98/04/13 公衆衛生審議会健康増進栄養部会議事録                          公衆衛生審議会健康増進栄養部会            議  事  録                                         公衆衛生審議会健康増進栄養部会次第         日 時:平成10年4月13日(月) 14:30〜16:34         場 所:法曹会館2階「高砂」の間 1 会議次第  (1) 開 会  (2) 挨 拶  (3) 議 題    1) 病者用食品の個別評価について    2) 脂質に関する栄養表示基準専門委員会報告について    3) その他 ○竹下新開発食品保健対策室  まだお見えでない委員もいらっしゃいますけれども、定刻になりましたので、ただい まから公衆衛生審議会健康増進栄養部会を開催いただきたいと存じます。  お忙しいところ、本日は御出席いただきましてありがとうございます。本日あらかじ め御欠席の御連絡をいただきましたのは、多田羅、藤岡のお二方の委員でございまして 20人の委員の先生方のうち、18人の先生方が御出席をいただいております。したがいま して、本部会が成立いたしておりますことを、まず御報告をさせていただきたいと存じ ます。 またこの度、日本医師会の役員改選に伴いまして、これまで委員でいらっしゃいまし た小池委員に代わりまして、新たに櫻井委員が御就任でございます。御紹介をさせてい ただきたいと存じます。 ○櫻井委員 日本医師会の櫻井でございます。よろしくお願いします。 ○竹下新開発食品保健対策室長  ありがとうございました。  それでは開会に当たりまして、生活衛生局堺食品保健課長からごあいさつを申し上げ ます。 ○堺食品保健課長 食品保健課長の堺でございます。 新年度早々御多用中のところ、健康増進栄養部会に御参集いただきましてありがとう ございます。桜の花も足早に散ったかと思いましたら、早くも八重桜が咲き始めている それからツツジのオオムラサキも咲き始めている。二、三週間早いような感じもいたし ますが、本日は許可基準の設定されていない病者用食品の許可のあり方について諮問さ せていただきまして、御審議をいただきたいというふうに考えております。 本件につきましては昨年の7月に1度御報告をさせていただいておりますように、食 品に病者用の表示をしようとする者は栄養改善法に基づき厚生大臣の許可を受けなけれ ばならないとされている訳でございます。しかしながら、許可基準が設定されていない 食品については、医学・栄養学的に効果が認められるものであっても、病者用の表示が 出来ない現状でございまして、患者さん方にこれら食品についての適切な情報を提供出 来るよう、その取り扱い、許可方法について御審議をいただきまして、出来れば本日御 結論をいただければというふうに考えております。 それから議題の2つ目でございますが、栄養表示基準におけるコレステロールの基準 設定等を予定しております。御案内のように、平成8年5月24日より栄養改善法に基づ きまして栄養表示基準が施行されまして、その経過措置もこの3月末で終了いたしまし て、4月からは全面施行となっている訳であります。 お気づきのことと存じますが、店頭には栄養表示をした食品が随分増えてきており、 栄養表示基準を定める際本部会で御審議いただいておりまして、その時にコレステロー ルについても基準を設定すべきではないかという御意見を受けまして、昨年3月にコレ ステロールの強調表示基準の設定等、脂質に関する栄養表示基準について検討していた だくため、専門家、消費者代表、業界代表の方々からなります専門委員会が設置され、 これまで御検討いただいてまいりました。このほど専門委員会としての御報告をおまと めいただきましたので、委員長をお願いいたしました小林国立健康・栄養研究所長に御 報告いただくこととなっております。私どもといたしましては、本日御審議いただいた 後、WTO通報を行い、基準設定に向け夏ごろに改めて諮問させていただければという ふうに考えております。  本日はそのほか生活習慣病対策室からの報告案件も予定させていただいておりますが どうぞ御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。 ○竹下新開発食品保健対策室長  引き続き御紹介させていただきます。  4月1日付の異動で事務局の方に一部異動がございましたので、御紹介させていただ きます。特別用途食品審査官に得津が就任いたしております。 ○得津特別用途食品審査官  得津でございます。どうぞよろしくお願いします。 ○竹下新開発食品保健対策室長  本日の審議会でございますけれども、これまでと同様、公開というふうになっており ますので、よろしくお願いいたします。  それでは細谷部会長に進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。 ○細谷部会長  それでは公衆衛生審議会健康増進栄養部会を開催させていただきます。  各委員の御協力を得まして、円滑に議事を進行していきたいと存じておりますので、 よろしくお願い申し上げます。  本日の審議会は公開となっておりますので、改めてよろしくお願いさせていただきま す。  それでは本日の議題と配布資料につきまして、事務局から確認をよろしくお願いいた します。 ○竹下新開発食品保健対策室長  それではお手元の資料について確認をさせていただきます。  まず公衆衛生審議会健康増進栄養部会次第、そちらの方の下に資料等一覧が載ってお りますので、それをごらんいただきながら御確認をいただければと存じます。次第の後 ろには名簿、本日の会議の配席図がございます。そのあと資料がございますけれども、 資料1が「諮問書」、資料2が「病者用食品の個別評価について(案)」となっており ます。資料3が「今後申請が見込まれる現在許可基準のない病者用食品(例)」の一覧 でございます。その後に、その課題について御議論いただきます際の参考資料として、 参考1として「特別用途食品制度について」、左上の方に表題がついたものがワンセッ トございます。 それから2番目の議題になります「脂質に関する栄養表示基準について」ということで 専門委員会でおまとめいただきました報告書が資料の4でございます。資料5が『「コ レステロールの強調表示基準」について(案)』でございます。それから参考2として 「食品の栄養表示基準制度の概要」の資料がついております。先生方にあらかじめ資料 を送らせていただいておりますが、若干不手際等ございまして、それを修正したものを 本日配布させていただいておりますので、この資料をごらんいただきながら御審議を賜 ればと存じます。不足等ございましたらお申しつけいただければと存じます。 ○細谷部会長  それでは最初の議題でございます「病者用食品の個別評価」につきまして、事務局か ら病者用食品のうち、許可基準の設定されていない食品の許可方法等についての諮問書 の説明をお願いいたします。 ○古畑専門官  それではお手元の資料1とございますが、ご覧いただきたいと思います。 本日付、平成10年4月13日付で厚生大臣から公衆衛生審議会会長宛諮問書が提出されて おります。 栄養改善法(昭和27年法律第248 号)第12条第1項に基づく特別用途食品のうち、許 可基準のない病者用食品の取り扱いについて、公衆衛生審議会令(昭和53年政令第185 号)第1条の規定に基づき、貴会の意見を求めますということでございます。  それでは次の2枚目をお開きいただきたいと存じます。これは「諮問の理由」でござ います。   栄養改善法(昭和27年法律248 号)第12条に基づき、販売する食品に「乳児用、幼 児用、妊産婦用、病者用等の特別の用途に適する旨の表示」をしようとする者は、厚生 大臣の許可を受けなければならないとされている。   現在、病者用食品としては、低ナトリウム食品等の病者用単一食品、糖尿病食調整 用組合せ食品等の病者用組合わせ食品について表示の許可基準を設定し、これに適合す る食品に表示を許可しているところである。   近年における医学・栄養学の進展や食品の加工技術の進歩等と相まって、多種多様 な用途の病者用食品が出現しており、医療機関等において疾病の治療、再発や悪化の防 止を目的に食事療法への寄与が期待されている。   しかしながら、許可基準の設定されていない食品については、医学・栄養学的に効 果が認められるものであっても「病者用」の表示ができない現状にある。   このため、これら許可基準の設定されていない病者用の食品の許可の方法について 諮問するものである。  以上でございます。 ○細谷部会長  ただいま事務局から諮問書等の説明がございましたが、これに対して何か御意見ござ いますでしょうか。 ○竹下新開発食品保健対策室長  続けて説明させていただいてよろしいでしょうか。 ○古畑専門官  それでは続けて事務局から説明させていただきたいと思います。  お手元の資料2に入ります前に、お手元の参考1がございますが、そちらをご覧にな っていただきたいと思います。  ただいま諮問の理由でも出てまいりましたが、特別用途食品というものは何か、制度 は何かについて簡単に概要を説明してみたいと思います。  栄養改善法第12条に基づき販売に供する食品には、病者用または乳児用等の表示をし ようとする場合は、厚生大臣の許可を受けなければならないとされている訳でございま して、許可方法の分類といたしましては大きく2つございます。1つが許可基準設定型 でございます。もう一つが個別評価型でございます。許可基準設定型では、いわば定量 的な検査に基づきまして審査し、許可を与えるということでございまして、この中には 病者用食品、その中には病者用単一食品、病者用組合せ食品、それから妊産婦、授乳婦 用粉乳、乳児用調整粉乳、高齢者用食品というものがございます。 一方、個別評価型でございますが、これは定性的な検査に基づき審査をするというこ とになる訳でございますが、平成3年度より特定保健用食品としてスタートしておりま す評価形態と同様に、今回お諮りする個別評価型の病者用食品につきましても新たに設 けようということでございます。 2番目に承認制度のフローチャートというものがございまして、まず許可基準設定型 といたしましては、業者から都道府県を経由して厚生省に申請がまいりまして、厚生省 で審査、また国立健康・栄養研究所の方に分析検査依頼をいたしまして、いずれも問題 がないとされた場合は許可を与えるということでございます。 一方、個別評価型につきましては、ただいま御説明しましたように、特定保健用食品 というものがございまして、これは厚生省生活衛生局長が委嘱します臨床医を含む医学 薬学、栄養学、農学等の専門家で構成されました特別用途食品評価検討会を設けまして 科学的知見に基づき、その評価を行っているものでございます。また、特別用途食品評 価検討会につきましては、総合部会で総合的に判断するということになる訳ですが、こ の下に専門部会を設置いたしておりまして、具体的にはそこにお示ししてありますとお り、保健等の用途別に第一部会から第五部会まで構成されておりまして、それぞれ評価 をお願いし、その結果、また国立健康・栄養研究所の分析結果を踏まえ、問題がないと された場合は許可をするという制度でございます。 それから申し遅れましたが、次のページ以降は「病者用食品の品目別表示許可有効件 数」ということで、現在許可しております一覧表でございます。 合計で162 件許可されておりまして、それ以下の表につきましては商品名等具体的に 示してございますので、参考にしていただきたいと存じます。 それでは資料2を開いていただきたいと思います。 「病者用食品の個別評価について(案)」でございます。   許可基準の設定されていない食品について、特定の疾病のための食事療法の目的を 達成し、病者の食生活の改善に効果が期待できるものについては、特定保健用食品にお ける評価方法に準じ、個別に科学的な評価を行うことによって、病者用食品としての表 示を認め、当該疾病を持つ病者に対し適切な情報提供が行えるようにすることが適当で ある。   このような食品についての個別評価は、臨床医を含む医学、薬学、栄養学、農学等 の分野の専門家から成る評価検討会において科学的な知見に基づき行うこととし、その 際の許可要件については、別紙によることが適当である。  ということでございます。  次のページを開いていただきたいと思います。別紙とございますが、これは「病者用 食品の許可要件ついて」でございます。  許可基準の設定されていない病者用食品の個別許可は、次の要件に適合するものであ ること。 1つ目といたしましては、特定の疾病のための食事療法の目的を達成し、食生活の改 善に効果が期待出来るものであること。これはいわば病者のQOLを向上させるという 目的を考えているものでございます。 2では食品又は関与する成分について、食事療法上の期待出来る効果の根拠が医学・ 栄養学的に明らかにされていること。これにつきましても病者の食事療法につきまして その食品の効果が明らかにされているかどうかということでございます。  3では、食品または関与する成分について、病者の食事療法にとって適切な使用方法 が医学・栄養学的に設定出来るものであること。これにつきましても病者の食事療法に とって適切な使用方法、そして摂取量が設定されているかどうかということでございま す。 4では食品又は関与する成分が食経験からみて安全なものであること。 5では関与する成分は次の事項が明らかにされていることです。アとして物理化学的 性状及び試験方法。イとしまして、定性及び定量試験方法でございます。 6では同種の食品の喫食形態と著しく異なったものでないこと。いわば主食でありま す御飯とか、うどんとか、パンがある訳でございますが、形状形態からして著しく異な ったものでない。いわば先ほど申し上げましたQOL向上のために、あくまでも食品で ということを考えている訳でございます。  7ではまれに食べられているものでなく、日常的に食べられる食品であること。  8では錠剤とカプセル型をしていない通常の形態をした食品であること。いわば明ら かに食品であるかどうかということでございます。  9では食品又は関与する成分は、昭和46年6月1日付の薬務局長通知がある訳でござ いますが、「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」ということでございます。こ れにつきましても、医薬品として使用されるものは食品の範疇に入らない、すなわち、 医薬品に該当するものでないこということで、明らかに食品であるということを条件に してございます。 それから次に(注)といたしまして、用語の定義を2つ示してございますが、「食事 療法」とは、疾病の治療及び再発や悪化の防止を目的として、医師が医学・栄養学的知 見に基づき、栄養素等を管理した食事を摂取させることをいう。 2では、「関与する成分」とは、食事療法を実施するにあたり、疾病の治療等に関与 する食品成分をいうということでございます。 それから3枚目でございますが、参考といたしまして個別評価に必要な添付資料とい うことでございまして、今回、個別評価につきまして、許可要件に基づいた資料の提出 ということを考えている訳でございます。 まず1つ目としましては、食品又は関与する成分について、特定の疾病のための食事 療法上根拠が医学・栄養学的に示されている資料ということでございまして、先ほども 御説明しましたように、食事療法上その有効性、QOLを高める、向上させるという意 味でその根拠が示されている資料ということでございます。  2では食品又は関与する成分について、病者の食事療法における適切な使用方法が医 学・栄養学的に設定するための資料ということで、これにつきましては使用方法、また は摂取量について設定されているかどうかということでございます。  3では食事療法中の病者が、食品として日常継続的に摂取することが可能であること を医学・栄養学的に明らかにする資料。これにつきましては、継続的に食品として摂取 することが可能であるかどうかということでございます。  4では食品又は関与する成分について、安全性に関する資料。いわば食品として安全 なものであるかどうかということでございます。  5では食品又は関与する成分の安定性に関与する資料につきましても、食品として安 定性があるかどうかということを求める資料でございます。  それから6では、関与する成分の物理化学的性状及びその試験方法に関する資料。  7では、関与する成分の定性及び定量試験の試験検査成績書並びにその試験検査方法  8では成分分析表及び熱量の試験検査成績書となっております。  資料2では以上でございますが、もう一つ資料3がございますので、お手元に開いて いただきたいと思います。  これにつきましては、個別評価型がスタートした場合、今後申請が見込まれる、現在 許可基準のない病者用食品として1番目にアレルギー関係食品、また2番目に先天性代 謝異常関係食品、3番目に腎臓病関係食品、4番目に肥満・糖尿病関係食品、5番目に 肝臓病関係食品等一応の例として示してございます。参考までにご覧になっていただけ ればと思います。  以上でございます。 ○細谷部会長  ありがとうございました。  ただいまの説明に対しまして何か御意見ございますでしょうか。これは食する意味で も、当該食品が特別用途食品ということで表示する場合に今まで病者用食品には個別評 価がございませんでしたけれども、諮問の中で個別に評価する基準をどうするかという ことで、案としては資料2と別紙で病者用食品の許可要件が示されております。この中 で今説明で御理解いただけなかったらば、事務局から説明をいただいてということで補 足させていただきます。食事療法上どこまで確立していなければいけないかという基準 で示されておりますけれども、分かりやすく説明していただければありがたいと思いま す。 ○櫻井委員  ちょっと質問していいですか。 ○細谷部会長  どうぞ。 ○櫻井委員  別紙という資料の「病者用食品の許可要件について」のところですけれども、私、初 めての出席でございまして、もし今までの審議経過に関することだったら御容赦いただ きたいと思うんですが、この別紙の要件に適応するものの(1) のところに、「特定の疾 病のための食事療法の目的を達成し、食生活の改善に効果が期待できるものであるこ と」と書いてあります。下の方に用語の定義としまして、「食事療法」とは、疾病の治 療及び再発や悪化の防止を目的として、医師が医学・栄養学的知見に基づき、栄養素等 を管理した食事を摂取させることを食事療法というんだというふうに書いてありますの で、この定義を(1) の食事療法のところ当てはめますと、特定の疾病のために、その疾 病の治療や再発の悪化の防止を目的として、医師が医学・栄養学的知見に基づいて、栄 養素等を管理した食事を摂取させるという目的を達成するために食生活の改善効果が期 待出来るものがその要件ということになる訳で、食事療法での定義の主語は医師になっ ておりますので、そういう食品に対しては、医師が何らかの指示を与えてしか使うこと は出来ないように、私には読めるんですけれども、その辺のところはどのようになって いるか教えてほしいと思います。 ○竹下新開発食品保健対策室長  座ったままで失礼いたします。  これまでの病者用食品もそうなんですけれども、表示上医師の指示に基づいて、ある いは使用に当たっては医師等と御相談して使ってくださいというような形の表示を必ず しておりまして、そういった意味では実際面の話でございますけれども、医師の指示を 受けて使っていただくようにということを表示上はうたっているということであります 先ほど病者用食品はどういった例があるかということで参考資料の1のところにいろい ろございましたけれども、例えば減塩しょうゆですとか、減塩みそとか、そういった食 品については、一般のスーパーとか、そういったところでも手に入るといったものが多 い訳でございますけれども、例えば糖尿病食の組合わせ食品ですとか、そういったもの につきましては、そういう一般のスーパー等で手に入るかというと、必ずしもそういう ふうな形にはなっておりません。例えば病院の売店ですとか、あるいは通信販売ですと か、薬局、百貨店の健康食品売場ですとか、そういったところで手に入るということで そういったところで適切な使い方と申しますか、そういったものを聞きながら買われて いるというのが現状だと伺っております。 ○櫻井委員  そうしますと、今回の諮問に対して大変結構な内容なんですけれども、どうも根本の ところが病者用食品というものの使われ方がそういうふうになっているとすると、どう も本来の趣旨と違うところがあるのかというのが非常に疑問なんです。例を挙げていい のかどうか知りませんけれども、減塩みそなら減塩みそでも、単純に言って塩分の含有 量が半分であっても、みそ汁を普通のみそで1杯飲んで、減塩みそで2杯飲めば同じこ となんですけれども、その辺のところが全く無視されている可能性があるので、われわ れ実際に患者さんとの会話の中で高血圧に塩分を減らしなさい、特にみそ汁は結構塩分 が多いからというようなことを言うと、分かりましたといって後でよく聞いてみたら、 薄めて2杯飲んでいるという話がよくある話なので、その辺のところの根本的な問題が どうもすっきりしないと、せっかく一生懸命苦労して病者用食品ということをやっても 何かその辺がルーズに行われるのであると、要件に適応することというと、1番の要件 には合わなくなってくるのではないかということを心配するのですが、いかがでござい ましょうか。 ○竹下新開発食品保健対策室長  減塩しょうゆとか、そういうふうな例を先ほど申し上げましたけれども、例えば減塩 しょうゆの表示の例で申しますと、例えば小さじ1杯しょうゆを使うと、そこには食塩 が何グラム入っていますとか、そういうふうな表示をして、そういった方は食事指導を 受けていらっしゃる方であれば、その意味合いが分かるということになっているのでは ないかと思います。  それと摂取の仕方とか、そういうものに注意を要すべき食品とか、いろいろある訳で ございますが、その場合には必ず摂取量はこういうふうにしてください。あるいは摂取 方法はこういうふうにしてくださいということは必ず表示されておりますので、それを もとに実際は使っていただくということになろうかと思います。  先生御懸念のように表示を無視してとった場合はどうするかというふうなことは確か にある訳でございますけれども、一応表示といった形で表示を通して適切を使い方なり が理解されるようにというふうな仕組みになっている訳でございます。 ○細谷部会長  私から補足させていただきますと、この特別用途食品に絡んだのが昭和48年からで、 それからこういった特別用途食品の許認可に時々関連しておりますけれども、疾病の治 療ということになりますと、医師が医療機関で行うことになる訳ですけれども、実際に は分業で栄養士が分担して医師の指示のもとに行っている訳です。そういう意味で医師 は食事せんを出す。それに従って栄養士が具体的にしていく。そういう形できましたけ れども、現在では国際的に一々その場その場でつくるよりも、こういった食品をつくっ て、それに内容表示して、表示をどのように使うかということで、現在はアメリカなん かは栄養表示、ニュートリション・ラベリング・エデュケーション、教育が必ず、患者 教育といいますか、消費者教育がパラレルに法案がつくられている訳です。そういう意 味で国際的な流れの中で、こういった特別用途食品は、フード・フォー・スペシャル・ ダイタリーユーズということで国際的に、これが病者並びに、日本の場合には妊産婦と か、小児とかに適用出来るような食品がつくられておりますけれども、国際的にもこう いったものがつくられて、こういった製品が世界的に流通している訳です。これをどう 使うかということが医学の上で、例えば東南アジアなんかに援助物質の時に、日本の製 品が国際協調の線に沿っていないことがございまして、こういった製品を国際的に整合 する意味でつくられた経過もあるというふうに理解しております。これは医療の位置づ けで、ここのところでは食事療法の目的を達成し、食生活の改善というふうにございま すけれども、食生活の改善は現在生活習慣病も絡めて生活習慣を変える。病気の場合に はいろいろな慢性疾患、慢性の非感染症、これはどういった病気を誘発するかというこ とで、危険要因、リスクが分かってきておりますので、生活習慣を変えることによって どのようにリスクを減らしていくか。それをどのような生活ということになりますと、 運動、休養、食事ということになるので、そこを制する食べ物でリスクリダクションす るという意味で、現在はこの食事療法と食生活の改善という意味で2つの意味が盛られ ている訳です。 ○藤沢委員 私ども病者用食品を使って食事療法に当たっている栄養士の立場から申します。先ほ ど低ナトリウムのしょうゆとか、みその話が出ておりましたけれども、これらは個別に すべて表示許可基準を厚生省がつくっております。例えば低ナトリウム食品とは何なの かという食品の規格がつくられていますし、用途表示の範囲についての規制もございま す。また、許可食品については必要的な表示事項が示されております。先ほど話題にな りました、例えば減塩しょうゆにしても、うまいといって余計食べたら何の意味もない じゃないかということにつきましては、使用上の注意点として、食事療法の素材として 適するものであって、多くとれば疾病が治るものではないということも、すべて必要的 表示事項ということで書いてあります。ナトリウムあるいはカリウム、塩素とか、そう いったものの含有量とか、あるいは塩化ナトリウムの一定量に対する製品の数量とか、 食事療法の素材として使う場合の注意点がしっかり書いてあります。分からない場合に ついては、医師、栄養士等の相談指導を得てちゃんと使ってくださいということが明記 されております。したがって、多くとればとか、使用上の注意については厚生省の基準 でもって既に示されているように思います。 ○櫻井委員  今御説明を聞いて、いろんな教育がなされているという部分があった上での問題があ る訳ですけれども、その患者教育の部分が抜けていることに問題点があるのが1つと、 もう一つの問題点は、いわゆる特定保健用食品等についてはまだ少しはいいですが、病 者用食品といっている場合は、ここに病者の定義がありませんが、常識的に病者という のは腎臓病であるとか、糖尿病であるとか、病気を持っている人をいうのだと思うので 下に書いてあるように、病気の治療の再発や悪化の防止を目的としてというのが食事療 法だとすれば、趣旨が違うような気がします。先ほどのお話の分業という意味では、こ の部分については栄養士さんが担当してくれるのであれば、医師の食事せんに従って栄 養士さんの指導に基づいて使うという、つまり薬剤師さんに処方せんが出て薬が出され るのと同じような形できちんと定義づけるのであれば分かりますけれども、そこの部分 をなしにして病者用食品ということでやっていくことに、内容については非常に結構だ と思うけれども、その運用について非常に疑問、分からない点があると思います。 ○竹下新開発食品保健対策室長  御説明不足で申し訳ございません。先ほど藤沢委員の方からも御紹介がありましたけ れども、この資料の中に載っておりませんので恐縮でございましたが、病者用食品につ いては必ず表示してもらう。特定保健用食品にはそういう表示はない訳ですけれども、 病者用食品については、1つは医師の指示に基づき管理栄養士等の栄養指導を受けて使 用することというのが1つございます。その場合に、病者用食品は疾病の度合いと申し ますか、事柄によりまして、必ずちゃんと指導相談を受けて使用してくださいよという ような表示をしてもらっているものもございます。  もう一つの表示としては、これは食事療法の素材として適するものであって、多量に 摂取することによって疾病が治癒するものではないことということがございます。  それと3点目は、これは繰り返しになりますけれども、摂取の仕方、摂取方法という のはこういうふうにしてくださいということで、過度の摂取とかを避けてもらうように というふうな注意表示を必ずしてもらっているということでございます。 ○櫻井委員  表示が違うからいいということであればおかしな話だと思います。もしそうであれば 表示どおりにそれが使われているかどうかを販売するところでチェックするようなもの をつくらなかったら、ただ表示がしてあるからそれでいいんだというのは肝心なところ が抜けたことになるように思いますけれども、いかがでしょうか。 ○竹下新開発食品保健対策室長  これまでの許可基準型のものについて新たに個別評価ということでございますが、こ れまでの例で特にそういう情報が全部入ってきているのか分かりませんけれども、逆に これで健康が損なわれたというふうなことはなかった訳でございます。特に個別評価と いうことになりますと、今、委員が御指摘のような点というのは、ものによっては十分 気をつけていただく必要があるかと思います。これは特定保健用食品の時もそういうふ うにしているんですけれども、そういった懸念のあるものについては、その販売方法等 についても、こちらから指示をさせていただくというふうな形をしておりますので、ち ゃんとした使われ方をするようにということで、申請者の方にも大事なことが伝わるよ うにということは考えていかなければいけないんじゃないかと思っております。 ○細谷部会長  部会長として個人的な見解を言わせていただきますと、一番分かりやすいのは、国際 的にも論議されています、これから出るだろうということで、アレルギーの関係の食品 がございますね。これについて、医師から出る食事せんというのは、例えばアレルゲン がない食品というぐらいしか、食事せんは出来ないんです。そうしますと、それをどう いうふうに選んで調理するかということになりますと栄養士の仕事になります。家庭で アレルゲンがないものを家庭でつくれといいますと、主婦が音を上げちゃって、それで こういったアレルギーのない食品が売られていることを、例えばあるたんぱく質としま すと、そのアレルゲンがないものということになりますと、いろんな食品に入っている 訳です。それを除いた食品というふうにお医者さんは処方せんを書いても、具体的にそ れを献立調理する栄養士の立場でどういう食品を選ぶか、家庭の主婦は大変ですが、毎 回毎回栄養士がやるにしても、数人の患者のためにこれだけをつくるという手間とか時 間がございますから、国際的にもこういうものをアレルギー用食品というものをつくっ て販売しているのが実情でございます。そうしますと、勝手につくられても困りますの で、きちんとその内容、つくり方、販売方法というのを全部規制していく訳です。そし て、その監視体制というものも、食品衛生上、安定上、それから使い方に対しては、医 師、栄養士の評価ということが必要になってきている訳です。  そういう意味で、こういうものをつくろうとしますと企業はかなり苦しいんですね。 国際的に今問題になってますのが1にありますアレルギー、アレルゲンを除いた食品、 それから先天性代謝異常、今までございますのは、フェニルアラニンを除いた食品をつ くるというのは大変なんです。そういう意味で除かれたもの、あるいは企業の製造の過 程で、こういうものを除いた食品をつくるということになる訳です。 ○櫻井委員  先ほども申し上げましたように、趣旨は非常にすばらしいことだと思いますし、それ をきちんとするべきだと思いますが、事務局から説明ありましたように、例えば今まで の減塩しょうゆとか、みそとか、スーパーで売られているというような現状等の問題、 これが一括してそういうふうになってしまうことは非常に疑問があるので、今、先生の おっしゃったようなものが販売方法等まずきちんと決められてなるのであれば非常に結 構だと思います。ちょっと例が違うかもしれませんけれども、薬剤でOTCと呼ばれる 一般薬剤は、当然オーバー・ザ・カウンターというのは薬剤師さんの指導のもとに売ら れるということになっているべき薬が、これもスーパー等のドラッグストア等で勝手に 売られている現状がありますので、この病者用食品が栄養士さんの指導で売られるとい うようなことが、きちんと規定されるならば非常にいいことだし、大変にすばらしいこ とだと思うんですが、その辺をはっきりさせないままで、どこでだれが買ってもいいよ うな形で、これを権威づけするということに非常に疑問があるということを申し上げた い。 ○細谷部会長  ありがとうございました。  規制するためには規則とか、お金とか、組織がかかりますので、国際的にはある程度 自由度ということで、自分の健康は自分で守るということで出来るだけ簡便にといいま すか、経済効率を考えて国際的に実はこういう基準がつくらている訳です。この基準づ くりで、こういう国際会議はございますけれども、日本がこういった医療用食品とか特 別用途食品、特定保健用食品はアメリカのヘルスクレームにつながる訳ですけれども、 こういった面が国際的にかなり遅れておりますし、材料はほとんど外国から購入してい る立場ですと、日本でこういうものをつくると非常に高くつきます。そうしますと安い 材料で外国でつくられたものが自由化した時にいろいろな形の病者用食品ということで 日本に流れ込んでくる訳です。そういった意味で日本で、日本人のための規格基準をつ くっておこうということでもあるというふうに私は考えております。  フード・フォー・スペシャル・ダイタリーユーズ、これは国際的にどのように、例え ば災害があった時に、医療だけではなくて食事療法、いろんなストレスを受けたり、け がをしたりいろんな人に特別用途食品、特定保健用食品が国際的にはまずこれがいくと いうことが今一つの常識になっていて、神戸の時もにぎり飯の炊き出しはありましたけ れども、この特定保健用食品が即、食事療法という観点から病者用に使われた事実もご ざいます。 ○吉田委員  参考までに伺いたいのですが、今、低アレルゲンの食品のお話が出ましたが、病者用 食品と特定保健用食品の区分についてちょっと伺いたいんですが、たしか特定保健用食 品の一番最初の例がお米のアレルゲンを減らしたファインライスでありましたね。そう しますと、これは病者用の食品なんでしょうか。既に特定保健用食品として認可されて いる訳けれども、その辺の区別はどうなるんでしょうか。 ○竹下新開発食品保健対策室長  今、吉田委員の方から御質問がありましたのは、参考資料1のこれまで許可された食 品の一覧が載ってまして、一番最後のページの中から下ほどに、病者用食品として「フ ァインライス」、「低リンミルクL.P.K」の2件がございます。これは当初特定保 健用食品として許可されたものでございます。平成3年に特定保健用食品の制度が出来 まして、平成5年から実際許可というものを経てきた訳ですけれども、昨年の3月の時 点で、この病者用食品についても個別許可というものを考えようかというふうになりま した時に、先ほどの組織では特別用途食品評価検討会というところの前身の特定保健用 食品評価検討会というところで御議論をいただいた訳ですが、「ファインライス」とい うのはどういう食品かと申しますと、米グロブリンを原因とするアレルギーの方向けの 食品である。ですから、米グロブリンを抜いたお米な訳でございます。それから「低リ ンミルクL.P.K」というのは腎臓疾患の方向けの、リンを文字通りより低く抑えた 食品ということでございまして、これは特定保健用食品として許可を受けていたのです が、その使用上の注意として、これは医師の指示を受けて、医師と相談して摂取してく ださいというような表示があったということ1つ。それと「ファインライス」ですと、 米グログリンが原因でないアレルギーの場合には、必ずしもこれがいいとは限らないと いったことも表示の中に書いてありまして、そういったことからしますと、その医師の 指導を受けて使われるべきものというのは病者用食品ではないだろうかということで、 お尋ねがありました特定保健用食品と病者用食品の違いですが、いずれも何らかの関与 する成分の影響で保健効果がある。あるいは悪いものを除くというふうな食品な訳です けれども、その中でも医師の指導を受けて使われるべきものというのは、これは病者用 食品に整理した方がいいのではないかということで、この2つは現在は病者用食品の方 に整理をされたということになっております。 ○吉田委員  個別特定保健用食品から除かれてこちらに移ったということなんですね。ありがとう ございました。 ○細谷部会長  それに見合うだけの審査というか、評価方法を個別で予定されるのは資料の3に表が ございますね。そういうものが出てきますので、それに準じて基準をつくっていこうと いうことでございます。 ○池田委員  櫻井先生の御指摘、私もおっしゃるとおりかなと思います。医療の現場では、医師が 食事療法にかかわる部分が非常に希薄なのが実態だというのは先生もよく御承知だと思 うんですけれども、しかし大いに関心を持ってもらわなければならない。本来でしたら 食事療法の中に「食事せん」とか、そういう言葉を入れるべきだと思うんですけれども この病者用食品がニーズのある人に、いつでもどこでも広く用いられる機会を提供して いく。そこに余り規制がかかっていないということは患者さん側からすれば、あるいは 乳幼児とか、妊産婦とか、老人とか、そういうニーズには見合うと思うんです。私は用 語の定義の食事療法のところで、先生も御指摘があったように、「医師が」というのは ちょっと現実的でないのではないかというふうに思うんです。ここのところは「医師の 指示により、医学・栄養学的知見に基づいて云々」ということで、少なくとも病者が、 あるいは乳幼児、妊産婦、高齢者が医療の目的で食事を考える。そして、それを実践す るということに関しましては、医師の指示によりということが適切ではないかというふ うに思います。 ここの用語の定義の主語が「医師」になっているという最初の先生の御指摘はそのとお りでありまして、私はこのところを、現実は医師の指示によって、栄養士の実際的な指 導、あるいは実践的な面でのヘルプが行われているというのが実態でありますし、そう いう意味ではいかがなものでしょうか。用語の定義のところ「医師の指示により」とい うことで、ここを理解することが適切ではないかなというふうに思います。 ○櫻井委員  今、先生がおっしゃるように、特定保健用食品と病者用食品の区別をするというので あれば医師の指導、あるいは今おっしゃられたような医師の指示でも結構なのですが、 それで区別するのだとすれば、それをきちんと担保するものがないと、形だけそうだと いうのはおかしいと思います。一方、特定保健用食品につきましても、これはたまたま 私の目に入ったものですが、特定保健用食品でも広告としてこんなような扱い方を新聞 ではされる訳です。こちらに「厚生省許可」という、これだけの大きな宣伝文を書いて こういうものが単に新聞情報として、これは特定保健用食品ですから医師の指示も何も 要らない、健康にいいということで自由にということかもしりませんが、こういう形で 先生方の審議されたものがお墨付きになって販売されるということに非常に疑問を生じ る訳です。これが更に病者用の食品についてもはっきりした担保なしに、一応医師の指 示とか、医師の指導で使うものだといいながらも、それが全くざる法であれば同じよう な扱いをされて、こういう形で売られていることに非常に私は疑問を持つということを 何回も申し上げて申し訳ないですけれども、それが1つです。  そうすると、一方ではもしそれをきちんと規定するのであれば、全くこういう許可を 受けていないものについて、健康とかヘルシーとかいうようなことを規制出来るのかと いうことが問題だと思います。私の目に入っただけでも、これも「健康食品の価格は何 とかが下げる」とか、あるいは「ヘルシー」だとか、「健康食品低価格信用一番」、こ れらは別に何の許可も得ていないのですからインチキであればインチキでも良いのでし ょうけれど、一方ではそっちの規制が行われるのであれば、まだ分かりますけれども、 その辺は規制をすることは恐らく不可能でしょうから、それが野放しの上で、こういう ふうなことを決めるということはどうも腑に落ちないところがあるので、是非先生方の 御意見を聞かせていただきたいと思います。 ○細谷部会長  この問題は国際的に大論議が行われておりまして、アメリカでも最近ヘルシーという 言葉の規制がつくられてきております。日本もそういった形で行政的な処置といいます か、配慮は行われておりますけれども、国民の慣習というのがございますので、国際的 な動向に従って順次これに対する取り組みというものは厚生省として取り組んでいると 理解しております。私も2年前から健康・栄養食品協会の理事長にいたされまして、健 康食品とはどういうものなのか、栄養食品とはどういうものなのか、その定義づけ、そ れからその有効性というと問題が起こりますけれども、その作用といいますか、そうい う問題について国際的に日本が肩を並べられるような、そんなことを言うとおこがまし いかもしれませんけれども、理論武装といいますか、科学的な配慮でどのような形でそ ういった栄養食品をつくっていくかということに今取り組まさせられている訳です。  これは私たちが反省しなければいけないのですけれども、私たちが医学を習ってきた 時には病気を診断いたします。病気を診断した後すぐ薬なんです。今国際的な流れでは 健康から病気にいく過程が細かく別れて各段階が分かってきております。それぞれの段 階で、病気までいかない段階で薬を使っていいのかどうかということが今国際的に問わ れております。そういう段階では、ここにありますような病者用食品とか、特定保健用 食品とか、こういうものを使って病気になるのを食い止めていこうというのが国際的な 流れでございます。病気に対しては薬はいいんですけれども、そこで病気と健康体の間 には食べ物と薬の間のもので対応していく。ところが、日本は国際的に食薬区分と言っ ていますけれども、薬と食べ物の区分が一番薬の方に偏っている国でございます。そう いう意味で国際的に日本は2020年までに貿易障壁を取り払うという約束をしております ので、その過程で国際的に整合出来るような形で、国際的に足並がそろうような形にし ていこうというのが行政当局の立場であろうと思いますし、私たちも栄養学をやってい る立場からいいますと、そういう形で国際的に順応していかざるを得ない立場だと思い ます。  先生はそうおっしゃいますけれども、医学で栄養学を教えている学校はございますか 医師の食事せんというのはどういうのが出ていると思いますか。医師の食事せんという のは栄養士さんが見てみんな愕然としているんです。医者が栄養を知らなさ過ぎるんで す。先生がおっしゃるのも確かに一理ですけれども、近代栄養学に沿った意味で、国際 的にそういうふうないろいろなものが出来ていますと、日本だけが徳川時代と同じよう に鎖国状態を維持していくのならいいんですけれども、やはり国際的に肩を並べていく ためには、こういった病者用食品、あるいは特定保健用食品をつくらざるを得ない状態 ではないかと思っております。 ○櫻井委員  お言葉ですけれども、特定保健用食品であれば、まだ分かりますけれども、病者用食 品と定義しておいて、それが病気でない人まではというのはどうも話がおかしいと思う ので、少なくとも病者用食品というのは特定の疾病のある人を前提に考えているのでは ないでしょうか。 ○細谷部会長  特定の病気の人を対象にしております。しかし、特定の病気になる過程がございます ので、そこは薬でないので、それをある意味で危険要因を取り払うという意味に使うこ とが国際的にも行われている訳です。 ○佐藤委員  質問ですけれども、病者用食品というのは、近日中に認可するということなのでしょ うか。 ○竹下新開発食品保健対策室長  許可基準のあるものについては、先ほども御説明したように162 件、既に許可してい る訳でございます。中には特定保健用食品にしたものもありますけれども、許可の方は 本日御議論いただきまして、またその上で、これでよい、あるいは修正後これでよいと いうことになれば、それを踏まえた後、個別評価というのはこういう制度にしますとい うことを通知をいたしまして、その後申請が上がってきて、実際に先ほどの特別用途食 品評価検討会というところで、その専門家によって判断をいただく。 個別個別に判断をいただくということになります。 ○佐藤委員 部会長先生のおっしゃられる緊急性とかいうことは分かるんですけれども、ただ先ほ どから櫻井先生が言っておられますことは、医療ということですし、病者用食品という ものが、緊急に認可しなければいけないということについては了解できます。しかし、 私も日本栄養食糧学会の50周年記念誌に書いたのですが、今後こういうことの販売とか 日本は表現の自由がありますから何を書いてもいいのだと思いますけれども、余りにも こういう食品等についての規制というか、かなり乱れているところがありますから、ど こかのところで、やはり売る許可ということは別にして、販売とかいろいろなことのあ り方については是非検討するということは並行して行ったらいかがかと思います。 ○細谷部会長  ありがとうございます。 現在の段階で、日本は縦割で申し訳ございませんけれども、虚偽の表示とかというこ とになりますと公正取引委員会の方の領域になってしまうんです。こちらの方としては 栄養成分の病者用食品としての定義、これに合致しているかどうかということの判定と その使われ方でございます。 ○竹下新開発食品保健対策室長  今、部会長から話がありましたように、この間もダイエットで、これは虚偽の表示を したものというので、公正取引委員会の方で改善命令ということがありました。それか ら、例えば効能効果をうたったものというのは、薬事法の取締まりの対象になっており ます。そこで櫻井先生のお話にあったような、いかにも健康によいがのごとくの健康食 品とか、具体に効能効果が表示出来る訳ではありませんが、表示すると薬事法で取締ま りの対象になる訳ですから、そういう悩みがあるというのはおっしゃるとおりでござい ます。科学的でない情報がいろいろある中で、そういったものが消費者を惑わしている 中で、この特定保健用食品なり、特別用途食品というのは一応表示の内容まですべてチ ェックをした上で適切な情報が消費者に、あるいは病者に伝わるようにということでつ くられた制度です。したがって、そのために許可ということで規制がかかっているとい う状況でございます。 ○藤沢委員 もともとこの病者用食品の必要性が言われてきたのは、昭和40年代の半ばから過ぎた ぐらいでございまして、厚生省が特別用途食品における病者用食品の規格をつくったの が昭和48年でございます。その時にこれからの疾病構造がどんどん複雑になって、病気 の治療に占める食事の役割をもっと重視する必要がある。そこで食事療法の素材として 役立つような食品の必要性が論議されて、役所の方が食品群別の許可基準をつくられて 既にかなりの年数を経ておる訳でございます。しかし先ほど先生方の議論にもあります とおり、食事療法の効果は医師の食事せんに基づいて、それをちゃんとしっかりやって 食生活にどう生かせるか、あるいは食事療法にどう生きるかというのが一番課題なので ございます。これはまさに栄養教育、栄養相談をしっかりやって、しかも評価もし、効 果を上げるように現場の方としてはやっているように思います。 それから、先ほど池田先生からもございましたとおり、食品なものですから、希望す る人がどこへ行ったらそういうものがあるんですかということで、入手の便というのも かなり必要な要件ではないかと思います。この病者用食品などが出た時は販売店の規制 をする必要があるのではないかとか、あるいは販売を指導するに当たって、ちゃんとだ れかの指導のもとに販売しないと問題があるんじゃないかという議論は多分にあったと 思います。当然これを使う段階においては、病院なりに行った時に栄養相談室で栄養士 などから、あなたはどういう病気で医師からこういうふうに注意しろと言われています ので、日常の食生活において、こういう食品がありますので、こういう使い方をしたら いかがですかというような指導は十分しているように思います。十分にいっているかど うかは多少問題にしても、そういうシステムでは働いているように思います。 ○松谷委員  ちょっと池田先生にお尋ねしたいんですけれども、糖尿病という、先日厚生省の発表 から見れば、俗に言う予備群を入れたらものすごい人数の人たちになってきております その時病者といったことになると、それは本当の六百数十万人という、その人たちが病 者であって、予備群という人たちはこの病者の対象にはならないで、要するに可能性の ある人としてみていく訳でして、そういうような時には病者用のものが近くあれば、自 分のその辺の危険を避けるために、それを自由に選択出来る。そういうようなことにも なりますし、そのことはほかの病気の場合でも、予備群を含めたものも言われてきてお りますので、この「病者用」という言葉に対して、これをどのようにとらえていったら いいんだろうかということを健康教育をやっている立場の者から見れば、ちょっとその 判断に迷っているところなんですけれども、いかがでございましょうか。 ○池田委員 糖尿病を例にとりますと、今お話のように大変正常から疾病までの幅が広くて、いわ ゆる境界領域の方がたくさんいらっしゃいます。医師がその一人一人に関してどういう 認識で、どういう指導をしているかということだと思うんです。その指導を受けた方が 病的な認識をするのかしないのか、そこは教育の一つの結果だろうと思うんです。医学 的にはいろんな慢性疾患の経過というのは難しい訳です。その場、その場のとらえ方に より難しいので、ここで食品に関して病者用という食品区分をして、この食事療法の定 義にかかわるような形でこれが使われるということは大変多くの人に引きがあるだろう というふうに思います。 櫻井先生がおっしゃった「担保」というお言葉がございましたけれども、結局、規制 はかければかけるほどリスクが減ることは確かだと思うんですけれども、このような食 品の場合に、これを販売するのに、先ほど藤沢先生がおっしゃられたように、そこにあ る医療スタッフ、専門家、例えば管理栄養士がいなければ、いわゆるオーバー・ザ・カ ウンターで薬剤師が薬を売るような形をこういう食品にも置けということは、これは余 りにも強い規制になってしまって、そういう担保をこういう食品でする必要性というも のは私は個人的にはないだろう。要するにこれは食生活における食品の一つの選択を特 定の疾病者がある認識に基づいて行うことでありますから、それを認識させるのは医師 の役割で、その指示に基づいて行われる保健行動に関して、それ以上の規制をかける必 要は私はないというふうに思います。 ○細谷部会長  ほかにございませんでしょうか。  私の司会がまずくて、この病者用食品の個別評価の案につきましては、特別用途食品 評価検討会で検討されて上がってきている訳ですね。 ○竹下新開発食品保健対策室長  御議論いただいております。 ○細谷部会長  特別用途食品評価検討会の原案に対しまして、いかがでしょうか。 ○池田委員 もう一点いいですか。 ○細谷部会長  どうぞ。 ○池田委員 用語の定義のところで先ほど1に関して申し上げましたけれども、2に関して疾病の 治療等に関与する食品成分をいう。関与する成分というのは食品又は関与する成分、そ の関与する成分の定義である訳ですけれども、勿論、「食品成分」で別におかしくはな いんですけれども、言葉の使い方としては、ここは「栄養成分」の方がより適切ではな いかというふうに思います。ということは、食品又は関与する成分、その関与する成分 というのは食品でくくられていますので、その食品は勿論成分があることは当然なので すけれども、それを「食品成分」というふうに表現するのが適切かどうか。私は栄養学 的にはこれは栄養成分でよろしいんじゃないか。用語ということで大変申し訳ありませ ん。 ○竹下新開発食品保健対策室長  今御指摘のところなんですけれども、プラスの成分という意味で言えば、おっしゃる とおり栄養成分だと思うんですが、先ほど例にありましたように、例えばアレルゲンを 除いているといったものを、除いているというところを証明するものでございますが、 それであわせて、その意味が通るようにということで「食品成分」というふうにさせて いただいております。プラスのものについては、御指摘のとおり栄養成分だというふう に考えております。 ○細谷部会長  ガット通報する時に、これはフードコンポーネントになる訳です。ニュートュリエン トではない。ニュートュリエントを含んで広い意味になりますので。 ○谷口委員  初めて参加させていただきます。食品総合研究所の谷口でございます。  ちょっと質問させていただきたいんですが、参考1の最初のページでいきますと、病 者用食品というのは許可基準設定型と個別評価型と2つ出ている。今度新しく個別評価 型が出来るので、そのガイドラインを審議しているんだと思うんですが、先ほど参考資 料の一番最後にありました病者用食品「ファインライス」と「低リンミルクL.P. K」は既に病者用食品になっているということですので、これは許可基準設定型の方に なったということでしょうか。  それに関連して資料3で今後申請が見込まれる食品の中にも、アレルゲン関連食品と いうことでありますが、許可基準設定型にするのか、個別評価型にするのか、例えば低 アレルギー食品のような場合には、どちらに入るのか、その辺の仕分けといいますか、 基準はどうなっていますでしょうか。 ○竹下新開発食品保健対策室長  まず最初のお尋ねですけれども、先ほどの2食品「ファインライス」と「低リンミル クL.P.K」ですが、これは当初特定保健用食品として許可されたものでございます 許可期限というものを4年で設定していたんですが、今はない訳でございますけれども それで継続して申請がきた訳でございます。その際に、特定保健用食品として個別の保 健の目的と申しますか、具体的には病者向けの効果になる訳でございますけれども、そ れは一応認められているということで、将来、病者用食品の個別評価型というのがあり 得るということを前提に、既に科学的な評価というのはそこでされておりましたので、 特別用途食品評価検討会の学識経験者よりの評価というのも既に進んでおりましたので より適切に使われるためには病者用、つまり医師の指示を受けて使われる方が適切であ ろうということで病者用食品の方に移したということになっている訳でございます。 ○谷口委員  個別評価型のですか。 ○竹下新開発食品保健対策室長  そうでございます。あと今後申請が見込まれるものが個別評価型なのか、許可基準設 定型なのかというお尋ねがありましたが、個別評価型の趣旨は許可基準がないものを今 後許可していくといった場合、申請があっても許可出来るように、評価出来るようにし ていこうということで設定するものは個別評価型でございます。 具体的には個別評価型でどうかというのは、とりあえず基準にないものは個別評価の対 象になる訳でございます。ただ、今後どういうカテゴリーがあるのか分かりませんけれ ども、例えば糖尿病の病者向けの調整用組合せ食品というのがありますが、例えば腎疾 患向けの調整用組合せ食品というものを市場に出したいといったようなこと、あるいは それは医療側でも、あるいは患者の側でも、そういうふうなニーズがあるということに なりますと、例えばこの個別評価型ではなくて、基準設定型というものも考えていいの ではないかというふうなこともあり得るかとは存じますけれども、当面は許可基準がな いものについては個別評価の対象になり得るものというふうに考えております。 ○細谷部会長  お分かりになりましたでしょうか。これは基準設定型と個別評価型、個別評価型とい いますのは、申請されたものについて一つ一つ評価をしていくということです。 ですから、いわゆるある意味でコホートしたり、国からトライヤルをするということで す。この個別評価の評価が厳しい。どれだけ有用かということのデータが必要になる訳 です。このことは委員会で十分検討した上で公衆衛生審議会にもってきた次第でござい ます。  私の司会がまずくて申し訳ございませんけれども、原案のとおり答申して差し支えな いでしょうか。あるいは多少追加とか、修正をする必要がございますでしょうか。 ○松谷委員  さっき先生のおっしゃられた部分の提案、食事療法等というところは、そのまま無修 正でいくということですか。 ○細谷部会長  用語の定義ですか。 ○竹下新開発食品保健対策室長  「医師の指示により」ということで、よろしければ修正させていただければと存じま すが。 ○細谷部会長  それでは時間の関係もございますので、何か追加あるいは修正をしてという御意見も あるかもしれませんので、原案に追加あるいは修正の御意見があれば、それをいただい て、私の方から公衆衛生審議会長に報告のうえ答申ということで追加修正の書きぶりに ついては御一任いただけますでしょうか。              (「異議なし」と声あり)」 ○細谷部会長  ありがとうございます。それでは一応私に一任させていただいた形で公衆衛生審議会 長に報告のうえ答申という形をとらせていただきます。  それでは次の議題でございます「脂質に関する栄養表示基準専門委員会報告」をお願 いいたします。  まず事務局より資料の説明をお願いいたします。 ○古畑専門官  それでは事務局よりコレステロールの関係でございますが、まず、お手元の参考2の 資料をお開きいただきたいと思います。  これにつきましては既に御案内かと思いますが、食品の栄養表示基準制度の概要でご ざいます。これから小林委員長より御報告いただきますが、その前に栄養表示基準制度 の概要を御説明したいと思います。  この栄養表示基準制度では大きく3つのルールがございまして、1つはそこにお示し しております1)でございますけれども、販売する食品に栄養成分・熱量に関する表示を しようとする場合は、その含有量を表示しなければならないということでございます。  例えばビタミンCレモン100 個分とある訳でございますが、実際にはビタミンCの含 有量は分かりません。そういったことで、この制度ではビタミンCの含有量をちゃんと 明記するということでございます。  それに併せて2)でございますが、主要栄養成分、熱量の表示を義務づけるということ でございますが、即ち熱量、たんぱく質、脂質、糖質、ナトリウム、この5つの順に含 有量を併せて表示するということでございます。  それからもう一つは、高いとか低いとか、そういった強調表示をしようとする場合は 厚生大臣の定める一定の基準に従って表示しなければならないということになってござ います。大きくこの3つがルールになっておりまして、この基準に従わない場合は厚生 大臣から指示され、更に従わない場合は、メーカー名、商品名等を公表するという手続 になっている訳でございます。  次のページでございますが、今回御報告いたします中に、コレステロールの強調表示 基準(案)がございますけれども、このコレステロールの基準は、表中に栄養成分と示 してございますが、熱量、脂質、飽和脂肪酸、糖類、ナトリウム、この中の1つに加わ るものでございます。  以上でございます。 ○細谷部会長  それでは脂質に関する栄養表示基準専門委員会の小林委員長より委員会の審議概要の 御報告をお願いしたいと思います。 ○小林専門委員会委員長  ただいま御紹介いただきました脂質に関する栄養表示基準専門委員会の委員長を務め させていただいております小林でございます。  資料4にこれに関する報告書がございますので、それに準じて説明をさせていただき たいと思います。  御存じのとおり、国民に対する栄養教育の一環を担う意味をもちまして、栄養表示基 準制度というものが施行されておる訳でございまして、いろんな基準がございますが、 当公衆衛生審議会健康増進栄養部会におきまして、コレステロールも是非基準を設定す るのがいいんじゃないかという御指示をいただきまして、それを受けまして当委員会が 検討にスタートしたということでございます。  計3回検討しましたが、それ以外にも複雑かつ難しい問題を含んでおりますので、個 別的にもいろんなやりとりの経過がこれに加えてございました。まず基本的な考え方に ついて御説明申し上げます。  御存じのとおりコレステロールを摂取することは、しばしば血清コレステロール値を 高めるということがありまして、コレステロールそのものは基本的には重要な物質なん でございますが、多過ぎるとよくないということがよく知られております。これが高す ぎると動脈硬化症の疾患につながるおそれがあるということで、国際的にも1日の総コ レステロール摂取量を300 ミリグラム以下に抑えることが望ましいという考えが一般的 になっております。したがいまして、食品の中のコレステロールが低い、あるいはコレ ステロールが含まれていないということを、特に強調表示をすることによって、消費者 にその情報を伝えるという課題がございまして、これが検討の対象になっている訳であ ります。血清コレステロールの影響はコレステロール単独の摂取だけではなくて、それ に飽和脂肪酸がどれぐらい同時にとられるかということが大きく関与する訳でございま す。したがってコレステロールが低い、ないし含まれないという場合には、飽和脂肪酸 の含有量のことも、重要な情報になるわけです。これは我が国だけではなくて、コーデ ックスにおきましても、そのことが強調されている訳であります。そこで我が国の考え 方としましては、「低い」と表示する場合は、当該栄養成分の1日の摂取量は望ましく ないとされる量を超えないよう、国際基準等を考慮して設定するということでございま して、それから「含まれない」という場合は、その中に医学的・栄養学的に意味のない 量、つまり定量下限から、国際基準を考慮しまして決めるというふうにまず考え方を一 致させました。  一方、コーデックスにおきましては、どのようにガイドラインが決められいるかとい うことは、ここに記載されているとおりでございまして、「低」の基準はコレステロー ルが0.02グラム以下であって、飽和脂肪酸1.5 グラム以下、かつ飽和脂肪酸由来のエネ ルギーが全エネルギーの10%以下ということが「低」の基準。「無」の基準は定量限界 でございまして、コレステロールとしては0.005 グラム以下。それから飽和脂肪酸とし ては1.5 グラム以下。液体食品の場合は括弧内の数値になっております。これらコーデ ックスの採択されています「低」及び「無」の基準、御存じのとおり欧米諸国では、特 にこのコレステロールないし脂肪の摂取ということにうるさいですから、大変厳しく設 定されておりまして、これを我が国においても適用した場合、医学的・栄養学的な観点 から十分意義があるということが、専門家の委員の御検討もお送りいただきまして確認 されました。 更に問題になりますのは食用油、ドレッシングが既にいろいろ批判されている訳です が、その場合、その中のコレステロール含有量に関する記載がどうかということなんで ございますけれども、コレステロール含有量は大部分のものは今のコーデックスの基準 を満たしておる訳でございます。これにしかし飽和脂肪酸が加わりますと非常に問題が 難しくなってまいります。事実上コーデックスでいいます1.5 グラム/100 グラムを満 たす食品というのは現時点では存在しません。ですから、コーデックスの基準をそのま ま当てはめる場合は「低」の表示というのは出来ない訳でございます。しかし、その食 品が摂取される場合によって、飽和脂肪酸の絶対量は少なくて、コレステロールに対す る影響が少ないということがあれば、これは情報として表示していただいた方が消費者 にとって貴重な情報になるということで、これも十分意義のあることではないかという ことに委員会の検討でなりました。コーデックスの規定に従いますと、この件に関して は本則以外に例外規定を設けることが必要ではないかということになった訳であります その検討の中では、医学・栄養学的な立場からはよろしいということが基本的な前提と なりまして、そういう強調表示を「低」ないし「無」の強調表示をしていくことは十分 に意義があるのではないかということになった訳であります。 したがいまして、まとめますと、コレステロールの強調表示につきまして、例外規定 以外本則部分はコーデックスの基準に準拠するということが1つのポイントであります 例外規定は食用油及びドレッシングを想定したものでございまして、これらは油脂その 他又は油脂を多く含む食品に当たるためでございますので、コレステロールの基準は満 たし得るものの飽和脂肪酸の方の基準を満たすことは出来ません。これらの1食当たり の摂取量は少ないということを前提とした訳であります。これらの1食当たりの摂取量 は15グラム以下ということに通常なっておりますので、食品中の脂肪酸について飽和脂 肪酸の比率が低いものにつきましては、厚生省指針にあります飽和脂肪酸の望ましい摂 取量を満たすものであって、血清コレステロール値に悪影響を及ぼすものでないという ことから例外規定を設けても医学・栄養学的によろしいということになります。かつ表 示につきまして適切な表現を使う等の配慮をすることによりまして、消費者にとって望 ましい情報を提供することが出来るということを考えた訳であります。 なお、他の食品についてどれぐらい低減したという旨の表現が使えるかということに つきましては、具体的に後で説明させていただきたいと思います。 コレステロールの強調表示に関しましては、そういうことでございます。あとで事務 局にその具体的な記載様式につきましては御説明いただける予定になっております。 次にノンオイルドレッシングの評価というものがございまして、この表示がいいかど うかということが議論の中心になった訳でございます。ノンオイルドレッシングの基準 は脂質の「無」の基準(0.5 グラム/100グラム未満)において特例を設け3グラム/100 グラムという形で設定されております。これをノンオイルドレッシングと呼んでいいか どうかということが議論の対象だった訳でございます。 農水省は平成4年に「ノンオイルドレッシングのガイドラインの設定について」とい うことで、その表示につきまして局長通知で規定を設けておりまして、これをクリアす れば、それでよろしいということが既にスタートしておりまして、市場ではかなり実績 があるということは業界の方々の主張でございました。しかも、ドレッシングの場合も ともとの原材料の含まれております油脂は避けがたいということでございまして、そう いう意味合いで例え3グラム/100グラム以下という表示であっても、食用油脂を原料と して使用していないドレッシングに関してはノンオイルドレッシングと呼んでいいんじ ゃないか。特に外から改めて油脂を加えてないという意味合いとして受け取っていいん じゃないかというのが農水省の方の主張でございます。 したがいまして、このような背景のもとで、同じく医学的・栄養学的な観点から検討 を加えて、やはり特例措置としまして、当面特例の基準として、3グラム/100グラム未 満というものを用いていいんじゃないかということになった訳であります。詳細を見ま すと大変複雑になりますので、どのように算定したかという根拠は避けたいと思います が、あくまで摂取量が1食当たり、通常15グラム以下であるということが一つの計算根 拠の前提になっております。ノンオイルということは、原材料以外に食用油脂を使用し ていないという意味合いが含まれているということがあります。 そのために例えば、「ノンオイルドレッシングとは原材料に食用油脂を使用していな い調味料のことである」旨、かつ当該食品の脂質量の由来を明らかにするため、例えば 「本品の脂質量は現在のゴマ由来のものである」旨の表示を併せて行うことによって、 消費者に適切に情報を提供するというような形できちんと、カバー出来るのではないか これをむしろ栄養教育の場で積極的に情報を伝えていただきまして、この問題をクリア 出来るのではないかということになった訳であります。  また、これはあくまで現在の国民の平均的な脂質の摂取量に準拠しているところがご ざいますので、これから国民の脂質摂取量が著しく変化した場合には、この特例という ものにつきましても、見直しを今後する可能性があるという余地を残しまして一応基準 づくりを終わった訳でございます。具体的な数値につきましては事務局の方から御説明 いたしたいと思います。 ○細谷部会長  ありがとうございます。  それでは引き続きまして、事務局よりコレステロールの強調表示基準について説明を お願いいたします。 ○古畑専門官  ただいま小林委員長より全体につきまして御説明していただいた訳でございますが、 コレステロールの強調表示基準につきまして、資料5をごらんいただきたいと思います  案といたしまして、1でございますが、販売する食品にコレステロールが低い旨もし くは含まない旨を表示する場合は、下表の基準を満たさなければならない。これは絶対 基準でございます。  表の中でございますが、一応「低」と「無」がございまして、1)、 2)、それぞれ本 則としてございます。まず「低」の方でございますが、1)ではコレステロールの含有量 が食品100 グラム当たり20ミリグラム、飲用食品にあっては100 ミリリットル当たり10 ミリグラム以下であって、かつ2)でございますが、飽和脂肪酸の含有量が食品100 グラ ム当たり1.5 グラム、飲用食品にあっては、100 ミリリットル当たり0.75グラム以下で かつ飽和脂肪酸のエネルギー量が10%以下でなければならないとされております。 次の「無」の本則でございますが、1)でコレステロールの含有量が食品100 グラム当 たり5ミリグラム、飲用食品にあっては100 ミリリットル当たり5ミリグラム未満であ って、かつ2)では飽和脂肪酸の含有量が食品100 グラム当たり1.5 グラム、飲用食品に あっては0.75グラム未満で、かつ飽和脂肪酸のエネルギー量が10%未満でなければなら ないとされております。 それで但書でございますが、これが例外規定になっておる訳でございまして、「低」 「無」の強調表示いずれの場合にあっても1食分の量、これがいわゆるサービングサイ ズになっておりますけれども、15グラム以下と表示するものにあっては、当該食品中の 脂質の飽和脂肪酸の含有割合が15%以下、不飽和脂肪酸が85%以上で構成されているも のについては、それぞれ 2)の基準は適用しないということとしております。 それから2でございますが、これは相対基準でございます。販売する食品に他の食品 と比較してコレステロールが低減した旨を表示する場合は、(1) として比較した食品に 比べ、コレステロールの含有量が食品100 グラム当たり20ミリグラム、飲用食品にあっ ては100ミリリットル当たり10ミリグラム以上低減されていること。かつ飽和脂肪酸が 100 グラム当たり1.5 グラム(飲用食品にあっては100 ミリリットル当たり0.75グラム 以上低減されていなければならないとされております。また、この場合(2) としては、 比較した食品名及び低減したコレステロールの量、またはその割合を表示しなければな らないとされております。 以上でございます。 ○細谷部会長  ありがとうございました。  ただいまの小林委員長並びに事務局の御説明に御質問、御意見何かございますでしょ うか。  分かりましたでしょうか。分かりずらいところがあったかもしれませんけれども、最 後にはこの資料の5の形で参考資料の2にくっつく訳ですね。 ○池田委員 ノンオイルドレッシングというドレッシングが広く出回っていて、農林水産省がこれ を品質表示のガイドラインに設けられていということでから、なかなかこの名前が消え ていくことはないんでしょうけれども、これは将来も消えないんですか。やはり「ノン オイル」という言葉は、消費者にとっては油が全然入っていないというか、そういうふ うにとられますよね。実際は食用油脂が使われてない。そういうことなんですね。「ノ ンオイル」という言葉は今後とも業界では使っていく。厚生省としては農水省にあわせ て引き続き認めていくというか、業界のこういう言葉は、消費者に誤った情報を与える という可能性について懸念はないんでしょうか。 ○竹下新開発食品保健対策室長  先ほどの小林委員長の方から御説明がございましたけれども、既に栄養表示基準が出 来る前からノンオイルドレッシングというふうな業界での自主規格があったということ でございまして、医学・栄養学的な評価については、先ほど御報告があったとおりでご ざいますし、またこれが、消費者の間に誤った理解、誤解というものを生じているので はないかというふうな御批判もこの専門委員会であった訳でございます。医学・栄養学 的な観点からいって、この基準というものは残すことは差し支えないが、ただ表示の分 かりやすさということからは改善が必要ではないかというところに専門委員会として御 腐心をいただきまして、先ほどの報告書の5ページにありますように、「ノンオイルド レッシングとは原材料に食用油脂を使用していない調味料のことである」ということを アナウンスをしてもらう。かつ、どうしてそれなのに脂質があるのかということで、ゴ マ由来のものに少し量が多くならざるを得ないということなんですけれども、その脂質 というのは、原材料のゴマからきているんだということを併せて表示されることによっ て、誤解に対してと申しますか、理解の促進にはつながるのではないか。結論から申し て、ノンオイルドレッシングという表示はずっと使わないといけないのかという御議論 もあった訳ですけれども、専門委員会としてはこういうふうなおまとめをいただいたと いうことでございます。 ○小林専門委員会委員長  御存じのとおり、私どもの委員会は業界の側と専門家と、消費者と三者から構成され ておりまして、このノンオイルドレッシングにつきましては、今、事務局から説明のあ りましたとおり、この呼び方はミスリーディングだという批判は強く出た一方、ドレッ シングに油を全然含まないものを使った。例えばゴマなどはとても使えなくなってしま うというような現実的な企業側の問題があります。その妥協を図ったところにポイント がございます。  基本的には今説明のありました、特に標識の上でいろんな断り書きを若干加えること で、栄養学的・医学的にはこれで問題ない。「ノン」とか、「無」とか、「低」とかと いう表現で、これが低コレステロールという目的を達成するという意味合いととってい ただければいいんじゃないかという専門家側の御意見等を参考にしまして、ここでこう いうふうに決めた訳でございます。その他将来状況が変わった場合に引き続いて検討す る場を設ける必要があるだろうというただし書きは勿論ついている訳でございますので それは私たちが達し得た最終的な結論が当面そういうことだということでございます。 ○吉田委員  これも参考のために伺っておきたいんですが、この相対基準のところで、他の食品と 比較してコレステロールを低減した旨を表示する場合、どのくらい下がっていたらいい のかといいますと、ここに書かれているのは、コレステロールの場合、100 グラム中20 ミリグラムです。それから飽和脂肪酸は100 グラム当たり1.5 グラム下がっていればい い訳なのです。これはちょうど上の表で見ますと低いという表示に当たる量なのです。 つまり、この量はごくわずかだということを意味している訳です。そうしますと、他の 食品がこういったコレステロールあるいは飽和脂肪酸がどのくらい含まれているか、何 を想定されているか分からないのですが、そうしますと、このごくわずか下がっている ということを意味しているということになってしまうので、ごくわずか下がっていれば 比較した食品に比べて低減した旨を表示してもよろしいというふうなことに言い方をか えるとなってしまいますので、ちょっと不思議な感じを受けたんですけれども。 ○小林専門委員会委員長 わずかということでは必ずしもなくて、これは有意な減り方だというふうな理解です ね。 ○吉田委員  そうすると、この「低い」という意味が有意に。 ○小林専門委員会委員長 これはあくまでも相対ですから、現食品に比べて下げていますよという表現になるわ けです。 ○吉田委員  主に比較する場合には、普通の食品ならたくさんコレステロールがあり、たくさん飽 和脂肪酸があるような食品と比較して、これだけ下がってますよということは通常いい たい訳です。そのいいたい量がこの上の表でごくわずかということに、低いコレステ ロール、低い飽和脂肪酸とその量と全く同じ値がここに出ていますので、ごくわずか減 らせばよろしいですよというようなことに聞こえてしまわないか。これはこれでいいん ですけれども、そういうふうにとられないかどうかちょっと気になったんです。 ○小林専門委員会委員長  事務局の方は何か意見ありますか。 ○竹下新開発食品保健対策室長  この相対基準の定めですけれども、お手元の参考2の資料でまいりますと、その2枚 目にもあるんですが、これは低い方ですけれども、高い方も同様にあるんですけれども その2の相対基準とありますように、熱量、脂質、飽和脂肪酸、糖類、ナトリウムにつ いても、これまで「低」の基準よりも大きい低減量があれば、何に比較してどれだけ減 ったかということを書いた何々が低減されている旨、何々が少ない旨の表示は出来る。 そうでないとそういう表示は出来ないというふうな定めがある訳でして、今回のコレス テロールもそれに準じているということでございます。従来、例えば基準がない缶コー ヒーで低糖というのがあった訳ですが、実際に調べてみると低糖と書いてあったものの 方が何も書いていないものよりも、実際は糖分が高く入っていたとか、そういうふうな 混沌とした状況があった訳でございますけれども、一応このような定めをつくることに よって、そういう状況がなくなってきているということでございます。  それから相対基準でございますけれども、このような定め方をさせていただいており ますし、またコレステロールも今後よろしければこういうふうなことになるということ でございますが、コーデックスの方でこういうふうな基準が定められてきている訳です が、その相対表示基準ですけれども、25%低減されているといった場合に、その相対表 示というふうなことがありまして、現在こういうふうな定め方をしておりますけれども 今、商品実態等調査をしておりまして、それを踏まえて、そのような形で相対基準を コーデックスに準拠して今後検討させていただくというふうなことを考えております。 ○吉田委員  コーデックスに準拠して25%減らした、これはよく分かるんです。商品として売る場 合、比較したものは、多分かなり多いものに対して減らしたということをいいたい訳で しょうね。そうすると、比較するもとのものは相当高いはずなんです。それと比較して ごくわずかなら有意かもしれませんが、ごくわずかなコレステロール量と飽和脂肪酸を 減らしたもので、減らしたものというふうに言ってよろしいということになるので、パ ーセントなら分かるんですけれども、これはそうではなくて、100 グラム中何ミリグラ ムはある意味では絶対量です。もとのものが非常に高ければ、ごくわずかな量しか減っ ていないということになりはしないだろうか。そういうことがちょっと気になったんで す。 ○竹下新開発食品保健対策室長  御意見のようにそのとおりだと思います。とりあえず、この基準をつくりました時の 指導通知というものがありまして、その中で要は本来ないものと比較して、それよりも 多いとか、逆に御指摘があったように本来高いものと比べて少ないんだ。そういうふう な表示は望ましくないので、それは指導されたいという取り扱いはしておりますけれど も、今後商品実態等も見て適正化を図っていかなければというふうに考えております。 ○吉田委員  ありがとうございました。 ○小林専門委員会委員長 私ども今の低減という表現が、実際に効果的に低減されているという形、科学的根拠 を積み重ねてそういう表現になるような説明を今後考えていくことを、私たちも是非考 えたいと思います。 ○吉田委員  ちょっと低減というのは奇異な感じもするかもしれませんね。 ○小林専門委員会委員長 今のところはお話ありましたように、有意な量を減らしているということだと消費者 に十分伝達していきたいというふうに思っております。 ○吉田委員  分かりました。 ○細谷部会長  それでは脂質に関する栄養表示基準専門委員会の報告を御承認いただけますでしょう か。               (「異議なし」と声あり) ○細谷部会長  ありがとうございます。  何か事務局の方から追加ございますでしょうか。 ○竹下新開発食品保健対策室長  この後生活習慣病対策室の方から1件御報告があるということでございますが、ただ いまの件でございますけれども、この後WTO通報をさせていただいて、その後またこ の部会に諮問をさせていただければというふうに考えております。 ○細谷部会長  それでは次のその他の議題として、中村保健医療局生活習慣病対策室長から御発言を お願いしたいと思います。 ○中村生活習慣病対策室長  生活習慣病対策室長の中村でございます。  先生方お集まりでございますので、口頭で恐縮でございますけれども、栄養関係の問 題について3点ほど御報告をさせていただきます。  1点は21世紀の管理栄養士等のあり方検討会の検討状況でございます。2点目は21世 紀の国民栄養調査のあり方検討会の検討状況でございます。最後は栄養所要量の改定に ついて申し上げてみたいと思います。2つの検討会につきましては、昨年7月14日の本 部会で設置を承認されまして、その後精力的に検討をやっていただいております。 まず1点目の管理栄養士等のあり方検討会でございますが、これはいわゆる栄養士あ るいは管理栄養士という資格を規定しております栄養士法についての見直しをやってお るものでございます。今日の検討でも食事療法のあり方等いろいろ御議論がございまし たけれども、生活習慣病が増加する中で、質の高い栄養士を確保していくということは 非常に重要なことであろうと思っております。そういう中で管理栄養士等の業務の中身 あるいは養成のあり方、国家試験のあり方、生涯教育等幅広い観点から御検討をいただ いておりまして、これまで7回の検討を進めております。この7回におきましては、資 料による検討のほか、8人の栄養士さんからお話を聞くということも行いましたし、ま た日本栄養士会、それから全国栄養士養成施設協会という団体からもヒアリングを行い ました。3月18日にこれまでの議論の整理をいたしました論点整理メモを提出させてい ただきまして、今度4月27日に次の8回目がございますが、そこで報告書のたたき台を ださせていただく予定にしております。出来ますれば、本年の夏ごろ6月ぐらいには報 告書をまとめたいということで議論を進めさせていただいております。 それから国民栄養調査のあり方検討会でございますが、これは国民栄養調査と申しま すのは、毎年厚生省の方で食生活を中心に健康についての国民の調査を実施しておるも のでございますが、生活習慣病というようなことで、食事のみならず健康習慣、あるい は幅広に調査していこうというような観点から検討しておるものでございますが、これ につきましても現在5回ほど検討をいただきまして、やはり6月ごろにはまとめさせて いただこうということで、大詰めの審議になっております。この2つの検討会の報告書 につきましては、まとまったあかつきには、当審議会の先生方にも御報告する予定でお りますので、よろしくお願いしたいと思っております。 それから栄養所要量の改定でございますが、食生活の改善指導あるいは集団給食施設 の指導基準として、栄養所要量というものを定めておりますが、栄養所要量は5年ごと に改定を行っております。現在使っておりますのは、平成6年の3月に改定した5次改 定ということで、7年度から11年度までの5か年間使用するというものでございます。 10年度には改定に向けての検討を行う予定にしております。今回の改定に当たりまして は、従来どちらがといいますと、栄養所要量とか、必要量という言葉に出ておりますよ うに欠乏という観点が強かった訳でありますが、上限値の設定など過剰摂取についての 問題があるとか、あるいは集団的な栄養指導のみならず、個人の方についての栄養指導 が重要になっておりますので、そうした観点からの検討、それから栄養素の項目につき ましてもアメリカ、ヨーロッパ諸国の策定状況等を見まして、かなり幅広な検討をやる ことが必要なんじゃないかと思っております。出来るだけ早目に専門の委員会をつくり まして、立ち上げて具体的な作業に入りたいと思っておりますので、また必要に応じま して、当部会の方にも御報告させていただきたいと思っております。口頭で恐縮であり ますが、3点御報告をさせていただきます。 ○細谷部会長  ただいまの中村生活習慣病対策室長の御発言に対しまして御質問、御意見ございます でしょうか。ほかにございませんでしょうか。 それでは、このほかに特にないようでしたら、本日の公衆衛生審議会健康増進栄養部 会を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  照会先:生活衛生局食品保健課      新開発食品保健対策室  担 当:浅沼(内線2459)  電 話:03ー3503ー1711(代表)