98/03/13 第4回厚生科学審議会総会議事録    第4回厚生科学審議会総会議事録 1.日  時:平成10年3月13日(金) 10:00〜12:00 2.場  所:共用第9会議室(合同庁舎第5号館26階) 3.議  事:(1) 平成10年度における厚生科学研究費補助金公募研究事業について         (2) 先端医療技術評価部会の審議状況について (3) 今後の厚生科学研究のあり方について 4.出席委員:豊島会長 (委員:五十音順:敬称略)   飯田委員 内山委員 大石委員 柴田委員 曽野委員           竹田委員 寺田部会長代理 矢崎部会長 船越委員 ○事務局  おはようございます。定刻となり、定足数を満たしておりますので、ただいまから第 4回厚生科学審議会総会をお願いいたしたいと思います。本日は委員のうち、石井委員 大塚委員、軽部委員、岸本委員、木村委員、茂木委員から御欠席の旨の通知をいただい ております。また、曽野委員、柴田委員におかれましては、若干遅れておられます。  まず本日の配付資料につきまして事務局から御説明をさせていただきます。 ○事務局  それでは資料の確認をさせていただきます。まず「議事次第」と書いてある1枚紙で ございます。それから資料といたしましては、右肩に資料番号が振ってございますけれ ども、資料1「平成10年度厚生省科学技術関係予算(案)の概要」。資料2「平成10年 度における厚生科学研究費補助金公募研究事業について(研究企画部会報告)」。資料 3「先端医療技術評価部会の審議状況について」。資料4「厚生科学研究の基盤確立と ブレイクスルーのために(昭和63年9月厚生科学会議)」。資料5「厚生科学研究の大 いなる飛躍をめざして(平成7年8月厚生科学会議)」の報告でございます。参考資料 といたしまして、参考資料1「平成10年度における厚生科学研究費補助金公募研究事業 について(関係資料、未定稿)」。参考資料2「生殖医療に関する障害者団体・女性団 体からの御意見」を取りまとめた資料でございます。  以上でございます。御確認いただければと思います。 ○事務局  それでは、お手元の資料よろしければ、よろしく進行のほどお願いいたします。 ○豊島会長  おはようございます。本日はお忙しいところありがとうございます。  では、早速本日の議題に入りたいと思います。まず初めに、研究企画部会から、「平 成10年度における厚生科学研究費補助金公募研究事業について」の報告が参っておりま すので、矢崎部会長から御説明をよろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長 それでは報告いたします。去る3月5日に厚生大臣から諮問され、当部会に付議され ました「平成10年度における厚生科学研究費補助金公募研究事業について」の件であり ますが、3月9日の第8回部会におきまして審議の結果、部会として諮問どおり了承す ることとされましたので報告いたします。なお、その詳細についての説明は事務局より いたしますので、御審議のほどをよろしくお願いいたします。それでは説明よろしくお 願いいたします。 ○事務局  それでは事務局の方より御報告を差し上げたいと思います。先ほど矢崎部会長から御 説明がありましたが、資料2を御参照いただきたいと思います。「平成10年度における 厚生科学研究費補助金公募研究事業について」の資料でございます。資料2、下にペー ジが振ってございますけれども、厚生大臣より審議会の会長宛に諮問書として出されて いるものでございまして、別添の方針により平成10年度の厚生科学研究費補助金の公募 研究事業を実施することということで諮問されているものでございます。別添の3ペー ジ、4ページに記載してございます。  それにつきまして、研究企画部会で御審議をいただきまして、同じ資料の1ページで ございますが、3月9日諮問のとおり実施することが適当である旨決議したので報告を する、という形になっております。  では、諮問の中身につきまして御説明申し上げたいと思います。関係する資料が、先 ほど御説明いたしました資料2と、それから「平成10年度の厚生省科学技術関係予算 (案)の概要」ということで、資料1、それから参考資料の1といたしまして、「平成 10年度における厚生科学研究費補助金公募研究事業について、関係資料(未定稿)」で ございます。  まず資料1の1ページをご覧いただきたいと思います。「平成10年度の厚生省科学技 術関係予算(案)の主要事項」ということでございまして、左に「事項」、それぞれの 研究事業の名称が記載してございまして、その一番左端の欄に、新規事業は「新」と付 しております。今回諮問されたのは、左に「新」と書いてある「生活安全総合研究」、 「医薬安全総合研究」、「健康科学総合研究」、「医療技術評価総合研究」。総合的プ ロジェクト研究分野の「3)障害保健福祉総合研究」、「4)子ども家庭総合研究」。行政 政策研究分野の「1)政策科学推進研究」であり、これらの事業につきまして、新規の事 業ということで公募の方針について諮問をいたしております。  12月の総会では、平成10年度の継続事業ということでごさいまして、先端的厚生科学 研究分野の各研究事業、それから総合的プロジェクト研究分野の中のがん克服戦略研究 事業と長寿科学総合研究事業・行政政策研究分野の2つの事業等、合わせて10の継続事 業の公募方針につきまして御議論いただきました。今度は新規事業ということで、先ほ ど御説明いたしました7つの事業につきまして、新しく公募をかける方針について諮問 させていただいているものでございます。その中身につきましては、資料2の3ページ 4ページでございます。  それから参考といたしまして、この方針に基づきまして、現在事務局で考えておりま す官報に告示をする際の公募課題のイメージということで、参考資料の1ページから10 ページまで大体このようなイメージで、官報告示をかけたいということで整理しており ます。諮問の参考にしていただければと思います。  それでは諮問につきまして御説明申し上げます。先ほど申し上げましたとおり、平成 10年度の新規公募の事業につきましては、左に事業名、それから右に研究課題の採択方 針ということで資料2の3、4ページに記載をさせていただいているものでございます これにつきまして読み上げさせていただきます。  それでは、まず「政策科学推進研究事業」でございますが、研究課題の採択方針につ きましては、先ほど申しました資料2に記載してございまして、それを踏まえた公募の 事業の公募課題案が、参考資料の1ページに記載してございます。研究課題の採択方針 につきまして読み上げさせていただきます。「年金・医療・福祉等社会保障や人口問題 に係る政策、保健医療福祉分野における情報化の総合的な推進、市町村の厚生行政連携 等の地域施策の推進、その他厚生行政の企画及び効率的な推進等に関する研究」という 採択方針でございます。それを具体的な官報告示の課題案にしたものが参考資料の1 ページでございます。  続きまして2番目の「障害保健福祉総合研究事業」でございます。「『障害者プラ ン』に対応した、障害のある人も家庭や地域で通常の生活ができるようにする社会づく り(ノーマライゼーション)及びリハビリテーションの理念に基づいた障害保健福祉施 策の推進のための基盤的施策や、身体障害・精神薄弱・精神障害等に関する研究」とい う採択方針で、それに基づきまして、現在考えている公募課題の案というものが参考資 料の2に記載してあるものでございます。  3番目といたしまして「子ども家庭総合研究事業」でございます。「『エンゼルプラ ン』に対応した、母子保健及び子育て支援を総合的・計画的に推進するための児童家庭 福祉、少子化問題、乳幼児の障害の予防、母性並びに乳幼児の健康の保持増進に関する 研究」、以上が採択方針でございまして、参考資料の3ページ、4ページが、具体的な 公募課題案でございます。  それから4番目の「生活安全総合研究事業」でございます。「生活環境の保全と健康 の確保に資することを目的とした、ダイオキシン類その他の化学物質や微生物等の生活 の安全を脅かす種々の影響因子に対する、食品・飲料水・廃棄物処理等生活環境に関す る研究」、以上が採択方針でございまして、参考資料の5ページが具体的な公募課題案 でございます。  それから5番目の「医薬安全総合研究事業」でございまして、「医薬品・医療機器等 の安全性を確保するための安全性評価の科学的方法論の確立、品質向上を通じた安全性 向上、医療現場における安全確保対策、乱用薬物等に関する研究」、以上が採択方針で ございまして、参考資料の6ページが公募課題案というものでございます。  資料2の4ページでございます。6番目の「健康科学総合研究事業」でございます。 「栄養・食生活等の生活習慣と疾病に関する研究、運動・休養等健康増進に関する研究 保健医療福祉に係る効果的・効率的な地域保健サービスの提供・評価に関する研究、生 活習慣病の病態・診断・治療、患者の生活の質(QOL)の向上等に関する研究」、こ れが採択方針でございまして、参考資料の7、8ページが具体的な公募課題案でござい ます。  最後、7番目でこざいますが、「医療技術評価総合研究事業」でございます。「良質 な医療を合理的・効率的に提供するための診療技術・医療情報技術の評価、医療提供体 制基盤整備等に関する研究」、これが公募方針でございまして、具体的な課題案が、9 10ページに記載してございます。以上でございます。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。それでは、ただ今の御説明に関しまして、何か御質 問ございますでしょうか。あるいは御意見でも結構でございます。 ○内山委員  全体に関しましては大変よくできていると思っております。ただ1つお伺いしたいの は、例えば、事業の1番に、「政策科学推進研究事業」というのがありますが、課題の 採択方針に「保健医療福祉分野における」、これは全分野を含むという意味だと思いま す。「情報化の総合的な推進」というのがございます。それの中身を見ますと、研究課 題として、3行しかありませんけれども、この中の3番目に、「厚生行政の効率的な推 進」という言葉が入っておりますし、その上の行に「情報化」というのが入っておりま す。そうしますと、厚生行政全般にわたって効率的に行政を推進するための情報化とい うのは、全部ここに入るのだということはよくわかります。実は、この前の評価の案を 拝見すると、来年度からは事前評価を含めて研究計画というのが非常に大事になってく るというのが1つと、担当部局、部課といいますか、厚生省の中の担当なさる方々と御 相談しながらいろいろなことをやっていくというふうに読み取れるわけですが、今、私 が申し上げたようなフィールドの担当というのはどこがおやりになるのか、ちょっと教 えていただければと思います。 ○豊島会長 よろしゅうございますか、これは事務局から。 ○事務局  厚生科学研究費におきます各種の事業につきましては、これをすべて一課で見ていく ということは事実上困難といいますか、無理な状況でございまして、先に公募させてい ただきました案件につきましても、最も事業に関連の深いと思われます省内の各課に協 力をお願いし御担当をお願いしてきたというのが実状でございます。ただ今、内山委員 から御指摘の「政策科学推進研究事業」につきましては、省内に政策課というところが ございまして、こちらにおいて中核となって事業を御担当いただけると承知しておりま す。政策課の中には情報化推進関係の室も特に設けておりまして、省内全体の情報化に ついても担当しております。その他の事業につきましても、それぞれ最も関係の深い課 に中核となって御担当いただくようにお願いをしておるところでございます。 ○豊島会長 他に何か、御質問、御意見ございますか。よろしゅうございますでしょうか。大体、 今、社会的に問題になっているようなことはかなりきっちり盛り込まれているように思 いますが、特に御意見がございませんようでしたら、この研究企画部会の答申に沿いま して、当審議会としてはこの報告どおり厚生大臣に答申したいと考えておりますが、そ れでよろしゅうございますでしょうか。               (「はい」と声あり」) ○豊島会長  どうもありがとうございます。それではお認めいただいたものとさせていただきます  それでは次の議題に移りまして、先端医療技術評価部会から、審議状況の御報告をお 願いいたします。それでは寺田部会長代理、よろしくお願いします。 ○寺田部会長代理  部会長であります高久部会長は、今日やむを得ない事情でご欠席ですので、私が代わ りに、部会長代理として御説明させていただきます。先端医療技術評価部会におきまし ては、前回の総会でも御報告いたしましたとおり、現在、生殖医療問題等の幾つの事項 につきまして審議を進めているところであります。  まず第1に、「生殖医療」問題についてでありますが、現在、関係団体からの意見聴 取を進めておりまして、これまで4回にわたり医学関係団体、遺伝関係団体、法曹関係 団体、障害者団体等から意見を聴取するとともに意見交換を行っているところであり、 その詳細は、お手元の資料3の1ページ以降のとおりでございます。  これまでのところ、特に出生前診断を中心に意見が提示されており、近年、医療現場 に普及し始めている母体血清マーカーテストへの懸念や、出生前診断の結果、障害を有 する可能性が高いとされる場合の対応などをめぐり、各団体の立場から意見が提示され ております。  また、生殖医療をめぐる問題につきましては、広く国民的な議論が必要と考えており まして、インターネットの厚生省ホームページなどを通じまして、広く意見を募集して おります。  今後、女性団体等の関係団体、専門家等から意見聴取を行うとともに、部会における 審議を進めまして、この夏を目途に、これまでの議論をひとまず取りまとめていきたい というふうに考えておりまして、その結果を踏まえ、さらに部会として引き続き審議を 深めていきたいと考えております。                         次に、「ヒト組織を用いた研究開発の在り方」についてでありますが、前回の総会で 御承認いただきまして、専門委員会を設置したところであり、本年の2月24日に、第1 回の委員会を開催し、検討を開始したところであります。専門委員会の構成員や論点な ど、その詳細につきましては、お手元の資料3の25ページ以降のとおりでございます。 ヒト組織を用いた研究開発の在り方に関する専門委員会におきましては、この夏にも専 門委員会としての意見をとりまとめまして、部会審議の上、年内にも厚生科学審議会総 会にお図りしたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。  第3に、「遺伝子治療臨床研究」についてでありますが、既に報告いたしましたとお り、これまで4件の臨床研究計画が厚生大臣に提出されたところであります。このうち 2件が、すでに厚生大臣の了承を受けたところでありますが、御承知のとおり、北海道 大学医学部附属病院で実施されておりますアデノシンディアミナーゼ欠損症の治療研究 につきましては、所定の成果を上げ、経過観察中であります。  他方、熊本大学医学部附属病院で実施する予定でありました臨床研究計画につきまし ては、ベクターが供給されないこととなり、本年2月、この研究は実施されないことと なった旨、正式に報告があったところであります。  その他の2件の臨床研究計画につきましては、専門委員会で検討中であります。  以上が先端医療技術評価部会関係の審議状況であります。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。今、寺田部会長代理から御説明のありました問題に 関しまして、これから御質疑をお願いしたいと思いますが、今おっしゃったように3点 ございまして、第1に生殖医療問題、第2にヒト組織を用いた研究開発に関する問題、 第3に、遺伝子治療の現状ということでございます。  初めの、生殖医療の問題に関しましては、現状は、文部省関係では一応中間的な報告 が出ておりまして、それは文部省の研究そのものをどうするかという方向が主体で、こ ういう医療に関する直接の問題としては、余り深く討議されていない部分でございます それから、科学技術会議の方は、全体のエシックスに関する議論が主に進められてきま したけれども、やはり生殖医療そのものに関して議論をしなければいけないということ で、新しくワーキングが設けられて、そこで議論が始まっているという状況でございま す。  その面に当たりまして、この部会では、広く意見聴取していただいて、今、御説明の ようなところまできているわけでございますが、そのことと、また、今の2番目、3番 目につきましても、何か御意見、あるいは御質問ございましたら、よろしくお願いしま す。  1つよろしゅうございますか。現在のヒアリングの状況については、まだホームペー ジの方には出してないわけですね。 ○事務局  事務局から御報告申し上げます。現在、審議の議事録がまとまりましたものにつきま して順次ホームページに掲載しております。非常に専門にわたる領域等で、委員あるい は出席者の方の御確認をいただくという点もありまして、現在まで、第4回の議事録ま でホームページに掲載をしております。第5回の分については、掲載の手続きを進めて いるところでございます。これまでの議事につきまして、お手元の資料1にありますと おり、第6回まで開催いたしまして、ヒアリングをしておりますので、このうちの2回 分が載り、3回目分がもうじき載るという状況でございます。  また、あわせてお手元の資料3と参考資料2の関係でございますが、資料3に綴じて おりますのは、これまでに御発表いただいた各団体から、発表に際して、できればA4 で1枚程度の概要を提出いただきたいということでお願いをしたものを資料3の方に入 れております。参考資料2といたしました分厚いものでございますが、これは先ほど御 紹介ありましたとおり、インターネット等を通じまして広く意見を公募し、その中で特 に生殖医療に関しまして、障害者団体、女性団体から提出をお願いし、寄せられたもの です。全て取りまとめまして、前回の第6回部会におきまして参考資料として配付した ものをここに添付させていただいております。従いまして、次回の予定であります第7 回部会で聴取予定の団体意見も入っているということで、一部資料としては重複がある かと思います。  それから、すべて毎回会議の開催につきましては、記者クラブを通じまして公表する とともに、会議が終わりました際、議事録はできておりませんけれども、会議に提出さ れました資料を含め、すべて記者クラブに対して議事概要と、また、どういった資料で 行われたかということを提供し、記者の方から一部記事等によりまして広報されている ところでございます。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。ほかに何か御質問、御意見ございますでしょうか。 先ほど御説明のありました厚生科学研究自体にもこれは直接関係してくる分が入ってお りますですね。そのことも同時進行ということになりますので、ぜひ、その辺、御配慮 いただきながら進めていただくようよろしくお願いいたします。ほかに何か御意見ござ いますでしょうか。 ○大石委員 最近クローンの技術的な展開などがありますが、国全体として、現在どういうような 形で基本的な考え方をまとめておられるのか、それをお伺いしたいのです。当然のこと ですが、全てにオーバーライドする基本的な原則が確立されなければならないと思いま すが、その辺のことについてお伺いします。 ○事務局  大石委員の御指摘のとおり、国全体としての基本方針が確立されねばならないという ことでありますので、実は御承知のとおり、科学技術庁を事務局といたします日本全体 の科学技術のことに関します会議がございまして、こちらの方におきまして現在科学技 術会議議員であります森先生を委員長といたします生命倫理委員会が設置されたところ でございます。こちらにおいて、広く全般を通した基本原則を論議いただくということ で、これまで数度の会合は持たれておるところでございます。ただ、そこではすべてを 網羅するということでございますので、詳細あるいは臨床等にわたる部分についてはな かなか手が届きかねるということがありまして、私どものところでは、むしろ医療現場 人の生命、健康を守るという分野における技術に特化いたしまして御議論をいただいて おります。  それとともに、先ほど会長から御紹介のありましたとおり、文部省におきましては、 大学における研究分野について、とりあえず、どのような方針でいくかということにつ いて取りまとめ、中間的な発表をされたということでございました。したがいまして、 大石先生お話のとおり、その全体の部分につきましては、科学技術会議の生命倫理委員 会における答申が基本となります。一方、それぞれの分野ごとの詳細につきましては、 省庁が必要に応じて設けました審議会等がそれを補完するということになろうかと思い ます。 ○事務局  1点だけ追加させていただきますと、そういうふうに関係省庁とも連携をして、この 問題に取り組むことが極めて重要でございます。そういった観点もございまして、私ど もの先端医療技術評価部会における審議の際に、事務局に科学技術庁、文部省の担当者 も、オブザーバーといいますか、事務局の一員として常に御参加をいただいております し、それから科学技術会議等につきましては、関係省庁、私どもを含めて、その事務局 の一部を担っております。そのような格好できちんと連携して、双方で情報交換などを 密にしながらお互いに審議を進めていくということをやっているところでございます。 ○大石委員  科学技術会議の中の生命倫理委員会ですか、それが基本的な原則を打ち出して、それ が一番根本的になるという理解で当然だと思うのですけれども、例えばここで出た結論 が、そのような根本的なことと矛盾するといいますか、相反するとか、あるいはその辺 の解決、解釈が非常に難しいというような場合には、適宜それを科学技術会議のもとに おける生命倫理の委員会の方針に沿うような形で必要によっては変えていくと。そうい う認識で結構なのですね。 ○伊藤審議官 3カ所といいますか、科学技術会議、文部省、厚生省、同時並行的に議論が進んでお りますので、お互いに審議状況をそれぞれ照らし合わせながらということになると思う んです。したがいまして、当審議会におきます先端医療技術評価部会の取りまとめに当 たっても、逆に科学技術会議の審議状況を参酌するなり、また、科学技術会議の議論の 取りまとめに当たっては、この厚生科学審議会の議論の中身について、逆にこちらから 科学技術会議の方の取りまとめに反映させていただくというか、やはり双方向のことが あり得るのではないかと考えておりますので、必ずしも科学技術会議の出した結論に、 そのとおり従うという形でなくてもいいんじゃないかと思っております。特に全体、大 方針を決めていただくときは、特に私どもの立場からいたしますと、実際に医療現場で 起きている問題なり現実に照らしてどうかという視点が重要ではないかと考えておりま すので、あまり理念的なことだけが先行するということについて、常に現場から見たと きにはどうかというような視点を、ぜひ当審議会において積極的な議論をお願いしたい と思っているところでございます。 ○豊島会長 よろしゅうございますか。ほかに何か御意見ございませんでしょうか。 ○矢崎部会長  今、大石委員がおっしゃられた技術が発展していくにつれて、研究の個のところから 社会への関わりが広がっていくということで、社会的な視点に立って、それをコント ロールするといいますか、倫理的な視点から、実際にどうしたらいいかということを、 本日の3番目の議事にありますが、厚生科学研究の在り方の中に、そういうことも今後 論じながら、もちろん審議官がおっしゃられた生命倫理委員会の答申とあわせて、私ど もは社会の視点からどう対処したらいいかということを、やはり厚生科学研究のところ でも具体的に議論していったらいいのではというお話がありましたので、つけ加えさせ ていただきます。 ○豊島会長 よろしゅうございますでしょうか。この問題が一番初めに出てきたのは、クローン技 術の問題で、クローン技術としてスタートしたけれども、それは動物、いわゆる有用動 物ですね、家畜類においてはどういう状況であるかということと、それから人の問題と いうことになった場合に1つは技術的な問題がある。それは、家畜あるいは実験動物で 進めてくださいというのが1つの方針だと思うんですが、それと同時に、人間のことに 戻ったときに、現在の審議状況でごらんいただければわかりますように、それだけでは 済まなくて、その周辺の生殖医療全体の問題になると。やはりこれは厚生省中心で議論 を進めていただかないと、仕方のない部分が非常に多いのだろうと思いますので、それ に対応して、やはり科学技術会議の方も対応しながら進めていただくということが必要 ではないでしょうか。それからもう一つは、やはり世界的な国際間の政策の流れという のがございますし、それまで踏まえたところで、恐らく科学技術会議の方は進めていた だけるんじゃないかと思っているわけでございます。 ○大石委員  私がちょっと懸念しましたのは、このような問題についていろんな会議なり審議会な りの結論が、お互いコンフリクトがあると非常にまずいことだと思います。その点につ いて、日本としてこの大事な問題をどのように対応していくかということについてのこ とを、お伺いしたのであって、そういう形で、意見の交換があってお互いに矛盾しない 形で進んでいくということが可能ならば、非常にそれは結構なことだと思っております ○内山委員 生殖医療も純粋な研究というフィールドで見ると、その次のヒト組織を用いたという ところと大いに関係があるわけですが、こちらの方でもよろしいですか。「研究開発の 在り方」と書いてあるところが、非常に意味があると思うんですけれども、「研究の在 り方」と言ってしまいますと、これは今の生殖医療の基礎研究も入りますし、診断の確 認というのも全部入りますから、当然ヒト組織を使わなければ仕事はできないというこ とになると思います。したがって、こちらは研究開発、どういう種類の開発には許され るかといったようなことが論点に入っておりますから、そういう限定された考え方、観 点に立って御議論いただいているんだと実は思うんですが、論点は全部必要なことを網 羅しているように拝見いたしますので、このとおりずっとお進めいただいて結構だと思 いますが、病理組織の検査や輸血も含めて血液の利用といったようなものが、ちょうど 接点になるんですね。この研究開発に、ヒト組織を用いるという考え方と、それから今 まで特にそういうことを関係なくやっていたいろいろな問題とちょうど接点になります から、そこら辺のところをきちっとわかりやすく最後にまとめていただけたらありがた いと思います。特にこの中に1つ、供給体制というのがありまして、そこが非常に気に なりますので。 ○豊島会長 寺田委員の方から何かコメントがございますか。 ○寺田部会長代理  これは始まったばかりでありまして、今、懸念を出された点、特に言葉遣いの点、わ かりやすく書きすぎたために十分考慮されていない表現があります。例えばこういう経 費の負担の在り方を、「提供者、提出者への謝礼」としております。これはアメリカが 行っているのを、こういうふうに直接的な表現で書いたんだろうと思いますが、日本の 文化とか、そういうことをいろいろ考慮に入れて案を作っていかなければいけないと思 っております。  それからよろしゅうございますか。先ほどの科学技術会議のこと、文部省で言われて いること、この会議の在り方ということで、大石委員から言われた御意見、もっともな ことがございます。ただ審議官や他の方からも言われましたように、私実際にこういう 会に出ていまして、現場の方、特に患者団体の方、医者、それから法律家と、極めて現 実的な現場からこういう問題点があるとか、いろんな問題がここの部会で出ておりまし て、それはどうも科学技術会議のものとちょっと違うと思います。厚生省とこれらの会 の間に、もし違いが起きた場合はどうするかということに関しまして、私の考えといた しましては、今言われましたように、国として、お互いが意見交換・調整して、国民の コンセンサスが得られるような形で、出すということになるのではないかと思っており ます。 ○柴田委員 私が先端医療技術評価部会の委員として審議に参加していて、この問題はいかに難し いかということを痛感しております。もともと難しい問題だとは思っておりましたけれ ども、具体的に現場を抱えていられる方々の意見を聞いていると、皆さんやっぱり微妙 に違うんですね。微妙に違うし、全体が多分満足する解は無いというのが率直な印象で ありますし、そういう難しさがあります。  それから1つは、クローン人間のような、まあまあ将来の問題と、もう医療現場で、 物すごく先に進んでいる出生前診断の問題、もう現実がどんどん先行しているような問 題との幅の広さというんですか、その辺との両方をにらんでいくということを考えると これは気が遠くなるぐらいこれは大変な作業なんだなあという感じがします。先ほど科 学技術会議や文部省というような、むしろ将来へ向かっての話よりは、多分この厚生省 が、現実の、ある意味では現場が先へ進んでいるような部分について書かれている厚生 省の結論というのは一番重いんじゃないかという、その責任をちょっと痛感するんです けれども、ですからこの問題について、私もかねがね20世紀には答えが出なかったテー マだろうと。恐らく21世紀の最大の課題になるテーマだと思うんですが、そこへ向かっ ての筋道というんでしょうか、ですから、それを間違いないようにつけていく。私はあ まり結論をすぱっと割り切っていかない方がいいんじゃないかと思うところが多いんで すね。  例えばクローン人間の問題、イギリスでクローン羊ができたときに、例えばクリント ン大統領やフランスのシラク大統領なんか、いち早く「これはだめだ」ということを、 ものすごく早く表明しましたね。あの反応の素早さについて、うらやましい面もありま すけれども、ただ、それで済むのかなという部分があると思うんですね。ですから、特 に現実の医療現場と将来の研究の両方をにらんでいくとなると、これは簡単にいかない んだということの重みをどういうふうにとらえていくかというのが、率直な私の感想な んです。  ですから結論的に、今のタイムスケジュールというのはどういうふうに、国全体とし てはどういうふうに進んでいるのか、これは御質問の形で、ここまでに出さなければい けないというような部分が私はあるのかどうかということをお聞きしたいんですが。 ○豊島会長 どうもありがとうございます。 ○寺田部会長代理  これは部会長代理としてではなく、私は部会員の一人として、やはりある種のものは 出さないといけないと思っています。例えは学会で多くのものが規定されてますが、こ れは学会でやるべきことなのか、また国として出す場合にはガイドラインとして出すの か、法律として出すのか、そういう大変現実的な問題が目の前にあるわけです。そのこ とに関しては、ある程度の現実に行われていることを、そのままほうっておくわけには いかないとかいう部分もありますし、先生がおっしゃったように、非常に大きな部分、 広い部分を議論しますと、全てが法律化すべきだとか、全てはガイドラインを出すべき だとか抽象的な議論になってしまいます。個別に考え、ある部分に関しては結論めいた ことを出さなくては、現実に物事が先へ進んでいますから、やはりしようがないんじゃ ないかなという医療技術もあると思います。 ○豊島会長 よろしゅうございますか。 ○柴田委員  当然必要だと思うんです、私も。その必要な部分というのを、特に具体的な、こうし ろ、ああしろというよりも、そういうものを進めるための手続きというんでしょうか、 そういうところが多分非常に重要になってくるんではないかと思うんですね。そういう ようなところでは、むしろ時間を切って結論を出しながら、この部分は、まだ今出せな いというのはあるんだろうと。そういうある種のタイムスケジュールは、もし何か国全 体としての方針があるならばちょっとお聞かせ願えればと思います。         ○寺田部会長代理  国全体としてのタイムスケジュールは私自身わかりません。それから、おっしゃった ように、非常にこれは重い問題でして、大部分のところが、方向性としての結論は出る でしょうけれども、こうしなさい、ああしなさいというのはなかなか難しい問題を随分 と含んでおると思います。タイムスケジュールに関しましては、私はちょっとわかりま せん。国全体としてのタイムスケジュールに関しましては、事務局、ございますでしょ うか。 ○事務局(厚生科学課長)  国全体のスケジュールでございますが、決まったものがあるわけではございません。 ただ、今御議論ありましたように、非常に重要な問題でございますので、早急に結論を 出さなければいけない問題も含んでおるように思います。したがいまして、個別的な問 題に応じて、その都度御結論をまとめていただくと、そういうことで進めさせていただ きたいと考えておるところでございます。 ○豊島会長  今、いろいろ御議論ありましたけれども、実際問題としては、例えば国全体の方針と して、国からの研究費は出さないということは三省庁とも足並みを揃えているんですね その次の問題としては、例えば文部省側は、中間答申として、当面はやらないというこ とで、その間に自主規制を検討しようと。将来は、どういう規制が必要かということは 法律論も含めてしなければいけないので、これは全体の問題であるからそこでは結論を 出してない。だから、恐らく、今、寺田部会長代理からお答えになったように、中間的 なものを出して、それから議論を深めていって、もう少し先に持っていくということに なるのではないかと思います。  それともう一つ、国際的に見た場合、例えばアメリカの場合でも、立法措置を大統領 は言っていますけれども、これは議会でも通りませんでしたね。その場合にどういう措 置をしているかということですが、例えば、立法措置でも、時限にして、その時限ごと に見直していこうと。だからやはり議論が深まっていくということを前提にしていると 思うんです。それから現時点では、もう御存じのように、アメリカのベンチャーがやる という旗揚げを表明したときに、もしこれ、医療につながるとしたら、FDAの現在の 規制で、医療関係のことは押さえられるはずだという、現在の法律の範囲でという、そ ういう見解は一部から出ております。それからフランスでは、法律的なところで、今歯 どめがかかっていると。そういうところを踏まえて、議論を深めていくというのが、日 本もそうですし、各国もそうだろうと思います。  次は、寺田委員の方の関係なんですが、やはり厚生省としては、現場における自主規 制的なことか、あるいはそれに対するガイドラインというふうなものを何らかの形でや っぱりやらなければいけないかなという気がいたしますが。 ○寺田部会長代理  私もそのような気がしております。クローン人間は、先ほどおっしゃったように、割 合先の話で、研究としてやるべきかやるべきでないか。それはそういうタイムスケジ ュールがあると思いますが、現実に、例えば生殖医療としまして先端的ないろんなこと が行われているわけですね。遺伝子診断、そういうことに関するどういうふうな考え方 をするかということは、現実の目の前で現場の方がいろいろと苦労なさっていることで す。現場の方という場合には、当然医者だけではなくて、患者さんあるいは患者さんを 持っている家庭の方、そういう方に全体を通じての、ある法律上の言葉は私はよくわか らないんですが、ガイドラインというのか、何か少なくとも報告をする必要があるので はないかなと、私個人としてはそういうふうに思っております。 ○豊島会長 この問題よろしゅうございますでしょうか。それから先ほど内山先生が、御提出にな りました問題点として、ヒト組織を用いた問題がございますが、これに関して何か御意 見ございますでしょうか。 ○寺田部会長代理  今、内山先生がおっしゃいましたように、これは、ヒト組織を、今までは医学部ある いは特に大学の病院なんかでは、割合血液なんかも勝手に採って、ぱっと調べて、それ で研究に使ったというのが現状ですが、それはやはりきちっと患者さんに説明して、ど ういう目的に使うとか、あるいは将来、今は目的がはっきりしてないけれども、こうい う目的に使うんだというインフォームド・コンセントをやはりとっていくのは正当なこ とであると考えています。やはりここの場合も一番大事なことは、まず第一に、患者さ んの命やQOL(クォリティ・オブ・ライフ:生活の質)に被害を与えないということ と、情報の開示、あるいはインフォームド・コンセントが一番大事だろうと思っていま す。  そのために、逆に言いますと、医学の進歩にどれほどマイナスになるか、患者さんの 利益あるいは将来の医療に対するプラスと、現場の患者さんとの間をどういうふうにし てきちっとした形にしていくかというところで、1つは、ヒトの組織、特にヒトゲノム はどんどん進んでいきますと、それの機能を知るとか治療に使うとかになりますと、ど うしてもヒトの材料が必要になってきます。そこの間をどういうふうにきちっとやって いくかというのが大変大事だと思います。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。それから事務局の方からも追加発言がございます。 どうぞよろしくお願いします。 ○健康政策局研究開発振興課長  ヒト組織を用いた研究開発の在り方に関する専門委員会の事務局の研究開発振興課で ございます。2月24日に第1回をやったということで、お手元の資料の26ページに論点 のメモが出ております。まだ1回目ということで、幅広い御議論をと思っておりますが 前回の会議の概略を申しますと、1つは、研究者がかかる試料を使って研究していくと きのいろいろな考え方ということと、そこによって得られた成果をどのように新しい治 療技術、端的に申しますと、新しい医薬品の開発に結びつけていくかというところでの 御議論になっていたかと思います。  それで、組織それ自体が、将来の医薬品として使われるような場合、組織を医薬品の 効能効果の判定に使うような場合というような2つの観点があるということも議論にな っておりましたので、今後そのような論点を中心に議論していくものというふうに考え ております。そういうことで、まだ1回目で、始まったばかりでございますが、今後と も御報告をさせていただきたいと思っております。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。一般的な話としては、これはヒトにおけるテストと か、それから実験動物をかなり縮小できるというふうなポジティブな面がかなり大きい ので、それを踏まえた上でやはり議論していくべきことだろうという論点からスタート していると思っております。ほかに何か。 ○内山委員  私、第1テーマと第2テーマと行ったり来たりした質問ばかりして申しわけないんで すけど、生殖医療のお話をお伺いしていながら、今のヒト組織のこともちょっとお話を 伺っていると、ヒト組織というのは、でき上がった個体の一部を対象にしている。生殖 医療の場合は、今議論になっている先端技術という意味では、これは一応でき上がった 個体ではありますが、どこから倫理的な考え方を適用すべきであるというような議論が できているんだったら、それははっきりとさせておいていただきたいと実は思ったんで す。といいますのは、この生殖医療という中には生殖薬物療法も入るわけです。生殖薬 物療法というのはどこからが生殖薬物療法であるのか。  具体的に申し上げますと、前に戻って恐縮なんですが、「研究利用のあり方」という ところに、受精卵、胚(embryo) 何とかと書いてあります。そうするとこの倫理という のは、どこから適用されているのかなということを、今もちろん結論はないでしょうけ れども、部会ではお考えいただいて、何かそこら辺の考え方というのは明らかにしてい ただけたらありがたいと思います。 ○事務局  内山委員、御指摘の点につきましては、これまで開かれております公聴会におきまし て、幾つかの団体からやはり指摘が出てきております。倫理といいますと、人を対象に したものが基本になると思いますが、どの段階から人として遇すべきなのかということ について、いわゆる欧米等におきましては、14日あるいは原始線条の発現といったよう なものが目安として使われているものが多いという紹介が出ておりますけれども、必ず しも全て法的な規制に基づいているわけでもないようです。国によって非常に厳しいと ころもあり、また、単なる学問的なものとしてとどめられているものもあると聞いてお ります。更には、受精卵を形成いたします配偶子、いわゆる精子、卵子の取り扱いにつ きましても、それをどういった観点、単なる物として扱えるか、物として扱うことは不 適切なのか、これについても非常にさまざまな議論があるということで、先端医療技術 評価部会におきます議論の中でも、今後そういった各団体の指摘を踏まえまして、御指 摘の点についても議論を尽くさなければいけないということではないかと思っておりま す。  また、両者をつなぐ接点といたしまして、ヒト組織としての胎児という考え方がある のかというような点も、議論の中には出てくるのではないかと思っておりますが、いず れにしましても、部会とその中での専門委員会ということでございますので、連携をと りながら議論が進むものというふうに考えております。 ○豊島会長 よろしゅうございますか。どうぞ。 ○内山委員  ありがとうございます。ぜひそこら辺をお願いしたいと思います。といいますのは、 先ほどコンフリクトのお話が出ましたけれども、厚生省の中で、先端医療、生殖医療、 薬物療法の対象となる個体の判断というのは食い違うとまずいですから、そこのところ は余りゆっくりはしていられない事情もありますので、是非、できるだけはっきりした お答えをいただきたいなと思います。 ○豊島会長 以上のところまではよろしゅうございますでしょうか。               (「はい」という声あり) ○豊島会長  それでは次に進ませていただきたいと存じます。次に、研究企画部会において、今後 の厚生科学研究の在り方について検討を進めるに当たり、総会における御意見を踏まえ て行いたい旨、矢崎部会長より御要望をいただいております。矢崎部会長の方から御説 明をよろしくお願いします。 ○矢崎部会長  平成10年度の厚生科学研究費補助金公募研究事業の方針につきましては、昨年12月に は継続事業分について、そして本日新規事業分についてそれぞれ御審議いただきまして その上で御了承いただいたところであります。それとは別に、平成11年度以降、21世紀 に向けた厚生科学研究の中長期的な在り方について御検討をいただきたく必要があるの ではないかと考えております。この点につきましては、3月9日に開催されました、研 究企画部会におきまして御議論いただきまして、さらに4月に開催を予定しております 部会で、引き続きその議論を進めていただく予定となっております。したがいまして、 部会として今後議論を進めるに当たりまして、委員の皆様の忌憚のない御意見をお聞か せいただきたいというふうに思っております。  それでは事務局より、先日行われました研究部会の議論の状況と申しますか、論点に ついて説明をまずいただきたいと思います。 ○事務局  それでは事務局より議論の概要につきまして御説明申し上げます。参考となる資料が 右肩の資料番号4と5でございまして、議論を進めるに先立ちまして、厚生科学審議会 の前身でございます厚生科学会議で研究につきまして2つの提言をいただいております ので、それを若干御説明申し上げまして、その後、自由に御議論をいただいたわけでご ざいます。それでは資料の方につきまして御説明申し上げたいと思います。  資料4、昭和63年9月に厚生科学会議の方で、「厚生科学研究の基盤確立とブレイク スルーのために」という御提言をいただいております。この中で、重点研究分野という ものを定めまして、今後の研究の方向性を御提言いただいているわけでございますが、 その重点研究分野につきまして、概ね5年を目途に定期的に見直すようにということも あわせて御提言をいただいておりましたので、それを踏まえて御議論いただいたものが 資料5の「厚生科学研究の大いなる飛躍をめざして」という資料になっておりますので 基本的なところは、資料4の「厚生科学研究の基盤確立とブレイクスルーのために」と いうもので御説明申し上げ、新しく御議論いただいた分野につきましては、「厚生科学 研究の大いなる飛躍をめざして」という資料5で若干補足をしたいと思います。  資料4につきまして御説明申し上げたいと思います。表紙をめくっていただきまして 1ページでございますが、「厚生科学研究の基盤確立とブレイクスルーのために」とい う御提言の中の、まず左のページの真ん中あたりでございますが、そこで厚生科学とい うものを一応定義をいたしておりまして、保健医療、福祉、生活衛生等のニーズに応え る科学技術分野を「厚生科学」という概念でとらえるんだということで定義をさせてい ただいておるわけでございます。  それから、そのページの下から次のページの上の方までのところに、現在直面をして いるどういう問題があるかということでございまして、左の下の方に「高齢化への対 応」、それから右の方へ行っていただきまして、「高度・多様化するニーズへの対応」 「情報化への取り組み」、次のページでございますが、「国際社会への貢献」、こうい うものを考えていく上での背景ということでございます。  それから2ページでございますが、まず研究体制といたしまして、「厚生省における 厚生科学研究の組織と問題点」ということで、厚生省の試験研究機関が、多くががんと か循環器疾患というような疾病別の縦割となっているということで、相互の連携が少な く、研究者や情報の交流が不十分ではないかという問題点が指摘をされております。  それから「厚生省における厚生科学研究推進の体制」ということでありますが、この 中で、主要官庁では、科学技術政策に関して審議会が設けられているのに、当時の厚生 省には厚生科学会議という形で、審議会ではなかったということです。これは、この審 議会ができ上がったということで対応しているわけでございます。  それから、「研究資金」につきましては充実が必要である。  それから「研究者」といたしまして、厚生省の試験研究機関の研究者の優秀な人材の 確保が重要である等について御指摘をいただいているわけでございます。  それから3ページでございますが、「研究支援体制」ということで、マンパワーであ るとか、良質な「実験動物の供給」、「細胞・遺伝子などの研究資源」の提供、それか ら組換えDNAの実験指針等の、いわゆる「基準・ガイドライン」の策定、そういうも のについて御提言をいただいております。  それから、その次、4ページでございますが、これがこの報告書の一番骨格になる部 分でございまして、「改善のための中長期戦略」ということでございます。  その中の、まず第1番目に、「研究体制の見直し」ということで、「厚生省の試験研 究機関の強化充実」ということがうたわれておりまして、例えて申しますと、長寿科学 研究開発推進のための中核的な施設が必要ではないかということがうたわれております が、これは国立療養所中部病院の方の長寿科学のセンターができ上がったということで 対応している部分もございますし、それから、当時、厚生省の中で、厚生科学研究の推 進を統一的に所管するところがなかったということがありますので、この中に、厚生科 学課が設置されることになっておりまして、厚生省での充実強化が図られるようにとい うこともうたわれているわけでございます。  それから、「研究費予算の増額と民間活力の有効活用」ということでございます。研 究費予算の増額につきましては、第1の議題で御議論いただきましたように、平成10年 度厚生省の科学技術振興費が、5%弱ではございますが、全体で伸びており、また、か なりの研究費につきましては、増額を認めていただいているわけで、かなりの部分が対 応させていただいているところでございます。  それから5ページでございますが、それぞれの「優秀な研究者の確保と活用」という ことでありまして、左側の下の方に、リサーチレジデント制度の積極的な活用というこ とがうたわれておりますが、これにつきましても、この総会で御議論いただきました先 端的厚生科学研究分野の中では、かなりリサーチレジデントの制度が充実をされておる わけでございます。  それから5ページの右の真ん中のところに「厚生科学研究のブレイクスルーのため に」ということで、重点研究分野の設定ということがうたわれております。別添の資料 7ページ、8ページでございますが、「厚生科学研究の主な対象分野」ということで、 大きく「疾病」、「生活の質的向上及び安全性の確保」、「予防・診断・治療技術」、 「福祉」、「厚生科学研究のための基盤的な技術」、「その他」というような大きく6 つの分野に分けまして、それぞれ進めていくべき研究分野につきまして、例示が挙がっ ているわけでございます。  これにつきましては、資料1の「厚生科学の技術関係予算(案)」の中に、新規事業 と従来の継続事業で各研究費の事業が列記してございますが、かなりそのときに提言を いただいたものにつきましては、できる限りの対応が図れるように厚生省の方としても 予算要求をしてまいってきているわけでございます。例えて申しますと、資料の4の7 ページの2番目の「生活の質的向上及び安全性の確保」ということで、いわゆるレギュ ラトリーサイエンスの分野でございますけれども、10年度の予算で申しますと、生活安 全総合研究でありますとか、医薬安全総合研究でありますとか、そういうところで対応 してきているところであるわけでございます。  それから3番目の、「予防・診断・治療技術」というところで申しますと、臓器技術 それから遺伝子治療、そういうものにつきましては、先端的厚生科学研究分野の中の、 ヒトゲノム遺伝子治療研究であったり、それから感覚器障害及び免疫アレルギー等研究 の中での臓器移植に関する研究事業であったりというところで対応をしておるところで あるわけでございます。  こういう厚生科学研究の主な対象分野につきまして、当時の厚生科学会議の方から、 5年を目途に見直しをすべきであるということで御提言をいただいておりましたので、 それを踏まえまして、資料5、平成7年8月でありますけれども、厚生科学会議で、も う一度分野について御議論をいただいたわけでございます。具体的な分野につきまして は、資料5の5ページ、それから6ページの方に表にして記載があるわけでございます 基本的には、先ほど御説明しました資料4の、「厚生科学研究の基盤確立とブレイクス ルーのために」を踏まえまして御提言をいただいているわけでございます。  先ほど御説明いたしましたとおり、かなりの部分が研究費で対応されているわけでご ざいます。資料5の5ページの方、例えて申しますと政策的研究の中の3つ目のマルで ございますが、「保健医療福祉の技術評価(テクノロジーアセスメント)」ということ が言われておりますが、これにつきましては、来年度、10年度の事業の中では、資料1 でございますが、「健康安全確保総合研究分野」の4)に「医療技術評価総合研究」とい うものがございまして、その中で、テクノロジーアセスメント関係につきましては、対 応をしてまいるということでございます。  以上のように、厚生科学会議の中で御提言いただいたものにつきまして、事務局で御 説明を申し上げまして、部会で御議論をいただいたところでございます。  その議論の主な意見につきまして、事務局から御紹介をさせていただきたいと思いま す。まず、厚生省らしい研究、つまり文部省的な基礎研究ではなく、臨床研究や厚生行 政に直接貢献するような研究というものをやはり厚生省として打ち出すべきではないか  または短期間で成果が見える基礎的な研究がどうしても高い評価を受けやすいが、厚 生省としては、長期縦断疫学的な研究や長期のコホート研究のような、5年とか10年と いったような、長期の研究を行う枠組みをしっかり設けるべきではないかというような 御意見がございました。  それから、「国際貢献」というものが提言の中にうたわれているわけでございますが しかし明確な国際共同研究というものがないのではないかという御意見をいただきまし た。  また、厚生省として、情報化への取り組みが、他の分野に比較しておくれているので はないか。  また、実際に重点研究分野等の設定につきましては、従来の提言でほぼ網羅されてい るのではないだろうか。その新しい研究分野の設定ということよりは、提言をいただい たものをいかに実現化するかということが、実際の問題ではないかと。例えば遺伝子治 療ということについて、なぜ日本で行われないのかというようなことも議論をしなけれ ばいけないんじゃないかということもありました。  また、新しい研究分野を設定することのみではなく、今やっている研究を、いかにス クラップをするということが、重要なのではないかということも御意見としてございま した。  それから研究分野とはちょっと違いますが、研究補助員という制度をもっと充実させ る必要があるのではないかというような御意見がございました。  非常にいろいろな意見が出たわけでございますが、その中の一部分の主要な意見とい うことで御紹介をさせていただきました。以上でございます。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。今の御説明に対しまして御意見あるいは御議論ござ いますか。よろしゅうございますでしょうか。今の中に入っているようで入ってないか なというのは、例えば、サイエンス全般の進歩が余りにも速くて、それに社会面でつい ていけてない部分があるのではないか。だから、そういう議論をするときに進めるのが 難しいという感覚があるのではないかということがあると思うんですが、そういう面に 関しても、特に医療面に関しては、やはり厚生省主導型で何かその議論を起こす、ある いは文系の人と理系の人との議論の融和を図るというようなことをやっていただいた方 が、将来の日本にとって必要なことではないかなという気もいたしますが。 ○内山委員  先ほど研究企画部会で出た御意見をずっと伺って、一番最初におっしゃっていただい た厚生省らしい研究というのは当然のことだし、実際には非常に難しいことなんですね 例えば、例示という場合、本文の中の例示もさることながら、別添のテーブルの例示な んていうのは非常に大きな意味があるという気がいたします。それで、どこに厚生省ら しさを出すかということを工夫しないと、読んだときに、これは厚生省らしいなという 感じを受けないわけですね。例えば、これがいけないというわけじゃありませんけれど も、疾病研究というくくりがあります。これはむしろ疾病研究というよりは治療研究と 表現した方が厚生省らしいんですね。どうしても疾病のメカニズム、原因究明というと ころの方が、後の方に言われた短期間で答えが出て日が当たるというところにいきやす い。しかし治療研究というのはなかなか実を結ばない。しかしながら、厚生省がやるべ きのは、そちらの方であるということがはっきりわかるようにされた方がいい。  今申し上げているのは、平成7年の厚生科学会議の御報告の後の方にありますが、そ ういう括りの場合にも一応やられた方がいい。  それから確かに5年ごとの見直しというのは非常に大事であって、今考えてみれば、 平成7年のと、最初のブレイクスルー、ブレイクスルーというのは、もう紙に穴のあく ほど読ませていただきましたから、その2つを見ましても、確かに今、会長がおっしゃ いましたように、現在はいろんな意味での社会事情、医療事情に追いついていかない、 いってない部分もあるなという感じがいたします。それもやはり、今申し上げた、目的 論をはっきりさせた方がいいんじゃないかという気がするわけです。  ごく具体的な例で大変恐縮ですが、これは矢崎部会長も十分お感じになっていらっし ゃる臨床治験なんかの問題ですね。臨床治験というのは、単なる試験であって、学問じ ゃないということはあり得ない。これは、臨床治験というのが治療ではなくて実験であ るという感覚をはっきりと出しておかないと、どうしても日本では臨床治験というのは 定着しない。そういう意味で、医療のためには何が必要か、そのためには何が欠けてい るかという整理をしていただいた方がいいかなという気がいたします。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。他に御意見、はい、どうぞ。 ○寺田部会長代理  そのことに関しまして、厚生省の疾病研究は治療だと言われ、治療のもとになる研究 がやっぱり必要であります。そうでなければ、いわゆる治験で、委託研究だけになる恐 れがあります。また一方におきまして、予防ということは非常に大事なことであります ので、治療ということだけに的を絞るというのはやはりおかしいんではないかというふ うに私は考えます。 ○内山委員 おっしゃるとおりで、私は治療だけに的を絞れとか、あるいは基礎研究は要らないと 申し上げているわけじゃありません。要するに、基礎研究のところだけにとらわれて、 ほかのところと競争をすることだけにとらわれるのはよくない。これは部会の中での御 意見の第1番目に出てきたものですから、それを付言する意味で申し上げたので、予防 が大事だということは当然のことだと思います。 ○寺田部会長代理  もう一つ、どういうんですか、レギュラトリーサイエンスというのが出てきまして大 変これはいいんですけれども、やはりアメリカの場合だとNIHだけじゃなくて、CD Cとか、FDAのようなものがあります。これらは厚生省としては、国民の健康を守る という面では非常に大事だと思います。これらの組織の充実がもう少し強調されるべき だと思います。今ちょっとおっしゃいましたが、日本で非常に難しいのは、いわゆる基 礎の研究から臨床へ入る、場の設定ができてないんですね。ですから基礎研究は非常に いい研究が出てきているんですが、臨床研究ということになりますと、途端に治験とい うことになってしまって、それも製薬会社から与えられたものを一方的にフェーズ・ワ ン、フェーズ・ツーに入っていくことになります。そこも大変大きな問題があるのです が、一方、日本の中で育った研究は、臨床へどうしても持っていけないというのは、新 しい遺伝子・細胞免疫治療とか、いろんな面で新しい治療への取り組みが出てくるので そこを何とか、研究というんじゃないですが、厚生科学としてのシステムづくりという のですか、そういうのがもしあればいいなと考えています。 ○大石委員  今、寺田委員がちょうどいい指摘をされましたが、昭和63年(1988年)と、平成7年 の厚生科学会議で提言はしているのですが、その間にDNAの研究を中心とする基礎科 学の非常な進歩があったわけですけれども、果して本当の意味の厚生科学に十分にそれ を取り入れて、治療も含めたいろんな形で本当に有効にシステムとして動いてきたかに ついては、私は必ずしもそれがうまくいってきたとは思えません。  今、たまたま寺田委員が、アメリカの例を述べましたけれど、アメリカはNIHと云 う、基礎から治療という非常に臨床に近いところ迄対象とする、予算も恐らく1兆2,000 〜 3,000億円と思いますけれども、非常に統一的な組織があったからこそ、ここで議論 になったようなことが非常にうまくいったと思っています。日本の縦割行政の中で、そ れをどのような形で実現していくかは、恐らくここの厚生科学審議会では解決できない 問題を含んでいるにしろ、そのための組織あるいはシステムを日本でつくりませんと、 日本の、いわゆる厚生科学についての相当深刻な問題になるのではないかと私は思って います。  システムが本当に動くような形にしませんと、特に現代のようにDNAあるいは蛋白 の研究を中心とした、非常に急速な進歩がありますと、十分にその成果を実際には使え ないという、かなり深刻な問題がこれからますます顕在していくのではないかと危惧を 持っています。 ○飯田委員 一番初めに会長がおっしゃった文科系と理科系の問題ですが、私、文科系の一人とし て、長年考えていることをちょっと申し上げたいと思います。サイエンスの進歩、つま り理科系が一生懸命やっているのに文科系は何だというおしかりが常にあるような気が するんですね。会長がおっしゃったことがそうであったとは申しませんけれど、私、考 えてみると、全くそのとおりだと思うので、私は文科系で経済学の方ですが、日本経済 はこんなにひどいことになっているのに、何ら建設的な提言をできないでいると思って 非常に恥ずかしく思うんですけれども、同時に、理科系がどんどん進んでいって、大い にやってくださっているけれども、つまり人間の生活に役に立つようになっているのか ということがよくわからないところがあって、その辺を、文科系、理科系がお互いに反 発しあってても何にもできませんから、仲よくやれるようになったらいいなあというふ うに、長年思っております。 ○船越委員  今の先生の話とは直接は関係ないんですけれども、たくさん大事な問題が、今、提議 されたと思うんですが、今までに取り上げられなかった問題として、例えば胎児とか、 これから生まれてくる人間、それからもう既に生まれている人間に対しての、どうする かという話だったわけなんですが、これから人間が生まれてこないかもしれないという 問題が今出されておりますが、つまり環境ホルモンの影響。  この平成10年度の事業の中にも4番目で、「生活安全総合研究事業」という中で、2 番目に、ダイオキシンの次に、内分泌かく乱物質、生活環境中の化学物質が出ています が、それによる健康への影響と安全性ということになっています。今、男性の精子の数 が減っているというような報告があっちこっちで出てて、それに対しての科学的な精確 性が乏しいという批判もあるわけなんですが、こういう政策を立てる場合には、見通し が誤ってはいけませんけれども、やはり甘さということも十分警戒しないといけないと 思うんですけれども、この問題は、どういうふうに考えたらよろしいのかと。  それから今後の厚生科学研究の在り方として、環境ホルモンの問題は、それほど重要 視しなくても大丈夫なのか。もう子孫が生まれてこなくなるというようなことは、科学 的なフィクションなんだというふうに見ていいのかどうか、その辺のことをお願いした いと思うんですが、どういうふうに考えておられるか。 ○豊島会長 どなたか、事務局から。 ○生活衛生局食品保健課  生活衛生局でございます。ただいま御指摘いただきました環境ホルモン、内分泌かく 乱物質の件は大変重要な問題であるというふうに認識しております。そのため、平成8 年から生活衛生局を中心に厚生省としては調査研究を進めてまいりました。実は諸外国 でも、この問題が大きな話題になっておりますことは御案内のとおりでございまして、 OECDや米国等でも話題になっております。そのような現状を踏まえまして、現状が どうなのか、今後どんなことをすべきなのかということを中心に検討するために、本日 でございますが、食品衛生調査会、我々の審議会でございますが、そこで御検討をいた だくということにしております。当面、諸外国の情報を集めながら、また、研究を進め ながらというふうに考えておりますが、今後、長期的にどういうふうに取り組むべきな のかということは、諸外国の状況を踏まえながら、また我々日本としても、厚生省とし ても、この研究を進めながら検討していきたいと考えているところでございます。  また、関係省庁、通産省や農水省、環境庁等、多くの省庁が関係しますので、そこで の情報交換も踏まえながら対応していきたいと考えております。いずれにしても、先生 御指摘のとおり、大変大きな問題ですので、抜かりのないようにしていきたいというふ うに考えておるところでございます。 ○船越委員  今のことに関係しまして、内分泌かく乱物質の1つとしてダイオキシンというものも 注目されておるんですが、ちょっと話が細かくなって恐縮ですが、ダイオキシンの量の 測定方法が非常に困難かつ経費がかかると聞いています。測定装置あるいはそれを測る 部屋からつくらないといけないとか、ですから1件当たり50万とか 100万とか、しかも 前処理の期間を入れますと2カ月ぐらいはかかるんだというようなことだそうです。こ ういう問題が、ダイオキシン等の生物に対する影響の研究を非常に妨げているわけなん ですが、こういった測定方法なんていうような問題が大事なんですが、これは厚生科学 ということにはちょっとなじまない問題なのかということですね。  今の生活安全総合研究事業の中には、人間に対する、あるいは生物に対する影響とい う課題になっているんですけれども、そういう化学物質の測定方法というのは、厚生よ りも、純科学技術の問題ではあるんですけれども、このことが非常にダイオキシンの影 響の研究に大事だと思うんですが、測定方法の研究も厚生研究に含めてよろしいかどう か。 ○内山委員  環境問題あるいは食品衛生、これは今、先生のお話しと関連する分野といいますか、 成因、実態、影響、対策、この4部門がはっきりと押さえられなくちゃいかんというこ とになっております。これは全て厚生省の環境対策、環境衛生の守備範囲。  ダイオキシンの分析等につきましては、もちろん今、先生のおっしゃるとおりですが これは20年ほど前から厚生省でずっとやっておりまして、分析も当然のことながら厚生 科学研究の対象です。ただ、新しい分野だといって入ってくるわけではありません。し かし、非常に地味ではあるけれども、分析技術が進歩しないと、今言いました、成因、 実態、影響、対策、特に影響論ができなくなるわけです。実態もわからなければ影響論 はできないということですから、分析技術はもう日進月歩で進んでおります。これはお 金さえあればというのはおかしいですけれども、施設さえきちっと整えば、今、先生が おっしゃったような費用はかからなくなるわけです。しかし、そういう場所が少ないか ら、それをどういうふうにして増やしていくべきかということは、また別のところで考 えていただかなければなりませんが、国がそれに十分予算を出す必要があるかもしれな いと思います。  先ほど、生活衛生局のお話がございましたが、行政側のお話を先にしていただいた方 がいいと思って実は黙っていたんですが、環境ホルモン等の、環境汚染物質の人間に対 する影響というのは、今、化学物質過敏症まで含めて、昔、特異体質と言われていたも のが、それが先ほどの寺田委員のお話じゃないですけれど、基礎実験でもってメカニズ ムがわかってくるに従って因果関係というのがわかってるわけです。因果関係がわかっ てから手を打ったのでは遅いですね。ですから、本来は、もう一つ前の、2、30年前に 有機塩素系化合物が盛んに言われたり、あるいはフタル酸エステルとか有機錫化合物と いったようなものが非常に話題になって、分析を盛んにやって、その実態と対策だけを やった時代がありますけれども、その時代に言われていたことが取り上げられなかった だけだと私は思います。ですから、これは時代によってウエイトがだんだん重くなって きた。これは絶対に取り上げられなければいけない問題であると思います。 ○豊島会長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。他に何か。 ○柴田委員  話をちょっと戻してよろしいですか。今の話じゃなくて、その前の、飯田委員が言わ れた理科系、文科系問題なんですが、私はちょっと理科系、文科系のとらえ方は、現在 の社会の中には、もう不適合というか、そうじゃないんじゃないかというふうに私は考 えているんですが、かつてはそれで分けられて、かなり理科系なら理科系同士の問題は 互いにわかるという時代があったと思うんですね。ところが今はそうじゃなくて、専門 が細分化されて、もう違う分野の研究をしている人同士というのは、理科系、文科系よ りも、もっと遠い距離ぐらいに離れていて、決して互いにということじゃないと思うん です。ですからこの問題は、理科系、文科系というとらえ方よりは、多分そのテーマを 研究している専門家、専門家集団といってもいいと思います。専門家対非専門家といい ましょうか、その問題について専門家でない人たちという、そういう形のその接点をど うつくるかということなんじゃないかというふうに問題をとらえているんです。  先ほどの生命倫理の問題に戻ると、生命倫理の問題について、その専門家だけで決め てはいけませんよというのが、私は20世紀に出た答えだと思うんですね。その先のこと は、まだ残念ながら、20世紀は答えを出してないと思うんです。これは多分21世紀の課 題だと思うんですが、ですから専門家集団だけで決めてはいけないということまではわ かったんだと思うんですが、そこをどういうふうにスムーズに専門家外の人たちの考え 方なり意見なりが入れられるようなシステムをつくり上げるかというのが、今当面して いる一番難しいテーマだと思うし、多分、厚生科学審議会というのは、そういうような ところの接点の一番大事なところなんじゃないかなと、そんな感じが、私はとらえてい まして、理科系、文科系という感じとは違うんじゃないかという、単なる感想ですけど そこへちょっと議論を戻させていただきました。 ○内山委員  今までの議論と少し離れますけれども、この中に書いてある、2つ気になるところが ありました。1つは、研究者の確保という段落があります。研究者の確保というのは、 いつも議論されている非常に大事なことなんです。研究者の確保というものをどうすれ ばいいかということは、いろんな切り口からお考えていただきたいと思います。研究者 の確保というのは、いろんな言い方がありますけれども、厚生省は、厚生行政に必要な 研究者を平時からある程度養っていただかないと、でないと、これやはり研究者という のは維持できない、確保できないという部分があります。だから、それは、どういう形 でお考えいただいて表現されるかわかりませんが、一応それに御留意いただきたいとい うのが1つ。  先ほど来いろいろなお話が出ておりましたレギュラトリーサイエンスの問題がありま すが、これは、ここで長々と御説明をする時間はないんですが、一言で言って、予測と いうことが、これは実は厚生科学の将来に対して非常に重要なことになってくるだろう と考えられています。影響予測もさることながら、効果の予測、いろいろな意味での実 験、事実をもって実証するんではなくて、予測をするということをちゃんとやるような ところを開拓しておかないと何もできなくなるということです。要するに因果関係がは っきりしないけれども、どういうふうになるだろうということを予測して、そして厚生 行政の上に生かすというところができなければならないということですね。従って、予 測というものの重要性を何か考えていただきたい。予測のためには情報化も必要ですし 比較、判断というようなことも必要ですし、先ほど来出ておりますヒト組織を使うこと も必要ですし、いろんなことが予測のために必要になってくるんだというふうに私は思 います。 ○豊島会長 今、柴田委員のおっしゃったことと内山委員のおっしゃったことは微妙に絡んでいる と思うんですけれども、研究者の養成も入れて、やはり社会環境というのが非常に大き な問題になっている。例えばこれは文部省の学術審議会とかいろんなところでもよく問 題になるんですが、教育から必要だろう。今の教育でいいのだろうかという話はよく出 てきまして、例えば、今の理系、文系という境は本当はあるのがおかしいとおっしゃる のと、そのとおりだと。両方ともサイエンスですから、そのときに、文系の人は、例え ば理系の勉強をしなくていいという今の考え方はおかしいんじゃないかと。同時に理系 の人が、文系の勉強をしなくていいという考え方もおかしいという基本線がどうやって 達成でできるかというふうなことが問題になります。それがまた今の縦割行政だと困る 例えば、教育と研究とが別々に動いているようでは困るという話にもなってくるわけで すが、その辺の問題まで含めて、大きく境界を超えた連携が必要になっていくんじゃな いかというのが、21世紀の課題じゃないかなと、私どもは感じておりますが。何かほか に。 ○曽野委員  私は算数ができないのでやむなく小説家になったんで、その思いがずっと今まで残っ て、僻みを持ちまして、僻みが非常に世の中で大切なものだというのを、小説家になっ てまた再確認いたしましたという、根性のねじ曲がった生活を送ってきたんでございま すけれども、今、決しておっしゃることに反対するわけじゃないんですが、理科系も文 科系のものを学ばねばならないというときには、ちょっとお世辞がございまして、文科 系が理科系を学ばなければいけないときには割と実感があるんですけれども、理科系の 人が文科系を学ばなければいけないときは、ちょっと無理して言っているんじゃないか なと、私はあまり信じない。これはまた根性のねじ曲がった人間の余計な邪推だろうと 思うのでございます。  ちょっと別の例になりますが、私は今朝、エッセーを書いて来たんですが、この間、 法務省で、人権擁護推進審議会というのがございまして、そこにいまして、私は、やた らに疲れたんですね。精神の酸欠状態のような、どうせ私は会議が嫌いだから、会議が 嫌いだというだけのことで疲れたんだろうと思っておりました。玄関出まして考えまし たら、「人権」という言葉に、私たちは溢れかえったんですね。4時間ぐらいの長い会 議だったんですけれど、人権、人権、人権……何回あったか、ちょっと数えたらおもし ろいと思うくらいに「人権」があった。  しかし愛について一人も語らなかった。それは驚くべきことでございまして、それで 私は、そこでもう一つ僻んで、今さらいい年をして、いい年こいてというんですか、そ ういうときに、愛のなんのと、こんなところで言ったら笑われるだろう。しかし、触媒 のようなものでございまして、つまり人権というのは、請求するものでございます。愛 というのは能動でございます。パッシブボイスとアクティブボイスの問題で、全然違う もんなんです。組織は愛を考えることができない。やはり個人の、それは問題でありま す。  そういう意味で、私はこの問題、どっちが優位か劣位かなんていうことはちょっと考 えられない。本当に恐ろしい両者の関係を持っていると思うんでございますね。ですか ら、今日いただきました参考資料2なんていうのは、これで私は短編小説幾つか書ける んじゃないかと思うほどすばらしい資料でございまして、ちょっと拝読していただけで ございますけれども、先ほど予測ということを先生おっしゃいました。私の考えによる と、私は文科系以外の何者でもない人間でございますけれども、人生で予測で狂わなか ったことは1つもないと思いますね。すべて狂ったと私は思っているんです。だから予 測はしない方がいい。ずるいから絶対予測だけはしない方がいい。それは、だれかの予 測が悪かったというんじゃなくて、なぜ狂うかということ。そして狂ったことにどうい う意味があるかということを考えるのが文科系の仕事のように思われてきたんですね。 その辺のところを、今申しましたように、そこで分けてはいけないとおっしゃる飯田委 員やその他の先生方のおっしゃることは本当でございまして、夢、自分のフィールドで すべてを解決できると思ってはいけないというおそろしい問題があるんじゃないかとい うふうに思います。何か大変漠然としておりますが、一言感想でございます。 ○内山委員  議事録に言葉だけ残りますと問題がありますので、予測は絶対にしてはいけないとい うところだけ残ってしまいますと、非常に厚生行政に。 ○曽野委員  それは私が言ったんでございまして、内山委員がおっしゃったんじゃないですから大 丈夫です。 ○内山委員  私が申し上げたことに対する御意見として残りますから。おっしゃるとおりの論理は あると思うし、確かにそのとおり。なぜかといいますと、科学をやっている人間が、今 までさんざん言われてきたことは予測をしてはいかんということなんです。実験に基づ いた実証的なことだけ言えと、これは我々がずっと何十年来言われてきました。ところ が厚生省らしいと、先ほどから議論がありますけれども、厚生省は、実は物を言わない 人、あるいは国民の大多数を守らなければならんという責任がありまして、そのために は、実証されたことだけをやっていると、これは正に、船越委員が言われたように、子 供が生まれなくなってから慌てなくてはいかんということになります。従って、その予 測というのは、これは当たらないことが非常に多いことがわかっておりますけれども、 その予測の正確さをどうやって高めるかという研究が欲しいと、先ほど来から申し上げ ているのです。予測の正確さを高めることによって厚生行政の信頼が高まることになり ます。  これは私がタバコ問題で散々苦労しておりますから、そういうことで申し上げるんで すけれども、影響があるとかないとかいうお話が出てまいります。ですからこれが、因 果関係がはっきりしないうちは、ものを言うべきでないと言われますと、大変具合の悪 い、厚生行政としては非常に力の出しようがない問題が起こります。すべてが未然防止 先ほど寺田委員が言われた、予防が大事だということ、正に未然防止でございますから その辺だけを申し上げておきたいと思います。 ○豊島会長  よろしゅうございますでしょうか。今の予測の問題ともう一つは人権と愛の問題をお っしゃいましたけれど、実際、人権と愛の問題というのは、例えば私たちの立場から言 いますと、人権とその裏腹にある社会的責任をどういうふうにとるかという問題になる と思うんです。非常に具体的なことを1つ挙げてみますと、例えば人権を守るために、 今、医療においてはインフォームド・コンセントが大切である。インフォームド・コン セントをするためにはお医者さんは情報を持っていなければできない。情報を持つため には、人の資料ですね。その人の病気の経過、病気の治療による経過、それを情報化し たものを使わないとインフォームド・コンセントできないわけです。そしたらある人は インフォームド・コンセントは受けたいけれども、自分の情報の提供は拒否するという ことになりますと、その人は社会的責任はとらないけれども、自分の権利は行使したい ということになると思うんですね。  この場合に、それを、今おっしゃった「愛」という言葉で置き換えてもいいんですけ れども、もし、人間社会に対する愛があれば、どこかで自分の情報は提供してもいい。 自分の名前が特定されないという条件がつくと思いますけれども。だから、その辺の問 題というのは、やはり先ほどから申している理系と文系が一緒にならなければいけない というのは、その辺のことを統合したことが、社会的な教育として前に出てくるべき時 期にきているんじゃないかなというのが1つの問題です。  それから、先ほどの予測の問題ですけれども、これは、実は、今のサイエンスと称し ているところは、基本的には予測の上に成り立っています。予測したことが本当かどう かを実証していくという過程がサイエンスで、予測がなくて、ランダムにやったことと いうのはサイエンスにはならないのです。ですから、そういう意味では、理系と文系の 対立があるのかもしれないのですが、これもやはり将来問題としては、サイエンスがこ れからどうあるべきかということを、専門家だけがやってはいけない。もう少し全体と して考えたサイエンスの進行方向というのが議論されなければいけないんじゃないかと いうことも最近は言われ出しておりますので、その意味では、境界がなくなった方がい いんじゃないかと、これは私見でございます。 ○曽野委員  ちょっとだけつけ加えさせていただきますと、予測をしてはいけないとか、そういう んじゃないんでございますけれども、予測が当たらないと困ると思う方と、予測が当た らなかったことが楽しいと思う人間がいるということなんです。それで、さらに新婚の 夫が結婚するときに、「一生お前を愛するよ」、そういう場面を書くわけですね。そう すると小説家は、それから半年もしないうちに、妻にキッスして玄関出て、そこで初恋 の女に逢った、そこで変わるという、これを喜んで書くわけでございます。決してそれ は誓いがむだだとか、そういう科学的なものがいけないというんじゃないんですけど、 それに非常に大きな人生の意味と申しますか、そのマイナスの地点に私どもは意味を見 出そうとして、少なくとも小説家なんかていうのをやっているわけでございまして、そ れが大きな流れだとは全然思ったことがない。傍流の小さな支流の、また支流という、 人生の1つの流れだということはよく存じておりますのですけど、そういう立場だとい うことなんでございます。 ○寺田部会長代理  今のお話大変おもしろく聞かせていただきました。リスク・アセスメント(危険度の 評価)ですか、あるいはエフェクティブネス・アセスメント(効果の評価)ということ は、医療とか公衆衛生の対策をやるときに一番大事になると思うんです。この場合、1 人ひとりではなくて団体として集団として扱う場合その重要性は増します。一番日本で 難しくて欠けているのは、先程システムに返りますけれども、いわゆる疫学的なデータ ベースをつくるポピュレーション(人口集団)が殆ど無いことです。幾ら動物実験をや っても疫学がないから、非常に程度が低い話と言われるかもわかりませんけれど、例え ば外国の専門雑誌にそういうデータを出しても、まず殆ど受理されない。もう非常に数 少ない限られた集団でしかできないから信用してもらえない。全日本を扱った、しかも 病気でない人を、50年前の、例えばの話、ダイオキシンの血清の濃度はどのぐらいあっ て、それが実際に50年後にはどういう病気が発生したかという人口集団がありましたら かなり説得力があって危険度測定ができますがそれが何もない。そういうやっぱりシス テムづくり、これはやはり厚生科学の中で大事じゃないかなと常に思っていまして、ち ょっとここで発言させてもらいました。これは新しく開発した薬の効果測定も日本で困 難で企業の方が、第1相・第2相を日本で厳格にやることはもう不可能になってきたと 感じています。そういうことも含めまして、やはりちょっとシステムのことも考えなく てはいけないんじゃないかなという感じはしております。 ○船越委員  別に特別なことじゃないんですが、理科系、文科系ということはおもしろい問題なん だなと思っただけで、つまり、私たち理科系の者が、予測と言われると、推計的予測、 推計学に基づいた予測だとピンとそう思うんですが、ところが文科系の方はそうじゃな くて、全くの予測じゃなくて予想というんですか、キスするかどうか、これは予測じゃ なくて、私たちは、それは単なる予想というふうにいうんで、予測「測」という字が入 りますと、これはきちっとした測定結果に基づいた、いわゆる推計学、推測的統計学の 話だとこうくるので、これはなかなかおもしろい問題だと思っただけでございます。 ○飯田委員  今の問題ですけど、経済学の方では、少なくとも科学的な予測らしきものを随分やっ ておりますけれど、ほとんど当たったことがないというのが私の印象です。 ○船越委員  景気予測が甘かったということで、今、大変政府が苦境に立っていますが、将来の出 生率の問題もあまり甘く見ない方がいいんじゃないかと思います。 ○豊島会長  だいぶ時間がたってまいりました。まだ少しございますが、何か特にここで御発言さ れること、ございますでしょうか。あるいは事務局の方で何か。 ○事務局  先ほど、当初御議論いただきました平成10年度の新規事業に関する方針の件でござい ますが、表題にありますとおり、平成10年度の事業ということでございます。ただ今、 現在この予算案につきましては国会で御審議が進んでいるところですが、当初よりも若 干遅れて審議が行われているということがございます。従いまして先ほどお認めいただ いた答申を、厚生省として正式に頂ける時期は、いささか先、すなわち平成10年度予算 案が国会で御了解いただいた後になろうかと思います。もし万が一、国会での御審議の 中で、政府案の修正が行われました場合、まことに申しわけないことではありますけれ ども、もう一度御議論いただくような可能性もあるということを御報告をさせていただ きたいと思います。事務局からは、以上でございます。 ○豊島会長  どうもありがとうございました。それでは今のことを御了解の上で、今日はお認めい ただいたということにさせていただきたいと存じます。他に特にございませんようでし たら終わりにしたいと思います。 ○矢崎部会長  長時間にわたりまして極めて貴重な御意見をいただきまして大変ありがとうございま した。実は私どもは、21世紀を目指して厚生科学のあるべき姿ということで、もう少し グローバルな、夢みたいな報告ということでしたけれども、きょう大変重い多くの課題 をいただきまして、これをどういうふうにまとめていくかということを、今後部会で議 論を積み重ねて、また、この審議会に御報告したいと思います。今後ともよろしくお願 いいたします。 ○豊島会長  どうもありがとうございました。本日の審議は、時間も参りましたので、これで終わ らせていただきます。どうもありがとうございました。 問い合わせ先 厚生省大臣官房厚生科学課 担 当 岡本(内線3806)、坂本(3804) 電 話 (代表)03-3503-1711 (直通)03-3595-2171