98/03/06 第2回 21世紀のたばこ対策検討会議事録 第2回 21世紀のたばこ対策検討会 日時:平成10年3月6日(金)    10:00〜12:10 場所:厚生省別館特別第一会議室 出席委員(敬称略): 内山充 大河喜彦 川口順子 小池昭彦 幸田正孝 五島雄一郎 島尾忠男 富永祐民 仲村英一 野中ともよ 松本恒雄   矢崎義雄 柳田知司 山崎正和 (開会:10時0分) 島尾座長  それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第2回の21世紀のためのたばこ 検討会を開催いたします。  本日、天気が心配でございましたが、幸いに晴れてまいりましたけれども、足元が お悪いなか、お集まりいただきまして、ありがとうございました。  本日、五島委員、初めてご出席だと思いますので、ご紹介をお願いできますでしょう か、事務局のほうから。 五島委員  五島でございます。よろしくどうぞ。 島尾座長  きょう初めてですけれども、五島委員でございます。  それでは、議題に入ります前に、本日の出欠と資料の説明について、お願いいたしま す。 事務局(高原)  ご報告申し上げます。本日は、委員総数17名中、出席の方が14名でございます。 なお、坂東委員、ビル トッテン委員、水野委員はご欠席でございます。  次に、本日の資料をご説明いたします。  3セットございます。傍聴の方には、2セット目はあるいはお配りしていないかもし れません。第1セット目は、いわゆる資料でございます。後ほどご説明申し上げます。 第2の、英語の文献から始まっておりますものは、柳田委員からご提供いただきました 文献及びご指示によりましてDSM−IVを複写しております。それから、 ICD−10を添付しております。なお、DSM−IVは、日本の版権を所有しておりま す医学書院から特に許諾を得て複写を許可していただいております。  柳田先生の文献に関しましては、これは著者、委員のご指示ということで、内部資料 ということで精査していただいております。  それから、第3冊目は、第1回の議事録でございますが、これは未定稿というふうに 出ておりますように、各委員チェックしていただきまして、お返しいただきまして確定 稿にしてまいりたいと考えております。確定稿になった段階で一般の参加者、傍聴者の 方にもお配りしようと考えております。  それでは、一番最初の第2回の「21世紀のたばこ検討会」という資料に沿って説明 させていただきます。  本日の資料は、内容といたしましては、大きく分けまして4パートでございます。 第1のものは、第1回の検討会で宿題となった事項につきましての、私どもの最善の努 力を1週間払いましてのお答えでございます。  それから、米印の資料については、因果関係に対し、当委員会で必ずしも一致した見 解でなくて、バラバラにご議論になっているとすると、不毛なことですので、事務局と して整理させていただいたというコメントでございます。そういうふうな意味で米印を 付けております。  第2は、第1回の検討会事務局資料に対しまして、柳田委員、大河委員より資料が提 出されておりますので、これは後ほど柳田委員及び大河委員にご説明願いたいと考えて おります。  それから、その柳田委員及び大河委員の資料に対しまして、プレリミナリーなコメン トを事務局として付けさせていただきました。  それから、4番に、これも大部なものでございますが、米国のFDAの Kessler博士 の議会証言の翻訳が上がりましたので、これは本来、第1回でお付けすべきだったかも しれませんが、最後に付けております。  それでは、第1回の検討会の宿題事項につきましてご説明申し上げます。  2ページでございますが、前回の委員会で、我が国における疾病構造がだいぶ変わっ たのであろうと。それがわかるような資料を用意しろというご指示だったと思います。 上は、総死亡に対する各種疾患の割合。それから、下に出しておりますのが総死亡率の 変化でございます。これは年齢訂正は、粗死亡率ですのでやっておりません。 人口10万対ということで出しております。  それから、3ページに、たばこのリスクと他のリスクの比較をしろというご指示に従 いまして、私どもで現在入手できる限りのものを提供させていただいております。 厳密に申しまして、表2で引用いたしました松崎先生の受動喫煙による健康影響という 論文が、初めにお約束いたしました、いわゆる査読制をしいた学術雑誌というクライテ リアに該当するかどうかということにつきましては疑念のあるところではありますが、 事務局の責任において出させていただきました。お認めいただけなければ、それは抹消 するということになろうかと思います。あらかじめご説明申し上げておきます。  それから、その次に、アルコールによる社会損失についてどうなんだというご質問が ございました。これにつきまして、健康被害及び起因する医療費の試算を既存の公表さ れているデータより収録させていただいております。  その次に、喫煙の効用と言われているものがあるではないかということでございます これは、私ども、いわゆる文化とかそういうことではなくて、あくまでも健康というこ とに限定いたしますと、こういうことが指摘されているということでございます。  6ページになりますと、喫煙によりリスクの低下が報告されている疾患というものも あるということでございます。  それから7ページに、たばこ価格の国際比較、これは、例えば国民1人あたりのGN Pや購買力平価や、様々な方法でアジャストしたらどうか、換算したらどうかというご 指示だったと思いますが、それに従いまして表示しております。購買力平価は1997 年の年間平均を使っております。  それから8ページは、たばこ関係施策の実施主体及び根拠法いかんということでござ いまして、価格につきましては、ここに引用しておりますように、たばこ事業法に基づ いて決定されております。税率につきましても下に書いてあるとおりでございます。 小売定価以外による販売等の禁止という条項もあると承知しております。  広告規制につきましては、大蔵省のたばこ事業法四十条に基づきまして、製造たばこ に係る広告を行う際の指針が、大蔵省の告示で指針が出ております。それから、広告規 制につきましては、業界の自主規準もございます。  それから、注意表示ないしは警告表示も、たばこ事業法三十九条におきまして、消費 者に対し製造たばこの消費と健康との関係に関して注意を促すための云々ということで 省令の定めるところにより表示ということになっております。文言につきましても定め られております。  販売規制につきましては、警察庁が担当しております未成年者喫煙禁止法第四条、及 び大蔵省のたばこ事業法により営業所の規定がございます。その他、特にたばこ事業法 施行規則でございますが、施行規則には、例えば、自動販売機の設置場所が、店舗に併 設されていない場所等製造たばこの販売について未成年者喫煙防止の観点から云々とい う規定がございます。許可の取消し等についても施行規則に従ってなされておると承知 しております。  以上、不足している問題、また、突っ込みがちょっと足りないものもあるかと思いま すが、前回のご指示による資料の提出でございます。  10ページ以降は、米印を付けております。因果関係とか原因とかということにつき ましての言葉の概念の統一ということでございます。  私どもといたしましては、学術的と申しますよりか、現在、公衆衛生審議会の199 6年の意見具申に従いまして、表1というところで囲んでおりますように、図1に示す ように遺伝子の異常や加齢を含めた「遺伝要因」、病原体、有害物質、事故、ストレッ サー等の「外部要因」、食習慣、運動習慣をはじめとする「生活習慣要因」等さまざま な要因が複雑に関連して疾病の発症及び予後に影響している。等々の複合的な、これは 疫学的にいいますと、クモの巣状の因果関係というふうな言い方でしておりますが、そ ういうふうなものであるというふうに生活習慣病について考えております。 それをポンチ絵にしたものが図1でございまして。  したがいまして、上の黒丸の2つ目でございますが、従って、たばこ関連疾患とされ ている各種の疾患についても、喫煙だけと因果関係がある、とするものではなく、また 他の危険因子が発見されたとしても、喫煙との因果関係を否定することにはならない。 複数の危険因子は、全がんに対する例、というのが次にございますが、「当該危険因子 が、例えば喫煙が、どの程度、発病もしくは予防に寄与するか」・「当該危険因子は、 どの程度、コントロール可能か」といった要素が対策における判断に大きく関連するん だということでございまして、そういう発病概念で私どもは考えております。  もう一度、表1の疾病の要因と対策のあり方の下の2行でございますが、対策を講じ る主体を考えた場合、「遺伝要因」や「外部環境要因」に対しては個人で対応すること が困難である一方、「生活習慣要因」は個人での対応が可能であるというご意見をいた だいておりますが、このことにつきまして、実は第1回目に非常に重い提起を山崎委員 がなさっておりまして、それに対しますとりあえずの事務局としてのつたない考え方を 次にまとめております。11ページをご覧いただきますと、例えば、具体的にどういう ふうに各種の要因が働くかということにつきましては、その要因の大きさに関しまして それを推定する方法が、疫学的には十分開発されていまして、様々な複合原因が存在す るから事実関係はわからないのだということではないと承知しております。  全がんを例に取りまして、Petoらの論文によります比率の大きさを見ますと、たばこ 喫煙の回避によりまして、全がんのうち30%が回避できるのではないか。アルコール 飲料または、これはマウスウォッシュ、口漱剤でございます。口漱剤によって3%、 肥満の回避により2%、定期的な子宮頚がんの検診及び生殖器の衛生ということにより まして1%、等々で、あと1%以下の比率で出ております。なお、原因ということにな りますと、たばこよりも食品、食生活全体が30%程度の寄与があるというのが、また 後ほど出てまいりますが、アボイダブル、回避しうるという概念で見ると、以上のよう な定量的な評価が出ております。  それから、生活習慣病ということと個人での対応が可能であるということについて、 喫煙について、自己決定権に基づく自己責任という考え方が生活習慣病にも時にはある わけでありますが、喫煙に関してはどうなのかということでございます。自由権の問題 については、米国等の修正連邦法一条主義ということを考えましても、強い自由主義に おいても、第三者の権利を侵害しないということが、自由の前提とされている。  それから、依存性が存在するという場合、物質の使用が、自己決定権の行使と言いう るかどうかと。そこらへんのところが私どもは疑問があるのではないかということでご ざいます。  それから、自由意志を行使した、例えば喫煙をした場合の結果について、その結果の 情報が消費者にとってわかるのかどうか。情報の非対象性というのが存在するのかしな いのかということが、自由権を論議する上で必要なのだろうと思います。  また、国民皆保険のあり方の下では、あるリスクファクターに対する超過医療費、 これについては大河委員のほうからご批判が出ておりますが、社会的に転嫁されるとい うシステムも、一方でございます。  そういった議論から、従来、他者のいる空間におきます分煙の推進ということで他者 の権利保全を推進してまいりましたし、それから、依存性についての議論は、本会議等でご議論願いたいと思います。それから、喫煙の影響についての情報の開示、これは、 リスク管理の観点から申しますと、リスクコミュニケーションということが現在の警告 表示だけでいいのかどうかということも論点となるのではないかということになります  次に、いろんなタイプの因果関係ということにつきまして、いわゆる単純な因果関係 それから古典的な意味での単一な疾患に単一な原因が対応するというふうな意味での因 果関係のモデル、それから、複雑な生活習慣病と言われているような疾患における因果 関係。Elwoodという疫学者は、現代における疫学で原因を一般的に定義すれば、原因と は、ある要因の行使がある事象の頻度を増加させる場合、その事象を原因という、とい うふうに定義をしております。  その次に、実は、がんセンターがん情報サービスにおきまして、例えば、「肺がんの 原因はいまだ明らかではありません。」という表示があるということがご指摘されてお るわけでございますが、この原因について、国立がんセンターの情報委員会としての説 明が13ページに出ております。  「疾病の原因」という概念は、単一因子がほぼ必然的に疾患を引き起こす伝染病を中 心に発達した概念であるが、がん、循環器疾患などの慢性疾患では、これが当てはまら ないことは既に常識となっており、それに変わる考え方として、リスクファクターとい う確率的な考え方を導入している。と、がんセンターのほうでクラリフィケーションを お願いしました。  そういうことでございまして、このがんセンターのクラリフィケーションないしは Elwoodの定義のように、因果関係というものは、いわゆるクモの巣状に各種の原因があ る場合、当該ファクターが疾患に罹患するリスクを増加させるという形で証明できるん だと、ないしは定義できるということで、お考えいただきたいと思います。  それから、その次に、様々な論文がこれから出てくるかと思いますが、論文の総説、 レビューということに関しまして、例えば、この10日にも行われる予定になっており ます先進7カ国会議の Evidence Based Medicineなどのバックグラウンドになっており ます臨床疫学の考え方における総説論文の評価の内容をちょっと要約させていただいて おります。  なお、その一番最後に、FDAの長官の証言の仮訳が40ページに出ておりますが、 これは、またもアメリカの資料かということでご感想をお持ちの委員もいらっしゃるか と思いますが、これは、例えばアメリカのたばこの影響についてのデータでございまし て、アメリカのたばこも日本で発売されておるところでございますし、ここに述べられ た評価、意見はともかく、事実といたしましては、我々も一つの判断の基準になるので はないかということで、40ページ以降に収録させていただいております。40ページ 以下の説明は省略させていただきます。以上でございます。 島尾座長  どうもありがとうございました。ただいまの説明について、直接何かご質問ございま すか。 山崎委員  前回、この委員会の構成が大変異例であると申し上げましたが、ただいまの事務局の 資料説明を伺っていると、ますます異例の委員会だという気がします。  私もこれまで、いろいろな官庁あるいは政府の委員会をやってきましたけれども、 各委員の発言に対して事務局が反論される、あるいは結論に近いものを提示されるとい うことは極めて異様であります。  11ページのご説明は、私の問題提起に対する答えだというふうにおっしゃいました が、事務局がこういう答えをあらかじめ用意しておられるのであれば、なぜ私のように 立場を明らかにしている者をわざわざ委員に任命されたのか、その理由を伺いたい。 これだけのことがはっきりしていると、つまり事務局の見解であるということであれば これは、この委員会では議論の余地がないということになります。  次に、これは違う問題ですが、私が前回お願いしたのは、他の様々な疾病要因、それ は社会的あるいは個人的な理由により、しかも自由意志によって左右できる病気の原因 と死亡率の関係を示す資料をお配りいただきたいとお願いした、それに対する答えが 3ページだとおっしゃいました。ここで私は驚いたんですが、雷が落ちて死ぬ、蜂に 刺されて死ぬという例まであがっているのに、砂糖の害、塩の害、あるいは自動車の 排気ガスと健康の関係という重大なものが入っておりません。私は、この蜂刺されとい うのを見て、嘲弄されたような感じがいたしました。もう少しこれは真面目な資料を 出していただきたいという気がいたします。  3番目に付け加えますが、私はこの委員会で、自分の趣味に反した行動をしておりま す。私は、やたらに自分の見解を大声で叫びたい人間ではありません。しかし、ここで 置かれている状況をお考えいただくと、どうしても各委員頭割り均等な発言をしていま すと、会議の進み方は結果として不公正になると思うので、自分の趣味に反してやかま しいことを繰り返し申し上げております。以上です。 事務局(高原)  お答え申し上げます。今の資料説明が異常か正常かということは別といたしまして、 私どもといたしましては、前回の事務局に対しまして補足するようにというご指示が ございました。したがいまして、できる範囲で資料を集めて、それについて説明をする のは事務局の責任であると感じまして、ただいまご説明したわけでございます。  それから、リスクにつきまして、例えば、3ページのみが山崎委員の言われたような 他のリスクということには、例えばアルコールに関するリスクについての健康被害ない しは医療費、4ページに収録しております。それから、そのほか、がんにつきまして、 全がんに対する回避できる確率ということで、ここで相対的な各種の健康リスク、これ はがんだけでございますが、そういうものについて出ております。  日常習慣に関する砂糖、塩等の健康影響に関する社会損失ということは、私どもの 能力的に十分じゃない。実を申しますと、私どもといいますか、この種の作業をやるた めには、コンピューターデータベースでございますメドライン、これは米国の医学図書 館の文献検索データベースでございます。それから、JICSTと申します日本のデー タベースでございます。それから、医学中央雑誌というのがございまして、これは日本 のデータベースでございます。そういったもので関係する資料があるかどうかというふ うなものを検索いたしまして、ただいままでのところ見つかっておらないということで 誠に不手際で申し訳ございません。早急に見つけるよう努力いたします。  それから、結論めいたことを言うのであれば委員会はいらないのではないかというご 指摘でございますが、そういった例えば事務局の意見の当否というふうなことにつきま して、これはおかしいとか、この部分はありうるんじゃないかとか、それはご批判いた だく、ないしはご検討をいただくために、あえてたたき台として提示させていただいた わけでございます。以上でございます。 山崎委員  2つございます。ひとつは、皆さんのご注意を喚起したいということです。今、厚生 省のということは、健康リスク問題の専門的な官庁である厚生省が、多大の努力を傾け られたにもかかわらず、たばこ、アルコール以外の健康リスクの示す文献が存在しない とおっしゃいました。これは、厚生省が怠けていらっしゃるわけではなくて、たぶん少 ないのだろうと思います。特に排気ガスと健康の関係というような現代文明にとって重 大な問題について調査が行われていないというのが実情だと思うんです。  ということは、アメリカを含めて世界の世論が、最初からたばこという問題に限定し て、たばこを悪と認めて、犯罪者を先に捕まえてからその罪状を調査するという態度に あるということですね。つまり、これは何もここにご列席の皆さんを批判しているので はなくて、世界の世論そのものが、我々が盛んに引用する世界の世論というものが、既 にあるバイアスの下に形成されているということ。これが、他のリスクについての研究 不足そのものが物語っているということをご注意したいと思います。  第2には、質問であります。先ほど事務局がおっしゃった、第三者への加害の可能性 二次喫煙のことだと思いますが、これについては分煙という対策をとったというふうに おっしゃいました。分煙を進めるという対策でしょうね。それについては、つまり事務 局としては、既に十分であるとお考えなのか、まだ不足だとお考えなのかをお尋ねした い。 事務局(高原)  私、担当課長の私見といたしましては、まだ不足であると。例えば、我が省にしても 十分行われていないということでございます。 山崎委員  分煙ということが実施される、つまり分煙の実施が不十分だとおっしゃっているのか あるいは、分煙という方法そのものが根本的な欠陥を持っていて不十分だとおっしゃる のか、どっちでしょうか。 事務局(高原)  それは分煙の定義によると思いますが、喫煙者以外の人が受動喫煙を、承知でたばこ を吸っている人の横に行って話をする意味での。明示的に許可がない場所、特に公共空 間において喫煙が行われるというのは、必ずしも適当ではないと。しかし、厳密に行わ れた場合、分煙というものは第三者に対する加害を防止する上で、おそらく、これは十 分の定義によりますが、満足すべきものではあろうと私は考えております。 山崎委員  もう一度確認しますが、分煙が現在不徹底であるがゆえに、それは第三者への加害に つながると。これが行われれば、つまり実施が完全であれば、分煙という対策をもって 十分だとお考えなわけですね。 事務局(高原)  第三者の健康に対する。 山崎委員  今は第三者のことだけを伺っています。 事務局(高原)  限定いたしますと、そういうことでございます。 島尾座長  今、山崎委員からご指摘の中の、例えば自己決定権の問題、これはこの委員会で討議 する重要な内容なので、事務局として見解を出したと思いますが、まだ各委員のご同意 を得たわけではありませんでして、当然重要な課題として。 山崎委員  本当は各委員がご自由にご発言になるまで待つべきだと思うんですが、事務局から 非常に突っ込んだ答えが出ましたので私は質問いたしました。 島尾座長  ほかに特にご質問ございませんでしょうか。  それでは、あと、前回、柳田委員それに大河委員から資料のご提出がございましたの で、ご出席でございますから、柳田委員のほうからお願いします。 柳田委員  資料の15ページですね。私は、前回の資料について、以下の4つの点を申し上げま した。ひとつは、「ニコチンは、コカインやモルヒネ、アンフェタミン等に匹敵する」 という表現が第1回目の資料の15ページのところにございます。そのことは、私の論 文からの引用となっておりますけれども、私はそのような中でそのようなことを書いた 記憶はないと。それで訂正をお願いいたしました。  きょうの回答のところを見ますと、それには、ニコチンの高いほうの用量と、コカイ ンの4つの用量でテストして一番弱い、少ない0.03ミリ、それのサルでのレバー押 し最終比率が同じような値を示しているということからそのように記述したとあるんで すが、そうすると、その話はニコチンとコカインだけの話で、どうしてモルヒネやアン フェタミンがここに入ってきたのか、まだ私には理解できません。  それから、もう一点は、なぜコカインの一番少ない用量、一番弱い点とニコチンの大 きなほうの用量との値を比較して、それで同じだというふうにして、その条件を全部除 いちゃって、ニコチンとコカインの値がそれに匹敵するという表現にまとめられたのか そのへんは私の理解に苦しむところでありまして、例えばニコチンの場合には、 2690回までの最終比に行っておりますが、コカインでは、この表では9050回ま でとなっています。しかし、きょうの追加資料の24ページの表2のこの作り方も、ま だ私には全く納得がいかないことでありまして、これは、きょう別に配布されている2 つの私の論文をご覧いただければ、いかにこれが正確に反映されていない数字であるか が容易におわかりだろうと思います。あまり細かい数値ばかりあげても、これは研究会 ではありませんので、そのへんで要点だけにしておきますが、それが私の第1点、2点 の問題点でございます。  私なりにそれぞれの薬物について、サルが一番熱心な高い比率を示したレバー押し用 量範囲を示すと、こういうふうになりますと言って、表を作ってお示ししたのですが、 資料としては採用にはならないようでございます。  それから、その次、3番目のポイントは、WHOの薬物専門委員会として、本の中に 国際条約でたばこを麻薬あるいは向精神薬として規制できるかどうかを検討するための クリティカルレビューがあって、その原本を教えてくださいということで、きょう付い ておりました。これについて正確な表現は、こういうことを条約で規制の対象として、 そういうようなことを検討する課題として取り上げるかどうかを、それを検討すると、 そういう今は段階でありまして、何かWHOはこういうような具体的な検討を始めたよ うな印象を与える表現は少し誤りではないかと思われましたのでコメントいたしました  それから最後に、DSM−III−R、これは米国の精神神経医学会が出した精神科疾患 のあるいは障害の診断基準でございます。これは世界的に、今、用いられているもので ありますが、この資料の中で引用されたDSM−III−Rというのは、1994年5月以 降、DSM−IVに改定されておりますので、もし資料の中で引用されるなら、もう4年 前に改定された新しいDSM−IVを引用すべきではないかということでコメント申し上 げました。そして、DSM−IVで、いろいろな薬物について依存とか、どのような精神 障害が起こるかというようなことの一覧表を添付いたしました。それにつきましては、 本日配布されました、この医学書院から出ている翻訳、DSM−IVの翻訳版の中にも同 じものが引用されております。2ページ目ですね。物質の分類に関連した診断と、そう いうふうになって一覧表が出ております。これは、DSM−IVが、各種の薬物について いろいろな問題点を、依存性薬物をいろいろ比較した一覧表でありまして、ニコチンの 依存性あるいはそれがもたらすいろいろな障害がどの程度であるかということの全体像 を把握するには非常に見やすい一覧になった表であると思われます。  以上が私の説明でございます。 島尾座長  どうもありがとうございました。大河委員のほうから資料のあれがあったと思いま すが。 大河委員  お手元に配布されている資料でいきますと、18ページから23ページまでが、私が 厚生省のほうへ事前に提出させていただいた資料でございます。  第1回資料の中で幾つか私としては問題点を指摘したいわけなんですけれども。 したがいまして、お手元の18ページからと、それから第1回の配布資料と両方を見な がら聞いていただいたほうがよろしいかと思います。ほかの委員の発言時間も考慮しな いといけませんので、あまり長くならないように説明したいと思いますけれども、非常 に大事な点だと思いますので、若干お時間をいただきたいと思います。  第1回資料の表紙にもいみじくも記載されておりましたけれども、議論の参考のため の資料として作成したものであって、検討会の合意に基づくものではないというふうに されておりましたわけですが、私、全体的に印象としては、たばこについてかなり否定 的な観点で資料がまとめられているなと。あるいは、記述にかなり断定的な感じのとこ ろがあるというようなことで、やっぱりできるだけ公平公正な議論をこの検討会でして いただくということを思っています。場合によっては、議論の結論を誤った方向に持っ ていかれてしまう可能性もあるということを危惧しておりますので、これから説明させ ていただきたいと思います。  まず、第1回資料の2ページから3ページに、たばこによる健康被害は使用開始から 数十年の遅れで発生するため、今世紀半ば以来、たばこが原因とされる死亡の世界的な 増加が推計されているという記載と、それから、たばこは肺がんをはじめ多くの疾患の 原因である、あるいは、たばこ関連疾患に関するタイムラグから見て云々かんぬんとい うような記載がございました。  基本的には、たばこは肺がんをはじめ多くの疾患の原因であるということは明らかに なっていないのではないかと。それは、先ほどちょっと国立がんセンターの情報サービ スのほうのご見解もありましたけれども、ちょうど私が出してからあれは出てきたんで しょうかね。時間的にはおそらくそうだと思いますが、該当のホームページには、肺が んの原因は今まで明らかにされていないという記載がございます。ただ、危険因子であ るというようなことも書かれている。それはそのとおりだろうと思います。  したがいまして、肺がん等につきましてはいろいろな要因が長期、複雑に絡み合って 発生するものであるということで、たばこが原因であるという断定は、ちょっとまだで きないのではないかと。  同様のことは、蟹沢の論文によりましても、例えば動物吸煙実験による発がん研究は 決定的な証明を得るに至っていないという指摘もございます。  それから、我が国の喫煙者率の高さに比して、肺がん死亡率は欧米よりかなり低いと また、喫煙者率やタール摂取量と肺がん死亡率の推移の間には、タイムラグを考慮にい れても相関はないというようなことが、やはり蟹沢の論文に記載がございます。  ただし、蟹沢の論文は、例えば、そこの引用した図1ですが、これは20年のタイム ラグで見た場合でございますが、じゃあ、30年以上はどうかというと、実は、これは まだわからないというのが正直なところではないかと思っております。  次は、私の資料は20ページになっているのですが、これは実は、査読制をしいてい る論文あるいは公的機関のリポートじゃないと受け付けないというような厚生省のお考 えだったようですので、今回はこれだけしか、今、お手元の資料にはないんですが、 21世紀のたばこ対策検討会第1回資料の3ページを見ていただきたいと思いますけれ ども、たばこによる超過死亡数は全世界で年間約300万人云々かんぬんという記載が ございます。これは当然、疫学調査の結果に基づいての数字だと思いますけれども、や はり相当仮定に仮定を重ねて計算されている値でございますので、実際現実的な数字か どうかは疑問があると思います。  厚生省の第1回資料の4ページですが、我が国の最近の疫学研究により、たばこは総 死亡のリスクを高めるのみならず、死亡に至らずとも、ADLやQOLを低下させるこ とが示されているということで、図7、図8を引用されていらっしゃいます。特に、図 7もわかりにくいんですけれども、図8はかなりわかりにくいと。文献10によるとい うことのようでございますが、私は残念ながら文献10を読んでおらないので、これを 確認するものがないのでございますが、図8をよく見ていきますと、図8の右側が、下 に数値があるんですね。主観的満足感の低下要因ということで、0.5、1、2となっ ていますけれど、数字の誤りとか、あるいは何か誤りがないだろうか、あるいは、これ はどういう意味なのか非常にわかりにくいということでございます。  それから、ちょっと飛びまして、厚生省資料の11ページです。11ページに表2と いうのがございます。表2は、我が国における主な薬物と取締法ということでございま す。コカインから始まって、左側はMDMA、それから右側が、今度は覚せい剤、大麻 等々があがって、アルコールが来て、たばこと書いてございます。たばこは薬物ではご ざいませんので、このままの表現では不適当ではないかと。どうしてもここに記載した いなら、ニコチンでございましょうか。  それから、資料の13ページでございますが、先ほど柳田委員のほうから依存性のご 専門家として話がありましたけれども、薬物依存の本質の一つである強化作用は実験的 に定量できる。ニコチンは、コカイン、モルヒネ、アンフェタミン等に匹敵するという 記載がございますけれども、これはどうやら、よく読むと、強化作用にフォーカスを当 てて記載されているようでございます。ただ、一般の方がこれを読むと、ニコチンとい うのは非常に、コカイン、モルヒネ、アンフェタミン並みなんだというようなふうに読 んでしまう可能性があると思いますので、これは全く精神医学的には別物でございます ので、少なくともニコチンがコカイン等と同じだというようなことを言う精神医学の専 門家はいないのではないかと思っております。  じゃあ、どういうことかというと、精神毒性は、いわゆる急性、慢性の精神障害を起 こすようないわゆる精神毒性はニコチンはないと思いますけれども、そういう意味では お茶とかコーヒーのカフェインなんかに近いと思いますが。ただ、じゃあ、精神依存は やはり弱いながらもちろんあると思いますし、身体依存、これは禁断症状ですが、これ はほとんどないというようなことで、もし記載するなら正確な記載がいるのではないか と思います。  それから19ページですが、たばこほど、喫煙者本人のみならず周囲の人々において も、多くの疾患と関連しているリスク要因は他にはない。こういう記載ですが、ちょっ と断定的な感じではないかなと。  それから、私の提出資料のほうでいきますと、お手元の配布の20ページですね。 20ページに、厚生省資料の引用として、我が国の最近の疫学研究では、ということで あがっていると思いますが、要は、ここで脳卒中の関係も死亡リスク等あげられておる んですが、喫煙と脳卒中の関係につきましては、有意な関連を認めた疫学研究の成績は ほとんどないというようなことが清原らの論文でありまして、医学的にはむしろこちら が常識なのではないかと思います。  それから、私の資料で言うと21ページですが、厚生省資料でいくと20ページです けれども、受動喫煙によるリスクは、EPAにより、ETSは人体に発がん性のある A級発がん物質と分類され、云々という記載があろうかと思いますけれども、EPAの 報告につきましては多くの批判があると。それから、受動喫煙と各種疾病との因果関係 は、そこにあげられているような論文のとおり、必ずしも立証されていないのではない かということでございます。  それから、私の資料には書いてございませんけれども、厚生省資料の22ページです ね。22ページは、たばこのリスク評価でございます。たばこは他の直接的な死因と比 べて、最大の死亡リスクであるということで表1を引用されております。多くの成分に 対し許容範囲を超えたリスクを認めているということで表2を掲げていまして、リスク マネジメント、あるいはリスク科学というのは非常に最近発展している有効な学問分野 だとは思いますが、たばこが直接的な死因という言い方は、やはりちょっとこの検討会 の議論をミスリードするのではないか。たばこのリスク管理に関しましては個々の成分 につきましては、少なくともマサチューセッツ州の例しかないというぐらいで、まだほ とんど手が付いていない。それから、全体はどうかということですけれど、全体につき ましても、もし機会があれば反論させていただきたいと思いますが、今後の課題ではな いかというふうに思っております。  私が提出した資料のほうでいくと22ページ、厚生省の第1回資料でいくと23ペー ジに、たばこ煙中のダイオキシンの記載がございます。個人曝露においてもダイオキシ ン類の平均的な1日摂取量は約0.3−3.5ピコグラム、pg−TEQ/kg/day とい う、それの相当部分を占め、また、環境中への放出量としても無視できない大きさであ ると、こういう記載がございます。  ダイオキシン類は、どうやら厚生省のほうでも、あと少し詳しい資料を出されている ようですが、ダイオキシン類1日摂取量の大部分は、一般には食物由来というふうに言 われているわけでございまして、たばこ煙中のダイオキシン類はどうかということです けれども、少なくとも1日摂取量の相当部分を占めているものではないということでは ないのか。第1回資料の23ページの表4に示された、たばこによるダイオキシン類の 環境中への放出量、これはどうやら過大評価されているのではないかと思います。  なお、紙巻たばこの燃焼によりダイオキシンは発生するという記載が23ページにあ ったかと思いますけれども、この「燃焼により」が誤解を招くのではないか。どういう ことかというと、たばこのダイオキシンは燃焼により発生するものではなくて、大気か ら葉たばこに沈着したものが最終的に煙中に移行するのではないかというふうに考えら れます。  それから、私の資料でいきますと最後のページですが、たばこによる経済損失に関連 してでございますが、厚生省の資料でいくと25ページですね。私の資料でいくと23 ページですが。我が国でも、たばこによる超過医療費は1993年に約1兆2000億 円と試算されという表現がございました。25ページに示された表1というのは、おそ らく平山先生の疫学調査の相対危険度から寄与危険度を計算し、あといろいろ、日本専 売公社の昭和40年の喫煙者率調査等々、いろいろな数字を駆使して計算されたようで ございますが、平山先生の疫学データ、ご本人はもう亡くなっていますが、富永先生も ご存じのように、原データが公開されていないということで、誰も検証ができないとい うことなど、いろいろ問題もあると思っております。  いずれにしましても、そのデータからいろいろ仮定をして試算しているということで やっぱりこういう数字がまだ一人歩きするのはちょっとどうかと、そういうことでござ います。  一方、私の資料にありますように、実際の調査で、これはフィールド調査でございま す。これは一断面の調査ではないかというご批判はあろうかと思いますが、実際にたば こを吸っている方が医療費どうなっているのという意味では貴重なデータだと思います が、喫煙者の医療費、これはどこで見たらいいかというと、23ページでいきますと、 例えば表1の総医療費の1人当たり医療費というものが5カラム目にあると思いますが それの非喫煙者、過去喫煙者、現在喫煙者、そこの数字をご覧になっていただきたいと 思いますが、喫煙者の医療費が非喫煙者及び過去喫煙者よりも低いという調査結果でご ざいます。  実は、このほかにも、ちょっと断定的すぎるんじゃないかというようなところがある わけでございますが、本日は、時間の関係もあると思いますので、これ以上の指摘はや めたいと思いますが、じゃあ、そもそもたばこ会社は、こういったことをどう考えてい るのかというようなご疑問もあると思いますので、その点だけ最後に付け加えて終わり たいと思います。  私どもといたしましては、たばこは大人の嗜好品であるということで、喫煙の心身に及ぼす影響、あるいは喫煙の活用法などを十分各人が理解した上で、各人が自由意志に 基づいて吸う吸わないは判断していただいたらいいのではないか。  では、喫煙の健康影響はどうかということですが、身体的な健康に対しましてはリス クとなる可能性は当然あると思いますけれども、精神的効用も一方では認められており まして、心身全体の健康に及ぼす影響は、まだすべて明らかにされた状況ではないだろ うと思っております。  当社としては、未成年者の喫煙防止、これは非常に重要だと思います。それから、愛 煙家の方の喫煙マナーの向上、これも重要だと思いますし、先ほどちょっとお話があっ た喫煙者と非喫煙者の分煙の問題ですが、これはやはり両方の協調ある共存というのも 重要だと思いますので、そういった点で会社としても努力していきたいと思いますし、 それから、受動喫煙の健康影響でございますけれども、目、鼻、喉など、いわゆる刺激 はあると思いますけれども、肺がん等の疾患との関連につきましては、現段階ではまだ 必ずしも明確になっていないのではないかと。今後の研究課題ではないかというふうに 考えております。  以上、長くなって申し訳なかったですが、説明を終わります。 島尾座長  どうもありがとうございました。既に前回、厚生省から提示された資料についてのい ろんなコメントをいただいているのですが、この資料として、両委員に対する事務局の コメントが付いていますので、手短にお願いします。 事務局(望月)  柳田委員の資料に対しての、既に厚生省の第2回目の資料、24ページからですけれ ども、お答えを用意しております。  先生もご指摘のように、あるいは大河委員もご指摘でしたけれども、もし誤解を与え るということでありましたらば、アカゲザルのレバー押し実験というのは、ニコチンの 強化作用、薬物の強化作用というものを示す実験ですので、正確を期すために、「ニコ チンの強化作用は、投与条件によっては、コカインやモルヒネ、アンフェタミン等に匹 敵する」と訂正いたします。それは、柳田先生はそのような、匹敵するというような記 載はしておられないと先ほどもおっしゃっておられましたけれども、既に1983年の 先生の論文の表1の注において、ニコチンの添与量0.05mg/kgでは生理食塩水と同 様のレベルであったけれども、0.3mgになるとわずかに高くなって、コカインの 0.03mgに匹敵する、comparableという英語を使っていらっしゃいましたので、そのよう に解釈いたしましたので。 柳田委員  ちょっと待ってください。それは、私は強さは用量に比例するんだと。コカインを 4段階使いました。そのうちの一番弱いところです。それと、ニコチンの一番強いとこ ろで同じぐらいの値になると私は言っているのであって、両方の強化効果が同じ強さだ と言っているのではなくて、ニコチンの一番強いのがコカインの一番弱いところとほぼ 同じだと、そういうふうに言っています。 事務局(望月)  これは2番目の先生のご指摘とも関連すると思うんですけれども、私も薬物依存の専 門家ではございませんので、レバー押し実験の高い値を同列に比較することが妥当かど うかとか、そのへんのことがよくわからなかったもので、先生の論文の中からいろいろ なDoseをお示しして、要はDoseによって、用量によっていろんな強化作用があらわれる ということをお示ししました。  そして、既に先生の日本語のほうの論文なんですけれども、論文のほうの資料の日本 語の101ページなんですけれども、先生は、強化作用においては高値を比較なさって いらっしゃるんですけれども、自覚効果と強化効果との関連については、同一サルでの 自己投与および薬物弁別実験により、それぞれの効果がみられる最小閾値用量が近似し ていることから、というふうに最小値のほうでいろいろな薬物を比較していらっしゃる というので、要は薬物の依存性とか強化作用を、違う薬物をいろんなDoseで比較すると いうことが非常に難しいということを私は感じとったものですから、このようにさせて いただきました。 柳田委員  それは正しくありませんね。 事務局(望月)  わかりました。少し説明だけさせていただきます。先生のほうから、また詳しいご説 明をいただきたいと思います。 柳田委員  一番いいのは、この総説に出ているこの表をそっくりそのまま、あまり選択せずにそ のまま出したらどうですか。 事務局(望月)  総説というのは日本語のほうですか。 柳田委員  はい。ここに出ている数字は、ほとんどこれから引き抜かれておりますので、ですか ら、そっくりそれを出すことが一番いいと思います。 事務局(望月)  わかりました。この総説もいろいろなレファレンスを一つにしたものと思いますが。 柳田委員  そうです。総説ですからいろいろなものからなっています。 事務局(望月)  いずれにしても、この総説の Table2において、例えばコカインの0.11という Doseと、ニコチンの0.25というDoseにおいて、レバー押しの頻度は非常に近いとい うことは読み取ってよろしいのでしょうか。 柳田委員  いや、近くないですね。0.11の場合には、これはまだ量が少ないんですけれども 6400回まで行っている。それに対して、ニコチンの0.25は2690である。 そうすると、半分以下の数字で近いとは言えないんじゃないですか。それに、コカイン では、1.0のところで1万2800という数字が出ていますから、それで近いという ことは無理だと思います。 事務局(望月)  そうですか。では、薬物間の依存性あるいは強化作用の比較というのは、必ず薬物の 高用量において比較するのでしょうか。 柳田委員  一番強く出るところで比較します。 事務局(望月)  それは国際的に認められた方法なんでしょうか。 柳田委員  国際的というか、サイエンスがそうじゃないですか。ものを比較するときは大体、低 いほうで比較したらみんな同じですからね。一番高いほうで得られる数字で比較するの が大体常識だと思いますが。 事務局(望月)  コカインの致死量はわからないんですけれども、ニコチンは、もっと摂取したくても ニコチンの致死量というのがございまして、あまりたくさん取ってしまうと急性中毒で 亡くなってしまいますよね。そういう危険性もあるし、ニコチンは非常に辛いとか、こ れはあるリポートで読んだんですけれども、あまり高いニコチン用量だと、喫煙者本人 もあまり好まないというようなことがあったので。それはわかりました。 先生のご指摘のとおり訂正いたします。  それから、薬物依存専門委員会の報告の原文ということで、先生も先ほどご説明があ りましたように、もし誤解を受けるということでしたらば修正いたしますが、ただ、こ の専門委員会が麻薬とか向精神薬の条約の中で薬物を規制するかどうかというような前 提の下にいろんな薬物をプレレビューにかける前段階からずっと検討していく。 その過程でニコチンはプレレビューが行われたということは間違いありませんね。 柳田委員  ですから、プレレビューという言葉が何を意味するのかがよくわからないと、これは 検討議題として取り上げるかどうかということを検討するということなんです。 事務局(望月)  24ページのきょうの資料で、プレレビューの説明をさせていただいたんですけれど も、これでよろしいでしょうか。 柳田委員  そうですね。 事務局(望月)  今年の次の会合でプレレビューがなされるということで承知しております。ただ、配 布資料の参考資料で、WHOの EXECUTIVE BOARDでこれが報告されたんですけれども、 その中では、「なおたばこは」というふうに別記しております。  きょうお配りした参考資料のほうの一番最後のページなんですけれども、これはニコ チンについていろいろ書いてあり、しかし、たばこというものは濫用をもたらすような ニコチンが摂取されるということと、あと、もたらされる公衆衛生上の問題があるとい うことで、たばこをプレレビューすべきだというふうに勧告しておりました。 これはご参考までに。 柳田委員  それはそれで、そういうような見解でやっているのですから問題ないと思いますね。 事務局(望月)  また、4番目の最後の御指摘ですが、私どもがご用意をさせていただいた表は、ニコ チン依存に関する認識の変遷ということで、時代を追って古いものから新しいものまで 順番にお示しいたしましたので、DSM−III−R以前のいろいろな診断基準も載せてお りますので、その中で最新のものとしてDSM−IV、あるいはICD−10ということ はご理解いただけると思います。以上です。 事務局(高原)  続きまして、大河委員のコメントに対しまして、とりあえずのコメントをさせていた だきます。  私どもと大河委員と、おそらく原因という言葉について、まだ少し幅があるのかなと いうふうに感じております。私どもは、本日の資料の12ページで書いてございますよ うに、慢性疾患の場合においては、原因とは、ある要因、ファクターの行使が、ないし は曝露が、ある事象の頻度を増加させる場合、その事象の原因といい、リスク因子・リ スク要因という語と同義であるという考え方で整理させていただいております。 この考え方は、私も疫学史の専門家ではございませんが、例えば1960年ぐらいから 専門誌等では取り上げられて、現在に至って確立している。それでない限り慢性疾患の 原因というふうなものは、これは言えないわけでありまして、したがいまして、原因と リスク因子という言葉を同義の言葉として使っている。がんセンターのコメントは大河 委員が提出後になされた訂正ではないかという話でございますが、そのとおりでござい まして、実は、ここで言われている原因とはどういうことなんだということで、がんセ ンターにクラリフィケーションを伺いますと、やはり私どもと同じように、要因の行使 要因、ある事象の頻度を増加させる、これをリスクファクターと呼び、原因と呼ぶんだ と。しかし、誤解があるならば、原因というよりも、むしろリスクファクターと言うほ うがいいだろうということでございます。  私どもの用意しました資料につきましては、27ページにとりあえずのコメントが載 せております。ひとつは、様々ながんの発病につきましては、この前のご本でもご説明 いたしましたように、私どもも各種環境因子、内因が関わっていると。したがって、何 がリスクファクターになっているかわからないのではなくて、たばこ以外の要因を揃え る、これはバイアスを除去するというふうに言っておりますが、それ以外の要因、バイ アスをできるだけ除去した疫学調査を行うことによって、喫煙の寄与率、リスクファク ターとしての要素というふうなものは明らかになるというふうに考えております。  動物吸煙実験の意義づけでございますが、実は動物吸煙実験においても、最終的には 統計処理をいたします。人間のデータできちんとしたものがあるのに動物実験、これは 動物の場合は種族差とか個体差、個体差の場合は人間も同じでございますが、種族差な んかを考慮しなければならない。したがって、疫学調査できちんとしたデータが出てい る場合、動物吸煙実験によって因果関係を確定するというのは、あまり意味がないんじ ゃないか。もちろん、吸煙実験によって様々なメカニズム、機序というふうなものは明 らかにできると思いますが、意味がないということじゃなくて、因果関係を確定すると いうふうな上ではいかがなものかと考えております。  それから、肺がんの死亡率の国際比較ということでございますが、これは当然、各種 環境因子、内因等が関わっておりますので、日本人を対象としたコホートスタディで喫 煙の寄与が認められていれば、それは日本のがんないしは肺がんに対して喫煙が寄与し ている、リスクファクターであると言って差し支えないと、私どもは考えております。  それから、タイムラグの話でございますが、比較的明瞭なのではないか。明瞭ではな いという提示がございましたが、この曝露し発病の間の時間差がある因果関係の分析と いうものは、現在は時空間相関モデルというもので、20年、19年、18年、ないし はずらしながら、ないしは集積させながら相関をとっていくというタイプの分析評価を 行うのが普通でありまして、グラフをずらして相関があるかないかというのは、何とも 言いかねるデータではないかと考えております。  それから、低タールにも限らず増加しているのはいかがかということでございますが 一つは時間差の問題。それからもう一つは、タール値が本当に実質のがん原物質、これ はお認めにならないかもしれませんが、がん原物質の消費量ないしは摂取量をあらわし ているのかどうかということについては、特に最近の米国の知見により、その他のター ルないしはニコチン以外のものも寄与しているということが出ておりますので、後ほど また、本日でなくて結構でございますので、ご見解を伺えたらと思います。  いろいろございますが、表1に、様々な要因によるがん死亡に対する寄与の割合とい うのが、たばこ、アルコール、食餌、添加物等々で出ております。ここに出ております ように、最近の疫学では、ベストエスティメイト、最良の推定を点でするとともに、コ ンフィデンスインターバル、信頼区間を範囲で示すということが比較的行われておりま す。これがいわゆるコンフィデンスインターバルを厳密に計算したものであるかどうか は、ちょっとまだ吟味しておりませんが、推定範囲としてはかなり幅がある。そういう 形で、今、評価されておるうちで、全がんに対する寄与割合としては、たばこが30% ということでございます。食餌のほうが35%ということで、そちらのほうが高いとい うのは事実でございますが、これの様々な、これこそ食餌の変更というふうなもの、食 餌には様々なものが入っているということで、コントローラブルと言えるかどうかとい うことでございます。  それから、脳卒中の危険因子ですが、この NIPPON DATA、また引用しておりますが、 これにつきまして、まだ研究報告書の段階でございますので、大河委員には、ないしは 他の委員に入手、ご不便をおかけいたしました。申し訳ございません。著作権者のご了 解を得まして、全データができるだけ入手されるように取り計らいたいと思っておりま す。これは人年法によりまして、リラティブリスク、相対危険度を評価しております。 このデータによりますと、喫煙習慣別に見て、年齢調整後の脳卒中の死亡率に有意の差 コンフィデンスインターバルで申しますと、1本から20本で1.09倍、全然吸わな い人に比べて1.09倍から69.87というのが95%信頼区間推定でございまして 1.09から69というのは非常に大きいじゃないかというふうに思われるかもわかり ませんが、95%の信頼区間を取るとそういうことである。以下同様であるというデー タが出ております。これは、1996年に出たデータでございますので、大河委員がご 引用の方が総説としてレビューをするのには、たぶん間にあっていないはずであります  それから、ETSの考え方でございますが、これは、例えば喫煙者本人に関しまして は、非常に疫学的な意味での詰めということが可能でありますが、むしろETSという ふうな環境要因については、いわゆるリスク科学という観点から、ある一定の、例えば 10の−5以下に管理するという、例えば環境基準とか食品とか水質でやっております ような考え方がなじむのではないか。つまりこれは、受ける側にとっては一つの受容せ ざるを得ない環境でございますので、そういうことになるのではないか。  それから、ご引用になりました職業性冠動脈性心疾患でございます。これは、アメリ カらしく、注文先でありますフィリップモリス社の委託によってやったという情報のデ ィスクロージャーが行われておりますが、その職業性の心疾患とETSという問題なの かなと。かなり異質な問題を比較されているのではないかということでございます。  ダイオキシンにつきましては、これは環境庁の環境保健部環境安全課及び環境リスク 評価室が作成いたしました資料を環境庁のお許しを得てお配りしておりますが、32 ページで、我が国における発生源別ダイオキシン発生量というものの、たばこの煙とい う排出量の値は、私どもが採用しているものと同じ値でございます。もちろんこれは、 基本的には推計ではないかという点につきましては、これは推計以外存在しないわけで すので、そういうことでございます。  それから、医療費につきまして37ページに出ておりますが、実は、医療費の最大の 説明要因は、これは年齢であるということは、これはもう常識として関係者は皆知って いるわけであります。実は、年齢階級別の1人当たり診療日数、1日当たり医療費、1 人あたり医療費が、年齢とともに増えていくのが普通ではありますが、山本氏の対象と した集団、これはいずれも減っているという、これは事実なんでしょうが、特徴を示し ております。この集団自身が本当に医療費の分析にとって受け入れやすい資料なのか、 こういう事象があったことを否定するつもりはございませんが、普遍的に言えるのか。 これは、ある特定の健保組合のデータでございますので、比較的近いということで、私 どもの社会保険庁が調査しております政管健保における受診率、1人当たり点数の入 院・入院外別の年齢階級別のデータを上に示しております。そうしますと、山本氏の集 団では、一般的なデータより、特に年齢の寄与という点において不思議な形になってい ると考えております。  なお、ご引用になった部分以外の資料の入手につきましても、大河委員、大変フェア にアレンジしていただきまして感謝申し上げるとともに、お互いにこれからそういうふ うにしようと思うわけでございますが、蟹沢先生の1996年の論文によれば、肺がん の有効な予防手段として喫煙をしないという表現もございます。  それから、その2番目は、蟹沢氏のDoll以降の疫学の項で、私ども、どうしてもこれ は謎としか思えない文章が出てきております。これはどういう文章であるかというと、 ちょっと飛ばして読みますと、下から4行目に、「それらの」、様々な喫煙以外のとい うことですが、「それらの作用は小さいと判断し、現在考え得るヒトの癌の原因はたば こ以外にないと結論している」と蟹沢先生はDollを理解されておりますが、これは、ど こでどういうご理解なのか、そういう前提に立って、多分、誠に失礼な言い方ですが誰 も仮定していない仮説を一所懸命打ち破ろうとなさっているのではないかと感じました ので、誠に失礼ながら念押しをさせていただきます。  39ページの清原らの1994年の、喫煙と脳卒中の間に有意の関連を認めた疫学研 究の成績はほとんどないという、そのパラグラフでございますが、しばらく後に、しか し、禁煙によって脳卒中のリスクは数年以内に急激に減少するということがあわせて書 いてありまして、これは、誠にやっぱり謎であると。禁煙によって増加していないのは吸っている人がやめると普通の人よりか、もし因果関係がないとするならば、こういう ことは起こり得ないし、これもよくわからないということを申し上げたいと思います。  それから、山本ら、医療費に関する論文でありますが、結論部分について、下のよう に述べられております。医療費の推計について、平山データを用いたのではないかと。 事実でございます。それに対して、そういった幾つかの要素を推計して出したというこ とも事実でありますが、また、ここにご紹介しておりますように、NIPPON DATA という 我が国には珍しい前向きの、いわゆるEvidence Based Medicine の考え方からすると、 最強のデータというデータセットが公開されておりますので、そういったものを使いま して、更に検討させていただきたいと思います。以上でございます。 大河委員  事務局と委員の間で、今、さらに、いわゆる再々反論みたいな形でやってよろしけれ ば、これからやりますけれども、これをやっていると、ほかの委員の方の発言時間を奪 ってしまうと思いますので、以上の点に関して一言だけ申しますと、なかなか短時間で よくまた反論されたとは思うんですが、私もまだ承服できないところもございますので それは次回でよろしいでしょうか。 島尾座長  そうしてください。 山崎委員  私、本当にこの委員会、異常だと思います。今、大河委員と柳田委員が、お二人で4 分30秒お話になり、事務局が16分50秒お話になりました。一体これは、事務局が 一部委員を説得するための委員会なんでしょうか。この運営自体が私は非常に異例とし か言いようがない。  一つだけというか、こういうことになると、どうしても私たちとしては発言をせざる を得ない。まず、質問を一つと、それから意見を一つ申します。意見から申します。  12ページの原因の定義ですが、これは厚生省の定義なのか、あるいは世界の医学界 の定義なのか、あるいは、ここに注記されているような、いわゆる国際機関の定義なの か知りませんが、これは、哲学の学生の1年生でもわかる論理上の誤りです。普通、あ るファクターの行使がある事象の頻度を増加させる場合、これを平衡現象といいます。 因果関係とは言いません。そして、大変驚いたことに、ここに英語でわざわざ Necessary、Sufficientと書いてある。これは、論理学で習う最初の言葉で、必要にして 十分な条件、その一方を満たしている条件、習うわけですが、それが、この平衡関係の 極端な状態である。一番下に書いてありますが、5番のところに。こんなバカげた論理 学は聞いたことがありません。もし平衡関係を原因関係だと言うならば、日本人の場合 畳の上で死ぬ人が一番多いわけですから、畳は最大のリスクファクターだと言わなけれ ばならない。平衡関係と因果関係という、本当に常識的なことを混同されている。  それからもう一つ、たばこというものは、いま特定して、従ってこれをファクターと 考えることができる。そして、そこに一種の平衡関係があるとおっしゃいました。他方 食物のほうは、いろいろと要因が複雑であって、つまり要因として特定できないから、 これをリスクファクターと呼ぶことはできないとおっしゃいました。それは、文化系の 学問でも理科系の学問でも、初歩的なことで、ファクターを特定する努力をするかしな いかの問題で、だから私はたびたび、ほかのリスクファクターに関する資料をお出しい ただきたいと申し上げている。  この2つ、どちらも純論理学上の問題ですから、医学以前の誤りであります。  第2に、ちょっと気になったことで質問いたします。大河委員が発言の中で、ある資 料を提出したら、一部の資料は厚生省側で受け入れられたけれども、他のものは受け入 れられなかったとおっしゃいました。そういう事実はあったわけですか。 大河委員  そういうことではなくて、厚生省の資料の1ページ目に、査読制をしいている学術刊 行物ないしは公的機関のデータでないと反論あるいは追加に応じないというのが第1回 資料の表紙に書いてありましたですね。そのことを申し上げただけです。 山崎委員  それは事実ですが、その根拠を教えてください。 事務局(高原)  まず、それは第1回の、お手持ちですと、「21世紀のたばこ対策検討会」の下のと ころに書いてありまして、その趣旨についてはご説明申し上げました。しかしながらこ ういうのが一つの、すべての意見とか、そういうふうなものを因果関係論みたいなとこ ろで議論をするのはいかがかということで、こういうものを一応対象にしますよという ことでございまして、特にご異論もなかったようなので、そのまま引き継いでおります が、事実、これはある特定のアーティクルの評価になりますので申し上げませんが、私 どもも特にメンションしました論文の中に、いわゆる大河委員からお出しのもので、い わゆる査読制を引いていない学術雑誌のものも平等に委員ご提出のものはすべて私ども 現在のところどれかを否定したということはございません。  それから、平衡なのか、いかがなのかということでございますが、ある要因の行使が あるファクターがあることによってある現象が増加するということがあれば因果関係と いうことであって、単に、例えば相関係数が1である、非常に極端な場合を言うと正比 例するということだけをもって因果関係があるとかないとかということは、全く我々は 考えておりませんし、疫学者でそういうことを考えている人は一人もいないというふう に私は考えております。 山崎委員  今のこと、同じことじゃないですか。あることの行使とおっしゃいましたね。行使と その結果起こる、結果かどうか、結果と言ったらこれはトートロジーですから、ある事 象の頻度を増加させる、つまり、その間、増加させたかどうか論証しないで平衡関係と 同じことじゃないですか。 事務局(高原)  そういうのは疫学でコンファウンディング・ファクターと。 山崎委員  ちょっと待ってください。疫学ではと言わないでください。私は哲学の話をしている 事務局(高原)  一般に論理的に申しまして、例えば、テレビの普及率と自動車の普及率というのは、 かなりご承知のように一致いたします、平衡いたします。しかし、誰もこれは平衡関係 ではある、ないしは相関関係、相関係数が高いということと因果関係であるというふう な論証はしないわけであります。 山崎委員  そのとおりです。だから、その区別をちゃんと立ててくださいと申し上げている。 事務局(高原)  表現が不適切ではあるということであれ、改めますが、あるファクターが。 山崎委員  それでは、次回の委員会までに、原因の定義について新たな定義を出してください。 事務局(高原)  わかりました。それから、食物はリスクファクターと見なさないというふうに申し上 げたということにつきましては、私はそういうことは申し上げたつもりはございません 食物はリスクファクターでございます。 山崎委員  しかし、いろいろ要素が複合しているので、これの対策は不可能であるという意味の ことをおっしゃいましたね。 事務局(高原)  コントローラブルという点については、単一の、例えば卵をやめるとか、牛乳を飲む とかというふうな意味で、たばこという単一のものに着目した対策は難しいと、そうい う意味で申し上げました。 山崎委員  どうして難しいのか伺いたいけれど、時間がないので、これも次回にお願いします。 島尾座長  かなり委員会全体の、この会合全体の本質的な議論が出ていると思うんですけれども しかし、ただいままでは、ごく少数の委員と事務局との間のやりとりだけで、ほかの先 生方は、残念ながら、きょう、あまりご発言をいただいておりませんので、時間も限ら れておりますけれども、ほかの委員の先生方から、ぜひ、この委員会の今後のやり方、 それから、どんな点を中心に議論をしたらいいかというような点についてご意見をいた だければ有り難いと思うんですが、いかがでございましょうか。 富永委員  大河委員の反論に対して、コメントをしながら簡単に意見を述べさせていただきます  大河委員が18ページから23ページまでの資料で反論されていますが、19ページ のところで、蟹沢先生が触れておられる喫煙率と肺がん死亡率が平行していない。ある いは、タール摂取量と肺がんの死亡率がクロスしている。これはおかしいんじゃないか というご批判がございましたが、大河委員のほうで、既に蟹沢先生は20年のずれを想 定しておられるので、30年の場合はまだわからないといわれました。全くそのとおり でございまして、第1回の検討資料の3ページには、喫煙の流行モデル、流行と疾患の 死亡率のズレが出されておりまして、これでは約40年になっております。  いずれにしましても、アメリカ、イギリスなどの実際の経験からしまして、3、40 年というのが多分妥当と思いますので、日本で喫煙率が低下を始めましたのが1966 年頃ですから、まだ、3、40年といいますと21世紀になってからようやく肺がんの 死亡率が減りかけるのではないかと思われます。  それから、蟹沢先生の参考文献を二三あげておられますが、蟹沢先生は、1996年 参考文献の2の論文の冒頭で、この委員会がやるべき方向づけを蟹沢先生自身が示して おられます。数行ですので、読ませていただきます。  「喫煙と肺がんの問題は、純学問的にはともかく、現実的には、もはや有害の如何を 議論する段階ではなく、社会政策的にいかにして喫煙者数を減らすか、さらには社会か らたばこを極力閉め出すためにどのような対応をすべきか。そして、究極的には法的な 規制をどのような形で行い得るのかを検討し、あるいは実施する段階にあると言ってよ い。」と蟹沢先生自身は述べておられます。  それから、21ページの、この久山町の結果では喫煙と脳卒中は関係ない。先ほどの NIPPON DATAでは、喫煙者では脳卒中のリスクが非常に高くなるというデータを出されま したけれども、きょう配布されましたブルーの表紙の「喫煙と健康に関する報告書」と いう本は、1993年ですから古いんですけれども、この本の96ページから105 ページにわたって、内外の喫煙と脳卒中に関する文献がレビューされています。 これは、1992、3年頃までのデータでございまして、ここ数年間のデータは入って おりませんけれども、大河委員がご紹介の久山町の研究の結果もちゃんと喫煙と脳卒中 は関係がないということを表にして示してあります。  ここで提案したいことは、こういうふうに断片的に、都合のいいデータだけを出すん じゃなくて、内外の論文をレビューすべきです。数年間の間にいろんな面ですごく研究 が進行しておりますから、この喫煙と健康の報告は5年古くなっておりますので、早急 にこの数年間の論文などを含めてレビューをし直して、もう一度喫煙と健康についてき ちっとまとめるべきであって、この検討会ではそういうことを議論するにふさわしい場 ではないと思います。  それから、23ページの、たばこと超過医療費の関係ですけれども、この種の研究は たくさんございます。事務局からも説明ございましたように、この対象は、ある事業所 の従業員でありまして、健康診断の受診者を対象にしています。40歳、50歳代が中 心で、健康診断の受診者といいますと、健康診断を受けれる人です。仮に何かの病気で 入院していたり、あるいは死亡したりした人は健康診断を受けられないんです。 こういう元気な人が働いておりますので、我々はヘルシーワーカーズエフェクトといい まして、実際に働いている人は、より健康のほうに偏っているということがございます ので、きょうの厚生省が追加資料で出されたように、勤務者だけではなくて、全員を対 象にした調査をしないと本当のコストはわかりません。  そして、たばこの健康への影響は、40歳代、50歳代ではなくて、むしろ定年の 60歳ぐらいから著明に出始めますので、一生涯全体についてのコストを計算しないと わからないと思います。  それから最後に、大河委員のほうから、平山先生の計画調査、これは26万数千人を 対象にした調査ですけれども、これの原データが公表されていないから云々とおっしゃ いましたけれども、平山先生は、計画調査の結果を1冊の膨大な英文のモノグラフとし て刊行されております。そのほかにもたくさん、レビューアーの付いた学術論文にいろ いろなデータを発表しておられます。平山先生は亡くなっておられますが、あれは大変 貴重なデータでございまして、それについてはあまりとやかく言うべきではないと思い ます。  ほかにもいろいろございますけれども、時間の関係で、以上でコメントを終わらせて いただきます。 内山委員  私も、もうあまり時間がございませんから、たくさん申し上げたいことありますけれ ども、総論的なことだけ申し上げさせていただきます。  前回の議論で各委員がおっしゃったこと、これがおそらく今の事務局からの答えの中 に盛り込まれているんだと私は思っておりまして、事務局対特定の委員の間の議論とい うことでは、この委員会の存在意義がなくなると思います。ですから、事務局のお話の 中に、我々の納得するのがたくさんあるからこそ発言の時間が少なくても我慢をすると いう程度のことで過ごしております。そのような気もしております。  それから、結論から申し上げまして、今の、特にきょうの議論を聞いておりますと、 日本の社会の中で起こっていることの、まるでミニチュアだなという感じがいたします これは、悪い言葉の使い方であれば、失礼であれば後ほどお詫びを申し上げますが、例 えば権威あるいは理屈、それから遠慮というようなものが渦巻いていて、そして、言い たいことも言えないといったような社会情勢を非常によくあらわしているという感じも いたします。  何を言いたいのかといいますと、今、因果関係のお話が出ましたけれども、こういう 人の健康を守るという、前回、私は、それが行政の努めであるから、ぜひやってもらわ なきゃ困るというふうに申し上げましたが、そういう場合に、因果関係が明らかになっ ていないからどうだという議論は、これは本当はナンセンスであります。因果関係とい うのは、先程来のお話のように、字から見ますと原因と結果ということですから、原因 であり結果であるという、原因究明が終わってからしか因果関係というのは言えないの かもしれませんけれども、むしろ原因究明が必要なのではなくて、未然防止、それから 再び起こらないということが必要なのであります。従って、あるおそれがあるという場 合には、それが、ある率のリスク以上であれば、前回、私は、リスクは加わるものであ るから、ある率以上のリスクが加わるのならば、それは防げる範囲内で絶対に防がなけ ればならない。それが国民を守る行政の努めであると申し上げましたが、ぜひやってい ただきたい。それをやっていただきたくて期待している人の数のほうが多いということ を申し上げたいわけであります。  ですから、因果関係がわかってしまってからしかここでは対策を立てられないのだっ たら、そんなバカな健康対策というのはあるかと、一つだけ申し上げたい。 それが第1。  第2番目は、私は前回も、リスクによっていろいろな推定をして結論を出すことを仕 事にしていた時代もあったと申し上げましたが、現在でも、医薬品に関しても食品に関 しても、そういうことで仕事をやらせていただいておりますが、すべてリスクの計算と いうのは仮定を重ねた結果であります。仮定を重ねた結果が当てにならないと言われる と、これは人がバタバタ死ぬまで待っていなければならんということになりますのでそ ういう議論もここでは実は控えていただきたい。仮定を重ねた数値であろうが何であろ うが、根拠をもって結論を出すということが科学だと聞いておりますから、根拠をもっ て結論を出すということにここでは徹していただきたいと思っております。  大河先生のお話だけにコメントを付けるわけではありませんが、一つだけ最後に申し 上げたいのは、たばこを吸っているということを、ほかの人と共存した場合ですけれど も、刺激があったり気持ち悪くなったりするのはあるかもしれないけれども、健康影響 ははっきりしていないから、協調ある共存が行われているというお話を伺ったような気 がします。私は、因果関係は、いま申し上げましたように、それが成立しているいない ということとは関係なく申し上げたいんですが、刺激かあるいは気持ち悪くなることは かまわないというような感じが、そもそもやっぱりたばこに関する愛煙家と、それから 嫌煙家の関心の違いじゃないか。それは数値にあらわされないから、私は前回、この データは数値にあらわされることしか出ていないので不十分であると申し上げたのであ ります。以上です。 島尾座長  ほかの委員の先生方、何か。もう時間は、きょうは限られていますが。 幸田委員  議事進行ですが、できれば私は、委員同士の議論の中から最大公約数を求めて、21 世紀のたばこ対策というものが何か形としてまとまっていくのが一番望ましいと思いま すが、そういう意味で議事進行について申し上げると、できる限り委員同士の話を中心 的なものにできれば据えていただきたい。きょうの議事を見ますと、厚生省事務当局委 員との間のやりとりに終始をしたような感じがしますので、そういう意味で次回以降の 議事さばきはお願いをいたしたいと思います。  ただいまの大河さんのご発言に関連をして、最後におっしゃったのは、日本たばこの おそらく意見だと思いますが、できれば何かペーパーにして次回にでもお出しをいただ く、会社のご意見としてお聞かせをいただければと思います。ちょっと聞き漏らした点 もあるものですから。  その中で、私はやっぱり一番問題なのは、いわゆる分煙対策については、日本たばこ としては、あまりお考えにならない、否定的だというふうに聞いたんですが、協調ある とかというお話がございましたけれど、その点について、できればご説明をいただけれ ば大変ありがたいと思うわけでございます。 大河委員  誤解があったのではいけませんので申し上げますけれども、やっぱり吸わない人の問 題というのは大事でございますから、分煙対策というのはきちんとやるべきである。 ただ、その場合に、ただ分煙対策をやるということではなくて、やはり愛煙家のマナー を向上するような啓蒙運動も必要ですし、それから、吸う人、吸わない人がお互いに、 けんかをするわけではなくて、やはり協調できるようなふうにしないといけないのでは ないか。そのためには、一つは技術的な対応というのももちろんあるわけでございます ので、日本航空とかJR東日本とか竹中工務店とか、いろいろなところとの共同研究も やっておりまして、むしろ積極的に分煙対策はやっているところでございます。 島尾座長  それでは、発言をまだしていらっしゃらない、野中委員、そして松本委員、それから 山崎委員、お願いします。 野中委員  座長に質問させていただいてよろしいですか。きょうのお話をずっと伺って、前回も そうなんですが、医学部を受けようかなと思った時代を思い出しまして、いい勉強をさ せていただきましたが、野中の誤りがあるかもしれません。日本国として、たばことい うものに対しての判断をしているところは、他に、既にあるのか、ないのか。私どもの 対策検討会というのは対策を検討するところではないのか、どうか。私の理解としては とっくにたばこというのは、山崎先生にまた怒られちゃうかもしれませんけれども、 「これは本当に迷惑なものだわい」という判断が下っているものと思っておりましたの で、その上での、その対策を考えるのがこの会である、と理解して私は参加したわけで す。国の一つの表明というのが、どこかほかの機関で、もっと医学の言葉がわかる、そ して、柳田委員と特に事務局の間のお話を伺っていて、ちょっと裏でやっていただくと うれしいんだけどなと思った次第でございますが、そういう専門部会がおありになるの かどうかという点。いや、その判断についても、あわせてこの会に期待されているのか ということ。それが、まず、質問の第1点でございます。  私の理解ですと、先ほど松本委員にも伺ったのですが、昨年の厚生白書に初めて、た ばこが有害性があるという、たばこの有害性を認める表現が登場した。厚生白書という ことは結局、閣議決定を受けているのであるから、たばこの有害性というのは日本国政 府としても、これは認知されたものであると考えて我々の委員会があると思うのです。 山崎委員のご指摘のポイントには、大きく言って2つあると思うんです。間違っていた ら教えてください。  因果関係が明確化していないから、国策というか、国としてたばこに対して云々すべ きではないというパースペクティブが1点と、ひょっとすると山崎委員、第1回目の、 私は途中で失礼してしまったので議事録で拝読させていただいたのですが、たとえ因果 関係が確定しても、たばこというのは文化なのであるから、これに対して国が云々する べきものではないというご指摘が2段階あるのかなというふうに野中は理解しているの ですが、それでよいのか。それは山崎委員への質問です。  まず座長への質問。ごめんなさい、すぐ仕切る職業柄が出てしまいまして。(笑)と いうのは、あまりに重苦しい雰囲気が続いて、昔、野中もたばこを吸ったことがあるん ですが、たばこが吸いたくなるような委員会で、これはちょっとまずいぞという気がい たしまして、思いきって申し上げてしまいました。(笑)あと5分しかないのですけれ ども。 島尾座長  少なくとも、ここではあまり学問的な議論をするつもりはございません。ただし、そ れをする場は、常設の場はないですね。というか、それは既にある程度、白書でご理解 いただいたように、全体としては、少なくとも健康に良くないということは、もうかな り明らかにされ、それを具体的に対策としてどう実現していくかというのを議論するの がこの会議であるというふうに私も理解して受けているつもりでございます。 松本委員  私、前回も言いましたけれども、有害かどうかをはっきりさせてくれないと議論がで きないので、それをやってほしいと思うんですが、今の座長のお話では、それはもう確 認済みなんだと。そうすると、じゃあ、どの程度というのをある程度出していただける と、このリスクベネフィットアナリシスという観点からいきますと、健康へのリスクと 先ほど大河委員は効用もあるとおっしゃったんですけれども、その効用と比べてどの程 度の対策がいいのかという次の段階に進めると思うんですね。  程度の問題については、あるいは見解の相違があるのかもしれないですけれども、そ のへん今後詰めていただきたい。  効用のほうなんですけれども、大河委員がおっしゃった効用の中身が、例えば、ちょ っと時間が余ったときに小説を読むとか、音楽を聴くとかと同じレベルでたばこを吸う という、個人の嗜好、趣味としての効用ということでしたら、私、十分理解できるので すが、たばこを吸うことが健康にプラスになるんだとか、精神衛生上プラスになるとい う意味での効用というのもあるという意味なのかどうかですね。  つまり、塩とか砂糖も、食べ過ぎれば健康に悪いという意味では有害なんでしょうけ れども、塩も砂糖も、おそらく砂糖の場合は糖分ということで、塩の場合は必須でしょ うから一定はとらないと体が持たないという意味で、まさに効用があると言っていいと 思うんですね、食品として。たばこにも同じようなものがあって、私、たばこ吸わない ですけれども、吸ったほうが健康にいいとか、精神生活にいいとかいう意味での効用が あるのかどうか。  それから、会議でイライラしているときにはたばこを吸うと気持ちがいいとか、満員 電車からおりればたばこを吸いたくなると。これは、たばこの精神を落ちつける効用だ ということによく言われるんですけれど、逆に見れば禁断症状じゃないかなという気も するんですね。たばこを吸いなれている方にとっては、こういう会議はイライラするか らたばこを吸いたい、たばこを吸えば気分が良くなると。効用ということについて、た ばこのメーカーとしてどういうふうに考えられているのかをちょっとお聞きしたいので すが。 島尾座長  きょうはちょっと時間がないので、次回に、いろいろ大河委員のほうにご注文が出た ようですから、次回にまとめて。 大河委員  一言だけ。効用については、もちろんそういう心理的な意味の効用と、科学的な効用 もあると思うんです。次回に資料をまとめて出したいと思います。 山崎委員  私の発言の割合が増えていることは重々承知しています。しかしこれは、委員の配分 上やむを得ないこととご理解ください。  先ほど、因果関係を問題にすること自体がこの会議の趣旨に添わないようなことをお っしゃいました。しかし、ここでは、たばこ対策という言葉が最初に出ている。 なぜ対策を考えるのかといえば、たばこが健康に悪いからであります。悪いものという のは、なぜかといえば、ある種の病気とたばことの間に因果関係があるからだと。そう いうふうに論をお進めになっているのは厚生省の事務局と一部の委員である。 従って私たちは、その一つひとつについて真実を正していかざるを得ないし、論理の誤 りも指摘せざるを得ません。因果関係がはっきりしないものについて、これを国家の名 前において裁くというのを魔女裁判と申します。  私は、お医者さんの方々が経験に基づいて、そして個人の信念に基づいて禁煙運動を おやりになること、あるいは市民の中で、たばこの嫌いな人が嫌煙運動をおやりになる ことは、誠に結構であり、もっともだと、第1回目に発言しております。問題は、それ を国家が左右するということであります。たばこというものが健康あるいは厚生省マ ターであるか、あるいは、もっと高次のマターであるかどうかということは、あらかじ めちゃんと議論をしなければならないにもかかわらず、その部分を排除して、あらかじ め健康だけの問題だというふうに限定する。それから逆に、健康にとってたばこだけを 特定して取り上げて議論をする。そしてそれを、国家の、しかも立法措置をとらない、 こういう委員会の隠れ蓑の背後で、ある省のある課が国民の精神を先導されることは非 常に危険である。ですから、野中さんのご指摘のとおり、私の論理は2段階であります たばこが悪いかどうかと、それは国家が議論する限りはですよ。純論理的に、私は科学 的と申しません。それ以前に。一般社会に通じる論理で決めていただきたい。  その次に、よしんばそれが健康に悪だとわかっても、それを国家の名において他の価 値に優先して問題にすべきかどうかということを私は疑問とします。 川口委員  議事の進行の仕方に関する若干の提案も含めまして、きょうの因果関係に関するご議 論、一部の委員の方と事務局の間に集中しすぎた嫌いはありましたけれども、それはそ れで私は、十分理解しなかったかもしれませんが、おもしろかったと思いますし、知ら ないことがよくわかりました。それから、前回申し上げましたように、やはりこの議論 は、どれぐらいの関係があるのかということについて、広く国民一般に理解が進むとい うのが、いかなる対応策をとるにしても重要な基本でございますから、議事録公開され ることでもあり、それは今後引き続きそれぞれの場で、あるいはこの場でも続けていた だいたらいいのではないかと思います。  思いますが、ということは、完全に因果関係が全くないとか、あるいは因果関係が非 常にあるとかいう、あるいは、ある程度あるとかということを、結論をまずそこについ て見た上で対応策を考えましょうという議論の進め方をしなきゃいけないということで もないのではないかという気がいたします。  さっき松本委員がおっしゃられましたけれども、日本全体でみんながその点にどうい うふうに思うかという、あるいは因果関係の強さと、とられる対応策の強さの間には、 いろいろな考え方が、まさに山崎委員がおっしゃったようにあるわけでして、それに応 じて、どれぐらい因果関係が強いかということに応じて何をしたらいいかということも 違ってくるわけですから、一応因果関係の議論というのは引き続き続けることは必要で しょうけれども、それと並行して、どういうようなやり方があるんだろうか、あるいは その具体的なやり方の前に考え方ですね、まさに山崎委員がおっしゃったような考え方 もありますし、それから他方の極では、これは私、実は伺いながら、私が仕事で前に関 係をしていた地球環境問題のことをちょっと考えておりました。気候変動枠組み条約と いう温暖化についての条約がありますが、あれの考え方は、基本的に因果関係が今ある ということはわからない。どういう定義でわからないというのか、専門家ではありませ んからそれほど厳しく言えませんが、わからないけれども、あの問題については、もし 将来の時点でそういうことが生じたときに対応策をとるのでは遅いだろうということに 基づいて条約を作ってということであるわけですね。これは別な極にある考え方でして 私は、そちらがいいと言っているわけではないんですけれども、いろんな考え方があり ますから、考え方の基準、あるいは考え方についての議論もあわせて進めていただいて 並行的にいろいろ議論していったらいいんじゃないかなということと、それから、因果 関係のことについて、さっき提案と言って言い忘れましたけれども、それは、私はこの 世界についての識見を持たれている方が全部この席にいらっしゃるのか、委員の中にで すね。そこもよくわかりませんけれども、もしこの外にいらっしゃるということであれ ば、どういう立場の方にせよ、あるいは対応策の考え方についてでもいいんですけれど も、必要ならば専門家の方に来ていただいて、それをヒアリングするということはあっ てもいいんじゃないだろうか。これは私の提案の部分でございますが。というふうに考 えます。以上です。 島尾座長  どうもありがとうございます。もう予定の時間が既に。 柳田委員  ひとこと。私、この会では、事実の正しい認識の下にいろいろなことが検討されてい く必要があると思います。資料ではニコチンの依存性が、モルヒネ、コカイン、アンフ ェタミンと匹敵する、あるいは近いと、こういうご主張でしたので、それは違っていま すということをデータの上で言うための議論になっていました。そのために皆さんに、 そういうのは別のところでやっていただきたいと思わせる結果になってしまいましたが 私の言いたいのは正しい事実の認識でありまして、何とかその点は事務局にもご理解い ただきたいと思い、そのためには皆さんの前でそういう議論をちゃんとしないといかん と、そういうふうに思ったわけです。冗長な議論になってしまいましたことを、お詫び いたします。 内山委員  因果関係の議論をこれからお続けいただけるのは大変結構なんですが、肝心なところ が一つだけどうしても、両者のほうの合意ができていないので、これは行く行くも食い 違うと思うのですが。  いま議論しているのは、リスクがどのくらい増えるかということですから、例えば、 1割危険度が増えるということは、これは因果関係が成立しているとは言えないわけで す。ほかの原因でも起こるということです。ですから、1割危険度が増えるか、どのく らい危険度が増えるか。危険度が増えるということについて、今、議論しているのであ って、それが原因であるとか結果であるとかいうことについての議論ではないというこ とを、はっきりここで認識していただいておかないと、これから先の議論はおそらく食 い違ったままだと思います。 島尾座長  今回の検討会、第1回もかなり膨大な資料が提出されまして、今回も、2回目もかな り膨大な資料が出てくるということで、逆に言えば、普通はあまり基本的な資料をたく さんなしに議論を始めて、途中で追加していくということで自然に多くの委員の先生方 にご発言いただきたいが、多い状態で運営できたと思うんですが、今回こういう、パッ と出てきているので、それを巡ってのいろんな問題があったということの中から、それ を巡る議論が1、2回目、多くなってしまったということであったと思うんですが。 いずれにしても、ちょっと座長の運営、不手際で、ご発言をいただけない委員の先生方 が出てしまったことを申し訳なく思っております。第3回目には、今回までの議論を含 めて、もう少し中身の実りの多い議論のほうに進めてまいりたいというように考えてお りますので、ご協力をお願いいたしたいと存じますが。  次の会合について何か事務局のほうからご連絡ございましょうか。 事務局(高原)  3月につきましては、前回お話し申し上げておきましたとおり、委員の方々の比較的 可能な日がございませんので、4月になろうかと思います。4月及び5月上旬、連休明 けぐらいまでにつきまして、また改めて各委員の出席可能性につきましてご回答をいた だきまして、島尾座長とご相談いたしまして決めてまいりたいと存じます。 島尾座長  ただいまのようなことで、各委員の先生方に日程調整のお願いをするようになると思 いますので、その上で4月、5月と続けて会合をやってまいりたいと存じますので、よ ろしくお願い申し上げます。  本日は、どうもありがとうございました。  問い合わせ先   厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課 望月、大石   電話:03-3503-1711 内(2397,2394)