98/03/11 食品衛生調査会毒性部会・添加物部会合同部会議事録 食品衛生調査会毒性部会・添加物部会合同部会議事録 日 時:平成10年3月11日(水) 14:00〜15:00 場 所:中央合同庁舎5号館  7階  特別第1会議室 出席者 部会委員:五十嵐委員、江角委員、黒川委員、近藤委員、高仲委員、           戸部委員(座長)、成田委員、林委員、三森委員、山崎委員 厚生省:黒川食品化学課長他課長補佐以下5名 ○中垣補佐 お2人の委員が遅れられておるようでございますけれども、ただいまから食品衛生調 査会毒性部会と添加物部会の合同部会を開催させていただきたいと存じます。  本日は毒性部会が10名中現時点で5名、添加物部会が委員10名中5名御出席いただい ておりますので、本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。 また本日は添加物の規格についても御審議いただきますので、臨時委員の山田委員に も御出席をいただくということでお願いをしてありますが、ちょっと遅れられているよ うでございます。 まず開催に当たりまして、小野生活衛生局長が本日国会の予定でどうしても出席でき ないという事情がございますので、黒川食品化学課長の方からごあいさつ申し上げます ○黒川食品化学課長 それでは生活衛生局長のごあいさつを代読申し上げます。 食品衛生調査会毒性・添加物合同部会の開催に当たりまして一言ごあいさつ申し上げ ます。 本日は委員の先生方にはお忙しい中、食品衛生調査会毒性・添加物合同部会に御出席 いただきまして誠にありがとうございます。  また平素より各専門分野におきまして食品衛生行政にお力添えをいただき感謝してお ります。食品分野におきましては、腸管出血性大腸菌O-157 による食中毒あるいは狂牛 病などの新興再興感染症、ダイオキシン類などの化学物質による健康影響など健康危機 への対応等種々の問題点が顕在化しております。このような背景を踏まえまして、食品 衛生調査会常任委員会において、今後の食品保健行政の進め方に関する検討会を設け食 品衛生行政の新たな課題、必要な施策の取りまとめなどを行っていただいているところ でございます。 本日は平成9年5月に諮問いたしましたグルコン酸カリウム及びグルコン酸ナトリウ ムについて、分科会の報告に基づきまして、その指定について御審議いただきたいと考 えております。国民の健康の確保という食品衛生行政の所期の目的を達成するため、先 生方の忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げます。 ○中垣補佐  それでは以下の議事進行につきましては、慣例に従いまして戸部毒性部会長にお願い したいと存じます。 ○戸部部会長  それでは本日の審議に入らせていただきます。本日は毒性部会・添加物部会合同の部 会でございまして、お忙しいところを御出席いただきまして誠にありがとうございます 御礼申し上げます。  それでは審議に入ります前に、事務局から本日の資料の確認をお願いしたいと思いま す。どうぞよろしくお願いいたします。 ○中垣補佐  本日はあらかじめ送付させていただいた3つの資料及び本日お手元にお配りいたしま した3つの資料を用意しております。  具体的に申し上げますと、資料1が「食品添加物の新規指定の可否に関する食品衛生 調査会の諮問について」という1枚紙の資料、資料の2が藤沢薬品工業から提出されま した「グルコン酸カリウム及び同ナトリウム指定要請資料(概要)」、資料の3が「食 品添加物の指定に関する分科会報告について」、資料の4として本日お配りさせていた だいておりますのが、平成8年に食品衛生調査会の答申をもとに策定いたしました「食 品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針」の抜粋、資料の5が「タール色素の製 品検査について」、資料の6が「食品衛生調査会の公開について」という常任委員会の 決議でございます。  以上の6つの資料でございますが、お手元にない、あるいは乱丁がございますればお 申し出いただきたいと思います。  もしよろしければ、資料の6に従って食品衛生調査会の常任委員会の決議について御 説明申し上げたいと思います。  食品衛生調査会の公開につきましては、既に食品衛生調査会としても御決議いただい たいる訳でございますが、平成9年4月21日に新しく常任委員会で決議があったところ でございます。その内容を従来の決議との変更点というところで申し上げますと、3. 「会議の公開」のところでございます。即ち、(1) 総会は原則として公開する。ただし 委員長は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著 しい支障を及ぼすおそれがある場合又は個人の秘密、企業の知的所有権等が開示され特 定の者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがあると認める場合、その他非公 開とすることについて正当な理由があると認める場合については非公開とする。即ち、 原則公開という形になっています。  また(2) が常任委員会及び各部会、本日の毒性部会及び添加物部会というのも各部会 に当たる訳でございますが、これも(1) と同様とするという形になっております。この 決議に従いまして本日も公開という形で進めさせていただいておるところでございます 2ページをごらんいただきますと、4.に「議事録の公開」というのがございまして (1) 総会の議事録については、発言者氏名を記した上、公開する。ここにただし書きが ございまして、非公開にすることについて正当な理由があると認める部分を除き公開す るという形になっております。また(2)に常任委員会及び各部会についても、それと同 様とするということでございますから、本日の部会につきましても発言者氏名を記した 上で正当な理由があると認める部分を除き全面的に公開をさせていただく。勿論、事務 手続きから申し上げますと、出席いただいておる委員の方々に議事録の案を配付させて いただいて、チェックいただいた上で最終的に公開という形にさせていただきますけれ ども、議事録を公開させていただくということを御了承いただきたいと考えております 以上でございます。 ○戸部部会長 ありがとうございました。 何か質問ございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。 それでは審議に入らせていただきます。本日は「グルコン酸カリウム及び同ナトリウ ムの指定について」という審議項目でございます。この件については昨年、つまり平成 9年5月16日に厚生大臣より当食品衛生調査会に諮問がございまして、同日付で付議さ れたものであります。部会での本日の審議の前に分科会において既に審議をいただいて おります。部会長宛に分科会の報告が出されておりますので、事務局からまずこれをお 読みいただいて、その後、分科会の座長でございます黒川先生から若干の補足説明をい ただくという手はずにしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。       (資料3「食品添加物の指定に関する分科会報告について」朗読) ○戸部部会長  ありがとうございました。 分科会の報告を読んでいただきました。黒川先生、恐れ入りますがお願いいたします ○黒川委員 それほどはございませんけれども、2ページ目をごらんいただきますと、この分科会 は11名で構成されておりまして、今、御説明になった各専門分野の方々でございまして 昨年6月、それから1月と2度開催いたしました。  それで安全性のところでございますけれども、第1回の分科会におきまして、反復投 与試験、ラットの強制経口28日間で認められた前胃の変化というのがちょっと気になり ましたもので、分科会といたしましては、5%を上限とした混餌28日間反復投与試験を 要求しておりました。それが出てまいりまして、1月に審議いたしまして、その結果、 毒性学的に特に問題とするものではないという結論に至っております。 それからビーグル犬の方でも、28日間強制経口投与試験のグルコン酸ナトリウムで、 消化器症状、下痢、軟便が見られておりましたので、比較対照として、いわゆる食塩を 使って追加試験が行われて、それは両方とも同じような所見でありますが、高濃度で認 められたので、特に問題にするものではないというような結論に至っております。その 辺が分科会で特に問題になったところで、あとは今の御説明で御理解願えたかと思いま す。 ○戸部部会長  ありがとうございました。分科会の御報告は以上のとおりでございます。 ○中垣補佐  後ろから2枚目の別紙3、先ほど事務局で分科会報告を読めということでございまし たが、別紙3は図になっておりますので、読むことが出来ませんので、簡単に御説明申 し上げたいと思います。 別紙3がグルコン酸カリウムの規格案を分科会で整理していただいたものでございま すが、一番左側が分科会における案、その次のカラムが日本薬局方外医薬品成分規格と 申し上げて、医薬品の分野で用いられておる規格でございます。その次がFAO/WH Oの規格、最後がFCC、これはアメリカの学術団体がつくっております規格でござい まして、アメリカで広く用いられているものでございます。これとの比較表を作成して いただいておりますけれども、分科会におきます審議におきましては、FAO/WHO の規格を中心に考えていけばよろしいのではないかというような御結論でございまして 大きなところを御説明申し上げますと、含量が97から103% 、また確認試験で申し上げ ますとカリウム塩の反応、あるいはフェニルヒドラジンとの反応、また純度試験で申し 上げますと、溶状あるいは不純物として混入する可能性のある重金属、ヒ素、鉛、還元 糖の規格がつくられております。この中でヒ素の規格が提案されておりますが、4.0 μg /g 以下ということで、一見いたしますと、FAO/WHOの3mg/kg 以下ということと 合わないような感じになっておりますけれども、括弧の中を見ていただきますと、我が 国は従来からAs2O3 として設定してきておりますので、これをヒ素として換算するとF AO/WHOの規格に合うということでございます。また、定量法はいずれも過塩素酸 滴定を使っておりますので、その過塩素酸滴定を利用しております。 その次のページ、別紙3−2が同じくナトリウムの規格でございます。ナトリウムの 規格は基本的にはカリウムの規格とほぼ同様に整理がされておりまして、ただ、確認試 験の方は当然のことながらナトリウム塩の反応を、ここではカリウム塩の反応にかわっ て使っております。定量法あるいは純度試験の不純物の規格はカリウム塩と全く同様で あるかと思います。 以上でございます。 ○戸部部会長  ありがとうございました。  山崎先生どうぞ。 ○山崎部会長 分科会からの報告に対して、私も全く異議はございません。ただ、これは蛇足的な意 見になるかと思うんですが、今までグルコン酸の塩としてカルシウム、亜鉛、鉄、銅が 食品添加物として認可されている訳ですが、ここで問題なのは、グルコン酸自体の安全 性というのは問題がなくて、イオンの方の問題が若干出てくるかなと思うんです。例え ばカルシウム、亜鉛、鉄、銅の場合には、それぞれのイオンの強化剤という形になって いる訳です。カリウム、ナトリウムの塩の場合に、これは減塩食品の製造ということに なっておりまして、事実上これは効果が出ている訳なので、これに関しては先ほど申し 上げたように、全く私も問題はないと思っておりますが、表現上の整合性と申しますか カリウムとナトリウムを、及び銅、ナトリウムというふうに同一に扱っていて、減塩食 品という目的と合致するかどうかというところに、先ほども申し上げたように、若干蛇 足的な心配がありましたので、その辺についてちょっと先生方の御意見を承れればなと 思いますが、いかがでございましょうか。 ○戸部部会長  いかがでしょうか。 ○中垣補佐  分科会におきます御議論の中でも、その点について議論があったことを覚えておりま すが、端的に申し上げますとこの分科会報告書、ページ数を振っていなくて誠に恐縮な んでございますけれども、上から4枚目のところ、即ち5の「有効性」のところでござ いまして、本来であれば、分科会の委員でございます山田先生の方からお答えいただく のが一番いいんだろうと思いますが、遅れておられますので、分科会の議論を思い出し ますと、ここでパンへの利用、あるいは味噌、醤油への利用、魚肉すり身への利用とい う形になっておる訳でございますが、いずれも重量比で、例えば食塩の25%から100 % 代替していくということになりますと、その中に入っておるナトリウムの量というのは 言わずもがなのことでございますが、分子量の比でございますので、結果的にグルコン 酸ナトリウムが分子量が多いためにナトリウムとしての摂取量は減る。それは確かにグ ルコン酸カリウムの方が当然ながらナトリウムが入っていないということはありますが グルコン酸ナトリウムにしても分子量的には減るんだろうという御議論があったという ふうに覚えております。 ○山崎部会長 おっしゃるとおりで、私もこれの減塩効果というものについてはここに書かれている とおりだと思うんです。ただ表記の問題でナトリウム、カリウムを同等に表記して減塩 ということで、これが余計なコメントを呼ばないかという心配があったので、余計なこ とを申し上げた訳なんです。効果としてはおっしゃるように、ここで減塩効果が出てい る訳ですね。 ○戸部部会長 山崎先生のコメントをいただいて、仮にこの部分を御趣旨に合うように若干修正する というふうに考えるとどうでしょうか。 ○山崎部会長 私も考えてみたんですが、修正というのは難しいのではないかと思うんですが、いか がでございましょうか。何か知恵があったらばと思って先生方の御意見を伺った訳なん です。そのことを踏まえて、このとおりにするという以外にないのかなという気も実は したんです。ここでナトリウムとカリウムの塩を分けるということも難しいですし、ど ういう表現の工夫があるかと思ったんですが、これは事務局の方で何か御名案あります か。私はちょっと難しいなと思いつつ、今、余計な発言を申し上げたんです。 ○中垣補佐  事務局なりに解釈いたしますと、先生の御発言はより正確に減塩ということであれば 減塩と書くべしという御意見だろうと思いますから、それを踏まえて考えますと、この 5の「有効性」の3行目のところ、「なお」で始まる段落がございますが、なお、食品 製造時に使用される食塩の一部をグルコン酸カリウム及び同ナトリウムで代替すること により、グルコン酸カリウムの場合は勿論、グルコン酸ナトリウムの場合においても、 その分子量の差から食品からのナトリウムの摂取量が低減されるものと考えられるとい うことを、正確に「カリウムは勿論、ナトリウムは分子量の差から」という形で表現し たらいかがかと思いますが、いかがでございましょうか。 ○山崎部会長 私としては大変結構だと思います。 ○高仲委員 この場合、ナトリウムとカリウムを同じに扱っておられるようですが、カリウムを食 品から減らさねばならぬ必然性というのはあるんですか。そういうようにとれるんです が、現実にはカリウムとナトリウムを併せて入れてナトリウムを減らすということのよ うに思うんですが、カリウムを食品中から減らす必要性があるかということなのですが 今までの添加物の流れを見てみますと、塩の中から摂取するナトリウムを減らすために カリウムに置き換えてきている時代がありますね。そういう点からすると、ここでまた 更にカリウムを減らさねばならんというようにもとれるんですが、そこがよく分かるよ うに文章を修正された方がいいと思います。 ○中垣補佐  恐らく口頭で申し上げたので、若干の不手際があったのかなと思っておるのでござい ますけれども、今、山崎委員の御趣旨を踏まえた案を申し上げさせていただきましたが この結論というのは、ここのなお書きにある結論、即ち「食品からのナトリウムの摂取 量を低減されるものと考えられる」というところでございまして、カリウムについて触 れるものではありません。即ち、もう一度正確に申し上げますと、4行目の「代替する ことにより」の後に、「グルコン酸カリウムの場合は勿論、グルコン酸ナトリウムの場 合にも、その分子量の差により、食品からのナトリウムの摂取量が低減されるものと考 えられる」ということで、いかがだろうかと思っております。 ○戸部部会長  思いつきですけれども、5. は有効性ですね。そうすると、最初の2行の後に1、2 3とこれは正に有効性だと思うんですけれども、今の「なお」以降は有効性ではなくて これをすることによって起こるセカンダリーの効果というような感じもするんです。で すから、むしろ、なお書きは後に入れるか、あるいはもう一つ(4) とするか、冒頭にこ れがあるとちょっと位置づけとしておかしいかなという気がいたします。その方が今の 御議論を受けて分かりやすいんじゃないかという気がします。どうでしょうか。私の意 見ですが、もし反対がなければ、そうさせていただこうかと思います。場所をちょっと 事務局の方で御検討いただいて、少し後に持ってきたらどうでしょうか。文章は今、中 垣補佐がおっしゃったような文章にさせていただくということでよろしゅうございまし ょうか。 ○中垣補佐  それでは5の末尾に持っていかせていただきます。 ○林委員 5の末尾というとどこになりますか。 ○中垣補佐  「上記を含め別紙1に示した試験成績が提出されている」。これの後に段落をかえて 持っていかせていただくことになろうかと思います。 ○戸部部会長  それでは今、山崎先生からいただいた御意見についてはこれで終わらせていただきま す。  そのほか問題点はございませんか。 ○成田委員 1つだけちょっとお伺いします。グルコン酸カリウムの方もナトリウムの方も純度試 験の溶状のところで、「ほとんど澄明」と書いてあるんですけれども、完全には溶けな いということなんでしょうか。完全に澄明じゃないということなんでしょうか。薬局方 の方は1→50ですから、それは澄明になっていますけれども、1→10だと、ちょっと濁 るということなんでしょうか、ちょっと引っかかるなと思います。 ○中垣補佐  この資料の10ページ目をごらんいただきますと、理化学的性状というのが書かれてお ります。1)グルコン酸カリウム、2)グルコン酸ナトリウムというふうにありまして、こ こを見ますと溶解性は、例えば水ですと1gを解かすのに1ml未満、ナトリウムで2ml 未満で溶けるという形になっておりますが、実際に試験は国立医薬品食品衛生研究所の 方でやっていただいておりまして、山田委員がもうじき来られると思いますので、ほと んど溶けたのか、何か残ったのかという事を、ご説明いただこうと存じます。濁度試験 の方から申し上げますと、「ほとんど澄明」というものが定義されておりまして、浮遊 物などの異物の混入をほとんど認めないという形で定義されておりますし、公定書の規 格の中では幾つかの例で、この言葉が使われておりますけれども、実際にどうなったの かというのは、試験をしていただいた山田委員の方から御説明いただくのが一番いいか と思います。申し訳ございません。 ○戸部部会長  少し待っていただいて。  そのほかどうぞ。 ○三森委員 分科会報告の3ページ目に、JECFAのことが書いてございます。1974年にAD I50 mg/kg が設定された後、86年にグルコノデルタラクトンについてはADI特定せず との経緯がありますが、藤沢薬品工業の資料を見ますと、今年の6月に新たにJECF Aでこの塩類についての評価がなされるということになっています。これは今回、日本 が先にナトリウムとカリウム塩についての評価をしてしまうと理解してよろしいですね JECFAに提出される資料は、今回の本調査会に出されている資料と同じものなので すか。それとも別のものが提出されるんでしょうか。 ○戸部部会長  どうでしょうか。 ○中垣補佐  JECFAに提出されます資料は、基本的に今回の資料と同じものだと思います。ま た、分科会報告にも書いていただいておりますように、74年にグルコン酸類、この場合 には当然グルコノデルタラクトンも含む訳でございますが、グルコン酸類についてJE CFAは評価をした。その後86年にグルコノデルタラクトンのみ評価をした訳でござい ますが、74年の経緯から言うと、グルコン酸類全体として評価をしておって、その中の 1つにグルコノデルタラクトンがある。86年にはグルコノデルタラクトンだけを評価し た形になっておるということで、実を申しますと私どもの方もJECFAの事務局とど ういうふうになっておるんだろうかと、86年はグルコン酸類全体を評価したことになる のではなかろうかというようなことを言いましたところ、それはある面でいくとそのと おりではなかろうか、至急、次の議題にかけるというような返答があったというような 次第であります。 ○三森委員  そうしますと、次回6月にあるJECFAにおきましては,グループADIのような 形でこれらの物質全てにADI特定せずという形の評価がなされる可能性が強いという ことですね。 ○中垣補佐  非常に厳しい質問でございますが、JECFAの担当と話している上では、そういう ニュアンスでございます。 ○戸部部会長  今の三森先生の質問に多少関連があるかもしれませんが、この安全性試験の中で唯一 議論があるとすれば、ラットの前胃の変化かもしらぬというふうに思います。先ほどの 黒川先生のお話でもそういう点が指摘されました。このデータに基づいて、JECFA の議論が今までなされているというふうに理解してよろしいのでしょうか。そして、分 科会で追加のために混餌の試験を指示されて、その結果がこの1月にまとまったという お話でした。したがって、そのデータは当然JECFAの議論には入っていない訳でご ざいますが、最初の前胃の変化についてのデータというのはJECFAも織り込み済の 評価というふうに考えてよろしいでしょうか。  事務局に調べていただいている間、ちょっと思い起こすことがございます。それはB HAという添加物の保存料について、かつてラットの前胃に扁平上皮がんが起こるとい うことがございまして、そのことでJECFAにも話が持ち込まれて、恐らく当時委員 をなさっていた林先生から委員会にも御報告をされて、追加の試験として犬で、つまり 前胃のない、組織上前胃を持たない動物での試験を追加すべきということで、犬の実験 がやられて、犬では問題がないということで、ラットの前胃の扁平上皮がんの問題が一 つの結論に到達して、現在でもBHAが添加物として使われているという経緯がござい ました。そういうことを思い起こしますと、この前胃の辺縁部の肥厚というようなこと は、ラットの件でございますので、それほど大きな毒性上の問題にはならないかという ふうにも思えますので、そういうこと等を勘案すると、そう問題にしなくてもいいので はないか。勿論、今追加の試験で混餌投与ですと変化がないということは、一つの大き な安全性のサポートという面で重要な所見であろうかと思います。したがって、このこ とはそれ自体余り問題にしなくてもいいかと思いますが、このことは、既に国際の場で 議論されているかどうかというだけがちょっと気になる訳でございます。林先生、その 辺については何か。 ○林委員  グルコン酸のこの問題はBHAよりももっと前の問題ですね。ですからBHAの議論 とは関係ないと思うんですけれども、この場合に問題にしていない理由は、強制経口投 与の時だけ起こっていますね。5%混餌の時には起こっていないということで、強制経 口でもって2000 mg/kgをやりますと5%混餌以上の非常に高いことになります。ですか ら、そういう意味で非常に浸透圧が高いか、あるいは水溶液の浸透圧が高いか、あるい は局所刺激かということで、しかも局所刺激であろうと何であろうと5%混餌では起こ っていないということになりますと、これは実際問題として問題にならないということ で、そうだと思うんですけれども、黒川先生はどうなんでしょうか。 ○黒川委員 おっしゃるとおりで、たしか食品添加物、当然ながら毎日徐々に入ってくるものを、 高濃度で1日1回の強制経口でしたというのが我々からすると非常にナンセンスだとい うことで、混餌投与にしたら案の定5%では所見がないということで、分科会では、そ れで何も問題ないということになっています。 ○中垣補佐  このラットの強制経口投与の試験及び混餌投与の試験は95年及び97年に実施された試 験成績でございますので、そういう意味から申し上げますと、JECFAでは84年の評 価までしか行っておりませんから、JECFAで評価されたことはない。恐らく考えま するに、推測で予断をもって申し上げたら非常に恐縮でございますが、資料4、即ち食 品衛生調査会の答申に基づきます添加物指定のガイドラインをごらんいただきますと、 これの9ページというところをごらんいただきたいのでございますが、9ページのロー マ数字の4の1「添付資料の範囲」というところを見ていただきますと、(1) として原 則として表1に示された資料を添付するとあって、ただし書がありまして、「当該食品 添加物が食品常在成分であるか又は食品内若しくは消化管内で分解して食品常在成分に なることが科学的に明らかである場合には、原則として表1のうち毒性に関する資料の 添付を省略することができるが、げっ歯類の28日間反復投与毒性試験及び変異原性試験 は添付することが望ましい」と望ましい旨の表現がございます。ここに直接当たるとい う訳ではございませんけれども、食品衛生調査会の御答申の中でも省略する場合におい ても28日間の試験というのは新しいデータを添付した方が望ましいというような方針が 書かれておるというようなこともありまして、そういうことも踏まえて添付されたので あろうというふうに考えています。 ○戸部部会長  ありがとうございました。  何かほかに御意見ございませんでしょうか。 ○中垣補佐  なお、次回のJECFAにはこれらの資料も提出されるというふうに聞いております ○戸部部会長  山田先生がお見えになりませんが、先ほどのはどういたしましょうか。 ○中垣補佐  もしよろしゅうございますれば、本日の議事次第の(2) その他に入らせていただきま して、もし山田先生がお出でになれれば、その場でお答えを願うという形でいかがでご ざいましょう。 ○戸部部会長  そうさせていただきたいと思います。  それではちょっと中断いたしますけれども、次に進ませていただきたいと思います ○中垣補佐  資料の5をごらんいただきたいと思います。資料の5はタール色素の製品検査につい てと書いてありますが、食品衛生法第14条において、厚生大臣が行う検査を受けないと またこれに合格したものでなければ販売を行ってはならないという規定がございまして そこで厚生大臣がその対象となる品目を指定するという形になっております。この制度 の中でタール色素が現在指定されておりまして、先生方御存じのとおり、食用の赤色2 号など約20種類の着色料がこの対象になっておりまして、実際の試験検査につきまして は、国立医薬品食品衛生研究所の方で行っていただいているところでございます。 この検査のやり方でございますが、丸の2番目に書いてありますとおりロットごとに 行う、1つの均一性を保てるという範囲で行うということが書かれておりまして、現在 昭和47年の改正におきまして、そのロットの最大量が300 kg というふうに定められてお ります。即ち仮に1つのロットが500 kgであるとすると、それはこの食品衛生法の検査 では2つに分ける、300 kgと 200 kg の2つに分けるというのが今の制度でございます これにつきまして国立医薬品食品衛生研究所とも協議してまいった訳でございますが、 現在の技術で考えますと、均一性を保ちつつ一度に製造可能なレベルというのが数千キ ログラムというところまで製造したとしても、均一性というのは保てるのではないかと いうような御示唆をいただいておりまして、そういうことから見ますと、現在の昭和47 年につくられました1ロットの最大量を300 kgとする規定というのは、現状に合わなく なってきておるということから、ロットの上限に関する規定を廃止したらどうかという ことを御提案させていただいておりまして、本日この場に報告させていただきますとと もに、差し支えないということでございますれば、本年の4月1日をもってこの規定を 改正し、昭和47年からでございますので、そういう意味から申し上げますと二十何年ぶ りの改正になるのかと思いますけれども、改正させていただきたいというふうに考えて おる次第でございます。よろしくお願いいたします。 ○戸部部会長  いかがでしょうか。上限を外すという提案でございますが、山崎先生何か。 ○山崎部会長  結構です。 ○戸部部会長  御意見ございませんでしょうか。 ○高仲委員 このロットの考え方なんですけれども、1日に生産する量を1ロットと考えておられ るんですか。それともどういう基準でロットをお考えになっていらっしゃるんでしょう か。 ○中垣補佐  1日という製造期間、どの段階から始めたという形に考えるのかというのがあります し、1日で全工程が終わるかという問題もあろうかと思いますが、資料の2番目の枠囲 みにございますようのに同一製造期間、即ちそういう意味から申し上げますと、医薬品 のGMPでいうロットと同じような概念でとらえられるのではなかろうかと考えており ます。 ○高仲委員  結構です。 ○戸部部会長  問題ないと思いますが、この47年の当時、300 kgというふうに限定した理由があった んでしょうか。 ○中垣補佐  二十何年前のことでございまして、歴史をひもとかなければいけないんですけれども いろいろ聞いてまいりますと、ここの改正内容及び趣旨のところに書いてありますよう に、その当時の技術レベルでは300 kgというのを1つの釜の中でつくるというのが難し かったというような事情もあるや聞いております。逆に申し上げますと、そこで担保し ておけば十分であるというようなことであったかと聞いております。 ○戸部部会長  ほかに何か御意見ございませんか。  では、このタール色素の製造に関する件はロットの上限を廃止するということでお認 めいただくということにいたします。ありがとうございました。 成田委員からの御提起の「ほとんど澄明」という点についてなかなか回答が出てこな いのですが、それを待たなければなりませんでしょうか。あるいは後でよろしゅうござ いましょうか。 ○成田委員 はい。 ○戸部部会長  山田先生が時間内にお見えになればいいですが、そのことだけで山田先生のおいでに なるのを待つのもどうかという感じがいたしますので、その点は譲らせていただき、ほ かの先生方も、この件について答えが得られなければいかぬというふうにお考えでござ いますれば、また話は別になりますが、いかがでしょうか。よろしゅうございましょう か。 ○五十嵐委員 勿論そのとおりで結構でございますので、部会長にお任せいたします。 ○戸部部会長  では後で成田先生の方にはお知らせをするということでお許しをいただきたいと思い ます。 それではほかに御意見がございませんようですので、分科会の報告書を若干の手直し をさせていただいて、これを当合同部会の結論ということにさせていただいてよろしゅ うございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○戸部部会長  それでは部会の報告とさせていただきます。その後の手続きを事務局の方からどうぞ ○中垣補佐  本日御審議いただきましたこのグルコン酸カリウム及びグルコン酸ナトリウムの指定 につきましては、在日の外国大使館からなりますフード・セーフティ・グループミーテ ィングという会議がございまして、そこに御説明をし、更にWTO協定にのっとりまし て、事前通報をさせていただくという事務手続きに入らせていただきたいと考えており ます。その後食品衛生調査会の常任委員会で再度御審議をお願いするという形で進めさ せていただきたいというふうに考えております。  また、本日の御審議の内容につきましては、今も公開している訳でございますけれど も、議事録も公開をするということになりますので、よろしくお願い申し上げます。 ○戸部部会長  それでは本日の審議はこれで終わることにいたします。ありがとうございました。  最後に課長からごあいさつをお願いします。 ○黒川食品化学課長  本日は大変御熱心に御審議をいただきまして誠にありがとうございました。  問い合わせ先   生活衛生局 食品科学課   TEL 3595−2341