98/03/16 第4回クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会議事録 第4回公衆衛生審議会成人病難病対策部会 クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会 議事録 日 時:平成10年3月16日(月)午後4時〜6時 場 所:厚生省7階 特別第一会議室 1 開 会 2 議  事  (1)CJD及び類縁疾患調査研究結果について (2)その他 3 閉  会 ○佐藤委員長  それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第4回公衆衛生審議会成人病難病 対策部会クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会を開催させていただきます。  会議に先立ちまして、委員の出欠状況について事務局からご報告をお願いします。 ○三丸補佐  本日は全員がご出席されておりますことをご報告いたします。今回も、特定疾患調査 研究事業における遅発性ウイルス感染研究班の中村自治医科大学助教授にご出席いただ いておりますことをあわせて報告いたします。  また、お手元の配付資料の確認をさせていただきたいと思います。まず、1枚紙で本 日の議事次第、座席表、委員会のメンバー表がございます。それから、とじてある分で 本日の会議資料となりますものがあります。それから、会議資料一覧の1枚紙で、資料 1としまして「厚生省クロイツフェルト・ヤコブ病及びその類縁疾患調査解析結果報 告」、そして参考資料としまして、参考資料1「生体糊の脳内投与を受けた後、CJD 発症を疑われた症例の対応について」、参考資料2「NEW DIAGNOSTIC CRITERIA RECOMME NDED FOR CREUTZFELDT-JAKOB DISEASE (Press Release WHO 13th FEB 1998 )」、参考 資料3「Diagnosis of Creutzfeldt-Jakob disease by measurement of S100 protein in serum:prospective case-control study (BMJ Volume 316 21st FEB 1998)」−− これは「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」のインターネットからとった文献 ですが、以上をつけております。それから、会議終了後に回収させていただきますが、 「クロイツフェルト・ヤコブ病及びその類縁疾患調査票」の原票のコピーでございます  本日ご用意しております配付資料は以上のとおりです。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。それでは、早速、議事に入りたいと思います。  まず、1.「CJD及び類縁疾患調査研究の結果について」を事務局よりご説明をお 願いいたします。 ○三丸補佐  それでは、事務局から説明させていただきたいと思います。まず、解析結果の報告の 前に、個人票の確認をしていただきたいと思います。この個人票は、前回、保留になっ た2例も含めておりますので、それぞれ読み上げさせていただきたいと思います。それ で、何かご質問あるいは異議がある場合は止めていただければと思います。  最初のNo.20の症例からです。このNo.20の症例は、前回、「痙攣の重積発作があり、 アティピカルな点もみられる」という主治医のコメントで、追加調査としまして3ペー ジに質問事項を書いております。「比較的進行が遅く、痴呆とともに痙攣が前景に立つ など非典型的な症例」ということで問い合わせをしておりますが、「平成9年9月時点 で依然無動・無言でなく進行は遅いが、脳波上PSDは継続的に出ており、CJDと考 えている」というコメントをいただいております。  また、「報告時に認められなかった以下の症状は発現しましたでしょうか」というこ とで、錐体外路症状、無動・無言状態、両方ともなしです。  血清・髄液のWa-Rは陰性ということでご報告いただいております。  主治医の報告で、診断ではほぼ確実例としてご報告されております。前回は保留でし たけれど、今回はこの報告でよろしいでしょうか。 ○佐藤委員長  これについてご意見をお願いしたいと思います。主治医の診断どおり、ほぼ確実例と するにはやはり問題が−−発症からそろそろ2年近くなりますが、錐体外路症状を欠い ておりますし、無動・無言状態でないということで、そうすると、少しレスポンスがあ るということでしょうか。その点が通常の孤発性のヤコブ病とはかなり経過が異なって おりますので、ご意見ございませんでしょうか。 ○三丸補佐  一例一例時間をかけている時間がありませんので、もしよろしければ、後で最終的に 検討していただいて、これは保留という形でも構いませんけれど。 ○佐藤委員長  私の判断から先に申し上げますと、この症例は主治医がほぼ確実例に入れております ので、これで否定するということもできませんので、もうしばらく経過を拝見して、例 えば2年後に再調査、あるいは1回診察をさせていただいて、その上で診断の判断をし たいと思いますが、よろしゅうございましょうか。  それでよろしければ、次の症例に移りたいと思います。 ○三丸補佐  No.21の症例、若年発症例です。前回は、痙攣重積発作にて発症し、単純ヘルペスのウ イルス性脳炎の鑑別もできないということで保留になっております。今回、6ページに 再調査の結果がありますが、脳の萎縮は平成9年10月時点では認められておりません。 単純ヘルペスの抗体、ワッセルマン反応は陰性です。経過としましても、症状としては ずっとなしという返事をいただいております。ただ、その次の7、8ページに主治医の コメントをいただいておりますが、「臨床症状の改善とともに脳波のPSD消失、CT スキャンでの萎縮の進行がみられないことから、10月現在、CJDの可能性は極めて低 くなったと判断している」というコメントをいただいております。 ○佐藤委員長  この症例は、軽快して、主治医自身も「考えにくい」とはなっておりますので、診断 から除外してよろしゅうございましょうか。  それでは、この症例は除外とさせていただきます。 ○三丸補佐  次は、No.48の症例、70歳の男性です。既往歴として胃がんの既往があります。画像上 で脳萎縮がなしということになっておりまして、「鑑別診断はすべて鑑別できる。ほぼ 確実例で、CJDと考えられる」というコメントです。 ○佐藤委員長  この症例は、診断上、主治医のほぼ確実例としてよろしいと思いますが、よろしいで しょうか。  それでは、No.49をお願いします。 ○三丸補佐  No.49、78歳男性の症例です。PSDはなし、その他の脳波異常所見はありとなってお ります。蛋白量が 147と増えておりまして、急性脳炎の可能性もあるということで、佐 藤先生に事前にみていただいた際に質問項目をつけていただいたのが、16−2としてつ けてあります。これは発症前の症状と初発症状、初発の神経所見、CRP、MRI、C Tの画像ということであります。  それに対する返事ですけれど、16−3、16−4、16−5に書いてあります。  まず、発症前の症状としましては、はっきりしたのは平成9年4月ごろで、この病院 には6月に移っております。初発の症状は、腎不全の悪化により他院に入院しておりま す。CTで前頭葉中心に萎縮を認めております。平成9年5月より血液透析を導入して おります。初診時の神経学的所見は、メンタリティの低下と左上肢のリジディティがあ り、全身のミオクローヌス、驚がく反応を認めております。  入院時のデータとしましては、WBC 6,100、フィブリノーゲン、FDPの上昇を認 めます。血中アンモニアは 110、BUN40、クレアチン 9.2、CRPは 4.1となってお ります。  まだ、髄液の所見では、蛋白が 148となっております。その他、単純ヘルペス抗体は マイナスです。最終的には、呼吸不全ということで、DIC、MOFで7月4日に永眠 されております。  CJDを疑ったのは、脳内の萎縮の進行がひどかったことが挙げられております。  CTのフィルムはお借りしておりますので、必要があればごらんいただけると思いま す。 ○佐藤委員長  この症例の問題点をかいつまんで申しますと、2点何カ月かの経過で、最初は記憶障 害と行動異常と精神症状で発症しておりまして、1カ月後には歩行障害で寝たきりの状 態になっておりまして、髄液は、中等度の蛋白の増加はありますが、細胞数の増加はな く、先ほど画像を拝見しましたが、両側の前頭葉の萎縮と側頭葉の萎縮は中等度であり まして、脳室の前角周辺の白質の低信号域が目立ちまして、それが特に右側のほうで強 いという症状で、この臨床症状は、記憶障害、その後、意識障害となってきております ので、一応それを反映する画像と考えてよろしいですが、問題は、腎透析をするぐらい の腎不全があったということですが、16−3のデータを拝見しますと、BUNが40、ク レアチニンは 9.2で上昇はしておりますが、べらぼうにひどい腎不全ではなかったよう で、そうすると、この方の鑑別診断は非常に経過の早いCJDか、腎性脳症か、あるい はほかの、このデータからはうかがえない全身の代謝の低下に基づく代謝性の脳症が鑑 別に上がってまいりますが、ヘルペス脳炎はどうもこのデータからは考えにくい、画像 からも考えにくいと思いますが、私自身の結論から申し上げますと、CJDはやはり否 定することはできないので、診断のランクを1つ下げて、疑い例としておいたらどうか と思いますが、せっかく画像を送っていただきましたので、祖父江先生にごらんいただ いた後でまた振り返って……。 ○祖父江委員  見せていただきました。 ○佐藤委員長  先生も拝見されましたか。それでは、ご意見ございますか。 ○祖父江委員  今、佐藤先生が言われたとおりだと思います。前頭葉を中心にしてアトロフィーがあ りまして、側脳室の前角の周辺にPVLというか、ローディンスティエリアがあります ですから、普通のCJDとしてはちょっとアティピカルな像かなという感じを受けます けれど。これはいつごろの時期のものですか。 ○佐藤委員長  死亡に近い時期です。アティピカルだけれども、完全に否定もできないですね。 ○祖父江委員  否定もできないですね。ですから、私の意見も、先生が言われたように、そういう処 置でいいんじゃないかという感じがします。 ○三丸補佐  それでは、疑い例ということで。 ○佐藤委員長  疑い例でよろしいでしょう。もし画像をごらんになっていない先生で、ぜひという先 生がございましたら、どうぞごらんください。  それでは、次の症例に進んでください。 ○三丸補佐  No.50、66歳の女性の方で、主治医のコメントで、「栄養剤を約半年、規定量より多め に服用している」というコメントがあります。ほぼ確実例としての報告です。 ○佐藤委員長  この症例は問題ないと思いますので、主治医の診断どおり、ほぼ確実例としたいと思 いますが、よろしゅうございましょうか。  では、次をお願いします。 ○三丸補佐  No.51、58歳女性で、15年間犬を飼った既往があります。あとは、弱視があり、網膜色 素変性症の疑いを受けております。平成8年11月、意識障害進行のため広島のほうへ転 院となり、そこで診断を受けております。現在、ほぼ確実例ということで報告を受けて おります。 ○佐藤委員長  この症例も、診断上はほぼ確率例として問題はないと思いますけれど、ご意見ござい ませんか。後でまた討論になると思いますが、輸血歴のある症例ですが、よろしゅうご ざいましょうか。  それでは、次をお願いします。 ○三丸補佐  No.52、72歳の女性です。特に所見はないと考えております。ほぼ確実例での報告です ○佐藤委員長  この症例も、主治医も「典型例と考えられる」と書いてありますので、問題ないとは 存じますが。  次に進みます。No.53をお願いします。 ○三丸補佐  No.53、73歳の女性の症例で、これは前回の全国調査の重複例ですので、飛ばさせてい ただきます。  同じくNo.54、74歳の女性も、全国調査と重複例ですので、飛ばさせていただきます。 No.55、68歳の女性です。62年に聴神経腫瘍での手術歴があり、硬膜を使用しておりま す。ほぼ確実例ということで報告を受けております。一応、使用された硬膜の種類につ いてはお聞きしております。 ○佐藤委員長  このNo.55の症例は硬膜使用例ですが、診断上はよろしゅうございましょうか。 では、次に進んでください。 ○三丸補佐  No.56、61歳の男性です。特に所見はありません。ほぼ確実例としての報告があります ○佐藤委員長  この症例は、疫学班で確認した症例ですね。失礼しました。No.57と間違えていました ○三丸補佐  今のは新規です。No.57、41歳の女性で、前回の調査の重複例ですので、飛ばさせてい ただきます。  No.58、68歳の女性で、右股関節人工骨頭置換術の既往があります。輸血歴があります ほぼ確実例という報告です。 ○佐藤委員長  No.58もよろしいでしょうか。  では、No.59をお願いします。 ○三丸補佐  No.59、56歳の女性です。アルバイトで焼き鳥用の鳥肉の串打ち等をやっていたという 記載があります。画像上で脳萎縮がないという所見がついております。あとは、進行性 の痴呆と歩行障害、ミオクローヌスの所見があり、PSDを認め、髄液所見のため、C JDほぼ確実例との報告です。 ○佐藤委員長  この症例も診断上問題ないと思いますし、発症してからまだ期間が短いので、画像上 の所見も萎縮がなくてよろしいかと思いますが、よろしいでしょうか。  それでは、次をお願いします。 ○三丸補佐  No.60の症例ですが、これは41ページにあるように、CJDの診断で報告されましたけ れど、その後、国府台病院のほうで別の診断がついて治っておりますので、これは除外 ということで、今回、カウントしておりません。 ○佐藤委員長  この症例は直接診察調査に出向いた症例ですが、一口に申しますと、精神分裂病に対 して投与された向精神薬による悪性症候群の診断でよろしかったと思います。治癒して もう歩いて退院しております。  次をお願いします。 ○三丸補佐  No.61、62歳の女性で、接触歴は不明ということで、母親の看病を、内容は不明ですけ れど、1年程度という記載があります。あと、他の手術として、蓄膿症、虫垂炎の既往 があります。ほぼ確実例という診断です。 ○佐藤委員長  この症例は診断上問題ないと思いますので、ほぼ確実例としてよろしいと思います。  次をお願いします。 ○三丸補佐  No.62の症例は重複例ですので、飛ばさせていただきます。  次に、No.63、28歳の若年発症の症例です。急性硬膜下血腫にて61年に手術をしており ます。硬膜を使用しております。輸血歴があります。疑い例ということで報告を受けて おります。 ○佐藤委員長  この症例は硬膜使用例ですが、若年発症はその点に関係ありそうですが、ご意見ござ いませんでしょうか。診断そのものはCJDとして疑い例とさせていただきたいと思い ます。  それでは、次のNo.64をお願いします。 ○三丸補佐  No.64、56歳の男性です。この症例も脳動静脈奇形で62年に手術を受けて硬膜を使用し ております。低酸素脳症との鑑別ができないということで、ほぼ確実例で報告は上がっ ておりますが、いわゆるランス・アダムス症候群との鑑別が困難ということで、64−2 ページの5のところで、照会事項を佐藤先生に聞きました。その回答が64−3について おります。64−1、2、3で追加情報をいただいております。 ○佐藤委員長  この方は、主治医のほうからもランス・アダムス症候群かヤコブ病か鑑別が難しいと いうことですが、かいつまんで臨床症状を申しますと、左の頭頂葉にあったAVMの手 術を行いまして、遷延性の意識障害と四肢の痙性麻痺が術後ずっと続いていたという記 載がございまして、意識そのものは、数カ月後に会話ができるまでに改善したのだそう です。ところが、四股の痙性麻痺に対して、1988年1月8日に上位頸髄硬膜外電気刺激 術を施行して、その部に感染が生じたために、約1カ月後、硬膜外電極を抜去しており ます。  それから、2月13日、臨床上の記録ではかなり重篤な可能性の髄膜炎を含めた脳の化 膿性の病変がデータ上うかがわれまして、恐らくそれが原因と思われますが、痙攣の重 積発作が生じて、その処置として、セルシンの後にフェノバールで麻酔を行っておりま すが、その麻酔後、意識が回復しなかったそうです。それで死亡しておりまして、それ から、64−3の新しいデータとして6に病理所見が載っておりまして、CJDに特徴的 な海綿状変性を認めず、それから、九州大学の堂浦先生のところでプリオンの免疫染色 をしていただいたが、検出されなかったという報告を受けておりますので、病理上もC JDを示唆する所見がありませんし、それから、この臨床所見は痙攣重積発作を契機に 急激に脳の循環障害、低酸素状態が起こったためのランス・アダムス症候群、あるいは その後の痙攣の処置として行った麻酔から回復しなかったということがありますので、 それによる脳の病変と考えられますが、そういう考察でよろしゅうございましょうか。 ○北本委員  これはもちろん病理所見も、多分ウエスタンでやったと思うんですが、異常なプリオ ン蛋白も出ていないので、もう除外していいと思うのですが、前の2つにあったように 痙攣の後のPSDということから考えると、非常に示唆に富む症例ではないかなと思う んです。それで、WHOの会議でもあったんですが、プログレッシブかどうかというの はこれの決め手ではないかなと。これは実は西林先生、上野先生から相談を受けたとき も、あまり進行はしていないと。ずっとフラットな状態で行っているということだった ので、特に今回の最初の2例の痙攣重積があった患者さんに関しては、やはり1年間ぐ らいの経過を見るというのが必要じゃないかなと思います。ちなみに、これは遺伝子は Met/Met−−何の意味もないんですが。 ○佐藤委員長  この症例はもう病理も確認しておられますし、否定してよろしいということですね。 ○北本委員  はい。 ○祖父江委員  ここにPSDと書いてある、その脳波上のPSDの形なんですけれど、こういう場合 のPSDとCJDのPSDがどのくらい違うかどうかという、何かそういう所見は…… 先生は見られましたか。 ○佐藤委員長  いえ、脳波は取り寄せてありませんので、拝見しておりませんでした。それから、こ の症例は、髄液中のNSEも平成9年6月の検査で正常範囲ですので、いろいろな意味 から否定的ですね。それでは、この症例は除外ということにさせていただきます。  次、No.65をお願いします。 ○三丸補佐  No.65、これは一度全国調査の二次調査のほうで登録されていまして、その後、硬膜を 未使用ということで報告されていたという形で、訂正で報告されたんですけれど、一番 最後につけてあります佐藤先生のコメントのように、これは転記の分の間違いでしたの で、これ自体は重複の症例になります。硬膜も使っておりません。 ○佐藤委員長  どうも大変失礼しました。この病院からの症例がもう1例ありまして、「後で振り返 ると、使用していた」という返事を受けたものですから、その返事の記載を別な調査票 に書いて、消さなかったオリジナルのほうを厚生省に届けたものですから、大変失礼し ました。訂正文は今提出してあります。  それでは、次の症例をお願いします。 ○三丸補佐  No.66、72歳の男性です。脳動脈瘤で58年に手術を受けております。画像上の脳萎縮は ありませんが、ほぼ確実例ということで報告が上がってきております。 ○佐藤委員長  この症例も診断は問題ないと思いますので、よろしゅうございますか。 それでは、次のNo.67をお願いします。 ○三丸補佐  No.67、57歳の女性の症例です。「画像上で脳萎縮は不明」という返事をいただいてお ります。感染症も疑われましたが、リコールは正常ということで、ほぼ確実例という報 告を受けています。 ○佐藤委員長  この症例も、画像上の萎縮がない点が問題になると書いてありますが、ごく最近の画 像がわかりませんし、やはり先ほどの症例のように、発症してから半年近くは画像にほ とんど変化がない症例がありますので、問題がないと思いますが、ほぼ確実例としてよ ろしいでしょうか。  それでは、次のNo.68をお願いします。 ○三丸補佐  No.68、66歳の女性です。プリオン遺伝子の異常がありまして、GSSのほぼ確実例と いうことで報告が上がっております。 ○佐藤委員長  この症例は、北本先生、よろしいでしょうか。 ○北本委員  はい、いいと思います。 ○佐藤委員長  それでは、GSSという診断でよろしいということですので。  次のNo.69をお願いします。 ○三丸補佐  No.69、53歳の女性です。これもプリオン蛋白の異常がありまして、GSSのほぼ確実 例との報告です。 ○佐藤委員長  これもコドン102の変異として記載されていますので、やはりGSSと診断したいと思 いますが、よろしゅうございましょうか。  それでは、No.70の症例をお願います。 ○三丸補佐  No.70、69歳の男性です。前立腺がんの既往があります。「画像上、脳萎縮はなし」と いう報告があります。ほぼ確実例としての報告です。 ○佐藤委員長  この症例も、検査データ上も問題ないと思いますので、ほぼ確実例としたいと思いま すが、よろしゅうございますか。  次に、No.71をお願いします。 ○三丸補佐  No.71、68歳の女性です。昭和61年と平成6年に右三叉神経痛で手術を受けております 乾燥硬膜を両方とも使っております。画像の所見のところには記載がありません。ほぼ 確実例として報告があります。 ○佐藤委員長  この症例も、診断と検査データ上は問題ないと思いますが、よろしゅうございましょ うか。ほぼ確実例として扱いたいと思います。  では、No.72をお願いします。 ○三丸補佐  No.72、50歳以下の症例になります。41歳の女性です。鑑別診断として、パーキンソン 性痴呆とその他老年期の痴呆性疾患との鑑別ができないとして記載があります。疑い例 としての報告です。 ○佐藤委員長  この症例は、発症が平成8年3月、報告したのが1年半くらいたってからの状態です が、無動性の無言状態は進行しておりますので、私自身は、主治医が疑い例としたこと について特に問い合わせの対象としなかったのですが、この症例は少し問題があるかな 問題があるとすると、ミオクローヌスが認められないこと、脳波上のPSDが依然とし て不明であること、それから、今事務局から指摘されましたように、主治医は、パーキ ンソン痴呆症候群と鑑別できない、その他の原因による老年期の痴呆性疾患とも鑑別が 難しいとなっていますが、41歳ですので、この症例は少し難しいですね。小脳症状もな しになっておりまして……。この症例については、41歳ということで比較的若年に近い ほうなんですが、私はメモをとったときにこの症例をうっかり問題症例に入れなかった のですが、ご意見ございませんでしょうか。 ○立石委員  やはり年齢が気になりますから、一応、時間を置いて再調査なさったほうがいいんじ ゃないでしょうか。 ○佐藤委員長  今、立石先生からご意見がありましたが、例えば、脳波記録、画像も一回お借りして 委員会で確認の手続きと、その後、例えば錐体路症状について記載がありませんが、無 動性無言になるほどですと、恐らく錐体路症状も出ている可能性がありますので、その 問題についての問い合わせをした上で診断確定をしたいと思いますが、祖父江先生、何 かご意見ございますか。 ○祖父江委員  主治医が言っているように、パーキンソン・デメンチャー・コンプレックスとか、そ の他の病因による老年期痴呆というのは、年齢からいってちょっと考えにくいんじゃな いかなという感じがします。全体の印象は、進行性の無動・無言ということで、CJD の可能性が高いと思うのですが、今、ご意見が出たように、やはり経過観察が必要じゃ ないかなという感じがします。 ○三丸補佐  それでは、保留ということで。 ○佐藤委員長  そうですね。それから、照会ということで、脳波と、できたら画像もお貸し願いたい ということで。最近の臨床症状がないという記載のところが、その後も続いているかど うか。例えば、腱反射の亢進などは。それから、検査所見が低ナトリウム血症が書いて ありますので、これがいつからどういう程度の強さのものであったかという情報が必要 になりますので、肝機能障害も含めて、検査成績の推移になると思いますが、その3点 についてを主にして、後でまた私のほうでも案を出して照会事項を確認したいと思いま すか、照会をさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。  それでは、No.73に移ります。 ○三丸補佐  No.73、63歳の女性です。献血歴があります。病理解剖をやっております。ほぼ確実例 という報告になっております。 ○佐藤委員長  この症例は、経過と検査データなどを参考にしましても、この主治医の診断されたと おり、ほぼ確実例として問題ないと思いますが、よろしゅうございますか。  それでは、No.74をお願いします。 ○三丸補佐  No.74、61歳女性です。虫垂炎の既往を持っております。画像で脳萎縮は認められない という所見です。ほぼ確実例という主治医のコメントと、原爆の被爆者であります。 ○佐藤委員長  この方は、臨床症状がすべてほかの疾患を鑑別できるということと、発症年齢から考 えましても問題ないと思いますので、主治医の診断どおり、ほぼ確実例に入れておいて よろしゅうございましょうか。それでは、そういうふうにいたします。  No.75をお願いします。 ○三丸補佐  No.75、79歳の男性です。特に所見はありません。ほぼ確実例という報告です。 ○佐藤委員長  この症例も、経過と検査データ、そしてほかの疾患がすべて鑑別できるというところ に○がついておりますので。 ○三丸補佐  すみません、脳脊髄液が43と、軽度上昇ということでした。 ○佐藤委員長  43くらいだとほとんど問題ないですね。細胞数は正常ですし。ほぼ確実例としてよろ しゅうございましょうか。そう扱います。 No.76をお願いします。 ○三丸補佐  No.76、79歳の女性です。ほぼ確実例という形で、ほかに所見はありません。 ○佐藤委員長  この症例もほかの疾患がすべて鑑別できること、検査データ上、脳波、髄液等すべて 基準を満たしているということで、ほぼ確実例としてよろしいでしょうか。  それでは、No.77をお願いします。 ○三丸補佐  No.77、64歳の女性です。子宮外妊娠の既往を持っております。プリオン異常がありま して、GSSの確実例という形で報告があります。 ○佐藤委員長  この症例も、既にコドン102の変異を検査されておりますので、GSSとしてよろしゅ うございましょうか。それでは、GSSとさせていただきます。  No.78をお願いします。 ○三丸補佐  No.78、これは前回の全国調査の重複症例ですけれど、前回の報告では硬膜移植の既往 がなかったということで、今回修正の登録として、一応、硬膜既往例としてカウントし ております。症状には特に記載はありません。 ○佐藤委員長  硬膜使用例ですが、よろしゅうございましょうか。  では、次にNo.79に移ります。 ○三丸補佐  No.79も全国調査との重複例で、これは実際に登録されておりますので、飛ばさせてい ただきます。 No.80、61歳の女性です。献血歴の既往があります。ほかに症状の記載はなく、ほぼ確 実例との報告です。 ○佐藤委員長  この方は髄液が記載していませんが、脳波上、画像上、他疾患がすべて鑑別できると いうところに○がついていますので、主治医の記載どおり、ほぼ確実例と扱いたいと思 いますが、よろしゅうございましょうか。  では、次のNo.81をお願いします。 ○三丸補佐  No.81、75歳の女性です。蛋白量が54と増加している記載があります。ほぼ確実例とい う形でやっております。また、慢性肝炎という指摘があります。 ○佐藤委員長  この方は、鑑別診断のところに印がついていませんが、主治医自身はほぼ確実例に○ をつけておりますし、経過から、無動・無言状態に陥って死亡している症例で、一応、 主治医の記載どおり、ほぼ確実例と考えたいと思いますが、よろしゅうございましょう か。  では、次のNo.82をお願いします。 ○三丸補佐  No.82、42歳の女性です。これは49歳以下の症例になります。昭和60年に髄膜腫で手術 を受けて硬膜を使用しております。輸血歴があります。ほかには記載がありません。脳 波上ではディフューズ・アブノーマリティの状態であるというコメントがあります。疑 い例としての報告です。 ○佐藤委員長  この方は硬膜使用例ですが、臨床的には他疾患はすべて鑑別していること、それから 髄液にも異常がないことから、主治医は疑い例としておりますが、疑い例にした根拠は 何なんでしょうかね。PSDがなかったことを主治医の先生が慎重にされたのだと思い ますが、この方は、主治医の診断どおり、疑い例としてよろしゅうございましょうか。 それでは、疑い例とさせていただきます。  次に、No.83をお願いします。 ○三丸補佐  No.83、63歳の女性です。手術歴がありまして、子宮筋腫の手術を受けております。発 症より3カ月で亡くなっております。ほぼ確実例という報告です。 ○佐藤委員長  この方は経過が速いそうですが、髄液には異常がなく、脳波、画像がそれぞれ所見が あり、他疾患が鑑別できるとなっておりますので、ほぼ確実例としたいと思いますが、 それでよろしゅうございますか。  次に、No.84をお願いします。 ○三丸補佐  No.84、27歳の若年齢の男性です。昭和58年に急性硬膜外血腫で硬膜の移植を受けてお ります。輸血歴があります。蛋白が60と増加しているという所見の記載があります。ほ ぼ確実例との報告です。 ○佐藤委員長  この症例は硬膜移植の若年発症例ですが、臨床的にはCJDと考えられるということ と、主治医のこの検査データ、そして他疾患すべて鑑別できるという記載をとりますと ほぼ確実例と扱いたいと思いますが、よろしゅうございますか。では、ほぼ確実例とし て扱います。  次に、No.85をお願いします。 ○三丸補佐  No.85、58歳の女性です。キアリ奇形で61年に手術を受けております。硬膜移植もあり ます。ほかは特に所見はありません。ほぼ確実例として報告があります。 ○佐藤委員長  この方も、鑑別診断は他疾患はすべて除外できて、主治医がほぼ確実例としている硬 膜移植例ですが、よろしゅうございましょうか。それでは、硬膜移植例として扱いたい と思います。  次は、No.86をお願いします。 ○三丸補佐  No.86、64歳の女性です。特に記載はありませんが、確実例としての報告になっており ます。 ○佐藤委員長  この方はまだ生存しておられるんですよね。経管栄養中、平成9年11月で、生存で、 発症の月が書いてないんですが。これは私もうっかりしていたんですが、何カ月ぐらい でこの報告がされたときの状態になったのか、わかるものはありませんでしたか。 ○三丸補佐  ここにある情報だけです。 ○佐藤委員長  この方はどうしましょうか。やはりこの経過が矛盾しないかどうかを確認する必要が ありますから、平成9年の例えば1月ぐらいに発症したのか、それとも1カ月前に発症 したのかによって少し問題があると思いますので、ここのところだけ問い合わせていた だいて、その判断を事務局と私にある程度判断させていただいて、それで問題があるよ うでしたら、再度この会にお諮りするということで、問題がなければ、生存例ですから ほぼ確実例に入れるということと、ついでに、この病院で脊髄液の検査をしております ので、このデータについてもし情報が得られたら、髄液の所見も確かめていただきたい と思いますが、よろしゅうございましょうか。この症例は、発症時期と髄液所見を確認 の上、診断に問題がなければ、ほぼ確実例としたいと思います。 ○塚原補佐  実は、今日の午後、これが終わってから記者発表があるんですが、それに発表する段 階では保留という扱いになりますか。 ○佐藤委員長  これはどうでしょうかね。恐らくほぼ確実例で問題がないんじゃないかと思いますが ……。 ○塚原補佐  OKと。診断は間違いないだろうということで、一応、念のために確認をするという 整理でよろしいですか。 ○佐藤委員長  はい。そういう扱いでよろしゅうございますか。少し条件がつきましたが、確認した いと思います。  次に、No.87、最後の症例になりますが、お願いします。 ○三丸補佐  No.87、59歳の男性です。くも膜下出血で62年に手術をしております。硬膜を使ってお ります。パーキンソン性痴呆症候群の鑑別ができないということで、疑い例として報告 されております。コメントにくも膜下出血後の正常圧水頭症の患者とコメントがありま す。 ○佐藤委員長  この症例は既に死亡している症例ですが、問題は、硬膜移植を受けておりまして、主 治医は疑い例にしておりますが、その根拠は、パーキンソン痴呆症候群と鑑別ができな いとなっておりますが、無動・無言状態がありとなっておりますし、それから、PSD は不明ですね。それから、画像上脳萎縮がありですので。髄液があると一番よかったん ですが。この症例についてはどう扱いましょうか。ご意見をいただきたいと思います。 疑い例として、パーキンソン痴呆症候群としては、無動・無言状態が普通は来ないです から、この症状で除外できそうですが、主治医が「鑑別できない」と書いてありますの で、指名して恐縮ですが、祖父江先生、いかがでしょうか。 ○祖父江委員  PSDは出ていないという点では、やはり疑い例として扱っていいんじゃないかと思 いますけれど。 ○佐藤委員長  この症例は疑い例として扱いたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。  それでは、以上ですが、全般を振り返って、非常に急ぎ足にしましたので、何か討論 が足りなかったり、お気づきの点はございませんでしょうか。 ○立石委員  No.82のケースは、一応、硬膜を使ったケースですよね。それで、先ほどは疑いという ことで、PSDがないからというご説明だったのですが、PSDがなくて硬膜移植例で というのは、私の経験ではほかにも剖検例であります。それから、この臨床経過がちょ っと長いというのは確かに言えるんです。104ページですが、この人の病歴を見ますと 発症が平成3年1月。それで現在、植物状態と。となると、この人がアキネティック・ ミューティズムになったのがいつごろかが知りたいんですが。 ○佐藤委員長  そうですね。この症例は、立石先生がおっしゃるように、経過が非常に長いので、主 治医は「すべて鑑別できる」としておりますし、髄液も異常なかったということから、 私自身はこの診断でよろしいかと思ったのですが、むしろほぼ確実例にひとつはできる かどうかということと、いつから無動・無言状態になったかということが、その後のケ アが非常にいいのかどうかということも問題になってきますので。では、これは症状の 経過について追加照会をして、その上で、問題があるかどうか事務局と私とでまず判断 して、ご指摘のように、診断上の問題があるのであれば、この次にもう一回ご討議願う ということで、事務局、よろしゅうございましょうか。 ○三丸補佐  保留ということですか。No.82ですね。 ○佐藤委員長  立石先生、これは保留まで持っていくかどうか。それとも、疑い例にしておくけれど 一応、念のためにそこだけ確認するということで……。 ○立石委員  疑い例ですか。 ○佐藤委員長  主治医が疑い例にしてきているんですね。 ○立石委員  いや、これは硬膜使用例ですから、慎重にジャッジしたほうがいいんじゃないかとい う気が私はしますが。ですから、確かに経過は今まで5年たっていますけれど、アキネ ティック・ミューティズムの期間が長ければ、これは否定できないと思います。それか ら、PSDがないが剖検で確認されたケースはあります。 ○佐藤委員長  むしろ追加情報によっては、ほぼ確実例に入れてよろしい可能性もあるということで すね。 ○立石委員  入れてもいいかもしれません。 ○佐藤委員長  この問題は2つの問題がありまして、1つは、経過が非常に長いので、CJDの診断 そのものが他疾患の可能性が入っていないかどうかということと、もう1つは、逆に、 診断が確かであれば疑い例よりもほぼ確実例のほうに持ってきてよろしいのではないか というご意見のために、臨床経過を主にして、照会をした上で判断をしたいと思います が、そうすると保留ということになりますが、事務局のほうは困りますか。 ○中谷課長  記者発表という観点からしてみれば、この場で明らかに保留なり、あるいは認定する なりしていただけたら、それで結構です。それで、私たちといたしましては、もしその 追加情報によって何かご判断が変わる可能性があるのであれば、保留にしていただいた ほうが安全かと思っております。 ○佐藤委員長  この症例は、今のお話にもありましたように、保留ということにして確認をしたいと 思いますが、よろしゅうございますか。 ○北本委員  確認したいんですけれど、この診断基準を作るときに、ほぼ確実例と疑い例をPSD の有無でインターナショナルに一応通じるように設定したと思うんです。ですから、も ちろん注目してフォローアップしていくのは大切だと思いますが、現段階でこの情報で は主治医の疑い例になると思うのですが。そういうことから言えば、イギリスではニ ューバリアントはすべて疑い例になっています。ですから、これをほぼ確実例にすると いうのは、例えば硬膜移植のケースは特別にするのかということを決めないと、矛盾が 出てくるような気がするんですが。インターナショナルなサーベイランスとしても矛盾 が出てくると思うんです。 ○佐藤委員長  ほぼ確実例としても、例えば全国疫学調査のときには、PSDの有無については問題 にしなかった、それだけでこのランクを1つ下げるということはしなかったのですが。 これは後でできてきた基準なので、今のご意見について、ほかの委員の方、ご意見ござ いませんか。 ○北本委員  もう1点だけ、今年開かれたWHOのプロバブルも、やはり依然として脳波異常がP SDは入っているんです。そして、それが抜けているのがポシブルということですので ○佐藤委員長  そうすると、この診断基準の文言どおりですと、疑い例として扱った場合に、この記 載の内容は矛盾しないのではないかという北本先生のご意見なんですが。もう1つの問 題点は、先ほど立石先生がおっしゃったように、経過が非常に長いので、いつから無 動・無言状態になったのかということは確認の必要があろうかと思いますが。 ○北本委員  あともう1点確認なんですが、これがほぼ確実例と疑い例で、そのランクといいます か、CJDであるということに関して、行政側で差があるんでしょうか。 ○三丸補佐  3分類はしていただいておりますけれど、差はないと考えています。 ○北本委員  疑い例からCJDと。 ○三丸補佐  はい、そういうカウントになっています。 ○佐藤委員長  そうすると、これはPSDのあるなしが非常に明瞭に疑い例に入れる基準になるとす ると、これは研究班でもこれを討議して作られたわけですし、この基準を守るというこ とでよろしいかと思いますが。この症例を保留とする理由は、無動・無言状態になった 時期が診断上問題がないかどうかということになろうかと思いますが、あまりそれを考 えないで、もう疑い例に入れてよろしいかどうかということについて、北本先生、いか がですか。 ○北本委員  もちろん条件として、アカイネティック・ミューティズムにいつ入ったかというのは ものすごく大きな情報ですので、ぜひそれを確認していただきたいと思います。ただ、 現時点では疑い例でいいんじゃないかなと思うのですが。 ○佐藤委員長  そうですね。ただ、確認して、もし予想外の内容でしたら、CJDの3ランクでの診 断そのものも再討議が必要になりますので、一応、この結果を見てから、照会事項の返 事を聞いてから疑い例の内容を確かめたいと思いますが、そういう扱いでよろしゅうご ざいましょうか。そうすると、今日は保留ということになりますが。よろしいでしょう か。それでは、この症例は、少し慎重かもしれませんが、無動・無言状態の時期を確認 した上で診断確認をしたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○塚原補佐  そうなりますと、先ほどのNo.86は、何か条件つきでということで、情報を確認した上 でという話でありましたが、これも保留という取り扱いになりますか。86は念のため に確認しておくだけという整理では、何か非常に一貫性がないような気がいたします。 ○佐藤委員長  これは事務局のおっしゃるとおりで、この症例も、発症時期の記載がありませんので 発症時期の確認をした上で診断確認が必要ですね。やはり扱いは保留ということになり ますが。今、No.86の症例で、発症時期の記載がなくて、ほかの記載内容はほぼ確実例の 条件を満足している症例ですが。このNo.86も照会の上で確認したいと思いますので、今 日の会議では保留ということで扱ってよろしゅうございましょうか。 それでは、保留にして、照会したいと思います。 ○三丸補佐  確認させていただきたいと思います。最初からですけれど、No.20の症例は2年後に再 調査ということで、保留という形でよろしいでしょうか。 ○佐藤委員長  No.20は、依然として保留ということでよろしいと思います。 ○三丸補佐  依然として保留。No.21は軽快したということで除外ですね。 ○佐藤委員長  はい。 ○三丸補佐  それから、No.64の症例は、これは硬膜移植例ですけれど、除外ということでよろしい ですか。ランス・アダムス症候群ではないかということでしたが。 ○佐藤委員長  はい。No.64は、先ほど、病理が確認できなかったので除外したということで、これは 除外でよろしいです。 ○三丸補佐  それから、No.72の症例が保留。 ○佐藤委員長  はい。再照会です。 ○三丸補佐  あと、No.82と、先ほど話題になりましたNo.86が保留。 ○佐藤委員長  はい。そして、照会するということです。 ○三丸補佐  そうすると、2例除外で、4例保留ということになります。 ○佐藤委員長  ほかに、全般を通じて何かお気づきのことはございませんでしょうか。非常に大量の 症例を短時間で判断しないといけないので、委員の先生方の負担も大きいのですが。  それでは、一応、各症例についての討論をこれで終えまして、次の議事に移りたいと 思います。 ○三丸補佐  それから、解析結果をまとめてもらったものを中村先生のほうからお出しいただいて おりますので。 ○佐藤委員長  それでは、中村先生にお願いいたします。 ○中村先生  先ほどご紹介のありました自治医科大学公衆衛生学教室の中村でございます。遅発性 ウイルス感染調査研究分科会−−北本先生が班長をされておりますが、そちらのほうで この調査の解析を行うということが実施要領の中で定められておりまして、私が担当さ せていただいております。  お手元に資料といたしまして4枚つづりの紙がございますが、今回まとめましたもの は本日の協議の結果は入っておりませんで、例えば、今検討されましたNo.64除外例につ きましても含めて解析した結果になっておりますので、その点をあらかじめご承知おき いただきたいと思っております。 まず、今回、解析いたしましたのは、昨年末までの報告数ということで、除外まで含 めまして85例報告されております。そのうち、佐藤班におきます全国調査との重複例等 を除きまして、新規に報告されました例が67例上がってきております。その性・年齢、 発症年の分布は1ページの真ん中から下の表に書いてあるとおりでございまして、性別 に観察いたしますと、新規の例だけでございますが、男が25に対して女が42、年齢は、 30歳未満が2例、40〜49歳が6例、以下、そこに掲げてあるとおりでございます。  それから、この性・年齢分布につきましては数が少のうございまして、詳細な解析に 耐えられるほどの数ではないのですが、佐藤班で明らかになりました全国調査の疫学像 と矛盾するものではないという理解をしております。  それから、40歳未満の2例がございますが、先ほどから話題になっておりますが、No. 63とNo.84でございますが、いずれも硬膜の移植歴がある例でございます。 それから、発症年でございますが、1996年(平成8年)が35例で一番多くて、1997年 (平成9年)が19例と、数が少なくなっております。これにつきましては、前回の委員 会でもご報告いたしましたように、把握率が相当落ちているせいであろうと私のほうで 理解しております。と申しますのは、全国調査で報告されました年次別の数を見ており ますと、発症年が最近になるにつれて数が多くなってきておりまして、94年、95年はい ずれも100例を超えておりました。それから考えますと、96年、97年につきましても、そ の程度の数が上がってきてしかるべきであろうと思っておりますが、それに対しまして 数が上がってきていないというのは、やはり把握率の問題があると思っております。 それから、2ページ目でございますが、出身都道府県、主な生活住所都道府県、現在 の居住都道府県につきましても、特に集中したところが見られておりません。  その他、職業歴、食品嗜好等につきましても特別な傾向はありませんし、現在まで詳 細に見てきましたように、特に問題にすべき点もないと考えております。  手術歴があるものが、今回新たに報告されました中で17例ございまして、9例に硬膜 移植歴があるということでご報告をいただいております。その9例の一覧表を2ページ 目の真ん中よりやや上のところに出しておりますが、いずれも1983〜87年にかけて移植 がされております。1例、No.55だけ86年と94年の2回、硬膜の移植を受けまして、97年 に発症という形になっております。 発症までの期間が、これまでの報告よりも延びていく傾向がございます。今回の移植 から発症までの平均は、No.55につきましては86年という時点をとりますと、平均10年と いう形になりまして、これは全国調査の結果よりも増えておりますが、これは考察でご ざいますが、85〜86年あたりが一番問題になっている時期でありまして、その後、同じ ような形で発症してきて、発症年は後にどんどんなってまいりますので、そのために移 植から発病までの間隔が延びているということを考えております。したがいまして、そ こにも若干書かせていただきましたが、今後とも発症の動向は確認していく必要がある と考えております。  その他の既往歴では特に問題にすべき点はないと考えております。  病状の経過はすべて進行性で、そこの表に書いてありますとおり、症状が出ておりま す。  それから、脳波でPSDが観察されたものは25例、なしが5例、2例が不明でござい ました。  それから、プリオン蛋白の遺伝子の検索は9例で実施されておりまして、先ほど出て まいりましたように、異常ありが3例、いずれも診断名がGSSでございました。剖検 診断の確実性につきましては、本日の結果を含めておりませんが、CJDが29例で、確 実例が1例、ほぼ確実例が23例、疑い例が5例。GSSは確実例が1例、ほぼ確実例が 2例でございました。  ここには書いておりませんが、硬膜移植例がかなり出てまいりまして、全体の報告数 に対する硬膜移植例の割合というのが増えてくる傾向にございます。これにつきまして は、先ほど、把握率といいますか、補足率といいますか、我が国全体で発症しているC JDの患者に対してどれだけこの調査に報告されているのかというところが問題になっ てくるのですが、これが非常に低い。ただ、硬膜移植例につきましては、いろいろ問題 になっている関係で、主治医が積極的に届けて、これについては相当高い率で把握され ているのではなかろうか。それに対して、硬膜移植を受けていないCJD患者について は把握漏れが多いということがあると、このような形で全体に対する硬膜移植例の割合 が増えてくるということが当然考えられると思います。この点を解消するという意味で も、全体の把握率等について今後とも高くしていくようなことを考えていかなければい けないのではなかろうかと個人的には考えております。以上でございます。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。いくつか重要な点を含んでおりますが、ご質問や意見ござ いませんでしょうか。  この硬膜の把握率が高いというのは、脳外科学会で端先生が中心となりまして非常に 努力されて掘り起こした症例がかなり含まれておりまして、そういう点で把握率が高く なっているのだと思いますが、逆に、全体として把握率が低いのは、厚生省のほうでた しか前々回の委員会で把握率については少し推移を見てまた新しい検討が必要であろう というお話だったと思いますが、把握率を上げることについてとか、把握率のための調 査の時期とか、そういうことについて何かお考えでしょうか。 ○三丸補佐  把握率につきましては、前回の委員会のときに一応お話ししたと思いますが、現在、 平成9年からクロイツフェルト・ヤコブ病が治療研究の対象疾患となっておりますので それの1年を通した数字が今年の夏ぐらいにまとまってくると思いますので、その数字 を見た上で判断していただきたいと考えております。  また、こういう委員会があった折には、マスコミのほうに協力依頼という形ではお願 いしておりますけれど。 ○佐藤委員長  今度、治療研究の対象疾患になって公費負担になりますので、申請がほとんどなされ ると思いますので、その数字を見て判断したいということですので、よろしくお願いい たします。  ほかに、今の中村先生のまとめについてのご質問なりご意見ございませんでしょうか この硬膜移植の時期は、1987年が今回3例になっておりますが、この移植された硬膜は すべてアルカリ処理前の硬膜として考えてよろしいのでしょうか。 ○三丸補佐  添付の資料につけましたとおりで、「なし」という返事と「不明」という返事が両方 ありますけれど、「あり」という返事は1994年の分だけです。 ○佐藤委員長  ほかにご意見ございませんでしょうか。 ○柳川委員  治療研究の対象疾患になったということですけれど、去年からですか。 ○三丸補佐  平成9年1月1日からです。 ○柳川委員  そして、その数は、厚生省として把握するのはもうちょっとたたないと把握できない んですか。 ○三丸補佐  昨年度の3カ月分の、平成9年3月末まで現在で83名です。ただ、これは途中から始 まっていますし、昔からの人もそのときに申請される状況であれば、全部入ってくると いう形です。 ○柳川委員  4月以降は……。 ○三丸補佐  4月以降の分が今度の3月末で締められまして、5月か6月ぐらいに上がってくると 思います。 ○柳川委員  その人たちが報告されているかどうかというのは、5月になってからでは遅過ぎるよ うな気がするんですが、あらかじめ県にお願いして知るとか、そういう方法はないので しょうか。 ○三丸補佐  今のところ、申請の分を、個人情報になりますので、そのまま使えるという形ではで きないのですけれど、11年度からは研究班のほうに同意をいただいてそうするという形 にしようと考えておりますので、そこの時点では照会はできるのではないかと思います ○柳川委員 把握率をずっと維持するというのは非常に大事なことなんですけれど、そういう制度 が始まると、初めのうちは皆さん関心を持っていただくんですが、ある期間たつとどの 疾患でも下がってきますので、何らかの方法で刺激を与えていただくということも大変 大事だと思いますので。 ○端委員  移植例はこれで全部で何人になりましたか。 ○三丸補佐  9例の中村先生のまとめがありまして、あと、修正報告で1例上がっています。ただ し、この9例のうち、No.64が除外になりましたので、8例と1例で、今回、9例追加と いう形になります。 ○端委員  前は? ○三丸補佐  前が3例追加になっています。今回の類縁疾患調査の6月末に締めた分では3例でし た。 ○端委員  全部でいくつになりましたか。 ○塚原補佐  55例です。 ○立石委員  先ほど遺伝子検索の結果もご発表になりまして、No.102のミューテーションの3例が 上がりましたが、その人たちの家族で、今まで上がっている人がおりますか。同定でき た人が。 ○中村先生  家族かどうかということについては、家族歴があるかどうかということで調べてはお りますけれど、確認いたしますので少しお待ちいただきたいと思います。 ○塚原補佐  委員長、ちょっと修正があります。先ほど硬膜移植例の話がありまして、55と申し上 げましたが、本日、1例除外で、1例保留になっていますので、54例です。 ○佐藤委員長  今、調べていただいている間、ほかにご意見ございませんか。  今日は議題が多いので、もしございましたら、また後で振り返っても結構でございま すから、次の議題に進みたいと思いますが、よろしいでしょうか。 それでは、議題ではありませんが、「生体糊の脳内投与を受けた後、CJD発症を疑 われた症例への対象について」を事務局からお話をお願いします。 ○三丸補佐  それでは、報告させていただきます。生体糊の脳内投与を受けた後、CJD発症を疑 われた症例というのは、発端は、10月15日に、匿名で書いておりますが、K病院の、副 院長より、以前、CJDで献血歴がわかった血液製剤の回収を行いましたが、その回収 がかかった生体糊を使用した症例でCJD疑いの者がいるということで電話連絡をいた だきまして、厚生省側の動きとしましては、10月18日に佐藤委員長と女子医大の岩田先 生に診察を依頼して、その病院でみていただきました。 結果としましては、感染・脳循環障害等による意識障害が主症状で、CJDの可能性 は少ないが、MRI等で原因の精査・鑑別を行い、最終的な判断を下すということでし たが、11月21日に担当医より報告があり、該当患者が永眠されたということで、剖検は 申し出たが、希望されずに、できなかったということでした。 コメントについては、その後、プリオンの検索の結果も遺伝子検索で異常がなかった ということもわかりまして、一応、両先生とも「CJDではないと考える」ということ で、この症例はCJDに該当しないということで、報告もありませんでした。初診時の 原病歴等は、2枚目、3枚目に、佐藤委員長のコメントとともにつけてあります。また 岩田先生のコメントとしましても、4枚目、5枚目としてつけております。これは以上 のことを行いましたということを先生方にご報告するためにつけさせていただきました ○佐藤委員長  ありがとうございました。非常に難しい症例だったのですが、岩田先生と一緒に拝見 しまして、結論は今事務局からご説明がありましたように、恐らく脳内の感染が主病像 であろうという診断をいたしましたので。後で読んでいただいて、もしまたお気づきの ことがありましたら教えていただきたいと思います。 ○中村先生  先ほどの立石先生のご質問でございますが、3例、遺伝子異常ということで報告され ておりますが、いずれも家族歴につきましては「なし」ということで主治医からご報告 をいただいております。以上です。 ○立石委員  ありがとうございました。 ○佐藤委員長  全国調査でも、家族歴として上がったのは2家系ぐらいしかありません。意外と引っ かかってこないので、やはりまだ落ちがあるのだろうと思いますが。  それでは、その次の議題に移りたいと思います。先般行われましたWHOの専門家合 同のプレスリリースが出されまして、この会合には北本委員が出席されておりますので その概要についてご報告・ご説明をお願いいたします。 ○北本委員  まず、参考資料2のプレスリリースを見ながら聞いていただきたいのですが、2月11 日〜13日までWHOで会議がございました。目的は、WHOで、後ほど出てくると思い ますが、リコメンデーションを1つ出したいというのがその主な目的です。 ここで話し合われた議題の中で、プレスリリースにも書いておりますように、14−3 −3テストがかなり有効になるだろうと。もちろん14−3−3だけ単独で有効というこ とではなくて、臨床症状とPSDをあわせた従来のプロバブルCJDの所見より、臨床 症状と14−3−3の陽性率のほうがより正確ではないかという発表がありまして、14− 3−3というのはもちろん単独では無理なんですが、かなりいい方法であるという議論 がなされました。その比べたものは、S100 蛋白のアッセー、NSE(ニューロン・ス ペシフィック・エノレース)のアッセー、Tau蛋白のアッセー−−これはいずれも髄 液のアッセーですが、それらと比べますと、14−3−3は非常に有効であると。スポラ ディックCJDに関しては有効であるという結論でありました。ただ、ニューバリアン トCJDの陽性率は、残念ながら、14−3−3は低いと。そのほかの髄液テストでも低 いということでありました。  それから、プレクリニカル・ダイアグノーシスを今後絶対に目指していかなければい けないということで、これはニューバリアントCJDですが、扁桃のバイオプシーの陽 性率の結果が出ました。今のところ、4例中4例がプラスです。ほかのタイプのCJD では見られません。ただし、あまり検索はなされておらずに、成長ホルモンのCJDが 1例でゼロと。スポラディックCJDが5例中ゼロということで、これはまだまだ他の タイプのCJDのアッセーをしなければいけないのではないかということが問題になっ ています。  いずれにしても、扁桃のフォリクラーデンドリティックセルの異常なプリオン蛋白の 陽性率は非常に高いのだということがございました。  あとは、ニューバリアントCJDのフォローアップを今後ともイギリス、フランスを 中心に、10年、15年というスパンで見ていかなければいけないという確認がなされまし た。 最後に、では治療はと。早期診断を積極的にしていく中で、その治療という問題にな りまして、現在のところ、人に対して有効な治療法はないんですが、スクレイピーのマ ウスレベル、それからCJDでもそうなんですが、マウスを使った動物実験で有効な治 療法がいくつか報告がありますので、それらに関してクリニカルまでいくかどうかとい う議論はなかったのですが、動物実験を使ったそれらの仕事を積極的にリコメンドしよ うということがありました。  最もディスカッションが起こった薬剤は、アンフォテリシンBとIDX(ヨードデオ キシルビシン)の2つです。ですから、今回の会議では、早期診断と治療法を今後積極 的にプロモートしていかなければいけないということで、その3日間の議論を終えまし た。以上です。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。非常にたくさん重要な事項をお話しになったんですが、ご 質問、ご討議をお願いします。 ○立石委員  早期診断の扁桃の所見は、スポラーディック5例中ゼロというのは、九大のケースが 入ってですか。 ○北本委員  入っていません。九大は、扁桃で調べたのは1例です。あとはスプリーンです。これ はイギリスのデータです。 ○立石委員  それから、北本委員の診断基準の件でもう一回聞きたいんですが、PSDがなければ うんぬんの話−−ニューバリアントCJDではどう判断していますか。 ○北本委員  判断は変えていません。ニューバリアントは、病理所見が出るまで、ないしバイオプ シーの所見が出るまでは、全部、ポシブルCJDに入っています。プロバブルではござ いません。 ○佐藤委員長  その扁桃のバイオプシーはどういう方法で検出しているんですか。 ○北本委員  2つの種類です。1つはイムノヒストケミストリー、1つはウエスタンブロッティン グ、その両方をやっています。 ○佐藤委員長  ほかにございませんか。 ○山内委員  フランスのニューバリアントCJDですけれど、牛由来のグロースホルモンじゃない かといったこともあったんですが、そういう議論は何もなかったですか。 ○北本委員  いや、それはなかったです。確かにフランスは1例だけで、増えていませんで、イギ リスは今23例ということですが、それらの理由とかというのは全くディスカッションは ありませんでした。 ○佐藤委員長  牛由来のグロースホルモンも使われているんですか。 ○山内委員  やはりそういう例もあるのだという話は聞きました。フランスの場合には、少なくと もリスクファクターは全然見つかってこないんですね。ですから、なぜかかったかとい う原因がわかっていない。そこで、その患者さんがボディービルをやっていて、牛由来 のグロースホルモンを使っていた可能性があるという、たしかフランス政府のどこかか らそういうコメントが出たのを見ました。 ○北本委員  いや、そういうディスカッションは全くありませんでした。 ○祖父江委員  4例中4例で陽性だったというニューバリアントの例がありましたが、それは発症後 ですか。そうですね。ですから、今後、プレクリニカルというのはどういう具合にやっ ていったらいいのか。そのインディケーションをどう考えてどうやっていくか。 そこは何かディスカッションはありましたか。 ○北本委員  もちろんございました。扁桃バイオプシーは推奨できないという意味で−−というの は、1つの理由は、まず、インフォームドコンセントがなされていないと絶対できない と。もう1つの理由は、それが患者さんのメリットになるかと。今、診断だけしてもし かたがないという理由で、WHOでは議論になりませんでした。 ○品川委員  そのとき、トンセルにつかまる、つかまらないというような場合、これはインフェク ションのルートと、あるいはインフェクションかインフェクションでないとかという議 論はありませんでしたか。 ○北本委員  もちろんございました。これでオーラルインテークはほぼ間違いないんじゃないかと オーラルといいますか、末梢からのというのは間違いないんじゃないか、というのが大 半を占めておりました。 ○端委員  硬膜の話は何かございましたか。 ○北本委員  硬膜は、少し私が聞かれたりはしたんですが、大きな会の場ではございませんでした 日本では少しずつだけれどやはりインクリーズはしているということが話題になったぐ らいです。もちろん専門家委員会ですので、43例というのはみんな把握しておりました ○佐藤委員長  まだご質問等があるかもしれませんが、時間が迫っておりますので、次の議題に移り たいと思います。  次は、クロイツフェルト・ヤコブ病に関連した血液製剤について、事務局からご説明 をお願いいたします。 ○三丸補佐  S100プロテインにつきましては、先ほど髄液のことが出ておりましたけれど、ここに つきましての報告は、血清でわかるんじゃないかという報告だけですので、参考として つけさせていただいただけですので。時間もありませんので、先へ進めていただければ と思います。 ○佐藤委員長  失礼しました。事務局で用意されたのは、BMJのここに添付した資料で、血清でS 100の濃度が非常に上がりまして、急性の脳破壊を証明するということでは非常に有用性 が高いという論文が出ておりましたので、これを用意していただいたのですが、これに ついては血液製剤の項目などの話を伺った後で、もし時間があればもう一回問題にした いと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、血液製剤についてのご説明をお願いいたします。 ○山本補佐  血液対策課の山本でございます。お手元に今資料をお配りいたしましたけれど、私ど もの課で行った献血歴の調査というのは、平成3年以降に献血の可能性があったCJD の患者さんの調査ということでさせていただきました。と申しますのは、日本赤十字社 の献血記録がコンピュータに登録され始めたのが平成3年からということになりますの で、それ以降を調査しております。  それで、調査対象になった者は417名で、お手元の資料の1ページ目に表を掲げさせて いただきました。主治医からの報告で献血歴があったというのは18例ございましたが、 日赤の献血記録にあったものは3例のみでした。それから、献血歴が不明という形で来 た295例のうち、検索しましたところ、5例の献血記録が判明しましたので、この両者合 計8例の献血記録について血液製剤に関する調査対象としております。繰り返しますが 献血歴がなかったもの、調査中のもの、回答待ちのものも含めまして、417例が本調査の 対象となっております。  次のページをめくっていただきますと、この合計8例の中で、8例の献血延べ回数は 31回で、そのうち5回は検査落ちになっておりますので血液製剤として使われておりま せん。この31回分の献血記録から今、申しました5回の検査落ちを除きました、26回分 から作られました輸血用血液製剤38バッグ、それから、原料血漿、つまり分画製剤の製 造に使われました原料血漿12バッグにつきましての調査結果が次のページの表2にござ います。輸血用血液製剤は、調査時点では既に有効期限が終了しておりました。使われ た患者まで特定できたのが10バッグで、患者が原疾患で死亡しているものが15バッグで そのあと、輸血用血液製剤も初期のころ、主治医がどの患者にどのロットを使ったかま で記録がないものがございますので、記録がないものが4バッグ、それから現在まだ調 査中のもの9バッグも含めまして、計38バッグの調査結果は表2のとおりでございます 原料血漿の12バッグも、これもすべて回収になったときには有効期限が過ぎていると いうことがございますけれど、回収対象になったのが34ロットございます。それから、 可能性のあるロット、まだ特定困難、まだ調査中のものが22ロットございます。前回か らですと3例ほど追加になっておりますけれど、現時点で判明しているのはこの状態で ございます。  回収情報につきましては、前回ご報告をした以後、有効期限内で回収になっているも のというのはございませんので、経過としては以上のご報告になります。  以上でございます。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。今、血液製剤についてのご説明を山本さんからなさったん ですが、ご質問やご討議ございませんでしょうか。 ○立石委員  8例の特定された方の一番長いフォローアップ期間はどれくらいですか。 ○佐藤委員長  さかのぼって何年前からということですか。 ○立石委員  そうです。 ○山本補佐  すみません、全部の個票を持ってきておりませんので、ちょっとお時間をいただけれ ば確認いたします。 ○北本委員  最高で5年ですね。 ○佐藤委員長  5年さかのぼったとして、ヤコブの人が何例中何例がこの献血をしているでしょうか おおまかな割合は。年間90例として、この417例というのはさかのぼって5年までという ことですか。 ○山本補佐  そうです。平成3年までさかのぼって。特に主治医が「献血歴あり」と答えてくださ っても、日赤の記録に全くない方があるので、ご本人の記憶が定かでなかったりします し、不明というのが一番多うございます。これを見ていただきますとわかりますように ほとんど不明なんですが、不明も洗ってみると5例は見つかったと。逆に言うと、残り はもう献血記録がないので、平成3年以降の献血はないという結果になっております。 ○佐藤委員長  ほかにご質問ございませんか。この推定ですけれど、例えば、2ページ目の原料血漿 が、12バッグのうち、使用された相手の人数はどれぐらいの延べ数になるのでしょうか ○山本補佐  推計というのはやっていないんですが。といいますのは、輸血用の血液製剤はまだし も、分画製剤について、どの患者にどのロットを何本投与したかというのがきちっと記 録が始まったのが、昨年9月からの血液製剤の管理簿の記載からですので、ほとんど医 療機関では、どの患者に何番のロットを何本打ったという記録がない状況であります。 推測するとすれば、もっとジェネラルな情報として、患者さんにアルブミン製剤を大体 1患者平均何本使うかとか、グロブリン製剤を使うか、というようなことからの推測と いうのは可能かもしれませんけれど。 ○北本委員  課が違うかもわからないんですが、原料血漿12バッグは、いわゆる分画製剤を作ると きにはこうなったのでしょうが、これで例えば、ワクチンのアルブミン安定化製剤とか そういうところへ使われている可能性はないのでしょうか。 ○山本補佐  全くおっしゃるとおりで、安定剤で使われているもののフォローというのは、世界的 にも自主回収の対象にもしておりませんで、フォローされていません。ただ、日本の場 合、安定剤に使うものというのは海外由来のものが非常に多うございます。日本の献血 由来のものを安定剤に使うよりも、よその国から輸入したものを安定剤に使うという場 合もあるので、そこのところ、実際にこれからどれだけ安定剤に使われたかというとこ ろまでまだ把握していない状況であります。 ○北本委員  その安定に使うアルブミン製剤は、イギリスからのものは入っていますか。 ○山本補佐  回収情報というのは当然入ります。イギリスの場合は、イギリス由来のアルブミンが 入った場合は、私どもの回収情報に流れますが、現在のところはイギリス由来のものは 出ておりません。ただ、安定剤のオリジンまで、全て把握はできていない状況にありま す。多分この後議論になると思いますが、私どももまだ新聞報道しか存じ上げておりま せんけれど、イギリス政府としては、血漿分画製剤の原料血漿は輸入に踏み切るという ことで、国内産のものを使わないという、逆に自給ではない方向に動いている報道もな されているように聞いておりますので、このニューバリアントの考え方はどうするのか という問題はもちろんあるかと思います。 ○佐藤委員長  ほかにご意見ございませんか。私からなんですが、この5年間に8例のものが、1バ ッグがどのくらい分散して使われるのかよくわかりませんが、先ほどのプレクリニカ ル・ダイアグノーシスの方法の問題もあったんですが、献血のさらに除外基準に、これ を作るときにかなり議論になったのですが、痴呆患者はそれだけでは除外基準の中に入 らなかったと思いますが、この問題について、再検討したほうがよろしいかどうかとい うことについて、ご意見ございませんでしょうか。私からの質問ですが。 ○立石委員  その問題は私も一度相談を受けまして、考えたんですが、とてもそれを条文化すると いうのは不可能でしたね。痴呆患者を除外規定に入れるとあまりに範囲が広がり過ぎる ということで、アメリカ並みにCJDと診断されたという表現になってしまったわけで す。 ○佐藤委員長  1例だけ、献血をしてから発症までの一番短い方はどのくらいだったのでしょうか。 ○山本補佐  全部個票がこちらの手元にないので、先ほどと同じご質問ですので、個票をあたって みます。 ○佐藤委員長  今の質問の趣旨は、献血をしてから比較的短い期間であると、気がつかなくても少し 詳しく痴呆の調査をすると引っかかっていることがあるかもしれないので、非常に簡単 な長谷川式の痴呆スケールの質問だけでも、それをまたさらに簡便化したものだけでも 入れていただいて、そこであまりにもスコアの悪い方は、後で、例えば、S100を、血清 ですから、測定できるわけですから、測定するとか、そういう方法で、もう少し安全性 について条件を厳しくできないかどうかということなんですが。 ○三丸補佐  この血液の問題につきましては、山内先生からも資料が来ていますので、一緒にやっ ていただいたほうがいいかもしれません。 ○佐藤委員長  そうですね。それでは、今の質問に関連あるかどうかわかりませんが、山内先生から も資料のご説明があるそうですので、山内先生、お願いします。 ○山内委員  今お配りした資料で、まず3枚目をごらんいただきたいと思います。先週、CDCで シンポジウムがありまして、その中でブラッドセイフティに関する発表がありました。 それは4枚目の、これはポスターですが、ここに書いてありますラリー・ショーンバー ガーという、彼がバイラル&リケッチャル・ディジーズ・ディビジョンのデピティディ レクターで、彼が責任者なんです。ここに抄録がありますが、内容は、一番最初の紙に 私が整理したメモで大体尽きると思うのですが、今年の1月にデパートメント・オブ・ ヘルス・アンド・ヒューマンサービス−−要するに厚生省みたいなところの血液製剤安 全性に関するアドバイザリー・コミッティが9対5の投票で、9人が賛成、5人が反対 で、血液製剤の不足を引き起こすことを防止するために、FDAと製薬会社と消費者グ ループに対してCJD患者由来の血液製剤の回収の方針というものを少なくとも1年間 は緩和するようにという勧告をしたということなんです。  その根拠としては、ずっと書いてありますが、血液中でのCJDの存在の証拠という のはまだはっりきしたものはないと。そして、4カ所ぐらいの研究所からの報告のうち 7人中5人の患者は実験室汚染であったとか、NIHで9人のCJD患者の血液をサル もしくはチンパンジーへ接種実験をやっても、まだこれまでに陽性例は出てこない。  それから、疫学データ−−75〜95年の間の年齢別CJDによる死亡率、これが変動し ていない。これは最後から3枚目と最後から2枚目に図がありますが、これはデジタル カメラで撮ったものをカラーコピーをまたコピーしたもので、白黒なので見にくいんで すが、これを後でごらんいただければわかりますが、この約20年近くの間、特に全然変 動はしていない。それから、ケースコントロールスタディは全部パブリッシュされたも のをもとに、日本、アメリカ、イギリスのデータですが、そういった場合に、CJDで 輸血をした人と、病院のコントロールの間でのパーセンテージというのが10%、14%。 これも後に表があります。  それから、アメリカ赤十字とCJDの調査−−これは15名のCJD由来の血液製剤を 投与された196名をフォローアップした結果、これまで患者は出ていないと。そして、 42名は5年以上生存している。それから、94年にドイツでの調査というのは、これは一 番最後のところに写真として表がつけてありますが、このドイツでの調査でも、これま でにCJD由来血液製剤の投与が判明している27名、そしてその可能性のある8名で、 CJDの患者は出ていないといったこと。  それから、血友病の患者での調査−−全米1万7,000人の血友病患者中、約1万2,000 人が治療センターで看護を受けていて、これらのセンターの120以上のところで95年にC JDのモニタリングを通告されているわけですが、今までのところ、CJDの発生はな いと。それから、死亡した患者の脳での検査でもCJDは見つかっていない。それから 全国の死亡サーベイランスで、79〜95年の間に3,904例のCJDがCDCに報告されてい て、このうち、血友病患者はゼロであったと。それから、5〜19歳の人でCJDはこの 17年間にゼロであったと。  そして、次の2枚目のページに、これは英語そのままですが、これはポスターに書い てあった文言そのままで、これをお読みいただくと結論などがもう少しはっきりわかる と思うのですが、要するに、セオリティカルリスクであるということで、血液製剤の回 収をしていって血液製剤の不足を招くことが非常に大きな問題になってきている、とい うことに対する対応であろうと思います。 ○北本委員  先ほどのWHOでの続きの話になるかと思います。そして、山内先生のこれとも関連 するかと思います。まず、人のCJDでニューバリアントの場合ですが、ホリクラーデ ンドリティックセルがプラスになったということはものすごく大きな意味があった。こ れは我々はマウスのCJDで、それから品川先生はヒツジのスクレイピーで、プレクリ ニカルに異常なプリオン蛋白がFDCにたまるのだと。そして、脳にたまるよりもずっ と速いと。  イギリスでニューバリアントのCJDに扁桃で4例中4例あったとすれば、何百例と いう症例がプレクリニカルにトーンシルでたまっている可能性があるんですね。だから イギリスは、たとえワクチンの安定化剤といえども、アルブミンを海外から輸入すると いう決断に踏み切ったと思うんです。ですから、これはずっと読んでみますと、これは アメリカの状態です。ですから、イギリスは大分ニュアンスが違うのだということが1 つございます。  ですから、日本の我々のとるべき態度としては、まずイギリスからのものはかなりチ ェックしないと危ないのではないかと。イギリスのアルブミン製剤、それはワクチンの 安定化剤も含めて、イギリス本国でストップしているものですから、決してルーズであ ってはいけないだろうと。それが1点です。  もう1つは、これは研究班の仕事になると思うのですが、日本は、感染性のCJDと 考えられている硬膜移植のケースがあるんですね。今、我々は少なくとも4例は確かめ て、4例ネガティブなんですが、バックグラウンドとして明らかに感染性のものが存在 すると。ですから、日本の血液行政としてもそう安穏としていられないということは事 実だと思います。そういう意味で、佐藤先生の「痴呆を」というのもよくわかる話です し、実際、かなり難しくても、論議として我々は考えていかなければいけないのではな いかと思いますし、脳外科の硬膜移植の使用例も、それはもう既に除外されるようにな ったのですが、そういう論議がやはり必要かなと。アメリカの状態と少し違うと。我々 の置かれている立場としては、54例硬膜移植のケースがあるということ考えておかなけ ればいけないのではないかなと思います。 ○佐藤委員長  1つ私のほうから追加があるのは、今、名前を度忘れして出てこないんですが、1995 年のアナルス・オブ・ニューロロージーに、肝移植の際に発症したCJDで、肝臓のド ナーはCJDではなかったということが後で判明しておりまして、逆に、その際にいろ いろな輸血・輸液を受けておりますが、受けたアルブミン製剤の中に1例、CJD由来 のものがまじっていたという報告がありまして、その報告を読みますと、小脳症状から 発症して、PSDがなくて、そして、クールー斑がプラスと書いてあるので、硬膜にも 北本先生がおっしゃった、日本で最近クールー斑陽性という症例もすべて小脳症状から 始まっておりますし、フランス、イギリスの成長ホルモンの症例もやはり小脳症状から 始まるということで、医原性の場合は小脳症状から始まるという共通性がかなり1つの 柱になっているとすると、肝移植の際のたった1例のアルブミンを受けたという症例も 私は完全に否定はできないと思うんです。ですから、1例も報告がないということは、 そういう話ではなくて、これは血液対策室のほうにも報告をしてありますが、その1例 の論文はあるということですね。 ○山内委員  私は、こういう発表があったということだけであって、その詳しい背景などはわかり ませんが。そして、北本先生の言われるのは私も全く賛成でして、これはあくまでもア メリカの例であるということは事実だと思います。そして、イギリスは一番危険なケー スであって、アメリカの場合は、現在、イギリスから全く入れていないということは言 っておりました。そして、日本の場合のデゥラというのは、イギリスほどではないにし ても、やはり非常に警戒をしなければいけないわけですが、ただ、こういった議論が行 われているという事実を理解していただく必要があるだろうと思っただけです。 ○佐藤委員長  そうですね。ありがとうございました。 ○山本補佐  この血液製剤についてどのように考えていくかということにつきましては、今日もい ろいろな先生方から有益な情報を得られましたし、私ども内部のほうでも、早急に、私 どもの医薬安全局のほうに中薬審がございますし、その中でも多くの先生方が重なって おりますが、ヤコブの関係の部会もありますし、生物製剤の部会もありますので、持ち 帰りまして、今後の対応についても検討したいと存じます。  肝移植を受けた1例につきましても、その当時の評価では、1例だし、どこまでそれ が評価できるのかということで、とりあえず偶然の一致かもしれないということだった のですが、今のお話を伺っておりますと、発症の仕方その他のところでかなり医原性の ものに共通項があって、それなりの違った見方もあるということも新たな知見としても 承りましたし、こちらのほうで持ち帰りましてまた検討させていただきたいと思います ○佐藤委員長  ぜひよろしくお願いします。 ○北本委員  それに関連して、私はその論文は持っていないんですが、ランセットの1996年にこの 症例に関するディスカッションがなされていますので、ページ数だけ事務局に渡してお くようにします。 ○佐藤委員長  その結論はどうなっているんですか。 ○北本委員 結論は出ないんですが、アルブミン製剤を受けたのはわずか0.5グラムなんです。そし て、グロースホルモンが平均すると15年、発症までにかかると。それで、2年間はあま りにも短いのではないかと。この本の著者たちも短いというのは認めています。インキ ュベーションがものすごく短いと。ただ、肝臓が悪いと、BBBの状態がどうのこうの ということで言いわけはしています。それはランセットのこれにディスカッションが載 っていますので。 ○佐藤委員長  この問題については、血液対策室のほうでも、また専門部会で討論してくださるとい うことですし、よろしくお願いしたいと思います。  ほかにご意見ございませんか。  あと5分だけ残っておりますが、私の司会の不手際で飛ばしたんですが、BMJの ペーパーについて、S100の血清中の診断の価値についての非常に重要な報告ですので これは三丸さんから少しご説明をお願いできますか。 ○三丸補佐  もう既に先生方はご存じかもしれませんが、ケースコントロール・スタディでこうい うのが出たということで、参考資料としてつけさせていただきました。ただし、まだこ れはプレクリニックの診断にはなっていないということと、北本先生からコメントをい ただいたところ、まだオーバーラップもあるので、補助的な手段としては有効だろうと いうコメントをいただいております。以上です。 ○佐藤委員長  ただ、この論文の価値は、血清で診断ができるということで、今までは髄液ですので あらかじめ髄液を非常に疑いの少ない人に調べてくれというのも言いづらいんですが、 血清ですと比較的調べやすいので、私は、そういう意味ではかなり重要な報告だろうと 感じておりますが。  ほかにご意見ございませんでしょうか。ございませんでしたら、今日の全般を通じて 何かございますでしょうか。 ○三丸補佐  最終的に症例をまとめさせていただきたいと思います。今回、除外例が前回保留分の No.21とNo.64、これの除外の理由としては、病理変化がないということで除外されたと いう認識でおります。あと、保留分が前回保留のNo.20、それとNo.72、No.82、No.86で No.20は進行が遅いということで、2年後ぐらいをめどに再調査の必要がある。No.72は 症状の記載が抜けている部分があるので、そこの部分を確認して再調査の必要があると No.82につきましては、硬膜使用例でありますが、経過が非常に長いので、無動・無言の 状態がいつから始まったかの確認の必要がある。また、No.86につきましては、発症の時 期は不明なので、そこを確認する必要があるという認識で保留になっている、というこ とでよろしいでしょうか。 ○佐藤委員長  今の三丸さんの確認でよろしゅうございましょうか。それでは、それでよろしくお願 いいたします。 ○三丸補佐  はい。 ○佐藤委員長  ほかに全般についてご意見ございませんでしょうか。ございませんでしたら、本日の 議事はこれで終了してよろしいでしょうか。事務局から何かアナウンスはございますか 記者レク資料の配付というのは? ○三丸補佐  記者レクは、今、保留除外の数が大分変わりましたので、もう一回作り直して訂正版 として流したいと思います。全体では、今回、新規登録が28例になります。平成9年の サーベイランスの新規の登録としては62例になっております。また、硬膜の表2につき ましては、No.64とNo.82の症例を今回外させていただいて、記者レクのほうをしたいと 思います。また、数字につきましては、先ほどご確認させていただいた症例について外 した数で報告させていただきたいと思います。したがいまして、現在までに、端先生の ご質問にありましたヒト乾燥硬膜の既往を持つ患者数につきましては、前回の全国調査 で43例を含めまして54例という数字になります。 あと、この結果につきましては6時半から記者会見を開く予定でおります。その際に は佐藤委員長にもご同席いただく予定になっております。 ○佐藤委員長  今のまとめで、ご質問ございませんでしょうか。それでは、長時間にわたりご討論・ ご意見をありがとうございました。本日の議事を終了したいと思います。                                     −了−  照会先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課  担当:三丸 内線2355  直通:03−3595−2249