98/04/28 第1回 障害者スポーツに関する懇談会 第1回 障害者スポーツに関する懇談会   議 事 録 厚生省大臣官房障害保健福祉部企画課社会参加推進室 第1回 障害者スポーツに関する懇談会議事次第 日 時 平成10年4月28日(火) 10:30〜12:00 場 所 厚生省特別第一会議室  1 開 会  2 メンバー紹介  3 事務次官挨拶  4 議 事   (1)資料説明       障害者スポーツの状況等       オリンピック等のスポーツの状況   (2)自由討議  5 その他  6 閉 会 〔出席委員〕    青 木 委 員  牛 窪 委 員  大 森 委 員  大日方 委 員    川 原 委 員  中 川 委 員  中 島 委 員  乳 井 委 員    初 山 委 員  藤 原 委 員 ○林企画課長  おはようございます。定刻が参りましたので、ただいまから第1回の障害者スポーツ に関する懇談会を開催いたしたいと思います。  本日は御多忙のところ、この懇談会に御出席をいただきまして誠にありがとうござい ます。私、司会を務めさせていただきます厚生省障害保健福祉部企画課長の林でござい ます。しばらくの間、進行を務めさせていただきたいと思います。マイクの都合もござ いますので、座って失礼をいたします。  まず、私どもの出席者を御紹介させていただきたいと思います。  厚生事務次官の山口でございます。  障害保健福祉部長の篠崎でございます。  障害保健福祉部の社会参加推進室長の三友でございます。  また、この懇談会には文部省の担当官もオブザーバーとして出席をいただいておりま す。よろしくお願い申し上げます。  次に委員の皆様方の御紹介をさせていただきたいと思います。  (社)経済団体連合会社会貢献推進委員会社会貢献基盤整備専門部会の会長でござい ます青木利元委員でございます。  アトランタパラリンピック金メダリスト(柔道)でございますが、牛窪多喜男委員で ございます。  東京大学大学院総合文化研究科長・教養学部長の大森彌委員でございます。  長野パラリンピックアルペンスキーで金メダルを取られました大日方邦子委員でござ います。  東京大学大学院総合文化研究科助教授の川原貴委員でございます。  筑波大学教授の中川一彦委員でございます。  (財)日本身体障害者スポーツ協会常務理事の中島武範委員でございます。  国立身体障害者リハビリテーションセンター総長国際パラリンピック委員会執行委員 の初山泰弘委員でございます。  武庫川女子大学教授で(財)日本身体障害者スポーツ協会技術委員長でもあられる藤 原進一郎委員でございます。  なお、読売新聞社の論説委員の乳井昌史委員、それから、日本オリンピック委員会専 務理事の八木祐四郎委員も御出席の予定でございますけれども、ちょっとおくれてござ います。  それでは、厚生事務次官からごあいさつを申し上げます。 ○山口厚生事務次官  事務次官の山口でございます。  委員の皆様、本日は大変御多忙の中を障害者スポーツに関する懇談会に御出席をいた だきまして、本当にありがとうございます。また、皆様方には、本懇談会の発足に当た りまして、委員の御就任をお願いいたしましたところ御快諾をいただきまして、本当に 厚く御礼を申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  さて、先般の長野パラリンピック冬季競技大会は、国民各層の御協力と熱い注目のも と、本当におかげさまで大成功のうちに終了をさせていただきました。特に日本選手団 の大変めざましい活躍は多くの国民に希望と感動を与えたと思いますし、また障害者の 社会参加を広く社会に示すものであったというふうに思います。そして、また、このパ ラリンピックは、障害者とスポーツのあり方、あるいは今後の発展・充実の方向等につ いていろいろと考えをめぐらす、またとない大きな機会を与えてくれたのではないかと 思っております。  従来、率直に申し上げまして、私どもは障害者のスポーツにつきましては、1つは、 まずリハビリテーションの手段の1つだということ。それから、障害者の健康増進ある いは社会参加の意欲を促すものではないか。また、障害に対する国民の皆さんの理解を 深めていくためにも、よろしいのではないかというような視点から、国としては、なる べく多くの障害のある方が参加をしていただけるようにということを主眼におきまして その普及を図ってきたといっていいかと思います。  また、近年では障害のある方が自分の記録に挑戦をする、あるいは技を競い合う、そ ういう競技スポーツへの意欲・気運も高まってまいりまして、これらに対応して参加の 機会の均等化ということにも配慮しながら、国内選手権大会の開催支援、あるいはパラ リンピック等への参加を支援してきたというようなことであったかと思います。今回の パラリンピックの経験、成果を踏まえまして、今後の障害者スポーツの発展・充実を図 るために、この機会に改めて障害者施策におけるスポーツの意義の整理をしてみる必要 があるのではないか。そして、今後の普及の方向を探っていくという機会に今遭遇して いるのではないか。  また、障害者スポーツに対する取り組みの中で、まだまだ十分とは言えなかったこの 競技スポーツ、今回、注目を浴びました競技スポーツについて、障害者スポーツ全体の 中でその位置づけを明らかにしながら振興のための処方策を探っていくということにこ の機会をしてはどうかと、こんな思いをこめましてこの懇談会を開催させていただき、 幅広い御検討をお願いしたらどうかというふうに考えた次第でございます。  どうか、委員の皆様方におかれましても、それぞれのお立場から忌憚のない御議論、 そして、御提言を賜れば幸いだと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。 ○林企画課長  それでは、次にこの検討会の座長の専任をいたしたいと思います。私どもといたしま しては、多方面にわたって学識をお持ちの大森先生にお願いをいたしたいと思っており ますけれども、いかがでございましょうか。 (「賛成です」と声あり) ○林企画課長  ありがとうございます。それでは、皆様に御了解をいただいたということで、大森先 生にお願いをいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○大森座長  御指名をいただきました大森でございます。皆さん方のお知恵を拝借させていただき まして、今、次官から御趣旨をいただきましたので、自由闊達にいろいろ御意見をお寄 せいただきまして、大筋の施策についての方向などについて取りまとめをさせていただ ければと思っています。  私事で恐縮ですが、かつて余暇活動について勉強会をやったことがございまして、そ のとき、余暇のない人間が余暇活動のあり方を検討いたしました。私は本当にスポーツ がだめでございます。だめな人間がスポーツについて語りうるかどうか、甚だ心もとの うございますけれども、私以外の先生方皆さんはその道の方でございますので、私は進 行役に徹したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。  全体といたしまして、この会議は回数が比較的少のうございまして、3回程度で一応 の私どもなりの意見として方向をお示しできればと思っていまして、本日はでき得れば この障害者スポーツにつきまして、厚生省の方と文部省の方から、それぞれの理解され ている現状についてざっと御報告いただきまして、それで少し皆さん方の御意見を出し ていただいて、次回について若干の御相談申し上げたいと、そんなふうに思っています  それでは、早速御説明いただきましょうか。よろしくお願いします。 ○林企画課長  説明の前に1点、御相談をさせていただきたい点がございますが、よろしゅうござい ましょうか。 ○大森座長  はい。 ○林企画課長  この検討会の公開についてでございますけれども、特に最近は情報公開の流れ等もご ざいますし、皆様方の関心も非常に深うございます。そういった意味で、この検討会に つきましては、検討会の委員の名前の入った議事録を公開する。また会議の資料につい ては公開するということで整理をさせていただきたいと思います。この点についてお諮 りをいたします。 ○大森座長  この委員名簿、これは外へ出ると御了解ください。今のように、ここに委員名簿と開 催日時、会議で配付された資料でしょうか。会議録、こういうものについては、公開さ せていただくという方向だと思いますけど、それでよろしゅうございましょうか。 ○林企画課長  また、あわせまして、場合によってオブザーバーとして、参加をされたいという方も ございます。本日もおられますけれども、そのような方も適宜参加をしていただくこと もあり得るということでもよろしいかと思います。 ○大森座長  わかりました。それを含めまして、よろしゅうございましょうか。 (「はい」と声あり) ○大森座長  それでは、今説明のありましたようにさせていただきます。ありがとうございました それでは、早速現状についてお願いいたしましょう。 ○三友社会参加推進室長  それでは座ったままで失礼いたします。  お手元にお配りしてございます資料に沿って、まず「障害者スポーツ」という表題の 資料から御説明申し上げます。  1枚めくっていただきまして、1ページでございますが、「障害者スポーツの歴史」 について触れてございます。障害者スポーツは障害別に設立されましたスポーツの組織 これが障害者スポーツに果たしてきた役割が大変大きく、組織が出来たことによって障 害別の競技規則がつくられる、あるいは競技大会が開催されるというような歴史を踏ん できております。パラリンピックを中心にして、そのつながりを簡単に申し上げますと まず1888年(明治21年)ですが、ドイツで聴覚障害者のスポーツクラブができました。 これがスポーツの始まりというふうにされております。  その後、1952年(昭和27年)に国際ストークマンデビル競技連盟というのがイギリス においてできまして、その競技連盟の主催によって1960年(昭和35年)でございますが 国際ストークマンデビル競技大会というのがローマオリンピックの後に同じ開催地でも たれまして、これがパラリンピックの第1回大会ということで後ほど整理をされました  その翌年、その下でございますが、1964年、昭和29年と書いてありますが、恐れ入り ます39年の誤りでありますので御訂正をお願いします。東京でオリンピックが行われま して、その後で、同じ東京で大会が行われ、第2回のパラリンピック大会というふうに 後ほど整理をされました。当時は脊髄損傷による障害の方を中心とした競技でございま した。  次のページにまいります。  我が国の障害者スポーツの歴史についてでございますが、我が国の場合は、主として 地方自治体が中心になって障害者スポーツの取り組みをしてまいりました。 1951年東京で身体障害者によるスポーツ大会が開催されましたのが始まりというふうに されてございます。1965年(昭和40年)東京パラリンピックの翌年でございますが、 (財)日本身体障害者スポーツ協会が設立されまして、第1回の全国身体障害者スポー ツ大会が岐阜で行われました。これが国体の後、身体障害者のスポーツ大会として引き 続き行われるようになり、今日まで続いてきているわけでございます。  その後、車いすのバスケットボール選手権大会でありますとか、数々の協会ができた りしておりますが、1975年(昭和50年)には、極東・南太平洋身体障害者競技大会が大 分市・別府市で開催をされております。  また1981年には、精神薄弱者の初めての全国大会でありますスペシャルオリンピック 全国大会が藤沢市で行われております。その後、パラリンピック等を中心に障害者のス ポーツは発展をしてきております。  次のページにまいりますが、このページは「障害者スポーツの歴史(年表)」でござ いますので、後でごらんをいただきたいと思います。  5ページにまいります。「障害者スポーツの状況」でございますが、1つは国際組織 でございます。国際パラリンピック委員会というのが国際組織の一番大きな組織として ございまして、 139カ国が加盟をしてございます。そのもとに5つの組織が加盟をして ございます。このほか、国際ろう者スポーツ委員会、スペシャルオリンピックインター ナショナルという国際組織がございます。  このほか地域組織として、極東・南太平洋身体障害者競技連盟がございます。  6ページにまいります。今、お話ししたものを表にまとめたものでございまして、中 ほどにそれぞれの組織の設立年が記してございます。また、一番右側に、日本からの加 盟団体が一覧で整理をしてございます。  次に7ページにまいります。「国際パラリンピック委員会(IPC)の概要でござい ます。現在、加盟国 139カ国から成っておりまして、下にございますように、それぞれ の地区の加盟国数が出ております。 次に資料8ページにまいります。パラリンピックの競技でございます。夏季大会とい たしまして、そこにございますように、陸上競技、水泳、卓球などを含めまして、次の ページにわたっておりますが、全部で20の競技がございます。  9ページには、冬季大会が載っておりますが、アルペンスキー、クロスカントリーな どを加えまして、全部で5つの競技になってございます。  次は10ページでございますが、これは国際オリンピック委員会と国際パラリンピック 委員会の加盟国の比較でございます。後ほどごらんをいただきたいと思います。  続いて11ページでございます。主な国際競技大会でございますが、「パラリンピック 競技大会」と書いてありますのが夏季の大会でございます。その下に「パラリンピック 冬季競技大会」というのがございます。  また、中ほどに「世界ろう者競技大会」という聴覚障害者の世界大会がございます。 これは夏季の大会でございまして、その下に冬季競技大会がございます。このパラリン ピックの競技大会の中には、ろう者の競技が含まれておりません。ろう者はろう者とし ての世界大会を別に開催をしているわけでございます。以下、ごらんのとおりでござい ます。  続いて、12ページでございます。  これはIPCが公認をしております国際スポーツカレンダー競技でございます。ごら んのとおりの大会がございます。  続いて13ページでございます。「パラリンピック競技大会の開催推移」でございます が、夏季大会は第1回が1960年(昭和35年)にローマで行われました。このときは23の 国が参加をしてございます。そして、一番下にございます第10回が、1996年アトランタ で行われまして、このときは 103の国が参加をするというような状況になってございま す。 14ページでございます。冬季大会については、第1回が1976年スウェーデンで行われ まして、21の国が参加をしてございます。第7回が本年3月長野で行われまして、32の 国が参加をいたしました。  続いて15ページでございます。実施競技の変遷でございます。夏季大会、冬季大会と もに表頭に競技が書いてございます。大会の開催ごとに競技の数が増えているのがその 表でおわかりいただけると思います。  続いて16ページでございます。障害者の競技については「クラス分け」というのがご ざいまして、障害の程度などに応じてクラス分けを行ってきております。クラス分けを します物差しは、上肢、下肢、体幹、あるいは坐位のバランス、視力というようなこと を物差しとしてクラス分けがなされております。  次にページ、18ページをお願いいたします。「国内組織」の状況でございます。 (財)日本身体障害者スポーツ協会が、昭和40年に厚生大臣認可によって設立をされま して、この身体障害者スポーツ協会を中心にして、身体障害者のスポーツが行われてき ております。また、都道府県・指定都市の障害者スポーツ協会もその後順次整備をされ てきておりまして、現在、42の都道府県・指定都市にこういう協会が設置されるように なりました。  その協会では括弧にくくってありますとおり、身体障害者・知的障害者・精神障害者 を対象にしているところが6つ、身体障害者・知的障害者を対象としているところが 18身体障害者のみを対象としているところが14、知的障害者のみを対象としているとこ ろが9という状況でございまして、身体障害者と知的障害者の協会を別々に設置してい るところも5つございまして、全部で42の都道府県・指定都市に設置されておる状況で ございます。  次に20ページをお願いします。「競技別及び障害別スポーツ団体」の一覧でございま す。日本ろうあ体育協会、日本身体障害者スキー協会ほか、ごらんのような協会、連盟 が全部で29ございまして、会員数は約1万 5,300人でございます。 続いて22ページをお願いいたします。これは日本身体障害者スポーツ協会が開催をし ておりますスポーツ大会等についての財源の一覧をまとめたものでございます。社会福 祉・医療事業団の長寿社会福祉基金から 7,100万円余の助成をいただいております。ま た、日本自転車振興会は約 8,800万円、中央競馬会馬主社会福祉財団からは 2,000万円 ということで、合計約1億 8,000万円の助成を得て、各種のスポーツ大会を開催をして いるという状況でございます。 続いて23ページをお願いします。「社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会」が冒頭に 書いてございますが、この育成会を中心にして、知的障害者のスポーツが進められてき ております。このほか、スペシャルオリンピック日本というのがございまして、4年に 一度のスペシャルオリンピック国際大会に参加する機会を提供している協会でございま す。  その次に24ページをお願いいたします。「身体障害者スポーツ人口」でございます。 平成3年度の実態調査をもとに推計をいたしますと、おおむね身体障害者のスポーツ人 口は全国で10万 9,000人程度というふうに推計されてございます。スポーツ競技人口は 1万 3,000人ですが、平成7年度で、数が古いものですから、先ほど申し上げました 1万 5,000人程度に増加しているのではないかというふうに考えております。 次に25ページでございます。これは我が国で毎年開催されています主な全国規模の競 技大会を競技種目ごとに一覧にまとめたものでございまして、後でごらんいただければ と思います。 続いて26ページでございます。「全国身体障害者スポーツ大会の概要」でございます 先ほど申し上げましたとおり、昭和39年の東京オリンピックの後に、昭和40年から岐阜 県で第1回の大会が始まりまして、今年神奈川で、第34回を迎えることになってござい ます。原則として施設は、国民体育大会の施設を使用して行われてきておりまして、参 加選手団は59都道府県・指定都市のすべてにわたっております。  次に28ページをお願いいたします。「ゆうあいピックの概要」でございます。ゆうあ いピックは、知的障害者のスポーツでございます。1992年の国連・障害者の十年の最終 年を契機にゆうあいピックが開催されることになりまして、下の表にございますとおり 第一回が平成4年度に東京都で行われております。そして、本年は第7回、茨城県とい うことでございます。  続いて29ページをお願いいたします。これは「国内大会のスポーツカレンダー」でご ざいまして、以下3ページにわたって、身体障害者スポーツ協会が調べたものでござい ます。後でごらんをいただけたらと思います。  続いて32ページをお願いします。「障害者を対象としたスポーツ施設」についてでご ざいます。1つは、身体障害者福祉センター(A型)でございます。このセンターの中 に体育施設をあわせ持つようになってございました。  このほか、勤労身体障害者体育施設、勤労身体障害者教養文化体育施設、これは労働 省の関係の施設でございますが、こういうものもございます。また、都道府県・指定都 市が設置している身体障害者がスポーツを行うための施設もございます。  その状況は、次の33ページのとおりでございます。「身体障害者福祉センター(A 型)はごらんのとおりでございまして、全国で37カ所ございます。  次の34ページですが、「勤労身体障害者教養文化体育施設」は全国で33カ所ございま す。  35ページにまいりますが、「勤労身体障害者体育施設」は全国で34カ所、ごらんのよ うな状況でございます。  また、36ページにまいりますが、「その他都道府県・指定都市が設置している施設」 としては、ごらんのように、24カ所の施設がございます。  続いて、37ページでございます。37ページは、「障害者スポーツ関係施策」というこ とで、厚生省の予算で推進しているものを一覧にまとめたものでございます。身体障害 者体育等の推進事業については、(財)日本身体障害者スポーツ協会に対して厚生省が 補助を行っています。ごらんのような事業を行うものとして、約 8,600万円程度の 補助を行っております。  このほか、『「障害者の明るいくらし」促進事業』あるいは市町村障害者社会参加促 進事業の中で、スポーツ大会でありますとか、スポーツ教室の開催についての事業を組 み込んでございます。  そのほか、全国身体障害者スポーツ大会の開催経費として 3,500万円、全国精神薄弱 者スポーツ大会、これは「ゆうあいピック」ですが、開催経費として 2,000万円という ことで、厚生省が予算的な助成を行っているわけでございます。 次に41ページをお願いいたします。「指導者養成」についてでございます。まず1つ は、身体障害者スポーツ指導員でございます。(財)日本身体障害者スポーツ協会がス ポーツ指導員の養成を行ってきてございますが、指導員の種類としては、その表にござ いますとおり、初級、中級、上級、スポーツコーチというふうに分かれておりまして、 それぞれ右にございますような養成数が確保されているところでございます。  下にございますのは、精神薄弱者スポーツ指導員でございます。これは平成10年度か ら身体障害者スポーツ協会が精神薄弱者スポーツ指導員の養成を図ることとしておりま す。 次に43ページをお願いいたします。選手強化の状況でございます。選手強化とし ては、長野パラリンピックのための選手強化が初めて国の助成により行われました。身 体障害者につきましては、平成7年度から、知的障害者については、平成8年度からそ れぞれの団体に助成をして選手強化に取り組んできたわけでございまして、強化選手数 の推移は、真ん中にございます表に書いてあるとおりでございます。  次に47ページをお願いします。これは選手強化をしている最中に、選手強化費が足り なくなったということで新聞に載った記事の写しでございます。特に海外遠征について の費用がかかるということから、そういう面での募金活動をスポーツ協会が行っている わけでございます。  次が48ページでございます。「障害者スポーツ関係表彰制度」についてまとめたもの でございます。右にございますアトランタパラリンピック以降につきまして、国が行う 表彰といたしましては、入賞者全員に対して厚生大臣の表彰がございます。また、優勝 者に対しては、銀杯の賜与がございます。このほか、内閣総理大臣の記念品の贈呈と天 皇皇后両陛下への拝謁、お茶会への御招待というのがございます。  身体障害者スポーツ協会が行う表彰としましては、賞状とトロフィー、これが現在の 表彰制度でございまして、報奨金制度はございません。  次が49ページでございます。長野でパラリンピックが行われた際に、選手村におきま して、各国選手団の団長から聞き取って海外の報奨金の状況をまとめたものでございま す。一番上にございますフランスにつきましては、1位が日本円に換算しまして 108万 円ということで、一番高額でございます。その他、ない国もありますし、ある国も非常 に額が少ないというふうな状況でございました。 次に50ページでございます。これは朝日新聞の論壇に、石垣一夫議員がパラリンピッ クにも報奨金制度ということで書かれたものでございます。後ほどお目をお通しいただ ければと思います。 その次、51ページ以降は、障害者スポーツの地位の向上でありますとか、報奨金に関 連した新聞記事を集めたものでございます。 以上、障害者スポーツの状況等について御説明をさせていただきました。 ○大森座長 どうもありがとうございました。 ○林企画課長 恐れ入ります。改めまして、乳井昌史委員がお見えでございますので、御紹介させて いただきたいと思います。 ○乳井委員 乳井と申します。何かお役に立てればと思います。よろしく。 ○大森座長 よろしくお願いいたします。 ○林企画課長 あわせまして、本日オブザーバーで、伊藤公介衆議院議員がお見えになっております なお、八木委員は本日急用で欠席という連絡が入りましたので、あわせて御報告させて いただきます。 ○大森座長 それでは、引き続いて文部省の方から御説明いただきましょうか。 ○加藤(文部省)  文部省競技スポーツ課・加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。着席で 失礼させていただきます。  文部省からは、この懇談会での御検討の1つ、比較検討の材料ということで、文部省 が担当しますスポーツ一般の関係の概略を簡単に説明させていただきたいと思います。  主な点は、一般のスポーツの国際、国内関係の組織の面、同じく国際、国内の競技大 会の状況、スポーツ施設の関係、指導者。また、スポーツ活動の成果に対します表彰・ 顕彰の関係、競技力向上の施策の状況、これら大体おおむね6点程度について御説明申 し上げたいと思います。  お手元の資料、プリントのものとブルーのパンフレットをおつけしております。適宜 御参照願うことになりますが、よろしくお願いいたします。  1点目の組織の状況でございますが、お手元の横の「スポーツ界の組織図」という ペーパーを御参考にごらんいただきたいと思います。これは(財)日本体育協会の方で イメージということでおまとめになられているものを使わせていただきました。  スポーツにつきましては、日本においては、日本体育協会(JASA)が大きな仕分 けで申しますとスポーツの普及、幅広く国民の皆さんがスポーツに親しみ、楽しむとい う向きでの取り組みについての統括的な組織と、また、能力の限界、競技力の頂点をき わめていくというトップレベルのスポーツの取り組みについて、(財)日本オリンピッ ク委員会(JOC)が担当しておるところでございます。  実際の普及事業でありますとか、競技力向上事業の主体は、その下の段になりますけ れども、都道府県の体育協会と中央競技団体、各競技ごとの競技団体がメインに取り組 んでおるところでございますが、それを統括する意味での2つの組織が非常に国内で重 要な位置づけを持っております。  その基礎となる団体としましては、そこにごらんいただきますとおり、競技力の関係 では中学校の運動クラブから高等学校、大学、または実業団、企業スポーツも非常に日 本では重要な意義を持っております。それぞれを基礎としまして、また、地域における スポーツの普及事業についても各種のスポーツクラブや個々のスポーツ少年団が日ごろ から活動を行っているというものを基礎とするところでございます。いずれも頂点には IOC(国際オリンピック委員会)がオリンピックムーブメントの普及・推進というこ とで、全世界的な活動を行っている。そういった大きな流れの中での我が国での取り組 みになっているものでございます。  この2つの重要な団体についてでございますけれども、日本体育協会の設立自体は、 明治44年と非常に歴史のある団体でございます。財団法人といたしましては、昭和2年 の設立になっております。我が国アマチュアスポーツの統一組織という性格を持ってお りまして、スポーツ振興によって国民の体力の向上を図り、スポーツ精神を養うことを 目的とする団体であります。現在加盟の団体は、先ほど申し上げました中央競技団体に 当たる56競技団体、うち2つの団体は準加盟ですが、あと各都道府県に置かれます都道 府県体育協会47を加盟団体として組織しておるものでございます。  主な事業としては、国民スポーツ推進キャンペーンでございますとか、スポーツ指導 者の養成研修、スポーツ少年団の充実、国民体育大会の主催の一端を担っております。 また、全国スポーツレクリエーション祭の開催ということでして、全体で、支出面で、 事業規模45億(平成9年実績)に対しまして、国庫補助として7億弱、活動について約 15%程度の国庫補助をいたしているところでございます。  もう一方の、競技力向上の担当しますJOCの方ですが、これは日本体育協会からい わば独立する形で、国内オリンピック委員会の性格づけを明確に出すという意義もござ いまして、平成元年に設立されております。オリンピック憲章に基づく国内オリンピッ ク委員会としてオリンピックムーブメントの推進に当たるとともに、我が国のスポーツ 選手の育成・強化を担当する統括団体ということになります。これは加盟の要件がオリ ンピック競技の統括団体になりまして、48競技団体を組織しております。うち3団体は 今のところ準加盟という位置づけでございます。  JOCは国際総合競技大会への我が国の代表団の派遣でありますとか、選手強化面で 強化合宿、あと指導者、コーチ力の強化事業や指導者の在外研修、アンチ・ドーピング の活動なども積極的に行っていただいておりまして、全体事業規模67億強に対しまして 18億程度(平成9年実績)の国庫補助をいたしており、全体の27%弱になります。  この組織図でイメージをおつかみいただければと思いますが、重要な点でこの図では 盛り切れていない部分がございます。プロのスポーツの団体、これも文部省所管でござ いまして、(財)日本プロスポーツ協会がございます。これにつきましては、ブルーの パンフレットの19ページをごらんいただければと思います。プロスポーツ団体を加盟団 体として組織しておるものですが、3のところに加盟団体、相撲、野球を初め15のプロ の団体を加盟団体として組織しておるものでございます。プロスポーツの性格からしま して、かさのかけぐあいと申しますか、統括の度合いはJOC、日体協よりも若干緩や かな対応になるかと存じます。  それと組織の中で位置づけるかどうかがあるんですけれども、スポーツ関係で重要な 組織としまして、特殊法人でございますが、日本体育学校健康センターがございます。 これにつきましては、この同じブルーのパンフレットの7ページにございます。日本体 育学校健康センター自体は、国立競技場を初めとしまして、競技場の管理運営のほか、 学校の児童・生徒さんの共済給付の業務でありますとか、学校健康、体育の振興等々幅 広い事業を行っておるのですが、その一端でスポーツ振興基金というものを持っており ます。これが平成2年に政府出資と民間の寄付と、政府出資は 250億ですが、現在基金 の規模は 300億弱といったところでございます。これをもとにいたしまして、スポーツ 団体が行います選手強化活動や選手指導者の個人ベースの活動、もしくはスポーツ団体 の大会の開催などにつきまして助成を行っております。9年度の実績がそこに掲げられ ておりますが、456 件、8億強の助成という取り組みになっております。  組織の関係は以上でございまして、次に大会ですが、これにつきましては、パンフレ ットの14ページをごらんいただきたいと思います。国際交流とのかかわりで論じておる 点でございますけれども、15ページの方に、今後開催される主な国際競技大会が10年度 以降予定の立っているものについて掲げられております。地方公共団体なども大きな国 際大会の招致は非常に熱心でして、大きな大会がメジロ押しでございますけれども、こ こには掲げられておりませんが、平成9年度の実績といたしまして、9年度には韓国・ 釜山で東アジア競技大会でありますとか、イタリアのシシリーでユニバーシアード夏季 大会がございました。こういった総合競技大会に対しましては、文部省から国際交流と いう趣旨での補助を行っておるところでございます。平成9年度で、1億 6,000万程度 こういった大会開催についても補助を行っております。 国内の方も多々競技種目ごとに、全日本選手権でありますとか非常に活発に行われて いる実態がございます。中でもとりわけ国内のトップの大会としての国民体育大会がご ざいます。これはパンフレットの12ページにございます。開催の都道府県、これは年で 持ち回りでございますけれども、日本体育協会と文部省、三者共同での開催になってお ります。これに対しましては、開催都道府県に対する補助ということで、4億 6,000万 弱補助を行っております。大会運営の関係でございます。 3点目としまして、スポーツ施設でございますけれども、これは余りいい資料が御用 意できませんで恐縮でございます。別綴りの4枚ものの資料を御用意いたしました。こ れは文部省体育局で、平成8年10月1日現在での調査と、その結果をこの3月に取りま とめたものでございます。「我が国の体育・スポーツ施設」ということの調査報告でご ざいます。この調査では広くとらえておりまして、学校施設も含めて取りまとめてござ います。学校施設につきましては、学校施設の開放という観点からも国民の皆さんの利 用が考えられますので、そういった趣旨で盛り込んでございます。そういった学校の施 設、自治体が整備する公共スポーツ施設、企業が独自に持っております職場スポーツ施 設と整理しておりますけれども、民間のスポーツ施設とあわせまして、この調査で全体 25万 8,000カ所の施設があるという調査結果になっております。そのうち、大体4分の 1が公共スポーツ施設ということで地方公共団体が整備に当たっているものでございま す表2につきましては、設置主体ごとに整備の数の多い順に掲げてあるものでございま して、例えば公共スポーツ施設については体育館、多目的運動場、いわばグラウンド、 野球、ソフトボール場などの順で多い。民間についてはゴルフが非常に多うございまし て、ゴルフ練習場、ゴルフ場、屋外のテニスなどが多く設置されているという状況でご ざいます。  表3はもう少しそれを詳しく競技別に整備状況を取りまとめたものでございます。御 参考にしていただければと存じます。  スポーツについても、例えば障害者対応というところの整備状況はどうなのかという あたりをお示しできればお役に立つのかもしれませんが、残念ながらその点のデータ資 料が行き届いておりませんで、障害者向け施設ということでどういう現状かは文部省と しては把握しておりません。  ただ、先生方も御承知かもしれませんが、平成6年に法律が整備されまして、高齢 者・身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律ということ で、スポーツ施設を含めた公共施設の高齢者や障害者の円滑な利用を促進するというこ とで数々の措置を規定しておる法律が整備されました。現状ではこれに従った施設整備 がなされておるということでございますので、スポーツ施設についても一定の配慮がな されておるかと存じます。  4点目、指導者の関係でございますけれども、これはパンフレットの9ページを御参 照願います。指導者養成事業ということで、日本体育協会と各競技別の競技団体等が中 心になりまして、ここに掲げてございますような種目ごと、そして種目を横断する一般 的なプログラムについてのそれぞれの指導者についての養成事業がございまして、こう いったカリキュラムを消化していく中で指導者としての資格を得ていきます。  それにつきまして、そういった養成事業の普及を図る観点から、文部大臣がこの資格 について文部大臣認定というのを出しているところでございます。種目ごとですと、 40種目、43団体が取り組んでおります。地域スポーツ指導者、競技力向上の関係、商業 施設での指導者、それと種目横断ということでのスポーツプログラマー1種、2種等、 この4事業合わせまして7万 9,000人の指導者がこの事業の中で養成されていることに なってございます。 また、下の方、ちょっと小さくなっておりますが、選手強化ということを集中的に行 うという意味でもJOCの中で強化指定の制度を持っておりまして、その指定を受けた 選手に対しては、特に強化スタッフを整えて専門的なコーチを行うという態勢の整備も とられておるところでございます。  5点目が表彰・顕彰の関係でございます。これも資料自体も簡単になっておりますが 10ページの下の方に御紹介がございます。文部大臣の顕彰・表彰ということで、オリン ピックにつきましては、ここにオリンピック競技大会の優秀者顕彰ということで顕彰状 と記念品(銀杯)をメダリストに対してお出ししております。その他、世界選手権等、 世界的な規模のスポーツ大会での優勝者等を対象としましてスポーツ功労者顕彰、これ も顕彰状と銀杯をお贈りする等々の文部大臣表彰を御用意しております。  そのほか、各競技団体でも独自に表彰の制度を持っておりますし、JOCも特にオリ ンピックにつきまして、オリンピック特別賞ということで、報奨金を伴った表彰制度を 独自に設けております。これにつきましては、先ほどの石垣先生の件のお触れもござい ますので、若干詳しく御説明する意味で別のプリントを用意いたしております。四角で 囲った表題の「オリンピック報奨金制度の概要」という一枚ものをごらんいただきたい と思います。  この報奨金制度の導入の経緯でございますけれども、JOCの方で、平成4年、アル ベールビルの冬季オリンピック、このメダリストに対して、これは一件ものだったんで すけど、まず支給があったと。そして、平成6年リレハンメルから、きちんと規程等の 整備もいたしまして、制度化を図って今日まで行われているものでございます。  報奨金の内容といたしましては、金、銀、銅のメダリストそれぞれについて 300万円 200万円、 100万円ということになっております。従前は一番最高位のメダル複数獲得 の場合も、最高位のメダルについての報奨金のみということだったんですが、この長野 オリンピックを契機にいたしまして、活躍に見合う報奨ということで、複数は複数なり の合算額をお出しするように変更になっております。若干の資料の文言がちょっと古い ので恐縮でございました。近々変更予定となっておりますが、今現在これは扱いが変わ っております。 この報奨金の財源でございますけれども、これはJOCの方で自主的に行っておるも のでございまして、これについて国からの補助というものはございません。JOCの方 では、この報奨金の事業のために毎年度 3,500万円程度予算を用意して積み立てておる というふうに伺っております。 支給実績については4のところで、アルベールビル以降、このような状況になってお ります。  選手強化を含めました競技力向上策についてでございますが、これは予算面を含めま してパンフレットの一番最後の21ページをごらんいただきたいと思います。関係予算概 要ということで、平成10年度の予算額でお示ししてございます。スポーツ関係団体の助 成ということで、各論のところで触れた部分がございますが、体育協会、JOC、武道 振興の観点から、日本武道館にも団体助成を行っております。全体で23億弱という補助 額になっております。関連はパンフレット6ページにも記述がございます。御参考いた だければと存じます。  2番目としまして、国民体育大会、これも4億 6,000弱、先ほど申し上げたとおりで ございます。夏、秋、冬とシーズンごとに大会がございます。全体で4億 6,000弱の補 助ということになっております。 3番目がナショナルスポーツセンターの整備ということで、66億 8,000万。これは 2つの要素がございまして、スポーツの医科学の研究成果を競技力向上、選手強化に役 立てようということで、その拠点となりますセンターを今北区の西ケ丘に建設中でござ います。平成12年度の開所を予定してございます。関連の記述はパンフレット11ページ にもございますが、このセンターにつきましても、障害者の方々の利用にも配慮して整 備していくよう並行して検討しておる次第でございます。  もう一方、ナショナルトレーニングセンターというもののあり方、これは合宿の施設 などもきちんと整えた、いわば国で整備された総合的なスポーツセンターというものの あり方について、今、基礎的な調査研究を行っております。財源論等もございますので すぐ形になるものではございませんが、この調査研究も並行して進めております。  競技大会の支援ということでは、当面2002年のワールドカップサッカー大会がござい ますので、この準備対策。あと国際競技大会が、特に自治体の方で非常に誘致が盛んで あるということもございまして、法律的運営に係る調査研究にあわせまして 2,200万程 度計上しております。 スポーツの功労者、非常に経験なり技術なりをお持ちの方々の力を活用する意味で、 功労者の派遣指導の事業、アマチュアとプロの交流事業等々について 2,800万円程度。 また、選手強化ということで、今、一般スポーツでキーワードになっておりますのが 一貫指導ということで、6.7.のところがその関連事業ですが、地域における強化拠 点整備事業として2億 7,000万円。これは資料の8ページに記述がございます。広域市 町村圏内の基幹的スポーツ施設、大きめの施設を1つ競技力向上の拠点と位置づけまし て、そこに行政、教育委員会とあと競技団体の方との連携・協力のもとにいろいろ指導 者とか民間との連携などをセットでつけまして、そこに学校から上がってくる、特に 小・中・高校生を対象とするジュニアを、そういった全体スキームの中で一貫して指導 をしていけないかというモデル事業で、それに対する補助を行っております。  もう一点が、まさに競技団体において一貫指導システムをつくっていただけないかと いうことのモデル事業、これは事業委嘱の形で行いますが、これについても 9,000万円程度計上しております。これは関連の資料が6ページ(2)にございます。 これも5つほどの競技団体に一貫指導のカリキュラムをつくってみてくださいとか、早 期の才能の発掘、ジュニアの才能の発掘のシステムを用意してみてください。また、団 体としてのマネジメント能力を高めるのも大事な側面でして、そういった面でのシステ ムをつくってみてくださいというような事柄についての検討の事業を行っていただくモ デル事業です。  大体、施策としては以上でございます。  あと、資料の最後に、文部省の障害者スポーツについての基本スタンスということで 1枚昨年9月の保健体育審議会の答申の抜粋をおつけしてございます。文部省としても 必ずしも十二分というレベルに達しておりませんが、一般スポーツの振興の中で、当然 障害者の皆さんのスポーツを排除するということは全くないわけでして、その一環でこ れまでも取り組んできた次第でありますが、障害者の皆さんの取り組みが非常に多様化 しております。それに適切に対応し、皆さんがスポーツに楽しんでいただいたり、それ ぞれの目標に向かって能力を伸ばしていっていただけるような環境づくりに引き続き努 力してまいりたいと考えておりますし、その上では厚生省との連携も今後ますます緊密 に行っていく必要があるのではないかということを課題として掲げてございます。御参 考までにおつけしました。  概要は以上でございます。 ○大森座長 ありがとうございました。本日は12時まででございますので、今、両省から現状につ いてざっと御報告ございまして、この後、少しフリーディスカッションにさせていただ ければと思っています。御質問があるかもしれませんし、あるいはこれと関連いたしま して、少し御意見に近いようなことをお出しいただくことになるかもしれません。残っ ている時間はそうさせていただきますので、よろしくお願いいたします。どなたからで も結構でございますので、御発言をいただきます。 ○乳井委員  質問でよろしいですか。 ○大森座長  どうぞ。 ○乳井委員  事務当局への質問なんですが、今度の経済対策の中では、障害者スポーツに関する何 かお金がついたやに聞いているんですけれども、その辺、何か具体的におわかりでしょ うか。 ○林企画課長  4月24日に経済対策閣僚会議がございまして、そこで決定されたことといたしまして 子育て支援、高齢者、障害者支援を総合的に展開するため社会福祉・医療事業団の長寿 社会福祉基金の拡充をすると。そして、「長寿・子育て・障害者基金」と改称とすると いう表現になっております。増資額は 1,200億円でございます。障害者のスポーツにつ きましても、その中で行われるという理解だと思います。 詳細につきましては、若干検討を要するかと思いますが、現在の状況はそういうこと でございます。 ○川原委員 先ほどいろいろ御説明いただいた中で、施設の一覧表が出ておりましたが、これは障 害者専用の施設でしょうか。一般の人と同じ場所でできるような施設は文部省で把握さ れておられないということでしたけれども、そういうのがあるのかどうかということで す。 それからもう一つは、組織の問題で、身体障害者スポーツ協会だったでしょうか。こ れと各競技団体との関係、どういう関係になっているのか。加盟関係になっているのか あるいはどういう位置づけになっているのか、教えていただければと思います。 ○事務局 施設について御説明させていただきます。先ほど厚生省の方からお示ししました幾つ かの表がございます。その中で、32ページですが、「身体障害者福祉センター(A 型)」という施設がございます。その下に「勤労身体障害者体育施設」、これは労働省 管轄の体育施設です。もう一つは「勤労身体障害者教養文化体育施設」、これも労働省 の管轄ですが、この3点につきましては、身体障害者の施設というふうに御理解いただ ければと思います。  あと、一覧では36ページにお示しいたしましたが、その他、都道府県・指定都市が設 置している施設がございますが、これにつきましては、必ずしも障害者のみの対応とい うことではなく、障害者のための指導員あるいは設備も設置されていると、そういう施 設ということで御理解いただけたらと思います。以上です。 ○中島委員  それでは、私から、先ほど説明がございました20ページに障害者別のスポーツ団体が ございますが、これは私どものスポーツ協会に加盟している団体というふうに御理解い ただいたらいいと思います。御承知のとおり、38年から年々増えてきておりまして、今 こういう状況になっているということでございます。 ○大森座長  この団体が全体に協会に所属する形。 ○中島委員  そういうことです。 ○大森座長  藤原先生から。 ○藤原委員  スポーツ協会のテクニカル的なことでもありますので、かえって説明して混乱されて もと思いますけれども、今の施設のことも、私、たまたま大阪のスポーツ施設に開館当 初からずっと関係しておりましたので、さっきの専門官の御説明で、確かに設置すると きは身体障害者のということで、建物そのものはつくりましたけれども、運営は当然知 的障害の方も含みますし、最近ですと精神障害の方も含めています。また、障害者の介 護等あるいはボランティアということで、一般市民の方も、恐らく3割以上は利用して いるのではないかというように思います。  それから、今の組織なんですが、加盟ということで御説明がありましたけれども、日 本体育協会サイドの加盟というのと、ちょっと違いましてまだ未組織です。ここに団体 が挙がっておりますけれども、その団体の中には、会員がたくさんいましても一地域だ けだとか、いわゆる組織としては何々県の代表というようなレベルのであったり、それ が全国的にというようなものでないものもございますので、その辺は承知の上で、私ど も統括というんでしょうか、集まっていただくときにはできる限り一緒に集まっていた だくようにして、いろんなことを相談しながらやっているという、まだ組織的には非常 に弱いという状態です。  この中で、日本身体障害者ライフル射撃連盟、これはむしろ体協サイドのライフルの 協会の方に加盟していると思って下さい。だから、身体障害者とついたこの組織を、ち ょっと間違っているかもわかりませんが、日本ライフル射撃連盟というのだと思います けれども、そちらに加盟をむしろされて、我々の方へは仲間として一緒に入っていただ いており、こんな組織も中に混ざっております。かえって混乱するかもしれませんが、 事実上そういうことです。 ○中島委員  右側にマルのついた3つが、たしかそれだと思います。 ○藤原委員  正式に言いますと、もっとややこしくなりますので、大体未組織ですので、余りきち んと説明がしにくい。 ○中島委員  一番この辺がつらいところなんです。 ○大森座長  何か事情がおありなんですか。川原さん、とりあえずよろしいですか。 ○川原委員  障害者スポーツと一口にいってもリハビリという範疇とスポーツという範疇があると 思います。パラリンピックとなりますと、スポーツという範疇になりますので、組織の 問題であるとか、一般のスポーツとの協力関係が非常に重要になってくるのではないか と思いまして、お伺いしたということです。 ○大森座長  きょう実際に競技に出ておられるお二人が御出席ですから、お二人から何か、御質問 でなくても結構ですので、御発言いただいたらどうでしょうか。牛窪さん。 ○牛窪委員  きょうは大変緊張して参りまして、私ども選手に対しまして、このように初めての機 会をいただきまして、本当にうれしく思っています。そして、身体障害者スポーツとい う観点から見ますと、我々も最初は当然あらゆる選手がリハビリテーションのところか ら抜け出して、そして競技の方に入っていったような気がします。  そして、現在、競技スポーツとしてとらえていただいたという点からお話しさせてい ただきますと、現状は、長野の冬季のパラリンピックに対しましては、非常に強化費用 ですとか、その他大分国の方からの支援がございましたが、アトランタ以前の夏季の大 会におきましては、ほとんど強化とか、それから、現在でも今年度には、私は柔道です が、世界の大会がございますが、ほとんど出ない。全く自費参加で行かなければならな い状況。それですとか、前回アトランタで、私、選手を代表いたしまして、国際委員会 の方に出させていただきましたが、その派遣費用は、これからは年に一度ぐらい選手の 相互の話し合いを世界で持とうということですが、その費用は各国が負担ということで すが、全くそういうところにめどが立たないので大変苦慮しております。  ですから、パラリンピック、いわゆる競技スポーツとしてとらえた場合には、ほとん ど個人の努力という状況ですので、ぜひ、その辺を御理解いただいて、競技スポーツと しての支援の方をぜひよろしくお願いしたい次第なんです。以上です。 ○大森座長  夏と冬は区別があるんですか、支援で。たまたま長野は初めてだったということです か。 ○三友社会参加推進室長  長野は日本で初めて冬季のパラリンピックが行われるということで、日本の選手が参 加しない競技があっては寂しいではないかと。それから、冬季のスポーツについては、 日本の選手はどちらかと言えば、十分にいなくて、むしろ、これから育てていくという ような状況もございまして、それでは選手の育成・強化というのをやろうということで 初めて国の予算でそういうことをしたいということでございます。 ○大森座長  大日方さん、御発言いただけます。 ○大日方委員  まず今の厚生省の方と文部省の方とそれぞれの話を伺っていて思ったのが、とてつも なく違いすぎるなということでした。予算の額にしましてもそうですし、先ほど川原委 員の方から御質問のありましたような組織についても、どこから整備していったらいい か、手のつけ方がわからないというぐらい当事者の私ですらちょっとどうしようかなと いうことを、今戸惑っておりますけれども、選手として、一番最初に申し上げておきた いのが、「障害者スポーツ」というふうに一言で言ってしまっても、大きく私は3つだ と思うんですけれども、分ける必要があると思います。  1つがパラリンピックを頂点とする競技スポーツ、これは競技をする人がたまたま障 害を持っていたと、それだけのことであって、自己の記録への挑戦、それから勝利へ、 勝つということを目指してトレーニングに励む、そういうものでは全くアスリートとし て、あえて言いますとオリンピックの選手が勝つことを目指すように、障害をたまたま 持っていたにしろアスリートであることにはかわりはない。1つ目は、競技スポーツと いう位置づけだと思います。  2つ目が、障害を持っていても、レクリエーションとしてスポーツをする。これは当 然あるわけで、テニスをしたい、水泳をしたい、柔道をしたい、スキーをしたい。当然 スポーツをしたいという人間としての欲求を持っている、これが1つあると思います。  それと、これは障害者特有のものだと思うんですけれども、いわゆる従来の認識の障 害者スポーツ、リハビリテーションスポーツというんですか、社会復帰のため、あるい は身体機能回復のため、こういったような分け方ができるのではないかというふうに思 います。  この3つを分けて考えることによって、そこから実はスタートするのではないかと。 特に私が今やっておりますのは競技スポーツですので、そこで選手としての立場から申 し上げると、ぜひ今文部省の方から御説明のありました組織図で、JOCというものが ありましたけれども、競技、選手強化をするための組織をJPCというものがいいのか どうか別としてですけれども、そういう組織をつくっていただきたいなというふうに思 います。  ここでは当然選手強化です。その管理とか、国際大会への派遣、あるいは専門委員と して、今回長野で感じたのが、国際的にもまだルールが、これから確立されていく部分 というのもありますので、そういうものに日本として積極的にかかわれるような態勢を 整えていく必要があるのではないか。例えば専門委員、競技ごとの専門委員が必要でし ょうし、IPC等への専門委員の派遣も必要ですし、末々は国際大会を日本で開催でき るような、そういったようなしっかりした組織をつくっていく必要があるのではないか ぜひ、それを選手としてお願いしたいなというふうに思っております。以上です。 ○大森座長  ありがとうございました。私どもきょう現状をお話しいただきまして、それぞれ勉強 してまいりますけれども、この後、2回、3回ですから、2回目に皆さん方が自由にい ろいろお出しくださってもいいんですけれども、こういう事柄について少しそれなりに 御意見をまとめてくだされば、次回にもうちょっといろいろ御意見が出しやすいと、そ ういう準備のために、事務方で、次回に少し検討したいなと思っているような項目をあ らかじめ伝えてくださった方が、私ども発言しやすいと思うんですけれども、どうでし ょうね。その方が次回に少し用意してきて、いろんなものを言いやすいと思うんですけ ど。 ○三友社会参加推進室長  私どもの案として、御用意させていただいているのがございますが、それにこだわる ということではなくて、次回以降の御議論の御参考にしていただくという意味でお配り させていただきます。 (資料配付) ○大森座長  ごく簡単で結構ですから、専門官から、若干の趣旨などを述べていただいて、それで 私ども少し考えてくることにいたしましょうか。 ○三友社会参加推進室長  それでは私から申し上げますが、まず、主な検討課題(案)ということでございまし て、1つは、今、大日方選手や牛窪選手からもお話がございましたように、障害者がす るスポーツの意義というものが、受けとり方がいろいろ変化をしてきているというよう なことがございます。そういうことについて、改めてスポーツの意義というものについ て整理をしてみてはどうかということでございます。  それから、その中で競技スポーツというものをどう位置づけていくのかという点でご ざいます。全体としては、障害者施策の中で、そういうことについて位置づけを少し明 らかにしてみてはどうかということでございます。  3点目が、それら障害者の方が行うスポーツの推進方策ということで、そういうもの についての基本的な考え方を整理をした上で、具体的な課題としては、競技スポーツを 中心としまして、そこにお書きしたようなことを認識しているわけでございます。1つ は指導者の養成、確保の問題であります。  2つ目はスポーツ大会、こういう機会をたくさんつくっていく。そういうものを拡充 していくということでございます。そして利用できるスポーツ施設を整えていくという こと。並びに身体障害者スポーツ協会初めとして、競技別の組織をどういうふうに育成 していけばいいのか。あわせて選手の強化ということについて、また、身体障害のみな らず、知的障害あるいは精神障害まで含めたスポーツの振興ということでございます。  そして、長野でもいろいろメーカーの方で御協力いただきましたが、競技用具につい ての研究開発でありますとか改良ということ。  それから、最後に顕彰制度。報奨金の問題を含めまして顕彰制度、そして障害者ス ポーツ一般への啓発という問題。  これらが具体的な課題として、当面、私どもが認識をしていることでございます。以 上でございます。 ○大森座長  これ以外にももしかしたら、先生方おありかもしれませんので、次回にこういう問題 も大事ではないかというようなことを御発言いただければいいかなと思っています。こ れは次官の勉強会とも伺っていますけど、何か、きょうお聞きくださっていて御発言ご ざいますでしょうか。 ○山口厚生事務次官  今のお話にも出ましたけれども、今まで障害者スポーツということで、私どももいわ ば一緒くたにして施策を考えたりしてきた点があろうかと思います。改めてこの機会に 今、御指摘のございましたような点も含めて、障害者スポーツの今後のあり方について 基本的な方向づけをしていただければということを今回お願いをしているわけでござい ますけれども、今、検討課題として、私どもの問題意識を出させていただきましたけれ ども、私どものお願いをしました意図はそういうところにございますけれども、これを ベースにいたしまして、今、座長からお話がありましたように、これにとらわれずに、 この機会にいろいろ御提言等いただければありがたいと思っておりますので、どうぞよ ろしくお願いいたします。 ○中川委員  中川ですが、この席にお招きいただきましてありがとうございます。お話を伺ってい まして、こういう状況ならば、私なりに1つ、私が昔書いたものがありまして、そうい うものをたたいていただきながら、お話を進めていただけないかなと思っている事項が ございます。それは、きょうも文部省の方がいらっしゃいますが、この仕事を厚生省と 文部省がいかにしてドッキングするかということを考えながら、今、社会参加推進室の 方からあった個々の問題をその中で1つ1つあわせて考えていくという類の幹と枝の部 分の整理整頓が必要ではないかと思います。  もし、許されるならばですが、私が1997年の『リハビリテーション』という雑誌の 391号に書かせていただいた「近未来の障害者のスポーツ環境」という文章がございま すがその中に、私なりに文部省と厚生省のドッキングという類のことを想定した上で文 章を書いております。御検討いただく材料にしていただいて、大日方さんや牛窪さんが おっしゃったようなレベルでの強化策、普及策というもののありようを考えていただけ ないかなと思う次第です。 ○大森座長 再編法では全く別立てでございますので、これは非常に接近している領域であります ので、よろしければ、先生のそれをコピーをしていただいて、皆さんに配っていただい て、私はよろしいかなと思うんですけど。それでは、きょうそれをいただいて帰りまし て。 ○中川委員 つたない文章ですけど、ただ1つのヒントに、話題のヒントにしていただければと思 いました。 ○大森座長 どうもありがとうございました。きょうは時間が少なくて申しわけありませんけど、 次回、それぞれの先生方、いろいろお考え方をまとめてくださって、活発に御発言いた だければと思っています。 きょうはちょうど12時でございますので、以上をもって終わりにさせていただきます 事務方から、今後のことをお願いいたします。 ○林企画課長  今後の日程につきましてお諮りをさせていただきたいと思います。皆さんの御都合を 確認してみましたところ、次回は5月25日(月曜日)16時から。その次の会は6月22日 月曜日14時からが比較的御都合がよいというふうに聞いておりますので、この日程でセ ットをさせていただきたいと思います。 ○大森座長  ちょっとお諮り申し上げます。次回が5月25日(月曜日)の4時から、見当として 2時間程度ということでしょうけど、できるだけすべての先生方、御出席いただければ と思っていますので、この時間よろしゅうございましょうか。5月25日(月曜日)の 4時から6時ぐらいまでの間でございます。 ○中川委員  事務方にはお伝えしてございますけれども、私、月曜日はどうしても授業がありまし て、時間やりくりして、その時間にしていただいたんですけれども、多少おくれてくる かもしれませんが、その点、御理解ください。 ○大森座長  わかりました。それでは、次回は5月25日(月曜日)4時ということにさせていただ きます。次が6月22日午後2時から、大体おおむね2時間程度、4時ぐらいまでの見当 でございます。6月22日(月曜日)午後2時、これはよろしゅうございましょうか。 (「はい」と声あり) ○大森座長  それでは、そういうことで日程を決めさせていただきますので、よろしくお願いいた します。  本日は以上ということにさせていただきます。 ― 了 ― 問い合わせ先   障害保健福祉部企画課社会参加推進室   TEL:3503-1711 角田(内線3073)    小山(内線3074)