98/05/19 3回ヒト組織を用いた研究開発在り方専門委員会議事録 第3回ヒト組織を用いた研究開発の在り方に関する専門委員会議事録 1.日時:平成10年5月19日(火) 15:00〜18:10 2.場所:厚生省別館5階第2会議室 3.議事:(1) 手術等で摘出されたヒト組織を用いた研究開発の在り方について        (2) その他 4.出席委員:黒川委員長        (委員:五十音順:敬称略)         梅田 誠  遠藤 仁  木村 利人  澤井 仁  西山正彦  廣橋 説雄 廣部 雅昭  丸山 英二  溝口 秀昭  山岡 義生               (開会・15時00分) ○事務局  まだ二、三、お見えでない先生がおられますけれども、定刻でございますので、黒川 先生、よろしくお願いいたします。 ○黒川委員長  今日はお忙しいところありがとうございました。第3回ですが、ヒト組織を用いた研 究開発の在り方ということで2回の議論をまとめて先生方とさらにこれを続けてご指導 いただきたいと思います。  これかなり前回はヒアリングをさせていただきまして、いろいろな現状、特に、開発 という意味からいうと、かなり現場のニーズというのはわかってきたような気がします が、今日はこれからの論点を少し整理してみたいということでお手元に資料を用意させ ていただきました。  今日は一応、3時から6時まで予定しておりますが、ちょっと急な用事が私、できま して途中で中座させていただきたいと思うのですが、その間、溝口先生に進行をお願い したいと思うのですが、よろしいでしょうか。では、どうもよろしくお願いいたします  それでは、早速ですが、今日の配付資料、事務方の方から今までの過去の2回の主な 意見をまとめていただきましたので説明をお願いします。よろしいでしょうか。 ○事務局  はい。お手元に資料1ということで用意させていただきました。前回も同じような資 料をご紹介させていただきましたけれども、第1回目にご同意いただきました論点に沿 って先生方のご意見を振り分けたものでございます。前回、申し上げましたけれども、 論点に沿ってご議論をいただいたわけではございませんので、こちらの方で勝手に振り 分けさせていただいたということでございます。  お手元の資料に下線を引いてございます部分が前回、先生方からいただいたご意見で ございます。その部分だけで取り合えずよろしゅうございますか。 ○黒川委員長  結構です。 ○事務局  それでは資料の1に沿いまして読まさせていただきます。まず、ヒト組織を用いた研 究を行うことが許されるのかという論点でございます。全般といたしまして、医療の現 場では現実にヒト組織を用いた研究は既に行われているが、そこへいく倫理、方法論、 科学性においてばらばらな状態だという問題がある。研究の質にばらつきがあって、ガ イドラインのようなものがないというのが現状だ。また、どこまでが研究でどこからが 臨床か、あるいはどこからが検査かが曖昧になっている。  次でございますが、ヒトの材料なしに新薬開発をがんばれということは今のところ困 難だと思う。  次でございますが、組織培養学会ではヒト材料を使うのに医者が勝手にやるのではな く、各研究者がもっと真剣に考えて地道に積み重ねでやらなければいけないというア ピールをしている。  次でございますが、オープンなセッションでの議論の積み重ねということが非常に意 味がある。それらの積み重ねを踏まえたガイドライン、あるいはもっと積極的に法的な ものを視野に入れるべき、非常に重要な問題が検討の背景にあると感じる。若干、ミス プリントがございます。申し訳ございません。  次の頁でございますが、ヒト組織そのものを材料として用いる場合と、新薬開発のテ ストの材料に使う場合についてということで、2頁目でございますが、最初のご意見は 臨床の試験に入る前に有効性、副作用がある程度予測できるということはフェーズIに 参加する被験者にとっては非常に大きなメリットである。  次でございますが、本委員会で対象とする研究開発は、医薬品の開発の動物実験から フェーズIに移る間で、ヒト組織を使ってやっていくことを中心としているが、一方では ティッシュ・エンジニアリングにヒト組織を使うという議論がある。その関係について も議論する必要がある。  次でございますが、研究者が自身で行うクリエイティブな研究よりは、欧米では既に やられている新薬の開発に関わるところをどうするかというところに絞って議論を進め たい。新薬の開発に関わる分に絞って検討していくとなると、諸外国の例を見ると肝臓 の薬物代謝がメインとなるので、その供給の体制をまず作り、その次として他のものを 同じシステムに乗せていけるのではないかと思う。なお、純粋な研究については研究者 自身が責任を持つシステムにしてはどうか。  次でございますが、本委員会で検討の対象をひとつだけに絞ったために、他のものが できないというような縛りができないようにする必要がある。検討範囲を広くしておい て、その焦点として医薬品開発をメインに持ってくる方が将来的な拡がりがあっていい ということでございます。  その頁の一番最後でございますが、正常組織の利用についてということでございまし て、具体的なご意見は次の頁にございます。3頁目でございますが、セルラインは大半 がノーマルのセルラインで、腫瘍細胞での結果は出るが、ノーマルでは出ない。そこで ヒト組織の必要性が認識されてきた。したがって、ヒト組織を使うことによってこれま でクリアできなかった点が新しくなってくる可能性がある。  次に、許されるとした場合、どのような条件で許されるかという中で、対象とするヒ ト組織の範囲の問題でございますが、まず、手術摘出時の残余物というところでご意見 がございました。  ひとつは、手術のときにかなり余計に組織を取られるという恐れを皆が抱くのではな いかという素人の感覚である。  次でございますが、手術のときに余計に組織を取られるという恐れを患者が抱くこと については、手術の説明をする際に病因部位のまわり、どの程度の正常部位を摘出する かを詳しく説明することによって理解を得るべきだ。  次でございますが、手術そのものの説明の中にどの範囲を取るということの説明が入 るので、余分なところまで取られるというふうには思われていないと思う。  次でございますが、余分に取られることはないと保証する、患者さん側に立つ主治医 がいないということが日本の場合問題である。  次でございますが、脳死の肝臓を取って使えなかったら供給するということが今でき るとはとても思えないので、日常の医療の行為でされている肝臓の切除の際、取られる まわりを集めれば、生体、死体の肝臓を待っているよりははるかに早く集まるのではな いか。 次でございます。ヒト組織の利用について我が国が進んでいる、遅れていると いう議論になるのが非常に危ない。確かに世界的なスタンダードでものが言えるように するということは非常に重要であるが、その方法は国によって違って当然である。例え ば、アメリカで脳死の移植において、不適合な臓器を用いていることを進んでいるとい うふうに捉えることが非常に危険。そういう意味で、我が国では例えば、肝臓の腫瘍の 手術のときに当然、切り取るべき範囲ものの中から正常な部分を提供するという方法が 最も良い方法だということになるかもしれない。  次でございますが、進んでいる、進んでいないの問題ではなくて、可能な道を探って いるということではないか。  次でございますが、諸外国から日本が遅れないようにしようというスタンスだけでは なくて、新しいシステムを開発するという期待も込めてヒト組織を用いる環境整備を行 うことが必要である。そのためには量は少ないが、日本でも利用が可能な手術で摘出さ れた残余物を利用していくことから始めるべきである。  次でございますが、日本人の死生観とか宗教観から言うと、取り出していらなくなっ たものを役に立つことに使うということはかなり受け入れられる。  次に、インフォームド・コンセントの在り方の問題でございまして、まず、インフ ォームド・コンセントの重要性ということでございますが、次の頁にご意見がございま す。  始めのものは、医療そのものがインフォームド・コンセントなしには始まらないし、 摘出された標本の処理でさえ、予め患者さんの承諾を得ておかなければ進まないという のが現状である。  次でございますけれども、インフォームド・コンセントについては必要不可欠である ことを明確にすべきである。  次に、インフォームド・コンセントの様式・内容についてのご意見でございますが、 今までは医療行為と研究を行う者が一致していたが、摘出された組織を製薬企業が用い る場合には、研究の主体が誰であるかということが非常に重要な問題になってくる。イ ンフォームド・コンセントの様式の中で書かれなければならないものとして、何かあっ た場合に誰が責任を取るか、どこへ連絡するかということを明記する必要がある。  次でございますが、事故の場合の責任の取り方の説明について、治験や研究の場合で あれば、責任の所在がはっきりしないところがあるので、責任の所在を明確に示した上 で、被験者からの同意を得る必要がある。一方、治療のために成される場合、例えば、 治療で肝癌の切除を行う場合であれば、研究はその得られたものを二次利用するのであ れば、通常の医療過誤の原則を適用するだけで済むので、改めて説明しなくてもよい。  次に、3番目でございますが、ヒト組織を用いた研究開発の範囲はということで、研 究の妥当性の問題につきまして意見がございました。  始めは、医薬品開発のこれから国際化が進んでくると、各国共通、データを共有する 時代が来る。その際に非常に貴重な生体組織を使って、意味のないデータを出すような 実験をやっても意味がない。そのためにも我が国の技術レベルを上げる必要がある。  次でございますが、研究者が供給を依頼したときに、どのような実験でどういう目的 で行うかというプロトコールを出させ、供給する機関が審査すればよい。  次でございます。何でもかんでも医薬品の開発に対してヒューマン・マテリアルを使 った方がいいということではないということをはっきりと押さえておく必要がある。  次、倫理委員会の問題といたしまして、生存者から、例えば、ボランティアの方から 摘出されたものを用いることについては倫理的な問題が大きく、その行為の監視者が必 要になってくる。  最後の頁でございますけれども、まず、ヒト組織に関する情報の取扱いということで ご意見がございました。プライバシーの保護について現状では患者の名前やID番号は 公表しないが、病名までは守秘していない。関係者が見れば誰の病気であるということ は特定できるが、研究的、学問的、治療的という面でそれは受容されていると認識して いる。  3番目の組織を収集・供給する第3者機関の必要性はということで、3つ程、ご意見 がございました。  まず、ヒト組織が企業によって販売されていることを含めて、今後どう全体的な体制 を組んでいくかということを考えていく必要があるのではないか。  次でございますが、医療行為が全く正当であるということを第3者が見ている上で、 摘出物を公的機関のようなところに供給するということは可能であり、それが日本の医 療を良くするチャンスである。そのようなシステムを本委員会で作れたら一番良い。  次でございますが、その場合、手術を行う医師にとっては余分に取るというインセン ティブが全くない。もし余ったら提供してほしいと言っているだけの話であるので、手 術は医学的判断で行える。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○黒川委員長  はい。どうもありがとうございました。今までいろいろな議論があったわけで、これ のそれぞれの項目がそれぞれの先生方のご意見をいただいているので、必ずしも同調し ているわけでもないし、反論しているわけでもないし、間違った意見、見解というのは いくつも出るわけですが、これについてこれが今までの論点とそれに対応する主な意見 ということで、左側に論点、それに対して先生方のいろいろなご意見を1回目、2回目 というふうにいただいたということになります。  そこで今日の進め方でございますけれども、もうちょっと議論を煮詰める必要がある のではないかと思っていますが、できれば今日、いくつかのポイントについてはだいた いの方向を示していただければ一番いいのではないかと思います。  そこで今日の配付資料というもの、お手元にありますよね。これに沿って今までの論 点を整理してありますので、これに沿ってもう1回、議論を煮詰めたらどうかというの はいかがでしょうか。そこがポイントではないかなと思いますので。  よろしいでしょうか。だから、ヒト組織を用いた研究を行うことが許されるのかとい う全体として今まで議論をされていましたが、この左の論点1というところは、ヒト組 織を用いた研究を行うことは許されるのか。全般についてのいろいろなコメントがあっ て、その材料を新薬、組織そのものを材料にするということがあるというコメントがあ りましたし、新薬開発のテスト、新薬の代謝ですね。そういうようなことについていろ いろな論点があると。  それから、病変組織の利用について、あるいは正常組織の利用についてというような ことがありまして、一応、2頁ちょっと終わっているわけですが、この辺についてもう ちょっと1回、論点を整理してみたらいいのではないかと思うのですが、それでよろし いですか。  この質問ですが、ヒト組織を用いた研究を行うこと、この研究というのは第1回目に 言ったみたいに研究というのはいったい何なのかというのは、研究者がご自分で行う研 究、あるいは患者さんの診断的なメリット、あるいは治療方針を決める、診断のときの 価値あるものを捉えて言うのか、1回目の論点では、あくまでもある程度、時間的な制 限を設けているのは、ICHその他で新薬の開発でヒトの組織を使えるというは、実際 にフェーズI、実際に新しい薬が患者さんにいく前に、ヒトにいく前にそれは非常に役に 立つと。非常に貴重な情報がたくさん貰えるということであるので、あくまでも新薬の 開発という条件をひとつ整備してみたいというのがありました。  その辺を主な論点にしておいて、それだけではなくてここにもありましたけれども、 それに限って他のができなくなると困るので、その他には先生方が普段、研究をやって いるのはだいぶヒトの組織を使っているのではないかという気がするのですが、それの 場合はちょっと違うのかなと思いますが、その辺はどうですか。先生方。そうでないと 論点がばらばらになっちゃいますか。  もし、差し支えなければ、そういう議論もあると思うのですが差し当たりはin vitro の新薬の開発というプロセスにヒト組織を使うことを可能にするメカニズムを検討した いということにしばらく議論を限らせてもらってもよろしいですか。どうぞ。 ○梅田委員  ここではそれでいいのかもしれませんけれども、ここで決めたことが、今度は一般に 医者が研究している仕事を制限しても困るので、そこら辺は配慮しながら議論しないと 具合が悪いのではなかろうかと思います。  医者自身も今までは勝手に使っていたかもしれないけれども、これからはかなり気を 使ってやらなければいけない時代にはなっているはずだと思うので、そこら辺は皆、後 で迷惑しないように討議を進めてほしいと思いますけれども。 ○黒川委員長  そうするとちょっと事務方に聞いておきたいのだけれども、この委員会としては全体 をまとめるときの総論というところにそういうのをきちんと書いておいて、具体的にこ れについてはこうだという話を書いておけばいいですかね。まだ、未解決の部分がたく さんありますけれどもね。よろしいですかね。それはまとめ方。 ○山岡委員  私も梅田先生の意見に賛成で、この2頁の一番上に書いてある組織を利用して医療に 還元することを目的とし、その中に具体的に薬についてもそれは許されると、そういう ふうなものであるべきというふうに思っています。 ○黒川委員長  そうですね。その他に。 ○廣部委員  医薬開発の場合、動物実験からフェーズIに移る間でヒト組織を使うという理解のよう ですが、本来種差が問題になっている動物実験に代わる方法として、直接ヒト組織を用 いることが理想とされている以上、将来的にはそういう方向で考えるべきであろうと思 います。日本の場合は特に倫理問題もありますし、手に入るヒト組織の量的なことを考 えると、当面は無理であろうと思うのですが、例えば、イギリスなんかは動物を使うこ とが非常に難しくなっている。つまり、実験動物を減らすという、実験動物を使うとい う別の倫理問題はこの中には全く入ってこないのでしょうか。 ○黒川委員長  それはいかがでしょうか。ちょっと違うかもしれない。ここの委員会で検討している ○廣部委員  ここではあくまでも前臨床の動物実験が終わってフェーズIに入るときのヒト組織の利 用という観点からの議論ですね。 ○黒川委員長  そうでしょうね。はい。 ○山岡委員  ただ、ご指摘あった波は決してないわけではないのですね。動物愛護協会からそうい う波がないわけではないと。 ○黒川委員長  それはそうです。不必要な実験は常に避けるべきではあるというのは基本的にはそう ではないかと。 ○澤井委員  ちょっといいですか。梅田先生のご意見にはだいたい賛成なのですけれども、この後 に例えば、公的機関を設置して、そこでヒト組織をいろいろ管理して保存して、さらに 配っていくというような、そういう議論に発展していく、多分、していくと思うのです けれども、やはりその場合に利用者と言いますか、それは製薬メーカーとか、そういう ことが非常に大きなあれになってくるのではないかと思うのです。  ですから、あくまでも議論は広くやる必要があるかもしれませんけれども、その広く やるということの中に製薬メーカー含めて研究と言いますと、また新たにいろいろな倫 理の、一般の人から見るといろいろ倫理の問題、起こってきますので、やはり製薬メー カーの基礎的な研究に使うということを大きく意識しながら議論を進めていってほしい なと思います。 ○山岡委員  全く反対ですね。製薬メーカーだからというふうなプロテクティブなやり方はオープ ンな考え方から言うと、それはあくまでも製薬であれ、研究であれ、それはオープンで やるというために公的なものを作るというので成立すると思うのです。  それが製薬だから非常に制約するというのは何となく納得できない。むしろあるそう いう公的機関が持っているものをこういう公的機関からサプライできるシステムが日本 にできるということが、こういう生物学的なものを利用する日本での活性化の一番大事 なところではないかと思うので、全く意見が逆なのです。 ○澤井委員  それは確かにそうです。ですから、それは同じ土俵だと思うのですけれども、今、言 われた研究者が研究のために使うということだと、その中には個々の患者さんへのイン フォームド・コンセントをすることによって、公的機関を通さないものというのが出て くるわけですので。 ○山岡委員  そこはまだ決め得てないと思うのです。ですが、それは決めたら、やはりなってしま えば、それは利用は、例えば、メディカル・サイエンティストであれ、ファーマシュー ティカル・カンパニーであれ、それは一緒だと思うのです。そういうふうに考えますが ○澤井委員  なるほど。そうすれば統一できると思いますけれども。 ○遠藤委員  やはり研究開発という応用性の問題が強調されると、どちらかに片寄るのであって、 委員長も申されましたけれども、ヒト組織を用いた研究という、いわゆる自由発想の研 究というものをある程度、きちんと押さえておいて、その上で応用性の高いものをどの ように持っていくかを考えるべきです。  そのあたりが、いわゆるオーガニゼーションをどうするかというところで、やはり 個々の医療従事者が自由な発想で研究をするということが研究の原点ですから、それが やりにくくなるというふうなことは、確かに梅田先生おっしゃるように、さけるべきだ ろうと思います。 ○梅田委員  私もちょっともうひとつ問題が。先生方、この間の土曜日のNHKの3チャンネルの 9時からですか、『先端医療が開く新しい人間像』というのをご覧になった方はいらっ しゃいますですか。  あの中で出ておりましたけれども、私の研究分野に関係して心配になったのは、口腔 粘膜から皮膚を培養ということで、これをインフォームド・コンセント、どの程度やっ たかわからない状態でどんどんやっていたことです。あの場で自分はちゃんとしている のだというような言い方で、ここの議論よりもかなり少ない発想でどんどん研究を進め ているという現状があって、私もえっと思ったのです。  そういうようなことを研究者が勝手にやり発表されますと、結局は研究者への不信、 医者への不信が出てきて、それがすべて一般の全部の医療への不信とか、全部そうなる わけですよね。ですから、あれでは困るわけで、ああいうふうな発言をするとき、もう 少しちゃんとやってほしいという気がしたわけです。  今日、この議論、本当はそれもちょっと後で一番最後ぐらいに討論してほしいわけで すけれども、ああいうふうなことをやられますと困ると。ですから、やはり研究者全員 の問題ではあるわけです。ですから、製薬業界だけではないのです。不信を招くのはあ あいうちょこちょこと1人、2人の研究者が何かやるともう全体が不信になってしまう ということがあるような気がします。そういう捉え方をしていたと思うのです。あのよ うな放送の仕方は、非常に心配であると感じます。 ○黒川委員長  それ見た方、おられますか。あれは歯医者さんか何か、多分、歯を抜いたときに、こ この口腔粘膜、取れますから、それをカルチャーにてバーッと大きくモノレイヤにする と。多分、それを使っていろいろな遺伝子操作をしていろいろなバイオアクティビティ を作るような皮膚を作りたいというのはいいのだけれども、そのワンシートを作って。 あれ皮膚移植か何か作るのですか。火傷したとき。 ○梅田委員  にしようというふうなことだと思いますけれども。 ○黒川委員長  だけれども、それどこまで研究で、ある程度、コマーシャルベースになったときどう するかということなのですか。 ○梅田委員  いえ、そうではなくて、あの方は細胞は誰のものかということを、どうせ、加工され なければゴミになるものだから、それを善意で培養したっていいではないかと。そうい うふうな安易な考え方ですね。というか、人類の財産だから、人工臓器の開発として、 これから組織培養で臓器の構築のために、どんどんそういう研究は進めていいのだとい うことをもう積極的に言っているわけです。  ですから、そうかもしれないけれども、そのコンセンサスがないのに自分の考えだけ でワーッと言っちゃっているわけですね。だから、一般の人が見たら、あれはとんでも ない、また研究者が何をやっているかという危惧をもってしまう。あれはぜひ、厚生省 の方、ご覧になっていただきたいと思うのです。 ○黒川委員長  先端医療、最初、中村祐輔さんが出たのです。確か。 ○梅田委員  そうです。 ○黒川委員長  その次にその人工皮膚じゃないけれども。 ○梅田委員  上田実先生が出て。 ○研究開発振興課長  何回かシリーズでやったやつ。 ○梅田委員  いえ。これはこれで初めてのものだそうですよ。コーディネーターが宮城大学の佐藤 純一先生という先生。あと一番最後に村上陽一郎先生が出ていました。 ○黒川委員長  そうです。お話をされていました。 ○山岡委員  ちょっと補足的にいいですか。我々のところで未来開拓でティシュエンジニアやって いますね。そのときに結局、膀胱とか、そういう上皮をレイヤーにしていくと。このも のはいったい持ち主はどこにあるか、議論しているわけですね。  その辺のところきちんと、先生おっしゃったようにしておかないと、捨てるものだと 言え、尿は捨てるものだから勝手に集めてきて、人のごみ箱を平気で漁るようなことと 同じわけですよね。  ちょっとそこのところ、倫理観とか、そういうすべてはどこかできちんと、先生おっ しゃるようにしておかないといけないと僕等は自覚してやっているのですけれども。 ○黒川委員長  そうですね。どうぞ。 ○溝口委員  梅田先生おっしゃる、捨てるものをインフォームド・コンセントなしに使ったという ことが問題なのか、その後の培養して増やしたものを火傷の傷を被うのに使うことが問 題なのか、どちらでしょうか。 ○梅田委員  一般の人がこういうふうに医者に、あるいは医薬業界に不信があるにも関わらず、考 え方だけ、私自身も先端でそういうことをやってもいいというようなこと思っています けれども、それをワーッと個人の考え方として出しちゃうこと自体に心配があるという ことなのです。 ○溝口委員  今、私が言った2つの点でちゃんとした了解が得られていないのにオープンしたとい うことですか。 ○梅田委員  もっと組織の倫理委員会とかで討議して、これはいいと判断されているからやってい ます、という言い方をされればいいのですけれども、個人の見解でワーッと最先端のこ とを言っているということ自体に危険性はあるというふうに感じています。 ○溝口委員  それぞれに歯止めが必要だということですね。 ○黒川委員長  わかりました。どうぞ。 ○西山委員  結局、今までのことを聞いていると、研究者の自由な発想で研究が行われる状況を作 るということがひとつ。それから、もうひとつはただそれを自由に放任してはならない ということ。  そうするとここでディスカッションの対象になる研究というものの定義は、患者さん 個々の診断治療に直接的に関わらない研究というふうな形にすれば全体としてまとまっ て、後は対象とする研究者が医薬品の開発に向かってもいいし、さきほど言われた人工 皮膚のようなものでも構わないし、ただし、そこには共通のルールがあるというふうな 形で求めていかれれば。そこのところで研究という定義が決まるように思いますけれど も。 ○黒川委員長  そうですね。それからさっき澤井先生もおっしゃいましたけれども、例えば、最初の この間の製薬協の話なんか聞いていると、肝臓のプレパレーションがマイクロソームフ ラクションで必要であると。それをプールして使えるようになっているという話があり ましたけれども、もちろんそういうのがある程度、第3者機構か何か知らないけれども そういうメカニズムを作ったとして、もちろんティッシュは別に買うわけではないだろ うと思うのですけれども、その辺を議論していただくとして、プレパレーションがある と。ストックされていると。  それは何も製薬企業だけではなくて薬学の人でも何でも代謝を見たいというようない ろいろなこと、目的があるでしょうから、アメリカのセルカルチャーみたいな、ああい う売るわけね。それによってファウンデーションの何かメインテインできればいいわけ ですよね。多分。  その辺はだから、製薬企業だけではなくて、例えば、遠藤先生なんか少しやっておら れるわけだから、私も使いたいなと思えばそういう人が使おうと思っても患者さんから 貰うわけにはいかないわけですけれども、むしろそういうストックがあれば非常に研究 にはいいわけですよね。非常にオープンにしておけばいいわけですね。そういうのがあ るよと。アメリカのセルカルチャーラインか何か、ああいうやつかな。どうぞ。 ○木村委員  やはりヒト組織を用いた研究開発というのは研究者主導型、あるいは製薬会社主導型 にならざるを得ない状況というのは一応あると思うのですね。しかし、提供する方は患 者であり、一般の薬学や医学の知識がない一般の人たちなので、そこの間にはやはりい ろいろなギャップがあるわけで、私なんか感じますと、ここで第1のところに論点に加 えていただいて大変良かったのですが、一番最後のところを見ますと、オープンなセッ ションでの議論の積み重ねということが非常に意味があると。それらの積み重ねを踏ま えたガイドライン、あるいはもっと積極的に法的なものも視野に入れるべき非常に重要 な問題が、検討の背景にあると感じるのですが。  脳死臨調(臨時脳死及び臓器移植調査会)の場合も官報、その他を通じて意見を述べ たい人を募集して、意見を述べる機会を各地域によって持ったということもあるわけな のですが、研究者と製薬業界だけではなくて、一般の方々でこういうことについてどう しても言いたいとかというようなことを道を開くような形で公開のセッションでの討議 がないと、これは非常に大きい問題になってくると思うのですね。  確かに新しい薬を作るための組織の必要性ということで何とかしてこれをここで使う ようにするということについては、医療側、並びに研究者や製薬会社が大変に熱心で、 これはこれなりに意味があるし、また世界の水準から見ておそらくそうだろうと思うの です。日本では脳死や臓器移植のケースを見てもわかりますように、非常にある意味の 医療への不信というものの蓄積もあるわけで、これが諸外国の場合にはむしろメディカ ルボランティアと言いますと、むしろそういう献体するとか、あるいは移植のために臓 器を提供するとか、あるいは困っている病気の方を救うとか、そういう一種の割りにグ ラスルーツからの協力が背景にあって、メディカルプロフェッションがそれを積極的に 受け止めながら自分たちの方策を出したという一種のピープルズパワーが背景にあるの です。  ですから、日本みたいな国ですと、そこら辺が、これはアメリカとの比較ですけれど も、そういう点の言わば突破口と言いますか、それを踏まえて新しいものを出すという ようなことがどうしても必要になってくると思います。これはしかし、本質的に非常に 重要なことだというのが僕の見解なのですけれどもね。  時間的な余裕とか、あるいは場所の確保とか、いろいろな問題があるかと思いますが そういう声があるわけですので、そこら辺も踏まえたやはり展開をどうしてもこの委員 会でする必要があるのではないかというのが僕の見解なので、これは第1番目に入れて いただいたのは大変いいと思うのですが、そこら辺はどうなのでしょうか。そこら辺ま でやる時間的余裕がないということとなるのでしょうかね。 ○黒川委員長 だけれども、そういう視点があるから先生がおられるのではないですか。ここに。 ○木村委員  いや、僕だけでは足らないのですよ。 ○黒川委員長  いや、足らないと言っても、そういう立場で先生が発言されればよろしいわけでと思 いますけれども。 ○木村委員  それは発言しますけれどもね。 ○黒川委員長  そうしないときりがなくなっちゃうということはプラクティカルにはある。 ○木村委員  ただ、これは今やっておかないと、例えば、脳死臨調のときも最初で公開にしないで やったために後まで響いたのです。 ○黒川委員長  いや、だから、脳死のその後の省令を作りましたでしょう。国会通ってから。私が委 員長にさせていただいていたのですけれども、あれも全部公開ですから。 ○木村委員  公開です。ですから、先生の部会ところは非常に良かったのです。あそこは非常に皆 信頼感を持ってオープンでやった。その前の段階が問題なのです。 ○溝口委員  その前の段階から公開にしろということです。この会は議事録が公開されていますね その前の脳死の場合も議事録の公開はなされていたのですか。 ○木村委員  脳死臨調の審議会だよりというのがありまして、その中に一応、公開をされていまし たのですが、全文公開ではなくて要旨公開です。 ○溝口委員  それに比べれば、この会はかなり進歩しているのではありませんか。 ○黒川委員長  これは全文公開、見たいと言えばいいわけですよね。 ○溝口委員  議事録は全部インターネットに出ていますよ。 ○木村委員  これは全文掲載されています。 ○黒川委員長  では、それをPRしましょうよ。出ていますよと。何かあったらどうぞ言ってきてく ださいというのはいいかもしれない。 ○溝口委員  状況はだいぶ違うのではないですか。 ○木村委員  そうですね。それはひとつだいぶ進歩したということは言えるかと思います  しかし、私はやはり本人が、意見を表明したい本人が出てきてやるようなセッション がどうしてもないと、何かやはりまた相変わらずの、言わば手続きをきちんとやったと は言いながら、一般の人たちが一切発言することができなかったではないかということ が蒸し返される、却って大きい種を蒔くことになるのではないかというふうに心配して いるのです。 ○溝口委員  ある程度の意見をまとめておかないですぐ公開の会を開くと混乱する可能性がある。 0例えば、対象を製薬会社の研究にするか、一般の人の研究も入れるかとか、そういうよ うな議論の焦点をこのパネルの合意がある程度ないと、混乱するだけのように思われま す。 ○木村委員  それはあるかもしれませんね。ただ、やはり提供する側、非常にボランタリーに提供 したいという人もいるのです。  今朝も私はヒューマン・サイエンス・ナウという移植関連のバイオエシックスについ ての講義を早稲田大学の人間科学部というところでやっているのですけれども、朝10時 40分から12時10分まであったのですが、これから私は午後、こういうヒト組織を用いた 研究開発の委員会に出掛けてくると言ったら、先生、善意でもってそういうところに出 したいという学生もいるのですよね。だけれどもどうやっていいかわからない。移植で すら今、カードを持ってない学生が殆どで、持っていた学生が87人の内でで1人でした  ですから、PRをしたとは言いながら、いろいろな意味で、コミュニケーションがな い場面があるわけなので、これはどこかでやっておかないと、今、あそこでやっていて 良かった。これやったのにどうしてそこに出なかったということになりますから。やっ ておくべきだと思います。 ○黒川委員長  いや、それはPRの仕方というのは、他のことでも言ったことがあるのだけれども、 やはり日本の組織がそうなっていて、やはり行政はいいこと考えるのだけれども、その 考えたことが末端までいかないのですよ。という努力をちょっと不足なのではないかな と。  例えば、通達出したらそれで終わりましたと言うけれども、届いてないじゃないのっ て。出て捨てちゃったりして。例えば、これインターネットに出ていると。この間、プ レスリリースなのかどうか知りませんけれども、突然、朝日新聞に出ましたよね。だか ら、これについてはホームページにありますよと一言、どこかに書いてくれると、それ だけでいいのですよ。  だから、それがないから、たまたま委員会でやれやれとおっしゃるけれども、出た度 にホームページに出ておりますと言えば、もうそれだけで凄い違いますよ。それが一番 の僕は問題だと思っています。それをされればいいのです。それを何かの機会に1回す るといいのではないかと。全部議事録公開されていれば。 ○溝口委員  ただ、双方的なやりとりがほしいとおっしゃるわけですね。 ○木村委員  そうですね。 ○黒川委員長 いや、だから、それはどうぞという話だと思うのです。 ○木村委員  本当はオープンでやってもいいわけですよね。 ○黒川委員長  狭いという話がある。 ○木村委員  基本的には。 ○黒川委員長  それは何でもそうなのですよ。 ○木村委員  ですから、先生も基本的にはオープン、賛成なのですから、ですからやはりそこで オープンの場所があって、皆が出られるというところがどんなに大きい安心感があるか ですね。 ○梅田委員  そういうお話でしたら、先生がおっしゃるとおりでオープンはいいのですけれども、 それは一時的であって、あるいはほんの少人数だけなのですよね。  先いって発言しようと思っていましたけれども、やはり倫理委員会なり、その機関の すべてがそれを作って、委員の中に一般の人を一人、二人入れて、そこで討議して、そ れで研究者も、研究をこれからしようとする人も、一般の人も啓蒙するしかないと。そ れが地道にひとつひとつ進む道だと私は思っています。それは先いってからの議論だと 思っておりました。 ○黒川委員長  IRBは必ずそういう他の人を入れろとか、いろいろな話になっていますからね。ど うぞ。 ○木村委員  梅田先生の意見に賛成なのですが、やはり地域レベルの委員会と国レベルの、アメリ カではフェデラルガバメントですけれども、これの重みが違うというか、やはり厚生省 でこういうポリシーを作ったということは、大変に大事なのです。ここでオープンにや ったということが。  ですから、私は繰り返すようですが、何かそういうオープンなセッションを持つよう な機会を積極的にここで作っておかないと、千載一遇のチャンスを逃して非常にあのと きやっておけば良かったなということがまた起こって蒸し返し、いつまで経っても同じ 意見の蒸し返しという可能性があるので、そこら辺はぜひ、委員長としてもご配慮いた だければと思うのです。 ○黒川委員長  昔だったら多分、先生はここにはいなかったのではないですか。 ○研究開発振興課長  この委員会をあと数回、2回ぐらいやることを今、想定しておるのですが、だいたい 今日、あるいは今日でまとまらなければ次回あたりで論点がほぼ出尽くしたということ で、この委員会でこういうことをやってきたということを報告書というか、中間メモ的 なものとして出したいと思っております。  例えば、ヒト組織を用いた研究開発の在り方についてご意見のある方といっても、何 が出てくるかわからないし、私たちの考えていることがなかなか「書は言を尽くさず、 言は意を尽くさず」でして、文書になってもわからないこともありますので、私どもと してはこういう論点で議論して、こういうような考えるべき点があるというご意見を先 生方からいただきましたと、それに至る過程においてこれだけの議事録がございますと いうのをワンセットにしてインターネットに載せて、国民の皆様から広くご意見をいた だくということをやるのはいかがかと。  問題はこの委員会はご存じのように厚生科学審議会の中の部会の専門委員会なのです ね。そういうような声を聞く機会というのは、上のもうちょっとセントラルなところに もあるわけで、どの時点でどういう話を聞くかというのは、議論の煮詰まり方によって 私はいかにようにでもセットできるのではないかというふうに考えています。  ですから、私どもとしては今、一応、あと数回でご報告、結論をいただくにしても、 そのときにいただいたこういう考え方で、こういうふうにすべきであろうということと 議事録とくっつけて広く国民からインターネットでご意見をいただきたいというふうに は考えております。 ○木村委員  これは大変にいいことだと思います。私たちの学生も皆、見ていますし、アメリカで もヨーロッパでもこのインターネットを見ている。特に、厚生省のは必ず私、いろいろ なところで話す度に言っていますので、ホームページを開いて審議会をクリックし、審 議会をクリックしたら必ずこのヒト組織のところをクリックしてみて下さいと言ってい ます。大変にきちんとした形で出てきているものですから。  そういう点では今の課長のお話のように大変に積極的に取り組んでいただければあり がたいし、また、電子メディアが脳死臨調の始めとは全く違う展開をしているわけです ので、溝口先生の言われたことも踏まえて、また委員長の方針に沿って積極的なPRを するような方向を考えていただければ、大変にありがたく思います。 ○黒川委員長  では少し議論を進めましょうか。そういうわけでヒト組織を用いた研究を行うことは 許されるのか。第1の質問はどうしようか。一応、詰めておかないといけない。こう書 いてあるから。これは許されるという感じで。 ○山岡委員  許されるよりも推進すべきだと。 ○黒川委員長  そうですか。法的な面からの検討というのは一応、ある程度の整備をしなければいけ ないと思うのですけれどもね。 ○木村委員  これは事務当局の方にちょっとお伺いしたいのですが、現状でいろいろなヒト組織を 用いた研究開発が行われている状況も把握しておられるかと思いますが、それに伴って 現在では違法なヒト組織の利用方法についての罰則とか、もし、仮にそういう省内の省 令とか、あるいはそういう覚書とか、そういうのはあるのでしょうか。 ○事務局  第1回目の会議のときにちょっとご紹介したぐらいしかございませんで、そういう意 味ではひとつの研究所と言いますか、そこの中を出ない限りは割りと法的には間に落ち ているような格好になっているかと思います。  それを外へ第3者が介入するというような形になりますと、いろいろ死体の取扱いの 問題とか、そういう問題が出てくる恐れがあるということで、確か1回目にちょっとご 紹介をさせていただいたぐらいだと思います。 ○黒川委員長  そうですね。これはちょっと検討していただいて、倫理的な面という今の新しくここ で作るかというような問題かどうか、ちょっとまた別ですので、あまりどうみてもおか しいというところは何かあるでしょうし、訴えるということがあるのだろうけれども。  倫理的な面というのは、だから、さきほどから言っているようなIRBを作って、そ のプロシージャーはどうするかという話をきちんとそれぞれのインスティチューション でしなければ全然、今、話にならないでしょうね。それが当たり前だということが当た り前でなくなるのかな。その辺がどうも心配なのだけれども。 ○遠藤委員  多分、このシステムづくりの最初のところではいろいろ公開の問題も含めてこうあり たいと、こうあるべきであるということはいっぱいあると思うのですね。それから、研 究の内容につきましても、一応、自由な発想の研究と言いましたけれども、無限に拡が っていくわけですね。  ですから、そういう意味ではこういうシステムというのは当然、バージョンアップが 必要になってくると思うのですね。従いまして倫理性の問題の検討もどんどん時ととも に主題が変わっていくと思います。研究の主題も同じことです。  ですから、こういうことを含めてファーストバージョンを取りあえずつくるというよ うな形でいかないとなかなかまとめにくいのではないかと思います。 ○黒川委員長  その時点でそうだという話を書いておかなければいけないですけれどもね。それはそ うだと思います。  科学的な面からの検討というのは、これは必要であるということでしょううね。プロ セスというか、プロシージャーをきちんとしなさいという話で、ここの3つはいいと思 うのですが、よろしいですか。  許されない場合、それはちょっとないのかなと。そうすると。許されないことはある かもしれないけれども。許されない場合ではなくとして、次に進んでいってよろしいで すか。  2の許されるとした場合ということで、先生方のご意見も皆、許されるというところ から言うと、どのような条件で許されるかという話になるわけですから、対象するヒト 組織の範囲はと。  これ診断の場合は問題ないわけですね。一応、インフォームド・コンセントをして患 者さんのベネフィットのためにやるわけだから、研究開発というのは必ずしも患者さん のベネフィットではないから。難しいな。 ○事務局  ここに4つ挙げさせていただいておりますけれども、第1回目だったと思いますけれ ども、生検細胞については本来、目的から言ってこれが対象になることはあり得ないと いうご意見があったかと思います。それはこの中にもまとめさせていただいております けれども。 ○山岡委員  対象にならない。量が小さいからという意味ですね。 ○事務局  その目的から言って余分に取るということが本来あってはならないというか、そうい う。この資料ですと上から4枚目のところにちょっと。 ○廣橋委員  私が申し上げたのですけれども、生検標本は小さいですし、もっと小さくて十分診断 ができるのだったらもっと小さな生検にすべきです。そういうことからして生検標本の 利用は難しいのではないかなと思います。 ○黒川委員長  そうです。できればしない方がいいと思っていますからね。 ○溝口委員  さっき梅田先生が抜いた歯をどうするかということも問題だとおっしゃいました。廃 棄を認められるものの中にあるのでは臍帯ですけれども、廃棄が認められているものは 簡単な了承でいいのかなと思いますが。その点はあまり倫理性の問題にならないかなと 思ったのですけれども、どうでしょうかね。先生。 ○梅田委員  私自身は倫理性はそんな問題ないと思います。 ○溝口委員  捨てるようなものはね。 ○黒川委員長  しかし、胎盤は捨てちゃったやつを使って、回収業者からもの凄くお金を儲けている わけでしょう。何かエキスを作って。あれはどうしますか。あれはどうなっているので すか。全く法整備はないのでしょう。今。 ○研究開発振興課長  やはり廃棄物という扱いですね。だから、尿から何か出てくるとかと一緒ですね。 ○黒川委員長  だから、尿からも昔、エリスロポエチンなんか、先生、作って。 ○溝口委員  やっていました。 ○黒川委員長  今でもそういう話。 ○溝口委員  最初のエリスロポエチン純化のきっかけはそれです。 ○黒川委員長  そうですよね。胎盤、捨てちゃって、胎盤エキスなんか作ってぼろ儲けしている人が いるというのは何か腑に落ちない気がしないでもないなと。 ○遠藤委員  さっきの廣橋先生、生検材料の大きさもさることながら、例えば、ニードルバイオプ シーで取ってきたものを、これもう既に20〜30年前から2つとか3つとかに分けて、い わゆる固定しないものと固定したもので、固定したものは本来の検査に使って、固定し ない部分はマイクロメソッドが発達してきますと、種々分析できます。最後は細胞1個 でもある程度、研究材料になり得るのではないかと思います。  そういう可能性からして、完全にこれは生検材料は問題にならないのではないかとい うことについては、ちょっと私は多少の考える余地があるように思います。即ち、生検 材料も新しい研究の試料となる可能性はあるのではないかというふうに思っております ○廣橋委員  ご指摘はご尤もかもしれません。私、第1回の委員会で申し上げたときには、議論を in vitroの新薬開発への応用というところに焦点を当てると考えて、そういう目的から すれば生検の標本を使うのはかなり難しいのではないかなと申し上げたのだと思います  ただ、研究を非常に広く考えて、研究者による自由で創造的な、医療を推進させるた めの研究と捉え、そのために使えるかどうかということになると、話は少し変わります  私はそれであっても余分にもう一本生検のために針を刺す、例えば、肝臓に針を刺す ということは、患者さんにメリットがあるということなしにはやってはならないことだ と思いますけれども。例えば、針から生検組織を抜いた後に針に細胞が残っていますよ ね。それを培養液に戻すと培養できるということはある。それは生検診断にはもういら ないものです。だから、そういう残りを研究に使うというのは倫理的に問題がないと思 うのです。  今回の議論の目的をやはりある程度、整理しておかないと、話が混乱すると思います ○黒川委員長  だから、この間も手術のときのまわりに取れた正常細胞と同じ話で、バイオプシーを しますよと。これはあなたの治療の方針のためには絶対必要だと。それは納得しますよ したときに、肝臓だと1cmのコアが取れたときに、今だと半分でいいやと。残りの半分 使えるなというときに、患者さんに、もし、余分なものがあったらば、それは研究のこ ういうのに使いたいのだけれどもとIRBに出しておいたとしますよ。それはいいのだ けれども。患者さんは余分に取られるかなと思うかね。やはり。 ○西山委員  だから、今までの話を聞いていても、生検と手術摘出標本というのはちょっと性格が 違います。だから、私は思うのは、手術摘出標本だとか、生検細胞だとかというふうな ことに関わらずに、一般医療行為から逸脱した採取を行わないで摘出した臓器。生検の 場合には必ず患者さんの同意を得た上での生検というふうな形に書かないと、生検と手 術摘出標本で余ったところの部分は違いますし、胎盤そのものが医療行為のものを逸脱 するとは思われませんし、だから、医療行為というふうな範疇の中で十分取れるものと いうような形に限定されれば。その医療の目的のために。まず、そこから入っていくべ きだろうと思いますし。  例えば、移植不適合臓器なんかはこれは法的な規制がありますので、直ちに、法的整 備をしない限りにおいてはこちらの方へは転用できないわけですから、当然、まだそこ から始めてというふうな形でコンセンサスを得ていくなり、もう少し全体のシステムを 固めていく方がより懸命な方法だろうと思います。  それから、さきほどから言っているように、生検は本来、ノーマルなところを取るわ けではありませんので、そこのところには同意というふうなものをかならず明記をして おくと。それ以外のところは医療行為を逸脱しない組織の採取というようなところで対 象を決定すればいいというように思われます。 ○溝口委員  もうひとつ確認しておきたいのは、この場合、対象が正常組織ですね。  例えば、リンパ腫でリンパ線が腫れていて、取ってきて、多くの場合、1個取って細 かく分けて保存しますけれども、それは研究者のための研究ですので、これには該当し ない対象ですね。 ○黒川委員長  研究というのは、研究者の自由なアイディアでやっている研究にたまたま得られるサ ンプルを使うというのは、やはり手術とか診断とか、通常の医療行為で含まれいるもの ですね。通常の医療行為が含まれている分は侵襲度とかいろいろなことがあって、説明 はするわけですよね。インフォームド・コンセントが、どこまでリトゥン・インフォー ムド・コンセントになっているから、例えば、この薬はこうなのですよ。それでは明日 から出しますからというのまでリトゥン・インフォームド・コンセントだとはとても思 えないのだけれども。  だんだんそれが拡がってくると何もできなくなっちゃうということは確かだろうから その通常の医療行為で行われたものについて。 ○西山委員  それ一部分をいただくという形のものにすれば。 ○黒川委員長  先生の研究でやっている部分にはあまり変なことをすれば学会で発表したりしたら何 を言っているのかという話は必ず出ますよね。それはすぐわかっちゃうけれども。 ○西山委員  当然、それは医療としての同意を患者さんに取るわけですから、それのときに問題に なるときは医療過誤の問題で医師は罰せられますので。 ○黒川委員長  訴訟の問題が出ますから、当然。 ○西山委員  ですから、それは要するに、この組織を取るということで新たな負担を患者さんに与 えるということではないと。その範囲内のものを対象にして、それを有効利用しようと いうふうな形の対象に定めていった方がよりそれは倫理的だろうと思いますし、責任も ○木村委員  そのことについて患者に同意書を書いてもらっているわけですね。 ○西山委員  いや、それはこれからのシステムのディスカッションの話なのですけれども。 ○黒川委員長  例えば、尿ですよ。 ○西山委員  例えば、オシッコにしても、そのオシッコをただ黙って使うのではなくて、一応、そ れは医療行為を逸脱しませんし、患者さんに負担を与えませんから、ただし、この尿は こういう形で使わせていただきますというやはりそれはちゃんとお知らせして、本人の 同意を取って使うと。  胎盤に関しても同様で、一般的な、例えば、胃の手術、胃がんの手術の場合には正常 範囲までここまで取りますよということは、これは外科医の責任としてちゃんとインフ ォームド・コンセントを得るということになってますので、そうしない限り、医療行為 が進みません。  その時点で、もし、一部分で正常細胞、腫瘍細胞が余れば、それはこのような形の実 験にというような形でのシステム構築をした方がより倫理的。そうすると、取る側の責 任体系も明確になりますし、それは医療過誤の範囲内ですから。 ○黒川委員長  先生、何かある。 ○山岡委員  医療行為の逸脱というのは非常に難しいと思うのです。医療行為というのは、例えば 生体肝移植やったときの正常から取るのは医療行為ではないわけです。だけれども、こ れはインフォームド・コンセントということによってアクセプトされているのです。だ から、医療行為という制約をつけることによって、本来、こういうふうな企画というの は何とかティシュを利用できないかということから出発しているはずなのに、自分らが 勝手に狭める必要は僕はないと、そう思うのです。  ですから、もっと広く、さっきから言っているのは広く、広くというのは、確かにあ る領域について定める必要はあるけれども、インフォームド・コンセントを取るという 事実が、内容は検討していただかないといけないけれども、ことがそれを許していると いうふうになると思うのです。  だから、医療行為の範囲というのは、もうそれではこの研究というのはほとんどあり 得ない。それを超えることができないというふうに思います。 だから、これはやはり 医療行為範囲というのはやはり無理だと思います。これだけのプロジェクトを立てなが ら医療行為の範囲でやるというのであれば、今までのままで変わらないのですよ。これ をやるということはそれを超えられるためにやるというふうに僕は理解しているので参 加しているつもりです。 ○黒川委員長  それも大変ご尤もな意見だと思いますのよね。自分たちで閉めちゃうと何もしなくな っちゃうかなという可能性もある。 ○木村委員  そうですね。ただ、こういうことは言えるのではないですか。今まで何も告げられな いので、やられていた方がおかしかったので、だから、それをきちんとここではっきり と医療行為であるということを確認してやるということに一歩前進するのであって、今 までがおかしいのですから、それは。 ○山岡委員  それは先生も含めて医療不信の原点を突いていらっしゃると思うのです。ところが今 まで本当に真面目にやってきた人たちは、それをやってきたわけなのですよね。そこの ところがどうしてもここで議論していると、プロパガンダをやる人たちは結局、そこを パスしてやってきたわけなのですね。プロパガンダやられてない方はきっちりとそこを 通ってきたはずなのです。  だから、成績を出しているところというのはやはりきっちりやっていたところで、成 績ではなしに、ただ、オープンにいろいろなところで派手にやる人たちはそこのところ が抜けているかもしれない。それは診療不信とは言いませんよ。ですけれども、かもし れない。  そのことを取ってこの場がそれを叩く場所であってはいけないので、社会が叩くのは 当然だと思うのですけれども、この場はそういう、そうでないきっちりしたものを要請 していく、推進していく場所にしていただきたい ○木村委員  だからこそ、インフォームド・コンセントをきちっとやる。何も制限しようというの ではなくて、それを踏まえて新たな展開をするようにしたらいいというので、今のお話 をお伺いしていると今までの医学がやってきた、自由に研究できたのが、これができる と非常に狭まるので、そうなったら大変だから、何とか。 ○黒川委員長  いや、やはり一般の人はそう思っているのであれば非常に心外だなと思うのだけれど も、どこの職業でも学校の先生でも大学生でも弁護士でもそうですけれども、100 %、 皆、いい人ばかりではないので、医者ばかり100 %だということは無理な話だと思いま すよ。人間社会では。 ○木村委員  僕は医者や医学研究者をするつもりは全くないのですけれどもね。 ○黒川委員長  そうなのだけれども、大学の先生の評価とかいろいろなことを言われているのは、ま さにそういう世の中になってきたということだけの話だと思いますけれどもね。 ○西山委員  よろしいですか。基本的には私もある程度、広げた方がいいとは思うのです。ただ、 現実の問題として、例えば、山岡先生の言われたようにインフォームド・コンセントを しっかり取るというふうな形の縛りにしてしまうと、忽ちの問題がインフォームド・コ ンセントを取って、計画としてこれはいいというふうにといった判定した倫理委員会の 質の問題にもなってくるわけです。  そうすると、例えば、あるところでは肝臓全部取っちゃってもいいよというふうに言 う倫理委員会があれば、片方はそうではないと。そういうふうなかなりばらつきが出て くると思うのですね。それがますますさきほどから言われる不信というのを増長するよ うに思われるのです。  ですから、例えば、インフォームド・コンセントというところまでを取った材料と。 材料という言い方は非常に不謹慎ですが、ヒト組織というふうな形であるとすれば、そ れをちゃんと確認ができるいくつかの機構なり何なりを取らないといけない。  だから、要するに、どこかである程度の箍を嵌めなければならない。尿を取ることか ら肝臓を取ることまで、ひいてはやがては肺だとか、頭だとかというふうなところまで なってくるかもしれませんし、そういうようなところまでのある程度の形を決めない限 り、インフォームド・コンセントというふうなことだけを第1条件にすると、これはか なり大きな問題になってくる可能性がある。  だから、それはもちろん当然、そこの前提にあるのは倫理委員会がちゃんとしたその ときの国民の総意というか、倫理に基づいてそれを判断したというふうなのが大前提に はありますし、とんでもないことはおそらく出てこないとは思いますけれども、また、 ひょっとすると安易な倫理委員会の総意で随分ばらけてくる可能性はあると。 ○黒川委員長  それはもの凄くある話。 ○西山委員  そこのところの中間というか、そういうふうな形のものを両方とも折衷するような形 がいい。  だから、確実にインフォームド・コンセントを取って倫理委員会が認めたもの。ある いは原則として何々であるがというふうな形の、まずある程度のところを作っておいて さらにもうちょっと広げられるというふうなところにしておいた方が今、現状では実際 に受け入れられやすいだろうし、今のレベルを上げる、将来的にも上がる、もっと拡げ られるというふうなことを考えれば、そこはやはり落としどころではないかと思うので すが。 ○黒川委員長  結局、これは現在、あるいは将来に向かっていろいろな人にプラスになる目的でやっ ているわけですから、縛ることによって決してプラスにはならないですよね。あまりや ると。そこのところをどうするかなということかなと思います。 ○西山委員  例えば、移植肝云々に関して医療行為と認められているか、認められないかというの が今、問題になっていますけれども、それに関する国民のコンセンサスと、例えば、脳 をいただくというふうな形のコンセンサスとは全然違うと思いますし、その辺のところ はかなり変動するものですから。もちろんインフォームド・コンセントで患者さんが ノーと言えば、それに提供しなくていいわけですから、これは私たちが医療訴訟に訴え られたときに取っているということがひとつの証拠にはなるわけで、それはいいのです けれども、ただ身を守るということではなくて、組織を無意味に使うというふうなこと を規制しようとすれば、もうちょっとその間に何か工夫がいるように思います。 ○事務局  先生、1点、よろしゅうございますでしょうか。さきほどからひとつのお話として研 究者の方がおやりになる研究と、製薬企業が開発に使う研究との問題がご提案されてお られますけれども、2つの大きな違いと言いますのは、ひとつは研究者がおやりになっ ているというのは、今、おやりになっているということですので、そこへ何か仕組みを 設けるということは、ある意味ではある方には制限になるという状況。  それから、製薬企業の話は今、認められていない話ですから、つまり新しい仕組みと いうか、そういうものを作っていくということで、何を作ったとしても制限ではなくて 逆に認めていく方向になる。  当初から私ども、幅広くご議論をいただくとしても、全体の問題を議論するために製 薬企業が使える、使えないというものが足を引っ張られて遅くなってしまうということ は何とか避けたいということも申し上げているのは、実はそこにございまして、つまり 新しいものを作る、これまで認めてなかったものを認めるということについては、例え どのような厳しいことを言っていただいても、それを守る限りはやれるようになるとい う意味で非常にありがたいお話ですし、それから、ある意味では受け入れられやすいお 話だと思いますが。  既に今、行われている部分について同じような厳しいというか、同じようなレベルで のお話を持ち込むということは多分、相当なご議論が今、現におやりになっている先生 方のご意見も含めて必要になるのではないかということで最初からそういうことを申し 上げたというところでございます。 ○山岡委員  ただ、厚生省というところでひとつの指針を出した場合には、それが一般研究者にも 縛りになるのですよ。そのフィルターをどこかにかけれるのだったら、それはいいのだ けれどもね。 ○事務局  どういうものができるかにももちろんよると思いますのですが、例えば、一般原則を お書きいただくという形であるならば。 ○溝口委員  黒川先生、いらっしゃらなくなった間、1時間だけ私、溝口に議事を進行しろという ご命令ですので、やらしていただきます。  一番ここのところが大きな問題になるところではないかと思ったのですが、海外のよ うに脳死での臓器でいければ全く問題はないわけですけれども、それにはどうしても法 改正が必要だということになると、捨てるのはいいでしょうかね。捨てる材料。問題は 一番大きいのは手術材料。今日の大きなテーマになっています。配られてきた資料の中 には手術材料等と書いてありましたけれども、一番大きなテーマで手術材料を使うこと が可能であるかどうか。可能であるとすればどういう状況のとき可能かということにな ると思うのですが。  問題は将来的には海外の例を見るとどこかの機関に手術材料の正常部分を提供すると いうようなことが想像されるわけですね。そのときに今、お話のように製薬企業が使う のとそうでないのを分けて、これは取るときから分けるということは不可能なような気 がするのですよね。どうですか。機関自身が企業の目的だけに作る機関になるのか。で も、だいたいのパネルの合意はすべての目的に使いたいというところですよね。 ○事務局  私、申し上げるのはあれなのですが、例えば、製薬企業が使うのならば公的機関を通 した形でなければいけないという議論はあるかと思いますけれども、それを一般的な研 究にまで含めて公的機関を通さなければいけないということになると、これはかなり現 場の先生方の制限になるということ、ございますですね。 ○溝口委員  それはある程度、しょうがないのではないか。今までちょっとルーズすぎたからね。 海外の例の供給しているNDRIの関係のところも一般の研究にも提供しているわけで しょう。 ○事務局  それは、はい。 ○溝口委員  そうですね。だから、NDRIでも採取する場合に、これは製薬企業が使う機関に提 供するから協力してほしいというようなインフォームド・コンセントではないわけだと 思うのですね。やはり現場だと製薬企業の研究と一般の人の研究を分けてインフォーム ド・コンセントをとるのはちょっとやりにくいような気がするのですけれどもね。 ○事務局  例えば、ご自身の患者さんからの材料を使うことができるという意味になりますか。 ○溝口委員  それはないと思います。同じようにやるべきだと考えるのですが。山岡先生、どうで すか。 ○山岡委員  僕等、20年、30年ぐらい、小沢教授がやったときから肝臓取りますね。悪い方を取っ て正常の部分からバイオプシー取っているのです。この部分に近い場所と離れた場所で はどういう性格が違うかということを調べてきたのですけれども、それについてはさっ きから問題になっているインフォームド・コンセントを経てやってきたわけですね。  そうすると、それは医療行為ではない。こっちの取る方は。純粋医療行為はここまで ですよね。悪いところを取るだけで。いいところを取るのはそれは違法行為というか、 でも、それは患者さんに対しては納得していただいて、こういう研究に対してこうする けれどもと。それはペーパーにいくつも出していますから。出すためにはそのインフ ォームド・コンセントを得るということがいるが、一番最初に何回か言いましたけれど も、それが必要だったのです。  ですけれども、そういう意味では、ただ、ここで決めたことがこの部類に限ると。た だ、現在、今までやられてきたことは許すというとまたおかしなことになりますし、現 在までのものに対してやはりそういうふうなちゃんとしたルールの下にやられるべきで あるという指針なのか、そういうのがいるのではないかという意味で何回も同じことを 言っているつもりなのですけれども。 ○溝口委員  この前の先生のインフォームド・コンセントの書類がございましたですね。あれは肝 がんを取ったときの周辺にある組織を取って、それで研究をやっているわけですね。 ○山岡委員  一緒に取ったのですね。 ○溝口委員  それだったら医療行為の逸脱はしていないですよね。どうですか。先生。 ○山岡委員  それは医療行為です。 ○西山委員  よろしいですか。結果的に今でもきちんとインフォームド・コンセントを取って倫理 委員会を通しているところはちゃんとヒト標本の有効利用を行っているわけです。  ところが医療の不信感と同じように、そういうことを行っていない機関がいるから問 題であって、実際に今、新しいそういうふうな形のものを作ったとしても、正直な話を 言って、山岡先生のところや僕のところは全然困りません。  むしろそれが色眼鏡として他の低劣な状態でやっていることで同じレベルに見られる ことがここの問題の根幹にあるわけですから、それらをひっくるめてやればいい。ただ し、対象にするときに、どこまでを対象にするかというときに、またとんでもないこと を始める人たちがいないというふうなところまでのところにする。  例えば、医療行為に準拠し、というような一文を入れるというふうな形の対象にしよ うというふうな絡みにするというような形にすればいいだけで、今、たちまち例えば、 それを肝マイクロソームを取るというふうなところでやるとしても、ちゃんとしてこれ が確立されれば、供給できる施設はいくつもあるはずです。ちゃんとした倫理委員会を 通して。ですからすぐにそういうふうな形での組織のプールというふうなことにつなが ると思います。  それ以外のところのレベルがもうしているところ、現状のままでやっておきなさいと いうふうにやってやると、いつまでもちゃんとした検体は集まりませんし、却ってそれ が全体の不信感を招くことになりますから。 ○溝口委員  むしろ通した方がよいということですね。 ○西山委員  通した方がむしろすっきりしてちゃんと行える。 ○溝口委員  ただし、それだけで十分かどうかという気がちょっとする。患者さんの側から言うと 黒川先生のおっしゃったように、アメリカはホームドクター制度があって、それがちょ っと見に行って、その状況をオペ室に入って見るというようなことは当たり前だと。  ああいうあまり激しくない程度の監視制度があった方が、患者側はインフォームドさ れたときにうんと言いやすいのではないかなという気がするのですけれどもどうでしょ うか。先生方はそういうことなくてオペのときの肝臓の一部をいただくことは可能なの ですか。 ○西山委員  今、私は臨床ではありませんからあれですけれども、ただ、患者さんがはいと言われ れば清潔な範囲を崩さない範囲で手術室のところにも入れることはできますし、上の方 からお見せするというふうなことはいたします。標本についても希望があればお見せし ますし、その後で写真を撮ったものもお見せします。ですから、そういうふうな面では 大半ちゃんとインフォームド・コンセントやっている委員会を通しているようなところ はそういうふう対応が十分できていると。 ○溝口委員  そうですね。最初の会のときに木村先生が、インフォームド・コンセント持ってきて くれとおっしゃいましたよね。 ○木村委員  言いましたね。 ○溝口委員  そのときに多くの方は十分インフォームド・コンセントをとっているとおっしゃって いましたが、日本全体を見るとそうでないところもあるかなという気がしますけれども ね。だから、その辺をこの機会に公的な機関を作るとすれば必要かなと私は思っている のですが、どうですか。澤井さん。 ○澤井委員  今、議論されている山岡先生の議論というのは、先生ご自身の研究の中で患者さんに きちんとインフォームド・コンセントをされて組織をいただくというケースだと思うの ですね。それについてはきちんとそれぞれやるべきだと思うのですけれども。  ここでの議論は製薬メーカーが研究用に何か組織をいただいてくるというようなとこ ろを中心的にやっていると思うので、その場合にはやはり西山先生が言われたように、 自分の診断、その患者さんの診断治療に関わらない研究になってくるわけで、その場合 に医療行為の目的以外に多少、取るというような表現をすると、これは絶対、患者さん はうんとは言わないと思うのですね。  その先生を信頼してやっている場合にはそれはインフォームド・コンセントをきちん とやって、信頼関係があれば、それはOKしますけれども、誰がどう研究するかわから ないような場合には余計に取られるということ必ず思いますから、それは絶対に許さな いと思いますね。だから、その辺をちょっと分けて考える必要が僕はあると思います。 ○梅田委員  それは許さない。許さないですよ。 ○山岡委員  それは許さない。僕はこの前にちょっと言ったことがあるように、あるサンプルを取 ったときにその3分の1ぐらいを譲ることはできるでしょうと。そのことまではインフ ォームド・コンセントを取れるのです。我々の今までのやり方でやれば。  だから、それは分離することはできないというのは僕の意見なのですよ。これに関し てはこうであって、個々の研究に関してはそれはいいのですよというふうに分離できな い。だから、我々のところで取ったものの一部をそういう公のところへ供給するために も、もちろん我々、研究に使いますしというふうなお話したつもりでいたのです。 ○梅田委員  今のお話はそうではなくて、製薬会社に差し上げるために余分に取るということをお っしゃっている。 ○山岡委員  それは誰も納得しないでしょう。 ○梅田委員  それは医者としては絶対あり得ないように、ちゃんと倫理委員会とインフォームド・ コンセントでやりますということをはっきりさせること、当たり前のことだと思います ○溝口委員  だから、インフォームド・コンセントの内容としては西山先生のおっしゃったように 「医療行為の範囲で取れた組織の一部を公的機関に寄付することを了承してもらえます か」というような格好になると思うのですが。  ただ、それだけでは満足なさらないと、柏木先生は奥様のお話をなさっていましたけ れども、澤井さんもおそらく満足されないので、黒川先生のおっしゃったようなホーム ドクターのバイスタンドなどがひとつ歯止めになるかなと思うのですが。 ○廣部委員  よろしいですか。今の問題とちょっと絡むのですが、この事務局の方でまとめてくだ さった中に摘出された組織を製薬企業が用いる場合にも研究の主体は誰であるかという ことが重要な問題になっており、インフォームド・コンセント様式の中で掲げなければ ならないものとして何かあった場合に誰が責任を取るか。どこへ連絡するかということ を明記する必要があるとなっておりますが。 ○溝口委員  どこに書いてあることですか。 ○廣部委員  これは今のインフォームド・コンセントのところの話なので、後ろから3枚目ぐらい アンダーラインのところ、様式・内容というところですね。ここで何かあった場合とい うのは何を想定しているのでしょうか。 ○溝口委員  それはこの後の所に回答が書いてあったようですが。  つまり、直接治験や研究に用いる場合であれば、責任の所在がはっきりしないところ があるので、責任の所在を明確に示した上で提供者からの同意を得る必要がある。一方 治療のためになされる場合、例えば、治療で肝がんの切除を行う場合であれば、通常の 医療過誤の原則を適用するだけで済むので、改めて説明しなくてもいいという意見が書 いてありますが、このままでよいと思いますが、いかがでしょう。 ○廣部委員  だから、製薬メーカーの方に移る前の段階でインフォームド・コンセントがあります ね。その場合は当然、医療の範囲だということを言わなければ多分、納得されないだろ うというお話があったわけですが、製薬企業に移ってからの研究の主体が誰であるか、 これは当然、責任者は決めるべきことだともちろん思いますけれども、何かあった場合 というのは、メーカーに移ってから何かあった場合ということですか。 ○西山委員  よろしいですか。私の話なので申し上げます。これのときに問題になっていたのは何 を対象とするかが決定してなくて、正常組織まで取るか、どこまで取るかというところ の議論があって、もし、医療行為を逸脱するのであれば何かあったときの責任体制をは っきりしなければいけないし、医療行為の範囲内でもどのような形にするのかがまだ曖 昧であるというふうな形での指摘なのです。  ただ、いずれせよ、研究する上で責任体系をはっきりしておかなければなりませんか ら、ちょっとここで話をしたときの内容と今のお話はちょっと違う。 ○溝口委員  医療行為の時得られた組織についてのお話が先生のご回答ですか。 ○西山委員  ですから、まさしく、今、ここのところで今、言われたようなところが何を対象とす るかによって変わってくるはずですから。 ○溝口委員  丸山先生がお答えになっている。ちょっと肝臓がイメージとしてはありますよね。 ○西山委員  そうです。ここにはだから新たな。 ○溝口委員  あと正常組織ということで医療行為ということであれば、この後の丸山先生のお返事 は医療従事者が責任を取ると。 ○西山委員  だから、あそこのところで議論になったのは手術の範囲内で、普通の正常範囲内であ れば問題はないのではないかというふうに言って指摘されたのです。 ○廣部委員  これだけを見ますと製薬企業と特別に書かれているようなので、製薬企業でこれを利 用する、研究開発に利用する場合の責任という、製薬側の方の責任というふうに取れた ので。 ○溝口委員  その辺はイメージとしては公的機関にヒト組織を入れて、製薬企業も使うけれども、 一般の研究者も使うというシステムを想像すると。そこでは使用する側の直接の責任問 題は、出てこないとこれを読んで感じたのですけれども、いかがでしょうか。 ○廣部委員  私は何かあった場合というのは、製薬企業の方が最初の目的とは違うような使い方を するとか、そういったことを指しているのかなと思ったのですが、そうではないのです ね。 ○溝口委員  それは次のステップのその公的機関での倫理委員会の問題だと思うのですけれども。 それは先生のおっしゃるのは、後の使い方での倫理性の問題ですね。今は集める段階で の倫理性が問題になっている。 ○廣橋委員  よろしいですか。むしろ企業というよりは公的機関の段階かもしれませんけれども、 治療の過程では、正常だと思って取った組織に、後から何らかの異常を見出すこともあ り得ます。プライバシーはもちろん、絶対守るということでやるでしょうけれども、そ れが漏れるとか、そういった事故が絶対起こらないとは限らない。それが起こらないよ うにするための管理責任はあるのではないかと。 ○溝口委員  その議論からちょっとまた別の議論ですね。問題は手術摘出組織を取って、そこにた またま正常組織があったときに、公的機関に提供してもいいですかというインフォーム ド・コンセントが倫理的にどうあったらいいかということなのですけれどもね。  木村先生、どうでしょう。さっきから何回もお聞きするようで、我々、医者の立場で すからある程度、そっち側の考えが強く出ていますけれども。 ○木村委員  だから、これはもう本当に大きい問題になるのですけれども、結局、一人ひとりの患 者がどういう医療行為の中で自分がどういう状態にあるかという認識がないと、例えば ですから、アメリカやヨーロッパの場合にはメディカル・ボランティアというのがあっ て、いろいろなテストを受けたりする可能性、健康人へのテストも必要ですので、メデ ィカル・ボランティアがいるわけです。臓器の提供、組織の提供についてもそういう一 種の基本的な言わば配慮があればうまくいくというケースもないわけではないのです。  ただ、さきほどから黒川先生がおっしゃったという第3者であるホームドクターみた いな方がそこで関わるということも、もし、本人がそのことについて納得できていれば いいと思うのですけれども、その本人が不安だからホームドクターみたいなのが関わる というのですけれども、アメリカの場合にはその後にいろいろなスタッフが病院におり まして、例えば、患者の権利委員とか、あるいは今、新しい職業でバイオエシシスト、 バイオエシックスをやる人という意味ですけれども、バイオエシックスの専門家として 病院の中に常勤のスタッフがおりまして、そういう方々が倫理的な問題について詳しく 患者に説明するようなシステムができているのです。  ですから、おそらくこれは長期のレベルになりますけれども、これからそういうよう な教育的な配慮、あるいは新しい職業、そのための職業を作る、移植の場合にはコーデ ィネーターという新しい職業ができたのですけれども、そういうような一種の体制固め も必要になる。  だから、今の医者と患者と2人だけで、2人だけでそこに看護婦が加わって何か医者 の立場か患者の立場か積極的、あるいは消極的な助言をするかどうかというようなレベ ルであって、何か日本の病院もある意味で、あるいは研究機関、患者、被験者も含めて 非常に多様化するときを今、まさに迎えようとしているのです。  人間を雇うお金がないということにもなるわけで、いろいろなところでカットしてい るときに、そういう新しい職業の方々が入れるかどうか。これまた問題ですけれども、 そういうやはり患者をサポートするメカニズムですね。それはどうしてもこれから必要 になってくると思います。  特に、日本のような医療不信が増幅されてくるような国で、特に、脳死状態の血管を 取ったある関西の大学では、血管を取って置いておいたとか、患者の許可も家族の許可 もなしに人間の体の一部を誰か他の人に使うためにリザーブしておいたなんていうこと が容易に起こるような国で、これは患者が納得するわけがないのです。  ですから、今後、これは余程、しっかり考えないと、研究開発であろうが、薬品開発 であろうが、私は使われたくないという、つまり使ってくださいという人が出てこなく なっちゃいます。このままやっていたら。 ○溝口委員  インフォームド・コンセントが、薬の臨床試験ではネックになっているのですね。だ から、ヒト組織を使った薬の研究開発が必要であるという考えに立てば、それを何かの 形で乗り越えていかなければならなくなります。 ○木村委員  インフォームド・コンセントについての教育も必要になります。 ○溝口委員  西山先生のおっしゃる、山岡先生の説明文書を読ましていただくと確かに澤井さんの おっしゃるように医師と患者の信頼関係が成り立っていて、そこでやればあの程度の説 明であっさりOKしてくれるだろうなと思いましたけれどもね。それが公的機関への提 供になるとあの内容ではとても承諾は得られませんね。 ○山岡委員  インフォームド・コンセントというものが医療の防御のために使うという感覚でイン フォームド・コンセント、今まで使って、全く逆なのですよね。そこが非常に日本のイ ンフォームド・コンセントに対する医者側の考え方も非常に間違っていたなというのを 思うのです。 ○溝口委員  インフォームド・セレクションですね。情報を十分提供して患者さんがそれを選ぶと いうことですね。 ○山岡委員  セレクションになってくるとまた今度は強制的にソフィーの選択ということで本当に これだけでディスカッションせざるを得なくなると思うのです。このミーティング。で も、むしろ前向きにどうするかと。 ○溝口委員  西山先生、どうですか。 ○西山委員  私はもうこれは患者さんに直接の利益を与えるということではありませんので、まさ しく、新GCPに沿って、あそこのところに基準、出ていますので、それを確実に準拠 するというふうな形でいいだろうと思うのです。  ただし、そこで問題になるのは、出たプロダクト、あるいはいろいろな細胞工学を加 えた新しい開発というふうなものをどうするかというような項目をあと患者さんに知ら せるかどうかということだと思います。 ○溝口委員  そこはアメリカで訴訟になったぐらい大変な問題ですから、別の場での議論をしてい ただきたいと思います。 ○西山委員  そうです。ですから、そこのところの部分をどうするかというふうなことを除けば、 これは試験ですし、研究ですからもう正しくあのままをちゃんと準拠できるような、遵 守できるような形のものを作ると。まずこれが最低限の条件だと思います。 ○溝口委員  なかなか今、日本では薬の治験が進まないので悩んでいるところですけれども、米国 のやり方と我が国のやり方はだいぶ違うということです。 ○西山委員  ただ、あれ自体、あれにほとんど山岡先生のところの文章も私、実はこの前、十分読 ませていただいて、あれは責任体系が医者が行う研究だからということで、そこのとこ ろが明記されていないことを除けば、新GCPの要求するインフォームド・コンセント に必要な内容というのは全部含まれているわけですし、大半の施設はそういうふうなこ とですので、私、そんなに問題はないと思います。  あとはもうやはり患者さんがご提供いただくわけですから、あとはセレクションと医 者側の方と患者さんとの信頼感というのが一人ひとり違いますから、とにかくまず規準 としてはそこはいけばよろしいのではないかと。 ○廣部委員  広く言えばやはり医療に対する不信というのがあるのかもしれませんが、特に、医薬 の開発のためにやるのだというようなことが出てまいりますと、やはり製薬企業に利す るためにやっているのではないかと。どうしてもそういった意識が働く。これ非常に不 幸なことですね。  ですから、やはり医薬開発がいかに医療に貢献しているのかと、間接的には皆、国民 あるいは患者さんのためなのだという意識が醸成されてこないとなかなか難しい問題な のですけれども、そういう点で日本というのはちょっと今、あまりいい状況でないのが 残念ですね。  特に、医薬の開発に利用するといったときのインフォームド・コンセントの在り方と いうのは、その辺の意識を変えていく方向でいかないとなかなか、これはやはり時間か けてやるしかないのかなという、実績でやるしかないのかなという気はしますけれども ○溝口委員  PRが必要ですね。木村先生の意見をインターネットに出して意見を求めるというよ うな形でPRをどんどんしていく必要がありますね。 ○木村委員  それがこの間もちょっと国立のある病院の倫理委員会出ていたのですけれども、担当 の一人の委員の外科の先生がインターネットに載せたって誰が読むのですかということ でした。ですから、今の現役の外科の国立病院の先生でも、インターネットではわかり ませんよ、国民に告げたことにはなりませんよと、こう言うのですよね。  ですから、やはり新聞とかそういうマスメディアを利用したり、こういうニュースが インターネットに出ているというニュース自体がやはり関連医学ジャーナルにも出なけ ればいけない。出ているはずですよね。 ○澤井委員  出ていると思うけれども。 ○梅田委員  さきほどから、インフォームド・コンセントで患者に説明する、GCPで余分には取 らないとか、いろいろな大事な話はあるわけですけれども、そこだけに話が集中してい る気がします。私に言わせれば、それだけではなくて、倫理委員会のいつもカップルで 考える必要があるのではないか。倫理委員会があって、それでインフォームド・コンセ ントがいつもチェックされているような状態であるということが大事であるということ を、どうしても頭に入れておかなければいけない。  IRB、倫理委員会のないところでは研究してはいけないぐらいの、そういう厳しい 姿勢がないと、これはもうどうしようもないと。だから、あらゆるそういう研究機関に は早速にでも倫理委員会は作るのが当たり前であるというふうに私は考えています。 ○溝口委員  倫理委員会とかインフォームド・コンセントなどは、当然だと思います。しかし、治 験の場合を考えると、それらをいれた新GCPでは治験は進まないわけですね。それよ りも、医薬品の開発のためにヒト材料を使うことのインフォームド・コンセントは、も っともっと難しくなるから、どうやったら患者さんが、この価値を認めて、また同時に 自分が多く取られないかという恐怖から逃れられるかというようなことだと思うのです けれども、どうでしょうかね。 ○丸山委員  よろしいですか。今、梅田先生がおっしゃったことと同じ方向なのですけれども、さ きほど来、医療行為であるかないかということが非常に大きな意味を持っているとされ てきました。また、インフォームド・コンセントがあるかないかが、これも非常に大き な意味を持っていると論じられてきました。  しかし、法律の方ですともう少し緩やかと言いますか、総合的にと言いますか、医療 行為でなかったら許されないということではなくて、さきほどの生体肝移植のドナーの 場合のように、インフォームド・コンセントがあれば良い。だけれども、その際にイン フォームド・コンセントだけが決め手ではないのですね。目的、方法、手続きを総合的 に考える。その手続きの中にIRBの審査を踏まえていることが含まれます。  今、この委員会でガイドラインが出れば、そのガイドラインに即したIRBの審査が なされていることということも求められるようになりますので、医療行為であるかない か。医療行為でなければ非常に認められにくくなると。それはある程度、そうなのです けれども、絶対的なものとお考えになる必要はないし、逆に、今度はインフォームド・ コンセントがあれば何をやってもよろしいと。脳移植をやってもよろしいというような ことになるわけではない。やはり目的、方法の点からの限界があるわけですね。  ですから、そのあたり、限られた用件についてのみ、これがなければならない。これ がなければならないというのは今の時代でしたらインフォームド・コンセントがなけれ ばならないと言われる場合がほとんどだろうと思うのですけれども、それが満たされな いと全く認められなくなる、逆にそれが満たされると何でも許される、と考えずに、他 の考慮も入れていただきたいと思います。  具体的には、行為の内容、性格とともに、目的、方法、手続きの総合的な観点からの 適正さですね。その中にIRBとか、このガイドラインができれば、それに従うという ようなことが当然、入ってくる。たとえ、患者、被験者の承諾、それもインフォームド された上の承諾があっても、それでも駄目な場合もあり得るということですね。 ○溝口委員  もちろんそうですね。IRBとインフォームド・コンセントの2本立て。そんなとこ ろでいいのですか。 ○西山委員  私が言っている新GCP対応というのは、倫理委員会も説明と同意の項目も皆、一通 り含んだものなのですね。ですから、グット・クリニカル・プラクティスですので、そ れに準じた形でいけばいいと。それはもう倫理委員会もひっくるめて。  さきほどの話の中で問題になってくるのは、インフォームド・コンセントさえ取れば 医療行為を逸脱してもいいということになりますと、責任体系の問題がまた変わってく るのです。  だから、医療範囲内であれば医療過誤として担当した医者が、外科医なり何なりがあ れしますけれども、例えば、正常な肝臓を取った場合に、それで何かが起きた場合、そ れも医療過誤として医師だけが罰せられるのか。あるいはそういうふうな行為を依頼し ていたどこかが責任を取るのかという、これまた責任体系がまた別個だと思いますので 全く病変部でないところにメスを入れるということに関して、法的な、もし医療訴訟に なった場合の問題はちょっと違いますから、そこのところはちょっとやはり頭の一部に 置いて考えていかないとあとから問題になるのではないでしょうか。 ○溝口委員  丸山先生は生体肝移植で正常肝臓をとることが医療の行為でないとおっしゃるけれど も、医療行為のように感じるわけです。つまり患者の足りないものを補うために取らし ていただくわけですから医療行為と考えられるような気がしますね。 ○山岡委員  そう思いますよ。だから、そこのところを非常に、でも、すっきりしないところ、ご ざいますですね。 ○溝口委員  そこは別のことと考えさせていただいて、インフォームド・コンセントについてはそ んなところでいいですか。 ○梅田委員  いや、もうひとつ。この問題で4番のところは全然まだ議論されていないのですけれ ども、移植不適合臓器の問題があります。これとあと、私は前から発言していた遺体か ら皮膚をいただくとかというようなこともございますけれども、これは法律でどうして も焼却しなければいけないと書いてあることは、絶対にそうなのですか。  という意味は、そう書いてあっても患者がOKと言えば、患者と家族がOKと言えば 使っていいかどうか。この間のHABの協議会の抄録によると、文学部の先生である飯 田先生がドナーカードに移植不適の場合に関する項目を設けることで、その点をクリア できるのではないかというよう書いてあります。このことは法律的にはどうなのですか 駄目だと書いてある。焼却しろと書いてあったら、絶対に焼却しなければいけないので すか。 ○丸山委員  HAB協議会学術年会2日目の席で口頭でもおっしゃったと思います。2日目でした ですね。法律(臓器移植法第9条)で、厚生省令で定めるところにより処理しなければ ならないとあって、その厚生省令では焼却するものとすると定められていますので今の 厚生省の移植対策室の解釈だと、本人が構わないと言っても駄目だという扱いだろうと 思います。ですから、法律では処理しなければならないということしか書いてないので すね。規則で焼却せよと、処理の方法としては焼却せよということですから、規則レベ ルのものであるということになります。  したがって、今日も午前中ありました黒川先生が専門委員会の委員長をなさっている そちらの方の委員会で意見が変われば省令を変えることはできるのですが、処理すると いうのは何かもういらなくなったものを処分するという意味で、有効利用を考えている 場合には、処理とはあまり言わないですよね。だからやはり法律の方で処理と書いてい たら駄目かな、と2日目の会がありまして、そのときに移植学会の雨宮先生が見えてい まして、処理と書いてるから駄目みたいですね、やはり国会レベルの問題でしょうかと いうふうに話していたのですけれども。  国会レベルとなるとこんなと言いますか、現在の移植法のような法律を作るのでさえ あれだけすったもんだしましたから、なかなかいいものはできないのではないかと思い ますね。 ○梅田委員  そういう意味で言葉というのは決めてしまうと今みたいに全然使えなくなってしまう というので、この委員会でもかなり慎重にやってほしいと思います。 ○溝口委員  この前のHAB協議会の事情を聞きましても欧米はほとんど脳死の臓器を使っている というわけですから、その辺もやはり公開の場も得られるのなら、そういうところもこ の委員会の委員の方からの意見として出てくるのも望ましいのではないかなと思ってい ます。  あと、提供者には成人と子どもがありますね。子どもはやはりインフォームド・コン セントはやはりちょっと問題がありますかね。 ○丸山委員  非常に問題があると思います。特に、何歳で区切るかはわかりませんけれども、年少 の子供については問題があります。 ○溝口委員  もうひとつは胎児なのですけれども、それはどうですか。 ○丸山委員  もっと問題があると思います。 ○溝口委員  もっと問題がある。したがって、今回は、成人の手術材料を対象に議論することにし ますね。 ○丸山委員  さきほどちょっとおっしゃって、ここに挙がってないのですけれども、尿なんかがこ の会議ではこれまで挙がっていたのですけれども、1と2、手術の摘出組織と生検細胞 の場合と尿とか便の場合とではちょっと性格が違うような気がするのです。尿とか便な んかが医薬品開発に有効利用できる可能性というのはあるものなのでしょうか。 ○溝口委員  あるのですけれども、今回の会の目的には合ってないのです。  もちろん尿なんかもそこからエリスロポエチンという赤血球増やすホルモンが純化さ れて構造決定されたという過去に経緯がありますし、それいう例はいくらでもあります  ただ、この場合はこの委員会の対象にはならないと思います。細胞がないからです。 ○山岡委員  それが僕、ちょっと申し上げたい。上皮が流れてきて、そいつを培養していってティ シュエンジニアに持っていこうというのはアイディアであるのですよ。  だから、非常に広くなっているのを狭めることによって、この4番のような臓器移植 されて捨てられるものを使えないという法律にしちゃったらまずいのですよね。だから 何回も何回も広く、広くと言うのはそういう自分らで狭めるということについて。 ○溝口委員  ここは法律を作る場ではないわけで、意見を具申するところです。 ○丸山委員  もし、その余地を残しておくのが必要なら、3と4の間ぐらいに尿も入れておく方が まだ議論の余地が残るということになるのですけれども。 ○山岡委員  だから、どうなのですかね。排泄物とともに出てくる人体の何とか、そういうのです かね。細胞か。 ○梅田委員  胸水とか腹水も同じですね。 ○研究開発振興課長  最初の議論でこれで言うとちょうど真ん中、4枚目にあると思いますが、丸山先生が アンリンクト・アノニマスというご説明をしていただいておりますけれども、基本的に 捨てられたものに特別なものが入っていて、この人のおしっこが、まさにゴールデンシ ャワーとは言いませんが、そういうものだというものではないわけですよね。  ウロキナーゼを取るときにしたって、エリスロポエチンにしたって、何万人と集めて それから抽出しているというものだとすれば、これは所詮捨てたものということで、む しろここではある程度、割り切って考えていただく方が議論はまとめやすいのではない かと私は思っておったのですが。 ○丸山委員  私も同じことを言うことになると思うのですけれども、同じ捨てるものでも手術の切 除組織とか生検だと本人の同意が必要かなと思うのですけれども、尿の場合だとアンリ ンクト・アノニマスだといらないのではないかと。  その違いがあるというので今のお話と同じような趣旨になるかと思うのですけれども それでもこれから作られるであろうガイドラインの他の部分の適用対象にするのであれ ば、ここに挙げておく方がいいのかなと。  あるいはそういう他の部分についても尿なんかについてはいいやということであれば 意図的に外すというのもひとつの方針だろうと思うのですけれども。 ○事務局  よろしゅうございますでしょうか。外す、外さないという議論は2つあるかと思いま すが、つまり例えば、尿を、あるいは血液というのがあるかと思いますが、そういうも のについているとか、いらないという結論を出すところまでおやりいただくか、それと もそれは別の検討が必要になるということで宿題にしていただくか、その両方があるか と思います。  私どもとしては最初から申し上げていますように、検討の対象にしないということは 原則としていたしませんということを申し上げたと思いますので、ですから、結論を出 すところまでおやりいただくかどうかという意味での対象とするか、しないかというこ とでございます。  さきほどからお話がございましたのをお聞きしていますと、結局、すべての研究なり 何なりに共通するような部分、インフォームド・コンセントを取るという、そういうと ころは当然あると思いますし、ただ、その後、もう少し掘り下げていきますとそれぞれ の目的に応じて特徴的な、まさにさきほど丸山先生、おっしゃったような手続きとか、 目的というところで少しずつ細分化されていくとしますと、その段階である程度、テー マを絞っていただくということもあり得るのかなというふうな感じも議論をお聞きして いて思いましたのですけれども。 ○研究開発振興課長  今さら、例えば、血液は了解が必要だよと言って献血をやるわけにもいかないだろう と思いますし、臓器で言えばものによっては点数がついている、つまり角膜とか、そう いうものも既に医療の中で使われているわけですし、いろいろとどうも生体材料という のとは扱いが違うのですね。  それが多分、歴史的に使われ方によって利用度の高いものから制度と言いますか、医 療の中に取り込まれてきたという経緯があるわけで、だから、直接、製品として使うわ けではないですけれども、製品になりそうなものがあったとしても、あまりそういう既 存のできあがったものまで議論していただくということはあまりこの場ではちょっとき ついかなというふうに思っております。 ○溝口委員  尿というのは今回の組織という定義からだいぶ違う。そういうことでこの対象とする ヒト組織の範囲には入れないということでいいですか。 ○遠藤委員  ちょっとよろしいでしょうか。さっき丸山先生の法的な解釈で、移植不適合臓器の現 時点でのはっきりした法解釈というのは得られていると言っていいのか。それともまだ 得られていないと言っていいのか。そこのところ、はっきりさせていただきたいと思い ます。  なぜかと言いますと、今、日本で使われております肝ミクロソームのソースになって いるのはアメリカで移植不適合臓器として得られたものがヒューマン・アニマル・ブリ ッジの協議会に来ているわけですね。  それから、あと、ヨーロッパなんかも、例えば、腎臓移植で不適合のものを集めて人 間にしかない、例えば、尿酸の輸送の研究、これは人間にしかない機能を人間の材料で しか研究できないのですが、研究を行って成果を上げているわけなので。この移植不適 合臓器、日本では確かにケースが少ないと言っても、対応関係をきちんとしておかなけ ればいけないと私は思うのです。  ですから、そういう意味で、もし、これが法的な解釈として今、焼却しなければいけ ない。それを使ってしまうと法的に違反するのだという、そういうものであるならば、 はっきりとこの委員会で見解を示すべきだと思います。むしろ、これこそがソースとし てマスとしても大きいわけですから、焼却処分にするということについては法的に撤回 していただくということを取り合えず議論の結論とするべきであると私は思いますが、 いかがでしょうか。 ○溝口委員  法を撤回してもらう。 ○丸山委員  あとの方でおっしゃったことは外国で摘出された移植用臓器については、この臓器移 植に関する法律はその点については適用されないと思いますから、外国で作られたとい うか、取り出されたマイクロソームを使ってもそれは問題ないと思います。  ですけれども、日本で摘出された臓器のあとを利用できるかについては、専門委員会 の議事録なんか見ておりますと、例えば、古くなって、あるいは温阻血時間が長くて使 われなかった臓器について本当に使えなかったものかどうか、検体を作って病理的とい うのですか、細かく検査するというのでさえ駄目だという議論が専門委員会でなされて おりますので、ですから。 ○溝口委員  どういう方たちがそういう意見を述べられていますか。 ○丸山委員  ですから専門委員会のメンバーと、この点については厚生省の臓器移植対策室の方が 態度が固いですね。 ○山岡委員  サイエンスではなくなっていますね。 ○遠藤委員  ええ、それはサイエンスではないですね。アメリカでは科学の枠を尽くして、要する にいろいろな保存液などを開発して、たくさんの特許も含まれておると思いますが、科 学的に対応しています。にもかかわらず単純な温阻血という問題を取りあげて、非常に プリミティブなコンセプトで議論がされているとすれば、これは科学的には問題外だと 思います。サイエンティフィックには。  ですから、こういう意味も含めてやはりもう一度、これについてはきちんとした専門 委員会のサイエンティフィックな裏付けを持った結論を出してもらう必要があります。  私は少なくともやはりこういう問題についてははっきりとした形で対処しないと、ち まちまと集めた正常組織を相当数集めて、1個の臓器移植不適合臓器に値すると思うの ですね。  ですから、そういう点を、横に置いておいて、別のことを一生懸命検討するというの は私は何か本末転倒のような感じがします。ですから、梅田先生ご指摘のこの問題につ いては私ははっきりさせるべきだと思います。 ○木村委員  結局、この手術摘出組織、生検細胞、人体、ここら辺はやはり今、先生がおっしゃら れたように割合に細かいですよね。ですから、この4番のところはバイオエシックスの 観点から見ても非常に一番問題になるところなのですね。  ですから、現行法上は私の解釈によれば、これはもう臓器移植法においては焼却処分 とされている。それでおしまいですから、これはそれを使ってやることは一切、できな いことなっているわけで、この委員会としては対象とするヒト組織の範囲を何とか移植 不適合臓器をも含めた脳死体からの臓器組織の利用も必要であるということに、もしな れば、法の改正を求めるというところまでいかざるを得ないと思うのです。  これについてやはりいろいろな論議があるところで一番これは、要するにメディカ ル・プロフェッションに対する不信の原因のひとつが、要するに、人間の体は非常に大 事な心と体がひとつになっている。それをばらばらにして物として使い始めて、それを コマーシャライズするのではないかという恐れがあるものですから、これは非常に論議 が一番集中してくることになると思うのです。  しかも、この4番のところに移植不適合臓器(臓器移植法によって焼却処分にされて いる)というふうにはっきり書いてあるわけですので、これはむしろ移植不適合臓器等 と、等が入らないと臓器だけになってしまいますから、この場合。他の骨とか、皮膚と か、いろいろなものを使えると言うとおかしいのですが、使用可能性があるわけで、む しろこれははっきりとこの点はそういう方向を打ち出す方にいくことが望ましいという 委員会の結論であれば、それは3年で見直しですか、臓器移植法、見直しの機会に、そ れが使えるようになることが、これはアメリカ、ヨーロッパ諸国では当然、ユニフォー ムド・ドナー・アクトとか、いろいろありますが、使えるようになっているわけです。  ですから、ある意味では非常にバイオエシックスの論議は集中して起こる可能性はあ るけれども、しかし、ここがないと困るという今の先生のお話ではっきりとこれはむし ろこの委員会としては今後というところまで踏み込む必要が出てくる。しかし、それを やると大変なので、手術摘出のところで間に合わせようということになってしまうと、 さらに一歩を踏み出せなくなってくることがあるのではないかと思うのです。 ○山岡委員  それは必要なことだと思いますね。やはり利用というか、潰してしまうのではなくて 思うにさっきのお話のようにその臓器を本当に使えなかったのかというサイエンスまで 潰してしまうというのは、死者とすれば死者に対する冒涜と言ってもいいぐらいと僕は 思います。 ○木村委員  ですから、むしろ5番にその他というところがむしろあっても、さきほど丸山先生が 言われた、例えば尿とか、あるいは羊水なんかも羊水診断のマーカーにして使えるとか 薬剤の開発、その他にも可能性がありますし、胎児とか小児とか、あるいは妊婦の組織 その他ですね。その他という項目があってもいいぐらいではないかと思っていますけれ ども。  しかし、その他とやるとまたこれ一体これは何だということになる可能性もあります から。何か話がどんどん拡がりますけれども、そういうことも含めた、一応、非常に大 きいスケールで目配りしているということはここで一応、指摘しておく必要があると思 うのですけれどもね。 ○研究開発振興課長  一応、生殖医療については木村委員、ご存じのように親の委員会でまた議論しており ますので、多分、そこでそういう議論があるということで、あまりそっちの方には書い てないということがございます。 ○梅田委員  さきほどの丸山先生のご発言で、移植不適合臓器で外国のものでインフォームド・コ ンセントを得て輸入して使っているという、現実がそうなのですけれども、それがかな り高いお金で結局は買っていることになると思うのです。  外国でインフォームド・コンセントを得たから日本は勝手に使っていいという、その 考え方はどうも具合が悪いので、やはり日本でもちゃんと相応の国際ハーモナイゼーシ ョンというならば、日本でもそれはちゃんと使えるようにするのが本来の我々の使命で あるというふうに私自身は考えています。  ですから、難しいのはもうわかっていますけれども、やはりそれはぜひ、3年後の法 改正か何かでもいいから、それはこの委員会として私は主張するべきだというのが私の 意見です。 ○溝口委員  皆様、どうですか。 ○山岡委員  賛成です。 ○溝口委員  木村先生はどうですか。 ○木村委員  いや、これ論議するのでしょう。これで。私だけが賛成してもしょうがないわけです が。 ○溝口委員  賛成の方が多いように思いますが。 ○木村委員  論議することに賛成ですよ。 ○溝口委員  さらにそれが3年後に向けて澤井さんの雑誌などでも紙上で論議をされましょうし、 そういう形で3年後に大きな流れが変わるかもしれません。 ○木村委員  そこまで話を公開してやりますと、これは非常に大きいやはり一種の論議の的になり ますので。移植法ができた。では、今度、それを臓器移植だけではなくて違う方に使う 大変だというふうに思う人もいますしね。それから、むしろそれはいいことだと。機会 があればそういうことも含めてやりましょうという人もいるわけですので、それをオー プンにするということは凄く大事だと思うのですよね。 ○溝口委員  議論の過程でも生検材料や、手術摘出組織を使うということに非常に困難が予想され るわけですけれども。 ○木村委員  いや、専ら困難だと思いますね。 ○溝口委員  その論議の過程をオープンにされることは非常にいいことではないかなと感じますね ○梅田委員  ですから、そういう意味でその準備のためにもインフォームド・コンセントとか倫理 委員会を、我々はちゃんとやりますということをこの委員会でぜひ、示さなければいけ ないということ。それがないところは一切、もう研究するなというぐらいの、さきほど も言いましたけれども、そういう強い意思を示さないといけないと思います。 ○溝口委員  インフォームド・コンセントの在り方というのは、散々議論されたから、もうスキッ プしてようございますか。 ○山岡委員  ちょっとだけいいですか。さきほどの生殖というのはよそでというのは胎児の問題も そこへ入っているのですか。 ○研究開発振興課長  これは木村先生、お入りになっている委員会ではなかったでしたか。 ○木村委員  ええ、これは。 ○山岡委員  丸山先生のさっきのご解釈、丸山先生のお話では胎児は問題がありと言われたのです が、胎児についてはどういうふうに今。 ○木村委員  人工生殖その他の問題を今やっていまして、特に。 ○山岡委員 利用する場合にですね。 ○木村委員  利用することはまだ本格的に討議していません。 ○山岡委員  研究の内容について。そうすると中国で堕胎されたものを材料として使うというのが プロジェクトに書いてくるのですよね。もの凄く問題だと思うのですけれども。日本の ものもそういう問題があるのですね。ですが、日本では堕胎児、あるいは流産された患 者さん、胎児ですね。もの凄く極論ですけれども、利用というものについては一切触れ てないのです。 ○木村委員  そのことについてはまだ討議ではなくて、今のところ、先端技術の応用ですね。人工 生殖技術。特に、多胎妊娠とか、遺伝子診断とか、それに伴う障害の問題とか、そうい うことでの討議であって、今後、そういうことが取り上げられる可能性はありますけれ ども、今のところまだその討議は出ていません。 ○溝口委員  胎児の問題はなかなか難しいですね。いつから生きているとするかなどの法的な問題 が絡みますから。丸山先生、かなり問題、大きいですよね。 ○山岡委員  大変なことだと思うのですよ。 ○丸山委員  もし、認めるとすると、おそらく母親の同意によるということになるのでしょうけれ ども、認めるか認めないかでかなり。やはり流産胎児でしょう。何か素人としては違和 感ありますね。 ○山岡委員  ええ、違和感ありますね。ありますけれども、生体材料としては非常に価値の高い、 幹細胞という感覚であるので、非常にそこのところ、倫理的にどういくのかというのは 将来、大変なことだと思っているのですけれどもね。  さきほど言いましたようなプロジェクトの中に中国でという話まで、外国ならいいの かというような話になるわけですね。移植もそうでしたね。外国ではいいと。 ○丸山委員  アメリカで取られた腎臓をこちらに余ったものを貰うというところでやられていまし たので。だけれども、中絶胎児についてはやはりまだそれよりは難しくない、臍帯血の 方がどう処理されるか、それを見てからでないですかね。 ○山岡委員  はい。わかりました。 ○木村委員  既に、やはり一番の問題は先進国が開発途上国を実験の場所にしているということは もう、広く知られています。日本を含む世界の各国の製薬企業が、中国など発展途上国 で避妊薬の臨床試験やってきたのです。それで今の製品を作ったりしていますので、そ ういう先進国と開発途上国との間の臨床試験を巡る考え方、つまり必ず開発途上国の方 が犠牲者になって、必ず利益が来るのが先進国であるというような構図がございますの で、ですから、そこら辺の問題はやはり大きい。これからも問題になってくると思いま すね。 ○丸山委員  インフォームド・コンセントの方ですが、通過なさるようですので一言。  実施主体というのは、インフォームド・コンセント、患者のコンセントの相手方だと 思うのですけれども、日本の通常の手術などでしたら病院管理者、院長宛が多いと思う のですね。ですけれども、研究となると研究者宛の場合も、研究者宛に作った方がいい という場合も出てくるかなと思うのですね。 ○溝口委員  不特定の患者を対象とするので、手術担当者かなと思ったのですけれども。 ○丸山委員  手術担当で通常の医療ですとやはり病院長ですかね。どこか手術担当者を名宛人とす るフォームを使っておられる医療機関はございますですか。病院長ではなくて。 ○溝口委員  山岡先生どうですか。 ○山岡委員  何重にもやっているのです。結局、段階としては3段階やるのですけれども、入院し たときにそういうお話をして、手術の前に同意して、最終段階でもう一度すると。その ときに相手は院長です。院長ですが、患者と患者の家族ですね。親2人。そして、担当 者。教室責任者。そういう関係でやっていたのです。  現在もそういうやり方しかできないかなと。手術そのものでは私は今までは私宛のも のでやっていたのです。ところがそれでないと患者さんが病院長というわからない人に 自分の手術を任すということになるということで、私にそれを任せるという格好の説明 になったのです。  ところが今度、病院の組織が変わり、科長というがなくなったわけですね。あるひと つの第2外科科長というのがなくなって、外科全体の科長ができると誰にしているかわ からないということで、やはり院長宛ではあるけれども、その下の名前を患者とその家 族とし主治医と私の名前で書くというスタイルにせざるを得ないかなと、今、そう思っ ていますけれども。 ○溝口委員  公的機関に臓器の一部を提供するということになると病院の院長という立場でしょう けれども、患者さんに話をするのはやはり受持ちか。 ○山岡委員  ここへ担当者。それの責任者というような格好で持っていこう。今まではそういうふ うにしたらいいのかというのは思っております。 ○西山委員  そのとおりです。だから、その際に全体の研究として見れば、そこに関与するそこの 責任者というのは医療行為に関する責任者であって、例えば、それは製薬企業か公的な ところかわかりませんけれども、そこから研究の依頼を受けた依頼者というふうな立場 ですから。 ○梅田委員  ここでコーディネーターの話は出ないのですか。研究なり手術の主体者は説明はして も、その人に承諾というと何となく圧力がかかるというか、それがあるので、コーディ ネーターが必要ではないか。コーディネーターを雇う程、もう今、病院には余裕はない 現実があります。そうするとボランティアしかないと私は思うのですが。  ですから、そういう委員会でも作って倫理委員会でも作って、そのボランティア的な 人が入っていて、その人がコーディネーターになれば一番いいのかなと私自身は思って いたのですけれども。そんなふうに。 ○山岡委員  私どもの倫理委員会では結局、そのコーディネーターという、もし役目をさせるとす ると、その人に対する保障とか、いろいろなことができないということで、倫理委員会 のお一人がそのインフォームド・コンセントが正当にやれたかどうかを確認に見えてい ます。非常に倫理委員会が大変なのです。やりたがらないのですけれども、やはりそこ の倫理委員会のお一人がそのインフォームド・コンセントが正当にされたかどうかを確 認に、またその患者のところに行くわけです。 ○梅田委員  その本人にですね。それがあればコーディネーターみたいな役をやっているわけです ね。 ○山岡委員  それで成立する。 ○梅田委員  そうですね。それはやるべきです。 ○溝口委員  なかなか薬の開発のときにリサーチナースというのがその役割をするというのですが なかなかそれを持っている病院は少ないし、持つと非常に経費がかかるのですね。 ○山岡委員  ただ、先生、製薬会社側はそういうもののシステムさえ作れば、それに対する費用は 出すと言っているのですね。受け皿をどう作るかということで我々の大学でもそれは非 常にまだ具体的に全然なっていません。  ですから、それは費用の問題はシステムを上手に立ち上げてくれたら、製薬会社はが ばっと金を出すはずなのですけれどもね。そうしないと結局、外国へ治験を出してする 莫大な費用に比べれば、日本でできる。日本の手続きのもの凄く複雑さのために外国に 行っちゃっているわけですね。逆に。治験。それが明らかに。これはもう何度も何度も ディスカッションされた後のことですね。 ○溝口委員  具体的なところはもうちょっと後にしましょう。インフォームド・コンセントの内容 インフォームド・コンセントの実施主体というようなことはだいたいそんなところでよ ろしいですね。 ○遠藤委員  先程梅田先生が申されましたインフォームド・コンセントとの関係でIRBが、研究 機関で最低限きちんとなければいけないという点は私、大賛成です。そこにサプライさ れる試料を医薬品の開発研究に使うということを、今は例えばミクロソーム、買って使 っているからそれは別に検討する必要がないのだという観点でいるとすれば、私はやは り問題だと思います。医薬品開発に携わるところでそういう姿勢をきちんと正すような 形で検討して十二分に意味のある形で使ってもらうような体制がない限りはあまり喜ん で患者さんがサプライできるような体制にならないというふうに私は思うのですね。  そういう意味でインフォームド・コンセントは、医療機関の方ですが、IRBの方は もちろん大学と研究機関ですべてやはり備えておく必要があります。 ○溝口委員  IRは別々に必要だと思いますね。 ○遠藤委員  そうですね。ですから、個別に必要だと考えます。 ○溝口委員  さきほど梅田先生おっしゃった研究の内容についてチェックするのは研究機関のIR Bと公的機関の方のIRBですね。採取に関しての条件を設定するのはそれぞれの施設 のIRBということ。 ○木村委員  インフォームド・コンセントというのが一種のフォーマットとしてできているわけで すよね。それのフォーマットを作ること自体をIRBその他でやって、練って作ってい ることになっているわけですよね。基本的には。  ですから、要するに、インフォームド・コンセントを医師と患者との間で取り交わし て、そのインフォームド・コンセントが本当にいいかどうかを倫理委員会でもう一度、 レビューするというだけではなくて、そのインフォームド・コンセントの書き方それ自 体、その患者がこの年齢、この職業のこの患者にこういうインフォームド・コンセント の書き方をしたらいいかというところからIRBはスタートするのですよね。  ですから、山岡先生のところでも、さきほどのお話ですとオプションまでやったら大 変だといろいろ言っておられましたね。しかし、インフォームド・コンセントの非常に 大事な治療に関してのインフォームド・コンセント、非常に大事なエレメントのひとつ は、やはりオプション、オルタナティブとかリスクとかということなのですが、その点 については先生のとこではきちんとやっているわけですよね。 ○山岡委員  だから、出発の段階でこういうインフォームド・コンセントを作るようチェックが全 部入る。 ○木村委員  入るわけですね。 ○山岡委員  はい。インフォームド・コンセントを作る段階で全部チェックが入っています。 ○木村委員  それは先生のところは具体的に言うと何人でどういう方々がいらっしゃるのでしょう か。 ○山岡委員  一番最初のときに言いましたが、6・6・6ぐらいだったですね。5か6かちょっと 忘れましたけれども、今もう忘れていますけれども、学内の医学部からある3分の1で すね。学内の他学部の人が3分の1。それから、学外の政治家であるとか、評論家であ るとか、そういう人たちが3分の1。それで構成したわけです。  そこにまず我々がこういうインフォームド・コンセントを作ると書いたら、点検を受 けるわけですね。法律的、いっぱい直されて返ってきて、それを何回かやりとりしてイ ンフォームド・コンセントができるわけです。そういうシステムです。 ○溝口委員  一般には当事者が作ってIRBがチェックするというのが一般的ですけれどもね。ど うですか。 ○木村委員  ですから、日本の場合、先生のところは非常にきちんとやっていらっしゃるようです が、一般ですと今、先生が言われたように医師と患者との間で適当にフォーマットに記 載されるのですね。 ○溝口委員  必ずインフォームド・コンセントの内容までIRBがチェックします。 ○木村委員  最初から作るのですか。 ○溝口委員  作るところは医師が作るかもしれませんけれども、必ずIRBが使う前に、患者説明 同意文書についてはチェックしています。 ○木村委員  その前に。 ○溝口委員  患者に見せる前に。 ○木村委員  見せる前に。そうですか。それならいいのですけれどもね。 ○山岡委員  先生、日本も進んでいるのですよ。 ○木村委員  いや、なかなかね。わからないままに。 ○溝口委員  それを拡げていく、そうでないところもあると思いますから、この機会に拡げる必要 はあると思いますね。  それでは、3番のヒト組織を用いた研究開発の範囲は、また研究の事前評価を必要か という、検討すべき事項例。ヒト組織を用いて実施すべき研究目的。これはいいですよ ね。すべきでない研究目的。 ○山岡委員  クローン人間じゃないですか。 ○溝口委員  クローン人間とか生殖。 ○山岡委員  それは我々の範囲ではない。 ○溝口委員  範囲でないですね。研究の事前評価の評価基準、科学的、倫理的側面について議論し ていただきたいのですが、研究内容に関する事前評価が必要かどうか。必要があるとす ればどういうふうにするかということですね。どうでしょうか。  製薬会社なんてあまりどういうことをやるかを知られたくないですね。一応、目的と してはミクロソームでの代謝を見るということぐらいは言うかもしれません。 ○梅田委員  言えるのでしょうね。個々の薬は言えなくても。さきほど言われましたが、倫理委員 会、製薬会社がそうするとどの程度、外部の人を入れられるかという問題も出てくるの ですね。そういう意味で秘密がね。 ○溝口委員  個人の研究はちゃんとプロトコールを出して、事前評価が必要ですね。 ○事務局  これは私ども、最初にご提案させていただいたのは、まさに製薬企業が自らIRBを 持つということに対して国民の方々始め納得していただけるかどうかという問題提起を ひとつさせていただきまして、例えば、さきほどからご議論がございましたように、公 的機関が提供するという仕組みであれば、その機関がIRBを持つという方法もあるの ではないかということでご提案をさせていただいたものでございます。 ○溝口委員  それはもう当然です。 ○梅田委員  でもそれだけでは足りないと思います。 ○事務局  製薬企業自体も持てということ。 ○梅田委員  持たないと。 ○溝口委員  製薬企業は今、持っていますね。治験開発のときも倫理委員会を持っていますね。 ○梅田委員  そうですね。という意味はいただいたものをやります、やりますと言っていても、何 に使うか結局はわからないわけですから、同じ研究室の誰かが見れるような状況でやっ ていて、プラス倫理委員会があればそこへいかようにも報告がいくわけです。 ○溝口委員  形としてはあった方がいい。 ○梅田委員  製薬業界には持つべきで、ただし、今、言いましたように、外部の人、どの程度、入 れられるかということは出てくるかもしれません。 ○溝口委員  内容もあまり企業ですとさっき申し上げたようにオープンにできない部分もあると。 一応、原則はミクロソームによる代謝ぐらいしか言えませんかね。 ○廣部委員  ちょっとよろしいですか。ここで言っている評価という意味とちょっとずれるかもし れませんけれども、私の発言の中身がそこにちょうど書いてありますので申し上げます けれども。 ○木村委員  何頁ですか。 ○廣部委員  後ろから2枚目。研究の妥当性とかいうところ、アンダーラインのしてあるところ。 ここで、これは私の前回言った趣旨とちょっとこれはニュアンスが違うので、それを含 めて申し上げるのですけれども。  我が国の技術レベルを上げる必要があるというようなことが書いてありますけれども ここで言う技術というのは研究者の技術、腕の問題ではなくて、用いる組織なり、臓器 なりが適当がどうかということなのです。そこで得られたデータが意味を持つ、いいか えれば、その使った臓器が意味を持たないようなものであっては困るということで、い わゆる比活性というか、力価というか、そういったものをきちんとやる、そういう意味 の評価がどこかにないといけないと思うのです。  ですから、例えば、手術摘出組織の中の変質を含め殆ど意味のないような部分だけを 使って出したデータではおそらく意味がないと考えられますから力価のような評価が必 要であろうと思います。  臓器移植不適合臓器みたいなところから正常な肝細胞とか肝組織が得られれば、それ はいいに決まっているけれども、そういったことが難しい場合は特に重要であろうと思 います。 ○溝口委員  材料のクオリティコントロールがが問題で、提供する組織。それをどこかでチェック していかないといけない。 ○廣部委員  はい。ですから、我が国の技術レベルを上げる必要があるというのは、実はそういっ た試料の。 ○溝口委員  クオリティを保証する必要がある。 ○廣部委員  そういうことです。 ○溝口委員  それはどこがやるのですか。公的機関が常にチェックし続けるわけですか。 ○廣部委員  どうやるかという問題ですね。提供する公的機関などがやるのか、あるいは。 ○溝口委員  チェックする方法があるのですか。先生。 ○遠藤委員  先生の今のご発言プラスこの技術レベル云々というのは、例えば、確か議論があった のは今、ヒューマンゲノム解析が進んできまして、例えば、薬物代謝のP-450のアイソザ イムとか、そういうのでもってほとんど既に開発されているものがどのアイソザイムで 代謝を受けるかというようなことがわかって、新しく開発されるものはどれに乗るかと いうことを、薬物間相互作用の解析として、一般化してきたわけですね。それをもう一 歩、突き進めていって、ヒトの生の材料でなくても遺伝子導入して解明できるというこ とでした。 ○廣部委員  それは私自身もリコンビナントによって発現させたヒトP-450のいろいろなアイソザイ ムを代謝実験に用いたことがありますし、その意義は良く判ります。 ○遠藤委員  そうです。ヒト型の細胞を作って、それを使う技術も必要ではないかということが確 か議論にあったと思うのですね。そういう意味ではパッシィブな意味での研究開発とい うことではなくて、それをさらに一歩進めていくという、言ってみれば少し先の話をこ このところにまとめていただいたのではないかと思っています。  ただ、これは現時点での手術材料をどのようにするかということについて言えば、少 し枠からはみ出ている話かもしれません。 ○廣部委員  この前もHABの佐藤先生がやはりそういったリコンビナントで取ったアイソザイム を混ぜただけでは十分でない。やはり丸ごとのミクロソームでないと駄目なのだという ようなこともおっしゃっていましたけれども、しかし、これからそういった組織培養含 めて、そちらの方からやられた、それこそ純度が高くて均一性のあるものでやる方がよ い場合もあると思うのですね。それは国際的な流れとやはり歩調を合わせてやっていく ことが大事だろうと思いますけれども。 ○西山委員  よろしいですか。この事前評価の件に関してですけれども、例えば、今、事前評価は 必ず必要だろうと思いますが、これは研究をやる主体者によって随分変わってくるので すね。  例えば、医師自体が新たにヒト組織を用いた研究をしようとした場合、事前評価の実 施自体を公的機関と言いますと、それは大学のIRBを超えてさらにもう1回、どこか のダブルチェックを受けるということになるのですか。  だから、さきほどの事前評価と研究の事前評価をどこがするかというふうなことにな ると、これはもう一律に公的な機関のあれをすると言ったら、全国からありとあらゆる 研究を全部集めて、そこは審査をして返す形になりますので、これはやはりある程度、 医薬品業界、ある程度の利益を得るもののところの部分と、そうでない部分とで事前評 価の体制というのももうちょっと変えた方が明確になるのではないでしょうか。 ○溝口委員  梅田先生のおっしゃった口腔粘膜を細胞培養して火傷に使うというような研究のチェ ックは、大学の方でやるわけですね。 ○西山委員  とすると、この研究の事前評価というのは、例えば、医薬品業界が肝ミクロソームを 使おうと思ったときには、これはでは医薬品業界の中の自分の会社の中のIRBだけ通 ればいいということですか。 ○溝口委員  そういう感じがしますね。どうですか。 ○廣部委員  これはやはり私は第3者機関というか、公的機関がプールして、そこから供給する。 公正でオープンな供給体制を作らないとやはりいけない問題だと思うのですね。ですか ら、そういうようなことから言うと、そういったIRB的なものも含めて公的機関でや れば公正に行われるのではないかなという気はしますけれどもね。  そして、どのメーカーに対しても機会均等に、そういったものがきちんと供給される ことが原則であるべきです。 ○西山委員  先生のご意見はもう少し具体的に考えると、あるヒト組織を供給する機関をしっかり 定めるということ。 ○廣部委員  はい。そう思います。 ○西山委員  そこが倫理委員会をさらにひとつひとつの研究を確認をした上でいろいろなものをす ると。さらにそれをチェックする倫理委員会で決定したこと自体をチェックするところ を、さらにそこのところの中に作っていくということ。 ○廣部委員  それは私はデータの共通化というようなことを考えると、その方がいいのではないか と思いますが。実際に運営していく段階で、またいろいろ問題が起こってくるとは思い ますが。 ○梅田委員  よろしいですか。おっしゃるように、供給機関は倫理委員会を持ってちゃんと申請に 対してチェックすることはおっしゃるとおりだと思うのですけれども、各製薬企業なり 普通の一般の研究者でもそうなのですけれども、それがちゃんと動いているかどうかと いうのは中央では見えなくなるし、中央がそれ全部チェックするのはもう何しろ大変な ことになるのではないでしょうか。やはり、各々に責任を持たせるしかないのではない か。私自身の意見として、そう思います。  実際に動いてる人をチェックするのではなくて、研究している人をチェックするので はなくて、実際に研究している人は当たり前だなということを普通、我々、研究室では 実際にやっていて、今までずっと皆さんは、私どもの研究室でもやっているわけですか ら、そういうチェックがあるということが大事なのであって、そういう意味では各企業 にも簡単なものでもいいからIRBはなければいけないと私はそう思うのですね。 ○廣部委員  それに関連して各企業では持っていると思いますね。 ○溝口委員  アメリカが先を歩いているわけですけれども、NDRIなどのヒト材料を分配してい るところはどこに配るとかなどをチェックしているIRB的なものがあるのですか。研 究内容についても。 ○事務局  確か、あったと思います。 ○溝口委員  あったのですよね。潤沢にものがあればもうそういうことは比較的緩やかになるので しょうけれども、最初のときはかなり厳しい状況が続くでしょうから。 ○事務局  前々回ですか、申込書の写しをお出ししたかと思います。あそこに研究目的とかいろ いろ書く欄がございましたのでおそらくチェックをしているかと。 ○溝口委員  それでチェックしている。あと研究施設毎にもあるでしょうね。特に、ヒトの治療に 使われるような場合はですね。 ○廣橋委員  公的機関と企業が倫理委員会を持つのは賛成ですけれども、この議論は医療施設に属 する医師や研究者が研究をすることとは別の話ですよね。 ○梅田委員  いや、それもやはりこれからはないと具合悪いと思っています。 ○廣橋委員  その施設の倫理委員会ではなくて、外にもうひとつ公的機関を作ってという。 ○梅田委員  いや、ですからそこら辺が今の場合は中央で集めて材料を集めて供給するというから 中央でなければいけない。だけれども、普通の研究でしたらやはり各研究機関が責任を 持ってこれからやらないと、どうしようもなくなると思うのです。 ○廣橋委員  やはりこの公的機関1カ所に組織を集めて、それで民間の研究を含めて使っていただ くというための議論と、各施設で研究をするということの2つが混じって、いつも議論 がこんがらがるのですよね。 ○溝口委員  だから、先生のおっしゃるように、先生のところである研究をしようとしたのを出し たときに、材料を求める先と、自分の施設でチェックされることはあるのではないです か。 ○西山委員  私がですか。私はだから、議論がぐしゃぐしゃになっているから整理をしようと思っ たのです。  だから、ここのところで皆、一律に話をしていますけれども、Aという先生は企業の 話をしていまし、Aという人は研究者の話をしている。これはいつまでたっても堂々巡 りなので、研究者の場合には事前評価が必要なことは事実なのですが、研究者の場合に はこうだ。例えば、そういうふうな利益を得る新しい企業だとか、言葉は悪いですが、 民間という言い方は非常におかしいのですけれども、そういうふうなところが独自のも のだけを持つのではなくて、新たな公的機関に出すと。利益を得るとか、得ないとか、 研究者とかというふうな形で事前評価のチェックの方法をちゃんと確定しないと大変な のではないかと。全部公的機関でやったら大変なことになる。 ○梅田委員  もうひとつ、追加しますけれども、おっしゃるとおりで両方ひっくるめてですけれど も、もし、そういうふうにしてちゃんとやっているつもりがいろいろな事故があった場 合、それはどこが責任を持つかということがあります。今の中央で供給する場合にしろ 個々の研究にしろ、全部そうなのですけれども、そういう場合の責任をどこで取るかと いうことなのです。やはり、それはその範囲内で審査したIRBが責任を持つべきであ って、それをチェックし得なかった、あるいは事故を起こしてしまったそのIRBが悪 い、そういう人を任命した所長とかのトップが悪いのだ、という判断をしないと、いく ら先にいっても駄目なのではないかというのが考え方だと思うのです。 ○溝口委員  先生の場合、研究機関の方のIRB。 ○梅田委員  両方ですけれども。 ○事務局  よろしゅうございますでしょうか。今のご議論は前提として供給をどうするかという ことがひとつあると思います。確かに議論がごっちゃになっているような感じがします が、同じ施設内の、つまりそこにおられる患者さんから取られた組織を施設内で使う場 合と、それ以外の施設が使う場合とで分けないといけないと思うのですが、それ以外の 施設が使う場合に、直接、医療機関に頼んで貰うという仕組みと、そういうことは一切 まかりならないと。他に出す場合は必ずどこか公的というか、何か第3者的な機関を通 さなければいけないという考え方と、どちらでもいいということと、やる相手によって は、例えば製薬企業、営利企業がやるときは必ず直接、他の医療機関に働きかけてはい けないとか、そこの仕組みによってちょっと違ってくるような気がいたします。 ○溝口委員  私の頭には、ある施設で取ったところからダイレクトに研究機関に行くということは 全く考えてなかった。 ○梅田委員  考えなくていいのです。 ○溝口委員  それでいいのですか。 ○梅田委員  ですから中央でもいいのです。また末端の製薬企業でも結局は約束をたがえて何かや る場合も起るわけですね。そういう事故の場合には、やはりそこのIRBが責任を持つ べきであって、その所長が責任を持つべきだと言っているのです。 ○事務局  例えば、製薬企業がAという大学にお願いをすると。そのAの大学でIRBがあって 結構じゃないかとなって、そうしたら企業に直接渡していいかどうかという問題は別に あると思うのですね。 ○梅田委員  それはそれでやればよい。 ○事務局  企業の方にもちゃんとIRBありますと。そうしますと、今、先生がおっしゃったこ との基本的には要素は満足するわけでございますけれども、そういう流れでいいのかど うかということはまたひとつ別の。 ○遠藤委員  それはまだ議論されてません。 ○梅田委員  それでなくて、今、やっていた、そうですね。 ○溝口委員  またダイレクトの流れはあまり考えてなかったのですけれども、どうですか。先生方 ○西山委員  いや、私個人はそういうふうな経験がございますので。やはりそういうふうな形で依 頼をされますと、いろいろな経費その他の研究費等のいろいろなこともございますから これから先、拡がっていく可能性があるではないかということ危惧するわけですね。 すから、採取した、採取したという言い方、患者さんからご提供いただいた組織をその 施設で使う場合にはそこのIRBでいいだろうと思いますが、それをその施設外に出す 場合にはやはり第3者の公的施設を通すというような形で事前承認を得ておくというよ うな形の体制を作った方がクリアだと思うのですね。 ○溝口委員  僕もそう思います。 ○西山委員  だから、そうしない限りにおいてはダイレクトに来ますから、例えば、えっというふ うな組織をくださいとかというふうなこともあり得るかもしれませんし。 ○廣橋委員  ある施設で取られたものを別な施設で研究に使うということは実際には行われている と思うのですね。肝ミクロソームのようなものばかりではなくて、病変組織を対象にし た病気の研究のためにとか、広い意味での研究で実際に行われている。施設をこえた研 究者同士のコラボレーション、あるいは場合によってはそれに民間が入った産学のコラ ボレーションも非常に重要なことだと思うのですね。  そういうときには大事な点は、組織が採取される医療、施設に研究者がまずいるわけ です。その研究者がその施設の倫理委員会でクリアしてインフォームド・コンセントも しかるべき取って、それで取られた組織について、彼が研究に参加する形で他の施設の 人と一緒にコラボレーションすることで、組織が研究に利用されるという形を取れば私 はいいのではないかなと。 ○溝口委員  それは今回の正常組織に関する議論とはちょっと違っていますね。 ○廣橋委員  はい。だから、研究の方の。 ○溝口委員  腫瘍細胞ならそれでもいいけれども、正常組織となると全くかなりいろいろな問題が ありますから、やはり1回、どこかを通した方がいいような気がする。 ○廣橋委員  ですから、広い意味での研究ということで議論するならば、今のような場合もあるの で、区別が必要では。 ○溝口委員  それはそうです。 ○遠藤委員  私が最初に申し上げましたが、今後ともバージョンアップが必要になってくるだろう ということです。この会自体がやはり医薬品の開発に向けてヒトの正常組織をどのよう にしてサプライするか、あるいは患者さんの方からご提供いただくかというふうなこと から始まっているわけです。  当面、話をわかりやすくするという点では、一般的に研究の間口を拡げるというよう な形ではなくて、取り合えずは今のところ、いろいろ議論の中ではいくつかありました けれども、一番メインなのはやはり肝臓のミクロソームを使った薬物代謝のルートをど のようにするかというところだと思います。国際的にも良く使われていることですので これに関してはやはりある公的なところに集中してやっていただくのが適当かと思いま す。  それから、より先端的な研究とか、個別のそういう枠から離れるものに関して言うな らば、それは従来というか、現在もある程度、やられているものをIRBその他で十分 検討して、良いモデルができます。それに準じた形で、しかし、公的なところが当面す べての臓器を集めるわけにはいきませんので、目標とする臓器はどういうものであって ということに絞った形でセントラライズしておいて、それ以外はやはり個別の倫理委員 会を通してインフォームド・コンセントを取って集めたもので研究していただくとかと いうことでいいのではないかと思います。 ○溝口委員  話が少し次のステップにいったようでして、ヒト組織の供給体制の在り方というのが ありまして、その中に(1)経費の負担の在り方はというのと、(2)ヒト組織に関する情報 の扱い。(3)組織を収集・供給する第3者機関の必要性はという項に分かれています。供 給するにあたって注意すべき点は。ヒト組織を利用する研究者の安全確保の問題もあり ますが、それは別に議論していただこうと思います。  今、議論されているのはこの組織を収集する第3者機関の必要性、供給するにあたっ ての検討すべき点はというようなところに話が集中していますが。 ○遠藤委員  ですから、事前評価や何かの評価基準とか、そういうことを言うときにどういうイ メージを持ってあたらなければいけないかということでおそらく少し先の方にいかない と。 ○溝口委員  それで混乱があったのですが。組織を収集・供給する第3者機関の必要性について議 論してからの方が事前評価、問題はやりやすいでしょうかね。  これは先生、あるべきだとお考えでしょうか。 ○遠藤委員  あるべきだと思います。 ○溝口委員  公的なバンクの設置の必要性についてですが、バンクが必要であれば、その主な機能 はどうあるべきかということになります。この辺のところは非営利的なバンクが皆のイ メージにあったことですね。何かご意見ありますか。他に。 ○梅田委員  これは材料が肝ミクロソームというふうに限ってですね。 ○溝口委員  限りませんが。 ○梅田委員  全部ですか。 ○溝口委員  1か所に正常のものを提供する意思がある方は、すべてここに集める。 ○梅田委員  正常というか、製薬企業に渡すという意味を含めてですか。 ○溝口委員  製薬企業にも、一般の研究者にも提供するわけです。 ○梅田委員  そうじゃなくて、我々の研究も含めてですか。そうすると私は直接でもいいような気 がしています。研究者と提供される側のIRBで責任を持つべきと。 ○溝口委員  主な目的は製薬企業の研究でしょうけれども、一般の研究も入れる必要があると思い ます。そうしないと患者さんに、なかなか説明しにくいところありますからね。 ○遠藤委員  ですから、この辺はニーズにあった形でどういう試料が今、必要とされていて、どう いうようにサプライされれば研究開発がスムーズにいくかという中身を明らかにする必 要があります。この間、ヒアリングでだいぶ出てきてはいるのですけれども、ただ、そ こでもまだ明らかに製薬工業協会の方もそれほど十二分にヒトの組織に対してのニーズ を絞りきっていないところもありました。 ただ、はっきりしているのは今、ミクロソームが売買されていて、移植不適合の肝臓 がアメリカからきて日本で使われているという実態が憂慮すべき実態であるから、その 点について、中心的に今迄議論してきていると思うのです。それを第2のヒアリングか あるいはバンクとか、公的機関を、イメージしたときのサイズだとか、キャパシティと か、そういうことによって自ずと全体像が決まってくるのではないでしょうか。 ○溝口委員  公的機関は必要だということは、先生方も同意されています。その機能となると様々 ありましょうから、それはなった段階で検討していただくことにしましょうかね。 ○事務局  よろしゅうございますでしょうか。今のご議論で、例えば、製薬企業が利用するとき は公的な機関を通さないといけないけれども、研究者同士だったら直接取引でもいいと いう理屈になるのか、それともそこは。 ○溝口委員  それはやはり倫理的には望まれないですね。そのようにすると、さっきの議論からイ ンフォームド・コンセントを得るときにかなりごたごたします。先生。どうですか。 ○梅田委員  いや、私は直接、研究だったら直接でもいいような気はいたしますけれども。 ○溝口委員  この議論をオープンにしていって国民の合意が得られるかどうかですね。山岡先生の 個人的な研究の場合はありますけれどもね。 ○山岡委員  そのことは別にしましても、理想的には最初、ちょっと議論出ていたときに、ある機 関に供給して、そこでいろいろプレパレーションしたものが誰が利用できるシステムと いうのがひとつの理想像だと思うのですね。  ですけれども、実際問題、そういうものが時間と費用と場所と、そういうものが本当 に簡単にはできるものではないから、この我々の委員会ではそういうものを理想とする けれども、現時点ではというのにならざるを得ないと思いながらお話をお聞きしていま すけれども。 ○研究開発振興課長  以前、私どもでセルバンクとジーンバンクを作ったときに、一番議論されていたのは 結局、誰がどういうものを持っているかわからないということと、研究している先生が 研究者同士でわけてくださいと言ったときに、いちいち事務手続きと発送までやるのは かなわないから、1か所に集めてくれということが研究促進にもつながるしということ が、私、あったと思っているのですが。  それが若干、細胞が大きくなってきましたね、この組織という話で。そのときにどこ まで先生方同士の融通ということで、研究をきちんとやっていく上であの先生が持って いるものだから、私がいつでも使えるという個人のつながりだけでやっていくのか、そ れともいわゆる研究レベルを上げるということでバンクという名前を使ってやっていく のであれば、何かそれを一元化しようかということで多分、こういう話になっているか と思うのですが。 ○溝口委員  やはりインフォームド・コンセントのところで大議論をしたように、大きな問題があ るし、今後も多くの国民の同意を得ていかなければいけないということになるとやはりワンクッション置いた方がいいような気が私は思うのですが。 ○木村委員  アメリカとかヨーロッパ諸国では研究のためのお金がどこから来ているかということ が非常に大事になってくるわけです。ですから、例えば、東京大学だったら税金使って やっているわけです。他の国立がんセンターにしても税金ですし、そうしますと連邦政 府の管轄になるものですから、NIHがあってNIHの中にオフィス・オブ・プロテク ション・フロム・リサーチ・リスクという部局があって、その部局が目を光らせて公的 機関におけるいろいろなリサーチのリスクのモニターをやっているのです。それはIR Bや何かから来ている書類を全部統括しているわけです。  民間機関については一応、モニターして、これはオブリゲーションでない、プライ ベートな基金ですから、モニターをしているのですけれども、一応、ナショナルなレベ ルでのリコンビナント、DNAのコミッティなんかには全部民間機関からも人間が来て いるということになっているわけで、金の出所がやはり国民の税金、公費ですよね。 ○溝口委員  NIHのお金もそうですものね。 ○木村委員  ええ、公費で、日本においてもこれと京都大学にしても大阪大学にしても皆、一応、 国民の税金を使ってやって、しかもこれは医療というのは公共の性格が、公共性がござ いますので、特定の患者だけを助けるということであると同時に、これは日本社会、あ るいは日本国全体、アジア、ひいてはヨーロッパ、世界全体の財産になるわけですよね  非常に意味があるわけで、そのためにはやはり公開された情報の提供と資料のやりと りということが必要になりますので、個人レベルの話とまたちょっと違ってくると思う のです。この点をきちんとするために、公共性、公開性、また公費の使用ということに 関して非常に適正な対応が必要になるのではないか。そのいい機会ではないかと思うわ けですが。 ○溝口委員  個人レベルのやりとりでしたらここであまり議論する必要はないかもしれません。 ○木村委員  ただ、厚生省の方ではそういうリサーチリスク、臨床試験を含めてそういう部局がご ざいますのですか。日本の厚生省は。オフィス・オブ・プロテクション・フロム・リ サーチ・リスクみたいな、そういう何かモニターをしているところがあるのでしょうか ○事務局  最終的に医薬品の承認申請という形でデータが出てまいりますとチェックする仕組み はございますが、その途中でボツになるような研究とか、直接データに使われない研究 についてはそういうものを監督する部署はございません。 ○溝口委員  今の第3者機関を作った場合、例えば、1か所でやるのか、日本全体に、何か所つく るのか、それを許可制にするかとか、いろいろ考え方がありますね。アメリカではどう いうふうにやっているのですか。1か所ですか。 ○事務局  基本的にはいくつもあると思うのですけれども。 ○溝口委員  それが許可を取ってやっているのですか。 ○事務局  あと直接医療機関とおやりになっている部分もあると思います。 ○溝口委員  NDRIというNIHの組織がありますね。移植肝や何かで不適合だった組織を使っ ている。あれは1か所ですか。アメリカは広いからあちこちにあるのでしょうかね。遠 藤先生、お調べになりましたか。 ○遠藤委員  確か2つ、公的にありましたですね。 ○事務局  大きな組織としてはですね。 ○溝口委員  でも場所としてはあちこちにあるのでしょうね。そういうものが日本でも必要だとい うことですか。 ○遠藤委員  岩尾課長もお話されたのですが、細胞バンクや何かのときの問題というのを振り返っ てみますと、貴重なヒトの組織の、例えばライン化したとか、あるいはそれそのまま非 常にいい状態で保存しているとかというような情報というのは、非営利の公的なところ で把握するというのがもしできたら一番いいと思います。  あとはもうキャパシティによって、山岡先生がおっしゃったように、本来このように ありたいけれども、現実はこの辺ぐらいであるというところは、言うだけだったら本来 このようにありたい、すべての臓器について全部非営利のところがサプライヤーになっ た方がよろしいというふうに私は思うのですが、現実的にはどうなのかということにつ いては何とも言えないわけです。そういう意味で可能なところ、いわゆる医薬品の開発 というところの最初の問題点に戻って、最終的には具体的な結論というか、できるとこ ろを模索する以外ないのではないかと思います。  あとは自由な研究の情報を非営利のところが把握しておくというのは私は絶対必要だ ろうと思います。 ○溝口委員  さっきの事前評価とか、そういうところ。アプリケーション出す格好になるのでしょ うかね。あと、そこの中に入っている(4)の供給にあたって検討すべき点とか、保存法 輸送法なんてあまりここでちょっとあまり議論してもあれですので、その前の。 ○丸山委員  よろしいですか。ちょっとブレーキをかけるようで恐縮なのですが、さきほどから製 薬企業の方は仲介の方でバンクを介する。大学などについては直接のやりとりも認める ということなのですが、それはだいだい意見一致ということですか。 ○溝口委員  僕はそれはあまり望ましくないように思う。腫瘍組織はともかくとしても。ですが、 腫瘍組織は、検査のためだけに取ったものを個人的に使うのでよいと思いますが、正常 組織の場合には、どうですか。梅田先生。梅田先生はちょっと反対のご意見だったよう ですが。 ○丸山委員  最初の方で澤井先生が製薬企業の場合、ちょっとコントロール厳しくという趣旨かと 思うのですけれども、おっしゃったときから考えていたのですけれども、製薬企業の研 究員と大学の研究員とどこが違うのだろうというところが、私なんかは澤井先生の趣旨 と逆なのですけれども、逆に大学の研究員も製薬企業の研究員も同じかなというふうに も思ってしまうのですね。  そうしたら、大学の研究者に直接の授受を認めるなら、製薬企業の方にも認めてやっ た方が公平の点でいいのか。あるいはやはりそういうどこが製薬企業と違うのか。大学 で製薬ということは全くなされていないのでしょうかね。そこがちょっとよくわからな いのですが。 ○澤井委員  私が言ったのは自分を含めた共同研究である患者さんのその組織を使う研究と、例え ば、正常組織なり何なり、欲しい組織はあるでしょうけれども、不特定多数の中から私 はこれが欲しいのだと言って研究する場合とは違うのではないかと言ったわけなのです  ですから、そういう意味では製薬メーカーの研究だって研究だし、それは同じだと思 うのですね。だから、その辺はちょっと誤解されているのではないかと思います。  ついでに言わせていただきますと、製薬メーカーも今、やはり個人的な付き合いで先 生にお願いしてある組織を正常組織を含めて貰っていることはあると思うのですね。も ちろん研究者だって同じようにやっていくわけですね。  ただ、それではやはり非常に大変な作業が必要だと。もっと潤沢に研究できないかと いうところが、これ出発点なわけで、山岡先生が言われるようにやはり何かうまく両立 できる方法はないだろうかというふうに今、考えていたのですけれども、だから、そう いううまく潤沢に供給できるような体制としてはバンクみたいなものを作っていくこと は必要だなと思いますね。  しかし、何かやはり研究者同士でやりとりがそれぞれの倫理委員会での許可でできる ような両方の仕組みができないだろうかというようなことをちょっと考えていたのです けれども。 ○廣部委員  やはり医薬の開発というのは目的が別でして、そこから得られたデータが認可の場合 に重要なのですね。ですから、それにはやはり一定のプロトコールならプロトコールに 従って、一定のクオリティを持ったものでやったデータでなければ、比較もできないし 評価のしようがない。  ですから、そういうことで公的な機関を介して、あるいは場合によってその公的機関 がそういったクオリティをチェックできる、あるいはオーソライズしたものを供給して やることが望ましい。そうでないと、せっかくの組織が無駄になりかねないと思うから です。 ○溝口委員  個人の研究の問題ですよ。個人の研究も、公的機関の材料を両方共有できれば一番い い。 ○梅田委員  供給して肝ミクロソームみたいにこういう方法で使うということがわかっている場合 はいいわけですが、まだ、研究の段階の場合もあるわけですね。例えば、膵臓のランゲ ルハンス島を移植に使おうとかという場合、これはまだまだ研究の段階であって、それ を中央で集めてまた供給してそこで研究するというのではなくて、やはりそれは各研究 者同士で協定して研究するということがあっても、私はいいと思っているものですから ○廣部委員  それはいいのです。ですから、個人のそういった研究のための研究をやる場合とは別 に分けて考えて良いと思います。 ○梅田委員  そうです。そういう意味で私もそう言っていますけれども。さきほどから、本当の研 究の場合には研究所同士でもいいのではないかと。そういう意味でさっきから言ってい るのです。だいたいは第3者を通すことで賛成ですけれども。 ○溝口委員  そうしないとやはり膵島をどうやって取ったのだという話になるし、個人のレベルと 言えども僕は何となく抵抗を感じます。この委員会としての合議事項としてどうでしょ うかね。 ○廣部委員  それはインフォームド・コンセントを取るということですね。 ○梅田委員  もちろん。IRBが間接的に。 ○廣部委員  例えば、これはAというメーカーのこれこれのために使うのだというようなインフ ォームド・コンセントではなくて、特定の公的機関に提供するためのもので、それはこ のような研究実験を通じて医薬の開発に使われることもあるという形でインフォーム ド・コンセントを取る方が抵抗は少ないと思いますね。 ○溝口委員  そうですね、個人のレベルで膵島を直接研究者にわたすのは、あまり良くないと思い ますよ。 ○遠藤委員  ある程度、ルーチンワーク化して、ただ、コンパウンドだけ新しくなってくるという ケースが増えると思います。ただ、評価系については既にエスタブリッシュされていて それがヒト組織に全くディペンドしていて、ヒト組織の供給量が絶対的にレートリミテ ィングになっているというような、はっきりとしたものに関してはやはりある程度、全 部集めるような、体制にした方が私はよろしいと思います。 ○溝口委員  ルーチン化したもの。 ○遠藤委員  はい。それから、もうひとつは、自由な発想によって梅田先生の膵島の移植とか、そ ういういわゆるチャレンジングな研究に関する研究には、研究者間でそれぞれのIRB を通してやるということで、よろしいのではないかと思います。  ただ、全体として、日本のヒト組織の研究の実情がある程度、どこかで、把握という か、管理する意味での把握ではなくて、どういう事態になっているかという、いわゆる 情報のやりとりもあった方がスムーズに研究は進むと思うのです。それもやはり大事な 研究開発に対する体制だと思うのです。  ですから、そういうものを私はさっきから非営利的なものにある程度、集中した方が よろしいのではないかと思います。もちろん学会、その他でも出来るかもしれません。 出ますから。 ○溝口委員  実際には、提供者と使用者のIRBの問題かもしれないけれども、やはり1回、公的 機関を通した方がいいように私は思うのですけれども、どうでしょうね。 ○山岡委員  バンク的なものがやはり理想的だと思うのですけれども、ある程度、ピューリファイ されたリコンビナントの場合、そういうときにベンチャーがあり得るかどうかなのです ね。日本ではあり得ないことでしょう。その辺がこれから企業として、そのことと、い わゆるバンクというものとの位置づけというのは将来、どう考える、今からどう考える のかと。あるいはもうそれはあくまでも公的なものとして進むという考えを僕等は持っ ているので。 ○事務局  おそらく今、ご議論いただいているところ、(1)にあります経費の負担の在り方という ことに関わってくるのではないかと思いますのですが、倫理的にそういったものでお金 のやりとりがされるのはけしからんというお話になれば、先生のご提案というのはあり 得ないということになりますし。 ○山岡委員  しかし、金はかかりますよね。莫大なね。 ○事務局  ただ、ベンチャーでございますと少なくともそれで利益を上げるという目的がござい ます。 ○溝口委員  公的機関ですと、収支はトントンならいいということですね。受益者負担でやればよ いと思います。 ○山岡委員  そこのところが特許と関わってきますよね。 ○梅田委員  それを認めないと、日本の医療はあまり進歩しないということになる。 ○溝口委員  ベンチャーがヒト組織を取り扱うということですか。 ○山岡委員  はい。ヒト組織を得たものからになってきて、それが試験材料として売ることができ るわけですね。 ○溝口委員  ミクロソームなんかも売られているのですか。 ○山岡委員  実際、そういう動きですね。 ○遠藤委員  それは特に、特許絡んでいるわけでもないのですから、先生がおっしゃったのは今、 特許絡むようなものですね。 ○研究開発振興課長  幅広くご議論をいただこうということでやっていますけれども、最終的には何を望ん でいるかというと、要するに、研究者同士の研究、いわゆるセルテクノロジーとして細 胞を用いてベンチャーにしろ何にしろやろうとしている話。それから、その評価系のひ とつとしてこの細胞を用いるという、細胞と言いますか、組織を用いるという話でとい うときに、私どもが最初、起こしたのはこの3番目のメーカーが評価系として使うとい うときに何かいいルールができないだろうかという話ですので、いろいろな議論はもち ろん書いて報告書に書くことは構いませんが、3番目に限ってどうするのかというとこ ろに少しフォーカスを当てておいていただきませんと、いろいろとまさに外からご意見 をいただいたときに、皆さんの興味は多分、研究のための研究の方ですから、そっちの 方に話が移ってくるような気がしますので。 ○溝口委員  インフォームド・コンセントを取るときに企業だけでなく一般の人の研究も支援する 機関へ提供とした方がいいかなと思っています。次の問題は我々としてはあまり興味が ないのですが、受益者、提供者、摘出者への謝礼、保存、運搬費用の負担などがありま すが。どうですか。それぞれ。 ○廣橋委員  謝礼とか、そういう意味ではないです。手術標本が摘出されてから非常に早い時期に 正常組織をクオリティのいい状態で切除して保存して、こういう公的機関に提供すると いうことはかなり大変な仕事量だと思うのですね。  手術中に医師は一所懸命手術をしているわけですね。手術標本が取れた後もしばらく 手術に入っているわけですね。それと並行してこの標本について検索を行って、まずそ の手術が患者さんのために適切に行われたこと、これで十分であることを確認する。つ づいて、正常部分が本当に正常であることを確認し、この部分はインフォームド・コン セントも取ってあるから、材料を採取して提供に向けての処理をする。こういうような ことは専門的な医学的特に病理学的な知識があって、はじめてできることです。さらに アシスタントなどの人も必要で、非常にコストのかかる作業だと思うのですね。それが まずひとつ。  それから、提供される組織というものが本当に正常であるかどうかは、まずは肉眼的 に観察されるだけですね。けれども、実際に顕微鏡で見れば病変があるかもしれない。 もともとが病気の患者さんに対する治療ですから病変がないかどうかということを確認 する必要がありますね。  それは最初の医療機関でも独自にやるでしょうけれども、公的機関に提供された組織 に関してもそれが正常であるかどうかという確認が必要で、それにさらに生化学的な力 価という検査が加わっていくのだろうと思うのですね。  だから、こういった一連の作業というのはすぐに多くの施設に導入するのは大変難し い。もちろん、それを乗り越えなければいけないわけですけれども。 ○溝口委員  公的機関にそういうクオリティ・コントロールとか、プロセシング、保存、培養、 データ処理とか、そういう機能をもっている可能性はありますね。それは。遠藤先生が 勉強されたのではないかと。 ○遠藤委員  いや、ですから、今、先生がおっしゃった現場の事態を考えた場合には、相当積極的 にフレッシュな状態でいかにきちんとした役に立つような状態で取るかという、あるい は提供いただくかという、そういうインセンティブがはっきりしていないとこれは動か ないだろうと思います。  そういう意味で今日は議論にならなかったのですけれども、その中に医師でない、ボ ランティア的なコーディネーターの話が出ましたが、全体のプロジェクトに対して推進 する強力な母体がないと、全体が確かに動かないだろうと思います。  それに加えて、研究開発とか、あるいは創薬に向けていかにヒトの正常組織が必要か というふうなところを一般の人がわかるような形で、この委員会がまとめなければいけ ないのではないかというように思います。 ○溝口委員  そうですね。具体的にどういうふうにするかというのは、ここだけではわからないこ とで、その後の議論になると思うのですが。例えば、提供者に謝礼をするかしないかと いう議論になると、これは普通はしないですね。患者さんに。してはならないですね。 摘出者への謝礼とか、保存運搬費用の負担とか、公的機関のプロセシングの費用などは 受益者負担になるのでしょうかね。何かご意見ありますか。 ○山岡委員  新GCPに沿うようなことで、西山先生の。 ○西山委員  そのとおりだと思います。 ○溝口委員  そのとおりですね。 ○西山委員  これは患者さんの善意の提供ですから謝礼を贈ってはならない。保存、運搬費用に関 してはそれはもうもちろん受益者が持つ。これは当然のことだと思いますけれども。責 任体系があるので。 ○溝口委員  黒川先生が戻られました。あまり議論は進まなかったのですが。 ○黒川委員長  どうぞ。十分議論していただきまして。 ○溝口委員  インフォームド・コンセントに時間がかかりました。その次にいっていいですか。ヒ ト組織に関する情報の取扱い。これも結構、面倒な問題ですけれども、保護される情報 の範囲、提供される情報の範囲。これらについてもすでにだいぶ議論が出ていますです ね。  一応、個人を特定する情報は駄目ということで、疾病名、性、年齢、個人などを特定 できない情報はOKということでしたね。前の意見を見ましたけれども。情報保護のや り方となると何か具体的にどうやっていいのかちょっとわからないけれども、何かお考 えがありますか。 ○西山委員  この中で具体的にどういうふうなことというようなところまではいかないだろうと思 いますし、いろいろ実は調べてみてもこのような情報管理だとか、さきほど言われまし た4番のヒト組織の保存方法だとか、いろいろなことというのはまだ結論が出ていない ことですので、ここで議論はできないだろうと思うのです。確証は。 ○溝口委員  できないですね。今後、専門家で検討してもらう。 ○西山委員  だから、バンクを作ってそういうふうな形を集めていく方向さえ決定されれば、それ に対して積極的にこういう科学的な根拠を求めていくということで、この辺のところは 終わる部分だと思うのですが。 ○溝口委員  そうですね。わかりました。よろしゅうございますか。 ○梅田委員  ちょっとその前に。検討すべき事項で受益者負担とご本人には無償提供ということで ここで言うのを忘れたのですけれども、申し訳ありません。このことで提供者は無償で 当然だと思うのですけれども。  さきほどのベンチャーとかというお話も出ましたけれども、凄く儲かるというか、そ ういうことが出てくる場合もあるということも含めて、ここで培養学会で議論したのは 無償で提供していただく。けれども、もしいろいろな利益を生じた場合には、提供を受 けたエンティティーという言い方をしましたけれども、そういうところに企業が寄付を したり、応分の謝礼をするとか、援助するとか、何でもいいのですけれども、そういう ことがあった方がいいのではないかはというふうに考えてきました。 ○溝口委員  インセティブをもたせるということですね。 ○梅田委員  ええ。インセンティブ。それでベンチャーで儲けてもいいけれども、ある一部を必ず 提供するというような、そういうことを培養学会では考えたということだけはここでち ょっとご報告しておきます。 ○溝口委員  何かなかなか難しいですね。 ○黒川委員長  そうですね。あと検討で。 ○溝口委員  検討していただく。最後のヒト組織を利用する研究者の安全確保のための方策。これ はいろいろな感染症対策でしょうけれども、これもちょっとここで議論しても大変です ので、それぞれの専門家にご議論いただくのがいいのではないかと思いますが。  その他、摘出された組織を用い研究成果による知的財産権の帰属の在り方です。これ もちょっとさっきの梅田先生のお話がちょっと絡みますね。 ○梅田委員  その前の安全性に関しては培養学会でもかなり討議してありますから、報告書に書い てございますので、それをご参考いただければいいと思います。 ○溝口委員  そうですか。 ○梅田委員  知的財産のことも今、言ったとおりです。 ○溝口委員  岩尾課長、これで。何かやり残したことございますか。 ○研究開発振興課長  いえ。私が散漫だとは言ってはいけないですけれども、幅広くご意見をいただいたと いうことで、これをもとにできればやはりいろいろと先生方の議論はここに書きました が、一応、論点に従ってこういうことを文章、というより、むしろ箇条書きのような形 でお示しできればというふうに思っています。  今日までいただいたお話と、先生がおっしゃっていましたように、以前にいただいた 資料の中でこういう点をということを言われたことについて事務局の方で整理させてい ただきまして、次回までに何かそういう中間メモ的なものをお出しするのはいかがかと いうふうに思っておりますが。 ○溝口委員  他に何か。これでようございますか。 ○黒川委員長  それは本当にお手数だと思いますけれども、やはりもう1回、事務方でまとめていた だいて論点の整理というのが一番大事かなと思います。  特に、今、木村先生がおっしゃるように、論点の整理でだいたいの意見が一致してい るところは構いませんが、そういうことをやはりインターネットに出ていますよと、ご 意見があったら言ってくださいというような話はやはりインターラクティブにやってみ ると。そういう意見が出ているというのは我々、気がつかない意見もあり得るので、そ ういうことはぜひ、出してみたいという。 ○山岡委員  提案、いいですか。 ○黒川委員長  いやいや、将来的にはそれをいつかどこかに出したいと。 ○山岡委員  提案していいですか。公開の問題ですね。我々が経験した事からいきますと、こうい う会議をやった後に委員長と係の方が記者会見をされて、そしてある時期の問題、もの 凄い大変ですけれども、それがインターネットに出ているということを言っていただく ことによって、相当公開という意味では効果があると思います。  それは非常に時期と内容の伝え方は難しいですけれども、それがさっき先生がおっし ゃった木村先生のところにはある程度、効果があるのではないかと思いますけれども。 ○研究開発振興課長  通常の役所のやり方ですと、今まで通例、公開という想定でなかったものですから、 何かあったときに最後の取りまとめの報告書とかが出たときに、私どもが記者クラブに 投げ込みをして、それでできれば委員長と一緒に行って、そこでご説明するというふう にやると、結構、記事が専一的なものが出るのですが、公開になりますと結局、一生懸 命来る記者と来ない記者の間に落差がある。  それが世の中の流れだという話になっていますから、私は構わないと思っているので すが、むしろさきほど木村先生もおっしゃったように、こちらから積極的にこういうこ とやった、こういうことやったと言わないと、1回目だけ出てそれで書く人がいるので すね。それがむしろ我々としては困るなということを思っています。むしろ積極的に、 インターラクティブにやっていくということは確かに必要だなと私は思っています。そ ういうものではないですか。わかっていても書きたいことしか書かないです よ。 ○山岡委員  成功させるためにはそれを余程丁寧にやらないと成功しないのですよね。 ○黒川委員長  いや、もうひとつは議事録が全部公開されているというのは凄くいいと思うのですよ 終わってからプレスリリースをしても、出したプロセスのいろいろなアーギュメントが 全然出ないので、僕は非常に短絡的にぽっと取っちゃうということが凄くあるので、全 面がアベイラブルだというのは凄く違う。 ○黒川委員長  本テクストを読まないから。 ○山岡委員  それを先生から記者に宣伝していただくことが、これは公開であるという。それだけ でいいと思うのですけれども。 ○溝口委員  出ているということを宣伝してほしいと思います。 ○黒川委員長  そうそう。だから、そこから取りなさいということが一番大事だと思いますよ。それ が取材の能力なのだから。 ○山岡委員  そうですね。ぜひとも、そういうのが提案です。 ○木村委員  僕も提案なのですけれども、今後の課題としてやはり岩尾課長も今、言われたように 製薬企業の創薬に関連するこういうディスカッションだと、やはりそういう機関の研究 所の方々とか、一人も今、委員がいないですよね。これきっと入れるのは非常に難しい いろいろな問題があるかと思うのですが、そういう方がいてもいいと思います。  それからずっと見渡して女性がいないですよね。ですから、これは国際的な水準の委 員会からすると、この委員会の構成自体に非常に大きな問題があるのです。バイオエシ ックスの研究者から言いますと。半数は女性がいるというのがだいたいもう国際的な常 識ですので、そこら辺のところも含めた今後の委員会の在り方、選任がどういうプロセ スでなされるか、これはいろいろまた厚生省の方でいろいろなご勘案、ご検討なさった 上できっとやったのだろうとは思うのですが、女性が一人もいないというのはまずいの ですよね。本当は。 ○黒川委員長  いや、だけれども、女性、今、それは皆わかっててやっていると思うのですが、そう すると特定の女性がやたらと集まる。全然仕事できなくなっちゃうということがあって 非常に気の毒だなと思いますよ。 ○木村委員  製薬というか、要するに、薬学をやっている女性研究者の方もかなり多いと思います ○黒川委員長  だけれども、教授が少ない。 ○木村委員  そうですか。 ○研究開発振興課長  十分、考えてやって、利害関係者は入れないという発想で最初おりましたもので、で は、女性の先生はということで全部考えたのですが、結果としてこういう。 ○黒川委員長  最後によろしいですか。 ○梅田委員  今の広報というか、これに関連してもう1回繰り返しますけれども、NHKの報道、 どうもちょっと偏っているような気がするのです。これはできるのでしたら、私どもは こういうことやっているということを説明して、もう1回、また別な見方で放映してく れるとありがたいなという気がします。ですから、ちょっとチェックしていただきたい と思います。 ○研究開発振興課長  前回、確か3回シリーズか何かでやったのはうちで全部見ていますけれども、あのと きに実はクラブに来ている記者には話をしているのですが、向こうも官僚組織にかなり 近いものですから、それは私の知っているところではないとか、直接言ってくれとかと いうことになってしまってあれなのですが、ただ、あのときのシリーズはビデオではい ただいております。ただ、先生のおっしゃったのはつい最近ですよね。 ○梅田委員  この間の土曜日です。 ○研究開発振興課長  ちょっとそれは私は知らなかったので。 ○研究開発振興課長  前回のは確かにETV特集で3回程、やった。 ○丸山委員  月曜日にまた再放送、深夜に。昨日やりましたですね。 ○研究開発振興課長  そうですか。 ○黒川委員長  いろいろあると思うけれども、あの先生もインフォームド・コンセントを取ってある とか、IRB通じているということはあると思うのだけれども、多分、ああいうので出 されるといいところばかり出して、向こうはわざわざそんなこと聞かない。聞いたとこ ろは、もし聞いていたとしても出さないでしょうからね。 ○梅田委員  ちょっと心配です。 ○溝口委員  倫理性がね。 ○黒川委員長  はい。それでは今日は大変失礼いたしました。申し訳ございませんでした。                (閉会・18時10分)  問い合わせ先   厚生省健康政策局研究開発振興課   担当 白神、中井(内線2542、2544)      (代表)03−3503−1711      (直通)03−3595−2430