありまして、中学校区程度をイメージしています。 ○大森座長   300カ所が広域市町村。 ○加藤(文部所)  はい。 ○大森座長  それが今の御説明等の地域レベルの地域のところが合ってないですね。合ってなくて もいいんですけど、気がついたことで言うと、そこがちょっと合わない。だから、障害 者が現在がそうなっていて、今後これを推進するときに、どういうレベルからイメージ しながら重層的に組んでいくかというところ、そこが少しいろいろ御意見があるかなと いう感じが少しいたします。今のような御説明がございますので。どうぞ、中川先生。 ○中川委員  ただいまのことは全く御指摘のとおりで、私たちも実はこの席では公にできないのか もしれませんが、いろいろな方に協力していただいて、立派な資料を出していただいて 実は近々印刷物になると思いますが、「21世紀をみつめた障害者スポーツのあり方」と いう冊子をつくって報告書をまとめてしまったのですが、その中の終わりの方に、私た ちもやっぱり地域レベルというのは中学校区を考える。なぜかというとそこは約1万人 いるのですが、 4,000世帯あるんですね。 そこを実は調べていきますと、障害者基本法でいう障害者が約 500人いるんです。そ ういうことが頭にあって、まず、そういう範囲を基本としたスポーツの振興策を障害が ある人についてもやっていく必要がある。障害がある人にもやっていくということなら ば、基本的には障害のない人と障害のある人が「ともに」という関係の中で、時には楽 しむ空間が別につくられる場があるかもしれないですが、そのときには「共に」という 考え方の中でそういうものを展開していくことが大切だろうという事柄を提言しており ますが、そこのところと全く同じ事柄だと思いますので、私たちはそういうレベルでの 地域レベル。その地域レベルでのイベントがあるという考え方です。ここでは地域レベ ル、先ほどの国レベル、国際レベルというのはイベントをとらえていると思うんですけ れども、日常的なスポーツとのふれあいの関係が地域、そして、もう少し広域の地域と して、大きく言えば、県・自治体かもしれないけれども、国という形で定めていくとい う考え方が必要だろうと思います。 それから、3番目のところに「競技別に十分な競技を行える、スポーツ環境の整備」 ということがありますが、ここのところでもやはり障害のある人、障害のない人たちが 「共に」十分な練習や競技が行えるような環境の整備ということが必要だと思います。 ○大森座長  厚生省から今、御説明があった「市町村レベル」とおっしゃっているから、レベルで すので、市町村という区域に限っていうのではなくて、この中を分けていきますと、発 想としては今のように。 ○三友社会参加推進室長  はい。 ○大森座長  ですから、ある一定の人口規模があって、そこにさまざまな人たちが集まって来れな いといけない。余り広くなるとやりにくいということがありますから、出発点として、 どの地域的な単位を考えるかということは、施策整備の上では非常に大きいですよね。 ともかく市町村レベルにまず1カ所とかなんとかという話と、中学校単位で1万レベル で考えていく話とは施策そのももののメージが随分違ってきますよね。市町村レベルと いったときに、どこを起点にして考えていこうかということが重要なのではないかと思 うのですが、どうでしょうか。 ○三友社会参加推進室長  現在、補助金を使った国の施策という点でやってきていますので、市町村が地域を2 つ、3つに分けてやるような大きな市の場合もございますし、また、小さいところは2 つ、3つが共同してやるというような実態もあろうかと思いますが、いずれにしても、 補助金を流すときに、市町村ということで流しますので、そういう意味に書かせていた だいたわけでございます。 ○大森座長  ということは、重層構造を考えるときには、今のような施策のお金の流れ方と同時に どういう活動範囲でいろんなものを助成していけばいいかということは一応議論として は可能になりますよね。この点について、どうぞ御意見自由に出していただきましょう か。 ○初山委員  この重層的な推進方策といって、各部門がうまくいかないと全体がそろわないという ことがあるかもしれませんが、私の意見としては、できるところからやっていくことも 1つ必要だと思うんです。例えばIPCがアトランタのときから、オリンピック大会に エキシビションとして車いすのレースを出してもらったというのも1つの大きな振興法 だと思うのです。  そういうことから考えますと、比較的そういう大きな大会で、障害者スポーツがデモ ンストレーションができるのだとしますと、日本の国体であるとか、そういうところに エキシビションでもいいですから少しずつ入れていっていただく。それと並行して、各 市町村なり地域で障害を持った人がそこに参加して訓練なり競技ができるということを できる範囲から進めていっていただけると、だんだんとそこでノウハウがわかってくる 感じがいたします。 ○大森座長  単純な質問ですが、すいません。4ページの「現状」のところで、市町村レベルで指 導員のレベルを見ると、市町村が初級で、県が中級で、全国が上級になると、こういう ピラミッド風に、指導員のレベルもそうなっているんだけど、どうして市町村のレベル が上級の指導員を置いてはいけないのか、素朴な疑問です。これは何となく上下関係で はないかという印象があって、むしろ一番身近なところへ、最も上級の指導員がいてく れることの方がいいかなとちらって素人的に思うんですけど。 ○三友社会参加推進室長  それは7ページのところにございますので、そこで少し詳し目に御説明をさせていた だこうと思います。 ○大森座長  そうですか。 ○大日方委員  関連でよろしいでしょうか。 ○大森座長  どうぞ。 ○大日方委員  今、説明を聞いていて、選手でありながら、一体何をやってくれていたのだろうとい うのがわからなかったのは、やはりこの指導員の養成というところなんですが、国際レ ベルでスポーツコーチの養成という形で書いてあるのですが、これは具体的に言えば、 例えば長野パラリンピックのときにはどういうことであったというふうに解釈すればよ ろしいのでしょうか。どういう施策であったのか。具体的にはどういうことだったので しょうか。 ○藤原委員  これは、むしろスポーツ協会がやっているところですので、ここに今の時点で書くと 「スポーツコーチの養成」というのが入っていますが、長野のパラリンピックの準備に 入りましたときは、まだコーチの、実際のこういう養成が始まっていませんでしたので あなたの今言われるような疑問は、去年から実質的には動いているということで、さし あたり、私どもの中で議論しているところですので、こういう形で……。 ○大日方委員  やっていきたいということですか。 ○藤原委員  動きかけたところで、これ以上深く、厚生省の方にお尋ねになっても、ちょっと答え づらいだろうと思います。私どものところも指導もしていただきながら、進め始めたと ころです。 ○大森座長  大日方さんはコーチはどうされていたんですか。 ○大日方委員  長野パラリンピックのための強化委員という方がいらっしゃいまして、その方が各種 目の監督。あとアルペンスキーの場合ですと、ほかに3名、ヘッドコーチ1名、コーチ 2名という全部で4人の監督、コーチという態勢でした。監督とヘッドコーチは、年に 数回の合宿で、共に指導していただきました。コーチに関しては、私たちアルペンス キーの場合、SAJのコーチの方に来ていただいたという形なんですね。 ○大森座長  牛窪さんの場合はコーチは要らないぐらい強い。 ○牛窪委員  いや、そんなことはないです。 ○大森座長  コーチ問題はどんなふうに。 ○牛窪委員  コーチの問題もそうなんですけれども、障害者の競技スポーツに関してですと、我々 の柔道の方でトップレベルになりますと、考え方はほとんどオリンピックの選手と同じ ような考え方でしているものですから、障害者のいわゆるレベルでいう指導員やコーチ は余り私らにとって非常に情報がたくさんいただけるということはまず考えられないで すね。やはりJOC関係、つまり、我々の柔道の場合ですと、オリンピック選手と一緒 に練習をさせていただいたんですけれども、そのときのやはり精神面のアドバイスです とか、肉体のつくり方、減量の仕方、それは大変役に立ちましたし、また、私らの今ま で思っていることの裏づけみたいな、そういう何か本当の気持ちをつかまえてくれるよ うな、そういうものを感じましたですね。  ですから今までの障害者スポーツだから障害者の団体が何かというのでなく、あくま でもアスリートとして物を考えていただいて、ぜひJOCの方のノウハウをたくさんい ただいて、水泳でも各個人個人がそういうレベルの指導者をあおいで競技に参加してお りますので、そして、そういう指導者を積極的にパラリンピックの場合に、自分たちの ライセンスの中にいないと登用しないということではなく、本当に選手が望むような コーチがいれば、パラリンピックの競技団体もそれを受け入れてもらいたいぐらいの大 きな物の考え方をしていただければ、もっと競技スポーツ、そして我々の夢もふくらみ ます。  もっと言わせていただければ、やはりその競技から巣立っていった、競技のもう終わ った選手ももう一人や二人はその役員なんです。それからそういう監督、そういう位置 にいないと世界におくれてしまうのではないかなと思うんですね。ですから、そういう 視野でぜひ競技スポーツを見ていただければ、すべての面で、競技者から、コーチ、監 督に巣立っていく、そういうふうな受け入れ態勢をこの基金でつくっていただきたい、 そう思っています。 ○八木委員  JOCの名前が出ましたから少しお話申し上げますが、今度の長野のオリンピックを 契機として、パラリンピックの系統というのは厚生省で行い、普通の一般のスポーツは 文部省と縦割り行政の日本の一番悪いところなんですが、やにわにここへ来て、無理し てドッキングをさせるような形がちょっと出てきているような気がしてしようがないん です、私自身といたしましても。  それで、ずっと今まで見てきているのですが、私どもある障害者スポーツに以前から 深く関わっている方から頼まれて、走る方のコーチをしているんです。いわゆる健常者 が鈴を持って、千歳とか札幌あたりで走るトレーニングをオリンピック並みにやってい る。ついているのが早坂とか、オリンピックコーチが全部ついて障害の方々にどんどん 走りを教えています。今度のパラリンピック見たら、そういう人はだれも出ていないん ですね。  ですから一番初めに、障害者のスポーツ協会というものは、日本にそれぞれの団体が 一本化されてきちんとしてあるのかどうか。組織実態が非常にあいまいなような気がし てしようがないんですね。その国によっては、障害者スポーツはNOCの機構に入って くる国はたくさんあるんです。日本の場合、ややもして縦割り行政で離れているもので すから、我々が手を差し伸べてもその分野は届かないところにありますね。ややもして 川原先生あたりが中に入って、両方にまたいで多少考えておられるけれども、現実には 手を差し伸べる範囲にないんですね。  これでは、今、論議していることもそうなんですが、見ていますと、一生懸命になっ てまとめようとしているんだけど、今まで全然違うことをやってきたわけです。そして 長野のオリンピックが出て、パッと花が咲いたようなんですけれども、実際、この間も 障害者スポーツに昔から非常に関わっておられる方と2、3時間このことで話をしたの ですが、その方はその方でハンディキャップについてはものすごく、彼自身がそこへ飛 び込んで資金を集めて、あらゆることをなさっているのですが、今度のパラリンピック についてはものすごい批判的なんですね。あれは一体何なんだと。我々が考えているよ うな強い選手は何も出てないじゃないかという意見もあるんです。  そういうことを考えますと、まず第1番目に組織をきちっと正常化をしていただいて 一本の芯をつくっていただいて、そして、JOCはJOCで受け入れ態勢をきちんとつ くっていただいて、どうやって指導していくかということを基本的に考えていかない限 り、ちょっと接点が難しいような気がしてしようがないんですね。  全国的な視野で基本的に組織をまず確立をしていただいて、今のJOCはJOCで競 技スポーツをやっている方とどこかできちんと合わせていただいて、私どももJOCの 中に障害者スポーツに対する研究班でもプロジェクトでもいいからつくって、それが手 を差し伸べてやっていくという形にしていけば、さっき牛窪さんがおっしゃったような ことは解決していると思うんですね。私たちは何も阻害しているわけではありませんし 大いに頑張ってハンディの方も立派に試合に出てきてもらいたい。その人は、その中か ら日本の選手が出てもいいというぐらいまで考えているんですね。  ですから、この間の長野のパラリンピックを見ていましても、走る方で世界記録つく った、日本記録をつくったと言って、オリンピック、メダルだ、メダルだと大騒ぎして いるんですが、私たちが、例えばクロスカントリーのスキーを見ていて、ストックの長 さがあんな長いストックでこいで記録が出るわけないんですよ。なぜ、あれが自分の肩 の高さ、ハンディがある方はハンディの高さのストック使えば、10秒でも1分でも縮ま る。それがワールドカップの記録だと言って、我々は見ていておかしくてしようがない それは違うんだと。本当に競技をやるのなら、違うねらいかということをみんなで言っ ているわけですよ。一生懸命やってあげようというんだけど、どこにそれを手さぐりし ていったらわからない。こういう実情だと私は思います。  私どもJOCも今度のことについて、文部省からそういうお話があって、これはでき るだけ日本の国のために、また、障害者の方々にもいいスポーツをしていただくことの ため、非常にいい。それはリハビリやなんかと全然違うと思うんですね。スポーツとい う観点からとらえていきますと、障害者のスポーツは健常者のスポーツに届くところま で引き上げていってあげたいという気持ちでおりますので、まず組織をしっかりとつく っていただいて、そして、うまくドッキングさせてあげる。  生意気なことを言って申しわけないんですけど、どうも実態的に全部をつかみ切って ないような気がしてしようがないのでございます。 ○大森座長  今の基本的な考え方は、それだけでちょっと議論しても、個別課題から実は浮かんで くるような幾つかの大事なテーマが出てきますので、ちょっと全体として個別課題がい っぱいありますので、今の組織についても出てきますから、それをまずざっと伺って、 それでもう一回立ち戻って議論いたしましょうか。 ○八木委員  結構でございます。 ○大森座長  それではお願いいたします。 ○三友社会参加推進室長  それでは(2)の具体的課題の中で、まず1番目、6ページですが、指導者の養成、 確保についてでございます。  まず現状は2つ整理しました。1点目は、今の障害者スポーツの指導員は、初級ス ポーツ指導員の養成が中心になって行われている。  2点目は、特定の競技種目における指導員の養成は行われていないということでござ います。ちなみにそこの表に示しましたとおり、養成研修終了者の数を見ますと、初級 スポーツ指導員が合計欄で約 3,000人、中級が約 150人、上級が24人。  スポーツコーチ、これは9年度から始まりましたために、3年かけてやろうというこ となので、途中経過ですが、今19人が研修を受けている最中という状況でございます。  それらの者がどういう機関で養成されているかというと、都道府県・指定都市、日本 身体障害者スポーツ協会により認定された学校、37校ございますが、おおむねそこが中 心でございまして、それもごらんのように初級スポーツ指導員が中心であるという状況 でございます。  指導員養成の仕組みは2番目に書いてございますとおり、まず初級が24時間の養成研 修を受けて、その後、初級スポーツ指導員として2年以上の経験を有した者が、さらに 66時間の養成研修を受けて中級になる。そして中級として3年以上経験した方がさらに 61時間の養成研修を経て上級になるという仕組みでございます。このほか、競技団体ま たは協会の推薦によって中級または上級のスポーツ指導員が30時間×3年の養成研修を 経て、スポーツコーチになるようになっております。  続いて7ページにまいります。一番上にあります3の各スポーツ指導員のレベルでご ざいます。障害者スポーツ指導員の概要をそこにお示ししましたが、現在の初級スポー ツ指導員は身近な地域でやる、こういうふうになっています。  中級は都道府県レベルの地域で行う。上級は都道府県を幾つか集めたブロックレベル で行うということで、地域が身近か都道府県レベルか、さらに大きいかということで、 地域でもってこういうふうなことを分けているということでございます。  指導員の数は先ほど申し上げたとおりでございます。  そういうことで、課題の1つは、指導員のレベルの明確化と特定の競技種目に対応し た指導員の養成が必要ではないかということで、表の中に考え方を整理させていただき ましたが、まず初級スポーツ指導員につきましては、想定される対象者としましては、 地域の障害者の方。想定される指導能力としましては、余暇スポーツの指導。  中級スポーツ指導員につきましては、全国大会等を目指す障害者の方を対象として、 生涯スポーツ(ライフスポーツ)の指導。また全国大会等に参加するための指導。  上級スポーツ指導員につきましては、全国大会等に頻繁に参加する選手を対象としま して、全国大会等で入賞を目指すための指導。指導員養成の講師が務められる能力。  スポーツコーチにつきましては、国際大会に出場できる能力の選手を対象として、国 際大会で入賞を目指すための指導並びに指導員養成の講師になれる能力ということで、 従来のスポーツ指導員が自分の活動の場として、より身近か、都道府県レベルか、さら にブロックレベルかということで、地域の広がりで分けておりましたのを、スポーツ能 力、指導能力といいますか、選手のレベルに合わせたものに変えていくべきではないか という認識でございます。  2番目が「指導員の増加とレベルに応じた活動の場の整備」ということでございます これが1番目の指導員の養成、確保に対する課題として整理をいたしました。  次に8ページにまいります。「スポーツ大会への参加機会の拡充」という点でござい ます。現状の中で2つに整理をさせていただきました。  1点目は、我が国で開催されています障害者スポーツの大会は、競技の種目によって 数がいろいろ異なっております。  2点目は、オリンピックでは、ロサンゼルス大会から陸上競技男女1競技ずつ車いす による中距離走が公開競技として行われるようになりましたが、我が国の障害者のない 方々の競技大会では、障害者は公開競技として参加する大会は今のところございません  そして、その表にまとめておきましたが、競技種目別大会を見てみますと、例えばパ ラリンピックで実施されている競技が左側に整理をしてございます。その中で上から5 番目にバスケットボールがございます。これは全国レベルの大会が11ありまして、都道 府県・ブロックレベルの大会が62あり、これは多い例でございます。  また、一番下から5番目にテニスがございます。これも全国レベルが11ございまして 都道府県・ブロックレベルが46ということで、これも多い例でございます。  それに対しまして、真ん中のやや上のシッティングバレーボールにつきましては、全 国レベルが1あるだけで、都道府県・ブロックレベルはございません。また、ラグビー についても同じように、全国レベルが1あるだけでございます。そして、一番下の氷上 競技につきましても全国レベルが1あるだけでございます。  9ページにまいります。そういう中で課題として2点整理してございます。  1つは、パラリンピックで実施されている競技種目について、我が国では実施されて いない競技種目がございます。例を申し上げれば、フェンシング、パワーリフティング ロームボール、サッカーなどでございますが、そういうようなものを実施すべきではな いのかという点。  2つ目は、競技人口にも配慮しなければいけませんが、都道府県レベル・ブロックレ ベルでの競技会をもっと奨励していくべきではないかということでございます。  10ページにまいります。「スポーツ施設の整備」ということで、現状を2点にまとめ ました。1つは、障害者を主に対象にしたスポーツ施設は、全国に 128施設が整備され てございまして、表の1に書いてあるとおりでございます。  2番目が、一般の体育・スポーツ施設が全国に約26万施設整備されてございます。表 の2のとおりでございます。  課題として、1つ整理いたしまして、一般体育・スポーツ施設、特に、公共スポーツ 施設。表の2の真ん中ですが、約6万 5,000余の数がございます。こういう公共・ス ポーツ施設におけるアクセスの改善。また、障害者スポーツ指導員の配置が課題ではな いかということでございます。 11ページにまいります。「スポーツ組織の育成」でございます。現状として2つまと めましたが、1番目は、日本身体障害者スポーツ協会には、国際組織・大会にかかわる 業務の専門部署がございません。このページの一番下に、日本身体障害者スポーツ協会 の組織図を書いてございますが、この事務局にも委員会にも連絡競技会にも国際組織大 会にかかわる専門の部署がございません。  2番目が、パラリンピックでの競技のうち、全国レベルの競技種目別団体がないもの がございます。  12ページにまいります。ここに「パラリンピックで実施されている競技種目と国内競 技団体」の対比がございます。上から5番目にフェンシングがございますが、これは夏 の大会で競技種目としては行われておりますが、我が国では競技団体がございません。  同様のものがその下のパワーリフティング、ボッチャ、サッカー。右側にまいりまし て、ロームボウルス。冬季大会については、バイアスロン、アイススレッジスピード レース、アイススレッジホッケーが競技団体がございません。  それから、12ページの下にございますが、障害者の競技団体が加盟している一般の競 技団体としては、日本ヨット協会、日本障害者乗馬協会、日本ライフル射撃協会の3つ だけでございます。  13ページにまいります。そういう現状を踏まえて、課題として3点を整理させていた だきました。1点目は、障害者の競技団体と障害のない者の競技団体との連携をどのよ うに強化していけばいいのか。  2点目は、競技性を踏まえた障害者スポーツ組織の体制整備。特にJOCに対応する 障害者の組織をどうつくっていくのかという点です。  3点目が、競技団体の育成・強化をどのようにしていけばいいかということでござい ます。  14ページにまいります。「選手強化」について現状をまとめさせていただいておりま す。これは、今まで組織的な選手強化は実は行っていなかったわけでございまして、長 野のパラリンピックで初めて組織的な選手強化を行ってきたわけでございます。  「長野パラリンピックにおける選手強化の概要」ということで、上の方の表にお示し してございますが、身体障害者の競技につきましては5つの競技について行いました。 知的障害者の競技については、クロスカントリースキー、1競技について行っておりま す。  そのページの下に課題を整理してございます。1番目は「選手強化プログラムの研 究・開発」ということでございます。現状はこれは経験者の経験と勘に頼って行ってい ます。  2番目は、「強化スタッフの養成と確保」。これは競技の専門家以外に食事の管理で ありますとか、自己対策、またメカニックなどを含めた強化スタッフの養成と確保をど のようにしていけばいいかという点でございます。  3番目が、「選手強化の財政支援のあり方」。特に国際大会の派遣の費用等でござい ます。  15ページにまいります。「知的障害者等のスポーツ振興」についてでございます。現 状は2つございます。1点目は、我が国では知的障害者等のスポーツを所管している専 門の組織がございません。  2点目は、全国大会として、知的障害者では「ゆうあいピック」、身体障害者では 「全国身体障害者スポーツ大会」が開催をされております。  そのページの2にございますとおり、「知的障害者を対象とした主な競技大会」とし ては、国際大会はINAS-FMHチャンピオンシップがございます。 国内大会はゆうあいピックと FMHチャンピオンシップでございます。 こういうときに、1にございますとおり、「知的障害者のスポーツにかかわる組織」 の国際的なものとしては、国際知的障害者スポーツ協会並びにスペシャルオリンピック インターナショナルというのがございます。  国内の組織としては、社会福祉法人の全日本手をつなぐ育成会がそれを担当して組織 でございます。  次に15ページを終わりまして、16ページにまいりますが、下の方に課題を2つ整理を いたしました。1点目は、「知的障害者等のスポーツを所管する組織のあり方」をどう していくのかという点。  2点目は、「障害者スポーツの全国大会の今後のあり方」についてでございます。  17ページにまいります。7番目が「競技用具の研究開発・改良」についての現状でご ざいます。今の競技用具は主に肢体不自由者と視覚障害者のものに分けられております 組織的に競技用具を研究・開発したのは長野パラリンピックが初めてでございまして、 今まではそれ以外は個人の選手などが中心にやってきているということでございます。  1は、各競技種目ごとに使われる競技用具を例示してございます。  2は、長野パラリンピックでどういうものをやってきたかということを書いてござい ます。例えばアイススレッジスピードレース用のそり、アイススレッジホッケー用そり クロスカントリー用シットスキー、アルペンスキー用シットスキーにつきましては、国 庫補助金等などが充てられてございます。 バイアスロン視覚障害者用音響照準装置につきましては、 NAPOCの資金が充てられる それから、視覚障害者の伴走者用音声誘導装置については、民間の開発に頼ったわけ でございます。 長野パラリンピック以前は、その表にありますとおり、個人か研究所などがかかわっ ていただいているということでございます。 そういう現状を踏まえまして課題として2つ整理してございます。1番目は、競技用 具に関する研究組織をつくる必要があるのではないか。 2番目は、欧米と比べて立ちおくれている競技用車いすや走用義足等の開発・改良が 必要なのではないかということでございます。  次に18ページ、 8「顕彰制度」でございます。現状はメダリスト、入賞者につきまし ては、そこの参考1、2で書いておりますが、その顕彰制度によって個人の栄誉をたた えております。パラリンピックといいますか、障害者スポーツにつきましては、報奨金 の支給は行われておりません。参考2の表にありますとおり、オリンピックにおいては 報奨金の支給が日本オリンピック委員会からメダリストに対して行われているというこ とでございます。 そこで課題としては、報奨金制度を設けることの適否ということで整理をさせていた だきました。  19ページにまいります。「啓発」でございます。まず現状は、長野パラリンピックに 関しましては、国や社会福祉・医療事業団及び日本身体障害者スポーツ協会は、広報誌 掲載でありますとか、ホームページの設置、ビデオ作成を通じて啓発活動を行ってまい りました。  また、日本身体障害者スポーツ協会は、障害者を含めた国民の障害者スポーツに対す る理解の促進を図るために通常活動として啓発活動を行っております。  課題といたしましては、政府広報等による啓発広報を今までのような形で進めていけ ばいいのかと。  2番目としては、テレビ・新聞等のマスメディアの役割をどのように期待していけば いいのかという点でございます。  以上で、具体的な問題についての説明を終わらせていただきます。 ○大森座長  どうもご苦労さまでした。 ○事務局  申しわけありません。事務局からですが、1カ所だけ訂正をお願いいたします。 12ページ下から2行目、乗馬のところで、「日本障害者乗馬協会」となっていますが これは間違いでして、「日本馬術連盟」ということで御訂正願います。 ○大森座長  日本障害者馬術連盟。 ○事務局  「日本馬術連盟」です。よろしくお願いします。 ○大森座長  ありがとうございました。9つも具体的課題が並んでいまして、それぞれについて大 事なことが含まれていると思いますので、きょうお時間がある限り少しランダムで結構 ですので、思いつかれたこと、大事なこと、あるいはここではまだ挙がってないような ことでお気づきの点があれば出していただければと思っています。  さっきの組織の点については。 ○中川委員  全体的な表現の中で、ここはこう書いてあるのは間違いではないかと思う事柄をお話 しします。8ページをお願いします。「スポーツ大会への参加機会の拡充」のところで すけれども、四角で囲った中の終わりの方ですが、「我が国の障害のない者の競技大会 では、障害者が参加する大会はない」とございますが、これは表現が私は間違っている と思うのですが、いろいろあるんですね。国民体育大会にももちろん障害者は出ていま す。オリンピックももちろん障害者を拒否していません。今までも障害があって、オリ ンピックで金メダリスト、銀メダリスト、銅メダリストは普通のオリンピックで10人い ます。その辺を御理解いただきたいと思います。例えば、牛窪さんは講道館の高段者大 会に出ていらっしゃるし、もちろん出ようとすれば、今でも手を挙げられていますね。 ○牛窪委員  はい。 ○中川委員  ただ、大日方さんは、今、JSAの滑降競技に出ようと思っても、そっちのイベント がないから出られませんよね。 ○大日方委員  そうですね。 ○中川委員  そういうところがあるんですね。 ○大森座長  事務方よろしいですか、この点は。 ○三友社会復帰推進室長  説明が足りなかったと思いますが、障害者の競技種目として公開競技というような形 で、プログラムに組み込まれていないということを申し上げたかっただけでございます ○八木委員  現実の問題として、アーチェリーやそういうような競技種目は堂々と出てきてやれる わけですね。しかもいい成績をおさめている。国体なんかでもアジアの選手が車いすで 一番最後ちゃんと入場したり、まだまだ健常者と一緒になってやれる競技種目は大分あ るのではないでしょうか。また、現実にやっている種目もたくさんあるというように考 えますね。 ○中島委員  国体にも出ています。 ○中川委員  一般の方は、例えば障害のある方は、この大会の種目には出られないだろうと思って いらっしゃるような種目が実はあるんですね。そういう種目でオリンピックの金メダリ ストはいるんですね。例えば例を挙げますと、全盲の人がレスリングの金メダリストに なっていますしね。そういう点を御理解いただいた上での対応でありたいなと思います ○大森座長  それは、今、先生がおっしゃっていることが知られていないことなんですか。それと も何か問題がどこかにある。 ○中川委員  今の事柄は、私も日本文で紹介したことがありますし、英語でも紹介された文献もあ りますしというレベルです。ただ、それをたくさんの人が多分、私の分野ということに なれば狭いですから、読んでいる方は少ないだろうというだけです。 ○大森座長  例えば障害を持っている方々が今のように出ようとすれば、頑張れば出れるというふ うには情報が伝わっていないということなんですか。 ○中川委員  ただ、大日方さんのやるようなチェアスキーは、例えば、日本でも外国でも、スキー の滑降のイベントの種目には今のところは入ってないですよね。そういうところで、特 殊な種目はやっぱりありますよね。 ○大日方委員  そうですね。例えば、牛窪さんのような柔道であれば、特別な用具が必要であるとい うことは全くないですし、今、おっしゃったようなレスリング、アーチェリーもそうで す。あえて言えば、障害者の側ももっと積極的に競技をやりたいというのであれば、も っと一般の大会に飛び出していくべきではないかという部分はあると思いますし、実際 にあります。  ただ、現実問題として、例えばアルペンスキーでよくある話なんですけれども、片足 の選手が草レースに出場しようとすると危険なのでやめてほしい。あるいはレースの前 走で勘弁してほしいといわれます。どういうことかというと、片足でも滑れるんだ、あ るいはチェアスキーでも滑れるのだということが知られていないところに問題があるわ けで、確かに私たちは、特殊な用具を使っていますけれども、スキーであることにはか わりはないというところを御理解していただければ、自然とそういうものは解消されて いくと思いますし、実際にことしの1月、学生選手権の前走として、私たちチェアス キーヤーばかりが5、6名出していただきました。  最初のころは、やはりどういうものかというので驚かれるんですが、見ていっていた だければ、スキーの理論は一緒なんだなということで理解していただいて、各コーチが いれば、指導していただいたりとかということができるようになっているみたいです。  ちょっとよろしいですか。 ○大森座長  どうぞ。 ○大日方委員  今、ダーッと厚生省の方にまとめていただいたのを読んでいて思ったのですが、すご く大きな矛盾があるなと1つ思っています。それは、13ページで、「障害者の競技団体 と障害のない者の競技団体の連携の強化」。要は中川委員がおっしゃるインテグレーシ ョンをということでおっしゃっているかと思うのですが、その一方で、6ページにあり ます「指導者の養成」というところでは、あくまで障害者を指導するという形になって いるかと思うんですね。ですので、先ほど牛窪さんがおっしゃったような、障害を持っ ていようがいまいが、競技をやる上では、むしろ技術的なもの、精神的な競技者として のモチベーションというものを意識するためには、ある意味で障害の勉強というのは最 低限しか必要がないというのか、これを見ていると、上級スポーツ指導員になるには、 例えば、私のスキーですと、非常に有名なコーチたちが数多く優秀な方がいらっしゃい ますが、初級から障害の勉強をしないとスポーツ指導員になれないことなのかなと。こ れだと多分なかなかそういう意味でのインテグレーションということとは違う方向にい ってしまう。 ○牛窪委員  むしろ壁になっちゃう。 ○大日方委員  壁になっていくのではないかというふうにちょっと思ったんですね。 ○八木委員  現状は今おっしゃったように、かなり現場では、まだこれより先に進んでおりますね 例えばことしのたしか山形県の国体の予選で、隻腕の選手が出て走っておりました。私 ら健常者もみんな応援して、何とか予選を通過させようと言って頑張って応援して、と うとう彼は本大会に出たんですけど、結果的には余りよくなかった。だけど、その頑張 りようなんかはあたりの大変いい影響を及ぼして、我々もすがすがしい気持ちで応援す ることができたんですが、現場はかなり進んでおりますね。  さっき、大日方さんがおっしゃったように、指導者なんかでも、一体24時間とか61時 間という研修のプログラムはどんなようなもので指導員として与えるのか。私はそこら 辺をお聞きしたいんですけど、どんなような形になりますでしょうか。指導員の養成、 24時間の養成のカリキュラムはどんなものを使っておられるか、そこら辺をちょっと知 りたいのですが。 ○藤原委員  たまたま私は起案をしたりする担当者ですので、ほとんど日体協の指導者養成のそれ をもとにして障害の部分を加えていったような状態でつくってあります。今、大日方さ んが非常にいいところを突いてくれていますので、ちょっと考えなければと思っている のですが、一応ある程度の経験を積んで、ただ、コーチのところが上級からでないとだ めだということではなくて、中級でも上級でもということで、比較的その辺から受けて いただくような道はつくったつもりなんですけれども、今回もいろいろお話が出てまし たように、実際は体協やJOCの競技団体と私ども直接いろいろ御指導をあおぐという ことをしないで、一本釣りみたいなことになっていますけれども、個々にはトップレベ ルの指導者の方の御指導も実際には受けながらやってはいるのですが、これは特に先ほ どもちょっと苦し紛れに、去年からやり始めたところでということですが、コーチにつ いては非常におくれて、長野のパラリンピックと並行して、指導者の養成、個々のいわ ゆるコーチの部分は並行してやり始めたというようなところで非常におくれているよう に思います。いい機会にいろいろ御指摘いただきましたので、早急にもう少し検討した い。  正直、この夏の計画しているんですけれども、これはスポーツ協会だけでは手におえ ない、私どものスタッフではなくて、それぞれの競技、これは組織にも絡んでくるんで すけれども、組織がまだ十分でないものですから、20競技団体ぐらいから仮に推薦があ って、それのコーチとしての養成をスポーツ協会でやれと言われましても、体協なりJ OCの組織にお願いをして、実際にそうしたコーチの養成のお手伝いをいただかないと 陸上で一人、水泳で一人というような受講生が出てきて、それを全部ひっからめてやろ うといってもどうしようもないというのが現実の問題としては突き当たっているので、 ちょうどいい時期にこの会議を持っていただいて非常にありがたいと思っています。  一応、これはごらんいただきますと、体協のそのものという感じ。中に医学的な、あ るいは障害のところあたりを入れていってつくっているということです。 ○中川委員  大日方さんに今言っていただいたので、私は言いやすくなったし、とてもありがたく 思っていますが、少し同じようなことで、12ページの部分で情報を流しておきたいと思 いますけれども、私個人は知るとか知らせるという関係が非常に大切だと思っています し、それによって意識というのはつくられてくるかと思うんです。そういうことがある から世界的には10人も障害があるオリンピックのメダリストがいるし、近代オリンピッ クの関係ですね。日本人もその中に一人いるんです。障害者手帳を持っていませんけど 親指がないんです。それは置いておきましょう。  12ページのところでちょっとだけお話ししますが、パワーリフティングというのがあ りますね。このパワーリフィテングは、やっている障害者が何人もいます。彼らは全部 普通のパワーリフィテングの協会に入っております。障害者としての団体をつくってお りません。それを御理解ください。  あと、参考にお話しすれば、フェンシングのことは載っていましたけど、フェンシン グについて言えば、つい最近障害者の団体もできて、日本フェンシング協会とも連絡を とりながらやっているということを御理解いただいていいのではないかと思います。 ○大森座長  ありがとうございました。 ○八木委員  国内の最高の選手権大会に出て、国際のレベルに上っていくのと、スポーツではなく ただ単に参加する方、2つの分野が一緒くたにして、そこから国内大会の優秀者が国際 大会に出ていくのだというような、ここら辺に1つのラインがあるのではないかと思う んですね。絶対的な素質のある者が国内大会のトップレベルであって、国際大会に行く 者と、障害者のスポーツへの参加という目的の2つにはっきり分けて進まなければ、こ の問題は解決しないのではないかという気がしてしようがないんです。今までのとらえ 方が、何かピックアップして、この人は国際大会に行きなさいというような形でやって きているわけですね。新たに組織をつくろうとする段階のときに、何かそこら辺に矛盾 が若干出てくるのではないかと思うんですね。  我々のJOCあたりでも、本当に競技に素質のある者とない者との判断が今一番大事 なんですね。幾らお金をかけてもだめなやつはだめなんですね。金かけていいやつを引 っ張っていくためにはピックアップしていかないと、これは今の現実の健常者であれ、 そうなんですね。今、全体的な組織を見ると、これも文部大臣認定の中のカリキュラム を抜粋していいところだけとってつくられているのはよくわかるのですが、JOCも大 変なんです、文部大臣認定で。特にスキーなんかは60年の歴史を持った指導員制度があ りまして、それでやってきたものだから、今、文部大臣に交渉して、自分らの制度を見 てくれ、文部大臣の方のものもまた入れてということで勉強させて一生懸命やっている のですが、パラリンピックの問題に関しては、難しい問題だけに2つの矛盾がはっきり していかないと、選別していけないのではないかという気がしてしようがないんです。  今、お話を聞いている範囲の中でですけれども、そこら辺から、とにかく組織を一本 化してもらって、この組織しかないんだよということをまずしていただかなければ、国 際大会にも出れないんですよという、まず形をきちんとしていただいて、それから仕分 けをして、これは国際級、これはスポーツに参加するというぐあいに分けていったらど んなものでしょうか。そうしていくとレベルアップも十分できるし、それぞれの目的に 合った仕事がしていけれるのではないかと思います。  私たちも、よく川原先生などにも相談しようと思うのですが、今、JOCの中にもそ のセクションをつくろうと思っているんです。縦割り行政がどうであれ構わない。それ はJOCとして、身体障害者に対する対応として、我々も国際レベルにどんどん上がっ ていっていただきたいから、そういうことを、私はぜひ考えたいと思っています。そん なところで、まず組織自体を確立していただくことを早くやっていただいた方がいいよ うな気がしてしようがないです。 ○中島委員  今、八木委員の話はよくわかりますし、JOCさんは歴史がおありですから、それで もまだいろいろ問題があるというお話でございました。ましてやスポーツ協会、私ども が一応窓口となってやっているわけでございますが、今回の長野大会にしましても、本 来なら競技団体が前面に出てやるのが一番理想でございますが、それができないという ことで、協会内部に「強化委員会」というのを別個に設けまして、全国から、いわゆる 都道府県を通じまして、選手、スタッフを集めまして、3年間の強化を慌ててやったと いうのが実態でございます。そういうことで組織づくりは、八木委員おっしゃったよう に大変重要視していますし、今後その辺も踏まえてやっていきたいと思います。  また、先ほどからコーチの話が出ておりましたが、強化委員会の中には入っておりま せんが、実際の現場ではSAJの方とかいろいろ競技団体にお願いしまして、優秀な コーチ、スタッフを派遣してもらって大変ありがたく思っております。そういうことで 何しろ歴史が歴史なものですから、まだ、その辺の確立ができてないということがござ います。これは最大重要課題だというふうに思っております。  それから、この強化の中で、私、一番悩んだのが、そういうことで全国から集めてお りまして、強化選手に指定しましてもなかなか会社勤めしておりますし、自営業の人は わずかしかおりませんので、自営業の人はいいのですが、会社の都合でせっかく合宿訓 練やっても出てこれないと。出てきても半分ぐらいで帰ってしまうという悩みがあった んです。この辺が一番弱いところですが、会社の理解のあるところ、役所とか大きな企 業などですと比較的それがよかったのですが、小さい企業などになりますと、私も20人 ぐらい社長さんにお会いして、協力に回ったのですが、大変理解をしてくださる方と、 就業規則があるから、それは無理なんだということで、選手はやりたいけど、やれなか った、こういう悩みもございますので、やはりそういう会社とか一般社会の理解が大変 重要ではないかなということをつくづく感じたわけです。  今後、長野である程度PRができましたので、世間の目も少し変わってくるかなとい うことで期待しているのですが、そういう考えでございます。 ○大森座長  牛窪さん、手が挙がりましたが、どうぞ。 ○牛窪委員  先ほどの柔道の話なんですけれども、柔道では、今、世界で通用するレベルというの は、JOCの方が言われたとおりで、もう障害者の柔道の選手の中だけで練習している のでは柔道に関しては金メダルは取れません。積極的に一般の人と練習して競技力を上 げていかないと完全に置いていかれてしまいます。それが1つです。  あと、私らが見ても、この選手は、例えば一般の国体のレベルに参加している選手も います。2、3名の選手に関してはどこへ出しても恥ずかしくない、本当に見ていただ きたい選手がいます。ですから、こういう選手をぜひ引っ張り出すというか、具体的に 絶対この競技を見たら感動しますから、そういう選手がいますので、ぜひ、その部分に 協力をしていただきたい。具体的な話をさせていただきますけど。 ○大森座長  そういう方をどういうふうにして発見し、いろんなトレーニングに乗せていかれるか という、その仕組みが要りますよね。 ○牛窪委員  もし、そういうあれができれば、もしかしたらオリンピックにも出られる、7階級に ○八木委員  それは、今、お話を聞いている範囲の中でも、こういう会議の中で、我々がそれをお 聞きして、競技本部と結びつけることは十分できると思うんですね。それは御本人のた めにもいいことですね。どこまでやれるか、挑戦してもらうこともいいと思います。そ れは私らでできる範囲ですよ。  今、皆さん方に御論議いただいている中で、そういう1つのブロックと、スポーツに 参加するブロックと組織の中に2つ出てくると思うんですね。そういう人ばかりではな いと思うんですね。だから、そういうことの2つの仕分けがどうしても必要ではないか なという気がするのですが、今、おっしゃったようなことはすばらしいことで、この会 議で、もしそのことが得て、そういう選考会にも出れるようになったら、それだけでも この会議の意味がすごくあるとこう思うんです。それはぜひ、私の方も柔道の連中にも きちんと話をして、そこら辺のことはやらせるようにいたしたいと思います。 ○大日方委員  八木委員がおっしゃるとおりだなというふうにつくづく思います。確かに障害者の側 に団体のしっかりしたものがないのはそのとおりで、これはある意味では、私たち障害 を持っている選手自身にも問題があることは八木委員も重々お気づきのことだと思いま す。余り堂々と言えることではないことは十分承知の上でお願いしたいのは、先ほどか らおっしゃっていただいている、本当にパラリンピック、あるいは競技として参画する ものなのか、分け方を明確にする、これは絶対必要ですよね。  ただ、私たち現役でやっている選手からすると、議論をしたり、組織をつくったりし ている間に日は一日過ぎていくわけでして、牛窪さんたち夏の方であれば、もう2年後 にはパラリンピック、私たちでも2年後には世界選手権ありますし、4年後にまたパラ リンピックがあるということで、1つ、競技をやっている者をさらに厳選していただく 必要はあると思うんですけれども、厳選された少人数の選手に対しては、JOCの方々 から、一歩進んだ形で、積極的に手を差し伸べていただきたい。組織部分に関しては、 もちろん私たちも含めて自分自身の問題でもありますから、つくっていきますけれども それよりも先に手を差し伸べていただくような可能性を検討していただけないかなと思 います。 ○八木委員  この会議に参加させていただいて、本当にそういう点の声を聞かせていただくために 川原さんに、私が出ますよと言ってこの会議に出てきたわけですから、そういうことは すぐにでもできる可能性だと思うんです。組織対組織で、頭が厚生省で片方が文部省だ という組織上でいろんな問題があります。そもそもユニフォームの問題から端を発しま して、私も新聞でたたかれたのでありますが、これもいろいろ問題がありまして、私は 皆さんがあの服を着ていただいて、表彰台にどんどん立たれて、本当に涙ぐむほどうれ しかったです。ああ、よかったなあと最終的にそう思った。  ところがあれは、アメリカやなんかに全部問い合わせをしたんです。実はどうですか と言ったら、いや、うちは同じやつを着せないことにしている。先ほどお話した方のと ころへちょっと相談に行ったら、「八木、それは着せない方がいい」と言うんです。そ れは、パラリンピックはパラリンピックの栄誉、自分の栄誉の上に立つのだから、純粋 にその上でちゃんとユニフォーム着せた方がいいんだよと。違う立派なものを着せても いいんだ。  しかし、最終的には長野でやる。しかも間近の大会であったし、今になってよかった なあと思っていますけれども、そんないろんな意見がやっぱりあるんですね。自主独立 としてきちんとやっていきなさいという、しかし、今言うようなことは、私らがやるこ とで、絶対必要なことだと思うんですね。そのことは私らでできることだと思います。 JOCさえちゃんとしていれば。  これから大きな組織の問題になってきた場合には、やはりきちんとした組織づくりを スポーツに参加する方々も、国際的に出ていく人たちも拍手をして送るぐらいのような 組織自体にしていくことがすばらしい形でないかというように思うんですね。これが格 好だけになってしまわないようにうまくやるべきだと思います。私とJOCの立場では 今言ったようなことについては、スキー連盟の方も専務理事をやっていますから、ス キーのアルペンなどについては、何人かのコーチを専属にやることについては問題ない と私は思っています。ですから、そういう点ではぜひ協力はさせていただきます。 ○乳井委員  私のような素人から見ていますと、ことスポーツに関してはJOC及び体協は、厚生 省はもとより文部省よりもむしろ見ていて強大な力を持っているのではないかなという 気がするわけなんで。 ○八木委員  すぐ怒られますから。 ○乳井委員  肯定してもらわなくて結構なんですが、気持ちなんですけれども。八木委員がもうお っしゃっていることなんですが、そういう意味で、縦割りを超える役割をひとつJOC に発揮していただきたいと。スポーツの組織づくりも、それを待っているような形でな くて、JOCがそういう働きかけをしていくことによって、それを促していくような方 向に持っていっていただきたい。せっかく実力者の八木さんがいらっしゃる席なので、 ひとつそこをお話しておきたいと思います。  私、スポーツも身障者スポーツも全く知らない者なんですけれども、このたびの長野 パラリンピックについて、結団式の段階から、また長野の取材もさせていただいて、社 説とかコラムを書いた立場なんですけれども、非常に感動しました。目からうろこが落 ちるといいますか、「あなたが眼鏡をかけておるのと同じですよ」と言われたときには 本当に目から眼鏡が落ちるような感じがするぐらい驚きを受けて原稿を書いたわけです けれども、ただ、1つ感じたのはスポーツとしてやっていく上にはルールといいますか この大会を見ていて、やはりまだ未文化なところがあるように感じられました。  これは大日方さんが、既にどこかでおっしゃっていることですけれども、クラス分け の問題にしろ、また、大会へ入ってきてから、急遽そういうふうになるという、これは 1つの今の過渡的なそういう現象であると私は受けとめているのですが、そういう意味 でも、そこを確立をしていくために、日本が単にメダルだけでなくて、積極的に海外に 向かって働きかけていくという役割をする。そのために基本的なベースをこういう論議 を踏まえて、しっかりしていかなければいけないという気がします。そこがしっかりし ないと、例えば表彰制度とか報奨金の問題、そういうところにも説得力を持たせるとい う意味でも、それは大事なことではないかなという印象を持ちました。 ○大森座長  すいません、ちょっとお待ちください。乳井さんせっかく御発言いただいたので、こ れは東京新聞なんですけど、5月19日に載りまして、パラリンピックのときのリハーサ ルの控室というか、そのときの記事が随分大きく載ったんですけど、私もこういうこと があったことを知らなかったんですが、これについて一言、二言ございますか。お手元 に入っていると思うんですが。乳井さん以外の方でも。 ○乳井委員  ちょっとまだ読んでないんですけれども。 ○大日方委員  これがなぜここに、正直なところ、あるかというのがはっきりわからないのでありま すけれども、多分この会議はそもそも、これは非常に大切な問題であることは確かなん ですけれども、この問題に関する議論は、恐らく別のところで行われるべきものではな いかなと。 ○大森座長  私もそう思うんですけれども、正式な議題ではないんですけど、たまたまこれにパラ リンピックのときの全体の運営のあり方がどこかで障害者スポーツについて、何かを感 じさせるのではないかというのが、多分事務方が参考資料として出したものだと思いま す。きょう、これは議題ではございませんけれども、こういうことがあって、大きく報 道されたものですから、おや?というふうに思いました。 ○牛窪委員  このことについてですが、私はソウル、バルセロナ、アトランタと3回出場させてい ただいたんですが、やはり開会式の3時間、4時間前から炎天下で並んでいるというの は、全くこういう事件があっても不思議はないなと。競技をするためでなく、団体をま とめ上げるために早めに集めるというあれは、こういうところに出てしまうのかなと。 ○八木委員  これは決して車いすだけでなくて、カルガリーオリンピックのときは8時間寒いとこ ろに立たされて風邪引くやつばっかり出たというケースがありまして、結果的には組織 委員会の問題であって、こんなのは小さい、記事は。アルペンなんか4カ月出たんです から、滑降コースの問題なんかね。 ○大森座長  ほかのテーマに。 ○八木委員  全然違うと思います。 ○大森座長  もし、お述べになる時間がなかったら、また御意見はペーパーで。 ○中島委員  先ほど顕彰金の問題でちょっと一言申し上げたいんですが、JOCさんは顕彰金制度 がございまして、今度若干方法を変えられておやりになったということですが、JOC に該当するのは私どものスポーツ協会でございますので、スポーツ協会ということで、 JOCさんも、民間の資金でおやりになっているということですが、大変これは多くの 問題を抱えていると思います。  今、議論がありましたような障害者スポーツそのものに対する整理といいますか、問 題点の解決が先決ではないかということで、時期的にはまだまだ先の問題かなという感 じがいたしております。もちろんこの問題は無視できませんので検討はいたしますが、 まだまだやるべきことはたくさんあるということで、今後の検討課題というふうにやら なければ、今の状況では無理でございます。 ○中川委員  今のことについて。 ○大森座長  今のことについて御意見あれば出してください。 ○中川委員  私も中島委員のお話が出たことに賛成なんですが、私、きょう実はメモしてきました けれども、先ほども他の委員の方からもお話ありましたように、やっぱり審査に耐える というのでしょうか、衆目の価値評価に耐えるというレベルでないといけないと思うん ですね。私は報奨金あるいはそういう類のものを出すことは最終的には賛成なんてすけ れども、今の段階では無理だと思います。  それはなぜかといいますと、スポーツをする者、スポーツを組織をしている者たちの 自立性・インデペンデントの問題でなくて、オートノミーの問題ですが、そういうこと が問われて、それに勝てなければ、負けない状態にならなければいけないと思います。  長野パラリンピックでも御存じだと思いますが『バリアフリー』という雑誌にも出ま したけれども、メダルの格式が選手の中から批判を受けているわけですね。それはやは り組み合わせの問題、あるいは3人ぐらいしか出なくて、1、2、3でもメダル出しち ゃうとか、ああいう類の事柄をやっているようではやっぱり無理です。以上です。 ○八木委員  JOCもお金の出すまでの段階ではすごく何年もかかったんです。しかし、国際的に いろんな部類を見て、どうしても経済的に出さざるを得ないだろうというので踏み切っ たのが、今から2回前のオリンピックからですかね。なかなかそれまでは中でもいろい ろありまして、JOCの理事の中でもとんでもないと。おれらのアマチュア時代は、冗 談言っちゃいけないと、交通費まで自己負担で行ったんだなんていう意見まで出て大変 だったんですよ。だけど、そんなこと言っている時期ではないということで、最終的に はこういうことになった。  国際的にも今は正直言いますと、イタリーでも優勝すると 900万とか出るとか、国際 的に全部調べた結果でも日本は決して高い方ではないんです。ですから、今おっしゃっ たように、今のレベルのパラリンピックでお金出したら、恐らくそれで破産するんじゃ ないですか。金メダル14人、あれだけ出したら、みんなまいっちゃうんじゃないか。そ れは本当におっしゃるとおりで、種目によってレベルが違うし、1等から3等まで3人 走って、これもわかる。私などもフロットで見ていて、アルペンの大回転ならあげたい とか、これはやっちゃいけないよというのはたくさんあるわけですよ。それはレベルが 限定されてきて、厳しい中からそういうものをセットしていくことが大事でしょうね。 JOCもこれを生み出すまでに10年かかったと思ってください。 ○川原委員  全体のことなんですが、これからの課題ということで、指導員養成とか施設の問題、 それから強化、いろんな面で競技団体間の協力が非常に重要だと思いますし、協力によ ってうまくいく部分もかなりあります。先ほどJOC、体協は強力だとおっしゃいまし たけれども、JOC、体協もどちらかというと補助金の占める部分がかなり多いわけで して、行政の方がきちんと連携をとっていただかないと、協力がスムースにいかないの ではないかと思います。そういう意味で行政の連携をぜひお願いしたい。  それから、施設の面に関しまして、厚生省、文部省だけでなくて、特に建設省が施設 整備には相当お金出していますね。そういう意味で、建設省も巻き込まないと、障害者 の施設整備もうまくいかないのではないかと思います。ほかに労働省とかいろんな省庁 でも施設をつくっておりますから、それには全体の政策の中でうまく配置されるような 形にしていかないと、障害者の部分だけ予算を取っていこうかというのではなかなか進 まないのではないか。文部省、厚生省だけではなく、行政の連携あるいは全体としての スポーツ政策が重要ではないか。 ○大森座長  時間がまいりましたけれども、きょうどうしても。 ○大日方委員  よろしいですか。 ○大森座長  最後にお願いします。 ○大日方委員  きょうちょっとおくれてきてしまったんですが、最初のスポーツの意義についてとい うあたりでは、リハビリスポーツとか何とかとか、まだ要は障害者スポーツをどうして も一くくりにしていて、分ける分けると言いながら、どこまでを議論するかというよう なところで、又、少し逆戻りしていたかと思うんですが、やはり広範なことを考えます と、今回のこの委員会の意義というのは、藤原先生おっしゃっていましたけれども、要 は障害者というものを外した「競技スポーツ」をどうするかを議論することだというふ うに思います。この委員会は3回、あと1回しかございませんから、ここでは方針を決 めて、具体的なことはまた別途という形でというふうに伺っておりますが、次回でしっ かり決めていただきたいなと思うのは、1つは確認なんですが、きょうの検討課題の3 番目に挙がっていた競技スポーツというもの、あるいは生涯スポーツでも、障害・ディ スエイブル(disabled)という観点ばかりをクローズアップしないスポーツを検討課題 にするんだということを、3回目では、そこからスタートしたいなというふうに私は思 いました。  それと、ちょっとまだ早いかもしれませんが、実質的、具体的な活動には川原先生も おっしゃっていましたけれども、立場を厚生省だけとか、限られたものではなく広い分 野の方に関わって頂きたいと思います。やはり選手としては、むしろスポーツの専門家 であるJOCの方に主体となって引っ張っていただけるような道筋をつけて頂きたいと 思います。あと1回なんかで具体的なことは決まりませんので。  それと選手というか、当事者、いわゆる障害者の競技スポーツの現場を、長野パラリ ンピックやアトランタであるとか、現場を知っている、人間に、私と牛窪さんを入れて いただきましたけれども、引き続き、発言の機会を与えていただきたい。選手や競技関 係者の知らないところで今後の競技スポーツの方針が決まっていたとかということのな いようにお願いしたいというふうに思いました。 ○初山委員  すいません。先ほど伺っておりまして、IPCが9年前に発足したんですけど、ちょ うどそのときのIOCと、今、JOCが言われたのとよく似ていると思うんです。基本 は、今まで身体障害者スポーツ協会がかなり苦労しながらここまできましたので、でき れば、これで切っちゃうのではなくて、この機会にこの具体的なものをディスカッショ ンしたり、将来いろんな方を入れてやるような検討会をつくることを御提案したいと思 います。 ○大森座長  わかりました。それでは、すいませんけど、今のようなことを含めて、今の御意見は 記録にとどめられていますけれども、それ以外に改めて御意見があれば、恐縮ですが、 これに簡単で結構ですし、あるいは場合によりましたら、書くのが面倒でしたら、お電 話などで担当者の方にお話しくださいまして、それを入れたものを6月22日が3回目で 一応のものを事務方で多分用意していただけると思っています。それで、もう一回検討 していただきまして、次回の御意見を入れて手直ししたものを事務方で拝見しまして、 私どもはそれでタイミング見まして、次官に私どもなりの、これは検討で、結論を全部 書くよりも検討経過と検討の内容みたいなものをお示しすることになるかどうかわかり ませんけど、そういうものをお渡しすると。そして、その中に場合によりましたら、今 後これについて、これで終わらないで、何かそういう検討する場などが必要であるかと いうようなことを提言の中に盛り込んでいただけるような御意見が出ましたので、そん なことを含めて、次回に用意をさせていただくと。そんなことで、きょうのところはよ ろしゅうございましょうか。 ○中島委員  先ほどの初山先生の話ですが、障害者スポーツの発展・振興のためでございますので 私どもスポーツ協会内部でも検討委員会みたいなものを設けまして、十分各論部分につ いては今後やっていきたいというふうに思っております。 ○大日方委員  質問よろしいですか。 ○大森座長  はい。 ○大日方委員  この委員意見提出表を29日までということなんですが、これは例えばきょうですと、 懇談会資料を当日いただいたんですが、もう少し早めに意見をまとめたようなものをい ただくようなことというのは。 ○大森座長  資料1みたいなものですね。 ○大日方委員  はい。当日よりは事前に目を通しておいた方が。 ○大森座長  次回はどうでしょうか。 ○三友社会参加推進室長  あらかじめ時間的余裕を持って、事務局がまとめた案を送らせていただこうかという ふうに考えております。 ○大森座長  22日の前にね。 ○三友社会参加推進室長  はい。 ○大森座長  そうしていただきましょうか。 ○大日方委員  お願いします。 ○大森座長  では、そのことでお願いいたします。何かこれで決定的なことになるわけではありま せんので、しかし初めてのことですから、できるだけ、私どもが気がついたことは盛り 込むような形で、ある種の報告書をまとめていただいて、今後の施策に反映していただ けるということだと思いますし、今後、施策の展開に当たって、先ほど出ましたように いろんな方々から意見を聞いていただくような機会があった方がいいかもしれませんの で、そのことを含めてちょっと事務方で検討していただくと。  次官どうぞ。 ○山口厚生事務次官  私からも、今、大森座長の言われたように取りまとめでよろしくお願いしたいと思い ます。初めての、このような懇談会だということもあって、御議論になっておりますよ うに、障害者スポーツと今までは一くくりにしてきたものを、競技スポーツなり、生涯 スポーツなり、リハビリスポーツなりという全体で考えていくのか。あるいは大日方委 員が言っておられるように、障害抜きのスポーツということに焦点を当てて方向性を出 してほしいという強いご意見がありましたけれども、私どもが基本的にお願いしており ましたのは、最初の議論のように、全体のことを御議論いただいた上で、今、どういう 御提言をいただけるかということで、資料としては、全体を見ていただいて、たびたび 御指摘がありました、競技スポーツと障害者スポーツの考え方、あるいは、しっかりと した団体をつくるという点では、どこに焦点を置いた団体ができるのか、それを包括を した団体ができて、その中から障害のある方の競技スポーツというものがいい方向へ向 かうというようなシステムができるのかと思います。御議論を聞いておりますと、かな り幅広い検討が基本的なところで必要だなという意識を持ちました。  したがいまして、今、いろいろ御意見がありましたけれども、できれば、少し広い意 味で「障害者スポーツ」というものを基本的に考えていただいた中で、当面アクセント を置く、あるいは長野オリンピックを踏まえ、どこにそのアクセントを置いて今やるべ きかというような観点から御議論をいただいて、近々のうちに当面の方向を出していた だければありがたいなというのが、私どもの願いでもあります。ひとつその点もお含み 置きをいただいて、お取りまとめいただければありがたいと思っています。 ○大日方委員  すいません。ちょっと皆さん誤解して受けとられてしまったのかもしれないんですが 特にパラリンピックだけをどうのとか、競技としてのスポーツだけをということでは決 してない。むしろ、私たち選手の多くはリハビリスポーツから始まったというところは 当事者である私たちが一番よく知っておりますので、その連携プレーはもちろん絶対必 要なんですが、ただ、私が感じておりましたのは、いわゆるリハビリスポーツ、さらに その少し上の生涯スポーツについては、今までの実績が日本にはしっかりあると認識し ておりまして、今まで充分な議論のなされていない競技スポーツについての議論を重点 的にしたいというような考え方だったんですけど。 ○山口厚生事務次官  まだ、我々はもっとそこのベースのところに問題意識を持っているものですから、そ の部分も御指摘なり検討の方向としていただきたい、そういう意味です。どうも失礼し ました。 ○大森座長  ありがとうございました。それでは、本日は以上にさせていただきます。どうぞよろ しくお願いいたします。                                  ----了---- (連絡先)  障害保健福祉部企画課社会参加推進室  TEL3503ー1711  角田(内線3073)  小山(内線3074)