98/03/02 第3回生活環境審議会水道部会水質管理専門委員会議事  第3回生活環境審議会水道部会水質管理専門委員会議事録 日時:平成10年3月2日(月)14時〜16時 場 所:通産省別館901会議室 ○事務局  それでは、定刻でございますので、生活環境審議会水道部会水質管理専門委員会を始 めさせていただきます。過半数を超える先生方がお見えになっていらっしゃいますので 本日の会議は成立しています。  今日は国立医薬品食品研究所の安藤先生がお見えになっていますので御紹介いたしま す。  それから前回同様、国立医薬品食品衛生研究所の長谷川先生にオブザーバーというこ とで御出席をお願いしています。  最初に事務局の方からお手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第と書いて あるものが1枚目でございまして、その下に資料1、それから資料2、それから一番下 に資料3というのがございまして、資料3は2つのものから構成されております。以上 お手元にありますでしょうか。  本日の資料のうち、資料2につきましては前回までと同様に"Distribution Limited" とされておりますWHOのレポートを引用しておりますので、前回までの会議を踏まえ ますと非公開ということになると思いますが、冒頭に決めていただければと思います。 座長よろしくお願いいたします。 ○黒川座長  それでは、WHOの資料を引用している資料については非公開とすることで前回から もきていますので、資料2は非公開とすることでよろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○黒川座長  それでは非公開ということにさせていただきます。  それでは資料1に関して事務局から御説明いたします。 ○事務局  お手元の資料1「水道水質基準及び監視項目の見直しに関する基本的考え方」につい て御説明します。  これは第1回の専門委員会において平成4年の水質基準専門委員会の時の考え方を御 紹介し、第2回の専門委員会において今回の見直しについてこのような基本的考え方で やっていただくということで御了解いただいたものですが、欠席した委員の意見を踏ま え修正いたしております。修正をしているのは1の項目選定の考え方の2)のところです 従前と変えてあるところにアンダーライン、あるいは取消線を引いております。  ちょっと読ませていただきますと、第2段落目のところでありますが、「それぞれの 項目にかかる毒性情報から得られる評価値の一桁下の値を超えて検出されているものの 中から用途、使用量、検出状況、毒性に関する科学的知見等を総合的に判断して重要と 考えられるものを基準項目とし、これらの事項が基準項目に準ずると判断されるもので あって定期的にモニタリングする必要があると考えられるものを監視項目として選定す る。なお、上記の毒性情報の関してはWHO飲料水水質ガイドラインなどの国際的な評 価や検討時点において入手可能な文献情報などを踏まえ検討する。また検出状況に関し ては、検出率及び検出濃度の双方を考慮する。具体的には以下の考え方を基本として データの検出状況、分布状況等を考慮し、これらを総合的に検討して設定する」という ところです。  以下2枚目以降は変更はありません。変更した部分というのは、「毒性に関する科学 的知見」というところを明確にいたしました。水質基準専門委員会で平成4年に議論が 行われた際には、この用途、使用量、検出状況等という「等」のところに、毒性に関す る科学的知見がどの程度確かであるかといったことも総合的に判断をされているという ことがございます。それを明確にするという趣旨で「毒性に関する科学的知見」という 文言を明記いたしております。  具体的な検討方法に関しては、WHOの国際的な評価やそのほか入手可能な文献情報 を踏まえて検討するということを具体的に書いてございます。  以上です。 ○黒川座長  特に大きな変更とも思われませんけれども、何か御意見がございますでしょうか。  では、ないようですから次へ進ませていただきます。これでお認め願ったということ で、次へどうぞ。 ○事務局  それでは資料2「水質項目個別情報」を御説明します。 (以下非公開資料を用いた議論のため当該部分につき非公開)  それでは、資料3ということでお願いいたします。 ○事務局  お手元の資料3ですが、委員の先生方も御案内だと思いますけれども、新聞でアメリ カの調査研究で飲料水中のトリハロメタンと流産の関係について報道がありました。そ れを今回は皆さんに情報提供させていただくというものであります。 英文の資料がございますが、この英文の資料は「Epidemiology」の3月号に発表され たものです。日本語のところは、そのabstractを紹介してございます。  簡単に紹介させていただきますと、5,144 人の妊婦についてトリハロメタンの暴露と 流産について調査を行ったものです。トリハロメタンの濃度については78の浄水施設か らデータを得ている。こうしたサンプリングデータから飲料水中のトリハロメタン濃度 の平均値を出して、妊娠初期3か月に暴露した総トリハロメタン濃度を計算していると いうことです。 結果として総トリハロメタン濃度が75μg/ネを超える水道水を1日コップに5杯を超 えて飲んだ妊婦については流産のOdds Ratioが1.8 ということです。ブロモジクロロメ タンの濃度が高い場合についてはOdds Ratioが2.0 ということで、ほかのトリハロメタ ンの摂取についての補正をしたOdds Ratioについては3.0 だったということがこの論文 の内容になっています。  参考として書いてございますのが、低暴露グループと高暴露グループに分けた場合に 高暴露グループはORが1.8 となるということです。高暴露グループというのは、コッ プ5杯を超えて飲む、更にその水道水中の総トリハロメタン濃度が75μg/ネ を超えると いうものであります。これに対して低暴露グループというのは、5杯未満の水道水を飲 み、かつ75μg/ネ であるもの、あるいは飲料水源の95%の地下水であるものとしており ます。  2枚目に参考資料としてトリハロメタン関係の水道水質に関する基準を紹介していま す。我が国の水質基準、それからEPA、更にWHOという形で並べてございます。総 トリハロメタンについて見ると、今の日本の水質基準は0.1mg/ネ、EPAも0.1mg/ネと いうことで同じ値となっています。  検出状況を年間平均値という形で紹介しています。総トリハロメタンの基準値0.1mg/ ネに対してどれぐらいのレベルにあるのかというところをみたものです。これによると 基準値を超過しているものはありませんし、50%を超えているものもそれほど多いとい う訳ではないということが分かると思います。 英文の資料について簡単に紹介させていただきます。Abstractのところは先ほどの日 本語にあったとおりです。Abstractの2ページの一番下の方の段落でありますが、この 研究グループでは、prospective studyを実施し、水道水の摂取量と流産との間にどうも 関係がありそうだということを、最初に発見をしたというのが第一段落に書かれており ます。これは参考文献の16番というところで同じ「Epidemiology」に投稿されています その原因を更に詳細に見るということで、この調査を行ったものであります。  2ページのところに方法が書かれておりますが、まず対象者のところがここに簡単に 書かれてございます。最終的に五千百数名の妊婦の方々を対象にしている訳ですが、最 初の対象者としては、7,881 人がノミネートされた訳ですが、そのうち最終的に協力を 得られた人なり、あるいはeligibilityということで、ある一定の判断基準を導入して 例えば非常に若い方、英語かスペイン語を話す人であるとか、更に最終月経の日が分か らないものはエリジビリティがなしとしているなど、そういうクライテリアで5,144 名 というものが最終的な対象になったものであります。  2ページの下に水道水中のトリハロメタンの濃度をどのように調べたかというのが簡 単に書かれてございます。住所からどこの水を飲んでいるのかというのを見つけたとい うことのようです。  3ページの(2) のところでございますけれども、浄水場からトリハロメタンのデータ を入手したということです。 以下、統計的な処理を行って最終的に4ページ以下のResultというところになってい る訳でございます。 TABLE1は母集団の特徴について簡単に書いています。年齢、妊娠歴、人種、働 いていたか働いていないか、たばこを吸っているのか吸っていないかといったことにつ いて書かれてございます。  6ページはこの5,144 名の方々についての特性を一部を紹介しています。ここでは水 の使用量がどの程度の分布になっているのか、5杯を超えて飲む人というのが、どれぐ らいいるのか、更に家の中で水道水を飲む上でフィルターを使っているのか、すぐ蛇口 から飲むのか、あるいは冷蔵庫で冷やしてしばらく置いてから飲むのかなど、更にその ほかシャワーの時間について整理してあります。 7ページはここで具体的に飲んでいる水の定量的な性格が書いてございます。2段目 のところに総トリハロメタンについてございます。このレポートでは75μg/ネを超える 場合高い流産率となっていると書いてある訳ですが、少し高めになっているということ でございます。そのほかクロロホルム、ブロモホルムなども同様に書かれています。  9ページのTable4の表を見ますと、総トリハロメタン濃度が75μg/ネを超えて、かつ 5杯以上飲んでいるという人たち、総数としては121人、このうちの15.7%が流産したと いうことでOdds Ratioとして1.8 となるということです。  12ページのところでクロロホルム、ブロモホルム、ブロモジクロロメタン、それぞれ 書かれてありますが、ブロモジクロロメタンについて見ると、このようにOdds Ratioが ほかのと比べて高いという形で示されてございます。 概要は以上の通りです。 ○黒川座長  これはどこの研究施設が行ったデータですか。 ○事務局  英文の資料の16ページに、「Reproductive Epidemiology Section,California Depart ment of Health Services」ということでカルフォルニア州の機関だということがここか ら分かると思います。その下に連邦環境庁の補助を受けてやっておりますというような こと書かれております。 ○黒川座長  新聞で御存じの方も随分いらっしゃると思いますけれども、とりあえずは厚生省と言 いますか水道関係としては、このデータについてどういうふうにお考えになる訳ですか ○由田水道水質管理官 データを見ますと、もともとトリハロメタンは0.1mg/ネということで、アメリカと同 じ水準ではあるんですが、特にその大半を占めますクロロホルムについては、WHOの ものと比べて相当厳しい数値になっております。日本の水道事業者は、この数字でコン トロールをしておるということ、それから他の全般的な項目をもっと厳しい形で対応し ているということで、実際にデータを見ましても平均値で見ますと基準を超えていると ころはないですし、そのほかもかなり低いレベルで維持されております。従いまして、 今すぐに行政的に何か措置をしなければならないとは考えておりませんが、流産をする のではないかという話は初めての情報でございますので、先生方から何か御意見なりコ メントをいただければ大変幸いかと思っております。 ○黒川座長  私としては、疫学の専門家の評価が必要だと思いますね。疫学調査の結果は、疫学の 専門家の方からみると関連がないということもしばしばあるので、出来れば、そういう 方のコメントもいただきたいと思います。ほかに何か御質問、御意見、この件に関して ございますか。 ○真柄委員  Odds Ratioが2ないし3ですから、そんなに明確な関係はないのではないかというの と、ブロモジクロロメタンの影響が強く出ているというのは、ほかの動物実験の結果で もブロモジクロロメタンが一番強いので、そういう意味ではそうかなという程度だと思 います。そういう意味では、今、黒川先生がおっしゃったように、一度公衆衛生の疫学 をやっていらっしゃる先生にごらんいただいて、確認していただく必要はあるだろうと 思います。 ○由田水道水質管理官 そうしましたら、座長初め先生方に適宜御推挙いただきまして、疫学の専門の方に御 相談させていただくということにさせていただければと思います。 ○黒川座長  それでは、今後の予定を事務局で御説明ください。 ○事務局  次回の専門委員会は23日に予定しています。次回は今日お配りした資料を修正すべ きところを修正し、今回の水道水質に関する基準の見直しについて、議論を集約してい ただきたいと思っております。その内容について、24日に生活環境審議会の水道部会が 予定されておりますので、報告を座長の黒川先生の方からお願いしたいと考えてござい ます。 ○黒川座長  23日は午後ですね。お忙しいところでしょうけれども、何とぞこれまでのとりまとめ ということで御出席願います。  ほかに何か最後で御意見ございますか。ないようでしたら、これで終わらさせていた だきます。ありがとうございました。  問い合わせ先   水道整備課 内線4034